(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-09
(54)【発明の名称】性能を向上させる構成要素及び特徴を有する光ファイバプローブ
(51)【国際特許分類】
A61B 1/07 20060101AFI20230802BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
A61B1/07 733
A61B1/00 732
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023502718
(86)(22)【出願日】2021-07-14
(85)【翻訳文提出日】2023-03-08
(86)【国際出願番号】 US2021041602
(87)【国際公開番号】W WO2022015835
(87)【国際公開日】2022-01-20
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523013156
【氏名又は名称】マープル,エリック
(71)【出願人】
【識別番号】523013167
【氏名又は名称】ウルメイ,カーク
(71)【出願人】
【識別番号】523013178
【氏名又は名称】メッカート,ジョン
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】マープル,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ウルメイ,カーク
(72)【発明者】
【氏名】メッカート,ジョン
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161FF35
4C161FF40
4C161FF46
(57)【要約】
光ファイバプローブは、遠位サンプリング端と、近位端と、その中を通る光送達経路及び集光経路とを備える。プローブは、光ファイバプローブの遠位サンプリング端に配置される窓であって、遠位端及び近位端を有する窓を含む。レンズが窓の近位端に近接して配置され、このレンズは遠位端、近位端及び開口部を有する。遠位端及び近位端を有する光送達光ファイバが設けられ、遠位端はレンズの開口部に受け入れられる。光アイソレータが光送達経路と集光経路とを光学的に分離するためにレンズの開口部内に設けられる。ファイバ集光フィルタと光通信する集光ファイバが設けられる。プローブは、窓とレンズとの間に配置されるレンズ集光フィルタを含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位サンプリング端、近位端、その中を通る光送達経路、及びその中を通る集光経路を有する光ファイバプローブであって、
前記光ファイバプローブの前記遠位サンプリング端に配置される窓であって、遠位端及び近位端を有する窓と、
前記窓の近位端に近接して配置されるレンズであって、遠位端、近位端及び開口部を有するレンズと、
遠位端及び近位端を有する光送達光ファイバであって、該遠位端は前記レンズの開口部に受け入れられる光送達光ファイバと、
前記光送達経路と前記集光経路とを光学的に分離するために前記レンズの開口部内に設けられる光アイソレータと、
前記レンズ及び前記窓と光通信する集光ファイバと
を備える、光ファイバプローブ。
【請求項2】
前記窓と前記レンズとの間に配置されるレンズ集光フィルタであって、遠位端、近位端、及び開口部を有するレンズ集光フィルタをさらに備える、請求項1に記載の光ファイバプローブ。
【請求項3】
前記レンズは、屈折性、反射性、又は内部全反射性の少なくとも1つである、請求項1に記載の光ファイバプローブ。
【請求項4】
前記集光ファイバは、マルチリング配置で設けられる、請求項1に記載の光ファイバプローブ。
【請求項5】
前記レンズと前記集光ファイバとの間に配置されるファイバ集光フィルタであって、遠位端、近位端、及び開口部を有するファイバ集光フィルタをさらに備える、請求項1に記載の光ファイバプローブ。
【請求項6】
前記光送達光ファイバの遠位端に配置される発光フィルタをさらに備える、請求項1に記載の光ファイバプローブ。
【請求項7】
前記光送達光ファイバは、前記レンズの遠位端において又はその前方でレーザ光を放出する、請求項1に記載の光ファイバプローブ。
【請求項8】
前記光アイソレータは、前記レンズ集光フィルタの開口部及び前記レンズの開口部の少なくとも一方の円周に沿って設けられる遮光コーティングを含む、請求項2に記載の光ファイバプローブ。
【請求項9】
前記窓の遠位端に設けられる窓ブロックをさらに備え、
前記窓ブロックは、前記窓の表面積を制限する、請求項1に記載の光ファイバプローブ。
【請求項10】
整列特徴の開口部に締まり嵌めされる芯管をさらに備える、請求項1に記載の光ファイバプローブ。
【請求項11】
遠位サンプリング端、近位端、その中を通る光送達経路、及びその中を通る集光経路を有する光ファイバプローブであって、
レンズ集光フィルタの遠位端に配置される窓であって、遠位端及び近位端を有する窓と、
前記窓の近位端に近接して配置されるレンズであって、遠位端及び近位端を有するレンズと、
開口部を有する整列特徴であって、前記レンズに固定される整列特徴と、
遠位端と近位端を有する光送達光ファイバであって、該遠位端が前記整列特徴に定義された開口部を通過する光送達光ファイバと、
前記レンズ及び前記窓と光通信する集光ファイバと
を備える、光ファイバプローブ。
【請求項12】
前記窓と前記レンズとの間に配置されるレンズ集光フィルタであって、遠位端及び近位端を有するレンズ集光フィルタをさらに備える、請求項11に記載の光ファイバプローブ。
【請求項13】
前記レンズは、屈折性、反射性、又は内部全反射性の少なくとも1つである、請求項11に記載の光ファイバプローブ。
【請求項14】
前記レンズと前記集光ファイバとの間に配置されるファイバ集光フィルタであって、遠位端及び近位端を有するファイバ集光フィルタをさらに備える、請求項11に記載の光ファイバプローブ。
【請求項15】
前記集光ファイバは、マルチリング配置で設けられる、請求項11に記載の光ファイバプローブ。
【請求項16】
前記マルチリング配置は、内側リング及び外側リングを含み、
前記内側リングは第1の深度測定に対応し、前記外側リングは第2の深度測定に対応し、前記第1の深度測定は前記第2の深度測定より深い、請求項15に記載の光ファイバプローブ。
【請求項17】
前記整列特徴の開口部に締まり嵌めされる芯管をさらに備える、請求項11に記載の光ファイバプローブ。
【請求項18】
前記光送達光ファイバは、前記レンズの遠位端において又はその前方でレーザ光を放出する、請求項11に記載の光ファイバプローブ。
【請求項19】
前記光送達光ファイバの遠位端に配置される発光フィルタをさらに備える、請求項11に記載の光ファイバプローブ。
【請求項20】
前記窓の遠位端に設けられる窓ブロックをさらに備え、
前記窓ブロックは、前記窓の表面積を制限する、請求項11に記載の光ファイバプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、マルチ光ファイバプローブに関するものであり、特に、性能を向上させる構成要素及び特徴を有するマルチ光ファイバプローブに関するものであり、さらに特に、信号対ノイズ比を改善するプローブ先端においてフィルタ及び構成要素の開口部を有するマルチ光ファイバプローブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光散乱分光法は、物質を照射し、その物質から後方に散乱される集光された光線を分析することを伴う。従来の光ファイバプローブは、物質を照射し、集光された光線を分光器に導く。既知の光ファイバプローブには、レーザ光源に接続された第1の又は近位の端部、及びプローブ先端で終端する第2の又は遠位の端部を有する光ファイバが含まれる。光ファイバは、調査対象の物質を照射するために、レーザ光源から放出される光線をプローブ先端に導く。光ファイバプローブは、プローブ先端に近接して配置された第1の又は遠位の端部、及び分光器に近接して結合された第2の又は近位の端部を有する別個の光ファイバのセットを含む。プローブは、物質から散乱された光線を集光する。別個の光ファイバのセットは、集光された光線をプローブ先端から分析用の分光器に導く。
【発明の概要】
【0003】
一例によると、光ファイバプローブは、集光経路に関連するプローブ構成要素から励起レーザ光を光学的に分離するプローブ先端構造を含んでもよい。例えば、励起レーザ光は光学的に分離され、集光経路に関連するレンズの屈折面又は反射面において又はその前方でプローブ先端から出てもよい。一例によると、励起レーザ光は、発光導波管又は発光ファイバに隣接して位置する基板への光の侵入を遮断することによって光学的に分離されてもよい。一例によると、1つ以上の発光ファイバは、プローブチップ構成要素に形成された開口部に挿入されるか又はそこを通って挿入されてもよい。一例によると、開口部は、励起光経路と集光経路との間に光アイソレータを形成してもよい。一例によると、物理的障壁、金属管等の光遮断構造をプローブ先端構成要素に形成された開口部内に配置することによって、発光又は光送達ファイバが光学的に分離されてもよい。代替的に又は追加的に、ブラックポリマー、ブラック充填エポキシ等の光遮断コーティングで開口部を内張りすることによって、発光又は光送達ファイバが集光経路から光学的に分離されてもよい。
【0004】
一例によると、励起レーザ光は、そこを通って発光ファイバを受け入れるレンズ内に開口部又はオリフィスを形成することによって、レンズ構成要素から光学的に分離されてもよい。つまり、発光ファイバはレンズ開口部内に又はそこを通って挿入されてもよい。一例によると、開口部は、レーザ光が開口部側壁を貫通するのを防ぐ遮光コーティングで内張りされてもよい。例えば、遮光コーティングは、開口部の円周に沿って提供されてもよい。代替的に、そこを通って発光ファイバを受け入れる開口部の中に遮光構造を配置することによって、励起レーザ光がレンズ構成要素から光学的に分離されてもよい。本技術は、レーザ光が周囲の物質と相互作用するのを遮断、防止、又は光学的に分離する様々な光障壁をサポートする。
【0005】
一例によると、光ファイバプローブは、レンズの作業部分に平坦な面を提供する1つ以上の表面又はファセットを有するレンズを含んでもよい。対照的に、従来のレンズ構造は、一般に、レンズの作業部分に滑らかな又は連続した球面又は半球面を含む。一例によると、1つ以上のレンズファセットは、レンズの作用部分に入射する光線を屈折させ、又は内部全反射させてもよい。別の例によると、本技術には、平坦なファセットと標準的又は従来の滑らかな又は連続した球面又は半球面とを組み合わせたレンズ構成要素が含まれてもよい。一例によると、ファセットは、励起光線又は集光光線を適切に導くように、光ファイバに対して方向付けられ又は配置されてもよい。例えば、ファセットは、調べられているサンプル又は物質に衝突するように励起光線を導いてもよい。さらに、ファセットは、サンプル又は物質から散乱、反射、又は放出される集光光線を分光器に導いてもよい。一例によると、レンズ構成要素は、エアギャップを有する複数のレンズ要素又は複数のレンズ構成要素を含んでもよい。代替的に、レンズ構成要素は、1つ以上のファセットを有する単一のレンズ構成要素を含んでもよい。
【0006】
一例によると、本技術は複数の光ファイバを有する光ファイバプローブ、及び高い開口数を提供する改良されたレンズ構造を提供する。光学では、開口数は、装置が光を放出又は受信できる角度の範囲を特徴付ける無次元数である。本技術は、ラマン分光医療用途に必要な最大の光子収集を提供する1つ以上のファセットを有するレンズ構成要素を備えた光ファイバプローブを提供する。
【0007】
一例によると、光ファイバプローブは、発光又は光送達ファイバを囲むマルチリング構成で配置された集光ファイバを含んでもよい。一例によると、マルチリング構成は、サンプル表面に対して異なる深さからのデータ収集を可能し得る.一例によると、発光ファイバに近い位置にあるリングに関連付けられた集光ファイバは、サンプルのより深い領域からデータを収集してもよい。対照的に、発光ファイバから遠い位置にあるリングに関連付けられた集光ファイバは、サンプル表面に近い領域からデータを収集してもよい。一例によると、光ファイバプローブは、サンプル内の異なる深さから集光された光線を複数の集光ファイバリングの1つ以上に向けるレンズを含んでもよい。
【0008】
一例によると、分光器に結合されたコンピュータシステムは、光ファイバプローブに関連するスペクトルデータを捕捉して分析してもよい。一例によると、コンピュータシステムは、1つ以上の光ファイバリングに関連するスペクトルデータを個別に分析してもよい。したがって、コンピュータシステムは、異なる深度測定に関連する光ファイバリングのスペクトルデータを個別に分析してもよい。一例によると、コンピュータシステムは、数学的演算を使用してスペクトルデータを操作してもよい。例えば、コンピュータシステムは、異なる光学リングに関連付けられたスペクトルデータに対して加算、減算、乗算、又はその他の数学的演算を実行してもよい。
【0009】
一例によると、光ファイバプローブは、内部に較正信号を発信する較正ファイバを含んでもよい。一例によると、内部較正信号を生成することは、外部較正信号を得ることに典型的に関連する欠点を単純化し、迅速に処理し、除去し得る。一例によると、内部較正信号は、滅菌された較正源又はサンプルを必要とする医療環境で使用されてもよい。一例によると、較正ファイバは、プローブ先端に密閉又は滅菌された較正サンプルを含んでもよい。
【0010】
本技術の用途には、特に、医療手術中に不可欠な分子情報を提供するために使用される光学スキャナ及びプローブ、病理情報を取得するために使用される光学スキャナ及びプローブ、組織除去に関連する外科的ガイダンス又は追加情報を提供するために使用される光学スキャナ及びプローブ、及び診断用途等が含まれてもよい。本技術は、取得時間が重要である場合に、リアルタイムの医療処置又は手術中に性能の向上及び取得時間の短縮を提供する。
【0011】
一例によると、本明細書に記載する光学技術は、磁気共鳴画像法(MRI)技術等の他の撮像技術と組み合わせて使用されてもよい。MRIスキャンは、磁場及びコンピュータで生成された電波を使用して、臓器及び体組織の詳細な画像を作成する医療画像技術である。一例によると、MRIスキャンでは軟部組織のコントラストが生成され、これはがん腫瘍又はその他の異常組織の検出に使用される。しかしながら、MRI技術では解像度が限られているため、低密度で発生する異常組織を検出できない場合がある。これに対して、本明細書に記載する光学技術では、物質の1つの原子又は分子の存在を検出することが可能である。がん細胞は、健康な細胞とは物理的に異なる。したがって、本明細書に記載されている光学技術は、健康な臓器内の単一のがん細胞を発見することが可能である。
【0012】
一例によると、本明細書に記載されている光学技術を他の撮像システムと共に使用して、システム全体の性能を向上させることができる。例えば、本明細書に記載されている光学技術によって生成された化学データに関連する画像を、MRIシステムデータによって生成された電磁データに関連する画像にオーバレイして、システム全体の性能を向上させることができる。一例によると、既知のMRI技術によって、位置データと共に人間の脳の3次元(3D)画像が生成されてもよい。本明細書に記載されている光学技術は、人間の脳内の既知の基準点に対する既知の深さから得られる化学データを生成し得る。一例によると、強化されたシステムは、既知の深さに関連付けられた化学データと電磁データに関連付けられた3D位置データとを重ね合わせることによって、がん細胞の3D空間における位置を検出及び計算し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本技術の一例による、レンズの前方のフィルタ、開口部を有するプローブ構成要素、及び光アイソレータを有する光ファイバプローブの分解図を示している。
【0014】
【
図2】本技術の別の例による、レンズの前方のフィルタ、開口部を有するプローブ構成要素、及び光アイソレータを有する光ファイバプローブの分解図を示している。
【0015】
【
図3】本技術の別の例による、レンズの前方のフィルタ、開口部を有するプローブ構成要素、及び光アイソレータを有する光ファイバプローブの分解図を示している。
【0016】
【
図4】本技術の一例による、レンズの前方のフィルタ、及び開口部を有する整列特徴を有する光ファイバプローブの分解図を示している。
【0017】
【
図5A】本技術の一例による、従来の光ファイバプローブのラマンスペクトルを示している。
【0018】
【
図5B】本技術の一例による、改良された光ファイバプローブのラマンスペクトルを示している。
【0019】
【
図6A】本技術の一例による、集光ファイバの単一リング構成を有する光ファイバの端面図を示している。
【0020】
【
図6B】本技術の一例による、集光ファイバのマルチリング同心円構成を有する光ファイバの端面図を示している。
【0021】
【
図7】本技術の一例による、レンズの前方のフィルタ、開口部を有するプローブ構成要素、光アイソレータ、及び集光ファイバのマルチリング同心円構成を有する光ファイバプローブの分解図を示している。
【0022】
【
図8A】本技術の一例による、レンズの前方のフィルタ、開口部を有するプローブ構成要素、光アイソレータ、及び集光ファイバのマルチリング同心円構成を有する
図7に示す光ファイバプローブの光線トレース図を示している。
【0023】
【
図8B】本技術の一例による、レンズの前方のフィルタ、開口部を有するプローブ構成要素、光アイソレータ、及び集光ファイバのマルチリング同心円構成を有する
図7に示された光ファイバプローブの光線トレース図を示している。
【0024】
【
図9】本技術の一例による、代替的な制限窓、レンズの前方のフィルタ、開口部を有するプローブ構成要素、光アイソレータ、及び集光ファイバのマルチリング同心円構成を有する光ファイバプローブの分解図を示している。
【0025】
【
図10A】本技術の一例による、代替的な制限窓、レンズの前方のフィルタ、開口部を有するプローブ構成要素、光アイソレータ、及び集光ファイバのマルチリング同心円構成を有する
図9に示された光ファイバプローブの光線トレース図を示している。
【0026】
【
図10B】本技術の一例による、代替的な制限窓、レンズ前方のフィルタ、開口部を有するプローブ構成要素、光アイソレータ、及び集光ファイバのマルチリング同心円構成を有する
図9に示された光ファイバプローブの光線トレース図を示している。
【0027】
【
図11】本技術の一例による、レンズ前方のフィルタ、内部全反射レンズ、開口部を有するプローブ構成要素、光アイソレータ、及び集光ファイバのマルチリング同心円構成を有する光ファイバプローブの分解図を示している。
【0028】
【
図12】本技術の一例による、レンズ前方のフィルタ、内部全反射レンズ、開口部を有するプローブ構成要素、光アイソレータ、及び集光ファイバのマルチリング同心円構成を有する
図11に示された光ファイバプローブの光線トレース図を示している。
【0029】
【
図13】本技術の一例による、1つの作用ファセット及び開口部を有するレンズの斜視図を示している。
【0030】
【
図14】本技術の一例による、2つの作用ファセット及び開口部を有するレンズの斜視図を示している。
【0031】
【
図15】本技術の一例による、2つの作用ファセット及び開口部を有する代替的なレンズの斜視図を示している。
【0032】
【
図16】本技術の一例による、4つの作用ファセット及び開口部を有するレンズの斜視図を示している。
【0033】
【
図17A】本技術の一例による、複数の小型レンズ及び整列ピンを有するレンズ構造の底面図を示している。
【0034】
【
図17B】本技術の一例による、複数の小型レンズ及び整列ピンを有するレンズ構造の側面図を示している。
【0035】
【
図18】本技術の一例による、レンズの前方のフィルタ、開口部を有するプローブ構成要素、及び内部較正サンプルを有する光ファイバプローブの分解図を示している。
【0036】
【
図19】本技術の一例による、外部較正システムを示している。
【0037】
【
図20】本技術の一例による、集光ファイバの2リング同心円構成の構造を示している。
【発明を実施するための形態】
【0038】
説明の簡潔性及び明確性のために、適切な場合には、対応する要素又は類似する要素を示すために、異なる図の間で参照番号が繰り返され得ることが理解されるであろう。さらに、本明細書に記載されている例を十分に理解するために、多数の具体的な詳細が示されている。しかしながら、本明細書に記載されている例は、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることは、当業者には理解されるであろう。他の例では、記載されている関連する特徴が不明瞭にならないように、方法、手続き、及び構成要素が詳細に記載されていない。また、この記載は、本明細書に記載する例の範囲を制限するものとは見なされない。図面は必ずしも縮尺に従ったものではなく、本開示の詳細及び特徴をよりよく説明するために、特定の部分の比率が誇張されている場合がある。本明細書に提供されている教示にアクセスできる当業者であれば、その範囲内の追加の修正、応用、及び例、並びに技術が重要な有用性を有する追加の分野を認識するであろう。
【0039】
特に他に定義されていない限り、本明細書で使用されている技術用語は、本開示が属する当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書で使用されている「第1」、「第2」等の用語は、いかなる順序、量、又は重要性を示すものでもなく、むしろある要素を別の要素から区別するために使用されている。また、「a」及び「an」という用語は、量の制限を示すものではなく、参照されている項目の少なくとも1つが存在することを示している。「又は」という用語は、包括的であることを意味し、列挙されている項目のいずれか、いくつか、又は全てを意味する。本開示では、「備える」、「含む」、及び「有する」という用語は同じ意味で使用される。「備える」、「含む」、及び「有する」という用語は、含むことを意味するが、必ずしもそのように記載されたものに限定されない。
【0040】
「接続」及び「結合」という用語は、物体が永続的に接続されている、解放可能に接続されている、又は連結されているようなものであり得る。「実質的に」という用語は、そのものが正確である必要はないように、それが「実質的に」変更するものに本質的に適合していると定義される。例えば、実質的に2インチ(2’’)は、寸法に僅かな変動が含まれ得ることを意味する。
【0041】
必要とされるのは、改良型プローブチップ構造を有する光ファイバプローブ、又はラマン分光学応用を含む分光学応用のために設計された改良型プローブチップ構成要素である。一例によると、改良型プローブチップ構造は、プローブチップ構成要素の新規かつ非自明な設計又は配置を含む。例えば、レンズフィルタ構成要素は、屈折面又は反射面を有するレンズ構成要素の前方に配置されてもよい。本開示全体を通して、光ファイバプローブの文脈における構成要素の前方とは、光ファイバプローブの遠位端に近いことを意味する。
【0042】
図1は、技術の一例に従って、レンズフィルタ、開口部を有するプローブ構成要素、及び光アイソレータを有する光ファイバプローブ100のプローブ先端の分解図を示している。一例によると、光ファイバプローブ100は、窓101、開口部103を有するレンズフィルタ102、開口部105を有するレンズ104、1つ以上の集光ファイバ107のリングに関連付けられた集光ファイバフィルタ106であって、開口部108を有する集光ファイバフィルタ106、1つ以上の発光ファイバ110に関連付けられた発光ファイバフィルタ109、及び発光ファイバ110と集光ファイバ107との間のプローブ先端に近接した光の移動を防ぐ針管111等のいくつかの構成要素を含んでもよい。一例によると、構成要素には、プローブの前方又は上流に位置する遠位端、及びプローブの下流に位置する近位端が含まれる。一例によると、遠位端及び近位端は構成要素の境界面に設けられる。一例によると、遠位端及び近位端は光路に対して実質的に垂直に配置されてもよい。一例によると、針管111の代わりにカーボンブラック充填エポキシが使用されてもよい。一例によると、構成要素の開口部、針管111、カーボンブラック充填エポキシ等は、光の送達経路及び光の集光経路を光学的に分離し得るため、本明細書では光アイソレータと呼ばれる。一例によると、レンズフィルタ102、レンズ104、及び集光ファイバフィルタ106は、リング状又はドーナツ状の構成要素であってもよい。一例によると、発光ファイバフィルタ109及び発光ファイバ110は、光ファイバプローブ100を組み立てる際に、ドーナツ状の構成要素内の対応する開口部に挿入されるか、又はその中を通されてもよい。一例によると、フィルタ構成要素は、フィルタ材料が基板上に設置された誘電体フィルタ構成要素を含んでもよい。一例によると、反射損失を最小限に抑えるために、レンズ等のプローブ構成要素に反射防止(AR)コーティングが適用されてもよい。
【0043】
一例によると、光ファイバプローブ100は、端面114にファイバパターンを定義するファイバ整列ホルダ113を含んでもよい。例えば、
図1は、集光ファイバ107の円形又はリボルバパターンで囲まれた中央に配置された発光ファイバ110を示している。
図6Aは、この同心円状の単一リング701構成の上面図を示している。一例によると、光ファイバ構成要素に定義された開口部103,105,108は、ファイバ整列ホルダ113内の発光ファイバ110の位置と実質的に一致するように形成されてもよい。
【0044】
一例によると、端面114を有するファイバ整列ホルダ113は、集光ファイバ107及び発光ファイバ110を所望の構成で固定するように使用されてもよい。一例によると、端面114は、集光ファイバ107及び発光ファイバ110を所望の構成で固定するように適応された1つ以上の開口部を含んでもよい。一例によると、端面114は、そこを通って集光ファイバ107を受け入れる複数の開口部を含んでもよい。一例によると、端面114は、その中に発光ファイバ110を受け入れる大きな中央開口部を含んでもよい。一例によると、開口部は、リング状の配置、直線状の配置等の任意の所望の配置又は構成で光ファイバを固定するようにパターン化されてもよい。一例によると、開口部は、ランダム又は特定の構成で、例えば、シングルリングパターン、マルチリングパターン、シングルラインパターン、マルチラインパターンで配置されてもよい。一例によると、開口部は、個々のファイバパターン、又はリングパターン、ラインパターン等のグループパターンの任意の組み合わせで提供されてもよい。
【0045】
一例によると、レンズ、ファセット、フィルタ等のプローブ構成要素の形状は、開口部要件及び光ファイバ配置に影響し又はそれを決定してもよい。一例によると、集光ファイバ107及び発光ファイバ110は、端面114の対応する開口部に挿入され、所望の光ファイバ配置を提供するために所定の位置に固定されてもよい。例えば、集光ファイバ107及び発光ファイバ110は、締まり嵌め、エポキシ等によって固定されてもよい。一例によると、集光ファイバ107及び発光ファイバ110は、端面114の対応する開口部に個別に挿入されてもよい。追加的に又は代替的に、集光ファイバ107及び発光ファイバ110は、端面114の対応する開口部に挿入するために、束ねられ又はグループ化されてもよい。例えば、
図1は、端面114に設けられた単一の開口部に束ねられた発光ファイバ110のグループを示している。さらに、
図1は、端面114に設けられた複数の開口部に個別に挿入された集光ファイバ107を示している。このようにして、ファイバ整列ホルダ113及び端面114は、集光ファイバ107及び発光ファイバ110のパターンをレンズ又はファセットの形状に整列又は一致させるように形成されてもよい。
【0046】
一例によると、集光ファイバ107及び発光ファイバ110は、端面114の対応する開口部に挿入されるか、又はそこを通されてもよく、必要に応じて光ファイバプローブ100の他の構成要素に対して相対的に配置されてもよい。例えば、集光ファイバ107及び発光ファイバ110は、端面114の対応する開口部に挿入されるか、又はそこを通されてもよく、レンズ104又はフィルタ106,109に当接するように配置されてもよい。別の例によれば、集光ファイバ107及び発光ファイバ110は、端面114の対応する開口部を通して挿入されてもよく、レンズ構造104又はフィルタ106,109から所望の距離をオフセットされてもよい。一例によると、集光ファイバ107及び発光ファイバ110は、エポキシ等によって、端面114、レンズ104、又はフィルタ106,109に固定されてもよい。光透過界面に適用されるエポキシは、光線を効率的に通過させるために、透明な光エポキシでなければならない。一例によると、集光ファイバ107はエポキシによって固定され、研磨されてもよい。例えば、集光ファイバ107は一緒に研磨されてもよい。一例によると、発光ファイバ110は集光ファイバ107とは別に研磨されてもよい。一例によると、発光ファイバ110を含むアセンブリは、端面114の対応する開口部を通して挿入されてもよい。一例によると、集光ファイバ107は、最初は端面114の対応する開口部に固定されてもよく、その後、発光ファイバ110が端面114の開口部に固定されてもよい。次に、集光ファイバフィルタ106が取り付けられ、続いてレンズ104又は窓101が取り付けられてもよい。一例によると、ファイバ整列ホルダ113及び端面114は様々な技術を用いて形成されてもよい。例えば、ファイバ整列ホルダ113及び端面114は、機械加工、三次元印刷、成形等によって形成されてもよい。一例によると、端面114は、スロット等の異なる形状の開口部を含んでもよい。一例によると、スロットは、スロットの幅が実質的に光ファイバの直径と同等になるように寸法が定められてもよい。一例によると、スロットは、放射状線、曲線、幾何学的形状等のマルチファイバ構成を形成するために、複数の光ファイバを受け入れるように構成されてもよい。
【0047】
一例によると、レンズフィルタ102は、ロングパス又はノッチフィルタを含んでもよい。一例によると、レンズフィルタ102は、ドーナツ状のロングパス又はノッチフィルタであってもよい。レンズフィルタ102は、集光された光線がレンズ材料又は他のプローブ材料と相互作用する前に光強度を減少させるように設計される。したがって、レンズフィルタ102は、実質的に任意のレンズ又は基板材料を採用しながら、光学プローブ100がノイズ信号の発生を最小限に抑えることを可能にする。レンズフィルタ102を含まない場合、集光された光線は、プローブ構成要素に衝突するときに望ましくないピーク、干渉、又はバックグラウンド蛍光等のノイズ信号を生成し得る。例えば、集光された光線は、衝突時にプローブ構成要素に蛍光を発生させ得る。望ましくないピーク、干渉、又はバックグラウンド蛍光を含むノイズ信号は、所望の試料のスペクトルに追加又は重畳されてもよい。
【0048】
一例によると、この新しいプローブ設計は、レンズ104の前方又は上流に配置されたレンズフィルタ102を含み、これはレンズ104に衝突する集光された光線に起因するバックグラウンド干渉又はノイズ信号を減少又は平坦化する。一例によると、レンズ104に起因するバックグラウンド干渉又はノイズ信号を最小限に抑えることで、システムの信号対ノイズ比(SNR)を高め得る。さらに、レンズフィルタ102を他のプローブ構成要素の前方又は上流に配置すると、下流のプローブ構成要素に衝突する集光された光線に起因するバックグラウンド干渉又はノイズ信号を減少又は平坦化させ得る。一例によると、1つ以上のプローブ構成要素に起因するバックグラウンド干渉又はノイズ信号を最小限に抑えることで、システムのSNRが増加する。
【0049】
別の例によると、レンズ102の開口部103及び他のプローブ構成要素の開口部105,108等の集光経路と光の照射経路との間に光アイソレータを設けると、励起レーザがこれらの構成要素に衝突することによって引き起こされる望ましくないピーク、干渉、又はバックグラウンド蛍光等のノイズ信号を実質的に除去し得る。したがって、様々なプローブ構成要素に開口部103,105,108を設けることで、システムのSNRが増加し、励起レーザに起因する負の影響又はクロストークが最小限に抑えられる。このように、プローブ構成要素に1つ以上の開口部103,105,108を設けること、及びレンズ104又は他のプローブ構成要素の前方にレンズフィルタ102を設けることの組み合わせに基づいて、システムのSNRを増加させ得る。当業者であれば、分光学的用途に応じて、光ファイバプローブ100から1つ以上のフィルタを除去し得ることを容易に理解するであろう。
【0050】
構成要素の開口部103,105,108はシステムのSNRを改善する一方で、発光ファイバ110の円周と構成要素の開口部103,105,108の円周との間に形成されるエアギャップは、発光ファイバ110から集光ファイバ107に生じるクロストーク又は剛性の低下等の望ましくない特性をプローブ先端にもたらし得る。一例によると、物質界面で放出光線が分散又は漏洩するとクロストークが発生し得る。対策には、光の照射経路と光の集光経路との間に光アイソレータを形成するエアギャップを充填することが含まれる。例えば、エアギャップは、導波管又は非導波管材料等の材料で充填されてもよい。一例によると、配光経路と集光経路との間の追加の光アイソレータとして、カーボンブラック充填エポキシが1つ以上の開口部103,105,108の周囲に適用されてもよい。一例によると、配光経路と集光経路との間のさらに別の光アイソレータとして、溶融シリカ又はフッ化マグネシウム等の円筒形の芯材料がエアギャップに挿入されて、プローブ先端の剛性を高め得る。一例によると、配光経路と集光経路との間に複数の光アイソレータを提供するために、カーボンブラックで充填されたエポキシが1つ以上の開口部103,105,108の周囲に適用されてもよく、円筒形の芯材料がエアギャップに挿入されてもよい。例えば、円筒形の芯材料又は管が1つ以上の開口部103,105,108の内側の周囲に締まり嵌めされるか又は接合されてもよい。
【0051】
一例によると、カーボンブラックで内張りされた開口部は迷光を吸収することによって光学的分離を提供し、円筒形の芯材料は剛性を高め、さらなる光学的分離を提供する。一例によると、カーボンブラックで内張りされた開口部は、励起レーザ光が集光経路に入るのを防ぐ。別の言い方をすると、カーボンブラックで内張りされた開口部は、励起レーザ光が隣接する材料に侵入するのを防ぐ。さらに、カーボンブラックの内張りされた開口部は、集光された光が発光ファイバ110又は光の送達経路に侵入するのを防ぐ。したがって、本技術は、励起レーザ光と集光された光線との間の最小のクロストークを提供し、その結果、集光された光信号のSNRが改善される。当業者であれば、発光ファイバ110の円周と構成要素の開口部103,105,108の円周との間に形成されるエアギャップを充填するために他の技術を採用してもよいことは容易に理解できるであろう。
【0052】
一例によると、光ファイバプローブ100は、試験中に物質に直接接触し得るプローブ先端の外側構成要素として窓101を含んでもよい。一例によると、窓101の厚さは、遠位端が発光光線と集光光線との交差によって定義される最大強度領域に位置するか、又はその近くに位置するように選択されてもよい。一例によると、光ファイバプローブ100は、使用中に試料又は物質から一定の距離を維持されてもよい。一例によると、窓101は、フッ化マグネシウム(MgF2)、溶融シリカ、サファイア等、広範囲の波長の光線に対して透明であり、スペクトル干渉又はノイズ信号の発生を回避する、1つ以上の材料で構成されてもよい。一例によると、窓101は、プローブ構成要素を保護するために使用されてもよい。一例によると、窓101は、較正中に基準ピーク又はスペクトルを生成するために、ラマン又は他の分光技術の間に使用されてもよい。
【0053】
一例によると、窓101は、窓101の両側にダイヤモンド、サファイア等の材料の薄い層を堆積又は付着させることによって形成されてもよい。例えば、薄い材料の層は、エポキシ等を用いて窓101の両側に接着されてもよい。別の例によれば、薄い材料の層は、較正層を保護するために、2つの窓部品の間に挟み込まれてもよい。一例によると、基準ピーク又はスペクトルは、レーザ、プローブ、分光器、検出器を含むプローブ又は完全なシステムを相互に較正又は正規化するために使用されてもよい。一例によると、材料及び窓又は層の厚さは、耐久性を高め、スペクトル干渉を最小限に抑え、サンプルの光強度を高め、較正を改善するように選択されてもよい。一例によると、材料及び窓又は層の厚さは、調査対象の材料又はサンプルのスペクトル信号の取得を強化するように選択されてもよい。一例によると、ラマン分光法の較正を改善するために、フッ化マグネシウムの窓が単独で又は層内で使用されてもよい。当業者であれば、窓101が広範囲の波長にわたる光に対して実質的に透過的であり、スペクトル干渉、ノイズ信号、又はサンプルのラマン信号を薄め得る窓ラマン信号の発生を回避する任意の材料から構成され得ることを容易に理解するであろう。
【0054】
一例によると、光ファイバプローブは、異なる構成要素の向き、異なる構成要素の配置、異なるレンズスタイル、異なる構成要素の形状等を提供することにより修正されてもよい。
図2は、技術の一例に従ったレンズフィルタ、光アイソレータ、及び開口部を有するプローブ構成要素を有する光ファイバプローブ200の代替的なプローブ先端の分解図を示している。光ファイバプローブ200は、レンズ104の向きと比較してレンズ204の向きが反転されることを除いて、
図1に示す光ファイバプローブ100と同様である。したがって、空気界面は、
図2のレンズフィルタ202の近位端に近接して設けられる。対照的に、空気界面は、
図1の集光ファイバフィルタ106の遠位端に近接して設けられる。一例によると、構成要素には、プローブの前方又は上流に位置する遠位端、及びプローブの下流に位置する近位端が含まれる。一例によると、遠位端及び近位端は構成要素の境界面に設けられる。一例によると、遠位端及び近位端は光路に対して実質的に垂直に配置されてもよい。
【0055】
一例によると、レンズ204は、そこを通して1つ以上の発光ファイバ110を受け入れる開口部205を含む。一例によると、レンズフィルタ202は、そこを通して1つ以上の発光ファイバ110を受け入れる開口部203を含む。一例によると、開口部203,205は、配光経路と集光経路との間の光アイソレータである。一例によると、レンズフィルタ202は、レンズ204、他のプローブ構成要素、又は集光された光の品質及び特性を補償するように設計されている。例えば、レンズフィルタ202は、集光された光線がレンズ材料又は他のプローブ材料に衝突する前に光の強度を低下させるように設計されてもよい。したがって、レンズフィルタ202は、実質的に任意のレンズ又は基板材料を採用しながら、光ファイバプローブ200がノイズ信号の発生を最小限に抑えることを可能にする。レンズフィルタ202を含まない場合、集光された光線は、プローブ構成要素に衝突するときに望ましくないピーク、干渉、又はバックグラウンド蛍光等のノイズ信号を生成し得る。例えば、集光された光線は、衝突時にプローブ構成要素に蛍光を発生させ得る。望ましくないピーク、干渉、又はバックグラウンド蛍光を含むノイズ信号は、所望の試料のスペクトルに追加又は重畳されてもよい。
【0056】
一例によると、プローブ設計は、レンズ204に衝突する集光された光線に起因するバックグラウンド干渉又はノイズ信号を減少又は平坦化するために、レンズ204の前方又は上流に配置されたレンズフィルタ202を含む。一例によると、レンズ204に起因するバックグラウンド干渉又はノイズ信号を最小化すると、システムのSNRが増加し得る。さらに、レンズフィルタ202を他のプローブ構成要素の前方又は上流に配置すると、下流のプローブ構成要素に衝突する集光された光線に起因するバックグラウンド干渉又はノイズ信号を減少又は平坦化させ得る。一例によると、1つ以上のプローブ構成要素に起因するバックグラウンド干渉又はノイズ信号を最小限に抑えることで、システムのSNRが増加する。
【0057】
一例によると、レンズフィルタ202、レンズ204、及び集光ファイバフィルタ206はドーナツ状の構成要素であってもよい。一例によると、光ファイバプローブ200を組み立てる際に、発光ファイバフィルタ109及び発光ファイバ110はドーナツ状の構成要素に挿入され又はその中を通過させられてもよい。
図2は、集光ファイバ107の円形パターンで囲まれた中央に配置された発光ファイバ110を示している。
図6Aは、この同心円状の単一リング701構成の上面図を示している。一例によると、光ファイバ構成要素に定義された開口部203,205,208は、発光ファイバ110の位置と実質的に一致するように形成されてもよい。一例によると、
図2に示された構成要素の形状及び構成要素の配置は、
図1に示されたプローブ構成要素と実質的に同様であってもよい。したがって、
図1に関して説明された構成要素の詳細は、
図2に関して繰り返されない。
【0058】
図3は、技術の一例に従って、レンズフィルタ、開口部を有するプローブ構成要素、光アイソレータ、及び集光ファイバ307及び発光ファイバ310の横並び配置を有する光ファイバプローブ300の代替的なプローブ先端の分解図を示している。一例によると、発光ファイバ310は、ファイバ整列ホルダ313の端部に配置されてもよい。一例によると、集光ファイバ107はファイバ整列ホルダ313の残りの部分全体に配置されてもよい。一例によると、プローブ構成要素は、発光ファイバ310の位置に実質的に整列するように形成された開口部又は光アイソレータを含んでもよい。一例によると、光ファイバプローブ300は、窓101、開口部303を有するレンズフィルタ302、開口部305を有するレンズ304、1つ以上の集光ファイバ307のリングに関連付けられた集光ファイバフィルタ306であって、開口部308を有する集光ファイバフィルタ306、1つ以上の発光ファイバ310に関連付けられた発光ファイバフィルタ309、及び発光ファイバ310と集光ファイバ307との間のプローブ先端に近接した光の移動を防ぐ針管311等のいくつかの構成要素を含んでもよい。一例によると、針管311の代わりにカーボンブラックを充填したエポキシが使用されてもよい。一例によると、構成要素には、プローブの前方又は上流に位置する遠位端、及びプローブの下流に位置する近位端が含まれる。一例によると、遠位端及び近位端は構成要素の境界面に設けられる。一例によると、遠位端及び近位端は光路に対して実質的に垂直に配置されてもよい。一例によると、構成要素の開口部、針管311、カーボンブラック充填エポキシ等は、光の送達経路及び光の集光経路を光学的に分離し得るため、本明細書では光アイソレータと呼ばれる。
【0059】
一例によると、レンズフィルタ302、レンズ304、及び集光ファイバフィルタ306は、それぞれ、ファイバ整列ホルダ313内の発光ファイバ310の位置と実質的に整列するように形成された開口部303,305,308を含んでもよい。例えば、開口部303,305,308は、それぞれレンズフィルタ302、レンズ304、及び集光ファイバフィルタ306の端に沿って設けられてもよい。一例によると、開口部303,305,308はプローブ構成要素の非作用部分に形成されてもよい。
図3を参照すると、非作用部分は発光ファイバ310の近くに位置してもよい。代替的に、プローブ構成要素の作用部分は、集光ファイバ307と光通信する集光経路に沿って位置してもよい。例えば、開口部305はレンズ304の非作用部分に形成されてもよく、一方、レンズ304の作用部分は集光ファイバ307と光通信するように配置されてもよい。例えば、レンズ304の作用部分は屈折面又は反射面に対応してもよい。一例によると、発光ファイバフィルタ309及び発光ファイバ310は、光ファイバプローブ100を組み立てる際に、プローブ構成要素内の対応する開口部に挿入されるか又は通過させられてもよい。例えば、発光ファイバ310は、レンズ304の側部又は屈折部分に配置されてもよい。
【0060】
一例によると、レンズフィルタ302は、レンズ304、他のプローブ構成要素、又は集光された光線の望ましくない品質及び特性を補償するように設計されている。例えば、レンズフィルタ302は、集光された光線がレンズ材料又は他のプローブ材料と相互作用する前に光強度を減少させるように設計されてもよい。したがって、レンズフィルタ302は、実質的に任意のレンズ又は基板材料を採用しながら、光学プローブ300がノイズ信号の発生を最小限に抑えることを可能にする。レンズフィルタ302を含まない場合、集光された光線は、プローブ構成要素に衝突するときに望ましくないピーク、干渉、又はバックグラウンド蛍光等のノイズ信号を生成し得る。例えば、集光された光線は、衝突時にプローブ構成要素に蛍光を発生させ得る。望ましくないピーク、干渉、又はバックグラウンド蛍光を含むノイズ信号は、所望の試料のスペクトルに追加又は重畳されてもよい。
【0061】
一例によると、プローブ設計は、レンズ304に衝突する集光された光線に起因するバックグラウンド干渉又はノイズ信号を減少又は平坦化するために、レンズ304の前方又は上流に配置されたレンズフィルタ302を含む。一例によると、レンズ304に起因するバックグラウンド干渉又はノイズ信号を最小化すると、システムのSNRが増加し得る。さらに、レンズフィルタ302を他のプローブ構成要素の前方又は上流に配置すると、下流のプローブ構成要素に衝突する集光された光線に起因するバックグラウンド干渉又はノイズ信号を減少又は平坦化させ得る。一例によると、1つ以上のプローブ構成要素に起因するバックグラウンド干渉又はノイズ信号を最小限に抑えることで、システムのSNRが増加する。
【0062】
図2及び3に関して、構成要素の開口203,205,208/303,305,308はシステムのSNRを改善するが、発光ファイバ110/310の円周と構成要素の開口203,205,208/303,305,308の円周との間に形成されるエアギャップは、剛性の低下、又は発光ファイバ110/310から集光ファイバ107/307に生じるクロストーク等の好ましくない特性をプローブ先端に導入し得る。一例によると、物質界面で放出光線が分散又は漏洩するとクロストークが発生し得る。対策には、光の照射経路と光の集光経路との間に光アイソレータを形成するエアギャップを充填することが含まれる。例えば、エアギャップは、導波管又は非導波管材料等の材料で充填されてもよい。一例によると、カーボンブラックで充填されたエポキシは、配光経路と集光経路との間の追加の光アイソレータとして、1つ以上の開口203,205,208/303,305,308の周囲に適用されてもよい。一例によると、プローブ先端の剛性を高めるために、配光経路と集光経路との間のさらに別の光アイソレータとして、シリカ又はフッ化マグネシウム等の円筒形の芯材料がエアギャップに挿入されてもよい。一例によると、カーボンブラックを充填したエポキシは、1つ以上の開口部203,205,208/303,305,308の周囲に適用されてもよく、円筒形の芯材料は、配光経路と集光経路との間に複数の光アイソレータを提供するようにエアギャップに挿入されてもよい。例えば、円筒形の芯材料又は管は、1つ以上の開口部203,205,208/303,305,308の内側の周囲に締まり嵌めされ、又は接合されてもよい。
【0063】
一例によると、カーボンブラックで内張りされた開口部は迷光を吸収することによって光学的分離を提供し、円筒形の芯材料は剛性を高め、さらなる光学的分離を提供する。一例によると、カーボンブラックで内張りされた開口部は、励起レーザ光が集光経路に入るのを防ぐ。別の言い方をすると、カーボンブラックで内張りされた開口部は、励起レーザ光が隣接する材料に侵入するのを防ぐ。さらに、カーボンブラックの内張りされた開口部は、集光された光が発光ファイバ110/310又は光の送達経路に侵入するのを防ぐ。したがって、本技術は、励起レーザ光と集光された光線との間の最小のクロストークを提供し、その結果、集光された光信号のSNRが改善される。当業者であれば、発光ファイバ110/310の周囲と構成要素の開口部203,205,308/303,305,308の周囲との間に形成されるエアギャップを充填するために他の技術が利用され得ることを容易に理解するであろう。
【0064】
図4は、技術の一例に従って、レンズフィルタ、開口部を有する整列特徴構成要素、及び集光ファイバ307及び発光ファイバ310の横並び配置を有する光ファイバプローブ400の別の代替プローブチップの分解図を示している。一例によると、発光ファイバ310は、ファイバ整列ホルダ313の端部に配置されてもよい。一例によると、集光ファイバ307はファイバ整列ホルダ313の残りの部分全体に配置されてもよい。一例によると、プローブ構成要素402,404,406は、開口部403,405,408を有する整列特徴構成要素411,412,413に結合されてもよい。このようにして、プローブ構成要素自体は開口部を必要とせず、整列特徴は、所望の光遮断特性を含んでもよい。一例によると、発光ファイバフィルタ309及び発光ファイバ310は、光ファイバプローブ400が組み立てられたときに、整列特徴構成要素411,412,413の対応する開口部に挿入されるか、又は通過させられてもよい。一例によると、構成要素には、プローブの前方又は上流に位置する遠位端、及びプローブの下流に位置する近位端が含まれる。一例によると、遠位端及び近位端は構成要素の境界面に設けられる。一例によると、遠位端及び近位端は光路に対して実質的に垂直に配置されてもよい。
【0065】
一例によると、発光ファイバ310の円周と開口403,405,408の円周との間に形成されるエアギャップは、剛性の低下、又は発光ファイバ310から集光ファイバ307に生じるクロストーク等の好ましくない特性をプローブ先端にもたらし得る。一例によると、物質界面で放出光線が分散又は漏洩するとクロストークが発生し得る。対策には、光の照射経路と光の集光経路との間に光アイソレータを形成するエアギャップを充填することが含まれる。例えば、エアギャップは、導波管又は非導波管材料等の材料で充填されてもよい。一例によると、エアギャップは、エポキシ、接着剤等のギャップ充填材、又はその他のギャップ充填材で充填されてもよい。さらに、シリカ又はフッ化マグネシウム等の円筒形の芯材料がエアギャップに挿入されてもよい。例えば、円筒形の芯材料又は管が1つ以上の開口部403,405,408の内側の周囲に締まり嵌めされるか又は接合されてもよい。
【0066】
一例によると、プローブ構成要素402,404,406は、様々なやり方で整列特徴411,412,413に結合されてもよい。例えば、エポキシ、接着剤等の化学結合を使用して、プローブ構成要素が整列特徴に結合されてもよい。代替的に、プローブ構成要素は、ファスナ、舌部及び溝等の機械的接合を使用して、整列特徴に結合されてもよい。当業者であれば、プローブの構成要素と整列特徴とを結合するためにいくつかの技術が用いられてもよいことを容易に理解するであろう。
【0067】
一例によると、光ファイバプローブ400は、窓101、レンズフィルタ402、開口403を有するレンズフィルタ整列特徴411、レンズ404、開口405を有するレンズ整列特徴412、集光ファイバ307の1つ以上のリングに関連する集光ファイバフィルタ406、開口408を有する集光ファイバ整列特徴413、1つ以上の発光ファイバ310に関連する発光ファイバフィルタ309、及び発光ファイバ310と集光ファイバ307との間のプローブ先端に近接した光の移動を防止する針管311等の複数の構成要素を含んでもよい。一例によると、針管311の代わりにカーボンブラックを充填したエポキシが使用されてもよい。一例によると、プローブ構成要素402,404,406は開口部なしで構成されてもよい。一例によると、プローブ構成要素402,404,406は、整列特徴411,412,413に機械的に結合され、かつプローブ先端の外形内に収まるように成形されてもよい。一例によると、整列特徴411,412,413は、集光経路と励起光経路とを光学的に分離するように構成されてもよい。一例によると、整列特徴411,412,413は、ブラックプラスチック、ブラックエポキシ、金属管、物理光ブロック等の光遮断基板で構成されてもよい。
【0068】
別の例によれば、プローブ先端は、整列特徴を含むプローブ構成要素のいずれも、発光ファイバ310を受け入れるための開口部を必要としないように、その中に発光ファイバを受け入れる(図示せず)オリフィス又は開口部を定義してもよい。一例によると、発光ファイバ310は、プローブ先端を形成するプローブ本体に定義されたオリフィス又は開口部を通過してもよい。一例によると、発光ファイバ310は、エポキシ、接着剤等を使用してプローブ本体に固定されてもよい。代替的に又は追加的に、集光ファイバ307は、プローブ本体に定義されたオリフィス又は開口部を通過し、エポキシ、接着剤等を使用してプローブ本体に固定されてもよい
【0069】
一例によると、レンズフィルタ402は、ロングパスフィルタ又はノッチパスフィルタであってもよい。一例によると、レンズフィルタ402は、集光された光線がレンズ材料又は他のプローブ材料に衝突する前に光の強度を低下させるように設計される。したがって、レンズフィルタ402は、実質的に任意のレンズ又は基板材料を採用しながら、光学プローブ400がノイズ信号の発生を最小限に抑えることを可能にする。レンズフィルタ402を含まない場合、集光された光線は、プローブ構成要素に衝突するときに望ましくないピーク、干渉、又はバックグラウンド蛍光等のノイズ信号を生成し得る。例えば、集光された光線は、衝突時にプローブ構成要素に蛍光を発生させ得る。望ましくないピーク、干渉、又はバックグラウンド蛍光を含むノイズ信号は、所望の試料のスペクトルに追加又は重畳されてもよい。
【0070】
一例によると、プローブ設計は、レンズ404の前方又は上流に配置されたレンズフィルタ402を含み、これはレンズ404に衝突する集光された光線に起因するバックグラウンド干渉又はノイズ信号を減少又は平坦化させる。一例によると、レンズ404に起因するバックグラウンド干渉又はノイズ信号を最小化すると、システムのSNRが増加し得る。さらに、レンズフィルタ402を他のプローブ構成要素の前方又は上流に配置すると、下流のプローブ構成要素に衝突する集光された光線に起因するバックグラウンド干渉又はノイズ信号を減少又は平坦化させ得る。一例によると、1つ以上のプローブ構成要素に起因するバックグラウンド干渉又はノイズ信号を最小限に抑えることで、システムのSNRが増加する。
【0071】
図5Aは、数ある特徴の中でも特に、光アイソレータ又はレンズフィルタなしで、従来の光ファイバプローブを使用して捕捉又は収集された全乳のラマンスペクトルを示している。
図5Aのラマンスペクトルに示されている様々なピークは、全乳サンプル及びプローブの特徴の両方から寄与される蛍光及びスペクトル信号に対応している。
図5Bは、本明細書に記載されている改良されたプローブを使用して捕捉又は収集された全乳のラマンスペクトルを示しており、そのプローブ構成要素には開口部又は光アイソレータがあり、その中で発光ファイバが受け入れられる。
図5Bに示されている様々なピークは、全乳サンプルのスペクトル信号に対応しており、プローブの特徴によって寄与される蛍光及びスペクトル信号は最小限である。一例によると、
図5A及び5Bに示されているラマンスペクトルを捕捉するために使用される改良型プローブ及び従来型プローブは同様に構成されており、各プローブのプローブ構成要素は同じ基板材料から作られている。さらに、
図5A及び5Bに示されているラマンスペクトルは、同じ分光器、同じパラメータ、及びレーザ出力、取得時間等の同じ設定に関連付けられている。
【0072】
図5A及び5Bに示されているラマンスペクトルの比較は、改善されたプローブ設計のために全体的なバックグラウンドノイズがどのように減少又は平坦化されるかを示している。
図5Aを参照すると、ラマンスペクトルのピクセル番号800の周りに位置するピーク502aは、レンズ及び他のプローブ構成要素等のプローブ構成要素自体から生成され、全乳サンプルにのみ起因するものではない。
図5Bを参照すると、
図5Aのプローブ構成要素に起因するノイズ信号が改善されたプローブ設計によって本質的に除去されるため、ピクセル番号800の周りのピーク502bは平坦化されている。
図5A及び5Bに示されているラマンスペクトルの比較は、プローブ構成要素に起因するピーク502aが全乳サンプルの実際のピーク502bを目立たなくしていることを示している。
【0073】
図7は、技術の一例に従って、レンズフィルタ、開口部を有するプローブ構成要素、光アイソレータ、及びマルチリング集光ファイバ設計を有する光ファイバプローブ700のプローブ先端の分解図を示している。一例によると、光ファイバプローブ700は、窓101、開口部103を有するレンズフィルタ102、開口部105を有するレンズ104、集光ファイバ107の2つ以上のリングに関連付けられた集光ファイバフィルタ106であって、開口部108を有する集光ファイバフィルタ106、1つ以上の発光ファイバ110に関連付けられた発光ファイバフィルタ109、及び発光ファイバ110と集光ファイバ107との間のプローブ先端に近接した光の移動を防ぐ針管111等のいくつかの構成要素を含んでもよい。一例によると、針管111の代わりにカーボンブラックを充填したエポキシが使用されてもよい。一例によると、構成要素には、プローブの前方又は上流に位置する遠位端、及びプローブの下流に位置する近位端が含まれる。一例によると、遠位端及び近位端は構成要素の境界面に設けられる。一例によると、遠位端及び近位端は光路に対して実質的に垂直に配置されてもよい。一例によると、構成要素の開口部、針管111、カーボンブラック充填エポキシ等は、光の送達経路及び光の集光経路を光学的に分離し得るため、本明細書では光アイソレータと呼ばれる。一例によると、レンズフィルタ102、レンズ104、及び集光ファイバフィルタ106はドーナツ状の構成要素であってもよい。一例によると、発光ファイバフィルタ109及び発光ファイバ110は、光ファイバプローブ700を組み立てる際に、ドーナツ状の構成要素内の対応する開口部に挿入されるか、又はその中を通されてもよい。
【0074】
一例によると、光ファイバプローブ700は、端面714にファイバパターンを定義するファイバ整列ホルダ713を含んでもよい。例えば、
図7は、集光ファイバ107の2リング同心円構成に囲まれた中央に配置された発光ファイバ110を示している。
図6Bは、一例による光ファイバ107の同心円状の2リング602,604構成を示している。一例によると、光ファイバ構成要素に定義された開口部103,105,108は、ファイバ整列ホルダ713内の発光ファイバ110の位置と実質的に一致するように形成されてもよい。
【0075】
一例によると、マルチリング光ファイバプローブ700は、サンプル又は試料内の異なる測定深度からのデータ収集を可能にする。例えば、内側リング602に関連する集光ファイバ107は、試料のより深くからスペクトルデータを収集し得る。対照的に、外側リング604に関連する集光ファイバ107は、試料表面により近い場所からスペクトルデータを収集してもよい。一例によると、光ファイバプローブ700は、異なる深度測定をサポートするレンズ104を含む。例えば、光ファイバプローブ700は、異なる入射角から捕捉された光線を対応する集光ファイバリング602,604内に導くレンズ104を含んでもよく、ここで、異なる入射角は、サンプルの異なる深度測定に対応する。一例によると、コンピュータシステムを分光器に電気的に結合して、光ファイバプローブに関連するスペクトルデータを捕捉して分析してもよい。一例によると、コンピュータシステムは、異なる測定深度に関連する光ファイバリング602/604のスペクトルデータを個別に分析してもよい。例えば、コンピュータシステムは、数学的演算を使用してスペクトルデータを操作してもよく、各光ファイバリング602,604から得られたスペクトルデータについて、事前に定義されたシーケンスのスペクトルデータを分析してもよい。一例によると、コンピュータシステムは、内側リング602及び外側リング604に関連付けられたスペクトルデータに対して、加算、減算、乗算、又はその他の数学的演算を実行してもよい。
【0076】
図8A及び8Bは、それぞれ集光ファイバリング602,604に関連付けられた異なる入射角を示す光線トレース812,814を備えた光ファイバプローブ700の断面図を示している。第1の集光ファイバリング602及び第2の集光ファイバリング604は、複数の光ファイバ107を含む。光線トレースの図を簡略化するために、各ファイバリング602,604に対して単一の光路のみが示されている。当業者であれば、ファイバリング602,604に関連する各光ファイバ107が実質的に同時に集光光線を受けることは容易に理解できるであろう。一例によると、異なる入射角はサンプルの異なる深度測定に対応する。
図8Aを参照すると、発光ファイバ110は、レーザ光源から発生しかつ発光ファイバフィルタ109及び窓101を通過する光線810を放出する。一例によると、放出された光線810はサンプルに衝突する。一例によると、放出された光線810の一部は光ファイバプローブ700に向かって後方に反射又は散乱され、一方で、一部は衝突されたサンプルにラマン信号を放出させる。一例によると、プローブ700は反射された光線及びラマン信号を集光された光線812として受け入れる。一例によると、集光された光線812は窓101に衝突し、内側リング602に誘導される前に、レンズフィルタ102、レンズ104、及び集光ファイバフィルタ106を通って案内され、そこで集光された光線812は集光ファイバ107に入って分光器に送達される。一例によると、集光された光線812は、第1の深度測定に対応する第1の入射角で窓101に衝突する。一例によると、窓101の厚さは、遠位端815が発光光線及び集光光線の交点によって定義される最大強度領域816に位置するか又はその近くに位置するように選択されてもよい。一例によると、窓101が薄すぎるか又は厚すぎるように製造された場合、遠位端815は、強度低下領域818,820等の強度が低下した領域に位置し得る。一例によると、窓101の遠位端815を強度が低下した領域に配置することは、収集されたラマン信号の強度を低下させ得るため、望ましくない。
【0077】
図8Bを参照すると、発光ファイバ110は、レーザ光源から発生しかつ発光ファイバフィルタ109及び窓101を通過する光線810を放出する。一例によると、放出された光線810はサンプルに衝突する。一例によると、放出された光線810の一部は光ファイバプローブ700に向かって後方に反射又は散乱され、一方で、一部がサンプルにラマン信号を放出させる。一例によると、プローブ700は反射された光線及びラマン信号を集光された光線814として受け入れる。一例によると、集光された光線814は窓101に衝突し、外側リング604に誘導される前に、レンズフィルタ102、レンズ104、及び集光ファイバフィルタ106を通って案内され、そこで集光された光線814は集光ファイバ107に入って分光器に送達される。一例によると、集光された光線814は、第2の深度測定に対応する第2の入射角で窓101に衝突する。一例によると、窓101の厚さは、遠位端815が発光光線及び集光光線の交点によって定義される最大強度領域816に位置するか又はその近くに位置するように選択されてもよい。一例によると、窓101が薄すぎるか又は厚すぎるように製造された場合、遠位端815は、強度低下領域818,820等の強度が低下した領域に位置し得る。一例によると、窓101の遠位端815を強度が低下した領域に配置することは、収集されたラマン信号の強度を低下させ得るため、望ましくない。
図8A及び8Bは、例示及び説明を簡略化するために、2リング集光ファイバの個別の光線トレース図を示している。当業者であれば、データ収集がマルチリングに対して同時に行われ得ることを容易に理解するであろう。
【0078】
一例によると、集光光線812に関連する第1の入射角は、集光光線814に関連する第2の入射角よりも小さい。
図8Aは、集光光線812に関連する第1の入射角が、垂直角に近づいて窓101に接近することを確認している。したがって、第1の進入角に関連する第1の深度測定は、サンプルにより深く侵入する。
図8Bは、集光光線814に関連する第2の入射角が、平行角に近づいて窓101に接近することを確認している。したがって、第2の入射角に関連する第2の深度測定は、サンプル内により浅く侵入する。
【0079】
一例によると、光ファイバプローブ700で受信されたスペクトルデータは、異なる深度測定に対応しており、サンプル内の関心のある場所を特定するために使用されてもよい。例えば、深度測定は、表面、マーカ、遷移点等に対する光ファイバプローブ700の近接性を識別するために使用されてもよい。さらに、深度測定は、組織の厚さ、腫瘍のサイズ、正常、異常、筋肉、脂肪、腱、靱帯等の組織タイプを決定するために使用されてもよい。さらに、深度測定は、光ファイバプローブ700が臓器の近く、腫瘍の近く、又は腫瘍の端等に近づいているときに外科医に警告するために使用されてもよい。一例によると、深度測定は、光ファイバプローブ700が健康な組織と腫瘍、死んだ組織等の異常な組織との間の移行部に近づいていることを識別するために使用されてもよい。したがって、外科医は、切除前に腫瘍の境界又はマージンを決定するために深度測定を使用してもよい。
【0080】
図9は、技術の一例に従って、レンズフィルタ、開口部を有するプローブ構成要素、光アイソレータ、マルチリング集光ファイバ設計、及び窓ブロックを有する光ファイバプローブ900のプローブ先端の分解図を示している。全体的な図面の数を効率的に削減するために、
図9は、関連する光ファイバプローブ構成要素の上に配置された代替的な窓ブロック902a及び902b、及び対応する窓904a、904bをそれぞれ示している。一例によると、光ファイバプローブ900は、窓ブロック902a又は902b、窓904a、904b、開口部103を有するレンズフィルタ102、開口部105を有するレンズ104、集光ファイバ107の2つ以上のリング602,604に関連付けられた集光ファイバフィルタ106であって、開口部108を有する集光ファイバフィルタ106、1つ以上の発光ファイバ110に関連付けられた発光ファイバフィルタ109、及び発光ファイバ110と集光ファイバ107との間のプローブ先端に近接した光の移動を防止する針管111等のいくつかの光ファイバプローブ構成要素を含んでもよい。一例によると、針管111の代わりにカーボンブラックを充填したエポキシが使用されてもよい。一例によると、構成要素には、プローブの前方又は上流に位置する遠位端、及びプローブの下流に位置する近位端が含まれる。一例によると、遠位端及び近位端は構成要素の境界面に設けられる。一例によると、遠位端及び近位端は光路に対して実質的に垂直に配置されてもよい。一例によると、構成要素の開口部、針管311、カーボンブラック充填エポキシ等は、光の送達経路及び光の集光経路を光学的に分離し得るため、本明細書では光アイソレータと呼ばれる。
図6Bは、一例による光ファイバ107の同心円状の2リング602,604構成を示している。一例によると、レンズフィルタ102、レンズ104、及び集光ファイバフィルタ106は、リング状又はドーナツ状の構成要素であってもよい。一例によると、発光ファイバフィルタ109及び発光ファイバ110は、光ファイバプローブ900を組み立てる際に、ドーナツ状の構成要素内の対応する開口部に挿入されるか、又はその中を通されてもよい。一例によると、光ファイバプローブ900は、端面914にファイバパターンを定義するファイバ整列ホルダ913を含んでもよい。
【0081】
一例によると、窓904a、904bは、先端に空間的広がりのある開口部を有するように形成されてもよい。一例によると、窓904a、904bは、光ファイバプローブ900の明確な開口に関連する表面積を制限する、より小さな前向き窓903a、903bを含んでもよい。一例によると、窓904aは切頂円錐形に形成されてもよい。代替的に、窓904bは、円筒が突出している円盤形であってもよい。切頂円錐形の窓904aの欠点として、製造時に窓ブロック902aが研磨されたときに、前向き窓903aの直径が大きくなることがある。これに対して、突出窓904bを備えた円盤形の前向き窓903bは、製造時に窓ブロック902bが研磨されたときに、略同等の直径のままである。一例によると、窓904a、904bは、フッ化マグネシウム(MgF2)、溶融シリカ、サファイア等、広範囲の波長の光線に対して透明であり、スペクトル干渉又はノイズ信号を回避する、1つ以上の材料で構成されてもよい。
【0082】
一例によると、突出窓904bを備えた円盤状の上に置かれる窓ブロック902bは、ドーナツ状であってもよい。一例によると、窓ブロック902bは、突出窓904bを備えた円盤状に結合されている、ステンレス鋼、ブラックプラスチック等の遮光材から形成されてもよい。一例によると、窓ブロック902bは、カーボンブラック充填エポキシを含む光吸収性エポキシ等のエポキシを使用して、突出窓904bを備えた円盤状に結合されてもよい。別の例によると、突出窓904bを備えた円盤状は、カーボンブラック充填エポキシでコーティングされてもよい。この場合、窓ブロック902bを省略してもよい。別の例によると、突出窓904bを備えた円盤状はエポキシでコーティングされてもよく、プローブ先端への迷光又は望ましくない光の侵入を低減又は最小化し、迷光又は望ましくない光が集光ファイバ107に入る機会を減らし得る。
【0083】
図10A及び10Bは、それぞれ集光ファイバリング602,604に関連する異なる侵入角度を示す突出窓904bを備えた円盤状の光ファイバプローブ900及び光線トレース1012,1014の断面図を示している。光線トレースの図を簡略化するために、各ファイバリング602,604に対して単一の光路のみが示されている。当業者であれば、ファイバリング602,604に関連する各光ファイバ107が実質的に同時に集光光線を受けることは容易に理解できるであろう。
図10Aを参照すると、発光ファイバ110は、レーザ光源から発生しかつ発光ファイバフィルタ109及び窓904bを通過する光線1010を放出する。一例によると、放出された光線1010はサンプルに衝突する。一例によると、放出された光線1010の一部は光ファイバプローブ900に向かって後方に反射又は散乱され、一方で、一部は衝突されたサンプルにラマン信号を放出させる。一例によると、プローブ900は反射された光線及びラマン信号を集光光線1012として受け入れる。一例によると、集光光線1012は窓904bに衝突し、内側リング602に誘導される前に、レンズフィルタ102、レンズ104、及び集光ファイバフィルタ106を通って案内され、そこで集光光線1012は集光ファイバ107に入って分光器に送達される。一例によると、集光光線1012は、第1の深度測定に対応する第1の入射角で窓904bに入射する。一例によると、窓904a、904bの厚さは、遠位端1015が発光光線及び集光光線の交点によって定義される最大強度領域1016に位置するか又はその近くに位置するように選択されてもよい。一例によると、窓904a、904bが薄すぎるか又は厚すぎるように製造された場合、遠位端1015は、強度低下領域1018、1020等の強度が低下した領域に位置し得る。一例によると、窓904a、904bの遠位端1015を強度が低下した領域に配置することは、収集されたラマン信号の強度を低下させ得るため、望ましくない。
【0084】
図10Bを参照すると、発光ファイバ110は、レーザ光源から発生しかつ発光ファイバフィルタ109及び窓904bを通過する光線1010を放出する。一例によると、放出された光線1010はサンプルに衝突する。一例によると、放出された光線1010の一部は光ファイバプローブ900に向かって後方に反射又は散乱され、一方で、一部がサンプルにラマン信号を放出させる。一例によると、プローブ900は反射された光線及びラマン信号を集光光線1014として受け入れる。一例によると、集光光線1014は窓904bに衝突し、外側リング604に誘導される前に、レンズフィルタ102、レンズ104、及び集光ファイバフィルタ106を通って案内され、そこで集光光線1014は集光ファイバ107に入って分光器に送達される。一例によると、集光光線1014は、第2の深度測定に対応する第2の入射角で窓904bに入射する。一例によると、窓904a、904bの厚さは、遠位端1015が発光光線及び集光光線の交点によって定義される最大強度領域1016に位置するか又はその近くに位置するように選択されてもよい。一例によると、窓904a、904bが薄すぎるか又は厚すぎるように製造された場合、遠位端1015は、強度低下領域1018、1020等の強度が低下した領域に位置し得る。一例によると、窓904a、904bの遠位端1015を強度が低下した領域に配置することは、収集されたラマン信号の強度を低下させ得るため、望ましくない。
【0085】
一例によると、集光光線1012に関連する第1の入射角は、集光光線1014に関連する第2の入射角よりも小さい。
図10Aは、集光光線1012に関連する第1の進入角が、垂直角度に近づいてより小さい前向き窓903bに接近することを確認している。したがって、第1の進入角に関連する第1の深度測定は、サンプルにより深く侵入する。
図10Bは、集光光線1014に関連する第2の入射角が、平行角に近づいてより小さな前向き窓903bに接近することを確認している。したがって、第2の入射角に関連する第2の深度測定は、サンプル内により浅く侵入する。
【0086】
図11は、技術の一例に従って、レンズフィルタ、開口部を有するプローブ構成要素、光アイソレータ、マルチリング集光ファイバ設計、及び光ブロック構成要素を有する光ファイバプローブ1100のプローブ先端の分解図を示している。一例によると、光ファイバプローブ1100は、窓101、開口部103を有するレンズフィルタ102、光ブロック構成要素1102、開口部1105を有するレンズ1104、集光ファイバ107の2つ以上のリング602,604に関連付けられた集光ファイバフィルタ106であって、開口部108を有する集光ファイバフィルタ106、1つ以上の発光ファイバ110に関連付けられた発光ファイバフィルタ109、及び発光ファイバ110と集光ファイバ107との間のプローブ先端に近接した光の移動を防ぐ針管111等のいくつかの光ファイバプローブ構成要素を含んでもよい。一例によると、針管111の代わりにカーボンブラックを充填したエポキシが使用されてもよい。一例によると、構成要素には、プローブの前方又は上流に位置する遠位端、及びプローブの下流に位置する近位端が含まれる。一例によると、遠位端及び近位端は構成要素の境界面に設けられる。一例によると、遠位端及び近位端は光路に対して実質的に垂直に配置されてもよい。一例によると、構成要素の開口部、針管111、カーボンブラック充填エポキシ等は、光の送達経路及び光の集光経路を光学的に分離し得るため、本明細書では光アイソレータと呼ばれる。
図6Bは、一例による光ファイバ107の同心円状の2リング602,604構成を示している。一例によると、レンズフィルタ102、及び集光ファイバフィルタ106は、リング状又はドーナツ状の構成要素であってもよい。一例によると、レンズ1104は、内部全反射のために設計された放物線状又は切頂円錐形を含んでもよい。一例によると、レンズ1104は、その中を通して形成された開口部1105を含んでもよい。一例によると、発光ファイバフィルタ109及び発光ファイバ110は、光ファイバプローブ1100を組み立てる際に、プローブ構成要素内の対応する開口部に挿入されるか又は通過させられてもよい。
【0087】
一例によると、レンズ1104は、単一構成要素レンズとして形成されてもよい。例えば、レンズ1104は、切頂円錐形を有する単一構成要素レンズとして形成されてもよい。代替的に、レンズ1104は、マルチ構成要素レンズとして形成されてもよい。一例によると、レンズ1104は、広範囲の波長の光線に対して透明な材料から形成された内側部分と、より低い屈折率を有する外側部分とを含んでもよい。つまり、レンズ1104は導波管を形成するように構成されてもよい。例えば、レンズ1104の内側部分はサファイアから形成されてもよく、レンズ1104の外側部分は紫外線(UV)硬化エポキシ、二成分エポキシ、テフロン(登録商標)非晶質フルオロポリマー(AF)樹脂等から形成されてもよい。一例によると、レンズ1104の外側部分は、蒸発、スパッタリング、又はその他の蒸着技術によって表面に蒸着された低屈折率材料を有してもよい。別の例によると、材料が分光測定に干渉しない限り、レンズ1104全体は透明な材料から形成されてもよい。例えば、透明又は低指数の材料には、MgF2、溶融シリカ、サファイア、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化バリウム(BaF2)、透明なポリマー等が含まれる。一例によると、エアギャップを確実に維持するためのステップが取られる場合、空気が低指数の材料として使用されてもよい。一例によると、MgF2以外の材料は、追加の低指数被覆材料によって内部全反射率(TIR)を達成することを可能にし得る。透明ポリマーに関して、これらにはフルオロポリマー、クロロフルオロポリマー、アクリル、ポリカーボネート等が含まれる。
【0088】
一例によると、レンズ1104の形状は、サンプルの所望の深度測定を達成するように選択されてもよい。例えば、放物線の形状又は円錐面の角度は、サンプルの所望の深度測定を達成するように選択されてもよい。つまり、レンズ1104の形状によって、サンプルから受け取った集光された光線の入射角が決定される。さらに、開口部1105のサイズによって、励起レーザ光が衝突する調査スポットのサイズが決定され得る。一例によると、より大きな調査スポットはより多くの励起レーザ光を提供し、より小さな調査スポットはより少ない励起レーザ光を提供してもよい。さらに、プローブ構成要素の上に配置された窓101は、空間測定領域をさらに定義するように設計されてもよい。例えば、より小さな直径の窓101は、収集されたレーザ光又はラマン信号の入力を制限し、より大きな直径の窓101は、より多くの収集されたレーザ光又はラマン信号の入力を可能にしてもよい。一例によると、窓101は、オーバーラップを最大化するため、又はプローブ要素を保護するために使用されてもよい。
【0089】
図12は、TIRの切頂円錐形レンズ1104を有する光ファイバプローブ1100、及び集光ファイバリング602,604に関連する入射角を示す光線トレース1212のそれぞれの断面図を示している。光線トレースの図を簡略化するために、ファイバリング604に対して単一の光路のみが示されている。当業者であれば、ファイバリング602,604に関連する各光ファイバ107が実質的に同時に集光光線を受けることは容易に理解できるであろう。一例によれば、異なる入射角はサンプルの異なる深度測定に対応する。発光ファイバ110は、レーザ光源から発生しかつ発光ファイバフィルタ109及び窓101を通過する光線1210を放射する。一例によると、放出された光線1210はサンプルに衝突する。
【0090】
一例によると、放出された光線1210の一部は光ファイバプローブ1100に向かって後方に反射又は散乱され、一方で、一部が衝突されたサンプルにラマン信号を放出させる。一例によると、プローブ1100は反射された光線及びラマン信号を集光光線1212として受け入れる。一例によると、集光光線1212は窓101に衝突し、外側リング602に誘導される前に、レンズフィルタ102、レンズ1104、及び集光ファイバフィルタ106を通って案内され、そこで集光光線1212は集光ファイバ107に入って分光器に送達される。一例によると、集光光線1212は、第1の深度測定に対応する第1の入射角で窓101に衝突する。一例によると、窓101の厚さは、遠位端1215が発光光線及び集光光線の交点によって定義される最大強度領域1216に位置するか又はその近くに位置するように選択されてもよい。一例によると、窓101が薄すぎるか又は厚すぎるように製造された場合、遠位端1215は、強度低下領域1218、1220等の強度が低下した領域に位置し得る。一例によると、窓101の遠位端1215を強度が低下した領域に配置することは、収集されたラマン信号の強度を低下させ得るため望ましくない。
【0091】
図示されていないが、分光器に送達するために、集光光線の一部も内側リング602に対応する集光ファイバ107に誘導される。当業者であれば、異なる深度測定を可能にするために、TIRレンズが様々な形状、寸法等で構成され得ることを容易に理解するであろう。さらに、TIRレンズは、異なる深度測定を可能にする異なる表面角度を含んでもよい。
【0092】
一例によると、本開示全体を通して説明されるレンズ構成要素104,204,304,404は、そこを通過する光線を操作する任意の所望の構成を含んでもよい。一例によると、レンズ構成要素104,204,304,404は、単一部品構成を含んでもよい。代替的に、レンズ構成要素104,204,304,404は、複数部品構成を含んでもよい。本技術は、ファセットを有する新規かつ非自明なレンズ構成要素をさらに提供する。
図13を参照すると、レンズ1300は、数ある構造の中でも特に、屈折構造、反射構造、又は内部全反射構造を形成するように所望の角度に方向付けられた平坦な表面を有する作用ファセット1302及び開口部1301を含む。
図14を参照すると、レンズ1400は、数ある構造の中でも特に、屈折構造、反射構造、又は内部全反射構造を形成する曲面を有するファセット1402a、1402b及び開口部1401を含む。一例によると、レンズは、数ある構造の中でも特に、屈折構造、反射構造、又は内部全反射構造を形成するように所望の角度に向けられた曲面及び平面の組み合わせを有するファセットを含んでもよい。一例によると、レンズは、
図6Bに示すように、発光ファイバ110及び集光ファイバ107の2リングパターンに相関し得る3つの屈折リングを含んでもよい。
【0093】
一例によると、レンズは、実質的に変更されないでその中に光線を通過させる平坦な表面を有するファセットを含んでもよい。例えば、平坦な表面は、レンズに入る光路に対して実質的に垂直に向けられてもよい。一例によると、レンズは、レンズの屈折/反射面によって遮られない観察路を有するファセットを含んでもよい。一例によると、本明細書に記載された光ファイバプローブは、遮られない観察路を有するファセットに近接して配置された撮像バンドル又はカメラを含んでもよい。一例によると、遮られない観察路は、数ある場所の中でも特に、レンズの中心に形成されてもよい。遮られない観察路は、分光法とカメラ画像、撮像バンドル、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)ファイバ等を組み合わせる光ファイバプローブに有益であり得る。
【0094】
一例によると、ファセット構成は、所望の照射深度及び集光効率を別々に達成するように選択されてもよい。一例によると、ファセット構成は、光ファイバプローブの性能を最大化するために、屈折又は反射特徴の高さ、幅、厚さ、及び形状を調整するように選択されてもよい。一例によると、ファセット構成は、光線の入射角又は出射角を制御するように調整されてもよい。対照的に、従来の球面又は非球面レンズは、光線の入射角又は出射角に対する制御が少ない。一例によると、レンズは、所望の質問スポット、領域、深度等を提供するために、開口サイズを特定の値に設定するように構成されてもよい。一例によると、レンズは深度測定を行う個別のレンズを含んでもよい。一例によると、光ファイバプローブは周辺位置に配置された深度測定レンズを含んでもよい。
【0095】
一例によると、レンズは、外向きで発光光線から離れた角度から集光された光を捕捉する屈折角、反射角、又は内部全反射角を有するファセットを含んでもよい。一例によると、この構成により、表面下又は深度の測定が可能になる。一例によると、光ファイバプローブから得られる深度測定は、空間オフセットラマン分光法(SORS)から得られる深度測定と実質的に同等であり得る。一例によると、対応する集光位置と共に、集光ファイバ107からの屈折、散乱、又は反射光信号を受信するための検出器が提供されてもよい。一例によると、集光位置は、象限位置等に関連付けられてもよい。一例によると、システムは、個々のファイバ107から取得したスペクトル位置情報を使用して、集光された光が受信された方向を決定してもよい。一例によると、スペクトル位置情報を使用して、追加の関連スペクトルを収集するために光ファイバプローブが移動され得る方向を決定してもよい。
【0096】
別の例によると、光ファイバプローブは、外側方向に放出光線の角度をオフセットするように構成されてもよく、集光された光線を捕捉するために、発光ファイバ110に近接して配置された集光ファイバ107を含んでもよい。一例によると、表面プローブが、集光された光線を取得するためにレンズの開口部に挿入されてもよい。一例によると、発光ファイバ110を使用して、屈折光線及び散乱又は反射した光線の両方を取得してもよい。さらに別の例によると、光ファイバプローブは、各ファイバ又はファイバグループに関連付けられた個別のレンズを含んでもよい。
【0097】
一例によると、レンズは、特定の用途のために光ファイバプローブの性能を最大化するように配置及び方向付けされたファセットを含んでもよい。例えば、レンズは、特定の用途のために光ファイバプローブの性能を最大化するために、光ファイバ、光線、及びその他のファセットに対して選択された角度及び位置に方向付けされた複数のファセットを含んでもよい。一例によると、カスタムレンズ設計により、光ファイバを屈折面又は反射面の近くに配置することができる。対照的に、従来の球面レンズ設計では、口径食による損失が生じる可能性があり、これはレンズ画像の中心と比較して、レンズ周辺部に近い画像の明るさ又は彩度が低下することである。一例によると、複数のファセットを有するレンズは、焦点距離の短い光ファイバプローブを提供し得る。一般的に、従来のレンズは、増加したプローブ直径に関連する多数の光ファイバを有する光ファイバプローブでは、多数の光ファイバを収容するためにレンズ直径を増加させる必要があり、低集光に関連する低開口数の原因となるため、性能が低い。
【0098】
一例によると、複数のファセットが、光ファイバプローブに関連する光ファイバ配置に対して配向されてもよい。例えば、複数のファセットは、光ファイバ107のリングパターン配置を収容するように方向付けられてもよい。別の例によれば、複数のファセットは、光ファイバプローブに関連する光線の入射角又は出射角に対して方向付けられてもよい。さらに別の例によれば、複数のファセットは、光ファイバプローブ内の隣接するファセットに対して方向付けられてもよい。別の例によれば、製造後にファセットの方向が変わらないように、複数のファセットは静的であってもよい。当業者であれば、複数のファセットが光ファイバプローブに提供される任意のパターンの光ファイバ、光ファイバプローブに関連する任意の光線の入射角又は出射角、又は光ファイバプローブにおける他のファセットの任意の配置に対応するように方向付けられ得ることを容易に理解するであろう。
【0099】
一例によると、ファセットを有するレンズは、集光ファイバフィルタ106、発光ファイバフィルタ109、集光ファイバ107、又は発光ファイバ110の上に配置又は設置されてもよい。例えば、ファセットを有するレンズは、集光ファイバフィルタ106、発光ファイバフィルタ109、集光ファイバ107、又は発光ファイバ110の上に直接配置又は設置されてもよい。別の例によると、ファセットを有するレンズは、別々のレンズ部分が集光ファイバフィルタ106、発光ファイバフィルタ109、集光ファイバ107、又は発光ファイバ110の上に配置又は設置され得るように、複数部品設計で形成されてもよい。一例によると、集光ファイバフィルタ106及び発光ファイバフィルタ109は、集光ファイバフィルタ107及び発光ファイバフィルタ110の上にそれぞれ配置されてもよい。別の例によると、異なるフィルタが個々の光ファイバ又は複数の光ファイバに配置されてもよい。一例によると、個々の光ファイバ又は複数の光ファイバに異なるフィルタを提供することで、複数の分光技術を実行できる光ファイバプローブが得られる。一例によると、同じ光ファイバプローブが複数の発光波長のラマン又は時間ゲート型ラマンの利用を含む他の分光を実行してもよい。
【0100】
一例によると、ファセットを有するレンズは従来のレンズに対していくつかの利点がある。例えば、ファセットはカスタムレンズ設計に対する制御を提供する。さらに、ファセットは、数ある利点を提供する中でも特に、薄くて軽量なレンズの設計及び製造を可能にする。
【0101】
図13は、開口部1301を有するレンズ1300及び、開口部1301の周囲を定義する角度のある表面又は切頂円錐形の中心部を有する作用ファセット1302を示している。
図1及び13を参照すると、レンズ1300はレンズ104と実質的に同等に機能し、それを置き換え得る。一例によると、開口部1301は、発光光線が実質的に変更されることなくレンズ1300を通過することを可能にする。一例によると、発光ファイバ110、針管111、視準レンズ、又は発光ファイバフィルタ109のうちの1つ以上が、開口部1301に整列するか又は通過するように構成されていてもよい。一例によると、放出光線の一部は光ファイバプローブ100に向かって後方に反射又は散乱され、一方で、一部が衝突されたサンプルにラマン信号を放出させる。一例によると、プローブ100は反射された光線及びラマン信号を集光光線として受け入れる。一例によると、集光光線は窓101に衝突し、レンズフィルタ102を通ってレンズ1300に案内され、そこで分光器に送達するために集光ファイバ107に向けて誘導される前に作用ファセット1302に衝突する。
図6Aを参照すると、作用ファセット1302の位置及び表面角は、集光ファイバ107によって定義される単一リング701の構成に対応するように選択される。一例によると、作用ファセット1302の位置及び表面角は、所望の深度測定を達成するように選択されてもよい。一例によると、ファセット1302は角度のある屈折面である。レンズ1300に示されている残りのファセットは、集光ファイバ配置に光線を寄与しない非作用ファセットである。一例によると、光ファイバプローブ100は、単一部品又は複数部品のレンズ1300を含んでもよい。
【0102】
別の例によると、レンズ1300は、個別の環状リングを採用する代わりに、スパイラルパターン(図示せず)で渦巻き型の単一の屈折又は反射ステップを含んでもよい。さらに別の例によると、ファセットは部分的リングに配置されてもよい。例えば、ファセットは1つ以上の象限に対応する部分的リングに配置されてもよい。さらに、ファセットは個々のファイバに対応するように配置されてもよい。一例によると、レンズ1300は、内部全反射を提供する反射ファセットを利用してもよい。別の例によると、レンズ1300は、屈折ファセットの有無にかかわらず、反射ファセットを利用してもよい。
【0103】
フィルタに関しては、望ましくない光線が集光ファイバに入るのを防ぐために、レーザ遮断フィルタが集光ファイバの前方又は上流に配置されてもよい。一例によると、集光ファイバ107に関連する集光ファイバフィルタ106は、レーザ遮断フィルタを含んでもよい。さらに、レーザ遮断フィルタを光ファイバの送達端で使用して、サンプルを照射する前に光ファイバ自体が寄与するシリカラマンバンドを除去してもよい。一例によると、発光ファイバ110に関連する発光ファイバフィルタ109は、レーザクリーンアップフィルタを含んでもよい。一例によると、集光ファイバフィルタ106及び発光ファイバフィルタ109は、対応する集光ファイバ107及び発光ファイバ110の構成に一致するように設計されてもよい。
【0104】
一例によると、光ファイバプローブは、発光ファイバ110に関連する視準レンズを含んでもよい。一例によると、視準レンズは、GRIN(屈折率勾配;gradient index)又は他の視準レンズを含んでもよい。別の例によると、GRINレンズは省略されてもよい。一例によると、視準レンズは、発光ファイバ110と集光ファイバ107との間のプローブ先端に近接した光の移動を防ぐために、針管111に取り付けられてもよい。一例によると、針管111は、発光ファイバ110と集光ファイバ107とを光学的に分離するために、発光ファイバ110及び発光ファイバフィルタ109を囲むか又はカプセル化し、窓101の近位面まで延びてもよい。
【0105】
一例によると、レンズは大量生産技術を用いて製造されてもよい。例えば、レンズは、フォトリソグラフィ、UV硬化ポリマースタンピング、熱インプリンティング、射出成形又は他の成形技術、ステレオリソグラフィ印刷、他の3D印刷技術等の技術を利用して、ナノスクライブ又は他のポリマー等のUV/2光子硬化樹脂を用いて製造されてもよい。別の例によると、レンズは、より高い屈折率のガラスによるレンズ製造を可能にする成形ガラスを用いて製造されてもよい。さらに別の例によると、レンズは、様々な研磨技術の中でも特に、ゾルゲル又は単一点ダイヤモンド旋削を用いて製造されてもよい。
【0106】
一例によると、光ファイバプローブは、ファイバ又はファイバグループごとに個別のレンズを含んでもよい。一例によると、レンズは、複数の屈折面及び反射面を有する中心部を定義する複数のファセットを有する複雑な形状を含んでもよい。一例によると、中心部は光線が遮られることなくレンズを通過することを可能にする。一例によると、1つ以上の発光ファイバ110及び発光フィルタ109は、集光ファイバ107に向かって光線の角度を付ける作用ファセットを有する中心部と整列するように構成されてもよい。一例によると、作用ファセットは、集光ファイバ107の2つのリング602,604のうちの対応する1つに光線を導くために反射又は屈折を採用してもよい。一例によると、ファセットは、集光ファイバ107の2リング形状602,604と一致する反射又は屈折リングを表し得る。一例によると、光ファイバプローブは、表面特徴を測定するファセットを有する単一部品又は複数部品レンズを含んでもよい。
【0107】
図14は、開口部1401を有するレンズ1400、及び角度のある面を有する2つの作用ファセット1402a、1402bを示している。
図7及び14を参照すると、レンズ1400はレンズ104と実質的に同等に機能し、それを置き換え得る。一例によると、開口部1401は、発光光線が実質的に変更されることなくレンズ1400を通過することを可能にする。一例によると、開口部1401は、発光ファイバ110と整列してもよい。一例によると、発光ファイバ110、針管111、視準レンズ、又は発光ファイバフィルタ109のうちの1つ以上が、開口部1401に整列するか又は通過するように構成されていてもよい。一例によると、針管111を省略し、カーボンブラックで充填されたエポキシに置き換えてもよい。一例によると、サンプルから反射又は放出された集光された光線は、レンズ1400に導かれ、そこでそれらは、分光器に送達するために集光ファイバ107に向けられる前に、作用ファセット1402a、1402bに衝突する。
図6Bを参照すると、作用ファセット1402a、1402bの位置及び表面角は、集光ファイバ107によって定義される2つのリング602,604構成に対応するように選択される。一例によると、作用ファセット1402a、1402bの位置及び表面角は、所望の深度測定を達成するために選択されてもよい。
【0108】
一例によると、ファセット1402a、1402bは角度のある屈折面である。レンズ1400に示されている残りのファセットは、集光ファイバ配置に光線を寄与しない非作用ファセットである。一例によると、ファセット1402aは集光ファイバ107の外側リング604と整列する角度のある屈折面である。一例によると、ファセット1402bは集光ファイバ107の内側リング602と整列する角度のある屈折面である。
【0109】
別の例によると、レンズ1400は、個別の環状リングを採用する代わりに、スパイラルパターン(図示せず)で渦巻き型の単一の屈折又は反射ステップを含んでもよい。さらに別の例によると、ファセットは部分的リングに配置されてもよい。例えば、ファセットは1つ以上の象限に対応する部分的リングに配置されてもよい。さらに、ファセットは個々のファイバに対応するように配置されてもよい。一例によると、レンズは、内部全反射を提供する反射ファセットを利用してもよい。別の例によると、レンズは、屈折ファセットの有無にかかわらず、反射ファセットを利用してもよい。
【0110】
前述のように、ファセットを採用することで、薄くかつ軽量なレンズの設計及び製造が可能になる。この概念は、
図14及び15を参照して示されている。
図14は、連続的に角度のある表面を有するファセット1402a、1402bを有するレンズ1400を示している。
図15は、実質的に等価なファセットが、同様の角度の屈折面を有する複数のより薄い同心ファセットから構築され得ることを示している。具体的には、
図15は、同様の角度の屈折面を有する2つの同心ファセット1502a、1502bを有するレンズ1500を示している。一例によると、各同心円ファセット1502a、1502bは、
図14に示されている対応するファセット1402aの深さ又は厚さの実質的に半分である。別の言い方をすると、同心円ファセット1502a、1502bの厚さの寸法は、レンズ1400の約半分の深さでファセット1402aを垂直又は深さ方向に薄切りすることと実質的に同等である。
図15は、ファセット1502aが小さいサイズの直径を含み、ファセット1502bがより大きなサイズの直径を含むように同心円ファセット1502a、1502bを入れ子にしてもよいことを示している。この例によると、入れ子の配置により、実質的に同等の性能を有しながら、レンズ1400の半分の深さを有するレンズ1500を形成することができる。2つの同心円ファセット1502a、1502bは、ファセット1402aに関して実質的に同等の表面積を有するため、厚さが減少した同心円ファセット1502a、1502bを有するレンズ1500は、ファセット1402aを有するレンズ1400と実質的に同様に機能する。
【0111】
別の例によると、
図16は、同様の角度の屈折面を有する4つの同心円ファセット1602a-1602dを含むレンズ1600を示している。一例によると、各同心円ファセット1602a-1602dは、
図14に示されているファセット1402aの深さの実質的に4分の1を含んでいる。別の言い方をすると、同心円ファセット1602a-1602dの厚さの寸法は、レンズ1400の深さの約4分の1で、ファセット1402aを垂直又は深さ方向に薄切りすることと実質的に同等である。
図16は、ファセット1602aが小さいサイズの直径を含み、かつファセット1602dが最大サイズの直径を含むように同心円ファセット1602a-1602dを入れ子にしてもよいことを示している。この例によると、入れ子配置により、レンズ1600は、実質的に同等の性能を有しながら、レンズ1400の4分の1の深さを有してもよい。4つの同心円のファセット1602a-1602dはファセット1400と比較して実質的に同様の表面積を有するため、厚さを減らした同心円のファセット1602a-1602dを有するレンズ1600は、ファセット1302aを有するレンズ1300と実質的に同様の性能を発揮する。一例によると、より薄いレンズ設計は、柔軟な内視鏡等で使用され得る剛性の短いプローブ先端の製造を可能にする。
【0112】
図17Aは、ファセットを有する個別の小型レンズ1702a-1702gを有する透明な光学基板1701から作られたレンズ構成要素1700Aの底面図を示している。一例によると、小型レンズ1702a-1702gは、個々のファイバから放出された光線をコリメートしてもよい。一例によると、レンズ1700Aは、その下に提供される個々の集光ファイバ107に対応する個々の小型レンズ1702a-1702fのアレイを含んでもよい。一例によると、小型レンズ1702gは発光ファイバ110に対応してもよい。一例によると、小型レンズ1702gは省略されて、その代わりに開口部が残ってもよい。一例によると、レンズ1700Aは、発光ファイバ110の周りに配置された個々の集光ファイバ107を有する光ファイバプローブに使用されてもよい。一例によると、レンズ1700Aは、2つのレンズを有する光ファイバプローブに使用されてもよく、1つのレンズが発光ファイバ110に対応し、第2のレンズが集光ファイバ107のバンドル又は単一の集光ファイバ107に対応する。一例によると、レンズ形状は、共通点で画像に焦点を合わせるように選択されてもよい。一例によると、レンズ1700Aは、個々の小型レンズ1702a-1702fを対応する集光ファイバ107で適切に方向付ける整列機構1704を含んでもよい。例えば、プローブは、レンズ構成要素に設けられたポスト1704を受け入れる穴を有する端面114を有するファイバ整列ホルダ113を含んでもよい。
【0113】
図17Bは、ポスト1704がそこから突出していることを示すレンズ構成要素1700の側面プロファイルを示している。一例によると、レンズ1700Bは、半球レンズ1705、及び個々のファイバ又はファイバのバンドルに対応する個々の小型レンズ1702a-1702gを含んでもよい。一例によると、半球レンズ1705は、全ての小型レンズ1702a-1702gに共通であってもよい。一例によると、レンズ1700Bは、個々のファイバ又はファイバのバンドルに対して個別のレンズ設計を可能にし得る。例えば、個別のレンズ設計は、ファイバ又はファイバのバンドルごとに、特定の波長フィルタ等のレンズごとのカスタム機能を可能にし得る。一例によると、各レンズにカスタム機能を提供することは、マルチ分光プローブ性能、コヒーレントファイババンドル又はカメラ、OCT、蛍光、拡散反射率等の撮像を伴うラマン分光法を向上させる。一例によると、個々のレンズ1702a-1702gは、非ファセット機能を含んでもよい。
【0114】
図18は、技術の一例に従って、較正サンプルを内蔵した光ファイバプローブ1800のプローブ先端の分解図を示している。一例によると、光ファイバプローブ1800は、窓101、開口部103を有するレンズフィルタ102、開口部105を有するレンズ104、1つ以上の集光ファイバ107に関連付けられた集光ファイバフィルタ106であって、開口部108を有する集光ファイバフィルタ106、1つ以上の発光ファイバ110に関連付けられた発光ファイバフィルタ109、較正サンプル1802、較正フィルタ1804、較正ファイバ1806、及び発光ファイバ110と集光ファイバ107との間のプローブ先端に近接した光の移動を防ぐ針管111等のいくつかの構成要素を含んでもよい。一例によると、針管111の代わりにカーボンブラックを充填したエポキシが使用されてもよい。一例によると、構成要素には、プローブの前方又は上流に位置する遠位端、及びプローブの下流に位置する近位端が含まれる。一例によると、遠位端及び近位端は構成要素の界面を形成する。一例によると、遠位端及び近位端は光路に対して実質的に垂直に配置されてもよい。一例によると、レンズフィルタ102、レンズ104、及び集光ファイバフィルタ106はドーナツ状の構成要素であってもよい。一例によると、発光ファイバフィルタ109及び発光ファイバ110は、光ファイバプローブ1800を組み立てる際に、ドーナツ状の構成要素内の対応する開口部に挿入されるか、又はその中を通されてもよい。
【0115】
一例によると、光ファイバプローブ1800は、1つ以上の集光ファイバが較正ファイバ1806として予約され得るようないくつかの集光ファイバ107を含む。一例によると、較正フィルタ1804が較正ファイバ1806と較正サンプル1802との間に配置されてもよい。一例によると、較正サンプル1802は、Tylenol(登録商標)、NISTガラス等を含んでもよい。
【0116】
本技術以前は、外部較正サンプル又は外部較正光源を使用してプローブ又は分光器較正を行っていた。外部較正は、無菌環境を必要とする医療用途では欠点がある。一例によると、光ファイバプローブ1800は、プローブ先端の外部で較正を行うことに関連する欠点を排除する。一例によると、較正ファイバ1806は、プローブ先端の内部で較正光を発するように構成されてもよい。一例によると、内部較正を行うことは、サンプル又は光源の外部較正を行うことと比較して、不均一な光源を簡素化、促進、及び排除する。さらに、内部較正光源は、無菌環境を必要とする医療環境で安全に使用され得る。一例によると、内部較正ファイバ1806は、医療環境で必要とされる密閉又は滅菌された較正光源を提供する。一例によると、較正サンプル1802は、ファイバの遠位端に配置されるように切断又は成形されてもよい。
【0117】
一例によると、光ファイバプローブ1800は、ラマン励起に使用されるレーザ光を送達するために較正ファイバ1806を利用してもよい。一例によると、較正レーザ光はレーザスプリッタから取得されてもよく、内部較正サンプル1802と衝突又は相互作用してもよい。一例によると、レーザスプリッタを採用することで、測定及び較正の両方に同じレーザ光源を使用することが可能になる。一例によると、較正スペクトルの強度を高めるために、アルミニウムミラー等の反射材料がプローブ先端の近くに配置されてもよい。
【0118】
図19は、技術の一例に従って、較正モジュール1902及び光ファイバプローブ1904に光学的に結合された分光器1901を含む代替的な較正システム1900を示している。光ファイバプローブ1904は、例えば、本明細書に記載する光ファイバプローブを含んでもよい。一例によると、較正モジュール1902と光ファイバプローブ1904とを光学的に結合するためのカプラ1905が提供されてもよい。一例によると、励起レーザ光源1906が、スプリッタ又はダイバータ1907に誘導される励起レーザ光を生成する。一例によると、スプリッタ1907は、50/50の比率、60/40の比率等に従って励起レーザ光を分割してもよい。一例によると、スプリッタ1907は、較正モジュール1902に関連する較正発光ファイバ1908及び光ファイバプローブ1904に関連するプローブ発光ファイバ1909に光学的に結合されてもよい。一例によると、励起レーザ光が較正サンプル1910に衝突することにより、それは較正集光ファイバ1911によって捕捉され、かつカプラ1905を介してプローブ集光ファイバ1912に提供される較正信号を放出してもよい。一例によると、較正システム1900は複数の較正サンプルを含んでもよく、複数の較正サンプルの中から選択するように構成されてもよい。一例によると、較正システム1900は、所望の較正サンプルを提供するために回転する回転ホイールを含んでもよい。代替的に、較正システム1900は、追加の較正サンプルに割り当てられた追加の較正モジュールを含んでもよい。この場合、較正システム1900は、追加の較正モジュールをサポートするための追加のスプリッタ1907及びカプラ1905を含んでもよい。
【0119】
一例によると、プローブ集光ファイバ1912は、光ファイバプローブ1904に較正信号を誘導してもよく、ここで残りのプローブ集光ファイバ1914が較正信号を受け取り、それを分光器1901に誘導する。一例によると、較正システム1900は、医療環境で使用される較正信号を提供する。別個の較正モジュール1902を使用することで、必要に応じて較正サンプル1910を異なる較正サンプルに変更できるという利点がある。別個の較正モジュール1902を使用するさらなる利点は、較正サンプル1910を光ファイバプローブ自体に組み込む必要がないことであり得る。
【0120】
別の例によると、較正された白色光源又は原子線源が、光ファイバプローブ1800に関する較正ファイバ1806又は光ファイバプローブ1904に関するプローブ注入ファイバ1912の近位端に注入されてもよい。一例によると、白色光又は原子線源の既知の応答が較正目的に使用されてもよい。
【0121】
本技術は、最大数の集光ファイバを備えた最小直径の同心マルチリング光ファイババンドルを構築する方法を提供する。
図20は、最大数の集光ファイバを提供する同心円状の2つの(2)リング602,604の光ファイババンドルの一例を示している。第1の動作では、第1の又は内側のリング602は、0.021インチの外径(OD)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)テフロン被覆ピン又はワイヤ2002の周りに配置されたいくつかの300ミクロン芯光ファイバ107を含んでもよい。第2の動作では、熱収縮管を使用して、光ファイバ107の第1のリング602をピン2002の外径に対して堅くしっかりと保持してもよい。第3の動作では、光ファイバ107は、硬化時に光ファイバの第1のリング602を所定の位置に固定する薄いエポキシを使用して一緒に固定されてもよい。第4の動作では、エポキシが硬化した後で、熱収縮を除去し、300ミクロンの芯ファイバ107の第2のリング604をファイバの内側リング602の周りに配置してもよい。第5の動作では、熱収縮管を使用して、光ファイバ107の第1のリング602に対して光ファイバ107を堅くしっかりと保持してもよい。第6の動作では、光ファイバ107は、硬化時に光ファイバ107の第2のリング604を所定の位置に固定する薄いエポキシを使用して一緒に固定されてもよい。第7の動作では、光ファイバ107の第1のリング602及び第2のリング604からPTFEピン2002を取り外す。取り外されたPTFEピン2002は、そこを通って発光ファイバ110を受け入れる開口部又は穴を後に残す。第8の動作では、第1のリング602及び第2のリング604を形成する光ファイバ107を光学品質の仕上げまで研磨してもよい。別の動作では、発光ファイバ110を研磨し、第1のリング602及び第2のリング604の中心バンドルにおける穴に挿入してもよい。別の動作では、ファイバ集光フィルタ106を研磨した光ファイバ107の第1のリング602及び第2のリング604の上に配置し、透明な光エポキシで固定してもよい。
【0122】
技術の特定の形態が例示されているが、本明細書に記載及び例示されている特定の形態又は配置に限定されないことを理解すべきである。当業者には、本発明の範囲を逸脱することなく様々な変更を加え得ることは明らかであり、本発明は、明細書及びここに含まれる図面又は図表に示されているものに限定されないと考えるべきである。
【0123】
一例によると、本明細書に記載された説明は、任意の光学プローブに使用されてもよい。追加的に、本明細書に記載された例示は医療分野に関するものであるが、当業者であれば、本技術が化学分析を採用する任意の分野又は用途でも使用され得ることを容易に理解するであろう。例示は、特定された複数の動作及びそれらの関係の実装を示す機能的構成要素を用いて上記に記載されている。これらの機能的構成要素の境界は、説明の便宜上、本明細書で任意に定義されている。特定された複数の機能及びそれらの関係が適切に実行される限り、代替的な境界を定義することもできる。上記は本技術の例示を説明及び記載しているが、本技術は本明細書に開示された構成に限定されないことを理解すべきである。本技術は、その精神から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化されてもよい。したがって、添付された請求項は、本明細書に記載された特定の例示に限定されない。
【国際調査報告】