(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-09
(54)【発明の名称】人工歯要素の異なる層要素を画定するための方法
(51)【国際特許分類】
A61C 13/36 20060101AFI20230802BHJP
【FI】
A61C13/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023503229
(86)(22)【出願日】2021-07-07
(85)【翻訳文提出日】2023-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2021068795
(87)【国際公開番号】W WO2022017788
(87)【国際公開日】2022-01-27
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509207014
【氏名又は名称】ビタ ツァーンファブリク ハー.ラウター ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】VITA ZAHNFABRIK H.RAUTER GMBH & CO.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100138254
【氏名又は名称】澤井 容子
(72)【発明者】
【氏名】キルステン,アルミン
(57)【要約】
本発明は、人工歯要素の異なる層要素を画定する方法であって、内側コア要素(38)と内側コア要素(38)を少なくとも部分的に取り囲む外側層要素(50)との間の境界面を画定するステップと、複数の追加の層要素を含む提供された選択リストから追加の層要素(60、62、64、66)を選択するステップと、少なくとも1つの選択された追加の層要素(60、62、64、66)を、前記コア要素(38)及び/又は前記外側層要素(50)に対して空間的に画定された関係で自動的に配置するステップと、を有する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工歯要素の異なる層要素を画定する方法であって、
内側コア要素(38)と、前記内側コア要素(38)を少なくとも部分的に取り囲む少なくとも1つの外側層要素(50)との間の境界面を画定するステップと、
複数の追加の層要素を含む提供された選択リストから追加の層要素(60、62、64、66)を選択するステップであって、前記複数の追加の層要素が、
切縁結節の強調、及び/又は着色歯頸、及び/又は半透明効果、及び/又はハロー効果、及び/又は水平帯、及び/又は表面効果を含むステップと、
少なくとも1つの選択された前記追加の層要素(60、62、64、66)を、前記コア要素(38)及び/又は前記外側層要素(50)に対して空間的に画定された関係で自動的に配置するステップと、を含む方法。
【請求項2】
少なくとも個々の前記追加の層要素(60、62、64、66)について、材料及び/又は色を選択することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記追加の層要素「切縁結節の強調」を選択すると、前記追加の層要素「切縁結節の強調」が、前記境界面によって画定された少なくとも1つの、好ましくはすべての切縁結節の領域内の前記コア要素(38)に配置され、前記追加の層要素が、少なくとも1つの、好ましくはすべての前記切縁結節を少なくとも部分的に覆う、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記追加の層要素「切縁結節の強調」が、前記外側層要素(50)内に少なくとも部分的に配置される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記追加の層要素「切縁結節の強調」を形成するために、少なくとも1つの前記切縁結節の前記境界面が、特に切縁方向に変位し、特に頂点によって画定される少なくとも1つの前記切縁結節の制御点が、切縁方向に変位し、前記追加の層要素「切縁結節の強調」は、好ましくは、前記変位の前後の前記境界面の間の領域に形成され、及び/又は前記変位は、0~1.0mm、特に0~0.7mmである、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記追加の層要素「着色歯頸」を選択すると、材料は、境界曲線に対して尖端に位置する前記外側層要素の領域で少なくとも部分的に着色される、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記追加の層要素「着色歯頸」を選択すると、前記外側層要素(50)は、境界曲線に対して尖端に位置する領域において、前記追加の層要素「着色歯頸」で少なくとも部分的に置き換えられる、及び/又は、前記追加の層要素「着色歯頸」の外輪郭が、前記外側層要素(50)の前記外輪郭によって制限される、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
特に、前記追加の層要素「半透明効果」、及び/又は前記追加の層要素「ハロー効果」を含む前記追加の層要素「切縁/咬合側の光学効果」を選択すると、前記追加の層要素「切縁/咬合側の光学効果」は、前記人工歯要素の切縁領域の前記外側層要素(50)内に配置される、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記追加の層要素「切縁/咬合側の光学効果」が、前記外側層要素(50)の前記外輪郭によって制限される、及び/又は、前記追加の層要素「切縁/咬合側の光学効果」の画定について、前記外側層要素(50)の表面上に画定された制御点が尖端に変位され、前記変位が、好ましくは前記外側層要素(50)の前記表面の法線に沿って生じる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
0~1mm、特に0~0.5mmの変位が生じ、及び/又は前記変位の前後の前記表面の間の前記領域に前記追加の層要素「切縁/咬合側の光学効果」が形成され、及び/又は前記追加の層要素「切縁/咬合側の光学効果」の前記外輪郭が、前記外側層要素(50)の前記外輪郭によって制限される、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記追加の層要素「水平帯」を選択すると、水平な中心線が画定され、前記追加の層要素「水平帯」は、前記中心線の前記領域内で前記コア要素(38)と前記外側層要素(50)との間に配置され、前記追加の層要素「水平帯」は、前記コア要素(38)及び/又は前記外側層要素(50)内に突出し、
前記追加の層要素「水平帯」は、好ましくは、0.3~2mmの切縁/尖端寸法、及び/又は0.2~1.5mmの奥行を含む、請求項1から10までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記追加の層要素「表面効果」を選択すると、前記追加の層要素「表面効果」は、前方領域内の前記境界面上に配置され、好ましくは、前記追加の層要素「表面効果」は、前記追加の層要素「切縁結節の強調」と部分的に重なり合い、
前記追加の層要素「表面効果」は、好ましくは、1~8mmの幅、1~10mmの高さ、及び0.1~1mmの奥行を有する、請求項1から11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記追加の層要素「表面効果」は、前記コア要素(38)及び/又は前記外側層要素(50)に配置され、特に前記外側層要素(50)の前記外輪郭によって制限される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
制御点を自動的に画定するために、前記外側層要素(50)の前記表面に仮想のグリッドが適用され、前記グリッドの前記縦寸法及び前記横寸法は、前記外輪郭シルエットの前記最大寸法によって画定され、前記グリッドは、前記歯の輪郭を、特に等距離で分割する複数の縦線及び/又は横線を含むことが好ましい、請求項1から13までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記横線及び前記縦線の前記交点が、前記制御点(82)を画定し、及び/又は、制御点(80)が、前記縦線及び/又は前記横線と外輪郭シルエットとの交点に画定される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工歯要素の異なる層要素を画定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人工歯要素を製造する場合、人工歯要素は、患者の天然歯に外観が可能な限り類似していることが本質的な目的である。天然歯において、象牙質は、目に見える部分ではエナメル質に囲まれている。特に、古い歯はしばしば付加的な効果を示すため、古い歯の外観を模倣することは困難である。
【0003】
完全な人工歯や、歯冠などになり得る歯要素を製造するために、歯要素を少なくとも2つの異なる材料から同様に製造し、象牙質とエナメル質との間の境界面を再現することが知られている。この目的のために、ドイツ特許出願公開第102010002484号明細書から、X線法を使用して天然の患者の歯の象牙質とエナメル質との間の境界面を決定し、続いて、象牙質を模倣する内側材料が患者の天然の象牙質と同じ幾何学的形状を有する歯要素を製造し、特に、天然のエナメル質に相当する層厚でエナメル質に取って代わる材料を形成することが知られている。人工歯要素内のエナメル質及び象牙質に取って代わる材料は、天然材料と同じ光学特性を有さないため、このようにして製造された人工歯要素の光学的外観は、依然として患者の他の歯の光学的外観とは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第102010002484号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、その光学特性が患者の天然歯の光学特性に対応するか又は可能な限り近い人工歯要素を提供するために、人工歯要素の異なる層を画定する方法を提供することである。
【0006】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の方法によって達成される。
【0007】
本発明の方法によれば、まず、内側コア要素と、内側コア要素を少なくとも部分的に取り囲む少なくとも1つの外側層要素との間に境界面が画定される。ここで、天然歯と比較して、内側コア要素は、歯が象牙質を含む部分に対応する。天然歯と比較して、外側層要素は、特にエナメル質を含む部分に対応する。
【0008】
境界面は、複製される天然歯のエナメル質と象牙質との間の実際の境界面を画像化することによって画定され得る。
【0009】
好ましくは、少なくとも1つの境界面の画定が人工歯要素の内側でなされ、これは必ずしも天然の境界面に対応する必要はない。少なくとも1つの境界面は、人工歯要素が作成される少なくとも2つの異なる材料間の境界面を表す。この境界面は、患者の天然歯の象牙質とエナメル質との間の境界面に対応しないか、少なくとも完全に対応しないか、又は実際の境界面を考慮して画定されない。少なくとも1つの他の境界面、すなわち天然の境界面と少なくとも部分的に異なる境界面を画定することによって、使用される材料の光学特性は、このように製造された人工歯要素の光学的外観が天然歯の光学的外観に可能な限り近く、好ましくはそれに本質的に対応するように使用される。
【0010】
最初に、歯要素の3次元の外輪郭を決定することができる。ここでは、人工歯要素の外輪郭は、置き換えられる天然歯の外輪郭に対応する。これは、例えば、製造される修復物の機能的及び審美的要件を満たすように、個々の解剖学的構造に適合された歯ライブラリから適切な外輪郭を選択することによって行うことができる。歯ライブラリからの形状の選択の別の方法として、例えば単一の歯冠の場合、反対側の歯の輪郭をミラーリングすることも可能である。特に本発明の方法の前に実行されるステップでは、歯要素の3次元の外輪郭が決定され、特に検出され得る。歯要素の3次元の外輪郭を含むデータセットを開くことも可能である。
【0011】
さらに、本発明の方法を準備するために、歯要素の3次元の外輪郭を座標系に位置合わせすることができる。座標系は、好ましくは、解剖学的に定義された方向指定に関連し、その結果、座標系は、特に近心方向、遠心方向、尖端方向及び切縁/咬合方向を含む。歯要素を座標系に位置合わせすることは、歯要素の3次元の外輪郭に基づいて、歯要素の内側に位置する少なくとも1つの境界面を簡単な方法で画定することが可能であるという利点を有する。
【0012】
第1の境界曲線は、歯の表面上に画定される。第1の境界曲線は、歯の赤道に基づいて画定することができる。歯の赤道は、歯冠の領域における歯の最大円周である。第1の境界曲線は、同様に、曲線としての準備境界に基づくことができ、準備境界は、人工的に処理された歯要素と未処理の歯の表面との間の境界である。第1の境界曲線を少なくとも部分的に手動で画定することも可能である。さらに、例えば歯の赤道及び/又は準備境界に基づいて、特に自動的に画定された曲線を手動で調整することが可能である。第1の境界曲線は、歯の赤道と準備限界との間に画定されることが好ましい。ここで、例えば、歯の赤道及び/又は準備境界までの固定距離で第1の境界曲線を画定することが可能である。特に、第1の境界曲線は、歯の赤道及び準備境界まで同じ距離を有することができ、すなわち歯の赤道と準備境界との間に正確に設けることができる。
【0013】
第1の境界限界を参照して、切縁面又は咬合歯面が決定される。本発明によれば、この歯面は内側に変位する。変位は面の法線の方向であり、特に異なる量だけ変位が行われる。したがって、内側に表示される歯面の表面領域は、程度の差はあるが存在する。これらの異なる変位量は、可変設計パラメータに基づく。少なくとも1つの境界面は、歯面のそのような変位によって作成される。
【0014】
設計パラメータは、特に患者の様々な歯に対して変化し得る。人工歯要素に使用される材料の半透明性に起因して、歯の残根の光学的外観が人工歯要素の外観に影響を及ぼすため、例えば、異なる色の歯の残根に対して修復が実行されるか、又は修復物が異なる厚さで設計される場合、異なる設計パラメータが必要な場合がある。設計パラメータは、特に、使用される材料にも左右される。例えば、材料の最小壁厚を予め定義することができる。これは、主に安定性を決定する、特に内側の、特に象牙色の材料の場合である。さらに、ポリマーベースの材料の光学特性は、純粋なセラミック材料の光学特性とは異なる。
【0015】
本方法の好ましい発展形態では、可変設計パラメータは、歯面の最大の第1の変位及び/又は移行面を画定するための第1の長さを表す。
【0016】
ここで、第1の変位は、好ましくは、前歯及び側歯について、変位が第1の境界曲線で直接発生しないように選択される。さらに、側歯について、中央の亀裂では変位は生じない。第1の変位の量は、好ましくは、第1の境界曲線を起点として、変位の量が最大の第1の変位に達するまで、切縁又は咬合側に向かって面の法線の方向に連続的に増加する。
【0017】
移行面は、例えば、第1の長さの設計パラメータを設定することによって画定されてもよい。したがって、好ましくは、第1の長さは、第1の境界曲線を起点とする移行領域を画定する。同じものは、0を起点として完全な第1の変位まで画定される。移行領域は、第1の境界曲線を起点として完全な第1の変位まで特に滑らかな移行を実現するために設けられる。このような移行面を画定することにより、エナメル質が尖端方向にさらに薄くなる歯の自然な外観を再現することができる。
【0018】
移行面はまた、第1の境界曲線が第1の長さだけ切縁又は咬合に向かって投影されるような方法で画定されてもよく、それによって第2の境界曲線がこの投影により画定される。この場合、移行面は、第1の境界曲線と第2の境界曲線との間に画定される。
したがって、人工歯の内側の少なくとも1つの境界面の画定は、少なくとも、
前記歯面上に第1の境界曲線を画定するステップと、
前記第1の境界曲線に対して切縁/咬合側である歯面を決定するステップと、
前記少なくとも1つの境界面、特に前記第1の境界面を作成するために、前記歯面を前記面の法線の方向に異なる量だけ内側に変位させるステップと、
を含むことが特に好ましい。
【0019】
可変設計パラメータは、好ましくは、歯面の最大の第1の変位と、移行面を画定するための第1の長さとを表し、第1の変位時に、前歯及び側歯の第1の境界曲線では、さらに、側歯の中央の亀裂では、変位が直接行われず、第1の境界曲線を起点として、最大の第1の変位に達するまで、切縁又は咬合側に向かって面の法線の方向の第1の変位の量が連続的に増加し、第1の長さが設計パラメータとして設定される。
【0020】
さらに、第1の境界曲線は、第2の境界曲線を画定するために、切縁/咬合側に向かって第1の長さだけ投影されてもよく、移行面は、第1の境界曲線と第2の境界曲線との間に画定される。
【0021】
本発明によれば、内側コア要素と、内側コア要素を少なくとも部分的に取り囲む少なくとも1つの外側層要素との間の境界面の画定後に、少なくとも1つの追加の層要素が選択される。本発明によれば、複数の追加の層要素を含む提供された選択リストから追加の層要素が選択される。特に、これは、モニタに表示される選択リスト又は選択ボックスであってもよく、その結果、歯科医又は歯科技術者は、例えば単純なクリック又はマーキングによって、選択リストに含まれる個々の又はいくつかの追加の層要素を簡単な方法で選択できる。したがって、歯科医又は歯科技術者は、追加の層要素をモデル化又は他の方法で作成する必要はなく、それらを選択するだけでよい。本発明の方法によれば、少なくとも1つの選択された追加の層要素は、コア要素及び/又は外側層要素に対して空間的に画定された関係で自動的に配置される。場合によっては、自動的な配置はモニタに直接表示することができ、その結果、歯科医又は歯科技術者は、1つ又は複数の追加の層要素を選択することによって、挿入される人工歯の光学的外観が天然歯に近いかどうかに関して第1の印象を既に得ている。
【0022】
少なくとも1つの選択された追加の層要素の自動的な配置は、コア要素及び/又は外側層要素に対して空間的に画定された関係で実行される。好ましくは、自動的な配置は、解剖学的特徴及び/又は補助線若しくは補助点に基づく。補助線及び/又は補助点は、表面の解剖学的特徴に基づいて適用又は画定されることが好ましい。特に、補助線及び/又は補助点の解剖学的特徴及び画定は、層要素ごとに異なる。好ましくは、これは、それぞれの層要素に関して以下に説明するように行われる。
選択リストは、特に、
切縁結節の強調(accentuation of mamelons)、及び/又は着色歯頸、及び/又は半透明効果、及び/又はハロー効果、及び/又は水平帯、及び/又は表面効果を含んでいてもよい。
【0023】
追加の層要素「半透明効果」及び「ハロー効果」は、特に、追加の層要素「切縁/咬合側の光学効果」のサブセットである。
【0024】
追加の歯要素の光学的外観をさらに改善するために、好ましくは、少なくとも個々の追加の層要素について材料及び/又は色を選択することが可能である。追加の層要素はまた、異なる材料から作られてもよく、異なる色又は色のグラデーションを有してもよい。追加の層要素が追加の歯要素に1回だけでなく数回提供される場合、好ましくは、異なる材料、色などを選択することが可能であり、その結果、対応する材料及び/又は色の選択を追加の層要素ごとに別々に行うことができる。
【0025】
「切縁結節の強調」を選択するには、それを切縁結節の領域のコア要素に配置することが好ましい。少なくとも1つの切縁結節は、好ましくは境界面によって画定される。複数の追加の層要素は、異なる追加の層要素「切縁結節の強調」が異なる切縁結節に配置されるように形成することが可能である。特に、追加の層要素「切縁結節の強調」は、少なくとも部分的に外側層要素に配置されることが好ましい。特に、追加の層要素「切縁結節の強調」を形成するために、境界面は少なくとも1つの切縁結節で変位する。境界面の変位は、特に切縁方向で生じる。
【0026】
追加の層要素「切縁結節の強調」は、境界面によって画定された切縁結節に配置されることが好ましい。特に、追加の層要素「切縁結節の強調」は、フード(hood)又は帽子と同様の方法で切縁結節にセットされる。
【0027】
本発明による方法の好ましい発展形態では、少なくとも1つの切縁結節の制御点が画定される。好ましくは、制御点は頂点である。頂点は、切縁結節の先端又は最上部を画定する。好ましくは、特に頂点である制御点は、切縁方向に変位される。低点、すなわち隣接する切縁結節同士の間の最低点は、好ましくは変位しない。したがって、切縁結節の外輪郭を画定する多角形は、切縁結節の頂点に対応する最大値と、切縁結節の間の谷の低点に対応する最小値とを有する。したがって、好ましい実施形態では、多角形の最大値は切縁方向に変位し、最小値は変位しない。
【0028】
追加の層要素「切縁結節の強調」は、境界面の変位の前後に境界面間の領域に形成されることが特に好ましい。変位は、好ましくは0~1mmの範囲、特に0~0.7mmの範囲である。
【0029】
そのような多角形を画定するために、最初に第3の境界曲線又はさらなる境界曲線を画定又は作成することができる。これは、第1又は第2の境界曲線を第2の長さだけ投影させることによって行われ、第2の境界曲線を設けることは任意である。特に、第3の若しくはさらなる境界曲線は、第1の境界曲線の切縁若しくは咬合側の投影によって、又は第2の境界曲線の尖端の投影によって作成される。代替例として、第3の境界曲線は、手動で、又は第1若しくは第2の境界曲線とは独立して、例えば赤道又は準備境界などの歯要素の他の特徴に基づいて作成することができる。
【0030】
さらに、好ましくは、切縁又は咬合側の第1の面の輪郭が決定される。第1の面の輪郭は、第1の最大変位によって作成される第1の境界面上の最も高い曲線によって画定される。最も高い曲線は自動的に決定され、必要に応じて手動で補正することができる。節点は、第1の面の輪郭上に作成又は画定される。その後、節点は、少なくとも部分的に尖端又は切縁/咬合方向に変位する。少なくとも部分的に変位される節点は、相互接続されて第2の面の輪郭を形成する。このようにして作成された第2の面の輪郭は、切縁又は咬合面の輪郭の領域における歯面(又は第1の境界面)の最大の第2の変位を画定する。以下に説明する方法ステップに従って、第2の変位を引き起こす2つの異なる切縁結節の曲線を作成することが好ましい。ここで、2つの異なる切縁結節の曲線は、2つの異なる幾何形状を作り出す。より大きい幾何学的形状から、より小さい幾何学的形状を「取り去る」ことにより、追加の層要素「切縁結節の強調」が配置される空間が得られる。
【0031】
本発明による方法のこの好ましい実施形態では、第2の変位の量は、前歯及び側歯の場合には、最大で第3の境界曲線又はその目的のために最大と定義される長さに達するまで、尖端方向の第3の長さだけ面の法線に向かって連続的に減少する。側歯では、第2の変位の量もまた、中央の亀裂に達するまで、中央の亀裂に向かって連続的に減少する。好ましくは、第3の境界曲線のすぐ近く又は中央の亀裂のすぐ近くの変位量は「0」である。中央の亀裂はまた、手動で画定されてもよく、及び/又は、自動的に画定された若しくは予め決められた中央の亀裂の手動補正が行われてもよい。
【0032】
好ましくは、歯面の最大の第1の変位は、0mm~4mmの範囲内である。
【0033】
さらに、移行面を作成するために必要な第1の長さは、0.1mm~10mmの延長部を有することが好ましい。
【0034】
本発明の好ましい発展形態では、境界、すなわち第1及び/又は第2の切縁面の輪郭上の自動的に決定された最も高い曲線の開始部及び終了部は、前歯の場合の角度によって画定される。角度は、切縁面の輪郭に対する接線と歯軸との間の角度であり、角度は0°~90°、好ましくは10°~70°、特に好ましくは40°~50°である。歯については、歯軸は、単根歯の根端と切縁面の中心又は咀嚼面との間、及び、複根歯の場合は、根元分岐部と咀嚼面の中心との間の接続線として定義される。特に、境界、すなわち開始部及び終了部、及び切縁面の輪郭のコースを手動で画定又は調整することも可能である。
【0035】
好ましくは、前歯の切縁面の輪郭上の節点の位置は、切縁面の輪郭の全長に関して示されるか又は画定される。ここで、切縁面の輪郭上には、少なくとも5つの点が画定されていることが好ましい。より多くの点、特に10を超える点、特に好ましくは20を超える点を画定することが好ましい。
【0036】
側歯については、切縁/咬合面の輪郭上の節点の位置は、咬頭隆線(cusp ridges)の長さに関して咬頭ごとに示されることが好ましい。特に、咬頭の近心開始部と咬頭の先端部との間、又は咬頭の先端部と咬頭遠心端との間の咬頭隆線の長さが使用される。さらに、咬合面の輪郭の全長において、咬頭当たり少なくとも5つの点が画定されていることが好ましい。少なくとも10個のより多くの点、特に少なくとも20個の点が好ましい。
【0037】
切縁/咬合面の輪郭上の節点の尖端方向の変位は、好ましくは-4.0~+4.0mmの範囲である。
【0038】
1つ又は複数の追加の層要素「切縁結節の強調」を提供することに加えて、又はその代わりに、追加の層要素「着色歯頸」を選択することができる。人工歯要素の光学的外観を天然歯に適合させるために、特に歯頸の領域の歯色を適合させること、特に濃くすることがしばしば実現可能であり、必要である。ここで、象牙質の色合いよりも濃い色合いの素材を用いることが特に好ましい。特に、これは、歯色を黄色がかった及び/又は茶色がかった色に着色することである。
【0039】
追加の層要素「着色歯頸」を選択すると、この材料は、境界曲線に対して尖端に位置する外側層要素の領域で少なくとも部分的に着色される。
【0040】
追加の層要素「着色歯頸」を形成するために、外側層要素の材料を着色することができる。加えて、又は代替として、追加の層要素「着色歯頸」を設計するために、別の材料の追加の要素が提供されてもよい。この場合、それは、外側層要素内に配置されることが好ましい。外側層要素は歯頸の下側領域内へと延びない可能性があるため、追加の層要素「着色歯頸」が配置される領域には外側層要素が設けられない可能性がある。この点において、追加の層要素「着色歯頸」はまた、その全体又は一部がコア要素に設けられてもよく、コア要素は、場合によっては歯頸の領域に人工歯要素の外層を形成する。
【0041】
追加の層要素「着色歯頸」は、外側層要素の外輪郭によって制限されることが好ましい。光学的外観を改善するために、特に外側層要素が歯の下側に完全に延び、したがって歯頸の少なくとも一部が外側層要素によって覆われている場合、外側層要素の下に部分的に追加の層要素「着色歯頸」を配置することも可能である。
【0042】
さらに、特に、連続的な色のグラデーションを設計して、追加の層要素「着色歯頸」の層厚を変更することが可能であり、その結果、層厚は、特に尖端方向及び/又は切縁方向又は咬合方向に減少する。
【0043】
上記の追加の層要素「切縁結節の強調」及び/又は「着色歯頸」に加えて、又はその代わりに、追加の層要素「切縁/咬合側の光学効果」を提供することが好ましい。追加の層要素「切縁/咬合側の光学効果」は、特に追加の層要素「半透明効果」又は「ハロー効果」である。
【0044】
半透明効果又は透明効果は、歯冠又は歯の切縁領域でしばしば生じる。追加の層要素「半透明効果」は、外側層要素内の人工歯要素の切縁領域に配置されることが好ましい。ここで、追加の層要素「半透明効果」は外側層要素の外輪郭によって制限されることが好ましく、特に追加の層要素「半透明効果」は人工歯の外縁に配置され、その結果、追加の層要素「半透明効果」は歯の外輪郭を形成する。
【0045】
追加の層要素「半透明効果」の画定のために、外側層要素の表面上に制御点を特に自動的に配置することが好ましい。その後、これらは尖端に変位する。
【0046】
追加の層要素「半透明効果」は、好ましくは、多角形の画定に関して追加の層要素「切縁結節の強調」について説明したように配置される。しかしながら、この場合、外輪郭をより小さくすることが好ましい。
【0047】
変位は、外側層要素の面の法線に沿って行われることが好ましい。0~1mm、特に0~0.5mmの変位が行われることが特に好ましい。
【0048】
さらに、変位前後の外側層要素の表面間の領域には、追加の層要素「半透明効果」が形成されていることが好ましい。ここで、追加の層要素「半透明効果」の外輪郭は、外側層要素の元の外輪郭によって制限されることが特に好ましい。
【0049】
さらなる光学効果は、ハロー効果である。したがって、歯科医又は歯科技術者は、上記の追加の層要素に加えて、又はその代わりに、追加の層要素「ハロー効果」を選択することができる。ハロー効果は、人工歯要素の切縁をわずかに明るく強調することである。これは、通常、半透明であるほど顕著ではない。好ましくは、追加の層要素「ハロー効果」は、追加の層要素「半透明効果」と同様に配置及び寸法などが決められる。追加の層要素「ハロー効果」の顕著性は、追加の層要素「半透明効果」の顕著性よりも小さいことが好ましい。
【0050】
さらなる追加的又は代替的な追加の層要素は、追加の層要素「水平帯」である。
【0051】
水平帯追加の層要素「水平帯」の特に自動的な配置については、最初に横線が歯要素上に画定されることが好ましい。歯要素の高さを参照すると、横線を歯要素のほぼ中央領域に配置することが好ましい。特に、横線は、歯要素の高さ±10%に対して画定される。横線を起点として、水平帯は、両方向に所定の幅にわたって延在する。幅は、好ましくは0.3mm~2mmの範囲である。この切縁/尖端寸法に加えて、水平帯は、好ましくは0.2mm~1.5mmの奥行を有する。水平帯は、コア要素と外側層要素との間に配置され、特にコア要素及び/又は外側層要素内に延在することがさらに好ましい。
【0052】
他の追加の層要素と同様に、追加の層要素「水平帯」が、材料、場合によっては複数の異なる材料、及び着色を選択することも可能であり、着色はやはり色のグラデーション又は異なる色であり得る。
【0053】
さらなる追加の層要素は、追加の層要素「表面効果」である。追加の層要素「表面効果」は、前部の境界面(すなわち、コア要素と外側層要素との間の表面)に配置される。前方領域は、歯要素が所定の位置にあるときの歯の前方の目に見える部分である。追加の層要素「表面効果」は、特に切縁に関連する。追加の層要素「表面効果」の配置については、特に仮想グリッドは、境界面に配置することができる。仮想グリッドは、交差点又は交点を有する。対応する交点を選択することにより、追加の層要素「表面効果」が配置される領域を画定することができる。追加の層要素「表面効果」は、好ましくは1~8mmの幅、好ましくは1~10mmの高さ、好ましくは0.1~1mmの奥行を有する。さらに、追加の層要素「表面効果」は、コア要素内及び/又は外側層要素内に延びる。
【0054】
そのように所望される場合、追加の層要素「切縁結節の強調」は、追加の層要素「表面効果」又は追加の層要素「水平帯」によってカバーすることができる。
【0055】
本発明による方法を実行するには、外側層要素の表面上に配置される仮想グリッドを提供することが特に好ましい。これにより、特にグリッド線の交点である制御点を自動的に画定することが可能である。次いで、これらの制御点を使用して、個々の追加の層要素の位置及び延長部を画定することができる。これにより、特に、個々の追加の層要素の良好かつ自動的な位置決めが可能である。
【0056】
好ましくは、仮想グリッドの縦及び横の延長部は、歯要素の外輪郭シルエットの最大縦及び横寸法によって画定される。グリッドは、好ましくは歯の輪郭を等距離で分割する縦線及び横線を有することがさらに好ましい。ここで、外輪郭シルエットは、正面図における歯要素の投影された輪郭である。
【0057】
すべての追加の層要素は、個別に又は互いに組み合わせて配置することができる。材料、色、色のグラデーションなどの好ましい選択に加えて、歯科医又は歯科技術者はまた、位置及び顕著性、すなわち個々の追加の層要素の寸法を定義することができる。好ましくは、システムは、歯要素のタイプ及び患者固有のサイズに応じて、対応する追加の層要素の位置及び顕著性を自動的に提案する。対応する測定値は、例えば、追加の層要素の定義されたサイズ又は外形寸法によって、特に自動的に定義することができる。システムが設計、材料などを自動的に提案することも可能である。これは、例えば、写真又は画像に基づいて、置き換えられる天然歯又は他の天然歯、特に患者の隣接する天然歯との自動比較によって行うことができる。
【0058】
以下、添付の図面を参照して、好ましい実施形態によって本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図3】追加の面及び曲線を示す、
図1及び
図2の前歯の人工歯要素の概略正面図である。
【
図4】追加の面及び曲線を示す、
図1及び
図2の前歯の人工歯要素の概略側面図である。
【
図5】追加の面及び曲線を示す、
図1及び
図2の前歯の人工歯要素の概略正面図である。
【
図6】追加の面及び曲線を示す、
図1及び
図2の前歯の人工歯要素の概略側面図である。
【
図8a】異なる接線角度を有する
図5の代替図である。
【
図8b】異なる接線角度を有する
図5の代替図である。
【
図8c】異なる接線角度を有する
図5の代替図である。
【
図10】追加の面及び曲線を示す、
図1及び
図2の前歯の歯要素の概略正面図である。
【
図13】
図12に示す側歯の人工歯要素を切縁方向から見た概略図である。
【
図14】追加の層要素「切縁結節の強調」の配置を決定するための人工歯要素の細部の概略正面図である。
【
図16】人工歯要素及び追加の層要素「切縁結節の強調」の正面図及び側面図である。
【
図17】人工歯要素及び追加の層要素「着色歯頸」の正面図及び側面図である。
【
図18】追加の層要素「着色歯頸」を明確にするための人工歯要素の詳細図である。
【
図19】追加の層要素「半透明効果」を明確にするための人工歯要素の正面図及び側面図である。
【
図20】追加の層要素「水平帯」を明確にするための人工歯要素の正面図及び側面図である。
【
図21】追加の層要素「表面効果」を明確にするための人工歯要素の正面図及び側面図である。
【
図22】仮想グリッドを有する人工歯要素の正面図及び側面図である。
【
図23】追加の層要素「半透明効果」の製造と組み合わせた仮想グリッドを有する人工歯要素の正面図及び側面図である。
【
図24】追加の層要素「表面効果」の製造と組み合わせた仮想グリッドを有する人工歯要素の正面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明の方法を実行するためには、まず、内側コア要素と、このコア要素を少なくとも部分的に取り囲む外側層要素との間の境界面を画定することが必要である。この境界面を画定するための可能な方法は、
図1~
図13を参照して以下で詳細に説明される。
【0061】
図1及び
図2は、前歯の人工歯要素10を正面図及び側面図で示している。これは、歯要素の3次元の外輪郭であり、好ましくは、歯要素の3次元の外輪郭のデータを含む対応するデータセットが開かれる。歯要素10を座標系(図示せず)と位置合わせした後、第1の境界曲線12が画定され、第1の境界曲線12は手動で、及び/又は準備境界に基づいて、又は歯の赤道に基づいて画定することができる。第1の境界曲線12は、切縁方向の、すなわち
図1及び
図2の第1の境界曲線12の上方の歯面14を画定する。
【0062】
歯面14は、第1の境界面16(
図3及び
図4)を作成するために、面の法線に向かって内側に変位する。ここでは、一例として最大変位17を示している。
【0063】
図3及び
図4に示すように、本発明の好ましい実施形態によれば、切縁方向19に延びる移行面18は、第1の境界曲線12を起点として画定することができる。図示の実施形態では、移行面18は、第2の境界曲線20が画定されるような方法で、画定される。第2の境界曲線20は、第1の境界曲線12を第1の長さ22だけ投影することによって得ることができる。
【0064】
図示の実施形態では、さらに、第3の境界曲線24が画定される(
図5及び
図6)。第3の境界曲線24は、第1の境界曲線12を第2の長さ26だけ投影することによって得ることができる。
【0065】
第1の最大変位によって作成される第1の境界面16上の最も高い曲線は、切縁/咬合側の第1の表面輪郭28として画定される。第1の表面輪郭28は、2つの境界30、特に始点と終点を有する。ここで、境界30は接線32によって画定される。
図5において、接線32の歯軸34に対する角度は約45°である。
【0066】
図8a~
図8cに示すように、境界30の位置は、接線角度が変化するにつれて変化する。
【0067】
第1の表面輪郭28のコースは、平面図、又は切縁から見た図(
図7)に示されている。
【0068】
多数の節点(
図9)が表面輪郭上に画定される。
図9では、これらの節点が一例として節点1~節点9として指定され、表に記載されている。矢印で示すように、第1の表面輪郭28上に位置する節点は、尖端方向に変位する。変位した節点を接続すると、第2の表面輪郭36が得られる。
【0069】
図示の実施形態では、上記の方法ステップは、第3の境界曲線24、第1の境界面16の一部及び第2の表面輪郭36(
図10及び
図11)によって画定される3次元の境界面をもたらす。本発明による好ましい実施形態では、この3次元の表面の内側には、すなわち空間38内に、この空間を取り囲む人工歯要素10の体積とは異なる材料が設けられる。これらの2つの体積は、特に異なる材料によって画定され、内部体積38は象牙質を模している。ここで、象牙質を形成する体積と周囲の体積との間の境界面は、関連する天然歯の対応する境界面と同一ではない。
【0070】
図12及び
図13は、側歯の対応する輪郭を示しており、これらは、前歯の突出縁部について説明した輪郭に対応している。さらに、中央の亀裂40(
図13)が示されている。中央の亀裂40を示す線は、咬頭の始点及び咬頭の終点をそれぞれ表す2つの境界点42を有する。さらに、咬頭先端部44は、第2の表面輪郭36上に示されている。点46は、咬頭端部及び次の咬頭の始点を画定する。
【0071】
上記の方法ステップに従って画定された3次元の境界面では、内部体積38は内側コア要素を形成し、内部体積38を取り囲む体積50は外側層要素を形成する。
【0072】
追加の層要素「切縁結節の強調」の配置について、頂点54は、好ましい実施形態ではシルエット曲線52、すなわち内側コア要素38と外側層要素50との間の境界曲線上に画定される。頂点54は、点56が画定されるように、切縁に向かって変位される。それに応じて、シルエット曲線52の位置が変化する。シルエット曲線52と、切縁変位後の点56によって画定される境界面58との間に間隙60が形成される。これらの間隙60には、追加の層要素「切縁結節の強調」が配置されている。これらは、特に
図16に示すように、異なるように着色されてもよく、又は異なる材料から作成されてもよい。
【0073】
図17及び
図18は、追加の層要素「着色歯頸」の一例を示す。図から分かるように、人工歯要素は歯頸の領域で着色され、その結果、追加の要素が配置される。追加の層要素「着色歯頸」62は、
図18に見られるように、コア要素38内に少なくとも部分的に配置することができる。これは、特に境界面53がどこに配置されるかによって画定される。追加の層要素「着色歯頸」は、外側層要素50の外輪郭によって制限されることが好ましい。同様に、光学的外観の変化のために、追加の層要素「着色歯頸」62が外側層内に部分的に配置され、その結果、外側層要素50が、薄くてもよい層で追加の層要素「着色歯頸」62を覆う。
【0074】
図19に概略的に示すさらなる追加の層要素は、追加の層要素「半透明効果」64である。これは、外側層要素50内の人工歯要素の切縁領域に設けられる追加の層要素である。追加の層要素「半透明効果」64の位置及び設計の定義のために、外側層要素の上面に制御点を画定することができ、制御点はその後、内側に、すなわち内側コア要素に向かって変位する。
【0075】
好ましい実施形態では、追加の層要素「半透明効果」の外側境界は、外側層要素50の外面を表す。
【0076】
特に
図20に示す別の追加の層要素「水平帯」66は、人工歯要素のほぼ中央領域に配置された横線である。水平帯は、好ましくは、歯要素のほぼ中心の高さに配置された横線68から始まる。水平帯66は、断面が楕円形であってもよい。特に、水平帯66は、外側層要素50内に部分的に突出し、内側部分要素38内に部分的に配置される。
【0077】
さらなる追加の層要素(
図21)は、追加の層要素「表面効果」70である。これは、人工歯要素の前方領域、好ましくはコア要素38と外側層要素50との間に配置される。追加の層要素「表面効果」70と追加の層要素「切縁結節の強調」60との間に垂直方向の重なりが存在する場合、追加の層要素「表面効果」は、
図1に示す切歯の前面72に対して追加の層要素「切縁結節の強調」60の前方又は後方に配置することができる。
【0078】
本発明による方法の実行、特に少なくとも部分的な自動化のために、仮想グリッド(
図23から
図24)が提供されることが好ましい。仮想グリッドは、特に等距離に配置された横線74及び縦線76を含む。外側境界として、グリッドは人工歯要素の外輪郭シルエット78を有する。節点80は、縦線及び横線74、76と外輪郭シルエットとの接触点によって画定することができる。さらなる節点82(例えば、
図24を参照)は、横線及び縦線74、76の交点で画定することができる。
【0079】
個々の節点80、82を使用して、個々の追加の層要素の位置合わせ、サイズなどは、簡単な方法で、特に自動的に画定及び調整することができる。
【0080】
例えば、シルエット78上に配置された節点80は、
図23に見られるように、個々の点を変位させることによって半透明効果に使用することができる。
【0081】
図24から分かるように、例えば、節点82を使用して表面効果の位置を画定することができる。他の節点を使用して、残りの追加の層要素を画定することができる。
【国際調査報告】