(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-08
(54)【発明の名称】抗高コレステロール血症組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 36/068 20060101AFI20230801BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20230801BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230801BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20230801BHJP
A61K 36/062 20060101ALI20230801BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20230801BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230801BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230801BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20230801BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230801BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230801BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20230801BHJP
A61K 31/01 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
A61K36/068
A61K36/185
A61P43/00 121
A61P3/06
A61K36/062
A61K47/34
A61K47/12
A61K47/36
A61K47/04
A61K47/26
A61K47/38
A61P9/10 101
A61K31/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023503199
(86)(22)【出願日】2021-07-14
(85)【翻訳文提出日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 IN2021050680
(87)【国際公開番号】W WO2022013888
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】202011030460
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523017660
【氏名又は名称】エヌビーアイ バイオサイエンシーズ プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】クマール アトゥル
(72)【発明者】
【氏名】シュリヴァスタヴァ リカ
(72)【発明者】
【氏名】キラン カミレディ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C087
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4C076CC21
4C076DD08C
4C076DD29C
4C076DD38B
4C076DD41C
4C076DD67B
4C076EE23C
4C076EE31B
4C076EE38C
4C076FF06
4C076FF09
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BC04
4C087BC05
4C087CA11
4C087NA05
4C087ZA45
4C087ZC33
4C087ZC75
4C088AB12
4C088AC05
4C088BA08
4C088BA14
4C088CA03
4C088MA08
4C088NA05
4C088NA14
4C088ZA45
4C088ZC33
4C088ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206BA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA45
4C206ZC33
(57)【要約】
本発明は、抗高コレステロール血症組成物及び組成物の製造方法に関する。それに応じて、本発明はコレステロール形成を減らす組成物及びその組成物の製造方法を明らかにする。抗高コレステロール血症組成物は、ツルムラサキの葉の抽出が30~70質量%の範囲で、紅麹米抽出物が5~50質量%の範囲で、スクアレン抽出物が1~30質量%の範囲で、冬虫夏草抽出物が10~70質量%及び少なくとも1つの栄養的に又は医薬的に許容される賦形剤が0.01~50質量%の範囲で含有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-30~70質量%の範囲のツルムラサキの葉の抽出物、
-5~50質量%の範囲の紅麹米抽出物、
-1~30質量%の範囲のスクアレン抽出物、
-10~70質量%の範囲の冬虫夏草抽出物、及び
-0.01~50質量%の範囲で少なくとも1つの栄養的に又は医薬的に許容される賦形剤、を含有する抗高コレステロール血症組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つの栄養的に又は医薬的に許容される賦形剤が希釈剤、超崩壊剤、結合剤、潤滑材、滑剤、充填剤、ビタミン、ミネラル、植生化学物質及び酸化防止剤からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つの結合剤が、ゼラチン、エチルセルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、一酸化ケイ素、ノイシリンUS2、デキストリン、タルク、ステアリン酸マグネシウム、アエロジル及び微結晶セルロースの群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの潤滑剤が、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、安息香酸ナトリウム及びポリエチレングリコールの群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの滑剤が、コーンスターチ及び二酸化ケイ素の群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの超崩壊剤が、ラクトース、微結晶セルロース及びソルビートルの群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
-ビタミンが、ビタミンD、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンA及びビタミンKの群から選択され、
-ミネラルが、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、鉄、セレンの群から選択され、
-植生化学物質がクルクミンであり、及び
-酸化防止剤がケルセチン及びレスベラトロールの群から選択される、前記請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
前記ツルムラサキ抽出物が
-0.5~2%の範囲の量のポリフェノール、
-0.5~2%の範囲の量のフェノール、
-0.2~3%の範囲の量のフラボノイド、及び
-0.2~1%の範囲の量のアスコルビン酸、を含有する請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記紅麹米抽出物中のモナコリンK含有量が0.1~100ppmであり、及び前記紅麹米抽出物中のアンカフラビン含有量が0.2~5%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
-ツルムラサキの葉の抽出物、冬虫夏草抽出物、紅麹米抽出物及びスクアレン抽出物を調製する工程であって、
前記ツルムラサキの葉の抽出物が、以下
・所定量のツルムラサキの葉を乾燥し、続いて挽いて、所望の粒子径を有する挽いた植物材料を得る工程、
・挽いた植物材料を、エタノール、ヘキサン、アセトン、再蒸留水の群から選択される溶媒を使用して抽出し、続いて溶媒を除去及び回収する工程、
・溶媒の残量残渣を除去するために窒素フラッシングし、粗抽出物を得る工程、
・粗抽出物をエタノール、メタノールおよびヘキサンの少なくとも1つに溶解し、続いて深部凍結することにより、粗抽出物を脱ろうする工程、
・不要なワックス状物質を除去するためにコールドフィルターし、続いて、所定量のアエロジルとデキストリンを粗抽出物に添加してツルムラサキの葉の抽出物を得る工程、によって準備され、
前記冬虫夏草抽出物は、以下
・菌糸体又は子実体の形で所定量の冬虫夏草培養物を成長させる工程、及び
・子実体または菌糸体を採取して乾燥し、続いて粉末化して冬虫夏草抽出物を得る工程、によって準備され、
前記紅麹米の抽出物は、以下
・紅麹米をすりつぶして粉末を得る工程、
・水、エタノール、アセトン、メタノール、アセトン、ジエチルエーテル、およびヘキサンからなる群から選択される溶媒を用いて粉砕または均質化し、続いて濾過して抽出物を得る工程、
・前記抽出物を8~12時間維持し、赤色沈殿物及び黄色浮遊物を得る工程、
・黄色浮遊物を乾燥し、スラリーを得る工程、
・乾燥賦形剤を前記スラリーに加え、粉末状の紅麹米抽出物を得る工程、によって準備され
及び、
-抽出物と少なくとも1つの栄養的に又は医薬的に許容される賦形剤の所定量とを一緒に混合し、抗高コレステロール血症組成物を得る工程、を含む、抗高コレステロール血症組成物の製造方法。
【請求項11】
-30~70重量%の範囲のツルムラサキの葉の抽出物;
-5~50重量%の範囲の紅麹米抽出物;
-1~30重量%の範囲のスクアレン抽出物;
-10~70重量%の範囲の冬虫夏草抽出物;及び
-0.01~50重量%の範囲の少なくとも1つの栄養的に又医薬的に許容される賦形剤を含有する、高コレステロール血症及びアテローム性動脈硬化症の治療又は予防のための抗高コレステロール血症組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1つの栄養的に又は医薬的に許容される賦形剤が、希釈剤、超崩壊剤、結合剤、潤滑剤、滑剤、充填剤、ビタミン、ミネラル、植性化学物質および酸化防止剤からなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗高コレステロール血症組成物とその組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コレステロールは、人の体の全細胞から見つかる、ろう様で脂肪のような物質である。コレステロールは、ホルモン、ビタミンD及び消化に必要とされる物質生成に不可欠である。これらの機能に必要なコレステロールは、体によって作られるか、又は様々な食物源、特に卵黄、肉、並びにチーズといった動物源から得られる。大雑把に、コレステロールは2つのカテゴリーに分類される:悪玉コレステロール(低比重リポタンパク質-LDL)と善玉コレステロール(高比重リポタンパク質-HDL)である。一般的に、血管中のLDL沈着物は、血管のサイズの縮小を引き起こし、体中を通る酸素リッチな血液の流れに負担をかける。さらに、LDL は血栓の形成を引き起こす可能性もあり、これはよく壊れて血流を遮断し、心臓発作や脳卒中を引き起こす。一方で、HDLは、コレステロールを他の体の部分から肝臓に輸送し、それを体から除去する。
【0003】
コレステロールは、ホルモン、ビタミンD及び消化に必要とされる物質の生成に不可欠であるが、より高濃度のコレステロールは、血中の他の物質と結合してプラークを形成する。ある期間に渡って、このプラークは動脈の壁に粘着し、冠動脈疾患を引き起こす。従って、コレステロール値を低くすることは最も重要である。高コレステロール血症は、主に細胞と血漿のコレステロール濃度に起因する血中コレステロール値の上昇である。これはアテローム性動脈硬化、冠状動脈性心臓病、心筋梗塞及び脳卒中のような多くの心疾患を引き起こす。
【0004】
例えば不健康な食習慣やライフスタイル、運動不足、遺伝、年齢、体重並びに糖尿病、喫煙、性別、人種及び民族性などの健康状態といった高レベルのコレステロールを持つ傾向を示し得る多くのリスク因子がある。主に、コレステロールは、薬によって又は食生活改善を通してのいずれかによって管理される。薬では、スタチンは一般的に高コレステロール血症の管理の第一選択薬である。スタチンは第一選択薬であるが、それらは安全性の記録がかなり低く、高い副作用がある。これがスタチンへの長期的な粘着(adherence)の低下を引き起こす。一方、他のコレステロールを下げる薬は、筋肉の痛みや損傷、肝臓障害、糖尿病、混乱及び記憶喪失を含む様々な副作用がある。
【0005】
従って、上記の副作用がなく、抗高コレステロール血症効果も有する組成物の必要性が感じられる。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の一態様は、コレステロール形成を低下させる組成物を提供する。抗高コレステロール血症組成物は、30~70重量%の範囲のツルムラサキの葉(Base alba leaf)の抽出物、5~50重量%の範囲の紅麹米(red yeast rice)抽出物、1~30重量%の範囲のスクアレン(squalene)抽出物、10~70重量%の範囲の冬虫夏草(cordyceps)抽出物及び0.01~50重量%の範囲の少なくとも1つの栄養的に又は医薬的に許容される賦形剤を含有する。
【0007】
本発明の別の態様は、抗高コレステロール血症組成物の製造方法も開示する。
【0008】
本発明の実施形態を参照し、その例は添付の図面に示され得る。これらの図は例示を意図したものであり、これらの図に限定されない。本発明はこれらの実施態様の状況を概説しているが、本発明の範囲をこれら特定の実施形態に限定するという意図はないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は心臓の病理組織像を示す:1は核を示し、2は脂肪細胞を示し、3は介在板を示し、4は心筋を示し、及びA.正常対照、B.高脂肪食(HFD)1ml/d+普通食、C.高脂肪食(HFD)+普通食+本発明の組成物(OD)、D.高脂肪食(HFD)+普通食+本発明の組成物(BD)、E.高脂肪食(HFD)+普通食+スタチン、及びF.本発明の実施態様に従って普通食と与えられた本発明の組成物(OD)。
【
図2】
図2は脾臓の病理組織像を示す:1は小柱を示し、2は白脾髄を示し、3は赤脾髄を示す、及びA.正常対照。B.高脂肪食(HFD)1ml/d+普通食。C.高脂肪食(HFD)+普通食+本発明の組成物(OD)、D.高脂肪食(HFD)+普通食+本発明の組成物(BD)、E.高脂肪食(HFD)+普通食+スタチン、及びF.本発明の実施態様に従って普通食と与えられた本発明の組成物(OD)。
【
図3】
図3は肺の病理組織像を示す:1は細気管支を示し、2は肺胞を示し、3は静脈を示し、及びA.正常対照、B.高脂肪食(HFD)1ml/d+普通食、C.高脂肪食(HFD)+普通食+本発明の組成物(OD)、D.高脂肪食(HFD)+普通食+本発明の組成物(BD)、E.高脂肪食(HFD)+普通食+スタチン、及びF.本発明の実施態様に従って普通食と与えられた本発明の組成物(OD)。
【
図4】
図4は腎臓の病理組織像を示す:1は緻密班を示し、2は近位尿細管を示し、3は毛細管を示し、4はメサンギウム細胞(mesaglial cells)を示す、及びA.正常対照、B.高脂肪食(HFD)1ml/d+普通食、C.高脂肪食(HFD)+普通食+本発明の組成物(OD)、D.高脂肪食(HFD)+普通食+本発明の組成物(BD)、E.高脂肪食(HFD)+普通食+スタチン、及びF.本発明の実施態様に従って普通食と与えられた本発明の組成物(OD)。
【
図5】
図5は肝臓の病理組織像を示す:1は動脈を示し、2は胆管を示し、3は門脈管を示し、4は門脈を示す、及びA.正常対照、B.高脂肪食(HFD)1ml/d+普通食。C.高脂肪食(HFD)+普通食+本発明の組成物(OD)、D.高脂肪食(HFD)+普通食+本発明の組成物(BD)、E.高脂肪食(HFD)+普通食+スタチン、及びF.本発明の実施態様に従って普通食と与えられた本発明の組成物(OD)。
【
図6】
図6は大動脈の病理組織像を示す、1は内膜を示し、2は中膜を示し、3は外膜を示し、4はプラークを示す、及びA.通常のラット、及びB.本発明の実施態様に従ってコレステロール誘発群においてプラーク形成を有する内膜の変化を示すHED食餌ラット。
【
図7】
図7は心臓の病理組織像を示す、1は介在板を示し、2は核を示し、3は脂肪細胞を示し、4は心筋を示す、及びA.正常対照、B.高脂肪食(HFD)中止、C.高脂肪食(HFD)継続、D.スタチン+高脂肪食(HFD)(中止)、E.スタチン+高脂肪食(HFD)(継続)、F.本発明の組成物(BD)+高脂肪食(HFD)(中止)、及びG.本発明の組成物(BD)+高脂肪食(HFD)(継続)は本発明の実施態様に従う。
【
図8】
図8は脾臓の病理組織像を示す:1は小柱を示し、2は白脾髄を示し、3は中心動脈を示し、4は赤脾髄を示す、及びA.正常対照。B.高脂肪食(HFD)中止、C.高脂肪食(HFD)継続、D.スタチン+高脂肪食(HFD)(中止)、E.スタチン+高脂肪食(HFD)(継続)、F.本発明の組成物(BD)+高脂肪食(HFD)(中止)、及びG.本発明の組成物(BD)+高脂肪食(HFD)(継続)は本発明の実施態様に従う。
【
図9】
図9は肺の病理組織像を示す:1は細気管支を示し、2は肺胞を示し、3は静脈を示し、及びA.正常対照。B.高脂肪食(HFD)中止、C.高脂肪食(HFD)継続、D.スタチン+高脂肪食(HFD)(中止)、E.スタチン+高脂肪食(HFD)(継続)、F.本発明の組成物(BD)+高脂肪食(HFD)(中止)、G. 本発明の実施態様に従って、本発明の組成物(BD)+高脂肪食(HFD)(継続)。
【
図10】
図10は腎臓の病理組織像を示す:1は緻密班を示し、2は近位尿細管を示し、3は毛細管を示し、4はメサンギウム細胞(mesaglial cells)を示す、及びA.正常対照、B.高脂肪食(HFD)中止、C.高脂肪食(HFD)継続、D.スタチン+高脂肪食(HFD)(中止)、E.スタチン+高脂肪食(HFD)(継続)、F.本発明の組成物(BD)+高脂肪食(HFD)(中止)、G. 本発明の実施態様に従って、本発明の組成物(BD)+高脂肪食(HFD)(継続)。
【
図11】
図11は肝臓の病理組織像を示す:1は動脈を示し、2は胆管を示し、3は門脈を示し、4は門脈管を示す、及びA.正常対照、B.高脂肪食(HFD)中止。C.高脂肪食(HFD)継続、D.スタチン+高脂肪食(HFD)(中止)、E.スタチン+高脂肪食(HFD)(継続)、F.本発明の組成物(BD)+高脂肪食(HFD)(中止)、G. 本発明の実施態様に従って、本発明の組成物(BD)+高脂肪食(HFD)(継続)。
【
図12】
図12は大動脈の病理組織像を示す:1はプラークを示し、2は内膜を示し、3は中膜を示し、4はプラーク分解、5はプラーク再生を示す、及びA.正常対照、B.高脂肪食(HFD)中止、C.高脂肪食(HFD)継続、D.スタチン+高脂肪食(HFD)(中止)、E.スタチン+高脂肪食(HFD)(継続)、F.本発明の組成物(BD)+高脂肪食(HFD)(中止)、G. 本発明の実施態様に従って、本発明の組成物(BD)+高脂肪食(HFD)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、コレステロール形成を低下する組成物及びその製造方法を開示する。開示される本発明の一態様は、抗高コレステロール血症組成物である。組成物はコレステロールを低下する有効成分と少なくとも1つの栄養的に又は医薬的に許容される賦形剤を含有する。本発明の一実施態様におけるコレステロールが下がる有効成分は、ツルムラサキ、紅麹米、冬虫夏草及びスクアレンからなる群からの抽出物、フラクション、活性化合物及び植生化学物質又はそれらの混合物から選択される。これらの成分は、従来の抽出手順から得られる。本発明の例となる実施態様では、コレステロールが下がる有効成分は抽出物又は濃縮フラクション(enriched fraction)又は純粋化合物又はそれらの混合物である。
【0011】
ツルムラサキ抽出物は、マラーバーほうれん草(Malabar Spinach)、ヴァインほうれん草(vine spinach)、及びセイロンほうれん草(Ceylon spinach)として知られるツルムラサキから得られる。それはインド亜大陸、東南アジア及びニューギニアを原産とする。しかしながら、中国、熱帯アフリカ、ブラジル、ベリーズ、コロンビア、西インド諸島、フィジー、フランス領ポリネシアでは帰化し、その結果、抽出物又は原料はこれらのさまざまな天然源のいずれからでも調達できる。一般的に、植物抽出物は、根茎、根、茎、種子、樹皮、花、葉および果実などであるがこれらに限定されない植物の様々な部分から選択された植物材料に由来し、従来の溶媒を使用する従来の抽出技術を使用して抽出される。本発明の一実施態様として、ツルムラサキ抽出物はツルムラサキの葉に由来する。本発明の一実施態様として、ツルムラサキ抽出物は、0.5~2%の範囲の量のポリフェノール、0.5~2%の範囲の量のフェノール、0.2~3%の範囲の量のフラボノイド及び0.2~1%の範囲の量のアスコルビン酸から含有する。
【0012】
本発明の範囲は、ツルムラサキ植物及びそれに由来する生成物に限ったものではなく、植物学的に近い関係のある植物、特に同じ科に属する植物、好ましくは同じ属に属する植物、より好ましくは実質的に類似の表現型及び遺伝子型特性を有する同じ種に属する植物にも及ぶ。
【0013】
従来の溶媒は、限定されることなく、水、アルコール、有機溶媒及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、又は方法は、例えば低温抽出、浸漬、注入、煎出、透過、高温連続抽出(ソックスレー)、水性アルコール抽出、発酵、向流抽出、超音波抽出(超音波処理)、コールドプレス抽出及び超臨界流体抽出の、いずれか完全な抽出物を得るのに適している群から選択される。抽出物は、固形又は半固形又は液体状又はナノエマルジョン状でも良い。
【0014】
紅麹米(red yeast rice)は、紅米麹(red rice koji)、紅発酵米(red fermented rice)、紅麹米(red koji rice)、アンカ(anka)又はアンガク(angkak)としても知られている。紅麹米は、モナスカス菌(Monascaceae mold)、好ましくはベニコウジカビ(Monascus purpureus)、モナスカスルバー(Monascus ruber)又はモナスカスピローサス(Monascus pilosus)と調理された米粒の発酵によって生成される。これは、色素沈着能力により米を赤紫色の穀粒に変えるMonascus purpureus went、Monascus purpureus NTU568、Monascus purpureus BCRC 3615、Monascus purpureus BCRC 31534、Monascus purpureus BCRC 31526、Monascus purpureus MTCC 1090といった特定の種のすべての関連がある株も含む。本発明の一態様における紅麹米中のモナコリンK含有量は、0.1~100ppmであり、紅麹米中のアンカフラビン含有量は0.2~5%である。
【0015】
本発明の範囲は、モナスカス菌及びそれに由来する生成物に限ったものではなく、微生物学的に近い関係のある微生物、特に同じ科に属する微生物、好ましくは同じ属に属する微生物、より好ましくは実質的に類似の表現型及び遺伝子型特性を有する同じ種及び株に属する微生物にも及ぶ。
【0016】
冬虫夏草は、チャイニーズキャタピラーファンガス(Chinese caterpillar fungus)又はDong Chong Xia Cao又はキャタピラーマッシュルーム(Caterpillar mushroom)、Cs-4、チャンピオンシェニール(Champignon chenille)、チャイニーズキャタピラーファンガス(Chinese caterpillar fungus)、オフィオコルディケプス(Ophiocordyceps)、冬虫夏草又はベジタブルキャタピラー(Vegetable caterpillar)として知られている。冬虫夏草は、発酵工程によって生成され、冬虫夏草培養物と、好ましくは発酵工程によって米粒培地上又は懸濁液上でマットのような構造として育ったCordyceps sinensis及びCordyceps militarisと調理された米粒で成長し、菌糸体及びさらにこれはキノコに似た指のような子実体を生じるとして知られている。Cordyceps sinensis及びCordy militarisは、チベット、ネパール及びインドを原産とする。しかしながら、これらは普通に北半球中に広がっている。
【0017】
本発明の範囲は、冬虫夏草菌及びそれに由来する/抽出された生成物に限ったものではなく、他の微生物学的に近い関係のある微生物、特に同じ科に属する微生物、好ましくは同じ属に属する微生物、より好ましくは実質的に類似の表現型及び遺伝子型特性を有する同じ種及び株に属する微生物にも及ぶ。
【0018】
スクアレンはコレステロール生合成における中間分子であり、オリーブ、大豆、アマランサス、米糖、ブドウの種、アーモンド、ココナッツ、パーム、小麦麦芽などの植物源から調達される。供給源は植物だけに限定されず、サメ、海産源及び動物由来などの動物源も含まれる。本発明の一実施態様としてスクアレン抽出物は、商業的に市場から得られる。
【0019】
本発明の一実施態様として、ツルムラサキの葉の抽出物の量は30~70質量%の範囲であり、紅麹米抽出物の量は5~50質量%であり、スクアレン抽出物の量は1~30質量%の範囲であり、冬虫夏草抽出物の量は10~70質量%の範囲及び少なくとも1つの栄養的に又は医薬的に許容される賦形剤の量は0.01~50質量%である。
【0020】
本発明の別の実施態様として、ツルムラサキの葉の抽出物の量は35~55質量%であり、紅麹米抽出物の量は5~20質量%であり、スクアレン抽出物の量は1~5質量%の範囲であり、冬虫夏草抽出物の量は15~35質量%の範囲及び少なくとも1つの栄養的に又は医薬的に許容される賦形剤の量は5~20質量%である。
【0021】
本発明の一実施態様として、少なくとも1つの栄養的に又は医薬的に許容される賦形剤は少なくとも1つの希釈剤、少なくとも1つの超崩壊剤、少なくとも1つの結合剤、少なくとも1つの潤滑剤、少なくとも1つの滑剤、少なくとも1つの充填剤、少なくとも1つのビタミン、少なくとも1つのミネラル、少なくとも1つの植生化学物質、少なくとも1つの酸化防止剤及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる。
【0022】
本発明の一実施態様として、少なくとも1つの結合剤は、ゼラチン、エチルセルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、一酸化ケイ素、ノイシリンUS2、デキストリン、タルク、ステアリン酸マグネシウム、アエロジル及び微結晶セルロースの群から選択される。
【0023】
本発明の他の実施態様として、少なくとも1つの潤滑剤は、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、安息香酸ナトリウム及びポリエチレングリコールの群から選択される。
【0024】
本発明のさらに別の実施態様では、少なくとも1つの滑剤は、コーンスターチおよび二酸化ケイ素の群から選択される。
【0025】
本発明のさらにまた別の実施態様では、少なくとも1つの超崩壊剤は、ラクトース、微結晶性セルロースおよびソルビトールの群から選択される。
【0026】
本発明の実施態様として、組成物は半固体塊、油及び水溶性分散体、ナノエマルジョン、カプセル、タブレット、シロップ、ブレンド、懸濁液などの群から選択される剤形で調製される。他の実施態様として、剤形は即時放出、持続放出、及び遅延放出の群からさらに選択される。本発明の例示的な実施態様では、本発明の組成物はカプセル化され、カプセルの剤形である。投薬量に応じて、組成物はより好ましい剤形の製造及び接種後の分解に必要な賦形剤をさらに含んでもよく、当業者によって選択されてもよい。
【0027】
本発明のさらに別の実施態様では、カプセルシェルは、限定されることなく、コーンスターチ、ゼラチン、HPMC及びカラギーナンからなる群から選択された加工デンプンを使用して調製される。
【0028】
有利に、本発明の組成物は、HMG-CoA還元酵素を低下することによってコレステロール形成を効果的に低下させ、LDL-酸化を防止する。本発明の組成物は、存在するプラークも除去し、プラーク形成の発生及びアテローム性動脈硬化症の発生率も低下する。それとは別に、又は追加として、組成物は、高コレステロール血症の管理、治療、または予防に使用するためのものであり得る。
【0029】
本発明の実施態様として、高コレステロール血症及びアテローム性動脈硬化症の治療又は予防のための抗高コレステロール血症組成物が開示される。組成物は、ツルムラサキの葉の抽出が30~70質量%の範囲で、紅麹米抽出物が5~50質量%の範囲で、スクアレン抽出物が1~30質量%の範囲で、冬虫夏草抽出物が10~70質量%及び少なくとも1つの栄養的に又は医薬的に許容される賦形剤が0.01~50質量%の範囲で含有する。
【0030】
本発明の別の態様では、組成物の製造方法が開示される。前記方法は、最初にツルムラサキの葉の抽出物、冬虫夏草抽出物、紅麹米抽出物及びスクアレン抽出物を得る工程を含む。その後に、これら抽出物の所定量を所定量の少なくとも1つの栄養的に又は医薬的に許容される賦形剤と混合し、本発明の抗高コレステロール血症組成物を得る。
【0031】
本発明の実施態様として、ツルムラサキの葉の抽出物は、最初に所定量のツルムラサキの葉を入手し、続いて水分を除去するために乾燥することによって準備される。次いで、乾燥した葉を挽いて、最も抽出に適した所望の粒子径を持つ挽かれた植物材料を得る。その後、前記挽かれた植物材料は、様々な抽出過程を通じて様々な溶媒を使用して抽出され、続いてロータリーエバポレーターによって溶媒を除去及び回収する。抽出に使用される溶媒は、エタノール、ヘキサン、アセトン、再蒸留水の群から選ばれる。次の段階は、粗抽出物を得るために溶媒の残量残渣を除去するために行う窒素フラッシングである。次いで、前記粗抽出物は、溶媒中に粗抽出物を溶かし、続いて深部凍結することによって脱ろうする。一般的に、エタノール、メタノール及びヘキサンが溶媒として使われる。不要なワックス状物質はコールドフィルターによって除去し、続いて所定量のアエロジル及びデキストリンを粗抽出物に加え、次いで溶媒をロータリーエバポレーターによって除去することでツルムラサキの葉の抽出物を乾燥粉末の形で得る。総フラボノイド含有量が0.04%を超える前記パウダー抽出物は、乾燥した湿気のない状態で保存される。
【0032】
本発明の別の実施態様として、紅麹米抽出物は最初に紅麹米をすりつぶし、粉末を得ることによって準備される。その後、粉末になった紅麹米は、適した溶媒を使用して粉砕機又はホモジナイザーで抽出される。前記溶媒は、水、エタノール、アセトン、メタノール、アセトン、ジエチルエーテル及びヘキサンの群から選ばれる。得られた前記溶媒抽出物(solvent extraction)を濾過する。一般的に、溶媒抽出(solvent extraction)及びろ過工程は、最大限の抽出物を得るために2~5回繰り返される。得られた抽出物は8~12時間そのままにしておき、赤色沈殿物及び黄色浮遊物を得る。次いで、黄色浮遊物をロータリーエバポレーター内で乾燥させ、スラリーを得る。その後、乾燥賦形剤をスラリーに添加し、0.1ppm~100ppmの範囲のモナコリンK含有量を有する粉末状態の紅麹米抽出物を得る。
【0033】
本発明のさらに別の実施態様として、モナスカス菌抽出物は最初に米粒上で所定量のモナスカス培地に成長させ、続いて水分を除去するために乾燥させることによって準備される。次いで、前記モナスカス培地で発酵した乾燥米粒は挽かれ、最大限の抽出に適した所望の粒径を有する挽かれた菌材料を得る。モナスカス培地の粉末は、アセトン又はエーテル又はメタノール又はエタノール又はジクロロメタン又は酢酸エチル又はクロロホルム又はヘキサン又は水又は溶媒の組み合わせによって抽出される。この工程は、最大限の抽出物を得るために3~5回繰り返される。前記抽出溶媒は、真空乾燥機又はエバポレーターによって蒸発乾固される。前記濃縮抽出物は、シリカゲル又はセファデックス又はC18カラムを通して、適切な溶媒又はそれらの混合液(アセトン又はエーテル又はメタノール又はエタノール又はジクロロメタン又は酢酸エチル又はクロロホルム又はヘキサン又は水)で溶出することにより、着色したフラクションを回収する。着色したフラクションをさらに精製するために、カラムクロマトグラフィーの繰り返し工程は、シリカ又はセファデックス又はC18のカラム材料が採用され、溶離液からの各フラクションを、モナシン及びアンカフラビン含有量について検査した。モナシンとアンカフラビンがリッチなフラクションを回収し、さらなる精製は高純度のために分取HPLCで実施した。
【0034】
本発明の1つの実施態様として、スクアレン抽出物は付加価値製品として供給メーカー/市場から直接手に入る。植物油からのスクアレンの一般的な精製手順は、シリカベースカラム精製及びヘキサンによる溶出である。
【0035】
本発明の1つの実施態様として、冬虫夏草抽出物は、まず、適した培地で育った菌糸体又は子実体で所定量の冬虫夏草培地を育てることによって準備される。前記子実体又は菌糸体は回収し、乾燥し水分を除去し、所望の粒子径の粉末にする。全粉末又は抽出物は処方目的で所定量使用される。
【0036】
一実施形態では、成分の純度の試験及び有効成分の定量化方法は、分光計又はガスクロマトグラフィー又は薄層クロマトグラフィー又は高性能薄層クロマトグラフィー又は高性能液体クロマトグラフィー又は液体クロマトグラフィー又は質量分析を使用して実施する。
【実施例】
【0037】
(実施例1)
本発明の組成物とスタチン(アトルバスタチン)との抗アテローム性動脈硬化及び抗高コレステロール血症の可能性の比較:
190~225gの範囲の体重のウィスター系アルビノラットを本研究のために選択した。温度と湿度を最適条件(22+2℃、40~70%)に維持し、動物を自然な実際の昼夜サイクルにさらした。前記実験は動物倫理委員協会に従って実施した。
(予防研究)
90日間続いた予防研究では、1 グループにつき6 匹のラットを使用した。前記研究は、スタチン(アトルバスタチン)と本発明の組成物との抗高コレステロール血症効果を決定するために行われた。6グループは下記の通りである:
1.正常対照
2.高脂肪食(HFD)lml 1/d+普通食
3.高脂肪食(HFD)+普通食+本発明の組成物(OD)
4.高脂肪食(HFD)+普通食+本発明の組成物(BD)
5.高脂肪食(HFD)+普通食+スタチン
6.普通食と一緒に与えられた本発明(OD)の組成物
治療研究を、HFDによってコレステロールとアテローム性動脈硬化を90日間誘導した後に行い、60日間の処置後、本発明の組成物の有効性をスタチンと対照して調査した。体重は、被験者が天秤に定常状態で置かれ、0.0000までの適切な風袋を使って最も近いグラム(g)まで記録した。同じ計量機を全被験者に使用した。前記機械は、既知の分銅一式でいくつかの誤差を試験した。
【0038】
【0039】
【0040】
表1~6のようにまとめられて示したデータは、本発明の組成物はHFD処置後でも体重を維持することができたのに対し、スタチンは体重を維持することができなかったことを示す脂質プロフィール及び血液学的パラメータの平均値及び標準偏差である。さらに、総コレステロールの減少は、HFD食餌処置後でさえどちらの群(本組成物及びスタチン群)も同様であった。しかしながら、有意な抑制が総コレステロール合成(75%)、LDL合成(85%)及びトリグリセリド(50~70%)で観察された。ヘモグロビンは別として、1日に2回の本発明の組成物によって15%増加し、血液パラメータで有意な変化は観察されなかった。
(生化学的分析)
1.5~2mlの血液サンプルを、バイアル中の後眼窩チャンバー(retino-orbital chamber)から採取し、15日ごとに生化学的評価をした。実施された調査は、総コレステロール-TC(mg/dl)、トリグリセリド-TG(mg/dl)、高密度リポタンパク質-HDL-C(mg/dl)、低密度リポタンパク質-LDL-C(mg/dl)、超低密度リポタンパク質-VLDL(mg/dl)、WBC(103/ul)、RBC(106/ul)、Hb(g/dl)、PCV(%)、赤血球(%)、血小板算定105/mm3、凝固時間(秒)、好中球、リンパ球、単球及び好酸球の詳細を含む。評価をErba Mannhelm、ERBA diagnostics Mannheml、ドイツMicroLabs InstrumentsのセミオートアナライザーRX50を使用及びTulip Diagnostics Pvt. Ltd.のCOUNCELL21からのエコラインキットで行い、脂質酸化反応(血漿および肝臓)、HMG-Co還元酵素、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)、乳酸脱水素酵素(LDH)、SGOT及びSGPTは、キットを使用した両方の研究の終了時に推定された。
【0041】
(HMG CoA還元酵素活性の分析)
組織ホモジネートを、1gの組織(肝臓)を10mlのヒ酸塩溶液で均質化することによって準備した。さらに、等量の新鮮な10%組織ホモジネート及び希薄な過塩素酸を混合し、5分間静置し、遠心分離した(2000rpm、10分間)。次いで、1.0mlのろ液を0.5mlの新たに調製されたヒドロキシアミン試薬(HMG-CoAの場合はアルカリ性のヒドロキシルアミン試薬)で処理し、混合した。5分後、1.5mlの塩化鉄試薬を同じチューブに加え、よく振った。測定値は10分後に540nmで同様に処理した生理食塩水/ヒ酸塩ブランクに対して取得された。
【0042】
【0043】
表7に示したデータは、動物を殺した後の酵素推定を示す。HFD処置が肝臓での脂質化酸化反応を20%誘導したことは明らかであり、これは1日に2回本発明の組成物を受けた群によって23%有意に減少し、及びスタチン処置によって15%有意に減少した。クレアチンホスホキナーゼ活性は両方のHFDで高く、そしてスタチン処置群(15~20%)は筋損傷を示した。SGOT(24%)及びSGPT(29%)活性の阻害は、スタチン(15%及び20%)と比較して1日に2回本発明の組成物を受けた群で最大に阻害された。本発明の組成物とスタチン処置の両方は、HFDを後で与えた群でさえ普通食群と同様の血糖値を保つことができた。本発明の組成物及びスタチンによるHMG Co還元酵素活性の阻害は類似しており、すなわち35%であった。
【0044】
(統計的分析)
郡内及び群間の統計分析は、SPSSソフトウェアを使用して初期値と最終値の間で分析された。全ての臨床的パラメータの平均値+SD(標準偏差)及びP値を、対応t検定を使用して、2×2分割表によって計算した。全ての群を、ピアソンのカイ二乗検定を使用して比較した。得られたデータも分散分析(ANOVA)及び多変量解析を使用し、続いて観察された効果の有意性のレベルを決めるためにダネット多量比較検定及びチューキークレーマー検定使用して分析した。全てのP値は両側検定とし、P<0.05については差が統計的に有意であると考え;全ての有意なデータは、臨床的パラメータとの関連の強さを示唆している。全ての群を、ピアソンのカイ二乗検定を使用して比較した。
【0045】
(実施例2)病理組織学的分析
図1は心臓の病理組織像を示す。心臓における予防研究の病理組織学的所見は、正常なラットの心臓と比較して、HFD誘発ラットにおいて心筋で明らかな脂肪の沈殿を顕著に示した。一方、スタチンの場合、心筋は、脂肪含有量が減少するにつれて心筋の弛緩を示した。しかしながら、本発明の組生物で処置したラットも、HFDでの処置の間でさえ、心筋形態の最適な回復を示した。結論として、本発明の組成物は、全ての群で比較してより良い結果を示した。
図2は脾臓の病理組織像を示す。脾臓における予防研究の病理組織学的所見は、どの研究の群においても有意な変化が観察されなかったことを示した。しかしながら、これは脾臓における本発明の組成物の安全性を示す。
図3は肺の病理組織像を示す。様々な群の肺における予防研究の病理組織学的所見は、どの研究群からも病理学的変化を示さなかった。しかしながら、これは肺における本発明の組成物の安全性を示す。
図4は腎臓の病理組織像を示す。様々な群の腎臓における予防研究の病理組織学的所見は、どの研究群からも病理学的変化を示さなかった。しかしながら、これは腎臓における本発明の組成物の安全性を示す。
図5は肝臓の病理組織像を示す。肝臓における予防研究の病理組織学的所見は、HFD誘発ラットにおいて有意な脂肪細胞(グレード2)の形成を示した。しかしながら、OD及びBD服用レベルでの本発明の組成物の介入は、グレード2からグレード1への脂肪肝の順位の減少を示した(肝門脈三管の膨張によって証明される)。スタチン群では、肝門脈三管の膨張は、本発明の組成物(BD投与)と比較してより明らかであった。肝臓における本発明の組成物の安全性も示された。本発明の組成物は、脂肪体の沈着の防止をするのに有用であることも分かった。
【0046】
実験は通常の結果を示しており、通常の体重の増加であった。高脂肪食(HFD)1ml/dと普通食の群では、体重と脂質プロフィールパラメータは、正常対照(P<0.005)と比較して有意な増加を示した。高脂肪食(HFD)と普通食及び本発明の組成物(OD)とでは、記録された主要な変化はなく、前記プロフィールは高脂肪食1ml/dと普通食の群とほとんど同様である。しかしながら、高脂肪食と普通食及び本発明の組成物(BD)とでは、高脂肪食(HFD)と普通食とスタチン群の場合と同じように生化学的パラメータの劇的な逆転を示し、有意な関連性を示した(P<0.005)。さらに、普通食と一緒に与えられた本発明の組成物(OD)も生化学的プロファイリングにおいて正常対照群と比較して有意な変化を示し、そしてスタチン群とほぼ同様であることが分かった。多変量解析中、データは本発明の組成物(BD)がスタチン群と比較して改善された効果を示したことを示唆している(それぞれP=0.070及び0.058)。統計学的に、前記データは0日目~90日目までの生化学的及び臨床的プロファイリングにおいて有意な関連性を示した(P<0.001)。このように、本発明の組成物は有意なコレステロール低下効果を抗高コレステロール血症誘発ウィスターラットモデルの群でさえ、すなわち高脂肪食の連続処置においても示し、スタチンと同様の結果を示した。さらに、全研究期間中に82.5mg/kg体重(OD&OB)の経口容量における本発明の組成物は毒性の兆候及び死亡を示さず、そしてハウス環境における動物のように安全であることが分かった。
図7は心臓の病理組織像を示す。HFD食餌を食べ続けた群の心臓における予防研究の病理組織学的所見は、正常なラットの心臓と比較して心筋において形態学的変化(脂肪沈着)を示した。本発明の組成物を使った介入は、スタチン群と比較してHFD誘発形態学的変化において有意な改善を示した。HFD-C群において、心筋はスタチン群では高脂肪沈着物のためにストレスを受けていることが分かったのに対して有意な改善が本発明の組成物を与えられた群において明らかになった。
【0047】
図8は脾臓の病理組織像を示す。様々な群における脾臓の予防研究の病理組織学的所見は、どの研究群においても病理学的変化を示さず、それによって本発明の組成物は脾臓において安全であると結論付けた。
図9は肺の病理組織像を示す。様々な群における肺の予防研究の病理組織学的所見は、どの研究群においても病理学的変化を示さず、それによって本発明の組成物は肺において安全であると結論付けた。
図10は腎臓の病理組織像を示す。様々な群における腎臓の予防研究の病理組織学的所見は、どの研究群においても病理学的変化を示さず、それによって本発明の組成物は腎臓において安全であると結論付けた。
図11は肝臓の病理組織像を示す。肝臓における予防研究の病理組織学的所見は、HFD誘発ラット(継続)において脂肪細胞(グレード3)の有意な形成が示したが、スタチン及び本発明の組成物の介入は、スタチン群と比較して本発明の組成物を与えられた群(肝門脈三管の膨張によって証明される)でより回復を示した。さらに、本発明の組成物はグレード3からグレード1へ脂肪肝の病理組織を改善した。
【0048】
(実施例3)脂質プロフィール及び血液学的分析
【0049】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【0050】
表7から12より、総コレステロール、LDL及びTGの減少が本発明の組成物を使用した群がスタチン群13%、8%及び11%とそれぞれ比較して有意により高く、すなわち22%、17%及び26%であったと推測できる。HDLのレベルも、スタチン群と比較して本発明の組成物を使用した群において改善した、すなわち44mg/dl対39mg/dl。
【0051】
【0052】
表11より、本発明の組成物による肝臓LPOの減少は、18%であったのに対して、スタチンでは11%であったことが明らかである。本発明の組成物及びスタチンによるHMG CO還元酵素活性の阻害は、同様、すなわち35%であった。本発明の組成物によるSGOT減少は、スタチンの16%と比較して22%と高かった。血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(SGPT)減少は、スタチン、すなわち5%と比較して本発明の組成物によっては有意に高く、すなわち23%であった。
【0053】
(実施例4)大動脈における病理組織学的分析
図6及び
図12はラット大動脈の病理組織を示す。高脂肪食を中止したプラークの大動脈における病理組織学的所見は、アテローム性動脈硬化症ラットモデルの開発の成功を示し、そしてHFD継続群ではより深刻なプラーク形成が観測された。HFDを中止したスタチンの介入はプラークの適度な減少を示したが、HFDを継続したスタチンは軽度であった。本発明の組成物を摂取した群の形態は、通常のラット大動脈とほぼ同様の完全なプラーク減少/分解を示した。
実施例1~4は、脂質プロフィール及び血液学的パラメータの平均及び標準偏差について上記に要約された予防研究において、本発明の組成物がHFD処置後でさえ体重を維持することができるのに対し、スタチンは体重を維持できないという最も重要な発見を示した。さらに、TCの増加は、HFD食餌後でさえ本発明の組成物とスタチン群の両方で同様(10%)であったにもかかわらず、HFD処置は肝臓の脂質過酸化を20%誘導したこと明らかであり、これは本発明の組成物(1日に2回)を与えられた群によって有意に減少(23%)し、またスタチン処置によって15%減少した。クレアチンホスホキナーゼ活性も、HFD及び筋肉損傷を示したスタチン処置群(8%~10%)の両方で高く検出されたのに対して、本発明の組成物を与えられた群では筋肉損傷は報告されなかった。
【0054】
さらにSGOT(24%)及びSGPT(29%)活性の阻害も、本発明の組成物(1日に2回)で処置されたグループが最大であることが分かったのに対し、他の群はSGPT及びSGOTのレベルを管理できなかった。しかしながら、本発明の組成物及びスタチン処置の両方はHFD与えられた群の後でさえ、通常食と同様の血糖値レベルを維持することができた。
【0055】
さらに、心臓における予防研究の病理組織学的所見は、正常なラットの心臓と比較して、HFD誘発ラットの心筋におけるはっきりとした脂肪の沈着を示した。一方でスタチンの場合、心筋は脂肪含有量が減少するにつれた、心筋の弛緩を示した。さらに、本発明の組成物を処置されたラットは、HFDでの処置の間でさえ、心筋形態の改善又はより良好な回復を示した。肝臓の病理組織学的所見は、HFD誘発ラットにおいて有意な脂肪細胞形成(グレード2)を示したが、スタチン及びODとOB投与レベルでの本発明の組成物の介入は、グレード2からグレード1(肝門脈三管の膨張によって証明される)へ脂肪肝の減少順を示した。他のすべての群では、有意な変化は観察されなかった。統計学的に、データは0日目から90日目までの生化学的及び臨床的プロファイリングに有意な関連性を示した(P<0.001)。これらの実施例は、本発明の組成物が、継続的な高脂肪食で食餌された群においても高コレステロール血症誘発ウィスターラットモデルに対して有意なコレステロール低下効果を有し、またスタチン(アトルバスタチン)と比較して改善された結果を示したことを提示する。
【0056】
実施例1~4は、治療研究において、総コレステロール、LDL及びTGの減少が、スタチン群13%、8%及び11%とそれぞれ比較して、本発明の組成物を処置した群が有意により高く、すなわち22%、17%及び26%であったと示す。さらに、正常対照ラットの人体測定学的及び生化学的データは、60日間の室内試験全体の中で、10%の体重増加を通常示す。高脂肪食(HFD)を継続した群では、体重及び脂質プロフィールパラメータは内臓嚢において有意な増加を示し、そして正常な健康対照と比較して非常に無気力である。
【0057】
さらに、本発明の組成物及びスタチンによるHMG Co還元酵素活性の阻害は同様、すなわち35%であることが分かった。SGOT減少は、スタチンの16%と比較して22%と高かった。SGPT減少は、スタチン群、すなわち5%と比較して、本発明の組成物で処置された群で有意に高く、すなわち23%であった。これらの実施例が、本発明の組成物はアテローム性動脈硬化に有意な効果を有し、高コレステロール血症誘発ウィスターラットモデルに抗高コレステロール血症効果を有すること示す。
【0058】
実施例は、135mg/kg体重(BD)の経口容量での本発明の組成物は、毒性の兆候及び死亡も示さず、そしてハウス環境における動物のように安全であることが分かった。血液パラメータ/マーカーは、下記のように病理組織学的分析と相関があった:肝臓の病理組織学的所見は、HFD誘発ラット(継続)において脂肪細胞(グレード3)の有意な形成を示したが、スタチン及び本発明の組成物の介入は、スタチン群と比較して本発明の組成物を与えられた群(肝門脈三管の膨張によって証明される)においてより回復を示した。さらに、本発明の組成物を与えられた群は、グレート3からグレード1へ脂肪肝の病理組織を改善した。高脂肪食中止した大動脈における病理組織学的所見では、プラークはアテローム性動脈硬化ラットモデルの開発の成功及びより深刻なプラーク形成がHFD継続群で観察されたことを示すことが分かった。HFD中止とスタチンの介入は、プラークの適度な減少を示したが、HFD継続とスタチンでは軽度であった。本発明の組成物を与えられた群の形態は、正常なラット大動脈とほぼ同様の完全なプラークの減少/分解を示した。病理組織像も高脂肪食処置後のプラークの発生を示した。同様のプラークは本発明の組成物の処置後に完全に除去/溶解することが観察された。
【0059】
病理組織学研究では、正常群は内膜において病理学的変化を示さなかった。対照群(高脂肪食)は、内膜への深刻な損傷を示した。本発明の組成物を処置した群は、HFD群と比較して内膜へより少ない損傷を示したが、アトルバスタチンを処置した群は内膜への軽度な損傷を示した。アテローム性動脈硬化はHFD群で誘発され、そして本発明の組成物は組織学研究で示されるように正常な状態に回復した。さらに、ビタミンDの不足もアトルバスタチン(35IU)の処置に関連していたが、本発明の組成物(44IU)は血漿中で対照(42IU)と比較して健全なビタミンD値維持した。従って、関連する副作用は60 日間のスタチンの定期的な処置に関連する。
【0060】
さらに、本発明の組成物による肝臓LPOの減少は18%であったが、スタチンでは11%であった。本発明の組成物及びスタチンによるHMG Co還元酵素活性の阻害は同様、すなわち35%であることが分かった。SGOTの減少は、スタチンの16%と比較して22%と高かった。SGPT減少は、スタチン群、すなわち5%と比較して本発明の組成物を与えられた群、すなわち23%と有意に高かった。
【0061】
さらに、実施例も病理組織学的分析と相関するスタチンの定期的な処置に関連する肝損傷/脂肪肝も強調している。CPK値は、筋肉損傷を反映するスタチン群では、10%増加することが分かった。本発明の組成物は、CPKのレベルを上昇させない。筋肉損傷は、スタチン処置によって引き起こされた筋肉疲労などの痛みにも関連している。ナトリウム及びカリウムは、スタチン群では増加していたが、本発明の組成物はNa(ナトリウム)及びK(カリウム)のレベルを維持することも分かった。Naなどの電解質の長期間の上昇は、心臓に影響を与える血圧障害と関連がある。従って、本発明の組成物は、スタチンと比較してそれの抗アテローム性動脈硬化及び抗高コレステロール血症の可能性についてより効果的であり、そして予防的並びに治療的研究の両方について本発明の組成物の経口容量における82.5mg/kg体重(OD&BD)及び135mg/kg体重(BD)の濃度は、何も毒性の兆候及び死亡を示さず、そしてこのようにして安全であることが分かったと示した。さらに、病理組織学及び血液マーカー研究は、ビタミンD不足、肝臓障害、Na及びK、及び筋肉疲労などのスタチンの副作用が本発明の組成物の長期使用に関連しないことを示している。
【0062】
本発明は特定の実施態様に対して説明してきたが、特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正がされることは当業者にとって明らかであろう。
【国際調査報告】