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特表2023-534281ガス流に含まれる硫黄の触媒還元に使用するための触媒並びにそのような触媒の製造方法及び使用方法
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  • 特表-ガス流に含まれる硫黄の触媒還元に使用するための触媒並びにそのような触媒の製造方法及び使用方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-08
(54)【発明の名称】ガス流に含まれる硫黄の触媒還元に使用するための触媒並びにそのような触媒の製造方法及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 27/051 20060101AFI20230801BHJP
   C01B 17/04 20060101ALI20230801BHJP
   B01J 37/20 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
B01J27/051 M
C01B17/04 V
B01J37/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023502941
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(85)【翻訳文提出日】2023-03-03
(86)【国際出願番号】 US2021042001
(87)【国際公開番号】W WO2022016067
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】63/053,151
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002105
【氏名又は名称】シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クルーガー,カール・マービン
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA08
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BB09A
4G169BB09B
4G169BC59A
4G169BC59B
4G169BC67A
4G169BC67B
4G169CB81
4G169DA05
4G169EE01
4G169FB07
4G169FB13
4G169FB30
4G169FB50
4G169FB57
4G169FB61
4G169FB65
4G169FB78
(57)【要約】
ガス流に含まれる硫黄、硫黄化合物及び一酸化炭素を触媒加水分解反応、水素化反応及び水性ガスシフト反応によって変換するための優れた特性を有する触媒組成物を開示する。この触媒は、モリブデン及びコバルトの被覆層を有する下地層モリブデン及びコバルトを含む。これらの金属は、特定の濃度範囲内及び相対重量比で触媒中に存在する。下地層金属は、被覆層及び総金属に対して所定の範囲内で触媒中に存在する。下地層金属は、無機酸化物をモリブデン及びコバルトの触媒活性金属と共混練することによって形成される。共混練された混合物は焼成され、次いで被覆層モリブデン及びコバルトで含浸される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流に含まれる硫黄化合物の触媒還元に有用な触媒組成物の製造方法であって、
a)無機酸化物、第1のモリブデン化合物、及び第1のコバルト化合物を共混練して共混練混合物を提供することと、
b)前記共混練混合物を成形凝集体に成形することと、
c)前記成形凝集体を第1の焼成条件下で乾燥及び焼成して、焼成された成形凝集体を提供することと、
d)第2のモリブデン化合物及び第2のコバルト化合物を、前記焼成された成形凝集体に組み込んで、含浸成形凝集体を提供することと、
e)前記含浸成形凝集体を第2の焼成条件下で乾燥及び焼成して、前記触媒組成物を提供することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記触媒組成物は、被覆層モリブデン及び被覆層コバルトを有する下地層モリブデン及び下地層コバルトを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記触媒組成物は、少なくとも7.4重量%の総モリブデン含有量及び少なくとも2.7重量%の総コバルト含有量を有し、双方の重量%は、前記触媒組成物及び酸化物としての前記それぞれの金属成分の総重量に基づく、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記触媒組成物は、1:5~4:5の範囲内の下地層モリブデン含有量対総モリブデン含有量のモリブデン比、及び1:5~4:5の範囲内の下地層コバルト含有量対総コバルト含有量のコバルト比を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記触媒組成物は、1.5:1~6:1の範囲内の総モリブデン含有量対総コバルト含有量の総金属比を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記触媒組成物は、前記触媒組成物の総重量に基づいて65~90重量%の範囲内の総無機酸化物含有量を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記触媒組成物及び酸化物としての前記それぞれの金属成分の総重量に基づいて、前記下地層モリブデン含有量は1.1~12.5重量%の範囲内であり、前記下地層コバルト含有量は0.5~5重量%の範囲内である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の焼成条件は、前記成形凝集体を、酸素の存在下で300C~800Cの範囲内の第1の焼成温度で焼成することを含み、前記第2の焼成条件は、前記含浸成形凝集体を、酸素の存在下で300C~800Cの範囲内の第2の焼成温度で焼成することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ガス流に含まれる硫黄化合物の触媒還元に有用な触媒組成物であって、無機酸化物、下地層モリブデン、下地層コバルト、被覆層モリブデン、及び被覆層コバルトを含む、触媒組成物。
【請求項10】
前記触媒組成物は、少なくとも7.4重量%の総モリブデン含有量及び少なくとも2.7重量%の総コバルト含有量を有し、双方の重量%は、前記触媒組成物及び酸化物としての前記それぞれの金属成分の総重量に基づく、請求項9に記載の触媒。
【請求項11】
前記触媒組成物は、1:5~4:5の範囲内の下地層モリブデン含有量対総モリブデン含有量のモリブデン比、及び1:5~4:5の範囲内の下地層コバルト含有量対総コバルト含有量のコバルト比を有する、請求項10に記載の触媒。
【請求項12】
前記触媒組成物は、1.5:1~6:1の範囲内の総モリブデン含有量対総コバルト含有量の総金属比を有する、請求項11に記載の触媒。
【請求項13】
前記触媒組成物は、前記触媒組成物の総重量に基づいて65~90重量%の範囲内の総無機酸化物含有量を有する、請求項12に記載の触媒。
【請求項14】
前記触媒組成物及び酸化物としての前記それぞれの金属成分の総重量に基づいて、前記下地層モリブデン含有量は1.1~12.5重量%の範囲内であり、前記下地層コバルト含有量は0.5~5重量%の範囲内である、請求項13に記載の触媒。
【請求項15】
ガス流に含まれる硫黄化合物の触媒還元に有用な触媒組成物であって、前記触媒組成物は、無機酸化物と、第1のモリブデン化合物と、第1のコバルト化合物との焼成された共混練混合物を含み、前記焼成された共混練混合物に第2のモリブデン化合物及び第2の化合物を含浸させることによって、下地層モリブデン、下地層コバルト、被覆層モリブデン、及び被覆層コバルトが提供される、触媒組成物。
【請求項16】
前記触媒組成物は、少なくとも7.4重量%の総モリブデン含有量及び少なくとも2.7重量%の総コバルト含有量を有し、双方の重量%は、前記触媒組成物及び酸化物としての前記それぞれの金属成分の総重量に基づく、請求項15に記載の触媒。
【請求項17】
前記触媒組成物は、1:5~4:5の範囲内の下地層モリブデン含有量対総モリブデン含有量のモリブデン比、及び1:5~4:5の範囲内の下地層コバルト含有量対総コバルト含有量のコバルト比を有する、請求項16に記載の触媒。
【請求項18】
前記触媒組成物は、1.5:1~6:1の範囲内の総モリブデン含有量対総コバルト含有量の総金属比を有する、請求項17に記載の触媒。
【請求項19】
前記触媒組成物は、前記触媒組成物の総重量に基づいて65~90重量%の範囲内の総無機酸化物含有量を有する、請求項18に記載の触媒。
【請求項20】
前記触媒組成物及び酸化物としての前記それぞれの金属成分の総重量に基づいて、前記下地層モリブデン含有量は1.1~12.5重量%の範囲内であり、前記下地層コバルト含有量は0.5~5重量%の範囲内である、請求項19に記載の触媒。
【請求項21】
プロセスであって、
硫黄化合物もしくは一酸化炭素、又はその両方を含むガス流を、無機酸化物、下地層モリブデン、下地層コバルト、被覆層モリブデン、及び被覆層コバルトを含む触媒組成物を含む反応ゾーンを画定する反応器に導入することと、
前記ガス流を加水分解反応条件下で前記触媒組成物と接触させることと、
を含む、プロセス。
【請求項22】
プロセスであって、
硫黄化合物もしくは一酸化炭素、又はその両方を含むガス流を、無機酸化物と、第1のモリブデン化合物と、第1のコバルト化合物との焼成された共混練混合物を含む触媒組成物を含む反応ゾーンを画定する反応器に導入することであって、前記焼成された共混練混合物に第2のモリブデン化合物及び第2の化合物を含浸させることによって、被覆層モリブデン及び被覆層コバルトが提供されることと、
前記ガス流を加水分解反応条件下で前記触媒組成物と接触させることと、
を含む、プロセス。
【請求項23】
前記硫黄化合物は、0.01体積%~2体積%の範囲内の硫黄化合物濃度で前記ガス流中に存在し、前記硫黄化合物は、硫化カルボニル(COS)、二硫化炭素(CS)、二酸化硫黄(SO)、及び元素硫黄(S)からなる化合物の群から選択される、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
前記加水分解反応条件は、前記反応器への115C~300Cの範囲内の入口温度を含む、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
前記処理済みガス中の硫黄化合物の前記低減された濃度は75ppmv未満である、請求項23に記載のプロセス。
【請求項26】
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法によって製造された触媒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス流に含まれる硫黄化合物の触媒還元に有用な触媒組成物、そのような触媒組成物の製造方法、及びガス流に含まれる硫黄化合物の還元変換のための加水分解プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のクラウスプロセスでは、かなりの割合の硫化水素(HS)を含有する酸性ガスを熱段階で燃焼させて、HSの一部を二酸化硫黄(SO)に酸化させる。この燃焼は、1モルのSO当たり2モルのHSのおおよそのモル比(2:1)で存在するHS及びSOを含有するプロセスガス流を提供するように制御される。このプロセスガス流は、クラウス反応に従ってアルミナ触媒の存在下でHSとSOとを反応させる触媒段階に通され、元素硫黄及び水が生成される。次いで、硫黄をクラウス反応ガスから凝縮させてクラウステールガス流を生成する。
【0003】
クラウステールガス流は、典型的には、低濃度のHS及び他の硫黄化合物、例えば、SO、二硫化炭素(CS)、硫化カルボニル(COS)、及び元素硫黄
(S)を含む。このテールガス流を燃焼させ、あるいは処分するためには、更に処理して硫黄の大部分を除去しなければならない。これにより、燃焼又は大気中への放出を可能にする十分に低い硫黄含有量を有する処理済みガスが提供される。
【0004】
テールガスを処理する1つの方法は、テールガスを還元反応器に通すことである。還元反応器は、テールガス中に含まれる硫黄化合物(すなわち、SO、CS、COS、及びS)をHSに触媒還元して、硫黄化合物濃度が低減された処理済みガス流を生成する。この処理済みガス流は、例えば、HSを除去する吸収装置に通すことによって、HSを除去するために更に処理することができる。これは典型的には、処理済みガス流をHS除去吸収剤と接触させることによって行われる。
【0005】
米国特許第5,132,098号(Kvasnikoffら)は、クラウス装置テールガス(残留ガス)中に含まれるSO、CS、COS及び元素硫黄の硫黄化合物が、水素化又は加水分解のいずれかによってHSに触媒変換される方法を開示している。この水素化処理又は加水分解処理は、シリカ又はシリカ/アルミナ担体上に担持された周期律表のVa族、VIa族及びVIII族の金属から選択される金属の化合物を含む触媒を用いて、140℃~550℃の範囲内の温度で行われる。‘098特許に開示されているより具体的な触媒は、アルミナ上に担持された酸化コバルト及び酸化モリブデンを含む含浸ビーズである。‘098特許は、1.75重量%のコバルト及び8重量%のモリブデンを含浸させたアルミナを含む触媒を開示しているが、これらの成分の範囲に関する教示又は触媒のアルミナの形態に関する教示はない。更に、低温水素化反応及び加水分解反応の提供、又は硫黄化合物の硫化水素への高い変換率の提供における加水分解触媒への下地層金属及び被覆層金属の利用、又は触媒の調製方法の重要性は認識されていない。
【0006】
米国特許第10,562,014号明細書(Kruegerら)は、ガス流に含まれ得る二酸化硫黄、硫化カルボニル、炭素ジスルフィド及び硫黄のような硫黄化合物の低温変換に有用な高金属含有量の触媒を開示している。触媒は、コバルト金属及びモリブデン金属を含むその成分を共混練することによって調製される。共混練混合物を乾燥させ、焼成する。触媒は、少なくとも7.5重量%から15重量%までのモリブデン及び少なくとも2.75重量%から6重量%までのコバルトを含有する。細孔構造は、触媒の重要な特性である。細孔構造は、全細孔容積の第1の主要部分が50Å~150Åの範囲内の直径の細孔であり、全細孔容積の小部分が1,000Å~10,000Åの範囲内の直径の細孔である二峰性である。触媒の全細孔容積の6%未満が、10,000Åより大きい細孔直径を有するその細孔内に含まれる。触媒中の下地層金属成分又は被覆層金属成分については言及されていない。
【0007】
米国特許第5,686,375号(Iyerら)は、軽油などの炭化水素原料を処理して、窒素化合物及び硫黄化合物をそれぞれアンモニア及び硫化水素に変換することによってこれらの濃度を低下させるための水素化処理触媒を開示している。触媒は、好ましくはニッケルである下地層VIII族水素化金属成分を含有する。触媒は更に、好ましくはモリブデンであるVIB族金属及び任意のVIII族金属を含み得る触媒促進剤金属の被覆層を有する。触媒は、3.0重量%超のVIII族金属成分及び10重量%超のVIB族金属成分を含有する。この触媒は、中央細孔直径付近に狭い細孔サイズ分布を有し、全細孔容積の少なくとも50パーセントが中央細孔直径の上下20オングストローム以内に分布している。‘375特許は、下地層金属の量と被覆層金属の量とを区別していない。下地層はVIII族金属のみである。下地層VIB族金属は触媒中に存在しない。‘375特許には、特に加水分解反応を促進するのに必要な下地層金属と被覆層金属との比に関する教示はない。触媒は、水素化脱窒素及び水素化脱硫に使用され、加水分解の促進には使用されない。
【0008】
米国特許第10,220,379号(Bhanら)は、オレフィン含有炭化水素原料中の硫黄化合物を選択的に脱硫するのに使用するための触媒を開示している。この触媒は二峰性細孔構造を有し、下地層ニッケル、モリブデン、及び任意選択でリンを含み、モリブデン及びコバルトの被覆層を含む。ニッケル含有物は、実質的に又は完全に下地層ニッケルの形態である。触媒を製造するために、無機酸化物、モリブデン及びニッケルを共混練し、成形し、焼成して、コバルト、モリブデン及びリンの被覆層を含浸させた成形焼成粒子を得る。焼成され成形された粒子中のモリブデンの量は2重量%~7重量%であり、ニッケルの量は0.5重量%~2重量%である。最終触媒中のモリブデン含有量は9重量%~23重量%の範囲内であり、コバルト含有量は2重量%~8重量%である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,132,098号明細書
【特許文献2】米国特許第10,562,014号明細書
【特許文献3】米国特許第5,686,375号明細書
【特許文献4】米国特許第10,220,379号明細書
【発明の概要】
【0010】
ガス流に含まれる硫黄化合物の加水分解に使用するための改良された触媒組成物を開発するための努力が続けられている。更に、クラウステールガス流のようなガス流に含まれる硫黄化合物の硫化水素への低温反応条件下での高い変換率を提供する改良された触媒を開発することが望まれている。
【0011】
従って、ガス流に含まれる硫黄化合物の触媒還元に有用な触媒組成物を提供する。触媒組成物は、無機酸化物、下地層モリブデン、下地層コバルト、被覆層モリブデン、及び被覆層コバルトを含む。
【0012】
触媒組成物の別の実施形態は、無機酸化物、第1のモリブデン化合物、及び第1のコバルト化合物の焼成された共混練混合物を含む。焼成された共混練混合物に、第2のモリブデン化合物及び第2の化合物を含浸させる。含浸金属を被覆して、下地層モリブデン、下地層コバルト、被覆層モリブデン、及び被覆層コバルトを提供する。
【0013】
本発明の触媒組成物は、無機酸化物、第1のモリブデン化合物、及び第1のコバルト化合物を共混練して共混練混合物を提供することによって製造される。共混練混合物を、成形凝集体に成形する。成形凝集体を乾燥させ、次いで第1の焼成条件下で焼成して、焼成された成形凝集体を提供する。第2のモリブデン化合物及び第2のコバルト化合物を、焼成された成形凝集体に組み込んで、含浸成形凝集体を提供する。含浸成形凝集体を乾燥させ、次いで第2の焼成条件下で焼成して、触媒組成物を提供する。
【0014】
触媒組成物を、ガス流中に含まれる硫黄化合物及び一酸化炭素の加水分解に利用する。このプロセスは、硫黄化合物もしくは一酸化炭素、又はその両方を含むガス流を、本発明の触媒組成物を含有する反応ゾーンを画定する反応器に導入することを含む。ガス流を加水分解反応条件下で触媒組成物と接触させる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】様々な反応器温度で運転される反応器の流出物の未変換の硫化カルボニル(COS)を示すことによって、合成テールガス原料に含まれるCOSの加水分解変換に使用される場合の本発明の触媒の性能を比較触媒の性能と比較する棒グラフである。
図2】所与の反応器温度で運転される反応器の流出物の未変換の二硫化炭素(CS)を示すことによって、合成テールガス原料に含まれるCSの加水分解変換に使用される場合の本発明の触媒の性能を比較触媒の性能と比較する棒グラフである。
図3】様々な反応器温度で運転される反応器の流出物の未変換の一酸化炭素(CO)を示すことによって、合成テールガス原料に含まれるCOの変換に使用される場合の本発明の触媒の性能を比較触媒の性能と比較する棒グラフである。
図4】様々な反応器温度で運転される反応器の流出物の未変換のメチルメルカプタン(CHSH)を示すことによって、合成テールガス原料に含まれるCHSHの変換に使用される場合の本発明の触媒の性能を比較触媒の性能と比較する棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の触媒は、除去又は許容レベルへの低減が必要な濃度の硫化カルボニル及び二硫化炭素を有するクラウステールガス又は他のガス流などのガス流に含まれ得る硫化カルボニル(COS)及び二硫化炭素(CS)の低温加水分解において特に有用な特性を有する。この触媒は、水性ガスシフト反応の一酸化炭素の低温変換にも利用される。
【0017】
加水分解反応という用語は、本明細書では、硫化水素及び二酸化炭素を生成する硫化カルボニルと水との反応、並びに硫化水素及び二酸化炭素を生成する二硫化炭素と水との反応を意味するものとして使用される。
【0018】
本発明の触媒はまた、SOの低温水素化を促進して水及び硫黄を生成させ、SのHSへの水素化を促進する。処理触媒によって促進され得る望ましくない反応は、二硫化炭素のメチルメルカプタン及び硫化水素への水素化変換である。
【0019】
本明細書における水性ガスシフト反応への言及は、一酸化炭素及び水から二酸化炭素及び水素への平衡反応に対するものである。
【0020】
ガス流に含まれる硫黄、硫黄化合物及び一酸化炭素を触媒加水分解反応、水素化反応及び水性ガスシフト反応によって変換するための優れた特性を有する新規な触媒組成物が発明された。本発明の触媒の特徴の独特な組み合わせが、その向上した触媒特性を提供する。先行技術の組成物とは異なるこれらの特徴の1つは、本発明の触媒が、モリブデン及びコバルト金属の両方を下地層の形態で含み、モリブデン及びコバルトの両方を被覆層金属として含むことである。これらの金属は、特定の定義された濃度及び相対重量比の範囲内で本発明の組成物中に存在すべきである。本発明の触媒の更なる実施形態は、被覆層金属に対する下地層金属の特定の重量比が所定の範囲内にあることを必要とする。
【0021】
本明細書において「下地層」金属に言及する場合、これは、アルミナなどの無機酸化物担体材料中に均一に分散されて混合物を形成し、その後焼成され、続いて第2の触媒金属又は金属前駆体又は化合物と接触させられ、続いて第2の焼成が行われる、触媒金属又は金属前駆体又は化合物を意味する。焼成混合物と第2の金属とのその後の接触は、好ましくは金属含浸によって行われる。最初に無機酸化物と混合され、続いて焼成される金属は、「下地層」金属と呼ばれる。なぜなら、この焼成混合物と第2の金属とのその後の接触は、焼成混合物の金属を第2の金属の被覆層で「被覆する」と考えられるからである。したがって、本明細書において、用語「被覆された」又は「被覆層」又は同様の用語は、結果として下地層となる焼成混合物の金属の上に配置されるか、又はその上に被覆される第2の触媒金属又は金属前駆体又は化合物を指す。
【0022】
本発明の触媒は、モリブデン及びコバルトの両方で被覆された下地層モリブデン及び下地層コバルトの両方を含む。換言すれば、本発明の触媒の本質的な特徴は、触媒が下地層金属及び被覆層金属の両方を含むことである。本発明の触媒は、下地層金属と被覆層金属との両方を含むことが重要であるだけでなく、金属は、本明細書に記載の向上した触媒特性を有する触媒を得るために適切な相対量で組成物中に存在すべきである。触媒に含まれる金属の総量も、本発明の触媒の性能特性を有する触媒を提供するために重要である。
【0023】
本発明の触媒は、少なくとも7.4重量%の総モリブデン含有量及び少なくとも2.7重量%の総コバルト含有量を有するべきである。この重量%は、触媒組成物及び酸化物としてのそれぞれの金属成分の総重量に基づく。触媒の総モリブデン含有量又は総コバルト含有量に言及する場合、これらの用語は、下地層金属含有量及び被覆層金属含有量の両方の合計を含む、組成物全体に含有される本明細書に記載の金属の総重量を意味する。
【0024】
触媒の総モリブデン含有量は、好ましくは7.6重量%~22重量%の範囲内である。より好ましくは、触媒の総モリブデン含有量は、
7.8重量%~20重量%、最も好ましくは7.8重量%~18重量%である。
【0025】
触媒の総コバルト含有量は、好ましくは3重量%~8重量%の範囲内である。より好ましくは、触媒の総コバルト含有量は、
3.3重量%~6重量%であり、最も好ましくは3.6重量%~5重量%である。
【0026】
一般に、その場合、触媒のモリブデン含有量の総量を触媒のコバルト含有量の総量で除算した総金属比は、1.5:1~8:1の範囲内である。総金属比は、好ましくは1.7:1~6:1であり、より好ましくは2:1~5:1の範囲内である。総金属比は、元素基準で触媒の総重量に基づいて計算される。
【0027】
上述のように、本発明の触媒の本質的な特徴は、触媒が下地層金属及び被覆層金属の両方を含むことである。本明細書に記載の向上した触媒特性を有する本発明の触媒を提供するためには、下地層金属と被覆層金属との量の比が重要であることが見出された。相対比が低すぎる場合、金属の下地層及び被覆層の組み合わせによって提供される触媒効果はほとんどないが、相対比が高すぎる場合にも、触媒効果はほとんどない。下地層金属と被覆層金属との組み合わせを必要とされる相対重量比で有する理由はあまり確実には知られていないが、いくつかの異なる活性触媒相が、金属と無機担体との共混練及び金属含浸によって形成されると考えられる。一方の触媒相は1つのタイプの反応を促進する際により良好に作用し、他方の触媒相は別のタイプの反応を促進する際により良好に作用すると考えられる。
【0028】
その結果、本発明の触媒の一実施形態では、そのモリブデン比は1:5~4:5の範囲内であり、コバルト比は1:5~4:5の範囲内である。両方に対するこれらの比は、1:4~3:4の範囲内であることが好ましく、1:3~2:3の範囲内であることがより好ましい。
【0029】
モリブデン比に言及する場合、これは、触媒の総モリブデン含有量で除算した、下地層形態の触媒のモリブデンの重量パーセントを意味する。この比は、酸化物としてのモリブデンに基づいて計算される。
【0030】
コバルト比に言及する場合、これは、触媒の総コバルト含有量で除算した、下地層形態の触媒のコバルトの重量パーセントを意味する。この比は、酸化物としてのコバルトに基づいて計算される。
【0031】
本発明の触媒中の下地層モリブデンの総量は、一般に1.2~12.5重量%の範囲内であるべきである。好ましくは、下地層モリブデンは、1.15~11重量%の範囲内、より好ましくは1.2~10重量%の範囲内の量で触媒中に存在する。本発明の触媒中の下地層コバルトの総量は、0.5~5重量%の範囲内であるべきである。好ましくは、下地層コバルトは、0.55~4重量%の範囲内、より好ましくは0.6~3重量%の範囲内の量で触媒中に存在する。これらの重量%値は、触媒及び酸化物としてのそれぞれの金属成分の総重量に基づく。
【0032】
触媒の無機酸化物成分は、本発明の触媒組成物の担体成分としての使用に適した特性を有する任意の耐火性酸化物材料から選択される。可能な適切な多孔質耐火性酸化物材料の例としては、シリカ、マグネシア、シリカ-チタニア、ジルコニア、シリカ-ジルコニア、チタニア、シリカ-チタニア、アルミナ、シリカ-アルミナ、及びアルミノシリケートが挙げられる。好ましい多孔質耐火性酸化物は、アルミナ、シリカ、及びアルミナ-シリカからなる群から選択される。本発明の触媒に使用するためのより好ましい耐火性酸化物はアルミナである。触媒の無機酸化物成分は、組成物の総重量の65~90重量%の範囲内の量で存在する。これはまた、70~90重量%又は75~89重量%の範囲内の量で触媒中に存在してもよい。
【0033】
上述のように、本発明の触媒の製造方法及びその物理的特性は、その触媒特性の向上及び複数の活性触媒相の形成と何らかの関係があると考えられる。金属と無機酸化物とを共混練して均質な混合物を提供し、これを焼成した後に金属を含浸させることは、金属含浸とそれに続く焼成とによって形成される触媒相とは異なる特定の触媒相をもたらすと考えられる。
【0034】
本発明の触媒の製造方法では、2つの金属組み込み工程及び2つの焼成工程が使用される。これらの工程の各々は、最終触媒中に異なる活性触媒相を提供すると考えられる。第1の金属組み込み工程は、出発金属成分を無機酸化物と共混練することによって行われ、無機酸化物材料内に金属成分が均一又は均質に分散した共混練混合物が得られる。この共混練混合物は、好ましくは、乾燥及び焼成される押出物などの凝集体又は粒子に成形される。第2の金属組み込み工程は、好ましくは1つ以上の金属含浸水溶液を利用して、焼成粒子を金属成分の被覆層と接触させることによって行われ、乾燥及び焼成された金属含浸成形凝集体が得られる。
【0035】
用語「共混練(co-mulled)」の使用は、触媒の出発材料が組み合わされ、一緒に混合されて、好ましくは又は実質的に均一又は均質である個々の成分の混合物を形成することを意味する。この用語は、アルミナ、コバルト化合物、及びモリブデン化合物を含む出発材料を混合して、凝集体粒子に成形することができる共混練混合物を得ることを含むのに十分広い範囲を対象とすることを意図している。共混練混合物は、公知の凝集方法のいずれかによって凝集体粒子に成形され得るか、又は公知の押出方法のいずれかによって押出物粒子に押出され得るペースト混合物又は可塑性混合物であってもよい。
【0036】
共混練混合物を凝集させる好ましい方法は、押出によって、0.5mm~10mm又は0.75mm~8mmの範囲内の全直径及び1:1~10:1又はそれ以上の長さ対直径比を有する押出粒子を形成することである。押出物は、円筒形及び多葉形などの典型的な形状のいずれであってもよい。
【0037】
したがって、共混練混合物の形成は、タンブラー、固定シェル又はトラフなどの適切なタイプの固体混合機、バッチタイプ又は連続タイプのいずれかであるミュラーミキサー、及び衝撃ミキサーの使用、並びに固体及び液体を混合するため、又は押出可能なペースト状混合物を形成するためのバッチ式又は連続式ミキサーのような適切なタイプの使用を非限定的に含む、当業者に公知の任意の方法又は手段によって行われる。
【0038】
好適なタイプのバッチ式ミキサーとしては、任意の好適なタイプの混合ブレードを備えた、チェンジカンミキサー、固定タンクミキサー、ダブルアーム混練ミキサーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
好適なタイプの連続式ミキサーとしては、一軸又は二軸スクリュー押出機、トラフ-スクリューミキサー及びパグミルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
共混練混合物の調製に使用される出発材料の混合は、水と、標準試験方法ASTM D7348によって測定される40%~80%の範囲内の強熱減量(LOI)を有する前述のペースト状混合物を提供するのに必要な、硝酸などの適切な量の鉱酸とを含むことができる。この範囲内のLOIを有する共混練混合物は、望ましい押出特性を有するペーストを提供し、本明細書全体を通して詳細に記載されるように、本発明の触媒の必要な細孔構造特性を有する最終触媒生成物に寄与することが見出された。
【0041】
共混練混合物の調製に使用される出発物質の混合は、共混練混合物を適切に均質化するのに必要な時間にわたって行われる。一般に、ブレンド時間は12時間以上までの範囲内である。典型的には、ブレンド時間は0.1時間~1時間の範囲内である。
【0042】
共混練混合物のコバルト化合物は、酸素の存在下で焼成すると酸化物に変換可能なコバルト化合物である。コバルト化合物は、適切なコバルト塩化合物から選択することができる。そのような化合物としては、アンモニウムコバルト化合物、並びにコバルトのリン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、硫酸塩、及びハロゲン化物から選択されるコバルト化合物を挙げることができる。共混練混合物に有用なコバルト化合物であることが分かっている特に好ましいコバルト塩は、硝酸コバルトである。コバルト化合物を、コバルトを含む第1の水溶液の形態で共混練混合物の他の成分と組み合わせることが好ましい。第1の水溶液は、コバルト塩を水に溶解させることによって形成することができる。最も好ましいコバルト塩は硝酸コバルトである。
【0043】
共混練混合物のモリブデン化合物は、酸素の存在下で焼成すると酸化物に変換可能なモリブデン化合物である。モリブデン化合物は、適切なモリブデン塩化合物から選択することができる。このような化合物としては、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸ナトリウム、リンモリブデン酸、二硫化モリブデン、三酸化モリブデン、及びモリブデン酸などの化合物から選択されるモリブデン化合物を挙げることができる。モリブデン化合物を、モリブデンを含む第2の水溶液の形態で共混練混合物の他の成分と組み合わせることが好ましい。第2の水溶液は、モリブデン塩を水に溶解させることによって形成することができる。最も好ましいモリブデン塩は、ヘプタモリブデン酸アンモニウム及びジモリブデン酸アンモニウムなどのモリブデン酸アンモニウムである。
【0044】
共混練混合物の成形凝集体を乾燥させ、次いで焼成する。共混練混合物の乾燥は重要な工程ではなく、一般に空気中で、20℃~125℃の範囲内の乾燥温度で行われる。乾燥時間は、所望の乾燥量を提供することができる任意の適切な時間である。
【0045】
共混練混合物の焼成は、本発明の方法の必要な工程である。これは、金属化合物をそれらの酸化物形態に変換させ、中間焼成された成形凝集体又は粒子を生成させる。
【0046】
共混練混合物の成形集塊物又は凝集体の焼成は、空気などの酸素含有流体の存在下で、本発明の最終触媒組成物を提供するための所望の焼成度を達成するのに適した温度及び時間で行われる。一般に、焼成温度は、300℃~800℃、好ましくは350℃~700℃、より好ましくは400℃~600℃の範囲内である。焼成時間は、0.1時間~96時間の範囲内とすることができる。
【0047】
焼成された共混練混合物の金属成分の濃度レベル及びそれらの重要性は、上に記載されている。
【0048】
得られた含浸成形凝集体又は含浸粒子を乾燥させ、次いで焼成する。含浸粒子の乾燥は重要な工程ではなく、一般に空気中で、20℃~125℃の範囲内の乾燥温度で行われる。乾燥時間は、所望の乾燥量を提供することができる任意の適切な時間である。
【0049】
含浸粒子の焼成は、空気などの酸素含有流体の存在下で、本発明の最終触媒組成物を提供するための所望の焼成度を達成するのに適した温度及び時間で行われる。
【0050】
一般に、焼成温度は、300℃~800℃、好ましくは350℃~700℃、より好ましくは400℃~600℃の範囲内である。焼成時間は、0.1時間~96時間の範囲内とすることができる。
【0051】
最終触媒組成物の金属成分の濃度レベル及びそれらの重要性は、上に記載されている。
【0052】
本発明の触媒組成物は、ガス流に含まれる硫黄化合物の加水分解に有用であり、より詳細には、触媒組成物は、クラウスプロセス装置によって生成されたテールガス流に含まれる硫黄化合物を、ガス流からHSを除去するための当業者に公知の多くの適切な手段又は方法のいずれかによって後に除去することができるHSに変換する処理において特に有用である。
【0053】
触媒組成物は、クラウス装置テールガス流の処理に使用される場合に、従来の触媒を利用する加水分解反応器に必要とされるよりも低い温度条件での加水分解反応器の運転を可能にする特定の固有の触媒特性を有し、触媒組成物は、より低い反応器温度条件であっても硫黄化合物の高い変換率を提供する。
【0054】
触媒組成物は更に、従来の触媒が装填された加水分解反応器で許容されるよりもはるかに高い流量、したがってはるかに高い空間速度でガス流が加水分解反応器を通過することを可能にするが、それでもなお、より低い反応器温度条件で硫黄化合物の高い変換率を提供する。
【0055】
従来の加水分解触媒が装填された反応器を含む典型的な従来の加水分解反応器システムの運転では、加水分解反応器への導入前にテールガスを大幅に加熱する必要がある。これは、クラウス装置から排出されたテールガスが、元素硫黄の凝縮温度に近い温度で動作する硫黄凝縮器を通過するためである。典型的なクラウス装置テールガス流の温度は、110℃~125℃の範囲内である。従来の加水分解装置では、テールガスは、典型的には、加水分解反応器へのテールガス原料の導入温度又は反応器入口温度が250℃~350℃の範囲内になるように加熱されなければならない。加水分解反応器へのこの必要なテールガス原料入口温度を低下させることで、その運転エネルギーが大幅に節減される。
【0056】
従って、クラウステールガス流の処理における本発明の触媒組成物の使用は、クラウステールガス流を処理するのに必要な温度を低下させることによって、著しいエネルギー節約を提供することができる。
【0057】
本発明の触媒組成物を用いて処理することができるガス流は、1種以上のガス状化合物を含み、更に、少なくとも1種の硫黄化合物を含む。硫黄化合物は、この用語が本明細書で使用される場合には、硫化カルボニル(COS)、二硫化炭素(CS)、二酸化硫黄(SO)、及び元素硫黄(S)からなる化合物の群から選択される分子化合物又は元素化合物である。硫化水素は、この硫黄化合物の定義から除外される。なぜなら、本発明の触媒組成物は、HSの変換を提供することを意図されておらず、むしろ、硫黄化合物は、還元反応によって硫化水素に還元されることを意図されているからである。
【0058】
硫化水素は、その後、処理済みガス流から除去することができる。従って、ガス流は、加水分解反応器運転の温度条件及び圧力条件で通常は気体であるか、又は気相である化合物を含む。上記硫黄化合物以外の気体化合物としては、例えば、窒素、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、水、並びにメタン、エタン、エチレン等の低級炭化水素が挙げられる。
【0059】
本発明の触媒組成物を含有する加水分解反応器に充填又は導入されるガス流に含まれる硫黄化合物の総濃度は、総ガス流の0.01体積%(100ppmv)~5体積%の範囲内であり得る。より典型的には、硫黄化合物濃度は、0.02体積%(200ppmv)~3体積%の範囲内である。
【0060】
先に述べたように、触媒組成物は、クラウステールガス流を処理して、その中に含まれる硫黄化合物を硫化水素に変換し、処理されるテールガス流中の硫黄化合物の濃度よりも低い硫黄化合物濃度を有する処理済みガス流を提供することに特に適している。以下の表1は、クラウステールガス流を構成するより一般的な成分の典型的な範囲を示す。
【0061】
【表1】
【0062】
本発明の加水分解プロセスでは、ある硫黄化合物濃度を有するガス流が、触媒組成物を含み、適切な加水分解条件又は還元反応条件で運転される加水分解反応器に導入される。加水分解反応器内で、ガス流は、内部に含まれる触媒組成物と接触する。低減された硫黄化合物濃度を有する処理済みガス流が、加水分解反応器から生成される。処理済みガス流は、ガス流よりも高いHS濃度を有するが、処理済みガス流の硫黄化合物濃度は、ガス流の硫黄化合物濃度よりも低い。硫黄化合物の低減された濃度は、一般に100ppmv未満、好ましくは50ppmv未満、最も好ましくは30ppmv未満であるべきである。
【0063】
先に述べたように、クラウステールガス流の加水分解に本発明の触媒組成物を使用することの一利点は、例えば250℃未満などの比較的低い入口温度での加水分解反応器の運転を可能にすることである。ガス流が加水分解反応器に導入されるべき最低温度が存在し、したがって、ガス流が加水分解反応器に充填又は導入される入口温度は、一般に、140℃~250℃の範囲内である。導入温度は150℃~240℃の範囲内であることが好ましく、導入温度は160℃~230℃の範囲内であることがより好ましい。加水分解反応器へのガス流の導入温度として最も好ましいのは、170℃~220℃の範囲内である。
【0064】
加水分解反応器の運転圧力は、一般に1バール(14.5psi)~100バール(1450.3psi)、好ましくは2バール(29.0psi)~70バール(1015.3psi)、より好ましくは、3バール(43.5psi)~50バール(725.2psi)の範囲内である。
【0065】
ガス流及び、存在する場合には、添加された還元ガスが加水分解反応器に導入される流量は、一般に、10hr-1~10,000hr-1の範囲内のガス毎時空間速度(GHSV)を提供するような流量である。「ガス毎時空間速度」という用語は、炭化水素原料が加水分解反応器に投入される1時間当たりの体積の割合を、ガス流が投入される加水分解反応器に含まれる触媒の体積で除算した数値比を指す。好ましいGHSVは、10hr-1~8,000hr-1、より好ましくは500hr-1~5,000hr-1、最も好ましくは1000hr-1~4,000hr-1の範囲内である。
【0066】
クラウステールガス流の処理には、ほとんどの場合、加水分解プロセスの加水分解反応に必要な還元ガスの供給源となり得る濃度の水及び水素が含まれる。しかし、ガス流が十分な濃度の還元ガス成分を含有しない場合には、必要に応じて還元ガスをガス流に添加してもよい。一般に、加水分解反応を完了近くまで進行させるのに化学量論的に必要とされる量の還元ガスをガス流中に有することが望ましい。
【0067】
以下の実施例は、本発明の特定の態様を例示するが、これらは、本発明の範囲を過度に限定するものとして解釈されるべきではない。
【0068】
実施例I
この実施例Iは、本発明の触媒組成物及び比較触媒の調製方法を例示する。
【0069】
本発明の触媒組成物A
主に擬ベーマイトを含む広細孔アルミナ粉末を、強熱減量が約62%になるような含水量を有する、例えば押出可能な混合物などの可塑性混合物を提供するような割合で硝酸及び水と混練することによって、本発明の触媒組成物の一実施形態を調製した。
【0070】
硝酸コバルトを水に溶解させてコバルトを含むコバルト含有水溶液を調製し、過酸化水素を30%含む水に二モリブデン酸アンモニウムを溶解させてモリブデンを含むモリブデン含有水溶液を調製した。2つの金属溶液を混練混合物に添加し、一定時間混合した後、少量の水酸化アンモニウムを混練混合物と混合した。次いで、得られた混合物を3.2mm三葉形押出ダイを通して押出し、押出物を乾燥させ、焼成した。この中間体触媒組成物は、主にガンマ形態のアルミナ、8.2重量%のモリブデン、及び2.5重量%のコバルトを含んでいた。金属の重量%は、酸化物形態の金属を有する中間体触媒の総重量に基づく。
【0071】
アンモニア水、モリブデン酸二アンモニウム及び炭酸コバルトを、最終触媒においてモリブデン14重量%(元素基準)及びコバルト3.4重量%(元素基準)を目標とするような量で混合することによって、含浸溶液を調製した。この混合物を45℃に加熱し、コバルト1モル当たり0.5~0.9モルの量のモノエタノールアミン(MEA)を混合物に添加した。金属塩が消化されるまで、温度を維持しながら混合物を撹拌した。次いで、溶液を約30℃に冷却し、溶液が含浸されるべき中間体の細孔容積に近似した総容積の溶液が得られるように水で満たした。上記で調製した共混練中間体に溶液を含浸させ、凝集を防ぐために時々混合しながら2時間熟成させた。含浸押出物を対流式オーブン中で80℃の温度で2時間乾燥させ、続いて125℃で2時間更に乾燥させた。乾燥した押出物をマッフル炉中で552℃の温度で75分間焼成した。
【0072】
比較触媒組成物B
主に擬ベーマイトを含む広細孔アルミナ粉末を、強熱減量が約62%になるような含水量を有する、例えば押出可能な混合物などの可塑性混合物を提供するような割合で硝酸及び水と混練することによって、比較触媒組成物を調製した。硝酸コバルトを水に溶解させてコバルトを含むコバルト含有水溶液を調製し、過酸化水素を30%含む水に二モリブデン酸アンモニウムを溶解させてモリブデンを含むモリブデン含有水溶液を調製した。2つの金属溶液を混練混合物に添加し、一定時間混合した後、少量の水酸化アンモニウムを混練混合物と混合した。次いで、得られた混合物を3.2mm三葉形押出ダイを通して押出し、押出物を乾燥させ、焼成した。この中間体触媒組成物は、主にガンマ形態のアルミナ、9.4重量%のモリブデン、及び3.6重量%のコバルトを含んでいた。金属の重量%は、酸化物形態の金属を有する最終触媒の総重量に基づく。
【0073】
実施例II
この実施例IIは、ある濃度の少なくとも1種の硫黄化合物を含有するガス流の加水分解における実施例Iに記載の触媒の使用を例示し、触媒についての性能データを示す。
【0074】
実施例Iの触媒の性能試験を、反応器温度を制御するために使用される管状炉を備えたテールガスパイロット装置反応器を使用して行った。活性試験に備えて、HS及びHを含む原料を反応器に300℃及び467GHSVで3時間導入することによって、それぞれの触媒を硫化した。次に、HS、SO、COS、CS、S、H、CO、N、及び水蒸気を含み、表2に示す典型的な組成を有する合成テールガスを、様々な反応器温度で運転されるテールガス反応器に、2052nGHSV(標準的なガス時空間速度、3psi単位圧力)を提供するような速度で充填した。
【0075】
【表2】
【0076】
反応器温度条件ごとの反応器流出物の組成を、ガスクロマトグラフィーを用いて分析した。試験の結果を以下の表3~表5に示し、図1図4の棒グラフによって更に説明する。
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
【表5】
【0080】
上記の表に示すデータは、下地層金属及び被覆層金属の両方を含む本発明の触媒が、下地層金属を有さない比較触媒よりも著しく良好な触媒性能を発揮することを示している。
【0081】
図1は、表3に示すデータを棒グラフの形で示しており、下地層金属を有さない触媒(比較触媒B)と比較した場合の本発明の触媒(本発明の触媒A)の向上した性能特性を説明するのに役立つ。これらの実験結果は、本発明の触媒が、流出物中でほぼ同じCOSを依然として維持しながら、比較触媒よりも約20℃低い温度で運転できることを示している。これは、触媒活性の約144%という極めて大きな改善である。
【0082】
本発明の触媒は、任意の所与の反応器温度について、比較触媒よりも大幅に改善されたCOS除去を提供する。
【0083】
図2は、表4に示すデータを棒グラフの形態で示しており、これは、比較触媒Bと比較した場合の本発明の触媒Aの向上した性能特性を説明するのに役立つ。これらの実験結果は、本発明の触媒が、流出物中でほぼ同じCSを維持しながら、比較触媒よりも20℃以上低い温度で運転できることを示している。これは、触媒活性の約72%という極めて大きな改善である。本発明の触媒は、より低い反応器温度について、比較触媒よりも著しく改善されたCS除去を提供する。
【0084】
図3は、表5に示すデータを棒グラフの形態で示しており、比較触媒Bと比較した場合の本発明の触媒Aの向上した性能特性を説明している。これらの実験結果は、本発明の触媒が、流出物中でほぼ同じCOを維持しながら、比較触媒よりも20℃以上低い温度で運転できることを示している。これは、触媒活性の約72%という極めて大きな改善である。本発明の触媒は、同じ反応器温度で比較触媒によって提供される還元と比較した場合に、反応器流出物中のCOを著しく低減させる。
【0085】
図4は、比較触媒Bと比較した場合の本発明の触媒Aの向上した性能特性を説明している。これらの実験結果は、本発明の触媒が、流出液中でほぼ同じCHSHを維持しながら、比較触媒よりも約20℃低い温度で運転できることを示している。これは、触媒活性の約72%という極めて大きな改善である。
【0086】
当業者には、本明細書に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、記載された本発明に多くの変更及び修正を加えることができることが明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-03-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
当業者には、本明細書に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、記載された本発明に多くの変更及び修正を加えることができることが明らかであろう。
本発明は、以下の態様を包含する。
(1)
ガス流に含まれる硫黄化合物の触媒還元に有用な触媒組成物の製造方法であって、
a)無機酸化物、第1のモリブデン化合物、及び第1のコバルト化合物を共混練して共混練混合物を提供することと、
b)前記共混練混合物を成形凝集体に成形することと、
c)前記成形凝集体を第1の焼成条件下で乾燥及び焼成して、焼成された成形凝集体を提供することと、
d)第2のモリブデン化合物及び第2のコバルト化合物を、前記焼成された成形凝集体に組み込んで、含浸成形凝集体を提供することと、
e)前記含浸成形凝集体を第2の焼成条件下で乾燥及び焼成して、前記触媒組成物を提供することと、
を含む、方法。
(2)
前記触媒組成物は、被覆層モリブデン及び被覆層コバルトを有する下地層モリブデン及び下地層コバルトを含む、(1)に記載の方法。
(3)
前記触媒組成物は、少なくとも7.4重量%の総モリブデン含有量及び少なくとも2.7重量%の総コバルト含有量を有し、双方の重量%は、前記触媒組成物及び酸化物としての前記それぞれの金属成分の総重量に基づく、(2)に記載の方法。
(4)
前記触媒組成物は、1:5~4:5の範囲内の下地層モリブデン含有量対総モリブデン含有量のモリブデン比、及び1:5~4:5の範囲内の下地層コバルト含有量対総コバルト含有量のコバルト比を有する、(3)に記載の方法。
(5)
前記触媒組成物は、1.5:1~6:1の範囲内の総モリブデン含有量対総コバルト含有量の総金属比を有する、(4)に記載の方法。
(6)
前記触媒組成物は、前記触媒組成物の総重量に基づいて65~90重量%の範囲内の総無機酸化物含有量を有する、(5)に記載の方法。
(7)
前記触媒組成物及び酸化物としての前記それぞれの金属成分の総重量に基づいて、前記下地層モリブデン含有量は1.1~12.5重量%の範囲内であり、前記下地層コバルト含有量は0.5~5重量%の範囲内である、(6)に記載の方法。
(8)
前記第1の焼成条件は、前記成形凝集体を、酸素の存在下で300 C~800 Cの範囲内の第1の焼成温度で焼成することを含み、前記第2の焼成条件は、前記含浸成形凝集体を、酸素の存在下で300 C~800 Cの範囲内の第2の焼成温度で焼成することを含む、(7)に記載の方法。
(9)
ガス流に含まれる硫黄化合物の触媒還元に有用な触媒組成物であって、無機酸化物、下地層モリブデン、下地層コバルト、被覆層モリブデン、及び被覆層コバルトを含む、触媒組成物。
(10)
前記触媒組成物は、少なくとも7.4重量%の総モリブデン含有量及び少なくとも2.7重量%の総コバルト含有量を有し、双方の重量%は、前記触媒組成物及び酸化物としての前記それぞれの金属成分の総重量に基づく、(9)に記載の触媒。
(11)
前記触媒組成物は、1:5~4:5の範囲内の下地層モリブデン含有量対総モリブデン含有量のモリブデン比、及び1:5~4:5の範囲内の下地層コバルト含有量対総コバルト含有量のコバルト比を有する、(10)に記載の触媒。
(12)
前記触媒組成物は、1.5:1~6:1の範囲内の総モリブデン含有量対総コバルト含有量の総金属比を有する、(11)に記載の触媒。
(13)
前記触媒組成物は、前記触媒組成物の総重量に基づいて65~90重量%の範囲内の総無機酸化物含有量を有する、(12)に記載の触媒。
(14)
前記触媒組成物及び酸化物としての前記それぞれの金属成分の総重量に基づいて、前記下地層モリブデン含有量は1.1~12.5重量%の範囲内であり、前記下地層コバルト含有量は0.5~5重量%の範囲内である、(13)に記載の触媒。
(15)
ガス流に含まれる硫黄化合物の触媒還元に有用な触媒組成物であって、前記触媒組成物は、無機酸化物と、第1のモリブデン化合物と、第1のコバルト化合物との焼成された共混練混合物を含み、前記焼成された共混練混合物に第2のモリブデン化合物及び第2の化合物を含浸させることによって、下地層モリブデン、下地層コバルト、被覆層モリブデン、及び被覆層コバルトを提供する、触媒組成物。
(16)
前記触媒組成物は、少なくとも7.4重量%の総モリブデン含有量及び少なくとも2.7重量%の総コバルト含有量を有し、双方の重量%は、前記触媒組成物及び酸化物としての前記それぞれの金属成分の総重量に基づく、(15)に記載の触媒。
(17)
前記触媒組成物は、1:5~4:5の範囲内の下地層モリブデン含有量対総モリブデン含有量のモリブデン比、及び1:5~4:5の範囲内の下地層コバルト含有量対総コバルト含有量のコバルト比を有する、(16)に記載の触媒。
(18)
前記触媒組成物は、1.5:1~6:1の範囲内の総モリブデン含有量対総コバルト含有量の総金属比を有する、(17)に記載の触媒。
(19)
前記触媒組成物は、前記触媒組成物の総重量に基づいて65~90重量%の範囲内の総無機酸化物含有量を有する、(18)に記載の触媒。
(20)
前記触媒組成物及び酸化物としての前記それぞれの金属成分の総重量に基づいて、前記下地層モリブデン含有量は1.1~12.5重量%の範囲内であり、前記下地層コバルト含有量は0.5~5重量%の範囲内である、(19)に記載の触媒。
(21)
プロセスであって、
硫黄化合物もしくは一酸化炭素、又はその両方を含むガス流を、無機酸化物、下地層モリブデン、下地層コバルト、被覆層モリブデン、及び被覆層コバルトを含む触媒組成物を含む反応ゾーンを画定する反応器に導入することと、
前記ガス流を加水分解反応条件下で前記触媒組成物と接触させることと、
を含む、プロセス。
(22)
プロセスであって、
硫黄化合物もしくは一酸化炭素、又はその両方を含むガス流を、無機酸化物と、第1のモリブデン化合物と、第1のコバルト化合物との焼成された共混練混合物を含む触媒組成物を含む反応ゾーンを画定する反応器に導入すること、前記焼成された共混練混合物は第2のモリブデン化合物及び第2の化合物を含浸させることによって、被覆層モリブデン及び被覆層コバルトを提供する、および
前記ガス流を加水分解反応条件下で前記触媒組成物と接触させること、
を含む、プロセス。
(23)
前記硫黄化合物は、0.01体積%~2体積%の範囲内の硫黄化合物濃度で前記ガス流中に存在し、前記硫黄化合物は、硫化カルボニル(COS)、二硫化炭素(CS )、二酸化硫黄(SO )、及び元素硫黄(S )からなる化合物の群から選択される、(22)に記載のプロセス。
(24)
前記加水分解反応条件は、前記反応器への115 C~300 Cの範囲内の入口温度を含む、(23)に記載のプロセス。
(25)
前記処理済みガス中の硫黄化合物の前記低減された濃度は75ppmv未満である、請(23)に記載のプロセス。
(26)
(1)~(8)のいずれかに記載の方法によって製造された触媒。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流に含まれる硫黄化合物の触媒還元に有用な触媒組成物の製造方法であって、
a)無機酸化物、第1のモリブデン化合物、及び第1のコバルト化合物を共混練して共混練混合物を提供することと、
b)前記共混練混合物を成形凝集体に成形することと、
c)前記成形凝集体を第1の焼成条件下で乾燥及び焼成して、焼成された成形凝集体を提供することと、
d)第2のモリブデン化合物及び第2のコバルト化合物を、前記焼成された成形凝集体に組み込んで、含浸成形凝集体を提供することと、
e)前記含浸成形凝集体を第2の焼成条件下で乾燥及び焼成して、前記触媒組成物を提供することと、
を含む、方法。
【請求項2】
ガス流に含まれる硫黄化合物の触媒還元に有用な触媒組成物であって、無機酸化物、下地層モリブデン、下地層コバルト、被覆層モリブデン、及び被覆層コバルトを含む、触媒組成物。
【請求項3】
ガス流に含まれる硫黄化合物の触媒還元に有用な触媒組成物であって、前記触媒組成物は、無機酸化物と、第1のモリブデン化合物と、第1のコバルト化合物との焼成された共混練混合物を含み、前記焼成された共混練混合物に第2のモリブデン化合物及び第2の化合物を含浸させることによって、下地層モリブデン、下地層コバルト、被覆層モリブデン、及び被覆層コバルト提供る、触媒組成物。
【請求項4】
プロセスであって、
硫黄化合物もしくは一酸化炭素、又はその両方を含むガス流を、無機酸化物、下地層モリブデン、下地層コバルト、被覆層モリブデン、及び被覆層コバルトを含む触媒組成物を含む反応ゾーンを画定する反応器に導入することと、
前記ガス流を加水分解反応条件下で前記触媒組成物と接触させることと、
を含む、プロセス。
【請求項5】
プロセスであって、
硫黄化合物もしくは一酸化炭素、又はその両方を含むガス流を、無機酸化物と、第1のモリブデン化合物と、第1のコバルト化合物との焼成された共混練混合物を含む触媒組成物を含む反応ゾーンを画定する反応器に導入すること、前記焼成された共混練混合物第2のモリブデン化合物及び第2の化合物を含浸させることによって、被覆層モリブデン及び被覆層コバルト提供する、および
前記ガス流を加水分解反応条件下で前記触媒組成物と接触させること、
を含む、プロセス。
【国際調査報告】