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特表2023-534459不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのためのカテーテル及び方法
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  • 特表-不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのためのカテーテル及び方法 図1A
  • 特表-不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのためのカテーテル及び方法 図1B
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  • 特表-不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのためのカテーテル及び方法 図6A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-09
(54)【発明の名称】不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのためのカテーテル及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20230802BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023502700
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(85)【翻訳文提出日】2023-03-08
(86)【国際出願番号】 US2021042021
(87)【国際公開番号】W WO2022016081
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】63/052,823
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】クープ、ブレンダン イー.
(72)【発明者】
【氏名】デ コック、アンドリュー エル.
(72)【発明者】
【氏名】シュロス、アラン シー.
(72)【発明者】
【氏名】マイヤーホーファー、エドワード ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK13
4C160KK33
4C160KK39
4C160KL03
4C160MM38
4C160NN01
(57)【要約】
不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのためのカテーテルは、可撓性カテーテル本体と、カテーテル本体の遠位端に配置された複数のタインと、可撓性シャフトと、リターン電極と、導電体と、を含む。複数のタインは、導電性材料から形成されており、かつ、カテーテル本体の遠位端において管腔から展開するように構成されている。複数のタインの各タインは、管腔から展開されるときに、管腔内における直線構成から湾曲構成へと自己付勢するように構成されている。シャフトは、複数のタインに機械的かつ電気的に結合されている。シャフトは、シャフトがカテーテル本体の遠位端に向かって動かされると、管腔からタインを展開するように構成されている。リターン電極は、カテーテル本体の外面上に配置されている。導電体は、リターン電極に電気的に結合されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのためのカテーテルであって、
近位端から遠位端まで延びている可撓性カテーテル本体であって、前記近位端から前記遠位端まで延びている管腔を形成しており、長手方向軸を画定している、可撓性カテーテル本体と、
前記カテーテル本体の前記遠位端に配置された複数のタインであって、導電性材料から形成されており、かつ、前記カテーテル本体の前記遠位端において前記管腔から展開するように構成されており、前記複数のタインの各タインが、前記管腔から展開されるときに、前記管腔内における直線構成から湾曲構成へと自己付勢するように構成されている、複数のタインと、
導電性材料から形成された可撓性シャフトであって、前記複数のタインに機械的かつ電気的に結合されており、かつ、前記カテーテル本体の前記近位端から前記管腔を通って延びており、前記シャフトが前記カテーテル本体の前記遠位端に向けて動かされると、前記管腔から前記タインを展開するように構成されている、可撓性シャフトと、
前記カテーテル本体の外面上に配置されたリターン電極と、
前記リターン電極に電気的に結合された導電体であって、前記カテーテル本体の前記近位端から前記カテーテル本体を通って延びている導電体と、
を備える、カテーテル。
【請求項2】
前記リターン電極が、前記カテーテル本体の外周を囲って延びているリングを含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記リターン電極が、第1のリング及び第2のリングを含み、前記第1のリング及び前記第2のリングの各々が、前記カテーテル本体の外周を囲って延びており、前記第2のリングが、前記第1のリングより近位側に配置されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記リターン電極が、ワイヤコイル、ワイヤメッシュ、及び可撓性パターンの切り込みが入ったハイポチューブのうちの少なくとも1つを含み、前記リターン電極が、前記カテーテル本体の外周を囲って延びている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
カテーテル本体が、前記カテーテル本体の前記遠位端に展開可能なアレイを含み、前記リターン電極が、前記展開可能なアレイ上に配置された複数のリターン電極を含み、前記展開可能なアレイが、複数のスプラインを含み、前記複数のスプラインの各スプラインが、前記複数のリターン電極のうちの少なくとも1つのリターン電極を含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記複数のスプラインが、前記複数のスプラインの各スプラインが前記長手方向軸に実質的に平行である格納構成と、前記複数のスプラインの各スプラインが前記長手方向軸から半径方向外向きに弓状に曲がる展開構成との間で移行するように構成されている、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記可撓性シャフトが、ワイヤコイルから形成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記リターン電極が、前記カテーテル本体の前記遠位端から1mm~10mmの位置に配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記複数のタインの各タインが、前記湾曲構成において、前記長手方向軸から離れるように前記カテーテル本体の前記遠位端から延びる湾曲を形成する、請求項1~8のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項10】
不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのためのカテーテルであって、
近位端から遠位端まで延びている可撓性カテーテル本体であって、前記近位端から前記遠位端まで延びている管腔を形成しており、かつ、長手方向軸を画定している、可撓性カテーテル本体と、
前記カテーテル本体の前記遠位端に配置された複数のタインであって、導電性材料から形成されており、かつ、前記カテーテル本体の前記遠位端において前記管腔から展開するように構成されており、前記複数のタインの各タインが、前記管腔から展開されるときに、前記管腔内における直線構成から湾曲構成へと自己付勢するように構成されている、複数のタインと、
導電性材料から形成された可撓性シャフトであって、前記複数のタインに機械的かつ電気的に結合されており、かつ、前記カテーテル本体の前記近位端から前記管腔を通って延びており、前記シャフトが前記カテーテル本体の前記遠位端に向けて動かされると、前記管腔から前記タインを展開するように構成されている、可撓性シャフトと、
前記カテーテル本体の前記遠位端において前記カテーテル本体から展開し、前記カテーテル本体から延びるループを形成するように構成されたリターン電極と、
前記リターン電極に電気的に結合された導電体であって、前記カテーテル本体の前記近位端から前記カテーテル本体を通って延びている導電体と、
を備える、カテーテル。
【請求項11】
前記リターン電極が、第1のワイヤコイルを含む、請求項10に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記導電体及び前記リターン電極がそれぞれ、前記第1のワイヤコイルを含む、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記可撓性シャフトが、第2のワイヤコイルから形成されている、請求項10~12のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記複数のタインの各タインが、前記湾曲構成において、前記長手方向軸から離れるように前記カテーテル本体の前記遠位端から延びる湾曲を形成する、請求項10~13のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記リターン電極によって形成された前記ループが、前記長手方向軸を中心として選択的に回転するように構成されている、請求項10~14のいずれか一項に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心臓組織のアブレーションのためのカテーテル及び方法に関する。より具体的には、本発明は、不可逆電気穿孔法による心臓組織の局所アブレーションのためのカテーテル及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
異常な伝導路は、心臓の電気インパルスの正常な経路を分断する可能性がある。異常な伝導路は、不整脈と呼ばれる、異常で、不規則な、時には命を脅かす心調律を引き起こす可能性がある。心臓組織のアブレーションは、不整脈を治療して正常な伝導を回復させる1つの方法である。特定の心臓組織は、マッピングカテーテルのマッピング電極を使用して位置特定又はマッピングすることができる。マッピング後、医師は、異常組織を焼灼することができる。
【0003】
正確な、点ごとでの、又は局所的な心臓アブレーションは、一般に、高周波(radio frequency、RF)エネルギーを使用して達成される。高周波(RF)アブレーションでは、RFエネルギーは、アブレーション電極から組織を通して電極に向けられ、組織を焼灼して、焼灼傷を形成する。RFエネルギーは、細胞壊死により無差別に組織を破壊し、これにより、例えば、神経及び動脈組織などの非標的組織への損傷をもたらすことがある。RFアブレーションは、RFエネルギーによって生成される熱に起因して、組織炭化及びスチームポップなどの他の望ましくない効果を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
実施例1は、不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのためのカテーテルである。カテーテルは、近位端から遠位端まで延びている可撓性カテーテル本体と、カテーテル本体の遠位端に配置された複数のタインと、可撓性シャフトと、リターン電極と、導電体と、を含む。カテーテル本体は、近位端から遠位端まで延びている管腔を形成している。カテーテル本体は、長手方向軸を画定している。複数のタインは、導電性材料から形成されており、かつ、カテーテル本体の遠位端において管腔から展開するように構成されている。複数のタインの各タインは、管腔から展開されるときに、管腔内における直線構成から湾曲構成へと自己付勢するように構成されている。可撓性シャフトは、導電性材料から形成されている。シャフトは、複数のタインに機械的かつ電気的に結合されており、かつ、カテーテル本体の近位端から管腔を通って延びている。シャフトは、シャフトがカテーテル本体の遠位端に向かって動かされると、管腔からタインを展開するように構成されている。リターン電極は、カテーテル本体の外面上に配置されている。導電体は、リターン電極に電気的に結合されている。導電体は、カテーテル本体の近位端からカテーテル本体を通って延びている。
【0005】
実施例2は、リターン電極が、カテーテル本体の外周を囲って延びているリングを含む、実施例1に記載のカテーテルである。
実施例3は、リターン電極が、第1のリング及び第2のリングを含み、第1のリング及び第2のリングの各々が、カテーテル本体の外周を囲って延びており、第2のリングが、第1のリングより近位側に配置されている、実施例1に記載のカテーテルである。
【0006】
実施例4は、リターン電極が、ワイヤコイル、ワイヤメッシュ、及び可撓性パターンの切り込みが入ったハイポチューブのうちの少なくとも1つを含み、リターン電極が、カテーテル本体の外周を囲って延びている、実施例1に記載のカテーテルである。
【0007】
実施例5は、カテーテル本体が、カテーテル本体の遠位端に展開可能なアレイを含み、リターン電極が、展開可能なアレイ上に配置された複数のリターン電極を含み、展開可能なアレイが、複数のスプラインを含み、複数のスプラインの各スプラインが、複数のリターン電極のうちの少なくとも1つのリターン電極を含む、実施例1に記載のカテーテルである。
【0008】
実施例6は、複数のスプラインが、複数のスプラインの各スプラインが長手方向軸に実質的に平行である格納構成と、複数のスプラインの各スプラインが長手方向軸から半径方向外向きに弓状に曲がる展開構成との間で移行するように構成されている、実施例5に記載のカテーテルである。
【0009】
実施例7は、可撓性シャフトが、ワイヤコイルから形成されている、実施例1~6のいずれか1つに記載のカテーテルである。
実施例8は、リターン電極が、カテーテル本体の遠位端から1mm~10mmの位置に配置されている、実施例1~7のいずれか1つに記載のカテーテルである。
【0010】
実施例9は、複数のタインの各タインが、湾曲構成において、長手方向軸から離れるようにカテーテル本体の遠位端から延びる湾曲を形成する、実施例1~8のいずれか1つに記載のカテーテルである。
【0011】
実施例10は、不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのためのカテーテルである。カテーテルは、近位端から遠位端まで延びている可撓性カテーテル本体と、カテーテル本体の遠位端に配置された複数のタインと、可撓性シャフトと、リターン電極と、導電体と、を含む。カテーテル本体は、近位端から遠位端まで延びている管腔を形成している。カテーテル本体は、長手方向軸を画定している。複数のタインは、導電性材料から形成されており、かつ、カテーテル本体の遠位端において管腔から展開するように構成されている。複数のタインの各タインは、管腔から展開されるときに、管腔内における直線構成から湾曲構成へと自己付勢するように構成されている。可撓性シャフトは、導電性材料から形成されている。シャフトは、複数のタインに機械的かつ電気的に結合されており、かつ、カテーテル本体の近位端から管腔を通って延びている。シャフトは、シャフトがカテーテル本体の遠位端に向かって動かされると、管腔からタインを展開するように構成されている。リターン電極は、カテーテル本体の遠位端においてカテーテル本体から展開し、カテーテル本体から延びるループを形成するように構成されている。導電体は、リターン電極に電気的に結合されている。導電体は、カテーテル本体の近位端からカテーテル本体を通って延びている。
【0012】
実施例11は、リターン電極が、第1のワイヤコイルを含む、実施例10に記載のカテーテルである。
実施例12は、導電体及びリターン電極がそれぞれ、第1のワイヤコイルを含む、実施例11に記載のカテーテルである。
【0013】
実施例13は、可撓性シャフトが、第2のワイヤコイルから形成されている、実施例10~12のいずれか1つに記載のカテーテルである。
実施例14は、複数のタインの各タインが、湾曲構成において、長手方向軸から離れるようにカテーテル本体の遠位端から延びる湾曲を形成する、実施例10~13のいずれか1つに記載のカテーテルである。
【0014】
実施例15は、リターン電極によって形成されたループが、長手方向軸を中心として選択的に回転するように構成されている、実施例10~14のいずれか1つに記載のカテーテルである。
【0015】
実施例16は、不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのためのカテーテルである。カテーテルは、近位端から遠位端まで延びている可撓性カテーテル本体と、カテーテル本体の遠位端に配置された複数のタインと、可撓性シャフトと、リターン電極と、導電体と、を含む。カテーテル本体は、近位端から遠位端まで延びている管腔を形成している。カテーテル本体は、長手方向軸を画定している。複数のタインは、導電性材料から形成されており、かつ、カテーテル本体の遠位端において管腔から展開するように構成されている。複数のタインの各タインは、管腔から展開されるときに、管腔内における直線構成から湾曲構成へと自己付勢するように構成されている。複数のタインの各タインは、湾曲構成において、長手方向軸から離れるようにカテーテル本体の遠位端から延びる湾曲を形成する。可撓性シャフトは、導電性材料から形成されている。シャフトは、複数のタインに機械的かつ電気的に結合されており、かつ、カテーテル本体の近位端から管腔を通って延びている。シャフトは、シャフトがカテーテル本体の遠位端に向かって動かされると、管腔からタインを展開するように構成されている。リターン電極は、カテーテル本体の外面上に配置されている。導電体は、リターン電極に電気的に結合されている。導電体は、カテーテル本体の近位端からカテーテル本体を通って延びている。
【0016】
実施例17は、リターン電極が、カテーテル本体の外周を囲って延びているリングを含む、実施例16に記載のカテーテルである。
実施例18は、リターン電極が、第1のリング及び第2のリングを含み、第1のリング及び第2のリングの各々が、カテーテル本体の外周を囲って延びており、第2のリングが、第1のリングより近位側に配置されている、実施例16に記載のカテーテルである。
【0017】
実施例19は、リターン電極が、ワイヤコイル、ワイヤメッシュ、及び可撓性パターンの切り込みが入ったハイポチューブのうちの少なくとも1つを含み、リターン電極が、カテーテル本体の外周を囲って延びている、実施例16に記載のカテーテルである。
【0018】
実施例20は、カテーテル本体が、カテーテル本体の遠位端に展開可能なアレイを含み、リターン電極が、展開可能なアレイ上に配置された複数のリターン電極を含み、展開可能なアレイが、複数のスプラインを含み、複数のスプラインの各スプラインが、複数のリターン電極のうちの少なくとも1つのリターン電極を含む、実施例16に記載のカテーテルである。
【0019】
実施例21は、複数のスプラインが、複数のスプラインの各スプラインが長手方向軸に実質的に平行である格納構成と、複数のスプラインの各スプラインが長手方向軸から半径方向外向きに弓状に曲がる展開構成との間で移行するように構成されている、実施例20に記載のカテーテルである。
【0020】
実施例22は、可撓性シャフトが、ワイヤコイルから形成されている、実施例16~21のいずれか1つに記載のカテーテルである。
実施例23は、リターン電極が、カテーテル本体の遠位端から1mm~10mmの位置に配置されている、実施例16~22のいずれか1つに記載のカテーテルである。
【0021】
実施例24は、カテーテル本体の遠位端に配置された非外傷性先端を更に備える、実施例16~23のいずれか1つに記載のカテーテルである。
実施例25は、不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのためのカテーテルである。カテーテルは、近位端から遠位端まで延びている可撓性カテーテル本体と、カテーテル本体の遠位端に配置された複数のタインと、可撓性シャフトと、リターン電極と、導電体と、を含む。カテーテル本体は、近位端から遠位端まで延びている管腔を形成している。カテーテル本体は、長手方向軸を画定している。複数のタインは、導電性材料から形成されており、かつ、カテーテル本体の遠位端において管腔から展開するように構成されている。複数のタインの各タインは、管腔から展開されるときに、管腔内における直線構成から湾曲構成へと自己付勢するように構成されている。可撓性シャフトは、導電性材料から形成されている。シャフトは、複数のタインに機械的かつ電気的に結合されており、かつ、カテーテル本体の近位端から管腔を通って延びている。シャフトは、シャフトがカテーテル本体の遠位端に向かって動かされると、管腔からタインを展開するように構成されている。リターン電極は、カテーテル本体の遠位端においてカテーテル本体から展開し、カテーテル本体から延びるループを形成するように構成されている。導電体は、リターン電極に電気的に結合されている。導電体は、カテーテル本体の近位端からカテーテル本体を通って延びている。
【0022】
実施例26は、リターン電極が、第1のワイヤコイルを含む、実施例25に記載のカテーテルである。
実施例27は、導電体及びリターン電極がそれぞれ、第1のワイヤコイルを含む、実施例26に記載のカテーテルである。
【0023】
実施例28は、可撓性シャフトが、第2のワイヤコイルから形成されている、実施例25~27のいずれか1つに記載のカテーテルである。
実施例29は、複数のタインの各タインが、湾曲構成において、長手方向軸から離れるようにカテーテル本体の遠位端から延びる湾曲を形成する、実施例25~28のいずれか1つに記載のカテーテルである。
【0024】
実施例30は、リターン電極によって形成されたループが、長手方向軸を中心として選択的に回転するように構成されている、実施例25~29のいずれか1つに記載のカテーテルである。
【0025】
実施例31は、カテーテル本体の遠位端に配置された非外傷性先端を更に備える、実施例25~30のいずれか1つに記載のカテーテルである。
実施例32は、不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションの方法である。方法は、可撓性カテーテル本体と、カテーテル本体の遠位端において管腔から展開するように構成された複数の導電性タインと、を含むカテーテルの遠位端を心臓内に、かつ焼灼される細胞を含む組織に隣接して挿入することと、管腔を通って延びているシャフトを遠位端に向けて動かして、複数の導電性タインであって、複数の導電性タインの各タインが、組織内に展開されるときに、管腔内における直線構成から湾曲構成へと自己付勢する、複数の導電性タインを管腔から焼灼される細胞を含む組織内に展開することと、複数の導電性タインと、カテーテル本体の遠位端から間隔を空けてカテーテル本体の外面上に配置されたリターン電極との間に、一連の電圧パルスであって、焼灼される細胞への不可逆電気穿孔を引き起こす電界を形成する、電圧パルスを印加することと、管腔を通って延びているシャフトをカテーテル本体の近位端に向けて動かして、タインを管腔内に格納することと、カテーテルの遠位端を心臓から引き抜くことと、を含む。
【0026】
実施例33は、リターン電極が、カテーテル本体の遠位端から1mm~10mmの位置に配置されている、実施例32に記載の方法である。
実施例34は、複数のタインの各タインが、湾曲構成において、カテーテル本体の長手方向軸から離れるようにカテーテル本体の遠位端から延びる湾曲を形成する、実施例32又は実施例33に記載の方法である。
【0027】
実施例35は、リターン電極が、複数の電極を含み、方法が、複数のスプラインの各スプラインであって、複数のリターン電極のうちの少なくとも1つのリターン電極を含む、複数のスプラインの各スプラインが、カテーテル本体の長手方向軸に実質的に平行である格納構成から、複数のスプラインの各スプラインがカテーテル本体の長手方向軸から半径方向外向きに弓状に曲がる展開構成に移行することによって、カテーテル本体の遠位端において複数のスプラインを含むアレイを、カテーテルの遠位端を心臓内に挿入した後、かつ一連の電圧パルスを印加する前に展開することと、一連の電圧パルスを印加した後、かつカテーテルの遠位端を心臓から引き抜く前に、展開構成から格納構成に移行することによって、アレイを格納することと、を更に含む、実施例32~34のいずれか1つに記載の方法である。
【0028】
複数の実施形態が開示されているが、本発明の例示的な実施形態を示し説明する以下の詳細な説明から、本発明の更に他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び以下の詳細な説明は、本質的に例示的なものであり、限定的なものではないとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1A】本開示のいくつかの実施形態による、非展開構成及び展開構成それぞれにおける、不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのためのカテーテルの遠位端の概略斜視図である。
図1B】本開示のいくつかの実施形態による、非展開構成及び展開構成それぞれにおける、不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのためのカテーテルの遠位端の概略斜視図である。
図2】本開示のいくつかの実施形態による、組織内に展開された、不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのためのカテーテルの遠位端の概略側面図である。
図3】本開示のいくつかの実施形態による、組織内に展開された、不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのための別のカテーテルの遠位端の概略側面図である。
図4】本開示のいくつかの実施形態による、組織内に展開された、不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのための更に別のカテーテルの遠位端の概略側面図である。
図5A】本開示のいくつかの他の実施形態による、非展開構成及び展開構成それぞれにおける、不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのためのカテーテルの遠位端の概略斜視図である。
図5B】本開示のいくつかの他の実施形態による、非展開構成及び展開構成それぞれにおける、不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのためのカテーテルの遠位端の概略斜視図である。
図6A】本開示のいくつかの他の実施形態による、非展開構成及び展開構成それぞれにおける、不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのためのカテーテルの遠位端の概略斜視図である。
図6B】本開示のいくつかの他の実施形態による、非展開構成及び展開構成それぞれにおける、不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのためのカテーテルの遠位端の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示は、様々な修正形態及び代替形態に適用可能であるが、特定の実施形態が図面において例として示されており、以下で詳細に説明される。しかしながら、その意図は、本発明を記載された特定の実施形態に限定することではない。逆に、本開示は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内の全ての修正形態、均等物、及び代替形態を包含することが意図されている。
【0031】
不可逆電気穿孔法は、一連の短い高電圧パルスを使用して、細胞膜に致死的なナノ細孔を形成することによって細胞を死滅させる。損傷を受けた細胞は、その後、アポトーシスによって死滅する。不可逆電気穿孔法の電圧パルスは、心筋を死滅させ、他の組織を比較的無傷のまま残すよう標的を絞ることができ、結果として、RFアブレーションの望ましくない副作用を回避できる。しかし、厚い心筋に貫壁性焼灼傷を形成することは、不可逆電気穿孔法では困難である場合がある。加えて、心臓組織のアブレーションは、アブレーション処置中に心臓が絶えず動いているという点で困難を伴う。結果として、アブレーション電極と標的組織との間の安定した接触を維持することが困難な場合がある。本開示の実施形態は、これらの問題を軽減する不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのためのカテーテル及び方法を提供する。
【0032】
図1A及び図1Bは、本開示のいくつかの実施形態による、不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのためのカテーテルの遠位端の概略斜視図である。図1Aは、可撓性カテーテル本体12と、複数のタイン14(4つが示されている)と、可撓性シャフト16と、リターン電極18と、導電体20とを含むカテーテル10を示す。いくつかの実施形態では、カテーテル10は、図1Aに示すように、非外傷性先端22を更に含んでもよい。カテーテル本体12は、近位端26から遠位端24まで延びている。カテーテル本体12は、近位端26から遠位端24まで延びている管腔28を形成している。カテーテル本体12は、長手方向軸Aを画定している。カテーテル本体12は、例えば、ポリイソブチレンポリウレタン、シリコーン、又はポリエーテルブロックアミドなどの、当該技術分野で公知の可撓性、絶縁性、生体適合性材料から形成されてもよい。カテーテル本体12は、金属ブレードを更に含んでもよい。
【0033】
可撓性シャフト16は、例えば、白金イリジウム合金、金、ステンレス鋼、チタン合金、又はMP35Nなどのニッケルコバルト合金などの導電性の生体適合性材料を含む。可撓性シャフト16は、絶縁ポリマーコーティングを更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、可撓性シャフト16は、ワイヤコイルの形態である。導電体20もまた、前述の導電性材料のいずれかから形成され、また、絶縁ポリマーコーティングを更に含んでもよい。
【0034】
任意選択の非外傷性先端22は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイソブチレンポリウレタン、シリコーン、ポリエーテルブロックアミド、又はチタンなどの生体適合性材料から形成されてもよい。非外傷性先端22は、遠位端24に配置され、図1Aに示すように、カテーテル10が非展開構成にあるときは、カテーテル10の先端を形成している。
【0035】
複数のタイン14は、カテーテル本体12の遠位端24に配置されている。可撓性シャフト16は、複数のタイン14に機械的かつ電気的に結合されており、かつ、カテーテル本体12の近位端26から管腔28を通って延びている。図1Aは、非展開構成にある複数のタイン14を示しており、複数のタイン14の各タインは、管腔28内に実質的に収容されている。
【0036】
リターン電極18は、カテーテル本体12の外面30上に配置されている。図1Aに示す実施形態では、リターン電極18は、カテーテル本体12の外周を囲って延びているリングを含む。
【0037】
リターン電極18は、カテーテル本体12の遠位端24から距離Sだけ間隔が空いており、距離Sは、例えば、最小で1mm、2mm、3mm、4mm、若しくは5mm、最大で6mm、7mm、8mm、9mm、若しくは10mm、又は前述の値のうちの任意の2つの間で定義される、1mm~10mm、2mm~9mm、3mm~8mm、4mm~7mm、5mm~6mm、1mm~5mm、6mm~10mm、2mm~5mm、3mm~4mm、若しくは2mm~6mmなどの、任意の範囲内であってもよい。
【0038】
導電体20は、リターン電極18に電気的に結合されている。導電体20は、近位端26からカテーテル本体12を通って延びている。いくつかの実施形態では、導電体20は、図1Aに示すように、カテーテル本体12の近位端26から管腔28を通って延びている。いくつかの他の実施形態では、導電体20は、カテーテル本体12によって形成された別個の管腔(図示せず)を通って近位端26から延びていてもよい。いくつかの他の実施形態では、導電体20は、カテーテル本体12内に成形又は形成されてもよい。
【0039】
可撓性シャフト16は、図1Bに示すように、管腔28から複数のタイン14を展開するために遠位方向に動かすことができる。複数のタイン14は、形状記憶性を有する導電性材料、例えば、ニチノール又は金/ステンレス鋼合金から形成されており、それにより、複数のタイン14の各タインは、図1Bに示すように、拘束されずに管腔28の外部にあるときは、湾曲構成になるように付勢することができ、図1Aに示すように、管腔28内に拘束されているときは、直線構成になることができる。複数のタイン14の各タインは、組織への進入を容易にするために尖っていてもよい。図1Bに示す湾曲構成では、複数のタイン14の各タインは、長手方向軸Aから離れるようにカテーテル本体12の遠位端24から延びる湾曲を形成する。
【0040】
図1Bに示すように、複数のタイン14の各タインは、絶縁層32を更に含むことができる。絶縁層32は、非外傷性先端22が導電性材料から形成されている場合、非外傷性先端22に電圧を印加することを防止するために有用であり得る。絶縁層32はまた、可撓性シャフト16がマルチフィラーコイルの形態であり、各フィラーが複数のタイン14のうちの異なるタインに電気的に接続されており、それにより、複数のタイン14を局所心臓アブレーションの前に心臓をマッピングする際に使用することができる、いくつかの実施形態において有用であり得る。そのようなマッピングの間、複数のタイン14は、組織を貫通することなく展開される。
【0041】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、組織内に展開されたカテーテル10の遠位端24の概略側面図である。図1A図1B、及び図2を一緒に考慮すると、使用時に、カテーテル10のカテーテル本体12の遠位端24は、心臓H内に、かつ焼灼される細胞を含む組織Tに隣接して挿入される。可撓性シャフト16(図1A及び図1B)を遠位端24に向けて動かして、複数のタイン14を管腔28から組織T内に展開する。複数のタイン14の各タインは、管腔28から出るときに、図1Aの直線構成から図1Bに示す湾曲構成に移行する。複数のタイン14の各タインは、組織Tを貫通し、カテーテル本体12によって制限されていない状態で、組織Tを貫通する際に管腔28の外部で湾曲構成へと自己付勢し、組織Tを通る湾曲経路を作り出す。このように展開されると、複数のタイン14は、アブレーション前、アブレーション中、及びアブレーション後に、カテーテル10を所望の位置で安定させる。展開されると、一連の電圧パルスが、複数のタイン14とリターン電極18との間に印加され、焼灼される組織Tの細胞の不可逆電気穿孔を引き起こすのに十分な強度の電界Eを形成する。複数のタイン14の様々なサイズ及び展開深さを用いて、組織Tの特定の部分を標的とすることができる。カテーテル本体12の遠位端24は、組織Tに貫入しない。
【0042】
複数のタイン14の各タインは、例えば、最小で1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、若しくは3.5mm、最大で4mm、4.5mm、5mm、5.5mm、6mm、6.5mm、若しくは7mmの深さ、又は前述の値のうちの任意の2つの間で定義される、1mm~7mm、1.5mm~6.5mm、2mm~6mm、2.5mm~5.5mm、3mm~5mm、4mm~4.5mm、1mm~2mm、2mm~7mm、若しくは1mm~3mmなどの、任意の範囲内の深さまで組織Tに貫入することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、複数のタイン14の各タインは、断面長さ及び断面幅を有する矩形断面を有することができる。断面長さは、例えば、最小で0.25mm、0.30mm、0.35mm、0.40mm、0.45mm、若しくは0.50mm、最大で0.55mm、0.60mm、0.65mm、0.70mm、0.75mm、若しくは0.80mm、又は前述の値のうちの任意の2つの間で定義される、0.25mm~0.80mm、0.30mm~0.75mm、0.35mm~0.70mm、0.40mm~0.65mm、0.45mm~0.60mm、0.50mm~0.55mm、0.30mm~0.60mm、0.25mm~0.50mm、若しくは0.55mm~0.75mmなどの、任意の範囲内であってもよい。断面幅は、例えば、最小で0.10mm、0.13mm、0.15mm、0.18mm、0.20mm、若しくは0.23mm、最大で0.25mm、0.28mm、0.30mm、0.33mm、0.36mm、若しくは0.38mm、又は前述の値のうちの任意の2つの間で定義される、0.10mm~0.38mm、0.13mm~0.36mm、0.15mm~0.33mm、0.18mm~0.30mm、0.20mm~0.28mm、0.23mm~0.25mm、0.20mm~0.30mm、0.10mm~0.20mm、若しくは0.25mm~0.38mmなどの、任意の範囲内であってもよい。
【0044】
電界Eは、例えば、最小で300V/cm、350V/cm、400V/cm、450V/cm、500V/cm、550V/cm、若しくは600V/cm、最大で650V/cm、700V/cm、750V/cm、800V/cm、850V/cm、900V/cm、950V/cm、若しくは1,000V/cm、又は前述の値のうちの任意の2つの間で定義される、300V/cm~1,000V/cm、350V/cm~950V/cm、400V/cm~900V/cm、450V/cm~850V/cm、500V/cm~800V/cm、550V/cm~750V/cm、600V/cm~700V/cm、300V/cm~650V/cm、400V/cm~500V/cm、若しくは700V/cm~900V/cmなどの、任意の範囲内であってもよい。
【0045】
複数のタイン14を組織T内に深く展開して、複数のタイン14と、遠位端24から間隔を空けてカテーテル本体12の外面30上に配置されたリターン電極18との間に電界を生成することによって、電界Eを組織Tの深くに更に集中させて、厚い心筋に貫壁性焼灼傷を形成することができると考えられる。
【0046】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、組織内に展開された、不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのための別のカテーテルの遠位端24の概略側面図である。図3は、カテーテル34を示す。カテーテル34は、図1A図1B、及び図2の実施形態に示すようなリターン電極18の単一のリングが第1のリング36及び第2のリング38に置き換えられ、各リングがカテーテル本体12の外周を囲って延びており、第2のリング38が第1のリング36より近位側に配置されていることを除いて、上記のカテーテル10と実質的に同一である。いくつかの実施形態では、導電体20(図1A及び図1B)は、第1のリング36及び第2のリング38の両方に電気的に接続されている。このようにして、組織Tのより効果的なアブレーションのために電界Eを形づけることができる。いくつかの他の実施形態では、導電体20(図1A及び図1B)は、互いに電気的に絶縁された2つの別個の導体(図示せず)を含み、各導体は、第1のリング36又は第2のリング38に電気的に接続されている。このようにして、電界Eの強度及びサイズは、組織Tにより標的を絞ったアブレーションを提供するように調整することができる。図3に示す実施形態のリターン電極は、2つのリング(第1のリング36及び第2のリング38)を含むが、本開示は、3つ以上のリングを含むリターン電極を有する実施形態を含むことが理解される。
【0047】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による、組織内に展開された、不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのための更に別のカテーテルの遠位端24の概略側面図である。図4は、カテーテル40を示す。カテーテル40は、図1A図1B、及び図2の実施形態に示すようなリターン電極18の単一リングがカテーテル本体12の外周を囲って延びているワイヤコイル42に置き換えられていることを除いて、上記のカテーテル10と実質的に同一である。ワイヤコイル42は、上述した図1A図1B、及び図2のリターン電極の単一リングよりも可撓性であってもよく、したがって、カテーテル本体12の可撓性を著しく低下させることなく、より長くすることができる。ワイヤコイル42によって提供されるより長いリターン電極は、組織Tのより効果的なアブレーションのために電界Eを形づけることができる。いくつかの実施形態では、ワイヤコイル42は、コイルの形態であるが、いくつかの他の実施形態では、ワイヤコイル42は、メッシュ又は可撓性パターンの切り込みが入ったハイポチューブの形態である。
【0048】
図5A及び図5Bは、本開示のいくつかの他の実施形態による、非展開構成及び展開構成それぞれにおける、不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのためのカテーテルの遠位端24の概略斜視図である。図5Aは、非展開構成のカテーテル44を示す。カテーテル44は、カテーテル本体12が複数のスプライン48を含む展開可能なアレイ46を更に含み、リターン電極18が複数のリターン電極50に置き換えられ、導電体20が複数の導電体52に置き換えられていることを除いて、上述のカテーテル10と実質的に同一である。複数のスプライン48の各スプラインは、複数の電極50のうちの少なくとも1つのリターン電極を含む。複数のリターン電極50の各リターン電極は、複数の導電体52のうちの少なくとも1つの導電体52に電気的に結合されている。複数の導電体52の各導電体は、上述した導電体20と実質的に同一であってもよい。カテーテル44は、4つのスプライン48(図5B参照)を含むが、図5Aでは3つのみが見える。
【0049】
いくつかの実施形態では、複数のスプライン48は、ポリエーテルブロックアミド、ポリイソブチレンポリウレタン、又はシリコーンなど、カテーテル本体12の残りの部分を構成する材料と同じ材料から形成されている。いくつかの実施形態では、複数のスプライン48は、形状記憶性を有する材料、例えば、ニチノール又は金/ステンレス鋼合金を更に含んでもよい。
【0050】
複数のスプライン48は、図5Aに示す非展開構成と図5Bの展開構成との間で移行するように構成されている。心臓H及び組織Tは、説明を明確にするために省略されている。図5Aに示すように、非展開構成では、複数のスプライン48の各スプラインは、長手方向軸Aに実質的に平行である。図5Bに示すように、展開構成では、複数のスプライン48の各スプラインは、長手方向軸から半径方向外向きに弓状に曲がる。展開可能なアレイ46を展開することは、図2を参照して上述したように、複数のタイン14を展開する前、展開した後、又は展開するのと同時に行われてもよい。このようにして、電界Eの強度及びサイズを調整することができ、電界#は、組織Tにより標的を絞ったアブレーションを提供するように操作される。
【0051】
図6A及び図6Bは、本開示のいくつかの他の実施形態による、非展開構成及び展開構成それぞれにおける、不可逆電気穿孔法による局所心臓アブレーションのためのカテーテルの遠位端24の概略斜視図である。図6Aは、非展開構成のカテーテル54を示す。カテーテル54は、リターン電極18がリターン電極56に置き換えられ、導電体20が導電体58に置き換えられていることを除いて、上述のカテーテル10と実質的に同一である。上述の実施形態とは異なり、リターン電極56は、カテーテル本体12の外面30上に配置されていない。
【0052】
リターン電極56は、例えば、ステンレス鋼、白金、白金イリジウム合金、白金被覆タンタル、チタン、ニチノール、又はMP35Nなどのニッケルコバルト合金などの導電性の生体適合性材料から形成されている。いくつかの実施形態では、リターン電極56は、ワイヤコイルの形態である。いくつかの他の実施形態では、リターン電極56は、メッシュ又は可撓性パターンの切り込みが入ったハイポチューブの形態である。導電体58もまた、例えば、ステンレス鋼、白金、白金イリジウム合金、白金被覆タンタル、チタン、ニチノール、又はMP35Nなどのニッケルコバルト合金などの導電性材料から形成されている。いくつかの実施形態では、導電体58は、ワイヤコイルの形態である。いくつかの他の実施形態では、導電体58は、メッシュ又は可撓性パターンの切り込みが入ったハイポチューブの形態である。いくつかの実施形態では、リターン電極56及び導電体58は、単一の連続ワイヤコイルを形成してもよい。リターン電極56及び可撓性シャフト16の両方がカテーテル本体12内の異なるワイヤコイルから形成されている実施形態では、リターン電極56のワイヤコイルは、第1のコイルであってもよく、可撓性シャフト16のワイヤコイルは、第2のコイルであってもよい。
【0053】
図6Bは、展開構成のカテーテル54を示す。図6Bに示すように、リターン電極56は、遠位端24において管腔28から展開するように構成されている。図5Bと同様に、心臓H及び組織Tは、説明を明確にするために省略されている。展開されたリターン電極56は、管腔28から延びるループを形成するように構成されている。いくつかの実施形態では、リターン電極56の関節運動は、管腔28からリターン電極56を延ばすこと及び格納することによって制御されてもよい。いくつかの実施形態では、リターン電極56の関節運動は、プルワイヤ(図示せず)によって制御されてもよい。いくつかの実施形態では、リターン電極56は、長手方向軸Aを中心として選択的に回転するように構成されている。リターン電極56を、長手方向軸Aを中心として回転させることによって、リターン電極56によって形成されたループは、複数のタイン14に対して動き、電界Eの位置を変化させる。リターン電極56を管腔28から延ばすこと及び格納することによって、ループのサイズも変化させることができる。このようにして、電界Eの強度及び位置は、組織Tにより標的を絞ったアブレーションを提供するように調整することができる。
【0054】
説明を明確にするために、上述した全ての実施形態は、4つのタインを含む複数のタイン14と共に示されている。しかしながら、本開示は、最小で2つのタイン及び最大で6つのタインを有する実施形態を包含することが理解される。
【0055】
本発明の範囲から逸脱することなく、説明した例示的な実施形態に対して様々な修正及び追加を行うことができる。例えば、上記の実施形態は特定の特徴に言及しているが、本発明の範囲はまた、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態、及び記載された特徴の全てを含まない実施形態を含む。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲内に入る全てのそのような代替形態、修正形態、及び変形形態を、それらの全ての均等物とともに包含することが意図されている。
【0056】
本明細書で使用されるとき、句「前述の値のうちの任意の2つの間で定義される任意の範囲内」は、文字通り、その値が列挙された値の小さい値側にあるか、列挙された値の大きい値側にあるかにかかわらず、そのような句の前に列挙される値のうちの任意の2つから任意の範囲を選択できることを意味する。例えば、値のペアは、2つのより小さい値、2つのより大きい値、又は1つのより小さい値及び1つのより大きい値から選択されてもよい。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
【国際調査報告】