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特表2023-534545プローブヘッド用のコンタクトプローブ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-09
(54)【発明の名称】プローブヘッド用のコンタクトプローブ
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/067 20060101AFI20230802BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
G01R1/067 B
G01R1/067 G
H01L21/66 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504124
(86)(22)【出願日】2021-07-08
(85)【翻訳文提出日】2023-03-16
(86)【国際出願番号】 EP2021068939
(87)【国際公開番号】W WO2022017812
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】102020000017539
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519046085
【氏名又は名称】テクノプローベ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェリチ、ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】モルガナ、ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】クリッパ、ロベルト
【テーマコード(参考)】
2G011
4M106
【Fターム(参考)】
2G011AA07
2G011AB01
2G011AB04
2G011AC14
2G011AE03
4M106AA01
4M106DD03
4M106DD18
(57)【要約】
電子デバイスの試験装置のためのプローブヘッド用のコンタクトプローブは、適切なコンタクト構造との接触を実現するように構成されたそれぞれの端部部分間の長手方向展開軸(HH)に沿って延在した本体部分(30C)を備え、少なくとも1つの端部部分(30A)は、端部部分(30A)のベース部分(31)から開始する周縁突出要素(32)を備え、周縁突出要素(32)は、ベース部分(31)の表面にベース(33)を有する中空部分(34)を画定するように構成され、少なくとも1つの端部部分(30A)はまた、周縁突出要素(32)によって取り囲まれており、周縁突出要素(32)は、コンタクト構造へと突き刺さるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスのテスト機器のためのプローブヘッド用のコンタクトプローブ(30)であって、前記コンタクトプローブ(30)が、適切なコンタクト構造との接触を実現するように構成されたそれぞれの端部部分間の長手方向展開軸(HH)に沿って延在した本体部分(30C)を備え、少なくとも1つの端部部分(30A)が、前記端部部分(30A)のベース部分(31)から開始する周縁突出要素(32)を備え、前記周縁突出要素(32)が、前記ベース部分(31)の表面にベース(33)を有する中空部分(34)を画定するように構成され、前記少なくとも1つの端部部分(30A)がまた、前記周縁突出要素(32)によって取り囲まれており、前記周縁突出要素(32)が、前記コンタクト構造へと突き刺さるように構成されていることを特徴とする、コンタクトプローブ(30)。
【請求項2】
前記周縁突出要素(32)が、前記コンタクトプローブ(30)の前記端部部分(30A)の全周に連続的に延在することを特徴とする、請求項1記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項3】
前記周縁突出要素(32)が、前記コンタクトプローブ(30)の前記端部部分(30A)の周囲で不連続的に延在し、複数の単一突出要素(32a~32d)を含むことを特徴とする、請求項1記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項4】
前記単一突出要素(32a~32d)が、前記コンタクトプローブ(30)の前記端部部分(30A)の側壁に形成されることを特徴とする、請求項3記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項5】
前記単一突出要素(32a~32d)が、前記コンタクトプローブ(30)の前記端部部分(30A)の角に形成されることを特徴とする、請求項3記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項6】
前記単一突出要素(32a~32b)が、L字形であり、角で前記コンタクトプローブ(30)の前記端部部分(30A)の隣接する壁に沿って延在するように形成されることを特徴とする、請求項3記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項7】
前記周縁突出要素(32)が、前記コンタクトプローブ(30)の前記端部部分(30A)の側壁に形成された複数の単一突出要素(32a~32d)および/または前記コンタクトプローブ(30)の前記端部部分(30A)の角に形成された複数の単一突出要素(32a~32d)および/または角で前記コンタクトプローブ(30)の前記端部部分(30A)の隣接する壁に沿って延在するように形成された複数の単一L字形突出要素(32a~32b)を含むことを特徴とする、請求項3記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項8】
前記端部部分(30A)が単一の材料のみで作られることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項9】
前記端部部分(30A)が金属材料で作られることを特徴とする、請求項8記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項10】
前記端部部分(30A)が、同じ金属材料または異なる金属材料の複数の導電層から構成された多層によって作られることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項11】
前記複数の導電層のうちの複数の導電層(36)が、前記周縁突出要素(32)において異なる高さを有することを特徴とする、請求項10記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項12】
前記複数の導電層(36)が、徐々に増加する高さ(H61、H62、H63)を有し、それぞれ、前記中空部分(34)に向かって減少することを特徴とする、請求項11記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項13】
前記複数の導電層(36)の少なくとも1つの層(35)が、前記端部部分(30A)の残りの導電層(36)を形成する第1の導電材料の硬度よりも高い硬度を有する第2の導電材料から作られることを特徴とする、請求項11記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの層(35)が、前記端部部分(30A)の前記残りの導電層(36)に対して突出することを特徴とする、請求項13記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの層(35)が、2μmから50μmの間の値を有する高さ(H5)だけ突出することを特徴とする、請求項14記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項16】
前記端部部分(30A)の前記中空部分(34)の前記ベース(33)が、起伏を含む、不規則な、または平面でない形状を有することを特徴とする、請求項1~15のいずれか1項に記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項17】
前記周縁突出要素(32)が、5μmから30μmの間で変化する厚さを有することを特徴とする、請求項1~16のいずれか1項に記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項18】
前記周縁突出要素(32)が、10μmから200μmの間で変化する前記長手方向展開軸(HH)に従った寸法(L1)を有することを特徴とする、請求項1~17のいずれか1項に記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項19】
前記周縁突出要素(32)が、前記端部部分(30A)の前記長手方向展開軸(HH)に従った寸法(LA)の15~80%に等しい寸法(L1)を有することを特徴とする、請求項18記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項20】
10μmから80μmの間に含まれる辺(D)を有する正方形の断面を有することを特徴とする、請求項1~19のいずれか1項に記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項21】
前記端部部分(30A)が、前記周縁突出要素(32)において、前記端部部分(30A)を形成する第1の導電材料の硬度よりも高い硬度を有する第2の導電材料の少なくとも1つのコーティング(35)を含むことを特徴とする、請求項9記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項22】
前記第1の導電性材料が、ニッケルまたはその合金、銅またはその合金、パラジウムまたはその合金、コバルトまたはその合金から選択される、金属または金属合金であることを特徴とし、前記第2の導電性材料が、ロジウムまたはその合金、白金またはその合金、イリジウムまたはその金属合金から選択される、金属または金属合金であることを特徴とする、請求項13または21に記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項23】
前記コーティング(35)が、前記周縁突出要素(32)によって前記端部部分(30A)で画定された前記中空部分(34)に配置されることを特徴とする、請求項22記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項24】
垂直プローブまたはポゴピンプローブから選択されることを特徴とする、請求項1~23のいずれか1項に記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項25】
前記端部部分(30A)が、被試験デバイスのコンタクト構造に接触するように構成されたコンタクトチップ(30A)であることを特徴とする、請求項1~24のいずれか1項に記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項26】
前記コンタクト構造が、三次元コンタクト構造、好ましくはバンプもしくはピラー、または平面のコンタクト構造、好ましくは酸化物層もしくは汚物層によってコーティングされたコンタクパッドであることを特徴とする、請求項1~25のいずれか1項に記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項27】
電子デバイスのテスト機器用のプローブヘッドであって、前記プローブヘッドが複数のコンタクトプローブ(30)を備え、各コンタクトプローブが請求項1~26のいずれか1項に従って作られることを特徴とする、プローブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブヘッド用のコンタクトプローブに関する。
【0002】
本発明は、特に、排他的ではないが、ウェーハ上に統合された電子デバイスの試験装置のためのプローブヘッド用のコンタクトプローブに関し、以下の記載は、その説明を単純化するという唯一の目的で、この応用分野を参照して行われている。
【背景技術】
【0003】
周知のように、プローブヘッドは、本質的に、微細構造、特にウェーハ上に統合された電子デバイスの複数のコンタクトパッドを、その機能性テスト、特に電気、または一般的にテストを実施するテスト機器の対応するチャネルと電気的に接続するように構成されたデバイスである。
【0004】
統合されたデバイスで実施されるテストは、生産段階の早い段階で欠陥のあるデバイスを検出して分離するのに特に有用である。したがって、通常、プローブヘッドは、ウェーハ上に統合されたデバイスを切断してチップ収納パッケージ内に組み込む前に、デバイスの電気的テストに使用される。
【0005】
プローブヘッドは、通常、良好な電気的および機械的特性を有する特殊な合金のワイヤによって形成された、および被試験デバイスの対応する複数のコンタクトパッド用の少なくとも1つのコンタクト部分が設けられた、多数のコンタクト要素またはコンタクトプローブを備える。
【0006】
一般に「垂直プローブヘッド」と呼ばれるタイプのプローブヘッドは、本質的に、実質的にプレート形状で互いに平行である少なくとも一対のプレートまたはガイドによって保持された複数のコンタクトプローブを備える。上記ガイドは、適切なガイド穴を備え、コンタクトプローブの移動および可能な変形のための自由空間または空隙を残すために、互いに一定の距離を置いて配置される。一対のガイドは、特に、上部ガイドおよび下部ガイドを含み、その両方にそれぞれのガイド穴が設けられ、その中でコンタクトプローブが軸方向にスライドする。
【0007】
プローブヘッドのコンタクトプローブと被試験デバイスのコンタクトパッドとの間の良好な接続は、デバイス自体に対するプローブヘッドの圧力によって確かなものとされ、上部ガイドおよび下部ガイドに形成されたガイド穴内で移動可能であるコンタクトプローブは、上記圧接中に、2つのガイド間の空隙内で曲がり、上記ガイド穴内でスライドする。
【0008】
さらに、空隙内のコンタクトプローブの曲がりは、図1に概略的に例示されるように、プローブ自体またはそのガイドの適切な構成によって促進され得、ここで、説明を簡潔にするために、プローブヘッドに通常備えられる複数のプローブのうちの1つのコンタクトプローブのみが例示されており、例示されたプローブヘッドは、いわゆる「シフトされたプレートのプローブヘッド(shifted plates probe head)」のタイプのものである。
【0009】
特に、図1に例示されるプローブヘッド10は、少なくとも1つの上部プレートまたはガイド12および下部プレートまたはガイド13を備え、これらは、それぞれの上部ガイド穴12Aおよび下部ガイド穴13Aを有し、それらの中で少なくとも1つのコンタクトプローブ1がスライドする。
【0010】
コンタクトプローブ1は、少なくとも1つのコンタクト端部またはチップ1Aを有する。端部またはチップ(tip)という用語は、本明細書および以下において、必ずしも尖っているわけではない端部部分を示す。特に、コンタクトチップ1Aは、半導体ウェーハ15’上に統合された被試験デバイス15のコンタクトパッド15A上に当接して、被試験デバイスと試験装置(図示せず)との間の機械的および電気的接触を実現し、上記プローブヘッドは試験装置の端部要素である。
【0011】
場合によっては、コンタクトプローブは、上部ガイドでプローブヘッド自体にしっかりと固定され、このようなプローブヘッドは「ブロックされたプローブヘッド(blocked probe heads)」と呼ばれる。
【0012】
代替的に、コンタクトプローブは、プローブヘッド内にしっかりと固定されなくてもよいが、マイクロコンタクトボードを介してボードにインターフェース接続されて保持され得、このようなプローブヘッドは「ブロックされていないプローブヘッド(unblocked probe heads)」と呼ばれる。マイクロコンタクトボードは、プローブに接触するだけでなく、製造技術に結び付けられて、被試験デバイス上のコンタクトパッドに対してその上に実現されるコンタクトパッドを空間的に再分布することも可能にし、特に、パッド自体の中心間の距離の制約を緩和するため、通常、「スペーストランスフォーマ(space transformer)」と呼ばれる。
【0013】
この場合、図1に例示されるように、コンタクトプローブ1は、上記スペーストランスフォーマ16の複数のコンタクトパッド16Aに向かう、通常はコンタクトヘッドとして示される、さらなるコンタクトチップ1Bを有する。プローブとスペーストランスフォーマとの間の適切な電気接続は、スペーストランスフォーマ16のコンタクトパッド16Aに対するコンタクトプローブ1のコンタクトヘッド1Bの圧力によって、被試験デバイスとの接触に対して同様に確かなものとされる。
【0014】
すでに説明したように、上部ガイド12および下部ガイド13は、空隙17によって適切に離間されており、これにより、コンタクトプローブ1が変形することを可能にし、コンタクトプローブ1のコンタクトチップおよびコンタクトヘッドと、それぞれ、被試験デバイス15およびスペーストランスフォーマ16のコンタクトパッドとの接触が可能になる。コンタクトプローブ1を作る材料は、試験中に、プローブに必要な弾性を与え、曲げとしても示される弾性変形を可能にするように選択される。
【0015】
一部の用途では、統合デバイスのテストは、コンタクトパッドなどの略平面の構造ではなく、被試験デバイスの表面から突出する、導電性材料のボールの形状のバンプ、または、ピラーして示される特に銅の金属シリンダー、形状の三次元コンタクト構造で実行される。
【0016】
この場合、好ましくは、通常はポゴピンとして示され、図2に概略的に例示された、特定のコンタクトプローブが使用される。
【0017】
ポゴピン20は、本質的に、図2のローカル基準のz軸に対応する、ポゴピン20の長手方向展開軸に従って延在した円筒形状の本体20Cを備え、その端部から、上述と同様に、ポゴピン20のコンタクトチップ20Aおよびコンタクトヘッド20Bとして示された2つの端部部分が延在する。前述のように、コンタクトチップ20Aが、被試験デバイス上に、特に上記デバイスのバンプまたはピラーで当接するように構成されている一方で、コンタクトヘッド20Bは、試験装置との接触を実現するボード上に当接するように構成されている。
【0018】
適切には、ポゴピン20の本体20Cは、上記被試験デバイスのバンプまたはピラーに対するコンタクトチップ20Aの圧接の間に、ポゴピン20の本体20Cの開口部20Dに形成されている、および試験中にさらに被試験デバイスによってそれに推力が加えられるまで上記本体20C内部をさらに移動することができる、コンタクトチップ20Aに接続されたばね要素25のための少なくとも1つのハウジング25Aを備える。
【0019】
ポゴピンと、被試験デバイスの三次元コンタクト構造、特にバンプおよびピラーとの間の適切な電気接続を確かなものとするために、図2に概略的に例示されるように、ポゴピン20のコンタクトチップ20Aの端部部分22が複数のスパイクなどの1つまたは複数の突出要素を有するようにすることが知られている。このタイプの形状は、通常、「クラウン形状」として示され、上記要素との所望の電気的接触を改善するように、バンプまたはピラーなどの、三次元コンタクト構造の材料内のポゴピン20のコンタクトチップ20Aの部分的突き刺しを確かなものとするように作られる。
【0020】
端部部分22を作るために、多かれ少なかれ複雑である、他の形状が使用されるが、依然として、これはバンプやピラーなどの三次元コンタクト構造の材料へのその部分的突き刺しを確かなものとする目的がある。また、被試験デバイスのコンタクトパッドとの接触のために、たとえば、外見上これらのパッド上に形成され得る酸化物層またはとにかく汚物層へのコンタクトチップ20Aの突き刺しを確かなものとし、および、したがって、ポゴピン20のコンタクトチップ20Aの端部部分22と被試験デバイスのコンタクトパッドとの間の適切な接触を確かなものとするのに適切であるべきである場合などに、ポゴピンを使用することも可能である。
【0021】
しかし、ポゴピンのコンタクトチップのこれらの特定の形状に加えて、三次元コンタクト構造の材料またはコンタクトパッドを被覆する層への突き刺しによる動作メカニズムは、上記ポゴピンの端部部分による材料の保持に有利に働き、したがって、これには定期的かつ頻繁なクリーニング操作が必要とされ、クリーニング操作は、周知のように、通常は研磨布に触れることによって実行され、研磨布と接触している材料、すなわちポゴピンのコンタクトチップの上記端部部分の部分的消耗につながる。
【0022】
しかし、ポゴピンの性能が著しく低下する前にポゴピンに施され得るこれらのクリーニング操作の回数は非常に限られている。実際、コンタクトチップ、すなわち、三次元コンタクト構造を作成するまたはコンタクトパッドを覆う材料に突き刺すことができる、複数のスパイクなどの、1つまたは複数の要素の存在に使用される特定の形状は、ポゴピンの長手方向展開軸zに沿った一定の断面を有さず、研磨布に触れるとゆっくりと消耗するのと同じくらいの速さで有効性を失う。
【0023】
z軸に沿って一定でない断面を有する、ポゴピンのコンタクトチップの端部部分のこれらの特定の形状は、時折、三次元コンタクト構造またはコンタクトパッドとの不均一な接触につながり、これは、最初の操作であるため、ポゴピンと被試験デバイスとの間の適切な電気接続に影響を与え得る。
【0024】
本発明の技術的課題は、コンタクトチップに少なくとも1つの端部部分を有するコンタクトプローブを提供することであり、これは、先行技術に従って作成されたコンタクトプローブに依然として影響を与える制限および欠点を克服するように、一定の性能で、三次元コンタクト要素または被試験デバイスのコンタクトパッドを被覆する層を作成する材料への突き刺しを確かのものとすることができ、および、多数のクリーニング操作に耐えることができる形状を有している。
【発明の概要】
【0025】
本発明の根底にある解決策は、そのベース部分に対して少なくとも1つの周縁突出要素を備えたコンタクトチップを有するコンタクトプローブを提供することであり、それにより、上記コンタクトチップに少なくとも1つの中空部分を画定し、バンプやピラーのような三次元構造、または酸化物や汚物の表面層で覆われた可能性のあるパッドなどの平面構造などの、被試験デバイスのコンタクト構造へのコンタクトチップの容易な突き刺しを可能にする。
【0026】
この解決策に基づいて、上記の技術的課題は、電子デバイスの試験装置のためのプローブヘッド用のコンタクトプローブによって解決され、コンタクトプローブは、適切なコンタクト構造との接触を実現するように構成されたそれぞれの端部部分間の長手方向展開軸に沿って延在した本体部分を備え、少なくとも1つの端部部分が、端部部分のベース部分から開始する周縁突出要素を備え、周縁突出要素が、ベース部分の表面にベースを有する中空部分を画定するように構成され、少なくとも1つの端部部分がまた、周縁突出要素によって取り囲まれており、周縁突出要素が、コンタクト構造へと突き刺さるように構成されていることを特徴とする。
【0027】
より具体的には、本発明は、単独で、または必要に応じて組み合わせて採用される、以下の追加および随意の特徴を含む。
【0028】
本発明の別の態様によれば、周縁突出要素は、コンタクトプローブの端部部分の全周に連続的に延在し得る。
【0029】
周縁突出要素は、特に、コンタクトプローブの端部部分の周囲で不連続的に延在し得、複数の単一突出要素を含み得る。
【0030】
本発明のこの態様によれば、単一突出要素は、コンタクトプローブの端部部分の側壁に形成され得る。
【0031】
特に、単一突出要素は、コンタクトプローブの端部部分の角に形成され得る。
【0032】
単一突出要素は、L字形であり得、角でコンタクトプローブの端部部分の隣接する壁に沿って延在するように形成され得る。
【0033】
本発明の別の態様によれば、周縁突出要素は、コンタクトプローブの端部部分の側壁に形成された複数の単一突出要素、および/またはコンタクトプローブの端部部分の角に形成された複数の単一突出要素、および/または角でコンタクトプローブの端部部分の隣接する壁に沿って延在するように形成された複数の単一突出L字形要素を含み得る。
【0034】
さらに、本発明の別の態様によれば、端部部分は、1つの材料、好ましくは金属材料のみで作られ得る。
【0035】
代替的に、端部部分は、同じ金属材料または異なる金属材料の複数の導電層から構成された多層によって作られてもよい。
【0036】
本発明の別の態様によれば、複数の導電層のうちの複数の導電層は、周縁突出要素において異なる高さを有し得る。
【0037】
特に、複数の導電層は、中空部分の方向に徐々に増加する、または減少する高さを有し得る。
【0038】
本発明のさらなる態様によれば、複数の導電層の少なくとも1つの層は、端部部分の残りの導電層を形成する第1の導電材料の硬度よりも高い硬度を有する第2の導電材料から作られ得る。
【0039】
特に、上記少なくとも1つの層は、たとえば、2μmから50μmの間の値を有する高さで、端部部分の残りの導電層に対して突出し得る。
【0040】
本発明の別の態様によれば、端部部分の中空部分のべースは、起伏を含む、不規則な、または平面でない形状を有し得る。
【0041】
さらに、周縁突出要素は、5μmから30μmの間に変化する厚さを有し得る。
【0042】
本発明のさらに別の態様によれば、周縁突出要素は、10μmから200μmの間で変化する、長手方向展開軸に沿った寸法、好ましくは、端部部分の上記の長手方向展開軸に沿った寸法の15~80%に等しい寸法を有し得る。
【0043】
さらに、コンタクトプローブは、10μmから80μmの間で含まれる側面を有する正方形の断面を有し得る。
【0044】
本発明の別の態様によれば、端部部分は、周縁突出要素において、端部部分を形成する第1の導電性材料の硬度よりも高い硬度を有する第2の導電性材料の少なくとも1つのコーティングを含む。
【0045】
特に、第1の導電性材料は、ニッケルまたはその合金、銅またはその合金、パラジウムまたはその合金、コバルトまたはその合金から選択される、金属または金属合金であり得、第2の導電性材料は、ロジウムまたはその合金、白金またはその合金、イリジウムまたはその金属合金から選択される、金属または金属合金であり得る。
【0046】
好ましくは、第1の導電性材料はパラジウムコバルトであり得、第2の導電性材料はロジウムであり得る。
【0047】
本発明の別の態様によれば、コーティングは、周縁突出要素によって端部部分に画定された中空部分に配置され得る。
【0048】
適切には、コンタクトプローブは、垂直プローブまたはポゴピンプローブから選択され得る。
【0049】
さらに、端部部分は、被試験デバイスのコンタクト構造に接触するように構成されたコンタクトチップであり得る。
【0050】
上記コンタクト構造は、三次元コンタクト構造、好ましくはバンプもしくはピラー、または平面のコンタクト構造、好ましくは酸化物層もしくは汚物層によってコーティングされたコンタクパッドであり得る。
【0051】
この技術的課題は、上記のように作られた複数のコンタクトプローブを備える、電子デバイスの試験装置のためのプローブヘッドによっても解決される。
【0052】
本発明によるコンタクトプローブの特徴および利点は、添付の図面を参照して、例示的かつ非限定的な例によって与えられる、その実施形態の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】先行技術に従って作られた垂直プローブを有するプローブヘッドを概略的に示す。
図2】先行技術に従って作られたポゴピンタイプの垂直プローブを概略的に示す。
図3】本発明によるコンタクトプローブの実施形態を部分斜視図で概略的に示す。
図4A】本発明によるコンタクトプローブの代替実施形態の斜視図を概略的に示す。
図4B】本発明によるコンタクトプローブの代替実施形態の斜視図を概略的に示す。
図4C】本発明によるコンタクトプローブの代替実施形態の斜視図を概略的に示す。
図4D】本発明によるコンタクトプローブの代替実施形態の斜視図を概略的に示す。
図5A】本発明によるコンタクトプローブの代替実施形態の斜視図を概略的に示す。
図5B】本発明によるコンタクトプローブの代替実施形態の斜視図を概略的に示す。
図5C】本発明によるコンタクトプローブの代替実施形態の斜視図を概略的に示す。
図5D】本発明によるコンタクトプローブの代替実施形態の斜視図を概略的に示す。
図6】本発明によるコンタクトプローブの代替実施形態の斜視図を概略的に示す。
図7A】本発明によるコンタクトプローブの代替実施形態の斜視図を概略的に示す。
図7B】本発明によるコンタクトプローブの代替実施形態の斜視図を概略的に示す。
図8A】本発明によるコンタクトプローブの代替実施形態の斜視図を概略的に示す。
図8B】本発明によるコンタクトプローブの代替実施形態の斜視図を概略的に示す。
図9A】本発明によるコンタクトプローブの代替実施形態の斜視図を概略的に示す。
図9B】本発明によるコンタクトプローブの代替実施形態の斜視図を概略的に示す。
図9C】本発明によるコンタクトプローブの代替実施形態の斜視図を概略的に示す。
図10A】本発明によるコンタクトプローブの代替実施形態の斜視図を概略的に示す。
図10B】本発明によるコンタクトプローブの代替実施形態の斜視図を概略的に示す。
図10C】本発明によるコンタクトプローブの代替実施形態の斜視図を概略的に示す。
図11A】本発明によるコンタクトプローブの代替実施形態の斜視図を概略的に示す。
図11B】本発明によるコンタクトプローブの代替実施形態の斜視図を概略的に示す。
図11C】本発明によるコンタクトプローブの代替実施形態の斜視図を概略的に示す。
図12A】本発明によるコンタクトプローブのさらなる代替実施形態の断面図を概略的に示す。
図12B】本発明によるコンタクトプローブのさらなる代替実施形態の断面図を概略的に示す。
図13A】本発明によるコンタクトプローブのさらなる代替実施形態の断面図を概略的に示す。
図13B】本発明によるコンタクトプローブのさらなる代替実施形態の断面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
上記図面、特に図3を参照すると、全体的に30で示された、ウェーハ上に統合された電子デバイスの試験装置のためのプローブヘッド用のコンタクトプローブが記載されている。
【0055】
図面は、本発明によるコンタクトプローブの概略図を表し、一定の縮尺で描かれていないが、代わりに、本発明の重要な特徴を強調するために描かれていることが留意されるべきである。図面では、異なる部品が概略的に示されており、それらの形状は所望の用途に応じて変更され得る。
【0056】
特に、従来技術に関連して見られるように、コンタクトプローブ30は、ウェーハ上に統合された被試験デバイスと図示されていない試験装置との間の電気接続を行うために使用され、本体部分30Cと第1の端部部分30Aおよび第2の端部部分30Bとを備え、これらはそれぞれ、通常、被試験デバイスのコンタクト構造に当接するように構成されたコンタクトチップ30A、および試験装置と接触するように構成されたボードとインターフェース接続するように構成されたコンタクトヘッド30Bとして示されている。
【0057】
コンタクトプローブ30は、垂直コンタクトプローブまたはポゴピンタイプのプローブであり得、実質的に、図3のローカル基準のz軸として配置された長手方向展開軸HHに沿って延在し、好ましくは、図示の例のように長方形の断面を有する。
【0058】
一実施形態では、本体部分30Cは、長手方向寸法LCを有し、すなわち、軸HHに従って、70μmから7000μmの間で含まれる長手方向寸法LCを有し、コンタクトチップ30Aは、12μmから1000μmの間で含まれる長手方向寸法LAを有し、コンタクトヘッド30Bは、20μmから2000μmの間で含まれる長手方向寸法LBを有する。
【0059】
本発明の一態様によれば、コンタクトプローブ30の少なくとも1つの端部部分、特にコンタクトチップ30Aは、ベース部分31と、ベース部分31から開始する周縁突出要素32とを備える。したがって、ベース部分31の(図のローカル基準に従う)上面にベース33を有し、周縁突出要素32によって取り囲まれる中空部分34が、コンタクトチップ30Aにおいて画定される。
【0060】
特に、周縁突出要素32は、10μmおよび150μmの間で含まれる長手方向寸法L1、すなわち、コンタクトチップ30Aの長手方向寸法LAの15~85%に等しい長手方向寸法L1だけ、本体部分30Cとは反対の方向にコンタクトプローブ30の長手方向展開軸HHに従って、ベース33から、すなわちベース部分31から開始して延在する。したがって、上記軸HHに沿って、すなわち図面のローカル基準のz軸方向に従って、本体部分30C、ベース部分31、および周縁突出要素32は、連続して互いに隣接して配置される。好ましい実施形態では、図面に例示されるように、コンタクトプローブ30は、10μmから80μmの間に含まれる辺Dを有する正方形の断面を有する。
【0061】
周縁突出要素32は、実際には、被試験デバイスのコンタクト構造に接触するように構成された部分を実現するが、図示されていない。そのようなコンタクト構造は、パッドまたはコンタクトパッド、すなわち略平面の構造、またはたとえばバンプまたはピラーなどの三次元構造であり得る。
【0062】
適切には、周縁突出要素32は、少なくとも部分的に三次元コンタクト構造を突き刺すことができる他に、コンタクトパッドを覆う酸化物層または汚物層などの、平面のコンタクト構造の考えられ得る表面層も突き刺すことができ、したがって、コンタクトプローブ30と被試験デバイスとの間の適切な電気的接触を確かなものとする。
【0063】
実質的に周縁突出要素32を備えるコンタクトプローブ30のコンタクトチップ30Aは、ストロー形状を有し、図面の例では断面が正方形のストローである。明らかに、必要に応じて円形または長方形の断面などの異なる断面でコンタクトプローブ30およびそのコンタクトチップ30Aを作ることが可能である。
【0064】
同じ出願人によって実施されたテストは、特に三次元コンタクト構造における、中空部分34内の材料の蓄積の減少に加えて、さらにテスト操作における、周縁突出要素32のおかげでのコンタクトチップ30Aの優れた突き刺し能力を強調した。
【0065】
また、コンタクトチップ30Aの実際のコンタクト部分を形成する周縁突出要素32が、長手方向軸HHに沿って一定の断面を有し、これが、たとえば研磨布に触れることによってなされたクリーニング操作の後でも経時的に実質的に変わらないままであるという事実を強調することにも価値がある。したがって、コンタクトプローブ30は、数回のクリーニング操作を受けながらも同じ性能を示すことが可能であり、したがって長い耐用年数を有する。
【0066】
適切には、図3に例示される実施形態によれば、周縁突出要素32は、コンタクトプローブ30、特にそのコンタクトチップ30Aの全囲または外周に延在し、すなわち、図面に示される例に従う正方形の断面を有して、実質的にリングの形状ですべてのその側壁を通って連続的に走っている。
【0067】
たとえば、コンタクトプローブ30のコンタクトチップ30Aのみを示す、図4A~4Dに例示されるものなどの、周縁突出要素32のいくつかの代替実施形態が可能である。
【0068】
特に、図4Aに例示される第1の実施形態によれば、周縁突出要素32は連続リングの形状であり、図3に例示されているものに実質的に対応する方法で、ベース部分31から開始して突出し、その全周を通って走っており、その中にコンタクトチップ30Aの中空部分34を画定する。
【0069】
別の実施形態によれば、図4Bに概略的に例示されるように、周縁突出要素32は、特にコーナー部分で中断されている。このように、周縁突出要素32は、コンタクトプローブ30のコンタクトチップ30Aの壁に配置され、コーナー部分を含まず、上記壁のセクションだけ延在する、複数の単一突出要素32a~32dから構成される。好ましい実施形態では、図4Bに例示されるように、単一突出要素32a~32dは、コンタクトチップ30Aの側壁の中央部分に延在し、互いに実質的に等しい横寸法Ltを有し、したがって、実質的に対称である周縁突出要素32を形成する。明らかに、単一突出要素32a~32dを異なる横寸法を有するようにし、コンタクトプローブ30のコンタクトチップ30Aの側壁に沿って任意の方法で位置づけることが可能である。互いに隣接または対向する、コンタクトチップ30Aの側壁の全部ではなく一部のみに(場合によっては2つの壁のみに)単一突出要素を含む周縁突出要素32を提供することも可能である。
【0070】
図4Cに概略的に例示される、さらなる代替実施形態によれば、周縁突出要素32は、特にコンタクトプローブ30のコンタクトチップ30Aの側壁の中央部分で、等しく中断されている。このように、周縁突出要素32は、コンタクトチップ30Aの角に配置された複数の単一突出要素32a~32dから構成される。好ましい実施形態では、図4Cに例示されるように、単一突出要素32a~32dは同じ面積の正方形の断面を有する。単一突出要素32a~32dを、形状または寸法が異なる断面、たとえば長方形にすることが可能であるか、または、互いに隣接かつ対向する、コンタクトチップ30Aの角の全部ではなく一部のみに、場合によっては2つの角のみに単一突出要素を含む周縁突出要素32を提供することも可能である。
【0071】
代替的に、図4Dに概略的に例示されるように、中断された周縁突出要素32は、コンタクトプローブ30のコンタクトチップ30Aの角に配置された単一突出L字形要素32a~32bを含む。図面の例では、単一突出要素32a~32bは、同じ長さの2つのアームを有し、コンタクトチップ30Aの2つの隣接する側壁の半分を超えて延在するL字形であり、上記要素は2つあり、対向する両角に配置されている。L字形の単一突出要素32a~32bを異なる長さの2つのアームを有するようにすることが可能であるか、または、コンタクトプローブ30のコンタクトチップ30Aの4つの角に、2つより多い多数の単一突出L字形要素、たとえば4つの単一突出L字形要素を提供することも可能である。
【0072】
また、たとえば、城壁の形状で、図4Bおよび4Cに例示される代替実施形態を組み合わせることによって、コンタクトチップ30Aの側壁とその角の両方に配置された単一突出要素によって形成された、図4B~4Dに例示される中断された周縁突出要素32の異なる代替実施形態の組み合わせを提供することが可能である。図4Bおよび4Dに例示される代替実施形態を組み合わせることによって、周縁突出要素32を、コンタクトチップ30Aの側壁とその角の両方にL字型要素として単一突出要素を含むようにすることも可能である。中断された周縁突出要素32はまた、図4B、4C、および4Dの実施形態を組み合わせるように、コンタクトチップ30Aの周長に適合するように適切にサイズ合わせされた、側壁に配置されたいくつかの突出要素、角に配置されたいくつかの突出要素、およびL字形要素である角に配置されたいくつかの突出要素を含み得る。
【0073】
対称または非対称の形状または配置での、さまざまな数の単一突出要素を備えた他の代替実施形態は、中断された周縁突出要素32を形成するように提供され、いずれにせよコンタクトプローブ30のコンタクトチップ30Aの外周部分に形成され得る。
【0074】
異なる例示された代替実施形態での周縁突出要素32は、中断された場合でも、その中に、コンタクトチップ30Aのベース部分31の上面に対応するベース部分33まで延在する、コンタクトチップ30Aの中空部分34を画定することができることが指摘される。
【0075】
図4A~4Bに例示されるコンタクトプローブ30のコンタクトチップ30Aは、単一の材料のみで作られる。特に、コンタクトチップ30Aは、金属または金属合金である第1の導電性材料から作られ、たとえば、ニッケルマンガン、ニッケルコバルト、またはニッケルタングステン合金などの、ニッケルまたはその合金、銅またはその合金、パラジウムまたはその合金、コバルトまたはその合金であり得る。本発明の好ましい実施形態では、第1の導電性材料はパラジウムコバルトである。
【0076】
好ましい実施形態では、コンタクトチップ30Aは、コンタクトプローブ30の本体部分30Cと同じ材料で単一片として作られる。コンタクトプローブ30のコンタクトチップ30Aの機械的性能を向上させることができる、ニッケル合金などの低内部応力導電性合金で作られた被覆層などの、コンタクトチップ30Aのコーティング材料を提供することも可能である。
【0077】
コンタクトプローブ30はまた、同じまたは異なる材料の複数の導電層から構成された多層によって形成され得る。この場合、コンタクトチップ30Aはまた、図4A~4Dのコンタクトチップ30Aの異なる代替実施形態に対応し、および、特に、コンタクトチップ30Aの側壁に配置された単一突出要素32a~32dを含むタイプ(図5B)の連続的な周縁突出要素32(図5A)または中断された周縁突出要素32を含むか、またはコンタクトチップ30Aの角に配置された単一突出要素32a~32d(図5C)または単一L字形突出要素32a~32b(図5D)を含む、図5A~5Dに概略的に例示されるような多層によって形成される。この場合、ベース33は、図5A~5Dに例示されるように、複数の層を含み、上記ベース33は略平面であることが指摘される。
【0078】
図6に概略的に例示されるように、ベース33を、たとえば起伏を含む、不規則なまたは平面でない形状を有するようにすることも可能である。上記図6では、コンタクトチップ30A、およびしたがってベース33も多層から作られているが、コンタクトチップ30Aが1つの材料のみで作られる場合でも、ベース33の起伏を有する不規則なまたは平面でない傾向を得ることも可能である。
【0079】
有利には、本発明によれば、コンタクトプローブ30のコンタクトチップ30Aの側壁に配置された単一突出要素32a~32dを含む中断された周縁突出要素32に関して図7A~7Bに、およびコンタクトプローブ30のコンタクトチップ30Aの角に配置された単一突出要素32a~32dを含む中断された周縁突出要素32に関して図8A~8Bに例示されるように、連続したまたは中断された周縁突出要素32を異なる厚さS1、S2を有するようにすることも可能である。図面に例示される例では、コンタクトチップ30Aは、好ましくは多層で作られ、1つまたは複数の層が単一突出要素32a~32dも形成する。
【0080】
より具体的には、周縁突出要素32、および特にその単一突出要素32a~32dは、5μm~30μmの間で変化する厚さを有し得る。
【0081】
さらに有利には、コンタクトプローブ30のコンタクトチップ30Aの側壁に配置された単一突出要素32a~32dを含む中断された周縁突出要素32に関して図9A~9Cに、および、コンタクトプローブ30のコンタクトチップ30Aの角に配置された単一突出要素32a~32dを含む中断された周縁突出要素32に関して図10A~10Cに例示されるように、連続したまたは中断された周縁突出要素32を、ベース部分31から開始する異なる高さH1~H3を有するようにすることが可能である。
【0082】
連続した周縁突出要素32に関して前に見られたように、中断された周縁突出要素32、および特にその単一突出要素32a~32dも、10μm~200μmの間で変化する高さを有し得る。
【0083】
たとえば図9Cおよび10Cに例示されるように、相当な高さを有する周縁突出要素32を備えるコンタクトチップ30Aを作成する可能性が、被試験デバイスの三次元または平面のコンタクト構造と接触している領域でその断面を変更する危険を冒す前に、特に研磨布に触れることによって、上記コンタクトチップ30Aが多数のクリーニング操作にさらされ得ることを確かなものとすることをどのように可能にして、したがってコンタクトプローブ30の長い耐用年数を確かなものとするかも指摘される。
【0084】
最後に、本発明の好ましい実施形態によれば、コンタクトチップ30Aは、特に、コンタクトプローブ30のコンタクトチップ30Aの側壁に配置された単一突出要素32a~32dを備える(図11B)およびコンタクトプローブ30のコンタクトチップ30Aの角に配置された単一突出要素32a~32dを含む(図11C)、連続的な周縁突出要素32を有する(図11A)または中断された周縁突出要素32を有する代替実施形態に関して、図11A~11Cに概略的に例示されるように、周縁突出要素32において、コンタクトプローブ30およびしたがってコンタクトチップ30Aを形成する第1の導電性材料の硬度より高い硬度を有する第2の導電性材料の少なくとも1つのコーティング35を含む。
【0085】
より具体的には、第2の導電性材料は、金属または金属合金であり、ロジウムまたはその合金、白金またはその合金、イリジウムまたはその合金、たとえばパラジウム-コバルト合金、パラジウム-ニッケル合金、またはニッケル-リン合金であり得る。本発明の好ましい実施形態では、第2の導電性材料はロジウムである。
【0086】
適切には、上記コーティング35は、連続的なまたは中断された周縁突出要素32によってコンタクトチップ30Aに画定された中空部分34に配置される。
【0087】
このようにして、高硬度材料のコーティング35は、周縁突出要素32の消耗を遅らせること、およびしたがってコンタクトプローブ30の作動寿命を延ばすことに加えて、特にコンタクトパッドの表面層における、三次元または平面のコンタクト構造へのコンタクトチップ30Aの突き刺しの間に中空部分34内の材料の蓄積を低減することができる。
【0088】
代替実施形態によれば、同じまたは異なる材料の複数の導電層36を含む多層によって作られたコンタクトプローブ30、および特にコンタクトチップ30Aは、中空部分34の方向における値の増加または減少を伴って、周縁突出要素32で異なる高さの層を有してもよい。
【0089】
より具体的には、たとえば図11Bに示されるような、プローブ30の長手方向展開軸HHに沿って配置され、コンタクトチップ30Aの対向する壁に配置された2つの単一突出要素の中心を通過する平面πでの断面に対応する、図12Aおよび12Bに例示される断面において、たとえば図11Bに示されるように、各単一突出要素は、それぞれ、異なる高さH61、H62、H63の複数の(本例では3つの)導電層36を含み、これらは、外周から開始して、図12Aに例示されるように中空部分34に向かって徐々に減少する値、または図12Bに例示されるように徐々に増加する値を有し得る。
【0090】
本発明によるコンタクトプローブ30のコンタクトチップ30Aのこの代替実施形態が、その周縁突出要素32、特に単一突出要素32a~32dの突き刺し能力を増加させ、試験操作中に上記コンタクトチップ30A上に、特に三次元コンタクト構造上に蓄積する不要な残留物質の量を減少させることが指摘される。
【0091】
図13Aおよび13Bに例示されるように、高硬度の第2の導電性材料、特にロジウムによって、少なくとも、その周縁突出要素32、特に単一突出要素32a~32dのより高い高さの層を作ることによって、したがって、中空部分34に配置されたコーティング35を形成することによって、すなわち、徐々に増加する高さを有する導電層の場合に、コンタクトチップ30Aの突き刺し能力をさらに改善し、蓄積された可能性のある材料を減少させることが可能である。
【0092】
より具体的には、コーティング層35は、図13Aに例示されるように、コンタクトチップ30A全体に沿って延在し得る(およびコンタクトプローブ30の残りの部分においても継続する可能性がある)か、または図13Bに例示されるように、中空部分34に形成されるだけであり得る。
【0093】
好ましくは、この場合のコーティング層35は、2μmから50μmまで変化する高さH6の値だけ、周縁突出要素32または単一突出要素32a~32dを形成する他の層に対して突出するようにされる。
【0094】
適切には、コンタクトチップ30Aは、垂直コンタクトプローブまたはポゴピンタイプのプローブの端部部分を作るために使用され得る。
【0095】
本質的に、周縁突出要素を備えたコンタクトチップを有するコンタクトプローブは、被試験デバイスのコンタクト構造、特にバンプやピラーなどの三次元コンタクト構造だけでなく、特に、コンタクトチップが適切に突き刺さらなければならない酸化物層または汚物層で覆われたときの、パッドなどの平面のコンタクト構造との適切な接触を確かなものとする。
【0096】
有利には、上記周縁突出要素を備えるコンタクトチップの形状は、コンタクトプローブ自体の長手方向展開軸に沿って一定の断面を有し、さらに多数の試験およびクリーニング操作に対してもその一定の性能を確かなものとする。適切には、上記周縁突出要素は、「消耗時に」チップを作成するのに適した寸法を有し得、いわゆるポゴピンプローブのコンタクトチップを作成することに特に利点がある。
【0097】
連続的または不連続的な周縁突出要素を備えるコンタクトチップが、チップ自体の突き刺し能力を最大化する他に、材料保持の最小化を確かなものとすること、特にさらに、被試験デバイスのパッドなどの、三次元コンタクト構造への、または平面のコンタクト構造上にある可能性のある酸化物層における突き刺しに適した材料の多層からさらに作成され得ることがさらに指摘される。適切には、上記コンタクトチップは、周縁突出要素において、好ましくは、コンタクトチップに画定された中空部分に配置された、コンタクトプローブおよびしたがってコンタクトチップを形成する第1の導電性材料の硬度よりも高い硬度を有する第2の導電性材料のコーティングが備えられ得、上記コーティングは、周縁突出要素の消耗を遅らせ、したがってコンタクトプローブの耐用年数を延ばし、一方で、被試験デバイスのコンタクト構造へのその突き刺し中にコンタクトチップの中空部分内の材料の蓄積をさらに低減することを可能にする。
【0098】
適切には、周縁突出要素、またはその単一突出要素は、上記周縁突出要素またはそれを構成する単一突出要素の突き刺し能力を増大させるように、異なる高さの複数の導電層によって作られ得、より高い高さを有する層は、好ましくは、第2の導電材料から作られ、中空部分に配置され、一方で、経時的なその消耗を制限し、こうして得られたコンタクトチップの中空部分内の材料の蓄積を低減する。
【0099】
明らかに、当業者は、不定および特定の要件を満たすために、上記のコンタクトプローブに対して多数の修正および変更を行い得、これらはすべて、以下の請求項によって定義されるように本発明の保護範囲に含まれる。
【0100】
たとえば、例示された実施形態のさまざまな実施形態を組み合わせて、広く使用されているポゴピンチップのクラウン形状にますます近づけることが可能である一方で、さらに研磨布に接触することに対しても一定の断面を確かなものとする他に、被試験デバイスの試験に続くコンタクトチップ内に保持された任意の材料の減少も確かなものとする。特に、コンタクトプローブの側壁とその角の両方に位置づけられた単一突出要素を含む周縁突出要素を備えたコンタクトチップの他に、起伏を備えたベースも作成することが可能となる。
【0101】
さらに、多層によってコンタクトプローブを作成し、単一の材料のみからコンタクトチップを作成すること、またはその逆も可能である。
【0102】
最後に、プローブのコンタクトヘッド、すなわちスペーストランスフォーマまたは一般的には試験装置との接続のためのボードに接触するように構成された端部部分を作成するために上に例示された実施形態の1つを使用することが可能である。
図1
図2
図3
図4A-4D】
図5A-5D】
図6
図7A-8B】
図9A-10C】
図11A-11C】
図12A-13B】
【手続補正書】
【提出日】2023-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスのテスト機器のためのプローブヘッド用のコンタクトプローブ(30)であって、前記コンタクトプローブ(30)が、適切なコンタクト構造との接触を実現するように構成されたそれぞれの端部部分間の長手方向展開軸(HH)に沿って延在した本体部分(30C)を備え、少なくとも1つの端部部分(30A)が、前記端部部分(30A)のベース部分(31)から開始する周縁突出要素(32)を備え、前記周縁突出要素(32)が、前記ベース部分(31)の表面にベース(33)を有する中空部分(34)を画定するように構成され、前記少なくとも1つの端部部分(30A)がまた、前記周縁突出要素(32)によって取り囲まれており、前記周縁突出要素(32)が、前記コンタクト構造へと突き刺さるように構成されていることを特徴とする、コンタクトプローブ(30)。
【請求項2】
前記周縁突出要素(32)が、前記コンタクトプローブ(30)の前記端部部分(30A)の全周に連続的に延在することを特徴とする、請求項1記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項3】
前記周縁突出要素(32)が、前記コンタクトプローブ(30)の前記端部部分(30A)の周囲で不連続的に延在し、複数の単一突出要素(32a~32d)を含むことを特徴とする、請求項1記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項4】
前記単一突出要素(32a~32d)が、前記コンタクトプローブ(30)の前記端部部分(30A)の側壁に形成されることを特徴とする、請求項3記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項5】
前記単一突出要素(32a~32d)が、前記コンタクトプローブ(30)の前記端部部分(30A)の角に形成されることを特徴とする、請求項3記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項6】
前記単一突出要素(32a~32b)が、L字形であり、角で前記コンタクトプローブ(30)の前記端部部分(30A)の隣接する壁に沿って延在するように形成されることを特徴とする、請求項3記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項7】
前記周縁突出要素(32)が、前記コンタクトプローブ(30)の前記端部部分(30A)の側壁に形成された複数の単一突出要素(32a~32d)前記コンタクトプローブ(30)の前記端部部分(30A)の角に形成された複数の単一突出要素(32a~32d)角で前記コンタクトプローブ(30)の前記端部部分(30A)の隣接する壁に沿って延在して形成された複数の単一L字形突出要素(32a~32b)の間の1つまたは複数を含むことを特徴とする、請求項3記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項8】
前記端部部分(30A)が単一の材料のみで作られることを特徴とする、請求項1記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項9】
前記端部部分(30A)が金属材料で作られることを特徴とする、請求項8記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項10】
前記端部部分(30A)が、複数の導電層を含む多層によって作られることを特徴とする、請求項1記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項11】
前記複数の導電層のうちの複数の導電層(36)が、前記周縁突出要素(32)に対応して異なる高さを有することを特徴とする、請求項10記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項12】
前記複数の導電層(36)が、徐々に増加する高さ(H61、H62、H63)を有し、それぞれ、前記中空部分(34)に向かって減少することを特徴とする、請求項11記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項13】
前記複数の導電層(36)の少なくとも1つの層(35)が、前記端部部分(30A)の残りの導電層(36)を形成する第1の導電材料の硬度よりも高い硬度を有する第2の導電材料から作られることを特徴とする、請求項11記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの層(35)が、前記端部部分(30A)の前記残りの導電層(36)に対して突出することを特徴とする、請求項13記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの層(35)が、2μmから50μmの間の値を有する高さ(H5)だけ突出することを特徴とする、請求項14記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項16】
前記端部部分(30A)の前記中空部分(34)の前記ベース(33)が、起伏を含む、不規則な、または平面でない形状を有することを特徴とする、請求項1記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項17】
前記周縁突出要素(32)が、5μmから30μmの間で変化する厚さを有することを特徴とする、請求項1記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項18】
前記周縁突出要素(32)が、10μmから200μmの間で変化する前記長手方向展開軸(HH)に従った寸法(L1)を有することを特徴とする、請求項1記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項19】
前記周縁突出要素(32)が、前記端部部分(30A)の前記長手方向展開軸(HH)に沿った寸法(LA)の15~80%に等しい寸法(L1)を有することを特徴とする、請求項18記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項20】
10μmから80μmの間に含まれる辺(D)を有する正方形の断面を有することを特徴とする、請求項1記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項21】
前記端部部分(30A)が、前記周縁突出要素(32)に対応して、前記端部部分(30A)を形成する第1の導電材料の硬度よりも高い硬度を有する第2の導電材料の少なくとも1つのコーティング(35)を含むことを特徴とする、請求項9記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項22】
前記第1の導電性材料が、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金、パラジウム、パラジウム合金、コバルト、コバルト合金から選択される、金属金属合金から選択されることを特徴とし、前記第2の導電性材料が、ロジウム、ロジウム合金、白金、白金合金、イリジウム、イリジウム合金から選択される、金属金属合金から選択されることを特徴とする、請求項13記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項23】
前記コーティング(35)が、前記周縁突出要素(32)によって前記端部部分(30A)で画定された前記中空部分(34)に配置されることを特徴とする、請求項22記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項24】
垂直プローブまたはポゴピンプローブから選択されることを特徴とする、請求項1記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項25】
前記端部部分(30A)が、被試験デバイスのコンタクト構造に接触するように構成されたコンタクトチップ(30A)であることを特徴とする、請求項1記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項26】
前記コンタクト構造が、三次元コンタクト構造、バンプピラー、平面のコンタクト構造、コンタクトパッド、酸化物層によってコーティングされたコンタクトパッド、汚物層によってコーティングされたコンタクパッドから選択されることを特徴とする、請求項1記載のコンタクトプローブ(30)。
【請求項27】
電子デバイスのテスト機器用のプローブヘッドであって、前記プローブヘッドが複数のコンタクトプローブ(30)を備え、各コンタクトプローブが請求項1~26のいずれか1項に従って作られることを特徴とする、プローブヘッド。
【国際調査報告】