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特表2023-534224プラスチックのモノマーへの高温熱分解
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  • 特表-プラスチックのモノマーへの高温熱分解 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-08
(54)【発明の名称】プラスチックのモノマーへの高温熱分解
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/12 20060101AFI20230801BHJP
【FI】
C08J11/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501679
(86)(22)【出願日】2021-07-08
(85)【翻訳文提出日】2023-03-02
(86)【国際出願番号】 US2021070850
(87)【国際公開番号】W WO2022016178
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】63/050,787
(32)【優先日】2020-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598055242
【氏名又は名称】ユーオーピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】シー、イーリー
(72)【発明者】
【氏名】バーガー、ポール ティー.
(72)【発明者】
【氏名】アブレバヤ、ハイム
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA08
4F401BA06
4F401CA67
4F401CA70
4F401CA88
4F401CB09
4F401FA01Z
4F401FA07Z
(57)【要約】

廃棄プラスチックから高収率のエチレン、プロピレン、及び他の軽質オレフィンを生成することができる高温プラスチック熱分解プロセスが開示される。プラスチック供給物は、600~900℃の高温で、エチレン及びプロピレンなどのモノマーに直接熱分解される。熱分解中、プラスチック供給物は、0.6~20の炭素供給物対希釈剤ガスモル比で希釈剤ガス流と接触させられる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックをモノマーに変換するためのプロセスであって、
プラスチック供給物流を600~1100℃の高温まで加熱することと、
0.6~20の炭素供給物対希釈剤ガスモル比で、前記プラスチック供給物流を希釈剤ガス流と接触させることと、
前記プラスチックを、モノマーを含むガス状生成物に熱分解することと、
前記ガス状生成物から前記モノマーを回収することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記プラスチック供給物流を高温熱担体粒子流と接触させて、前記プラスチック供給物流を加熱することを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記希釈剤ガス流で前記高温熱担体粒子流を持ち上げることを更に含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記高温熱担体粒子流を持ち上げて、前記プラスチック供給物流と接触させることを更に含む、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記ガス状生成物から前記熱担体粒子を分離することを更に含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項6】
前記接触させる工程が反応器中で行われ、前記分離された熱担体粒子を再加熱器中で再加熱することと、前記再加熱器から前記反応器に前記高温熱担体粒子流を再循環させることと、を更に含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記再加熱器内で燃料ガスを燃焼させて、前記高温熱担体粒子流を再加熱することを更に含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項8】
冷却液で前記ガス状生成物を急冷して、熱分解反応を停止させることを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
水で前記ガス状生成物を急冷することと、急冷された生成物を、生成物ガス流と、生成物液体流と、水性流とに分離することと、を更に含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記生成物ガス流を圧縮することと、苛性アルカリで前記生成物ガス流を洗浄して、酸性ガスを吸収することと、を更に含む、請求項9に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の記載)
本出願は、2020年7月11日に出願された、米国特許仮出願第63/050787号の優先権を主張し、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
分野は、モノマーを生成するためのプラスチック材料のリサイクルである。
【背景技術】
【0003】
廃棄プラスチックの回収及びリサイクルは、数十年にわたってプロセスの最初の手順に参加してきた一般大衆によって深い関心を持たれている。過去のプラスチックリサイクルパラダイムは、機械的リサイクルとして説明することができる。機械的リサイクルは、リサイクル可能なプラスチック物品を選別し、洗浄し、溶融プラスチック材料に溶融して、新しくきれいな物品に再成形することを伴う。しかしながら、この機械的リサイクルプロセスは、経済的であることがまだ証明されていない。溶融及び再成形のパラダイムは、経済的及び質的なものを含むいくつかの制限に直面している。材料回収施設でのリサイクル可能なプラスチック物品の収集は、リサイクル可能なプラスチック物品から分離されなければならなかった非プラスチック物品を必然的に含む。同様に、収集された異なるプラスチックの物品は、溶融を受ける前に互いに分離されなければならず、これは、異なるプラスチックで成形された物品は、典型的には、同じプラスチックで成形された物品の品質を有しないであろうためである。収集されたプラスチック物品を非プラスチック物品から分離し、次いで、同じプラスチックに分離することは、プロセスに費用を追加し、そのためあまり経済的ではない。追加的に、リサイクル可能なプラスチック物品は、溶融及び再成形の前に非プラスチック残留物を除去するために適切に汚れ落としをしなければならず、これもプロセスの費用を増加させる。回収されたプラスチックはまた、バージングレード樹脂の品質を保有していない。プラスチックリサイクルプロセスの負担の重い経済性及び再生プラスチックのより低い品質が、この再生可能資源の広範な再生を妨げてきた。
【0004】
パラダイムシフトにより、化学産業は、廃棄プラスチックをリサイクルするための新しいケミカルリサイクルプロセスに急速に対応することが可能になった。新しいパラダイムは、350~600℃で動作される熱分解プロセスにおいてリサイクル可能なプラスチックを液体に化学的に変換することである。液体は、製油所で燃料、石油化学製品、更にはモノマーに精製され得、これらを再重合して、バージンプラスチック樹脂を作製することができる。熱分解プロセスは、プロセスに供給されるプラスチック材料から収集された非プラスチック材料を分離することを依然として必要とするが、プラスチック材料の汚れ落とし及びおそらく選別は、ケミカルリサイクルにおいてそれほど重要ではない場合がある。
【0005】
より高温の熱分解が研究中であり、更なる精製なしにプラスチックを直接モノマーに変換するための経路と見られている。プラスチックをモノマーに戻す変換は、現在まだ完全には経済的に開発されていない再生可能資源をリサイクルする循環的な方法を提示する。必要とされているのは、プラスチック物品を直接モノマーに戻して変換する実行可能なプロセスである。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、廃棄プラスチックから高収率のエチレン、プロピレン、及び他の軽質オレフィンを生成することができる高温プラスチック熱分解プロセスを記載する。プラスチック供給物は、600~1100℃の高温で、エチレン及びプロピレンなどのモノマーに直接熱分解される。熱分解中、プラスチック供給物は、0.6~20のプラスチック供給物中の炭素原子対希釈剤ガスモル比で希釈剤ガス流と接触させられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示のプロセス及び装置の概略図である。
【0008】
定義
「連通」という用語は、列挙された構成要素間で流体の流れが動作可能に許容されることを意味し、これは「流体連通」として特徴付けることができる。
【0009】
「下流連通」という用語は、下流連通している対象に流れる流体の少なくとも一部が、流体連通している物体から動作可能に流れることができることを意味する。
【0010】
「上流連通」という用語は、上流連通している対象から流れる流体の少なくとも一部が、流体連通している物体に動作可能に流れることができることを意味する。
【0011】
「直接連通」という用語は、上流構成要素からの流体の流れが、任意の他の介在容器を通過することなく下流構成要素に入ることを意味する。
【0012】
「間接連通」という用語は、上流構成要素からの流体の流れが、介在する容器を通過した後に下流構成要素に入ることを意味する。
【0013】
「バイパス」という用語は、物体が、少なくともバイパスする程度までバイパス対象との下流連通から外れていることを意味する。
【0014】
「優勢な(predominant)」、「優勢(predominance)」、「優勢である(predominate)」という用語は、50%超、好適には75%超、好ましくは90%超を意味する。
【0015】
「炭素対ガスモル比」という用語は、プラスチック供給物流中の炭素原子のモル比と希釈剤ガス流中のガスのモル比との比を意味する。バッチプロセスの場合、炭素対ガスモル比は、反応器内のプラスチック中の炭素原子のモル数と反応器に添加されるガスのモル数との比である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明者らは、プラスチックをC2~C4オレフィンモノマーに直接変換することができる、600~1100℃で動作するプロセス高温プラスチック熱分解プロセスを発見した。試験データは、高収率の生成物モノマーを示した。この処理経路は、低温プラスチック熱分解油をモノマー生成物に変換するために必要とされるであろう多数の精製ユニットをバイパスする。また、この処理経路は、機械的リサイクルが達成することができないバージングレード材料と同等のプラスチックにモノマーを再重合することができるので、機械的リサイクルよりも優れている。
【0017】
プラスチック供給物は、ポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィンを含むことができる。任意の種類のポリオレフィンプラスチックが、他のモノマーとランダムに又はブロックコポリマーとして混合された場合であっても許容される。したがって、このプロセスによれば、より広い範囲のプラスチックがリサイクルされ得る。また、本発明者らは、プラスチック供給物が混合ポリオレフィンであり得ることも見出した。ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリブチレンは、一緒に混合することができる。追加的に、他のポリマーをポリオレフィンプラスチックと混合することができるか、又はそれ自体で供給物として提供することができる。単独で又は他のポリマーとともに使用することができる他のポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリウレタン、及びポリスルホンが挙げられる。このプロセスはプラスチック供給物を、軽質オレフィンを含むより小さい分子に熱分解するので、多くの異なるプラスチックを供給物中に使用することができる。プラスチック供給物流は、紙、木材、アルミニウム箔、いくつかの金属導電性充填剤、又はハロゲン化若しくは非ハロゲン化難燃剤などの非プラスチック不純物を含有してもよい。
【0018】
例示的なプラスチック熱分解プロセス10が図1に示されている。プロセスへの供給物は、おそらく材料回収設備からの使用済みプラスチックであり、これは、供給物入口15を通して供給ライン14内の高温熱分解反応器(high-temperature pyrolysis reactor、HTPR)12に供給される。プラスチック供給物は、コンパクト化プラスチック物品の分離されたベイルからの圧縮されたプラスチック物品であり得る。プラスチック物品は、HTPR12に供給され得るプラスチックチップ又は粒子に細断することができる。オーガ又は高架ホッパーを使用して、プラスチック供給物を完全な物品又はチップとして反応器内に輸送することができる。プラスチック物品又はチップは、プラスチックの融点より高く加熱して溶融物にし、HTPR12に注入又はオーガで送ることができる。オーガは、プラスチック物品全体をHTPR12内に移動させ、同時にオーガ内のプラスチック物品を摩擦又は間接熱交換によって溶融して、溶融状態で反応器に入る溶融物にするように動作することができる。
【0019】
HTPR12内に注入されるプラスチック供給物は、希釈剤ガス流と接触させてもよい。希釈剤ガス流は、好ましくは不活性であるが、炭化水素ガスであってもよい。蒸気は、好ましい希釈剤ガス流である。希釈剤ガス流は、反応性オレフィン生成物を互いに分離して、軽質オレフィンへの選択性を保持し、したがって、軽質オレフィンの高級オレフィンへのオリゴマー化又は軽質ガスへの過分解を回避する。希釈剤ガス流は、希釈剤ライン18から分配器を通して提供されてもよく、希釈剤入口19を通して分配されてもよい。希釈剤ガス流は、希釈剤入口19を通してHTPR12内に吹き込まれてもよい。希釈剤入口19は、HTPR12の底部にあってもよい。希釈剤ガス流は、HTPR12の供給物入口15から反応器の出口20へプラスチック供給物を送り込むために使用されてもよい。一態様では、供給物入口15は、HTPR12の下端にあってもよく、出口20は、反応器の上端にあってもよい。HTPR12の壁16の内部は、反応器を絶縁し、その熱を保存するために、耐火ライニングで被覆されてもよい。
【0020】
プラスチック供給物は、600~1100℃、好適には少なくとも800℃、好ましくは850~950℃の熱分解温度まで加熱されるべきである。高温熱分解温度は、プラスチックがHTPR12に供給され得るプラスチックの溶融温度よりもはるかに高くなるであろう。プラスチック供給物は、HTPR12に供給される前に高温熱分解温度に予熱することができるが、好ましくは、HTPR12に入った後に高温熱分解温度に加熱される。一実施形態では、プラスチック供給物は、高温熱担体粒子流と接触させることによって高温熱分解温度まで加熱される。高温熱担体粒子流は、担体ライン22において粒子入口23を通って反応器に供給され得る。一態様では、粒子入口23は、希釈剤入口19とプラスチック供給物入口15との間に位置してもよい。次いで、希釈剤ガス流は、高温熱担体粒子流と接触してそれを移動させ、供給ライン14から供給物入口15を通るプラスチック供給物と接触させる。
【0021】
熱担体粒子流及びプラスチック供給物流は、HTPR12に入る前に互いに接触することが企図され、この場合、プラスチック供給物流及び熱担体粒子流は、同じ入口を通ってHTPR12に入り得る。また、希釈剤ガス流の一部又は全部が熱担体粒子を反応器内に送り込むことができることも企図され、この場合、希釈剤ガス流及び熱担体粒子流が同じ入口を通ってHTPR12に入ることができる。追加的に、希釈剤ガス流は、プラスチック供給物を反応器内に送り込むことができ、この場合、希釈剤ガス流及びプラスチック供給物流は、同じ入口を通ってHTPR12に入ることができる。プラスチック供給物流及び熱担体粒子流は、希釈剤ガス流の一部又は全部によってHTPR12内に送り込まれてもよいことも企図され、その場合、希釈剤流、プラスチック供給物流、及び熱担体粒子流の少なくとも一部が全て同じ入口を通ってHTPR12に入ることができる。
【0022】
別の実施形態では、供給物入口15及び粒子入口23は、反応器の上端に位置してもよく、そこからダウナ反応器配置(図示せず)内に一緒に落下することができる。希釈剤ガス流は、この実施形態では、供給物及び熱担体粒子を上方に流動化するようには機能しない。
【0023】
プラスチック供給物を熱分解温度に加熱すると、プラスチック供給物は、気化し、熱分解して、軽質オレフィンを含むより小さい分子になる。蒸発及びより大きなモル数への変換は、両方とも体積を増加させ、反応器出口20に向かう供給物及び熱分解生成物の急速な移動を引き起こす。プラスチック供給物の体積膨張により、供給物及び生成物を出口に急速に移動させるために希釈剤ガス流は必要ではない。しかしながら、希釈剤ガスはまた、生成物オレフィンを互いに分離し、かつ熱担体粒子から分離して、オリゴマー化及び過分解(これらは両方とも軽質オレフィン選択性を低下させる)を防止する働きをする。したがって、希釈剤ガス流を用いて、プラスチック供給物流を、熱分解を受けながら、高温熱担体粒子流と接触させ、反応器出口20に向かって移動させることができる。一態様では、本発明者らは、希釈剤ガス流を0.6~20の高い炭素対ガスモル比で導入することができることを見出した。炭素対ガスモル比は、少なくとも0.7、好適には少なくとも0.8、より好適には少なくとも0.9、最も好適には少なくとも1.0であり得る。一態様では、炭素対ガスモル比は15を超えなくてもよく、好適には12を超えなくてもよく、より好適には9を超えなくてもよく、最も好適には7を超えなくてもよく、好ましくは5を超えない。高い炭素対ガスモル比は、重要なことに、生成ガスを含む他のガスから分離されなければならない希釈剤ガスの量を減少させる。
【0024】
高温熱担体粒子流は、砂などの不活性固体微粒子であり得る。追加的に、球状粒子は、希釈剤ガス流によって最も容易に持ち上げられ又は流動化され得る。球状αアルミナは、熱担体粒子にとって好ましい材料であり得る。球状αアルミナは、アルミナ溶液を噴霧乾燥し、続いてアルミナをα-アルミナ結晶相に変換する温度でそれをか焼することによって形成され得る。一実施形態では、熱担体粒子は、反応器に供給されるプラスチック物品、チップ、又は溶融物よりも小さい平均直径を有するべきである。熱担体粒子の平均直径は、粒子の最大平均直径を指す。プラスチック溶融物は、典型的には、熱担体粒子よりも大きい平均直径を有するモルテングロビュールで反応器に入ることができる。
【0025】
プラスチック供給物は、高速熱分解及び他の熱分解方法(真空熱分解、低速熱分解など)を含む様々な熱分解方法を使用して熱分解することができる。高速熱分解は、非常に短い滞留時間、典型的には0.5秒~0.5分、比較的高い温度を供給原料に急速に付与することと、次いで、化学平衡が起こり得る前に熱分解生成物の温度を急速に低下させることと、を含む。このアプローチによって、ポリマーの構造は、解重合及び揮発反応によって最初に形成されるが、いかなる有意な長さの時間も持続しない、反応性化学フラグメントに分解される。高速熱分解は、様々な熱分解反応器(固定床熱分解反応器、流動化床熱分解反応器、循環流動化床反応器、又は高速熱分解が可能な他の熱分解反応器など)において実施することができる、強力で短時間のプロセスである。
【0026】
熱分解プロセスは、チャーと呼ばれる炭素含有固体、熱担体粒子上に蓄積するコークス、並びにオレフィン及び水素ガスを含む炭化水素を含む熱分解ガスを生成する。
【0027】
熱担体粒子及びプラスチック供給物流は、希釈剤ガス流によって反応器内で流動化され得る。プラスチック供給物流及び熱担体粒子流は、希釈剤入口19を通ってHTPR12に連続的に入る希釈剤ガス流によって流動化され得る。熱担体粒子及びプラスチック供給物流は、高密度起泡床で流動化することができる。溶融プラスチック及び熱担体粒子は、塊中のプラスチックが完全に熱分解してガスになるまで、一緒に凝固して塊になり得る。起泡床では、希釈剤ガス流及び気化したプラスチックが気泡を形成し、この気泡は、高密度微粒子床の識別可能な上面を通って上昇する。ガス中に同伴された熱担体粒子のみが蒸気とともに反応器から出る。流体に作製され、かつHTPR12に供給されるプラスチック供給物の場合、起泡床におけるガスの空塔速度は、典型的には、3.4m/s(11.2ft/s)未満であり、高密度床の密度は、典型的には、475kg/m(49.6lb/ft)超となる。固体粒子として供給されるか、又は溶融物としてHTPR12に供給されて、これによって、プラスチック供給物及び熱担体粒子が塊に凝固する、固体プラスチック供給物の場合、固体プラスチック供給物の空塔速度は2.7m/s(9ft/s)未満となり、床の密度は274kg/m(17.1lb/ft)超となる。熱担体粒子とガスとの混合物は不均一であり、浸透性の蒸気が触媒をバイパスする。高密度起泡床において、ガスは反応器出口20から出る。一方、固体熱担体粒子及びチャーは、HTPR12の底部出口(図示せず)から出ることができる。
【0028】
一態様では、HTPR12は、熱担体粒子の希釈相を用いて、高速流動化流れレジーム又は輸送若しくは空気搬送流れレジームで動作することができる。HTPR12は、ライザ反応器として動作する。高速流動化流れ及び輸送流れレジームにおいて、熱分解を受ける熱担体粒子及び溶融プラスチックの塊の流、ガス状熱分解プラスチック、並びに希釈剤ガス流は、一緒に上方に流れる。両方の場合において、プラスチック及び熱担体粒子塊の準高密度床は、HTPR12の底部で熱分解を受ける。プラスチック及び熱担体粒子の塊は、熱分解による十分なサイズ減少の際に上方に輸送される。希釈剤ガス流は、プラスチック供給物流及び熱担体粒子流を持ち上げることができる。分離器30がHTPR12の外側に位置する場合、ガスと熱担体粒子との混合物は、反応器出口20から一緒に排出されてもよい。分離器30がHTPR12内に位置する場合、ガスは反応器出口20から排出され、熱担体粒子及びチャーは追加の熱担体粒子出口から出る。典型的には、熱担体粒子を排出する反応器出口20は、熱担体粒子入口23の上方にある。更に、ガス状生成物からの熱担体粒子の分離は、熱担体粒子入口23及び/又は供給物入口15の上方で、輸送及び高速流動化流れレジームで行われる。
【0029】
高速流動化流れレジームにおける流体供給物の密度は、少なくとも274kg/m(17.1lb/ft)~475kg/m(49.6lb/ft)であり、輸送流れレジームでは274kg/m3(17.1lb/ft)以下となる。高速流動化流れレジームにおいて塊に凝固するプラスチック供給物の密度は、少なくとも120kg/m(7.5lb/ft)~274kg/m(17.1lb/ft)であり、輸送流れレジームでは120kg/m3(7.5lb/ft)以下となる。空塔ガス速度は、典型的には、プラスチックで凝固された熱担体粒子の塊のための高速流動化流れレジームにおいて、少なくとも2.7m/s(9ft/s)~8.8m/s(28.9ft/s)となる。輸送流れレジームにおいて、空塔ガス速度は、プラスチックで凝固された熱担体粒子の塊に対して少なくとも8.8m/s(28.9ft/s)となる。空塔ガス速度は、典型的には、流体プラスチック供給物のための高速流動化流れレジームにおいて少なくとも3.4m/s(11.2ft/s)~7.3m/s(15.8ft/s)となる。輸送流れレジームにおいて、空塔ガス速度は、流体プラスチック供給物に対して少なくとも7.3m/s(15.8ft/s)となる。希釈剤ガス流及び生成ガスは、高速流動化流れレジームで上昇するが、高温固形物はガスに対してスリップする場合があり、ガスは間接的な上向きの軌道を取ることができる。輸送流れレジームでは、より少ない固形物がスリップするであろう。反応器中のプラスチック及び生成ガスの滞留時間は1~20秒となり、典型的には10秒以下となる。
【0030】
熱担体粒子、希釈剤ガス流、及び熱分解生成ガスを含む反応器流出物は、反応器流出物ライン28内の反応器出口20を通ってHTPR12から出て、分離器30に輸送され得る。一態様では、分離器30は、HTPR12内に位置してもよい。分離器30がHTPR12内に位置する場合、熱担体粒子、希釈剤ガス流、及び熱分解生成ガスは、分離器30内に入る。ライン28内の反応器流出物は、600~1100℃の温度及び1.5~2.0バール(ゲージ)の圧力となる。
【0031】
分離器30は、求心加速度を利用して熱担体粒子を熱分解されたガス状生成物から分離する、サイクロン分離器であってもよい。反応器流出物ライン28は、反応器流出物を、典型的には水平方向に角度の付いた軌道でサイクロン分離器30に接線方向に流し込み、反応器流出物を求心的に加速させることができる。求心加速度は、より高密度の熱担体粒子を外向きに重力落下させる。粒子は角運動量を失い、サイクロン分離器30内を下降して下部触媒床に入り、熱担体浸漬ライン32を通って出る。より低密度のガス状生成物はサイクロン30内を上昇し、移送ライン34を通って排出される。一態様では、熱分解ガス生成物は、ストリッピングガスを浸漬ライン32の下端に添加することによって、ライン32内の熱担体粒子からストリッピングされ得る。この実施形態では、ストリッピングガス及びストリッピングされた熱分解ガスは、移送ライン34において分離器30から出る。
【0032】
一実施形態では、移送ライン34内の高温熱分解生成物流を直ちに急冷して、高温熱分解生成物流中の軽質オレフィン選択性を低下させるために起こり得る水素移動反応及び過分解を防止かつ停止させることができる。急冷は以下の様式で行うことができるが、他の急冷プロセスも企図される。高温熱分解生成物流は、おそらく水との間接熱交換によって冷却されて、移送ライン交換器36において希釈剤ガス流のための蒸気を作製することができる。ライン38内の交換された高温熱分解生成物流は、300~400℃の温度であってもよい。一態様では、交換された高温熱分解生成物流は、水との間接熱交換によって完全に急冷されて、移送ライン交換器36において蒸気を生成し得る。交換された高温熱分解生成物流が間接熱交換によって完全に急冷される場合、完全に冷却された高温熱分解生成物流は、30~60℃及び約1~1.3バール(ゲージ)の大気圧で移送ライン交換器36から出ることができ、そのため、蒸気状高温熱分解生成物流のより軽質な成分が凝縮することができる。
【0033】
代替的に、ライン38内の交換された高温熱分解生成物流は、油急冷チャンバ42内で、ライン40からの燃料油などの油流で直ちに急冷されて、交換された高温熱分解生成物流を更に急冷することができる。油流は、流れている交換された高温熱分解生成物流中に横方向に噴霧することができる。交換された高温熱分解生成物流は蒸気相中に残るが、油流は油急冷チャンバ42の底部から出る。油急冷チャンバ42から出た後の油流は、冷却され、油急冷チャンバに再循環されてもよい。油急冷されたガス状生成物流は、ライン44で油急冷チャンバから出て、更なる急冷のために水急冷チャンバ46に送達され得る。ライン44内の油急冷されたガス状生成物流は、水急冷チャンバ46内でライン48からの水流で直ちに急冷されて、油急冷されたガス状生成物流を更に急冷することができる。水流は、流れている油急冷ガス状生成物流中に横方向に噴霧することができる。水急冷されたガス状生成物流は、30~60℃及び約1~1.3バール(ゲージ)の大気圧まで冷却され、そのため、ガス状生成物流のより軟質な成分が凝縮する。
【0034】
移送ライン交換器36が、油又は水で直接急冷することなく移送ライン34内のガス状熱分解生成物流を間接的に冷却する1つ又は一連の熱交換器を含むことができる実施形態では、移送ライン38は、移送ライン交換器36を高温熱分解分離器55に直接接続する。
【0035】
ライン54内の高温熱分解生成物流は、移送ライン熱交換器36内で間接的にのみ急冷されるか、又は追加的に急冷チャンバ42及び46内で直接的に急冷されるかにかかわらず、急速冷却により部分的に凝縮される。高温熱分解生成物流は、高温熱分解分離器55内で分離されて、分離器の頂部から延在するオーバーヘッドライン52内のガス状高温熱分解生成物流を、分離器の底部から延在する底部ライン57内の液体高温熱分解生成物流から分離する。分離器55は、HTPR12と下流連通していてもよい。一実施形態では、水急冷チャンバ46から生じるような水性流が存在する場合、ライン50内の水性流を高温熱分解分離器55内のブートから除去することができる。C5+炭化水素を含む液体高温熱分解生成物流は、ライン57においてブートより上の水急冷チャンバから除去することができる。
【0036】
水ライン50内の水性流は、おそらく移送ライン交換器36及び/又は水ライン交換器56における熱交換によって気化され、希釈剤ガス流として使用されてもよい。ブロワー58は、希釈剤ライン19を通して希釈剤入口19を介してHTPR12内に蒸気を吹き込む。
【0037】
オーバーヘッドライン52内のガス状熱分解生成物流は、圧縮機80内で2~3MPa(ゲージ)に圧縮することができる。次いで、100~150℃の圧縮されたガス状熱分解生成物流を、苛性ライン82内の苛性洗浄容器90に供給することができる。苛性洗浄容器90において、圧縮されたガス状生成物流は、ライン92を通って苛性洗浄容器90に供給される水酸化ナトリウム水溶液と接触して、二酸化炭素などの酸性ガスを水酸化ナトリウムに吸収する。二酸化炭素及び水酸化ナトリウムは炭酸ナトリウムを生成し、炭酸ナトリウムは水相に入り、再生かつ再循環される苛性底部ライン96を通って酸性ガスリッチ流として出る。洗浄されたガス状高温熱分解生成物流は、分解ガスライン94において排出され、乾燥機100に供給されて、残留水分を除去する。
【0038】
乾燥機100では、洗浄されたガス状高温熱分解生成物流を、シリカゲルなどの吸着剤と接触させて水を吸着させるか、又は加熱して水を蒸発させて、ガス状高温熱分解生成物流から除去することによって、洗浄されたガス状高温熱分解生成物流から水が除去される。水流は、水ライン104において乾燥機100から除去される。乾燥ガス状高温熱分解生成物流は、乾燥分解ガスライン102において回収される。
【0039】
乾燥ガス状高温熱分解生成物流は、C2、C3、及びC4オレフィンを含み、これらは回収され、重合によってプラスチックを生成するために使用され得る。本発明者らは、ガス状生成物から回収される生成物の少なくとも50重量%、典型的には少なくとも60重量%、好適には少なくとも70重量%が、有用なエチレン、プロピレン、及びブチレン生成物であることを見出した。より低く、より経済的な炭素対希釈剤ガスモル比では、回収された生成物の少なくとも40重量%が有用な軽質オレフィンであることが見出された。これらの軽質オレフィンの回収は、プラスチックをリサイクルするための循環経済を表す。重合プラントは現場にあってもよく、又は回収されたオレフィンは重合プラントに輸送されてもよい。
【0040】
分離器30に戻ると、熱担体浸漬ライン32内の熱担体粒子は、熱分解プロセスからの蓄積したコークスを有し得る。また、熱分解プロセスからのチャー残留物はまた、最終的に熱担体浸漬ライン32内の固形物となる場合がある。熱担体粒子はまた、HTPR12においてそれらの熱の多くを放出しており、再加熱される必要がある。したがって、熱担体浸漬ライン32は、熱担体粒子及びチャーを再加熱器60に送達する。
【0041】
態様では、再加熱器60に入る熱担体粒子の大部分は、分離器30を通過する。一実施形態では、再加熱器60に入る熱担体粒子の全てが分離器30を通過する。
【0042】
熱担体粒子及びチャーは、再加熱器60に供給され、ライン62内の空気などの酸素供給ガスと接触して、冷たい熱担体粒子上のチャー及びコークスを燃焼させる。再加熱器60は、HTPR12とは別個の容器である。コークスは、燃焼条件で酸素供給ガスと接触させることによって使用済み触媒から燃焼除去される。燃焼熱は、熱担体粒子を再加熱する働きをする。10~15kgの空気が、熱担体粒子の燃焼除去されたコークス1kg当たり必要である。HTPR12内の熱分解反応を駆動するのに十分な熱を生成するために、必要であれば、ライン64内の燃料ガス流を再加熱器60に加えてもよい。燃料ガスは、ライン102のガス状高温熱分解生成物流から回収されたパラフィンから得ることができる。例示的な再加熱条件は、再加熱器60において700℃~1000℃の温度及び1~5バール(絶対値)の圧力を含む。
【0043】
再加熱された熱担体粒子流は、再加熱器60の温度で熱担体粒子入口23を通ってライン22内の高温熱分解反応器12に再循環される。煙道ガス及び同伴されたチャーは、ライン66で再加熱器から出て、サイクロン70に送達され、サイクロン70は、オーバーヘッドライン72内の排気ガスをライン74内の固体灰生成物から分離する。
【実施例
【0044】
高温でHDPEプラスチック供給物の熱分解反応を行った。プラスチックペレットを、水冷ジャケット付きの管を通して、流動化α-アルミナ粒子の加熱床中に落下させて、高温熱分解プロセスをシミュレートした。窒素ガスを使用して、プラスチックペレットをその冷えた管を通して流動化床に送達し、熱担体粒子の床を流動化した。窒素掃引ガスを使用して、水冷ジャケットの周りの床の上に放出された熱分解プラスチックガスを掃引して、熱分解反応を急冷した。窒素掃引ガスは、プラスチックペレットの熱分解中に流動化床中のプラスチックとともに存在しなかったので、炭素対ガスモル比の計算には考慮しなかった。ガスクロマトグラフィを使用して、熱分解の生成物を測定した。様々な熱分解条件及び生成物組成を表に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
生成物の40重量%が、高い価値を有するC2~C4オレフィンを含む。有用な芳香族の生成もまた重要である。
【0047】
特定の実施形態
以下は、特定の実施形態と併せて説明するが、本明細書は、前述の説明及び添付の特許請求の範囲の範囲を例解するものであり、限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【0048】
本発明の第1の実施形態は、プラスチックをモノマーに変換するためのプロセスであって、プラスチック供給物流を600~1100℃の高温まで加熱することと、0.6~20の炭素供給物対希釈剤ガスモル比で、プラスチック供給物流を希釈剤ガス流と接触させることと、プラスチックを、モノマーを含むガス状生成物に熱分解することと、ガス状生成物からモノマーを回収することと、を含む、プロセスである。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、プラスチック供給物流を高温熱担体粒子流と接触させて、プラスチック供給物流を加熱することを更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、希釈剤ガス流で高温熱担体粒子流を持ち上げることを更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、高温熱担体粒子流を持ち上げて、プラスチック供給物流と接触させることを更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、ガス状生成物から熱担体粒子を分離することを更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、接触させる工程が反応器中で行われ、分離された熱担体粒子を再加熱器中で再加熱することと、再加熱器から反応器に高温熱担体粒子流を再循環させることと、を更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、再加熱器内で燃料ガスを燃焼させて、高温熱担体粒子流を再加熱することを更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、冷却液でガス状生成物を急冷して、熱分解反応を停止させることを更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、水でガス状生成物を急冷することと、急冷された生成物を、生成物ガス流と、生成物液体流と、水性流とに分離することと、を更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、生成物ガス流を圧縮することと、苛性アルカリで生成物ガス流を洗浄して、酸性ガスを吸収することと、を更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、接触させる工程は、耐火ライニングを有する反応器内で行われる。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、プラスチック供給物流は、微粒子形態である。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、プラスチック供給物流をその融点超に予熱することを更に含む。
【0049】
本発明の第2の実施形態は、プラスチックをモノマーに変換するためのプロセスであって、高温でプラスチック供給物流を高温熱担体粒子流と接触させて、0.6~20の炭素供給物対希釈剤ガスモル比で、希釈剤ガス流の存在下で、プラスチック供給物流を600~1100℃の温度まで加熱することと、プラスチックを、モノマーを含むガス状生成物に熱分解することと、ガス状生成物からモノマーを回収することと、を含む、プロセスである。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、希釈剤ガス流で高温熱担体粒子流を持ち上げることを更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、ガス状生成物から熱担体粒子を分離することを更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、接触させる工程が反応器中で行われ、分離された熱担体粒子を再加熱器中で再加熱することと、再加熱器から反応器に高温熱担体粒子流を再循環させることと、を更に含む。
【0050】
本発明の第3の実施形態は、プラスチックをモノマーに変換するためのプロセスであって、反応器内で高温でプラスチック供給物流を高温熱担体粒子流と接触させて、0.6~20の炭素供給物対希釈剤ガスモル比で、希釈剤ガス流の存在下で、プラスチック供給物流を600~1100℃の温度まで加熱することと、プラスチックを、モノマーを含むガス状生成物に熱分解することと、ガス状生成物から熱担体粒子を分離することと、ガス状生成物からモノマーを回収することと、分離された熱担体粒子を再加熱器中で再加熱することと、再加熱器から反応器に高温熱担体粒子流を再循環させることと、を更に含む、プロセスである。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第3の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、希釈剤ガス流で高温熱担体粒子流を持ち上げることを更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第3の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、再加熱器内で燃料ガスを燃焼させて、高温熱担体粒子流を再加熱することを更に含む。更に詳述することなく、前述の説明を使用して、当業者が、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく本開示を最大限まで利用し、かつ本開示の本質的な特性を容易に確認することができ、本開示の様々な変更及び修正を行い、様々な使用及び条件に適合させることができると考えられる。したがって、先行する好ましい特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなるようにも本開示の残りを限定するものではなく、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる様々な修正及び同等の構成を網羅することを意図するものである。
【0051】
上記では、全ての温度は摂氏度で記載され、全ての部及び百分率は、別途記載のない限り、重量基準である。
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-03-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックをモノマーに変換するためのプロセスであって、
プラスチック供給物流を600~1100℃の高温まで加熱することと、
0.6~20の炭素供給物対希釈剤ガスモル比で、前記プラスチック供給物流を希釈剤ガス流と接触させることと、
前記プラスチックを、モノマーを含むガス状生成物に熱分解することと、
前記ガス状生成物から前記モノマーを回収することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記プラスチック供給物流を高温熱担体粒子流と接触させて、前記プラスチック供給物流を加熱することを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記希釈剤ガス流で前記高温熱担体粒子流を持ち上げることを更に含む、請求項2に記載のプロセス。

【国際調査報告】