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特表2023-534290通信システムにおけるタイミングアドバンス指示方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-08
(54)【発明の名称】通信システムにおけるタイミングアドバンス指示方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 56/00 20090101AFI20230801BHJP
   H04W 84/06 20090101ALI20230801BHJP
   H04W 48/10 20090101ALI20230801BHJP
   H04W 72/231 20230101ALI20230801BHJP
   H04W 72/232 20230101ALI20230801BHJP
   H04B 7/185 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
H04W56/00 130
H04W84/06
H04W48/10
H04W72/231
H04W72/232
H04B7/185
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023503061
(86)(22)【出願日】2021-07-13
(85)【翻訳文提出日】2023-01-16
(86)【国際出願番号】 KR2021008977
(87)【国際公開番号】W WO2022015019
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】10-2020-0088388
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503447036
【氏名又は名称】サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リュ, ヒョン ソク
(72)【発明者】
【氏名】ヨ, ジョン ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム, ユン ソン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヨン ボム
(72)【発明者】
【氏名】シン, チョル キュ
(72)【発明者】
【氏名】チェ, スン フン
【テーマコード(参考)】
5K067
5K072
【Fターム(参考)】
5K067AA14
5K067DD25
5K067EE02
5K067EE07
5K067EE10
5K072BB22
5K072DD01
5K072DD16
(57)【要約】
【課題】4Gシステム後のより高いデータ転送率を支援するための5G通信システムをIoT技術に融合する通信技法及びそのシステムを提供する。
【解決手段】本発明は、5G通信技術及びIoT関連技術に基づいて、知能型サービス(例えば、スマートホーム、スマートビルディング、スマートシティ、スマートカー、又はコネクテッドカー、ヘルスケア、デジタル教育、小売り業、セキュリティ、及び安全関連サービスなど)に適用される。本発明は、端末が衛星通信を行う方法及び装置を開示する。
【選択図】図36A

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システムにおける基地局が行う方法であって、
端末に、遅延(delay)変化率を指示する情報を送信する段階と、
前記遅延変化率に基づいて前記端末が送信する上りリンク信号を受信する段階と、を有し、
前記遅延変化率を指示する情報は、上位層シグナリング又はL1制御情報によって送信されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記端末に、前記遅延変化率が適用される時点又は周期のうちの少なくとも一つに関する情報を送信する段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記端末に、システム情報ブロック(system information block)によってTA(timing advance)値に関する情報を送信する段階を更に含み、
前記TA値に関する情報は、端末グループに共通する第1TA情報及び特定の端末に指示される第2TA情報のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記端末に、一つ以上のTAループ設定情報を送信する段階と、
前記端末に、TA値に関する情報及びTAループインデックスを送信する段階と、を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
通信システムにおける端末が行う方法であって、
基地局から、遅延(delay)変化率を指示する情報を受信する段階と、
前記遅延変化率を指示する情報に基づいて適用すべき遅延を確認する段階と、
前記基地局に、前記確認された遅延を適用して上りリンク信号を送信する段階と、を有し、
前記遅延変化率を指示する情報は、上位層シグナリング又はL1制御情報によって送信されることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記基地局から、前記遅延変化率が適用される時点又は周期のうちの少なくとも一つに関する情報を受信する段階を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記基地局から、システム情報ブロック(system information block)によってTA(timing advance)値に関する情報を受信する段階を更に含み、
前記TA値に関する情報は、端末グループに共通する第1TA情報及び特定の端末に指示される第2TA情報のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記基地局から、一つ以上のTAループ設定情報を受信する段階と、
前記基地局から、TA値に関する情報及びTAループインデックスを受信する段階と、
前記TA値に関する情報に基づいて前記TAループインデックスによって指示されたTAループに該当するTA値を決定する段階と、を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
通信システムにおける基地局であって、
送受信部と、
前記送受信部に連結される制御部と、を備え、
前記制御部は、端末に、遅延(delay)変化率を指示する情報を送信し、前記遅延変化率に基づいて前記端末が送信する上りリンク信号を受信するように制御し、
前記遅延変化率を指示する情報は、上位層シグナリング又はL1制御情報によって送信されることを特徴とする基地局。
【請求項10】
前記制御部は、前記端末に、システム情報ブロック(system information block)によってTA(timing advance)値に関する情報を送信するように更に制御し、
前記TA値に関する情報は、端末グループに共通する第1TA情報及び特定の端末に指示される第2TA情報のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項9に記載の基地局。
【請求項11】
前記制御部は、前記端末に、一つ以上のTAループ設定情報を送信し、前記端末に、TA値に関する情報及びTAループインデックスを送信するように更に制御することを特徴とする請求項9に記載の基地局。
【請求項12】
通信システムにおける端末であって、
送受信部と、
前記送受信部に連結される制御部と、を備え、
前記制御部は、基地局から、遅延(delay)変化率を指示する情報を受信し、前記遅延変化率を指示する情報に基づいて適用すべき遅延を確認し、前記基地局に、前記確認された遅延を適用して上りリンク信号を送信するように制御し、
前記遅延変化率を指示する情報は、上位層シグナリング又はL1制御情報によって送信されることを特徴とする端末。
【請求項13】
前記制御部は、前記基地局から、前記遅延変化率が適用される時点又は周期のうちの少なくとも一つに関する情報を受信するように更に制御することを特徴とする請求項12に記載の端末。
【請求項14】
前記制御部は、前記基地局から、システム情報ブロック(system information block)によってTA(timing advance)値に関する情報を受信するように更に制御し、
前記TA値に関する情報は、端末グループに共通する第1TA情報及び特定の端末に指示される第2TA情報のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項12に記載の端末。
【請求項15】
前記制御部は、前記基地局から、一つ以上のTAループ設定情報を受信し、前記基地局から、TA値に関する情報及びTAループインデックスを受信し、前記TA値に関する情報に基づいて前記TAループインデックスによって指示されたTAループに該当するTA値を決定するように更に制御することを特徴とする請求項12に記載の端末。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに関し、より詳細には、端末が衛星を介して基地局と信号を送受信する場合に、端末と衛星との距離の遠さによって時間オフセットの補正が必要になるため、基地局が端末に時間オフセット情報を指示し、端末が指示された情報を用いて時間オフセットを補正する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
4G通信システムの商用化以降に増加の一途にある無線データトラフィック需要を充足させるために、改善された5G通信システム又はpre-5G通信システムを開発するための努力がなされている。このような理由から、5G通信システム又はpre-5G通信システムは、4Gネットワーク後(Beyond 4G Network)の通信システム又はLTEシステム後(Post LTE)のシステムと呼ばれている。高いデータ転送率を達成するために、5G通信システムは超高周波(mmWave)帯域(例えば、60ギガ(60GHz)帯域のような)における具現が考慮される。超高周波帯域における電波の経路損失の緩和及び電波の伝達距離の増大のために、5G通信システムでは、ビームフォーミング(beamforming)、巨大配列多重入出力(massive MIMO)、全次元多重入出力(Full Dimensional MIMO:FD-MIMO)、アレイアンテナ(array antenna)、アナログビーム形成(analog beam-forming)、及び大規模アンテナ(large scale antenna)技術が論議されている。また、システムのネットワーク改善のために、5G通信システムでは、進化した小型セル、改善された小型セル(advanced small cell)、クラウド無線アクセスネットワーク(cloud radio access network:cloud RAN)、超高密度ネットワーク(ultra-dense network)、機器間通信(Device to Device communication:D2D)、無線バックホール(wireless backhaul)、移動ネットワーク(moving network)、協調通信(cooperative communication)、CoMP(Coordinated Multi-Points)、受信干渉除去(interference cancellation)などの技術開発がなされている。その他にも、5Gシステムでは、進歩したコーディング変調(Advanced Coding Modulation:ACM)方式であるFQAM(Hybrid FSK and QAM Modulation)及びSWSC(Sliding Window Superposition Coding)、進歩した接続技術であるFBMC(Filter Bank Multi Carrier)、NOMA(non orthogonal multiple access)、及びSCMA(sparse code multiple access)などが開発されている。
【0003】
一方、インターネットは、人間が情報を生成して消費する人間中心の連結網から、物などの分散した構成要素間に情報を交換して処理するIoT(Internet of Things、モノのインターネット)網へと進化している。クラウドサーバーなどとの連結を用いたビッグデータ(Big data)処理技術などがIoT技術に結合されたIoE(Internet of Everything)技術も台頭している。IoTを具現するために、センシング技術、有無線通信及びネットワークインフラ、サービスインターフェース技術、及びセキュリティ技術のような技術要素が要求され、最近では、モノ同士の連結のためのセンサーネットワーク(sensor network)、モノの通信(Machine to Machine:M2M)、MTC(Machine Type Communication)などの技術が研究されている。IoT環境では、連結されたモノから生成されたデータを収集、分析して人間の生活に新しい価値を創出する知能型IT(Internet Technology)サービスを提供する。IoTは、既存のIT(information technology)技術と様々な産業間の融合及び複合によってスマートホーム、スマートビルディング、スマートシティ、スマートカー、或いはコネクテッドカー、スマートグリッド、ヘルスケア、スマート家電、先端医療サービスなどの分野に応用される。
【0004】
そこで、5G通信システムをIoT網に適用するための様々な試みがなされている。例えば、センサーネットワーク(sensor network)、モノの通信(Machine to Machine:M2M)、MTC(Machine Type Communication)などの5G通信技術が、ビームフォーミング、MIMO、アレイアンテナなどの技法によって具現されている。上述したビッグデータ処理技術としてクラウド無線アクセスネットワーク(cloud RAN)が適用されることも、5G技術とIoT技術との融合の一例であるといえよう。
【0005】
一方、2010年代の後半及び2020年代に入って衛星発射費用が画期的に減ることにより、衛星を介して通信サービスを提供しようとする企業が増えた。これにより、衛星網が既存の地上網を補完する次世代ネットワークシステムとして浮上した。これは、地上網レベルのユーザ経験を提供することはできないが、地上網の構築が難しい地域又は災害状況で通信サービス提供が可能であることが長所であり、上述したように、最近の衛星発射費用の急減によって経済性まで確保された。また、いくつかの企業及び3GPP(登録商標)標準団体ではスマートフォンと衛星との間の直接通信も推進中である。
【0006】
端末が衛星を介して基地局と連結しようとする場合に、端末と衛星との間、そして衛星と地上の基地局との間には数百km、数千km、又はそれ以上の長い距離によって、電波が到達する時に大きい遅延時間が発生する。このような大きい遅延時間は、地上網で端末と基地局とが直接通信する状況に比べて遥かに大きい。また、このような遅延時間は、衛星が持続して動くことにより、時間によって変化する。全ての端末にとって衛星又は基地局との遅延時間が変化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、通信システムにおいて端末が衛星を介して基地局と信号を送受信する場合に、衛星までの遠い距離及び衛星の動きによって発生する変化する遅延時間を補正するために時間オフセットを基地局が指示し、これに基づいて端末が補正を行う方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による通信システムにおける基地局が行う方法は、端末に、遅延(delay)変化率を指示する情報を送信する段階と、前記遅延変化率に基づいて前記端末が送信する上りリンク信号を受信する段階と、を有し、前記遅延変化率を指示する情報は、上位層シグナリング又はL1制御情報によって送信されることを特徴とする。
【0009】
前記方法は、前記端末に、前記遅延変化率が適用される時点又は周期のうちの少なくとも一つに関する情報を送信する段階を更に含み得る。
前記方法は、前記端末に、システム情報ブロック(system information block)によってTA(timing advance)値に関する情報を送信する段階を更に含み、前記TA値に関する情報は、端末グループに共通する第1TA情報及び特定の端末に指示される第2TA情報のうちの少なくとも一つを含み得る。
前記方法は、前記端末に、一つ以上のTAループ設定情報を送信する段階と、前記端末に、TA値に関する情報及びTAループインデックスを送信する段階と、を更に含み得る。
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による通信システムにおける端末が行う方法は、基地局から、遅延(delay)変化率を指示する情報を受信する段階と、前記遅延変化率を指示する情報に基づいて適用すべき遅延を確認する段階と、前記基地局に、前記確認された遅延を適用して上りリンク信号を送信する段階と、を有し、前記遅延変化率を指示する情報は、上位層シグナリング又はL1制御情報によって送信されることを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による通信システムにおける基地局は、送受信部と、前記送受信部に連結される制御部と、を備え、前記制御部は、端末に、遅延(delay)変化率を指示する情報を送信し、前記遅延変化率に基づいて前記端末が送信する上りリンク信号を受信するように制御し、前記遅延変化率を指示する情報は、上位層シグナリング又はL1制御情報によって送信されることを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による通信システムにおける端末は、送受信部と、前記送受信部に連結される制御部と、を備え、前記制御部は、基地局から、遅延(delay)変化率を指示する情報を受信し、前記遅延変化率を指示する情報に基づいて適用すべき遅延を確認し、前記基地局に、前記確認された遅延を適用して上りリンク信号を送信するように制御し、前記遅延変化率を指示する情報は、上位層シグナリング又はL1制御情報によって送信されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、端末が衛星を介して基地局と接続する際に、基地局が時間オフセットを端末に指示し、端末が時間オフセットを補正することにより、基地局と端末との間に効果的に信号を交換することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】NRシステムにおける下りリンク又は上りリンクでデータ又は制御チャネルが送信される無線リソース領域である時間-周波数領域の基本構造を示す図である。
図2】5G無線通信システムにおける下りリンク制御チャネルが送信される制御領域の一例を示す図である。
図3】システム全体の周波数帯域にeMBB、URLLC、及びmMTCデータが割り当てられた一例を示す図である。
図4】システムの周波数帯域を分けてeMBB、URLLC、及びmMTCデータが割り当てられた一例を示す図である。
図5】一つの転送ブロックが複数個のコードブロックに分けられてCRCが追加される過程の一例を示す図である。
図6】NRシステムの同期化信号(SS)及び物理放送チャネル(PBCH)が周波数及び時間領域でマップされた様子を示す図である。
図7】副搬送波間隔によってSS/PBCHブロックの送信が可能なシンボルを示す図である。
図8】本発明の一実施形態による5G又はNRシステムにおける端末が第1信号を受信してこれに対する第2信号を端末が送信する時のタイミングアドバンスによる端末のプロセシングタイムを示す図である。
図9】スロットによってデータ(例えば、TB)をスケジュールして送信して当該データに対するHARQ-ACKフィードバックを受信し、フィードバックによって再送信を行う一例を示す図である。
図10】衛星を用いた通信システムの一例を示す図である。
図11】衛星の高度又は高さによる通信衛星の地球の公転周期を示す図である。
図12】衛星-端末直接通信の概念を示す図である。
図13】衛星-端末直接通信の活用シナリオを示す図である。
図14】高度1200kmのLEO衛星と地上の端末とが直接通信を行う時の上りリンクにおける予想データ転送率(throughput)の計算の一例を示す図である。
図15】高度35,786kmのGEO衛星と地上の端末とが直接通信を行う時の上りリンクにおける予想データ転送率(throughput)計算の一例を示す図である。
図16】端末と衛星との間の経路損失モデルによる経路損失値、及び端末と地上網通信基地局との間の経路損失モデルによる経路損失を示す図である。
図17】衛星の高度及び位置並びに地上の端末ユーザの位置によって衛星から伝達される信号が地上ユーザに受信された時の信号が経るドップーラシフト(Doppler shift)の量を計算する数式及び結果を示す図である。
図18】衛星の高度で計算された衛星の速度を示す図である。
図19】衛星が地上に送信する一つのビーム内に位置する個別の端末が経るドップラーシフトを示す図である。
図20】高度角から定められる衛星の位置によって一つのビーム内で発生するドップラーシフトの差を示す図である。
図21】高度角によって定められる衛星の位置によって端末から衛星までかかる遅延時間と端末-衛星-基地局との間の往復遅延時間を示す図である。
図22】一つのビーム内でユーザの位置によって変わる往復遅延時間の最大差値を示す図である。
図23】RARの情報構造の一例を示す図である。
図24】LTEシステムのPRACHプリアンブル設定リソースとRAR受信時点との関係の一例を示す図である。
図25】5GNRシステムにおけるPRACHプリアンブル設定リソースとRAR受信時点との関係の一例を示す図である。
図26】端末における下りリンクフレーム及び上りリンクフレーム時点(timing)に対する一例を示す図である。
図27A】衛星が地球周囲を衛星軌道(satellite orbit)に沿って公転することによって地球の地上又は地球上に位置する端末における衛星の持続した動きの一例を示す図である。
図27B】人工衛星の構造の一例を示す図である。
図28】地上網及び衛星網における伝搬遅延時間の差の一例を示す図である。
図29】地上網及び衛星網におけるタイミングアドバンス(timing advance)を適用する一例を示す図である。
図30】衛星が送信する一つのビーム内に複数のユーザが位置する場合にユーザが経る端末-衛星-基地局間の往復伝搬遅延時間の差のうちの最大差値の一例を示す図である。
図31A】軌道に沿う衛星の動きによって変化する端末-基地局間の往復伝搬遅延時間の一例を示す図である。
図31B】一つの衛星が提供する一つのビーム領域内に複数の端末が位置する一例を示す図である。
図31C】一グループの端末に一つのMAC CEを用いて時間オフセットを指示する一例を示す図である。
図32】端末が連結されたビームや衛星が変更されるが、前記端末に連結された地上の基地局が変更されない一例を示す図である。
図33】端末が連結された(又は、サービスを受ける)ビームや衛星が変更される場合に端末に連結された地上の基地局又は地上局(ground station)も変更される一例を示す図である。
図34】TAループ(loop)の一例を示す図である。
図35A】TA値の指示のための基地局の動作の一例を示す図である。
図35B】TA値の指示のための端末の動作の一例を示す図である。
図36A】TA値の指示を適用してPUSCHを送信する基地局の動作の一例を示す図である。
図36B】TA値の指示を適用してPUSCHを送信する端末の動作の一例を示す図である。
図37A】端末のTA値の報告のための基地局の動作の一例を示す図である。
図37B】端末のTA値の報告のための端末の動作の一例を示す図である。
図38】本発明の一実施形態による端末の内部構造を示すブロック図である。
図39】本発明の一実施形態による衛星の内部構造を示すブロック図である。
図40】本発明の一実施形態による基地局の内部構造を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
新しい5G通信であるNR(New Radio access technology)では、時間及び周波数リソースにおいて様々なサービスが自由に多重化されるようにデザインされており、これにより、波形(waveform)/ヌメロロジー(numerology)などや基準信号などが当該サービスの必要によって動的に又は自由に割り当てられる。無線通信において端末に最適のサービスを提供するためには、チャネルの質及び干渉量の測定を用いた最適化されたデータ送信が重要であり、よって正確なチャネル状態測定が必須である。しかし、周波数リソースによってチャネル及び干渉特性が大きく変化しない4G通信とは違い、5Gチャネルではサービスによってチャネル及び干渉特性が大きく変化するため、これを分けて測定できるようにするFRG(Frequency Resource Group)次元のサブセット(subset)の支援が必要である。一方、NRシステムでは、支援されるサービスの種類をeMBB(Enhanced mobile broadband)、mMTC(massive Machine Type Communications)(mMTC)、URLLC(Ultra-Reliable and low-latency Communications)などのカテゴリーに分けられる。eMBBは高容量データの高速送信、mMTCは端末電力最小化及び複数端末の接続、URLLCは高信頼度及び低遅延を目指すサービスといえる。端末に適用されるサービスの種類によって異なる要求事項が適用される。
【0016】
このように、通信システムにおいて複数のサービスがユーザに提供され、このような複数のサービスをユーザに提供するために、特徴に合わせて各サービスを同一の時区間内で提供する方法及びこれを用いた装置が要求される。
【0017】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
実施形態の説明において、本発明の属する技術分野によく知られており、本発明と直接の関連がない技術内容については説明を省略する。これは、不要な説明を省略することによって本発明の要旨を曖昧にすることなくより明確に伝達するためである。
【0019】
同様の理由で、図面において一部の構成要素は、誇張されるか、省略されるか、又は概略に示される。また、各構成要素の大きさは、実際の大きさをそのまま反映するものではない。図面中、同一又は対応の構成要素には同一の参照番号を付す。
【0020】
本発明の利点及び特徴並びにそれらを達成する方法は、図面と共に詳細に後述する実施形態から明確になるであろう。但し、本発明は、以下に開示する実施形態に限定されるものではなく、別の様々な形態で具現され得る。単に、本実施形態は本発明の開示を完全にし、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は請求項の範疇によって定義される。明細書全体を通じて同一の参照符号は同一の構成要素を示す。
【0021】
このとき、処理の流れ図の各ブロック及び流れ図の組み合わせは、コンピュータプログラムインストラクションによって行われることが理解できよう。これらのコンピュータプログラムインストラクションは、汎用コンピュータ、特殊用コンピュータ、又はその他のプログラム可能なデータプロセシング装置のプロセッサに搭載されるため、コンピュータ又はその他のプログラム可能なデータプロセシング装置のプロセッサによって実行されるそれらのインストラクションが、流れ図のブロックで説明する機能を実行する手段を生成する。これらのコンピュータプログラムインストラクションは、特定の方式で機能を具現するためにコンピュータ又はその他のプログラム可能なデータプロセシング装置を指向するコンピュータ利用可能又はコンピュータ読み取り可能なメモリに記憶されるため、コンピュータ利用可能又はコンピュータ読み取り可能なメモリに記憶されたインストラクションは、流れ図のブロックで説明する機能を実行するインストラクション手段を内包する製造品目を生産することも可能である。コンピュータプログラムインストラクションは、コンピュータ又はその他のプログラム可能なデータプロセシング装置上に搭載されるため、コンピュータ又はその他のプログラム可能なデータプロセシング装備上で一連の動作の各段階が行われ、コンピュータで実行されるプロセスを生成してコンピュータ又はその他のプログラム可能なデータプロセシング装置を実行するインストラクションは、流れ図のブロックで説明する機能を実行するための段階を提供する。
【0022】
また、各ブロックは、特定された論理的機能を実行するための一つ以上の実行可能なインストラクションを含むモジュール、セグメント、又はコードの一部を表す。また、いくつかの代替の実行形態では、ブロックで言及する機能が順序を外れて発生することも可能であることに注目されたい。例えば、連続的に図示する2つのブロックは、実質的には同時に行われることもあり、又はそれらのブロックがしばしば該当の機能によって逆順で行われることもある。
【0023】
このとき、本実施形態で使われる「~部」という用語は、ソフトウェア又はFPGA又はASICのようなハードウェア構成要素を意味し、「~部」は、ある役割を担う。但し、「~部」がソフトウェア又はハードウェアに限定される意味ではない。「~部」は、アドレシング可能な記憶媒体にあるように構成されてもよく、一つ又はそれ以上のプロセッサを再生させるように構成されてもよい。従って、例えば「~部」は、ソフトウェア構成要素、客体指向ソフトウェア構成要素、クラス構成要素、及びタスク構成要素のような構成要素、プロセス、関数、属性、プロシージャ、サブルーチン、プログラムコードのセグメント、ドライバー、ファームウェア、マイクロコード、回路、データ、データベース、データ構造、テーブル、アレイ、及び変数を含む。構成要素及び「~部」内で提供される機能は、より小さい数の構成要素及び「~部」として結合され、追加の構成要素及び「~部」に更に分離され得る。のみならず、構成要素及び「~部」は、デバイス又はセキュリティマルチメディアカード内の一つ又はそれ以上のCPUを再生させるように具現される。また、実施形態において「~部」は一つ以上のプロセッサを含む。
【0024】
無線通信システムは、初期の音声中心のサービスを提供することを超えて、例えば3GPP(登録商標)のHSPA(high speed Packet Access)、LTE(long term evolution、或いはE-UTRA(evolved universal terrestrial radio access))、LTE-A(LTE-Advanced)、3GPP2のHRPD(high rate packet data)、UMB(ultra mobile broadband)、及びIEEE802.16eなどの通信標準のように高速、高品質のパケットデータサービスを提供する広帯域無線通信システムに発展している。また、5世代無線通信システムとして5G又はNR(new radio)の通信標準が作られている。
【0025】
広帯域無線通信システムの代表例として、NRシステムでは下りリンク(downlink:DL)、及び上りリンクではOFDM(orthogonal frequency division multiplexing)方式を採用している。但し、より具体的に、下りリンクではCP-OFDM(cyclic-prefix OFDM)方式が採用され、上りリンクではCP-OFDMと共にDFT-S-OFDM(discrete Fourier transform spreading OFDM)方式の2種類が採用されている。上りリンクは、端末(user equipment:UE)又はMS(mobile station))が基地局(gNode B又はBS(base station))にデータ又は制御信号を送信する無線リンクを意味し、下りリンクは、基地局が端末にデータ又は制御信号を送信する無線リンクを意味する。上記のような多重接続方式は、通常各ユーザ別にデータ又は制御情報を搬送する時間-周波数リソースが互いに重ならないように、即ち直交性(Orthogonality)が成立するようにして割り当て及び運用することによって各ユーザのデータ又は制御情報を区分する。
【0026】
NRシステムは、初期送信において復号の失敗が発生した場合に、物理層で当該データを再送信するHARQ(hybrid automatic repeat request)方式を採用している。HARQ方式とは、受信機がデータを正確に復号化(デコーディング)できなかった場合に、受信機が送信機にデコーディングの失敗を知らせる情報(negative acknowledgement:NACK)を送信し、送信機が物理層で当該データを再送信できるようにする。受信機は、送信機が再送信したデータを前にデコーディングに失敗したデータと結合させてデータ受信性能を高める。また、受信機がデータを正確に復号した場合に、送信機にデコーディング成功を知らせる情報(acknowledgement:ACK)を送信し、送信機が新しいデータを送信できるようにする。
【0027】
図1は、NRシステムにおける下りリンク又は上りリンクでデータ又は制御チャネルが送信される無線リソース領域である時間-周波数領域の基本構造を示す図である。
【0028】
図1で、横軸は時間領域を、縦軸は周波数領域を表す。時間領域において、最小送信単位はOFDMシンボルであり、Nsymb個のOFDMシンボル102が集まって一つのスロット106を構成する。サブフレームの長さは1.0msとして定義され、無線(ラジオ)フレーム114は10msとして定義される。周波数領域において、最小送信単位はサブキャリアであり、システム全体の送信帯域(transmission bandwidth)の帯域幅は、総NBW個のサブキャリア104で構成される。1フレームは10msとして定義される。1サブフレームは1msとして定義され、従って1フレームは総10個のサブフレームで構成される。1スロットは14個のOFDMシンボルとして定義される(即ち、1スロット当たりのシンボル数
1サブフレームは1個又は複数個のスロットで構成され、1サブフレーム当たりのスロットの個数は、副搬送波の間隔に対する設定値μによって異なる。図2の一例では、副搬送波の間隔の設定値として、μ=0の場合及びμ=1の場合を示している。μ=0の場合に、1サブフレームは1個のスロットで構成され、μ=1の場合に、1サブフレームは2個のスロットで構成される。即ち、副搬送波の間隔に対する設定値μによって、1サブフレーム当たりのスロット数
が異なり、これにより、1フレーム当たりのスロット数
が異なる。各副搬送波の間隔設定μによる
は、下記の表1のように定義される。
【0029】
【表1】
【0030】
RRC(radio resource control)連結前の端末は、初期接続のための初期帯域幅部分(initial bandwidth part:initial BWP)がMIB(master information block)によって基地局から設定される。より具体的に説明すると、端末は、初期接続段階で初期接続に必要なシステム情報(RMSI(remaining system information)又はSIB1(system information block 1)に該当し得る。)を受信するためのPDCCH(physical downlink control channel)が送信される制御領域(control resource set:CORESET)及び探索空間(search space)に関する設定情報をMIBによって受信する。MIBによって設定される制御領域及び探索空間は、それぞれ識別子(Identity:ID)0と見なされる。基地局は、端末にMIBを用いて、制御領域#0に対する周波数割り当て情報、時間割り当て情報、ヌメロロジー(numerology)などの設定情報を通知する。また、基地局は、端末にMIBを用いて、制御領域#0に対するモニタリング周期及びオケイジョン(occasion)に対する設定情報、即ち探索空間#0に対する設定情報を通知する。端末は、MIBから取得した制御領域#0として設定された周波数領域を、初期接続のための初期の帯域幅部分と見なす。このとき、初期の帯域幅部分の識別子(ID)は0と見なされる。
【0031】
MIBは、下記のような情報を含む。
【0032】
【0033】
帯域幅部分を設定する方法において、RRC連結(connected)前の端末は、初期の接続段階でMIBを用いて初期の帯域幅部分に対する設定情報を受信する。より具体的に説明すると、端末は、PBCH(physical broadcast channel)のMIBによって、SIBをスケジュールするDCI(downlink control information)の送信が可能な下りリンク制御チャネルのための制御領域が設定される。このとき、MIBによって設定された制御領域の帯域幅が初期の帯域幅部分と見なされ、設定された初期の帯域幅部分で端末はSIBが送信されるPDSCH(physical downlink shared channel)を受信する。初期の帯域幅部分は、SIBを受信する用途の他にも、他のシステム情報(other system information:OSI)、ページング(paging)、ランダムアクセス(random access)の用途に活用される。
【0034】
端末に一つ以上の帯域幅パートが設定された場合、基地局は、端末に、DCI内の帯域幅パート指示子(bandwidth part indicator)フィールドを用いて帯域幅パートに対する変更を指示する。
【0035】
時間-周波数領域において、リソースの基本単位は、リソース要素(resource element:RE)112であり、OFDMシンボルインデックス及びサブキャリアインデックスで示される。リソースブロック(RB(resource block)又はPRB(physical resource block))108は、周波数領域でNRB個の連続したサブキャリア110として定義される。一般にデータの最小送信単位はRB単位である。NRシステムにおいて、一般にNsymb=14、NRB=12であり、NBWはシステム送信帯域の帯域幅に比例する。端末にスケジュールされるRBの個数に比例してデータレートが増加する。
【0036】
NRシステムでは、下りリンクと上りリンクとを周波数で区分して運営するFDDシステムの場合、下りリンク送信帯域幅と上りリンク送信帯域幅とが互いに異なる。チャネル帯域幅は、システム送信帯域幅に対応するRF帯域幅を表す。表2及び表3にはそれぞれ6GHzよりも低い周波数帯域及び6GHzよりも高い周波数帯域におけるNRシステムに定義されたシステム送信帯域幅、副搬送波幅(subcarrier spacing)、及びチャネル帯域幅(channel bandwidth)の対応関係の一部を示す。例えば、30kHzの副搬送波幅、100MHzチャネル帯域幅を有するNRシステムは、送信帯域幅が273個のRBで構成される。下記において、N/Aは、NRシステムで支援しない帯域幅-副搬送波の組み合わせである。
【0037】
FR1(Frequency Range1)の構成
【0038】
【表2】
【0039】
FR2(Frequency Range2)の構成
【0040】
【表3】
【0041】
NRシステムにおいて、周波数領域(frequency range)は、下記の表4のように、FR1とFR2とに分けて定義される。
【0042】
【表4】
【0043】
上記でFR1及びFR2の範囲は変更して適用される。例えば、FR1の周波数範囲は、450MHz~6000MHzに変更して適用される。
【0044】
次に、5GにおけるSS(synchronization signal)/PBCHブロックについて説明する。
【0045】
SS/PBCHブロックとは、PSS(primary SS)、SSS(secondary SS)、PBCHで構成された物理層チャネルブロックを意味する。具体的には下記の通りである。
【0046】
-PSS:下りリンク時間/周波数同期の基準となる信号であり、セルIDの一部情報を提供する。
【0047】
-SSS:下りリンク時間/周波数同期の基準となり、PSSが提供しない残りのセルID情報を提供する。更に、PBCHの復調のための基準信号(reference signal)の役割を担う。
【0048】
-PBCH:端末のデータチャネル及び制御チャネルの送受信に必要な必須システム情報を提供する。必須システム情報は、制御チャネルの無線リソースマッピング情報を示す探索空間関連の制御情報、システム情報を送信する別途のデータチャネルに対するスケジューリング制御情報などを含む。
【0049】
-SS/PBCHブロック:SS/PBCHブロックは、PSS、SSS、PBCHの組み合わせからなる。SS/PBCHブロックは、5ms時間内で1個又は複数個が送信され、送信されるそれぞれのSS/PBCHブロックはインデックスで区別される。
【0050】
端末は、初期接続段階でPSS及びSSSを検出し、PBCHをデコードする。端末は、PBCHからMIBを取得し、これにより制御領域#0(制御領域インデックスが0である制御領域に当該する。)が設定される。端末は、選択したSS/PBCHブロック及び制御領域#0で送信されるDMRS(demodulation reference signal)がQCL(quasi co location)されていると仮定して制御領域#0に対するモニタリングを行う。端末は、制御領域#0で送信された下りリンク制御情報としてシステム情報を受信する。端末は、受信したシステム情報から、初期接続に必要なRACH(random access channel)関連の設定情報を取得する。端末は、選択したSS/PBCHインデックスを考慮してPRACH(physical RACH)を基地局に送信し、PRACHを受信した基地局は、端末が選択したSS/PBCHブロックインデックスに関する情報を取得する。このような過程により、基地局は、端末がそれぞれのSS/PBCHブロックから選択したブロック、及びそれに関連付けられている制御領域#0をモニタするという事実がわかる。
【0051】
次に、5Gシステムにおける下りリンク制御情報(DCI)について具体的に説明する。
【0052】
5Gシステムにおいて、上りリンクデータ(又は、物理上りリンクデータチャネル(physical uplink shared channel:PUSCH))又は下りリンクデータ(又は、物理下りリンクデータチャネル(physical downlink shared channel:PDSCH))に対するスケジューリング情報は、DCIによって基地局から端末に伝達される。端末は、PUSCH又はPDSCHに対して、フォールバック(fallback)用DCIフォーマット及び非フォールバック(non-fallback)用DCIフォーマットをモニタ(monitoring)する。フォールバックDCIフォーマットは基地局と端末との間で先に定義された固定されたフィールドで構成され、非フォールバック用DCIフォーマットは設定可能なフィールドを含む。その他にもDCIには様々なフォーマットが存在し、各フォーマットによって、電力制御用DCIか、或いはSFI(slot format indicator)を通知するためのDCIかなどを示す。
【0053】
DCIは、チャネルコーディング及び変調過程を経て物理下りリンク制御チャネルであるPDCCHで送信される。DCIメッセージのペイロード(payload)にはCRC(cyclic redundancy check)が付加され、CRCは、端末の身元に該当するRNTI(radio network temporary identifier)でスクランブル(scrambling)される。DCIメッセージの目的、例えば端末特定(UE-specific)のデータ送信、電力制御命令、又はランダムアクセス応答などによって異なるRNTIが用いられる。即ち、RNTIは明示的に送信されずに、CRC計算過程に含まれて送信される。PDCCH上で送信されるDCIメッセージを受信すると、端末は割り当てられたRNTIを用いてCRCを確認し、CRCの確認結果が一致すると、端末は当該メッセージが端末に送信されたものであることが分かる。PDCCHは、端末に設定された制御リソースの集合(control resource set:CORESET)でマップされて送信される。
【0054】
例えば、システム情報(system information:SI)に対するPDSCHをスケジュールするDCIは、SI-RNTIでスクランブルされる。RAR(random access response)メッセージに対するPDSCHをスケジュールするDCIは、RA-RNTIでスクランブルされる。ページング(paging)メッセージに対するPDSCHをスケジュールするDCIは、P-RNTIでスクランブルされる。SFI(slot format indicator)を通知するDCIは、SFI-RNTIでスクランブルされる。TPC(transmit power control)を通知するDCIは、TPC-RNTIでスクランブルされる。端末特定のPDSCH又はPUSCHをスケジュールするDCIは、C-RNTI(Cell RNTI)でスクランブルされる。
【0055】
DCIフォーマット0_0はPUSCHをスケジュールするフォールバックDCIとして用いられ、このときCRCはC-RNTIでスクランブルされる。C-RNTIでCRCがスクランブルされたDCIフォーマット0_0は、例えば下記の情報を含む。
【0056】
【表5】
【0057】
DCIフォーマット0_1はPUSCHをスケジュールする非フォールバックDCIとして用いられ、このときCRCはC-RNTIでスクランブルされる。C-RNTIでCRCがスクランブルされたDCIフォーマット0_1は、例えば下記の情報を含む。
【0058】
【表6】
【0059】
DCIフォーマット1_0はPDSCHをスケジュールするフォールバックDCIとして用いられ、このときCRCはC-RNTIでスクランブルされる。C-RNTIでCRCがスクランブルされたDCIフォーマット1_0は、例えば下記の情報を含む。
【0060】
【表7】
【0061】
DCIフォーマット1_1はPDSCHをスケジュールする非フォールバックDCIとして用いられ、このときCRCはC-RNTIでスクランブルされる。C-RNTIでCRCがスクランブルされたDCIフォーマット1_1は、例えば下記の情報を含む。
【0062】
【表8】
【0063】
下記では、5G通信システムにおけるデータチャネルに対する時間ドメインリソース割り当て方法について説明する。
【0064】
基地局は、端末に、下りリンクデータチャネル(PDSCH)及び上りリンクデータチャネル(PUSCH)に対する時間ドメインリソース割り当て情報に対するテーブル(table)を、上位層シグナリング(例えばRRCシグナリング)で設定する。PDSCHに対しては最大でmaxNrofDL-Allocations=16個のエントリー(entry)で構成されたテーブルを設定し、PUSCHに対しては最大でmaxNrofUL-Allocations=16個のエントリーで構成されたテーブルを設定する。時間ドメインリソース割り当て情報には、例えばPDCCH-to-PDSCHスロットタイミング(PDCCHを受信した時点と受信したPDCCHがスケジュールするPDSCHが送信される時点との間のスロット単位の時間間隔に該当する。K0で表記。)又はPDCCH-to-PUSCHスロットタイミング(PDCCHを受信した時点と受信したPDCCHがスケジュールするPUSCHが送信される時点との間のスロット単位の時間間隔に該当する。K2で表記。)、スロット内でPDSCH又はPUSCHがスケジュールされた開始シンボルの位置及び長さに関する情報、PDSCH又はPUSCHのマッピングタイプなどが含まれる。例えば、下記の表9及び表10のような情報が基地局から端末に通知される。
【0065】
【表9】
【0066】
【表10】
【0067】
基地局は、時間ドメインリソース割り当て情報に対するテーブルのエントリーのうちの一つを、L1シグナリング(例えば、DCI)によって端末に通知する(例えば、DCI内の「時間ドメインリソース割り当て」フィールドで指示する。)。端末は、基地局から受信したDCIに基づいてPDSCH又はPUSCHに対する時間ドメインリソース割り当て情報を取得する。
【0068】
下記では、5G通信システムにおける下りリンク制御チャネルについて、図面を参照してより具体的に説明する。
【0069】
図2は、5G無線通信システムにおける下りリンク制御チャネルが送信される制御領域の一例を示す図である。図2は、周波数軸に端末の帯域幅部分(UE bandwidth part)210、時間軸に1スロット220内に2個の制御領域(制御領域#1 201、制御領域#2 202)が設定されている一例を示す。制御領域(201、202)は、周波数軸に全体の端末の帯域幅部分210における特定の周波数リソース203が設定されている。時間軸には一つ又は複数個のOFDMシンボルが設定され、これを制御領域長(Control Resource Set Duration)204として定義する。図2に示す例を参照すると、制御領域#1 201は2シンボルの制御領域長として設定され、制御領域#2 202は1シンボルの制御領域長として設定されている。
【0070】
上述した5Gにおける制御領域は、基地局が端末に上位層シグナリング(例えば、システム情報、MIB、RRCシグナリング)によって設定する。端末に制御領域を設定するということは、制御領域の識別子(Identity)、制御領域の周波数位置、制御領域のシンボル長などの情報を提供することを意味する。例えば、上位層シグナリングは、下記表11の情報を含む。
【0071】
【表11】
【0072】
表11で、tci-StatesPDCCH(単に、TCI(transmission configuration indication)stateと命名する。)設定情報は、対応する制御領域で送信されるDMRSとQCL関係にある一つ又は複数個のSS/PBCHブロックインデックス又はCSI-RS(channel state information reference signal)インデックスの情報を含む。一例として、下りリンクデータに対するスケジューリング制御情報(DL grant)であるDCIフォーマット1_1に含まれる各制御情報は、下記の通りである。
【0073】
-Carrier indicator:DCIがスケジュールするデータがどの搬送波(carrier)上で送信されるかを指示する。-0又は3ビット
【0074】
-Identifier for DCI formats:DCIフォーマットを指示し、具体的には当該DCIが下りリンク用か又は上りリンク用かを区別する指示子である。-[1]ビット
【0075】
-Bandwidth part indicator:帯域幅部分の変更がある場合にそれを指示する。-0、1、又は2ビット
【0076】
-Frequency domain resource assignment:周波数ドメインリソース割り当てを指示するリソース割り当て情報であり、リソース割り当てタイプが0か又は1かによって表現するリソースが異なる。
【0077】
-Time domain resource assignment:時間ドメインリソース割り当てを指示するリソース割り当て情報であり、上位層シグナリング又は予め定められたPDSCH時間ドメインリソース割り当てリストの一設定を指示する。-1、2、3、又は4ビット
【0078】
-VRB-to-PRBマッピング:仮想リソースブロック(VRB)と物理リソースブロック(PRB)とのマッピング関係を指示する。-0又は1ビット
【0079】
-PRB bundling size indicator:同一のプリコーディングが適用されると仮定する物理リソースブロックバンドリングサイズを指示する。-0又は1ビット
【0080】
-Rate matching indicator:PDSCHに適用される上位層で設定されたレートマッチグループのうちのどのレートマッチグループが適用されるかを指示する。-0、1、又は2ビット
【0081】
-ZP CSI-RS trigger:零電力チャネル状態情報の基準信号をトリガーする。-0、1、又は2ビット
【0082】
-転送ブロック(transport block:TB)関連設定情報:1つ又は2つのTBに対するMCS(Modulation and coding scheme)、NDI(New data indicator)、及びRV(Redundancy version)を指示する。
【0083】
-変調及びコーディング方式(Modulation and coding scheme:MCS):データ送信に用いられた変調方式及びコーディングレートを指示する。即ち、QPSKか、16QAMか、64QAMか、又は256QAMかに関する情報と共にTBS及びチャネルコーディング情報を知らせるコーディングレート値を指示する。
【0084】
-新しいデータ指示子(New data indicator):HARQの初期送信であるか又は再送信であるかを指示する。
【0085】
-重複バージョン(Redundancy version):HARQの重複バージョン(redundancy version)を指示する。
【0086】
-HARQ process number:PDSCHに適用されるHARQプロセス番号を指示する。-4ビット
【0087】
-Downlink assignment index:PDSCHに対するHARQ-ACK報告時に動的(dynamic)HARQ-ACKコードブックを生成するためのインデックスである。-0、2、又は4ビット
【0088】
-TPC command for scheduled PUCCH:PDSCHに対するHARQ-ACK報告のためのPUCCHに適用される電力制御情報である。-2ビット
【0089】
-PUCCH resource indicator:PDSCHに対するHARQ-ACK報告のためのPUCCHのリソースを指示する情報である。-3ビット
【0090】
-PDSCH-to-HARQ_feedback timing indicator:PDSCHに対するHARQ-ACK報告のためのPUCCHがどのスロットで送信されるかに対する設定情報である。-3ビット
【0091】
-Antenna ports:PDSCH DMRSのアンテナポート及びPDSCHが送信されないDMRS CDMグループを指示する情報である、-4、5、又は6ビット
【0092】
-Transmission configuration indication:PDSCHのビーム関連情報を指示する情報である、-0又は3ビット
【0093】
-SRS request:SRS送信を要請する情報である。-2ビット
【0094】
-CBG transmission information:コードブロックグループベースの再送信が設定された場合に、どのコードブロックグループ(CBG)に該当するデータがPDSCHを介して送信されるかを指示する情報である、-0、2、4、6、又は8ビット
【0095】
-CBG flushing out information:前に端末が受信したコードブロックグループがHARQコンバイニング(combining)に利用可能であるか否かを指示する情報である。-0又は1ビット
【0096】
-DMRS sequence initialization:DMRSシーケンス初期化パラメータを指示する。-1ビット
【0097】
上記で、PDSCH又はPUSCHを介したデータ送信において、時間領域リソース割り当て(time domain resource assignment)は、PDSCH/PUSCHが送信されるスロットに関する情報、及び当該スロットにおける開始シンボル位置S及びPDSCH/PUSCHがマップされるシンボル個数Lによって伝達される。ここで、Sはスロットの開始からの相対的な位置であり、Lは連続するシンボル個数であり、SとLとは下記の式1のように定義される開始及び長さ指示子の値(start and length indicator value:SLIV)から決定される。
【0098】
【数1】
【0099】
NRシステムにおいて、端末は、RRC設定により一つの行にSLIV値、PDSCH/PUSCHマッピングタイプ、及びPDSCH/PUSCHが送信されるスロットに関する情報が設定される(例えば、表の形態で情報が設定される)。その後、DCIの時間領域リソース割り当てでは、設定された表におけるインデックス値を指示することによって、基地局が、端末にSLIV値、PDSCH/PUSCHマッピングタイプ、及びPDSCH/PUSCHが送信されるスロットに関する情報を伝達する。
【0100】
NRシステムでは、PDSCHマッピングタイプは、タイプA(type A)及びタイプB(type B)が定義されている。PDSCHマッピングタイプAでは、スロットの2番目又は3番目のOFDMシンボルにDMRSシンボルの最初のシンボルが位置する。PDSCHマッピングタイプBでは、PUSCH送信によって割り当てられた時間領域リソースの最初のOFDMシンボルにDMRSシンボルの最初のシンボルが位置する。
【0101】
下りリンクデータは下りリンクデータ送信用の物理チャネルであるPDSCH上で送信される。PDSCHは制御チャネルの送信区間の後から送信され、周波数領域における具体的なマッピング位置、変調方式などのスケジューリング情報は、PDCCHで送信されるDCIに基づいて決定される。
【0102】
DCIを構成する制御情報のうちのMCSを用いて、基地局は、端末に送信しようとするPDSCHに適用された変調方式及び送信しようとするデータのサイズ(転送ブロックサイズ(transport block size:TBS))を通知する。実施形態において、MCSは、5ビット又はそれよりも多いか或いは少ないビットで構成される。TBSは、基地局が送信しようとするデータ(transport block:TB)に誤り訂正のためのチャネルコーディングが適用される前のサイズに該当する。
【0103】
本発明において、転送ブロック(transport block:TB)とは、MAC(medium access control)ヘッダー、MAC制御要素、1個以上のMAC SDU(service data unit)、パッティング(padding)ビットを含む。或いは、TBは、MAC層から物理層(physical layer)に伝達される(deliver)データの単位又はMAC PDU(protocol data unit)を表す。
【0104】
NRシステムで支援する変調方式は、QPSK(quadrature phase shift keying)、16QAM(quadrature amplitude modulation)、64QAM、及び256QAMであり、それぞれの変調オーダー(modulation order:Qm)は、2、4、6、8に該当する。即ち、QPSK変調ではシンボル当たり2ビット、16QAM変調ではシンボル当たり4ビット、64QAM変調ではシンボル当たり6ビットを送信でき、256QAM変調ではシンボル当たり8ビットを送信できる。
【0105】
図3及び図4は、5G或いはNRシステムで考慮されるサービスであるeMBB、URLLC、mMTCデータが周波数-時間リソースで割り当てられた一例を示す図である。
【0106】
図3及び図4を参照すると、各システムにおいて情報送信のために周波数及び時間リソースが割り当てられた方式を確認することができる。
【0107】
図3は、システム全体の周波数帯域にeMBB、URLLC、及びmMTCデータが割り当てられた一例を示す図である。先ず、図3では、システム全体の周波数帯域300でeMBB、URLLC、mMTC用データが割り当てられた様子である。eMBB 301及びmMTC 309が特定の周波数帯域で割り当てられて送信される途中にURLLCデータ(303、305、307)が発生してその送信が必要となる場合に、eMBB 301及びmMTC 309が既に割り当てられた部分を空けるか又は送信せずに、URLLCデータ(303、305、307)が送信される。上記サービスのうちのURLLCは、遅延時間を減らす必要があるため、eMBBが割り当てられたリソース301の一部分にURLLCデータ(303、305、307)が割り当てられて送信される。勿論、eMBBが割り当てられたリソースでURLLCが追加に割り当てられて送信される場合、重複する周波数-時間リソースではeMBBデータが送信されず、このためeMBBデータの送信性能が低くなることがある。即ち、上記の場合にURLLC割り当てによるeMBBデータ送信の失敗が発生することがある。
【0108】
図4は、システムの周波数帯域を分けて、eMBB408、URLLC(410、412、414)、及びmMTC416データが割り当てられた一例を示す図である。図4では、システム全体の周波数帯域300を分け、各サブバンド(402、404、406)でサービス及びデータを送信する用途に用いる。サブバンド設定に関連する情報は予め決定され、この情報は基地局が端末に上位シグナリングによって送信される。或いは、サブバンドは、基地局又はネットワークノードが任意に分けて、端末に別途のサブバンド設定情報の送信無しでサービスを提供する。図4では、サブバンド402はeMBBデータ送信、サブバンド404はURLLCデータ送信、サブバンド406はmMTCデータ送信に用いられる様子を示している。
【0109】
本実施形態で提案する方法及び装置を説明するために、NRシステムにおける物理チャネル(physical channel)及び信号(signal)という用語が使われる。但し、本発明の内容は、NRシステムではなく無線通信システムにおいて適用される。
【0110】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。また、本発明を説明する際に、関連する機能又は構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。そして、後述する用語は、本発明における機能を考慮して定義された用語であり、これはユーザ、運用者の意図、又は慣例などによって変わり得る。従って、その定義は本明細書全般に亘る内容に基づいて下されるべきであろう。
【0111】
本発明において、下りリンク(downlink:DL)は基地局が端末に送信する信号の無線送信経路であり、上りリンク(uplink:UL)は端末が基地局に送信する信号の無線送信経路を意味する。
【0112】
以下では、NRシステムを挙げて本発明の実施形態を説明するが、類似の技術的背景又はチャネル形態を有する他の通信システムにも本発明の実施形態が適用される。また、本発明の実施形態は、熟練した技術的知識を有する者の判断により、本発明の範囲を大きく外れない範囲で一部の変形によって他の通信システムにも適用される。
【0113】
本発明では、従来の物理チャネル(physical channel)及び信号(signal)という用語がデータ又は制御信号と同じ意味で使われる。例えば、PDSCHはデータが送信される物理チャネルであるが、本発明ではPDSCHをデータということもある。
【0114】
以下、本発明において、上位シグナリングは、基地局から物理層の下りリンクデータチャネルを用いて端末に、又は端末から物理層の上りリンクデータチャネルを用いて基地局に伝達される信号伝達方法であり、RRCシグナリング又はMAC制御要素(MAC CE:MAC control element)と呼ぶ。
【0115】
図5は、一つの転送ブロックが複数個のコードブロックに分けられてCRCが追加される過程の一例を示す図である。
【0116】
図5を参照すると、上りリンク又は下りリンクで送信しようとする一つの転送ブロック(TB)501の末尾又は最先頭にCRC503が追加される。CRC503は、16ビット又は25ビット、或いは予め固定されたビット数を有するか又はチャネル状況などによって可変的なビット数を有し、チャネルコーディングに成功したか否かを判断するために用いられる。TB501にCRC503が追加されたブロックは、複数個のコードブロック(codeblock:CB)(507、509、511、513)に分けられる(505)。ここで、コードブロックは、最大サイズが予め定められて分けられ、この場合最後のコードブロック513は他のコードブロック(507、509、511)に比べてサイズが小さい。但し、これは一例にすぎず、他の例によって、0、ランダム値、又は1が最後のコードブロック513に挿入されることにより、最後のコードブロック513の長さと他のコードブロック(507、509、511)の長さを同一にしてもよい。
【0117】
また、コードブロック(507、509、511、513)にそれぞれCRC(517、519、521、523)が追加される(515)。CRCは、16ビット又は24ビット、或いは予め固定されたビット数を有し、チャネルコーディングに成功したか否かを判断するために用いられる。
【0118】
CRC503を生成するためにTB501及び循環生成多項式(cyclic generator polynomial)が用いられ、循環生成多項式は様々な方法で定義される。例えば、24ビットCRCのための循環生成多項式gCRC24A(D)=D24+D23+D18+D17+D14+D11+D10+D7+D6+D5+D4+D3+D+1と仮定し、L=24とするとき、TBデータ
に対して、CRC
をgCRC24A(D)で割って余が0になる値であり、
を決定する。上述した例では、一例としてCRC長Lを24と仮定して説明したが、CRC長Lは、12、16、24、32、40、48、64などの様々な長さに決定される。
【0119】
このような過程によってTBにCRCが追加された後、TB+CRCは、N個のCB(507、509、511、513)に分割される。分割されたそれぞれのCB(507、509、511、513)にCRC(517、519、521、523)が追加される(515)。CBに追加されるCRCは、TBに追加されたCRCを発生させる時とは異なる長さを有するか、或いはCRC生成のために他の循環生成多項式が用いられる。また、TBに追加されたCRC503及びコードブロックに追加されたCRC(517、519、521、523)は、コードブロックに適用されるチャネルコードの種類によって省略される。例えば、ターボコードではなくLDPCコードがコードブロックに適用される場合、コードブロック毎に挿入されるCRC(517、519、521、523)は省略される。
【0120】
但し、LDPCが適用される場合にもCRC(517、519、521、523)がそのままコードブロックに追加され得る。また、ポーラコードが用いられる場合にもCRCが追加又は省略される。
【0121】
図5で上述したように、送信しようとするTBは適用されるチャネルコーディングの種類によって1コードブロックの最大長が定められ、コードブロックの最大長によってTB及びTBに追加されるCRCはコードブロックへの分割が行われる。
【0122】
従来のLTEシステムでは分割されたCBにCB用CRCが追加され、CBのデータビット及びCRCはチャネルコードにエンコードされ、コードされたビット(coded bits)が決定され、それぞれのコードされたビットに対して予め約束された通りにレートマッチングされるビット数が決定される。
【0123】
NRシステムにおいて、TBのサイズ(TBS)は、下記の段階を経て計算される。
【0124】
段階1:割り当てリソースにおける1PRBでPDSCHマッピングに割り当てられたRE数であるN’REを計算する。N’RE
で計算される。ここで、
は12であり、
は、PDSCHに割り当てられたOFDMシンボル数を表す。
は、同一CDMグループのDMRSが占める1PRBにおけるREの数である。
は、上位シグナリングによって設定される1PRB内のオーバーヘッドが占めるRE数であり、0、6、12、18のいずれか一つに設定される。その後、PDSCHに割り当てられた総RE数NREが計算される。NREはmin(156,N′RE)・nPRBで計算され、nPRBは端末に割り当てられたPRB数を表す。
【0125】
段階2:臨時情報ビット数Ninfoは、
で計算される。ここで、Rはコードレートであり、Qmは変調オーダー(modulation order)であり、この値の情報はDCIのMCSビットフィールドとして予め約束された表を用いて伝達される。また、vは割り当てられたレイヤの数である。仮に、Ninfo≦3824である場合、下記の段階3によってTBSが計算される。それ以外には、段階4によってTBSが計算される。
【0126】
段階3:
の数式によってN’infoが計算される。TBSは、下記の表12でN’infoよりも小さくない値のうち、N’infoに最も近い値に決定される。
【0127】
【表12】
【0128】
段階4:
の数式によってN’infoが計算される。TBSはN’info値及び下記[pseudo-code1]によって決定される。下記において、Cは1TBに含まれるコードブロックの数に該当する。
【0129】
[Pseudo-code1開始]
【0130】
【0131】
[Pseudo-code1終了]
【0132】
NRシステムにおいて、一つのCBがLDPCエンコーダに入力されると、パリティビットが追加されて出力される。この時、LDCPベースのグラフ(LDCP base graph)によってパリティビットの量が変わる。特定の入力に対してLDPCコーディングによって生成される全てのパリティビットを送出させる方法をFBRM(full buffer rate matching)と呼び、送信可能なパリティビット数に制限をおく方法をLBRM(limited buffer rate matching)と呼ぶ。データ送信のためにリソースが割り当てられると、LDPCエンコーダ出力が循環バッファー(circular buffer)として作られ、作られたバッファーのビットは割り当てられたリソースだけ反復して送信され、このとき循環バッファーの長さをNcbという。
【0133】
LDPCコーディングによって生成される全てのパリティビットの数をNとすると、FBRM方法ではNcb=Nになる。LBRM方法において、Ncbはmin(N,Nref)になり、Nref
として与えられ、RLBRMは2/3に決定される。TBSLBRMを求めるためには、上述したTBSを求める方法を用いるが、当該セルで端末が支援する最大レイヤ数及び最大変調オーダーを仮定し、最大変調オーダーQmは、当該セルで少なくとも一つのBWPに対して256QAMを支援するMCSテーブルを使用するように設定された場合に8、設定されていない場合には6(64QAM)として仮定され、コードレートは最大コードレートである948/1024として仮定され、NREは156・nPRBとして仮定され、nPRBはnPRB,LBRMとして仮定されて計算される。nPRB,LBRMは、下記の表13によって与えられる。
【0134】
【表13】
【0135】
NRシステムにおいて端末が支援する最大データ率は、下記の式2によって決定される。
【0136】
【数2】
【0137】
式2で、Jは周波数集積(carrier aggregation)によってまとめられたキャリアの数であり、Rmax=948/1024、
は最大レイヤ数、
は最大変調オーダー、f(j)はスケーリング指数、μは副搬送波間隔を意味する。f(j)は1、0.8、0.75、0.4のうちの一つの値を端末が報告し、μは下記の表14によって与えられる。
【0138】
【表14】
【0139】
また、
は平均OFDMシンボル長であり、
で計算され、
は、BW(j)における最大RB数である。OH(j)は、オーバーヘッド値であって、FR1(6GHz以下帯域)の下りリンクでは0.14、上りリンクでは0.18として与えられ、FR2(6GHz超過帯域)の下りリンクでは0.08、上りリンクでは0.10として与えられる。式2から、30kHz副搬送波間隔で100MHz周波数帯域幅を有するセルにおいて下りリンクにおける最大データ率は、下記の表15のように計算される。
【0140】
【表15】
【0141】
一方、端末が実際のデータ送信で測定可能な実際データ率は、データ量をデータ送信時間で割った値になる。これは、1TB送信ではTBSを、又は2TB送信ではTBSの和をTTI長で割った値になる。一例として、表15を求めた過程のように、30kHz副搬送波間隔で100MHz周波数帯域幅を有するセルにおいて、下りリンクにおける最大実際データ率は、割り当てられたPDSCHシンボル数によって下記の表16のように定められる。
【0142】
【表16】
【0143】
表15から端末の支援する最大データ率が確認でき、表16から割り当てられたTBSに従う実際のデータ率が確認できる。このとき、スケジューリング情報によって最大データ率よりも実際のデータ率が大きい場合がある。
【0144】
無線通信システム、特にNR(New Radio)システムでは、端末が支援可能なデータ率が基地局と端末との間に互いに約束される。これは、端末が支援する最大周波数帯域、最大変調オーダー、最大レイヤ数などを用いて計算される。但し、計算されたデータ率は、実際のデータ送信に用いられる転送ブロック(transport block;TB)のサイズ(transport block size:TBS)及びTTI(transmission time interval)長から計算される値とは異なることがある。
【0145】
このため、端末は自身が支援するデータ率に該当する値よりも大きいTBSが割り当てられることがあり、これを防止するために、端末が支援するデータ率によってスケジューリング可能なTBSの制約がある。
【0146】
図6は、NRシステムの同期化信号(SS)及び物理放送チャネル(PBCH)が周波数及び時間領域でマップされた様子を示す図である。
【0147】
主同期化信号(primary synchronization signal:PSS)601及び副同期化信号(secondary synchronization signal:SSS)603、そしてPBCHが4OFDMシンボルに亘ってマップされ、PSS及びSSSは12RBにマップされ、PBCHは20RBにマップされる。副搬送波間隔(subcarrier spacing:SCS)によって20RBの周波数帯域がどのように変わるかを図6の表に示した。上記のPSS、SSS、PBCHが送信されるリソース領域をSS/PBCHブロック(SS/PBCH block)と呼ぶ。また、SS/PBCHブロックをSSBブロックと呼ぶ。
【0148】
図7は、副搬送波間隔によってSS/PBCHブロックの送信が可能なシンボルを示す図である。
【0149】
図7を参照すると、副搬送波間隔は、15kHz、30kHz、120kHz、240kHzなどに設定され、各副搬送波間隔によってSS/PBCHブロック(又は、SSBブロック)が位置するシンボルの位置が決定される。図7は、1ms以内のシンボルにおいて副搬送波間隔によるSSBが送信されるシンボルの位置を示しており、図7に示した領域でSSBが常に送信されるわけではない。SSBブロックが送信される位置は、システム情報又は専用シグナリング(dedicated signaling)によって端末に設定される。
【0150】
端末は一般的に基地局から離れているため、端末から送信された信号は伝達遅延時間(propagation delay)の後に基地局で受信される。伝達遅延時間は、端末から基地局まで電波が伝達される経路を光の速度で割った値であり、一般に、端末から基地局までの距離を光の速度で割った値である。一実施形態において、基地局から100km離れた所に位置する端末の場合、端末から送信された信号は約0.34msecの後に基地局で受信される。逆に、基地局から送信された信号も約0.34msecの後に端末で受信される。上述したように、端末と基地局との間の距離によって、端末から送信された信号が基地局に到着する時間が変わる。従って、それぞれ異なる位置に存在する複数の端末が同時に信号を送信すると、基地局に到着する時間はいずれも異なる。このような問題を解決して複数の端末から送信された信号が基地局に同時に到着するようにするために、端末別に位置によって上りリンク信号を送信する時間を異ならせる。5G、NR、及びLTEシステムにおいて、これをタイミングアドバンス(timing advance)という。
【0151】
図8は、本発明の一実施形態による5G又はNRシステムにおける端末が第1信号を受信してこれに対する第2信号を端末が送信する時のタイミングアドバンスによる端末のプロセシングタイムを示す図である。
【0152】
以下、タイミングアドバンスによる端末のプロセシングタイムについて具体的に説明する。スロットn802で、基地局が上りリンクスケジューリングの承認(UL grant)、又は下りリンク制御信号及びデータ(DL grant and DL data)を端末に送信すると、端末は、スロットn804で、上りリンクスケジューリングの承認、又は下りリンク制御信号及びデータを受信する。この時、端末は、基地局が信号を送信した時間よりも伝達遅延時間(Tp)810だけ遅れて信号を受信する。本実施形態において、端末がスロットn804で第1信号を受信した場合、端末はスロットn+4 806で当該第2信号を送信する。端末が信号を基地局に送信する時にも、それを特定の時間に基地局に到着させるために、端末が受信した信号基準のスロットn+4よりもタイミングアドバンス(TA)812だけ早めたタイミングのスロットn+4 806に、端末は上りリンクデータ又は下りリンクデータに対するHARQ ACK/NACKを送信する。従って、本実施形態において、端末が上りリンクスケジューリングの承認を受け、上りリンクデータ送信をするか又は下りリンクデータを受信し、HARQ ACK又はNACKを伝達するために準備できる時間は、3個スロットに該当する時間からTAを除いた時間である(814)。
【0153】
上述したタイミングの決定のために、基地局は当該端末のTAの絶対値を計算する。基地局は、端末が初期接続したとき、ランダムアクセス(random access)段階で最初に端末に伝達したTA値に、その後に上位シグナリングで伝達したTA値の変化量を足しながら又は引きながらTAの絶対値を計算する。本発明において、TAの絶対値は、端末が送信するn番目のTTIの開始時間で端末が受信したn番目のTTIの開始時間を引いた値になる。
【0154】
一方、セルラー無線通信システムの性能の重要な基準の一つは、パケットデータ遅延時間(latency)である。そのために、LTEシステムでは、1msの送信時間区間(transmission time interval:以下、TTIという。)を有するサブフレーム単位で信号の送受信がなされる。上述したように動作するLTEシステムにおいて、1msよりも短い送信時間区間を有する端末(short-TTI UE)を支援する。一方、5G又はNRシステムにおいて、送信時間区間は1msよりも短い。Short-TTI端末は、遅延時間(latency)が重要なVoLTE(Voice over LTE)サービス、遠隔操縦のようなサービスに適する。また、short-TTI端末は、セルラベースでミッションクリティカル(mission critical)なモノのインターネット(internet of things:IoT)を実現する手段になる。
【0155】
5G又はNRシステムにおいて、基地局が下りリンクデータを含むPDSCHの送信時に、PDSCHをスケジュールするDCIは、PDSCHのHARQ-ACK情報を端末が送信するタイミング情報に該当する値であるK1値を指示する。HARQ-ACK情報は、タイミングアドバンス(timing advance)を含めてシンボルL1よりも先に送信されるように指示されていない場合、端末が基地局に送信する。即ち、タイミングアドバンス(timing advance)を含めてシンボルL1と同一又は後の時点にHARQ-ACK情報が端末から基地局に送信される。HARQ-ACK情報がタイミングアドバンス(timing advance)を含めてシンボルL1よりも先に送信されるように指示された場合、HARQ-ACK情報は、端末から基地局へのHARQ-ACK送信において有効なHARQ-ACK情報ではない。
【0156】
シンボルL1は、PDSCHの最後の時点からTproc,1の後に循環前置(cyclic prefix:CP)が始まる最初のシンボルである。Tproc,1は、下記の式3のように計算される。
【0157】
【数3】
【0158】
上述の式3で、N、d,1、d1,2、κ、μ、Tは、下記のように定義される。
【0159】
-HARQ-ACK情報がPUCCH(上りリンク制御チャネル)で送信されると、d1,1=0であり、PUSCH(上りリンク共有チャネル、データチャネル)で送信されると、d1,1=1である。
【0160】
-端末に複数個の活性化された構成キャリア又はキャリアが設定された場合、キャリア間の最大タイミングの差は、第2信号の送信において反映される。
【0161】
-PDSCHマッピングタイプAの場合、即ち最初のDMRSシンボル位置がスロットの3番目又は4番目のシンボルである場合、PDSCHの最後のシンボルの位置インデックスiが7よりも小さい場合、d1,2=7-iとして定義される。
【0162】
-PDSCHマッピングタイプBの場合、即ち最初のDMRSシンボル位置がPDSCHの最初のシンボルである場合、PDSCHの長さが4シンボルであると、d1,2=3であり、PDSCHの長さが2シンボルであると、d1,2=3+dであり、dは、PDSCHと当該PDSCHをスケジュールする制御信号を含むPDCCHとが重なるシンボルの数である。
【0163】
-N1は、μによって下記の表17のように定義される。μ=0、1、2、3は、それぞれ副搬送波間隔15kHz、30kHz、60kHz、120kHzを意味する。
【0164】
【表17】
【0165】
-上述の表17で提供されるN値は、UE能力(UE capability)によって異なる値が用いられ、
【0166】
としてそれぞれ定義される。
【0167】
また、5G又はNRシステムでは、基地局が上りリンクスケジューリングの承認を含む制御情報の送信時に、端末が上りリンクデータ又はPUSCHを送信するタイミング情報に該当するK2値を指示する。
【0168】
PUSCHは、タイミングアドバンス(timing advance)を含めてシンボルL2よりも先に送られるように指示されない場合には、端末が基地局に送信する。即ち、タイミングアドバンス(timing advance)を含めてシンボルL2と同一又は後の時点にPUSCHが端末から基地局に送信される。PUSCHがタイミングアドバンス(timing advance)を含めてシンボルL2よりも先に送信されるように指示された場合には、端末は基地局からの上りリンクスケジューリングの承認制御情報を無視する。
【0169】
シンボルL2は、スケジューリング承認を含むPDCCHの最後の時点からTproc,2の後に送信すべきPUSCHシンボルのCPが始まる最初のシンボルである。Tproc,2は、下記の式4のように計算される。
【0170】
【数4】
【0171】
上述の式4で、N、d2,1、κ、μ、TCは、下記のように定義される。
【0172】
-PUSCHが割り当てられたシンボルのうちの最初のシンボルがDMRSのみを含む場合、d2,1=0であり、それ以外にはd2,1=1である。
【0173】
-端末に複数個の活性化された構成キャリア又はキャリアが設定される場合、キャリア間の最大タイミング差は第2信号の送信において反映される。
【0174】
-N2は、μによって下記の表18のように定義される。μ=0、1、2、3は、それぞれ副搬送波間隔15kHz、30kHz、60kHz、120kHzを意味する。
【0175】
【表18】
【0176】
-上述の表18で提供されるN値は、UE能力(UE capability)によって異なる値が用いられ、
【0177】
としてそれぞれ定義される。
【0178】
一方、5G又はNRシステムは、一つのキャリア内で周波数帯域部分(BWP)を設定し、特定の端末が設定されたBWP内で送受信するように指定する。これは、端末の消耗電力減少を目的とする。基地局は、複数のBWPを設定し、制御情報において活性化されたBWPを変更する。BWPの変更に端末が使用可能な時間は、下記の表19のように定義される。
【0179】
【表19】
【0180】
表19で、周波数範囲(Frequency Range)1は6GHz以下の周波数帯域を意味し、周波数範囲(Frequency Range)2は6GHz以上の周波数帯域を意味する。上述した実施形態において、タイプ1及びタイプ2はUEの能力によって決定される。上述した実施形態において、シナリオ1、2、3、4は、下記の表20のように与えられる。
【0181】
【表20】
【0182】
図9は、スロットによってデータ(例えば、TB)をスケジュールして送信し、当該データに対するHARQ-ACKフィードバックを受信し、フィードバックによって再送信を行う一例を示す図である。図9で、TB1 900は、スロット0 902で初期送信され、これに対するACK/NACKフィードバック904は、スロット4 906で送信される。仮に、TB1の初期送信に失敗して、NACKが受信された場合、スロット8 908でTB1に対する再送信910が行われる。ここで、ACK/NACKフィードバックが送信される時点及び再送信が行われる時点は、予め定められるか、或いは制御情報又は/及び上位層シグナリングで指示される値によって決定される。
【0183】
図9では、スロット0番からスロットによって順次にTB1からTB8までスケジュールされて送信される一例を示している。これは、例えばTB1からTB8までにHARQプロセスID0から7までがそれぞれ与えられて送信されることである。仮に、基地局及び端末にとって使用可能なHARQプロセスIDの数が4個のみである場合、連続して8個の異なるTBに対する送信を行うことができない。
【0184】
図10は、衛星を用いた通信システムの一例を示す図である。例えば、端末1001が衛星1003に信号を送信すると、衛星1003は基地局に信号を伝達し、基地局は受信信号を処理し、それに対する後続動作の要求を含む信号を端末1001に送信するが、これは再び衛星1003を介して送信される。ここで、端末1001と衛星1003との間の距離も遠く、衛星1003と基地局との間の距離も遠いため、結局端末1001から基地局へのデータ送受信にかかる時間が長くなる。
【0185】
図11は、衛星の高度又は高さによる通信衛星の地球の公転周期を示す図である。通信のための衛星は、衛星の軌道によって、低軌道衛星(LEO:Low Earth Orbit)、中軌道衛星(MEO:Middle Earth Orbit)、静止軌道衛星(GEO:Geostationay Earth Orbit)などに区別される。一般に、GEO1100は高度約36000kmの衛星を意味し、MEO1110は高度5000~15000kmの衛星を意味し、LEOは高度500~1000kmの衛星を意味する。各高度によって地球公転周期が変わるが、地球公転周期が、GEO1100は約24時間程度であり、MEO1110は約6時間、LEO1130は約90~120分程度である。低軌道(~2,000km)衛星は、相対的に低い高度であり、伝搬遅延時間及び損失が静止軌道(36,000km)衛星に比べて有利である。
【0186】
図12は、衛星-端末直接通信の概念を示す図である。ロケットによって高度100km以上の高い所に位置する衛星1200は、地上の端末1210と信号を送受信し、また地上の基地局(DU farms)1230に連結された地上局(ground station)1220と信号を送受信する。
【0187】
図13は、衛星-端末直接通信の活用シナリオを示す図である。衛星-端末直接通信は、地上網のカバレッジ限界を補完する形態で特化した目的の通信サービスの支援が可能である。一例として、ユーザ端末に衛星-端末直接通信機能を具現することによって、地上網通信カバレッジ以外の所におけるユーザの緊急救助又は/及び救難信号の送受信が可能になり(1300)、船舶又は/及び航空のように地上網通信が不可能な領域におけるユーザに対する移動通信サービスが提供されることが可能になり(1310)、国境の制限無しで船舶、貨物車、又は/及びドローンなどの位置を実時間で追跡して制御することが可能になり(1320)、また基地局に衛星通信機能を支援することによって基地局のバックホールとして機能するようにし、物理的に遠く離れた場合にバックホール機能を果たす(1330)ように衛星通信を活用することも可能になる。
【0188】
図14は、高度1200kmのLEO衛星と地上の端末とが直接通信を行う時の上りリンクにおける予想データ転送率(throughput)の計算の一例を示す図である。上りリンクで地上端末の送信電力EIRP(effective isotropic radiated power)が23dBmであり、衛星までの無線チャネルの経路損失(path loss)が169.8dBであり、衛星受信アンテナ利得が30dBiである場合、達成可能な信号対雑音比(signal-to-noise ratio:SNR)は-2.63dBと推算される。この場合、経路損失には宇宙空間における経路損失、大気圏における損失などが含まれる。信号対干渉比(signal-to-interference ratio:SIR)が2dBであると仮定すると、信号対干渉及び雑音比(signal-to-interference and noise ratio:SINR)は-3.92dBと計算され、このとき30kHz副搬送波間隔及び1PRBの周波数リソースを用いると、112kbpsの送信速度達成が可能になる。
【0189】
図15は、高度35,786kmのGEO衛星と地上の端末とが直接通信を行う時の上りリンクにおける予想データ転送率(throughput)計算の一例を示す図である。上りリンクで地上端末の送信電力EIRPが23dBmであり、衛星までの無線チャネルの経路損失(path loss)が195.9dBであり、衛星受信アンテナ利得が51dBiである場合、達成可能なSNRは-10.8dBと推算される。この場合、経路損失には宇宙空間における経路損失、大気圏における損失などが含まれる。SIRを2dBと仮定すると、SINRは-11dBと計算され、このとき30kHzの副搬送波間隔及び1PRBの周波数リソースを利用すると、21kbpsの送信速度達成が可能であるが、これは3回の反復送信を行った結果である。
【0190】
図16は、端末と衛星との間の経路損失モデルによる経路損失値、及び端末と地上網通信基地局との間の経路損失モデルによる経路損失を示す図である。図16で、dは距離に該当し、fcは信号の周波数である。端末と衛星(satellite)との通信が行われる宇宙空間(free space)では、経路損失(FSPL)1600が距離の2乗に反比例するが、端末と地上網通信基地局(terrestrial gNB)との通信が行われる空気が存在する地上における経路損失(PL,PL’Uma-NLOS)(1610、1620)は、距離の約4乗に反比例する。d3Dは、端末と基地局との間の直線距離を意味し、hBSは基地局の高さであり、hUTは端末の高さである。d’BP=4×hBS×hUT×f/cで計算される。fはHz単位の中心周波数、cはm/s単位の光の速度である。
【0191】
衛星通信(Satellite communications、又はNon-Terrestrial Network)では、衛星が速く動き続けることによって発生するドップラーシフト、即ち送信信号の周波数移動(offset)が発生する。
【0192】
図17は、衛星の高度及び位置並びに地上の端末ユーザの位置によって衛星から伝達される信号が地上ユーザに受信される時の信号が経るドップラーシフトの量を計算する数式及び結果を示す図である。地球半径がRであり、hは衛星の高度であり、vは衛星が地球を公転する速度であり、fは信号の周波数である。衛星の速度は衛星の高度から計算されるが、これは地球が衛星を引っ張る力である重力と衛星が公転することによって発生する求心力とが同一になる速度であり、これは図18のように計算される。図18は、衛星の高度から計算された衛星の速度を示す図である。図17から確認できるように、各αは、高度角(elevation angle)θによって決定されるため、高度角θによってドップラーシフトの値が決定される。
【0193】
図19は、衛星が地上に送信する一つのビーム内に位置する個別の端末が経るドップラーシフトを示す図である。図19では、高度角θによる端末1 1900、端末2 1910が経るドップラーシフトがそれぞれ計算されている。中心周波数2GHz、衛星高度700km、地上における一つのビーム直径50km、端末の速度0を仮定した結果である。また、本明細書で計算したドップラーシフトは、地球の自転速度による効果を無視したものであり、これは、衛星の速度に比べて遅いため、影響が小さいと見なすことができる。
【0194】
図20は、高度角から定められる衛星の位置によって一つのビーム内で発生するドップラーシフトの差を示す図である。衛星がビームの真上に位置する時に、即ち高度角が90°である時に、ビーム(又は、セル)内でドップラーシフトの差が最大になることが見られる。これは、衛星が中央にあるとき、ビームの一端と他端とのドップラーシフト値がそれぞれ正数値及び負数値を有するためである。
【0195】
一方、衛星通信では、衛星が地上のユーザからの距離が遠いため、地上網通信に比べて大きい遅延時間が発生する。
【0196】
図21は、高度角によって定められる衛星の位置によって端末から衛星までにかかる遅延時間と端末-衛星-基地局との間の往復遅延時間を示す図である。2100は、端末から衛星までかかる遅延時間であり、2110は、端末-衛星-基地局間の往復遅延時間を示す。このとき、衛星-基地局間の遅延時間は端末-衛星の遅延時間と同一であると仮定した。図22は、一つのビーム内でユーザの位置によって変わる往復遅延時間の最大差値を示す図である。例えば、ビーム半径(又は、セル半径(cell radius))が20kmのとき、衛星の位置によってビーム内のそれぞれ異なる位置の端末が個別に経る衛星までの往復遅延時間の差が約0.28msであると見なすことができる。
【0197】
衛星通信において端末が基地局と信号を送受信するということは、信号が衛星を介して伝達されることである。即ち、下りリンクでは、基地局が衛星に送信した信号を衛星が受信した後、端末に伝達する役割を担い、上りリンクでは、端末が送信した信号を衛星が受信した後、基地局に伝達する役割を担う。ここで、衛星は、信号を受信した後、そのまま周波数移動のみを行った後に伝達するか、或いは受信した信号に基づいてデコーディング及び再エンコーディングなどの信号処理を行って伝達する。
【0198】
LTE又はNRにおいて、端末は、下記のような手順によって基地局に接続する。
【0199】
-段階1:端末が基地局から同期信号(又は、SSB(synchronization signal block)、これは放送信号を含む。)を受信する。同期信号は、PSS(Primary synchronization signal)、SSS(secondary synchronization signal)、PBCH(physical broadcast channel)を含む。同期信号は、基地局が送信する信号のスロット境界、フレーム番号、下りリンク、上りリンク設定などの情報を含む。また、同期信号から、端末は、副搬送波オフセット、システム情報送信のためのスケジューリング情報などを取得する。
【0200】
-段階2:端末は基地局からシステム情報(System Information Block:SIB)を受信する。SIBには、初期接続及びランダムアクセスのための情報が含まれる。ランダムアクセスのための情報には、ランダムアクセスプリアンブルを送信するリソース情報が含まれる。
【0201】
-段階3:段階2で設定されたランダムアクセスリソースに、ランダムアクセスプリアンブル(又は、メッセージ1:msg1)を送信する。プリアンブルは、予め定められている数列を用いて、段階2で設定された情報に基づいて決定される信号である。基地局は、端末が送信したプリアンブルを受信する。基地局は、どの端末がプリアンブルを送信したか知らないまま、基地局自身が設定したリソースで設定したプリアンブルの受信を試み、受信に成功すると、少なくとも一つの端末がプリアンブルを送信したという事実がわかる。
【0202】
-段階4:段階3でプリアンブルを受信すると、基地局は、それに対する応答であるランダムアクセス応答(random access response:RAR、又はメッセージ2:msg2)を送信する。段階3でランダムアクセスプリアンブルを送信した端末は、本段階で基地局が送信したRARの受信を試みる。RARはPDSCH上で送信され、PDSCHをスケジュールするPDCCHが共に又は先に送信される。RARをスケジュールするDCIにはRA-RNTI値でスクランブルされたCRCが加えられ、DCI(及び、CRC)はチャネルコードされた後にPDCCHにマップされて送信される。RA-RNTIは、段階3におけるプリアンブルが送信される時間及び周波数リソースに基づいて決定される。
【0203】
段階3でランダムアクセスプリアンブルを送信した端末が本段階でRARを受信するまでの最大制限時間は、段階2で送信されるSIBで設定される。これは、例えば最大10ms又は40msなどのように制限されて設定される。即ち、段階3でプリアンブルを送信した端末が、例えば設定した最大時間である10msに基づいて決定された時間内にRARを受信できない場合、再びプリアンブルを送信する。RARには、次の段階である段階5で端末が送信する信号のリソースを割り当てるスケジューリング情報が含まれる。
【0204】
図23は、RARの情報構造の一例を示す図である。RAR2300は、例えばMAC PDUであり、端末が適用するTA(timing advance)に関する情報2310及び次の段階で用いられる臨時(temporary)C-RNTI値2320も含む。
【0205】
-段階5:段階4でRARを受信した端末は、RARに含まれるスケジューリング情報によって基地局にメッセージ3(msg3)を送信する。端末は、msg3に自身の固有ID値を含めて送信する。基地局は、段階4で自身が送信したスケジューリング情報によってmsg3の受信を試みる。
【0206】
-段階6:基地局はmsg3を受信し、端末のID情報を確認した後、端末のID情報を含むメッセージ4(msg4)を生成して端末に送信する。段階5でmsg3を送信した端末は、以降の段階6で送信されるmsg4の受信を試みる。Msg4を受信した端末は、デコーディング後にmsg4に含まれるID値を段階5で自身が送信したID値と比較して、自身が送信したmsg3が基地局で受信されたか否かを確認する。段階5で端末がmsg3を送信した後、本段階でmsg4を受信するまでの時間にも制約があり、その最大時間も段階2でSIBによって設定される。
【0207】
上記の段階を用いた初期接続手順を衛星通信に適用する場合に、衛星通信においてかかる伝搬遅延時間が問題になる。例えば、段階3で端末がランダムアクセスプリアンブル(又は、PRACHプリアンブル)を送信し、段階4でRARを受信する期間(ランダムアクセスウィンドウ)、即ち受信するまでかかる最大時間がra-ResponseWindowによって設定されるが、従来のLTE又は5G NRシステムでは、当該最大時間が最大10ms程度まで設定される。
【0208】
図24は、LTEシステムにおけるPRACHプリアンブル設定リソースとRAR受信時点との関係の一例を示す図であり、図25は、5GNRシステムにおけるPRACHプリアンブル設定リソースとRAR受信時点との関係の一例を示す図である。図24を参照すると、LTEではPRACH(ランダムアクセスプリアンブル)を送信2400して3ms後の時点からランダムアクセスウィンドウ2410が始まり、端末は、ランダムアクセスウィンドウ内にRARを受信2420する場合に、PRACHプリアンブルの送信に成功したと判断する。図25を参照すると、NRではPRACH(ランダムアクセスプリアンブル)を送信2500した後、最初に現れるRARスケジューリングのための制御情報領域からランダムアクセスウィンドウ2510が始まる。端末がランダムアクセスウィンドウ内にRARを受信2520すると、PRACHプリアンブルの送信に成功したと判断する。
【0209】
一例として、5G NRシステムにおける上りリンク送信タイミングのためのTA値は、下記のように決められる。先ず、
に決められ、ここで、
である。また、
としてそれぞれ定義される。
【0210】
図26は、端末における下りリンクフレーム及び上りリンクフレーム時点(timing)に対する一例を示す図である。端末は、下りリンクフレーム時点を基準に上りリンクフレームを
だけ早めて上りリンク送信を行う。ここで、NTAの値は、RARによって伝達されるか又はMAC CEに基づいて決定され、NTA,offsetは端末に設定されるか又は予め定められた値に基づいて決定される値である。
【0211】
5G NRシステムのRARではTA値が指示され、このときTA値は、0、1、2、…、3846のいずれか一つの値が指示される。この場合、RARの副搬送波間隔(subcarrier spacing:SCS)が2μ・15kHzである場合、NTA
に決定される。端末がランダムアクセス過程を完了した後には基地局からTAの変化値が指示され、これはMAC CEで指示される。MAC CEで指示されるTA情報は、0、1、2、…、63のいずれか一つの値であり、これは、既存のTA値に加減されて新しいTA値を計算するために用いれ、その結果TA値は
のように新しく計算される。このように指示されたTA値は、一定時間の後から端末が上りリンク送信に適用される。
【0212】
図27Aは、衛星が地球周囲を衛星軌道(satellite orbit)に沿って公転することによって地球の地上又は地球上に位置する端末における衛星の持続的な動きの一例を示す図である。端末が衛星を見る高度角(elevation angle)によって端末と衛星との間の距離が変わるため、端末と衛星、そして基地局との間の遅延時間(propagation delay)が変わる。
【0213】
図27Bは、人工衛星の構造の一例を示す図である。衛星は、太陽光又は太陽熱の発電のためのソーラーパネル又はソーラーアレイ2700、端末との通信のための送受信アンテナ(main mission antenna)2710、地上局との通信のための送受信アンテナ(feeder link antenna)2720、衛星間通信のための送受信アンテナ(inter-satellite link)2730、及び送受信を制御して信号処理などを行うためのプロセッサなどで構成される。ここで、衛星によって衛星間通信を支援しない場合、衛星間信号送受信のためのアンテナは配置されない。図27Bでは、端末との通信のために1~2GHzのLバンドを用いるとしているが、高周波帯域であるKバンド(18~26.5GHz)、Kaバンド(26.5~40GHz)、Kuバンド(12~18GHz)を用いることも可能である。
【0214】
端末-衛星直接通信では、端末-衛星及び衛星-基地局間の距離が遠く、且つ衛星が動き続けるため、基地局又は端末から送信された信号が端末又は基地局に受信される時に、遅延時間などによる時間オフセットが発生する。従って、本発明では時間オフセットを補正できるように、基地局が時間オフセット情報を指示し、それに応じて端末が補正する方法及び装置を提供する。下記の実施形態は、端末と衛星及び地上局との通信を仮定して記述するが、衛星基地局と端末とが通信する場合を排除しない。本発明において、時間オフセットはタイミングアドバンス(timing advance)と同じ意味で使われる。
【0215】
[第1実施例]
【0216】
第1実施例は、基地局が時間オフセット情報を端末に指示し、端末が指示された値を適用する方法及び装置を提供する。
【0217】
端末は、自身の位置及び衛星の位置に基づいて衛星と端末との間の遅延時間を推定(estimation)し、推定された遅延時間値を端末自身で補正して上りリンク送信を行う。例えば、衛星は衛星の位置に関する情報を放送(broadcast)情報によって送信し、端末は衛星が送信した衛星の位置に関する情報を受信して自身の位置と比較する。端末自身の位置は、GPS(Global Positioning System)などを用いて把握する。端末は、比較に基づいて衛星まで電波が伝達されるのにかかる時間を推定し、上りリンク送信時間を計算する。例えば、端末が、特定の時点に下りリンクのスロットnで信号を受信し、スロットn+kで信号に対応する上りリンク送信を行わなければならない場合、上りリンク送信は、スロットn+k時点よりも2×Tdだけ早めに送信する。ここで、Tdは衛星及び端末の位置情報によって計算された端末から衛星までの遅延時間である。遅延時間Tdは、端末から衛星までの距離を光の速度で割った値である。ここで、衛星の位置は端末が上りリンク送信を行うスロットn+kを基準に計算される値である。これは、衛星の動きによってスロットnにおける衛星の位置及びスロットn+kにおける衛星の位置が変わるためである。
【0218】
図28は、地上網及び衛星網における伝搬遅延時間の差の一例を示す図である。地上網では最大で約100kmの基地局までの距離を考慮して1ms以下の伝搬遅延時間が発生するが、衛星網では衛星までの距離が数千kmであり、また衛星から基地局までの距離も数千kmであるため、遅延時間が地上網に比べて遥かに大きく発生する。衛星網通信では衛星の高度及び高度角によって遅延時間が変わり、図28では衛星の高度が700kmである場合の高度角による端末-衛星間距離及び電波が往復するのにかかる時間を示している。衛星網では、低軌道衛星を仮定して高度角が0~180゜である場合、無線往復時間(radio round trip time:radio RTT、これは送受信機間で信号が送信されるのにかかる往復時間及び相手ノードにおける処理時間が含まれる。)が40.9msから9.3msまで発生することを示している。
【0219】
図29は、地上網及び衛星網におけるタイミングアドバンスを適用する一例を示す図である。地上網では、最大遅延時間が1又は2ms以内であるため、LTE及び5G NRシステムで提供されるタイミングアドバンスを用いて、基地局の立場で下りリンクを送信するスロットタイミングと上りリンクが受信されるスロットタイミングとを一致させる(即ち、DLスロット及びULスロットのインデックスが一致する)。即ち、下りリンク時点よりも基地局が指示するタイミングアドバンス値だけ端末が早めて上りリンク送信を行うと、端末の送信した上りリンク信号が基地局に受信された時は基地局の下りリンク時点と一致する。
【0220】
一方、衛星網では、従来のLTE及び5G NRシステムで提供されるタイミングアドバンスを用いて、基地局の立場で下りリンクを送信するスロットタイミングと上りリンクが受信されるスロットタイミングとを一致させることが不可能である。これは衛星網で発生する伝搬遅延時間が数十ms程度と大きく、このような伝搬遅延時間は従来のLTE及び5G NRシステムで提供されるタイミングアドバンスの最大値よりも大きいためである。
【0221】
図30は、衛星が送信する複数個のビーム(beam)のうちの一つのビーム内に複数のユーザが位置する場合にユーザが経る端末-衛星-基地局間の往復伝搬遅延時間の差のうちの最大差値の一例を示す図である。ビームのサイズが小さいほど、ユーザが経る高度角による往復伝搬遅延時間の差が減るという点を示している。
【0222】
図31Aは、軌道に沿う衛星の動きによって変化する端末-基地局間の往復伝搬遅延時間の一例を示す図である。図31Aによると、衛星が軌道に沿って動くため、時間が経つにつれて端末-基地局間の往復伝搬遅延時間が変化する。地上網では(一定時間以下で)遅延時間が変化するのに対し、衛星網では時間によって遅延時間の変化量が非常に大きいことが確認できる。
【0223】
衛星は端末に下記のような方法を用いて時間オフセット情報を指示し、端末は下記方法によって指示された時間オフセット情報を用いて送信時間を補正して下りリンク又は上りリンク信号送受信を行う。
【0224】
-方法1:周波数領域又は周波数バンド(frequency band、spectrum)に基づいて、遅延時間の指示範囲、或いは遅延時間の指示又はタイミングアドバンス指示のためのビットフィールドのサイズが決定される。一例として、RAR MAC CEには、1GHz以下の中心周波数を有する周波数領域では12ビットのTA情報が含まれ、1GHzを超える中心周波数を有する周波数領域では16ビットのTA情報が含まれる。
【0225】
-方法2:基地局はタイミングアドバンスの変化率を指示する。衛星は時間によって規則的に動くため、特定の時間区間では遅延時間が線形的に変化する。従って、基地局は端末に遅延時間又はタイミングアドバンスの変化率を指示し、端末が今後TAをどのように変化させて適用しなければならないかを指示する。時間オフセット(又は、タイミングアドバンス)の変化率は、未来の特定の時点に適用されるTAの変化量に該当する。時間オフセット変化率を指示しながら、共に又は予め基地局は端末に時間オフセット変化率を適用する時間周期及び時点をL1制御情報(例えば、DCI)で指示するか又は上位シグナリングで設定する。上位シグナリングは、物理層信号ではなくMAC CE又はRRCシグナリングである。
【0226】
-方法3:グループ単位(group-common)で一つ以上の端末にTA値又は変化率が同一DCI若しくは同一MAC CEによって指示される。この方法によると、一つ以上の端末にTA値又はTAの変化率が同一指示情報フィールドで指示されるか、或いはそれぞれの端末に異なる指示情報フィールドでタイミングアドバンス又はTAの変化率が指示される。異なる端末に異なる指示情報フィールドによってTA値又はTAの変化率が指示される場合、端末が解析すべきビットフィールドの位置又はビットフィールド位置のオフセット値が予め設定される。端末は、ビットフィールドの位置又は位置のオフセット情報から、自身に適用されるビットフィールドの値を確認する。図31Bは、一つの衛星が提供する一つのビーム領域内に複数の端末が位置する一例を示す図である。図31Bのように、衛星が提供する一つのビーム領域内に位置する端末は、同一の衛星と信号を送受信するため、遅延時間及びドップラーシフトの変化値が類似である。従って、一つのビーム領域に位置する図31Aの端末(UE1、UE2、UE3、UE4、UE5)は、同一指示情報によって遅延時間又はタイミングアドバンス値の補正のための時間オフセット補正を行う。
【0227】
図31Cは、一グループの端末に一つのMAC CEを用いて時間オフセットを指示する一例を示す図である。図31Cによると、グループ単位で一グループの端末(3110、3112、3114、3116、3118、3120、3122、3124、3126)に同一のMAC CE 3100を用いて時間オフセットを指示する場合、一つのMAC CE中に複数の端末への時間オフセット指示情報が含まれる。各端末のための時間オフセット指示子の開始位置3130は、上位シグナリングによって予め設定される。MAC CEの他にDCIによってもグループ単位で類似に時間オフセット指示情報が送信され、このとき複数のTA値を指示するビットフィールドがDCIの一部になる。この場合、例えば複数のTA値を指示するビットフィールドを含むDCIフォーマットが用いられ、このときグループ内の端末は予め定義されるか又は上位層シグナリングで設定されるRNTIの値を用いてブラインドデコーディングを行う。
【0228】
-方法4:SIBを用いてシステム情報のうちの特定ビームに該当する端末が共通に適用しなければならないTA値を指示する。例えば、時間オフセットTA_offsetはTA_offset1+TA_offset2で計算され、ここでTA_offset1は当該ビームに属する端末に共通に設定又は指示される値であり、TA_offset2は特定の端末に設定又は指示される値である。TA_offset2は、上述の方法のうちの少なくとも一つを用いて設定される。
【0229】
-方法5:基地局はRRC設定によって当該端末に時間オフセットの単位を設定する。基地局が、RRC設定によって時間オフセットの単位を指示し、MAC CE又はDCIで時間オフセットのユニット数を指示すると、端末は時間オフセットの単位を用いて正確な時間オフセット値を計算する。他の変形例として、基地局は、RRC設定によって時間オフセット単位の候補値を指示し、そのうちの一つをMAC CE又はDCIで指示する。時間オフセット単位の候補値は、定められた範囲内でRRCシグナリングによって設定され、候補値として一つの値のみが設定された場合、MAC CE又はDCI無しに設定された一つの値が適用される。
【0230】
-方法6:RRC設定によって当該端末に時間オフセット値を設定する。更に他の例として、RRC設定及びMAC CEの組み合わせによって端末に時間オフセット値を伝達する。
【0231】
これらの方法は、互いに代案的な関係ではなく、一つ以上の方法の組み合わせが用いられる。
【0232】
[第2実施例]
【0233】
第2実施例は、基地局又は衛星が端末にTA値を指示する方法及び装置を提供する。本発明において、衛星とは、地上の高い所に位置する物体であり、飛行機、飛行船などを含む概念である。
【0234】
図32及び図33は、一つの衛星が複数のビームを用いて送受信している時に、衛星が動くことによって一つの端末がサービスを受ける衛星又はビームが変更される一例を示す図である。図32は、端末が連結された(又は、サービスを受ける)ビームや衛星が変更されるが、端末に連結された地上の基地局又は地上局が変更されない一例を示す図である。具体的な例として、(3200)では、端末3210は衛星1 3220に連結されて地上局3240と通信を行い、衛星の動きによって(3250)のように衛星の位置が変化した場合、端末3210は衛星1 3220に連結されて地上局3240と通信を行うが、衛星1との連結に用いられるビームが変更されるか、又は端末3210は衛星2 3230に連結されて地上局3240と通信を行う。図33は、端末が連結された(又は、サービスを受ける)ビームや衛星が変更される場合に、端末に連結された地上の基地局又は地上局も変更される一例を示す図である。具体的な例として、(3300)では、端末3310は衛星1 3320に連結されて地上局1 3340と通信を行い、衛星の動きによって(3360)のように衛星の位置が変化した場合に、端末3310は衛星2 3330に連結されて地上局2 3350と通信を行う。
【0235】
上記で、端末に信号を送信する衛星やビームが変更される場合に、上りリンク時間の同期のためのTA(Timing advance)値が突然に大きく変更されることがある。この場合、変更されるTA値を基地局が端末に知らせてこそ、他の端末が送信する信号との信号干渉が発生しなくて済む。TA値の大きい変化量を知らせるためには、TA指示子のビット数を増加させるか、又はビット値が示すTA値の単位(granularity,unit)を大きく設定する方法が用いられる。或いは、TA値を再び知らせるようにするために、端末と信号を授受する衛星やビームが変更された場合に、端末がランダムアクセス手順を再び始めてもよいが、衛星又は/及びビームが頻繁に変更されると、ランダムアクセス手順によるオーバーヘッドが増加し、データ転送率やサービス品質が低下する。
【0236】
本発明では、突然に大きく変更されるTA値を端末に伝達するためのTA指示方法及び装置を提供する。
【0237】
端末及び基地局はTA値の候補を複数個記憶する。例えば、端末及び基地局は4個のTA候補値をそれぞれ記憶し、基地局の指示によって端末は4個のTA候補値をアップデートし続けるか、又は該当の値を実際のTA値に適用する。各TA候補値をTAループ(TA loop)と称する。
【0238】
基地局は端末にTA値を指示する過程でTAループインデックスを知らせることにより、どのTA値をアップデートするか又は端末が適用しなければならないかを指示する。図34は、TAループの一例を示す図である。端末3400が一つよりも多い衛星(3410、3420)に連結された状況であるか、又は一つの衛星3410から他の衛星3420へと接続を変更する場合に、それぞれ異なるTA値を適用するためのTAループが複数個定義され(例えば、衛星1 3410に適用されるTAループ1 3412、衛星2 3420に適用されるTAループ2 3422が設定される。)、基地局及び端末が理解している一例を示す。端末には、一つの基地局と接続する過程でランダムアクセス(RACH)段階で端末が上りリンク送信時に適用されるTA値が伝達される。RACH段階で伝達されたTA値は、TAループインデックス0のTA値として定められる。その後、端末には、他のTA候補値も設定される。このように設定されたTA候補値にTAループインデックス1、2、3などのインデックス番号が付けられる。表21は、端末に設定されたTAループの値を示すものである。TAループインデックス0~3はそれぞれ設定されたTA値に当該し、各TA値はそれぞれ異なる。
【0239】
【表21】
【0240】
上記で、TAループの個数は、RRCシグナリング又はMAC CEなどの上位シグナリングによって基地局が端末に設定される。ここで、基地局が端末に設定するためのシグナリングは、衛星を経て端末に伝達される。或いは、TAループの数は固定した値に決められるか、又は端末の能力(capability)に基づいて設定される値である。端末は自身が支援可能なTAループの個数に関連するUE能力(UE capability)情報を基地局に報告する。
【0241】
TAループの値のうちの一つを指示するために、基地局はTAループのインデックスを、DCIの一つのビットフィールドを用いるか又はMAC CEの値を用いて端末に指示する。例えば、基地局はDCIで上りリンクデータであるPUSCHをスケジュールしながら端末が適用するTA値を指示するためにDCIの一部のビットを用いてTAループインデックスを指示し、端末は指示されたTAループに該当するTA値を適用してスケジュールされたPUSCHを送信する。又は/及び、一例として基地局は、MAC CEを用いて端末が適用するTAループのインデックスを指示し、このように指示されたTAループに該当するTA値にMAC CEが指示するTAの変更値を適用する。この場合、MAC CEは、TAループインデックス及びTAループインデックスに対するTAの変更値を一つ以上含む。
【0242】
図35A及び図35Bは、このようなTA値の変更のための基地局及び端末の動作の一例を示す図である。図35Aは、TA値の指示のための基地局の動作の一例を示す図である。基地局は、上位シグナリングで端末にTAループの数を設定する。このような設定は、TAループの数に関する情報を送信するか又は各TAループのインデックスに対する設定情報を送信する方法によってなされる。このような設定は、端末の送信したTAループに関連するUE能力情報に基づいて行われる(段階3500)。基地局は、L1制御情報(例えば、DCI)に含まれる一部のビットフィールドを用いて端末にTAループインデックスを指示する(段階3510)。基地局は、PDSCH上で送信されるMAC CEを用いて、指示されたTAループインデックスのTA値に対するTAの変化値を指示する(段階3520)。
【0243】
図35Bは、TA値の指示のための端末の動作の一例を示す図である。端末は、上位シグナリングによって基地局からTAループの数が設定される。このような設定は、TAループの数に関する情報を受信するか又は各TAループのインデックスに対する設定情報を受信する方法によってなされる。端末は、基地局に端末のTAループに関連するUE能力情報を送信する(段階3530)。端末は、L1制御情報(例えば、DCI)を受信し、DCIに含まれる一部のビットフィールドを用いて指示されたTAループインデックスを取得する(段階3540)。端末は、PDSCH上で受信されるMAC CEによって、指示されたTAループインデックスのTA値に対するTAの変化値を受信する(段階3550)。端末は、このように適用されたTA値を上りリンク送信に利用する。図35A及び図35Bに開示された各段階は、その順序を変更して適用されてもよく、他の段階が付加されるか又は省略されて行われてもよい。
【0244】
端末は、決定されたTA値を、HARQ ACK/NACKフィードバック送信、上りリンクデータ送信、又はPUSCH、PUCCH送信などに適用する。図36A及び図36Bは、TA値の指示を適用してPUSCHを送信する基地局及び端末の動作の一例を示す図である。図36Aは、TA値の指示を適用してPUSCHを送信する基地局の動作の一例を示す図である。基地局は、上位シグナリングによって端末にTAループの数を設定する。このような設定は、TAループの数に関する情報を送信するか又は各TAループのインデックスに対する設定情報を送信する方法によってなされる。このような設定は、端末の送信したTAループに関連するUE能力情報に基づいて行われる(段階3600)。基地局は、PUSCH受信時に端末が適用しなければならないTA値を確認し、TA値を指示するためのTAループインデックスを確認する(段階3610)。基地局はPUSCHをスケジュールするUL承認(UL grant)を端末に送信し、UL承認にはTAループインデックスを指示するビットフィールド及びPUSCH送信のためのリソース割り当て情報を指示するビットフィールドが含まれる(段階3620)。
【0245】
図36Bは、TA値の指示を適用してPUSCHを送信する端末の動作の一例を示す図である。端末は、上位シグナリングによって基地局からTAループの数が設定される。このような設定は、TAループの数に関する情報を受信するか又は各TAループのインデックスに対する設定情報を受信する方法によってなされる。このような設定は、端末の送信したTAループに関連するUE能力情報に基づいて行われる(段階3630)。端末はPUSCHをスケジュールするUL承認を基地局から受信し、UL承認にはTAループインデックスを指示するビットフィールド及びPUSCH送信のためのリソース割り当て情報を指示するビットフィールドが含まれる。端末は、ビットフィールドに基づいて、基地局の指示するTAループインデックスを確認する(段階3640)。端末は、TAループインデックスに該当するTA値を確認し、TA値を適用してPUSCHを送信する(段階3650)。図36A及び図36Bに開示された各段階は、その順序を変更して適用されてもよく、他の段階が付加されるか又は省略されて実行されてもよい。
【0246】
上記で、DCIの一部のビットでTAループのインデックスを指示するということは、DCIは上りリンクスケジューリングのためのDCIであり、端末は、上記で指示するTAループインデックスに該当するTA値を用いてDCIがスケジュールする上りリンク送信を行うということである。或いは、DCIが下りリンクデータをスケジュールするDCIであり、TAループインデックスを指示する場合に、端末は、下りリンクデータに該当するHARQ-ACKを送信するPUCCH送信時に、指示されたTAループインデックスに該当するTA値を適用して送信する。
【0247】
また、DCIは、下りリンクデータをスケジュールするDCIであり、TA値又はTA変化値を指示するビットフィールドを含むか、又はTA値若しくはTA変化値を指示する別途のDCIフォーマットに該当するものである。このとき、DCIによってTAループインデックスが指示されると、当該インデックスのTA値にのみDCIで指示された変化が適用されるか、或いはTAループインデックスがDCIに含まれない場合は、全てのTAループに該当するTA値にDCIで指示された変化が適用される。TAループインデックスがDCIに含まれて指示されるか否かは、基地局の上位シグナリングによって設定されるか、又は/及び端末が支援するTAループの数(即ち、端末の能力)に基づいて決定される。
【0248】
また、下りリンクデータをスケジュールするDCIの場合、基地局は、当該DCIがスケジュールするPDSCHを介して送信されるMAC CEによってTA値又はTA変化値を指示する。このとき、DCIによってTAループインデックスが指示されると、当該インデックスのTA値にのみMAC CEで指示された変化が適用されるか、或いはTAループインデックスがDCIに含まれない場合は、全てのTAループに該当するTA値にMAC CEで指示された変化が適用される。TAループインデックスがDCIに含まれて指示されるか否かは、基地局の上位シグナリングによって設定されるか、又は/及び端末が支援するTAループの数(即ち、端末の能力)に基づいて決定される。
【0249】
上記のように、下りリンクデータをスケジュールするDCIであるか、或いは別途のDCIフォーマット又は下りリンクデータをスケジュールするDCIがスケジュールするPDSCHを介して送信されるMAC CEでTA値又はTA変化値を指示した場合、端末は、上記で適用されたTA値を、後にスケジュールされるPUSCH又はPUCCH送信に適用する。仮に、下りリンクデータをスケジュールするDCIであるか、或いは別途のDCIフォーマットでTAループインデックスがDCIに含まれて指示されると、端末は、DCIで指示されたTAループインデックスのTA値を、後にスケジュールされるPUSCH又はPUCCH送信に適用し、上記の後にスケジュールされるPUSCHをスケジュールするDCI又はPUCCH(又は、HARQ-ACK)に関連するPDSCHをスケジュールするDCIには、TAループインデックスを指示するビットフィールドが含まれない。
【0250】
[第3実施例]
【0251】
第3実施例は、端末が、自身が適用している又は適用したタイミングアドバンス(TA)値を、基地局又は衛星に伝達(報告)する方法及び装置を提供する。
【0252】
端末は、自身が適用しているTA値を基地局に伝達する動作を行う。これは、端末が基地局から別途の指示無しでTA値を適用する場合に、適用されたTA値を基地局に知らせるためであるか、又は基地局が指示したTA値を端末がどのように適用しているかを確認又は判断するためである。一例として、このような動作は、端末が連結された衛星が変更される場合に、新しく端末に連結された衛星が端末のTA値を確認するために行われる。一例として、端末は、端末及び衛星の位置に基づいて計算したTA値を独自で適用する。
【0253】
端末がTA値を基地局に報告するために、下記方法のうちの少なくとも一つの組み合わせを用いる。
【0254】
-方法1:基地局は、DCIを用いて端末のTA値の報告をトリガーする。基地局は、DCIの一部のビットフィールド値、又はビットフィールド値の組み合わせによってTA値の報告をトリガーする。TA値の報告のトリガーを指示するフィールドがDCIに含まれ、この場合、受信したDCIのフィールドが特定の値に設定されていると、端末はTA値の報告がトリガーされたと理解する。或いは、DCIに含まれる一つ以上の(例えば、他の用途の)フィールドの値が予め定められた値に設定されていると、端末は、TA値の報告がトリガーされたと理解する。端末は、DCIを受信した時点に基づく特定の時点におけるTA値を基地局に伝達する。
【0255】
-方法2:基地局は、MAC CEを用いて端末のTA値の報告をトリガーする。基地局はMAC CEの一部のビット値又はビットフィールド値を用いてTA値の報告をトリガーし、端末はMAC CEを受信した時点又は受信した時点から一定時間後の時点におけるTA値を基地局に伝達する。
【0256】
-方法3:基地局は、RRC設定を用いて端末がどのTA値を報告しなければならないかを指示する。一例として、基地局は、上位シグナリングによってTA値の報告のための周期及びオフセット値又は/及び端末がTA値を報告する特定の条件を設定し、どの時点に端末がTA値を報告するかを決定し、この場合、基準となるTA値の適用時間(即ち、報告されるTA値が適用される時間:TA値の基準時点と称する。)も指定する。ここで、端末がTA値を報告する特定条件は、例えばTA値が一定値以上になる場合であるか、又は端末と衛星との距離が一定値以上である場合であり、これらの一定値は、上位シグナリングで設定されるか、SIBなどで送信される情報であるか、又は固定された値である。
【0257】
-方法4:端末は基地局からの別途のトリガー無しでTA値を報告する。例えば、方法4は、特定の条件によって、端末がTA値を指示する情報を基地局に送信することであり、特定の条件は、(基地局からのトリガーのためのDCI、MAC CE、RRCなどのようなシグナリング無しで)TA値の報告を行う時間又は端末が適用するTA値と特定の臨界値などとの比較結果などに対する条件であり、予め定められている。
【0258】
上記のように、TA値を送信する場合、端末は、PUCCH、PUSCHなどの物理チャネルを用いるか又は上位シグナリングを用いて、基地局にTA値の情報を伝達する。端末が物理チャネルを用いてTA値の情報を伝達する場合、TA値の情報を報告するために用いられるリソースが上位シグナリングによって設定される。
【0259】
端末が報告するTA値を決める基準時点及びTA値を報告する時点は、端末がTA値の報告を行う時点、TA値の報告がトリガーされた時点などを基準にして決定される。例えば、スロットnでDCIによってTA値の報告をトリガーした場合、端末がスロットn-Kで適用又は計算したTA値を報告し、端末は、スロットn+NでTA値を基地局に報告する。ここで、K及びNは、それぞれ副搬送波間隔(subcarrier spacing)又はUE能力、及びスロットのDL/UL設定及びPUCCHリソース設定などによって決定される値である。ここで、Kは0である。K=0とは、端末が、TA値の報告のトリガー信号が受信された時点を基準にTA値を報告することを意味する。また、ここでKは0よりも小さい値であり、この場合には、例えば端末がTA値を報告する時点のTA値を予め計算して報告する情報を生成し、報告する。また、Kは0よりも大きい整数値である。これは、端末がTA値を報告する時点(例えば、スロットn+N)よりも早い時点のTA値を端末が報告することであるが、これは、端末の報告する情報をエンコードし、送信を準備するために時間が必要であることから、早い時点のTA値を報告するわけである。
【0260】
図37A及び図37Bは、端末のTA値の報告のための基地局及び端末の動作の一例を示す図である。本発明のTA値の報告時に、端末の適用するTA値がms単位、スロット単位、シンボル単位などで指示されるか、或いは整数ではなく少数点以下値を含む情報として提供される。本発明のTA値の報告にはTAの絶対値を含むが、前の基地局から指示されたTA値又は定められたTA値を除く、相対的なTA値又はTA値の変化量(例えば、一定時間のTA値の変化量である。)などを含む。
【0261】
図37Aは、端末のTA値の報告のための基地局の動作の一例を示す図である。基地局は、上位シグナリングによってTA値の報告に関連する設定情報を送信する(段階3700)。このような設定情報は、例えばTA値の報告が行われる周期及びオフセット、TA値の報告トリガー条件、TA値の基準時点情報、報告すべきTA情報の種類、TA値の報告が行われるリソース設定情報などのTA値の報告を設定するための情報のうちの少なくとも一つを含む。基地局は端末にTA値の報告をトリガーする(段階3710)。このようなトリガーは、例えば上述した特定の内容の上位シグナリング又はDCIによって行われるが、省略されてもよい。基地局は、送信した設定情報によって端末が送信したTA値の報告を受信する(段階3720)。
【0262】
図37Bは、端末のTA値の報告のための端末の動作の一例を示す図である。端末は、上位シグナリングを用いて基地局が送信したTA値の報告に関連する設定情報を受信する(段階3730)。このような設定情報は、例えばTA値の報告が行われる周期及びオフセット、TA値の報告トリガー条件、TA値の基準時点情報、報告すべきTA情報の種類、TA値の報告が行われるリソース設定情報などのTA値の報告を設定するための情報のうちの少なくとも一つを含む。端末は、基地局の送信したTA値の報告をトリガーする信号を受信する(段階3740)。このようなトリガーは、例えば上述した特定の内容の上位シグナリング又はDCIによって行われるが、省略されてもよい。端末は、受信した設定情報によってTA値の報告を送信する(段階3750)。例えば、端末は、TA値の報告リソース情報を受信した場合、設定されたリソースでTA値の報告を送信する。図37A及び図37Bに開示された各段階は、その順序を変更して適用されてもよく、他の段階が付加されるか又は省略されて行われてもよい。
【0263】
[第4実施例]
【0264】
第4実施例は、端末がTA値を0又は定められた値に設定する方法及び装置を提供する。
【0265】
端末にサービスを提供する衛星又は基地局が突然に変更される場合、次の上りリンク送信のために端末が適用すべきTA値が突然に変更されることがある。このような理由などで、端末が適用するTA値を0又は予め定められた値に変更する手順が必要である。この時、下記の方法を用いてTA値の初期化が行われる。
【0266】
本発明において、TA値を初期化したということは、TA値を0に設定する方法であるか、又は前にDCI又は上位シグナリングによって設定された値に設定する方法である。本発明において、上位シグナリング(higher layer signaling)とは、MAC、PDCP、RRCなどのレイヤで伝達されるシグナリングであり、メモリに予め記憶されるか又はpre-configurationされる値である。
【0267】
-方法1:衛星及び端末の位置に基づき、端末は、自身にサービスを提供する衛星(又は、連結された衛星)が変更されたと判断すると、TA値を初期化する。この場合、端末は自身が適用するTA値を基地局に報告する。
【0268】
-方法2:基地局がDCIによってTA値の初期化を指示する。この方法では、TA値の初期化は、DCIの特定のビットフィールド値又はビットフィールド値の組み合わせによって指示される。例えば、TA値の初期化を指示するフィールドがDCIに含まれ、この場合、受信したDCIのフィールドが特定の値に設定された場合、端末はTA値の初期化が指示されたと理解する。或いは、DCIに含まれる一つ以上の(例えば、他の用途の)フィールドの値が予め定められた値に設定された場合、端末はTA値の初期化が指示されたと理解する。
【0269】
-方法3:端末が適用するTA値がTAの境界値を超えた場合、端末はTA値の初期化を行う。TA境界値とは上位層シグナリングによって予め設定された値である。
【0270】
上記では、説明の便宜のために、本発明の第1実施例から第4実施例を分けて説明したが、各実施例は互いに関連する動作を含んでいるため、少なくとも2個以上の実施例を組み合わせて構成することも可能である。また、各実施例の方法は、互いに排他的な関係ではなく、一つ以上の方法が組み合わされて行われることも可能である。
【0271】
本発明の上記実施例を行うための基地局、衛星、及び端末、又は送信端と受信端との送受信方法が示されており、これを行うために、基地局、衛星、及び端末の受信部、処理部、及び送信部がそれぞれ実施例によって動作しなければならない。
【0272】
具体的に、図38は、本発明の一実施形態による端末の内部構造を示すブロック図である。図38に示すように、本実施形態の端末は、端末機受信部3800、端末機送信部3820、端末機処理部3810を含む。端末機受信部3800及び端末機送信部3820を総称して、本発明の実施形態では送受信部と呼ぶ。送受信部は基地局と信号を送受信する。信号は、制御情報及びデータを含む。そのために、送受信部は、送信される信号の周波数を上昇変換及び増幅するRF送信機と、受信される信号を低雑音増幅して周波数を下降変換するRF受信機などで構成される。また、送受信部は、無線チャネルを介して信号を受信して端末機処理部3810に出力し、端末機処理部3810から出力された信号を、無線チャネルを介して送信する。端末機処理部3810は、上述した本発明の実施形態によって端末が動作するように一連の過程を制御する。例えば、端末機受信部3800で衛星又は地上基地局から信号を受信し、端末機処理部3810は、本明細書に記述した方法によって基地局と信号を送受信する。その後、端末機送信部3820は、決定された時点を用いて信号を送信する。
【0273】
図39は、本発明の一実施形態による衛星の内部構造を示すブロック図である。図39に示すように、本発明の衛星は、衛星受信部3900、衛星送信部3920、衛星処理部3910を含む。ここで、受信部、送信部、及び処理部は、複数個で構成される。即ち、端末から信号を送受信するための受信部及び送信部、そして基地局から信号を送受信するための受信部及び送信部のそれぞれ(及び、他の衛星と信号を送受信するための受信部及び送信部)で構成される。衛星受信部3900及び衛星送信部3920を総称して、本発明の実施形態では衛星の送受信部と称する。送受信部は、端末及び基地局と信号を送受信する。信号は、制御情報及びデータを含む。そのために、送受信部は、送信される信号の周波数を上昇変換及び増幅するRF送信機、受信される信号を低雑音増幅して周波数を下降変換するRF受信機などで構成される。また、送受信部は、無線チャネルを介して信号を受信して衛星処理部3910に出力し、衛星処理部3910から出力された信号を、無線チャネルを介して送信する。衛星処理部3910では、周波数オフセット又はドップラーシフトを補正するための補正機(compensator、pre-compensator)を含み、GPSなどから位置を追跡する装置を含む。また、衛星処理部3910では、受信信号の中心周波数を移動させる周波数移動(frequency shift)機能を含む。衛星処理部3910は、上述した本発明の実施形態によって衛星、基地局、端末が動作するように一連の過程を制御する。例えば、衛星受信部3900で端末からPRACHプリアンブルを受信し、これに応じたRARを再び端末に送信しながらTA情報を基地局に送信するように決定する。その後、衛星送信部3920は、決定された時点に当該信号を送信する。
【0274】
図40は、本発明の一実施形態による基地局の内部構造を示すブロック図である。図40で示すように、本発明の基地局は、基地局受信部4000、基地局送信部4020、基地局処理部4010を含む。基地局は地上基地局又は衛星の一部分である。基地局受信部4000及び基地局送信部4020を通称して本発明の実施形態では送受信部と称する。送受信部は端末と信号を送受信する。信号は、制御情報及びデータを含む。このために、送受信部は、送信される信号の周波数を上昇変換及び増幅するRF送信機と、受信される信号を低雑音増幅して周波数を下降変換するRF受信機などで(に)構成される。また、送受信部は、無線チャネルを介して信号を受信して基地局処理部4010で出力し、基地局処理部4010から出力された信号を、無線チャネルを介して送信する。基地局処理部4010は、上述した本発明の実施形態によって基地局が動作するように一連の過程を制御する。例えば、基地局処理部4010はTA情報を含むRARを送信する。
【0275】
一例として、通信システムにおける端末の実行方法は、基地局から第1タイミングアドバンス(timing advance:TA)ループインデックス情報を含む下りリンク制御情報を受信する段階と、第1TAループインデックス情報に基づいて確認される第1TAループインデックスに該当する第1TA値を確認する段階と、第1TA値を適用して下りリンク制御情報に基づいて上りリンクデータを送信する段階と、を有し、下りリンク制御情報は、上りリンクデータスケジューリング情報を更に含むことを特徴とする。
【0276】
また、通信システムにおける基地局の実行方法は、端末に第1タイミングアドバンス(timing advance:TA)ループインデックス情報を含む下りリンク制御情報を送信する段階と、下りリンク制御情報による上りリンクデータを受信する段階と、を有し、上りリンクデータ送信のベースとなるTA値は、第1TAループインデックス情報に基づいて確認される第1TAループインデックスに該当する第1TA値であり、下りリンク制御情報は上りリンクデータスケジューリング情報を更に含むことを特徴とする。
【0277】
また、通信システムにおける端末は、送受信部と、制御部と、を備え、制御部は、基地局から第1タイミングアドバンス(timing advance:TA)ループインデックス情報を含む下りリンク制御情報を受信し、第1TAループインデックス情報に基づいて確認される第1TAループインデックスに該当する第1TA値を確認し、第1TA値を適用して下りリンク制御情報に基づいて上りリンクデータを送信するように制御し、下りリンク制御情報は、上りリンクデータスケジューリング情報を更に含むことを特徴とする。
【0278】
また、通信システムにおける基地局は、送受信部と、制御部と、を備え、制御部は、端末に第1タイミングアドバンス(timing advance:TA)ループインデックス情報を含む下りリンク制御情報を送信し、下りリンク制御情報による上りリンクデータを受信するように更に制御し、上りリンクデータ送信のベースとなるTA値は、第1TAループインデックス情報に基づいて確認される第1TAループインデックスに該当する第1TA値であり、下りリンク制御情報は、上りリンクデータスケジューリング情報を更に含むことを特徴とする。
【0279】
一方、本明細書及び図面に開示された本発明の実施形態は、本発明の技術内容を容易に説明し、本発明の理解を助けるために特定の例を提示しただけであり、本発明の範囲を限定するためのものではない。即ち、本発明の技術的思想に基づく他の変形例も実施可能であるということが、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者には明らかであろう。また、上記のそれぞれの実施形態は必要に応じて互いに組み合わされて運用される。また、上記実施形態は、LTEシステム、5Gシステムなどに、上記実施形態の技術的思想に基づく他の変形例が実施可能であろう。
【符号の説明】
【0280】
102 OFDMシンボル
104、110 サブキャリア
106 スロット
108 リソースブロック(RB)又はPRB
112 リソース要素(RE)
114 無線(ラジオ)フレーム
201、202 制御領域#1、#2
203 周波数リソース
204 制御領域長
210 端末の帯域幅部分
220 スロット
300 システム全体の周波数帯域
301、408 eMBB
303、305、307 URLLCデータ
309 mMTC
402、404、406 サブバンド
410、412、414 URLLC
416 mMTC
501 転送ブロック(TB)
503、517、519、521、523 CRC
507、509、511、513 コードブロック(CB)1、2、N-1、N
601 主同期化信号(PSS)
603 副同期化信号(SSS)
802、804 スロットn
806、808 スロットn+4
810 伝達遅延時間(Tp)
812 タイミングアドバンス(TA)
900 TB1
902 スロット0
904 ACK/NACKフィードバック
906 スロット4
908 スロット8
910 再送信
1001、1210、3210、3310、3400 端末
1003、1200 衛星
1005 基地局
1100 静止軌道衛星(GEO)
1110 中軌道衛星(MEO)
1130 低軌道衛星(LEO)
1220、3240 地上局
1230 基地局(DU farms)
1600、1610、1620 経路損失
1900、1910 端末1、2
2100 端末から衛星までかかる遅延時間
2110 端末-衛星-基地局間の往復遅延時間
2300 ランダムアクセス応答(RAR)
2310 TA値に関する情報
2320 臨時C-RNTI値
2400、2500 PRACHを送信
2410、2510 ランダムアクセスウィンドウ
2420、2520 RARを受信
2700 ソーラーパネル又はソーラーアレイ
2710 端末との通信のための送受信アンテナ
2720 地上局との通信のための送受信アンテナ
2730 衛星間通信のための送受信アンテナ
3100 同一のMAC CE
3110、3112、3114、3116、3118、3120、3122、3124、3126 一グループの端末
3130 時間オフセット指示子の開始位置
3220、3320、3410 衛星1
3230、3330、3420 衛星2
3340、3350 地上局1、2
3412、3422 TAループ1、2
3800 端末機受信部
3810 端末機処理部
3820 端末機送信部
3900 衛星受信部
3910 衛星処理部
3920 衛星送信部
4000 基地局受信部
4010 基地局処理部
4020 基地局送信部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27A
図27B
図28
図29
図30
図31A
図31B
図31C
図32
図33
図34
図35A
図35B
図36A
図36B
図37A
図37B
図38
図39
図40
【手続補正書】
【提出日】2023-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システムにおける端末が行う方法であって、
基地局から、衛星網(non-terrestrial network)通信に関する設定情報を受信する段階と、
タイミングアドバンス(timing advance:TA)の値を確認する段階と、
前記基地局に、前記TAの値を適用して上りリンク信号を送信する段階と、を有し、
前記TAの値は、第1オフセット及び第2オフセットに基づいて確認され、
前記第1オフセットは、多数の端末に適用される一般(common)オフセットであり、前記第2オフセットは、端末特定(user equipment-specific)であることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1オフセットは、前記TAの変化率に基づき、前記第2オフセットは、上位層シグナリングに基づくことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項3】
TA値の報告のための臨界値に基づいて前記TA値の報告がトリガーされたか否かを確認する段階と、
前記基地局に、MAC CE(medium access control control element)を介して前記TA値の報告を送信する段階と、を更に含み、
前記TA値の報告は、前記端末が計算したTAの値を含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記TA値の報告に含まれる前記TAの値は、TA値を報告する時点の前に計算されたTAの値を含み、
前記TA値の報告に含まれる前記TAの値は、スロット単位で指示されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記TA値の報告のための臨界値は、上位層シグナリングとして設定されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
通信システムにおける基地局が行う方法であって、
端末に、衛星網(non-terrestrial network)通信に関する設定情報を送信する段階と、
前記端末から、タイミングアドバンス(timing advance:TA)の値が適用された上りリンク信号を受信する段階と、を有し、

前記TAの値は、第1オフセット及び第2オフセットに基づき、
前記第1オフセットは、多数の端末に適用される一般(common)オフセットであり、前記第2オフセットは、端末特定(user equipment-specific)であることを特徴とする方法。
【請求項7】
前記第1オフセットは、前記TAの変化率に基づき、前記第2オフセットは、上位層シグナリングに基づくことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記端末から、MAC CE(medium access control control element)を介してTA値の報告を受信する段階を更に含み、
前記TA値の報告は、TA値の報告のための臨界値に基づいてトリガーされ、
前記TA値の報告は、前記端末が計算したTAの値を含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記TA値の報告に含まれる前記TAの値は、TA値を報告する時点の前に計算されたTAの値を含み、
前記TA値の報告に含まれる前記TAの値は、スロット単位で指示されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記TA値の報告のための臨界値は、上位層シグナリングを介して送信されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
通信システムにおける端末であって、
送受信部と、
前記送受信部に連結される制御部と、を備え、
前記制御部は、基地局から、衛星網(non-terrestrial network)通信に関する設定情報を受信し、タイミングアドバンス(timing advance:TA)の値を確認し、前記基地局に、前記TAの値を適用して上りリンク信号を送信するように制御し
前記TAの値は、第1オフセット及び第2オフセットに基づいて確認され、
前記第1オフセットは、多数の端末に適用される一般(common)オフセットであり、前記第2オフセットは、端末特定(user equipment-specific)であることを特徴とする端末。
【請求項12】
前記第1オフセットは、前記TAの変化率に基づき、前記第2オフセットは、上位層シグナリングに基づくことを特徴とする請求項11に記載の端末。
【請求項13】
前記制御部は、TA値の報告のための臨界値に基づいて前記TA値の報告がトリガーされたか否かを確認し、前記基地局に、MAC CE(medium access control control element)を介して前記TA値の報告を送信するように更に制御し
前記TA値の報告は、前記端末が計算したTAの値を含むことを特徴とする請求項11に記載の端末。
【請求項14】
前記TA値の報告に含まれる前記TAの値は、TA値を報告する時点の前に計算されたTAの値を含み、
前記TA値の報告に含まれる前記TAの値は、スロット単位で指示されることを特徴とする請求項13に記載の端末。
【請求項15】
前記TA値の報告のための臨界値は、上位層シグナリングとして設定されることを特徴とする請求項13に記載の端末。
【請求項16】
通信システムにおける基地局であって、
送受信部と、
前記送受信部に連結される制御部と、を備え、
前記制御部は、端末に、衛星網(non-terrestrial network)通信に関する設定情報を送信し、前記端末から、タイミングアドバンス(timing advance:TA)の値が適用された上りリンク信号を受信するように制御し
前記TAの値は、第1オフセット及び第2オフセットに基づき、
前記第1オフセットは、多数の端末に適用される一般(common)オフセットであり、前記第2オフセットは、端末特定(user equipment-specific)であることを特徴とする基地局。
【請求項17】
前記第1オフセットは、前記TAの変化率に基づき、前記第2オフセットは、上位層シグナリングに基づくことを特徴とする請求項16に記載の基地局。
【請求項18】
前記制御部は、前記端末から、MAC CE(medium access control control element)を介してTA値の報告を受信するように更に制御し、
前記TA値の報告は、TA値の報告のための臨界値に基づいてトリガーされ、
前記TA値の報告は、前記端末が計算したTAの値を含むことを特徴とする請求項16に記載の基地局。
【請求項19】
前記TA値の報告に含まれる前記TAの値は、TA値を報告する時点の前に計算されたTAの値を含み、
前記TA値の報告に含まれる前記TAの値は、スロット単位で指示されることを特徴とする請求項18に記載の基地局。
【請求項20】
前記TA値の報告のための臨界値は、上位層シグナリングを介して送信されることを特徴とする請求項18に記載の基地局。
【国際調査報告】