IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クライオバック アクティエセルスカブの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-09
(54)【発明の名称】角柱形液体水素タンク
(51)【国際特許分類】
   F17C 3/04 20060101AFI20230802BHJP
   B65D 88/12 20060101ALI20230802BHJP
   B65D 90/02 20190101ALI20230802BHJP
   B63B 11/04 20060101ALI20230802BHJP
   F16J 12/00 20060101ALI20230802BHJP
   F16L 59/02 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
F17C3/04 A
B65D88/12 B
B65D90/02 B
B63B11/04 B
F16J12/00 Z
F16L59/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504128
(86)(22)【出願日】2021-07-22
(85)【翻訳文提出日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 EP2021070548
(87)【国際公開番号】W WO2022018210
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】2011320.5
(32)【優先日】2020-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522471434
【氏名又は名称】クライオバック アクティエセルスカブ
【氏名又は名称原語表記】CryoVac AS
【住所又は居所原語表記】Sven Svensens vei 3a,3014 Drammen,Norway
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォス,シュタイン
(72)【発明者】
【氏名】エイエン,スヴェレー
(72)【発明者】
【氏名】アンデルセン,アーゲ ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】パウルゼン,テリエ
【テーマコード(参考)】
3E170
3E172
3H036
3J046
【Fターム(参考)】
3E170AA08
3E170AA14
3E170AA22
3E170AB29
3E170BA08
3E170DA01
3E170NA01
3E170NA03
3E170VA07
3E170VA16
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172AB05
3E172BA04
3E172BA06
3E172BB02
3E172BB12
3E172BB13
3E172BB17
3E172BC08
3E172BD01
3E172CA10
3E172CA29
3E172DA03
3E172DA04
3E172DA12
3E172DA23
3E172DA31
3E172EA03
3E172EB03
3H036AA09
3H036AB18
3H036AB25
3H036AB30
3H036AB44
3H036AC01
3H036AD09
3J046AA04
3J046BA01
3J046CA01
3J046DA10
3J046EA01
(57)【要約】
液化ガスを封じ込めるための角柱形タンクである。当該タンクは押出し材で形成され、外側断熱層を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスを封じ込めるための角柱形タンクであって、前記タンクは、
2つの対向する端部、2つの対向する側面、および下面に対向する上面を画定する複数の実質的に平坦な側壁を備え、
前記平坦な側壁は、液化ガスを封じ込めるための容積を画定し、
前記角柱形タンクは、前記平坦な側壁の交差部に縁部をさらに備え、
前記縁部および前記平坦な側壁は押出し成形物である、ことを特徴とする角柱形タンク。
【請求項2】
前記押出し成形物は、共通の材料である、ことを特徴とする請求項1に記載の角柱形タンク。
【請求項3】
前記材料がアルミニウムまたはその合金である、ことを特徴とする請求項2に記載の角柱形タンク。
【請求項4】
前記平坦な側壁は、複数の押出し成形物を一緒に溶接して形成されている、ことを特徴とする請求項1または3に記載の角柱形タンク。
【請求項5】
各縁部は、第1の側壁に接続するための第1の縁部と、隣接する側壁に接続するための第2の縁部とを有する断面形状を有し、前記第1および第2の縁部は、互いに90度の角度で配置され、前記第1および第2の縁部は、それに沿って側壁が溶接され得る溶接線を画定する、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の角柱形タンク。
【請求項6】
前記溶接線は、前記第1の側壁と前記隣接する側壁とが出会う前記交差部から、それぞれ少なくとも10cmだけずれている、ことを特徴とする請求項5に記載の角柱形タンク。
【請求項7】
前記縁部の断面が、2つの垂直部分の形態を有し、前記垂直部分は、関連する平坦な側壁と接続するためのものであり、
前記2つの垂直部分を接続する中間部分であって、前記中間部分は、前記2つの垂直部分のそれぞれに対して45度傾いて配置されている、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の角柱形タンク。
【請求項8】
前記中間部分と前記垂直部分とが交差する箇所に半径が設けられている、ことを特徴とする請求項7に記載の角柱形タンク。
【請求項9】
前記縁部と前記平坦な側壁とが摩擦攪拌溶接により一緒に結合されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の角柱形タンク。
【請求項10】
前記実質的に平坦な面および前記縁部の前記外面に配置された外側断熱層をさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の角柱形タンク。
【請求項11】
前記断熱層は、断熱発泡体からなる、ことを特徴とする請求項10に記載の角柱形タンク。
【請求項12】
前記断熱層は、複数のモザイク式断熱パネルの形態である、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の角柱形タンク。
【請求項13】
前記断熱層が、1つ以上のモザイク式断熱ユニットを含むモジュール断熱アレンジメントの形態であり、各ユニットが、
第1の内向き層と、前記第1層から離隔された第2の外向き層であって、2つの層はその間に空間を画定する、第1および第2の層と、
前記第1および第2の層の間に延びる1つ以上の間隔部材と
を有し、
前記第1の層、前記第2の層、および前記アレンジメントの周囲に延びる外周を画定する前記面が、空気不透過面である、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の角柱形タンク。
【請求項14】
前記第1の層と前記第2の層との間の前記空間と、前記アレンジメントの前記外周を画定する前記面とが、前記アレンジメントに対して内部容積を画定し、前記間隔部材が、使用時に、前記内部容積が排気されるときに前記表に作用する大気圧に抵抗するように配置される、ことを特徴とする請求項13に記載の角柱形タンク。
【請求項15】
前記角柱形タンクは、圧力容器の形態である、ことを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の角柱形タンク。
【請求項16】
前記構造体は、2bargを超える圧力を封じ込めるように構成されている、ことを特徴とする請求項15に記載の角柱形タンク。
【請求項17】
前記タンクの内面間に延びる内部縦方向および/または横方向の補強支持部材をさらに備える、請求項15または16に記載の角柱形タンク。
【請求項18】
前記角柱形タンクは、ISO寸法規定に準拠したISOコンテナフレーム内に収容されている、ことを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載の角柱形タンク。
【請求項19】
複数の角柱形タンクがスタックまたはマトリックスで一緒に結合されるように、類似のフレームに選択的に結合することを可能にする周辺フレームをさらに備える、請求項1から18のいずれか一項に記載の角柱形タンク。
【請求項20】
貨物および/または燃料をタンクに装填し、そこから取り出すことができるようにするための入口および出口ポートを備える、請求項1から19のいずれか一項に記載の角柱形タンク。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか一項に記載の角柱形タンクを複数備える、角柱形タンクアレイ。
【請求項22】
複数のタンクが互いに流体連通され、同時及び/又は順次、装填及び取出しが可能である、ことを特徴とする請求項21に記載の角柱形タンクアレイ。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか一項に記載の角柱形タンクの形態の船舶用燃料タンク。
【請求項24】
前記タンクの前記基部の周囲に配置され、前記タンクの下部外周の周囲に部分的に延び、前記タンクの前記上部に向かって部分的に延びる回収タンクまたはドリップトレイをさらに備える、請求項23に記載の船舶用燃料タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化ガスを収容して輸送するためのタンク、すなわち極低温液体の収容システムに関するものである。本発明は、特に、液化水素や液化天然ガス(LNG)などの極低温液体を、貨物として、あるいは燃料として貯蔵・輸送(燃料の場合は消費)する場合に適用されるが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
このような液化ガスを輸送することで、一度の航海で大量のガスを輸送することができ、公害の軽減や輸送効率の向上につながる。このような液化ガスを輸送するためには、船の航行中、極めて低い温度を維持する必要がある。
【0003】
このような低温でガスを液体状態に維持することは、液化ガスを収容するためのタンクに断熱材を適用することで達成される。これは一般に、ポリウレタンフォームのような断熱材の1つ以上の層の形式でタンク表面にスプレーされるか、合板の使用を含むプレハブパネルの形式で取り付けられることによって、周囲の熱が貨物タンクに到達して液化ガスを加熱するのを防ぐことができるものである。
【0004】
このようなシステムは、世界各地で液化ガスを安全に輸送しているさまざまなガス運搬船に採用され、成功を収めている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者らは、極低温の液化ガスを収容し、既存の方法よりも効率的に周囲の条件から断熱することができる新しいアレンジメントを考案した。より具体的には、本明細書に記載の発明は、絶対零度に近い温度、すなわち-250℃より低い温度で貨物タンクまたは燃料タンクを断熱することを可能にする。
【0006】
有利なことに、このようなシステムでは、水素やメタンなどの気体を収容し、液体状態に維持することができる。燃焼プロセスで水素を機械的エネルギーに変換したり、燃料電池で水素を電気エネルギーに変換したりしても、廃棄物として水が発生するだけなので、このような燃料を収容して使用できることは、環境および効率面で大きな利点となる。また、船舶や船隊の操縦者は、将来的に海運業界に適用される可能性のある、より厳しい環境規制を遵守することができる。
【0007】
この収容システムは、陸上分野でも、定置型収容や道路や鉄道を利用した輸送に利用される可能性がある。
【0008】
その他の利点については、本明細書で説明する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に記載された発明の態様は、添付の特許請求の範囲に記載されている。
【0010】
本明細書に記載された発明の第1の態様から見ると、特許請求の範囲に記載されたような角柱または球形のタンクが提供される。
【0011】
本発明は、極低温の液化ガスを収容して輸送するのに適したタンクの適応に関するものである。このような液化ガスを船上で長期間にわたって封じ込めることができるため、本発明者らは、船のタンク設計および製造における現在の業界標準から逸脱することになった。
【0012】
説明すると、貨物収容システムとタンクの設計と構造は、すべてのガス運搬船に適用される「液化ガスをバルクで運搬する船舶の建設および設備に関する国際コード(THE INTERNATIONAL CODE FOR THE CONSTRUCTION AND EQUIPMENT OF SHIPS CARRYING LIQUEFIED GASES IN BULK)」(「IGCコード」)と、ガス燃料の推進および補助システムを持つ船舶に適用される「ガスまたはその他の低燃焼点燃料を使用する船舶の国際安全コード(THE INTERNATIONAL CODE OF SAFETY FOR SHIPS USING GASES OR OTHER LOW-FLASHPOINT FUELS)」(「IGFコード」)によって規定される。
【0013】
液化ガス運搬船(船舶)の貨物収容システムについては、特別な規定がある。
【0014】
貨物収容システムとは、貨物(場合によっては燃料)を封じ込めるための総合的な取り決めを表す用語であり、以下のものを含む。
1.一次バリア(貨物タンク)
2.二次バリア(タイプAタンクには必須)
3.付随する断熱材
4.介在する空間(メンテナンス用)、および
5.これらの要素を支持するために必要な隣接構造物(必要に応じて)
【0015】
また、-55℃までの温度で運ばれる貨物の場合、船体が二次バリアとして機能することがあり、その場合は、船内のホールド空間の境界となることがある。
【0016】
ガス運搬船で使用される基本的な貨物タンクの種類は、以下の定義に従う。
独立タンク―タイプ“A”、“B”、“C”
【0017】
独立型タンクは完全に自立しており、船体構造の一部を構成するものではない。また、船体強度に寄与することもない。IGCコードで定義されているように、主に設計圧力によって、ガス運搬船用の独立タンクは3種類に分けられる。これらは以下のように知られている。
i)タイプ <<A>>
ii) タイプ <<B>>、および
iii) タイプ <<C>>
【0018】
タイプ<<A>>タンク
タイプ<<A>>のタンクは、主に平らな面で構成されている。このタイプのシステムの蒸気空間における最大許容タンク設計圧力は0.7bargである。つまり、貨物は大気圧またはそれに近い圧力(通常は0.25barg以下)で完全に冷蔵された状態で運ばなければならない。このタイプのタンクは自立しており、通常の内部補強材(船舶の通常の船体構造と同様)が必要である。
【0019】
タイプ<<A>>タンクは、クラック伝播耐性がない場合がある。そのため、万が一貨物タンクが漏洩した場合の安全性を確保するため、二次収容システムが必要となる。この二次収容システムは二次バリアと呼ばれ、-10℃以下の貨物を運ぶことができるタイプ<<A>>タンクを持つすべての船舶に装備されているものである。
【0020】
二次バリアは、定められたキールの角度でタンク全量を封じ込めることができる完全なバリアでなければならない。IGCコードでは、二次バリアは15日間タンクの漏れを封じ込めることができなければならないと規定されている。
【0021】
タイプ<<B>>タンク
タイプ<<B>>のタンクは、平面で構成されることもあれば、球形で構成されることもある。このタイプの格納容器は、タイプ<<A>>のシステムと比較して、より詳細な応力解析の対象となる。これらの管理には、疲労寿命の調査や亀裂伝播の解析が含まれなければならない。
【0022】
このように設計要素が強化されているため、タイプ<<B>>タンクは、ドリップトレイ(タンクの周囲や下に設置し、漏れた液体を受け止めるトレイ)という形で、部分的に二次バリアを設けるだけで済む。
【0023】
現在、LNGタンクには角型のB型タンクが使われている。角柱型のタイプ<<B>>タンクは、船のメインデッキ空間を利用する。設計上の最大蒸気圧は、A型タンクと同様、0.7bargに制限されている。
【0024】
タイプ<<C>>タンク
タイプ<<C>>のタンクは、通常、球形または円筒形の圧力容器で、設計圧力は2bargまたはそれ以上である。円筒形の容器は、垂直または水平に設置されることがある。このタイプの収容システムは、半加圧(semi-pressurized)および全加圧(fully pressurized)のガスキャリアに常に使用される。
【0025】
タイプ<<C>>タンクは、関連する圧力容器規格に従って設計・製造され、詳細な応力解析が行われている。さらに、設計応力は低く抑えられている。従って、タイプ<<C>>タンクには二次バリアは必要ない。
【0026】
タイプ<<C>>タンクは、約18bargの最大使用圧力に対応するように設計される場合がある。半加圧船の場合、貨物タンクと関連機器は、約5~7bargの使用圧力と0.5bargの真空度に対応するように設計されている。一般的に、半圧船用のタンク鋼は、-104℃(エチレンは-48℃、LPGも含む)までの輸送温度に耐えることができる。
【0027】
メンブレンタンク
メンブレン収容システムのコンセプトは、非常に薄い一次バリア(膜-0.7~1.5mm厚)が断熱材を介して支持されていることに基づいている。このようなタンクは、独立タンクのように自立しているわけではない。内殻は耐荷重構造を形成している。メンブレン収容システムは、一次バリアが漏れた場合にシステム全体の完全性を確保するために、常に二次バリアを備えていなければならない。
【0028】
本明細書に記載の発明によれば、改良型タイプBタンクが提供される。具体的には、本明細書に記載の発明は、代替設計により2barg以上の内圧を収容することができる角柱タンクを提供する。
【0029】
具体的には、本明細書に記載の発明の第1の態様から見て、液化ガスを封じ込めるための角柱形タンクが提供され、タンクは、2つの対向する端部、2つの対向する側面、および下面に対向する上面を画定する複数の実質的に平坦な側壁を備え、平坦な側壁は、液化ガスを封じ込めるための容積を画定し、角柱形タンクは、平坦な側壁の交差部に縁部をさらに備え、縁部および平坦な側壁は押出し成形物である、ことを特徴とする。
【0030】
このように、複数の押出成形部品で形成されたタンク構造を提供することができる。押出成形品を使用することにより、均質な部品を形成することができ、材料の使用と強度を最適化することができる。また、構造体の強度の連続性を乱すような接合部や連結部を最小限に抑えることができる。
【0031】
有利なことに、この構造により、タイプBタンク(上述)の特性と内部圧力に対応する能力を組み合わせたハイブリッドタンク構造を提供することができる。これにより、新規なタンク設計が本明細書で説明される。
【0032】
事実上、タンクは極低温の液化ガスを封じ込めるための圧力容器を意味する。
【0033】
上述したように、AタイプおよびBタイプのタンクは非加圧式(0.7bargまでの圧力に耐えられる)であり、EU圧力指令や圧力容器に関するその他の要件/規制を考慮する必要はない。Cタイプタンクはより高い圧力(0.7barg以上)に耐えることができ、定義上、圧力容器である。
【0034】
本書で紹介するタンクは、上記のいずれでもなく、角柱の設計に基づく新規なタンクであり、2barg以上の圧力に耐えることができる。従って、圧力容器であり、圧力容器の要件に適合する必要がある。
【0035】
角柱タンクの押出し構造により、所定の内圧に対応するように構造を設計することができる。例えば、応力、歪み、安全マージンの観点から必要な強度が得られるようにタンクを形成する部品の断面を選択することで、このようなタンク内に2barg以上の内圧を収容することができる。また、スワッシングやスロッシングを防止するために、タンク自体に補強材を入れ、組み合わせることで、任意の高さでタンクを充填することができる。
【0036】
有利なことに、本明細書に記載されたアレンジメントでは、二次バリアを必要としない角型タンクを実現することができる。
【0037】
タンクを形成するサブコンポーネントは、異種材料であってもよく、例えば、壁と縁部は、所定の荷重に対応するために異なる材料であってもよい。しかし、有利なことに、材料は同じ、すなわち共通の材料であってもよい。これにより、熱膨張の連続性、より信頼性の高い溶接や接合、さらに摩擦攪拌溶接(FSW)のような溶接強度を高める技術の使用が有利になる。
【0038】
任意の適切な材料を使用することができる。しかし、タンクの重量を最小限に抑えつつ強度を最適化するために、アルミニウムまたはその合金が有利に使用される。
【0039】
タンクの平面状側壁は、単一または複数の押出し材を溶接して形成することができる。 有利には、一緒に溶接された複数のセクションからタンクの平面状セクションを形成することは、以下を含むがこれに限定されない多くの製造上および技術上の利点を可能にする。
-角型タンクを形成するために、より小型の押出成形機を使用する。これにより、タンクを製造する場所の柔軟性が向上する。
-製造コストの低減
-本明細書に記載された方法に従って、より大きなタンクを建設することができる。例えば、燃料タンク用途として使用する場合、燃料を収容するべく船舶の船体に設置するために、非常に大きなタンクを構築することができる。
【0040】
縁部は、第1の側壁に接続するための第1の縁部と、隣接する側壁に接続するための第2の縁部とを有する断面形状を有してよく、第1の縁部と第2の縁部は互いに90度に配置され、第1の縁部と第2の縁部は、側壁が溶接され得る溶接線を画定する。
【0041】
このように、便利な押出し成形が可能なコーナー部を設けることもできる。各コーナー部または縁部の90度により、箱型または長方形の形状のタンクが提供される。タンクを異なる用途に適合させるために、他の角度を使用することができることが理解されるであろう。本明細書で取り上げるISOコンテナの場合、90度の角度は、コンテナフレームの寸法によって定義される内部空間にタンクを沿わせるのに便利である。
【0042】
縁部はまた、溶接を形成することができる便利な直線を提供する。本明細書に記載されるタンクの加圧性のために、本発明者らは、溶接線が第1の側壁と隣接する側壁との交差部からそれぞれずれていることを保証することにより、溶接部を組み込むことなく、押出しプロファイルの点で縁部およびコーナーを最適化することが有利になることを立証した。このような溶接は、応力の高い箇所における隣接するパネル間の接合部の強度を損なうことになる。例えば、少なくとも10cmのような適切な変位を使用することができ、これにより縁部とコーナー部分内の荷重を有利に制御することができる。
【0043】
断面における縁部は、2つの垂直部分の形態であってもよく、垂直部分は、関連する平面側壁に接続するためのものであり、2つの垂直部分を接続する中間部分があり、中間部分は、2つの垂直部分のそれぞれに対して45度で配置されている。このように、押出し成形も可能な切り捨てられたコーナーが提供される。これにより、有利なことに、縁部またはコーナーの強度も最適化される。
【0044】
また、中間部と垂直部が交差する部分に半径を設ける形成により、さらに強度を高めることができる。
【0045】
上述したように、異なる溶接技術を使用することができる。有利には、溶接接合部は、摩擦攪拌溶接(FSW)を用いて形成することができ、すなわち、縁部および平面側壁は、FSWによって一緒に接続される。これにより、材料を溶かすことなく、極めて強固な溶接を行うことができる。
【0046】
また、タンクを囲む断熱層を備え、タンク内に極低温の液体を収容できるようにしてもよい。次に、断熱材の態様について説明する。
【0047】
1つのアレンジメントにおいて、タンクは、実質的に平らな表面の外面および縁部の外面に配置された外側断熱層をさらに含むことができる。
【0048】
断熱材は、断熱発泡体の形態であってもよい。
【0049】
断熱層は、断熱材を受け入れるために角柱タンクの周りに空間を定義する同軸スリーブまたはスリーブの形態にすることができる。別のアレンジメントでは、断熱層は、複数の四角い断熱パネルの形態であってもよい。このように、どのような形状の角型タンクであっても、完全に断熱することができる。
【0050】
例えば、断熱層は、1つ以上のモザイク式断熱ユニットを含むモジュール断熱アレンジメントの形態であってもよく、各ユニットは、第1の層から間隔を置いた第1の内向き層と第2の外向き層を含み、2つの層はその間に空間を定義し、1つ以上の間隔部材が第1と第2の層の間に延び、第1の層、第2の層及びアレンジメントの周りに延びる外周を定義する表面は空気不透過表面となる。
【0051】
さらに、第1層と第2層の間の空間と、アレンジメントの外周を画定する表面は、アレンジメントに対する内部容積を画定することができ、間隔部材は、使用時に、内部容積が空気から排気されるときに表面に作用する大気圧に抵抗するように配置される。
【0052】
したがって、真空断熱アレンジメントを新規タンク構造と組み合わせて提供することができる。これにより、極低温の液体(貨物や燃料など)をこのような角柱状のタンク内に収容することができるようになる。
【0053】
さらに、本明細書に記載された角型タンクの便利な輸送、積み込み、積み下ろしを可能にするために、タンクは、有利には、ISO寸法規定(本明細書に記載)に準拠したISOコンテナフレーム内に収容することができる。
【0054】
さらに、タンクアレンジメントは、複数の角柱タンクをスタックまたはマトリクスで一緒に結合することができるように、同様のフレームに選択的に結合することができる周辺フレームを含むことができる。
【0055】
タンクの便利な積み下ろしを可能にするために、貨物および/または燃料をタンクに積み込み、そこから取り出すことができるように、入口と出口ポートが提供されてよい。有利なことに、隣接するタンクは、タンクの同時積み下ろしを可能にするために、あらかじめ設定された導管を備えている場合がある。これは、液体の移送や、燃料の連続的な流れが必要とされる燃料用途に特に有用である場合がある。
【0056】
そして、上記のような複数のタンクを、船上や船内にマトリックス状に配置するのが便利である。
【0057】
本明細書に記載された発明の別の態様から見ると、船舶用の燃料タンクであって、タンクは、2つの対向する端部、2つの対向する側面、および下面に対向する上面を画定する複数の実質的に平坦な側壁を備え、平坦な側壁は、液化ガスを封じ込めるための容積を画定し、角柱形タンクは、平坦な側壁の交差部に縁部をさらに備え、縁部および平坦な側壁は押出し成形物である、ことを特徴とする。
【0058】
さらに別の態様から見ると、本明細書に記載の角柱形タンクを含む船舶が提供される。
【0059】
本発明の態様は、例示としての添付の図を参照しながら説明される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1図1は、本明細書に記載の発明を組み込むことができる船舶を通る断面図である。
図2図2は、本明細書に記載される角柱タンクのサブコンポーネントを示す図である。
図3A図3Aは、本明細書に記載されるタンクの縁部プロファイルを示す図である。
図3B図3Bは、本明細書に記載されるタンクの縁部プロファイルを示す図である。
図3C図3Cは、本明細書に記載されるタンクの縁部プロファイルを示す図である。
図4図4は、本明細書に記載のタンクのサブコンポーネントの代替図である。
図5A図5Aは、角柱タンク、断熱材および内部補強材を通る断面を示す。
図5B図5Bは、角柱タンク、断熱材および内部補強材を通る断面を示す。
図5C図5Cは、角柱タンク、断熱材および内部補強材を通る断面を示す。
図6A図6Aは、代替的な補強アレンジメントを有するタンクを通る断面を示す図である。
図6B図6Bは、代替的な補強アレンジメントを有するタンクを通る断面を示す図である。
図6C図6Cは、代替的な補強アレンジメントを有するタンクを通る断面を示す図である。
図7A図7Aは、図6A図6Cに示す補強アレンジメントを示す図である。
図7B図7Bは、図6A図6Cに示す補強アレンジメントを示す図である。
図8図8は、図7A及び7Bの補強アレンジメントをタンク表面とともに示したものである。
図9図9は、本明細書に記載の角柱タンクアレンジメントを含むISOコンテナフレームを示す図である。
図10A図10Aは、ISOコンテナおよび角柱形タンクを示し、また内部補強材を示す。
図10B図10Bは、ISOコンテナおよび角柱形タンクを示し、また内部補強材を示す。
図11A図11Aは、従来の液化ガス運搬船を通る断面を示す。
図11B図11Bは、従来の液化ガス運搬船を通る断面を示し、船のタンクのコーナー部分の拡大図である。
図12A図12Aは、本明細書に記載される断熱アレンジメントを示す。
図12B図12Bは、本明細書に記載される断熱アレンジメントを示す。
図13図13は、内部構成要素を明らかにするために1つの外面が除去された単一パネルの図である。
図14A図14Aは、図13に示すアレンジメントに接続するためのパネルの上面を示す。
図14B図14Bは、パネルの対向する(下)面を示す。
図15A図15Aは、パネルの外周部を示している。
図15B図15Bは、パネルの外周部を示している。
図16図16は、熱アイソレータを通る断面を示す。
図17図17は、パネルの外周部を通る断面を示す。
図18A図18Aは、六角形のパネルアレンジメントを示す。
図18B図18Bは、六角形のパネルアレンジメントを示す。
図18C図18Cは、六角形のパネルアレンジメントを示す。
図18D図18Dは、六角形のパネルアレンジメントを示す。
図19図19は、六角形パネル内部の複数の内部間隔要素を示す図である。
図19A図19Aは、六角形パネルを形成する構成要素の分解図である。
図110図110は、六角形のパネルアレンジメントの外面を示す。
図111図111は、図110に示す表面に結合されたとき、避難させることができるパネルの容積を画定する六角形の外周を示す図である。
図112A図112Aは、パネルおよびリムアレンジメントの外周を示す図である。
図112B図112Bは、外周の熱絶縁アレンジメントを通る断面を示す。
図112C図112Cは、隣接するパネルのアバットメントを示す。
図113図113は、パネルの単一ユニットまたはバンクを形成するために結合された複数の六角形のパネルを示す。
図114図114は、パネルの単一ユニットまたはバンクを形成するために結合された複数の六角形のパネルを示す。
図115A図115Aは、タンクに取り付けられた六角形のパネルの1つのアレンジメントを示す図である。
図115B図115Bは、船の部屋/ホールド空間(貨物エリア)の内殻に取り付けられた六角形パネルの1つのアレンジメントを示す。
図116図116は、パネルへの真空カップリングの一例を示す図である。
図117図117は、本明細書に記載の断熱システムを組み込んだ液化ガス用の輸送システムを示す図である。
図118図118は、図117に示された輸送システムのマトリックスを示す図である。
図119A図119Aは、図117に示すような分解されたシステムの平面図である。
図119B図119Bは、図117に示すような分解されたシステムの側面図である。
図119C図119Cは、図117に示すような分解されたシステムの端面図である。
図120図120は、システムの例示的な寸法を示す。
図121図121は、本明細書に記載の発明による断熱および輸送のさらなる例を示す。
図122図122は、本明細書に記載の発明による断熱および輸送のさらなる例を示す。
図123図123は、本明細書に記載の発明による断熱および輸送のさらなる例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本発明は、様々な修正および代替形態に影響を受けやすいが、特定の実施形態が図面に例として示され、ここで詳細に説明する。しかし、ここに添付された図面および詳細な説明は、本発明を開示された特定の形態に限定することを意図したものではなく、むしろ、請求された発明の思想および範囲に属するすべての変更、等価物および代替物を包含することを意図することを理解されたい。
【0062】
本明細書における先行技術文献への言及は、当該先行技術が広く知られていること、または当該分野における一般的な技術常識の一部を形成していることを認めるものとはみなされない。本明細書で使用する場合、「comprises」、「comprising」、および類似の単語は、排他的または網羅的な意味で解釈されることはない。すなわち、それらは「含むが、これに限定されない」ことを意味することが意図されている。本発明は、以下の実施例を参照しながらさらに説明される。請求される本発明は、これらの実施例によっていかなる意味でも限定されることを意図していないことが理解されよう。また、本発明は、個々の実施形態だけでなく、本明細書に記載された実施形態の組み合わせも対象とすることが認識されるであろう。
【0063】
本明細書に記載された様々な実施形態は、請求された特徴の理解および教示を支援するためにのみ提示される。これらの実施形態は、実施形態の代表的なサンプルとしてのみ提供され、網羅的および/または排他的でない。本明細書に記載された利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は、請求項によって定義された本発明の範囲に対する制限または請求項に対する等価物に対する制限と見なされるものではなく、請求された本発明の思想および範囲から逸脱せずに、他の実施形態を利用することができ、変更を加えることができることを理解されたい。本発明の様々な実施形態は、好適には、本明細書に具体的に記載された以外の開示された要素、構成要素、特徴、部品、ステップ、手段などの適切な組み合わせから構成され、それらから成り、またはそれらから本質的に成りうる。さらに、本開示は、現在請求されていないが、将来請求される可能性がある他の発明を含むことができる。
【0064】
本明細書に記載された本発明の態様の特徴は、任意の好適な組み合わせで便利にかつ互換的に使用できることが認識されるであろう。
【0065】
図1は、船体を通る断面を示している。貨物コンテナ1は、船のデッキ2上に配置される。 多くの層からなるコンテナが、世界中を輸送するために、甲板上または船体および貨物倉に運ばれる場合がある。
【0066】
図示の断面において、船体には、液体状の追加貨物を収容し得るタンク3が含まれている。 図示の例では、タンクは、タンクの外面の周囲に断熱材を備え、タンク3と船体の構造物5との間に空隙4を有する。この空隙により、断熱材を点検することができる。このアレンジメントは、船舶で使用される従来のアレンジメントであり、内容物を断熱するために、タンクの外面に断熱フォームのスプレー層が適用される。タンクを断熱することで、タンクの内容物を特定の温度に維持することができる。
【0067】
タンクとその外周の断熱材との間には、小さな空隙ができることがある。この空隙の雰囲気は、断熱材に面したタンク壁の温度が非常に低いため、その凝結点がタンク外面の温度より高いと結露を引き起こす。これを避けるために、小さな空隙は、タンク外壁の温度、すなわち<-250℃では結露しないガスで満たされることがある。あるいは、真空を導入することによって、空隙からあらゆるガスを除去することもできる。また、結露を避けるための手段を講じることなく、空隙を残すこともできる。この場合、雰囲気によっては、空隙に結露が生じ、タンク外面やパネル内面に氷の層が形成されることがある。この氷の層は、タンク表面から離れた外側の表面が、空隙の雰囲気の結露点よりも高い温度になるまで成長する。氷の形成は、断熱層として機能する可能性がある。
【0068】
図1に示す貨物コンテナ1は、寸法に関する特定の確立された国際規格に準拠することができる。貨物コンテナには、異なる規格が存在する。一つの規格は、国際標準化機構(ISO)規格668:2020である。これらの規格は、コンテナのサイズ及び寸法を定義する。
【0069】
ISOコンテナの利点は、すべてのコンテナを船に積み込み、隣接するコンテナの間に隙間がないようにしっかりとロックすることができることである。そのため、船内の空間を最大限に活用することができる。また、特定の規格に適合するように設定された世界中の港で、積み込み、積み下ろし、輸送を便利に行うことができる。
【0070】
本発明者らは、ISO規格の寸法に適合する角柱タンクを考案し、これにより、通常の貨物の輸送チェーンの中で使用することができるようになった。また、本明細書で説明するように、この新しいタンクのアレンジメントにより、液化ガスを極めて低い温度まで封じ込めることができる。
【0071】
次に、タンクの構造と作り方について説明する。
【0072】
図2A図2B図2Cは、タンク本体そのものを形成するサブコンポーネントを示す。 図示のように、タンクの構造はモジュール式であり、複数の外周フレーム部(図2Bに示す)と複数の実質的平面部(図2Cに示す)とからなる。フレーム部分と平面部分は、タンク(図2A)を形成するために一緒にされる。
【0073】
次に、個々の構成要素について説明する。
【0074】
図2Cを参照すると、平面状部分が示されている。これらの部分は、タンクの各側面の長さに沿って延びるアルミニウムの押出し成形による平面体である。各押出し材の幅(図2Cではwで示す)は、タンク表面の側面または端面を形成するために各押出し材の間に接合部が必要であるかどうかを決定する。図2Cに示されるように、2つの押出し材がタンクの側面を構成することができる。同様に、図示のように、2つの押出し材が各端面およびタンクの上部および底部を構成することができる。
【0075】
平面セクションを押し出すことにより、表面の最適な形状を提供することができる。例えば、各平面部の外縁は、中央領域よりも厚くすることができ、材料の消費と重量を最小限に抑えながら、同時に必要な強度を維持しながら、より便利に接合、結合または溶接を行うことができるようにする。平面部の他の断面も同様に、従来の押出し技術を使用して提供することができる。
【0076】
アルミニウムは、最小限の重量で表面に必要な強度をもたらすという利点がある。また、アルミニウムは、腐食しにくいタンクの表面を提供し、タンクが船で輸送される場合に特に有利である。さらに、アルミニウム合金は低温でも機械的特性を維持するため、製造が容易で、強度も確保できる。
【0077】
図2Bに目を向けると、外周フレーム部が示されている。外周フレーム部は、角柱タンクの縁を画定し、タンクの境界壁を画定するために側面、上面、下面および端面を接続する手段を提供する。
【0078】
平面部と同様に、外周フレーム部も押出し成形することができ、それによって上述と同様の利点を得ることができる。特に、フレーム部分の断面は、強度のために最適化することができる。
【0079】
また、フレーム部は、フレームが隣接する平面部に接続される点または線を最適化することを有利に可能にする。具体的には、押出成形されたフレーム部分を提供することにより、押出成形の連続的な性質により、接続の完全性を極めて高くすることができる。さらに、押出成形されたフレームの断面は、強度、重量、および隣接する平面部との結合のために最適化することができる。
【0080】
次に、図3A図3B図3Cを参照しながら、フレーム部についてより詳細に説明する。
【0081】
図3A図3B及び図3Cは、コーナー部の角及び側面の立面図を示す。図示のように、コーナー部は、タンクの底部から頂部まで延びる垂直部品と、側縁及び端縁を画定するために互いに90°で配置された2つの水平部品とからなる。
【0082】
気化によってタンク内の圧力が上昇し、応力集中が起こりやすい。このため、角型タンクは通常、圧力用途には使用されない。しかし、本発明者らは、図3Aに示すような押出しフレーム断面を用いると、断面、ひいては接合部が耐えられる力が極めて大きくなることを確認した。具体的には、フレーム断面の形状は、平面断面がフレーム断面に接合(溶接)される点または線が、極めて高い応力のゾーンから離れた場所に配置され得るようになっている。
【0083】
図3Aに示すように、溶接点Wpは、フレームを構成する材料のコーナーまたは折り返し点から遠ざけることができる。このように、溶接点をフレーム部分のコーナー領域から距離dだけ移動させることにより、溶接が行われる位置は、最も応力の大きい領域から遠ざかる。
【0084】
これにより、有利なことに、タンクの縁の構造的完全性が高まり、より完全性の高い溶接が可能になり、断面の厚さを強度と重量のために最適化することができる。
【0085】
さらに、溶接点をタンクの平面部に移動させることで、摩擦攪拌溶接(FSW)のような溶接技術を使用することができる。FSWは、フレーム部分と隣接する平面部分との間に高度に均質で連続的な溶接を形成することができるので、このようなタンクの用途では有利である。
【0086】
これにより、タンク外周のコーナーと縁部の接合に高い整合性を持たせることができる。
【0087】
図3Bに示すようなコーナー部分は、タンクの4つのコーナーの各々に湾曲したコーナーを作るためにプレスされることがある。もちろん、コーナーの数は、タンクの選択された形状に依存し、したがって、4より大きくてもよい。
【0088】
さらに、同じFSW技術を使用して、隣接する平面部を結合することも有利に行うことができる。
【0089】
このように、押出し成形されたサブコンポーネントで形成された高信頼性タンクを提供することができる。押出し成形が簡単であるため、コスト効率の良い方法で、高い精度でタンクを製造することができる。タンクを形成するモジュラーコンポーネント間の高い整合性のジョイントと相まって、液化ガスなどの海上輸送のための高強度かつ耐久性のあるタンクを提供することができる。
【0090】
タンクは、上述した複数の押出し成形品を寄せ集めて溶接することにより、都合よく形成することができる。
【0091】
図4は、本明細書に記載されたタンクの側面図、上面図及び端面図を示す。個々のサブコンポーネントは、以下のように参照数字で示されている。
7 押出しプロファイルコーナー
8 押出しビーム(短い)
9 押出し形状のコーナー
10 押出しビーム(長い)
11 押出しパネル(タンク壁)
12 押出しパネル(タンク壁);および
13 押出しパネル(天/底)
【0092】
他の溶接技術も、本明細書に記載されたモジュール式アレンジメントに都合よく適用され得ることが認識されるであろう。
【0093】
図では、液化貨物または燃料を収容するタンク本体の構造の詳細を説明する(燃料タンク用途の場合)。次に、タンク本体に適用され得る断熱材の態様について、以下のように説明する。
【0094】
図5は、本明細書に記載のタンクのタンクを通る断面(5A)、部分断面(5B)及び平面図(5C)である。図5Aは、図5Cの線A-A’を通る断面である。
【0095】
図2図4で説明したタンク本体の周囲には、タンク15の外周面に対して位置する断熱層14が配置されている。タンク内には、貨物/燃料16が収容されている。
【0096】
タンクの内部容積は、貨物/燃料を受け取るための空の空隙であってもよいし、一連の穿孔クロスメンバまたは表面17を組み込んでもよい。
【0097】
タンクの内壁の間に延びる複数の内部表面またはリブ17を配置することで、有利に多くの利点を提供することができる。
第一に、表面またはリブは、タンクの構造的な剛性を高めることができる。
第二に、剛性を高めることにより、タンクは内部および外部の両方でより大きな圧力負荷に対応することができる。
第三に、内部構造をより強固にすることにより、タンクの壁厚を減少させ、最適化することができる。
内部構造またはリブは、液体のタンクを移動させる際に望ましくないタンク内の液体の動き(「スロッシング」と呼ばれることもある)を有利に防止または低減することができる。
【0098】
以下、断熱層14の具体的な内容について、より詳細に説明する。
【0099】
図6A図6B図6Cに目を向けると、これらの図は、タンクのコーナーを断面で示したものである。図6Bは、図6Aにおける線A-A’を通る断面図である。図6Cは、タンク構造のコーナーの拡大図である。図示のように、内部リブ18は、タンクの周方向の補強を提供するタンクの内壁の周りに延びている。リブ18はまた、液体のスロッシング運動を有利に低減するように作用する。図5Aに示す例ではリブはタンクに沿うのに対して、本例ではリブはタンクを横切って延びる。
【0100】
図6Cでは、二次バリアまたは断熱層20で囲まれたタンク壁19が示されている。断熱層20は、タンクを外部の環境温度から完全に遮断するように、タンク(搬入口と搬出口を除く)を完全に包むように配置されている。
【0101】
図7A及び7Bは、図6B及び6Cに示す複数のリブ18を用いたタンク内の補強構造を(一例として)示す。タンク内のこのような構造により、極めて剛性の高いタンクが得られることが理解されよう。各リブは、有利にはアルミニウムから押出し成形または切断され、有利にはボルトまたは溶接で結合されて構造体を構成する。これらのリブは、スロッシングをより効率的に緩和するために、間隔をあけて寸法をずらすことができる。
【0102】
図8は、図7A及び図7Bに示す構造物の周囲のタンク面を示す。
【0103】
上述したように、本明細書に記載された新規な角柱タンクアレンジメントは、例えばコンテナに関するISO規則などの貨物輸送規則に定められた寸法に対応するように都合よく配置することができる。
【0104】
図9は、ISOコンテナ外枠内に本明細書に記載の角柱押出しタンクを組み込んだ一例を示す。タンク21は、コンテナ外枠22内に配置されうる。図示のように、外枠22は、例えば図1に示されるように、船舶での大量輸送のために、このようなコンテナを互いに接続し、または船舶のデッキなどの基部に固定し、一緒に結合することを可能にする標準アタッチメント23を提供する。
【0105】
図9は、ISOコンテナ外枠内に本明細書に記載の角柱押出しタンクを組み込んだ一例を示す。タンク21は、コンテナ外枠22内に配置されうる。図示のように、外枠22は、例えば図1に示されるように、船舶での大量輸送のために、このようなコンテナを互いに接続し、または船舶のデッキなどの基部に固定し、一緒に結合することを可能にする標準アタッチメント23を提供する。
【0106】
図10Aおよび図10Bは、そのようなISOアレンジメントと角柱押出しタンクを示す。図10Aはまた、タンクの長さに沿って延びる任意の内部リブを示している。
【0107】
次に、角柱タンクの断熱材、および断熱材とタンクの組合せについて説明する。タンクと断熱材の組み合わせは、貨物タンクと燃料タンクの両方の用途に使用できることが、本明細書の教示から再び認識されるであろう。
【0108】
図11Aは、液化ガス貨物の輸送に適応した従来のガス運搬船111を通る断面を示している。ガスは液化され、長距離輸送のために船内のタンクに送り込まれる。ガスを液化した状態で維持するために、船のタンクは非常に低い温度に維持されなければならず、貨物タンクには特別な断熱材が必要である。
【0109】
船は、船体に対して及び船体内で貨物タンク113の支持を提供する貨物支持システム112を含んでいる。タンク113は、船の一次封じ込めバリアとして機能し、典型的には、低温用途に指定された鋼またはアルミニウムで形成される。
【0110】
タンク113とさらなる二次バリアとの間の空間を画定するバリア間空間114が提供される。これは、船の内殻であってもよく、断熱材の別の層または船の断熱材のアレンジメントであってもよい。そのような場合、バリア間空間は、タンク113の外表面と、内殻の表面上に配置される断熱材との間にアクセス可能な空間を提供する。
【0111】
あるいは、断熱アレンジメントは、タンクに隣接して又はタンクに取り付けられて構築され、それ自体がバリアとして機能することもある。その場合、バリア間空間は、タンク113の外面からの距離と、バリアとして機能する断熱材アレンジメントとによって定義されることになる。
【0112】
タンク113は、様々な液化ガスとなり得る船舶の貨物を収容するように配置される。 一例では、貨物は、-163℃の温度に維持された液化天然ガス(LNG)であってもよく、別の例では、-253℃の温度に維持された液化水素であってもよい。
【0113】
液化ガスの輸送に関する法的要件に準拠するために、二次保護層115が設けられる。これは、内殻の表面に配置されてもよいし、代替手段によって配置されてもよい。一次タンク113が万が一故障または漏洩した場合、液化ガスは空間、例えばバリア間空間114に流れ込み、二次保護層115によって収容され得る。この層は、液化ガスが船体に接触するのを防ぎ、液化ガスの温度が極めて低いため、船体の致命的な破損を引き起こす可能性があるからである。
【0114】
図11Aに示すアレンジメントは、LNGなどの液化ガスを輸送するための船舶では当たり前の構造である。これらのガス輸送船は、冷たい液体を収容する安全な一次タンクと、一次タンクが漏出または故障した場合の二次バックアップ層システムを備えている。
【0115】
このLNG運搬船の建造の欠点は、建造に要する時間、ひいてはコスト、および建造プロセスの物流に関連する課題である。本明細書に記載されているように、船舶の構造および二次バリアが最初に船体表面に設置されるまでタンクを設置することができないので、このような船舶の建設は遅くなり得る。断熱材がタンクに隣接して、またはタンクに取り付けられて建設され、二次バリアとしても機能する場合、タンクは、船舶の船体の建設に続いて直接設置されうる。
【0116】
本発明の利点は、船舶の構成要素を並行して設置することができるため、液化ガス運搬船の全体的な建設期間を短縮することができることである。
【0117】
図11Bは、図11Aに示すような従来のアレンジメントのコーナーをより詳しく示す図である。ここでは、バリア間空間114および二次断熱層115がより明確に見える。
【0118】
図12Aおよび図12Bは、本明細書に記載の断熱アレンジメントの一実施形態を通る側面図および断面図(それぞれ)を示す。
【0119】
図12Aは、断熱アレンジメントの一般的な構成を示す。アレンジメント116は、第1の内向き層117と第2の外向き層118とからなる。内向き層は、液化ガスを含むタンク(例えば図11Aに示す一次収容タンク113)と対面または密着するように使用中に配置される。すなわち、用語「内向き」は、使用中に、冷たい貨物に向かって内側に向くアレンジメントの側を指す。
【0120】
対向面118は、使用時には、バリア間空間114又は船体(図11A及び図11B参照)に向かって、すなわち冷たい貨物から外側に向くように配置される。
【0121】
図12Bは、アレンジメントを断面で示す。図示のように、第1の層117と第2の層118は、空洞または空間119を画定する距離dだけ離間している。離散要素1110は、2つの層または表面117、118の間に配置され、2つの層の間の空間を維持する。
【0122】
図12Aおよび図12Bはまた、一方または両方の表面に形成され、層の剛性を高めることによって構造強度を高め、追加的かつ有利にパネルの表面の熱膨張および収縮に対応する波形1111を例示する。
【0123】
図12Aおよび図12Bはまた、アレンジメント内の空間と外部の周囲条件との間の空気連通を可能にする真空バルブ1112を示す。バルブ1112は、層間の空間内の圧力を真空まで、または真空に近い状態まで下げるように動作可能な空気ポンプ(真空ポンプ)を受設するように構成されている。これについては、さらに後述する。
【0124】
図13は、図12A及び12Bに示されたユニットの別の図である。ここでは、ユニットまたはパネルの内部アレンジメントが示されている。図示のように、一連の波形1111がパネルの長さに沿って横断して配置されている。図14Aを参照すると、2つの部品が一緒にされたときに波形プロファイル1111内に収まる、対応するプロファイル1111Bが示されている。したがって、波形は、パネルの剛性を増加させることができる。
【0125】
図13に戻ると、一実施形態では、表面117、118に、間隔をあける離散要素は、複数の細長い部材1114A、1114B、1114C、1114Dの形態である。任意の数の要素を使用することができることが認識されるであろう。離散要素は、パネルの一端から他端まで延び、その全長にわたって2つの面を支持する。
【0126】
パネル内および2つの対向する層間の空気の移動を可能にするために、各離散間隔要素(1114A~1114D)には、パネル内で空気が自由に移動できるようにする複数の開口部1113が設けられる。したがって、空気がバルブ1112を通して吸引されると、パネル内の空間全体の空気が排気され、真空が形成されうる。
【0127】
有利なことに、発泡体などの断熱材を使用するのとは対照的に、パネル内に真空を作り出すことによって、パネルの断熱特性を大幅に向上させることができる。さらに、パネルの層間の空間は、材料がなく、かつ空気が遮断されているため、パネルの重量も大幅に減少させることができる。
【0128】
次に、2つの面または層117、118は、複数の離散支持要素によって互いから構造的に支持され、一例が図13に示されている。層および支持要素は、一例として、押出し成形によってアルミニウムで製造することができる。したがって、パネルは、パネルから空気が吸引されて真空が確立されたときに、2つの表面117、118および周囲1115(図17参照)に作用する大気圧によって生じる力に対して支持または抵抗することができる。 パネルは、さらに、例えば、液体の重量がパネルに作用することを引き起こすタンクの漏れまたは破裂によって引き起こされ得る、パネルに加えられる任意の外部荷重を支持することができるようになっている。
【0129】
図14Aおよび図14Bは、パネルの2つの対向する層を形成するために押出し層117、118を使用するパネルの構造の一例を示す。一実施形態ではアルミニウムから各層を押出すことにより、有利には、層を任意の都合の良い長さおよび幅で形成することができる。 それは、各層を形成するための費用効果の高い簡単な方法を可能にし、さらに、波形1111を迅速かつ容易に形成することを可能にする。
【0130】
次に、各パネルの周囲について、図15A及び図15Bを参照しながら説明する。
【0131】
図15Aに示すように、周縁部Pはパネルの側面の周りに延び、図14A及び14Bに示す2つの対向する層のそれぞれの端部に接続されると不透過性のシールを提供する。端部は、波形1111と相補的なプロファイルを有する。パネルは、周囲Pを2つの層に溶接することによって形成され、それによって、縁部および2つの対向する面の周囲の外周によって結合された密封された内部空間を形成する。
【0132】
一例として各パネルの外周を、次に図15A及び15Bを参照しながら説明する。外周はパネルの側面の境界を形成する。内向き面および外向き面が外周に結合されると(例えば溶接によって)、それによって密閉された容積が形成される。この容積から空気を排出することができ、アレンジメントの内部に真空が生成される。
【0133】
図15Bは、外周を、隣接するが接続されていない構成要素P1及びP2として、2つの外周構成要素の間に空間Sを有するように図示している。この空間は、P1及び/又はP2に使用される材料よりも低い熱伝達特性を有する異種材料で(以下に説明するように)橋渡しされうる。こうして、熱アイソレータを形成することができる。
【0134】
外周は、有利には、パネルの外周の周囲に不浸透面を提供するために2つの層に都合よく溶接され得る金属であってよい。
【0135】
内向きパネルは冷たい一次タンクに近接するため、内向き表面の温度は、例えば周囲温度またはほぼ海水温度である可能性のある外向き層の温度より実質的に低くなる。
【0136】
液化水素を収容する装置の一実施形態では、内向きの表面は温度<-250℃、外向きの表面は温度>0℃である可能性がある。このように、パネル全体に大きな温度差または勾配がある。
【0137】
パネルの層と目立たない支持部材を形成するために、任意の適切な材料を使用することができる。例えば、密度が低く、波形で強度のある構造を作ることができるアルミニウムを使用することができる。しかし、アルミニウムの熱伝導率は約121W/mKであり、このため、周囲温度が材料を通してパネルの低温側(および液化ガス含有タンク)に伝導する点で不利である。
【0138】
したがって、2つの表面間の熱伝達を防止するために、熱アイソレータを使用することができる。これは、一例として、図16に示されている。
【0139】
図16は、第1および第2の層117、118と、その間に延びる単一の離散支持要素1114とを示す。支持要素1114は、第1層から延びる第1部分1116と、第2層から延びる第2部分1117とで形成されている。2つの部分は、熱ブレークまたはアイソレータ1118を介して一緒に結合されることができる。
【0140】
熱アイソレータ1118は、2つの部分1116、1117と異種材料であってもよい。 例えば、層117、118及び部分1116、1117は、アルミニウムで形成されてもよい。一例では、部分1116、1117は、例えば押出し成形によって層117、118と一体化するように形成することができる。あるいは、部分とそれぞれの層との交差部で溶接することもできる。
【0141】
図16に示す例では、熱アイソレータ1118は、隣接するアルミニウムよりもはるかに低い熱伝導率(例えば、121W/mKに対して約12W/mK)を有するステンレス鋼の一部であってもよい。このため、熱は離散要素に沿って直接通過することが制限され、代わりに熱アイソレータを通過することが防止される。
【0142】
アイソレータ1118にステンレス鋼を使用し、2つの部分1117、1116にアルミニウムを使用する場合、接続は、ステンレス鋼とアルミニウムを接続するための既知の溶接技術によって行うことができる。また、他の適切な接合工程を適用することも可能である。
【0143】
熱アイソレータ1118は、代替的に、極低温用途に適したゴム、POM、PTFEまたはPEEKなどのポリマーのものであってもよい。接続は、接着剤結合または加硫結合によって行うことができる。
【0144】
熱アイソレータ1118は、図15Aおよび図15Bに示されるように、パネルの外周の周囲に必要とされることもある。図16に示すように、同様のアレンジメントを使用することもできる。重要なことは、パネル内の内部空気が排気される際に、外周に作用する大気圧のために、外周も横方向の力を受けることである。したがって、熱絶縁体は横方向への移動に耐えることが要求される。
【0145】
図17は、外周部1115が熱アイソレータを組み込むためにどのように適合され得るかの一例を示す。ここでは、アイソレータ1118は断面が三角形であり、大気圧がアイソレータを外周部1115の第1部分と第2部分の間の隙間に偏らせるように作用することを意味している。アイソレータ1118は、代わりに溶接されたプレートや他の形状のものであってもよい。
【0146】
熱アイソレータ1118は、上層または下層117、118から任意の距離に配置することができる。
【0147】
さらに別の例では、離散支持要素は、合板、竹、段ボールなどの木材、または好ましくは熱伝達特性が低い他の材料で形成することができる。
【0148】
図17は、2つの隣接するパネルを溶接するのに便利な層の外周も示している。このようなアレンジメントでは、不透過性の溶接接合部を介して、1つまたは複数の隣接するパネルを一緒に封止することによって、単一の内部体積または空間が作成され得る。溶接は、例えば、2つの隣接するパネルが互いに接しているときに、パネルの上縁と下縁に適用することができる。
【0149】
上述したように、個々のパネルの形状は長方形または正方形であり、隣接する形状を便利にモザイク加工して(例えば溶接によって)接合することができる。また、三角形を含む他の形状も使用することができる。断熱されるタンクや部屋、ホールド空間の形状に応じて、異なる形状の組み合わせが使用されることもある。
【0150】
図18Aから図18Cは、六角形の形をした代替のモザイク式パネルを示す。有利なことに、六角形はモザイク加工が可能であり、熱膨張は六角形の中心から半径方向外側に測定したときに均一である。図18Dは、六角形パネル内に真空を作り出すために空気を抜くことを可能にする排気バルブを示す図である。
【0151】
次に、六角形のパネルの内部について、図19を参照しながら説明する。
【0152】
六角形のパネルは、様々な異なる分布及び構成で配置された複数の離散支持要素から構成され得る。図19に示す例では、パネルに沿って延びる材料の細長いストリップまたはパネルに半径方向に間隔を置いた同心円状のリングの代わりに、支持要素は複数の柱の形態である。
【0153】
柱は、例えば、図19に示すように、内向きおよび外向きの表面から延びる円柱または六角柱であってよい。柱は、内向きおよび/または外向きのパネル上に直接、またはそれぞれの層の内側に適用された材料-支持層上に載ることができる。この材料支持層は、有利には、低い熱伝達特性を有しうる。そして、カラムは、真空がパネル内に引き込まれる際に、2つの表面または層の分離を維持するために必要な支持を提供することができる。熱伝導率が低いということは、パネル全体の熱伝達を最小限に抑えることができるということである。
【0154】
図19に示すように、柱は六角形の形状であってもよく、これにより有利には、個々の柱が六角形のパネルの本体内でモザイク加工し、パネルの領域にわたって延びることができる。従って、垂直方向及び横方向の荷重に対応することができる。
【0155】
各カラムは、図16を参照して説明したように、中間熱アイソレータを備えて構成することができる。しかしながら、有利には、木材(例えば合板又は木材複合材)、竹、段ボール又はステンレス鋼のような、低い熱伝導率を有する単一の連続した材料を使用することもできる。このように、簡便性を高め、製造コストを削減する熱アイソレータを使用することができる。
【0156】
図19Aは、六角形のパネルを構成するサブコンポーネントを示している。図示されているように、個々の六角柱の六角形の配列は、上面と下面の間およびパネルの外周内に配置されている。
【0157】
別の任意のアレンジメントでは、柱はそれ自体、発泡スチロール、パーライトなどの断熱材で満たされることもある。柱はそれぞれ全部または一部をそのような材料で充填することができ、パネルの強度および/または熱特性を有利に高めることができる。強度、重量および熱的性能の間のバランスを達成することができるように、カラムのすべてまたはサブセットを充填することができる。
【0158】
図19および図110は、六角形のパネル内部の詳細を示す。図110はまた、図15Bを参照して上述した周縁部に対応する2つの周縁部P1およびP2を示している。 図111は、六角形パネルの外周部1122を示す図である。
【0159】
図19に示す各カラムは、さらに、各カラムへの空気の連通を可能にする穴、スロットまたは開口部を備えることができる。したがって、図18Dに示すバルブを通して各カラムから空気を吸引し、パネル全体及び各カラムの内部を真空状態にすることができる。パネル内の圧力差は避けられ、真空の熱的特性は維持される。
【0160】
内向き面と外向き面の間で必要とされる断熱特性を維持しつつ、外周全体が気密である(ガス流を通さない)ことが、六角形パネルの要件として残っている。これは、図112Aを参照することで実現できる。
【0161】
図112Aは、六角形のパネルアレンジメントの一実施形態を示す図である。
【0162】
パネルは、内向きの表面117と外向きの表面118と、さらに(図112B参照)2つのリップまたはリムRi、Roとからなる。
【0163】
リム又はリップは、図112Bに追加的に図示されており、リムが外側に面した表面から、パネルの周囲の周りに延びていることが分かる。リムの機能は以下に説明される。
【0164】
リムは、角度a(90度より大きい)で示されるように、パネルの外周の垂直側面に対して角度がつけられている。パネルは、図18C及び110にも示されるように、外向きの構成要素P1と内向きの構成要素P2とから構成されている。六角形パネルの対向面を形成する2つの構成要素の間には、分離部Sが設けられている。
【0165】
パネルの外周にシールを作るために、ステンレス鋼の薄い層1120が、分離部Sに重なるようにパネルの外周に結合され、2つのコンポーネントP1およびP2に結合される。
【0166】
ステンレス鋼層は、有利には、パネルの外周内にある木材または同様の材料のインナーライナーに接着され、それ自体が分離部Sを横切って延びることができる。裏打ち層を設けることにより、ステンレス鋼層を極めて薄くすることができ、それによって同時に
(a)パネルの外周に必要なエアシール面、および
(b)各パネルの外周に必要とされる熱絶縁性
を与えることができる。
【0167】
ステンレス鋼は、パネルの全深さ、すなわち図112BのL1からL2まで延びることができる。
【0168】
図112Bは、薄いステンレス鋼層と、上述のような裏面とを示す。図112Aに示すアレンジメントを形成する材料の厚さは、パネルの所望の熱的および構造的性能に従って選択することができる。例えば、寸法は以下の範囲内、すなわち、
外向き層の厚さの範囲-0.2mm~1mm
内向きの層厚範囲-0.2mm~1mm
分離部範囲S-最大200mmまで
熱断熱層の厚さ-隣接する材料の厚さより小さい厚さ、例えば、隣接する材料の厚さが1mmの場合、0.8mm、
とすることができる。
【0169】
図112Cは、外側リムR0と内側リムRiの機能を説明する図である。
【0170】
図示のように、2つの隣接する断熱材アレンジメントA1およびA2は、断熱システムのモザイク式アレンジメントの一部を形成するために、アバットメントにもたらされる。2つの隣接するアレンジメントA1およびA2は、アレンジメントをモザイク加工する際に、六角形の形状の直線状の外周線に沿って接触することになる。
【0171】
ここでは、図112Cの点Jで、溶接ビードを形成して2つのアレンジメントを一緒に溶接することができる。この溶接により、アレンジメントの低温側から大気側への空気の通過を防ぐ、ガス不透過性のシールが形成される。アレンジメントをタンクに接続する場合、溶接はパネルの大気側に配置され、逆にアレンジメントを船体に配置する場合、溶接はパネルの低温側に配置される。
【0172】
リムの角度aは、隣接するアレンジメントA1、A2のある程度の柔軟性と動きを許容する。パネルの低温側の熱収縮は、隣接する2つのリムを引き離す傾向がある。パネルの大気側では、熱膨張によって隣接するリムが一緒になる傾向がある。
【0173】
有利には、パネルの低温側または大気側はタンクまたは船体に強固に結合されず、タンクが空になり(潜在的に暖まり)、再び充填される(したがって冷却される)ときに、タンク/船体表面に対する断熱アレンジメントの熱移動を許容する。有利なことに、タンクまたは船体への接続は柔軟で、タンク/船体とパネルとの間の相対的な移動を可能にする。
【0174】
パネルはタンクにしっかりと固定されておらず、パネルの冷たい側に縁があるため、タンク表面と断熱パネルの間に小さな空隙が生じる。この空隙の雰囲気は、断熱材に面したタンク壁の温度が非常に低いため、その結露点がタンク外面の温度より高いと結露の原因となる。これを避けるために、小さな空隙は、タンク外壁の温度、すなわち<-250℃では凝縮しないガスで満たされてよい。あるいは、真空を導入することによって、空隙からあらゆるガスを除去することもできる。また、凝縮を回避するための手段を採用せずに、空隙を放置してもよい。この場合、雰囲気によっては、空隙に結露が発生し、タンクの外側表面やパネルの冷面に氷の層が形成されることがある。この氷の層は、タンク表面から離れた外面が、空隙内の大気の結露点よりも高い温度になるまで成長することがある。氷の形成は、氷のさらなる形成を防止する断熱層として機能する場合がある。
【0175】
熱特性を完全に最適化するために、隣接するパネル間に形成される空隙Inは、断熱材料で充填され得る。例えば、空隙は、ポリウレタン、ミネラルウール、EPS(発泡ポリスチレン)、または空間を埋めるために空隙と都合よく配置できる他の断熱材料で満たされてよい。あるいは、空隙に真空を導入してもよい。
【0176】
図113および図114は、船舶の内殻またはタンクの外側面に接続するために結合された複数の六角形のパネルを示す。このようなアレンジメントでは、周囲の不透過性シールは、個々のパネルの周囲とは対照的に、アレンジメント全体の最も外側の周囲にのみ必要である。したがって、アレンジメントの単一の内部容積が提供され、単一の避難バルブが使用され得る。これにより、アレンジメントの設置および退避をより迅速に行うことができる。
【0177】
隣接するパネルのグループまたは複数が表面上で一緒にされる状況では、隣接するグループ間の空隙は、上記のように発泡スチロールなどの断熱材で有利に充填される。あるいは、空隙に真空を導入することもできる。
【0178】
さらに、アレンジメントの熱的性能にとって重要なアレンジメント内の真空レベルのチェックと監視を容易にする。このようなアレンジメントでは、接続された複数のパネルの内部圧力を決定するために、単一のバルブのみをチェックする必要がある。圧力計は、追加的または代替的に設置することができる。
【0179】
図115Aは、六角形のアレンジメントをタンクの外面に設置する様子を示す図である。
【0180】
図115Bは、船舶のルーム/ホールド空間(荷室)において、六角形のアレンジメントを内殻に設置する様子を示している。
【0181】
図116は、パネル上の真空バルブに接続された真空接続部と、空気を排出することができる関連する導管を示す。複数の個々のパネルまたはパネルのバンクを単一の真空ポンプに接続し、1つまたは複数の真空セクションを作成できることが認識されるであろう。例えば、便利なカップリングとメンテナンスを可能にするマニホールドが提供されてもよい。
【0182】
上述の例は六角形のパネルに関するものであるが、同じアプローチをモザイク加工が可能な他の形状にも使用できることが認識されよう。例えば、正方形や三角形のパネルである。 断熱されるタンクの形状によっては、異なる形状の組み合わせを利用し、モザイク加工して、タンクの表面全体または船体の内面を覆う完全なバリアを提供することができる。また、リム部や周辺部の熱絶縁は、異なる形状のパネルにも同様に使用することができる。
【0183】
絶縁アレンジメントの監視は、温度監視及び/又は圧力監視を利用して行うことができる。
【0184】
不透過性シールによって画定された各パネルまたは複数のパネルは、真空バルブ1113を介して、圧力制御および監視システムおよび真空ポンプに接続され得る。定義された真空圧、デフォルト値、および実際の圧力の間の乖離が監視される。パネルのグリッドまたはバンクに接続された真空ポンプは、必要なときに必要なだけ作動し、デフォルトの真空圧を回復する。
【0185】
あるいは、圧力の代わりに、あるいは圧力に加えて、温度を監視パラメータとして適用することもできる。温度測定は、熱電対などのセンサーや赤外線(IR)カメラなどの受動的なものを使用して、パネル間の温度変化や所望の動作温度に対する相対的な温度変化を監視することができる。温度があらかじめ設定された既定値以上に上昇した場合、真空の喪失が示される。パネルまたは複数のパネルのグリッドに接続された真空ポンプが作動し、必要に応じてデフォルトの真空圧を回復する。
【0186】
本明細書に記載の断熱アレンジメントは、上記のような貨物用途において液化ガスの輸送を可能にするために使用され得ること、すなわち、液化ガスを運ぶために特に建設された船舶で大容量タンクが使用されることが認識されよう。本発明者らは、断熱パネルアレンジメントが他の関連用途にも使用され得ることを立証した。例えば、パネルは、タンク自体に、あるいは、タンクが断熱されていない場合、断熱されていないタンクが置かれる部屋/ホールド空間の壁/隔壁に取り付けられてもよい。
【0187】
さらに、または代替的に、LNG燃料タンクは、本明細書に記載の絶縁アレンジメントを使用して実現することができる。
【0188】
さらに、または代替的に、液体水素(LH2)燃料タンクは、本明細書に記載の絶縁アレンジメントを使用して実現することができる。したがって、液化水素を含むことができるこのような断熱燃料タンクを提供することによって、クリーンな燃料を使用することができる。
【0189】
上記の議論は、図115に示されるような大型タンクまたはいくつかの大型タンクを有する目的別貨物船における断熱アレンジメントの使用に焦点を当て、燃料タンク(LNG/LH2のいずれか)についても同様である。しかし、図117から図120を参照して説明したように、モジュール式の貨物アレンジメントも実現することができる。
【0190】
図117は、本明細書に記載の断熱アレンジメントを組み込んだ液化ガス輸送アレンジメントを示す。輸送アレンジメントは、船舶で貨物を輸送するために使用されるタイプのハイキューブ貨物コンテナを含む、20フィート、40フィート、又は45フィート長のようなISO標準コンテナの寸法内に含まれるように配置されるが、これに限定されない、又は任意の他の適切なスキッド状構造である。
【0191】
外側構造体1127は、図118に示すように、別々の輸送アレンジメントを一緒に結合できるように配置される。個々の液化ガス輸送アレンジメントのアレイは、その後、例えば、貨物船内またはデッキ上での輸送のために一緒に固定され得る。図118では、個々の液化ガス輸送アレンジメントは、タンクのアレイを形成するために一緒に結合される。
【0192】
次に、図119および図120を参照しながら、アレンジメントの断熱について説明する。
【0193】
図119Aは、アレンジメントの平面図である。図119Bは、アレンジメントの側面図、図119Cおよび端面図を示す。
【0194】
図119Aは、タンクを囲む断熱層を構成する各部の分解図である。タンク1128は、水素(LH2)またはLNGなどの液化ガスを収容するように配置される。タンク1128は、それ自体がセクションで形成されている断熱層によって囲まれている。
【0195】
タンク1128は、エンドセクション1129A、1129Bおよび2つのスリーブセクション1130A、1130Bによって囲まれうる。スリーブセクション1130A、1130Bは、タンクの長さにわたってスライドするように配置される。次に、タンクは、端部セクション1129A、1129Bをロックして、タンク1128の周りに包囲体を形成することによって「密閉」される。図117を参照すると、包囲されたタンクは、荷物の積み下ろしのためのアクセスポート1131を備えている。
【0196】
断熱層は、本明細書で説明するように、個々のパネルのモザイク式アレンジメントの形態であってもよい。しかしながら、図119A~119Cに示すアレンジメントのスリーブは、同じ真空内部空洞を有する断熱層のより長い断面を使用し、都合よく製造することを可能にする。本明細書で説明するように、間隔要素は、真空が層内に引き込まれるときに断熱材に必要な構造的支持を提供するために使用され得る。
【0197】
間隔要素は、離散的要素であってもよいし、スリーブの長さに沿って(およびタンク対面層と外向き層との間に画定される空間内に)延在する細長い部材であってもよい。これにより、押出し成形などの便利な製造が可能になる。
【0198】
図120は、貨物船や国際輸送で使用されるコンテナのサイズに適合するように適切な寸法を有するアレンジメントの側面図、端面図及び平面図を示す。したがって、アレンジメントは、積み下ろしのための特別な装置または形状を必要とすることなく、従来の物流システムを使用して都合よく動作することができる。
【0199】
別のアレンジメントでは、タンク1128は円筒形であり、スリーブは円筒形のタンクを囲むように円筒形に対応することができる。この場合、端部は、タンクの両端にある2つの対向する凹状の断熱材「キャップ」となる。
【0200】
真空、温度検知、ボイルオフの処理/管理に関する本明細書に記載されたアレンジメントは、例えば単一のコンテナを使用する場合、コンテナの外側の境界内に都合よく配置することができる。あるいは、複数のコンテナが一緒に使用される場合など、真空、温度感知、ボイルオフのアレンジメントのための制御・監視装置を収容する一次コンテナに、複数のコンテナを接続することができる。あるいは、他の関連する船内制御装置と統合して配置することもできる。
【0201】
また、各容器は、真空を単一の真空源から複数の容器断熱アレンジメントから引き出すことを可能にする適切な導管およびコネクタを提供することができることが認識されるであろう。電気接続も同様に、コンテナ間で電力と温度/圧力情報を通信するために提供されることがある。このように、コンテナの完全なモジュラーシステムを実現することができる。
【0202】
ここに記載された発明は、前述のように、船舶用の燃料タンク用途にも使用することができる。
【0203】
上記のいずれの構成においても、アレンジメントは、液体が気体に気化する際に発生するタンク内の圧力上昇を制限し、安全なレベル内にとどまることを保証するボイルオフ管理システムを含むことができる。これは、再注入のための再液化を含むことができる。
【0204】
本明細書に記載された発明による断熱および輸送のさらに別の例が、図121、122および123を参照して設定される。
【0205】
上記の断熱アレンジメントは、上記のようにタンク表面および/または船体表面のいずれかに密接に配置され得る複数の離散的なユニットで形成されている。
【0206】
これは、貨物保持タンク(複数可)の上にある容器の上部構造を含む液化ガス運搬容器の断面を示す図121を参照してさらに説明される。ここで、船舶32は、タンク33(自立型、角柱型、IMO独立タンクタイプA、タイプB、または代替的に新規のタンク設計である、一次バリア)内に、輸送中に液化燃料が装填され、収容される。タンク33は、複数の支持体又は「足」34によって船舶32の構造内に支持されている。支持部材34(タンクが載るLH2の極端な温度(-253℃)のための特別な設計である、貨物タンク支持体)、タンク33の支持を提供し、また、低温タンクと船体の下部構造及び表面との間の熱的な断絶を提供する。これについては、さらに後述する。
【0207】
図121はまた、パネルを参照して上述したように、タンク33に近接して配置され、タンク33に結合される一次断熱層35を図示している。二次断熱層36もまた図示され、船の内殻または船体に近接して配置され、これに結合され得る。独立した二次断熱層36は、冗長性を提供し、追加のリスク軽減層を表す。
【0208】
水素は-253℃でLH2として液体状態になる。したがって、LH2の封じ込めには、低温、すなわち<-250℃の維持が必要となる。窒素は-196℃で液化(または沸騰)する。船体または内殻の一次断熱層35と二次断熱36の間の空隙37で、監視/モニタリングにNの使用を可能にするには、空隙37の温度をNの沸点より高くする必要がある。したがって、オンタンク断熱、一次断熱層35が必要である。
【0209】
一次断熱層35は、ポリウレタン(PU)スプレーフォーム、真空パネル、PUパネルw/合板、または任意の他の適切な断熱材料のものであってもよい。同様に、適用される場合の二次断熱パネルは、ポリウレタン(PU)スプレーフォーム、真空パネル、PUパネルw/合板、または任意の他の適切な断熱材料のものであってよい。二次断熱層36は、ホールド空間全体を覆い、タンク支持体を水没させることができる。
【0210】
説明したような、主に一次断熱層と二次断熱層からなる断熱収容システムの熱効率要件を低減するために、タンクまたは一次バリア33自体に冷却アレンジメントを設置することができる。これは、冗長性を提供することができ、さらなる追加のリスク軽減層を表す。このような冷却アレンジメントは、内部熱交換器を有する極低温冷凍機を含むことができる。
【0211】
一次断熱層およびタンク、二次断熱層および内殻の間の完全な接触は実現しにくく、その結果、それぞれの断熱パネルと表面の間に小さな分離が生じ、空隙が生じる。タンクと一次断熱層35の間の空隙は、タンクがLH2のような荷を運んでいるとき、荷の温度よりもわずかに高い温度を保持する。この隙間に酸素と窒素を含む空気が入ると、この2つの成分がそれぞれ-183℃と-196℃で凝縮し、氷が形成される。
【0212】
タンク(VbT)と一次断熱パネルの隣接する表面との間の空隙は、図121図122ではV1と称する)に示すように設けることができる。VbT/V1内の温度は、例えばOとNの混合大気の沸点/凝縮点よりも低くなるため、凝縮、ひいては氷の形成が発生する。これを防ぐために、空隙の温度(VbT/ V1)そのものよりも低い沸点/凝結点を持つ気体で空隙を満たすことができる。気体としては、ヘリウム(He)(約-269℃で沸騰・凝縮)、水素(H)(約-253℃で沸騰・凝縮)の2つが考えられる。第3の選択肢は、空隙VbT/ V1に真空を作り出すことである。これら3つのシナリオでは、空洞の内容物や雰囲気が凝縮や氷の形成を防いでいる。真空の場合、気体は全く存在しないことが認識されるであろう。あるいは、空洞は-253℃より高い温度のガスで満たされてよい。これは、酸素や窒素の混合物であってよい。空隙の温度VbTは、酸素と窒素の混合物の沸点・凝結点よりも低いため、結露により氷が形成される。これは、氷の層が十分な厚みと熱容量を持って、空隙の温度が空隙の大気の凝結点(VbT/V1)以下になるまで放置することができる。この時点で、結露と氷のさらなる形成は停止する。
【0213】
断熱パネルと船体の間の空隙は、それほど低い温度にさらされることはない。この空隙には、空気、窒素、ヘリウムを充填することができる。
【0214】
こうして、容器内のタンクから次の層が始まる、多層断熱システム38を作成することができる。これは、図121に示された断熱層の一部を通る断面である図122を参照して説明される。
【0215】
多層断熱システムは、次のような層に分けることができる。
【0216】
【表1】
【0217】
【表2】
【0218】
本発明者らは、ポリウレタン/ポリウレタンのペアリングで最も低い熱性能が達成され、多重(モザイク式)パネル/多重パネル(図1~20を参照して説明)で最適な熱性能が達成されることを確立した。さらに、このようなパネルにおける真空アレンジメントは、最高の熱性能を提供する。
【0219】
したがって、表1、表2および図122を参照すると、本明細書に記載の発明による容器に対して複雑な熱アレンジメントを提供することができることが認識されるであろう。
【0220】
有利なことに、各層の熱特性は、特定の貨物に対して最適化することができる。さらに、製造と設置が簡素化され、複数の空隙層を形成するのに適応することができる。製造公差を小さくすることで、タンクや船体の形状に高い公差を持たせることができ、同時に追加の空洞層を設けることができる。
【0221】
図123は、図121に示す支持部材または「足」34を示す図である。
【0222】
支持部材34は、熱膨張・収縮に伴うタンクの静止とスライドを可能にする支持の機能を提供する。また、周囲からの熱がタンクに伝導するのを防ぐサーマルブレイクとしても機能する。さらに、上記の空隙の完全性を維持するために、各支持部や脚部の周囲は、ガスの漏れや侵入、真空の喪失を防ぐために密閉されていなければならない。
【0223】
これは、耐荷重性のあるサーマルブレイク主要部材40を使用して達成される。これは、船体およびその関連構造部材に対して下面に、タンクに対して上面に配置される。
【0224】
上述したように、結露や氷の形成に対する緩和策として、ヘリウムまたは他の適切な気体をタンク間の空隙に使用することができる。このようなアレンジメントでは、ヘリウムなどの追加供給システム、および個々の空隙への配管/バルブアレンジメントが提供される場合がある。各空洞の周囲は、ヘリウムのような選択されたガスの侵入/放出を防ぐために密閉されることがある。
【0225】
図123は、タンクと船体下面との結合、すなわちタンクが支持され、かつ重要な絶縁がなされている方法を示している。
【0226】
図123は、図121に示す複数の支持部材34のうちの1つを示す。図示のように、脚部アレンジメントは、タンク壁33と船体との間の接続を提供するサーマルブレイク主要部材40からなる。これは、例えば、木材を含む任意の適切な材料で作られ得る。本明細書に記載の発明の態様は、構成要素の1つ以上が任意に含まれ得る、図123に記載のアレンジメントを含む。
【0227】
図示のように、一次断熱層35は、サーマルブレイク40からタンク33に延びる鋼製支持構造41の側面輪郭に沿うように配置されている。層35のこの輪郭は、脚部構造の周囲に断熱材の連続性を提供する。
【0228】
熱橋/タンク支持体40を密閉するために、金属製の溶接キャップまたはハット42が断熱パネルまたは層36の金属製外層43の内面に溶接されている。溶接は足を取り囲み、それによって気体シールを提供し、空隙37の完全性を維持する。空隙37は、前述のように窒素などの不活性ガスで満たされることがある。
【0229】
本発明者らはまた、複数の断熱層及び空隙アレンジメントを含む本明細書に記載のパネル及び断熱アレンジメントが、スフェロイドタンク、実質的にはスフェロイドの各平面が本明細書に記載のパネルに対応するサッカー又はプロレートスフェロイド形状にも適用できることを立証した。パネルは、五角形状及び六角形状を含む様々な数の側面から構成されてもよく、各々が溶接又は結合されている。
【0230】
別の側面から見ると、船舶の貨物含有タンクに対して又は近接して配置され、前記第1層から間隔を置いて配置された第1断熱層及び第2断熱層を画定し、その間に空間を画定する、本明細書に記載の1つ又は複数のモザイク式断熱ユニットを含む船舶用のモジュラー断熱アレンジメントが提供される。
【0231】
また、第二の層は、複数の四角い断熱ユニット、または層、ポリウレタン(例えばスプレー式)であってもよい。LH2用ではなく、例えばLNG用として使用される場合には、第2の断熱層は必要ない場合がある。
【0232】
1つまたは複数のモザイク式断熱ユニットと貨物含有タンクおよび船舶の間の隙間または空洞は、ヘリウムまたは水素から選択されるガスで満たされるか、または代替的に真空が適用されることがある。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図18D
図19
図19A
図110
図111
図112A
図112B
図112C
図113
図114
図115A
図115B
図116
図117
図118
図119A
図119B
図119C
図120
図121
図122
図123
【国際調査報告】