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特表2023-534476双安定スイッチングユニットを有するインバータ
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  • 特表-双安定スイッチングユニットを有するインバータ 図1
  • 特表-双安定スイッチングユニットを有するインバータ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-09
(54)【発明の名称】双安定スイッチングユニットを有するインバータ
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20230802BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20230802BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20230802BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
H02J3/38 110
H02J3/38 130
H02J3/38 180
H02J9/06 120
H02J7/35 K
H02J7/34 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023502923
(86)(22)【出願日】2021-07-13
(85)【翻訳文提出日】2023-01-16
(86)【国際出願番号】 EP2021069397
(87)【国際公開番号】W WO2022017860
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】102020119481.1
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515078095
【氏名又は名称】エスエムエイ ソーラー テクノロジー アクティエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SMA Solar Technology AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】アラート,クラウス
【テーマコード(参考)】
5G015
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G015FA16
5G015JA05
5G015JA21
5G015JA52
5G066HA10
5G066HA11
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA02
5G066JA04
5G066JA05
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB01
5G503GB06
(57)【要約】
本発明は、蓄電ユニット(3)を接続するためのバッテリー端子(2)と、少なくとも1つの電気エネルギー負荷(5)を接続するための負荷端子(4)と、上位の配電網(7)に接続するためのグリッド端子(6)と、バッテリー端子(2)に接続された双方向インバータブリッジ(8)と、第1のスイッチングユニット(9)と、第2のスイッチングユニット(10)とを備えた、インバータ(1)に関する。第1のスイッチングユニット(9)は、双方向インバータブリッジ(8)と第2のスイッチングユニット(10)との間に配置され、第2のスイッチングユニット(10)は、第1のスイッチングユニット(9)とグリッド端子(6)との間に配置される。第1のスイッチングユニット(9)は、保持電流が提供されない場合に第1の状態になり、保持電流が提供される場合に第2の状態に切り替わるように設計され、第2のスイッチングユニット(10)は、信号によって切り替えられるように設計される。本発明はまた、電気エネルギーを負荷に供給する方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電ユニット(3)を接続するためのバッテリー端子(2)と、
少なくとも1つの電気エネルギー消費器(5)を接続するための負荷端子(4)と、
上位の配電網(7)に接続するためのグリッド端子(6)と、
前記バッテリー端子(2)に接続された双方向インバータブリッジ(8)と、
第1のスイッチングユニット(9)と、
第2のスイッチングユニット(10)とを含み、
前記第1のスイッチングユニット(9)は、前記双方向インバータブリッジ(8)と前記第2のスイッチングユニット(10)との間に配置され、前記第2のスイッチングユニット(10)は、前記第1のスイッチングユニット(9)と前記グリッド端子(6)との間に配置される、インバータ(1)において、
前記第1のスイッチングユニット(9)は、保持電流なしで第1の状態になり、保持電流ありで第2の状態に切り替わるように構成され、
前記第2のスイッチングユニット(10)は、信号によって切り替えられるように構成されることを特徴とする、インバータ(1)。
【請求項2】
前記第1のスイッチングユニット(9)は、前記第1の状態で開いており、前記第2の状態で閉じており、前記第2のスイッチングユニット(10)は、信号なしで以前の状態に留まる双安定スイッチングユニットとして設計されている、請求項1に記載のインバータ(1)。
【請求項3】
前記第2のスイッチングユニット(10)を切り替えるための前記信号を生成するように構成されたコントローラ(13)をさらに備える、請求項1または2に記載のインバータ(1)。
【請求項4】
前記負荷端子(4)は、前記第1のスイッチングユニット(9)と前記第2のスイッチングユニット(10)との間に配置された接続点(11、12)に接続される、請求項1~3のいずれか一項に記載のインバータ(1)。
【請求項5】
グリッド監視ユニットまたはグリッド監視ユニットを接続するためのインターフェースをさらに備え、前記コントローラ(13)は、前記グリッド監視ユニットに通信可能に接続され、前記グリッド監視ユニットからの前記上位の配電網(7)のグリッドパラメータを受信するように構成される、請求項3または4に記載のインバータ(1)。
【請求項6】
前記コントローラ(13)は、前記グリッド監視ユニットから受信した前記グリッドパラメータによって前記上位の配電網(7)の故障が検出された場合に前記第2のスイッチングユニット(10)を開状態に切り替えるための前記信号を生成するように構成される、請求項5に記載のインバータ(1)。
【請求項7】
前記コントローラ(13)は、サインオブライフ信号を提供し、前記サインオブライフ信号を前記第2のスイッチングユニット(10)に送信するように構成される、請求項3~6のいずれか一項に記載のインバータ(1)。
【請求項8】
前記第2のスイッチングユニット(10)は、前記サインオブライフ信号を受信すると、閉状態に切り替わるように構成され、特に、前記第2のスイッチングユニット(10)は、前記サインオブライフ信号を受信した場合にのみ、閉状態に切り替わるように構成される、請求項7に記載のインバータ(1)。
【請求項9】
前記第2のスイッチングユニット(10)は、構成信号を受信するように構成された制御回路を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のインバータ(1)。
【請求項10】
前記コントローラ(13)は、前記構成信号を前記制御回路に送信するように構成され、前記構成信号は、以下の状態:
・前記第2のスイッチングユニット(10)が閉状態のままである状態、
・前記第2のスイッチングユニット(10)が開状態のままである状態、
・サインオブライフ信号を受信しない場合、前記第2のスイッチングユニット(10)が開状態に切り替わる状態をトリガーする、請求項9に記載のインバータ(1)。
【請求項11】
電気エネルギーを生成するための発電機を接続するための発電機端子をさらに備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のインバータ。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のインバータ(1)の負荷端子(4)に接続された少なくとも1つの消費器(5)に電気エネルギーを供給するための方法であって、
グリッド監視ユニットは、前記グリッド端子(6)に接続された前記上位の配電網(7)の状態を検出し、前記インバータ(1)の前記コントローラ(13)に故障を報告し、
前記上位の配電網(7)が故障した場合に、
前記コントローラ(13)は、前記第2のスイッチングユニット(10)を開状態に切り替えるための信号を生成し、
前記第2のスイッチングユニット(10)が開放される、方法。
【請求項13】
前記上位の配電網(7)が故障した場合、
前記双方向インバータブリッジ(8)は、ローカルアイランドグリッドを確立し、
前記負荷端子(4)に接続された前記少なくとも1つの消費器(5)には、電気エネルギーが供給される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記消費器(5)には、前記バッテリー端子(2)に接続された蓄電ユニット(3)および/または前記発電機端子に接続された発電機から電気エネルギーが供給される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電ユニット、少なくとも1つの消費器、および上位の配電網への端子を有し、双方向インバータブリッジおよび2つのスイッチングユニットの直列接続を備えるインバータに関する。
【背景技術】
【0002】
インバータは、直流と交流との間で変換するように構成されたパワーエレクトロニクスデバイスである。特に、DC電源(例えば、太陽光発電機)からAC電圧グリッドに電力を供給できるか、またはDC蓄電デバイス(例えば、バッテリー)とAC電圧グリッドとの間で双方向に電力を交換できるインバータが知られている。
【0003】
また、停電時に接続された消費器を保護する、いわゆる非常用電源、バックアップ電源、またはバックアップシステムも知られている。これを行うには、一連のスイッチング動作(例えば、グリッドからの切断、グリッドフォーマーの起動、および消費器への供給ラインへのグリッドフォーマーの接続)を実行する必要がある。さらに、グリッドの状態を監視して、存在する可能性のあるローカル発電機の同期を開始し、例えばグリッドが復帰したときに、システムをグリッドに再接続できるようにする必要がある。これらおよび他の多くの要件を満たす必要があり、それらの要件を満たすことは、様々な国で様々な指令、規範、および規格によって規制されている。
【0004】
特に、本発明は、少数の負荷に電力を供給することだけを目的とした比較的小型のバックアップ電源システムに関する。この種のバックアップ電源システムは、特に高いレベルの安定性を有する上位の配電網で使用され、高いレベルの安定性とは、これらの上位の配電網が、90%を超える時間、中断することなく負荷への電力供給を保証することを意味する。逆に言えば、このようにして提供されたバックアップ電源システムは、永続的に動作可能な状態に保たれるが、ごくまれにしか使用されないことを意味する。バックアップ電源システム、通常はそこに含まれるインバータは、通常、グリッドの状態を監視し、グリッド動作からバックアップ電源動作に切り替えるためのスイッチを制御するコントローラを備えている。
【0005】
安全上の理由から、通常はアイドル状態で開いているスイッチが使用され、これはいわゆる常開スイッチであり、しばしばインバータにも組み込まれている。しかしながら、このソリューションには、安定したグリッドでは、これらのスイッチを98%以上の時間能動的に閉じたままにしておく必要があり、かなりのエネルギー需要が発生するという欠点がある。これは、例えば、グリッド故障が発生した場合に保護する必要がある消費器が1つだけであり、グリッド故障がさらに特定の状況では非常にまれにしか発生しない、小規模なシステムではなおさら重要である。
【0006】
グリッドとインバータとの間に双安定リレーを有する回路装置は、本出願人によるEP2141781B1号から知られており、安全に関連するリレーのスイッチオフのためのエネルギーは、事前充電されたコンデンサによって保証される。
【0007】
文献DE102010000502A1は、TTグリッドトポロジーを使用して供給グリッドに接続するためのバックアップ電源システムを開示している。バックアップ電源システムは、制御装置、切り替え装置、PVインバータ、消費器、消費器の上流に接続された漏電遮断器、バッテリーインバータ、および発電機を備えている。この場合、切り替え装置は、電気抵抗RN-PEを有し、故障の場合に流れる故障電流によって消費器が漏電遮断器によって正しく遮断されるように、局所PE電位とN電位との間の電気接続を確立する。
【0008】
文献DE102018130453A1は、インバータにAC電圧を電気的に供給する方法を開示している。インバータは、ACグリッドを接続するためのAC出力、DC電源を接続するためのDC入力、DC/ACコンバータ、およびDC/ACコンバータを制御するための制御ユニットを含む。制御ユニットは、スイッチングユニットに接続され、それによって、制御ユニットは、第1のスイッチング状態ではACグリッドを介して、第2のスイッチング状態ではAC電圧を提供する補助エネルギー源を介して給電される。インバータはまた、ACグリッド内に存在するAC電圧を検出するためのグリッド監視ユニットを有する。この方法では、グリッド監視ユニットによって検出された、ACグリッド内に広がるAC電圧の特性が、所定の基準を満たさない場合、スイッチングユニットは第2のスイッチング状態で動作する。次に再び、グリッド監視ユニットによって検出された、ACグリッド内に広がるAC電圧の特性が、所定の基準を満たす場合、スイッチングユニットは第1のスイッチング状態で動作する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特に安定したグリッドで使用するための、小型で安価に設計でき、待機モードでのコストも低く抑えられるバックアップ電源システムが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、特許請求項1の構成を有するインバータと、特許請求項12の構成を有する方法とによって達成される。好ましい実施形態は、従属特許請求項に明記されている。
【0011】
本発明に係るインバータは、少なくとも1つの蓄電ユニット(例えば、バッテリー)を接続するためのバッテリー端子と、負荷(例えば、少なくとも1つの電気エネルギー消費器)を接続するための負荷端子と、以下では配電網とも呼ばれる、上位のAC配電網に接続するためのグリッド端子とを備える。インバータは、そのDC側のバッテリー端子に接続された双方向インバータブリッジも備える。さらに、本発明に係るインバータは、第1のスイッチングユニットおよび第2のスイッチングユニットを備え、第1のスイッチングユニットは、双方向インバータブリッジのAC側と第2のスイッチングユニットとの間に配置され、第2のスイッチングユニットは、第1のスイッチングユニットとグリッド端子との間に配置される。第1のスイッチングユニットは、保持電流なしで第1の状態になり、保持電流ありで第2の状態に切り替わるように構成される。第2のスイッチングユニットは、信号によって切り替えられるように構成される。
【0012】
インバータブリッジと配電網との間のスイッチング機能は、2つの直列接続されたスイッチを使用して冗長的に実行される。これにより、一方のスイッチが故障した場合でも、他方のスイッチによってグリッドの切断を確実に実施できる。ここで、スイッチの1つは、信号によって切り替えられるように構成されたスイッチングユニットによって実装され、これは、スイッチングユニットが複数の安定した状態を有することができ、一方の状態から他方の状態への移行が、信号によってトリガーされることを意味する。対照的に、安定状態のうちの1つに達した場合、第2のスイッチングユニットは、信号がない状態で自発的にそれぞれ存在する安定状態にとどまる。このような信号は、例えば、インバータのコントローラによって提供することができる。第1のスイッチングユニットの場合、第2の状態は、保持電流によって能動的に維持され、したがってエネルギー損失が生じる。それから再び、それは自発的に第1の状態となり、その過程でエネルギー損失を引き起こすことなく第1の状態を維持する.したがって、第1のスイッチングユニットの動作は、単安定スイッチングユニットの動作に対応する。対照的に、第2のスイッチングユニットの場合、安定状態のそれぞれは、第2のスイッチングユニットがエネルギー損失を生じさせることなく、自発的に維持することができる。第2のスイッチングユニットの場合、信号およびそれに関連するエネルギーの損失は、2つの異なる安定状態間の変化にのみ必要とされる。第2のスイッチングユニットの動作は、多安定スイッチングユニット(例えば、双安定スイッチングユニット)の動作に対応する。
【0013】
好ましい一実施形態では、インバータの第1のスイッチングユニットは、第1の状態で開き、第2の状態で閉じる。これは、「常開」スイッチングユニットとも呼ばれる。したがって、第1のスイッチングユニットは、常開スイッチとして設計することができ、第2のスイッチングユニットは、信号なしで前の状態に留まる双安定スイッチングユニットとして設計することができる。このようにして、第2のスイッチングユニットは、信号の印加によって開状態と閉状態との間で切り替えることができる。この信号の持続時間はごく短くすることができ、これは、切り替えに必要なエネルギーはほとんどないことを意味する。したがって、インバータは、双方向インバータブリッジと、単安定スイッチングユニットおよび双安定スイッチングユニットからなる直列回路とを備える。インバータは、好ましくは、第2のスイッチングユニットを切り替えるための信号を生成するように構成されたコントローラを有する。
【0014】
多安定スイッチングユニット(特に、双安定スイッチングユニット)は通常、単安定スイッチングユニットよりも調達に費用がかかるが、スイッチングユニットの動作中のエネルギー損失が少なくなる。問題のインバータの場合、第1のスイッチングユニットを単安定スイッチングユニットとして設計し、第2のスイッチングユニットを多安定スイッチングユニット(特に双安定スイッチングユニット)として設計すると、動作中のエネルギーの節約と製造コストの削減との間の最適な妥協点が生じることが分かった。多安定または双安定となるように設計された第2のスイッチングユニットを使用すると、スイッチングユニットに関連するエネルギー損失を生じさせることなく、またはスイッチングユニットに関連する無視できるほどのエネルギー損失のみを生じさせて、負荷端子に接続された消費器を配電網に比較的長期間接続することができる。これはほとんどの場合に当てはまり、特に小規模な停電しかない強力な配電網の場合に当てはまる。
【0015】
本発明に係るスイッチングユニットの設計、具体的には第1のスイッチングユニットを単安定スイッチングユニットとして設計し、第2のスイッチングユニットを多安定スイッチングユニット(特に、双安定スイッチングユニット)として設計することにより、DC/ACコンバータを配電網から間欠的に切り離し、さらにエネルギーを節約するためにスリープモードに切り替えることもできる。これは、例えば、接続されたバッテリーが現在空または完全に充電されている場合、またはDC側のインバータに接続されているPV発電機が現在電力を生成していない場合に発生する可能性がある。インバータにスリープモードをもたらすことにより、第1のスイッチングユニットは、自発的にその第1の状態、すなわち開状態になる。この場合、負荷端末に接続された消費器は、第2のスイッチングユニットが閉じているときに配電網から給電され続けることができ、第2のスイッチングユニットは、プロセス中に閉状態を維持する範囲内でエネルギー損失を発生させることはない。
【0016】
本発明のさらなる展開では、「単一故障安全」として知られているものを実装することができる。「単一故障安全」は、単一の故障が安全機能の損失につながることがあってはならないという要件に対応している。この目的のために、第2のスイッチングユニットの正しい機能が、インバータのコントローラによって監視される。この場合、監視は、例えば、第1のスイッチングユニットと第2のスイッチングユニットとの間の電圧を測定することによって行うことができる。第2のスイッチングユニットが故障した場合、インバータのコントローラは、第1のスイッチングユニットを制御することによってグリッド切断を実施することができる。コントローラが故障した場合、第1のスイッチングユニットは通開スイッチとして設計されているので、第1のスイッチングユニットは自動的に開かれる。これは、故障が発生した場合に安全なグリッド切断を実施できることを意味する。
【0017】
一実施形態では、インバータは、グリッド監視ユニットまたはグリッド監視ユニットを接続するためのインターフェースも有する。グリッド監視ユニットは、上位の配電網のグリッドパラメータを測定し、コントローラに通信可能に接続されるように構成される。コントローラは、グリッド監視ユニットに通信可能に接続され、グリッド監視ユニットから上位の配電網のグリッドパラメータを受信するように構成される。グリッド監視ユニットは、インバータに内蔵することも、別のユニットとして設計することもできる。それは、グリッド端子で、またはグリッド端子の近くで、グリッドパラメータを測定するように構成される。グリッド端子の近くでの測定は、インバータの外部で行うことが好ましい。
【0018】
一実施形態では、コントローラは、グリッド監視ユニットから受信したグリッドパラメータによって上位の配電網の故障が検出された場合に、第2のスイッチングユニットを開状態に切り替えるための信号を生成するように構成される。これにより、インバータが上位の配電網から切断される。切り替えるための信号を受信する前に第2のスイッチングユニットが既に開いていた場合、第2のスイッチングユニットは、開いた状態のままである。
【0019】
インバータの負荷端子は、第1のスイッチングユニットと第2のスイッチングユニットとの間に配置された接続点に接続される。電気エネルギーの1つまたは複数の消費器を負荷端子に接続できる。停電が発生した場合、これらの消費器は、接続された蓄電ユニット(例えば、充電式バッテリー)からインバータを介してエネルギーが供給される必要がある。代替として、または追加して、消費器は、停電の場合に発電機(例えば、太陽光発電機)からエネルギーが供給される必要がある。この場合、発電機はバッテリー端子または接続点に接続できる。1つまたは複数の消費器は、発電機からインバータを介して、または直接、または別の電圧コンバータを介して給電することができる。
【0020】
接続点は第1のスイッチングユニットと第2のスイッチングユニットとの間に配置されるので、第2のスイッチングユニットによって、負荷端末に接続された消費器と配電網との間に接続を確立することができる。上位の配電網が正常に機能している場合、第2のスイッチングユニットがまだ閉じていない場合は、例えば短いスイッチングパルスを使用して、第2のスイッチングユニットを閉じることができ、消費器に配電網から給電することができる。したがって、本発明に係るインバータは、特に非常に安定した配電網においてエネルギーを節約する。
【0021】
インバータは、停電時に接続された消費器に給電するように構成されており、つまり、ローカルアイランドグリッドを確立するように設計されている。これは、特に上位の配電網が故障した場合に重要である。ローカルアイランドグリッドは、小さな空間領域に給電し、通常は局所的に動作される、局所的に区切られた電力供給グリッドであり、つまり、他の電力供給グリッドへの直接的な電気接続はない。
【0022】
一実施形態では、コントローラは、サインオブライフ信号を提供し、サインオブライフ信号を第2のスイッチングユニットに送信するように構成される。これにより、コントローラが正常で正しく機能していることを第2のスイッチングユニットに通知することによって、安全機能の実装が可能になる。サインオブライフ信号は、例えば、「高」電位またはパルス信号とすることができる。
【0023】
一実施形態では、第2のスイッチングユニットは、サインオブライフ信号を受信したときに閉状態に切り替わるように構成され、特に、第2のスイッチングユニットは、サインオブライフ信号を受信したときにのみ閉状態に切り替わるように構成される。これにより、インバータコントローラが正常であれば、インバータの負荷は上位の配電網に接続され、これをサインオブライフ信号によって伝達されるため、安全性を高めることができる。
【0024】
特に、例えば「単一故障安全」の実装が可能になる。インバータは、グリッド監視ユニットを使用して配電網を監視し、負荷(例えば、消費器)を上位の配電網に切り替える。グリッドの品質が監視され、その結果、例えば配電網の故障を特定できる。第2のスイッチングユニットは、グリッドの品質が低いなどの理由でコントローラによって能動的に開状態に切り替えられた場合、またはコントローラが正常に動作しているかどうかが不明な場合、つまり、例えば、サインオブライフ信号が欠落している場合、配電網から負荷を切断する。第2のスイッチングユニットへの上記の2つの信号は、2つの別個の信号であってもよいし、両方の情報を組み合わせた同じ信号であってもよい。
【0025】
一実施形態では、第2のスイッチングユニットは構成可能であり、第2のスイッチングユニットは、構成信号を受信し、構成信号を使用して第2のスイッチングユニットを構成するように構成された制御回路を備える。例として、第2のスイッチングユニットの特定の状態は、構成信号を使用してターゲットを絞った方法でトリガーすることができる。
【0026】
制御回路は、好ましくは、コントローラから構成信号を受信するように構成され、コントローラは、その一部に対して、構成信号を制御回路に送信するように構成される。実施形態では、構成信号は、任意選択で特定のイベントに応答して、第2のスイッチングユニットの以下の状態のうちの1つまたは複数を構成することができる。
・第2のスイッチングユニットが閉状態のままである状態。
・第2のスイッチングユニットが開状態のままである状態。
・サインオブライフ信号を受信しない場合、前記第2のスイッチングユニットが開状態に切り替わる状態。
【0027】
サインオブライフ信号を受信しない場合に開状態に切り替わる第2のスイッチングユニットは、例えば、EP2141781B1の段落[0016]に記載されるように実装することができる。
【0028】
別の考えられる構成可能な状態は、サインオブライフ信号が失われた場合でも、第2のスイッチングユニットが閉状態のままであることである。これは、バッテリーが空であるなどの理由でインバータがオフになっている場合に便利である可能性があり、したがって、負荷は上位の配電網に接続されたままにする必要がある。
【0029】
さらに考えられる構成可能な状態は、グリッド状態および/またはサインオブライフ信号とは無関係に、第2のスイッチングユニットはまた、開状態のままであるということである。したがって、負荷は上位の配電網から分離されたままにすることができる。
【0030】
したがって、本発明は、第1および第2のスイッチングユニットの異なるスイッチ位置を介して、インバータの異なる動作状態を簡単かつ省エネルギーで実現することを可能にする。
【0031】
一実施形態では、インバータは、電気エネルギーを生成するための発電機を接続するための発電機端子を備える。発電機端子は、直接またはDC-DCコンバータを介してインバータブリッジのDC側に接続することができる。したがって、発電機端子は、例えば、バッテリー端子に対応することができる。発電機端子は、AC側にも結合でき、例えば接続点に連結できる。上位の配電網が故障した場合、発電機を介して負荷に電気エネルギーを供給することができる。
【0032】
インバータの負荷端子に接続された少なくとも1つの消費器に電気エネルギーを供給する方法は、
グリッド監視ユニットは、グリッド端子に接続された上位の配電網の状態を検出し、インバータのコントローラに故障を報告するステップと、
上位の配電網が故障した場合、コントローラは、第2のスイッチングユニットを開状態に切り替えるための信号を生成するステップと、
その後、次のステップで第2のスイッチングユニットが開かれるステップとを含む。
【0033】
次いで、第1のスイッチングユニットは、任意選択で閉じられるか、または閉じられたままである。第1のスイッチングユニットが既に閉じている場合は、それは閉じたままである。第1のスイッチングユニットが開いている場合、それは閉じられる。
【0034】
これに関連して、配電網の故障は、1つまたは複数の消費器への信頼できる給電がもはや保証されないほどの広範囲にわたるグリッドパラメータの障害を意味する。
【0035】
この方法の一実施形態では、上位の配電網が故障した場合、双方向インバータブリッジがローカルアイランドグリッドを確立し、負荷端末に接続された少なくとも1つの消費器にインバータを介して電気エネルギーが供給される。この場合、電気エネルギーは、インバータに接続された電気エネルギー貯蔵器から、および/またはインバータに接続された発電機から得ることができる。
【0036】
この方法により、必要に応じてインバータを上位の配電網から切り離し、インバータによって確立されたアイランドグリッドを介して負荷に電気エネルギーを供給することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
以下の文章は、図に示される例示的な実施形態を参照して、本発明をさらに説明し、記載する。
【0038】
図1】インバータの一実施形態を概略的に示す。
図2】少なくとも1つの消費器に電気エネルギーを供給する方法を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、バッテリー端子2と、これに接続された蓄電ユニット3(例えば、充電式バッテリー)とを備えるインバータ1を示す。消費器5は、負荷端子4に接続される。複数の消費器5を負荷端末に接続することもできる。図1はまた、インバータ1がグリッド端子6を介して上位の配電網7に接続されていることを示している。インバータ1はさらに、そのDC側でバッテリー端子2に接続されたインバータブリッジ8を備える。インバータブリッジ8のAC側とグリッド端子6との間には、第1のスイッチングユニット9と第2のスイッチングユニット10が配置されている。第1のスイッチングユニット9は、常開形単安定スイッチとして具現化される。これは、作動されることなしに開状態になることを意味する。それが制御信号(例えば、保持電流)によって制御される場合、それは、制御信号(すなわち、例えば、保持電流)が印加されている限り閉じる。第2のスイッチングユニット10は、開状態と閉状態の両方が安定している双安定スイッチとして具現化されており、すなわち、それは作動しなくてもこの状態のままである。第2のスイッチングユニット10は、信号により状態を変化させることができる。
【0040】
負荷端子4のための接続点11、12は、第1のスイッチングユニット9と第2のスイッチングユニット10との間に配置される。この場合、2つのACラインのそれぞれに1つの接続点11、12が設けられる。ここで、第1のスイッチングユニット9は、インバータブリッジ8と接続点11、12との間に配置され、第2のスイッチングユニット10は、接続点11、12とグリッド端子6との間に配置される。インバータ1は、インバータブリッジ8の電子パワースイッチを制御することができるコントローラ13をさらに備える。コントローラ13はまた、第2のスイッチングユニット10を切り替えるための1つまたは複数の制御信号を生成し、それらを第2のスイッチングユニット10に送信するように設計されている。一実施形態では、コントローラ13は、第2のスイッチングユニット10の制御回路(図示せず)用の構成信号を生成し、これらを前記制御回路に送信することもできる。
【0041】
一実施形態では、インバータは、電気エネルギーを生成する発電機を接続するための発電機端子をさらに備える。発電機端子(図示せず)は、直接またはDC-DCコンバータを介して接続でき、例えば、インバータブリッジ8のDC側に接続することができるか、またはAC側結合の場合には、例えば、点11、12に連結することができる。
【0042】
一実施形態では、インバータ1は、グリッド監視ユニット(図示せず)を備えることができる。グリッド監視ユニットは、例えば、グリッド端子6で、またはグリッド端子6の近くのインバータの外側で、上位の配電網7のグリッドパラメータを測定する。停電(すなわち、上位の配電網7の故障)は、例えば、コントローラ13を用いて、グリッドパラメータを介して決定することができる。一実施形態では、インバータ1は、グリッド監視ユニット用の端子を備える。この実施形態では、グリッド監視ユニットは、インバータ1の外部に配置することができる。
【0043】
第1のスイッチングユニット9および第2のスイッチングユニット10が開いている場合、配電網7はインバータ1から切断される。したがって、接続された負荷への供給はない。インバータ1は、電圧フリーである。これは、例えば、保守作業にとって望ましい状態である可能性がある。
【0044】
第1のスイッチングユニット9が開いており、第2のスイッチングユニット10が閉じている場合、インバータブリッジ8は配電網7から分離されるが、消費器5は配電網7から給電される。この状態では、インバータ1は、例えば省エネルギーモードにある。例として、エネルギー貯蔵器3は満杯である可能性があり、消費器5にエネルギー貯蔵器3から給電する必要はない。あるいはまた、エネルギー貯蔵器3は、例えば空であり、それ以上放電されるべきではない。発電機(例えば、接続点11、12でインバータブリッジ8のAC側に接続される太陽光発電機(PV発電機))の場合、PV発電機と接続点11、12の間には、さらに太陽光発電インバータを接続することができ、この太陽光発電インバータは、例えば自家消費のために消費器5に給電するか、または余剰エネルギーを配電網7に送り込む。例えば省エネルギーモードとして、第1のスイッチングユニット9を開いて第2のスイッチングユニット10を閉じたこのモードは、エネルギー効率を高め、動作時間の短縮の結果として耐用年数も延ばすこともできる。この動作のために、インバータ1が省エネルギーモードに入る前に、第1のスイッチングユニット9が実際に開いていることを確認する必要があり、それによって第2のスイッチングユニット10の制御性が失われ、第2のスイッチングユニット10は双安定であるので、閉じた状態のままである。インバータ1が省エネルギーモードにあるとは、例えば、インバータブリッジ8およびコントローラ13が省エネルギーモードにあることを意味し得る。次いで、消費器5は、少なくとも配電網が給電できる限り、配電網7から給電される。このように、ユーザの観点からは、インバータ1と消費器5から構成されるシステムは、蓄電/バックアップ機能のないシステムのように振る舞うことができる。インバータ1が省エネルギーモードから再びウェイクアップすると、コントローラ13は、第1のスイッチングユニットおよび第2のスイッチングユニット10を制御するようになる。次いで、コントローラ13は、必要な接続条件を監視し、第1のスイッチングユニット9を閉じて、1つまたは複数の消費器5に電気エネルギーを供給することができる。配電網7がインバータ1の省エネルギーモードで故障した場合、例えば、外部のグリッド監視ユニット(図示せず)によって、インバータ1をウェイクアップさせることもできる。次いで、インバータのコントローラは、第1および第2のスイッチングユニット9、10に対する制御を与えられる。次いで、コントローラ13は、最初に第2のスイッチングユニット10を開き、バッテリーおよび/または発電機を介して消費器5に給電するために、第1のスイッチングユニット9を閉じることができる。
【0045】
第1のスイッチングユニット9と第2のスイッチングユニット10の両方が閉じている場合、これは、比較的長い期間にわたって想定され、インバータブリッジ8と消費器5が配電網7に接続されている動作状態である。蓄電ユニット3は充電または放電され、消費器は、配電網7、蓄電ユニット3、および/または場合によっては発電機による現地生産から給電され得る。発電機による過剰生産は、配電網7に送り込まれるか、エネルギー貯蔵器3を充電するのに役立つ。発電機による発電が十分でない場合、エネルギー貯蔵器3および/または配電網7からのエネルギーを使用して、消費器5が必要とするエネルギーとの差を補償する。この状態は、電気バックアップシステムに求められる状態である。グリッド監視は、インバータ1またはインバータ1に接続されたグリッド監視ユニットにより行われ、グリッドの故障時にはバックアップ動作に切り替わる。この動作状態からバックアップ動作に切り替えるには、第2のスイッチングユニット10が開かれ、それにより、消費器5とインバータブリッジ8が配電網7から切り離される。
【0046】
第1のスイッチングユニット9が閉じ、第2のスイッチングユニット10が開いている場合、インバータ1は、今説明したバックアップ動作にある。ここで、消費器5は、インバータブリッジ8を介して給電され、配電網7への接続は、開かれている第2のスイッチングユニット10によってこの目的のために開かれる。ここで、対応する閉成条件が存在する場合にのみスイッチ10が閉じられ、その結果、インバータ1は、例えば機能しているコントローラ13を介した制御可能性を確保したことを保証する必要がある。グリッドの復帰が検出された場合、インバータ1は、接続条件を考慮して、第2のスイッチングユニット10を再び閉じることができる。インバータ1は、コントローラ13を介して第2のスイッチングユニット10を制御する。
【0047】
第2のスイッチングユニット10は、長時間かかる可能性のある動作状態では閉じられる。ここで本装置は、第2のスイッチングユニットを双安定スイッチとして実施することにより、エネルギーをほとんどまたは全く消費せずに第2のスイッチングユニットを閉じたままにすることを可能にするが、それにもかかわらず、故障の場合に第2のスイッチングユニット10が確実に開くようにする。
【0048】
図2は、少なくとも消費器5に電気エネルギーを供給する方法を概略的に示している。消費器5は、上記インバータ1の負荷端子4に接続される。
【0049】
ステップS1において、グリッド監視ユニットは、グリッド端子6に接続された上位の配電網7の状態を検出し、ステップS2においてインバータ1のコントローラ13に故障を報告する(「はい」分岐)。故障が検出されない場合、監視は継続される(「いいえ」分岐)。これに関連して、故障とは、消費器5への信頼できる給電がもはや保証されないほどの広範囲にわたるグリッドパラメータの障害を意味する。
【0050】
上位の配電網7が故障した場合、コントローラ13は、ステップS3で第2のスイッチングユニット10を開状態に切り替えるための信号を生成する。次いで、ステップS4において、第2のスイッチングユニット10が開かれる。
【0051】
双方向インバータブリッジ8は、その後、ローカルアイランドグリッドを確立し、負荷端末4に接続された少なくとも1つの消費器5に電気エネルギーが供給される。
【符号の説明】
【0052】
1 インバータ
2 バッテリー端子
3 蓄電ユニット
4 負荷端子
5 消費器
6 グリッド端子
7 配電網
8 インバータブリッジ
9 第1のスイッチングユニット
10 第2のスイッチングユニット
11、12 接続点
13 コントローラ
図1
図2
【国際調査報告】