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特表2023-534436光学式位置エンコーダを製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-09
(54)【発明の名称】光学式位置エンコーダを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/26 20060101AFI20230802BHJP
【FI】
G01D5/26 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501550
(86)(22)【出願日】2021-07-02
(85)【翻訳文提出日】2023-02-28
(86)【国際出願番号】 EP2021068312
(87)【国際公開番号】W WO2022017761
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】102020119511.7
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502367454
【氏名又は名称】イーツェー-ハウス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガローチ、モニール
【テーマコード(参考)】
2F103
【Fターム(参考)】
2F103BA43
2F103CA03
2F103DA01
2F103DA04
2F103EB06
2F103EB12
2F103EB32
2F103GA01
2F103GA11
(57)【要約】
本発明は、光電子部品1と、光電子部品1のLED光源2によって照射される測定スケール101とを備える光学式位置エンコーダ100を製造するための方法に関し、LED光源2は、LED光源2の光出口面5が外側に露出されるように成形ハウジング11内に成形され、光出口面5は、コーティングを有し、光出口窓10を設けるために、いくつかの領域ではコーティングされていない。本発明は、さらに、LED光源2が外側に露出されるように配置された成形ハウジング11を有する光電子部品1を備える光学式位置エンコーダ100に関し、光出口面5は、コーティングされており、コーティングされていない光出口窓10を有し、光電子部品1のLED光源2によって照射される測定スケール101を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電子部品(1)を有し、前記光電子部品(1)のLED光源(2)によって照射される測定スケール(101)を有する光学式位置エンコーダ(100)を製造するための方法であって、前記LED光源(2)の光出口面(5)が外側に露出されるように成形ハウジング(11)内に埋め込まれる、方法において、
前記光出口面(5)がコーティングされ、光出口窓(10)を設けるためにいくつかの領域でコーティング除去されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記光出口面(5)がコーティング(9)を用いて前記面全体又は前記面の一部にわたってコーティングされ、前記コーティング(9)が、特に本質的に光不透過性及び/又は反射性であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光出口面(5)が、金属コーティング(9)を用いて、特に金又は金合金でできたコーティング(9)を用いてコーティングされることを特徴とする、請求項1又は2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記LED光源(2)の少なくとも1つの周辺部分面(6)がコーティングされていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記LED光源(2)の前記少なくとも1つの周辺部分面(6)及び前記光出口面(5)は、連続してコーティングされることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記光出口面(5)が前記LED光源(2)の前記少なくとも1つの周辺部分面(6)とは異なるコーティング(9)を用いてコーティングされることを特徴とする、請求項4又は5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記光出口面(5)が物理的気相成長法によって、特にスパッタリングによってコーティングされることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記光出口面(5)がエッチング、機械加工、及び/又はレーザによってコーティング除去されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記光出口面(5)が、成形の前又は後にコーティングされることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記光出口面(5)が、前記成形の前又は後にいくつかの領域でコーティング除去されることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
LED光源(2)の光出口面(5)が外側に露出されるように、前記LED光源(2)が配置される成形ハウジング(11)を有する光電子部品(1)を有し、前記光電子部品(1)の前記LED光源(2)によって照射される測定スケール(101)を有する光学式位置エンコーダにおいて、前記光出口面(5)がコーティングされており、コーティング除去された光出口窓(10)を有することを特徴とする、光学式位置エンコーダ。
【請求項12】
前記光出口面(5)から離れる方向に向いた前記LED光源(2)の側面が、前記LED光源(2)の接触面(7)であることを特徴とする、請求項11に記載の光学式位置エンコーダ。
【請求項13】
少なくとも1つの光センサ(14)が前記成形ハウジング(11)内に配置されていることを特徴とする、請求項11又は12のいずれか一項に記載の光学式位置エンコーダ。
【請求項14】
前記LED光源(2)及び/又は前記光センサ(14)がキャリア(13)上に配置されていることを特徴とする、請求項11から13までのいずれか一項に記載の光学式位置エンコーダ。
【請求項15】
前記LED光源(2)が、前記光センサ(14)及び/又は信号処理ユニット(15)を備えるキャリア(13)上に配置されていることを特徴とする、請求項11から14までのいずれか一項に記載の光学式位置エンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電子部品と、光電子部品のLED光源によって照射される測定スケールとを有する光学式位置エンコーダを製造するための方法に関し、LED光源は、LED光源の光出口面が外側に露出されるように、成形ハウジング内に埋め込まれる。LED光源の光出口面が外側に露出されるように配置された成形ハウジングを有する光電子部品を有し、光電子部品のLED光源によって照射される測定スケールを有する光学式位置エンコーダは、本発明のさらなる主題を形成する。
【背景技術】
【0002】
このような光電子部品は、通常、部品の動きを検出することができるように、光学式位置エンコーダで使用される。この目的のために、測定スケールは部品上に配置され、光電子部品のLED光源によって照射される。測定スケールは、ここでは、測定スケール上に入射するLED光源の光が特定のパターンに従って変調されるように設計される。したがって、測定スケールは、例えば、ライン・パターンが特に有利な明領域と暗領域とから成り得る。次いで、変調光は、少なくとも1つの光センサの形態のサンプリング受信器によって検出され得る。このようにして、正弦及び余弦信号の形態が大量に生成されてもよく、それらは評価することができ、したがって、部品の位置に関する情報を提供することができる。
【0003】
このような位置エンコーダは、部品の直線運動を検出する直線位置エンコーダ、又は、部品の回転運動を検出する回転エンコーダのいずれかとして設計されてもよい。したがって、測定スケールは、全体が長方形の形状を有する互いに平行に配置された線から形成されるか、又は半径方向に延在する線を有する円形ディスクとして形成され得る。さらに、位置エンコーダは、インクリメンタル・エンコーダ、又はアブソリュート・エンコーダのいずれかとして設計され得る。インクリメンタル・エンコーダでは、局所的な絶対情報の項目を得るために、測定手順の最初に、追加的に参照を行うことができる。これは、サンプリングの全範囲にわたってアブソリュート・エンコーダの場合には必要ではない。
【0004】
測定スケールは、用途に応じて異なるように設計することもできる。したがって、一方では、測定スケールは、LED光源と、変調光を受信する光センサとの間に配置される透過光装置が知られている。次いで、光領域は、通常、測定スケールの溝付き光透過領域によって形成される。或いは、測定スケールは、反射装置として設計されてもよく、LED光源の光は、光パネルで反射され、センサに到達する。
【0005】
部品の敏感なマイクロ電子部品の部分を悪影響から守るために、成形ハウジング内にこれらの部品を配置するものが知られており、それは、全体として部品を取り囲んでいる。
【0006】
「成形」という用語は、ここでは一般に、成形方法、特に射出成形法として理解されており、その方法においては、液状材料が、射出金型とも呼ばれる金型に加圧注入される。材料は、冷却又は架橋反応により、金型内で再び固体状態になり、金型を開いた後、完成品として取り除かれる。液状材料が金型内に注入されてその中で凝固する、いわゆる「鋳造」によってのみ製造されるハウジングと比較して、射出成形法で製造されたハウジングは、特に、処理速度及び形状に関して利点をもたらす。しかしながら、すべての部品がこの製造方法に適しているとは限らないため、個々の部品は、成形中に著しく高い圧力にさらされる。
【0007】
成形ハウジング内に個々の部品が配置される装置が、例えば、ドイツ特許公開第DE102012107578A1号から知られている。そこでは、LED光源はキャリア上に配置され、成形されたハウジングによって四方を囲まれている。製造工程中に、LED光源の上方への定義された発光を可能にするため、及び、LED光源への損傷を防ぐために、構造化されたガラス板がLED光源の上方に配置される。
【0008】
このような部品は、単にLEDライトとしての使用において、その能力を確実に示す。しかしながら、このような配置の場合、位置エンコーダでの使用のために、LED光源の上方に配置されたガラス板によって発光の障害が起こり得るという欠点があることが証明されている。これは、一方では、LED光源とガラス板との間及びガラス板とその周囲との間の移行部において、光ビームの望ましくない屈折が生じ得るからである。他方では、反射が生じる可能性があり、その結果、例えば、外部光が測定スケールの方向に偏向され、したがって、測定結果の改変につながる。
【0009】
LED光源の上方に配置されたガラス板による発光の障害を避けるために、例えば、LED光源から光が出射するLED光源の光出口面を外側に露出させることは、ドイツ特許公開第DE102015103253A1号から知られている。それは、光出口面を外側に露出させることにより、成形ハウジングの内部にもはや配置されず、それにより、構造の簡素化に加えて、LED光源のすべての方向での発光を実現することができる。散乱光によって起こり得る屈折、影、結合、又はその他の障害は、LED光源上に又はその上方に配置される要素を避けることによって防ぐことができる。
【0010】
LED光源の発光特性は、LED光源の光出口面の正確な寸法によって影響を受け、その寸法は、LED光源の製造における製造方法及び製造公差によって、本質的に定義される。この場合、異なる製造業者のLED光源間の差異だけでなく、同じ製造業者の異なるバッチのLED光源間、さらに、同じバッチの個々のLED光源間でも差異が生じる。光出口面の差異は、位置エンコーダの信号品質に影響を与え、光電子部品の分解能を制限し、特に大きな光出口面では低い分解能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】ドイツ特許公開第DE102012107578A1号
【特許文献2】ドイツ特許公開第DE102015103253A1号
【発明の概要】
【0012】
この背景に対して、本発明は、より高い分解能を実現するためにLED光源の発光特性を向上させる光電子式位置エンコーダを製造する方法と、光電子式位置エンコーダとを指定する目的を有する。
【0013】
この目的は、光出口面がコーティングされ、光出口窓を設けるためにいくつかの領域でコーティング除去されるという、最初に述べたタイプの方法において達成される。
【0014】
特に半導体LEDチップであるLED光源自体がコーティングされているという点で、それをさらに外側に露出することが可能である。したがって、コーティングにより、コーティングされたLED光源の外面が形成される。LED光源とガラス板などのカバー要素との間、及び、カバー要素とその周囲との間の移行部において、光ビームの望ましくない屈折を避けることができる。光電子部品の分解能は、もはや、コーティングされていないLED光源、特に半導体LEDチップの半導体結晶の製造における製造方法及び製造公差によってではなく、むしろ、コーティング及びコーティング除去と光出口窓の寸法とによって定義される。コーティング及びコーティング除去時の公差は、製造公差よりも小さくすることができる。より良好な発光特性、特により良好な信号品質、及びより高い分解能が実現され得る。
【0015】
LED光源は、コーティングされた光出口面及びコーティング除去された光出口窓によって、一体化されたマスキングを備えることができる。光出口窓は、コーティング除去によって正確に製造することができ、特にはっきりした縁部を有するため、発光特性を向上させることができる。
【0016】
この方法は、異なる製造業者及び/又はバッチのLED光源を用いて実行することができる。コーティング及びコーティング除去により、使用されるLED光源の製造方法及び製造公差が異なるにもかかわらず、均一の発光特性を有する光電子部品が製造され得る。使用されるLED光源とは本質的に独立し、光出口面の寸法よりも小さい寸法を有する光出口窓が実現され得る。複数の光電子部品の一連の製造の場合、個々のLED光源間の差異にも関わらず、均一の光出口窓が、すべての光電子部品において実現され得る。
【0017】
本発明の一実施例によれば、光出口面は、その面の一部でコーティングされ得る。特に、光出口窓を設けるために使用される光出口面の一部は、最初からコーティングされないままであってもよい。光出口窓を設けるために、光出口面のコーティングされた部分は、領域内でコーティング除去することができる。特に、光出口面のコーティングされていない部分の周りの光出口窓の縁部は、光出口窓のはっきりした縁部を実現するためにコーティング除去することができる。面の一部のコーティングにより、特に、より大きな光出口窓の場合に、材料及び時間を節約して、この方法を実行することができる。
【0018】
成形ハウジングは、好ましくは、LED光源を埋め込むのに使用される成形コンパウンドによって形成される。成形コンパウンドは、この目的のために射出金型内に射出することができ、射出金型には、LED光源が既に配置されている。成形ハウジングの製造及びLED光源の埋込みは、1つの方法ステップで、時間を節約して行うことができる。
【0019】
有利な方法では、光出口面は、面全体又は面の一部で、特に本質的に光不透過性及び/又は反射性のコーティングを用いてコーティングされる。光出口面が面全体にわたってコーティングされる場合、光出口窓は、光出口面のコーティングされていない部分の位置を考慮する必要なく、対応するコーティング除去によって光出口面上で自由に配置することができる。光出口面のコーティングされた部分からの光出射は、本質的に光不透過性コーティングによって防ぐことができる。LED光源からの光の逃げは、光出口窓の光不透過性コーティングによって場所を限定することができる。LED光源の発光特性は、光出口窓の寸法によって、光出口面全体の寸法とは基本的に独立して定義することができる。個々の光ビームがコーティング上に入射し、コーティング除去された光出口窓上には入射されない場合、反射性コーティング、特にLED光源の内側の方向にミラーリングされたコーティングによって、LED光源の内部への光反射が可能になる。LED光源の光収率は、LED光源の内部での反射によって増加させることができる。特に、多くの反射の場合、光源の内部で反射された光ビームは、光出口窓によってLED光源から出射できるような方法で、再び反射することができる。光出口窓上のLED光源によって生成された光の束は、このようにして実現することができる。
【0020】
光出口面は、複数のコーティングを用いて面全体又は面の一部をコーティングすることができ、その結果、特に、光出口面の多層コーティングが生じる。特に、LED光源の発光特性を向上させるために、個々のコーティングの効果は、複数のコーティング、特に多層コーティングによる簡単な方法で互いに組み合わせることができる。
【0021】
コーティング及び/又は複数のコーティングは、特に無機化合物から成っていてもよい。
【0022】
この文脈では、光出口面が金属コーティングを用いて、特に金又は金合金でできたコーティングを用いてコーティングされている場合、特に有利である。金属コーティング、特に、金又は金合金でできたコーティングは、簡単な方法を用いて光出口面に塗布することができる。したがって、光出口面のほとんど嵩がない薄いコーティングは、金属コーティングを用いて材料を節約する方法で実現することができる。光不透過性及び/又は反射性のコーティングは、特に数百ナノメートルの層厚で、金属コーティング、特に金又は金合金でできたコーティングを用いて簡単な方法で実現することができる。クロム-金合金は、光出口面のコーティングに特に有利であることが証明されている。LED光源の光収率は、クロム-金コーティングを用いて特に簡単な方法で多重反射によって増加させることができる。
【0023】
本発明のさらなる実施例では、LED光源の少なくとも1つの周辺部分面がコーティングされている。光出口面をコーティングするために使用されるのと同じ又は異なるコーティングが、周辺部分面をコーティングするのに使用されてもよい。特に、周辺部分面は、複数のコーティングを用いて、及び/又は多層でコーティングされてもよい。LED光源から光出口窓を通って延びていない光路は、LED光源の形状に応じて、光出口面に対して本質的に横方向に広がる周辺部分面のコーティングによって抑制することができる。このようにして、望ましくない散乱光が、隣り合う光センサ上に入射して出力信号の破損をもたらすのを防ぐことができる。コーティングされた周辺部分面は、多重反射によってLED光源の光収率を増加させるために、LED光源の内部方向に光ビームを反射させるために代替的又は追加的に使用することができる。
【0024】
4つの周辺部分面、特にLED光源のすべての周辺部分面がコーティングされる場合にはさらに有利である。個々の周辺部分面のコーティングは、互いに異なるように、又は互いに同一であるように具現化することができる。特に、周辺部分面は、同時にコーティングすることができる。
【0025】
さらに、LED光源の少なくとも1つの周辺部分面及び光出口面が連続してコーティングされる場合には有利であり得る。周辺部分面は、最初にコーティングすることができ、光出口面は、それに続いてコーティングすることができる。同様に、光出口面は、最初にコーティングすることができ、周辺部分面も、それに続いてコーティングすることができる。周辺部分面及び光出口面の連続的なコーティングの場合、特に異なるコーティングは、少なくとも1つの周辺部分面及び光出口面に塗布することができる。
【0026】
光出口面が、LED光源の少なくとも1つの周辺部分面とは異なるコーティングを用いてコーティングされる場合には、さらに有利である。周辺部分面が、成形ハウジング内に埋め込まれ、それと接触している一方で、光出口面は外側に露出されており、この光電子部品における個々の面の異なる配置は、少なくとも1つの周辺部分面及び光出口面の互いとは異なるコーティングによって考慮することができる。光出口面のコーティングは、できるだけ光不透過性であるように設計することができ、その結果、光出口窓を通って延びる光以外、さらなる光は、成形ハウジングで外側に露出された光出口面によってLED光源から出射されない。対照的に、周辺部分面のコーティングは、主に反射するように設計することができ、その結果、LED光源の全体的な光収率が増加し得る。周辺部分面が成形ハウジングを圧迫するため、周辺部分面の光不透明度は、それと比べて目立たないようにすることができ、その結果、成形材料は、周辺部分面のコーティングに加えて、望ましくない散乱光を低減することにも寄与する。
【0027】
本発明のさらなる実施例によれば、光出口面が物理的気相成長法によって、特に、スパッタリングによってコーティングされることが提案される。光出口面は、物理的気相成長法によって、コーティング、特に薄いコーティングを用いて簡単にコーティングすることができる。実質的に均質で予め定義された層厚を有するコーティング及び/又は構造化されたコーティングは、物理的気相成長法、特にスパッタリングによって実現することができる。光出口面との化学反応は、物理的気相成長法によって回避することができる。特に、光出口窓の領域における光出口面の表面構造の変化は、いくつかの領域でコーティング除去後、コーティングのために物理的気相成長法の使用によって回避することができる。
【0028】
さらなる実施例は、光出口面がエッチング、機械加工、及び/又はレーザによってコーティング除去される。エッチング、機械加工、及び/又はレーザによる光出口面のいくつかの領域でのコーティング除去は、光出口窓を形成する光出口面の部分の面全体をコーティング除去するために使用することができる。或いは、コーティング除去方法は、光出口窓のコーティングされていない部分を拡大するために、特に、光出口面のコーティングされた領域への移行部において、光出口窓の範囲を定めるはっきりした縁部を実現するために使用することができる。成形ハウジングに既に埋め込まれたLED光源の場合、エッチング、機械加工、及び/又はレーザは、コーティングされた光出口面のいくつかの領域をコーティング除去するために使用することができる。エッチング及び/又はレーザによるコーティング除去において、フォトリソグラフィ法を使用することができ、それを用いて、光出口窓の寸法及び幾何学形状は、簡単な方法で予め定めることができ、光出口面は、光出口窓の領域でコーティング除去することができる。レーザによる光出口面のコーティング除去により、1つ又は複数の小面積の光出口窓を設けることができ、それを用いて、光電子部品の分解能を高めることができる。50μm以下の範囲の幅を有する、特に、20μm以下のスロット幅を有する光出口窓は、好ましくは、レーザによって実現することができる。機械加工によるコーティング除去のために、コーティングされた光出口面は、切除によって、特に研削又は鋸切断によって加工することができる。
【0029】
光出口面は、光出口窓を設けるために、好ましくは、長方形、隙間、楕円、及び/又は円形の形状でコーティング除去される。光出口窓の幾何学形状は、長方形、隙間、楕円、及び/又は円形の形状で、いくつかの領域で光出口面のコーティング除去をすることによって、光電子部品の使用要件に個別に適合させることができる。長方形、隙間、楕円、及び/又は円形の形状でのコーティング除去は、互いに組み合わせて、より複雑な幾何学形状の光出口窓を実現することができる。光出口窓の異なる形状は、組み合わせることにより簡単に実現することができる。
【0030】
本発明のさらなる実施例では、光出口面は、成形の前又は後にコーティングされる。成形前の光出口面のコーティングにより、周辺部分面上に重なって光出口面を覆うコーティングが可能になる。このような重なりは、特に、光出口面をコーティングするために使用されたものと同じコーティングを用いて1つ又は複数の周辺部分面のコーティングが行われる場合にも、有利であり得る。LED光源は、このような方法で、光出口面と周辺部分面との間で、特に既知の領域で覆うことができる。光出口窓を設けるためのステップは、成形後に行われる光出口面のコーティングによって、成形後に併せて行うことができる。
【0031】
さらなる実施例は、光出口面が、成形前又は後にいくつかの領域でコーティング除去されることを提供する。成形前のコーティング除去の場合、光出口窓の提供は、成形工程の前に既に行うことができる。光出口窓は、成形後の光出口面のコーティング除去によって、成形ハウジング内の所定の場所に固定されたLED光源上に設けることができる。LED光源の光出口窓の位置及び向きは、成形後に行われるコーティング除去の場合、成形ハウジング又は成形ハウジング内に配置された光センサに対して予め定めることのできる位置で製造することができる。同一の発光特性を有する光電子部品の再現性のある生産が、成形後のコーティング除去により可能になる。個々のLED光源の違いによる成形ハウジング又は光センサに対する光出口窓の位置及び/又は場所への影響、並びに、成形中に発生し得る成形ハウジングに対するLED光源又は光センサに対するLED光源の位置変動は、成形後のコーティング除去によって回避することができる。
【0032】
本発明の有利な一実施例では、光出口面のコーティング及び光出口面のいくつかの領域のコーティング除去は、いずれも成形前に行ってもよいし、光出口面のコーティングは成形前に行い、いくつかの領域でのコーティング除去は成形後に行ってもよいし、光出口面のコーティング及び光出口面のいくつかの領域のコーティング除去は、いずれも成形後に行ってもよい。
【0033】
最初に述べたタイプの光学的位置エンコーダでは、上記の目的を達成するために、光出口面がコーティングされ、コーティング除去された光出口窓を有することが提案される。
【0034】
特に半導体LEDチップであるLED光源自体がコーティングされるため、LED光源は、依然として外側に露出されていてもよい。LED光源とガラス板などのカバー要素との間、及び、カバー要素とその周囲との間の移行部において、光ビームの望ましくない屈折を回避することができる。LED光源は、コーティングされた光出口面及びコーティング除去された光出口窓によって、一体化されたマスキングを備えることができる。光電子部品の分解能は、光出口面のコーティング及び光出口窓のコーティング除去によって、もはや、異なるLED光源、特に半導体LEDチップの半導体結晶の製造における製造方法及び製造公差に左右されず、且つ、もはやLED光源の光センサに対する位置合わせに左右されず、むしろコーティング及びコーティング除去と光出口窓の寸法とに左右されるため、より良好な発光特性、特により良好な信号品質とより高い分解能が実現可能である。コーティング及びコーティング除去における公差は、製造公差よりも著しく低くなり得る。
【0035】
コーティング除去された光出口窓は、より正確に製造することができ、特に、はっきりした縁部を有することができるため、発光特性が向上される。
【0036】
本発明による方法と併せて記載された特徴は、光学式位置エンコーダ内で個別又は組み合わせて使用することもできる。その結果、既に記載されている同じ利点が得られる。
【0037】
1つの構成的な実施例によれば、光出口面が本質的に光不透過性及び/又は反射性のコーティングを有することが提案される。コーティングは、ここでは、光出口面にわたって広がることができるだけでなく、追加的に、LED光源の周辺部分面の全体、特にLED光源を覆うこともできる。コーティングは、有利には、LED光源に電気的に接触するための接触面を除いて、LED光源のすべての側面を覆うことができ、特に、これらの側面の面全体を覆うことができる。LED光源の接触面は、光出口面とは正反対にあってもよく、その結果、LED光源は、いわゆるフリップ・チップLEDのように設計され得る。多重反射は、周辺部分面のコーティング、特に反射性のコーティングによってLED光源の内部で実現可能である。LED光源の光収率、すなわち、LED光源から光出口窓を通って出射する光の強度を強めることができる。コーティングは、多層、特に多重であってもよい。
【0038】
さらに、コーティングが600nm未満、特に400nm未満の層厚を有する場合、有利であり得る。光電子部品は、600nm未満、特に400nm未満の層厚によって、材料を節減するように設計することができる。このようにして、軽量化及び費用削減ができる。
【0039】
有利な一実施例では、光出口面から離れる方向に向いたLED光源の面は、LED光源の接触面である。光出口面から離れる方向に向いたLED光源の面は、光出口面とは正反対のLED光源の面であってもよい。光電子部品は、接触面によってフリップ・チップのようなLED光源を備えることができる。光出口面に電気的に接触するための接触ワイヤ及び導電チャネルは、フリップ・チップ形状に応じて省略可能である。接触ワイヤによる影は、回避することができる。光出口面全体は、光出口窓を設けるために使用することができる。
【0040】
漏電のリスクを避けるために、接触面は、有利には、コーティングせずに形成することができる。光出口面のコーティング及び/又は周辺部分面のうちの1つのコーティングは、特に、LED光源の接触面まで達しないようにすることができる。LED光源は、有利には、接触面を介して排他的に電気的接触が可能であり得る。
【0041】
成形ハウジングの成形コンパウンドは、好ましくは、特にLED光源の波長範囲内では非透過である。散乱光などの望ましくない光効果は、非透過性の成形コンパウンドでできた成形ハウジングによって抑制することができる。成形コンパウンドは、特に不透明であってもよく、すなわち半透明でなくてもよく、その結果、光は、成形ハウジングを通り抜けることができない、又はLED光源の光出口面を除いてそこから出ることはできない。成形ハウジング及び/又はLED光源上の外部光の入射を抑制するために、追加の分離要素を提供することは可能であるが、必須ではない。成形コンパウンドは、好ましくは、低い熱膨張係数を有しており、その結果、温度制限は設けられない。マイナス効果は、成形ハウジングの表面を引っかくことによる散乱又は反射などの、非透過性の、特に不透明な成形コンパウンドによって減少させることができる。さらに、標準的な材料を用いることができ、それによって、生産コストの削減が実現可能になるという利点が得られる。成形コンパウンドは、特に、エポキシ樹脂であってもよい。
【0042】
好ましい一実施例は、少なくとも1つの光センサが、成形されたハウジング内に配置されていることを提供する。測定スケール上に特に反射及び変調された光は、光センサを介して検出することができる。光センサは、この目的のために、感光性の光電子面を有することができ、電気出力信号の形態で受信された信号を提供することができる。光センサは、好ましくは、複数の部分面及び/又はさらなる回路要素を備えることができる。光センサの部分面は、互いに対称的に配置することができる。複数の部分面は、グループを形成するために結合させることもできる。部分面は、互いに対して鏡像対称に配置することができ、センサ面の対称性は、回転エンコーダ内の回転配置のために考慮されるべきである。個々のセンサ面は、周期的に互いに電気的に接続することができる。
【0043】
本発明の一改良例では、LED光源と光センサとの間の直接の光路は、特に成形されたハウジングによって遮断される。このようにして、望ましくない散乱光が光センサ上に入射して出力信号の破損をもたらすことを防ぐことができる。光路の遮断は、光センサの方を向いたLED光源の周辺部分面のコーティングによって、及び/又は、非透過性の、特に不透明の成形ハウジングによって、実現することができる。成形コンパウンドは、この目的のために個々の要素間に、例えば、LED光源と光センサとの間に配置することができる。追加の、特に非透過性及び/又は不透明な光学仕切り要素の使用が可能だが、必須ではない。仕切り要素の場合、それは、LED光源と光センサとの間に配置してもよく、例えば、ウェブ、壁、仕切り壁などとして設計することができる。
【0044】
成形ハウジングが光センサの領域内に凹部を有する場合が好ましく、凹部を介して変調光は、光センサに到達することができる。凹部は、光センサの上方に配置された透明な補助要素、例えばガラス製、プラスチック製、又は透明樹脂製の板によって形成することができる。補助要素は、成形ハウジングの外面と同一平面で終端することができ、それにより、ハウジングの外面の水平なプロファイルが結果として得られる。補助要素は、変調光がセンサの特定の領域上にのみ入射することができるように設計することができる。この目的のために、補助要素は、マスキング・アタッチメントとして設計することができる。マスキング・アタッチメントとして設計された補助要素は、例えば、光不透過性材料から製造することができるか、又は、透光性の、特に透明な凹部を有することができるか、又は透光性の、特に透明な材料から製造することができ、光不透過性コーティングを補助要素に塗布することができる。或いは又はさらに、補助要素は、特に、光センサを損傷から守ることができるように、保護要素として使用することができる。
【0045】
構成的な一実施例によれば、光センサの上方に保護のために配置された補助要素が、LED光源と同じ高さを有することが提案される。特に、光センサの上方に配置される補助要素は、成形ハウジングの上面と同一平面で終端することもでき、その結果、水平な外面は、光電子部品の発光方向に生じる。補助要素は、キャリア上のLED光源と共に配置することができる。このようにして、特に光電子部品の製造において、並びに、特に成形前の射出金型内でのLED光源及び補助要素の位置決めにおいて、利点が生じる。
【0046】
さらに、一実施例は、複数のLED光源及び/又は複数の光センサが設けられる点で有利である。複数のLED光源及び/又は複数の光センサを設けることによって、複数のコード・トラックが光電子部品において実装可能であり、それによって、位置情報の複数の項目が、特に複数の測定スケールと協働して取得され、評価され得る。
【0047】
さらなる構成的な一実施例によれば、LED光源及び/又は光センサは、キャリア上に配置される。キャリアは、好ましくは、半導体基板から形成されたチップである。或いは、キャリアは、リード・フレーム、基部、又は位置を定義するための他の要素であってもよい。チップとして設計されたキャリアの場合、それは、フレーム又は絶縁キャリアの形態ではんだ付けすることができる金属ライン・キャリアなどのリード・フレーム上に配置することができる。LED光源及び/又は光センサは、好ましくは、高架式に配置され、それによって、LED光源及び/又は光センサが、少なくとも一部の面で外側に露出し、及び/又は成形ハウジングと同一平面で終端する可能性が簡単な方法で生じる。
【0048】
LED光源は、好ましくは、光センサ及び/又は信号処理ユニットを備えるキャリア上に配置される。キャリアは、半導体基板でできたチップとして設計することができる。信号処理ユニットとして、チップは、光センサによって検出されて電気出力信号として提供された位置情報の項目を評価することができる。或いは又はさらに、光センサ及び/又は信号処理ユニットは、チップ内に一体化することができる。LED光源は、チップとして設計されたキャリア上に、チップオンチップ構造として配置することができる。
【0049】
有利な一実施例は、LED光源及び/又は光センサのための信号処理ユニットを提供する。信号処理ユニットにより、光センサによって検出された信号を処理することができ、LED光源を作動することができ、及び/又は、さらなる信号処理工程を実行することができる。信号処理ユニットは、集積回路、特に半導体チップとして設計されたキャリアであってもよい。LED光源及び光センサには、それぞれ信号処理ユニットを割り当てることができ、特に、互いに接続することができるか、データ交換のために制御ユニットに接続することができる。
【0050】
LED光源は、好ましくは、700nm未満、特に500nm未満の波長を有する光を発するように設計される。特に測定スケールのより微細な構造は、この波長範囲の光を使用することにより、検出可能になり得る。LED光源が発する光は、可視光の波長範囲内にあってもよい。LED光源は、好ましくは、緑色、青色、又は紫外光を発する。500nm未満の波長を有する光の使用によって、光センサは、より小さな寸法、又は、角の尖った隅若しくは角の尖ったノッチなどの角の尖った領域を分解することができる。発光の波長は、好ましくは、480nm未満であり、さらに、発光の波長は、400nmより大きく、好ましくは425nmより大きく、特に好ましくは450nmより大きくてもよい。さらに、他のLED光源よりも硬い半導体材料を使用することができる青色又はより短い波長のLED光源を使用するときに利点が生じ、その半導体材料は、傷がつきにくく、さらに、製造工程の間、特に成形中の高い圧力に耐えることができる。
【0051】
直径26mmのコード・トラックを有する円形の測定スケールでは、本発明による光部品を1000パルスで用いると、それまで可能だった60μmの代わりに、測定スケール上で37μmのライン幅を分解可能にすることができる。
【0052】
有利な一実施例では、測定スケールは、部分的に反射性でありコード化されるように作られている。測定スケールの反射的な設計により、LED光源及び光センサは、共通の光電子部品内に配置することができる。光出口窓を介してLED光源が発する光は、測定スケールによって、光センサの方向に反射され、それによって検出される。測定スケールは、絶対コード化測定スケールとして設計することができ、それによって、分解可能な位置ごとに一意の位置値を決定可能である。測定の開始時に参照を行うことを省略することはできるが、それでもなお、それを行うこともできる。
【0053】
本発明の有利な一実施例では、複数の光センサが絶対位置を決定するために設けられる。複数の光センサの存在によって、測定スケールの複数のコード・トラックをサンプリングすることができ、より正確な位置データを検出することができる。1つ又は複数のLED光源は、複数の光センサ、光センサのグループ、及び/又は測定スケールの複数のコード・トラックのために設けることができる。測定スケールの各コード・トラックは、部分的な面のグループを割り当てることができる。LED光源は、光センサ間に、特に、光センサ間の中央に又はセンサ軸に対して対称に配置することができる。このようにして、より正確な位置検出を行うことができる。光学式位置エンコーダは、好ましくは、絶対位置検出用の少なくとも2つの光センサを有する。
【0054】
以下、本発明のさらなる詳細及び利点は、図面に示された本発明の例示的な実施例に基づいて例示的に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1a】光学式位置エンコーダの第1の例示的な実施例を概略断面図に示す。
図1b】光学式位置エンコーダの第2の例示的な実施例を概略断面図に示す。
図2a図1aによる光学式位置エンコーダを概略斜視図に示す。
図2b図1bによる光学式位置エンコーダを概略斜視図に示す。
図3】LED光源の領域における本発明による光電子部品の領域を示す。
図4】本発明による方法のための開始点としてLED光源を概略斜視図に示す。
図5】コーティングされた光出口面を有するLED光源を概略断面図に示す。
図6a】コーティングされた光出口面及びコーティング除去された射出窓を有するLED光源の例示的な実施例を示す。
図6b】コーティングされた光出口面及びコーティング除去された射出窓を有するLED光源の例示的な実施例を示す。
図6c】コーティングされた光出口面及びコーティング除去された射出窓を有するLED光源の例示的な実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1及び図2は、本発明による光学式位置エンコーダ100の2つの例示的な実施例を示している。これらのタイプの光学式位置エンコーダ100は、部品の位置を検出することができるようにするために、産業界ではよく使用される。位置エンコーダ100は、この目的のために、直線位置エンコーダとして、又は、回転エンコーダとしても設計することができる。
【0057】
部品の位置を検出できるようにするために、測定スケール101は、部品上に配置され、異なる領域102、103を有する。領域102、103は、大部分が吸収性(明るく示されている)で大部分が反射性の(暗く示されている)面であってもよく、したがって、LED光源2からそこに入射する光を異なるように利用する。領域103はそれぞれ、コード・トラックを形成しており、測定スケール101が図示の平面に垂直に移動する間に、反射フィールド及び吸収フィールドが交互に現れ、したがって、そこに入射する光を変調する。1つ又は複数のコード・トラック103は、インクリメンタル信号又はインデックス信号を生成するために提供することができ、その結果、相対位置又は絶対位置の決定が可能である。図1a及び図2aによる第1の例示的な実施例では、測定スケール101は、2つのトラックにおいて形成され、LED光源2及び光センサ14を接続する光電子部品1の軸に相対的且つ直交方向に移動する。
【0058】
図1b及び図2bによる第2の例示的な実施例では、測定スケール101は、領域103によって形成される2つのコード・トラックも有する。この例示的実施例の光学式位置エンコーダ101は、アブソリュート・エンコーダであり、測定スケール101上の複数のコード・トラックは、サンプリングされ、例えば、疑似ランダム・コードを形成する。測定スケール101は、絶対的にコード化されるように設計され、測定スケール101の領域103は、デジタル二進コーディングを有し、それは、分解可能な位置ごとに一意であり、複数の同時に検出されたコード点から成る。測定スケール101の吸収フィールドは、論理ロー信号を生成することができ、反射フィールドは、それに応じて、この場合、論理ハイ信号を生成することができる。
【0059】
しかしながら、両方の例示的な実施例では、測定スケール101の拡散的に反射する領域又は屈折領域102、103も、利用することができる。
【0060】
測定スケール101を用いて部品の位置を検出することができるようにするために、光学式位置エンコーダ100は、測定スケール101の方向に光を発する光電子部品1を有する。光電子部品1は、この目的のために、例えば、LEDチップの形態でLED光源を有する。
【0061】
LED光源2としてのこのようなLEDチップは、基部領域4を有する半導体結晶3から成る発光ダイオードである。LED光源のpn接合は、ここでは、生成された光が本質的に光出口面5を通ってLED光源から発光方向に出射し、したがって、光電子部品1によって測定スケール101の方向に放出されるように配置される。
【0062】
光電子部品1では、LED光源2は、キャリア13上に配置され、その結果、光出口面5は外側に露出される。光出口面5は、ここでは、本質的に成形ハウジング11の外面12と同一平面で終端する。このようにして、光電子部品1の滑らかな面は、LED光源2の領域となる。光電子部品1を有するプリント回路基板の製造工程の間、並びに、テスト及び実装中の一般的な取扱いの間、光電子部品1のこの本質的に滑らかな面は、利点をもたらす。したがって、製造中に使用される射出金型は、位置の規定又は視覚調整のために構造を必要としないため、特に構成物なしで、より簡単に設計することができる。さらに、装置のテスト及び実装のために表面実装可能な標準部品と吸引ユニットとを取り扱うために設計されたガイド及びグリッパが使用できる。
【0063】
光出口面5は、例示的な実施例では水平に形成されている。光出口面5のコーティング9によって範囲を定められた光出口面5の光出口窓10を介して、光出口面5全体よりも小さい光ビームで光を放出することができる。LED光源2のコーティングされた光出口面5が外側に露出されるため、例えば、光電子部品1のさらなる部分による、出射後の光ビームへの影響が防止される。したがって、光ビームが測定スケール101上に適切な方法で入射されることが確実になり得る。
【0064】
測定スケール101による変調の後、位置決定のためにキャリア13上の光センサ14によって検出されるようにするために、小さな寸法のはっきりと境界を定められた光ビームを光出口窓10によって提供することができるため、コード・トラック103を有する測定スケール101は、位置エンコーダ100内で使用することができ、コーディングを形成するその吸収フィールド及び反射フィールドは、37μmで、従来の測定スケールよりも測定スケール101の移動方向に著しく小さな寸法を有する。より小さな寸法を有するコード・トラック103のフィールドによって、正確でより高い分解能の位置決定が可能となり、それでもなお、光出口窓10を有するLED光源2のおかげで、さらに分解することができる。
【0065】
光ビームの起こり得る強度損失は、信号処理ユニット15を介して再調整することができる。図示された例示的な実施例では、信号処理ユニット15は、キャリア13の一部であり、信号処理ユニット15を備える半導体チップとして設計されている。信号処理ユニット15に加えて、キャリア13は、図2に示すように、共通の軸に沿ってLED光源2とともに配置された2つの光センサ14も備えている。
【0066】
本例示的な実施例では、キャリア13は、リード・フレーム16上に配置されている。
【0067】
例示的な実施例のLED光源2は、500nmの波長を有するLEDとして設計されている。この波長範囲で光を発するLED光源を使用することによって、光電子部品1の光センサ14の効率性を、より大きな波長の光を使用するのに比べて高めることができる。したがって、より短い波長を有する光は、光センサ14の半導体基板に深く浸透し、その結果、光収率の効率性を高めるために、十分な電荷キャリアが空間電化領域で生成され、分離され得る。さらに、より短い波長を有する光は、コード・トラック103の構造のより鮮明な画像、ひいては、位置エンコーダ100のより高い分解能をもたらす。
【0068】
700nm未満の波長、特に500nm未満の波長の光を発するLED光源2のさらなる利点は、使用される材料の機械的特性である。他のLED光源2と対照的に、これらは、より硬く形成されており、その結果、それらは、成形中に発生する圧力に、よりうまく耐えることができる。したがって、成形ハウジング11の内部のLED光源2の保護された配置は必要ではない。むしろ、LED光源2は、図示されていない射出金型と成形中に直接接触することができる。LED光源は、例えば、II-VI族又はIII-V族半導体と組み合わせた炭化物から成っていてもよい。
【0069】
LED光源2によって放出される光は、測定スケール101の方向に放出され、測定スケール101上で反射される。コード・トラック103の交互のフィールドによって、光は、測定スケール101のコーディングに従って変調される。変調光は、変調光を検出する光電子部品1にも配置された光センサ14の方向に反射されて戻る。
【0070】
光センサ14は、集積回路を備え、半導体チップとして設計されたキャリア13の一部として具現化される。光センサ14は、さらに、グループになるように結合された感光性部分面、例えば、複数の感光性フォトダイオードを有することができる。部分面は、測定方向、すなわち、光センサ14とLED光源2との間に延在する軸に対して横方向に配置することができ、コード・トラック103の複数のビットを検出することができるか、又は、連続して交互配置することができ、位相シフトを有する正弦信号及び余弦信号が生じるように互いに電気的に接続することができる。
【0071】
透光板、特にガラス板又はプラスチック板は、補助要素17として光センサ14の上方に配置される。この補助要素17は、一方では、光センサ14を保護するために、他方では、マスキング・アタッチメントとして使用することができる。マスキング・アタッチメントとして、補助要素17は、光センサ14の部分的領域を覆うことができ、その結果、変調光は、光センサ14の特定の領域上にのみ入射する。
【0072】
補助要素17を収容するために、成形ハウジング11は、図1a及び図2aの例示的な実施例では、単一の凹部19を有する。この凹部19に収容された補助要素17は、両方の光センサ14を覆う。
【0073】
図1b及び図2bによる例示的な実施例では、成形ハウジング11は、2つの凹部19を有し、凹部19のそれぞれの中に補助要素17を配置することができる。この例示的な実施例では、各補助要素17は、そこに割り当てられた別々の光センサ14を覆う。補助要素17は、LED光源2と同じ高さを有し、好ましくは、150μmから140μmまでの範囲であってもよい。成形ハウジング自体は1つ又は複数の凹部19を有するが、補助要素17によって、光電子部品1の平坦な外面12が生じる。
【0074】
光電子部品1は、SMD部品として設計することができ、SMD部品は、プリント回路基板又は同様のキャリア要素上にはんだ付け可能な接触部或いは電線接続部を介して、省スペースになるように配置することができる。この接触を可能にするために、成形ハウジング11は、LED光源2及び光センサ14に対向する接続面18を有する。接続面18を介して、光センサ・データを処理することができ、LED光源2を調整することができ、及び/又は他の信号処理工程を実行することができる信号処理ユニット15は、データ交換ネットワーク、例えば、測定スケール101を備えた部品の位置を調節するための調節システム内に組み込むことができる。
【0075】
成形ハウジング11の異なる数の凹部19に加えて、図1b及び図2bによる例示的な実施例では、2つの例示的な実施例は、光センサ14がLED光源2の両側に配置されているという点で異なる。LED光源2は、第1の例示的な実施例のように、光センサ14の片側に配置されず、むしろ、特に光センサ14間の中央に配置される。LED光源2は、この目的のために、2つの凹部19の間の成形ハウジング11のウェブ状の部分に配置される。この例示的な実施例に従って設計された光学式位置エンコーダ100は、絶対位置を示すアブソリュート・エンコーダを実装するのに特に適している。第1の光センサ14は、マスター・センサとして設計することができ、第2の光センサ14は、ノニウス・センサとして設計することができる。或いは、第1の光センサ14は、疑似ランダム・トラックを検出することができ、第2の光センサ14は、保管のため及び位置センサの分解能を高めるための規則的なパターンを有するインクリメンタル・トラックを検出することができる。このようにして、部品の絶対位置は、測定スケール101を介して検出することができる。
【0076】
図3は、LED光源2が成形ハウジング11内に配置されている光電子部品1の領域を示す。LED光源2の下方の発光方向と正反対に配置された光電子部品1の構成部品は見えないが、特に光センサ14、キャリア13、又はリード・フレーム16は、光電子部品1の実施例に応じて、その一部であってもよい。半導体結晶3が台形断面及び基部領域4を有するLED光源2の断面構造は、はっきりと見える。
【0077】
LED光源2の発光方向に沿ったLED光源2の光出口面5とは正反対のところに、LED光源2は接触面7を有する。接触面7は、一方では、LED光源2と電気的に接触するために使用され、その目的のために、少なくとも2つの電極8が接触面7上に配置される。図3に示されていない光電子部品1の別の部分との、特にキャリア13とのLED光源2の電気的及び/又は機械的接触は、接触面7及び電極8を介して確立される。LED光源2は、このようにフリップ・チップのように構成されており、その電気的接触は、接触面7を介して片側からしか行われない。
【0078】
光出口面5、及びLED光源2の周辺部分面6は、コーティング9を有する。このコーティング9は、物理的気相成長法によって塗布されたクロム-金合金である。コーティング9は、より分かりやすく示すために、図では幅広の線で示されているが、実際のコーティング9は、400nmの層厚しかない。
【0079】
光出口面5と接触面7との間にあり、光を発することもできるLED光源2の周辺部分面6は、コーティング9を用いて面全体にわたって覆われている。コーティング9は、ここでは、発光もする半導体結晶3の基部領域4上にも広がっている。或いは、1つ又は複数の周辺部分面6は、コーティングされていなくても、部分的にコーティングされていてもよい。部分的なコーティングの場合、コーティング9は、周辺部分面6の個々の領域上にのみ、例えば、基部領域6又は台形領域と関連する周辺部分面6のセクション上にのみ広がっている。少なくとも電極8の周辺の接触面7は、コーティング9を用いた周辺部分面6の1つ又は複数の全面コーティング及び部分面コーティングのいずれによっても、コーティングされていない状態のままである。したがって、他の状態だと電極8間で起こるかもしれない漏電を防ぐことができる。
【0080】
LED光源2の周辺では、成形ハウジング11は、LED光源2のコーティング9に直接隣接している。成形ハウジング11自体は、LED光源2の波長範囲内で、本質的に非透過性であるが、光不透過性及び/又は反射性コーティング9は、周辺部分面6及び光出口面5のコーティング領域を介して散乱光の出射を防ぐ。散乱光は、LED光源2から出射できないため、光センサ14に到達することができず、位置決定のための測定値も改変することができない。
【0081】
コーティング9の反射特性により、散乱光は、反射してLED光源2の内部に戻る。ここでは、内部反射により、光は、光出口面5のコーティング除去された光出口窓10を介して出射することができるまで、LED光源2の内部で反射され得る。反射された散乱光は、このようにして、LED光源2の内部で初期反射されていない光出口窓10を通って直接出射する光とともにLED光源2から出射し、その結果、LED光源2の光収率、すなわち、単位面積当たりに出射する光子は、コーティングされていないLED光源2と比べて増加する。
【0082】
光出口面5と周辺部分面6は、図示された例示的な実施例において、同じコーティング9を有するが、周辺部分面6がコーティングされていない、又は光出口面5とは異なるコーティング9を施されていることも十分にあり得る。したがって、1つの周辺部分面6又は複数の周辺部分面6のコーティング9の構成物及び/又は層厚は、光出口面5のコーティング9から逸脱していてもよい。光出口面5のコーティング9、及び/又は、周辺部分面6の1つ又は複数のコーティング9は、いわば、多層から成っていてもよい。
【0083】
光学式位置エンコーダ100全体の分解能を向上させるために、光収率の増加と、より小さな光ビームを提供する可能性とに加えて、コーティング除去された光出口窓10によって、LED光源2の半導体結晶3の製造公差、及び、成形前の射出金型内でのLED光源2の位置決めの公差を補償することができる。この補償がどのように実現され、コーティング除去された光出口窓10がどのように設けられるかは、図4から図6で示す方法ステップに基づいて以下に説明される。
【0084】
図4では、最初はコーティングされていないLED光源2が示されている。基部領域4を有する半導体結晶3が見られる。接触面7(図示せず)は、LED光源2の基部面のように、長方形であり、240μm×320μmの寸法がある。特に基部領域4の上方の半導体結晶3は、角錐台の形状であり、接触面7の正反対の側に光出口面5を有する。円周方向には、LED光源2は、光出口面5及び接触面7に対して本質的に横方向に延在する周辺部分面6を有する。
【0085】
この時点まではコーティングされていないLED光源2は、第1の方法ステップで、コーティング9を施される。このコーティング・ステップは、成形前、及び、LED光源をキャリア13上に設置或いは固定する前又は後のいずれにも行うことができ、周辺部分面6の少なくとも1つがコーティングされる場合も、特に有利である。これは、成形後、部分面6が、成形ハウジング11の成形コンパウンドによって隠され、この方法では、もはやコーティング9を施すことができないからである。これに対して、光出口面5のコーティング9は、成形後に塗布することができるか、又は、周辺部分面6のコーティング9のように、成形前、及び、LED光源をキャリア13上に設置或いは固定する前又は後に行うことができる。可能な限り最も均一なコーティング9を実現するために、コーティングされていない光出口面5上にスパッタリングされる。
【0086】
スパッタリング後に、光出口面5は、図5に示すように、コーティング9を用いてコーティングされる。図示の中間ステップでは、光出口面5は、コーティング9を用いて面全体にわたって覆われた。以下の方法ステップを簡略化及び加速するために、光出口面5のうち、後で光出口窓10の一部を形成する領域がコーティングされないままであることが、同様にあり得る。この目的のために、スパッタリング中にマスキング要素をスパッタリング・ビーム内に導入することができるか、又は、スパッタリング前にマスクを光出口面5に塗布することができる。いずれの場合も、マスキング要素又はマスクによって、光出口面5上の覆われた領域内にコーティング9の材料が堆積するのを防止できる。マスキング要素又はマスクは、実現される光出口窓10に形状が似ていてもよいが、それと比較して、寸法がより小さくてもよい。
【0087】
光出口面5のコーティング後、光出口面5のセクションは、光出口窓10を設けるためにコーティング除去される。このコーティング除去は、成形前であっても行うことができる。共通のキャリア13への光センサ14に対するLED光源2の相対的な位置における公差は、補償することができる。射出金型及び/又は光電子部品1の外側及び縁部に対するLED光源2の位置決めにおける公差を補償することもできるようにするために、いくつかの領域内のコーティング除去は、好ましくは、成形後、特に光電子部品1の製造の最後のステップとして行われる。この場合、既にコーティングされたLED光源2を成形ハウジング11内に埋め込むことも、成形後に最初にコーティング9を行うことも、両方ともできる。
【0088】
光出口面5のいくつかの領域でのコーティング除去のために、及び、光出口窓10を設けるために、コーティング9は、個々の領域で光出口面5から再び除去される。この除去は、機械加工、化学エッチング、又はレーザの衝突によって行うことができる。特に、光出口窓10の正確且つはっきりした境界は、特にレーザによって実現することができる。光出口窓10の形状及び位置は、コーティング除去において、センサ14の各要求、ひいては光電子部品の各要求に適合することができる。
【0089】
したがって、図6aに示す円形の光出口窓は、円形のコーティング除去によって実現することができる。図示の円形の光出口窓10は、同様に、線形加工、例えば、レーザによる走査によって実現することもできる。光出口窓の他の幾何学的形状、例えば、図6bに示す長方形の光出口窓、又は図6cに示す隙間状の光出口窓10も、コーティング除去によって、実現することができる。
【0090】
このようにして、隙間の短い辺の長さが20μmの細長い隙間を実現することができるため、コーティング除去のためのレーザの使用は、特に、図6cに示すような隙間状の光出口窓10を実現するのに有利であることが証明されている。
【0091】
図6に示す単純な幾何学形状に加えて、いくつかの領域で光出口面5をコーティング除去することによって、光出口窓10のさらなる幾何学的形状も実現することができ、特に、長方形、隙間、楕円、及び円形などの基本的な幾何学的形状から構成することができる。
【0092】
光出口面5のうち光出口窓10と関連する領域がコーティングされないように、マスキング要素又はマスクが光出口面5のコーティングに使用された場合、光出口窓10を設けるためのコーティング除去が特にこのコーティングされていない領域の周りのエッジ領域で行われ、その結果、光出口面5のコーティング領域とコーティング除去された領域との間の光出口窓10のはっきりとした境界が、エッチング又はレーザなどのコーティング除去法によって実現される。
【0093】
上述の方法及び光学式位置エンコーダ100を用いて、LED光源2の発光特性を向上させ、光学式位置エンコーダ100の実現可能な分解能を高めることができる。
【符号の説明】
【0094】
1 光電子部品
2 LED光源
3 半導体結晶
4 基部領域
5 光出口面
6 部分面
7 接触面
8 電極
9 コーティング
10 光出口窓
11 成形ハウジング
12 外面
13 キャリア
14 光センサ
15 信号処理ユニット
16 リード・フレーム
17 補助要素
18 接続面
19 凹部
100 光学式位置エンコーダ
101 測定スケール
102 コード・トラックの外側の領域
103 コード・トラックを有する領域
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
【国際調査報告】