(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-09
(54)【発明の名称】フィンスタビライザ
(51)【国際特許分類】
B63B 32/64 20200101AFI20230802BHJP
【FI】
B63B32/64
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501280
(86)(22)【出願日】2021-07-15
(85)【翻訳文提出日】2023-03-03
(86)【国際出願番号】 EP2021069811
(87)【国際公開番号】W WO2022013380
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】102020208970.1
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517070958
【氏名又は名称】エス・ケイ・エフ マリーン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】SKF Marine GmbH
【住所又は居所原語表記】Hermann-Blohm-Str. 5, D-20457 Hamburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ニードシュタテック
(57)【要約】
本発明は、安定化フィンが配設されているシャフトを含む、進行中の、停泊中の、またはゼロ速度の船舶のロール安定化のためのフィンスタビライザに関し、該シャフトは、水中にある安定化フィンの少なくとも1つの迎角を変更するための駆動ユニットにより駆動可能である。本発明によれば、安定化フィンの横断面形状が、少なくとも1つのアクチュエータにより変更可能であり、該安定化フィンは閉じた表面形状を形成することが定められている。安定化フィンの油圧的に有効な横断面形状(該横断面形状は少なくとも1つのアクチュエータにより大きく変更可能である)に因り、フィンスタビライザの著しく増大したエネルギー効率が、詳細には船舶のロール運動を抑制することに関して、フィンスタビライザの同時に改善された安定化効果と共に、生じる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定化フィン(116)が配設されているシャフト(110)を含む、進行中の、停泊中の、またはゼロ速度の船舶のロール安定化のためのフィンスタビライザ(100)であって、
前記シャフト(110)は、水中にある前記安定化フィン(116)の少なくとも1つの迎角(α)を変更するための駆動ユニット(120)により駆動可能であり、
前記安定化フィン(116)の横断面形状(130)が少なくとも1つのアクチュエータ(170)により変更可能であり、前記安定化フィン(116)は閉じた表面形状(136)を形成することを特徴とする、フィンスタビライザ(100)。
【請求項2】
前記安定化フィン(116)は、流入体(140)と、前記流入体からある距離の所に配置されている流出体(148)と、を含み、前記流入体(140)と前記流出体(148)とは、前記流入体(140)と前記流出体(148)との間に配置されている接続体(144)により、互いに固定接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のフィンスタビライザ(100)。
【請求項3】
前記接続体(144)は、少なくとも1つの弾性変形体(160)により形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のフィンスタビライザ(100)。
【請求項4】
前記接続体(144)は、曲げ剛性が前記接続体(144)の少なくとも1つの前記弾性変形体(160)の前記曲げ剛性よりも著しく高い、少なくとも1つの支持要素(162)を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のフィンスタビライザ(100)。
【請求項5】
前記接続体(144)の未変形ベース状態において、前記流入体(140)の中心平面(142)、前記流出体(148)の中心平面(150)、および前記接続体(144)の中心平面(146)が、本質的に、1つの基平面(156)内に延在することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のフィンスタビライザ(100)。
【請求項6】
前記接続体(144)の変形状態において、前記流出体(148)の中心平面(150)と前記流入体(140)の中心平面(142)との間に流出角度(β)が存在するように、前記流入体(140)と前記流出体(148)とは、前記接続体(144)により互いに接続されていることを特徴とする、請求項5に記載のフィンスタビライザ(100)。
【請求項7】
少なくとも1つの前記アクチュエータ(170)は、好ましくは、前記流入体(140)に一体化されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のフィンスタビライザ(100)。
【請求項8】
少なくとも1つの前記アクチュエータ(170)は、少なくとも1つの連結リンク(178)により前記流出体(148)に接続されていることを特徴とする、請求項7に記載のフィンスタビライザ(100)。
【請求項9】
前記連結リンク(178)の第1の端部(180)が少なくとも1つの前記アクチュエータ(170)に接続されており、前記連結リンク(178)の第2の端部(184)が、前記流出体(148)の中心平面(150)の外側で前記流出体に接続されていることを特徴とする、請求項7または8に記載のフィンスタビライザ(100)。
【請求項10】
少なくとも1つの前記アクチュエータ(170)を使用して、前記流出体(148)の中心平面(150)と前記流入体(140)の中心平面(142)との間の少なくとも1つの流出角度(β)が変更可能であることを特徴とする、請求項7から9のいずれか一項に記載のフィンスタビライザ(100)。
【請求項11】
前記フィンスタビライザ(100)のエネルギー効率および/または安定化効果の増大が生じるように、少なくとも1つの前記アクチュエータ(170)は、制御および/または調節ユニット(172)により制御可能であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のフィンスタビライザ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定化フィンが配設されているシャフトを含む、進行中の、停泊中の、またはゼロ速度の船舶のロール安定化のためのフィンスタビライザに関し、該シャフトは、水中にある安定化フィンの少なくとも1つの迎角を変更するための駆動ユニットにより駆動可能である。
【背景技術】
【0002】
一部分安定化フィン(one-part stabilizing fin)を含むフィンスタビライザは、大まかには、かなり良好な流動特性を有するものの、安定化フィンの横断面外形が可変でないために、全ての動作条件に対して安定化効果の有効性が最適に満足されるようにすることはできない。さらに、1つの取付部等の少なくとも1つのフラップの異なる迎角によりその横断面外形が可変となっている多部分安定化フィン(multipart stabilizing fin)を含むフィンスタビライザが知られている。そのような安定化フィンを用いると、不変横断面外形を有するものと比較してより良好な安定化効果が達成可能である。しかし、可動取付部と可変横断面安定化フィンの不動領域との間に間隙および不連続点があることが不利な点であり、それが乱流、およびしたがってそれに付随して、水中でのハイドロメカニカル抵抗(hydromechanical resistance)の増大を引き起こす。したがって、これに伴い、一般に、多部分安定化フィンを備え付けているフィンスタビライザのエネルギー必要量も著しく増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、同時に増大した安定化効果を伴う、改善されたエネルギー効率を有するフィンスタビライザを明記することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前述の目的は、少なくとも1つのアクチュエータにより変更可能である、安定化フィンの横断面形状により達成され、該安定化フィンは閉じた表面形状を形成する。本発明のフィンスタビライザは、それにより、不変横断面形状を含む一部分安定化フィンの利点を、少なくとも1つの調節可能なフィン部分または取付部を含む多部分安定化フィンの利点と組み合わせる。不連続点がないままである、安定化フィンの完全自立型(completely self-contained)表面に因り、横断面形状の変更に関して、事実上、乱流は起こらない。該乱流はさもなければ吊上げ力の低減、流れ抵抗の増大、およびフィンスタビライザのエネルギー必要量の増大を引き起こすと考えられる。その結果として、フィンスタビライザのエネルギー必要量の低減が、フィンスタビライザの安定化効果の同時改善と共に、実現可能である。
【0005】
安定化フィンは、流入体と、該流入体からある距離の所に配置されている流出体と、を含むことが好ましく、該流入体と該流出体とは、それらの間に配設されている接続体により、互いに固定接続されている。その可変横断面形状に関わらず、安定化フィンは、それにより、一体だが部分的に可撓性のユニットを示す。
【0006】
1つの技術的に有利な設計では、接続体は、少なくとも1つの弾性変形体により形成されている。安定化フィンの横断面形状の変化は、それにより、詳細には段、肩状部、または陥凹部などの不連続点の発生に因る表面形状の不利な影響がなく、大いに実現可能である。
【0007】
接続体は、その曲げ剛性が接続体の少なくとも1つの弾性変形体の曲げ剛性よりも著しく高い少なくとも1つの支持要素を含むことが好ましい。流入水に対する接続体の十分な抵抗力、およびしたがって安定化フィンの規定された形状変形性が利用可能である。
【0008】
1つのさらに有利な設計の場合には、流入体の中心平面、流出体の中心平面、接続体の中心平面が本質的に1つの基平面内に延在する。その結果として、接続体の未変形ベース状態における安定化フィンの横断面形状は、本質的に、その横断面形状が航空機の翼の横断面形状とおおよそ一致する、従来の1部分安定化フィンの横断面形状に相当する。
【0009】
1つの好ましい改良形態の場合には、接続体の変形状態において、流出体の中心平面と流入体の中心平面との間に流出角度が存在するように、流入体と流出体とは、接続体により互いに接続されている。水により作用される安定化フィンの所望の吊上げ力増大作用または下向き力増大作用は、それにより、フィンスタビライザの動作中に達成される。
【0010】
少なくとも1つのアクチュエータは流入体に一体化されることが好ましい。安定化フィンの横断面形状の制御されたかつ遠隔制御可能な変更がそれにより実現可能である。さらに、少なくとも1つのアクチュエータのための最大設置空間体積は流出体内で使用可能である。
【0011】
1つの改良形態では、少なくとも1つのアクチュエータは、少なくとも1つの連結リンクにより、流出体に接続されている。
【0012】
その結果として、少なくとも1つのアクチュエータの安定化フィンの流入体内への組込みが可能である。
【0013】
連結リンクの第1の端部が少なくとも1つのアクチュエータに接続されており、連結リンクの第2の端部が、流出体の中心平面の外側で流出体に接続されていることが好ましい。アクチュエータのこの偏心連結に因り、流入体の中心平面または基平面からの流出体の中心平面から離れる少なくとも1つの枢動が可能である。この目的のために、連結リンクの第1の端部は、例えば、少なくとも1つのアクチュエータの枢動可能レバーアーム上でヒンジで動くようにされている。
【0014】
1つの技術的に有利な設計の場合には、少なくとも1つのアクチュエータを使用して、流出体の中心平面との間の少なくとも1つの流出角度が、流入体の中心平面に対して変更可能である。安定化フィンの流出体の流出角度の正確なかつ遠隔制御可能な設定が、流入水に因る安定化フィンに作用する高い流体力学的力にも関わらず、それにより可能である。
【0015】
1つの技術的改良形態の場合には、フィンスタビライザのエネルギー効率および/または安定化効果の増大が生じるように、少なくとも1つのアクチュエータが制御および/または調節ユニットにより制御可能であることが定められている。このことは、枢動可能な流出体が、制御および/または調節ユニットにより実施される安定アルゴリズム内へ組み込まれることを可能にする。ここで、安定化効果が、フィン担持シャフトを中心とした安定化フィンの枢動運動、および/または流出体の横断面形状の変化の適切な組合せにより達成され、各々は制御および/または調節ユニットにより制御される。
【0016】
本発明の、次の好適な例示的実施形態では、図を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】安定化フィンの未変形ベース状態における、安定化フィンを含むフィンスタビライザの概略図である。
【
図2】変形状態における、
図1のフィンスタビライザの安定化フィンの図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、安定化フィンの未変形ベース状態における、安定化フィンを含むフィンスタビライザの概略図を示す。船またはポンツーンなどの、図示されていない船舶の好適なロール安定化のためのフィンスタビライザ100が、とりわけ、安定化フィン116が取り付けられているフィン担持シャフト110を含む。点線によってのみ図示されている駆動ユニット120を使用して、シャフト110は、迎角αだけ、長手方向中心軸122を中心として回転可能である。該迎角αは、例えば、+-45°の範囲内に入る可能性がある。安定化フィン116は、完全に、好適な流動方向124に安定化フィン116に作用する水の中に配置されている。
【0019】
アクチュエータを使用して、安定化フィン116の横断面形状130が無段階に大きく変更可能であり、設定された変更と無関係に、安定化フィン116の横断面形状130は、常に、閉じた表面形状136、すなわち完全自立型周囲輪郭を形成する。本明細書本文の場合には、「完全自立型表面形状」という用語は、段、肩状部、陥凹部、溝部、切欠き、チャネル、間隙、穴部(holes,bores)等の不連続点がない表面と定義される。
【0020】
ここで例として、安定化フィン116は、流入体140と、該流入体からある距離の所に配置されている流出体148と、を含み、該流入体140と該流出体148とは、それらの間に配設されている接続体144により、互いに接続されている。ここで、流入体140は、関連する中心平面142に関して対称な横断面形状を含み、該横断面形状は本質的に矩形の横断面形状に相当し、流動方向124に逆らって方向付けられている半卵形が、該矩形の上流にある。未変形ベース状態において、例として、接続体144は、関連する中心平面146に関して対称な台形に相当する横断面形状を有し、流出体148の横断面形状もまた、関連する中心平面150に関して対称に構成されている二等辺三角形の形状を本質的に辿る。結果として、安定化フィン116の横断面形状130は、流入水のために殆ど最適な水力学的設計を有する。
【0021】
ここで例として示されている、安定化フィン116の未変形ベース状態において、中心平面142、146、および150は共通基平面156内にある。流動方向124から流動することが好ましい水は、最初に流入体140に激突し、接続体144を通過し、最後に安定化フィン116の流出体148上に流れ出る。
【0022】
接続体144は、少なくとも1つの支持要素162が一体化されている少なくとも1つの弾性変形体160により形成されており、該少なくとも1つの支持要素の曲げ剛性が該変形体160の曲げ剛性よりも著しく高いことが好ましい。例えば、変形体160は、例えばシリコーン、ゴム等のエラストマーにより形成され得る。支持要素162は、例えば繊維複合プラスチック、弾性金属等により、実現され得る。安定化フィン116の横断面形状130の変更は、接続体144の付随する弾性変形により、単独で達成される。
【0023】
流入体140は一般に最大有効設置空間を有するので、少なくとも1つのアクチュエータ170が流入体140に一体化されることが好ましい。該少なくとも1つのアクチュエータ170は、制御および/または調節ユニット172により制御可能である。該制御および/または調節ユニット172は、駆動ユニット120により、周囲の水に対する安定化フィン116の迎角αを制御するために同時に役立つことが好ましい。ここで、アクチュエータ170は、スラストロッドのように構成されている連結リンク178により、流出体148に柔軟に接続されている。連結リンク178の第1の端部180がアクチュエータ170の回転可能な枢動アーム182に接続されており、一方、連結リンク178の第2の端部184が、流出体148の中心平面150の外側で流出体148に柔軟に接続されている。ここでは単に例として示されている、アクチュエータ170と流出体148との機械的結合のための偏心駆動の代わりに、図示されていない線形アクチュエータを使用して、または代替的伝達設計を使用して、流出体148は、例えば、少なくとも1つのアクチュエータ170を使用して直接結合され得る。さらに、接続体144の変形体160および支持要素162の変形が、例えば該接続体に一体化されているアクチュエータを使用して可能である。
【0024】
ここに図示されている、安定化フィン116の未変形ベース状態において、該未変形ベース状態では、中心平面142、150の両方が安定化フィン116の基平面156内にあるので、流入体140の中心平面142と流出体148の中心平面150との間の流出角度βが0°である。同じことが、変形体160の中心平面146に当てはまる。
【0025】
図2に示されている、安定化フィン116の変形状態では、接続体144の変形体160および支持要素162の弾性変形に因り、アクチュエータ170の動作により、流入体140の中心平面142と流出体148の中心平面150との間の、0°と異なる少なくとも1つの流出角度βが存在するように、流入体140と流出体148とは、接続体144により互いに弾性接続されている。
【0026】
安定化フィン116の横断面形状130の変更に因り、フィンスタビライザ100のエネルギー効率の増大が生じかつ/または安定化効果の増大が、一定のままのエネルギー消費で生じるように、制御および/または調節ユニット172を使用して、少なくとも1つのアクチュエータ170は制御可能である。
【0027】
図2は、変形状態における、
図1のフィンスタビライザの安定化フィンを示す。該フィンスタビライザ100は、取り付けられている安定化フィン116を含むフィン担持シャフト110を含み、該シャフト110は、制御および/または調節ユニット172の制御下で、駆動ユニット120により、長手方向中心軸122を中心として枢動式に駆動可能である。好適な流動方向124の水により作用される安定化フィン116は、流入体140と、弾性変形体160に一体化されている支持要素162を有する弾性変形体160を含む弾性接続体144と、流出体148と、に分割され、該流入体140と該接続体144と該流出体148とは互いに接続されて、小型ユニットをもたらす。連結リンク178を使用して、制御および/または調節ユニット172により制御される、アクチュエータ170の枢動アーム182は、安定化フィン116の流出体148に対してヒンジで動くようにされている。
図1の描写と比較して、流入体140は基平面156に関して対称状態位置に不変に配置されている。
【0028】
制御および/または調節ユニット172により動作が制御されるアクチュエータの動作に因り、アクチュエータ170の枢動アーム182は、
図1の休止状態位置から枢動角度γだけ回転し、それにより、流出体148の中心平面150と基平面156との間の流出角度βはゼロと異なる値まで増大し、安定化フィン116の変形状態は達成される。この変形の過程で、支持要素162は片持ち状に上方に曲げられ、接続体144の弾性変形体160は、おおよそ大まかな四辺形に変形する。この過程の間に、安定化フィン116の横断面形状130または周囲輪郭は、安定化フィン116が、
図1のベース状態と比較して、修正された水力学的特性を有するように変化し、安定化フィン116はフィンスタビライザ100の変化した動作条件に最適に適合可能である。しかし、弾性形成された接続体144に因り、安定化フィン116の表面形状136または上表面もしくは封入表面は、渦、したがってそれに付随して安定化フィン116の周囲の非層流、したがって結果として、安定化フィン116の油圧流抵抗の増大を引き起こすと考えられる任意の不連続点がないままである。
【0029】
しかし、アクチュエータ170の枢動アーム182が反対方向に同じ枢動角度γだけ回転した場合、点線で示されている、安定化フィン116の補完的横断面形状132が生じる。ここで、2つの横断面形状130、132が安定化フィン116の基平面156に関して鏡面対称である。
【0030】
安定化フィン116の、
図1に示されているベース状態と
図2に示されている安定化フィン116の変形状態との間に、制御および/または調節ユニット172の制御下でのアクチュエータ170の枢動アーム182の相応により少ない回転により、複数の(中間)変形状態が示される。
【0031】
安定化フィン116の横断面形状130、132が水中でのそれぞれの現在の動作条件に適合され得るので、最適にかつ略リアルタイムで、フィンスタビライザ100のエネルギー効率の相当な増大が、フィンスタビライザ100の安定化効果の同時最適化と共に、実現可能である。
【0032】
本発明は、安定化フィン116が配設されているシャフト110を含む、進行中の、停泊中の、またはゼロ速度の船舶のロール安定化のためのフィンスタビライザ100に関し、該シャフト110は、水中にある安定化フィン116の少なくとも1つの迎角αを変更するために駆動ユニット120により駆動可能である。本発明によれば、安定化フィン116の横断面形状130が少なくとも1つのアクチュエータ170により変更可能であり、安定化フィン116は閉じた表面形状136を形成することが定められている。安定化フィン116の油圧的に有効な横断面形状130(該横断面形状130は、少なくとも1つのアクチュエータ170により大きく変更可能である)に因り、フィンスタビライザ100の著しく増大したエネルギー効率が、詳細には船舶のロール運動を抑制することに関して、フィンスタビライザ100の同時に改善された安定化効果と共に、生じる。
【符号の説明】
【0033】
100 フィンスタビライザ
110 フィン担持シャフト
116 安定化フィン
120 駆動ユニット
122 長手方向中心軸(フィン担持シャフト)
124 流動方向(水)
130 横断面形状(安定化フィン)
132 補完横断面形状(安定化フィン)
136 表面形状(安定化フィン)
140 流入体
142 中心平面
144 接続体
146 中心平面
148 流出体
150 中心平面
156 基平面(未変形ベース状態)
160 弾性変形体
162 支持要素
170 アクチュエータ
172 制御および/または調節ユニット
178 連結リンク(連結ロッド)
180 第1の端部(連結リンク)
182 枢動アーム(アクチュエータ)
184 第2の端部(連結リンク)
α 迎角(フィン担持シャフト)
β 流出角度(流出体、基平面)
γ 枢動角度(枢動アームアクチュエータ)
【国際調査報告】