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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-08
(54)【発明の名称】除草剤配合物
(51)【国際特許分類】
   A01N 39/04 20060101AFI20230801BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20230801BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
A01N39/04 A
A01P13/00
A01N25/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023500432
(86)(22)【出願日】2021-06-29
(85)【翻訳文提出日】2023-01-05
(86)【国際出願番号】 US2021039550
(87)【国際公開番号】W WO2022010694
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】202011028661
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】ジー、ヘマサガー
(72)【発明者】
【氏名】ゴーサル、シッダールタ
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AB01
4H011BA01
4H011BB06
4H011BC03
4H011BC19
4H011DA13
4H011DA16
4H011DG11
4H011DH03
(57)【要約】
配合物は、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸の水溶性塩と、配合物の総重量を基準に、2.5重量%~10重量%の担体流体とを含む。担体流体は、配合物の総重量を基準に、0.5重量%~5重量%の溶媒であって、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル及びこれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒と、配合物の総重量を基準に、0.5重量%~5重量%のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル界面活性剤とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配合物であって、
2,4-ジクロロフェノキシ酢酸の水溶性塩と、
前記配合物の総重量を基準に、2.5重量%~10重量%の担体流体とを含み、前記担体流体は、
前記配合物の総重量を基準に、0.5重量%~5重量%の溶媒であって、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル及びそれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒と、
前記配合物の総重量を基準に、0.5重量%~5重量%のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル界面活性剤と
を含む、配合物。
【請求項2】
前記配合物が、前記配合物の総重量を基準に、1.5重量%~3.5重量%の前記界面活性剤を含む、請求項1に記載の配合物。
【請求項3】
前記溶媒が、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルを含む、請求項2に記載の配合物。
【請求項4】
前記配合物が、前記配合物の総重量を基準に、2.0重量%~5.0重量%の前記溶媒を含む、請求項3に記載の配合物。
【請求項5】
前記溶媒が、ポリエチレングリコールモノブチルエーテルを含む、請求項2に記載の配合物。
【請求項6】
前記配合物が、前記配合物の総重量を基準に、1.0重量%~3.0重量%の前記溶媒を含む、請求項5に記載の配合物。
【請求項7】
前記配合物が油を含まない、請求項1~6のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項8】
前記界面活性剤が、構造(I):
【化1】

を有し、式中、mは20~40であり、nは0~10であり、RはCOHである、請求項1~7のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項9】
農業用混合物であって、
前記農業用混合物の総重量を基準に、1重量%~95重量%の水と、請求項1~8のいずれか一項に記載の配合物と
を含む、農業用混合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、除草剤配合物、具体的には2,4-ジクロロフェノキシ酢酸の水溶性塩と、担体流体とを含む配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
序論
2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(「DPA」)は、広葉植物及び木本植物の成長を制御するために広く使用されている除草剤である。DPAは、植物内で無制御な成長を引き起こすことによって広葉雑草を選択的に死滅させるが、穀類、芝生及び草地などのほとんどの草は比較的影響を受けないままである。DPAは、植物成長ホルモンオーキシンを模倣することにより標的雑草を死滅させるため、合成オーキシンとして知られている。枯死につながる無制御で無秩序な成長は、投与量の関数であるため、植物に対するDPAの投与量は重要な役割を果たす。
【0003】
DPAは水への溶解度が低いため、伝統的に、多種多様な水溶性塩(例えば、ジメチルアミン、ジエタノールアミン、ナトリウムなど)及びエステル(ブチル、ブトキシエチル、2-エチルヘキシル、イソオクチルなど)として配合されている。しばしば、DPAは、水溶性塩及び水の濃縮物として包装され、販売される。濃縮物は噴霧機器内で追加の水により希釈され、希釈された濃縮物は噴霧によって植物に施用される。残念ながら、DPA水性濃縮物は、濃縮物の水中に存在する無機イオンに対するDPAの溶解度が限定されているため、結晶を形成する。結晶は濃縮物を希釈しても溶解しない。結晶の形成は、結晶により噴霧装置の濾過網及びノズルが塞がれて噴霧パターンが変形し、除草剤の施用不良を引き起こすため、不利である。更に、結晶の形成により、希釈濃縮物中の除草剤の全体的な濃度が低下する。
【0004】
結晶形成の問題は、当該技術分野において扱われてきたが、典型的には、特殊な結晶化阻害剤又はDPAを担持するための大量の担体材料の使用に依存する。例えば、米国特許第8,486,862号明細書は、ポリエチレンイミン及びポリビニルアミンなどの特殊な結晶化阻害剤を添加することにより、無機カチオンの存在下でのDPAの水溶性塩の結晶形成に対処している。米国特許第2,558,762号明細書は、DPAの濃縮物の結晶化に対処しているが、高濃度の油及び界面活性成分を利用する最低20重量パーセント(「重量%」)の担体材料に依存することで、DPAの安定性を維持し結晶化に抵抗している。
【0005】
上記を考慮すると、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸の水溶性塩と、溶媒及び界面活性剤からなる2.5重量%~10重量%の担体流体とを含み、結晶形成に5℃で30日間抵抗する配合物の発見は驚くべきことであろう。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸の水溶性塩と、溶媒及び界面活性剤からなる2.5重量%~10重量%の担体流体とを含み、5℃で30日間、結晶形成に抵抗する配合物を提供する。
【0007】
本出願の発明者らは、ポリアルキレングリコールモノブチルエーテル界面活性剤と、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル及びそれらの組合せからなる群から選択される溶媒とを含む2.5重量%~10重量%の担体流体を含む配合物が、5℃で30日間、DPA結晶の形成に抵抗し得ることを発見した。溶媒も界面活性剤も、配合物によって得られる結晶化の利益を単独ではもたらすことができないため、この配合物の特性は驚くべきものである。むしろ、界面活性剤及び溶媒は、相乗的に機能することで、配合物の結晶化に対する結果を得る。更に驚くべきことに、界面活性剤と溶媒との任意の混合物が相乗効果をもたらすのではなく、むしろ溶媒と界面活性剤との特定の比が、配合物によって得られる結晶化阻害利益をもたらすことが発見された。
【0008】
本発明の配合物は、農業用混合物として特に有用である。
【0009】
本開示の第1の特徴によれば、配合物は、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸の水溶性塩と、配合物の総重量を基準に2.5重量%~10重量%の担体流体とを含み、担体流体は、配合物の総重量を基準に、0.5重量%~5重量%の溶媒であって、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル及びそれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒と、配合物の総重量を基準に、0.5重量%~5重量%のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル界面活性剤とを含む。
【0010】
本開示の第2の特徴によれば、配合物は、配合物の総重量を基準に、1.5重量%~3.5重量%の界面活性剤を含む。
【0011】
本開示の第3の特徴によれば、溶媒は、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルを含む。
【0012】
本開示の第4の特徴によれば、配合物は、配合物の総重量を基準に、2.0重量%~5.0重量%の溶媒を含む。
【0013】
本開示の第5の特徴によれば、溶媒は、ポリエチレングリコールモノブチルエーテルを含む。
【0014】
本開示の第6の特徴によれば、配合物は、配合物の総重量を基準に、1.0重量%~3.0重量%の溶媒を含む。
【0015】
本開示の第7の特徴によれば、配合物は油を含まない。
【0016】
本開示の第8の特徴によれば、界面活性剤は、以下に定義される構造(I)を有し、式中、mは20~40であり、nは0~10であり、RはCOHである。
【0017】
本開示の第9の特徴によれば、農業用混合物は、農業用混合物の総重量を基準に、1重量%~95重量%の水と、特徴1~8のいずれかの配合物とを含む。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、2つ以上の項目の列挙で使用される場合、列挙された項目のうちのいずれか1つをそれ自体で用いることができるか、又は列挙された項目のうちの2つ以上の任意の組み合わせを用いることができることを意味する。例えば、組成物が成分A、B、及び/又はCを含有するものとして説明されている場合、組成物はAを単独で、Bを単独で、Cを単独で、A及びBを組み合わせて、A及びCを組み合わせて、B及びCを組み合わせて、又はA、B、及びCを組み合わせて、含有することができる。
【0019】
別途記載のない限り、全ての範囲は、終点を含む。
【0020】
試験方法は、試験方法番号でハイフン付きの2桁の数字で日付が示されていない限り、この文書の優先日における最新の試験方法を指す。試験方法への言及は、試験の協会及び試験方法番号への参照の両方を含む。試験方法組織は、以下の略語のうちの1つによって参照され、ASTMは、ASTMインターナショナル(ASTM International)(旧称、米国材料試験協会、American Society for Testing and Materials)を指し、ENは、欧州規格(European Norm)を指し、DINは、ドイツ規格協会(Deutsches Institut fur Normung)を指し、ISOは、国際標準化機構(International Organization for Standards)を指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、重量パーセント(「重量%」)という用語は、別途明記しない限り、成分が、ポリマー組成物の総重量に占める重量パーセンテージを示す。
【0022】
本明細書で使用される場合、「CAS番号」は、Chemical Abstracts Serviceによって割り当てられたケミカルサービス登録番号である。
【0023】
配合物
本開示は、配合物を対象とする。この配合物は、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸の水溶性塩と、担体流体とを含む。担体流体は、溶媒と、界面活性剤とを含む。配合物を水と組み合わせて、農業用混合物を形成してもよい。
【0024】
配合物は油を含まなくてもよい。本明細書で使用される場合、「含まない」という用語は、配合物が、配合物の総重量を基準に、0.5重量%未満の油を含むことを意味すると定義される。本明細書で使用される場合、「油」という用語は、植物、動物又は鉱物源に由来し、一般的に水に混和しない材料を意味すると定義される。
【0025】
以下に詳細に説明するように、配合物は、5℃で10日間以上、又は15日間以上、又は20日間以上、又は25日間以上、又は30日間以上保存された場合に、DPAの結晶形成に抵抗することができる。このような特徴は、噴霧ノズルの閉塞を減らし、また、配合物の除草特性に関する有効性を高めるのに有利であり得る。
【0026】
水溶性塩
配合物は、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸の水溶性塩を含む。DPAは、フェノキシ酢酸類の除草剤の一種であり、酸の形態では、水への溶解度が限定されている。したがって、DPAは、水溶性塩に変換することにより、水溶性濃縮物として配合することができる。DPAの水溶性塩の例としては、イソプロピルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、トリイソプロパノールアンモニウム及びN,N,N-トリメチルエタノールアンモニウム(コリン)などの有機アンモニウムカチオンを含んでもよい。具体例において、DPAの水溶性塩は、化学式C101312NO及びCAS番号2008-39-1の2,4-Dジメチルアミン塩である。
【0027】
配合物は、配合物の総重量を基準に、40重量%~99重量%の2,4-ジクロロフェノキシ酢酸の水溶性塩を含み得る。例えば、配合物は、配合物の総重量を基準に、40重量%以上、又は42重量%以上、又は44重量%以上、又は46重量%以上、又は48重量%以上、又は50重量%以上、又は52重量%以上、又は54重量%以上、又は56重量%以上、又は58重量%以上、又は60重量%以上、又は62重量%以上、又は64重量%以上、又は66重量%以上、又は68重量%以上、又は70重量%以上、又は72重量%以上、又は74重量%以上、又は76重量%以上、又は78重量%以上、又は80重量%以上、又は82重量%以上、又は84重量%以上、又は86重量%以上、又は88重量%以上、又は90重量%以上、又は92重量%以上、又は94重量%以上、又は96重量%以上、又は98重量%以上、一方で同時に、99重量%以下、又は98重量%以下、又は96重量%以下、又は94重量%以下、又は92重量%以下、又は90重量%以下、又は88重量%以下、又は86重量%以下、又は84重量%以下、又は82重量%以下、又は80重量%以下、又は78重量%以下、又は76重量%以下、又は74重量%以下、又は72重量%以下、又は70重量%以下、又は68重量%以下、又は66重量%以下、又は64重量%以下、又は62重量%以下、又は60重量%以下、又は58重量%以下、又は56重量%以下、又は54重量%以下、又は52重量%以下、又は50重量%以下、又は48重量%以下、又は46重量%以下、又は44重量%以下、又は42重量%以下の2,4-ジクロロフェノキシ酢酸の水溶性塩を含み得る。
【0028】
DPAの水溶性塩は、水とDPAの水溶性塩との混合物として配合物に添加することができる。混合物中に存在する水溶性DPA塩の重量%は、液体の固形分の重量%として表され、固形分の重量%は、DPAの水溶性塩及び水の合計総重量を基準にした、DPAの水溶性塩の重量%である。水とDPAの水溶性塩との混合物の固形分重量%は、40重量%以上、又は42重量%以上、又は44重量%以上、又は46重量%以上、又は48重量%以上、又は50重量%以上、又は52重量%以上、又は54重量%以上、又は56重量%以上、又は58重量%以上、又は60重量%以上、又は62重量%以上、又は64重量%以上、又は66重量%以上、又は68重量%以上、一方で同時に、70重量%以下、又は68重量%以下、又は66重量%以下、又は64重量%以下、又は62重量%以下、又は60重量%以下、又は58重量%以下、又は56重量%以下、又は54重量%以下、又は52重量%以下、又は50重量%以下、又は48重量%以下、又は46重量%以下、又は44重量%以下、又は42重量%であり得る。
【0029】
担体流体
配合物は担体流体を含む。担体流体は、DPAの水溶性塩の結晶化を中断及び防止するように機能する。担体流体は、溶媒及び界面活性剤を含む。配合物は、配合物の総重量を基準に、2.5重量%~10重量%の担体流体を含む。例えば、配合物は、配合物の総重量を基準に、2.5重量%以上、又は3.0重量%以上、又は3.5重量%以上、又は4.0重量%以上、又は4.5重量%以上、又は5.0重量%以上、又は5.5重量%以上、又は6.0重量%以上、又は6.5重量%以上、又は7.0重量%以上、又は7.5重量%以上、又は8.0重量%以上、又は8.5重量%以上、又は9.0重量%以上、又は9.5重量%以上、一方で同時に、10.0重量%以下、又は9.5重量%以下、又は9.0重量%以下、又は8.5重量%以下、又は8.0重量%以下、又は7.5重量%以下、又は7.0重量%以下、又は6.5重量%以下、又は6.0重量%以下、又は5.5重量%以下、又は5.0重量%以下、又は4.5重量%以下、又は4.0重量%以下、又は3.5重量%以下、又は3.0重量%以下の担体流体を含み得る。
【0030】
溶媒
担体流体は、溶媒を含む。理論に束縛されるものではないが、溶媒は、少なくとも部分的に、DPAの水溶性塩の結晶の成長に対する阻害剤として機能すると考えられる。溶媒は、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの例では、溶媒は、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及び/又はジプロピレングリコールモノメチルエーテルを含む。いくつかの例では、溶媒は、エチレングリコールモノブチルエーテルを含む。
【0031】
配合物は、配合物の総重量を基準に、0.5重量%~5重量%の溶媒を含む。例えば、配合物は、配合物の総重量を基準に、0.5重量%以上、又は1.0重量%以上、又は1.5重量%以上、又は2.0重量%以上、又は2.5重量%以上、又は3.0重量%以上、又は3.5重量%以上、又は4.0重量%以上、又は4.5重量%以上、一方で同時に、5.0重量%以下、又は4.5重量%以下、又は4.0重量%以下、又は3.5重量%以下、又は3.0重量%以下、又は2.5重量%以下、又は2.0重量%以下、又は1.5重量%以下、又は1.0重量%以下の溶媒を含む。
【0032】
界面活性剤
担体流体は界面活性剤を含む。界面活性剤は、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル界面活性剤である。界面活性剤のポリアルキレングリコール部分は、C~Cオキシドの重合誘導体から構成され得る。界面活性剤の非限定的な例は、構造(I)によって提供される。
【0033】
【化1】

式中、RはC~Cアルキル基であり、mは20~40であり、nは0~10であり、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定した重量平均分子量は2000g/mol~4000g/molである。特定の例において、mは33であり、nは6であり、RはCOHである。
【0034】
配合物は、配合物の総重量を基準に、0.5重量%~5重量%の界面活性剤を含む。例えば、配合物は、配合物の総重量を基準に、0.5重量%以上、又は1.0重量%以上、又は1.5重量%以上、又は2.0重量%以上、又は2.5重量%以上、又は3.0重量%以上、又は3.5重量%以上、又は4.0重量%以上、又は4.5重量%以上、一方で同時に、5.0重量%以下、又は4.5重量%以下、又は4.0重量%以下、又は3.5重量%以下、又は3.0重量%以下、又は2.5重量%以下、又は2.0重量%以下、又は1.5重量%以下、又は1.0重量%以下の界面活性剤を含む。
【0035】
農業用混合物
配合物は、農業用混合物において利用することができる。農業用混合物は、配合物と、農業用混合物の総重量を基準に、1重量%~95重量%の水とから構成され得る。例えば、農業用混合物は、農業用混合物の総重量を基準に、1重量%以上、又は5重量%以上、又は10重量%以上、又は15重量%以上、又は20重量%以上、又は25重量%以上、又は30重量%以上、又は35重量%以上、又は40重量%以上、又は45重量%以上、又は50重量%以上、又は55重量%以上、又は60重量%以上、又は75重量%以上、又は80重量%以上、又は85重量%以上、又は90重量%以上、一方で同時に、95重量%以下、又は90重量%以下、又は85重量%以下、又は80重量%以下、又は75重量%以下、又は70重量%以下、又は65重量%以下、又は60重量%以下、又は55重量%以下、又は50重量%以下、又は45重量%以下、又は40重量%以下、又は35重量%以下、又は30重量%以下、又は25重量%以下、又は20重量%以下、又は15重量%以下、又は10重量%以下、又は15重量%以下の水であってもよい。
【0036】
農業混合物は、様々な方法で形成され得る。例えば、配合物の1つ以上の成分を水の導入前に混合してもよく、又は配合物の1つ以上の成分を水に直接混合して農業用配合物を形成してもよい。
【実施例
【0037】
材料
以下の材料を、比較例(「CE」)及び本発明の実施例(「IE」)の調製に使用した。
【0038】
DPAは、水と、化学式C101312NO及びCAS番号2008-39-1の2,4-Dジメチルアミン塩との混合物である。DPAは、2,4-Dジメチルアミン塩と水との合計総重量を基準に、58重量%の2,4-Dジメチルアミン塩である。2,4-Dジメチルアミン塩は、Sigma-Aldrich、St.Louis、MOから市販されている。
【0039】
PPGは、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量が2000g/molのプロピレングリコール溶媒である。プロピレングリコールは、The Dow Chemical Company、Midland、MIから市販されている。
【0040】
S1は、構造(I)を有するポリエチレングリコールモノブチルエーテル界面活性剤であり、式中、mは33であり、nは6であり、RはCOHであり、分子量は2990g/molである。S1は、The Dow Chemical Company、Midland、MIから入手できる。
【0041】
GEは、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、3-ブトキシプロパン-2-オール、プロピレングリコールモノブチルエーテルである。GEは溶媒であり、分子量は132.2g/molであり、The Dow Chemical Company、Midland、MIから市販されている。
【0042】
DPMEはジプロピレングリコールモノメチルエーテル溶媒であり、The Dow Chemical Company、Midland、MIから市販されている。
【0043】
DEGMは、ジエチレングリコールモノブチルエーテル溶媒であり、The Dow Chemical Company、Midland、MIからBUTYL CARBITOL(商標)の商品名で市販されている。
【0044】
ADは、アルキルジフェニルオキシドジスルホネートの水中45重量%混合物の溶媒であり、The Dow Chemical Company、Midland、MIからDOWFAX(商標)2A1の商品名で市販されている。
【0045】
S2は、アルキルポリグルコシド界面活性剤の水中50重量%混合物であり、The Dow Chemical Company、Midland、MIからTRITON(商標)CG-50の商品名で市販されている。
【0046】
EGMEは、エチレングリコールモノブチルエーテル溶媒であり、The Dow Chemical Company、Midland、MIからButyl CELLOSOLVE(商標)の商品名で市販されている。
【0047】
試料調製
配合物の本発明の実施例及び比較例は、まず、実施例の界面活性剤(すなわちS1又はS2)を試料の溶媒(すなわちPPG、GE、DPME、DEGM、AD又はEGME)に混合して担体流体を形成することによって調製した。次に、担体流体をDPAに添加した。次いで、磁気撹拌子を使用して試料を10分間混合し、ガラス瓶に入れた。試料のガラス瓶を冷蔵庫内で5℃で保存した。結晶形成に関して、試料を毎日目視検査した。試料が結晶を形成することなく30日に達した場合、試料を試験から外した。
【0048】
結果
表1は、比較例(「CE」)1~20及び本発明の実施例(「IE」)1~3の組成並びに試験結果を示す。表1は、試料の総重量を基準にした試料の成分の重量%を示す。
【0049】
【表1】
【0050】
CE1~CE19は、種々の界面活性剤及び溶媒の組合せを使用して、結晶形成の長期にわたる防止を試みる。最終的に、CE18は結晶形成に15日間抵抗することができる。表1に示されるように、IE1~IE3は全て、試験期間中に結晶形成を示さない。更に、IE1~IE3は、相乗的かつ驚くべき結果を示す。例えば、単独のS1(CE12)は、結晶成長に3日間抵抗できるにすぎない。同様に、単独のDPME(CE14)、DEGM(CE15)及びEGME(CE16)は全て、結晶成長に3日間抵抗するのみである。しかしながら、S1とDPME(IE1)、S1とDEGM(IE2)、及びS1とEGME(IE3)の組合せは全て、結晶形成を30日間防止する著しい相乗効果を示す。驚くべきことに、任意の濃度でのS1、DPME、DEGM及びEGMEの組合せは、必ずしも同じ結晶形成阻害性をもたらさないことも発見された。例えば、CE19及びIE1は、S1及びDPMEの濃度が反対であるが、IE1はCE19の3倍の安定性を示す。同様に、CE20及びIE2の、S1及びDEGMの濃度は反対であるが、IE2はCE20の3倍の安定性を示す。したがって、IE1~IE3の結果は驚くべきものであり、有利である。
【国際調査報告】