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特表2023-534270患者のフィードバックを収集するための入力の構成を可能にするユニバーサルセンサー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-08
(54)【発明の名称】患者のフィードバックを収集するための入力の構成を可能にするユニバーサルセンサー
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20230801BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
G16H20/10
A61B5/00 G
A61B5/00 102A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023502836
(86)(22)【出願日】2021-07-12
(85)【翻訳文提出日】2023-01-23
(86)【国際出願番号】 US2021041307
(87)【国際公開番号】W WO2022015658
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】63/051,139
(32)【優先日】2020-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522043611
【氏名又は名称】レシプロカル ラボ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バッドレイ、ロバート、ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ホアン、フォン リン、ティ
【テーマコード(参考)】
4C117
5L099
【Fターム(参考)】
4C117XB02
4C117XB03
4C117XB04
4C117XB12
4C117XC11
4C117XD15
4C117XE73
4C117XE76
4C117XG12
4C117XH12
4C117XJ42
4C117XJ52
4C117XN05
5L099AA25
(57)【要約】
本開示は、ユーザーによって入力される健康関連データを収集するように構成されたユニバーサルセンサーを開示する。このセンサーは、ボタンなどのユーザーによって操作される設定可能な入力部を含む。このセンサーは、外部機器と通信するように動作可能なトランシーバを含む。このセンサーは、前記設定可能な入力部及び前記トランシーバに結合されたコントローラを含む。このコントローラは、前記設定可能な入力部からデータを収集して、設定されたデータタイプに基づいて前記データを分類する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザー入力データを収集するように構成された設定可能なセンサーであって、
ユーザーによって操作される設定可能な入力部と、
外部機器と通信するように動作可能なトランシーバと、
前記設定可能な入力部と前記トランシーバに結合され、前記設定可能な入力部からデータを収集して、設定されたデータタイプに基づいて前記データを分類するように動作可能なコントローラとを備えることを特徴とするセンサー。
【請求項2】
前記設定されたデータタイプは、ユーザーの薬剤、ユーザーの用量、ユーザーの気分、ユーザーの活動、又はユーザートリガーのうちの1つであることを特徴とする請求項1に記載のセンサー。
【請求項3】
前記トランシーバはブルートゥース(登録商標)トランシーバであることを特徴とする請求項2に記載のセンサー。
【請求項4】
前記トランシーバ及び前記コントローラを収容し、基部外面と、該基部外面とは反対側の開口部とを有するハウジングをさらに備え、前記ユーザーによって操作される設定可能な入力部は、前記開口部を貫通する押しボタンであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項5】
前記基部外面は、平面に貼り付けるための接着剤を含むことを特徴とする請求項4に記載のセンサー。
【請求項6】
前記基部外面は、ランヤード又はストラップを接続するためのリング構造を含むことを特徴とする請求項4に記載のセンサー。
【請求項7】
複数のボタン領域を有するフェースプレートをさらに備え、前記設定可能な入力部は、前記複数のボタン領域のうちの1つであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項8】
前記フェースプレートは表示画面であることを特徴とする請求項7に記載のセンサー。
【請求項9】
前記フェースプレートを覆い、前記設定されたデータタイプに関連付けられた前記ボタン領域の識別情報を含むデカールをさらに備えることを特徴とする請求項7から8のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項10】
前記デカールは、前記設定されたデータタイプに対応する、前記ボタン領域の各々の上のアイコンを含むことを特徴とする請求項9に記載のセンサー。
【請求項11】
前記設定されたデータタイプは、それぞれが前記複数のボタン領域の各々に対応する複数の関連するデータ入力を含むことを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項12】
前記複数のボタン領域の各々は、前記ボタン領域を識別するための触覚表面を含むことを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項13】
前記外部機器は、
前記設定されたデータタイプに対応する前記収集されたデータを受信し、
前記収集されたデータを分析し、
前記ユーザーに関する予測健康状態を出力するように動作可能な健康分析エンジンを含むサーバーであることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項14】
前記外部機器はモバイル機器であり、前記モバイル機器が前記設定可能なセンサーの送信範囲内にある場合、前記コントローラは、前記トランシーバによって前記収集されたデータを前記モバイル機器に送信することを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項15】
前記モバイル機器は、前記収集されたデータを収集するために前記設定可能なセンサーとペアにされることを特徴とする請求項14に記載のセンサー。
【請求項16】
前記モバイル機器は、
ユーザーによって操作される設定可能な入力部と、
外部機器と通信するように動作可能なトランシーバと、
前記設定可能な入力部と前記トランシーバに結合され、前記設定可能な入力部からデータを収集して、設定されたデータタイプに基づいて前記データを分類するように動作可能なコントローラとを備える第2の設定可能なセンサーとペアにされ、前記モバイル機器が前記第2の設定可能なセンサーの送信範囲内にある場合、前記コントローラは、前記トランシーバによって前記収集されたデータを前記モバイル機器に送信することを特徴とする請求項15に記載のセンサー。
【請求項17】
前記第2の設定可能なセンサーは、前記第1の設定可能なセンサーに設定されたデータタイプとは異なるタイプのデータを収集するように構成されることを特徴とする請求項16に記載のセンサー。
【請求項18】
前記モバイル機器は、前記設定可能な入力部に対応する前記設定可能なセンサーの前記設定されたデータタイプを設定するように動作可能なコンフィギュレーション・インターフェースを含み、前記モバイル機器は、構成信号を前記トランシーバに送信して、前記設定可能な入力部及び前記設定可能なデータタイプを設定するように動作可能であることを特徴とする請求項14から17のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項19】
前記ユーザーによって操作される入力部は、前記トランシーバ及び前記コントローラから遠隔的に結合されたアクチュエータ装置であることを特徴とする請求項1から18のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項20】
設定不可の機能を起動する、別のユーザーによって操作される入力部をさらに備えることを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項21】
データ収集システムであって、
ユーザー入力データを収集するように構成された第1の設定可能なセンサーを備え、前記センサーは、
ユーザーによって操作される設定可能な入力部と、
外部機器と通信するように動作可能なトランシーバと、
前記設定可能な入力部と前記トランシーバに結合され、前記設定可能な入力部からデータを収集して、設定されたデータタイプに基づいて前記データを分類するように動作可能なコントローラと、
前記トランシーバから前記収集された分類データを受信するデータサーバーと、
前記収集された分類データに基づいて、前記ユーザーの健康状態を判定するように動作可能な分析モジュールと、を含むことを特徴とするデータ収集システム。
【請求項22】
前記設定されたデータタイプは、ユーザーの薬剤、ユーザーの用量、ユーザーの気分、ユーザーの活動、又はユーザートリガーのうちの1つであることを特徴とする請求項21に記載のデータ収集システム。
【請求項23】
前記トランシーバはブルートゥース(登録商標)トランシーバであることを特徴とする請求項22に記載のデータ収集システム。
【請求項24】
前記センサーは、前記トランシーバ及び前記コントローラを収容し、基部外面と、該基部外面とは反対側の開口部とを有するハウジングをさらに備え、前記ユーザーによって操作される設定可能な入力部は、前記開口部を貫通する押しボタンであることを特徴とする請求項21から23のいずれか1項に記載のデータ収集システム。
【請求項25】
前記基部外面は、平面に貼り付けるための接着剤を含むことを特徴とする請求項24に記載のデータ収集システム。
【請求項26】
前記基部外面は、ランヤード又はストラップを接続するためのリング構造を含むことを特徴とする請求項24に記載のデータ収集システム。
【請求項27】
前記センサーは、複数のボタン領域を有するフェースプレートを含み、前記設定可能な入力部は、前記複数のボタン領域のうちの1つであることを特徴とする請求項21から26のいずれか1項に記載のデータ収集システム。
【請求項28】
前記フェースプレートは表示画面であることを特徴とする請求項27に記載のデータ収集システム。
【請求項29】
前記フェースプレートを覆い、前記設定されたデータタイプに関連付けられた前記ボタン領域の識別情報を含むデカールをさらに備えることを特徴とする請求項27から28のいずれか1項に記載のデータ収集システム。
【請求項30】
前記デカールは、前記設定されたデータタイプに対応する、前記ボタン領域の各々の上のアイコンを含むことを特徴とする請求項29に記載のデータ収集システム。
【請求項31】
前記設定されたデータタイプは、それぞれが前記複数のボタン領域の各々に対応する複数の関連するデータ入力を含むことを特徴とする請求項27から30のいずれか1項に記載のデータ収集システム。
【請求項32】
前記複数のボタン領域の各々は、前記ボタン領域を識別するための触覚表面を含むことを特徴とする請求項27から31のいずれか1項に記載のデータ収集システム。
【請求項33】
前記外部機器はモバイル機器であり、前記モバイル機器が前記設定可能なセンサーの送信範囲内にある場合、前記コントローラは、前記トランシーバによって前記収集されたデータを前記モバイル機器に送信することを特徴とする請求項21から32のいずれか1項に記載のデータ収集システム。
【請求項34】
前記モバイル機器は、前記収集されたデータを収集するために前記設定可能なセンサーとペアにされることを特徴とする請求項33に記載のデータ収集システム。
【請求項35】
前記モバイル機器は、
ユーザーによって操作される設定可能な入力部と、
外部機器と通信するように動作可能なトランシーバと、
前記設定可能な入力部と前記トランシーバに結合され、前記設定可能な入力部からデータを収集して、設定されたデータタイプに基づいて前記データを分類するように動作可能なコントローラとを備える第2の設定可能なセンサーとペアにされ、前記モバイル機器が前記第2の設定可能なセンサーの送信範囲内にある場合、前記コントローラは、前記トランシーバによって前記収集されたデータを前記モバイル機器に送信することを特徴とする請求項34に記載のデータ収集システム。
【請求項36】
前記第2の設定可能なセンサーは、前記第1の設定可能なセンサーに設定されたデータタイプとは異なるタイプのデータを収集するように構成されることを特徴とする請求項35に記載のデータ収集システム。
【請求項37】
前記モバイル機器は、前記設定可能な入力部に対応する前記設定可能なセンサーの前記設定されたデータタイプを設定するように動作可能なコンフィギュレーション・インターフェースを含み、前記モバイル機器は、構成信号を前記トランシーバに送信して、前記設定可能な入力部及び前記設定可能なデータタイプを設定するように動作可能であることを特徴とする請求項33から36のいずれか1項に記載のデータ収集システム。
【請求項38】
前記ユーザーによって操作される入力部は、前記トランシーバ及び前記コントローラから遠隔的に結合されたアクチュエータ装置であることを特徴とする請求項21から37のいずれか1項に記載のデータ収集システム。
【請求項39】
ユニバーサルセンサーからユーザー入力データを収集する方法であって、
設定されたデータタイプに基づいて、ユニバーサルセンサー上でユーザーによって操作される設定可能な入力部を設定する工程と、
前記ユーザーによって操作される設定可能な入力部で入力を受信する工程と、
コントローラによって前記設定可能な入力部からデータを収集する工程と、
前記設定されたデータタイプに基づいて、前記データを分類する工程と、
前記分類されたデータをトランシーバによって外部機器に伝送する工程と、を含むことを特徴とする方法。
【請求項40】
前記設定されたデータタイプは、ユーザーの薬剤、ユーザーの用量、ユーザーの気分、ユーザーの活動、又はユーザートリガーのうちの1つであることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記トランシーバはブルートゥース(登録商標)トランシーバであることを特徴とする請求項39から40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記ユニバーサルセンサーは、前記トランシーバ及び前記コントローラを収容し、基部外面と、該基部外面とは反対側の開口部とを有するハウジングをさらに備え、前記ユーザーによって操作される設定可能な入力部は、前記開口部を貫通する押しボタンであることを特徴とする請求項39から41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記基部外面は、平面に貼り付けるための接着剤を含むことを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記基部外面は、ランヤード又はストラップを接続するためのリング構造を含むことを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記ユニバーサルセンサーは、複数のボタン領域を有するフェースプレートをさらに含み、前記設定可能な入力部は、前記複数のボタン領域のうちの1つであることを特徴とする請求項39から44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記フェースプレートは表示画面であることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ユニバーサルセンサーは、前記フェースプレートを覆い、前記設定されたデータタイプに関連付けられた前記ボタン領域の識別情報を含むデカールを含むことを特徴とする請求項45から46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記デカールは、前記設定されたデータタイプに対応する、前記ボタン領域の各々の上のアイコンを含むことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記設定されたデータタイプは、それぞれが前記複数のボタン領域の各々に対応する複数の関連するデータ入力を含むことを特徴とする請求項45から48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記複数のボタン領域の各々は、前記ボタン領域を識別するための触覚表面を含むことを特徴とする請求項45から49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記外部機器はモバイル機器であり、前記モバイル機器が前記設定可能なセンサーの送信範囲内にある場合、前記コントローラは、前記トランシーバによって前記収集されたデータを前記モバイル機器に送信することを特徴とする請求項42から50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記収集されたデータを収集するために、前記モバイル機器を前記設定可能なセンサーとペアにする工程をさらに含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記モバイル機器を、
ユーザーによって操作される設定可能な入力部と、
外部機器と通信するように動作可能なトランシーバと、
前記設定可能な入力部及び前記トランシーバに結合されたコントローラとを含む第2の設定可能なセンサーとペアにする工程と、
前記第2の設定可能なセンサーの前記設定可能な入力部からデータを収集する工程と、
設定されたデータタイプに基づいて、前記データを分類する工程と、
前記モバイル機器が前記第2の設定可能なセンサーの送信範囲内にある場合、前記トランシーバによって前記収集されたデータを前記モバイル機器に送信する工程とをさらに含むことを特徴とする請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記第2の設定可能なセンサーを設定して、前記第1の設定可能なセンサーに設定されたデータタイプとは異なるタイプのデータを収集する工程をさらに含むことを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記モバイル機器のコンフィギュレーション・インターフェースを介して、前記設定可能な入力部に対応する前記設定可能なセンサーの設定されたデータタイプを設定する工程と、
構成信号を前記モバイル機器から前記トランシーバに送信して、前記設定可能な入力部及び前記設定可能なデータタイプを設定する工程とをさらに含むことを特徴とする請求項51から54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記ユーザーによって操作される入力部は、前記トランシーバ及び前記コントローラから遠隔的に結合されたアクチュエータ装置であることを特徴とする請求項41から55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
ユーザーによって操作される設定不可の入力に応答して、機能を起動する工程をさらに含むことを特徴とする請求項41から56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
コンピュータによって実行されるとき、前記コンピュータに請求項41から57のいずれか1項に記載の方法を実行させる命令を含むことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項59】
非一時的なコンピュータ可読媒体であることを特徴とする請求項58に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年7月13日に出願された米国仮特許出願第63/051,139の利益及び優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、一般に薬剤追跡に関し、より具体的には、薬剤の服用などの関連する薬剤イベントを記録するように構成され得るユニバーサルセンサーに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、呼吸器疾患を抱える多数の患者に対して、投与量の薬剤を供給する吸入器が提供されている。例えば、喘息の患者に対して、粘液生成支援および呼吸通路を広げる際の炎症の低減のために、作用薬が提供され得る。そのため、患者の喘息が悪化したとき、患者は、吸入器を自身の口の前方に配置し、吸入器スプレーを起動させ、投与量の薬物を肺に送達して症状を緩和することができる。
【0004】
プロバイダは、患者がいつ吸入器から薬物を服用するかを決定できることが望ましい。例えば、このようなデータにより、健康管理プロバイダは、この薬剤が呼吸器疾患の治療に有効であるか否かを判断できるようになる。さらに、このデータを使用して、利用可能なままである用量を追跡することによって、補充を支援することができる。
【0005】
現在、いくつかの高度な吸入器は、ポンプが起動したことを示すいくつかの電子インジケータを提供できるため、吸入器が起動したときに、電子通信を介して医師又は支払人などの関係者に報告することができる。別の解決手段として、起動データを収集するために特定の型番の吸入器に取り付け可能なセンサーが挙げられる。このような装置の一例として、ウィスコンシン州マディソンのPropeller Health社製のセンサーモデル2016-M、MDI用センサーが挙げられる。
【0006】
したがって、現在の最先端の吸入器システムにより、医師及び/又は支払人は、吸入薬のポンプが起動したことを判断できるため、薬剤を追跡することができる。しかしながら、センサーが組み込まれていないか、又は取り付け可能なセンサーと互換性がある吸入器が存在する場合がある。さらに、従来の錠剤の形態で提供される他の薬剤は追跡できない。別の解決手段として、スマートフォンなどのパーソナルモバイル機器上でアプリケーションを提供することが挙げられる。患者は、吸入器を使用するときにアプリケーションにおいて用量を記録し、起動データを提供することができる。
【0007】
しかしながら、多数の患者にとって、モバイル機器を取り出し、アプリケーションを起動し、正しいインターフェースを選択してデータを入力することは困難である。別の問題点は、患者が薬剤を服用するときにデータの入力を忘れたり、モバイル機器にアクセスできなくなったりすることである。
【0008】
患者が異なる非吸入薬に関連するデータを効率的かつアクセス可能に記録することを可能にするように構成され得る装置が求められる。また、患者が服用した薬剤に関連するトリガー条件及びイベントを記録するように構成され得る装置が求められる。さらに、患者からの異なるタイプのデータ入力を記録するように構成され得る装置が求められる。
【発明の概要】
【0009】
開示された一例は、ユーザー入力データを収集するように構成された設定可能なセンサーである。このセンサーは、ユーザーによって操作される設定可能な入力部を含む。このセンサーは、外部機器と通信するように動作可能なトランシーバを含む。コントローラは、設定可能な入力部及びトランシーバに結合される。このコントローラは、設定可能な入力部からデータを収集して、設定されたデータタイプに基づいてデータを分類する。
【0010】
上記例示的なセンサーのさらなる実装形態において、設定されたデータタイプは、ユーザーの薬剤、ユーザーの用量、ユーザーの気分、ユーザーの活動、又はユーザートリガーのうちの1つである。別の実装形態において、トランシーバはブルートゥース(登録商標)トランシーバである。別の実装形態において、センサーは、トランシーバとコントローラとを収容するハウジングを含む。ハウジングは、基部外面と、当該基部外面とは反対側の開口部とを有する。ユーザーによって操作される設定可能な入力部は、開口部を貫通する押しボタンである。別の実装形態において、基部外面は、平面に貼り付けるための接着剤を含む。別の実装形態において、基部外面は、ランヤード又はストラップを接続するためのリング構造を含む。別の実装形態において、センサーはボタン領域を有するフェースプレートを含み、設定可能な入力部はボタン領域の1つである。別の実装形態において、フェースプレートは表示画面である。別の実装形態において、センサーはフェースプレートを覆うデカールを含む。デカールは、設定されたデータタイプに関連付けられたボタン領域の識別情報を含む。別の実装形態において、デカールはボタン領域の各々の上のアイコンを含む。アイコンは、設定されたデータタイプに対応する。別の実装形態において、設定されたデータタイプは関連するデータ入力を含む。各データ入力は、ボタン領域の各々に対応する。別の実装形態において、ボタン領域の各々は、ボタン領域を識別するための触覚表面を含む。別の実装形態において、外部機器は健康分析エンジンを含むサーバーである。健康分析エンジンは、設定されたデータタイプに対応する収集されたデータを受信し、収集したデータを分析し、ユーザーに関する予測健康状態を出力する。別の実装形態において、外部機器はモバイル機器である。モバイル機器が設定可能なセンサーの送信範囲内にある場合、コントローラは、トランシーバによって収集されたデータをモバイル機器に送信する。別の実装形態において、モバイル機器は、収集されたデータを収集するために設定可能なセンサーとペアにされる。別の実装形態において、モバイル機器は第2の設定可能なセンサーとペアにされる。第2の設定可能なセンサーは、ユーザーによって操作される設定可能な入力部と、外部機器と通信するように動作可能なトランシーバとを有する。コントローラは、設定可能な入力部及びトランシーバに結合される。このコントローラは、設定可能な入力部からデータを収集して、設定されたデータタイプに基づいてデータを分類する。モバイル機器が第2の設定可能なセンサーの送信範囲内にある場合、コントローラは、トランシーバによって収集されたデータをモバイル機器に送信する。別の実装形態において、第2の設定可能なセンサーは、第1の設定可能なセンサーに設定されたデータタイプとは異なるタイプのデータを収集するように構成される。別の実装形態において、モバイル機器は、設定可能な入力部に対応する設定可能なセンサーの設定されたデータタイプを設定するコンフィギュレーション・インターフェースを含む。モバイル機器は、構成信号をトランシーバに送信して、設定可能な入力部及び設定可能なデータタイプを設定する。別の実装形態において、ユーザーによって操作される入力部はトランシーバ及びコントローラから遠隔的に結合されたアクチュエータ装置である。別の実装形態において、センサーは、設定不可の機能を起動する、別のユーザーによって操作される入力部をさらに含む。
【0011】
別の開示例は、ユーザー入力データを収集するように構成された第1の設定可能なセンサーを有するデータ収集システムである。上記センサーは、ユーザーによって操作される設定可能な入力部と、外部機器と通信するように動作可能なトランシーバとを有する。コントローラは、設定可能な入力部とトランシーバに結合され、設定可能な入力部からデータを収集して、設定されたデータタイプに基づいてデータを分類するように動作可能である。データサーバーは、トランシーバから収集された分類データを受信する。分析モジュールは、収集された分類データに基づいてユーザーの健康状態を判定する。
【0012】
上記例示的なシステムのさらなる実装形態において、設定されたデータタイプは、ユーザーの薬剤、ユーザーの用量、ユーザーの気分、ユーザーの活動、又はユーザートリガーのうちの1つである。別の実装形態において、トランシーバはブルートゥース(登録商標)トランシーバである。別の実装形態において、センサーは、トランシーバとコントローラとを収容するハウジングを含む。ハウジングは、基部外面と、当該基部外面とは反対側の開口部とを有する。ユーザーによって操作される設定可能な入力部は、開口部を貫通する押しボタンである。別の実装形態において、基部外面は、平面に貼り付けるための接着剤を含む。別の実装形態において、基部外面は、ランヤード又はストラップを接続するためのリング構造を含む。別の実装形態において、センサーはボタン領域を有するフェースプレートを含む。設定可能な入力部はボタン領域の1つである。別の実装形態において、フェースプレートは表示画面である。別の実装形態において、センサーはフェースプレートを覆うデカールを含む。デカールは、設定されたデータタイプに関連付けられたボタン領域の識別情報を含む。別の実装形態において、デカールはボタン領域の各々の上のアイコンを含む。アイコンは、設定されたデータタイプに対応する。別の実装形態において、設定されたデータタイプは関連するデータ入力を含む。各データ入力は、ボタン領域の各々に対応する。別の実装形態において、ボタン領域の各々は、ボタン領域を識別するための触覚表面を含む。別の実装形態において、外部機器はモバイル機器である。モバイル機器が設定可能なセンサーの送信範囲内にある場合、コントローラは、トランシーバによって収集されたデータをモバイル機器に送信する。別の実装形態において、モバイル機器は、収集されたデータを収集するために設定可能なセンサーとペアにされる。別の実装形態において、モバイル機器は第2の設定可能なセンサーとペアにされる。第2の設定可能なセンサーは、ユーザーによって操作される設定可能な入力部と、外部機器と通信するように動作可能なトランシーバと、設定可能な入力部及びトランシーバに結合されたコントローラとを含む。コントローラは、設定可能な入力部からデータを収集して、設定されたデータタイプに基づいてデータを分類するように動作可能である。モバイル機器が第2の設定可能なセンサーの送信範囲内にある場合、コントローラは、トランシーバによって収集されたデータをモバイル機器に送信する。別の実装形態において、第2の設定可能なセンサーは、第1の設定可能なセンサーに設定されたデータタイプとは異なるタイプのデータを収集するように構成される。別の実装形態において、モバイル機器は、設定可能な入力部に対応する設定可能なセンサーの設定されたデータタイプを設定するように動作可能なコンフィギュレーション・インターフェースを含む。モバイル機器は、構成信号をトランシーバに送信して、設定可能な入力部及び設定可能なデータタイプを設定する。別の実装形態において、ユーザーによって操作される入力部はトランシーバ及びコントローラから遠隔的に結合されたアクチュエータ装置である。
【0013】
さらなる開示例は、ユニバーサルセンサーからユーザー入力データを収集する方法である。ユニバーサルセンサー上のユーザーによって操作される設定可能な入力部は、設定されたデータタイプに基づいて設定される。ユーザーによって操作される設定可能な入力部で入力が受信される。この設定可能な入力部から受信されたデータは、コントローラによって収集される。このデータは、設定されたデータタイプに基づいて分類される。分類されたデータは、トランシーバによって外部機器に伝送される。
【0014】
上記例示的な方法のさらなる実装形態において、設定されたデータタイプは、ユーザーの薬剤、ユーザーの用量、ユーザーの気分、ユーザーの活動、又はユーザートリガーのうちの1つである。別の実装形態において、トランシーバはブルートゥース(登録商標)トランシーバである。別の実装形態において、センサーは、トランシーバとコントローラとを収容するハウジングを含む。ハウジングは、基部外面と、当該基部外面とは反対側の開口部とを有する。ユーザーによって操作される設定可能な入力部は、開口部を貫通する押しボタンである。別の実装形態において、基部外面は、平面に貼り付けるための接着剤を含む。別の実装形態において、基部外面は、ランヤード又はストラップを接続するためのリング構造を含む。別の実装形態において、ユニバーサルセンサーは、ボタン領域を有するフェースプレートをさらに含む。設定可能な入力部はボタン領域の1つである。別の実装形態において、フェースプレートは表示画面である。別の実装形態において、ユニバーサルセンサーはフェースプレートを覆うデカールを含む。デカールは、設定されたデータタイプに関連付けられたボタン領域の識別情報を含む。別の実装形態において、デカールは、設定されたデータタイプに対応する、ボタン領域の各々の上のアイコンを含む。別の実装形態において、設定されたデータタイプは関連するデータ入力を含む。各データ入力は、複数のボタン領域の各々に対応する。別の実装形態において、ボタン領域の各々は、ボタン領域を識別するための触覚表面を含む。別の実装形態において、外部機器はモバイル機器である。モバイル機器が設定可能なセンサーの送信範囲内にある場合、コントローラは、トランシーバによって収集されたデータをモバイル機器に送信する。別の実装形態において、モバイル機器は、収集されたデータを収集するために設定可能なセンサーとペアにされる。別の実装形態において、モバイル機器は第2の設定可能なセンサーとペアにされる。第2の設定可能なセンサーは、ユーザーによって操作される設定可能な入力部と、外部機器と通信するように動作可能なトランシーバと、設定可能な入力部及びトランシーバに結合されたコントローラとを含む。データは、設定可能な入力部から収集され、設定されたデータタイプに基づいて分類される。モバイル機器が第2の設定可能なセンサーの送信範囲内にある場合、収集されたデータは、トランシーバによってモバイル機器に送信される。別の実装形態において、第2の設定可能なセンサーは、第1の設定可能なセンサーに設定されたデータタイプとは異なるタイプのデータを収集するように構成される。別の実装形態において、設定可能な入力部に対応する設定可能なセンサーの設定されたデータタイプは、モバイル機器のコンフィギュレーション・インターフェースによって設定される。構成信号は、トランシーバに送信されて設定可能な入力部及び設定可能なデータタイプを設定する。別の実装形態において、ユーザーによって操作される入力部はトランシーバ及びコントローラから遠隔的に結合されたアクチュエータ装置である。別の実装形態において、上記方法は、ユーザーによって操作された設定不可の入力に応答して、機能を起動する工程を含む。
【0015】
別の開示例は、コンピュータによって実行されるとき、コンピュータに上記方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品である。さらなる実装形態において、コンピュータプログラム製品は非一時的なコンピュータ可読媒体である。
【0016】
上記の概要は、本開示の各実施形態又はあらゆる態様を示すことを意図していない。むしろ、前述の概要は、本明細書に記載された新規な態様及び特徴のいくつかの例を提供するに過ぎない。本開示の上記の特徴及び利点、ならびに他の特徴及び利点は、添付図面及び添付の請求項と関連して、本発明を実施するための代表的な実施形態及びモードの以下の詳細な説明から容易に明らかになるであろう。
【0017】
本開示は、添付図面を参照しながら、例示的な実施形態についての以下の説明からよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A図1Aは、例示的なユニバーサルセンサー装置の斜視図である。
図1B図1Bは、図1Aの例示的なユニバーサルセンサー装置の回路基板部品の分解図である。
図1C図1Cは、図1Aの例示的なユニバーサルセンサー装置の下部コンタクトパッドの別の分解図である。
図2図2は、図1Aのユニバーサルセンサー装置からユーザー入力データを収集することを可能にするデータ収集システムのブロック図である。
図3A図3Aは、図1Aのユニバーサルセンサー装置の例示的な構成である。
図3B図3Bは、図1Aのユニバーサルセンサー装置の例示的な構成である。
図3C図3Cは、図1Aのユニバーサルセンサー装置の例示的な構成である。
図3D図3Dは、ユニバーサルセンサー装置を他のセンサー作動装置に組み込むいくつかの例を示す。
図4A図4Aは、図1Aの例示的なユニバーサルセンサー装置の代替の例示的なボタン構成を示す。
図4B図4Bは、図1Aの例示的なユニバーサルセンサー装置の代替の例示的なボタン構成を示す。
図4C図4Cは、図1Aの例示的なユニバーサルセンサー装置の代替の例示的なボタン構成を示す。
図5A図5Aは、図1Aのユニバーサルセンサー装置をペアリングし設定するためのモバイル機器のアプリケーション上の例示的なインターフェースである。
図5B図5Bは、図1Aのユニバーサルセンサー装置をペアリングし設定するためのモバイル機器のアプリケーション上の例示的なインターフェースである。
図5C図5Cは、図1Aのユニバーサルセンサー装置をペアリングし設定するためのモバイル機器のアプリケーション上の例示的なインターフェースである。
図5D図5Dは、図1Aのユニバーサルセンサー装置をペアリングし設定するためのモバイル機器のアプリケーション上の例示的なインターフェースである。
図6A図6Aは、ユニバーサルセンサー装置上のボタンを設定するためのモバイル機器上のアプリケーションの例示的なインターフェースである。
図6B図6Bは、ユニバーサルセンサー装置上のボタンを設定するためのモバイル機器上のアプリケーションの例示的なインターフェースである。
図6C図6Cは、ユニバーサルセンサー装置上のボタンを設定するためのモバイル機器上のアプリケーションの例示的なインターフェースである。
図6D図6Dは、ユニバーサルセンサー装置上のボタンを設定するためのモバイル機器上のアプリケーションの例示的なインターフェースである。
図7図7は、モバイル機器が図1Aの例示的なユニバーサルセンサーから収集されたデータを受信する手順の流れ図である。
図8図8は、図1Aのユニバーサルセンサー装置によって収集されたデータをサポートする健康管理システムのブロック図である。
図9A図9Aは、別の例示的なユニバーサルセンサー装置の斜視図である。
図9B図9Bは、図9Aの例示的なユニバーサルセンサー装置のコンポーネントの分解図である。
図9C図9Cは、図9Aのユニバーサルセンサー装置のフレキシブル回路基板を示す。
図10図10は、図9Aの例示的なユニバーサルセンサー装置の代替基部コンポーネントの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、様々な修正及び代替的な形態の影響を受けやすい。いくつかの代表的な実施形態は、図面の中で例として示されており、本明細書で詳細に説明されることとなる。しかし、本発明は、開示される特定の形態のみに限定することを意図したものではないことを理解されたい。むしろ、本開示は、添付の請求項によって定義される本発明の精神及び範囲内に属する全ての改変物、均等物及び代替物を網羅する。
【0020】
本発明は、多くの異なる形態で具現化され得る。代表的な実施形態は図面に示されており、本明細書で詳細に説明される。本開示は、本開示に係る原理の一例又は例示であり、本開示の広範な態様をここに示す実施形態に限定することを意図するものではない。その限りにおいて、例えば、要約書、発明の概要、発明の詳細な説明に記載されている要素及び限定事項のうち、特許請求の範囲に明示されていない要素及び限定事項は、単独で、又は、包括的、又は、暗示的に、推論して、又はそれ以外の状態で特許請求の範囲に組み込まれるべきではない。ここでの説明を詳細に行うために、特に断りのない限り、単数形は、複数形を含み、逆も同様である。また、用語「含む」とは、「含むがこれに限定されない」という意味である。さらに、「約」、「ほぼ」、「実質的に」、「近似的」などの近似の言葉は、例えば、ここでは「で」、「近く」、「付近」、「3~5%」、「製造許容差内」、又はそれらの論理的な組み合わせなどを意味するものとして使用することができる。
【0021】
本開示は、薬剤の投与に関連する患者の入力を記録するように構成され得るユニバーサルセンサーに関する。このユニバーサルセンサーは、例えば、1つ以上のボタンなどのユーザーが設定可能な入力部を有する。各入力部は、ユーザーによって入力されるデータに関連するカスタマイズ可能に設定された意味を有する。これらのボタンが設定されると、患者があるボタンを押すとき、ユニバーサルセンサーは、設定によって分類又は定義されたイベントを表すデータを記録する。例えば、これらのボタンは、トリガーイベント、活動、薬剤の使用、又は患者の主観的なフィードバックを記録するようにプログラムされ得る。各ユニバーサルセンサーの内部の電子機器及び筐体は同じである。しかしながら、これらのボタンの意味は、設定されたボタンの上に取り付けられ得る様々なフェースプレートに関連付けられている。そして、データは、これらのボタンの設定に応じて収集され、分類される。
【0022】
データは、このユニバーサルセンサーによって収集され、直接又はスマートフォンなどのモバイル機器を介してリモートサーバーに無線で伝達される。このデータは、薬剤の有効性に関する診断情報及びユーザーに関する他の有用な情報を提供するために分析され得る。
【0023】
モバイルコンピューティング装置上の初期設定アプリケーションは、ユーザーアプリケーションを介して各ボタンを特定の入力データタイプにマッピングする。そして、ユーザーは、このユニバーサルセンサーを関連する物理的位置に置き、薬剤に関する使用状況やその他のデータを記録する。例えば、患者の感覚を記録するように構成されたユニバーサルセンサーは患者のベッドの隣に設けられ得る。薬剤を記録するように構成されたユニバーサルセンサーは、噴霧器又は薬剤キャビネットに接続され得る。活動を記録するように構成されたユニバーサルセンサーは、患者が活動を開始し得る部屋のドア枠に設けられ得る。
【0024】
動作中、ユーザーは、薬剤の服用などのイベントが発生する毎に、ユニバーサルセンサー上の適切な設定されたボタンを押す。収集されたデータは、モバイル機器又はネットワークハブを介して同期される。収集されたデータメトリックに基づいて、データは適切に分析エンジンに渡される。
【0025】
図1Aは、例示的なユニバーサルセンサー装置100の斜視図である。図1B及び1Cは、上記例示的なユニバーサルセンサー装置100のコンポーネントの分解図である。このユニバーサルセンサー装置100は、成形されたプラスチック材料から構成される筐体110を含む。筐体110は、バッテリなどのコンポーネント用のコンパートメントを含み、プリント回路基板112を支持する。筐体110は、クリップなどの付属装置を含み得るか、又はユニバーサルセンサー装置100を、ユーザーが活動を行うか又は病状を経験する可能性の高い領域の近くの表面に取り付けて、ユーザーによる関連データの入力を容易にするために塗布され得る接着剤を有する外側裏面を有する。
【0026】
キーパッド114は、プリント回路基板112の上方に位置し、異なるアクチュエータに圧力が加えられたときに電気信号をプリント回路基板112に供給する複数のアクチュエータを含む。プリント回路基板112は、キーパッド114のアクチュエータによって圧力が検出されたときに入力信号を供給する回路を含む。フェースプレート116は、筐体110に取り付けられ、プリント回路基板112を封止する。フェースプレート116は、キーパッド114上のアクチュエータに圧力を加えるためにキーパッド114に接触するコンタクトパッド120を含む下面118を有する。この例では、キーパッド114には24個のコンタクトパッド120及び対応するアクチュエータがある。本明細書で説明されるように、これら24個のコンタクトパッド120のうちの任意の数のものを、異なる機能を果たすように作動させ得る。
【0027】
フェースプレート116は、ユーザーにより視認可能な反対側の上面122を含む。この例では、フェースプレート116の上面122は、表示領域130と、4つの設定可能なボタン領域132、134、136、138とを含む。ボタン領域132、134、136、138の各々は、ボタン領域に関連付けられたユニークな形状のアイコンを有する。また、ボタン領域132、134、136、138の各々をさらに区別するために、これらのアイコンはユニークな色又はパターンを有し得る。これらのボタンを区別するのを支援するために、ボタン領域は異なる触覚パターンによって形成され得る。この例では、ボタン領域132、134、136、138の下方のコンタクトパッドは、ユーザーによってその領域に加えられた圧力を検出するのに有効である。この例では、下部コンタクトパッド120を有する残りの領域は無効化される。
【0028】
後述するように、ユーザーによるボタン領域132、134、136、及び138の設定を可能にするために、ユニバーサルセンサー装置100はスマートフォンなどの携帯型モバイル機器とペアにすることができる。表示領域130は、一般に平滑であり、ボタン領域の設定を示すデカールは表示領域130に貼り付けられ得る。いくつかの例では、ボタン領域の設定に基づいて、複数のより小さいデカールが提供され、ボタン領域の隣に貼り付けられ得る。あるいは、表示領域は、ボタン領域132、134、136、138の設定を示すグラフィックを表示可能なLCD又はOLEDスクリーンなどの実際の電子ディスプレイであり得る。ペアリングが確立されると、携帯型モバイル機器がユニバーサルセンサー装置100の送信範囲内にある限り、ユニバーサルセンサー装置100によって収集されたデータは携帯型モバイル機器に伝送され得る。
【0029】
図2は、ユニバーサルセンサー装置100を含むデータ収集システム200のコンポーネントのブロック図である。このシステム200は、スマートフォン210及びサーバー220などの携帯型/モバイルコンピューティング装置を含む。ユニバーサル装置100は、スマートフォン210と無線通信を行っている。この例における無線通信は、伝送距離が100メートルであるBluetooth(登録商標)ローエナジー(Bluetooth(登録商標) low energy、BLE)信号であり得る。スマートフォン210は、インターネットなどのネットワーク212を介してサーバー220と通信し得る。スマートフォン210は、ユーザーによるユニバーサル装置100上のボタン領域の設定を可能にするアプリケーションを実行する。このアプリケーションは、設定されたユニバーサル装置100からデータを収集し、データの何らかの分析を行って、データを伝送する能力も有し得る。したがって、この例では、ユニバーサル装置100によって収集されたデータは、サーバー220に伝送されるようにスマートフォン210のアプリケーションに送信される。健康データ分析エンジン240は、サーバー220上で実行されてデータを分析することができる。
【0030】
ユニバーサルセンサー100は、中央プロセッサ又はコントローラ222と、ボタンインターフェース224と、一組の圧力トランスデューサ226と、トランシーバ228とを含む。コントローラ222は、メモリ装置230に結合され得る。このメモリは、例えば、RAM、DRAM、又はSRAMを含む揮発性コンピュータメモリであり得る。このような場合、ユニバーサルセンサー100は、ユニバーサルセンサー100の外部にあるスマートフォン210やサーバー220などのコンピューティング装置にデータを継続的に伝送することができる。他の実施形態では、例えば、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、強誘電体RAM(F-RAM)、光学式及び磁気式コンピュータメモリ記憶装置などを含む不揮発性メモリの形態が使用され得る。メモリ230は、ユニバーサルセンサー100によって収集されたデータと、ユニバーサルセンサー100上のボタンに関する設定情報とを記憶するために使用され得る。
【0031】
図1Aのフェースプレート116は、キーパッド114に接触する圧力トランスデューサ226からの信号を変換して、ユニバーサル装置100のボタン領域の設定に従って定義される入力を受信するボタンインターフェース224と通信する。トランシーバ228は、ユニバーサル装置100とスマートフォン210との間の入力データの交換を可能にする。トランシーバ228は、図1A~1Bのボタン領域を設定するために、スマートフォン210から制御データを受信し得る。ユニバーサル装置100は、例えば、ユーザーが投与量の薬剤を服用したとき、又はトリガーイベントが発生したとき、ユーザーから入力されたデータを収集するように構成される。この例では、無線通信は、Bluetooth(登録商標)ローエナジー、Wi-Fi(IEEE 802.11)、Bluetooth(登録商標)、その他の無線周波数、赤外線(IR)、GSM(登録商標)、CDMA、GPRS、3G、4G、W-CDMA、EDGE又はDCDMA200を含む任意の適切なプロトコル又は類似するプロトコルとすることができる。例示的なユニバーサルセンサー100は、スマートフォン210と通信し、ペアになるが、トランシーバ228により、データはリモートサーバー220のネットワークに直接伝達され得る。さらに、ユニバーサルセンサー100と通信している他の遠隔装置から設定し得る。
【0032】
この例では、トランシーバ228は、周期的広告信号を送信する。スマートフォン210が送信範囲内にある場合、スマートフォン210は、トランシーバから周期的広告信号を受信する。ユニバーサルセンサー100によって新規のデータが収集された場合、広告信号は、この新規のデータが利用可能であることを示すフラグを含む。スマートフォン210が通信範囲内にある場合、この新規のデータはユニバーサルセンサー100から伝送される。データ受信の確認信号が受信されると、トランシーバ228は、通常の広告信号の送信を継続する。
【0033】
リモートサーバー220は、健康データ分析エンジン240を含むアプリケーションサーバーであり得る。このサーバーは、同様の治療を受けているか又は同様の薬剤を服用している他のユーザーからのビッグデータを含むデータベース250へのアクセスを含み得る。このようなデータは、薬物が所望の効果を奏しているか否かを決定するためのベースライン比較の精緻化に用いられ得る。データベース250は、患者の病状の評価を支援するために、ユーザーに関連する他の関連データも含み得る。
【0034】
装置によって割り当てられた所定のテンプレートに共通のデータエントリが存在してもよく、このデータエントリでは、ボタンのマッピング/設定及びボタンによって表される入力データが予め割り当てられている。例えば、提供されるユニバーサルセンサー100のボタン領域において、4つの一般的な構成(薬剤、トリガー、気分、及び活動)が存在してもよく、各構成は、異なるタイプの患者入力データを収集するために用いられる。もちろん、他のタイプの患者入力データを収集するために、他の構成を設計し、ユニバーサルセンサー100に適用し得る。
【0035】
薬剤設定は、毎回の投薬に関する患者の入力を記録することによって、アドヒアランスデータを収集することができる。例えば、薬剤使用はアドヒアランスに関連付けられるため、使用データの形態のアドヒアランスデータは薬剤使用を分析するために用いられ得る。トリガーデータ設定は、ユーザーが花粉などの特定のトリガーに遭遇したときにデータを収集するために用いられ得る。トリガーの存在は、呼吸器疾患に関連するユーザートリガーと増悪の可能性に関連付けられる。気分設定は、休息、疲労、困ぱいなどのラベルによって定義され得る、ユーザーの気分に関連するデータを収集することができる。気分は、ユーザーのトリガーと増悪の可能性に関連付けられる。活動設定は、ユーザーの活動に関連するデータを収集することができる。したがって、ユーザーは自分が取り組んでいる活動の種類を入力することができる。後述するように、患者入力データは、薬剤効果の評価や増悪のトリガーイベントの決定などの様々な目的で使用され得る。
【0036】
以下に説明されるように、ユニバーサルセンサー100から収集されたデータは、ボタンの設定に基づいて様々な目的で使用され得る。これらの目的は、薬剤の服用に対する患者のアドヒアランス、薬剤の有効性、あるいは薬剤又は他の治療の必要性の判定を含み得る。したがって、この例では、患者によって入力されたデータは、ユニバーサルセンサー100によって送信されたデータパッケージ内に提供され、このデータパッケージは、一定期間内の所定数のデータポイントを含む。ユニバーサルセンサー100と同一の他のユニバーサルセンサー、例えば、ユニバーサルセンサー232及び234は、スマートフォン210とペアされ得る。上記の例示的な他のユニバーサルセンサー232及び234は、異なるタイプのデータを収集するように構成され得る。ユニバーサルセンサー232、234が送信範囲内にある場合、収集されたデータはスマートフォン210によって記憶され収集される。このため、ユニバーサルセンサー100は、薬剤データを収集するように構成され、薬箱内に設けられ得る。ユニバーサルセンサー232は、活動データを収集するように構成され、患者の自宅の正面玄関の近くに設けられ得る。これにより、ユーザーがスマートフォン210を携帯し、薬剤を服用する際に、スマートフォン210はユニバーサルセンサー100からデータを収集することができる。ユーザーが玄関を通って出る場合、スマートフォン210は、ユニバーサルセンサー232に近接すれば、活動に関するデータを収集することができる。
【0037】
この例では、活動を意味に関連付ける複数の選択肢があり得る。例えば、ユーザーは、スマートフォン210によって実行されるアプリケーションを介して意味を割り当てることによって、適切なボタンを設定することができる。この例では、ユーザーは、適切なボタンの隣にデカールを書き込むか又は貼り付けてから、スマートフォン210上のアプリケーションを使用してマッピングを作成し得る。マッピング及び割り当ての後、ユニバーサルセンサー100を展開して使用することができる。
【0038】
この例では、構成が確立された後、図1Aに示すようなボタン領域132、134、136、138の各々の所定の構成を有するテンプレートが適用され得る。このテンプレートは説明テキストを含んでいてもよく、接着剤でユニバーサル装置100のフェースプレート116の上面に取り付けられる。あるいは、このテンプレートは、フェースプレート116に塗布可能な接着剤裏材を有するデカールであり得る。図3Aは、フェースプレート116の表面に貼り付けられた、薬剤データに関連するテンプレート300の一例を示す。このテンプレート300は、Duleraボタン302、Atroventボタン304、Xopenexボタン306及びFAsenraボタン308のラベルが付けられる。また、このテンプレート300は、ボタン302、304、306、308の近くに、対応する投薬情報が記載された説明用ラベル310の領域を有する。例えば、ユーザーは、Duleraの薬剤を服用するとき、ボタン302を押し、ユニバーサル装置100は、ボタン302が押された時点でユーザーがDuleraを服用したことを記録する。ボタン302、304、306、308の各々には、ユーザーが正しいボタンを押すのを支援するために、薬剤に関連付けられたグラフィックがさらに設けられる。ボタン領域をさらに区別するために、ボタン領域を異なる触覚パターンと重ねてもよい。
【0039】
図3Bは、図1Aのボタン領域132、134、136、138に対するユーザーの気分に関連する所定の構成を有する別のテンプレート330を示す。このテンプレート330は、Restedボタン332、OKボタン334、Tiredボタン336及びExhaustedボタン338のラベルが付けられる。また、このテンプレート330は、ボタン332、334、336、338に近接する説明用ラベル340の領域を有する。例えば、アプリケーションがユーザーに自分の気分をチャート化するように提示する場合、ユーザーは、自分の現在の気分を反映する適切なボタン332、334、336、又は338を押す。そして、ユーザーの現在の気分がユニバーサルセンサー100によって記録される。ボタン332、334、336、338の各々には、ユーザーが正しいボタンを押すのを支援するために、対応する気分に関連付けられた顔表情パターンがさらに設けられる。この例では、図3Bの設定されたユニバーサルセンサー装置100によって収集されたユーザーの気分データを使用して、ユーザーに対する持続的気道陽圧(CPAP)装置のような治療装置の有効性を評価することができる。別の例は、携帯型酸素濃縮器を使用した後のユーザーの感覚であり得る。
【0040】
図3Cは、図1Aのボタン領域132、134、136、138に対するユーザーの活動に関連する所定の構成を有する別のテンプレート360を示す。このテンプレート360は、Exerciseボタン362、Doctorボタン364、Socialボタン366及びErrandボタン368のラベルが付けられる。また、このテンプレート360は、ボタン362、364、366、368の近くにラベルを付した説明用ラベル領域370を有する。このテンプレート360により、ユニバーサルセンサー装置100はユーザーの活動に関連するユーザー入力データを収集することが可能となる。例えば、ユーザーは、運動するときにボタン362を押し、ユニバーサル装置100は運動が行われたことを記録する。ボタン362、364、366、368の各々には、ユーザーが正しいボタンを押すのを支援するために、活動に関連付けられたグラフィックがさらに設けられる。図3Cにおいて設定されたユニバーサルセンサー100による異なる活動の記録を使用して、特定の活動が、投薬又は治療装置の使用のいずれかを必要とする増悪を引き起こすか否かを判断することができる。あるいは、他のテンプレートは、増悪の発生又は増悪の予測のいずれかを分析するためにも使用され得るトリガーデータ又は症状データを収集し得る。他のタイプのデータは、呼吸器系以外の健康関連の行動を追跡するために用いられ得る。例えば、他の薬剤の使用、食習慣、又はテレビ/メディア消費を追跡し得る。このようなデータは、病状や行動と増悪などの結果との間のパターン及び関連性を確認するために用いられ得る。例えば、異なる薬剤は、収集されたデータに反映され得る副作用がある可能性がある。同様に、収集されたデータから判断できるように、喘息などの病状は食物アレルギーに関連している可能性がある。
【0041】
コントローラ222によって実行されるファームウェアにおいて、フェースプレート116上で使用されるテンプレートは識別子に関連付けられているため、ユニバーサルセンサー100は、どのボタンが押されたかを報告できるだけでなく、ボタンに意味を付与するように、どのタイプのフェースプレートテンプレートを有するかも報告できる。テンプレートが予め決められた場合、ユーザーは、スマートフォン210で実行されるアプリケーションにテンプレートのタイプを入力することができる。あるいは、スマートフォン210のカメラは、テンプレートの画像をキャプチャし、アプリケーションは、収集されたデータタイプに応じてユニバーサルセンサー100を自動的に設定することができる。フェースプレート116上のボタンを押すユーザーによってデータが入力されると、コントローラ222は、設定に従って収集されたデータを分類する。
【0042】
本明細書で説明される概念は、ユニバーサルセンサーの他の物理的構成に適用可能である。図3Dは、ユニバーサルセンサー100と同様の電子部品を有するユニバーサルセンサー380を示し、設定された入力データを、図2のスマートフォン210などの外部機器に提供する。この例では、ユニバーサルセンサー380は、アクセスしやすく作動しやすいように構成される。ユニバーサルセンサー380全体は、特定のデータを収集するように構成された単一のデータ収集ボタンとして機能する。センサー380は、ユニバーサルセンサー100上のボタンよりも大きい作動領域を有してもよく、あるいは、患者がより容易にアクセスして使用しやすいように、モーションセンサー、フットペダル、磁気スイッチ、又は圧力パッドなどの他のタイプのアクチュエータに接続され得る。一般には、このようなアクセシビリティシステムは、ユニバーサルセンサーと、センサーから引き出されたコネクタ及びケーブルと、いくつかの手段によって作動するスイッチ又はアクチュエータ装置とを含む。
【0043】
図3Dは、ユニバーサルセンサー380を他のセンサー作動装置に組み込むいくつかの例を示す。この例では、ケーブル382は、ドア枠386に取り付けられた磁気スイッチ384に接続され得る。磁性パネル388はドア390に取り付けられる。このため、ドア390はデータ入力装置として使用される。ユーザーは、データを入力したいとき、ドア390を開くことによって磁気スイッチ384への磁界を遮断し、信号をセンサー380に送信することができる。他のアクチュエータを使用し得る。例えば、ユニバーサルセンサー380は、ケーブル392によって圧力パッド394に取り付けられ得る。ユーザーは、データを入力したいとき、圧力パッド394を踏むことによって、データ信号をセンサー380に送信することができる。あるいは、アクチュエータは、センサー380と無線通信し得る。
【0044】
他のアクチュエータを使用することにより、データを入力する動作は、ユーザーがユニバーサルセンサー自体のボタンを押すことに限定されない。他のアクチュエータにより、他の方法で接触することが可能となり、この他の方法としては、光センサー又水位センサーなどの他のタイプのセンサーや、振ったり傾けたり、ねじったり、叩いたり、握ったり、引っ張ったりすることによって作動してバイナリ入力を示すメカニズムが挙げられる。
【0045】
ユニバーサル装置100上のボタンの設定は、スマートフォン210などのモバイル機器上で実行されるアプリケーションによって実行される。このアプリケーションは、ユニバーサル装置100がどのように設定されているかという文脈でデータを追跡及び収集するという機能を有する。例えば、図3Aの薬剤設定及びテンプレート300が使用される場合、ユーザーが異なる薬剤を服用したときに、ユニバーサルセンサー100は、その薬剤がいつ服用されたかに関するデータを収集する。そして、収集されたデータは、ユニバーサルセンサー100の送信範囲内にあるスマートフォン210を介してサーバー220などの外部機器に伝達される。
【0046】
例示的なユニバーサルセンサー100上で使用可能なボタンの数に制限はない。図1A~1Bの例示的なユニバーサルセンサー100では、4つのボタンのみが使用されるが、このシステムは任意の数のボタンを容易にサポートすることができる。例えば、図1Bのキーパッド114では、4つのボタン領域のみ使用されるが、最大24個の別個のボタン領域をサポートすることができる。また、フェースプレート116上のボタンの配置は、24個の別個のボタン領域のうちの異なるものを作動させることによって変更され得る。異なる物理的配置を有する、24個よりも多いか又は少ないボタン領域も提供され得る。
【0047】
図4A~4Cは、24個のボタンとは異なる定義を有するボタン領域のための他のテンプレートを示し、図3A~3Cに示すそれらの配置とは異なり、このテンプレートによって、ユニバーサルセンサー100上で異なるボタン領域を配置することが可能となる。図4Aは、収集された薬剤データのために構成されるテンプレート410を示す。このテンプレート410は、4つのボタン412、414、416及び418を含む。図1Aと比較して分かるように、ボタン412、414、416、及び418の位置は、ボタン132、134、136、及び138の位置とは異なる。この例では、ボタン412、414、416、及び418は、キーパッド114上の異なるアクチュエータを使用する。この例では、テンプレート410は、薬剤使用データを収集するように構成される。このため、ボタン412、414、416及び418は、それぞれDulera、Atrovent、Xopenex及びFasenraなどの例示的な薬剤の使用を表す。このように、ユーザーは、4種類の薬剤のうちの1つを服用するとき、適切なボタン412、414、416、418を押す。ボタン412、414、416、418の各々は、ユーザーがそれぞれの薬剤に対応する正しいボタンを選択するのを支援するために、異なるグラフィックを有する。
【0048】
図4Bは、感情データを収集するように事前に設定されたユニバーサルセンサー100の代替テンプレート440を示す。このテンプレート440は、喜び、落胆、不安、及び悲しみなどの例示的な感情を表す4つのボタン442、444、446、及び448を含む。この例では、ユニバーサルセンサー400は、ユーザーが対応するボタンを押すことによって感情を入力することを可能にする。ボタン442、444、446、448の各々は、ユーザーが正しいボタンを選択するのを支援するために、感情に関連するグラフィックを有する。
【0049】
図4Cは、活動データを収集するように構成されたユニバーサルセンサーの別の代替テンプレート460を示す。このテンプレート460は、4つのボタン462、464、466、及び468を含み、これらのボタンは、それぞれ歩行、使い走り、医者に行くこと、又はソーシャル使い走りなどの例示的な活動を表す。ボタン462、464、466、468の各々は、ユーザーが正しいボタンを選択するのを支援するために、異なるグラフィックを有する。
【0050】
上述したように、スマートフォン210上のアプリケーションは、ユーザーによって実行され、ユニバーサルセンサー100を設定して、適切なテンプレートに設定されたデータをタグ付けすることができる。図5Aは、薬剤選択502と機器選択504との間の選択を表示する、アプリケーションによって生成された例示的なメインインターフェース500を示す。機器選択504が選択された場合、スマートフォン210とペアになっているすべてのユニバーサルセンサーを表示するインターフェースが表示される。また、このアプリケーションは、ペアリング能力を有する他のタイプの特定のセンサーも表示し、センシングされたデータをスマートフォン210に送信し得る。このため、スマートフォン210が一対のユニバーサルセンサーのいずれかの送信範囲内にある場合、ユニバーサルセンサーは任意の収集されたデータをアプリケーションに伝送する。追加アイコン506は表示され、これにより、ユーザーはアプリケーションによって追跡される追加のセンサー又は薬剤を追加することができる。
【0051】
薬剤選択502が選択された場合、インターフェース500が表示される。したがって、インターフェース500は、現在処方されているか又はユーザーが利用可能な薬剤510のリストを示す。各リスト510は、ディスペンス装置又は薬物を示すグラフィック512、識別ラベル514、及び用量と時間516を含む。あるいは、リスト510は、特定のセンサー又はユニバーサルセンサー100上のボタンが特定の薬剤とペアになっていることを示すセンサータイプタブ518を含み得る。これにより、リストに記載される薬剤が服用される場合、ユーザーは特定のセンサー又はユニバーサルセンサー上のボタンを起動して使用状況を記録する。
【0052】
追加アイコン506が選択された場合、薬剤追加オプションと、新規なセンサー装置追加オプションとを含むメニューが表示される。新規なセンサー装置追加オプションが選択された場合、ユニバーサルセンサー100のような新規なセンサーは、スマートフォン210とペアにされる必要がある。ユニバーサルセンサー100上の送信機は、ブルートゥース(登録商標)信号を発信し、アプリケーションは、スマートフォン210に信号を認識させ、装置をペアリングさせる。ユニバーサルセンサー100が見つかると、図5Bに示すように、センサー設定インターフェース550にリストされる。インターフェース550は、識別されたセンサー552のリストを含む。リスト552内の識別されたセンサーの各々は、センサーを識別するためのシリアル番号を含む対応する選択領域554を有する。センサーが識別されると、スマートフォン210は、このようなセンサーから受信した広告信号を確認して、センサーによって収集された任意のデータを受信する。
【0053】
センサーがアプリケーションによって識別されると、対応する選択領域554によって選択され得る。選択されたセンサーのシリアル番号が付された円形アイコン560が表示され、ボタン選択フィールド562が表示されて各ボタンを設定できるようになる。この例では、ボタン選択フィールド562が表示され、ユーザーが図1Aのユニバーサルセンサー100上の4つのボタンの1つを選択できる。ボタンの数がより多いか又はより少ない場合、より多いか又はより少ないオプションがボタン選択フィールド562に表示され得る。
【0054】
ユニバーサルセンサー装置のボタンが設定のために選択されると、例示的なボタン設定インターフェース570が図5Cに示される。設定のために選択された特定のボタンを示す命令572も表示される。図5Cの例に示すように、ボタンAが選択された。インターフェース570は、薬剤設定オプション580と、用量設定オプション582と、トリガー設定オプション584と、症状設定オプション586とを含む。上述したように、各オプションによって、ボタンを設定して一般的な選択に関連する異なるタイプのデータを入力することができる。構成が完了すると、ユーザーは、図5Bのセンサーインターフェース550に戻り、他のボタンを設定する。後述するように、各ボタンが別個のインターフェースで設定された後、インターフェース550には、どのボタンが設定されたかを示すチェックマーク又は他のインジケータが表示される。
【0055】
この例では、薬剤設定オプション580が選択された。図6Aに示すように、薬物領域610に特定の薬剤をリストする薬剤インターフェース600が表示される。ユーザーが現在服用している各薬剤は、個々の薬剤選択612としてリストされる。各選択肢612は、薬剤のグラフィック614と、ラベル616と、薬剤を服用すべき時間618とを含む。各選択肢は、ユーザーによって選択されてボタンに割り当てられ得る。ユーザーが選択肢612のうちの1つを選択するとき、選択肢612にチェックマークアイコン620が表示される。確認ボタン622は、ユーザーがボタンへの割り当ての選択を確認することを可能にするように表示される。確認ボタン622が選択された場合、このボタンが選択された薬剤及び時間に割り当てられる。これにより、ユニバーサルセンサー100で設定されたボタンが押されると、患者が選択された薬剤を服用したことを示すデータが記録される。
【0056】
図5Cのボタン設定インターフェース570において用量設定オプション580が選択された場合、図6Bに示す用量インターフェース630が表示される。用量インターフェース630には、服用すべき時間別にグループ分けされた特定の薬剤がリストされる。グループ632などの各グループは、選択バブル634によって表される特定の時間に関連付けられる。各グループには、そのグループの時に服用すべき薬剤の種類と用量636がリストされる。各リストは、ユーザーによって選択され得る。確認ボタン640は、ユーザーが時間グループをボタンに割り当てた選択を確認することを可能にするように表示される。これにより、ユニバーサルセンサー100で設定されたボタンが押されると、患者がその時点で選択された薬剤を服用したことを示すデータが記録される。
【0057】
図5Cのボタン設定インターフェース570においてトリガー設定オプション584が選択された場合、図6Cに示すトリガーオプションインターフェース650が表示される。この例では、インターフェース650において、これらのトリガーは屋内アレルゲン652、屋外アレルゲン654、及び大気汚染物質656にグループ化される。グループ652、654、及び656の各々は、特定の屋内アレルゲントリガー658のような特定のトリガーオプションをリストする。各特定のトリガーオプション658は、ユーザーによって選択されてボタンに割り当てられ得る。チェックマークなどのアイコンは、特定のトリガーが選択されたことを示す。保存ボタン660により、ユーザーはボタンへの割り当ての選択を確認し、保存することができる。これにより、ユニバーサルセンサー100上で設定されたボタンが押されると、患者が設定されたトリガーを経験したことを示すデータが記録される。
【0058】
図5Cのボタン設定インターフェース570において症状設定オプション586が選択された場合、図6Dに示すトリガーオプションインターフェース680が表示される。このインターフェース680において、特定の呼吸器系に基づく症状682がリストされる。ユーザーは、リストされた各症状を選択することができる。この例では、症状682は、夜間の覚醒、咳、喘ぎ、呼吸困難、息切れ、胸の圧迫感及び活動制限を含む。ユーザーがかかりやすい既知の呼吸器疾患に応じて、他の症状を提供し得る。チェックマークなどのアイコンは、特定の症状が選択されたことを示す。保存ボタン690が表示され、ユーザーは、ボタンへの割り当ての選択を保存し、確認することができる。これにより、ユニバーサルセンサー100上で設定されたボタンが押されると、患者が設定された症状を経験したことを示すデータが記録される。
【0059】
ユニバーサルセンサー装置のボタンを設定した後、各ボタン領域592の設定を示す図5Dの要約画面590が表示され得る。この例では、各ボタンは特定の薬剤に割り当てられる。また、要約画面590には、スマートフォン210によって取得された広告信号に基づいて、センサーの最後の既知の位置及び日付が表示される。識別されたセンサーからこのような信号を受信すると、アプリケーションは、スマートフォン210に内蔵されたGPS受信機によって取得されたGPSデータに基づいて、センサーの時間と地理的位置を記録する。
【0060】
これにより、スマートフォンがユニバーサルセンサーと同期される場合、イベント発生時にスマートフォン210がセンサーに近接するという前提で、スマートフォン210の既知の位置の期間内に発生した任意のイベントは、その位置に関連付けることができる。この例では、ユニバーサルセンサー100は、イベントのタイムスタンプをキャプチャし、スマートフォン210は、イベント発生時の自身の位置に基づいて位置を関連付ける。また、要約画面590は、特定のユニバーサルセンサーをトリガーして、ブザー又はチャイムなどのオーディオ信号の発信を開始し、ユニバーサルセンサーの位置決めを可能にするリングセンサー入力を含む。
【0061】
個々のボタン設定プロセスと同様に、このアプリケーションにより、スマートフォン210とペアになっているユニバーサルセンサー100は、例えば、図3Dに示すようなアクセスをより容易にするアクチュエータが組み込まれた例示的なセンサー380の単一のデータ入力ボタンに関連してアクセスを容易にするように
構成され得る。したがって、図5Cのインターフェースと同様のインターフェースはアクセシビリティセンサーを設定するために表示される。アクセシビリティの場合、ユーザーは、用量、薬剤、活動、症状、又は感情を継続的に追跡するオプションを有するユニバーサルセンサー380のようなユニバーサルセンサーと同義の単一のアクセシビリティタイプのボタンのみを設定する。
【0062】
図5Aに戻ると、この例では、追加アイコン506が選択された後に表示されるメニューは、センサー設定オプション(上述のように)と、薬剤設定オプションとの両方を含み得る。薬剤設定オプションは、ユーザーが新しい薬剤を追加することを可能にするインターフェースを含み、この新しい薬剤は追加された後、図5Aに示す薬剤インターフェースに表示される。薬剤入力インターフェースは、使用可能な薬剤の選択、薬剤を服用する時間の選択、薬剤を表すアイコン、及び薬剤に関連付けられた送達装置を可能にする。
【0063】
図7は、ユニバーサルセンサー100のコントローラ222及び遠隔モバイル機器210上のアプリケーションによって実行される動作手順の流れ図700である。図7の流れ図700は、図1のユニバーサルセンサー装置100から収集されたデータを収集及び分析するための例示的な機械可読命令を表す。この例では、機械可読命令は、(a)プロセッサ、(b)コントローラ、及び/又は(c)1つ以上の他の適切な処理装置によって実行されるアルゴリズムを含む。このアルゴリズムは、フラッシュメモリ、CD-ROM、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードドライブ、デジタルビデオ(多用途)ディスク(DVD)、又は他の記憶装置などの有形媒体に記憶されたソフトウェアに具現化され得る。しかしながら、当業者は、アルゴリズム全体及び/又はその一部が、代替的に、プロセッサ以外のデバイスによって実行され、及び/又は周知の方法でファームウェアもしくは専用ハードウェアに具現化され得る(例えば、アルゴリズム全体及び/又はその一部が、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルロジックデバイス(FPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ディスクリートロジックなどによって実装され得る)ことを容易に理解する。例えば、インターフェースのコンポーネントのいずれか又は全部は、ソフトウェア、ハードウェア、及び/又はファームウェアによって実装され得る。また、流れ図によって表される機械可読命令の一部又はすべては、手動で実装され得る。さらに、例示的なアルゴリズムは、図3に図示された流れ図を参照して説明されたが、当業者は、例示的な機械可読命令を実装する多くの他の方法が代替的に使用され得ることを容易に理解する。例えば、ブロックの実行順序が変更されてもよく、及び/又は説明されたブロックのいくつかが変更、削除、又は組み合わせられ得る。
【0064】
コントローラ222は、まず、データがボタンインターフェース224から入力されたことを決定する(710)。コントローラ222は、設定に従ってデータを分類し、タイムスタンプを付与する(712)。例えば、ユニバーサルセンサー装置100が薬剤データを収集するように構成される場合、コントローラ222は、収集されたデータを、ユーザーが特定の時点で薬剤を服用したことを示すものとして分類する。そして、データはメモリ230に記憶される(714)。次に、コントローラ222は、トランシーバ228に、ユニバーサルセンサー100によって発信された広告信号にフラグを立てさせる(716)。コントローラ222は、ペアリングされたモバイル機器が送信範囲内にあるか否かを判定する(718)。送信範囲内にあるペアリングされたモバイル機器が存在しない場合、コントローラ222は、データを収集し(710)、広告信号を送信し続ける。
【0065】
ペアリングされたモバイル機器が送信範囲内にある場合(718)、コントローラ222は、収集されたデータをモバイル機器210に送信する(720)。続いて、モバイル機器210は、受信したデータをサーバー220に伝送してさらなる分析に供し得る。モバイル機器210は、所定の期間に受信したデータを伝送することができる。この例では、所定の期間は24時間とすることができる。あるいは、サーバー220は、定期的に、又はサーバー220が以前のパターンに基づいて投薬又は他の病状が患者に存在する可能性があると判断したときに、モバイル機器210からデータパケットを伝送することを要求し得る。ユニバーサルセンサー100のコントローラ222は、広告信号を通常のものに変更する(722)。その後、手順は、さらなるデータを収集することに戻る(710)。
【0066】
図8は、ユニバーサルセンサーによって患者からデータを取得するための健康管理システム800の一例のブロック図である。この健康管理システム800は、ユーザー又は患者810によって入力された関連する薬剤データを提供する図1のユニバーサルセンサー100を含む。異なる活動のために設定されたセンサー232及び234などの複数のユニバーサルセンサーが存在し得ることを理解されたい。ユニバーサルセンサー100、232、234は、各設定のデータを収集するのに適した異なる位置に設けられ得る。例えば、ユニバーサルセンサー100は、投薬するように構成され、薬箱に取り付けられ得る。ユニバーサルセンサー232は、活動を記録するように構成され、患者810の住居の正面玄関の枠に取り付けられ得る。本明細書で記載されるように、ユニバーサルセンサー100、232、及び234は、コンピューティング装置210とペアにされた後、患者プログラム又はアプリケーション840を介して携帯コンピューティング装置210によって設定される。
【0067】
健康管理システム800は、データサーバー220と、健康プロバイダ又は在宅医療プロバイダ(HCP)サーバー814と、電子医療記録(EMR)サーバー816と、患者モバイルコンピューティング装置210とを含む。また、1つ以上の生理学的センサーは、患者810から生理学的データを提供することができる。患者コンピューティング装置210は、一般には、患者810に携帯されるが、ユニバーサルセンサー100、232、234は、それらが収集するように構成されたデータに適した都合のよい位置に設けられる。システム800において、これらのエンティティは、すべてインターネットなどの広域ネットワーク830を介して互いに接続され、通信するように構成される。広域ネットワーク830への接続は、有線型であってもよいし、無線型であってもよい。EMRサーバー814、HCPサーバー816、及びデータサーバー220は、すべて別の場所における別個のコンピューティング装置上で実装されてもよく、あるいは、これらのエンティティのうちの2つ以上の任意の部分的組み合わせは、同一のコンピューティング装置上で共に実装され得る。
【0068】
患者コンピューティング装置210は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、タブレットコンピュータ、又は他のデバイスであり得る。患者コンピューティング装置210は、広域ネットワーク830を介して患者810とシステム800の遠隔所在エンティティとの間を仲介するように構成される。図8の具現例では、この仲介は、患者コンピューティング装置210上で実行されるソフトウェア・プリケーション・プログラム840によって達成される。この例では、アプリケーション・プログラム840により、ユニバーサルセンサー100、232、及び234によって収集されるデータタイプを設定することができる。また、このアプリケーション・プログラム840は、各センサーがコンピューティング装置210の送信範囲内にある場合に、構成されたユニバーサルセンサー100、232、234からデータを収集する。
【0069】
この患者プログラム840は、「患者アプリ」と呼ばれる専用アプリケーションであってもよいし、健康プロバイダ又は在宅医療プロバイダによって提供されるウェブサイトと対話するウェブブラウザであってもよい。この例では、ユニバーサルセンサー100、232、及び234は、ローカル有線ネットワークや、ブルートゥース(登録商標)などのプロトコルに基づく無線ネットワーク(図示せず)を介して患者コンピューティング装置210と通信する。システム800は、関連するコンピューティング装置と関連するHCPサーバー(他の患者と共有可能)とを有する患者のそれぞれに関連した他のペアになったユニバーサルセンサー(図示せず)を含み得る。システム800内のすべての患者/ユーザーは、データサーバー220によって管理され得る。
【0070】
上述したように、薬剤の使用量を収集するように構成されたユニバーサルセンサー100からのデータは、患者810の薬剤投与量の適用と関連付けることができる。一般的なセンサー232及び234からの追加のデータは、健康データ分析モジュール240に関して上述したように、薬剤投与時の薬剤の有効性を追跡するために、コンピューティング装置210によって収集され得る。このようなデータは、アプリケーション840によって収集され、データサーバー220に送信される。この例では、分析モジュール240は、収集されたデータの分析、例えば、薬剤の有効性の決定、患者810などの患者の個々の投与量の追跡、又は投与量を伴う行動パターン及び環境条件の識別を提供することができる。ユニバーサルセンサー100、232、234が異なるタイプのデータを収集している場合、患者810に関連する異なる分析を実行することができる。
【0071】
この例では、ユニバーサルセンサー100は、特定の薬剤の服用を指示する入力を、無線プロトコルを介して患者コンピューティング装置210に送信するように構成されており、患者コンピューティング装置210は、患者プログラム840の一部としてデータを受信する。次に、患者コンピューティング装置210は、プルオアプッシュ(pull or push)モデルに従って、生理学的データをデータサーバー220に伝送する。データサーバー220は、「プル」モデルに従って生理学的データをコンピューティング装置210から受信してもよく、これにより、コンピューティング装置210は、データサーバー220からのクエリに応答して薬剤データを伝送する。あるいは、データサーバー220は、「プッシュ」モデルに従って生理学的データを受信してもよく、これにより、コンピューティング装置210は、患者からの入力を検出した後にデータが利用可能になると、すぐにデータをデータサーバー220に伝送する。データサーバー220は、収集及び分析されたデータを記憶するために、データベース250などのデータベースにアクセスし得る。
【0072】
患者コンピューティング装置210から受信されたデータは、患者810と一意に関連付けられることによってシステム800内の他の任意のユニバーサルセンサーから収集された生理学的データから区別できるように、データサーバー220によって保存及びインデックス付けされる。データサーバー220は、ユニバーサルセンサー100から受信したデータからの各投与量アプリケーションの要約データを計算するように構成され得る。また、データサーバー220は、患者810によって入力された他のデータ、患者に関する行動データ、又は投与量/要約データを含むデータを、患者コンピューティング装置210から受信するように構成され得る。
【0073】
EMRサーバー814は、患者810について特異的な電子医療記録(EMR)と、患者810と類似した疾患を有する患者からなるより大きな母集団に対して包括的な電子医療記録(EMR)との両方を含む電子医療記録(EMR)を含む。EMRは、電子健康記録(EHR)と呼ばれることがあり、典型的には、前回の病状、治療、合併症及び現在の状態を含む患者の医療履歴を含む。EMRサーバー814は、例えば、患者810が前回治療を受けた病院に設けられ得る。EMRサーバー814は、場合によってはデータサーバー220から受信したクエリに応答して、EMRデータをデータサーバー220に伝送するように構成される。
【0074】
この例では、HCPサーバー816は、患者の治療及びケアについて、例えば、呼吸治療について責任を負う健康/在宅医療プロバイダ(これは、個々のヘルスケア専門家又は組織であり得る)と関連付けられる。HCPは、DME又はHME(国内/家庭用医療機材プロバイダ)とも呼ばれ得る。HCPサーバー816は、プロセス852をホストすることができる。プロセス852について、以下により詳細に説明する。HCPサーバープロセス852の1つの機能として、データサーバー220から受信したクエリに応答して、患者810に関連するデータをデータサーバー220に伝送することができる。
【0075】
いくつかの具現例では、データサーバー220は、HCPサーバー816と通信して、看護婦などのHCPのエージェントへの通知又はアクション推奨をトリガーするか又は多様な報告のサポートを行うように構成される。実行されたアクションの詳細は、エンゲージメントデータの一部としてデータサーバー220によって保存される。HCPサーバー816は、分析モジュール240及び患者プログラム840と通信するHCPサーバープロセス852をホストする。
【0076】
例えば、HCPサーバープロセス852は、コンプライアンス期間(例えば30日)における必要な薬剤の使用量を、そのコンプライアンス期間に21日間といった最少日数で4回などの最小投与回数で指定するコンプライアンス規則に従って、特定の薬剤を服用する患者を監視する能力を含み得る。要約データの後処理において、使用時間と順守規則からの最低持続時間とを比較することにより、最近の期間が順守セッションであるか否かを判定することができる。かかる後処理の結果は、「コンプライアンスデータ」と称される。このようなコンプライアンスデータは、吸入器及び他の機構を含み得る治療を健康管理プロバイダが個別調整する際に用いられ得る。支払人などの他の関係者は、コンプライアンスデータを使用して、患者に対して償還が存在し得るか否かを決定し得る。HCPサーバープロセス852は、多数の患者からのデータ収集に基づいて薬剤の全体的な使用状況を決定するなど、他の健康管理機能を有し得る。例えば、健康管理機関は、分析アルゴリズムを実行して、薬剤を効果的に使用している患者集団の母集団と、入院率低下との間の相関関係を決定し得る。別の例として、再入院の危険性が迫っているかを示す、薬剤使用前及び薬剤使用後の生理学的パターンの決定がある。別の例として、異なる薬剤商標(ただし同一種類の薬剤の)患者の健康管理における有効性の分析がある。
【0077】
理解されるように、データサーバー220、EMRサーバー814、及びHCPサーバー816内のデータは、通常、患者810に関する機密データである。典型的には、機密データを別の当事者へ送信する許可を患者810から提供する必要がある。サーバー220、814、及び816が異なるエンティティによって操作されている場合、これらのサーバー間でデータを伝送するには、このような許可が必要になる。
【0078】
分析モジュール240は、患者コンピューティング装置210によってユニバーサルセンサー100、232、234から設定されたデータを収集することができる。分析モジュール240は、一般的に、収集されたデータに基づいて、患者の治療に関する分析を提供する。例えば、投与量アプリケーションからのデータ並びに他のユニバーサルセンサーからのトリガー及び症状などの対応するデータは、個々のユーザーに合わせてカスタマイズされた投与量を決定するために用いられ得る。他の保存されたデータは、投与量のさらなる個別調整のために用いられ得る。そのため、カスタマイズされた投与量は、ユーザーに特有の生理、病型及び活動に基づいて決定され得る。追加データは、データベース250に記憶され、構成されたユニバーサルセンサー100の使用から受信したデータの個人化分析を支援するために、分析モジュール240によって使用され得る。他の分析が実行され得る。例えば、収集されたデータから花粉やその他の環境トリガーでパターンが特定された場合、外部の気象データを使用して、必要な投与量を患者に通知することができる。このパターンが破られた場合、特定の活動のパターン及びその後の薬剤の使用は介入をトリガーし得る。このため、患者が常に毎週火曜日にひと走りした後に薬剤を服用し、火曜日のランニングを記録したが、薬剤の使用がない場合、システムは、患者に通知を送信して薬剤を服用するように提示する。ユニバーサルセンサーによって収集された入力に基づいて、患者から報告された睡眠の質が着実に低下した場合、医師による介入をトリガーすることができる。収集されたデータに基づいて決定された期間内に、ユーザーが特定のスケジュールされた活動(例えば、運動)を行わなかった場合、分析は、患者が差し迫った増悪又は健康状態の全般的な低下に見舞われていることを判定し得る。
【0079】
図9Aは、単一のプログラマブルボタン910を有する別の例示的なユニバーサルセンサー装置900の斜視図である。図9Bは、このユニバーサルセンサー装置900のコンポーネントの分解図である。図9Bに示すように、ユニバーサルセンサー900は、主円錐形本体部品912と、補助ボタン914と、フレキシブル回路基板916と、基板部材918とを含む。円錐形本体部品912は、環状の上部カラー922によって画定された開口した円形の上部開口部920を有する。この上部開口部920は、プログラマブルボタン910を保持する。この例では、プログラマブルボタン910は、ボタン910を保持する円筒状の本体を有する。ボタン910は、ユーザーによって押下可能な上面を有する。この例では、ボタン910はシリコーン成形品であるが、ゴムなどの他の可撓性材料も使用可能である。反対側の表面は、カーボン塗料や銀塗料などの導電性材料で塗布され得る。このように、ボタン910が押されると、導電性塗料は下側の回路基板916上のトレースに接触して回路を閉じる。あるいは、回路基板916は、オープントレース及び金属製のスナップドームを有し得る。ボタンが押されると、スナップドーム上の金属が変形し、回路基板916上の2つの接点が接続される。デカール又は他の視覚的インジケータは、ボタン910の上面に貼り付けられ、ユーザーが服用したときに特定の種類の薬剤を記録するなどの設定された機能を示すことができる。
【0080】
上部カラー922は、2つの半円形のサイドパネル924、926によって画定される。一方のサイドパネル924は、補助ボタン914にアクセスするための側面開口部928を含む。サイドパネル924、926の底部は、一連の周期的に離間したタブ932を有する底部の環状カラー930を画定する。この例では、サイドパネル924、926は硬質プラスチックから作製される。
【0081】
図9Cに示すように、フレキシブル回路基板916は、単一の平面基板として製造される。フレキシブル回路基板916は、矩形のアーム部944によって接合された、円形の主要部940と矩形部942とを含む。この例では、材料は、回路基板916上の部品を電気的に接続するための導体パターンが刷り込まれ得るポリイミドである。ポリイミド材料により、回路基板916を折り返すことができる。図9Bに示すように、矩形部942は、円形の主要部940に対して平行な位置に折り返されて、電池を取り囲む。これにより、バッテリは、矩形部942及び主要部940上の接点を介して電力を供給する。このバッテリは、矩形部942を支持する役割も果たす。
【0082】
主要部940は、トランシーバ回路と、信号処理回路と、ドライバ回路と、コントローラとを含む。主要部940内の電子部品は、図2に示すユニバーサルセンサー100の電子部品と同様である。したがって、前述したように、電子部品は、ボタンの押下と、記録された押下に基づいて相関されたプログラムされたデータ収集機能とを記録する。図2を参照して上述したように、トランシーバは、データを収集するとともに、ボタンの押下によって収集されたデータのタイプをプログラムするために、モバイル機器とペアにされ得る。
【0083】
矩形部942は、6つのフィンガー接点946を含む。接点946は、バッテリに支持されている矩形部942によって水平位置に固定される。ボタン910が押されると、接点946のいずれかが回路を閉じる。このため、接点946の完成した回路の出力は、信号処理回路によって処理され、コントローラによって管理されるボタンの押下を表すデジタルデータに変換される。アーム部944は、補助ボタン914が押されたときに回路を完成させることができる3つのフィンガー接点948も有する。
【0084】
補助ボタン914は、円盤状のプラットフォーム950の縁部に取り付けられ、プラットフォーム950に対して移動してフィンガー接点948に接触することができる。プラットフォーム950は、回路基板916の主要部940を支持する。このため、プラットフォーム950及び回路基板916は、円錐形本体部品912によって取り囲まれる。この例では、補助ボタン914は、当該補助ボタン914が押されて、フィンガー接点948との接触によって回路を完成させるときに起動され得る所定の機能を有する。この所定の機能としては、ユーザーが設定できない、アラートのオン・オフ又は手動同期のトリガーが挙げられる。したがって、補助ボタン914は、ユーザーによって操作されるであるが、コントローラによって設定された設定不可の機能を起動する。
【0085】
基板部材918は、円形の底部パネル952を有する。底部パネル952の内側上面954は、プラットフォーム950を支持する。円形の底部パネル952の反対側の外側下面956は、センサー900が平坦な表面に取り付けられるように、接着剤で塗布され得る。この例では、接着剤は、ユーザーがセンサー900を平坦な表面に取り付ける準備ができたときに除去され得るバッキング層で覆われ得る。
【0086】
基板部材918は、内面962を含む環状壁960を有する。内面962には、一連の垂直スロット964及び水平スロット966が形成される。ユニバーサルセンサー900は、プラットフォーム950を基板部材918の上面954に設けることによって組み立てられる。回路基板916は、プラットフォーム950に設けられ、バッテリが挿入される。そして、回路基板916は、図9Bに示すように折り返される。次に、タブ932が対応する垂直スロット964の各々に挿入されるように、本体部品912を下降させる。続いて、本体部品912を反時計回りに回転させて、タブ932を対応する水平スロット966の一端に移動させる。本体部品912は、当該本体部品912を時計回りに回転させて、タブ932を対応する水平スロット966の反対側の端に移動させることによって、基板部材918から取り外すことができる。
【0087】
上述したように、ユニバーサルセンサー900は、図2のスマートフォン210のようなモバイル機器とペアにされ得る。ユニバーサルセンサー900のコントローラは、スマートフォン210上のアプリケーションによってプログラムされ、アクションをボタン910の押下に関連付けることができる。したがって、ボタン910は、ユーザーによって操作される設定可能な入力部の一例である。構成は上記で説明されており、薬剤の使用状況を記録することを含み得る。
【0088】
この例では、ユニバーサルセンサー900の基板部材918は、任意の都合のよい平坦な表面に取り付けられ得る。しかしながら、ユニバーサルセンサー900を取り付ける他の方法があり得る。図10は、ユニバーサルセンサー900の代替基板部材1000を示す。この基板部材1000は、図9Aの本体部品912の嵌合を可能にする水平スロット及び垂直スロットを有する環状壁1012を備えた円形の底部パネル1010を含む。この円形の底部パネル1010は、2つのストラップホルダー1022、1024を有する底部外面1020を有する。ストラップ、弾性バンド、又はランヤードは、棒やユーザーの手首などの対象物に巻き付けるように、ストラップホルダー1022、1024に挿通され得る。ストラップやランヤードは、ベルクロ(登録商標)などのアタッチメント機構でその長さを調整することができる。
【0089】
本明細書で使用される用語「配置要素」、「モジュール」、「システム」などは、一般的に、コンピュータ関連エンティティ、ハードウェア(例えば、回路)、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ、ソフトウェア、又は1つ以上の特定の機能を有する操作マシンに関連するエンティティのいずれかを指す。例えば、配置要素は、プロセッサ(例えば、デジタル信号プロセッサ)で実行されるプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行可能なモジュール、実行スレッド、プログラム、及び/又はコンピュータであり得るが、これらに限定されない。例示として、コントローラで実行されるアプリケーションとコントローラの両方は、配置要素であり得る。1つ以上の配置要素は、プロセス及び/又は実行スレッド内に存在し得、また、配置要素は、1つのコンピュータにローカライズされ、及び/又は2つ以上のコンピュータ間に分散され得る。さらに、「デバイス」は、特別に設計されたハードウェア、ハードウェアが特定の機能を実行可能なソフトウェアの実行によって専門化された一般化ハードウェア、コンピュータ可読媒体に記憶されたソフトウェア、又はそれらの組み合わせの形態であり得る。
【0090】
本明細書において使用される用語は、特定の実施形態の説明のみを目的とするものであり、本発明の限定を意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上明確に別途示されない限り、複数形も同様に包含することを意図する。さらに、用語「including」、「includes」、「having」、「has」、「with」、又はそれらの変形が、詳細な説明及び/又は請求項のいずれかで使用される限りにおいて、そのような用語は、「comprising」という用語と同様の方法で包括的である。
【0091】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書で定義されているような用語は、関連技術の文脈での意味と一致する意味を持つものとして解釈されるべきであり、明示的に定義されていない限り、理想化された意味又は過度に形式的な意味で解釈されることはない。
【0092】
以下の請求項1から59のいずれか1つ以上からの1つ以上の要素、態様、ステップ又はその一部(単数又は複数)をその他の請求項1から59のいずれか1つ以上又はその組み合わせからの1つ以上の要素、態様、ステップ又はその一部(単数又は複数)と組み合わせることにより、本開示の1つ以上のさらなる実装形態及び/又は請求項を形成することができる。
【0093】
本発明の様々な実施形態について以上のとおり説明したが、これらは限定ではなく、例示するためのものにすぎないことを理解されたい。本発明は、1つ以上の実装形態に関して図示及び説明されているが、本明細書及び添付の図面を読んで理解することにより、当業者であれば、同等の変更及び修正を想到できる。なお、本発明の特定の特徴は、いくつかの実装形態のうちの1つのみに関して開示され得るが、そのような特徴は、任意の所与の又は特定の用途にとって望ましくかつ有利な他の実装形態における1つ以上の他の特徴と組み合わされ得る。したがって、本発明の広さ及び範囲は、上述した実施形態のいずれかによって限定されるべきではない。むしろ、本発明の範囲は、請求項及びその均等物に従って定義されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
【国際調査報告】