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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-09
(54)【発明の名称】抗Notch2抗体及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20230802BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230802BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20230802BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230802BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230802BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230802BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230802BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20230802BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230802BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230802BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230802BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230802BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230802BHJP
   A61K 31/047 20060101ALI20230802BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20230802BHJP
   A61K 31/145 20060101ALI20230802BHJP
   A61K 38/46 20060101ALI20230802BHJP
   A61K 33/14 20060101ALI20230802BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20230802BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C07K16/46
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61P43/00 121
A61K45/00
A61P11/00
A61P43/00 105
A61P29/00
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K31/047
A61K31/198
A61K31/145
A61K38/46
A61K33/14
C12N15/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023502689
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(85)【翻訳文提出日】2023-03-09
(86)【国際出願番号】 US2021041935
(87)【国際公開番号】W WO2022016037
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】63/053,034
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チウ, セシリア プイ チー
(72)【発明者】
【氏名】ウー, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】エルソーリー, アデル マハムード
(72)【発明者】
【氏名】ラフカス, ダニエル ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】パヤンデ, ジャン メヘル-ディーン
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ, シャオ-ピン
(72)【発明者】
【氏名】ホー, ホアンドゥン ダン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4C085
4C086
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA25
4B065CA44
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA19
4C084BA44
4C084CA18
4C084CA53
4C084DC22
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZA612
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB211
4C084ZB212
4C084ZC192
4C084ZC751
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB36
4C085BB41
4C085BB43
4C085CC22
4C085CC23
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG06
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA02
4C086HA24
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA17
4C086NA05
4C086ZA59
4C086ZB11
4C086ZB21
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA05
4C206JA52
4C206JA59
4C206MA03
4C206MA05
4C206NA05
4C206ZA59
4C206ZB11
4C206ZB21
4C206ZC75
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、抗Notch2抗体及びその使用方法を提供する。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトNotch2に結合する単離された抗体であって、Jagged1媒介性シグナル伝達を阻害するが、DLL1媒介性シグナル伝達を阻害しない、抗体。
【請求項2】
ヒトNotch2に結合する単離された抗体であって、DLL1媒介性シグナル伝達よりも大きい程度でJagged1媒介性シグナル伝達を阻害する、抗体。
【請求項3】
100%のJagged1媒介性シグナル伝達の最大阻害、及び80%未満、又は70%未満、又は60%未満のDLL1媒介性シグナル伝達の最大阻害を達成することができる、請求項2に記載の単離された抗体。
【請求項4】
前記抗体がFab断片である、請求項2又は請求項3に記載の単離された抗体。
【請求項5】
2つの重鎖及び2つの軽鎖を含む二価IgG抗体としてフォーマットされた場合、Jagged1媒介性シグナル伝達を阻害するが、DLL1媒介性シグナル伝達を阻害しない、請求項4に記載の単離された抗体。
【請求項6】
Jagged1のNotch2への結合を阻害しない、請求項1~5のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項7】
DLL1のNotch2への結合を阻害しない、請求項1~6のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項8】
Notch2のEGF7リピート内のエピトープに結合する、請求項1~7のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項9】
Notch2のアミノ酸260~296内のエピトープに結合する、請求項1~8のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項10】
Notch2のアミノ酸260~296内の不連続エピトープに結合する、請求項1~8のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項11】
Notch2に結合する単離された抗体であって、Notch2のEGF7リピート内のエピトープに結合する、抗体。
【請求項12】
Notch2に結合する単離された抗体であって、Notch2のアミノ酸260~296内のエピトープに結合する、抗体。
【請求項13】
Notch2に結合する単離された抗体であって、Notch2のアミノ酸260~296内の不連続エピトープに結合する、抗体。
【請求項14】
ヒトNotch2のアルギニン268(R268)と接触する、請求項1~13のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項15】
リジン268(K268)を含むNotch2に結合しない、請求項14に記載の単離された抗体。
【請求項16】
配列番号74のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合し、配列番号77のアミノ酸配列を含むポリペプチドには結合しない、請求項1~15のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項17】
ヒトNotch2及びカニクイザルNotch2に結合する、請求項1~16のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項18】
マウスNotch2に結合しない、請求項1~17のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項19】
モルモットNotch2に結合する、請求項1~18のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項20】
ヒトNotch1又はヒトNotch3に結合しない、請求項1~19のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項21】
表面プラズモン共鳴によって決定される場合、20nM未満、15nM未満、10nM未満又は5nM未満の親和性(K)でヒトNotch2に結合する、請求項1~20のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項22】
20nM未満、15nM未満、10nM未満、又は5nM未満のIC50でJagged1媒介性シグナル伝達を阻害する、請求項1~21のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項23】
Jagged1媒介性シグナル伝達の阻害が、ハイコンテントスクリーニング(HCS)アッセイを使用して決定される、請求項22に記載の単離された抗体。
【請求項24】
a)(a)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号6又は7のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号8、9、10、11、又は12のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、並びに(d)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変ドメイン(VL);
b)(a)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、並びに(d)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変ドメイン(VL);
c)(a)配列番号44のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号45のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、並びに(d)配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変ドメイン(VL);
d)(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、並びに(d)配列番号49のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号50のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号51又は52のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変ドメイン(VL);又は
e)(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、並びに(d)配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)
を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項25】
ヒトNotch2に結合する単離された抗体であって、
a)(a)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号6又は7のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号8、9、10、11、又は12のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、並びに(d)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変ドメイン(VL);
b)(a)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、並びに(d)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変ドメイン(VL);
c)(a)配列番号44のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号45のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、並びに(d)配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変ドメイン(VL);
d)(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、並びに(d)配列番号49のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号50のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号51又は52のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変ドメイン(VL);又は
e)(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、並びに(d)配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)
を含む、抗体。
【請求項26】
a)配列番号14のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;
b)配列番号13のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;
c)(a)に記載のVH配列及び(b)に記載のVL配列;
d)配列番号17~24、26、28、30及び32から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;
e)配列番号15、16、25、27、29及び31から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;
f)(d)に記載のVH配列及び(e)に記載のVL配列;
g)配列番号40のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;
h)配列番号39のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;
i)(g)に記載のVH配列及び(h)に記載のVL配列;
j)配列番号102~106から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;
k)配列番号98~100から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;
l)(j)に記載のVH配列及び(k)に記載のVL配列;
m)配列番号48のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;
n)配列番号47のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;
o)(m)に記載のVH配列及び(n)に記載のVL配列;
p)配列番号58のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;
q)配列番号56又は57のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;
r)(p)に記載のVH配列及び(q)に記載のVL配列;
s)配列番号66のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;
t)配列番号65のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;又は
u)(s)に記載のVH配列及び(t)に記載のVL配列
を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項27】
a)配列番号14のアミノ酸配列を含むVH配列;
b)配列番号13のアミノ酸配列を含むVL配列;
c)(a)に記載のVH配列及び(b)に記載のVL配列;
d)配列番号17~24、26、28、30及び32から選択されるアミノ酸配列を含むVH配列;
e)配列番号15、16、25、27、29及び31から選択されるアミノ酸配列を含むVL配列;
f)(d)に記載のVH配列及び(e)に記載のVL配列;
g)配列番号40のアミノ酸配列を含むVH配列;
h)配列番号39のアミノ酸配列を含むVL配列;
i)(g)に記載のVH配列及び(h)に記載のVL配列;
j)配列番号101~106から選択されるアミノ酸配列を含むVH配列;
k)配列番号98~100から選択されるアミノ酸配列を含むVL配列;
l)(j)に記載のVH配列及び(k)に記載のVL配列;
m)配列番号48のアミノ酸配列を含むVH配列;
n)配列番号47のアミノ酸配列を含むVL配列;
o)(m)に記載のVH配列及び(n)に記載のVL配列;
p)配列番号58のアミノ酸配列を含むVH配列;
q)配列番号56又は57のアミノ酸配列を含むVL配列;
r)(p)に記載のVH配列及び(q)に記載のVL配列;
s)配列番号66のアミノ酸配列を含むVH配列;
t)配列番号65のアミノ酸配列を含むVL配列;又は
u)(s)に記載のVH配列及び(t)に記載のVL配列
を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項28】
ヒトNotch2に結合する単離された抗体であって、
a)配列番号14のアミノ酸配列を含むVH配列;
b)配列番号13のアミノ酸配列を含むVL配列;
c)(a)に記載のVH配列及び(b)に記載のVL配列;
d)配列番号17~24、26、28、30及び32から選択されるアミノ酸配列を含むVH配列;
e)配列番号15、16、25、27、29及び31から選択されるアミノ酸配列を含むVL配列;
f)(d)に記載のVH配列及び(e)に記載のVL配列;
g)配列番号40のアミノ酸配列を含むVH配列;
h)配列番号39のアミノ酸配列を含むVL配列;
i)(g)に記載のVH配列及び(h)に記載のVL配列;
j)配列番号101~106から選択されるアミノ酸配列を含むVH配列;
k)配列番号98~100から選択されるアミノ酸配列を含むVL配列;
l)(j)に記載のVH配列及び(k)に記載のVL配列;
m)配列番号48のアミノ酸配列を含むVH配列;
n)配列番号47のアミノ酸配列を含むVL配列;
o)(m)に記載のVH配列及び(n)に記載のVL配列;
p)配列番号58のアミノ酸配列を含むVH配列;
q)配列番号56又は57のアミノ酸配列を含むVL配列;
r)(p)に記載のVH配列及び(q)に記載のVL配列;
s)配列番号66のアミノ酸配列を含むVH配列;
t)配列番号65のアミノ酸配列を含むVL配列;又は
u)(s)に記載のVH配列及び(t)に記載のVL配列
を含む、抗体。
【請求項29】
a)配列番号17~24、26、28、30及び32から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;
b)配列番号15、16、25、27、29及び31から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;
c)(a)に記載のVH配列及び(b)に記載のVL配列;
d)配列番号102~106から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;
e)配列番号98~100から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;又は
f)(d)に記載のVH配列及び(e)に記載のVL配列
を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項30】
a)配列番号17~24、26、28、30、及び32から選択されるアミノ酸配列を含むVH配列;
b)配列番号15、16、25、27、29、及び31から選択されるアミノ酸配列を含むVL配列;
c)(a)に記載のVH配列及び(b)に記載のVL配列;
d)配列番号101~106から選択されるアミノ酸配列を含むVH配列;
e)配列番号98~100から選択されるアミノ酸配列を含むVL配列;又は
f)(d)に記載のVH配列及び(e)に記載のVL配列
を含む、請求項1~25及び29のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項31】
a)配列番号26のVH配列及び配列番号25のVL配列を含む;
b)配列番号28のVH配列及び配列番号27のVL配列を含む;
c)配列番号30のVH配列及び配列番号29のVL配列を含む;又は
d)配列番号32のVH配列及び配列番号31のVL配列を含む、
請求項1~25のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項32】
ヒトNotch2に結合する単離された抗体であって、
a)配列番号26のVH配列及び配列番号25のVL配列を含む;
b)配列番号28のVH配列及び配列番号27のVL配列を含む;
c)配列番号30のVH配列及び配列番号29のVL配列を含む;又は
d)配列番号32のVH配列及び配列番号31のVL配列を含む、抗体。
【請求項33】
モノクローナル抗体である、請求項1~32のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項34】
ヒト抗体、ヒト化抗体又はキメラ抗体である、請求項1~33のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項35】
Notch2に結合する抗体断片である、請求項1~34のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項36】
前記抗体断片が、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH及びF(ab’)から選択される、請求項35に記載の単離された抗体。
【請求項37】
前記抗体断片が、Fab、Fab’又はFab’-SHである、請求項36に記載の単離された抗体。
【請求項38】
完全長抗体である、請求項1~3及び6~37のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項39】
完全長IgG抗体である、請求項38に記載の単離された抗体。
【請求項40】
IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体又はIgG4抗体である、請求項39に記載の単離された抗体。
【請求項41】
ヒトNotch2に対する結合について請求項1~40のいずれか一項に記載される抗体と競合する単離された抗体。
【請求項42】
請求項1~41のいずれか一項に記載の抗体をコードする、単離された核酸。
【請求項43】
請求項42に記載の核酸を含む、宿主細胞。
【請求項44】
請求項1~41のいずれか一項に記載の抗体を発現する、宿主細胞。
【請求項45】
ヒトNotch2に結合する抗体を産生する方法であって、請求項43又は請求項44に記載の宿主細胞を、前記抗体の発現に適した条件下で培養することを含む、方法。
【請求項46】
前記抗体を前記宿主細胞から回収することをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
請求項45又は請求項46に記載の方法によって産生される、抗体。
【請求項48】
請求項1~41のいずれか一項に記載の抗体と、薬学的に許容され得る担体とを含む、医薬組成物。
【請求項49】
追加の治療剤をさらに含む、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項50】
前記追加の治療剤が、高張性生理食塩水、マンニトール、プルモザイム、N-アセチルシステイン、システアミン、及び気管支拡張薬から選択される、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項51】
医薬としての使用のための、請求項1~41のいずれか一項に記載の抗体又は請求項48~50のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項52】
粘膜閉塞性肺疾患の治療における使用のための、請求項1~41のいずれか一項に記載の抗体又は請求項48~50のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項53】
前記粘膜閉塞性肺疾患が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、原発性毛様体ジスキネジア、非嚢胞性線維症、気管支拡張症及び細気管支炎から選択される、請求項52に記載の使用のための抗体。
【請求項54】
粘膜閉塞性肺疾患を治療するための医薬の製造における、請求項1~41のいずれか一項に記載の抗体又は請求項48~50のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項55】
前記粘膜閉塞性肺疾患が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、原発性毛様体ジスキネジア、非嚢胞性線維症、気管支拡張症及び細気管支炎から選択される、請求項54に記載の使用。
【請求項56】
対象における分泌細胞の数を減少させるための医薬の製造における、請求項1~41のいずれか一項に記載の抗体又は請求項48~50のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項57】
前記医薬が分泌細胞を線毛細胞に変換する、請求項56に記載の使用。
【請求項58】
前記分泌細胞が前記対象の肺にある、請求項56又は請求項57に記載の使用。
【請求項59】
前記分泌細胞が杯細胞である、請求項56~58のいずれか一項に記載の使用。
【請求項60】
粘膜閉塞性肺疾患を有する対象を治療する方法であって、有効量の、請求項1~41のいずれか一項に記載の抗体又は請求項48~50のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項61】
前記粘膜閉塞性肺疾患が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、原発性毛様体ジスキネジア、非嚢胞性線維症、気管支拡張症及び細気管支炎から選択される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
対象における分泌細胞の数を減少させる方法であって、有効量の、請求項1~41のいずれか一項に記載の抗体又は請求項48~50のいずれか一項に記載の医薬組成物を個体に投与して、前記対象における分泌細胞を枯渇させることを含む、方法。
【請求項63】
分泌細胞を線毛細胞に変換することを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記分泌細胞が前記対象の肺にある、請求項62又は請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記分泌細胞が杯細胞である、請求項62~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
追加の治療剤を前記対象に投与することをさらに含む、請求項60~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記追加の治療剤が、高張性生理食塩水、マンニトール、プルモザイム、N-アセチルシステイン、システアミン、及び気管支拡張薬から選択される、請求項66に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年7月17日に出願された米国仮出願第63/053,034号の優先権の利益を主張し、その全体が任意の目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、抗Notch2抗体及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
Notch受容体ファミリーは、進化的に保存された膜貫通受容体のクラスであり、これは、ウニ及びヒトなどの多様な生物の発生に影響を及ぼすシグナルを伝達する。Notch受容体及びそれらのリガンドであるDelta及びSerrate(哺乳動物ではJaggedとして知られている)は、上皮成長因子(EGF)様反復を含有する大きな細胞外ドメインを有する膜貫通タンパク質である。Notchパラログの数は種によって異なる。例えば、哺乳動物には4つのNotch受容体(Notch1~Notch4)があり、線虫(Caenorhabditis elegans)には2つ(LIN-12及びGLP-1)があり、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)には1つ(Notch)がある。Notch受容体は、膜貫通ドメインのN末端側の部位S1でフューリン様プロテアーゼによって細胞表面への輸送中にタンパク質分解的にプロセシングされ、細胞外Notch(ECN)サブユニット及びNotch膜貫通サブユニット(NTM)を生成する。これらの2つのサブユニットは、非共有結合的に会合したままであり、成熟ヘテロ二量体細胞表面受容体を構成する。Notch受容体及びNotchシグナル伝達経路は、例えば、Aster et al.,Annu.Rev.Pathol.Mech.Dis.3:587-613,2008、及びBolos et al.,Endocrine Reviews 28:339-363,2007で概説されている。
【0004】
Notch2 ECNサブユニットは、36個のN末端EGF様リピートと、それに続く、S1部位に先行する3個のタンデムリピートLin 12/Notchリピート(LNR)モジュールとを含む。各LNRモジュールは、3つのジスルフィド結合と、カルシウムイオンを配位すると予測される保存された酸性及び極性残基の群とを含む。EGFリピート領域内には、活性化リガンドに対する結合部位が存在する。
【0005】
ECNサブユニットへのNotchリガンドの結合は、調節された膜内タンパク質分解によって起こる2つの連続したタンパク質分解切断を開始する。部位S2でのメタロプロテアーゼ(ADAM10又はADAM17)による第1の切断により、Notch膜貫通サブユニットは、原形質膜の内弁尖に近い部位S3での第2の切断を受けやすくなる。プレセニリン及びニカストリンを含有し、γ-セクレターゼ活性を促進する多タンパク質複合体によって触媒される部位S3切断は、Notch膜貫通サブユニットの細胞内部分を遊離させ、それを核に転位させ、標的遺伝子の転写を活性化する。(Notchのタンパク質分解的切断の総説については、例えば、Sisodia et al.,Nat.Rev.Neurosci.3:281-290,2002を参照のこと。)
【0006】
Jagged及びDelta様クラスの5つのNotchリガンドがヒトにおいて同定されている(Jagged1(Serrate1とも呼ばれる)、Jagged2(Serrate2とも呼ばれる)、Delta様1(DLL1とも呼ばれる)、Delta様3(DLL3とも呼ばれる)、及びDelta様4(DLL4とも呼ばれる))。リガンドの各々は、Notchの結合に必須の保存されたN末端Delta、Serrate、LAG-2(DSL)モチーフを有するシングルパス膜貫通タンパク質である。DSLモチーフに対してC末端の一連のEGF様モジュールは、膜貫通セグメントの前にある。Notch受容体とは異なり、リガンドは、C末端に70~215アミノ酸の短い細胞質尾部を有する。さらに、他のタイプのリガンドが報告されている(例えば、DNER、NB3及びF3/Contactin)。(Notchリガンド及びリガンド媒介性Notch活性化の総説については、例えば、D’Souza et al.,Oncogene 27:5148-5167,2008を参照のこと。)
【0007】
Notch経路は、ハエ及び脊椎動物における神経発生に影響を及ぼすものを含む多様な発達過程及び生理学的過程の間に機能する。一般に、Notchシグナル伝達は、側方阻害、系統決定、及び細胞群間の境界の確立に関与する(例えば、Bray,Molecular Cell Biology 7:678-679,2006を参照のこと)。Jagged-Notchシグナル伝達の阻害は、哺乳動物の気道において分泌球桿細胞の急速な喪失及び線毛細胞の増加を誘導することが示されている。Jaggedの遮断はまた、前臨床喘息モデルにおいて杯細胞の化生を逆転させることが示された。Lafkas et al.,Nature 528:127-131(2015)を参照のこと。
【0008】
粘膜閉塞性肺疾患は、咳、痰の産生、びまん性粘液閉塞、慢性炎症、気道壁拡張症、及び頻繁な細菌感染症を特徴とする。健康な個体では、肺の粘液層は、遠位気道から気管に向かって急速に輸送される。粘膜閉塞性疾患を有する個体では、イオン液体輸送若しくはムチン分泌、又はその両方における上皮欠陥が、高濃度の粘液及び粘液輸送の失敗、並びに気道表面への粘液接着をもたらす。これは、咳によって除去することができない細い気道における粘液蓄積をもたらし、気道閉塞、感染及び炎症をもたらす。
【0009】
粘膜閉塞性肺疾患の治療が依然として必要とされている。本明細書に記載される本発明は、この必要性を満たし、他の利益を提供する。
【発明の概要】
【0010】
概要
本発明は、抗Notch2抗体及びその使用方法を提供する。
【0011】
いくつかの実施形態では、ヒトNotch2に結合する単離された抗体であって、Jagged1媒介性シグナル伝達を阻害するが、DLL1媒介性シグナル伝達を阻害しない抗体が提供される。いくつかの実施形態では、ヒトNotch2に結合する単離された抗体であって、DLL1媒介性シグナル伝達よりも大きい程度でJagged1媒介性シグナル伝達を阻害する抗体が提供される。いくつかの実施形態では、抗体は、100%のJagged1媒介性シグナル伝達の最大阻害、及び80%未満、又は70%未満、又は60%未満のDLL1媒介性シグナル伝達の最大阻害を達成することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、Notch2へのJagged1の結合を阻害しない。いくつかの実施形態では、抗体は、Notch2へのDLL1の結合を阻害しない。いくつかの実施形態では、2つの重鎖及び2つの軽鎖を含む二価IgG抗体としてフォーマットされた場合、Jagged1媒介性シグナル伝達を阻害するが、DLL1媒介性シグナル伝達を阻害しない、単離された抗体が提供される。
【0012】
いくつかの実施形態では、抗体はNotch2のEGF7リピート内のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、Notch2のアミノ酸260~296内のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、Notch2のアミノ酸260~296内の不連続なエピトープに結合する。
【0013】
いくつかの実施形態では、Notch2に結合する単離された抗体が提供され、ここで、その抗体は、Notch2のEGF7リピート内のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、Notch2のアミノ酸260~296内のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、Notch2のアミノ酸260~296内の不連続なエピトープに結合する。
【0014】
いくつかの実施形態では、Notch2に結合する抗体は、ヒトNotch2のアルギニン268(R268)と接触する。いくつかの実施形態では、抗体は、リジン268(K268)を含むNotch2に結合しない。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号74のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合し、配列番号77のアミノ酸配列を含むポリペプチドには結合しない。いくつかの実施形態では、抗体はヒトNotch2及びカニクイザルNotch2に結合する。いくつかの実施形態では、抗体はマウスNotch2には結合しない。いくつかの実施形態では、抗体はモルモットNotch2に結合する。いくつかの実施形態では、抗体はヒトNotch1又はヒトNotch3には結合しない。
【0015】
いくつかの実施形態では、抗体は、表面プラズモン共鳴によって決定される場合、20nM未満、15nM未満、10nM未満又は5nM未満の親和性(K)でヒトNotch2に結合する。
【0016】
いくつかの実施形態では、抗体は、20nM未満、15nM未満、10nM未満、又は5nM未満のIC50でJagged1媒介性シグナル伝達を阻害する。いくつかの実施形態では、Jagged1媒介性シグナル伝達の阻害を、ハイコンテントスクリーニング(HCS)アッセイを使用して決定する。
【0017】
いくつかの実施形態では、Notch2に結合する抗体は、以下を含む:
a)(a)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号6又は7のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号8、9、10、11、又は12のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、並びに(d)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変ドメイン(VL);
b)(a)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、並びに(d)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変ドメイン(VL);
c)(a)配列番号44のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号45のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、並びに(d)配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変ドメイン(VL);
d)(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、並びに(d)配列番号49のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号50のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号51又は52のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変ドメイン(VL);又は
e)(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、並びに(d)配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)。
【0018】
いくつかの実施形態では、抗体は以下を含む:
a)配列番号14のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;
b)配列番号13のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;
c)(a)に記載のVH配列及び(b)に記載のVL配列;
d)配列番号17~24、26、28、30及び32から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;
e)配列番号15、16、25、27、29及び31から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;
f)(d)に記載のVH配列及び(e)に記載のVL配列;
g)配列番号40のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;
h)配列番号39のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;
i)(g)に記載のVH配列及び(h)に記載のVL配列;
j)配列番号102~106から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;
k)k)配列番号98~100から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;
l)(j)に記載のVH配列及び(k)に記載のVL配列;
m)配列番号48のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;
n)配列番号47のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;
o)(m)に記載のVH配列及び(n)に記載のVL配列;
p)配列番号58のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;
q)配列番号56又は57のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;
r)(p)に記載のVH配列及び(q)に記載のVL配列;
s)配列番号66のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;
t)配列番号65のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;又は
u)(s)に記載のVH配列及び(t)に記載のVL配列。
【0019】
いくつかの実施形態では、抗体は以下を含む:
a)配列番号14のアミノ酸配列を含むVH配列;
b)配列番号13のアミノ酸配列を含むVL配列;
c)(a)に記載のVH配列及び(b)に記載のVL配列;
d)配列番号17~24、26、28、30、及び32から選択されるアミノ酸配列を含むVH配列;
e)配列番号15、16、25、27、29及び31から選択されるアミノ酸配列を含むVL配列;
f)(d)に記載のVH配列及び(e)に記載のVL配列;
g)配列番号40のアミノ酸配列を含むVH配列;
h)配列番号39のアミノ酸配列を含むVL配列;
i)(g)に記載のVH配列及び(h)に記載のVL配列;
j)配列番号101~106から選択されるアミノ酸配列を含むVH配列;
k)配列番号98~100から選択されるアミノ酸配列を含むVL配列;
l)(j)に記載のVH配列及び(k)に記載のVL配列;
m)配列番号48のアミノ酸配列を含むVH配列;
n)配列番号47のアミノ酸配列を含むVL配列;
o)(m)に記載のVH配列及び(n)に記載のVL配列;
p)配列番号58のアミノ酸配列を含むVH配列;
q)配列番号56又は57のアミノ酸配列を含むVL配列;
r)(p)に記載のVH配列及び(q)に記載のVL配列;
s)配列番号66のアミノ酸配列を含むVH配列;
t)配列番号65のアミノ酸配列を含むVL配列;又は
u)(s)に記載のVH配列及び(t)に記載のVL配列。
【0020】
いくつかの実施形態では、抗体は以下を含む:
a)配列番号14のアミノ酸配列を含むVH配列;
b)配列番号13のアミノ酸配列を含むVL配列;
c)(a)に記載のVH配列及び(b)に記載のVL配列;
d)配列番号17~24、26、28、30、及び32から選択されるアミノ酸配列を含むVH配列;
e)配列番号15、16、25、27、29及び31から選択されるアミノ酸配列を含むVL配列;
f)(d)に記載のVH配列及び(e)に記載のVL配列;
g)配列番号40のアミノ酸配列を含むVH配列;
h)配列番号39のアミノ酸配列を含むVL配列;
i)(g)に記載のVH配列及び(h)に記載のVL配列;
j)配列番号101~106から選択されるアミノ酸配列を含むVH配列;
k)配列番号98~100から選択されるアミノ酸配列を含むVL配列;
l)(j)に記載のVH配列及び(k)に記載のVL配列;
m)配列番号48のアミノ酸配列を含むVH配列;
n)配列番号47のアミノ酸配列を含むVL配列;
o)(m)に記載のVH配列及び(n)に記載のVL配列;
p)配列番号58のアミノ酸配列を含むVH配列;
q)配列番号56又は57のアミノ酸配列を含むVL配列;
r)(p)に記載のVH配列及び(q)に記載のVL配列;
s)配列番号66のアミノ酸配列を含むVH配列;
t)配列番号65のアミノ酸配列を含むVL配列;又は
u)(s)に記載のVH配列及び(t)に記載のVL配列。
【0021】
いくつかの実施形態では、抗体は以下を含む:
a)配列番号17~24、26、28、30及び32から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;
b)配列番号15、16、25、27、29及び31から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;又は
c)(a)に記載のVH配列及び(b)に記載のVL配列。
【0022】
いくつかの実施形態では、抗体は以下を含む:
a)配列番号17~24、26、28、30、及び32から選択されるアミノ酸配列を含むVH配列;
b)配列番号15、16、25、27、29及び31から選択されるアミノ酸配列を含むVL配列;又は
c)(a)に記載のVH配列及び(b)に記載のVL配列。
【0023】
いくつかの実施形態では、抗体は:
a)配列番号26のVH配列及び配列番号25のVL配列を含む;
b)配列番号28のVH配列及び配列番号27のVL配列を含む;
c)配列番号30のVH配列及び配列番号29のVL配列を含む;又は
d)配列番号32のVH配列及び配列番号31のVL配列を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、Notch2に結合する抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト化抗体又はキメラ抗体である。いくつかの実施形態では、Notch2に結合する抗体は、Notch2に結合する抗体断片である。いくつかの実施形態では、抗体断片は、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH及びF(ab’)から選択される。いくつかの実施形態では、抗体断片は、Fab、Fab’、又はFab’-SHである。いくつかの実施形態では、抗体は完全長抗体である。
【0025】
いくつかの実施形態では、ヒトNotch2に対する結合について、本明細書中に提供される抗体と競合する抗体が提供される。
【0026】
いくつかの実施形態では、本明細書中に提供されるNotch2に結合する抗体をコードする単離された核酸が提供される。いくつかの実施形態では、核酸を含む宿主細胞が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される抗体を発現する宿主細胞が提供される。いくつかの実施形態では、ヒトNotch2に結合する抗体を産生する方法であって、抗体の発現に適した条件下で宿主細胞を培養することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、抗体を宿主細胞から回収することをさらに含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞によって産生される抗体が提供される。
【0027】
いくつかの実施形態では、本明細書中に提供されるNotch2に結合する抗体及び薬学的に許容され得るキャリアを含む医薬組成物が提供される。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、追加の治療剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、高張性生理食塩水、マンニトール、プルモザイム、N-アセチルシステイン、システアミン、及び気管支拡張薬から選択される。
【0028】
いくつかの実施形態では、Notch2に結合する抗体又は医薬組成物が、医薬として使用するために本明細書中に提供される。いくつかの実施形態では、Notch2に結合する抗体又は医薬組成物が、粘膜閉塞性肺疾患の治療における使用のために本明細書中に提供される。いくつかの実施形態では、粘膜閉塞性肺疾患は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、原発性毛様体ジスキネジア、非嚢胞性線維症、気管支拡張症及び細気管支炎から選択される。
【0029】
いくつかの実施形態では、粘膜閉塞性肺疾患を治療するための医薬の製造におけるNotch2に結合する抗体又は医薬組成物の使用が提供される。いくつかの実施形態では、粘膜閉塞性肺疾患は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、原発性毛様体ジスキネジア、非嚢胞性線維症、気管支拡張症及び細気管支炎から選択される。いくつかの実施形態では、対象における分泌細胞の数を減少させるための医薬の製造におけるNotch2に結合する抗体又は医薬組成物の使用が提供される。いくつかの実施形態では、医薬は分泌細胞を線毛細胞に変換する。いくつかの実施形態では、分泌細胞は対象の肺にある。いくつかの実施形態では、分泌細胞は杯細胞である。
【0030】
いくつかの実施形態では、粘膜閉塞性肺疾患を有する対象を治療する方法であって、有効量の、本明細書中に提供されるNotch2に結合する抗体又は本明細書中に提供される医薬組成物を対象に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、粘膜閉塞性肺疾患は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、原発性毛様体ジスキネジア、非嚢胞性線維症、気管支拡張症及び細気管支炎から選択される。いくつかの実施形態では、対象における分泌細胞の数を減少させる方法であって、対象における分泌細胞を枯渇させるために、有効量の、本明細書中に提供されるNotch2に結合する抗体又は本明細書中に提供される医薬組成物を対象に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、分泌細胞を線毛細胞に変換することを含む。いくつかの実施形態では、分泌細胞は対象の肺にある。いくつかの実施形態では、分泌細胞は杯細胞である。いくつかの実施形態において、方法は、追加の治療剤を対象に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、高張性生理食塩水、マンニトール、プルモザイム、N-アセチルシステイン、システアミン、及び気管支拡張薬から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1A~1Bは、ラット抗Notch2抗体1B2及びその特定のヒト化バージョンの軽鎖可変領域(1A)及び重鎖可変領域(1B)のアラインメントを示す。
【0032】
図2図2A~2Bは、ラット抗Notch2抗体3107の軽鎖可変領域(2A)及び重鎖可変領域(2B)を示す。
【0033】
図3図3A図3Bは、ウサギ抗Notch2抗体2338、2430、2430(軽鎖にC95dS置換を有する)、及び2621の軽鎖可変領域(3A)及び重鎖可変領域(3B)のアラインメントを示す。
【0034】
図4図4は、rat.1B2、rat.3107、rb.2338、rb.2430、rb.2621、及び抗Notch 2/3抗体OMP-59R5(タレクスツマブ、米国特許第8,226,943号を参照)のエピトープビニングを示す。
【0035】
図5図5A~5Fは、Notch2受容体を発現する細胞及びJagged1リガンド(5A、5C、5E)又はDLL1リガンド(5B、5D、5F)を発現する細胞を含む共培養アッセイにおける、Jagged1媒介性Notch2活性(5A、5C、5E)の遮断及びDLL1媒介性Notch2活性(5B、5D、5F)の保存を示す。図5A及び図5Bは、抗Notch2抗体キメラ1B2及びヒト化バージョンhu1B2.v1.DFS、hu1B2.v101、hu1B2.v102、hu1B2.v103、及びhu1B2.v104についての抗体濃度の増加に伴う、Jagged1媒介性シグナル伝達及びDLL1媒介性シグナル伝達の活性パーセントの変化をそれぞれ示す。図5C及び図5Dは、ラット抗Notch2抗体3107についての抗体濃度の増加に伴う、Jagged1媒介性シグナル伝達及びDLL1媒介性シグナル伝達の活性パーセントの変化をそれぞれ示す。図5E及び図5Fは、ウサギ抗Notch2抗体2338、2621、及び2430についての抗体濃度の増加に伴う、Jagged1媒介性シグナル伝達及びDLL1媒介性シグナル伝達の活性パーセントの変化をそれぞれ示す。
【0036】
図6図6A~6Dは、抗gDコントロール抗体又はラット/ヒトキメラ抗Notch2抗体1B2と接触させた初代ヒト気管支上皮細胞の気液界面(ALI)培養物における(6A)Muc5b、(6B)Muc5ac及び(6C)Scgb1a1のmRNA発現;及び(6D)抗gDコントロール抗体処理ALI培養物(左)及び抗Notch2抗体1B2処理ALI培養物(右)の免疫蛍光分析を示す。切片を、杯細胞については抗Muc5b(緑色)、線毛細胞については抗アセチル化aチューブリン(赤色)、及び核染色についてはDAPI(青色)で染色した。抗Notch2抗体1B2処理ALI培養物において、杯細胞の実質的な減少が観察された。
【0037】
図7図7A~7Bは、ラット抗Notch2抗体3107及びその特定のヒト化バージョンの軽鎖可変領域(7A)及び重鎖可変領域(7B)のアラインメントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
発明の詳細な説明
I.定義
本明細書の目的において「受容体ヒトフレームワーク」とは、以下に定義するように、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークに由来する軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワーク又は重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワーク「由来の」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含んでいてもよく、又はアミノ酸配列の変更を含んでいてもよい。いくつかの態様では、アミノ酸変更の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、又は2以下である。いくつかの態様では、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列と配列が同一である。
【0039】
「親和性」は、分子(例えば、抗体)とその結合パートナー(例えば、抗原)との単一の結合部位の間の非共有性相互作用の合計の強度を指す。別途示されない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子Xの、そのパートナーYに対する親和性は一般に、解離定数(K)によって表し得る。親和性は、本明細書に記載するものを含め、当技術分野で一般的な方法によって測定することができる。結合親和性を測定するための具体的な例証的及び例示的な方法が以下に説明される。
【0040】
「親和性成熟」抗体とは、変化を有しない親抗体と比較して、1つ又は複数の相補性決定領域(CDR)において1つ又は複数の変化を有し、かかる改変によって抗原に対する抗体の親和性を改善する、抗体を指す。
【0041】
「抗Notch2抗体」及び「Notch2に結合する抗体」という用語は、抗体がNotch2の標的化において診断及び/又は治療剤として有用であるように十分な親和性を有して、Notch2に結合することができる抗体を指す。いくつかの態様では、無関係な非Notch2タンパク質に対する抗Notch2抗体の結合度は、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定されるように、Notch2に対する抗体の結合の約10%未満である。特定の態様では、Notch2に結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM又は≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば10-9M~10-13M)の解離定数(K)を有する。抗体が1μM以下のKを有する場合、抗体はNotch2に「特異的に結合」すると言われる。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、異なる種由来のNotch2の中で保存されているNotch2のエピトープに結合する。
【0042】
「抗体」という用語は、本明細書では最も広い意味で使用され、限定されるものではないが、それらが所望の抗原結合活性を呈する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を含めた、様々な抗体構造を包含する。
【0043】
「抗体断片」は、インタクト抗体が結合する抗原を結合するインタクト抗体の一部を含むインタクト抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’);ダイアボディ;線状抗体;一本鎖抗体分子(例えばscFv及びscFab);単一ドメイン抗体(dAb);並びに、抗体断片から形成した多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。特定の抗体断片の総説としては、Holliger and Hudson、Nature Biotechnology 23:1126-1136(2005)を参照されたい。
【0044】
「エピトープ」という用語は、抗Notch2抗体が結合する相手である、タンパク質性又は非タンパク質性のいずれかの、抗原上の部位を示す。エピトープは、連続したアミノ酸ストレッチ部位から形成される場合(線状エピトープ)、又は非連続のアミノ酸を含む場合(すなわち、不連続なエピトープ又は立体構造エピトープ)の両方があり、例えば、抗原の折り畳みに起因して(すなわち、タンパク質性抗原の三次折り畳みによって)空間的に近接して形成される。線状エピトープは、タンパク質性抗原が変性剤にさらされた後もなお、抗Notch2抗体と結合しているのが一般的であるが、一方、立体構造エピトープは、変性剤で処理されると破壊されるのが一般的である。エピトープは、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、又は8~10個のアミノ酸を、独特な空間的構造で含む。
【0045】
特定のエピトープに結合する抗体(すなわち、同じエピトープに結合する抗体)のスクリーニングは、例えば、限定されないが、アラニン・スキャニング、ペプチドブロット(Meth.Mol.Biol.248(2004)443-463)、ペプチド切断分析、エピトープ切除、エピトープ抽出、抗原の化学的修飾(Prot.Sci.9(2000)487-496を参照)、及びクロスブロッキング(「Antibodies」,Harlow and Lane,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harb.,NYを参照)などの、当該技術分野で慣用の方法を用いて行われ得る。
【0046】
抗原構造系抗体プロファイリング(Antigen Structure-based Antibody Profiling:ASAP)は、変性促進型プロファイリング(Modification-Assisted Profiling:MAP)としても知られ、Notch2に特異的に結合する多数のモノクローナル抗体を、化学的又は酵素的に修飾された抗原表面に対する多数の抗体のそれぞれの結合プロファイルに基づいて区分けすることができる(例えばUS 2004/0101920参照)。区分けされた各抗体は同じエピトープに結合するが、このエピトープは、他の区分けで表されるエピトープとは明確に異なることがあるか、又は部分的に重なっている独特なエピトープであり得る。
【0047】
また、競合結合は、抗体が参照抗体と同じNotch2のエピトープに結合するか、又は参照抗Notch2抗体との結合について競合するかを容易に決定するために使用することができる。例えば、参照抗Notch2抗体と「同じエピトープに結合する抗体」とは、競合アッセイにおいて参照抗Notch2抗体の抗原への結合を50%以上阻害する抗体を指し、逆に参照抗体は、競合アッセイにおいて抗体の抗原への結合を50%以上阻害する。また例えば、抗体が参照抗Notch2抗体と同じエピトープに結合するかどうかを決定するために、参照抗体を飽和状態でNotch2に結合させることができる。過剰な参照抗Notch2抗体を除去した後、当該抗Notch2抗体のNotch2への結合能力を評価する。参照抗Notch2抗体の飽和結合後に、抗Notch2抗体がNotch2に結合できる場合、この抗Notch2抗体は、参照抗Notch2抗体とは異なるエピトープに結合すると結論づけることができる。しかし、参照抗Notch2抗体の飽和結合後に、抗Notch2抗体がNotch2に結合できない場合、この抗Notch2抗体は、参照抗Notch2抗体が結合するエピトープと同じエピトープに結合している可能性がある。問題の抗体が同じエピトープに結合しているのか、又は立体的な理由で結合が妨害されているだけなのかを確認するためには、慣用的な実験を用いることができる(例えばペプチド突然変異や、ELISA、RIA、表面プラズモン共鳴、フローサイトメトリー、又は当技術分野で利用可能なその他の定量的又は定性的な抗体結合アッセイを用いた結合分析など)。このアッセイは、2つのセットアップ、すなわち、両方の抗体が飽和抗体である状態で実施されるべきである。両方のセットアップにおいて、第1の(飽和)抗体のみがNotch2に結合可能な場合、この抗Notch2抗体と参照抗Notch2抗体は、Notch2への結合について競合していると結論づけることができる。
【0048】
いくつかの態様では、競合結合アッセイで測定して、一方の抗体の1、5、10、20又は100倍過剰が他方の結合を少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、さらには99%以上阻害する場合、2つの抗体は同じ又は重複するエピトープに結合するとみなされる。(例えば、Junghans et al.,Cancer Res.50(1990)1495-1502を参照)。
【0049】
いくつかの態様では、一方の抗体の結合を低下又は排除する抗原中の実質的に全てのアミノ酸突然変異が他方の抗体の結合も低下又は排除する場合、2つの抗体は同じエピトープに結合するとみなされる。2つの抗体は、一方の抗体の結合を減少又は排除するアミノ酸突然変異のサブセットのみが、他方の抗体の結合を減少又は排除する場合、「重複エピトープ」を有するとみなされる。
【0050】
「キメラ」抗体という用語は、重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の供給源又は種に由来し、重鎖及び/又は軽鎖の残りの部分が異なる供給源又は種に由来する抗体を指す。
【0051】
抗体の「クラス」とは、その重鎖によって保有される定常ドメイン又は定常領域の型を指す。抗体には5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、これらのうちのいくつかは、下位クラス(アイソタイプ)、例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、及びIgAに更に分けることができる。特定の態様では、抗体はIgGアイソタイプである。特定の態様では、抗体は、Fc領域エフェクター機能を低下させるためのP329G、L234A及びL235A突然変異を有するIgGアイソタイプのものである。他の態様では、抗体はIgGアイソタイプのものである。特定の態様では、抗体は、IgG抗体の安定性を改善するためにヒンジ領域にS228P突然変異を有するIgGアイソタイプのものである。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2種類の1つに割り当てられ得る。
【0052】
「エフェクター機能」とは、抗体のFc領域に起因する生物学的活性のことで、抗体のアイソタイプによって異なる。抗体エフェクター機能の例としては、以下のものが挙げられる:C1q結合及び補体依存性細胞傷害(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御;及びB細胞活性化。
【0053】
薬剤、例えば、医薬組成物の「有効量」は、所望の治療結果又は予防結果を達成するために必要な投薬量及び所要期間で有効な量を指す。
【0054】
用語「Fc領域」とは、本明細書では定常領域の少なくとも一部分を含有する免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。この用語は、天然配列Fc領域とバリアントFc領域とを含む。いくつかの態様では、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から、又はPro230から、重鎖のカルボキシル末端までに及ぶ。しかしながら、宿主細胞によって産生される抗体は、重鎖のC末端から1つ又は複数、特に1つ又は2つのアミノ酸の翻訳後開裂を受けてもよい。したがって、完全長重鎖をコードする特定の核酸分子の発現によって、宿主細胞によって産生する抗体は、完全長重鎖を含んでいてもよく、又は完全長重鎖の開裂したバリアントを含んでいてもよい。これは、重鎖の最終的な2つのC末端アミノ酸がグリシン(G446)及びリジン(K447、EUインデックスによるナンバリング)である場合であってもよい。したがって、Fc領域のC末端リジン(Lys447)、又はC末端グリシン(Gly446)及びリジン(Lys447)が存在してもよい、又は存在していなくてもよい。いくつかの態様では、本発明の抗体に含まれる、本明細書で明記したFc領域を含む重鎖は、さらなるC末端のグリシン-リシンジペプチド(G446及びK447、EUインデックスに従ったナンバリング)を含む。いくつかの態様では、本発明に従った抗体に含まれる、本明細書で明記したFc領域を含む重鎖は、更なるC末端グリシン残基(G446、EUインデックスに従ったナンバリング)を含む。本明細書で特に明記されない限り、Fc領域又は定常領域におけるアミノ酸残基のナンバリングは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載されるような、EUナンバリングシステム(EUインデックスとも呼ばれる)に従う。
【0055】
「フレームワーク」又は「FR」は、相補性決定領域(CDR)以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般に、4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3、及びFR4からなる。したがって、CDR及びFR配列は、一般的に、VH(又はVL)中において以下の配列で現れる:FR1-CDR-H1(CDR-L1)-FR2-CDR-H2(CDR-L2)-FR3-CDR-H3(CDR-L3)-FR4。
【0056】
用語「全長抗体」、「インタクト抗体」及び「全抗体」とは、本明細書では相互に交換可能に使用され、天然抗体構造と実質的に類似の構造を有するか、又は本明細書に定義されるFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指す。
【0057】
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、及び「宿主細胞培養」という用語は、互換可能に使用され、外因性核酸が導入された細胞を指し、そのような細胞の子孫も含まれる。宿主細胞には、「形質転換体」及び「形質転換細胞」が含まれ、これらは、継代数によらず、一次形質転換細胞及びそれに由来する子孫を含む。子孫は、親細胞と完全に同一の核酸含量でない場合があるが、突然変異を含んでもよい。本明細書では、最初に形質転換された細胞においてスクリーニング又は選択されたものと同じ機能又は生物学的活性を有する変異体の子孫が、含まれる。
【0058】
「ヒト抗体」とは、ヒト若しくはヒト細胞により産生された抗体、又はヒト抗体レパートリーなどのヒト抗体をコードする配列を利用した非ヒト由来の抗体に対応するアミノ酸配列を有する抗体である。このヒト抗体の定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を明確に除外する。
【0059】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選択において、最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからである。一般に、配列のサブグループは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH Publication 91-3242,Bethesda MD(1991),vols.1-3におけるようなサブグループである。いくつかの態様では、VLの場合、サブグループは、上述のKabat et al.に記載のように、サブグループカッパI又はIIである。いくつかの態様では、VHの場合、サブグループは、上述のKabat et al.に記載のように、サブグループI又はIIIである。
【0060】
「ヒト化」抗体とは、非ヒトCDR由来のアミノ酸残基及びヒトFR由来のアミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。特定の態様では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの全てを実質的に含み、そのドメイン中ではCDRの全て又は実質的に全てが非ヒト抗体のCDRに対応し、FRの全て又は実質的に全てがヒト抗体のFRに対応することになる。ヒト化抗体は、任意に、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部を含んでいてもよい。ある抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化形態」は、ヒト化を受けた抗体を指す。
【0061】
本明細書で使用する場合、用語「超可変領域」又は「HVR」とは、配列内で超可変可能であり、抗原結合特異性を決定する、抗体可変ドメインの領域、例えば「相補性決定領域」(CDR)のそれぞれを意味する。
【0062】
一般に、抗体は6つのCDRを含み、3つがVHにあり(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)、3つがVLにある(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3)。本明細書における例示的なCDRとしては、以下が挙げられる:
(a)アミノ酸残基26~32(L1)、50~52(L2)、91~96(L3)、26~32(H1)、53~55(H2)、及び96~101(H3)で生じる超可変ループ(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987))、
(b)アミノ酸残基24-34(L1)、50-56(L2)、89-97(L3)、31-35b(H1)、50-65(H2)及び95-102(H3)に存在するCDR(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991));
(c)アミノ酸残基27c~36(L1)、46~55(L2)、89~96(L3)、30~35b(H1)、47~58(H2)、及び93~101(H3)で生じる抗原接触(MacCallum et al.J.Mol.Biol.262:732-745(1996));並びに、
(d)Chothia及びKabatの組み合わせによって定義されるCDR:VLドメインの24~34位(L1)、50~56位(L2)及び89~97位(L3)、並びにVHドメインの26~35位(H1)、50~65位(H2)及び95~102位(H3)。
【0063】
特に指示がない限り、CDRは、上記Kabat et al.に従い決定される。当業者は、CDRの表記は、上記Chothia、上記McCallum、又は、任意の他の、科学的に認可された命名システムに従い決定することができることを理解するであろう。いくつかの態様では、CDR残基は、図1~3及び/又は本明細書の特定の配列の表で特定されたものを含む。
【0064】
「免疫コンジュゲート」とは、細胞傷害性剤を含むがそれに限定されない、1つ又は複数の異種分子にコンジュゲートされた抗体である。
【0065】
「個体」又は「対象」は、哺乳動物である。哺乳動物には、家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト、及びサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)が含まれるが、これらに限定されない。特定の態様では、個体又は対象は、ヒトである。
【0066】
「単離された」抗体とは、その自然環境の構成要素から分離されているものである。いくつかの態様では、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフィー(例えば、イオン交換又は逆相HPLC)法によって決定される場合、純度が95%又は99%より高くなるまで精製される。抗体純度の評価のための方法の総説については、例えば、Flatman et al.,J.Chromatogr.B 848:79-87(2007)を参照されたい。
【0067】
「核酸分子」又は「ポリヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドのポリマーを含む任意の化合物及び/又は物質を含む。各ヌクレオチドは、塩基で構成され、具体的には、プリン塩基又はピリミジン塩基(すなわち、シトシン(C)、グアニン(G)、アデニン(A)、チミン(T)又はウラシル(U))、糖(すなわち、デオキシリボース又はリボース)、及びリン酸基で構成される。多くの場合、核酸分子は塩基配列によって記載され、それにより、塩基は、核酸分子の一次構造(線状構造)を表す。塩基の配列は、典型的には、5’から3’へと表される。本明細書において、核酸分子という用語は、デオキシリボ核酸(DNA)、例えば、相補性DNA(cDNA)及びゲノムDNA、リボ核酸(RNA)、特に、メッセンジャーRNA(mRNA)、DNA又はRNAの合成形態、及びこれらの分子の2つ以上を含む混合ポリマーを包含する。核酸分子は、線状又は環状であってもよい。これに加え、核酸分子という用語は、センス鎖及びアンチセンス鎖、並びに一本鎖形態及び二本鎖形態の両方を含む。さらに、本明細書で記載される核酸分子は、天然に存在するヌクレオチド又は天然に存在しないヌクレオチドを含むことができる。誘導体化された糖又はホスフェート骨格結合又は化学修飾された残基を含む、天然に存在しないヌクレオチドの例として、修飾されたヌクレオチド塩基が挙げられる。核酸分子は、例えば、宿主又は患者において、インビトロ及び/又はインビボで本発明の抗体の直接的な発現のためのベクターとして適したDNA分子及びRNA分子も包含する。そのようなDNA(例えば、cDNA)又はRNA(例えば、mRNA)ベクターは、改変されていなくてもよく、又は改変されていてもよい。例えば、mRNAは、インビボで抗体を産生するために対象にmRNAを注入することができるように、RNAベクターの安定性及び/又はコードされた分子の発現を高めるように化学改変されてもよい(例えば、Stadlerら,Nature Medicine 2017、2017年6月12日にオンラインで公開、doi:10.1038/nm.4356又は欧州特許第2101823B1号明細書を参照)。
【0068】
「単離された」核酸とは、自然環境の構成要素から切り離されている核酸分子のことである。単離された核酸には、通常核酸分子を含む細胞内に含まれる核酸分子が含まれるが、核酸分子は、染色体外、又は天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0069】
「抗Notch2抗体をコードする単離された核酸」とは、抗Notch2抗体の重鎖及び軽鎖(又はそれらの断片)をコードする1つ以上の核酸分子を指し、単一のベクター又は別個のベクター内のそのような核酸分子(複数可)を含み、そのような核酸分子(複数可)は、宿主細胞内の1つ以上の場所に存在する。
【0070】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体が同一であり、及び/又は同一のエピトープと結合しているが、例えば、自然に生じる突然変異を含むか、又はモノクローナル抗体調製物の産生中に生じる可能性のあるバリアント抗体を除いて、そのようなバリアントは、一般的に微量で存在する。典型的には異なる決定基(エピトープ)に対して指向する異なる抗体を含むポリクローナル抗体製剤とは対照的に、モノクローナル抗体製剤のそれぞれのモノクローナル抗体は、1つの抗原上の単一の決定基に対して指向する。したがって、改変詞「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集合から得られる抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするように解釈すべきではない。例えば、本発明に従うモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含むトランスジェニック動物を利用する方法を含むがこれらに限定されない様々な技術によって作製することができ、そのような方法及び本明細書に記載されているモノクローナル抗体を作製するための他の例示的な方法を含むがこれらに限定されない。
【0071】
「粘膜閉塞性肺疾患」という用語は、びまん性粘液閉塞、慢性炎症、気道壁拡張症、及び頻繁な細菌感染症を特徴とする疾患群を指す。粘膜閉塞性肺疾患では、高濃度の粘液は遠位気道から気管に向かって効果的に輸送することができず、粘液が気道表面に付着し、気流閉塞、感染、及び炎症を引き起こす。非限定的な例示的な粘膜閉塞性肺疾患としては、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、原発性毛様体ジスキネジア、非嚢胞性線維症、気管支拡張症及び細気管支炎が挙げられる。
【0072】
「ネイキッド抗体」とは、異種部位(例えば、細胞毒性部位)又は放射性標識に結合していない抗体を指す。ネイキッド抗体は、薬学的組成物中に存在していてもよい。
【0073】
「天然抗体」とは、様々な構造を持つ天然に存在する免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然IgG抗体は、2本の同一の軽鎖と2本の同一の重鎖がジスルフィド結合したものを含む、約150,000ダルトンのヘテロテトラメリック糖タンパク質である。N末端からC末端まで、各重鎖は、可変重ドメイン又は重鎖可変領域とも呼ばれる可変ドメイン(VH)を有し、それに続いて3つの定常重ドメイン(CH1、CH2、及びCH3)を有する。同様に、N末端からC末端まで、各軽鎖は、可変軽ドメイン又は軽鎖可変領域とも呼ばれる可変ドメイン(VL)を有し、それに続いて定常軽(CL)ドメインを有する。
【0074】
本明細書で使用される用語「Notch2」は、特に断らない限り、霊長類(例えばヒト)並びに齧歯類(例えばマウス及びラット)等の哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源の任意の天然Notch2を指す。この用語は、「完全長」の未処理のNotch2、及び細胞内での処理によりもたらされる任意の形態のNotch2も包含する。この用語はまた、Notch2の自然発生的な天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントをも包含する。例示的なヒトNotch2のアミノ酸配列を、UniProtKB/Swiss-Prot:Q04721.3及び本明細書の配列番号70に示す。例示的なカニクイザルNotch2のアミノ酸配列をUniProt:A0A2K5U7N0_MACFAに示す。別の例示的なカニクイザルNotch2を本明細書の配列番号71に示す。例示的なモルモットNotch2のアミノ酸配列を、UniProt:H0VU21及び本明細書中の配列番号72に示す。例示的なモルモットNotch2のアミノ酸配列を、UniProt:O35516及び本明細書中の配列番号73に示す。例示的なラットNotch2のアミノ酸を、本明細書中のUniProt:Q9QW30及び配列番号81に示す。
【0075】
「パッケージ添付文書」という用語は、そのような治療製品の適応症、使用法、投薬量、投与、併用療法、禁忌症、及び/又はその使用に関する警告についての情報を含有する、治療製品の商業用パッケージに通例含まれる指示書を指すために使用される。
【0076】
参照ポリペプチド配列に対する「アミノ酸配列の同一性率(%)」は、アラインメントの目的で、配列をアラインメントし、最大の配列同一性率を達成するために、必要ならばギャップを導入した後、配列同一性の一部として任意の保存的置換を考慮せずに、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である、候補配列におけるアミノ酸残基の割合であると定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアラインメントは、当該技術分野の技術の範囲内にある種々の様式で、例えば、公的に入手可能なコンピュータソフトウェア、例えば、BLAST、BLAST-2、Clustal W、Megalign(DNASTAR)ソフトウェア又はFASTAプログラムパッケージを用いて達成することができる。当業者であれば、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列のアラインメントのための適切なパラメータを決定することができる。あるいは、同一性率の値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して生成することができる。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.によって作成されており、ソースコードは、U.S.Copyright Office(Washington D.C.,20559)のユーザドキュメンテーションにファイルされており、U.S.Copyright Registration No.TXU510087の下に登録されており、かつ、国際公開第2001/007611号に記載されている。
【0077】
特に断りのない限り、本明細書での目的のために、アミノ酸配列同一性率の値は、FASTAパッケージバージョン36.3.8cのggsearchプログラムを使用するか、又はその後にBLOSUM50比較マトリクスを使用して生成される。FASTAプログラムパッケージは、W.R.Pearson and D.J.Lipman(1988),「Improved Tools for Biological Sequence Analysis」PNAS 85:2444-2448;W.R.Pearson(1996)「Effective protein sequence comparison」Meth.Enzymol.266:227-258;及び、Pearson et.al.(1997)Genomics 46:24-36により記載されており、www.fasta.bioch.virginia.edu/fasta_www2/fasta_down.shtml or www.ebi.ac.uk/Tools/sss/fastaから公に利用可能である。あるいは、ggsearch(グローバルタンパク質:タンパク質)プログラム及びデフォルトオプション(BLOSUM50;open:-10;ext:-2;Ktup=2)を使用して、fasta.bioch.virginia.edu/fasta_www2/index.cgiでアクセス可能な公共サーバを使用して配列を比較し、ローカルではなくグローバルなアライメントを確実に実行することができる。アミノ酸同一性率は、アウトプットアラインメントヘッダーで与えられる。
【0078】
「医薬組成物」又は「医薬製剤」という用語は、調製物に含まれる有効成分の生物活性が有効になるような形態をしており、かつ、医薬組成物が投与されるであろう対象に対して容認できないほど毒性のある追加の成分を含まない、調製物を指す。
【0079】
「薬学的に許容され得る担体」は、有効成分以外の医薬組成物又は製剤中の成分であって、対象にとって非毒性である成分を指す。薬学的に許容され得る担体には、緩衝剤、賦形剤、安定剤、又は防腐剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0080】
本明細書で使用される場合、「治療(treatment)」(及びその文法的な変化形、例えば、「治療(treat)する」又は「治療すること(treating)」)は、治療される個体において疾患の本来の経過を変える試行における臨床的介入を指し、予防のために、又は臨床病理の経過の間に行うことができる。治療の所望の効果としては、疾患の発症又は再発を予防すること、症候の軽減、疾患の任意の直接的又は間接的な病理学的結果の減弱、転移を予防すること、疾患進行率を低下させること、病状の寛解又は緩和、及び回復又は改良された予後が挙げられる。いくつかの態様では、本発明の抗体は、疾患の発症を遅延させるために、又は疾患の進行を遅らせるために使用される。
【0081】
「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、抗原に対する抗体の結合に関与する抗体重鎖又は抗体軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれVH及びVL)は、一般的に、類似の構造を有し、それぞれのドメインは、4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と、3つの相補性決定領域(CDR)とを含む(例えば、Kindt et al.Kuby Immunology,6th ed.,W.H.Freeman and Co.,page 91(2007)を参照。)単一のVH又はVLドメインは、抗原結合特異性を付与するために充分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体は、抗原に結合する抗体のVH又はVLドメインを使用し、それぞれ、相補的VL又はVHドメインのライブラリをスクリーニングして、単離してもよい。例えば、Portolano et al.,J.Immunol.150:880-887(1993);Clarkson et al.,Nature 352:624-628(1991)を参照のこと。
【0082】
「ベクター」という用語は、本明細書では、連結している別の核酸を増殖可能な核酸分子を指す。この用語には、自己複製する核酸構造としてのベクターだけでなく、ベクターが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターも含まれる。特定のベクターは、作動可能に連結された核酸の発現を指示することができる。そのようなベクターを本明細書では、「発現ベクター」と呼ぶ。
【0083】
II.組成物及び方法
いくつかの態様では、本発明は、Notch2に結合し、Jagged1媒介性シグナル伝達を阻害するが、DLL1媒介性シグナル伝達を阻害しない抗体に部分的に基づく。本発明の抗体は、例えば、粘膜閉塞性肺疾患の診断又は治療に有用である。
【0084】
A.例示的な抗Notch2抗体
いくつかの態様では、本発明は、Notch2に結合する抗体を提供する。いくつかの態様では、Notch2に結合する単離された抗体が提供される。いくつかの態様では、本発明は、Notch2に特異的に結合する抗体を提供する。特定の態様では、抗Notch2抗体は:
● Jagged1媒介性シグナル伝達を阻害する;
● DLL1媒介性シグナル伝達を阻害しない;
● Notch2へのJagged1の結合を阻害しない;
● Notch2へのDLL1の結合を阻害しない;
● Notch2のEGF7リピート内のエピトープに結合する;
● Notch2のアミノ酸260~296内のエピトープに結合する;
● Notch2のアミノ酸260~296内の不連続エピトープに結合する;
● ヒトNotch2の接触アルギニン268(R268);
● リジン268(268K)を含むNotch2に結合しない;
● 配列番号74のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合し、配列番号77のアミノ酸配列を含むポリペプチドには結合しない;及び/又は
● 例えば、表面プラズモン共鳴によって決定される場合、20nM未満、15nM未満、10nM未満又は5nM未満の親和性(K)でヒトNotch2に結合する。
【0085】
抗体1B2又はそのヒト化バージョンの1つ又は複数のCDRを含む抗体
いくつかの態様では、本発明は、(a)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号6又は7のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号8、9、10、11、又は12のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つ全てのCDRを含む抗Notch2抗体を提供する。
【0086】
いくつかの態様では、本発明は、(a)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号6又は7のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号8、9、10、11、又は12のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH CDR配列を含む抗体を提供する。いくつかの態様では、抗体は、配列番号8、9、10、11、又は12のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。いくつかの態様では、抗体は、配列番号8、9、10、11又は12のアミノ酸配列を含むCDR-H3と、配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L3とを含む。さらなる態様では、抗体は、配列番号8、9、10、11又は12のアミノ酸配列を含むCDR-H3と、配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L3と、配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2とを含む。さらなる態様では、抗体は、(a)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号6又は配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号8、9、10、11、又は12のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0087】
いくつかの態様では、本発明は、(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL CDR配列を含む抗体を提供する。いくつかの態様では、(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
【0088】
いくつかの態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号6又は7のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号8、9、10、11、又は12のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH CDR配列を含むVHドメインと、(b)(i)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL CDR配列を含むVLドメインと、を含む。
【0089】
いくつかの態様では、本発明は、(a)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(b)配列番号6又は7のアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(c)配列番号8、9、10、11、又は12のアミノ酸配列を含むCDR-H3と、(d)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(e)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(f)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む抗体を提供する。
【0090】
特定の態様では、本明細書において提供される抗Notch2抗体の任意の1つ以上のアミノ酸は、以下のCDR位置:
CDR-H2(配列番号6):位置2
CDR-H3(配列番号8):位置2、4、5、及び/又は6
特定の態様では、置換は、本明細書で提供される、保存的置換である。特定の態様では、以下の置換のうちの任意の1つ以上は、任意の組み合わせ:
CDR-H2(配列番号6):S2Q(KabatナンバリングによるS51Q)
CDR-H3(配列番号8):S2G(KabatナンバリングによるS96G);R4K(KabatナンバリングによるR98K);W5L(KabatナンバリングによるW99L);及び/又はG6A(KabatナンバリングによるG100A)。
【0091】
本明細書中に提供される任意の態様において、抗Notch2抗体はヒト化される。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークをさらに含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号92のFR1配列;配列番号93若しくは94のFR2配列;配列番号95、96若しくは107のFR3配列、及び/又は配列番号97のFR4配列を含むVHを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号87のFR1配列;配列番号88のFR2配列;配列番号89若しくは90のFR3配列、及び/又は配列番号91のFR4配列を含むVLを含む。
【0092】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、(a)配列番号92の重鎖フレームワーク領域1(HC-FR1)、(b)配列番号93又は94の重鎖フレームワーク領域2(HC-FR2)、(c)配列番号95、96、又は107の重鎖フレームワーク領域3(HC-FR3)、及び(d)配列番号97の重鎖フレームワーク領域4(HC-FR4)から選択される1つ以上の重鎖フレームワーク配列を含む、VHドメインを含む。
【0093】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号92のHC-FR1を含むVHドメインを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号93又は94のHC-FR2を含むVHドメインを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号95、96、又は107のHC-FR3を含むVHドメインを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号97のHC-FR4を含むVHドメインを含む。
【0094】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号92と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性のHC-FR1を含むVHドメインを含む。いくつかの態様では、VHドメインは、配列番号92と少なくとも95%の配列同一性のHC-FR1を含む。いくつかの態様では、VHドメインは、配列番号92と少なくとも98%の配列同一性のHC-FR1を含む。
【0095】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号93又は94に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性のHC-FR2を含むVHドメインを含む。いくつかの態様では、VHドメインは、配列番号93又は94と少なくとも95%の配列同一性のHC-FR2を含む。いくつかの態様では、VHドメインは、配列番号93又は94と少なくとも98%の配列同一性のHC-FR2を含む。
【0096】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号95、96、又は107に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性のHC-FR3を含むVHドメインを含む。いくつかの態様では、VHドメインは、配列番号95、96、又は107と少なくとも95%の配列同一性のHC-FR3を含む。いくつかの態様では、VHドメインは、配列番号95、96、又は107と少なくとも98%の配列同一性のHC-FR3を含む。
【0097】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号97に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性のHC-FR4を含むVHドメインを含む。いくつかの態様では、VHドメインは、配列番号97と少なくとも95%の配列同一性のHC-FR4を含む。いくつかの態様では、VHドメインは、配列番号97と少なくとも98%の配列同一性のHC-FR4を含む。
【0098】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、(a)配列番号87の軽鎖フレームワーク領域1(LC-FR1)、(b)配列番号88の軽鎖フレームワーク領域2(LC-FR2)、(c)配列番号89又は90の軽鎖フレームワーク領域3(LC-FR3)、及び(d)配列番号91の軽鎖フレームワーク領域4(LC-FR4)から選択される1つ以上の軽鎖フレームワーク配列を含む、VLドメインを含む。
【0099】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号87のLC-FR1を含むVLドメインを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号88のLC-FR2を含むVLドメインを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号89又は90のLC-FR3を含むVLドメインを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号91のLC-FR4を含むVLドメインを含む。
【0100】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号87に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性のLC-FR1を含むVLドメインを含む。いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号87と少なくとも95%の配列同一性のLC-FR1を含む。いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号87と少なくとも98%の配列同一性のLC-FR1を含む。
【0101】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号88に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性のLC-FR2を含むVLドメインを含む。いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号88と少なくとも95%の配列同一性のLC-FR2を含む。いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号88と少なくとも98%の配列同一性のLC-FR2を含む。
【0102】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号89又は90に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性のLC-FR3を含むVLドメインを含む。いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号89又は90と少なくとも95%の配列同一性のLC-FR3を含む。いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号89又は90と少なくとも98%の配列同一性のLC-FR3を含む。
【0103】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号91に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性のLC-FR4を含むVLドメインを含む。いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号91と少なくとも95%の配列同一性のLC-FR1を含む。いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号91と少なくとも98%の配列同一性のLC-FR1を含む。
【0104】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号14、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、又は32のVHのCDR配列のうちの1つ又は複数を含む。別の実施形態では、抗Notch2抗体は、配列番号13、15、16、25、27、29、又は31のVLのCDR配列のうちの1つ又は複数を含む。別の実施形態では、抗Notch2抗体は、配列番号14、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、又は32のVHのCDR配列及び配列番号13、15、16、25、27、29、又は31のVLのCDR配列を含む。
【0105】
さらなる態様では、抗Notch2抗体は、配列番号14、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、又は32のVHドメインのCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3アミノ酸配列並びに配列番号13、15、16、25、27、29、又は31のVLドメインのCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3アミノ酸配列を含む。
【0106】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号14、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、又は32のVHドメインの重鎖CDRアミノ酸配列の1つ又は複数と、配列番号14、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、又は32のVHドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号14、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、又は32のVHドメインの3つの重鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号14、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、又は32のVHドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号14、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、又は32のVHドメインの3つの重鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号14、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、又は32のVHドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号14、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、又は32のVHドメインの3つの重鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号14、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、又は32のVHドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも98%の配列同一性のフレームワークとを含む。
【0107】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号13、15、16、25、27、29、又は31のVLドメインの軽鎖CDRアミノ酸配列の1つ又は複数と、配列番号13、15、16、25、27、29、又は31のVLドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号13、15、16、25、27、29、又は31のVLドメインの3つの軽鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号13、15、16、25、27、29、又は31のVLドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号13、15、16、25、27、29、又は31のVLドメインの3つの軽鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号13、15、16、25、27、29、又は31のVLドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号13、15、16、25、27、29、又は31のVLドメインの3つの軽鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号13、15、16、25、27、29、又は31のVLドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも98%の配列同一性のフレームワークとを含む。
【0108】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、(a)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号6又は7のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号8、9、10、11、又は12のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L3、並びに配列番号14、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、又は32のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVHドメイン、及び配列番号13、15、16、25、27、29、又は31のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVLドメインを含む。いくつかの態様では、VHドメインは、配列番号14、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、又は32のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号13、15、16、25、27、29、又は31のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0109】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、(a)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号6又は7のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号8、9、10、11、又は12のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L3、並びに配列番号14、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、又は32のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVHドメイン、及び配列番号13、15、16、25、27、29、又は31のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVLドメインを含み;該抗体はNotch2に特異的に結合する。いくつかの態様では、VHドメインは、配列番号14、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、又は32のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号13、15、16、25、27、29、又は31のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、抗体は、配列番号14、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、又は32のVH配列及び配列番号13、15、16、25、27、29、又は31のVL配列を含む抗体の解離定数(K)と比較した場合に、最大10倍減少又は最大10倍増加した解離定数(K)を有するNotch2に結合する。
【0110】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号14、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、又は32のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号14、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、又は32のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、基準配列と比較して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、又は欠失を含有するが、その配列を含む抗Notch2抗体は、Notch2に結合する能力を保持する。特定の態様では、配列番号14、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、又は32において合計1~10個のアミノ酸が置換、挿入及び/又は欠失されている。特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(即ち、FRで)生じる。任意に、抗Notch2抗体は、配列番号14、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、又は32のVH配列を含み、これにはその配列の翻訳後改変が含まれる。特定の態様では、VHは、以下から選択される1つ、2つ又は3つのCDRを含む:(a)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号6又は7のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号8、9、10、11、又は12のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体が提供され、該抗体は、配列番号13、15、16、25、27、29、又は31のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号13、15、16、25、27、29、又は31のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含む。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、基準配列と比較して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、又は欠失を含有するが、その配列を含む抗Notch2抗体は、Notch2に結合する能力を保持する。特定の態様では、配列番号13、15、16、25、27、29、又は31において合計1~10個のアミノ酸が置換、挿入及び/又は欠失されている。特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(即ち、FRで)生じる。任意に、抗Notch2抗体は、配列番号13、15、16、25、27、29、又は31のVL配列を含み、これにはその配列の翻訳後改変が含まれる。特定の態様では、VLは、以下から選択される1つ、2つ又は3つのCDRを含む:(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
【0111】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体が提供され、該抗体は、上記に提供される実施形態のいずれかにおけるようなVH、及び上記に提供される実施形態のいずれかにおけるようなVLを含む。いくつかの態様では、本抗体は、それぞれ、配列番号14、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、又は32及び配列番号13、15、16、25、27、29、又は31におけるVH配列及びVL配列(それらの配列の翻訳後修飾を含む)を含む。
【0112】
抗体3107の1つ又は複数のCDRを含む抗体
いくつかの態様では、本発明は、(a)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つ全てのCDRを含む抗Notch2抗体を提供する。
【0113】
いくつかの態様では、本発明は、(a)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH CDR配列を含む抗体を提供する。いくつかの態様では、抗体は、配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。いくつかの態様では、抗体は、配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-H3と、配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR-L3とを含む。さらなる態様では、抗体は、配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-H3と、配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR-L3と、配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-H2とを含む。さらなる態様では、抗体は、(a)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0114】
いくつかの態様では、本発明は、(a)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL CDR配列を含む抗体を提供する。いくつかの態様では、(a)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
【0115】
いくつかの態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH CDR配列を含むVHドメインと、(b)(i)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(ii)配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL CDR配列を含むVLドメインと、を含む。
【0116】
いくつかの態様では、本発明は、(a)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(b)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(c)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-H3と、(d)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(e)配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(f)配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む抗体を提供する。
【0117】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号40のVHのCDR配列のうちの1つ又は複数を含む。別の実施形態では、抗Notch2抗体は、配列番号39のVLのCDR配列のうちの1つ又は複数を含む。別の実施形態では、抗Notch2抗体は、配列番号40のVHのCDR配列及び配列番号39のVLのCDR配列を含む。
【0118】
さらなる態様では、抗Notch2抗体は、配列番号40のVHドメインのCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3アミノ酸配列並びに配列番号39のVLドメインのCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3アミノ酸配列を含む。
【0119】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号40のVHドメインの重鎖CDRアミノ酸配列の1つ又は複数と、配列番号40及び101~106から選択されるVHドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号40のVHドメインの3つの重鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号40及び101~106から選択されるVHドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号40のVHドメインの3つの重鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号40及び101~106から選択されるVHドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号40のVHドメインの3つの重鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号40及び101~106から選択されるVHドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも98%の配列同一性のフレームワークとを含む。
【0120】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号39のVLドメインの軽鎖CDRアミノ酸配列の1つ又は複数と、配列番号39及び98~100から選択されるVLドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号39のVLドメインの3つの軽鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号39及び98~100から選択されるVLドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号39のVLドメインの3つの軽鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号39及び98~100から選択されるVLドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号39のVLドメインの3つの軽鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号39及び98~100から選択されるVLドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも98%の配列同一性のフレームワークとを含む。
【0121】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、(a)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番34のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR-L3、並びに配列番号40及び101~106から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVHドメイン、及び配列番号39及び98~100から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVLドメインを含む。いくつかの態様では、VHドメインは、配列番号40及び101~106から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号39及び98~100から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0122】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、(a)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番34のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR-L3、並びに配列番号40及び101~106から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVHドメイン、及び配列番号39及び98~100から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVLドメインを含み;該抗体はNotch2に特異的に結合する。いくつかの態様では、VHドメインは、配列番号40及び101~106から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号39及び98~100から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、抗体は、配列番号40のVH配列及び配列番号39のVL配列を含む抗体の解離定数(K)と比較した場合に、最大10倍減少又は最大10倍増加した解離定数(K)を有するNotch2に結合する。
【0123】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号40及び101~106から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号40及び101~106から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、基準配列と比較して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、又は欠失を含有するが、その配列を含む抗Notch2抗体は、Notch2に結合する能力を保持する。特定の態様では、合計で1~10個のアミノ酸が、配列番号40及び101~106のいずれか1つにおいて、置換、挿入、及び/又は欠失している。特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(即ち、FRで)生じる。任意に、抗Notch2抗体は、配列番号40及び101~106から選択されるVH配列を含み、これにはその配列の翻訳後改変が含まれる。特定の態様では、VHは、以下から選択される1つ、2つ又は3つのCDRを含む:(a)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
【0124】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体が提供され、該抗体は、配列番号39及び98~100から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号39及び98~100から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含む。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、基準配列と比較して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、又は欠失を含有するが、その配列を含む抗Notch2抗体は、Notch2に結合する能力を保持する。特定の態様では、合計で1~10個のアミノ酸が、配列番号39及び98~100のいずれか1つにおいて、置換、挿入、及び/又は欠失している。特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(即ち、FRで)生じる。任意に、抗Notch2抗体は、配列番号39及び98~100から選択されるVL配列を含み、これにはその配列の翻訳後改変が含まれる。特定の態様では、VLは、以下から選択される1つ、2つ又は3つのCDRを含む:(a)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
【0125】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体が提供され、該抗体は、上記に提供される実施形態のいずれかにおけるようなVH、及び上記に提供される実施形態のいずれかにおけるようなVLを含む。いくつかの態様では、抗体は、それぞれ配列番号40及び配列番号39のVH及びVL配列を含み、これにはそれらの配列の翻訳後修飾が含まれる。いくつかの態様では、抗体は、配列番号101~106から選択されるVH配列及び98~100から選択されるVL配列を含み、これにはそれら配列の翻訳後改変が含まれる。
【0126】
抗体2338の1つ又は複数のCDRを含む抗体
いくつかの態様では、本発明は、(a)配列番号44のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号45のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つ全てのCDRを含む抗Notch2抗体を提供する。
【0127】
いくつかの態様では、本発明は、(a)配列番号44のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号45のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH CDR配列を含む抗体を提供する。いくつかの態様では、抗体は、配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。いくつかの態様では、抗体は、配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR-H3と、配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-L3とを含む。さらなる態様では、抗体は、配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR-H3と、配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-L3と、配列番号45のアミノ酸配列を含むCDR-H2とを含む。さらなる態様では、抗体は、(a)配列番号44のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号45のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0128】
いくつかの態様では、本発明は、(a)配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL CDR配列を含む抗体を提供する。いくつかの態様では、(a)配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
【0129】
いくつかの態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号44のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号45のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH CDR配列を含むVHドメインと、(b)(i)配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(ii)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL CDR配列を含むVLドメインと、を含む。
【0130】
いくつかの態様では、本発明は、(a)配列番号44のアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(b)配列番号45のアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(c)配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR-H3と、(d)配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(e)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(f)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む抗体を提供する。
【0131】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号48のVHのCDR配列のうちの1つ又は複数を含む。別の実施形態では、抗Notch2抗体は、配列番号47のVLのCDR配列のうちの1つ又は複数を含む。別の実施形態では、抗Notch2抗体は、配列番号48のVHのCDR配列及び配列番号47のVLのCDR配列を含む。
【0132】
さらなる態様では、抗Notch2抗体は、配列番号48のVHドメインのCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3アミノ酸配列並びに配列番号47のVLドメインのCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3アミノ酸配列を含む。
【0133】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号48のVHドメインの重鎖CDRアミノ酸配列の1つ又は複数と、配列番号48のVHドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号48のVHドメインの3つの重鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号48のVHドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号48のVHドメインの3つの重鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号48のVHドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号48のVHドメインの3つの重鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号48のVHドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも98%の配列同一性のフレームワークとを含む。
【0134】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号47のVLドメインの軽鎖CDRアミノ酸配列の1つ又は複数と、配列番号47のVLドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号47のVLドメインの3つの軽鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号47のVLドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号47のVLドメインの3つの軽鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号47のVLドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号47のVLドメインの3つの軽鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号47のVLドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも98%の配列同一性のフレームワークとを含む。
【0135】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、(a)配列番号44のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号45のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-L3、並びに配列番号48のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVHドメイン、及び配列番号47のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVLドメインを含む。いくつかの態様では、VHドメインは、配列番号48のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号47のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0136】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、(a)配列番号44のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号45のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-L3、並びに配列番号48のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVHドメイン、及び配列番号47のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVLドメインを含み;該抗体はNotch2に特異的に結合する。いくつかの態様では、VHドメインは、配列番号48のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号47のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、抗体は、配列番号48のVH配列及び配列番号47のVL配列を含む抗体の解離定数(K)と比較した場合に、最大10倍減少又は最大10倍増加した解離定数(K)を有するNotch2に結合する。
【0137】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号48のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号48のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、基準配列と比較して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、又は欠失を含有するが、その配列を含む抗Notch2抗体は、Notch2に結合する能力を保持する。特定の態様では、配列番号48において合計1~10個のアミノ酸が置換、挿入及び/又は欠失されている。特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(即ち、FRで)生じる。任意に、抗Notch2抗体は、配列番号48のVH配列を含み、これにはその配列の翻訳後改変が含まれる。特定の態様では、VHは、以下から選択される1つ、2つ又は3つのCDRを含む:(a)配列番号44のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号45のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体が提供され、該抗体は、配列番号47のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号47のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含む。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、基準配列と比較して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、又は欠失を含有するが、その配列を含む抗Notch2抗体は、Notch2に結合する能力を保持する。特定の態様では、配列番号47において合計1~10個のアミノ酸が置換、挿入及び/又は欠失されている。特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(即ち、FRで)生じる。任意に、抗Notch2抗体は、配列番号47のVL配列を含み、これにはその配列の翻訳後改変が含まれる。特定の態様では、VLは、以下から選択される1つ、2つ又は3つのCDRを含む:(a)配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
【0138】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体が提供され、該抗体は、上記に提供される実施形態のいずれかにおけるようなVH、及び上記に提供される実施形態のいずれかにおけるようなVLを含む。いくつかの態様では、抗体は、それぞれ配列番号48及び配列番号47のVH及びVL配列を含み、これにはそれらの配列の翻訳後修飾が含まれる。
【0139】
抗体2430の1つ又は複数のCDRを含む抗体
いくつかの態様では、本発明は、(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号49のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号50のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号51又は52のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つ全てのCDRを含む抗Notch2抗体を提供する。
【0140】
いくつかの態様では、本発明は、(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH CDR配列を含む抗体を提供する。いくつかの態様では、抗体は、配列番号55のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。いくつかの態様では、抗体は、配列番号55のアミノ酸配列を含むCDR-H3と、配列番号51又は52のアミノ酸配列を含むCDR-L3とを含む。さらなる態様では、抗体は、配列番号55のアミノ酸配列を含むCDR-H3と、配列番号51又は52のアミノ酸配列を含むCDR-L3と、配列番号54のアミノ酸配列を含むCDR-H2とを含む。さらなる態様では、抗体は、(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0141】
いくつかの態様では、本発明は、(a)配列番号49のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号50のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号51又は52のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL CDR配列を含む抗体を提供する。いくつかの態様では、(a)配列番号49のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号50のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号51又は52のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
【0142】
いくつかの態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号53のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号54のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号55のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH CDR配列を含むVHドメインと、(b)(i)配列番号49のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(ii)配列番号50のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号51又は52のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL CDR配列を含むVLドメインと、を含む。
【0143】
いくつかの態様では、本発明は、(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むCDR-H3と、(d)配列番号49のアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(e)配列番号50のアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(f)配列番号51又は52のアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む抗体を提供する。
【0144】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号58のVHのCDR配列のうちの1つ又は複数を含む。別の実施形態では、抗Notch2抗体は、配列番号56又は57のVLのCDR配列のうちの1つ又は複数を含む。別の実施形態では、抗Notch2抗体は、配列番号58のVHのCDR配列及び配列番号56又は57のVLのCDR配列を含む。
【0145】
さらなる態様では、抗Notch2抗体は、配列番号58のVHドメインのCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3アミノ酸配列並びに配列番号56又は57のVLドメインのCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3アミノ酸配列を含む。
【0146】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号58のVHドメインの重鎖CDRアミノ酸配列の1つ又は複数と、配列番号58のVHドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号58のVHドメインの3つの重鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号58のVHドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号58のVHドメインの3つの重鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号58のVHドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号58のVHドメインの3つの重鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号58のVHドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも98%の配列同一性のフレームワークとを含む。
【0147】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号56又は57のVLドメインの軽鎖CDRアミノ酸配列の1つ又は複数と、配列番号56又は57のVLドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号56又は57のVLドメインの3つの軽鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号56又は57のVLドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号56又は57のVLドメインの3つの軽鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号56又は57のVLドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号56又は57のVLドメインの3つの軽鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号56又は57のVLドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも98%の配列同一性のフレームワークとを含む。
【0148】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号49のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号50のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号51又は52のアミノ酸配列を含むCDR-L3、並びに配列番号58のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVHドメイン、及び配列番号56又は57のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVLドメインを含む。いくつかの態様では、VHドメインは、配列番号58のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号56又は57のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0149】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号49のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号50のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号51又は52のアミノ酸配列を含むCDR-L3、並びに配列番号58のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVHドメイン、及び配列番号56又は57のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVLドメインを含み;該抗体はNotch2に特異的に結合する。いくつかの態様では、VHドメインは、配列番号58のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号56又は57のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、抗体は、配列番号58のVH配列及び配列番号56又は57のVL配列を含む抗体の解離定数(K)と比較した場合に、最大10倍減少又は最大10倍増加した解離定数(K)を有するNotch2に結合する。
【0150】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号58のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号58のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、基準配列と比較して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、又は欠失を含有するが、その配列を含む抗Notch2抗体は、Notch2に結合する能力を保持する。特定の態様では、配列番号58において合計1~10個のアミノ酸が置換、挿入及び/又は欠失されている。特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(即ち、FRで)生じる。任意に、抗Notch2抗体は、配列番号58のVH配列を含み、これにはその配列の翻訳後改変が含まれる。特定の態様では、VHは、以下から選択される1つ、2つ又は3つのCDRを含む:(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体が提供され、該抗体は、配列番号56又は57のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号56又は57のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含む。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、基準配列と比較して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、又は欠失を含有するが、その配列を含む抗Notch2抗体は、Notch2に結合する能力を保持する。特定の態様では、配列番号56又は57において合計1~10個のアミノ酸が置換、挿入及び/又は欠失されている。特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(即ち、FRで)生じる。任意に、抗Notch2抗体は、配列番号56又は57のVL配列を含み、これにはその配列の翻訳後改変が含まれる。特定の態様では、VLは、以下から選択される1つ、2つ又は3つのCDRを含む:(a)配列番号49のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号50のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号51又は52のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
【0151】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体が提供され、該抗体は、上記に提供される実施形態のいずれかにおけるようなVH、及び上記に提供される実施形態のいずれかにおけるようなVLを含む。いくつかの態様では、抗体は、それぞれ配列番号58及び配列番号56又は57のVH及びVL配列を含み、これにはそれらの配列の翻訳後修飾が含まれる。
【0152】
抗体2621の1つ又は複数のCDRを含む抗体
いくつかの態様では、本発明は、(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つ全てのCDRを含む抗Notch2抗体を提供する。
【0153】
いくつかの態様では、本発明は、(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH CDR配列を含む抗体を提供する。いくつかの態様では、抗体は、配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。いくつかの態様では、抗体は、配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR-H3と、配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR-L3とを含む。さらなる態様では、抗体は、配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR-H3と、配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR-L3と、配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR-H2とを含む。さらなる態様では、抗体は、(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0154】
いくつかの態様では、本発明は、(a)配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL CDR配列を含む抗体を提供する。いくつかの態様では、(a)配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
【0155】
いくつかの態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH CDR配列を含むVHドメインと、(b)(i)配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(ii)配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL CDR配列を含むVLドメインと、を含む。
【0156】
いくつかの態様では、本発明は、(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR-H3と、(d)配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(e)配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(f)配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む抗体を提供する。
【0157】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号66のVHのCDR配列のうちの1つ又は複数を含む。別の実施形態では、抗Notch2抗体は、配列番号65のVLのCDR配列のうちの1つ又は複数を含む。別の実施形態では、抗Notch2抗体は、配列番号66のVHのCDR配列及び配列番号65のVLのCDR配列を含む。
【0158】
さらなる態様では、抗Notch2抗体は、配列番号66のVHドメインのCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3アミノ酸配列並びに配列番号65のVLドメインのCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3アミノ酸配列を含む。
【0159】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号66のVHドメインの重鎖CDRアミノ酸配列の1つ又は複数と、配列番号66のVHドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号66のVHドメインの3つの重鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号66のVHドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号66のVHドメインの3つの重鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号66のVHドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号66のVHドメインの3つの重鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号66のVHドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも98%の配列同一性のフレームワークとを含む。
【0160】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号65のVLドメインの軽鎖CDRアミノ酸配列の1つ又は複数と、配列番号65のVLドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号65のVLドメインの3つの軽鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号65のVLドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号65のVLドメインの3つの軽鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号65のVLドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性のフレームワークとを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号65のVLドメインの3つの軽鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号65のVLドメインのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも98%の配列同一性のフレームワークとを含む。
【0161】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR-L3、並びに配列番号66のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVHドメイン、及び配列番号65のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVLドメインを含む。いくつかの態様では、VHドメインは、配列番号66のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号65のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0162】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR-L3、並びに配列番号66のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVHドメイン、及び配列番号65のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVLドメインを含み;該抗体はNotch2に特異的に結合する。いくつかの態様では、VHドメインは、配列番号66のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号65のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、抗体は、配列番号66のVH配列及び配列番号65のVL配列を含む抗体の解離定数(K)と比較した場合に、最大10倍減少又は最大10倍増加した解離定数(K)を有するNotch2に結合する。
【0163】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号66のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号66のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、基準配列と比較して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、又は欠失を含有するが、その配列を含む抗Notch2抗体は、Notch2に結合する能力を保持する。特定の態様では、配列番号66において合計1~10個のアミノ酸が置換、挿入及び/又は欠失されている。特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(即ち、FRで)生じる。任意に、抗Notch2抗体は、配列番号66のVH配列を含み、これにはその配列の翻訳後改変が含まれる。特定の態様では、VHは、以下から選択される1つ、2つ又は3つのCDRを含む:(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体が提供され、該抗体は、配列番号65のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含む。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、配列番号65のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含む。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、基準配列と比較して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、又は欠失を含有するが、その配列を含む抗Notch2抗体は、Notch2に結合する能力を保持する。特定の態様では、配列番号65において合計1~10個のアミノ酸が置換、挿入及び/又は欠失されている。特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(即ち、FRで)生じる。任意に、抗Notch2抗体は、配列番号65のVL配列を含み、これにはその配列の翻訳後改変が含まれる。特定の態様では、VLは、以下から選択される1つ、2つ又は3つのCDRを含む:(a)配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
【0164】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体が提供され、該抗体は、上記に提供される実施形態のいずれかにおけるようなVH、及び上記に提供される実施形態のいずれかにおけるようなVLを含む。いくつかの態様では、抗体は、それぞれ配列番号66及び配列番号65のVH及びVL配列を含み、これにはそれらの配列の翻訳後修飾が含まれる。
【0165】
さらなる態様では、本発明は、本明細書で提供される抗Notch2抗体と同一エピトープに結合する抗体を提供する。例えば、特定の態様では、配列番号32のVH配列及び配列番号31のVL配列を含む抗Notch2抗体と、同じエピトープに結合する抗体が提供される。特定の態様では、Notch2のEGF7リピート内のエピトープに結合する抗Notch2抗体が提供される。いくつかの実施形態では、Notch2のアミノ酸260~296(配列番号70)内のエピトープに結合する抗Notch2抗体が提供される。いくつかの実施形態では、Notch2のアミノ酸260~296(配列番号70)内のエピトープに結合する抗Notch2抗体が提供される。
【0166】
更なる態様では、本発明は、本明細書中に提供される抗Notch2抗体とNotch2への結合について競合する抗体を提供する。例えば、特定の態様では、Notch2に対する結合について、配列番号32のVH配列及び配列番号31のVL配列を含む抗Notch2抗体と競合する抗体が提供される。
【0167】
本発明のさらなる態様において、上記の態様のいずれかによる抗Notch2抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、又はヒト抗体を含む、モノクローナル抗体である。いくつかの態様では、抗Notch2抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、又はF(ab’)断片である。いくつかの態様では、本抗体は、全長抗体、例えば、インタクトなIgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、若しくはIgG4抗体、又は本明細書に定義される他の抗体クラス若しくはアイソタイプである。
【0168】
さらなる一態様では、上記の態様のいずれかに従う抗Notch2抗体は、以下のセクション1~8に記載される特徴のいずれかを、単独又は組合せで組み込み得る:
【0169】
1.抗体親和性
特定の態様では、本明細書において提供される抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM又は≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば10-9M~10-13M)の解離定数(K)を有する。
【0170】
いくつかの態様では、Kは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。例えば、BIACORE(登録商標)-2000又はBIACORE(登録商標)-3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を用いたアッセイは、固定化抗原CM5チップを用いて25℃で約10応答単位(RU)で実施する。いくつかの態様では、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIACORE,Inc.)は、供給業者の指示に従って、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を用いて活性化される。抗原を、pH4.8の10mMの酢酸ナトリウムによって、5μg/ml(約0.2μM)に希釈した後、5μl/分の流速でインジェクトし、カップリングされたタンパク質のおよそ10応答ユニット(RU)を達成する。抗原のインジェクション後、1Mのエタノールアミンをインジェクトして、未反応基をブロックする。速度論的測定のため、Fabの2倍段階希釈液(0.78nM~500nM)を、およそ25μL/分の流量にて25℃で0.05%のポリソルベート20(TWEEN-20(商標))界面活性剤(PBST)を有するPBS中に注射する。会合速度(kon)及び解離速度(koff)を、会合センサーグラム及び解離センサーグラムを同時に適合することによって、単純1対1(1:1)Langmuir結合モデル(BIACORE(登録商標)Evaluation Software第3.2版)を使用して計算する。平衡解離定数(K)は、koff/kon比として計算される。例えば、ChenらJ.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照されたい。
【0171】
BIAcore(商標)T200マシンを使用する別の例示的なアッセイでは、例えば、ヒトIgG1定常領域を有する抗体をプロテインAチップ上に捕捉して、約300RUを達成する。いくつかのこのような実施形態では、精製抗原の連続希釈液を、追加の3mM CaClを含むHBS-P緩衝液中に37℃で100μL/分の流速で注入する。結合率(ka)及び解離率(kd)は、1:1 Langmuir結合モデル(例えば、BIAcore(商標)T200評価ソフトウェアバージョン2.0)を用いて計算する。平衡解離定数(K)は、比率kd/kaとして計算され得る。
【0172】
オン速度が上記の表面プラズモン共鳴アッセイによって10-1-1を超える場合、このオン速度は、撹拌されたキュベットを備えるストップフロー装着分光光度計(Aviv Instruments)又は8000シリーズSLM-AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)等の分光計において測定される、漸増濃度の抗原の存在下で、25℃でのPBS(pH7.2)中の20nM抗-抗原抗体(Fab型)の蛍光発光強度(励起=295nm、発光=340nm、16nm帯域通過)の増加又は減少を測定する、蛍光クエンチ技法を使用することによって、判定することができる。
【0173】
別の方法では、Kは、放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。いくつかの態様では、RIAは、目的の抗体及びその抗原のFabバージョンを用いて実施される。例えば、抗原に対するFabの溶液結合親和性は、標識されていない抗原の滴定系列の存在下で、最小濃度の(125I)標識された抗原でFabを平衡化し、次いで、抗Fab抗体でコーティングされたプレートで結合した抗原を捕捉することによって測定される(例えば、Chenら、「J.Mol.Biol.」第293巻第865~881頁(1999年)を参照されたい)。アッセイの条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を、50mMの炭酸ナトリウム(pH9.6)中の5μg/mLの捕捉用抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コーティングし、その後、PBS中の2%(w/v)ウシ血清アルブミンで2~5時間にわたって室温(およそ23℃)で遮断する。非吸着性プレート(Nunc#269620)中で、100pM又は26pMの[125I]-抗原を、関心のあるFabの連続希釈物と混合する(例えば、Prestaら、「Cancer Res.」第57巻第4593~4599頁(1997年)における抗VEGF抗体Fab-12の評価と一致する)。その後、目的のFabを一晩インキュベートするが、インキュベーションをより長い期間(例えば、約65時間)続けて、平衡に達することを確実にすることができる。その後、室温でのインキュベーション(例えば、1時間)のために混合物を捕捉プレートに移す。次に、溶液を除去し、プレートを、PBS中0.1%のポリソルベート20(TWEEN-20(登録商標))で8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μL/ウェルのシンチラント(scintillant)(MICROSCINT-20(商標)、Packard)を付加し、プレートをTOPCOUNT(商標)ガンマ計数器(Packard)上で10分間、計数する。最大結合の20%以下をもたらす各Fabの濃度を、競合結合アッセイでの使用のために選択する。
【0174】
2.抗体断片
特定の態様では、本明細書に提供される抗体は、抗体断片である。
【0175】
いくつかの態様では、抗体断片は、Fab、Fab’、Fab’-SH、又はF(ab’)断片、特にFab断片である。無傷の抗体をパパイン消化すると、重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれ順にVH及びVL)に加えて、軽鎖の定常ドメイン(CL)及び重鎖の第1定常ドメイン(CH1)もそれぞれが含む、2つの同一の抗原結合断片(いわゆる「Fab」断片)が得られる。よって「Fab断片」とは、VLドメイン及びCLドメインを含む軽鎖と、VHドメイン及びCH1ドメインを含む重鎖断片を有する抗体断片のことである。「Fab’断片」は、抗体ヒンジ領域から1つ以上のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシ末端にて、残基を添加することによって、Fab断片とは異なる。Fab’-SHとは、定常ドメインのシステイン残基(複数価)が遊離チオール基を保持するFab’断片である。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位(2つのFab断片)と、Fc領域の一部とを有するF(ab’)断片が得られる。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、インビボ半減期が長くなったFab及びF(ab’)断片の説明については、米国特許第5,869,046号を参照されたい。
【0176】
いくつかの態様では、抗体断片は、ダイアボディ、トリアボディ、又はテトラボディである。ダイアボディは、二価又は二重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、欧州特許第404,097号、WO1993/01161、Hudsonら,Nat.Med.9:129-134(2003)、及びHollingerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448(1993)を参照されたい。トリアボディ及びテトラボディはまた、Hudsonら、Nat.Med.9:129-134(2003)にも記載されている。
【0177】
更なる態様では、抗体断片は一本鎖Fab断片である。「一本鎖Fab断片」又は「scFab」は、抗体重鎖可変ドメイン(VH)、抗体重鎖定常ドメイン1(CH1)、抗体軽鎖可変ドメイン(VL)、抗体軽鎖定常ドメイン(CL)、及びリンカーからなるポリペプチドであり、上記抗体ドメイン及び上記リンカーは、N末端からC末端方向に、以下の順序:a)VH-CH1-リンカー-VL-CL、b)VL-CL-リンカー-VH-CH1、c)VH-CL-リンカー-VL-CH1、又はd)VL-CH1-リンカー-VH-CLのうちの1つを有する。特に、上記リンカーは、少なくとも30個のアミノ酸、好ましくは32~50個のアミノ酸のポリペプチドである。当該一本鎖Fab断片は、CLドメインとCH1ドメインとの間の天然ジスルフィド結合によって安定化される。加えて、これらの一本鎖Fab断片は、システイン残基の挿入(例えば、Kabatナンバリングによると、可変重鎖の位置44及び可変軽鎖の位置100)を介した鎖間ジスルフィド結合の生成によって、さらに安定化し得る。
【0178】
いくつかの態様では、抗体断片は一本鎖可変断片(scFv)である。「一本鎖可変断片」又は「scFv」は、リンカーにより接続された、抗体の重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の可変ドメインの融合タンパク質である。特に、リンカーは、10~25個のアミノ酸の短いポリペプチドであり、通常、柔軟性のためにグリシンが、かつ、溶解性のためにセリン又はスレオニンが豊富であり、VHのN末端をVLのC末端と、又はこの逆のいずれかで、接続させることができる。このタンパク質は、定常領域が取り除かれ、リンカーが導入されているにもかかわらず、元の抗体の特異性を保持することができる。scFv断片の総説としては、例えば、Pluckthun,The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer-Verlag,New York),pp.269-315(1994)を参照されたい。また、国際公開第93/16185号及び米国特許第5,571,894号及び同第5,587,458号を参照されたい。
【0179】
いくつかの態様では、抗体断片は単一ドメイン抗体である。「単一ドメイン抗体」は、抗体の重鎖可変ドメインの全部若しくは一部、又は軽鎖可変ドメインの全部若しくは一部を含む抗体断片である。特定の態様では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.,Waltham,MA;例えば、米国特許第6,248,516号B1を参照されたい)。
【0180】
抗体断片は、限定されないが、本明細書に記載される、インタクト抗体のタンパク質分解による消化、及び組み換え宿主細胞(例えば、大腸菌)による組換え産生を含む種々の技術によって作製することができる。
【0181】
3.キメラ抗体及びヒト化抗体
特定の態様では、本明細書で提供される抗体はキメラ抗体である。特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号、及びMorrisonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855(1984))に記載されている。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又は非ヒト霊長類、例えば、サル由来の可変領域)及びヒト定常領域を含む。さらなる例では、キメラ抗体は、クラス又はサブクラスが親抗体のそれらから変更されている「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合断片を含む。
【0182】
特定の態様において、キメラ抗体はヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体が、親の非ヒト抗体の特異性及び親和性を保持しながら、ヒトに対する免疫原性を低下させるためにヒト化される。通常、ヒト化抗体は、CDR(又はその一部)が非ヒト抗体に由来する1つ以上の可変ドメインを含み、FR(又はその一部)はヒト抗体配列に由来する。ヒト化抗体はまた、任意に、ヒト定常領域の少なくとも一部を含む。いくつかの態様では、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基は、例えば、抗体特異性又は親和性を回復又は改善するために、非ヒト抗体(例えば、CDR残基が由来する抗体)からの対応する残基で置換される。
【0183】
ヒト化された抗体及びその作製方法については、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)で総説され、更に以下に記載されている:Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988);Queen et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86:10029-10033(1989);米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号、及び同第7,087,409号;Kashmiri et al.,Methods 36:25-34(2005)(特異性決定領域(SDR)グラフトを記載する);Padlan,Mol.Immunol.28:489-498(1991)(リサーフェシングを記載する);Dall’Acqua et al.,Methods 36:43-60(2005)(「FRシャッフリング」を記載する);並びにOsbourn et al.,Methods 36:61-68(2005)及びKlimka et al.,Br.J.Cancer,83:252-260(2000)(FRシャッフルの「ガイド付き選択アプローチを記載する)。
【0184】
ヒト化に用い得るヒトフレームワーク領域としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:「ベストフィット」法を用いて選択したフレームワーク領域(例えば、Sims et al.J.Immunol.151:2296(1993)を参照されたい);重鎖又は軽鎖可変領域の特定の亜型のヒト抗体コンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992);及びPresta et al.J.Immunol.,151:2623(1993)を参照されたい);ヒト成熟(体細胞突然変異)フレームワーク領域又はヒト生殖系列フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)を参照されたい);並びにFRライブラリのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca et al.,J.Biol.Chem.272:10678-10684(1997)及びRosok et al.,J.Biol.Chem.271:22611-22618(1996)を参照されたい)。
【0185】
4.ヒト抗体
特定の態様では、本明細書で提供される抗体はヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で公知の様々な技法を使用して作製され得る。ヒト抗体は一般的に、van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.5:368-74(2001)及びLonberg,Curr.Opin.Immunol.20:450-459(2008)に記載されている。
【0186】
ヒト抗体は、抗原チャレンジに応答してインタクトなヒト抗体又はヒト可変領域を有するインタクトな抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物に、免疫原を投与することによって調製することができる。このような動物は、典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座に取って代わるヒト免疫グロブリン遺伝子座の全て又は一部を含むか、又は染色体外に存在するか、又は動物の染色体にランダムに統合されている。そのようなトランスジェニックマウスでは、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、一般的に不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の総説については、Lonberg,Nat.Biotech.23:1117-1125(2005)を参照されたい。また、例えば、XENOMOUSE(商標)技術を記載する米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号;HuMab(登録商標)技術を記載する米国特許第5,770,429号;K-M MOUSE(登録商標)技術を記載する米国特許第7,041,870号;及び、VelociMouse(登録商標)技術を記載する米国特許出願公開第2007/0061900号も参照されたい。かかる動物によって産生されたインタクトな抗体からのヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによって、更に修飾されてもよい。
【0187】
ヒト抗体は、ハイブリドーマベースの方法によって作製することもできる。ヒトモノクローナル抗体を産生するためのヒト骨髄腫細胞株及びマウス-ヒト異種骨髄腫細胞株が記載されている。(例えば、Kozbor J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987);及びBoerner et al.,J.Immunol.,147:86(1991)を参照されたい)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されたヒト抗体もまた、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562(2006)に記載されている。さらなる方法としては、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株由来のモノクローナルヒトIgM抗体の産生を記載する)、及びNi,Xiandai Mianyixue,26(4):265-268(2006)(ヒト-ヒトハイブリドーマを記載する)が挙げられる。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)はまた、Vollmers and Brandlein,Histology and Histopathology,20(3):927-937(2005)及びVollmers and Brandlein,Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology,27(3):185-91(2005)にも記載されている。
【0188】
ヒト抗体はまた、ヒト由来のファージ・ディスプレイ・ライブラリから選択される可変ドメイン配列を単離することによって生成することができる。その後、そのような可変ドメイン配列は、所望のヒト定常ドメインと組み合わせられ得る。抗体ライブラリからヒト抗体を選択するための技術を以下に記載する。
【0189】
5.ライブラリ由来の抗体
特定の態様では、本明細書に提供される抗体はライブラリから得られる。本発明の抗体は、1つ以上の所望の活性を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることによって単離され得る。コンビナトリアルライブラリをスクリーニングするための方法は、例えば、Nature Reviews 16:498-508(2016)におけるLernerらにおいて総説されている。例えば、ファージ・ディスプレイ・ライブラリを産生し、所望の結合特性を有する抗体についてかかるライブラリをスクリーニングするための様々な方法が当該技術分野で知られている。かかる方法は、例えば、FrenzelらのmAbs 8:1177-1194(2016);Bazan et al.のHuman Vaccines and Immunotherapeutics 8:1817-1828(2012)、及びZhaoらのCritical Reviews in Biotechnology 36:276-289(2016)、並びに、HoogenboomらのMethods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)、及びMarks and BradburyのMethods in Molecular Biology 248:161-175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003)に見られる。
【0190】
特定のファージディスプレイ法において、VH遺伝子及びVL遺伝子のレパートリーは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって個別にクローニングされ、ファージライブラリにおいて無作為に組み換えられており、次いで、Annual Review of Immunology 12:433-455(1994)におけるWinterらにおいて説明されたように、抗原結合ファージについてスクリーニングすることができる。ファージは、典型的には、一本鎖Fv(scFv)断片として、又はFab断片としてのいずれかで、抗体断片を提示する。免疫化源からのライブラリは、ハイブリドーマを構築する必要なく、免疫原に対する高親和性抗体を与える。あるいはまた、ナイーブなレパートリーをクローン化し(例えば、ヒトから)、Griffiths et al.のEMBO Journal 12:725-734(1993)に記載されるように、免疫化することなく、非自己から自己抗原までの広範囲に対する単一の抗体源を得ることができる。最終的に、ナイーブライブラリはまた、Hoogenboom and Winter in Journal of Molecular Biology 227:381-388(1992)により記載されるように、再整列していないV遺伝子セグメントを幹細胞からクローニングすること、及びランダム配列を含有するPCRプライマーを使用して、高度に可変性のCDR3領域をコードし、インビトロで再整列を達成することによって、合成により作製することができる。ヒト抗体ファージライブラリを説明する特許刊行物には、例えば、以下が含まれる:米国特許第5,750,373号、同第7,985,840号、同第7,785,903号及び同第8,679,490号、並びに米国特許出願公開第2005/0079574号、同第2007/0117126号、同第2007/0237764号及び同第2007/0292936号。
【0191】
所望の活性又は複数の活性を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリをスクリーニングするための当該技術分野で知られている方法の更なる例には、リボソーム及びmRNAディスプレイ、並びに細菌、哺乳動物細胞、昆虫細胞又は酵母細胞における抗体ディスプレイ及び選択のための方法が含まれる。酵母表面ディスプレイのための方法は、例えば、Scholler et al.in Methods in Molecular Biology 503:135-56(2012)及びCherf et al.in Methods in Molecular biology 1319:155-175(2015)並びにZhao et al.in Methods in Molecular Biology 889:73-84(2012)に概説がある。リボソームディスプレイのための方法は、例えば、HeらのNucleic Acids Research 25:5132-5134(1997)及びHanesらのPNAS 94:4937-4942(1997)に記載されている。
【0192】
ヒト抗体ライブラリから単離された抗体又は抗体断片は、本明細書ではヒト抗体又はヒト抗体断片とみなされる。
【0193】
6.多重特異性抗体
特定の態様では、本明細書で提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位、すなわち、異なる抗原上の異なるエピトープ又は同じ抗原上の異なるエピトープに対して結合特異性を有するモノクローナル抗体である。特定の態様では、多重特異性抗体は、3つ又はそれより多くの結合特異性を有する。特定の態様では、結合特異性の一方はNotch2に対するものであり、他方は任意の他の抗原に対するものである。ある特定の態様において、二重特異性抗体は、Notch2の2つ(又はそれ以上)の異なるエピトープに結合し得る。多重特異性(例えば、二重特異性)抗体は、細胞傷害剤又は細胞を、Notch2を発現する細胞に局在化するために使用することもできる。多重特異性抗体は、全長抗体又は抗体断片として調製され得る。
【0194】
多重特異性抗体を作製するための技術には、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組換え共発現(Milstein and Cuello,Nature 305:537(1983)参照)及び「ノブ・イン・ホール」操作(例えば、米国特許第5,731,168号及びAtwell et al.,J.Mol.Biol.270:26(1997)参照)が含まれるが、これらに限定されない。多重特異性抗体は、また、抗体Fcヘテロ二量体分子を作製するための静電ステアリング効果の操作(例えば、国際公開第2009/089004号参照);2つ以上の抗体若しくは断片の架橋(例えば、米国特許第4,676,980号及びBrennan et al.,Science,229:81(1985)参照);ロイシンジッパーを使用した二重特異性抗体の生成(例えば、Kostelny et al.,J.Immunol.,148(5):1547-1553(1992)及び国際公開第2011/034605号参照);軽鎖の誤対合問題を回避するための一般的な軽鎖技術の使用(例えば、国際公開第98/50431号参照);二重特異性抗体断片を作製するための「ダイアボディ」技術の使用(例えば、Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993)参照);及び一本鎖Fv(sFv)二量体の使用(例えば、Gruber et al.,J.Immunol.,152:5368(1994)参照);並びに例えばTutt et al.J.Immunol.147:60(1991)に記載されている三重特異性抗体の調製によって作製することができる。
【0195】
例えば、「オクトパス抗体」を含め、3つ以上の抗原結合部位を有する操作抗体、又はDVD-Igもまたここに含まれる(例えば、国際公開第2001/77342号及び国際公開第2008/024715号を参照されたい)。3つ以上の抗原結合部位を有する多重特異性抗体の他の例は、国際公開第2010/115589号、国際公開第2010/112193号、国際公開第2010/136172号、国際公開第2010/145792号、及び国際公開第2013/026831号に見出すことができる。二重特異性抗体又はその抗原結合断片には、Notch2と別の異なる抗原、又はNotch2の2つの異なるエピトープに結合する抗原結合部位を含む「二重作用FAb」又は「DAF」も含まれる(例えば、米国特許出願公開第2008/0069820号明細書及び国際公開第2015/095539号を参照)。
【0196】
多重特異性抗体はまた、同じ抗原特異性の1つ又は複数の結合アームにドメインクロスオーバーを持つ非対称の形で、すなわちVH/VLドメイン(例えば、国際公開第2009/080252号及び国際公開第2015/150447号を参照)、CH1/CLドメイン(国際公開第2009/080253号を参照)又は完全なFabアーム(国際公開第2009/080251号、国際公開第2016/016299号を参照、Schaefer等のPNAS,108(2011)1187-1191、及びKlein et al.,MAbs 8(2016)1010-20も参照)を交換することによっても提供され得る。いくつかの態様では、多重特異性抗体はクロス-Fab断片を含む。「クロスFab断片」又は「xFab断片」又は「クロスオーバーFab断片」という用語は、重鎖及び軽鎖の可変領域又は定常領域のいずれかが交換されたFab断片を指す。クロスFab断片は、軽鎖可変領域(VL)及び重鎖定常領域1(CH1)で構成されるポリペプチド鎖、並びに重鎖可変領域(VH)及び軽鎖定常領域(CL)で構成されるポリペプチド鎖を含む。非対称Fabアームは、荷電又は非荷電アミノ酸突然変異をドメインインターフェースに導入して正しいFabペアリングを指示することによって操作することもできる。例えば、国際公開第2016/172485号を参照。
【0197】
多重特異性抗体の様々なさらなる分子フォーマットが当該技術分野で知られており、本明細書に含まれる(例えば、Spiess et al.,Mol Immunol 67(2015)95-106参照)。
【0198】
本明細書に同様に含まれる特定の種類の多重特異性抗体は、標的細胞、例えば腫瘍細胞上の表面抗原、及びT細胞受容体(TCR)複合体の活性化インバリアント構成成分、例えばT細胞を再標的化して標的細胞を死滅させるためのCD3に同時に結合するように設計された二重特異性抗体である。したがって、ある特定の態様では、本明細書に提供される抗体は、結合特異性のうちの一方がNotch2に対するものであり、他方がCD3に対するものである多重特異性抗体、特に二重特異性抗体である。
【0199】
この目的のために有用でありうる二重特異性抗体フォーマットの例には、2つのscFv分子が柔軟なリンカーによって融合されている、いわゆる「BiTE」(二重特異性T細胞エンゲージャー(engager))分子(例えば、国際公開第2004/106381号、国際公開第2005/061547号、国際公開第2007/042261号及び国際公開第2008/119567号、Nagorsen及びBaeuerle,Exp Cell Res 317,1255-1260(2011)参照)、ダイアボディ(Holligerら、Prot Eng 9,299-305(1996))及びその誘導体、例えばタンデムダイアボディ(「TandAb」Kipriyanovら、J Mol Biol 293,41-56(1999))、ダイアボディフォーマットに基づくが、安定化付加のためのC末端ジスルフィド架橋を特徴とする「DART」(二重親和性再標的化)分子(Johnsonら、J Mol Biol 399,436-449(2010))、なびに全ハイブリッドマウス/ラットIgG分子であるいわゆるトリオマブ(triomab)(Seimetzら、Cancer Treat Rev 36,458-467(2010)に概説)が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に含まれる、具体的なT細胞二重特異性抗体形式は、国際公開第2013/026833号、国際公開第2013/026839号、国際公開第2016/020309号;Bacac et al.,Oncoimmunology 5(8)(2016)e1203498に記載されている。
【0200】
7.抗体バリアント
特定の態様では、本明細書に提供される抗体のアミノ酸配列バリアントが企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的性質を変化させることが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列バリアントは、抗体をコードするヌクレオチド配列中に適正な修飾を導入することによって、又はペプチド合成によって調製されてもよい。このような改変としては、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/又は抗体のアミノ酸配列内の残基への挿入、及び/又は抗体のアミノ酸配列内の残基の置換が挙げられる。欠失、挿入及び置換の任意の組み合わせは、最終構築物が、所望の特徴(例えば、抗原結合)を有する限り、最終構築物に到達するように行うことができる。
【0201】
a)置換、挿入、及び欠失バリアント
特定の態様では、1つ又は複数のアミノ酸置換を有する抗体バリアントが提供される。置換変異誘発に関心のある部位には、CDR及びFRが含まれる。保存的置換は、表1において、「好ましい置換」の見出しの下に示される。より実質的な変化は、表1において、「例示的な置換」の見出しの下に提供され、またアミノ酸側鎖クラスを参照して以下に更に記載されるとおりである。目的の抗体中にアミノ酸置換を導入することができ、その産物を、所望の活性、例えば、保持/改善された抗原結合、減少した免疫原性、又は改善されたADCC若しくはCDCについてスクリーニングする。
【表1】
【0202】
アミノ酸は、一般的な側鎖特性に従って分類され得る。
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0203】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスのメンバーと交換することを伴うことになる。
【0204】
ある種の置換バリアントは、親抗体(例えば、ヒト化抗体又はヒト抗体)の1つ以上の超可変領域残基を置換することを含む。一般に、さらなる試験ために選択される結果として生じるバリアント(複数可)は、親抗体と比較して特定の生物学的特性(例えば、親和性の増加、免疫原性の低減)の修正(例えば、改善)を有し、かつ/又は実質的に保持された親抗体の特定の生物学的特性を有する。例示的な置換バリアントは、親和性成熟した抗体であり、例えば、本明細書に記載されるようなファージディスプレイに基づく親和性成熟技術を用い、簡便に作製され得る。簡潔には、1つ又は複数。CDR残基が変異され、バリアント抗体がファージにディスプレイされ、特定の生物活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。
【0205】
抗体親和性を向上させるために、例えば、CDRにおいて改変(例えば、置換)を行ってもよい。そのような改変は、CDR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で突然変異を受けるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179-196(2008)を参照されたい)、及び/又は抗原と接触する残基内で行われ得、結果として得られるバリアントVH又はVLが結合親和性について試験される。二次ライブラリの構築及びそこからの再選択による親和性成熟は、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,(2001))に記載されている。親和性成熟のいくつかの態様では、多様な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャッフリング、又はオリゴヌクレオチド指向性変異誘発)のいずれかによって、成熟のために選択される可変遺伝子に多様性が導入される。次いで、二次ライブラリが作製される。次いで、このライブラリをスクリーニングして、所望の親和性を有する抗体バリアントを同定する。多様性を導入する別の方法は、いくつかのCDR残基(例えば、一度に4~6残基)がランダム化されるCDR指向手法を含む。抗原結合に関与するCDR残基は、例えば、アラニン・スキャニング突然変異誘発又はモデル化を用いて、特異的に同定され得る。特に、CDR-H3及びCDR-L3が、標的にされることが多い。
【0206】
特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、そのような改変が抗体の抗原に結合する能力を実質的に低減させない限り、1つ以上のCDR内で生じ得る。例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的な変更(例えば、本明細書で提供されるような保存的置換)は、CDRにおいて行われてもよい。そのような改変は、例えば、CDR中の抗原接触残基の外側であってもよい。上述の特定のバリアントVH及びVL配列において、各CDRは、改変されていないか、又は1つ、2つ、又は3つ以下のアミノ酸置換を有するかのいずれかである。
【0207】
変異導入の標的となり得る抗体の残基又は領域を同定するための有用な方法は、Cunningham and Wells(1989)Science,244:1081-1085に記載されているように「アラニン・スキャニング突然変異誘発」と呼ばれる。この方法では、標的残基(例えば、arg、asp、his、lys、及びgluなどの荷電残基)の残基又はグループを同定し、中性又は負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)で置換して、抗体と抗原との相互作用が影響を受けるかどうかを決定する。更なる置換が、最初の置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸の位置に導入されてもよい。代替的に、又は追加的に、抗原-抗体複合体の結晶構造を使用して、抗体と抗原との間の接触点が特定され得る。そのような接触残基及び隣接残基は、置換の候補として標的とされるか、又は除去されてもよい。バリアントは、所望の特性を有するか否かを判定するためにスクリーニングされてもよい。
【0208】
アミノ酸配列挿入には、1個の残基から100個以上の残基を含むポリペプチドまでの長さの範囲のアミノ末端及び/又はカルボキシル末端融合、並びに1個以上のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入バリアントとしては、酵素(例えば、ADEPT(抗体指向性酵素プロドラッグ治療法のための)又はポリペプチドへの抗体のN末端若しくはC末端の融合が挙げられ、これは抗体の血清半減期を増大させる。
【0209】
b)グリコシル化バリアント
特定の態様では、本明細書において提供する抗体を変えて、抗体のグリコシル化の程度を増減させる。抗体へのグリコシル化部位の付加又は欠失は、1つ以上のグリコシル化部位が作り出されるか、又は除去されるようにアミノ酸配列を改変させることにより好都合に達成され得る。
【0210】
抗体がFc領域を含む場合、抗体に付着しているオリゴ糖を変更してもよい。哺乳動物細胞によって産生された天然抗体は、典型的には、N結合によってFc領域のCH2ドメインのAsn297に一般に結合される分岐状の二分岐オリゴ糖を含む。例えば、Wright et al.TIBTECH 15:26-32(1997)を参照されたい。オリゴ糖には、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸、並びに二分岐型オリゴ糖構造の「幹」のGlcNAcに結合したフコースが含まれ得る。いくつかの態様では、本発明の抗体中のオリゴ糖の修飾が、特定の改良された特性を有する抗体バリアントを生成するために行われてもよい。
【0211】
いくつかの態様では、非フコシル化オリゴ糖、即ち、Fc領域へのフコース結合(直接又は間接)が欠落した、オリゴ糖構造を有する抗体バリアントを提供する。このような非フコシル化オリゴ糖(「アフコシル化」オリゴ糖とも呼ばれる)は特に、二分岐オリゴ糖構造の幹に第1のGlcNAcが結合したフコース残基を欠く、N結合オリゴ糖である。いくつかの態様では、天然又は親抗体と比較して、Fc領域における非フコシル化オリゴ糖の比率が増加した抗体バリアントを提供する。例えば、非フコシル化オリゴ糖の割合は、少なくとも約20%、少なくとも約40%、少なくとも約60%、少なくとも約80%、又は場合によっては約100%(すなわち、フコシル化オリゴ糖が存在しない)であってもよい。非フコシル化オリゴ糖の割合は、例えば、国際公開第2006/082515号に記載のMALDI-TOF質量分析法により測定した、Asn297に結合した全てのオリゴ糖の合計(例えば、複合体、ハイブリッド、及びハイマンノース構造)に対する、フコース残基を欠くオリゴ糖の(平均)量である。Asn297は、Fc領域の約297位に位置するアスパラギン残基を指す(Fc領域残基のEUナンバリング);しかしながら、Asn297は、抗体のマイナーな配列変化のために、位置297の上流又は下流、すなわち位置294と300の間の約±3個のアミノ酸に位置していてもよい。Fc領域における非フコシル化オリゴ糖の割合が増加したこのような抗体は、改善されたFcγRIIIa受容体結合、及び/又は改善されたエフェクター機能、特に改善されたADCC機能を有することができる。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号;同第2004/0093621号を参照のこと。
【0212】
フコシル化が低下した抗体を産生可能な細胞株の例としては、タンパク質フコシル化が不足しているLec13CHO細胞(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533-545(1986);米国特許出願公開第2003/0157108号;及び国際公開第2004/056312号、特に実施例11)、及びノックアウト細胞株、例えばアルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子のFUT8ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614-622(2004);Kanda,Y.et al.,Biotechnol.Bioeng.,94(4):680-688(2006);及び国際公開第2003/085107号を参照されたい)、又はGDP-フコース合成若しくはトランスポータータンパク質の活性が低下若しくは消滅した細胞(例えば、米国特許出願公開第2004259150号、同第2005031613号、同第2004132140号、同第2004110282号を参照されたい)が挙げられる。
【0213】
さらなる態様では、抗体バリアントは、例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcにより二分されている二分されたオリゴ糖と共に提供される。このような抗体バリアントは、上述のとおり、低下したフコシル化及び/又は改善されたADCC機能を有しうる。このような抗体バリアントの例は、例えばUmana et al.,Nat Biotechnol 17,176-180(1999);Ferrara et al.,Biotechn Bioeng 93,851-861(2006);国際公開第99/54342号、国際公開第2004/065540号、国際公開第2003/011878号に記載されている。
【0214】
Fc領域に付着したオリゴ糖中に少なくとも1つのガラクトース残基を持つ抗体バリアントも提供される。そのような抗体バリアントは、改善されたCDC機能を有し得る。このような抗体バリアントの例は、例えば、国際公開第1997/30087号;同第1998/58964号;及び同第1999/22764号に記載されている。
【0215】
c)Fc領域バリアント
特定の態様では、1つ以上のアミノ酸改変は、本明細書で提示される抗体のFc領域に導入されてもよく、それにより、Fc領域バリアントを作製する。Fc領域バリアントは、1つ以上のアミノ酸位置にアミノ酸改変(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG、IgG、IgG、又はIgGFc領域)を含み得る。
【0216】
特定の態様では、本発明は、全てではないがいくつかのエフェクター機能を有することで、抗体のインビボ半減期が重要でありながら、特定のエフェクター機能(例えば補体依存性細胞傷害(CDC)及び抗体依存性細胞傷害(ADCC))が不必要、又は有害である用途に対して望ましい候補となる、抗体バリアントを想到する。CDC及び/又はADCC活性の低下/消失を確認するために、インビトロ及び/又はインビボの細胞毒性アッセイを実施することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実行して、抗体がFcγR結合を欠いている(そのため、ADCC活性を欠いている可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持することを確認することができる。ADCCを媒介するための主要な細胞であるNK細胞は、FcγRIIIのみを発現するが、一方で単球は、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIを発現する。造血細胞におけるFcRの発現については、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-492(1991)の464頁の表3に要約されている。目的の分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom,I.et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA83:7059-7063(1986)を参照)及びHellstrom,I et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA82:1499-1502(1985);5,821,337(Bruggemann,M.et al.,J.Exp.Med.166:1351-1361(1987)を参照)に記載されている。代替としては、非放射性アッセイ法を採用してもよい(例えば、ACTI(商標)フローサイトメトリー用非放射性細胞毒性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View、CA)、及び CytoTox 96(登録商標)非放射性細胞毒性試験法(Promega、Madison、WI)を参照されたい)。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核球(PBMC:peripheral blood mononuclear cell)及びナチュラルキラー(Natural Killer:NK)細胞が挙げられる。あるいは、又は加えて、目的のADCC活性は、例えば、Clynes et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 95:652-656(1998)に開示されるような動物モデルにおいて、インビトロで評価され得る。また、抗体がC1qに結合することができず、CDC活性を欠いていることを確認するために、C1q結合アッセイを実施してもよい。例えば、国際公開第2006/029879号及び同第2005/100402号のC1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを行うことができる(例えば、Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996);Cragg,M.S.et al.,Blood 101:1045-1052(2003);及びCragg,M.S.and M.J.Glennie,Blood 103:2738-2743(2004)を参照)、FcRn結合及びインビトロクリアランス/半減期の決定は、当該技術分野に既知の方法を使用して実施することもできる(例えば、Petkova,S.B.et al.,Int’l.Immunol.18(12):1759-1769(2006);WO2013/120929Alを参照されたい)。
【0217】
エフェクター機能が低下した抗体としては、Fc領域の残基238、265、269、270、297、327及び329の1つ以上の置換を有する抗体が挙げられる(米国特許第6,737,056号)。このようなFc突然変異体としては、アミノ酸位置265、269、270、297及び327のうち2つ以上での置換を有するFc突然変異体が挙げられ、残基265及び297がアラニンに置換されている、いわゆる「DANA」Fc突然変異体を含む(米国特許第7,332,581号)。
【0218】
FcRへの結合が改善又は減少した特定の抗体バリアントが記載されている。(例えば、米国特許第6,737,056号;国際公開第2004/056312号,及びShields et al.,J.Biol.Chem.9(2):6591-6604(2001)を参照されたい。)
【0219】
特定の態様では、抗体バリアントは、ADCCを改善する1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298、333、及び/又は334位(残基のEUナンバリング)での置換を有するFc領域を含む。
【0220】
特定の態様では、抗体バリアントは、FcγR結合を減少さあせる1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の位置234及び235(EUナンバリングの残基)を有するFc領域を含む。いくつかの態様では、置換はL234A及びL235A(LALA)である。特定の態様では、抗体バリアントは、ヒトIgGFc領域に由来するFc領域に、D265A及び/又はP329Gをさらに含む。いくつかの態様では、置換は、ヒトIgGFc領域に由来するFc領域における、L234A、L235A、及びP329G(LALA-PG)である。(例えば、国際公開第2012/130831号を参照されたい。)いくつかの態様において、置換は、ヒトIgGFc領域に由来するFc領域における、L234A、L235A、及びD265A(LALA-DA)である。
【0221】
いくつかの態様では、例えば米国特許第6,194,551号、国際公開第99/51642号、及びIdusogie et al.J.Immunol.164:4178-4184(2000)に記載されているように、C1q結合及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)の変化(すなわち向上又は低下のいずれか)をもたらすFc領域内で変化が起こる。
【0222】
半減期が増大し、胎生Fc受容体(FcRn)への結合が向上した、母体IgGを胎児に移行する役割を果たす抗体(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)及びKim et al.,J.Immunol.24:249(1994))は、米国特許出願公開第2005/0014934号(Hinton et al.)に記載されている。それらの抗体は、Fc領域とFcRnとの結合を改善する1つ以上の置換をその中に有するFc領域を含む。そのようなFcバリアントには、Fc領域残基:238、252、254、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424又は434のうちの1つ又は複数に置換、例えばFc領域残基434の置換を有するものが含まれる(例えば、米国特許第7,371,826号;Dall’Acqua,W.F.,et al.J.Biol.Chem.281(2006)23514-23524を参照のこと)。
【0223】
マウスFcマウスFcRn相互作用に決定的なFc領域残基は、部位特異的突然変異誘発により識別されている(例えば、Dall’Acqua,W.F.,et al.J.Immunol 169(2002)5171-5180を参照のこと)。残基I253、H310、H433、N434、及びH435(EUインデックスナンバリング)が、相互作用に関与する(Medesan,C.,et al.,Eur.J.Immunol.26(1996)2533;Firan,M.,et al.,Int.Immunol.13(2001)993;Kim,J.K.,et al.,Eur.J.Immunol.24(1994)542)。残基I253、H310、及びH435が、ヒトFcとマウスFcRnの相互作用に決定的であることが発見された(Kim,J.K.,et al.,Eur.J.Immunol.29(1999)2819)。ヒトFc-ヒトFcRn複合体の研究により、残基I253、S254、H435、及びY436が相互作用に決定的であることが示されている(Firan,M.,et al.,Int.Immunol.13(2001)993;Shields,R.L.,et al.,J.Biol.Chem.276(2001)6591-6604)。Yeung,Y.A.,et al.(J.Immunol.182(2009)7667-7671)において、残基248~259、及び301~317、及び376~382、及び424~437の様々な変異が報告され、調査されている。
【0224】
特定の態様では、抗体バリアントは、FcRn結合を低下させる1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fcの領域位置253、及び/又は310、及び/又は435(EUナンバリングの残基)における変異を有するFc領域を含む。特定の態様では、抗体バリアントは、位置253、310、及び435におけるアミノ酸置換を有するFc領域を含む。いくつかの態様では、置換は、ヒトIgG1 Fc領域に由来するFc領域における、I253A、H310A、及びH435Aである。例えば、Grevys,A.,et al.,J.Immunol.194(2015)5497-5508を参照のこと。
【0225】
特定の態様では、抗体バリアントは、FcRn結合を低下させる1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の位置310、及び/又は433、及び/又は436(EUナンバリングの残基)における変異を有するFc領域を含む。特定の態様では、抗体バリアントは、位置310、433、及び436におけるアミノ酸置換を有するFc領域を含む。いくつかの態様では、置換は、ヒトIgG1 Fc領域に由来するFc領域における、H310A、H433A、及びY436Aである。(例えば、国際公開第2014/177460号を参照されたい。)
【0226】
特定の態様では、抗体バリアントは、FcRn結合を増加させる1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fcの領域位置252、及び/又は254、及び/又は256(EUナンバリングの残基)における変異を有するFc領域を含む。特定の態様では、抗体バリアントは、位置252、254、及び256におけるアミノ酸置換を有するFc領域を含む。いくつかの態様では、置換は、ヒトIgG Fc領域に由来するFc領域におけるM252Y、S254T、及びT256Eである。Fc領域バリアントの他の例に関しては、Duncan&Winter,Nature 322:738-40(1988)、米国特許第5,648,260号、米国特許第5,624,821号、及び国際公開第94/29351号も参照されたい。
【0227】
本明細書に報告されるような抗体の重鎖のC末端は、アミノ酸残基PGKで終わる完全なC末端であってもよい。重鎖のC末端は、C末端アミノ酸残基のうち1つ又は2つが除去された、短くなったC末端であってもよい。1つの好ましい態様では、重鎖のC末端は短縮C末端末端PGである。本明細書に報告される全ての態様のうちのいくつかの態様では、本明細書に明記されるC末端のCH3ドメインを含む重鎖を含む抗体は、C末端グリシン-リシンジペプチドを含む(G446及びK447、EUインデックス・ナンバリングのアミノ酸位置)。本明細書に報告される全ての態様のうちのいくつかの態様では、本明細書に明記されるC末端のCH3ドメインを含む重鎖を含む抗体は、C末端グリシン残基を含む(G446、EUインデックス・ナンバリングのアミノ酸位置)。
【0228】
d)システイン操作抗体バリアント
特定の態様では、抗体の1つ以上の残基がシステイン残基で置換されているシステイン操作抗体、例えば、THIOMAB(商標)を生成することが望ましい場合がある。特定の態様では、置換された残基は、抗体の利用しやすい部位で生じる。これらの残基をシステインで置換することにより、反応性チオール基は、それによって抗体のアクセス可能な部位に配置され、本明細書に更に記載されるように、抗体を薬物部位又はリンカー薬物部位等のような他の部位に複合して免疫コンジュゲートを作成するために使用することができる。システイン操作抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号、同第8,30,930号、同第7,855,275号、同第9,000,130号、又は国際公開第2016040856号に記載のように生成することができる。
【0229】
8.免疫コンジュゲート
本発明はまた、細胞傷害性薬剤、化学療法剤若しくは化学療法薬、成長阻害剤、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌真菌、植物、若しくは動物起源の酵素活性毒素、又はそれらの断片)、又は放射性同位体などの1つ又は複数の治療剤と複合された本明細書における抗Notch2抗体を含む、免疫コンジュゲートを提供する。
【0230】
いくつかの態様では、免疫コンジュゲートは、抗体が、前述の治療剤の1種又は複数にコンジュゲートされている、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)である。抗体は典型的には、リンカーを使用して、治療剤の1種又は複数に接続される。治療剤及び治療薬及びリンカーの例を含む、ADC技術の概説は、Pharmacol Review 68:3-19(2016)に記載されている。
【0231】
いくつかの態様では、免疫コンジュゲートは、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(シュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、アレウリテス・フォーディ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンシンタンパク質、フィトラカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、モモルディカ・チャランチア(momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サポナリア・オフィシナリス(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、及びトリコテセンを含むがこれらに限定されない、酵素活性毒素又はその断片にコンジュゲートされた本明細書に記載の抗体を含む。
【0232】
いくつかの態様では、免疫コンジュゲートは、放射性原子にコンジュゲートされ、放射性コンジュゲートを形成する、本明細書に記載の抗体を含む。放射性コンジュゲートの生産には、様々な放射性同位体が利用可能である。例としては、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位元素が挙げられる。検出のために用いられる場合、放射性コンジュゲートは、シンチグラフ検査用の放射性原子、例えばtc99m又はI123、あるいは核磁気共鳴(NMR)イメージング(磁気共鳴イメージング、mriとしても知られる)のためのスピン標識(ここでもヨウ素-123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガン又は鉄等)を含みうる。
【0233】
抗体と細胞傷害剤とのコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHCl)、活性エステル(例えばジスクシンイミジルスベレート)、アルデヒド(例えばグルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えばビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えばビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えばトルエン2,6-ジイソシアネート)、及び二活性フッ素化合物(例えば1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して作製することができる。例えば、リシンイムノトキシンは、Vitetta et al.,Science 238:1098(1987)に記載されているようにして調製することができる。炭素-14-標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体へのコンジュゲーションのための例示的キレート剤である。国際公開第94/11026号を参照されたい。リンカーは、細胞内において細胞傷害性薬物の放出を容易にする「切断可能リンカー」であってもよい。例えば、酸不安定リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光不安定リンカー、ジメチルリンカー又はジスルフィド含有リンカー(Chariら、「Cancer Res.」第52巻第127~131頁(1992年);米国特許第5,208,020号)を使用することができる。
【0234】
本明細書における免疫コンジュゲート又はADCは、限定されないが、市販(例:米国イリノイ州ロックフォードのPierce Biotechnology社から)されている、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC及びスルホ-SMPB、並びにSVSB(スクシンイミジル-(4-ビニルスルホン)ベンゾエート)を含むがこれらに限定されない架橋試薬を用いて調製されたコンジュゲートを明確に意図している。
【0235】
B.組換え方法及び組成物
抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号に記載されているように、組換え方法及び組成物を使用して産生することができる。これらの方法のために、抗体をコードする1つ又は複数の単離された核酸が提供される。
【0236】
2つの核酸が必要とされる天然抗体又は天然抗体断片の場合、1つは軽鎖又はその断片のためのものであり、1つは重鎖又はその断片のためのものである。このような核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列及び/又はVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/又は重鎖(複数可))をコードする。これらの核酸は、同じ発現ベクター上、又は異なる発現ベクター上にあってもよい。
【0237】
4つの核酸が必要とされるヘテロ二量体の重鎖を有する二重特異性抗体の場合、1つは第1の軽鎖のため、1つは第1のヘテロモノマーFc領域ポリペプチドを含む第1の重鎖のため、1つは第2の軽鎖のため、及び1つは第2のヘテロモノマーFc領域ポリペプチドを含む第2の重鎖のためのものである。4つの核酸は、1つ以上の核酸分子又は発現ベクターに含まれ得る。このような核酸は、第1のVLを含むアミノ酸配列及び/又は第1のヘテロモノマーFc領域を含む第1のVHを含むアミノ酸配列及び/又は第2のVLを含むアミノ酸配列及び/又は抗体の第2のヘテロモノマーFc領域を含む第2のVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の第1及び/若しくは第2の軽鎖並びに/又は第1及び/若しくは第2の重鎖)をコードする。これらの核酸は、同じ発現ベクター又は異なる発現ベクター上にあってもよく、通常、これらの核酸は、2つ又は3つの発現ベクター上に位置しており、すなわち、1つのベクターは、これらの核酸のうち、2つ以上を含んでいてもよい。これらの二重特異性抗体の例は、クロス(Cross)Mabである(例えば、Schaefer,W.ら、PNAS、108(2011)11187~1191を参照されたい)。例えば、ヘテロモノマー重鎖の1つは、いわゆる「ノブ突然変異」(T366Wと、任意に、S354C又はY349Cのうち1つ)を含み、他方は、いわゆる「ホール突然変異」(T366S、L368A及びY407Vと、任意に、Y349C又はS354C)を含む(例えば、Carter,P.et al.,Immunotechnol.2(1996)73を参照)(EUナンバリングによる))。
【0238】
いくつかの態様では、本明細書で報告される方法で使用される抗体をコードする単離された核酸が提供される。
【0239】
いくつかの態様では、抗Notch2抗体を作製する方法であって、抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、抗体の発現に好適な条件下で培養することと、任意に、抗体を宿主細胞(又は宿主細胞培養物)から回収することとを含む、方法が提供される。
【0240】
抗Notch2抗体の組換え産生に関しては、例えば、上述の抗体をコードする核酸が単離され、さらなるクローニング及び/又は宿主細胞内での発現のために、1つ以上のベクターに挿入される。このような核酸は、容易に単離することができ、一般的な手順を用いて(例えば、抗体の重鎖と軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)配列決定することができる。
【0241】
抗体コード化ベクターのクローニング又は発現のための好適な宿主細胞には、本明細書に記載の原核細胞又は真核細胞が含まれる。例えば、抗体は、特に糖鎖修飾やFcエフェクター機能を必要としない場合には、細菌中で産生されてもよい。細菌中の抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、米国特許第5,789,199号、及び米国特許第5,840,523号を参照されたい。(大腸菌における抗体断片の発現を記載するCharlton,K.A.,In:Methods in Molecular Biology,Vol.248,Lo,B.K.C.(ed.),Humana Press,Totowa,NJ(2003),pp.245-254も参照。)発現後、抗体は、適切なフラクション中の細菌細胞ペーストから単離されてもよく、更に精製されてもよい。
【0242】
原核生物に加えて、糸状菌や酵母等の真核生物は、抗体をコードするベクターのクローニング又は発現宿主として適しており、その中には、グリコシル化経路が「ヒト化」された菌株や酵母株が含まれ、その結果、部分的又は完全にヒトのグリコシル化パターンを有する抗体が産生される。Gerngross,T.U.,Nat.Biotech.22(2004)1409-1414;及びLi,H.et al.,Nat.Biotech.24(2006)210-215を参照。
【0243】
また、(グリコシル化)抗体を発現させるのに適した宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)に由来する。無脊椎動物細胞の例としては、植物細胞及び昆虫細胞が挙げられる。多くのバキュロウイルス株が同定されており、特に、Spodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションのために、これを昆虫細胞と組み合わせて使用してもよい。
【0244】
植物細胞培養物も、宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5,959,177号、米国特許第6,040,498号、米国特許第6,420,548号、米国特許第7,125,978号及び米国特許第6,417,429号(トランスジェニック植物において抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術を記載している)を参照。
【0245】
脊椎動物細胞も、宿主として使用され得る。例えば、懸濁物中で成長するように適合した哺乳動物細胞株が有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40(COS-7)によって形質転換されたサル腎臓CV1株、ヒト胚腎臓株(例えばGraham,F.L.et al.,J.Gen Virol.36(1977)59-74に記載されるような293細胞又は293T細胞、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,J.P.,Biol.Reprod.23(1980)243-252に記載されるようなTM4細胞)、サル腎臓細胞(CV1)、アフリカミドリサル腎臓細胞(VERO-76)、ヒト頸部癌腫細胞(HELA)、イヌ腎臓細胞(MDCK)、バッファローラット肝臓細胞(BRL3A)、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝臓細胞(Hep G2)、マウス乳房腫瘍(MMT060562)、TRI細胞(例えば、Mather,J.P.et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383(1982)44-68に記載)、MRC5細胞及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株としては、DHFR-CHO細胞を含む、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Urlaub,G.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77(1980)4216-4220)、及び、骨髄腫細胞株、例えば、Y0、NS0及びSp2/0が挙げられる。抗体産生に適した特定の哺乳動物宿主細胞の総説については、例えば、Yazaki,P.及びWu,A.M.、Methods in Molecular Biology、第248巻、Lo,B.K.C.(編.)、Humana Press、Totowa、NJ(2004)、255-268頁を参照されたい。
【0246】
いくつかの態様では、宿主細胞は、真核生物、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又はリンパ球細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。
【0247】
C.アッセイ
本明細書に提供される抗Notch2抗体は、それらの物理的/化学的特性及び/又は生物学的活性について、当該技術分野において既知である様々なアッセイによって、特定され、スクリーニングされ、又は特性評価されてもよい。
【0248】
1.結合アッセイ及び他のアッセイ
いくつかの態様では、本発明の抗体を、例えばELISA、ウエスタンブロット等の公知の方法によって、その抗原結合活性について試験する。
【0249】
いくつかの態様では、競合アッセイは、Notch2に対する結合について、本明細書で提供される抗体rat.1B2若しくはそのヒト化バージョン、rat.3107、rb.2338、rb.2430、及び/又はrb.2621のうちの1つ又は複数と競合する抗体を同定するために使用され得る。特定の態様では、そのような競合抗体は、rat.1B2若しくはそのヒト化バージョン、rat.3107、rb.2338、rb.2430、及び/又はrb.2621によって結合される同じエピトープ(例えば、線状又は立体構造エピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例示の方法が、Morris(1996)「Epitope Mapping Protocols」,in Methods in Molecular Biology vol.66(Humana Press,Totowa,NJ)に提供されている。
【0250】
例示的な競合アッセイでは、固定化されたNotch2が、Notch2に結合する第1の標識抗体(例えば、rat.1B2若しくはそのヒト化バージョン、rat.3107、rb.2338、rb.2430、又はrb.2621)と、Notch2への結合について第1の抗体と競合するその能力について試験されている第2の未標識抗体とを含む溶液中で、インキュベートされる。第2の抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在していてもよい。対照として、固定化されたNotch2は、第1の標識抗体を含む溶液中でインキュベートされるが、第2の非標識抗体を含む溶液中ではインキュベートされない。第1の抗体のNotch2への結合を許容する条件下でインキュベーションした後、過剰の未結合抗体を除去し、固定化されたNotch2に関連する標識の量を測定する。固定化されたNotch2に関連する標識の量が、対照試料と比較して試験試料中で実質的に減少している場合、それは、第2の抗体がNotch2への結合について第1の抗体と競合していることを示している。Harlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual ch.14(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY)を参照されたい。
【0251】
例示的なエピトープビニングアッセイでは、表面プラズモン共鳴を使用して抗体間の競合を決定する。例えば、第1の抗体(例えば、rat.1B2若しくはそのヒト化バージョン、rat.3107、rb.2338、rb.2430、又はrb.2621)を、アミノカップリングを使用してSPRセンサープリズムCMD 200Mチップに固定化する。分析物を4分間、例えば50nMで注射し、次いで第2の抗体を4分間、例えば10μg/mlで注射する。アッセイは、HBS-T緩衝液(0.01MでpH7.4のHEPES、0.15MのNaCl、0.05%の界面活性剤P20、5mM CaCl)のランニング緩衝液中で25℃で行われ得る。ビニングデータは、WasatchビニングソフトウェアツールEpitope(Carterra USA)を使用して処理することができる。
【0252】
2.活性アッセイ
いくつかの態様では、特定の生物学的活性を有する抗Notch2抗体を同定するためのアッセイが提供される。例えば、Jagged1媒介性シグナル伝達を阻害するが、DLL1媒介性シグナル伝達を実質的にインタクトのままにする抗Notch2抗体を同定するためのアッセイが提供される。インビトロ及び/又はインビボで分泌細胞の数を減少させる抗Notch2抗体を同定するためのアッセイも提供される。
【0253】
Jagged1媒介性シグナル伝達を阻害するが、DLL1媒介性シグナル伝達を実質的にインタクトのままにする抗Notch2抗体を同定するための非限定的な例示的アッセイを実施例5に記載する。一般に、いくつかの実施形態では、試験抗体が、ヒトNotch2を発現するヒト細胞(例えば、細胞株U87-MGなど)の培養物に加えられる。次いで、培養物を、Jagged1又はDLL1を発現する細胞と接触させる。リガンド依存性Notch2活性化は、Notch2発現細胞におけるNotch2-ICD転座をもたらす。インキュベーション後、共培養した細胞を固定し、透過処理し、次いで、抗Notch2 ICD抗体と接触させる。未結合の抗Notch2 ICD抗体を除去した後、結合した抗体を、例えば、標識抗Ig抗体を用いて検出する。抗Notch2試験抗体がJagged1媒介性シグナル伝達を阻害するが、DLL1媒介性シグナル伝達を阻害しない場合、DLL1を発現する細胞との共培養は、Jagged1を発現する細胞との共培養がそうでないよりも実質的に大きなシグナルを生じる。
【0254】
いくつかの実施形態では、抗Notch2抗体は、分泌細胞の数を減少させるかどうかを明らかにするためにアッセイされる。この活性を有する抗体を選択するための非限定的な例示的アッセイを実施例8に記載する。一般に、いくつかの実施形態では、初代ヒト気管支上皮細胞(HBEC)の気液界面(ALI)培養物を確立し、例えば線毛が視覚的に拍動しているときに示されるように、それらが完全に分化するまで数週間培養する。試験抗Notch2抗体をALI培養物の下側チャンバー中の培地に添加する。約7日後、ALI培養物を分析する。RNAを培養物の試料から抽出し、分泌細胞を示す遺伝子、例えばMuc5b、Muc5ac及びScgb1a1の発現についてアッセイする。培養物を固定し、パラフィンに包埋することによって、培養物を組織学によって分析することもできる。切片を、分泌細胞(Muc5bなど)及び線毛細胞(チューブリンなど)のマーカーに対する抗体で染色する。試験抗Notch2抗体を用いて及び用いずにインキュベートした培養物を比較して、分泌細胞、例えば杯細胞の数を減少させる抗Notch2抗体を同定する。
【0255】
D.診断及び検出のための方法及び組成物
特定の態様では、本明細書で提供される抗Notch2抗体のいずれも、生物学的試料中のNotch2の存在を検出するために有用である。本明細書で使用される場合、「検出」という用語は、定量的又は定性的な検出を包含する。特定の態様では、生物学的試料は、痰、分泌細胞、気道上皮細胞、免疫細胞、肺細胞若しくは組織、又は気管支細胞若しくは組織などの生物学的流体、細胞、又は組織を含む。
【0256】
いくつかの態様では、診断又は検出方法に使用するための抗Notch2抗体が提供される。さらなる態様では、生物学的試料中のNotch2の存在を検出する方法が提供される。特定の態様では、本方法は、抗Notch2抗体とNotch2との結合を許容する条件下で、生物学的試料を本明細書に記載の抗Notch2抗体と接触させ、抗Notch2抗体とNotch2との間に複合体が形成されているかどうかを検出することを含む。このような方法は、インビトロ法又はインビボ法であってもよい。いくつかの態様では、例えば、Notch2が患者の選択のためのバイオマーカーである場合、抗Notch2抗体を使用して、抗Notch2抗体での療法に適格な対象を選択する。
【0257】
特定の態様では、標識された抗Notch2抗体が提供される。標識としては、限定されないが、直接的に検出される標識又は部分(例えば、蛍光、色素体、電子密度の高い、化学発光及び放射性標識)、及び例えば酵素反応又は分子相互作用によって、間接的に検出される部分(例えば、酵素又はリガンド)が挙げられる。例示的な標識としては、限定されないが、放射性同位体32P、14C、125I、H及び131I、フルオロフォア、例えば、希土類キレート又はフルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルセリフェラーゼ(luceriferases)、例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリ性ホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖オキシダーゼ、例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ及びグルコース-6-ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ヘテロ環オキシダーゼ、例えば、ウリカーゼ及び過酸化水素を使用する酵素と連結し、染料前駆体を酸化するキサンチンオキシダーゼ、例えば、HRP、ラクトペルオキシダーゼ、又はミクロペルオキシダーゼ、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、安定な遊離ラジカル等が挙げられる。
【0258】
E.医薬組成物
さらなる態様において、例えば、以下の治療方法のいずれかにおいて使用するための、本明細書に提供される抗体のいずれかを含む、医薬組成物が提供される。いくつかの態様では、医薬組成物は、本明細書に提供される抗体のいずれかと、薬学的に許容され得る担体とを含む。いくつかの態様では、医薬組成物は、本明細書で提供される抗体のいずれかと、少なくとも1つの追加の治療剤、例えば、以下に記載するものとを含む。
【0259】
本明細書に記載される抗Notch2抗体の医薬組成物は、所望の程度の純度を有するかかる抗体と、1つ以上の任意の薬学的に許容され得る担体(「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第16版、Osol,A.編(1980年))とを混合することによって、凍結乾燥組成物又は水溶液の形態で調製される。薬学的に許容され得る担体は、一般的に、用いられる投薬量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、ヒスチジン、ホスファート、シトラート、アセタート及び他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル若しくはベンジルアルコール;メチル若しくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール等);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン若しくはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース若しくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース若しくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体)、並びに/又はポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含むが、これらに限定されない。本明細書における例示的な薬学的に許容され得る担体は、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Halozyme,Inc.)等のヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質等の介在性薬物分散剤を更に含む。rHuPH20を含む、特定の例示的なsHASEGP及び使用方法は、米国特許出願公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968号に記載される。いくつかの態様では、sHASEGPを、1つ以上の更なるグリコサミノグリカナーゼ(例えば、コンドロイチナーゼ)と組み合わせる。
【0260】
例示の凍結乾燥抗体組成物は、米国特許第6,267,958号に記載されている。水性抗体組成物としては、米国特許第6,171,586号及びWO2006/044908に記載のものが挙げられ、後者の組成物は、ヒスチジン-酢酸緩衝液を含む。
【0261】
本明細書の医薬組成物はまた、治療されている特定の徴候に必要とされる複数の有効成分、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない補完的な活性を有するものも含みうる。例えば、粘液の粘弾性を低下させることができる薬剤をさらに提供することが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、高張性生理食塩水、マンニトール、プルモザイム、N-アセチルシステイン、システアミン、及び気管支拡張薬から選択される。そのような有効成分は、意図される目的に有効な量で組み合わせて好適に存在する。
【0262】
有効成分は、例えば、コアセルベーション技術によって、又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル中に封入されてもよく(例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)、コロイド状薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミン微小球、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルションに封入されてもよい。そのような技術が、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
【0263】
徐放性の医薬組成物を調製することができる。徐放性調製物の好適な例としては、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスが含まれ、これらのマトリクスは、成形物品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態である。
【0264】
インビボ投与に使用される医薬組成物は、一般に無菌である。滅菌は、例えば滅菌濾過膜による濾過によって容易に達成され得る。
【0265】
F.治療方法及び投与経路
本明細書に提供される抗Notch2抗体のいずれも、治療方法において使用することができる。
【0266】
いくつかの態様では、医薬としての使用のための抗Notch2抗体が提供される。さらなる態様では、粘膜閉塞性肺疾患の治療に使用するための抗Notch2抗体が提供される。特定の態様では、治療方法に使用するための抗Notch2抗体が提供される。特定の態様では、本発明は、有効量の抗Notch2抗体を個体に投与することを含む、粘膜閉塞性肺疾患を有する個体を治療する方法に使用するための抗Notch2抗体を提供する。そのような一態様では、本方法は、例えば以下に記載されるように、有効量の少なくとも1つの追加の治療剤(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つの追加の治療剤)を個体に投与することをさらに含む。さらなる態様では、本発明は、個体における、例えば個体の肺における、分泌細胞、例えば杯細胞の数を減少させるのに使用するための抗Notch2抗体を提供する。特定の態様では、本発明は、個体における、例えば個体の肺における、分泌細胞、例えば杯細胞の数を減少させるための有効量の抗Notch2抗体を個体に投与することを含む、個体における、例えば個体の肺における、分泌細胞、例えば杯細胞の数を減少させる方法において使用するための抗Notch2抗体を提供する。肺における分泌細胞、例えば杯細胞の数を減少させることによって、肺における粘液の産生が減少し、及び/又はクリアランス若しくは粘液が増加し、それによって、例えば、粘膜閉塞性肺疾患の1つ又は複数の症候が緩和される。いくつかの実施形態では、本明細書中に提供される抗Notch2抗体による治療は、粘膜閉塞性肺疾患を有する対象における、FEV1(1秒間の強制呼気量)を改善し、息切れを軽減し、及び/又は咳を軽減する。
【0267】
さらなる態様では、本発明は、医薬の製造又は調製における抗Notch2抗体の使用を提供する。いくつかの態様では、医薬は粘膜閉塞性肺疾患の治療のためのものである。さらなる態様では、医薬は、粘膜閉塞性肺疾患を有する個体に対し、有効量の医薬を投与することを含む、粘膜閉塞性肺疾患を治療する方法における使用のためのものである。そのような一つの態様では、該方法は、有効量の少なくとも1つの追加の治療剤、例えば、以下に記載されるものを個体に投与することを更に含む。さらなる態様では、医薬は、個体における、例えば個体の肺における、分泌細胞、例えば杯細胞の数を減少させるためのものである。さらなる態様では、医薬は、個体における、例えば個体の肺における、分泌細胞、例えば杯細胞の数を減少させるための有効量の医薬を個体に投与することを含む、個体における、例えば個体の肺における、分泌細胞、例えば杯細胞の数を減少させる方法において使用するためのものである。
【0268】
さらなる態様では、本発明は、粘膜閉塞性肺疾患を治療するための方法を提供する。いくつかの態様では、本方法は、そのような粘膜閉塞性肺疾患を有する個体に有効量の抗Notch2抗体を投与することを含む。そのような一つの態様では、該方法は、有効量の少なくとも1つの追加の治療剤、以下に記載されるものを個体に投与することを更に含む。
【0269】
さらなる態様では、本発明は、個体における、例えば個体の肺における、分泌細胞、例えば杯細胞の数を減少させるため方法を提供する。いくつかの態様では、本方法は、個体における、例えば個体の肺における、分泌細胞、例えば杯細胞の数を減少させるために有効量の抗Notch2抗体を個体に投与することを含む。いくつかの態様では、「個体」はヒトである。
【0270】
本明細書で提供される抗Notch2抗体によって治療され得る非限定的な例示的な粘膜閉塞性肺疾患としては、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、原発性毛様体ジスキネジア、非嚢胞性線維症、気管支拡張症及び細気管支炎が挙げられる。
【0271】
上記の態様のいずれかによる「個体」又は「対象」は、ヒトであってもよい。
【0272】
さらなる態様では、本発明は、例えば上記の治療方法のいずれかにおいて使用するための、本明細書に提供される抗Notch2抗体のうちのいずれかを含む医薬組成物を提供する。いくつかの態様では、医薬組成物は、本明細書に提供される抗Notch2抗体のいずれかと、薬学的に許容され得る担体とを含む。いくつかの態様では、医薬組成物は、本明細書で提供される抗Notch2抗体のいずれかと、少なくとも1つの追加の治療剤、例えば、以下に記載するものとを含む。
【0273】
本発明の抗体は、単独で投与され得るか、又は併用療法において使用され得る。例えば、該併用療法には、本発明の抗体を投与することと、少なくとも1の追加の治療剤(例えば、1、2、3、4、5、又は6の追加の治療剤)を投与することとが含まれる。特定の態様では、併用療法は、本発明の抗体を投与すること、及び粘液粘弾性を低下させる薬剤などの少なくとも1つの追加の治療剤を投与することを含む。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、高張性生理食塩水、マンニトール、プルモザイム、N-アセチルシステイン、システアミン、及び気管支拡張薬から選択される。
【0274】
上述したそのような併用療法は、併用投与(ここでは、2つ以上の治療剤が同一又は別個の医薬組成物中に含まれる)及び別個の投与を包含し、この場合、本発明の抗体の投与は、追加の治療剤又は薬剤の投与に先立って、同時に、及び/又はそれに続いて、行われ得る。いくつかの態様では、抗Notch2抗体の投与及び追加の治療剤の投与は、互いの約1ヶ月以内、又は約1週間、2週間若しくは3週間以内、又は約1、2、3、4、5、若しくは6日以内に生じる。いくつかの態様では、抗体及び追加の治療剤は、治療の1日目に患者に投与される。
【0275】
本発明の抗体(及び任意の追加の治療剤)は、非経口、肺内、及び鼻腔内、並びに局所治療のために望まれる場合、病変内投与を含む、任意の適切な手段によって投与することができる。非経口輸液には、筋肉内投与、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、又は皮下投与が含まれる。投薬は、投与が短期又は長期であるかに部分的に応じて、任意の好適な経路、例えば、静脈内又は皮下注射等の注射、又は肺内(例えば吸入)若しくは鼻腔内送達によるものであり得る。単回又は様々な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、及びパルス輸注を含むが、これらに限定されない様々な投薬スケジュールが、本明細書では企図される。
【0276】
本発明の抗体は、良好な医療行為と一致した方法で製剤化され、投与され、投与されるであろう。これに関連して考慮すべき要因としては、治療される特定の障害、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床的症状、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医療従事者に既知である他の要因が挙げられる。抗体は、必ずしもそうである必要はないが、任意に、問題の障害を予防又は治療するために現在使用されている1つ以上の薬剤とともに製剤化される。このような他の薬剤の有効量は、医薬組成物中に存在する抗体の量、疾患又は治療の種類、及び上述した他の要因に依存する。これらは、一般に、本明細書に記載のものと同じ投薬量及び投与経路によって、又は本明細書に記載の投薬量の約1~99%、又は適切であると経験的/臨床的に判断される任意の投薬量及び任意の経路で使用される。
【0277】
疾患の予防又は治療について、本発明の抗体の適切な投薬量は(単独で、又は1つ以上の他の追加の治療剤と組み合わせて使用される場合)、治療される疾患の種類、抗体の種類、疾患の重症度及び経過、抗体が予防目的又は治療目的で投与されるかどうか、以前の療法、患者の病歴及び抗体への応答、並びに主治医の裁量に依存するだろう。抗体は、適切には、患者に一度に又は一連の治療にわたって投与される。かかる用量は、断続的に、例えば毎週又は3週間毎(例えば、患者が約2~約20回、又は例えば約6回の用量の抗体を受容するように)投与されてもよい。最初の多めの投与量、それに続く1回以上の量の少ない用量を投与してよい。しかしながら、他の投薬レジメンが有用であってもよい。この治療の進行は、従来の技術及びアッセイによって容易にモニタリングされる。
【0278】
G.製造物品
本発明のいくつかの態様では、上述した障害の治療、予防及び/又は診断に有用な物質を含有する製造物品が提供される。製造物品は、容器と、容器に挿入されるか、又は容器に付随するラベル又はパッケージ添付文書とを備えている。適切な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV溶液バッグなどが挙げられる。容器は、ガラス又はプラスチックなどの様々な材料から形成されてもよい。容器は、症状を治療、予防、及び/又は診断するのに有効な別の組成物と単独で又は組み合わせて使用される組成物を保持し、無菌アクセスポートを有していてもよい(例えば、容器は、静脈内溶液バッグ又は皮下注射針によって穿孔可能なストッパーを有するバイアルであってもよい)。組成物中の少なくとも1つの活性剤は、本発明の抗体である。ラベル又は添付文書は、組成物が、選択される症状を治療するために使用されることを示す。更に、製造物品は、(a)組成物を含む第1の容器を含み、この組成物は本発明の抗体を含み、(b)組成物を含む第2の容器を含み、この組成物は細胞疾患性又は他の治療剤をさらに含む。本発明のこの態様における製造物品は、組成物が特定の症状を治療するために使用され得ることを示すパッケージ添付文書をさらに含んでいてもよい。これに代えて、又はこれに加えて、製造物品は、薬学的に許容され得る緩衝液、例えば、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝化生理食塩水、Ringer溶液及びデキストロース溶液を含む第2の(又は第3の)容器を更に備えていてもよい。他の緩衝剤、希釈剤、フィルタ、針、注射器等、商業的及び使用者の観点から望ましい他の材料を更に含んでいてもよい。
【実施例
【0279】
III.実施例
以下は、本発明の方法及び組成物の例である。先に提供した一般的な説明を考慮すると、種々の他の実施形態が実施されてもよいことが理解される。
【0280】
実施例1:ウサギ及びラット抗Notch2抗体の作製
ニュージーランドホワイトウサギを、Notch2のEGFリピート6~10を含むヒト及びマウスの細胞外ドメイン(ECD)構築物(huNotch2-EGF6-10及びmuNotch2-EGF6-10)で共免疫化し、Offner et al.PLoS ONE 9(2),2014に基づく修正プロトコルを使用して単一B細胞を単離した。修正されたワークフローは、IgG+huNotch2+B細胞の単一ウェルへの直接FACSソーティングを含んだ。B細胞培養上清を、ヒトNotch2及び無関係な対照タンパク質との結合についてELISAでアッセイを行った。Notch2特異的B細胞を溶解し、直ちに-80℃で凍結し、分子クローニングまで保存した。ウサギB細胞由来の各モノクローナル抗体の可変領域(VH及びVL)を、先に記載したように(Offner et al.PLoS ONE 9(2),2014)抽出されたmRNAから、N297G突然変異を有するヒト定常領域を有する発現ベクターにクローニングした。個々の組換えキメラウサギ/ヒト抗体をExpi293細胞で発現させた後、プロテインAで精製した。精製した抗Notch2抗体を、本明細書に記載のように、機能活性アッセイと速度論的スクリーニングに供した。
【0281】
ラットを、MBP-huNotch2 EGF6-10+MBP-huNotch2 EGF7-9の組み合わせで免疫化するか、又はMBP-huNotch2 EGF6-10でプライミングし、huNotch2-EGF6-10でブーストし、改変された融合パートナーを用いてハイブリドーマを作製した(Price et al.J Immunol Methods 2009)。種々の条件を最適化して、個々のIgG+huNotch2+ハイブリドーマを単一のウェルへのソーティングを可能にし、次いで、ソーティング後にさらなる培養を行った。得られたハイブリドーマ上清をELISAによりアッセイし、陽性試料をタンパク質Aを用いて精製し、その後、機能的及び速度論的特徴付けを行った。特定のラットモノクローナル抗体を配列決定し、N297G突然変異を有する定常領域にクローニングした。個々の組換えキメララット/ヒト抗体をExpi293細胞で発現させ、続いてプロテインAで精製した。次いで、精製された抗Notch2抗体を、本明細書中に記載されるように、機能的活性アッセイ及び速度論的スクリーニングに供した。
【0282】
実施例2:アレイベースの表面プラズモン共鳴を使用した速度論的分析及びエピトープビニング
アレイベースのSPRイメージングシステム(Carterra USA)を使用して、実施例1で作製した5つのモノクローナル抗体のパネル(rat.1B2、rat.3107、rb.2338、rb.2430、及びrb.2621)並びに抗Notch 2/3抗体OMP-59R5(タレクスツマブ、米国特許第8,226,943号参照)をエピトープビニングした。精製した抗体を10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)で10μg/mlに希釈した。アミンカップリングを用いて、SPRセンサープリズムCMD200Mチップ(XanTec Bioanalytics GmbH、ドイツ)上にContinuous Flow Microspotter(Carterra,USA)を用いて抗体を直接固定化し、6つの抗体のアレイを作製した。分析には、IBIS MX96 SPRi(Carterra,USA)を使用し、固定化リガンドとの結合を評価した。速度論的解析のために、ヒトNotch2を0~300nMの3倍希釈で3分間注入し、その後、10分間の解離期間を経た。エピトープビニングのために、ヒトNotch2を最初に50nMで4分間注入し、続いて第2に、10μg/mlで個々のモノクローナル抗体を4分間注入した。サイクル間に10mMグリシンpH1.5で表面を再生した。実験は、HBS-T緩衝液(0.01MでpH7.4のHEPES、0.15MのNaCl、0.05%の界面活性剤P20、5mM CaCl)のランニング緩衝液中で25℃にて行った。ビニングデータは、WasatchビニングソフトウェアツールEpitope(Carterra USA)を使用して処理した。
【0283】
結果を図4に示す。抗体rat.1B2、rat.3107、rb.2338、rb.2430、及びrb.2621は、抗Notch 2/3抗体OMP-59R5とは異なるエピトープビンにあると決定された。
【0284】
実施例3:ラット抗Notch2抗体のヒト化
ラットモノクローナル抗体1B2及び3107を、以下に記載されるようにヒト化した。残基番号は、Kabat et al.,Sequences of proteins of immunological interest,5th Ed.,Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)による。
【0285】
1B2及び3107のヒト化中に構築されたバリアントを、ヒトIgGの形態で評価した。抗体の各々からの超可変領域(VLドメインにおける24~34位(L1)、50~56位(L2)、及び89~97位(L3)、並びにVHドメインにおける26~35位(H1)、50~65位(H2)、及び95~102位(H3))を、種々の受容体フレームワークに移植した。ラット1B2については、VL CDRをKV1-12*01に移植し、VH CDRをHV3-73*01に移植した。さらに、CDR-H2 Asn54-Phe55-Ser56のグリコシル化部位をAsp54-Phe55-Ser56に変異させた。ラット3107については、VL CDRをKV2-30*02に移植し、VH CDRをHV1-2*01に移植した。親抗体からの全てのVL及びVH Vernier位置もまた、それぞれのヒト生殖細胞系フレームワークに移植した。全てのラットアミノ酸がVernier位にあるグラフトは、L1H1(hu.1B2.L1H1及びhu.3107.L1H1)と呼ばれる
【0286】
hu.1B2.L1H1抗体の結合親和性を、そのキメラ親クローンと比較した。バージョンL1H1抗体のラットVernier位置をヒト残基に戻して、huNOTCH2への結合親和性に対する各ラットVernier位置の寄与を評価した。4つのさらなる軽鎖VernierバリアントL2~L5及び8つのさらなる重鎖VernierバリアントH2~H9を作製した。軽鎖(L7)上のSer43及びTyr71並びに重鎖(H14)上のVal24、Ala49、Ser76、及びLeu78は、上記バリアント抗体(データ示さず)の結合親和性評価に基づいて、鍵となるラットVernier残基であると決定した。結合親和性を、以下の実施例6で論じられるように決定した。キメラ1B2は5.21E-9 MのKで結合し、hu1B2.L7H14は6.13E-9 MのKで結合した。
【0287】
hu.3107.L1H1抗体の結合親和性を、そのキメラ親クローンと比較した。バージョンL1H1抗体のラットVernier位置をヒト残基に戻して、huNOTCH2への結合親和性に対する各ラットVernier位置の寄与を評価した。1個のさらなる軽鎖バリアント(L2)及び10個のさらなる重鎖バリアントH2~H11を作製した。
【0288】
3107に基づく抗Notch2ヒト化抗体の親和性を増加させるために、結合親和性評価及びヒト化抗体のHCS効力に基づいて4つの重鎖配列バリアントを作製した(データは示さず):P45、T48、A67、V71、S75及びT76を有するHV1-2*01中のH12;P45、T48、A67、V71、T76を有するHV1-2*01中のH13;H14及びH15は、それぞれH12及びH13と同じVernier残基を有するHV5-51*01中にある。軽鎖については、生殖系列KV4-1*1をCDRグラフト(L7)に使用した。さらに、軽鎖上のV2及びF36は、HCSアッセイにおいて効力を維持するラットVernier残基であると決定され、Germline KV4-1*01(L6)に移植された。HCSアッセイは、実質的に実施例5に記載のように行った。
【0289】
実施例4:ヒト化1B2抗体の親和性改善
1B2に基づく抗Notch2ヒト化抗体の効力を増大させるために、L7H10を鋳型として使用して560個の単一の点突然変異バリアントを作製した。得られた抗体を表面プラズモン共鳴によってスクリーニングし、解離速度に従ってランク付けした。重鎖に5つの突然変異(A50G、S51Q、I57R、S96H及びR98F)及び軽鎖に3つの突然変異(S31V、Q55H、及びL96I)があり、より遅い解離速度をもたらした。突然変異の良好な組み合わせを特定するために、突然変異の個々のセット及び組み合わせセットを用いて80個のバリアントを生成し、表面プラズモン共鳴特性評価によって評価した。S51Qは、解離速度を改善する突然変異として同定された。
【0290】
1B2の親和性をさらに改善するために、S51Q及びN54D突然変異を有するL1H1をファージディスプレイ親和性成熟の鋳型として使用した。簡潔には、合計4つのファージライブラリを構築し、M13バクテリオファージの表面に一価Fabとして提示した。ライブラリの第1のセットは、2つのCDR NNKウォークからなり(1つはCDR-H1、H2、及びH3のためのものであり、1つはCDR-L1、L2、及びL3のためのものである)、3つのCDRのそれぞれの1つの位置を同時にランダム化した。第2のセットは、CDR-L3又はCDR-H3全体を変異させた2つのハードランダム化ライブラリからなっていた。
【0291】
親和性改善選択のために、ファージライブラリを、ストリンジェンシーを増加させ、競合物質として冷ヒトNotch2 EGF6-10を用いて、4ラウンドの溶液選別に供した。CDR-H3ハードランダム化ライブラリについて濃縮が観察された。親配列を濃縮クローンと比較した後、いくつかのCDR-H3突然変異を同定した。抗体産生並びにさらなるBIAcore結合速度論的分析及びHCSアッセイのために、合計54個の組み合わせバリアントをヒトIgG1に再フォーマットした。HCSアッセイは、実質的に実施例5に記載のように行った。hu1B2.v2、hu1B2.v4、hu1B2.v9、及びhu1B2.v8は、HCSアッセイにおいて親和性及び効力の両方が最も改善されたと同定された。これら4つのバリアントのCDR-H3をVernierポリッシュド・ヒト化バリアントL7H14に移植し、それぞれhu1B2.v101、hu1B2.v102、hu1B2.v103、及びhu1B2.v104を作製した。結合親和性を、以下の実施例6で論じられるように決定した。hu1B2.L7H14は、hu.Notch2に対して6.13E-9Mの親和性を有するが、一方、hu1B2.v101、hu1B2.v102、hu1B2.v103、及びhu1B2.v014は、それぞれ2.84E-09、3.37E-09、3.08E-09、及び3.09E-09の親和性を有する。どのバリアントも、表面プラズモン共鳴によって、ヒトNotch1、ヒトNotch3又はヒトNotch4への結合を示さなかった。各抗Notch2バリアントの非特異的結合を、バキュロウイルス粒子を用いたELISA(Hotzel et al.MAbs 2012)で測定した。Hu1B2.v102及びhu1B2.v104を、熱ストレス及びAAPH酸化ストレス試験(Dion et al.J.Pharm.Sci 2018,107(2),550を参照)を用いて分子評価傾向(liabilities)についてアッセイした。傾向は特定されなかった。
【0292】
実施例5:Jagged1シグナル伝達を遮断するがDLL1シグナル伝達を遮断しない抗体を同定するためのハイコンテントスクリーニング(HCS)アッセイ
高レベルのhuNotch2(N2)を内因的に発現するヒト細胞株U87-MGを回収し、4,000細胞/ウェルをCell Carrier ultra 384ウェルプレート(Perkin Elmer,Waltham,MA)に播種した。プレートを37℃のCOインキュベーターで2~5時間培養し、このインキュベーション時間の間に、抗体(Ab)試験試料を、初期希釈を用いて手動で調製し、その後、Bravo自動化液体ハンドラー(Agilent,Santa Clara,CA)によって3倍又は3.5倍連続希釈の10ポイントのセットを行った。希釈したAb試料を、U-87-MG細胞を含むプレートの二重セットに移した。希釈したAbを添加した後、3T3-Jag1又はOP9-DLL1細胞を回収し、各リガンド細胞株を、Abで処理したU-87-MG細胞の上部にウェルあたり4,000細胞で播種し、インキュベートして、U-87-MG細胞においてリガンド依存性Notch-2活性化及びN2-ICD転座を生じさせた。
【0293】
16~22時間のインキュベーション後、受容体及びリガンド発現細胞の各共培養物を4%パラホルムアルデヒドで10分間固定し、プレートをPBSで洗浄し、次いで、細胞をPBS+0.05% BSA緩衝液中0.05%サポニン(Sigma-Aldrich,San Louis,MO)によって1時間透過処理した。透過処理後、プレートを洗浄し、ウサギ抗N2-ICD mAb D76A6(Cell Signaling Technology,Danvers,MA)を0.05%サポニン含有PBS/BSA緩衝液で希釈し、プレートに添加し、4℃で一晩インキュベートした。
【0294】
翌日、プレートを洗浄し、検出AF-647コンジュゲート抗ウサギ検出Ab(Jackson-Immunoresearch,West Grove,PA)及びHoechst-33342色素(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)を含有する緩衝液で染色し、次いで、穏やかに振盪しながら室温で2時間インキュベートした。細胞を染色した後、プレートを洗浄緩衝液で洗浄し、次いでPBSを各ウェルに添加し、次いでプレートを画像化した。
【0295】
OperaPhenix High Contentイメージングシステム(Perkin Elmer,Waltham,MA)で20倍の水浸対物レンズを使用して、各ウェルから6つの画像を撮影した。Columbusソフトウェア画像分析ツール(Perkin Elmer,Waltham,MA)を使用して分析を行い、核領域及び核を取り囲む環領域を同定し、シグナル強度を計算した。最大阻害対照試料からN2-ICD核転座陽性集団を計算するために閾値を得た。Columbusソフトウェア分析からの結果をGenedata Screenerアプリケーション(Lexington,MA)にアップロードし、そこで、最大阻害対照によって減算した中性対照から得た転座パーセンテージを用いて正規化プロセスを設定し、IC50値を計算した。
【0296】
3T3-Jag1及びOP9-DLL1共培養セットからのデータ分析結果を比較し、Jagged1媒介性活性化を遮断するがDLL1媒介性活性化を遮断しないNotch2抗体の発見、及び抗体のヒト化バージョンの最適化に使用した。例示的な結果を図5A図5Fに示す。試験した抗体はすべて、Jagged1媒介性活性化を遮断したが、DLL1媒介性活性化は遮断しなかった。表2は、Jagged1媒介性シグナル伝達の遮断について各抗体のIC50をまとめたものである。
【表2】
【0297】
別の実験では、ラット抗体3107及びヒト化バージョン3107を実質的に上記のようにHCSアッセイで試験した。この実験で試験した全ての抗体は、N297G突然変異を有するヒトIgG1を含んでいた。3107及びヒト化バリアントは全て、Jagged1媒介性活性化を遮断したが、DLL1媒介性活性化は遮断しなかった(データは示さず)。表3は、Jagged1媒介性シグナル伝達の遮断について各抗体のIC50をまとめたものである。
【表3】
【0298】
実施例6:BIAcore(商標)を用いた速度論的分析
抗体の結合親和性を、BIAcore(商標)T200マシンによって決定した。ウサギ抗体は、ウサギ可変ドメインとヒト定常ドメインを有するキメラ抗体として発現させた。ラット抗体は、ラット可変ドメインとヒト定常領域を有するキメラ抗体として発現させた。ヒト化抗体をヒトIgG1骨格で発現させた。速度論的測定のために、抗体を研究グレードのプロテインAチップ(GE Healthcare)で捕捉して、約300RUを達成した。huNotch2-EGF6-10の10倍連続希釈液を、追加の3mM CaClを含むHBS-P緩衝液中に37℃で100μL/分の流速で注入するした。結合率(ka)及び解離率(kd)は、1:1 Langmuir結合モデル(BIAcore(商標)T200評価ソフトウェアバージョン2.0)を用いて計算した。平衡解離定数(KD)を、比率kd/kaとして計算した。結果を表4に示す。
【表4】
【0299】
別の実験では、実質的に上記のように、ラット3107抗体のヒト化バージョンの結合親和性を決定した。結果を表5に示す。
【表5】
【0300】
さらなる種由来のNotch2及び異なるEGFリピート領域を含む構築物に対する抗Notch2抗体の結合をBIAcore(商標)によって評価した。この実験のために、ヒト定常領域を有する抗体をプロテインAチップ上に捕捉して、約200RUを達成した。様々な抗原の10倍連続希釈液を、追加の3mM CaClを含むHBS-P緩衝液中に37℃で100μL/分の流速で注入した。実験の結果を表6に要約する。
【表6】
【0301】
1B2の他のヒト化バージョン(hu1B2.L1H1.DFS、hu1B2.v4L7、hu1B2.v8L7、hu1B2.v9L7、hu.1B2.DFS.H14L7)は、上記の表4のhu.1B2.v102及びhu.1B2.v104と同様の結合プロファイルを示した。表4に示される抗Notch2抗体の結合特性に基づいて、rat.3107、rat.1B2のヒト化バージョン、rb.2338、rb.2430、及びrb.2621は、ヒトNotch2 EGF7内のエピトープに結合する。さらに、試験された抗体のすべてが、huNotch2-EGF6-12.R268K又はmuNotch2-EGF6-10に対する結合をほとんど又は全く示さないが、huNotch2-EGF6-10及びmuNotch2-EGF6-12.K268Rに結合し、このことは、抗体がヒトNotch2の位置268においてアルギニンと接触することを示唆している。
【0302】
実施例7:抗Notch2 FabによるJagged1及びDLL1シグナル伝達の阻害
特定の抗Notch2抗体を一価Fabとして再フォーマットし、実施例5に記載のHCSアッセイを使用してJagged1及びDLL1シグナル伝達阻害についてアッセイした。
【0303】
3T3-Jag1及びOP9-DLL1共培養セットからのデータ分析結果を使用して、Jagged1 IC50を計算し、FabによるJagged1及びDLL1シグナル伝達の最大阻害パーセントを決定した。表7は、各Fabについて観察された最大Jagged1及びDLL1シグナル伝達阻害を示す。
【表7】
【0304】
驚くべきことに、hu1B2.v8及びhu1B2.v104の両方とも、二価抗体フォーマットにおけるJagged1シグナル伝達の阻害に対して選択的であったが、一価Fabとして再フォーマットされた場合、hu1B2.v8及びhu1B2.v104の両方とも、DLL1シグナル伝達を阻害したが、Jagged1シグナル伝達の阻害と比較して最大阻害は減少した。対照的に、一価Fabフォーマットhu1B2.v1.DFS、hu1B2.v101、及びhu1B2.v103は、Jagged1特異的シグナル伝達阻害活性を保持し、DLL1を阻害しなかった(データは示さず)。いかなる特定の理論にも束縛されることを意図するものではないが、Fab-フォーマットhu1B2.v8及びhu1B2.v104と、Fabフォーマットhu1B2.v1.DFS、hu1B2.v101、及びhu1B2.v103との間の選択性の違いは、CDR-H3配列の違いに起因し得る。Hu1B2.v8及びhu1B2.v104は、CDR-H3配列DGGKLALDA(配列番号11)を共有し、一方、hu1B2.v1.DFS、hu1B2.v101、及びhu1B2.v103は、CDR-H3配列DSGRWGLDA(配列番号8)、DGGRWGLDA(配列番号9)及びDGGKWGLDA(配列番号12)をそれぞれ有する。
【0305】
実施例8:抗Notch2抗体による分泌細胞の減少
気液界面(ALI)培養:初代ヒト気管支上皮細胞(HBEC)を0.4μm細孔PETトランスウェル(Corning#7369)に蒔き、Pneumacult Ex-Plus培地(StemCell Technologies#05040)中でコンフルエントになるまで浸漬条件下で培養する。コンフルエントになったら、上部チャンバーから培地を除去してHBECを空気に曝露し、下部チャンバー中の培地をPneumacult ALI基礎培地(StemCell Technologies#05001)と交換する。細胞を3~4週間培養し、繊毛が明らかに拍動しているときに完全に分化させる。
【0306】
抗体処理及び試料分析:抗体を50mg/mlの濃度で基礎培地に添加した。培地を下側チャンバーで交換しながら(週に3回)、抗体を補充した。7日目に、ALI培養物をRNA分析及び組織学のために収集した。RNA分析のために、Qiagen RNA抽出キット(#74106)を使用してRNAを抽出した。iScript cDNA合成(Biorad#1708891)を使用したcDNA合成後、遺伝子Muc5b、Muc5ac及びScgb1a1(Taqman Assays)について遺伝子発現分析を行った。組織学的分析のために、トランスウェルをホルマリン固定し、パラフィン包埋した。試料を切片化し、抗Muc5b(杯細胞)、抗アセチル化a-チューブリン(線毛細胞)及びDAPI(核染色)について染色した。
【0307】
図6A図6Dに示されるように、抗Notch2抗体1B2による治療は、HBECのALI培養物におけるMuc5b、Muc5ac及びScgb1a1のmRNA発現を低下させた。抗Notch2抗体1B2による処理はまた、抗Muc5b抗体を使用した免疫蛍光によって検出されるように、杯細胞の出現を減少させた。これらの結果は、Jagged-Notch2シグナル伝達の阻害が、培養物中の分泌杯細胞を有意に減少させるのに十分であることを示す。
【0308】
上述の発明を、理解を明確にする目的で、説明及び実施例によって、ある程度詳細に説明してきたが、説明及び実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。本明細書に引用される全ての特許及び科学文献の開示は、参照によりその全体が明示的に組み込まれる。
IV.特定の配列の表
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
【配列表】
2023534458000001.app
【国際調査報告】