(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-10
(54)【発明の名称】アトピー性皮膚炎及び関連する障害の治療方法
(51)【国際特許分類】
C07K 16/24 20060101AFI20230803BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20230803BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230803BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20230803BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20230803BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230803BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230803BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230803BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20230803BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230803BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230803BHJP
A61K 31/58 20060101ALI20230803BHJP
C07J 17/00 20060101ALN20230803BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20230803BHJP
【FI】
C07K16/24
A61K38/16
A61P17/00
A61P37/08
A61P17/04
A61K9/08
A61K47/12
A61K47/02
A61K47/14
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P43/00 121
A61K31/58
C07J17/00
C12N15/13 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022557800
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(85)【翻訳文提出日】2022-11-18
(86)【国際出願番号】 EP2021057463
(87)【国際公開番号】W WO2021191220
(87)【国際公開日】2021-09-30
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】P 2020182046
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508098350
【氏名又は名称】メドイミューン・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MedImmune Limited
【住所又は居所原語表記】1 Francis Crick Avenue, Cambridge Biomedical Campus, Cambridge CB2 0AA, UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】コリス,ジーン
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル メルヴェ,ルネ
(72)【発明者】
【氏名】バヴェレル,ポール
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4C091
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076BB11
4C076BB16
4C076CC07
4C076CC18
4C076DD08
4C076DD08E
4C076DD08F
4C076DD08Q
4C076DD23
4C076DD23D
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4C076DD46E
4C076DD46F
4C076DD46Q
4C076EE23
4C076EE23E
4C076EE23F
4C076EE23Q
4C076FF11
4C076FF14
4C076FF15
4C076FF16
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA44
4C084BA50
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4C084ZA89
4C084ZB13
4C084ZC75
4C085AA13
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4C085EE03
4C085GG01
4C085GG04
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA12
4C086MA01
4C086MA02
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4C086MA07
4C086MA16
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZB13
4C086ZC75
4C091AA01
4C091BB03
4C091BB05
4C091CC01
4C091DD01
4C091EE07
4C091FF01
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4C091PA09
4C091PB02
4C091QQ01
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA22
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、インターロイキン-13(IL-13)結合タンパク質、例えば、抗IL-13抗体またはそのIL-13結合断片を使用した、対象におけるアトピー性皮膚炎及び関連する障害の治療方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるアトピー性皮膚炎(AD)の治療方法での使用のためのインターロイキン-13(IL-13)結合タンパク質であって、前記方法が、(a)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(b)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の15日~35日後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップを含む、前記IL-13結合タンパク質。
【請求項2】
アトピー性皮膚炎(AD)の治療を必要とする対象におけるその治療方法であって、(a)前記対象に対して、IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(b)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の15日~35日後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップを含む、前記方法。
【請求項3】
対象におけるアトピー性皮膚炎(AD)の治療のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用であって、前記ADの治療方法が、(a)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(b)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の15日~35日後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップを含む、前記使用。
【請求項4】
前記方法により、
a.湿疹面積重症度指数のベースラインと比較した50%以上の改善(EASI-50)、
b.IGAスコアのベースラインと比較した少なくとも2点の低下、
c.POEMスコアのベースラインと比較した少なくとも4点の低下、
d.掻痒数値化スケール(NRS)の日内最高値のベースラインと比較した少なくとも1点の低下、少なくとも2点の低下、少なくとも3点の低下もしくは少なくとも4点の低下、
e.湿疹関連睡眠妨害のベースラインと比較した少なくとも0.4点の低下、
f.病院における不安と抑うつに関する質問票(HADS)スコアのベースラインと比較した少なくとも1点の低下、少なくとも2点の低下、少なくとも3点の低下もしくは少なくとも4点の低下、
g.SF-36身体的健康度スコアのベースラインと比較した少なくとも4点の増加及び/またはSF-36精神的健康度スコアのベースラインと比較した少なくとも2点の増加、
h.EQ-5D-5L指数スコアのベースラインと比較した少なくとも0.2点の増加、
i.DLQIスコアのベースラインと比較した少なくとも4点の低下、及び/または
j.PGI-Bスコアのベースラインと比較した少なくとも1点の低下が達成される、
先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項5】
前記ADが、中等度から重度または重度のADである、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項6】
前記方法が、皮膚感染症(例えば、Staphylococcus aureus感染症)、掻痒、湿疹関連睡眠妨害、不安及び/またはうつ病の治療のためであるか、または健康状態及び/または生活の質を改善するためのものである、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項7】
各第二の用量が、前記対象に対して、直前の用量の25日~31日後に投与される、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項8】
各第二の用量が、前記対象に対して、直前の用量の約4週後に投与される、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項9】
前記ステップ(b)が、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも3か月、少なくとも16週間、少なくとも20週間、少なくとも24週間、少なくとも6か月、少なくとも28週間、少なくとも32週間、少なくとも36週間、少なくとも1年、もしくは少なくとも52週間またはそれより長く継続される、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項10】
前記方法が、(a)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の約300mgの第一の用量を投与するステップ、及び(b)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の約300mgの第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の約4週後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項11】
前記方法が、(a)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の約300mgの第一の用量を皮下投与するステップ、及び(b)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の約300mgの第二の用量(複数可)を皮下投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の約4週後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項12】
前記方法が、(a)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の約300mgの第一の用量を皮下投与するステップ、及び(b)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の約300mgの第二の用量(複数可)を皮下投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の約4週後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップを含み、前記方法が、約12週間行われる、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項13】
前記ステップ(a)の前に、前記方法が、さらに、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を前記対象に対して投与するステップを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項14】
前記IL-13結合タンパク質の各事前の用量が、前記対象に対して、直前の事前の用量の3日~6週後に投与される、請求項13に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項15】
前記ステップ(a)の前に、前記方法が、さらに、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を前記対象に対して約2週間、約4週間、約6週間、約8週間、約12週間、約16週間もしくは約20週間またはそれより長く投与することを含む、請求項13または請求項14に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項16】
前記方法が、以下のステップを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用:
(i)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を2週間~36週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の3日~2週後に投与されるものである前記ステップ、
(ii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び
(iii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも8週間投与するステップ、ただし、前記IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の15日~35日後に前記対象に投与されるものである前記ステップ、
ここで、各用量は、IL-13結合タンパク質の約10~約600mgである。
【請求項17】
前記ステップ(b)に続いて、前記方法が、さらに、(c)前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第三の用量(複数可)を前記対象に対して投与するステップを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項18】
前記IL-13結合タンパク質の各第三の用量が、直前の用量の1週~6週後に投与される、請求項17に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項19】
前記IL-13結合タンパク質の前記1つ以上の第三の用量(複数可)の各々が、前記対象に対して、直前の用量の2週後に投与される、請求項18に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項20】
前記方法が、以下のステップを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用:
(i)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約8週間~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の12日~16日後に投与されるものである前記ステップ、
(ii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び
(iii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも12週間投与するステップ、ただし、前記IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の26日~30日後に前記対象に投与されるものである前記ステップ、
ここで、各用量は、IL-13結合タンパク質の約250~約350mgである。
【請求項21】
前記方法が、以下のステップを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用:
(i)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約8週間~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の12日~16日後に投与されるものである前記ステップ、
(ii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び
(iii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも12週間投与するステップ、ただし、前記IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の26日~30日後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップ、ここで、前記1つ以上の事前の用量の第一の用量は、IL-13結合タンパク質の約600mgであり、前記1つ以上の事前の用量の前記第一の後に投与される各用量(事前の用量(複数可)、第一の用量、及び第二の用量(複数可))は、IL-13結合タンパク質の約300mgである。
【請求項22】
前記方法が、以下のステップを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用:
(i)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約12週間~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の約2週後に投与されるものである前記ステップ、
(ii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び
(iii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも16週間投与するステップ、ただし、前記IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の約4週後に前記対象に投与されるものである前記ステップ、
ここで、各用量は、IL-13結合タンパク質の約300mgである。
【請求項23】
前記方法が、以下のステップを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用:
(i)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約12週間~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の約2週後に投与されるものである前記ステップ、
(ii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び
(iii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも16週間投与するステップ、ただし、前記IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の約4週後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップ、ここで、前記1つ以上の事前の用量の第一の用量は、IL-13結合タンパク質の約600mgであり、前記1つ以上の事前の用量の前記第一の後に投与される各用量(事前の用量(複数可)、第一の用量、及び第二の用量(複数可))は、IL-13結合タンパク質の約300mgである。
【請求項24】
中等度から重度または重度のADの対象における皮膚感染症の治療方法での使用のためのインターロイキン-13(IL-13)結合タンパク質であって、前記方法が、前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記IL-13結合タンパク質。
【請求項25】
中等度から重度または重度のADの対象における皮膚感染症の治療方法であって、前記対象に対して、治療有効量のIL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記方法。
【請求項26】
中等度から重度または重度のADの対象における皮膚感染症の治療のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用であって、前記皮膚感染症の治療方法が、前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記使用。
【請求項27】
前記方法が、請求項4~23のいずれか1項に定義される、請求項24に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、請求項25に記載の方法または請求項26に記載の使用。
【請求項28】
中等度から重度または重度のADの対象における掻痒の治療方法での使用のためのIL-13結合タンパク質であって、前記方法が、前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記IL-13結合タンパク質。
【請求項29】
中等度から重度または重度のADの対象における掻痒の治療方法であって、前記対象に対して、IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記方法。
【請求項30】
中等度から重度または重度のADの対象における掻痒の治療のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用であって、前記掻痒の治療方法が、前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記使用。
【請求項31】
前記方法が、請求項4~23のいずれか1項に定義される、請求項28に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、請求項29に記載の方法または請求項30に記載の使用。
【請求項32】
中等度から重度または重度のADの対象における湿疹関連睡眠妨害の治療方法での使用のためのIL-13結合タンパク質であって、前記方法が、前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記IL-13結合タンパク質。
【請求項33】
中等度から重度または重度のADの対象における湿疹関連睡眠妨害の治療方法であって、前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記方法。
【請求項34】
中等度から重度または重度のADの対象における湿疹関連睡眠妨害の治療のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用であって、前記湿疹関連睡眠妨害の治療方法が、前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記使用。
【請求項35】
前記方法が、請求項4~23のいずれか1項に定義される、請求項32に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、請求項33に記載の方法または請求項34に記載の使用。
【請求項36】
中等度から重度または重度のADの対象における不安及び/またはうつ病の治療方法での使用のためのIL-13結合タンパク質であって、前記方法が、前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記IL-13結合タンパク質。
【請求項37】
中等度から重度または重度のADの対象における不安及び/またはうつ病の治療方法であって、前記対象に対して、IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記方法。
【請求項38】
中等度から重度または重度のADの対象における不安及び/またはうつ病の治療のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用であって、前記不安及び/またはうつ病の治療方法が、前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記使用。
【請求項39】
前記方法が、請求項4~23のいずれか1項に定義される、請求項36に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、請求項37に記載の方法または請求項38に記載の使用。
【請求項40】
中等度から重度または重度のADの対象における健康状態及び/または生活の質の改善方法での使用のためのIL-13結合タンパク質であって、前記方法が、前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記IL-13結合タンパク質。
【請求項41】
中等度から重度または重度のADの対象における健康状態及び/または生活の質の改善方法であって、前記対象に対して、IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記方法。
【請求項42】
中等度から重度または重度のADの対象における健康状態及び/または生活の質の改善のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用であって、前記健康状態及び/または生活の質の改善方法が、前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記使用。
【請求項43】
前記方法が、請求項4~23のいずれか1項に定義される、請求項40に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、請求項41に記載の方法または請求項42に記載の使用。
【請求項44】
前記IL-13結合タンパク質の各用量が、1回または2回の注射で投与される、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項45】
前記IL-13結合タンパク質の各用量が、皮下投与される、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項46】
前記IL-13結合タンパク質の各用量が、50mMの酢酸ナトリウム緩衝液、85mMの塩化ナトリウム、0.01%(w/v)のポリソルベート80を含む医薬組成物として投与され、前記医薬組成物が、pH5.5を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項47】
前記IL-13結合タンパク質が、抗IL-13抗体、またはそのIL-13結合断片である、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項48】
前記IL-13結合タンパク質が、モノクローナル抗IL-13抗体、またはそのIL-13結合断片である、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項49】
前記IL-13結合タンパク質が、ヒト抗IL-13抗体、またはそのIL-13結合断片である、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項50】
前記IL-13抗体が、IgG4抗体である、請求項47~49のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項51】
前記IL-13結合断片が、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、Fv、単鎖Fv(scFv)、またはジスルフィド結合Fv(sdFv)から選択される、請求項47~50のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項52】
前記抗IL-13抗体、またはそのIL-13結合断片が、重鎖可変領域(HCVR)及び軽鎖可変領域(LCVR)を含む、請求項47~51のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用であって、
(i)前記重鎖可変領域が、
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、
配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域2(HCDR2)、及び
配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(HCDR3)を含み、
(ii)前記軽鎖可変領域が、
配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、
配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2(LCDR2)、及び
配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3(LCDR3)
を含む、前記使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項53】
前記抗IL-13抗体、またはそのIL-13結合断片が、さらに、
(i)配列番号8の重鎖可変領域配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、及び/または
(ii)配列番号10の軽鎖可変領域配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項47~52のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項54】
前記抗IL-13抗体、またはそのIL-13結合断片が、配列番号8の重鎖可変領域配列及び配列番号10の軽鎖可変領域配列を含む、請求項47~53のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項55】
前記抗IL-13抗体、またはそのIL-13結合断片が、(i)配列番号11の重鎖配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、及び/または(ii)配列番号12の軽鎖配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項47~54のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項56】
前記抗IL-13抗体、またはそのIL-13結合断片が、配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖配列を含む、請求項47~55のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項57】
前記IL-13結合タンパク質が、単剤療法として投与される、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【請求項58】
前記IL-13結合タンパク質が、局所コルチコステロイド、局所カルシニューリン阻害剤、抗ヒスタミン剤、皮膚軟化剤、または抗細菌治療薬からなる群から選択される第二の治療薬と組み合わせて投与される、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターロイキン-13(IL-13)結合タンパク質、例えば、抗IL-13抗体またはそのIL-13結合断片を使用した、対象におけるアトピー性皮膚炎の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アトピー性皮膚炎(AD)は、皮膚のバリア機能及び免疫応答を混乱させる遺伝的及び環境的要因から生じる不均一な炎症性皮膚疾患である(Leung,D.Y.and Guttman-Yassky,E.Deciphering the complexities of atopic dermatitis:shifting paradigms in treatment approaches.J Allergy Clin Immunol.2014;134:769-779)。現在の管理は、概して、炎症を抑制し、皮膚バリア機能を回復させ、重複感染を防ぐための治療の組み合わせを含む(Wollenberg,A.,Oranje,A.,Deleuran,M.,Simon,D.,Szalai,Z.,Kunz,B.et al.ETFAD/EADV Eczema task force 2015 position paper on diagnosis and treatment of atopic dermatitis in adult and paediatric patients.J Eur Acad Dermatol Venereol.2016;30:729-747)。
【0003】
局所コルチコステロイド(TCS)は、AD患者に対して圧倒的に最も頻繁に処方される薬物のクラスであるが、TCSの長期適用は推奨されない。局所カルシニューリン阻害剤(TCI)は、一般に短期治療として効果的で安全である。皮膚の悪性腫瘍及びリンパ腫のリスクの増加により、規制当局は、例えば、処方情報で局所タクロリムス及びピメクロリムスの長期的な安全性に関する警告を義務付けるように指示した。第一世代の抗ヒスタミン剤は、掻痒(かゆみ)の急性対症療法のために広く処方されているが、その有効性は限られており、主にその鎮静効果に帰する。経口免疫抑制剤及びグルココルチコイドは効果的であるが、重度の毒性と副作用を伴うことがあるため、それらの使用は短期間の、及び/または間欠的な療法に限定される。
【0004】
シクロスポリンA(CSA)は、一部の地域における重度のADの療法であり、液性免疫応答と細胞性免疫応答の両方に影響を与える免疫抑制剤であるが、これは、感染に対する感受性を高め、がんの免疫監視を減少させる。その他の一般的に認識されている毒性としては、高血圧ならびに腎機能及び肝機能の障害が挙げられる。さらに、CSAは他の一般に使用される薬物と相互作用し、それらの代謝と効果に影響を与える可能性がある。全身性免疫抑制剤は、これらが有害事象を伴い、長期使用に適さないため、通常は中等度から重度のADの治療に使用が限られる(Wollenberg,A.,Oranje,A.,Deleuran,M.,Simon,D.,Szalai,Z.,Kunz,B.et al.ETFAD/EADV Eczema task force 2015 position paper on diagnosis and treatment of atopic dermatitis in adult and paediatric patients.J Eur Acad Dermatol Venereol.2016;30:729-747)。従って、単に症状を緩和するのではなく、ADの病態生理学のメカニズムを標的とする、より効果的で忍容性の高い療法が必要である。
【0005】
ADの1つの重要な特徴は、病変皮膚及び非病変皮膚におけるIL-13及びインターロイキン-4(IL-4)の上方制御であり、両方のサイトカインがADの病因に寄与する可能性があることを示唆している(Nomura,I.,Goleva,E.,Howell,M.D.,Hamid,Q.A.,Ong,P.Y.,Hall,C.F.et al.Cytokine milieu of atopic dermatitis,as compared to psoriasis,skin prevents induction of innate immune response genes.J Immunol.2003;171:3262-3269、Tazawa,T.,Sugiura,H.,Sugiura,Y.,and Uehara,M.Relative importance of IL-4 and IL-13 in lesional skin of atopic dermatitis.Arch Dermatol Res.2004;295:459-464参照)。さらに、ADの重症度は、IL-13及び関連するケモカインmRNA及び血清レベルの増加と関連しているが、一方IL-13濃度の低下は、治療反応及び臨床アウトカムの改善と相関している。IL-4及びIL-13の両シグナル伝達を阻害するヒトmAbであるデュピルマブによる治療によって、AD症状の改善が示されたが、これらのサイトカインの各々のAD病因への相対的な寄与は不明であった。
【0006】
実際の臨床現場では、デュピルマブを投与されている患者における結膜炎の有病率は、文献の系統的レビューに基づいて26%と推定されており(Halling AS et al.Real-world evidence of dupilumab efficacy and risk of adverse events:A systematic review and meta-analysis.J Am Acad Dermatol 2020)、適切な眼科治療にもかかわらず、持続する可能性がある(Achten R et al.Long-term follow-up and treatment outcomes of conjunctivitis during dupilumab treatment in patients with moderate-to-severe atopic dermatitis.J Allergy Clin Immunol Pract 2020)。さらに、デュピルマブによる眼の合併症、例えば、結膜炎の発生率は、ADの重症度とともに増加することが示されている(Simpson EL et al.Two Phase 3 Trials of Dupilumab versus Placebo in Atopic Dermatitis.N Engl J Med 2017;376:1090-1091、Thyssen JP et al.Incidence,prevalence,and risk of selected ocular disease in adults with atopic dermatitis.J Am Acad Dermatol 2017;77:280-286 e281)。デュピルマブ治療中の眼科的副作用は、AD患者でのみ観察されており、鼻ポリープ、喘息または好酸球性食道炎を伴う慢性副鼻腔炎の試験では観察されていない(Bachert C et al.Effect of subcutaneous dupilumab on nasal polyp burden in patients with chronic sinusitis and nasal polyposis:a randomized clinical trial.JAMA 2016;315:469-479、Castro M et al.Dupilumab Efficacy and Safety in Moderate-to-Severe Uncontrolled Asthma.N Engl J Med 2018;378:2486-2496、Hirano I et al.Efficacy of dupilumab in a phase 2 randomized trial of adults with active eosinophilic esophagitis.Gastroenterology 2020;158:111-122.e110)ため、AD固有の素因が存在することが示唆される。ADの治療薬としてデュピルマブが導入されて以来、結膜炎は重要な有害事象として特定されており、その結果、眼科医との協力が強化されている(Agnihotri G et al.A Clinician’s Guide to the Recognition and Management of Dupilumab-Associated Conjunctivitis.Drugs in R&D 2019;19:311-318、Wollenberg et al.2018、Wollenberg A et al.Conjunctivitis occurring in atopic dermatitis patients treated with dupilumab-clinical characteristics and treatment.J Allergy Clin Immunol Pract 2018)。
【0007】
IL-13は、114個のアミノ酸のサイトカインであり、未修飾の分子量は約12kDaである。IL-13は、IL-4と最も密接に関連しており、アミノ酸レベルで30%の配列相同性を共有している。ヒトIL-13遺伝子は、IL-4遺伝子に隣接する染色体5q31に位置する。最初は、Th2 CD4+リンパ球由来のサイトカインとして同定されたが、IL-13はまた、Th1 CD4+T細胞、CD8+Tリンパ球NK細胞、及び非T細胞集団、例えば、マスト細胞、好塩基球、好酸球、マクロファージ、単球及び気道平滑筋細胞によっても産生される。IL-13は、複数の疾患、特に、炎症反応によって引き起こされる疾患と関連している。例えば、ナイーブ非感作げっ歯類の気道への組み換えIL-13の投与により、気道炎症、粘液産生及び気道過敏性を含めた喘息表現型の多くの側面が引き起こされることが分かった。同様の表現型が、IL-13を肺で特異的に過剰発現させたトランスジェニックマウスで観察された。このモデルでは、IL-13へのより慢性的な曝露により、線維化も生じた。
【0008】
IL-13遺伝子の複数の遺伝的多型もまた、アレルギー疾患に関連づけられている。特に、アミノ酸130のアルギニン残基がグルタミンで置換された(Q130R)IL-13遺伝子のバリアントは、気管支喘息、アトピー性皮膚炎及び血清IgEレベルの上昇と関連づけられている。この特定のIL-13バリアントは、そのアミノ酸数から20アミノ酸のシグナル配列を除外するいくつかのグループによって、Q110Rバリアント(アミノ酸110のアルギニン残基がグルタミンで置換されている)とも呼ばれる。
【0009】
トラロキヌマブ(CAT-354及びBAK502G9としても知られる)は、Q130Rバリアントを含めたIL-13に結合してこれを中和する完全ヒト治療用抗体である(Popovic et al.J.Mol.Biol.(2017)429(2):208-219、May,R.D.,Monk,P.D.,Cohen,E.S.,Manuel,D.,Dempsey,F.,Davis,N.H.et al.Preclinical development of CAT-354,an IL-13 neutralizing antibody,for the treatment of severe uncontrolled asthma.Br J Pharmacol.2012;166:177-193参照)。
【0010】
トラロキヌマブは、成人204人を対象としたADの治療に対する第2b相試験で以前に試験された。この試験では、患者に、45mg、150mg、または300mgの皮下トラロキヌマブまたはプラセボを2週おきに局所グルココルチコイドとともに12週間投与したところ、プラセボと比較して、湿疹面積重症度指数(EASI)スコアのベースラインからの変化が改善されることとともに、アトピー性皮膚炎のスコアリング(SCORAD)、皮膚の状態に関するアンケート(DLQI)、及び掻痒の数値評価尺度スコアの改善が見られた(Wollenberg J.Allergy Clin.Immunol.(2019)143(1):135-141)。
【0011】
例えば、上で言及した問題の少なくともいくつかに対処する、ADのさらなる改善された治療が当技術分野で依然として望まれている。
【発明の概要】
【0012】
本発明者らは、IL-13結合タンパク質(例えば、トラロキヌマブのような抗IL-13抗体)に対する患者の反応が、抗体の投与頻度を減少させても維持されることを見出した。投与頻度を減少させることには、多くの利点、例えば、患者コンプライアンスの改善(例えば、注射回数の減少)、患者ごとに必要な薬物の総量の減少、臨床医の関与の軽減(例えば、治療を自身で施せない場合)が関係している。患者は、治療用タンパク質に対する抗体を作ることがあり、これが治療効果を中和する。これは、短期間の使用(例えば、がん治療)では問題にならない傾向があるが、使用期間及び薬物曝露に伴ってその可能性が高くなる。投与頻度によって薬物曝露を減らすことが、この影響を防ぐのに役立つ場合がある。薬物曝露が増えると、副作用の可能性も高まる。投与頻度を減らすと、副作用が軽減される可能性がある。従って、忍容性(治療の有効性とその副作用のバランス)も改善され得る。
【0013】
従って、1つの態様では、本発明は、対象におけるアトピー性皮膚炎の治療方法での使用のためのインターロイキン-13(IL-13)結合タンパク質(例えば、抗IL-13抗体またはそのIL-13結合断片)を提供し、該方法は、(a)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の15日~35日後に該対象に対して投与されるものであるステップを含む。
【0014】
別の態様では、本発明は、アトピー性皮膚炎の治療を必要とする対象におけるその治療方法を提供し、該方法は、(a)該対象に対して、IL-13結合タンパク質(例えば、抗IL-13抗体またはそのIL-13結合断片)の第一の用量を投与するステップ、及び(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の15日~35日後に該対象に対して投与されるものであるステップを含む。
【0015】
さらなる態様では、本発明は、対象におけるアトピー性皮膚炎の治療のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質(例えば、抗IL-13抗体またはそのIL-13結合断片)の使用を提供し、該方法は、(a)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の15日~35日後に該対象に対して投与されるものであるステップを含む。
【0016】
別の態様では、本発明は、中等度から重度または重度のADの対象における皮膚感染症の治療方法での使用のためのインターロイキン-13(IL-13)結合タンパク質を提供し、該方法は、該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与することを含む。好ましくは、該IL-13結合タンパク質は、局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されない。
【0017】
別の態様では、本発明は、対象における皮膚感染症の治療方法での使用のためのインターロイキン-13(IL-13)結合タンパク質を提供し、該方法は、(a)中等度から重度または重度のADでありかつ微生物の皮膚感染を有する対象を選択するステップ、及び(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与するステップを含む。好ましくは、該IL-13結合タンパク質は、局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されない。
【0018】
別の態様では、本発明は、中等度から重度または重度のADの対象における皮膚感染症の治療方法を提供し、該方法は、該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与することを含む。好ましくは、該IL-13結合タンパク質は、局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されない。
【0019】
別の態様では、本発明は、対象における皮膚感染症の治療方法を提供し、該方法は、(a)中等度から重度または重度のADでありかつ微生物の皮膚感染を有する対象を選択するステップ、及び(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与するステップを含む。好ましくは、該IL-13結合タンパク質は、局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されない。
【0020】
別の態様では、本発明は、中等度から重度または重度のADの対象における皮膚感染症の治療のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用を提供し、該方法は、該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与することを含む。好ましくは、該IL-13結合タンパク質は、局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されない。
【0021】
別の態様では、本発明は、対象における皮膚感染症の治療のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用を提供し、該方法は、(a)中等度から重度または重度のADでありかつ微生物の皮膚感染を有する対象を選択するステップ、及び(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与するステップを含む。好ましくは、該IL-13結合タンパク質は、局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されない。
【0022】
別の態様では、本発明は、中等度から重度または重度のADの対象における掻痒の治療方法での使用のためのIL-13結合タンパク質を提供し、該方法は、該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与することを含む。好ましくは、該IL-13結合タンパク質は、局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されない。
【0023】
別の態様では、本発明は、対象における掻痒の治療方法での使用のためのIL-13結合タンパク質を提供し、該方法は、(a)中等度から重度または重度のADでありかつ掻痒がある対象を選択するステップ、及び(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与するステップを含む。好ましくは、該IL-13結合タンパク質は、局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されない。
【0024】
別の態様では、本発明は、中等度から重度または重度のADの対象における掻痒の治療方法を提供し、該方法は、該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与することを含む。好ましくは、該IL-13結合タンパク質は、局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されない。
【0025】
別の態様では、本発明は、対象における掻痒の治療方法を提供し、該方法は、(a)中等度から重度または重度のADでありかつ掻痒がある対象を選択するステップ、及び(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与するステップを含む。好ましくは、該IL-13結合タンパク質は、局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されない。
【0026】
別の態様では、本発明は、中等度から重度または重度のADの対象における掻痒の治療のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用を提供し、該方法は、該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与することを含む。好ましくは、該IL-13結合タンパク質は、局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されない。
【0027】
別の態様では、本発明は、対象における掻痒の治療のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用を提供し、該方法は、(a)中等度から重度または重度のADでありかつ掻痒がある対象を選択するステップ、及び(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与するステップを含む。好ましくは、該IL-13結合タンパク質は、局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されない。
【0028】
別の態様では、本発明は、中等度から重度または重度のADの対象における湿疹関連睡眠妨害の治療方法での使用のためのIL-13結合タンパク質を提供し、該方法は、該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与することを含む。好ましくは、該IL-13結合タンパク質は、局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されない。
【0029】
別の態様では、本発明は、対象における湿疹関連睡眠妨害の治療方法での使用のためのIL-13結合タンパク質を提供し、該方法は、(a)中等度から重度または重度のADでありかつ湿疹関連睡眠妨害がある対象を選択するステップ、及び(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与するステップを含む。
【0030】
別の態様では、本発明は、中等度から重度または重度のADの対象における湿疹関連睡眠妨害の治療方法を提供し、該方法は、該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与することを含む。好ましくは、該IL-13結合タンパク質は、局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されない。
【0031】
別の態様では、本発明は、対象における湿疹関連睡眠妨害の治療方法を提供し、該方法は、(a)中等度から重度または重度のADでありかつ湿疹関連睡眠妨害がある対象を選択するステップ、及び(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与するステップを含む。
【0032】
別の態様では、本発明は、中等度から重度または重度のADの対象における湿疹関連睡眠妨害の治療のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用を提供し、該方法は、該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与することを含む。好ましくは、該IL-13結合タンパク質は、局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されない。
【0033】
別の態様では、本発明は、対象における湿疹関連睡眠妨害の治療のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用を提供し、該方法は、(a)中等度から重度または重度のADでありかつ湿疹関連睡眠妨害がある対象を選択するステップ、及び(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与するステップを含む。
【0034】
別の態様では、本発明は、中等度から重度または重度のADの対象における不安及び/またはうつ病の治療方法での使用のためのIL-13結合タンパク質を提供し、該方法は、該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与することを含む。いくつかの実施形態では、該対象は、ベースラインのHADSスコア8以上を有し得る。
【0035】
別の態様では、本発明は、対象における不安及び/またはうつ病の治療方法での使用のためのIL-13結合タンパク質を提供し、該方法は、(a)中等度から重度または重度のADでありかつ不安及び/またはうつ病がある対象を選択するステップ、及び(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、該対象は、ベースラインのHADSスコア8以上を有し得る。
【0036】
別の態様では、本発明は、中等度から重度または重度のADの対象における不安及び/またはうつ病の治療方法を提供し、該方法は、該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与することを含む。いくつかの実施形態では、該対象は、ベースラインのHADSスコア8以上を有し得る。
【0037】
別の態様では、本発明は、対象における不安及び/またはうつ病の治療方法を提供し、該方法は、(a)中等度から重度または重度のADでありかつ不安及び/またはうつ病がある対象を選択するステップ、及び(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、該対象は、ベースラインのHADSスコア8以上を有し得る。
【0038】
別の態様では、本発明は、中等度から重度または重度のADの対象における不安及び/またはうつ病の治療のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用を提供し、該方法は、該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与することを含む。いくつかの実施形態では、該対象は、ベースラインのHADSスコア8以上を有し得る。
【0039】
別の態様では、本発明は、対象における不安及び/またはうつ病の治療のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用を提供し、該方法は、(a)中等度から重度または重度のADでありかつ不安及び/またはうつ病がある対象を選択するステップ、及び(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、該対象は、ベースラインのHADSスコア8以上を有し得る。
【0040】
別の態様では、本発明は、中等度から重度または重度のADの対象における健康状態及び/または生活の質の改善方法での使用のためのIL-13結合タンパク質を提供し、該方法は、該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与することを含む。いくつかの実施形態では、該対象の健康状態及び/または生活の質の改善は、該対象の(i)SF-36スコア、例えば、SF-36身体的コンポーネントスコア及び/またはSF-36精神的コンポーネントスコア、(ii)EQ-5D-5Lスコア、(iii)DLQIスコア及び/またはPGI-Bスコアの向上によって判断され得る。
【0041】
別の態様では、本発明は、対象における健康状態及び/または生活の質の改善方法での使用のためのIL-13結合タンパク質を提供し、該方法は、(a)中等度から重度または重度のADでありかつ健康状態及び/または生活の質の低下がある対象を選択するステップ、ならびに(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、該対象の健康状態及び/または生活の質の改善は、該対象の(i)SF-36スコア、例えば、身体的コンポーネントスコア及び/またはSF-36精神的コンポーネントスコア、(ii)EQ-5D-5Lスコア、(iii)DLQIスコア及び/またはPGI-Bスコアの向上によって判断され得る。
【0042】
別の態様では、本発明は、中等度から重度または重度のADの対象における健康状態及び/または生活の質の改善方法を提供し、該方法は、該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与することを含む。いくつかの実施形態では、該対象の健康状態及び/または生活の質の改善は、該対象の(i)SF-36スコア、例えば、SF-36身体的コンポーネントスコア及び/またはSF-36精神的コンポーネントスコア、(ii)EQ-5D-5Lスコア、(iii)DLQIスコア及び/またはPGI-Bスコアの向上によって判断され得る。
【0043】
別の態様では、本発明は、対象における健康状態及び/または生活の質の改善方法を提供し、該方法は、(a)中等度から重度または重度のADでありかつ健康状態及び/または生活の質の低下がある対象を選択するステップ、ならびに(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、該対象の健康状態及び/または生活の質の改善は、該対象の(i)SF-36スコア、例えば、SF-36身体的コンポーネントスコア及び/またはSF-36精神的コンポーネントスコア、(ii)EQ-5D-5Lスコア、(iii)DLQIスコア及び/またはPGI-Bスコアの向上によって判断され得る。
【0044】
別の態様では、本発明は、中等度から重度または重度のADの対象における健康状態及び/または生活の質の改善のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用を提供し、該方法は、該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与することを含む。いくつかの実施形態では、該対象の健康状態及び/または生活の質の改善は、該対象の(i)SF-36スコア、例えば、SF-36身体的コンポーネントスコア及び/またはSF-36精神的コンポーネントスコア、(ii)EQ-5D-5Lスコア、(iii)DLQIスコア及び/またはPGI-Bスコアの向上によって判断され得る。
【0045】
別の態様では、本発明は、対象における健康状態及び/または生活の質の改善のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用を提供し、該方法は、(a)中等度から重度または重度のADでありかつ健康状態及び/または生活の質の低下がある対象を選択するステップ、ならびに(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質を投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、該対象の健康状態及び/または生活の質の改善は、該対象の(i)SF-36スコア、例えば、SF-36身体的コンポーネントスコア及び/またはSF-36精神的コンポーネントスコア、(ii)EQ-5D-5Lスコア、(iii)DLQIスコア及び/またはPGI-Bスコアの向上によって判断され得る。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】トラロキヌマブ/TCSまたはプラセボ/TCS(対照)の投与の16週後にIGA-0/1及びEASI-75を達成した患者の割合(%)である。*=対照と比較した有意差(p<0.05)。
【
図2】ベースライン時及びトラロキヌマブ/TCSまたはプラセボ/TCS(対照)の投与の2週後の患者報告アウトカムのスコアである。ERSI=湿疹関連睡眠妨害、POEM=患者自身による湿疹評価、DLQI=皮膚の状態に関するアンケートである。*=対照と比較した有意差(p<0.05)。
【
図3】ECZTRA1及びECZTRA2の2試験において、トラロキヌマブ単剤療法またはプラセボ(対照)の投与の16週後にIGA-0/1を達成した患者の割合(%)である。*=対照と比較した有意差(p<0.05)。
【
図4】ECZTRA1及びECZTRA2の2試験において、トラロキヌマブ単剤療法またはプラセボ(対照)の投与の16週後にEASI-75を達成した患者の割合(%)である。*=対照と比較した有意差(p<0.05)。
【
図5】ECZTRA1及びECZTRA2の2試験において、ベースライン時及びトラロキヌマブ単剤療法またはプラセボ(対照)の投与の2週後の患者報告アウトカムのスコア。*=対照と比較した有意差(p<0.05)である。A ERSI=湿疹関連睡眠妨害スコア、B POEM=患者自身による湿疹評価スコア、C DLQI=皮膚の状態に関するアンケートスコア。
【
図6】32週時にIGA-0/1及びEASI-75を達成した患者の割合(%)である。患者は、トラロキヌマブ/TCS投与に対する16週時の反応者であった。16週目に、反応者を2群に分け、試験の残りの期間、トラロキヌマブ/TCSを2週おき(Q2W)または4週おき(Q4W)に投与した。
【
図7】ECZTRA1及びECZTRA2試験の52週目にIGA-0/1及びEASI-75を達成した患者の割合(%)である。患者は、トラロキヌマブ投与に対する16週時の反応者であった。16週目に、反応者を群に分け、試験の残りの期間、トラロキヌマブを2週おき(Q2W)または4週おき(Q4W)に投与した。
†トラロキヌマブへの最初のランダム化後、救済治療薬を使用することなく16週目でIGA-0/1を達成した患者で評価、
‡トラロキヌマブへの最初のランダム化後、救済治療薬を使用することなく16週時にEASI-75を達成した患者で評価。16週以降に救済治療薬を投与された患者、または非盲検治療に移行した患者は、52週時に非反応者と見なした。欠測値は、非反応として帰属させた。
【
図8】ECZTRA1及びECZTRA2試験において、ベースライン時及びトラロキヌマブまたはプラセボ(対照)の投与の16週後の副次的評価項目(SCORAD、掻痒、DLQI及びEASI)のスコアである。SCORAD=アトピー性皮膚炎のスコアリング(SCORAD)、DLQI=皮膚の状態に関するアンケート、EASI=湿疹面積重症度指数。
【
図9】掻痒NRSの日内最高値のベースラインからの平均変化率(0~16週の週平均)である。
【
図10】トラロキヌマブ/TCSまたはプラセボ/TCS(対照)による16週間の投与後のEASI-50及びEASI-90の達成(ECZTRA3試験)。データの欠測がある患者は、非反応者に帰属させた。
*プラセボ+TCSに対してp<0.05、
**プラセボ+TCSに対してp<0.01、
***プラセボ+TCSに対してp<0.001。EASI-50、EASIスコアの少なくとも50%の低下。EASI-90、EASIスコアの少なくとも90%の低下。
【
図11】ECZTRA1~3試験における16週間の投与後の湿疹関連睡眠妨害(ERSI)スコア。
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001。
【
図12】ECZTRA1~3試験における16週間の投与後の患者自身による湿疹評価(POEM)スコア。
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001。
【
図13】ピボタル第3相試験及びECZTRA1+2に関する週ごとのHADS合計スコアにおけるベースラインからの調整平均変化、初期投与期間:FAS。
【
図14】ECZTRA1+2試験において、睡眠妨害日なし、1~2日、3~4日、5~6日、または毎日を報告した患者の割合。
【
図15】トラロキヌマブ群及びプラセボ群のEASI-75反応者におけるS.aureusコロニー形成の比較。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、インターロイキン-13(IL-13)結合タンパク質(例えば、抗IL-13抗体またはそのIL-13結合断片)を使用した、対象におけるアトピー性皮膚炎の治療方法に関する。
【0048】
アトピー性皮膚炎
本明細書で使用される、「アトピー性皮膚炎」(AD)は、激しい掻痒(例えば、重度のかゆみ)ならびに鱗状及び乾性湿疹性病変を特徴とする炎症性皮膚疾患を意味する。
【0049】
「アトピー性皮膚炎」という用語には、表皮バリア機能不全、アレルギー(例えば、ある特定の食物、花粉、メイド(maid)、イエダニ、動物等に対するアレルギー)、放射線曝露、及び/または喘息によって引き起こされるまたはそれらと関連するADが含まれる。いくつかの実施形態では、本発明は、中等度から重度または重度のADに関する。
【0050】
本明細書で使用される、「中等度から重度のAD」は、多くの場合、持続的な細菌、ウイルスまたは真菌感染を合併する、激しい掻痒性の広範な皮膚病変を特徴とする。中等度から重度のADはまた、慢性ADも含む。多くの場合、該慢性病変には、皮膚の肥厚したプラーク、苔癬化及び線維性丘疹が含まれる。一般に、中等度から重度のADに罹患する患者はまた、目、手及び体のしわの関与に加えて、体の皮膚の20%超、または皮膚面積の10%超が罹患している。中等度から重度のADは、局所コルチコステロイドによる治療を頻繁に必要とする患者にも存在すると考えられている。本明細書で報告する臨床試験において、「中等度から重度のAD」の被験者は、IGAスコア3~4を有する被験者であった。
【0051】
本明細書で使用される、「重度のAD」とは、中効力及び高効力のTCS及び/または免疫抑制療法による治療に対して抵抗性の慢性再発性ADを指す。重度のADはまた、体表面積の20%超が罹患している慢性的な激しい掻痒性病変も特徴とする。Eichenfield基準(Eichenfield et al 2014,J.Am.Acad.Dermatol.70:338-351)によれば、慢性ADの対象には、重度のADが存在すると考えることができ、それに対して強力な局所コルチコステロイド(TCS)での治療が適応され、及び/または該対象は、全身性コルチコステロイド及び/または非ステロイド性免疫抑制剤での治療に抵抗性がある。本明細書で報告する臨床試験において、「重度のAD」の被験者は、IGAスコア4を有する被験者であった。従って、ある特定の実施形態では、該方法は、対象における重度のADを治療し、該対象は、ベースライン時にIGAスコア4を有する。「重度のAD」の被験者は、スクリーニング時及びベースライン時に体表面積の少なくとも10%にADを有し、スクリーニング時及びベースライン時に20以上のEASIスコアを有し、スクリーニング時及びベースライン時に3以上のIGAスコアを有し得る。
【0052】
対象
本明細書で使用される、「対象」という用語は、ヒト及び非ヒト動物、特に哺乳類を含む。通常、該対象は、以下の実施例に示す通り、ヒトである。
【0053】
AD(特に中等度から重度のADまたは重度のAD)の対象は、非ステロイド性全身性免疫抑制剤による治療に対して抵抗性、非反応性または不十分に反応性である可能性がある。「非ステロイド性全身性免疫抑制剤」という用語には、シクロスポリンA(CSA)、メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル、アザチオプリン、及びインターフェロン-ガンマが含まれる。ある特定の実施形態では、該用語にはまた、免疫生物製剤、例えば、腫瘍壊死因子アルファ(TNFa)阻害剤(例えば、インフリキシマブ等の抗TNFa抗体)、CD11a阻害剤(例えば、エファリズマブ等の抗CD11a抗体)、IgE阻害剤(例えば、オマリズマブ)、CD20阻害剤(例えば、リツキシマブ)も含まれる。従って、場合によっては、本明細書に記載の方法は、全身性免疫抑制剤による治療に対して抵抗性、非反応性(難治性)または不十分に反応性の対象におけるADを治療し得る。「全身性免疫抑制剤に対して抵抗性、非反応性または不十分に反応性」という用語は、全身性免疫抑制剤で治療され、該免疫抑制剤が治療効果を示さなかったADの対象、例えば、非ステロイド性全身性免疫抑制剤で1~3か月間治療され、1つ以上のAD関連のパラメータスコアの減少が見られない中等度から重度のADまたは重度のADの対象(例えば、慢性再発性ADの対象)を指す。治療効果の評価のための時間は、非ステロイド性全身性免疫抑制剤の作用の発現の典型的な時間枠に応じて異なる。かかる時間枠は周知である。例えば、シクロスポリンの場合、該作用の発現は、通常2~6週であるが、他の非ステロイド性全身性免疫抑制剤の場合、それは通常、約8~12週である。
【0054】
いくつかの実施形態では、免疫抑制剤治療は、医師によって、該対象に対して医学的に望ましくないと考えられている。かかる対象は、以下の基準によって識別され得る:(1)事前の免疫抑制剤曝露がない、(2)現在、医学的禁忌(複数可)、または当該免疫抑制剤もしくは賦形剤(複数可)に対する過敏性、免疫抑制剤との併用が禁止されている薬剤の使用、あるいは免疫抑制剤による腎障害に対する感受性の増加または重篤な感染症のリスクの増加に起因して、免疫抑制剤治療の候補者ではない、(3)以前の免疫抑制剤への曝露における以前の不寛容及び/または許容できない毒性、及び/または(4)処方情報で指定された用量または期間を超える免疫抑制剤の要求。
【0055】
アトピー性皮膚炎、例えば、重度のアトピー性皮膚炎を治療するための本明細書に記載の方法のいずれにおいても、当該対象は、該アトピー性皮膚炎がシクロスポリンA(CSA)、例えば、経口シクロスポリンAによって適切に制御されない対象の場合もあれば、該対象は、シクロスポリンA(CSA)、例えば経口シクロスポリンAの禁忌を有する対象の場合もある。
【0056】
CSAに対する不十分な反応は、最大6週間の高用量(5mg/kg/日)後維持量(2~3mg/kg/日)までのCSAの漸減でのADの再燃または維持量で最低3か月後の再燃として定義される。再燃は、用量の増加、higher potencyクラスのTCSへの切り替え、または別の全身性非ステロイド性免疫抑制薬の開始であり得る治療の拡大につながる徴候または症状の増加として定義される。
【0057】
CSAの禁忌としては、以下が挙げられる:
i.医学的禁忌(例えば、投薬による管理不良高血圧)またはCSAの活性物質または賦形剤に対する過敏性、
ii.禁止併用薬(例えば、スタチン、ジゴキシン、マクロライド、抗生物質、バルビツール酸、抗痙攣薬、非ステロイド性抗炎症薬、利尿薬、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、セイヨウオトギリソウ)の使用、
iii.CSAによる腎障害(クレアチニンの上昇)及び肝障害(機能検査の上昇)に対する感受性の増加もしくは重篤な感染症のリスクの増加、
iv.不寛容もしくは許容できない毒性(例えば、クレアチニンの上昇、肝機能検査の上昇、管理不良高血圧、錯感覚、頭痛、吐き気、多毛症)、または
v.用量5mg/kg/日を超えるCSAの必要量、もしくは処方情報で指定されるものを超える継続期間(1年超)の必要性。
【0058】
ADの治療
本明細書に記載の方法は、ADを治療する。一般に、「治療する」、「治療すること」、「治療」等の用語は、一時的にまたは永続的に症状を緩和する(軽減する、最小化する、もしくは排除する)こと、または症状の原因を軽減、最小化、もしくは排除することを意味する。
【0059】
AD関連パラメータ
ADの重症度及びADに対する薬物の影響を測定するために、様々なAD関連パラメータが利用可能である。これらには、治験責任医師による全般的評価(IGA)、湿疹面積重症度指数(EASI)、アトピー性皮膚炎のスコアリング(SCORAD)、及び/または掻痒数値化スケール(NRS)が挙げられる。本明細書に記載の方法は、対象のAD関連パラメータを改善し得る。代替的に、該方法は、対象のAD関連パラメータの改善を維持し得る。該AD関連パラメータは、治験責任医師による全般的評価(IGA)、湿疹面積重症度指数(EASI)、アトピー性皮膚炎のスコアリング(SCORAD)、及び/または掻痒数値化スケール(NRS)から選択され得る。
【0060】
IGAは、臨床試験で被験者の全般的なADの重症度を評価するために使用される手段であり、評価時の疾患の状態に基づいて0(消失)から4(重度)までの5段階のスケールに基づいている。
【表1】
【0061】
EASIは、ADの重症度及び程度を評価するために臨床診療及び臨床試験で使用される検証済の尺度である(Hanifin et al.“The eczema area and severity index(EASI):assessment of reliability in atopic dermatitis.EASI Evaluator Group.Experimental dermatology”(2001)10(1):11-18)。SCORADは、ADの臨床試験及び臨床診療で最も一般的に使用される疾患重症度スコアの1つである(“European Task Force on Atopic Dermatitis.Severity scoring of atopic dermatitis:the SCORAD index.Consensus report of the European task force on atopic dermatitis”Dermatology(1993)186(1):23-31参照)。
【0062】
掻痒NRSの日内最高値は、FDA及びEMAの推奨に従って確立される(例えば、FDA“The Food and Drug Administration.Guidance for Industry.Patient-Reported Outcome Measures:Use in Medical Product Development to Support Labeling Claims.2009”及びEMA“Reflection paper on the regulatory guidance for the use of health-related quality of life(HRQoL)measures in the evaluation of medicinal products.EMEA/CHMP/EWP/139391/2004.2005を参照されたい)。掻痒NRSについては、被験者は、0(かゆみなし)~10(想像できる最悪のかゆみ)の11点のNRS(「掻痒NRSの日内最高値」)を使用して過去24時間にわたる最悪のかゆみの重症度を評価する。
【0063】
各AD関連パラメータについて、改善または改善の維持は、ベースラインに対して測定される。これに関連した改善は、IGAスコアの低下、EASIスコアの低下、SCORADスコアの低下(50超が重度、25~50が中等度、25未満が軽度)、掻痒NRSスコアの低下であり得る。各スコアは、ベースラインと比較される。
【0064】
該ベースラインは、AD関連のパラメータまたは患者関連アウトカム(または任意の他のパラメータ)の初期測定値であり、本明細書に記載の方法による投与の開始前に取られる、すなわち、「ベースライン用量」(他の場所で定義)前に取られる測定値である。
【0065】
治験責任医師による全般的評価0または1(IGA0/1、炎症徴候消失または炎症徴候ほぼ消失の皮膚)、及び/または湿疹面積重症度指数の75%以上の改善(EASI-75)は、ADの第3相臨床試験における規制当局による有効性主要評価項目である。従って、本明細書に記載の方法は、好ましくは、治験責任医師による全般的評価(IGA)スコア0もしくは1及び/またはベースラインに対して湿疹面積重症度指数の75%以上の改善(EASI-75)(例えば、本明細書における実施例1及び4に示す通り)を達成または維持し得る。いくつかの実施形態では、該方法は、ベースラインに対して湿疹面積重症度指数の50%以上の改善(EASI-50)(例えば、実施例3に示す通り)を達成または維持し得る。
【0066】
さらに、または代替的に、本明細書に記載の方法は、掻痒数値化スケール(NRS)の日内最高値(上記の掻痒NRS参照)、湿疹関連睡眠妨害、患者自身による湿疹評価(POEM)、皮膚の状態に関するアンケート(DLQI)、患者の全般的なトラブルの印象(PGI-B)、病院における不安と抑うつに関する質問票(HADS)、短文式(36項目)健康状態調査票(SF-36)及びユーロコル5項目健康調査5レベル(EQ-5D-5L)からなる群から選択される少なくとも1つの患者関連アウトカム(PRO)を改善し得る。
【0067】
湿疹関連睡眠妨害NRSの場合、被験者は、湿疹が前夜の睡眠をどれだけ妨げたかを、0(妨害なし)から10(完全な妨害)までの11点のNRSを使用して評価する。POEMは、AD患者の臨床診療及び臨床試験の両方における疾患の症状を評価するために使用される検証済の質問票である(Charman et al.“The patient-oriented eczema measure:development and initial validation of a new tool for measuring atopic eczema severity from the patients perspective”Arch Dermatol.(2004)140(12):1513-1519参照)。DLQIは、皮膚疾患のある被験者に固有の内容を含む、患者が報告する検証済の質問票である(Finlay et al.“Dermatology Life Quality Index(DLQI)-a simple practical measure for routine clinical use”Clin Exp Dermatol.(1994)19(3):210-216参照)。患者の全般的なトラブルの印象(PGI-B)は、完了時に過去24時間にわたって、ADにどれほど悩まされていたかの被験者の認識をとらえるように設計されている。5段階のカテゴリーの反応スケールが使用される(「まったくない」、「わずか」、「ある程度」、「かなり」、「非常に」)。病院における不安と抑うつに関する質問票(HADS)は、一般的な病院環境での不安及び抑うつの状態を検出するために広く使用されているリッカート尺度のツールである(Zigmond AS,Snaith RP.”The hospital anxiety and depression scale”.Acta Psychiatr Scand.1983;67(6):361-70参照)。このツールは、過去1週間の被験者の不安(7項目)及び抑うつ(7項目)を評価する14項目からなる。各項目は、0~3で採点され、スコアが高いほど不安や抑うつが深刻であることを示す。短文式(36項目)健康状態調査票(SF-36)は、8つの健康ドメイン(身体機能、日常役割機能(身体)、体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、日常生活機能(精神)、及び心の健康)のスコア、ならびに精神測定によって得られる2つのサマリースコア(身体的健康度及び精神的健康度)を生成することによって健康状態を評価するように設計された、患者報告による調査である(Ware JEJ,Sherbourne CD.”The MOS 36-item short-form health survey(SF-36).I.Conceptual framework and item selection”Med Care.1992;30(6):473-83参照)。ユーロコル5項目健康調査5レベル(EQ-5D-5L)は、ユーロコルグループによって開発された標準化された健康状態の尺度であり、臨床的及び経済的評価のための単純で一般的な健康尺度を提供する(Greiner W et al.”A single European currency for EQ-5D health states.Results from a six-country study”The European journal of health economics:HEPAC:health economics in prevention and care.2003;4(3):222-31参照)。EQ-5D-5Lは、「今日」の健康状態を評価するために使用される自己記入質問書であり、2つのセクションに分かれている。第一のセクションは、5項目(移動の程度、身の回りの管理、普段の生活、痛み/不快感、及び不安/ふさぎこみ)を含み、各項目は、被験者によって、5段階のスケール(「問題がない」、「わずかに問題がある」、「中程度の問題がある」、「深刻な問題がある」、及び「極度の問題がある」)を使用して評価される。第二のセクションは、0(「想像できる最悪の健康状態」)と100(「想像できる最高の健康状態」)に固定された垂直視覚的アナログスケールからなる。
【0068】
該方法は、掻痒数値化スケール(NRS)の日内最高値、湿疹関連睡眠妨害、患者自身による湿疹評価(POEM)、皮膚の状態に関するアンケート(DLQI)、患者の全般的なトラブルの印象(PGI-B)、病院における不安と抑うつに関する質問票(HADS)、短文式(36項目)健康状態調査票(SF-36)及びユーロコル5項目健康調査5レベル(EQ-5D-5L)からなる群から選択される少なくとも1つの患者関連アウトカム(PRO)の改善を維持し得る。各PROについて、改善または改善の維持は、ベースラインに対する。これに関連した改善は、PROスコアの低下(例えば、3点以上の低下)(または、例えば、DLQIに関する4点以上の低下)の場合があり、該スコアは、ベースラインと比較される。
【0069】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、以下を達成し得る:(a)湿疹面積重症度指数の50%以上の改善(EASI-50)、(b)IGAスコアの2点以上の低下、(c)掻痒NRSの3点以上の低下、(d)POEMスコアの4点以上の低下、(e)DLQIスコアの4点以上の低下、(f)湿疹関連睡眠妨害の0.4点以上の低下、(g)PGI-Bスコアの1点以上の低下、(h)HADSスコアの2点以上もしくは3点以上の低下、(i)SF-36身体的健康度スコアの4点以上の増加及び/またはSF-36精神的健康度スコアの2点以上の増加、及び/または(j)EQ-5D-5L指数スコアの0.2点以上の増加。いくつかの実施形態では、該方法は、以下を維持し得る:(a)湿疹面積重症度指数の50%以上の改善(EASI-50)、(b)IGAスコアの2点以上の低下、(c)掻痒NRSの3点以上の低下、(d)POEMスコアの4点以上の低下、(e)DLQIスコアの4点以上の低下、(f)湿疹関連睡眠妨害の0.4点以上の低下、(g)PGI-Bスコアの1点以上の低下、(h)HADSスコアの2点以上もしくは3点以上の低下、(i)SF-36身体的健康度スコアの4点以上の増加及び/またはSF-36精神的健康度スコアの2点以上の増加、及び/または(j)EQ-5D-5L指数スコアの0.2点以上の増加。
【0070】
例えば、本明細書に記載の方法は、以下のうちの1つ以上(特にすべて)を達成し得る:(a)湿疹面積重症度指数の50%以上の改善(EASI-50)、(b)IGAスコアの2点以上の低下、(c)POEMスコアの4点以上の低下、及び(d)DLQIスコアの4点以上の低下。該方法は、以下のうちの1つ以上(またはすべて)を維持し得る:(a)湿疹面積重症度指数の50%以上の改善(EASI-50)、(b)IGAスコアの2点以上の低下、(c)POEMスコアの4点以上の低下、及び(d)DLQIスコアの4点以上の低下。
【0071】
好ましい実施形態では、本明細書に記載の方法は、以下を達成し得る:(a)掻痒NRSの4点以上の低下、(b)POEMスコアの4点以上の低下、(c)DLQIスコアの4点以上の低下、及び/または(d)湿疹関連睡眠妨害の2点以上の低下(例えば、2もしくは3週後、実施例2に示される通り)。
【0072】
好ましい実施形態では、本明細書に記載の方法は、以下を達成し得る:(a)湿疹面積重症度指数の50%以上の改善(EASI-50)、(b)掻痒NRSの3点以上の低下、(c)POEMスコアの4点以上の低下、(d)DLQIスコアの4点以上の低下、及び/または(e)PGI-Bスコアの1点以上の低下(例えば、12週後、実施例3に示される通り)。
【0073】
好ましい実施形態では、本明細書に記載の方法は、以下を達成し得る:(a)湿疹面積重症度指数の50%以上の改善(EASI-50)、及び/または(b)湿疹面積重症度指数の75%以上の改善(EASI-75)(例えば、24週後、実施例3に示される通り、もしくは16週後、実施例11に示される通り)。
【0074】
好ましい実施形態では、本明細書に記載の方法は、以下を達成し得る:(a)掻痒NRSの4点以上の低下、(b)POEMスコアの4点以上の低下、(c)DLQIスコアの4点以上の低下、及び/または(d)湿疹関連睡眠妨害の約1点以上の低下(例えば、2もしくは3週後、実施例5に示される通り)。
【0075】
好ましい実施形態では、本明細書に記載の方法は、以下を達成し得る:(a)HADSスコアの2点以上の低下もしくは3点以上の低下、(b)SF-36身体的健康度スコアの4点以上の増加及び/またはSF-36精神的健康度スコアの2点以上の増加、及び/または(c)EQ-5D-5L指数スコアの0.2点以上の増加(例えば、16週後、実施例9及び10に示される通り)。
【0076】
好ましい実施形態では、本明細書に記載の方法は、以下を達成し得る:(a)IGAスコア0もしくは1、(b)SCORADスコアの低下、(c)掻痒NRSの4点以上の低下、及び/または(d)DLQIスコアの改善(例えば、16週または26週後、実施例11に示される通り)。
【0077】
いくつかの実施形態では、該方法は、以下のうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9またはすべてを達成し得る:(a)湿疹面積重症度指数の50%以上の改善(EASI-50)、(b)IGAスコアの2点以上の低下、(c)掻痒NRSの3点以上の低下、(d)POEMスコアの4点以上の低下、(e)DLQIスコアの4点以上の低下、(f)湿疹関連睡眠妨害の0.4点以上の低下、(g)PGI-Bスコアの1点以上の低下(例えば、実施例1~3に示される通り)、(h)HADSスコアの2点以上もしくは3点以上の低下、(i)SF-36身体的健康度スコアの4点以上の増加及び/またはSF-36精神的健康度スコアの2点以上の増加、及び/または(j)EQ-5D-5L指数スコアの0.2点以上の増加。
【0078】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、以下のうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9またはすべてを維持し得る:(a)湿疹面積重症度指数の50%以上の改善(EASI-50)、(b)IGAスコアの2点以上の低下、(c)掻痒NRSの3点以上の低下、(d)POEMスコアの4点以上の低下、(e)DLQIスコアの4点以上の低下、(f)湿疹関連睡眠妨害の0.4点以上の低下、(g)PGI-Bスコアの1点以上の低下、(h)HADSスコアの2点以上もしくは3点以上の低下、(i)SF-36身体的健康度スコアの4点以上の増加及び/またはSF-36精神的健康度スコアの2点以上の増加、及び/または(j)EQ-5D-5L指数スコアの0.2点以上の増加。
【0079】
TCS依存性
TCSの長期使用は、皮膚萎縮、色素沈着異常、ざ瘡様発疹のリスク、及び全身吸収に関連するリスク(例えば、視床下部下垂体軸への影響、クッシング病等)のため、推奨されない。任意の局所療法の長期間にわたる、または広い表面積への繰り返しの適用は、患者コンプライアンスの低下にもつながり得る。
【0080】
本明細書に記載の方法は、AD(特に中等度から重度または重度のAD)の対象の局所コルチコステロイド(TCS)依存性を軽減し得る。
【0081】
依存性の低下は、本明細書に記載の方法の開始後、特定の時間間隔(例えば、16週間)にわたって被験者によって適用されたTCSを含む製剤の累積量(グラム)を、プラセボ投与された被験者と比較することによって評価され得る。例えば、被験者は、プラセボ投与被験者と比較して、1日あたりのTCSの使用が、少なくとも0.2g少ないか、少なくとも0.3g少ないか、少なくとも0.4g少ないか、または少なくとも0.5g少ない可能性がある。典型的には、被験者は、プラセボ投与被験者と比較して、1日あたりのTCSの使用が、少なくとも0.5g少ない可能性がある(例えば、実施例1等の場合)。
【0082】
依存性の低下はまた、該方法の開始後、ベースラインで行われた同じ測定と比較して、TCSを使用しない日数(低効力のTCS及びTCIが含まれる場合もある)によっても評価され得る。
【0083】
TCSは、I群、II群、III群及びIV群の局所コルチコステロイドとして分類され得る。世界保健機関の解剖治療化学分類法によると、コルチコステロイドは、ヒドロコルチゾンと比較した活性に基づいて、弱/低(I群)効力、中効力(II群)及び高効力(III群)及び非常に高効力(IV群)に分類される。IV群のTCS(非常に高効力)は、ヒドロコルチゾンの最大600倍強力であり、クロベタゾールプロピオン酸エステル及びハルシノニドを含む。III群のTCS(高効力)は、ヒドロコルチゾンの50~100倍強力であり、ベタメタゾン吉草酸エステル、ベタメタゾンジプロピオン酸エステル、ジフルコルトロン吉草酸エステル、ヒドロコルチゾン-17-酪酸、モメタゾンフランカルボン酸エステル、及びアセポン酸メチルプレドニゾロンを含む。II群のTCS(中高力)は、ヒドロコルチゾンの2~25倍強力であり、クロベタゾン酪酸エステル及びトリアムシノロンアセトニドを含む。I群のTCS(低効力)は、ヒドロコルチゾンを含む。
【0084】
「TCSを使用しない日」という用語は、被験者が、II群、III群またはIV群のTCSを使用しない日を意味する。
【0085】
例えば、該被験者のTCSを使用しない日数は、プラセボ投与被験者と比較して、1週間で平均約0.5日、約0.75日、約1日、約1.5日、約2日、約3日またはそれ以上増加し得る。典型的には、該TCSを使用しない日数は、プラセボ投与被験者と比較して、約0.5日増加し得る(例えば、実施例1に示される通り)。
【0086】
以下の実施例に示す通り、該IL-13結合タンパク質は、被験者にTCSの使用をやめさせるように使用することができるように、単剤療法として、すなわち、TCSなしで投与され得る。従って、本明細書に記載の方法では、中高力または高効力のTCSが、該IL-13結合タンパク質と並行して投与される場合もある。次いで、該方法の開始後、(例えば、3~4か月間にわたって)TCSの量を、ベースラインでのTCSの量と比較して、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または約100%減らすことができる。
【0087】
皮膚感染症の治療
いくつかの態様では、本明細書に記載の方法は、皮膚感染症を治療する。一般に、「治療する」、「治療すること」、「治療」等の用語は、一時的にまたは永続的に症状を緩和する(軽減する、最小化する、もしくは排除する)こと、または症状の原因を軽減、最小化、もしくは排除することを意味する。
【0088】
治療を受ける患者は、細菌感染症、真菌感染症、またはウイルス感染症等の微生物の皮膚感染を有する。例えば、該皮膚感染症は、Staphylococcus aureus感染症、Streptococcus感染症、膿痂疹、蜂巣炎、感染性皮膚炎、ヘルペス性湿疹、毛包炎、感染性水疱、真菌症及び癜風であり得る。
【0089】
いくつかの実施形態では、該IL-13結合タンパク質は、局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されない。「~と組み合わせて投与されない」とは、「同じ治療過程で投与されない」を意味する。いくつかの実施形態では、該IL-13結合タンパク質は、中等度から重度のADを有する対象における皮膚感染症を治療するための単剤療法として投与される。
【0090】
いくつかの実施形態では、該IL-13結合剤は、第二の治療薬、例えば、抗細菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、別のIL-13アンタゴニスト、IgE阻害剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)またはインターフェロンγ(IFNγ)とともに投与される。該第二の治療薬は、当該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の前、後またはそれと同時に投与され得る。
【0091】
掻痒の治療
いくつかの態様では、本明細書に記載の方法は、掻痒(すなわち、かゆみ)を治療する。
【0092】
掻痒の治療とは、ベースライン、例えば、治療前と比較した、掻痒数値化スコア(NRS)の日内最高値の低下を意味する。いくつかの実施形態では、掻痒の治療は、ベースライン、例えば、治療前からの掻痒NRSの日内最高値の1点以上の低下、2点以上の低下、3点以上の低下、または4点以上の低下を特徴とする。
【0093】
掻痒NRSの日内最高値は、FDA及びEMAの推奨に従って定められる(例えば、FDA“The Food and Drug Administration.Guidance for Industry.Patient-Reported Outcome Measures:Use in Medical Product Development to Support Labeling Claims.2009”及びEMA“Reflection paper on the regulatory guidance for the use of health-related quality of life(HRQoL)measures in the evaluation of medicinal products.EMEA/CHMP/EWP/139391/2004.2005を参照されたい)。掻痒NRSについては、被験者は、0(かゆみなし)~10(想像できる最悪のかゆみ)の11点のNRSを使用して過去24時間にわたる最悪のかゆみの重症度(「掻痒NRSの日内最高値」)を評価する。
【0094】
いくつかの実施形態では、該IL-13結合タンパク質は、局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されない。「~と組み合わせて投与されない」とは、「同じ治療過程で投与されない」を意味する。いくつかの実施形態では、該IL-13結合タンパク質は、中等度から重度のADを有する対象における掻痒を治療するための単剤療法として投与される。
【0095】
いくつかの実施形態では、当該対象は、アトピー性皮膚炎がシクロスポリンA(CSA)、例えば、経口シクロスポリンAによって適切に制御されない対象の場合もあれば、該対象は、シクロスポリンA(CSA)、例えば経口シクロスポリンAの禁忌を有する対象の場合もある。
【0096】
湿疹関連睡眠妨害の治療
いくつかの態様では、本明細書に記載の方法は、湿疹関連睡眠妨害を治療する。
【0097】
湿疹関連睡眠妨害数値化スコア(NRS)の場合、被験者は、湿疹が前夜の睡眠をどれだけ妨げたかを、0(妨害なし)から10(完全な妨害)までの11点のNRSを使用して評価する。
【0098】
湿疹関連睡眠妨害の治療とは、ベースライン、例えば、治療前と比較した、湿疹関連睡眠妨害NRSの低下を意味する。いくつかの実施形態では、湿疹関連睡眠妨害NRSの治療は、ベースライン、例えば、治療前からの湿疹関連睡眠妨害NRSの0.4点以上の低下、1点以上の低下、2点以上の低下、または4点以上の低下を特徴とする。
【0099】
不安及びうつ病の治療
いくつかの態様では、本明細書に記載の方法は、不安及び/またはうつ病を治療する。
【0100】
HADSを使用して不安及び/またはうつ病を評価する場合、患者は、質問票の14項目を0~3に採点し、不安またはうつ病に関して合計スコア0~21を得る。
【0101】
不安及び/またはうつ病の治療は、ベースライン、例えば、治療前と比較した、HADSスコアの低下、例えば、HADS不安スコア及び/またはHADS抑うつスコアの低下を意味する。いくつかの実施形態では、不安及び/またはうつ病の治療は、ベースライン、例えば、治療前からのHADSスコアの1点以上の低下、2点以上の低下、3点以上の低下、または4点以上の低下を特徴とする。
【0102】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、AD、例えば、中等度から重度のADを有する対象における不安及び/またはうつ病を治療する。いくつかの好ましい実施形態では、該対象は、ベースライン(例えば、治療前)のHADSスコア8以上、例えば、ベースラインのHADS不安スコア及び/またはHADS抑うつスコア8以上を有し得る。
【0103】
結膜炎患者の治療
いくつかの態様では、本発明は、局所コルチコステロイドと組み合わせたIL-13結合タンパク質で治療した場合に結膜炎を経験したことがある対象におけるアトピー性皮膚炎の治療方法での使用のためのIL-13結合タンパク質を提供し、該方法は、(a)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、ただし、該IL-13結合タンパク質が、該対象に対して局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されないものであるステップ、及び(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の12日~35日後に該対象に対して投与され、該IL-13結合タンパク質が、該対象に対して局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されないものであるステップを含む。好ましくは、各第二の用量は、直前の用量の12日~16日後に該対象に対して投与され、例えば、直前の用量の14日後、または直前の用量の25日~31日後、例えば、直前の用量の約4週後に投与される。
【0104】
いくつかの態様では、本発明は、対象におけるアトピー性皮膚炎の治療方法での使用のためのIL-13結合タンパク質を提供し、該方法は、(a)局所コルチコステロイドと組み合わせたIL-13結合タンパク質で治療した場合に結膜炎を経験したことがある対象を選択するステップ、(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、ただし、該IL-13結合タンパク質が、該対象に対して局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されないものであるステップ、及び(c)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の12日~35日後に該対象に対して投与され、該IL-13結合タンパク質が、該対象に対して局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されないものであるステップを含む。好ましくは、各第二の用量は、直前の用量の12日~16日後に該対象に対して投与され、例えば、直前の用量の14日後、または直前の用量の25日~31日後、例えば、直前の用量の約4週後に投与される。
【0105】
いくつかの態様では、本発明は、局所コルチコステロイドと組み合わせたIL-13結合タンパク質で治療した場合に結膜炎を経験したことがある対象におけるアトピー性皮膚炎の治療方法を提供し、該方法は、(a)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、ただし、該IL-13結合タンパク質が、該対象に対して局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されないものであるステップ、及び(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の12日~35日後に該対象に対して投与され、該IL-13結合タンパク質が、該対象に対して局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されないステップを含む。好ましくは、各第二の用量は、直前の用量の12日~16日後に該対象に対して投与され、例えば、直前の用量の14日後、または直前の用量の25日~31日後、例えば、直前の用量の約4週後に投与される。
【0106】
いくつかの態様では、本発明は、対象におけるアトピー性皮膚炎の治療方法を提供し、該方法は、(a)局所コルチコステロイドと組み合わせたIL-13結合タンパク質で治療した場合に結膜炎を経験したことがある対象を選択するステップ、(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、ただし、該IL-13結合タンパク質が、該対象に対して局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されないものであるステップ、及び(c)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の12日~35日後に該対象に対して投与され、該IL-13結合タンパク質は、該対象に対して局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されないステップを含む。好ましくは、各第二の用量は、直前の用量の12日~16日後に該対象に対して投与され、例えば、直前の用量の14日後、または直前の用量の25日~31日後、例えば、直前の用量の約4週後に投与される。
【0107】
いくつかの態様では、本発明は、局所コルチコステロイドと組み合わせたIL-13結合タンパク質で治療した場合に結膜炎を経験したことがある対象におけるアトピー性皮膚炎の治療のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用を提供し、該方法は、(a)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、ただし、該IL-13結合タンパク質が、該対象に対して局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されないものであるステップ、及び(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量は、直前の用量の12日~35日後に該対象に対して投与され、該IL-13結合タンパク質が、該対象に対して局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されないものであるステップを含む。好ましくは、各第二の用量は、直前の用量の12日~16日後に該対象に対して投与され、例えば、直前の用量の14日後、または直前の用量の25日~31日後、例えば、直前の用量の約4週後に投与される。
【0108】
いくつかの態様では、本発明は、対象におけるアトピー性皮膚炎の治療のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用を提供し、該方法は、(a)局所コルチコステロイドと組み合わせた該IL-13結合タンパク質で治療した場合に結膜炎を経験したことがある対象を選択するステップ、(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、ただし、該IL-13結合タンパク質が、該対象に対して局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されないものであるステップ、及び(c)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量は、直前の用量の12日~35日後に該対象に対して投与され、該IL-13結合タンパク質は、該対象に対して局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されないものであるステップを含む。好ましくは、各第二の用量は、直前の用量の12日~16日後に該対象に対して投与され、例えば、直前の用量の14日後、または直前の用量の25日~31日後、例えば、直前の用量の約4週後に投与される。
【0109】
いくつかの態様では、本発明は、抗IL4Rα抗体またはIL4/IL13シグナル伝達を阻害する抗体、例えば、デュピルマブで治療した場合に結膜炎を経験したことがある対象におけるアトピー性皮膚炎の治療方法での使用のためのIL-13結合タンパク質を提供し、該方法は、(a)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の12日~35日後に該対象に対して投与されるものであるステップを含む。好ましくは、各第二の用量は、直前の用量の12日~16日後に該対象に対して投与され、例えば、直前の用量の14日後、または直前の用量の25日~31日後、例えば、直前の用量の約4週後に投与される。好ましくは、該IL-13結合タンパク質は、該対象に対して局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されない。いくつかの実施形態では、該対象は、結膜炎を経験した結果として、デュピルマブ療法を中断している。
【0110】
いくつかの態様では、本発明は、対象におけるアトピー性皮膚炎の治療方法での使用のためのIL-13結合タンパク質を提供し、該方法は、(a)抗IL4Rα抗体またはIL4/IL13シグナル伝達を阻害する抗体、例えば、デュピルマブで治療した場合に結膜炎を経験したことがある対象を選択するステップ、(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(c)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の12日~35日後に該対象に対して投与されるものであるステップを含む。好ましくは、各第二の用量は、直前の用量の12日~16日後に該対象に対して投与され、例えば、直前の用量の14日後、または直前の用量の25日~31日後、例えば、直前の用量の約4週後に投与される。好ましくは、該IL-13結合タンパク質は、該対象に対して局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されない。いくつかの実施形態では、該対象は、結膜炎を経験した結果として、デュピルマブ療法を中断している。
【0111】
いくつかの態様では、本発明は、抗IL4Rα抗体またはIL4/IL13シグナル伝達を阻害する抗体、例えば、デュピルマブで治療した場合に結膜炎を経験したことがある対象におけるアトピー性皮膚炎の治療方法を提供し、該方法は、(a)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の12日~35日後に該対象に対して投与されるものであるステップを含む。好ましくは、各第二の用量は、直前の用量の12日~16日後に該対象に対して投与され、例えば、直前の用量の14日後、または直前の用量の25日~31日後、例えば、直前の用量の約4週後に投与される。好ましくは、該IL-13結合タンパク質は、該対象に対して局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されない。いくつかの実施形態では、該対象は、結膜炎を経験した結果として、デュピルマブ療法を中断している。
【0112】
いくつかの態様では、本発明は、対象におけるアトピー性皮膚炎の治療方法を提供し、該方法は、(a)抗IL4Rα抗体またはIL4/IL13シグナル伝達を阻害する抗体、例えば、デュピルマブで治療した場合に結膜炎を経験したことがある対象を選択するステップ、(b)該対象に対して、IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(c)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の12日~35日後に該対象に対して投与されるものであるステップを含む。好ましくは、各第二の用量は、直前の用量の12日~16日後に該対象に対して投与され、例えば、直前の用量の14日後、または直前の用量の25日~31日後、例えば、直前の用量の約4週後に投与される。好ましくは、該IL-13結合タンパク質は、該対象に対して局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されない。いくつかの実施形態では、該対象は、結膜炎を経験した結果として、デュピルマブ療法を中断している。
【0113】
いくつかの態様では、本発明は、抗IL4Rα抗体またはIL4/IL13シグナル伝達を阻害する抗体、例えば、デュピルマブで治療した場合に結膜炎を経験したことがある対象におけるアトピー性皮膚炎の治療のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用を提供し、該方法は、(a)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の12日~35日後に該対象に対して投与されるものであるステップを含む。好ましくは、各第二の用量は、直前の用量の12日~16日後に該対象に対して投与され、例えば、直前の用量の14日後、または直前の用量の25日~31日後、例えば、直前の用量の約4週後に投与される。好ましくは、該IL-13結合タンパク質は、該対象に対して局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されない。いくつかの実施形態では、該対象は、結膜炎を経験した結果として、デュピルマブ療法を中断している。
【0114】
いくつかの態様では、本発明は、対象におけるアトピー性皮膚炎の治療のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用を提供し、該方法は、(a)抗IL4Rα抗体またはIL4/IL13シグナル伝達を阻害する抗体、例えば、デュピルマブで治療した場合に結膜炎を経験したことがある対象を選択するステップ、(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(c)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の12日~35日後に該対象に対して投与されるものであるステップを含む。好ましくは、各第二の用量は、直前の用量の12日~16日後に該対象に対して投与され、例えば、直前の用量の14日後、または直前の用量の25日~31日後、例えば、直前の用量の約4週後に投与される。好ましくは、該IL-13結合タンパク質は、該対象に対して局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されない。いくつかの実施形態では、該対象は、結膜炎を経験した結果として、デュピルマブ療法を中断している。
【0115】
代替療法による治療後に結膜炎を経験しているAD患者の治療に関する上記の態様のいくつかの実施形態では、該方法は、以下のステップを含む:
(i)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約8週間~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の12日~16日後に投与されるものであるステップ、
(ii)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び
(iii)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも12週間投与するステップ、ただし、該IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の12日~16日後または26日~30日後に該対象に対して投与されるものであるステップ、ここで、該1つ以上の事前の用量の第一の用量は、IL-13結合タンパク質の約600mgであり、該1つ以上の事前の用量の第一の用量の後に投与される各用量(事前の用量(複数可)、第一の用量、及び第二の用量(複数可))は、IL-13結合タンパク質の約300mgである。
【0116】
代替療法による治療後に結膜炎を経験しているAD患者の治療に関する上記の態様のいくつかの実施形態では、該方法は、以下のステップを含む:
(i)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約12週間~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の約2週後に投与されるものであるステップ、
(ii)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び
(iii)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも16週間投与するステップ、ただし、該IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の約2週または約4週後に該対象に対して投与されるものであるステップ、ここで、該1つ以上の事前の用量の第一の用量は、IL-13結合タンパク質の約600mgであり、該1つ以上の事前の用量の第一の後に投与される各用量(事前の用量(複数可)、第一の用量、及び第二の用量(複数可))は、IL-13結合タンパク質の約300mgである。
【0117】
IL-13結合タンパク質
IL-13結合タンパク質は、ヒトIL-13に特異的に結合し、これを中和するタンパク質である。
【0118】
本明細書において、「特異的に結合する」という用語は、タンパク質(例えば、抗体またはその抗原結合断片)が、抗原と生理学的条件下で比較的安定な複合体を形成することを意味する。タンパク質が抗原に特異的に結合するかどうかを判断する方法は、当技術分野で周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴(例えば、BIAcore 200バイオセンサー(BIAcore AB)を使用)等を含む。例えば、IL-13と「特異的に結合する」IL-13結合タンパク質(例えば、抗IL-13抗体またはそのIL-13結合断片)は、表面プラズモン共鳴によって25℃で測定して、KD約1000nM未満、約500nM未満、約100nM未満、約50nM未満、約20nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約1nM未満、約0.5nM未満、約0.25nM未満、約0.1nM未満または約0.05nM未満でIL-13に結合し得る。例示的な抗体であるトラロキヌマブは、表面プラズモン共鳴によって測定して(詳細な方法についてはWO2005/007699を参照されたい)、KD178pMでヒト結合ヒトIL-13と結合する。従って、好ましい実施形態では、該抗IL-13抗体は、37℃または25℃で表面プラズモン共鳴によって測定して、KD約200pM未満を有する。IL-13結合タンパク質は、ヒトIL-13に特異的と結合するが、他の抗原、例えば、他の(非ヒト)種由来のIL-13に対して交差反応性を有する場合もある。
【0119】
中和活性を測定する方法は、当技術分野で周知である。中和活性は、WO2005/007699に記載の通り、IL-13に向けられていない対照抗体と比較した、IL-13依存性TF-1細胞増殖アッセイで測定され得る。このアッセイでは、IL-13依存性増殖の阻害は、分裂細胞の新たに合成されたDNAへのトリチウム化チミジンの取り込みの減少を測定して判断される。簡潔には、市販のTF-1細胞を付属のプロトコルに従って維持する。アッセイ培地は、5%FBS及び1%ピルビン酸ナトリウムを含むGLUTAMAX I(Invitrogen)添加RPMI-1640を含む。各アッセイの前に、TF-1細胞を300xgで5分間遠心分離してペレット化し、培地を吸引除去し、細胞をアッセイ培地に再懸濁する。このプロセスを、105細胞/mLの最終濃度でアッセイ培地に再懸濁した細胞で2回繰り返す。抗体の試験溶液(三連)をアッセイ培地で所望の濃度に希釈する。IL-13に向けられていない抗体を陰性対照として使用する。組み換え細菌由来のヒトまたはマウスIL-13を、96ウェルのアッセイプレートにて、総量100μL/ウェルで適切な試験抗体と混合した場合の最終濃度50ng/mLまで加えた。アッセイで使用されるIL-13の濃度は、最終アッセイ濃度が最大増殖応答の約80%を与える用量として選択される。すべてのサンプルを室温で30分間インキュベートする。次に、100μLの再懸濁細胞を各アッセイポイントに加えて、総アッセイ量を200μL/ウェルにする。アッセイプレートを37℃にて、5%CO2で72時間インキュベートする。25μLのトリチウム化チミジン(10μCi/mL)を次いで各アッセイポイントに加え、アッセイプレートをさらに4時間、インキュベーターに戻す。セルハーベスターを使用して、ガラス繊維フィルタープレート(Perkin Elmer)上に細胞を回収する。チミジンの取り込みを、Packard TopCountマイクロプレート液体シンチレーションカウンターを使用して測定する。
【0120】
抗IL-13抗体及びそのIL-13結合
典型的には、該IL-13結合タンパク質は、抗IL-13抗体またはそのIL-13結合断片である。
【0121】
本明細書で使用される、「抗体」という用語は、ジスルフィド結合によって相互接続された4つのポリペプチド鎖、すなわち、2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を含む免疫グロブリン分子、ならびにその多量体(例えば、IgM)を含む。通常の抗体では、各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVRまたはVHと略記される)及び重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、すなわち、CH1、CH2及びCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVLと略記される)及び軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL1)を含む。該VH及びVLは、さらに、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域に組み入れられた相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域に分割される。各VH及びVLは、3つのCDR及び4つのFRからなり、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、以下の順で配置される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。場合によっては、該抗IL-13抗体(またはそのIL-13結合断片もしくは誘導体)のFRは、ヒト生殖系列配列と同一の場合もあれば、天然または人工的に修飾される場合もある。
【0122】
該抗体の重鎖定常領域は、IgG、IgM、IgD、IgA、及びIgE等の任意の型の定常領域に由来し得る。一般に、該抗体は、IgG(例えば、アイソタイプIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)である。好ましくは、該抗体は、本明細書で例示するように、IgG4である。
【0123】
該抗体は、マウス、ヒト、霊長類、ヒト化またはキメラ抗体であり得る。該抗体は、ポリクローナルでもモノクローナルでもよい。治療用途には、モノクローナル及びヒト(またはヒト化)抗体が好ましい。特に好ましい実施形態では、該抗体は、ヒトまたはヒト化、及びモノクローナルである。
【0124】
該抗体は、多重特異性(例えば、二重特異性)抗体であり得る。多重特異性抗体または抗体の抗原結合断片は、通常、少なくとも2つの異なる可変ドメインを含み、各可変ドメインは、別個の抗原または同じ抗原の異なるエピトープに特異的に結合することができる。任意の多重特異性抗体フォーマットは、当技術分野で利用可能な通常の技術を使用して、本明細書に記載の抗体または抗体の抗原結合断片との関連での使用に適応し得る。例えば、免疫グロブリンの1つのアームがIL-13に特異的であり、該免疫グロブリンの他方のアームが第二の治療標的に特異的であるか、または治療部分に結合している、二重特異性抗体を使用する方法。
【0125】
抗IL-13抗体のIL-13結合断片は、任意の天然に存在する、酵素的に得られる、合成の、または遺伝子操作されたポリペプチドであり得る。かかる断片は、例えば、タンパク質分解消化または抗体可変ドメイン及び任意に定常ドメインをコードするDNAの操作及び発現を含む組み換え遺伝子工学技術等の任意の適切な標準的技術を使用して、完全抗体分子から得てもよい。かかるDNAは既知であり、及び/または、例えば、商業的供給源、DNAライブラリ(例えば、ファージ抗体ライブラリを含む)から容易に入手可能であるか、または合成され得る。DNAは、化学的に、または分子生物学技術を使用して配列決定及び操作される場合があり、例えば、1つ以上の可変及び/または定常ドメインが適切なコンフィギュレーションに配置されるか、またはコドンが導入され、システイン残基が創出され、アミノ酸の修飾、追加、もしくは削除等がなされる。
【0126】
IL-13結合断片の非限定的な例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、Fv、単鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合Fv、dAb断片、及び他の操作された分子、例えば、ドメイン特異的抗体、単一ドメイン抗体、ドメイン欠失抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、ナノボディ(例えば、一価ナノボディ、二価ナノボディ等)、小モジュラー免疫薬(SMIP)、及びサメ可変IgNARドメインが挙げられる。
【0127】
抗IL-13結合抗体のIL-13結合断片は、通常、少なくとも1つの可変ドメインを含む。該可変ドメインは、任意のサイズまたはアミノ酸組成のものであってよく、通常は、少なくとも1つのCDRを含み、これは、1つ以上のフレームワーク配列に隣接するか、または1つ以上のフレームワーク配列とインフレームである。VLドメインと会合したVHドメインを有する抗原結合断片では、該VHドメイン及びVLドメインは、任意の適切な配置で、互いに対して位置し得る。例えば、該可変領域は二量体であり得るとともに、VH-VH、VH-VLまたはVL-VL二量体を含み得る。代替的に、抗体の抗原結合断片は、単量体のVHまたはVLドメインを含み得る。
【0128】
該抗IL-13抗体、またはそのIL-13結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域2(HCDR2)、配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(HCDR3)、配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2(LCDR2)、及び配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3(LCDR3)を含み得る。該抗IL-13抗体、またはそのIL-13結合断片は、重鎖可変領域(HCVR)及び軽鎖可変領域(LCVR)を含む場合があり、ここで、(i)該重鎖可変領域は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域2(HCDR2)、及び配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(HCDR3)を含み、(ii)該軽鎖可変領域は、配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2(LCDR2)、及び配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3(LCDR3)を含む。さらに、該抗IL-13抗体、またはそのIL-13結合断片は、さらに、(i)配列番号8の重鎖可変領域配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、及び/または(ii)配列番号10の軽鎖可変領域配列と、80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。該抗IL-13抗体、またはそのIL-13結合断片は、配列番号8の重鎖可変領域配列及び配列番号10の軽鎖可変領域配列を含み得る。
【0129】
該抗IL-13抗体、またはそのIL-13結合断片は、(i)配列番号11の重鎖配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、及び/または(ii)配列番号12の軽鎖配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。場合によっては、該抗IL-13抗体、またはそのIL-13結合断片もしくはIL-13結合誘導体は、配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖配列を含む。
【0130】
本明細書に記載の方法で使用され得る1つのかかる抗体は、抗IL-13抗体であるトラロキヌマブである(“International Nonproprietary Names for Pharmaceutical Substances(INN)”list 102(WHO Drug Information(2009)23(4):pp 348)に記載の通り)。トラロキヌマブは、ヒトIL-13に特異的に結合し、これを中和する完全ヒトIgG4-ラムダ抗体である。
【表2-1】
【表2-2】
【0131】
抗体及びその断片を同定、単離及び試験(例えば、結合及び中和)する方法は、当技術分野で周知である。様々な抗IL-13抗体及び断片の同定及び特性評価を開示し、それを行うための適切な方法を提供するWO2005/007699を参照されたい。
【0132】
用量及び投与計画
本発明は、本明細書に記載の任意の治療方法での使用のための上記のインターロイキン-13(IL-13)結合タンパク質(例えば、抗IL-13抗体またはそのIL-13結合断片)を提供し、該方法は、(a)対象に対して、該IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の12日~35日後に該対象に対して投与されるものであるステップを含む。好ましくは、各第二の用量は、直前の用量の12日~16日後に該対象に対して投与され、例えば、直前の用量の14日後、または直前の用量の25日~31日後、例えば、直前の用量の約4週後に投与される。
【0133】
「用量」という用語は、特定の治療日に対象に対して投与されるIL-13結合タンパク質の量(質量)を指す。例えば、用量300mgのIL-13結合タンパク質とは、治療日に合計300mgのIL-13結合タンパク質が対象に与えられることを意味する。通常、用量は、単一の投与ステップ(例えば、1回の注射)で投与される。しかしながら、いくつかの実施形態では、対象に所望の用量を提供するために、1回、2回、3回またはそれ以上の投与ステップ(例えば、1回、2回、3回またはそれ以上の注射)が使用され得る。
【0134】
「事前の用量」、「第一の用量」、「第二の用量」、及び「第三の用量」という用語は、IL-13結合タンパク質の投与の時系列を指す。「第一の用量」という用語は、IL-13結合タンパク質の単回投与であり、1つ以上の第二の用量(複数可)がこれに続く。該第一の用量に、1つ以上の事前の用量(複数可)が先行する場合もあれば、該「第一の用量」が、本明細書に記載の方法による治療の開始の場合もある(後者の場合、この用量が従って、「ベースライン用量」と呼ばれ得る)。該第一の用量に続くのは、1つ以上の第二の用量(複数可)であり、該1つ以上の第二の用量(複数可)の後に、1つ以上の第三の用量(複数可)が続き得る。
【0135】
「直前の用量」という表現は、一連の複数回投与において、一連の次の用量の投与の前にIL-13結合タンパク質の用量を介在させずに、患者に投与されるIL-13結合タンパク質の用量を意味する。
【0136】
「投与頻度」は、該IL-13結合タンパク質の用量を投与する頻度である。従って、投与頻度の減少は、用量間の時間間隔の増加を意味する。投与頻度に関連して使用される共通用語は、QW(週1回)、Q2W(2週間に1回)、Q3W(3週おき)、またはQ4W(4週おき)である。
【0137】
該第一の用量は、該IL-13結合タンパク質の約10mg~約600mg、IL-13結合タンパク質の約50mg~500mg、約100mg~約400mg、約250mg~約350mgまたは約280mg~約320mgであり得る。例えば、該第一の用量は、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約400mgまたは約500mgである。場合によっては、該第一の用量は、600mg以下、500mg以下、400mg以下、300mg以下、200mg以下、または200mg以下である。好ましい実施形態では、該第一の用量はIL-13結合タンパク質の約300mgである(例えば、実施例に示す通り)。
【0138】
各第二の用量は、直前の用量から18日~35日後、21日~35日後、22日~34日後、24日~32日後、25日~31日後、26日~30日後、または27日~29日後に当該対象に対して投与され得る。ある特定の場合では、各第二の用量は、直前の用量の約28日後に当該対象に対して投与され得る(本明細書に例示する通り)。
【0139】
本明細書に記載の方法では、該方法は、本明細書に記載のAD関連パラメータ及び/または患者関連アウトカムの改善が得られるまで行われ得る。場合によっては、該方法は、AD関連パラメータ及び/または患者関連アウトカムの改善を、約2週間、約3週間、約12週間、約3か月、約16週間、約24週間、約6か月、約32週間、約36週間、約1年、または約52週間でもたらし得る。好ましい実施形態では、該AD関連パラメータ及び/または患者関連アウトカムの改善は、約16週間でもたらされる(例えば、IGA及びEASIスコアの改善、実施例1及び実施例4等の場合)。
【0140】
場合によっては、該方法は、当該対象が低疾患状態に達するまで継続され得る。例えば、該対象は、約4週間、約8週間、約12週間、約3か月、約16週間、約24週間、約6か月、約32週間、約36週間、約1年、または約52週間で低疾患状態に達し得る。好ましい実施形態では、該対象は、約16週間で低疾患状態に達し得る(実施例1及び実施例4等の場合)。
【0141】
場合によっては、該方法は、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも3か月、少なくとも16週間、少なくとも24週間、少なくとも6か月、少なくとも32週間、少なくとも36週間、少なくとも1年、もしくは少なくとも52週間またはそれより長く行われ得る。場合によっては、該方法は、約2週間、約3週間、約12週間、約3か月、約16週間、約24週間、約6か月、約32週間、約36週間、約1年、約52週間行われ得る。好ましい実施形態では、該方法は、少なくとも16週間(例えば、実施例1及び実施例4等の場合)、少なくとも32週間(例えば、実施例1等の場合)または少なくとも52週間(例えば、実施例4等の場合)行われる。
【0142】
本明細書において、「低疾患状態」という表現は、治験責任医師による全般的評価(IGA)スコア0もしくは1及び/またはベースラインに対して湿疹面積重症度指数の75%以上の改善(EASI-75)である。
【0143】
該方法のステップ(b)(すなわち、該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与すること)は、8週間~52週間、12~40週間または16~36週間継続され得る(すなわち、複数の第二の用量を投与することによって)。該1つ以上の第二の用量(複数可)は、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも3か月、少なくとも16週間、少なくとも20週間、少なくとも24週間、少なくとも6か月、少なくとも28週間、少なくとも32週間、少なくとも36週間、少なくとも1年、少なくとも52週間またはそれより長く投与され得る。該方法のステップ(b)は、約8週間、約12週間、約3か月、約16週間、約20週間、約24週間、約6か月、約28週間、約32週間、約36週間、約1年、約52週間またはそれより長く継続され得る(すなわち、複数の第二の用量を投与することによって)。好ましい実施形態では、該1つ以上の第二の用量(複数可)は、少なくとも16週間(例えば、実施例1等の場合)または少なくとも36週間(例えば、実施例4等の場合)投与される。さらに、または代替的に、ステップ(b)は、該方法が、本明細書に記載のAD関連パラメータ及び/または患者関連アウトカムの改善をもたらすまで継続され得る。ステップ(b)は、本明細書に記載のAD関連パラメータ及び/または患者関連アウトカムの改善を維持するように継続され得る。特定の場合には、ステップ(b)は、該対象が低疾患状態に達するまで継続され得る。
【0144】
各第二の用量は、該IL-13結合タンパク質の約10mg~約600mg、IL-13結合タンパク質の約50mg~500mg、約100mg~約400mg、約250mg~約350mgまたは約280mg~約320mgであり得る。例えば、各第二の用量は、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約400mgまたは約500mgである。場合によっては、各第二の用量は、600mg以下、500mg以下、400mg以下、300mg以下、200mg以下、または200mg以下である。好ましい実施形態では、各第二の用量はIL-13結合タンパク質の約300mgである(例えば、実施例等の場合)。通常、該第一の用量及び1つ以上の第二の用量(複数可)は、IL-13結合タンパク質の同量(すなわち、ミリグラム)である。
【0145】
好ましい実施形態では、該方法は、(a)対象に対して、IL-13結合タンパク質(例えば、トラロキヌマブ)の第一の用量約300mgを投与するステップ、及び(b)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質(例えば、トラロキヌマブ)の1つ以上の第二の用量(複数可)約300mgを投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の約4週後に該対象に対して投与されるものであるステップを含み、任意に、該方法は、約12週間行われる(すなわち、約300mgの該IL-13結合タンパク質(例えば、トラロキヌマブ)が、該対象に対して、0週目、4週目、8週目及び12週目に投与される)。好ましくは、各投与は皮下注射による。
【0146】
本明細書に記載の方法では、ステップ(a)(すなわち、対象に対して、IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与すること)の前に、該方法は、さらに、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を該対象に対して投与するステップを含み得る。各事前の用量は、直前の事前の用量の3日~6週後、例えば、1週~6週、1週~4週、1週~3週または1週~2週後に該対象に対して投与され得る。好ましい実施形態では、各事前の用量は、直前の事前の用量の12日~16日(例えば、約2週)後に該対象に対して投与される(実施例に示す通り)。
【0147】
該方法は、該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を、2週間~36週間、4週間~20週間、8週間~16週間、または12週間~16週間、例えば、約2週間、約4週間、約6週間、約8週間、約12週間、約16週間、約20週間またはそれより長く投与することを含み得る。好ましくは、該方法は、該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を、約16週間以下(例えば、実施例1及び4等の場合)投与することを含む。さらに、または代替的に、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を投与することは、該方法が、本明細書に記載のAD関連パラメータ及び/または患者関連アウトカムの改善をもたらすまで継続され得る(複数の事前の用量を投与することによって)。ある特定の場合には、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を投与することは、該対象が低疾患状態に達するまで継続され得る。例えば、該対象に対して該IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約16週間投与した後に、該対象が本明細書に記載のAD関連パラメータ及び/または患者関連アウトカムの部分的改善を示す場合、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を該対象に対して投与することは、16週間を超えて、例えば、約20週間以上、約24週間以上、約28週間以上、約32週間以上、約36週間以上、約40週間以上、約44週間以上、約48週間以上、または約52週間以上、該方法が、本明細書に記載のAD関連パラメータ及び/または患者関連アウトカムの必要な改善をもたらすまで継続され得る。好ましい実施形態では、各事前の用量は、直前の事前の用量の12日~16日(例えば、約2週)後に該対象に対して投与される。好ましくは、直前の事前の用量の12日~16日(例えば、約2週間)後に該1つ以上の事前の用量(複数可)を投与することは、該対象が、治験責任医師による全般的評価(IGA)スコア0もしくは1及び/または該対象のベースラインに対して湿疹面積重症度指数の75%以上の改善(EASI-75)を達成するまで継続される。該対象が所望の反応を達成した後、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)が、直前の用量の15日~35日後、好ましくは、直前の用量の28日後に該対象に対して投与され得る。
【0148】
各事前の用量は、該IL-13結合タンパク質の約10mg~約600mg、IL-13結合タンパク質の約50mg~500mg、100mg~約400mg、約250mg~約350mgまたは約280mg~約320mgであり得る。例えば、各事前の用量は、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約400mgまたは約500mgである。場合によっては、該用量は、600mg以下、500mg以下、400mg以下、300mg以下、200mg以下、または200mg以下である。好ましい実施形態では、各事前の用量はIL-13結合タンパク質の約300mgである(例えば、実施例に示す通り)。
【0149】
1つ以上の事前の用量(複数可)を投与することが、本明細書に記載の1つ以上のAD関連パラメータまたは患者関連アウトカムの改善をもたらす場合、該方法のステップ(a)及び(b)(すなわち、該対象に対して該IL-13結合タンパク質の第一の用量及び1つ以上の第二の用量(複数可)を投与すること)はさらに、該1つ以上のAD関連パラメータまたは患者関連アウトカムを改善、または維持し得る。該対象が、1つ以上の事前の用量(複数可)を投与することによって低疾患状態に達する場合、該方法のステップ(a)及び(b)(すなわち、該対象に対して該IL-13結合タンパク質の第一の用量及び1つ以上の第二の用量(複数可)を投与すること)は、該低疾患状態を維持し得る。好ましくは、1つ以上の事前の用量(複数可)を投与することは、治験責任医師による全般的評価(IGA)スコア0もしくは1及び/または対象のベースラインに対して湿疹面積重症度指数の75%以上の改善(EASI-75)を達成する場合があり、これが次に方法ステップ(a)及び(b)によって維持される(例えば、実施例1及び4に示す通り)。
【0150】
該方法が、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を含む場合、該1つ以上の事前の用量(複数可)の第一は、該IL-13結合タンパク質の投与の時系列における最初の用量であり、本明細書に記載の方法による治療の開始を示す。これらの場合の「第一の」事前の用量は、従って、「ベースライン用量」とも呼ばれ得る。
【0151】
例えば、本明細書に記載の方法は、(i)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約2週間~36週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の3日~2週後に投与されるものであるステップ、(ii)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(iii)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも8週間投与するステップ、ただし、該IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の12日~35日後に該対象に対して投与されるものであるステップを含む場合があり、ここで、各用量(事前の用量(複数可)、第一の用量、及び第二の用量(複数可))は、IL-13結合タンパク質の約10mg~約600mgである。
【0152】
本明細書に記載の方法はまた、(i)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約8~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の12日~16日後に投与されるものであるステップ、(ii)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(iii)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも12週間投与するステップ、ただし、該IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の12~16日(例えば、14日)後または26日~30日(例えば、28日)後に該対象に対して投与されるものであるステップを含む場合があり、ここで、各用量(事前の用量(複数可)、第一の用量、及び第二の用量(複数可))は、IL-13結合タンパク質の250mg~350mgである。
【0153】
本明細書に記載の方法はまた、(i)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約8~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の12日~16日後に投与されるものであるステップ、(ii)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(iii)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも8週間投与するステップを含む場合があり、ここで、該1つ以上の事前の用量の第一の用量は、IL-13結合タンパク質の約600mgであり、該1つ以上の事前の用量の該第一の後に投与される各用量(事前の用量(複数可)、第一の用量、及び第二の用量(複数可))は、IL-13結合タンパク質の約300mgである。
【0154】
本明細書に記載の方法はまた、(i)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約12週間~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の約2週後に投与されるものであるステップ、(ii)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(iii)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも16週間投与するステップ、ただし、該IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の約2週または約4週後に該対象に対して投与されるものであるステップを含む場合があり、ここで、各用量(事前の用量(複数可)、第一の用量、及び第二の用量(複数可))は、IL-13結合タンパク質の約300mgである。
【0155】
本明細書に記載の方法はまた、(i)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約12週間~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の約2週後に投与されるものであるステップ、(ii)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(iii)該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも16週間投与するステップ、ただし、該IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の約2週~約4週後に該対象に対して投与されるものであるステップを含む場合があり、ここで、該1つ以上の事前の用量の第一の用量は、IL-13結合タンパク質の約600mgであり、該1つ以上の事前の用量の第一の後に投与される各用量(事前の用量(複数可)、第一の用量、及び第二の用量(複数可))は、IL-13結合タンパク質の約300mgである。
【0156】
本明細書に記載の使用及び方法では、ステップ(b)(すなわち、対象に対して、IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与すること)に続いて、該方法は、さらに、(c)該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第三の用量(複数可)を該対象に対して投与するステップを含み得る。
【0157】
各第三の用量は、直前の第三の用量の3日~6週後、例えば、1週~6週、1週~4週、1週~3週または1週~2週後に該対象に対して投与され得る。好ましい実施形態では、各第三の用量は、直前の第三の用量の12日~16日(例えば、約2週)後に該対象に対して投与される。
【0158】
該方法は、該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第三の用量(複数可)を、2週間~36週間、4週間~20週間、8週間~16週間、または約12週間~16週間、例えば、約2週間、約4週間、約6週間、約8週間、約12週間、約16週間、もしくは約20週間またはそれより長く投与することを含み得る。さらに、または代替的に、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第三の用量(複数可)を投与することは、該方法が、本明細書に記載のAD関連パラメータ及び/または患者関連アウトカムの改善をもたらすまで継続され得る(複数の第三の用量を投与することによって)。ある特定の場合には、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第三の用量(複数可)を投与することは、該対象が低疾患状態に達するまで継続され得る。
【0159】
各第三の用量は、該IL-13結合タンパク質の約10mg~約600mg、IL-13結合タンパク質の約50mg~500mg、約100mg~約400mg、約250mg~約350mgまたは約280mg~約320mgであり得る。例えば、各第三の用量は、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約400mgまたは約500mgである。場合によっては、該用量は、600mg以下、500mg以下、400mg以下、300mg以下、200mg以下、または200mg以下である。好ましい実施形態では、各第三の用量は、IL-13結合タンパク質の約300mgである。
【0160】
方法ステップ(a)及び(b)(及び任意にいずれかの事前の用量)が、本明細書に記載の1つ以上のAD関連パラメータ/または患者関連アウトカムの改善をもたらす場合、ステップ(c)(すなわち、該対象に対して該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第三の用量(複数可)を投与すること)はさらに、該1つ以上のAD関連パラメータまたは患者関連アウトカムを改善、または維持し得る。該対象に対して該IL-13結合タンパク質の第一の用量及び1つ以上の第二の用量(複数可)(及び任意にいずれかの事前の用量)を投与することによって該対象が低疾患状態に達する場合、ステップ(c)(すなわち、該対象に対して該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第三の用量(複数可)を投与すること)は、該低疾患状態を維持し得る。例えば、第一の用量及び1つ以上の第二の用量(複数可)(及び任意にいずれかの事前の用量)は、治験責任医師による全般的評価(IGA)スコア0もしくは1及び/または対象のベースラインに対して湿疹面積重症度指数の75%以上の改善(EASI-75)を達成する場合があり、これが次に方法ステップ(c)によって維持される。
【0161】
本明細書に記載の方法では、ステップ(c)に続いて、該方法は、さらに、1回以上のステップ(a)、(b)及び(c)の反復を含んでもよく、例えば、一連の投与ステップは、ステップ(a)、ステップ(b)、ステップ(c)、ステップ(a)、ステップ(b)、ステップ(c)等を反復し続けてもよい。例えば、ステップ(c)が、本明細書に記載の1つ以上のAD関連パラメータ及び/または患者関連アウトカムの改善をもたらす場合、ステップ(a)及び(b)の1回以上の反復は、該1つ以上のAD関連パラメータまたは患者関連アウトカムを維持し得る。該対象に対して、該IL-13結合タンパク質の1つ以上の第三の用量(複数可)を投与することによって該対象が低疾患状態に達する場合、ステップ(a)及び(b)の1回以上の反復は、該低疾患状態を維持し得る。例えば、該1つ以上の第三の用量(複数可)は、治験責任医師による全般的評価(IGA)スコア0もしくは1及び/または対象のベースラインに対して湿疹面積重症度指数の75%以上の改善(EASI-75)を達成する場合があり、これが次に方法ステップ(a)及び(b)の1回以上の反復によって維持される。
【0162】
いくつかの実施形態では、各用量(該第一の用量及び1つ以上の第二の用量(複数可)、及び任意に該1つ以上の事前の用量(複数可)及び/または1つ以上の第三の用量(複数可))は、該IL-13結合タンパク質の同量(ミリグラム)、例えば、該IL-13結合タンパク質の約10mg~約600mg、IL-13結合タンパク質の約50mg~約500mg、約100mg~約400mg、約250mg~約350mgまたは約280mg~約320mgである。特に、各用量は、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約400mgまたは約500mgであり得る。場合によっては、該用量は、600mg以下、500mg以下、400mg以下、300mg以下、200mg以下、または200mg以下である。好ましい実施形態では、各用量(すなわち、該第一の用量及び1つ以上の第二の用量(複数可)、及び任意に該1つ以上の事前の用量(複数可)及び/または1つ以上の第三の用量(複数可))は、IL-13結合タンパク質の約300mgである(例えば、実施例に示す通り)。
【0163】
いくつかの実施形態では、該1つ以上の事前の用量及び/または該1つ以上の第三の用量の最初の用量は、ボーラス用量であり、これは、該ボーラス用量に続く用量の2倍である。
【0164】
いくつかの実施形態では、該1つ以上の事前の用量及び/または該1つ以上の第三の用量の最初の用量は、600mg用量であり、該600mg用量に続く用量(複数可)は、300mg用量(複数可)である。
【0165】
いくつかの実施形態では、ボーラス用量は、上記の「1つ以上の事前の用量」の第一の用量として、またはステップ(c)の第一の用量として与えられる。該ボーラスは、通常、次の投与で投与される用量の2倍量である。例えば、次に投与される用量が300mgである場合、600mgの用量がボーラス用量として使用され、次に投与される用量が600mgである場合、300mgの用量がボーラス用量として使用される。
【0166】
場合によっては、該1つ以上の事前の用量(複数可)及び該1つ以上の第三の用量(複数可)は、該対象に対して、同じ投与頻度間隔(例えば、直前の用量の約2週後)で投与され得る。
【0167】
投与
本明細書に記載の方法では、該IL-13結合タンパク質(例えば、抗IL-13抗体またはそのIL-13結合断片)は、任意の適切な方法によって投与され得る。通常、投与は、非経口、例えば皮内、筋肉内、静脈内及び皮下である。皮下投与が特に好ましい(例えば、実施例に示す通り)。従って、IL-13結合タンパク質の各用量は、皮下投与され得る。
【0168】
投与は、好ましくは、「治療有効量」でなされ、これは、本明細書に記載の1つ以上のAD関連パラメータまたは患者関連アウトカムの改善もしくは改善の維持、または低疾患状態の達成を示すのに十分なものである。
【0169】
投与は、任意の便宜的な経路による、例えば、注入またはボーラス注射による、上皮層または皮膚粘膜層(例えば、口腔粘膜、直腸及び腸粘膜等)を介した吸収によるものでよい。
【0170】
皮下または静脈内送達は、標準的な針及びシリンジ(例えば、プレフィルドシリンジを含む)によるものでよい。本明細書に記載の方法は、診療所での使用に限定されないことが想定される。従って、無針装置を使用した皮下注射もまた望ましい。かかる送達装置は、再利用可能な場合もあれば、使い捨ての場合もある。多数の再利用可能なペン及び自動注射器送達装置が当技術分野で既知であり、本発明での用途が見出される可能性がある。例としては、AUTOPEN(商標)(Owen Mumford,Inc.,Woodstock,UK)、DISETRONIC(商標)ペン(Disetronic Medical Systems,Bergdorf,Switzerland)、HUMALOG MIX 75/25(商標)ペン、HUMALOG(商標)ペン、HUMALIN 70/30(商標)ペン(Eli Lilly and Co.,Indianapolis,IN)、NOVOPEN(商標)1、11及び111(Nova Nordisk,Copenhagen,Denmark)、NOVOPEN JUNIOR(商標)(Nova Nordisk,Copenhagen,Denmark)、BD(商標)ペン(Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ)、OPTIPEN(商標)、OPTIPEN PRO(商標)、OPTIPEN STARLET(商標)、及びOPTICLIK(商標)(Sanofi-Aventis,Frankfurt,Germany)が挙げられる。本発明の用途で使用され得る皮下送達用の例示的な使い捨てペン送達装置としては、SOLOSTAR(商標)ペン(Sanofi-Aventis)、FLEXPEN(商標)(Nova Nordisk)、及びKWIKPEN(商標)(Eli Lilly)、SURECLICK(商標)Autoinjector(Amgen,Thousand Oaks,CA)、PENLET(商標)(Haselmeier,Stuttgart,Germany)、EPIPEN(Dey,L.P.)、及びHUMIRA(商標)ペン(Abbott Labs,Abbott Park IL)が挙げられる。
【0171】
IL-13結合タンパク質の各用量は、必ずしも1回の投与ステップ(例えば、1回の注射または1つの錠剤等)で投与されるとは限らない。実際、該IL-13結合タンパク質の(例えば、医薬組成物に含まれる)濃度に応じて、対象に対して必要な量のIL-13結合タンパク質(例えば、300mg用量)を提供するために、1回、2回、3回またはそれより多くの投与ステップ(例えば、1回、2回、3回またはそれより多くの注射)が必要な場合がある。従って、いくつかの実施形態では、IL-13結合タンパク質の各用量は、1回または2回の(例えば、皮下への)注射で投与される。通常、皮下注射は、体積約1.5mL以下、例えば、体積0.2~1.5mL、例えば、約1mLを有する。
【0172】
単剤療法及び併用療法
本明細書に記載の方法は、単剤療法であってもよい(例えば、実施例4及び5等の場合)。本明細書で使用される、「単剤療法」という用語は、単一の薬物を使用して疾患または状態を治療する療法である。従って、単剤療法で治療される対象は、関連する障害、例えばAD、皮膚感染、掻痒または湿疹関連睡眠妨害を治療するために単一の薬物のみを投与される。例えば、抗IL-13抗体単剤療法は、ADまたは皮膚感染症の治療のための唯一の薬物として、対象に対して抗IL-13抗体を投与することを含む単剤療法を指す。
【0173】
本明細書に記載の方法は、併用療法であってもよい(例えば、実施例1~3等の場合)。本明細書で使用される、「併用療法」という用語は、複数の薬物を使用して疾患または状態を治療する療法である。例えば、併用療法で治療される対象は、ADを治療するために複数(例えば、2つ、3つ、またはそれより多く)の薬物を投与される。
【0174】
いくつかの実施形態では、該IL-13結合タンパク質は、局所療法(例えば、局所コルチコステロイドまたは局所カルシニューリン阻害剤)と組み合わせて投与される。場合によっては、該追加治療(例えば、TCSまたはTCI)は、対象の必要に応じて投与される。
【0175】
場合によっては、該IL-13結合タンパク質は、局所コルチコステロイド、局所カルシニューリン阻害剤、抗ヒスタミン剤、皮膚軟化剤、または抗細菌治療薬からなる群から選択される第二の治療薬と組み合わせて投与される。場合によっては、該IL-13結合タンパク質は、I群、II群、III群またはIV群のコルチコステロイドと組み合わせて投与される。好ましくは、該IL-13結合タンパク質は、実施例1に示す通り、フロ酸モメタゾン(例えば、0.1%クリーム)と組み合わせて投与され得る。
【0176】
医薬組成物及び製剤
本発明は、IL-13結合タンパク質(例えば、抗IL-13抗体またはそのIL-13結合断片)の各用量が医薬組成物として投与される方法を想定している。
【0177】
該医薬組成物は、適切な担体、賦形剤、及び適切な移動、送達、寛容等を提供する他の薬剤を用いて製剤化され得る。すべての薬剤師に知られている処方集であるRemington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,PA.に、多数の製剤を見出すことができる。
【0178】
本明細書に記載の方法に従って患者に投与される用量は、患者の年齢及び体格、症状、状態、投与経路等に応じて変動し得る。該用量は、体重または対表面積に応じて計算され得る。
【0179】
従って、該医薬組成物は、活性成分(すなわち、該IL-13結合タンパク質)に加えて、医薬的に許容される賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤または当業者に周知の他の材料を含み得る。かかる材料は、無毒であるべきであり、該活性成分の有効性を妨害するべきではない。担体または他の材料の詳細な特性は、経口の場合もあれば、注射、例えば、静脈内または皮下による場合もある投与経路に依存する。経口投与用の医薬組成物は、錠剤、カプセル、粉末または液体の形態であり得る。錠剤は、固体担体、例えば、ゼラチンまたはアジュバントを含んでもよい。液体医薬組成物は、一般に、液体担体、例えば、水、石油、動物油もしくは植物油、鉱油または合成油を含む。生理食塩水、デキストロースもしくは他の糖類溶液またはグリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールが含まれる場合もある。
【0180】
静脈内注射または皮下注射の場合、該医薬組成物は、パイロジェンフリーでありかつ適切なpH、等張性及び安定性を有する非経口的に許容される水溶液であり得る。当業者には、例えば、等張媒体、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル液、乳酸リンゲル液を使用して、適切な溶液をよく調製することが可能である。必要に応じて、防腐剤、安定剤、緩衝剤、酸化防止剤及び/または他の添加剤が含まれ得る。
【0181】
該医薬組成物は、液体製剤の場合もあれば、使用前に再構成される凍結乾燥製剤の場合もある。凍結乾燥製剤用の賦形剤として、例えば、糖アルコール、または糖類(例えば、マンニトールもしくはグルコース)が使用され得る。液体製剤の場合、該医薬組成物は、通常、密閉及び滅菌されたプラスチックまたはガラス製バイアル、アンプル及びシリンジを含めた規定の容積を有する容器の形態、ならびにボトルのような大容量容器の形態で提供される。好ましくは、本明細書に記載の方法では、該医薬組成物は、液体製剤である。
【0182】
本発明に照らして使用され得る例示的な医薬組成物は、例えば、WO2007/036745及びWO2018/158332に開示されている。
【0183】
好ましくは、該IL-13結合タンパク質は、濃度1mg/mL~200mg/mL、より好ましくは、150mg/mLで該医薬組成物に含まれ得る。
【0184】
好ましくは、該医薬組成物は、pH5.2~5.7、最も好ましくは5.5(例えば、±0.1)に緩衝化され得る。かかるpHの選択は、該医薬組成物に大きな安定性を与える。この範囲にpHを制御する代替的な緩衝剤の例としては、コハク酸、グルコン酸、ヒスチジン、クエン酸、リン酸、グルタル酸、カコジル酸、マレイン酸水素ナトリウム、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、イミダゾールが挙げられる。好ましくは、該緩衝剤は、酢酸緩衝液であり、より好ましくは、酢酸ナトリウム緩衝液である。
【0185】
好ましくは、該酢酸緩衝液は、1mM~100mM、より好ましくは、30mM~70mM、特に50mMの量で該医薬組成物に含まれる。
【0186】
「医薬的に許容される賦形剤」への言及は、医薬組成物において従来から使用されている任意の賦形剤への言及を含むことを理解されたい。かかる賦形剤は、典型的には、1つ以上の界面活性剤、無機塩または有機塩、安定剤、希釈剤、可溶化剤、還元剤、酸化防止剤、キレート剤、防腐剤等を含み得る。
【0187】
代表的な界面活性剤の例としては、非イオン性界面活性剤(HLB6~18)、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノカプリレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート)、グリセリン脂肪酸エステル(例えば、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノミリステート、グリセリンモノステアレート)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(例えば、デカグリセリルモノステアレート、デカグリセリルジステアレート、デカグリセリルモノリノレエート)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート)、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールテトラステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレングリセリルモノステアレート)、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えば、ポリエチレングリコールジステアレート)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンプロピルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(例えば、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油)、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールミツロウ)、ポリオキシエチレンラノリン誘導体(例えば、ポリオキシエチレンラノリン)、及びポリオキシエチレン脂肪酸アミド(例えば、ポリオキシエチレンステアリルアミド)、陰イオン性界面活性剤、例えば、C10-C18アルキル硫酸塩(例えば、セチル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム)、平均2~4モルのエチレンオキシドを含むポリオキシエチレンC10-C18アルキルエーテル硫酸塩(例えば、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム)、及びC8-C18アルキルスルホコハク酸エステル塩(例えば、ラウリルスルホコハク酸エステルナトリウム)、ならびに天然界面活性剤、例えば、レシチン、グリセロリン脂質、スフィンゴリン脂質(例えば、スフィンゴミエリン)、及びスクロースC12-C18脂肪酸エステルが挙げられる。該界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選択され得る。好ましい界面活性剤は、ポリソルベート20、21、40、60、65、80、81及び85であり、最も好ましくは、ポリソルベート20及び80、特にポリソルベート80である。
【0188】
好ましくは、該界面活性剤は、0.001%~0.1%(w/w)、より好ましくは、0.005%及び0.05%(w/w)、特に0.01%(w/w)の量で医薬組成物に含まれる。
【0189】
代表的な無機塩の例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、リン酸カリウム及び重炭酸ナトリウムまたは任意の他のナトリウム、カリウムもしくはカルシウム塩が挙げられる。好ましくは、該無機塩は、塩化ナトリウムである。
【0190】
好ましくは、該無機塩は、10mM~200mM、より好ましくは、60mM~130mM、特に85mMの量で該医薬組成物に含まれる。
【0191】
還元剤の例としては、N-アセチルシステイン、Nアセチルホモシステイン、チオクト酸、チオジグリコール、チオエタノールアミン、チオグリセロール、チオソルビトール、チオグリコール酸及びその塩、チオ硫酸ナトリウム、グルタチオン、C1-C7チオアルカン酸が挙げられる。
【0192】
酸化防止剤の例としては、エリソルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、アルファ-トコフェロール、酢酸トコフェロール、L-アスコルビン酸及びその塩、L-アスコルビン酸パルミテート、L-アスコルビン酸ステアレート、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、没食子酸トリアミル及び没食子酸プロピルが挙げられる。
【0193】
キレート剤の例としては、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、ピロリン酸ナトリウム及びメタリン酸ナトリウムが挙げられる。
【0194】
安定剤の例としては、クレアチニン、ヒスチジン、アラニン、グルタミン酸、グリシン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、イソロイシン、プロリン、アスパラギン酸、アルギニン、リジン及びスレオニンから選択されるアミノ酸、スクロース、トレハロース、ソルビトール、キシリトール及びマンノースから選択される炭水化物、ポリエチレングリコール(PEG、例えば、PEG3350もしくはPEG4000)もしくはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリソルベート20もしくはポリソルベート80)から選択される界面活性剤、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0195】
1つの好ましい実施形態では、該安定剤は、単一の炭水化物(例えば、トレハロース)を含む。
【0196】
代替的な好ましい実施形態では、該安定剤は、アミノ酸を炭水化物と組み合わせて含む(例えば、トレハロース及びアラニン、またはトレハロース、アラニン及びグリシン)。
【0197】
さらなる代替的な好ましい実施形態では、該安定剤は、アミノ酸を炭水化物及び界面活性剤と組み合わせて含む(例えば、トレハロース、アラニン及びPEG3350、トレハロース、プロリン及びPEG3350、トレハロース、アラニン及びポリソルベート80、トレハロース、プロリン及びポリソルベート80、トレハロース、アラニン、グリシン及びPEG3350、トレハロース、アラニン、グリシン及びポリソルベート80)。
【0198】
その上さらなる代替的な好ましい実施形態では、該安定剤は、アミノ酸を界面活性剤と組み合わせて含む(例えば、アラニン及びPEG3350またはアラニン、グリシン及びPEG3350)。
【0199】
その上さらなる代替的な好ましい実施形態では、該安定剤は、炭水化物を界面活性剤と組み合わせて含む(例えば、トレハロース及びPEG3350またはトレハロース及びポリソルベート80)。
【0200】
防腐剤の例としては、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム(アルキル基が長鎖化合物である塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウムの混合物)、塩化ベンゼトニウム、芳香族アルコール、例えば、フェノール、ブチルアルコール及びベンジルアルコール、アルキルパラベン、例えば、メチルパラベンまたはプロピルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、及びm-クレゾールが挙げられる。好ましい実施形態では、該医薬組成物は、本明細書に記載のIL-13結合タンパク質、界面活性剤、及び無機塩を含み、酢酸緩衝液でpH5.5±0.1に緩衝化されている。
【0201】
さらに好ましい実施形態では、該医薬組成物は、本明細書に記載のIL-13結合タンパク質、塩化ナトリウム及びポリソルベート80を含み、酢酸ナトリウム緩衝液でpH5.5±0.1に緩衝化されている。
【0202】
その上さらに好ましい実施形態では、該医薬組成物は、本明細書に記載のIL-13結合タンパク質(例えば、トラロキヌマブ)、50mMの酢酸ナトリウム緩衝液、85mMの塩化ナトリウム、0.01%(w/v)のポリソルベート80を含み、該医薬組成物は、pH5.5を有する。
【0203】
その上さらに好ましい実施形態では、該医薬組成物は、150mg/mLのIL-13抗体(例えば、トラロキヌマブ)、50mMの酢酸ナトリウム緩衝液、85mMの塩化ナトリウム、0.01%(w/v)のポリソルベート80を含み、該医薬組成物は、pH5.5を有する。
【0204】
その他の定義
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。
【0205】
冠詞「a」及び「an」は、該冠詞の文法上の目的語のうちの1つまたは複数(すなわち、少なくとも1つ)を指す。例として、「要素」は、1つの要素または複数の要素を意味する。
【0206】
「含む(comprise)」及び「含むこと(comprising)」という用語は、包括的でオープンな意味で使用され、さらなる要素を含み得ることを意味する。
【0207】
一般に、いくつかのステップを「含む」方法は、該ステップを特定の順序で実行することを必要としない。方法がいくつかの連続番号またはアルファベット順のステップを含む場合(例えば、(1)、(2)、(3)、(i)、(ii)、(iii)、または(a)、(b)、(c)等)、これは、特に明記されていない限り、該ステップが所定の順序で行われる必要があることを意味する。
【0208】
「含む(including)」という用語は、本明細書では、「~を含むがこれに限定されない」を意味するために使用される。
【0209】
数値xに関連する「約」という用語は、任意であり、例えば、x±10%を意味する。
【0210】
一般に、「治療する」、「治療すること」、「治療」等の用語は、一時的にまたは永続的に症状を緩和する(軽減する、最小化する、もしくは排除する)こと、または症状の原因を軽減、最小化、もしくは排除することを意味する。本明細書で言及されるすべての刊行物は、参照により全体として組み込まれる。
【実施例】
【0211】
本発明を、以下の実施例によりさらに説明する。これらの実施例は、例示のみを目的としており、上記の本発明を限定することを意図しないことを理解されたい。詳細の修正は、本発明の要旨を逸脱しない範囲でなされ得る。
【0212】
実施例1:トラロキヌマブ/TCS併用療法は、中等度から重度のアトピー性皮膚炎の治療に有効である
第3相試験(ECTZRA3)を、中等度から重度のADにおけるトラロキヌマブと(必要に応じて)局所コルチコステロイド(TCS)の併用療法の有効性及び安全性を評価するために実施した。
【0213】
方法
これは、二重盲検のランダム化された32週間の試験であった(NCT03363854)。中等度から重度のAD(IGAが3または4)の患者を2:1にランダム化し、皮下トラロキヌマブ300mg(Q2W+TCS)または対照(プラセボQ2W+TCS)を2週おきに投与した。負荷用量600mgのトラロキヌマブまたはプラセボを0日目に投与した。投与期間全体を通して、すべての患者に、必要に応じて支給されたTCSの薄層を(フロ酸モメタゾン0.1%クリーム、ヨーロッパ:クラス3[高効力]、米国:クラス4[中強度])、来院ごとにキットサイズ180~200gで提供)1日1回、活動性病変のある部位に塗布した。さらなる低効力のTCSまたは局所カルシニューリン阻害剤[TCI]を、支給されたTCSが適さない体の部分、皮膚の薄い領域(例えば、顔、皮膚のひだ領域、生殖器部)、またはTCSでの継続的な治療が安全ではない領域での使用に必要な場合に処方した。TCSの使用を、安全性及び適切性について継続的に観察し、制御が達成された時点で徐々に中止した。患者には、TCSの使用量を測定するために、各試験の来院時に使用済み及び未使用のチューブを返却するように指示した。ランダム化前の少なくとも14日間、及び試験全体(安全性の追跡調査を含む)の間、皮膚軟化剤を1日2回(または必要に応じてそれを超えて)塗布した。病変皮膚の場合、皮膚軟化剤は、TCSを塗布しなかった場合にのみ塗布した。局所及び全身投薬の形態での救済治療を、許容不能なAD症状を制御するために許可した。高効力のTCS(ヨーロッパ:クラス3超、米国:クラス4未満)を投与されている患者は、治療を継続したが、全身性コルチコステロイドまたは非ステロイド性全身性免疫抑制薬を投与されている患者は、救済治療薬が中止されるまで(及び全身治療の5半減期のウォッシュアウトまで)一時的に治療を中断した。
【0214】
主要評価項目は、16週での治験責任医師による全般的評価(IGA)スコア0または1(IGA-0/1、炎症徴候消失または炎症徴候ほぼ消失の皮膚)、及び湿疹面積重症度指数の75%以上の改善(EASI-75)である。ベースラインでは、ランダム化された380人の患者の46.3%が重度のAD(IGA-4)を有していた。平均ベースラインEASIスコアは29.4であった。追加の副次的評価項目は、TCSの使用量及びTCSを使用しない日数であった。
【0215】
16週目に、トラロキヌマブの反応者(IGA-0/1及び/またはEASI-75)を、さらなる16週間、トラロキヌマブQ2Wまたは4週おき(Q4w)+TCSを目的として1:1に再ランダム化した。プラセボ反応者は、プラセボQ2W+TCSを継続した。すべての非反応者には、トラロキヌマブQ2W+TCSを投与した。
【表3-1】
【表3-2】
【0216】
結果
トラロキヌマブ治療は、16週後にIGA及びEASIスコアを大幅に改善した
初期投与期間に380人の患者、すなわち、253人をトラロキヌマブプラスTCS隔週、及び127人をプラセボプラスTCS隔週にランダム化した。各投与群から1人の患者が投薬を受ける前に試験から離脱した。従って、隔週でトラロキヌマブプラスTCSを投与された252人の患者及び隔週でプラセボプラスTCSを投与された126人の患者を最大の解析対照集団及び安全性解析集団に含めた。継続投与(16週での反応及び初期治療に基づく)は、353人の患者に割り当てられた。
【0217】
ベースラインの人口統計及び疾患の特徴は、投与群全体でバランスが取れており、ベースラインで患者の約半数が重度の疾患(IGA-4)を有し、ADの期間の中央値は26.0年であり、体表の病変部の中央値は41%であった。多くの患者は、合併しているアトピー性疾患を有していた。すべての患者が以前に治療を受けており、ほとんど全員(98.2%)がTCSを投与されており、61.6%が全身性ステロイドを使用していた。シクロスポリンが、以前に使用された最も一般的な経口免疫抑制剤であった(31.1%)。
【0218】
両方の主要評価項目について、トラロキヌマブプラスTCS及びプラセボプラスTCSの間に有意差があった。16週時、プラセボプラスTCSと比較して、トラロキヌマブプラスTCで、より多くの患者がIGA-0/1及びEASI-75を達成した。IGA-0/1は、トラロキヌマブプラスTCSを投与された患者の38.9%が達成したのに対して、プラセボプラスTCSを投与された患者では26.2%であった(p=0.015)。EASI-75は、トラロキヌマブプラスTCSを投与された患者の56%が達成したのに対して、プラセボプラスTCSを投与された患者では35.7%であった(p<0.001)。感度解析、二次解析、及び三次解析は、一次解析の結果を裏付けた(
図1)。
【0219】
ベースライン時のIGAの重症度及びアトピー性疾患(喘息、食物アレルギー及び花粉症)の病歴に関係なく、IGA-0/1及びEASI-75反応者の割合は、プラセボプラスTCSよりもトラロキヌマブプラスTCSで高かった。IGA-0/1及びEASI-75反応率は、女性患者及び65歳以上の患者で高かった(トラロキヌマブプラスTCS群のみ)。救済治療薬の使用は、トラロキヌマブプラスTCS(2.8%)よりもプラセボプラスTCS(10.2%)で高かった。
【0220】
トラロキヌマブ投与は、TCS使用の必要性を減少させた。
救済治療は、トラロキヌマブ投与患者の2.8%で報告されたのと比較して、対照患者では10.2%であった。16週間にわたって、対照患者よりもトラロキヌマブ投与によって累積的に有意に少ないTCSが使用された(134.9g対193.5g、Δ58.6g、p=0.004)。TCSを使用しない日数(eDiaryからの週平均、低効力のTCS及びTCIを含む)は、7週目(Δ0.6日、p=0.040)及び9~15週(範囲:Δ1.0日、p=0.001~Δ0.6日、p=0.045)の対照患者と比較して、トラロキヌマブ投与で有意に多かった。トラロキヌマブ投与患者はまた、16週目でTCSを使用しない日が平均0.5日多かった(p=0.17)。
【0221】
16週目に、トラロキヌマブ群の被験者は、プラセボを投与された被験者と比較して、支給されたTCSの使用が50%少なかった(p<0.001)[データは示さず]。トラロキヌマブプラスTCSでは、15~16週で、5g未満のTCSを使用した患者の割合が、プラセボプラスTCS(36.7%)に対して高かった(55.3%)。トラロキヌマブプラスTCS投与群におけるTCS使用の減少は、低効力のTCSまたはTCIの使用で補われなかった。
【0222】
16週目の結果が以下の表3に示され得る。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0223】
その他の評価項目の結果が以下の表4に示され得る:
【表5】
【0224】
16週目に臨床反応を達成した患者のその他の評価項目の結果が表5に示され得る:
【表6】
【0225】
トラロキヌマブの反応は32週間にわたって維持された
16週時のトラロキヌマブ反応者の大部分は、投与頻度(2週間または4週間)に関係なく、32週時点でトラロキヌマブによる反応を維持していた。トラロキヌマブ反応者の中で、2週おきにトラロキヌマブを投与された場合(Q2W+TCS)、32週時点で89.6%がIGA-0/1スコアを維持し、92.5%がEASI-75を維持した。トラロキヌマブQ4W+TCSの場合、32週時点で77.6%がIGA-0/1を達成し、90.8%がEASI-75を達成した。結果を
図6に示す。
【0226】
16週目でIGA0もしくは1またはEASI-75のいずれかを達成したすべての被験者の中で、ベースラインからのEASIスコアの平均の改善パーセンテージは、トラロキヌマブ300mgQ2W+TCSを維持した場合、32週時点で93.5%であり、トラロキヌマブ300mgQ4W+TCSの被験者では、32週時点で91.5%であった。
【0227】
16週時にトラロキヌマブ(Q2W+TCS)でIGA-0/1及び/またはEASI-75を達成しなかった患者のうち、トラロキヌマブQ2W+TCS投与を継続した後、32週時点で、30.5%及び55.8%がそれぞれIGA-0/1及びEASI-75を達成した。
【0228】
隔週トラロキヌマブプラスTCSにおいて、16週時にEASI-75またはIGA-0/1反応を達成した患者のうち、大多数は、EASI-90反応者でもあり、継続が隔週投与か、4週おきの投与かに関わらず、32週までその反応を維持し続けた。16週時にEASI-75反応もIGA-0/1反応も達成しなかった患者は、隔週トラロキヌマブプラスTCSで改善を続けた。
【0229】
16週及び32週時点での他の評価項目を表6及び7に示す:
【表7】
【表8】
【0230】
トラロキヌマブは望ましい安全性プロファイルを有する
表8は、16週間にわたる副作用の全体的な頻度及び重症度を示す。
【表9-1】
【表9-2】
【0231】
全体として、32週時点での安全性プロファイルは、以下の表9に示す通り、初期投与期間と同等であった。
【表10-1】
【表10-2】
【0232】
全体として、TCSと組み合わせて最大32週間使用されたトラロキヌマブは、忍容性が高く、中等度から重度のADを有する成人において許容可能な安全性プロファイルを示した。プラセボQ2WプラスTCSに対して、トラロキヌマブQ2WプラスTCSを投与された患者において生じた割合が高かった最も頻繁なAE(任意の投与群で5%以上の患者)は、ウイルス性上気道感染症、結膜炎、頭痛、上気道感染症、及び注射部位反応であった。結膜炎(基本語として)は、トラロキヌマブプラスTCSを投与された患者(全、すなわち、全投与期間にわたる全トラロキヌマブ群)の10.9%で生じた。これは、第2相試験においてトラロキヌマブ(全)による結膜炎を経験した患者の2.6%(Wollenberg et al.,The Journal of Allergy and Clinical Immunology 2019;143:135-141)ならびにSOLO1及び2においてデュピルマブ単剤療法(全)による結膜炎を経験した4.0%及び3.8%(Simpson et al.,The New England Journal of Medicine 2016;375:2335-2348)より多いが、LIBERTY AD CHRONOSにおいてデュピルマブプラスTCS(全)による結膜炎を経験した17.8%(Blauvelt et al.,Lancet 2017;389:2287-2303)よりは少ない。デュピルマブとは異なり、トラロキヌマブは、IL-13サイトカインに特異的に結合し、IL-4のシグナル伝達には影響しない。しかしながら、眼の合併症をもたらすメカニズムの因果関係は不明のままである。AESIとして、結膜炎は、16週時にプラセボQ2WプラスTCSよりもトラロキヌマブQ2WプラスTCSでより頻繁に報告された(13.1%対5.6%)が、これらはすべて軽度または中等度であり、ほとんどが回復した。特に、トラロキヌマブQ2WプラスTCSでは、プラセボQ2WプラスTCSと比較して、全身治療を必要とする皮膚感染症の発生が少なかった。
【0233】
これらの知見は、プラセボ患者と比較して、中等度から重度のADの患者が結膜炎を発症するリスクが高いことを示すデュピルマブの臨床試験及び実環境データを裏付ける(Akinlade B et al.Conjunctivitis in dupilumab clinical trials.Br J Dermatol 2019;181:459-473、Ferreira S,Torres T.Conjunctivitis in patients with atopic dermatitis treated with dupilumab.Drugs Context 2020;9:2020-2022-2023、Halling AS et al.Real-world evidence of dupilumab efficacy and risk of adverse events:A systematic review and meta-analysis.J Am Acad Dermatol 2020)。同様に、デュピルマブによる結膜炎の症例は、ほとんどが軽度から中等度であり、眼科的治療を伴う投与期間中に回復した。本解析で認められたリスク因子は、デュピルマブの臨床試験及び実環境データで特定されたリスク因子と同様である(Akinlade B et al.Conjunctivitis in dupilumab clinical trials.Br J Dermatol 2019;181:459-473、Ferreira S,Torres T.Conjunctivitis in patients with atopic dermatitis treated with dupilumab.Drugs Context 2020;9:2020-2022-2023、Thyssen JP et al.Incidence,prevalence,and risk of selected ocular disease in adults with atopic dermatitis.J Am Acad Dermatol 2017;77:280-286 e281、Treister AD et al. Risk Factors for Dupilumab-Associated Conjunctivitis in Patients With Atopic Dermatitis.JAMA Dermatol 2018;154:1208-1211、Wollenberg A et al.Laboratory safety of dupilumab in moderate-to-severe atopic dermatitis:results from three phase III trials(LIBERTY AD SOLO 1,LIBERTY AD SOLO 2,LIBERTY AD CHRONOS).Br J Dermatol 2020;182:1120-1135)。しかしながら、デュピルマブの臨床試験と比較して、結膜炎の全体的な発生率は低いと思われる。
【0234】
トラロキヌマブ+TCSは、全身治療を必要とする重症及び重篤感染症、ヘルペス性湿疹、及び皮膚感染症の発生率がプラセボ+TCSに対して低いことと関連していた。
【0235】
結論
トラロキヌマブ300mgQ2W+TCSは、中等度から重度のADの治療に有効であり、安全性プロファイルも望ましい。TCSの使用は、トラロキヌマブ投与患者でプラセボより有意に少なく、トラロキヌマブの潜在的なステロイド節約効果が示される。トラロキヌマブは、投与頻度が2週間の場合、反応者において有効性を維持した。驚くべきことに、4週間の投与頻度でも反応は維持された。
【0236】
実施例2:トラロキヌマブ/TCS併用療法は、短期間の患者報告アウトカムを改善する
患者報告アウトカム(PRO)を使用して、患者が経験したこれらの治療計画の利点を評価した。
【0237】
方法
患者が経験した患者報告アウトカム(PRO)は、実施例1に記載のトラロキヌマブ/TCS併用療法試験中に調査した。PROには、掻痒数値化スケール(NRS)の日内最高値における4点以上の低下、湿疹関連睡眠妨害の減少、患者自身による湿疹評価(POEM)、及び皮膚の状態に関するアンケート(DLQI)スコアの変化を含めた。
【0238】
ベースラインでは、平均湿疹関連睡眠妨害は6.9であり、平均POEMは22.3であり、平均DLQIスコアは17.6であった。ベースラインの掻痒の日内最高値スコアは7.7であった。
【0239】
結果
2週間の投与後、湿疹関連睡眠妨害、患者自身による湿疹評価(POEM)、及び皮膚の状態に関するアンケート(DLQI)スコアの変化が、トラロキヌマブ/TCS患者において、プラセボ/TCS患者と比較して有意に減少した(
図2)。湿疹関連睡眠妨害の平均は、2.3点減少したのと比較して、対照群では1.9の低下であった(p=0.037)(
図2)。平均POEMは、トラロキヌマブ/TCS投与群で有意に低下した(プラセボ/TCSの-5.9と比較して-7.9、p=0.006)。報告されたDLQIスコアの平均は、トラロキヌマブ/TCS投与後に8.9点減少した(プラセボ/TCSの-7.3と比較して、p=0.011)。DLQI及びPOEMのベースラインからの改善の平均は、統計的有意性に加えて、臨床的に重要な変化の最小量(MCID)に達した。
【0240】
3週目までに、トラロキヌマブ投与では、掻痒の日内最高値がベースラインから4点以上減少した患者の割合が、対照群と比較して有意に高かった(17.5%と比較して27.3%、p=0.029)。
【0241】
図9、11、及び12は、トラロキヌマブ/TCSが16週時、プラセボ/TCSに対して、すべての副次的評価項目を有意に改善したことを示す。
【0242】
結論
PROにおける早期の有意な改善が、トラロキヌマブ/TCS併用療法で見られた。患者は、治療の開始直後にトラロキヌマブの効果を実感し、わずか2週間の治療後に有意に改善した。
【0243】
実施例3:トラロキヌマブ/TCS併用療法の有効性のさらなる解析
上記の実施例1で評価した治験責任医師による全般的評価0または1(IGA0/1、炎症徴候消失または炎症徴候ほぼ消失の皮膚)、及び/または湿疹面積重症度指数の75%以上の改善(EASI-75)は、ADの第3相臨床試験における規制当局による有効性主要評価項目である。しかしながら、これらの評価項目は、ADの全面的な負担を包括的にとらえているわけではない。
【0244】
臨床診療で通常使用される標的及び時点に基づいて、トラロキヌマブ/TCSでの治療に対する反応を評価するためにさらなる解析を使用した。
【0245】
方法
実施例1に記載の実験のデータをさらに解析して、トラロキヌマブ/TCSによる治療の3か月及び6か月後の患者の反応を評価した。反応は、臨床医が評価した徴候(EASI)、患者報告症状(掻痒及びPOEM)、ならびに患者報告生活の質スコア(DLQI及び患者の全般的なトラブルの印象(PGI-B)に基づいた。選択された時点は、新たな投与を開始する成人AD患者の通常の追跡を反映している。実施例1においてトラロキヌマブ/TCSを投与された252人の患者すべてをこの解析に含めた。
【0246】
結果
表10は、12週時に目標のアウトカムを達成したトラロキヌマブ/TCS投与患者の割合を示す。
【表11】
【0247】
高い割合の患者(79.4%、196人/評価した247人)が、PGI-Bにおける1点以上の低下及び表10に示す少なくとも1つの他の評価項目の両方を達成した。
【0248】
24週時、81.0%(204/252)がEASI-50(EASIの50%以上の改善)を達成し、69.0%がEASI-75を達成した。12週時にPGI-Bが1点以上減少し、表10に示すいずれかのその他の評価項目を有する下位群の患者(n=196)では、24週時に90.8%がEASI-50を達成し、75.5%がEASI-75を達成した。
【0249】
DLQIの改善は、すべての投与群で16週を超えても維持された。トラロキヌマブ隔週または4週おきによる高レベルの反応の維持は、TCSの使用の増加とは関連しなかった。掻痒NRSスコアの日内最高値は、トラロキヌマブプラスTCS隔週群において16週と32週の間に2.6から2.2に減少し、トラロキヌマブプラスTCS4週おき群においては3.0から2.7に減少した。
【0250】
図10に示す通り、16週時、プラセボ/TCSに対して、トラロキヌマブ/TCSによってより多くの患者がEASI-50及びEASI-90を達成した。
【0251】
結論
トラロキヌマブ/TCS併用療法は、治療の3か月及び6か月後(臨床診療における通常の追跡期間)に、AD症状及びAD関連の生活の質の改善を達成及び維持する患者の割合が高いことと関連している。従って、トラロキヌマブ併用療法は、臨床的に意義のある時点で患者に測定可能な効果をもたらす。
【0252】
実施例4:トラロキヌマブ単剤療法は、中等度から重度のアトピー性皮膚炎の治療に有効である
トラロキヌマブ単独の有効性を評価するために、中等度から重度のADにおけるトラロキヌマブ単剤療法の2つの52週間の試験(ECZTRA1及びECZTRA2)を実施した。
【0253】
方法
患者は、中等度から重度のADにおけるトラロキヌマブ単剤療法の2つの二重盲検、ランダム化、プラセボ対照52週試験のため、ヨーロッパ全土(ECZTRA1:ドイツ、フランス及びスペイン、プラスECZTRA2では英国、イタリア、ポーランド及びロシア)、北米(ECZTRA1:米国、ECZTRA2:米国及びカナダ)、アジア(ECZTRA1:日本、ECZTRA2:韓国)、ならびにオーストラリア(ECZTRA2)で登録された。含まれる選択基準:ADの診断1年超、ベースラインでEASIスコア16以上、ベースラインでIGAスコア3以上、及びベースライン時前に平均掻痒NRSスコア4以上。
【0254】
ECZTRA1でランダム化された802人の患者及びECZTRA2でランダム化された794人の患者のうち、それぞれ、50.7%及び48.7%が重度のAD(IGA-4)を有し、平均EASIは、ベースラインで32.4及び32.2であった。患者は、ECZTRA1及び2に登録され、同様のベースライン疾患特性を有していたが、一部のベースライン測定値は地域によって異なっていた。例えば、重度のAD患者(IGA-4)の割合は、試験集団全体では、50.7%(ECZTRA1)及び48.7%(ECZTRA2)であったが、重度のADは、ヨーロッパ(52.6%/51.3%)、北米(36.4%/43.2%)及び韓国(43.6%)と比較して、日本(66.1%)及びオーストラリア(63.6%)で高かった。ベースラインで重度のAD(IGA-4)を有する患者のうち、ヨーロッパ(35.6%/41.2%)、北米(35.3%/32.6%)、及び韓国(37.2%)と比較して、日本(46.6%)及びオーストラリア(47.2%)でより高いベースラインのEASIスコアの中央値が認められた。これらの地域差は、ECZTRA1及びECZTRA2で観察された治療反応のわずかな相違を説明し得る。
【0255】
表11は、ランダム化された患者のベースラインでの人口学的及び臨床的特徴を示す。
【表12】
【0256】
本試験は、初期16週間の投与期間及び36週間の維持投与期間で構成した。TCS及びその他の局所治療に対する2週間のウォッシュアウト期間の後、トラロキヌマブまたはプラセボを隔週で16週間皮下投与した。患者を3:1にランダム化し、トラロキヌマブ300mgまたはプラセボを2週おき(Q2W)に16週間皮下投与した。主要評価項目は、救済治療薬を使用することなく達成されたIGA-0/1及びEASI-75であった。
【0257】
ランダム化スキームに応じて、患者に、0日目で負荷用量のトラロキヌマブ(600mg)またはプラセボを投与した。
【0258】
患者には、ベースライン来院前2週間及び試験全体を通して、必要に応じて1日2回以上塗布する安定用量の皮膚軟化剤の使用を指示した。ADの救済治療は、許容不能な症状を制御するため、医学的に必要な場合、治験責任医師の裁量で提供することが可能であり、維持投与または非盲検治療への移行を阻止しなかった。しかしながら、救済治療を受けた患者は、一次解析では非反応者と見なした(以下の統計分析参照)。全身性コルチコステロイドまたは非ステロイド性全身性免疫抑制薬が救済として使用された場合、患者は一時的に投与を中止する必要があった(詳細については、オンラインの補足付録の方法のセクションを参照のこと)が、救済が局所投薬に限定された場合、患者は試験投与を継続した。
【0259】
16週間の初期投与期間後、臨床反応に関して事前に指定された、すなわち、IGA0(消失)もしくは1(ほぼ消失)、または湿疹面積重症度指数の75%以上の改善(EASI-75)の達成として定義される基準を達成したトラロキヌマブ投与患者は、維持投与相に移行し、2:2:1に再ランダム化され、トラロキヌマブ300mg隔週もしくは4週おき、またはプラセボをさらに36週間投与された。プラセボで臨床反応基準を達成した患者は、試験の盲検化を維持するため、プラセボ隔週投与を継続した。16週からのプラセボコホートは、36週の維持投与期間にランダム化せず、これらの解析には含めなかった。16週時に臨床反応基準を達成しなかった患者は、任意にTCSを使用する非盲検トラロキヌマブ300mg隔週に移行した。さらに、4週間にわたって指定された臨床反応基準を満たさなかった場合、患者は16週後に維持投与から非盲検トラロキヌマブに移行した。長期のECZTEND試験(NCT03587805)に移行しない限り、すべての患者は、試験投薬の最終用量から16週後に最終的な安全性追跡調査を受けた。
【0260】
患者を、臨床効果と安全性対策について隔週で評価し、臨床検査は試験を通して4週おきに行った。抗薬物抗体(ADA)の有無を判断するための血清サンプルは、0、4、16、28、52、及び66週時点で採取した。確認段階でADA陽性であることが確認されたサンプルを、ADAエンドポイント力価測定し、中和抗体(nAB)の存在について解析した。
【0261】
結果
トラロキヌマブ単剤療法は、16週後にIGA及びEASIスコアを大幅に改善した
16週時点で、IGA-0/1反応は、プラセボ対照と比較して、有意に多くのトラロキヌマブ投与患者で、ECZTRA1(15.8%のトラロキヌマブと比較して7.1%のプラセボ、p=0.002)及びECZTRA2(22.2%のトラロキヌマブと比較して10.9%のプラセボ、p<0.001)の両方において報告された(
図3参照)。EASI-75反応は、トラロキヌマブの25.0%と比較して、プラセボでは12.7%(ECZTRA1)、及びトラロキヌマブの33.2%と比較して、プラセボでは11.4%(ECZTRA2)であった(両方ともp<0.001)(
図4参照)。
【0262】
16週時の主要及び副次アウトカムの両方の結果が以下の表12に示され得る:
【表13-1】
【表13-2】
【表13-3】
【0263】
トラロキヌマブ単剤療法は、52週後にIGA及びEASIスコアを維持した
ECZTRA1及びECZTRA2では、初期16週間の投与期間後に、それぞれ185人及び227人の患者を2:2:1にランダム化し、トラロキヌマブの隔週投与を継続、トラロキヌマブの投与頻度を4週おきに減少、またはプラセボ2週おきに切り替えた。
【0264】
IGA及びEASI75の結果は、以下の表13に含まれ得る:
【表14】
【0265】
52週時点で、51.3%(ECZTRA1)及び59.3%(ECZTRA2)の患者がトラロキヌマブQ2WによってIGA-0/1を維持した。Q4Wの反応は同様であり、患者の38.9%(ECZTRA1)及び44.9%(ECZTRA2)がIGA-0/1を維持した。結果を
図7に示す。プラセボに再ランダム化された患者では、47.4%及び25.0%がそれぞれ、ECZTRA1及びECZTRA2において52週時点で反応を維持した。ECZTRA1では、トラロキヌマブ隔週を継続した患者及びトラロキヌマブを初期に投与され、16週でプラセボに切り替わった患者の間で、52週時点でのIGA0/1反応を維持した患者の割合に統計的に有意な差はなかった。ECZTRA2では、トラロキヌマブ隔週によって52週時点でIGA0/1を維持した患者の割合におけるプラセボと比較した差は、有意であった。しかしながら、トラロキヌマブ4週おきとプラセボ間でIGA0/1反応に統計的に有意な差はなかった(P=0.084)。
【0266】
ECZTRA1及びECZTRA2では、救済治療薬なしでトラロキヌマブによって16週時にEASI-75を達成した患者の中で、52週時点でEASI-75を維持した患者の割合は、それぞれ、トラロキヌマブ隔週を継続した患者では59.6%及び55.8%であり、トラロキヌマブ4週おきに再ランダム化された患者では49.1%及び51.4%であり、プラセボに再ランダム化された患者では33.3%及び21.4%であった。
【0267】
トラロキヌマブにランダム化され、16週時点でIGA0もしくは1またはEASI-75を達成せず、非盲検トラロキヌマブ300mgQ2W+任意にTCSに移行した被験者のうち、ECZTRA1で20.8%及びECZTRA2で19.3%は、52週時点でIGA0または1を達成し、ECZTRA1で46.1%及びECZTRA2で39.3%が52週時点でEASI-75を達成した。臨床反応は、任意のTCS投与ではなく、トラロキヌマブ投与の継続によって主に促進された。16週目でIGA2またはEASI-50の被験者は、16週目でIGA3もしくは4またはEASI-50未満の被験者と比較して、高い割合がIGA0もしくは1またはEASI-75を達成した。
【0268】
両試験で、トラロキヌマブの投与により、16週時点でプラセボより多くのEASI-50及びEASI-90反応がもたらされ、16週時点でEASIスコアの変化率が大きく、投与群間の分離(P<0.05)は、2週目以降に生じた。
【0269】
EASI-50を達成した患者の割合は、初期投与期間での各定期的評価時点で、プラセボと比較して、トラロキヌマブで高く、投与群間の分離は、2週目から生じた。EASI-90は、4週から16週までプラセボを投与された患者よりトラロキヌマブ投与患者で多く達成され、投与群間の分離は、6週目以降に生じた。EASIスコアのベースラインからの変化率は、両試験における16週を含めた各評価時点で、プラセボと比較して、トラロキヌマブの方が大きく、投与群間の分離(P<0.05)は、2週目以降に生じた。
【0270】
トラロキヌマブ単剤療法は、52週にわたって望ましい安全性プロファイルを有する
有害事象(AE)は、トラロキヌマブQ2Wとプラセボの間で16週間にわたって同様であり、52週にわたる有害事象プロファイルは、初期の16週間と同等であった。
【0271】
AEの発生率は、両試験の初期投与期間において、トラロキヌマブとプラセボで同等であった。AEの大部分は重篤ではなく、重症度は軽度または中等度であり、ほとんどが投与期間の終わりまでに回復したか、または軽快し、治験薬(IMP)の恒久的中止に至るAEを示した患者はほとんどなかった。初期投与期間で最も頻繁に見られたAEは、ADの悪化及び上気道感染症(主に風邪として報告された)であった。
【0272】
両試験の初期投与期間において、両投与群で重篤な有害事象(SAE)の頻度は低く、同程度であった。SAEを報告した患者の大部分は、それらの事象から回復した。各投与期間内の投与群間及び投与期間の間でSAEの顕著な違いは観察されず、特定の器官別大分類または事象の種類に関してクラスタリングはなかった。
【0273】
標準的なAE報告の一部として報告され、特に重要なAEとして報告された結膜炎は、プラセボを投与された患者よりもトラロキヌマブ投与患者で頻繁に生じた。結膜炎のほとんどの症例は軽度であり、投与期間の終わりまでに回復した。1例は、治療からの離脱に至った。トラロキヌマブは、ヘルペス性湿疹の低率と関連していた(ECZTRA1ではトラロキヌマブ0.5%対プラセボ1.0%、及びECZTRA2ではトラロキヌマブ0.3%対プラセボ2.5%)。
【0274】
特に重要なAEとして報告された全身治療を必要とする皮膚感染症は、ECZTRA2ではトラロキヌマブ投与患者よりもプラセボを投与された患者で頻繁に生じた。ECZTRA1では、その頻度は2群間で同様であった。ECZTRA1では、ベースラインから16週目までの病変皮膚でのqPCRによって評価したStaphylococcus aureusのコロニー形成の減少は、プラセボを投与された患者と比較して、トラロキヌマブ投与患者で10倍超大きく、トラロキヌマブでは中央値969から22遺伝子コピー/cm2であったのと比較して、プラセボでは649から238遺伝子コピー/cm2であった。
【0275】
全体として、維持投与期間では、初期投与期間のトラロキヌマブ隔週と比較して、AEの報告率は低く、事象のパターンは、初期投与期間と同等であった。AEは、トラロキヌマブ隔週群でトラロキヌマブ4週おき群よりも頻繁に報告された。合計で、4人の患者がECZTRA1でSAEを経験し(トラロキヌマブを隔週で投与された1人及びトラロキヌマブを4週おきに投与された3人)、ECZTRA2では、すべてトラロキヌマブ4週おき群に含まれた3人の患者がSAEを示した。ECZTRA1及びECZTRA2でそれぞれ2人及び3人の患者が、トラロキヌマブの恒久的中止に至るAEを示した。
【0276】
ECZTRA1ではトラロキヌマブ投与の3人の患者、及びECZTRA2ではトラロキヌマブ投与の8人の患者で陽性の広域中和抗体(nAB)反応が観察された。試験間のトラロキヌマブ濃度、ADA反応、AE、及びIGA/EASIスコアの検査に基づいて、nABの存在は、被験者のいずれに対してもトラロキヌマブの有効性及び安全性に影響を与えなかったと見なされた。検査値、バイタルサイン、または心電図評価において、投与群間で特筆すべき相違は存在しなかった。より多くのトラロキヌマブ投与被験者が初期投与期間中に好酸球増多を経験したが、好酸球のレベルは、維持期間中にベースライン値に戻り、好酸球増多(>1.5x10
9L)の被験者の安全性プロファイルは、試験集団全体のものと同等であった。表14は、16週間にわたる副作用の全体的な頻度及び重症度を示す。
【表15-1】
【表15-2】
【0277】
表15は、36週間の維持期間中の副作用の全体的な頻度及び重症度を示す。
【表16-1】
【表16-2】
【0278】
眼障害の発生率は、デュピルマブの臨床試験で観察された眼障害の発生率の増加により、特に重要な有害事象として収集された。初期投与期間におけるいずれかの試験でトラロキヌマブを投与された患者の8%未満及び維持期間にいずれかのトラロキヌマブ投与群で6%未満に結膜炎が生じた。結膜炎のほとんどすべての症例は、軽度/中等度であり、1つの症例が離脱に至った。
【0279】
結論
両試験は、トラロキヌマブ単剤療法により、中等度から重度のAD患者の16週後のIGA及びEASIスコアが大幅に改善され、安全性プロファイルが望ましいことを示す。トラロキヌマブ単剤療法は、投与頻度が2週間の場合、反応者において52週にわたって有効性を維持し、驚くべきことに、同様の反応が投与頻度4週間でも維持された。
【0280】
実施例5:トラロキヌマブ単剤療法は患者報告アウトカムを改善する
上記の通り、ADは、痛み、かゆみ、及び睡眠障害を含めた症状を伴う、患者への負担が大きい疾患である。トラロキヌマブ単剤療法が患者報告アウトカム(PRO)に与える影響を、第3相試験(ECZTRA1:NCT03131648、ECZTRA2:NCT03160885)で評価した。
【0281】
方法
PROを、実施例4に記載のECZTRA1及び2試験の患者に関して解析した。評価したPROには、掻痒数値化スケール(NRS)の日内最高値における4点以上の低下、湿疹関連睡眠妨害の減少、患者自身による湿疹評価(POEM)、SCORAD及び皮膚の状態に関するアンケート(DLQI)スコアの変化を含めた。
【0282】
ベースラインの湿疹関連睡眠妨害スコアは、6.3(ECZTRA1)及び6.9(ECZTRA2)であった。ベースラインの平均POEMスコアは、ECZTRA1とECZTRA2の両方で22.8であった。ベースラインの平均DLQI値は、16.8(ECZTRA1)及び17.7(ECZTRA2)であった。ベースラインの掻痒の日内最高値スコアは、7.7(ECZTRA1)及び7.9(ECZTRA2)であった。
【0283】
結果
両試験において、実施例4のすべての副次的評価項目に関して、トラロキヌマブ群とプラセボ群の間に有意差があった。
【0284】
その他の評価項目の結果が以下の表16に示され得る。
【表17】
【0285】
トラロキヌマブ群では、プラセボ群と比較して、16週でSCORADの有意に大きな減少が達成された(両試験でプラセボに対してP<0.001)。SCORADのベースラインからの変化は、初期投与期間を通じてプラセボと比較してトラロキヌマブで大きく、投与群間の分離(P<0.001)は、2週目以降に観察された(
図8)。SCORAD睡眠スコアのベースラインからの変化は、各週でPBOに対してトラロキヌマブで大きく、投与群間の分離(p<0.01)は2週目からであった。
【0286】
ECZTRA1(P=0.002)及びECZTRA2(P<0.001)において、16週でそれぞれ、プラセボ(10.3%及び9.5%)と比較して、有意に高い割合の患者がトラロキヌマブによって掻痒NRSの日内最高値(週平均)の4以上の低下を達成した(20%及び25%)。掻痒NRSの日内最高値(週平均)の低下は、初期投与期間を通じてプラセボと比較してトラロキヌマブで大きく、投与群間の分離(P<0.05)は、1週目以降に観察された(
図8)。3週目までに、トラロキヌマブでは、掻痒の日内最高値がベースライン(7.7/7.9)から4点以上減少した患者の割合が、プラセボと比較して、ECZTRA1(1.5%と比較して8.1%、p<0.001)及びECZTRA2(3.0%と比較して7.5%、p=0.021)で有意に高かった。
【0287】
湿疹関連睡眠NRS(週平均)は、ECZTRA1と2の両試験において、両投与群で改善した。16週時点でのベースラインからの調整平均変化(標準誤差[SE])は、プラセボに対してトラロキヌマブで大きかった:ECZTRA1では、-2.6(0.12)対-1.9(0.23)、p=0.007、及びECZTRA2では、-2.9(0.12)対-1.5(0.22)、p<0.001。
【0288】
湿疹関連睡眠NRSのベースラインからの変化は、各週でプラセボに対してトラロキヌマブで大きく、投与群間の分離(p<0.001)は1週目からであった。
【0289】
両試験で2週目までに、トラロキヌマブ投与患者において湿疹関連睡眠妨害のスコアが減少し、これは対照群と有意差があった。ECZTRA1では、トラロキヌマブ投与により、湿疹関連睡眠妨害が0.9減少したのと比較して、対照群では0.4の減少であった(p<0.001)。ECZTRA2試験における湿疹関連睡眠妨害の変化は、トラロキヌマブでは-1.1であったのと比較して、対照では-0.4であった(p<0.001)。
【0290】
SCORAD睡眠スコアは、両試験の両投与群で改善した。16週時のベースラインからの調整平均変化(SE)は、プラセボに対してトラロキヌマブで大きく、ECZTRA1では、-1.8(0.26)に対して-2.6(0.14)、p=0.004であり、ECZTRA2では、-1.8(0.28)に対して-3.0(0.14)、p<0.001であり、2週目から群間で分離した。
【0291】
POEM睡眠スコアは、2週目以降、PBOと比較してトラロキヌマブで大幅に改善され(p<0.001)、ベースラインから16週目までの調整平均変化(SE)は、PBOに対してトラロキヌマブで大きく、ECZTRA1では、-0.6(0.13)に対して-1.2(0.07)であり、ECZTRA2では、-0.6に対して-1.3(0.07)(両方ともp<0.001)であった。16週で、睡眠妨害「なし」または「1~2日」を報告したトラロキヌマブ投与患者の割合(35.9~39.1%)は、プラセボに対して高かった(
図14参照)。
【0292】
16週時点でDLQIのベースラインからの変化は、ECZTRA1(-5.0に対して-7.1、P=0.02)及びECZTRA2(-4.9に対して-8.8、P<0.001)でプラセボよりもトラロキヌマブで大きく、初期投与期間を通して各予定評価時点で、2週目以降投与群間で分離した(P<0.05)。
【0293】
両試験で2週目までに、トラロキヌマブ投与患者においてPOEM及びDLQIのスコアが減少し、これはプラセボと有意差があった。
【0294】
DLQIは、ECZTRA1では、対照の2.5と比較して、トラロキヌマブでは4.4減少し(p<0.001)、ECZTRA2では、対照の2.2と比較して、トラロキヌマブでは4.7減少した(p<0.001)。DLQIのベースラインからの改善の平均は、統計的有意性に加えて、臨床的に重要な変化の最小量(MCID)に達した。
【0295】
平均POEMは、ECZTRA1(対照の-1.3と比較してトラロキヌマブでは-4.0、p<0.001)及びECZTRA2(対照の-1.6と比較してトラロキヌマブでは-4.6、p<0.001)でプラセボに対してベースラインから有意に減少した。POEMのベースラインからの改善の平均は、統計的有意性に加えて、臨床的に重要な変化の最小量(MCID)に達した。
【0296】
図8、11及び12は、16週までの副次的評価項目のデータを示す。SCORAD、掻痒、DLQI、ERSI及びPOEMの改善は、試験の早期に観察された(
図8、11及び12参照)。EASIの改善は投与開始直後に始まり、両試験でトラロキヌマブの方がプラセボよりも大きかった(
図8)。
【0297】
結論
トラロキヌマブ単剤療法は、2つの試験で観察された通り、PROの早期の有意な改善をもたらす。特に、患者は、トラロキヌマブ単剤療法による投与開始後、早期の効果を経験し、わずか2週後に大幅に改善する。
【0298】
実施例6:中等度から重度のアトピー性皮膚炎のトラロキヌマブ投与成人患者における結膜炎:5つの臨床試験から統合された結果
材料及び方法
トラロキヌマブ300mgまたはプラセボ(PBO)を2週おきに投与された患者を、5つの試験、すなわち、第3相ECZTRA1/2(トラロキヌマブ単剤療法)及びECZTRA3(トラロキヌマブと局所コルチコステロイドの併用)、第2相ECZTRA5(トラロキヌマブ投与AD患者におけるワクチン反応)ならびに第2b相(トラロキヌマブの有効性及び安全性評価)試験から統合した。初期投与期間(ECZTRAでは16週間、第2b相では12週間)の有害事象(AE)をまとめた。結膜炎は、特に重要なAE(AESI)と定義した。事象は、AE記入用紙(ECZTRA)または国際医薬用語集検索(第2b相)から取り込んだ。Cochran-Mantel-Haenszelの重み付けを適用して調整AE発生率を計算し、トラロキヌマブとPBOの間の異なるランダム化率を考慮した。
【0299】
結果
トラロキヌマブ(n=1605)またはPBO(n=680)投与成人患者をこの解析に含めた。初期投与期間中に、結膜炎AESI(基本語は結膜炎、アレルギー性結膜炎、細菌性結膜炎、ウイルス性結膜炎)が、トラロキヌマブを投与された126人(7.5%)で生じたのに対し、PBOでは21人(3.2%)であった。全体として、トラロキヌマブ群及びPBO群で、それぞれ、145及び23の結膜炎事象が生じ、その大部分は、重症度が軽度(68%と65%)または中等度(30%と35%)であった。眼科医は、トラロキヌマブ群(39事象)及びPBO群(6事象)にわたって30%の結膜炎事象を確認した。トラロキヌマブ群及びPBO群で同様のパーセンテージの事象が初期投与期間中にそれぞれ、回復した(78.6%と73.9%)か、または軽快し(2.8%と4.3%)、重篤な事象はなく、2事象がトラロキヌマブの恒久的中止に至った。ベースラインのADの重症度が高いこと、及びアレルギー性結膜炎の既往歴があることが、結膜炎の高発生率と関連していた。最初の事象までの時間の中央値は、両群で類似していた(50.0日と51.5日)が、結膜炎の持続期間は、トラロキヌマブ群の方が長かった(21.0日と14.5日)。患者の大部分が結膜炎の治療を受けた(トラロキヌマブ患者の81%とPBO患者の63%)。一般的な治療は、眼科用抗アレルギー薬(28%と42%)、抗感染薬(30%と11%)、コルチコステロイド(22%と11%)及びコルチコステロイドと抗感染薬の併用(13.5%と15.8%)を含んでいた。
【0300】
16週間の投与後のデュピルマブ投与患者(300mg q2w)における結膜炎の発生率の比較により、デュピルマブは、トラロキヌマブと比較して、全体的な発生率が高く(9.3%対7.5%)、中等度または重度の事象のパーセンテージが高いことが示される(Akinlade et al.2019)。これは、特異的なIL-13の中和が、IL-4/IL-13の二重の封鎖よりも結膜炎のリスクが低いことと関連していること、及びT細胞をTh1/Th17表現型に傾斜させることが分かっているIL-4のシグナル伝達の遮断が、より重度の結膜炎をもたらし得ることを示唆している(Reyes et al.2014、Stern et al.2005)。
【0301】
結論
ADプールの初期投与期間にAESIとして特定された結膜炎の全体的な発生率は、PBOよりもトラロキヌマブの方が高かったが、症例の大部分は重症度が軽度または中等度であった。結膜炎事象の大部分は、試験中に同時に治療されて回復したか、または軽快した。
【0302】
実施例7:最初は最適反応未満しか達成せず、治療を継続したアトピー性皮膚炎患者におけるトラロキヌマブに対する臨床反応
材料及び方法:ECZTRA1及びECZTRA2試験において16週時点で臨床反応、すなわち、IGA0/1またはEASI-75を達成しなかった患者は、非盲検トラロキヌマブ300mg q2wプラス任意のTCSに追加の36週間移行した。両試験から統合されたデータのこの事後解析では、16週後にトラロキヌマブに対して最初に最適反応未満しか達成しなかった患者の非盲検治療中の臨床反応を評価した。
【0303】
結果:この統合分析では、1196人中686人(57.4%)のトラロキヌマブ投与患者(ECZTRA1及び2からそれぞれ360人及び326人)が16週目に非盲検治療に移行した。非盲検トラロキヌマブプラス任意のTCSによってIGA0/1またはEASI-75を達成した患者の割合は増加し続け、52週時点でこれらの患者の20.1%及び42.9%がそれぞれ、IGA0/1及びEASI-75を達成した。52週時点でのこの反応者の割合の半分より多くが、非盲検治療を開始してから8週間以内に達成し、24週目までに11.4%及び31.9%がIGA0/1及びEASI-75を達成した。代替的な分析で、併用抗炎症治療(TCSを含む)を使用した患者(49.1%)を非反応者と評価した。併用抗炎症治療を使用しなかった患者における反応率は、IGA0/1及びEASI-75に関して、それぞれ、13.9%及び25.7%であった。16週でのADの疾患活動性のレベルを考慮すると、16週でEASI-50~EASI-74を有した患者では、53.2%が52週でEASI-75を達成し、16週でIGA2の患者の下位群では、36.5%が52週でIGA0/1を達成した。16週目でEASI25~50%を有した患者では、52週目で40.7%がEASI-75を達成し、16週目でIGA3を有した患者では、17.1%が52週目でIGA0/1を達成した。
【0304】
16週目でEASIが25未満の患者では、52週目で29.3%がEASI-75を達成し、16週目でIGA4の患者では、7.6%が52週目でIGA0/1を達成した。
【0305】
考察:これらのデータは、トラロキヌマブに対して最初は最適反応未満であった患者の大部分が、その後継続治療によりEASI-75を達成し、その反応が、16週目までに達成されたADの疾患活動性と相関したことを示す。さらに、継続治療による臨床反応は、任意のTCSの追加によって促進されるとは思われなかった。
【0306】
実施例8:Staphylococcus aureusのコロニー形成に対するIL-13標的化の影響
材料及び方法:ECZTRA1第III相試験では、中等度から重度のADの患者を、最初の16週間用に、皮下トラロキヌマブ300mgまたはプラセボ(PBO)2週おきの3:1にランダム化した。16週目の患者におけるS.aureusによる皮膚コロニー形成の変化が、探索的評価項目であった。病変皮膚上のS.aureusの絶対存在量は、皮膚の上で滅菌綿棒を回転させ、その後抽出したDNAのrtPCRによって評価した。S.aureusのコロニー形成と疾患の重症度及び選択されたバイオマーカーとの関連を評価した。ベースラインから16週目までのS.aureusのコロニー形成の相対的な減少における投与群間の比を、対数変換値の変化のt検定によって評価した。
【0307】
結果:802人の患者を、トラロキヌマブ:PBOへ603:199にランダム化した。50.7%がベースラインで重度のAD(IGA-4)を有し、平均EASIスコアは32.4であった。S.aureusのコロニー形成は、ベースライン及び16週時の疾患重症度(EASIスコア)と相関していた。S.aureusのコロニー形成はさらに、ベースライン及び16週時のIL-13、IL-22及びhBD2を含めたバイオマーカーの遺伝子発現と有意に相関していた。S.aureusの存在量の中央値は、ベースラインから16週目まで、PBOを投与された患者(n=184、649から238遺伝子コピー/cm2)に対してトラロキヌマブを投与された患者(n=555、969から22遺伝子コピー/cm2)でより大きく減少し、PBOに対してトラロキヌマブ投与患者では10倍大きい減少であった(比=0.09、p<0.0001)。救済治療薬の使用は結果に影響しなかった。
【0308】
救済治療薬を使用していない患者(トラロキヌマブ患者の64.2%及びプラセボ患者の53.8%は救済治療薬を使用しなかった)では、プラセボに対してトラロキヌマブ投与患者で有意に減少した(比=0.12、p<0.0001)。
【0309】
トラロキヌマブ群とプラセボ群のEASI-75反応者を比較すると、プラセボのEASI-75反応者よりもトラロキヌマブ投与患者において、16週目のS.aureusのコロニー形成の中央値は低かった。
図15参照。
【0310】
プラセボに対してトラロキヌマブで、ベースラインから16週目までに、カウントの中央値が有意に減少した(-96.6%、p<0.0001対+34.2%、有意差なし)。
【0311】
結論:トラロキヌマブの投与は、中等度から重度のADを有する成人患者において、病変皮膚におけるS.aureusのコロニー形成のPBOと比較した有意な減少と関連していた。これは、IL-13の中和によるS.aureusのコロニー形成の減少が、ADの特徴を改善し、かゆみ、引っかき傷、皮膚バリア機能障害、及び免疫介在性炎症のサイクルを断つトラロキヌマブの効果に寄与することを示唆する。
【0312】
実施例9:不安及びうつ病に対するIL-13標的化の影響
材料及び方法:ECZTRA1~3第III相試験の患者を、病院における不安と抑うつに関する質問票(HADS)を使用して、不安及びうつ病について評価した。
【0313】
結果:HADSの結果を、ECZTRA1~3及び単剤療法統合に関して以下の表17にまとめる(初期投与期間:FAS)。
【表18】
【0314】
ベースラインのHADS不安またはHADS抑うつ下位尺度スコア8以上の被験者の中で、16週時のHADS不安及びHADS抑うつスコア8未満の反応者の割合は、すべての試験にわたってプラセボ群と比較してトラロキヌマブ群で高かった(ECZTRA1ではp=0.52、ECZTRA2ではp<0.001、ECZTRA3ではp=0.003)。トラロキヌマブとプラセボ間の投与群間差は、ECZTRA2(21.2%)とECZTRA3(24.8%)で類似していたが、ECZTRA1では少なかった(3.0%)(表17参照)。
【0315】
さらに、すべてのピボタル第3相試験で、ベースラインから16週目までのHADS平均合計スコアは、プラセボと比較してトラロキヌマブ群でさらに低下した(ECZTRA1ではp=0.38、ECZTRA2及び3ではp=0.001)(表17参照)。
【0316】
すべてのピボタル第3相試験で、4週目以降、プラセボ群と比較して、トラロキヌマブ群でHADS合計スコアのベースラインからの平均変化がより大きいことが観察された(
図13)。HADS合計スコアの2つの個々のコンポーネント、すなわちHADS不安スコア及びHADS抑うつスコアを検討した場合、同じパターンが観察された。
【0317】
ECZTRA5では、合計HADSスコアのベースラインから16週目までの平均変化は、プラセボと比較してトラロキヌマブで高く、調整平均変化はトラロキヌマブ群で-2.4及びプラセボ群で-0.6であり、投与群間差は-1.8になった(p=0.033)。
【0318】
結論:トラロキヌマブの投与は、中等度から重度のADを有する成人患者において、HADSで測定される不安及びうつ病のPBOと比較した有意な減少と関連していた。
【0319】
実施例10:健康に関連した生活の質に対するIL-13標的化の影響
短文式(36項目)健康状態調査票(SF-36)
材料及び方法:短文式(36項目)健康状態調査票(SF-36)を、上記ECZTRA1及び2の第III相試験の患者に関して評価した。
【0320】
結果:両試験で、初期投与期間を通じて、両投与群におけるSF-36身体的及び精神的健康度スコアの両方が改善した。
【0321】
ECZTRA1では、身体的健康度スコアの平均がトラロキヌマブ群ではベースラインの44.5から16週目での51.3まで増加し、プラセボ群では44.7から50.2まで増加した。精神的健康度スコアの平均は、トラロキヌマブ群ではベースラインの43.6から16週目での48.2まで増加し、プラセボ群では42.4から46.0まで増加した。
【0322】
ECZTRA2では、身体的健康度スコアの平均がトラロキヌマブ群ではベースラインの44.3から16週目での51.5まで増加し、プラセボ群では43.4から48.6まで増加した。精神的健康度スコアの平均は、トラロキヌマブ群ではベースラインの43.6から16週目での48.4まで増加し、プラセボ群では43.2から44.8まで増加した。
【0323】
両試験で、16週目での身体的及び精神的健康度スコアの両方におけるベースラインからの変化は、プラセボ群と比較してトラロキヌマブ群で大きかったことが以下の表18に示される。
【表19】
【0324】
ECTZRA1では、SF-36身体的健康度スコアの調整平均変化は、トラロキヌマブ群で4.5であったのと比較して、プラセボ群では2.9であり、投与群間差は1.6になった(p=0.013)。SF-36精神的健康度スコアの調整平均変化は、トラロキヌマブでは2.5であり、プラセボでは0.3であり、投与群間差は2.3になった(p=0.010)。ECTZRA2では、SF-36身体的健康度スコアの調整平均変化は、トラロキヌマブ群で5.8であったのと比較して、プラセボ群では3.2であり、投与群間差は2.6になった(p<0.001)。SF-36精神的健康度スコアの調整平均変化は、トラロキヌマブでは3.5であり、プラセボでは0.5であり、投与群間差は3.0になった(p<0.001)。
【0325】
結論:トラロキヌマブの投与は、中等度から重度のADを有する成人患者において、SF-36身体的及び精神的健康度スコアのPBOと比較した有意な改善と関連していた。
【0326】
ユーロコル5項目健康調査5レベル(EQ-5D-5L)
材料及び方法:ユーロコル5項目健康調査5レベル(EQ-5D-5L)を、ECZTRA1~3第III相試験の患者に関して評価した。
【0327】
結果:すべての試験で、両投与群における被験者の健康認識が、初期投与期間を通して、EQ-5D-5Lの両方の部分(すなわち、EQ-5D-5L指数スコア及びEQ-5D-5L VAS)に基づいて改善した。
【0328】
ECZTRA1では、EQ-5D-5L指数スコアの平均がトラロキヌマブ群ではベースラインの0.553から16週目での0.787まで増加し、プラセボ群では0.571から0.739まで増加した。EQ-5D-5L VASスコアの平均は、トラロキヌマブ群ではベースラインの53.8から16週目での72.7まで増加し、プラセボ群では54.7から69.4まで増加した。
【0329】
ECZTRA2では、EQ-5D-5L指数スコアの平均がトラロキヌマブ群ではベースラインの0.544から16週目での0.779まで増加し、プラセボ群では0.543から0.683まで増加した。EQ-5D-5L VASスコアの平均は、トラロキヌマブ群ではベースラインの58.0から16週目での74.4まで増加し、プラセボ群では55.7から68.0まで増加した。
【0330】
ECZTRA3では、EQ-5D-5L指数スコアの平均がトラロキヌマブ+TCS群ではベースラインの0.561から16週目での0.839まで増加し、プラセボ+TCS群では0.589から0.766まで増加した。EQ-5D-5L VASスコアの平均は、トラロキヌマブ+TCS群ではベースラインの59.1から16週目での76.1まで増加し、プラセボ+TCS群では59.4から72.8まで増加した。
【0331】
EQ-5D-5Lの両セクションのベースラインからの変化を、ECZTRA1~3に関して、以下の表19にまとめる。
【表20】
【0332】
すべての試験にわたって、被験者の健康認識が、EQ-5D-5L指数スコアに基づいて改善した。ベースラインから16週目までのEQ-5D-5L指数スコアの変化は、すべての試験にわたってプラセボ群と比較してトラロキヌマブ群において高く、試験間で投与群間差は同様であった(ECZTRA1ではp=0.004、ECZTRA2及び3ではp<0.001)。すべての試験で、4週目以降の最初の評価から差が観察された。
【0333】
さらに、被験者の健康認識は、EQ-5D-5L VASに基づいてすべての試験にわたって改善した。ベースラインから16週目までのEQ-5D-5L VASの変化は、すべての試験にわたってプラセボ群と比較してトラロキヌマブ群において高く、ECZTRA1及びECZTRA3と比較して、ECZTRA2において投与群間差が大きかった(ECZTRA1ではp=0.016、ECZTRA2ではp<0.001、ECZTRA3ではp=0.12)。すべてのピボタル試験で、4週目以降から差が観察された。
【0334】
ECZTRA5では、EQ-5D-5L指数スコアのベースラインから16週目までの平均変化は、プラセボと比較してトラロキヌマブで高く、調整平均変化はトラロキヌマブ群で0.130及びプラセボ群で0.097であり、投与群間差は0.034になった(p=0.19)。EQ-5D-5L VASの平均変化は、トラロキヌマブ群で8.3及びプラセボ群で0.6であり、投与群間差は7.6になった(p=0.004)。
【0335】
結論:トラロキヌマブの投与は、中等度から重度のADを有する成人患者において、EQ-5D-5Lによって測定される被験者の健康認識のPBOと比較した有意な改善と関連していた。
【0336】
実施例11:シクロスポリンAによって適切に制御されないまたはシクロスポリンAの禁忌を有するAD患者へのトラロキヌマブの使用
本実施例は、経口シクロスポリンAで適切に制御されないまたは経口シクロスポリンAの禁忌を有する重度のアトピー性皮膚炎を有する被験者において、局所コルチコステロイドと組み合わせたトラロキヌマブに関するECZTRA7試験の初期成果を報告する。
【0337】
これは、国際的多施設第3相試験であった。この試験は、ランダム化、二重盲検、及びプラセボ対照であった。
【表21-1】
【表21-2】
【0338】
試験デザイン
この試験は、2~6週間のスクリーニング期間及び26週間の投与期間で構成した。26週目の来院または安全性追跡調査のための来院の完了後、適格な被験者に、別のプロトコル(LP0162-1337、ECZTEND)の下で実施される長期継続投与試験に参加するように勧めた。26週目の来院完了後にECZTENDに移行しなかった被験者は、安全性、薬物動態(PK)、及び抗薬物抗体(ADA)の評価のために14週間の休薬追跡調査期間を完了する必要があった。スクリーニング期間後に適格であると判断された被験者を、トラロキヌマブ300mg+TCSまたはプラセボ+TCS2週おき(Q2W)を目的として1:1にランダム化した。ランダム化を、以前のシクロスポリンA(CSA)の使用(あり/なし)、国(ドイツである/ドイツでない)及びベースラインの疾患重症度(治験責任医師による全般的評価[IGA]=3または4)によって層別化した。
【0339】
合計250人の被験者をランダム化する予定であった。277人の被験者をランダム化し、275人に治験薬(IMP、トラロキヌマブまたはプラセボ)を投与し、275人のすべての被験者を最大の解析対照集団及び安全性解析集団に含めた。
【0340】
選択基準
被験者をこの試験に含めるためには、次の基準のすべてを満たす必要があった。
1.任意のプロトコル関連手順の前に、署名と日付が記入されたインフォームドコンセントが取得されている。
2.年齢18歳以上。
3.ADのHanifin and Rajka(1980)基準によって定義されるADの診断(27)。
4.1年以上のADの病歴。
5.局所投薬による治療に対する反応が不十分な最近(スクリーニングのための来院前の1年以内)の病歴を有する被験者。
・不十分な反応とは、中効力~高効力のTCS(必要に応じて±TCI)を少なくとも28日間または製品の処方情報によって推奨される最長期間(例えば、super-potentのTCSの場合は14日間)のいずれか短い方の期間塗布される、毎日の処方による治療にもかかわらず、寛解または疾患活動性が低い状態(IGA0=消失~2=軽度に相当)に達しない、及びそれを維持できないことと定義した。
・過去1年間にADに対する全身治療の文書記録がある被験者もまた、局所治療に対して不十分な反応者であると見なされ、適切なウォッシュアウト期間後にトラロキヌマブによる治療に対して潜在的に適格であった。
6.SCORADのコンポーネントAによるスクリーニング時及びベースライン時の体表のADの病変部が10%以上。
7.スクリーニング時及びベースライン時のEASIスコアが20以上。
8.スクリーニング時及びベースライン時のIGAスコアが3以上。
9.ベースラインの前週の掻痒数値化スケール(NRS)の日内最高値の平均スコアが4以上。
・ベースラインでの掻痒NRSスコアの日内最高値を、ランダム化直前の7日間(-6日目~0日目)に最もひどかったかゆみの重症度の1日の評価(掻痒NRSの日内最高値)から計算した。ベースラインの平均スコアを計算するには、7日間のうち少なくとも4つの掻痒NRSスコアの日内最高値が必要であった。予定されたランダム化日の直前7日間に少なくとも4つのスコアが報告されなかった被験者については、この要件が満たされるまでランダム化が延期されたが、スクリーニングのための最大期間である6週間を超えることはなかった。
10.被験者は、ランダム化前の少なくとも14日間、安定した用量の皮膚軟化剤を1日2回(または必要に応じてそれより多く)塗布した。
11.妊娠の可能性がある女性は、試験全体及び最後のIMP投与後少なくとも16週間(5半減期)を通して、非常に効果的な*形式の避妊法(治験責任医師が確認)を使用する必要があった。
*非常に効果的な避妊法とは、失敗率が低い(1年で1%未満)方法、例えば、両側卵管閉塞、子宮内避妊器具(IUD)、子宮内ホルモン放出システム(IUS)、排卵抑制に関連する併用(エストロゲンとプロゲストゲンを含む)ホルモン避妊(経口、膣内、経皮)、排卵抑制に関連するプロゲストゲンのみのホルモン避妊(経口、注射、埋め込み)、性的禁欲(これが被験者の好ましい通常の生活様式に沿っている場合)、精管切除されたパートナー(被験者が一夫一婦である場合)と定義した。被験者は、ベースライン時の妊娠検査の少なくとも1か月前から避妊法を継続的に使用していなければならない。女性は、閉経後(スクリーニング前に別の医学的原因がなく少なくとも12か月間月経がない)、または外科的に不妊(子宮摘出、両側卵管摘出、もしくは両側卵巣摘出)の場合、妊娠の可能性がないと定義した。
12.医師によって記録された以下のいずれかの病歴:
・以前にCSAへの曝露がなく、以下のいずれかに起因してCSA治療の候補ではないこと:
i.医学的禁忌(例えば、投薬による管理不良高血圧)またはCSAの活性物質または賦形剤に対する過敏性。
ii.禁止併用薬(例えば、スタチン、ジゴキシン、マクロライド、抗生物質、バルビツール酸、抗痙攣薬、非ステロイド性抗炎症薬、利尿薬、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、セイヨウオトギリソウ)の使用。
iii.CSAによる腎障害(クレアチニンの上昇)及び肝障害(機能検査の上昇)に対する感受性の増加もしくは重篤な感染症のリスクの増加。
・以前にCSAに曝露され、以下のいずれかに起因してCSA治療を継続または再開するべきではないこと:
i.不寛容もしくは許容できない毒性(例えば、クレアチニンの上昇、肝機能検査の上昇、管理不良高血圧、錯感覚、頭痛、吐き気、多毛症)。
ii.CSAに対する不十分な反応(最大6週間の高用量[5mg/kg/日」後維持量[2~3mg/kg/日]までのCSAの漸減でのADの再燃または維持量で最低3か月後の再燃として定義される)。再燃は、用量の増加、高効力クラスのTCSへの切り替え、または別の全身性非ステロイド性免疫抑制薬の開始であり得る治療の拡大につながる徴候または症状の増加として定義した。
iii.用量5mg/kg/日を超えるCSAの必要量、もしくは処方情報で指定されるものを超える継続期間(1年超)の必要性。
【0341】
除外基準
以下の基準のいずれかにより、被験者を試験への参加に不適格と見なした。
1.治験責任医師の意見で、例えば、重大な副作用または安全性リスク(治療不寛容、過敏反応、重大な皮膚委縮、全身的作用等)に起因にしてTCSが医学的に適さない被験者。
2.別の介入臨床試験への同時登録。
3.トラロキヌマブの臨床試験における以前のランダム化。
4.疥癬、皮膚リンパ腫、または乾癬等、ADの診断と混同する可能性または治療の評価を妨げる可能性のある活動的な皮膚疾患。
5.ADの重症度の評価を妨げる可能性が高い既知の活動性アレルギー性または刺激性接触皮膚炎。
6.ランダム化前6週間以内にタンニングベッドまたは光線療法(狭帯域紫外線B[NBUVB]、紫外線B[UVB]、紫外線A1[UVA1]、ソラレン+紫外線A[PUVA])の使用。
7.ランダム化前4週間以内に以下の薬剤による治療:
・全身性免疫抑制/免疫調節薬(例えば、メトトレキサート、CSA、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、ヤヌスキナーゼ阻害剤)。
・全身性コルチコステロイドの使用(局所、吸入、または鼻腔内投与を除く)。
・4週間のうちの任意の週に3回以上のブリーチバス。
8.ランダム化前2週間以内の局所PDE-4阻害剤による治療。
9.ランダム化日前30日以内及び安全性追跡調査期間を含めた試験中の弱毒化生ワクチンの接種
・任意の試験来院前/後5日以内に投与されないという条件で、不活性/死菌ワクチン(例えば、不活性インフルエンザ)の接種は許可した。
10.デュピルマブまたは治験生物学的薬剤を含む市販の生物学的療法(例えば、免疫グロブリン、抗IgE)の投与:
・リツキシマブを含むがこれに限定されない任意の細胞枯渇剤:ランダム化前6か月以内、またはリンパ球数が正常に戻るまでのいずれか長い方。
・その他の生物製剤:ランダム化前3か月または5半減期以内のいずれか長い方。
11.ランダム化前5半減期以内の治験非生物学的薬剤の投与。
12.スクリーニング前4週間以内の血液製剤の投与。
13.スクリーニング前8週間以内の大手術、または試験期間中に入院手術もしくは入院が予定されている。
14.IMPまたは補助医薬品(AxMP)製剤の任意の成分に対するアレルギーまたは反応が既知または疑われる。
15.ランダム化前1週間以内の任意の活動的な皮膚感染症の病歴。
16.ランダム化前4週間以内に、治験責任医師または治験依頼者の医療専門家の意見で、試験中に被験者の安全性を損なう可能性、IMPの評価を妨害する可能性、または被験者の試験への参加能力を低下させる可能性がある臨床的に重大な感染症の病歴。臨床的に重大な感染症を、次の通りに定義した:
・全身感染症。
・非経口(静脈内または筋肉内)抗生物質、抗ウイルス薬、または抗真菌薬を必要とする重篤な皮膚感染症。
17.インフォームドコンセントが取得された日の前6か月以内の寄生蠕虫感染で、標準治療で治療されていないか、それに対して反応しなかった。
18.任意の生物学的療法後のアナフィラキシーの病歴。
19.免疫複合体病の病歴。
20.がんの病歴:
・基底細胞癌、皮膚の限局性扁平上皮癌または子宮頸部の上皮内癌に罹患したことがある被験者は、被験者が寛解しており、インフォームドコンセントが取得された日の少なくとも12か月前に治癒的療法が完了していることを条件として適格である。
・他の悪性腫瘍に罹患したことがある被験者は、被験者が寛解しており、インフォームドコンセントが取得された日の少なくとも5年前に治癒的療法が完了していることを条件として適格である。
21.スクリーニング前12か月以内の治療を必要とする結核。評価は、実施施設の標準治療により、実施施設のガイドラインに従った。
22.スクリーニング時にヒト免疫不全ウイルス(HIV)検査陽性を含めた任意の既知の原発性免疫不全障害の病歴、または病歴及び/または被験者の口頭報告によって判断される抗レトロウイルス薬を服用中の被験者。
23.スクリーニング前12か月以内の慢性的なアルコールもしくは薬物乱用歴、または治験責任医師が判断する低コンプライアンスに関連する任意の状態。
24.自殺未遂歴、または自殺の重大なリスクがある(治験責任医師の意見、または自殺念慮の質問4または5に対して「はい」と考えているか、またはコロンビア自殺重症度評価尺度[C-SSRS]スクリーニング版で自殺行動に「はい」と答えている)。
25.心血管、胃腸、肝臓、腎臓、神経、筋骨格、感染、内分泌、代謝、血液、免疫、精神、または治験責任医師の意見による安定ではない主要な身体障害が挙げられるがこれらに限定されない任意の障害であって、以下の可能性のあるもの:
・試験中の被験者の安全性に影響を与える。
・試験の結果またはその解釈に影響を与える。
・被験者が試験の全期間を完了する能力を妨げる。
26.スクリーニング期間中の身体診察、バイタルサイン、心電図(ECG)、血液学、臨床化学、または尿検査において、治験責任医師の意見で任意の臨床的に重大な異常所見により、試験への参加が被験者を危険にさらす可能性、または試験結果、もしくは被験者が試験の全期間を完了する能力に影響を与える可能性がある。
27.アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)レベルがスクリーニング時に正常上限(ULN)の2.0倍以上。
28.スクリーニング時に陽性のB型肝炎表面抗原(HBsAg)、B型肝炎表面抗体(HBsAb)、B型肝炎コア抗体(HBcAb)またはC型肝炎ウイルス抗体(抗HCV)血清学。HBsAb陽性の被験者は、B型肝炎ワクチンの接種歴があり、陰性のHBsAg及びHBcAb血清学という条件でランダム化され得る。
29.インフォームドコンセント時点からIMPの最後の投与後16週間(5半減期)、血液及び/または血漿の献血を控えようとしない被験者。
30.合法的に施設に収容された被験者。
31.妊娠中、授乳中、または泌乳中の女性。
32.試験施設の従業員、または試験の計画もしくは実施に直接関与する任意のその他の個人、またはかかる個人の近親者。
【0342】
トラロキヌマブ-投与期間
・投与初日(0日目=来院3、ベースライン):トラロキヌマブ、600mg、150mgのトラロキヌマブの4回の皮下(SC)注射(各1.0mL)。
・24週目に予定された最後のIMP投与のための来院までのその後の来院時:トラロキヌマブ、300mgQ2W、150mgのトラロキヌマブの2回のSC注射(各1.0mL)。
【0343】
プラセボ-投与期間
・投与初日(0日目=来院3、ベースライン):プラセボ、4回のSC注射(各1.0mL)。
・24週目の来院までのその後の来院時:プラセボ、Q2W、2回のSC注射(各1.0mL)。
【0344】
統計的方法
本試験では4つのエスティマンドが定義され、投与効果の推定方法に影響を与えた3つの主な併発事象のタイプ(救済治療薬の開始、IMPの恒久的中止及びCOVID-19パンデミックの被験者発症)が組み込まれた。主要評価項目及び副次的評価項目に関する一次エスティマンドの一次解析の全体的な第一種の過誤を、階層的検定手順によって防いだ。これら評価項目を5%の有意水準で逐次検定した。
【0345】
中間解析は行わなかった。
【0346】
主要評価項目(16週時点でEASI75)
投与群間の反応率の差は、以前のCSAの使用(あり/なし)及びベースラインの疾患重症度(IGA=3または4)によって層別化したMantel-Haenszelリスク差及び関連する標準誤差を使用し、Rubinのルールを使用して複数の推定値を統合して解析した。
【0347】
併発事象は、最初に発生した事象に基づいて処理した。救済治療、IMPの恒久的中止、及びCOVID-19パンデミックに起因しない16週目の来院時のデータの欠測は、非反応者として解析した。COVID-19パンデミックの被験者発症及びCOVID-19パンデミックに起因する16週目の来院時のデータの欠測は、段階的な多重代入手順を使用して代入した。
【0348】
副次的評価項目
26週時点でEASI75、16週/26週時点でIGA0/1、及びベースラインから16週/26週目までの掻痒NRSの日内最高値の週平均の低下4以上を、主要評価項目について説明した通りに解析した。
【0349】
ベースラインから16週/26週目までのSCORAD及びDLQIスコアの変化を、併発事象の前のデータのみを含めて26週目の来院までのベースライン後の反応に関する反復測定モデルを使用して解析した。
【0350】
医療資源利用(TCSの使用)
使用されたTCSの量を、反復測定モデルによって解析した。未返却のチューブによるデータの欠測を処理するため、使用されたTCSの量を、2つの異なるアプローチに基づいて解析した:1)未返却のチューブからはTCSが使用されなかった、または2)未返却のチューブからはすべてのTCSが使用された。
【0351】
結果のまとめ
投与期間:277人の被験者を1:1比にランダム化し、140人の被験者をトラロキヌマブ+TCSにランダム化し、137人の被験者をプラセボ+TCSにランダム化した。トラロキヌマブ+TCS群の2人の被験者には投与されなかった。
【0352】
トラロキヌマブ+TCS群の125人の被験者(89.3%)及びプラセボ+TCS群の120人の被験者(87.6%)が26週間の投与を完了した。
【0353】
人口統計学及びベースラインの特性
全体として、人口統計学及びベースラインの特性は、トラロキヌマブ+TCSとプラセボ+TCS群間でバランスがとれていた。ベースライン時の平均年齢は36.5歳(SD:14.1)であり、平均体重は75.7kg(SD:16.3)であり、被験者の59.6%は男性であった。ベースライン時のAD病変BSAの平均は54.7%(SD:22.2)であり、AD発症の平均年齢は10.3歳(SD:15.4)であり、ADの平均期間は26.2年(13.9)であった。ベースライン時の疾患重症度は、投与群間で同等であった。すべての被験者は重度のADに罹患していた(ベースライン時EASIスコア≧20)。平均EASIスコアは32.95(SD:12.54)であり、平均SCORADスコアは70.51(SD:12.43)であり、平均DLQIスコアは16.11(SD:6.43)であり、掻痒NRSの平均日内最高値(週平均)は7.37(SD:1.41)であった。
【0354】
以前のAD治療の種類及びその治療を使用した被験者の割合、ならびにアトピー歴は、投与群間で同等であり、長期及び重度のADの集団で予想通りであった。
【0355】
投与の曝露及びコンプライアンス
被験者の大部分は、16週間以上IMPに曝露された(トラロキヌマブ+TCSで93.5%及びプラセボ+TCSで95.6%)。79.7%及び71.5%の被験者が、すべての予定された用量のIMP(それぞれ、トラロキヌマブ+TCSまたはプラセボ+TCS)を、試験の終了まで、またはIMPの恒久的中止まで投与された。COVID-19パンデミックの影響は限定的で、24人の被験者(8.7%)のみがCOVID-19パンデミックによって1回または2回のIMP用量の機会を逃し(トラロキヌマブ+TCS群では10人及びプラセボ+TCS群では14人)、プラセボ+TCS群の1人の被験者(0.7%)は、COVID-19パンデミックによって3回を超えるIMP用量の機会を逃した。
【0356】
有効性結果
CSAでの治療に不適格な重度のADを有する成人患者の治療におけるTCSと組み合わせたトラロキヌマブの有効性は、本ランダム化プラセボ対照第3相臨床試験の投与期間中に実証された。主要評価項目及び副次的評価項目の結果を以下にまとめる。
【0357】
トラロキヌマブ投与の臨床効果は、3つの異なる治験責任医師の評価(EASI、IGA、及びSCORAD)によって評価された。EASIは主要評価項目及び副次的評価項目に使用され、IGA及びSCORADは副次的評価項目に使用された。PRO及び健康に関連した生活の質(HRQoL)に対するトラロキヌマブの有効性を評価するため、いくつかの検証済の患者報告質問票を含めた。
【0358】
主要評価項目(16週時点でEASI75)
16週時点でのEASI75反応者の割合は、プラセボ+TCS群と比較して、トラロキヌマブ+TCS群で統計的に有意に高かった。投与群間差は、16週時点で14.1%(95%CI:2.5~25.7、p=0.018)であり、トラロキヌマブ+TCS群で反応者64.2%及びプラセボ+TCS群で反応者50.5%であった(一次エスティマンドの一次解析)。二次、三次及び四次エスティマンドの一次解析、ならびに感度解析により、一次エスティマンドの一次解析と同じ結論が得られた(p<0.05、全解析)。
【0359】
副次的評価項目
逐次検定の階層によって第一の副次的評価項目である掻痒NRSの日内最高値(週平均)のベースラインから16週目までの4以上の低下として確認された副次的評価項目はなく、統計的有意性を示すことができなかった(p=0.106)が、これらの結果は、トラロキヌマブ+TCSの45.5%が16週時点で掻痒NRSの日内最高値の4点の低下を達成した(16週時点でのプラセボ+TCSでは35.6%)(26週時点ではトラロキヌマブ+TCSで47.2%及びプラセボ+TCSでは39.7%)ことから、投与群で異なる反応を意味しているように思われた。しかしながら、確認検定の階層に関係なく、他のすべての副次的評価項目は、16週及び26週時点で重度のADを有する成人被験者において、トラロキヌマブ+TCSの方がまさって改善を示した(P<0.05)。
・26週時点でのEASI75反応者の割合は、プラセボ+TCS群と比較して、トラロキヌマブ+TCS群で高かった。投与群間差は、26週時点で14.1%(95%CI:2.9~25.3、p=0.014)であり、トラロキヌマブ+TCS群で反応者68.8%及びプラセボ+TCS群で反応者55.3%であった(一次エスティマンドの一次解析)。二次、三次及び四次エスティマンドの一次解析、ならびに感度解析により、一次エスティマンドの一次解析と同じ結論が得られた(p<0.05、全解析)。
・16週及び26週時点でのIGA0/1反応者の割合は、プラセボ+TCS群と比較して、トラロキヌマブ+TCS群で高かった。一次エスティマンドの一次解析に基づいて、投与群間差は以下の通りであった:
○16週時点で、15.6%(95%CI:4.8~26.3、p=0.005)、トラロキヌマブ+TCS群で反応者40.9%及びプラセボ+TCS群で反応者26.0%。
○26週時点で、14.3%(95%CI:2.9~25.6、p=0.014)、トラロキヌマブ+TCS群で反応者47.0%及びプラセボ+TCS群で反応者33.4%。
二次、三次及び四次エスティマンドの一次解析、ならびに感度解析により、16週及び26週時点で一次エスティマンドの一次解析と同じ結論が得られた(p<0.05、全解析)。
・ベースラインから16週目及び26週目までのSCORADの変化は、プラセボ+TCS群と比較して、トラロキヌマブ+TCS群で大きかった。一次エスティマンドの一次解析に基づいて、投与群間差は以下の通りであった:
○16週時点で、-8.6(95%CI:-13.0~-4.2、p<0.001)、トラロキヌマブ+TCS群での調整平均変化-42.7(SE:1.6)及びプラセボ+TCS群で-34.1(SE:1.6)。
○26週時点で、-8.9(95%CI:-13.2~-4.6、p<0.001)、トラロキヌマブ+TCS群での調整平均変化-46.3(SE:1.5)及びプラセボ+TCS群で-37.3(SE:1.6)。
二次、三次及び四次エスティマンドの一次解析、ならびに感度解析により、16週及び26週時点で一次エスティマンドの一次解析と同じ結論が得られた(p<0.05、全解析)。
・ベースラインから16週目及び26週目までのDLQIの変化は、プラセボ+TCS群よりトラロキヌマブ+TCS群で大きかった。一次エスティマンドの一次解析に基づいて、投与群間差は以下の通りであった:
○16週時点で、-1.5(95%CI:-2.6~-0.4、p<0.009)、トラロキヌマブ+TCS群での調整平均変化-11.2(SE:0.4)及びプラセボ+TCS群で-9.6(SE:0.4)。
○26週時点で、-1.6(95%CI:-2.7~-0.5、p<0.005)、トラロキヌマブ+TCS群での調整平均変化-11.5(SE:0.4)及びプラセボ+TCS群で-9.9(SE:0.4)。
26週時点で、二次及び三次エスティマンドの一次解析、ならびに感度解析により、一次エスティマンドの一次解析と同じ結論が得られた(p<0.05、全解析)。16週時点で、二次及び三次エスティマンドの解析に基づく投与群間差は観察されなかった(p≧0.05、全解析)。
【0360】
医療資源利用
解析アプローチ(例えば、未返却のチューブから使用されたTCSをなしと仮定するかすべてと仮定するか)に関係なく、支給されたTCSの使用量は、26週間にわたってプラセボよりもトラロキヌマブの方が少なかった。
・累積TCS使用量は、15~16週(p=0.006)及び25~26週(p=0.002)で、プラセボに対してトラロキヌマブで少なかった。0~16週及び0~26週の期間にわたって、トラロキヌマブ投与被験者は、プラセボ投与被験者と比較して、支給されたTCSの使用が約30%少なかった。15~16週目では、トラロキヌマブ被験者の約60~65%及びプラセボの約50~55%がTCSを使用しなかったか、または一定限度の量(0~15g)を使用した。25~26週目では、パーセンテージは、トラロキヌマブで約55~60%及びプラセボで約45~50%であった。
・局所治療なしの平均日数(週平均)は、プラセボ+TCS群におけるより、トラロキヌマブ+TCS群ですでに3週目以降から多かった(p<0.05)。
・局所治療を5~7日間使用しなかった被験者の割合は、16週時(43.8%対21.1%の被験者、p<0.001)及び26週時(39.8%対24.1%、p=0.006)の両方で、トラロキヌマブでプラセボと比較して高かった。感度解析では、16週目及び26週目で同じ結論が得られた(p<0.05)。
【0361】
安全性成績
全体として、TCSと組み合わせた最大26週間のトラロキヌマブの投与は、忍容性が高く、CSAでの治療に不適格な重度のADを有する成人において許容可能な安全性プロファイルを示した。
【0362】
有害事象の総まとめ
・試験期間中及び投与群全体で、AEの発生率は、トラロキヌマブ+TCS及びプラセボ+TCS間で同等であった。報告されたAEの大部分は重篤ではなく、重症度は軽度または中等度であり、治験責任医師によってIMPとは関係がないと見なされ、ほとんどの事象は試験の終了までに回復した。
・投与期間(0週~26週)に、AEは、トラロキヌマブ+TCS(77.5%の被験者、100PYEあたり589.1事象)及びプラセボ+TCS(78.8%の被験者、100PYEあたり646.7事象、P=0.795)で同様の発生率及び割合で報告された。両投与群で、最も頻繁に報告されたAEのSOCは、各群の被験者の50%超における「感染症及び寄生虫症」であり、このSOC内で最も頻繁に報告されたPTは、トラロキヌマブ+TCSによる被験者の26.8%(100PYEあたり81.10事象)及びプラセボ+TCSによる被験者の25.5%(100PYEあたり70.33事象)における「ウイルス性上気道感染症」であった。SOC「神経系障害」では、トラロキヌマブ+TCS群の被験者の15.2%が100PYEあたり38.25事象の割合で「頭痛」を報告したのに対し、プラセボ+TCSでは被験者の9.5%が100PYEあたり27.52事象の割合で報告した。
・安全性追跡期間中、AEの発生前に、トラロキヌマブ+TCSを投与された被験者4人において4事象(5.3%、100PYEあたり33.95事象)及びプラセボ+TCSを投与された被験者6人において12事象(7.2%、100PYEあたり91.66事象)が報告され、いずれの群においても、SOCにもPTにもパターンはなかった。
【0363】
死亡、その他の重篤な有害事象、及びその他の臨床的に重要な事象
・試験中に死亡の報告はなかった。
・試験中にわずかのSAEが報告され(7人の被験者で合計11事象)、ほとんどの事象は、トラロキヌマブ+TCS(1人の被験者[0.7%]において1SAE、PT「虫垂炎」)ではなくプラセボ+TCSで生じた(6人の被験者[4.4%]で10SAE、事象の発生前に、プラセボ+TCSを投与された被験者1人において安全性追跡調査中に生じた1事象の「腎盂腎炎」を含む)。これら11のSAEのうち、6事象は重症(PT「虫垂炎」、「脳血管障害」、「発作」、「アナフィラキシー反応」、「アトピー性皮膚炎」、及び「腎盂腎炎」)であった。3つのSAEは、IMPの恒久的中止に至り(PT「脳血管障害」、「抑うつ気分」及び「自殺念慮」[すべてプラセボ+TCS])、このうち、事象「脳血管障害」は、試験からの離脱にも至った。これらの3つのSAEは、IMPに関連していると考えられ、他のSAEは、試験のIMPに関連していると評価されなかった。PT「末梢神経損傷」の事象の1人の被験者(「未回復(not recovered/not resolved)」)ならびに追跡調査を外れたために「未確認」として報告されたPT「抑うつ気分」及び「自殺念慮」の事象の1人の被験者を除いて、ほとんどの被験者は試験の終了までにSAEから回復した。
・投与期間中にIMPの恒久的中止に至ったAEはわずかであった(4人の被験者で合計5事象):トラロキヌマブ+TCSによる1人の被験者(0.7%)で1事象のPT「注射部位の痛み」及びプラセボ+TCSによる3人の被験者(2.2%)で4つのAE、このうち3つのAEが試験からの離脱に至った。これら5事象のうち、3つは重篤(PT:「脳血管障害」[重症]、「抑うつ気分」、「自殺念慮」[重症度は中等度])であり、2事象は、重篤ではなかった(PT:「アトピー性皮膚炎」[重症度は中等度]及び「注射部位の痛み」[重症度は軽度])。PT「アトピー性皮膚炎」の事象を除いて、すべての事象が恐らく/高い確実性でIMP関連と考えられた。IMPの恒久的中止に至った「脳血管障害」、「アトピー性皮膚炎」及び「注射部位の痛み」の事象はまた、投与期間中に試験からの離脱に至り、それらのアウトカムは、「回復(recovered/resolved)」として報告された。
・特に重要なAE(AESI)であるヘルペス性湿疹の2AEが、投与期間中にトラロキヌマブ+TCSによる1人の被験者で報告された。どちらの事象も重篤ではなく、重症度は軽度であり、IMPに関連している可能性があると考えられ、それらのアウトカムは、「回復(recovered/resolved)」と報告された。
・この試験では、ランダム化後に診断された悪性腫瘍のAESIは報告されていない。
・全身治療を必要とする皮膚感染症に関連する14のAESIが試験で報告された。トラロキヌマブ+TCSによる1人の被験者(0.7%)に1つのAESI(PT:「感染性皮膚炎」)及びプラセボ+TCSによる9人の被験者(6.6%)で13のAESI(安全性追跡調査期間中の1つのAESIを含む)。いずれも重篤でも重度でもなく、14中6事象はIMPに関連している可能性があると考えられた。試験の終了時「未回復(not resolved/not recovered)」と報告されたプラセボ+TCSにおける「ブドウ球菌皮膚感染症」の1事象を除いて、ほとんどの被験者は試験の終了までに事象から回復した。
・事前に定義された眼障害(結膜炎、角結膜炎、及び角膜炎)に関連する26のAESIがこの試験で報告された(すべて投与期間中に報告された)。事象の大部分は結膜炎として分類され、プラセボ+TCS(6人の被験者[4.4%]で8事象)よりトラロキヌマブ+TCS(13人の被験者[9.4%]で15事象)で頻度が高かった(PT「結膜炎」、「アレルギー性結膜炎」及び「ウイルス性結膜炎」)。角結膜炎(PT「アトピー性角結膜炎」)に分類される1事象がトラロキヌマブ+TCS群の1人の被験者(0.7%)で報告された。角膜炎に分類される2事象が報告された(各投与群で1人の被験者[0.7%]に1事象)。事前に定義された眼障害に関連するこれら26のAESIのうち、いずれも重篤でも重度でもなく、試験からの離脱に至ったものはなかった。26のうち11事象がIMPに関連していると考えられた。6つの事象(各投与群で3事象)を除くすべての事象のアウトカムは、試験の終了時、「回復(recovered/resolved)」または「軽快(recovering/resolving)」と報告された。
・注射部位反応に関連する17のAEが投与期間中に報告された(トラロキヌマブ+TCSによる9人の被験者で12事象及びプラセボ+TCSによる3人の被験者で5事象)。事象の大部分は「注射部位反応」であった。17事象のうち、重篤も重度もなかった。トラロキヌマブ+TCS群の1事象を除いて、「注射部位反応」による試験からの離脱は見られなかった。すべての事象がIMPに関連していると考えられ、それらのアウトカムは、「回復(recovered/resolved)」と報告された。
・スクリーニング期間中に報告された「好酸球数増加」の1事象(最初のIMP投与前に「回復(recovered/resolved)」)を除いて、好酸球増多のAEは試験中に報告されなかった。
【0364】
妊娠
試験中に妊娠は報告されなかった。
【0365】
臨床検査評価
・好酸球の値を除いて、試験中のいずれの投与群においても他の臨床的に関連する検査パラメータの変化は観察されなかった。
・ベースラインでは、好酸球の平均レベルは、トラロキヌマブ+TCS群(0.454×109/L[SD:0.355×109/L])及びプラセボ+TCS群(0.543×109/L[SD:0.410×109/L])の両方の被験者において正常範囲内であった。4週目から、好酸球の平均レベルは、プラセボ+TCSを投与された被験者よりトラロキヌマブ+TCSを投与された被験者で高いままであった。16週時、ベースラインからの平均変化は、トラロキヌマブ+TCSでは0.140×109/L(SD:0.459×109/L)であり、プラセボ+TCSでは-0.148×109/L(SD:0.305×109/L)であり、平均カウントは、トラロキヌマブ+TCSで0.593×109/L(SD:0.510×109/L)であり、プラセボ+TCSでは0.409×109/L(SD:0.262×109/L)であった。26週時、ベースラインからの平均変化は、トラロキヌマブ+TCSでは0.112×109/L(SD:0.465×109/L)であり、プラセボ+TCSでは-0.171×109/L(SD:0.365×109/L)であり、平均カウントは、トラロキヌマブ+TCSで0.565×109/L(SD:0.514×109/L)であり、プラセボ+TCSでは0.394×109/L(SD:0.317×109/L)であった。
【0366】
その他の安全性評価
・いずれの投与群においても、バイタルサイン、身体診察、または心電図に関連する所見に臨床的に関連する変化は観察されなかった。
被験者の大多数は、抗トラロキヌマブ抗体もnABも作らなかった。合計でトラロキヌマブ+TCS群の2人の被験者(1.4%)及びプラセボ+TCS群の3人の被験者(2.2%)がADA反応陽性であった。
【0367】
結論
本第3相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験では、CSAでの治療に不適格な重度のADを有する成人被験者において、TCSと組み合わせたトラロキヌマブの有効性及び安全性が実証された。この結果は、次の結論を裏付ける。
・16週時のEASI75反応率(主要評価項目)は、トラロキヌマブ+TCSで、プラセボ+TCSより統計的に有意に高く(p<0.05)、重度のADの治療において、トラロキヌマブ+TCSがプラセボ+TCSよりも優れていることが実証された。
・かゆみに対処する第一の副次的評価項目(ベースラインから16週目までの掻痒NRSの日内最高値の週平均の4以上の低下)は、統計的に有意ではなく(p=0.106)、残りの階層は確認できなかった。一方、確認逐次検定の階層に関係なく:
○16週時点で、トラロキヌマブ+TCSによる被験者の45.5%が、掻痒NRSの日内最高値の4点の低下を達成した(プラセボ+TCSでは16週時点で35.6%)(26週時点では、トラロキヌマブ+TCSで47.2%及びプラセボ+TCSでは39.7%)。
○ADに関連するADの重症度及び程度に対処する他の副次的評価項目(26週時点でのEASI75、16週/26週時点でのIGA0/1及び16週/26週時点でのSCORAD)ならびにHRQoL(16週/26週時点でのDLQI)測定値の改善は、トラロキヌマブ+TCSでプラセボ+TCSより大きかった(p<0.05)。
・支給されたTCSの使用量及び救済治療薬の使用量は、16週時点及び26週時点で、プラセボ投与被験者よりトラロキヌマブ投与被験者のほうが少なく、実証されたトラロキヌマブの有効性を裏付ける。プラセボ投与被験者よりも多くのトラロキヌマブ投与被験者が、16週及び26週の両時点で、局所治療を使用しない日を5~7日間有した。
・PRO(POEM、4点以上のPOEMの低下、EQ-5D-5L及びSF-36の身体的健康度尺度)は、トラロキヌマブ+TCSによってプラセボ+TCSよりも大きな改善を示し、被験者自身の治療効果の認識が、トラロキヌマブ+TCSで得られた実証された臨床反応(EASI75またはIGA0/1)に沿っていた。
・トラロキヌマブ+TCSは、忍容性が高く、CSAでの治療に不適格な重度のADを有する成人において許容可能な安全性プロファイルを示した。
【0368】
略語のリスト
AD、アトピー性皮膚炎
AE、有害事象
AESI、特に重要な有害事象
BSA、体表の病変部
CI、信頼区間
DLQI、皮膚の状態に関するアンケート
EASI、湿疹面積重症度指数
EASI-50、湿疹面積重症度指数スコアが少なくとも50%低下
EASI-75、湿疹面積重症度指数スコアが少なくとも75%低下
EASI-90、湿疹面積重症度指数スコアが少なくとも90%低下
EQ-5D-5L、ユーロコル5項目健康調査5レベル
FAS、最大の解析対象集団
HADS=病院における不安と抑うつに関する質問票
HRQoL 健康に関連した生活の質
IGA、治験責任医師による全般的評価
IGA-0/1、治験責任医師による全般的評価スコア0(消失)または1(ほぼ消失)
IMP、治験薬
IQR、四分位範囲
MedDRA、国際医薬用語集
NRS、数値評価スケール
PT、基本語
PYE、患者年
Q2W、隔週、すなわち、2週おき
Q4W、4週おき
R、率(AE数をPYEで除し、100を掛けたもの)
SAE、重篤な有害事象
SCORAD、アトピー性皮膚炎のスコアリング
SE、標準誤差
SF-36、短文式(36項目)健康状態調査票
TCS、局所コルチコステロイド。
【0369】
本発明の態様を説明する以下の番号付きの条項は、本明細書の一部である。
【0370】
1.対象におけるアトピー性皮膚炎(AD)の治療方法での使用のためのインターロイキン-13(IL-13)結合タンパク質であって、前記方法が、(a)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(b)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の15日~35日後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップを含む、前記IL-13結合タンパク質。
【0371】
2.アトピー性皮膚炎(AD)の治療を必要とする対象におけるその治療方法であって、(a)前記対象に対して、IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(b)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の15日~35日後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップを含む、前記方法。
【0372】
3.対象におけるアトピー性皮膚炎(AD)の治療のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用であって、その方法が、(a)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(b)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の15日~35日後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップを含む、前記使用。
【0373】
4.前記ADが、中等度から重度または重度のADである、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0374】
5.各第二の用量が、前記対象に対して、直前の用量の25日~31日後に投与される、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0375】
6.各第二の用量が、前記対象に対して、直前の用量の約4週後に投与される、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0376】
7.前記方法が、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも12週間、少なくとも3か月、少なくとも16週間、少なくとも24週間、少なくとも6か月、少なくとも32週間、少なくとも36週間、少なくとも1年、もしくは少なくとも52週間またはそれより長く行われる、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0377】
8.前記方法が、前記対象が低疾患状態に達するまで継続される、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0378】
9.前記ステップ(b)が、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも3か月、少なくとも16週間、少なくとも20週間、少なくとも24週間、少なくとも6か月、少なくとも28週間、少なくとも32週間、少なくとも36週間、少なくとも1年、もしくは少なくとも52週間またはそれより長く継続される、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0379】
10.前記方法が、(a)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の約300mgの第一の用量を投与するステップ、及び(b)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の約300mgの第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の約4週後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップを含む、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0380】
11.前記方法が、(a)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の約300mgの第一の用量を皮下投与するステップ、及び(b)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の約300mgの第二の用量(複数可)を皮下投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の約4週後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップを含む、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0381】
12.前記方法が、(a)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の約300mgの第一の用量を皮下投与するステップ、及び(b)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の約300mgの第二の用量(複数可)を皮下投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の約4週後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップを含み、前記方法が、約12週間行われる、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0382】
13.前記ステップ(a)の前に、前記方法が、さらに、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を前記対象に対して投与するステップを含む、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0383】
14.前記IL-13結合タンパク質の各事前の用量が、前記対象に対して、直前の事前の用量の3日~6週後に投与される、条項13に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0384】
15.前記ステップ(a)の前に、前記方法が、さらに、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を前記対象に対して約2週間、約4週間、約6週間、約8週間、約12週間、約16週間もしくは約20週間またはそれより長く投与することを含む、条項13または条項14に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0385】
16.前記方法が、以下のステップを含む、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用:
(i)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を2週間~36週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の3日~2週後に投与されるものである前記ステップ、
(ii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び
(iii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも8週間投与するステップ、ただし、前記IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の15日~35日後に前記対象に投与されるものである前記ステップ、
ここで、各用量は、IL-13結合タンパク質の約10~約600mgである。
【0386】
17.前記ステップ(b)に続いて、前記方法が、さらに、(c)前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第三の用量(複数可)を前記対象に対して投与するステップを含む、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0387】
18.前記IL-13結合タンパク質の各第三の用量が、直前の用量の1週~6週後に投与される、条項17に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0388】
19.前記IL-13結合タンパク質の前記1つ以上の第三の用量(複数可)の各々が、前記対象に対して、直前の用量の2週後に投与される、条項18に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0389】
20.前記方法が、以下のステップを含む、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用:
(i)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約8週間~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の12日~16日後に投与されるものである前記ステップ、
(ii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び
(iii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも12週間投与するステップ、ただし、前記IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の26日~30日後に前記対象に投与されるものである前記ステップ、
ここで、各用量は、IL-13結合タンパク質の約250~約350mgである。
【0390】
21.前記方法が、以下のステップを含む、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用:
(i)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約8週間~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の12日~16日後に投与されるものである前記ステップ、
(ii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び
(iii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも12週間投与するステップ、ただし、前記IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の26日~30日後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップ、ここで、前記1つ以上の事前の用量の第一の用量は、IL-13結合タンパク質の約600mgであり、前記1つ以上の事前の用量の前記第一の後に投与される各用量(事前の用量(複数可)、第一の用量、及び第二の用量(複数可))は、IL-13結合タンパク質の約300mgである。
【0391】
22.前記方法が、以下のステップを含む、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用:
(i)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約12週間~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の約2週後に投与されるものである前記ステップ、
(ii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び
(iii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも16週間投与するステップ、ただし、前記IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の約4週後に前記対象に投与されるものである前記ステップ、
ここで、各用量は、IL-13結合タンパク質の約300mgである。
【0392】
23.前記方法が、以下のステップを含む、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用:
(i)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約12週間~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の約2週後に投与されるものである前記ステップ、
(ii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び
(iii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも16週間投与するステップ、ただし、前記IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の約4週後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップ、ここで、前記1つ以上の事前の用量の第一の用量は、IL-13結合タンパク質の約600mgであり、前記1つ以上の事前の用量の前記第一の後に投与される各用量(事前の用量(複数可)、第一の用量、及び第二の用量(複数可))は、IL-13結合タンパク質の約300mgである。
【0393】
24.前記第一の用量、前記1つ以上の第二の用量(複数可)、前記1つ以上の事前の用量(複数可)及び/または前記1つ以上の第三の用量(複数可)が、IL-13結合タンパク質の約10mg~約600mgである、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0394】
25.前記第一の用量、前記第二の用量、前記1つ以上の事前の用量(複数可)及び/または前記1つ以上の第三の用量(複数可)が、IL-13結合タンパク質の約300mgである、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0395】
26.前記1つ以上の事前の用量の最初の用量及び/または前記1つ以上の第三の用量の最初の用量が、600mgの用量であり、前記600mgの用量に続く用量(複数可)が、300mgの用量(複数可)である、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0396】
27.中等度から重度または重度のADの対象における皮膚感染症の治療方法での使用のためのインターロイキン-13(IL-13)結合タンパク質であって、前記方法が、前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記IL-13結合タンパク質。
【0397】
28.中等度から重度または重度のADの対象における皮膚感染症の治療方法であって、前記対象に対して、治療有効量のIL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記方法。
【0398】
29.中等度から重度または重度のADの対象における皮膚感染症の治療のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用であって、前記皮膚感染症の治療方法が、前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記使用。
【0399】
30.前記方法が、(a)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(b)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の12日~35日後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップを含む、条項27~29のいずれかに記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0400】
31.前記方法が、条項5~26のいずれか1項に定義される、条項30に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0401】
32.前記ステップ(b)が、前記IL-13結合タンパク質の約300mgの1つ以上の第二の用量(複数可)を前記対象に対して投与することを含み、ここで、各第二の用量が、前記対象に対して、直前の用量の約2週後に投与される、条項31に記載の使用のための結合タンパク質、方法または使用。
【0402】
33.前記皮膚感染症の治療方法において、前記IL-13結合タンパク質が局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されない、条項27~32のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0403】
34.前記皮膚感染症が、細菌感染症である、条項27~33のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0404】
35.前記皮膚感染症が、ウイルス感染症である、条項27~33のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0405】
36.前記皮膚感染症が、Staphylococcus aureus感染症、Streptococcus感染症、膿痂疹、蜂巣炎、感染性皮膚炎、ヘルペス性湿疹、毛包炎、感染性水疱、真菌症及び癜風からなる群から選択される、条項27~35のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0406】
37.前記皮膚感染症が、Staphylococcus aureus感染症である、条項36に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0407】
38.前記対象に対して、第二の治療薬が、前記IL-13結合タンパク質の前、後またはそれと同時に投与される、条項27~37のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0408】
39.前記第二の治療薬が、抗細菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、別のIL-13アンタゴニスト、IgE阻害剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、及びIFNγからなる群から選択される、条項38に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0409】
40.前記方法が、以下のステップを含む、条項27~39のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用:
(i)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約8週間~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の12日~16日後に投与されるものである前記ステップ、
(ii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び
(iii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも12週間投与するステップ、ただし、前記IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の12日~16日後または直前の用量の26日~30日後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップ、ここで、前記1つ以上の事前の用量の第一の用量は、IL-13結合タンパク質の約600mgであり、前記1つ以上の事前の用量の前記第一の後に投与される各用量(事前の用量(複数可)、第一の用量、及び第二の用量(複数可))は、IL-13結合タンパク質の約300mgである。
【0410】
41.前記方法が、以下のステップを含む、条項27~40のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用:
(i)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約12週間~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の約2週後に投与されるものである前記ステップ、
(ii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び
(iii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも16週間投与するステップ、ただし、前記IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の約2週後または約4週後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップ、ここで、前記1つ以上の事前の用量の第一の用量は、IL-13結合タンパク質の約600mgであり、前記1つ以上の事前の用量の前記第一の後に投与される各用量(事前の用量(複数可)、第一の用量、及び第二の用量(複数可))は、IL-13結合タンパク質の約300mgである。
【0411】
42.中等度から重度または重度のADの対象における掻痒の治療方法での使用のためのIL-13結合タンパク質であって、前記方法が、前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記IL-13結合タンパク質。
【0412】
43.中等度から重度または重度のADの対象における掻痒の治療方法であって、前記対象に対して、IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記方法。
【0413】
44.中等度から重度または重度のADの対象における掻痒の治療のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用であって、前記掻痒の治療方法が、前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記使用。
【0414】
45.前記方法が、(a)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(b)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の12日~35日後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップを含む、条項42~44のいずれかに記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0415】
46.前記方法が、条項5~26のいずれか1項に定義される、条項45に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0416】
47.前記ステップ(b)が、前記IL-13結合タンパク質の約300mgの1つ以上の第二の用量(複数可)を前記対象に対して投与することを含み、ここで、各第二の用量が、前記対象に対して、直前の用量の約2週後に投与される、条項46に記載の使用のための結合タンパク質、方法または使用。
【0417】
48.前記掻痒の治療方法において、前記IL-13結合タンパク質が局所コルチコステロイドと組み合わせて投与されない、条項42~47のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0418】
49.前記方法が、以下のステップを含む、条項42~48のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用:
(i)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約8週間~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の12日~16日後に投与されるものである前記ステップ、
(ii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び
(iii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも12週間投与するステップ、ただし、前記IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の12日~16日後または直前の用量の26日~30日後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップ、ここで、前記1つ以上の事前の用量の第一の用量は、IL-13結合タンパク質の約600mgであり、前記1つ以上の事前の用量の前記第一の後に投与される各用量(事前の用量(複数可)、第一の用量、及び第二の用量(複数可))は、IL-13結合タンパク質の約300mgである。
【0419】
50.前記方法が、以下のステップを含む、条項42~49のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用:
(i)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約12週間~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の約2週後に投与されるものである前記ステップ、
(ii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び
(iii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも16週間投与するステップ、ただし、前記IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の約2週後または約4週後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップ、ここで、前記1つ以上の事前の用量の第一の用量は、IL-13結合タンパク質の約600mgであり、前記1つ以上の事前の用量の前記第一の後に投与される各用量(事前の用量(複数可)、第一の用量、及び第二の用量(複数可))は、IL-13結合タンパク質の約300mgである。
【0420】
51.前記方法により、掻痒数値化スケール(NRS)の日内最高値のベースライン、例えば、前記IL-13結合タンパク質による治療前からの少なくとも1点の低下、少なくとも2点の低下、少なくとも3点の低下または少なくとも4点の低下が達成される、条項42~50のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0421】
52.中等度から重度または重度のADの対象における湿疹関連睡眠妨害の治療方法での使用のためのIL-13結合タンパク質であって、前記方法が、前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記IL-13結合タンパク質。
【0422】
53.中等度から重度または重度のADの対象における湿疹関連睡眠妨害の治療方法であって、前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記方法。
【0423】
54.中等度から重度または重度のADの対象における湿疹関連睡眠妨害の治療のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用であって、前記湿疹関連睡眠妨害の治療方法が、前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記使用。
【0424】
55.前記方法が、(a)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(b)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の12日~35日後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップを含む、条項52~54のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0425】
56.前記ステップ(b)が、前記IL-13結合タンパク質の約300mgの1つ以上の第二の用量(複数可)を前記対象に対して投与することを含み、ここで、各第二の用量が、前記対象に対して、直前の用量の約2週後に投与される、条項55に記載の使用のための結合タンパク質、方法または使用。
【0426】
57.前記方法が、条項5~26のいずれか1項に定義される、条項56に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0427】
58.前記方法が、以下のステップを含む、条項54~56のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用:
(i)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約8週間~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の12日~16日後に投与されるものである前記ステップ、
(ii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び
(iii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも12週間投与するステップ、ただし、前記IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の12日~16日後または直前の用量の26日~30日後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップ、ここで、前記1つ以上の事前の用量の第一の用量は、IL-13結合タンパク質の約600mgであり、前記1つ以上の事前の用量の前記第一の後に投与される各用量(事前の用量(複数可)、第一の用量、及び第二の用量(複数可))は、IL-13結合タンパク質の約300mgである。
【0428】
59.前記方法が、以下のステップを含む、条項54~57のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用:
(i)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約12週間~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の約2週後に投与されるものである前記ステップ、
(ii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び
(iii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも16週間投与するステップ、ただし、前記IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の約2週後または約4週後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップ、ここで、前記1つ以上の事前の用量の第一の用量は、IL-13結合タンパク質の約600mgであり、前記1つ以上の事前の用量の前記第一の後に投与される各用量(事前の用量(複数可)、第一の用量、及び第二の用量(複数可))は、IL-13結合タンパク質の約300mgである。
【0429】
60.前記方法により、湿疹関連睡眠妨害のベースライン、例えば、前記IL-13結合タンパク質による治療前と比較した少なくとも0.4点の低下、少なくとも1点の低下、少なくとも2点の低下または少なくとも4点の低下が達成される、条項52~59のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0430】
61.中等度から重度または重度のADの対象における不安及び/またはうつ病の治療方法での使用のためのIL-13結合タンパク質であって、前記方法が、前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記IL-13結合タンパク質。
【0431】
62.中等度から重度または重度のADの対象における不安及び/またはうつ病の治療方法であって、前記対象に対して、IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記方法。
【0432】
63.中等度から重度または重度のADの対象における不安及び/またはうつ病の治療のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用であって、前記不安及び/またはうつ病の治療方法が、前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記使用。
【0433】
64.前記方法が、(a)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(b)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の12日~35日後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップを含む、条項53~55のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0434】
65.前記ステップ(b)が、前記IL-13結合タンパク質の約300mgの1つ以上の第二の用量(複数可)を前記対象に対して投与することを含み、ここで、各第二の用量が、前記対象に対して、直前の用量の約2週後に投与される、条項64に記載の使用のための結合タンパク質、方法または使用。
【0435】
66.前記方法が、条項5~26のいずれか1項に定義される、条項65に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0436】
67.前記方法が、以下のステップを含む、条項61~66のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用:
(i)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約8週間~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の12日~16日後に投与されるものである前記ステップ、
(ii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び
(iii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも12週間投与するステップ、ただし、前記IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の12日~16日後または直前の用量の26日~30日後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップ、ここで、前記1つ以上の事前の用量の第一の用量は、IL-13結合タンパク質の約600mgであり、前記1つ以上の事前の用量の前記第一の後に投与される各用量(事前の用量(複数可)、第一の用量、及び第二の用量(複数可))は、IL-13結合タンパク質の約300mgである。
【0437】
68.前記方法が、以下のステップを含む、条項61~67のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用:
(i)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約12週間~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の約2週後に投与されるものである前記ステップ、
(ii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び
(iii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも16週間投与するステップ、ただし、前記IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の約2週後または約4週後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップ、ここで、前記1つ以上の事前の用量の第一の用量は、IL-13結合タンパク質の約600mgであり、前記1つ以上の事前の用量の前記第一の後に投与される各用量(事前の用量(複数可)、第一の用量、及び第二の用量(複数可))は、IL-13結合タンパク質の約300mgである。
【0438】
69.前記対象における不安及び/またはうつ病が、病院における不安と抑うつに関する質問票(HADS)によって判断される、条項61~68のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0439】
70.前記対象が、ベースラインのスコア8以上を有する、条項69に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0440】
71.前記方法により、HADSスコアのベースライン、例えば、前記IL-13結合タンパク質による治療前と比較した少なくとも1点の低下、少なくとも2点の低下、少なくとも3点の低下または少なくとも4点の低下が達成される、条項69または70に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0441】
72.中等度から重度または重度のADの対象における健康状態及び/または生活の質の改善方法での使用のためのIL-13結合タンパク質であって、前記方法が、前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記IL-13結合タンパク質。
【0442】
73.中等度から重度または重度のADの対象における健康状態及び/または生活の質の改善方法であって、前記対象に対して、IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記方法。
【0443】
74.中等度から重度または重度のADの対象における健康状態及び/または生活の質の改善のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用であって、前記健康状態及び/または生活の質の改善方法が、前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質を投与することを含む、前記使用。
【0444】
75.前記方法が、(a)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(b)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の12日~35日後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップを含む、条項72~74のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0445】
76.前記ステップ(b)が、前記IL-13結合タンパク質の約300mgの1つ以上の第二の用量(複数可)を前記対象に対して投与することを含み、ここで、各第二の用量が、前記対象に対して、直前の用量の約2週後に投与される、条項75に記載の使用のための結合タンパク質、方法または使用。
【0446】
77.前記方法が、条項5~26のいずれか1項に定義される、条項56に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0447】
78.前記方法が、以下のステップを含む、条項75~77のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用:
(i)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約8週間~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の12日~16日後に投与されるものである前記ステップ、
(ii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び
(iii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも12週間投与するステップ、ただし、前記IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の12日~16日後または直前の用量の26日~30日後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップ、ここで、前記1つ以上の事前の用量の第一の用量は、IL-13結合タンパク質の約600mgであり、前記1つ以上の事前の用量の前記第一の後に投与される各用量(事前の用量(複数可)、第一の用量、及び第二の用量(複数可))は、IL-13結合タンパク質の約300mgである。
【0448】
79.前記方法が、以下のステップを含む、条項75~78のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用:
(i)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約12週間~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の約2週後に投与されるものである前記ステップ、
(ii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び
(iii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも16週間投与するステップ、ただし、前記IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の約2週後または約4週後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップ、ここで、前記1つ以上の事前の用量の第一の用量は、IL-13結合タンパク質の約600mgであり、前記1つ以上の事前の用量の前記第一の後に投与される各用量(事前の用量(複数可)、第一の用量、及び第二の用量(複数可))は、IL-13結合タンパク質の約300mgである。
【0449】
80.前記対象の健康状態及び/または生活の質が、前記対象のSF-36スコアによって判断される、条項72~79のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0450】
81.前記SF-36スコアが、SF-36身体的コンポーネントスコア及び/またはSF-36精神的コンポーネントスコアである、条項80に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0451】
82.前記方法により、ベースライン、例えば、前記IL-13結合タンパク質による治療の前と比較して、SF-36身体的健康度スコアの少なくとも4点の増加及び/またはSF-36精神的健康度スコアの少なくとも2点の増加が達成される、条項80または81に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0452】
83.前記対象の健康状態及び/または生活の質が、前記対象のEQ-5D-5Lスコアによって判断される、条項72~82のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0453】
84.前記方法により、ベースライン、例えば、前記IL-13結合タンパク質による治療の前と比較して、EQ-5D-5L指数スコアの少なくとも0.2点の増加が達成される、条項83に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0454】
85.前記対象の健康状態及び/または生活の質が、前記対象のDLQIスコアによって判断される、条項72~84のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0455】
86.前記方法により、ベースライン、例えば、前記IL-13結合タンパク質による治療の前と比較して、DLQIスコアの少なくとも4点の低下が達成される、条項85に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0456】
87.前記対象の健康状態及び/または生活の質が、前記対象のPGI-Bスコアによって判断される、条項72~86のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0457】
88.前記方法により、ベースライン、例えば、前記IL-13結合タンパク質による治療の前と比較して、PGI-Bスコアの少なくとも1点の低下が達成される、条項87に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0458】
89.前記IL-13結合タンパク質の各用量が、1回または2回の注射で投与される、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0459】
90.各注射が約1mLの体積を有する、条項89に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0460】
91.前記IL-13結合タンパク質の各用量が、皮下投与される、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0461】
92.前記IL-13結合タンパク質の各用量が、50mMの酢酸ナトリウム緩衝液、85mMの塩化ナトリウム、0.01%(w/v)のポリソルベート80を含む医薬組成物として投与され、前記医薬組成物が、pH5.5を有する、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0462】
93.前記IL-13結合タンパク質が、抗IL-13抗体、またはそのIL-13結合断片である、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0463】
94.前記IL-13結合タンパク質が、モノクローナル抗IL-13抗体、またはそのIL-13結合断片である、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0464】
95.前記IL-13結合タンパク質が、ヒト抗IL-13抗体、またはそのIL-13結合断片である、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0465】
96.前記IL-13抗体が、IgG4抗体である、条項の93~95のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0466】
97.前記IL-13結合断片が、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、Fv、単鎖Fv(scFv)、またはジスルフィド結合Fv(sdFv)から選択される、条項93~96のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0467】
98.前記抗IL-13抗体、またはそのIL-13結合断片が、以下を含む、条項93~97のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用:
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、
配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域2(HCDR2)、
配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(HCDR3)、
配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、
配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2(LCDR2)、及び
配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3(LCDR3)。
【0468】
99.前記抗IL-13抗体、またはそのIL-13結合断片が、重鎖可変領域(HCVR)及び軽鎖可変領域(LCVR)を含む、条項93~98のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用であって、
(i)前記重鎖可変領域が、
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、
配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域2(HCDR2)、及び
配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(HCDR3)を含み、
(ii)前記軽鎖可変領域が、
配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、
配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2(LCDR2)、及び
配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3(LCDR3)を含む、
前記使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0469】
100.前記抗IL-13抗体、またはそのIL-13結合断片が、さらに、
(i)配列番号8の重鎖可変領域配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、及び/または
(ii)配列番号10の軽鎖可変領域配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む、条項93~99のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0470】
101.前記抗IL-13抗体、またはそのIL-13結合断片が、配列番号8の重鎖可変領域配列及び配列番号10の軽鎖可変領域配列を含む、条項93~100のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0471】
102.前記抗IL-13抗体、またはそのIL-13結合断片が、(i)配列番号11の重鎖配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、及び/または(ii)配列番号12の軽鎖配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む、条項93~101のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0472】
103.前記抗IL-13抗体、またはそのIL-13結合断片が、配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖配列を含む、条項93~102のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0473】
104.前記IL-13結合タンパク質が、単剤療法として投与される、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0474】
105.前記IL-13結合タンパク質が、局所コルチコステロイド、局所カルシニューリン阻害剤、抗ヒスタミン剤、皮膚軟化剤、または抗細菌治療薬からなる群から選択される第二の治療薬と組み合わせて投与される、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0475】
106.前記IL-13結合タンパク質が、局所コルチコステロイドと組み合わせて投与される、条項105に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0476】
107.重度のADの対象の治療方法での使用のためのインターロイキン-13(IL-13)結合タンパク質であって、前記ADが、シクロスポリンAによって適切に制御されないか、または前記対象が、シクロスポリンAの禁忌を有し、前記方法が、前記IL-13結合タンパク質を前記対象に投与することを含む、前記IL-13結合タンパク質。
【0477】
108.重度のADの対象の治療方法であって、前記ADが、シクロスポリンAによって適切に制御されないか、または前記対象が、シクロスポリンAの禁忌を有し、前記方法が、治療有効量のIL-13結合タンパク質を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【0478】
109.重度のADの対象の治療のための薬剤の製造におけるIL-13結合タンパク質の使用であって、前記ADが、シクロスポリンAによって適切に制御されないか、または前記対象が、シクロスポリンAの禁忌を有し、前記ADの治療方法が、前記IL-13結合タンパク質を前記対象に投与することを含む、前記使用。
【0479】
110.前記方法が、(a)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び(b)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を投与するステップ、ただし、各第二の用量が、直前の用量の12日~35日後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップを含む、条項107~109のいずれかに記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0480】
111.前記方法が、条項5~26、89~92、及び104~106のいずれか1項に定義される、条項110に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0481】
112.前記IL-13結合タンパク質が、条項93~103のいずれか1項に定義される、条項110に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0482】
113.前記ステップ(b)が、前記IL-13結合タンパク質の約300mgの1つ以上の第二の用量(複数可)を前記対象に対して投与することを含み、ここで、各第二の用量が、前記対象に対して、直前の用量の約2週後に投与される、条項110に記載の使用のための結合タンパク質、方法または使用。
【0483】
114.前記方法が、以下のステップを含む、条項107~113のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用:
(i)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約8週間~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の12日~16日後に投与されるものである前記ステップ、
(ii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び
(iii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも12週間投与するステップ、ただし、前記IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の12日~16日後または直前の用量の26日~30日後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップ、ここで、前記1つ以上の事前の用量の第一の用量は、IL-13結合タンパク質の約600mgであり、前記1つ以上の事前の用量の前記第一の後に投与される各用量(事前の用量(複数可)、第一の用量、及び第二の用量(複数可))は、IL-13結合タンパク質の約300mgである。
【0484】
115.前記方法が、以下のステップを含む、条項107~114のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用:
(i)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の事前の用量(複数可)を約12週間~16週間投与するステップ、ただし、各事前の用量が、直前の用量の約2週後に投与されるものである前記ステップ、
(ii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の第一の用量を投与するステップ、及び
(iii)前記対象に対して、前記IL-13結合タンパク質の1つ以上の第二の用量(複数可)を少なくとも16週間投与するステップ、ただし、前記IL-13結合タンパク質の各第二の用量が、直前の用量の約2週後または約4週後に前記対象に対して投与されるものである前記ステップ、ここで、前記1つ以上の事前の用量の第一の用量は、IL-13結合タンパク質の約600mgであり、前記1つ以上の事前の用量の前記第一の後に投与される各用量(事前の用量(複数可)、第一の用量、及び第二の用量(複数可))は、IL-13結合タンパク質の約300mgである。
【0485】
116.前記IL-13結合タンパク質が、局所コルチコステロイドと組み合わせて投与される、条項107~115のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0486】
117.前記方法により、
a.湿疹面積重症度指数のベースラインと比較した50%以上の改善(EASI-50)、
b.IGAスコアのベースラインと比較した少なくとも2点の低下、
c.POEMスコアのベースラインと比較した少なくとも4点の低下、
d.掻痒数値化スケール(NRS)の日内最高値のベースラインと比較した少なくとも1点の低下、少なくとも2点の低下、少なくとも3点の低下もしくは少なくとも4点の低下、
e.湿疹関連睡眠妨害のベースラインと比較した少なくとも0.4点の低下、
f.病院における不安と抑うつに関する質問票(HADS)スコアのベースラインと比較した少なくとも1点の低下、少なくとも2点の低下、少なくとも3点の低下もしくは少なくとも4点の低下、
g.SF-36身体的健康度スコアのベースラインと比較した少なくとも4点の増加及び/またはSF-36精神的健康度スコアのベースラインと比較した少なくとも2点の増加、
h.EQ-5D-5L指数スコアのベースラインと比較した少なくとも0.2点の増加、
i.DLQIスコアのベースラインと比較した少なくとも4点の低下、及び/または
j.PGI-Bスコアのベースラインと比較した少なくとも1点の低下が達成される、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【0487】
118.前記方法が、皮膚感染症(例えば、Staphylococcus aureus感染症)、掻痒、湿疹関連睡眠妨害、不安及び/またはうつ病の治療のためであるか、または健康状態及び/または生活の質を改善するためのものである、先行する条項のいずれか1項に記載の使用のためのIL-13結合タンパク質、方法または使用。
【配列表】
【国際調査報告】