(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-09
(54)【発明の名称】試薬容器及び組織処理装置
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20230802BHJP
E04H 5/02 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
B65D1/02 221
E04H5/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572421
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(85)【翻訳文提出日】2022-11-24
(86)【国際出願番号】 CN2020093177
(87)【国際公開番号】W WO2021237653
(87)【国際公開日】2021-12-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500113648
【氏名又は名称】ライカ ビオズュステムス ヌスロッホ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ジンティエン
(72)【発明者】
【氏名】タオ、ホンジエン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ヤンヤン
(72)【発明者】
【氏名】ウー、チャンホン
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA01
3E033CA11
3E033DA03
3E033DC10
3E033DD01
3E033DE20
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】受容した試薬がこぼれ出ることを防止することができる試薬容器を提供する。
【解決手段】組織処理装置のための試薬容器は以下の特徴を有する。試薬を受容するように構成される空洞部を画成する第1ボディと第1ボディに取り付けられる第2ボディとを含む。第2ボディが試薬経路、貯留室及び試薬ポートを画成する。試薬経路が空洞部と連通し、貯留室が試薬経路と試薬ポートとの間に提供されて試薬経路及び試薬ポートと連通し、試薬ポートへ向かう流れ方向において貯留室が試薬経路の断面積よりも大きい断面積を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬を受容するように構成される空洞部(112)を画成する第1ボディ(110)と、
第1ボディ(110)に取り付けられる第2ボディ(120)と、
を含み、
第2ボディ(120)が試薬経路(122)、貯留室(124)及び試薬ポート(126)を画成し、試薬経路(122)が空洞部(112)と連通し、貯留室(124)が試薬経路(122)と試薬ポート(126)との間に提供されて試薬経路(122)及び試薬ポート(126)と連通し、試薬ポート(126)へ向かう流れ方向において貯留室(124)が試薬経路(122)の断面積よりも大きい断面積を有する、
組織処理装置のための試薬容器(100)。
【請求項2】
貯留室(124)が底部から頂部にかけて徐々に増加する断面積を有する、請求項1に記載の試薬容器(100)。
【請求項3】
試薬ポート(126)が、試薬経路(122)と貯留室(124)の結合部の上側に配置される、請求項1又は2に記載の試薬容器(100)。
【請求項4】
試薬経路(122)が、上下方向に延在する直線箇所(1222)と湾曲箇所(1224)とを含み、直線箇所(1222)が空洞部(112)と連通する下側端部、及び、湾曲箇所(1224)の下側端部と連通する上側端部を有し、そして、湾曲箇所(1224)の上側端部が貯留室(124)と連通する、請求項1又は2に記載の試薬容器(100)。
【請求項5】
直線箇所(1222)及び湾曲箇所(1224)が、試薬経路(122)の中心線に沿って同一の断面積を有する、請求項4に記載の試薬容器(100)。
【請求項6】
貯留室(124)が垂直壁部(1242)、水平壁部(1244)及び傾斜壁部(1246)を有し、垂直壁部(1242)の上側端部が水平壁部(1244)のリード端部に対して連結され、そして、傾斜壁部(1246)が水平壁部(1244)の前方端部と垂直壁部(1242)の下側端部の間に連結される、請求項4に記載の試薬容器(100)。
【請求項7】
湾曲箇所(1224)が前方へ湾曲するとともに、垂直壁部(1242)と傾斜壁部(1246)の交差箇所で貯留室(124)に対して連結されて、傾斜壁部(1246)に対して接線方向をなす、請求項6に記載の試薬容器(100)。
【請求項8】
試薬ポート(126)が貯留室(124)の垂直壁部(1242)に対して連結される、請求項6又は7に記載の試薬容器(100)。
【請求項9】
試薬経路(122)が、当該試薬経路の中心線に沿って円形断面、四角形断面又は三角形断面を有する、請求項1又は2に記載の試薬容器(100)。
【請求項10】
貯留室(124)が左右方向に沿って円形断面、四角形断面又は三角形断面を有する、請求項1又は2に記載の試薬容器(100)。
【請求項11】
第1ボディ(110)に取り付けられて互いに連通する空気経路(132)及び空気ポート(134)を画成する第3ボディ(130)を更に含み、空気経路(132)が空洞部(112)と連通する、請求項1又は2に記載の試薬容器(100)。
【請求項12】
空気経路(132)が前後方向に延在して、空洞部(112)と連通する前方端部及び空気ポート(134)と連通する後方端部を有する、請求項11に記載の試薬容器(100)。
【請求項13】
空気ポート(134)が試薬ポート(126)の上側に位置する、請求項11又は12に記載の試薬容器(100)。
【請求項14】
第1ボディ(110)が充填ポート(114)を更に備える、請求項1又は2に記載の試薬容器(100)。
【請求項15】
第1ボディ(110)の充填ポート(114)に対して取り外し可能なように取り付けられるキャップ(140)を更に含む、請求項14に記載の試薬容器(100)。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の試薬容器(100)と、
プラットホームと、当該プラットホーム上に試薬容器(100)が支持される、
試薬容器(100)の試薬ポート(126)と連通する試薬パイプラインと、
を含む組織処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は組織処理技術の分野に関連し、より具体的には試薬容器及び組織処理装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
関連技術分野において、組織処理装置のための試薬容器に受容される試薬は、通常、組織処理装置の外へ試薬容器を引っ張り出す、又は組織処理装置の中に試薬容器を押し入れるなど、試薬容器の搬送又は操作の間に試薬容器の外側へこぼれ出るだろう。試薬の漏出は研究室内の環境を汚染するとともに作業者を傷つけるだろうし、浪費でもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願の実施形態(複数)は、関連技術分野に存在する少なくとも1つの問題点を、少なくとも幾分かの程度解決する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の第1の視点によれば、受容した試薬がこぼれ出ることを防止することができる試薬容器が提供される。
【0006】
本出願の第2の視点によれば、上述の試薬容器を含む組織処理装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本出願の実施形態(複数)の試薬容器は、第1ボディと、第1ボディに取り付けられる第2ボディを含む。第1ボディは、試薬を受容するように構成される空洞部を画成する。第2ボディは、試薬経路、貯留室及び試薬ポートを画成する。試薬経路は、空洞部と連通するとともに、試薬経路と試薬ポートとの間に貯留室が提供されて試薬経路及び試薬ポートと連通する。試薬ポートへ向かう流れ方向において貯留室が試薬経路の断面積よりも大きい断面積を有する。
【0008】
本出願の実施形態(複数)の試薬容器において、貯留室が試薬経路と試薬ポートの間に提供され、そして貯留室が試薬ポートへ向かう流れ方向において試薬経路の断面積よりも大きい断面積を有し、試薬経路の外へ出ようとする試薬は短時間の間に顕著にスローダウンし、試薬ポートを介して試薬容器からこぼれ出ないだろう。それによって試薬容器の搬送又は操作の間の試薬容器の抗漏出パフォーマンスが改善する。
【0009】
本出願の少なくとも1つの実施形態において、貯留室が底部から頂部にかけて徐々に増加する断面積を有する。そのため、試薬容器の抗漏出パフォーマンスの改善が促進される。
【0010】
本出願の少なくとも1つの実施形態において、試薬ポートが、試薬経路と貯留室の結合部の上側に配置される。そのため、試薬容器の抗漏出パフォーマンスの改善が更に促進される。
【0011】
本出願の少なくとも1つの実施形態において、試薬経路が、上下方向に延在する直線箇所と湾曲箇所とを含み、直線箇所が空洞部と連通する下側端部、及び、湾曲箇所の下側端部と連通する上側端部を有し、そして、湾曲箇所の上側端部が貯留室と連通する。そのため、試薬経路における試薬の流動距離を延長することができ、試薬容器の抗漏出パフォーマンスの改善が促進される。
【0012】
本出願の少なくとも1つの実施形態において、直線箇所及び湾曲箇所が、試薬経路の中心線に沿って同一の断面積を有する。そのため、試薬経路内での試薬の流動速度は実質的に一定である。
【0013】
本出願の少なくとも1つの実施形態において、貯留室が垂直壁部、水平壁部及び傾斜壁部を有し、垂直壁部の上側端部が水平壁部のリード端部に対して連結され、そして、傾斜壁部が水平壁部の前方端部と垂直壁部の下側端部の間に連結される。そのため、貯留室は底部から頂部にかけて徐々に増加する断面積を有する。
【0014】
本出願の少なくとも1つの実施形態において、湾曲箇所が前方へ湾曲する(bent)とともに、垂直壁部と傾斜壁部の交差箇所(intersection)で貯留室に対して連結されて、傾斜壁部に対して接線方向をなす(tangent)。そのため、貯留室内の試薬の流動距離が延長され得る。
【0015】
本出願の少なくとも1つの実施形態において、試薬ポート(出口孔)が貯留室の垂直壁部に対して連結される。そのため、試薬ポートは、貯留室の傾斜壁部から離れて存在し得る。
【0016】
本出願の少なくとも1つの実施形態において、試薬経路が、当該試薬経路の中心線に沿って円形断面、四角形断面又は三角形断面を有する。そのため、試薬経路の構造が多様化し得る。
【0017】
本出願の少なくとも1つの実施形態において、貯留室が左右方向に沿って円形断面、四角形断面又は三角形断面を有する。そのため、貯留室の構造が多様化し得る。
【0018】
本出願の少なくとも1つの実施形態において、第1ボディに取り付けられて互いに連通する空気経路及び空気ポートを画成する第3ボディを更に含み、空気経路が空洞部と連通する。そのため、試薬容器は周囲の空気と連通され、減圧又は加圧が試薬容器の中で生じることを防止することができ、試薬容器内での試薬の通常の流れに対して影響を与えることを回避する。
【0019】
本出願の少なくとも1つの実施形態において、空気経路が前後方向に延在して、空洞部と連通する前方端部及び空気ポートと連通する後方端部を有する。そのため、周囲の空気をスムーズに試薬容器へ導入する又は試薬容器から排除することができる。
【0020】
本出願の少なくとも1つの実施形態において、空気ポートが試薬ポートの上側に位置する。そのため、試薬容器のコンパクトな構造を実現することができる。
【0021】
本出願の少なくとも1つの実施形態において、第1ボディが充填ポートを更に備える。そのため、第1ボディの空洞部内への試薬の充満を容易にすることができる。
【0022】
本出願の少なくとも1つの実施形態において、試薬容器が、第1ボディの充填ポートに対して取り外し可能なように取り付けられるキャップを更に含む。そのため、第1ボディの空洞部をキャップによって密封することがきる。
【0023】
本出願の実施形態(複数)の組織処理装置は、上記実施形態のいずれか1つに記載の試薬容器と、プラットホーム(当該プラットホーム上に試薬容器が支持される)と、試薬容器の試薬ポートと連通する試薬パイプラインとを含む。
【0024】
本出願の実施形態(複数)の組織処理装置において、上記の試薬容器を採用することによって、試薬が試薬容器からこぼれ出すことを防止することができ、組織処理装置は異物混入を阻止することができる。
【0025】
本出願の実施形態の更なる視点及び利点は、以下の記載において部分的に与えられ、以下の記載から部分的に明白になる、又は本出願の実施形態の実施から学び取られるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本出願の実施形態(複数)のこれら及び他の視点と利点は、図面を参照しつつ以下の記載から評価され、より容易に分かるだろう。
【
図1】
図1は、本出願の一実施形態の試薬装置の、部分的に透視化した左側面図である。
【
図2】
図2は、本出願の一実施形態の試薬容器の平面図(上面図)である。
【
図3】
図3は、本出願の一実施形態の試薬容器のキャップ無しでの正面図である。
【
図4】
図4は、本出願の一実施形態の試薬容器のキャップ有での正面図である。
【
図5】
図5は、本出願の一実施形態の試薬容器の背面図である。
【実施例】
【0027】
本出願の実施形態(複数)は、添付図面を参照しつつ以下に記載される。本願において使用した用語「上側(upper)」、「下側(lower)」、「左(left)」、「右(right)」、「前(front)」、「後(rear)」及び同様のものは、例示を目的としたものに過ぎず、本出願を限定することが意図されないことに留意すべきである。
【0028】
本出願の実施形態(複数)の試薬容器100が以下に
図1~5を参照して詳細に記載される。直交性のXYZ軸は、記載を容易にし、方向を決定するために示される。ここで、X軸の正方向は前方向であり、そしてX軸の負方向は後方向である。Y軸の正方向は右方向であり、そしてY軸の負方向は左方向である。Z軸の正方向は上方向であり、そしてZ軸の負方向は下方向である。
【0029】
いくつかの実施形態において、
図1に示すように、本出願の実施形態の試薬容器100は、第1ボディ110及び第1ボディ110に取り付けられる第2ボディ120を有する。第1ボディ110は、試薬を受容するように構成される空洞部112を画成する。第2ボディは、試薬経路122、貯留室124及び試薬ポート126を画成する。試薬経路122は空洞部112と連通し、貯留室124が試薬経路122と試薬ポート126との間に提供されて試薬経路122及び試薬ポート126と連通する。試薬ポート126へ向かう流れ方向において貯留室124が試薬経路122の断面積よりも大きい断面積を有する。
【0030】
試薬ポート126へ向かう流れ方向における貯留室124の断面積は、試薬ポート126へ向かう流れ方向に対して実質的に直角の平面によって切断された貯留室124の断面の面積を意味する。そして、試薬ポート126へ向かう流れ方向における試薬経路122の断面積は、試薬ポート126へ向かう流れ方向に対して実質的に直角の平面によって切断された試薬経路122の断面の面積を意味する。
【0031】
本出願の実施形態(複数)の試薬容器100において、貯留室124が試薬経路と試薬ポートとの間に提供され、貯留室124が試薬ポート126へ向かう流れ方向における試薬経路122の断面積よりも大きい断面積を有する。試薬経路122の外へ出ようとする試薬は短時間の間に顕著にスローダウンし、試薬ポートを介して試薬容器からこぼれ出ないだろう。それによって試薬容器100の搬送又は操作の間の試薬容器100の抗漏出パフォーマンスが改善する。
【0032】
いくつかの実施形態において、
図1に示すように、貯留室124が底部から頂部にかけて徐々に増加する断面積を有する。そのため、試薬容器100の抗漏出パフォーマンスの改善が促進される。
【0033】
底部から頂部にかけての貯留室124の断面積は、上下方向に対して実質的に直角な平面によって切断された貯留室124の断面の面積を意味することに留意すべきである。
【0034】
いくつかの実施形態において、
図1に示すように、試薬ポート126が、試薬経路122と貯留室124の結合部の上側に配置される。そのため、試薬容器100の抗漏出パフォーマンスの改善が更に促進される。
【0035】
いくつかの実施形態において、
図1に示すように、試薬経路122が、上下方向に延在する直線箇所1222と湾曲箇所1224とを含み、直線箇所1222が空洞部112と連通する下側端部、及び、湾曲箇所1224の下側端部と連通する上側端部を有し、そして、湾曲箇所1224の上側端部が貯留室124と連通する。そのため、試薬経路122における試薬の流動距離を延長することができ、試薬容器100の抗漏出パフォーマンスの改善が促進される。
【0036】
いくつかの実施形態において、
図1に示すように、直線箇所1222及び湾曲箇所1224が、試薬経路122の中心線に沿って同一の断面積を有する。そのため、試薬経路122内での試薬の流動速度は実質的に一定である。
【0037】
試薬経路122の中心線に沿った直線箇所1222の断面積は試薬経路122の中心線に対して実質的に直角な平面によって切断された直線箇所1222の切断面の面積を意味し、試薬経路122の中心線に沿った湾曲箇所1224の断面積は、試薬経路122の中心線に対して実質的に直角な平面によって切断された湾曲箇所1224の断面の面積を意味することに留意するべきである。
【0038】
いくつかの実施形態において、
図1に示すように、貯留室124が垂直壁部1242、水平壁部1244及び傾斜壁部1246を有し、垂直壁部1242の上側端部が水平壁部1244のリード端部に対して連結され、そして、傾斜壁部1246が水平壁部1244の前方端部と垂直壁部1242の下側端部の間に連結される。そのため、貯留室124は底部から頂部にかけて徐々に増加する断面積を有する。
【0039】
いくつかの実施形態において、
図1に示すように、湾曲箇所1224が前方へ湾曲する(bent)とともに、垂直壁部1242と傾斜壁部1246の交差箇所(intersection)で貯留室124に対して連結されて、傾斜壁部1246に対して接線方向をなす(tangent)。そのため、貯留室124内の試薬の流動距離が延長され得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、
図1に示すように、試薬ポート126が貯留室124の垂直壁部1242に対して連結される。そのため、試薬ポート126は、貯留室124の傾斜壁部1246から離れて存在し得る。
【0041】
いくつかの実施形態において、試薬経路122が、当該試薬経路122の中心線に沿って円形断面、四角形断面又は三角形断面を有する。そのため、試薬経路122の構造が多様化し得る。
【0042】
試薬経路122の中心線に沿った試薬経路122の断面とは、試薬経路122の中心線に対して実質的に直角な平面によって切断された試薬経路122の断面を意味することに留意するべきである。
【0043】
いくつかの実施形態において、貯留室124が左右方向に沿って環状断面、四角形断面又は三角形断面を有する。そのため、貯留室124の構造が多様化し得る。
【0044】
左右方向に沿った貯留室124の断面とは、左右方向に対して実質的に直角な平面によって切断された貯留室124の断面を意味することに留意するべきである。
【0045】
いくつかの実施形態において、
図1及び
図2に示すように、試薬容器100が第1ボディに取り付けられて互いに連通する空気経路132及び空気ポート134を画成する第3ボディ130を更に含み、空気経路132が空洞部112と連通する。そのため、試薬容器100は周囲の空気と連通され、減圧又は加圧が試薬容器100の中で生じることを防止することができ、試薬容器100内での試薬の通常の流れに対して影響を与えることを回避する。
【0046】
いくつかの実施形態において、
図1及び
図2に示すように、空気経路132が前後方向に延在して、空洞部112と連通する前方端部及び空気ポート134と連通する後方端部を有する。そのため、周囲の空気をスムーズに試薬容器へ導入する又は試薬容器100から排除することができる。
【0047】
いくつかの実施形態において、
図1に示すように、空気ポート134が試薬ポート126の上側に位置する。そのため、試薬容器100のコンパクトな構造を実現することができる。
【0048】
いくつかの実施形態において、
図1、
図2及び
図3に示すように、第1ボディ110が充填ポート114を更に備える。そのため、第1ボディ110の空洞部112内への試薬の充填を容易にすることができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、
図4に示すように、試薬容器100が、第1ボディ110の充填ポート114に対して取り外し可能なように取り付けられるキャップ140を更に含む。そのため、第1ボディ110の空洞部112をキャップ140によって密封することがきる。
【0050】
いくつかの実施形態において、
図1に示すように、第1ボディ110及び第2ボディ120を一体的に形成することができる。つまり、試薬容器100のコンパクトな構造を実現することができる。いくつかの他の実施形態において、第1ボディ110及び第2ボディ120を別個に形成することができ、そして第2ボディ120は第1ボディ110に対して堅固に連結され得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、
図1、
図2及び
図3に示すように、充填ポート114は、第1ボディ110の前面に近い試薬容器100の上面に設けられ、試薬容器100を組織処理装置の中へ押し込んだ後に第1ボディ110の空洞部112を容易に充填できるように充填ポート114の軸は前方へ傾いている。
【0052】
いくつかの実施形態において、
図1に示すように、第1ボディ110は、第1ボディ110の上面から下側へ凹み、第2ボディ120の下側に位置する凹状部115を画成する。そのため、第2ボディ120は取っ手としての役割を果たすことができる。
【0053】
いくつかの実施形態において、
図1及び
図2に示すように、第1ボディ110は、更に複数の窪み部116を画成し、複数の窪み部116の各々は第1ボディ110の左側面又は右側面から窪む。そのため、第1ボディ110の構造を増強することができ、そして第1ボディ110は膨張を阻止することができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、
図1、
図3及び
図4に示すように、第1ボディ110は更に、第1ボディ110の左側面及び右側面に第1ボディ110の前面に対して対称的かつ隣り合うように2つの溝部117を画成する。そのため、2つの溝部117はユーザが第1ボディ110を保持するためのグリップとしての役割を果たすことができる。
【0055】
いくつかの実施形態において、
図1、
図3及び
図4に示すように、第1ボディ110は、第1ボディ110の前面、左側面及び右側面の各々にMAX(マックス)ライン118及びMIN(ミン)ライン119を更に有する。MAXライン118は、MINライン119の上側に位置し、MAXライン118は貯留室124及び試薬経路122の結合部よりも下側である。そのため、試薬容器100の抗漏出パフォーマンスに対して影響を及ぼすことなく、試薬をMAXライン118及びMINライン119の間で試薬容器100内に充填することができる。
【0056】
いくつかの実施形態において、
図5に示すように、第2ボディ120は、左右方向において第1ボディ110の幅より小さいサイズを有する。そのため、試薬容器100を製造するための材料をセーブすることができる。
【0057】
いくつかの実施形態において、
図2に示すように、第3ボディ130は、左右方向において第1ボディ110の幅より小さいサイズを有する。そのため、試薬容器100を製造するための材料をセーブすることができる。
【0058】
本出願の実施形態(複数)の組織処理装置は、上記実施形態のいずれか1つの試薬容器と、プラットホーム(当該プラットホーム上に試薬容器が支持される)と、試薬容器の試薬ポートと連通する試薬パイプラインと、を含む。
【0059】
本出願の実施形態(複数)の組織処理装置において、上記の試薬容器を採用することによって、試薬が試薬容器からこぼれ出ることを防止することができるとともに、組織処理装置は異物混入を防止することができる。
【0060】
図1に示すように、少なくとも1つの本出願の実施形態によれば、試薬容器100は第1ボディ110、第2ボディ120及び第3ボディ130を含む。
【0061】
第1ボディ110は、試薬を受容するように構成される空洞部112及び空洞部112と連通する充填ポート114を画成する。そして、試薬は、充填ポート114を介して空洞部112内に充填することができる。充填ポート114は、第1ボディ110の前面に近い第1ボディ110の上面に提供される。そして、充填ポート114の軸は前方へ傾斜している。
【0062】
第2ボディ120は、第1ボディ110の背面に対して取り付けられ、第1ボディ110及び第2ボディ120は一体的に形成される。第2ボディ120は試薬経路122、貯留室124及び試薬ポート126を画成する。
【0063】
試薬経路122は、実質的に上下方向へ延在する。試薬経路122は、直線箇所1222及び湾曲箇所1224を有する。直線箇所1222の側端部は第1ボディ110の空洞部112と連通し、直線箇所1222の上側端部は湾曲箇所1224の下側端部と連通し、そして湾曲箇所1224の上側端部は貯留室124と連通する。試薬経路122は、試薬経路122の中心線に沿って円形断面を有する。直線箇所1222及び湾曲箇所1224は、試薬経路122の中心線に沿って実質的に同一の断面積を有する。
【0064】
貯留室124は、試薬経路122及び試薬ポート126と連結され、試薬経路122及び試薬ポート126と連通する。貯留室124は、底部から頂部にかけて徐々に増加する断面積を有する。貯留室124は、左右方向に沿って三角形断面を有する。左右方向に沿った貯留室124の三角形断面において、貯留室124は、垂直壁部1242、水平壁部1244及び傾斜壁部1246を有する。垂直壁部1242の上側端部は水平壁部1244のリード端部と連結され、そして傾斜壁部1246は水平壁部1244の前方端部と垂直壁部1242の下側端部との間に連結される。すなわち、傾斜壁部1246は後ろから前に向かって上向きに延在する。
【0065】
湾曲箇所1224は、前方へ湾曲し、垂直壁部1242及び傾斜壁部1246の交差箇所において貯留室124に対して連結されて、傾斜壁部1246対して実質的に接線方向をなす(tangent)。
【0066】
試薬ポート126は、貯留室124の垂直壁部1242に対して連結され、試薬経路122と貯留室124との間の結合部の上側に位置する。試薬ポート126は、組織処理装置の試薬パイプラインと連通することができる。第2ボディ120は、後ろ側に延在する突出部128を備える。
【0067】
第3ボディ130は、第1ボディ110の上面に取り付けられ、第1ボディ110及び第3ボディ130は一体的に形成される。第3ボディ130は第2ボディ120の上側端部にも取り付けられ、第2ボディ120及び第3ボディ130は一体的に形成される。すなわち、第1ボディ110、第2ボディ120及び第3ボディ130は一体的に形成される。
【0068】
第3ボディ130は、互いに連通する空気経路132及び空気ポート134を画成する。 空気経路132は、前後方向に延在して、空洞部112と連通する前方端部及び空気ポート134と連通する後方端部を有する。空気ポート134は組織処理装置の空気パイプラインと連通し得る。
【0069】
第1ボディ110は凹状部115を画成する。凹状部115は第1ボディ110の上面から下側へ凹み、第2ボディ120の下側に位置する。そのため、第2ボディ120は取っ手としての役割を果たすことができる。
【0070】
図1及び
図2に示すように、第1ボディ110は、第1ボディ110の右側面から凹む3つの窪み部116を更に備えるとともに、第1ボディ110の左側面から凹む3つの他の窪み部116を備える。第1ボディ110の右側面における3つの窪み部116の内の2つは、直角にかつ前後方向へ互いに間隔を空けて延在する。第1ボディ110の右側面における3つの窪み部116の内の残りの1つは、3つの窪み部116の内の2つの間に位置するとともにそれらから間隔を空けて位置し、カーブ形状を有する。第1ボディ110の左側面における3つの他の窪み部116は、第1ボディ110の右側面における3つの窪み部116と対称的に配置される。
【0071】
図1、
図3及び
図4に示すように、第1ボディ110は、第1ボディ110の左側面及び右側面に2つの溝部117を更に画成する。2つの溝部117は対称的であるとともに第1ボディ110の前面に対して隣り合う。
【0072】
第1ボディ110は、第1ボディ110の 前面、左側面及び右側面の各々にMAXライン118及びMINライン119を更に備える。第1ボディ110の左側面上又は右側面上のMAXライン118及びMINライン119は、溝部117及び窪み部116の間で前後方向へ位置する。MAXライン118は、MINライン119の上側に位置し、MAXライン118は貯留室124と試薬経路122の結合部の下側である。
【0073】
図5に示すように、第2ボディ120は、左右方向において第1ボディ110の幅より小さいサイズを有し、第2ボディ120は左右方向において第1ボディ110の背面の中央部分に取り付けられる。
図2に示すように、第3ボディ130は左右方向において第1ボディ110の幅より小さいサイズを有し、第3ボディ130は左右方向において第1ボディ110の上面の中央部分に取り付けられる。
【0074】
図5に示すように、貯留室124は左右方向において試薬経路122のサイズより大きいサイズを有する。
図2に示すように、貯留室124は、左右方向において第3ボディ130のサイズより大きいサイズを有する。
【0075】
図4に示すように、試薬容器100は、キャップ140を更に含む。キャップ140は、第1ボディ110の充填ポート114に対して取り外し可能なように取り付けられる。
【0076】
組織処理装置は、プラットホーム、クランプデバイス、検出ユニット、試薬パイプライン、空気パイプライン及び上述の実施形態の試薬容器100を含む。
【0077】
試薬容器100はプラットホーム上に支持される。試薬パイプラインは、試薬容器100の試薬ポート126と連通し、空気パイプラインは試薬容器100の空気ポート134と連通する。
【0078】
検出ユニットは、試薬容器100の突出部128の位置を検出することができる。試薬容器100がプラットホーム上に置かれたときに、試薬容器100の突出部128は、検出ユニットによって検出され得るように構成されている。
【0079】
クランプデバイスは、試薬容器100が置かれた時に、第2ボディ120を試薬容器100の左側及び右側から同時に挟み込むことに使用される。
【0080】
本出願の実施形態の試薬容器100及び組織処理装置において、貯留室124は試薬経路122と試薬ポート126の間に提供(配設)され、そして貯留室124は、流れ方向において試薬ポート126へ向かって、試薬経路122の断面積より大きい断面積を有し、試薬経路122の外へ出ようとする試薬は短時間の間に顕著にスローダウンし、試薬ポート126を介して試薬容器100からこぼれ出ないだろう。それによって試薬容器100の搬送又は操作の間の試薬容器100の抗漏出パフォーマンスが改善する。
【0081】
試薬容器100が組織処理装置内に押し込まれた後に、すなわち試薬容器100がプラットホーム上に置かれた後に、検出ユニットは試薬容器100の突出部128を検出することができ、そしてクランプデバイスは試薬容器100の左側及び右側から第2ボディ120を挟みこむように制御することができる。試薬ポート126は、組織処理装置における組織処理のための1部分の中へ試薬ポート126を介して試薬を導入できるように、試薬パイプラインと連通する。組織処理の完了の後に、試薬は、組織処理装置の組織処理のための1部分から試薬ポート126を介して試薬容器100へ戻すことができる。空気ポート134は、フィルタを介して周囲の空気と連通する空気パイプラインと連通する。そのため、濾過された空気を試薬容器の中へ導入する又は試薬容器から放出することができ、そして、試薬容器内の試薬は汚染されないだろう。更に、試薬容器は周囲の空気と連通する。そのため、減圧又は加圧が試薬容器の中で生じず、試薬容器内での試薬の通常の流れに対して影響を与えることを回避する。
【0082】
更に、用語「第1の」及び「第2の」などは、説明の目的で本願において使用され、相対的な重要性又は顕著さを示す又は示唆すること、示した技術的特徴の数を示唆することを意図しない。そのため、「第1の」及び「第2の」で定義された特徴は、1つ以上のこの特徴を含み得る。本出願の記載において、用語「複数の」は、他に特定されない限り、2以上を意味する。
【0083】
本出願において、他に特定又は限定されない限り、用語「マウント(mounted)」 「連結(connected)」 「カップル化(coupled)」 「固定(fixed)」及び同様のものは、広義的に使用され、例えば、固定した結合、分離可能な結合、又は一体式の結合であり得るし、力学的(メカニカル)な又は電気的な接続でもあり得るし、直接的な連結又は介在する構造を介した間接的な連結でもあり得るし、2つの要素の装置内部でのコミュニケーションでもあり得る。上記の用語は、具体的なシチュエーションに従って当業者に理解され得るだろう。
【0084】
本出願において、他に特定又は限定されない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上(on)」又は「下(below)」である構造は、第1の特徴が第2の特徴と直接的に当接する実施形態を含み得るし、第1の特徴及び第2の特徴が互いに直接的には当接(contact)しないがそれらの間に形成された更なる特徴を介して接(contact)する実施形態も含み得る。更に、第2の特徴の「上(on)」、「上側(above)」又は「頂(on top of)」に在する第1の特徴は、第1の特徴が第2の特徴のまっすぐ又は斜めに 「上」、「上側」又は「頂」である実施形態を含み得るし、あるいは、第1の特徴が単に第2の特徴の高さよりも高く位置することを意味する。その一方で、 第2の特徴の「下(below)」、「下側(under)」又は「底(on bottom of)」に在する第1の特徴は、第1の特徴が第2の特徴のすぐ又は斜めに「下(below)」、「下側(under)」又は「底(on bottom of)」である実施形態を含み得るし、あるいは、第1の特徴が単に第2の特徴の高さよりも低く位置することを意味する。
【0085】
本明細書の全体に渡って、「(1つの)実施形態」、「いくつかの実施形態」、「(1つの)実施例」、「具体的実施例」又は「いくつかの実施例」は、特定の特徴、構造、材料、あるいは実施形態又は実施例と関連付けて記載した特徴が、本出願の少なくとも1つの実施形態又は実施例に含まれることを意味する。そのため、本明細書の全体に渡る様々な箇所におけるこれらの語句(phrase)の出現は、本出願の同一の実施形態又は実施例を必ずしも意味しない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特徴は、1以上の実施形態又は実施例といずれかの適切な様式に組合され得る。更に、本明細書に記載した種々の実施形態又は実施例は、当業者によって組み合わせられ得る。
【0086】
例示的な実施形態(複数)が示されかつ記載されているが、当業者には上述の実施形態が本出願を限定するように解釈できないと分かるだろうし、本出願の趣旨、原則及び範疇から逸脱すること無く変更、置換及び変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0087】
100 :試薬容器
110 :第1ボディ
112 :空洞部
114 :充填ポート
115 :凹状部
116 :窪み部
117 :溝部
118 :MAXライン
119 :MINライン
120 :第2ボディ
122 :試薬経路
124 :貯留室
126 :試薬ポート
128 :突出部
130 :第3ボディ
132 :空気経路
134 :空気ポート
140 :キャップ
1222 :直線箇所
1224 :湾曲箇所
1242 :垂直壁部
1244 :水平壁部
1246 :傾斜壁部
【手続補正書】
【提出日】2023-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/112624A1号明細書
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
本出願の実施形態(複数)は、添付図面を参照しつつ以下に記載される。本願において使用した用語「上側(upper)」、「下側(lower)」、「左(left)」、「右(right)」、「前(front)」、「後(rear)」及び同様のものは、例示を目的としたものに過ぎず、本出願を限定することが意図されないことに留意すべきである。なお、特許請求の範囲において各構成要素に付した図面参照符号は本発明の理解を助ける目的のものであり、本発明を限定することを意図したものではない。
【国際調査報告】