(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-09
(54)【発明の名称】改良されたソール形状を備えたゴルフクラブ
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20230802BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20230802BHJP
【FI】
A63B53/04 E
A63B102:32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023503037
(86)(22)【出願日】2021-07-08
(85)【翻訳文提出日】2023-02-21
(86)【国際出願番号】 US2021040783
(87)【国際公開番号】W WO2022015556
(87)【国際公開日】2022-01-20
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523015482
【氏名又は名称】ジェイピー ゴルフ ユーエスエー、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハリントン、ジェイムズ、パトリック
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA03
2C002CH02
2C002CH08
(57)【要約】
1つ以上の構成において、改良されたソール形状を有するゴルフクラブヘッドが提供される。ゴルフクラブヘッドは、ゴルフクラブヘッドの前部に位置する打球フェース部分と、ゴルフクラブヘッドの上部に位置するトップラインと、ゴルフクラブヘッドの近位端に位置するヒール部分と、ヒール部分の反対側で、ゴルフクラブヘッドの遠位端に位置するトウ部分と、ゴルフクラブヘッドの下部に位置するソールとを含む。ゴルフクラブヘッドは、シャフトを受け入れるように適合される。ゴルフクラブは、ソール幅が15mm未満であり、キャンバー面積率が40%を超える(いくつかの構成では約59%以上である)断面を有する。いくつかの構成では、断面はさらに、トレーリングエッジ逃げ面を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドであって、
前記ゴルフクラブヘッドの前部に位置する打球フェース部分と、
前記ゴルフクラブヘッドの上部に位置するトップラインと、
前記ゴルフクラブヘッドの近位端に位置し、シャフトを受け入れるように適合されたヒール部分と、
前記ヒール部分の反対側で、前記ゴルフクラブヘッドの遠位端に位置する、トウ部分と、
前記ゴルフクラブヘッドの下部に位置するソールと
を備え、
前記ゴルフクラブヘッドは、40%以上のキャンバー面積率および15mm未満のソール幅を有する断面を有する、ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記ゴルフクラブヘッドの前記断面の前記キャンバー面積率は、45%以上である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記ゴルフクラブヘッドの前記断面の前記キャンバー面積率は、50%以上である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記ゴルフクラブヘッドの前記断面の前記キャンバー面積率は、55%以上である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記ゴルフクラブヘッドの前記断面の前記キャンバー面積率は、59%以上である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記ゴルフクラブヘッドの前記断面の前記キャンバー面積率は、60%以上である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記ゴルフクラブヘッドの前記断面の前記キャンバー面積率は、61%以上である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記断面は、前記打球フェース部分に垂直な平面内にある、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記断面は、前記ゴルフクラブヘッドの中央線にある、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記ゴルフクラブヘッドの前記断面は、トレーリングエッジ逃げ面を含む、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記ゴルフクラブヘッドの前記断面は、5度を超えるトレーリングエッジ逃げ面を含む、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記ゴルフクラブヘッドの前記断面は、5度未満のトレーリングエッジ逃げ面を含む、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
前記ゴルフクラブヘッドの前記断面の前記ソールキャンバー率は、40%以上であり、
前記ソールは、14mm未満である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
前記ゴルフクラブヘッドの前記断面の前記ソールキャンバー率は、40%以上であり、
前記ソールは、13mm未満である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
前記ゴルフクラブヘッドの前記断面の前記ソールキャンバー率は、40%以上であり、
前記ソールは、12mm未満である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
前記ゴルフクラブヘッドの前記断面の前記ソールキャンバー率は、59%以上であり、
前記ソールは、14mm未満である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
前記ゴルフクラブヘッドの前記断面の前記ソールキャンバー率は、59%以上であり、
前記ソールは、13mm未満である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項18】
ゴルフクラブヘッドであって、
前記ゴルフクラブヘッドの前部に位置する打球フェース部分と、
前記ゴルフクラブヘッドの上部に位置するトップラインと、
前記ゴルフクラブヘッドの近位端に位置し、シャフトを受け入れるように適合されたヒール部分と、
前記ヒール部分の反対側で、前記ゴルフクラブヘッドの遠位端に位置する、トウ部分と、
前記ゴルフクラブヘッドの下部に位置するソールと
を備え、
前記ゴルフクラブヘッドは、59%以上のキャンバー面積率および14mm未満のソール幅を有する断面を有し、
前記断面は、前記打球フェース部分に垂直な平面内にあり、
前記断面は、ゴルフクラブヘッドの中央線にあり、
前記断面において、前記ゴルフクラブヘッドはトレーリングエッジ逃げ面を含む、ゴルフクラブヘッド。
【請求項19】
前記断面のソール幅は、13mm未満である、請求項18に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項20】
ゴルフクラブであって、
上端部から下端部まで延在する細長い形状を有するシャフトと、
前記シャフトの上端部のグリップと、
前記シャフトの下端部に取り付けられたゴルフクラブヘッドと
を備え、前記ゴルフクラブヘッドは、
前記ゴルフクラブヘッドの前部に位置する打球フェース部分と、
前記ゴルフクラブヘッドの上部に位置するトップラインと、
前記ゴルフクラブヘッドの近位端に位置し、シャフトを受け入れるように適合されたヒール部分と、
前記ヒール部分の反対側で、前記ゴルフクラブヘッドの遠位端に位置する、トウ部分と、
前記ゴルフクラブヘッドの下部に位置するソールと
を備え、
前記ゴルフクラブヘッドは、40%以上のキャンバー面積率および15mm未満のソール幅を有する断面を有する、ゴルフクラブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広く言えばゴルフクラブに関するものであり、より具体的には、ゴルフクラブヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウェッジとアイアンは、ゴルフクラブの一種である。ウェッジとアイアンは、一般的に、ゴルファーがゴルフボールをゴルフコースの芝土(芝生、砂、土、硬盤、またはその他の地面)に直接置いてショットを打つために使用する。アイアンとウェッジは、類似しており、ロフトによってアイアンとウェッジが区別される。アイアンとウェッジを合わせると、ロフト範囲は、17~70度となる。アイアンの典型的なロフト角は、17~82度である。ウェッジの典型的なロフト範囲は、43~70度である。アイアンとウェッジは類似した特性を有するため、特に断りのない限り、本明細書ではアイアンとウェッジという用語は交換可能に使用される。
【0003】
アイアンとウェッジのソールは、芝土と接触する表面積が最も大きいゴルフクラブヘッドの一部であることを考えると、ソールプロファイルの設計は、しばしば芝土とゴルフクラブとの相互作用およびその結果生じるショットの質に大きな影響を与える。ゴルフボールの打撃前または打撃中の不適切な芝土の噛み合わせは、ゴルフショットの質に悪影響を及ぼし、「ダフり(fat shot)」、「トップ(thin shot)」、「チャンクショット(chunk shot)」、またはその他の望ましくないおよび/または予測不可能なショットをもたらす可能性がある。
【0004】
ゴルフクラブヘッドの設計は、クラブヘッドの非常に多くの側面がパフォーマンスに非常に密接に結びついているという事実により、非常に困難な作業である。他の種類の製品とは異なり、わずかな変更がクラブヘッドのパフォーマンスおよび/または感触に大きな影響を与える可能性がある。クラブヘッドのパフォーマンスおよび感触は、例えば、リーディングエッジの高さ、ソール幅、ソール幅バウンス角、トレーリングエッジ逃げ面、クラブ幅、クラブ重量、重量分布、スイング重量、空気力学、および/またはスイング速度など、他の多くのパラメータおよび/または要因を含むがこれらに限定されない多数の独立したおよび/または相乗的なパラメータによって影響を受ける可能性がある。
【0005】
シミュレーションでは、実世界におけるゲームプレイでクラブヘッドがどのように機能するか、および/またはどのように感じるかを十分に予測できないため、クラブヘッドの設計はさらに困難になる。むしろ、クラブヘッドの設計には通常、「ビルド&テスト(build & test)」の設計方法論が含まれる。残念ながら、実世界のゲームプレイ下でクラブヘッドの設計を正確にテストするためには、ゴルフクラブの試作品を意図した最終製品と同じ材料と構造で作製する必要があるという事実により、ビルド&テストの設計方法論は高価であり、長いリードタイムが必要である。様々なプレーヤーが様々なシナリオおよび条件でクラブの設計をテストするために、リードタイムはさらに長くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
パラメータの数が多く、そのようなパラメータの小さな変更から生じ得るパフォーマンスおよび/またはフィーリングの劇的な変化により、既存のクラブヘッドの設計を変更すると、結果として生じるパフォーマンスが予測不能になる場合がある。成功への合理的な期待なしに、パラメータ測定値の無限の組み合わせと、試作品の構築とテストのための多大なコストおよびリードタイムを考えると、パラメータ値のすべての組み合わせを試してどれが最高のパフォーマンスを発揮するかを確認することにより、パフォーマンスを単純に最適化することは現実的ではない。本開示の目的は、パフォーマンスを改善するソール形状を有するゴルフクラブを提供することである。
【0007】
本開示の別の目的は、芝土との噛み合わせを改善するソール形状を有するゴルフクラブヘッドを提供することである。
【0008】
本開示のさらに別の目的は、有効バウンスを増加させるソール形状を有するゴルフクラブヘッドを提供することである。
【0009】
本開示の別の目的は、リーディングエッジの高さを制限するソール形状を有するゴルフクラブヘッドを提供することである。
【0010】
本開示のさらに別の目的は、芝土とのより効率的な相互作用を創出するソール形状を有するゴルフクラブヘッドを提供することである。
【0011】
本開示の別の目的は、リーディングエッジが芝土を掘り、捕らえ、引っ掛けることを抑制するソール形状を有するゴルフクラブヘッドを提供することである。
【0012】
本開示のさらに別の目的は、低ハンディキャップのゴルファーならびに高ハンディキャップのゴルファーの両方のパフォーマンスを向上させるソール形状を有するゴルフクラブヘッドを提供することである。
【0013】
本開示の別の目的は、優れた感触を提供するソール形状を有するゴルフクラブヘッドを提供することである。
【0014】
本開示のさらに別の目的は、地面を通過する優れた能力を提供するソール形状を有するゴルフクラブヘッドを提供することである。
【0015】
本開示の別の目的は、制御しやすいソール形状を有するゴルフクラブヘッドを提供することである。
【0016】
本開示のさらに別の目的は、優れた安定性を示すソール形状を有するゴルフクラブヘッドを提供することである。
【0017】
本開示の別の目的は、多様な用途を提供するソール形状を有するゴルフクラブヘッドを提供することである。
【0018】
本開示のさらに別の目的は、強く、堅牢で、耐久性のあるゴルフクラブを提供することである。
【0019】
本開示の別の目的は、多くの用途で使用できるソール形状を有するゴルフクラブヘッドを提供することである。
【0020】
本開示のさらに別の目的は、使用が容易で直観的なソール形状を有するゴルフクラブヘッドを提供することである。
【0021】
本開示の別の目的は、耐用年数の長いソール形状を有するゴルフクラブヘッドを提供することである。
【0022】
本開示のさらに別の目的は、高品質のソール形状を有するゴルフクラブヘッドを提供することである。
【0023】
本開示のこれらのおよび他の目的、構成、または利点は、明細書、図、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0024】
1つ以上の構成において、改良されたソール形状を有するゴルフクラブヘッドが提供される。ゴルフクラブヘッドは、ゴルフクラブヘッドの前部に位置する打球フェース部分と、ゴルフクラブヘッドの上部に位置するトップラインと、ゴルフクラブヘッドの近位端に位置するヒール部分と、ヒール部分の反対側で、ゴルフクラブヘッドの遠位端に位置するトウ部分と、ゴルフクラブヘッドの下部に位置するソールとを含む。ゴルフクラブヘッドは、シャフトを受け入れるように適合される。ゴルフクラブは、ソール幅が15mm未満であり、キャンバー面積率が40%を超える(いくつかの構成では約59%以上である)断面を有する。いくつかの構成では、断面はさらに、トレーリングエッジ逃げ面を示す。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】1つまたは複数の実施形態に係る、ゴルフクラブヘッドの正面図である。
【
図2】中央線に沿ってセグメント化されたゴルフクラブヘッドを示す、1つまたは複数の実施形態に係る、ゴルフクラブヘッドの部分正面図である。
【
図3】ゴルフクラブヘッドのソール接触面を示す、1つまたは複数の実施形態に係る、ゴルフクラブヘッドの部分正面図である。
【
図4】1つまたは複数の実施形態に係る、図示のゴルフクラブヘッドの上面図である。
【
図5】1つまたは複数の実施形態に係る、ゴルフクラブヘッドのトウ側断面図である。
【
図6】ゴルフクラブヘッドのソール形状を示す、1つまたは複数の実施形態に係る、ゴルフクラブヘッドのトウ側部分近接断面図である。
【
図7】ゴルフクラブヘッドのソール形状を示す、1つまたは複数の実施形態に係る、ゴルフクラブヘッドのトウ側部分拡大断面図である。
【
図8】トレーリングエッジ逃げ面を示す、1つまたは複数の実施形態に係る、改良されたソール形状を有するゴルフクラブのトウ側拡大断面図である。
【
図9】1つまたは複数の実施形態に係る、高バウンス、中バウンス、および低バウンス用に構成された改良されたソール形状を有する3つのゴルフクラブと共に従来のウェッジのシルエットのトウ側断面図である。
【
図10】1つまたは複数の実施形態に係る、高バウンス、中バウンス、および低バウンス用に構成された改良されたソール形状を有する3つのゴルフクラブと共に従来のソールを有するゴルフクラブのシルエットのトウ側拡大断面図である。
【
図11】従来のウェッジの一例の断面トウのキャンバー領域およびバウンス三角形領域を示す。
【
図12】従来のウェッジの第2の例の断面トウのキャンバー領域およびバウンス三角形領域を示す。
【
図13】改良されたソール形状を有する10のゴルフクラブヘッドの例と共に、2つの従来のウェッジについて、ソール幅、ソールキャンバー領域、ソール幅バウンス線の角度、バウンス三角形領域、ソールキャンバー率、およびキャンバー対バウンス比を列挙する表を示す。
【
図14】1つまたは複数の実施形態に係る、ゴルフクラブヘッドの正面図を示す。
【
図15】1つまたは複数の実施形態に係る、ゴルフクラブヘッドの左側面図を示す。
【
図16】1つまたは複数の実施形態に係る、ゴルフクラブヘッドの上後方斜視図を示す。
【
図17】1つまたは複数の実施形態に係る、ゴルフクラブヘッドの右側面図を示す。
【
図18】1つまたは複数の実施形態に係る、ゴルフクラブヘッドの底面図を示す。
【
図19】1つまたは複数の実施形態に係る、ゴルフクラブヘッドの上面図を示す。
【
図20】1つまたは複数の実施形態に係る、ゴルフクラブヘッドの左後方斜視図を示す。
【
図21】1つまたは複数の実施形態に係る、ゴルフクラブヘッドの別の底部後方斜視図を示す。
【
図22】
図21に示されるゴルフクラブヘッドの細部を拡大した後方斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の実施形態の詳細な説明では、本明細書の一部を形成し、本開示が実施することができる特定の実施形態を例として示す添付の図面を参照する。以下に記載される本開示の実施形態は、網羅的であること、または以下の詳細な説明において本開示を正確な形態に限定することを意図するものではない。むしろ、実施形態は、当業者が本開示の原理および実践を認識および理解できるように選択され、説明される。当業者は、本発明の原理および範囲から逸脱することなく、形態および詳細に様々な変更を加えることができることを理解するであろう。様々な修正および同様の構成および手順を網羅することを意図しており、したがって、添付の特許請求の範囲には、そのような修正および同様の構成および手順をすべて包含する最も広い解釈が与えられるべきである。例えば、態様および構成は、特定の図および/または実施形態に示される、および/またはそれらを参照して説明することができるが、1つの図および/または実施形態からの構成は、別の図および/または実施形態の構成と組み合わせることが、たとえその組み合わせが明示的に示されていなくても、および/または組み合わせとして明示的に説明されていなくてもできることが理解されるであろう。図示の実施形態では、同様の符号は、様々な図面を通して同様の要素を指す。
【0027】
本明細書で論じるいかなる利点および/または改善も、開示された様々な実施形態および/またはその実装によって提供されない場合がある。考えられる実施形態は、そのように限定されず、そのような利点および/または改善を提供する実施形態に限定されると解釈されるべきではない。同様に、様々な実施形態は、本開示のすべてまたはいずれかの目的および/または本明細書に記載され得る本発明の目的に対処しない場合があることを理解すべきである。考えられる実施形態は、そのように限定されず、本開示および/または本発明のそのような目的に対処する実施形態に限定されると解釈されるべきではない。さらに、いくつかの開示された実施形態は、特定の材料に関して説明され得るが、実施形態は、特定の材料および/または装置に限定されず、それらの特定の特性および能力のみに限定され、本開示を考慮して当業者によって十分に理解されるように、他の材料および装置に置き換えることができる。
【0028】
例えば、左、右、上部、下部、前、背部、側面、高さ、長さ、幅、上側、下側、内部、外部、内側、外側などの用語は、本明細書で使用され得る場合、参照点を説明するだけであり、本発明を特定の向きおよび/または構成に限定するものではないことを理解すべきである。
【0029】
本明細書で使用される場合、「および/または」は、「Aおよび/またはB」が「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、および「AならびにB」を含むように、単一の項目のみ、項目のサブグループ、またはすべての項目が存在することが明確に示されていない限り、関連するリスト項目の1つまたは複数のすべての組み合わせを含む。「など(etc.)」の使用は「など(et cetera)」として定義され、前の項目の同じグループに属する他のすべての要素を、任意の「および/または」の組み合わせで含むことを示す。
【0030】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、用語が明示的に他を示さない限り、単数形および複数形の両方を含むことを意図する。「a」および「an」のような不定冠詞は、以前に導入されたものとそうでないものの両方の修飾された用語を導入または参照するが、「the」のような定冠詞は、以前に導入された同じ用語を参照し、そのため、「a」または「an」は、以前に導入された、または新しいことが許容されている項目を修飾し、定冠詞は直前に提示されたものと同じ項目を修飾することが理解される。「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、および/または「含む(including)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された構成、特徴、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、別段の明示的な指示がない限り、1つまたは複数の他の構成、特徴、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加をそれら自身が排除するものではないことがさらに理解されるであろう。例えば、システムの一実施形態が物品を含むと記載されている場合、別の場所でシステムの別の一実施形態が複数のそのような物品を含むと記載されていても、別段の明示的な指示がない限り、システムは物品の単一の例に限定されないことが理解される。
【0031】
要素が別の要素に「接続されている」、「結合されている」、「係合されている」、「取り付けられている」、「固定されている」などと呼ばれる場合、それは他の要素に直接接続され得る、および/または介在要素が存在する可能性があることが理解されるであろう。対照的に、要素が別の要素に「直接接続されている」、「直接結合されている」、「直接係合されている」などと呼ばれる場合、介在要素は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の言葉は、同様の方法で解釈されるべきである(例えば、「間」と「すぐ間」、「隣接する」と「直接隣接する」、「係合されている」と「直接係合されている」など)。同様に、「作動可能に接続される」または「作動可能に係合される」として使用される場合などの「作動可能に」などの用語は、直接的に接続される、間接的に接続される、電子的に接続される、無線接続される、および/または所望の操作を促進する任意の他の方法、手法、および/または手段によって接続されることを含み得る操作を促進する任意の方法で、それぞれ接続および/または係合されると解釈されるべきである。同様に、「通信可能に接続される」などの用語は、無線で接続されているかどうかに関係なく、中間デバイス、ネットワークなどを含む2つの電子デバイス間の情報交換およびルーティングのすべてのバリエーションを含む。同様に、特に電子コンポーネントの場合の「接続される」または他の同様の用語は、電気および/または情報がコンポーネント間で伝送され得るように、直接的または間接的に有線および/または無線で任意の手段によって接続されることを意味することを意図している。
【0032】
本明細書では、「第1」、「第2」などの序数の用語を使用して様々な要素を説明する場合があるが、これらの要素は、そのように具体的に述べられていない限り、これらの用語による任意の順序に限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用され、「第2」またはそれ以上の序数がある場合、要素の数だけが必要であり、必ずしも差異またはその他の関係はない。例えば、例示的な実施形態および/または方法の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。
【0033】
同様に、本明細書で論じる構造および操作は、図で説明および/または注記した順序から外れる可能性がある。例えば、連続して示される2つの操作および/または図は、関連する機能/動作に応じて、実際には同時に実行される場合がある、および/または時には逆の順序で実行される場合がある。同様に、以下に説明する例示的な方法内の個々の操作は、繰り返して、個別に、および/または順次に実行して、以下に説明する単一の操作とは別に、ループおよび/または他の一連の操作を提供することができる。以下に説明する構成および機能を有する任意の実施形態および/または方法は、任意の実行可能な組み合わせで、例示的な実施形態の範囲内にあると想定されるべきである。
【0034】
本明細書で使用されるように、様々な開示された実施形態は、主にゴルフクラブの文脈で説明することができる。しかしながら、実施形態は、そのように限定されない。実施形態は、開示された構造、構成、および/または方法によって改善することができる他の用途での使用に適合され得ることが理解される。このシステムは、説明を容易にするために、無数の例の1つとして、ゴルフクラブの文脈で使用されるものとして示され、説明されているにすぎない。
【0035】
ゴルフクラブシステム10
図を参照すると、改良されたソール形状を有するゴルフクラブシステム10が開示されている。図示の構成では、一例として、ゴルフクラブシステム10は、他の構成要素の中でも特に、シャフト12(図示せず)に接続されたゴルフクラブヘッド14を含む。
【0036】
ゴルフクラブヘッド14
ゴルフクラブヘッド14は、任意の適切なサイズの形状および設計で形成され、改良されたソール形状を提供するように構成される。図示の構成では、一例として、ゴルフクラブヘッド14は、他の構成要素の中でも特に、ゴルフクラブヘッド14の前部に位置する打球フェース18を有する本体16、ゴルフクラブヘッド14の上部に位置するトップライン20、ゴルフクラブヘッド14の近位端に位置するヒール22部分、ヒール22に位置し、シャフト12を受け入れるように適合されたホーゼル24、ヒール22の反対側でゴルフクラブヘッド14の遠位端に位置するトウ26部分、トップライン20の反対側でゴルフクラブヘッド14の下部に位置するソール28、および打球フェース18の反対側に位置するバック30を含む。ソール28は、打球フェース18がソール28と出会うリーディングエッジ32から、ソール28がゴルフクラブヘッド14の後部と出会うトレーリングエッジまで延在する。本明細書で使用される場合、断面の「リーディングエッジ点」34は、ホーゼル24およびシャフト12が、水平接地面68に垂直な面内に位置し、ゴルフクラブヘッド14が、その適切なライ角に位置するとき(例えば、打球フェース18のスコアラインが地面に平行である場合)のゴルフクラブヘッド14の断面の最も前方の点を指す。
【0037】
本明細書で使用される場合、ゴルフクラブヘッド14の断面の「トレーリングエッジ点」38は、ソールのトレーリングエッジがゴルフクラブヘッド14の背面の下側エッジと交わる断面の点を指す。本明細書で使用される場合、ゴルフクラブヘッド14の「ソール接触点」40は、ホーゼル24およびシャフト12が水平接地面68に垂直な面内に位置し、ゴルフクラブヘッド14が、適切なライ角に位置するときの断面のソールの最下点を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、リーディングエッジ点からトレーリングエッジ点までの線は、「クラブ幅バウンス線」42と呼ばれる。本明細書で使用される場合、「リーディングエッジ高さ」42は、リーディングエッジ点34とソール接触点40との間の垂直距離を指す。本明細書で使用される場合、「クラブ幅」64は、リーディングエッジ点34とトレーリングエッジ点38との間の水平距離を指す。本明細書で使用される場合、「クラブ幅バウンス角」66は、接地面68に対するクラブ幅バウンス線42の角度を指す。
【0039】
図に示される例示的なゴルフクラブシステム10では、図示の断面は、ゴルフクラブヘッド14の中央線に位置するYZ平面に沿っている。ここで、YZ平面は、ゴルフクラブヘッド14の打撃面またはフェースによって確立された平面に対して垂直な平面アライメントで延在する。図示の構成では、一例として、「中央線」46は、X軸に沿ったソール接触点に位置する。図示の構成では、中央線は、ソール接触点からY軸上に垂直に延在する。そこから、中央線上のYZ平面に断面が作り出される。このようにして、中央線は、ゴルフクラブヘッド14の打撃面の略平坦な平面に対して垂直な平面アライメントで延在する平面を確立する。図示の配置では、一例として、中央線は、ゴルフクラブヘッド14の打球フェース18に沿って延在するスコアライン36に対して垂直に延在する。図示の構成では、一例として、スコアライン36は、X軸に平行アライメントで延在する。
【0040】
ソール接触点-接点
1つの構成では、一例として、ソール接触点40は接点である。すなわち、ソール接触点は、ゴルフクラブヘッド14の曲率がソール接点の前方へ(リーディングエッジに向かって)、後方へ(トレーリングエッジに向かって)、および側方へ(ヒール22に向かっておよびトウ26に向かって)次第に小さくなる、ゴルフクラブヘッド14上の単一の点である。この例示的な構成では、中央線46は、ソール接触点40である接点に位置する。
【0041】
図5および
図6に示す構成では、ソール接触点40は、接地面68と接触しており、例として
図5および
図6に示されるように、中央線46によって確立される平面が接地面68と垂直にアライメントされているとき、およびホーゼル24とシャフト12がトウ26からヒール22まで見たときに水平接地面68に対して垂直アライメント(鉛直アライメント)に配置されるときに、接地面68と接触している。
【0042】
ソール接触点-平面
別の構成では、一例として、ソール28が接地面68と接触する単一の点でソール28がヒール22からトウ26まで湾曲していない場合、スコアライン36が、接地面68に対して平行である間、中央線46は、X軸上でヒール22からトウ26までのソール接触点40(またはソール接触面)の略中心点に位置し得る。この例示的な構成では、ソール接触点40またはソール接触面は、ヒール22からトウ26またはゴルフクラブヘッド14の任意の部分までの、ゴルフクラブヘッド14のソール28または下部の全領域に延在することができる。この例示的な構成では、ソール接触点40またはソール接触面は、ヒール22からトウ26までゴルフクラブヘッド14の長さを延在する接地面68に平行な平坦なセクションを作り出す。
【0043】
有効バウンス
ゴルフボールとゴルフクラブヘッド14との衝撃を通して、ゴルフクラブヘッド14のソール28上で最適なレベルの有効バウンスを有することが重要である。有効バウンスとは、アイアンまたはウェッジが芝土を掘り、捕らえ、引っ掛けることに対する抵抗である。有効バウンスの理想的なレベルは、個々のゴルファーのスイングとゴルフクラブのソール形状に依存している。すべてのゴルフスイングは独特であり、個々のゴルファーが最も効率的な芝土との相互作用を生み出すための理想的な有効バウンスを作り出すには、様々なレベルの有効バウンスが必要になる場合がある。有効バウンスが少なすぎると、ゴルフクラブヘッド14は、ナイフのように芝土を切り込み、掘り込みやすくなる。有効バウンスが多すぎると、ゴルフボールとのインパクト時のトレーリングエッジの高さがフェースの打撃部分よりも高くなるため、ウェッジが文字通り地面から跳ね上がり、トップになる可能性が高くなる。ゴルフスイング中の有効バウンスの正しいレベルは、より効率的で一貫性のある寛容なゴルフショットを生み出す。
【0044】
ソールの形状を画定する3つの主要な要素がある。ソール幅、ソール幅バウンス角、キャンバー(より具体的には、前方キャンバー)である。「ソール幅」48は、リーディングエッジ点34とソール接触点40との間の水平距離を指す。リーディングエッジ点からソール接触点40までの線は、「ソール幅バウンス線」50と呼ばれる。「ソール幅バウンス角」52は、ソール接触点40が接地面68と接触しており、例として
図5および
図6に示されるように、中央線によって確立される平面が接地面68と垂直にアライメントされているとき、およびホーゼル24とシャフト12がトウ26からヒール22まで見たときに水平接地面68に対して垂直アライメント(鉛直アライメント)に配置されるときに、水平面からのソール幅バウンス線50の下向き角度を指す。本明細書で使用される場合、「前方キャンバー」54は、ソール幅バウンス線50の前に延在するゴルフクラブヘッド14のソール28の任意の量の曲率を指す。
【0045】
一般的に、ソール幅バウンス角52が増加すると、固定ソール幅48を有しながら、リーディングエッジ高さ44が増加し、したがって有効バウンスを増加させる。ソール幅48が増加すると、表面積が増加し、アイアンまたはウェッジが芝土に食い込むのを防ぐのに役立ち、したがって有効バウンスを増加させる。最後に、前方キャンバー54の増加は、曲面を介してより多くの表面積を生成することによって有効バウンスを増加させ、リーディングエッジ32が最初に芝土に接触するのを制限する。
【0046】
従来のウェッジおよびアイアンの設計が進歩するにつれて、主にゴルフクラブヘッド14のソール幅バウンス角52および/またはソール幅48を増加させることによって、有効バウンスが増加してきた。この進行期間では、前方キャンバー54に対するわずかな調整のみが行われた。この理由は、ウェッジおよびアイアンが最小またはゼロのキャンバーで始まり、最大のキャンバーがウェッジの元の設計とは反対であるためであり得る。これは、前方キャンバー54を最大化することが、ウェッジのソール28の最後の主要な変形である理由であり得る。
【0047】
改良されたソール形状
従来の設計哲学とは対照的に、驚くべきことに、従来のウェッジおよびアイアンと比較して、前方キャンバー54を大幅に増加させ、ソール幅48を減少させると、優れたパフォーマンスを提供するソール28プロファイルを有するゴルフクラブが得られることが発見された。本開示の1つまたは複数の実施形態は、従来のウェッジおよびアイアンと比較して、前方キャンバー54が大幅に増加し、ソール幅48がより短い改良されたソール形状を有するウェッジおよびアイアンのゴルフクラブヘッド14を対象とする。
【0048】
説明した実施形態の前方キャンバーをよりよく特徴付けるために、用語「ソールキャンバー領域」、「バウンス三角形領域」、および「ソールキャンバー率」が導入される。本明細書で使用される場合、「ソールキャンバー領域」58は、ゴルフクラブヘッド14の断面において、ソール28がソール幅バウンス線50の前に延在する領域を指す。本明細書で使用する場合、「バウンス三角形領域」60は、ゴルフクラブヘッド14の断面において、ソール幅バウンス線50、リーディングエッジ点34に位置する垂直線、およびソール接触点40に位置する水平線によって境界付けられる領域を指す。バウンス三角形領域60は、ソールキャンバー領域58を包含する。バウンス三角形領域60は、その特定のソール幅48およびソール幅バウンス角52でのソールキャンバー領域58の最大潜在領域である。ウェッジまたはアイアンのゴルフクラブヘッド14の断面の「ソールキャンバー率」は、次の式で計算される。
【0049】
ソールキャンバー率%=(100×ソールキャンバー面積)/バウンス三角形面積
【0050】
従来のウェッジおよびアイアンは、ソール幅が広く、キャンバーが少ないソールが一般的である。より具体的には、従来のウェッジおよびアイアンは、通常、約40~58%のソールキャンバー率を有し、約15mm以上のソール幅も有する。
【0051】
図11および
図12は、従来のウェッジの2つの例を示す。例えば、
図12に示される従来のウェッジは、ソール幅が15.62mmで、ソールキャンバー率が58.19%である。ソール幅が約15mm未満のウェッジは、前方キャンバー54を最大限に活用していない。例えば、
図11に示される従来のウェッジは、15mmのソール幅および39.37%のソールキャンバー率を有する。前方キャンバーの増加は、アイアンまたはウェッジのソール設計において依然として未知の形状である。
【0052】
従来のゴルフクラブヘッドとは対照的に、1つまたは複数の構成において、15mm未満のソール幅48および40%を超える(好ましくは約59%以上の)ソールキャンバー率を有するソール形状で構成されたゴルフクラブヘッド14が提供される。この基準に従ってこのソールキャンバー率を増加させると、有効バウンスが増加し、ゴルフボールの衝撃による芝土とのより効率的な相互作用が生じることが分かった。本明細書で説明するように、ソールキャンバー率を上げてソール幅48を制限すると、従来のウェッジよりもリーディングエッジ高さ44が制限されることも分かった。
【0053】
図示の構成では、例示的なゴルフクラブヘッド14の改良されたソール形状は、従来のアイアンおよびウェッジと比較して、アイアンおよびウェッジの両方に対して、より一貫した効率的で寛容なゴルフショットを生み出す。例示的な構成では、ソール28の曲率はウェッジのソール接触点40からリーディングエッジ32に移行し、有効バウンスを増加させる従来のウェッジよりも鈍いリーディングエッジ32を作り出す。この例示的な構成では、改良されたソール形状は、従来のウェッジと比較して、リーディングエッジ32が芝土を掘り、捕らえ、引っ掛けることにさらに抵抗することによって、ウェッジの有効バウンスを増加させる。この例示的な構成では、ソール幅48の最初の15mmまたはソール28の前方セクションでより有効なバウンスを作り出すことにより、パフォーマンスが向上する。
【0054】
例示的な構成では、ゴルフクラブヘッド14の改良されたソール形状により、ゴルフボールの前にクラブヘッド14が芝土に接触するときの余分な芝土の噛み合わせが制限される。慎重な観察により、ソール形状の最適なパフォーマンスは、ソール幅48が15mm未満であり、40%以上(好ましくは約59%以上)の増加したソールキャンバー率であることが発見された。
【0055】
改良されたソールプロファイルは、プロゴルファーが要求する一貫した芝土との相互作用を提供し、その同じ一貫性がすべてのゴルファーが必要とする寛容性につながる。改良されたソール形状により、ハンディキャップの低いゴルファーならびにハンディキャップの高いゴルファーの両方のパフォーマンスが向上する。
【0056】
試験および評価において、1つまたは複数の構成のゴルフクラブヘッド14は、市場に出回っている他のゴルフクラブと比較して、より良い感触、改善された地面通過能力を提供し、一般的にコントロールしやすいことが観察された。
【0057】
一例として示される構成では、ゴルフクラブヘッド14の改良されたソール形状はまた、衝撃によるディボットの深さを制限する。改良されたソール形状の曲面は、ディボットの進入角度とディボットの出口角度を減少させることで、ディボットの出入りをよりスムーズにする。ゴルフスイング中、ゴルファーは、開示されたソール形状によって芝土との相互作用によって提供される理想的なレベルの有効バウンスによって生み出される、あるレベルの押し戻しを感じることができる。
【0058】
図示の1つまたは複数の構成では、ゴルフクラブヘッド14の改良されたソール形状は、ミスヒットに対してより寛容である。ゴルファーがウェッジをスイングし、ゴルフボールよりも先に芝土にインパクトを与えると、ショットがうまくいかない可能性がある。ウェッジがゴルフボールの後ろに当たり、ソールに十分な有効バウンスがない場合、トレーリングエッジが地面に食い込みすぎて、ゴルファーがボールを「ダフる」または「チャックリ」または「ヘビーヒット」する原因となる。これは一般的に「チャンクショット」と呼ばれ、ゴルフボールと接触する前にウェッジまたはソールが芝土を掘りすぎて、運動量とエネルギーが減少し、ゴルフボールが意図した距離に飛ばないことと定義される。
【0059】
図示の1つまたは複数の構成では、ゴルフクラブヘッド14の改良されたソール形状により、ソールの前方部分により多くの表面積が湾曲した形で提供され、これにより有効バウンスが増加し、ディボットの深さが制限され、ディボットの滑らかな出入りが提供され。インパクトを通してより多くの速度を維持し、チャンクショットの厳しさを制限し、改善されたソール形状なしの同じショットと比較して、芝土との相互作用の効率、一貫性、および寛容性により、ボールが意図した距離に自然に近づく。
【0060】
トレーリングエッジ逃げ面
1つまたは複数の構成では、改善されたソール形状は、特定のゴルファーにとって望ましい可能性がある特定のパフォーマンス上の利点を生み出すために、トレーリングエッジ逃げ面によって補完され得る。「トレーリングエッジ逃げ面」62は、ソール接触点40からトレーリングエッジ点38までのソール28の上向き傾斜を指す。浅いまたは低いトレーリングエッジ逃げ角(例えば、5度未満)と改良された(例えば、15mm未満のソール幅48でソールキャンバー率を増加させた)ソール形状を組み合わせることで、ゴルフボールとの衝撃および芝土を介したソール28の安定性が向上する。トレーリングエッジ逃げ面62の角度が大きい(例えば、5度を超える)と、ディボットを介して安定性が低下し、ウェッジのショットメーキングの汎用性が高まる。トレーリングエッジ逃げ面62の角度が大きいほど、ウェッジのショットメーキングの汎用性が高まる。より高いトレーリングエッジ逃げ面62の角度は、ゴルフボールとの衝突時にウェッジのフェースまたは打撃面が開き、ダイナミックロフトと有効バウンスが増加して、より高く、より短く、より柔らかい着地のゴルフショット、特にフロップショットまたはフェースを開いたショットを打つゴルファーにとって有利である。トレーリングエッジ逃げ面62の角度が大きいことによる材料の除去により、フロップショットでフェースを簡単に開くことができる。トレーリングエッジ逃げ面62の角度が小さいと、有効バウンスが多すぎるため、ゴルファーがウェッジのフェースを開くのに抵抗がある場合がある。これにより、ゴルファーは、ゴルフボールとの衝突時にトレーリングエッジが高すぎるため、高く、短く、柔らかい着地のゴルフショットを打つことができなくなる。したがって、ゴルファーがフェースを最大限に開くのを阻む。
【0061】
ソールキャンバー率の測定
ソールキャンバー率は、3Dスキャン、CADプログラムへのインポート、YZ平面上(例えば、ウェッジの打撃面の中央線)でゴルフクラブヘッド14をスライスして断面を(例えば、
図2、
図3、
図5、および
図6に示すように)提供することによって容易に得られる。この断面から、リーディングエッジ点34、ソール接触点40、ソール幅バウンス線50、および前方キャンバー線54を特定して、ソールキャンバー領域58およびバウンス三角形領域60を決定し、前述のようにソールキャンバー率を計算することができる。
【0062】
ソールキャンバー率を測定する別の方法は、カメラをウェッジのトウ側に置いてx軸でウェッジの写真を撮ることである。リーディングエッジの最も前方の点は、リーディングエッジ点34を作り出し、一般的にスコアライン36の中点にある。Adobe Illustratorのようなコンピューター描画プログラムで、ウェッジのシルエットを画定する線を作り出す。線をDXFまたはDWGファイルとしてエクスポートし、CADプログラムにインポートする。CADプログラムに入ったら、ウェッジの特定のロフトにシルエットを配置してアライメントする。シルエットを使用して、リーディングエッジ点34、ソール接触点40、ソール幅バウンス線50、および前方キャンバー線54を特定して、ソールキャンバー領域58およびバウンス三角形領域60を決定し、前述のようにソールキャンバー率を計算することができる。
【0063】
上記の議論から、開示されたゴルフクラブヘッド構成が最新技術を改善することが理解されるであろう。具体的には、様々な実施形態は、芝土との噛み合わせを改善する、有効バウンスを増加させる、より効率的な相互作用を創出する、リーディングエッジの高さを制限する、有効バウンスを増加させる、リーディングエッジが芝土を掘り、捕らえ、引っ掛けることを抑制する、低ハンディキャップゴルファーならびに高ハンディキャップゴルファーの両方のパフォーマンスを向上させる、優れた感触を提供する、地面を通過する優れた能力を提供する、制御しやすい、優れた安定性を示す、汎用性がある、強く、堅牢で、耐久性がある、多くの用途に使用できる、使用が容易で直感的である、耐用年数が長い、および/または高品質である、ソール形状を有するゴルフクラブヘッドを提供する。本開示のこれらのおよび他の目的、構成、または利点は、明細書、図、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0064】
当業者は、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、他の様々な修正を装置に行うことができることを理解するであろう。そのようなすべての修正および変更は、特許請求の範囲内にあり、特許請求の範囲によって網羅されることが意図されている。
【国際調査報告】