(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-08
(54)【発明の名称】二重壁プレート熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28D 9/00 20060101AFI20230801BHJP
F28F 11/00 20060101ALI20230801BHJP
F28F 3/08 20060101ALI20230801BHJP
F28F 9/00 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
F28D9/00
F28F11/00 A
F28F3/08 311
F28F9/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580809
(86)(22)【出願日】2021-07-02
(85)【翻訳文提出日】2022-12-27
(86)【国際出願番号】 SE2021050669
(87)【国際公開番号】W WO2022015217
(87)【国際公開日】2022-01-20
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502298310
【氏名又は名称】スウェップ インターナショナル アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100120857
【氏名又は名称】渡邉 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100206335
【氏名又は名称】太田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】アンデション スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ダールベルク トーマス
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA01
3L103AA37
3L103AA50
3L103CC02
3L103CC12
3L103DD15
3L103DD92
(57)【要約】
本発明は、流体が熱交換するための流路の形成下で隣接する熱交換器要素(110、120)間の接触点を提供するリッジ(R)及び溝(G)が形成された複数の二重壁プレートを含むプレート熱交換器(100)を開示する。流路は、ポート開口部を介して互いに選択的に流体連通している。熱交換器要素(110、120)のそれぞれは、少なくとも2つの接合されたプレートを備え、流路から漏れる流体のために、各熱交換器要素(110、120)のプレート間に漏出チャネルが形成される。プレートには、各熱交換器要素(110、120)のプレート間のリッジ及び溝を横切って延在する漏出チャネル(210)を形成する協働する隆起部(190)及び窪み(200)が設けられる。
プレート間には、同じ熱交換器要素(110、120)内の漏出チャネルを接続するための少なくとも1つの接続空間が形成され、各接続空間は漏出口に接続される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の二重壁プレート熱交換器要素(110、120)を含む二重壁プレート熱交換器(100)であって、
前記熱交換器要素(110、120)は、隣接する前記熱交換器要素(110、120)の間に流体が熱を交換するための流路(240)を形成し、隣接する前記熱交換器要素(110、120)の少なくともいくつかの交差するリッジと溝との間の接触点を提供する前記リッジ(R)及び前記溝(G)のパターンで形成され、前記流路は、前記熱交換器要素(110、120)のポート開口部を通して互いに選択的に流体連通しており、前記熱交換器要素(110、120)の各々は、少なくとも2つの接合プレート(150~180)を含み、前記プレートには、前記熱交換器要素(110、120)の前記リッジ及び前記溝の前記パターンを形成するために前記リッジ(R)及び前記溝(G)が形成され、漏出チャネルは、前記流路から漏出する流体のために、各前記熱交換器要素(110、120)の前記プレート間に形成され、
前記プレート(150~180)には、各前記熱交換器要素(110、120)の前記プレート間に前記リッジ(R)及び前記溝(G)を横切って延在する漏出チャネル(210)を形成する協働する隆起部(190)及び窪み(200)が設けられ、
各前記熱交換器要素(110、120)の前記プレート間に少なくとも1つの接続空間(220)が形成され、前記接続空間(220)は、同じ前記熱交換器要素(110、120)内の漏出チャネル(210)を接続し、
少なくとも1つの前記接続空間(220)は、漏出口(230)に接続されることを特徴とする、二重壁プレート熱交換器。
【請求項2】
少なくとも1つの前記接続空間(220)は、前記プレートの前記リッジ(R)及び/又は前記溝(G)に沿って延在する、請求項1に記載の二重壁プレート熱交換器(100)。
【請求項3】
前記接続空間(220)は、選択された前記プレートの前記リッジ(R)の少なくとも1つ及び/又は前記溝(G)の少なくとも1つが、他の前記プレートの対応する前記リッジ及び/又は前記溝とは異なる高さで形成されることにより形成される、請求項1又は2に記載の二重壁プレート熱交換器(100)。
【請求項4】
前記接続空間(220)は、各前記熱交換器要素の前記プレートのうちの1つにある1つ以上の前記リッジ及び/又は前記溝が、他方の前記プレートの対応する前記リッジ及び/又は前記溝とは異なる高さで形成されることによって形成される、請求項3に記載の二重壁プレート熱交換器(100)。
【請求項5】
各前記熱交換器要素(110、120)は、8個以下の前記接続空間(220)、6個以下の前記接続空間、又は4個以下の前記接続空間を含む、請求項1~4のいずれかに記載の二重壁プレート熱交換器(100)。
【請求項6】
各前記熱交換器要素(110、120)の前記プレート(150~180)間の前記漏出チャネル(210)は、2つ以下の漏出口又は単一の漏出口(230)に接続される、請求項1~5のいずれかに記載の二重壁プレート熱交換器(100)。
【請求項7】
前記漏出口(230)は、長方形の前記熱交換器要素(110、120)の短辺に配置される、請求項1~6のいずれかに記載の二重壁プレート熱交換器(100)。
【請求項8】
前記プレート(150~180)及び前記熱交換器要素(110、120)は長方形であり、ろう付けによって接合され、前記プレート(150~180)の長辺は、連続的なろう付け接合によって接合される、請求項1~7のいずれかに記載の二重壁プレート熱交換器(100)。
【請求項9】
前記プレート(150~180)は、周辺スカート(S)を備え、3つの連続する前記プレート(150~170)の前記周辺スカートは、2つの隣接する前記熱交換器要素(110、120)の前記漏出チャネル(210)からの共通の前記漏出口を提供するために、前記開口部の形態で前記漏出口(230)とともに形成される、請求項1~8のいずれかに記載の二重壁プレート熱交換器(100)。
【請求項10】
前記開口部は整列している、請求項9に記載の二重壁プレート熱交換器(100)。
【請求項11】
前記周辺スカート(S)に整列した前記開口部を有する3つの連続する前記プレート(150~170)の後に、前記周辺スカート(S)に対応する前記開口部を有さない前記プレート(180)が続き、それによって、互いに隣接する前記流路(240)から漏れる流体のいかなる混合も防止する、請求項10に記載の二重壁プレート熱交換器(100)。
【請求項12】
前記ポート開口部(01~04)は、前記流路(240)間の前記選択的な流体連通を提供するために、異なるレベルに配置される、請求項1~11のいずれかに記載の二重壁プレート熱交換器(100)。
【請求項13】
漏出センサが、前記漏出口(230)からの漏出を検出するように、前記熱交換器プレートの周囲に提供される、請求項1~12のいずれかに記載の二重壁プレート熱交換器(100)。
【請求項14】
前記漏出チャネル(210)は、前記プレート(150~180)の長手方向に延在し、平行に配置され、前記プレートの幅にわたって分布している、請求項1~13のいずれかに記載の二重壁プレート熱交換器(100)。
【請求項15】
少なくとも第1の熱交換器要素(110)及び第2の熱交換器要素(120)であって、
第1の前記熱交換器要素(110)は、第2の前記プレート(160)に接合された第1の前記プレート(150)を備え、第2の前記熱交換器要素(120)は、第4の前記プレート(180)に接合された第3の前記プレート(170)を備える、少なくとも第1の前記熱交換器要素(110)及び第2の前記熱交換器要素(120)を備え、
第1の前記プレート(150)及び第3の前記プレート(170)の前記溝(G)には、前記溝(G)を横切る前記隆起部(190)が設けられ、第2の前記プレート(160)及び第4の前記プレート(180)の前記リッジ(R)には、前記リッジ(R)を横切る窪み(200)が設けられ、
前記窪み(200)及び前記隆起部(190)は協働して、第1及び第2の前記プレート(150、160)の間及び第3及び第4の前記プレート(170、180)の間に前記漏出チャネル(210)を形成し、前記第1及び第2の熱交換器要素(110、120)の間の前記流路(240)から漏れる流体を収集し、
前記接続空間(220)は、第1及び第2の前記プレート(150、160)の間及び第3及び第4の前記プレート(170、180)の間に設けられる、請求項1~14のいずれかに記載の二重壁プレート熱交換器(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重壁プレート熱交換器(二重壁プレート式熱交換器、二重壁プレート型熱交換器)に関する。より具体的には、本発明は、複数の二重壁プレート熱交換器要素を含む二重壁プレート熱交換器であって、二重壁プレート熱交換器要素は、流体が熱を交換するための二重壁プレート熱交換器要素間の流路の形成下で、隣接する二重壁プレート熱交換器要素の少なくともいくつかの交差するリッジと溝との間に接触点を提供するリッジ及び溝で形成され、前記流路は、二重壁プレート熱交換器要素のポート開口部を介して互いに選択的に流体連通しており、二重壁熱交換器要素の各々は、2つのプレートを含み、前記プレートには、二重壁熱交換器要素のリッジ及び溝のパターンを形成するためのリッジ及び溝が形成されており、漏出チャネルは、流路から漏出する流体のために、各二重壁プレート熱交換器要素のプレート間に形成される。
【0002】
二重壁プレート熱交換器は、一般に、ある流体が熱交換器内の別の流体に漏れるのを回避するために使用される。例えば、このような二重壁プレート熱交換器は、液体食品などのヒトが消費するための流体、又は混合されると望ましくない化学反応をもたらし得る流体などを含む熱交換用途に有用である。また、二重壁プレート熱交換器は、一方の流体の他方の流体への漏れを検出することが望ましい場合にも有用であり得る。
【背景技術】
【0003】
複数の異なるタイプのろう付けされた二重壁プレート熱交換器が従来技術において見出され得る。当業者に知られているように、このような熱交換器は、2つの接合されたプレートによって形成される多数の二重壁熱交換器要素を含み、前記プレートには、二重壁熱交換器要素のリッジ及び溝のパターンを形成するためのリッジ及び溝が形成されており、各二重壁プレート熱交換器要素のプレート間には、流路から漏出する流体を収集し、それをプレートの周囲に導く漏出チャネルが形成される。
【0004】
従来技術の二重壁プレート熱交換器の1つの問題は、それらが非効率的で信頼性が低い可能性があることである。
【0005】
そのような従来技術の二重壁プレート熱交換器の別の問題は、漏れを検出することが困難であり得ることである。
【0006】
また、そのような従来技術の二重壁プレート熱交換器のさらに別の問題は、それらを製造することが困難かつ複雑であり得ることである。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、上述の問題を克服するか又は少なくとも軽減し、製造が容易な、漏れ検出が容易な信頼性が高く効率的な二重壁プレート熱交換器を提供することである。
【0008】
本発明は、複数の二重壁熱交換器要素を備える二重壁プレート熱交換器に関し、二重壁熱交換器要素は、流体が熱を交換するための二重壁プレート熱交換器要素間の流路の形成下で、隣接する熱交換器要素の少なくともいくつかの交差するリッジ(ridge、尾根、延びる頂部)と溝との間の接触点を提供するリッジ及び溝のパターンで形成される。前記流路は、前記二重壁熱交換器要素のポート開口部を介して互いに選択的に流体連通しており、前記二重壁熱交換器要素の各々は、少なくとも2つの接合プレートを含み、前記プレートは、前記二重壁熱交換器要素のリッジ及び溝のパターンを形成するようにリッジ及び溝が形成されている。また、各二重壁プレート熱交換器要素のプレート間には、流路から漏れる流体のための漏出チャネルが形成され、プレートは、各二重壁熱交換器要素のプレート間のリッジ(ridges)及び溝(grooves)を横切って延在する漏出チャネルを形成する協働する隆起(elevations)及び窪み(indentations)を備え、各二重壁熱交換器要素のプレート間には、少なくとも1つの接続空間が形成されることを特徴とする。前記接続空間は、同じ二重壁熱交換器要素内の漏出チャネルを接続し、前記接続空間は、漏出口(leakage outlet)に接続される。リッジ及び溝を横切る漏出チャネルと、漏出チャネルを接続する接続空間との組み合わせは、漏出流体が効率的な方法で収集され、例えば、1つ又は複数の所望の位置において単一の漏出口又はいくつかの漏出口に向かって誘導でき、漏出の検出が容易にされ得るという結果をもたらす。したがって、従来技術の漏出が、規定外の(non-defined)漏出であるか又は拡散しているのに対し、接続空間は、特定の漏出領域に接続できる。本発明による接続空間に接続される漏出チャネルはまた、ろう付け(brazing)材料を単純な方法で適用することができ、ストップオフを排除することができるので、二重壁プレート熱交換器をろう付けによって効率的かつ確実に製造することができるという結果をもたらす。漏出チャネルは、効率的な熱伝達を提供するために比較的狭くすることができる。
【0009】
接続空間(複数可)は、プレートのリッジ及び/又は溝に沿って延在することができる。したがって、リッジ及び溝を横切って配置された漏出チャネルは、リッジ及び/又は溝に沿って延在する接続空間を通じて互いに接続され、任意の漏出チャネルからの流体は、接続空間を通じて単一又は数個の漏出口に到達することができる。接続空間(複数可)は、隣接するプレートの対応するリッジよりも低い高さで形成されるリッジによって形成することができ、接続空間は、より高いリッジ(又は溝に関しても同様)に受け入れられるより低いリッジの間に形成される。したがって、接続空間は、効率的かつ確実に形成される。また、接続空間は、熱交換の高い効率を維持するために、単数又は少数に限定することができる。したがって、複数、大部分又はほぼ全てのリッジ及び溝が接続空間を有さず、互いに接触するので、大きな熱交換面積を維持することができる。また、二重壁熱交換器要素において互いに接触しているリッジと溝との間に従来のろう付け点を設けることができるので、強固な熱交換器が得られる。
【0010】
プレートは長方形(rectangular、矩形)とすることができ、漏出口は、短辺に配置することができる。したがって、漏出流体を熱交換器の短辺にある単一の漏出口に導くことができ、漏出検出をさらに容易にする。したがって、プレートの長辺は、従来の方法、例えば、長辺に連続するろう付け接合によって接合することができ、この場合、熱交換器は、強度を高めることができ、効率的に製造することができる。
【0011】
プレートには周辺スカートを設けることができ、3つの連続するプレートのスカートには、2つの隣接する二重壁プレート熱交換器要素の漏出チャネルからの共通の漏出口を形成する開口部を設けることができる。例えば、開口部は整列させることができる。開口部は、プレートの短辺に配置することができる。したがって、漏出は、容易かつより確実な検出のために1つ又はいくつかの位置で収集することができる一方で、プレートの周辺部の主要部分、例えば長辺全体を含む部分は、ろう付けによって接合され、強力な熱交換器及び効率的な生産を提供することができる。
【0012】
熱交換器には、従来の漏出センサのような漏出センサを設けることができる。漏出センサは、熱交換器の外周の規定された位置又はいくつかの規定された位置などの漏出口に設けることができ、効率的かつ信頼性の高い漏出検出が達成される。例えば、漏出センサは、熱交換器の外周に取り付けることができる。
【0013】
本発明の更なる特徴及び利点は、以下の実施形態の説明、添付の図面及び従属請求項から明らかになるであろう。
【0014】
以下では、添付の図面を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、プレート熱交換器の一例の概略分解斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態による複数の二重壁プレート熱交換器要素の概略分解斜視図であって、各二重壁プレート熱交換器要素は、2つのプレートを含む。
【
図3】
図3は、一実施形態による第1の二重壁プレート熱交換器要素及び第2の二重壁プレート熱交換器要素の概略分解斜視図であって、第1の二重壁プレート熱交換器要素は、第1及び第2のプレートを備え、第2の二重壁プレート熱交換器要素は、第3及び第4のプレートを備える。
【
図4】
図4は、
図3の二重壁熱交換器要素の概略正面図である。
【
図5】
図5は、
図4の線A-Aに沿った概略断面図であり、二重壁プレート熱交換器要素間の流路と、二重壁プレート熱交換器要素の各々における漏出チャネルとを示す。
【
図6】
図6は、
図4の線B-Bに沿った概略断面図であり、部分的に漏出チャネルの一部に沿って、かつ部分的に漏出チャネルのない部分に沿って二重壁プレート熱交換器要素を示す。
【
図7】
図7は、二重壁プレート熱交換器要素の概略正面図である。
【
図8】
図8は、一実施形態による2つのリッジ及び2つの溝に沿った接続空間を示す
図7の線C-Cに沿った概略断面図である。
【
図9】
図9は、一実施形態による二重壁プレート熱交換器要素の一部の概略分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を参照すると、一実施例によるろう付けプレート熱交換器100が示されている。熱交換器100は、複数の第1のプレート熱交換器要素110と複数の第2のプレート熱交換器要素120とを積層して熱交換器100を形成する。例えば、熱交換器要素110、120は同一である。あるいは、熱交換器要素は同一ではなく、熱交換器100は、少なくとも2つ、3つ、又は4つの異なる熱交換器要素110、120から構成される。熱交換器100は二重壁熱交換器であり、熱交換器要素110、120の各々は、互いに接合されて熱交換器要素110、120を形成する2つのプレートを含み、これについては以下でより詳細に説明する。したがって、第1の熱交換器要素110は第1の二重壁プレート熱交換器要素であり、第2の熱交換器要素120は第2の二重壁プレート熱交換器要素である。例えば、熱交換器100は左右対称型の熱交換器である。あるいは、熱交換器は非対称熱交換器であり、熱交換器は少なくとも2つの異なる熱交換器要素110、120を含む。
【0017】
熱交換器要素110、120は、銅又はステンレス鋼などのシートメタル(板金)から作製され、隆起部及び凹部(depressions)のプレスパターンを備える。例えば、熱交換器要素は、0.1~2mmの厚さを有する銅又はオーステナイト系ステンレス鋼から作製される。
【0018】
図示される実施形態では、隆起部及び凹部は、リッジ(ridges)R及び溝(grooves)Gを含み、それによって、熱を交換するための流体のための流路が、熱交換器要素110、120の間に形成され、熱交換器要素110、120がスタックに積み重ねられ、隣接する熱交換器要素110、120の少なくともいくつかの交差リッジと溝との間に接触点を提供することによって、熱交換器100を形成する。
図1のプレートのプレスパターンはヘリングボーン(herringbone)パターンを含む。プレスされたパターンは、任意の好適なパターン又はパターンの組み合わせを含んでもよい。プレスされたパターンは、熱交換器要素110、120を、接触点を除いて互いから距離をおいて、流路を形成するように適合される。リッジR及び溝Gは細長い。例えば、リッジR及び溝Gは、熱交換器要素110、120の側面、例えばその長辺と、中心線、例えば短辺間に延びる中心線との間で斜めに延びてシェブロン(chevron、山形)を形成し、リッジ及び溝は、例えば鏡面斜角で、反対側長辺などの反対側に続く。例えば、リッジR及び溝Gは、中央にシェブロンを有するヘリングボーンパターンで対向する長辺間に延在する。
【0019】
あるいは、リッジR及び溝Gは、一方の長辺から反対側の長辺に向かって直線状に斜めに延在する。
【0020】
図示した実施形態では、熱交換器要素110、120の各々は、スカートSによって囲まれており、スカートSは、熱交換器要素の平面に対して略垂直に延在し、熱交換器の周囲又は熱交換器の少なくとも主要部分に沿ってシールを提供するために、隣接する熱交換器要素110、120のスカートに接触するように適合されている。
図1の実施形態では、スカートSは、熱交換器要素110、120の両側に沿って、例えば図示されているような長方形の熱交換器の場合には2つの長辺に沿って連続的に配置される。図示の実施形態では、スカートSはまた、熱交換器要素110、120の短辺の1つに沿って連続的に配置される。
【0021】
熱交換器要素110、120は、熱交換する流体を流路に出入りさせるためのポート開口部01~04を備えている。図示される実施形態では、熱交換器要素110、120は、第1のポート開口部01、第2のポート開口部02、第3のポート開口部03、及び第4のポート開口部04を伴って配列される。ポート開口部01~04を取り囲む領域は、ポート開口部と流路との間の選択的な連通が達成されるように、異なるレベルで提供される。熱交換器100では、ポート開口部01~04を取り囲む領域は、第1及び第2のポート開口部01及び02がいくつかの流路を介して互いに流体連通し、第3及び第4のポート開口部03及び04が隣接する流路によって互いに流体連通するように配置される。図示の実施形態では、熱交換器要素110、120は、丸みを帯びた角を有する長方形であって、ポート開口部01~04は、角の近くに配置される。あるいは、熱交換器要素110、120は、例えば丸みを帯びた角を有する正方形である。あるいは、熱交換器要素110、120は、円形、楕円形であるか、又は他の好適な形状で配列され、ポート開口部01~04は、適切な方法で分配される。図示される実施形態では、熱交換器要素110、120のそれぞれは、4つのポート開口部01~04を伴って形成される。本発明の他の実施形態では、ポート開口部の数は、4より多くてもよく、すなわち、6、8、又は10であってもよい。例えば、ポート開口部の数は、少なくとも6つであり、熱交換器は、少なくとも3つの流体間の熱交換を提供するように構成される。したがって、一実施形態によれば、熱交換器は、少なくとも6つのポート開口部を有する3回路熱交換器であり、加えて、少なくとも1つの統合された吸引ガス熱交換器を伴って、又は伴わずに配置される。
【0022】
図1による熱交換器100は、カバープレート130及びエンドプレート140を含む。例えば、カバープレート130及びエンドプレート140は、従来の設計のものである。
【0023】
図2を参照すると、複数の熱交換器要素110、120を備える熱交換器100は、熱交換器要素110、120の構造を示すために、カバープレート130及びエンドプレート140なしの一実施形態に従って概略的に示されている。各熱交換器要素110、120は、二重壁プレート熱交換器要素として熱交換器要素を形成する複数のプレートを備える。図示される実施形態では、第1の熱交換器要素110は、第1のプレート150及び第2のプレート160を備え、第2の熱交換器要素120は、第3のプレート170及び第4のプレート180を備え、熱交換器要素110、120のそれぞれの二重壁構造を形成する。例えば、第1の熱交換器要素110は、第1のプレート150及び第2のプレート160によって形成され、第2の熱交換器要素120は、第3のプレート170及び第4のプレート180によって形成される。プレート150~180には、熱交換器要素110、120のリッジR及び溝Gを形成するためのリッジR及び溝Gが形成されている。同じ熱交換器要素110、120のプレート150~180のリッジR及び溝Gは、互いに受け入れられる(received)が、熱交換器要素110、120のリッジR及び溝Gは、それらの間に流路を形成するように配置される。したがって、図示の実施形態では、第2のプレート160のリッジRは、第1のプレート150のリッジRに受け入れられて第1の熱交換器要素110を形成し、第4のプレート180のリッジRは、第3のプレート170のリッジRに受け入れられて第2の熱交換器要素120を形成する。二重壁構造は、流路から漏れる流体のためのものである。流路は、熱交換器要素110、120の間に配置され、異なる流路を流れる流体間の熱交換を行うためのものである。流路は、第2プレート160と第3プレート170との間に形成される。例えば、同じ熱交換器要素110、120のプレート間には流路がなく、第1の熱交換器要素110の第1のプレート150と第2のプレート160との間にはそのような流路がなく、第2の熱交換器要素120の第3のプレート170と第4のプレート180との間にはそのような流路がない。プレート150~180のスタックをろう付けして熱交換器100を形成する場合、プレート150~180は、ろう付け接合部において互いに接合される。
【0024】
図3も参照すると、熱交換器要素110、120は、一実施形態に従ってより詳細に示されており、プレート150~180は、流路から流体を漏出させるための漏出チャネル210を形成する、協働する隆起部190及び窪み200を備えて形成される。隆起部190及び窪み200は、プレート150~180内に複数の漏出チャネル210を提供するように分配される。漏出チャネル210は、流路から、すなわちプレートの反対側から漏出する流体を収集するように配置される。したがって、漏出チャネル210は、プレートの穴を通してなどプレートを通して、又はポート開口部01~04の周り又は周辺スカートSなど不良又は破損したろう付け接合部によって、プレートの反対側に漏出する流体を収集するように配置される。漏出チャネル210は、熱交換器要素110、120のリッジR及び溝Gを横断して延在する。漏出チャネル210は、プレート150~180の表面上に分布している。例えば、プレート150~180は長方形であり、漏出チャネル210はプレートの幅にわたって分布し、プレートの長手方向に延在する。したがって、隣接する漏出チャネル210間には間隙がある。例えば、プレートは、効率的な熱伝達を提供するために、漏出チャネル210の間で互いに接触している。例えば、漏出チャネル210は、比較的狭く、したがって、それらの間の間隙(gap)は、漏出チャネル210よりもプレートの大きな面積をカバーする。図示の実施形態では、漏出チャネル210は、互いに実質的に平行に延在する。
【0025】
各熱交換器要素110、120の漏出チャネル210は、少なくとも1つの接続空間220を介して同じ熱交換器要素110、120内で互いに接続される。接続空間220は、漏出チャネル210を漏出口230に接続する。例えば、接続空間220は、漏出チャネル210を4つ以下の漏出口や2つ以下の漏出口など、少数の漏出口に接続する。図示の実施形態では、接続空間220は、熱交換器要素110、120の全ての漏出チャネルを単一の漏出口230に接続する。長方形プレート150~180の場合、漏出口230は、例えば、図示のように熱交換器要素110、120の各々の単一の短辺に配置される。あるいは、漏出口は、熱交換器要素110、120の両方の短辺に配置される。図示の実施形態では、接続空間220は、2つの中央漏出チャネルを通して漏出チャネル210を漏出口230に接続する。したがって、接続空間220は、隣接するポート開口部の第1の対01、03と隣接するポート開口部の第2の対01、04との間に、例えば隣接するポート開口部の対のうちの1つに近接して配置され、1つ又は複数の中央漏出チャネル210は、接続空間220から、隣接するポート開口部の対のポート開口部の間で、さらに漏出口230まで延在する。したがって、漏出流体は、漏出チャネル210のいずれかから、短辺の単一の漏出口等の漏出口230に伝導されることができる。接続空間220は、複数の漏出チャネル210と交差する方向に延びてそれらを接続し、漏出チャネル210間に漏出流体が流れることができるようになっている。
【0026】
図示の実施形態では、漏出口230は、熱交換器要素110、120のプレートの少なくとも1つのスカートSに設けられた開口部によって形成され、それにより、熱交換器要素110、120のプレート間に収集された流体が熱交換器100から出ることができる。例えば、第1、第2及び第3のプレート150~170などの3つの連続したプレートのスカートSは、2つの隣接する熱交換器要素110、120の漏出チャネル210からの共通の漏出口を提供するために、漏出口230が整列した位置に形成される。第4のプレート180は、例えば、連続したスカートS又は漏出流体を保持するための対応する開口部を有しない少なくとも一つのスカートで形成され、隣接する流路から漏れる任意の流体から分離されている。したがって、1つの特定の流路から漏出する任意の流体は、漏出の位置にかかわらず、単一の共通漏出口230に収集されることができる。
【0027】
図4~6を参照すると、一実施形態による、同じ熱交換器要素110、120内のプレート150~180間の漏出チャネル210がより詳細に示されている。
図5に見られるように、隆起部190及び窪み200は、漏出チャネル210を形成するように協働する。
図5は、流路210をより良く示すために簡略化されている。第1のプレート150及び第3のプレート170などの1つおきのプレートの隆起部190は、第2のプレート160及び第4のプレート180などの他のプレートの窪み200に面して、リッジR及び溝Gを横切って漏出チャネル210を形成し、それにより、流路から漏出する流体を、漏出に近い漏出チャネル210などの1つ又は複数の漏出チャネル210に沿って輸送することができ、必要に応じて、接続空間220を通って漏出口230まで輸送することができる。例えば、隆起部190及び窪み200は、
図4に見られるように、プレートの長手方向に実質的に直線的な列のような列で配置される。
図4では、一実施形態による第1のプレート150の溝Gの隆起部190を見ることができる。例えば、隆起部190及び窪み200は、プレートに沿って第1及び第2のポート開口部01、03の間、ならびに第2及び第4のポート開口部02、04の間に延在する、少なくとも1つ又は2つの中央漏出チャネル210を提供するように配列される。
図6に見られるように、第1の熱交換器要素110のプレート150、160及び第2の熱交換プレート120のプレート170、180は、漏出チャネル210を形成する隆起部190及び窪み200との間の領域において互いに接触して、流路内の流体間の効率的な熱交換を提供し、この流路は、
図5及び
図6に参照番号240で示されている。
図6は、説明のために簡略化されている。しかしながら、
図6に見られるように、第1及び第2のプレート150、160は、漏出チャネル210の間の領域において互いに接触し、第3及び第4のプレート170、180もまた、漏出チャネル210の間の領域において互いに接触し、流路240は、第2及び第3のプレート160、170の間に配置される。
【0028】
図7~9を参照すると、一実施形態による接続空間220がより詳細に示されている。漏出チャネル210を接続するために、少なくとも1つの接続空間220が配置される。例えば、6個以下又は4個以下など、1~10個の接続空間220が設けられる。一実施形態によれば、2個の接続空間が設けられる。接続空間220は、リッジR及び/又は溝Gに沿って延在し、リッジR及び溝Gを横切る方向に延在する漏出チャネル210を接続する。例えば、少なくとも1つの接続空間220は、選択されたプレートの1つ以上のリッジR及び/又は1つ以上の溝Gが、他のプレートの対応するリッジ(複数可)及び/又は溝(複数可)とは異なる高さで形成されることによって提供され、その結果、接続空間220は、それらの間に形成された間隙に沿って延在する。
【0029】
例えば、接続空間210は、2~10個又は2~6個又は4個の隣接するリッジR及び/又は溝Gなど、いくつかの隣接するリッジR及び/又は溝Gに形成される。簡略化された
図8に見られるように、接続空間220は、第1のプレート150の2つの溝Gが第2のプレート160の対応する溝Gより低い高さで配置され、第2のプレート160は、第1のプレート150の対応するリッジより低い高さを有する2つのリッジRで形成されることによって提供される。
図8には、第1及び第2のプレート150、160が示されている。しかし、接続空間(複数可)220の原理は、第3及び第4のプレート170、180についても同様である。
図8において、接続空間220は、第2のプレート160の2つのリッジRが第1のプレート150の2つの対応するリッジRよりも低い高さで配置されることによって提供される。したがって、接続空間(複数可)220は、リッジR及び/又は溝Gに沿ったプレート間の間隙によって提供され、漏出流体は、漏出が位置する場所にかかわらず、接続空間(複数可)220を通して漏出チャネル210に、さらに漏出口230に輸送されることができる。例えば、接続空間(複数可)220は、プレートの波形深さ(corrugation depth)よりも小さいプレス深さ(press depth)、例えば波形深さの60~95%又は80~95%の深さを有する1つ以上のリッジR及び/又は溝Gによって形成される。プレート150~180の他のリッジR及び溝Gは、例えば、効率的な熱伝達のためにぴったりとフィットして互いに実質的に完全に接触している。したがって、単一の接続空間220のみ、又は選択された少数の接続空間220のみが設けられる。例えば、接続空間220は、隣接するポート開口部01~04の対に近接して配置されるが、隣接するポート開口部01~04の対の間には配置されず、したがって、接続空間220は、熱交換器要素110、120の実質的に全幅にわたって分布する漏出チャネル210を接続することができる。例えば、最後の全長リッジ(複数可)R及び/又は溝(複数可)Gは、漏出チャネル210と漏出口230とを接続するための接続空間(複数可)220を提供するように配置される。あるいは、複数の接続空間220が、プレートの表面上に分散され、プレートの長手方向の異なる位置で漏出チャネル210を接続する。あるいは、接続空間220は、プレートの隆起部及び/又は窪みによって形成され、漏出チャネル210を接続する。
【0030】
漏出の流れの例は、漏出点から漏出口230までの破線矢印によって
図7に示されている。漏出点は、この場合は第2のプレート160の穴である点によって示され、第2のプレート160と第3のプレート170との間の流路240からの流体は、第2のプレート160と第1のプレート150との間に入り込む。漏出流体は、協働する隆起部190及び窪み200によって形成される、最も近い漏出チャネル210などなどへ向かうようになる。次いで、漏出流体は、漏出チャネル210に沿って接続空間220に自由かつ迅速に流れることができ、漏出流体は、ある漏出チャネル210から漏出口230につながる別の漏出チャネル210に流れることができる。
【国際調査報告】