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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-08
(54)【発明の名称】処理装置の制御
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20230801BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20230801BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20230801BHJP
   G05B 13/02 20060101ALI20230801BHJP
   G05B 13/04 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/31 C
H01L21/02 Z
G05B13/02 A
G05B13/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501439
(86)(22)【出願日】2021-07-07
(85)【翻訳文提出日】2023-02-07
(86)【国際出願番号】 GB2021051725
(87)【国際公開番号】W WO2022008906
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】2010471.7
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514078210
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ エクセター
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・オースティン・デーリー
(72)【発明者】
【氏名】ギャヴィン・ランダル・テイバー
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・エドワード・フィールドセンド
【テーマコード(参考)】
5F004
5F045
5H004
【Fターム(参考)】
5F004BB18
5F004BD04
5F004BD06
5F004CB02
5F004CB06
5F004CB07
5F004CB09
5F004CB12
5F045AA08
5F045DP03
5F045EH11
5F045EH19
5F045GB05
5F045GB06
5F045GB08
5F045GB16
5H004GA05
5H004GB01
5H004GB15
5H004HA01
5H004HA02
5H004HA03
5H004HA04
5H004HA14
5H004HB01
5H004HB02
5H004HB03
5H004HB04
5H004HB14
5H004KC33
5H004KC34
5H004KC35
5H004KC42
5H004KC48
5H004KD31
5H004KD62
(57)【要約】
大まかに言えば、本技術は、訓練済み機械学習(ML)モデルを使用してリアルタイムでウエハ生産プロセスを制御するための方法およびシステムを提供する。有利には、MLモデルは、複数の感知されたパラメータを使用して、ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマの状態を決定し、そしてこれは、ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマリアクタの少なくとも1つの制御パラメータを調節して、プロセス変動性を軽減するために使用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
訓練済み機械学習(ML)モデルを使用してリアルタイムでウエハ生産プロセスを制御するための、コンピュータによって実施される方法であって、
リアルタイムで前記ウエハ生産プロセスを監視する複数のセンサからのセンサデータを受信するステップと、
前記訓練済みMLモデルのニューラルネットワークへ前記複数のセンサからの前記センサデータを入力するステップと、
前記訓練済みMLモデルを使用して、前記ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマの状態の潜在表現を生成するステップと、
前記生成された潜在表現を使用して、前記ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマリアクタの少なくとも1つの制御パラメータをリアルタイムで調節するステップとを含む、方法。
【請求項2】
センサデータを受信するステップが、
前記ウエハ生産プロセスに使用される前記プラズマの少なくとも1つの画像と、
前記プラズマの少なくとも1つの光学発光スペクトル写真とを受信するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
センサデータを受信するステップが、
前記プラズマリアクタに印加されるRF電力、前記プラズマリアクタ内部のチャンバファニチャの温度、前記プラズマリアクタ内部の圧力、前記プラズマリアクタ内へのガス流量、プラズマインピーダンス、およびプラズマ電子密度のうちの少なくとも1つを受信するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマの状態の潜在表現を生成するステップが、
前記ニューラルネットワークを使用して、前記センサデータを結合して、前記プラズマの前記状態のリアルタイムの潜在表現を生成するステップを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ニューラルネットワークがオートエンコーダを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記プラズマの前記状態の前記生成された潜在表現を前記プラズマの理想状態の所望の潜在表現と比較するステップと、
前記生成された潜在表現と所望の潜在表現の間のいかなる差も識別するステップと
を更に含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマリアクタの少なくとも1つの制御パラメータを調節するステップが、
前記生成された潜在表現と前記所望の潜在表現との間のいかなる識別された差も最小化するように調節するために前記ウエハ生産プロセスの少なくとも1つのパラメータを決定するステップと、
前記決定された少なくとも1つのパラメータを調節するステップとを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記生成された潜在表現と所望の潜在表現の間の前記識別された差が閾値を超える、または少なくとも1つのパラメータを調節することによって最小化できない場合、前記プラズマリアクタのオペレータに警告を出力するステップ
を更に含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記センサデータを結合するステップが、異なる空間および/または時間次元数を有するセンサデータを結合するステップを含む、請求項4から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
リアルタイムでウエハ生産プロセスを制御するための機械学習(ML)モデルを訓練するための、コンピュータによって実施される方法であって、
ウエハ生産プロセスを監視する複数のセンサからのセンサデータを含む訓練データを受信するステップと、
前記MLモデルのニューラルネットワークへ前記訓練データを入力するステップと、
前記ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマリアクタ内のプラズマの状態の潜在表現を生成するように、前記MLモデルの前記ニューラルネットワークを訓練するステップとを含む、方法。
【請求項11】
訓練データを受信するステップが、複数の組のデータ項目を受信するステップを含み、各組のデータ項目が、前記プラズマの画像および前記プラズマの光学発光スペクトル写真を含み、各組のデータ項目に対して、前記データ項目が同じ時点で収集される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
各組のデータ項目が、前記プラズマリアクタに印加されるRF電力、前記プラズマリアクタ内部の温度、前記プラズマリアクタ内部の圧力、前記プラズマリアクタ内へのガス流量、プラズマインピーダンス、およびプラズマ電子密度のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ニューラルネットワークを訓練するステップが、
各組のデータ項目を結合して、特定の時点での前記プラズマの前記状態の潜在表現を生成するように、前記ニューラルネットワークのエンコーダを訓練するステップを含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記ニューラルネットワークを訓練するステップが、
前記生成された潜在表現から、前記生成された潜在表現に対応する一組のデータ項目を再構築し、
バックプロパゲーションを使用して、前記一組のデータ項目と前記再構築された一組のデータ項目との間の差を最小化するように、前記ニューラルネットワークのデコーダを訓練するステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ニューラルネットワークを訓練するステップが、
前記ニューラルネットワークへ、前記プラズマの理想状態の所望の潜在表現を入力するステップと、
各生成された潜在表現と前記所望の潜在表現との間のいかなる差も識別するように前記ニューラルネットワークを訓練するステップと、
各生成された潜在表現と前記所望の潜在表現との間のいかなる識別された差も最小化するように調節するために前記ウエハ生産プロセスの少なくとも1つのパラメータを決定するステップとを更に含む、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
プロセッサ上に実装されると、前記プロセッサに請求項1から15のいずれか一項に記載の方法を実施させるコードを保持する非一時的データキャリア。
【請求項17】
ウエハ生産のためのシステムであって、
プラズマリアクタと、
ウエハ生産プロセスを監視するための複数のセンサと、
メモリに結合される少なくとも1つのプロセッサを備えかつ訓練済み機械学習(ML)モデルを備える、制御ユニットとを具備し、前記制御ユニットが、
リアルタイムで、前記ウエハ生産プロセスを監視する前記複数のセンサからのセンサデータを受信し、
前記訓練済みMLモデルのニューラルネットワークへ前記複数のセンサからの前記センサデータを入力し、
前記訓練済みMLモデルを使用して、前記ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマの状態の潜在表現を生成し、
前記生成された潜在表現を使用して、前記ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマリアクタの少なくとも1つの制御パラメータをリアルタイムで調節するように構成される、システム。
【請求項18】
前記複数のセンサが、温度センサ、圧力センサ、撮像デバイス、その場ウエハ計測装置、分光計、光学発光分光装置、無線周波数センサ、フォトダイオード、マイクロ波プローブ、流量センサの任意の1つまたは複数を含む、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、概して、処理装置の動作を制御することに関し、詳細には、例えばマイクロおよびナノスケールデバイスに使用するためのプラズマ堆積および/またはエッチングによるウエハの生産に使用するための処理装置の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハは、半導体の薄片であり、典型的に集積回路を作製するまたは太陽電池を製造するために使用されてよい。ウエハは、しばしばマイクロまたはナノスケールデバイスが構築される基板として使用される。ウエハは、一般に高純度かつ、理想的には、無欠陥の単結晶材料から形成される。上述の目的でウエハを使用するために、それらは、ドーピング、イオン注入、エッチング、薄膜堆積およびフォトリソグラフィなどの幾つかの作製プロセスを経る必要があり得る。
【0003】
そのような応用に使用するためのウエハの処理は複雑である。典型的に、エッチングおよび/または堆積のためにプラズマリアクタが使用され、そして一貫した、再現可能な形状のウエハを生産することができることが望ましいが、そのような配置のウエハの処理に関与する制御パラメータおよび変数の数は、達成するのが困難であるほど十分に高い。結果として、ウエハの処理の有意な量のプロセス変動性があり得る。プロセス変動性は、例えば、半導体から生産される集積回路(または「チップ」)の歩留り、そのようなチップの品質、および製造できるチップ設計の種類に影響する。処理変動性は、処理チャンバまたはプラズマリアクタの変動、時間の経過に伴うプロセスドリフト、およびプロセスエクスカーション(損傷した装置によってもたらされ得る)から生じ得る。
【0004】
エレクトロニクス産業において使用されるウエハが典型的にシリコンから形成されるのに対して、LED製造などの他の目的で化合物半導体ウエハが使用されてよい。化合物半導体ウエハは、例えば、ヒ化ガリウム、窒化ガリウムまたは炭化ケイ素からでよい。化合物半導体ウエハの使用は、特定の問題点を生じさせ得る。例えば、一部のウエハは2つの材料から形成されてよく、一方の半導体材料が別の半導体材料の上に成長される(例えば窒化ガリウムオンシリコン)。この場合、特にそのようなウエハがフォトニックまたは量子デバイスのために使用されると、2つの半導体材料間の界面または界面層がデバイス安定性問題などの問題点をもたらし得る。屈折率および表面粗さがそのようなデバイスの性能または安定性に影響するので、これに対する良好な制御を有することが望ましい。そのために、化合物半導体ウエハを形成するために使用される処理技術に対する良好な制御を有することが必要である。
【0005】
処理技術を制御することができるためには、処理が期待/要求どおりに行われているかどうかを判定するために処理に関する何らかのフィードバックを得ることができることが一般に有用である。そのために、例えば、プラズマの状態、プラズマリアクタまたはチャンバの条件、およびウエハの状態を測定することが有用であり得る。しかしながら、ウエハを生産するために使用されるプラズマは化学反応性が高く、プラズマチャンバ内のいかなる塵埃または残渣も、およびプラズマの状態を測定するために使用され得るいかなるプローブも含め、プラズマチャンバにおける何とでも相互作用する。相互作用はプラズマを変化させ、それによってウエハ生産に影響する。そのために、プラズマの状態を測定する非侵襲的技術を有することが望ましい。しかしながら、既存の非侵襲的技術は、プラズマ密度などの、具体的に所望される情報を提供しない。
【0006】
既存の制御戦略は、典型的に、ウエハのバッチの生産後に、ウエハの次のバッチが処理されることになるときに使用するための或る制御パラメータを調節するために使用され得る情報を導出するためにバッチの分析を使用できる開ループ戦略である。このように、プロセス変動およびドリフトを考慮できる。通常、ウエハのバッチは、1つの指定された計測ウエハを含んでおり、プロセスにおける各段階でまたは特定の段階で生産プロセスを検査するために使用される。ウエハ計測は、具体的には、表面粒子、パターン欠陥、およびウエハを使用するデバイスの性能に悪影響を及ぼし得る他の問題点を識別することができてよい。典型的に、分析は、処理を続ける価値があること、またはバッチが廃棄されるべきであるかどうかを確かめる各段階でのバッチ内の計測ウエハに対する迅速な検査、および後のバッチの処理に影響を及ぼす制御調節を確認するために使用されるより詳細な計測分析の形態をとる。より詳細な分析は時間がかかるので、生産遅延を回避するために、より詳細な分析が行われる間、処理は続けられてよい。例として、そのために、1番目のバッチのより詳細な計測分析の結果は、例えば4番目または5番目のバッチの処理のための調節をするのに利用可能になるだけでよい。分析は、後に処理されるバッチが使用されるのに十分に良品質でないことを明らかにし得るので、この処理方法論は、適切な修正処置がとられるようにするにはプロセスにおいて問題点があまりに遅く識別されることを通して比較的高い程度の無駄に至ることがある。この手法は、時間がかかり、コストがかかり、かつ上述したように、無駄が多くなることがある。
【0007】
先に述べられた手法の不利点を軽減する試みで、より低コストかつより迅速な非侵襲的診断手法に基づいて、処理済みウエハの完全分析を行うことによって達成されるであろう出力を予測するために、および将来のバッチの処理の制御の調節をする際にモデル化された出力を使用するために「仮想計測」モデルが使用される配置が知られている。この手法がコスト節減をすることができるという利益を有し、かつ分析手法を行うのにあまり時間がかからなくてよいのに対して、将来の生産品質は使用されるモデルの精度に依存しており、そしてモデルは典型的に非常に基本形であった。特に、2つの発光線の強度の比率などの、単純な特徴を抽出し、そしてモデルへの入力としてこれらを使用することによって、光学発光分光法など、非侵襲的診断データに典型的に簡易分析が行われ、そしてこのパラメータの変動が幾つかの原因から生じ得るので、モデル出力単独では、適切な修正処置がとられるようにするには不十分であり得るというリスクがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願人は、そのために公知の配置と関連付けられた不利点の少なくとも一部が克服されるまたは影響を軽減される処理装置の制御に使用するための制御方法の必要性を確認した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本技術の第1の手法では、訓練済み機械学習(ML)モデルを使用してリアルタイムでウエハ生産プロセスを制御するための、コンピュータによって実施される方法であって、リアルタイムでウエハ生産プロセスを監視する複数のセンサからのセンサデータを受信するステップと、訓練済みMLモデルのニューラルネットワークへ複数のセンサからのセンサデータを入力するステップと、訓練済みMLモデルを使用して、ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマの状態の潜在表現を生成するステップと、生成された潜在表現を使用して、ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマリアクタの少なくとも1つの制御パラメータをリアルタイムで調節するステップとを含む、方法が提供される。
【0010】
センサによって監視される処理特性は、例えば、RF電力、温度、圧力、ガス流量、ならびに電子密度、光カメラによって検出されるウエハの外観、および光学発光分光出力などの特性を含んでよい。しかしながら、本発明は、これらの具体的な特性およびパラメータに限定されず、所望により、他の特性およびパラメータに感応するセンサが使用されてよい。
【0011】
センサ情報の少なくとも一部は、極めて複雑な形式でよい。例として、それは、上述したように、光学発光分光出力または光学画像などのデータリッチソースを含んでよい。
【0012】
したがって、センサデータを受信するステップは、ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマの少なくとも1つの画像、およびプラズマの少なくとも1つの光学発光スペクトル写真を受信するステップを含んでよい。
【0013】
追加的または代替的に、センサデータを受信するステップは、プラズマリアクタに印加されるRF電力、プラズマリアクタ内部の温度、プラズマリアクタ内部の圧力、プラズマリアクタ内へのガス流量、プラズマインピーダンス、およびプラズマ電子密度のうちの少なくとも1つを受信するステップを含んでよい。
【0014】
ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマの状態の潜在表現を生成するステップは、ニューラルネットワークを使用して、センサデータを結合して、プラズマの状態のリアルタイムの潜在表現を生成するステップを含んでよい。
【0015】
機械学習モデルは、教師なし機械学習または深層学習モデルでよい。機械学習モデルのニューラルネットワークは、オートエンコーダを備えてよい。オートエンコーダは、複数のセンサ出力を単一の有意味表現へ合併するように、そして処理装置の制御パラメータを調節する際に使用するのに適切な出力(または調節された入力)をその表現から抽出するように動作可能でよい。このように、処理装置を制御する際に多数の特性を考慮できること、ならびに装置の制御パラメータを実質的にリアルタイムで調節でき、高生産速度を維持しつつ、製品均一性および一貫性に対する良好な制御水準、ならびに無駄の削減を許容することが理解されるであろう。このように、生産は、迅速かつ効率的に行われ得る。
【0016】
本方法は、プラズマの状態の生成された潜在表現をプラズマの理想状態の所望の潜在表現と比較するステップと、生成された潜在表現と所望の潜在表現の間のいかなる差も識別するステップとを更に含んでよい。
【0017】
比較および識別するステップは、次の通りに行われてよい。生成された潜在表現は、256フロートでよい。この事実は、所望のおよび生成された潜在表現間の総ユークリッド差を、潜在表現における各値間のユークリッド距離の単一のスカラまたは行列として計算するために使用されてよい。スカラまたは行列は、次いでMLモデルの強化学習モジュールへ送られ得る。ユークリッド距離も、報酬関数の一部として強化学習モジュールを訓練する際に使用され得る。
【0018】
代替的に、比較および識別するステップは、次の通りに行われてよい。生成されたおよび所望の潜在表現は、MLモデルの強化学習モジュールへ送られてよく、それが、2つの表現間の差を決定することを学習する。ユークリッド距離計算は、モデルを訓練するために強化学習モジュールの報酬関数を計算する際に使用されるだけでよい。
【0019】
所望の潜在表現は、全プロセスにわたって維持されるべきである単一の潜在表現でよく、または一連もしくは一組の潜在表現の1つでよく、プロセスの異なる段階で異なる潜在表現が所望されてよい。したがって、比較は、生成された潜在表現と比較するのに適切な所望の潜在表現を選択することを含んでよい。所望の潜在表現は、機械学習モデルの訓練によって決定または学習されてよい。
【0020】
好ましくは、ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマリアクタの少なくとも1つの制御パラメータを調節するステップは、生成された潜在表現と所望の潜在表現との間のいかなる識別された差も最小化するように調節するためにウエハ生産プロセスの少なくとも1つのパラメータを決定するステップと、決定された少なくとも1つのパラメータを調節するステップとを含んでよい。決定するステップは、例えば強化学習モジュールによってなど、MLモデルによって行われてよい。モジュールは、次の時間ステップまでに調節されるべき少なくとも1つのパラメータを出力してよい。
【0021】
本方法は、生成された潜在表現と所望の潜在表現の間の識別された差が閾値を超える、または少なくとも1つのパラメータを調節することによって最小化できない場合、プラズマリアクタのオペレータに警告を出力するステップを更に含んでよい。
【0022】
センサデータを(例えば、オートエンコーダを使用して)結合するステップは、異なる空間および/または時間次元数を有するセンサデータを結合するステップを含んでよい。或るオートエンコーダ入力は、それら自体ニューラルネットワーク等からの出力でよい。
【0023】
センサデータを結合するための技術例が記載されるが、センサデータはスペクトルデータおよび画像データである。画像データは、低スペクトル分解能および高空間分解能を有するRGB画像でよい。スペクトルデータは、高スペクトル分解能の空間平均であるスペクトルでよい。MLモデルの畳込みエンコーダが、各データ項目から別々に特徴を抽出することを学習するために分岐してよく、そしてMLモデルのディープエンコーダが、抽出された特徴を結合することを学習してよい。
【0024】
異なる時間分解能データに対して、データを結合するために2つの技術が使用され得る。例えば、何十秒にもわたって平均エッチまたは堆積速度を提供するその場ウエハ計測方法/センサから入力センサデータが得られる(完全ウエハ干渉計から得られ得るものなど)場合、データは、まず時間平均計測データをディープエンコーダまでMLモデルにおけるそれ自身の分岐に通し、次いで以下の技術の1つを適用することによって、その時間にわたって収集される全てのスペクトルと結合され得る。1つの技術は、各スペクトルを畳込み分岐に通して特徴を抽出し、それらの特徴を長短期記憶(LSTM)ネットワークのような時系列ネットワークに通し、次いでLSTMネットワークの出力をディープエンコーダに渡すことを含む。別の技術は、光学発光スペクトルを重ね合わせて2Dスペクトル写真を作成し、そしてこれをディープエンコーダまで、画像分岐と同様の分岐に通すことを含む。これらの技術の両方とも、より高いまたは低い次元で同様に作用する。
【0025】
本技術の第2の手法では、リアルタイムでウエハ生産プロセスを制御するための機械学習(ML)モデルを訓練するための、コンピュータによって実施される方法であって、ウエハ生産プロセスを監視する複数のセンサからのセンサデータを含む訓練データを受信するステップと、MLモデルのニューラルネットワークへ訓練データを入力するステップと、ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマリアクタ内のプラズマの状態の潜在表現を生成するようにMLモデルのニューラルネットワークを訓練するステップとを含む、方法が提供される。
【0026】
訓練データを受信するステップは、複数の組のデータ項目を受信するステップを含んでよく、各組のデータ項目は、プラズマの画像およびプラズマの光学発光スペクトル写真を含み、各組のデータ項目に対して、データ項目は同じ時点で収集される。
【0027】
各組のデータ項目は、プラズマリアクタに印加されるRF電力、プラズマリアクタ内部のチャンバファニチャの温度、プラズマリアクタ内部の圧力、プラズマリアクタ内へのガス流量、プラズマインピーダンス、およびプラズマ電子密度のうちの少なくとも1つを更に含んでよい。
【0028】
ニューラルネットワークを訓練するステップは、各組のデータ項目を結合して、特定の時点でのプラズマの状態の潜在表現を生成するようにニューラルネットワークのエンコーダを訓練するステップを含んでよい。
【0029】
ニューラルネットワークを訓練するステップは、生成された潜在表現から、生成された潜在表現に対応する一組のデータ項目を再構築し、バックプロパゲーションを使用して、一組のデータ項目と再構築された一組のデータ項目との間の差を最小化するようにニューラルネットワークのデコーダを訓練するステップから更に成ってよい。
【0030】
ニューラルネットワークを訓練するステップは、ニューラルネットワークへ、プラズマの理想状態の所望の潜在表現を入力するステップと、各生成された潜在表現と所望の潜在表現との間のいかなる差も識別するようにニューラルネットワークを訓練するステップと、各生成された潜在表現と所望の潜在表現との間のいかなる識別された差も最小化するように調節するためにウエハ生産プロセスの少なくとも1つのパラメータを決定するステップとを更に含んでよい。決定するステップは、例えば強化学習エージェント/モジュールによってなど、MLモデルによって行われてよい。モジュールは、次の時間ステップまでに調節されるべき少なくとも1つのパラメータを出力してよい。
【0031】
本技術の第3の手法では、ウエハ生産のためのシステムであって、プラズマリアクタと、ウエハ生産プロセスを監視するための複数のセンサと、メモリに結合される少なくとも1つのプロセッサを備えかつ訓練済み機械学習(ML)モデルを備える、制御ユニットとを具備し、制御ユニットが、リアルタイムで、ウエハ生産プロセスを監視する複数のセンサからのセンサデータを受信し、訓練済みMLモデルのニューラルネットワークへ複数のセンサからのセンサデータを入力し、訓練済みMLモデルを使用して、ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマの状態の潜在表現を生成し、生成された潜在表現を使用して、ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマリアクタの少なくとも1つの制御パラメータをリアルタイムで調節するように配置される、システムが提供される。
【0032】
第1の手法に関して上記した特徴が第3の手法に等しく当てはまる。
【0033】
複数のセンサは、温度センサ、圧力センサ、撮像デバイス、その場ウエハ計測装置、分光計、光学発光分光装置、無線周波数センサ、フォトダイオード、マイクロ波プローブ、流量センサの任意の1つまたは複数を含んでよい。
【0034】
本技術の関連手法では、本明細書に記載される方法、プロセスおよび技術のいずれかを実装するプロセッサ制御コードを保持する非一時的データキャリアが提供される。
【0035】
当業者によって理解されるであろうが、本技術は、システム、方法またはコンピュータプログラム製品として具現化され得る。それゆえに、本技術は、完全にハードウェア実施形態、完全にソフトウェア実施形態、またはソフトウェアおよびハードウェア態様を組み合わせた実施形態の形態をとり得る。
【0036】
更には、本技術は、コンピュータ可読プログラムコードが具現化されたコンピュータ可読媒体で具現化されるコンピュータプログラム製品の形態をとり得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体またはコンピュータ可読記憶媒体でよい。コンピュータ可読媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁、赤外線もしくは半導体システム、装置もしくはデバイス、または上記の任意の適切な組合せでよいが、これに限定されない。
【0037】
本技術の動作を実施するためのコンピュータプログラムコードは、オブジェクト指向プログラミング言語および従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれ得る。コードコンポーネントは、手順、方法等として具現化され得、そしてネイティブ命令セットの直接機械命令から高級コンパイラ型またはインタープリタ型言語要素まで、いかなる抽象度でも命令または命令のシーケンスの形態をとり得るサブコンポーネントを含み得る。
【0038】
本技術の実施形態は、プロセッサ上に実装されると、プロセッサに本明細書に記載される方法のいずれかを実施させるコードを保持する非一時的データキャリアも提供する。
【0039】
本技術は、例えば汎用コンピュータシステム上にまたはデジタル信号プロセッサ(DSP)上に上記の方法を実装するプロセッサ制御コードを更に提供する。本技術は、実行すると、特に非一時的データキャリア上に、上記方法のいずれかを実装するプロセッサ制御コードを保持するキャリアも提供する。コードは、ディスク、マイクロプロセッサ、CDもしくはDVD-ROMなどのキャリア、不揮発性メモリ(例えばフラッシュ)もしくはリードオンリメモリ(ファームウェア)などのプログラムされたメモリ、または光もしくは電気信号搬送波などのデータ搬送波上に設けられ得る。本明細書に記載される技術の実施形態を実装するコード(および/またはデータ)は、Cなどの従来のプログラミング言語(インタプリタ型もしくはコンパイラ型)のソース、オブジェクトもしくは実行可能コード、またはアセンブリコード、ASIC(特定用途向け集積回路)またはFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)を設定または制御するためのコード、あるいはVerilog(RTM)またはVHDL(超高速集積回路ハードウェア記述言語)などのハードウェア記述言語のためのコードを含んでよい。当業者は理解するであろうが、そのようなコードおよび/またはデータは、互いと通信する複数の結合されたコンポーネント間で分散され得る。本技術は、システムのコンポーネントの1つまたは複数に結合されるマイクロプロセッサ、ワーキングメモリおよびプログラムメモリを含むコントローラを備えてよい。
【0040】
本技術の実施形態に係る論理的方法の全てまたは一部が、上記の方法のステップを行う論理素子を備える論理装置に適切に具現化され得ること、およびそのような論理素子が、例えばプログラマブル論理アレイまたは特定用途向け集積回路における論理ゲートなどのコンポーネントを含み得ることも当業者に明らかであろう。そのような論理配置は、更に、例えば、固定のまたは伝送可能なキャリア媒体を使用して記憶および伝送され得る、仮想ハードウェア記述子言語を使用してそのようなアレイまたは回路に論理構造を一時的または永続的に確立するための実施可能な要素に具現化され得る。
【0041】
一実施形態において、本技術は、複数プロセッサまたは制御回路を使用して実装され得る。本技術は、装置のオペレーティングシステム上で実行するように適合されても、またはそれに組み込まれてもよい。
【0042】
一実施形態において、本技術は、機能データを有するデータキャリアの形態で実現され得るが、上記機能データは、コンピュータシステムまたはネットワークへロードされて、それによって作用されると、上記コンピュータシステムが上記の方法の全てのステップを行うことを可能にする機能コンピュータデータ構造を備える。
【0043】
本発明を、例として、添付図面を参照しつつ更に記載することにする。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】ウエハ生産のためのシステムの概略ブロック図である。
図2】訓練済み機械学習モデルを使用してリアルタイムでウエハ生産プロセスを制御するステップ例を例示するフローチャートである。
図3】制御装置の一部を示す図である。
図4A】リアルタイムでウエハ生産プロセスを制御する際に使用するための機械学習モデル例を例示する概要図である。
図4B】リアルタイムでウエハ生産プロセスを制御する際に使用するための機械学習モデル例を例示する概要図である。
図5】機械学習モデルを訓練するためのデータを収集するために使用される実験データ掃引パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
大まかに言えば、本技術は、訓練済み機械学習(ML)モデルを使用してリアルタイムでウエハ生産プロセスを制御するための方法およびシステムを提供する。有利には、MLモデルは、複数の感知されたパラメータを使用して、ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマの状態を決定し、そしてこれは、ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマリアクタの少なくとも1つの制御パラメータを調節して、プロセス変動性を軽減するために使用できる。
【0046】
図1は、ウエハ生産のためのシステム10(「ウエハ処理装置」とも本明細書において称される)の概略ブロック図である。システム10は、使用中に、処理されるべきウエハが位置する処理チャンバまたはプラズマリアクタ12を備える。用語「処理チャンバ」および「プラズマリアクタ」は本明細書において互換的に使用される。プロセスガスが、供給源14から処理チャンバ12に供給される。プロセスガスが処理チャンバ12に供給される速度を制御および監視するように制御調量および弁構造16が動作可能である。励磁コイル18が処理チャンバ12を取り囲む。処理チャンバ12にプロセスガスの制御されたパルスを送り出しつつ、励磁コイル18に適切な変動信号を印加することによって、処理チャンバ12内に位置するウエハのプラズマエッチングまたはプラズマ堆積が制御された方式で達成され得ることが理解されるであろう。プラズマエッチングおよび/または堆積は、このように周知であるので、本明細書に更に詳細に記載されることはない。
【0047】
システム10は、処理チャンバ12と関連付けられた幾つかのセンサ13を備えてよい。センサの出力13Aが、例えば適切にプログラムされたコンピュータの形態の制御ユニット20に供給される。適切にプログラムされたコンピュータが制御ユニット20を構成するとして記載されるが、制御ユニット20が他の形態をとり得、かつ処理装置10の制御に使用するために特に設計されるデバイスを備え得ると理解されるであろう。制御ユニット20は、メモリに結合される少なくとも1つのプロセッサを備えてよい。少なくとも1つのプロセッサは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラおよび集積回路の1つまたは複数を含んでよい。メモリは、一時メモリとして使用するための、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの、揮発性メモリ、および/または、例えばデータ、プログラムもしくは命令を記憶するための、フラッシュ、リードオンリメモリ(ROM)もしくは電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)などの不揮発性メモリを含んでよい。
【0048】
センサは、この処理チャンバ12と関連付けられた幾つかのパラメータに感応する。センサ13は、処理チャンバ12内の温度および圧力条件に感応する温度および圧力センサ22、ウエハの外観の監視を許容するために位置決めされる光カメラ24、その場ウエハ計測装置26、分光計28、ならびに他の光モニタまたはセンサ30の任意の1つまたは複数を含んでよい。加えて、制御ユニット20には、プロセスガス制御調量および弁構造16からの流量情報、ならびにインピーダンス、位相および電圧情報が供給される。
【0049】
センサ13は、プラズマの特性を測定するための幾つかのセンサを含んでよい。センサは、処理チャンバ12内のプラズマを撮像するための撮像デバイス(例えばカメラもしくはRGBカメラ)、光学発光スペクトル装置、無線周波数センサ、フォトダイオード、および/またはマイクロ波プローブを含んでよい。
【0050】
センサ13は、ウエハのバッチ内の指定された計測ウエハの特性を決定するための1つまたは複数のその場計測センサを含んでよい。計測センサは、完全ウエハ干渉計および/または分光反射率計でよい。
【0051】
センサ13は、圧力、電圧、温度等などの、処理チャンバの特性を測定するための1つまたは複数のセンサを含んでよい。
【0052】
好ましくは、所与の時点でのプラズマの正確な潜在表現を生成するために、センサデータは、複数センサから同時に収集される。センサデータは、例えば、一定の時間間隔で、または特定の処理ステップが行われた後に収集されてよい。
【0053】
温度および圧力などのセンサ出力13aの一部が比較的単純な形式でよいこと、しかし分光計出力および光カメラ出力など、他のものが極めて複雑な、データリッチ形式でよいことが理解されるであろう。
【0054】
制御ユニット20は、下記するように、以下に述べる受信したセンサ情報に応答してコイル18ならびに制御調量および弁構造16の動作など、処理装置10の制御パラメータ(ならびに所望により、処理装置10と関連付けられた他の制御パラメータ)を制御するように動作可能である。
【0055】
したがって、システム10は、プラズマリアクタ12と、ウエハ生産プロセスを監視するための複数のセンサ13と、メモリに結合される少なくとも1つのプロセッサを備える、制御ユニット20とを具備する。制御ユニット20は、訓練済み機械学習(ML)モデル(図示せず)を更に備える。制御ユニット20は、リアルタイムで、ウエハ生産プロセスを監視する複数のセンサ13からのセンサデータを受信し、訓練済みMLモデルのニューラルネットワークへ複数のセンサからのセンサデータを入力し、訓練済みMLモデルを使用して、ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマの状態の潜在表現を生成し、生成された潜在表現を使用して、ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマリアクタ12の少なくとも1つの制御パラメータをリアルタイムで調節するように配置される。
【0056】
図3に図示されるように、制御ユニット20の機械学習モデルは、教師なし機械学習モデルまたは深層学習モデルでよい。MLモデルのニューラルネットワークは、様々なセンサ出力13aが互いと結合されて、理想、所望または目標の表現と比較できる単一の有意味表現(すなわちプラズマの状態の潜在表現)を形成するエンコーダ34、およびデコーダ36を定めるオートエンコーダ32を備えてよい。デコーダ36は、MLモデルの訓練中、生成された潜在表現から入力を再構築しようと試みる。デコーダは、そのために、モデル訓練プロセスの一部として、再構築された入力と潜在表現を生成するために使用された元の入力データとの間の誤差を低減させるために使用される。MLモデルが訓練された後に、制御ユニット20は、エンコーダ34によって発生される生成された潜在表現を使用して、制御調量および弁構造16によって制御されるガス流量などの、処理装置の制御パラメータを制御または調節する。このように、装置が動作している仕方の変動および処理されているウエハの変動を補償するため、良好な水準の製品均一性を達成するため、ならびに制御装置が容認不可能な品質の製品を生産することを通して発生される無駄の程度を低下させるために、ウエハ処理を実質的にリアルタイムで制御できることが理解されるであろう。
【0057】
オートエンコーダは、センサ出力を任意の適切な方式で結合し得るので、所望により、異なる時間または空間次元数のデータが結合されてよい。
【0058】
図2は、訓練済み機械学習モデルを使用してリアルタイムでウエハ生産プロセスを制御するステップ例を例示するフローチャートである。コンピュータによって実施される方法は、リアルタイムでウエハ生産プロセスを監視する複数のセンサからのセンサデータを受信するステップ(ステップS100)を含む。センサデータを受信するステップは、ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマの少なくとも1つの画像、およびプラズマの少なくとも1つの光学発光スペクトル写真を受信するステップを含んでよい。追加的または代替的に、センサデータを受信するステップは、プラズマリアクタに印加されるRF電力、プラズマリアクタ内部の温度、プラズマリアクタ内部の圧力、プラズマリアクタ内へのガス流量、プラズマインピーダンス、およびプラズマ電子密度のうちの少なくとも1つを受信するステップを含んでよい。
【0059】
本方法は、訓練済みMLモデルのニューラルネットワークへ複数のセンサからのセンサデータを入力するステップ(ステップS102)を含んでよい。
【0060】
本方法は、訓練済みMLモデルを使用して、ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマの状態の潜在表現を生成するステップ(ステップS104)を含んでよい。ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマの状態の潜在表現を生成するステップは、ニューラルネットワークを使用して、センサデータを結合して、プラズマの状態のリアルタイムの潜在表現を生成するステップを含んでよい。
【0061】
本方法は、プラズマの状態の生成された潜在表現をプラズマの理想状態の所望の潜在表現と比較するステップと、生成された潜在表現と所望の潜在表現の間のいかなる差も識別するステップとを更に含んでよい。
【0062】
本方法は、生成された潜在表現を使用して、ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマリアクタの少なくとも1つの制御パラメータをリアルタイムで調節するステップ(ステップS106)を含んでよい。好ましくは、ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマリアクタの少なくとも1つの制御パラメータを調節するステップは、生成された潜在表現と所望の潜在表現との間のいかなる識別された差も最小化するように調節するためにウエハ生産プロセスの少なくとも1つのパラメータを決定するステップと、決定された少なくとも1つのパラメータを調節するステップとを含んでよい。
【0063】
任意選択で、本方法は、生成された潜在表現と所望の潜在表現の間の識別された差が閾値を超える、または少なくとも1つのパラメータを調節することによって最小化できない場合、プラズマリアクタのオペレータに警告を出力するステップ(ステップS108)を更に含んでよい。
【0064】
図4Aは、リアルタイムでウエハ生産プロセスを制御する際に使用するための機械学習モデル例を例示する概要図である。この例では、モデルの訓練中も推論中も、プラズマの状態の潜在表現を決定するためにモデルへ画像およびスペクトル(例えば光学発光スペクトル)が入力される。モデルの左手側だけでは、推論中に(すなわち実行時の間に)使用される。左手側は、MLモデルのニューラルネットワークのエンコーダ部分を図示しており、潜在表現を生成するために使用される。右手側は、ニューラルネットワークのデコーダ部分を図示しており、モデルの訓練中に使用される。
【0065】
リアルタイムでウエハ生産プロセスを制御するための機械学習(ML)モデルを訓練するための、コンピュータによって実施される方法が、ウエハ生産プロセスを監視する複数のセンサからのセンサデータを含む訓練データを受信するステップと、MLモデルのニューラルネットワークへ訓練データを入力するステップと、ウエハ生産プロセスに使用されるプラズマリアクタ内のプラズマの状態の潜在表現を生成するようにMLモデルのニューラルネットワークを訓練するステップとを含んでよい。
【0066】
図4Aに図示されるように、訓練データを受信するステップは、複数の組のデータ項目を受信するステップを含んでよく、各組のデータ項目は、プラズマの画像およびプラズマの光学発光スペクトル写真を含む。各組のデータ項目に対して、データ項目は同じ時点で収集される。これは、所与の時点でのプラズマの状態のより正確な表現が生成されることを可能にする。
【0067】
センサからのデータを収集して訓練データを形成することは、何十万ものデータ点を収集するために異なるプラズマ条件を使用して何日もの間システム10を実行することを含んでよい。特に、複数の時点での画像およびスペクトル対が収集されてよい。異なるプラズマ条件は、高次元数(2つの電極電力、圧力、3つの温度(テーブル、壁、ライナ)、多くの可能な混合物の6~10のプロセスガス)のパラメータ空間にわたる条件のサンプルを表す。図5は、機械学習モデルを訓練するためのデータを収集するために使用される実験データ掃引パターンを図示する。空間にわたって効率的にサンプリングすべきデータ点の準ランダム系列を生成し、次いでパラメータ空間にわたって(図5に図示される掃引プロットに従って)掃引してデータを収集するために、ソボル系列が使用されてよい。掃引は、例えば8秒毎に行われてよく、同じ周波数でパラメータが変更される。
【0068】
図4Aは、オートエンコーダにおける接続を図示する。1つの分岐がモデルの他の全ての部分および分岐を訓練および支配し得るので、モデル全体を同時に訓練することはうまくいかないことが分かっている。そのために、図4A中の各センサ分岐が個々に訓練される必要があり得ると判断されている。各センサ分岐が訓練された後に決定されるニューラルネットワーク重みが、次いで完全オートエンコーダに転送されてよい。
【0069】
図4Aに図示されるように、各入力センサデータは、まずMLモデルのエンコーダによって別々に扱われる。例えば、画像データは、低スペクトル分解能および高空間分解能を有するRGB画像でよく、そしてスペクトルデータは、高スペクトル分解能の空間平均であるスペクトルでよい。MLモデルの畳込みエンコーダが、図4A中の分岐によって図示されるように、各データ項目から別々に特徴を抽出することを学習するために分岐してよく、そしてMLモデルのディープエンコーダが、抽出された特徴を結合することを学習してよい。特徴抽出を行うために任意の適切な技術が使用されてよい。
【0070】
異なる時間分解能データに対して、データを結合するために2つの技術が使用され得る。例えば、何十秒にもわたって平均エッチまたは堆積速度を提供するその場ウエハ計測方法/センサから入力センサデータが得られる(完全ウエハ干渉計から得られ得るものなど)場合、データは、まず時間平均計測データをディープエンコーダまでMLモデルにおけるそれ自身の分岐に通し、次いで以下の技術の1つを適用することによって、その時間にわたって収集される全てのスペクトルと結合され得る。1つの技術は、各スペクトルを畳込み分岐に通して特徴を抽出し、それらの特徴を長短期記憶(LSTM)ネットワークのような時系列ネットワークに通し、次いでLSTMネットワークの出力をディープエンコーダに渡すことを含む。別の技術は、光学発光スペクトルを重ね合わせて2Dスペクトル写真を作成し、そしてこれをディープエンコーダまで、画像分岐と同様の分岐に通すことを含む。これらの技術の両方とも、より高いまたは低い次元で同様に作用する。
【0071】
エンコーダ全体におけるセンサディープデコーダの出力の二乗平均平方根誤差が計算されて、個々の事前訓練済み個別センサエンコーダ上の同じ出力と比較される。これは、訓練の間各センサから同様の表現を形成するようにニューラルネットワークを導くのを促進するが、全体の低損失に至る良好な表現を見つけるように訓練する際の十分な自由をディープエンコーダ、潜在表現およびディープデコーダに与える。
【0072】
図4Bは、リアルタイムでウエハ生産プロセスを制御する際に使用するための更なる機械学習モデル例を例示する概要図である。これは、訓練中も推論中も、追加のセンサデータがどのように潜在表現を生成するために使用され得るかを図示する。そのために、モデルを訓練するために(および推論時に)使用される各組のデータ項目は、プラズマリアクタに印加されるRF電力、プラズマリアクタ内部の温度、プラズマリアクタ内部の圧力、プラズマリアクタ内へのガス流量、プラズマインピーダンス、およびプラズマ電子密度のうちの少なくとも1つを更に含んでよい。
【0073】
ニューラルネットワークを訓練するステップが、各組のデータ項目を結合して、特定の時点でのプラズマの状態の潜在表現を生成するようにニューラルネットワークのエンコーダを訓練するステップを含んでよいことが図4Aおよび図4Bから見て取ることができる。
【0074】
同様に、図4Aおよび図4Bは、どのようにして、ニューラルネットワークを訓練するステップが、生成された潜在表現から、生成された潜在表現に対応する一組のデータ項目を再構築し、バックプロパゲーションを使用して、一組のデータ項目と再構築された一組のデータ項目との間の差を最小化するようにニューラルネットワークのデコーダを訓練するステップから更に成ってよいかを図示する。
【0075】
ニューラルネットワークを訓練するステップは、ニューラルネットワークへ、プラズマの理想状態の所望の潜在表現を入力するステップと、各生成された潜在表現と所望の潜在表現との間のいかなる差も識別するようにニューラルネットワークを訓練するステップと、各生成された潜在表現と所望の潜在表現との間のいかなる識別された差も最小化するように調節するためにウエハ生産プロセスの少なくとも1つのパラメータを決定するステップとを更に含んでよい。
【0076】
目標表現との単一の有意味表現の比較は、好ましくは、強化学習エージェント/モジュールが単一の有意味表現と目標表現との間の差を示す連続報酬信号を受信し、そして訓練中に、制御パラメータの調節がどのように報酬信号に影響するかを学習する、強化学習技術を使用して行われる。一旦訓練されると、強化学習エージェントは、その知識を利用して、処理装置を、それによって生産される製品が容認可能な品質水準である安定条件に維持する。生産中、報酬信号は、追加訓練、および挙動の徐変に対して調節すべき制御パラメータになされる調節を達成するためにまだ使用できる。報酬信号の急変によって挙動の急変が注目、識別される場合、オペレータは通知され、そして処理装置10はシャットダウンしてよい。
【0077】
本発明によれば、処理装置の動作を制御する際に、多数のセンサ出力が実質的にリアルタイムで使用され得ることが理解されるであろう。それゆえに、ウエハの処理の変動が迅速に対処され得、強化された製品均一性に至る。広範囲のパラメータまたは特性に感応する幾つかのセンサの出力を使用して、閉ループ制御が達成され得る。
【0078】
更なる実施形態例および特徴が以下の番号付き段落に記載される。
【実施例1】
【0079】
ウエハの処理に使用される処理装置を制御する際に使用するための制御方法であって、製品および/または処理特性に感応する複数のセンサからのセンサ情報を受信するステップと、教師なし機械学習または深層学習モデルへセンサ情報を入力するステップと、処理装置の少なくとも1つの制御パラメータを調節する際に、実質的にリアルタイムで、モデルの出力を使用するステップとを含む、方法。
【実施例2】
【0080】
センサによって監視される処理特性が、RF電力、温度、圧力、ガス流量、ならびに電子密度、光カメラによって検出されるウエハの外観、および光学発光分光出力などの特性の少なくとも1つを含む、実施例1の方法。
【実施例3】
【0081】
教師なし機械学習または深層学習モデルがニューラルネットワークを備える、実施例1の方法。
【実施例4】
【0082】
ニューラルネットワークが、複数のセンサ出力を単一の有意味表現へ合併するように、そして処理装置の制御パラメータを調節する際に使用するのに適切な出力(または調節された入力)をその表現から抽出するように動作可能なオートエンコーダを含む、実施例3の方法。
【実施例5】
【0083】
オートエンコーダが異なる空間および/または時間次元数のデータを結合する、実施例4の方法。
【実施例6】
【0084】
オートエンコーダ入力の一部が、それら自体ニューラルネットワーク等からの出力である、実施例4または実施例5の方法。
【実施例7】
【0085】
処理チャンバと、製品および/または処理特性に感応する複数のセンサと、センサからのセンサ情報が供給される制御ユニットとを具備し、制御ユニットが、実質的にリアルタイムで、処理装置の少なくとも1つの制御パラメータを制御するために使用される出力を発生するように動作可能な教師なし機械学習または深層学習モデルを備える、処理装置。
【0086】
当業者は、以上に本技術を行う最良の形態および適切な場合には他の形態であると考えられることを記載したが、本技術が、好適な実施形態の本明細書に開示される具体的な構成および方法に限定されるべきでないことを理解するであろう。当業者は、本技術が広範囲の応用を有すること、および実施形態が、添付の特許請求の範囲に定められるいかなる発明概念からも逸脱することなく広範囲の変更をとり得ることを認識するであろう。
【符号の説明】
【0087】
10 システム
12 処理チャンバ
13 センサ
14 プロセスガス源
16 制御調量および弁構造
18 励磁コイル
20 制御ユニット
22 温度および圧力センサ
24 光カメラ
26 その場ウエハ計測装置
28 分光計
30 他のセンサ
32 オートエンコーダ
34 エンコーダ
36 デコーダ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
【国際調査報告】