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特表2023-534390酸化チタン並びに脂肪酸及びネオペンチルグリコールのクロスポリマーに基づくパーソナルケア組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-09
(54)【発明の名称】酸化チタン並びに脂肪酸及びネオペンチルグリコールのクロスポリマーに基づくパーソナルケア組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/85 20060101AFI20230802BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20230802BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
A61K8/85
A61K8/29
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022577354
(86)(22)【出願日】2021-05-21
(85)【翻訳文提出日】2023-02-10
(86)【国際出願番号】 EP2021063567
(87)【国際公開番号】W WO2021254723
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/097189
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】20189734.5
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ワン,リン
(72)【発明者】
【氏名】シュウ,ボウ
(72)【発明者】
【氏名】イ,シャンチュン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB241
4C083AB242
4C083AC122
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD172
4C083BB23
4C083BB25
4C083CC02
4C083EE11
(57)【要約】
本発明は、パーソナルケア組成物に関する。特に、本発明は、ぼかし効果のためのパーソナルケア組成物に関する。したがって、本発明は、a)二酸化チタンと、b)アジピン酸及びネオペンチルグリコールを含む8~60重量%のクロスポリマーとを含むパーソナルケア組成物を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)50~600nmの範囲の粒径を有する二酸化チタンと、
b)アジピン酸及びネオペンチルグリコールを含む8~60重量%のクロスポリマーとを含む、
パーソナルケア組成物。
【請求項2】
二酸化チタンの量が、前記組成物の0.01~5重量%の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物中の二酸化チタンの量が、前記組成物の0.01~2重量%の範囲である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記クロスポリマーの、前記二酸化チタンに対する重量比が、3000:1~1:1、好ましくは200:1~20:1の範囲内である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
二酸化チタンの前記粒径が、50~500nmの範囲、好ましくは200~400nmの範囲である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記二酸化チタンが疎水性コーティングでコーティングされている、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
クロスポリマーの量が、前記組成物の12~60重量%、好ましくは18~30重量%の範囲である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
1又は複数の有機日焼け止め剤をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
皮膚上の欠陥をぼかすことによって皮膚の外観を改善する方法であって、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物を所望の皮膚表面に適用するステップを含む、方法。
【請求項10】
ぼかし効果のための、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項11】
前記ぼかし効果が、皮膚上の小じわ、しわ、毛穴及び/又はしみの外観を低減するために提供される、請求項9に記載の組成物の使用。
【請求項12】
ぼかし効果のための、
a)50~600nmの範囲の粒径を有する二酸化チタンと、
b)アジピン酸及びネオペンチルグリコールを含む8~60重量%のクロスポリマーとを含む、
組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルケア組成物に関する。特に、本発明は、ぼかし効果のためのパーソナルケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
個人の外見は年齢によって変化する。これらの変化は、しわの形成、毛穴、年齢によるしみなどの様々な皮膚属性で見えるようになる。これらの特質は、皮膚の外観に欠陥を引き起こす。これに対抗するために、また、より若く見えるようにするために、人々は様々なスキンケア製品を使用する。
【0003】
粒子及び顔料を含有するスキンケア製品は、この点に関して特に有用である。科学者らは、粒子及び顔料が皮膚上に層で適用されると、入射光と相互作用し、反射光の分布を変更することを見出した。反射光は、肌の見え方を変化させる。したがって、皮膚の外観をより良くすることができる粒子及び顔料の正しい選択を含むスキンケア製品は、関心のある主題である。これは、パーソナルケア産業が皮膚の外観を高めるための粒子及び顔料を含む新製品を開発する動機となる。
【0004】
前述の製品によって提供される利点の1つは、ぼかし効果を提供することによって外観を改善することである。これは、粒子の局所層によって皮膚の隣接領域間のコントラストを低下させることによって達成される。粒子は、入射光を異なる方向に均一に散乱させる。これは、皮膚上の隣接点間のコントラストを低下させ、これにより、皮膚背景上で欠陥が目立たなくなる。同じ技術分野における先行技術のいくつかを以下に引用する。
【0005】
米国特許出願公開第2007/0243220号明細書(Revlon Consumer Products Corp,2007)は、組成物の審美性を改善するために、架橋ポリエステルポリオール及び顔料を化粧品として許容され得る担体中に含む化粧品組成物を記載している。架橋ポリエステルポリオールを含む組成物の審美性は、シリコンエラストマーを含む組成物に匹敵することをさらに記載している。
【0006】
国際公開第2015/178007号(株式会社資生堂、2015年)は、二酸化チタン及び酸化亜鉛による過剰な白色度が皮膚適用時に視覚的にマスクされる日焼け止め製品を記載している。そうでなければ酸化物から生じるであろう過剰な白色度を隠すために、日焼け止め製品は、顔料を含有する多層型カプセル化物を含有する。日焼け止め製品が皮膚に適用されると、カプセルが壊れ、顔料が放出されて、二酸化チタン及び酸化亜鉛による過剰な白色度に対抗する。
【0007】
先行技術文献は、粒子及び顔料を含む化粧品組成物を記載しているが、有意なぼかし効果を提供するのに有効ではない。さらに、比較的高い粒子充填率を有する組成物は、皮膚上に斑状の外観をもたらし、これは個人にとって好ましくない。
【0008】
したがって、比較的低い粒子充填量で改善されたパーソナルケア組成物であって、皮膚に対する改善されたぼかし効果を提供し、外観を改善するパーソナルケア組成物が依然として望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0243220号明細書
【特許文献2】国際公開第2015/178007号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記に鑑み、本発明は、スキンケア組成物を提供することを目的とする。
【0011】
本発明の別の目的は、肌の外観を改善するためのスキンケア組成物を提供することである。
【0012】
本発明のさらに別の目的は、皮膚にぼかし効果を与え、それによって個人の皮膚外観を改善するスキンケア組成物を提供することである。
【0013】
本発明者らは、驚くべきことに、特定の粒径を有する二酸化チタンと、特定の量のアジピン酸及びネオペンチルグリコールを含むクロスポリマーとを含むパーソナルケア組成物が、向上したぼかし効果を提供し、それによって皮膚外観を改善することを見出した。
【0014】
したがって、上述の目的のうちの1つ又は複数を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の態様において、本発明は、
(a)50~600nmの範囲の粒径を有する二酸化チタンと、
(b)アジピン酸及びネオペンチルグリコールを含む8~60重量%のクロスポリマーとを含む、パーソナルケア組成物を提供する。
【0016】
第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様による組成物を所望の皮膚表面に適用するステップを含む、皮膚上の欠陥をぼかすことによって皮膚の外観を改善する方法を提供する。
【0017】
第3の態様では、本発明は、皮膚上のぼかし効果のための本発明の第1の態様による組成物の使用を提供する。
【0018】
第4の態様では、本発明は、ぼかし効果のための、50~600nmの範囲の粒径を有する二酸化チタンと、アジピン酸及びネオペンチルグリコールを含む8~60重量%のクロスポリマーとを含む組成物の使用を提供する。
【0019】
これら及び他の態様、特徴及び利点は、以下の詳細な説明を読むことによって当業者には明らかになるであろう。誤解を避けるために、本発明の一態様の任意の特徴は、本発明の任意の他の態様で利用することができる。「包含する(comprising)」という用語は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる(consisting of)」又は「から構成される(composed of)」を意味するものではない。言い換えれば、列挙されたステップ又は選択肢は網羅的である必要はない。以下の説明で与えられる実施例は、本発明を明確にすることを意図しており、本発明をそれらの実施例自体に限定することを意図していないことに留意されたい。同様に、別段の指示がない限り、すべてのパーセンテージは重量/重量パーセンテージである。操作例及び比較例を除いて、又は他に明示的に示されている場合を除いて、材料の量又は反応の条件、材料の物理的特性及び/又は使用を示す本明細書のすべての数字は、「約」という語によって修飾されると理解されるべきである。「x~y」の形式で表される数値範囲は、x及びyを含むと理解される。特定の特徴について、複数の好ましい範囲が「x~y」の形式で記載されている場合、異なるエンドポイントを組み合わせたすべての範囲も企図されることが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書に見られる本発明の開示は、特許請求の範囲が複数の従属性又は冗長性なしに見出され得るという事実にかかわらず、互いに複数従属するものとして特許請求の範囲に見られるすべての実施形態を網羅すると見なされるべきである。
【0021】
本発明の特定の態様(例えば、本発明の組成物)に関して特徴が開示されている場合、そのような開示は、必要な変更を加えて、本発明の任意の他の態様(例えば、本発明の方法)にも適用されると考えられるべきである。
【0022】
本明細書で使用される「パーソナルケア組成物」とは、哺乳動物、特にヒトの皮膚に局所適用するための組成物を含むことを意味する。そのような組成物は、一般にリーブオン又はリンスオフとして分類され得るが、好ましくはリーブオン型である。組成物は、特に外観を改善するために人体に適用される製品に製剤化されるが、クレンジング、臭気制御又は一般的な審美性を提供することも可能であり得る。本発明の組成物は、液体、ローション、クリーム、フォーム、スクラブ、ゲル、若しくはトナーの形態であり得るか、又は器具を用いて、若しくはフェイスマスク若しくはパッドを介して適用され得る。そのような組成物の非限定的な例としては、リーブオンスキンローション、クリーム、制汗剤、デオドラント、口紅、ファンデーション、マスカラ、サンレスタナー及び日焼け止めローションが挙げられる。本発明の組成物は、好ましくはリーブオン組成物である。本明細書で使用される「皮膚」は、顔及び身体(例えば、首、胸、背中、腕、脇の下、手、脚、臀部及び頭皮)、特にその太陽に露出した部分の皮膚を含むことを意味する。
【0023】
本明細書における「ぼかし」という用語は、好ましくは、皮膚上の無機粒子の光相互作用によって誘発される光学効果を指す。粒子は、皮膚表面に光を再分配して隣接する領域間のコントラストを低下させ、それによって、しわ、年齢によるしみなどの皮膚の欠陥をマスクする。
【0024】
本明細書において「粒径」とは典型的に、特に断りのない限り、非凝集状態における見かけの体積メジアン径(D50、x50としても知られており、時にはd(0.5))を意味する。粒径が1μm未満の粒子を有する多分散試料の場合、粒径は、例えば、Zetasizer Nano(商標)(Malvern Instruments Ltd,UK)などの機器を用いて動的光散乱(国際規格ISO 13321参照)を用いて測定することができる。少なくとも1μmの直径を有する粒子を有する多分散試料の場合、粒径は、例えば、ISO13320に提示される要件を満たすシステム(Malvern Instruments Ltdから入手可能なMastersizer(商標)2000など)を使用したレーザー回折によって測定可能である。
【0025】
本発明によれば、二酸化チタンと、アジピン酸及びネオペンチルグリコールを含む8~60重量%のクロスポリマーとを含むパーソナルケア組成物が提供される。
【0026】
二酸化チタンは、好ましくは、組成物中の光の散乱源として使用される。理論によって制限されることを望まないが、二酸化チタン粒子は、組成物の適用後に皮膚上の局所層に分布し、光学的ぼかし効果を誘発するように入射光を散乱させると考えられる。
【0027】
好ましくは、二酸化チタンの量は、組成物の0.01~5重量%、より好ましくは0.01~2重量%、さらにより好ましくは0.05~2重量%、最も好ましくは0.1~1重量%の範囲である。
【0028】
好ましくは、二酸化チタンの粒径は、50~600nmの範囲、より好ましくは50~500nmの範囲、さらにより好ましくは1000~400nmの範囲、さらにより好ましくは200~400nmの範囲、最も好ましくは250~400nmの範囲である。
【0029】
好ましくは、本発明で使用される二酸化チタンは、疎水性コーティングでコーティングされる。好ましくは、疎水性コーティングは、脂肪酸、シリコーン及び金属酸化物から選択され得る。最も好ましいコーティングは、水酸化アルミニウム及び/又はジメチコンから選択される。
【0030】
本発明の組成物はまた、アジピン酸及びネオペンチルグリコールを含む8~60重量%のクロスポリマーを含む。
【0031】
本明細書で使用される「クロスポリマー」は、好ましくは架橋剤として知られている少なくとも3つの官能基を含む別のモノマーで架橋された1つのモノマー又はいくつかのモノマーの繰り返し単位で構成されるコポリマーを指す。非架橋ポリマーとは異なり、クロスポリマーは三次元構造を形成し、したがって熱、溶媒、摩耗などに対する良好な耐性を示す。クロスポリマーは、その独特の化学構造及び優れた性能のために、一般に、機能性粒子、皮膜形成剤、増粘剤として化粧品に広く使用されてきた。
【0032】
本発明で使用されるクロスポリマーは、アジピン酸及びネオペンチルグリコールを含む。本発明で使用されるクロスポリマーは、イソプロピルトリエチルシランで架橋されていることが好ましい。適切で最も好ましいクロスポリマーの特定の例は、ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマーとブレンドされたイソプロピルトリエチルシランで架橋されたアジピン酸とネオペンチルグリコールである(INCI名アジピン酸/ネオペンチルグリコールクロスポリマー)。
【0033】
好ましくは、クロスポリマーの量は、組成物の10~60重量%、より好ましくは12~60重量%、さらにより好ましくは20~60重量%の範囲である。
【0034】
別の好ましい実施形態では、アジピン酸及びネオペンチルグリコールを含むクロスポリマーの量は、組成物の15~50重量%、より好ましくは16~40重量%、さらにより好ましくは18~30重量%の範囲で存在する。
【0035】
好ましくは、アジピン酸及びネオペンチルグリコールを含むクロスポリマーの、二酸化チタンに対する重量比は、3000:1~1:1、より好ましくは600:1~5:1、さらにより好ましくは200:1~20:1、最も好ましくは120:1~30:1の範囲である。
【0036】
組成物は、好ましくは、1又は複数の有機日焼け止め剤をさらに含む。多種多様な有機日焼け止め剤が、本発明の必須成分と組み合わせて使用するのに適している。適切なUV-A/UV-B日焼け止め剤としては、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチルp-アミノ安息香酸、ジガロイルトリオレエート、2,2-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、エチル-4-(ビス(ヒドロキシプロピル))アミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、2-エチルヘキシルサリチレート、グリセリルp-アミノベンゾエート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルサリチレート、メチルアントラニレート、p-ジメチル-アミノ安息香酸又はアミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-p-ジメチル-アミノ-ベンゾエート、2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸、2-(p-ジメチルアミノフェニル)-5-スルホニルベンゾオキサゾ酸、2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチル-p-アミノ安息香酸及びそれらの混合物が挙げられる。最も適切な有機日焼け止め剤は、2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート、ブチルメトキシジベンゾイルメタン又はそれらの混合物である。
【0037】
安全かつ有効な量の有機日焼け止め剤が、本発明において有用な組成物において使用され得る。組成物は、好ましくは0.1%~10%、より好ましくは0.1%~5%の有機日焼け止め剤を含む。
【0038】
本発明の組成物は、好ましくは皮膚美白剤を含む。ビタミンB3化合物(ビタミンB3の誘導体を含む)、例えばナイアシン、ニコチン酸又はナイアシンアミドが本発明による好ましい皮膚美白剤であり、最も好ましいのはナイアシンアミドである。ビタミンB3化合物は、使用される場合、好ましくは組成物の0.1~10重量%、より好ましくは0.2~5重量%の範囲の量で存在する。
【0039】
組成物は、レチノール、レチニルエステル、レゾルシノール、アラントイン、ユビキノン、共役リノール酸、12-ヒドロキシステアリン酸又はその誘導体などの他の有益なスキンケア活性物質を含み得る。これらのうち、本発明の組成物に含めるのに最も好ましいものは、レチノール又はレチニルエステルのような抗老化活性物質である。
【0040】
本発明の組成物はまた、特定の実施形態では油中水エマルジョンであり得る水及び油エマルジョンである化粧品として許容され得る担体を含む。しかしながら、好ましいエマルジョンは水中油型である。
【0041】
そのようなエマルジョンの油相で使用するための好ましい疎水性材料には、脂肪、油、脂肪アルコール、脂肪酸、石鹸、シリコーン油、合成エステル及び/又は炭化水素などの皮膚軟化剤が含まれる。
【0042】
シリコーンは、揮発性及び不揮発性の種類に分けることができる。揮発性シリコーン油(使用される場合)は、好ましくは、3~9個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含有する環状(シクロメチコン)又は直鎖ポリジメチルシロキサンから選択される。
【0043】
皮膚軟化材料として有用な不揮発性シリコーンには、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン及びポリエーテルシロキサンコポリマーが含まれる。本明細書で有用な本質的に不揮発性のポリアルキルシロキサンとしては、例えば、25℃で約5x10-6~0.1m/sの粘度を有するポリジメチルシロキサンが挙げられる。本組成物において有用な好ましい不揮発性皮膚軟化剤の中には、25℃で約1x10-s~約4x10-4/sの粘度を有するポリジメチルシロキサンがある。
【0044】
非シリコーン皮膚軟化剤の具体例としては、ステアリルアルコール、グリセリルモノリシノレエート、ミンク油、セチルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、オレイルアルコール、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オクタデカン-2-オール、イソセチルアルコール、エイコサニルアルコール、ベヘニルアルコール、パルミチン酸セチル、シリコーンオイル、例えばジメチルポリシロキサン、セバシン酸ジ-n-ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ラノリン、ココアバター、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、パーム核油、ナタネ油、ベニバナ種子油、マツヨイグサ油、大豆油、ヒマワリ種子油、アボガド油、ゴマ種子油、ヤシ油、落花生油、ヒマシ油、アセチル化ラノリンアルコール、ワセリン、鉱油、ミリスチン酸ブチル、イソステアリン酸、パルミチン酸、リノール酸イソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル及びこれらの混合物が挙げられる。
【0045】
エステル皮膚軟化剤の中には以下がある。
【0046】
a)10~20個の炭素原子を有する脂肪酸のアルケニル又はアルキルエステル。その例としては、ネオペンタン酸イソアラキジル、ネオペンタン酸イソデシル、イソノナン酸イソノニル、リシノール酸セチル、ミリスチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、及びオレイン酸オレイルが挙げられる。
【0047】
b)エトキシル化脂肪族アルコールの脂肪酸エステルなどのエーテルエステル;
c)多価アルコールエステル。ブチレングリコール、エチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200~6000)モノ及びジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール2000モノオレエート、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシ化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ脂肪酸エステル、エトキシ化グリセリルモノステアレート、1,3-ブチレングリコールモノステアレート、1,3-ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが、満足できる多価アルコールエステルである。C-C30アルコールのペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン及びネオペンチルグリコールエステルが特に有用である。例は、ペンタエリスリチルテトラエチルヘキサノエート;
d)蜜蝋、鯨蝋及びトリベヘニンワックスなどのワックスエステル;
e)ステロールエステル、コレステロール脂肪酸エステルがその例である;
f)スクロースポリベヘネート、スクロースポリコットンシーデートなどの脂肪酸糖エステル;又は
g)前記(a)~(f)のうちの2つ以上の混合物。
【0048】
Finsolv(登録商標)ブランドで販売されているC12-15アルキルベンゾエートエステルも特に有用である。
【0049】
適切な皮膚軟化剤である炭化水素としては、ワセリン、鉱油、C11-C13イソパラフィン、ポリアルファオレフィン、イソヘキサデカン又はそれらの混合物が挙げられる。
【0050】
担体中の水の量は、例えば、パーソナルケア組成物の1~99重量%、より好ましくは5~90重量%、さらにより好ましくは35~80重量%、最適には40~70重量%の範囲であり得る。
【0051】
化粧品として許容され得る担体に含まれ得る他の材料としては、溶媒、保湿剤、増粘剤及び粉末が挙げられる。これらの種類の材料のそれぞれの例は、単独で又は混合物として使用することができ、以下の通りである:
溶媒としては、エチルアルコール、イソプロパノール、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びそれらの混合物が挙げられる。
【0052】
保湿剤としては、多価アルコール型のものが挙げられる。典型的な多価アルコールとしては、ポリアルキレングリコール、より好ましくは、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びそれらの誘導体を含むアルキレンポリオール及びそれらの誘導体、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、グリセロール、エトキシル化グリセロール、プロポキシル化グリセロール及びそれらの混合物が挙げられる。湿潤剤の量は、例えば、組成物の0.5~50重量%、より好ましくは1~15重量%の範囲であり得る。最も好ましいのはグリセロール(グリセリンとしても知られる)である。グリセリンの量は、例えば、組成物の0.5%~50重量%、より好ましくは1~35重量%、最適には2~15重量%の範囲であり得る。
【0053】
様々な増粘剤が組成物に含まれ得る。例示的であるが限定的ではないのは、ステアリン酸、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム共重合体(Aristoflex(登録商標)AVC)、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム共重合体、オクテニルコハク酸アルミニウムスターチ、ポリアクリレート(Carbopol(登録商標)980、Carbopol(登録商標)1342、Pemulen TR-2(登録商標)及びUltrez(登録商標)増粘剤を含むカルボマーなど)、多糖類(キサンタンガム、グアーガム、ペクチン、カラギーナン及びスクレロチウムガムを含む)、セルロース(カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びメチルヒドロキシメチルセルロースを含む)、鉱物(タルク、シリカ、アルミナ、雲母及び粘土を含み、後者はベントナイト、ヘクトライト及びアタパルジャイトによって表される)、ケイ酸マグネシウムアルミニウム及びそれらの混合物である。増粘剤の量は、例えば、組成物の0.05~10重量%、より好ましくは0.3~2重量%の範囲であり得る。
【0054】
粉末としては、チョーク、タルク、フラー土、カオリン、デンプン、ガム、コロイダルシリカナトリウムポリアクリレート、テトラアルキル及び/又はトリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト、化学修飾ケイ酸アルミニウムマグネシウム、有機修飾モンモリロナイト粘土、水和ケイ酸アルミニウム、ヒュームドシリカ、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びエチレングリコールモノステアレートが挙げられる。
【0055】
本発明のパーソナルケア組成物は、好ましくはスキンケア組成物である。より好ましくは、組成物は、好ましくは制汗剤組成物又は顔用(眼瞼及び唇を除く)ケア組成物である。スキンケア組成物は、リーブオン及びウォッシュオフ製品を含む、ヒト皮膚への局所適用に適した組成物を指す。好ましくは、この用語は、流体又は液体、特にメークアップ製品ではなく保湿剤を包含する。リーブオン組成物が最も好ましい。本明細書の組成物に関して使用される「リーブオン」という用語は、皮膚に適用又は擦り付けて、そのままにされる組成物を意味する。本明細書の組成物に関して使用される「ウォッシュオフ」という用語は、皮膚に適用又は擦り付けて、適用の実質的に直後にすすぎ落とされる皮膚洗浄剤を意味する。本明細書で使用される「皮膚」という用語は、顔(眼瞼及び唇を除く)、首、胸、腹部、背中、腕、脇の下、手、及び脚の皮膚を含む。好ましくは、「皮膚」という用語は、顔(眼瞼及び唇を除く)及び腕の下の皮膚を含む。より好ましくは、唇及び眼瞼以外の顔の皮膚を意味する。
【0056】
組成物は、任意の既知の形式で製剤化することができ、より好ましい形式はクリーム又はローションである。
【0057】
本発明の組成物のための包装は、ジャー又はチューブ、並びに化粧品、クリーム、洗浄及びローションタイプの製品に典型的に見られる任意の他の形式であり得る。組成物は局所的に適用されてもよく、好ましくは皮膚1平方センチメートル当たり1~4ミリグラムの組成物が適用される。
【0058】
好ましくは、組成物は、実施例の手順を用いて測定して、少なくとも35%、より好ましくは40~80%の毛穴CWA減少を送達することができる。
【0059】
本発明の組成物は、好ましくは、局所的に適用される個体の皮膚に美容上の利益をもたらす。美容上の利益の例としては、小じわ、しわ、毛穴及び/又はしみの外観の低減;所望の皮膚表面上の、夕方の皮膚の色調、長時間持続する光学効果、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0060】
本発明はまた、本発明による組成物を所望の皮膚表面に適用するステップを含む、皮膚上の欠陥をぼかすことによって皮膚の外観を改善する方法を提供する。
【0061】
本発明はさらに、ぼかし効果のための本発明の使用を提供する。
【0062】
本発明はさらに、皮膚上の小じわ、しわ、毛穴及び/又はしみの外観を低減するためにぼかし効果が提供される、上述の組成物の使用を提供する。
【0063】
以下の実施例は、本発明の理解を容易にするために提供される。実施例は、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【0064】
本発明によれば、皮膚上の欠陥をぼかすことによって皮膚の外観を改善する方法が提供される。本方法は、第1の態様による組成物を所望の皮膚表面に適用するステップを含む。
【0065】
本発明によれば、ぼかし効果のための第1の態様による組成物の使用が提供される。ぼかし効果は、小じわ、しわの外観の低減によって反映される。皮膚上の毛穴及び/又はしみ。
【0066】
本発明によれば、二酸化チタンと、アジピン酸及びネオペンチルグリコールを含む8~60重量%のクロスポリマーとを含む組成物の使用であって、皮膚にぼかし効果を与えるための使用が提供される。
【0067】
ここで、本発明を以下の非限定的な実施例によって実証する。実施例は、例示のみを目的としており、決して本発明の範囲を限定するものではない。
【0068】
[実施例]
材料:
【表1】
【0069】
ぼかし効果に対す
る二酸化チタン粒子とアジピン酸及びネオペンチルグリコールのクロスポリマーとの組み合わせの効果。
【0070】
一連のスキンケア製剤を以下の表に従って調製した:
【表2】
【0071】
実施例1は、本発明による製剤である。実施例A~Eは比較例である。
【0072】
コントラスト強調領域(contrast weighted area)(CWA)の推定方法:
上記の表1のパーソナルケア組成物の性能を、以下に示す手順を用いて測定した:
画像解析アルゴリズムは、毛穴とBSPのバックグラウンドとの間のコントラストを抽出するために開発された。毛穴の画像面積あたりのコントラストを計算する毛穴CWAのパラメータを使用して、毛穴レベルを測定及び定量化した。コントラストの最も簡単な定量的定義は、関心領域とその周囲との間の光強度差である。
【数1】
【0073】
式中、Cはコントラスト、Lは毛穴の光強度(RGB値)、Lは背景の光強度(RGB値)である。より高い毛穴CWAは、より目に見える毛穴である。したがって、毛穴CWA減少は次式で与えられる。毛穴減少の割合が高いほど、製品の有効性が向上する。
【数2】
【0074】
ヒト皮膚の外観を模倣するインビトロ基質として、株式会社ビューラックス(日本)から調達した市販のBioSkinプレート(BSP)の深部毛穴バージョン(Code 10AN)を使用した。コード10ANは、十分に大きな毛穴サイズの分布を表す。次いで、上記で調製した製剤をこのBSPに2mg/cmの用量で適用した。次いで、これを指サックで穏やかに広げ、次いで、周囲温度(約25℃)で30分間乾燥させた後、画像を撮影した。
【0075】
「bef」として示される製剤を適用する前に1つの画像を撮影した。「aft」として示されるそれぞれの製剤を適用した後に別の画像を撮影した。「(bef-aft)/bef*100%」として計算された「ベースラインからの変化%」は、毛穴CWAの属性に関する毛穴のコントラスト重量平均(Contrast weight average)(CWA)減少%でもある。これは、製剤のぼかし効果を表すにすぎない。毛穴のCWA減少が大きいほど、製剤がぼかし効果をもたらすのに優れている。
【0076】
結果を以下の表3にまとめる。
【表3】
【0077】
上記の表から、本発明の範囲内の実施例(実施例1)は、比較例A~Eと比較して有意により高い割合の毛穴CWA減少を提供することが明らかである。上記データ(実施例A及びB)から、何らかの他の物質(例えば、雲母)でコーティングされた二酸化チタンは、アジピン酸とネオペンチルグリコールのクロスポリマーと組み合わせて機能しないことがさらに明らかである。
【0078】
したがって、上記の説明から、本発明は、皮膚にぼかし効果を与え、それによって個人の皮膚外観を改善するパーソナルケア組成物を提供することが明らかである。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)200~600nmの範囲の粒径を有する二酸化チタンと、
b)アジピン酸及びネオペンチルグリコールを含む8~60重量%のクロスポリマーとを含み、但し、粒径とは、非凝集状態における見かけの体積メジアン径(D50)を意味する、
パーソナルケア組成物。
【請求項2】
二酸化チタンの量が、前記組成物の0.01~5重量%の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物中の二酸化チタンの量が、前記組成物の0.01~2重量%の範囲である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記クロスポリマーの、前記二酸化チタンに対する重量比が、3000:1~1:1、好ましくは200:1~20:1の範囲内である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
二酸化チタンの前記粒径が、200~500nmの範囲、好ましくは200~400nmの範囲である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記二酸化チタンが疎水性コーティングでコーティングされている、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
クロスポリマーの量が、前記組成物の12~60重量%、好ましくは18~30重量%の範囲である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
1又は複数の有機日焼け止め剤をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
皮膚上の欠陥をぼかすことによって皮膚の外観を改善する方法であって、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物を所望の皮膚表面に適用するステップを含む、方法。
【請求項10】
ぼかし効果のための、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項11】
前記ぼかし効果が、皮膚上の小じわ、しわ、毛穴及び/又はしみの外観を低減するために提供される、請求項10に記載の組成物の使用。
【請求項12】
ぼかし効果のための、
a)200~600nmの範囲の粒径を有する二酸化チタンと、
b)アジピン酸及びネオペンチルグリコールを含む8~60重量%のクロスポリマーとを含む、
組成物の使用。
【国際調査報告】