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  • 特表-表面処理組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-10
(54)【発明の名称】表面処理組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/08 20060101AFI20230803BHJP
   C09D 183/04 20060101ALI20230803BHJP
   C09D 171/02 20060101ALI20230803BHJP
   C09K 3/18 20060101ALI20230803BHJP
   C08K 5/5415 20060101ALI20230803BHJP
   C08G 77/24 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
C08L83/08
C09D183/04
C09D171/02
C09K3/18 104
C08K5/5415
C08G77/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023500007
(86)(22)【出願日】2021-07-01
(85)【翻訳文提出日】2023-01-26
(86)【国際出願番号】 US2021040095
(87)【国際公開番号】W WO2022006400
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】63/047,495
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508229301
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials Inc.
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ミツハシ ヒサシ
(72)【発明者】
【氏名】ノムラ タカシ
(72)【発明者】
【氏名】マツイ モトシ
(72)【発明者】
【氏名】フクダ ノリアキ
(72)【発明者】
【氏名】ヘバール,ラガーヴェンドラ
(72)【発明者】
【氏名】シェン,ハオ
(72)【発明者】
【氏名】カウル,バンプリート
(72)【発明者】
【氏名】シヴァスブラマニアン,カーシケヤン
(72)【発明者】
【氏名】バット,シュリードハル
【テーマコード(参考)】
4H020
4J002
4J038
4J246
【Fターム(参考)】
4H020BA34
4H020BA36
4J002CP051
4J002CP081
4J002GH00
4J038DF011
4J038DL031
4J038DL061
4J038DL071
4J038GA12
4J038GA15
4J038KA06
4J038MA09
4J038MA14
4J038NA05
4J038NA07
4J038PA06
4J038PA07
4J038PA19
4J038PC02
4J038PC03
4J038PC04
4J038PC06
4J038PC08
4J246AA03
4J246AA19
4J246BA120
4J246BA12X
4J246BB020
4J246BB022
4J246BB02X
4J246CA460
4J246CA469
4J246CA46X
4J246CA680
4J246CA689
4J246CA68X
4J246CA760
4J246CA769
4J246CA76X
4J246FA071
4J246FA131
4J246FA321
4J246FA431
4J246FB081
4J246FE06
4J246FE26
4J246GA01
4J246GA02
4J246GA11
4J246GB02
4J246GC49
4J246GD08
4J246HA24
4J246HA36
(57)【要約】
表面処理組成物をここで示し、説明する。表面処理組成物は、(i)有機ケイ素単位を含むハイブリッドシロキサンオリゴマーであって、フルオロ官能基を有する有機ケイ素単位と他の反応性官能基を有する有機ケイ素単位とを含むオリゴマー、および(ii)ペルフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物を含む。表面処理組成物は、基材の表面に疎水性および/または疎油性の表面コーティングを提供するために使用することができ、物品に他の有益な特性を与えることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)式(1)で表される化合物および/または化合物の部分加水分解縮合物、
【化1】

ここでRa1、Ra3、Ra5、およびRa7は、それぞれ独立して、アルコキシ、アルコキシカルボニル、ハライド、アルキル、アラルキル、または芳香族基から選択され、但しRa1、Ra3、Ra5、および/またはRa7の少なくとも1つは、アルコキシ、アルコキシカルボニル、またはハライド基であるという条件であり;
a2は、水素、アルキル、アラルキル、または芳香族基から選択され;
a4は式CzHyFxで表され、ここでzは1から20であり、そしてx+yは2z+1であり、ここでxは1以上であり;
a6およびRa8は、それぞれ独立して、アルコキシ、アルコキシカルボニル、ハライド、アルキル、アラルキル、芳香族基、エポキシ、アミンから選択され;
a1、Za2、およびZa3は、それぞれ独立して、ヘテロ原子を任意選択で含む1から20個の炭素原子を有する有機連結基から選択され、但しRa6またはRa8がアルコキシ、アルコキシカルボニル、またはハライドである場合、Za2またはZa3はそれぞれ、O、N、またはSでありえないという条件であり;
a、b、およびcはそれぞれ独立して0から約100であり、a+b+cは0より大きく、aは0より大きく、そしてb+cは0より大きい;および
(ii)式(2)および/または式(3)のペフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン、
[A]b1[B]b2 式(2)
[B]b2[A]Q[B]b2 式(3)
ここでQは(b1+b2)価を有する連結基であり、
Aは、Rf3-O-Rf2-または-Rf3-O-Rf2-で表される基であり、ここでRf2はポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖であり、そしてRf3はペルフルオロアルキル基またはペルフルオロアルキレン基であり、
Bは1つの-R12-(SiR -X 3-r)を有する1価の基であり、ここでR12は有機基、好ましくは2から10個の炭素原子を有する炭化水素基であって、炭素-炭素原子間またはSiと結合する側とは反対側の末端にエーテル酸素原子を任意選択で有する、または炭素-炭素原子間に-NH-を任意選択で有するものであり、Rはそれぞれ独立して水素原子または1から6個の炭素原子を有する1価の炭化水素基であり、該炭化水素基は任意選択で置換基を有し、Xはそれぞれ独立して水酸基または加水分解性基であり、そしてrは0から2の整数であり、そしてフッ素原子を含まず、
およびBは環状シロキサン構造を含まず、
b1は1から3の整数であり、
b2は1から9の整数であり、そして
b1が2以上の場合、b1個のAは同一でも異なっていてもよく、そして
b2個のBは同一でも異なっていてもよい、
を含む、組成物。
【請求項2】
式(2)および/または式(3)におけるRf2は、-(C2aO)-で表される基であり、ここでaは1から6の整数であり、nは2以上の整数であり、そして-C2aO-単位は同一でも異なっていてもよい、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式(2)および/または式(3)におけるRf2は、基-(CFCFCFCFCFCFO)n1-(CFCFCFCFCFO)n2-(CFCFCFCFO)n3-(CFCFCFO)n4-(CF(CF)CFO)n5-(CFCFO)n6-(CFO)n7-で表される基であり、ここでn1、n2、n3、n4、n5、n6およびn7はそれぞれ独立して0以上の整数であり、n1、n2、n3、n4、n5、n6、およびn7の合計は2以上であり、そして繰り返し単位は、ブロックで、交互に、またはランダムに存在し得る、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
式(1)におけるRは、基-C13によって表される基である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記の式(1)による化合物および化合物の部分加水分解縮合物の数平均分子量は、好ましくは少なくとも300、より好ましくは少なくとも500、より好ましくは少なくとも1000である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記の式(1)による化合物および化合物の部分加水分解縮合物の数平均分子量は、好ましくは最大で10000、より好ましくは最大で5000、より好ましくは最大で3000である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記の式(1)で表される化合物および化合物の部分加水分解縮合物の含有量は、組成物の総重量の10質量%以下、好ましくは5質量%以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記の式(1)で表される化合物および化合物の部分加水分解縮合物の含有量は、全組成物の0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
式2は、少なくとも(A1)、(A2)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)、(D1)および(D2)からなる群から選択される化合物であり、
【化2】

ここで
PFPEは、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、下記式の基であり、
-(OC-(OC-(OC-(OCF
ここでa、b、cおよびdは、それぞれ独立して0から200の整数であって、(a+b+c+d)≧1であり、そして下付き文字aからdを有する括弧内の繰り返し単位の順序は限定されず、
Rfは、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、任意選択でFで置換されたC1-16-アルキルであり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、OHまたは加水分解性基であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、HまたはC1-22-アルキルであり;
11は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Hまたはハロゲンであり;
12は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Hまたは低級アルキルであり;
n1は、単位(-SiR n1 3-n1)ごとに独立して、0から3の整数であり;
少なくとも1つのn1は、式(A1)、(A2)、(B1)および(B2)において、1から3の整数であり;
は、それぞれ独立して、単結合または2から10価の有機基であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基であり;
tは、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、1から10の整数であり;
αは、それぞれ独立して1から9の整数であり;
α’は、それぞれ独立して1から9の整数であり;
は、それぞれ独立して単結合または2から10価の有機基であり;
βは、それぞれ独立して1から9の整数であり;
β’は、それぞれ独立して1から9の整数であり;
は、それぞれ独立して単結合または2から10価の有機基であり;
γは、それぞれ独立して1から9の整数であり;
γ’は、それぞれ独立して1から9の整数であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR71 p172 1R73 r1であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Oまたは2価の有機基であり;
71は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Rと同じ定義を有するRa’であり;
72は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、OHまたは加水分解性基であり;
73は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Hまたは低級アルキルであり;
p1は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0から3の整数であり;
q1は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0から3の整数であり;
r1は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0から3の整数であり;
少なくとも1つのq1は、式(C1)および(C2)において、1から3の整数であり;
そしてRにおいて、Z基を介して直鎖状に結合しているSi原子の数は≦5であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、OHまたは加水分解性基であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Hまたは低級アルキルであり;
k1は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、1から3の整数であり;
l1は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0から2の整数であり;
m1は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0から2の整数であり;
そして下付き文字γ付きの括弧内の各単位において(k1+l1+m1)=3であり;
は、それぞれ独立して、単結合または2から10価の有機基であり;
δは、それぞれ独立して1から9の整数であり;
δ’は、それぞれ独立して1から9の整数であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、-Z-CR81 p282 q283 r2であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Oまたは2価の有機基であり;
81は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Rd’であり;
d’はRと同じ定義を有し;
において、Z基を介して直鎖状に結合しているC原子の数は≦5であり;
82は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、-Y-SiR85 n286 3-n2であり;
Yは、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基であり;
85は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、OHまたは加水分解性基であり;
86は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Hまたは低級アルキルであり;
n2は、(-Y-SiR85 n286 3-n2)単位ごとに独立して1から3の整数であり;
式(D1)および(D2)において、少なくとも1つのn2は1から3の整数であり;
83は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Hまたは低級アルキル基であり;
p2は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0から3の整数であり;
q2は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0から3の整数であり;
r2は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0から3の整数であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、-Y-SiR85 n286 n2であり;
Rfは、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Hまたは低級アルキルであり;
k2は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0から3の整数であり;
l2は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0から3の整数であり;そして
m2は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0から3の整数であり;
式(D1)および(D2)において、少なくとも1つのq2は2または3であり、または少なくとも1つのl2は2または3である、
請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
Rfは、1から16個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
PFPEは、以下の式(i)から(iv)のいずれかの基であり、
-(OCFCFCFb1 (i)
ここでbは1から200の整数であり;
-(OCF(CF)CFb1- (ii)
ここでbは1から200の整数であり;
-(OCFCFCFCFa1-(OCFCFCFb1-(OCFCFc1-(OCFd1- (iii)
ここでa1およびb1はそれぞれ独立して0または1から30の整数であり、c1およびd1はそれぞれ独立して1から200の整数であり、そして式中、下付き文字a1、b1、c1、またはd1を付した括弧内の各繰り返し単位の出現順序は限定されず;
または
-(R-R- (iv)
ここでRは、OCFまたはOCであり、
は、OC、OC、およびOCから選択される基であり;そして
fは2から100の整数である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
、XおよびXは、それぞれ独立して2価の有機基であり、β、γ、およびδは1であり、そしてβ’、γ’、およびδ’は1である、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
X5、X7およびX9は、それぞれ独立して2価の有機基であり、β、γ、およびδは1であり、そしてβ’、γ’、およびδ’は1である、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
、XおよびXは、それぞれ独立して、-(R31p’-(Xq’-であり、
ここで
31は、それぞれ独立して、単結合、-(CHs’-、ここでs’は1から20の整数である、または、o-、m-もしくはp-フェニレン基であり;
は、-(Xl’-であり、ここで
l’は1から10の整数であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-またはp-フェニレン、-C(O)O-、-Si(R33-、-(Si(R33O)m’-Si(R33-(m’は1から100の整数)、-CONR34-、-O-CONR34-、-NR34-、および-(CHn’-(n’は1から20の整数)から選択され;
33は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、フェニル、C1-6-アルキルまたはC1-6-アルコキシであり;
34は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、H、フェニルまたはC1-6-アルキルであり;
31およびXは、F、C1-3-アルキルおよびC1-3-フルオロアルキルから選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく;
p’は、0、1、または2であり;
q’は、0または1であり;
そしてp’およびq’の少なくとも1つは、1であり、
そして下付き文字p’またはq’を付した括弧内の繰り返し単位の順序は限定されない、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
、X、およびXはそれぞれ独立して、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CHSi(CHOSi(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH-、
-CHOCFCHFOCF-、
-CHOCFCHFOCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF-、
-CHOCHCFCFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF
-CHOCH(CHCHSi(OCHOSi(OCH(CHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-Si(CH-(CH
-CONH-(CH)-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-、ここでPhはフェニル基であり、
-CONH-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-、ここでPhはフェニル基であり、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-S-(CH-、
-(CHS(CH-、
-CONH-(CHSi(CHOSi(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH
-C(O)O-(CH-、
-C(O)O-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-CH(CH)-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-CH(CH)-CH-、
-OCH-、
-O(CH-、
-OCFHCF-、
【化3】

から選択される、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
において、k1は3であり、そしてq1は3である、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
l2は3であり、そしてn2は3である、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
Yは、C1-6-アルキレン、-(CHg’-O-(CHh’-(g’は0から6の整数、そしてh’は0から6の整数)、または-フェニレン-(CHi’-(i’は0から6の整数)である、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
、XおよびXは、それぞれ独立して3から10価の有機基である、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
、X、およびXはそれぞれ独立して、
【化4】

から選択され、
ここで各基において、少なくとも1つのTは、式(A1)、(A2)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)、(D1)および(D2)におけるPFPEに結合した以下の基であり、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CFO(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-CONH-(CH)-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-、ここでPhはフェニルであり、および
【化5】

少なくとも1つの他のTは、式(A1)、(A2)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)、(D1)および(D2)において炭素原子またはSi原子に結合した-(CH-(nは2から6の整数)であり、そして存在する場合、他のTは、それぞれ独立して、メチル、フェニル、C1-6-アルコキシ、またはラジカルスカベンジャー基または紫外線吸収基であり、
41は、それぞれ独立して、H、フェニル、C1-6-アルコキシまたはC1-6-アルキルであり、そして
42は、それぞれ独立して、H、C1-6-アルキルまたはC1-6-アルコキシである、請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
基材と、基材の表面に配置された表面処理層とを含む物品であって、表面処理層が請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物から形成されている物品。
【請求項22】
基材は、ガラス、サファイアガラス、樹脂、金属、セラミック、半導体、繊維、毛皮、皮革、木材、陶器、または石から選択される、請求項21に記載の物品。
【請求項23】
請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物を基材の表面に適用してコーティング層を形成することを含む、物品を形成する方法
【請求項24】
コーティング層の形成に続いて、コーティング層を水で処理することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
コーティングを乾燥雰囲気下で加熱することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
コーティング層を水で処理することおよびコーティングを加熱することは、コーティングを過熱水蒸気にさらすことによって行われる、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年7月2日に出願された「表面処理組成物」という表題の米国仮特許出願第63/047,495号に対する優先権および利益を主張し、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、表面処理用組成物に関する。特に、本発明は、(i)フルオロ官能基および有機官能基を含むハイブリッドシロキサンオリゴマー、および(ii)ペフルオロ(ポリ)エーテル基含有シランを含む、表面を処理するための組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
疎水性および/または疎油性の特性を示すコーティングは、環境条件を含むさまざまな条件にさらされた表面を保護するために関心が持たれる。疎水性または疎油性特性を示すコーティングは、それぞれ比較的大きな水接触角または油接触角を示し、そのような材料でコーティングされた物品の表面にロールオフ特性、耐候性、および耐久性を付与する。
【0004】
一般に、水接触角または油接触角がそれぞれ90°より大きい場合、表面は疎水性または疎油性と見なされる。疎水性表面の例は、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(商標))表面である。ポリテトラフルオロエチレン表面の水接触角は、約115°に達することがあり得る。水接触角が130°を超える表面、または油接触角が130°を超える表面は、それぞれ「超疎水性」または「超疎油性」と見なされる。超疎水性または超疎油性コーティングは、表面に接触する汚れや胞子、バクテリア、またはその他の微生物がコーティングに接着することができず、水で容易に洗い流される「自己洗浄」特性を示す。さらに、このようなコーティングの極端な撥水性により、表面に防汚、防氷、および/または防食特性が付与される。
【0005】
ロールオフ角は、液滴をこの表面から遠ざけるのに十分な、水平に対する試験中の表面の最小の可能な傾斜角度である。水滴のロールオフ角とヒステリシスは、表面上の液滴の安定性を示し、これらの2つのパラメーターの値が低いほど、液滴の安定性が低くなり、したがって、表面からの液滴のロールオフが容易になる。
【0006】
通常、超疎水性および/または超疎油性表面は、表面の化学的性質を変更することによって、および/または真のまたは有効な表面積を増加させるために表面テクスチャリングによって表面粗さを増加させることによって、または両方の方法の組み合わせによって作製される。表面テクスチャリングは扱いにくく費用がかかることがあり得る。さらに、大型で複雑な物品の場合、それが達成するのが困難なことがあり得る。超疎水性表面は、表面粗さの最初の層の形成とそれに続くフッ素化表面改質剤による化学処理を含む多層技術によっても製造されている。超疎水性および/または超疎油性表面は、物品の表面を超疎水性および/または超疎油性コーティング、層、またはフィルムでコーティングすることによる化学的方法によって作成することができる。超疎水性/超疎油性コーティングで表面をコーティングすることは、任意の表面を超疎水性/超疎油性表面に変換する非常に効率的な手段である。ただし、このような超疎水性/超疎油性コーティングのほとんどは、表面への接着性が低く、機械的堅牢性に欠け、傷がつきやすいということを抱えている。
【発明の概要】
【0007】
以下は、いくつかの態様の基本的な理解を提供するために、この開示の概要を提示する。この概要は、重要または重大な要素を特定することも、実施形態または特許請求の範囲の制限を定義することも意図していない。さらに、この概要は、本開示の他の部分でより詳細に説明され得るいくつかの態様の単純化された概要を提供し得る。
【0008】
(i)フルオロ官能基で官能化されたシロキサン単位および有機官能基で官能化されたシロキサン単位を含むハイブリッドシロキサンオリゴマー、および(ii)ペフルオロ(ポリ)エーテル含有シランを含む表面処理組成物が提供される。表面処理組成物は、疎水性および/または疎油性を示すことができるコーティングを提供することができる。コーティングは、コーティングが様々な物品および基材を保護するのに有用であるように、様々な材料に接着することができる。
【0009】
別の態様では、基材と、基材の表面に配置された表面処理層とを含む物品であって、表面処理層が組成物から形成されている物品が提供される。
【0010】
さらに別の態様では、組成物を基材の表面に適用してコーティング層を形成することを含む物品の形成方法を提供する。
【0011】
一態様では、組成物が提供され、該組成物は、
(i)式(1)で表される化合物、および/または化合物の部分加水分解縮合物、
【化1】

ここでRa1、Ra3、Ra5、およびRa7は、アルコキシ、アルコキシカルボニル、ハライド、アルキル、アラルキル、または芳香族基からそれぞれ独立して選択され、但しRa1、Ra3、Ra5、および/またはRa7の少なくとも1つは、アルコキシ、アルコキシカルボニル、またはハライド基であるという条件であり;
a2は、水素、アルキル、アラルキル、または芳香族基から選択され;
a4は式Cで表され、ここでzは1から20であり、そしてx+yは2z+1であり、ここでxは1またはそれより大きく、
a6およびRa8は、それぞれ独立して、アルコキシ、アルコキシカルボニル、ハライド、アルキル、アラルキル、芳香族基、エポキシ、アミンから選択され;
a1、Za2、およびZa3は、ヘテロ原子を任意選択で含む1から20個の炭素原子を有する有機連結基からそれぞれ独立して選択され、但しRa6またはRa8がアルコキシ、アルコキシカルボニル、またはハライドである場合、Za2またはZa3はそれぞれ、O、N、またはSではありえないという条件であり;
a、b、およびcはそれぞれ独立して0から約100であり、a+b+cは0より大きく、aは0より大きく、そしてb+cは0より大きい;および
(ii)式(2)および/または式(3)のペフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン、
[A]b1[B]b2 式(2)
[B]b2[A]Q[B]b2 式(3)
ここでQは(b1+b2)価を有する連結基であり、
AはRf3-O-Rf2-または-Rf3-O-Rf2-で表される基であり、ここでRf2はポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖であり、Rf3はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルキレン基であり、
Bは1つの-R12-(SiR -X 3-r)を有する1価の基であり、ここでR12は有機基、好ましくは2から10個の炭素原子を有する炭化水素基であって、炭素-炭素原子間またはSiと結合する側とは反対側の末端にエーテル酸素原子を任意選択で有する、または炭素-炭素原子間に-NH-を任意選択で有するものであり、Rはそれぞれ独立して水素原子または1から6の炭素原子を有する1価の炭化水素基であり、該炭化水素基は置換基を任意選択で有し、Xはそれぞれ独立して水酸基または加水分解性基であり、そしてrは0から2の整数であり、そしてフッ素原子を含まない、
およびBは環状シロキサン構造を含まず、
b1は1から3の整数であり、
b2は1から9の整数であり、そして
b1が2以上の場合、b1個のAは同一でも異なっていてもよく、
b2個のBは同一でも異なっていてもよい、
を含む。
【0012】
一実施形態では、式(2)および/または式(3)におけるRf2は、-(C2aO)-で表される基であり、ここでaは1から6の整数であり、nは2以上の整数であり、そして-C2aO-単位は同一でも異なっていてもよい。
【0013】
一実施形態では、式(2)および/または式(3)におけるRf2は、-(CFCFCFCFCFCFO)n1-(CFCFCFCFCFO)n2-(CFCFCFCFO)n3-(CFCFCFO)n4-(CF(CF)CFO)n5-(CFCFO)n6-(CFO)n7-基で表される基であり、ここでn1、n2、n3、n4、n5、n6およびn7はそれぞれ独立して0以上の整数であり、n1、n2、n3、n4、n5、n6、およびn7の合計は2以上であり、そして繰り返し単位は、ブロックで、交互に、またはランダムに存在することができる。
【0014】
一実施形態では、式(1)中のRは、基-C13によって表される基である。
【0015】
一実施形態では、前記の式(1)による化合物および化合物の部分加水分解縮合物の数平均分子量は、好ましくは少なくとも300、より好ましくは少なくとも500、より好ましくは少なくとも1000である。
【0016】
一実施形態では、前記の式(1)による化合物および化合物の部分加水分解縮合物の数平均分子量は、好ましくは最大で10000、より好ましくは最大で5000、より好ましくは最大で3000である。
【0017】
一実施形態では、前記の式(1)で表される化合物および化合物の部分加水分解縮合物の含有量は、組成物の総重量の10質量%以下、好ましくは5質量%以下である。
【0018】
一実施形態では、前記の式(1)で表される化合物および化合物の部分加水分解縮合物の含有量は、全組成物の0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上である。
【0019】
一実施形態では、式2は、少なくとも(A1)、(A2)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)、(D1)および(D2)からなる群から選択される化合物であり、
【化2】

ここで
PFPEは、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、下記式の基であり、
-(OC-(OC-(OC-(OCF
ここでa、b、cおよびdは、それぞれ独立して0から200の整数であって、(a+b+c+d)≧1であり、そして下付き文字a-dを有する括弧内の繰り返し単位の順序は限定されず、
Rfは、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、任意選択でFで置換されたC1-16-アルキルであり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、OHまたは加水分解性基であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、HまたはC1-22-アルキルであり;
11は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Hまたはハロゲンであり;
12は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Hまたは低級アルキルであり;
n1は、単位(-SiR 1R 3-n1)ごとに独立して、0-3の整数であり;
式(A1)、(A2)、(B1)および(B2)において、少なくとも1つのn1は1-3の整数であり;
は、それぞれ独立して単結合または2から10価の有機基であり;
は、それぞれ独立して単結合または2価の有機基であり;
tは、それぞれの出現においてそれぞれ独立して1-10の整数であり;
αは、それぞれ独立して1-9の整数であり;
α’は、それぞれ独立して1-9の整数であり;
は、それぞれ独立して単結合または2から10価の有機基であり;
βは、それぞれ独立して1-9の整数であり;
β’は、それぞれ独立して1-9の整数であり;
は、それぞれ独立して単結合または2から10価の有機基であり;
γは、それぞれ独立して1-9の整数であり;
γ’はそれぞれ独立して1-9の整数であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR71 p172 q173 r1であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Oまたは2価の有機基であり;
71は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Rと同じ定義を有するRa’であり;
72は、それぞれの出現においてそれぞれ独立してOHまたは加水分解性基であり;
73は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Hまたは低級アルキルであり;
p1は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0-3の整数であり;
q1は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0-3の整数であり;
r1は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0-3の整数であり;
式(C1)および(C2)において、少なくとも1つのq1は1-3の整数であり;
そしてRにおいて、Z基を介して直鎖状に結合しているSi原子の数は≦5であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、OHまたは加水分解性基であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Hまたは低級アルキルであり;
k1は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、1-3の整数であり;
l1は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0-2の整数であり;
それは、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0-2の整数であり;
そして下付き文字γ付きの括弧内の各単位において(k1+l1+m1)=3;
は、それぞれ独立して単結合または2から10価の有機基であり;
δは、それぞれ独立して1-9の整数であり;
δ’は、それぞれ独立して1-9の整数であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、-Z-CR81 p282 q283 r2であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Oまたは2価の有機基であり;
81は、それぞれの出現においてそれぞれ独立してRd’であり;
d’はRの定義と同じ定義を有し;
において、Z基を介して直鎖状に結合しているC原子の数は≦5であり;
82は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して-Y-SiR85n286 3-n2であり;
Yは、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基であり;
85は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、OHまたは加水分解性基であり;
86は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Hまたは低級アルキルであり;
n2は、(-Y-SiR85 n286 3-n2)単位ごとに独立して1-3の整数であり;
式(D1)および(D2)において、少なくとも1つのn2は1-3の整数であり;
83は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Hまたは低級アルキル基であり;
p2は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0-3の整数であり;
q2は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0-3の整数であり;
r2は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0-3の整数であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して-Y-SiR85 n286 n2であり;
Rfは、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Hまたは低級アルキルであり;
k2は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0-3の整数であり;
l2は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0-3の整数であり;そして
m2は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0-3の整数であり;
式(D1)および(D2)において、少なくとも1つのq2は2または3である、または少なくとも1つのl2は2または3である。
【0020】
Rfが1から16個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基である、請求項1から9のいずれかに記載の組成物。
【0021】
一実施形態では、PFPEは、以下の式(i)から(iv)のいずれかの基であり、
-(OCFCFCFb1 (i)
ここでb1は1-200の整数であり;
-(OCF(CF)CFb1- (ii)
ここでb1は1-200の整数であり;
-(OCFCFCFCFa1-(OCFCFCFb1-(OCFCFc1-(OCFd1- (iii)
ここでa1およびb1はそれぞれ独立して0または1-30の整数であり、c1およびd1はそれぞれ独立して1-200の整数であり、そして下付き文字a1、b1、c1、またはd1を付した括弧内の各繰り返し単位の存在する順序は式に限定されず;
または
-(R-R- (iv)
ここでRはOCFまたはOCであり、
はOC、OCおよびOCから選択される基であり;そして
fは2-100の整数である。
【0022】
一実施形態では、X、XおよびXは、それぞれ独立して2価の有機基であり、β、γ、およびδは1であり、そしてβ’、γ’、およびδ’は1である。
【0023】
一実施形態では、X5、X7およびX9はそれぞれ独立して2価の有機基であり、β、γ、およびδは1であり、そしてβ’、γ’、およびδ’は1である。
【0024】
一実施形態では、X、XおよびXはそれぞれ独立して-(R31p’-(Xq’-であり、ここで
31はそれぞれ独立して単結合、-(CHs’-、ここでs’は1-20の整数である、またはo-、m-もしくはp-フェニレン基であり;
は-(Xl’-であり、ここで
l’は1-10の整数であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン、-C(O)O-、-Si(R33-、-(Si(R33O)m’-Si(R33-(ここでm’は1-100の整数である)、-CONR34-、-O-CONR34-、-NR34-および-(CHn’-(ここでn’は1-20の整数である)から選択され;
33は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、フェニル、C1-6-アルキルまたはC1-6-アルコキシであり;
34は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、H、フェニルまたはC1-6-アルキルであり;
31およびXは、F、C1-3-アルキルおよびC1-3-フルオロアルキルから選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、
p’は0、1、または2であり;
q’は0または1であり;
p’およびq’の少なくとも1つは1であり、
そして下付き文字p’またはq’を有する括弧内の繰り返し単位の順序は限定されない。
【0025】
一実施形態では、X、XおよびXはそれぞれ独立して、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CHSi(CHOSi(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH-、
-CHOCFCHFOCF-、
-CHOCFCHFOCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF-、
-CHOCHCFCFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF
-CHOCH(CHCHSi(OCHOSi(OCH(CHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH-、
-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-Si(CH-(CH-、-CONH-(CH)-、
-CONH-(CH-、-CONH-(CH-、-CON(CH)-(CH-、-CON(Ph)-(CH-、ここでPhはフェニル基である、-CONH-(CH-、-CON(CH)-(CH-、-CON(Ph)-(CH-、ここでPhはフェニル基である、-CONH-(CHNH(CH-、-CONH-(CHNH(CH-、-CHO-CONH-(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、-S-(CH-、-(CHS(CH-、
-CONH-(CHSi(CHOSi(CH(CH-、-CONH-(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH-、-C(O)O-(CH-, -C(O)O-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-CH(CH)-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-CH(CH)-CH-、-OCH-、-O(CH-、-OCFHCF-、
【化3】

から選択される。
【0026】
一実施形態では、Rにおいて、k1が3であり、そしてq1が3である、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【0027】
一実施形態では、l2は3であり、そしてn2は3である。
【0028】
一実施形態では、Yは、C1-6-アルキレン、-(CHg’-O-(CHh’-(g’は0-6の整数であり、そしてh’は0-6の整数である)、または-フェニレン-(CHi’-(i’は0-6の整数である)である。
【0029】
一実施形態では、X、XおよびXは、それぞれ独立して3から10価の有機基である。
【0030】
一実施形態では、XおよびXは、それぞれ独立して
【化4】

から選択され、
ここで各基において、Tの少なくとも1つは、式(A1)、(A2)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)、(D1)および(D2)において、PFPEに結合した以下の基であり、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CFO(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-CONH-(CH)-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-、ここでPhはフェニルであり、および
【化5】

他のTの少なくとも1つは、式(A1)、(A2)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)、(D1)および(D2)において炭素原子またはSi原子に結合した-(CH-(ここでnは2-6の整数である)であり、そして存在する場合、その他のTは、それぞれ独立して、メチル、フェニル、C1-6-アルコキシ、またはラジカルスカベンジャー基または紫外線吸収基であり、
41は、それぞれ独立して、H、フェニル、C1-6-アルコキシまたはC1-6-アルキルであり、そして
42は、それぞれ独立して、H、C1-6-アルキルまたはC1-6-アルコキシである。
【0031】
別の態様では、基材と、基材の表面に配置された表面処理層とを含む物品を提供し、ここで表面処理層は、前述の実施形態のいずれかによる組成物から形成される。
【0032】
一実施形態では、基材は、ガラス、サファイアガラス、樹脂、金属、セラミック、半導体、繊維、毛皮、皮革、木材、陶器、または石から選択される。
【0033】
さらに別の態様では、コーティング層を形成するために、基材の表面に、前述の実施形態のいずれかによる組成物を適用することを含む、物品を形成する方法が提供される。
【0034】
一実施形態では、方法は、コーティング層の形成に続いて、コーティング層を水で処理することを含む。
【0035】
一実施形態では、方法は、コーティングを乾燥雰囲気下で加熱することを含む。
【0036】
一実施形態では、コーティング層を水で処理することおよびコーティングを加熱することは、コーティングを過熱水蒸気にさらすことによって行われる。
【0037】
以下の説明および図面は、さまざまな例示的な態様を開示する。いくつかの改善点および新規な態様が明示的に識別され得る一方で、他のものは説明および図面から明らかであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
添付の図面は、さまざまなシステム、装置、デバイス、および関連する方法を示しており、同様の参照文字は全体を通して同様の部分を指している。
【0039】
図1図1は、ハイブリッドオリゴマーの非限定的な例である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
次に、例示的な実施形態を参照し、その例を添付の図面に示す。他の実施形態が利用されてもよく、そして構造的および機能的な変更がなされてもよいことが理解されるべきである。さらに、さまざまな実施形態の特徴を組み合わせたり、変更したりすることができる。したがって、以下の説明は、例示のみを目的として提示されており、例示された実施形態に対して行うことができる様々な代替および修正を決して限定するものではない。この開示では、多数の特定の詳細が主題開示の完全な理解を提供する。本開示の態様は、本明細書に記載されたすべての態様を必ずしも含むとは限らない他の実施形態などで実施され得ることが理解されるべきである。
【0041】
本明細書で使用される場合、「例」および「例示的」という用語は、事例または実例を意味する。「例」または「例示的」という言葉は、重要または好ましい態様または実施形態を示すものではない。「または」という言葉は、文脈上別段の示唆がない限り、排他的ではなく包括的であることを意図している。例として、「AはBまたはCを使用する」という語句には、任意の包括的な順列が含まれる(たとえば、AはBを使用する、AはCを使用する、またはAはBおよびCの両方を使用する)。別の事項として、冠詞「a」および「an」は、一般に、文脈が別段示唆しない限り、「1つまたは複数」を意味することを意図している。
【0042】
本明細書では、(i)フルオロ官能基および有機官能基を含むハイブリッドシロキサンオリゴマー、ならびに(ii)ペフルオロ(ポリ)エーテル基含有シランを含む表面処理用組成物が開示される。この組成物は、表面処理組成物でコーティングされた基材に耐水性、耐油性、および他の特性を付与することができる。
【0043】
ハイブリッドシロキサンオリゴマー
【0044】
ハイブリッドシロキサンオリゴマーは、フルオロ官能基および反応性および/または非反応性官能基を含むシロキサン官能性オリゴマーである。反応性官能基は、オリゴマーが加水分解および縮合されて表面上にコーティングを形成することを可能にする。さらに、シロキサンオリゴマーのフルオロ官能基および他の官能基は、コーティングにより、疎水性および/または疎油性、防汚性などの追加の特性を表面に提供する。
【0045】
ハイブリッドシロキサンオリゴマーは、一実施形態では、式(1)の化合物であり、
【化6】

ここでRa1、Ra3、Ra5、およびRa7は、それぞれ独立して、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、ハライド、アルキル、アラルキル、または芳香族基から選択され、但しRa1、Ra3、Ra5、および/またはRa7の少なくとも1つは、アルコキシ、アルコキシカルボニル、またはハライド基であるという条件であり;
a2は、水素、アルキル、アラルキル、または芳香族基から選択され;
a4は式Cで表され、ここでzは1-20であり、そしてx+yは2z+1であり、ここでxは1以上であり;
a6およびRa8は、それぞれ独立して、アルコキシ、アルコキシカルボニル、ハライド、アルキル、アラルキル、芳香族基、エポキシ、アミンから選択され;
a1、Za2、およびZa3は、ヘテロ原子を任意選択で含む1から20個の炭素原子を有する有機連結基からそれぞれ独立して選択され、但しRa6またはRa8がアルコキシ、アルコキシカルボニル、またはハライドである場合、Za2またはZa3はそれぞれ、O、N、またはSでありえないという条件であり;
a、b、およびcはそれぞれ独立して0から約100であり、a+b+cは0より大きく、aは0より大きく、そしてb+cは0より大きい。
【0046】
アルコキシ基は、Ra9がC1-C10アルキル、C2-C8アルキル、またはC4-C6アルキルである基-ORa9から選択することができる。一実施形態では、アルコキシ基は-OCHである。
【0047】
アルコキシカルボニル基は、Ra10がC1-C10アルキル、C2-C8アルキル、またはC4-C6アルキルである式-O-C(O)-ORa10の基から選択することができる。一実施形態では、アルコキシカルボニル基は、-O-C(O)-OCHである。
【0048】
ハライド基は、Br、Cl、F、またはIから選択できる。一実施形態では、Ra1、Ra3、Ra5、Ra7、Ra6、またはRa8の少なくとも1つがハライドである場合、ハライドはFである。
【0049】
アルキル基は、直鎖状、分岐状、または環状アルキル基から選択することができる。一実施形態では、アルキル基は、C1-C20アルキル、C2-C16アルキル、C3-C10アルキル、またはC4-C6アルキルから選択される。一実施形態では、アルキル基は、C4-C20環状アルキル、C5-C16環状アルキル、またはC6-C10環状アルキルから選択される。実施形態では、アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどから選択される。
【0050】
アルコール基は、-OHまたはRa11がC1-C10アルキル基である-Ra11OHから選択することができる。
【0051】
芳香族基は、1個の水素原子が除去された芳香族炭化水素から選択することができる。芳香族基は、単結合または他の基によって縮合または連結された、1つまたは複数の芳香環を有することができる。実施形態では、芳香族基は、C6-C30芳香族、C6-C20芳香族、さらにはC6-C10芳香族から選択されてもよい。芳香族基の具体的かつ非限定的な例には、トリル、キシリル、フェニル、およびナフタレニルが含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
a4は、式Cで表され、ここでzは1-20であり、そしてx+yは2z+1であり、ここでxは1またはそれよりも大きい。一実施形態では、zは、1から約20、約2から約10、または約4から約6である。一実施形態では、yが0である場合、フルオロ官能基は、式C2z+1の過フッ素化脂肪族基である。一実施形態では、フルオロ官能基は、-CF、-C、-C、-C、-C11、または-C13から選択される。
【0053】
a6およびRa8は、アルコキシ、アルコキシカルボニル、ハライド、アルキル、アラルキル、芳香族基、エポキシ、アミンからそれぞれ独立して選択される。アルコキシ、アルコキシカルボニル、ハライド、アルキル、および芳香族基は、本明細書で前述したような任意の基から選択することができる。
【0054】
一実施形態では、Ra6およびRa8は、アミンから選択することができる。アミンは、H、アルキル基、シクロアルキル基、または芳香族基で置換することができる。アミンは、ポリアミン基から選択することもできる。一実施形態では、アミン基は、-NR a12、-(NRa13-NRa14a15、-NRa16-C(X)-NR a17、-Ra18-N(Ra19)-Ra20、-Ra21-NR a22、-Ra23-(N(Ra24))-Ra25-N a26、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択され、ここでRa12、Ra13、Ra14、Ra15、Ra16、Ra17、Ra19、Ra22、Ra24、およびRa26は、それぞれ独立して、水素、C1-C20アルキル、C6-C20シクロアルキル、またはC6-C20芳香族から選択され、Ra18、Ra20、Ra21、Ra23、およびRa25はそれぞれ独立して、2価のC1-C20アルキル、C6-C20シクロアルキル、またはC6-C20芳香族基から選択され、XはOまたはSであり、hは1から約10であり、そしてiは1から約10である。実施形態では、アミンは、-NH、-N(CH、-NH-C(O)-NH、-NH-C(S)-NH、-(NH(C)-)NH、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される。
【0055】
一実施形態では、RおよびRは、チオール(-SH)含有基から選択することができる。チオール含有基の例としては、限定されるものではないが、-SH、-SRa27、-S-C(O)-Ra28、またはそれらの2つ以上の組み合わせが含まれ、ここでR27およびR28は、それぞれ独立して、C1-C10アルキル、C6-C20シクロアルキル、およびC6-C20芳香族から選択される。
【0056】
一実施形態では、RおよびRは、エポキシ官能基から選択することができる。エポキシ官能基は、-Ra29-エポキシ;または-Ra30-O-Ra31-エポキシから選択でき、ここでRa29、Ra30、およびRa31は、2価のC1-C20アルキル、C6-C20シクロアルキル、またはC6-C20芳香族から独立して選択され、Ra29およびRa31もまたそうあり得、またはC5-C20シクロアルキルエポキシを形成する環構造であり得る。
【化7】
【0057】
図1は、本技術の範囲内のハイブリッドオリゴマーのいくつかの非限定的な例を示す。
【0058】
ハイブリッドオリゴマーは、フルオロ基(Ra4)の有機官能基(Ra6および/またはRa8)に対するモル比が、約1:9から約9:1、約1:7から約7:1、約1:5から約5:1;約1:3から約3:1、約1:2から約2:1、または約1:1となるように提供される。一実施形態では、フルオロ基対有機官能基のモル比は、約1:1から約4:1、約1.5:1から約3:1、または約2:1から約2.5:1である。
【0059】
一実施形態では、ハイブリッドシロキサン(およびその部分加水分解縮合物)は、好ましくは少なくとも300、より好ましくは少なくとも500、より好ましくは少なくとも1000の数平均分子量を有する。一実施形態では、ハイブリッドシロキサン化合物(1)(および化合物の部分加水分解縮合物)の数平均分子量は、最大で10000、最大で5000、または最大で3000である。実施形態では、数平均分子量は、約300から約10000、約500から約7500、約1000から約5000、または約2000から約3000である。本明細書において、「数平均分子量」は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)分析により測定される。
【0060】
ハイブリッドシロキサンオリゴマーは、一般に、溶媒および触媒の存在下で、フルオロシランを適切な反応性および/または非反応性官能性シランと反応させることによって調製される。シランは、約20℃から約60℃の温度で反応させることができる。反応後、ハイブリッドシロキサンオリゴマー生成物を得るために、水または揮発性物質を除去することができる。一実施形態では、ハイブリッドシロキサンオリゴマーは、シラン(Ra4-Za1)Si(ORa3(ORa1)とシラン(Ra6-Z)Si(ORa53-n(ORa2および/または(Ra8-Za3)Si(ORa7(ORa2)との反応により調製されることができ、ここでRa1、Ra2、Ra3、Ra4、Ra5、Ra6、Ra7、Ra8、Za1、Za2およびZa3は、上記の通りである。それぞれのシランは、所望のモル比(上記のa、b、およびcを満たす)で提供することができる。溶媒は、特定の目的または意図する用途に応じて選択することができる。実施形態では、溶媒は、アルコール(例えば、C1-C10アルコール)またはフルオロ置換アルコールであり得る。一実施形態では、溶媒は、メタノールまたはトリフルオロエタノールから選択される。
【0061】
触媒は、特定の目的または意図する用途に応じて選択することができる。適切な溶媒の例には、限定されるものではないが、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、p-トルエンスルホン酸、アンモニア溶液、またはそれらの2つ以上の組み合わせが含まれる。
【0062】
水および揮発性物質を反応混合物から除去して、ハイブリッドシロキサンオリゴマー生成物を得る。水は、限定されるものではないが、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、無水硫酸ナトリウムなどの任意の適切な薬剤を使用して、混合物から除去することができる。揮発性物質は、当技術分野で知られている任意の適切な方法を使用して混合物から除去することができる。一実施形態において、揮発性物質は圧力下(すなわち、減圧で)および/または高温下で除去される。温度は、反応混合物に使用される溶媒または他の有機物質に基づいて、所望されるように選択され得る。
【0063】
架橋度は、29SiNMRによって評価される「T」単位の比率に基づいて評価することができる。T、T、T、およびT単位の比は、システムにおける架橋度(すなわち、生成物における加水分解および縮合の程度)を示すことが理解される。これは、触媒の投与量および/または反応時間を含む反応条件によって変更または制御することができる。一般に、架橋度およびT、T、T、およびT単位の比率は、特定の目的または意図する用途またはコーティング用途のために所望に応じて選択することができる。
【0064】
ペルフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン
【0065】
表面処理組成物は、ペルフルオロ(ポリ)エーテル基含有シランを含む。ペルフルオロ(ポリ)エーテル基含有シランは、式(2)および/または(3)の化合物であり得、
[A]b1[B]b2 式(2)および/または
[B]b2[A]Q[B]b2 式(3)
ここでQは(b1+b2)価を有する連結基であり、
Aは、Rf3-O-Rf2-または-Rf3-O-Rf2-で表される基であり、ここでRf2はポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖であり、そしてRf3はペルフルオロアルキル基またはペルフルオロアルキレン基であり、
Bは1つの-R12-(SiR -X 3-r)を有する1価の基であり、ここでR12は有機基、好ましくは2から10個の炭素原子を有する炭化水素基であって、炭素-炭素原子間またはSiと結合する側とは反対側の末端にエーテル酸素原子を任意選択で有する、または炭素-炭素原子間に-NH-を任意選択で有するものであり、Rはそれぞれ独立して水素原子または1から6個の炭素原子を有する1価の炭化水素基であり、該炭化水素基は任意選択で置換基を有し、Xはそれぞれ独立して水酸基または加水分解性基であり、そしてrは0から2の整数であり、そしてフッ素原子を含まず、
およびBは環状シロキサン構造を含まず、
b1は1から3の整数であり、
b2は1から9の整数であり、そして
b1が2以上の場合、b1個のAは同一でも異なっていてもよく、そして
b2個のBは同一でも異なっていてもよい。
【0066】
一実施形態において、式(2)および/または式(3)におけるRf2は、-(Cai2aiO)-で表される基であり、ここでaiは1から6の整数であり、nは2以上の整数であり、そして-C2aO-単位は同一でも異なっていてもよい。実施形態において、式(2)および/または式(3)におけるRf2は、基-(CFCFCFCFCFCFO)n1-(CFCFCFCFCFO)n2-(CFCFCFCFO)n3-(CFCFCFO)n4-(CF(CF)CFO)n5-(CFCFO)n6-(CFO)n7-によって表される基であり、ここでn1、n2、n3、n4、n5、n6およびn7はそれぞれ独立して0以上の整数であり、n1、n2、n3、n4、n5、n6、およびn7の合計は2以上であり、そして繰り返し単位は、ブロックで、交互に、またはランダムに存在することができる。
【0067】
一実施形態では、ペフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国公開第2019/0031828号に示され、説明されている、式(A1)、(A2)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)、(D1)および(D2)のいずれかの化合物であることができる。式(2)の化合物は、(A1)、(A2)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)、(D1)および(D2)からなる群から選択される化合物から選択されることができる。
【化8】
【0068】
上記の式では、PFPEはそれぞれ独立して-(OCa1-(OCb1-(OCc1-(OCFd1-であり、そしてペルフルオロ(ポリ)エーテル基に対応する。ここで、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して、0または1以上の整数である。a1、b1、c1、およびd1の合計は1以上である。好ましくは、a1、b1、c1およびd1はそれぞれ独立して0以上200以下の整数、例えば1以上200以下の整数、より好ましくはそれぞれ独立して0以上100以下の整数である。a1、b1、c1およびd1の合計は、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。式において、下付き文字a1、b1、c1、またはd1を付した括弧内の各繰り返し単位の出現順序は限定されない。これらの繰り返し単位のうち、-(OC)-基は、-(OCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCF)-、-(OCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCF(CF))-、-(OC(CFCF)-、-(OCFC(CF)-、-(OCF(CF)CF(CF))-、-(OCF(C)CF)-、および-(OCFCF(CF))-のいずれか、好ましくは-(OCFCFCFCF)-であり得る。-(OC)-基は、-(OCFCFCF)-、-(OCF(CF)CF)-、および-(OCFCF(CF))-のいずれか、好ましくは-(OCFCFCF)-であり得る。-(OC)-基は、-(OCFCF)-および-(OCF(CF))-のいずれか、好ましくは-(OCFCF)-であり得る。
【0069】
一実施形態では、PFPEは、-(OCb1-であり、ここでbは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、好ましくは、-(OCFCFCFb1-、ここでb1は1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、または、-(OCF(CF)CFb1-であり、ここでb1は1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、より好ましくは、-(OCFCFCFb1-であり、ここでb1は1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である。
【0070】
別の実施形態では、PFPEは-(OCa1-(OCb1-(OCc1-(OCFd1-であり、ここでa1およびb1はそれぞれ独立して0以上30以下の整数であり、c1およびd1は、それぞれ独立して、1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、そして式中、下付き文字a、b、c、またはdを付した括弧内の各繰り返し単位の出現順序は限定されず、好ましくは、-(OCFCFCFCFa1-(OCFCFCFb1-(OCFCFc1-(OCFd1-である。一実施形態では、PFPEは-(OCc1-(OCFd1-であり得、ここでcおよびdは、それぞれ独立して、1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、そして式中、下付き文字cまたはdを付した括弧内の各繰り返し単位の出現順序は限定されない。
【0071】
さらに別の実施形態では、PFPEは-(R-R-の基である。式中、RはOCFまたはOC、好ましくはOCである。すなわち、好ましくはPFPEは、-(OC-R-の基である。式中、Rは、OC、OCおよびOCから選択される基、またはこれらの基から独立して選択される2つまたは3つの基の組み合わせである。OC、OCおよびOCから独立して選択される2つまたは3つの基の組み合わせの例としては、限定されるものではないが、例えば、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC_F-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCF OC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOCF-、-OCOCOC-などが含まれる。fは2から100の整数であり、好ましくは2から50の整数である。上記式中、OC、OC、およびOCは直鎖でも分岐していてもよいが、直鎖が好ましい。この実施形態では、PFPEは好ましくは、-(OC-OC-または-(OC-OC-である。
【0072】
式中、Rfは、1個以上のフッ素原子で置換されていてもよい1から16個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0073】
1個以上のフッ素原子で置換されていてもよい1から16個の炭素原子を有するアルキルにおける「1から16個の炭素原子を有するアルキル基」は、直鎖であっても分岐していてもよく、好ましくは1から6個の炭素原子、特に1から3個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基であり、より好ましくは1から3個の炭素原子を有する直鎖アルキル基である。
【0074】
Rfは、好ましくは1個以上のフッ素原子で置換された1から16個の炭素原子を有するアルキル、より好ましくはCFH-C1-15フルオロアルキレン基、より好ましくは1から16個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基である。
【0075】
1から16個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基は、直鎖でも分岐でもよく、好ましくは1から6個の炭素原子、特に1から3個の炭素原子を有する直鎖または分岐のペルフルオロアルキル基であり、より好ましくは1から3個の炭素原子を有する直鎖ペルフルオロアルキル基、具体的には-CF、-CFCFまたは-CFCFCFである。
【0076】
式中、Rは、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、ヒドロキシル基または加水分解性基である。
【0077】
式中、Rは、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1から22個の炭素原子を有するアルキル基、好ましくは1から4個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0078】
本明細書で使用される「加水分解性基」とは、加水分解反応により化合物の主鎖から脱離することができる基を表す。加水分解性基の例としては、-OR、-OCOR、-O-N=CR、-NR、-NHR、ハロゲン(ここでRは1から4個の炭素原子を有する置換または無置換のアルキル基)、好ましくは-OR(すなわち、アルコキシ基)が挙げられる。Rの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの無置換のアルキル基;およびクロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。これらのうち、アルキル基、特に無置換のアルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。水酸基は、特に限定されないが、加水分解性基の加水分解により生成される基であり得る。
【0079】
式中、R11は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子である。ハロゲン原子は、好ましくはヨウ素原子、塩素原子、またはフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
【0080】
式中、R12は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基である。低級アルキル基は、好ましくは1から20個の炭素原子を有するアルキル基、より好ましくは1から6個の炭素原子を有するアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基などである。
【0081】
式中、n1は、単位(-SiR n1 3-n1)ごとに独立して、0から3、好ましくは0から2、より好ましくは0の整数である。式中のn1のすべてが同時に0ではない。換言すれば、少なくとも1つのRが式中に存在する。
【0082】
式中、Xはそれぞれ独立して単結合または2から10価の有機基である。Xは、式(A1)および(A2)の化合物における、主に撥水性、表面滑り性などを付与するペルフルオロポリエーテル部分(すなわち、Rf-PFPE部分または-PFPE-部分)と基材に結合する能力を提供するシラン部分(すなわち、下付き文字aを有する括弧内の基)との間を接続するリンカーであると認識される。したがって、式(A1)および(A2)の化合物が安定に存在できる限り、Xはどのような有機基であってもよい。
【0083】
式中、αは1から9の整数であり、そしてα’は1から9の整数である。αおよびα’は、X基の価数に応じて変化し得る。式(A1)において、αおよびα’の合計はXの価数である。例えば、Xが10価の有機基である場合、αとα’の合計は10であり、例えば、αが9でα’が1、αが5でα’が5、またはαが1でα’が9である。Xが2価の有機基の場合、αおよびα’は1である。式(A2)において、aはXの価数から1を引いた値である。
【0084】
は、好ましくは2から7価、より好ましくは2から4価、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0085】
一実施形態において、Xは2から4価の有機基であり、αは1から3であり、α’は1である。
【0086】
(A1)、(A2)、(B1)、(C1)、(C2)、(D1)、および(D2)の実施形態において、
PFPEは、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、下記式の基であり、
-(OCa1-(OCb1-(OCc1-(OCFd1
ここでa1、b1、c1およびd1はそれぞれ独立して0から200の整数であって(a1+b1+c1+d1)≧1であり、そして下付文字a1-d1を付した括弧内の繰り返し単位の順序は限定されず;
Rfは、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、任意選択にてFで置換されたC1-16-アルキルであり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、OHまたは加水分解性基であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、HまたはC1-22-アルキルであり;
11は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Hまたはハロゲンであり;
12は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Hまたは低級アルキルであり;
n1は、単位(-SiR n1 3-n1)ごとに独立して、0から3の整数であり;
式(A1)、(A2)、(B1)および(B2)において、少なくとも1つのn1は1から3の整数であり;
は、それぞれ独立して単結合または2から10価の有機基であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基であり;
tは、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、1から10の整数であり、
αは、それぞれ独立して1から9の整数であり;
α’は、それぞれ独立して1から9の整数であり;
は、それぞれ独立して単結合または2から10価の有機基であり;
βは、それぞれ独立して1から9の整数であり;
β’は、それぞれ独立して1から9の整数であり;
はそれぞれ独立して単結合または2から10価の有機基であり;
γはそれぞれ独立して1から9の整数であり;
γ’はそれぞれ独立して1から9の整数であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR71 p172 1R73 r1であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Oまたは2価の有機基であり;
71は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Rと同じ定義を有するRa’であり;
72は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、OHまたは加水分解性基であり;
73は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Hまたは低級アルキルであり;
p1は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0から3の整数であり;
q1は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0から3の整数であり;
r1は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0から3の整数であり;
式(C1)および(C2)において、少なくとも1つのq1は1から3の整数であり;
そしてRにおいて、Z基を介して直鎖状に結合しているSi原子の数は≦5であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、OHまたは加水分解性基であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Hまたは低級アルキルであり;
k1は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、1から3の整数であり;
l1は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0から2の整数であり;
m1は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0から2の整数であり;
そして下付き文字γ付きの括弧内の各単位において(k1+l1+m1)=3であり;
は、それぞれ独立して、単結合または2から10価の有機基であり;
δは、それぞれ独立して1から9の整数であり;
δ’は、それぞれ独立して1から9の整数であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、-Z-CR81 p282 q283 r2であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Oまたは2価の有機基であり;
81は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Rd’であり;
d’はRと同じ定義を有し;
において、Z基を介して直鎖状に結合しているC原子の数は≦5であり;
82は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、-Y-SiR85 n286 3-n2であり;
Yは、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基であり;
85は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、OHまたは加水分解性基であり;
86は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Hまたは低級アルキルであり;
n2は、(-Y-SiR85 n286 3-n2)単位ごとに独立して1から3の整数であり;
式(D1)および(D2)において、少なくとも1つのn2は1から3の整数であり;
83は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Hまたは低級アルキル基であり;
p2は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0から3の整数であり;
q2は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0から3の整数であり;
r2は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0から3の整数であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、-Y-SiR85 n286 n2であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、Hまたは低級アルキルであり;
k2は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0から3の整数であり;
l2は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0から3の整数であり;そして
m2は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、0から3の整数であり;
式(D1)および(D2)において、少なくとも1つのq2は2または3であるか、または少なくとも1つのl2は2または3である。
【0087】
一実施形態において、PFPEは、以下の式(i)から(iv)のいずれかの基であり、
-(OCFCFCFb1 (i)
ここでbは1から200の整数であり;
-(OCF(CF)CFb1- (ii)
ここでbは1から200の整数であり;
-(OCFCFCFCFa1-(OCFCFCFb1-(OCFCFc1-(OCFd1- (iii)
ここでa1およびb1はそれぞれ独立して0または1から30の整数であり、c1およびd1はそれぞれ独立して1から200の整数であり、そして式中、下付き文字a1、b1、c1、またはd1を付した括弧内の各繰り返し単位の出現順序は限定されず;
または
-(R-R- (iv)
ここでRは、OCFまたはOCであり、
は、OC、OC、およびOCから選択される基であり;そして
fは2から100の整数である。
【0088】
一実施形態において、X、XおよびXは、それぞれ独立して、2価の有機基であり、β、γ、およびδは1であり、そしてβ’、γ’、およびδ’は1である。
【0089】
一実施形態において、X、XおよびXは、それぞれ独立して、-(R31p’-(Xq’-であり、
ここで
31は、それぞれ独立して、単結合、-(CHs’-(s’は1から20の整数)、o-、m-もしくはp-フェニレン基であり;
は、-(Xl’-であり、ここで
l’は1から10の整数であり;
は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-またはp-フェニレン、-C(O)O-、-Si(R33-、-(Si(R33O)m’-Si(R33-(m’は1から100の整数)、-CONR34-、-O-CONR34-、-NR34-、および-(CHn’-(n’は1から20の整数)から選択され;
33は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、フェニル、C1-6-アルキルまたはC1-6-アルコキシであり;
34は、それぞれの出現においてそれぞれ独立して、H、フェニルまたはC1-6-アルキルであり;
31およびXは、F、C1-3-アルキルおよびC1-3-フルオロアルキルから選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく;
p’は、0、1、または2であり;
q’は、0または1であり;
そしてp’およびq’の少なくとも1つは、1であり、
そして下付き文字p’またはq’を付した括弧内の繰り返し単位の順序は限定されない。
【0090】
一実施形態では、X、XおよびXはそれぞれ独立して、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CHSi(CHOSi(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH-、
-CHOCFCHFOCF-、
-CHOCFCHFOCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF-、
-CHOCHCFCFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF
-CHOCH(CHCHSi(OCHOSi(OCH(CHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-Si(CH-(CH
-CONH-(CH)-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-、ここでPhはフェニル基であり、
-CONH-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-、ここでPhはフェニル基であり、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-S-(CH-、
-(CHS(CH-、
-CONH-(CHSi(CHOSi(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH
-C(O)O-(CH-、
-C(O)O-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-CH(CH)-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-CH(CH)-CH-、
-OCH-、
-O(CH-、
-OCFHCF-、
【化9】

から選択される。
【0091】
一実施形態では、X、X、およびXはそれぞれ独立して、
【化10】

から選択され、
ここで各基において、Tの少なくとも1つは、式(A1)、(A2)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)、(D1)および(D2)中のPFPEに結合した以下の基であり、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CFO(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-CONH-(CH)-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-、ここでPhはフェニルであり、および
【化11】

他のTの少なくとも1つは、式(A1)、(A2)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)、(D1)および(D2)中の炭素原子またはSi原子に結合した-(CHn’-(n’は2から6の整数)であり、そして存在する場合、その他のTは、それぞれ独立して、メチル、フェニル、C1-6-アルコキシ、またはラジカルスカベンジャー基または紫外線吸収基であり、
41は、それぞれ独立して、H、フェニル、C1-6-アルコキシまたはC1-6-アルキルであり、そして
42は、それぞれ独立して、H、C1-6-アルキルまたはC1-6-アルコキシである。
【0092】
式(A1)、(A2)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)、(D1)および(D2)のペルフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の数平均分子量は、特に限定されないが、5×10から1×10である。数平均分子量は、好ましくは2,000から30,000、より好ましくは3,000から10,000、さらに好ましくは3,000から8,000であり得る。
【0093】
なお、本発明において、「数平均分子量」はGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)分析により測定される。
【0094】
本発明の表面処理剤に含まれるペルフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物のPFPE部分の数平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは1,500から30,000、より好ましくは2,5000から10,000、さらに好ましくは3,000から8,000であり得る。
【0095】
表面処理組成物は、実施形態において、組成物の総重量の10質量%以下、好ましくは5質量%以下の量の式(1)のハイブリッドシロキサン(およびその部分加水分解縮合物)である。他の実施形態において、前記の式(1)で表される化合物およびその化合物の部分加水分解縮合物の含有量は、全組成物の0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上である。実施形態において、式(1)のハイブリッドシロキサンは、表面処理組成物に存在し、約0.01質量%から約10質量%、約0.1質量%から約7.5質量%、約0.5質量%から約5質量%、約1質量%から約2.5質量%の量で存在する。
【0096】
表面処理組成物は、得られるコーティングに特定の効果を提供する、または特定の特性を付与するために、必要に応じて1つまたは複数の添加剤を任意選択で含むことができる。適切な添加剤の例としては、顔料、殺生物剤、加工助剤、界面活性剤、防腐剤、フローおよびレベリング剤、殺菌剤、防カビ剤、殺藻剤、線虫剤、軟体動物駆除剤、つや消し剤、有機ポリマー粒子、チキソトロピー添加剤、ワックス、難燃剤、帯電防止剤、垂れ防止剤、溶剤、接着促進剤、またはそれらの2つ以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
表面処理組成物は、これらに限定されないが、スプレー、ブラッシング、フローコーティング、ディップコーティング、物理蒸着などの任意の従来のまたは別の既知の技術を用いて基材の表面に適用することができる。適用されたままの(または湿った)コーティングのコーティング厚さは、所望に応じて選択することができ、約10から約150、約20から約100、または約40から約80ミクロンなど、一般に広い範囲にわたって適用することができる。このような厚さの湿ったコーティングは、一般に、約1から30、約2から約20、または約5から約15ミクロンの範囲の厚さを有する(乾燥)硬化コーティングを提供することになる。
【0098】
表面処理組成物は、溶媒で希釈することができる。溶媒の例としては、特に限定されないが、例えば、ペルフルオロヘキサン、CFCFCHCl、CFCHCFCH、CFCHFCHFC、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロオクタン、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン(ZEORORA H(商標)など)、COCH、COC、CFCHOCFCHF、C13CH=CH、六フッ化キシレン、ペルフルオロベンゼン、メチルペンタデカフルオロヘプチルケトン、トリフルオロエタノール、ペンタフルオロプロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、HCFCFCHOH、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、トリフルオロ酢酸、およびCFO(CFCFO)(CFO)CFCF[ここでmおよびnは、それぞれ独立して、0以上1000以下の整数であり、下付き文字mまたはnを付した括弧内の各繰り返し単位の出現順序は限定されず、但しmおよびnの合計が1以上であるという条件である]、1,1-ジクロロ-2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン、1,2-ジクロロ-1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン、1,2-ジクロロ-3,3,3-トリクロロ-1-プロペン、1,1-ジクロロ-3,3,3-トリクロロ-1-プロペン、1,1,2-トリクロロ-3,3,3-トリクロロ-1-プロペン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンからなる群から選択される溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、単独で、または2つ以上の化合物の混合物として使用することができる。
【0099】
本発明の表面処理剤は、撥水性、撥油性、防汚性、防水性および高い摩擦耐久性を基材に付与することができ、そして防汚コーティング剤や防水コーティング剤として好適に使用することができるが、本発明は特にそれらに限定されない。
【0100】
本発明の表面処理剤は、多孔質材料、例えば多孔質セラミックス材料、スチールウールを固化して得られる金属繊維などに含浸されてペレットが得られる。ペレットは、例えば真空蒸着に使用することができる。
【0101】
次に、本発明の物品について説明する。
【0102】
本発明の物品は、基材と、基材の表面に本発明の表面処理剤から形成された層(表面処理層)とを含む。
【0103】
本発明の表面処理剤を用いて得られる表面処理層は、高い透明性を有する。例えば、ヘイズ値は0.35%以下、好ましくは0.30%以下、より好ましくは0.28%以下、さらに好ましくは0.25%以下、さらにより好ましくは0.20%以下であり得る。ヘイズ値は、市販のヘイズメーターで測定することができる。
【0104】
したがって、本発明の物品において、基材が透明である場合、例えば物品が光学部材である場合、物品自体のヘイズ値は、0.35%以下、好ましくは0.30%以下、より好ましくは0.28%以下、さらに好ましくは0.25%以下、さらにより好ましくは0.20%以下であり得る。
【0105】
表面処理層の厚さは特に限定されない。光学部材において、表面処理層の厚みは、光学性能、表面滑り性、耐摩擦性および防汚性の観点から、1から50nm、好ましくは1から30nm、より好ましくは1から15nmの範囲である。
【0106】
本発明の物品は、例えば以下のようにして製造することができる。
【0107】
最初に、基材を提供する。本発明で使用可能な基材は、ガラス、サファイアガラス、樹脂(一般的なプラスチック材料などの天然樹脂、または合成樹脂でよく、板状、フィルム状などの形状でもよい)、金属(アルミニウム、銅、鉄などの金属の単体でも、合金などの複合体でもよい)、セラミック、半導体(シリコン、ゲルマニウムなど)、繊維(布、不織布など)、毛皮、皮革、木材、陶器、石材、建築部材などの任意の適切な材料から構成され得る。基材は、好ましくはガラスまたはサファイアガラスである。
【0108】
ガラスとして、ソーダライムガラス、アルカリアルミノシリケートガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、クリスタルガラス、石英ガラスが好ましく、化学強化ソーダライムガラス、化学強化アルカリアルミノケイ酸ガラス、および化学強化ホウケイ酸ガラスがより好ましい。
【0109】
樹脂としては、アクリル樹脂、またはポリカーボネート樹脂が好ましい。
【0110】
例えば、製造される物品が光学部材である場合、基材の表面を構成する材料は、例えば、ガラスまたは透明プラスチックの光学部材用材料であり得る。例えば、製造される物品が光学部材である場合、基材の表面(最外層)にハードコート層や反射防止層などの任意の層(またはフィルム)を形成してもよい。反射防止層としては、単一反射防止層または多重反射防止層のいずれを用いてもよい。反射防止層に使用可能な無機材料の例としては、SiO、SiO、ZrO、TiO、TiO、Ti、Ti、Al、Ta、CeO、MgO、Y、SnO、MgF、WOなどが挙げられる。これらの無機材料は、単独でまたは2つ以上を組み合わせて(例えば、混合物として)使用することができる。多重反射防止層を形成する場合には、最外層にSiOおよび/またはSiOを用いることが好ましい。製造される物品がタッチパネル用光学ガラス部品の場合、基材(ガラス)の表面の一部に透明電極、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物などを含む薄層を有していてもよい。さらに基材は、具体的な仕様に応じて、絶縁層、接着層、保護層、加飾枠層(I-CON)、霧化層、ハードコート層、偏光フィルム、位相差フィルム、液晶ディスプレイモジュールなどを有してもよい。
【0111】
基材の形状は特に限定されない。表面処理層が形成されるべき基材の表面の領域は、基材の表面の少なくとも一部であってもよく、そして用途や製造される物品の具体的な仕様などに応じて適宜決定することができる。
【0112】
基材は、少なくとも表面が水酸基を元々有する材料からなるものであってもよい。このような材料の例としては、ガラスの他、自然酸化膜や熱酸化膜が形成された金属(特に卑金属)、セラミック、半導体などが挙げられる。あるいは、樹脂のように水酸基があっても十分でない場合や、水酸基がもともとない場合は、基材の表面に水酸基を導入することができ、または水酸基の数は、基材に何らかの前処理を施すことによって増加させることができる。前処理の例としては、プラズマ処理(例えばコロナ放電)やイオンビーム照射が挙げられる。プラズマ処理は、基材表面への水酸基の導入または増加、さらには基材表面の清浄化(異物除去など)に好適に用いることができる。あるいは、前処理の他の例として、LB法(ラングミュア・ブロジェット法)や化学吸着法を用いて、基材の表面に炭素-炭素不飽和結合基を有する表面吸着剤の単層を形成させ、そして次に酸素と窒素の雰囲気下で不飽和結合を切断する方法が挙げられる。
【0113】
あるいは、基材は、少なくともその表面が、1つまたは複数のSi-H基を有するケイ素化合物またはアルコキシシランなどの他の反応性基を含む材料からなるものであってもよい。
【0114】
次に、基材の表面に上記の本発明の表面処理剤のフィルムを形成し、そして必要に応じてフィルムを後処理し、そしてこれにより表面処理層を表面処理剤から形成する。
【0115】
本発明の表面処理剤のフィルムの形成は、上記表面処理剤を基材の表面にコーティングするように表面処理剤を適用することにより行うことができる。コーティングの方法は特に限定されない。例えば、ウェットコーティング法またはドライコーティング法を使用することができる。
【0116】
ウェットコーティング法の例としては、ディップコーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティングおよび同様の方法が挙げられる。
【0117】
ドライコーティング法の例としては、付着(通常、真空蒸着)、スパッタリング、CVDおよび同様の方法が挙げられる。付着法(通常、真空蒸着)の具体例としては、抵抗加熱、電子ビーム、マイクロ波等を用いた高周波加熱、イオンビーム、および同様の方法が挙げられる。CVD法の具体例としては、プラズマCVD、光CVD、熱CVD、および同様の方法が挙げられる。付着法については、以下でより詳細に説明する。
【0118】
また、コーティングは大気圧プラズマ法により行うことができる。
【0119】
ウェットコーティング法を用いる場合、本発明の表面処理剤を溶剤で希釈した後、それを基材の表面に適用する。本発明の表面処理剤の安定性と溶剤の揮発性の観点から、以下の溶剤が好ましく用いられる:C5-12脂肪族ペルフルオロ炭化水素(例えば、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロメチルシクロヘキサン、およびペルフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン);芳香族ポリフルオロ炭化水素(例えば、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);脂肪族ポリフルオロ炭化水素(例えば、C13CHCH(例えば、Asahi Glass Co., Ltd.製ASAHIKLIN(登録商標)AC-6000)、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン(例えば、Nippon Zeon Co., Ltd.製のZEORORA(登録商標)H);ハイドロフルオロカーボン(HFC)(例えば、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc));ハイドロクロロフルオロカーボン(例えば、HCFC-225(ASAHIKLIN(登録商標)AK225));ハイドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、ペルフルオロプロピルメチルエーテル(COCH)などのアルキルペルフルオロアルキルエーテル)(例えば、Sumitomo 3M Ltd.製Novec(商標)7000)、ペルフルオロブチルメチルエーテル(COCH)(例えば、Sumitomo 3M Ltd.製Novec(商標)7100)、ペルフルオロブチルエチルエーテル(COC)(例えば、Sumitomo 3M Ltd.製Novec(商標)7200)、およびペルフルオロヘキシルメチルエーテル(CCF(OCH)C)(例えば、Sumitomo 3M Ltd.製Novec(商標)7300)(ペルフルオロアルキル基およびアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよい))、またはCFCHOCFCHF(例えばAsahi Glass Co., Ltd.製ASAHIKLIN(登録商標)AE-3000)、1,2-ジクロロ-1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(例えば、Du Pont-Mitsui Fluorochemicals Co., Ltd.製のVERTREL(登録商標)Sion)など。これらの溶媒は、単独でまたは2つ以上の化合物の混合物として使用することができる。中でもハイドロフルオロエーテルが好ましく、ペルフルオロブチルメチルエーテル(COCH)および/またはペルフルオロブチルエチルエーテル(COC)が特に好ましい。さらに、例えばペルフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物の溶解度を調整するために、溶媒を他の溶媒と混合することができる。
【0120】
ドライコーティング法を用いる場合、本発明の表面処理剤は、そのままドライコーティング法に供してもよく、または溶剤で希釈してからドライコーティング法に供してもよい。
【0121】
フィルムの形成は、好ましくは、本発明の表面処理剤が、加水分解および脱水縮合の触媒とともにコーティング中に存在するように行われる。簡単に言えば、ウェットコーティング法を用いる場合、本発明の表面処理剤を溶媒で希釈した後、基材の表面に適用する直前に、本発明の表面処理剤の希釈液に触媒を添加することができる。ドライコーティング法を用いる場合、触媒が添加された本発明の表面処理剤は、それ自体を付着(通常、真空蒸着)に使用するか、またはペレットを使用して付着(通常、真空蒸着)することができ、ここでペレットは、触媒を添加した本発明の表面処理剤を鉄、銅等の多孔質金属に含浸させることにより得られる。
【0122】
触媒として、任意の適切な酸または塩基を使用することができる。酸触媒としては、例えば酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸等を用いることができる。塩基触媒としては、例えばアンモニア、有機アミン等を用いることができる。
【0123】
次に、必要に応じて後処理がなされる。この後処理は、これに限定されるものではないが、給水と乾燥加熱を順次行う処理であり、具体的には以下のように行うことができる。
【0124】
上記のようにして基材表面に本発明の表面処理剤のフィルムを形成した後、このフィルム(以下、前駆体コーティングという)に水を供給する。水の供給方法としては、例えば、前駆体コーティング(および基材)と周囲雰囲気との温度差による結露、または水蒸気(スチーム)の吹き付けを利用する方法が挙げられるが、特に限定されない。
【0125】
前駆体コーティングに水を供給すると、本発明の表面処理剤中のペルフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物に存在するSiに結合する加水分解性基に水が作用し、これにより化合物の迅速な加水分解が可能となると考えられる。
【0126】
水の供給は、例えば0から250℃、好ましくは60℃以上、より好ましくは100℃以上、または好ましくは180℃以下、より好ましくは150℃の雰囲気下で行うことができる。このような温度範囲で水を供給することにより、加水分解を進行させることができる。このときの圧力は特に限定されず、単に周囲圧であってもよい。
【0127】
次に、前駆体コーティングは、60℃を超える乾燥雰囲気下で基材の表面上で加熱される。乾式加熱の方法は、60℃を超える、好ましくは100℃を超える、そして例えば250℃以下、好ましくは180℃以下の温度および、不飽和水蒸気圧の、それらに特に限定されない雰囲気中に前駆体コーティングを基材と一緒に置くことであり得る。このときの圧力は特に限定されず、単に周囲圧であってもよい。
【0128】
このような雰囲気下では、本発明のPFPE含有シラン化合物の間で、加水分解後にSiに結合する基が互いに急速に脱水縮合する。さらに、化合物と基材の間において、加水分解後の化合物中のSiに結合する基と基材表面に存在する反応性基とが速やかに反応し、そして基材表面に存在する反応性基が水酸基である場合、脱水縮合が起こる。その結果、ペルフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物と基材との間に結合が形成される。
【0129】
過熱水蒸気を用いて上記給水と乾熱を順次行うことがあり得る。
【0130】
以上のようにして、後処理を行うことができる。なお、摩擦耐久性をさらに高めるために後処理を行ってもよいが、本発明の物品の製造において必須ではない。例えば、基材の表面に表面処理剤を適用した後、基材を放置するだけで十分であり得る。
【0131】
以上のようにして、本発明の表面処理剤のフィルムに由来する表面処理層が基材の表面に形成され、本発明の物品が製造される。このようにして形成された表面処理層は、より高い透明性、高い表面滑り性および高い摩擦耐久性を有する。さらに、この表面処理層は、高い摩擦耐久性に加え、撥水性、撥油性、防汚性(例えば、指紋などの汚れの付着を防止する)、防水性(電気部材等への水の浸入防止)、使用する表面処理剤の組成に依存する表面滑り性(または潤滑性、例えば、指紋などの汚れの拭き取り性および優れた指の触感)を有しても良く、したがって機能性薄膜フィルムとして好適に使用できる。
【0132】
本発明により得られる表面処理層を有する物品は、特に限定されないが、光学部材であってもよい。光学部材の例としては、以下の:ディスプレイ、例えば、陰極線管(CRT;例えば、テレビ、パソコンのモニター)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機薄膜ELドットマトリックスディスプレイ、リアプロジェクションディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ(VFD)、電界放出ディスプレイ(FED;フィールドエミッションディスプレイ)、またはこれらのディスプレイの前面保護板、反射防止板、偏光板、防眩板、または表面に反射防止処理を施したもの;グラスのレンズ、または同様のもの;携帯電話や携帯情報端末などの機器のタッチパネルシート;ブルーレイディスク、DVDディスク、CD-R、MOなどの光ディスクのディスク面;光ファイバなど;時計の表示面が挙げられる。
【0133】
本発明により得られる表面処理層を有する他の物品は、セラミック製品、塗装面、布製品、皮革製品、医療製品、プラスターであってもよい。
【0134】
本発明により得られる表面処理層を有する物品は、医療器具または医療材料であってもよい。
以上、本発明の表面処理剤を用いて製造された物品について詳細に説明した。なお、用途、使用方法、物品の製造方法は上記例示に限定されるものではない。
【0135】
コーティングは、限定されるものではないが、疎水性、疎油性、引っ掻き抵抗、防食性、防汚性、抗菌性、抗血栓性、落書き防止、抵抗低減、防氷などを含む、さまざまな特性を適用される表面に与えることができる。
【実施例
【0136】
【0137】
次に、以下の例に参照がなされる。例は、本発明の態様および実施形態を説明するためのものである。これらは、本発明の実施形態、特徴、または特性の例を限定することを意図していない。
【0138】
例では、表面処理剤用組成物を調製し、得られた表面処理層形成用組成物を用いて表面処理剤を有する基材を作製し、そしてそれらを評価した。化合物用組成物に配合される成分は以下の通りである。
【0139】
化合物1の合成例(Rfシランオリゴマー合成法)
【0140】
例1-1:フルオロシラン-エポキシシランのハイブリッドオリゴマー(化合物1-1)の合成
【0141】
ハイブリッドオリゴマーフルオロシラン-エポキシシランの合成は、トリメトキシ(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル)シラン(10.0g,0.0213mol)、3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン(1.68g、0.0071mol)、および溶媒として2,2,2トリフルオロエタノール(3.0g、0.029mol)を丸底フラスコに入れ、30分間攪拌することにより行われた。この反応混合物に、触媒として5000ppmのトリフルオロ酢酸400μLを加え、40℃で4時間撹拌を続けた。その後、反応塊を室温まで冷却し、300μLの5000ppm重炭酸ナトリウム溶液でクエンチした。さらに、反応混合物を無水硫酸ナトリウム粉末で乾燥し、ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を減圧下で蒸発させ、無色の粘稠液体を得た。生成物は、7から10℃に制御された温度で保存された。
【0142】
【化12】

【0143】
例1-2:フルオロシランとアミノシランのハイブリッドオリゴマー(化合物1-2)の合成
【0144】
ハイブリッドオリゴマーフルオロシラン-アミノシランの合成は、3:2モル比のトリメトキシ(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル)シラン(15g、0.0320mol)、N-(ベータ-アミノエチル)-ガンマ-アミノプロピルトリメトキシシラン(4.73g、0.0213mol)と2,2,2トリフルオロエタノール(3g、0.029mol)を丸底フラスコに入れ、30分間攪拌することによって行った。この反応混合物に、400μLの0.05Nアンモニア溶液を触媒として添加し、撹拌を室温で4時間続けた。無水硫酸ナトリウムを使用して水分を除去することにより反応をクエンチし、そして減圧下で揮発性物質を除去した。オリゴマーは、透明な粘稠液体として単離され、7から10℃に制御された温度で保存された。
【0145】
化合物2の合成例2
【0146】
化合物2-1:化合物2-1として、下記化学式で表されるものを使用した。
【化13】
【0147】
化合物2-2:化合物2-2として、下記化学式で表されるものを使用した。
【化14】
【0148】
表面処理剤用組成物の調製
【0149】
例の表面処理層付き基材を作製するために使用する表面処理剤形成用組成物は、以下のように調製した。
【0150】
組成物の調製
【0151】
ハイドロフルオロエーテル(Sumitomo 3M Ltd.製のNovec HFE7200)である溶媒の100質量%に対する合計量が20質量%となるように、表1に示す質量比で化合物1と化合物2を混合した。まず、容器に化合物2、HFE7200の順に加え、25℃で30分間撹拌した。次に、化合物1を順に添加し、25℃で30分間攪拌することにより、各組成物を形成するための組成物を得た。
【0152】
例1から5および比較例1から2
【0153】
上記のように調製した表面処理剤を化学強化ガラス(Corning Incorporated製ゴリラガラス、厚さ0.7mm)に真空蒸着した。真空蒸着の処理条件は、圧力3.0×10-3Paであった。まず、この化学強化ガラスの表面に二酸化ケイ素をアルゴンスパッタ法で付着させた。次に、表面処理剤180mg(すなわち組成物として36mg含有)を20℃の温度下、湿度65%で24時間放置した付着層付き化学強化ガラスの1枚の板に真空蒸着した。
【表1】
【0154】
摩擦耐久性の評価
【0155】
上記の例および比較例の基材表面に形成された表面処理層の静的水接触角を測定した。静的水接触角は、接触角測定器(KYOWA INTERFACE SCIENCE Co., Ltd.製)を用いて2μLの水に対して測定した。
【0156】
まず、初期評価として、形成後、表面が何も接触していない表面処理層の静的水接触角を測定した(擦りの数は0回)。次に、摩擦耐久性の評価として、消しゴム摩擦耐久性評価を行った。具体的には、表面処理層が形成された基材を水平に配置し、表面処理層の露出面に消しゴム(ゴム、直径6mm)を接触させ、1000gfの荷重をそこにかけた。次に、荷重をかけながら消しゴムを40rpmの速度で往復させた。3000往復ごとに静水接触角(度)を測定した。接触角の測定値が100度未満になった時点で耐久性を評価した。結果を表1に示す。
【0157】
以上の結果からわかるように、ペルフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の組成物およびフルオロアルキル基含有シラン化合物のオリゴマー組成物を用いた例は、そのようなオリゴマー組成物を含まない化合物を用いた比較例に比べて摩擦耐久性が向上することが確認された。
【0158】
上記の説明された内容は、本明細書の例を含む。もちろん、本明細書を説明する目的で構成要素または方法論の考えられるすべての組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者は、本明細書のさらに多くの組み合わせおよび順列が可能であることを認識し得る。したがって、本明細書は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に入るすべてのそのような変更、修正、および変形を包含することを意図している。さらに、「含む(includes)」という用語が詳細な説明または特許請求の範囲のいずれかで使用される限りにおいて、そのような用語は、「含む(comprising)」という用語が請求項において移行語として使用される場合に解釈されるように、「含む(comprising)」という用語と同様に包括的であることを意図している。
【0159】
前述の説明は、ハイブリッドシロキサンオリゴマー、その組成物、そのような組成物から形成されるコーティング、およびそのようなコーティングを含む物品の様々な非限定的な実施形態を特定する。当業者、および本発明を作成および使用する人において、変更が生じ得る。開示された実施形態は、単に例示を目的としており、本発明の範囲または特許請求の範囲に記載された主題を限定することを意図するものではない。
図1
【国際調査報告】