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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-09
(54)【発明の名称】PARSイメージング法
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/24 20060101AFI20230802BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20230802BHJP
   A61B 8/13 20060101ALI20230802BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20230802BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20230802BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
G01N29/24
A61B1/00 526
A61B8/13
G01N33/48 M
G01N33/483 C
G01N21/17 630
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577147
(86)(22)【出願日】2021-06-17
(85)【翻訳文提出日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 IB2021055380
(87)【国際公開番号】W WO2021255695
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】63/040,866
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/010,500
(32)【優先日】2020-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/187,789
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520277531
【氏名又は名称】イルミソニックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ILLUMISONICS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ハジ レザ、パーシン
(72)【発明者】
【氏名】ホセイナエ、ゾーレ
(72)【発明者】
【氏名】ベル、ケヴァン
(72)【発明者】
【氏名】アッバシ、サード
(72)【発明者】
【氏名】エケルストン、ベン
【テーマコード(参考)】
2G045
2G047
2G059
4C161
4C601
【Fターム(参考)】
2G045AA24
2G045CB01
2G045FA11
2G045FA31
2G047AA12
2G047CA04
2G059AA06
2G059BB04
2G059BB08
2G059BB12
2G059BB13
2G059EE01
2G059EE02
2G059EE05
2G059EE07
2G059EE09
2G059EE16
2G059FF01
2G059FF02
2G059FF03
2G059GG01
2G059GG03
2G059GG08
2G059HH02
4C161BB08
4C161HH51
4C161HH54
4C161MM10
4C161QQ04
4C161WW16
4C161WW17
4C601DE16
(57)【要約】
試料の細部を視覚化する方法であって、励起ビームを試料の表面下の励起位置まで誘導して試料中に信号を生成する工程と、調査ビームを試料の励起位置に向けて誘導する工程と、信号増強ビームを試料まで誘導して試料の一部の温度を、信号増強ビームがない状態での試料の一部の温度と比較して5ケルビン以下だけ上昇させる工程と、生成された信号を表す、試料から戻る調査ビームの一部を検出する工程とを含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の細部を視覚化する方法であって、
励起ビームを前記試料の表面下の励起位置まで誘導して前記試料中に信号を生成する工程と、
調査ビームを前記試料の前記励起位置に向けて誘導する工程と、
信号増強ビームを前記試料まで誘導して前記試料の一部の温度を、前記信号増強ビームがない状態での前記試料の一部の温度と比較して上昇させる工程であって、前記試料の一部が前記調査ビームの焦点内にある、前記試料の一部の温度を上昇させる工程と、
生成された前記信号を表す、前記試料から戻る前記調査ビームの一部を検出する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記励起ビームがナノ秒またはピコ秒の範囲のパルス幅を有し、前記信号増強ビームが、より長いパルス幅を有するか、または連続ビームである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試料から戻る前記調査ビームの一部に基づいて、前記試料の画像を計算する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記試料の一部から戻る自己蛍光の光を検出する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記信号増強ビームを前記試料まで誘導する工程により、前記試料中の生成された前記信号の値を、前記信号増強ビームがない状態での前記試料中の生成された前記信号の値と比較して増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記信号増強ビームを前記試料まで誘導する工程により、前記試料の一部の光学特性を、前記信号増強ビームがない状態での前記試料の一部の値と比較して変更させる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
変更された前記光学特性は、前記試料の一部の局所屈折率またはグリュナイゼン・パラメータを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
生成された前記信号を表す、前記試料から戻る前記調査ビームの一部を検出する工程が、前記調査ビームの戻りの一部から吸収信号を抽出する工程をさらに含み、
前記調査ビームの戻りの一部から散乱強度を決定する工程と、
抽出された前記吸収信号および決定された前記散乱強度から複合画像を生成する工程と
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記励起ビームによって生成された前記信号が、超音波信号、熱信号、光音響信号、および/または圧力信号を含み、前記調査ビームの戻りの一部が、生成された超音波信号、熱信号、光音響信号、および/または圧力信号を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記試料から戻る前記調査ビームの一部を、振幅/強度、周波数コンテンツ、偏光変化に関連するコンテンツ、蛍光、第2高調波発生、および/または位相変動について分析する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
材料反射率、散乱、偏光、位相蓄積、非線形吸収、および/または非線形散乱の変調のうちの1つ以上を含む吸収誘発変調効果を活用する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、
組織学的試料のイメージング、
細胞核のイメージング、
タンパク質のイメージング、
DNAのイメージング、
RNAのイメージング、
脂質のイメージング、
血中酸素飽和度のイメージング、
腫瘍低酸素のイメージング、
創傷治癒、火傷診断、もしくは手術のイメージング、
微小循環のイメージング、
血液酸素化パラメータのイメージング、
組織領域に流出入する血管中の血流の推定、
分子特異的ターゲットのイメージング、
前臨床腫瘍モデルの血管新生のイメージング、
微小循環および大循環ならびに色素細胞の臨床イメージング、
眼のイメージング、
蛍光眼底血管造影法の補強もしくは代替、
皮膚病変のイメージング、
メラノーマのイメージング、
基底細胞癌のイメージング、
血管腫のイメージング、
乾癬のイメージング、
湿疹のイメージング、
皮膚炎のイメージング、
モース手術イメージング、
腫瘍縁切除を検証するためのイメージング、
末梢血管疾患のイメージング、
糖尿病性潰瘍および/もしくは褥瘡のイメージング、
火傷イメージング、
形成外科、
顕微手術、
循環腫瘍細胞のイメージング、
メラノーマ細胞のイメージング、
リンパ節血管新生のイメージング、
光力学的治療に対する応答のイメージング、
血管破壊機構を持つ光力学的治療に対する応答のイメージング、
化学療法に対する応答のイメージング、
凍結病理試料のイメージング、
パラフィン包埋組織のイメージング、
H&E様画像のイメージング、
酸素代謝変化のイメージング、
抗血管新生薬に対する応答のイメージング、
放射線療法に対する応答のイメージング、
多波長PARS励起を用いる酸素飽和度の推定、
パルスオキシメトリーが使用できない場合の静脈酸素飽和度の推定、
脳静脈酸素飽和度および/もしくは中心静脈酸素飽和度の推定、
酸素フラックスおよび/もしくは酸素消費の推定、
バレット食道および/もしくは大腸癌における血管床および浸潤深さのイメージング、
脳手術中の機能的および構造的イメージング、
脳手術中の機能的および構造的イメージング、
内出血および/もしくは焼灼検証の評価、
臓器および/もしくは臓器移植の灌流充足のイメージング、
膵島移植の周囲の血管新生のイメージング、
皮膚移植のイメージング、
血管形成および/もしくは免疫拒絶を評価するための組織足場および/もしくは生体材料のイメージング、
顕微手術を支援するイメージング、
血管および/もしくは神経を切断しないようにするためのガイダンス、
臨床応用もしくは前臨床応用における造影剤のイメージング、
センチネルリンパ節の識別、
リンパ節における腫瘍の非侵襲もしくは低侵襲の識別、
前臨床もしくは臨床分子イメージング応用のためのチロシナーゼ、色タンパク質、および/もしくは蛍光タンパク質を含む、遺伝的にコード化されたレポータのイメージング、
分子イメージングのために能動的もしくは受動的にターゲットにされた光吸収ナノ粒子のイメージング、
血栓のイメージング、
血栓年齢の段階分け、
内因性グルコース吸収ピークを検出することによるグルコース濃度の遠隔または非侵襲性の腫瘍内評価、
オルガノイド成長の評価、
発達中の胚のモニタリング、
バイオフィルム組成の評価、
虫歯の評価、
非生物構造の評価、
真正性を非侵襲的に確認するための絵画の配合物の評価、
考古学的遺物の評価、
製造品質管理、
製造品質保証、
カテーテル処置の取り替え、
胃腸学的用途、
全視野にわたる単一励起パルス・イメージング、
組織のイメージング、
細胞のイメージング、
物体表面からの散乱光のイメージング、
散乱光の吸収誘導変化のイメージング、または
光吸収の非接触イメージング
の用途のうちの1つ以上に用いられる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
試料の細部を視覚化する方法であって、
励起ビームを前記試料の表面下の励起位置まで誘導して前記試料中に信号を生成する工程と、
調査ビームを前記試料の前記励起位置に向けて誘導する工程と、
前記調査ビームの戻りの一部から吸収信号を抽出する工程と、
前記調査ビームの戻りの一部から散乱強度を決定する工程と、
抽出された前記吸収信号および決定された前記散乱強度から複合画像を生成する工程と
を含む方法。
【請求項14】
前記吸収信号を抽出する工程が、前記調査ビームのフィルタリングされた戻りの一部から吸収信号を抽出する工程を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記散乱強度を決定する工程が、1つまたは複数の調査ビームのフィルタリングされていない戻りの一部から決定するものである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記試料内からの構成発色団を、前記励起ビームおよび/または検出ビームの波長、パルス幅、電力、エネルギー、コヒーレンス長、繰り返し率、露光時間のうちの1つ以上を用いることによってアンミキシングする工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
収集した時間領域挙動の特徴を用いて、信号忠実度を改善し、画像コントラストを増強し、前記試料の形状、サイズ、および寸法についての情報を回復するか、または多重化/機能的イメージングを実施する工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
ロックイン増幅、機械学習法、広範な特徴抽出、多次元分解、および/または周波数コンテンツに基づく特徴抽出と信号処理法を用いる工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
ターゲットの吸収、温度、偏光、周波数、位相、非線形吸収、蛍光、非線形散乱および散乱コンテンツに基づいて、ターゲットの組成をアンミキシングする工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
ターゲットの吸収、温度、偏光、周波数、位相、非線形吸収、非線形散乱および散乱コンテンツに基づいて、ターゲットのサイズ、形状、特徴、および寸法をアンミキシングする工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
異なる波長、異なるパルス幅、異なるコヒーレンス長、繰り返し率、レーザ露出時間、および/またはレーザ・フルエンスを利用することによって、ターゲットの吸収コンテンツ、散乱コンテンツ、蛍光、偏光コンテンツ、周波数コンテンツ、位相コンテンツを用いてターゲットをアンミキシングする工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
試料の細部を視覚化するための光音響リモート・センシング(PARS-OCT)システムであって、
(1)1つまたは複数の第1の位置において前記試料内に信号を生成するように構成された1つまたは複数の励起ビーム、および(2)1つまたは複数の第2の位置において前記試料に入射する1つまたは複数の調査ビーム、を生成するように構成された1つまたは複数の第1のレーザ光源と、
前記1つまたは複数の第1のレーザ光源とは別のレーザ光源と、を備え、第2の光源が、1つまたは複数の第3の位置で前記試料に入射する1つまたは複数の信号増強ビームを生成するように構成され、
前記1つまたは複数の第1の位置、前記1つまたは複数の第2の位置、および前記1つまたは複数の第3の位置が、前記試料の表面下にあり、
前記試料から戻る前記1つまたは複数の調査ビームの一部が、生成された信号を表し、 システムはさらに、
前記試料から戻る前記1つまたは複数の調査ビームの一部を検出するように構成された1つまたは複数の第1の光検出器と、
前記試料から戻る1つまたは前記複数の調査ビームの一部に基づいて前記試料の画像を計算するように構成されたプロセッサと、を備え、前記試料から戻る前記1つまたは複数の調査ビームの一部が、前記1つまたは複数の信号増強ビームなしで生成された信号と比較して、前記1つまたは複数の信号増強ビームによって変更および/または増強される、光音響リモート・センシング(PARS-OCT)システム。
【請求項23】
試料の細部を視覚化するためのシステムであって、組織の吸収および散乱コントラストを与え、前記システムは、
(1)1つまたは複数の第1の位置において前記試料内に、超音波信号、熱信号、光音響信号、および/または圧力信号を生成するように構成された1つまたは複数の励起ビーム、(2)1つまたは複数の調査位置において前記試料に入射する1つまたは複数の調査ビーム、を生成するように構成された1つまたは複数の光源であって、前記1つまたは複数の調査ビームが前記1つまたは複数の励起ビームとは異なる波長を有する、1つまたは複数の光源と、
前記1つまたは複数の励起ビームを前記1つまたは複数の第1の焦点に、および前記1つまたは複数の調査ビームを1つまたは複数の第2の焦点に、集束または誘導するように構成された1つまたは複数の光学系であって、前記1つまたは複数の第1の焦点および第2の焦点が前記試料の表面下にある、前記1つまたは複数の光学系と、
前記試料から戻る1つまたは複数の調査ビームの一部は、生成された超音波信号、熱信号、光音響信号、および/または圧力信号を表し、
前記1つまたは複数の調査ビームの戻りの一部を検出するように構成された1つまたは複数の光検出器と、
1つまたは複数のプロセッサであって、
前記1つまたは複数の調査ビームの戻りの一部または一部から吸収信号を抽出するように、
前記1つまたは複数の調査ビームの戻りの一部または一部から散乱強度を決定するように、かつ
抽出された前記吸収信号および決定された前記散乱強度から複合画像を生成するように構成された、前記1つまたは複数のプロセッサと、を備える、システム。
【請求項24】
試料の細部を視覚化するための光音響リモート・センシング・システムであって、
(1)励起位置において前記試料内に信号を生成するように構成された励起ビームと、(2)前記励起位置において前記試料に入射する調査ビームであって、生成された信号を表す前記調査ビームの一部が前記試料から戻る、前記調査ビームとを生成するように構成された1つまたは複数のレーザと、
前記励起ビームおよび/または前記調査ビームを前記試料の表面下に集束させるように構成された光学系と、
前記調査ビームの戻りの一部を、前記試料から戻る自己蛍光の光から分離するように構成されたフィルタと、
前記調査ビームの戻りの一部を検出する第1の検出器と、
前記試料から戻る前記自己蛍光の光を検出する第2の検出器と、を備える、光音響リモート・センシング・システム。
【請求項25】
試料の細部を視覚化する方法であって、
励起ビームを前記試料の表面下の励起位置まで誘導して前記試料中に信号を生成する工程と、
調査ビームを前記試料の前記励起位置に向けて誘導する工程と、
生成された信号を表す、前記試料から戻る前記調査ビームの一部を検出する工程と、
前記試料から戻る自己蛍光の光を検出する工程と、を含む、方法。
【請求項26】
試料の細部を視覚化するためのシステムであって、
(1)前記試料の表面下の1つまたは複数の第1の位置において試料内に、信号を生成するように構成された1つまたは複数の励起ビームと、(2)1つまたは複数の第2の位置において前記試料に入射する1つまたは複数の調査ビームとを生成するように構成された1つまたは複数の光源と、
前記1つまたは複数の光源とは別個の第2の光源であって、前記1つまたは複数の第1の位置において前記試料に入射する1つまたは複数の信号増強ビームを生成するように構成されており、前記1つまたは複数の信号増強ビームが前記1つまたは複数の調査ビームの焦点内の前記試料の温度を上昇させるように構成されており、前記1つまたは複数の信号増強ビームのいずれも、前記1つまたは複数の励起ビームの各々よりも強度が低い、前記第2の光源と、を備え、
前記試料から戻る前記1つまたは複数の調査ビームの一部が、生成された信号を表し、 前記システムはさらに、
前記試料から戻る前記1つまたは複数の調査ビームの一部を検出するように構成された1つまたは複数の第1の光検出器を備え、
前記システムはさらに、前記試料から戻る前記1つまたは複数の調査ビームの一部に基づいて前記試料の画像を計算するように構成されたプロセッサをさらに含み、前記試料から戻る前記1つまたは複数の調査ビームの一部の強度変調は、前記1つまたは複数の信号増強ビームなしで生成された、前記試料から戻る前記1つまたは複数の調査ビームの一部の強度変調と比較して、前記試料の局所屈折率を変える、前記1つまたは複数の調査ビームの前記焦点内の前記試料の温度が上昇することにより、前記1つまたは複数の信号増強ビームによって増加され、
前記1つまたは複数の励起ビームによって生成された信号が、超音波信号、熱信号、光音響信号、蛍光信号、および/または圧力信号を含み、前記1つまたは複数の調査ビームの戻りの一部が、生成された超音波信号、熱信号、光音響信号、および/または圧力信号を表す、システム。
【請求項27】
試料の細部を視覚化するための組織の吸収および散乱コントラストを提供するシステムであって、
(1)1つまたは複数の第1の位置において前記試料内の少なくとも第1のターゲット内に、超音波信号、蛍光信号、熱信号、光音響信号、および/または圧力信号を生成するように構成された1つまたは複数の励起ビームと、(2)1つまたは複数の調査位置において前記試料に入射する1つまたは複数の調査ビームと、を生成するように構成された1つまたは複数の光源であって、前記1つまたは複数の調査ビームが前記1つまたは複数の励起ビームとは異なる波長を有し、前記1つまたは複数の調査ビームの波長が、前記1つまたは複数の励起ビームが前記試料に照射されることに起因して前記試料内の第2のターゲットによって生成される任意の超音波信号、熱信号、光音響信号、および/または圧力信号を、前記第2のターゲットの吸収エネルギー・レベルを集めることによって抑制するように構成され、前記第1のターゲットおよび前記第2のターゲットが異なる発色団を有する、前記1つまたは複数の光源と、
前記1つまたは複数の励起ビームを前記1つまたは複数の第1の焦点に、および前記1つまたは複数の調査ビームを1つまたは複数の第2の焦点に、集束または誘導するように構成された1つまたは複数の光学系であって、前記1つまたは複数の第1の焦点および第2の焦点が前記試料の表面下にある、前記1つまたは複数の光学系と、を備え、前記試料から戻る1つまたは複数の調査ビームの一部が、生成された超音波信号、熱信号、光音響信号、蛍光信号、および/または圧力信号を表し、
前記試料から戻る1つまたは複数の励起ビームの一部が、生成された超音波信号、熱信号、光音響信号、蛍光信号、および/または圧力信号を表し、
前記システムはさらに、
前記1つまたは複数の調査ビームの戻りの一部を検出するように構成された1つまたは複数の光検出器と、
プロセッサであって、
前記試料内の前記第1のターゲットと前記第2のターゲットを互いにアンミキシングし、前記第1のターゲットの光学特性および前記第2のターゲットの光学特性に基づいて、前記第1のターゲットおよび前記第2のターゲットに異なる色を割り当てるように、かつ
前記異なる色が単一の画像上に同時に示されるように構成された、前記プロセッサと、を備え、前記第1のターゲットおよび前記第2のターゲットが、それぞれ内因性および/または外因性の発色団を含み、前記プロセッサが、前記1つまたは複数の光源を用いて前記試料を走査した後に、前記第1のターゲットと前記第2のターゲットをアンミキシングするように構成されている、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学イメージングの分野に関し、詳細には、生体内、生体外、または試験管内の工業材料または生体組織などの試料を非接触イメージングする、レーザ・ベースの方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
光音響イメージング技法は、光散乱する媒体内の固有の内因性光吸収コントラストを視覚化することができるモダリティの有力な一系列である。一般的な光音響アーキテクチャでは、ナノ秒またはピコ秒レーザ・パルスが試料に向けて誘導されて熱弾性誘導音響波を発生させ、この音響波がその後観察され再構築されて光吸収分布の画像が形成される。励起光源の波長を慎重に選択することによって、特定の生体分子の吸収コントラストをターゲットにすることができる。たとえば532nmは、ヘモグロビンをターゲットにするために広く使われている波長である。これらのシステムは、臨床的に関連のある生体構造を生体組織内から回復するのに有効であることが実証されている。いくつかの例としては、マクロ血管から微小血管までの血管構造、細胞構造、脂質が豊富なプラークが、血中酸素飽和度の視覚化を含む機能イメージングとともに挙げられる。
【0003】
光音響イメージングは、2つの主要なカテゴリーに分けることができる。すなわち、光音響トモグラフィ(PAT)では再構築ベースの画像形成を用い、光音響顕微鏡(PAM)では合焦ベースの画像形成を用いる。PATでは、集束されていない光ビームが関心領域を励起し、発生した超音波をトランスデューサのアレイが多数の位置で測定する。PAMでは、光学焦点および音響焦点のラスター走査を用い、記録された深度分解信号から画像を直接形成する。PAMはさらに、光学集束が音響集束よりはるかに密である光学分解PAM(OR-PAM)と、音響集束の方が密である音響分解PAM(AR-PAM)とに分類される。3つすべての実施形態において、音響信号は通常、音響結合されたトランスデューサ、または他の音響共振器もしくは音響・光学共振器を介して収集される。すべての場合において、光音響信号(一般に試料中の圧力発生および温度と関連付けられる)を記録して、励起波長における試料の光吸収を表す画像を形成することができ、記録された様々なピークの振幅が局所光吸収を暗示している。
【0004】
しかし、従来の光音響技法は、試料に物理的に結合する必要があるので、眼科イメージング、術中イメージング、創傷治癒のモニタリング、および多くの内視鏡処置などの多種多様な臨床用途には不向きである。
【0005】
光音響リモート・センシング(PARS)顕微鏡として知られる、最近報告された光音響技術(特許文献1および特許文献2)は、これらの感度問題の多くを新規の検出機構によって解決している。PARSでは、音響圧力をその供給源から伝搬した後に外面で検出するのではなく、励起された光音響領域を直接検出できるようにする。この検出は、光音響励起と同時に起きる材料の光学的特性の変化をモニタリングすることによって達成される。次に、これらの変化が、光吸収、物理的ターゲット寸法、構成発色団などの様々な顕著な材料特性をコード化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0113507号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2017/0215738号明細書
【発明の概要】
【0007】
一態様によれば、試料内で吸収コントラストを与える試料中の表面下構造をイメージングする、熱増強光音響リモート・センシング(TE-PARS)システムが提供される。
TE-PARSシステムは、励起場所または場所の集まりにおいて試料中にPARS信号を生成するように構成された励起ビームまたはビームの集まりと、励起場所もしくは場所の集まり、または調査場所(interrogation location)もしくは場所の集まりにおいて試料に入射する、温度信号および圧力信号の観測または生成を修正するように構成された信号増強ビームまたはビームの集まりと、調査場所または場所の集まりにおいて試料に入射する調査ビーム(interrogation beam)またはビームの集まりと、励起ビームまたはビームの集まりを第1の焦点または焦点の集まりに集束または向ける光学システムまたはシステムの集まりであって、第2の焦点または焦点の集まりにおける信号増強ビーム、第3の焦点または焦点の集まりにおける調査ビーム、ならびに第1、第2および第3の焦点または焦点の集まりが試料の表面の下方にある、光学システムまたはシステムの集まりと、生成されたPARS信号であることを示す、試料から戻る調査および/または信号増強のビームもしくはビームの集まりの一部と、調査ビームおよび/または信号増強ビームの戻りの一部を検出するための光検出器または光検出器の集まりと、収集された結果を解釈するための処理ユニットとを備える。
【0008】
TE-PARSの実施形態は、検出経路としても機能することができるPARS信号増強経路のいくつかの集まりを含み得る。
別の態様によれば、試料中の表面下構造の温度を検出する温度検知光音響リモート・センシング(TS-PARS)システムが提供される。
【0009】
TS-PARSシステムは、励起場所または場所の集まりにおいて試料中にPARS信号を生成するように構成された励起ビームまたはビームの集まりと、調査場所または場所の集まりにおいて試料に入射する調査ビームまたはビームの集まりと、励起ビームまたはビームの集まりを第1の焦点または焦点の集まりに、および調査ビームを第2の焦点または焦点の集まりに集束または向ける光学システムまたはシステムの集まりであって、第1および第2の焦点または焦点の集まりが試料の表面の下方にある、光学システムまたはシステムの集まりと、生成されたPARS信号であることを示す、試料から戻る調査ビームまたはビームの集まりの一部と、調査ビームおよび/または信号増強ビームの戻りの一部を検出するための光検出器または光検出器の集まりと、収集された結果を解釈するための温度処理ユニットとを備える。
【0010】
別の態様によれば、試料中の光吸収コントラストを活用することによって、光回折限界によって画定される分解能よりも大きい分解能で試料中の表面下構造をイメージングする超分解能光音響リモート・センシング(SR-PARS)システムが提供される。
【0011】
SR-PARSシステムは、励起場所または場所の集まりにおいて試料中にPARS信号を生成するように構成された励起ビームまたはビームの集まりと、調査場所または場所の集まりにおいて試料に入射する調査ビームまたはビームの集まりと、励起ビームまたはビームの集まりを第1の焦点または焦点の集まりに、および調査ビームを第2の焦点または焦点の集まりに集束または向ける光学システムまたはシステムの集まりであって、第1および第2の焦点または焦点の集まりが試料の表面の下方にある、光学システムまたはシステムの集まりと、生成されたPARS信号であることを示す、試料から戻る調査ビームまたはビームの集まりの一部と、調査ビームの戻りの一部を検出するための光検出器または光検出器の集まりと、収集された結果を解釈するための超分解能処理ユニットとを備える。
【0012】
別の態様によれば、色効果および空間フィルタリング法を活用して試料中の空間情報をコード化する、試料中の表面下構造をイメージングするためのスペクトル増強光音響リモート・センシング(SE-PARS)システムが提供される。
【0013】
SE-PARSシステムは、励起場所または場所の集まりにおいて試料中にPARS信号を生成するように構成された励起ビームまたはビームの集まりと、調査場所または場所の集まりにおいて試料に入射する調査ビームまたはビームの集まりと、調査ビームをその波長または空間位置付けに基づいて分散させる光学システムまたは光学システムの集まりと、励起ビームまたはビームの集まりを第1の焦点または焦点の集まりに、および調査ビームを第2の焦点または焦点の集まりに集束または向ける光学システムまたはシステムの集まりであって、第1および第2の焦点または焦点の集まりが試料の表面の下方にある、光学システムまたはシステムの集まりと、生成されたPARS信号であることを示す、試料から戻る調査ビームまたはビームの集まりの一部と、調査ビーム同士をその波長または空間位置付けに基づいて再結合する光学システムまたは光学システムの集まりと、調査ビームの戻りの一部を検出するための光検出器または光検出器の集まりと、収集された結果を解釈するための処理ユニットとを備える。
【0014】
別の態様によれば、波長固有吸収を活用して試料中の空間情報をコード化または抑制する、試料中の表面下構造をイメージングするためのスマート検出光音響リモート・センシング(SD-PARS)システムが提供される。
【0015】
SD-PARSシステムは、励起場所または場所の集まりにおいて試料中にPARS信号を生成するように構成された励起ビームまたはビームの集まりと、調査場所または場所の集まりにおいて試料に入射する調査ビームまたはビームの集まりと、励起ビームまたはビームの集まりを第1の焦点または焦点の集まりに、および調査ビームを第2の焦点または焦点の集まりに集束または向ける光学システムまたはシステムの集まりであって、第1および第2の焦点または焦点の集まりが試料の表面の下方にある、光学システムまたはシステムの集まりと、生成されたPARS信号であることを示す、試料から戻る調査ビームまたはビームの集まりの一部と、収集された結果を解釈するための処理ユニットとを備える。SD-PARSが標準的なPARSデバイスと異なる点は、それが、特定の領域から発生する光音響信号またはPARS信号を抑制するように、検出波長を意図的に選択できることである。たとえば、所望のターゲットが大血管のすぐ隣に位置する(さもなければ大血管が所望のターゲットからの信号を圧倒するおそれがある)場合、検出波長は、検出前に吸収エネルギー・レベルを集めること(populating)によって、血管からの信号を抑制するように選択されてもよい。抑制された信号は、抑制されていない信号と比べて約1%~約100%抑制されている可能性がある。他の例では、抑制された信号は、抑制されていない信号と比べて約5%~約95%、約10%~約90%、約25%~約75%、または他の適切な割合で、抑制されている可能性がある。
【0016】
TA-PARS、TE-PARS、TS-PARS、SE-PARS、SD-PARSおよびSR-PARSの実施形態は、PARS、TE-PARS、SE-PARS、SD-PARS、TA-PARS、TS-PARSおよびSR-PARSの検出経路のいくつかの集まりを備え得る。
【0017】
PARS経路には、米国特許第10,117,583号に記載の従来のPARS、米国特許第10,327,646号に記載の非干渉PARS、米国特許第10,627,338号に記載のカメラ・ベースのPARS、国際公開第WO2019/145764号に記載のコヒーレンス・ゲートPARS、2020年3月3日に出願された国際特許出願第PCT/IB2020/051804号に記載のシングル・ソースPARS、および2019年12月19日に出願された国際特許出願第PCT/IB2019/061131号に記載のPARS拡張が、これらだけには限らないが含まれてもよく、これらのそれぞれの全体を本明細書に援用する。
【0018】
別の態様によれば、組織の吸収コントラストおよび散乱コントラストを与える試料中の表面下構造をイメージングする、光コヒーレンス・トモグラフィと組み合わせたデュアル・モダリティ光音響リモート・センシング(PARS-OCT)システムが提供される。
【0019】
PARS-OCTのPARSサブシステムは、励起場所または場所の集まりにおいて試料中に圧力信号および温度信号を生成するように構成された励起ビームまたはビームの集まりと、調査場所または場所の集まりにおいて試料に入射する調査ビームまたはビームの集まりと、励起ビームまたはビームの集まりを第1の焦点または焦点の集まりに、および調査ビームを第2の焦点または焦点の集まりに集束または向ける光学システムまたはシステムの集まりであって、第1および第2の焦点または焦点の集まりが試料の表面の下方にある、光学システムまたはシステムの集まりと、生成された圧力信号および温度信号であることを示す、試料から戻る調査ビームまたは調査ビームの集まりの一部と、調査ビームの戻りの一部を検出するための光検出器または光検出器の集まりと、収集された結果を解釈するための処理ユニットとを備える。
【0020】
PARS-OCTのOCTサブシステムは、光源または光源の集まりと、それぞれが単一または複数の試料アームおよび参照アームを備えた干渉計または干渉計の集まりであって、試料アームがビームまたはビームの集まりの試料部分を第3の焦点に向け、参照アームがビームまたはビームの集まりの参照部分を既知の長さの経路の中に向ける、干渉計または干渉計の集まりと、試料アームによって集められた散乱を示す、試料アームから戻る光の一部と、参照アームによって集められた散乱を示す、参照アームから戻る光の一部と、試料アームおよび参照アームからの戻りの一部を検出するための光検出器または光検出器の集まりと、収集された結果を解釈するための処理ユニットとを備える。
【0021】
別の態様によれば、試料の吸収情報および散乱情報をもたらす、光コヒーレンス・トモグラフィと組み合わせた内視鏡光音響リモート・センシング(EPARS-OCT)デバイスが提供される。
【0022】
PARS-OCTのPARSサブシステムは、励起場所または場所の集まりにおいて試料中に圧力信号および温度信号を生成するように構成された励起ビームまたはビームの集まりと、調査場所または場所の集まりにおいて試料に入射する調査ビームまたはビームの集まりと、入力端および検出端を有する光ファイバ・ケーブルまたはケーブルの集まりと、励起ビームまたはビームの集まりを第1の焦点または焦点の集まりに、および調査ビームを第2の焦点または焦点の集まりに集束または向ける光学システムまたはシステムの集まりであって、第1および第2の焦点または焦点の集まりが試料の表面の下方にある、光学システムまたはシステムの集まりと、生成された圧力信号および温度信号であることを示す、試料から戻る調査ビームまたは調査ビームの集まりの一部と、調査ビームの戻りの一部を検出するための光検出器または光検出器の集まりと、収集された結果を解釈するための処理ユニットとを備える。
【0023】
PARS-OCTのOCTサブシステムは、光源または光源の集まりと、それぞれが単一または複数の試料アームおよび参照アームを備えた干渉計または干渉計の集まりであって、試料アームがビームまたはビームの集まりの試料部分を、入力端および検出端を有する光ファイバ・ケーブルまたはケーブルの集まりを通して第3の焦点に向け、参照アームがビームまたはビームの集まりの参照部分を既知の長さの経路の中に向ける、干渉計または干渉計の集まりと、試料アームによって集められた散乱を示す、試料アームから戻る光の一部と、参照アームによって集められた散乱を表す、参照アームから戻る光の一部と、試料アームおよび参照アームからの戻りの一部を検出するための光検出器または光検出器の集まりと、収集された結果を解釈するための処理ユニットとを備える。
【0024】
PARS-OCTの実施形態は、PARS検出経路およびOCT検出経路のいくつかの集まりを備え得る。
EPARS-OCTの実施形態は、PARS検出経路およびOCT検出経路のいくつかの集まりを備え得る。
【0025】
PARS検出経路には、2018年11月6日発行の米国特許第10,117,583号に記載の従来のPARS、2019年6月25日発行の米国特許第10,327,646号に記載の非干渉PARS、2020年4月21日発行の米国特許第10,627,338号に記載のカメラ・ベースのPARS、2020年11月19日に公開された米国特許出願公開第2020/0359903号に記載のコヒーレンス・ゲートPARS、2020年9月24日に公開された国際公開第WO2020/188386号に記載のシングル・ソースPARS、2019年12月19日に出願された国際特許出願第PCT/IB2019/061131号に記載のPARS拡張、TA-PARS、TE-PARS、TS-PARS、SR-PARS、SE-PARSおよびSD-PARSが、これらだけには限らないが含まれてもよい。本明細書に記載の特許出願および特許のすべてをその全体で本明細書に援用する。
【0026】
OCT検出経路には、TD-OCT、SS-OCT、SD-OCT、または他のOCT実施形態の既知の実施態様が、これらだけには限らないが含まれ得る。たとえば、広帯域光源、走査基準経路遅延、および光検出器を備えたTD-OCTシステム。別の例では、同調狭帯域光源、固定参照経路遅延および光検出器を備えたSS-OCTシステム。さらに別の例では、広帯域光源、固定参照経路遅延および分光器を備えたSD-OCTシステム。
【0027】
特定のPARS-OCTなど、上記に列挙されたPARSまたはOCT経路の任意の組み合わせを想定することができる。しかし、任意のそのような組み合わせまたは明らかな拡張もまた、製作することができる。
【0028】
新規のPARS信号抽出アルゴリズムは、材料反射率、散乱、偏光、位相蓄積、非線形吸収、非線形散乱などの変調をこれらだけには限らないが含む、様々な吸収誘発変調効果を活用することができる。これらのアルゴリズムは、波長、パルス幅、電力、エネルギー、コヒーレンス長、繰り返し率、露光時間などの変化をこれらだけには限らないが含む、様々な励起、検出ビーム、および信号増強ビームの特性を用いることによって、試料内からの構成発色団をアンミキシング(unmixing)するための多重取得に用いることが可能である。これらの特性は、タスクに適している任意の値をとることができる。一般的な範囲には、波長(ナノメートルからマイクロメートル(ミクロン))、パルス幅(アト秒からミリ秒)、電力(アトワットからワット)、パルス・エネルギー(アトジュールからジュール)、コヒーレンス長(ナノメートルからキロメートル)、および繰り返し率(持続波からギガヘルツ)が含まれ得る。熱摂動を生じさせることだけを必要とし得るので比較的長いパルス幅(ナノ秒以上)を使用して実施できる信号増強ビームとは対照的に、励起ビームは一般に、PARS信号インパルス応答を生じさせることを意図した短いパルス幅(ナノ秒およびサブナノ秒)を使用して実施することができる。たとえば、励起ビームのパルス幅は、1ns超でも1ns未満でもよく、信号増強ビームのパルス幅はもっと大きくてもよい。所与のシステム・アーキテクチャにおいて、励起、検出、および信号増強波長は、それぞれの経路間の光学的差別化の手段が得られるように異なる波長または偏光状態を用いて実施することができる。
【0029】
他の新規のPARS信号抽出アルゴリズムでは、収集した時間領域挙動の固有の特徴を活用して、信号忠実度を改善し、画像コントラストを強調することができ、また、試料の形状、サイズおよび寸法についての情報を回復すること、または多重化/機能的イメージングを実施することができる。処理技法には、ロックイン増幅(ソフトウェア・ベースとハードウェア・ベース両方の実施態様)、機械学習法、広範な特徴抽出、多次元分解、ならびに周波数コンテンツ・ベースの特徴抽出および信号処理法が、これらだけには限らないが含まれ得る。
【0030】
PARSは、ターゲットの吸収、温度、偏光、周波数、位相、非線形吸収、構造、速度、蛍光、非線形散乱および散乱コンテンツに基づいて、複数のターゲットの組成をアンミキシングするために使用することができる。
【0031】
PARSはまた、ターゲットの吸収、温度、偏光、周波数、位相、非線形吸収、非線形散乱、散乱コンテンツに基づいて、複数のターゲットのサイズ、形状、特徴、および寸法をアンミキシングするために使用することもできる。
【0032】
PARS信号は、異なる波長、異なるパルス幅、異なるコヒーレンス長、繰り返し率、レーザ露出時間、レーザ・フルエンスを利用することによって、ターゲットの吸収コンテンツ、散乱コンテンツ、蛍光、偏光コンテンツ、周波数コンテンツ、位相コンテンツを用いてターゲットをアンミキシングするために使用することができる。
【0033】
PARS信号は、発生した圧力によって支配することができ、また、PARS信号の振幅/強度、周波数コンテンツ、偏光変化に関連するコンテンツ、蛍光、第2高調波発生、および位相変動に基づいて分析して、情報を得ることができる。
【0034】
PARS信号は、発生した温度によって支配することができ、また、その振幅/強度、蛍光、周波数コンテンツ、第2高調波発生、偏光変化に関連するコンテンツ、および位相変動に基づいて分析して、情報を得ることができる。
【0035】
PARSシステムは、試料中のいかなる光吸収誘発変動も捕捉するように構成することができる。このような変動には、圧力信号、温度信号、超音波信号、自己蛍光信号が、これらだけには限らないが含まれ得る。
【0036】
試料からの調査、信号増強、励起または自己蛍光の一部を収集して画像を形成することができる。これらの信号を使用して、試料のサイズ、形状、特徴、寸法、性質および組成をアンミキシングすることができる。
【0037】
所与のアーキテクチャでは、検出ビーム、励起ビーム、または熱増強ビームなどの、試料から戻ってくる光の任意の部分を収集することができる。戻ってくる光は、波長、位相、偏光などに基づいて分析して、圧力、温度、および光放射を含むいかなる吸収誘導信号も捕捉することができる。このようにしてPARSは、たとえば、各検出、励起、および熱増強光源に起因する散乱、自己蛍光、および偏光コントラストを同時に捕捉することができる。さらに、PARSレーザ光源は、これらの異なるコントラスト機構を強調するように特に選ぶことができる。
【0038】
他の態様は、以下の説明および特許請求の範囲から明らかになろう。
本明細書において、単語「含んでいる(comprising)」は、その単語の後に続く項目が含まれることを意味するようにその非限定的な意義で使用されているが、特に言及されていない項目を除外しない。不定冠詞「a」によって要素に言及しても、その要素が1つある、および1つだけある必要がない。
【0039】
以下の請求項の範囲は、上記の例および図面に示された好ましい実施形態によって限定されるべきではなく、本明細書と全体として一致する最も広い解釈が与えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】TE-PARSシステムの概略図。
図2】PARS励起およびPARS検出を含むTE-PARSシステムの概略図。
図3】SR-TE-PARSシステムの概略図。
図4】他のモダリティと結合された実現可能なTE-PARSの実施態様を示す図。
図5】TE-PARS信号の信号処理経路を示す図。
図6】複数のPARS励起レーザの実施態様を示す図。
図7】複数のPARS検出レーザの実施態様を示す図。
図8】複数のPARS信号増強レーザの実施態様を示す図。
図9】複数の励起レーザ、複数の検出レーザおよび複数の信号増強レーザの実施態様を示す図。
図10】TE-PARSのシステム・レイアウトの例を示す図。
図11】TE-PARSのシステム・レイアウトのさらに別の例を示す図。
図12】TE-PARSのシステム・レイアウトのさらに別の例を示す図。
図13】TE-PARSを他のモダリティと組み合わせる例を示す図。
図14】連続熱増強を用いるTE-PARSイメージング法の例を示す図。
図15】パルス熱増強を用いたTE-PARSイメージング法の例を示す図。
図16】PARSシステムにおける信号生成を示す図。
図17】TE-PARS信号アンミキシング法を示す図。
図18】超解像イメージングの信号フローを示す図。
図19a-19k】異なるスポット配置を示す図。
図20】TE-PARSベースの機能的イメージング法の例を示す図。
図21】PARS励起系列および得られるPARS信号の例を示す図。
図22】SE-PARSシステムの実施態様を示す図。
図23】PARS-OCTシステムの概略図。
図24a-24b】PARS-OCTシステムのイメージング・アームの実施態様を示す図。
図25】PARS-OCTシステムの実施態様を示す図。
図26a-26c】OCTイメージング・システムの機構を示す図。
図27】OCT信号データ処理経路の概略図。
図28】ヒト網膜の例示的なOCT画像(B走査)を示す図。
図29a-29b】PARSイメージング・システムの機構を示す図。
図29c】PARSイメージング・システムの機構を示す図。
図30】PARSの信号データ処理経路の概略図。
図31a-31b】例示的なPARS画像を示す図。
図32】PARS-OCTの例示的なシステム・レイアウトを示す図。
図33】EPARS-OCTの別の例示的なシステム・レイアウトを示す図。
図34】PARS-OCTのさらに別の例示的なシステム・レイアウトを示す図。
図35】マルチ・モーダルPARS-OCTの例示的なシステム・レイアウトを示す図。
図36】PARS-OCTのさらに別の例示的なシステム・レイアウトを示す図。
図37】TS-PARSの概略図。
図38】TE-PARSとTS-PARSとSR-PARSと他のモダリティとの間の例示的な組み合わせを示す図。
図39】熱増強光源を特徴とするPARS-OCTを示す図。
図40】光学サブシステムが試料のまわりで機械的に走査されるPARSシステムを示す図。
図41】TS-PARS検出処理の例を示す図。
図42】散乱減算処理経路を示す図。
図43a-43b】いくつかの経路を透過モードで実施できることを実証する様々な構成光ビームの例を示す図。
図44a-44k】PARS-OCTシステムの異なるスポット配置を示す図。
図45】散乱減算処理経路の別の例を示す図。
図46】SD-PARS組み合わせ散乱・吸収コントラスト視覚化の例を示す図。
図47】SD-PARS検出光源波長を変化させることによって得られた異なるコントラストの例を示す図。
図48】自己蛍光感受性の全吸収PARS(TA-PARS)アーキテクチャの例を示す図。
図49】自己蛍光感受性の全吸収PARS(TA-PARS)アーキテクチャによってもたらされた視覚化の例を示す図。
図50】TA-PARSの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
次に、添付の図面に示されている本開示の諸例を詳細に参照する。可能な限り同じ参照番号が、同一または同様の部分を指し示すために図面全体を通して使用される。以下の説明において、「約」、「実質的に」、「およそ」などの相対的な用語が、記述された数値の可能性のある変動を示すために使用される。
【0042】
PARSデバイスが、共焦点配置が可能な2つの光ビームを利用したので、イメージング技法の空間分解能は、どちらのビームがより密な焦点を試料に形成するかによって、励起定義(ED:excitation-defined)または調査定義(ID:interrogation-defined)として定義されてもよい。この態様はまた、従来の接触ベースのOR-PAMデバイスの限界を超えて、より深いターゲットをイメージングしやすくすることもできる。このイメージングは、生体組織などの高散乱媒体内で、所与の励起(532nmなど)によって得られるものに勝る深さまでの空間分解能を実現し得る、短波赤外(1310nmまたは1700nmなど)のように深く浸透する(長い輸送平均自由行程)検出波長を活用することによって達成することができる。2つより多いビームが、試料において2つより多い焦点からシステムが構成されるように使用される場合、これらの構成要素の明白な拡張が期待されることは記述に値する。たとえば、ビームの焦点領域内の信号を増幅する付加的なビームが追加された場合、そのビームはまた、システムの期待される分解能を定義することに寄与することもできる。
【0043】
本明細書に記載のPARSシステムは、以前に記述されたPARSシステムとは本質的に異なる。これらのデバイスでは、新規の物理的発見を利用して、以前の報告の能力を大幅に改善する。材料の温度依存性を利用して、PARS取得に使用可能な吸収コントラストを向上させ(試験される材料に応じて約1桁まで)、感度を向上させるPARSシステムが含まれる。材料の飽和効果が活用されて、回折限界の光学系単独で得られた分解能が凌駕される。取得効率およびイメージング速度を数桁向上させることが可能である、最新の空間スペクトル・コード化技法が統合される。この速度向上は、走査次元を低減する結果として得られ、2次元走査が1次元走査程度で完了し、あるいは3次元走査が2次元走査程度で完了することなどが可能になる。同様に、様々なビーム特性(いくつか挙げると、波長、パルス幅、電力、コヒーレンス長、繰り返し率、露光時間、信号周波数コンテンツ、および光学飽和、散乱、偏光、および位相効果)を用いて発色団を分離するなどの、多重取得の際に用いるための新規の処理技法について、および時間領域信号から付加情報を抽出するための処理技法について説明する。
【0044】
実現可能な機構には、圧力誘起の屈折率変調、熱誘起の屈折率変調、表面振動、および制限された熱膨張による散乱体位置変調が含まれる。
温度および圧力の上昇による屈折率変化は、光の散乱に影響を及ぼし得る。場合によっては、検出されたPARS信号は、発生した圧力および/または温度によって支配されることがある。
【0045】
これらの新規の態様の多くは、本質的に異なる物理的効果を利用するので、これら付加されたものが強調される。最初に、高度に単純化された抽象化の中で、フルエンスφの十分に短い光パルスによって生成された圧力pは、以下の関係によって定義され得る。
【0046】
=ΓμΦ
ここで、μは試料中の光吸収を表し、Γは、材料特性の比を示すグリュナイゼン・パラメータ(Grueneisen parameter)として知られている。しかし、この圧力の上昇と同時に、PARSシステム内で多数のビームにさらされることにより温度上昇が起こる。この温度上昇は、グリュナイゼン・パラメータΓと光吸収μの両方を変えることによって、圧力生成に影響を及ぼす。このことは、この場合、圧力生成の効率が温度Tによって変えられ得ることを暗示する。PARSデバイスでは、圧力上昇pは一般に、励起領域からの散乱または反射率の変化として測定される。この光散乱の変化は、圧力pによって局所屈折率が、所与の検出波長λについて次式の関係に従う量δneoだけ変調される弾性光学効果により生じる可能性があり、
【0047】
【数1】
ここで、εは弾性光学係数、nは試料の非摂動屈折率、ρは密度、vは音響伝搬速度である。同様に、温度Tの上昇によってもまた、局所的な屈折率の変調がある量δn(λ,T)だけ生成される。この場合、これらの効果は互いに混ざり合い、以下の測定されたPARS信号SPARSを部分的に画定する。
【0048】
PARS(μ,φ,λ,T)∝δneo+δn
したがって、強度変調PARS信号は、光吸収および入射励起フルエンスだけでなく、検出レーザ波長、フルエンス、および試料の温度についても依存性を保持する。PARS信号はまた、散乱体位置変調および表面振動などの他の現象からも発生する可能性もある。同様の類似物が、強度、偏光、周波数、位相、蛍光、非線形散乱、非線形吸収などの他の変調光学特性を利用するPARSデバイスについても存在し得る。
【0049】
材料特性が周囲温度に依存するので、対応する温度依存性がPARS信号にはある。これらの温度依存性により、PARSシステムによる温度センシングが容易になり得る。
温度依存性はまた、熱増強光音響リモート・センシング(TE-PARS)技法を促進する可能性がある。TE-PARSシステムは、PARS励起光源および検出光源に加えて、信号増強光源を使用してもよい。信号増強光源は、局所的な材料特性を変える、したがって誘発圧力変調を変える光エネルギーを堆積させる。
【0050】
いくつかの強度レベルにおいては、さらなる飽和効果もまた活用することができる。たとえば、光吸収μは、以下の固有飽和強度Isatに近づく強度レベルIにおいて飽和する。
【0051】
【数2】
ここでμa0は、飽和する前の材料の光吸収である。この飽和により、所与の励起強度の線形入力に対して、信号の非線形空間分布が生じる。非線形蛍光効果が超分解能蛍光顕微鏡で活用されるのとほとんど同じように、PARSが同様に、この非線形飽和を活用してλ/2回折分解能限界を越える可能性がある。
【0052】
上記の機構は、プローブ・ビームが集束されて制限励起体積を検知したときに、容易に測定可能であり得る散乱位置変調または散乱断面変調の重要な光源を示唆する。しかし、これらの大きい局所信号は、PARS信号の唯一の潜在的な元信号ではない。試料の表面に伝搬する音響信号によってもまた、PARS信号の変化が生じることがある。これらの音響信号により、PARS信号の位相変調が生じる表面振動を生成することもできる。
【0053】
これらの生成された信号は、二次的な物理的効果によって、とりわけ、振動、温度、応力、表面粗さ、機械的曲げなどによって意図的に制御するか、または生じさせることができる。たとえば、ある温度を試料に導入することができ、それにより、生成されるPARS信号を、この付加的な温度を導入せずに生成されるものと比較して増大させることができる。他の例としては、試料に機械的ストレスを導入すること(曲げることなど)があり、その結果、試料の密度に影響を及ぼし、それによって、生成されるPARS信号が、この機械的ストレスを導入せずに生成されたものと比較して摂動する。
【0054】
付加的なコントラスト剤を試料に追加して生成PARS信号を増大させることができ、このコントラスト剤には、色素、タンパク質、特別に設計された細胞、液体、および光学剤または窓が、これらだけには限らないが含まれる。ターゲットは、最適な結果が得られるように光学的に変更することができる。
【0055】
温度変化は、励起位置で検出レーザによって測定されるPARS信号に直接影響を及ぼす。
最も直接的な影響は、以下の式で記述することができる。
【0056】
=Γηthμ
ここで、ηthは熱に変換された光の割合であり、Fは局所的な光フルエンス(J/cm)であり、無次元グリュナイゼン・パラメータΓは次式のように定義される。
【0057】
【数3】
ここで、βは体積膨張の熱係数(K-1)であり、κは等温圧縮率(Pa-1)であり、ρは密度(kg/m)である。
【0058】
信号増強ビームは熱を堆積させて、検出ビームの焦点および/または信号増強ビームの焦点にあるか、または隣接する材料の、温度依存性のグリュナイゼン・パラメータおよび他の機械的特性を変える。この結果、前述の関係に従って、pが高くなり、したがって、試験される材料によっては光音響信号およびPARS信号が1桁も大きくなる。たとえば、信号増強ビームは、信号増強ビームがない場合のpの値と比較して、pを少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍に増大させることができる。他の例では、信号増強ビームは、pを少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、または少なくとも50%だけ増大させることができる。
【0059】
別の熱増強効果では、検出ビームに注目する。検出ビームの後方反射は、材料の局所屈折率に依存する。材料の反射率もまた、温度依存性である。したがって、信号増強光源を使用して熱を蓄積し、それによって、変えられていない材料の光学特性と比較して、材料の光学特性を数パーセントだけ変えることができる。これにより、観測されるPARS信号の振幅は、光学特性変更のほぼ2乗で変わる。たとえば、強度反射率摂動の影響を受けやすいPARS検出を使用すると、その差の二乗で、所与の屈折率変調によりPARS振幅の増加を、後方反射強度と試験される材料の屈折率との間の関係の故に生じさせることができる。
【0060】
これらの限定的な例では、より直接的な信号増強効果のいくつかを強調している。しかし、多くの付加的な材料特性は温度依存性である。これらの材料特性のいずれかを信号増強光源を用いてターゲットにすることもできる。これにより、観測されるPARS信号の振幅、周波数コンテンツなどを変えることができる。
【0061】
ターゲットに対して適切な温度範囲が存続する。たとえば、生物学的試料は数デグリーだけ加熱されるべきである。たとえば、信号増強ビームの焦点における試料の温度上昇は、0.1~1ケルビン、0.1~2ケルビン、0.1~5ケルビン、0.1~10ケルビンでもよいが、他の適切な温度上昇もまた企図される。
【0062】
これらの新たな開示によって活用される別の態様は、生成されたPARS信号の散乱、偏光、周波数および位相のコンテンツが中心となる。励起イベントは、たとえば100ns未満の短い期間に発生し、その時間内に、検出信号中の監視される変調は、豊富な情報を含んでいる。たとえば、反射強度を単純に監視していた旧来のPARS技法では、これらの時間領域信号の振幅を抽出することができる。しかし、付加的な情報が信号の時間変化の態様から抽出される可能性がある。たとえば、PARS信号に伴う散乱、偏光、周波数、位相コンテンツの一部は、その信号が生成された領域のサイズ、形状、特徴、寸法に起因している可能性がある。これにより、有用性がある固有の/直交する付加的な情報を、最終画像忠実度の向上、試料領域の分類、構成発色団のサイズ設定、および構成発色団の分類などに向けてコード化することができる。このような技法では、同じ調査領域についての独立したデータセットを生成することができるので、そのデータセットを互いに組み合わせたり比較したりすることができる。たとえば、周波数情報は試料中の微視的構造を表すことができ、この構造は、吸収するとともに特定サイズでもある領域を強調するために散乱変調を使用する、従来のPARSと組み合わせることができる。
【0063】
本明細書における開示の最後の態様は、PARSデバイスと光コヒーレンス・トモグラフィ(OCT: optical coherence tomography)との組み合わせが中心となる。OCTは、PARSデバイスの相補的イメージング・モダリティである。PARS技法が光吸収コントラストの視覚化を行うのに対し、OCTイメージング・デバイスは光散乱コントラストの視覚化を行う。それぞれの手法では、試料に関する独立した情報のセットが捕捉される。たとえば、PARSでは、特異性が高い高コントラスト血管情報が得られ、OCTでは、近傍真皮層などの周辺組織の高コントラスト情報が得られる。
【0064】
OCT測定は、米国特許出願公開第2010/0265511号明細書および米国特許出願公開第2014/0125952号明細書に記載の時間領域光コヒーレンス・トモグラフィ(TD-OCT)または周波数領域光コヒーレンス・トモグラフィ(FD-OCT)の形の、多様な手法を用いて実施することができる。
【0065】
TD-OCTでは、レーザが干渉計に通され、一方のアーム(参照アーム)が可動ミラーに入射し、他方のアーム(試料アーム)が試料に入射する。散乱情報は通常、参照光路長を走査することと、その結果としてフォトダイオードなどの光検出器に得られる、光路長に対応するインターフェログラムパターンを記録することとによって抽出される。このパターンの包絡線は、一般にA走査と呼ばれる、深さに対する試料中の反射率のマップを表し、深さ分解能がソース・レーザのコヒーレンス長によって与えられている。
【0066】
FD-OCTは同様に一般には、干渉計、試料アーム、および参照アームを用いて実施される。FD-OCTは一般に、別個の2つの方法に分けられる。第1の、スペクトル領域光コヒーレンス・トモグラフィ(SD-OCT)または分光器ベースOCTでは、持続波広帯域光源を使用し、検出器アームの分散分光器によってスペクトル識別を達成する。第2の、掃引光源光コヒーレンス・トモグラフィ(SS-OCT)と呼ばれるものでは、広い光学帯域幅を通して狭帯域光源を高速同調することによって、波数反射率を時間コード化する。どちらの技法も、TD-OCTと比べて最大15.0~20.0dBという劇的なSNRの改善を可能にし得る。
【0067】
OCTシステムでは、複数のA走査が通常、試料ビームが組織表面を横方向に走査される間に取得されて、B走査と一般に呼ばれる、深さおよび横方向広がりに対する反射率の二次元マップが構築される。B走査の横方向分解能は、試料アーム光学系の共焦点分解能によって近似され、この共焦点分解能は通常、組織内の集束光スポットのサイズによって与えられる。
【0068】
OCT分野では、定量的な光吸収測定の実現に向けて多くの一連の研究が行われてきた。この研究は、眼底近くの酸素飽和度測定を必要とする眼科イメージング・コミュニティ内の特別な関心事である。このトピックに関する注目すべき研究はいくつかあったが、現在の手法では依然として光吸収を直接測定することができない(PARSモダリティとは異なり)。むしろ、光吸収は、試料への浸透深さを大幅に制限できる可視プローブ光源を使用することによって推量されなければならない。改良された光吸収モダリティを提供することは、生物医学的イメージング・コミュニティにとって非常に有益であろう。
【0069】
PARSとOCTの間のこれらの相補的な特性を考えると、PARSをOCTで補強することに対しては明確な利益があるはずである。ここでは、デュアル・モダリティPARS・OCTシステムの新規の技法的な詳細について論じる。
【0070】
図1は、TE-PARSシステムの高レベルの図を示す。このシステムは、PARSシステム(101)、光結合器(102)、信号増強システム(103)、イメージング・ヘッド(104)から構成されている。光結合器は、PARSシステム(101)および信号増強システム(103)からの各ビームを結合するために使用される。
【0071】
図2は高レベルの図を示し、PARS励起(202)、PARS検出(204)および光結合器(203)が描かれている。これらは、信号増強システム(201)およびイメージング・ヘッド(205)と結合されている。
【0072】
図3は、SR-PARSシステムの高レベルの図を示す。このシステムは、超分解能処理ユニット(301)、PARSシステム(302)、光結合器(303)、信号増強システム(304)、およびイメージング・ヘッド(305)から構成される。
【0073】
図4は、他のモダリティ(405)と結合されたTE-PARSシステムの高レベルの実施形態を示す。このシステムは、PARSシステム(401)、光結合器(402)、信号増強システム(403)、イメージング・ヘッド(404)から構成されている。これらは様々な他のモダリティと、とりわけ、明視野顕微鏡、走査型レーザ検眼鏡、超音波イメージング、刺激ラマン顕微鏡、蛍光顕微鏡、二光子・共焦点蛍光顕微鏡、コヒーレント・アンチ・ラマン・ストークス顕微鏡、ラマン顕微鏡、他のPARS、光音響および超音波のシステムなどと結合することができる。
【0074】
図5は、信号処理経路を示す。この経路は、光検出器(501)、信号処理ユニット(502)、デジタイザ(503)、デジタル信号処理ユニット(504)、および信号抽出ユニット(505)から構成されている。
【0075】
図6は、光結合器と結合された複数の励起レーザからなる一実施形態を示す。
図7は、光結合器と結合された複数の検出レーザからなる一実施形態を示す。
図8は、光結合器と結合された複数の信号増強レーザからなる一実施形態を示す。
【0076】
図9は、光結合器と結合された複数の励起レーザと複数の検出レーザと複数の信号増強レーザとからなる一実施形態を示す。
図10は、TE-PARSの1つの実施態様を示す。多波長ファイバ励起レーザ(1012)がPARS信号を生成するために使用される。励起ビーム(1017)が、その焦点を試料(1018)上で調整するために多波長ユニット(1040)およびレンズ系(1042)を通過する。焦点を調整するために使用される光学サブシステムは、ビーム・エキスパンダ、調整可能ビーム・エキスパンダ、調整可能コリメータ、調整可能反射エキスパンダ、望遠鏡システムなどをこれらだけには限らないが含む、当業者には知られている構成要素によって構築することができる。音響シグネチャは、試料上で励起スポット(1018)と共焦点化され共整合化される、検出レーザ(1014)からの短いコヒーレンス長または長いコヒーレンス長のいずれかのプローブ・ビーム(1016)を用いて調査される。調査/プローブ・ビーム(1016)は、レンズ系(1043)、偏光ビーム・スプリッタ(1044)および1/4波長板(1056)を通過して、試料(1018)からの反射光(1020)をフォトダイオード(1046)へ導く。しかし、このアーキテクチャは、偏光ビーム・スプリッタ(1044)および1/4波長板(1056)を含むことに限定されない。前述の構成要素は、ファイバ・ベースの同等の構成要素、たとえば、非相反要素であるサーキュレータ、カプラ、WDM、および/またはダブル・クラッド・ファイバに置き換えられてもよい。このような要素は、第1の経路からの光を受光するが、その後、前記光を第2の経路へ向け直すことができる。信号増強レーザ(1061)は、信号増強ビーム(1060)を用いてPARS信号を増強するために使用される。信号増強ビーム(1060)はレンズ系(1045)を通過して、その焦点が試料(1018)上で調整される。信号増強ビーム(1060)は、ビーム結合器(1031)を使用して調査ビーム(1016)と結合される。結合された信号増強ビーム(1060)と調査ビーム(1016)はさらに、別のビーム結合器(1030)を使用して励起ビームと結合される。結合されたビーム(1021)は、走査ユニット(1019)によって走査される。このビームは対物レンズ(1055)を通過し、試料(1018)上に集束される。反射ビーム(1020)は同じ経路をたどって戻り、偏光ビーム・スプリッタ(1044)によって信号収集/分析経路に向けて反射される。この経路は、フォトダイオード(1046)、増幅器(1048)、高速データ収集カード(1050)およびコンピュータ(1052)から構成される。いくつかの実施形態では、信号増強ビームは、必ずしも励起位置で試料に緊密に焦点を合わせる必要がないために、他のビームと同じ経路に沿って誘導されなくてもよい。信号増強ビームは、励起ビームの調査ビームのパラメータのうちの任意の1つ以上を含み得る。信号増強ビームは、別個の光学部品を使用して任意の角度から誘導することもできる。信号増強ビームは、集束することも、または非集束することもできる。信号増強ビームは、パルス状で持続的なものにすることができ、試料に応じて任意の波長とすることができる。
【0077】
信号増強ビームのビーム特性は、所望の増強が得られるように選択することができる。波長は、所望のコントラストに適切なものに基づいて、励起と同じタイプの範囲内で選択されてもよい。強度は、他の2つのビームと比較して同じ程度に低い可能性があるが、やはり類似のタイプの範囲内である。
【0078】
図11は、TE-PARSの別の実施形態を示す。この実施態様は、図10に示されたものと類似しているが、調査スポットを試料のまわりで走査するのではなく、走査ユニット(1111)を使用して試料を調査スポットに対して移動させる。図10と同様の標示が付いている構成要素は、このアーキテクチャでも同様の目的を果たす。
【0079】
図12は、TE-PARSのさらに別の実施形態を示す。この実施態様は、図10に示されたものと類似しているが、試料から反射された信号増強ビーム(1210)を収集し分析するための構成要素が加わっている。信号増強ビーム(1260)は、レンズ系(1245)、偏光ビーム・スプリッタ(1259)および1/4波長板(1257)に通される。このビームは、試料上で調査ビーム(1216)および励起ビーム(1217)と共焦点化される。反射信号増強ビーム(1210)は、フォトダイオード(1258)、増幅器(1268)、データ収集カード(1269)およびコンピュータ(1270)から構成される信号収集経路に向けて反射される。この特別の例では非干渉検出を強調しているが、信号増強検出は、以前に示された、干渉器設計を含む任意のPARS検出経路の形をとり得ることに留意されたい。図10と同様の標示が付いている構成要素は、このアーキテクチャでも同様の目的を果たす。
【0080】
図13は、マルチ・モーダルTE-PARSシステムのさらに別の実施形態を示す。この実施態様は図10と類似しているが、ビーム結合器(1373)が光をチューブ・レンズ(1371)に通してカメラ(1372)へと誘導する明視野検出が加わっている。追加のモダリティが、とりわけ、明視野顕微鏡、走査型レーザ検眼鏡、超音波イメージング、刺激ラマン顕微鏡、蛍光顕微鏡、二光子・共焦点蛍光顕微鏡、コヒーレント・アンチ・ラマン・ストークス顕微鏡、ラマン顕微鏡、他のPARS、光音響および超音波システムなどが、このようにして追加されてもよい。図10と同様の標示が付いている構成要素は、このアーキテクチャでも同様の目的を果たす。このような統合された追加経路は、試料に向かう固有の経路で開いたままである狭波長帯域で動作する必要があり得る。この動作には、モダリティ間の動作波長を慎重に選択することを要することがある。このような手法の潜在的な利点は、単一の包含デバイスが、それぞれがそれ自体の利点を持つ様々なモダリティの幅広い相補物を提供できる可能性があることである。たとえば、図13では、カメラを追加することにより、融合PARSデバイスとは対照的に、異なるコントラストを与え、異なるイメージング速度を達成できる従来の明視野顕微鏡が得られる。
【0081】
図14は、標準的PARS取得物(左)とTE-PARS取得物(右)の比較を示す。TE-PARS取得では、信号増強レーザによって生成される付加的な熱(1ミリケルビンから10ケルビン、20ケルビン、30ケルビン、40ケルビン、50ケルビン、60ケルビン、70ケルビン、80ケルビン、90ケルビン、100ケルビン以上)を用いて光音響変換効率を改善し、その結果、変調がおおよそ、その領域からの反射強度程度にまで大きくなる。この追加信号は、単純に全体的な忠実度を高めるために、または励起波長とは異なる波長のコントラストを強調するために使用することができる。いくつかの例では、TE-PARSは、信号対ノイズ比を少なくとも5%向上させることができる。いくつかの例では、TE-PARSは、最大1000%までの光音響変換効率を達成することができる。たとえば、ここでの励起では、ベースラインPARS信号を捕捉するのに波長「a」を使用する。次に、別の取得が、同じ励起波長を用いて、ただし今度は波長「b」を放出する信号増強レーザを使用して行われる。この場合、これら2つの信号間の差は、その信号増強波長における吸収に直接起因し得る。
【0082】
図15は、パルス信号増強ビームを用いるTE-PARSによって使用される信号取得処理の一例を示す。この例では、2つの標準的PARS取得間に中赤外(MIR)増強ビームが使用される。これらのPARS取得物のうちの1つがMIRパルスのすぐ後に続き、それにより、MIRパルスは、MIR励起によって導入される温度上昇がもたらす付加的PARS励起に遭遇するようになる。
【0083】
図16は、標準的PARS取得物で使用される信号取得処理の一例を示す。信号生成は、ただ単に励起パルスの吸収に基づいている。
図17は、多重取得を行っているTE-PARSによって使用される信号取得処理の一例を示す。従来の光音響では、多重取得が、複数の励起波長を使用することによって実行される。しかし、TE-PARSでは、単一の励起波長を別々の信号増強波長と一緒に使用することができる。そのため、この手法を用いて複数の発色団を、信号増強波長における発色団の光吸収に基づいて分離することができる。これにより、これらの成分の重ね合わせをもたらす個々の元データセットにもかかわらず、独立した成分構成要素(発色団など)を視覚化しやすくすることができる。いくつかの実施形態では、システムは、ヘモグロビン、DNAおよび脂質などの異なる発色団を互いにアンミキシングすることができる(それらが複雑な組織内で混合される可能性があるときに)。この場合、発色団は、別々のカラーマップが与えられること、および1つの画像に表示されることが可能になる。さらに、今度は、画像を見ることによって発色団/ターゲットを容易に区別することができる。
【0084】
図18は、SR-PARSによって使用される信号取得処理の一例を示す。複数の標準的PARS取得が、様々な既知の励起エネルギーにおいて実施される。飽和効果により、観察された出力PARS信号は、これらの励起エネルギーに対して非線形の関係を提示することがある。このようなシステムを用いて、光回折限界よりも密な分解能が、光強度誘導の光吸収減衰(光退色と呼ばれることもある)などの試料中の非線形光吸収コントラスト効果と、熱膨張係数などの材料特性の非線形熱依存性とを活用することによって、達成され得る。このアルゴリズムでは、非線形PARS信号生成が取得間で行われてN次電力関係を分離するためのバンデルモンド行列ベースの処理を適用できるように、試料のいくつかの走査を入力として使用することができる。これらの非線形効果は、PARS超分解能処理アルゴリズムによって活用して高次の空間周波数を抽出することができ、その結果、光回折限界を越えて到達し得る分解能の改善がもたらされる。
【0085】
図19は、いくつかの局所スポットの位置付け状態の一例を示す。それぞれのビーム(1901)、(1902)、(1903)は、励起ビーム、検出ビーム、または信号増強ビームのいずれかであり得る。図19aは、励起ビーム、検出ビーム、および信号増強ビームのうちの1つが、他の2つのビームと比較して小さい焦点スポットを形成している配向を強調している。同様に、図19bは、励起ビーム、検出ビーム、および信号増強ビームのうちの2つが、第3のビームよりも小さい焦点スポットを形成する別の場合を強調している。図19cは、励起ビーム、検出ビーム、および信号増強ビームのそれぞれが、ほぼ同等の焦点スポットを形成する第3の場合を例示している。図19d、図19eは、構成ビームのスポットが焦点スポットで完全に重なり合わずに、横方向にずれている焦点状態を示している。第1の場合では(図19d)、ただ1つのビームがずれているが、他の2つは重なり合ったままであり、第2の場合では(図19e)、3つのビームすべてが互いにずれている。図19d、図19eと同様に、図19f、図19gは、構成ビームのスポットが焦点スポットで重なり合わずに、軸方向にずれている焦点状態を示している。第1の場合では(図19f)、ただ1つのビームがずれており、他の2つのビームは重なり合ったままであり、第2の場合では(図19g)、3つのビームすべてが互にずれている。これらのずれは、イメージング・セッションの要件に応じて任意の妥当な値とすることができる。図19hおよび図19iは、中心ビーム軸がそれ自体の間および試料との間である角度を成している状態を強調しており、この角度は一般に、試料表面に対して5度から90度までの範囲になり得る。図19hは、2つのビームが共整合されたままであり、第3のビームの角度が変えられている場合を示す。図19iは、各ビームが他のビームに対して個別の角度を保持している場合を示す。最後に、図19jおよび図19kは、試料(1910)を走査するための異なる2つの場合を示す。図19kでは、試料はビームの経路内に直に置かれ、あるいは図19jでは、試料より前にビーム経路内に置かれた何らかの散乱媒体または光学窓(1911)があり、試料より前のビーム経路内の一般的な媒体の一例には、試料を収容するためのスライド・ガラスまたはカバー・スリップがある。この図は限定的なものではなく、システムが3つより多いビームを備える、明白な機能拡張がある。これらの様々な状態は、1つまたは複数の集束光学部品へのビーム・アライメントを調整することによって制御することができる。たとえば、励起を他のビームに対して一方の側に向けて、図19dと同様の状態を生じさせることができる。同様に、励起焦点は、他の2つのビームに対して軸方向に移動させて、図19fと同様の状態を生じさせることができる。これらの焦点を意図的にずらすことが、たとえば、高速焦点走査を補償するために調査点に励起点を追跡させることが望ましい高速光学走査などのいくつかの例において、望ましいことがある。ビームに互いに角度を付けることにより(図19hおよび図19i)、検出感度の、裏面光散乱とは対照的に側面光散乱がより優勢であることによる、改善を実現することができる。別の利点は、一方のビームの密な横方向焦点を利用して、他方のビームの比較的悪い軸方向焦点を、ビームを互いに約90度で重ね合わせることによって補償することによりもたらされる可能性がある。
【0086】
図20は、多重取得を行うためにTE-PARSによって用いられる信号処理の別の例を示す。ここでは、2つの構成発色団の比率を測定するために熱効果が用いられる。1つの例では(試料1)、検出波長「c」の吸収が「a」の吸収よりも大きいために、波長「c」の戻り信号が小さくなり、波長「a」の戻り信号が大きくなる。同様に、試料2では、検出波長「a」の吸収が「c」の吸収より大きいために、波長「c」の戻り信号が大きくなり、波長「a」の戻り信号が小さくなる。このような戻り振幅の差は主に、波長「a」および「c」それぞれに対するターゲットの光吸収の差に起因する。さらに、試料1と試料2の比率は、波長「c」と比較した波長「a」の戻り信号の比例関係に基づいて決定することができる。このようにして熱増強効果を活用することにより、単一の励起光源のみを利用して発色団アンミキシングを実施することが可能である。
【0087】
図21は、変化するパルス幅、エネルギー、波長、パルス・タイミングのカスタマイズされた励起パルス列を利用して試料内に特定の熱効果および圧力効果を誘発する、TE-PARSシステムの一例を示す。これらのパルス列を用いて、特定のカスタマイズされたPARS信号を形成および設計することができる。さらに、このような励起パルス列を活用して、特定の発色団からの信号を増強すること、特定の発色団からの信号を抑制すること、信号抽出を補助するための特定の形状および周波数の信号を生成することなどができる。たとえば、信号振幅全体をさらに増大させるために第1の信号の緩和期間が第2の信号のピークと一致するように、第1のパルスに対する第2のパルスのタイミングをとることができる。
【0088】
図22は、SE-PARS検出システムの実施態様を示す。この実施態様は、図10図13に示されるものと同様のPARS励起・送出システムを利用しているが、検出ビーム(2270)のスペクトル領域内の焦点面における焦点の空間分布に関連する情報をコード化するための構成要素を追加している。これにより、小視野の光学的または機械的走査の要件を除外することができ、また、空間分布がスペクトル分布内でコード化される、単一ファイバによる空間情報のコード化を容易にすることができる。検出ビーム(2216)は、レンズ系(2243)、偏光ビーム・スプリッタ(2244)および1/4波長板(2256)に通される。次に、ビームは、光の波長に基づいて検出ビームを横方向に広げる回折光学部品(2232)に通される。広げられたビームは、次に、走査ユニット(2219)および対物レンズ(2255)を通って試料(2218)上で励起ビーム(2221)と共焦点化される。反射された信号検出ビーム(2220)は、光の波長に基づいて検出ビームを横方向に広げる別の回折光学部品(2233)と、光をフォトダイオード・アレイに集束するためのレンズ(2257)と、フォトダイオード・アレイ(2246)と、増幅器(2248)と、データ収集カード(2250)と、コンピュータ(2252)とから構成される信号収集経路に向けて反射される。図10と同様の標示が付いている構成要素は、このアーキテクチャでも同様の目的を果たす。
【0089】
PARS励起、PARS検出、信号増強経路のすべての構成経路または経路の集まりに単一光源を使用する、TE-PARS、TS-PARS、TA-PARS、SE-PARS、SD-PARSまたはSR-PARSもまた想定することができる。これらのモダリティのいずれでも、ビーム経路のうちの1つ以上が、試料に光を向ける光学部品に対して集束光学部品が試料の反対側に配置されることを意味する、透過モードで配向されてもよい。
【0090】
図23は、PARS-OCTシステムの高レベルの概略図を示す。このシステムは、PARSイメージング・システム(2301)と、OCTイメージング・システム(2303)と、光結合器(2302)と、試料(2305)上にビーム経路を集束するイメージング・ヘッド(2304)とから構成される。
【0091】
図24は、PARSイメージング・サブシステム(2301)およびOCTイメージング・サブシステム(2303)の実施態様を示す。図24(a)は、PARSサブシステム(2301)の1つの実施態様を示し、このサブシステムは、単一光源、二光源、パルス検出などをこれらだけには限らないが含み得る、1つまたは複数のPARSシステム構成(1、2、...、N)からなるPARSシステム(2401)から構成されている。この場合、システムの出力同士は、自由空間ビーム結合器、自由空間ダイクロイック・ミラー、ファイバ・ベース干渉計、ファイバ・ベース結合器などのデバイスによって実施できる光結合器(2402)を介して結合される。図24(b)は、1つまたは複数のOCTシステム構成(1、2、...、M)のOCTシステム(2404)から構成されるOCTサブシステム(2303)の1つの実施態様を示し、このOCTシステムは、スペクトル領域OCT(SD-OCT)、掃引光源OCT(SS-OCT)、時間領域OCT(TD-OCT)、フル・フィールドOCT(FF-OCT)、ライン・フィールドOCT(LF-OCT)、偏光感受型OCT(PS-OCT)、ガボール領域OCT(GD-OCT)などを、これらだけには限らないが含み得る。この場合、システムの出力同士は、自由空間ビーム結合器、自由空間ダイクロイック・ミラー、ファイバ・ベース干渉計、ファイバ・ベース結合器などのデバイスによって実施できる光結合器(2403)を介して結合される。
【0092】
図25は、図24に示されたPARSサブシステム(2501)、OCTサブシステム(2502)と、追加の代替イメージング・サブシステム(2503)とを組み合わせたものを示す。この代替イメージング・サブシステムは、明視野顕微鏡、走査型レーザ検眼鏡、超音波イメージング、刺激ラマン顕微鏡、蛍光顕微鏡、二光子・共焦点蛍光顕微鏡、コヒーレント・アンチ・ラマン・ストークス顕微鏡、ラマン顕微鏡、他のPARS、光音響および超音波のシステムなどとすることが、これらだけには限らないが可能である。この場合、これらのサブシステム(2501、2502、2503)は、自由空間ビーム結合器、自由空間ダイクロイック・ミラー、ファイバ・ベース干渉計、ファイバ・ベース結合器などのデバイスによって実施できる光結合器(2504)を介して結合される。
【0093】
図26は、OCT信号が生成され捕捉される機構を示す。図26(a)は、ある特定の深さについての時間領域インターフェログラムの代表的な例を示す。図26(b)は、OCTシステムのフーリエ領域インターフェログラムの代表的な例を示す。図26(c)は、散乱コントラストを深さに関して捕捉しようとするOCTシステムのA走査の代表的な例を示す。
【0094】
図27は、例示的なOCTシステムの信号処理経路を示す。OCT光検出器信号(2701)は、フォトダイオード、アバランシェ・フォトダイオード、光電管、光電子増倍管、CMOSカメラ、CCDカメラ(EM-CCD、増感CCD、裏面薄膜冷却CCDを含む)、分光器などをこれらだけには限らないが含む、デバイスを用いて捕捉することができる。この信号は、次に、アナログ信号処理(2702)を施すことができ、この処理には、ローパスフィルタリング、ハイパスフィルタリング、増幅、減衰などが、これらだけには限らないが含まれる。加えて、信号はまた、異なる信号特性を強調するために代替経路(2703)を通して供給されて、代替アナログ処理が活用されたり活用されなかったりすることがある。次に、処理済みまたは/および未処理のOCT信号には、信号デジタル化(2704)がなされる。このデジタル信号は、次に、ローパスフィルタリング、ハイパスフィルタリング、ヒルベルト変換(Hilbert transformation)、フーリエ変換などをこれらだけには限らないが含み得る、デジタル信号処理(2705)を受ける。この完全処理信号から、いくつかの実施形態では、主要な特徴を抽出(2706)してOCT画像を生成することができ、この生成には、絶対最大投影などの技法が、これだけには限らないが含まれ得る。
【0095】
図28は、ヒトの網膜の代表的なOCT画像(B走査)を示す。この画像は、SS-OCTシステムによって捕捉されたものであり、網膜生理機能の詳細な分析を可能にする顕著な散乱コントラストを示している。
【0096】
図29は、PARS信号が生成され捕捉される機構を示す。図29(a)は、例示的なイメージング・セッション中の時間を通して、PARS信号、励起レーザ活性化信号、および調査レーザ活性化信号の代表的な例を示す。この場合、例示的なPARSシステムは、CW調査レーザ、およびパルス励起レーザを用いて実施される。図29(a)では、いくつかの時点が、このPARSシステムの機能を示す助けになるように強調されている。ここでは、調査ビームは全時点を通してアクティブである。時点tでは、励起レーザは非アクティブであり、測定されたPARS信号は、一定(DC)オフセットで静止したままである。時点tでは、励起レーザが短いパルスを送出し、試料がここで励起されたので、測定可能なAC波形を光熱信号および光音響信号で見ることができる。時点tでは、励起パルスから十分な時間が経過しているので、PARS信号はここでは静止状態に戻っている。図29(b)は、非吸収媒体から吸収媒体へ移動する境界層遷移を通して、深さに関する圧力変化および屈折率変化を示している。この図は、図29(a)の時点tとtにおける試料の特性を表している。この例では、吸収媒体に入った後に一定した屈折率の増加があり、また、試料が静止しているので、吸収媒体に入ったときに圧力変化がない。図29(c)は、非吸収媒体から吸収媒体へ移動する境界層遷移を通しての、深さに関する試料圧力勾配および屈折率を示している。この図は、図29(a)の時点tにおける試料特性を表している。この時点において、試料には励起レーザからパルスが送出されたばかりであり、このパルスにより吸収媒体には深さに関して大きい圧力勾配が生じている。この大きい圧力の上昇により試料の屈折率が変化し、それにより、調査レーザの戻り光強度には測定可能な変化が生じる。この変化は、図29(a)のPARS信号のAC波形として示されて見ることができる。
【0097】
図30は、例示的なPARSシステムの信号処理経路を示す。PARS光検出器信号(3001)は、フォトダイオード、アバランシェ・フォトダイオード、光電管、光電子増倍管、CMOSカメラ、CCDカメラ(EM-CCD、増感CCD、裏面薄膜冷却CCDを含む)、分光器などをこれらだけには限らないが含む、デバイスを用いて捕捉することができる。この信号は、次に、アナログ信号処理(3002)を施すことができ、この処理には、ローパスフィルタリング、ハイパスフィルタリング、増幅、減衰などが、これらだけには限らないが含まれる。加えて、信号はまた、異なる信号特性を強調するために代替経路(3003)を通して供給される。次に、処理済みまたは/および未処理のPARS信号には、信号デジタル化(3004)がなされる。このデジタル信号は、次に、ローパスフィルタリング、ハイパスフィルタリング、ヒルベルト変換、フーリエ変換、PARS信号識別方法、偏光の抽出、位相および周波数のコンテンツなどをこれらだけには限らないが含み得る、デジタル信号処理(3005)を受けることができる。この完全処理信号から、いくつかの実施形態では、主要な特徴を抽出(3006)してPARS画像を生成することができ、この生成には、絶対最大投影、ピーク周波数などの技法が、これだけには限らないが含まれ得る。
【0098】
図31は、特定の吸収体をターゲットにするために異なる励起波長を実施した2つのPARS画像を示す。図31(a)は、緑色光(532nm)の吸収コントラストを活用してヘモグロビンをターゲットにしている、マウスの耳の血管構造の生体内PARS画像を示す。図31(b)は、紫外光(266nm)の吸収コントラストを活用してDNAをターゲットにしている、ヒト組織の生体外PARS画像を示す。
【0099】
図32は、PARS-OCTの1つの実施態様を強調している。この例では、調査光源(3222)から来るビームは、適切なコリメータ(3208)を通過し、偏光ビーム・スプリッタ(3214)、1/4波長板(3215)まで誘導され、さらに、適切なダイクロイック・ミラー(3216)に向けて誘導されてから、パルスレーザ(3230)および適切なコリメータ(3212)から来る励起ビーム(3228)と一緒に、試料経路に向けられる。OCTサブシステムでは、広帯域光源(3225)から来るビームは、適切な分割比を持つ自由空間/ファイバーカプラー・ビーム・スプリッタ(3202)まで誘導されてから、参照ビーム(3227)と試料ビーム(3226)に分割される。これらのシステムは、広域帯域CW光源または掃引光源などの広域スペクトルの照明を実現できるビームを必要とすることがある。偏光コントローラ(3204)を使用して干渉効率を最大化することもできる。参照ビームは、適切なコリメータ(3203)によってコリメートされ、分散補償ユニット(3205)を通過し、適切なレンズ(3206)を使用して参照ミラー(3207)上に集束させる。試料ビームは、適切なダイクロイック・ミラー(3223)に向けて誘導され、PARS励起ビーム(3228)および調査ビーム(3229)と結合される。その後、全ビームが試料(3220)に向けて誘導される。この場合、ガルボ・スキャナ・ミラー(3217)が、一対のテレセントリック・レンズ(3218)および対物レンズ(3219)とともに使用される。戻りビームはダイクロイック・ミラー(3223)に向けて誘導され、OCT調査ビームとPARS調査ビームに分離される。OCT試料ビームは参照ビームと干渉し、その混合物は適切な検出器(3201)によって検出され、その信号は、対応するプロセッサ(3224)に向けて誘導される。PARS調査ビームは、適切なフィルタ(3209)に向けて誘導されて、調査ビーム・スペクトル範囲がフィルタ除去され、適切なレンズ(3210)を使用して検出器(3211)上に集束され、その信号は、対応するプロセッサ(3221)で後処理される。
【0100】
図33は、EPARS-OCTの一実施態様を強調している。この実施態様は、ビームを組み合わせたものが内視鏡(3331)を通して試料まで送出されることを除いて、図32のものと同様であり、この内視鏡は、コリメータ(3332)を適切なイメージング光学部品(3333および3334)と一緒に、これらだけには限らないが備える。
【0101】
図34は、PARS励起・OCT光源(3436)が共有されるPARS-OCTの別の新規の実施態様を強調しており、光源は、適切なダイクロイック・ミラー(3435)に向けて誘導されてPARS励起ビーム(3437)とOCT照明ビーム(3438)に分離されるナノ秒パルス・スーパコンティニューム(supercontinuum)・レーザとすることが、これだけには限らないが可能である。光源(3436)が複数の経路間でこのように共有される場合には、光源は、必要なサブセクション(PARS、OCTなど)になるようにフィルタリングできるか、または各要件を個別に処理できるように調整可能である、広帯域出力を必要とすることがある。広帯域性以外には、光源は、他のシステムの個々のビーム光源に特有の特性以上の特別な特性は必要としない可能性がある。このようなデバイス・レイアウトは、経路ごとに個別の光源を使用するアーキテクチャと比べて大きい利点をもたらすことができる。これらの利点のいくつかとしては、デバイス全体のコスト、サイズ、保守の容易さ(アライメントのような項目を含む)などを挙げることができる。たとえば、望ましくない色効果を低減する同じ波長を複数の経路が共有できるので、システムのアライメントが容易になり得る。この例において、システム実施形態の残りの部分は図32と類似している。
【0102】
図35は、マルチ・モーダルPARS-OCTシステムのさらに別の実施態様を強調している。この実施態様は、図32のものと類似している。しかし、単一の結合器ではなく、2つのビーム結合器(3542)が、PARSビーム、OCTビームおよび明視野顕微鏡ビーム(3541)を結合するために使用されている。ここで明視野検出部は、チューブ・レンズ(3540)およびカメラ(3539)として実施される。蛍光顕微鏡、走査型レーザ検眼鏡、超音波イメージングなどの追加のモダリティが、このように追加されてもよい。
【0103】
図36は、PARS調査・OCT光源(3643)が共有されるPARS-OCTの別の新規の実施態様を強調しており、光源は、適切なビーム結合器(3644)に向けて誘導されてPARS調査ビーム(3646)とOCT照明ビーム(3645)に分離される連続波レーザとすることが、これだけには限らないが可能である。このようなデバイス・レイアウトは、経路ごとに個別の光源を使用するアーキテクチャと比べて大きい利点をもたらすことができる。これらの利点のいくつかには、デバイス全体のコスト、サイズ、保守の容易さ(アライメントのような項目を含む)などが含まれ得る。たとえば、複数の経路が、望ましくない色効果を低減する同じ波長を共有することができるので、システムのアライメントが容易になり得る。この例において、システム実施形態の残りの部分は図32と類似している。
【0104】
同様に、PARS励起ビーム、PARS調査ビームおよびOCTビームの3つすべてに単一の(すなわち、厳密にただ1つの)レーザ光源を使用する、類似のシステムの組み合わせを想定することもできる。
【0105】
図37は、TS-PARSシステムのブロック図を強調している。このシステムは、結合されている(3703)、およびイメージング・ヘッド(3704)を通して試料上に向けて誘導される、従来のPARSシステム(3702)として実施することができる。ここで、少なくとも1つの注目に値する違いには、PARS信号中に含まれる情報を復号し、その情報を解釈して試料の絶対温度または相対温度の測定値を生成できる温度検知ユニット(3701)の追加が含まれる。個々のPARS測定値は、所与の温度における所与の試料の既知の信号と比較することができる。同様に、複数のPARS測定値を所与の試料について互いに比較して、これら複数の測定値間の温度の相対的変化を生成することもできる。この場合、検知ユニットおよび/またはコントローラは、PARS信号のこれらの相対的変化を相対温度または絶対温度の測定値に変換する。
【0106】
図38は、複数の説明したシステム間の、この場合には、TS-PARS(3809)、SR-PARS(3801)、TE-PARS(3808)および他のモダリティの集まり(3806)の間の、組み合わせのブロック図を強調している。これらの個々のシステムは組み合わされ(3802、3803、3804、3807)、試料の上に向けられる前に、唯一のイメージング・ヘッド(3805)へ向けられる。本明細書に記載のシステムの他の組み合わせも同様に組み合わせることができる。
【0107】
図39は、熱増強光源を特徴とするさらに別のPARS-OCT実施態様を強調している。信号増強レーザ(3947)は、信号増強ビーム(3949)を用いてPARS信号を増強するために使用される。レーザから来る増強ビームは、適切なコリメータ(3948)を通過してから、適切なビーム結合器(3950)を使用してPARS調査ビーム(3929)と結合される。この例において、システム実施形態の残りの部分は、図32のものと類似している。
【0108】
図40は、光学サブシステムが試料のまわりで機械的に走査されるアノウOCT(anno-OCT)実施態様を強調している。この例では、イメージング・ヘッドは、横方向走査、軸方向走査および回転走査を可能にする機械的走査ステージ(4051)ユニットに取り付けられている。この例において、システムの実施形態の残りの部分は、図32のものと類似している。
【0109】
図41は、TS-PARSに存在し得る温度検知処理の高レベルの説明を提示している。試料温度が変化するにつれて(この場合、25°から35°まで)、光音響圧力生成の効率もまた変化する。この場合、一定の励起エネルギー・レベル(パルスa,b,c,d)に対して、出力信号は温度上昇とともに増加する。次に、このような温度変調を記録し、予想される温度依存性モデルに当てはめて、試料中の温度の相対的または絶対的な変化を抽出することができる。
【0110】
図42は、散乱補償法の高レベルの概略図を示す。PARS信号には、非摂動後方散乱光に、したがって試料の局所散乱効率に、強い依存性がある。PARS信号振幅を局所散乱効率から切り離すために、後方散乱振幅は、タスクのための固有のコントローラを使用してPARS信号から抽出され除去され、このコントローラは、前述または後述のコントローラのいずれかと同じコントローラであっても異なるコントローラであってもよい。コントローラは、収集された散乱コントラストをPARS信号から減算し、この減算は、ランダムに散乱された光子による背景ノイズを低減する助けになるとともに、信号対ノイズ比を増幅する。
【0111】
TE-PARS、TS-PARS、SE-PARS、SD-PARS、TA-PARS、SR-PARS、PARSまたはOCT-PARSのモダリティのいずれでも、ビーム経路のうちの1つ以上が、光を試料に向けている光学部品の反対側にビーム集束光学部品が配置されることを意味する、透過モードで配向され得る。図43は、この場合をTE-PARSシステムの例で例示しており、ここでビーム(4301)、(4302)、(4303)それぞれが、TE-PARS励起ビーム、検出ビームおよび信号増強ビームのうちのいずれか1つを表している。それぞれの場合で、これらのビームのうちの1つ以上が、他のビームと同じ方向または反対の方向に向いていてもよい。さらに、これらの方向性は限定的なものではなく、図21に示される例示的なビーム重なり合い状態のいずれかに、または他の任意の論理的ビーム位置付けに適用することができる。こうすることのいくつかの潜在的な利点は、前方散乱が後方散乱と比較してより顕著である傾向があるので、薄い試料(<1mm)がイメージングされるときにもたらされ得る。同様に、このような実施態様は、すべてのモダリティが同じ対物レンズを介して試料に到達することを要求しないことにより、複数のモダリティを同時に使用することを支援する助けになって、多重化機能を大きく改善することができる。
【0112】
図44は、PARS-OCTのいくつかの局所スポットの位置付け状態の一例を示す。それぞれのビーム(4401)、(4402)、(4403)は、励起ビーム、検出ビーム、信号増強ビームまたはOCTビームのいずれかであり得る。図44aは、PARSまたはOCT励起ビーム、検出ビーム、および信号増強ビームのうちの1つが、他の2つのビームと比較して小さい焦点スポットを形成している配向を強調している。同様に、図44bは、励起ビーム、検出ビーム、および信号増強ビームのうちの2つが、第3のビームよりも小さい焦点スポットを形成する別の場合を強調している。図44bは、PARSまたはOCT励起ビーム、検出ビーム、および信号増強ビームのそれぞれが、ほぼ同等の焦点スポットを形成する第3の場合を例示している。図44d、図44eは、構成ビームのスポットが焦点スポットで完全に重なり合わずに、横方向にずれている焦点状態を示している。第1の場合では(図44d)、ただ1つのビームがずれているが、他の2つは重なり合ったままであり、第2の場合では(図44e)、3つのビームすべてが互いにずれている。図44d、図44eと同様に、図44f、図44gは、構成ビームのスポットが焦点スポットで重なり合わずに、軸方向にずれている焦点状態を示している。第1の場合では(図44f)、ただ1つのビームがずれており、他の2つのビームは重なり合ったままであり、第2の場合では(図44g)、3つのビームすべてが互にずれている。これらのずれは、イメージング・セッションの要件に応じて任意の妥当な値とすることができる。図44hおよび図44iは、中心ビーム軸がそれ自体の間および試料との間である角度を成している状態を強調しており、この角度は一般に、試料表面に対して5度から90度までの範囲になり得る。図44hは、2つのビームが共整合されたままであり、第3のビームの角度が変えられている場合を示す。図44iは、各ビームが他のビームに対して個別の角度を保持している場合を示す。最後に、図44jおよび図44kは、試料(4410)を走査するための異なる2つの場合を示す。図44kでは、試料はビームの経路内に直に置かれ、あるいは図44jでは、試料より前にビーム経路内に置かれた何らかの散乱媒体または光学窓(4411)があり、試料より前のビーム経路内の一般的な媒体の一例には、試料を収容するためのスライド・ガラスまたはカバー・スリップがある。この図は限定的なものではなく、システムが3つより多いビームを備える、明白な機能拡張がある。
【0113】
図45は、PARS信号増強の別の高レベルの例を示す。PARS信号には後方散乱光に強い依存性があり、したがって試料の局所散乱特性があるので、この情報を活用して光吸収コントラストのより正確な視覚化を再現することが、標準的なPARS取得に固有の残存散乱コントラストを除去することによって可能である。いくつかの用途では、検出レーザ、信号増強レーザまたは励起レーザからの散乱成分が別々に収集されてもよい。これらの信号は、PARS信号に減算または加算され、その振幅、位相、偏光、および周波数コンテンツに基づいて別々に分析されて、試料に関する追加情報がもたらされ得る。図示の例では、PARS信号振幅を局所散乱効率から切り離すために、局所後方散乱振幅がPARS信号とは別個に抽出される。この例では、両方のPARS信号が同じ振幅を有するように見えるが、「b」の例では後方散乱が著しく少ない。局所散乱の影響を低減するために、PARS信号は、その測定された局所散乱振幅に対して正規化される。ここで例示されているように、この正規化は、散乱振幅が低い信号を増幅し、散乱振幅が強い信号を低減する働きをする。検出、信号増強、または励起のいずれかの光学特性が、偏光、周波数、位相コンテンツ、蛍光などを含めて収集されてもよい。この情報は、PARS信号と混合、減算、加算、またはそれとは別に増強して、所望の信号修正結果を達成することができる。
【0114】
少なくともいくつかのPARSの実施形態においては、おそらく(励起光源からの)吸収コントラストだけが測定される。SD-PARSの実施形態では、散乱コントラスト(検出光源のみ)と吸収コントラスト(励起光源および検出光源に起因)の両方が測定される。この測定を直接用いて視覚化を生成すること、すなわち、各画像に異なる色を与え(PARS吸収および散乱)、その結果を重ね合わせることができる。あるいは、波長固有の吸収および散乱を活用して試料中の情報を明らかにするか、または抑制することができる。
【0115】
SD-PARSでは、検出波長は、ある特定の領域から発生する光音響信号またはPARS信号を抑制するように意図的に選択することができる。たとえば、所望のターゲットが大血管のすぐ隣に位置する(さもなければ大血管が所望のターゲットからの信号を圧倒するおそれがある)場合、検出波長は、検出前に吸収エネルギー・レベルを集めることによって、血管からの信号を抑制するように選択されてもよい。SD-PARSでは、検出波長はまた、試料中の関心領域に起因する散乱コントラストを強調するように選択されてもよい。たとえば、組織をイメージングするときに、大きく散乱した波長を、形態学的構造を強調するために選択することもできる。
【0116】
SD-PARSでは、PARS吸収とPARS散乱の両方の時間領域挙動に依存する、特定の信号抽出アルゴリズムが適用されてもよい。SD-PARS調査は、試料固有の散乱、吸収、蛍光、偏光コンテンツ、周波数コンテンツ、位相コンテンツを強調するように選択されてもよい。SD-PARS調査でコード化されたこの追加の情報を適用して、信号の忠実度を改善し、画像コントラストを増強し、試料の形状、サイズ、寸法に関する情報を回復することができる。SD-PARSの調査特性は、所望の特徴および用途に応じて様々な方法で処理することができる。たとえば、処理技法には、機械学習法、広範な特徴抽出、多次元分解および周波数コンテンツに基づく特徴抽出、ならびに信号処理法が含まれ得る。標準的なPARSとは対照的に、PARS励起イベントではなく調査光源相互作用に起因する情報を活用して、処理技法を増強することができる。この情報はまた、検出前に吸収エネルギー・レベルを集めることで構造体からの信号を抑制することによって、多重イメージングを増強するために適用することができる。この情報はまた、試料中の特定の散乱特徴を強調することに適用することもできる。
【0117】
SD-PARSの1つのこのような実施態様では、検出光源に起因する吸収コントラストをアンミキシングすることに注目する。このSD-PARSは、以下のように処理される。
【0118】
1)PARS吸収信号は、生のフォトダイオード出力をバンドパス・フィルタリングする「標準的」な方法で、高周波デジタイザを用いて信号を捕捉する前に収集される。
2)特徴的なPARS振幅が、デジタル化された時間領域信号から抽出される。この抽出は、最大射影、周波数分析、特徴分解などの任意の1つの方法によって行われる。
【0119】
3)これにより、PARS処理の1つの実施形態を完結することができる。
この時点に続いて、SD-PARS処理は、「標準」PARS処理と比較して付加的な処理を含み得る。この処理は、3つの一般的なセクションに分割することができる。
【0120】
セクション1:SD-PARS吸収信号処理
上記の2)からの抽出PARSデータを分析して、検出光源からの吸収コントラストに特有の信号を強調することができる。検出光源の高い吸収または励起光源の低い吸収に起因する低振幅のPARS信号が、ヒストグラム・ベースの処理技法を用いて抽出される。最初に、ヒストグラムが非線形スケーリングされる。ここで、ガンマ・シフトを用いてヒストグラムの下部領域を「引き伸ばす」。これにより画像コントラストがシフトされて、低振幅PARS信号が強調され、高振幅PARS信号は抑制される。この結果が次に、低振幅PARS信号の統計的尺度に基づいてウィンドウ化される。これにより、関心信号が分離される。この場合、セグメント化された画像は、励起吸収が低い、または検出吸収が高い組織特徴を示す。
【0121】
セクション2:SD-PARS散乱信号処理
検出光源の吸収に起因するコントラストを明示的に分離するために、検出の光散乱コントラストが収集される。散乱信号は、PARSの吸収信号とは別個に収集される。散乱信号は、フィルタリングされていない(従来のPARS信号とは異なる)生のフォトダイオード出力を捕捉することによって収集される。後方散乱強度は、フォトダイオードの時間領域出力の加重平均として、場所ごとに決定される。
【0122】
セクション3:SD-PARSアンミキシング
次にアンミキシングが、各位置の検出散乱強度および対応するPARS吸収信号を用いて実施される。PARS吸収信号は、検出吸収コントラストと励起吸収コントラストの線形加重和に分解される。この分解は、以下の比率に従う。
【0123】
PARSABS∝DetSc(Detabs+Extabs
組み合わされたPARS吸収とPARS散乱の視覚化は、画像(PARS吸収およびPARS散乱)のそれぞれに対し異なる色範囲を与えることによって生成され、たとえば、低い吸収信号および散乱信号は白色値が割り当てられ、高い値のそのような信号は、多重染色組織標本の外見を模倣するために固有の色が割り当てられてもよい。この例では、所与の位置に起因するコントラストは、所与の位置で捕捉された散乱コントラストと吸収コントラストを組み合わせたものになる。異なるコントラストは、線形混合アルゴリズム、または非線形色混合アルゴリズムなどのいくつかの方法によって組み合わせることができる。次に、その結果としてもたらされるSD-PARS視覚化では、吸収視覚化と散乱視覚化の両方を行う。他の例では、任意の信号特性を用いて着色を定義することもできる。振幅に基づく閾値設定は一つの可能な実施態様であるが、限定されるものではない。着色は、大きさ、位相、偏光、周波数コンテンツなど、任意の特性に注目することができる。さらに、着色は、様々な方法、たとえば、線形混合もしくは非線形混合、またはAIベースの手法で実施することもできる。
【0124】
図46は、SD-PARS組み合わせ散乱・吸収コントラスト実施態様の一例を示す。SD-PARSシステムを活用して、散乱信号と吸収信号の両方を同時に収集することができる。ここで、SD-PARS検出の波長は、試料の光学特性を特にターゲットにするように選択される。このターゲットにされるコントラストは、SD-PARS散乱と吸収の両方のコントラストを強調する増強視覚化を直接生成するために用いることができる。組み合わせ視覚化を生成するとき、SD-PARS散乱信号は、その振幅、位相、偏光、周波数コンテンツなどに基づいて分析して、情報を得ることができる。抽出されたSD-PARS散乱コントラストは、次に、線形もしくは非線形色混合、または人工知能ベースの手法などの様々な方法によって、PARS吸収信号との減算、加算または混合をすることができる。図示の例では、細胞核の吸収コントラストをPARS図46(a)で捕捉している。同時に、SD-PARSの光散乱コントラストを吸収信号とは別個に捕捉する。この例では、赤外光を用いて、核構造を含む組織の散乱コントラストを捕捉している(b)。次に、2つの視覚化の(a)吸収と(b)散乱が混合されて、増強表現が形成される。ここで次に、組織構造および付随する核コントラストが見える(c)。この場合、2つの画像は基本的な線形混合技法を用いて組み合わされている。しかし、この組み合わせは、非線形混合を含む任意の数の技法、またはAIベースの手法を用いて行うことができる。さらに、この組み合わせは、偏光、周波数、位相コンテンツ、蛍光などを含む、試料の任意の光学特性をターゲットにすることもできる。この情報は、PARS信号と混合、減算、加算、またはそれとは別に増強して、所望の信号修正結果を得ることができる。
【0125】
図47は、SD-PARSの異なるコントラスト・ポテンシャルの例を示す。ここで、SD-PARS検出の波長は、試料の異なっている光学特性をターゲットにするように選択されている。この例では、保存されたヒト乳房組織の薄切片の散乱画像を取り込んでいる。(a)では、近赤外1310nmのSD-PARS検出光源を使用し、(b)では可視波長405nmのSD-PARS検出光源を使用している。それぞれの検出光源は、組織試料中の固有の構造を強調している。このターゲットにされたコントラストは、SD-PARS機構および増強視覚化の基礎を形成する。
【0126】
図48は、自己蛍光感受性PARSの1つの実施態様を示す。多波長ファイバ励起レーザ(4812)が、PARS信号を生成するために使用される。励起ビーム(4817)が多波長ユニット(4840)およびレンズ系(4842)を通過して、その焦点が試料(4818)上で調整される。焦点を調整するために使用される光学サブシステムは、ビーム・エキスパンダ、調整可能ビーム・エキスパンダ、調整可能コリメータ、調整可能反射エキスパンダ、望遠鏡システムなどをこれらだけに限定されないが含む、当業者に知られている構成要素によって構築することができる。焦点を調整するために使用される光学サブシステムは、ビーム・エキスパンダ、調整可能ビーム・エキスパンダ、調整可能コリメータ、調整可能反射エキスパンダ、望遠鏡システムなどをこれらだけには限らないが含む、当業者には知られている構成要素によって構築することができる。音響シグネチャは、試料上で励起スポット(4818)と共焦点化され共整合化される、検出レーザ(4814)からの短いコヒーレンス長または長いコヒーレンス長いずれかのプローブ・ビーム(4816)を用いて調査される。調査/プローブ・ビーム(4816)は、レンズ系(4843)、偏光ビーム・スプリッタ(4844)および1/4波長板(4856)を通過して、試料(4818)からの反射光(4820)をフォトダイオード(4846)へ導く。しかし、このアーキテクチャは、偏光ビーム・スプリッタ(4844)および1/4波長板(4856)を含むことに限定されない。前述の構成要素は、ファイバ・ベースの同等の構成要素、たとえば、非相反要素であるサーキュレータ、カプラ、WDM、および/またはダブル・クラッド・ファイバに置き換えられてもよい。このような要素は、第1の経路からの光を受光するが、その後、前記光を第2の経路へ向け直すことができる。調査ビーム(4816)は、別のビーム結合器(4830)を使用して励起ビームと結合される。結合されたビーム(4821)は、走査ユニット(4819)によって走査される。このビームは対物レンズ(4855)を通過し、試料(4818)上に集束される。反射ビーム(4820)は同じ経路をたどって戻る。反射ビームはビーム結合器/スプリッタ(4831)によってフィルタリングされて、検出ビーム(4816)を、試料から戻ったどの自己蛍光の光からも分離する。自己蛍光の光(4890)はレンズ系(4845)を通過して、その焦点が自己蛍光感受性光検出器(4891)上に合わせられる。分離された検出ビーム(4820)は、ビーム・スプリッタ(4831)を通して信号収集/分析経路に向けて送出される。ここで、戻った検出光は、偏光ビーム・スプリッタ(4844)によって方向が変えられる。検出経路は、フォトダイオード(4846)、増幅器(4848)、高速データ収集カード(4850)およびコンピュータ(4852)から構成されている。自己蛍光感受性光検出器は、カメラ、フォトダイオード、フォトダイオード・アレイなどを含む、そのような任意のデバイスとすることができる。自己蛍光検出経路は、特定の波長の光をさらに分離および検出するために、モールスビーム・スプリッタおよび光検出器を含むことがある。
【0127】
図49は、自己蛍光感受性の全吸収PARS(TA-PARS)によって場合により実現されることがある視覚化の例を示す。試料が光を吸収するときに起こり得る、ある限られた数の相互作用がある。吸収されたエネルギーは、温度および圧力に、または別の波長の光に変換される。温度信号および圧力信号はPARS検出ビームによって捕捉されるが、発光は自己蛍光感受性PARSによって検出されてもよい。このようにして、組織による光の全吸収が(発生圧力、発生温度、または蛍光の形であろうとなかろうと)、PARSシステムによって捕捉され得る。このアーキテクチャでは、試料から戻ってくる光の任意の部分が検出ビームを除いて収集され、波長に基づいて分析されることが可能である。試料からの発光の特定の波長を分離することによって、特定の関心分子を視覚化することができる。たとえば、自己蛍光感受性PARSを組織のイメージングに適用することができる。ここでは、核の吸収コントラストを捕捉するようにPARSの励起を選択した。この場合には、UV励起を用いて、組織中の核に起因する圧力信号および温度信号を発生させる。同時に、PARS励起によって発生した自己蛍光コントラストを捕捉する。この場合、組織の非核領域は高度に蛍光性になっている。このようにして、組織の核構造と非核構造を同時に視覚化することができる。さらに、もたらされる視覚化は、捕捉するのに単一の励起波長しか必要としない場合がある。
【0128】
たとえば、自己蛍光感受性PARSを発明者らのPARS吸収分光器に実施して、試料による光の全吸収を正確に測定することもできる。さらには、自己蛍光感受性PARSを使用して、熱および圧力、または光にそれぞれ変換される吸収エネルギーの比率を測定することもできる。これにより、今までに最も高感度の量子効率測定が可能になり得る。
【0129】
TA-PARS信号はまた、図50で強調されているように、単一の検出器で収集されてもよい。TA-PARS信号の顕著な成分が互いに異なって見える可能性があるならば、単一の検出器でこれらの成分が適切に特徴付けられる可能性がある。たとえば、初期信号レベル(散乱)は、散乱強度をコード化する調査位置において、試料からの検出ビームの非摂動強度反射率を示すことができる。次に、励起パルスによる励起(図の100nsの時点)に続いて、熱、温度、および蛍光に関連するPARS励起信号を、固有の重ね合わせ信号(図でPAおよびAFと標示)として観察することができる。これらの励起信号が互いに顕著に固有なものである場合、これらの信号は複合信号から分解して、その大きさを特徴的な寿命とともに抽出することができる。この多量の情報は、得られるコントラストを向上すること、付加的な多重化機能を提供すること、および構成発色団の特徴的な分子シグネチャを提供することなどに有用であり得る。加えて、このような手法は、単一の検出器および検出経路しか必要とされない可能性があるという点で実用的な利点をもたらして、物理的なハードウェアの複雑さおよびコストを劇的に低減することができる。
【0130】
他の例が、異なるファイバ・ベースまたは自由空間の構成要素を用いて、同様の結果が得られるように設計されてもよいことは明らかであろう。他の代替形態では、様々なコヒーレンス長の光源、平衡光検出器の使用、調査ビーム変調、戻り信号経路への光増幅器の組込みなどを含むことができる。
【0131】
生体内イメージング実験中、薬剤または超音波カップリング媒体は必要とされない。しかし、ターゲットは、非接触イメージング・セッションの前に水、または油などの任意の液体を用いて調製することができる。同様に、場合によっては、カバー・スリップまたはガラス窓などの中間窓をイメージング・システムと試料との間に配置することができる。
【0132】
PARS励起、PARS検出、PARS信号増強、およびOCT光源をこれらだけには限らないが含む、すべての光源は、連続ビーム、変調連続ビーム、またはパルス幅が数アト秒から数ミリ秒にまで及び得る短パルスレーザとして実施することができる。これらの光源は、散乱および吸収などの試料の光学的(または他の電磁的)特性を利用するのに適している任意の波長に設定することができる。波長はまた、異なる吸収体からの検出光子または励起光子を意図的に増強または抑制するように選択することもできる。波長は、ナノメートルからマイクロメートル(ミクロン)のスケールにまで及び得る。持続波ビーム電力は、アトワットからワットまでなどの任意の適切な電力範囲に設定することができる。パルス光源は、数アトジュールから数ジュールまでの範囲内など、試験される特定の試料に適しているパルス・エネルギーを用いることができる。様々なコヒーレンス長が、干渉効果を利用するために実施されてもよい。これらのコヒーレンス長は、数ナノメートルから数キロメートルにまで及び得る。同様に、パルス光源は、持続波からギガヘルツ領域までなど、試験される試料に適切と考えられる任意の繰り返し率を使用することができる。光源は、調整可能、単色または多色とすることができる。
【0133】
SD-PARSでは、ある特定の領域から発生するPARS信号を抑制するように意図的に選択された検出波長を用いることができる。たとえば、所望のターゲットが大血管のすぐ隣に位置する(さもなければ大血管が所望のターゲットからの信号を圧倒するおそれがある)場合、検出波長は、検出前に吸収エネルギー・レベルを集めることによって、血管からの信号を抑制するように選択されてもよい。
【0134】
TA-PARS、TE-PARS、TS-PARS、SR-PARS、SE-PARS、SD-PARS、PARS-OCTまたはEPARS-OCTのサブシステムは、共通経路干渉計(特別に設計された干渉計対物レンズを使用)、マイケルソン干渉計、フィゾー干渉計、ラムジー干渉計、ファブリ・ペロー干渉計、マッハ・ツェンダー干渉計、および光直交検出などの、任意の干渉計設計を用いることができる。干渉計は、自由空間、ファイバ・ベース、または何か組み合わせのものとすることができる。その基本原理は、プロービング受信機ビームの位相および振幅の変動を、干渉計を使用して検出し、様々な検出器を使用してAC、RFまたは超音波の周波数で検出できることである。
【0135】
TA-PARS、TE-PARS、TS-PARS、SR-PARS、SE-PARSまたはSD-PARSのサブシステムは、非干渉法検出設計を使用および実施して、信号中の振幅変調を検出することができる。非干渉法検出システムは、自由空間、ファイバ・ベース、またはこれらの何か組み合わせのものとすることができる。
【0136】
TA-PARS、TE-PARS、TS-PARS、SD-PARS、SR-PARS、SE-PARS、PARS-OCTまたはEPARS-OCTのサブシステムは、フォトニック結晶ファイバ、イメージ・ガイド・ファイバ、ダブル・クラッド・ファイバなどの様々な光ファイバを使用することができる。
【0137】
PARSサブシステムは、従来の光音響リモート・センシング(PARS)、非干渉型光音響リモート・センシング(NI-PARS)、カメラ・ベース光音響リモート・センシング(C-PARS)、コヒーレンス・ゲート光音響リモート・センシング(CG-PARS)、単一光源光音響リモート・センシング(SS-PARS)、またはこれらの拡張部分として実施することができる。
【0138】
OCTサブシステムは、スペクトル領域光コヒーレンス・トモグラフィ(SD-OCT)、掃引光源光コヒーレンス・トモグラフィ(SS-OCT)、時間領域光コヒーレンス・トモグラフィ(TD-OCT)、フル・フィールド光コヒーレンス・トモグラフィ(FF-OCT)、ライン・フィールド光コヒーレンス・トモグラフィ(LF-OCT)、偏光感受型光コヒーレンス・トモグラフィ(PS-OCT)、ガボール領域光コヒーレンス・トモグラフィ(GD-OCT)などとして実施することができる。
【0139】
PARS-OCTおよびEPARS-OCTでは、PARSサブシステムおよびOCTサブシステムは、単一のイメージング・システムとして個別に動作し、スタンドアロン型イメージング・デバイスとして独立して画像を取得することができる。
【0140】
1つの例では、すべてのビームが一緒にされて走査されることが可能である。このようにして、PARS励起は、それが生成される領域と同じ、かつ最大の領域で検知することができる。OCT検出はまた、位置合わせを助けるためにPARSと同じ位置で実施することもできる。他の構成もまた、ビームのうちの1つ以上を他のビームを走査しながら固定したままにすること、またはその逆にすることを含めて、用いることができる。
【0141】
光学的走査は、ガルバノメータ・ミラー、MEMSミラー、ポリゴン・スキャナ、ステッパ/DCモータなどによって実施することができる。
試料の機械的走査は、ステッパ・ステージ、DCモータ・ステージ、リニア駆動ステージ、ピエゾ駆動ステージ、ピエゾ・ステージなどによって実施することができる。
【0142】
光学的走査および機械的走査の両方の手法を活用して、試料のまわりで一次元、二次元、または三次元の走査を生成することができる。TAGレンズおよび変形可能ミラーなどの適応型光学部品を使用して、試料内の軸方向走査を実施することができる。
【0143】
光学的走査と機械的走査の両方を組み合わせて、ハイブリッド・スキャナを形成することができる。このハイブリッド・スキャナでは、1軸または2軸の光学的走査を採用して、短時間に広い領域またはストリップを捕捉することができる。ミラーは、カスタム制御ハードウェアを使用して、速度および品質に関して走査効率を向上させるためのカスタマイズされた走査パターンが得られるように制御することが潜在的に可能である。たとえば、1つの光軸を用いて高速で走査することができ、また同時に、1つの機械軸を用いて試料を移動させることができる。これにより、傾斜路のような走査パターンが描画され、これをその後補間することができる。別の例では、カスタム制御ハードウェアを使用して、高速軸の移動が終了したときのみ機械ステージをステップさせて、いかなる補間も不要になり得る直交座標のような格子が得られる。
【0144】
PARSは3Dイメージングを、ビームの光学的もしくは機械的走査によって、または試料もしくはイメージング・ヘッドの機械的走査によって、またはビーム、光学部品および試料の機械的および光学的走査の組み合わせによって、実現することができる。これにより、構造および機能の高速の正面(en-face)イメージングまたは3Dイメージングが可能になり得る。
【0145】
ビームを光学的もしくは機械的に走査するときに、または試料もしくはイメージング・ヘッドの機械的走査のときに、またはビーム、光学部品および試料の機械的および光学的走査の組み合わせのときに、1つまたは複数のピンホールが、焦点外れの光を除去するために採用されてもよい。これらのピンホールは、得られる画像の信号対ノイズ比を改善することができる。
【0146】
ビーム結合器は、ダイクロイック・ミラー、プリズム、ビーム・スプリッタ、偏光ビーム・スプリッタ、WDMなどを用いて実施することができる。
ビーム経路は、異なる光路を使用して試料上に集束させることができる。単一または複数のPARS励起、検出、信号増強などの経路およびOCT経路のそれぞれが、試料に向けての個別の集束要素を使用することができ、あるいはすべてが、単一の経路または任意の組み合わせを共有することができる。ビーム経路は、試料上に合焦するために使用された光路とは異なる特有の光路を用いて試料から戻ってもよい。これら特有の光路は、垂直入射で試料と相互作用することができ、あるいは、中心ビーム軸が試料表面と5度から90度の範囲の角度を形成する、ある角度で試料と相互作用することができる。
【0147】
図19eおよび図19fに示されるビーム構成では、望ましくないランダム散乱光子を空間的に追加排除することができ、また、励起レーザまたは信号増強レーザによって変調された光子だけを検出することができる。PARSイメージング領域は、励起ビームと、検出ビームと、TE-PARSの場合には熱増強ビームと、後方検出/反射ビーム経路との重なり合いによって画定されるので、これらの経路がすべて共に位置合わせされる場合、試料上の調査領域は、軸方向分布よりも一般には短い横半径方向分布によって画定され得る。図19eおよび図19fに示されるように、ビームに互いに角度を付けることによって、2つ以上の径方向分布の組み合わせの間で重なり合いを画定することができる。こうすることで、ビームのうちの1つの横方向の分解能により、別のビームによって得られる軸方向の性能を改善することができる。この効果を最大にするには、各ビームを方位角で均等に、かつ試料表面に対してそれぞれ約45度で分布させることが最も有利であり得る。いくつかの実施形態では、高度角はビーム経路の間で変化し得る。
【0148】
眼科イメージングなどのいくつかの用途では、イメージング・ヘッドは、光を試料上に密に集束させるための対物レンズなどの、いかなる一次集束要素も実装することができない。その代わりに、ビームはコリメートすること、または試料に向けながら(光回折限界よりはるかに大きいスポットサイズを作成するように)緩く集束させることができる。たとえば、眼科イメージング・デバイスは、コリメートされたビームを眼に向けて、眼のレンズがビームを網膜上に集束させることを可能にする。
【0149】
イメージング・ヘッドはビームを試料の中に、少なくとも50nmの深さに集束させることができる。イメージング・ヘッドはビームを試料の中に、最大で10mmの深さに集束させることができる。以前のPARSと比べて増加した深さは、上記のように深く浸透する検出波長を新規に用いることにより生じる。
【0150】
光は、試料と相互作用する前に、または検出の前に、光増幅器によって増幅されてもよい。
光は、フォトダイオード、アバランシェ・フォトダイオード、光電管、光電子増倍管、CMOSカメラ、CCDカメラ(EM-CCD、増感CCD、裏面薄膜冷却CCDを含む)、分光器などによって収集することができる。
【0151】
検出された信号は、RF増幅器、ロックイン増幅器、トランスインピーダンス増幅器、その他の増幅器構成によって増幅することができる。
モダリティは、生体内、生体外、またはファントムの研究用のA走査、B走査またはC走査の画像を得るために用いることができる。
【0152】
TA-PARS、TE-PARS、TS-PARS、SD-PARS、SR-PARS、SE-PARS、PARS-OCTまたはEPARS-OCTは、顕微鏡および生体のイメージング技法に共通の、任意の実施形態の形をとることができる。これらの一部は、卓上顕微鏡、倒立顕微鏡、手持ち顕微鏡、手術用顕微鏡、内視鏡、または眼科デバイスなどとして実施されるデバイスを、これらだけには限らないが含み得る。これらは、当技術分野で知られている原理に基づいて構築することができる。
【0153】
TA-PARS、TE-PARS、TS-PARS、SD-PARS、SR-PARS、SE-PARS、PARS-OCTまたはEPARS-OCTは、2Dおよび3Dイメージングの焦点深度を改善するマルチフォーカス設計を利用するために最適化することができる。コリメート対物レンズ対の色収差は、ファイバからの光を対象物に再集束させるために利用することができ、それにより各波長は、わずかに異なる深さ位置に集束される。これらの色収差を用いて深度情報を、波長固有の分析手法を用いて後で回復できる回復PARS信号にコード化することができる。これらの波長を同時に使用してまた、PARS画像の被写界深度および信号対ノイズ比(SNR)を向上させることもできる。イメージング中に、波長チューニングによる深度走査が実施されてもよい。
【0154】
PARS法では、いくつかのピンホールを用いることによってなど、検出領域を空間コード化することによって、または広帯域ビームのスペクトル・コンテンツによって、試料の横方向または軸方向の識別を行うことができる。
【0155】
TA-PARS、TE-PARS、TS-PARS、SR-PARS、SE-PARS、SD-PARS、PARS-OCTまたはEPARS-OCTシステムは、刺激ラマン顕微鏡、蛍光顕微鏡、二光子および共焦点蛍光顕微鏡、コヒーレント・アンチラマン・ストークス顕微鏡、ラマン顕微鏡、他の光音響システムおよび超音波システムなどの、他のイメージング・モダリティと組み合されてもよい。この組み合わせにより、蛍光ベースの顕微鏡法のみでは実施するのが困難な、場合によっては重要なタスクである、微小循環のイメージングと、血液酸素化パラメータのイメージングと、その他の分子特異的ターゲットのイメージングとを同時に可能にすることもできる。多波長可視レーザ光源もまた、機能的または構造的イメージング用の光音響信号を生成するために実施されてよい。
【0156】
偏光アナライザが、検出された光をそれぞれの偏光状態に分解するために使用されてもよい。各偏光状態で検出された光により、試料についての情報が得られる。
位相アナライザが、検出された光を位相成分に分解するために使用されてもよい。これにより、試料についての情報が得られる。
【0157】
TA-PARS、PARS、TE-PARS、TS-PARS、SR-PARS、SE-PARSまたはSD-PARSの各システムは、試料から戻る検出ビームとしての生成信号を検出することができる。これらの摂動は、強度、偏光、周波数、位相、吸収、非線形散乱、および非線形吸収の変化を、これらだけには限らないが含む可能性があり、また、圧力、熱効果などの様々な要因によって生じ得る。
【0158】
アナログ・ベースの信号抽出が、電気信号経路に沿って実施されてもよい。このようなアナログデバイスのいくつかの例には、ロックイン増幅器、ピーク検出回路などが、これらだけには限らないが含まれ得る。
【0159】
PARSサブシステムは、後方反射された検出ビームにコード化されている時間情報を検出することができる。この情報を用いて、発色団を識別すること、コントラストを増強すること、信号抽出を改善することなどができる。この時間情報は、アナログ処理およびデジタル処理の技法を用いて抽出されてもよい。これらの技法には、ロックイン増幅器、フーリエ変換、ウェーブレット変換、知的アルゴリズム抽出などを使用することが、それだけには限らないが含まれる。1つの例では、ロックイン検出を活用して、DNA、シトクロム、赤血球などの特定の発色団を抽出するための既知の期待信号と類似しているPARS信号を抽出することができる。
【0160】
OCTサブシステムは、生成されたPARS信号、熱信号および圧力信号を、後方反射検出ビームの摂動として検出してもよい。これらの摂動には、強度、偏光、位相、周波数、吸収、非線形散乱、および非線形吸収の変化が含まれ得る。OCTサブシステムは、これらの摂動を、連続するOCT走査の間中の変化を追跡することによって検出することができる。OCTサブシステムはまた、PARSシステムによって生成される振動または表面振動を検出することもできる。
【0161】
OCTサブシステムおよびPARSサブシステムは、分光学的手法によって試料吸収特性を検出するために使用されてもよい。このサブシステムは、PARS誘発吸収、OCT誘発吸収、またはその両方のいずれかを検出するのに使用することができる。
【0162】
システムのイメージング・ヘッドは、波面および収差補正のための波面センサ、変形可能ミラー、TAGレンズなどをこれらだけには限らないが含む、クローズループまたはオープンループの適応型光学構成要素を含み得る。収差には、デフォーカス、非点収差、コマ、歪曲、3次効果などが含まれ得る。
【0163】
信号増強ビームはまた、光退色などの飽和効果を意図的に誘発することによって望ましくない発色団からの信号を抑制するために使用されてもよい。
様々なタイプの光学部品が、それぞれの利点を活用するために利用されてもよい。たとえば、アキシコンが、標準的なガウス・ビーム光学部品によって得られるものと比較して焦点深度が大きい、ベッセル・ビームを生成するための主対物レンズとして使用されてもよい。このような光学部品はまた、適切と見なされるビーム経路内の他の場所で使用されてもよい。反射光学部品がまた、それぞれの屈折要素に代わってもよい。標準的な複合対物レンズではなく、反射対物レンズを使用することなどである。
【0164】
光路には、波長生成および波長シフトなどの様々な関連目的のための非線形光学素子が含まれてもよい。
ビーム焦点同士は、試料において重なり合ってもよいが、適切な場合にはまた、横方向および軸方向に互いに少しだけオフセットされてもよい。
【0165】
TA-PARS、PARS、TE-PARS、TS-PARS、SR-PARS、SE-PARSまたはSD-PARSの各システムは、試料分析用の分光器として使用されてもよい。
【0166】
構造に固有の他の利点は、当業者には明らかであろう。本明細書に記載の実施形態は例示的なものであり、特許請求の範囲を限定するものではなく、本明細書全体に照らして解釈されるべきものである。
【0167】
用途
本明細書に記載のシステムは、従来技術で説明されているその目的など、様々に使用されてもよく、また、上述の諸態様を利用するために別様に使用されてもよいことを理解されたい。用途の非網羅的なリストについて以下で論じる。
【0168】
このシステムは、様々な前臨床腫瘍モデルの血管新生をイメージングするために使用されてもよい。
システムは、ターゲットをアンミキシングするために、ターゲットの吸収、散乱または周波数コンテンツに基づいて、異なる波長、異なるパルス幅、異なるコヒーレンス長、繰り返し率、露出時間などを利用することによって、使用されてもよい。
【0169】
システムは、回折限界までの、さらにそれを超える分解能でイメージングするために使用されてもよい。
システムは、外生的および内生的なターゲットおよびバイオマーカを含む、光を吸収するいかなるものもイメージングするために使用されてもよい。
【0170】
システムには、外科手術のいくつかの用途として、脳手術中の機能的および構造的イメージング、内出血および焼灼検証の評価のための使用、臓器および臓器移植の灌流充足のイメージング、膵島移植の周囲の血管新生のイメージング、皮膚移植のイメージング、血管形成および免疫拒絶を評価するための組織足場および生体材料のイメージング、顕微手術を支援するイメージング、重要な血管および神経を切断しないようにするためのガイダンス、などがあり得る。
【0171】
システムには、バレット食道および大腸癌における血管床および浸潤の深さのイメージングなどの、いくつかの胃腸学的用途もあり得る。浸潤の深さは、少なくともいくつかの実施形態においては、予後および代謝可能性の鍵になる。この深さは、仮想生検、クローン病、IBSのモニタリング、頸動脈の検査などに使用することができる。胃腸学的用途では、臨床内視鏡と組み合わされてもピギーバック・オフされてもよく、小型化されたPARSシステムは、スタンドアロン内視鏡として設計すること、または臨床内視鏡のアクセサリ・チャンネル内に収めることができる。
【0172】
システムはまた、微小循環、大循環、および色素細胞の臨床イメージングに使用されてもよく、その用途として、(1)眼、蛍光眼底血管造影法を場合によって補強または代替すること、(2)メラノーマ、基底細胞癌、血管腫、乾癬、湿疹、皮膚炎などの皮膚病変のイメージング、モース手術のイメージング、腫瘍縁切除を検証するためのイメージング、(3)末梢血管疾患、(4)糖尿病性潰瘍および褥瘡、(5)火傷イメージング、(6)形成外科および顕微手術、(7)循環腫瘍細胞、特にメラノーマ細胞のイメージング、(8)リンパ節血管新生のイメージング、(9)血管破壊機構を持つものを含む光力学的治療に対する応答のイメージング、(10)抗血管形成薬を含む化学療法に対する応答のイメージング、(11)放射線療法に対する応答のイメージング、などでの使用が見出され得る。
【0173】
システムはまた、凍結病理学、組織試料からのH&E様画像の作成、仮想生検などの、いくつかの病理組織学イメージング用途に使用されてもよい。システムは、ホルマリン固定パラフィン包埋組織ブロック、ホルマリン固定パラフィン包埋組織スライド、凍結病理切片、切除されたばかりの標本などの、様々な組織取り込みに使用されてもよい。これらの試料内では、DNA、RNA、シトクロム、脂質、タンパク質などの高分子の視覚化が実施され得る。
【0174】
システムは、多波長PARS励起を用いて酸素飽和度を推定するのに、(1)脳静脈酸素飽和度および中心静脈酸素飽和度の推定を含めてパルスオキシメトリーが使用できない場合に静脈酸素飽和度を推定すること、を含む用途で有用であり得る。このシステムは、特に小さな子供および乳児では危険を伴うおそれがあるカテーテル処置の代わりになり得る可能性がある。
【0175】
酸素フラックスおよび酸素消費もまた、PARSイメージングを使用して酸素飽和度を推定すること、および、ある組織の領域に流出入する血管中の血流を推定することによって、推定することができる。
【0176】
システムは、細胞核および周囲の細胞質などの顕著な組織学的発色団を、それぞれの吸収スペクトルを活用することによって分離するのに有用であり得る。
システムは、異なる波長、異なるパルス幅、異なるコヒーレンス長、繰り返し率、フルエンス、露出時間などを利用することによって、ターゲットの吸収コンテンツ、散乱、位相、偏光または周波数コンテンツを用いてターゲットをアンミキシングするために使用されてもよい。
【0177】
他の用途の例としては、臨床応用または前臨床応用における造影剤のイメージングと、センチネルリンパ節の識別と、リンパ節における腫瘍の非侵襲または低侵襲の識別、前臨床または臨床分子イメージング応用のためのチロシナーゼ、色タンパク質、蛍光タンパク質などの、遺伝的にコード化されたレポータのイメージングと、分子イメージングのために能動的または受動的にターゲットにされた光吸収ナノ粒子のイメージングと、血栓のイメージング、および場合により血栓年齢の段階分けとを挙げることができる。
【0178】
他の用途の例としては、臨床および前臨床眼科の用途があり、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症および緑内障などの疾患における酸素飽和度測定および網膜代謝率、辺縁血管系および幹細胞のイメージング、角膜神経および新脈管のイメージング、緑内障患者のシュレム管変化の評価、脈絡膜新脈管のイメージング、前後セグメント血流のイメージングおよび血流状態を挙げることができる。
【0179】
システムは、PARSとOCTの両方の能力を活用して生体試料内の代謝を測定および推定するために使用されてもよい。この例では、OCTは、関心領域内の体積血流を推定するために使用されてもよく、PARSシステムは、関心血管内の酸素飽和度を測定するために使用されてもよい。この場合、これらの測定値を組み合わせることにより、その領域内の代謝の推定値が得られる。
【0180】
システムは、頭頸部癌タイプおよび皮膚癌タイプと、機能的脳活動と、血栓の位置を特定する助けにするための脳卒中患者の血管系の検査と、腸内細菌構成、動脈硬化性プラークの変化の結果としてのニューロンおよび脳の機能/発達の変化のモニタリングと、フラップ再建後の酸素充足、形成手術または美容整形後の満足度のモニタリングと、美容注射剤のイメージングとのために使用されてもよい。
【0181】
システムは、表面変形のトポロジー追跡のために使用されてもよい。たとえば、OCTは、試料表面の位置を追跡するために使用されてもよい。その後補正が、密に集束されたPARSデバイスに対して、適応型光学部品などの機構を用いて適用されて、その表面とのアライメントが、走査が続行するときに維持され得る。
【0182】
システムは、卓上顕微鏡、倒立顕微鏡、手持ち顕微鏡、手術用顕微鏡、眼科用顕微鏡、内視鏡などの用途に適している様々な異なるフォーム・ファクタで実施することができる。
【0183】
実施形態
試料中の表面下構造の機能的、構造的、および多重視覚化のための光音響リモート・センシングおよび光コヒーレンス・トモグラフィ・システムであって、以下の:
励起場所において試料中に圧力信号および熱信号を生成するように構成された1つまたは複数の光源;
励起場所において試料に入射する調査ビームまたは調査ビームの集まりを生成するように構成された1つまたは複数の光源であって、生成された圧力信号および熱信号であることを示す調査ビームまたは調査ビームの集まりの一部が試料から戻る、1つまたは複数の光源;
励起場所において試料に入射する調査ビームまたは調査ビームの集まりを生成するように構成された1つまたは複数の光源であって、光散乱を示す調査ビームまたは調査ビームの集まりの一部が試料から戻る、1つまたは複数の光源;
調査ビームまたは調査ビームの集まりの戻りの一部を検出するように構成された検出器または検出器の集まり;
ビームを試料に集束させるように構成された光学系;
試料からの調査ビームの戻りの一部のうちの検出された部分に基づいて、試料の画像を計算するように構成されたプロセッサを含むシステム。
【0184】
ビーム特性を生成または変更するように構成された非線形光学素子を含むシステム。
PARS励起/調査およびOCT調査のうちの1つ以上で同じ光源を使用するシステム。
【0185】
卓上型、手持ち型、手術用顕微鏡、眼科用顕微鏡、内視鏡などの異なる実施形態を含むシステム。
光源が、波長が約50nmから100μmに及ぶ電磁放射の任意の連続光源、パルス光源または変調光源でもよいシステム。
【0186】
ビーム特性を生成または変更するように構成された非線形光学素子を含むシステム。
PARS励起/調査/信号増強ビームのうちの1つ以上で同じ光源を使用するシステム。
【0187】
卓上型、手持ち型、手術用顕微鏡、眼科用顕微鏡、内視鏡などの、異なる実施形態を含むシステム。
いくつかの用途では、イメージング・ヘッドは、いかなる集束要素も含まなくてもよい。
【0188】
第1、第2および第3の焦点が試料表面の下の50nmから10mmまでの深さにあるシステム。
すべてのビームが、同じ集束光学部品を使用して試料に集束され試料から収集されるシステム。
【0189】
ビームが、別々の集束光学部品を使用して試料に集束され試料から収集されるシステム。
集束光学部品が表面に対して垂直であるシステム。
【0190】
集束光学部品の中心軸が表面法線に対して0度から85度までの角度を形成しているシステム。
ビーム結合器が、自由空間光学部品を使用して実施されるシステム。
【0191】
ビーム結合器が、ファイバ・ベースのデバイスを使用して実施されるシステム。
イメージング・ヘッドが、ガルバノメータ・ミラー、MEMSミラー、ポリゴン・スキャナ、ステッパ/DCモータなどによって光学的走査を行うシステム。
【0192】
ステッパ・ステージ、DCモータ・ステージ、リニア駆動ステージ、ピエゾ駆動ステージ、ピエゾ・ステージなどの機械的スキャナが、試料をイメージング・ヘッドのまわりで、もしくはイメージング・ヘッドを試料のまわりで走査するか、または両方を同時に走査するために使用される、システム。
【0193】
検出器が干渉計であるシステム。
検出器が非干渉型検出器であるシステム。
試料から戻るビームの一部が、生成された圧力信号および熱信号を[強度、偏光、周波数、位相、蛍光、非線形散乱、非線形吸収]の変化としてコード化するシステム。
【0194】
試料から戻ってくるビームの一部が光増幅器によって増幅されるシステム。
適応型光学素子が、収差、焦点などのビーム特性を調整するために、および表面粗さを補償するために使用されるシステム。
【0195】
システムが、[ガラス窓、空気、水、真空、その他の材料]を通して試料の構造を生成するように構成される、システム。
OCT検出が、試料中のPARS変調を検出するように構成されているシステム。この場合のOCT検出は、短コヒーレンスPARS干渉検出として機能することができる。これにより、PARS検出を一斉に省略するのを容易にすることができ、または試料内からの深度感受性光吸収回復を可能にすることができる。このシステムは、原点でPARS初期圧力信号を検出して、試料の光吸収についての固有の情報をもたらす。
【0196】
OCT検出が、PARS信号によって生成された振動および変動を検出するように構成されているシステム。このシステムは、試料の表面および表面下のPARS圧力伝播によって生じる振動を検出して、試料の光吸収についての固有の情報をもたらす。
【0197】
OCT検出が、試料のトポロジーを検出するように構成されているシステム。
OCT検出が、試料の表面粗さを検出するように構成されているシステム。
試料の細部を視覚化するための、光コヒーレンス・トモグラフィと組み合わせたデュアル・モダリティ光音響リモート・センシング(PARS-OCT)システムであって、このシステムは、(1)試料の表面下の1つまたは複数の第1の位置において試料内に信号を生成するように構成された1つまたは複数の励起ビーム、(2)1つまたは複数の第2の位置において試料に入射する1つまたは複数の調査ビーム、(3)試料ビーム、および(4)参照ビームを生成するように構成された1つまたは複数の光源を備え、試料から戻る1つまたは複数の調査ビームの一部が、生成された信号を表すものであり、システムはさらに、1つまたは複数の調査ビームの戻りの一部を検出するように構成された1つまたは複数の第1の光検出器と、それぞれが試料アームおよび参照アームを持つ1つまたは複数の干渉計とを備え、試料アームは、1つまたは複数の光源からの試料ビームを第3の場所へ向けるように構成され、参照アームは、1つまたは複数の光源からの参照ビームを経路の中に向けるように構成され、試料アームから戻る試料ビームの一部が、試料アームによって収集された散乱を表し、参照アームから戻る参照ビームの一部が、参照アームによって収集された散乱を表し、干渉計は、1つまたは複数の試料アームおよび1つまたは複数の参照アームからの戻りの一部を検出するように構成されている。
【0198】
1つまたは複数の励起ビームによって生成された信号が、超音波信号、熱信号、光音響信号、および/または圧力信号を含み、1つまたは複数の調査ビームの戻りの一部が、生成された超音波信号、熱信号、光音響信号、および/または圧力信号を表す、PARS-OCTシステム。
【0199】
少なくとも一つの励起ビームと、少なくとも一つの調査ビームと、および/または試料ビームとを、試料に向けて送出する前に結合するように構成された1つまたは複数のビーム結合器をさらに含む、PARS-OCTシステム。
【0200】
1つまたは複数のビーム結合器が、少なくとも1つの調査ビームの戻りの一部を1つまたは複数の第1の光検出器へ向けるように構成され、また、試料ビームの戻りの一部を干渉計へ向けるようにも構成されている、PARS-OCTシステム。
【0201】
明視野顕微鏡光源をさらに含むPARS-OCTシステムであって、1つまたは複数のビーム結合器が明視野顕微鏡光源からの光を、試料に送出する前に少なくとも1つの励起ビーム、少なくとも1つの調査ビーム、および試料ビームと結合するように構成されている、PARS-OCTシステム。
【0202】
試料の吸収コントラストおよび散乱コントラストを与えるように構成されている、PARS-OCTシステム。
スコープをさらに含むPARS-OCTシステムであって、スコープはコリメータおよびイメージング光学部品を含み、1つまたは複数の励起ビーム、1つまたは複数の調査ビーム、および/または試料ビームが、試料に向けて送出される前にスコープに通される、PARS-OCTシステム。
【0203】
1つまたは複数の光源が、1つまたは複数の励起ビーム、試料ビーム、および参照ビームを生成するように構成された第1の光源を含む、PARS-OCTシステム。
1つまたは複数の光源が、1つまたは複数の調査ビームを生成するように構成された第2の光源を含む、PARS-OCTシステム。
【0204】
1つまたは複数の光源が、1つまたは複数の調査ビーム、試料ビーム、および参照ビームを生成するように構成された第1の光源を含む、PARS-OCTシステム。
(1)1つまたは複数の励起ビームを1つまたは複数の第1の焦点に向けて、および(2)1つまたは複数の調査ビームを1つまたは複数の第2の焦点に向けて、集束または誘導するように構成された1つまたは複数の光学系をさらに含むPARS-OCTシステムであって、1つまたは複数の第1および第2の焦点が試料の表面下にある、PARS-OCTシステム。
【0205】
1つまたは複数の光源が、1つまたは複数の第1の位置において試料に入射する1つまたは複数の信号増強ビームを生成するように構成され、この1つまたは複数の第1の光検出器は、1つまたは複数の信号増強ビームの戻りの一部を検出するように構成されており、試料から戻る1つまたは複数の信号増強ビームの戻りの一部が、生成されたPARS信号を表す、PARSシステム。
【0206】
1つまたは複数の励起ビームが厳密に1つの波長を含み、1つまたは複数の信号増強ビームが複数の波長を含む、PARS-OCTシステム。
1つまたは複数の光検出器からのフィードバックの強度に基づいて試料の温度を決定するように構成されたコントローラをさらに含む、PARS-OCTシステム。
【0207】
分解能が光回折限界よりも大きい画像が、試料中の非線形光吸収コントラスト効果を活用することによって得られるように構成された処理ユニットをさらに含むPARS-OCTシステムであって、その効果には、光強度誘導の光吸収減衰または光退色と、熱膨張係数を含む材料特性の非線形熱依存性とが含まれ、処理ユニットは、非線形PARS信号生成が取得間で行われてN次電力関係を分離するためのバンデルモンド行列ベースの処理を適用できるように、試料のいくつかの走査を入力として使用するように構成されている、PARS-OCTシステム。
【0208】
1つまたは複数の調査ビームを、1つまたは複数の調査ビームの波長または空間位置付けに基づいて分散するように構成された1つまたは複数の光学系をさらに含むPARS-OCTシステムであって、この1つまたは複数の光学系は、1つまたは複数の調査ビームを、1つまたは複数の調査ビームの波長または空間位置付けに基づいて再結合するように構成されている、PARS-OCTシステム。
【0209】
ビームを光学的または機械的に走査するときに、または試料もしくはイメージ・ヘッドを機械的に走査するときに、所望の光を1つまたは複数の第1の光検出器にマッピングするように構成された1つまたは複数のピンホールもしくはアパーチャをさらに含む、PARS-OCTシステム。
【0210】
干渉計は、OCTが光吸収コントラストを与えることができるように、試料中のPARS変調、または1つまたは複数の励起ビームによって生成された振動および変動を検出するように構成されている、PARS-OCTシステム。
【0211】
試料の細部を視覚化するための、光コヒーレンス・トモグラフィと組み合わせたデュアル・モダリティ光音響リモート・センシング(PARS-OCT)システムであって、組織の吸収および散乱コントラストを与え、PARSサブシステムを備え、このPARSサブシステムが、(1)1つまたは複数の第1の位置において試料内に、超音波信号、熱信号、光音響信号、および/または圧力信号を生成するように構成された1つまたは複数の励起ビーム、(2)1つまたは複数の調査位置において試料に入射する1つまたは複数の調査ビーム、を生成するように構成された1つまたは複数の光源と、1つまたは複数の励起ビームを1つまたは複数の第1の焦点に、および1つまたは複数の調査ビームを1つまたは複数の第2の焦点に、集束または誘導するように構成された1つまたは複数の光学系であって、1つまたは複数の第1の焦点および第2の焦点が試料の表面下にある、1つまたは複数の光学系と、生成された超音波信号、熱信号、光音響信号、および/または圧力信号を表す、試料から戻る1つまたは複数の調査ビームの一部と、1つまたは複数の調査ビームの戻りの一部を検出するように構成された1つまたは複数の光検出器と、1つまたは複数の光源、ならびに、それぞれが試料アームおよび参照アームを持つ、1つまたは複数の干渉計を含むOCTサブシステムとを含み、試料アームが1つまたは複数の光源の試料部分を第3の焦点へ向け、参照アームが1つまたは複数の光源の参照部分を既知の長さの経路の中に向け、試料アームから戻る光の一部が、試料アームによって収集された散乱を表し、参照アームから戻る参照ビームの一部が、参照アームによって収集された散乱を表し、1つまたは複数の干渉計は、試料アームおよび参照アームからの戻りの一部を検出するように構成されており、(1)PARSサブシステムおよびOCTサブシステムが少なくとも1つの光源を共有するか、または(2)PARSサブシステムおよびOCTサブシステムが別々の光源のみを有する、PARS-OCTシステム。
【0212】
以下の用途:組織学的試料のイメージング、細胞核のイメージング、タンパク質のイメージング、DNAのイメージング、RNAのイメージング、脂質のイメージング、血中酸素飽和度のイメージング、腫瘍低酸素のイメージング、創傷治癒、火傷診断もしくは手術のイメージング、微小循環のイメージング、血液酸素化パラメータのイメージング、組織の領域に流出入する血管中の血流の推定、分子特異的ターゲットのイメージング、前臨床腫瘍モデルの血管新生のイメージング、微小循環および大循環ならびに色素細胞の臨床イメージング、眼のイメージング、蛍光眼底血管造影法の補強もしくは代替、皮膚病変のイメージング、メラノーマのイメージング、基底細胞癌のイメージング、血管腫のイメージング、乾癬のイメージング、湿疹のイメージング、皮膚炎のイメージング、モース手術イメージング、腫瘍縁切除を検証するためのイメージング、末梢血管疾患のイメージング、糖尿病性潰瘍および/もしくは褥瘡のイメージング、火傷イメージング、形成外科、顕微手術、循環腫瘍細胞のイメージング、メラノーマ細胞のイメージング、リンパ節血管新生のイメージング、光力学的治療に対する応答のイメージング、血管破壊機構を持つ光力学的治療に対する応答のイメージング、化学療法に対する応答のイメージング、凍結病理試料のイメージング、パラフィン包埋組織のイメージング、H&E様画像のイメージング、酸素代謝変化のイメージング、抗血管新生薬に対する応答のイメージング、放射線療法に対する応答のイメージング、多波長PARS励起を用いる酸素飽和度の推定、パルスオキシメトリーが使用できない場合の静脈酸素飽和度の推定、脳静脈酸素飽和度および/もしくは中心静脈酸素飽和度の推定、酸素フラックスおよび/もしくは酸素消費の推定、バレット食道および/もしくは大腸癌における血管床および浸潤深さのイメージング、脳手術中の機能的および構造的イメージング、脳手術中の機能的および構造的イメージング、内出血および/もしくは焼灼検証の評価ための使用、臓器および/もしくは臓器移植の灌流充足のイメージング、膵島移植の周囲の血管新生のイメージング、皮膚移植のイメージング、血管形成および/もしくは免疫拒絶を評価するための組織足場および/もしくは生体材料のイメージング、顕微手術を支援するイメージング、血管および/もしくは神経を切断しないようにするためのガイダンス、臨床応用もしくは前臨床応用における造影剤のイメージング、センチネルリンパ節の識別、リンパ節における腫瘍の非侵襲もしくは低侵襲の識別、前臨床もしくは臨床分子イメージング応用のためのチロシナーゼ、色タンパク質、および/もしくは蛍光タンパク質を含む、遺伝的にコード化されたレポータのイメージング、分子イメージングのために能動的もしくは受動的にターゲットにされた光吸収ナノ粒子のイメージング、血栓のイメージング、血栓年齢の段階分け、内因性グルコース吸収ピークを検出することによるグルコース濃度の遠隔または非侵襲性の腫瘍内評価、オルガノイド成長の評価、発達中の胚のモニタリング、バイオフィルム組成の評価、虫歯の評価、非生物構造の評価、真正性を非侵襲的に確認するための絵画の配合物の評価、考古学的遺物の評価、製造品質管理、製造品質保証、カテーテル処置の取り替え、胃腸学的用途、全視野にわたる単一励起パルス・イメージング、組織のイメージング、細胞のイメージング、物体表面からの散乱光のイメージング、散乱光の吸収誘導変化のイメージング、または光吸収の非接触イメージング。
図1
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【国際調査報告】