(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-08
(54)【発明の名称】ルート通知方法及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H04L 45/74 20220101AFI20230801BHJP
【FI】
H04L45/74
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022579785
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(85)【翻訳文提出日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 CN2021102540
(87)【国際公開番号】W WO2022267056
(87)【国際公開日】2022-12-29
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518056748
【氏名又は名称】新華三技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】NEW H3C TECHNOLOGIES CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】叶 金栄
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030GA14
5K030HB11
5K030KA05
5K030LB05
(57)【要約】
本発明は、ルート通知方法及び電子機器を提供する。本実施例では、第1のASにおける第1のASBRが、NLRI及び新たに追加されたBIER Path Attribute(少なくとも第1のASBRが第1のAS内で収集したBFR IDを含む)をUPDATEメッセージに付加して第2のASに通知することによって、クロスAS BIERシナリオにおける、自律システム内のBIER情報をAS間で交換することを実現し、クロスAS BIERシナリオにおけるAS間のBIERルート通知を実現する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルート通知方法であって、当該方法は、第1の自律システムASにおける第1の自律システムボーダールータASBRに適用され、第1のASBRは、第2のASにおける第2のASBRに接続し、
第1のAS内の各ビット転送ルータBFRのBFR識別子IDを収集するステップと、
ルート更新UPDATEメッセージを前記第2のASにおける前記第2のASBRに通知するステップであって、前記UPDATEメッセージには、ネットワーク層到達性情報NLRI、及びビットインデックス明示的複製経路属性BIER Path Attributeが付加され、前記NLRIは、少なくとも第1のASBRの第1のサブドメインSDにおける第1のBFRプレフィックスを含み、前記BIER Path Attributeは、少なくとも収集されたBFR IDを含み、前記UPDATEメッセージは、第2のAS内のBFRが前記NLRI及び前記BIER Path Attributeに基づいて対応するビットインデックス転送テーブルBIFT転送エントリをローカルBIFTに追加するために用いられ、前記BIFT転送エントリは、少なくともBFRネイバーと転送ビットマスクF-BMとを含み、BFRネイバーは、前記第1のBFRプレフィックスを格納するために用いられ、F-BMは、前記BFRネイバーを介して到達可能な各BFRに対応するBFR IDを表し、ここで、F-BMによって表されるBFR IDは、少なくとも前記第1のASBRが前記第1のAS内で収集したBFR IDを含むステップと、を含む、
ことを特徴とするルート通知方法。
【請求項2】
第1のAS内の各BFRのBFR IDを収集するステップは、
第1のAS内でビット転送入口ルータBFIRとしてデプロイされたBFRのBFR IDを収集するステップと、
第1のAS内でビット転送出口ルータBFERとしてデプロイされたBFRのBFR IDを収集するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記BIER Path Attributeには、第1のTLVが付加され、前記第1のTLVは、少なくとも1つのフィールドペアを少なくとも含み、各フィールドペアは、対応関係を有するBFR IDフィールドとBFR ID範囲Rangeフィールドとを含み、
第1のTLVには、少なくとも1つのフィールドペアにより、前記第1のASBRが前記第1のAS内で収集したBFR IDが付加され、ここで、各フィールドペアにおいて、BFR ID Rangeフィールドに付加されるパラメータは、値が連続したBFR IDセグメントを表すために用いられ、BFR IDフィールドには、前記BFR IDセグメントの開始BFR IDが付加される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記BIER Path Attributeには、さらに第2のTLVが付加され、
前記第2のTLVにおけるタイプフィールドは、前記第1のASBRがサポートするBIERカプセル化タイプを付加するために用いられ、
前記第2のTLVは、BIERカプセル化情報フィールドをさらに含み、前記BIERカプセル化情報フィールドは、前記第1のASBRがサポートするBIERカプセル化情報を付加するために用いられ、前記BIERカプセル化情報は、前記BIFT転送エントリのエントリ識別子を決定するために用いられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記BIER Path Attributeには、さらにSD配置フィールドが付加され、前記SD配置フィールドには、SD配置情報が付加され、
ここで、前記SD配置情報は、少なくとも前記第1のSDと、前記第1のASBRのBFR IDとを含む、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ルート通知方法であって、当該方法は、第2の自律システムASにおけるネットワーク機器に適用され、
前記ネットワーク機器が第2の自律システムボーダールータASBRであり、第2のASBRが第1のASにおける第1のASBRに接続する場合、
第1のASにおける第1のASBRから通知されたルート更新UPDATEメッセージを受信するステップであって、前記UPDATEメッセージには、ネットワーク層到達性情報NLRI、及びビットインデックス明示的複製経路属性BIER Path Attributeが付加され、前記NLRIは、少なくとも第1のASBRの第1のSDにおける第1のBFRプレフィックスを含み、前記BIER Path Attributeは、少なくとも前記第1のASBRが前記第1のAS内で収集したBFR IDを含むステップと、
前記NLRI及びBIER Path Attributeを第2のASで通知することで、第2のASにおいて前記NLRI及びBIER Path Attributeを受信したいずれか1つのBFRに、対応するビットインデックス転送テーブルBIFT転送エントリをローカルBIFTに追加させるステップと、を含む、
ことを特徴とするルート通知方法。
【請求項7】
前記ネットワーク機器が前記第2のASBR以外のいずれか1つのBFRである場合、当該方法は、さらに、
前記第2のASBRから前記第2のAS内で通知された前記NLRI及びBIER Path Attributeを受信すると、対応するビットインデックス転送テーブルBIFT転送エントリをローカルBIFTに追加するステップであって、前記BIFT転送エントリは、少なくともBFRネイバーと転送ビットマスクF-BMとを含み、BFRネイバーは、前記第1のBFRプレフィックスを格納するために用いられ、F-BMは、前記BFRネイバーを介して到達可能な各BFRに対応するBFR IDを表し、ここで、前記BFRネイバーが到達可能な各BFRは、前記第1のASBRが前記第1のAS内で収集したBFR IDに対応するBFRを含むステップを含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
当該方法は、さらに、
オリジナルマルチキャストパケットを受信すると、前記オリジナルマルチキャストパケットに対応するIPv6パケットをターゲットBFRに転送するステップであって、前記IPv6パケットは、前記オリジナルマルチキャストパケット上にBIER情報及びIPv6情報をカプセル化することによって得られるものであり、前記BIER情報は、少なくともビットストリングBitstringを含み、BitstringにおけるターゲットBFRのBFR IDに対応するビットは、転送を表すための第1の値に設定され、前記F-BMによって表されるBFR IDは、前記ターゲットBFRのBFR IDを含み、前記IPv6情報における外層IPv6宛先アドレスは、前記第1のBFRプレフィックスであるステップを含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ネットワーク機器が第2のASBRである場合、当該方法は、さらに、
オリジナルマルチキャストパケットに対応するIPv6パケットを受信すると、IPv6パケットにおける外層IPv6宛先アドレスに基づいて前記IPv6パケットをユニキャスト転送するステップであって、前記IPv6パケットは、前記オリジナルマルチキャストパケット上にBIER情報及びIPv6情報をカプセル化することによって得られるものであるステップを含む、
ことを特徴とする請求項6又は8に記載の方法。
【請求項10】
電子機器であって、当該電子機器は、プロセッサと機械可読記憶媒体とを含み、
前記機械可読記憶媒体は、前記プロセッサにより実行可能な機械実行可能命令を記憶し、
前記プロセッサは、機械実行可能命令を実行して、請求項1~9のいずれか1項の方法のステップを実施するために用いられる、
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク通信技術の分野に関し、特にルート通知方法及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ビットインデックス明示的複製(BIER:Bit Index Explicit Replication)は、新規なマルチキャスト技術である。ここで、BIER機能をサポートするルータは、ビット転送ルータ(BFR:Bit-Forwarding Router)と呼ばれ、BFRからなるドメインは、BIERドメインと略称される。BIERドメインにおけるBFRは、ビット転送入口ルータ(BFIR:Bit-Forwarding Ingress Router)、ビット転送出口ルータ(BFER:Bit-Forwarding Egress Router)、BFIRとBFERとの間の中間BFRに細分される。マルチキャストパケットは、BFIRからBIERドメインに入り、中間BFRを介してして少なくとも1つのBFERに伝送され、最終的に少なくとも1つのBFERからBIERドメインを出る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、IPv6に基づくBIERルート通知を実現するためにルート通知方法及び電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの実施例として、本発明は、以下の技術的解決手段により実現される。
【0005】
ルート通知方法であって、第1の自律システムASにおける第1の自律システムボーダールータASBRに適用され、第1のASBRは、第2のASにおける第2のASBRに接続し、
第1のAS内の各ビット転送ルータBFRのBFR識別子IDを収集するステップと、
ルート更新UPDATEメッセージを前記第2のASにおける前記第2のASBRに通知するステップであって、前記UPDATEメッセージには、ネットワーク層到達性情報NLRI及びビットインデックス明示的複製経路属性BIER Path Attributeが付加され、前記NLRIは、少なくとも第1のASBRの第1のサブドメインSDにおける第1のBFRプレフィックスを含み、前記BIER Path Attributeは、少なくとも収集されたBFR IDを含み、前記UPDATEメッセージは、第2のAS内のBFRが前記NLRI及び前記BIER Path Attributeに基づいて対応するBIFT転送エントリをローカルビットインデックス転送テーブルBIFTに追加するために用いられ、前記BIFT転送エントリは、少なくともBFRネイバーと転送ビットマスクF-BMとを含み、BFRネイバーは、前記第1のBFRプレフィックスを格納するために用いられ、F-BMは、前記BFRネイバーを介して到達可能な各BFRに対応するBFR IDを表し、ここで、F-BMによって表されるBFR IDは、少なくとも前記第1のASBRが前記第1のAS内で収集したBFR IDを含むステップと、を含む。
【0006】
ルート通知方法であって、第2の自律システムASにおけるネットワーク機器に適用され、前記ネットワーク機器が第2の自律システムボーダールータASBRであり、第2のASBRが第1のASにおける第1のASBRに接続する場合、
第1のASにおける第1のASBRから通知されたルート更新UPDATEメッセージを受信するステップであって、前記UPDATEメッセージには、ネットワーク層到達性情報NLRI、及びビットインデックス明示的複製経路属性BIER Path Attributeが付加され、前記NLRIは、少なくとも第1のASBRの第1のSDにおける第1のBFRプレフィックスを含み、前記BIER Path Attributeは、少なくとも前記第1のASBRが前記第1のAS内で収集したBFR IDを含むステップと、
前記NLRI及びBIER Path Attributeを第2のASで通知することで、第2のASにおいて前記NLRI及びBIER Path Attributeを受信したいずれか1つのBFRに、対応するビットインデックス転送テーブルBIFT転送エントリをローカルBIFTに追加させるステップと、を含む。
【0007】
電子機器であって、当該電子機器は、プロセッサと機械可読記憶媒体とを含み、
前記機械可読記憶媒体は、前記プロセッサにより実行可能な機械実行可能命令を記憶し、
前記プロセッサは、機械実行可能命令を実行して、上記方法のステップを実施するために用いられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の以上の技術的解決手段によれば、本実施例では、第1のASにおける第1のASBRが、NLRI及び新たに追加されたBIER Path Attribute(少なくとも第1のASBRが第1のAS内で収集したBFR IDを含む)をUPDATEメッセージに付加して第2のASに通知することによって、クロスAS BIERシナリオにおける、自律システム内のBIER情報をAS間で交換することを実現し、クロスAS BIERシナリオにおけるAS間のBIERルート通知を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例にて提供される方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の実施例にて提供されるEBGP UPDATEメッセージのフォーマット概略図である。
【
図3】本発明の実施例にて提供されるBIER Path Attributeの構造概略図である。
【
図4】本発明の実施例にて提供される第1のTLVの構造概略図である。
【
図5】本発明の実施例にて提供される第2のTLVの構造概略図である。
【
図6】本発明の実施例にて提供される第2の方法のフローチャートである。
【
図7】本発明の実施例にて提供されるEBGPによるルート通知の実施例のネットワークの図である。
【
図8】本発明の実施例にて提供される第3の方法のフローチャートである。
【
図9】本発明の実施例にて提供されるアプリケーションネットワークの概略図である。
【
図10】本発明の実施例にて提供されるパケット転送の概略図である。
【
図11】本発明の実施例にて提供される第1の装置の構造図である。
【
図12】本発明の実施例にて提供される第2の装置の構造図である。
【
図13】本発明の実施例にて提供される第3の装置の構造図である。
【
図14】本発明の実施例にて提供される装置のハードウェアの構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここでは、図面に例示する例示的な実施例を詳細に説明する。以下の記述が図面に関する場合、特に示していない限り、異なる図面における同じ参照番号は、同じ又は類似の要素を示す。以下の例示的な実施例に記述された実施形態は、本発明と一致する全ての実施形態を表すものではない。逆に、それらは、添付の特許請求の範囲に詳述されるように、本発明のいくつかの態様と一致する装置及び方法の例にすぎない。
【0011】
本発明で使用される用語は、特定の実施例を記述する目的のためだけであり、本発明を限定することを意図していない。本発明及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形態「1種」、「前記」及び「当該」は、文脈が明らかに他の意味を示さない限り、複数形態も含むことを意図している。
【0012】
本発明の実施例にて提供される技術的解決手段を当業者によりよく理解させ、本発明の実施例の上記目的、特徴及び利点をより明瞭でわかりやすくするために、以下、まず本発明の実施例に関連する技術用語を記述する。
【0013】
SD(サブドメイン、Sub-Domain)とは、BIERサブドメインを表すものである。1つのBIERドメインに少なくとも1つのBIERサブドメインが存在する。BIERドメインにおいて、BIERサブドメインを単位として、各BIERサブドメインにおいて指定されたBFRにBFR識別子(ID)を配置する。ここでは、指定されたBFRは、BFIR、BFERなどであってもよく、本実施例では、具体的に限定されない。
【0014】
BFRプレフィックス(BFR-Prefix)とは、BFRを表すために用いられるものであり、同じSD内で、異なるBFRは、異なるBFRプレフィックスにより表される。具体的には実現するとき、BFRのBFRプレフィックスは、BFRの1つのIPv4アドレス又はIPv6アドレスで表されてもよく、本実施例では、IPv6アドレスを例にとる。
【0015】
BIERカプセル化タイプとは、例えばMPLSタイプ、イーサネットタイプ、IPv6タイプ(BIER6と表記される)などのBFRがサポートするBIERカプセル化タイプを表すものである。
【0016】
BSL(Bit String Length)とは、BIERカプセル化におけるビットストリング(Bit String)の長さを表すものである。
【0017】
MAX SI(Set Identifier)とは、SIの最大数を表すものである。SIは、BIERカプセル化におけるビットストリングが属するセット(Set)のIDを表すものである。BFR IDの範囲がBSLの表せる範囲を超える場合、複数のセットで表す必要があり、各Setは、ユニークなIDを有する。例えば、BFR ID範囲が1~512、BSLが256であれば、2つのSetにより表す必要があり、SI=0は1~256を表し、SI=1は257~512を表す。
【0018】
上記の技術用語の記述に基づいて、本発明の実施例にて提供される方法を以下に記述する。
【0019】
図1を参照すると、
図1は、本発明の実施例にて提供される方法のフローチャートである。当該方法は、クロス自律システム(AS:Autonomous System)BIERシナリオに適用される。クロスAS BIERシナリオにおける各ASはBIERをデプロイしている(BIERがデプロイされたASはAS BIERと表記される)。1つの実施例として、当該方法は、クロスAS BIERシナリオでの、第1のASにおける第1のASボーダールータ(ASBR:Autonomous System Border Router)に適用できる。本実施例では、第1のASBRは、第2のASにおける第2のASBRに接続する。なお、第1のAS、第1のASBR、第2のAS、第2のASBRは、記述を容易にするために命名したものであり、限定のためのものではない。
【0020】
図1に示すように、当該フローは、以下のステップを含むことができる。
【0021】
ステップ101において、第1のASBRは、第1のAS内の各BFRのBFR IDを収集する。
【0022】
1つの実施例として、第1のASBRにより収集された第1のAS内の各BFRのBFR IDは、第1のAS内でBFIRとしてデプロイされたBFRのBFR IDと、第1のAS内でBFERとしてデプロイされたBFRのBFR IDとを含むことができる。
【0023】
任意選択的に、第1のASBRのローカルに実行するIGP(Interior Gateway Protocol)プロトコルモジュール又はBIERルート管理モジュールは、IGPプロトコルにより本AS内の各BFRのBFR IDを収集することができる。本ステップ101まで実行すると、第1のASBRは、ローカルに実行するIGPプロトコルモジュール又はBIERルート管理モジュールから、例えば第1のAS内でBFIRとしてデプロイされたBFRのBFR ID、及びBFERとしてデプロイされたBFRのBFR IDなどの、第1のAS内の各BFRのBFR IDを収集することができる。
【0024】
ステップ102において、第1のASBRは、ルート更新(UPDATE)メッセージを第2のASにおける第2のASBRに通知し、UPDATEメッセージには、NLRI及びBIER Path Attributeが付加され、NLRIは、少なくとも第1のASBRの第1のSDにおける第1のBFRプレフィックスを含み、BIER Path Attributeは、少なくとも収集されたBFR IDを含む。
【0025】
上記ステップ102で記述したように、第1のASBRは、第1のASBRの第1のSDにおける第1のBFRプレフィックスに対応するネットワーク到達性情報をUPDATEメッセージにより通知する。任意選択的に、本実施例におけるUPDATEメッセージは、外部ボーダーゲートウェイプロトコル(EBGP:External Border Gateway Protocol)を拡張することで得ることができ、具体的には、拡張することでルート属性(Path Attribute)のEBGP UPDATEメッセージを得ることができる。ここでは、新たに拡張されたPath Attributeは、即ち、上記ビットインデックス明示的複製経路属性(BIER Path Attribute)である。本実施例では、BIER Path Attributeは、EBGP UPDATEメッセージに新たに追加されたPath Attributeと考えればよく、EBGP UPDATEメッセージにおける具体的な位置は限定されない。
図2は、EBGP UPDATEメッセージの既存のフォーマットを列挙して示し、本実施例におけるBIER Path Attributeは、
図2に示されたPath Attributesに新たに追加された1つのPath Attributeであってもよい。本実施例では、BIER Path Attributeは、TLV(Type-Length-Value)フォーマットを採用することができ、以下、列挙して記述するが、ここではその説明が省略される。なお、上記した第1のSDは、記述を容易にするために命名したものであり、第1のASBRが現在所在するいずれか1つのSDを広く指すことができる。第1のBFRプレフィックスは、第1のASBRを一意に表すために用いられ、IPv6アドレス又はIPv4アドレスであってもよく、本実施例では、具体的に限定されない。
【0026】
ステップ102で記述されたように、UPDATEメッセージには、上記新たに追加されたBIER Path Attributeに加えて、ネットワーク層到達性情報(NLRI:Network Layer Reachability Information)が付加される。1つの実施例として、上記NLRIは、少なくとも第1のBFRプレフィックス、及び第1のBFRプレフィックスの長さを含む。例えば、NLRIは、2001:2:3F::1/128を含む。
【0027】
上記ステップ102で記述されたように、第1のASBRは第2のASにおける第2のASBRにUPDATEメッセージを通知し、第2のASBRがUPDATEメッセージを受信すると、第2のAS内でUPDATEメッセージに付加されたNLRI及びBIER Path Attributeを通知し続け、このように第2のAS内のBFRは第2のASBRから通知された上記NLRI及びBIER Path Attributeを受信する。第2のAS内のBFRが第2のASBRから通知された上記NLRI及びBIER Path Attributeを受信すると、対応するBIFT転送エントリをローカルBIFTに追加する。つまり、最終的に上記UPDATEメッセージにより、第2のAS内のBFRはUPDATEメッセージに付加されたNLRI及びBIER Path Attributeに基づいて、ローカルビットインデックス転送テーブル(BIFT:Bit Index Forwarding Table)において、対応するBIFT転送エントリを追加する。
【0028】
一例では、第2のASBRがBIERをサポートする場合、第2のASBRも対応するBIFT転送エントリをローカルBIFTに追加する。逆に、第2のASBRがBIERをサポートしない場合、例えば制御プレーンでBIERをサポートする(ソフトウェアのアップグレードが比較的容易である)が、転送プレーンでBIERをサポートしない(例えばハードウェアがBIERをサポートする機能を備えていない)場合、第2のASBRは対応するBIFT転送エントリをローカルBIFTに追加しない。
【0029】
一例では、上記BIFT転送エントリは、少なくとも転送ビットマスク(F-BM:Forwarding BitMask)と、BFRネイバー(BFR-NBR:BFR Neighbor)とを含む。BFRネイバーは、上記第1のBFRプレフィックスを格納するために用いられる。F-BMは、少なくとも上記BFRネイバーを介して到達可能な各BFRに対応するBFR IDを表す。F-BMによって表されるBFR IDは、少なくとも第1のASBRが第1のAS内で収集したBFR IDを含む。
【0030】
任意選択的に、本実施例では、BFR IDに対応するSI組み合わせのビットマスクによりBFR IDを表すことができる。例えば、F-BMにおいて、上記BFRネイバーを介して到達可能な各BFRに対応するBFR IDに対応するビットは、第1の値、例えば1に設定され、残りのビットは、第2の値、例えば0に設定される。F-BMにおいて、ビットは、第1の値、例えば1に設定される場合、BFRネイバーを介して当該ビットによって表されるBFR IDに対応するBFRに到達できることを表す。ビットが0に設定される場合、BFRネイバーを介して当該ビットによって表されるBFR IDに対応するBFRに到達できないことを表す。以下、列挙して記述するが、ここではその説明が省略される。
【0031】
図1に示されたフローから分かるように、本実施例では、クロスAS BIERシナリオにおける、自律システム内のBIER情報をAS間で交換することを実現し、クロスAS BIERシナリオにおけるAS間のBIERルート通知を実現する。
【0032】
さらに、UPDATEメッセージの上記記述に基づいて、本実施例は、EBGPプロトコルを拡張してEBGPプロトコルによって定義されたEBGP UPDATEメッセージにBIER Path Attributeを新たに追加し、それにより既存のEBGPプロトコルによってクロスAS BIERシナリオにおける、自律システム内のBIER情報をAS間で交換することを実現し、応用の汎用性を向上させる。
【0033】
以下、上記BIER Path Attributeを記述する。
【0034】
上述のように、BIER Path Attributeは、1つのTLV構造であってもよい。
図3は、BIER Path Attributeの構造を列挙して示す。BIER Path Attributeにおけるタイプ(Type)フィールド、長さ(Length)フィールドは、実際の要求に応じて設定することができる。好ましくは、
図3に列挙して示されたBIER Path Attribute構造におけるSub-TLVsフィールドには、それぞれ第1のTLV、第2のTLVと表記された2つの新たに追加されたsub-sub-TLVが付加される。
【0035】
1)、第1のTLVについて、
本実施例では、第1のTLVは、上記第1のASBRが第1のAS内で収集したBFR IDを付加するために用いられる。任意選択的に、
図4に示すように、第1のTLVは、少なくとも、少なくとも1つのフィールドペアを含む。各フィールドペアは、対応関係を有するBFR IDフィールドとBFR ID範囲(Range)フィールドとを含む。本実施例では、第1のTLVには、少なくとも1つのフィールドペアにより、第1のASBRが第1のAS内で収集したBFR IDが付加される。
【0036】
各フィールドペアにおいて、BFR ID Rangeフィールドに付加されるパラメータは、値が連続したBFR IDセグメントを表すために用いられ、BFR IDフィールドには、前記BFR IDセグメントの開始BFR IDが付加される。なお、第1のTLVが2つ以上のフィールドペアを含む場合、異なるフィールドペアにおけるBFR IDフィールドに付加された開始BFR IDは、異なる。例えば、上記第1のASBRが第1のAS内で収集したBFR IDが2つの部分に分けられ、一部が1~251であり、他の一部が260~512である場合、上記第1のTLVは、2つのフィールドペアを含んでもよく、1つのフィールドペアは、BFR IDフィールド1_1と、BFR ID Rangeフィールド1_1とを含み、もう1つのフィールドペアは、BFR IDフィールド1_2と、BFR ID Rangeフィールド1_2とを含む。BFR IDフィールド1_1には、値が連続したBFR IDセグメント(即ち、1~251)の開始値1が付加され、BFR ID Rangeフィールド1_1には、251が付加され、値が連続したBFR IDフィールド(即ち、1~251)を表すために用いられ、具体的に、値が連続したBFR IDフィールド(即ち、1~251)において、251個のBFR IDが存在することを表すことができ、BFR IDフィールド1_2には、値が連続したBFR IDセグメント(即ち、260~512)の開始値260が付加され、BFR ID Rangeフィールド1_2には、253が付加され、値が連続したBFR IDセグメント(即ち、260~512)を表すために用いられ、具体的には、値が連続したBFR IDセグメント(即ち、260~512)において、253個のBFR IDが存在することを表すことができる。
【0037】
任意選択的に、
図4に示すように、本実施例では、第1のTLVは、タイプ(Type)フィールドと、長さ(Length)フィールドとをさらに含む。そのうち、Typeフィールド、Lengthフィールドは、例えばTypeフィールドの長さが2バイト、Lengthフィールドの長さが2バイトであるなど、実際の状況に応じて設定することができ、本実施例では、具体的に限定されない。
【0038】
2)、第2のTLVについて、
本実施例では、第2のTLVは、第1のASBRがサポートするBIERカプセル化情報を指示するために用いられる。任意選択的に、
図5に示すように、第2のTLVは、少なくともTypeフィールドと、Lengthフィールドと、BIERカプセル化情報フィールドとを含むことができる。ここで、Typeフィールドは、例えばMPLSカプセル化タイプ、IPv6に基づくBIER(BIER6と表記される)などの、第1のASBRがサポートするBIERカプセル化タイプを付加するために用いられる。任意選択的に、Typeフィールドの長さは、2バイトであってもよい。Lengthフィールドは、実際の状況に応じて設定することができる。Lengthフィールドは、BIERカプセル化情報フィールドの長さ(例えば、2バイト)を表すために用いられる。BIERカプセル化情報フィールドは、第1のASBRがサポートするBIERカプセル化情報を付加するために用いられる。1つの実施例として、BIERカプセル化情報は、上記BIFT転送エントリのエントリ識別子を決定するように第2のASBRを支援するために用いられることができる。1つの例では、BIERカプセル化情報は、少なくともMAX SIと、BSLと、BIFT IDとを含むことができる。
【0039】
ここで、MAX SIは、上記第1のASBRが所在する第1のAS内の最大BFR IDに対応するSIを表す。任意選択的に、MAX SIは、8bitを占有することができる。
【0040】
BSLは、上記第1のASBRがサポートするBIERカプセル化におけるビットストリングの長さを表す。任意選択的に、BSLは、4bitを占有することができる。
【0041】
BIFT IDは、ローカルBIFTの識別子を表す。ここでは、BSL、SD、及びSIからなるトリプレットは、ローカルBIFTの一意のBIFT識別子に対応する。
【0042】
任意選択的に、1つの実施例として、BIER Path Attributeには、
図3に示されたSD配置フィールドがさらに付加される。ここでは、SD配置フィールドには、SD配置情報が付加される。1つの実施例として、SD配置情報は、少なくとも上記第1のSDと、第1のASBRのBFR IDとを含む。後続の拡張を容易にするために、BIER Path Attributeは、リザーブ(Reserved)フィールドをさらに含むことができ、その説明が省略される。
【0043】
以上はBIER Path Attributeを列挙して記述した。
【0044】
上記
図1に示されたフローは、第1のASにおける第1のASBRの観点からであり、以下、第2のASにおける第2のASBRの観点から、本発明の実施例にて提供される方法のフローを記述する。
【0045】
図6を参照すると、
図6は、本発明の実施例にて提供される第2の方法のフローチャートである。当該方法は、第2のASにおける第2のASBRに適用される。ここでは、第2のASBRは、上記第1のASにおける第1のASBRに接続する。
【0046】
図6に示すように、当該フローは、以下のステップを含むことができる。
【0047】
ステップ601において、第2のASBRは、第1のASにおける第1のASBRが通知したUPDATEメッセージを受信する。
【0048】
上述したように、UPDATEメッセージには、少なくともNLRI及び新たに追加されたBIER Path Attributeが付加され、NLRIは、少なくとも第1のASBRの第1のSDにおける第1のBFRプレフィックスを含み、BIER Path Attributeは、少なくとも第1のASBRが第1のAS内で収集したBFR IDを含む。第1のASBRが第1のAS内で収集したBFR IDは、上述したとおりであり、ここではその説明が省略される。
【0049】
ステップ602において、第2のASBRは、第2のASにおいてNLRI及びBIER Path Attributeを受信したBFRが対応するBIFT転送エントリをローカルBIFTに追加するように、第2のASにおいて上記NLRI及びBIER Path Attributeを通知する。
【0050】
任意選択的に、1つの実施例として、第2のASBRは、IBGPプロトコルを拡張することによって、第2のASにおいて上記NLRI及びBIER Path Attributeを通知する。具体的には実現するとき、IBGPプロトコルによって定義されたIBGP UPDATEメッセージを拡張することによって、IBGP UPDATEメッセージに上記NLRI及びBIER Path Attributeを付加して、指定されたBFR(第2のASBRのピア)に通知し、それにより第2のAS内の上記指定されたBFRが対応するBIFT転送エントリをローカルBIFTに追加する。
図7は、IBGP通知の実施例のネットワークを列挙して示す。BIFT転送エントリについて、後述するが、ここではその説明が省略される。
【0051】
なお、上述したように、第2のASBRは制御プレーンでBIERをサポートする(ソフトウェアのアップグレードが比較的容易である)が、転送プレーンでBIERをサポートしない(例えばハードウェアがBIERをサポートする機能を備えていない)場合、第2のASBRは対応するBIFT転送エントリをローカルBIFTに追加しない。
【0052】
【0053】
図6に示されたフローから分かるように、本実施例では、第2のASにおける第2のASBRは、第2のAS内で外部第1のASにおけるプレフィックスルート到達性情報を通知して上記BIER Path Attributeを付加することによって、クロスAS BIERシナリオにおける、自律システム内のBIER情報をAS間で交換することを実現し、クロスAS BIERシナリオにおけるAS間のBIERルート通知を実現する。
【0054】
以下、第2のASにおける第2のASBR以外のいずれか1つのBFRの観点から、本発明の実施例にて提供される方法のフローを記述する。
【0055】
図8を参照すると、
図8は、本発明の実施例にて提供される第3の方法のフローチャートである。当該フローは、第2のASにおける第2のASBR以外のいずれか1つのBFRに適用される。
図8に示すように、当該フローは、以下のステップを含むことができる。
【0056】
ステップ801において、通知された前記NLRI及びBIER Path Attributeを受信すると、対応するBIFT転送エントリをローカルBIFTに追加する。
【0057】
1つの実施例として、ここでのBIFT転送エントリは、少なくとも転送ビットマスク(F-BM:Forwarding BitMask)と、BFRネイバー(BFR-NBR:BFR Neighbor)とを含む。ここで、BFRネイバーは、上記第1のBFRプレフィックスを格納するために用いられ、例えば第1のBFRのIPv6アドレスなどであり、F-BMは、少なくともBFRネイバーを介して到達可能な各BFRに対応するBFR IDを表す。
【0058】
任意選択的に、ここではF-BMによって表されるBFR IDは、少なくとも第1のASBRが第1のAS内で収集した上記各BFR IDを含む。任意選択的に、本実施例では、F-BMは、BFR IDに対応するSIとBFRネイバーの組み合わせのビットマスクでBFR IDを表すことができ、具体的には実現するとき、BFRネイバーを介して到達可能な各BFRに対応するBFR IDに対して、F-BMにおいて、当該BFR IDに対応するビットを第1の値(例えば、1)に設定し、それによりBFRネイバーを介して当該ビットによって表されるBFR IDに対応するBFRに到達できることを表す。一方、F-BMにおいて、BFRネイバーを介して到達できない各BFRに対応するBFR IDに対して、当該BFR IDに対応するビットを第2の値(例えば、0)に設定し、BFRネイバーを介して当該ビットによって表されるBFR IDに対応するBFRに到達できないことを表す。以下、BIFT転送エントリを具体的に記述し、ここではその説明が省略される。
【0059】
なお、上記第2のASにおける第2のASBR以外のいずれか1つのBFRも、第2のASBRがNLRI及びBIER Path Attributeを通知する方式と同様に、NLRI及びBIER Path Attributeを通知する。
【0060】
ステップ802において、オリジナルマルチキャストパケットを受信すると、オリジナルマルチキャストパケットに対応するIPv6パケットをターゲットBFRに転送し、IPv6パケットは、オリジナルマルチキャストパケット上にBIER情報及びIPv6情報をカプセル化することによって得られるものであり、BIER情報は、少なくともビットストリングBitstringを含み、BitstringにおけるターゲットBFRのBFR IDに対応するビットは、転送を表すための第1の値に設定され、F-BMによって表されるBFR IDは、ターゲットBFRのBFR IDを含み、IPv6情報における外層IPv6宛先アドレスは、第1のBFRプレフィックスである。
【0061】
一例では、いずれか1つのBFRがオリジナルマルチキャストパケットを受信すると、マルチキャスト転送テーブルを問い合わせ、オリジナルマルチキャストパケットのBFERに対応するBitstringを得た後、オリジナルマルチキャストパケット上にBIER情報(少なくともBitstringを含む)及びIPv6情報をカプセル化する。
【0062】
ステップ802の記述に基づいて、第2のASにおけるBIERをサポートしないネットワーク機器がIPv6パケットを受信すると、IPv6パケットの宛先IPアドレス(即ち上記第1のBFRプレフィックス)に従って通常のIPv6転送エントリとマッチングし、IPv6に従ってユニキャスト転送すればよい。例えば、上記第2のASBRがIPv6パケットを受信すると、IPv6パケットにおける外層IPv6宛先アドレスに基づいてIPv6パケットをユニキャスト転送する。
【0063】
以上の記述から分かるように、本実施例では、第2のAS内でマルチキャストソースに接続された機器がBIERをサポートするだけでよく、第2のAS内の他のネットワーク機器がBIERをサポートしていないことは、マルチキャストパケット転送に影響を与えず、それによりネットワークのスムーズなアップグレードを容易にする。
【0064】
【0065】
図8に示されたフローから分かるように、本実施例では、第2のASにおける第2のASBR以外のいずれか1つのBFRは、第2のASBRから通知された第1のASにおけるプレフィックスルート到達性情報(上記BIER Path Attributeが付加される)を学習することによって、クロスAS BIERシナリオにおけるAS間のパケット転送を実現することができる。
【0066】
上記フローに関連して、以下に特定の実施例を用いて記述する。
【0067】
図9を参照すると、
図9は、本発明の実施例にて提供されるアプリケーションネットワークの概略図である。
図9に示された実施例では、AS902におけるASBR902_1がAS901にAS902のBIERルートを通知することを例にとる場合、
図9では、ASBR902_1の構成は表1に示すとおりである。
【0068】
【0069】
図9に示すように、ASBR902_1は、ローカルに実行するIGPプロトコルモジュール又はBIERルート管理モジュールからAS902内の各BFRのBFR IDを収集することができる。1つの実施例として、ASBR902_1の収集したBFR IDとしては1~251、260~512が挙げられる。
【0070】
上述したBIER Path Attributeに基づいて、1つの実施例として、ASBR902_1は、EBGP UPDATEメッセージを介してASBR902_1のBFR-Prefixに対応するユニキャストプレフィックスルート到達性情報をAS901_1に通知することができ、以下の表2は、EBGP UPDATEメッセージに付加されたBIER Path Attribute及びNLRIを列挙して示す。
【0071】
【0072】
ASBR902_1は、EBGP UPDATEメッセージをAS901に通知する。EBGP UPDATEメッセージには、少なくとも表2に示されたBIER Path Attribute及びNLRIが付加される。
【0073】
AS901におけるASBR901_1は、EBGP UPDATEメッセージを受信する。EBGP UPDATEメッセージには、表2に示されたBIER Path Attribute及びNLRIが付加される。
【0074】
ASBR901_1は、IBGP UPDATEメッセージを介してEBGP UPDATEメッセージに付加された表2に示されたBIER Path Attribute及びNLRIをAS901における指定されたBFR(R901_2を例に)に通知する。具体的には上記
図7に示された実施例を参照することができる。
【0075】
R901_2は、IBGP UPDATEメッセージを受信し、対応するBIFT転送エントリをローカルBIFTに追加する。1つの実施例として、R901_2を例にとって、R901_2が対応するBIFT転送エントリをローカルBIFTに追加することは、以下のとおりであり、
BIFT IDが2000であるBIFTにBIFT転送エントリを追加し、及び、BIFT IDが2001であるBIFTにBIFT転送エントリを追加する。
【0076】
ここで、上記BIER Path AttributeにおけるBSL、SD、SIがそれぞれ3、1、0である場合、対応するBIFT IDが2000であると決定し、上記BIER Path AttributeにおけるBSL、SD、SIがそれぞれ3、1、1である場合、対応する BIFT IDが2001であると決定する。
【0077】
表3は、対応するBIFT転送エントリをローカルBIFTに追加することを列挙して示す。
【0078】
【0079】
表3において、F-BM上の対応するビットが1に設定されると、上記表3におけるBFR-NBRを介して当該ビットによって表されるBFR IDに対応するBFRに到達できることを表す。逆に、F-BM上の対応するビットが0に設定されると、上記表3におけるBFR-NBRを介して当該ビットによって表されるBFR IDに対応するBFRに到達できないことを表す。表3の2行目に示されたF-BM:「0000011111…111111(251個の1)」を例に、右の1番目の「1」は、BFR IDが0であることを表し、右の2番目の「1」は、BFR IDが1であることを表し、順次類推する。
【0080】
なお、本実施例ではAS901内の全ての機器がBIERをサポートすることは要求されない。マルチキャストパケット転送を満たすために、1つの実施例として、本実施例では、AS901におけるマルチキャストソースに接続された機器、例えば上記R901_2のみがBIERをサポートすることを要求し、AS901におけるマルチキャストソースに接続されていない機器、例えば上記R901_3などがBIERをサポートしない。
【0081】
上記で確立されたBIFT転送エントリに基づいて、以下にパケット転送プロセスを説明する。
【0082】
依然としてR901_2を例に、R901_2は、AS902における全ての又は一部のBFERから転送されるオリジナルマルチキャストパケットを受信する(説明の便宜上、ここではAS902における全てのBFERに転送することを例にとる)。説明の便宜上、ここではパケットa1と表記される。
【0083】
R901_2は、パケットa1にBIER情報(BIERカプセル化ヘッダと表記される)をカプセル化し、BIER情報におけるビットストリング(BitString)のうち上記AS902における各BFERのBFR IDに対応するビットを1に設定するとともに、パケットa1の外層にIPv6情報(IPv6ヘッダと表記される)をカプセル化する。ここで、IPv6情報における外層IPv6宛先アドレスは、上記BIFT転送エントリにおけるBFR-NBRアドレス(つまりASBR902_1のBFR-Prefixアドレス2001:2:3F::1)に設定される。説明の便宜上、ここではBIER情報及びIPv6情報がカプセル化されたパケットa1をパケットa2と表記することができる。パケットa2の構造は
図10に示すとおりである。
【0084】
R901_2がAS901においてパケットa2を転送する。
【0085】
ASBR901_1がパケットa2を受信し、パケットa2の外層IPv6宛先アドレスに基づいて通常のIPv6転送エントリとマッチングし、IPv6に従ってユニキャスト転送する。
【0086】
ASBR902_1がパケットa2を受信し、パケットa2の外層IPv6宛先アドレスが本機器のBFR-Prefixアドレスであれば、BIERに従って転送する。ここでのBIER転送は既存のBIER転送規則に従って転送することを指す。最終的にマルチキャストパケットの転送を実現する。
【0087】
上記転送プロセスから、本実施例は、AS901におけるマルチキャストソースに接続された機器、例えば上記R901_2がBIERをサポートするが、AS901におけるマルチキャストソースに接続されていない機器、例えば上記R901_3などがBIERをサポートしないことを要求することができる。
【0088】
これで、実施例の記述が完了する。
【0089】
図11を参照すると、
図11は、本発明の実施例にて提供される第1の装置の構造図である。当該装置は、上記
図1に示されたフローに対応する。当該装置は、第1のASにおける第1のASBRに適用され、第1のASBRは、第2のASにおける第2のASBRに接続し、
図11に示すように、当該装置は、
第1のAS内の各BFRのBFR識別子IDを収集するための収集ユニットと、
ルート更新UPDATEメッセージを第2のASにおける第2のASBRに通知するための第1の通知ユニットであって、前記UPDATEメッセージには、NLRI及びBIER Path Attributeが付加され、NLRIは、少なくとも第1のASBRの第1のSDにおける第1のBFRプレフィックスを含み、BIER Path Attributeは、少なくとも収集されたBFR IDを含み、UPDATEメッセージは、第2のAS内のBFRがNLRI及びBIER Path Attributeに基づいて対応するBIFT転送エントリをBIFTに追加するために用いられ、BIFT転送エントリは、少なくともBFRネイバーとF-BMとを含み、BFRネイバーは、第1のBFRプレフィックスを格納するために用いられ、F-BMは、BFRネイバーを介して到達可能な各BFRに対応するBFR IDを表し、ここで、F-BMによって表されるBFR IDは、少なくとも第1のASBRが第1のAS内で収集したBFR IDを含む第1の通知ユニットと、を含むことができる。
【0090】
1つの実施例として、第1のAS内の各BFRのBFR IDを収集する上記ステップは、
第1のAS内でビット転送入口ルータBFIRとしてデプロイされたBFRのBFR IDを収集するステップと、
第1のAS内でビット転送出口ルータBFERとしてデプロイされたBFRのBFR IDを収集するステップと、を含む、
【0091】
1つの実施例として、上記BIER Path Attributeには、第1のTLVが付加され、前記第1のTLVは、少なくとも、少なくとも1つのフィールドペアを含み、各フィールドペアは、対応関係を有するBFR IDフィールドとBFR ID Rangeフィールドとを含み、
第1のTLVには、少なくとも1つのフィールドペアにより、前記第1のASBRが前記第1のAS内で収集したBFR IDが付加され、ここで、各フィールドペアにおいて、BFR ID Rangeフィールドに付加されるパラメータは、値が連続したBFR IDセグメントを表すために用いられ、BFR IDフィールドには、前記BFR IDセグメントの開始BFR IDが付加される。
【0092】
1つの実施例として、上記BIER Path Attributeには、さらに第2のTLVが付加され、
前記第2のTLVにおけるタイプフィールドは、前記第1のASBRがサポートするBIERカプセル化タイプを付加するために用いられ、
前記第2のTLVは、BIERカプセル化情報フィールドをさらに含み、前記BIERカプセル化情報フィールドは、前記第1のASBRがサポートするBIERカプセル化情報を付加するために用いられ、前記BIERカプセル化情報は、前記BIFT転送エントリのエントリ識別子を決定するために用いられる。
【0093】
1つの実施例として、上述したBIERカプセル化情報は、少なくとも
前記第1のAS内の最大BFR IDに対応するSIを表すMAX SIと、
サポートするBIERカプセル化におけるビットストリングの長さを表すBSLと、
ローカルBIFTの識別子を表すBIFT IDと、を含む。
【0094】
1つの実施例として、上述したBIER Path Attributeには、さらにSD配置フィールドが付加され、前記SD配置フィールドには、SD配置情報が付加され、
ここで、前記SD配置情報は、少なくとも前記第1のSDと、前記第1のASBRのBFR IDとを含む。
【0095】
これで、
図11に示された装置の構造の記述が完了する。
【0096】
図12を参照すると、
図12は、本発明の実施例にて提供される第2の装置の構造図である。当該装置は、第2のASにおけるネットワーク機器に適用される。ここで、ネットワーク機器が第2のASBRであり、第2のASBRが第1のASにおける第1のASBRに接続する場合、当該装置は、上記
図6に示されたフローに対応し、
第1のASにおける第1のASBRが通知したルート更新UPDATEメッセージを受信するための受信ユニットであって、前記UPDATEメッセージには、NLRI及びBIER Path Attributeが付加され、前記NLRIは、少なくとも第1のASBRの第1のSDにおける第1のBFRプレフィックスを含み、前記BIER Path Attributeは、少なくとも前記第1のASBRが前記第1のAS内で収集したBFR IDを含む受信ユニットと、
前記NLRI及びBIER Path Attributeを第2のASで通知することで、第2のASにおいて前記NLRI及びBIER Path Attributeを受信したいずれか1つのBFRが対応するBIFT転送エントリをローカルビットインデックス転送テーブルBIFTに追加するための第2の通知ユニットと、を含むことができる。
【0097】
1つの実施例として、任意選択的に、当該装置は、転送ユニットをさらに含むことができる。
【0098】
転送ユニットは、オリジナルマルチキャストパケットに対応するIPv6パケットを受信すると、IPv6パケットにおける外層IPv6宛先アドレスに基づいて前記IPv6パケットをユニキャスト転送するために用いられ、前記IPv6パケットは、前記オリジナルマルチキャストパケット上にBIER情報及びIPv6情報をカプセル化することによって得られるものである。ここでは、転送ユニットは、IPv6パケットの外層IPv6宛先アドレスに基づいて通常のIPv6転送エントリとマッチングし、IPv6に従ってユニキャスト転送する。
【0099】
【0100】
図13を参照すると、
図13は、本発明の実施例にて提供される第3の装置の構造図である。当該装置は、第2のASにおけるネットワーク機器に適用される。ここで、ネットワーク機器が第2のASBR以外のいずれか1つのBFRである場合、当該装置は、上記
図8に示されたフローに対応し、
図13に示すように、当該装置は、
前記第2のASBRが前記第2のAS内で通知した前記NLRI及びBIER Path Attributeを受信すると、対応するBIFT転送エントリをローカルビットインデックス転送テーブルBIFTに追加するためのエントリユニットであって、前記BIFT転送エントリは、少なくともBFRネイバーと転送ビットマスクF-BMとを含み、BFRネイバーは、前記第1のBFRプレフィックスを格納するために用いられ、F-BMは、前記BFRネイバーを介して到達可能な各BFRに対応するBFR IDを表し、ここで、前記BFRネイバーを介して到達可能な各BFRは、前記第1のASBRが前記第1のAS内で収集したBFR IDに対応するBFRを含むエントリユニットと、
オリジナルマルチキャストパケットを受信すると、前記オリジナルマルチキャストパケットに対応するIPv6パケットをターゲットBFRに転送するための転送ユニットであって、前記IPv6パケットは、前記オリジナルマルチキャストパケット上にBIER情報及びIPv6情報をカプセル化することによって得られるものであり、前記BIER情報は、少なくともビットストリングBitstringを含み、BitstringにおけるターゲットBFRのBFR IDに対応するビットは、転送を表すための第1の値に設定され、前記F-BMによって表されるBFR IDは、前記ターゲットBFRのBFR IDを含み、前記IPv6情報における外層IPv6宛先アドレスは、前記第1のBFRプレフィックスである転送ユニットと、を含むことができる。
【0101】
【0102】
本発明の実施例は、上記装置のハードウェア構造をさらに提供する。
図14を参照すると、
図14は、本発明の実施例にて提供される電子機器の構造図である。
図14に示すように、当該ハードウェア構造は、プロセッサと、機械可読記憶媒体とを含むことができ、機械可読記憶媒体は、前記プロセッサにより実行可能な機械実行可能命令を記憶し、前記プロセッサは、機械実行可能命令を実行して、本発明の上記例において開示された方法を実施するために用いられる。
【0103】
上記方法と同様の思想に基づき、本発明の実施例は、機械可読記憶媒体をさらに提供し、前記機械可読記憶媒体は、いくつかのコンピュータ命令を記憶し、前記コンピュータ命令がプロセッサにより実行された時、本発明の上記例において開示された方法が実施される。
【0104】
例示的に、上記機械可読記憶媒体は、任意の電子的、磁気的、光学的、又は他の物理的記憶装置であってもよく、実行可能命令、データなどの情報を含み、又は記憶することができる。例えば、機械可読記憶媒体は、RAM(Radom Access Memory、ランダムアクセスメモリ)、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、フラッシュメモリ、ストレージドライブ(例えばハードディスクドライブ)、ソリッドステートドライブ、任意のタイプのストレージディスク(例えば光ディスク、dvdなど)、又は類似の記憶媒体、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0105】
上記実施例で説明したシステム、装置、モジュール又はユニットは、具体的には、コンピュータチップ、又はエンティティにより実現されてもよく、又は何らかの機能を有する製品により実現されてもよい。典型的な実現機器は、コンピュータであり、コンピュータの具体的な形態は、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、携帯電話、カメラ付き電話、スマートフォン、携帯情報端末(Personal Digital Assistant)、メディアプレーヤ、ナビゲーション機器、電子メール送受信機器、ゲーム機、タブレット型パソコン、ウェアラブル機器、又はこれらの機器の任意のいくつかの組み合わせであってもよい。
【0106】
なお、記述の便宜上、以上の装置を記述する時、その機能に応じて各ユニットに分けて記述する。当然ながら、本発明を実施する時、各ユニットの機能を同じ又は複数のソフトウェア及び/又はハードウェアで実現することができる。
【0107】
当業者には、本発明の実施例が、方法、システム、又はコンピュータプログラム製品として提供され得ることが理解される。したがって、本発明は、全体的にハードウェアの実施例、全体的にソフトウェアの実施例、又はソフトウェア及びハードウェアの態様を組み合わせた実施例の形態を採用することができる。さらに、本発明の実施例は、コンピュータ使用可能プログラムコードを内部に含む1つ又は複数のコンピュータ使用可能記憶媒体(磁気ディスク記憶装置、CD-ROM、光学記憶装置などを含むが、これらに限定されない)で実施されるコンピュータプログラム製品の形態を採用することができる。
【0108】
本発明は、本発明の実施例による方法、機器(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照して記述される。フローチャート及び/又はブロック図における各フロー及び/又はブロック、並びにフローチャート及び/又はブロック図におけるフロー及び/又はブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令により実現され得ることが理解されるべきである。これらのコンピュータプログラム命令は、マシンを生成するために、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、組み込みプロセッサ、又は他のプログラマブルなデータ処理機器のプロセッサに提供されてもよく、汎用コンピュータ又は他のプログラマブルなデータ処理機器のプロセッサにより実行された命令が、フローチャートの1つのフロー又は複数のフロー及び/又はブロック図の1つのブロック又は複数のブロックにおいて指定された機能を実現するための装置を生成する。
【0109】
さらに、これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラマブルなデータ処理機器に指定された方式で動作するように指導することができるコンピュータ可読メモリに記憶されてもよく、当該コンピュータ可読メモリに記憶された命令が、命令装置を含む製造品を生成し、当該命令装置は、フローチャートの1つのフロー又は複数のフロー及び/又はブロック図の1つのブロック又は複数のブロックにおいて指定された機能を実現する。
【0110】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラマブルなデータ処理機器にロードすることもでき、一連の操作ステップがコンピュータ又は他のプログラマブルな機器で実行されて、コンピュータで実現される処理を生成し、それによりコンピュータ又は他のプログラマブルな機器で実行される命令が、フローチャートの1つのフロー又は複数のフロー及び/又はブロック図の1つのブロック又は複数のブロックにおいて指定された機能を実現するためのステップを提供する。
【0111】
以上の説明は、本発明の実施例にすぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、当業者にとって様々な変更及び変形が可能である。本発明の精神及び原理内で行われた任意の修正、等価置換、改良などは、いずれも本発明の特許請求の範囲内に含まれるべきである。
【0112】
以上の説明は、本発明の好適な実施例にすぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の精神と原則内で行われた任意の修正、等価置換、改良などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【国際調査報告】