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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-08
(54)【発明の名称】呼吸補助に関する改善
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/08 20060101AFI20230801BHJP
   A61M 16/00 20060101ALI20230801BHJP
   A61B 5/087 20060101ALI20230801BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
A61B5/08
A61M16/00 305
A61B5/087
A61B5/1455
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501420
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(85)【翻訳文提出日】2023-03-08
(86)【国際出願番号】 IB2021055293
(87)【国際公開番号】W WO2022009000
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】63/049,509
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504298349
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】タトコフ スタニスラフ
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK01
4C038KK04
4C038KL05
4C038SS04
4C038SS08
4C038ST09
4C038SU06
4C038SU18
4C038SX02
(57)【要約】
呼吸状態を判定するためのセッション中、呼吸補助を受けている患者を評価する方法(及び装置)であって、1つ又は複数のセンサから、複数の時点について、少なくとも1つの呼吸パラメータを含む患者の1つ又は複数の患者パラメータを受け取るステップと、コントローラにおいて、各時点について、1つ又は複数の患者パラメータからの呼吸指数と、経時的な呼吸指数の変化とを判定するステップと、経時的な呼吸指数の変化から患者の呼吸状態を判定するステップとを含む方法(及び装置)が記載される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸状態を判定するためのセッション中、呼吸補助を受けている患者を評価する方法であって、
1つ又は複数のセンサから、複数の時点について、少なくとも1つの呼吸パラメータを含む患者の1つ又は複数の患者パラメータを受け取るステップと、
コントローラにおいて、
各時点について、前記1つ又は複数の患者パラメータからの呼吸指数と、
経時的な呼吸指数の変化と
を判定するステップと、
前記経時的な呼吸指数の変化から、患者の呼吸状態を判定するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記患者は、呼吸補助を受けており、及び任意に、前記呼吸補助は、高流量呼吸補助である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記セッションは、
治療セッション、
一日又はその一部、
一晩又はその一部、
サブセッション、
ある長さの時間
である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ又は複数の患者パラメータは、1つ又は複数の肺機能パラメータ及び1つ又は複数の酸素化パラメータである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
肺機能パラメータは、
・呼吸数、
・呼気時間、
・毎分換気量
の1つ又は複数であり得る、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
酸素化パラメータは、
・FiO2、
・FdO2、
・O2比、
・SpO2
の1つ又は複数であり得る、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記呼吸指数は、ROX指数である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ROX指数の構成要素は、
呼吸数、
SpO2、及び/又は
FiO2、FdO2及び/又はO2比
である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
呼吸数は、前記1つ又は複数のセンサから受け取られた1つ又は複数の患者パラメータから前記コントローラによって判定される、請求項5又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記呼吸状態及び/又は呼吸指数に基づいて、呼吸補助の変更を指示及び/又は実施するステップを更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ROX指数を数値的且つ/又はグラフィカルに表示するステップを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
経時的な呼吸指数の変化を判定するステップは、複数の時点について、前記複数の時点の各々に関する経時的な呼吸指数の変化を判定するステップを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の時点について、前記複数の時点の各々に関する前記経時的な呼吸指数の変化を表示するステップを更に含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記経時的な呼吸指数の変化から患者の呼吸状態を判定するステップは、前記経時的な呼吸指数の変化の、前記複数の時点にわたる変化を監視するステップを含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記経時的な呼吸指数の変化の、前記複数の時点にわたる変化を監視するステップは、前記複数の時点について、
前記経時的な呼吸指数の変化の、前記複数の時点にわたる前記表示された変化を観察するステップ、及び/又は
前記変化を算出し、且つ関係情報と比較するステップ
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
呼吸指数閾値及び/又は変化インジケータ閾値を表示するステップを更に含む、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
経時的な呼吸指数の変化を判定するステップは、前記呼吸指数の傾向を判定するステップを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記傾向は、複数の瞬間的な傾向を含み、及び傾向を判定するステップは、経時的な複数の瞬間的な傾向を判定するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
傾向又は瞬間的な傾向は、大きさ及び方向を含む傾向パラメータで表され、且つ任意に、
ベクトル、又は
傾き及び大きさ
の形態であり得る、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記判定された呼吸補助の変更を、
例えば、メッセージ、アラーム、呼吸状態、呼吸指数の形態で臨床医に、及び/又は
呼吸補助装置に
伝達するステップを更に含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記1つ又は複数のセンサは、
呼吸補助装置の流路を検知するように配置された1つ又は複数のセンサ、及び/又は
患者のパラメータを検知するように配置された1つ又は複数のセンサ
を含み、及び
前記コントローラは、前記1つ又は複数のセンサから前記1つ又は複数の患者パラメータを受け取る、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
呼吸装置、モバイル装置及び/又は他の評価装置のいずれかにおけるインターフェイス上において、
グラフィカル且つ/又は数値的のいずれかでの前記呼吸指数対時間、
グラフィカル且つ/又は数値的のいずれかでの、単独での、組み合わされた及び/又は選択肢対時間における前記呼吸指数の1つ又は複数の構成要素(例えば、呼吸数、SpO2、FiO2又は同様のもの)、及び/又は
経時的又は他の方式における、2つ以上の呼吸指数及び/又はその構成要素間の変化を示す1つ又は複数のベクトル、傾き、角度、大きさ、差及び/又は他の変化インジケータ
の1つ又は複数を表示するステップを更に含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記表示を修正するための入力(例えば、ユーザー入力)を受け取り、且つ前記ユーザー入力に基づいて情報を再表示するステップを更に含み、前記ステップは、
前記呼吸指数の1つ又は複数の構成要素を表示するための入力を受け取り、且つグラフィカル且つ/又は数値的のいずれかで、単独での、組み合わされた及び/又は選択肢対時間における前記呼吸指数の前記1つ又は複数の構成要素を表示するステップ、及び/又は
前記表示を表示、ズーム及び/又は移動するための入力を受け取り、且つ
グラフィカル且つ/又は数値的のいずれかでの呼吸指数(例えば、ROX指数)対時間、
グラフィカル且つ/又は数値的のいずれかでの、単独での、組み合わされた及び/又は選択肢対時間における前記呼吸指数の1つ又は複数の構成要素、及び/又は
経時的又は他の方式における、2つ以上の呼吸指数及び/又はその構成要素間の変化を示す1つ又は複数のベクトル、傾き、角度、大きさ、差及び/又は他の変化インジケータ
のズーム及び/又は移動されたバージョンを表示又は再表示するステップ
の1つ又は複数を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
臨床医は、
グラフィカル且つ/又は数値的のいずれかでの前記呼吸指数(例えば、ROX指数)対時間、
グラフィカル且つ/又は数値的のいずれかでの、単独での、組み合わされた及び/又は選択肢対時間における前記呼吸指数の1つ又は複数の構成要素(例えば、呼吸数、SpO2、FiO2又は同様のもの)、及び/又は
経時的又は他の方式における、2つ以上の呼吸指数及び/又はその構成要素間の変化を示す1つ又は複数のベクトル、傾き、角度、大きさ、差及び/又は他の変化インジケータ
を観察することにより、経時的な呼吸指数の変化から患者の呼吸状態を判定する、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
臨床医は、
1つ又は複数の閾値に対して1つ又は複数の呼吸指数及び/又は呼吸指数の変化を比較するステップ、
1つ又は複数の閾値に対して1つ又は複数の変化インジケータを比較するステップ、
1つ若しくは複数の他の呼吸指数及び/若しくは呼吸指数の変化に対して且つ/又は1つ若しくは複数の他の1つ若しくは複数の変化インジケータに対して1つ又は複数の呼吸指数及び/又は呼吸指数の変化を比較するステップ、
1つ若しくは複数の他の変化インジケータ並びに/又は1つ若しくは複数の呼吸指数及び/若しくは呼吸指数の変化に対して1つ又は複数の変化インジケータを比較するステップ、
呼吸指数、
経時的な呼吸指数の変化、
経時的な呼吸指数の変化の変化、及び/又は
変化インジケータ
の1つ又は複数を検討するステップ
の任意の1つ又は組み合わせにより、経時的な呼吸指数の変化から患者の呼吸状態を判定する、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
患者の呼吸状態を判定する際、
前記呼吸状態を示し、前記臨床医に警告し、且つ/又は必要とされるアクションを示す、アラームが鳴動され、且つ/又はメッセージが表示されること、及び/又は
療法の変更が自動的に且つ/又は手動で実行されること
の1つ又は複数は、呼吸状態を示すために発生し得る、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
呼吸状態を判定するためのセッション中、呼吸補助を受けている患者を評価する装置であって、
複数の時点についてから、少なくとも1つの呼吸パラメータを含む患者の1つ又は複数の患者パラメータを受け取る1つ若しくは複数のセンサ又は1つ若しくは複数のセンサのための入力、
コントローラであって、
各時点について、前記1つ又は複数の患者パラメータから呼吸指数を判定し、且つ
経時的な呼吸指数の変化から、患者の呼吸状態を判定すること、及び/又は
ユーザーが患者の呼吸状態を判定するために、経時的な呼吸指数の変化をディスプレイ上に表示すること
を行うコントローラ
を含む装置。
【請求項28】
前記患者は、呼吸補助を受けており、及び任意に、前記呼吸補助は、高流量呼吸補助である、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記呼吸補助を提供するか、又は
呼吸補助装置とは別個である、請求項27又は28に記載の装置。
【請求項30】
前記セッションは、
治療セッション、
一日又はその一部、
一晩又はその一部、
サブセッション、
ある長さの時間
である、請求項27~29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記1つ又は複数の患者パラメータは、1つ又は複数の肺機能パラメータ及び1つ又は複数の酸素化パラメータである、請求項27~30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
肺機能パラメータは、
・呼吸数、
・呼気時間、
・毎分換気量
の1つ又は複数であり得る、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
酸素化パラメータは、
・FiO2、
・FdO2、
・O2比、
・SpO2
の1つ又は複数であり得る、請求項31又は32に記載の装置。
【請求項34】
前記呼吸指数は、ROX指数である、請求項27~33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記ROX指数の構成要素は、
呼吸数、
SpO2、及び/又は
FiO2、FdO2及び/又はO2比
である、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
呼吸数は、前記1つ又は複数のセンサから受け取られた1つ又は複数の患者パラメータから前記コントローラによって判定される、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記呼吸指数は、呼吸数、FiO2及び/又SpO2から判定されるROX指数である、請求項27~36のいずれか一項に記載の装置。
【請求項38】
前記ディスプレイ上で数値的且つ/又はグラフィカルにROX指数を表示することを含む、請求項27~37のいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】
経時的な呼吸指数の変化を判定することは、複数の時点について、前記複数の時点の各々に関する経時的な呼吸指数の変化を判定することを含む、請求項27~38のいずれか一項に記載の装置。
【請求項40】
前記複数の時点について、前記複数の時点の各々に関する前記経時的な呼吸指数の変化を表示することを更に含む、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記経時的な呼吸指数の変化から判定することは、前記コントローラが前記変化を算出し、且つ関係情報と比較することを含む、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記コントローラが呼吸指数閾値及び/又は変化インジケータ閾値を表示することを更に含む、請求項27~41のいずれか一項に記載の装置。
【請求項43】
判定された呼吸補助の変更を、
例えば、メッセージ、アラーム、呼吸状態、呼吸指数の形態で臨床医に、及び/又は
呼吸補助装置に
伝達することを更に含む、請求項27~42のいずれか一項に記載の装置。
【請求項44】
前記1つ又は複数のセンサは、
呼吸補助装置の流路を検知するように配置された1つ又は複数のセンサ、及び/又は
患者のパラメータを検知するように配置された1つ又は複数のセンサ
を含み、及び
前記コントローラは、前記1つ又は複数のセンサから前記1つ又は複数の患者パラメータを受け取る、請求項27~43のいずれか一項に記載の装置。
【請求項45】
単独であるか又は統合されているかのいずれかである、
呼吸装置、
モバイル装置、
リモート監視システム
の1つ又は複数である、請求項27~44のいずれか一項に記載の装置。
【請求項46】
前記センサを含む、請求項27~45のいずれか一項に記載の装置。
【請求項47】
呼吸状態を判定するためのセッション中、呼吸補助を受けている患者を評価するシステムであって、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法を実行する、請求項27~46のいずれか一項に記載の装置を含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、限定されないが、(例えば、呼吸指数及び/又は状態に基づいて)呼吸指数、呼吸状態及び/又は呼吸補助の変更を含む呼吸の側面を判定するために呼吸指数を使用する装置、システム及び/又は方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高流量呼吸補助は、一般的であり、且つ一般的に使用されている。これは、呼吸困難を有する患者のための第一線の療法となっている。高流量呼吸補助は、(COPD、肺線維症、喘息などの状態を有する患者を含む)その呼吸器系が損なわれた患者を支援するためにも使用されている。
【0003】
高流量呼吸補助は、呼吸困難又は不全を有する患者のための酸素化ツールとなり得る。更に、これは、高流量が部屋の空気の巻き込みを防止し得るという事実に起因して、供給されるO2の量を増大させることもできる。しかし、高O2比(高FiO2)は、潜在的に患者の悪化を隠蔽する可能性があり、ケアのエスカレーションを遅延させる可能性がある。
【0004】
患者は、例えば、機械的な換気又は非侵襲的な換気にエスカレートさせることができる。侵襲的な機械的換気のリスクについて十分に理解されているが、換気の遅延は、病院滞在の長期化及び死亡率の増大をもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、呼吸補助をエスカレートさせる時点を判定することが望ましい。更に、臨床医が患者のためにより良好な決定を実施することを可能にするために患者の呼吸状態を判定することが望ましい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本開示は、NHF呼吸補助を受けている患者を評価し、且つ必要に応じて評価に基づいて呼吸補助を変更する方法を含むものとして表現され得、方法は、少なくとも酸素化パラメータを有する患者のための1つ又は複数の患者パラメータを1つ又は複数のセンサから受け取るステップと、コントローラにおいて、複数の時点における呼吸指数を判定するステップと、経時的な呼吸指数の傾向から、呼吸補助の変更が必要とされるかどうかを判定するステップと、これが必要とされる場合、呼吸補助の変更を実施するステップとを含む。
【0007】
別の態様では、本開示は、呼吸補助装置によって患者を治療する方法を含むものとして表現され得、方法は、少なくとも酸素化パラメータを有する患者の1つ又は複数の患者パラメータを1つ又は複数のセンサから受け取るステップと、複数の時点における呼吸指数をコントローラで判定するステップと、経時的な呼吸指数の傾向から呼吸補助の変更が必要とされるかどうかを判定するステップと、これが必要とされる場合に呼吸補助の変更を実施するステップとを含む。
【0008】
任意に、呼吸指数は、ROX指数である。
【0009】
任意に、呼吸指数は、1つ又は複数の肺機能パラメータ及び1つ又は複数の酸素化パラメータから判定される。
【0010】
任意に、肺機能パラメータは、呼吸数、呼気時間、毎分換気量などの肺機能を示すパラメータである。
【0011】
任意に、酸素化パラメータ/酸素化交換パラメータは、SpO2、FiO2、FdO2、O2比などの酸素化を示すパラメータである。異なってはいるが、FiO2、FdO2及びO2比は、相互に近接した代用計測値であることが可能であり、且つ適宜、交換可能に使用され得る。
【0012】
任意に、評価フェーズは、
・呼吸状態を評価し、且つそれが正常であるか、異常であるか、悪化しているか、安定しているか、改善しているか又は同様のものであるかを判定するステップと、
・(呼吸状態を評価する結果として)呼吸補助の変更が必要とされるかどうかを評価するステップと、
・変更が必要とされる場合、必要とされる呼吸補助の変更(例えば、エスカレーション、デエスカレーション、高流量療法の増大若しくは減少、NIV若しくは侵襲的換気へのエスカレーション、NIV若しくは侵襲的換気からのデエスカレーション又は同様のもの)を評価するステップと
の1つ又は複数を含み得る。
【0013】
任意に、呼吸補助フェーズの変更は、
・例えば、アラート、アラーム、メッセージ又は他の指示により、上述の評価フェーズの結果の任意のものを示すステップ、及び/又は
・評価フェーズで判定された変更の任意のものを実施するステップ
を含み得る。
【0014】
任意に、評価フェーズは、
・臨床医のみ、
・臨床医を伴うことなしに1つ又は複数の評価、療法及び/又は他の装置、又は
・臨床医及び1つ又は複数の装置の両方
により実装することができる。
【0015】
任意に、呼吸補助フェーズは、
・臨床医のみ、
・臨床医を伴うことなしに1つ又は複数の評価、療法及び/又は他の装置、又は
・臨床医及び1つ又は複数の装置の両方
により実装することができる。
【0016】
別の態様では、本開示は、呼吸状態を判定するためのセッション中、呼吸補助を受けている患者を評価する方法を含むものとして表現され得、方法は、複数の時点について、1つ又は複数のセンサから、少なくとも1つの呼吸パラメータを含む患者の1つ又は複数の患者パラメータを受け取るステップと、各時点について、コントローラにおいて、1つ又は複数の患者パラメータから、呼吸指数及び/又は1つ又は複数の構成要素パラメータ並びに経時的な呼吸指数及び/又は1つ又は複数の構成要素パラメータの変化を判定するステップと、経時的な呼吸指数及び/又は1つ又は複数の構成要素パラメータの変化から患者呼吸状態を判定するステップとを含む。
【0017】
任意に、患者は、呼吸補助を受けており、及び任意に、呼吸補助は、高流量呼吸補助、非侵襲的な圧力呼吸補助である。
【0018】
一態様では、本開示は、任意の先行する請求項による方法を含むものと表現され得、この場合、臨床医は、ROX指数が閾値未満であるがROX指数変化インジケータがより低いリスクに向かう傾向を示す場合、患者呼吸状態を「リスク状態にあるが改善している」と判定する。
【0019】
任意に、臨床医が患者呼吸状態を「リスク状態にあるが改善している」と判定した場合、評価装置は、患者がリスク状態にあるが改善していることを示す初期アラーム又は表示メッセージなどの指示を提供する。
【0020】
任意に、臨床医は、ROXが閾値未満であり且つROX指数変化インジケータがより高いリスクに向かう傾向を示す場合、患者呼吸状態を「リスク状態にあり且つ悪化している」と判定する。
【0021】
任意に、臨床医が患者呼吸状態を「リスク状態にあり且つ悪化している」と判定した場合、評価装置は、患者がリスク状態にあり且つ悪化していることを示すアラーム及び表示メッセージなどの指示を提供する。
【0022】
任意に、臨床医は、ROX指数が閾値超であるがROX指数変化インジケータがより高いリスクに向かう傾向を示す場合、患者呼吸状態を「リスク状態にはないが悪化している」と判定する。
【0023】
任意に、臨床医が患者呼吸状態を「リスク状態にはないが悪化している」と判定した場合、評価装置は、アラームなどの指示を静かに提供し、且つ次いで、ROX指数が閾値未満に降下した場合/際にアラームを大音響で提供する。
【0024】
任意に、臨床医は、呼吸数が(閾値の傾き又は他の変化インジケータ超だけ)上向きの傾向を有するがSpO2が安定している場合、患者呼吸状態を「安定している」と判定し、且つメッセージがスクリーン上に表示される。
【0025】
任意に、臨床医は、呼吸数が(閾値の傾き又は他の変化インジケータ超だけ)上向きの傾向を有し、且つSpO2が下向きの傾向を有する場合、患者呼吸状態を「悪化している」と判定し、且つアラームが起動される。
【0026】
任意に、臨床医は、1つ又は複数の閾値との比較でROX指数から患者呼吸状態を判定する。
【0027】
任意に、臨床医は、1つ又は複数の閾値に基づいて、
呼吸数、
SpO2、及び/又は
FiO2、
から患者の呼吸状態を判定する。
【0028】
任意に、臨床医は、
呼吸指数、及び/又は
呼吸数、SpO2及び/又はFiO2などの患者パラメータ
の経時的な変化から患者の呼吸状態を判定する。
【0029】
任意に、臨床医は、傾き、大きさ及び/又は複数の時点における呼吸指数の間の角度などの変化インジケータから患者の呼吸状態を判定する。
【0030】
任意に、臨床医は、傾き、大きさ及び/又は複数の時点における呼吸数、SpO2及び/又はFiO2などの患者パラメータの間の角度などの変化インジケータから患者の呼吸状態を判定する。
【0031】
任意に、呼吸指数及び変化インジケータが変化するのに所要する時間の長さ及び/又は閾値時間にわたる変化の大きさから患者の呼吸状態を判定する。
【0032】
任意に、臨床医は、閾値量だけの呼吸指数及び/又は変化インジケータについて所要される時間から患者の呼吸状態を判定する。
【0033】
任意に、評価装置及び/又は呼吸補助装置は、ディスプレイなどのユーザーインターフェイスを有する。
【0034】
別の態様では、本開示は、呼吸状態を判定するためのセッション中、呼吸補助を受けている患者を評価する方法を含むものとして表現され得、方法は、複数の時点について、1つ又は複数のセンサから、少なくとも1つの呼吸パラメータを含む患者の1つ又は複数の患者パラメータを受け取るステップと、コントローラにおいて、各時点について、1つ又は複数の患者パラメータからの呼吸指数と、経時的な呼吸指数の変化とを判定するステップと、経時的な呼吸指数の変化から、患者の呼吸状態を判定するステップとを含む。
【0035】
任意に、患者は、呼吸補助を受けており、及び任意に、呼吸補助は、高流量呼吸補助である。
【0036】
任意に、セッションは、
治療セッション、
一日又はその一部、
一晩又はその一部
サブセッション、
ある長さの時間
である。
【0037】
任意に、1つ又は複数の患者パラメータは、1つ又は複数の肺機能パラメータ及び1つ又は複数の酸素化パラメータである。
【0038】
任意に、肺機能パラメータは、
・呼吸数、
・呼気時間、
・毎分換気量
の1つ又は複数であり得る。
【0039】
任意に、酸素化パラメータは、
・FiO2、
・FdO2、
・O2比、
・SpO2
の1つ又は複数であり得る。
【0040】
任意に、呼吸指数は、ROX指数である。
【0041】
任意に、ROX指数の構成要素は、
呼吸数、
SpO2、及び/又は
FiO2、FdO2及び/又はO2比
である。
【0042】
任意に、呼吸数は、1つ又は複数のセンサから受け取られた1つ又は複数の患者パラメータからコントローラによって判定される。
【0043】
任意に、呼吸状態及び/又は呼吸指数に基づいて、呼吸補助の変更を指示及び/又は実施するステップを更に含む。
【0044】
任意に、ROX指数を数値的且つ/又はグラフィカルに表示するステップを含む。
【0045】
任意に、経時的に呼吸指数の変化を判定するステップは、複数の時点について、複数の時点の各々に関する呼吸指数の変化を判定するステップを含む。
【0046】
任意に、複数の時点について、複数の時点の各々に関する経時的な呼吸指数の変化を表示するステップを更に含む。
【0047】
任意に、経時的な呼吸指数の変化から患者の呼吸状態を判定するステップは、経時的な呼吸指数の変化の複数の時点にわたる変化を監視するステップを含む。
【0048】
任意に、経時的な呼吸指数の変化の複数の時点に伴う変化を監視するステップは、複数の時点について、経時的な呼吸指数の変化の複数の時点に伴う表示された変化及び/又は算出し、且つそれを関係情報と比較するステップを含む。
【0049】
任意に、呼吸指数閾値及び/又は変化インジケータ閾値を表示するステップを更に含む。
【0050】
任意に、経時的な呼吸指数の変化を判定するステップは、呼吸指数の傾向を判定するステップを含む。
【0051】
任意に、傾向は、複数の瞬間的な傾向を含み、及び傾向を判定するステップは、経時的な複数の瞬間的な傾向を判定するステップを含む。
【0052】
任意に、傾向又は瞬間的な傾向は、大きさ及び方向を含む傾向パラメータで表され、且つ任意にベクトル又は傾き及び大きさの形態であり得る。
【0053】
任意に、例えば、メッセージ、アラーム、呼吸状態、呼吸指数及び/又は呼吸補助装置の形態で判定された呼吸補助の変化を臨床医に伝達するステップを更に含む。
【0054】
任意に、1つ又は複数のセンサは、呼吸補助装置の流路を検知するように配置された1つ又は複数のセンサ及び/又は患者のパラメータを検知するように配置された1つ又は複数のセンサを含み、及びコントローラは、1つ又は複数のセンサから1つ又は複数の患者パラメータを受け取る。
【0055】
任意に、呼吸装置、モバイル装置及び/又は他の評価装置のいずれかにおけるインターフェイス上にグラフィカル且つ/又は数値的のいずれかで呼吸指数対時間を表示し、グラフィカル且つ/又は数値的のいずれかで、単独での、組み合わされた及び/又は選択肢対時間における呼吸指数の1つ又複数の構成要素(例えば、呼吸数、SpO2、FiO2又は同様のもの)を表示し、且つ/又は経時的又は他の方式において、2つ以上の呼吸指数及び/又はその構成要素間の変化を示す1つ又複数のベクトル、傾き、角度、大きさ、差及び/又は他の変化インジケータの1つ又は複数を表示するステップを更に含む。
【0056】
任意に、ユーザー入力に基づいて表示を修正するために且つ情報を再表示するために入力(例えば、ユーザー入力)を受け取るステップを更に含み、これは、呼吸指数の1つ又は複数の構成要素を表示するために入力を受け取るステップ、グラフィカル且つ/若しくは数値的のいずれかで、単独での、組み合わされた及び/若しくは選択肢対時間における呼吸指数の1つ若しくは複数の構成要素を表示するステップ並びに/又は表示を表示、ズーム及び/若しくは移動させるために入力を受け取るステップ並びにグラフィカル且つ/若しくは数値的のいずれかでの呼吸指数(例えば、ROX指数)対時間、グラフィカル且つ/若しくは数値的のいずれかでの、単独での、組み合わされた及び/若しくは選択肢対時間における呼吸指数の1つ又は複数の構成要素並びに/又は経時的な若しくは他の方式で2つ以上の呼吸指数及び/若しくはその構成要素間の変化を示す1つ又は複数のベクトル、傾き、角度、大きさ、差及び/又は他の変化インジケータのズーム及び/又は移動されたバージョンを表示又は再表示するステップの1つ又は複数を含む。
【0057】
任意に、臨床医は、グラフィカル且つ/又は数値的のいずれかでの呼吸指数(例えば、ROX指数)対時間、グラフィカル且つ/又は数値的のいずれかでの、単独での、組み合わされた及び/又は選択肢対時間における呼吸指数(呼吸数、SpO2、FiO2又は同様のもの)の1つ又複数の構成要素及び/又は経時的又は他の方式における、2つ以上の呼吸指数及び/又はその構成要素間の1つ又は複数のベクトル、傾き、角度、大きさ、差及び/又は他の変化インジケータを観察することにより、経時的な呼吸指数の変化から患者呼吸状態を判定する。
【0058】
任意に、臨床医は、1つ又は複数の閾値に対して1つ又は複数の呼吸指数及び/又は呼吸指数の変化を比較するステップと、1つ又は複数の閾値に対して1つ又は複数の変化インジケータを比較するステップと、1つ若しくは複数の他の呼吸指数及び/若しくは呼吸指数の変化に対して且つ/又は1つ若しくは複数の他の1つ若しくは複数の変化インジケータに対して1つ又は複数の呼吸指数及び/又は呼吸指数の変化を比較するステップと、1つ若しくは複数の他の変化インジケータ並びに/又は1つ若しくは複数の呼吸指数及び/若しくは呼吸指数の変化に対して1つ又は複数の変化インジケータを比較するステップと、呼吸指数、経時的な呼吸指数の変化、経時的な呼吸指数の変化及び変化インジケータの1つ又は複数を考慮するステップとの任意のもの又は組み合わせにより、経時的な呼吸指数の変化から患者呼吸状態を判定する。
【0059】
任意に、患者の呼吸状態を判定する際、呼吸状態を示し、臨床医に警告し、且つ/又は必要なアクションを示すアラームが鳴動され、且つ/又はメッセージが表示され、且つ/又は療法の変化が自動的に且つ/又は手動で起動されることの1つ又は複数が呼吸状態を示すために発生し得る。
【0060】
一態様では、本開示は、呼吸状態を判定するためのセッション中、呼吸補助を受けている患者を評価する装置を含むものとして表現され得、これは、複数の時点についてから、少なくとも1つの呼吸パラメータを含む患者の1つ又は複数の患者パラメータを受け取る1つ若しくは複数のセンサ又は1つ若しくは複数のセンサのための入力と、各時点について、1つ又は複数の患者パラメータから呼吸指数を判定し、経時的な呼吸指数の変化から患者呼吸状態を判定し、且つ/又は患者呼吸状態を判定するためにユーザーの経時的な呼吸指数の変化をディスプレイ上に表示するコントローラとを含む。
【0061】
任意に、患者は、呼吸補助を受けており、及び任意に、呼吸補助は、高流量呼吸補助である。
【0062】
任意に、評価装置は、呼吸補助を提供するか、又は評価装置は、呼吸補助装置とは別個である。
【0063】
任意に、セッションは、
治療セッション、
一日又はその一部、
一晩又はその一部、
サブセッション、
ある長さの時間
である。
【0064】
任意に、1つ又は複数の患者パラメータは、1つ又は複数の肺機能パラメータ及び1つ又は複数の酸素化パラメータである。
【0065】
任意に、肺機能パラメータは、
・呼吸数、
・呼気時間、
・毎分換気量
の1つ又は複数であり得る。
【0066】
任意に、酸素化パラメータは、
・FiO2、
・FdO2、
・O2比、
・SpO2
の1つ又は複数であり得る。
【0067】
任意に、呼吸指数は、ROX指数である。
【0068】
任意に、ROX指数の構成要素は、
呼吸数、
SpO2、及び/又は
FiO2、FdO2及び/又はO2比
である。
【0069】
任意に、呼吸数は、1つ又は複数のセンサから受け取られた1つ又は複数の患者パラメータからコントローラによって判定される。
【0070】
任意に、呼吸指数は、呼吸数、FiO2及び/又はSpO2から判定されるROX指数である。
【0071】
任意に、ディスプレイ上で数値的且つ/又はグラフィカルにROXを表示することを含む。
【0072】
任意に、経時的な呼吸指数の変化を判定することは、複数の時点について、複数の時点のそれぞれのごとに経時的な呼吸指数の変化を判定することを含む。
【0073】
任意に、複数の時点について、複数の時点の各々に関する経時的な呼吸指数の変化を表示することを含む。
【0074】
任意に、経時的な呼吸指数の変化から判定することは、コントローラが変化を算出し、且つ関係情報と比較することを含む。
【0075】
任意に、コントローラが呼吸指数閾値及び/又はインジケータ閾値を表示することを更に含む。
【0076】
任意に、例えば、メッセージ、アラーム、呼吸状態、呼吸指数及び/又は呼吸補助装置の形態で判定された呼吸補助の変化を臨床医に伝達することを更に含む。
【0077】
任意に、1つ又は複数のセンサは、呼吸補助装置の流路を検知するように配置された1つ又は複数のセンサ及び/又は患者のパラメータを検知するように配置された1つ又は複数のセンサを含み、及びコントローラは、1つ又は複数のセンサから1つ又は複数の患者パラメータを受け取る。
【0078】
任意に、装置は、
単独の又は統合された、
呼吸装置、
モバイル装置、
サーバー
の1つ又は複数である。
【0079】
任意に、センサを含む。
【0080】
別の態様では、本開示は、呼吸状態を判定するためのセッション中、呼吸補助を受けている患者を評価するシステムを含むものとして表現され得、これは、本明細書における任意の記述による方法を実行する本明細書における任意の記述による装置を含む。
【0081】
任意に、装置は、経時的な呼吸指数の変化の複数の時点にわたる変化を監視することにより、経時的な呼吸指数の変化から患者呼吸状態を判定するように構成される。
【0082】
任意に、少なくとも1つの患者パラメータは、患者のFiO2である。
【0083】
任意に、呼吸パラメータは、
呼吸数、及び/又は
SpO2
である。
【0084】
任意に、装置は、経時的な呼吸指数の変化を判定するように構成され、これは、呼吸指数の傾向を判定することを含む。
【0085】
任意に、傾向は、複数の瞬間的な傾向を含み、及び傾向を判定することは、経時的な複数の瞬間的な傾向を判定することを含む。
【0086】
任意に、変化インジケータは、
ベクトル、又は
傾き及び大きさ
の形態であり得る。
【0087】
任意に、装置は、呼吸装置、モバイル装置及び/又は他の評価装置のいずれかにおけるインターフェイス上において、グラフィカル且つ/又は数値的のいずれかでの呼吸指数対時間、グラフィカル且つ/又は数値的のいずれかでの、単独での、組み合わされた及び/又は選択肢対時間における呼吸指数の1つ又は複数の構成要素(呼吸数、SpO2、FiO2又は同様のもの)及び/又は経時的又は他の方式における、2つ以上の呼吸指数及び/又はその構成要素間の変化を示す1つ又は複数のベクトル、傾き、角度、大きさ、差及び/又は他の変化インジケータの1つ又は複数を表示するように更に構成される。
【0088】
任意に、装置は、
呼吸指数の1つ又は複数の構成要素を表示するために入力を受け取り、且つグラフィカル且つ/又は数値的のいずれかで、単独での、組み合わされた及び/又は選択肢対時間における呼吸指数の1つ又は複数の構成要素を表示すること、及び/又は
表示を表示、ズーム及び/又は移動させるために入力を受け取り、且つ
グラフィカル且つ/又は数値的のいずれかでの呼吸指数(例えば、ROX指数)対時間、
グラフィカル且つ/又は数値的のいずれかでの、単独での、組み合わされた及び/又は選択肢対時間における呼吸指数の1つ又は複数の構成要素、及び/又は
経時的又は他の方式における、2つ以上の呼吸指数及び/又はその構成要素間の変化を示す1つ又は複数のベクトル、傾き、角度、大きさ、差及び/又は他の変化インジケータ
のズーム及び/又は移動されたバージョンを表示又は再表示することと
の1つ又は複数を含むユーザー入力に基づいて表示を修正し且つ情報を再表示するために入力(例えば、ユーザー入力)を受け取るように更に構成される。
【0089】
任意に、装置は、臨床医が、
グラフィカル且つ/又は数値的のいずれかでの呼吸指数(例えば、ROX指数)対時間、
グラフィカル且つ/又は数値的のいずれかでの、単独での、組み合わされた及び/又は選択肢対時間における呼吸指数の1つ又は複数の構成要素(例えば、呼吸数、SpO2、FiO2又は同様のもの)、及び/又は
経時的又は他の方式における、2つ以上の呼吸指数及び/又はその構成要素間の変化を示す1つ又は複数のベクトル、傾き、角度、大きさ、差及び/又は他の変化インジケータ
を観察することにより、経時的な呼吸指数の変化から患者呼吸状態を判定することを許容するように更に構成される。
【0090】
任意に、装置は、臨床医が、
1つ又は複数の閾値に対して1つ又は複数の呼吸指数及び/又は呼吸指数の変化を比較することと、
1つ又は複数の閾値に対して1つ又は複数の変化インジケータを比較することと、
1つ若しくは複数の他の呼吸指数及び/若しくは呼吸指数の変化に対して且つ/又は1つ若しくは複数の他の1つ若しくは複数の変化インジケータに対して1つ又は複数の呼吸指数及び/又は呼吸指数の変化を比較することと、
1つ若しくは複数の他の変化インジケータ並びに/又は1つ若しくは複数の呼吸指数及び/若しくは呼吸指数の変化に対して1つ又は複数の変化インジケータを比較することと、
呼吸指数、
経時的な呼吸指数の変化、
経時的な呼吸指数の変化、
変化インジケータ
の1つ又は複数を考慮することと
の任意の1つ又は組み合わせによって経時的な呼吸指数の変化から患者呼吸状態を判定することを許容するように更に構成される。
【0091】
任意に、装置は、患者の呼吸状態を判定する際、呼吸状態を示すために発生可能である、呼吸状態を示し、臨床医に警告し、且つ/又は必要とされるアクションを示すアラームが鳴動され、且つ/又はメッセージが表示され、及び/又は療法の変化が自動的に且つ/又は手動で起動されることの1つ又は複数を提供するように更に構成される。
【0092】
任意に、記述される方法又は装置において、呼吸指数は、ROX指数である。
【0093】
任意に、記述される方法又は装置において、呼吸指数の構成要素は、呼吸数、SpO2及び/又はFiO2である。
【0094】
別の態様では、本開示は、呼吸状態を判定するためのセッション中、呼吸補助を受けている患者を評価する方法を含むものとして表現され得、これは、1つ又は複数のセンサから、複数の時点について、少なくとも1つの呼吸パラメータを含む患者の1つ又は複数の患者パラメータを受け取るステップと、コントローラにおいて、各時点について、1つ又は複数の患者パラメータからの呼吸指数及び/又は1つ又は複数の構成要素パラメータ及び呼吸指数の変化及び/又は経時的な1つ又は複数の構成要素パラメータを判定するステップと、経時的な呼吸指数の変化及び/又は1つ又は複数の構成要素パラメータから、患者呼吸状態を判定するステップとを含む。
【0095】
別の態様では、本開示は、呼吸補助の変更を判定するために患者を評価する方法を含むものとして表現され得、これは、複数の時点について、少なくとも1つの呼吸パラメータを含む患者からの1つ又は複数の患者パラメータを受け取るステップと、各時点について、1つ又は複数の患者パラメータから呼吸指数を判定するステップと、呼吸指数から、呼吸指数の傾向に基づいて患者の呼吸状態及び/又は呼吸補助の変化を判定するステップとを含む。
【0096】
別の態様では、本開示は、呼吸補助の変更を判定するために患者を評価する方法を含むものとして表現され得、これは、複数の時点について、少なくとも1つの呼吸パラメータを含む患者からの1つ又は複数の患者パラメータを受け取るステップと、各時点について、1つ又は複数の患者パラメータから呼吸指数を判定するステップと、呼吸指数の変化から経時的な呼吸指数の変化を判定するステップと、患者の呼吸状態及び/又は呼吸補助の変化を判定するステップとを含む。
【0097】
任意に、経時的な呼吸指数の変化を判定するステップは、呼吸指数の傾向を判定するステップを含む。
【0098】
任意に、傾向は、複数の瞬間的な傾向を含み、及び傾向を判定するステップは、経時的な複数の瞬間的な傾向を判定するステップを含む。
【0099】
任意に、傾向又は瞬間的な傾向は、大きさ及び方向を含む傾向パラメータで表され、且つ任意に、
ベクトル、又は
傾き(即ち勾配)及び大きさ
の形態であり得る。
【0100】
任意に、方法は、判定された呼吸補助の変更を、例えば、メッセージ、アラーム、呼吸状態、呼吸指数の形態で臨床医に及び/又は呼吸補助装置に伝達するステップを更に含む。
【0101】
任意に、方法は、判定された呼吸補助の変更に基づいて呼吸補助装置を制御するステップを更に含む。
【0102】
任意に、方法は、呼吸指数から患者の状態及び/又は患者の状態の変化を判定するステップと、任意に、例えばメッセージ、アラーム及び/又は状態の形態で患者の状態を臨床医に伝達するステップとを更に含む。
【0103】
任意に、呼吸指数の傾向に基づいて患者の呼吸状態及び/又は呼吸補助の変更を判定するステップは、
・呼吸指数及び呼吸指数の変化、
・傾向又は複数の瞬間的な傾向、
・傾向パラメータ又は複数の傾向パラメータ、
・患者の呼吸状態又は呼吸状態の変化
の1つ又は複数を関係情報に照らして比較するステップを含み、
この場合、任意に、関係情報は、
少なくとも1つの閾値、及び/又は
閾値が満たすか、超過されるか又は超過されない時間
を含む。
【0104】
任意に、方法は、
・呼吸指数又は呼吸指数の変化、
・傾向又は複数の瞬間的な傾向、
・傾向パラメータ又は複数の傾向パラメータ、
・患者の呼吸状態又は呼吸状態の変化、
・関係情報
の1つ又は複数を伝達するステップを更に含む。
【0105】
任意に、呼吸指数は、ROX指数であり、且つ傾向パラメータは、ROX指数の変化を示すベクトルであり、且つ関係情報は、呼吸不全のリスクを示す閾値である。
【0106】
任意に、呼吸補助の変化は、呼吸補助のエスカレーション又はデエスカレーションである。
【0107】
任意に、呼吸補助をエスカレートさせるステップは、
・任意に、フロー、O2濃度、加湿、流れ振動及び/又は他の高流量パラメータを増大させるか又は提供することにより、より高いレベルで高流量呼吸補助を提供するステップと、
・患者を、
〇NIV圧力呼吸補助、
〇挿管を介した機械的ベンチレータ呼吸補助、
などのより侵襲的な呼吸補助に患者を移すステップと
を含む。
【0108】
任意に、エスカレーションは、
呼吸補助をエスカレートさせるように装置を制御するステップ、及び/又は
任意に、メッセージ、状態、アラームの形態では、呼吸補助をエスカレートさせるか又はそのエスカレーションを考慮するように臨床医に伝達するステップ
を含む。
【0109】
任意に、呼吸補助の変更は、患者の呼吸状態及び/又は呼吸指数を改善する。
【0110】
別の態様では、本開示は、呼吸補助の変化を判定するために患者を評価する方法を含むものとして表現され得、これは、複数の時点について、少なくとも1つの呼吸パラメータを含む患者からの1つ又複数の患者パラメータを受け取るステップと、各時点について、1つ又は複数の患者パラメータから呼吸指数を判定するステップと、経時的な呼吸指数の変化を示す大きさ及び方向を含む少なくとも1つのベクトルを判定するステップと、ベクトルに基づいて呼吸補助の変化を判定するステップとを含む。
【0111】
別の態様では、本開示は、呼吸補助の変更を判定するための装置を含むものとして表現され得、これは、複数の時点について、少なくとも1つの呼吸パラメータを含む患者からの1つ又は複数の患者パラメータを受け取り、各時点について、1つ又は複数の患者パラメータから呼吸指数を判定し、呼吸指数の変化から経時的な呼吸指数の変化を判定し、患者の呼吸状態及び/又は呼吸補助の変更を判定するように構成されたコントローラと、呼吸指数及び/又は呼吸指数の変化、患者の呼吸状態、呼吸補助の変更の1つ又は複数を伝達するためのI/Oインターフェイスとを含む。
【0112】
任意に、装置は、フロー生成器及び加湿器を含む呼吸装置である。
【0113】
任意に、フロー生成器及び加湿器は、ハウジング内に統合される。
【0114】
任意に、装置は、更に、
ガスのO2濃度を判定するためのセンサ、
患者の呼吸数を判定するためのセンサ
の1つ又は複数を含むか又はそれに結合するように構成される。
【0115】
任意に、装置は、無線通信トランシーバを更に含む。
【0116】
任意に、装置は、IOインターフェイスを含むモバイル装置であり、且つ
モバイル電気通信、
Bluetooth(商標)、
NFC
の1つ又は複数を使用して患者パラメータを受け取る。
【0117】
任意に、モバイル装置は、呼吸装置の制御及び/又は呼吸装置のIOインターフェイス上における通信のために、
呼吸指数及び/又は呼吸指数の変化、
患者の呼吸状態、及び/又は
呼吸補助の変更
を呼吸装置に伝達する。
【0118】
別の態様では、本開示は、呼吸装置を制御する方法を含むものとして表現され得、これは、呼吸指数の変化から患者パラメータから経時的な呼吸指数の変化を判定するステップ、患者の呼吸状態及び/若しくは呼吸補助の変更を判定するステップと、呼吸補助を変更する方法を臨床医に伝達するステップ及び/又は呼吸補助を変更するように呼吸補助装置を制御するステップとを含む。
【0119】
任意に、呼吸補助の変更は、患者の呼吸状態及び/又は呼吸指数を改善する。
【0120】
別の態様では、本開示は、呼吸指数用の1つ又は複数の傾向パラメータを判定する方法を含むものとして表現され得、これは、複数の時点について、少なくとも1つの呼吸パラメータを含む患者からの1つ又は複数の患者パラメータを受け取るステップと、各時点について、1つ又は複数の患者パラメータから呼吸指数を判定するステップと、経時的な呼吸指数の変化を表す1つ又は複数の傾向パラメータを判定するステップとを含む。
【0121】
任意に、傾向パラメータは、大きさ及び方向を含み、且つ任意に、
ベクトル、又は
傾き(即ち勾配)及び大きさ
の形態であり得る。
【0122】
別の態様では、本開示は、呼吸補助の変更を判定するためのシステムを含むものとして表現され得、これは、コントローラ、IOインターフェイス及び無線通信トランシーバを含むモバイル装置と、コントローラ、フロー生成器及び加湿器を含む呼吸装置とを含み、この場合、コントローラの1つ又は両方は、複数の時点について、少なくとも1つの呼吸パラメータを含む患者からの1つ又は複数の患者パラメータを受け取ること、各時点について、1つ又は複数の患者パラメータから呼吸指数を判定すること、呼吸指数の変化から経時的な呼吸指数の変化を判定すること、患者の呼吸状態及び/又は呼吸補助の変更を判定することのいくつか又はすべてを実行するように構成される。
【0123】
別の態様では、本開示は、呼吸補助の変更を判定するための装置を含むものとして表現され、これは、複数の時点について、少なくとも1つの呼吸パラメータを含む患者からの1つ又は複数の患者パラメータを受け取るように、各時点について、1つ又は複数の患者パラメータから呼吸指数を判定するように、呼吸指数の変化から経時的な呼吸指数の変化を判定するように、IOインターフェイス上で情報を伝達するように、且つ/又は患者の呼吸状態及び/又は呼吸補助の変更又は示唆された変化を判定するように、コントローラ、IOインターフェイス及び無線通信トランシーバを含むモバイル装置を含む。
【0124】
任意に、モバイル装置は、
モバイル電気通信、
Bluetooth(商標)
NFC、
WiFi
の1つ又は複数を使用することにより、無線通信トランシーバを介して患者パラメータを受け取る。
【0125】
任意に、モバイル装置は、WAN、LAN又は無線ネットワークを介して患者パラメータを受け取る。
【0126】
任意に、モバイル装置は、呼吸装置の制御及び/又は呼吸装置のIOインターフェイス上における通信のために、
呼吸指数及び/又は呼吸指数の変化、
患者の呼吸状態、及び/又は
呼吸補助の変更
を呼吸装置に伝達する。
【0127】
任意に、モバイル装置及び/又は呼吸装置は、IOインターフェイスにおいて、グラフ、メッセージ、表示、情報として、且つ/又は聴覚的に又は他の方式で、
・呼吸指数又は呼吸指数の変化、
・傾向又は複数の瞬間的な傾向、
・傾向パラメータ又は複数の傾向パラメータ、
・患者の呼吸状態又は呼吸状態の変化、
・関係情報
の1つ又は複数を伝達する。
【0128】
別の態様では、本開示は、方法を実行するようにプログラミングされたモバイル装置を含むものとして表現され得、方法は、
複数の時点について、少なくとも1つの呼吸パラメータを含む患者からの1つ又は複数の患者パラメータを受け取るステップと、
各時点について、1つ又は複数の患者パラメータから呼吸指数を判定するステップと、
経時的な呼吸指数の変化を判定するステップと、
呼吸指数の変化から、
患者の呼吸状態、及び/又は
呼吸補助の変更
を判定するステップと
を含む。
【0129】
別の態様では、本開示は、モバイル装置によって実装された方法及び/又は方法を実行するようにプログラミングされたモバイル装置を含むものとして表現され得、方法は、IOインターフェイスにおいて、グラフ、メッセージ、表示、情報として、且つ/又は可聴的に又は他の方式で、
・呼吸指数又は呼吸指数の変化、
・傾向又は複数の瞬間的な傾向、
・傾向パラメータ(例えば、大きさ及び/又は方向を含むベクトル)又は複数の傾向パラメータ
・患者の呼吸状態又は呼吸状態の変化、
・関係情報
の1つ又は複数を伝達するステップ
を更に含む。
【0130】
任意に、システム又は方法は、呼吸指数を改善するために必要とされる呼吸補助装置によって提供される流量の変化を判定するように構成され得、且つ呼吸補助装置の流量又は別のパラメータを変更するためにモバイル装置上に命令を提示するように構成され得、任意に、この場合、流量の変化又は別のパラメータは、
流量が、呼吸指数を改善するために増大される、
流量が、呼吸指数の変化に基づいて又はこれとの関係で変更される、
流量が、傾向又は傾向パラメータの変化に基づいて又はこれとの関係で変更される、
FiO2が、呼吸数の変化に対して又は呼吸指数の変化に対して変更される、
流量が指数変化に対して変更される状態において、ガス弁が、FiO2を増大させるために又はFiO2を維持するために制御される
の1つ又は複数である。
【0131】
任意に、システム又は方法において、呼吸指数は、SpO2、FiO2及び呼吸数に基づいたROX指数であり、且つ任意に、システムは、SpO2、FiO2及び/又は呼吸数がそれから判定され得る1つ又は複数のセンサを含むか又はそれに接続するように構成され、及び任意に、呼吸数は、呼吸数センサの周波数応答に基づいてコントローラで算出される。
【0132】
任意に、モバイル装置は、NFCプロトコルを使用することにより、呼吸数及びFiO2をキャプチャする/受け取る。
【0133】
任意に、
呼吸数センサ、
酸素濃度センサ、
フローセンサ(任意に、インライン型のもの)
圧力センサ
温度センサ、
超音波センサ
の1つ又は複数を更に含み、且つ任意に、この場合、コントローラは、センサの1つ又は複数から、且つ/又は手動入力から、信号を受け取り、且つ受け取られた信号に基づいて呼吸数及びFiO2を算出する。
【0134】
任意に、任意の先行する請求項によるシステム又は方法において、コントローラは、設定された時間期間内に取得された呼吸数及びFiO2の計測値に基づいて設定された時間期間にわたる呼吸指数の傾向を算出するように構成されるか、又は方法は、それを実行するステップを含み、及び/又はコントローラは、呼吸指数の傾向(又は変化)が呼吸状態の悪化を示す場合、ベース流量からフローを増大させるように構成され、及び/又はコントローラは、呼吸指数が呼吸状態の改善を示す場合、ベース流量に向かってフローを低減するように構成される。
【0135】
別の態様では、本開示は、呼吸補助を提供する方法を含むものとして表現され得、これは、1つ又は複数の時点で患者の呼吸の呼吸指数を判定するステップと、呼吸指数の変化から経時的な呼吸指数の変化を判定するステップと、患者の呼吸状態及び/又は適切な呼吸補助を判定するステップと、判定された呼吸補助を患者に提供するステップとを含む。
【0136】
一実装形態では、実施形態は、ウェアラブルセンサから情報を受け取るモバイル装置を含む。情報は、上述のように使用され、且つ情報は、例えば、NFCを含む有線又は無線送信を通して、装置を制御するために、臨床医及び更に呼吸補助装置に伝達される。モバイル装置は、Bluetooth又は赤外線又は別の適切な無線通信プロトコルを使用することにより、呼吸補助装置と通信することができる。モバイル装置は、呼吸装置内の呼吸装置及びセンサから情報を受け取ることができる。モバイル装置は、呼吸補助装置に搭載されたセンサからデータを受け取るために、規則的な時間インターバルで呼吸装置に自動的にピング(即ち問合せ)を実行することができる。代わりに、呼吸補助装置は、データをモバイル装置に定期的に送信することもできる。一例では、NFC通信が有利であり、その理由は、例えば、臨床医などのモバイル装置のユーザーが、呼吸補助装置からのセンサデータがモバイル装置で受け取られることを開始し得るからである。モバイル装置は、本明細書に記述される方法を使用することにより、呼吸補助の有効性を判定することができる。
【0137】
一態様では、本開示は、呼吸補助を提供する装置を含み得、これは、ハウジングと、ハウジング内のフロー生成器(例えば、ブロア)と、補助ガス入口と、補助ガス入口と流体連通し、且つ装置に導入される補助ガスの量を制御するように構成された弁と、ハウジングの内部又はその上部に配置された出口と、ハウジングを通してガス入口から出口まで延在するガス経路であって、フロー生成器は、補助ガス入口から補助ガスを受け取るように且つガスのフローを生成するように構成され、ガスのフローは、ガス経路を通して移動する、ガス経路と、複数のセンサと、1つ又は複数のセンサとの電子的通信状態にあり、且つセンサから信号を受け取るコントローラとを含み、この場合、センサは、非侵襲的なセンサであり、コントローラは、センサ信号から肺機能パラメータ及び酸素化パラメータを判定するように、肺機能パラメータ及び酸素化パラメータに基づいて呼吸指数を判定するように、経時的に呼吸指数の変化を判定するように、経時的な呼吸の変化に基づいて呼吸補助を変更するように構成される。
【0138】
装置は、任意に、加湿器を含む。加湿器は、フロー生成器の下流に位置決めされ、且つ加湿器は、ガスフローに加湿するように構成される。
【0139】
任意に、呼吸指数の変化は、傾向若しくは変化のレート又は変化のレートの二次導関数を含む。
【0140】
任意に、呼吸装置は、臨床医又は医療従事者と関連するモバイル装置(例えば、スマートフォン又はタブレット)に情報を送信するように且つ/又はリモート患者監視システムに情報を送信するように構成された通信インターフェイスを含むことができる。リモート患者監視システムは、患者情報の管理、患者の健康状態のレポートの生成を許容し、且つアラートが患者及び/又は臨床医に送信されることを許容する1つ又は複数のサーバー、メモリユニット、データベース及び他の構成要素を含むことができる。呼吸指数の変化は、モバイル装置に且つ/又はリモート患者監視システムに送信することができる。
【0141】
呼吸指数計測値及び呼吸指数の変化は、例えば、SpO2、流量、湿度設定点及び使用時間並びに経時的な呼吸指数の変化及び呼吸指数の計測値などの計測された患者パラメータを含む患者レポートに内蔵することができる。
【0142】
呼吸指数の変化は、臨床医が、提供される現時点の療法が有効であるかどうかを評価することを許容し、且つ更に提供される療法の変更を臨床医が実施することも許容する。一例では、呼吸補助装置の動作パラメータ(例えば、処方設定)は、呼吸指数の変化に基づいてリモート更新することができる。
【0143】
別の態様では、本開示は、監視システムを含むものとして表現され得、これは、
(例えば、鼻高流量呼吸補助装置などの高流量呼吸補助装置などの)呼吸補助装置と、
臨床医が、呼吸装置によって補助されている患者を監視するためのリモート監視装置と、
1つ又は複数のセンサから、複数の時点について、少なくとも1つの呼吸パラメータを含む患者の1つ又は複数の患者パラメータを受け取るように、
1つ又は複数のコントローラにおいて、各時点について、1つ又は複数の患者パラメータからの呼吸指数及び経時的な呼吸指数の変化を判定するように、且つ
情報を(数値的に、グラフィカルに又は他の方式で)リモート監視装置に提供し、情報は、
呼吸指数、及び/又は
経時的な呼吸指数の変化
の1つ又は複数であるように構成されたシステム内の呼吸装置、リモート監視装置及び/又は他の装置内の1つ又は複数のコントローラと
を含む。
【0144】
任意に、
- 患者の呼吸状態、
- 経時的な呼吸状態の変化、
- 患者パラメータ対時間、
- 患者パラメータの変化対時間、
- 呼吸指数閾値
- 変化インジケータ閾値
- 呼吸補助の示唆
の1つ又は複数を提供することができる。
【0145】
本明細書で開示される数の範囲(例えば、1~10)に対する参照は、その範囲内のすべての有理数(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9及び10)並びに更にその範囲内の有理数の任意の範囲(例えば、2~8、1.5~5.5及び3.1~4.7)に対する参照を包含することも意図され、従ってこれにより本明細書で明示的に開示されるすべての範囲のすべてのサブ範囲が明示的に開示される。これらは、具体的に意図されるものの例であるに過ぎず、且つ列挙された最小値と最大値の間の数値のすべての可能な組み合わせが、類似の方式において本出願で明示的に記述されるものと見なされたい。
【0146】
本明細書で使用される「含む」という用語は、「少なくとも部分的に~から構成される」を意味する。「含む」という用語を含む、本明細書におけるそれぞれの記述を解釈する際、この用語によって前置きされている1つ又は複数のもの以外の特徴も存在し得る。「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」などの関係する用語も同一の方式で解釈することを要する。文脈が明瞭にそうではない旨を必要としていない限り、説明及び請求項の全体を通して、「含む」、「含んでいる」という用語及び同様のものは、排他的又は網羅的な意味とは反対の内包的な意味において、即ち「限定されないが、含む」の意味で解釈することを要する。
【0147】
本明細書では、特許明細書、他の外部の文献又は他の情報源に対する参照がなされる場合、これは、一般に、本開示の特徴を記述するための文脈の提供を目的としたものである。具体的にそうではない旨が記述されない限り、このような外部の文献に対する参照は、任意の管轄権下におけるそのような文献又はそのような情報源が従来技術であるか、又は当技術分野における共通の一般常識の一部分を形成することの是認として解釈してはならない。
【0148】
本開示は、本出願の明細書で参照されるか又は示された部分、要素及び特徴を、前記部分、要素又は特徴の2つ以上のものの任意の又はすべての組み合わせにおいて、個別に又は集合的に含むものとしても広範に表現され得る。以上の説明では、その既知の均等物を有する完全体又は構成要素に対する参照がなされる場合、それらの完全体は、あたかも個々に記載されているかのように本明細書に包含される。
【0149】
本開示が関係する技術分野における当業者にとって、構造における多くの変更形態並びに本開示の広範に異なる実施形態及び用途は、添付の請求項で定義される本開示の範囲を逸脱することなく、それ自体を示唆する。本明細書における開示及び説明は、純粋に例示を目的とし、且つ決して限定となることを意図したものではない。本開示が関係する技術分野で既知の均等物を有する特定の完全体が本明細書で言及される場合、そのような既知の均等物は、あたかも個別に記述されるかのように、本明細書に包含されるものと見なされるものとする。本開示は、以上の内容を含み、且つ以下の内容がその例を付与するのみである構造を更に想定する。
【0150】
ここで、以下の図面を参照して実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0151】
図1】患者の呼吸補助要件を判定するための本開示の評価フェーズ及び呼吸補助フェーズのフロー図を示す。
図2】患者の呼吸状態に関係する閾値との関係における呼吸指数対時間のグラフを示す。
図3】評価フェーズ及び呼吸補助フェーズを実装するためのシステムを示す。
図4】患者の呼吸状態に関係する閾値との関係におけるROX指数対時間のグラフを示す。
図5】患者の呼吸状態に関係する閾値との関係における経時的なROX指数のベクトルを有する呼吸数対FiO2のグラフを示す。
図6】呼吸補助装置を示す。
図7】モバイル装置及び患者の呼吸を評価するための情報を表示するスクリーンを示す。
図8】記述される方法及び装置のユースケースを示す。
図9】記述される方法及び装置のユースケースを示す。
図10】記述される方法及び装置のユースケースを示す。
図11A-E】例えば、ユースケースなどの表示される情報を示す。
【発明を実施するための形態】
【0152】
用語
呼吸支援装置、呼吸装置(respiratory apparatus)、呼吸補助装置、呼吸装置(breathing apparatus)は、いずれも、同一の装置を定義するために相互交換可能に使用され得る。
【0153】
呼吸指数:例えば、患者の呼吸のインジケータであり、且つ患者の内部の呼吸及び/又はガス交換のインジケータである。呼吸指数は、呼吸状態及び患者に提供される呼吸補助に関する決定が判定され得るパラメータである。例えば、呼吸指数は、臨床医が療法をより厳格な療法(例えば、NIV又は挿管)にエスカレートさせることを許容するための呼吸困難の深刻さの増大を示し得る。呼吸指数は、1つ又は複数の(呼吸数、呼気時間、毎分換気量などの)肺機能パラメータ及び1つ又は複数の酸素化パラメータ(SpO2、FiO2、FdO2、O2比など)から判定することが可能であり/これらの関数である。
【0154】
一代替特徴付けにおいて、呼吸指数は、
・他のものに加えて、
〇生理学的パラメータ(呼吸パラメータを有し得る)、
〇療法パラメータ(患者に供給される療法)、及び
・呼吸装置パラメータ(動作パラメータを有し得る)
を有し得る患者パラメータ
の1つ又は複数のものの関数として特徴付けられる単位なし数値と見なすことができる。
【0155】
肺機能パラメータ:これは、呼吸数、呼気時間、毎分換気量などの肺機能を示すパラメータである。
【0156】
酸素化パラメータ/酸素化交換パラメータ:これは、SpO2、FiO2、FdO2、O2比などの酸素化を示すパラメータである。異なってはいるが、FiO2、FdO2及びO2比は、相互に近接した代用計測値であることが可能であり、且つ適宜、相互交換可能に使用することできる。
【0157】
O2比:ガスストリーム中の酸素の比率である。
FiO2:患者による吸気酸素の比率である。
FdO2:患者に供給される酸素の比率である。
SpO2:患者の血中酸素濃度である。
【0158】
呼吸状態:患者の呼吸の現時点の状態である。状態は、正常な呼吸又は呼吸困難を示し得る。これは、呼吸及びガス交換のインジケータ及び/又は結果であり得る。呼吸状態は、(呼吸数などの)肺機能及びガス交換(即ちFiO2要件によって示されるものなどの血液ガス交換)の影響を受ける。呼吸状態は、経時的に変化し得る。
【0159】
呼吸状態:患者の現時点の且つ/又は可能な将来の呼吸状態のインジケータである。これは、呼吸状態を有するが、現在の患者の全体的な健康及び将来の可能な健康を示す状態の任意の過去の又は将来の変化又は傾向も有する。これは、患者の健康の可能性が高い経過を予測するために且つ存在する場合に必要とされるアクションを決定するために、使用することができる。
【0160】
呼吸困難:患者の呼吸が正常でない時点である。例えば、呼吸困難は、例えば、低酸素血症性呼吸困難、急性呼吸困難症候群、高炭酸ガス血症呼吸困難、呼吸困難又は呼吸障害であり得る。呼吸困難は、軽度から重度(例えば、呼吸不全)までのスケール上に位置し得る。呼吸困難は、例えば、軽度から重度までの範囲をとることができると共に、
患者の呼吸困難、
患者の呼吸数の増大、
呼吸不全に向かう呼吸の悪化、
呼吸不全の開始、
呼吸不全の発生、
SpO2のレベルを維持するための、例えば、FiO2の増大などのO2要件の増大、
患者の血液ガスレベルの異常、
呼吸困難、
低SpO2、
高PaCO2、
代償不全の高尤度
の1つ又は複数としてそれ自体を提示し得る。
【0161】
まず、呼吸困難が発生する。呼吸困難後、呼吸不全が後続し得る。
【0162】
呼吸不全:患者の肺が十分な酸素をその血液中に供給し得ない際に発生し、且つ患者の血液ガスにおける異常及び/又は呼吸における異常として出現する。呼吸不全の程度は、呼吸数及び血中酸素のレベルによって示され得る。患者の病状が重篤であるほど、多くのO2が必要とされ、且つ/又は呼吸数が大きくなる。例えば、呼吸不全は、例えば、休止状態の呼吸数の2倍などの休止状態の呼吸数を上回る呼吸数の増大として出現し得、且つ/又はそれによって示され得る。
【0163】
呼吸不全のリスク:呼吸不全の開始のリスクを示す。
【0164】
変化インジケータ:経時的な(又は任意の他のパラメータの変化に伴う)呼吸指数(又は他のパラメータ)の変化を示す。これは、傾き、ベクトル、角度、大きさ、差又は同様のものであることが可能であり - これは、指示又はグラフであり得る。例えば、傾きなどの任意の特定の変化インジケータに対する参照は、一般的には、例としてのみ使用され、且つ他の変化インジケータが同一又は類似の情報を伝達することが可能あり、且つ一般的には、特定の変化インジケータに対する参照は、一般的に別の変化インジケータとの間で相互交換可能であると見なされ得ることを理解されたい。
【0165】
高流量呼吸補助:一般的に言えば、これは、患者の呼吸を補助するために高流量のガスを提供する。例えば、これは、鼻高流量呼吸補助(鼻高流量呼吸補助(NHF))では鼻カニューレにより又は気管高流量呼吸補助では気管インターフェイス(例えば、気管切開アダプタ)により供給することができる。「高流量呼吸補助」という用語は、限定されないが、以下の用語の1つ又は複数及び当業者によって使用される呼吸補助のタイプを意味するものと解釈することができる。これらのいくつかは、同一タイプの呼吸補助について使用される類似の用語であることに留意されたい。
・高流量
・高流量酸素
・加湿された高流量
・高流量鼻酸素
・鼻高流量
・気管高流量
・高流量供給
・高流量療法
・加湿された高流量鼻カニューレ
【0166】
高流量呼吸補助は、呼吸困難及び呼吸不全のために有用であり得る。
【0167】
非侵襲的(NIV)圧力呼吸補助:これは、患者のための換気補助である。これは、バイレベル圧力療法を提供することによって換気を制御する。この療法は、非侵襲的な圧力療法である。例えば、バイレベル圧力療法では、より高い圧力が吸気において提供され、より低い圧力が呼気において提供される。これは、少なくとも一回換気量及びPEEPの制御を許容する。NIVは、換気補助であり、且つ換気を制御する。NIVは、封止されたインターフェイスによって施される。NIV、NIV圧力呼吸補助及びバイレベル圧力補助という用語は、相互交換可能に使用することができる。
【0168】
侵襲的呼吸補助:一般的に言えば、これは、挿管された患者に提供される機械的換気である。
【0169】
ベース呼吸補助:これは、通常は、鼻高流量又は気管高流量呼吸補助を介して臨床医によって提供される初期呼吸補助である。
【0170】
高流量:(例えば、高流量呼吸補助との関係において)、限定されないが、健康な患者の正常な吸気流量超などの通常/正常なもの超である流量を有する任意のガスフローを意味する。これは、鼻カニューレなどの非封止型の患者インターフェイスに起因して患者の気道の入口で発生する大きい漏洩を有する非封止型の呼吸システムによって提供することができる。高流量は、鼻高流量又は気管高流量におけるものなど、上記で定義される高流量呼吸補助の一部分として提供される。これには、患者の快適さ、準拠状態及び安全性を改善するために加湿も提供される。代わりに又は加えて、これは、環境に関連する何らかの他の閾値流量超であることが可能であり - 例えば、吸気需要を満たすか又は超過するための流量で患者にガスフローを提供する場合、この流量は、「高流量」として見なされ得、その理由は、これが、他の方法で提供され得る公称流量超であるからである。従って、「高流量」は、環境に依存し、且つ「高流量」を構成するものは、患者の健康状態、提供される手順/療法/補助のタイプ、患者の特性(大きい、小さい、成人、子供)及び同様のものなどの多くのファクタに依存する。当業者は、文脈から「高流量」を構成するものを知る。これは、他の方法で提供され得る流量を上回るか又は超過する流量の大きさである。
【0171】
但し、限定されないが、高流量のいくつかの指示値は、以下のとおりであり得る。
・いくつかの構成では、約5又は10リットル/分(5又は10LPM又はL/分)以上の流量における患者へのガスの供給
・いくつかの構成では、約5又は10LPM~約150LPM、又は約15LPM~約95LPM、又は約20LPM~約90LPM、又は約25LPM~約85LPM、又は約30LPM~約80LPM、又は約35LPM~約75LPM、又は約40LPM~約70LPM、又は約45LPM~約65LPM、又は約50LPM~約60LPMの流量における患者へのガスの供給。例えば、本明細書に記述される様々な実施形態及び構成によれば、システムを介して又はフローソースからインターフェイスに供給及び提供されるガスの流量は、限定されないが、少なくとも約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150LPM以上のフローを有し得、及び有用な範囲は、これらの値の任意のものとなるように選択され得る(例えば、約20LPM~約90LPM、約40LPM~約70LPM、約40LPM~約80LPM、約50LPM~約80LPM、約60LPM~約80LPM、約70LPM~約100LPM、約70LPM~約80LPM)。
・いくつかの構成では、成人用の通常の流量は、多くの場合、限定されないが、約15リットル/分(LPM)~約70リットル/分以上の範囲をとっている。(新生児、幼児及び子供などの)小児患者のための通常の流量は、限定されないが、1リットル/分/患者の体重のキログラム~約3リットル/分/患者の体重のキログラム以上の範囲をとっている。又、高流量は、任意に、補助酸素及び治療薬の投与を含むガス混合組成も含み得る。「高流量」を実現するために使用される流量は、以下に列挙される流量の任意のものであり得る。例えば、いくつかの構成では、成人患者の場合、「高流量呼吸補助」は、約10LPM~約100LPM、又は約15LPM~約95LPM、又は約20LPM~約90LPM、又は約25LPM~約75LPM、又は約25LPM~約85LPM、又は約30LPM~約80LPM、又は約35LPM~約75LPM、又は約40LPM~約70LPM、又は約45LPM~約65LPM、又は約50LPM~約60LPMなどの10リットル/分(10LPM)以上の流量における患者へのガスの供給を意味し得る。いくつかの構成では、新生児、幼児又は子供の患者の場合、「高流量呼吸補助」は、約1LPM~約25LPM、又は約2LPM~約25LPM、又は約2LPM~約5LPM、又は約5LPM~約25LPM、又は約5LPM~約10LPM、約10LPM~約25LPM、又は約10LPM~約20LPM、又は約10LPM~15LPM、又は約20LPM~25LPMなどの1LPM超の流量における患者へのガスの供給を意味し得る。成人の患者、新生児、幼児又は子供の患者に伴う高流量呼吸補助装置は、約1LPM~約100LPMの流量又は上記で概説されたサブ範囲の任意のものにおける流量でガスを患者に供給することができる。
・フロー療法装置10は、約1LPM~約100LPMの任意の流量において最大で100%の酸素の任意の濃度(例えば、FdO2)を供給することができる。いくつかの構成では、流量の任意のものを約20%~30%、21%~30%、21%~40%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%及び90%~100%の酸素濃度(FdO2)と組み合わせることができる。いくつかの組み合わせでは、流量は、約20%~30%、21%~30%、21%~40%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%及び90%~100%の酸素濃度(FdO2)との組み合わせにおいて約25LPM~75LPMであり得る。いくつかの実施形態では、フロー療法装置10は、手動モードで動作する際、ユーザーが大量の酸素を患者に供給することを防止する安全性閾値を含み得る。
・(約1~約30kgの範囲の体重を有する)未熟児/幼児/小児用の「高流量」の流量は、異なり得る。療法フローは、約0.5L/分の最小値及び約25L/分の最大値を有する0.4~8L/分/kgに設定され得る。2kg未満の患者の場合、最大フローは、8L/分に設定される。振動フローは、0.05~2L/分/kgに設定され、好ましい範囲は、0.1~1L/分/kgであり、且つ別の好ましい範囲は、0.2~0.8L/分/kgである。
【0172】
「高流量」では、供給されるガスは、例えば、そのいくつかの例が上記で記述される意図された療法の使用法に応じて選択される。供給されるガスは、所定の百分率の酸素を有することができる。いくつかの構成では、供給されるガス中の酸素の百分率は、約15%~約100%、20%~約100%、又は約30%~約100%、又は約40%~約100%、又は約50%~約100%、又は約60%~約100%、又は約70%~約100%、又は約80%~約100%、又は約90%~約100%、又は約100%、又は100%であり得る。
【0173】
1.概要
本明細書に記述される実施形態は、患者の呼吸状態(例えば、正常であるか、困難を有するか、悪化しているか又は改善している、安定している)を評価するための且つ任意にその評価に基づいて適切な呼吸補助アクション(「呼吸補助フェーズ」)を実行するための装置、システム及び方法を提供する。例えば、患者が、呼吸困難の状態にあるか、又は呼吸補助フェーズで呼吸不全に向かって進行しているか又はその状態にある場合、呼吸状態の更なる悪化を低減するために、呼吸補助のエスカレーションを実施することができる。評価は、好ましくは、患者が、例えば、高流量呼吸補助、NIV、侵襲的換気又は同様のものなどの呼吸補助を受けている際に実施される。
【0174】
評価フェーズでは、呼吸指数を判定することができる。呼吸指数は、患者の呼吸のインジケータであり、且つ呼吸指数(及び/又は呼吸指数の変化)は、患者の(現時点の)呼吸状態及び/又は呼吸状態の変化を判定するために使用することが可能であり - 従ってこれにより呼吸状態の判定をもたらす。
【0175】
呼吸状態は、「正常」又は「呼吸困難」であり得る。呼吸困難は、後述するように、軽度から重度までの範囲をとることができる。呼吸指数は、患者が呼吸困難の開始に向かう傾向を有するか又はそれを経験しているかどうか、又は呼吸困難な状態にあるかどうか、及び/又は呼吸困難の悪化を経験しているか若しくはこれに向かう傾向を有するかどうかを示し得る(呼吸困難の悪化は、呼吸不全のリスク又は実際の呼吸不全をもたらす可能性があり、これは、深刻なタイプの呼吸困難である)。
【0176】
患者の呼吸、呼吸指数及び/又は呼吸状態から、(呼吸補助フェーズで)患者の呼吸状態を改善するために/呼吸困難を軽減するために呼吸補助をエスカレートさせることが望ましいかどうかを判定することができる。これは、呼吸困難の更なる悪化を防止する(安定化)又は患者を呼吸困難から正常な呼吸に移動させることを目的としたものであり得る。例えば、患者が軽度の呼吸困難状態にある場合、患者が呼吸不全のリスク又は実際の呼吸不全などの更に深刻なレベルの呼吸困難に悪化する可能性を低減するために、呼吸補助のエスカレーションを使用することができる。又は、患者が呼吸不全のリスクを既に有する(又は呼吸不全を経験している)場合、呼吸補助のエスカレーションは、呼吸不全が発生する(又は継続する)且つ/又は呼吸不全の負の健康結果のリスクを低減する。
【0177】
但し、(高流量呼吸補助の増大、NIV圧力呼吸補助の提供又は侵襲的呼吸補助の提供などの)呼吸補助のエスカレーションは、それ独自のリスクを有し、従って、呼吸補助を不必要にエスカレートさせることは望ましくない。同様に、呼吸困難が軽減された際には、エスカレートされた呼吸補助に起因して遭遇されるリスクを除去するように、呼吸補助をデエスカレートさせることが多くの場合に望ましい。他のものに加えて、評価フェーズの理由は、アクションが不必要に早期の実行を伴うことなしに先制的に実行され得るように、患者の呼吸状態が悪化しつつあるかどうかを十分早期に識別することである。呼吸補助を早期にエスカレートさせることが健康結果を改善する一方、遅延は、負の健康結果のリスクを有し得る。
【0178】
例えば、患者は、例えば、鼻高流量呼吸補助又は気管高流量呼吸補助などの高流量呼吸補助の形態でベース呼吸補助を受け得る。評価フェーズは、呼吸補助のエスカレーションが患者にとって有益であり得るかどうかを判定するために使用することが可能であり且つ実装することを要する。
【0179】
一例では、呼吸補助のエスカレーションは、高流量呼吸補助をエスカレートさせるステップを含み得る。これは、呼吸補助の高流量呼吸補助パラメータ(例えば、流量、O2濃度、加湿又は同様のもの)を増大させる形態であり得る一方、呼吸補助のデエスカレーションは、補助パラメータを低減するステップを含み得る。このようなエスカレーションは、例えば、呼吸指数から、患者が呼吸困難状態にあり且つ悪化しつつあるが、呼吸不全の高いリスクを依然として有しないと判定された際に発生し得る。高流量呼吸補助をエスカレートさせることは、患者呼吸状態を安定化又は場合により改善し得るが、これは、呼吸不全(並びに従って場合により更に侵襲的なエスカレーション)のリスクが回避されることを意味し得る。
【0180】
別の例として、呼吸補助のエスカレーションは、更に侵襲的な呼吸補助に移動するステップを含み得る。これは、NIV呼吸補助又は侵襲的呼吸補助へのエスカレーションであり得る。これは、即座に又は高流量呼吸補助のエスカレーション後に発生し得る。鼻/気管高流量呼吸補助の場合、呼吸補助のエスカレーションは、挿管された患者に機械的換気を提供するなど、鼻高流量から侵襲的換気に進行するステップも有することができる。デエスカレーションは、
使用される場合に侵襲的呼吸補助の除去又はベース呼吸補助(例えば、NIV呼吸補助又は鼻高流量)への復帰、又は
使用される場合にNIV呼吸補助の除去又はベース呼吸補助(例えば、鼻高流量)への復帰、又は
使用される場合に鼻高流量のデエスカレーション
を有することができる。
【0181】
代わりに、より侵襲的な呼吸補助の別の例として、呼吸補助のエスカレーションは、患者を非侵襲的な(「NIV」)圧力呼吸補助に移すステップを含むことができる。これは、即座に又は高流量呼吸補助のエスカレーション後に発生し得る。デエスカレーションは、NIV圧力呼吸補助を除去し且つベース呼吸補助(例えば、鼻高流量)に復帰するステップを含むことができる。
【0182】
呼吸補助は、例えば、鼻高流量、気管高流量及び/又はNIV圧力呼吸補助に伴って加湿を使用するステップを含むことができる。別の例として、呼吸補助のエスカレーションは、加湿を提供するか又はエスカレートさせるステップを含むことができる。これは、療法及び/又は快適さを目的としたものであり得ると共に、記述される他のエスカレーションの任意のものの代わり又はこれに対する追加であり得る。デエスカレーションは、加湿を除去又は低減するステップを含むことができる。
【0183】
従って、本実施形態は、呼吸補助をエスカレート且つ/又はデエスカレートさせることが適切である時点の特定を支援するために、(呼吸指数の傾向などの)呼吸指数の変化を利用する。呼吸指数傾向の使用は、患者の安定性の改善(及び呼吸指数、状態などの改善)を支援するために必要とされる療法のエスカレーションのタイミングの改善を支援する。
【0184】
これは、エスカレートされた補助の提供の利益がエスカレートされた補助の提供のリスクを上回る可能性が大きい際にエスカレートされた呼吸補助が提供されるのに伴って、(呼吸指数、状態などの改善を含む)健康結果の改善を提供する。
【0185】
通常、記述される実施形態は、鼻及び/又は気管高流量呼吸補助の形態におけるベース呼吸補助に関係し、これは、呼吸機能を補助するために患者に提供される高流量のガスである。好ましくは、高流量呼吸補助は、患者の快適さを目的として加湿を有する。
【0186】
一般的に言えば、本装置及び方法は、
評価装置によって実行される評価方法、及び
任意に、評価方法結果に基づいて呼吸補助を提供する方法及び/又は装置
の1つ又は複数を含む。
【0187】
これは、臨床医及び/又は装置が、例えば、呼吸困難の変化又は呼吸不全に向かう悪化などの呼吸状態/状態の適切な変化を判定することを許容し、且つ臨床医及び/又は呼吸装置が呼吸補助をより迅速にエスカレートさせることを許容する。例えば、患者は、挿管され得、患者は、現時点の診断方法下におけるものよりも早期に機械的換気を提供され得る。本明細書に記述される方法は、(軽度又は重度である)潜在的な呼吸困難を示す呼吸困難の増大又は悪化などの患者の呼吸状態の悪化の早期の検出を許容する。これは、臨床医/呼吸装置が呼吸補助をより早期にエスカレートさせることを許容し、これにより、回復のチャンスを増大させることが可能であり、且つ生存のチャンスを増大させることができる。
【0188】
図1を参照すると、一般的に言えば、組み合わせにおける装置及び方法は、
a)評価フェーズにおいて、
呼吸指数を判定することが可能であり、且つ
呼吸指数の変化から、患者の呼吸状態及び/又は呼吸補助の変更が必要とされるかどうかを判定することが可能であり、且つ
b)呼吸補助フェーズにおいて、評価フェーズに基づいて、
呼吸装置を使用することにより、呼吸補助変化を(臨床医及び/又は呼吸装置によって)実装することができる。
【0189】
a)及びb)の両方を有することは必須ではない。例えば、評価ステージa)のみが実装され得る。
【0190】
評価フェーズは、
・呼吸状態を評価し、且つそれが正常であるか、異常であるか、悪化しているか、安定しているか、改善しているか又は同様のものであるかを判定するステップ、
・(呼吸状態の評価の結果として)呼吸補助の変化が必要とされるかどうかを評価するステップ、
・変化が必要とされる場合、必要とされる呼吸補助の変化(例えば、エスカレーション、デエスカレーション、高流量療法の増大又は減少、NIV又は侵襲的換気へのエスカレーション、NIV又は侵襲的換気からのデエスカレーション又はこれに類似したもの)を評価するステップ
の1つ又は複数を含むことができる。
【0191】
実装形態及び呼吸補助フェーズは、
・例えば、アラート、アラーム、メッセージ又は他のインジケータにより、評価フェーズの上述の結果の任意のものを示すステップ、及び/又は
・評価フェーズで判定された変化の任意のものを実施するステップ
を含むことができる。
【0192】
評価フェーズは、
・臨床医のみ、
・臨床医を伴うことなしに1つ又は複数の評価、療法及び/又は他の装置、又は
・臨床医と1つ又は複数の装置の両方
により実装することができる。
【0193】
同様に、呼吸補助フェーズは、
・臨床医、
・臨床医を伴うことなしに1つ又は複数の評価、治療及び/又は他の装置、又は
・臨床医及び1つ又は複数の装置の両方
により実装することができる。
【0194】
呼吸指数(「RI」)が判定され、且つ次いで、任意に、患者の呼吸状態の評価が呼吸指数の変化から実施される。次いで、(例えば、臨床医に対して表示され得る)呼吸指数の変化及び/又は患者の呼吸状態に基づいて、任意に、呼吸補助の変更(例えば、エスカレーション又はデエスカレーション)が必要とされるかどうか、且つ必要とされる場合、それがどのような変更であるかの判定が実施される。任意に、呼吸装置は、自動的に又は臨床医による介入により、補助の変更を提供するように構成される。
【0195】
呼吸指数は、(呼吸数、呼気時間、毎分換気量などの)1つ又は複数の肺機能パラメータ及び(SpO2、FiO2、FdO2、O2比などの)1つ又は複数の酸素化パラメータから判定することが可能であり/これらの関数である。これらのパラメータは、呼吸装置と関連する1つ又は複数のセンサからの信号/計測に基づいて呼吸装置のコントローラによって算出することができる。
【0196】
代わりに、呼吸指数は、以下のように特徴付けることも可能であり、これは、
・他のものに加えて、
〇生理学的パラメータ(呼吸パラメータを有し得る)、
〇療法パラメータ(患者に供給される療法)
を含み得る患者パラメータ、及び
・呼吸装置パラメータ(動作パラメータを有し得る)
の1つ又は複数のものの関数f(x)である単位なし数値であり得る。
【0197】
生理学的パラメータは、肺機能及び/又は酸素化パラメータを有することができる。
【0198】
通常、呼吸指数は、SpO2(患者の生理学的パラメータ)、FiO2(患者の療法パラメータ)及び呼吸数(患者の生理学的パラメータ)の1つ又は複数を使用することができる。FdO2は、FiO2の代用品として使用され得ることに留意されたい。FdO2は、供給される酸素の比率であり、これは、ガスストリームのO2濃度であり、且つFiO2は、吸気された酸素の比率である。これらは、関係付けられ、且つ値において類似しているが同一ではなく、ガスフローが十分に大きく、且つ患者が周辺空気を巻き込んでいない場合、FdO2がFiO2の代用品として使用され得るように、FdO2は、FiO2に実質的に等価となる。FdO2は、呼吸装置パラメータである。酸素を提供する呼吸装置の場合、装置によって提供される酸素濃度(動作パラメータ)は、FiO2に近接した状態において関係付けられ得ると共に、FiO2の代用品として使用することができる。但し、他のパラメータも使用することができる。呼吸指数は、(呼吸不全のリスクなどの)患者の呼吸状態の判定が実施され得る呼吸の指示を提供するパラメータの任意の組の関数であり得る。
【0199】
例えば、呼吸指数RIは、一般的に、
・肺機能を表す1つのパラメータ及び酸素交換を表す1つのパラメータ、即ちRR=f(LM,O)、又は
・呼吸数(RR)、例えば、RI=f(RR)、又は
・呼吸数及びFiO2の関数、例えば、RI=f(FiO2,RR)、又は
・呼吸数、FiO2及びSpO2の関数、例えば、RI=f(SpO2,FiO2、RR)
の関数として定義することができる。
【0200】
一例では、呼吸指数は、
ROX=(SpO2/FiO2)/RR
として定義されるROXであることが可能であり、
この場合、
SpO2は、患者の血液中の酸素の設定点飽和(%)であるか、又は代わりに患者の血液中の酸素の実際の飽和(%)であり、
FiO2は、患者による吸気酸素の比率(%)であり(FdO2が代用として使用され得る)、且つ
呼吸数は、呼吸/分を単位とする呼吸数である。
【0201】
例えば、患者呼吸状態を判定するために、経時的な呼吸指数RIの変化を使用することができる。任意に、呼吸状態から、呼吸補助が変更を必要とするかどうかについての判定を実施することができる。又は、任意に、呼吸指数自体の変化から、呼吸補助が変更を必要とするかどうかに関する判定を実施することができる。
【0202】
例えば、呼吸指数自体の変化は、呼吸補助の変更が必要とされるかどうかの指示を提供し得る。又は、例えば、呼吸指数の変化と、例えば、パラメータ(例えば、既定の又は他の閾値)などの何らかの他の情報の間の何らかの関係性(「関係性」情報)が、この判定を提供することができる。判定を実施するために、呼吸指数の複数の値を使用することができる(例えば、呼吸指数の複数の値が経時的に判定され得ると共に、これから、必要とされる呼吸の変化によって判定され得る傾向が判定され得る)。呼吸指数の複数の値の間の関係性又は複数の値及び他のパラメータを一般化するパラメータなどの何らかの情報を使用することができる。呼吸補助が変更を必要とするかどうかを判定するための様々な選択肢が存在し、これらは、呼吸指数によって示されるが、任意に、加えて、他の情報も存在する。
【0203】
経時的な呼吸指数の変化を観察するステップは、経時的に変化する呼吸指数の複数の時間インスタンスを観察するステップを含むことができる。例えば、複数の時点の各々に関する(その時点における)経時的な呼吸指数の(例えば、瞬間的な)変化を判定することができる。患者の呼吸状態を判定するために、(経時的な)呼吸指数の(例えば、瞬間的な)変化の(複数の時点に伴う)この変化を使用することができる。即ち、例えば、経時的な呼吸指数の導関数を複数の時点で見出すことが可能であり、且つ呼吸指数の二次導関数を得るために、経時的な呼吸指数の導関数のこれらの複数の時間インスタンスを時間について微分することもできる。例えば、これは、呼吸指数、患者パラメータ、患者の状態及び/又は患者の状態の変化の加速度であり得る。患者の呼吸状態を評価するために、一次及び/又は二次導関数を検討することが可能であり且つ関係情報(例えば、傾き閾値、他の変化インジケータ閾値)と比較することができる。例えば、経時的な呼吸指数の導関数及び/又は経時的な呼吸指数の二次導関数は、数値的且つ/又はグラフィカルな形態で表示することができる。経時的な呼吸指数の変化の複数の時点にわたる変化を監視するステップは、複数の時点について、経時的な呼吸指数の表示された変化を観察するステップ及び/又は変化を算出し、且つ関係情報と比較するステップを含む。経時的な呼吸指数の変化は、変化インジケータによって示され得る。
【0204】
一例として、望ましい選択肢は、経時的に呼吸指数を観察し、且つ呼吸指数が増大しているか減少しているかの傾向若しくは何らかの他の方式における変化又はさもなければ(例えば、図2に示される)閾値などの関係性データとの関係における何らかの関係性変化を有するかどうかの傾向を判定することであろう。以上の内容のいずれかのものから、呼吸状態の指示を判定することが可能であり、且つこれから、呼吸補助の変更を実施することができる。又は、任意に、呼吸補助の変更が必要とされるかどうかを直接的に判定するために、閾値との関係における呼吸指数及び(その大きさ及び方向などの)その傾向を使用することができる。呼吸指数を使用した評価は、呼吸補助の変更のためのトリガを提供することができる。
【0205】
閾値又は他の関係情報は、実験データ、臨床リサーチ、ユーザー入力、計算及び/又は他のものを通して判定することができる。閾値又は他の関係性は、既定であり得るか若しくはリアルタイムで判定され得るか、又は入力若しくは他の方法で提供され得る。閾値又は他の関係性は、他のパラメータに応じて固定され得るか又は変化し得る(例えば、これは、経時的に変化し得るか若しくは呼吸指数で使用される他のパラメータに応じて変化し得るか、又は代わりに呼吸指数で使用されなくてもよい)。
【0206】
閾値の非限定的な例は、正常な呼吸状態対困難な呼吸状態を線引きする呼吸指数閾値及び/又は改善に向かう傾向と呼吸指数の悪化の間を線引きし得る傾き閾値(又は呼吸指数の変化を示す、使用されるインジケータに応じて、他の「変化インジケータ」閾値)であり得る。1つ又は複数の呼吸指数又は傾き閾値が存在し得る。
【0207】
いくつかの例として、呼吸指数及び/又は呼吸指数の変化は、
・呼吸指数(例えば、ROX)対1つ又は複数の呼吸指数閾値の比較、
・経時的な呼吸指数の変化対1つ又は複数の呼吸指数閾値の比較、
・経時的な呼吸指数の変化の変化インジケータ(例えば、ベクトル、傾き又は大きさ及び/若しくは方向の他の尺度)対閾値(例えば、1つ又複数の傾き閾値)の比較、
・呼吸指数対1つ若しくは複数の患者パラメータ又は表示及び監視され得るグラフィカル且つ/若しくは数値的な形態におけるものなどの1つ若しくは複数の患者パラメータの何らかの関数(SpO2、FiO2又は同様のもの)の比較、
・例えば、傾き(即ち小さい傾き)などの1つ又は複数の閾値に対する経時的な呼吸指数の大きさの変化(降下又は上昇)の比較であるが、時点=1における呼吸指数の大きい差(即ちROXにおける大きいデルタ)対時点=2における呼吸指数は、悪化を示し得る。同様に、大きさにおける大きい、但し、低速の正の変化は、改善の指示であり得る、
・何らかの関係性データに対する一時導関数としての上述のものの任意のものの変化対時間の比較及び/又は何らかの関係性に対する二次導関数としての経時的なこの変化対時間(変化の加速)の比較
の1つ又は組み合わせを使用して評価することができる。
【0208】
上述の例は、患者の呼吸状態を判定するための呼吸指数の使用を参照する。
【0209】
一代替形態では、評価を実施するために呼吸指数及び(呼吸指数の構成要素であり得る)患者パラメータを使用することができる。従って、更に一般的に言えば、患者状態を評価するために、呼吸指数と共に、1つ又は複数の呼吸パラメータを使用することができる。これは、臨床医が、評価を実施し、且つ呼吸状態を引き起こすものを更に深く掘り下げることを所望する際に特に有用であり得る。呼吸指数自体は、呼吸状態(例えば、呼吸状態の変化)を示し得るが、その変化が発生する理由を示さない場合がある。対照的に、呼吸数、FiO2及び/又はSpO2などの患者パラメータは、これに対する洞察を提供し得る。これについては、更に詳細に後述する。呼吸指数、患者パラメータ及び評価を実施するために患者状態又は状況に関係する任意の他の情報は、「評価情報」と呼称される場合がある。評価を支援するために、評価基準を使用することができる。
【0210】
以上の内容は、限定を意図したものではない。呼吸状態の評価は、更に一般的には、
(静的な若しくはアニメーション化された状態及び/又は例えば1つの軸上に時間を有する2若しくは3次元で)ディスプレイ上に数値、プロット及び/又は他のグラフィカルな指示として評価情報、評価基準及び/又は関係情報を表示し、且つ人物がその情報を観察し、且つ/又は
装置が以上の内容を関係情報と比較する
ことにより実行することができる。
【0211】
呼吸指数の使用に基づいた呼吸補助の変更が必要とされるかどうかの任意の判定は、「診断ステージ」又はその代わりに「トリガ」と呼称され得る。代わりに、評価は、アクションの経過が判定されるかどうかとは無関係に、診断ステージと見なすこともできる。
【0212】
多くの場合、評価装置上に表示された情報に基づいて呼吸状態を評価することになるのは、臨床医である。パラメータ及び呼吸指数のグラフィカル且つ数値的な表現の様々な組み合わせを表示することにより、トレーニング済みの臨床医は、呼吸状態の指示並びに特に呼吸状態の方向及び必要とされ得る介入を得るために、これらを解釈することができる。これは、臨床医が、例えば、緊急部門におけるなどのように、同時に監視される多くの患者が存在し得る状況で迅速に決定を下すことを可能にする。これらの評価は、評価装置からの指示(アラーム、メッセージ及び同様のもの)によって支援され得、且つ/又は自動化された決定が評価装置によって実施され得る。同様に、この同一の利点は、自宅療養患者のために実現することも可能であり、即ち、複数の患者をリモート監視する臨床医は、悪化しているか又は呼吸不全状態に向かって潜在的に進行している患者を迅速に評価することができる。
【0213】
従来、臨床医は、患者の呼吸状態を評価するために、限られた情報に基づいた主観的尺度を使用しなければならなかった。加えて、臨床医は、侵襲的な試験方法を使用しなければならなかった。本実施形態は、それを改善する。一般的に言えば、評価は、臨床医が決定を下すためのサポーティング情報を提供するために、様々な組み合わせで呼吸指数、変化インジケータ、患者パラメータ及び/又は閾値などをグラフィカル且つ/又は数値的に表示することにより実施することができる。数値的情報、2又は3次元のプロット、アニメーション、運動するプロット、ズームイン及び情報への掘り下げ並びに文脈情報も評価を実施するために使用することができる。視覚的な、文脈的な、且つ/又はアクセス可能な情報を提供することは、主観的な検討のみを使用しなければならないこととは対照的に、臨床医が客観的な方式で迅速な決定を下すことを支援する。これは、最初に支援を必要とするものに対処する例外による治療も可能にする。例については、本明細書で後述する。
【0214】
評価(判定)は、セッションで実行される。セッションは、例えば、治療セッション、一日又はその一部、一晩又はその一部、サブセッション又はある長さの時間(例えば、5時間)によって定義することができる。一般に、比較は、閾値及び/又は同一のセッションで判定された以前の呼吸指数パラメータとの関係で実施される。即ち、評価は、リアルタイムで発生するものに基づいている。評価は、時間期間ごとに実施され得、この場合、それぞれの時間期間は、セッションの一部分である。例えば、評価は、1分ごと、10分ごと、1時間ごと又は同様に実施され得る。この時間フレームにわたって、評価は、時間期間から時間期間にわたる呼吸指数及び/又は構成パラメータの間の変化を検討するステップを含むことができる。このような評価は、呼吸指数の変化及び/又は構成パラメータのみに基づくことが可能であり、且つ/又は関係情報と比較されることも可能である。代わりに、評価(判定)は、複数のセッション内且つ/又はそれらにわたって実施することもできる。例えば、複数のセッションにわたって、評価は、セッションからセッションにわたって(且つ/又はセッション内で)呼吸指数及び/又は構成パラメータの間の変化を検討するステップを含むことができる。このような評価は、呼吸指数の変化及び/又は構成パラメータのみに基づくことも可能であり、且つ/又は関係情報と比較されることも可能である。
【0215】
自宅環境では、臨床医は、恐らく、患者と共に位置することにはならない。この場合、患者の呼吸指数/状態をリモート監視することができる。例えば、これは、評価情報を臨床医にリモート提供する評価装置を介したものであり得、及び/又は臨床医が呼吸補助装置及び/又は評価を実施するために必要とされる任意の他の装置(センサなど)とリモート通信する評価装置を処理することによるものであり得る。呼吸補助装置及び/又は評価装置は、臨床医が患者をリモート監視することを可能にする通信機能55B、55Aを有する。例えば、リモート評価装置は、患者と同様に呼吸補助装置からの計測に基づいて呼吸指数及び/又は呼吸指数の変化を算出することができる。呼吸指数は、臨床医に提供される呼吸指数値で算出することができる。処理は、呼吸装置上で発生し得、及び処理された情報は、臨床医に提供され得、且つ/又は代わりに評価装置としての臨床医が未加工データを受け取り、且つ評価を実施する。例えば、臨床医がアクセスし得るネットワーク56を介して評価装置及び/又は呼吸補助装置から情報を受け取る少なくともサーバー57を有するリモート患者監視システム57が存在し得る。例えば、臨床医は、ウェブブラウザ/ウェブサーバーを介して情報にアクセスし得る。評価装置は、サーバー、呼吸装置、モバイル装置及び/又は任意の他の評価装置であり得る。
【0216】
リモート患者監視システム57は、1つ又は複数のデータベース、患者レポートを生成するためのレポートエンジン及び患者の監視、(例えば、呼吸補助装置の使用法、療法設定などを含む)患者レポートの生成を許容する他の適切な構成要素を更に有する。リモート患者監視システム57は、臨床医が複数の患者をリモート管理することを許容し、例えば、患者が自宅(即ち病院外)にいる間の患者の管理を許容する。
【0217】
呼吸指数データは、リモート患者監視システム57に提供することができる。呼吸指数の計測値及び呼吸指数の変化は、例えば、SpO2、流量、湿度設定点及び使用時間、並びに呼吸指数の変化、並びに経時的な呼吸指数の計測値などの計測された患者パラメータを含む患者レポートに内蔵することができる。
【0218】
呼吸指数の変化は、臨床医が、提供される現時点の療法が有効であるかどうかを評価することを許容し、且つ臨床医が、提供される療法の変更を実施することも許容する。一例では、呼吸補助装置の動作パラメータ(例えば、処方設定)を呼吸指数の変化に基づいてリモート更新することができる。呼吸指数の変化は、アラート又はメッセージを臨床医及び患者に対して生成するために、リモート監視システムによって使用することができる。リモート患者監視システム57は、療法設定を自動的に変更し得、例えば呼吸指数の変化に基づいて酸素比率(即ちガス中の%酸素)、及び/又は流量、及び/又は湿度(例えば、露点又は相対湿度又は絶対湿度)などの高流量療法設定をリモートで変更することができる。療法設定(即ち療法パラメータ)が変更される方式の例については、後述する。療法設定、具体的には例えば高流量呼吸補助装置設定が変更され得、且つ新しい処方としてネットワーク56を介して呼吸補助装置10に送信され得る。呼吸補助装置10は、これらの変化を内蔵することができると共に、新しい処方(即ち更新済みの療法設定、即ち更新済みの療法パラメータ)に基づいて動作を開始することができる。代わりに、臨床医又は医療従事者は、呼吸指数の変化に基づいてリモート監視システム57における療法設定に対して変更を実施することもできる。これらの臨床医の変更は、ネットワーク56を介して呼吸補助装置10に送信される。新しい設定は、新しい処方として送信される。呼吸補助装置は、新しい設定に基づいて動作するように、新しい処方内で定義された変更を実施する(即ちその療法設定を更新する)。
【0219】
呼吸指数を監視するプロセスは、継続することができる。このリモート監視は、病院が患者を監視する有効な方法を提供する。これは、臨床医が、患者の呼吸状態を評価し、且つ呼吸指数の変化をチェックすることにより、高流量療法が患者を支援するかどうかを判定することを許容する。呼吸指数の変化は、患者の呼吸状態の変化を示す。本開示は、病院が患者を監視する有効な方法を提供する。これは、呼吸指数の評価された変化に基づいて患者と関連する呼吸補助装置の療法設定をリモート変更することを許容する。
【0220】
判定が実施(トリガ)されたら、呼吸補助の変更が判定される。呼吸補助の変更は、臨床医により、且つ/又は評価装置により、判定され得る。
【0221】
これは、呼吸補助装置の使用に対する1つ又は複数の変更を結果的にもたらし得るが、これは、
患者に提供されるフロー又は酸素比の増大などの(自動的な又は臨床医による)動作変更、
例えば、換気などの完全に異なる療法の提供を含む(封止されていないカニューレを通した高流量の提供の代わりに患者を挿管するなどの)使用法の変更、
変更の実施の必要性、
療法を変更する方式及び/又は時点、
構成変更
の指示(例えば、アラート、アラーム及び/又は指示)の臨床医に対する提供の提供
である。
【0222】
これらは、可能な呼吸補助の変更の選択肢を限定するものではない。
【0223】
評価フェーズの一部分として、人物によって実行されるか且つ/又は装置によって実行されるかとは無関係に、実施された判定が存在し、且つ/又は療法の変更が存在し、且つ/又は療法の変更が存在するべきである、且つ/又は療法の変更がどのようなものであるべきかを示すために、指示及び/又は療法の変更を使用することができる。例えば、
・可聴アラーム:これは、判定が実施されたこと、判定が何であるか(例えば、悪化している)、及び/又は何らかの療法変更が発生するか又は発生していることを示すために実施することができる。アラームを療法装置又は別個の装置(例えば、医師の電話機)上で実施することができる。異なるサウンドが異なる患者状態(又は患者状態に対する異なる変更)を示すことができる。
・視覚アラーム:これは、判定が実施されたこと、判定が何であるか(例えば、悪化している)、及び/又は何らかの療法変更が発生するか又は発生していることを示すために実施することができる。アラームは、療法装置又は別個の装置上におけるものであり得る。異なる視覚出力が異なる患者状態(又は患者状態に対する異なる変更)を示すことができる。
・メッセージ:これは、判定が実施されたこと、判定が何であるか(例えば、悪化している)、及び/又は何らかの療法変更が発生するか又は発生していることを示すために実施することができる。メッセージは、1つ又は複数のレシピエント/装置に送信することができる(それぞれのレシピエント/装置は、異なるメッセージ又は同一のメッセージを受け取ることができる)。このメッセージは、警告を含むことができ、且つ/又は1つ又は複数の装置設定点に対する変更を示唆することができる。メッセージは、1つ又は複数の設定点の変更を要する1つ又は複数の特定の値についての示唆を含むことができる。これらの特定の値の計算は、療法装置上又は別個の装置上で実行することができる。
・1つ又は複数の装置設定点に対する自動的な変更:(例えば、患者状態の悪化などの)判定後、装置と関連するコントローラは、患者が、例えば、より多くのフローなどの異なる補助を必要とすると指数値/傾きが示唆する場合、1つ又は複数の設定点を変更することができる。1つ又は複数の適切な変更の算出は、療法装置上又は別個の装置上で実行することができる。
・装置のターンオフ:(例えば、患者装置の改善などの)判定後、装置と関連するコントローラは、患者がもはや療法を必要としないと指数値/傾きが示唆する(即ちその指数値/傾きが閾値の低リスク側に位置し、且つ/又は良好な方向に移動する)場合、療法/装置をターンオフすることができる。
【0224】
以上の内容は、装置自体の上部又は別の装置に対してリモートで提供することが可能であり、この場合、臨床医は、遠隔地に位置し得る。
【0225】
このリストは、すべてを網羅したものではない。
【0226】
評価装置は、臨床医の近傍に位置し得るか、又は臨床医が所有するものであり得る。これは、例えば、病院環境内に位置し得る。代わりに、評価装置は、臨床医から離れた場所に位置することもできる。これは、離れた臨床医に対する通信を可能にするために通信機能を有するであろう。これは、例えば、自宅環境内に位置し得るが、この場合、臨床医は、患者/呼吸装置及び/又は評価装置と一緒に位置しない。別の代替形態では、呼吸装置は、患者と共に位置することができるが、評価装置は、離れた臨床医と共にどこか別の場所で離れた状態にある。
【0227】
上述のように、記述される実施形態は、通常、図3に一般的に示されるように、(少なくとも当初は)鼻又は気管高流量呼吸補助装置10の使用と関連付けられる。但し、これは、限定を意図したものではなく、且つ例えば、実施形態は、NIV又は他の呼吸装置との関係で使用され得る。呼吸補助を提供する装置10及び診断を判定する装置20が存在する。これらは、1つの且つ同一の装置(例えば、呼吸補助装置)であり得るか、又は異なる装置(例えば、呼吸補助装置及びモバイル装置)であり得る。(図3におけるように)別個の装置である場合、これらは、一緒に呼吸評価及び補助システム1を形成することができる。
【0228】
例えば、図3を参照すると、コントローラ(プロセッサとも呼称され得る)19、I/Oインターフェイス54、フロー生成器50及び加湿器52を有する呼吸補助装置が存在し得る。呼吸補助装置は、空気及び/又は酸素などの補助ガスを受け取るように構成することができる。これは、呼吸コンジット5と、例えば、(限定されないが、鼻カニューレなどの)封止されていないインターフェイス又は気管インターフェイスなどの患者インターフェイス51とを通して患者にガスのフローを提供することができる。コントローラ19は、システム内の又はシステムが接続されるセンサ11からの入力に基づいて、必要とされる流量及び/又は圧力、温度、湿度、酸素又は他のガス比率並びに同様のものを提供するように、装置を動作させることができる。これらは、非侵襲的センサであり得る。
【0229】
装置は、(温度、湿度、圧力、フローセンサなどの)装置の動作用のパラメータ及び(SpO2、FiO2(又はFdO2 - 患者に対する供給酸素の比率)及び呼吸数などの)呼吸指数を判定するためのパラメータを取得するために、
・生理学的パラメータ(呼吸パラメータを有し得る)、及び
・呼吸装置パラメータ(動作パラメータを有し得る)
を提供する(その内部に統合された状態の)センサ12も有し、且つ/又はそれに接続される。FiO2に対する任意の参照は、FdO2、O2比又は任意の他の酸素化パラメータの参照によって置換することが可能であり、且つ逆も真であり - これらの変形は、相互交換可能に使用することができる。生理学的パラメータは、肺機能及び/又は酸素化パラメータを有することができる。
【0230】
可能な例として、これらの任意のものは、ウェアラブルであり得ることに留意されたい(例えば、図6の54Eを参照されたい)。
【0231】
SpO2の場合、装置は、パルスオキシメータ又は他の血中酸素センサなどの生理学的センサに接続し得る。これは、ウェアラブル装置であり得、例えば図6の54Eを参照されたい。無線パルスオキシメータ(SpO2センサ)が存在し得る。無線パルスオキシメータは、Bluetooth又は赤外線又は他の通信プロトコルを介して通信し得る。無線SpO2は、患者の移動性を許容し、例えば、患者は、SpO2を依然として使用しつつ歩き回ることが可能であり、且つ評価装置は、依然として計測を受け取る。SpO2センサは、呼吸又は評価装置に接続する。呼吸装置は、呼吸補助も提供する非侵襲的検知ユニットである。呼吸装置は、センサ信号を処理することが可能であると共に、指数又は/呼吸指数の変化を算出することができる。
【0232】
代わりに、呼吸指数の変化は、リモート監視システムで実行することもできる。
【0233】
呼吸数の場合、これは、呼吸数が判定され得る圧力センサ又はフローセンサ又は任意の他の呼吸数センサを使用することにより、計測/判定することができる。例えば、呼吸数は、フローセンサを使用し且つ次いで呼吸数を判定するためにフローセンサ読取りに対して数学的プロセスを適用することにより、算出することができる。一例では、呼吸補助装置は、フローセンサを使用するように、ブロアからフロー信号をフィルタリングによって除去するためにフローセンサを処理するように構成される。ピーク周波数を算出するために、フィルタリング済みのフロー信号の周波数応答が判定される(例えば、高速フーリエ変換又は他の周波数応答)。ピーク周波数は、呼吸数に対応する。呼吸数を判定するために、他の周波数分析技法をフロー信号に適用することができる。例えば、周波数分析は、1つ又は複数の局所的極大値を判定することが可能であり、且つ最大の大きさの極大値を呼吸数として識別することができる。代わりに、モーター速度信号がフロー信号から処理(例えば、フィルタリング)され、且つ周波数分析が実施され、この場合、局所的極大値及び最大の大きさを有する周波数が呼吸数である。代わりに、Geortzelアルゴリズム/Geortzel分析を使用した周波数分析を実行することもできる。
【0234】
代わりに、例えば、カニューレ内に内蔵されたカニューレにおける温度センサを有し、且つ温度差を判定することにより、呼吸数の計測を実現することもできる。温度の差は、呼吸数を示す。類似の計測をカニューレにおける圧力センサ又はフローセンサによって実現することが可能であり、且つ圧力又はフローの変化は、呼吸数を示し得る。
【0235】
代わりに、呼吸数は、(限定されないが)装置内のパルスオキシメータ、呼吸数センサ、圧力センサ若しくはチューブ又は患者インターフェイス内の圧力センサ若しくはフローセンサ、又はチェストバンドセンサ或いはこれらの任意の組み合わせなどの他のセンサから判定することもできる。これらの1つ又は複数は、任意に、呼吸数を計測するように構成されたウェアラブル装置又はアクティグラフィ装置(例えば、図6の54Eを参照されたい)であり得る。ウェアラブル装置は、例えば、フロー生成器又はスマートフォンとの無線通信状態にある手首装着型の装置であり得る。
【0236】
例えば、呼吸数は、圧力信号に基づいて算出される。圧力信号は、患者インターフェイスにおける圧力センサ又は圧力経路を使用することにより計測することが可能であり、センサは、装置内に存在することが可能であり、且つ圧力値は、装置に伝達して戻すことができる。圧力の差を処理することが可能であり、且つ0交差の数を計測することより、呼吸数を算出することができる。フロー読取りを使用することにより、類似の方式を使用することができる。呼吸数を取得するために、P又はF信号の循環的な特性を処理することができる。
【0237】
代わりに、呼吸数を判定するためにインターフェイスにおけるガス交換(例えば、CO2交換)を計測するように、例えば、呼吸計などの適切なセンサを使用することもできる。代わりに、計測するために、フォトプレチスモグラム又は心電図を使用することもできる。
【0238】
代わりに、呼吸数を計測するために、加速度計などの任意のセンサを胸又は腹壁上に配置することもできる。センサは、無線通信を有する装置とは別個であり得る。
【0239】
代わりに、呼吸数は、その全体が本明細書に包含される米国特許出願公開第202101133796号明細書に記述されるように判定することもできる。
【0240】
一例では、呼気時間をフローセンサ信号又は圧力信号又はフロー及び圧力センサ信号の組み合わせから算出することができる。以下は、例えば、本明細書で開示される装置10などの封止されていないカニューレを介して高流量呼吸補助を提供する非封止型システム用の呼気時間計算の一例である。方法は、コントローラによって実行される。装置のコントローラは、ガスの流量を表すフロー信号を受け取る。コントローラは、流量信号を事前処理及びフィルタリングする。次いで、コントローラは、患者の呼吸サイクルにおける、例えば、吸気時間と合計呼吸時間及び/又は呼気時間と合計呼吸時間の間の比率などのプライマリ呼吸パラメータ比率を判定する。呼吸数は、判定されるか又は受け取られている。呼吸数は、上述のように判定され得るか、又は呼吸補助装置において手動で受け取られ得る。装置は、呼気時間を判定するために、呼吸パラメータ比率及び呼吸数を使用する。更に、毎分換気量を呼吸数及び計測された流量から判定することができる。更なる例では、呼気時間は、2021年2月5日付けで出願された米国仮特許出願第63/146,184号明細書で記述されるように算出され得、この内容は、そのすべてが本明細書に包含される。
【0241】
計測又は算出された呼吸数は、NHF療法装置内に保存される。FiO2読取りも所定の時間の期間にわたってNHF装置内に保存される。代わりに又は加えて、これらの及び/又は任意の他の読取りは、スマートフォンなどの別の装置に送信され得、且つそれに保存され得る。
【0242】
任意に、呼吸数は、ユーザーインターフェイスを介して手動で入力することができる。
【0243】
他の選択肢も可能である。
【0244】
FiO2は、例えば、超音波センサ又は他のガス濃度センサなどの任意の適切なセンサを使用してガスフロー中のO2の濃度のFdO2又は別の尺度を計測することにより、見出すことができる。例えば、これは、フローセンサ及びO2濃度センサによって実行することが可能であり、この場合、任意に、フローセンサは、インライン型のフローセンサである。このセンサは、周辺空気及びO2のミキサの下流に位置決めすることができる。
【0245】
超音波センサは、FiO2、即ちFdO2の高速計測を許容するように使用することができる。これは、ガスストリーム中の酸素の高速応答及び制御を許容する。上述のように、FdO2は、FiO2の代用品であり得る。計測されたFdO2は、報告され、且つFiO2として装置の画面上に提示される。高流量呼吸補助の際には、流量は、患者が吸気する際に周辺空気が鼻カニューレに巻き込まれないように十分に大きい。従って、供給される酸素比FdO2は、FiO2(吸気された酸素比)に等価であるものとして表記される。超音波を用いた(即ち超音波型の)センサは、高速応答、即ち迅速な計測と、従って、高速の応答とを許容する。ガスストリーム中の酸素比を変更するように(これにより、FdO2に対して影響を及ぼすように)、酸素入口上の弁を制御することができる。
【0246】
代わりに、以上のパラメータの任意のものを手動で入力することも可能であり、且つこれから、呼吸指数を算出することができる。
【0247】
評価装置及び/又は呼吸補助装置は、個々の通信機能も有することができる。これは、モデム又は他のトランシーバであり得る。これは、評価装置及び呼吸補助装置が、離れているか又は同一の場所に位置するかを問わず、相互に通信することを可能にし、且つ/又は離れた臨床医と通信することを可能にする。これは、臨床医が、必要に応じて患者及びその呼吸補助及び/又は変化をリモート監視することを可能にするであろう。リモートサーバーが存在し得、これは、臨床医がアクセス可能である評価装置及び/又は呼吸補助装置から情報を受け取る。例えば、臨床医は、ウェブブラウザ/ウェブサーバーを介して情報にアクセスすることができる。評価装置は、サーバー、呼吸装置、モバイル装置及び/又は他の評価装置であり得る。
【0248】
例えば、図3を参照し、高流量呼吸装置10について全般的に説明する。一般的に言えば、装置は、モーター/インペラ構成の形態におけるフロー生成器50、任意の加湿器52、コントローラ19及び(例えば、1つ又は複数のボタン、タッチスクリーン又は同様のものなどのディスプレイ及び1つ又は複数の入力装置を含む)ユーザーI/Oインターフェイスを収容したメインハウジング10を有する。補助酸素又は他の補助ガス用の入力を提供することができる。弁(例えば、比例弁)を補助ガス入口と流体連通して提供することが可能であり、且つ装置内に導入される補助ガスの量を制御するように構成することができる。スクリーンは、着脱自在のスクリーンであり得る。コントローラ19は、装置の構成要素を制御するように構成又はプログラミングされ、これには、患者に供給するためのガスのフロー(ガスフロー)を生成するためにフロー生成器を動作させるステップ、生成されたガスフローを加湿し且つ/又は加熱するために加湿器(存在する場合)を動作させるステップ、装置の再構成及び/又はユーザーによって定義された動作のためにI/Oインターフェイスからユーザー入力を受け取るステップ及び情報を(例えば、ディスプレイ上で)ユーザーに出力するステップが含まれている。ユーザーは、患者、医療従事者又は装置の使用に関心を持つ別の誰かであり得る。患者呼吸コンジットがフロー療法装置のハウジング内のガスフロー出力に結合され、且つマニホルド及び鼻プロングを有する鼻カニューレなどの患者インターフェイス51に結合される。患者呼吸コンジットは、患者に向かって通過するガスフローを加熱するためのヒーターワイヤ5を有することができる。
【0249】
高流量呼吸装置のいくつかの例は、2016年12月2日付けで出願された「Flow Path Sensing for Flow Therapy Apparatus」という名称を有する国際特許出願第PCT/ニュージーランド特許出願公開第2016/050193号明細書及び2016年6月24日付けで出願された「Breathing Assistance Apparatus」という名称を有する国際特許出願第PCT/IB2016/053761号明細書に開示され、これらは、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。本開示の態様と共に使用され得る高流量呼吸装置の構成の例については、以下でも更に説明する。
【0250】
呼吸補助装置は、呼吸指数及び/又は呼吸指数の変化を判定することができると共に、呼吸補助の任意の変更をもたらす評価を実施することができる。代わりに、関連する情報が別個の評価装置に伝達され得、ここで、呼吸指数、呼吸指数の変化、患者の呼吸状態及び/又は呼吸補助の任意の変更の判定を実施することができる。次いで、呼吸補助の変更に関する情報は、適切なアクションのために、臨床医及び/又は呼吸補助装置に伝達して戻すことができる。加えて又は代わりに、情報は、医師サーバー100又はリモートサーバーに転送され得る。例えば、臨床医は、ウェブブラウザ/ウェブサーバーを介して情報にアクセスすることができる。評価装置は、サーバー、呼吸装置、モバイル装置及び/又は任意の他の評価装置であり得る。呼吸補助装置とスマートフォンなどの臨床装置の間には、有線及び/又は無線通信が存在し得る。
【0251】
呼吸補助装置は、バイレベル圧力療法を提供するためにブロアを制御するように構成されたコントローラを有することができる。呼吸補助装置は、例えば、フルフェイスマスクなどの封止されたインターフェイスに結合され得る。任意に、(図に示されるように)高流量チューブよりも小さいフローに対する抵抗力を有するNIVチューブを結合することができる。ユーザーは、NIVモード(例えば、バイレベル圧力療法又はCPAP療法モード)を手動で選択することができると共に、コントローラは、選択されたモードで動作するように構成される。代わりに、呼吸補助装置は、封止されたインターフェイスの接続及び/又はNIVチューブの接続を検出するように且つ自動的に制御を変更するように構成することができる。
【0252】
更なる代替形態では、患者は、例えば、NIV装置などの適切な圧力補助装置に物理的に結合することができる。
【0253】
一般的に言えば、呼吸指数と、患者の呼吸状態及び/又は呼吸補助の変更を評価するために呼吸指数の変化が使用される方式との様々な実施形態が存在し、且つこれらの実施形態の任意のものは、
評価フェーズ、及び任意に、
呼吸補助フェーズ(呼吸補助及び/又はその変化に関する情報)
を実行するために、呼吸補助装置及び(適宜)別個の評価装置の様々な実施形態の任意のものとの組み合わせで使用することができる。
【0254】
2.評価方法
2.1 評価方法の概要
図1を参照すると、適切な呼吸補助アクションを判定するために、呼吸指数の変化が使用される。暫定ステップとして、患者の呼吸状態が呼吸指数の変化から判定され得るが、これは、必須ではない。
【0255】
呼吸指数は、(呼吸数、呼気時間、毎分換気量などの)1つ又は複数の肺機能パラメータ及び(SpO2、FiO2、FdO2、O2比などの)1つ又は複数の酸素化パラメータから判定することが可能であり/これらの関数である。
【0256】
呼吸指数は、
・生理学的パラメータ(呼吸パラメータを有し得る)、及び
・呼吸装置パラメータ(動作パラメータを有し得る)
である1つ又は複数の患者パラメータの関数f(x)である単位なし数値であり得る。
【0257】
生理学的パラメータは、肺機能及び/又は酸素化パラメータを有することができる。
【0258】
呼吸指数は、上述のデータを提供するセンサ入力及び/又はユーザー入力に基づいて算出することができる。一例として、呼吸指数は、呼吸数(呼吸数)及びFiO2(患者に供給される酸素濃度)に基づいている。指数は、好ましくは、1/RR及び/又は1/FiO2に関係付けられる。一例では、指数=A/B(RR*FiO2)であり、この場合、A及びBは、一定又は他の値であり得る。
【0259】
呼吸指数の一例は、ROX指数である。
【0260】
ROX指数は、
ROX(x)=f(FiO2,SpO2,RR)
の関数の形態であり、且つ以下のように算出される。
ROX=(SpO2/FiO2)/RR
ここで、
SpO2は、患者の血液中の酸素の設定点飽和(%)であるか、又は代わりに患者の血液中の酸素の実際の飽和(%)であり、
FiO2は、患者による吸気された酸素の比率(%)であり(FdO2が代用品として使用され得る)、且つ
呼吸数は、呼吸/分を単位とする呼吸数である。
【0261】
以上の内容は、I/Oインターフェイスを介してセンサ及び/又はユーザーを介して受け取られるか又は事前構成される「入力パラメータ」であり、これについては、ステップ10を参照されたい。
【0262】
SpO2は、例えば、パルスオキシメータなどのセンサから又は装置のSpO2設定点から受け取られている。呼吸数は、例えば、上述のようにセンサから受け取られている。FiO2は、例えば、センサを介して計測することが可能であるか、又は患者に対して装置によって提供される酸素濃度(例えば、FdO2)から推定することができる。これらは、例であるに過ぎない。情報が得られる方式の更なる詳細については、装置実施形態との関係で説明する。
【0263】
ROX指数が使用される場合、好適な一実施形態では、呼吸不全用のROX指数閾値は、4.88であり、これは、実験的データによって判定される。この場合、ROX指数が4.88以上である場合、患者は、呼吸不全の低いリスクを有するものと考えられる。但し、ROX指数が約4.88未満である場合、患者は、呼吸不全の高いリスクを有するものと考えられる。閾値としての4.88からの臨床的に有意ではない逸脱が、可能であり、且つ実施形態の範囲から排除されるべきではないことに留意されたい。明らかに、閾値は、適宜、異なる値でもあり得る。
【0264】
但し、それ自体、閾値との関係におけるROX指数の時間における単一のインスタンスを単純に有することは、現時点の療法設定が患者のための有効な治療を結果的にもたらすかどうかを判定するために十分な情報ではない場合がある。ROX指数(又は更に一般的には呼吸指数)の経時的な傾向及び/又は閾値に対するその関係も、有用であり得る。
【0265】
評価フェーズステップ20では、ステップ21において、呼吸指数(例えば、ROX指数)を算出することが可能であり、且つ次いで、経時的な呼吸指数の変化を判定することが可能であり、且つステップ22において、それを使用することにより、高流量呼吸補助の成功及び変更が必要とされるかどうかを判定することができる。ROX指数の場合、FiO2及び呼吸数が増大した場合、ROX指数が値において降下を開始する。FiO2及び呼吸数の増大は、患者の悪化を示す。(ROX指数の変化を結果的にもたらす)ROX指数の連続的監視は、患者が不安定な状態である際に有用である。
【0266】
一例として、図1を参照すると、装置は、ステップ10では、入力パラメータを受け取り、且つステップ21では、例えば計算を通して、呼吸指数(例えば、ROX指数)及び経時的な呼吸指数の変化を判定する。次いで、任意に、経時的な呼吸指数の変化に基づいて、患者の呼吸状態に関する評価が実施される。これは、他の情報に対する経時的な呼吸指数の変化の関係性を判定することにより、実行することができる。例えば、経時的な呼吸指数の変化は、患者の呼吸状態が「呼吸困難」であるか、又は場合により更に「深刻である」などの困難のレベル(例えば、患者が呼吸不全の高いリスクを有する)であるのを判定するために閾値と比較される。
【0267】
任意に、ステップ22では、呼吸補助の変更の評価を患者の呼吸状態に基づいて(又は時間と共に変化するのに伴ってROX指数又は他の呼吸指数から直接的に)判定することが可能である(その理由は、患者の呼吸状態を閾値に対する経時的な呼吸指数の変化の関係性に基づいて評価することが可能であり、次いで、ステップ22、23では、二者択一的に、呼吸補助の変更の評価を閾値との関係における経時的な呼吸指数の変化の関係性に基づいて判定するように検討することができるからである)。ステップ23における経時的なROX指数及び閾値を使用した呼吸補助の変更は、呼吸補助のエスカレーション又は呼吸補助のデエスカレーションであり得る。呼吸補助の変更の詳細(エスカレーション、デエスカレーション又は他のもの)については、装置実施形態との関係で後述する。
【0268】
以上の例は、患者の呼吸状態を判定するための呼吸指数の使用法を参照する。上述のように、一代替形態では、評価を実施するために(呼吸指数の構成要素であり得る)患者パラメータを使用することができる。従って、更に一般的に言えば、患者状態を評価するために、呼吸指数の代わりに、且つ/又はこれのみならず、1つ又は複数の呼吸パラメータを使用することができる。
【0269】
多くの場合、評価装置上に表示される情報に基づいて呼吸状態を評価することになるのは、臨床医である。パラメータ及び呼吸指数のグラフィカルな且つ数値的な表現の様々な組み合わせを表示することは、臨床医による呼吸状態の指示及び特に呼吸状態の方向及び必要とされ得る介入の取得を可能にする。
【0270】
臨床医による評価の場合、情報の表示は、観察及び評価され得る方式で表示された情報の観点の両方で臨床医を支援する。
【0271】
一般的に言えば、評価は、臨床医が決定を下すためのサポーティング情報を提供するために、様々な組み合わせで呼吸指数、変化インジケータ、患者パラメータ及び/又は閾値などをグラフィカル且つ/又は数値的に表示することにより実施することができる。例については、本明細書で後述する。
【0272】
臨床医の評価を支援するために、以下のパラメータの任意の1つ又は複数を任意の適切な組み合わせで数値的且つ/又はグラフィカルに表示することができる。任意の特定のパラメータは、それ自体、アクションを保証し得ないが、他の情報との組み合わせで検討された際、アクションが必要とされることを示し得る。例えば、ROX指数は、それ自体、任意の懸念にフラグを付与し得ないが、経時的なROXの変化の悪化は、それを実行し得る。又は、経時的なROX指数の変化の悪化も、例えば、呼吸数、SpO2又はFiO2などの何らかの他のパラメータの懸念される変化によって伴われていない限り、懸念の原因とはならない場合もあろう。上述の任意のものの絶対的又は相対的な変化も、それらが特定の閾値を超過しない限り、懸念の何らの原因ともならない場合があろう。このような情報の様々な組み合わせに対するアクセスを提供することにより、臨床医は、呼吸状態を評価するための情報のより豊富な組を取得する。
【0273】
以下のパラメータのいくつか(評価情報、評価基準及び/又は関係情報)は、単独で又は組み合わせで使用することができる。
・呼吸指数、
・経時的な呼吸指数の変化、
・患者パラメータ(例えば、呼吸数、SpO2、FiO2)、
・経時的な患者パラメータの変化、
・経時的な又は別の尺度にわたる(本明細書における任意のパラメータの)変化を示す(傾き、ベクトル、大きさ、差、角度などの)変化インジケータ
・呼吸指数閾値、
・変化インジケータ閾値、
これらは、例えば、
・呼吸指数対時間、
・呼吸指数の変化対時間、
・患者パラメータ対時間、
・変化患者パラメータ対時間、
・呼吸指数閾値、
・変化インジケータ閾値
のいくつかとして、グラフィカルに(即ち2D及び/又は3Dプロット/グラフ又は他の適切な視覚的出力として)又は数値的に表示され得る。
より多くの洞察を得るためにグラフィカル情報を操作するように、入力をユーザーから受け取ることができる。例えば、これは、
・グラフのズームイン及び/又は移動、
・例えば、呼吸指数対時間グラフを選択し、且つ次いで、患者パラメータ対時間プロットを取得するなどのような、基礎をなすパラメータについての更なるグラフを取得するためのグラフの深掘り
を含み得る。
【0274】
以上は、限定を意図したものではなく、且つ様々な例については、後述する。
【0275】
以下では、可能な例が後続するが、これは、以上のより一般的な実施形態に対する限定として見なしてはならない。
【0276】
2.2 実施形態1 - 評価方法 - 呼吸指数の傾向
この実施形態では、図1を参照すると、呼吸指数が経時的に判定され、且つ呼吸状態及び/又は呼吸補助の変更を評価するために、経時的な呼吸指数の変化が使用される。
【0277】
呼吸指数は、
・肺機能を表す1つのパラメータ及び酸素交換を表す1つのパラメータ、又は
・呼吸数 - 例えば、RI(RR)、又は
・呼吸数及びFiO2の関数 - 例えば、RI(FiO2,RR)、又は
・呼吸数、FiO2及びSpO2の関数 - 例えば、RI(SpO2,FiO2,RR)
の関数などの上述の任意のものであり得る。
【0278】
ステップ20では、経時的な呼吸指数の変化が評価される。任意に、患者の呼吸状態が評価され、且つ例えば、実質的に、患者の呼吸状態を示すために、呼吸指数の変化の傾向が使用される。図2又は図5を参照すると、呼吸状態がより良好な値に向かう傾向を有し(例えば、閾値に向かって進行しているか、それと交差しているか又はそれを超過している)、且つ/又は閾値レートにおける又はそれを超えるより良好な値に向かう傾向を有する場合、患者呼吸状態が良好であるか又は改善しつつあるという評価を実施することができる。対照的に、呼吸状態がより悪い値に向かう傾向を有し(例えば、他の方向に閾値から離れるように移動するか、又はそれと交差するか、又はそれを超過する)且つ/又は閾値レートにおける又はそれを超えるより悪い値に向かう傾向を有する場合、患者の呼吸状態が不良であるか又は悪化しつつあるという評価を実施することができる。これから、呼吸補助の任意の変更に関する決定を実施することができる。呼吸状態を実際に判定する必要はないことに留意されたい。ステップ22、23における呼吸補助の変更に関する決定は、呼吸状態を明示的に判定することなしに、経時的な呼吸指数の変化から実施することができる。但し、呼吸指数と呼吸状態の間の関係性は、特定の呼吸指数又は呼吸指数の変化(例えば、傾向)が発生した際に適切な呼吸補助アクションを既定するために使用することができる。
【0279】
傾向は、呼吸指数の変化(傾向)パラメータの形態では、任意の適切な方式で特徴付けることができる。これは、大きさ及び方向の両方の観点で傾向/変化を特徴付ける。一例として、傾向は、呼吸指数の変化を示すベクトルの形態であり得る(例えば、経時的なものであるが、これは、別の適切なパラメータとの関係におけるものでもあり得る)。加えて、呼吸指数の低いリスク値と高いリスク値の間の交差を示す閾値に関する情報も、傾向を評価するために利用することができる。ベクトルは、例えば、呼吸指数対時間プロットの導関数から見出され得、これは、変化の傾きと、従ってその方向及び大きさとを付与する。これは、重要な変化の方向のみならず、変化がどの程度迅速に発生するかを示す大きさ(即ち変化のレート)でもあり得る。変化の加速度を観察するために、時間との関係における二次導関数を使用することができる。二次導関数は、数値的且つ/又はグラフィカルに表示することができる。
【0280】
更に一歩進めれば、経時的な傾向の変化を検討することもできる。例えば、呼吸指数対時間の導関数が、経時的に評価され、且つ任意に、経時的な呼吸指数の二次導関数(又は傾き/傾向の変化の何らかの他の尺度)が評価される。一次導関数は、傾向であり、且つ二次導関数は、経時的な傾向の変化である。呼吸指数対時間の二次導関数は、傾き及び/又は大きさという関係情報に照らして評価することができる。導関数対時間を実際に取得することはまた、必須ではなく、これは、経時的な変化を得ることであり、1つの考慮事項である。
【0281】
経時的な呼吸指数の変化は、呼吸指数の傾向を判定するステップを含む。更に、傾向は、それぞれそれ自体が経時的に変化する複数の傾向を有することができる。それぞれの傾向は、その時点における呼吸指数の傾向(経時的な変化)を規定する瞬間的な傾向となり、且つ傾向を判定するステップは、経時的に複数の瞬間的な傾向を判定するステップを含み得る。それぞれの傾向又は瞬間的な傾向は、大きさ(それ自体が呼吸指数の経時的な変化のレートを示す)及び(変化の)方向を含む傾向パラメータで表され得、且つ任意に、
ベクトル、又は
傾き(及び任意に大きさ)
の形態であり得る。
【0282】
図2には、一般的な呼吸指数対時間プロットが一般的な呼吸指数閾値と共に示されている。呼吸指数が閾値超に進行した場合、これは、良好な呼吸状態(正常な呼吸又はわずかに軽度な困難及び/又は呼吸不全の低いリスク)を示す一方、呼吸指数が閾値未満で進行する場合、これは、不良な呼吸状態(例えば、呼吸の悪化、呼吸困難及び/又は呼吸不全の大きいリスク)を示す。
【0283】
図2を参照すると、患者は、小さい呼吸指数を有する患者の呼吸状態を有する「A」で開始し、これは、それ自体が、呼吸不全の高いリスクなどの呼吸困難を示すことがわかる。但し、グラフの部分「A」を参照すると、プロットの傾き及びベクトルの方向から、且つ全般的なプロットの方向から、わかるように、呼吸指数は、閾値に向かって上昇する傾向を有し、これは、患者が改善しつつあることを意味する。従って、この状況では、(患者がハイリスク患者呼吸状態にあることから)エスカレートされた呼吸補助状態にある患者は、自らが依然としてハイリスク患者呼吸状態にあるにも関わらず、直ちに解除及びデエスカレートされ得るか、又は臨床医は、少なくとも呼吸補助をデエスカレートするための準備することができる。患者がエスカレートされた呼吸補助状態にない状況では、臨床医は、それらが閾値に向かう傾向を有すること、即ち呼吸状態が改善しつつあることに基づいて、患者が閾値未満にあるにも関わらず、呼吸補助をエスカレートしないように決定することもできる。
【0284】
対照的に、グラフの部分Bを参照すると、プロットのベクトルの傾き及び方向から、且つ全般的なプロットの方向から、わかるように、呼吸指数は、閾値に向かって降下する傾向を有し、これは、患者が悪化しつつあることを意味する。従って、この状況では、(自らが低リスク患者呼吸状態にあることから)デエスカレートされた呼吸補助状態にある患者は、(自らが依然として低リスク患者呼吸状態にあるにも関わらず)直ちにエスカレートされた呼吸補助状態におかれ得るか、又は臨床医は、少なくとも呼吸補助をエスカレートさせるための準備をすることができる。患者がエスカレートされた呼吸補助状態にある状況では、臨床医は、患者が閾値超であるにも関わらず、自らが閾値に向かって降下する傾向を有することに基づいて、呼吸補助をデエスカレートしないように決定することもできる。
【0285】
このような分析では、患者の呼吸状態及び呼吸補助を変更するかどうかを評価するために、様々な他の傾向及び閾値を使用することができる。傾向を使用することは、実際に必要とされる前に呼吸補助の適切な変更に反応し且つそれを提供することを支援する何らかの予測情報を含むより良好なレベルの情報を提供する。
【0286】
呼吸指数、経時的な呼吸指数の変化、呼吸状態及び/又は呼吸補助の変化に関係する情報は、いずれも、臨床医が必要とされる呼吸補助を評価及び判定することを可能にするために、IOインターフェイスを通して適切な方式で伝達することができる。情報は、必要に応じて、装置、呼吸補助装置及び/若しくはサーバー100又は同様のものに必要に応じて転送することもできる。
【0287】
2.3 実施形態2 - 評価方法 - ROX指数の傾向
図1図4図5を参照すると、経時的な呼吸指数の使用の可能な一実施形態では、患者の呼吸状態を評価するために、経時的なROX指数の変化が使用される。
【0288】
ROX指数は、上述したように、例えば、以下のものの計算から判定される。
ROX=(SpO2/fiO2)/RR
【0289】
上述のように、ROX指数は、呼吸補助の成功を判定するために、算出及び使用することができる。
【0290】
単一値方式との比較におけるこの方式の利益は、以下のテーブルから示すことができる。
【0291】
【表1】
【0292】
例えば、二人の患者がNHF治療を開始し、且つ両方が4.0のROX値を有する。これは、療法の開始に過ぎないことから、指数が改善するかどうかを観察するために、ROX値を監視することができる。最初の6時間において、第1患者は、呼吸数の減少を有し、且つFiO2が引き下げられ、患者2は、呼吸数の増大を有し、且つFiO2が増大される。この結果、患者1の6時間におけるROX値は、6.0であり、且つ患者2は、3.0である。患者1は、NHF療法の成功の大きい尤度を有し、且つNHFに維持することができる。但し、患者2は、降下する傾向及び低いROXを有し、従ってケアのエスカレーションの考慮を要する。
【0293】
開始時点では、患者1及び患者2は、いずれも4.0のROX指数を有する。これは、4.88未満であり、且つ従って呼吸不全のリスクの指示である。これらの両方の場合、単一値ROX指数評価の場合、評価は、患者の呼吸状態が呼吸不全の高いリスクを示し、且つ呼吸補助のエスカレーションが必要とされるであろう。但し、患者1は、すぐに後から実際に改善し、ROXが5.0、6.0及び7.0に改善し、これは、4.88の閾値を十分に上回っていることがわかる。従って、呼吸補助の何らかのエスカレーションは、時期尚早となり、且つ利益を伴うことなしに患者の健康を不必要に危険に晒し得る。逆に患者2は、それらのROX指数が3.5、3.0に降下し、且つ次いで、呼吸不全に進行していることから、悪化している。FiO2及び呼吸数が増大した場合、ROXは、その値における降下を開始する。FiO2及び呼吸数の増大は、患者の悪化を示す。ROX指数の継続的な監視は、患者が不安定な状態にある際に有用となる。明らかに、呼吸補助のエスカレーションは、この状況では正当化される。ROX指数評価の単一の値は、この動的な状況をキャプチャしない。
【0294】
従って、単一ROX指数を閾値と比較するのではなく、経時的なROX指数の変化(傾向パラメータ)を判定することが可能であり、且つ経時的なROX指数の変化から、好ましくは閾値に対して患者の呼吸状態に関する評価を実施することができると共に、これから、必要とされる呼吸補助の変更についての評価を実施することができる。
【0295】
例えば、経時的なROX指数の変化は、ROX指数の改善の傾向を示すことが可能であり、これは、呼吸補助のデエスカレーションをもたらし得るか、又は代わりにROX指数の悪化の傾向を示すことが可能であり、これは、呼吸補助のエスカレーションをもたらし得る。
【0296】
これは、二人の患者 - 患者1(40)、患者2(41)のそれぞれごとの、それぞれ、ROX指数対時間及び呼吸数対FiO2のプロットを示す図4及び図5との関係で示すことができる。それぞれのグラフは、呼吸不全の高いリスクを示す患者呼吸状態と、呼吸不全の低いリスクを示すものとの間を線引きする4.88というROX指数に関係する閾値を示す。ROX(又は他の呼吸指数)の評価も、評価方法のフロー図を示す図1との関係で示される。
【0297】
SpO2、FiO2及び呼吸数は、例えば、センサからなどの通常の方法で取得され、且つROX指数は、それから例えばコントローラで算出される。上述のように、評価方法を実行する装置については、更に詳細に後述する。ROX指数は、経時的に算出される。これは、適切な方式で継続的に又は定期的に算出され得、及び値は、コントローラによって保存され得る。
【0298】
更に、経時的なROX指数の変化が適切な方式で判定される。これは、例えば、図4に示されるように、経時的なROX指数の変化を示すベクトルの形態における傾向パラメータによるものであることが可能であるか、又は代わりに、図5に示されるように、様々な時点における呼吸数の変化対FiO2をプロットすることによるものであることが可能であり、これらは、いずれも、変化の大きさ及び方向の尺度を付与する。図4は、これを傾きの形態で付与する一方、図5は、これをベクトルの形態で付与する。これらの図は、以下の実施形態で記述されるモバイル装置及び/又は呼吸装置上で提供され得ることに留意されたい。
【0299】
更に一歩進んで、経時的な傾向の変化を検討することもできる。例えば、呼吸指数対時間の導関数が経時的に評価され、且つ任意に、経時的な呼吸指数の二次導関数が評価される。一次導関数は、傾向であり、且つ二次導関数は、経時的な傾向の変化である。呼吸指数対時間の二次導関数は、傾き及び/又は大きさの関係情報に照らして評価することができる。
【0300】
例えば、傾向は、複数の瞬間的な傾向を含み得、及び傾向を判定するステップは、経時的な複数の瞬間的な傾向を判定するステップを含み得る。それぞれの傾向及び瞬間的な傾向は、例えば、大きさ及び方向を含むベクトルとして表現することができる。瞬間的な傾向パラメータは、経時的な更新された傾向を提供する。図5は、上述の表中のデータから取得された異なる時点における患者1(40)及び患者2(41)のベクトルを示す。
【0301】
代わりに、ROX指数の変化の任意の他の適切な描画又は特徴付けを実施することが可能であり、且つこれらの2つグラフは、例であるに過ぎない。グラフ及び図5及び図6は、概念を示すための例示を目的としたものであるに過ぎない。コントローラが上述のようにグラフを実際に判定及び/又は表示することは、必須でなくてもよい。むしろ、評価は、同一の情報を取得するために適切な方式でROX指数値を処理することにより、実施することができる。
【0302】
ROX指数、経時的なROXの変化、呼吸状態及び/又は呼吸補助の変更に関係する情報は、いずれも、臨床医による必要とされる呼吸補助の評価及び判定を可能にするために、IOインターフェイスを通して適切な方式で伝達(及び/又は保存)することができる。情報は、例えば、NFCを含む有線又は無線送信を通して必要に応じて装置、呼吸補助装置及び/若しくはサーバー100又は同様のものに転送することもできる。
【0303】
3.呼吸補助装置及び制御方法
本明細書の実施形態で記述される呼吸指数(及び任意に呼吸状態)評価方法は、呼吸補助を提供するための最良の方法を判定するために使用することができる。好適な一実施形態では、呼吸補助は、適切な装置を使用する鼻/気管高流量呼吸補助の形態である。従って、本実施形態は、呼吸状態評価方法に基づいて呼吸補助を提供及び変更する方法及び呼吸補助を提供する呼吸装置にも関し、この場合、呼吸補助は、評価方法に基づいて提供される。
【0304】
評価フェーズに基づいて、以下の呼吸補助の変更の1つ又は複数が発生し得る。本明細書で言及される呼吸補助の変更は、異なる方式で呼吸補助装置を使用することにより、実装することができる。
【0305】
これらは、一般に、呼吸補助のエスカレーション及びデエスカレーションを提供する使用法に分割することができる。
【0306】
エスカレーション:
・高流量呼吸補助は、継続されるが、より高い又はより低いレベルで提供される。例えば、フロー、O2濃度、加湿、流れ振動及び/又は他のパラメータが増大又は減少される。
・患者は、
〇NIV圧力呼吸補助、
〇挿管を介した機械的(侵襲的)ベンチレータ呼吸補助、
などのより侵襲的な呼吸補助に移される。
【0307】
デエスカレーション:
・使用される場合には侵襲的呼吸補助を除去し、且つベース呼吸補助(例えば、NIV呼吸補助又は鼻高流量)に復帰するか、又は
・使用される場合にはNIV呼吸補助を除去し、且つベース呼吸補助(例えば、鼻高流量)に復帰するか、又は
・使用される場合には鼻高流量をデエスカレートさせる。
【0308】
エスカレーション及び/又はデエスカレーションは、(呼吸困難及び/又は不全への進入又はこれからの回復などの)患者状態がより良好になっているか又はより悪くなっていることを示す呼吸指数の評価に基づいて呼吸補助に対する変更が実施されるべきであることを示すために、自動に、且つ/又は臨床医に対するメッセージ、アラート又は他のインジケータを介して、トリガすることができる。
【0309】
一例では、流量は、呼吸指数の変化又は傾向の変化に基づいて又はこれとの関係で変更される。
【0310】
呼吸装置は、呼吸補助の変更を制御する場合、変更を実施するために又は必要とされる変更を判定するために、且つ次いで、変更を実施するために、評価装置から指示又は情報(例えば、呼吸指数、呼吸状態、傾向パラメータ又は同様のもの)を受け取ることができる。臨床医は、呼吸補助の変更を制御する場合、変更を実施するか、又は変更を実施するためにその情報から必要とされる変化を判定するために、評価装置から指示又は情報(例えば、呼吸指数、呼吸状態、傾向パラメータ又は同様のもの)を受け取ることができる。
【0311】
図6を参照し、以下、評価に基づいて呼吸補助を提供するために使用可能であり、且つ評価方法を実装し得る高流量療法呼吸補助装置について説明する。エスカレーション又はデエスカレーションが高流量呼吸装置を変更するステップを含む場合、これは、臨床医によって手動で構成することが可能であり、且つ/又は変更を自動的に実施するように装置を構成することもできる。エスカレーションが機械的換気又はNIV圧力呼吸補助を必要とする場合、臨床医は、適切な装置を使用することによりそれを提供する。
【0312】
図6は、患者に高流量呼吸補助を提供するための呼吸補助装置10を示す。装置は、特定の比率で空気及び酸素などの補助ガスを有する装置ガスフローを提供するように構成される。装置10は、図6で点線ボックス内に概略的に示される統合された又は別個の構成要素に基づく構成であり得る。いくつかの構成では、装置は、構成要素のモジュラー型の構成であり得る。従って、装置は、「システム」と呼称され得るが、これらの用語は、限定されないが、相互交換可能に使用され得る。以下では、これは、装置として参照されるが、これを限定として見なしてはならない。装置は、鼻高流量呼吸装置10として示されるが、気管ユーザーインターフェイスを有する気管高流量呼吸装置でもあり得る。
【0313】
装置は、酸素又は空気或いは空気及び酸素の混合体及び/又は1つ若しくは複数の他のガスなどの高流量ガス31を提供するためのフローソース50を有する。代わりに、装置は、フローソースに結合するための接続を有することもできる。従って、フローソースは、環境に応じて、装置の一部分を形成するものとして若しくはそれとは別個のものとして見なされ得るか、又は場合によりフローソースの一部分が装置の一部分を形成し、及びフローソースの一部分が装置の外部に位置する。
【0314】
フローソースは、酸素の壁内供給、酸素のタンク50A、他のガスのタンク及び/又はブロア/フロー生成器50Bを有する高流量療法装置であり得る。図6は、遮断弁及び/又はレギュレータ及び/又は他のガスフロー制御装置50Dを介した(タンク又はO2生成器などの)O2ソース50Aへの任意の空気入口50C及び任意の接続を有するフロー生成器50Bを有するフローソース50を示す。フローソース入口は、補助ガス入口と呼称され得る。ここからの説明は、いずれかの実施形態を参照し得る。フローソースは、記述されるフロー生成器、O2ソース、空気ソースの1つ又は組み合わせであり得る。フローソース50は、装置10の一部分として示されるが、外部酸素タンク又は壁内ソースの場合、これは、別個の構成要素として見なされ得、この場合、装置は、このようなフローソースに接続するための接続ポートを有する。フローソースは、供給コンジット及び患者インターフェイス51を介して患者に供給され得る(好ましくは高流量である)ガスのフローを提供する。最終用途に応じて、患者インターフェイス51は、鼻インターフェイス(カニューレ)などの(例えば、高流量療法で使用される際に)封止されない(「非封止」とも呼称される)インターフェイス又は鼻マスク、フルフェイスマスク若しくは鼻ピローなどの(例えば、CPAPで使用される際に)封止されるインターフェイスであり得る。装置は、患者に対する気管高流量用の気管インターフェイスと共に使用することもできる。患者インターフェイス51は、好ましくは、例えば、圧外傷(例えば、雰囲気との関係における圧力の差に起因した呼吸装置の肺又は他の臓器に対する組織損傷)の防止を支援する非封止型患者インターフェイスである。患者インターフェイスは、マニホルド及び鼻プロングを有する鼻インターフェイス(カニューレ)及び/又はフェースマスク及び/又は鼻ピローマスク及び/又は鼻マスク及び/又は気管切開インターフェイス或いは任意の他の適切なタイプの患者インターフェイスであり得る。フローソースは、例えば、0.5リットル/分~約375リットル/分若しくはこの範囲内の任意の範囲又は場合により更に高い若しくは更に低い限度を有する範囲の療法ガス流量を提供することができる。恐らく、フロー範囲については、上述の用語の節の定義で更に詳細に記述される。
【0315】
流量は、療法流量構成要素を有し得、この場合、療法流量は、約375リットル/分~約0リットル/分又は約150リットル/分~約0リットル/分、又は好ましくは約120リットル/分~約15リットル/分、又はより好ましくは約90リットル/分~約30リットル/分である。
【0316】
加湿器52は、任意に、供給されるガスの加湿を提供するために、フローソース50と患者との間に提供することができる。この加湿器は、例えば、ヒータープレート、加湿器チャンバ(タブ)を受け入れるための領域及び水を保持するための加湿器チャンバを有することができる。これは、統合された装置59(点線を参照されたい)を形成するためにフローソース10と統合された加湿器であり得るか、又は別個の、但しフローソース10に装着可能であり得る。代わりに、加湿器52は、チャンバ及びベースを有するスタンドアロン型の加湿器であることが可能であり、この場合、加湿器は、コンジット又は他の適切な手段を介してフローソース10に結合される。流量、酸素比率又は他のガス比率、全圧又は分力、湿度、温度又は他のセンサなどの1つ又は複数のセンサ53A、53B、53C、53Dを装置の全体を通して且つ/又は患者16上又はその近傍に配置することができる。代わりに又は加えて、このようなパラメータが導出され得るセンサを使用することができる。加えて又は代わりに、センサ53A~53Dは、心拍数、酸素飽和(例えば、パルスオキシメータセンサ54E)、血液中の酸素の分圧、呼吸数、FiO2、血液中のO2及び/又はCO2の分圧などの患者の生理学的パラメータを検知するための1つ又は複数の生理学的センサであり得る。代わりに又は加えて、このようなパラメータが導出され得るセンサを使用することができる。他の患者センサは、EEGセンサ、呼吸を検出するためのトルソバンド及び任意の他の適切なセンサを含み得る。センサは、それらが位置決めされる場所に応じて、装置の一部分と見なされ得るか、又はそれとは別個であり得る。例えば且つ限定されないが、生理学的センサは、装置とは別個であるものと見なされ得る一方で、装置のパラメータを計測するためのセンサは、その一部であるものとして見なされ得る。いくつかの構成では、加湿器は、任意であり得るか、又はこれは、気道の状態の維持を支援する加湿されたガスの利点に起因して好ましいものとなり得る。加湿は、好ましくは、患者の快適さ、準拠状態、補助及び/又は安全性を増大させるように、高流量ガスフローと共に使用される。センサの1つ又は複数は、装置の一部分を形成し得るか、又は装置が任意の外部センサのための入力を有する状態でその外部に位置し得る。センサは、非侵襲的であり得る。
【0317】
いくつかの構成では、少なくとも1つの超音波センサが存在する。これは、有利であり、その理由は、これが、FiO2又はFdO2読取りのためのO2の高速読取りを提供する高速動作センサであるからである。超音波センサは、応答速度に起因してO2の比率のより良好な且つより正確な制御を許容する。
【0318】
いくつかの構成では、SpO2センサは、無線型であり得る。
【0319】
センサからの出力は、他のものに加えて、ガスフロー及び/又は酸素比率の変更を含む装置の制御を支援するためにコントローラに送信される。これは、評価による装置の使用法の変更を可能にする。コントローラは、フローソース、加湿器及びセンサに結合される。これは、後述される装置のこれら及び他の態様を制御する。コントローラは、供給されるガスのフローを提供するように、フローソースを動作させることができる。これは、センサからのフィードバックに基づいて又は任意に(例えば、既定の設定を使用する)フィードバックを伴うことなく、フローソースによって提供されるガスの流量、圧力、容積、O2比及び/又は他のパラメータを制御するように(フローソースを含む)1つ又は複数のガスフローモジュレータを動作させることもできる。コントローラは、酸素化要件及び/又はCO2除去を満たすか又は増大させるようにフローソースの任意の他の適切なパラメータを制御することもできる。コントローラ19は、センサ53A~53Dからのフィードバックに基づいて加湿器52を制御することもできる14。センサからの入力を使用することにより、コントローラは、酸素化要件を判定することが可能であり、且つ情報を(例えば、流量、O2比、湿度などの望ましい療法を提供するために呼吸装置の構成要素を制御し得る)医療従事者に提供することが可能であり、且つ/又は必要に応じてフローソース、1つ又は複数のガスフローモジュレータ及び/又は加湿器のパラメータを制御することができる。代わりに、実施形態は、望ましい療法を提供するために、情報を医療プロフェッショナルに提供し、且つ/又は呼吸装置の構成要素と通信し且つそれを制御する呼吸装置とは独立したスタンドアロン型の監視装置として提供することができる。次いで、医療従事者は、望ましい療法を提供するように、呼吸装置を制御することができる。従って、コントローラは、常に酸素化要件を判定し且つ装置のパラメータを制御しなくてもよい。
【0320】
コントローラ19は、装置ガスフローが、記述されるように流量を提供する流量を有するように装置を動作させるようにも構成される。これは、センサからのフィードバックに基づいて又は任意にフィードバックを伴うことなく、フローソースによって提供されるガスのフロー、圧力、容積及び/又は他のパラメータを制御するようにフローソースを動作させることもできる。コントローラは、酸素化要件を満たすようにフローソースの任意の他の適切なパラメータを制御することもできる。
【0321】
コントローラ19は、装置ガスフローが(ガス比率及び/又はガス分圧などの)記述されるガス割合を提供する(O2比又は他のガス比率などの)ガス割合を有するように装置を動作させるようにも構成される。これは、O2ソース50Aに結合された比例弁又は上述の任意の他の手段の制御などの任意の適切な手段を通して実行することができる。一実施形態では、周辺空気と共にインペラの入口内へのO2比を制御する単一の比例弁がインペラの前で使用され、且つインペラが流量を制御する。コントローラ19は、本明細書に記述されるガス割合を実現するために必要とされるように動作するように、比例弁を制御することができる。
【0322】
(ディスプレイ及び/又は入力装置などの)入出力インターフェイス54が提供される。IOインターフェイスは、酸素化要件を判定するために使用され得るユーザー(例えば、臨床医又は患者)からの情報を受け取るためのものである。IOインターフェイスは、例えば、1つ又は複数のボタン、タッチスクリーン又は同様のものなどのディスプレイ及び1つ又は複数の入力装置を含むことができる。画面は、着脱自在の画面であり得る。これは、数値的な且つ/又は(2D/3Dプロットなどの)グラフィカルな情報を表示することができる。
【0323】
コントローラは、例えば、(装置自体及び/又は患者からの)センサからの入力並びに事前構成された情報及び/又はI/Oインターフェイスを介して入力された情報などの他の情報に基づいて上述の評価方法を判定及び実装するように構成することもできる。
【0324】
鼻高流量呼吸補助装置は、呼吸補助を提供するための他の動作パラメータの提供に加えて、流量を患者に提供するために且つ/又は酸素比率を制御するために当業者には既知の通常の方式によって制御される。
【0325】
鼻高流量療法呼吸補助装置は、末梢動脈オキシヘモグロビンの既定の濃度、即ち95%のSpO2に対して制御するように試みるように構成される。通常、低酸素症呼吸不全を有する患者内におけるSpO2は、92~96%に対して制御される。高炭酸ガス血症を有する患者では、SpO2は、通常、88~92%に対して制御される。NHF装置は、設定されたSpO2を実現するように試みるために酸素比率FiO2を制御するように構成される。装置は、供給されるFiO2を計測し、且つ患者の呼吸数(RR)を計測する。
【0326】
加えて、鼻高流量呼吸補助装置は、呼吸補助の変更が必要とされることが(上述の実施形態に従って)評価方法によって判定された際、呼吸補助を変更するように動作させることができる。以下では、これについて説明する。
【0327】
呼吸補助装置は、適宜、別個の評価装置に対する通信のための通信モジュールを有することが可能であり、これについては、以下を参照されたい。通信モジュールは、WiFiモジュール、Bluetoothモジュール、(GSMモジュールなどの)移動体電気通信モジュール及び/又はNFC通信モジュールを含み得る。NFC通信モジュールは、データのNFC通信を許容するように構成されたコイル及び関連するプロセッサを有する。
【0328】
呼吸装置は、装置の動作の(温度、湿度、圧力、フローセンサなどの)パラメータ及び(SpO2、FiO2(又はFdO2)、呼吸数などの)呼吸指数を判定するためのパラメータを取得するために、
・生理学的パラメータ(呼吸パラメータを有し得る)、及び
・呼吸装置パラメータ(動作パラメータを有し得る)
を提供するセンサを含み、且つ/又はそれに接続される。
【0329】
呼吸補助の変更を提供するために、装置は、高流量呼吸補助を、但しより高い又はより低いレベルで継続するようにそれ自体を制御することが可能であるか、又は臨床医によって制御され得る。例えば、フロー、O2濃度、加湿、流れ振動及び/又は他のパラメータが増大又は減少される。呼吸装置に関連する実施形態の任意のものにおいて本明細書に記述される呼吸補助の変更の任意のものを実施することができる。
【0330】
4.評価装置
以下、評価装置を実装するための装置の実施形態について説明する。
【0331】
4.1 実施形態1 - 呼吸補助装置の評価装置部分
一実施形態では、呼吸補助装置は、本明細書に記述される任意の評価方法を実装する。好ましくは、図6に示される呼吸補助装置のコントローラが使用される。これは、方法を実行するために必要とされる任意のデータ及び/又は指示によって事前構成され、且つセンサ、ユーザー入力及び任意の他のソースから、必要とされる入力を受け取ることができる。これは、非侵襲的監視を可能にし、且つ様々なパラメータを計測し得、且つ必要とされる呼吸補助を提供/変更し得る単一装置を含む統合されたセンサ及びセンサのための入力という利点を提供する。
【0332】
コントローラは、上述のものの1つなどの適切な式を使用することにより、呼吸指数を算出するようにプログラミングされ、この場合、好適なものは、ROX指数である。ROX指数を含む呼吸指数用の式については、上述されている。
【0333】
ルックアップテーブル、データベース又は入力データを適切な呼吸指数に相関させる類似のものなどの呼吸指数を判定する代替手段が使用され得る。この時点以降、装置は、上述の式を使用したROX指数の計算を参照して記述されるが、これは、限定として見なされてはならず、且つ以下の説明の任意のものが、別の呼吸指数の判定に等しく適用され得、これは、適切な入力パラメータの受け取りに基づいて算出され得るか、又は他の方法で判定され得る。
【0334】
コントローラ及び装置の動作を示す図1を参照されたい。これは、評価方法について記述する上述のフロー図に類似しているが、本図は、コントローラによって実行される実際のアクションに焦点を当てる。図1のフロー図を参照すると、コントローラは、適切なセンサから、呼吸数、SpO2、FiO2などの様々な生理学及び/又は動作パラメータを受け取る。
【0335】
次いで、コントローラは、これらの入力パラメータを使用することにより、ROX指数及び経時的なROX指数の変化を算出する。動的評価の場合、ROX指数は、図4に示される傾向評価のために使用され得る値のシーケンスを提供するために、継続的且つ定期的に算出される。適宜、上述の実施形態で記述されるように、装置は、1つの傾向パラメータ又は複数の傾向パラメータを取得するために経時的な呼吸指数の変化を判定し得る。
【0336】
次いで、患者の呼吸状態は、任意に、経時的なROX指数値の変化及び/又は傾向パラメータを処理することにより評価される。患者の呼吸状態の評価は、それ自体、1つのステップでなくてもよく、むしろ一連のステップの結果であり得る。結果は、患者の呼吸状態の実際の判定であり得るか、又は単純に患者呼吸状態に関係し得るが、実際には判定されていない何らかの情報であり得る。但し、情報は、実際に具体的に判定された場合に患者の呼吸状態がなるであろうものに基づいた患者の結果の改善と一貫性を有する必要とされる呼吸補助の変更を評価するために使用することができる。但し、説明を目的として、患者の呼吸状態の評価に対する参照がなされる。代わりに、情報は、経時的なROX指数値の変化及び/又は傾向パラメータを直接的に処理することにより、取得することもできる。
【0337】
継続的又は定期的に判定される呼吸指数の動的評価の場合、コントローラは、変化の大きさ(変化のレートの量)及び方向を提供するために、経時的な呼吸指数の1つの傾向パラメータ(又は複数の傾向パラメータ)を判定する。例えば、時系列の計測値が取得され、且つ後続の指数計算の変化に基づいて傾向が判定される。これは、閾値情報と共に、例えば、呼吸状態の困難及び/又は変化或いは呼吸状態の困難及び/又は傾向或いは困難(例えば、悪化)などの呼吸状態の評価を提供するために、使用することができる。例えば、呼吸不全の高い又は低いリスクは、上述のように判定することができる。
【0338】
一般的に言えば、呼吸困難及び/又は(呼吸不全のリスクなどの)患者呼吸状態の悪化が存在する場合、呼吸補助のエスカレーションが提供され、且つ呼吸困難が存在せず、且つ/又は(呼吸不全なしなどの)呼吸状態の改善が存在する場合、デエスカレーションが提供される。但し、これは、いずれも、上述の評価方法との関係で更に詳細に説明済みである。実行されるアクションは、特定の呼吸状態/傾向に限定されてはならず、且つこれらは、例であるに過ぎない。(特定の呼吸状態又は傾向に対応し得る)呼吸指数又は呼吸指数の変化/傾向に基づいた判定されたアクションが使用される。
【0339】
呼吸補助のエスカレーションが必要とされると判定された場合、コントローラは、エスカレーションのタイプも判定し得、これは、
・高流量呼吸補助が継続されるが、より高いレベルで提供される。例えば、フロー、O2濃度、加湿、流れ振動及び/又は他のパラメータが増大又は減少される。
・患者は、
〇NIV圧力呼吸補助、
〇挿管を介した機械的ベンチレータ呼吸補助、
などのより侵襲的な呼吸補助に移される
の1つ又は複数であり得る。
【0340】
必要とされるエスカレーション方法に応じて、装置は、
・コントローラは、呼吸補助をエスカレートさせるように装置を制御する、及び/又は
・装置は、指示、状態、アラーム又は同様のものの形態で情報を伝達し、これにより、呼吸補助をエスカレートさせるように臨床医に助言する
の1つ又は複数を実行することができる。
【0341】
情報は、例えば、臨床医に通知及び/又は指示するために表示画面などのI/Oインターフェイス上で提供することもできる。例えば、図5及び図6のグラフを表示することができる。画面は、着脱自在であることが可能であり、これは、画面が眼のレベルに移動され得ることを意味する。
【0342】
コントローラは、患者の呼吸指数(及び/又は状態)を継続的に評価するために且つ相応して呼吸補助装置の動作を継続的に調節するために、且つ/又は呼吸補助のエスカレーション及び/又はデエスカレーションに関する情報を臨床医に継続的に伝達するために、方法を継続的に反復する。
【0343】
呼吸補助装置は、適宜、別個の評価装置に対する通信のための通信モジュールを有することが可能であり、これについては、以下を参照されたい。通信モジュールは、WiFiモジュール、Bluetoothモジュール、移動体電気通信モジュール及び/又はNFC通信モジュールを含み得る。NFC通信モジュールは、データのNFC通信を許容するように構成されたコイル及び関連するプロセッサを有する。
【0344】
以下、呼吸補助装置のいくつかの更なる動作の詳細について説明する。装置は、好ましくは、スタートアップ期間を使用する。スタートアップ期間は、患者が患者に提供される高流量呼吸補助に順応することを許容する。更に、スタートアップ期間では、ベースライン呼吸指数値を確立することができる。これは、ベースライン指数である。スタートアップ期間は、30分~3時間であり得る。好ましくは、これは、初期読取り及び療法に対する順応の1~2時間である。
【0345】
装置は、更新期間を有することができる。更新期間は、呼吸補助装置が計測値を取得し、且つ新しい呼吸指数(例えば、ROXインデック値)を算出し、且つベクトル(又は他の傾向パラメータ)を算出することを許容する。ベクトルは、2つの連続的なROX指数値計算間で算出される。更新期間は、5分~30分又は任意の他の期間であり得る。呼吸補助装置は、好ましくは、呼吸数及びFiO2の計測値を取得する。これらは、モバイル装置に送信することが可能であるか、又は装置内に保存することができる。サンプリング期間は、10秒~20分であり得る。
【0346】
流量の変化は、スムーズな遷移又は連続的な変化であり得る。代わりに、流量の変化は、呼吸指数の傾向に基づいた階段状の変化であり得る。ROXの変化として、フローは、更新期間内に階段状に変更される。流量が更新期間で変更された後にROXが算出される。フローは、不快である閾値まで変更される。
【0347】
更なる代替形態として、呼吸補助装置は、自動的に流量を変更しなくてもよい。呼吸指数に基づいてフローを変更するために、臨床医に対する指示が評価装置から実施される。指示は、流量を変更する方式及び流量を変更する量を示すビデオ又は一連の画像を含み得る。
【0348】
4.2 実施形態2 - 呼吸補助装置とは別個である評価装置
図3を参照すると、一代替実施形態では、評価方法は、呼吸装置とは別個の装置20内で実行される。評価装置は、呼吸装置、センサ及び/又は患者との通信状態にある。評価装置は、図1及び呼吸装置との関係で上述したように評価を実施するために、いくつかの相違点にも関わらず、ほとんど同一の方式で動作することができる。このような一実施形態では、別個の評価装置及び呼吸補助装置及び/又はセンサは、呼吸評価及び補助システムを形成し得る。
【0349】
評価装置は、コントローラを有する。コントローラは、上述のものの1つなどの適切な等式を使用して呼吸指数を算出するようにプログラミングされ、この場合、好適なものは、ROXインデックである。上述の呼吸指数の式又は上述のルックアップテーブル、データベース若しくは同様のものを使用することができる。
【0350】
コントローラ及び装置の動作を示す図1を参照されたい。これは、評価方法を記述する上述のフロー図に類似しているが、本図は、コントローラによって実行される実際のアクションに焦点を当てる。図1のフロー図を参照すると、コントローラは、適切なセンサから、呼吸数、SpO2、FiO2などの様々な生理学及び動作パラメータを受け取る。
【0351】
次いで、コントローラは、これらの入力パラメータを使用することにより、ROX指数及び経時的なROX指数の変化を算出する。動的評価の場合、ROX指数は、図1に示される評価のために使用され得る値のシーケンスを提供するために、継続的に又は定期的に算出される。適宜、上述の実施形態で記述されるように、装置は、1つの傾向パラメータ又は複数の傾向パラメータを取得するために、経時的な呼吸指数の変化を判定することができる。
【0352】
コントローラは、方法を実行するために必要とされる任意のデータ及び/又は指示によって事前構成され、且つ呼吸装置、センサ、ユーザー入力及び/又は任意の他のソースから必要とされる入力を受け取ることができる。
【0353】
コントローラは、必要とされる情報を取得したら、方法において図1を参照して上述したように、且つ/又は呼吸補助装置について記述されるように、患者呼吸状態を評価することができる。
【0354】
呼吸状態及び/又は呼吸補助応答の評価が実施されたら、装置は、適切なアクションを表示することが可能であり、且つ/又はコントローラ及び/又は臨床医による適切な呼吸補助の変更をコントローラが判定し且つ実行するための指示及び/又は情報を提供するために呼吸装置及び/又は臨床医と通信することができる。
【0355】
特定の非限定的な一実施形態では、評価装置は、図7に示されるものなどのスマートフォン20、タブレット又は他の携帯型の且つ/又は移動可能な通信装置などのモバイル装置の形態である。モバイル装置は、コントローラ上で評価アプリを稼働させる。これは、アラームを含む情報を提示するためのIOインターフェイスを有する。
【0356】
モバイル装置は、上述のように呼吸補助装置と通信し、且つ評価方法を実行するアプリによってプログラミングされる。この実施形態では、ROX指数が使用されるが、同一の技術は、上述の任意の他の呼吸指数と共に機能するように構成され得ることを理解されたい。モバイル通信装置は、例えば、Bluetooth(商標)、NFC又は他の無線又は有線通信モードを介して、臨床医からの、且つ/又は呼吸補助装置及び/又はセンサ(例えば、SpO2センサ又は上述の他のもの - ウェアラブル又は他のもの)から受け取られた、呼吸数、FiO2及びSpO2設定点(代わりに実際の計測されたSpO2)の入力を受け取るアプリを有する。電話機又はタブレットのような携帯型装置を含む医療従事者は、加えて又は代わりに、データの迅速且つ確実なダウンロードを許容するアプリケーションを使用することにより、NFCを介してデータをダウンロードすることができる。入力は、時間インターバルをおいて入力又は要求される。モバイル装置は、入力に基づいてその時点におけるROX指数の値を算出する。更に、モバイル通信装置アプリは、ユーザーからの入力に基づいてROX指数の傾向パラメータ(例えば、ベクトル)を算出する。更に、モバイル装置は、経時的な複数のこのような傾向パラメータベクトルを算出することが可能であり、この場合、それぞれは、瞬間的なベクトルであり、且つそれぞれは、その時点におけるROX指数の変化の傾向を示す。ベクトルは、図5図7に示されるものなどのモバイル装置のI/Oインターフェイス上に示される。これは、2時間、6時間及び12時間の様々な時点でのベクトルを示し、これによりROX指数の変化を示す。
【0357】
アプリ/モバイル通信装置は、臨床医がROX指数の変化及び経時的なROX指数の変化の傾向に基づいて患者の状態の変化を迅速に判定するための評価ツール(診断ツール)を提供する。図5に示されるものなどのROX指数ベクトルのこの視覚的なプロットは、臨床医が、患者の状態について客観的な決定を下すことを許容し、且つ臨床医が患者の呼吸補助をより早期にエスカレート又はデエスカレートさせることを許容する。ROX指数ベクトルの傾向が悪化の方向である場合、患者が早期にエスカレートされるほど、より早期の介入及び機械的換気へのエスカレーションに起因して、より良好な結果が死亡率の低減を結果的にもたらし得る。
【0358】
ROX指数の傾向が改善の方向にある際には、患者が早期にデエスカレートされるほど、患者が直面する不必要にエスカレートされた呼吸補助に伴うリスクが小さくなる。
【0359】
一代替形態として、アプリによって実行された評価は、呼吸補助装置に伝達することが可能であり、且つ呼吸補助装置は、適切な変更及び呼吸補助を実施することができる。
【0360】
臨床医は、必要とされる呼吸補助の変更を判定することができる。代わりに、アプリも、適切な呼吸補助の変更を判定することが可能であり、且つそれを呼吸装置に提供することが可能であり、且つ/又はそれを、モバイル通信装置を介して臨床医に伝達することができる。上述のように、呼吸補助のこの変更は、臨床医及び/又は呼吸装置によって実装される、
・高流量呼吸補助は、継続されるが、より高いレベルで提供される。例えば、フロー、O2濃度、加湿、流れ振動及び/又は他のパラメータが増大又は減少される、
・患者は、
〇NIV圧力呼吸補助、
〇挿管を介した機械的ベンチレータ呼吸補助、
などのより侵襲的な呼吸補助に移されること
の任意の1つ又は複数であり得る。
【0361】
一例では、流量は、呼吸指数の変化又は傾向の変化に基づいて又はそれとの関係で変更される。例えば、フローの変化は、呼吸指数の変化のベクトルの勾配に比例し得る。
【0362】
必要とされるエスカレーション方法に応じて、装置は、
・コントローラが、呼吸補助をエスカレートさせるために呼吸装置を制御する、及び/又は
・装置が、指示、状態、アラーム又は同様のものの形態で情報を伝達し、これにより、呼吸補助をエスカレートさせるように臨床医に助言する
の1つ又は複数を実行することができる。
【0363】
例えば、呼吸装置を介して患者に提供される流量が変更を必要とすると評価され得る。モバイル通信アプリは、患者に提供される流量の必要とされる変化を算出するように構成される。アプリは、ROX指数又はROX指数のベクトル(即ちROX指数の変化の傾向)及び/又は1つ又は複数の何らかの他のパラメータのいずれかに基づいて、新しい設定流量を算出するように構成される。アプリは、初期設定流量とは離隔している必要とされる新しい流量又は流量の変化の情報と共に、モバイル通信装置のI/Oインターフェイスを介して臨床医に指示を提供する。代わりに、情報は、であろう呼吸装置に対して直接的に伝達することもできる。設定流量データは、装置とやり取りする電話機の一部分としてのNFC又はBluetoothを介してNHF装置から電話機にも送信される。
【0364】
別個の評価装置は、呼吸補助装置の通信モジュールを介して呼吸補助装置と通信することができる。通信インターフェイスは、WiFiモジュール、Bluetoothモジュール及びNFC通信モジュールを含み得る。NFC通信モジュールは、データのNFC通信を許容するように構成されたコイル及び関連するプロセッサを有する。
【0365】
一代替形態では、評価方法の一部分は、別個の装置内で部分的に且つ呼吸補助装置内で部分的に実行される。
【0366】
代わりに、プロット及びROXベクトルは、NHF装置内で算出することも可能であり、且つNHF装置のI/Oインターフェイス上に表示することもできる。
【0367】
5.ROX指数及び別個の評価装置を使用した例示的な実施形態
本明細書に記述される本方法及び装置実施形態は、呼吸評価及び補助を提供するための装置及び/又はシステムを提供するために、任意の適切な順序で組み合わせることができる。
【0368】
5.1 ユースケースを有する例示的な例
ここで、図3図6及び図7の装置及び図1のフロー図を参照し、1つの非限定的な例示的な例について説明する。
【0369】
これは、ROX指数の変化(傾向)(好ましくは、経時的な変化/傾向)を利用するアプリを有するモバイル電気通信装置及びROX指数傾向の評価に基づいて少なくとも部分的に制御される鼻高流量呼吸補助装置を使用することにより、呼吸評価を実装する。代わりに、NIV装置を使用することもできる。
【0370】
ROX指数が算出され、且つ鼻又は気管高流量呼吸補助などの高流量呼吸補助の成功を判定するために使用される。経時的なROX指数の変化が、患者が改善するか又は悪化するかを予測するために使用される。具体的には、本開示は、ROX指数の値の時間的変化を判定すること又はROX指数が変化する方式を判定するために経時的なROX指数の1つ又は複数のベクトルを使用すること並びに患者が悪化しているか又は患者が改善しているかの指示を提供することを対象とする。FiO2及び呼吸数が増大している場合、ROX指数は、値において降下することを開始する。FiO2及び呼吸数の増大は、患者の悪化を示す。ROX指数の継続的な監視は、患者が不安定な状態にある際に有用となる。鼻高流量装置は、患者に提供される流量を修正するように且つ/又は酸素比率を制御するように制御される。鼻高流量呼吸補助装置は、末梢動脈オキシヘモグロビンの既定の濃度(即ち95%のSpO2)に制御するように試みるように構成される。通常、低酸素症呼吸不全を有する患者におけるSpO2は、92~96%に対して制御される。高炭酸ガス血症を有する患者では、SpO2は、通常、88~92%に対して制御される。NHF装置は、設定SpO2を実現するように試みるために酸素比率FiO2を制御するように構成される。装置は、供給されるFiO2を計測し、且つ患者の呼吸数(RR)を計測する。
【0371】
例えば、スマートフォン又はタブレット20などのモバイル装置は、例えば、臨床医によって使用され、これについては、図7を参照されたい。図7のモバイル装置は、図3の装置のコントローラ及びIOインターフェイスを有し、且つ情報を表示するタッチスクリーンとしてのIOインターフェイスを有し、且つ例えば、タッチスクリーンキーボードを通して情報の入力を許容する。これは、アラーム、プロンプト、発話メッセージ及び同様のものを伝達するためのスピーカも有することができる。
【0372】
モバイル装置は、図3図6などの呼吸補助装置と無線通信するように構成される。これは、図3に示されるものなどの呼吸評価装置及びシステムを形成する。モバイル装置は、上述のように、センサから必要とされる情報を受け取り、且つ入力に基づいてその時点におけるROX指数値を算出する。更に、モバイル通信装置アプリは、ユーザーからの入力に基づいてROX指数の傾向パラメータ(例えば、ベクトル)を算出する。更に、モバイル装置は、経時的な複数のこのような傾向パラメータベクトルを算出することが可能であり、この場合、それぞれは、瞬間的ベクトルであり、且つそれぞれは、その時点におけるROX指数の変化の傾向を示す。ベクトルは、図5図7に示されるものなどのモバイル装置のI/Oインターフェイス上に示される。一例では、モバイル装置は、NFCプロトコルを使用してNHF装置と通信するように構成される。ユーザーは、NFC通信モジュールの場所である予め定義された場所でNHF装置上のモバイル装置をタップすることができる。通信用の他の選択肢が可能である。
【0373】
モバイル通信装置は、モバイル装置がNHF装置上でタップされた際に起動するように構成されたアプリを有する。NHF装置上でモバイル装置をタップすることにより、RRデータ、FiO2データ及び予め設定されたSpO2設定点(又は実際の計測されたSpO2)がモバイル装置に送信される。モバイル装置は、例えば、Bluetooth(商標)、NFC又は他の無線又は有線通信モードを介して、臨床医からの、且つ/又は呼吸補助装置及び/又はセンサ(例えば、SpO2センサ)から受け取られた、呼吸数、FiO2及びSpO2設定点(代わりに実際の計測されたSpO2)の入力を受け取るように構成される。入力は、時間インターバルで入力又は要求される。呼吸数、FiO2データは、既定の時間インターバルで計測することができる。時間インターバルは、約1分~約2時間であるか又は任意の他の適切な時間インターバルとなり得る。一例では、計測値は、15分ごとに取得される。別の例では、計測値は、1時間ごと又は2時間ごとに取得される。代わりに又は加えて、アプリは、I/Oインターフェイスを介して、臨床医から、呼吸数、FiO2及びSpO2設定点の入力を受け取ることができる。入力は、規則的な時間インターバルで入力又は要求される。
【0374】
アプリは、それぞれのインターバルで受け取られたデータからROX指数値を算出するように構成される。ROX指数値のベクトルは、様々な時間インターバルで呼吸数及びFiO2に基づいて算出される。例えば、12時間などの時間の期間にわたるROX指数計算の合計が電話機アプリで算出される。プロットが生成される。アプリは、ROX指数の変化及びROX指数の変化の傾向も算出する。
【0375】
呼吸数及びFiO2の増大は、患者の状態の悪化を示す。呼吸数及びFiO2の低減は、改善を示す。更に、FiO2のみの低減は、改善の指示である。呼吸数の低減は、患者の改善の指示である。
【0376】
アプリは、図5に示されるプロットを生成し、且つ図7に示されるようにユーザー用のI/Oインターフェイス上に提示するように構成される。ROX指数値がプロットされ、且つ経時的なROX指数の変化を示すROX指数のベクトルがプロットされている。ROX指数の変化の傾向は、呼吸数対FiO2のプロット上にプロットされる。
【0377】
上述の表1を参照すると、患者1及び患者2の未加工の計測値が示されている。アプリは、それぞれの患者ごとに様々な時間インターバルでROX指数及び様々なROX指数値の間のROX指数ベクトルを算出し、且つこのROX指数及びベクトルをプロット上にプロットする。図5にこのプロットが示されている。このプロットは、迅速な診断を許容するために、図7のモバイル装置の画面上で臨床医に対して提示されるであろう。
【0378】
この例では、4.88である閾値ROX値が閾値ラインとしてプロットされている。ラインは、成功するROX指数を示し、即ち、これは、良好な患者呼吸状態と不良な患者呼吸状態の間を線引きする。上部右に向かうROX指数の運動又は傾向は、患者の状態の悪化を示す。このROX指数の運動は、こちらも患者状態の悪化に関係するROX指数値の低減に対応する。
【0379】
図7の装置の画面上の図5のプロットは、患者1(40)について3つベクトルを示し、それぞれが2時間、6時間及び12時間における瞬間的な傾向を示す。それぞれの瞬間的ベクトルは、大きさと、患者がより小さいROX値に向かう傾向を有し(即ちベクトルがそれに向かって指す)、且つ従って改善しつつあることを示す方向とを示す。経時的に、それぞれのベクトルは、改善傾向が継続していることを示す。第1ベクトルは、患者がROX閾値である4.88(これ未満では呼吸不全のリスクが消失するか又は少なくとも格段に小さくなる)に向かう傾向を有することを示し、且つ第2の6時間ベクトルによれば、患者の呼吸数は類似しているが、ROX指数がROX閾値未満に降下し、これは、呼吸不全のリスクが消失するか又は少なくとも格段に小さいことを意味する。
【0380】
図7の装置の画面上の図5のプロットは、患者2(41)について2つベクトルを示し、それぞれが2時間及び6時間における瞬間的な傾向を示す。それぞれの瞬間的なベクトルは、大きさと、患者がより大きいROX値に向かう傾向を有し(即ちベクトルがそれに向かって指す)、且つ従って悪化しつつあることを示す方向とを示す。経時的に、それぞれのベクトルは、悪化傾向が継続していることを示す。第1及び第2ベクトルは、患者がROX閾値である4.88(これ未満では呼吸不全のリスクが消失するか又は少なくとも格段に小さくなる)から更に離れる傾向を有することを示し、これは、呼吸不全のリスクが増大していることを意味する。
【0381】
他の実施形態と同様に、装置は、IOインターフェイスを通して、ROX指数、患者の呼吸状態、実行を要する内容に関する指示(任意の呼吸補助の変更を含む)及び任意の他の情報などの他のパラメータを表示することもできる。これは、同一の情報を伝達する可聴アラーム及び/又は可聴メッセージを提供することもできる。情報は、例えば、NFCを含む有線又は無線装置を通して、必要に応じて、装置、呼吸補助装置及び/若しくはサーバー100又は同様のものに必要に応じて転送(及び/又は保存)することもできる。
【0382】
アプリは、臨床医が経時的なROX指数の変化及びROX指数の変化の傾向に基づいて患者の状態の変化を迅速に判定するためのツールを提供する。ROX指数ベクトルのこの視覚的プロットは、臨床医が患者の状態について客観的決定を下すことを許容し、且つ臨床医がより早期に患者をエスカレートさせることを許容する。ROX指数のベクトルの傾向が悪化の方向である際に患者が早期にエスカレートされるほど、より良好な結果が、より早期の介入及び機械的換気へのエスカレーションに起因して、死亡率の低減を結果的にもたらし得る。
【0383】
電話機アプリは、呼吸補助の必要とされる変更を算出するように構成される。例えば、これは、患者に提供される流量の増大を判定することができる。電話機アプリは、ROX指数又はROX指数のベクトル(即ちROX指数の変化の傾向)に基づいて新しい設定流量を算出するように構成される。電話機アプリは、初期の設定流量から離れる新しい流量又は必要とされる流量の変化の情報と共に、指示を患者にモバイル装置のI/Oインターフェイスを介して提供する。設定流量データは、装置とやり取りする電話機の一部分としてのNFC又はBluetoothを介してNHF装置から電話機にも送信される。
【0384】
代わりに、プロット及びROXベクトルは、NHF装置内で算出することも可能であり、且つNHF装置のI/Oインターフェイス上に表示することもできる。
【0385】
臨床医は、必要とされる呼吸補助の変更を判定することができる。代わりに、アプリは、適切な呼吸補助の変更を判定することも可能であり、及びそれを呼吸装置に提供し、且つ/又はそれを、モバイル通信装置を介して臨床医に伝達することもできる。上述のように、この呼吸補助の変更は、臨床医及び/又は呼吸装置によって実装される、
・高流量呼吸補助は継続されるが、より高いレベルで提供される。例えば、フロー(流量)、O2濃度、加湿、流れ振動及び/又は他のパラメータが増大又は減少される。
・患者は、
〇NIV圧力呼吸補助、
〇挿管を介した機械的ベンチレータ呼吸補助、
などのより侵襲的な呼吸補助に移されること
の任意の1つ又は複数であり得る。
【0386】
必要とされるエスカレーション方法に応じて、装置は、
・コントローラが、呼吸補助をエスカレートさせるように装置を制御すること、及び/又は
・装置が、指示、状態、アラーム又は同様のものの形態で情報を伝達し、これにより呼吸補助をエスカレートさせるように医師に助言すること
の1つ又は複数を実行することができる。
【0387】
次いで、臨床医及び/又は評価装置に基づいた呼吸補助装置の動作の変更が実装される。呼吸補助装置は、呼吸指数の変化、即ち傾向、即ちベクトルに基づくフローが呼吸指数(及び/又は呼吸状態)を改善し得るように制御されるか又はそれ自体を制御する。
【0388】
一実装形態では、実施形態は、モバイル装置がウェアラブルセンサから情報を受け取るステップを含む。情報は、上述のように使用され、且つ情報は、装置を制御するために、例えば、NFCを含む有線及び無線送信を通して臨床医及び更に呼吸委補助装置に伝達(及び/又は保存)される。
【0389】
一実装形態において且つ図5を参照すると、ベクトルの長さは、大きさである。大きさは、経時的なROXベクトルの変化がどの程度大きいかを判定する。一例では、成人用のプロット上の最大値は、ほぼ、(FiO2 1.0;呼吸数 45)に位置することが可能であり、且つ最小値は、ほぼ、(FiO2 0.21;呼吸数 15)に位置することができる。これらの地点の間の距離がベクトルの最大の大きさである。呼吸装置は、バー、ダイアル、色、%、数値又は同様のものの形態では、大きさ、即ち療法の開始からのものを表示することができる。大きさが大きく、且つベクトルが下部左コーナー(方向)において運動する場合、療法は、非常に効果的である。これは、装置の療法の効果を表示するための簡単な方法であり得る。以上の内容は、ROX指数ベクトルの大きさを算出するステップに関係し、即ち瞬間的な傾向において大きさ及び方向によってベクトルを定義する。大きさは、FiO2及び呼吸数に基づいて算出される。更に具体的には、大きさ=(FiO22+RR2)の平方根である。大きさ及び方向は、療法の有効性を定義するために使用される。大きさが大きく、且つベクトルの方向が右方向に運動する場合、療法は、非常に効果的である。大きさは、患者の健康がどの程度迅速に改善するかに関係する。ROXベクトルの方向は、色コード化することができる。例えば、ベクトルは、ベクトル方向が、患者呼吸状態が改善していることを示す場合、第1色で示すことができる。ベクトルは、ベクトル方向が、患者呼吸状態が悪化している、即ち悪くなっていることを示す場合、第2色で示すことができる。図5を参照すると、ベクトルは、ベクトル方向が下部左、即ち呼吸状態の改善に向かう場合、第1色で提示される。代わりに、ベクトルは、ベクトル方向が上部右、即ち患者呼吸状態の悪化に向かう場合、第2色に示される。更に、ベクトルは、長さが大きさに対応するように提示することもできる。
【0390】
提示された大きさ及び方向の情報は、高流量によって継続するかどうか又は患者が異なる療法へのエスカレーションを必要とするかどうかを判定するために臨床医によって使用される。代わりに、モバイル装置は、大きさが閾値超であり、且つベクトルの方向が患者の呼吸状態の悪化に向かう傾向を有する場合、アラームを発することができる。代わりに、ベクトルを表示するように、呼吸補助装置のユーザーインターフェイスを構成することもできる。呼吸補助装置は、大きさが閾値超であり、且つベクトル方向が患者の呼吸状態の悪化に向かう傾向を有する場合、アラームを発するように構成される。呼吸補助装置は、流量を自動的に増大させるように構成することができる。
【0391】
(他のものに加えて、限定されないが、呼吸補助の変更を有する)呼吸指数/状態評価に基づいて提供され得る呼吸補助のいくつかの例示的な例は、以下のとおりである。
【0392】
これらは、本明細書に記述される実施形態の任意のものに適用することができる。
・患者に対して提供される流量が変更される。流量は、既定の量だけ増大又は減少させることができる。代わりに、患者に提供される流量は、呼吸指数ベクトルの大きさに基づいて変更することもできる。流量の増大は、呼吸数の低減を支援し、その理由は、これが呼気抵抗力を増大させるからである。更なるフローは、(FiO2の増大ではなく)酸素の量を増大させることもできるが、より大きい流量は、フラッシングを改善することができると共に、肺に提供されるO2の量を増大させることができる。これは、ROX指数値を増大させ得る患者の酸素化を支援することができる。
・呼吸指数ベクトルが患者の悪化を示す場合、フロー(例えば、流量)が増大される。フローは、ベースライン流量から離れるように限度まで増大される。更に、フローは、呼吸指数ベクトルが患者の健康の改善を示すのに伴って低減することもできる。低減は、必要とされる最小フローまでベースラインから離れるものであり得るか、又はフローは、増大された流量値から離れるように低減される。
・一例では、呼吸指数は、SpO2設定点、FiO2及び呼吸数に基づいたROX指数である。呼吸補助装置は、ROX指数の変化に基づいて流量を制御するように構成することもできる。
・ROX指数が、例えば、4.88などの閾値未満に降下した場合、更なる呼吸補助を提供するように試みるために、流量を増大させることができる。
・流量は、ROX指数の変化に基づいて、ベース設定流量から新しい流量に増大させることができる。代わりに、流量の変化のレートは、ROX指数の変化のレートに比例することもできる。
・更なる例では、NHF装置は、呼吸数の変化に基づいてNHF装置によって提供される流量(及び従ってブロアのモーター速度)を制御するように構成することができる。例えば、呼吸数が増大した場合、流量は、呼吸数を低減するために、且つこれにより、ROX指数を改善するために、増大させることができる。流量の変化は、呼吸数の変化に比例することができる。代わりに、流量の変化は、呼吸数の変化の関数又は呼吸数の関数であり得る。流量は、ユーザーの呼吸数が減速されるように、呼吸数が更なる呼気圧力、即ち息の吐き出しに対する更なる抵抗力を提供するために増大した場合に増大される。
・但し、ROX指数ベクトルが、安全レベル及び安全レベル超に向かう、即ち悪化を示す閾値に向かう、傾向を有する場合、NHF装置は、患者がエスカレートされる必要があることを示すためにアラームを発することができる。
・呼吸補助装置は、FiO2要件の変化に基づいて流量を変更することもできる。必要とされるSpO2を満たすためのFiO2要件が増大した場合、流量を増大させることができる。流量の増大は、FiO2の増大に比例するか、又はFiO2の増大の関数であり得る。増大した流量は、呼吸数を低減するように機能し、且つ供給されるO2の全体的な量を増大させている。これは、FiO2の要件の低減と、ROXベクトルの変化が安全方向に向かうようにすることとを支援し得る。流量の増大は、30L/分のベース流量からの2L/分~10L/分の増分におけるものであり得る。最大フロー限度に到達した場合、呼吸補助装置は、アラームを発することができる。
・上述のフロー制御に加えて、呼吸補助装置は、呼吸に同期したフローを提供することもできる。呼気において供給される流量は、吸気における流量未満である。患者の呼吸フェーズは、圧力センサ若しくはフローセンサ又はこれらの組み合わせを使用して検出される。一例は、患者のインターフェイス内の統合された圧力センサである。別の例は、患者インターフェイス内に統合されたフローセンサである。更なる例は、(呼吸補助装置内に統合された)フローセンサの圧力センサに基づいてフローの変化又はフローに対する抵抗力を算出することである。
・一例では、患者に提供される吸気流量及び呼気流量は、例えば、臨床医によって予め定義されるか、又は「快適さ」のレベルを選択した患者によって予め定義される。快適さのレベルは、呼気流量と吸気流量の間の差を定義する。例えば、快適さレベル1=呼気プ流量が吸気流量から-10L/分である。快適さレベル2=呼気流量が-20L/分である、などである。
・フローコントローラは、好ましくは、流量を制御するために且つ吸気流量値と呼気リ流量値の間におい流量を切り替えるために、フィードバック制御を使用する。
・ROX指数(即ち呼吸指数)の傾向(ベクトル)が患者の悪化を示す傾向を有する場合、呼気流量(即ち呼気の際の流量)が、予め定義された呼気流量から離れるように増大される。
・増大した流量(例えば、増大した一定の流量又は増大した呼気流量)は、呼気インピーダンスを増大させる。増大した呼気インピーダンスは、患者が息を吐くことを更に困難にする。これは、患者の呼吸数を低減し、これにより、呼吸指数(例えば、ROX指数)を改善する。
・呼気において提供される流量の更なる増大は、上部気道のフラッシングの改善及び気道からのCO2のクリアランスの改善を支援することもできる。これは、患者の酸素化を改善することが可能であり、且つFiO2要件を低減することが可能であるか、又は酸素化をより効率的なものにすることができる。これは、呼吸器指数を改善すること又は患者の健康状態の改善を示すようにそれを変更することを支援することができる。増大した流量は、供給される流量が吸気需要以上であることも保証し、これにより周辺空気の巻き込みを低減する。周辺空気の巻き込みの低減は、FiO2濃度がより一貫性を有することを保証する。
・モバイル装置は、呼吸指数を改善するために必要とされる呼吸装置によって提供されるフローの変化を判定するように且つ流量を変更するための指示をモバイル装置のIOインターフェイス上に提示するように構成される。例えば、流量は、呼吸指数を改善するように増大される。
・呼吸装置のO2弁は、流量が指数の変化に対して変更される間、FiO2を増大させるか又はFiO2を維持するように制御することができる。
・呼吸装置内のFiO2は、呼吸数の変化に対して又は指数の変化に対して変更することができる。
・モバイル装置は、呼吸指数を改善するために必要とされる高流量呼吸装置によって提供されるフローの変化を判定するように且つ流量を変更するための指示をモバイル装置UI上に提示するように構成される。
・呼吸指数を改善するために、流量が増大される。
・コントローラは、呼吸指数の傾向(又は変化)が呼吸の悪化の増大を示した場合にベース流量からフローを増大させるように構成される。
・コントローラは、呼吸指数が呼吸の悪化の低減(又は改善)を示した場合にフローをベース流量に低減するように構成される。
・任意に、任意の流量の変化は、呼吸指数の変化に比例する。
・任意に、任意の流量の変化は、呼吸指数の変化の関数であるか又は変化の大きさの関数である。
・呼吸療法装置のディスプレイは、呼吸指数のベクトルを表示し、この場合、ベクトルは、所定の時間の期間にわたる変化及び傾向を示す。
・NHFが増大され、且つ呼吸数がFiO2の減少を伴うことなしに低下した場合、これは、呼気抵抗力の一時的な効果のみを示し得ると共に、装置は、NHFレートを保持するか、又は例えば5L/分だけそれを減少させる。FiO2と呼吸数の両方が減少した場合、これは、前向きな原動力に関する指示であり、且つNHFは、療法を更に快適なものにするために、60L/分から40~35L/分に低速で減少することを開始することができる。代わりに、可変NHFでは、装置は、呼気圧力の軽減を増大させることを開始する。
【0393】
一代替形態では、別個の評価装置が存在せず、上述の実施形態は、すべて呼吸補助装置上で実行される。代わりに又は加えて、モバイル装置は、呼吸補助装置を制御するためのリモート制御装置として使用することができる。
【0394】
5.2 代替ユースケース
図8A図11Eは、本節の装置上で実装され得る代替ユースケース又は記述されるか若しくは本明細書の範囲に含まれる任意の他のものを示す。
【0395】
図8A図8Cを参照して、三人の患者80A~80C用のROX値が経時的に監視される例示的なケースを検討する。ROXが例として使用され、且つこのユースケースは、任意の呼吸指数に一般化することができる。
【0396】
n84Aにおける第1患者(患者1)80Aの現時点のROX値は、ROX値閾値82のハイリスク側(即ち閾値未満)に位置するが、ROX傾き83A(即ち時点tnー184Aからtn85Aまでの経時的なROXの導関数又は現時点のROXデータ点tn85Aと以前のROXデータ点84Atn-1との間の傾き)は、傾き閾値のローリスク側に位置する(傾きは、この場合にはゼロである)。
【0397】
第2患者(患者2)80Bの現時点のROX値84B及びROX傾き83Bは、いずれも、その個々の閾値のハイリスク側に位置する。即ち、ROXは、ROX閾値82未満であり、且つtn-184Bからtn85Bまでの経時的なROXの導関数又は現時点のROXデータ点tn85Bと以前のROXデータ点84Btn-1との間の傾きは、負であり、従って、悪化する傾向を有する。
【0398】
第3の患者(患者3)80Cの現時点のROX値tn84Cは、値閾値82のローリスク側に位置するが(閾値未満である)、そのROX傾き83Cは、傾き閾値のハイリスク側に位置する。即ち、tn-184Cからtn85Cの経時的なROXの導関数又は現時点のROXデータ点tn85Cと以前のROXデータ点84Ctn-1との間の傾きは、負であり、従って悪化する傾向を有する。
【0399】
これらの患者80A~80CのそれぞれごとのROX(値及び傾き)は、健康の異なる状態を示すことができると共に、異なる応答を必要とし得る。例えば、第1患者のROX85Aは、自らが注意を必要とする状態にあるが、更に自らが最近悪化していないことを示し得る(医師は、この情報に基づいて他の患者を優先するように選択することができる)。第2患者のROXは、自らの健康が既にハイリスク状態にあるが、依然として悪化し得ることを示し、医師からの即座の注意を必要とする。第3の患者のROX85Cは、自らの健康がハイリスク状態に向かって迅速に悪化しつつあることを示し得る。この指示は、医師が早期に介入し、且つ患者の健康が実際にハイリスク状態に到達することを防止する(即ち患者のROX値がハイリスク値に減少することを防止する)ことを許容し得る。
【0400】
図9A図9Bを参照して、別の例示的なケースを検討する。二人の患者(患者1及び患者2)は、ROX値閾値92のハイリスク側に位置する(即ち閾値未満である)現時点のROX値tn-194A、94Bを有する。
【0401】
第1患者(患者1 90A)の傾き93Aは、そのROX値94Aがより低いリスク値95Aに向かう(閾値に向かう)傾向を有することを示す。第2患者(患者2 90B)の傾き93Bは、そのROX値94Bがより高いリスク値95Bに向かう傾向を有することを示す。この場合にも、これらの患者のそれぞれごとのROX(値及び傾き)は、健康の異なる状態を示し、且つ異なる応答を必要とし得る。第1患者90Aは、改善しつつあるように(より良好/肯定的93Aな傾向を有するように)見受けられ、従って、第1患者90Aは、同一の設定でより多くの療法時間から受益することができる。第2患者90Bは、更に悪化しているように(より悪い/否定的93Bな傾向を有するように)見受けられ、従って、第2患者90Bは、療法設定の変化を必要とし得る。
【0402】
患者の健康の短期的な変化の識別に加えて、本システムは、患者の健康の長期的な(即ちより低速の)変化を識別するために閾値との比較を使用することができる。
【0403】
図10を参照して、患者101のROX値103~107が数日(tn-4~tn)にわたって低速で減少している例示的なケースを検討する。この低下は、最終的に患者のROX値が値閾値102未満に降下することを結果的にもたらし得るが、本システムは、これが発生する前に、患者の健康の低下を識別することが可能であり得る。複数の以前のROX値データ点103~107を調べることにより、本システムは、例えば、(例えば、103~104などの任意の2つのデータ点の間の)108などの個別の傾きが傾き閾値のローリスク側に位置する場合にも、ROX値の(低速の)低下を識別することができる。この結果、本システムは、患者のROX値が実際に値閾値未満に降下する前に応答し、これにより早期の(即ち先制的な)介入を可能にすることができる。
【0404】
これが示す内容は、これが、有用である経時的な傾き/変更のみならず、所定の時間期間にわたるROX降下の相対的な大きさであることである。
【0405】
例示的な一実施形態は、以下のとおりである。本方法及び/又は装置は、高流量又は他の呼吸補助を受けている患者の呼吸指数及び/又は呼吸状態の判定を可能にする。これは、患者が呼吸療法(例えば、鼻高流量などの高流量呼吸補助)を受けている際、患者の状態に関する情報を提供する。これは、患者が安定しているか、悪化しているか又は良くなっているかに関する情報を提供する。これは、間接的に呼吸補助の有効性のインジケータとして機能することもできる。情報は、例えば、ベクトルとして数値的且つ/又はグラフィカルに表示することができる。情報は、例えば、
・時間との関係における一次導関数に似た呼吸指数の経時的な変化、及び/又は
・時間との関係における二次導関数に似た呼吸指数の経時的な変化の経時的な傾向
であり得る。
【0406】
呼吸指数及び/又は他のパラメータ並びに経時的な呼吸指数の変化を検討することにより、
・呼吸補助の変更が必要とされるかどうか、且つ/又は
・それがどのような変化となり得るか、
について、評価を実施することができる。
【0407】
例えば、
・変更が実施され得ること、
・療法を変更するための指示/アラーム、及び/又は
・装置が自動的に療法を変更するように試みること
などの何らかのアクションを情報に基づいて実行することができる。
【0408】
最終的に、患者が指数(即ち評価フェーズの反復)に基づいて改善しない場合、治療をエスカレートさせるように、アラームを発することができる。
【0409】
6.臨床医の評価及び表示情報
上述のように、多くの場合、評価装置上に表示される情報に基づいて呼吸状態を評価することになるのは、臨床医である。パラメータ及び呼吸指数のグラフィカルな且つ数値的な表現の様々な組み合わせを表示することにより、トレーニング済みの臨床医は、呼吸状態の指示及び特に呼吸状態の方向及び必要とされ得る介入を得るために、これらを解釈することができる。
【0410】
以下、様々な例について説明する。これらは、限定を意図したものではなく、且つむしろ、表示され得る情報源及び呼吸状態を支援するために臨床医によってそれが使用される方式の指示を提供する。臨床医による評価は、評価基準を含むことが可能であり、これらは、患者の呼吸状態を判定するために、臨床医が呼吸指数、患者パラメータ、変化インジケータ及び/又はその評価情報を評価することを許容する基準である。評価基準は、閾値などの関係情報を有することが可能であり、且つ/又はそれを使用することができる。これらの評価は、本明細書に記述される実施形態の任意のものと共に使用することができる。
【0411】
評価情報、評価基準、関係情報及び/又は任意の他の情報を表示するために、ユーザーインターフェイス54を(モバイル装置及び/又は療法装置などの)評価装置上且つ/又は療法装置上で使用することができる。数値的情報及びグラフィカルな情報を表示することができる。グラフィカルな情報は、2D又は3Dにおけるグラフ/プロットの形態であり得る。3Dでは、任意に、1つの軸は、経時的な評価情報の変化を示すための時間軸であり得る。ユーザー制御装置がディスプレイの操作を許容する。タッチスクリーンを使用することができる。
【0412】
図2に示されるものなどのより一般的な場合、評価方法及び装置は、複数の時点について、複数の時点の各々に関する経時的な呼吸指数の変化を表示するステップを含む。次いで、臨床医は、これを検討することができる。呼吸状態が改善又は悪化に向かう傾向を有するどうかの判定の支援を支援するために、呼吸指数閾値を提供することができる。同様に、変化インジケータ、この場合には傾きを有するベクトルも傾向を示すことができる。
【0413】
図5を参照すると、更なる情報が提供される。この場合、呼吸指数の変化を示すベクトルが呼吸数対FiO2のグラフ上にプロットされている。4.88のROX指数閾値もこのグラフ上にプロットされる。図の上部右手に向かう経時的な(この場合には)正の傾きは、患者が悪化していることを示す。代わりに、下部左手コーナーに向かう経時的な負の傾きは、改善を示す(ROX指数は、「リスク状態にある」セクションで開始するが、これは、改善セクションに向かう傾向を有し、且つその内部に向かって閾値を通過する)。
【0414】
いずれの場合にも、臨床医は、閾値を参照することにより、且つ図5の場合には更なる掘り下げ情報の利益を伴って、経時的な呼吸指数の変化を監視することが可能であり、この場合、呼吸数及びFiO2も示される。これは、様々な変化情報の算出及び(ROX閾値などの閾値及び/又はベクトル傾き閾値などの変化インジケータ閾値である)関係情報に対する比較のプロセスに加わるものであり得る。図2図4及び図5の情報は、数値的情報との組み合わせでグラフィック(例えば、プロット及びベクトルなど)の組み合わせを示す。
【0415】
更に一般的に言えば、情報は、呼吸装置、モバイル装置及び/又は他の評価装置のいずれかにおけるインターフェイス上に表示され、且つグラフィカル及び/又は数値的である呼吸指数(例えば、ROX指数)対時間、グラフィカル及び/又は数値的である単独の、組み合わせられた、且つ/又は選択肢対時間における、呼吸指数の1つ又は複数の構成要素(例えば、呼吸数、SpO2、FiO2又は同様のもの)及び/又は時間にわたる又は他の方式による2つ以上の呼吸指数及び/又はその構成要素間の差を示す1つ又は複数のベクトル、傾き、角度、大きさ、差及び/又は他の変化インジケータを有することができる。
【0416】
これを実行する際、臨床医は、グラフィカル及び/若しくは数値的である呼吸指数(例えば、ROX指数)対時間、グラフィカル及び/若しくは数値的である単独での、組み合わされた状態における且つ/若しくは選択肢対時間における呼吸指数の1つ若しくは複数の構成要素(例えば、呼吸数、SpO2、FiO2若しくは同様のもの)並びに/又は時間にわたる若しくは他の方式による2つの以上の呼吸指数及び/若しくはその構成要素間の差を示す1つ又は複数のベクトル、傾き、角度、大きさ、差及び/又は他の変化インジケータを観察することにより、経時的な呼吸指数の変化から患者呼吸状態を判定することができる。
【0417】
情報の評価を支援するために、ユーザーは、情報をより良好に使用するためにグラフィカルインターフェイスとやり取りし、且つ/又はそれを操作することができる。これは、呼吸指数の1つ又は複数の構成要素を表示するための入力を受け取るステップ及びグラフィカル若しくは数値的のいずれかで、単独での、組み合わされた及び/又は選択肢対時間における呼吸指数(例えば、呼吸数、SpO2、FiO2若しくは同様のもの)の1つ若しくは複数の構成要素を表示するステップ並びに/又は表示を表示、ズーム及び/若しくは移動するために入力を受け取るステップ及びグラフィカル且つ/若しくは数値的である呼吸指数(例えば、ROX指数)対時間、グラフィカル且つ/若しくは数値的である単独での、組み合わされた状態における且つ/若しくは選択肢対時間における呼吸指数の1つ又は複数の構成要素並びに/又は時間にわたる若しくは他の方式による2つ以上の呼吸指数及び/若しくはこれらの構成要素間の変化を示す1つ又は複数のベクトル、傾き、角度、大きさ、差及び/又は他の変化インジケータのズーム及び/又は移動されたバージョンを表示又は再表示するステップの1つ又は複数を含むユーザー入力に基づいて表示を修正し且つ情報を再表示するために入力(例えば、ユーザー入力)を受け取る装置及び方法を含むことができる。
【0418】
一例として、患者は、図5の情報を受け取るために図2の情報をクリックすることができ得る。次いで、患者は、情報をより良好に観察するために図5にズームインすることが可能であり、且つ/又はそれを移動させ得る。
【0419】
臨床医は、
1つ又は複数の呼吸指数及び/又は呼吸指数の変化を1つ又は複数の閾値に対して比較するステップ - 例えば、図2図4図5を参照されたい
1つ又は複数の変化インジケータを1つ又は複数の閾値に対して比較するステップ、
1つ又は複数の呼吸指数及び/又は呼吸指数の変化を1つ若しくは複数の他の呼吸指数及び/若しくは呼吸指数の変化に対して且つ/又は1つ若しくは複数の他の1つ若しくは複数の変化インジケータに対して比較するステップ、
1つ又は複数の変化インジケータを1つ又は複数の変化インジケータ及び/又は1つ又は複数の呼吸指数及び/又は呼吸指数の変化に対して比較するステップ、
呼吸指数、
経時的な呼吸指数の変化、
経時的な呼吸指数の変化の変化、及び/又は
変化インジケータ
の1つ又複数を考慮するステップ
の任意の1つ又は組み合わせによって経時的な呼吸指数の変化から患者の呼吸状態を判定する。
【0420】
図11A図11Eには、特定の非限定的な例が示されている。
【0421】
臨床医は、ROX指数が閾値未満であるが、ROX指数変化インジケータがより低いリスクに向かう傾向を示す場合、患者の呼吸状態を「リスク状態にあるが改善している」として判定する。図11Aを参照されたい。このように判定された場合、評価装置は、患者がリスク状態にあるが、改善していることを示す初期アラーム及び表示メッセージなどの指示も提供し得る。
【0422】
臨床医は、ROX指数が閾値未満であり、且つROX指数変化インジケータがより高いリスクに向かう傾向を示す場合、患者の呼吸状態を「リスク状態にあり且つ悪化している」として判定する。図11Bを参照されたい。このように判定された場合、評価装置は、患者がリスク状態にあり且つ悪化していることを示すアラーム及び表示メッセージなどの指示を提供する。
【0423】
臨床医は、ROX指数が閾値超であるがROX指数変化インジケータがより高いリスクに向かう傾向を示す場合、患者の呼吸状態を「リスク状態にはない(又は低いリスク状態にある)が悪化している」として判定する。図11Cを参照されたい。このように判定された場合、評価装置は、静かなアラームなどの指示を提供し、且つ次いでROX指数が閾値未満に降下した場合/とき、大音響でアラームを発する。
【0424】
SpO2が安定している場合にも、呼吸数が(閾値の傾き又は他の変化インジケータ超だけ)上向きの傾向を有する場合、臨床医は、患者の呼吸状態が大きく変化していないと判定するが、依然として潜在的な課題を評価し、これについては、図11Dを参照されたい。判定された場合、適切なメッセージが画面上に表示される。
【0425】
臨床医は、呼吸数が(閾値の傾き又は他の変化インジケータ超だけ)上向きの傾向を有し、且つSpO2が下向きの傾向を有する場合、患者の呼吸状態を「悪化している」として判定する。図11Eを参照されたい。判定された場合、適切なアラームが起動される。
【0426】
臨床医は、1つ又は複数閾値との比較でROX指数から患者呼吸状態を判定する。例えば、図2を参照されたい。
【0427】
臨床医は、1つ又は複数の閾値に基づいて、
呼吸数、
SpO2、及び/又は
FiO2
から患者の呼吸状態を判定する。
【0428】
臨床医は、呼吸指数並びに/又は呼吸数、SpO2及び/又はFiO2などの患者パラメータの経時的な変化から患者呼吸状態を判定する。図5を参照されたい。
【0429】
臨床医は、傾き、大きさ及び/又は複数の時点における呼吸指数値の間の角度から患者の呼吸状態を判定する。図5を参照されたい。
【0430】
臨床医は、複数の時点における、SpO2及び/又はFiO2などの傾き、大きさ及び/又は呼吸数、患者パラメータの間の角度などの変化インジケータから患者の呼吸状態を判定する。
【0431】
臨床医は、呼吸指数及び/又は変化インジケータが変化するために所要する時間の長さ及び/又は閾値経時的な変化の大きさから患者の呼吸状態を判定する。
【0432】
臨床医は、呼吸指数及び/又は変化インジケータが閾値量だけ所要する時間から患者の呼吸状態を判定する。
【0433】
評価情報は、複数の時点で得られた情報に基づいたものとなる。これらは、連続的な時点であり得る。これらは、非連続的な(離散した)時点であり得る。同様に、評価情報の表示も、連続的な時点且つ/又はディスプレイ上で実施することができる。又は、情報の表示は、時間で非連続的に且つ/又はディスプレイ上で実施することができる。情報又は表示が時間において非連続的である場合、時点は、1秒未満、1秒、複数秒、1分未満、1分、数分又は1~59分、1時間未満、1時間、複数の時間の任意の時点又は1~24時間、一日未満、1日又は複数日の任意の時点だけ分離され得る。3つの時点は、規則的又は不規則的であり得る。
【0434】
呼吸指数が特定の閾値だけ改善する場合、流量は、ベース流量に低減され得、及び流量は、呼吸指数の変化のレートに基づいて低減され得る。例えば、フローの変化は、比例的であり得るか、又は流量の変化を呼吸指数の変化に対して関係付ける関数によって定義され得る。関数は、減衰関数、又は対数関数、又は双曲線関数であり得る。臨床医は、呼吸状態/指数評価を実施する際、必要に応じて適切な呼吸補助の変更を定義することもできる。
【0435】
装置は、呼吸状態/指数評価を実施する場合、メッセージ、アラート、アラーム、情報又は本明細書に記述される他のインジケータを介して臨床医に警告し得る。これは、呼吸補助の変更の要件について臨床医に警告するが、変化がどのようなものであるべきかを実際に示唆しなくてもよい。臨床医は、呼吸補助装置を動作させることにより、変化を手動で実施し得る。代わりに又は加えて、評価装置は、呼吸補助の変更がどのようなものであるべきかを示唆し得る。これは、アラート、アラーム、メッセージ情報又は同様のものなどの任意の種類のインジケータを通したものであり得る。この場合にも、臨床医は、変更を実施し得る。更に、呼吸補助装置は、必要とされる変化を自動的に実施することもできる。
【0436】
任意に、呼吸装置は、情報を臨床医又は医療従事者と関連するモバイル装置(例えば、スマートフォン又はタブレット)に送信するように且つ/又は情報をリモート患者監視システムに送信するように構成された通信インターフェイスを有することができる。リモート患者監視システムは、患者情報の管理、患者の健康状態のレポートの生成を許容し、且つアラートが患者及び/又は臨床医に送信され、且つ/又は患者及び/又は臨床医によってアクセスされることを許容する1つ又は複数のサーバー、クライアント装置、メモリユニット、データベース及び/又は他の構成要素を有することができる。呼吸指数の変化は、モバイル装置に且つ/又はリモート患者監視システムに送信することができる。
【0437】
呼吸指数計測値及び呼吸指数の変化は、例えば、SpO2、流量、湿度設定点及び使用時間並びに呼吸指数の変化及び経時的な呼吸指数の計測値などの計測された患者パラメータを含む患者レポート内に内蔵することができる。
【0438】
呼吸指数の変化は、臨床医が提供される現時点の療法が有効であるかどうかを評価することを許容し、且つ臨床医が提供される療法の変更を実施することを更に許容する。一例では、呼吸補助装置の動作パラメータ(例えば、処方設定)は、呼吸指数の変化に基づいてリモート更新することができる。
【0439】
7.利点
上述の実施形態の1つ又は複数は、以下の利点の1つ又は複数を提供することができる。
・臨床医が呼吸補助に関する決定を下すことを可能にする呼吸傾向の視覚的な追跡。例えば、実施形態は、負の傾向である傾向及び/又は閾値超である負の傾向を示し得る。
・決定が呼吸補助について実施され得るように、患者が不良の方向における傾向を有するというアラームの提供。
・患者が健康への悪影響を有する可能性が高く且つより侵襲的な呼吸補助にエスカレートさせることを含む呼吸補助の特定のレベル又は呼吸補助の特定のタイプを必要とすることを示唆する呼吸の傾向に基づいた装置によって導かれた決定。装置コントローラは、呼吸補助のレベルを自動的に変更するか又はアラームを生成し得る。
・エスカレーションが良好な結果を提供するように十分迅速に、但し、エスカレーションが不必要に早期に提供され得るほどには迅速にではなく、呼吸補助のエスカレーションに関する決定が実施されることを可能にすること。
・呼吸指数の変化又は変化のレートに基づいて患者の呼吸状態及び呼吸状態の変化を判定する自動化された方法。これは、より時間を所要し且つ/又は侵襲的である診断方法との比較で早期の警告を提供する。
・呼吸指数を判定し、且つ呼吸状態を評価する自動化された最小限に侵襲的な方法。
・病院又は自宅で評価フェーズのために使用され得る統合された検知ユニットとして機能する呼吸補助装置。
・改善された決定の実施。
・呼吸状態及び/又は呼吸指数が悪化した場合の呼吸補助のより迅速なエスカレーション。
・療法の管理を支援するための状態のリモート監視(例えば、自宅療養患者の監視)。実施形態は、呼吸指数の変化に基づいた臨床医から離れた患者の評価を支援することができる。
・呼吸装置は、装置を対照するための非侵襲的な検知ブロック/装置として機能する。呼吸指数は、装置内で算出される。呼吸指数の変化は、呼吸補助装置内又はリモート患者監視装置内でも算出することができる。
・NHF療法の有効性を評価し、且つ更にリモート環境内の患者が呼吸不全状態にあり得るかどうかの判定を支援し、且つその早期の警告を提供すること。
・(現時点の療法条件下でNHFの成功の予測とNHFの失敗の予測との間を弁別するために)呼吸指数閾値を設定するべき場所を知るには、異なる患者グループの経験的データが必要である。この理由は、COPDを有する患者の場合、予測される成功又は失敗の間を効果的に弁別する閾値が、例えば、肺炎を有する患者の場合、これを効果的に弁別し得ないからである。患者を評価するために呼吸指数値の変化を使用することは、閾値呼吸指数値が必要とされていないことから、この課題を克服する。
・臨床医は、患者の呼吸指数の値(及びこの値の非リアルタイム変化)のみを監視する場合、患者の状態の潜在的に問題を有する変化を見逃し得る。例えば、患者の呼吸数の潜在的に問題を有する増大は、FiO2が同時に減少する場合、その呼吸指数値の変化を結果的にもたらさない場合がある。患者の呼吸数のプロットをそのFiO2によって除算されたそのSpO2に照らして表示することにより、臨床医は、その指数値がそうではない場合にも、患者の呼吸数が増大しつつあることを観察することができる。同様に、呼吸数におけるこのような変化が発生した際には、このようなプロット上のデータ点に結合する1つ又は複数のベクトルの傾きに基づいたアラームを起動することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A-E】
【国際調査報告】