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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-08
(54)【発明の名称】水性顔料インク
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/106 20140101AFI20230801BHJP
   C09D 11/30 20140101ALI20230801BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230801BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
C09D11/106
C09D11/30
B41J2/01 501
B41M5/00 120
B41M5/00 100
B41M5/00 110
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501853
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-01-12
(86)【国際出願番号】 GB2021053326
(87)【国際公開番号】W WO2022129919
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/127,295
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/142,101
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507385165
【氏名又は名称】サン ケミカル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォレス、ポール
(72)【発明者】
【氏名】マシューズ、 ジェイムズ
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4J039
【Fターム(参考)】
2C056FC01
2H186AB12
2H186BA08
2H186DA09
2H186DA10
2H186DA18
2H186FB11
2H186FB15
2H186FB16
2H186FB17
2H186FB18
2H186FB25
2H186FB29
2H186FB48
2H186FB55
2H186FB58
4J039AD03
4J039AD06
4J039AD09
4J039AD13
4J039AD14
4J039AE06
4J039BC07
4J039BC09
4J039BC10
4J039BC12
4J039BC13
4J039BE01
4J039BE12
4J039BE22
4J039CA06
4J039EA46
4J039GA24
(57)【要約】
本発明は、225mgKOH/g以上の酸価を有するポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマー、225mgKOH/g以上の酸価を有するポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマー又はそれらの組み合わせから選択されるポリマーを含み、コポリマーがリチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム又は第4級アンモニウム塩若しくはそれらの組み合わせである印刷インク組成物に関するものである。印刷インク組成物は、特に化学的プライマー層または化学的前処理を必要とせずに、非多孔質基材に直接印刷するのに適している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
≧225mgKOH/gの酸価を有するポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマー、≧225mgKOH/gの酸価を有するポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマー、またはそれらの組み合わせから選択されるポリマーを含む印刷インク組成物であって、
当該コポリマーが、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは第4級アンモニウム塩、またはそれらの組み合わせである、前記の印刷インク組成物。
【請求項2】
ポリマーがポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリマーがポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
1つ以上の着色剤;水;及び少なくとも1つの有機共溶媒をさらに含み、好ましくは、1つ以上の着色剤は、無機又は有機顔料である、任意の前記請求項に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも単一のノズルを介して堆積するのに適したインクジェットインクである、任意の前記請求項に記載の組成物。
【請求項6】
ポリマー中のマレイン酸またはマレアミド酸の繰り返し単位が、モノナトリウム塩、ジナトリウム塩、モノアンモニウム塩、ジアンモニウム塩、モノ第4級アンモニウム塩またはジ第4級アンモニウム塩である、任意の前記請求項に記載の組成物。
【請求項7】
第4級アンモニウム塩が、有機アミンの第4級アンモニウム塩であり、ここで有機アミンは、第一級、第二級及び第三級脂肪族アミン又はヒドロキシル-若しくはアルコキシルアミン及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは有機アミンはヒドロキシルアミンであり、好ましくはアミノエチルプロパノール又はジメチルエタノールアミンである、任意の前記請求項に記載された組成物。
【請求項8】
ポリマーがポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーのモノまたはジナトリウム塩、好ましくはポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーのジナトリウム塩である、請求項2または4~6に記載の組成物。
【請求項9】
ポリマーが、ポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーのモノアンモニウム塩である、請求項3~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
ポリマーが、ポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーのモノ第4級アンモニウム塩であり、好ましくは、モノ第4級アンモニウム塩がアミノエチルプロパノールの第4級アンモニウム塩である、請求項3~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
ポリマーの酸価が255mgKOH/g以上である、任意の前記請求項に記載の組成物。
【請求項12】
ポリマーの酸価が225~550mgKOH/g、好ましくは255~550mgKOH/gである、任意の前記請求項に記載の組成物。
【請求項13】
ポリマーの分子量が、≧3,000ダルトン、好ましくは≧3,500ダルトンである、任意の前記請求項に記載の組成物。
【請求項14】
ポリマーの分子量が3,000~20,000ダルトン、好ましくは3,500~15,000ダルトンである、任意の前記請求項に記載の組成物。
【請求項15】
組成物が、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーおよび/またはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーである単一のポリマー型を含む、任意の前記請求項に記載の組成物。
【請求項16】
ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーが、スチレンモノマーとマレイン酸モノマーの塩からなる、任意の前記請求項に記載の組成物。
【請求項17】
ポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーが、スチレンモノマーとマレアミド酸モノマーの塩からなる、請求項1~16のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーまたはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーが、無水マレイン酸残基を含まない、任意の前記請求項に記載の組成物。
【請求項19】
ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマー固形分0.1~5%;好ましくは0.5~5%、より好ましくは0.5~4%、さらに好ましくは0.5~3.25%;さらになお好ましくは0.5~3.2%、最も好ましくは0.6~3.1%を含む、請求項1、2、4~8、11~16または18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
ポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマー固形分0.1~5%;好ましくは0.5~5%、より好ましくは0.5~4%、さらに好ましくは0.5~3.25%;さらになお好ましくは0.5~3.2%、最も好ましくは0.6~3.1%を含む、請求項1、3~7、9~15、17または18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエステルメラミン、スチレン/アクリル酸コポリマー、スチレン/マレイン酸/アクリル酸アルキルコポリマー、スチレン/メタクリル酸コポリマー、スチレン/メタクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマー、スチレン/マレイン酸ハーフエステルコポリマー、ビニルナフタレン/アクリル酸コポリマー、ビニルナフタレン/マレイン酸コポリマー、およびそれらの塩、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される1以上の非SMAコポリマーをさらに含む、請求項1~14または16~20のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
組成物がポリウレタンを含まない、任意の前記請求項に記載の組成物。
【請求項23】
顔料0.1~7.5wt%、スチレン-マレイン酸コポリマー0.1~5wt%、有機溶剤2~30wt%、および配合物残部脱イオン水を含む、請求項1、2、4~8、11~16、18、19、21または22のいずれかに記載の組成物。
【請求項24】
顔料0.1~7.5wt%、スチレン-マレアミド酸コポリマー0.1~5wt%、有機溶剤2~30wt%、および配合物残部脱イオン水を含む、請求項1、3~7、9~15、17、18または20~22のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
少なくとも1つの有機溶媒が、アルコール、ポリオール、ケトン、ケトンアルコール、エーテル、多価アルコールのエーテル又はそれらの組み合わせから選択され、好ましくは、少なくとも1つの有機溶媒が、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール又はそれらの組み合わせから選択されるポリオールである、請求項4~24のいずれかに記載の組成物。
【請求項26】
組成物がグリセロールを含まない、任意の前記請求項に記載の組成物。
【請求項27】
顔料粉末の分散液が、分散剤および界面活性剤としてポリ(スチレン-マレイン酸)またはポリ(スチレン-マレアミド酸)を最初に使用して調製される、任意の前記請求項に記載の組成物。
【請求項28】
顔料粒子が、粉砕工程または混練工程を用いて分散される、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
顔料粒子が、連続的水熱流動合成(CHFS)法を用いて成長し、同時に分散される、請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーまたはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーが、分散剤、界面活性剤および結合剤であり、好ましくは組成物が、分散剤、界面活性剤および結合剤のいずれか一つ以上の機能を果たす他の成分を含まない、任意の前記請求項に記載の組成物。
【請求項31】
インクのpHが7.0~10.5、より好ましくは7.5~10.0、さらに好ましくは8.0~9.5である、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項32】
インクの粘度が、(Enhanced Brookfield ULアダプタを備えたBrookfield DV-II+粘度計を60rpmで使用して25℃で測定して)4.0cPよりも大きい、好ましくは5.0cPよりも大きい、任意の前記請求項の組成物。
【請求項33】
インクの粘度が、(Enhanced Brookfield ULアダプタを備えたBrookfield DV-II+粘度計を60rpmで使用して25℃で測定して)4~10cPである、任意の前記請求項に記載の組成物。
【請求項34】
0.025Hzで<40dyne/cm、より好ましくは0.025Hzで<36dyne/cm、さらに好ましくは0.025Hzで<35dyne/cmの静的表面張力を有する、任意の前記請求項に記載の組成物。
【請求項35】
2.7Hzで<47ダイン/cm、より好ましくは2.7Hzで<42ダイン/cm、さらに好ましくは2.7Hzで<40ダイン/cmの動的表面張力を有する、任意の前記請求項に記載の組成物。
【請求項36】
追加の界面活性剤をさらに含む、請求項1~29または31~35のいずれかに記載の組成物。
【請求項37】
追加の界面活性剤が、アニオン性、カチオン性又は中性界面活性剤からなる群から選択される、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
湿潤剤、好ましくはポリエーテルシロキサンコポリマーをさらに含む、任意の前記請求項の組成物。
【請求項39】
請求項1~38に記載の組成物の1種または2種以上を含む、またはそれに由来する印刷フィルム。
【請求項40】
食品接触および医薬品箔の用途での使用に適合する請求項39に記載の印刷フィルム。
【請求項41】
請求項1~38のいずれか1つ以上の組成物を基材上に塗布し、硬化させることを含む、印刷方法。
【請求項42】
印刷方法がインクジェットである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
印刷機のライン速度が50~600m/分(線形)、より好ましくは100~400m/分、さらに好ましくは150~300m/分である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
近赤外線(NIR)ランプまたは赤外線ランプを用いてインクを硬化させる、請求項41~43のいずれか1つ以上に記載の方法。
【請求項45】
インクを30~250℃の熱方式で硬化させる、請求項41~44のいずれか1つ以上に記載の方法。
【請求項46】
インクを気流方式で硬化させる、請求項41~45のいずれか1つ以上に記載の方法。
【請求項47】
サーマル、ドロップオンデマンド、連続またはMEMsからなる群から選択されるインクジェット印刷ヘッドを含む、請求項41~46のいずれか1つ以上に記載の方法。
【請求項48】
インクジェット印刷によって非多孔質基材上に画像を印刷する方法であって、
前記方法が、水性インクジェットインク組成物を非多孔質基材上に適用することを含み、
前記インクジェットインク組成物が、225mgKOH/g以上の酸価を有するポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマー及び/又は225mgKOH/g以上の酸価を有するポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーを含む、前記の方法。
【請求項49】
前記インク組成物を前記基板上に塗布した後、NIR-放射線または熱硬化を使用して前記インク組成物を前記基板上に固定することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
インクジェット印刷によって非多孔質基材上に画像を印刷するためのインクジェットインク組成物としての、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーおよび/またはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーを含む水性インク組成物の使用であって、前記ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーまたはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーは225mgKOH/g以上の酸価を有する、前記の使用。
【請求項51】
前記組成物が、分散剤、界面活性剤及び結合剤を含み、
前記分散剤が、前記ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマー又はポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーによって構成され、
前記界面活性剤が、前記ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーまたはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーによって少なくとも部分的に(好ましくは全体的に)構成され、
前記結合剤が、前記ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーまたはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーによって少なくとも部分的に(好ましくは全体的に)構成される、請求項48~50のいずれかに記載の方法又は使用。
【請求項52】
インクジェット印刷によって非多孔質基材上に画像を印刷するのに適した水性インクジェットインク組成物における分散剤、界面活性剤及び結合剤としての、225mgKOH/g以上の酸価を有するポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマー及び/又はポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーの使用。
【請求項53】
基材が、BOPP(二軸配向ポリプロピレン)、セロファン(セルロース)、LDPE/HDPE(低密度および高密度ポリエチレン)、OPP(配向ポリプロピレン)、MET-OPP(金属化配向ポリプロピレン)、PA(ポリアミド、ナイロン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、MET-PET(金属化ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、アルミホイル、アルミ医薬ホイル、鋼、銅、保護金属、及びPVC(ポリ塩化ビニル)からなる群より選択される、請求項40~52のいずれか1つ以上に記載の方法または使用。
【請求項54】
基材が、化学プライマーや化学前処理層を含まない、請求項41~53のいずれか1つ以上に記載の方法または使用。
【請求項55】
インク組成物が請求項1~38のいずれかに定義される通りである、請求項48~54のいずれか1つ以上に記載の方法又は使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に化学的プライマー層または基材の化学的前処理を必要とせず、非多孔質基材に直接インクジェット(すなわちデジタル)印刷するのに適しており、良好な噴射および印刷画像品質、良好な再溶解性、良好な保存安定性および堅牢なフィルム形成特性を有する水性顔料インクなどの水性インクに関するものである。したがって、本発明による水性インクは、産業用包装用途、例えば、食品包装用途に使用するのに適している。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
非化学処理基材、好ましくはBOPP(二軸延伸ポリプロピレン)又はPET(ポリエチレンテレフタレート)のようなプラスチック基材に直接インクジェット印刷することができ、良好な噴射及び印刷画像品質、優れたインク保存安定性、長い開放時間、優れた解像性及び堅牢なフィルム形成特性を有する水性インクは、当技術分野において既知でない。
【0003】
US6838521B2(世宗大学)は、ポリ(スチレン-アクリル酸)、ポリ(スチレン-無水マレイン酸)およびポリ(ビニルピロリジノン)のトリランダムコポリマーを含むポリマー材料を合成し、インクジェットインク用の分散媒として使用できることを教示したものである。このようなトリランダムコポリマーの合成は複雑でコストがかかり、この特許のインクジェットインクの製造では、ろ過によって大きな粒子(おそらく不溶性ポリマーまたは顔料の凝集物)を除去する必要があった。この特許には、このようなトリランダムコポリマーポリマーをインクジェットインクに組み込むことで、公知技術に勝る利点が得られるという証拠は何もない。さらに、US6838521B2に例示されているインク配合物は複雑であり、工業用基材上でのインクの結合挙動は開示されていない。また、この特許の調製工程は、本質的に少なくとも3段階であり、ポリ(無水マレイン酸)を少なくとも2つの他のコポリマーと縮合させ、次に、三ランダムコポリマーを分散剤として使用するための粉砕段階、最後にインクレットダウン段階を含むものである。
【0004】
JP4126589B2(戸田工業株式会社)は、ジブロックコポリマーを含む分散液から調製されるカーボンブラック粒子、分散液およびインクのみに関するものである。このポリマーは、ポリ(アクリル酸)およびポリ(スチレン-マレイン酸)から作られる。ここでも、インクとポリマーを作るプロセスは手間がかかり、さらに、この特許から派生したインクの配合物は、小規模オフィス、ホームオフィス用途(SOHO)の多孔質紙への印刷にのみ使用されている。このコポリマーの有機顔料(例えば、ピグメントブルー15)への使用の拡張はなく、これは、この特許から派生した分散体およびインクが、特定の等級の無機顔料カーボンブラックと共に使用される場合にのみ分散剤と適合することを示すものであるだろう。
【0005】
JP6089915B2(東洋インク)は、無機顔料である二酸化チタン(TiO)のみを用いた一連の白色インクジェットインク配合物に関するものである。記載されている分散剤は、α-オレフィンをマレイン酸または無水マレイン酸と反応させることから調製される。この特許にはスチレンは記載されておらず、インク中の分散剤、界面活性剤および結合ポリマーとしてスチレン-マレイン酸を使用する可能性の見込みについては何ら教示されていない。さらに、JP6089915B2は、白色TiO-ベースのインクにのみ限定されている。
【0006】
US10106696B2 (Cabot Corporation)は、スチレン-マレイン酸コポリマーであり得るポリマー分散剤、さらに少なくともポリウレタン結合剤および界面活性剤を含む無機顔料カーボンブラック(特にファーネスブラック)用のインクジェットインクに関するものである。この特許は、紙に印刷するためのカーボンブラックインクに関するものである。それは、異なるタイプのカーボンブラック顔料が、これらのタイプの配合物を使用してインクジェットインクに組み込まれ得ることを教示している。本発明では、スチレン-マレイン酸コポリマーとポリウレタンポリマー結合剤の組み合わせは必要ない。
【0007】
JP10330663A(富士通)は、特に紙に印刷するためのカーボンブラックインクジェットインクに関するものである。pH>7、表面張力<50dyne/cm、Mw<80,000ダルトンであるアニオン性アクリルポリマーが記載されている。一例として、マレイン酸-スチレンコポリマー、カーボンブラック、消泡剤、水およびジエチレングリコールからカーボンブラックインクが調製される。このインクは、結合剤を必要としない吸収性基材、具体的には紙への印刷に向けられている。この発明では、非吸収性基材への印刷であり、結合剤が必要である。さらに、JP10330663Aは、SOHO用のカートリッジに充填するためのインクに関するものであり、工業用ではない。
【0008】
KR20020053332A (Cheil Industries)は、スチレン-無水マレイン酸コポリマー樹脂を含む各種水溶性高分子の使用に関するもので、スチレン-マレイン酸樹脂は含まれない。さらに、この特許は、脂肪酸塩、高級アルキル硫酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、第4級アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルからの一つの化合物を分散媒として用い、さらに第2のポリマーをインク中に添加して分散体の形態で顔料とすることに関するものであった。本書は、スチレン-マレイン酸のコポリマーを分散剤、結合剤、界面活性剤として使用することを教示していない。
【0009】
JP5144951B2(ザ・インクテック社)には、顔料インクジェットインク用の一連のアニオン性高分子分散剤の一つとして、ポリ(スチレン-マレイン酸-マレイン酸エステル)コポリマーを使用することが記載されている。インク中の顔料に対するグリセリンの重量比が4~9、顔料に対するアニオン性分散剤の割合が0.25~0.5の場合に、グリセリンのような浸透液の使用が必要である。また、コポリマーの酸価は、本発明で使用するポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーの酸価の下限値以下であることが必要である。
【0010】
US6136890A (Minnesota Mining & Manufacturing Co.)は、顔料の分散媒として特定のポリウレタンポリマーを使用することを記載している。さらに、ポリウレタン顔料分散液は、実質的に有機溶媒を含まないインクに組み込まれている。これは、追加の溶媒を含まない水性インクが、分散剤として単一のポリマーを使用して、インクジェットカートリッジに入れ、紙に印刷できることを実証している。非多孔質基材へのこれらのインクの工業的使用は対象外である。
【0011】
EP3380572B2(イーストマン・コダック社)は、ポリマー結合剤トップコート上に印刷するための顔料白色インク配合物を記載している。このインクは、特に、写真用コート紙に印刷するための白色二酸化チタンインクであり、化学的に処理された紙は、インクに対して親和性を有する材料を有するトップコートを含んでいる。スチレン-マレイン酸コポリマーは、顔料分散剤として二酸化チタンと共に使用できる他のスチレン系ポリマーのホストの1つとして記載されている。この特許は、連続インクジェット印刷と、多孔質で化学的に前処理された紙に関するものである。インクにポリウレタン結合剤を任意で含み、分散媒としてヘキシルオキシ安息香酸ポリマーを任意で使用する。
【0012】
JP2012036287A(リコー)は、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーを分散剤として使用し、顔料分散液と結合剤としての水溶性ポリウレタンとを含むインクジェットインクを調製することができることを教示するものである。本発明では、ポリウレタン結合剤に対する追加的な要件がないことを見出した。
【0013】
EP3063238B1(DuPont社)は、少なくとも2種の異なる機能性ポリマーを含有する水性インクジェットインクに関するものである。ポリ(スチレン-マレイン酸)は、分散ポリマーおよび結合剤ポリマーのいずれとしても例示されていない。
【0014】
EP1396527B1(セイコーエプソン)は、他のコポリマーから順番に作られるいくつかの複合コポリマーの調製と使用に関するものである。場合によっては、ポリ(スチレン-マレイン)無水物または酸を、より複雑なポリマー系への供給原料として使用することができる。すべての場合において、インクには2種類のポリマー分散剤が使用されている。ポリマー分散剤材料について報告されている酸の値は、30~100mgKOH/gまたは100~250mgKOH/gのいずれかである。この発明では、より高い酸価が成功の鍵であることがわかる。
【0015】
US8153706B2(HP)は、ポリ(スチレン-マレイン酸無水物)(酸ではない)の使用と、印刷インクに使用するための染料と顔料との共有結合の方法に関するものである。
【0016】
US8946320B2(HP)は、酸官能化顔料をスチレン-無水マレイン酸コポリマーと組み合わせてインクに使用できることを教示している。さらに検討すると、顔料は実際には官能性ポリマーと共有結合した反応性染料であり、これを酸官能性分散剤で分散させたものである。インクの配合物には、ポリマーとしてスチレン-無水マレイン酸に関する記述はあるが、ポリ(スチレン-マレイン酸)が分散剤と結合剤の両方に使用されているという記述はない。
JP4608854B2(DIC)は、顔料にのみポリ(スチレン-マレイン)酸を分散剤として使用できることを教示している。
【発明の概要】
【0017】
本発明の目的は、上述した問題の1つ以上に対処することである。特に、本発明の目的は、インクジェット印刷が可能であり、良好な噴射および印刷画像品質、優れたインク貯蔵安定性、長いオープンタイム、優れた再溶解性および堅牢なフィルム形成特性などの産業インクジェット分野における高性能インクに求められる特性を示し、特にインク配合物が、水性配合物であり、非化学処理基材、好ましくはBOPPまたはPETなどのプラスチック基材に直接インクジェット印刷するために適している顔料インク配合物を提供することにある。本発明のインクは、同じベース分散技術を活用し、工業印刷市場の要求をカバーするために、わずかに異なる物理的特性を有するインクに変換することができる。
【0018】
詳細説明
本発明者らは、水および溶剤-水不溶性顔料(すなわち、溶剤と水のブレンドに不溶な顔料)を用い、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーおよび/またはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーを分散剤、界面活性剤および結合剤として使用した一連のインク配合物を開発し、インクジェット印刷用顔料インクセットの基礎とした。開発したインクは、水性インクとしては珍しく、化学的な前処理を施していない低表面エネルギーの基材への印刷に適している。インクの粘弾性特性を調節し、基材への結合を補助するために、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーおよび/またはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーではない第2のポリマーを場合により添加することができる。これらの第2のポリマーは、好ましくは、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエステルメラミン、スチレン/アクリル酸コポリマー、スチレン/マレイン酸/アルキルアクリレートコポリマー、スチレン/メタクリル酸コポリマー、スチレン/メタクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマー、スチレン/マレイン酸ハーフエステルコポリマー、ビニルナフタレン/アクリル酸コポリマー、ビニルナフタレン/マレイン酸コポリマーおよびその塩などから選択される。
【0019】
非多孔質(および多孔質)基材に印刷するための次世代水性顔料インクには、現在多くの課題がある。課題は、物理的、化学的、物理化学的の両方である。印刷機と印刷機のメンテナンスの観点から、インクは、印刷ヘッドからの優れた噴射性能、印刷ヘッドが適切にキャップされていない場合の長い開放時間、迅速な起動、機械内でインクを乾燥させたまま機械を洗浄・回収できる場合の優れた再溶解性、インク再循環システムを使用している場合に印刷機の動作中に沈降しないことが必要である。インクと基材の相互作用の観点から、インクは基材とよく結合し、好ましくは化学的前処理や化学的プライマーを必要としないことが必要である。一般に、インクジェット業界では、オンラインまたはオフラインのコロナ処理を用いて、印刷前にほとんどの基材を「脱脂」するのが一般的である。インクの色は鮮やかでなければならず、インクを表面に結合させる際には、接着性、耐スクラッチ性、耐アルコール摩擦性、耐水性、しわや反りのテストなど、多くの物理テストに耐えられる必要がある。さらに、ベースカラーコートの上に印刷でき、その上にトップカラーコートを印刷でき、様々なラミネート加工に耐えられるインクでなければならない。
【0020】
このため、本発明者らは、単一のポリマーを分散剤および界面活性剤として、好ましくはインクジェット配合物中の分散剤、界面活性剤および結合剤として使用し、上述のすべての基準を満たす一連のインクを生成することを開発した。
【0021】
本発明は、225mgKOH/g以上の酸価を有するポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマー、225mgKOH/g以上の酸価を有するポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーまたはそれらの組み合わせから選択されるポリマーを含み、コポリマーがリチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは第4級アンモニウム塩、またはそれらの組み合わせである、印刷インク組成物を提供する。
【0022】
好ましくは、組成物は、単一ポリマー型を含む。本明細書で使用する場合、「単一ポリマー型」という用語は、インク中の全てのポリマーが同じクラスに属することを意味し、例えば、それらは全て本明細書で定義するポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマー及び/又はポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーであることを意味する。したがって、好ましい実施形態では、本発明で使用されるインクにおいて、追加のポリマー型(例えば、ポリウレタン)は必要ない。本明細書で定義するように、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーおよびポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーは同じクラスに属し、すなわち一緒になって単一のポリマー型となる。
【0023】
好ましくは、本発明によるインク組成物は、1種以上の着色剤;水;及び少なくとも1種の有機共溶媒をさらに含む。好ましくは、1つ又は複数の着色剤は顔料である。
【0024】
本発明はまた、少なくとも顔料着色剤、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマー及び/又はポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマー、水、有機溶剤、及び場合により追加の界面活性剤を含む水性顔料インクセットも提供する。水性顔料インクは、化学的に前処理されていない基材に直接インクジェット印刷するのに適している。好ましくは、基材は非多孔質である。
【0025】
また、本発明は、本発明のインク組成物を基材上に塗布し、硬化させることを含む印刷方法を提供するものである。好ましくは、本発明の印刷方法は、インクジェット印刷である。
【0026】
本発明はまた、基板またはフィルム、典型的には非常に低いTg(例えば40~60℃)を有する薄いプラスチック材料(例えば500μm未満、特に250μm未満)の装飾のための方法を提供し、これは基板を本発明による水性インクと接触させ、その後近赤外線(NIR)放射を用いて前記水性インクを前記基板の上に定着させることによるものである。あるいはまた、本発明は、本発明による水性インクを基板に接触させ、その後、熱硬化を用いて前記水性インクを前記基板上に定着させることによる、金属の装飾方法を提供するものである。
【0027】
本発明はまた、インクジェット印刷によって非多孔質基材上に画像を印刷する方法を提供し、前記方法は、水性インクジェットインク組成物を非多孔質基材上に適用することを含み、前記インクジェットインク組成物は、225mgKOH/g以上の酸価を有するポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーおよび/または225mgKOH/g以上の酸価を有するポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーを含む。
【0028】
また、本発明は、インクジェット印刷により非多孔質基材に画像を印刷するためのインクジェットインク組成物として、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーおよび/またはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーを含む水性インク組成物の使用を提供し、前記ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーまたはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーは225mgKOH/g以上の酸価を有することを特徴としている。
【0029】
本発明はまた、以下の工程を含む、本発明の水性インクを調製するための方法を提供する:
i.顔料粉末を、分散剤としての少なくともポリ(スチレン-マレイン酸)またはポリ(スチレン-マレアミド酸)、脱イオン水とともに混合し、必要な粒子サイズが得られるまでスラリーを粉砕することによって顔料分散液を調製し;好ましくは、個々の顔料または着色剤分散液を、ISO 13320:2009(E)によって決定される、100nm~250nmの間の平均粒子サイズ(Z平均)を有する顔料粒子及び安定な顔料又は着色剤分散液を解放するためにミリングに付すことができ;及び
ii.前記分散液に水、有機溶剤、及び場合により他の化学剤を添加することにより、水性インクを得ること。
【0030】
本発明はまた、以下の工程を含む、様々な異なる基材を印刷する方法を提供する:
i.本発明による水性インクを基材上に塗布すること;および
ii.近赤外線照射または熱硬化により、前記水性インクを前記基材に定着させること。
【0031】
ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーおよび/またはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーを組み込んだインクの堆積から形成される加飾基板であって、それによって前記基板は少なくとも1つまたは複数のインクで印刷でき、NIRランプの連続配置または熱加熱装置を用いた熱硬化のいずれかによって硬化させることができる。
【0032】
また、本発明は、本発明のインク組成物を含む、または本発明のインク組成物に由来する印刷フィルムを提供する。
【0033】
また、本発明は、優れた印刷品質で前記基材の高ライン速度デジタル装飾を可能にする、硬質および軟質基材への印刷用の一連の水性顔料インクの使用も提供する。
【0034】
本発明は、以下のいずれか1つ以上に有利である:
- デジタルインクの分散剤、界面活性剤、結合剤として、単一のポリマー型、すなわち、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーおよび/またはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーを使用することができる。ポリマーが単一であるため、よりシンプルなインクとなり、産業用インクジェット印刷に適している。
- 本発明のインクは、驚くほど低いレベルのポリマー固形分で良好な接着特性を示す。典型的には、当該技術分野で知られている仕上げインクは、≧10%のポリマー固形分を必要とするが、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマー(複数可)および/またはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマー(複数可)のみに特に基づく本発明のインクは、好ましくは0.5~5%のポリマー固形分;より好ましくは0.5~4%、さらに好ましくは0.5~3.25%;および最も好ましくは0.5~3.2%または0.6~3.1%を含んでいる。
- ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーおよび/またはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーの酸価(すなわち、酸数)は、インクジェット印刷インクに通常見られるポリマーの範囲外、すなわち225mgKOH/g以上、好ましくは255mgKOH/g以上で、これは、インク溶解性の良さに貢献する。
- 化学的なプライマー層や基材の化学的な前処理を必要とせず、良好な接着性を示すインクである。
- インク中に架橋剤や第二のポリマータイプを必要とせず、良好な再溶解性と良好な膜形成性を示す。
【0035】
本発明のインクの更なる利点は、好ましくは水性であり、多様な数の異なる基材に直接(すなわち、基材上に化学プライマーまたは化学前処理層を必要とせずに)印刷することができることである。実際、化学的処理を施していないBOPPやPETなどのプラスチック基材に、水性インクジェットインクを良好な噴射および印刷画像品質、優れたインク保存安定性、長い開放時間、優れた再溶解性および堅牢なフィルム形成性で印刷できることは非常に驚くべきことである。さらに、印刷機における信頼性も重要である。本発明によるインクは、優れた再溶解性およびオープンタイムを示し、これは、印刷機が予防保守の必要なく、より長い期間使用され得ることを意味する。
【0036】
インク添加剤:
本発明で使用される高分子分散剤は、その中に親水性及び疎水性機能を組み込んだコポリマー又はブロックコポリマーである。本発明における高分子分散剤クラスは、有利にはポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーおよび/またはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマー(これらは同じ高分子クラスに属する)であり、コポリマーはリチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは第4級アンモニウム塩、またはこれらの組み合わせである。
【0037】
当該技術分野において理解されるように、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーは、スチレン酸およびマレイン酸の繰り返し単位を含む。同様に、ポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーは、スチレン酸およびマレアミド酸の繰り返し単位を含む。当技術分野でさらに理解されるように、マレイン酸およびマレアミド酸の酸性基は、適切な中和剤と塩を形成することができる。
【0038】
好ましくは、コポリマー中のマレイン酸またはマレアミド酸の繰り返し単位は、モノナトリウム塩、ジナトリウム塩、モノアンモニウム塩、ジアンモニウム塩、モノ第4級アンモニウム塩、またはジ第4級アンモニウム塩である。
【0039】
好ましくは、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーまたはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーは、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーのジソーダ塩、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーのジアンモニウム塩、ポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーのモノアンモニウム塩、ポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーのモノ第4級アンモニウム塩またはそれらの組み合わせから選択される。
【0040】
好ましくは、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーおよびポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーは、無水マレイン酸残基を含有しない。
【0041】
好ましくは、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーおよびポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーは、マレイン酸エステル残基を含有しない。
【0042】
好ましくは、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーおよびポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーは、5~50重量%、好ましくは15~40重量%のマレイン酸またはマレアミド酸含有量を含む。
【0043】
好ましくは、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーは、溶液可溶性ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーである。当該技術分野において理解されるように、用語「溶液可溶性」コポリマー(例えば、溶液可溶性ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマー、およびアルカリ可溶性ポリマーまたは溶液ポリマーとしても知られている)は、典型的には、モノマーブレンドの一部として酸性基(無水物などの酸誘導体を含む)からなるコポリマーのことをいう。ポリマーのカルボン酸基を塩基で中和すると、水に溶解し、水溶液となる。
【0044】
適切なポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーおよびポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーの例は、メルク社のポリ(スチレン-アルト-マレイン酸)ナトリウム塩溶液;ポリスコープポリマー社のSMA 1000 H, SMA 1000HNa, SMA 2000H, SMA 2000HNa, SMA 3000H, SMA 3000HNa, SMA 1000 AMP, SMA 2000 AMP及びSMA 3000 AMPがあるが、それだけに限らない。適切なポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーおよびポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーのさらなる例としては、Polyscope PolymersからのXiran 3000 HNa, Xiran 1000A, Xiran 2000A, Xiran 1550H及びXiran 3000Hが挙げられる。
【0045】
好ましくは、インク組成物は、0.05~10wt%、好ましくは0.1~5wt%の量のスチレン-マレイン酸コポリマーを含む。
【0046】
好ましくは、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーまたはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーは、≧3,000ダルトン、好ましくは≧3,500ダルトンの分子量を有している。好ましくは、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーまたはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーは、3,000~20,000ダルトン、好ましくは3,500~15,000ダルトンの分子量を有している。
【0047】
いくつかの実施形態では、インク組成物は、組成物の他の成分と相溶性のある1つ以上の添加剤を場合により含むことができるインクジェットインク組成物であってもよいが、これに限定されるものではない。添加剤は、安定性、耐スミア性、粘度、表面張力、コーティング浸透性、光学濃度、色深度、接着性、耐ハイライト性、再溶解性及び耐クラスト性などを含むが、これらに限定されない任意の数の所望の特性を付与するために組成物に含めることができる。このような用途に適した添加剤およびその使用量は、当該技術分野において知られており、従来から使用されているものである。
【0048】
添加剤の例としては、消泡剤、防腐剤、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、保湿剤、浸透剤、付加ポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
いくつかの実施形態では、泡の形成を抑制するために、インク組成物に消泡剤を含有させることができる。適切な消泡剤の例としては、シリコーン系消泡剤または非シリコーン系消泡剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。市販の消泡剤としては、Dow Coming 71及びDow Coming 74 (from Dow Corning), TegoAirex 901W, 902W, 904W from Evonik Industries/ Tega, Tergitol L-61, L-62, L-64及びL-101 (from Dow Chemical)などがあるが、それらに限定されるものではない。組成物に含まれる消泡剤の典型的な量(重量)は、0.1~3重量%である。
【0050】
いくつかの実施形態では、殺生物剤や殺菌剤などの防腐剤をインク組成物中に含有させて、微生物の成長を抑制することができる。好適な防腐剤の例としては、これらに限定されないが、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2-ピリジンチオール-1-オキシドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム。ベンズイソチアゾリノン、1,2-ジベンゾチアゾリン-3-オン、1-(3-クロラリル)-3,5,7-トリアザ-1アゾニアダマンタンクロライド(CTAC)、メチルイソチアゾリノン、クロルメチルイソチアゾリノン等がある。市販の殺生物剤としては、下記のものを使用できる:UCARCIDE 250 (available from Union Carbide Company), Proxel CRL, Proxel BDN, Proxel GXL, Proxel XL-2, Proxel TN (available from Arch Chemicals, Smyrna, Ga.), Dowicil (Dow Chemical, Midland, Mich.), Nuosept (Huls America, Inc., Piscataway, N.J.), Omidines (Olin Corp., Cheshire, Conn.), Nopcocides (Henkel Corp., Ambler, Pa.), Troysans (Troy Chemical Corp., Newark, N.J.),及びXBINX (PMC Specialties Group, Inc., Cincinnati, Ohio). Agitan 731 biocide及びActicide M10 biocide。防腐剤は、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。組成物に含まれる防腐剤の典型的な量(重量)は、0.05~2重量%、好ましくは0.1~1.5重量%である。
【0051】
代替的な実施形態では、インク組成物の表面張力を低下させるために、追加の界面活性剤を含むことができる。追加の界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はカチオン性界面活性剤であり得る。好適な界面活性剤としては、以下に列挙するもの及びUS.Pat.第5,116,409号、US.Pat.第5,861,447号及びUS.Pat.第6,849,111号に記載されている。例示的な界面活性剤は、種々の商品名で市販されており、例えば、the PLURONIC series (BASF Corporation, Parsippany, N.J.), TETRONIC series (BASF Corporation, Parsippany, N.J.), ARQUAD series (Akzo Chemical Inc., Chicago, Ill.), TRITON series (Union Carbide Corp., Danbury, Conn.), SURFONIC series (Texaco Chemical Company, Houston, Tex.), ETHOQUAD series (Akzo Chemical Inc., Chicago, Ill.), ARMEEN series (Akzo Chemical Inc., Chicago, Ill.), ICONOL series (BASF Corporation, Parsippany, N.J.), SURFYNOL series (Air Products及びChemicals, Inc. Allentown, Pa.),及びETHOMEEN series (Akzo Chemical Inc., Chicago, Ill.)等がある。界面活性剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。組成物に含まれる追加の界面活性剤の典型的な量(重量%)は、0.1~10重量%である。
【0052】
本明細書で使用する場合、界面活性剤は、2つの物質(例えば、2つの液体、気体と液体、または液体と固体)の間の表面張力を下げる薬剤であり、一方、湿潤剤は、水が固体表面上に広がることを可能にする水の界面張力を低下させる。本発明の好ましい実施形態において、インク組成物は、追加の界面活性剤(すなわち、ポリ(スチレン-マレイン酸)又はポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマー以外)を含まないが、湿潤剤、例えばTego Wet KL 245(Evonik)等のポリエーテルシロキサンコポリマーを含んでいてもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、インク組成物を所望のpHに調整または緩衝するために、pH調整剤を含むことができる。適切なpH調整剤には、水酸化アルカリ、炭酸アルカリおよび重炭酸塩、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、鉱酸、塩酸、および硫酸などが含まれるが、これらに限定されるわけではない。pH調整剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。組成物中のpH調整剤の典型的な量(重量%)は、0.1~2重量%である。
【0054】
いくつかの実施形態では、インク組成物は、1つ以上の粘度調整剤を含むことができる。適切な粘度調整剤の例としては、これらに限定されないが、樹脂化合物、アルギン酸化合物、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸の塩、ポリビニルピロリドン、アラビアゴムおよびデンプン、疎水性エトキシル化ウレタン(HEUR)、疎水性変性アルカリ膨潤性エマルション(HASE)、アルカリ膨潤性エマルション(ASE)などがある。粘度調整剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。組成物中の粘度調整剤の典型的な量(重量%)は、0.5~10重量%である。
【0055】
いくつかの実施形態では、湿潤剤として機能することができる流体キャリア成分の有機共溶媒に加えて、水成分の蒸発速度を低減し、潜伏期間中に起こり得る印字ヘッドのノズル内でのインク組成物の乾燥を防止してノズルの目詰まりを最小限に抑えるために、1又は複数の追加の湿潤剤をインクジェットインク組成物に含むことができる。湿潤剤は、高い吸湿性及び水溶性を有する材料から選択することができる。適切な湿潤剤の例としては、ポリオール(例えば、エチレングリコール、モノプロピレングリコール、ジプロピレングリコール)、アルコールエーテル(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール)、ラクタム(例えば、,2-ピロリドン、尿素などの尿素化合物、1,3-ジメチルイミダゾリジノン)、糖類(ソルビトールなど)、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1-メチル-2-ピペリドン、N-エチルアセトアミド、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、炭酸エチレン;ブチローラセトン、リポニックEG-1等があげられる。保湿剤の使用量に特に制限はない。組成物中の保湿剤の典型的な量(重量%)は、0.5~30重量%である。
【0056】
本発明によるインク組成物は、単一のポリマー、すなわちポリ(スチレン-マレイン酸)またはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマー、分散剤、界面活性剤および結合剤として機能することができるという点で有利である。従って、インク組成物において追加のポリマーは必要ない。それにもかかわらず、いくつかの実施形態では、インク組成物は、印刷基材に塗布され乾燥されたインク画像の耐水性、摩擦および耐光堅牢性を高めるために(ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマー以外の)追加のポリマーを場合により含むことができる。このようなポリマーの例としては、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエステルメラミン、スチレン/アクリル酸コポリマー、スチレン/マレイン酸/アクリル酸アルキルコポリマー、スチレン/メタクリル酸コポリマー、スチレン/メタクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマー、スチレン/マレイン酸ハーフエステルコポリマー、ビニルナフタレン/アクリル酸コポリマー、ビニルナフタレン/マレイン酸コポリマー、およびこれらの塩などがあるが、それらに限定されるわけではない。このような追加のポリマーは、単独でまたは組み合わせて使用することができる。組成物中に含まれ得るこのような追加のポリマーの典型的な量(重量)は、0.1~20重量%である。
【0057】
好ましくは、本発明による印刷インク組成物は、ポリウレタンポリマーを含有しない。
【0058】
いくつかの実施形態では、インク組成物は、印刷基材に塗布され乾燥されたインク画像の耐久性を向上させるために自己架橋性ポリマーを場合により含むことができる。インク組成物において使用するためのそのような自己架橋性ポリマーの例としては、自己架橋性アクリルポリマー、スチレン-アクリルコポリマー、スチレン-ブタジエンラテックス、スチレン-イソプレンラテックス、アクリロニトリル-ブタジエンラテックス、アルキド分散液、ビニルポリマー、シリコーン分散液、ポリアミド分散液、塩化オレフィン分散液及びポリエステル分散液、並びに他の自己架橋性ポリマーがあるが、それだけに制限されてはいない。このような自己架橋性ポリマーは、単独で又は組み合わせて使用することができる。組成物中に含まれ得るこのような自己架橋性ポリマーの典型的な量(重量)は、0.1~20重量%である。
【0059】
インク組成物に含有させることができる他の添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、電気伝導度調整剤、酸素吸収剤、コゲ防止剤、カール防止剤、香料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。水性インクジェットインク組成物において使用するためのこのような添加剤の量は、当該技術分野において既知であり、従来から使用されているものである。
【0060】
着色剤:
本発明のインク組成物に使用できる好適な着色剤としては、任意の無機及び有機顔料及び湖沼分散液が挙げられる。顔料は、典型的には水不溶性である着色剤粒子を指す。本明細書で使用する水および/または水溶性不溶性顔料は、25℃で不溶性である。
【0061】
本明細書に開示されるインク組成物を形成するために使用することができる適切な顔料は、当技術分野で公知の任意の有機または無機顔料を含むことができ、これには、黒色、黄色、オレンジ、茶色、赤、紫、青、緑、蛍光、金属粉およびポリマー結合顔料が含まれるが、これらに限定されるものではない。顔料はまた、カーボンブラック、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、多環式顔料、ナフトール顔料、アントラピリミドン顔料、キナクリドン顔料、アントロン顔料、フラバンスロン顔料を含み得るが、それらに限定されない。チオインジゴ顔料、ジオキサジン顔料、イソインドリン及びイソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、トリフェニルメタン湖水顔料、オバイン湖水顔料、金属錯体顔料、天然顔料及び無機顔料等がある。顔料粒子は、インクジェット印刷装置の吐出ノズルを通るインクの自由な流れを可能にするために十分に小さい(すなわち、約100nmから約250nmの平均粒子径を有する)ことが好ましい。
【0062】
好適な着色顔料としては、例えば、イエロー顔料、例えば、C. l. Pigment Yellow 1, 2, 3, 4, 5, 6, 10, 12, 13, 14, 16, 17,24, 55, 61, 65, 73, 74, 81, 83, 93, 94, 95, 97, 99, 100, 108, 109, 110, 117, 120 ,123, 124, 128, 129, 133, 138, 139, 147, 150, 151, 153, 154, 155, 156, 167, 168, 172, 173, 174, 175, 176, 177, 179,1 80, 181, 182, 183, 184, 185, 187, 188, 190,191, 192, 193, 194等;赤色顔料、例えば、C. l. Pigment Red 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19 ,21, 22, 23, 30, 31, 32, 37, 38, 39, 40, 48, 49, 50, 51, 52, 53, 55, 60, 64, 68, 81, 83, 87, 88, 89, 90, 95, 112, 114, 119, 122, 123, 136, 144, 146, 147, 148, 149, 150, 151, 163, 164, 166, 168, 169, 170, 161, 172, 175, 176, 202, 204, 206, 207, 210, 211, 212, 213, 214, 216, 220, 222, 237, 238, 239, 240, 242, 243, 245, 247, 248, 251, 252, 253, 254, 255, 256, 258, 261及び264等;バイオレット顔料、例えば、C. l. Pigment Violet 1, 2, 3, 5, 13, 19, 23, 25, 27, 29, 31, 32, 37, 39, 42, 44及び50等;ブルー顔料、例えば、C. l. Pigment Blue 1, 2, 3, 9, 10, 14, 15, 16, 18, 19,21, 22, 24, 25, 56, 60, 61, 62, 63, 64, 65,及び66等;オレンジ系顔料、例えば、C. l. Pigment Orange 1, 2, 5, 6, 7, 13, 14, 15, 16, 17, 19, 22, 24, 31, 34, 36, 38, 40, 42, 43, 44, 46, 48, 49, 51, 59, 60, 61, 62, 63, 64, 65, 66, 67, 68,及び69等;緑色顔料、例えば、C. l. Pigment Green 1, 2, 4, 7, 8, 10, 34, 36, 45,及び47;茶色顔料、例えば、C. l. Pigment Brown 1, 2, 3, 5, 22, 23, 25, 26, 32, 38, 41,及び42など;黒色顔料、例えば、C. l. Pigment Black 1, 7, 20, 31,及び32;酸化チタンなどの白色顔料などがある。市販の着色顔料としては、例えば、Pigment Red 122及びPigment Violet 19 (available from Lansco Colors, Montvale, N.) or BASF Color, Charlotte, NC. or Clariant Colors, Charlotte, NC. or Sun Chemical, Cincinnati, Ohio), Pigment Blue 15:1 (available from Fanwood Chemical, Fanwood, N.J.), Pigment Blue 15:3, Pigment 15:4, Pigment Yellow 74及びPigment Yellow 97 (available from BASF Color, Charlotte, NC. or Clariant Colors, Charlotte, NC. or Sun Chemical, Cincinnati, Ohio)などである。他の適切な顔料としては、Disperse Blue 14, Disperse Blue 19, Disperse Blue 72, Disperse Blue 334, Disperse Blue 359, Disperse Blue 360, Disperse Orange 25, Disperse Yellow 54, Disperse Yellow 64, Disperse Red 55, Disperse Red 60, Macrolex Red H, Disperse Brown 27, Solvent Blue 67, Solvent Blue 70, Solvent Red 49, Solvent Red 146, Solvent Red 160, Solvent Yellow 162, Solvent Violet 10,及びSolvent Black 29等が挙げられるが、それだけに限られるわけではない。
【0063】
カーボンブラックは、天然ガスや炭化水素(コールタール系芳香族油、鉱油、コールタール留分、アセチレンなど)の熱分解または不完全燃焼から得られる炭素粒子の一般名である。現在、100種類以上のカーボンブラックが市場に出回っており、それぞれが特徴的な特性を持っている。酸性カーボンブラック、中性カーボンブラック、アルカリ性カーボンブラックのいずれでも使用可能である。これには、チャンネルブラック、ガスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラックが含まれる。より詳細には、好適なカーボンブラックには、チャンネルブラックが含まれる。市販のカーボンブラックの例としては、下記のものを含むが、それらに限定はされない:

【0064】
いくつかの実施形態において、顔料は、選択された連続相において自己分散することができる。自己分散性顔料は、ポリマー組成物内で安定であるために追加の分散媒を必要としない顔料である。実施形態において、自己分散性顔料は、例えば、顔料の表面への分子の共有結合によって、親水性官能基を含む分子などの分散剤で官能化されている顔料である。
【0065】
いくつかの実施形態において、インクジェットインク組成物中の着色剤の量(重量)は、少なくとも0.1、例えば少なくとも0.5、少なくとも1、少なくとも1.5、および少なくとも2重量%である。実施形態において、着色剤の量は、多くても10、例えば多くても9、多くても8、多くても7、多くても6、および多くても5重量%である。これは、組成物中の着色剤の量が0.1~10重量%、例えば、2~5重量%である実施形態を含む。
【0066】
好ましくは、インク組成物は、ポリ(スチレン-マレイン酸)またはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーと顔料を、約20:1~約1:20、好ましくは約10:1~約1:10、より好ましくは約5:1~約1:5の重量比で含んでいる。
【0067】
本発明インクジェットインク組成物に使用される着色剤は、本明細書に記載される1つ以上の実施形態を含むことができる。
【0068】
流体キャリア
インクジェットインク組成物は、好ましくは、水と、水溶性有機共溶媒、水混和性有機共溶媒、またはそれらの組み合わせであり得る1つ以上の有機共溶媒とを含む流体キャリアを含んでなる。有機共溶媒は、単独でまたは組み合わせて使用することができる。
【0069】
0069
いくつかの実施形態では、有機共溶媒は保湿剤であり、水成分の蒸発速度を低下させ、インク組成物がプリントヘッドのノズル内で乾燥したりクラストしたりするのを防止してノズルの目詰まりを最小限に抑えることができる。実施形態において、有機共溶媒は、インクジェットインク組成物中の成分の溶解度を高め、印刷されたインク組成物の基材への浸透を促進することができる。
【0070】
好適な水溶性及び水混和性有機溶媒としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ポリオール、エチレングリコール、プロピレングリコール(すなわちモノプロピレングリコール)、ジプロピレングリコール、及びPEG、とりわけ)、ケトン及びケトンアルコール(例えば、,アセトンおよびジアセトンアルコール、とりわけ)、エーテル(テトラヒドロフラン、ジオキサンおよびアルキルエーテル、とりわけ)、多価アルコールのエーテル(例えば。エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジ(エチレングリコール)モノメチルエーテル)、含窒素溶媒(例えば、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドンなど)、含硫溶媒(例えば、2,2’-チオジエタノール、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、及びスルホランなど)、並びに糖及びその誘導体(例えば、グルコース、グリセリンのオキシエチレン付加物、及びジグリセリンのオキシエチレン付加物など)などを挙げることができる。好ましくは、有機共溶媒は、プロピレングリコールおよび/またはジプロピレングリコールである。
【0071】
いくつかの実施形態では、インクジェットインク組成物中の有機共溶媒の量(重量)は、少なくとも1、例えば少なくとも5、及び少なくとも10、重量%である。いくつかの実施形態において、有機共溶媒の量(重量)は、最大で約80まで、例えば最大で70、最大で60、及び最大で50重量%である。これは、組成物中の有機共溶媒の量が、1~最大約80重量%、例えば、10~50重量%である実施形態を含む。
【0072】
本発明インク組成物に用いられる有機共溶媒は、本明細書に記載の1つ以上の実施形態を含むことができる。
【0073】
好ましくは、本発明によるインクは水性である。特に断らない限り、水性インクは、少なくとも20、好ましくは少なくとも25、より好ましくは少なくとも30重量%の水を含む。実施形態では、水の量(重量)は、多くても95、多くても85、多くても80、多くても75、多くても70、多くても65、および多くても60重量%である。これには、組成物中の水の量が20~95重量%、例えば20~80、および30~70、重量%である実施形態が含まれる。組成物中の水の範囲は、典型的には30~75重量%であり、より典型的には30~60重量%である。
【0074】
インクジェットインク組成物の調製
本発明は、本明細書に開示されるインクジェットインク組成物を調製する方法も提供する。いくつかの実施形態において、本発明のインクジェットインク組成物は、水中の顔料の分散液と、ポリ(スチレン-マレイン酸)またはポリ(スチレン-マレアミド酸)分散剤と、少なくとも有機溶媒、さらなる量のポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーまたはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーおよび殺生剤を混合することにより、調製することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、インクジェットインク組成物は、水中の顔料と、ポリ(スチレン-マレイン酸)またはポリ(スチレン-マレアミド酸)分散剤とを、少なくとも有機溶剤、流体キャリア、場合による架橋剤、および場合による添加剤と混合することによっても、調製することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、流体キャリアは、1つ以上の水溶性有機共溶媒、1つ以上の水混和性有機共溶媒又はそれらの混合物を、水と組み合わせることによって調製することができ、これは、組成物の他の構成要素と組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、流体キャリアの有機共溶媒(複数可)及び水は、ポリ(スチレン-マレイン酸)又はポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマー、着色剤(複数可)、場合による架橋剤及び場合による添加剤と直接結合させることが可能である。
【0077】
0077
本発明によるインク組成物は、本明細書に記載された2つ以上の実施形態の組み合わせで構成することができる。
【0078】
水性インクは通常の方法で調製される。顔料の分散液は、高剪断混合を使用して濃縮プレミックスを形成し、次に粉砕する従来の方法で調製することができる。通常、水または他の溶媒液体であるキャリア液体は、顔料の粉末が加えられる一方で、分散剤および湿潤剤と高せん断条件下で混合される。得られた混合物は、通常、ビーズミル、例えばNetzschまたはBuhlerミルに充填する前に、短時間、高せん断条件下で混合される。懸濁液は、分散液の所望の粒子径(通常100~150nm(Z平均粒子径))に達するまで一定時間粉砕される。このとき、分散液は通常、フィルターカートリッジを通してミルから保持容器または貯蔵容器に排出される。分散液は別々に作ることもできるし、2つの顔料を最初から粉末として組み合わせ、高せん断混合と粉砕の段階を経て本質的に一緒に加工することもできる。
【0079】
インクは、水性顔料インクの通常の方法で調製される。水を含む攪拌液に共溶媒を加えるか、またはその逆を行う。殺生物剤や防腐剤、結合剤、ポリマー、樹脂、界面活性剤、湿潤剤、および少量の他の共溶媒などの成分である。インクは正圧下でカートリッジフィルターに送られ、充填される。
【0080】
印刷方法
本発明は、本発明によるインクジェットインク組成物を基材上に塗布することによって基材上に画像を印刷する方法をさらに含む。実施形態において、本明細書に開示されるインクジェットインク組成物は、インクジェット印刷装置と共に使用するために適合される。
【0081】
画像を印刷する方法の一実施形態では、本明細書に開示されるようなインクジェットインク組成物の液滴をプリントヘッドの小型ノズルから射出し、プリント基板上に堆積させて、その上に画像を生成させる。適切なインクジェットインク印刷装置は、ドロップオンデマンドバルブ(DoD Valve)、MEMS技術、及びドロップオンデマンドピエゾエレクトリック(DoD Piezo)を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0082】
本発明が特に向けられる適切な印刷基材の例としては、透明材料、金属、セラミック、ガラス、プラスチック、合成ポリマーフィルム、および無機基材などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。好ましくは、基板は非多孔質である。本発明に特に適した基材は、好ましくは、BOPP(二軸配向ポリプロピレン)、セロファン(セルロース)、LDPE/HDPE(低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレン)、OPP(配向ポリプロピレン)、MET-OPP(金属化配向ポリプロピレン)、PA(ポリアミド、ナイロン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、MET-PET(金属化ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)およびPVC(ポリ塩化ビニル)などの高分子フィルムから選択される。本発明に適した金属基材としては、スチール(保護されたスチールを含む)およびアルミニウム(保護されたアルミニウムを含む)が挙げられる。
【0083】
好ましくは、本発明で使用される基板は、その表面に化学プライマー層または化学前処理層を含まないので、インクは基板に直接印刷される。当該技術分野において理解されるように、化学的プライマー層は、基板とインクとの間の接着を促進する基板とインクとの間の中間層である。同様に、基板の化学的前処理は、基板に結合し、基板とインクの間の接着を促進する化学物質を印刷前に基板に適用することを含むことは、当該技術分野において理解されよう。
【0084】
当技術分野で理解されるように、化学プライマーまたは化学前処理は、基材の物理的前処理とは異なる。したがって、本発明での使用に適した基板は、印刷される前に物理的な前処理、例えばプラズマ前処理を受けることができる。また、当技術分野で理解されるように、接着促進のための化学的プライマーまたは化学的前処理は、例えば耐腐食性の目的のための基板上の不動態化保護層とは別である。したがって、基材は、例えば保護された鋼に存在するような不動態化保護層から構成されてもよい。当技術分野で理解されているように、金属基板は一般的に腐食を防止するために保護され、保護には基板に印刷する前に亜鉛の層で金属(例えば、鋼)を亜鉛メッキすることが含まれる場合がある。
【0085】
本発明のインクジェットインク組成物は、以下の少なくとも1つを可能にする特性を有するように配合される:1)印刷基材上で高解像度及び高密度の均一でにじみのない印刷画像、2)印刷装置のノズルの遠位端でのインクの乾燥のために典型的に起こるノズル詰まりの抑制又は防止、3)印刷基材(フィルム等)上での速乾、4)長期保存安定、及び5)印刷基材の品質とは無関係の印刷特性。また、本発明のインクジェットインク組成物は、輸送中や保管中に起こり得る温度条件の変動に対してインクの安定性と堅牢性を提供し、ノズルの目詰まり、バンディング、印刷品質の低下を解消または抑制することができる。
【0086】
本明細書に開示されるインクジェットインク組成物は、包装物品及びフィルムの印刷工程での使用に特に適合される。実施形態において、包装印刷用に適合されたインクジェットインク組成物は、以下の特性のうちの少なくとも1つを有するように配合することができる:1)BOPP(二軸配向ポリプロピレン)、セロファン(セルロース)、LDPE/HDPE(低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレン)、OPP(配向ポリプロピレン)、MET-BOPP(金属配向ポリプロピレン)、PA(ポリアミド、ナイロン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、MET-PET(金属化ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)およびPVC(ポリ塩化ビニル)またはこれらのブレンドなどのプラスチックフィルムに対する堅牢度;および2)包装基材への塗布および固定の容易さ。当該技術分野において理解されるように、上述したプラスチックフィルムは非多孔性である。
【0087】
このインクは、プラスチックや他のフィルム(例えば、金属箔)の装飾のための工業用高速デジタル印刷機での使用に適している。黒色インクと、少なくともシアン、マゼンタ、イエローからなる他の色の標準インクを組み合わせてフィルムを印刷し、さらに赤、オレンジ、紫、緑などのスポットカラーを含むことができるが、これに限定されない。デジタル手段で別々の色を印刷し、得られた堆積したウェットインクを近赤外線ランプでフルパワーで乾燥するという順序により、印刷機をフル速度で運転でき、印刷フィルムの変形が無い。その結果、高い生産性と高い印刷品質を実現した。
【0088】
測定方法
酸価(AV)
酸価(または酸数)は、化学物質1グラムを中和するのに必要な水酸化カリウム(KOH)の質量(ミリグラム)と定義されている。酸価は、ISO 2114:2000(E)(method B)の規格に準拠して測定するのが適当である。
【0089】
粒子径/平均粒子径
特に明記しない限り、「粒子径」または「平均粒子径」という用語は、ISO 22412:2008 で定義されている動的光散乱(DLS)で測定した強度加重分布からのZ平均、すなわち調和平均を指す。
【0090】
ナノスケール
本発明の文脈では、一般に受け入れられているナノ粒子の定義である100nm未満の一次元を有する粒子を指す。
【0091】
多分散性
本明細書で使用される多分散性(または多分散性指数)は、粒子サイズに基づく試料の不均一性の尺度である。特に明記しない限り、多分散性は、Malvern Zetasizer Nano-S particle size analyzer from Malvern Instrumentsを使用して測定された。
【0092】
ガラス転移温度(Tg)
Tgは、示差走査熱量計(DSC)により測定される。好ましくは、以下の標準試験法に従って、ASTM E1356-98に記載された方法に基づいて測定された。試料は、走査の間、乾燥窒素の雰囲気下に維持された。流量は20ml/min、Alパンを使用した。試料(5mg)を20℃から350℃まで20℃/分で加熱した。Tgの値は、ASTM E1356-98に記載されているように、DSCスキャンで観察されたガラス転移の外挿オンセット温度(温度(℃)に対する熱流(W/g))として決定された。
【0093】
分子量
「分子量」または「平均分子量」という用語は、重量平均分子量(Mw)に言及するものである。分子量は、好適には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーなどの当該技術分野で公知の技術によって測定される。好ましくは、分子量は、ポリスチレン標準との比較によって測定される。例えば、分子量の測定は、2つのGPC Ultrastyragelカラム、103及び104Å(5 μm mixed, 300 mm x 19 mm, Waters Millipore Corporation, Milford, MA, USA)及び移動相としてのTHFを備えたHewlett-Packard 1050シリーズHPLCシステムで実施することができる。当業者は、分子量のこの定義が、典型的に分子量分布を有する高分子材料に適用されることを理解するであろう。
【0094】
特に断りのない限り、インクの粘度は、Brookfield DV-II+ Pro Viscometer に Enhanced Brookfield UL Adapter を装着し、60rpm、25℃で測定した。
【0095】
特に断りのない限り、pHと導電率はOakton 510シリーズのpH/導電率計を用いて、25℃で測定した。
【0096】
特に断りのない限り、動的表面張力はSITA社製気泡圧テンシオメータを用い、25℃、2.7Hzで測定、静的表面温度はSITA社製気泡圧テンシオメータを用い、25℃、気泡周波数0.025Hzで測定している。
【0097】
本発明は、以下の番号の項によってさらに説明される:
1. 溶液可溶性ポリ(スチレン-マレイン酸)(SMA)コポリマーである単一ポリマー型を含む印刷インク組成物。
2. さらに、1つ以上の着色剤;水;および少なくとも1つの有機共溶媒を含む、1項に記載の組成物。
3. 少なくとも単一のノズルを介して堆積させるのに適したインクジェットインクである、いずれかの前項記載の組成物。
4. SMAポリマー固形分を0.5~5%;より好ましくは0.5~4%、より好ましくは0.5~3.25%;さらに好ましくは0.5~3.2%、最も好ましくは0.6~3.1%を含む、任意の前項記載の組成物。
5. ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエステルメラミン、スチレン/アクリル酸コポリマー、スチレン/マレイン酸コポリマー、スチレン/マレイン酸/アクリル酸アルキルコポリマー、スチレン/メタクリル酸コポリマー、スチレン/メタクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマー、スチレン/マレイン酸ハーフエステルコポリマー、ビニルナフタレン/アクリル酸コポリマー、ビニルナフタレン/マレイン酸コポリマー、これらの塩、およびこれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の非SMAポリマーを更に含む、任意の前項記載の組成物。
6. ポリ(スチレン-マレイン酸)ポリマー(複数可)の酸価が、好ましくは≧200mgKOH/g、より好ましくは≧225mgKOH/g、最も好ましくは≧250mgKOH/gである、任意の前項記載の組成物。
7. ポリ(スチレン-マレイン酸)ポリマー(複数可)の酸価が200~600mgKOH/g、より好ましくは225~550mgKOH/g、更に好ましくは250~550mgKOH/gである、任意の前項記載の組成物。
8. ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマー中に存在する対イオンが、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、水素、有機アミンの第4級アンモニウム塩、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、任意の前項記載の組成物。
9. 有機アミンの第4級アンモニウム塩が、第一級、第二級及び第三級脂肪族アミン又はヒドロキシル-若しくはアルコキシルアミン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、8項に記載の組成物。
10. 顔料0.1~7.5wt%、スチレン-マレイン酸コポリマー0.1~5wt%、有機溶剤2~30wt%および配合物残部脱イオン水を含む、前項いずれかに記載の組成物。
11. 分散剤及び界面活性剤としてポリ(スチレン-マレイン酸)を用いて、最初に顔料粉末の分散液を調製する、任意の前項記載の組成物。
12. 顔料粒子が、粉砕工程または混練工程を用いて分散されたものである、11項に記載の組成物。
13. 顔料粒子が、連続水熱流動合成(CHFS)法を用いて成長し、同時に分散される、11項に記載のインク。
14. インクのpHが7.0~10.5、より好ましくは7.5~10.0、更に好ましくは8.0~9.5である、いずれかの前項記載の組成物。
15. 40dyne/cm未満、より好ましくは36dyne/cm未満、さらに好ましくは35dyne/cm未満の静的表面張力を有する、任意の前項記載の組成物。
16. 2.7Hzで<47ダイン/cm、より好ましくは<42ダイン/cm、さらに好ましくは<40ダイン/cmの動的表面張力を有する、任意の前項記載の組成物。
17. さらに界面活性剤を含む、任意の前項記載の組成物。
18. 界面活性剤が、アニオン性、カチオン性または中性からなる群から選択される、17項に記載の組成物。
19. 1~18項のいずれか1つ以上の組成物を基材上に塗布し、硬化させることを含む、印刷方法。
20. 印刷方法がインクジェットである、19項に記載の方法。
21. 印刷機のライン速度が50~600m/分(直線)、より好ましくは100~400m/分、さらに好ましくは150~300m/分である、20項に記載の方法。
22. 基材が、BOPP(二軸配向ポリプロピレン)、セロファン(セルロース)、LDPE/HDPE(低密度および高密度ポリエチレン)、OPP(配向ポリプロピレン)、MET-OPP(金属化配向ポリプロピレン) PA(ポリアミド、ナイロン) PET(ポリエチレンテレフタレート) MET-PET(金属化ポリエチレンテレフタレート) PP(ポリプロピレン) アルミホイル、アルミ医薬ホイル、鋼鉄、銅、保護金属、PVC(ポリ塩化ビニル)からなる群から選択される、19~21項のいずれか一項または複数項に記載の方法。
23. 基材が化学プライマーまたは化学前処理層を含まない、19~22項のいずれか1つ以上に記載の方法。
24. 近赤外線(NIR)ランプまたは赤外線ランプを用いて、インクを硬化させる、19~23項のいずれか1つ以上に記載の方法。
25. インクを30~250℃の温度で熱的方法を用いて硬化させる、19~24項のいずれか1つ以上に記載の方法。
26. インクを気流方式で硬化させる、21~25項のいずれか1つ以上に記載の方法。
27. サーマル、ドロップオンデマンド、連続またはMEMsからなる群から選択されるインクジェット印刷ヘッドを含む、21~28項のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
28. 1~18項に記載の組成物の1種または2種以上を含む印刷フィルム。
29. 食品接触および医薬品箔の用途での使用に適合している28項に記載の印刷フィルム。
【0098】
本発明は、その好ましい実施形態を含めて詳細に説明されてきた。しかしながら、当業者は、本開示を考慮した上で、本発明の範囲及び精神に属する本発明に対する変更及び/又は改良を行うことができることが理解されよう。
【0099】

本発明は、以下の非限定的な例によってさらに説明され、これらは本発明をさらに説明するものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではなく、また解釈されるべきものでもない。
【0100】
例1:シアン分散液とインク
1a.シアン分散液(ポリ(スチレン-マレイン酸)ポリマー固形分3.69%):機械的に攪拌されたタンクまたは容器に、44.98kgの脱イオン水(導電率25マイクロシーメンス未満)および14.74kgのXiran 3000 HNa溶液(25%ポリマー固体の水中のポリスチレン-マレイン酸、酸価255~305mgKOH/gおよび分子量10kD)を加え、数分間撹拌しながらこの2成分を混合する。次に、Agitan 731殺生物剤(0.15kg)およびActicide M10殺生物剤(0.07kg)を、混合物の撹拌を継続しながら添加する。次に、顔料パウダー、Heliogen Blue D 7086、14.74kgを攪拌を続けながらタンクにゆっくりと添加する。得られた混合物を45分間攪拌し、さらに60分間高剪断下で混合する。次に、この混合物をMMP3ビーズミル(Buhler社製)に送り込み、粉砕の工程を開始する。4時間後、粉砕は完了したとみなされ、分散液は機械的に攪拌されたタンクに戻され、25.32kgの脱イオン水が加えられる。数分間混合した後、分散液をポンプで1ミクロンのデプスフィルター(アブソリュート)に通し、保存する。分散液の物理的特性を測定したところ、粘度は3.40cP(ThermoHaake Rheostress 1を用いて25℃で低せん断(すなわち60rpm)で測定);pH10.0(WTW pH-Electrode Sen Tix 81を用いて25℃で測定);伝導率は3.0mScm-1(WTW社製Tetra-Con 325を用いて25℃で測定);粒子径Z-平均128nm(Malvern社製Zetasizer Nano-ZSを用いて測定);顔料固形分14.70w/w(Shimadzu社製紫外可視記録分光光度計UV-2501 PCを用いて測定)であった。
【0101】
1b.シアンインクセット1(1.17%(ポリ(スチレン-マレイン酸))ポリマー固形分、追加のポリマー種類なし):鋸歯状インペラを用いて機械的に撹拌したタンクまたは容器に、シアン分散液(例1a)31.6kgを加え;次いで脱イオン水26.3kg;プロピレングリコール34.6kg;ジプロピレングリコール6.7kg;および最後にTego Wet KL 245、0.8kgを加えた。この混合物を周囲温度でさらに1時間撹拌し、次いでこの混合物を1ミクロン絶対ポリプロピレン紡糸デプスフィルターで濾過した。インクの物理的特性を測定したところ、粘度は5.60cP(Brookfield DV-II+粘度計を用いて低せん断(すなわち60rpm)で32℃にて測定);pH10.22(Oakton 510シリーズpH/導電率計を用いて25℃にて測定);導電率0.259mScm-1(Oakton 510シリーズpH/導電率計を用いて25℃で測定);動的表面張力(SITA泡圧テンシオーメータを用いて測定)40.4mNm-1(25℃、11Hzで測定), 34.9mNm-1(25℃、2.7Hzで測定)、30.4mNm-1(25℃、0.1Hzで測定)及び30.1mNm-1(25℃、0.025Hz);粒子径Z平均119nm、Dv50 98nm、Dv90 218nm、多分散性指数0.196(Malvern Zetasizer Nano-Sを用いて測定);後述の試験で溶解度を測定し、<1分であることが判明した。
【0102】
1c.シアンインクセット2(2.65%(ポリ(スチレン-マレイン酸))ポリマー固形分、追加のポリマー種類なし):鋸歯状インペラを用いて機械的に撹拌したタンクまたは容器に、シアン分散液(例1a)29.6kgを加え;次いで脱イオン水24.6kg;プロピレングリコール32.55kg;ジプロピレングリコール6.25kg;Xiran 1000A 6.25kg (水中の25% (ポリスチレン-マレアミド酸)ポリマー溶液、酸価465~500mgKOH/gおよび分子量5kD);そして最後にTego Wet KL 245 0.75kgを加えた。この混合物を周囲温度でさらに1時間撹拌し、次いでこの混合物を1ミクロン絶対ポリプロピレン紡糸デプスフィルターで濾過した。インクの物理的特性を測定したところ、粘度8.69cP(Brookfield DV-II+粘度計を用いて低せん断(すなわち60rpm)、32℃で測定);pH8.66(Oakton 510シリーズpH/導電率計を用いて25℃で測定);導電率1.471mScm-1(Oakton 510シリーズpH/導電率計を用いて25℃で測定);動的表面張力(SITA泡圧テンシオーメータを用いて測定):43.2mNm-1(25℃、11Hzで測定)、36.4mNm-1(25℃、2.7Hzで測定)、29.8mNm-1(25℃、0.1Hzで測定)、29.4mNm-1(25℃,0.025Hzで測定);粒子径Z平均130nm、Dv50 116nm、、v90 257nm、多分散度0.206(Malvern Zetasizer Nano-Sを用いて測定);後述の試験で溶解度を測定し、<1分であることが判明した。
【0103】
1d.シアンインクセット3(2.85%(ポリ(スチレン-マレイン酸))ポリマー固形分、追加のポリマー種類なし):鋸歯状インペラを用いて機械的に撹拌したタンク又は容器に、シアン分散液(例1a)29.6kgを加え;次いで脱イオン水24.6kg;プロピレングリコール32.55kg;ジプロピレングリコール6.25kg;Xiran 2000A 6.25kg (水中の25%(ポリスチレン-マレアミド酸)溶液、酸価335~375mgKOH/g及び分子量7kD);及び最後にTego Wet KL 245 0.75kgを加えた。この混合物を周囲温度でさらに1時間撹拌した後、混合物を1ミクロン絶対ポリプロピレン紡糸デプスフィルターで濾過した。インクの物理的特性を測定したところ、粘度は5.03cP(Brookfield DV-II+粘度計を用いて低せん断(すなわち60rpm)で25℃にて測定);pH8.72(Oakton 510シリーズpH/導電率計を用いて25℃にて測定);導電率0.989mScm-1(Oakton 510シリーズpH/導電率計を用いて25℃で測定);動的表面張力(SITA泡圧テンシオーメータを用いて測定)...であった。39.8mNm-1(25℃、11Hzで測定),35.0mNm-1(25℃、2.7Hzで測定),31.6mNm-1(25℃、0.1Hzで測定)及び31.4(25℃,0.025Hzで測定);粒子径Z平均126nm、Dv50 127nm、Dv90 205nm、多分散度0.204(Malvern Zetasizer Nano-Sを用いて測定);後述の試験を用いて再溶解性を測定し、<1分であることが判明した。
【0104】
1e.シアンインクセット4(2.65%(ポリ(スチレン-マレイン酸))ポリマー固形分、追加のポリマー種類なし):鋸歯状インペラを用いて機械的に撹拌したタンク又は容器に、シアン分散液(例1a)29.6kgを加え;次いで脱イオン水、24.6kg;プロピレングリコール、32.55kg;ジプロピレングリコール、6.25kg;Xiran 3000H、6.25kg(水中の25%(ポリ(スチレン-マラメチック酸)溶液、酸価255~305mgKOH/gおよび分子量10kD);そして最後にTego Wet KL 245、0.75kgを添加した。この混合物を周囲温度でさらに1時間撹拌した後、混合物を1ミクロン絶対ポリプロピレン紡糸デプスフィルターで濾過した。インクの物理的特性を測定したところ、粘度は4.22cP(Brookfield DV-II+粘度計を用いて低せん断(すなわち60rpm)で25℃にて測定);pH9.70(Oakton 510シリース゛pH/導電率計を用いて25℃にて測定);導電率1.102mScm-1(Oakton 510シリーズpH/導電率計を用いて25℃で測定);動的表面張力(SITA泡圧テンシオーメータを用いて測定)45.9mNm-1(25℃、11Hzで測定),39.7mNm-1(25℃、2.7Hzで測定),34.6mNm-1(25℃、0.1Hzで測定)及び34.2mNm-1(25℃、0.025Hzで測定);粒子径Z平均123nm、Dv50 145nm、Dv90 243nm、多分散度0.211(Malvern Zetasizer Nano-Sを用いて測定);後述の試験で溶解度を測定し、<1分であることが判明した。
【0105】
1f.シアンインクセット5(2.65%(ポリ(スチレン-マレイン酸))ポリマー固形分、追加のポリマー種類なし)。鋸歯状インペラを用いて機械的に撹拌したタンク又は容器に、シアン分散液(例1a)29.6kgを加え;次いで脱イオン水、24.6kg;プロピレングリコール、32.55kg;ジプロピレングリコール、6.25kg;Xiran 3000HNa、6.25kg(水中の25%(ポリ(スチレン-マレイン酸)溶液、酸価255~305mgKOH/gおよび分子量10kD);そして最後にTego Wet KL 245、0.75kgを添加した。この混合物を周囲温度でさらに1時間撹拌し、その後、混合物を1ミクロン絶対ポリプロピレン紡糸デプスフィルターで濾過した。インクの物理的特性を測定したところ、粘度は7.76cP(Brookfield DV-II+粘度計を用いて低せん断(すなわち60rpm)で25℃にて測定);pH10.27(Oakton 510シリーズpH/導電率計を用いて25℃にて測定);導電率2.24mScm-1(Oakton 510シリーズpH/導電率計を用いて25℃で測定);動的表面張力(SITA泡圧テンシオーメータを用いて測定)54.2mNm-1(25℃,8.1Hzで測定),46.4mNm-1(25℃,2.7Hzで測定),36.2mNm-1(25℃,0.1Hzで測定),35.4mNm-(25℃,0.025Hzで測定);粒子径Z-平均127nm、Dv50 106nm、Dv90 268nm、多分散度0.219(Malvern Zetasizer Nano-Sを用いて測定);後述の試験で溶解度を測定し、<1分であることが判明した。
【0106】
1g.シアンインクセット6(0.74%(ポリ(スチレン-マレイン酸)ポリマー固形分+非SMAポリマー-アクリル)追加1種):鋸歯状インペラを用いて機械的に攪拌したタンクまたは容器に、脱イオン水(導電率25マイクロシーメンス未満)34.70kg;モノプロピレングリコール13.00kg;ジプロピレングリコール5.00kg;Kordek MLX 0.10 kg;Aerosol OT 70PGの80kg;Tego Foamex 1488の0.20kg;Tego Wet 280の1.00kg;Michem Lub 190の1.20kg;およびJoncryl 8050-E(水中ポリマー固形分42%のポリアクリル溶液;酸価114mg KOH/gおよび分子量>200kD)の24.00kgを加える。この混合物を均一になるまで撹拌し、次に、例1a分散液20.00kgを含む鋸歯状インペラーを用いて機械的に撹拌している第2の容器にゆっくりと添加する。混合物は、液体の完全な添加後、さらに30分間撹拌され、次いで1ミクロンのポリプロピレン(絶対)デプスフィルターを通してポンプで送られ、完成したインクを得ることができる。インクの物理的特性を測定したところ、粘度は4.46cP(ThermoHaake Rheostress 1を用いて低せん断(すなわち60rpm)で32℃にて測定);pH7.91(WTW pH-Electrode SenTix 81を用いて25℃にて測定);導電率4.43mScm-1(WTW Tetra-Con 325を用いて25℃で測定);動的表面張力(すべてSITA bubble pressure tensiometerを用いて測定)35.6mNm-1(25℃、11Hzで測定),29.3mNm-1(25℃、2.7Hzで測定),26.4mNm-1(25℃,0.1Hzで測定);粒径Z-平均 133nm, Dv50 117nm, Dv90 237nm, Dv95 281nm (Malvern Zetasizer Nano-ZS で測定)であることが示された。インクは2時間未満で再可溶化した。
【0107】
比較例1.
シアンインク(ポリ(スチレン-マレイン酸)、追加のポリウレタンディスパージョン(PUD)およびポリウレタンポリオール樹脂(PUD-OH)):鋸歯状インペラを用いて機械的に攪拌したタンクまたは容器に、シアン分散液(例1a)20.0gを加え;次いで脱イオン水、30.34kg;プロピレングリコール、13.0g;ジプロピレングリコール、3.56g;Michem Lube 190、1.2g;Hauthane L-2883(PUD)、8.6g;Tego Variplus DS50(PUD-OH),21.2g;Sodium Docusate、2g;Kordek MLX 0.1gを加えた。混合物を周囲温度でさらに1時間撹拌し、次いで混合物を1ミクロン絶対ポリプロピレン紡糸デプスフィルターを通して濾過し、完成したインクを得ることができた。このインクの物理的特性を測定したところ、粘度は3.70cP(Brookfield DV-II+粘度計を用いて25℃で低せん断(すなわち60rpm)で測定);pH9.06(Oakton 510シリーズpH/導電率計を用いて25℃で測定);動的表面張力(SITA気泡圧テンシオメーターを用いて測定)35.6mNm-1(25℃、11Hzで測定),31.6mNm-1(25℃、2.7Hzで測定),29.2mNm-1(25℃,0.1Hzで測定);粒径Z-平均115nm(Malvern Zetasizer Nano-S で測定)であった;後述のテストにより溶解性を測定し、完全に非溶解であることが判明した。
【0108】
比較例2
シアンインク(ポリ(スチレン-マレイン酸)、追加のポリアクリルディスパージョン):鋸歯状インペラを用いて機械的に撹拌したタンク又は容器に、シアン分散液(例1a)20.0gを加え;次いで、脱イオン水、38.0g;プロピレングリコール、13.0g;ジプロピレングリコール、2.5g;Joncryl 8050-E、16.7g;Joncryl 8055、6.5g;Michem Lube 190、1.2g;Acticide M10、0.1g;Tego Wet 280、1.0g;Tego Foamex 1488、0.2g;Aerosol OT 70 PG、0.8gを加えた。混合物を周囲温度でさらに1時間撹拌し、そして混合物を1ミクロン絶対ポリプロピレンスパンデプスフィルターを通して濾過し、完成したインクを得ることができた。このインクの物理的特性を測定したところ、粘度は3.86cP(Brookfield DV-II+粘度計を用いて低せん断(すなわち60rpm)で25℃にて測定);pH8.19(Oakton 510シリーズpH/導電率計を用いて25℃で測定);動的表面張力(SITA泡圧引張計を用いて測定)26.7mNm-1(25℃、0.1Hzで測定);粒径Z-平均128nm(Malvern Zetasizer Nano-S を使用して測定)であることがわかった;後述の試験で溶解性を測定した結果、完全に非溶解性であることが確認された。
【0109】
比較例3
シアンインク(ポリ(スチレン-マレイン酸)、追加のポリウレタンポリオール樹脂(PUD-OH)):鋸歯状インペラを用いて機械的に攪拌したタンクまたは容器に、シアン分散液(例1a)20.0gを加え、続いて脱イオン水29.84g;プロピレングリコール13.0g;ジプロピレングリコール3.56g;ミケムルベ1.2g;コルデックMLX0.1g;ドクセート(界面活性)2.0g;テゴバリプラスDS50 30.3g.混合物を周囲温度でさらに1時間撹拌し、次いで混合物を1ミクロン絶対ポリプロピレン紡糸デプスフィルターを通して濾過し、完成したインクを得ることができた。このインクの物理的特性を測定したところ、粘度は4.30cP(Brookfield DV-II+粘度計を用いて25℃で低せん断(すなわち60rpm)で測定);pH9.03(Oakton 510シリーズpH/導電率計を用いて25℃で測定);動的表面張力(SITA気泡圧テンシオメーターを用いて測定)37.4mNm-1(25℃、11Hzで測定),31.9mNm-1(25℃、2.7Hzで測定),28.6mNm-1(25℃、0.1Hzで測定);粒径Z-平均92nm(Malvern Zetasizer Nano-S で測定)であった;後述のテストにより溶解性を測定し、完全に非溶解と判定した。
【0110】
例2:マゼンタ分散液とインク
2a.分散液(4.25%ポリ(スチレン-マレイン酸)ポリマー固形分):機械的に攪拌されたタンクまたは容器に、51.75kgの脱イオン水(導電率25マイクロシーメンス未満)および17.00kgのXiran 3000 HNa溶液(25%(水中のポリスチレン-マレイン酸)溶液;酸価255~305mgKOH/gおよび分子量10kD)を加え、数分間攪拌しながらこの2成分を混合させる。次に、Agitan 731殺生物剤(0.17kg)およびActicide M10殺生物剤(0.09kg)を、混合物の撹拌を継続しながら添加する。次に、顔料パウダー、Cinquasia Pink K 4430 FP、17.00kgを攪拌を続けながらゆっくりとタンクに加えます。得られた混合物を45分間攪拌し、さらに60分間高剪断下で混合する。次に、この混合物をMMP3ビーズミル(Buhler社製)に送り込み、粉砕の工程を開始する。4時間後、粉砕は完了したとみなされ、分散液は機械的に攪拌されたタンクに戻され、13.99kgの脱イオン水が加えられる。数分間混合した後、分散液をポンプで1ミクロンのデプスフィルター(アブソリュート)に通し、保存する。分散液の物理的特性を測定したところ、粘度は3.60cP(ThermoHaake Rheostress 1を用いて低せん断(すなわち60rpm)で25℃にて測定);pH9.9(WTW pH-Electrode Sen Tix 81を用いて25℃にて測定);導電率は3.3mScm-1(25℃で測定 WTW Tetra-Con 325);粒径Z-平均127nm(Malvern Zetasizer Nano-ZS を使用して測定);顔料固形分17.0%w/w(Shimadzu UV-Vis recording Spectrophotometer - UV-2501 PCを使用して測定)であった。
【0111】
2b.マゼンタインクセット1(1.34%(ポリ(スチレン-マレイン酸)ポリマー固形分、追加のポリマー種類なし):鋸歯状インペラを用いて機械的に撹拌したタンク又は容器に、マゼンタ分散液(例2a)31.6kgを加え;次いで脱イオン水26.3kg;プロピレングリコール34.6kg;ジプロピレングリコール6.7kg;及び最後にTego Wet KL 245、0.8kgを加えた。この混合物を周囲温度でさらに1時間撹拌し、次いでこの混合物を1ミクロン絶対ポリプロピレン紡糸デプスフィルターで濾過した。インクの物理的特性を測定したところ、粘度5.52cP(Brookfield DV-II+粘度計を用いて低せん断(すなわち60rpm)で32℃にて測定);pH10.13(Oakton 510シリーズpH/導電率計を用いて25℃にて測定);導電率0.305mScm-1(Oakton 510シリーズpH/導電率計を用いて25℃で測定);動的表面張力(SITA泡圧テンシオーメータを用いて測定)38.5mNm-1(25℃、11Hzで測定),33.4mNm-1(25℃、2.7Hzで測定),29.3mNm-1(25℃、0.1Hzで測定),29.1mNm-1(25℃,0.025Hzで測定);粒子径Z-平均126nm、Dv50 108nm、Dv90 3740nm、多分散度0.255(Malvern Zetasizer Nano-Sで測定)であることが分かった;再溶解度は後述の試験で測定し、<1分であることがわかった。
【0112】
2c.マゼンタインクセット4(2.82%(ポリ(スチレン-マレイン酸))ポリマー固形分、追加のポリマー種類なし):鋸歯状インペラを用いて機械的に撹拌したタンクまたは容器に、マゼンタ分散液(例2a)29.6kgを加え;次いで脱イオン水24.6kg;プロピレングリコール32.55kg;ジプロピレングリコール6.25kg;Xiran 3000H、6.25kg(水中ポリ(スチレン-マレアミド酸)25%溶液、酸価255-305mgKOH/gおよび分子量10kD)、最後にTego Wet KL 245、0.75kgを加えた。この混合物を周囲温度でさらに1時間撹拌し、その後、混合物を1ミクロン絶対ポリプロピレン紡糸デプスフィルターで濾過した。インクの物理的特性を測定したところ、粘度は4.33cP(Brookfield DV-II+粘度計を用いて低せん断(すなわち60rpm)で25℃にて測定);pH9.57(Oakton 510シリーズpH/導電率計を用いて25℃にて測定);導電率1.131mScm-1(Oakton 510シリーズpH/導電率計を用いて25℃で測定);動的表面張力(SITA泡圧テンシオーメータを用いて測定)45.4mNm-1(25℃、11Hzで測定),38.9mNm-1(25℃、2.7Hzで測定),33.5mNm-1(25℃、0.1Hzで測定)及び33.0mNm-1(25℃、0.025Hzで測定);粒子径Z-平均122nm、Dv50 147nm、Dv90 3890nm、多分散度0.239(Malvern Zetasizer Nano-Sを用いて測定)となることが判明した;後述の試験で溶解度を測定し、<1分であることが判明した。
【0113】
2d.マゼンタインクセット6(0.85%(ポリ(スチレン-マレイン酸)ポリマー固形分+追加の非SMAポリマー-アクリル):鋸歯状インペラを用いて機械的に攪拌したタンク又は容器に、34.70kgの脱イオン水(導電率25マイクロシーメンス未満);13.00kgのモノプロピレングリコール;5.00kgのジプロピレングリコール;0.10kgのKordek MLX;0.80kgのAerosol OT 70PG;0.20kgのTego Foamex 1488;1.00kgのTego Wet 280;1.20kgのMichem Lub 190およびJoncryl 8050-Eを24.00kgを添加する。この混合物を均一になるまで撹拌し、次に、例2a分散物、20.00kgを含む鋸歯状インペラーを用いて同じく機械的に撹拌する第2の容器にゆっくりと添加する。混合物は、液体の完全な添加後、さらに30分間撹拌され、次いで1ミクロンのポリプロピレン(絶対)デプスフィルターを通してポンプで送られ、完成したインクを得ることができる。インクの物理的特性を測定したところ、粘度は4.29cP(ThermoHaake Rheostress 1を用いて低せん断(すなわち60rpm)で32℃において測定);pH7.90(WTW pH-Electrode SenTix 81を用いて25℃において測定);導電率4.42mScm-1(WTW Tetra-Con 325を用いて25℃で測定);動的表面張力(すべてSITA bubble pressure tensiometerを用いて測定).34.5mNm-1(25℃,11kHzで測定),28.9mNm-1(25℃,2.7kHzで測定),26.1mNm-1(25℃,0.1kHzで測定);粒径Z-平均117nm、Dv50 93nm、Dv90 191nm、Dv95 231nm(Malvern Zetasizer Nano-ZS で測定)であった。インクは2時間未満で再可溶化。
【0114】
例3:黄色分散液とインク
3a.分散液(4.63%ポリ(スチレン-マレイン酸)ポリマー固形分):機械的に攪拌したタンクまたは容器に、脱イオン水(導電率25マイクロシーメンス未満)56.22kgとXiran 3000 HNa溶液(25%(水中のポリスチレン-マレイン酸)溶液;酸価255~305mgKOH/gおよび分子量10kD)18.50kgを加え、数分間撹拌しながらこの2成分を混合したものである。次に、Agitan 731殺生物剤(0.19kg)およびActicide M10殺生物剤(0.09kg)を、混合物の攪拌を継続しながら添加する。次に、顔料粉末、Irgazin Yellow L 2040、18.50kgを、攪拌を続けながらタンクにゆっくりと添加する。得られた混合物を45分間攪拌し、さらに60分間高剪断下で混合する。次に、この混合物をMMP3ビーズミル(Buhler社製)に送り込み、粉砕の工程を開始する。4時間後、粉砕は完了したとみなされ、分散液は機械的に攪拌されたタンクに戻され、6.50kgの脱イオン水が加えられる。数分間混合した後、分散液を1ミクロンのデプスフィルター(アブソリュート)を通してポンプで送り、保存する。分散液の物理的特性を測定したところ、粘度は4.20cP(ThermoHaake Rheostress 1を用いて低せん断(すなわち60rpm)で25℃にて測定);pH8.9(WTW pH-Electrode Sen Tix 81を用いて25℃にて測定);導電率3.4mScm-1(25℃で測定 WTW Tetra-Con 325);粒径Z-平均146nm(Malvern Zetasizer Nano-ZS を使用して測定);顔料固形分18.0%w/w(Shimadzu UV-Vis recording Spectrophotometer - UV-2501 PCを使用して測定)であった。
【0115】
3b.イエローインクセット1(1.46%(ポリ(スチレン-マレイン酸)ポリマー固形分、追加のポリマー種類なし):鋸歯状インペラを用いて機械的に撹拌したタンク又は容器に、イエロー分散液(例3a)31.6kgを加え;次いで脱イオン水26.3kg;プロピレングリコール34.6kg;ジプロピレングリコール6.7kg;及び最後にTego Wet KL 245、0.8kgを加えた。この混合物を周囲温度でさらに1時間撹拌し、次いでこの混合物を1ミクロン絶対ポリプロピレン紡糸デプスフィルターで濾過した。インクの物理的特性を測定したところ、粘度6.08cP(Brookfield DV-II+粘度計を用いて低せん断(すなわち60rpm)で32℃にて測定);pH6.72(Oakton 510シリーズpH/導電率計を用いて25℃にて測定);導電率0.159mScm-1(Oakton 510シリーズpH/導電率計を用いて25℃で測定);動的表面張力(SITA泡圧テンシオーメータを用いて測定)37.5mNm-1(25℃,11Hzで測定),31.8mNm-1(25℃,2.7Hzで測定),28.0mNm-1(25℃,0.1Hzで測定),27.6mNm-1(25℃,0.025Hzで測定);粒子径Z-平均122nm、Dv50 1320nm、Dv90 2140nm、多分散度0.250(マルバーンのZetasizer Nano-Sを用いて測定)であった;後述の試験で溶解度を測定し、<1分であることが判明した。
【0116】
3c.イエローインクセット4(2.95%(ポリ(スチレン-マレイン酸))ポリマー固形分、追加のポリマー種類なし):鋸歯状インペラーを使用して機械的に攪拌したタンクまたは容器に、イエロー分散液(例3a)29.6kgを加え、続いて脱イオン水24.6kg;プロピレングリコール32.45kg;ジプロピレングリコール6.3kg;Xiran 3000H、6.3kg(水中ポリ(スチレン-マレアミド酸)25%溶液、酸価255~305mgKOH/gおよび分子量10kD);および最後にTego Wet KL 245、0.75kgを加えた。この混合物を周囲温度でさらに1時間撹拌し、次にこの混合物を1ミクロン絶対ポリプロピレン紡糸デプスフィルターで濾過した。インクの物理的特性を測定したところ、粘度は5.07cP(Brookfield DV-II+粘度計を用いて低せん断(すなわち60rpm)で25℃にて測定);pH9.13(Oakton 510シリーズpH/導電率計を用いて25℃にて測定);導電率1.079mScm-1(Oakton 510シリーズpH/導電率計を用いて25℃で測定);動的表面張力(SITA泡圧テンシオーメータを用いて測定)45.2mNm-1(25℃、11Hzで測定),38.2mNm-1(25℃、2.7Hzで測定),32.7mNm-1(25℃、0.1Hzで測定),32.2mNm-1(25℃、0.Hzで測定)。025Hz);粒子径Z平均128nm、Dv50 165nm、Dv90 2070nm、多分散度0.240(Malvern Zetasizer Nano-Sを用いて測定)であった;後述の試験で溶解度を測定し、<1分であることが判明した。
【0117】
3d.イエローインクセット6(0.93%(ポリ(スチレン-マレイン酸)ポリマー固形分、1つの非SMAポリマーを追加):鋸歯状インペラを使用して機械的に攪拌したタンクまたは容器に、34.70kgの脱イオン水(導電率25マイクロシーメンス未満);13.00kgのモノプロピレングリコール;5.00kgのジプロピレングリコール;0.10kgのKordek MLX;0.80kgのAerosol OT 70PG;0.20kgのTego Foamex 1488;1.00kgのTego Wet 280;1.20kgのMichem Lub 190および24.00kgのJoncryl 8050-Eを添加する。この混合物を均一になるまで撹拌し、次に、例3a分散物、20.00kgを含む鋸歯状インペラーを用いて同じく機械的に撹拌される第2の容器にゆっくりと添加する。混合物は、液体の完全な添加後、さらに30分間撹拌され、次いで1ミクロンのポリプロピレン(絶対)デプスフィルターを通してポンプで送られ、完成したインクを得ることができる。インクの物理的特性を測定したところ、粘度4.71cP(ThermoHaake Rheostress 1を用いて低せん断(すなわち60rpm)で32℃で測定);pH7.86(WTW pH-Electrode SenTix 81を用いて25℃で測定);導電率4.38mScm-1(WTW Tetra-Con 325を用いて25℃で測定);動的表面張力(すべてSITA bubble pressure tensiometerを用いて測定)34.7mNm-1(25℃,11kHzで測定),29.1mNm-1(25℃,2.7kHzで測定),25.6mNm-1(25℃,0.1kHzで測定);粒径Z-平均126nm、Dv50 99nm、Dv90 222nm、Dv95 272nm(Malvern Zetasizer Nano-ZS で測定)であった。インクは2時間未満で再可溶化。
【0118】
例4:ブラック分散液とインク
4a.分散液(3.5%ポリ(スチレン-マレイン酸)ポリマー固形分):機械的に攪拌されたタンクまたは容器に、41.79kgの脱イオン水(導電率25マイクロシーメンス未満)、および14.00kgのXiran 3000 HNa溶液(25%(水中のポリスチレン-マレイン酸)溶液;酸価255~305mgKOH/gおよび分子量10kD)を加え、数分間撹拌しながら2成分を混合した後、この混合物を添加する。次に、Agitan 731殺生物剤(0.14kg)およびActicide M10殺生物剤(0.07kg)を、混合物の攪拌を継続しながら添加する。次に顔料粉末(Raven FC1、14.00kg)を攪拌を続けながらゆっくりとタンクに添加する。得られた混合物を45分間攪拌し、さらに60分間高剪断下で混合する。次に、この混合物をMMP3ビーズミル(Buhler社製)に送り込み、粉砕の工程を開始する。4時間後、粉砕は完了したとみなされ、分散液は機械的に攪拌されたタンクに戻され、30.0kgの脱イオン水が加えられる。数分間混合した後、分散液をポンプで1ミクロンのデプスフィルター(アブソリュート)に通し、保存する。分散液の物理的特性を測定したところ、粘度は3.50cP(ThermoHaake Rheostress 1を用いて低せん断(すなわち60rpm)で25℃にて測定);pH9.0(WTW pH-Electrode Sen Tix 81を用いて25℃にて測定);導電率3.8mScm-1(25℃で測定 WTW Tetra-Con 325);粒子径Z-平均140nm(Malvern Zetasizer Nano-ZSを使用して測定);顔料固形分14.0%w/w(島津UV-可視記録分光光度計-UV-2501 PCを使用して測定)であった。
【0119】
4b.ブラックインクセット1(1.11%(ポリ(スチレン-マレイン酸)ポリマー固形分、追加のポリマー種類なし):鋸歯状インペラを用いて機械的に撹拌したタンク又は容器に、ブラック分散液(例4a)31.6kgを加え;次いで脱イオン水26.3kg;プロピレングリコール34.6kg;ジプロピレングリコール6.7kg;及び最後にTego Wet KL 245、0.8kgとした。この混合物を周囲温度でさらに1時間撹拌し、次いでこの混合物を1ミクロン絶対ポリプロピレン紡糸デプスフィルターで濾過した。インクの物理的特性を測定したところ、粘度は5.63cP(Brookfield DV-II+粘度計を用いて低せん断(すなわち60rpm)で32℃にて測定);pH9.33(Oakton 510シリーズpH/導電率計を用いて25℃にて測定);導電率0.327mScm-1(Oakton 510シリーズpH/導電率計を用いて25℃で測定);動的表面張力(SITA泡圧テンシオーメータを用いて測定)37.4mNm-1(25℃,11Hzで測定),31.8mNm-1(25℃,2.7Hzで測定),28.6mNm-1(25℃,0.1Hzで測定),28.1mNm-1(25℃,0.025Hzで測定);粒子径Z-平均123nm、Dv50 144nm、Dv90 3890nm、多分散度0.247(マルバーンのZetasizer Nano-Sを用いて測定)であった;後述の試験で溶解度を測定し、<1分であることが判明した。
【0120】
4c.ブラックインクセット4(2.60%(ポリ(スチレン-マレイン酸))ポリマー固形分、追加のポリマー種類なし):鋸歯状インペラを使用して機械的に撹拌したタンク又は容器に、ブラック分散液(例4a)29.6kgを加え;次いで脱イオン水、24.6kg;プロピレングリコール、32.55kg;ジプロピレングリコール、6.25kg;Xiran 3000H、6.25kg((水中のポリ(スチレン-マレアミド酸)25%溶液、 酸価255~305mgKOH/gおよび分子量10kD);そして最後にTego Wet KL 245、0.75kgを添加した。この混合物を周囲温度でさらに1時間撹拌した後、混合物を1ミクロン絶対ポリプロピレン紡糸デプスフィルターで濾過した。インクの物理的特性を測定したところ、粘度は4.24cP(Brookfield DV-II+粘度計を用いて低せん断(すなわち60rpm)で25℃にて測定);pH9.49(Oakton 510シリーズpH/導電率計を用いて25℃にて測定);導電率1.178mScm-1(Oakton 510シリーズpH/導電率計を用いて25℃で測定);動的表面張力(SITA泡圧テンシオーメータを用いて測定)45.3mNm-1(25℃、11Hzで測定),38.7mNm-1(25℃、2.7Hzで測定),33.3mNm-1(25℃、0.1Hzで測定)及び32.7mNm-1(25℃、0.25Hzで測定)。025Hz);粒子径Z平均131nm、Dv50 113nm、Dv90 232nm、多分散度0.139(Malvern Zetasizer Nano-Sを用いて測定となることが判明した;後述の試験を用いて再溶解性を測定し、<1分であることが判明した。
【0121】
4d.ブラックインクセット6(0.70%(ポリ(スチレン-マレイン酸)ポリマー固形分、1つの非SMAポリマーを追加):鋸歯状インペラを使用して機械的に攪拌したタンクまたは容器に、34.70kgの脱イオン水(導電率25マイクロシーメンス未満);13.00kgのモノプロピレングリコール;5.00kgのジプロピレングリコール;0.10kgのKordek MLX;0.80kgのAerosol OT 70PG;0.20kgのTego Foamex 1488;1.00kgのTego Wet 280;1.20kgのMichem Lub 190およびJoncryl 8050-E 24.00kgを添加する。この混合物を均一になるまで撹拌し、次に、例4a分散物、20.00kgを含む鋸歯状インペラーを用いて同じく機械的に撹拌される第2の容器にゆっくりと添加する。混合物は、液体の完全な添加後、さらに30分間撹拌され、次いで1ミクロンのポリプロピレン(絶対)デプスフィルターを通してポンプで送られ、完成したインクを得ることができる。インクの物理的特性を測定したところ、粘度4.24cP(ThermoHaake Rheostress 1を用いて低せん断(すなわち60rpm)で32℃で測定);pH7.87(WTW pH-Electrode SenTix 81を用いて25℃で測定);導電率4.46mScm-1(WTW Tetra-Con 325を用いて25℃で測定);動的表面張力(すべてSITA bubble pressure tensiometerを用いて測定)34.5mNm-1(25℃,11kHzで測定),28.6mNm-1(25℃,2.7kHzで測定),25.6mNm-1(25℃,0.1kHzで測定);粒径Z-平均141nm、Dv50 126nm、Dv90 237nm、Dv95 276nm(Malvern Zetasizer Nano-ZS で測定)であった。インクは2時間未満で再可溶化。
【0122】
本発明例1b-1g;2b-d;3b-d;4b-dの全てのインクについて、インクジェット用インクとしての適性を示すために、以下の特性試験を実施した。
1. 印刷/硬化-例1b~1g;2b~d;3b~d;および4b~dのインクを、Dimatix DMP2800プリンタ、または京セラKJ4Bもしくはコニカミノルタ1024プリントヘッドのいずれかを備えた工業印刷機のいずれかを用いて印刷した。すべての印刷物は、独立して、(a)対流式ファンオーブンで40℃、30分間乾燥、(b)110℃で2分間熱乾燥後、210℃で10分間硬化、または(c)Adphos製NIRランプを使用して3kW設定で硬化のいずれかを実施した。全ての印刷物を目視で評価した結果、優れた直線性、均一な色濃度、エッジブリードがなく、ドットゲインが少ないことから、良好な噴射特性と印刷適性を示すと判断された。テストした基材は、スライドガラス、保護されたスチール、化学処理されていないPETポリエステル、BOPP、LDPEである。
2. 再溶解性(例1b~1f;2b~c;3b~c;4b~cインク)-50ミクロンの5号Kバー(ワイヤーバーコーターとしても知られている)を用いて例1b~1f;2b~c;3b~c;4b~cインクそれぞれのサンプルをガラス顕微鏡スライド(Fisher Scientific)にコーティングし、フィルムを40℃で30分間ファン対流オーブンで乾燥させた。その後、プリント基板をフラッシュ(インクジェットフラッシュ液)の入ったビーカーに部分的に浸し、基板からインクが再溶解するまでの時間を記録した。この試験において、再可溶化する時間は、好ましくは<2時間、より好ましくは<1時間、さらに好ましくは<30分、最も好ましくは<10分である。すべての場合において、インクは<1分で再可溶化し、これは優れた結果である。この試験は、インクジェットプリントヘッドが正しくキャップされず、長期間放置され、最終的にプリントヘッドまたは機械内でインクが乾燥した場合に起こりうることを正確に表現したものである。この試験で期待されることは、インクができるだけ早く再可溶化され、プリントヘッドや機械に目に見える損傷や持続的な損傷を与えないことである。
3. 再溶解性(例1g;2d;3d;4dインク)-これらのインクは全て追加のポリマーを含んでおり、再溶解性の時間が長くなっている。また、試験方法も若干異なるものを使用した。0.065gのインクをスライドガラスに載せ、室温で1時間乾燥させた後、フラッシュ(インクジェット洗浄液)の入ったビーカーに浸し、撹拌して、インクが基板から再溶解するまでの時間を記録した。この試験において、再可溶化する時間は、好ましくは<2時間である。例1g;2d;3d;4dの全てのインクは、<2時間で再可溶化した。
4. 保存安定性-例1b-1g;2b-d;3b-d;及び4b-dの全てのインクを、ガラスバイアル(30mL)中にインクサンプルを50℃で一定期間保存することによって、保存安定性について試験した。例に記載された物理的特性は、週単位で測定された。粘度、フィルター時間、表面張力、pHまたは導電率からのパラメータの1つが、2週間の間に±10%以上変化した場合、そのインクは不合格とみなされる。例1b-1g;2b-d;3b-d;および4b-dインクはすべて、50℃で2週間後に許容できる安定性を示した(前述の特性について+/-10%の変化なし)。これは、通常の保管条件(15~30℃)における約16週間の製品貯蔵寿命に相当する。
5. 開放時間(オープンタイム)-8mLのDimatix DoDインクカートリッジをシリンジで充填し、Dimatix DMP2800プリンタに装填した。インクをカートリッジ内に少なくとも1時間放置した後、プリンターを再始動させた。インクが通過するためには、完全に印刷された画像が表示されることが期待された。実際、例1b-1g;2b-d;3b-d;及び4b-dのインクのすべてで、これは事実であった。さらに、1b-1g;2b-d;3b-d;および4b-dインクのすべてについて、京セラKJ4Bおよびコニカミノルタ1024プリントヘッドでオープンタイムを試験し、1時間を超えることが判明した。このテストでは、標準的な写真品質のA4インクジェットペーパーを使用した。
6. クロスハッチおよびクロック試験(接着および曲げ)-保護されたスチールおよび化学的に未処理のPETポリエステル、BOPP、LDPE基材を用いて試験を行った。12ミクロンのNo.2 Kバー(ワイヤーバーコーターとも呼ばれる)を使用して各基板にインクを塗布し、ファンオーブンで110℃、2分間フィルムを乾燥させる。このサンプルを爪でひっかいて、耐傷性をテストする。目視でインクの塗膜が剥がれなければ合格である。次に、金属基板上でフィルムが完全に硬化するように、210℃で10分間コンベクションオーブンで硬化させる。曲げテストでは、基板を180度曲げ、乾燥したフィルムに目視でダメージがないかどうかを確認する。ダメージがなければ合格である。次に、スクライブクロスハッチ(10×10クロスハッチ)によるクロスハッチテストを行う。印刷面を低摩擦コンタクトブラシで拭き、クロスハッチ部分に帯状のElcometer 99テープを貼り付け、圧力をかけて数回こすり、テープが表面に付着していることを確認する。テープの端を180度折り曲げて、テープの端を引っ張り、塗膜が剥がれたかどうかを確認する。コーティングが剥がれた場合は、不合格となる。また、フィルムは、手動接触スワビングによって最大100回まで脱イオン水で拭き取られる。合格は少なくとも100回の拭き取りである。例1b-1g;2b-d;3b-d;および4b-dのインクはすべて、すべての基材でこれらのテストのすべてに合格した。
【0123】
比較例1の摩擦堅牢度を標準的なクロックメータで測定したところ、ドライラブは200回以上であり、良好と判断された。また、水摩擦堅牢度も非常に良好であった。しかし、比較例1のスクラッチテストでは、30%の除去率を示した。したがって、この比較例から、分散剤およびコ結合剤としてpol(スチレン-マレイン酸)コポリマーを用い、コ結合剤としてPUDおよびPUD-OH分散液を併用すると、再溶解性は非常に悪いが、水摩擦試験結果は良好であると結論づけることができる。
【0124】
比較例2の摩擦堅牢度を一般的なクロックメータで測定したところ、ドライラブは50回以上となり、不良と判断された。また、水ラビング堅牢度は、100%がすぐに取れてしまい、非常に悪いものであった。したがって、この比較例から、分散剤および共結合剤としてポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーを使用し、さらに共結合剤として2つのポリアクリル樹脂を併用すると、再溶解性が非常に悪く、水摩擦試験結果が非常に悪いと結論づけることができる。
【0125】
比較例3の摩擦堅牢度を標準的なクロックメータで測定したところ、乾式摩擦は10回程度と非常に悪いものであった。水ラビング堅牢度は、100回のラビングで50%が除去され、十分であった。従って,この比較例から,分散剤および共結合剤としてpol(スチレン-マレイン酸)コポリマーを使用し,共結合剤としてPUD-OHを単独で併用すると,再溶解性は非常に悪くなるが,水摩擦試験結果は十分であると結論付けることができる。
【0126】
定義
良好な噴射と印刷画像の品質とは、デジタルインクジェットヘッドから様々な量の液滴を吐出させたときに、適切な液滴形成が行われることと定義される。印刷画像の品質を損なうサテライトやドロップブレイクアップがあってはならず、通常、X-Rite社のようなドロップウォッチャーマシンを用いたジェットテストによって検証される。良好な印刷画質とは、最終用途に適合した画像であると定義される。通常、X-Rite社のImageXpertで、線の直線性、ウィッキング、フェザリング、ドットゲインなどの一連のテストを行うことで検証する。
【0127】
保存安定性とは、インクの性能を低下させる可能性のある著しい沈降や劣化を起こさずに保存できる日数、週数、月数のことである。
【0128】
オープンタイムとは、プリントヘッドをキャップせずに放置し(つまりオープン)、噴射を再開したときにすべてのノズルを完全に起動できる時間のことである。通常のオープンタイムは最低でも1時間である。
【0129】
再溶解性とは、メンテナンス不良やダウンタイムによってデジタル印刷機やヘッド内で空気乾燥したインクを再溶解するのにかかる時間のことである。標準的な洗浄液やメンテナンス液を使用した場合、10分以内にインクを再溶解し、ブロックされたノズルを回復させることができると期待されている。
【0130】
堅牢なフィルム形成特性は、標準的なクロスハッチ試験(ISO 2409およびASTM D 3359-17)、物理的摩擦試験(ISO 105 X12:2016およびASTM D 5264-98(2019))、および基板を曲げることによるマンドレル曲げ試験(ASTM D522/D522M-17)を使用して検証されている。これらの特性については、1b-1g;2b-d;3b-d;4b-dの全てのインクが合格であった。
【0131】
上述した例示的なインクは、以下の5つのカテゴリーに分類することができる。
・Xiran 3000 HNaのみを含むインクセット1(例1b、1f、2b、3bおよび4b)
・Xiran 3000 HNaとXiran 1000Aを含むインクセット2(例1c)
・Xiran 3000 HNaとXiran 2000Aを含むインクセット3(例1d)
・Xiran 3000 HNaとXiran 3000Hを含むインクセット4(例1e、2c、3c、4c)
・Xiran HNaとJoncryl 8050-Eを含むインクセット5(例1g、2d、3d、4d)
【0132】
インクセットの全てが再溶解性試験に合格し、インクセット1~4は全て優れた再溶解性を示し(すなわち、インクが再溶解するのに要した時間は1分未満)、インクセット5は許容できる再溶解性を示した(すなわち、インクが再溶解するのに要した時間は2時間未満であった)。このように、単一のポリマー型を含むインクは、追加の非SMA型コポリマーを含むものと比較して、改善された再溶解性を有する。
【0133】
インクセット1は良好な摩擦堅牢度を示し、インクセット2および3は優れた摩擦堅牢度を示し、インクセット4および5は許容できる摩擦堅牢度を示し、すべてのインクセットが摩擦試験に合格した。このように、第2のポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーAMP塩を含むインクセットは、単一のポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーナトリウム塩を含むもの、およびポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーナトリウム塩とポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーアンモニウム塩とを一緒に含むものと比較して、摩擦堅牢度が向上していることが分かる。さらに、第2の非SMAポリマーを添加しても、第2のSMAポリマーを添加した場合と同様の摩擦堅牢度の向上は得られないことが確認された。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
255mgKOH/gの酸価を有するポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマー、≧255mgKOH/gの酸価を有するポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマー、またはそれらの組み合わせから選択されるポリマーを含む印刷インク組成物であって、
当該コポリマーが、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは第4級アンモニウム塩、またはそれらの組み合わせであり、
前記組成物が、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマー固形分又はポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマー固形分0.1~5%を含み、
前記組成物がグリセロールを含まない、前記の印刷インク組成物。
【請求項2】
ポリマーがポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリマーがポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
1つ以上の着色剤;水;及び少なくとも1つの有機共溶媒をさらに含み、好ましくは、1つ以上の着色剤は、無機又は有機顔料である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも単一のノズルを介して堆積するのに適したインクジェットインクである、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
ポリマー中のマレイン酸またはマレアミド酸の繰り返し単位が、モノナトリウム塩、ジナトリウム塩、モノアンモニウム塩、ジアンモニウム塩、モノ第4級アンモニウム塩またはジ第4級アンモニウム塩である、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
第4級アンモニウム塩が、有機アミンの第4級アンモニウム塩であり、ここで有機アミンは、第一級、第二級及び第三級脂肪族アミン又はヒドロキシル-若しくはアルコキシルアミン及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは有機アミンはヒドロキシルアミンであり、好ましくはアミノエチルプロパノール又はジメチルエタノールアミンである、請求項1~6のいずれか1項に記載された組成物。
【請求項8】
ポリマーがポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーのモノまたはジナトリウム塩、好ましくはポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーのジナトリウム塩である、請求項2または4~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
ポリマーが、ポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーのモノアンモニウム塩である、請求項3~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
ポリマーが、ポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーのモノ第4級アンモニウム塩であり、好ましくは、モノ第4級アンモニウム塩がアミノエチルプロパノールの第4級アンモニウム塩である、請求項3~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
ポリマーの酸価が255~550mgKOH/gである、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
ポリマーの分子量が、≧3,000ダルトン、好ましくは≧3,500ダルトンである、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
ポリマーの分子量が3,000~20,000ダルトン、好ましくは3,500~15,000ダルトンである、請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
組成物が、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーおよび/またはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーである単一のポリマー型を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーが、スチレンモノマーとマレイン酸モノマーの塩からなる、請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
ポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーが、スチレンモノマーとマレアミド酸モノマーの塩からなる、請求項1~1のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーまたはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーが、無水マレイン酸残基を含まない、請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマー固形分0.5~5%、より好ましくは0.5~4%、さらに好ましくは0.5~3.25%;さらになお好ましくは0.5~3.2%、最も好ましくは0.6~3.1%を含む、請求項1、2、4~8、11~15または17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
ポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマー固形分0.5~5%、より好ましくは0.5~4%、さらに好ましくは0.5~3.25%;さらになお好ましくは0.5~3.2%、最も好ましくは0.6~3.1%を含む、請求項1、3~7、9~14、16または17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエステルメラミン、スチレン/アクリル酸コポリマー、スチレン/マレイン酸/アクリル酸アルキルコポリマー、スチレン/メタクリル酸コポリマー、スチレン/メタクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマー、スチレン/マレイン酸ハーフエステルコポリマー、ビニルナフタレン/アクリル酸コポリマー、ビニルナフタレン/マレイン酸コポリマー、およびそれらの塩、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される1以上の非SMAコポリマーをさらに含む、請求項1~13または15~19のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
組成物がポリウレタンを含まない、請求項1~20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
顔料0.1~7.5wt%、スチレン-マレイン酸コポリマー0.1~5wt%、有機溶剤2~30wt%、および配合物残部脱イオン水を含む、請求項1、2、4~8、11~15、17、18、20または20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
顔料0.1~7.5wt%、スチレン-マレアミド酸コポリマー0.1~5wt%、有機溶剤2~30wt%、および配合物残部脱イオン水を含む、請求項1、3~7、9~14、16、17または19~21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
少なくとも1つの有機溶媒が、アルコール、ポリオール、ケトン、ケトンアルコール、エーテル、多価アルコールのエーテル又はそれらの組み合わせから選択され、好ましくは、少なくとも1つの有機溶媒が、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール又はそれらの組み合わせから選択されるポリオールである、請求項4~23のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
顔料粉末の分散液が、分散剤および界面活性剤としてポリ(スチレン-マレイン酸)またはポリ(スチレン-マレアミド酸)を最初に使用して調製される、請求項1~24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
顔料粒子が、粉砕工程または混練工程を用いて分散される、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
顔料粒子が、連続的水熱流動合成(CHFS)法を用いて成長し、同時に分散される、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーまたはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーが、分散剤、界面活性剤および結合剤であり、好ましくは組成物が、分散剤、界面活性剤および結合剤のいずれか一つ以上の機能を果たす他の成分を含まない、請求項1~27のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項29】
インクのpHが7.0~10.5、より好ましくは7.5~10.0、さらに好ましくは8.0~9.5である、請求項1~28のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項30】
インクの粘度が、(Enhanced Brookfield ULアダプタを備えたBrookfield DV-II+粘度計を60rpmで使用して25℃で測定して)4.0cPよりも大きい、好ましくは5.0cPよりも大きい、請求項1~29のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項31】
インクの粘度が、(Enhanced Brookfield ULアダプタを備えたBrookfield DV-II+粘度計を60rpmで使用して25℃で測定して)4~10cPである、請求項1~30のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項32】
0.025Hzで<40dyne/cm、より好ましくは0.025Hzで<36dyne/cm、さらに好ましくは0.025Hzで<35dyne/cmの静的表面張力を有する、請求項1~31のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項33】
2.7Hzで<47ダイン/cm、より好ましくは2.7Hzで<42ダイン/cm、さらに好ましくは2.7Hzで<40ダイン/cmの動的表面張力を有する、請求項1~32のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項34】
追加の界面活性剤をさらに含む、請求項1~27または29~33のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項35】
追加の界面活性剤が、アニオン性、カチオン性又は中性界面活性剤からなる群から選択される、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
湿潤剤、好ましくはポリエーテルシロキサンコポリマーをさらに含む、請求項1~35のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項37】
請求項1~36のいずれか1項に記載の組成物の1種または2種以上を含む、またはそれに由来する印刷フィルム。
【請求項38】
食品接触および医薬品箔の用途での使用に適合する請求項37に記載の印刷フィルム。
【請求項39】
請求項1~36のいずれか1項に記載の組成物を基材上に塗布し、硬化させることを含む、印刷方法。
【請求項40】
印刷方法がインクジェットである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
印刷機のライン速度が50~600m/分(線形)、より好ましくは100~400m/分、さらに好ましくは150~300m/分である、請求項10に記載の方法。
【請求項42】
近赤外線(NIR)ランプまたは赤外線ランプを用いてインクを硬化させる、請求項39~41のいずれか1に記載の方法。
【請求項43】
インクを30~250℃の熱方式で硬化させる、請求項39~42のいずれか1に記載の方法。
【請求項44】
インクを気流方式で硬化させる、請求項39~43のいずれか1に記載の方法。
【請求項45】
サーマル、ドロップオンデマンド、連続またはMEMsからなる群から選択されるインクジェット印刷ヘッドを含む、請求項39~44のいずれか1に記載の方法。
【請求項46】
インクジェット印刷によって非多孔質基材上に画像を印刷する方法であって、
前記方法が、水性インクジェットインク組成物を非多孔質基材上に適用することを含み、
前記インクジェットインク組成物が、255mgKOH/g以上の酸価を有するポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマー及び/又は255mgKOH/g以上の酸価を有するポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーを含み
前記組成物が、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマー固形分又はポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマー固形分0.1~5%を含み、
前記組成物がグリセロールを含まない、前記の方法。
【請求項47】
前記インク組成物を前記基板上に塗布した後、NIR-放射線または熱硬化を使用して前記インク組成物を前記基板上に固定することを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
インクジェット印刷によって非多孔質基材上に画像を印刷するためのインクジェットインク組成物としての、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーおよび/またはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーを含む水性インク組成物の使用であって、前記ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーまたはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーは225mgKOH/g以上の酸価を有し、
前記組成物が、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマー固形分又はポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマー固形分0.1~5%を含み、
前記組成物がグリセロールを含まない、前記の使用。
【請求項49】
前記組成物が、分散剤、界面活性剤及び結合剤を含み、
前記分散剤が、前記ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマー又はポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーによって構成され、
前記界面活性剤が、前記ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーまたはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーによって少なくとも部分的に(好ましくは全体的に)構成され、
前記結合剤が、前記ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマーまたはポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーによって少なくとも部分的に(好ましくは全体的に)構成される、請求項46~48のいずれか1項に記載の方法又は使用。
【請求項50】
インクジェット印刷によって非多孔質基材上に画像を印刷するのに適した水性インクジェットインク組成物における分散剤、界面活性剤及び結合剤としての、255mgKOH/g以上の酸価を有するポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマー及び/又はポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマーの使用であって
前記組成物が、ポリ(スチレン-マレイン酸)コポリマー固形分又はポリ(スチレン-マレアミド酸)コポリマー固形分0.1~5%を含み、
前記組成物がグリセロールを含まない、前記の使用
【請求項51】
基材が、BOPP(二軸配向ポリプロピレン)、セロファン(セルロース)、LDPE/HDPE(低密度および高密度ポリエチレン)、OPP(配向ポリプロピレン)、MET-OPP(金属化配向ポリプロピレン)、PA(ポリアミド、ナイロン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、MET-PET(金属化ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、アルミホイル、アルミ医薬ホイル、鋼、銅、保護金属、及びPVC(ポリ塩化ビニル)からなる群より選択される、請求項39~51のいずれか1に記載の方法または使用。
【請求項52】
基材が、化学プライマーや化学前処理層を含まない、請求項39~51のいずれか1上に記載の方法または使用。
【請求項53】
インク組成物が請求項1~36のいずれか1項に定義される通りである、請求項46~52のいずれか1に記載の方法又は使用。

【国際調査報告】