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特表2023-534472ナノ粒子ベースのホログラフィックフォトポリマー材料および関連用途
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-09
(54)【発明の名称】ナノ粒子ベースのホログラフィックフォトポリマー材料および関連用途
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/18 20060101AFI20230802BHJP
   G02B 27/02 20060101ALN20230802BHJP
   G02B 27/01 20060101ALN20230802BHJP
【FI】
G02B5/18
G02B27/02 Z
G02B27/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023502860
(86)(22)【出願日】2021-07-14
(85)【翻訳文提出日】2023-03-07
(86)【国際出願番号】 US2021041673
(87)【国際公開番号】W WO2022015878
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】63/051,805
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509325972
【氏名又は名称】ディジレンズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド バクストン
(72)【発明者】
【氏名】シブ エイブラハム
(72)【発明者】
【氏名】リチャード イー バーグストーム ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】アラステア ジョン グラント
(72)【発明者】
【氏名】ツンジュイ ホー
(72)【発明者】
【氏名】ベーダン ジョージ ヒル
(72)【発明者】
【氏名】マイケル コーエン カレンズ
(72)【発明者】
【氏名】フア グー
【テーマコード(参考)】
2H199
2H249
【Fターム(参考)】
2H199CA12
2H199CA29
2H199CA32
2H199CA53
2H199CA54
2H199CA62
2H199CA67
2H199CA68
2H199DA19
2H199DA25
2H199DA26
2H249AA12
2H249AA25
2H249AA34
2H249AA43
2H249AA44
2H249AA62
2H249AA65
(57)【要約】
ホログラフィック露光によって格子を形成するために使用されるナノ粒子を含むホログラフィック混合物が開示される。様々な実施形態では、ホログラフィック混合物の露光は、ナノ粒子を、ナノ粒子に富む領域およびナノ粒子に乏しい領域を作り出す暗い縞領域に拡散させる。いくつかの実施形態では、露光されたホログラフィック混合物を介して形成された層と、露光されたホログラフィック混合物上に直接付与された他の層とを含む多層格子を含む。該他の層もホログラフィック記録ビームを介して露光され得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子を形成する方法であって、
下部基板と、
第1の除去可能な基板と、
モノマーおよびナノ粒子を含む第1のホログラフィック材料と、を備え、前記第1のホログラフィック材料が前記下部基板と前記第1の除去可能な基板との間に配置されている出発セルを提供すること;
前記第1のホログラフィック材料をホログラフィック記録ビームで露光することにより、前記ナノ粒子を暗い縞領域に拡散させてナノ粒子に乏しい領域およびナノ粒子に富む領域を生成して、下部格子を形成すること;
前記第1の除去可能な基板を除去すること;
露光された前記第1のホログラフィック材料の上に第2のホログラフィック材料を堆積すること;
第2の除去可能な基板を第2のホログラフィック材料の上部に配置すること;および
前記第2のホログラフィック材料を他のホログラフィック記録ビームで露光して上部格子を形成すること、を含む、方法。
【請求項2】
前記下部格子および前記上部格子は、異なる傾斜方向を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記下部格子および前記上部格子は、同じ傾斜方向を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のホログラフィック材料がモノマーおよびナノ粒子を含み、前記第2のホログラフィック材料を曝露することが、前記ナノ粒子を暗い縞領域に拡散させてナノ粒子に乏しい領域およびナノ粒子に富む領域を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のホログラフィック材料が、光重合性モノマーおよび不活性液体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のホログラフィック材料が、ナノ粒子をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記不活性液体が液晶材料を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ナノ粒子が前記液晶材料内に分散される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のホログラフィック材料に接触する前記第1の除去可能な基板の表面上に剥離層を設けることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記剥離層が、シラン系のフッ素重合体またはフッ素モノマーを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ホログラフィック記録ビームを用いて前記第1のホログラフィック材料および前記第2のホログラフィック材料を露光することが、前記モノマーを重合させてポリマーマトリックスを生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
露光された前記第1のホログラフィック材料および前記第2のホログラフィック材料をアッシングして、前記ポリマーマトリックスの少なくとも一部分を除去することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
アッシングされた前記第1のホログラフィック材料および前記第2のホログラフィック材料の一部を選択的にエッチングすることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ナノ粒子が、ナノチューブ、金属、絶縁体、強誘電体材料、ナノチューブ、ナノロッド、およびナノスフェアからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
格子を形成する方法であって、
下部基板と、
除去可能な基板と、
モノマーおよびナノ粒子を含むホログラフィック材料と、を備え、前記ホログラフィック材料が前記下部基板と前記除去可能な基板との間に配置されている出発セルを提供すること;
前記ホログラフィック材料をホログラフィック記録ビームで露光することにより、前記ナノ粒子を暗い縞領域に拡散させてナノ粒子に乏しい領域およびナノ粒子に富む領域を生成して、格子を形成すること;
前記除去可能な基板を除去すること;および
露光された前記ホログラフィック材料をアッシングして、体積格子の上部に表面レリーフ格子を形成すること、を含む、方法。
【請求項16】
露光された前記ホログラフィック材料をさらにアッシングして、前記ナノ粒子から構成される無機格子構造を形成することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ナノ粒子を高温で焼結して、前記ナノ粒子間の粒界を除去することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ナノ粒子に追加の材料をコーティングすることをさらに含み、前記追加の材料の少なくとも一部が、隣接する、ナノ粒子に富む領域の間に配置される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記追加の材料の上に他のホログラフィック材料を堆積させること;および、
他のホログラフィック記録ビームを用いて前記他のホログラフィック材料を露光して、上部格子を作成することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
入力格子および折り畳み格子を支持する導波路を備え、
前記折り畳み格子が、ナノ粒子に富む領域およびナノ粒子に乏しい領域を交互に含み、
前記入力格子が、液晶に富む領域および液晶に乏しい領域を交互に含む、導波路デバイス。
【請求項21】
前記液晶に乏しい領域がエアギャップを含む、請求項20に記載の導波路デバイス。
【請求項22】
前記ナノ粒子に乏しい領域が、ポリマーマトリックス領域の上部にエアギャップ領域を含む、請求項20に記載の導波路デバイス。
【請求項23】
前記折り畳み格子が、折り畳み格子および出力格子の両方として機能する統合多重化格子である、請求項20に記載の導波路デバイス。
【請求項24】
交互の前記ナノ粒子に富む領域および前記ナノ粒子に乏しい領域が、金属を含むナノ粒子を含む、請求項20に記載の導波路デバイス。
【請求項25】
前記ナノ粒子が金属酸化物コアを含む、請求項24に記載の導波路デバイス。
【請求項26】
前記金属酸化物コアが、ZrO、TiO、WO、ZnO、Co、CuO、および/またはNiOを含む、請求項25に記載の導波路デバイス。
【請求項27】
前記ナノ粒子が、前記金属酸化物コアを囲む、ZrO、TiO、WO、ZnO、Co、CuO、および/またはNiOの配位子官能化誘導体をさらに含む、請求項26に記載の導波路デバイス。
【請求項28】
前記金属が、Pt、Auおよび/またはAgを含む、請求項24に記載の導波路デバイス。
【請求項29】
前記ナノ粒子の直径が15nm未満である、請求項24に記載の導波路デバイス。
【請求項30】
前記ナノ粒子の直径が約4nm~10nmである、請求項29に記載の導波路デバイス。
【請求項31】
交互の前記ナノ粒子に富む領域および前記ナノ粒子に乏しい領域が、圧電材料を含むナノ粒子を含む、請求項20に記載の導波路デバイス。
【請求項32】
前記圧電材料が、PZT、チタン酸バリウム、および/またはニオブ酸リチウムを含む、請求項31に記載の導波路デバイス。
【請求項33】
格子を支持する導波路を備える導波路デバイスであって、
前記格子が、ナノ粒子に富む領域およびナノ粒子に乏しい領域を含み、前記ナノ粒子に乏しい領域がポリマーマトリックス領域の上部にエアギャップ領域を含み、
前記エアギャップ領域が、同じ水平レベル上の前記ナノ粒子に富む領域とともに、表面レリーフ格子を構成し、
前記ポリマーマトリックス領域が、同じ水平レベル上の前記ナノ粒子に富む領域とともに、体積格子を構成する、導波路デバイス。
【請求項34】
無機格子を支持する導波路を備える導波路デバイスであって、
前記無機格子が、
ナノ粒子に富む領域であって、前記ナノ粒子に富む領域中のナノ粒子は前記ナノ粒子の間の粒界を除去するために高温で焼結された、ナノ粒子に富む領域;および
隣接するナノ粒子に富む領域間のエアギャップ、を含む、導波路デバイス。
【請求項35】
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法を用いて製造された、多層格子を支持する導波路を備える、導波路デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は2020年7月14日に出願された「ナノ粒子ベースのホログラフィックフォトポリマー材料および関連用途」と題する米国願第63/051,805号の優先権を主張するものであり、その開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、一般に、ホログラフィック混合物に関し、より具体的には、ナノ粒子を組み込んでなるホログラフィック混合物に関する。
【背景技術】
【0003】
導波管は、波を閉じ込め、誘導する(すなわち、波が伝播することができる空間領域を制限する)能力を有する構造体と称され得る。その1つのサブクラスには、電磁波、典型的には可視スペクトル内の電磁波を誘導することができる構造体である光導波路が含まれる。導波路の構造は、多数の異なる機構を使用して波の伝播経路を制御するように設計することができる。例えば、平面導波路は回折格子を利用して、入射光を回折して導波路構造に結合するように設計することができ、その結果、結合された光は、全内部反射(TIR)を介して平面構造内を進行することができる。
【0004】
導波路の製造は、導波路内のホログラフィック光学素子の記録を可能にする材料システムの使用を含むことができる。上記材料の1つのクラスは、光重合性モノマーおよび液晶を含有する混合物であるポリマー分散液晶(polymer dispersed liquid crystal;PDLC)混合物を含む。このような混合物のさらなるサブクラスは、ホログラフィックポリマー分散液晶(holographic polymer dispersed liquid crystal;HPDLC)混合物を含む。体積位相格子などのホログラフィック光学素子は、2つの相互にコヒーレントなレーザビームで材料を照射することによって、上記液体混合物に記録することができる。記録プロセス中、モノマーは重合し、混合物は、光重合誘起相分離を受け、透明ポリマーの領域が散在する液晶微小液滴によって密集した領域を作り出す。交互の結晶に富む領域および結晶に乏しい領域は、格子の縞面を形成する。一般に切換ブラッグ格子(Switchable Bragg Grating;SBG)と呼ばれる、得られる格子は体積格子またはブラッグ格子に通常関連するが、はるかに高い屈折率調節範囲を有するすべての特性を有し、回折効率の連続範囲(所望の方向に回折される入射光の割合)にわたって格子を電気的に調整する能力と組み合わされる。後者は、非回折(クリア)から100%に近い効率を有する回折まで広がることができる
【0005】
上述のような導波路光学系は、表示デバイスおよびセンサ用途の範囲について考慮することができる。多くの用途では、複数の光学機能を符号化する1つ以上の格子層を含む導波管が各種導波管アーキテクチャおよび材料システムを使用して実現することができ、拡張現実(AR)および仮想現実(VR)のためのニアアイディスプレイ、コンパクトヘッドアップディスプレイ(HUD)およびヘルメット搭載ディスプレイ、または道路輸送、航空、および軍事用途のためのヘッドマウントディスプレイ(HMD)、ならびに生体計測およびレーザレーダ(LIDAR)用途のためのセンサにおける新しい革新を可能にする。
【発明の概要】
【0006】
様々な実施形態が、格子を形成する方法を対象とし、該方法は、
・下部基板と、
第1の除去可能な基板と、
モノマーおよびナノ粒子を含む第1のホログラフィック材料と、を備え、前記第1のホログラフィック材料が前記下部基板と前記第1の除去可能な基板との間に配置されている出発セルを提供すること;
・前記第1のホログラフィック材料をホログラフィック記録ビームで露光することにより、前記ナノ粒子を暗い縞領域に拡散させてナノ粒子に乏しい領域およびナノ粒子に富む領域を生成して、下部格子を形成すること;
・前記第1の除去可能な基板を除去すること;
露光された前記第1のホログラフィック材料の上に第2のホログラフィック材料を堆積すること;
・第2の除去可能な基板を第2のホログラフィック材料の上部に配置すること;および
前記第2のホログラフィック材料を他のホログラフィック記録ビームで露光して上部格子を形成すること、を含む。
【0007】
様々な他の実施形態では、前記下部格子および前記上部格子は、異なる傾斜方向を有する。
【0008】
更に様々な実施形態では、前記下部格子および前記上部格子は、同じ傾斜方向を有する
【0009】
更に様々な実施形態では、前記第2のホログラフィック材料がモノマーおよびナノ粒子を含み、前記第2のホログラフィック材料を曝露することが、前記ナノ粒子を暗い縞領域に拡散させてナノ粒子に乏しい領域およびナノ粒子に富む領域を生成する。
【0010】
更に様々な実施形態では、前記第2のホログラフィック材料が、光重合性モノマーおよび不活性液体を含む。
【0011】
更に様々な実施形態では、前記第2のホログラフィック材料が、ナノ粒子をさらに含む。
【0012】
更に様々な実施形態では、前記不活性液体が液晶材料を含む。
【0013】
更に様々な実施形態では、前記ナノ粒子が前記液晶材料内に分散される。
【0014】
更に様々な実施形態では、前記方法が、前記第1のホログラフィック材料に接触する前記第1の除去可能な基板の表面上に剥離層を設けることをさらに含む。
【0015】
更に様々な実施形態では、前記剥離層がシラン系のフッ素重合体またはフッ素モノマーを含む。
【0016】
更に様々な実施形態では、前記ホログラフィック記録ビームを用いて前記第1のホログラフィック材料および前記第2のホログラフィック材料を露光することが、前記モノマーを重合させてポリマーマトリックスを生成する。
【0017】
更に様々な実施形態では、前記方法が、露光された前記第1のホログラフィック材料および前記第2のホログラフィック材料をアッシングして、前記ポリマーマトリックスの少なくとも一部分を除去することをさらに含む。
【0018】
更に様々な実施形態では、前記方法が、アッシングされた前記第1のホログラフィック材料および前記第2のホログラフィック材料の一部を選択的にエッチングすることをさらに含む。
【0019】
更に様々な実施形態では、前記ナノ粒子が、ナノチューブ、金属、絶縁体、強誘電体材料、ナノチューブ、ナノロッド、およびナノスフェアからなる群から選択される。
【0020】
さらに、様々な実施形態が、格子を形成する方法を対象とし、該方法は、
・下部基板と、
除去可能な基板と、
モノマーおよびナノ粒子を含むホログラフィック材料と、を備え、前記ホログラフィック材料が前記下部基板と前記除去可能な基板との間に配置されている出発セルを提供すること;
・前記ホログラフィック材料をホログラフィック記録ビームで露光することにより、前記ナノ粒子を暗い縞領域に拡散させてナノ粒子に乏しい領域およびナノ粒子に富む領域を生成して、格子を形成すること;
・前記除去可能な基板を除去すること;および
・露光された前記ホログラフィック材料をアッシングして、体積格子の上部に表面レリーフ格子を形成すること、を含む。
【0021】
更に様々な実施形態では、 前記方法が、露光された前記ホログラフィック材料をさらにアッシングして、前記ナノ粒子から構成される無機格子構造を形成することをさらに含む。
【0022】
更に様々な実施形態では、前記方法が、前記ナノ粒子を高温で焼結して、前記ナノ粒子間の粒界を除去することをさらに含む。
【0023】
更に様々な実施形態では、前記方法が、前記ナノ粒子に追加の材料をコーティングすることをさらに含み、前記追加の材料の少なくとも一部が、隣接する、ナノ粒子に富む領域の間に配置される。
【0024】
更に様々な実施形態では、前記方法が、前記追加の材料の上に他のホログラフィック材料を堆積させること;および、
他のホログラフィック記録ビームを用いて前記他のホログラフィック材料を露光して、上部格子を作成することをさらに含む。
【0025】
さらに、様々な実施形態が導波路デバイスを対象とし、該導波路デバイスは、入力格子および折り畳み格子を支持する導波路を備え、前記折り畳み格子が、ナノ粒子に富む領域およびナノ粒子に乏しい領域を交互に含み、前記入力格子が、液晶に富む領域および液晶に乏しい領域を交互に含むものである。
【0026】
更に様々な実施形態では、前記液晶に乏しい領域がエアギャップを含む。
【0027】
更に様々な実施形態では、前記ナノ粒子に乏しい領域が、ポリマーマトリックス領域の上部にエアギャップ領域を含む。
【0028】
更に様々な実施形態では、前記折り畳み格子が、折り畳み格子および出力格子の両方として機能する統合多重化格子である。
【0029】
更に様々な実施形態では、交互の前記ナノ粒子に富む領域および前記ナノ粒子に乏しい領域が、金属を含むナノ粒子を含む。
【0030】
更に様々な実施形態では、前記ナノ粒子が金属酸化物コアを含む。
【0031】
更に様々な実施形態では、前記金属酸化物コアが、ZrO、TiO、WO、ZnO、Co、CuO、および/またはNiOを含む。
【0032】
更に様々な実施形態では、前記ナノ粒子が、前記金属酸化物コアを囲む、ZrO、TiO、WO、ZnO、Co、CuO、および/またはNiOの配位子官能化誘導体をさらに含む。
【0033】
更に様々な実施形態では、前記金属が、Pt、Auおよび/またはAgを含む。
【0034】
更に様々な実施形態では、前記ナノ粒子の直径が15nm未満である。
【0035】
更に様々な実施形態では、前記ナノ粒子の直径が約4nm~10nmである。
【0036】
更に様々な実施形態では、交互の前記ナノ粒子に富む領域および前記ナノ粒子に乏しい領域が、圧電材料を含むナノ粒子を含む。
【0037】
更に様々な実施形態では、前記圧電材料が、PZT、チタン酸バリウム、および/またはニオブ酸リチウムを含む。
【0038】
さらに、様々な実施形態が導波路デバイスを対象とし、該導波路デバイスは、格子を支持する導波路を備え、前記格子が、ナノ粒子に富む領域およびナノ粒子に乏しい領域を含み、前記ナノ粒子に乏しい領域がポリマーマトリックス領域の上部にエアギャップ領域を含み、前記エアギャップ領域が、同じ水平レベル上の前記ナノ粒子に富む領域とともに、表面レリーフ格子を構成し、前記ポリマーマトリックス領域が、同じ水平レベル上の前記ナノ粒子に富む領域とともに、体積格子を構成するものである。
【0039】
さらに、様々な実施形態が導波路デバイスを対象とし、該導波路デバイスは、無機格子を支持する導波路を備え、前記無機格子が、
ナノ粒子に富む領域であって、前記ナノ粒子に富む領域中のナノ粒子は前記ナノ粒子の間の粒界を除去するために高温で焼結された、ナノ粒子に富む領域;および
隣接するナノ粒子に富む領域間のエアギャップを含むものである。
【0040】
さらに、様々な実施形態が導波路デバイスを対象とし、該導波路デバイスは、上述した方法を用いて製造された多層格子を支持する導波路を備えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本説明は本発明の例示的な実施形態として提示され、本発明の範囲の完全な列挙として解釈されるべきではない、以下の図面およびデータグラフを参照してより完全に理解されるのであろう。
図1図1は、本発明の一実施形態による、マスター格子を利用する単一ビーム記録プロセスを概念的に示す図である。
図2図2A図2Bは、本発明の様々な実施形態による、HPDLC SBGデバイスおよびSBGのスイッチング特性を概念的に示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態による、統合された格子を実装する導波路表示デバイスを概念的に示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態による、ナノ粒子ベースのフォトポリマー材料から形成された格子を有する格子層を有する導波路を概念的に示す図である。
図5図5は、本発明の様々な実施形態による様々な材料配合物の回折効率を比較するチャートである。
図6図6A~6Cは、本発明の様々な実施形態による材料配合物中の構成要素の一般的な構造を概念的に示す図である。
図7図7は、本発明の一実施形態による、異なる材料を含む画定された格子エリアを有する導波路セルを概念的に示す図である。
図8図8は、本発明の一実施形態による、ホログラフィックマスター格子を使用して格子を形成するためのプロセスを概念的に示すフローチャートである。
図9図9A~9Eは、本発明の一実施形態による、ナノ粒子を含むホログラフィックフォトポリマー材料を使用して格子を形成するプロセスを示す図である。
図10図10A~10Dは、本発明の一実施形態による、ナノ粒子を含むホログラフィックフォトポリマー材料を使用して格子を形成するプロセスを示す図である。
図11図11A~11Fは、本発明の実施形態による、ナノ粒子および不活性液体を含むホログラフィックフォトポリマー材料を使用して格子を形成するプロセスを示す図である。
図12図12は、本発明の一実施形態による格子を製造するためのプロセスを示す図である。
図13図13A~13Cは、本発明の一実施形態による多層格子を製造するためのプロセスを概念的に示す図である。
図14図14A~14Dは、本発明の一実施形態による多層格子を製造するためのプロセスを概念的に示す図である。
図15図15A~15Gは、本発明の一実施形態による多層格子を製造するためのプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
実施形態を説明するために、光学設計および視覚ディスプレイの当業者に知られている光学技術のいくつかの周知の特徴は本発明の基本原理を不明瞭にしないように、省略または簡略化されている。特に明記しない限り、光線またはビーム方向に関する「軸上」という用語は、本発明に関連して記載される光学部品の表面に垂直な軸に平行な伝搬を指す。以下の説明では、用語「光」、「光線(ray)」、「ビーム」、および「方向」は相互に交換可能に、かつ、互いに関連して、直線軌道に沿った電磁放射の伝播方向を示すために使用され得る。光および照明という用語は、電磁スペクトルの可視帯域および赤外帯域に関して使用され得る。以下の説明の一部は、光学設計の当業者によって一般に使用される用語を使用して提示される。本明細書で使用される場合、格子(grating)という用語は、いくつかの実施形態では格子のセットから構成される格子を包含し得る。説明のために、図面は特に明記しない限り、一定の縮尺で描かれていないことを理解されたい。
【0043】
本発明の様々な実施形態による導波路、格子、および他の関連する用途の形成に使用するためのホログラフィック材料は、様々な異なる混合物および配合物を含むことができる。従来のホログラフィック導波路用途では、導波路内の体積格子が通常、ホログラフィックポリマー分散液晶(holographic polymer dispersed liquid crystal;HPDLC)材料を使用して形成される。多くの用途に便利であるが、上記材料および上記材料から形成される格子は、特定の場合には致命的となり得る欠点を有する。典型的な色の不均一性および明度の問題に加えて、HPDLC格子では、一部の導波路用途において、表示された画像における特定の「欠陥」が現れ得る。そのような欠陥は、薄暗いパターン、例えば、限定されないが、表示された画像の中心または角における不均一性や、一連の線形隆起またはストライエーションとして現れる周期的な不均一性などであり得る。これらの欠陥はHPDLC格子の基本構造に起因する可能性があり、対処することが困難であり得る。例えば、射出瞳拡大を実施する典型的な導波路用途では、表示された画像におけるストリエーション欠陥の原因がHPDLC格子の異方性の性質に関連し得る。所与のHPDLC格子の各相互作用により、光の偏光をわずかに回転させることができる。これらの回折格子の偏光感受性回折の性質を考慮すると、導波路内を伝搬し続け、回折格子と再び相互作用する光はその偏光状態の変化のために、予期せぬ様式で回折され得る。例えば、多くのHPDLC材料システムは、高いP偏光応答および低いS偏光応答を有する格子を形成する。特に明記しない限り、偏光応答は、入射面に関して説明される。これらの格子を利用する導波路ディスプレイシステムは、P偏光入力光を利用するように構成されることが多い。しかしながら、光の偏光は、格子との相互作用の際に「回転」する。2回目に格子と相互作用する光は射出瞳拡大を実施するための格子アーキテクチャの場合のように、異なる回折効率プロフィールを有することができ、例えば、光は2回目の相互作用の際により低いP成分を有することができ、格子が高いP偏光応答を有することができるので、より少ない回折を行うことができる。このプロセスは継続することができ、偏光の変化は、ストリエーションおよび他の欠陥として現れることができる環状回折効率プロフィールを生成することができる。
【0044】
HPDLC格子に関して上述した欠陥は、市販用途には受け入れられないことが多い。さらに、これらの欠陥はレーザ照明のコヒーレンス特性のために、レーザ光エンジンを利用する導波路表示デバイスにおいてより顕著であり得る。したがって、本発明の多くの実施形態は、上述の欠陥のより高い均一性およびより少ない外観を有する回折格子を形成することが可能な材料システムを対象とする。多くの実施形態では、上記材料系から形成された格子が入射光の偏光に影響を及ぼさないことがあるので、上述の欠陥は排除される。いくつかの実施形態では、使用される材料系がナノ粒子ベースのフォトポリマー混合物であってもよい。いくつかの実施形態では、使用される材料系がホログラフィック露光後にフォトポリマーおよびナノ粒子材料系を形成するための、少なくとも1つのタイプのモノマーおよび少なくとも1つのタイプのナノ粒子を含む混合物であってもよい。いくつかの実施形態では、出発混合物が少なくとも1種類の液晶をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、液晶の役割がEBGの場合のようにホログラフィック露光後に格子から除去されるのではなく、むしろナノ粒子成分に関連する格子の屈折率調節回折効率および電気光学特性を改善することができる。
【0045】
上記混合物は、体積格子を形成するために相分離を用いるホログラフィック露光プロセスにおいて利用することができる。いくつかの実施形態では、材料混合物が屈折率の高い調節を有する体積格子を形成するように配合されてもよい。HPDLC材料から形成される回折格子の欠点のいくつかに対処するために、本発明の様々な実施形態によるフォトポリマー混合物は等方性回折格子を形成するための材料、例えば、配向またはネマチック秩序を有さない回折格子、または重合体とナノ粒子の交互の部から形成されるランダムまたは等方性ドメインを有する回折格子を含むことができる。材料系での使用のために選択されるナノ粒子のタイプは重要であり得る。例えば、材料系は限定されないが、モノマー、色素、および共開始剤などの様々な成分を含むことができる。そのようなシステムと共に使用するために選択されるナノ粒子のタイプは、有利にはシステム内の成分との低い反応性を有するべきである。様々な実施形態において、ナノ粒子は、高い屈折率(多くの場合、少なくとも1.7であり得る)を有し得る。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は高い透過率を有する。例えば、利用される多くのタイプのナノ粒子は、少なくとも95%の透過率値を有する。いくつかの実施形態では、選択されるナノ粒子のタイプが低い吸収を有し、効率的な導波路ディスプレイシステムの実装を可能にする。様々なタイプのナノ粒子を利用することができる。多くの実施形態ではナノ粒子がAu、Ag、Zr、Ti、Zn、およびCdのコアなどの無機コア構造を含むが、これらに限定されない。官能化および非官能化ナノ粒子は、用途に応じて適宜使用することができる。いくつかの実施形態では、コア構造が有機リガンドで修飾された表面を有し得る。このようなナノ粒子は、非金属ナノ粒子とも称され得、低吸収値を提供するために利用され得る。他の実施形態では、金属ナノ粒子も利用することができる。格子アーキテクチャ、HPDLC材料システム、ナノ粒子ベースの材料システム、上記材料システムを使用して格子を形成する方法、および関連用途は、以下のセクションでさらに詳細に論じられる。
【0046】
光導波路および格子構造
導波路に記録された光学構造体は、限定されないが、回折格子などの多くの様々なタイプの光学素子を含むことができる。格子は、限定されないがが、光のカップリング、光の照射、および光の透過の防止を含む、様々な光学的機能を実行するように実装され得る。回折格子は、導波路の外面上に存在する表面レリーフ回折格子とすることができる。他の場合には、実施される格子が周期的な屈折率調節を有する構造であるブラッグ格子(体積格子とも呼ばれる)とすることができる。ファイバブラッグ格子は、様々な異なる方法を用いて製造することができる。1つのプロセスは、周期構造を形成するためのホログラフィックフォトポリマー材料の干渉露光を含む。ファイバブラッグ格子は、高次に回折される光がほとんどなく、高い効率を有することができる。回折およびゼロ次の光の相対量は格子の屈折率調節を制御することによって変化させることができ、この特性は、大きな瞳にわたって光を抽出するための損失性導波路格子を作製するために使用することができる。
【0047】
図1には、本発明の一実施形態によるマスター格子を利用するシングルビーム記録プロセスが概念的に示されている。図示のように、単一のレーザ源(図示せず)からのビーム100は、マスター格子101を通って照射され得る。マスター格子101との相互作用の際に、ビーム100は例えば、マスター格子101の黒い斜線領域と相互作用する光線の場合のように回折することができ、または、ビーム100は、例えば、マスター格子101の断面斜線領域と相互作用する光線の場合のように、ゼロ次ビームとして実質的な偏差なしにマスター格子101を通って伝搬することができる。一次回折ビーム102およびゼロ次ビーム103は、重なり合って、導波路セルの光記録層104を露出させる干渉パターンを生成することができる。いくつかの実施形態では、スペーサブロック105が2つの構成要素間の距離を変更するために、格子101と光記録層104との間に配置され得る。
【0048】
ホログラフィック導波路デバイスに使用されるブラッグ格子の1つのクラスは、切り替え可能ブラッグ格子(SBG)である。SBGは、まず、光重合性モノマーと液晶材料との混合物の薄膜を基板間に配置することによって製造することができる。上記基材は、ガラスおよびプラスチックなどの様々な種類の材料から作製することができる。多くの場合、基板は並列構成である。基板はまた、くさび形状を形成することができる。一方または両方の基板は膜を横切って電場を印加するために、電極、典型的には透明な酸化スズ膜を支持することができる。SBG中の格子構造は、空間的に周期的な強度調節による干渉露光を用いた光重合誘起相分離によって液体材料(しばしばシロップと呼ばれる)中に記録することができる。照射強度、露光時間、混合物中の材料の成分体積分率、および曝露温度などの要因が、これらに限定されないが、得られる回折格子の形態および性能を決定することができる。容易に理解できるように、所与の用途の特定の要件に応じて、多種多様な材料および混合物を使用することができる。多くの場合、HPDLC材料を使用してSBGを製造することができる。記録プロセス中、モノマーは重合し、混合物は相分離を受ける。LC分子は、凝集して、光波長のスケールでポリマーネットワーク中に周期的に分布する、離散したまたは合体した液滴を形成する。交互の結晶に富む領域および結晶に乏しい領域は格子の縞面を形成し、これは、液滴中のLC分子の配向秩序化から生じる強い光学偏光を有するブラッグ回折を生成することができる。
【0049】
得られる体積位相格子は非常に高い回折効率を示すことができ、これは、膜を横切って印加される電場の大きさによって制御することができる。透明電極を介して格子に電場が印加されると、LC液滴の天然方位が変化し、フリンジの屈折率調節が低下し、ホログラム回折効率が低レベルに低下する可能性がある。典型的には、電極が印加される電場が基材に対して垂直であり得るように構成される。電極は、インジウムスズ酸化物(ITO)または他の透明導電性酸化物(TCO)から製造されてもよい。場合によっては、インデックスマッチングITO(IMITO)が使用される。電場が印加されていないオフ状態では、液晶の異常な軸が一般に、縞に対して垂直に整列する。したがって、格子は、P偏光に対して高い屈折率調節および高い回折効率を示す。HPDLCに電場が印加されると、格子はオン状態に切り替わり、液晶分子の異常な軸が印加された電場に平行に(したがって基板に垂直に)整列する。ON状態では、格子がS偏光およびP偏光の両方に対して、より低い屈折率調節およびより低い回折効率を示す。したがって、格子エリアは、もはや光を回折しない。各格子エリアは、HPDLCデバイスの機能に従って、例えば画素マトリクスなどの複数の格子要素に分割することができる。典型的には1つの基板表面上の電極が均一かつ連続的であり、一方、対向する基板表面上の電極は多数の選択的に切り替え可能な格子要素に従ってパターン化される。
【0050】
典型的には、SBG元素がONに切り換えるためのより長い緩和時間で、100μsでクリアに切り換えられる。また、印加電圧を手段することにより、デバイスの回折効率を調整することができる。多くの場合、デバイスは電圧が印加されずにほぼ100%の効率を示し、十分に高い電圧が印加されると実質的にゼロの効率を示す。特定のタイプのHPDLCデバイスでは、LC方位を制御するために磁場を使用することができる。いくつかのHPDLC用途では、重合体からのLC材料の相分離が識別上記液滴構造が生じない程度まで達成することができる。SBGは、受動格子として使用することもできる。このモードでは、その主な利点が一意的に高い屈折率調節である。SBGは、自由空間用途のための透過格子または反射格子を提供するために使用することができる。SBGは、HPDLCが導波路コアまたは導波路に近接したエバネッセント結合層のいずれかを形成する導波路デバイスとして実装することができる。HPDLCセルを形成するために使用される基板は、全内部反射(TIR)導光構造を提供する。光は切り替え可能な回折格子がTIR条件を超える角度で光を回折するとき、SBGから外に結合され得る。
【0051】
図2Aおよび図2Bは、本発明の一実施形態による、HPDLC SBGデバイス200、250およびSBGのスイッチング特性を概念的に示す。図2Aにおいて、SBG 200はオフ状態である。図示されるように、LC分子201は、フリンジ面に対して実質的に垂直に整列される。このように、SBG 200は高い回折効率を示し、入射光を容易に回折させることができる。図2Bは、オン位置にあるSBG 250を示す。印加電圧251は液滴253内のLC分子252の光軸を配向して、重合体の屈折率に一致する有効屈折率を生成し、入射光が回折されない透明セルを本質的に生成することができる。例示的な実施形態では、AC電圧源が示される。容易に理解できるように、所与の用途の特定の要件に応じて、様々な電圧源を利用することができる。
【0052】
いくつかの用途では、LCがSBGから抽出または排気されて、排気されたブラッグ格子(evacuated Bragg grating;EBG)を提供することができる。EBGは、SRG構造の深さのためにブラッグ格子に非常に類似した特性を有する表面レリーフ格子(SRG)として特徴付けることができる(これはSRGを製造するために一般に使用される表面エッチングおよび他の従来のプロセスを使用して実際に達成可能なものよりもはるかに大きい場合がある)。EBGの例は、2020年8月28日に出願された「Evacuating bragg gratings and methods of manufacturing」と題する米国特許出願公開第2021/0063634号に記載されており、その全体が参照により本明細書に援用される。LCは限定されるものではないが、イソプロピルアルコールなどの溶媒で洗い流すことを含む、様々な異なる方法を用いて抽出することができる。多くの場合、SBGの透明基材のうちの1つを除去し、LCを抽出することができる。除去された基板は、交換することができる。SRGは、より高いまたはより低い屈折率の材料で少なくとも部分的に埋め戻すことができる。上記回折格子は、効率、角度/スペクトル応答、偏光、および様々な導波路用途に適合する他の特性を調整するための範囲を提供する。
【0053】
導波管セル
導波路セルは、回折格子などであるがこれに限定されない光学素子を記録することができる、未硬化および/または未露光の光記録材料を含むデバイスとして定義することができる。多くの実施形態では、光記録材料を特定の波長の電磁放射に曝露することによって、光素子を導波路セルに記録することができる。導波路セルは、光記録材料が2つの基板の間に挟まれ、3層導波路セルを形成するように構成されてもよい。用途に応じて、導波路セルは、様々な構成で構成することができる。いくつかの実施形態では、導波路セルが2つの基材から作製された空の導波路セルを真空充填することによって構築され得る。他の充填方法を使用することもできる。いくつかの実施形態では、導波路セルが光記録材料を1つの基板上に堆積させ、複合体を第2の基板と共に積層して3層ラミネートを形成することによって構築され得る。スピンコーティングおよびインクジェット印刷などであるが、これらに限定されない様々な堆積技術を使用することができる。いくつかの実施形態では、導波路セルが3つを超える層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、導波路セルが種々の目的を果たすことができる異なるタイプの層を含む。例えば、導波路セルは、保護カバー層、偏光制御層、および配向層を含むことができる。
【0054】
様々な材料および形状の基板を導波路セルの構築に使用することができる。多くの実施形態では、基板は、限定されるものではないが、ガラスおよびプラスチックなどの透明材料で作られたプレートである。限定されないが、長方形および曲線形状などの異なる形状の基材を、用途に応じて使用することができる。基材の厚さはまた、用途に応じて変化し得る。多くの場合、基板の形状は、導波路の全体的な形状を決定することができる。いくつかの実施形態では、導波路セルが同じ形状の2つの基材を含む。他の実施形態では、基板は異なる形状である。容易に理解され得るように、基板の形状、寸法、および材料は、様々であり得、所与の用途の特定の要件に依存し得る。
【0055】
多くの実施形態では、ビーズまたは他の粒子が光記録材料の層の厚さを制御するのを助け、かつ、2つの基板が互いに崩壊するのを防ぐのを助けるために、光記録材料全体に分散される。いくつかの実施形態では、導波路セルが2つの平面基板の間に挟まれた光記録層で構成される。使用される光記録材料のタイプに応じて、膜厚制御はいくつかの光記録材料の粘度および光記録層の境界周囲の欠如のために、達成することが困難であり得る。いくつかの実施形態ではビーズは比較的非圧縮性の固形であり、これは一貫した厚さを有する導波路セルの構築を可能にすることができる。ビーズのサイズは、個々のビーズの周りの領域の局所的な最小厚さを決定することができる。したがって、ビーズの寸法は、所望の光記録層の厚さを達成するのに役立つように選択することができる。ビーズは限定されるものではないが、ガラスおよび塑性を含む、多様な材料のいずれかから作製することができる。いくつかの実施形態では、ビーズの材料は、その屈折率が導波路セル内の光の伝播に実質的に影響を与えないように選択される。
【0056】
いくつかの実施形態では、導波路セルは、2つの基材が平行または実質的に平行であるように構成され得る。かかる実施形態では、層全体にわたって均一な厚さを達成するのを助けるために、比較的類似のサイズのビーズを光記録材料全体にわたって分散させることができる。他の実施形態では、導波路セルがテーパー形状(profile)を有する。テーパー状の導波路セルは、異なるサイズのビーズを光記録材料全体に分散させることによって構成することができる。上述のように、ビーズのサイズは、光記録材料層の局所的な最小厚さを決定することができる。ビーズを材料層にわたってサイズが増大するパターンで分散させることによって、材料が2つの基板の間に挟まれるときに、光記録材料のテーパー層を形成することができる。
【0057】
材料組成の調節(modulation)
高輝度および優れた色忠実度は、AR導波路表示デバイスにおいて有益な要因であり得る。それぞれの場合において、FOVにわたる高い均一性が有益であり得る。しかしながら、導波路の基本光学系は、導波路を下って跳ね返るビームのギャップまたは重なり合いに起因する不均一性をもたらす可能性がある。さらなる不均一性は、回折格子の不完全性および導波路基板の非平面性から生じ得る。SBGでは、複屈折格子による偏光回転のさらなる問題が存在し得る。適用可能な場合、1つの課題は、ビームと格子縞との複数の交点から生じる数百万の光路が存在し得る、折り畳み格子の製造にあり得る。格子特性、特に屈折率調節の注意深い管理を利用して、不均一性を克服することができる。
【0058】
多数の可能なビーム相互作用(回折またはゼロ次透過)のうち、サブセットのみが、アイボックスに提示される信号に寄与する。アイボックスからの逆方向トレースによって、所与の視野点に寄与する折り畳み領域を特定することができる。次に、出力照明の明るい領域により多くを送ることができる調節に対する正確な補正を計算することができる。いくつかの実施形態では、調節に対する補正が所与の視野点に寄与する空間分解能セルに、ある屈折率/組成物およびコーティング深さの材料を追加することによって実行され得る。堆積される材料のタイプは、他の空間解像度セルの形成に使用される材料のタイプとは異なり得る。1つの色についての出力照度均一性を目標に戻した後、他の色について手順を繰り返すことができる。インデックス調節パターンが確立されると、デザインを析出機構にエクスポートすることができ、各ターゲットインデックス調節は、コーティング/堆積対象の基板上の各空間分解能セルに対する固有の析出設定に変換される。堆積機構の分解能は、利用されるシステムの技術的限界に依存し得る。多くの実施形態では、空間パターンが完全な再現性で30マイクロメートルの分解能に実装することができる。
【0059】
表面レリーフ格子(surface relief grating;SRG)を利用する導波路と比較して、本発明の様々な実施形態による製造技術を実装するSBG導波路は、屈折率調節および格子厚さなどであるがこれらに限定されない、効率および均一性に影響を与える格子設計パラメータを、異なるマスターを使用することなく堆積プロセス中に動的に調整することを可能にすることができる。調節がエッチング深さによって制御され得るSRGでは、格子の各変化が複雑で高価なツーリング処理を繰り返すことを必要とするので、そのような方式は実用的ではない。さらに、所望のエッチング深さ精度およびレジスト画像形成の複雑さを達成することは、非常に困難であり得る。
【0060】
本発明の様々な実施形態による堆積プロセスは、堆積される材料のタイプを制御することによって、格子設計パラメータの調節を提供することができる。本発明の様々な実施形態は、基板上の異なるエリアに、異なる材料、または異なる材料組成物を堆積させるように構成することができる。例えば、堆積プロセスは、格子エリアになる基板のエリア上にHPDLC材料を堆積し、非格子エリアになる基板のエリア上にモノマーを堆積するように構成することができる。いくつかの実施形態では、格子エリアは、モノマー、ナノ粒子、および/またはLC成分の混合物でコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、堆積プロセスは、成分組成が空間的に変化する光記録材料の層を堆積させるように構成され、堆積された材料の様々な態様の調節を可能にする。異なる組成物を有する材料の堆積は、いくつかの異なる方法で実施することができる。多くの実施形態では、異なる材料および混合物を堆積させるために、2つ以上の堆積ヘッドを利用することができる。各堆積ヘッドは、異なる材料/混合物リザーバに結合することができる。そのような実装は、様々な用途に使用することができる。例えば、導波路セルの格子エリアおよび非格子エリアに対して異なる材料を堆積させることができる。いくつかの実施形態では、一つのモノマーのみを非格子エリア上に堆積させつつ、HPDLC材料を格子エリア上に堆積させる。いくつかの実施形態では、堆積機構は、異なる成分組成を有する混合物を堆積するように構成することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、単一の基板上に複数のタイプの材料を堆積させるために、噴霧ノズルを実装することができる。導波路用途では、噴霧ノズルを使用して、導波路の格子エリアおよび非格子エリアのための異なる材料を堆積させることができる。多くの実施形態では、噴霧機構は、材料組成、複屈折、および/または厚みのうちの少なくとも1つが少なくとも2つの選択可能な噴霧ヘッドを有する堆積装置を使用して制御され得る、回折格子の印刷用に構成される。いくつかの実施形態では、製造システムがレーザーバンディングの制御のために最適化された格子記録材料を堆積させるための装置を提供する。いくつかの実施形態では、製造システムは、偏光非均一性の制御のために最適化された格子記録材料を堆積させるための装置を提供する。いくつかの実施形態では、製造システムがアライメント制御層に関連する偏光非均一性の制御のために最適化された格子記録材料を堆積するための装置を提供する。上記の実施形態では、析出ワークセルがビーム分割被膜および環境保護層などの追加の層の析出のために構成され得る。インクジェットプリントヘッドは、基板の別領域に異なる材料を印刷するように実装することもできる。
【0062】
上述のように、堆積プロセスは、成分組成が空間的に変化する光記録材料を堆積するように構成することができる。材料組成の調節(modulation)は、多くの異なる方法で実施することができる。いくつかの実施形態では、インクジェットプリントヘッドがプリントヘッド内の様々なインクジェットノズルを利用することによって材料組成を調節するように構成することができる。「ドット・バイ・ドット(dot-by-dot)」ベースで組成物を変更することによって、光学記録材料の層は、層の平面表面にわたって変化する組成物を有するように堆積され得る。このようなシステムは、インクジェットプリントヘッドを含むがこれに限定されない様々な装置を用いて実施することができる。カラーシステムが数百万の個他の色値のスペクトルを生成するために、わずか数色のパレットを使用する方法と同様に、例えば、プリンタにおけるCMYKシステム、またはディスプレイ用途における添加剤RGBシステムのように、本発明の様々な実施形態によるインクジェットプリントヘッドは、異なる材料のわずかなリザーバを使用して、様々な組成を有する光記録材料を印刷するように構成することができる。異なるタイプのインクジェットプリントヘッドは異なる精度レベルを有することができ、異なる解像度で印刷することができる。多くの実施形態では、300 DPI(「ドット/インチ」)インクジェットプリントヘッドが利用される。精度レベルに応じて、所与の数の材料の様々な組成の離散化を、所与の領域にわたって決定することができる。例えば、印刷される2つのタイプの材料および300 DPIの精度レベルを有するインクジェットプリントヘッドが与えられると、各ドット位置が2つのタイプの材料のいずれか1つを含むことができる場合、所与の体積の印刷材料について、1平方インチにわたる2つのタイプの材料の組成比の90,001個の可能な離散値が存在する。いくつかの実施形態では、各ドット位置が2つのタイプの材料のうちの1つまたは両方の材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、2つ以上のインクジェットプリントヘッドが空間的に変化する組成を有する光記録材料の層を印刷するように構成される。2つの材料用途におけるドットの印刷は本質的に二元系であるが、あるエリアにわたって印刷されたドットを平均化することは、印刷される2つの材料の比のスライドスケールの離散化を可能にすることができる。例えば、単位正方形にわたる可能な濃度/比の別個のレベルの量は、単位正方形内に何個のドット位置を印刷することができるかによって与えられる。したがって、第1の材料100%から第2の材料100%の範囲の、様々な濃度の組み合わせの範囲が存在し得る。容易に理解され得るように、上記概念は実際のユニットに適用可能であり、インクジェットプリントヘッドの精度レベルによって決定することができる。印刷層の材料組成を調節する具体的な例を論じたが、インクジェットプリントヘッドにより材料組成物を調節する概念は、3つ以上の異なる材料リザーバを使用するように拡張することができ、また、精度レベルにおいて変化しうるが、これは、使用されるプリントヘッドのタイプに大きく依存する。
【0063】
印刷される材料の組成を変えることは、いくつかの理由で有利であり得る。例えば、多くの実施形態では、堆積中に材料の組成を変化させることにより、格子の様々なエリアにわたって、空間的に変化する回折効率を有する格子を有する導波路の形成が可能になる。HPDLC混合物を利用する実施形態では、これは、印刷プロセス中にHPDLC混合物中の液晶の相対濃度を調節することによって達成することができ、これは、材料が露光されたときに様々な回折効率を有する回折格子を生成することができる組成を作り出す。いくつかの実施形態では、ある濃度の液晶を有する第1のHPDLC混合物と、液晶を含まない第2のHPDLC混合物とが、印刷材料内に形成され特定の回折格子の回折効率を調節するためのインクジェットプリントヘッド内の印刷パレットとして使用される。かかる実施形態では、離散化がインクジェットプリントヘッドの精度に基づいて決定することができる。1つの個別のレベルは、特定のエリアにわたって印刷された材料の濃度/比によって与えることができる。この例では、個々のレベルが「液晶なし」から、第1のPDLC混合物中の液晶の最大濃度までの範囲である。
【0064】
いくつかの実施形態では、HPDLC混合物はナノ粒子を含み得る。HPDLC混合物中のLCは、EBGの場合のようにホログラフィック露光後に格子から除去されるのとは対照的に、ホログラフィック露光後に最終格子内に留まることができる。LCおよびナノ粒子の特性を組み合わせることは、様々な格子用途において有利であり得る。LCおよびナノ粒子を含む実施は、LC Hiroyuki Yoshidaら「Nanoparticle-Dispersed Liquid Crystals Fabricated by Sputter Doping」Adv. Mater. 2010, 22, 622-626(参照によりその全体が本明細書に援用される)を参照されたい。いくつかの実施形態では、ナノ粒子がLC分子の配向に影響を及ぼし得る。ナノ粒子はLC内に分散させることができる。LCと共に使用するのに適したナノ粒子は、金属、絶縁体、カーボンナノチューブ、および/または強誘電体材料を含むことができる。高い回折効率を可能にするだけでなく、ナノ粒子は、スイッチング時間およびスイッチング電圧を制御するために使用することができる。キャッピング剤を使用して、ホストLC内のナノ粒子の溶解性を促進することができる。ナノ粒子は、真空ベースのプロセスを使用して適用され得るホストLC上にスパッタリングされ得る。
【0065】
導波路にわたって回折効率を変化させる能力は、種々の目的のために使用することができる。導波路は、典型的には導波路の2つの平面の間で光を何度も反射することによって、光を内部に導くように設計される。これらの複数の反射は、光路が格子と複数回相互作用することを可能にすることができる。多くの実施形態では、材料の層が形成された回折格子が均一な出力強度を可能にするために、回折格子との相互作用中の光の損失を補償するために、空間的に変化する回折効率を有するように、材料の変化する組成物で印刷することができる。例えば、いくつかの導波路用途では、出力格子が光を導波路から結合しながら、一方向に出射瞳拡大を提供するように構成される。出力格子は導波路内の光が格子と相互作用するとき、光の一部のみが導波路から屈折されるように設計することができる。残りの部分はTIR内に留まり、導波路内で反射され続ける同じ光路内に続く。同じ出力格子との第2の相互作用の際に、光の他の部分が導波路から屈折される。各屈折の間、導波路内を依然として移動する光の量は、導波路から外に屈折される量だけ減少する。したがって、各相互作用で屈折した部分は、全強度に関して徐々に減少する。回折格子の回折効率を、それが伝搬距離とともに増加するように変化させることによって、各相互作用に沿った出力強度の減少を補償することができ、均一な出力強度を可能にする。
回折効率を変化させることはまた、導波路内の光の他の減衰を補償するために使用され得る。すべての物体は、ある程度の反射および吸収を有する。導波路内のTIRに捕捉された光は、導波路の2つの表面間で連続的に反射される。表面を構成する材料に応じて、光の一部は、各相互作用中に材料によって吸収され得る。多くの場合、この減衰量は小さいが、多くの反射が生じる広い領域にわたって実質的であり得る。多くの実施形態では、光記録材料層から形成された回折格子が基板からの光の吸収を補償するために上記回折効率を有するように、導波路セルを上記組成で印刷することができる。基材に応じて、特定の波長は、基材によって吸収されやすくなり得る。多層導波路設計では、各層が光の特定の波長範囲で結合するように設計することができる。したがって、これらの個々の層によって結合された光は、層の基材によって異なる量で吸収され得る。例えば、いくつかの実施形態では導波路がフルカラーディスプレイを実装するために3層積層から作製され、各層は赤、緑、および青のうちの1つのために設計される。上記実施形態では、導波路層の各々内の回折格子が特定の波長の光の透過の損失に起因する色不均衡を補償することによって色バランス最適化を実行するために、様々な回折効率を有するように形成され得る。
【0066】
回折効率を変化させるために材料内の液晶濃度を変化させることに加えて、他の技術は、導波路セルの厚さを変化させることを含む。これは、スペーサの使用によって達成することができる。多くの実施形態では、スペーサが導波路セルの建設中の構造的支持のために光記録材料全体に分散される。いくつかの実施形態では、異なるサイズのスペーサが光記録材料全体に分散される。スペーサは、光記録材料の層の一方向にわたってサイズの昇順で分散させることができる。導波路セルが積層によって構成されるとき、基板は光記録材料を挟み、様々なサイズのスペーサからの構造的支持を伴って、様々なサイズの光記録材料の楔状層を生成し、様々なサイズのスペーサは、上述の調節プロセスと同様に分散され得る。さらに、スペーササイズの調節は、材料組成の調節と組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、各々が異なるサイズのスペーサで懸濁されたHPDLC材料のリザーバを使用して、異なるサイズのスペーサを戦略的に分散させてHPDLC材料の層を印刷し、楔状導波路セルを形成する。多くの実施形態では、スペーササイズの調節は、異なるサイズのスペーサの数と使用される異なる材料の数との積に等しい数のリザーバを提供することによって材料組成の調節と組み合わされる。例えば、一実施形態では、インクジェットプリントヘッドが2つの異なるスペーササイズで様々な濃度の液晶を印刷するように構成される。上記実施形態では、第1のサイズのスペーサを有する結晶フリー混合物懸濁液、第2のサイズのスペーサを有する結晶フリー混合物サスペンション、第1のサイズのスペーサを有する結晶リッチ混合物サスペンション、および第2のサイズのスペーサを有する結晶リッチ混合物サスペンションの4つのリザーバを作製することができる。材料の調節に関するさらなる議論は、「SYSTEMS AND METHODS FOR MANUFACTURING WAVEGUIDE CELLS」と題された2018年11月18日に出願された米国特許出願第16/203,071号に見出すことができる。米国特許出願第16/203,491号の開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に援用される。
【0067】
統合(integrated)格子を組み込んだ導波路
本発明の様々な実施形態による導波路は、異なる格子構成を含むことができる。多くの実施形態では、導波路が少なくとも1つの入力カプラと、少なくとも2つの統合された格子とを含む。いくつかの実施形態では、入力カプラによって導波路に結合された光のためのビーム拡大およびビーム抽出を提供するために、少なくとも2つの統合格子が共同して機能するように実装され得る。複数の統合格子は、異なる格子層にわたって統合格子を重ねることによって、または統合格子を多重化(multiplexing)することによって実施することができる。いくつかの実施形態では、統合格子が部分的に重複または多重化される。多重化格子は、同じ体積内に異なる格子処方を有する少なくとも2つの格子の重畳を含むことができる。異なる格子処方を有する格子は、導波路の表面に対して異なる格子ベクトル(格子Kベクトル)および格子傾斜角を有することができる。格子の格子ベクトルの大きさは格子周期の逆数として定義することができ、その方向は格子の縞に直交する方向として定義することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、ビーム拡大およびビーム抽出の両方を実行するために統合格子を実装することができる。統合格子は、1つ以上の格子処方を用いて実装することができる。いくつかの実施形態では、統合格子が少なくとも2つの格子処方を用いて実装される。さらなる実施形態では、統合格子が少なくとも3つの格子処方を用いて実装される。多くの実施形態では、統合された格子内の2つの格子処方が同様のクロック角を有する。いくつかの実施形態では、2つの格子処方が異なる傾斜角度を有する。本発明の様々な実施形態による統合格子はSRG、SBG、ホログラフィック格子、および上記のセクションで説明されたものを含む他のタイプの格子などであるが、これらに限定されない種々のタイプの格子を使用して実装することができる。いくつかの実施形態では、統合格子が2つの表面レリーフ格子を含む。他の実施形態では、統合格子が2つのホログラフィックに記録された格子を含む。
【0069】
統合格子は、別個の少なくとも部分的に重なり合った層に実装されるか、または1つの層に多重化される、少なくとも2つの格子処方を含むことができる。さらなる実施形態では、統合格子が完全に重複または多重化された少なくとも2つの格子処方を含む。いくつかの実施形態では統合格子が異なるサイズおよび/または形状を有する多重化または重複格子を含み、すなわち、1つの格子は他の格子よりも大きくてもよく、その結果、より大きい格子の部分的な多重化のみもたらされる。容易に理解され得るように、所与の用途の特定の要件に応じて、各種多重化および重複構成が適切に実装され得る。いくつかの実施形態では、所与の光線が上記の構成のいずれかに従って統合された回折格子を含む領域に遭遇する、または回折格子を全く含まない、その導波路経路に沿って導波路に入り得る。以下の説明では多重化または重複格子を実装する構成を説明することがあるが、上記格子は用途に応じて適宜互いに置き換えることができる。いくつかの実施形態では、統合格子が多重化格子と重複格子の両方組み合わせによって実装される。例えば、2つ以上のセットの多重化格子は、2つ以上の格子層にわたって重なり合うことができる。
【0070】
本発明の様々な実施形態による統合格子は、フルカラー導波路を実装すること、および従来の導波路アーキテクチャにおけるいくつかの重要な問題に対処することを含むが、これらに限定されない、種々の目的のために利用することができる。他の利点としては、材料および導波路の屈折率要件の低減、ならびに統合格子の重複および/または多重化の性質に起因する導波路寸法の低減が挙げられる。上記構成は大視野導波路を可能にすることができ、それは、通常、導波路形状因子および屈折率要件の許容できない増加を招く。多くの実施形態では、導波路は低屈折率を有する少なくとも1つの基材を用いて実装される。いくつかの実施形態では、導波路は1.8未満の屈折率を有する基板を用いて実装される。さらなる実施形態では、導波路は約1.5以下の屈折率を有する基板を用いて実装される。
【0071】
ビーム拡大およびビーム抽出(すなわち、従来の折り畳みおよび出力格子の機能)を提供することができる統合格子は、はるかに小さい格子エリアをもたらすことができ、小さいフォームファクタおよびより低製造コスト化を可能にする。伝統的な導波路のように連続的に実行する代わりに、ビーム拡大と抽出の機能を統合することにより、ビーム拡大と抽出は通常必要とされる回折格子相互作用の約50%で達成することができ、複屈折回折格子の場合に同じ割合でヘイズをカットダウンする。さらなる利点は、光路が大幅に短縮された結果として、ガラス/空気界面でのビームの跳ね返りの数が低減され、出力画像が基板の不均一性に対してより敏感でなくなることである。これは、より高品質の画像を可能にし、より安価で、より低仕様の基材を使用する可能性を可能にする。
【0072】
多くの実施形態では、入力カプラおよび統合格子の格子ベクトルが実質的にゼロの結果ベクトルを提供するように配置される。入力カプラおよび統合された格子の格子ベクトルは、三角形の構成を形成するように配置され得る。いくつかの実施形態では、格子ベクトルが正三角形の構成で配置することができる。いくつかの実施形態では、格子ベクトルが少なくとも2つの格子ベクトルが等しい大きさを有する二等辺三角形構成で配置することができる。さらなる実施形態では、格子ベクトルが二等辺三角形構成で配置される。いくつかの実施形態では、格子ベクトルが斜角三角形の構成で配置される。他の導波路アーキテクチャは同じ方向に整列された格子ベクトルを有する一体型回折素子を含み、1組の角度に対する水平拡張と、他のセットの角度に対する抽出とを提供する。いくつかの実施形態では、統合格子のうちの1つまたは複数がその一般的な形状において非対称である。いくつかの実施形態では、統合格子のうちの1つまたは複数がその一般的な形状において少なくとも1つの対称軸を有する。上記の実施形態では回折格子が電気活性材料を挟むように設計され、限定されないが、HPDLC回折格子などの特定のタイプの回折格子について、透明状態と回折状態との間の切り替えを可能にする。回折格子は、表面レリーフまたはホログラフィックタイプであり得る。
【0073】
多くの実施形態では、少なくとも1つの入力カプラと、第1および第2の統合格子とを支持する導波路が実装される。格子構造は、単層または多層導波路設計で実施することができる。単層設計では、統合格子を多重化することができる。各統合格子が少なくとも2つの多重格子を含む実施形態では、多重統合格子は少なくとも4つの多重格子を含むことができる。上述のように、任意の個々の多重化格子は、他の格子と部分的にまたは完全に多重化することができる。いくつかの実施形態では、多層導波路が重なり合う統合格子を用いて実装される。さらなる実施形態では、統合格子は部分的に重なり合っている。統合格子の各々は、別個の格子または多重化格子とすることができる。
【0074】
多くの実施形態では、導波路アーキテクチャは、入力カプラを使用して、入力光を2つの分岐パスに結合するように設計される。上記構成は、様々な方法で実装することができる。いくつかの実施形態では、入力光を2つの分岐パスに結合するために、多重化入力格子が実装される。他の実施形態では、2つの入力格子が入力光を2つの分岐パスに別々に結合するように実装される。2つの入力格子は、同じ層で、または2つの層で別々に実装することができる。いくつかの実施形態では、入力光を2つの分岐パスに結合するために、2つの重なり合うまたは部分的に重なり合う入力格子が実装される。多くの実施形態では、入力カプラはプリズムを含む。さらなる実施形態では、入力カプラは、プリズムと、上述の入力格子構成のいずれかと、を含む。
【0075】
様々な入力カプラアーキテクチャに加えて、第1および第2の統合格子は、様々な構成で実装することができる。本発明の様々な実施形態による統合格子は、2次元ビーム拡大およびビーム抽出の二重機能を実行するために導波路に組み込むことができる。いくつかの実施形態では、第1および第2の統合格子は交差格子である。上述のように、いくつかの導波路アーキテクチャは、入力光が2つの分岐パスに結合される設計を含む。そのような設計では、2つの分岐パスは、それぞれ、異なる統合格子に向けられる。容易に理解され得るように、上記構成は、限定されないが、角度帯域幅およびスペクトル帯域幅を含む、様々な光特性に基づいて、入力光を分岐させるように設計され得る。いくつかの実施形態では、光は偏光状態に基づいて分岐することができ、例えば、入力非偏光はS偏光パスおよびP偏光パスに分岐することができる。多くの実施形態では、統合格子の各々が導波路を通って伝搬される視野部分に従って、第1の方向におけるビーム拡大、または第1の方向とは異なる第2の方向におけるビーム拡大のいずれかを実行する。第1および第2の方向は、互いに直交することができる。他の実施形態では、第1および第2の方向が互いに直交しない。各統合された格子は第1の次元における光の拡張を提供する一方で、光を他の統合された格子に向けることができ、これは、第2の次元における光の拡張および抽出を提供する。例えば、本発明の様々な実施形態による多くの格子アーキテクチャは、入力光を光の第1および第2の部分に分岐させるための入力構成を含む。第1の統合格子は光の第1および第2の部分に対して第1の方向にビーム拡大を提供し、光の第2の部分に対してビーム抽出を提供するように構成され得る。逆に、第2の統合格子は光の第1および第2の部分に第2の方向のビーム拡大を提供し、光の第1の部分にビーム抽出を提供するように構成することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では第1の統合格子が多重化された第1および第2の格子処方を含み、第2の統合格子は多重化された第3および第4の格子処方を含む。上記実施形態では、第1の格子処方が光の第1の部分に対して第1の方向にビーム拡大を提供し、拡大された光を第4の格子処方に向けて方向転換するように構成され得る。第2の格子処方は光の第2の部分のために第1の方向にビーム拡大を提供し、導波路から光を抽出するように構成され得る。第3の格子処方は光の第2の部分に対して第2の方向にビーム拡大を提供し、拡大された光を第2の格子処方に向かって方向転換するように構成され得る。第4の格子処方は光の第1の部分に対して第2の方向にビーム拡大を提供し、導波路から光を抽出するように構成され得る。容易に理解され得るように、統合された格子は多重化された格子処方の代わりに、重複する格子処方を用いて実装され得る。多くの実施形態では第1および第2の格子処方が同じクロック角度を有するが、異なる格子傾斜を有する。いくつかの実施形態では、第3および第4の格子処方が第1および第2の格子処方のクロック角とは異なる同じクロック角を有する。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、および第4の格子処方はすべて、異なるクロック角を有する。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、および第4の格子処方はすべて、異なる格子周期を有する。いくつかの実施形態では、第1および第3の格子処方は同じ格子周期を有し、第2および第4の格子処方は同じ格子周期を有する。
【0077】
図3は、本発明の実施形態による、統合格子を実装する導波路表示デバイスを概念的に図示する。図示のように、装置300は、入力格子302および格子構造303を支持する導波路301を含む。各格子は、導波路の平面内の格子縞の方位を規定する格子ベクトルによって特徴付けることができる。格子は3D空間におけるKベクトルによって特徴付けることもでき、ブラッグ格子の場合、これは格子縞に垂直なベクトルとして定義される。導波路反射面は、図面に挿入されたデカルト基準フレームのXY平面に平行である。いくつかの実施形態では、X軸およびY軸が表示デバイスのユーザの基準フレーム内のグローバル水平軸および垂直軸に対応することができる。
【0078】
図3の例示的な実施形態では、入力格子302はブラッグ格子304を含む。他の実施形態では、入力格子302は表面レリーフ格子である。入力格子302は、入力光が2つの異なる部分に分岐するように実装することができる。さらなる実施形態では、入力格子302は異なる格子処方を有する2つの多重化格子を含む。他の実施形態では、入力格子302は2つの重ね合わされた表面レリーフ格子を含む。格子構造303は、異なる格子ベクトルを有する2つの有効格子305、306を含む。格子305、306は、表面レリーフ格子または体積格子として実装される統合格子であり得る。多くの実施形態では、格子305、306は単一層で多重化される。いくつかの実施形態では、導波路301が格子構造内の2つ以上の分離した格子を重ねることによって、格子構造303を横切る全ての点に2つの有効格子を提供する。明瞭にするために、回折格子構造303を形成する回折格子305、306を第1および第2の統合回折格子と称する。回折格子構造におけるそれらの役割が、導波路の平面における導波ビームの方向およびビーム抽出を変更することによってビーム拡大を提供することを含むからである。様々な実施形態において、統合格子305、306は、導波路301からの光の寸法ビーム拡大及び抽出を実行する。導波路に結合された視野は第1の部分と第2の部分とに分割することができ、第1の部分と第2の部分は、入力格子302によってそのように分岐することができる。多くの実施形態では、第1の部分および第2の部分が垂直方向または水平方向の正および負の角度に対応する。いくつかの実施形態では、第1の部分および第2の部分が角度空間において重複し得る。いくつかの実施形態では、視野の第1の部分が第1の統合格子によって第1の方向に拡張され、並列動作において、第2の方向に拡張され、第2の統合格子によって抽出される。光線が格子縞と相互作用すると、ブラッグ条件を満たす光の一部が回折され、一方、非回折光はそのTIR経路に沿って次の縞まで進行し、拡大および抽出処理を継続する。次に、視野の第2の部分を考慮すると、格子の役割は視野の第2の部分が第2の統合格子によって第2の方向に拡張され、第1の方向に拡張され、第1の統合格子によって抽出されるように、逆にされる。
【0079】
多くの実施形態では、格子構造303内の統合格子305、306は非対称に配置することができる。いくつかの実施形態では、統合格子305、306は異なる大きさの格子ベクトルを有する。いくつかの実施形態では、入力格子302がY軸からオフセットされた格子ベクトルを有することができる。いくつかの実施形態では、入力格子302の格子ベクトルと格子構造303内の統合格子305、306とのベクトルの組み合わせが、実質的にゼロの大きさの結果として得られるベクトルを与えることが望ましい。上述のように、格子ベクトルは、正三角形、二等辺三角形構成、または斜角形構成に配置することができる。用途に応じて、特定の構成がより望ましい場合がある。
【0080】
多くの実施形態では、格子ベクトル方向、Kベクトル方向、格子屈折率調節、および格子空間周波数の群から選択される少なくとも1つの格子パラメータは角度応答および/または効率を増加させるために、角度帯域幅、導波路効率、および出力均一性を最適化する目的で、導波路内に実装される少なくとも1つの格子にわたって空間的に変化することができる。いくつかの実施形態では、導波路内に実装される格子のうちの少なくとも1つはロールKベクトル、すなわち空間的に変化するKベクトルを使用することができる。いくつかの実施形態では、回折格子の空間周波数が色分散を克服するために整合される。
【0081】
図3の装置300は、入力画像生成器をさらに含む。例示的な実施形態では、入力画像生成器は、入力格子302によって導波路内の全内部反射経路(total internal reflection(TIR)経路)(例えば、308A、308B)に結合され、かつ、(例えば、光線309A、309Bによって示されるように)拡張および抽出される統合格子305、306に向けられる走査ビーム307Aを視野にわたって提供するレーザ走査プロジェクタ307を含む。いくつかの実施形態では、レーザプロジェクタ307は走査ビームを導波管に注入するように構成される。いくつかの実施形態では、レーザプロジェクタ307は導波路内の光学歪みを補償するように修正された走査パターンを有することができる。いくつかの実施形態では、入力格子302および格子構造303内のレーザ走査パターンおよび/または格子処方は照明バンディングを克服するように修正され得る。様々な実施形態において、レーザ走査プロジェクタ307は、レーザ又はLEDによって照明される反射又は透過マイクロディスプレイに基づく入力画像生成器に置き換えることができる。多くの実施形態では、入力画像が発光ディスプレイによって提供することができる。レーザプロジェクタは、改善された色域、より高い輝度、より広い視野、高解像度、および非常にコンパクトなフォームファクタの利点を提供することができる。いくつかの実施形態では、装置300はデスペックラをさらに含むことができる。さらなる実施形態では、デスペックラは導波路デバイスとして実装することができる。図3は統合格子を実装する特定の導波路用途を示すが、そのような構造および格子アーキテクチャは様々な用途に利用することができる。いくつかの実施形態では、統合回折格子を有する導波路がフルカラー用途のための単一の回折格子層に実装され得る。多くの実施形態では、統合格子を実装する2つ以上の格子層が実装される。上記構成は、より広い角度またはスペクトル帯域幅動作を提供するように実装され得る。いくつかの実施形態では、多層導波路がフルカラー用途を提供するように実装される。いくつかの実施形態では、多層導波路がより広い視野を提供するように実装される。多くの実施形態では、少なくとも約50°の対角視野を有するフルカラー導波路が統合格子を使用して実装される。いくつかの実施形態では、少なくとも約100°の対角視野を有するフルカラー導波路が統合格子を使用して実装される。統合格子に関するさらなる議論は、2020年2月18日に出願された米国特許出願第16/794,071号「Methods and Apparatuses for Providing a Holographic Waveguide Display Using Integrated Gratings」に見出すことができる。米国特許出願第16/794,071号の開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に援用される。
【0082】
HPDLC光記録材料システム
HPDLC混合物は、LC、モノマー、感光性色素、および共開始剤を含むことができる。混合物(シロップと呼ばれることが多い)は、しばしば界面活性剤を含み得る。本発明を説明するために、界面活性剤は、全液体混合物の表面張力を低下させる任意の化学薬品として定義される。PDLC混合物における界面活性剤の使用は公知であり、PDLCの最も初期の研究にさかのぼる。例えば、R.L Sutherland et al., SPIE Vol. 2689, 158-169, 1996(その開示は参照により本明細書に援用される)には、モノマー、光開始剤、共開始剤、連鎖延長剤、および界面活性剤を添加することができるLCを含むPDLC混合物が記載されている。界面活性剤は、Natarajan et al, Journal of Nonlinear Optical Physics and Materials, Vol. 5 No. l 89-98, 1996による論文にも言及されており、その開示は参照により本明細書に援用される。さらに、Sutherlandらによる米国特許第7,018,563号は、少なくとも1種のアクリル酸モノマー;少なくとも1種の液晶材料;光開始剤染料;共開始剤;および界面活性剤を有するポリマー分散液晶光学素子を形成するためのポリマー分散液晶材料を論じている。米国特許第7,018,563号の開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0083】
上記特許および科学文献は、高い回折効率、高速応答時間、低駆動電圧などを達成するための上記材料システムを配合するための検討を含む、SBGを製造するために使用され得る材料システムおよびプロセスの多くの例を含む。Sutherlandによる米国特許第5,942,157号、およびTanakaらによる米国特許第5,751,452号の両方は、SBGデバイスを製造するのに適したモノマーおよび液晶材料の組合せを記載している。レシピの実施例は、1990年代初頭までさかのぼる論文でも見ることができる。これらの材料の多くは、以下を含むアクリレートモノマーを使用する:
・R. L. Sutherland et al.,Chem. Mater. 5, 1533(1993)(その開示は参照により本明細書に援用される)には、アクリレートポリマーおよび界面活性剤を使用することが記載されている。具体的には、架橋性多官能性アクリレートモノマー、連鎖延長剤N-ビニルピロリジノン、LC E7、光開始剤ローズベンガル、および共開始剤N-フェニルグリシンが使用されている。界面活性剤としてオクタン酸が特定の変形例で添加されている。
・Fontecchio et al., SID 00 Digest 774-776, 2000(その開示は参照により本明細書に援用される)には、多官能性アクリレートモノマー、LC、光開始剤、共開始剤、および連鎖停止剤を含む、反射性ディスプレイ用途のためのUV硬化性HPDLCが記載されている。
・Y.H. Cho, et al., Polymer International, 48, 1085-1090, 1999(その開示は参照により本明細書に援用される)には、アクリレートを含むHPDLCレシピが開示されている。
・Karasawa et al., Japanese Journal of Applied Physics, Vol. 36, 6388-6392, 1997(その開示は参照により本明細書に援用される)には、種々の官能基数のアクリレートが記載されている。
・T.J. Bunning et al., Polymer Science: Part B: Polymer Physics, Vol. 35, 28252833, 1997(その開示は参照により本明細書に援用される)には、多官能アクリレートモノマーも記載されている。
・G.S. Iannacchione et al., Europhysics Letters Vol. 36(6). 425-430, 1996(その開示は参照により本明細書に援用される)には、ペンタアクリレートモノマー、LC、連鎖延長剤、共開始剤、および光開始剤を含むPDLC混合物が記載されている。
【0084】
アクリレートは、速いカイネティクス、他の材料との良好な混合性や、フィルム形成プロセスとの相溶性という利点を提供する。アクリレートは架橋されているので、機械的に頑丈で柔軟である傾向がある。例えば、2(ジ)および3(トリ)官能のウレタンアクリレートがHPDLC技術のために広く使用されている。ペンタ官能およびヘキサ官能などのより高機能の材料も使用されている。
【0085】
ナノ粒子ベースの光記録材料システム
本発明の様々な実施形態による材料システムは、ホログラフィックブラッグ格子を形成することができるフォトポリマー混合物を含むことができる。いくつかの実施形態では、混合物が干渉フォトリソグラフィーを使用してホログラフィック格子を形成することができる。そのような場合、屈折率調節は、干渉パターンの露光強度を変化させることによって生成され得る。上記のセクションに記載されているものおよび当技術分野で周知のものを含む、様々なリソグラフィ技術のいずれかを使用することができる。光反応性による屈折率変化に依存する他の技術と比較して、本発明の様々な実施形態による材料系および技術は、干渉露光によって開始される拡散処理を利用する。
【0086】
多くの実施形態において、フォトポリマー混合物は、異なるタイプのモノマー、色素、光開始剤、およびナノ粒子を含み得る。モノマーとしてはビニル、アクリレート、メタクリレート、チオール、エポキシド、および他の反応性基が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、混合物は、異なる屈折率を有するモノマーを含むことができる。いくつかの実施形態では、混合物が反応性または非反応性希釈剤および/または接着プロモーターを含むことができる。
【0087】
容易に理解適宜ように、所与の用途の特定の要件に応じて、様々なタイプの混合物および組成物を適切に実施することが適宜。多くの実施形態では、実施される混合物は、2019年1月8日に出願された「Low Haze Liquid Crystal Materials」と題された米国特許出願公開第2019/0212597号公報、2019年1月8日に出願された「Liquid Crystal Materials and Formulations」と題された米国特許出願公開第2019/0212589号公報、2018年6月13日に出願された「Holographic Material Systems and Waveguides Incorporating Low Functionality Monomers」と題された米国特許出願公開第2019/0212596号公報、および、2020年2月24日に出願された「Holographic Polymer Dispersed Liquid Crystal Mixtures with High Diffraction Efficiency and Low Haze」と題された米国特許出願公開第2020/0271973号公報に記載されている材料システムに基づいている。これらは、すべての目的のために、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0088】
ホログラフィック格子を形成するために、マスター格子を使用して、露光ビームを照射し、かつ、未硬化フォトポリマー材料の層上に干渉パターンを形成し、格子を形成することが可能である。上述のように、記録プロセスは、典型的にはプラスチックまたはガラス板からなる2つの透明基板によって挟まれた未硬化フォトポリマー材料の層を含む導波路セル上で実行することができる。未硬化フォトポリマー材料の層を有する導波路セルは、真空充填および印刷堆積プロセスを含むがこれらに限定されない多くの異なる方法で形成することができる。マスター格子を記録ビームで露光することによって、ビームの一部は回折し、一方、一部はゼロ次光として通過する。回折部分およびゼロ次部分は、フォトポリマー材料を露光するのに干渉する可能性がある。モノマーおよびナノ粒子は相分離して、干渉パターンに対応するモノマーおよびナノ粒子の交互領域を形成し、体積ブラッグ格子を効果的に形成する。いくつかの実施形態では、2つの異なる露光ビームを利用して、所望の露光のための干渉パターンを形成する。
【0089】
図4は、本発明の実施形態による、ナノ粒子ベースのフォトポリマー材料から形成された格子を有する格子層を有する導波路を概念的に示す。図示のように、導波路400は、2つの透明基材402、403によって挟まれた格子層401を含む。格子層401は、モノマー404とナノ粒子405との交互領域で形成された格子を含むことができる。
【0090】
用途に応じて、形成される回折格子のタイプおよびサイズは大きく異なり得る。いくつかの実施形態では、ナノ粒子ベースのフォトポリマーシステムが等方性格子を形成するように実装され得る。等方性回折格子は、多くの様々な導波路用途において有利であり得る。上記のセクションで説明したように、HPDLC材料システムから形成されたものなどの異方性回折格子は、導波路内を伝播する光に対して偏光回転効果を生じさせ、ストリエーションおよび他の望ましくないアーチファクトをもたらす可能性がある。等方性格子を組み込んだ導波路はこれらのアーチファクトの多くを除去することができ、光の均一性を改善する。多くの実施形態ではナノ粒子ベースの格子がS偏光とP偏光の両方に対して高い回折効率を有することができ、これは典型的なHPDLC格子と比較して、より均一で効率的な導波路を可能にする。いくつかの実施形態では、回折格子がS偏光およびP偏光のうちの少なくとも1つに対して少なくとも約20%の回折効率を提供することができる。さらなる実施形態では、格子がS偏光およびP偏光の少なくとも1つに対して少なくとも約40%の回折効率を提供する。容易に理解され得るように、上記格子は、所与の用途の特定の要件に応じて、適切な偏光応答で構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、格子がS偏光に対して少なくとも約40%の回折効率を提供し、十分な輝度を有する導波路表示デバイスを実装する。さらなる実施形態では、格子がS偏光に対して少なくとも約40%の回折効率、およびP偏光に対して少なくとも約10%の回折効率を提供する。
【0091】
図5は、本発明の様々な実施形態による様々な材料配合物(formulation)の回折効率を比較するチャートである。示されるように、本発明の様々な実施形態による混合物は、特定の目的のために配合物とすることができる。例えば、配合物1はS-およびP-偏光に対して低い回折効率を有する材料系を示し、配合物2はS-およびP-偏光の両方に対して十分に高い回折効率応答を有する材料系を示し、この系は主にS-感受性である。配合物3は、P偏光に対して高い回折効率応答を示す、HPDLC材料に基づく材料系である。
【0092】
図6A~6Cは、本発明の様々な実施形態による、図5に列挙された材料配合物中の構成要素の一般的な構造を概念的に図示する。材料配合物中の成分としてはナノ粒子、液晶モノマー、ペンダント鎖、芳香族および/または脂肪族化合物、結合基、ならびに他の官能基が挙げられ得るが、これらに限定されない。図6Aは、効率の悪い相分離をもたらし得る、同様の反応性および拡散速度定数を有するモノマーの混合物の化学式を示す。モノマーの混合物は、図5の配合物1に対応する。いくつかの実施形態において、キャップされたナノ粒子または液晶の添加は、相分離を改善し得る。図6Bは、図5の配合物2に対応するモノマーの混合物を示す。図6Cは、図5の配合物3に対応するモノマーの混合物を示す。特定種類のLCおよびそれらの誘導体が本出願を通して見出すことができる。図6A図6Cにおいて、異なる記号は以下のものを表すが、これらに限定されない。
・Rは、-H、アルキル、アルコキシまたはモノマーであり得、nは0、1などの整数値であり得る
・X、Y、Zは、-H、モノマー、スペーサ、または配位子であり得る
・Aは、R、官能基、またはペンダント(脂肪族または芳香族)であり得る
・Bは、キャッピング剤を有するか有さない、高屈折率コアであり得る
・Wは連結基であり得る
【0093】
例えば、導波路用途は、典型的にはサブ波長サイズの格子を利用して、導波路内の光の所望の伝搬および制御を可能にする。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、約500nm未満の期間を有する格子を形成するためのナノ粒子を含むフォトポリマー材料の使用を含む。さらなる実施形態では、格子は約300~500nmの周期を有する。いくつかの実施形態では、モノマーおよびナノ粒子のタイプが格子形成の露光処理中に高い拡散速度を提供するように選択することができる。高い拡散速度は、小さな期間サイズを有する回折格子の形成を容易にすることができる。多くの実施形態では格子がロールKベクトルを有するように形成され、すなわち、格子のKベクトルは同様の期間を維持しながら変化する。異なる期間および変化するKベクトルに加えて、格子は、典型的にはフォトポリマー材料の層の厚さによって定義される特定の厚さを有するように形成することもできる。容易に理解され得るように、格子が形成される厚さは、特定の用途に依存し得る。より薄い回折格子はより低い回折効率をもたらし得るが、より高い動作角度帯域幅をもたらし得る。他の材料系とは対照的に、本発明の様々な実施形態によるフォトポリマー材料系は、多くの所望の導波路用途に十分な回折効率値を有する薄い格子を提供することができる。多くの実施形態では、格子が約5μm未満の厚さを有するように形成される。さらなる実施形態では、格子が約1~3μmの厚さを有するように形成される。いくつかの実施形態では、回折格子が変化する厚さプロファイルを有する。
【0094】
利用される成分の種類は、所与の用途の特定の要件に依存し得る。例えば、ナノ粒子のタイプは残りの成分との反応性が低くなるように選択することができる(例えば、ナノ粒子は、材料系中のモノマー、色素、共開始剤などに対するそれらの非反応性について選択することができる)。いくつかの実施形態では、二酸化ジルコニウムナノ粒子が利用される。多くの用途において、導波路効率は、極めて重要であり得る。そのような場合、低吸収特性を有するナノ粒子が有利であり得る。典型的な導波路用途内の格子相互作用の量を考慮すると、従来のシステムでは低いと考えられる吸収値でさえ、依然として許容できない効率の損失をもたらす可能性がある。例えば、高い吸収特性を有する典型的な金属ナノ粒子は、多くの導波路用途にとって望ましくない可能性がある。したがって、多くの実施形態では、ナノ粒子のタイプが0.1%未満の吸収を提供するように選択される。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は非金属である。低い吸収値に加えて、導波路性能および格子形成に影響を及ぼす他の特性も考慮することができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子はPt、Au、および/またはAgなどの金属であり得る。いくつかの実施形態では、金属はZrO,TiO、WO、ZnO、Co、CuO、および/またはNiOなどの金属酸化物であり得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は圧電材料を含み得る。EBGの格子構造の機械的変形は、直接的な圧電効果を提供することができる。いくつかの実施形態では、圧電効果が圧電材料の機械的応力を電気エネルギーに変換し得る。圧電材料を含むナノ粒子を含む格子は、各種のセンサに適用することができる。圧電ナノ粒子はまた、電気エネルギーを機械的変形(例えば、逆圧電効果)に変換するためのEBG構造において使用され得る。逆圧電効果を利用する圧電ナノ粒子を含む格子はMEMS(例えば、光学スキャナ)において用途を有し得る。いくつかの実施形態では、圧電特性を有する格子が電気的に可変の格子ピッチ、深さ、および傾斜角を含むことができる。いくつかの実施形態では、圧電材料がPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、チタン酸バリウム、およびニオブ酸リチウムを含み得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子の形状(例えば、球体、ロッドなど)を使用して、全体的な回折効率を改善することができる。いくつかの実施形態では、形状がナノ粒子の平均サイズよりも有意な効果を有し得る。棒状のナノ粒子の場合、ナノ粒子の方位はしばしばランダムである。いくつかの実施形態では、ナノ粒子がLCを含有するシステムで使用される場合に利益を提供することができる特定の配向であってもよい。場合によっては、整列されたナノ粒子が回折効率、偏光制御、および電気光学性能の点での利益を伴って、LCディレクタの整列を助けることができる。いくつかの実施形態では、金属ナノ粒子の配向が磁場を使用して達成することができる。
【0098】
上述のように、期間サイズが小さい回折格子は、多くの導波路用途において有利であり得る。従来のHPDLC材料システムと比較して、相分離したナノ粒子ベースのフォトポリマー材料は、LC液滴と比較してナノ粒子のサイズが比較的小さいため、はるかに高い分解能を有する回折格子の形成を可能にすることができる。典型的なHPDLC材料系では、LC液滴が約100nmのサイズであり得る。これは、いくつかの用途において特定の制限をもたらす可能性がある。例えば、多くの導波路用途は、導波路内に格子を形成するためのホログラフィック露光/記録プロセスを実施する。用途に応じて、マスター格子の特徴サイズの分解能を制限することができる。いくつかの実施形態では、マスター格子が約125nmの解像度を有することができる。したがって、100nmのLC液滴を用いて格子を形成することは困難であり得、誤差の余裕はほとんどない。本明細書に記載のフォトポリマー材料系とは対照的に、格子を形成するナノ粒子は、LC液滴よりも少なくとも1桁小さい。
【0099】
いくつかの実施形態では、材料系が15nm未満の直径を有するナノ粒子を含む。さらなる実施形態では、ナノ粒子が約4~約10nmの直径を有する。マスター格子の特徴サイズの分解能と比較して、ナノ粒子の比較的小型、高い忠実度を有する格子の形成を可能にする。さらに、ナノ粒子の物理的特性は、従来のHPDLC材料系の大きな液晶液滴サイズと比較して比較的低いヘイズをもたらす格子の形成を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、約1%未満のヘイズを達成することができる。さらなる実施形態では、システムは約0.5%未満のヘイズを有する。
【0100】
使用されるナノ粒子のタイプの選択において考慮すべき他の重要な特性は、それらの屈折率を含む。導波路表示デバイスなどの多くの用途では、構成要素および材料の屈折率が導波路性能および効率に大きな影響を及ぼす可能性がある。例えば、格子内の構成要素の屈折率は、その回折効率を決定することができる。いくつかの実施形態では、高い屈折率nを有するナノ粒子を利用して、高い回折効率を有する格子を形成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも1.7の屈折率を有するZrOナノ粒子が利用される。いくつかの実施形態では、少なくとも1.9の屈折率を有するナノ粒子が利用される。さらなる実施形態では、少なくとも2.1以上の屈折率を有するナノ粒子が利用される。フォトポリマー混合物中のナノ粒子およびモノマーは、高いΔnを有する格子を提供するように選択することができる。いくつかの実施形態では、回折格子が少なくとも約0.04Δnの屈折率調節を有する。さらなる実施形態では、約0.05~0.06Δnの屈折率調節を有する格子が利用される。上記材料は、特定の導波路用途に対して十分な回折効率を有する薄い格子の形成を可能にするのに有利であり得る。いくつかの実施形態では、材料が30%を超える回折効率を有する約2μm厚の格子を形成することができる。さらなる実施形態では、格子が40%を超える回折効率を有することができる。ある場合には、金属ナノ粒子が高屈折率、典型的には金属成分の特性を提供するように実施することができる。しかしながら、上述のように、金属部品は典型的には高い吸収性を有し、多くの異なる導波路用途での使用には不適切である。したがって、本発明の多くの実施形態は、薄い効率的な格子を形成することができる非金属ナノ粒子を有する材料系を対象とする。
【0101】
ナノ粒子ベースの光重合体材料を利用した用途
本発明の様々な実施形態によるナノ粒子ベースのフォトポリマー材料は、多くの様々な用途のために実施することができる。上述のように、上記材料は、導波路表示デバイスで使用するための等方性格子を形成するように実装することができる。等方性格子を実施する導波路は、ストライエーションおよび他のアーティファクトなどの欠陥を効果的に低減上記排除する偏光回転効果を低減上記排除するように設計することができる。多くの実施形態では、少なくとも1つの入力カプラ、少なくとも1つの折り畳み格子、および少なくとも1つの出力格子を組み込んだ導波路。限定されないが、プリズムおよび入力格子などの入力カプラを利用することができる。いくつかの実施形態では、導波路が異方性入力格子および等方性折り畳み格子を含む。等方性および異方性格子の異なる構成を実施する導波路は、いくつかの異なる方法で形成および製造することができる。いくつかの実施形態では導波路が限定はしないが、インクジェット印刷などの堆積プロセスを利用して導波路セルを形成することによって形成される。格子のために指定された領域の各々は、所望の格子構造を形成するための適切な材料で堆積され得る。例えば、異方性入力格子を形成するために、HPDLC材料を、入力格子に指定された領域上に堆積させることができる。ホログラフィック露光後、HPDLC材料は、SBG格子を形成することができる。同様に、ナノ粒子ベースのフォトポリマー材料はホログラフィック露光後に等方性折り畳み格子を形成するために、折り畳み格子に指定された領域上に堆積され得る。いくつかの実施形態では、モノマーが非格子エリアの上に堆積される。容易に理解されるように、異方性/等方性格子を組み込んだ導波路は、多くの異なる方法で形成することが数。いくつかの実施形態では、上記導波路を形成するための適切な導波路セルを形成するために、真空充填処理が実施される。多材料真空充填処理は、様々な格子のために区分されたエリアを有する空の導波路セル上で実施することができる。
【0102】
図7は、本発明の一実施形態による、異なる材料を含む画定された格子エリアを有する導波路セルを概念的に示す。図7は、入力格子702、折り畳み格子703、および出力格子704のためのマーキングされたエリアを含む導波路セル700の平面図を示す。残りのエリアは、非格子エリア705である。上述のように、導波路セル700は、異なるエリアに堆積された異なる材料を有するように構成することができる。例えば、多くの実施形態では、非格子エリア705は、回折が上記エリアで生じることを意図していないため、モノマーのみを含む。これらのエリアにモノマーのみを堆積させることによって、これらのエリアは、系のヘイズを最小化する。格子エリア702~704は、用途に応じて様々な材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、入力格子エリア702が高いP偏光応答を有する格子を形成するためのHPDLC材料を含む。そのような構造は、大量の内部結合光を提供するために利用することができる。いくつかの実施形態では、折り畳み格子エリア703が等方性格子を形成するためのナノ粒子ベースのフォトポリマー材料を含む。上述のように、上記格子は、導波路のより高い均一性を提供することができる。
【0103】
等方性/異方性格子構造は、多くの異なる導波路ディスプレイ用途において実施することができる。多くの実施形態では、少なくとも1つの等方性格子を有するニアアイ導波路表示デバイスが実装される。さらなる実施形態では、ニアアイディスプレイが少なくとも1つの異方性格子を含む。等方性格子と異方性格子の両方を実施する導波路は、多くの異なる方法で構成することができる。いくつかの実施形態では、格子層が約2~3μmの厚さであってもよい。いくつかの実施形態では、導波路は多重格子を含む。さらなる実施形態では、多重化格子がナノ粒子ベースのフォトポリマー材料を使用して形成することができる等方性格子である。いくつかの実施形態では、多重化格子が上記のセクションで説明したものなどの統合格子として実装される。容易に理解され得るように、特定の格子アーキテクチャは、所与の用途の要件に依存し得る。例えば、様々な実施形態において、導波路は欠陥および/またはアーチファクトの出現を低減しながら、高い入力結合効率を提供するために、異方性入力格子および等方性折り畳み格子を含む。異方性格子は、偏光に対する高い回折効率値を含むことが多い。例えば、HPDLC材料で形成されたSBGは、P偏光に対して高い回折効率を有することが多い。したがって、多くの実施形態はより高い入力カップリング効率を提供するために、偏光および異方性入力格子の使用を含む。いくつかの実施形態では、入力光がレーザ光学エンジンである。多くの実施形態では、導波路が入力カプラと、典型的な折り畳み格子および出力格子の両方の機能を提供する統合多重格子とを含む。さらなる実施形態では入力カプラが異方性入力格子であり、統合格子は等方性格子である。
【0104】
ニアアイ導波管ディスプレイ用途に加えて、ナノ粒子ベースのフォトポリマー材料は、車両用及び自動車用導波管ディスプレイ用途においても有利に実施することができる。典型的には、導波路表示デバイスを実装する自動車ヘッドアップ表示デバイスシステムはサイズが比較的大きい。例えば、少なくとも300mmの長さを有する導波路が典型的に利用される。多くの場合、導波路内の光伝搬経路は、少なくとも600mmである。大きな格子は多くの場合、より長い光路に変換され、導波路内でTIRが跳ね返り、これは、光の均一性を提供し、ヘイズを制御する際に困難を呈し得る。上述のように、ナノ粒子ベースのフォトポリマーは、従来のシステムと比較して改善された均一性およびヘイズを有する導波路を形成するように実装され得る。多くの実施形態では、自動車用導波路が少なくとも1つの入力カプラと、少なくとも1つの折り畳み格子と、少なくとも1つの出力格子とを含む。入力カプラは、限定されないが、入力プリズムおよび入力格子の使用を含む、様々な方法で実装され得る。いくつかの実施形態では、フォールド格子がナノ粒子ベースのフォトポリマー材料を使用して形成される。いくつかの実施形態では、折り畳み格子は等方性格子である。いくつかの実施形態では、入力および/または出力格子はまた、ナノ粒子ベースのフォトポリマー材料を使用して形成され、また、等方性格子である。上述のように、等方性格子は、偏光回転効果を低減または排除して、より良好な均一性を提供することができる。容易に理解され得るように、様々な格子アーキテクチャおよび構成が実装され得る。様々な実施形態において、入力格子は、より高い入力結合効率を提供するように実装され得る異方性格子であり得る。自動車のヘッドアップディスプレイ用途では、システムから結合される偏光のタイプが重要であり得る。いくつかの用途では、出力光がP偏光であることが望ましい場合がある。そのような場合、システムは、典型的には光がフロントガラスに対してS偏光を提供するように配向される。多量のP偏光出力光を提供するために、導波路は、HPDLC材料から形成されるSBGであり得る異方性出力格子を効率的に含むことができる。いくつかの実施形態では、出力格子は等方性格子であってもよい。そのような場合、フロントガラスは、P偏光を反射するための偏光フィルムまたはコーティングを組み込むように構成することができる。
【0105】
導波路表示デバイスで使用するための格子に加えて、本発明の様々な実施形態によるナノ粒子ベースのフォトポリマー材料は、ホログラフィック記録システムにおけるマスター格子として使用するための格子を形成するように実装することができる。典型的なホログラフィック露光処理では、未硬化フォトポリマー材料の露光のための所望のパターンの光を形成するために、マスター格子が使用される。多くの場合、マスター格子は限定されるものではないが、クロム格子などの振幅格子である。しかしながら、クロム格子は、いくつかの用途において実施するには法外に高価であり得る。例えば、大量生産システムでは、複数のクロム格子が必要とされ得る。いくつかの用途では、大型クロムマスター(そのコストがサイズの増加に伴って指数関数的にスケールする)を使用することができる。他の問題はクロム格子が典型的には低い回折効率を提供し、元の露光ビームの必要なパワーを効果的に増加させることである。多くの実施形態では、ホログラフィック格子がマスター格子として実装することができる。従来のホログラフィック格子は従来の振幅格子と比較して、より大きな回折効率値を提供することができるが、ヘイズ値が高く、記録された格子に悪影響を及ぼし、典型的な導波路用途では許容できないため、実施することが困難である可能性がある。一方、ナノ粒子ベースのフォトポリマー材料から形成されたホログラフィック格子は、ホログラフィック露光プロセスのためのマスター格子として機能するのに十分に低いレベルでヘイズを生成することができる。さらに、上記フォトポリマーホログラフィック格子を製造するコストは、多くの用途において、クロムマスターと比較して無視することができる。いくつかの実施形態では、ナノ粒子ベースのフォトポリマー材料から形成されたホログラフィックマスター格子が入射ビームに対してほとんど反射しないか、または全く反射しない。これは、反射光線に起因する望ましくない露光を軽減または回避することができるので、多くの記録プロセスにおいて有利であり得る。いくつかの実施形態では、実施される記録プロセスがS偏光露光光を利用する。そのような場合、ナノ粒子ベースのフォトポリマー材料から形成されるホログラフィックマスター格子は、従来のホログラフィック格子と比較してS偏光に対する高い回折効率のため、そのようなプロセスに適し得る。容易に理解され得るように、ナノ粒子ベースのフォトポリマー材料から形成されるマスター格子は、特定のホログラフィック記録プロセスに応じて、多くの異なる方法で設計数構成され得る。多くの実施形態では、ホログラフィックマスター格子が2つの透明基板の間に挟まれた格子層を含む。格子層は特定の厚さで形成することができ、これは限定されるものではないが、より高い回折効率などの特定の所望の性能を提供することができる。いくつかの実施形態では、格子層が少なくとも約3μmの厚さである。いくつかの実施形態では、格子層が少なくとも約5μmの厚さである。さらなる実施形態では、格子層が少なくとも約5μmの厚さであり、記録プロセスで使用される角度に対して少なくとも約40%の回折効率を提供する。利用される特定の厚さは、特定の用途に依存することができ、特定のトレードオフ関係を考慮することができる。例えば、より薄い格子はより少ないヘイズを提供することができ、一方、より厚い格子はより高い回折効率を提供する。
【0106】
図8は、本発明の一実施形態による、ホログラフィックマスター格子を使用して格子を形成するためのプロセスを概念的に示すフローチャートである。図示のように、処理800は、少なくとも1つの光源と、振幅格子と、フォトポリマー材料の第1の層とを設けること(801)を含む。様々なタイプの構成要素および材料を利用することができる。多くの実施形態では、振幅格子はクロムマスターである。いくつかの実施形態では、フォトポリマー材料の第1の層がナノ粒子ベースのフォトポリマー材料を含む。ホログラフィック格子の第1のセットは、フォトポリマー材料の第1の層を干渉パターンで露光するために少なくとも1つの光源からの露光光で振幅格子を照明することによって、フォトポリマー材料の第1の層に形成することができる(802)。シングルビームおよびデュアルビーム干渉露光を含むがこれらに限定されない異なる露光処理を利用することができる。フォトポリマー材料の第2の層を設けることができる(803)。いくつかの実施形態では、フォトポリマー材料の第2の層がナノ粒子ベースのフォトポリマー材料を含む。いくつかの実施形態では、フォトポリマー材料の第2の層がHPDLC材料を含む。容易に理解できるように、所与の用途の特定の要件に応じて、任意の種類のフォトポリマー材料を適宜利用することができる。ホログラフィック格子の第2のセットは、ホログラフィック格子の第1のセットを少なくとも1つの光源からの露光光で照明して、フォトポリマー材料の第2の層を干渉パターンで露光することによって、フォトポリマー材料の第2の層に形成することができる(804)。ホログラフィック格子、RKV格子、統合格子、多重化格子、および本明細書に記載のものを含む任意の他の格子構造を含むが、他に限定されない、異なるタイプの格子を形成することができる。
【0107】
図8はホログラフィックマスター格子を使用して格子を形成する特定の方法を示すが、所与の用途の特定の要件に応じて、多くの異なるプロセスを適宜実施することができる。多くの実施形態では、ホログラフィック格子を形成するために、単一ビーム干渉露光処理が実施される。いくつかの実施形態では、干渉露光を提供するために2つの光源が使用される。容易に理解され得るように、異なるタイプの光源を利用することができ、その特定のタイプは、フォトポリマー材料に依存することができる。いくつかの実施形態では、光源が約450~650nmの光を放射するように構成される。いくつかの実施形態では、光源が532nmの波長を有する光を放射する。いくつかの実施形態では、光源がS偏光を放射するように構成される。さらなる実施形態では、光源がS偏光を提供するための様々な偏光操作構造および板を含む。容易に理解され得るように、様々な偏光および波長の光源は、用途に応じて適切に実装され得る。
【0108】
アッシングを含む実施形態
いくつかの実施形態では、追加のアッシングステップを実施することができる。図9A~9Eは、本発明の一実施形態による、ナノ粒子を含むホログラフィックフォトポリマー材料を使用して格子を形成するプロセスを示す。図9Aは、未露光セルに封入されたナノ粒子を含むホログラフィックフォトポリマー材料の出発層を示す。非露光セルは、ナノ粒子を含むホログラフィックフォトポリマー材料の層912が下部(bottom)基板906上に含まれる。層912は、明るい縞領域902および暗い縞領域904を含むことができる。層912は、下部基板906と上部基板910との間に挟まれてもよい。上部(top)基板910は、層912から除去されてもよい。剥離層908は、上部基板910上にコーティングされてもよい。剥離層908は、上部基板910を取り外し可能にすることができる。剥離層908は、シラン系フッ素重合体またはフルオロモノマー反応物であってもよい。剥離層908は、OPTOOL UD509(ダイキンケミカルズ社製)、Dow Corning 2634、Fluoropel(Cytonix社製)、EC200(PPG、Industries社製)などのフッ素系重合体、またはフッ素系モノマーを含んでもよい。剥離層908は、蒸着、スピンコーティング、またはスプレーによって付与されてもよい。いくつかの実施形態では上部基板910が再利用可能であり得、したがって、ホログラフィック露光後に除去された後、上部基板910はホログラフィックビームで露光され得る他のホログラフィック混合物層上に配置され得る。
【0109】
図9Bは、ホログラフィック記録ビームに露光された後の図9Aのセルを示す。図示されるように、ナノ粒子は暗縞領域904内に拡散して、暗縞領域904内にナノ粒子に富む領域を生成し、明縞領域902内にナノ粒子に乏しい領域を生成する。層912の上部は、露光後に薄い表面トポロジー914を含む。
【0110】
図9Cは、上部基板910が除去された後の図9Bのセルを示す。図9Aに関連して説明したように、剥離層908は、層912からの上部基板910の除去を助けることができる。
【0111】
図9Dは、アッシング工程が実施された後の図9Cのセルを示す。アッシングステップは、ナノ粒子に富む領域を維持しながらナノ粒子に乏しい領域を除去することができるプラズマエッチングであってもよい。いくつかの実施形態では、アッシングステップは、ナノ粒子に乏しい領域よりも小さい速度で、ナノ粒子に富む領域をエッチングすることができる。層912の表面トポロジー914の深さは、アッシングによって増加し得る。表面トポロジー914は、体積格子920の上部に表面レリーフ格子918を形成することができる。
【0112】
図9Eは、継続的なアッシングが行われた後の図9Dのセルを示す。層912の表面トポロジー914は、高アスペクト比を有する深い無機表面レリーフ格子の生成の増加を継続させ得る。バイアス層916は、出発層912の濃度のナノ粒子機能に応じて存在し得る。
【0113】
図10A~10Dは、本発明の一実施形態による、ナノ粒子を含むホログラフィックフォトポリマー材料を使用して格子を形成するプロセスを示す。図10Aは、ナノ粒子1002と組み合わされたフォトポリマー材料1004のホログラフィック層1012を含む出発セルを示す。ホログラフィック層1012は、下部基板1006と上部基板1008との間に挟まれている。
【0114】
ホログラフィック露光後の図10Aの開始セルを示す図である。図示のように、ナノ粒子1002は線形領域に拡散し、交互のナノ粒子に富む領域とナノ粒子に乏しい(重合体に富む)領域とを作り出す。
【0115】
図10Cは、上部基板1008が除去された後の図10Bのセルを示す。前述のように、上部基板1008は、ホログラフィック層1012からの上部基板1008の除去を助けることができる剥離層を含むことができる。図10Dは、アッシング後の図10Cのホログラフィック層1012を示す。アッシングは、ホログラフィック層1012の上面に穴1010を形成する。アッシングは、穴1010を生成するナノ粒子に富む領域よりも速く、ナノ粒子に乏しい領域をエッチングすることができるプラズマエッチングであってもよい。アッシング後、表面レリーフ格子1014を体積格子1016の上部に形成することができる。
【0116】
図11A~11Fは、本発明の実施形態による、ナノ粒子および不活性液体を含むホログラフィックフォトポリマー材料を使用して格子を形成するプロセスを図示する。図11Aは、ナノ粒子1102、モノマー混合物1104、および不活性液体1106のホログラフィック層1108を含む出発セルを示す。不活性液体1106は、液晶であってもよい。ホログラフィック層1108はナノ粒子1102、モノマー混合物1104、および不活性液体1106がランダムに分配され得るように、下部基板1110と上部基板1112との間に挟まれ得る。不活性液体1106は、モノマー混合物1104内に液滴を形成することができる。ナノ粒子1102は、モノマー混合物1104と反応し得るキャッピング剤を含み得る。
【0117】
図11Bは、ホログラフィック露光後の図11Aの開始セルを示す。ホログラフィック露光は、モノマー混合物1104の重合を引き起こして、ナノ粒子1102を結合するポリマーネットワーク1104aを形成する干渉パターンであってもよい。不活性液体1106は不活性液体1106のストライプ1106aを形成するために、ホログラフィック露光の暗い縞に拡散することができる。
【0118】
図11Cは、上部基板1112が除去された後の図11Bのセルを示す。上部基板1112は、ホログラフィック層1108からの上部基板1112の除去を助けることができる剥離層でコーティングすることができる。上部基板1112が除去された後、不活性液体1106のストライプ1106aがホログラフィック層1108から除去または排気されて、エアポケット1106bを形成することができる。不活性液体1106は、アルコールなどの溶媒で洗浄することによって除去することができる。不活性液体1106が除去された後、ポリマーネットワーク1104aに埋め込まれたナノ粒子1102のストライプの間に緩いポリマーネットワークが残ることがある。
【0119】
図11Dは、予備アッシングステップ後の図11Cのセルを示す。アッシング工程は、ポリマーネットワーク1104aに埋め込まれたナノ粒子1102のストライプ間に残存する緩いポリマーネットワークを除去することができる。図11Eは、無機格子構造を生成するナノ粒子1102のみを残してポリマーネットワーク1104aを完全に除去するさらなるアッシング後の図11Dのセルを示す。図11Fはナノ粒子1102間の粒界を除去し、したがって無機格子構造を固化する焼成工程後の図11Eのセルを示す。
【0120】
各種11A~各種11Fのステップは一連の工程として説明されているが、様々な格子を作成するために、ステップのサブセットのみが実行され得る。例えば、図11Fに関連して説明される工程は省略されてもよく、したがって、結果として得られる格子は、図11Eに関連して説明される格子であってもよい。また、図11Eおよび11Fに関連して説明される工程は省略され得、したがって、結果として得られる格子は、図11Dに関連して説明される格子であり得る。同様に、図11D図11Fに関連して説明される工程は省略され得、したがって、結果として得られる格子は、図11Cに関連して説明される格子であり得る。
【0121】
図12は、本発明の一実施形態による格子を製造するためのプロセスを示す。このプロセスは、図9A図9Eおよび図10A図10Dに示されるプロセスを反映する。プロセスは少なくとも1つのナノ粒子と少なくとも1つのモノマーとを含む混合物を含むホログラフィック記録材料の層を含むセルを提供すること(1202)を含み、ホログラフィック記録材料の層は、上部基板と下部基板との間に配置される。次いで、ホログラフィック記録材料の層は、交差ホログラフィック記録ビームで露光される(1204)。ホログラフィック記録ビームは干渉して、暗い縞領域および明るい縞領域を形成する。ナノ粒子は、暗い縞領域に拡散し(モノマーの重合が行われる間)、ナノ粒子に乏しい(重合体に富む)領域によって分離されたナノ粒子に富む領域を作り出す。上部基板は除去され得(1206)、露光されたホログラフィック記録材料が露出される。露光されたホログラフィック記録材料の層はアッシング(1208)され得、ナノ粒子に富む領域よりも高い速度で、ナノ粒子に乏しい領域をプラズマエッチングし得る。これは、体積格子の上部に表面レリーフ格子を生成し得る。
【0122】
多層導波路の作製
本発明の様々な実施形態による導波路の製造は、多層導波路の製造のために実施することができる。多層導波路は、格子または他の光学構造を有する2つ以上の層を利用する導波路のクラスを指す。以下の議論は格子に関連し得るが、任意の種類のホログラフィック光学構造が適宜、実装され、置換され得る。多層導波路は、限定されないが、スペクトル帯域幅および/または角度帯域幅を改善することを含む、種々の目的のために実装することができる。伝統的には、多層導波路は、単一の格子層を有する導波路を積み重ね、整列させることによって形成される。そのような場合、各格子層は、典型的には一対の透明基板によって境界付けられる。所望の全反射特性を維持するために、導波路は、通常、スペーサを使用して積み重ねられて、個々の導波路間にエアギャップを形成する。
【0123】
従来の積層導波路とは対照的に、本発明の多くの実施形態は、交互の基材層および格子層を有する多層導波路の製造を対象とする。上記導波路は、単一の導波路のための格子層を順次形成することができる反復処理を用いて製造することができる。いくつかの実施形態では、多層導波路が2つの格子層を用いて製造される。いくつかの実施形態では、多層導波路が3つの格子層を用いて製造される。任意の数の格子層を形成することができ、利用されるツールおよび/または導波路設計によって制限される。従来の多層導波路と比較して、これは、必要とされる基板がより少ないので、厚さ、材料、およびコストの低減を可能にする。さらに、上記導波路の製造工程は単純化された配向および基材マッチング要件のために、製造におけるより高い歩留まりを可能にする。
【0124】
本発明の様々な実施形態による、交互の透明基板層および格子層を有する多層導波路の製造工程は、様々な技術を使用して実施することができる。多くの実施形態では、製造プロセスが光記録材料の第1の層を第1の透明基板上に堆積させることを含む。光記録材料はHPDLC混合物および上記のセクションで論じた材料配合物のいずれかを含むが、これらに限定されない、様々な材料および混合物を含むことができる。同様に、スプレー、スピンコーティング、インクジェット印刷、および上記のセクションに記載された技術のいずれかなどであるが、これらに限定されない、様々な堆積技術のいずれかを利用することができる。様々な形状、厚さ、および材料の透明基板を利用することができる。透明ガラス基板基材およびプラスチック基板が挙げられるが、これらに限定されない。用途に応じて、透明基材は、種々の目的のために異なるタイプのフィルムでコーティングすることができる。堆積プロセスが完了すると、次に、第2の透明基板を、堆積された光記録材料の第1の層上に配置することができる。いくつかの実施形態では、プロセスが3層複合体を所望の高さ/厚さに形成するための積層ステップを含む。露光処理は、光記録材料の第1の層内に格子のセットを形成するために実施することができる。露光処理、例えば、限定されるものではないが、単一ビーム干渉露光、及び上記のセクションに記載された他の露光処理のいずれかを利用することができる。本質的に、単層導波路が形成される。次いで、このプロセスを繰り返して、導波路に追加の層を追加することができる。いくつかの実施形態では、光記録材料の第2の層が第2の透明基板上に堆積される。第3の透明基板は、光記録材料の第2の層上に配置することができる。先のステップと同様に、複合体は、所望の高さ/厚さに積層することができる。次いで、第2の露光処理を実行して、光記録材料の第2の層内に格子のセットを形成することができる。その結果、2つの格子層を有する導波路が得られる。容易に理解され得るように、プロセスは、追加の層を追加するために反復的に継続することができる。追加の光記録層は、電流積層体のいずれかの側に追加することができる。例えば、光記録材料の第3の層を、第1の透明基板または第3の透明基板のいずれかの外面上に堆積させることができる。
【0125】
多くの実施形態では、製造プロセスが1つまたは複数の後処理ステップを含む。平坦化、洗浄、保護コーティングの適用、熱アニーリング、所望の複屈折状態を達成するためのLCディレクタの配向、記録されたSBGからのLCの抽出、および他の材料での再充填などの後処理ステップは製造プロセスの任意の段階で実行することができるが、これらに限定されない。導波路ダイシング(複数の要素が製造されている)、エッジ仕上げ、ARコーティング堆積、最終保護コーティング塗布などのいくつかのプロセスは典型的には製造プロセスの端部に実施されるが、これらに限定されない。
【0126】
多くの実施形態ではビーズおよび他の粒子などであるが、これらに限定されないスペーサは光記録材料の層の厚さを制御および維持するのを助けるために、光記録材料全体に分散される。スペーサはまた、2つの基材が互いに崩壊するのを防止するのに役立つことができる。いくつかの実施形態では、導波路セルが2つの平面基板の間に挟まれた光記録層で構成される。使用される光記録材料のタイプに応じて、膜厚制御はいくつかの光記録材料の粘度および光記録層の境界周囲の欠如のために、達成することが困難であり得る。いくつかの実施形態では、スペーサが比較的非圧縮性の固形であり、一貫した厚さを有する導波路セルの構築を可能にすることができる。スペーサはロッドおよび球体を含むがこれらに限定されない、任意の適切な幾何学的形状をとることができる。スペーサのサイズは、個々のスペーサの周りの領域の局所的な最小厚さを決定することができる。したがって、スペーサの寸法は、所望の光記録層の厚さを達成するのに役立つように選択することができる。スペーサは、任意の適切なサイズをとることができる。多くの場合、スペーサのサイズは1~30μmの範囲である。スペーサはプラスチック(例えば、ジビニルベンゼン)、シリカ、微小球、フォトレジスト材料(例えば、SU-8)、および導電材を含むが、これらに限定されない、多様な材料のいずれかから作製することができる。いくつかの実施形態では、スペーサの材料がその屈折率が導波路セル内の光の伝搬に実質的に影響を与えないように選択される。
【0127】
多くの実施形態では、光記録材料の第1の層が真空充填法を使用して、第1の透明基板と第2の透明基板との間に組み込まれる。いくつかの実施形態では、光記録材料の層が所与の用途の特定の要件に応じて適切に充填または堆積することができる、異なるセクションで分離される。いくつかの実施形態では、製造システムが光学記録材料を下方から露光するように構成される。上記実施形態では、反復多層製造プロセスが露光光が任意の形成された格子層に入射する前に、新たに堆積された光記録層に入射するように、現在のデバイスを反転させることを含むことができる。
【0128】
多くの実施形態では、露光プロセスが新たに堆積された光記録層の記録プロセスを妨害しないように、以前に形成された格子層を一時的に「消去」または透明にすることを含むことができる。一時的に「消去された」格子または他の光学構造は透明材料と同様に挙動することができ、光が光線経路に影響を及ぼすことなく通過することを可能にする。そのような技術を使用して光記録材料の層に格子を記録する方法は基板上に堆積された第1の光記録材料層が露光されて第1のセットの格子を形成する光学構造の積層を製作することを含むことができ、第1のセットの格子は、第1の光記録材料層を横断する光記録ビームを使用して第2のセットの格子を第2の光記録材料層に記録することができるように一時的に消去することができる。記録方法は主に2つの格子層を有する導波路に関して論じられているが、基本原理は3つ以上の格子層を有する導波路に適用することができる。
【0129】
格子構造を一時的に消去する工程を組み込んだ多層導波路製造プロセスは、様々な方法で実施することができる。典型的には、第1の層が従来の方法を用いて形成される。利用される記録材料は、刺激に応答して消去することができる光学構造を支持することができる材料系を含むことができる。光学構造がホログラフィック格子である実施形態では、露光処理がクロスビームホログラフィック記録デバイスを利用することができる。いくつかの実施形態では、光記録プロセスがフォトポリマーまたは振幅格子に記録されたブラッグホログラムであり得る、マスター格子によって提供されるビームを使用する。いくつかの実施形態では、露光処理が干渉露光ビームを形成するために、マスター格子と併せて単一の記録ビームを利用する。記載されたプロセスに加えて、ホログラムを製造するために当該分野で現在使用されている他の工業処理デバイスを使用することができる。
【0130】
第1のセットの格子が記録されると、上述のプロセスと同様に、追加の材料層を追加することができる。第1の材料層の後の任意の材料層の露光処理中に、外部刺激を、事前に形成された任意の格子に適用して、それらを効果的に透明にすることができる。効果的に透明な格子層は、光が通過して新しい材料層を露出させることを可能にすることができる。外部刺激/刺激は、光学的、熱的、化学的、機械的、電気的、および/または磁気的刺激を含むことができる。多くの実施形態では、外部刺激が所定の閾値を下回る強度で印加され、所定のレベルを下回る光学ノイズを生成する。特定の所定の閾値は、格子を形成するために使用される材料の種類に依存し得る。いくつかの実施形態では、第1の材料層に適用された犠牲配向層を使用して、第1のセットの格子を一時的に消去することができる。いくつかの実施形態では、格子の第1のセットに印加される外部刺激の強度が通常動作中に光学デバイス内の光学ノイズを低減するように制御される。いくつかの実施形態では、光記録材料が上述の方法のいずれかを含むことができる、回折格子を消去するプロセスを容易にするための添加剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、消去された層の回復のために刺激が印加される。
【0131】
上記の処理において記載された記録層の除去および回復は、多くの異なる方法を用いて達成することができる。多くの実施形態では、第1の層が第2の層の記録中に刺激を連続的に印加することによって除去される。他の実施形態では刺激が最初に印加され、透明層内の格子は第2の格子の記録を可能にする時間スケールにわたって、その記録された状態に自然に戻ることができる。他の実施形態では、層は外部刺激の印加後にクリアされたままであり、他の外部刺激に応答して復帰する。いくつかの実施形態では、第1の光学構造のその記録された状態への回復が配向層または外部刺激を使用して実施することができる。そのような回復のために使用される外部刺激は光学構造をクリアするために使用される刺激/刺激を含むがこれらに限定されない、様々な異なる刺激のいずれかであり得る。透明化される光学構造および層の組成材料に応じて、透明化処理は変化し得る。外部刺激を利用する多層導波路製造に関するさらなる議論は米国特許No. アプリ。パブ。本出願は2019年7月25日に出願された「Systems and Methods for Fabricating a Multilayer Optical Structure」と題する米国特許出願第2020/0033801号の優先権を主張し、その開示は。
【0132】
いくつかの実施形態では、多層格子が互いに直接積層された複数の層を含むことができる。図13A~13Cは、本発明の一実施形態による多層格子を製造するためのプロセスを概念的に示す。図13Aは、図11A図11Fに記載のプロセスを使用して作成された格子である。格子は、焼結ナノ粒子1102を含む無機構造を含む。図13Bは、本発明の一実施形態による多層格子を示す。図13Aに関連して説明された格子は、追加の材料1302でコーティングされてもよく、無機構造上にコーティングされてもよい。追加の材料1302は平均指数を調整するために、または他の独特の特性を作成するために使用され得る。
【0133】
図13Cは、本発明の一実施形態による多層格子を示す。図13Bの格子は、追加の層1304でコーティングされてもよい。追加の層1304は、追加の材料1302とは異なる材料特性を有することができる。追加の層1304内に埋め込まれたナノ粒子1306があってもよい。
【0134】
図14A~14Dは、本発明の一実施形態による多層格子を製造するためのプロセスを概念的に示す。図14Aは、図10A図10Cで説明したプロセスを使用して作成された格子を示す。図14Bは、ナノ粒子1404と組み合わされたモノマー混合物1402の第2のホログラフィック層1408が格子1012の上部に加えられた後の図14Aの格子を示す。上部基板1406は、第2のホログラフィック層1408の上部に配置することができる。ナノ粒子1404は、モノマー混合物1402内にランダムに分布させることができる。ナノ粒子1404は、モノマー混合物1402と反応しないキャッピング剤を含むことができる。
【0135】
図14Cは、第2のホログラフィック層1408のホログラフィック露光後の図14Bの多層格子を示す。ホログラフィック露光は、ナノ粒子1404を暗い縞領域に拡散させる。ナノ粒子1404は、第1のホログラフィック層1012のナノ粒子1002とは異なる方位の傾斜縞に拡散することができる。いくつかの実施形態では、ナノ粒子1404が第1のホログラフィック層1012のナノ粒子1002と同じ方位の傾斜縞に拡散することができる。図14Dは、上部基板1406の除去後の図14Cの多層格子を示す。いくつかの実施形態では、プロセスがより多くの層を有する格子を生成するために繰り返されてもよい。
【0136】
図15A~15Gは、本発明の一実施形態による多層格子を製造するためのプロセスを示す。図15Aは、ナノ粒子1502と組み合わされたモノマー材料1504のホログラフィック層1508を含む出発セルを示す。ホログラフィック層1508は、下部基板1506と上部基板1510との間に挟まれている。
【0137】
図15Bは、ホログラフィック記録ビームによる露光後の図15Aの開始セルを示す。干渉パターンは、明るい縞の重合を引き起こす可能性がある。ナノ粒子1502は、暗い縞領域に拡散することができる。これは、ポリマーマトリックス1504中のナノ粒子1502の組織化された分布をもたらし得る。図15Cは、上部基板1510が除去された後の図15Bのセルを示す。
【0138】
図15Dは、第2のホログラフィック層1512が第1のホログラフィック層1508上にコーティングされた後の図15Cのセルを示す。第2のホログラフィック層1512は、ナノ粒子1516と組み合わされたモノマー材料1514を含むことができる。第2のホログラフィック層1512は、第1のホログラフィック層1508と上部基板1518との間に挟まれてもよい。図15Eは、第2のホログラフィック層1512のホログラフィック露光後の図15Dのセルを示す。第1のホログラフィック層1508を露光する場合と同様に、干渉パターンは明るい縞の重合を引き起こすことがあり、ナノ粒子1516は、暗い縞領域に拡散することがある。これは、ポリマーマトリックス1514中のナノ粒子1516の組織化された分布をもたらし得る。図15Fは、アッシングステップ後の図15Eのセルを示す。アッシングは、第2のホログラフィック層1512のポリマーマトリクス1514及び第1のホログラフィック層1508のポリマーマトリクス1504を少なくとも部分的に除去する。これは、多層無機格子を生成することができる。いくつかの実施形態では、ナノ粒子1514がポリマーマトリックス1504によって占有される体積が除去されるにつれてシフトし得る。アッシングの前に、ナノ粒子1514は重合体行列1504内に分散されてもよく、ナノ粒子1514の間に離間された重合体行列1504の除去の際に、アッシングの間に、いくらかのシフトまたは厚さの減少があってもよい。シフトの量に影響を及ぼす要因としては、ナノ粒子含有量(例えば、ナノ粒子1514とポリマーマトリックス1504との比)、ナノ粒子1514のサイズ/形状/表面電荷、ホログラフィック露光中にナノ粒子1514がどれだけ凝集したか(ナノ粒子キャッピング剤、表面化学、またはポリマー架橋によって影響され得る)、および層に記録された構造の全体的形状が挙げられる。このシフトは重合中に起こる収縮に匹敵し得、ここで、モノマー(より多くの体積を占めることができる)は重合体(より少ない体積を占めることができる)に変換される。構造の大部分は維持され得るが、起こり得るいくらかの微妙なシフトが存在し得る。
【0139】
図15Gは、エッチングステップ後の図15Fの格子を示す。エッチングステップは、格子のセクション1520を除去するために使用され得る電子ビームまたは指向性エッチングであり得る。除去されたセクション1520は、フォトニック結晶などの様々な格子構造を形成するためのキャビティを生成し得る。
【0140】
様々な格子構成
本発明の様々な実施形態による導波路は、特定の目的および機能のために設計された様々な格子構成を含むことができる。多くの実施形態では、導波路がコリメート光学系の射出瞳を効果的に拡大することによって、レンズサイズを縮小しながら、アイボックスサイズを維持することが可能な格子構成を実装するように設計される。射出瞳は、この仮想開口部を通過する光線のみがユーザの眼に入ることができる仮想開口部として定義することができる。いくつかの実施形態では、導波路が光源に光学的に結合された入力格子と、第1の方向のビーム拡大を提供するための折り畳み格子と、第1の方向に典型的には直交する第2の方向のビーム拡大を提供するための出力格子と、アイボックスに向かうビーム抽出とを含む。容易に理解できるように、導波路アーキテクチャを実装した格子構成は、所与の用途の特定の要件に依存することができる。いくつかの実施形態では、格子構成が複数の折り畳み格子を含む。いくつかの実施形態では、回折格子構成が入力回折格子と、ビーム拡大およびビーム抽出を同時に実行するための第2の回折格子とを含む。第2の格子は、視野の異なる部分を伝搬させるための、別個の重なり合う格子層に配置された、または単一の格子層に多重化された、異なる処方の格子を含むことができる。さらに、様々なタイプの回折格子および導波路アーキテクチャを利用することもできる。
【0141】
いくつかの実施形態では、各層内の格子が異なるスペクトル応答および/または角度応答を有するように設計される。例えば、多くの実施形態では、異なる格子層にわたる異なる格子がスペクトル帯域幅の増加を提供するために、オーバーラップされるか、または多重化される。いくつかの実施形態では、フルカラー導波路が各々が異なるスペクトル帯域(赤、緑、および青)で動作するように設計された3つの格子層を使用して実装される。他の実施形態では、フルカラー導波路が2つの格子層、赤緑格子層および緑青格子層を使用して実装される。容易に理解され得るように、そのような技術は、導波路の角度帯域幅動作を増加させるために同様に実装され得る。異なる格子層を横切る格子の多重化に加えて、複数の格子を単一の格子層内で多重化することができ、すなわち、複数の格子を同じ体積内で重ね合わせることができる。いくつかの実施形態では、導波路が同じ体積内に多重化された2つ以上の格子処方を有する少なくとも1つの格子層を含む。さらなる実施形態では導波路が2つの格子層を含み、各層は同じ体積内で多重化された2つの格子処方を有する。同じ体積内で2つ以上の格子処方を多重化することは、様々な製造技術を使用して達成することができる。いくつかの実施形態では、多重化マスター格子が多重化格子を形成するために露光構成と共に利用される。多くの実施形態では多重化格子が露光光の2つ以上の構成で光記録材料層を順次露光することによって製造され、各構成は格子処方を形成するように設計される。いくつかの実施形態では多重化格子が露光光の2つ以上の構成の間で交互に、またはそれらの間で光記録材料層を露光することによって作製され、各構成は格子処方を形成するように設計される。容易に理解され得るように、当技術分野で周知のものを含む様々な技法を、適宜、多重格子を作製するために使用することができる。
【0142】
多くの実施形態では、導波路が角度多重化格子、色多重化格子、折り畳み格子、二重相互作用格子、ロールKベクトル格子、交差折り畳み格子、テッセレーション格子、チャープ格子、空間的に変化する屈折率調節を有する格子、空間的に変化する格子厚さを有する格子、空間的に変化する平均屈折率を有する格子、空間的に変化する屈折率調節テンソルを有する格子、および空間的に変化する平均屈折率テンソルを有する格子のうちの少なくとも1つを組み込むことができる。いくつかの実施形態では、導波路が半波長板、1/4波長板、反射防止コーティング、ビーム分割層、配向層、グレア低減のためのフォトクロミック裏層、およびグレア低減のためのルーバーフィルムのうちの少なくとも1つを組み込むことができる。いくつかの実施形態では、導波路が異なる偏光のための別個の光路を提供する回折格子を支持することができる。様々な実施形態において、導波路は、異なるスペクトル帯域幅のための別個の光路を提供する回折格子を支持することができる。いくつかの実施形態では、回折格子がHPDLC回折格子、HPDLCに記録されたスイッチング回折格子(例えば、スイッチング可能ファイバブラッグ格子)、ホログラフィックフォトポリマーに記録されたファイバブラッグ格子、または表面レリーフ回折格子とすることができる。多くの実施形態では、導波路がモノクロ帯域で動作する。いくつかの実施形態では、導波路が緑色帯域で動作する。いくつかの実施形態では、赤色、緑色、および青色(RGB)などの異なるスペクトル帯域で動作する導波路層を積層して、3層導波構造を提供することができる。さらなる実施形態では層は導波路層の間にエアギャップを有して積み重ねられる。様々な実施形態において、導波路層は2つの導波路層の解決策を提供するために、青緑及び緑赤のようなより広い帯域で動作する。他の実施形態では、回折格子が回折格子層の数を減らすために色多重化される。様々なタイプの格子を実装することができる。いくつかの実施形態では、各層内の少なくとも1つの格子が切り替え可能な格子である。
【0143】
上述のような光学構造を組み込んだ導波管は、導波管ディスプレイを含むがこれに限定されない様々な異なる用途で実施することができる。様々な実施形態では、導波路表示デバイスが25mmを超えるアイレリーフを有する10mmを超えるアイボックスを用いて実装される。いくつかの実施形態では、導波路表示デバイスが2.0~5.0mmの厚さを有する導波路を含む。多くの実施形態では、導波路表示デバイスが少なくとも50°の対角線の画像視野を提供することができる。さらなる実施形態では、導波路表示デバイスが少なくとも70°の対角線の画像視野を提供することができる。導波路表示デバイスは、多くの異なるタイプの写真発電ユニット(PGU)を使用することができる。いくつかの実施形態では、PGUが液晶シリコン(LCoS)パネルまたは微小電気機械システム(MEMS)パネルなどの反射型または透過型空間光調節器とすることができる。上記の実施形態では、PGUが有機発光ダイオード(OLED)パネルなどの発光デバイスであり得る。いくつかの実施形態では、OLEDディスプレイが4000nitを超える輝度および4kx4k画素の解像度を有することができる。いくつかの実施形態では、導波路が400 nitを超える画像輝度が輝度4000nitのOLEDディスプレイを使用して提供され得るように、10%を超える光学効率を有することができる。P回折格子(すなわち、P偏光のための高効率を有する格子)を実施する導波路は、典型的には5%~6.2%の導波路効率を有する。P-回折格子またはS-回折格子はOLEDパネルなどの非偏光源からの光の半分を浪費する可能性があるので、多くの実施形態はS-回折格子とP-回折格子の両方を提供することが可能な導波路に向けられ、導波路の効率を最大で2倍に増加させることを可能にする。いくつかの実施形態では、S回折格子およびP回折格子が別個の重なり合う格子層内に実装される。あるいは、単一の格子が特定の条件下で、P偏光およびS偏光の両方に対して高い効率を提供することができる。いくつかの実施形態では、導波路が格子厚さの適切に選択された値(典型的には2~5μmの範囲)に対して、ある波長および角度範囲にわたって高いSおよびP回折効率を有する格子を含む。
【0144】
均等論
上記の説明は本発明の多くの特定の実施形態を含むが、これらは本発明の範囲に対する限定としてではなく、むしろその一実施形態の例として解釈されるべきである。したがって、本発明は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、具体的に記載された以外の方法で実施され得ることを理解されたい。したがって、本発明の実施形態は、すべての点で、限定的ではなく例示的であると見なされるべきである。したがって、本発明の範囲は、説明した実施形態によってではなく、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって決定されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図15F
図15G
【国際調査報告】