IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グルー・アクチボラゲットの特許一覧

<>
  • 特表-スマートロック 図1
  • 特表-スマートロック 図2
  • 特表-スマートロック 図3
  • 特表-スマートロック 図4
  • 特表-スマートロック 図4A
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-09
(54)【発明の名称】スマートロック
(51)【国際特許分類】
   E05B 41/00 20060101AFI20230802BHJP
   E05B 47/00 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
E05B41/00 F
E05B47/00 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504083
(86)(22)【出願日】2021-07-19
(85)【翻訳文提出日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 EP2021070113
(87)【国際公開番号】W WO2022018014
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】2011117.5
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522314278
【氏名又は名称】グルー・アクチボラゲット
【氏名又は名称原語表記】GLUE AB
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キング,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ビラーリアル,アンドニ
(57)【要約】
閉鎖構造体を固定するためのスマートロックが提供される。スマートロックは、ロック機構をロック解除位置とロック位置との間で作動させるための駆動列と、駆動列を駆動してロック機構を作動させるように配置されたアクチュエータと、駆動列の位置を示すロケーション信号を出力するように配置された位置センサと、駆動列を駆動してロック機構を作動させるように配置されたマニュアルアクチュエータと、マニュアルアクチュエータの移動に応じて移動信号を出力するように配置された移動センサとを備える。移動センサは位置センサよりも少ない電力を引き出すように配置される。スマートロックはプロセッサをさらに備え、プロセッサは、a.移動信号を検出し、b.移動信号の検出に応じてロケーション信号を監視するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖構造体を固定するためのスマートロックであって、前記スマートロックは、
ロック機構をロック解除位置とロック位置との間で作動させるための駆動列と、
前記駆動列を駆動して前記ロック機構を作動させるように配置されたアクチュエータと、
前記駆動列の位置を示すロケーション信号を出力するように配置された位置センサと、
前記駆動列を駆動して前記ロック機構を作動させるように配置されたマニュアルアクチュエータと、
前記マニュアルアクチュエータの移動に応じて移動信号を出力するように配置された移動センサとを備え、前記移動センサは前記位置センサよりも少ない電力を引き出すように配置され、
前記スマートロックはプロセッサをさらに備え、前記プロセッサは、
a.前記移動信号を検出し、
b.前記移動信号の検出に応じて前記ロケーション信号を監視する
ように構成される、スマートロック。
【請求項2】
前記移動センサは受動センサである、請求項1に記載のスマートロック。
【請求項3】
前記移動センサは、磁気検出器と1つ以上の磁石とを含む磁気センサであり、前記磁気検出器と前記1つ以上の磁石とのうちの一方は前記マニュアルアクチュエータに設置される、先行するいずれかの請求項に記載のスマートロック。
【請求項4】
前記受動磁気センサの前記1つ以上の磁石は、複数の磁石である、請求項3に記載のスマートロック。
【請求項5】
前記マニュアルアクチュエータは、前記駆動列を駆動するために軸を中心として回転可能であり、前記複数の磁石は、前記軸について回転対称である、請求項4に記載のスマートロック。
【請求項6】
前記1つ以上の磁石は、前記マニュアルアクチュエータに配置される、請求項2~5のいずれか1項に記載のスマートロック。
【請求項7】
前記移動センサは電磁センサである、先行するいずれかの請求項に記載のスマートロック。
【請求項8】
前記マニュアルアクチュエータは、
サムターンホイール、または

である、先行するいずれかの請求項に記載のスマートロック。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記ロック機構が前記ロック解除位置にあるか前記ロック位置にあるかを、前記ロケーション信号に基づいて判断することにより、前記閉鎖構造体のロッキング状態を判断するように構成される、先行するいずれかの請求項に記載のスマートロック。
【請求項10】
前記電動アクチュエータに流れる電流を示す電流信号を出力するように配置された電流センサをさらに備え、
前記プロセッサはさらに、前記電流信号に基づいて前記駆動列と前記ボルトとの係合の位置を判断するように構成され、
前記閉鎖構造体の前記ロッキング状態の前記判断は、前記ロケーション信号と、前記駆動列と前記ボルトとの係合の位置との比較に基づく、請求項9に記載のスマートロック。
【請求項11】
リモートデバイスとの通信のための送信機をさらに備え、前記送信機は、前記移動信号の検出に応じた前記ロケーション信号に関する情報を送信するように構成される、先行するいずれかの請求項に記載のスマートロック。
【請求項12】
前記送信機は、前記閉鎖構造体の前記ロッキング状態を送信するように構成される、請求項9または請求項10に従属する請求項11に記載のスマートロック。
【請求項13】
前記プロセッサは、
前記移動信号をしきい値と比較し、
前記移動信号が前記しきい値を上回るとステップbを実行する
ように構成される、先行するいずれかの請求項に記載のスマートロック。
【請求項14】
前記位置センサは符号器である、先行するいずれかの請求項に記載のスマートロック。
【請求項15】
前記位置センサは電磁センサである、先行するいずれかの請求項に記載のスマートロック。
【請求項16】
前記位置センサは能動センサである、先行するいずれかの請求項に記載のスマートロック。
【請求項17】
前記位置センサは低電力モードで配置され、前記プロセッサは、前記移動の検出に応じて前記位置センサを起動し次にステップbを実行するように構成される、先行するいずれかの請求項に記載のスマートロック。
【請求項18】
スマートロックを監視する方法であって、
前記スマートロックは、
ロック機構をロック解除位置とロック位置との間で作動させるための駆動列と、
前記駆動列を駆動して前記ロック機構を作動させるように配置されたアクチュエータと、
前記駆動列の位置を示すロケーション信号を出力するように配置された位置センサと、
前記駆動列を駆動して前記ロック機構を作動させるように配置されたマニュアルアクチュエータと、
前記マニュアルアクチュエータの移動に応じて移動信号を出力するように配置された移動センサとを備え、前記移動センサは前記位置センサよりも少ない電力を引き出すように配置され、前記方法は、
前記移動信号を検出して前記マニュアルアクチュエータの移動を識別するステップと、
前記移動信号の検出に応じて前記ロケーション信号を監視することにより、前記駆動列の位置を判断するステップとを含む、方法。
【請求項19】
前記移動センサは受動センサである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記移動センサは電磁センサである、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記移動センサは、磁気検出器と1つ以上の磁石とを含む磁気センサであり、前記磁気検出器と前記1つ以上の磁石とのうちの一方は前記マニュアルアクチュエータに設置される、請求項18~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記スマートロックは、リモートデバイスとの通信のための送信機をさらに備え、
前記方法は、前記移動信号の検出に応じた前記ロケーション信号に関する情報を前記リモートデバイスに送信するステップをさらに含む、請求項18または21に記載の方法。
【請求項23】
前記ロック機構が前記ロック解除位置にあるか前記ロック位置にあるかを、前記ロケーション信号に基づいて判断することにより、前記スマートロックのロッキング状態を判断するステップをさらに含み、前記ロケーション信号に関する前記情報は、前記スマートロックの前記ロッキング状態である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記スマートロックは、前記電動アクチュエータに流れる電流を示す電流信号を出力するように配置された電流センサをさらに備え、
前記方法は、前記電流信号に基づいて前記駆動列と前記ボルトとの係合の位置を判断するステップをさらに含み、
前記閉鎖構造体の前記ロッキング状態の前記判断は、前記ロケーション信号と、前記駆動列と前記ボルトとの係合の位置との比較に基づく、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ロッキング状態が変更された場合に前記リモートデバイス上に通知を生成するステップをさらに含む、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記位置センサは低電力モードであり、前記方法は、前記移動信号の検出に応じて前記位置センサを起動するステップをさらに含む、請求項18~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記移動信号をしきい値と比較するステップをさらに含み、
前記ロケーション信号を監視することは、前記移動信号が前記しきい値を上回った場合に実行される、請求項18~26のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドアまたはその他の閉鎖構造体をロック解除およびロックする手段を提供する、改良されたスマートロックおよび関連する方法に関する。加えて、本開示のスマートロックは、ユーザが、第三者の、たとえば友人および家族、配送会社、清掃会社、保育提供者、およびその他の訪問者の、ドアまたは閉鎖構造体を介したアクセスを、管理できるようにする。
【背景技術】
【0002】
背景
「スマート」ロックは、電気機械式ロックであり、スマートフォン等の認証されたリモートデバイスから命令を受信すると、典型的には認証プロセスを実行するためにワイヤレスプロトコルおよび暗号鍵を使用して、ドアに対するロック動作およびロック解除動作を実行するように設計される。スマートロックは、アクセスまたはアクセスの試みを監視し必要に応じてリモートデバイスに警告を送信することもできる。スマートロックは、スマートホームの一部として使用されることもある。
【0003】
そのようなスマートロックは、任意のタイプの閉鎖またはロック機構に適用することができる。ユーロシリンダー(Euro Cylinder)スマートロックの一例が、その内容全体を本明細書に引用により援用するWO2017/046399A1に示されている。
【0004】
スマートロックは、モータを使用してロック機構を駆動することで、ドアを固定および解放することができる。リモートデバイスを使用してロックまたはロック解除アクションを開始するとき、これをログ記録することができる。家族が複数のスマートフォンでこの家族の家のドアをロックおよびロック解除するように、複数の人々が彼らの個々のリモートデバイスからスマートロックをロックまたはロック解除することができる場合がある。この場合、ロックまたはロック解除が開始されたときに通知が他のリモートデバイスのうちの1つ以上に送信されることが、さらに有効である。たとえば、親は、子供がドアをロックまたはロック解除した場合に通知を受けることを望む場合がある。
【0005】
リモートデバイスによってトリガされるロックイベントまたはロック解除イベントは、容易にログ記録および通信することができるデジタルイベントを生成するので、ログ記録することは容易である。しかしながら、ほとんどのスマートロックにおいて、ロック機構を、マニュアルユーザ入力により、ロック位置とロック解除位置との間で作動させることもできる。これは、内部または外部作動に使用することができる物理的な鍵を介するものである場合がある。代わりに、内部作動は、スライドまたはサムターンホイール等のマニュアルアクチュエータによって駆動される場合がある。そのような動作は、デジタルイベントによってトリガされるものではないので、たとえば外部または内部のサーバまたはシステムにログ記録されず、したがって住宅所有者に通知されない。
【0006】
これらのマニュアル作動イベントはログ記録も検出もされず、ドアが、記録または適切な通知の生成なしで開閉される場合がある。
【0007】
それ故に、改良されたスマートロックおよび関連する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
概要
本開示は、請求項1に記載のスマートロックを提供する。このスマートロックは、電池の使用を最適化しつつ、ロック機構をマニュアルアクチュエータによって作動させるときにロック機構の位置を監視することを可能にする。マニュアルアクチュエータの移動が検出されない限り、位置センサはプロセッサから無視されてもよい。これに代えて、またはこれに加えて、位置センサは、検出されるマニュアルアクチュエータの移動に基づいて、低電力「スリープ」モードと能動検出モードとの間で切り替え可能であってもよい。すなわち、低電力のセンサを常に監視するだけでよく、位置センサを選択的に監視することにより、電池の使用を節約することができる。移動センサは、この電力を、アクチュエータの移動を検知するために使用されているときに引き出し、これは、位置センサが駆動列の位置を検出しているときに引き出す電力と比較される。
【0009】
移動センサは受動センサであってもよい。すなわち、アクチュエータの移動を検出するために電力を引き出さないセンサである。
【0010】
移動センサは電磁センサである。電磁センサは、特に選択的に作動させることができるので、特に好適である。
【0011】
移動センサは、磁気検出器と1つ以上の磁石とを含む磁気センサであってもよく、磁気検出器と1つ以上の磁石とのうちの一方はマニュアルアクチュエータに搭載されてもよい。磁気センサは、マニュアルアクチュエータの移動を検出するための便利で簡単な方法である。代わりに、物理的な接触スイッチ等の任意の適切なセンサを使用することができる。
【0012】
受動磁気センサの1つ以上の磁石は、複数の磁石であってもよい。複数の磁石は、たとえば磁石のうちの1つが磁気検出器の検出範囲内を通過する可能性が高いので、より小さな移動の検出を可能にすることから、マニュアルアクチュエータの移動を確実に検出するのに役立ち得る。
【0013】
マニュアルアクチュエータは、駆動列を駆動するために軸を中心として回転可能であってもよく、複数の磁石は、軸について回転対称であってもよい。多くのマニュアルアクチュエータは回転可能であり、磁石を回転軸について対称にすることは、マニュアルアクチュエータの任意の移動を検出する効果的な方法である。
【0014】
1つ以上の磁石は、マニュアルアクチュエータに配置されてもよい。回転部品に配線を追加する必要がないので、マニュアルアクチュエータに磁石を配置することはより簡単である。
【0015】
マニュアルアクチュエータは、サムターンホイールであってもよい。ユーザは、そのようなサムターンホイールでロックを作動させるために使用される。
【0016】
プロセッサは、ロック機構がロック位置にあるかロック解除位置にあるかを、ロケーション信号に基づいて判断することにより、閉鎖構造体のロッキング状態を判断するように構成されてもよい。ロッキング状態は、ロック機構が最も有用な形態になるように移動することに関する情報を表す。
【0017】
スマートロックは、リモートデバイスとの通信のための送信機をさらに備えていてもよく、送信機は、移動信号の検出に応じたロケーション信号に関する情報を送信するように構成されてもよい。この送信は、中央スマートハブを介して、または直接、リモートデバイスに対して行われてもよい。これにより、リモートデバイスのユーザは、マニュアルアクチュエータによって実行されるアクションを監視することができる。
【0018】
送信機は、閉鎖構造体のロッキング状態を送信するように構成されてもよい。これにより、リモートデバイスのユーザは、その一番の関心事であろう、ドアのロッキング状態の視認を行うことができる。ドアのロッキング状態が変更された場合にリモートデバイス上に通知が生成されてもよい。
【0019】
スマートロックは、電動アクチュエータに流れる電流を示す電流信号を出力するように配置された電流センサをさらに備えていてもよく、プロセッサはさらに、電流信号に基づいて駆動列とボルトとの係合の位置を判断するように構成されてもよく、閉鎖構造体のロッキング状態の判断は、ロケーション信号と、駆動列とボルトとの係合の位置との比較に基づいていてもよい。これは、マニュアルアクチュエータを回転させたユーザがスマートロックをロックしたのかロック解除したのかを、スマートロックが判断するための、効果的な方法である。
【0020】
プロセッサはさらに、移動信号をしきい値と比較し、移動信号がしきい値を上回るとステップbを実行するように、構成されてもよい。これにより、デバイスは、ロッキング状態を調整することなく単にマニュアルアクチュエータを触っている人の監視を回避することができる。
【0021】
位置センサは符号器であってもよい。符号器は、センサ自体から提供された生データを解釈するために使用されるさらに他の処理ステップを含み得る。
【0022】
磁気位置センサは、この構成に特に適した位置センサとなり得る。
位置センサは能動センサであってもよい。すなわち、位置センサは動作するために電源を必要とし得る。そのような能動センサは、受動センサよりも精密であり、そのため、駆動列の、したがってロック機構の移動を、より正確に検出することができる。
【0023】
位置センサは低電力モードで配置されてもよく、プロセッサは、移動の検出に応じて位置センサを起動し次にステップbを実行するように構成される。低電力モードは、無電力モードまたはスリープモードであってもよい。これにより、システムの総電力使用量を削減することで、電池寿命を延ばすことができる。
【0024】
第2の態様に従い、請求項17に記載のスマートロックを監視する方法が提供される。この方法は、電池の使用を最適化しつつ、ロック機構をマニュアルアクチュエータによって作動させるときにロック機構の位置を監視することを可能にする。マニュアルアクチュエータの移動が検出されない限り、位置センサはプロセッサから無視されてもよい。これに代えて、またはこれに加えて、位置センサは、検出されるマニュアルアクチュエータの移動に基づいて、低電力「スリープ」モードと能動検出モードとの間で切り替え可能であってもよい。すなわち、受動であり電源投入されていないセンサを常に監視するだけでよく、位置センサを選択的に監視することにより、電池の使用を節約することができる。
【0025】
移動センサは受動センサであってもよい。すなわち、アクチュエータの移動を検出するために電力を引き出さないセンサである。
【0026】
移動センサは電磁センサである。電磁センサは、特に選択的に作動させることができるので、特に好適である。
【0027】
移動センサは、磁気検出器と1つ以上の磁石とを含む磁気センサであってもよく、磁気検出器と1つ以上の磁石とのうちの一方はマニュアルアクチュエータに搭載されてもよい。磁気センサは、マニュアルアクチュエータの移動を検出するための便利で簡単な方法である。代わりに、トリガスイッチ等の任意の適切なセンサを使用することができる。
【0028】
スマートロックは、リモートデバイスとの通信のための送信機をさらに備えていてもよく、この方法は、移動信号の検出に応じたロケーション信号に関する情報をリモートデバイスに送信するステップをさらに含み得る。これにより、リモートデバイスのユーザは、マニュアルアクチュエータによって実行されるアクションを監視することができる。
【0029】
この方法は、ロック機構がロック位置にあるかロック解除位置にあるかを、ロケーション信号に基づいて判断することにより、スマートロックのロッキング状態を判断するステップをさらに含んでいてもよく、ロケーション信号に関する情報はスマートロックのロッキング状態であってもよい。これにより、リモートデバイスのユーザは、その一番の関心事であろう、ドアのロッキング状態の視認を行うことができる。ドアのロッキング状態が変更された場合にリモートデバイス上に通知が生成されてもよい。
【0030】
スマートロックは、電動アクチュエータに流れる電流を示す電流信号を出力するように配置された電流センサをさらに備えていてもよく、この方法は、電流信号に基づいて駆動列とボルトとの係合の位置を判断するステップをさらに含んでいてもよく、閉鎖構造体のロッキング状態の判断は、ロケーション信号と、駆動列とボルトとの係合の位置との比較に基づいていてもよい。これは、サムターンを回したユーザがスマートロックをロックしたのかロック解除したのかを、スマートロックが判断するための、効果的な方法である。
【0031】
この方法は、ロッキング状態が変化した場合にリモートデバイス上に通知を生成するステップをさらに含み得る。生成された通知は、ユーザに対し、ドアのロッキング状態が変化したことを示すことができる。これにより、ユーザがさらに調べたい作業を、ユーザに知らせることができる。
【0032】
位置センサは低電力モードであってもよく、この方法は、移動信号の検出に応じて位置センサを起動するステップをさらに含み得る。低電力モードは、無電力モードまたはスリープモードであってもよい。これにより、システムの総電力使用量を削減することで、電池寿命を延ばすことができる。
【0033】
この方法は、移動信号をしきい値と比較するステップをさらに含み得るものであって、移動信号がしきい値を上回るとロケーション信号の監視が行われてもよい。これにより、デバイスは、ロッキング状態を調整することなく単にマニュアルアクチュエータを触っている人の監視を回避することができる。
【0034】
次に、あくまでも例として、本開示の実施形態を、それらが示されている以下の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本開示に係るスマートロックの斜視図である。
図2】ドアに設置された図1のスマートロックを示す図である。
図3図1のスマートロックの分解斜視図である。
図4図1のスマートロックの断面図である。
図4A図4の断面図の一部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図面の詳細な説明
図1図4Aは、本開示に係るスマートロック1を示す。以下、あくまでも例として、家庭用スイングドア5を固定する際に使用するスマートロック1を説明し、示す。言い換えると、ドア5は、1つ以上のヒンジに取り付けられ、これらのヒンジの上で、開位置と閉位置との間で枢動する。しかしながら、スマートロック1は、必要に応じて他のドアおよび他のタイプの閉鎖構造体を固定するために使用されてもよい。
【0037】
スマートロック1は、概ねWO2017/046399A1で描かれ説明されているものと同様であり、その改良点を以下で述べる。特に、クラッチ装置および/または駆動列等の本発明の作動機構は、WO2017/046399A1に記載されているものと同様であってもよく、その改良点を以下で述べる。
【0038】
スマートロック1は、本体部8とフロントカバー9とで形成されていてもよい。この本体部8の内部に電動アクチュエータ24が設けられてもよい。電動アクチュエータ24はモータであってもよい。また、ロック機構をロック解除位置とロック位置との間で作動させるように配置された駆動列が設けられてもよい。ロック位置ではドア5の開放が防止される。ロック解除位置ではドア5を開くことができる。使用時、電動アクチュエータ24は、ロック機構をロック解除位置とロック位置との間で作動させるために駆動列を駆動する。
【0039】
たとえば、モータ24の出力シャフトは、駆動列内のベベルギア57に結合するように構成されたピニオンギア80に結合されてもよい。図4からわかるように、モータ24の出力シャフトの回転軸は、ベベルギア57の回転軸を交差する方向であってもよく、またはこの回転軸に垂直であってもよい。
【0040】
ロック機構は、図2に示されるボルト11を含み得る。ボルト11は、概ねドア6から突出していないロック解除位置(図2に示される)と、ボルト11がドア6から突出してロックキープに収容されドア6が開くのを防止するロック位置との間で移動可能であってもよい。ロックの位置は、「ロッキング状態」として知られているものであってもよい。ボルト11の、ロック解除位置からロック位置への移動は「ロックアクション」として知られている。ボルト11の、ロック位置からロック解除位置への移動は、「ロック解除アクション」として知られている。
【0041】
ボルト11および/またはロック機構は、全体として、実質的にドア6の凹部の中に収容されてもよい。これは特に、ユーロシリンダーロックまたはその他のモーティス(mortice)型ロックに当てはまる。これに代えて、ボルト11および/またはロック機構が全体としてドア6の外部にあってもよい。たとえば、ボルト11および/またはロック機構は、別個のハウジング内またはスマートロックハウジング8内で保持されてもよい。これは特に、US4313320Aに示されるような箱錠(rim lock)に当てはまる。
【0042】
スマートロック1は、スマートフォン等のリモートデバイスと通信するように配置された受信機および/または送信機を含み得る。これに代えて、またはこれに加えて、スマートロック1は、それ自体がリモートデバイスと通信しているスマートハブ等のリモートハブと通信してもよい。
【0043】
使用時、受信機は、ロックアクションまたはロック解除アクションを開始する入力信号をリモートデバイスから受信することができる。スマートロックはプロセッサをさらに含み得る。プロセッサは、任意の適切な制御システムであればよく、1つ以上のサブプロセッサを含み得る。プロセッサは、入力信号を受信することができ、電動アクチュエータ24の作動を制御することにより、ロック機構を駆動して、ロックアクションまたはロック解除アクションを完了することができる。
【0044】
スマートロック1は、1つ以上のマニュアルアクチュエータをさらに含み得る。1つのマニュアルアクチュエータは、ロック機構を作動させるためにユーザのキーを収容するためのキーシリンダまたはキーホールであってもよい。キーシリンダは、正しいキーがキーホールに挿入されて回されると回転するように、既知の原理に従って動作する、典型的なバレルシリンダであってもよい。テールピース105がキーシリンダから延びている。テールピース105は、キーシリンダに挿入されたキーが回転すると回転する。このテールピース105の移動により、ロック機構を作動させて、ボルト11をロック位置とロック解除位置との間で移動させることができる。
【0045】
典型的に、キーホールは、ドア6の外側に配置される。すなわち、一般的に、ドア6の、外界に露出する側である。なお、ドア6の内側では、スマートロック1をロックおよびロック解除するための鍵は必ずしも必要ではない。代わりになるものとして、オペレータに対するいかなる検証手段も含まない、サムターンホイール12または他のマニュアルアクチュエータがある。これにより、内部マニュアルアクチュエータを、素早くかつ簡単に操作して、ボルト11をロック位置とロック解除位置との間で移動させることができる。
【0046】
使用時、機械式アクチュエータの作動はまた、駆動列を駆動してロック機構を作動させる。駆動列は、機械式および電動アクチュエータを分離するためのクラッチ機構を含み得る。たとえば、駆動列は、ロックテールピース105を収容するように配置されたクラッチ本体55を含み得る。ロックテールピース105は、交換される特定のタイプのロックに対応するように選択されたインサート25に収容されてもよい。同様に、スマートロック1をドアに取り付けるための適切な取付板26が設けられてもよい。取付板26は、特定のタイプのロックに対応し得る。次に、このインサート25をクラッチ本体55に収容してロック機構の作動を可能にしてもよい。
【0047】
マニュアルアクチュエータは、電動アクチュエータ24にロックまたはロック解除アクションを開始させるためのボタン14をさらに含み得る。ボタン14の押下はプロセッサによって検出されてもよく、そうすると、プロセッサは適宜電動アクチュエータ24を制御する。たとえば、ボタン14は、図面に示されるようにサムターンホイール12上のボタン14として設けられてもよい。このボタン14は、ユーザがドア6を通って出る(すなわち内部の場所から外部の場所へと進む)ときに使用されてもよい。
【0048】
ボルト11がロック解除位置にあるとき、ユーザは、ボタン14を押してロックアクションをトリガしてもよい。このロックアクションは、予め定められた遅延期間の後に行われてもよい。たとえば、ロックアクションは、所定の期間後に行われてもよい。代わりに、スマートロック1は、ドア6が閉じられた時間を検知してもよく、その後ロックアクションが開始されてもよい。
【0049】
結果として、ユーザは、ドア6を通って出るときにボタン14を押すことができる。ユーザは、背後でドア6を閉じることができ、予め定められた遅延期間の後に、ドア6を固定するためにロックアクションが開始される。ボタン14を使用することで、瞬間ロックアクションと予め定められた遅延期間後のロックアクションとを区別してもよい。たとえば、ボタン14を複数回押すまたは押した位置で保持することにより、予め定められた遅延期間をトリガしてもよい。
【0050】
ロック機構を電動アクチュエータ24によって作動させる場合、デジタルイベントが存在するので、たとえばプロセッサによって作動イベントをログ記録することは容易である。次に、送信機は、(場合によってはスマートハブを介して)ユーザのリモートデバイスと通信することにより、イベントの通知を生成することができる。ロックまたはロック解除アクションをマニュアルアクチュエータを通して作動させるときにはそのようなデジタルイベントはない。
【0051】
駆動列の位置を判断するために位置センサが設けられてもよい。ボルトが駆動列によって駆動されるときに、駆動列の位置を知ることで、ボルトの位置、したがってそのロッキング状態を知ることができる。位置センサは、駆動列の位置、したがってロック機構、ボルト11、および電動アクチュエータ24の位置を示す、ロケーション信号を出力するように、配置されてもよい。たとえば、位置センサは、駆動列内のギアまたはクラッチ構成要素のうちの1つの回転位置を検出するように配置されてもよい。位置センサが配置される構成要素は、サンプリングギアと呼ばれることがある。特に、位置センサは、ロータリーエンコーダまたはリニアエンコーダであってもよい。
【0052】
このサンプリングギアは、駆動列内の少なくとも1つの他のギアより小さくてもよい。サンプリングギアがより小さいということは、ロック機構の移動がサンプリングギアのより多くの回転に対応することを意味する。いくつかの例において、位置センサは、駆動列内のギアの最小半分におけるギアに、または駆動列の最小ギアに配置されてもよい。代わりにより大きなサンプリングギアを用いてもよい。
【0053】
好ましくは、サンプリングギア(および任意の数の中間ギア)は、マニュアルアクチュエータの1回転が、サンプリングギアの整数Nの回転をもたらすように、サイズが決められる。すなわち、サンプリングギアの1回転は、マニュアルアクチュエータの総回転の、割り切れる比率である。
【0054】
特定の実施形態において、サンプリングギアは、ギアボックス38の一部として配置されてもよい。好ましくは、サンプリングギアはまた、ギアボックスを通してトルクを伝達するが、位置センサの一部として単に存在する訳ではない。サンプリングギアは、駆動するギアについて、1:1~2:1のギア比を有していてもよい。
【0055】
サンプリングギアは、ボルトがロック位置とロック解除位置との間で(またはその逆)移動する前に、何度も回転し得る。ボルトの位置を判断するために、現在の回転の角度とともに、回転の累積をカウントしてもよい(すなわち360°回転ごと)。これにより、スマートロック1の互換性を高めることができる。回転がわずか90°のロックも、回転が最大720°、さらにはそれを超えるロックもある。
【0056】
設置中に、ユーザが、サムターンホイール12を一連の向きに回転させ、これらをスマートロック1の内部メモリに格納することにより、スマートロック1を較正してもよい。このことは、スマートロック1が相互作用しているドアロック機構の種類をスマートロック1に示し、プロセッサは、電動アクチュエータ24を制御して、ロック機構を適宜作動させることができる。これにより、広範囲にわたる互換ロックに対してスマートロック1を最適化することが可能になる。
【0057】
この較正は、サムターンホイール12の回転の開始および停止位置、回転の角度距離(たとえば単位「度」)および持続時間(たとえば単位「秒」)、回転の一時停止が必要な任意の位置、ならびにコマンドが実行された後にロックが戻るべき任意の「中立位置」を、含み得る。これにより、スマートロック1は、より広い範囲のドアロック機構に対応することができる。
【0058】
較正は、外部アプリケーションと併せて実行されてもよい。
較正の一例において、サムターンホイール12を、最初に、完全にロックされた位置まで回転させ、次に、完全にロック解除された位置まで回転させる(またはその逆)。これらの位置において、ロック機構は、それぞれの機械的エンドストップに接触している。スマートロック1は、これに基づいてボルト11がいつロック位置にあるかまたはロック解除位置にあるかを識別するために、位置センサを使用してもよい。次に、プロセッサは、モータ24を制御して適切な場所まで回転させることにより、ロックまたはロック解除イベントを実行してもよい。
【0059】
位置センサは、1つ以上の磁石34と、1つ以上の磁石34を検出するように配置された磁気センサ32とから形成された、磁気位置センサであってもよい。ある具体的な実施形態において、磁気位置センサは、一連の磁極を有する単一の直径磁石34を含み得る。磁気センサは、磁気抵抗センサまたはホール効果センサであってもよい。
【0060】
位置センサは、動作するのに電力の投入を必要とする能動センサであってもよい。これは、測定から十分な精度を得てロック機構のロッキング状態を判断するために必要となり得る。ロケーション信号が、ロックによってロッキング状態が変更されたことを示すと、信号を送信してユーザのリモートデバイス上に通知を生成してもよい。
【0061】
ほとんどの動作設定において、スマートロック1は、主電源に接続されることはなく、代わりに電池電力に頼らなければならない。位置センサのみを使用する場合、ユーザがサムターン12を使用してロッキング状態をいつ調整したかを検出するために、位置センサは常に給電されていなければならない。結果として、電池は常に消費されることになり、これは、より頻繁に電池を再充電または交換する必要があることを意味する。
【0062】
そのため、位置センサを、能動検出状態と非能動状態との間で切り替えてもよい。位置センサは、非能動状態において、全く電力供給されなくてもよく、または低電力「スリープ」状態であってもよい。非能動状態において、位置センサは、駆動列の移動を検出していないので、ロケーション信号を出力することはできない。
【0063】
スマートロック1は、マニュアルアクチュエータの移動に応じて移動信号を出力するように配置された移動センサをさらに含み得る。すなわち、移動センサは、マニュアルアクチュエータが移動したことを示す信号を出力する。移動センサは、位置センサよりも、低電力を引き出すことができる。たとえば、移動センサが引き出す電力は、受動または非給電センサよりも低電力であってもよい。これに代えて、移動センサは、赤外線センサ等の低電力センサであってもよい。
【0064】
移動センサは、1つ以上のスイッチまたはマイクロスイッチであってもよい。これに代えて、移動センサは、穴を通過する光または回転するバーコードを読み取る光センサ等の光学センサであってもよい。好ましくは、移動センサは磁気センサである。たとえば、移動センサは、AS5600磁気回転位置センサであってもよい。この磁気センサは、1つ以上の磁石と、1つ以上の磁石の移動を検出するように配置された磁気検出器とを含み得る。磁気検出器と1つ以上の磁石とのうちのいずれかが、マニュアルアクチュエータに配置され、他方がスマートロック1の静止部分に搭載されてもよい。
【0065】
たとえば、サムターン12は、サムターン内部ホイール40の周りで回転してもよい。サムターン内部ホイール40に、プロセッサを含み得るPCB20が取り付けられていてもよい。磁気検出器42はサムターン内部ホイール40に取り付けられ、1つ以上の磁石44はサムターンホイール12に取り付けられてもよい。1つ以上の磁石44は、図4および図4aに示されるように、サムターンホイール12の側部に配置されてもよい。これに代えて、磁石44は、任意の適切な表面に配置されてもよい。サムターンホイールは、ロック機構を作動させるために軸を中心として回転し、磁石44は、この軸について回転対称に配置されてもよい。
【0066】
マニュアルアクチュエータとして、この場合はサムターンホイール12が移動すると、移動センサは、サムターンホイール12が移動していることを示す移動信号を出力する。この移動信号に応じて、プロセッサは、位置センサの監視を開始してもよい。これが位置センサをトリガして、位置センサが非能動状態から「目覚めて」能動状態になるようにしてもよい。
【0067】
次に、位置センサを監視することで、マニュアルアクチュエータの移動がスマートロック1のロッキング状態を変化させるか否かを判断することができる。これは、較正ステップ中に学習された位置センサのロック位置およびロック解除位置に基づいていてもよい。これに代えて、スマートロック1のロッキング状態を、ロック機構の位置と、1つ以上の動作エンドストップ(以下で詳細に説明する)とを比較することにより、判断してもよい。動作エンドストップは、機械的エンドストップから離隔していてもよい。
【0068】
スマートロック1のロッキング状態が変更された場合に、スマートロック1は、リモートデバイスと通信して、ロック状態が変更されているという通知を生成してもよい。この意味において、ロック状態を、マニュアル作動についても、スマートロック1の電池を不必要に消費することなく、監視することができる。
【0069】
マニュアルアクチュエータの移動信号は、誰かがマニュアルアクチュエータを触っていることと、ロックまたはロック解除イベントとを区別するために、しきい値と比較されてもよい。たとえば、しきい値は、マニュアルアクチュエータの一定量の移動を必要としてもよく、またはマニュアルアクチュエータが所与の期間にわたって移動することを必要としてもよい。
【0070】
閉鎖構造体を固定するためのスマートロック1が提供される。スマートロック1は、ロック機構をロック解除位置とロック位置との間で作動させるための駆動列を含み得る。スマートロック1はさらに、駆動列を駆動してロック機構を作動させるように配置された電動アクチュエータ24と、駆動列の位置を示すロケーション信号を出力するように配置された位置センサとを含み得る。スマートロック1はさらに、駆動列を駆動してロック機構を作動させるように配置されたマニュアルアクチュエータと、マニュアルアクチュエータの移動に応じて移動信号を出力するように配置された移動センサとを含み得る。プロセッサが、移動信号を検出し、移動信号の検出に応じてロケーション信号を監視するように、構成されてもよい。
【0071】
スマートロック1は、電動アクチュエータ24に流れる電流を示す電流信号を出力するように配置された電流センサを含み得る。たとえば、電流センサは、電動アクチュエータ24と直列に設置された電流計であってもよい。電流センサは、電流信号をプロセッサに送信するためにプロセッサに接続されてもよい。
【0072】
電動アクチュエータ24を駆動するためには電流が必要となり得る。引き出される電流は、電動アクチュエータ24に与えられる負荷に依存することになる。これを使用してスマートロック1についての1つ以上の動作エンドポイントを定めてもよい。
【0073】
ロック機構は、第1の機械的エンドストップと第2の機械的エンドストップとの間で移動することができる。各機械的エンドストップは、ロック機構がロック方向およびロック解除方向においてどこまで移動するかについての物理的限界を表す。第1の機械的エンドストップは、ロックされた機械的エンドストップに対応してもよく、第2の機械的エンドストップは、ロック解除された機械的エンドストップに対応してもよく、または、その逆であってもよい。
【0074】
電動アクチュエータ24を使用してロック機構を駆動するときには、実質的に規則的な電流プロファイルが引き出される。電流は、移動全体の間に、その移動中のシステム内のばね力または摩擦が原因で、変動する可能性があるが、全体的なプロファイルは再現される。ロック機構が機械的エンドストップに達すると、さらなる移動に対する抵抗により、電動アクチュエータ24が停止し、引き出される電流は急速に増加することになる。機械的エンドストップにおいてモータをある期間停止させるアクションは、システムが受ける通常の負荷の300%~400%の電流消費急上昇を引き起こす可能性がある。この意味において、機械的エンドストップは、この停動電流(stall current)を検出することによって識別することができる。
【0075】
特に、プロセッサは、第1の方向にロック機構を作動させるように電動アクチュエータ24を制御してもよい。第1の方向は、ロック方向とロック解除方向のいずれであってもよい。第1の方向は、回転ロック機構に対して時計回りと反時計回りのいずれであってもよい。電流が増加し始めると、位置センサからのロケーション信号を読み取って第1の機械的エンドストップの位置を判断してもよい。電流の増加を、電流をしきい値と比較することにより、または電流の変化率を変化率しきい値と比較することにより、または電流が増加する時間の長さを時間の長さのしきい値と比較することにより、または任意の他の適切な方法により、識別してもよい。
【0076】
第1の機械的エンドストップの位置が判断された状態で、プロセッサは次に第1の動作エンドストップを定めてもよい。この第1の動作エンドストップを、位置センサから提供されるロケーション信号に対して定めてもよい。第1の動作エンドストップは、第1の機械的エンドストップから離隔している。たとえば、第1の動作エンドストップを、位置センサからのロケーション信号に基づいて、第1の機械的エンドストップから特定の距離に定めてもよい。これに代えて、第1の動作エンドストップを、ロック機構が第1の機械的エンドストップに到達するのに要する時間からの時間オフセットに基づいて定めてもよい。これに代えて、第1の動作エンドストップを、ボルトのピックアップ位置からの距離のオフセットまたは時間のオフセットに基づいて、定めてもよい(以下で詳細に説明する)。位置センサは、複数の完全な回転を通じて回転してもよい。
【0077】
プロセッサは、a.ロック機構を第1の方向に作動させるように電動アクチュエータを制御し、b.電流信号を監視し、c.電流信号に基づいてロック機構のための第1の機械的エンドストップの位置を判断し、d.ロック機構のための第1の動作エンドストップを定めるように構成されてもよく、第1の動作エンドストップは第1の機械的エンドストップから離隔しており、プロセッサはさらに、e.ロケーション信号に基づいて第1の動作エンドストップで停止するようロック機構を作動させるように電動アクチュエータを制御するように構成されてもよい。これらのステップは、a、b、c、d、eの順に実行されてもよい。これに代えて、これらのステップが任意の他の適切な順序で実行されてもよい。
【0078】
次に、プロセッサは、第1の方向と反対の第2の方向にロック機構を作動させるように電動アクチュエータ24を制御してもよい。すなわち、第1の方向がロック方向である場合、第2の方向はロック解除方向であり、その逆も同様である。これは、プロセッサがロック機構の移動経路全体をマッピングすることを実質的に可能にする。
【0079】
次に、ロック機構は、第2の機械的ストップに達するまで、この第2の方向に駆動されてもよい。この場合も電動アクチュエータ24によって引き出される電流が増加することになり、これを先に述べたように識別してもよい。これにより、第2の機械的ストップ位置の位置を判断してもよい。
【0080】
プロセッサはさらに、f.ロック機構を第1の方向と反対の第2の方向に作動させるように電動アクチュエータを制御し、g.電流信号を監視し、h.電流信号に基づいてロック機構のための第2の機械的エンドストップの位置を判断し、i.ロック機構のための第2の動作エンドストップを定めるように構成されてもよく、ロック機構は、第2の動作エンドストップにおいて第2の機械的エンドストップから離隔しており、プロセッサはさらに、j.ロケーション信号に基づいて第2の動作エンドストップで停止するようロック機構を作動させるように電動アクチュエータを制御するように、構成されてもよい。これらのステップは、a、b、c、d、e、f、g、h、i、jの順に実行されてもよい。これに代えて、ステップは、a、b、c、f、g、hの順に実行され、続いて、ステップd、e、iおよびjが任意の適切な順序で実行されてもよい。さらに、これに代えて、ステップが任意の他の適切な順序で実行されてもよい。
【0081】
この第2の動作エンドストップを、位置センサから提供されるロケーション信号に対して定めてもよい。第2の作動エンドストップは、第2の機械的エンドストップから離隔している。たとえば、第2の動作エンドストップを、位置センサからのロケーション信号に基づいて、第2の機械的エンドストップから特定の距離に定めてもよい。これに代えて、第2の動作エンドストップを、ロック機構が第2の機械的エンドストップに到達するのに要する時間からの時間オフセットに基づいて定めてもよい。これに代えて、第2の動作エンドストップを、ボルトのピックアップ位置からの距離のオフセットまたは時間のオフセットに基づいて、定めてもよい(以下で詳細に説明する)。位置センサは、複数の完全な回転を通じて回転してもよい。
【0082】
これらの較正ステップは、連続して複数回実行されてもよく、動作エンドストップは平均値に基づいて決定される。
【0083】
ロック機構の移動経路は、第1の機械的エンドストップと第2の機械的エンドストップとの間でロック機構が移動する総距離として定義することができる。これを、位置センサの完全な回転数および不完全な回転数として定義してもよい。結果として、ロック機構の起こり得る移動全体をマッピングしてもよい。また、総移動時間を、電動アクチュエータ24がロック機構を第1の機械的エンドストップから第2の機械的エンドストップに、またはその逆に駆動するために必要な時間として定義してもよい。
【0084】
各動作エンドストップの、対応する機械的エンドストップからの間隔を、移動経路全体または総移動時間に対する百分率として定義してもよい。たとえば、各動作エンドストップは、対応する機械的エンドストップから、移動経路の少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、最も好ましくは少なくとも10%、離隔していてもよい。
【0085】
さらに他の使用において、プロセッサは、機械的エンドストップの前に、動作エンドストップで停止するまで、ロック機構を駆動するように、電動アクチュエータ24を制御してもよい。この意味において、電動アクチュエータの停止を防止して、部品の摩耗を少なくすることにより、スマートロック1の寿命を延ばす。
【0086】
プロセッサは、各機械的エンドストップおよび/または各動作エンドストップの位置を格納してもよい。たとえば、プロセッサは、第1の機械的エンドストップの位置をメモリユニットに格納してもよい。メモリユニットは揮発性メモリユニットであってもよい。すなわち、電源投入時にのみ情報を格納するメモリユニットである。その結果、スマートロック1は、電池が取り外されると、各機械的ストップおよび動作ストップを、再度決定しなければならないことになる。これに代えて、メモリユニットは不揮発性メモリユニットであってもよい。
【0087】
上記マニュアル較正を、プロセッサが、電流センサおよび位置センサを使用して、自動的に実行してもよい。プロセッサは、先ず、ロック機構を第1の機械的エンドストップまで駆動するように電動アクチュエータ24を制御し、次に、適切な第1の動作エンドストップを定めてもよい。その後、プロセッサは、ロック機構を第2の機械的エンドストップまで駆動するように電動アクチュエータ24を制御し、次に、適切な第2の動作エンドストップを定めてもよい。当然ながら、プロセッサは、各動作エンドストップを計算する前に、ロック機構を先ず第1の機械的エンドストップまで駆動し次に第2の機械的エンドストップまで駆動するように、電動アクチュエータ24を制御してもよい。
【0088】
典型的に、駆動列は、ボルト11がピックアップされ移動させられるまでは、比較的容易に(したがってより低い電流で)移動する。これは、係合点または係合位置としても知られている。すなわち、ロック機構は、ボルト11をロック位置とロック解除位置との間で動かしていない場合も、いずれの方向にもある程度移動する。ロック機構がボルトをピックアップする(したがって駆動列がボルトをピックアップする)と、それに関連して電流が急上昇することになる。この急上昇は、典型的に、モータ停止急上昇よりも小さい。小さい方の急上昇は、ボルト11のピックアップ位置を表す。
【0089】
スマートロック1は、少なくとも2つのピックアップ位置、すなわち、ロックイベント中にボルトがピックアップされるときのロックされたピックアップ位置と、ロック解除イベント中にボルトがピックアップされるときのロック解除されたピックアップ位置とを有し得る。
【0090】
各ピックアップ位置は、先に述べたやり方と同様のやり方で、識別されその位置が特定されてもよい。プロセッサは、機械的エンドストップと異なる特性のセットについて電流信号を監視することになる。これらのピックアップ電流特性が検出されると、ピックアップ点の位置をロケーション信号から判断することができる。
【0091】
第1および/または第2の動作エンドポイントを、これらのピックアップポイントに対して定めてもよい。たとえば、ロックされた動作エンドポイントを、ロックされたピックアップポイントから一定距離または一定時間のポイントとして定めてもよい。これは、ロック機構の移動距離、したがってモータの動作時間を最小にするのに役立ち得る。
【0092】
これに代えて、第3および/または第4の動作エンドポイントを、ピックアップポイントに対して定めてもよい。結果として、複数のロックおよび/またはロック解除動作エンドポイントが存在してもよい。プロセッサは、何らかの要素に基づいてエンドポイントを選択してもよい。
【0093】
たとえば、ロックされた動作エンドポイントのうちの1つが、ロックされた動作エンドポイントのうちの別のものよりも安全である可能性がある。たとえば、ロックボルト11は、たとえば動かす長さが異なる2つのロック位置を有し得る。プロセッサは、所与の使用状況に対してどの動作エンドポイントが適切であるかを選択してもよい。
【0094】
プロセッサは、時間信号、ユーザ入力、適切な動作エンドポイントを選択するために学習されたユーザの行動および/または検知されたユーザの行動のうちの1つ以上、またはその組み合わせを使用してもよい。たとえば、時間信号が、現在の時間が、ユーザがドア6から離れている(仕事中など)可能性または睡眠中(夜など)の可能性が高い時間であることを示す場合、より安全なロックされた動作エンドポイントを選択しロック機構をこの動作エンドポイントまで作動させるようにモータを制御してもよい。
【0095】
スマートロック1は、機械学習を適用してユーザの典型的な行動を検出および学習し、これを利用して次の動作を予測しそれに基づいて適切な動作エンドポイントを選択してもよい。たとえば、ユーザが典型的に日曜日の夜に数分間(たとえばゴミを捨てるために)自宅から出る場合、プロセッサは、ユーザが間もなくドア6のロックを解除して再び入ることを望むと予測すると、ロックされたピックアップポイントの直前に対応する動作エンドポイントまでロック機構を作動させるようにモータを制御してもよい。
【0096】
各動作エンドストップを定めるための測定は、一度実行してもよい。これに代えて、複数回繰り返し(ロックの通常動作中など)、平均を取ってもよい。これは、個々の測定値から誤ったデータを取り除くのに役立つ場合がある。
【0097】
動作エンドストップのいずれかを使用することにより、ユーザがマニュアルアクチュエータを使用してスマートロック1をロックしたかロック解除したかを判断してもよい。先に述べたように、位置センサを、ユーザがサムターンホイール12を回すなどしてマニュアルアクチュエータを動かし始めたときに、起動してもよい。位置センサは、いつ、マニュアルアクチュエータがロック機構を動作エンドストップまでまたは動作エンドストップを通過するまで移動させたかを、検出してもよい。動作エンドストップまでまたはそれを通過するまでのロック機構の移動を利用して、ロック状態が変化したと判断してもよい。
【0098】
これは、ボルト11のピックアップ位置によって定められる動作エンドポイントについて特に役立つ場合がある。そのような位置は、ボルト11がロックされた位置またはロック解除位置まで移動した直後であり、そのため、ロッキング状態が変化したと判断するのに適したトリガポイントを表す。
【0099】
たとえば、マニュアルアクチュエータが、ロック機構を、ロックされたピックアップポイントを通過しその後ロックされていないピックアップポイントを通過するまで移動させたことを、プロセッサが検出した場合、これは、ボルト11をロックされた位置からロック解除位置まで移動させたことを示す。
【0100】
マニュアル操作に続いて、ロック機構が、いずれの動作エンドポイントにも対応しない位置に残されている場合、プロセッサは、ロック機構を適切な終点まで作動させるようにモータを制御してもよい。たとえば、ロック機構がロックされた位置に残されている場合、プロセッサは、ロック機構をロックされた動作ポイントまで作動させるようにモータを制御してもよい。これは、先に述べた任意のロックされた動作エンドポイントであってもよく、先に述べたのと同じやり方で、時間信号、ユーザ入力、学習されたユーザの行動および/または検知されたユーザの行動のうちの1つ以上に基づいて選択されてもよい。
【0101】
加えて、またはこれに代わるものとして、プロセッサは、予想される次の操作にとってより好都合な位置までロック機構を作動させるようにモータを制御してもよい。たとえば、これを利用して、駆動列がボルトと係合するまでの移動量を短くしてもよい。そうすると、スマートロックを次にロック解除するときに必要となる作動が少なくなる。そのため、これにより、能動的に使用されるときのスマートロック1の開放を加速することができる。最後の操作後の時間が非常に重要ではない場合、処理の一部は事前に実行される。
【0102】
プロセッサは、学習されたユーザの行動に基づいて、たとえば、場合によっては決まった時間の決まったアクションには決まった他のアクションが続くといったような、予想される次の操作を、予測してもよい。
【0103】
閉鎖構造体を固定するためのスマートロック1を提供することができる。スマートロックは、ロック解除位置とロック位置、またはその逆に対応する、第1の機械的エンドストップと第2の機械的エンドストップとの間で、ロック機構を作動させるための駆動列を含み得る。スマートロック1はさらに、駆動列を駆動してロック機構を作動させるように配置された電動アクチュエータ24と、駆動列の位置を示すロケーション信号を出力するように配置された位置センサとを含み得る。スマートロック1はさらに、電動アクチュエータ24に流れる電流を示す電流信号を出力するように配置された電流センサを含み得る。スマートロック1はプロセッサをさらに含み得るものであり、このプロセッサは、ロック機構を第1の方向に作動させるように電動アクチュエータを制御し、電流信号を監視し、電流信号に基づいてロック機構のための第1の機械的エンドストップの位置を判断し、第1の機械的エンドストップから離隔した、ロック機構のための第1の動作エンドストップを定め、ロケーション信号に基づいてロック機構を作動させて第1の動作エンドストップで停止するように電動アクチュエータを制御するように、構成される。
【0104】
上記スマートロック1のうちのいずれかを、任意の適切なドア6に、後付けでまたは新規で設置してもよい。スマートロック1はいくつかの方法で使用することができる。
【0105】
スマートロック1を監視する方法も提供される。スマートロック1は、ロック機構をロック解除位置とロック位置との間で作動させるための駆動列と、駆動列を駆動してロック機構を作動させるように配置された電動アクチュエータと、駆動列の位置を示すロケーション信号を出力するように配置された位置センサと、駆動列を駆動してロック機構を作動させるように配置されたマニュアルアクチュエータと、マニュアルアクチュエータの移動に応じて移動信号を出力するように配置された移動センサとを含み得る。このスマートロック1は概ね先に述べた通りであってもよい。
【0106】
この方法は、最初に、移動信号を検出してマニュアルアクチュエータの移動を識別するステップを含み得る。たとえば、移動信号は、値ベースまたは時間ベースのしきい値と比較されてもよい。
【0107】
次に、移動信号の検出に応じてロケーション信号を監視することで、駆動列の位置を判断することができる。これは、位置センサを起動することを含み得る。すなわち、位置センサは、低電力または無電力「スリープ」モードであってもよく、プロセッサは、たとえば、フル電力供給電圧および電流を位置センサに提供することにより、位置センサをこのスリープモードから「目覚めさせ」てもよい。
【0108】
スマートロックは、リモートデバイスとの通信のための送信機および/または受信機をさらに含み得る。リモートデバイスは、スマートフォン、またはユーザが携行している可能性が高い他のデバイスであってもよい。スマートロックは、リモートデバイスと直接通信してもよい。これに代わるものとして、またはこれに加えて、スマートロックは、中央スマートハブを介してリモートデバイスと通信してもよく、中央スマートハブはその後リモートデバイスと通信する。中央スマートハブは、スマートロック1が保護している家の内部または外部に位置するサーバまたはクラウドベースのシステムであってもよい。
【0109】
この方法は、次に、移動信号の検出に応じてロケーション信号に関する情報をリモートデバイスに送信するステップをさらに含み得る。
【0110】
スマートロック1(または中央ハブ等の関連するリンクされたデバイス)は、ロック機構がロック解除位置にあるかロック位置にあるかを、ロケーション信号に基づいて判断することにより、スマートロック1のロッキング状態を判断してもよい。ロッキング状態は、ボルト11がロック位置にあるかロック解除位置にあるかを表示する。このロッキング状態は、リモートデバイスに送信されるロケーション信号に関する情報であってもよい。この情報は、ロッキング状態が変更された場合にのみ送信されてもよい。リモートデバイスは、ロッキング状態が変更された場合に通知を生成してもよい。これに代えて、またはこれに加えて、リモートデバイスは、スマートデバイスのユーザが、たとえばリモートデバイス上のアプリケーションを介して、スマートデバイスの状態の検査を要求するときに、スマートロック1にクエリを送信してもよい。
【0111】
さらに他の方法は、スマートロック1を較正するためのものであってもよい。そのような方法のためのスマートロック1は、ロック解除位置とロック位置、またはその逆にそれぞれ対応する、第1の機械的エンドストップと第2の機械的エンドストップとの間で、ロック機構を作動させるための電動アクチュエータと、駆動列の位置を示すロケーション信号を出力するように配置された位置センサと、電動アクチュエータに流れる電流を示す電流信号を出力するように配置された電流センサと、電動アクチュエータの作動を制御するように構成されたプロセッサとを含む。
【0112】
較正方法は、電流信号に基づいて第1の機械的エンドストップの位置を特定するために第1の方向にロック機構を作動させるように電動アクチュエータ24を作動させるステップを含み得る。電動アクチュエータ24は、プロセッサによってこの第1の方向に作動するように制御されてもよい。第1の方向は、時計回りまたは反時計回り等のロック解除方向またはロック方向であってもよい。
【0113】
次に、ロケーション信号に基づいて、ロック機構のための第1の動作エンドストップを定めてもよい。ロック機構は、第1の動作エンドストップにおいて第1の機械的エンドストップから離隔していてもよい。この間隔は、物理的距離に基づいて、または作動時間に基づいて定められてもよい。第1の動作エンドストップはプロセッサによって定められてもよい。
【0114】
将来の操作において、プロセッサは、この第1の動作エンドストップに到達するとロック機構を第1の方向に移動させることを停止するように電動アクチュエータ24を制御してもよい。
【0115】
スマートロック1を、第1の方向と反対の第2の方向に較正してもよい。たとえば、第1の方向がロック方向である場合、第2の方向はロック解除方向である、またはその逆も同様である。いくつかの例において、第1の方向は時計回りであってもよく、第2の方向は反時計回りであってもよく、またはその逆も同様である。スマートロック1を、第1の方向と反対の第2の方向にロック機構を作動させるように作動させてもよい。この作動は、電流信号に基づいて第2の機械的エンドストップの位置を特定するためである。次に、ロケーション信号に基づいて、ロック機構のための第2の動作エンドストップを定めてもよい。第1の動作エンドストップと同様の態様で、ロック機構は、第2の動作エンドストップにおいて第2の機械的エンドストップから離隔していてもよい。
【0116】
スマートロック1を再較正するさらに他の方法も提供される。この方法は、たとえば上記方法を通して既に較正されている、動作中のスマートロック1に適用されてもよい。
【0117】
再較正の方法は、ロック解除位置とロック位置、またはその逆に対応する、第1の機械的エンドストップと第2の機械的エンドストップとの間で、ロック機構を作動させるための、電動アクチュエータ24を含む、スマートロック1を用いて行われてもよい。位置センサが、駆動列の位置を示すロケーション信号を出力するように配置されてもよい。電流センサが、電動アクチュエータ24に流れる電流を示す電流信号を出力するように配置されてもよい。スマートロック1は、電動アクチュエータの作動を制御するように構成されたプロセッサをさらに含み得る。プロセッサはロック機構のための第1の動作エンドストップを、ロケーション信号に基づいて定めてもよく、ロック機構は、第1の動作エンドストップにおいて第1の機械的エンドストップから離隔している。プロセッサは、揮発性メモリ等のメモリユニットに、この第1の動作エンドストップを格納してもよい。これに代えて、エンドストップを不揮発性メモリに格納してもよい。
【0118】
電動アクチュエータを、電流信号に基づいて第1の機械的エンドストップの位置を特定するために、ロック機構を第1の方向に作動させるように作動させてもよい。第1の機械的エンドストップの位置が特定されると、第1の動作エンドストップを、ロケーション信号に基づいて再度定めてもよい。ロック機構は、再度定められた動作エンドストップにおいて第1の機械的エンドストップからなおも離隔していてもよい。
【0119】
この意味において、スマートロック1は、経時的に継続して正確かつ効率的なものとなり得る。たとえば、これは、電池の電荷が放出されそれが電池の性能を変更させる可能性があるときに、有用となり得る。再較正は、スマートロック1に対して定められた数の動作エンドストップに対して実行されてもよい。再較正は、一定期間の後に、またはスマートロック1の一定の動作回数の後に、自動的に実行されるように構成されてもよい。また、再較正はユーザ入力に続いて実行されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図4A
【国際調査報告】