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特表2023-534550高速スキャン光音響映像入力装置及びその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-09
(54)【発明の名称】高速スキャン光音響映像入力装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/13 20060101AFI20230802BHJP
【FI】
A61B8/13
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504138
(86)(22)【出願日】2022-01-12
(85)【翻訳文提出日】2023-01-19
(86)【国際出願番号】 IB2022050199
(87)【国際公開番号】W WO2022149119
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】10-2021-0002081
(32)【優先日】2021-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521288297
【氏名又は名称】プキョン ナショナル ユニバーシティ インダストリー-ユニバーシティ コーポレーション ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】Pukyong National University Industry-University Cooperation Foundation
【住所又は居所原語表記】45, Yongso-ro, Nam-gu, Busan 48513, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】オ ジョンファン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ ジェヨップ
(72)【発明者】
【氏名】ングイエン バンツ
(72)【発明者】
【氏名】ファム バンヒエプ
(72)【発明者】
【氏名】トルン ングイエン タン フォン
(72)【発明者】
【氏名】リ カオ ユン
(72)【発明者】
【氏名】パク スミン
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB09
4C601BB13
4C601DE16
4C601EE01
4C601EE07
4C601GA30
4C601HH14
(57)【要約】
【課題】本発明は、光音響プローブを高速に移動させながら検査対象体に対する超音波信号の入力を実行して2次元または3次元映像に変換することにより、検査対象体に対する高解像度の2次元または3次元映像を高速に生成することができる高速スキャン光音響映像入力装置及びその方法を提供するものである。
【解決手段】本発明の一実施形態による高速スキャン光音響映像入力装置は、レーザ発生部(10)を通じて検査対象体に向けてレーザパルス出力を出力し、それに応じて前記検査対象体から出る超音波映像信号を超音波受信部(20)を通じて受信する光音響送受信部(10,20)と、前記超音波映像信号を受信してデジタル映像信号に変換するアナログデジタル変換部(30)と、前記デジタル映像信号を受信して前記検査対象体に関する超音波映像情報を生成するメイン制御部(40)と、前記光音響プローブの運動情報(エンコーダパルス信号)を受信して、前記運動情報に対応するスキャントリガ信号を生成し、前記レーザパルス出力情報(レーザ検出信号)を受信してレーザパルス出力に対応するレーザトリガ信号を生成し、前記レーザトリガ信号に対応する出力トリガ信号を生成してアナログデジタル変換部(30)に出力するトリガ制御部(50)と、を備え、前記メイン制御部(40)は、前記出力トリガ信号に対応する前記超音波映像信号に対応する映像をスキャンライン単位で順次合成して前記検査対象体の映像を生成することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モータの一方向回転運動を前記駆動モータに連結された光音響プローブの直線往復運動に変換させ、前記光音響プローブの直線運動と前記直線運動に垂直な垂直方向運動により検査対象体を2次元スキャンして前記検査対象体(被検体)に対する映像を生成するものであって、
レーザ発生部(10)を通じて前記検査対象体に向けてレーザパルス出力を出力し、それに応じて前記検査対象体から出る超音波映像信号を超音波受信部を通じて受信する光音響送受信部(10,20)と、
前記超音波映像信号を受信してデジタル映像信号に変換するアナログデジタル変換部(30)と、
前記デジタル映像信号を受信して前記検査対象体に関する超音波映像情報を生成するメイン制御部(40)と、
前記光音響プローブの運動情報を受信して、前記運動情報に対応するスキャントリガ信号を生成し、前記レーザパルス出力情報を受信してレーザパルス出力に対応するレーザトリガ信号を生成し、前記レーザトリガ信号に対応する出力トリガ信号を生成してアナログデジタル変換部(30)に出力するトリガ制御部(50)と、を備え、
前記メイン制御部(40)は、前記出力トリガ信号に対応する前記超音波映像信号に対応する映像をスキャンライン単位で順次合成して前記検査対象体の映像を生成する、高速スキャン光音響映像入力装置。
【請求項2】
前記アナログデジタル変換部(30)は、前記超音波受信部(20)から入力される超音波映像信号から出力トリガ信号に対応する超音波映像信号をデジタル映像信号に変換して前記メイン制御部(40)に伝送する、請求項1に記載の高速スキャン光音響映像入力装置。
【請求項3】
前記メイン制御部(40)は、入力される前記デジタル映像信号をスキャンライン単位で順次合成してライン映像を生成し、それぞれのスキャンラインのライン映像を合成して3次元映像を生成する、請求項1に記載の高速スキャン光音響映像入力装置。
【請求項4】
それぞれの偶数番目のライン映像は、その順序を逆順に合成して偶数番目の映像を生成し、奇数番目の映像と合成して3次元映像を生成する、請求項3に記載の高速スキャン光音響映像入力装置。
【請求項5】
前記駆動モータの一方向回転運動は、スライダクランクメカニズムによって前記光音響プローブの直線往復運動に変換され、
一対の前記光音響プローブは、スライダにレールが延びる方向と同じ方向に互いに離間するように設けられ、
一対の前記光音響プローブは、スライダを基準にして同じ距離でクランク軸の回転半径の2倍だけ離間するように設けられる、請求項1に記載の高速スキャン光音響映像入力装置。
【請求項6】
前記駆動モータの一方向回転運動は、スライダクランクメカニズムによって前記光音響プローブの直線往復運動に変換され、
一対の前記光音響プローブは、スライダにレールが延びる方向と同じ方向に互いに離間するように設けられ、
一対の前記光音響プローブは、スライダを基準にして同じ距離でクランク軸の回転半径の2倍より小さい距離だけ離間するように設けられる、請求項1に記載の高速スキャン光音響映像入力装置。
【請求項7】
前記レーザ発生部(10)で生成されたレーザビームを第1レーザビームと第4レーザビームとに分岐させるビームスプリッタと、
前記第4レーザビームを検出してレーザ検出信号を生成するフォトディテクタ(PD)と、
前記第1レーザビームを反射させて前記検査対象体に照射し、前記検査対象体に発生した超音波信号を通過させる結合部と、をさらに備え、
前記超音波受信部(20)は前記結合部を通過した超音波映像信号を受信する、請求項1に記載の高速スキャン光音響映像入力装置。
【請求項8】
前記レーザ発生部(10)で生成されたレーザビームを第1レーザビームと第2レーザビームに分岐させる第1ビームスプリッタ(VBS1)と、
前記第2レーザビームを第3レーザビームと第4レーザビームに分岐させる第2ビームスプリッタ(VBS2)と、
前記第4レーザビームを検出してレーザ検出信号を生成するフォトディテクタ(PD)と、
前記第1レーザービームを反射させて前記検査対象体の一部に照射し、前記検査対象体から発生した超音波信号を通過させる第1結合部(OAC1)と、
前記第3レーザビームを反射させて前記検査対象体の一部から一定の間隔を隔てた他の部分に照射し、前記検査対象体から発生した超音波信号を通過させる第2結合部(OAC2)と、をさらに備え、
前記超音波受信部(20)は前記結合部(OAC1,OAC2)を通過した超音波映像信号を受信する、請求項1に記載の高速スキャン光音響映像入力装置。
【請求項9】
前記結合部は、2つのプリズムが結合される結合面を含み、前記結合面がアルミニウム材料で被覆され、前記照射されるレーザビームを反射させ、前記超音波映像信号は通過させる、請求項7に記載の高速スキャン光音響映像入力装置。
【請求項10】
前記メイン制御部の映像生成部は、前記出力トリガ信号に対応する前記光音響プローブの位置を算出し、前記算出された位置における前記超音波映像信号をそれぞれの出力トリガ信号に対応させて記憶する、請求項1に記載の高速スキャン光音響映像入力装置。
【請求項11】
前記光音響プローブの運動情報は、前記駆動モータの回転運動を検出するロータリエンコーダの回転運動情報であり、前記ロータリエンコーダは、A相信号、B相信号、Z相信号を出力する増分型ロータリエンコーダである、請求項1に記載の高速スキャン光音響映像入力装置。
【請求項12】
前記スキャントリガ信号が駆動モータの回転運動を検出する増分型ロータリエンコーダのA相信号による回転位置情報に基づいて生成され、
それぞれの出力トリガ信号を生成する際の前記光音響プローブの直線運動位置が算出され、
前記算出された直線運動位置における前記超音波映像信号は、それぞれの前記出力トリガ信号に対応して記憶される、請求項1に記載の高速スキャン光音響映像入力装置。
【請求項13】
スキャントリガ信号は、前記光音響プローブの直線運動を検出するリニアエンコーダによって生成されるリニアエンコーダパルス信号によって算出される前記プローブの直線運動位置に基づいて生成され、それぞれの前記プローブの直線運動位置における超音波映像信号がそれぞれの前記出力トリガ信号に対応して記憶される、請求項1に記載の高速スキャン光音響映像入力装置。
【請求項14】
前記光音響プローブの運動情報は、前記駆動モータの回転運動を検出するロータリエンコーダの回転運動情報と、前記光音響プローブの直線運動を検出するリニアエンコーダの直線運動情報とを含み、
前記ロータリエンコーダは、A相信号、B相信号、Z相信号をそれぞれパルス状に出力する増分型ロータリエンコーダであり、
前記リニアエンコーダは、前記プローブの直線運動軌跡上の位置に応じてパルス状の一定間隔でリニアパルス信号を出力する、請求項1に記載の高速スキャン光音響映像入力装置。
【請求項15】
前記駆動モータの一方向回転運動が開始され、前記トリガ制御部は、前記ロータリエンコーダのZ相信号の発生後に予め設定されたパルス数(Z1)のA相信号が入力された後に第1トリガイベント信号を生成し、前記スキャントリガ信号は、前記第1トリガイベント信号が生成されると、前記リニアエンコーダのパルス信号を同期信号として予め設定された前記光音響プローブの位置までパルス状に生成される、請求項14に記載の高速スキャン光音響映像入力装置。
【請求項16】
前記スキャントリガ信号は、リニアエンコーダのパルス信号間隔の整数倍間隔で生成される、請求項1に記載の高速スキャン光音響映像入力装置。
【請求項17】
前記トリガ制御部は、前記スキャントリガ信号の生成が止まった後に予め設定された前記光音響プローブの位置に対応して第2トリガイベント信号を生成し、
前記スキャントリガ信号は、前記第2トリガイベント信号が生成されると、前記リニアエンコーダのパルス信号を同期信号として予め設定された前記光音響プローブの位置までパルス状に生成される、請求項16に記載の高速スキャン光音響映像入力装置。
【請求項18】
前記検査対象体を含む対象領域の映像の入力を実行する対象領域入力部と、
前記対象領域の映像から前記検査対象体に対する光音響映像を取得する領域の始点と終点に対応する位置値により決定されるスキャン領域を抽出するスキャン領域抽出部と、をさらに備える、請求項1に記載の高速スキャン光音響映像入力装置。
【請求項19】
請求項1乃至18のいずれか一項に記載の高速スキャン光音響映像入力装置によって光音響映像を取得する高速スキャン光音響映像入力装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速スキャン光音響映像入力装置及びその制御方法に関し、より詳細には、光音響プローブを高速に移動させながら検査対象体(被検体)の2次元または3次元映像を生成することができる高速スキャン光音響映像入力装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ある対象体に非常に大きなエネルギーを有する光を照射すると、光エネルギーを吸収した対象体は熱的に弾性膨張することになる。この場合、弾性膨張により圧力波が発生し、発生した圧力波は超音波の形態をとる。この現象をいわゆる「光音響効果(photo-acoustic effect)」といい、このような膨張により発生する超音波信号を光音響信号という。
【0003】
光音響効果を利用して対象体、特に対象体の内部の状態情報を取得し、これを映像情報として生成する技術が最近活発に開発されている。特に医学分野でこれについて多くの研究がなされている。医学分野では、病気の治療過程で生体内部の状態情報を可視的に確認しなければならない場合がある。現在、生体内部の映像情報の生成方式として多く活用されているツールとしては、既によく知られているように、X線、CT、MRIなどがある。しかしながら、これらの方法は、機器が高価であること、生成された映像の解像度が非常に低いこと、視界(Field of View:FOV)が狭いこと、または映像の具現にかかる時間が長いこと、持続的な使用のためにむしろ人体に害を及ぼす可能性があることなど、各種の問題点を伴っていることが報告されている。したがって、光音響効果を利用して生体の内部状態に関する映像情報(光音響映像)を生成する方法が、この方式の代替として注目されている。
【0004】
しかしながら、生体内部の状態情報を映像情報として生成する技術が医学治療過程で効果的に活用されるためには、高速スキャンが可能となり、映像の具現に要する時間を減少させて、生体内部の状態情報の取得がリアルタイムで行われる必要がある。また、このためには、高い信号対雑音比(SNR)及び観測視野(FOV)の十分な確保などを通じて高解像度の映像を生成する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、光音響プローブを高速に移動させながら検査対象体に対する超音波信号の入力を実行して2次元または3次元映像に変換することにより、検査対象体に対する高解像度の2次元または3次元映像を高速に生成することができる高速スキャン光音響映像入力装置及びその方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態による高速スキャン光音響映像入力装置は、駆動モータの一方向回転運動を前記駆動モータに連結された光音響プローブの直線往復運動に変換させ、前記光音響プローブの直線運動と前記直線運動に垂直な垂直方向運動により検査対象体を2次元スキャンして前記検査対象体(被検体)に対する映像を生成するものであって、レーザ発生部10を通じて前記検査対象体に向けてレーザパルス出力を出力し、それに応じて前記検査対象体から出る超音波映像信号を超音波受信部20を通じて受信する光音響送受信部(10,20)と、前記超音波映像信号を受信してデジタル映像信号に変換するアナログデジタル変換部30と、前記デジタル映像信号を受信して前記検査対象体に関する超音波映像情報を生成するメイン制御部40と、前記光音響プローブの運動情報を受信して、前記運動情報に対応するスキャントリガ信号を生成し、前記レーザパルス出力情報を受信してレーザパルス出力に対応するレーザトリガ信号を生成し、前記レーザトリガ信号に対応する出力トリガ信号を生成してアナログデジタル変換部30に出力するトリガ制御部50と、を備え、前記メイン制御部40は、前記出力トリガ信号に対応する前記超音波映像信号に対応する映像をスキャンライン単位で順次合成して前記検査対象体の映像を生成することができる。
【0007】
前記アナログデジタル変換部30は、前記超音波受信部20から入力される超音波映像信号から出力トリガ信号に対応する超音波映像信号(Aスキャン信号)をデジタル映像信号に変換して前記メイン制御部40に伝送することができる。
【0008】
前記メイン制御部40は、入力される前記デジタル映像信号をスキャンライン単位で順次合成してライン映像(Bスキャン信号)を生成し、それぞれのスキャンラインのライン映像を合成して3次元映像(Cスキャン信号)を生成することができる。
【0009】
それぞれの偶数番目のライン映像は、その順序を逆順に合成して偶数番目の映像を生成し、奇数番目の映像と合成して3次元映像(Cスキャン信号)を生成することができる。
【0010】
前記駆動モータの一方向回転運動は、スライダクランクメカニズムによって前記光音響プローブの直線往復運動に変換され、一対の前記光音響プローブは、スライダにレールが延びる方向と同じ方向に互いに離間するように設けられ、一対の前記光音響プローブは、スライダを基準にして同じ距離でクランク軸の回転半径の2倍だけ離間するように設けられることができる。
【0011】
前記駆動モータの一方向回転運動は、スライダクランクメカニズムによって前記光音響プローブの直線往復運動に変換され、一対の前記光音響プローブは、スライダにレールが延びる方向と同じ方向に互いに離間するように設けられ、一対の前記光音響プローブは、スライダを基準にして同じ距離でクランク軸の回転半径の2倍より小さい距離だけ離間するように設けられることができる。
【0012】
前記レーザ発生部10で生成されたレーザビームを第1レーザビームと第4レーザビームとに分岐させるビームスプリッタと、前記第4レーザビームを検出してレーザ検出信号(パルス信号)を生成するフォトディテクタ(PD)と、前記第1レーザビームを反射させて前記検査対象体に照射し、前記検査対象体に発生した超音波信号を通過させる結合部と、をさらに備え、前記超音波受信部20は前記結合部を通過した超音波映像信号を受信することができる。
【0013】
前記レーザ発生部10で生成されたレーザビームを第1レーザビームと第2レーザビームに分岐させる第1ビームスプリッタ(VBS1)と、前記第2レーザビームを第3レーザビームと第4レーザビームに分岐させる第2ビームスプリッタ(VBS2)と、前記第4レーザビームを検出してレーザ検出信号を生成するフォトディテクタ(PD)と、前記第1レーザービームを反射させて検査対象体の一部に照射し、前記検査対象体から発生した超音波信号を通過させる第1結合部(OAC1)と、前記第3レーザビームを反射させて前記検査対象体の一部から一定の間隔を隔てた他の部分に照射し、前記検査対象体から発生した超音波信号を通過させる第2結合部(OAC2)と、をさらに備え、前記超音波受信部20は前記結合部(OAC1,OAC2)を通過した超音波映像信号を受信することができる。
【0014】
前記結合部は、2つのプリズムが結合される結合面を含み、前記結合面がアルミニウム材料で被覆され、前記照射されるレーザビームを反射させ、前記超音波映像信号を通過させることができる。
【0015】
前記メイン制御部の映像生成部は、前記出力トリガ信号に対応する前記光音響プローブの位置を算出し、前記算出された位置における前記超音波映像信号をそれぞれの出力トリガ信号に対応させて記憶することができる。
【0016】
前記光音響プローブの運動情報は、前記駆動モータの回転運動を検出するロータリエンコーダの回転運動情報であり、前記ロータリエンコーダは、A相信号、B相信号、Z相信号を出力する増分型ロータリエンコーダであることができる。
【0017】
前記スキャントリガ信号が駆動モータの回転運動を検出する増分型ロータリエンコーダのA相信号による回転位置情報に基づいて生成され、それぞれの出力トリガ信号を生成する際の前記光音響プローブの直線運動位置が算出され、前記算出された直線運動位置における前記超音波映像信号は、それぞれの前記出力トリガ信号に対応して記憶されることができる。
【0018】
スキャントリガ信号は、前記光音響プローブの直線運動を検出するリニアエンコーダによって生成されるリニアエンコーダパルス信号によって算出される前記プローブの直線運動位置に基づいて生成され、それぞれの前記プローブの直線運動位置における超音波映像信号がそれぞれの前記出力トリガ信号に対応して記憶されることができる。
【0019】
前記光音響プローブの運動情報は、前記駆動モータの回転運動を検出するロータリエンコーダの回転運動情報と、前記光音響プローブの直線運動を検出するリニアエンコーダの直線運動情報と、を含み、前記ロータリエンコーダは、A相信号、B相信号、Z相信号をそれぞれパルス状に出力する増分型ロータリエンコーダであり、前記リニアエンコーダは、前記プローブの直線運動軌跡上の位置に応じてパルス状の一定間隔でリニアパルス信号を出力することができる。
【0020】
前記駆動モータの一方向回転運動が開始され、前記トリガ制御部は、前記ロータリエンコーダのZ相信号の発生後に予め設定されたパルス数(Z1)のA相信号が入力された後に第1トリガイベント信号を生成し、前記スキャントリガ信号は、前記第1トリガイベント信号が生成されると、前記リニアエンコーダのパルス信号を同期信号として予め設定された前記光音響プローブの位置までパルス状に生成されることができる。
【0021】
前記スキャントリガ信号は、リニアエンコーダのパルス信号間隔の整数倍間隔で生成されることができる。
【0022】
前記トリガ制御部は、前記スキャントリガ信号の生成が止まった後に予め設定された前記光音響プローブの位置に対応して第2トリガイベント信号を生成し、前記スキャントリガ信号は、前記第2トリガイベント信号が生成されると、前記リニアエンコーダのパルス信号を同期信号として予め設定された前記光音響プローブの位置までパルス状に生成されることができる。
【0023】
前記高速スキャン光音響映像入力装置は、前記検査対象体を含む対象領域の映像の入力を実行する対象領域入力部と、前記対象領域の映像から前記検査対象体に対する光音響映像を取得する領域の始点と終点に対応する位置値により決定されるスキャン領域を抽出するスキャン領域抽出部と、をさらに備えることができる。
【0024】
本発明の一実施例による高速スキャン光音響映像入力装置の制御方法は、前記高速スキャン光音響映像入力装置によって光音響映像を取得することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、光音響プローブを高速に移動させながら、光音響信号をリアルタイムで受信して2次元または3次元映像に変換することにより、検査対象体に対する高解像度の2次元または3次元映像情報を高速に生成することができる。
【0026】
また、検査対象体に対する光音響映像信号をスライダ-クランクメカニズムを用いて取得することにより、対象体に対する高速スキャンが可能である。
【0027】
また、2チャンネル光音響プローブを含むことによって、観測視界(FOV)を拡大することが可能となり、検査対象体を含む広い範囲の検査領域に対して高速な映像取得が可能となる。
【0028】
さらに、スライダ-クランクメカニズムを活用する際に、エンコーダの実際基準点パルス信号の入力後に設定された個数のパルス信号の入力後に入力されるパルス信号を仮想基準点パルス信号(virtual reference pulse signal)として用いることにより、実際基準点パルス信号が安定して具現されていないために発生することができる問題を防止して、検査対象体に対する正確な映像を生成することができる。
【0029】
すなわち、実際の基準点パルス信号(例えば、Z相パルス信号)によるスキャン動作の開始と仮想の基準点パルス信号による光音響信号の取得(映像情報の取得)の開始とが時間差をもって行われるので、ノイズなどを除去して正確で高解像度の映像情報を得ることができる。
【0030】
さらに、設定されたエンコーダパルス信号間隔でスキャントリガ信号を生成し、それに応じて出力トリガ信号を生成し、出力トリガ信号に応じて入力された超音波映像信号を対象体に対する映像信号に変換することにより、設定された位置情報とその位置情報に応じる映像情報を正確に一致させることができるようにして、対象体に関する正確な映像情報を高速に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態による高速スキャン光音響映像入力装置を概略的に示すブロック図である。
図2図1の高速スキャン光音響映像入力装置をより具体的に具現したものであり、2チャンネル高速スキャン光音響映像入力装置の実施例を概略的に示す図である。
図3図2の高速スキャン光音響映像入力装置の2チャンネル光音響プローブの直線往復運動駆動部を概略的に示す図である。
図4図3の光音響プローブの直線往復運動駆動部のスライダ-クランクメカニズムを概略的に示す図である。
図5図1の高速スキャン光音響映像入力装置において、出力トリガ信号が生成される方法を概略的に示すタイミング図である。
図6図1の高速スキャン光音響映像入力装置において、スライダ-クランクメカニズムによって被検体をスキャンする過程を概略的に示す図である。
図7】本発明の他の実施形態による高速スキャン光音響映像入力装置を概略的に示すブロック図である。
図8】本発明の他の実施形態による高速スキャン光音響映像入力装置を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための具体的な内容を、本発明の好ましい実施形態に基づいて添付図面を参照して詳細に説明する。このとき、一実施形態の図面に開示されたものであって、他の実施形態の図面に開示された構成要素と同一の構成要素には同一の参照番号を付与し、他の実施形態における説明は同様に適用されることができ、それに対する詳細な説明は省略できる。なお、本発明に係る公知の機能または構成は公知技術を参照し、ここではその詳細な説明は簡略化又は省略する。
【0033】
さらに、本明細書で使用される用語としては、本発明における機能を考慮しながら、現在広く使用される一般的な用語が使用されているが、これは当技術分野における技術者の意図または判例、新しい技術の出現などによって異なることができる。また、特定の場合は、発明者が任意に選定した用語もあり、この場合、該当発明の説明部分に詳細にその意味を記載する。したがって、本明細書で使用される用語は、単なる用語の名称ではなく、その用語が有する意味と本発明の全体にわたる内容に基づいて定義されるべきである。
【0034】
本明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」と言う場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。さらに、本明細書で使用される「部」という用語は、FPGAまたはASICなどのハードウェア構成だけでないソフトウェア構成も意味する。ただし、「部」はソフトウェアまたはハードウェアに限定される意味ではない。「部」は、アドレス指定可能な記憶媒体にあるように構成されてもよく、一つ以上のプロセッサを再生するように構成されてもよい。したがって、一例として、「部」は、ソフトウェア構成要素、オブジェクト指向ソフトウェア構成要素、クラス構成要素、及びタスク構成要素などの構成要素と、プロセス、関数、属性、プロシージャ、サブルーチン、プログラムコードのセグメント、ドライバ、ファームウェア、マイクロコード、回路、データ、データベース、データ構造、テーブル、アレイ及び変数を含む。構成要素及び「部」内で提供される機能は、より少ない数の構成要素及び「部」に組み合わせることができ、または追加の構成要素と「部」にさらに分離することができる。
【0035】
光音響効果を利用して対象体、特に生体内部に対する光音響映像を生成する方法は、以下の通りである。まず、3次元映像を取得しようとする生体の特定部位に光学ビーム(例えば、レーザービーム)を照射し、照射されたビームによってその特定部位で発生する熱弾性膨張に伴って発生する光音響信号(超音波信号)を超音波プローブ(超音波トランスデューサ)を通じて取得し、その取得した光音響信号を処理して生体の内部に対する映像情報を生成する。
【0036】
本発明の一実施形態による高速スキャン光音響映像入力装置は、光音響顕微鏡(photo-acoustic microscopy: PAM)を含むことができる。さらに、光音響顕微鏡(PAM)の光音響プローブは、スライダ-クランクメカニズムを用いて高速に移動しながら検査対象体を含む対象領域をスキャンすることができる。高速スキャン光音響映像入力装置は、駆動モータの一方向回転運動(rotational motion)を駆動モータに連結された光音響プローブの直線往復運動(reciprocating motion)に変換することができる。また、光音響プローブの直線運動と直線運動に垂直な垂直方向運動によって検査対象体を2次元スキャンして検査対象体(被検体)に対する3次元映像を生成することができる。
【0037】
本発明の光音響顕微鏡(PAM)は、光学ビーム(例えば、レーザビーム)を集束してミクロンスケール(micron scale)の空間解像度を有する光学解像度の光音響顕微鏡(Optical-Resolution PAM、OR-PAM)を使用することができる。光学的解像度の光音響顕微鏡(ORーPAM)は、高い解像度の光学的焦点を利用することができる。
【0038】
一方、光音響顕微鏡(PAM)は、光学的解像度の光音響顕微鏡(ORーPAM)より低い解像度のアコースティック焦点を利用するアコースティック解像度の光音響顕微鏡(Acoustic-Resolution PAM、AR-PAM)を使用することもできる。
【0039】
光学解像度の光音響顕微鏡(ORーPAM)は、アコースティックビームよりはるかに高い解像度を有する光学ビームに依存するので、アコースティック解像度の光音響顕微鏡(ARーPAM)に比べて高解像度の映像を得ることができる。さらに、十分な光学的吸収コントラストを有するので、多くの分野、例えば、生物学、皮膚科学、神経学、腫瘍学、眼科学及び病理学などの医学に関連するほとんどの分野で有力なイメージング手段となることができる。
【0040】
光学解像度の光音響顕微鏡(ORーPAM)は、信号対雑音比(signal-to-noise ratio:SNR)の最大化と空間解像度の最適化を得るために、共焦点(confocal)及び光学励起ビームとアコースティック検出ビームの同軸構成を適用することができる。空間イメージングは、典型的には、光学ビーム及びアコースティックビームの点対点ラスタスキャン(point-by-point raster scanning)によって行われ、これにはステッピングモータスキャンステージ(stepping motor scanning stage)が適用され得る。
【0041】
ミクロンレベルの水平解像度によって必要とされるスキャンステップ間隔のため、光学解像度の光音響顕微鏡(ORーPAM)のスキャン速度(これに応じるイメージング速度)とスキャン範囲は低くなることもできる(1[mm]スキャン範囲で約1[Hz]のB-scan rate)。このような低いイメージング速度のため、光学解像度の光音響顕微鏡(ORーPAM)により変化する薬物応答や皮膚脈管構造のような組織の動的情報の取得は、これまで容易でなかった。
【0042】
一方、光学解像度の光音響顕微鏡(ORーPAM)のスキャン範囲に相当する観測視野(FOV)を向上させ、スキャン速度を増加またはスキャン所要時間を短縮させ、さらに高い信号対雑音比(SNR)を維持するための様々な方法があり得る。光学解像度の光音響顕微鏡(ORーPAM)の具現のためには、これら三つの特性のトレードオフ(trade-off)が必要とされ、このようなトレードオフはこの三つの特性をすべて満たす光学解像度の光音響顕微鏡(ORーPAM)の具現を困難にする要因として機能することがある。これは、スキャンの所要時間は、レーザーのパルス繰り返し速度とスキャンメカニズムに依存するとともに、組織内での光音響波(PA wave)の音速によって制限されるからである。
【0043】
光学解像度の光音響顕微鏡(ORーPAM)でのスキャンの所要時間を短縮するために(スキャン速度を向上させるために)、ガルバノメータスキャナ(Galvanometer scanner)、MEMS(Microelectromechanical system)スキャナ、六角ミラー(hexagon-mirror)スキャナや音声コイル(voice-coil)スキャナなどの他の各種の方案を使用することができる。しかしながら、これらの技法はそれ自体の利点を有するが、最大または最適なスキャン速度を提供しないという制限がある。
【0044】
本発明の一実施形態による高速スキャン光音響映像入力装置は、2チャンネルスライダ-クランクメカニズムを用いた高速光学解像度の光音響顕微鏡(ORーPAM)を含むことができる。この場合、2チャンネルは観測視野(FOV)を2倍に増加させるために使用することができる。
【0045】
図1は、本発明の一実施形態による高速スキャン光音響映像入力装置1に対するブロック図であり、図2は、図1の高速スキャン光音響映像入力装置1をより具体的に示したものであって、2チャンネル高速スキャン光音響映像入力装置の実施形態を示している。
【0046】
図面を参照すると、高速スキャン光音響映像入力装置1は、駆動モータの一方向回転運動を駆動モータに連結された光音響プローブ15の直線運動、例えば、図6の+X、-X方向の直線往復運動に変換させることができ、光音響プローブ15の直線運動と直線運動に垂直な運動、例えば、図6のY方向である垂直方向運動により検査対象体を2次元スキャンして、検査対象体(被検体)の3次元映像を生成することができる。
【0047】
高速スキャン光音響映像入力装置1は、光音響送受信部10、20と、アナログデジタル変換部30と、メイン制御部40と、トリガ制御部50と、を含むことができる。
【0048】
光音響送受信部10、20は、レーザ発生部10で発生したレーザパルスを、光音響プローブ15を通じて検査対象体に向けて出力し、それに応じて検査対象体から出る超音波映像信号を超音波プローブ20を通じて受信することができる。光音響送受信部10、20は、レーザビームを発生させるレーザ発生部10と、超音波信号を受信する超音波受信部20と、を含み、レーザビームを分割し、その経路を変換するレーザビーム変換部11と、光音響プローブ15と、超音波信号の入力を実行する超音波プローブ21と、を含むことができる。このとき、超音波受信部20は、図2に示す増幅器(AMP)を含むことができ、観点に応じては、超音波プローブ部21及び増幅器(AMP)を含むこともできる。
【0049】
アナログデジタル変換部30は、超音波映像信号を受信してデジタル映像信号に変換することができる。メイン制御部40は、デジタル映像信号を受信して検査対象体に対する超音波スキャン3次元映像情報を生成する映像情報生成部を含むことができる。メイン制御部40は、3次元映像情報をモニタに表示したり、内部及び/又は外部と通信して様々な信号を入力及び/又は出力することができ、高速スキャン光音響映像入力装置1に含まれる各種構成要素を制御することができる。
【0050】
トリガ制御部50は、光音響プローブ15の運動情報(エンコーダパルス信号)を受信して運動情報に対応するスキャントリガ信号を生成し、レーザパルス出力情報(レーザ検出信号)を受信してレーザパルス出力に対応するレーザトリガ信号を生成し、レーザトリガ信号に対応する出力トリガ信号を生成してアナログデジタル変換部30に出力することができる。
【0051】
この際、メイン制御部40は、出力トリガ信号に対応する超音波映像信号に対応する映像をスキャンライン単位で順次合成して検査対象体に対する映像を生成することができる。
【0052】
すなわち、高速スキャン光音響映像入力装置1は、レーザパルス出力と超音波映像信号により光音響映像を撮影できるように基本的な光音響送受信部10、20と、アナログデジタル変換部30と、メイン制御部40と、を含み、これら構成要素とは独立してトリガ制御部50をさらに含むことができる。したがって、簡単な構成及び制御により検査対象領域を2次元スキャンしてほぼリアルタイムで検査対象体に対する映像を得ることができ、広い観測視野(FOV)を確保しながら超高速で3次元超音波映像を生成できるようになる。
【0053】
アナログデジタル変換部30は、光音響送受信部10、20の超音波受信部20から入力される超音波映像信号において出力トリガ信号に対応する超音波映像信号(Aスキャン映像)をデジタル映像信号に変換してメイン制御部40に送信することができる。さらに、メイン制御部40は、入力される前記デジタル映像信号をスキャンライン単位で順次合成してライン映像(Bスキャン映像)を生成し、各々のスキャンラインのライン映像を合成して3次元映像(Cスキャン映像)を生成することができる。各々の偶数番目のライン画像は、その順序を逆順に合成して偶数番目の映像を生成し、奇数番目の映像と合成して3次元映像(Cスキャン映像)を生成することができる。
【0054】
このとき、トリガ制御部50は、光音響送受信部10、20から入力されるレーザ検出信号とロータリ及び/またはリニアエンコーダパルス信号を受信して、スキャントリガ信号とレーザトリガ信号をそれぞれ生成し、スキャントリガ信号に続くレーザトリガ信号に同期される出力トリガ信号を生成して出力する。アナログデジタル変換部30は、トリガ制御部50から出力トリガ信号を受信し、光音響送受信部10、20の超音波受信部20から入力される超音波映像信号において出力トリガ信号に対応する超音波映像信号(Aスキャン信号)をデジタル映像信号に変換して映像生成部に伝送し、映像生成部は入力されるデジタル映像信号をスキャンライン単位で順次合成してライン映像(Bスキャン信号)を生成し、各々のスキャンラインのライン映像を合成して3次元映像(Cスキャン信号)を生成する。
【0055】
このとき、各々の偶数番目のライン映像は、その順序を逆順に合成して偶数番目の映像を生成して奇数番目の映像と合成して3次元映像(Cスキャン信号)を生成することができる。このとき、駆動モータの1回転を光音響プローブ15の直線往復運動に変換するので、モータの1回転で2本のスキャンラインをカバーすることができ、スキャン速度をさらに速めることができる。また、その場合、偶数番目のライン映像と奇数番目のライン映像とを逆順に合成して正確な3次元映像(Cスキャン信号)を生成することができる。
【0056】
したがって、本発明は、スライダ-クランクメカニズムを用いて検査対象体に対して広い観測視野(FOV)を有しながら高速スキャンが可能であり、高速スキャンされた映像を正確に合成することができる。
【0057】
このために、本発明の一実施形態による高速スキャン光音響映像入力装置1は、ビームスプリッタ(VBS)と、フォトディテクタ(PD)と、結合部(OAC)とをさらに含むことができる。ビームスプリッタ(VBS)は、レーザ発生部10から生成されたレーザビームを第1レーザビームと第4レーザビームに分岐させる。この場合、ビームスプリッタ(VBS)は、分岐される各々のレーザビームの量及び/またはサイズを調整することができる可変ビームスプリッタとなることができる。
【0058】
フォトディテクタ(PD)は、第4レーザビームを検出してレーザ検出信号をパルス信号として生成することができる。結合部(OAC)は、第1レーザービームを反射させて検査対象体に照射し、検査対象体に発生した超音波信号を通過させるように光学信号と音響信号を結合することができる。超音波受信部(UT)20は、結合部(OAC)を通過した超音波映像信号を受信することができる。
【0059】
本実施形態は、一つの光音響プローブ15を含む1チャンネル高速スキャン光音響映像入力装置に関するものであり、1つのレーザ発生部10から出力されるレーザビームをビームスプリッタ(VBS)を通じて大部分光音響プローブ15に伝送することができ、比較的非常に小さいレーザービームをフォトディテクタ(PD)に伝送することができる。この場合、図2及び図5を参照すると、フォトディテクタ(PD)は、レーザビームが光音響プローブ15に送信されることを検出してレーザ検出信号をトリガ制御部50に送信することができる。このとき、トリガ制御部50は、ロータリ及び/またはリニアエンコーダパルス信号からスキャントリガ信号を生成し、スキャントリガ信号の後のレーザ検出信号に対応してレーザトリガ信号を生成し、レーザトリガ信号に同期される出力トリガ信号を生成してアナログデジタル変換部30に送信することができる。
【0060】
これにより、アナログデジタル変換部30は、出力トリガ信号と超音波映像信号とを受信して、出力トリガ信号に対応する超音波映像信号を順次指定されるロータリ及び/又はリニアエンコーダの位置に対応する超音波映像信号として記憶させることにより、各々のスキャンライン単位で検査対象体に対応する正確な画像を合成することができる。すなわち、順次指定されるロータリ及び/またはリニアエンコーダの位置に対応する超音波映像信号を取得することができる。
【0061】
このために、メイン制御部40の映像生成部は、出力トリガ信号に対応する光音響プローブ15の位置を算出し、算出された位置における超音波映像信号を各々の出力トリガ信号に対応させて記憶することができる。
【0062】
本発明の他の実施形態として、図2に示すような高速スキャン光音響映像入力装置1は、第1ビームスプリッタ(VBS1)と、第2ビームスプリッタ(VBS2)と、フォトディテクタ(PD)と、第1結合部(OAC1)と、第2結合部(OAC2)とをさらに含むことができる。本実施形態は、2つの光音響プローブ15を含む2チャンネル高速スキャン光音響映像入力装置に関するものであって、観測視野(FOV)を実質的に2倍に拡大することができる。
【0063】
すなわち、1つのレーザ発生部10から出力されるレーザビームをビームスプリッタ(VBS1、VBS2)を通じて2つのメインレーザビームと1つの信号レーザビームに分割し、大部分は2つのメインレーザビームを形成して、それぞれ第1結合部(OAC1)と第2結合部(OAC2)を通じて光音響プローブ15に伝送されるようにする。さらに、比較的非常に小さい信号レーザビームをフォトディテクタ(PD)に送信されるようにすることができる。
【0064】
レーザ発生部10はレーザビームを生成する。第1ビームスプリッタ(VBS1)は、レーザビームを第1レーザビームと第2レーザビームに分岐させる。第2ビームスプリッタ(VBS2)は、第2レーザビームを第3レーザビームと第4レーザビームに分岐させる。この場合、ビームスプリッタ(VBS)は、分岐される各々のレーザビームの量及び/またはサイズを調整することができる可変ビームスプリッタとなることができる。
【0065】
フォトディテクタ(PD)は、第4レーザビームを検出してレーザ検出信号をパルス信号として生成することができる。
【0066】
第1結合部(OAC1)は、第1レーザービームを反射させて検査対象体に照射し、検査対象体に発生した超音波信号を通過させ得るように光学信号と音響信号を結合することができる。第2結合部(OAC2)は、第3レーザビームを反射させて検査対象体の一部に照射し、検査対象体に発生した超音波信号を通過させ得るように光学信号と音響信号を結合することができる。このとき、第3レーザービームは反射されて検査対象体の一部から一定の間隔離れた他の部分に照射され、検査対象体の第1レーザービームとは異なる領域に照射されて他の領域の映像信号を得ることができる。
【0067】
超音波受信部(UT)20は、各々の結合部(OAC1、OAC2)を通過した各々の検査対象体の一定の間隔離れた位置での超音波映像信号を受信することができる。
【0068】
この場合、フォトディテクタ(PD)は、レーザビームが光音響プローブ15に送信されることを検出してレーザ検出信号をトリガ制御部50に送信することができる。このとき、トリガ制御部50は、ロータリ及び/またはリニアエンコーダパルス信号からスキャントリガ信号を生成し、スキャントリガ信号の後のレーザ検出信号に対応してレーザトリガ信号を生成し、レーザトリガ信号に同期される出力トリガ信号を生成してアナログデジタル変換部30に送信することができる。
【0069】
これにより、アナログデジタル変換部30は、出力トリガ信号と超音波映像信号とを受信して、出力トリガ信号に対応する超音波映像信号を順次指定されるロータリ及び/又はリニアエンコーダの位置に対応する超音波映像信号として記憶させることにより、各々のスキャンライン単位で検査対象に対応する正確な映像を合成することができる。すなわち、順次指定されたロータリ及び/またはリニアエンコーダの位置に対応する超音波映像信号を取得することができる。
【0070】
このために、メイン制御部40の映像生成部は、出力トリガ信号に対応する光音響プローブ15の位置を算出し、算出された位置における超音波映像信号を各々の出力トリガ信号に対応させて記憶させることができる。
【0071】
このとき、1つのロータリ及び/またはリニアエンコーダの位置に対応する位置は、一対の光音響プローブ15間の一定間隔の2つの位置となることができ、入力される一対の超音波映像信号がそれぞれ対応することができる。
【0072】
第1ビームスプリッタ(VBS1)は、レーザ発生部10から発生したレーザビームを受けて第1レーザビームと第2レーザビームに分岐することができる。このとき、レーザ発生部10で発生したレーザビームが第1ビームスプリッタ(VBS1)に伝送される方式は、レーザ発生部10から自由空間を介してレンズやミラー等を通じて行われるか、光繊維を通じて行われることができる。このとき、発生したレーザービームはパルス状に発生し、この場合、パルス繰返し速度は調節することができる。
【0073】
第1レーザビームと第3レーザビームのそれぞれは、光音響プローブ15に伝えられて検査対象体に出力されることができる。これにより、検査対象体から戻される超音波信号はそれぞれ光音響プローブ15を通じてアナログデジタル変換部30に入力されることができる。このとき、光音響プローブ15は、結合部(OAC1、OAC2)及び超音波受信部(UT)を含むことができる。結合部(OAC1、OAC2)は、検査対象体に向けて出力されるレーザビームの光学信号と検査対象体から戻ってくる超音波信号の音響信号とを結合する。このとき、結合部(OAC1、OAC2)は、1つの部材を通じて光学信号と音響信号とが一部重なり合うように結合する。
【0074】
結合部(OAC1、OAC2)は、レーザビームを反射させて対象体に照射させる。この場合、集束(focusing)は凸レンズを通じて行われることができるが、より正確な集束のために非球面レンズが用いられることができる。結合部(OAC1、OAC2)によって反射されたレーザビームにより対象体が熱的に弾性膨張されて発生する超音波信号は、結合部(OAC1、OAC2)を通過し、超音波受信部(UT)は、結合部(OAC1、OAC2)を通過した超音波信号を受信する。一方、結合部(OAC1、OAC2)は、2つのプリズムが結合される結合面を含み、その結合面がアルミニウム材料でコーティングされて、照射されるレーザビームは反射し、超音波信号は通過させることができる。
【0075】
また、超音波受信部(UT)による超音波受信性能を向上させるために結合部(OAC1、OAC2)を通過した超音波信号は、アコースティックレンズを通じて超音波受信部(UT)に受信されることができ、超音波受信部(UT)は、対象体が位置するXY平面の垂直方向に離隔して位置しXY方向にジグザグ運動する超音波プローブに備えられることができる。
【0076】
検査対象体を含む検査領域のスキャン過程を通じて対象体に関する映像情報を生成することができる。このとき、回転する駆動モータの回転運動をスライダ-クランクメカニズムによって光音響プローブ15の直線往復運動に変換することができる。
【0077】
図3は、図2の高速スキャン光音響映像入力装置1の2チャンネル光音響プローブの直線往復運動駆動部を概略的に示し、図4は、図3の光音響プローブの直線往復運動駆動部のスライダ-クランクメカニズムを概略的に示す。
【0078】
図面を参照すると、高速スキャン光音響映像入力装置1は、駆動モータの一方向回転運動をスライダ-クランクメカニズムによって光音響プローブ160の直線並進運動に変換することができる。このために、一対の光音響プローブ160は、レール140が延びる方向と同じ方向にスライダ150に互いに離間するように設けられ、一対の光音響プローブ160は、スライダ150を基準にして同じ距離(R)でクランク軸120の回転半径(R)の2倍(2R)だけ離間するように設けられることができる。
【0079】
この場合、一対の光音響プローブ160が、スライダ150を基準にして同じ距離でクランク軸120の回転半径(R)の2倍(2R)だけ離間するように設けられるようにすることにより、検査対象体に欠けている部分がなしで2つ以上の光音響プローブ160を有する場合に最大の観測視野(FOV)を有するようにすることができる。
【0080】
他の実施形態では、一対の光音響プローブ160は、スライダ150を基準にして同じ距離(R)でクランク軸120の回転半径(R)の2倍(2R)より小さい距離だけ離間するように設けられることができる。
【0081】
この場合、一対の光音響プローブ160が重なる部分が発生する可能性があり、これにより、安定して検査対象体に欠けている部分がなしで観測視野(FOV)を拡大することができる。特に、スキャントリガ信号がリニアエンコーダパルス信号の2以上の整数倍の間隔で発生する場合に特に有用であり得る。
【0082】
スライダ-クランクメカニズム100は、駆動軸110と、クランク軸120と、コネクティングロッド130と、レール140と、スライダ150と、光音響プローブ160と、を含むことができる。このとき、駆動軸110は、モータの回転軸となるか、モータの回転軸に延びて連結されることができる。クランク軸120は、駆動軸に固定されるように設けられて回転運動し、その一端に回転ジョイントとしてコネクティングロッド130を連結することができる。
【0083】
また、レール140がフレームに固定されるように設けられることができ、スライダ150がレール140に直線運動可能にするようにリニアガイド等を通じて設けられることができる。このとき、スライダ150は、コネクティングロッド130のクランク軸120との連結部の反対側の端部に回転ジョイントで連結されることができる。スライダ150の端部には光音響プローブ160を設けることができる。
【0084】
したがって、駆動軸110の回転によってクランク軸120の回転運動が生成され、クランク軸120の回転運動によってスライダ150に固定される光音響プローブ160の直線並進運動が生成されることができる。
【0085】
一方、クランク軸120の他端にはカウンタバランス105が連結されることができる。したがって、クランク軸120の回転を安定して行うことができ、光音響プローブ160の高速並進運動時に振動を低減して安定した並進運動が行われるようにすることができる。
【0086】
図4において、中心点Oは固定リンク、点Bはスライダリンクになることができる。機械的構成において、固定リンクは回転運動を行う駆動モータに相当し、スライダリンクは直線往復運動を行うスキャン用プローブに相当する。図4のO-Cはクランクリンク(crank link)を示し、C-Bはカプラリンク(coupler link)をいう。機械的構成において、クランクリンクはクランク軸(crank shaft)に対応し、カプラリンクはコネクティングロッド(connecting rod)に対応することができる。
【0087】
クランク軸の一端はモータの軸に締結され、他端はコネクティングロッドの一端とヒンジ結合と同様の形態で結合され、コネクティングロッドの他端もヒンジ結合と同様の形態でプローブと結合される。モーターが回転運動すると、クランク軸がモーターの回転方向と同じ方向に回転し、この回転はコネクティングロッドの一端を推進させ、この推進力はコネクティングロッドの長手方向にコネクティングロッドの他端に伝達されてプローブの直線往復運動(+X方向及び-X方向の運動)を誘発させる。このメカニズムは、このように内燃機関の一種である4ストロークエンジン(four-stroke engine)に適用されるクランク軸とピストンの運動メカニズムに似ている。また、直線往復運動の安定性を確保するために、通常、スライダリンク(プローブ側)にはリニアガイドが設けられる。
【0088】
一方、モータ側とプローブ側には現在の位置、運動速度、回転速度、回転角など、それぞれの運動に関連する物理量を測定するエンコーダが備えられる。モータ側には、モータが回転運動をするので回転運動に関する物理量(回転運動速度、回転角など)を測定するのに容易なロータリーエンコーダが備えられ、プローブ側には、プローブが直線並進運動をするので直線運動に関する物理量(並進運動速度、並進運動の距離、プローブの位置など)を測定するのに容易なリニアエンコーダが備えられる。
【0089】
これらのエンコーダは、測定された物理量を電気信号の形態としてモータまたはプローブの動作制御を行うコントローラに提供し、コントローラは提供された物理量に基づいて動作制御を行う。ここで、モータ側またはプローブ側という表現は、モータまたはプローブにエンコータが内蔵された場合とそうでない場合を含むための表現であり、実際にエンコータが内蔵された場合とモータまたはプローブの外装にエンコーダが備えられる場合を含む。
【0090】
スライダ-クランクメカニズムを利用して対象体に対するスキャン過程を図6を参照して簡単に説明する。プローブの並進運動の一方向(+X方向)に対象体に対するN番目のライン(ライン#N)のスキャンが行われ、N番目のラインのスキャンが終了すると、Y方向にプローブが移動した後、並進運動の逆方向(ーX方向)でN+1番目のライン(ライン#N+1)のスキャンが行われる。すなわち、ライン単位で交差スキャン(alternating scanning)が行われ、いわゆるジグザグ形態の2次元スキャンが行われる。
【0091】
図5には、トリガ制御部50内の信号処理フローが開示されている。
【0092】
図面を参照すると、トリガ制御部50は、レーザ検出信号とロータリエンコーダ及び/またはリニアエンコーダパルス信号を受信してスキャントリガ信号(Scanning trigger)、レーザトリガ信号(Laser trigger)を生成し、レーザトリガ信号(Laser trigger)に同期される出力トリガ信号(Output trigger)を生成してアナログデジタル変換部30に送信する。
【0093】
スキャントリガ信号は、ロータリエンコーダパルス信号に基づいて各々の立ち上がり時間(rising time)に同期して生成されることができる。さらに、レーザトリガ信号は、フォトディテクタ(PD)によってレーザビームのパルスを検出して生成されるレーザ検出信号に同期して生成されることができるが、スキャントリガ信号の生成後の最初の立ち上がり時間に同期して生成されることができる。したがって、レーザトリガ信号はスキャントリガ信号に対応するように生成されることができ、スキャントリガ信号によってエンコーダ上の位置が指定されると、指定された位置でレーザトリガ信号が生成される。このとき、レーザトリガ信号(Laser trigger)に同期される出力トリガ信号(Output trigger)が生成されてアナログデジタル変換部30に伝送されることができる。
【0094】
他の実施形態では、スキャントリガ信号は、ロータリエンコーダのパルス信号間隔の整数倍間隔で生成されることができる。このとき、外部から設定される設定解像度に応じてスキャントリガ信号の間隔を決定することができる。これにより、より少ない超音波出力信号の出力と超音波映像信号の入力が可能になり、超音波信号の生成や処理などに対する負荷を軽減することができる。
【0095】
他の実施形態では、リアルタイムで生成される映像信号の映像品質を評価してスキャントリガ信号の生成間隔を適応的に調整することにより、最適品質の映像を得ながらも超音波信号の生成や処理などに対する負荷を軽減することができる。
【0096】
一方、エンコーダは、前記物理量を測定する方式によって増分型(incremental)エンコーダと絶対型(absolute)エンコーダに大別される。増分型エンコーダと絶対型エンコーダはスリットの形状が異なるが、前者は各スリットの形状が均一であるのに対し、後者は各スリットの形状がそれぞれ異なって固有である。両者のスリット形状の差は、前記物理量の測定における基準点(原点)の必要有無の差につながるが、前者は基準点が必要であり、後者はそうではない。前者の場合、所定の問題状況(電源の非予測的遮断、運動の非予測的中断など)が発生すると、モータまたはプローブの動作コントローラに提供した物理量に関する情報がすべて消失して(基準点に戻る)前記物理量の測定を最初からやり直す必要があるという欠点がある。一方、後者は基準点が不要なため、問題状況が発生しても前者とは異なり、このような懸念はなく、問題状況が解決されると、問題状況が発生した後から前記物理量測定の再開がすぐに可能な利点を有する。すなわち、物理量測定の連続性を確保することができる。
【0097】
しかしながら、後者の場合、前記スリット形状の特性により、その製造に要する時間が非常に長くかかり、関連するモータの動作制御メカニズムの設計が非常に複雑または難しくなり、制御メカニズムの具現にも多くの労力と時間がかかる。これは最終的に製品の生産など最終結果物を得るために必要なコストの上昇を引き起こし、さらにそのコストは同じ条件下で前者を活用する場合よりもはるかに高いので、ほとんどの産業分野では前者の欠点にもかかわらず、前者をはるかに多く活用している。
【0098】
しかしながら、前者の場合、前記欠点によりモータ及びデバイス(プローブ)動作の精密または持続的制御が要求される分野では活用が困難であり、特に前記基準点の安定性確保(安定的具現)が複数の原因により容易でないので、対象体に関して生成された情報(得ようとする情報)の信頼性に問題が存在する。すなわち、生成された情報の正確性が欠けている可能性がある。前者の基準点からは、いわゆるZ相(Z-phase)パルス信号が発生するが、このパルス信号はモータが1回転する度に発生する信号である。この信号は前記物理量測定の基準信号の役割(基準点の役割)をするが、上述したように基準点の安定的な具現が容易でないので、モータ及びデバイス(プローブ)動作制御の不完全性を引き起こし、これにより生成された情報の正確性が欠けている可能性がある。
【0099】
したがって、本発明では、スライダ-クランクメカニズムを活用して対象体に関連する映像情報を取得する際に、前記基準点が安定して具現されないことによって発生し得る問題を所定の信号処理により補償して対象体に関連して生成される映像情報の正確性(信頼性)を確保(向上)することができる。
【0100】
一方、エンコーダは、記憶及び/又は処理される順次入力される超音波映像信号に対して各々の信号が入力される光音響プローブ15の直線(図6のX座標)上の位置を決めるために必要であるが、ロータリエンコーダのみを使用する実施形態、ロータリエンコーダとリニアエンコーダの両方を使用する実施形態(図8)、及びリニアエンコーダのみを使用する実施形態(図7)をそれぞれ使用することができる。
【0101】
ロータリエンコーダのみを使用する実施形態では、ロータリエンコーダの初期位置に対応するZ相入力と増分位置に対応するA相またはB相入力から光音響プローブ15の直線上の位置を算出して使用することができる。
【0102】
ロータリエンコーダとリニアエンコーダの両方を使用する実施形態(図8)では、ロータリエンコーダの初期位置に対応するZ相入力とリニアエンコーダの増分位置によって光音響プローブ15の直線上の位置を算出して使用することができる。
【0103】
リニアエンコーダのみを使用する実施形態では、リニアエンコーダの初期位置に対応する初期入力とリニアエンコーダの増分位置によって光音響プローブ15の直線上の位置を算出して使用することができる。
【0104】
一実施形態として、光音響プローブの運動情報は、駆動モータの回転運動を検出するロータリエンコーダの回転運動情報となることができ、ロータリエンコーダは、A相信号、B相信号、及びZ相信号を出力する増分型ロータリエンコーダとなることができる。
【0105】
図2及び図5を参照すれば、トリガ制御部50においてスキャントリガ信号が駆動モータの回転運動を検出する増分型ロータリエンコーダのA相信号による回転位置情報に基づいて生成される場合、各々の出力トリガ信号の生成時の光音響プローブ15の直線運動位置を算出することができ、算出された直線運動位置における超音波映像信号を各々の出力トリガ信号に対応して記憶させることができる。
【0106】
このとき、増分型エンコーダを使用する場合には、基準点の安定性確保(安定的具現)が容易でない場合がある。すなわち、増分型ロータリエンコーダの製造工程でZ相パルス信号が発生してくるスリット(基準点)を形成する際に、工程上の問題により、意図した位置以外の位置に形成されるか、既にスリットが形成されているロータリーエンコーダの保管上の問題あるいは温度と湿度の影響によって変形が発生してすでに形成されているスリットの位置が歪む可能性がある。このようにスリットの位置が歪むと、モータの正確な回転角または回転数の検出が困難になる。すなわち、特定の回転角を代表するように設けられたスリットの形成位置が歪むと、そのスリットが実際に指示する回転角は、所望の特定の角度でない回転角度を有するようになるが、ロータリーエンコーダはその特定のスリットに対して所望の特定の回転角を代表するものと認識するので、その特定スリットの実際の角度と予想角度との間に差が生じる。この違いにより、モータの回転角または回転数の測定結果を信頼できないという問題が発生する。さらに、モータとプローブの運動過程中に発生する可能性がある機械的揺れによっても、Z相パルス信号の発生は不安定になる可能性がある。
【0107】
これはスライダ-クランクメカニズムを活用して生成される映像情報の不正確さを引き起こすしかないが、基準点が不安定になるので、モータ及びデバイス(プローブ)に対する動作制御の基準信号が不安定になり、これは映像信号の歪み、ノイズなど生成される映像情報の歪み現象を引き起こす。本発明は、この問題の改善策として仮想Z相パルス信号(virtual Z)を導入して生成される映像情報の正確性を確保するようにする。
【0108】
この場合、ロータリエンコーダとリニアエンコーダの両方を使用する実施形態(図8)では、駆動モータの一方向回転運動が開始され、トリガ制御部50は、ロターリエンコーダのZ相信号の発生後に予め設定されたパルス数のA相信号が入力された後に第1トリガーイベント信号を生成し、スキャントリガ信号は、第1トリガイベント信号が生成されると、リニアエンコーダのパルス信号を同期信号として予め設定された光音響プローブの位置までパルス状に生成されることができる。
【0109】
さらに、トリガ制御部50は、スキャントリガ信号の生成が止まった後に予め設定された光音響プローブの位置に対応して第2トリガイベント信号を生成し、スキャントリガ信号は、第2トリガイベント信号が生成されると、リニアエンコーダのパルス信号を同期信号として予め設定されたプローブの位置までパルス状に生成されることができる。
【0110】
他の実施形態として、リニアエンコーダのみを用いる場合(図7)には、駆動モータの一方向回転運動が開始され、トリガ制御部50は、リニアエンコーダの初期基準信号の発生後に予め設定されたパルス数のパルス信号が入力された後に第1トリガーイベント信号を生成することができる。
【0111】
スキャントリガ信号は、光音響プローブの直線運動を検出するリニアエンコーダによって生成されるリニアエンコーダパルス信号によって算出されるプローブの直線運動位置に基づいて生成され、各々のプローブの直線運動位置における超音波信号が各々の出力トリガ信号に対応して記憶されることができる。
【0112】
他の実施形態として、ロータラエンコーダのみが使用される実施形態では、スキャントリガ信号は、第1トリガイベント信号が生成された後にロータリエンコーダのパルス信号を同期信号として予め設定された光音響プローブの位置までパルス状に生成され得る。
【0113】
トリガ制御部50は、光音響プローブ15の運動情報に基づいて超音波信号の受信トリガ信号を生成することができる。この場合、トリガ制御部50は、スキャントリガ信号を駆動モータの回転運動を検出する増分型ロータリエンコーダのA相信号による回転位置情報に基づいて発生させ、各々のスキャントリガ信号の生成時の光音響プローブの直線運動位置を算出することができる。
【0114】
一方、トリガ制御部50は、スキャントリガ信号を、プローブの直線運動を検出するリニアエンコーダによって生成されるパルス信号によって算出されるプローブの直線運動位置に基づいて生成することができる。すなわち、ロータリエンコーダなしでリニアエンコーダによって生成されるパルス信号によって把握されるプローブ10の直線運動位置のみに基づいてスキャントリガ信号を生成することもできる。
【0115】
一方、トリガ制御部50は、駆動モータの回転運動を検出するロータリエンコーダの回転運動情報と、プローブの直線運動を検出するリニアエンコーダの直線運動情報とを同時に用いてスキャントリガ信号を生成することができる。この場合、ロータリエンコーダは、A相信号、B相信号、Z相信号をそれぞれパルス状に出力する増分型ロータリエンコーダであり、リニアエンコーダは、プローブの直線運動軌跡上の位置に応じてパルス状の一定間隔でリニアパルス信号を出力する。
【0116】
一方、発生するスキャントリガ信号の間隔は、リニアエンコーダのパルス信号間隔と常に等しくすることが最も好ましいが(なぜなら、超音波信号に含まれる対象体の状態情報を最大限多く取得することができ、より高解像度の映像情報の生成が可能であるためである)、この場合、取得された状態情報に対して処理時間の過度な所要及び対象体に対する光音響映像生成過程の負荷を増加させるおそれがある。これは、生成される映像情報の不正確さを引き起こす可能性があるので(負荷の増加に伴って映像情報生成のための処理過程での誤差が生じる可能性があるからである)、本発明の意義を低減させることができる。したがって、対象体の種類、状態など様々な要素を考慮して状態情報の取得必要量を適切に設定する必要があり、これは発生するトリガ信号の波長(トリガ信号の出力ステップ)をどの程度にするかによって決まる。例えば、リニアエンコーダのパルス信号の間隔(分解能)が20[μm]であれば、トリガ制御部50は、発生させるトリガ信号の間隔を40[μm]、60[μm]、80[μm]、・・・としてトリガ信号を生成させることができる。
【0117】
一方、第1トリガイベント信号が生成されてトリガ信号がリニアエンコーダのパルス信号を同期信号として予め設定された前記プローブの位置までパルス状に生成された後には、トリガ信号の生成が止まり(これにより超音波信号の受信が止まり、N番目のスキャンラインに対応する対象体の状態情報の取得も終了)、N+1番目のスキャンラインに対応する対象体の状態情報の取得のために別の予め設定されたプローブ15の位置に対応して第2トリガイベント信号が生成される。第2トリガイベント信号が生成されると、トリガ信号は、リニアエンコーダのパルス信号を同期信号として予め設定されたプローブの位置までパルス状に生成される。
【0118】
以上の説明では、第1トリガイベント信号と第2トリガイベント信号が仮想のZ相パルス信号(virtual Z)に相当するものであり、実際のZ相パルス信号(physical Z)の発生により状態情報の取得が開始されるのではなく、これら2つのイベント信号の発生によって初めて状態情報の取得が開始される。すなわち、本発明においては、実際のZ相パルス信号には「スキャン動作開始」の通知役割のみを付与し、「状態情報取得の開始」の通知役割はこれら2つのイベント信号に付与するものであり、ここで、「仮想」は、これらの2つのイベント信号が実際のZ相パルス信号が果たすべき役割の一部を実行するので、これら2つのイベント信号が実際のZ相パルス信号に「準じて」機能するということをいう。
【0119】
実際のZ相パルス信号の発生により、「スキャン動作開始」と「状態情報取得の開始」が同時に(時間差なしで)行われると、上述したように、実際のZ相パルス信号の安定的な具現が保障されないので、結論として、状態情報の取得が不安定ないし不正確さを引き起こす可能性があるので、本発明によるこれら2つのイベント信号はこれを補償する意味として意義がある。これら2つのイベント信号の発生により、各スキャンラインの全区間ではない一部区間(図2の太線部分)についてのみ状態情報の取得が行われることになる。
【0120】
一方、本発明によれば、上述したように、図3から分かるように、「各スキャンライン毎に」状態情報取得開始イベント信号(トリガイベント信号)を生成させるが、実際のZ相パルス信号が2つのスキャンラインごとに一度だけ発生することとは違う。これは、各スキャンラインに対応する状態情報取得の確実性を確保するためである。すなわち、実際のZ相パルス信号は、スライダ-クランクメカニズムによる運動の性質上、2つのスキャンライン毎に1回だけ発生するが、上述したように、実際のZ相パルス信号の不安定発生の可能性があるので、取得される状態情報がどのスキャンラインに対応する状態情報であるかが不明瞭になる可能性がある。したがって、この不明瞭性を防止するために、本発明では、各スキャンラインに対して「状態情報取得の開始」のためのトリガイベント信号が発生されるようにする。
【0121】
図5には、高速スキャン光音響映像入力装置1で出力トリガ信号が生成される方法のタイミング図が示されている。以下、図2及び図5を参照してリニアエンコーダパルス信号によってスキャントリガ信号を生成する実施形態を中心に説明する。
【0122】
トリガ制御部50は、リニアエンコーダの初期位置に対応するパルス信号の発生を検出してリニアエンコーダの入力パルス信号の数をカウントし始める。トリガ制御部50は、リニアエンコーダパルス信号の個数が予め設定された値(Counting Num:Z1)に到達すると、第1トリガイベント信号を生成し、第1トリガイベント信号の生成後に設定された数のリニアエンコーダの入力パルスの整数倍間隔でスキャントリガ信号(Scanning trigger)を生成する。
【0123】
さらに、スキャントリガ信号の次のレーザ検出信号パルスの立ち上がり時間に同期してレーザトリガ信号(Laser trigger)を生成する。また、レーザトリガ信号(Laser trigger)に同期して出力トリガ信号(Output trigger)を生成してアナログデジタル変換部30に伝送する。
【0124】
このとき、スキャントリガ信号(Scanning trigger)をカウントして予め設定された数に達すると、スキャントリガ信号(Scanning trigger)の生成を中止する。他の実施形態では、スキャントリガ信号は引き続き生成し、レーザトリガ信号(Laser trigger)及び出力トリガ信号(Output trigger)の生成は中止することができる。
【0125】
これにより、図6に示した実施形態では、駆動モータの1/2回転が完了し、N番目のスキャンラインのスキャニングが完了する。このとき、次のN+1番目のスキャンラインのスキャン開始前に、プローブは、図6においてY方向に設定された距離だけ移動する。このために、光音響プローブ15を含むスキャンモジュールは、Y方向に移動可能なガントリのような移動モジュールに設けられることができる。
【0126】
入力されるリニアエンコーダパルスの数をカウントして予め設定された値に達すると、第2トリガイベント信号を生成する。他の実施形態として、スキャントリガ信号(Scanning trigger)のパルスの個数をカウントして予め設定された値に達すると、第2トリガイベント信号を生成することができる。
【0127】
第2トリガイベント信号の生成後に設定された数のリニアエンコーダの入力パルスの整数倍間隔でスキャントリガ信号(Scanning trigger)を生成する。さらに、スキャントリガ信号(Scanning trigger)の次のレーザ検出信号パルスの立ち上がり時間に同期してレーザトリガ信号(Laser trigger)を生成する。また、レーザトリガ信号(Laser trigger)に同期して出力トリガ信号(Output trigger)を生成してアナログデジタル変換部30に伝送する。
【0128】
このとき、スキャントリガ信号(Scanning trigger)をカウントして予め設定された数に達すると、スキャントリガ信号(Scanning trigger)の生成を中止する。他の実施形態として、スキャントリガ信号(Scanning trigger)は引き続き生成し、レーザトリガ信号(Laser trigger)及び出力トリガ信号(Output trigger)の生成は中止することができる。
【0129】
これにより、図6に示す実施形態では、駆動モータの2/2回転が完了し、N+1番目のスキャンラインのスキャニングが完了する。
【0130】
一方、高速スキャン光音響映像入力装置の制御方法は、図1乃至図8の高速スキャン光音響映像入力装置を制御するためのことであり、図1乃至図8の高速スキャン光音響映像入力装置で説明した制御方法がそのまま適用されることができる。
【0131】
高速スキャン光音響映像入力装置の制御方法は、1つのレーザ発生装置から出力される1つのパルスレーザビームを第1レーザビームと第2レーザビームに分岐するステップと、第2レーザビームを第3レーザビームと第4レーザビームに分岐するステップと、第4レーザビームからレーザ検出信号パルスを生成するステップと、第1レーザビームと第3レーザビームをそれぞれ相異なる第1及び第2光音響プローブに導くステップと、第1光音響プローブから第1超音波信号を受信するステップと、第2光音響プローブから第2超音波信号を受信するステップと、レーザ検出信号パルスと第1及び第2光音響プローブの運動情報であるリニアエンコーダパルス信号から出力トリガ信号を生成するステップと、出力トリガ信号と第1及び第2超音波信号とから検査対象体の3次元映像を生成するステップと、を含むことができる。
【0132】
第1レーザビームスプリッタ(VBS1)及び第2レーザビームスプリッタ(VBS2)はそれぞれ可変ビームスプリッタであり、第1レーザビームと第3レーザビームは同じサイズを有し、第4レーザビームに比べてはるかに大きい。このとき、第4レーザビームは、光音響映像を取得するために使用されることではなく、レーザ信号が出力されることを検出するためのものであり、フォトディテクタ(PD)で検出できる程度のレベルであれば十分である。
【0133】
一実施形態として、第1レーザビーム、第3レーザビーム、及び第4レーザビームのサイズ比は、4:4:2になることができる。
【0134】
図7及び図8には、本発明の他の実施形態による高速スキャン光音響映像入力装置2、3が示されている。
【0135】
図面を参照すると、高速スキャン光音響映像入力装置2、3は、対象領域入力部80及びスキャン領域抽出部90を含み、スキャン領域の全体でない検査対象体を含む対象領域において必要な部分に対してのみ光音響映像を受けるようにすることができる。
【0136】
対象領域入力部80は、検査対象体を含む対象領域の映像の入力を実行する。スキャン領域抽出部90は、対象領域の映像から検査対象体に対する光音響映像を取得する領域の始点と終点に対応する位置値により決められるスキャン領域を抽出することができる。
【0137】
このために、対象領域入力部80は、対象領域を撮影することができる別の光学カメラを含むことができる。スキャン領域抽出部90は、対象領域の画像から検査対象体を認識し、検査対象体を抽出することができる。また、抽出された検査対象体を含み、設定されたマージン領域を含む領域を、光音響映像を取得するスキャン領域として抽出することができる。
【0138】
すなわち、別の光学カメラのような対象領域入力部80を用いて対象領域に対する入力映像の入力を実行し、スキャン領域抽出部90は入力映像から撮影対象体を認識し、撮影対象体部分のみを抽出してスキャン領域として設定することができる。この場合、スキャン領域に対してのみ各々のスキャンライン単位で映像の入力を実行するように設定することができる。これにより、予め設定された領域のみで設定された間隔でレーザパルスが出力されるようにするか(及び/または)超音波映像信号を生成することができるので、光音響送受信部、デジタル変換部、及びメイン制御部(映像生成部)に負荷を最小化しながら迅速な光音響映像の入力が可能になる。
【0139】
このために、光音響プローブ15を含むスキャン装置は、図6のX-Y方向またはX-Y-Z方向に移動可能なガントリのような移動モジュールに設けられることができる。
【0140】
他の実施形態として、対象領域入力部80及びスキャン領域抽出部90は、全領域におけるスキャンモジュールを検査対象体の位置に応じて決定されるスキャン開始点が設定されたアルゴリズムによって決定される位置に移動させることができる。
【0141】
他の実施形態として、対象領域入力部80は、TOF(Time of Flight)カメラのような3Dカメラを含み、スキャン領域抽出部90が全領域においてスキャン装置を検査対象体の位置に応じて決定されるスキャン開始点が設定されたアルゴリズムによって決定される位置に移動させることができる。このとき、スキャン開始点の位置は、移動モジュールによって移動されるX-Y-Zの3次元座標値となることができる。
【0142】
このとき、対象体に対するスキャンが、スキャン装置が位置可能な全領域(AR)に対して行われることでなく、対象体に対する状態情報の取得が必要な領域(PR)に対してのみ行われるようにして、状態情報取得過程で発生する不要なデータの発生を防ぐことができる。このために、本発明では、対象体に対するスキャン及び状態情報取得より先の作業として対象体の撮像を行った後、撮像された画像から状態情報の取得が必要な領域(PR)の大きさを決定し、この大きさに該当する領域(PR)に対してのみ状態情報取得(対象体に対するスキャン)を行うことができる。
【0143】
レーザビーム変換部11は、ビームスプリッタ(VBS1、VBS2)及びフォトディテクタ(PD)を含み、フォトディテクタ(PD)を通じて検出される第4レーザビームのレーザパルスに応じてレーザ検出信号パルスを生成し、レーザ検出信号パルスをトリガとして受信した超音波信号を映像信号に変換し、映像生成部は、変換された映像信号を受信して対象体に対する光音響映像を生成する。このとき、超音波信号は対象体の状態情報を含んでいるので、結論として対象体の状態情報が光音響映像として生成される。
【0144】
本発明による高速スキャン光音響映像入力装置は、特に生体内部の可視的かつ即時の確認を要する医学的診断に活用することができ、その一例として糖尿病性足(Diabetic Foot)の診断に活用することができる。
【0145】
糖尿病性足(糖尿病性足病変(DM Foot Ulcer))は、糖尿病患者の足に現われる神経病、構造的変形、皮膚のたこ、皮膚と爪甲の変化、足の潰瘍、感染、血管疾患などを総称する。糖尿病性足病変が進行すると、小さな傷も治らず潰瘍になり、ひどいと血液が循環されず足が黒く腐る。
【0146】
糖尿病性足病変の診断のために患者の足の内部を撮影することが先行的に求められているが、上述した生体内部の映像情報の生成方式として多く活用されている従来の方式であるX-ray、CT、MRIなどは血管の正確な可視化が容易でなく、可視化に要する時間が長く、したがって疾患の進行の有無、進行の程度などの把握が難しくて、これらの方法による糖尿病性足病変の診断は、糖尿病の有無及び現在の体の状態確認と分析による医師の臨床的経験による推論に近いので、信頼性は保証されない。
【0147】
しかしながら、本発明を糖尿病の診断に活用すれば、光音響顕微鏡と高速スキャン装置を組み合わせて高速かつ高解像度の足の内部の映像を生成することができるので、既存の光音響顕微鏡システムの遅いスキャン速度を改善して糖尿病性足病変を早めに診断することができ、非侵襲的な超音波や人体に無害な範囲内の光(レーザー)を使用するので、患者と医師が向かい合って診療を進行しながら、速い速度で患者の足の血管を60秒以内に映像化して糖尿病性足病変の診断を行うことができる。
【0148】
これまで、本発明の技術的思想を、その思想の具体性を担保する本発明の好ましい実施形態の開示を通じて説明した。本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者は、その好ましい実施形態が本発明の技術的思想(本質的特性)から逸脱しない範囲で変形された形態で具現され得ることを理解することができる。したがって、開示された実施形態は、限定的な観点ではなく説明的な観点から考慮されるべきであり、本発明の権利範囲は、特許請求の範囲に開示された事項だけでなく、それと均等の範囲内にあるすべての違いも含むと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】