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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-10
(54)【発明の名称】ロック装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 17/20 20060101AFI20230803BHJP
   E05B 65/00 20060101ALI20230803BHJP
   E05B 65/46 20170101ALI20230803BHJP
   E05B 65/44 20060101ALI20230803BHJP
   E05C 3/04 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
E05B17/20 F
E05B65/00 D
E05B65/46
E05B65/44 A
E05C3/04 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580414
(86)(22)【出願日】2021-06-18
(85)【翻訳文提出日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 EP2021066568
(87)【国際公開番号】W WO2021259776
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】202020103687.4
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522499759
【氏名又は名称】ブルク・リューリング・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト
(71)【出願人】
【識別番号】521244938
【氏名又は名称】ウーエスエム ウー.シェーラー ゼーネ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】バックハウス・ディルク
(72)【発明者】
【氏名】リュティ・クリスティアン
(57)【要約】
本発明は、不正な作用に対して高いレベルで抵抗し、特に高いトルクを吸収できる、改善された、戸棚の扉、ボックス又は引出しを閉鎖するロック装置に関する。このために、手動で又は電子的に運動可能な調整部材と、調整部材と協働する連行体(40)と、ブロック部材(50)とを有する連結ユニットが用いられる。ブロック部材(50)は、円筒の形状を有し、円筒の円筒軸線は、ロータ軸線(19)に対して平行に延在する。ブロック部材(50)は、そのブロック位置で、ロータ(10)の外側における凹部(17)に又はステータ(20)の壁部(21)の内側における凹部(22)に進入し、ばね力によって、このブロック位置に保持される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸棚の扉、ボックス又は引出しを閉鎖するロック装置であって、
ポット状のハウジングシェルを形成する、すなわち扉に載着可能な底部と底部を包囲する壁部(21)とを有する、扉に取り付けるためのステータ(20)と、
ロータ(10)であって、回動自在にステータ(20)に支持されていて、扉側の端部で、ロック要素(70)に結合可能であり、これによりロータを動かすことによって、ロック要素(70)がロック位置から解除位置へ動かされる、ロータ(10)と、
ブロック位置と解放位置との間を運動可能であり、ブロック部材(50)の解放位置でのみロータ(10)の運動が可能である、ブロック部材(50)と、
を備える、ロック装置において、
ロータ(10)の不正な回動を阻止する連結ユニット(30、40、50)が設けられていて、
連結ユニット(30、40、50)は、手動で又は電子的に運動可能な調整部材(30)と、調整部材(30)と協働する連行体(40)と、ブロック部材(50)とを有し、
ブロック部材(50)は、円筒の形状を有し、円筒軸線は、ロータ軸線(19)に対して平行に延在し、ブロック部材(50)は、ブロック位置で、ロータ(10)の外側における凹部(17)に又はステータ(20)の壁部(21)の内側における凹部(22)に進入し、ばね力によって、ブロック位置に保持され、
ロータ(10)の運動を解放するために、調整部材(30)は、連行体(40)に連結可能であり、ブロック部材(50)は、ばね力に抗して、凹部(17、22)から解放位置へ摺動可能である
ことを特徴とする、ロック装置。
【請求項2】
解放位置では、ブロック部材(50)は、径方向に作用するばね(60、61)の力に抗して、ロータ側の凹部(17)からステータ側の凹部(22)へ又はステータ側の凹部(22)からロータ側の凹部(17)へ摺動されることを特徴とする、請求項1に記載のロック装置。
【請求項3】
連行体(40)の運動軌道は、ステータ(20)の壁部(21)の内面に沿って延在し、長手方向の拡がりが、連行体(40)の運動軌道に適合して湾曲していることを特徴とする、請求項1又は2に記載のロック装置。
【請求項4】
連行体(40)は、ブロック部材(50)の幅の径方向に延在する通路(44)を有し、通路(44)の側面は、連行体(40)の運動時又はロータ(10)の運動時にブロック部材(50)の摺動をもたらす当接面(45、46)として構成されていることを特徴とする、請求項3に記載のロック装置。
【請求項5】
ブロック部材(50)のブロック位置とは反対側のステータ側の凹部(22)又はロータ側の凹部(17)は、凹部出口に両側で当接傾斜部(271、272;171、172)を有し、当接傾斜部(271、272;171、172)同士の間隔は、ロータ(10)の運動遊びを可能にすることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項6】
連行体(40)は、調整部材(30)の係合のための溝(47)を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項7】
調整部材(30)は、ロータ(10)の外側に可動に支持されていて、ロータ(10)の運動を解放するために連行体(40)に連結可能であり、連行体(40)は、連結した位置で位置保持され、ロータ(10)の回動運動によって、ブロック部材(50)は、ロータ側の凹部(17)からステータ側の凹部(22)に摺動可能であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項8】
分離した位置で、連行体(40)は、ブロック部材(50)がステータ側の凹部(22)の当接面(271、272)に当接するまで運動可能であることを特徴とする、請求項7に記載のロック装置。
【請求項9】
ブロック部材(50)に作用するばね(61)が、ステータ(20)に支持されていて、ステータ(20)は、好ましくは対応するばねストッパ(26、26’)を有することを特徴とする、請求項7又は8に記載のロック装置。
【請求項10】
調整部材(30)が、ロータ(10)に可動に支持されているとともに、ロータ(10)の運動を解放するために連行体(40)に結合可能であり、連行体(40)は、連結した位置で、ロータ(10)と共に運動可能であり、ロータ(10)の回動運動によって、ブロック部材(50)は、ステータ側の凹部(22)からロータ側の凹部(17)に摺動可能であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項11】
分離した位置で、ロータ(10)は、ブロック部材(50)がロータ側の凹部(17)の当接面(171、172)に当接するまで運動可能であることを特徴とする、請求項10に記載のロック装置。
【請求項12】
調整部材(30)は、径方向に摺動可能にロータ(10)に支持されていて、調整部材(30)は、ロータ(10)のガイド収容部(14)に運動可能に支持されていて、好ましくは、調整部材(30)のガイドを改善するために、ロータ(10)の底面の上面(11)から突出するガイドウェブ(13)が設けられていることを特徴とする、請求項10又は11に記載のロック装置。
【請求項13】
ロータ(10)は、底面を有し、底面の下面(12)に、径方向に整列されたクロスバー(15)が位置し、クロスバー(15)は、ポット状のステータ(20)の内側に突出し、ステータ(20)の壁部(21)に面する端部で、ロータ(10)の運動時にブロック部材(50、50’)を保持する凹部(17、17’)を有することを特徴とする、請求項10から12のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項14】
ロータ(10)のクロスバー(15)の端部が、連行体(40)の運動軌道まで延在し、ロータ(10)は、底面に、縁側のスロット(18)を有し、スロット(18)は、連行体(40)の運動軌道に沿って延在し、連行体(40)は、上部(41)でもって、スロット(18)に下方から貫通係合することを特徴とする、請求項13に記載のロック装置。
【請求項15】
連行体のガイドを改善するために、連行体(40)の下部(43)が延長されていて、運動軌道に沿って、ロータ(10)の縁側のスロット(18)の長さよりも大きな長さにわたって延在することを特徴とする、請求項14に記載のロック装置。
【請求項16】
ブロック部材(50)に作用するばね(60)が、クロスビーム(15)に設けられたばね収容部(16)に収容されていることを特徴とする、請求項13から15のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項17】
2つのブロック部材(50、50’)が設けられていて、ブロック部材(50、50’)は、ブロック位置で、直径方向に互いに反対側に位置する凹部(17、17’;22、22’)に位置することを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項18】
3つ以上の凹部(17、17’;22、22’)が、ロータ(10)に又はステータ(20)に設けられていることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項19】
回動を制限するためのストッパ(23)が、ステータ(20)に配置されていることを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項20】
ロータ(10)の外面は、ステータ(20)の外面と整合していることを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項21】
ロータ(10)が、直接に、ロック要素(70)に、例えばラッチに結合されている、又はロータ(10)が、間接に、例えば駆動輪を介して、ロック要素(70)に結合されることを特徴とする、請求項1から20のいずれか一項に記載のロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、戸棚の扉、ボックス又は引出しを閉鎖するロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
扉にロック装置を設けることが知られている。ロック装置のロック要素は、戸棚、ボックス、又はロックされるべき引出しにおける対応する受け座と協働する。その際、ロック要素は、ラッチでもスライドロッドでもよい。扉の不正な開錠を阻止するために、さらに、ロック装置に、例えば閉鎖シリンダ又は電子錠などの機械式錠を装着し、権限のある者だけにアクセス又はアプローチを許可することが知られている。このような閉鎖装置は、高い安全性を有する。そこで、権限のない者がロック要素を回す又は摺動させることによってロック装置を開錠しようと試みる。外部からのそのような不正な作用があると、ロック装置は、これに対して大いに抵抗できなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の課題は、ロック装置に対する不正な作用に対して高いレベルで抵抗し、特に高いトルクを吸収できる、改善されたロック装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、請求項1の特徴を有するロック装置によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0005】
戸棚、ボックス又は引出しの扉を閉鎖する新しいロック装置は、扉に取り付けるためのハウジングを有し、ハウジングは、ロック装置のステータを形成するとともに、ポット状に構成されている、すなわち扉に載着可能な、扉板に取り付けられる底部を有する。ロック要素は、扉の他の側で、戸棚、ボックス又は閉鎖されるべき引出し設けられた受け座と公知の形で協働する。ロータは、直接に又は間接に、運動可能なロック要素に結合されている。両回動方向にロータが動くことによって、ロック要素は、ロック位置から解除位置へ動かされる、又はロック位置へ戻される。このために、ロータが、ハウジングに回動自在に支持されている。新しいロック装置は、連結ユニットを有し、この場合、ブロック機構が、ロータの不正な回動を阻止し、ひいてはロック要素の回動も阻止する。そのために、連結ユニットは、手動で又は電子的に調整可能な調整部材と、運動可能な連行体と、ブロック部材とを有する。ブロック位置と解放位置との間を摺動可能であるブロック部材が、その解放位置でのみ、ロータの運動を可能にする。調整部材は、2つの位置、すなわち分離した静止位置(そこではブロック部材によってロータの回動運動が阻止される)と、連結した位置(そこではロータの運動が可能である)とを有する。
【0006】
ブロック部材は、円筒の形状を有し、この場合、円筒軸線は、ロータ軸に対して平行に延在する。ブロック位置で、ブロック部材は、ステータの壁部の内側に又はロータの外側に設けられた凹部に進入する。この半月状の凹部の大きさは、ブロック部材の円筒半径に適合されている。ブロック位置では、ブロック部材は、ばね力によってこの凹部に押し付けられ、好ましくは、ブロック部材は、その1/3未満がこの凹部に位置する。この場合、ばね力は、ばねによって及ぼされる。ばねは、ロータ軸線に対して径方向にばね力を及ぼす。凹部がステータに設けられているとき、ブロック部材に対するばねが、ロータに保持されている。凹部がロータに設けられているとき、ばねは、ステータに保持されている。
【0007】
ロータの運動を解放するために、権限のあるユーザは、調整部材を、分離した静止位置から連結した連結した位置へと変位できる。連結した位置では、この調整部材は、連行体に連結されている。
【0008】
一実施形態では、調整部材が、ロータに支持されていて、この場合、ロータが回転すると、連行体が、調整部材との連結によって連動させられる。連行体は、ブロック部材を、ブロック位置から解放位置へ摺動させる。その際、ブロック部材は、連行体によって、作用するばね力に抗してステータ側の凹部から摺動させられ、ロータに収容される。ブロック部分を動かすために、連行体は、ロータの下方に配置された下部に、径方向に延在する通路を有し、通路は、ブロック部分のブロック位置で、ブロック部分によって占められている。特別な形で、通路の平行な側面は、ブロック部材に対する当接面として作用する。側面は、ブロック部材を、ステータ側の凹部から外へ出す。というのも、側面は、円筒形のブロック部分の頂点に作用するからである。連行体が動かされると、ばね力に抗するステータ側の凹部からのブロック部材の摺動がもたらされ、ロータの回動が可能になる。当接面は、係止解除モーメントを小さくするために、面取りされてもよい。
【0009】
別の一実施形態では、調整部材は、ロック装置のステータに又はハウジングに支持されていて、連行体の溝に係合し、これにより連行体が保持され、この場合、ロータが回動すると、ブロック部材が、そのブロック位置から解放位置へと摺動させられる。ブロック部材は、この場合、作用するばね力に抗して、ロータ側の凹部からステータ側の凹部に摺動させられ、そこで収容される。連行体は、この場合でも、径方向に延在する通路を有し、通路は、ブロック部分のブロック位置でブロック部分によって占められている。特別な形で、通路の平行な側面は、ブロック部材に対する当接面として作用する。側面は、ブロック部材を、ロータが動くとき、ロータ側の凹部から外へ出す。というのも、側面が、円筒形のブロック部材の頂点に作用するからである。
【0010】
前述の連結は、扉の解除又はロックを可能にする。しかも、分離した位置では、ロック要素を起点としてロータの方へ向かうトルク伝達がブロックされる。そのように不正にロータを回動させようと試みると、トルクが発生させられ、トルクは、ブロック部分がロータ側の又はステータ側の傾斜した当接面に押し付けられ、したがって、ブロック部分が、ばね力に対して付加的に、径方向にそのブロック位置に押し退けられるように働く。そのような作用のときにロック装置の破壊を阻止するために、ロータに対する相応の運動遊びが設けられる。
【0011】
以下、本発明の2つの実施形態を、図面に基づいて説明する。同一の要素には、異なる実施形態においても同一の符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ロータカバーがない状態でロック装置を斜めから見た図である。
図2】ステータの底面がない状態でロックされた第1のロック装置の下面を見た図である。
図3】ステータの底面がない状態でロックされた別のロック装置の下面を斜めから見た図である。
図4図3のステータの底面がない状態でロック装置の下面を見た図である。
図5】解放位置で図4を見た図である。
図6】分離した位置で連結ユニットを斜めから見た図である。
図7】連結した位置で連結ユニットを斜めから見た図である。
図8】分離した位置でロータを上から見た図である。
図9】分離した位置でロータを上から見た別の図である。
図10】連結した位置でロータを上から見た図である。
図11】ロック位置にある別のロック装置を見た図である。
図12】不正なロータ回動試行後の図11を見た図である。
図13】解除位置で図11を見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、戸棚、ボックス又は引出しに設けられた扉を閉鎖する新しいロック装置の一実施形態を示す。新たなロック装置は、扉に取り付けるためのステータ20を有し、ステータ20は、ポット状に形成されていて、すなわち扉に載着可能な底部を有し、底部は、図2に示された固定要素24によって扉に固定される。扉の別の側で、ロック要素70が、既知の形で、戸棚、ボックス又はロックされるべき引出しに設けられた受け座と協働する。ステータ20の底部における中央の孔は、組付け後、ロータ端部又はロータに結合された駆動輪に貫通係合するために、扉に設けられた対応する穴の手前に位置する。ロータ10又はロータ10に結合された駆動輪は、直接又は間接に、ロック要素70に結合される。例えば、図1では、ラッチが、ロータ端部に相対回動不能に固定されている。他の用途では、ロータ10は、駆動輪に結合されていて、駆動輪は、対応するロック要素に作用するための、対応する歯車又は歯付き連結棒と協働する。このために、ロータ10は、ステータ20に回動自在に支持されている。ロータ10の運動によって、ロック要素70が、ロック位置から解除位置へ動かされる、又はロック位置へ戻される。
【0014】
図1の例では、ロータ10とステータ20とが共通の外面を形成する。ロック装置は、例えば、電子的な作動装置を有してよい、又は機械的な若しくは電子的な作動要素と共にハウジングに収容されてよい。
【0015】
図1に示されたポット状のステータ20は、壁部21によって包囲されている。この壁部21は、内部空間を画定する。図2は、内部空間の観察を示し、図2では、見やすくするためにステータ20の底面が省かれている。ロータ10の下面12が視認可能である。このロータ10は、回動軸線19を中心に回動自在に支持されている。この図2の実施例では、ロータ10の回動運動は、ストッパ23によって制限されている。ストッパ23は、ステータ20の底面に固定されている又はステータ20の部分である。ロック装置の別の形態は、ストッパが設けられていないステータ20を開示し、図3が参照される。ステータ20の内側には、さらに、2つのブロック部材50、50’が位置し、ブロック部材50、50’は、径方向外方へ作用するばね力によって凹部22、22’に押し付けられる。これらの凹部22、22’は、ステータ20の壁部21に位置する。図2及び図3には、ブロック部材50、50’のブロック位置が示されている。ブロック部材50、50’は、ばね60、60’の力によってこのブロック位置に保持される。ばね60、60’は、ロータ10におけるばね収容部16、16’に収容されている。これらのばね収容部16、16’は、径方向外側の端部で開いているので、ばね60、60’は、その前端で、ブロック部材50、50’に直接当接する。ばね収容部16、16’は、本例では、クロスバー15に設けられている。クロスバー15は、ロータ10の下面12に位置する。本例では、連続して延在するクロスバー15が設けられていて、クロスバー15は、その一端で、ブロック部材50’を保持するために、ステータ20の壁部21まで達する。反対側の端部で、クロスバー15は、壁面21に沿って運動可能な連行体40の運動軌道の手前で終端する。
【0016】
ブロック部材50、50’は、一部でのみ、ステータ20における凹部22、22’に進入する。ブロック部材50、50’の大部分は、凹部22、22’の外側に位置する。ブロック部材50’では、大部分が、ロータ側の凹部17’に保持されている。ロータ側の凹部17’は、ばね収容部16’の拡張部である。ブロック部材50も、ロータ10におけるばね収容部16のそのような拡張部に進入する。ブロック部材50の中央の領域は、連行体40の通路44内に位置する。図6の斜視図から看取されるように、ブロック部材50、50’は、円筒の形状を有する。円筒軸線は、ロータ10の回動軸線19に対して平行に延在する。ブロック部材50は、連行体40及び調整部材30と共に連結ユニットの要素である。第2のブロック部材50’は、連結装置の要素ではなく、ロック配置の必須の構成部材でもない。しかし、第2のブロック部材50’の直径方向に反対側の配置は、ロータ10の回動運動の終了後のブロック部材50の再整列を改善する。
【0017】
図6は、連結ユニットの要素、すなわちブロック部材50、連行体40及び調整部材30を分離した位置で示す。この分離した位置では、ロータ10の回動は不可能である。したがって、例えば権限のない者がロック要素70を回してロック装置を開錠しようと試みると、このトルクは、ロータ10へ伝達され、ロータ10は、例えば図4に示されているように、回動作用の方向に僅かに動く。そのために、ロータ10の運動遊びが設けられている。図2が示すように、拡張部17’に遊びなく保持されているブロック部材50’とは異なり、拡張部17におけるブロック部材50は、この拡張部17の側面に接触せず、専らばね力によって位置保持される。拡張部17の側面は、拡張部17の開口出口で、当接傾斜部171、172へと成形されている。この場合、これらの当接傾斜部171、172の向きは、ロック要素に対する不正な回動作用が生じると、当接傾斜部171、172がブロック部材50をステータ側の凹部22に押し付けるように選択されている。図4では、当接傾斜部171によって、凹部22の方へブロック部材50に付加的な力が発生させられる。ロック要素70に外側の回動作用が生じることによって、ロータ10は、僅かに、すなわち当接傾斜部171がブロック部材50に当接するまで回動させられる。外側からのさらなる作用が生じると、傾斜部171が、トルクの作用に基づいて、ブロック部材50を、ばね60の力に対して付加的に凹部22に押し付けるようになる。反対方向の回動作用が試みられると、当接傾斜部172が、同一の形で、ブロック部材50のブロック位置を保持するように働く。
【0018】
ロック装置を作動させるために、手動で又は電子的に調整部材30が作動させられ、図6に示された分離した静止位置から、図7に示された連結した位置へと変位させられる。連結した位置では、ロータ10と連行体40との間に作用接続が生じる。本例では、調整部材30は、ロータ10に、すなわちロータ底部の上面11に設けられたガイド収容部14に摺動可能に支持されている。調整部材30の連行体側の端面31は、調整部材30を確実にガイドするために、ロータ10の上面11でロータ10の底面から上方へ突出する2つのガイドウェブ13の間に位置する。別の実施形態では、連結ユニットの一部としての揺動可能な調整部材も実現可能である。
【0019】
分離した位置は、図1図2図3図6及び図8に示されている。調整部材30は、その連行体側の端面31でもって、ストッパ13の間で連行体40の手前に位置する。連行体40は、この連行体側の端面31に対向して、その上部41に溝47を有する。連行体40のこの上部41は、ロータ10の底面における、縁側で周方向に延在するスロット18に貫通係合する。この縁側のスロット18は、図8において視認でき、連行体40の運動軌道の上方に位置する。スロット18は、好ましくは、その長手方向の拡がりが、連行体40の上部41よりも長く、このことは、組付けを容易にする。連行体40は、長手方向の拡がりがステータ20の壁部21の湾曲に適合された、周方向に延在する配向を有する。上部41だけが、ロータ10の底面におけるスロット18に貫通係合する。連行体40の上部41の時計回り方向で前後の境界面42は、スロット18内に位置する。ロータ10の底面の下方では、連行体40が、これらの境界面42を越えて延長されている。連行体40の下部43におけるこの端部側の延長部は、ロータ10による連行運動時に連行体40のガイドを補助する。連行体40の下部43には、さらに、ブロック部材50のための通路44が位置する。したがって、既に図4を参照して述べたように、ロック要素70への不正な作用が行われると、図9にも示されているように、ロータ10が僅かに回動し得る。しかし、連行体40との連結は生じない。調整部材30の連行体側の端面31は、溝47に対してずれて位置する。そこで今度は調整部材30が正当に作動させられ、本例ではロータ10に設けられたガイド収容部14内で調整部材30が摺動させられると、調整部材31の、連行体側の端面31は、連行体40の溝47に押し込まれる(図7及び図10参照)。この運動時、調整部材30は、この場合はその脚部32でもって、ロータに設けられたガイド収容部14内でガイドされている。図7は、調整部材30が連行体40の溝47に係合することを明確に示す。ロータ10の回動によって、そこでは連行体40も連動させられる。例えば反時計回り方向のロータ10のそのような運動時(この運動はロータ12の背面で時計回り方向の運動として示されている)、連動させられる連行体40の当接面45が、ブロック部材50に衝突する(図5参照)。この当接面45は、円筒形のブロック部材の頂点に当接するので、径方向内向きに働く力がブロック部材50に作用し、この力は、ブロック部材50を、ばね60の力に抗して、ステータ側の凹部22からロータ10に設けられた拡張部17の方へ押し付ける。このようにすると、ロック要素を解除するためのロータ12の回動が可能となる。図5は、ブロック部材50がステータ側の凹部22から変位させられた後の状況を示す。ロータ10に対する回動制限装置が設けられていないと、ロータ10は、図5においてブロック部材50、50’が、180度回動した後、再びステータ側の凹部22、22’に入り込むまで運動できる。ロータ運動を一時的に中断する、ステータ側の別の凹部22、22’を設けてもよい。
【0020】
図11から図13による実施形態では、逆の配置が選択されている。ブロック部材50、50’は、そのブロック位置で、ロータ側の凹部17、17’に収容されていて、ロータ10の解放及び回動運動時にステータ側の凹部22、22’に摺動させられる。ブロック部材50、50’の解放位置は、図13に認められる。図11に示された、ロック装置のロック位置で、ブロック部材50、50’は、ステータ20に支持されたばね61の径方向に働く力によって、ロータ10の半月形の凹部17、17’に押し付けられる。その際、ブロック部材50、50’は、その約1/3が収容される。ブロック部材50の中央の領域は、連行体40の通路44内に位置する。ブロック部材50は、連行体40及び調整部材30と共に、連結ユニットの要素である。本形態でも、第2のブロック部材50’は、連結ユニットの要素ではなく、ロック装置の必須の構成部材でもない。しかし、第2のブロック部材50’を直径方向で反対側に配置することで、ロータ10の回動運動の終了後のブロック部材50の再整列が改善される。
【0021】
図11は、連結ユニットの要素、すなわちブロック部材50、連行体40及び調整部材30を分離した位置で示す。この分離した位置では、ロータ10の回動は不可能である。したがって、例えば権限の有ない者が、ロック要素70を介してロータ10を回してロック装置の開錠を達成しようと試みると、このトルクは、ロータ10に作用するが、しかし、図12に示されているように、ロータ10は僅かに動くだけである。そのために、ロータ10の運動遊びが設けられている。ブロック部材50は、連行体40と共に運動させられ、時計回り方向に回動するときにはステータ側の凹部22の出口における当接傾斜部271に衝突する、又は逆方向に回動するときには当接傾斜部272に衝突する。したがって、その際、これらの当接傾斜部271、272の向きは、ばね61のばね力に対して付加的に、ブロック部材50をロータ側の凹部17に押し付ける力が発生するように選択されている。
【0022】
ロック装置を作動させるために、手動で又は電子的に、調整部材30が、連行体40に設けられた溝47に挿入され、図11に示された連行体40の分離した静止位置から、図13に示された連結した位置へ変位させられる。連結した位置で、調整部材30と連行体40との間に作用接続が生じる。本例では、調整部材30は、ステータ20の外側に位置し、図示されていないモータユニットによって駆動される。調整部材30は、外側から真直ぐにステータ20に進入し、ステータ内で連行体40に進入し、連行体40を位置保持する。別の実施形態では、連結ユニットの一部として揺動可能な調整部材も実現可能である。ロータ10の回動によって、ブロック部材50が連動させられる。ロータ10のそのような運動時、ブロック部材50は、位置保持された連行体40の当接面45又は46に衝突する。これらの当接面45、46は、円筒形のブロック部材の頂点に衝突するので、ブロック部材50に径方向外方へ働く力が作用し、この力は、ブロック部材50を、ばね60の力に抗して、ロータ側の凹部17からステータ20に設けられた凹部22の方へ押し付ける。その後で、ロック要素を解除するために、ロータ12の回動が可能である。図13は、ブロック部材50がステータ側の凹部22に摺動させられた後の状況を示す。ロータ10に対する回動制限装置が設けられていないと、ロータ10は、ブロック部材50、50’が図13において180度回動した後、再びステータ側の凹部22、22’に入り込むまで運動できる。ロータ運動を一時的に中断する、ステータ側の別の凹部22、22’を設けてもよい。
【0023】
この新しいロック装置の主要な要素は、調整部材と連行体とブロック部材とを含む連結ユニットである。連結ユニットは、正当な作動のとき、ロータ10の回動運動の開始時にブロック部材50がそのブロック位置から解放位置へと動かされた後でロータ10の回動を可能にする。一方、ロック装置は、高い盗難防止性を提供する。というのも、この新たなロック装置によって高いトルクを吸収できるので、ロック要素に対する不正な作用による解除がもたらされないからである。このロック装置によって、高い安全基準が達成される。
【符号の説明】
【0024】
10 ハンドル、ロータ
11 上面
12 下面
13 ガイドウェブ
14 ガイド収容部
15 クロスバー
16、16’ ばね収容部
17、17’ 凹部
171 当接傾斜部
172 当接傾斜部
18 40に対する縁側のスロット
181 スロット端部、時計回り方向で前方
182 スロット端部、時計回り方向で後方
19 回動軸線
20 ハウジング、ステータ
21 壁部
22、22’ 縁側の凹部
23 回転制限のためのストッパ
24 固定手段
25 中央の孔
26、26’ ばねストッパ
271、272 当接傾斜部
30 調整部材
31 連行体側の端面
32 脚部
40 連行体
41 上部
42 境界面(18内の運動)
43 下部
44 通路
45 当接面
46 当接面
47 溝
50、50’ ブロック部材
60、60’ ばね
61 ばね
70 ロック要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-02-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸棚の扉、ボックス又は引出しを閉鎖するロック装置であって、
ポット状のハウジングシェルを形成する、すなわち扉に載着可能な底部と底部を包囲する壁部(21)とを有する、扉に取り付けるためのステータ(20)と、
回動自在にステータ(20)に支持されていて、扉側の端部で、ロック要素(70)に結合可能であり、これによりロータを動かすことによって、ロック要素(70)がロック位置から解除位置へ動かされる、ロータ(10)と、
ブロック位置と解放位置との間を運動可能であり、ブロック部材(50)の解放位置でのみロータ(10)の運動が可能である、ブロック部材(50)と、
を備え、
ロータ(10)の不正な回動を阻止する連結ユニット(30、40、50)が設けられていて、
連結ユニット(30、40、50)は、手動で又は電子的に運動可能な調整部材(30)と、調整部材(30)と協働する連行体(40)と、ブロック部材(50)とを有し、
ブロック部材(50)は、ブロック位置で、ロータ(10)の外側における凹部(17)に又はステータ(20)の壁部(21)の内側における凹部(22)に進入し、ばね力によって、ブロック位置に保持され、
ロータ(10)の運動を解放するために、調整部材(30)は、連行体(40)に連結可能であり、ブロック部材(50)は、ばね力に抗して、凹部(17、22)から解放位置へ摺動可能である、ロック装置において、
ロック部材(50)は、円筒の形状を有し、円筒軸線は、ロータ軸線(19)に対して平行に延在することを特徴とする、ロック装置。
【請求項2】
解放位置では、ブロック部材(50)は、径方向に作用するばね(60、61)の力に抗して、ロータ側の凹部(17)からステータ側の凹部(22)へ又はステータ側の凹部(22)からロータ側の凹部(17)へ摺動されることを特徴とする、請求項1に記載のロック装置。
【請求項3】
連行体(40)の運動軌道は、ステータ(20)の壁部(21)の内面に沿って延在し、長手方向の拡がりが、連行体(40)の運動軌道に適合して湾曲していることを特徴とする、請求項1又は2に記載のロック装置。
【請求項4】
連行体(40)は、ブロック部材(50)の幅の径方向に延在する通路(44)を有し、通路(44)の側面は、連行体(40)の運動時又はロータ(10)の運動時にブロック部材(50)の摺動をもたらす当接面(45、46)として構成されていることを特徴とする、請求項3に記載のロック装置。
【請求項5】
ブロック部材(50)のブロック位置とは反対側のステータ側の凹部(22)又はロータ側の凹部(17)は、凹部出口に両側で当接傾斜部(271、272;171、172)を有し、当接傾斜部(271、272;171、172)同士の間隔は、ロータ(10)の運動遊びを可能にすることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項6】
連行体(40)は、調整部材(30)の係合のための溝(47)を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項7】
調整部材(30)は、ロータ(10)の外側に可動に支持されていて、ロータ(10)の運動を解放するために連行体(40)に連結可能であり、連行体(40)は、連結した位置で位置保持され、ロータ(10)の回動運動によって、ブロック部材(50)は、ロータ側の凹部(17)からステータ側の凹部(22)に摺動可能であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項8】
分離した位置で、連行体(40)は、ブロック部材(50)がステータ側の凹部(22)の当接面(271、272)に当接するまで運動可能であることを特徴とする、請求項7に記載のロック装置。
【請求項9】
ブロック部材(50)に作用するばね(61)が、ステータ(20)に支持されていて、ステータ(20)は、好ましくは対応するばねストッパ(26、26’)を有することを特徴とする、請求項7又は8に記載のロック装置。
【請求項10】
調整部材(30)が、ロータ(10)に可動に支持されているとともに、ロータ(10)の運動を解放するために連行体(40)に結合可能であり、連行体(40)は、連結した位置で、ロータ(10)と共に運動可能であり、ロータ(10)の回動運動によって、ブロック部材(50)は、ステータ側の凹部(22)からロータ側の凹部(17)に摺動可能であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項11】
分離した位置で、ロータ(10)は、ブロック部材(50)がロータ側の凹部(17)の当接面(171、172)に当接するまで運動可能であることを特徴とする、請求項10に記載のロック装置。
【請求項12】
調整部材(30)は、径方向に摺動可能にロータ(10)に支持されていて、調整部材(30)は、ロータ(10)のガイド収容部(14)に運動可能に支持されていて、好ましくは、調整部材(30)のガイドを改善するために、ロータ(10)の底面の上面(11)から突出するガイドウェブ(13)が設けられていることを特徴とする、請求項10又は11に記載のロック装置。
【請求項13】
ロータ(10)は、底面を有し、底面の下面(12)に、径方向に整列されたクロスバー(15)が位置し、クロスバー(15)は、ポット状のステータ(20)の内側に突出し、ステータ(20)の壁部(21)に面する端部で、ロータ(10)の運動時にブロック部材(50、50’)を保持する凹部(17、17’)を有することを特徴とする、請求項10から12のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項14】
ロータ(10)のクロスバー(15)の端部が、連行体(40)の運動軌道まで延在し、ロータ(10)は、底面に、縁側のスロット(18)を有し、スロット(18)は、連行体(40)の運動軌道に沿って延在し、連行体(40)は、上部(41)でもって、スロット(18)に下方から貫通係合することを特徴とする、請求項13に記載のロック装置。
【請求項15】
連行体のガイドを改善するために、連行体(40)の下部(43)が延長されていて、運動軌道に沿って、ロータ(10)の縁側のスロット(18)の長さよりも大きな長さにわたって延在することを特徴とする、請求項14に記載のロック装置。
【請求項16】
ブロック部材(50)に作用するばね(60)が、クロスビーム(15)に設けられたばね収容部(16)に収容されていることを特徴とする、請求項13から15のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項17】
2つのブロック部材(50、50’)が設けられていて、ブロック部材(50、50’)は、ブロック位置で、直径方向に互いに反対側に位置する凹部(17、17’;22、22’)に位置することを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項18】
3つ以上の凹部(17、17’;22、22’)が、ロータ(10)に又はステータ(20)に設けられていることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項19】
回動を制限するためのストッパ(23)が、ステータ(20)に配置されていることを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項20】
ロータ(10)の外面は、ステータ(20)の外面と整合していることを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項21】
ロータ(10)が、直接に、ロック要素(70)に、例えばラッチに結合されている、又はロータ(10)が、間接に、例えば駆動輪を介して、ロック要素(70)に結合されることを特徴とする、請求項1から20のいずれか一項に記載のロック装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、戸棚の扉、ボックス又は引出しを閉鎖するロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
扉にロック装置を設けることが知られている。ロック装置のロック要素は、戸棚、ボックス、又はロックされるべき引出しにおける対応する受け座と協働する。その際、ロック要素は、ラッチでもスライドロッドでもよい。扉の不正な開錠を阻止するために、さらに、ロック装置に、例えば閉鎖シリンダ又は電子錠などの機械式錠を装着し、権限のある者だけにアクセス又はアプローチを許可することが知られている。文献独国実用新案第202009006211号明細書は、連結装置の部分としての径方向に運動可能なブロックピンを有する閉鎖機構を開示する。このピンは、調整装置の一部と協働し、これによりブロック位置又は解放位置がもたらされる。このような閉鎖装置は、高い安全性を有する。そこで、権限のない者がロック要素を回す又は摺動させることによってロック装置を開錠しようと試みる。外部からのそのような不正な作用があると、ロック装置は、これに対して大いに抵抗できなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国実用新案第202009006211号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の課題は、ロック装置に対する不正な作用に対して高いレベルで抵抗し、特に高いトルクを吸収できる、改善されたロック装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴を有するロック装置によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0006】
戸棚、ボックス又は引出しの扉を閉鎖する新しいロック装置は、扉に取り付けるためのハウジングを有し、ハウジングは、ロック装置のステータを形成するとともに、ポット状に構成されている、すなわち扉に載着可能な、扉板に取り付けられる底部を有する。ロック要素は、扉の他の側で、戸棚、ボックス又は閉鎖されるべき引出し設けられた受け座と公知の形で協働する。ロータは、直接に又は間接に、運動可能なロック要素に結合されている。両回動方向にロータが動くことによって、ロック要素は、ロック位置から解除位置へ動かされる、又はロック位置へ戻される。このために、ロータが、ハウジングに回動自在に支持されている。新しいロック装置は、連結ユニットを有し、この場合、ブロック機構が、ロータの不正な回動を阻止し、ひいてはロック要素の回動も阻止する。そのために、連結ユニットは、手動で又は電子的に調整可能な調整部材と、運動可能な連行体と、ブロック部材とを有する。ブロック位置と解放位置との間を摺動可能であるブロック部材が、その解放位置でのみ、ロータの運動を可能にする。調整部材は、2つの位置、すなわち分離した静止位置(そこではブロック部材によってロータの回動運動が阻止される)と、連結した位置(そこではロータの運動が可能である)とを有する。
【0007】
ブロック部材は、円筒の形状を有し、この場合、円筒軸線は、ロータ軸に対して平行に延在する。ブロック位置で、ブロック部材は、ステータの壁部の内側に又はロータの外側に設けられた凹部に進入する。この半月状の凹部の大きさは、ブロック部材の円筒半径に適合されている。ブロック位置では、ブロック部材は、ばね力によってこの凹部に押し付けられ、好ましくは、ブロック部材は、その1/3未満がこの凹部に位置する。この場合、ばね力は、ばねによって及ぼされる。ばねは、ロータ軸線に対して径方向にばね力を及ぼす。凹部がステータに設けられているとき、ブロック部材に対するばねが、ロータに保持されている。凹部がロータに設けられているとき、ばねは、ステータに保持されている。
【0008】
ロータの運動を解放するために、権限のあるユーザは、調整部材を、分離した静止位置から連結した連結した位置へと変位できる。連結した位置では、この調整部材は、連行体に連結されている。
【0009】
一実施形態では、調整部材が、ロータに支持されていて、この場合、ロータが回転すると、連行体が、調整部材との連結によって連動させられる。連行体は、ブロック部材を、ブロック位置から解放位置へ摺動させる。その際、ブロック部材は、連行体によって、作用するばね力に抗してステータ側の凹部から摺動させられ、ロータに収容される。ブロック部分を動かすために、連行体は、ロータの下方に配置された下部に、径方向に延在する通路を有し、通路は、ブロック部分のブロック位置で、ブロック部分によって占められている。特別な形で、通路の平行な側面は、ブロック部材に対する当接面として作用する。側面は、ブロック部材を、ステータ側の凹部から外へ出す。というのも、側面は、円筒形のブロック部分の頂点に作用するからである。連行体が動かされると、ばね力に抗するステータ側の凹部からのブロック部材の摺動がもたらされ、ロータの回動が可能になる。当接面は、係止解除モーメントを小さくするために、面取りされてもよい。
【0010】
別の一実施形態では、調整部材は、ロック装置のステータに又はハウジングに支持されていて、連行体の溝に係合し、これにより連行体が保持され、この場合、ロータが回動すると、ブロック部材が、そのブロック位置から解放位置へと摺動させられる。ブロック部材は、この場合、作用するばね力に抗して、ロータ側の凹部からステータ側の凹部に摺動させられ、そこで収容される。連行体は、この場合でも、径方向に延在する通路を有し、通路は、ブロック部分のブロック位置でブロック部分によって占められている。特別な形で、通路の平行な側面は、ブロック部材に対する当接面として作用する。側面は、ブロック部材を、ロータが動くとき、ロータ側の凹部から外へ出す。というのも、側面が、円筒形のブロック部材の頂点に作用するからである。
【0011】
前述の連結は、扉の解除又はロックを可能にする。しかも、分離した位置では、ロック要素を起点としてロータの方へ向かうトルク伝達がブロックされる。そのように不正にロータを回動させようと試みると、トルクが発生させられ、トルクは、ブロック部分がロータ側の又はステータ側の傾斜した当接面に押し付けられ、したがって、ブロック部分が、ばね力に対して付加的に、径方向にそのブロック位置に押し退けられるように働く。そのような作用のときにロック装置の破壊を阻止するために、ロータに対する相応の運動遊びが設けられる。
【0012】
以下、本発明の2つの実施形態を、図面に基づいて説明する。同一の要素には、異なる実施形態においても同一の符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ロータカバーがない状態でロック装置を斜めから見た図である。
図2】ステータの底面がない状態でロックされた第1のロック装置の下面を見た図である。
図3】ステータの底面がない状態でロックされた別のロック装置の下面を斜めから見た図である。
図4図3のステータの底面がない状態でロック装置の下面を見た図である。
図5】解放位置で図4を見た図である。
図6】分離した位置で連結ユニットを斜めから見た図である。
図7】連結した位置で連結ユニットを斜めから見た図である。
図8】分離した位置でロータを上から見た図である。
図9】分離した位置でロータを上から見た別の図である。
図10】連結した位置でロータを上から見た図である。
図11】ロック位置にある別のロック装置を見た図である。
図12】不正なロータ回動試行後の図11を見た図である。
図13】解除位置で図11を見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、戸棚、ボックス又は引出しに設けられた扉を閉鎖する新しいロック装置の一実施形態を示す。新たなロック装置は、扉に取り付けるためのステータ20を有し、ステータ20は、ポット状に形成されていて、すなわち扉に載着可能な底部を有し、底部は、図2に示された固定要素24によって扉に固定される。扉の別の側で、ロック要素70が、既知の形で、戸棚、ボックス又はロックされるべき引出しに設けられた受け座と協働する。ステータ20の底部における中央の孔は、組付け後、ロータ端部又はロータに結合された駆動輪に貫通係合するために、扉に設けられた対応する穴の手前に位置する。ロータ10又はロータ10に結合された駆動輪は、直接又は間接に、ロック要素70に結合される。例えば、図1では、ラッチが、ロータ端部に相対回動不能に固定されている。他の用途では、ロータ10は、駆動輪に結合されていて、駆動輪は、対応するロック要素に作用するための、対応する歯車又は歯付き連結棒と協働する。このために、ロータ10は、ステータ20に回動自在に支持されている。ロータ10の運動によって、ロック要素70が、ロック位置から解除位置へ動かされる、又はロック位置へ戻される。
【0015】
図1の例では、ロータ10とステータ20とが共通の外面を形成する。ロック装置は、例えば、電子的な作動装置を有してよい、又は機械的な若しくは電子的な作動要素と共にハウジングに収容されてよい。
【0016】
図1に示されたポット状のステータ20は、壁部21によって包囲されている。この壁部21は、内部空間を画定する。図2は、内部空間の観察を示し、図2では、見やすくするためにステータ20の底面が省かれている。ロータ10の下面12が視認可能である。このロータ10は、回動軸線19を中心に回動自在に支持されている。この図2の実施例では、ロータ10の回動運動は、ストッパ23によって制限されている。ストッパ23は、ステータ20の底面に固定されている又はステータ20の部分である。ロック装置の別の形態は、ストッパが設けられていないステータ20を開示し、図3が参照される。ステータ20の内側には、さらに、2つのブロック部材50、50’が位置し、ブロック部材50、50’は、径方向外方へ作用するばね力によって凹部22、22’に押し付けられる。これらの凹部22、22’は、ステータ20の壁部21に位置する。図2及び図3には、ブロック部材50、50’のブロック位置が示されている。ブロック部材50、50’は、ばね60、60’の力によってこのブロック位置に保持される。ばね60、60’は、ロータ10におけるばね収容部16、16’に収容されている。これらのばね収容部16、16’は、径方向外側の端部で開いているので、ばね60、60’は、その前端で、ブロック部材50、50’に直接当接する。ばね収容部16、16’は、本例では、クロスバー15に設けられている。クロスバー15は、ロータ10の下面12に位置する。本例では、連続して延在するクロスバー15が設けられていて、クロスバー15は、その一端で、ブロック部材50’を保持するために、ステータ20の壁部21まで達する。反対側の端部で、クロスバー15は、壁面21に沿って運動可能な連行体40の運動軌道の手前で終端する。
【0017】
ブロック部材50、50’は、一部でのみ、ステータ20における凹部22、22’に進入する。ブロック部材50、50’の大部分は、凹部22、22’の外側に位置する。ブロック部材50’では、大部分が、ロータ側の凹部17’に保持されている。ロータ側の凹部17’は、ばね収容部16’の拡張部である。ブロック部材50も、ロータ10におけるばね収容部16のそのような拡張部に進入する。ブロック部材50の中央の領域は、連行体40の通路44内に位置する。図6の斜視図から看取されるように、ブロック部材50、50’は、円筒の形状を有する。円筒軸線は、ロータ10の回動軸線19に対して平行に延在する。ブロック部材50は、連行体40及び調整部材30と共に連結ユニットの要素である。第2のブロック部材50’は、連結装置の要素ではなく、ロック配置の必須の構成部材でもない。しかし、第2のブロック部材50’の直径方向に反対側の配置は、ロータ10の回動運動の終了後のブロック部材50の再整列を改善する。
【0018】
図6は、連結ユニットの要素、すなわちブロック部材50、連行体40及び調整部材30を分離した位置で示す。この分離した位置では、ロータ10の回動は不可能である。したがって、例えば権限のない者がロック要素70を回してロック装置を開錠しようと試みると、このトルクは、ロータ10へ伝達され、ロータ10は、例えば図4に示されているように、回動作用の方向に僅かに動く。そのために、ロータ10の運動遊びが設けられている。図2が示すように、拡張部17’に遊びなく保持されているブロック部材50’とは異なり、拡張部17におけるブロック部材50は、この拡張部17の側面に接触せず、専らばね力によって位置保持される。拡張部17の側面は、拡張部17の開口出口で、当接傾斜部171、172へと成形されている。この場合、これらの当接傾斜部171、172の向きは、ロック要素に対する不正な回動作用が生じると、当接傾斜部171、172がブロック部材50をステータ側の凹部22に押し付けるように選択されている。図4では、当接傾斜部171によって、凹部22の方へブロック部材50に付加的な力が発生させられる。ロック要素70に外側の回動作用が生じることによって、ロータ10は、僅かに、すなわち当接傾斜部171がブロック部材50に当接するまで回動させられる。外側からのさらなる作用が生じると、傾斜部171が、トルクの作用に基づいて、ブロック部材50を、ばね60の力に対して付加的に凹部22に押し付けるようになる。反対方向の回動作用が試みられると、当接傾斜部172が、同一の形で、ブロック部材50のブロック位置を保持するように働く。
【0019】
ロック装置を作動させるために、手動で又は電子的に調整部材30が作動させられ、図6に示された分離した静止位置から、図7に示された連結した位置へと変位させられる。連結した位置では、ロータ10と連行体40との間に作用接続が生じる。本例では、調整部材30は、ロータ10に、すなわちロータ底部の上面11に設けられたガイド収容部14に摺動可能に支持されている。調整部材30の連行体側の端面31は、調整部材30を確実にガイドするために、ロータ10の上面11でロータ10の底面から上方へ突出する2つのガイドウェブ13の間に位置する。別の実施形態では、連結ユニットの一部としての揺動可能な調整部材も実現可能である。
【0020】
分離した位置は、図1図2図3図6及び図8に示されている。調整部材30は、その連行体側の端面31でもって、ストッパ13の間で連行体40の手前に位置する。連行体40は、この連行体側の端面31に対向して、その上部41に溝47を有する。連行体40のこの上部41は、ロータ10の底面における、縁側で周方向に延在するスロット18に貫通係合する。この縁側のスロット18は、図8において視認でき、連行体40の運動軌道の上方に位置する。スロット18は、好ましくは、その長手方向の拡がりが、連行体40の上部41よりも長く、このことは、組付けを容易にする。連行体40は、長手方向の拡がりがステータ20の壁部21の湾曲に適合された、周方向に延在する配向を有する。上部41だけが、ロータ10の底面におけるスロット18に貫通係合する。連行体40の上部41の時計回り方向で前後の境界面42は、スロット18内に位置する。ロータ10の底面の下方では、連行体40が、これらの境界面42を越えて延長されている。連行体40の下部43におけるこの端部側の延長部は、ロータ10による連行運動時に連行体40のガイドを補助する。連行体40の下部43には、さらに、ブロック部材50のための通路44が位置する。したがって、既に図4を参照して述べたように、ロック要素70への不正な作用が行われると、図9にも示されているように、ロータ10が僅かに回動し得る。しかし、連行体40との連結は生じない。調整部材30の連行体側の端面31は、溝47に対してずれて位置する。そこで今度は調整部材30が正当に作動させられ、本例ではロータ10に設けられたガイド収容部14内で調整部材30が摺動させられると、調整部材31の、連行体側の端面31は、連行体40の溝47に押し込まれる(図7及び図10参照)。この運動時、調整部材30は、この場合はその脚部32でもって、ロータに設けられたガイド収容部14内でガイドされている。図7は、調整部材30が連行体40の溝47に係合することを明確に示す。ロータ10の回動によって、そこでは連行体40も連動させられる。例えば反時計回り方向のロータ10のそのような運動時(この運動はロータ12の背面で時計回り方向の運動として示されている)、連動させられる連行体40の当接面45が、ブロック部材50に衝突する(図5参照)。この当接面45は、円筒形のブロック部材の頂点に当接するので、径方向内向きに働く力がブロック部材50に作用し、この力は、ブロック部材50を、ばね60の力に抗して、ステータ側の凹部22からロータ10に設けられた拡張部17の方へ押し付ける。このようにすると、ロック要素を解除するためのロータ12の回動が可能となる。図5は、ブロック部材50がステータ側の凹部22から変位させられた後の状況を示す。ロータ10に対する回動制限装置が設けられていないと、ロータ10は、図5においてブロック部材50、50’が、180度回動した後、再びステータ側の凹部22、22’に入り込むまで運動できる。ロータ運動を一時的に中断する、ステータ側の別の凹部22、22’を設けてもよい。
【0021】
図11から図13による実施形態では、逆の配置が選択されている。ブロック部材50、50’は、そのブロック位置で、ロータ側の凹部17、17’に収容されていて、ロータ10の解放及び回動運動時にステータ側の凹部22、22’に摺動させられる。ブロック部材50、50’の解放位置は、図13に認められる。図11に示された、ロック装置のロック位置で、ブロック部材50、50’は、ステータ20に支持されたばね61の径方向に働く力によって、ロータ10の半月形の凹部17、17’に押し付けられる。その際、ブロック部材50、50’は、その約1/3が収容される。ブロック部材50の中央の領域は、連行体40の通路44内に位置する。ブロック部材50は、連行体40及び調整部材30と共に、連結ユニットの要素である。本形態でも、第2のブロック部材50’は、連結ユニットの要素ではなく、ロック装置の必須の構成部材でもない。しかし、第2のブロック部材50’を直径方向で反対側に配置することで、ロータ10の回動運動の終了後のブロック部材50の再整列が改善される。
【0022】
図11は、連結ユニットの要素、すなわちブロック部材50、連行体40及び調整部材30を分離した位置で示す。この分離した位置では、ロータ10の回動は不可能である。したがって、例えば権限の有ない者が、ロック要素70を介してロータ10を回してロック装置の開錠を達成しようと試みると、このトルクは、ロータ10に作用するが、しかし、図12に示されているように、ロータ10は僅かに動くだけである。そのために、ロータ10の運動遊びが設けられている。ブロック部材50は、連行体40と共に運動させられ、時計回り方向に回動するときにはステータ側の凹部22の出口における当接傾斜部271に衝突する、又は逆方向に回動するときには当接傾斜部272に衝突する。したがって、その際、これらの当接傾斜部271、272の向きは、ばね61のばね力に対して付加的に、ブロック部材50をロータ側の凹部17に押し付ける力が発生するように選択されている。
【0023】
ロック装置を作動させるために、手動で又は電子的に、調整部材30が、連行体40に設けられた溝47に挿入され、図11に示された連行体40の分離した静止位置から、図13に示された連結した位置へ変位させられる。連結した位置で、調整部材30と連行体40との間に作用接続が生じる。本例では、調整部材30は、ステータ20の外側に位置し、図示されていないモータユニットによって駆動される。調整部材30は、外側から真直ぐにステータ20に進入し、ステータ内で連行体40に進入し、連行体40を位置保持する。別の実施形態では、連結ユニットの一部として揺動可能な調整部材も実現可能である。ロータ10の回動によって、ブロック部材50が連動させられる。ロータ10のそのような運動時、ブロック部材50は、位置保持された連行体40の当接面45又は46に衝突する。これらの当接面45、46は、円筒形のブロック部材の頂点に衝突するので、ブロック部材50に径方向外方へ働く力が作用し、この力は、ブロック部材50を、ばね60の力に抗して、ロータ側の凹部17からステータ20に設けられた凹部22の方へ押し付ける。その後で、ロック要素を解除するために、ロータ12の回動が可能である。図13は、ブロック部材50がステータ側の凹部22に摺動させられた後の状況を示す。ロータ10に対する回動制限装置が設けられていないと、ロータ10は、ブロック部材50、50’が図13において180度回動した後、再びステータ側の凹部22、22’に入り込むまで運動できる。ロータ運動を一時的に中断する、ステータ側の別の凹部22、22’を設けてもよい。
【0024】
この新しいロック装置の主要な要素は、調整部材と連行体とブロック部材とを含む連結ユニットである。連結ユニットは、正当な作動のとき、ロータ10の回動運動の開始時にブロック部材50がそのブロック位置から解放位置へと動かされた後でロータ10の回動を可能にする。一方、ロック装置は、高い盗難防止性を提供する。というのも、この新たなロック装置によって高いトルクを吸収できるので、ロック要素に対する不正な作用による解除がもたらされないからである。このロック装置によって、高い安全基準が達成される。
【符号の説明】
【0025】
10 ハンドル、ロータ
11 上面
12 下面
13 ガイドウェブ
14 ガイド収容部
15 クロスバー
16、16’ ばね収容部
17、17’ 凹部
171 当接傾斜部
172 当接傾斜部
18 40に対する縁側のスロット
181 スロット端部、時計回り方向で前方
182 スロット端部、時計回り方向で後方
19 回動軸線
20 ハウジング、ステータ
21 壁部
22、22’ 縁側の凹部
23 回転制限のためのストッパ
24 固定手段
25 中央の孔
26、26’ ばねストッパ
271、272 当接傾斜部
30 調整部材
31 連行体側の端面
32 脚部
40 連行体
41 上部
42 境界面(18内の運動)
43 下部
44 通路
45 当接面
46 当接面
47 溝
50、50’ ブロック部材
60、60’ ばね
61 ばね
70 ロック要素
【国際調査報告】