(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-10
(54)【発明の名称】ニコチンeベイピング装置の過熱保護のための定常状態抵抗の推定
(51)【国際特許分類】
A24F 40/53 20200101AFI20230803BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20230803BHJP
【FI】
A24F40/53
A24F40/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023501263
(86)(22)【出願日】2021-07-15
(85)【翻訳文提出日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2021069840
(87)【国際公開番号】W WO2022013386
(87)【国際公開日】2022-01-20
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ラコバラ ロバート シー
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB14
4B162AB23
4B162AC34
4B162AD16
4B162AD20
4B162AD23
4B162AD32
(57)【要約】
ニコチンプレベイパー製剤を含有する貯蔵部と、貯蔵部から引き出されたニコチンプレベイパー製剤を加熱するように構成された発熱体と、制御回路とを備えるニコチン電子ベイピング装置(60)が提供されている。制御回路は、ニコチン電子ベイピング装置(60)への陰圧の第一の印加後の第一の期間にわたって発熱体の抵抗値をモニターするように、かつ訓練されたニューラルネットワークを使用して、モニターされた抵抗値に基づいて発熱体の推定定常状態抵抗値を決定するように、かつ推定定常状態抵抗値に基づいて発熱体への電力を制御、または無効にするように構成されている。本発明は、ドライ吸煙状態を検出し、そして装置を過熱から保護する。
【選択図】
図7A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニコチン電子ベイピング装置(EVD)であって、
ニコチンプレベイパー製剤を含有する貯蔵部と、
前記貯蔵部から引き出されたニコチンプレベイパー製剤を加熱するように構成された発熱体と、
制御回路であって、
前記ニコチンEVDへの陰圧の第一の印加後の第一の期間にわたって、前記発熱体の抵抗値をモニターするように、
訓練されたニューラルネットワークを使用して、前記モニターされた抵抗値に基づいて、前記発熱体の推定定常状態抵抗値を決定するように、かつ
前記推定定常状態抵抗値に基づいて、前記発熱体への電力を制御するように構成された制御回路と、を備えるニコチンEVD。
【請求項2】
前記制御回路が、
前記発熱体の前記推定定常状態抵抗値に基づいて、前記ニコチンEVDでのドライ吸煙状態を検出するように、かつ
前記検出されたドライ吸煙状態に応答して前記発熱体への電力を無効にするようにさらに構成されている、請求項1に記載のニコチンEVD。
【請求項3】
前記制御回路が、
前記ニコチンEVDへの陰圧の第二の印加の検出に応答して前記発熱体に電力が印加されることを防止するようにさらに構成されている、請求項2に記載のニコチンEVD。
【請求項4】
前記制御回路が、
前記発熱体の前記抵抗値を、
前記第一の期間中に前記発熱体のピーク抵抗値を決定することと、
前記第一の期間中に前記決定されたピーク抵抗値の後の時点にて、前記発熱体の少なくとも一つの追加的な抵抗値を決定することと、によってモニターするように、かつ
前記発熱体の前記推定定常状態抵抗値を、
前記ピーク抵抗値および前記少なくとも一つの追加的な抵抗値に基づいて、前記訓練されたニューラルネットワークを使用して前記発熱体の前記推定定常状態抵抗値を推定することによって決定するように構成されている、請求項1、請求項2または請求項3に記載のニコチンEVD。
【請求項5】
前記訓練されたニューラルネットワークが、
前記ピーク抵抗値および前記少なくとも一つの追加的な抵抗値を入力値として受信するように、
前記第一の期間にわたる前記入力値の減衰を決定するように、かつ
前記第一の期間にわたる前記発熱体の前記抵抗値の前記決定された減衰の結果に基づいて、前記発熱体の前記推定定常状態抵抗値を出力するように構成された機能適合ネットワークである、請求項4に記載のニコチンEVD。
【請求項6】
前記発熱体に印加される前記電力が前記ニコチンEVDへの陰圧の前記第一の印加後に停止される時点にて、前記ピーク抵抗値が決定される、請求項4または請求項5に記載のニコチンEVD。
【請求項7】
前記少なくとも一つの追加的な抵抗値が、少なくとも第二の抵抗値および第三の抵抗値を含み、
前記第二の抵抗値が、前記ピーク抵抗値が決定される前記時点に続く時点にて、かつ前記第三の抵抗値が決定される前に決定され、
前記第三の抵抗値が、前記第二の抵抗値が決定される前記時点に続く時点にて、かつ陰圧の第二の印加を検出する前に決定される、請求項6に記載のニコチンEVD。
【請求項8】
前記発熱体がホイートストンブリッジ回路に接続されていて、かつ
前記制御回路が、
前記第一の期間にわたって前記発熱体に対応する可変抵抗値を検出するように、
前記第一の期間にわたって前記ホイートストンブリッジ回路に対応する抵抗値を検出するように、かつ
前記発熱体に対応する前記検出された可変抵抗値と、前記ホイートストンブリッジ回路に対応する前記検出された抵抗値とに基づいて、前記訓練されたニューラルネットワークを使用して前記発熱体の前記推定定常状態抵抗値を推定するようにさらに構成されている、請求項1~7のいずれかに記載のニコチンEVD。
【請求項9】
ニコチン電子ベイピング装置(EVD)を動作する方法であって、
前記ニコチンEVDの制御回路を使用して、前記ニコチンEVDへの陰圧の第一の印加後の第一の期間にわたって、前記ニコチンEVD内に含まれる発熱体の抵抗値をモニターすることと、
前記制御回路を使用して、訓練されたニューラルネットワークを使用して、前記モニターされた抵抗値に基づいて、前記発熱体の推定定常状態抵抗値を決定することと、
前記制御回路を使用して、前記推定定常状態抵抗値に基づいて、前記発熱体への電力を制御することと、を含む方法。
【請求項10】
前記制御回路を使用して、前記発熱体の前記推定定常状態抵抗に基づいて、前記ニコチンEVDでのドライ吸煙状態を検出することと、
前記制御回路を使用して、前記検出されたドライ吸煙状態に応答して前記発熱体への電力を無効にすることと、をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記制御回路を使用して、前記ニコチンEVDへの陰圧の第二の印加を検出することと、
前記制御回路を使用して、前記ニコチンEVDへの陰圧の前記第二の印加を検出することに応答して前記発熱体に電力が印加されることを防止することと、をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記発熱体の前記抵抗値をモニターすることが、
前記第一の期間中に前記発熱体のピーク抵抗値を決定することと、
前記第一の期間中に前記決定されたピーク抵抗値の後の時点にて、前記発熱体の少なくとも一つの追加的な抵抗値を決定することと、を含み
前記発熱体の前記推定定常状態抵抗値を決定することが、前記ピーク抵抗値および前記少なくとも一つの追加的な抵抗値に基づいて、前記訓練されたニューラルネットワークを使用して前記発熱体の前記推定定常状態抵抗値を推定することを含む、請求項9、請求項10、または請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記訓練されたニューラルネットワークが機能適合ネットワークであり、かつ
前記方法が、
前記制御回路を使用して、前記ピーク抵抗値および前記少なくとも一つの追加的な抵抗値を入力値として受信することと、
前記制御回路を使用して、前記第一の期間にわたる前記発熱体の前記抵抗値の減衰を決定することと、
前記制御回路を使用して、前記第一の期間にわたる、前記発熱体の前記抵抗値の前記決定された減衰の結果に基づいて、前記発熱体の前記推定定常状態抵抗値を出力することと、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記発熱体に印加される前記電力が前記ニコチンEVDへの陰圧の前記第一の印加後に停止される時点にて、前記ピーク抵抗値が決定される、請求項12または請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも一つの追加的な抵抗値が、少なくとも第二の抵抗値および第三の抵抗値を含み、
前記第二の抵抗値が、前記ピーク抵抗値が決定される前記時点に続く時点にて、かつ前記第三の抵抗値が決定される前に決定され、
前記第三の抵抗値が、前記第二の抵抗値が決定される前記時点に続く時点にて、かつ陰圧の第二の印加を検出する前に決定される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記制御回路を使用して、前記第一の期間にわたって前記発熱体に対応する可変抵抗値を検出することと、
前記制御回路を使用して、前記第一の期間にわたってホイートストンブリッジ回路に対応する抵抗値を検出することと、
前記制御回路を使用して、前記発熱体に対応する前記検出された可変抵抗値と、前記ホイートストンブリッジ回路に対応する前記検出された抵抗値とに基づいて、前記訓練されたニューラルネットワークを使用して前記発熱体の前記推定定常状態抵抗値を推定することと、をさらに含む、請求項9~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
ニコチン電子ベイピング装置(EVD)であって、
ニコチンプレベイパー製剤を含有する貯蔵部と、
前記貯蔵部から引き出されたニコチンプレベイパー製剤を加熱するように構成された発熱体と、
ヒーター抵抗モニタリング回路であって、
前記ニコチンEVDへの陰圧の第一の印加後の第一の期間中の前記発熱体のピーク抵抗値を決定するように、かつ
前記第一の期間中の前記発熱体の少なくとも一つの追加的な抵抗値を決定するように構成されたヒーター抵抗モニタリング回路と、
訓練されたニューラルネットワークであって、
前記決定されたピーク抵抗値と前記決定された少なくとも一つの追加的な抵抗値とに基づいて、前記第一の期間中の前記発熱体の定常状態抵抗値を推定するように構成された訓練されたニューラルネットワークと、
前記推定定常状態抵抗値に基づいて、前記発熱体への電力を無効にするように構成された制御回路と、を備える、ニコチンEVD。
【請求項18】
前記訓練されたニューラルネットワークが、前記発熱体の前記推定定常状態抵抗値に基づいて、前記ニコチンEVDでのドライ吸煙状態を検出するようにさらに構成されていて、
前記制御回路が、前記検出されたドライ吸煙状態に応答して前記発熱体への前記電力を無効にするようにさらに構成されている、請求項17に記載のニコチンEVD。
【請求項19】
前記訓練されたニューラルネットワークが、
前記ピーク抵抗値および前記少なくとも一つの追加的な抵抗値を入力値として受信するように、
前記第一の期間にわたる前記入力値の減衰を決定するように、かつ
前記第一の期間にわたる前記発熱体の前記抵抗値の前記決定された減衰の結果に基づいて、前記発熱体の前記推定定常状態抵抗値を出力するように構成された機能適合ネットワークである、請求項17または請求項18に記載のニコチンEVD。
【請求項20】
前記発熱体に印加される前記電力が前記ニコチンEVDへの陰圧の前記第一の印加後に停止される時点にて、前記ピーク抵抗値が決定される、請求項17、請求項18、または請求項19に記載のニコチンEVD。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ニコチン電子ベイピング装置を過熱から保護するために、ニコチン電子ベイピング装置(またはニコチンeベイピング装置)の定常状態抵抗を推定および/または予測することに関連する、システム、設備、方法、および/または非一時的コンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ニコチン電子ベイピング装置(ニコチンeベイピング装置、ニコチンEVD、ニコチンベイピング装置、ニコチンベイパー発生装置など)は、水、ビーズ、溶媒、有効成分、エタノール、植物抽出物、天然風味もしくは人工風味、および/または少なくとも一つのニコチンベイパー形成体(グリセリン、プロピレングリコールなど)を含むがこれらに限定されないニコチンプレベイパー製剤(液体、固体、および/またはゲル製剤など)を加熱してニコチンベイパーを発生し、ウィックによってヒーター(例えば、抵抗加熱コイル、誘導ヒーターなど)に伝えられたニコチンプレベイパー製剤を加熱することによってニコチンベイパーにし、またヒーターはニコチンプレベイパー製剤を望ましい温度(例えば、摂氏100度~摂氏200度など)に加熱し、これはニコチンプレベイパー製剤をニコチンベイパーに気化させる。しかしながら、ニコチンeベイピング装置によってニコチンカートリッジ、貯蔵部、ニコチンポッドなどに貯蔵されたニコチンプレベイパー製剤の量が空になり始めると、ウィックは干上がり(例えば、完全に湿っていない、ニコチンプレベイパー製剤を完全に吸着しないなど)始める場合があり、これは結果としてヒーターにウィックを過熱させる、および/またはニコチンプレベイパー製剤を過熱させる場合がある。例えば、ウィックおよび/またはニコチンプレベイパー製剤の過熱は、成人ベイパー吸引者によって引き出される、発生したニコチンベイパーに、「焦げた」、「酸っぱい」、および/または「苦い」匂いまたは風味をもたらす場合がある。この現象は、「ドライ吸煙」および/または「ドライウィック」事象と呼ばれる場合がある。
【発明の概要】
【0003】
様々な例示の実施形態は、ニコチンeベイピング装置のヒーターの推定定常状態抵抗値に基づいてドライ吸煙事象を検出するためのシステム、設備、方法、および/または非一時的コンピュータ可読媒体に関する。
【0004】
少なくとも一つの例示の実施形態において、ニコチン電子ベイピング装置(EVD)は、ニコチンプレベイパー製剤を含有する貯蔵部、貯蔵部から引き出されたニコチンプレベイパー製剤を加熱するように構成された発熱体、および制御回路を含んでもよい。制御回路は、ニコチンEVDへの陰圧の第一の印加後の第一の期間にわたって発熱体の抵抗値をモニターするように、かつ訓練されたニューラルネットワークを使用して、モニターされた抵抗値に基づいて発熱体の推定定常状態抵抗値を決定するように、かつ推定定常状態抵抗値に基づいて発熱体への電力を制御するように構成されてもよい。
【0005】
ニコチンEVDの一部の例示の実施形態は、制御回路が、発熱体の推定定常状態抵抗値に基づいて、ニコチンEVDでのドライ吸煙状態を検出するように、かつ検出されたドライ吸煙状態に応答して発熱体への電力を無効にするようにさらに構成されていることを提供する。
【0006】
ニコチンEVDの一部の例示の実施形態は、制御回路が、ニコチンEVDへの陰圧の第二の印加の検出に応答して電力が発熱体に印加されるのを防止するようにさらに構成されていることを提供する。
【0007】
ニコチンEVDの一部の例示の実施形態は、制御回路が、第一の期間中の発熱体のピーク抵抗値を決定することと、第一の期間中に決定されたピーク抵抗値の後の時点にて、発熱体の少なくとも一つの追加的な抵抗値を決定することとによって、発熱体の抵抗値をモニターするように構成されていることを提供する。制御回路はまた、ピーク抵抗値および少なくとも一つの追加的な抵抗値に基づいて、訓練されたニューラルネットワークを使用して発熱体の推定定常状態抵抗値を推定することによって、発熱体の推定定常状態抵抗値を決定するように構成されてもよい。
【0008】
ニコチンEVDの一部の例示の実施形態は、訓練されたニューラルネットワークが、ピーク抵抗値および少なくとも一つの追加的な抵抗値を入力値として受信するように、かつ第一の期間にわたる入力値の減衰を決定するように、かつ第一の期間にわたる発熱体の抵抗値の決定された減衰の結果に基づいて、発熱体の推定定常状態抵抗値を出力するように構成された機能適合ネットワークであることを提供する。
【0009】
ニコチンEVDの一部の例示の実施形態は、発熱体に印加される電力がニコチンEVDへの陰圧の第一の印加後に停止される時点にて、ピーク抵抗値が決定されることを提供する。
【0010】
ニコチンEVDの一部の例示の実施形態は、少なくとも一つの追加的な抵抗値が、少なくとも第二の抵抗値および第三の抵抗値を含み、第二の抵抗値が、ピーク抵抗値が決定される時点に続く時点にて、かつ前記第三の抵抗値が決定される前に決定され、また第三の抵抗値が、前記第二の抵抗値が決定される時点に続く時点にて、かつ陰圧の第二の印加を検出する前に決定されることを提供する。
【0011】
ニコチンEVDの一部の例示の実施形態は、発熱体がホイートストンブリッジ回路に接続されていて、制御回路が第一の期間にわたって発熱体に対応する可変抵抗値を検出するように、かつ第一の期間にわたってホイートストンブリッジ回路に対応する抵抗値を検出するように、かつ発熱体に対応する検出された可変抵抗値と、ホイートストンブリッジ回路に対応する検出された抵抗値とに基づいて、訓練されたニューラルネットワークを使用して発熱体の推定定常状態抵抗値を推定するようにさらに構成されていることを提供する。
【0012】
少なくとも一つの例示の実施形態において、ニコチン電子ベイピング装置(EVD)を動作する方法は、ニコチンEVDの制御回路を使用して、ニコチンEVDへの陰圧の第一の印加後の第一の期間にわたってニコチンEVD内に含まれる発熱体の抵抗値をモニターすることと、制御回路を使用して、訓練されたニューラルネットワークを使用してモニターされた抵抗値に基づいて発熱体の推定定常状態抵抗値を決定することと、制御回路を使用して、推定定常状態抵抗値に基づいて発熱体への電力を制御することとを含んでもよい。
【0013】
一部の例示の実施形態において、方法は、制御回路を使用して、発熱体の推定定常状態抵抗に基づいて、ニコチンEVDでのドライ吸煙状態を検出することと、制御回路を使用して、検出されたドライ吸煙状態に応答して発熱体への電力を無効にすることとをさらに含んでもよい。
【0014】
一部の例示の実施形態において、方法は、制御回路を使用して、ニコチンEVDへの陰圧の第二の印加を検出することと、制御回路を使用して、ニコチンEVDへの陰圧の第二の印加の検出に応答して電力が発熱体に印加されることを防止することとをさらに含んでもよい。
【0015】
一部の例示の実施形態において、発熱体の抵抗値をモニターすることは、第一の期間中の発熱体のピーク抵抗値を決定することと、第一の期間中に決定されたピーク抵抗値の後の時点にて、発熱体の少なくとも一つの追加的な抵抗値を決定することとを含む。発熱体の推定定常状態抵抗値を決定することは、ピーク抵抗値および少なくとも一つの追加的な抵抗値に基づいて、訓練されたニューラルネットワークを使用して発熱体の推定定常状態抵抗値を推定することを含む。
【0016】
一部の例示の実施形態において、訓練されたニューラルネットワークは機能適合ネットワークであり、また方法は、制御回路を使用して、ピーク抵抗値および少なくとも一つの追加的な抵抗値を入力値として受信することと、制御回路を使用して、第一の期間にわたる発熱体の抵抗値の減衰を決定することと、制御回路を使用して、第一の期間にわたる発熱体の抵抗値の決定された減衰の結果に基づいて、発熱体の推定定常状態抵抗値を出力することとをさらに含む。
【0017】
一部の例示の実施形態において、ピーク抵抗値は、発熱体に印加される電力が、ニコチンEVDへの陰圧の第一の印加後に停止される時点にて決定される。
【0018】
一部の例示の実施形態において、少なくとも一つの追加的な抵抗値は、少なくとも第二の抵抗値および第三の抵抗値を含み、第二の抵抗値は、ピーク抵抗値が決定される時点に続く時点にて、かつ第三の抵抗値が決定される前に決定され、また第三の抵抗値は、第二の抵抗値が決定される時点に続く時点にて、かつ陰圧の第二の印加を検出する前に決定される。
【0019】
一部の例示の実施形態において、方法は、制御回路を使用して、第一の期間にわたって発熱体に対応する可変抵抗値を検出することと、制御回路を使用して、第一の期間にわたってホイートストンブリッジ回路に対応する抵抗値を検出することと、制御回路を使用して、発熱体に対応する検出された可変抵抗値およびホイートストンブリッジ回路に対応する検出された抵抗値に基づいて、訓練されたニューラルネットワークを使用して発熱体の推定定常状態抵抗値を推定することとをさらに含んでもよい。
【0020】
少なくとも一つの例示の実施形態において、ニコチン電子ベイピング装置(EVD)は、ニコチンプレベイパー製剤を含有する貯蔵部と、貯蔵部から引き出されたニコチンプレベイパー製剤を加熱するように構成された発熱体と、ニコチンEVDへの陰圧の第一の印加後の第一の期間中の発熱体のピーク抵抗値を決定するように、かつ第一の期間中の発熱体の少なくとも一つの追加的な抵抗値を決定するように構成されたヒーター抵抗モニタリング回路と、決定されたピーク抵抗値および決定された少なくとも一つの追加的な抵抗値に基づいて、第一の期間中の発熱体の定常状態抵抗値を推定するように構成された、訓練されたニューラルネットワークと、推定定常状態抵抗値に基づいて、発熱体への電力を無効にするように構成された制御回路とを含んでもよい。
【0021】
一部の例示の実施形態において、訓練されたニューラルネットワークは、発熱体の推定定常状態抵抗値に基づいて、ニコチンEVDでのドライ吸煙状態を検出するようにさらに構成されていて、また制御回路は、検出されたドライ吸煙状態に応答して発熱体への電力を無効にするようにさらに構成されている。
【0022】
一部の例示の実施形態において、訓練されたニューラルネットワークは、ピーク抵抗値および少なくとも一つの追加的な抵抗値を入力値として受信するように、かつ第一の期間にわたる入力値の減衰を決定するように、かつ第一の期間にわたる発熱体の抵抗値の決定された減衰の結果に基づいて、発熱体の推定定常状態抵抗値を出力するように構成された機能適合ネットワークである。
【0023】
一部の例示の実施形態において、ピーク抵抗値は、発熱体に印加される電力が、ニコチンEVDへの陰圧の第一の印加後に停止される時点にて決定される。
【0024】
本明細書の非限定的な実施形態の様々な特徴および利点は、詳細な説明を添付の図面と併せて検討すると、より明らかになりうる。添付の図面は単に図示の目的のために提供されていて、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。添付の図面は、明記されていない限り、実寸に比例して描かれていると見なされるべきではない。明瞭化の目的で、図面の様々な寸法は誇張されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、少なくとも一つの例示の実施形態によるニコチン電子ベイピング装置またはニコチンeベイピング装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、少なくとも一つの例示の実施形態による例示のニコチンポッドシステムに接続された例示のニコチンeベイピング装置本体を含む、装置システムの一実施例の概略図を図示する。
【
図3A】
図3Aは、一部の例示の実施形態によるニコチンeベイピング装置の例示のヒーター抵抗モニタリング回路の様々な要素を図示するブロック図である。
【
図3B】
図3Bは、一部の例示の実施形態によるニコチンeベイピング装置の例示のヒーター抵抗モニタリング回路の様々な要素を図示するブロック図である。
【
図4A】
図4Aは、少なくとも一つの例示の実施形態によるニコチンeベイピング装置の発熱体の抵抗値を予測するためのニューラルネットワークを図示する回路図である。
【
図4B】
図4Bは、少なくとも一つの例示の実施形態によるニコチンeベイピング装置の発熱体の抵抗値を予測するためのニューラルネットワークを図示する回路図である。
【
図4C】
図4Cは、少なくとも一つの例示の実施形態によるニコチンeベイピング装置の発熱体の抵抗値を予測するためのニューラルネットワークを図示する回路図である。
【
図5】
図5は、少なくとも一つの例示の実施形態による単一の吸煙事象中のニコチンeベイピング装置の発熱体の抵抗値に対応するグラフである。
【
図6】
図6は、少なくとも一つの例示の実施形態による単一の吸煙事象に続く抵抗減衰を図示するグラフである。
【
図7A】
図7Aは、少なくとも一つの例示の実施形態によるニコチンeベイピング装置の発熱体の定常状態抵抗値を使用して、ドライ吸煙事象を検出するための方法を図示するフローチャートである。
【
図7B】
図7Bは、少なくとも一つの例示の実施形態によるニコチンeベイピング装置の発熱体の定常状態抵抗値を使用して、ドライ吸煙事象を検出するための方法を図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
注目すべきは、これらの図が、ある特定の例示の実施形態で利用される方法および/または構造の一般的な特性を図示するように、かつ下記に提供された書面による説明を補足するように意図されていることである。しかしながら、これらの図面は、実寸に比例していなく、また任意の所与の例示の実施形態の精密な構成上の、または性能上の特性を精密に反映していない場合があり、例示の実施形態によって包含される値または特性の範囲を画定する、または制限すると解釈されるべきではない。
【0027】
一部の詳細な例示の実施形態が本明細書で開示されている。しかしながら、本明細書に開示されている特定の構造面および機能面の詳細は、例示の実施形態を説明することを目的とした単なる典型にすぎない。しかしながら、例示の実施形態は、数多くの代替的な形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の例示の実施形態のみに限定されるものと解釈されるべきではない。
【0028】
その結果、例示の実施形態は、様々な修正および代替的形態が可能である一方で、その例示の実施形態は例として図面に示されていて、本明細書で詳細に説明される。しかし当然のことながら、例示の実施形態を、開示された特定の形態に限定する意図はなく、反対に、例示の実施形態は、例示の実施形態の範囲の中に収まるすべての修正、均等物、代替物を網羅する。同様の数字は、図の説明の全体を通して同様の要素を指す。
【0029】
当然のことながら、要素または層が別の要素もしくは層「上にある」、「に接続されている」、「に連結されている」、または「を覆う」と言及される時、これはもう一方の要素もしくは層上に直接ある、それに直接接続されている、それに直接連結されている、またはそれを直接覆う場合があり、または介在する要素もしくは層が存在してもよい。対照的に、要素が別の要素もしくは層「上に直接ある」、「に直接接続されている」、または「に直接連結されている」と言及される時、介在する要素もしくは層は存在しない。同様の数字は、本明細書の全体を通して同様の要素を指す。本明細書で使用される「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のうちの一つ以上のありとあらゆる組み合わせを含む。
【0030】
当然のことながら、第一の、第二の、第三のなどの用語は、様々な要素、領域、層、および/またはセクションを説明するために本明細書で使用されうるものの、これらの要素、領域、層、および/またはセクションはこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、一つの要素、領域、層、またはセクションを別の領域、層、またはセクションと区別するためにのみ使用される。従って、下記に考察される第一の要素、領域、層、またはセクションは、例示の実施形態の教示内容から逸脱することなく、第二の要素、領域、層、またはセクションと呼ばれる可能性がある。
【0031】
空間的関係の用語(例えば、「下に」、「下方に」、「下部」、「上方に」、「上部」、およびこれに類するもの)は本明細書において、図中で図示の通り、一つの要素または特徴と別の要素または特徴との間の関係を説明しやすくするために使用されうる。当然のことながら、空間的関係の用語は、図に描写されている向きに加えて、使用時または動作時の装置の異なる向きを包含することが意図されている。例えば、図中の装置をひっくり返した場合、他の要素または特徴の「下方に」または「下に」と説明されている要素はその後、その他の要素または特徴の「上方に」あることになる。従って、「下方に」という用語は上方と下方の両方の向きを包含する場合がある。装置は別の方法で(90度回転して、または他の向きで)向きが決められる場合があり、本明細書で使用される空間的関係の記述語は適宜に解釈される。
【0032】
本明細書で使用される用語は、様々な例示の実施形態を説明する目的のみのものであり、例示の実施形態の制限を意図しない。本明細書で使用される単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」は複数形も含むことが意図されているが、文脈によって明らかにそうではないことが示される場合は、その限りではない。さらに当然のことながら、「含む(includes)」、「含む(including)」「備える(comprises)」、および/または「備える(comprising)」という用語は本明細書で使用される時、述べられた特徴、整数、工程、動作、および/または要素の存在を特定するが、一つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、および/またはこれらの群の存在または追加を除外しない。
【0033】
例示の実施形態は、例示の実施形態の理想的な実施形態(および中間構造)の概略図である断面図を参照しながら本明細書で説明されている。このように、例えば製造技法および/または公差の結果としてもたらされた図示の形状からの変形形態が予想される。従って、例示の実施形態は、本明細書に図示された領域の形状を限定するものとして解釈されるべきでなく、例えば製造の結果としてもたらされる形状の逸脱を含むべきである。
【0034】
別段の定義のない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術的用語および科学的用語を含む)は、例示の実施形態が属する技術分野の当業者が一般的に理解している用語と同じ意味を有する。さらに当然のことながら、用語(一般的に使用されている辞書で定義された用語を含む)は、関連する技術分野の文脈でのそれらの用語の意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、理想的なまたは過度に正式な意味で解釈されないが、本明細書で明示的にそのように定義されている場合はその限りではない。
【0035】
図1は、少なくとも一つの例示の実施形態によるニコチンeベイピング装置の斜視図であるが、例示の実施形態はそれに限定されず、またニコチンeベイピング装置は他の形態を取ってもよい。
図1を参照すると、ニコチンeベイピング装置60は、ニコチンポッド組立品30(例えば、ニコチンeベイピングカートリッジなど)を受容するように構成されている装置本体10を含む。ニコチンポッド組立品30は、ニコチンプレベイパー製剤を保持するように構成されたモジュール式の物品であり、かつ交換可能であってもよい。「ニコチンプレベイパー製剤」は、ニコチンベイパーへと変形されてもよい材料または材料の組み合わせである。例えば、ニコチンプレベイパー製剤は、水、ビーズ、溶媒、活性成分、エタノール、植物抽出物、天然風味もしくは人工風味、および/またはニコチンベイパー形成体(グリセリン、プロピレングリコールなど)が挙げられるがこれらに限定されない、液体製剤、固体製剤、および/またはゲル製剤であってもよい。ニコチンベイピングの間、ニコチンeベイピング装置60は、ニコチンプレベイパー製剤を加熱してニコチンベイパーを発生するように構成されている。本明細書で言及する「ベイパー」は、開示された、特許請求された、および/またはこれらと等価の例示の実施形態のうちのいずれかによる任意のニコチンeベイピング装置から発生または産出された任意の物質であり、こうした物質はニコチンを含有する。ニコチンeベイピング装置60は、電子ニコチン送達システム(ENDS)と見なされてもよい。
【0036】
装置本体10は、前方カバー104、フレーム106、および後方カバー108を含む。前方カバー104、フレーム106、および後方カバー108は、ニコチンeベイピング装置60の動作に関連する機械的要素、電子要素、および/または回路を含む装置ハウジングを形成する。例えば、装置本体10の装置ハウジングは、ニコチンポッド組立品30に電流を供給することを含んでもよい、ニコチンeベイピング装置60に電力供給するように構成された電力供給源(例えば、電源、電池など)を含んでもよい。加えて、組み立てられた時、前方カバー104、フレーム106、および後方カバー108は、装置本体10の可視部分の大半を構成してもよいが、例示の実施形態はそれに限定されない。
【0037】
前方カバー104(例えば、第一のカバー)は、ベゼル構造112を収容するように構成された一次開口部を画定する。ベゼル構造112は、ニコチンポッド組立品30を受容するように構成された貫通穴150を画定する。
【0038】
前方カバー104はまた、光ガイド配設を収容するように構成された二次開口部を画定する。二次開口部は、スロット(例えば、セグメント化されたスロット)と似ていてもよいが、光ガイド配設の形状に応じて他の形状も可能である。例示の一実施形態において、光ガイド配設は光ガイドレンズ116を含む。さらに、前方カバー104は、第一のボタン118および第二のボタン120を収容するように構成された三次開口部および四次開口部を画定する。三次開口部および四次開口部の各々は、丸みのある正方形と似ていてもよいが、ボタンの形状に応じて他の形状も可能である。第一のボタンハウジング122は、第一のボタンレンズ124を露出するように構成されていて、その一方で第二のボタンハウジング123は、第二のボタンレンズ126を露出するように構成されている。
【0039】
ニコチンeベイピング装置60の動作は、第一のボタン118および第二のボタン120によって制御されてもよい。例えば、第一のボタン118は電力ボタンであってもよく、また第二のボタン120は強度ボタンであってもよい。二つのボタンは、光ガイド配設に関連して図面に示されているものの、当然のことながら、利用可能な特徴および所望のユーザーインターフェースに応じて、より多くの(またはより少ない)ボタンが提供されてもよい。
【0040】
フレーム106(例えば、ベースフレーム)は、装置本体10(およびニコチンeベイピング装置60全体)の中央支持構造である。フレーム106はシャーシと称されてもよい。フレーム106は、近位端、遠位端、および近位端と遠位端の間の一対の側面セクションを含む。近位端および遠位端はまた、それぞれ下流端および上流端と称されてもよい。本明細書で使用される「近位」(および、反対に「遠位」)は、ニコチンベイピング中の成人ベイパー吸引者に対するものであり、また「下流」(および、反対に「上流」)は、ニコチンベイパーの流れに対するものである。追加的な強度および安定性のために、側面セクションの対向する内表面の間(例えば、フレーム106の長さに沿ってほぼ真ん中)にブリッジセクションが提供されてもよい。フレーム106は、単体の構造となるように一体的に形成されてもよい。
【0041】
後方カバー108(例えば、第二のカバー)はまた、ベゼル構造112を収容するように構成された開口部を画定する。前方カバー104および後方カバー108は、スナップ嵌め配設を介してフレーム106と係合するように構成されてもよい。
【0042】
装置本体10はまた、マウスピース102を含む。マウスピース102は、フレーム106の近位端に固定されてもよい。加えて、マウスピース102の少なくとも一つの端は、複数の空気出口(図示せず)を含んでもよく、これらを通して、ニコチンeベイピング装置60によって発生されたニコチンベイパーが引き出されてもよい。
【0043】
ニコチンeベイピング装置60の遠位端は、ポート110(例えば、ミニUSBコネクタなど)を含む。ポート110は、ニコチンeベイピング装置60内の電力供給源(例えば、電源、電池など)(図示せず)を充電するように、外部電源から電流を(例えば、ミニUSBケーブル、USBケーブル、電源ケーブルなどを介して)受容するように構成されている。少なくとも一つの例示の実施形態において、ニコチンeベイピング装置60は、無線電源(例えば、無線充電パッドなど)から電流を受信するように構成されてもよい。加えて、ポート110はまた、別のニコチンeベイピング装置または他の電子装置(例えば、電話、タブレット、コンピュータなど)に(例えば、ミニUSBケーブル、USBケーブルなどを介して)データを送信するように、および/またはそれらからデータを受信するように構成されてもよい。さらに、ニコチンeベイピング装置60は、別の電子装置にインストールされたアプリケーションソフトウエア(アプリ)(例えば、ニコチンeベイピング装置アプリケーションなど)を介して、その電子装置(電話、タブレット、コンピュータ、サーバー、キオスク、無線ビーコン、VR/AR装置など)との無線通信のために構成されてもよい。こうした場合において、成人ベイパー吸引者は、アプリによって、ニコチンeベイピング装置60を制御する、または別の方法でニコチンeベイピング装置60と相互作用(例えば、ニコチンeベイピング装置60を位置特定する、ニコチンeベイピング装置および/またはニコチンポッド組立品ステータス情報をチェックする、動作パラメータを変更する、ニコチンeベイピング装置60を係止/係止解除するなど)してもよい。
【0044】
ニコチンeベイピング装置60は、ニコチンプレベイパー製剤を保持するように構成されたニコチンポッド組立品30を含む。ニコチンポッド組立品30は、取り外し可能(例えば、交換可能)であってもよく、またはニコチンeベイピング装置60に恒久的に貼り付けられ、かつニコチンプレベイパー製剤で再充填可能であってもよい。ニコチンポッド組立品30は、上流端(これは光ガイド配設に面する)と、下流端(これはマウスピース102に面する)とを有する。非限定的な例示の一実施形態において、上流端は、下流端と反対側のニコチンポッド組立品30の表面である。ニコチンポッド組立品30は、ニコチンポッド本体内に配置されている、かつ上流端における開口部によって露出されているコネクタモジュール(図示せず)を含む。コネクタモジュールの外面は、少なくとも一つの電気接点を含む。少なくとも一つの電気接点は、装置本体10の少なくとも一つの電力接点(図示せず)と電気的に接続するように構成された複数の電力接点(例えば、ポート110の少なくとも一つの電力接点など)を含んでもよい。加えて、ニコチンポッド組立品30の少なくとも一つの電気接点は、複数のデータ接点を含む。ニコチンポッド組立品30の複数のデータ接点は、装置本体10のデータ接点(図示せず)(例えば、ポート110の少なくとも一つの電力接点など)と電気的に接続するように構成されている。
【0045】
ニコチンポッド組立品30は、組立品内に貯蔵部(図示せず)を含んでもよく、またニコチンプレベイパー製剤を保持するように構成されてもよい。貯蔵部は、貯蔵部からニコチンプレベイパー製剤を放出するためのニコチンポッド組立品30の起動まで、ニコチンプレベイパー製剤を気密密封するように構成されてもよい。気密密封の結果として、ニコチンプレベイパー製剤は、環境からだけでなく、ニコチンプレベイパー製剤と反応する可能性のあるニコチンポッド組立品30の内部要素からも分離されることができ、それによって、ニコチンプレベイパー製剤の貯蔵寿命および/または感覚的な特性(例えば、風味)に対する悪影響の可能性が低減または防止される。ニコチンポッド組立品30はまた、ニコチンポッド組立品30を起動するように、かつ起動後に貯蔵部から放出されたニコチンプレベイパー製剤を受容および加熱するように構成された構造を包含してもよい。
【0046】
ニコチンポッド組立品30は、装置本体10の中へのニコチンポッド組立品30の挿入前に成人ベイパー吸引者によって手動で起動されてもよい。追加的に、ニコチンポッド組立品30は、装置本体10の中へのニコチンポッド組立品30の挿入の一部として起動されてもよい。例示の一実施形態において、ニコチンポッド本体は、ニコチンポッド組立品30の起動中に貯蔵部からニコチンプレベイパー製剤を放出するように構成された穿孔器(例えば、ピンなど)を含む。
【0047】
示す通り、装置本体10およびニコチンポッド組立品30は、ニコチンeベイピング装置60の動作と関連付けられた機械的要素、電子要素、および/または回路を含む。例えば、ニコチンポッド組立品30は、中に密封された貯蔵部からニコチンプレベイパー製剤を放出するように作動するように構成された機械的要素を含んでもよい。ニコチンポッド組立品30はまた、装置本体10と係合して、ニコチンポッド組立品30の挿入および着座を容易にするように構成された機械的態様を有してもよい。
【0048】
追加的に、ニコチンポッド組立品30は、装置本体10から/装置本体10に情報を記憶、受信、および/または送信するように構成された電子要素および/または電子回路を含む「スマートポッド」であってもよい。こうした情報は、装置本体10で使用するためのニコチンポッド組立品30を認証するために使用されてもよい(例えば、承認されていない/改造された/偽造のニコチンポッド組立品の使用を低減および/または防止するために)。さらに、情報は、ニコチンポッド組立品30のタイプを特定するために使用されてもよく、これは次いで、特定されたタイプに基づいてベイピングプロファイルと相関付けられる。ベイピングプロファイルは、ニコチンプレベイパー製剤の加熱のための一般的なパラメータを定めるように設計されてもよく、またニコチンベイピング前および/またはニコチンベイピング中に、成人ベイパー吸引者によって調整、微調整、または他の調整に供されてもよい。
【0049】
ニコチンポッド組立品30はまた、ニコチンeベイピング装置60の動作に関連する場合がある他の情報を装置本体10と通信してもよい。関連する情報の例には、ニコチンポッド組立品30内のニコチンプレベイパー製剤のレベル、および/またはニコチンポッド組立品30が装置本体10の中に挿入かつ起動されてから経過した時間の長さが含まれてもよい。
【0050】
装置本体10は、ニコチンポッド組立品30を係合、保持、および/または起動するように構成された機械的構成要素(例えば、相補的構造)を含んでもよい。加えて、装置本体10は、電流を受信して内部電源を充電するように構成された電子要素および/または回路を含んでもよく、これは結果として、ニコチンベイピング中にニコチンポッド組立品30に電力を供給するように構成されている。さらに、装置本体10は、ニコチンポッド組立品30、異なるニコチンeベイピング装置、非ニコチンeベイピング装置、他の電子装置(例えば、電話、タブレット、コンピュータなど)、および/または成人ベイパー吸引者などと通信するように構成された電子要素および/または電子回路を含んでもよい。
【0051】
装置本体10はまた、ニコチンポッド組立品30と電気的に係合するように、かつニコチンベイピング中に装置電気コネクタを介して装置本体10からニコチンポッド組立品30に電力を供給するように構成されている装置電気コネクタ(図示せず)を含んでもよい。加えて、データは装置電気コネクタを介して、装置本体10およびニコチンポッド組立品30に送信および/またはそれらから受信されることができる。
【0052】
一部の例示の実施形態によると、ニコチンポッド組立品30は、ニコチンプレベイパー製剤をヒーター(図示せず)に移動するように構成されているウィック(図示せず)を含んでもよい。ヒーターは、ニコチンベイピング中にニコチンプレベイパー製剤を加熱してニコチンベイパーを発生するように構成されている。ヒーターは、装置電気コネクタの少なくとも一つの電気接点に電気的に接続されている。例示の一実施形態において、ヒーターは折り曲げられた発熱体を含むが、例示の実施形態はそれに限定されない。こうした場合において、ウィックは、折り曲げられた発熱体によって保持されるように構成された平面状の形態を有してもよいが、例示の実施形態はそれに限定されない。ニコチンポッド組立品30が組み立てられている時、ウィックは、吸収材料と流体連通するように構成されていて、これによって吸収材料内にあるであろうニコチンプレベイパー製剤は(ニコチンポッド組立品30が起動された時)、毛細管作用を介してウィックに移動される。本明細書において、ヒーターはまた、加熱エンジン、加熱コイルなどと呼ばれてもよい。
【0053】
少なくとも一部の例示の実施形態によると、ウィックは、毛細管作用のために設計された空孔/隙間を有する繊維質のパッドまたは他の構造であってもよい。加えて、ウィックは長方形の形状を有してもよいものの、例示の実施形態はそれに限定されない。
【0054】
例示の一実施形態において、ヒーターは、電流がそれに印加されるのに伴い、ジュール加熱(これはオーム/抵抗加熱としても知られる)を受けるように構成されている。より詳細に述べると、ヒーターは、一つ以上の導体で形成されてもよく、かつ電流がそれを通過する時に熱を生成するように構成されてもよい。電流は、装置本体10内の電力供給源(例えば、電源、電池など)から供給され、かつ電力接点を介してヒーターに運ばれてもよい。
【0055】
ヒーターおよび関連付けられた構造は、2017年10月11日に出願された「Folded Heater For Electronic Vaping Device」と題する米国特許出願第15/729,909号において、より詳細に考察されている。
【0056】
図2は、少なくとも一つの例示の実施形態による例示のニコチンポッドシステムに接続された例示のニコチンeベイピング装置本体を含む、装置システムの一実施例の概略図を図示する。
【0057】
装置システム2100は、コントローラ2105、電力供給源2110、アクチュエータ制御2115、ニコチンポッドの電気的/データインターフェース2120、装置センサー2125、入力/出力(I/O)インターフェース2130、ベイパー吸引者インジケータ2135、少なくとも一つのアンテナ2140、オンプロダクト制御2150、記憶媒体2145、および/またはヒーター抵抗モニタリング回路3000を含む。しかしながら、装置システム2100は、
図2に示す特徴に限定されず、またより多い数またはより少ない数の構成要素を含んでもよい。
【0058】
コントローラ2105は、ハードウエア、ファームウエア、ソフトウエアを実行するハードウエア、またはこれらの任意の組み合わせであってもよい。コントローラ2105がハードウエアである場合、こうした既存のハードウエアとしては、コントローラ2105の機能を実行するための特殊用途機械として構成された、一つ以上の中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、プロセッサコア、マルチプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)コンピュータ、またはこれに類するものが挙げられてもよい。CPU、マイクロプロセッサ、プロセッサコア、マルチプロセッサ、DSP、ASIC、FPGAは一般的に、処理装置と呼ばれてもよい。
【0059】
コントローラ2105がソフトウエアを実行するプロセッサであるか、またはそれを含む場合、コントローラ2105は、コントローラ2105の機能を実行するために、コントローラ2105によってアクセス可能なメモリ(例えば、記憶媒体2145または別の記憶装置)内に保存された、ソフトウエアを実行するための特殊用途機械(例えば、処理装置)として構成されている。ソフトウエアは、コントローラ2105によって実行されるものとして本明細書に記載の動作のいずれかまたはすべてを実行および/または制御するための指示を含むプログラムコードとして具現化されてもよい。
【0060】
本明細書に開示の「記憶媒体」、「コンピュータ可読記憶媒体」、または「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気RAM、コアメモリ、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリ装置、および/または情報を保存するための他の有形の機械可読媒体を含む、データを保存するための一つ以上の装置を表す場合がある。「コンピュータ可読媒体」という用語は、指示(複数可)および/またはデータを保存、含有、または担持する能力を有する、可搬式または固定式の記憶装置、光学記憶装置、および様々な他の媒体を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0061】
例示の一実施形態によると、コントローラ2105は少なくとも一つのマイクロプロセッサなどを含んでもよい。さらに、コントローラ2105は、汎用入力/出力(GPIO)、集積回路間(I2C)インターフェース、シリアルペリフェラルインタフェースバス(SPI)インターフェース、またはこれに類するものなどの入力/出力インターフェースや、マルチチャネルアナログデジタル変換器(ADC)および/またはデジタルアナログ変換器(DAC)や、クロック入力端子を含んでもよい。しかしながら、例示の実施形態はこの実施例に限定されるべきではない。例えば、コントローラ2105は、演算回路(複数可)をさらに含んでもよい。
【0062】
図2に戻ると、コントローラ2105は、電力供給源2110、アクチュエータ制御2115、ニコチンポッドの電気的/データインターフェース2120、装置センサー2125、入力/出力(I/O)インターフェース2130、ベイパー吸引者インジケータ2135、オンプロダクト制御2150、および少なくとも一つのアンテナ2140などと通信する。
【0063】
コントローラ2105はまた、ニコチンポッドの電気的/データインターフェース2120および本体の電気的/データインターフェース2210を通して、ニコチンポッド組立品30、ヒーター抵抗モニタリング回路3000、および/またはニコチンポッドセンサー2220内の不揮発性メモリ2205b(NVM)と通信してもよい。少なくとも一つの例示の実施形態によると、NVM 2205bは、暗号化コプロセッサおよび不揮発性メモリパッケージ(CC-NVM)(図示せず)であってもよいが、例示の実施形態はそれに限定されない。より具体的に、コントローラ2105は、暗号化を利用して、ニコチンポッド組立品30を認証してもよい。説明する通り、コントローラ2105は、ニコチンポッド組立品30を認証するために、NVMまたはCC-NVMパッケージと通信する。より具体的に、不揮発性メモリは製造中に、認証のために製品および他の情報でコードされる。
【0064】
メモリ装置は、ニコチンポッド組立品30が装置本体10の中に挿入されている時に、ニコチンポッド組立品30の認証と、ニコチンポッド組立品30のタイプ(または加熱エンジンタイプなどの物理的構造)に特有の動作パラメータのペアリングとのうちの少なくとも一つを許容するために、電子識別でコードされてもよい。ニコチンポッド30の電子識別に基づく認証に加えて、コントローラ2105は、NVMまたはCC-NVMの不揮発性メモリにコードされた、保存されたニコチンプレベイパー製剤および/またはヒーターの有効期限に基づいて、ニコチンポッド組立品30の使用を認可してもよい。コントローラ2105が、不揮発性メモリの中にコードされた有効期限が過ぎていることを決定する場合、コントローラ2105は、ニコチンポッド組立品30の使用を認可せず、ニコチンeベイピング装置60を無効にしてもよい。
【0065】
コントローラ2105(または記憶媒体2145)は、暗号化のための主要な材料および専有のアルゴリズムソフトウエアを保存する。例えば、暗号化アルゴリズムは乱数の使用に依存する。これらのアルゴリズムのセキュリティは、これらの数がどれほど真に無作為であるかに依存する。これらの数は通常、事前に生成され、かつプロセッサまたはメモリ装置の中にコードされる。例示の実施形態は、予め生成された乱数よりも無作為かつ個別差がある数を発生するために、ニコチンベイパー引き出しパラメータ(例えば、ニコチンベイパー引き出しの持続時間、ニコチンベイパー引き出しの間の間隔、またはそれらの組み合わせ)を使用することによって暗号化のために使用される数の乱数性を増大させてもよい。コントローラ2105とニコチンポッド組立品30の間のすべての通信は、暗号化されてもよい。
【0066】
コントローラ2105はまた、コントローラ2105のリソースが、認証に関与するコード化および復号以外の機能を実行することを可能にする、暗号化アクセラレータを含んでもよい。コントローラ2105はまた、ニコチンポッドまたは成人ベイパー吸引者が認証されていない場合に、通信チャネルの不正使用を防止すること、およびデータへの不正アクセスを防止することなどの他のセキュリティ特徴を含んでもよい。
【0067】
暗号化アクセラレータに加えて、コントローラ2105は他のハードウエアアクセラレータを含んでもよい。例えば、コントローラ2105は、浮動小数点ユニット(FPU)、別個のDSPコア、デジタルフィルター、および高速フーリエ変換(FFT)モジュールなどを含んでもよい。
【0068】
コントローラ2105は、リアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)を動作させ、装置システム2100を制御するように構成されていて、またNVMもしくはCC-NVMとの通信によって、または装置システム2100がI/Oインターフェース2130および/またはアンテナ2140によって他の装置(例えば、スマートフォンなど)と接続されている時に更新されてもよい。I/Oインターフェース2130およびアンテナ2140は、装置システム2100がスマートフォン、タブレット、PCなどの様々な外部装置に接続することを可能にする。例えば、I/Oインターフェース2130は、マイクロUSBコネクタを含んでもよいが、それに限定されない。マイクロUSBコネクタは、電源2110bを充電するために装置システム2100によって使用されてもよい。
【0069】
コントローラ2105は、分析、診断、ソフトウエアアップグレードを含む、コードを保存および実行するための搭載型RAMおよびフラッシュメモリを含んでもよい。代替として、記憶媒体2145はコードを保存してもよい。追加的に、別の例示の実施形態において、記憶媒体2145はコントローラ2105に搭載されてもよい。
【0070】
コントローラ2105は、装置本体10内のPCBによって覆われた区域を減少させるために、搭載型クロック、リセット、電力管理モジュールをさらに含んでもよい。
【0071】
装置センサー2125は、コントローラ2105に測定情報を提供する数多くのセンサートランスデューサを含んでもよい。装置センサー2125は、電力供給源温度センサー、外部ニコチンポッド温度センサー、ヒーター用電流センサー、電力供給源電流センサー、気流センサー、移動および向きをモニターするための加速度計などを含んでもよいが、それらに限定されない。電力供給源温度センサーおよび外部ニコチンポッド温度センサーは、サーミスタまたは熱電対であってもよく、またヒーター用電流センサーおよび電力供給源電流センサーは、抵抗ベースのセンサー、または電流を測定するように構成された別のタイプのセンサーであってもよい。気流センサーは、微小電気機械システム(MEMS)流れセンサー、または気流を測定するように構成された別のタイプのセンサー(熱線風速計など)であってもよい。さらに、装置本体100の装置システム2100の装置センサー2125内に含まれた流れセンサーを使用して気流を測定する代わりに、またはそれに加えて、気流は、ニコチンポッド組立品30などの中に位置する一つ以上のセンサーを使用して測定されてもよい。
【0072】
装置センサー2125のうちの一つ以上から生成されたデータは、個別のマルチチャネルアナログデジタル変換器(ADC)を使用して測定されるパラメータに対して適切なサンプルレートでサンプリングされてもよい。
【0073】
コントローラ2105は、コントローラ2105から受信した測定情報に基づいて、ニコチンプレベイパー製剤のためのヒータープロファイルおよび他のプロファイルを適合させてもよい。便宜上、これらは一般的に、ベイピングプロファイルまたはベイパープロファイルと呼ばれる。ヒータープロファイルは、ニコチンベイパーの引き出しが行われる数秒間に、ヒーターに供給される電力プロファイルを特定する。例えば、ヒータープロファイルは、ニコチンベイパーの引き出し1回が開始された時にヒーターに最大電力を送達することができるが、次いで望ましい期間(例えば、およそ1秒程度)の後、直ちに電力を二分の一または四分の一に減少することができる。少なくとも一部の例示の実施形態によると、ヒーターに提供された電力の変調は、パルス幅変調を使用して実装されてもよい。
【0074】
加えて、ヒータープロファイルはまた、ニコチンeベイピング装置60に印加された陰圧に基づいて修正されることができる。MEMS流れセンサーの使用は、ニコチンベイパー引き出し強度を測定して、コントローラ2105へのフィードバックとして使用し、加熱送達またはエネルギー送達と呼ばれてもよい、ニコチンポッドのヒーターに送達された電力を調整することを可能にする。
【0075】
少なくとも一部の例示の実施形態によると、ニコチンポッドが現在設置されていることを(例えば、個々のニコチンポッドに対応するSKU、シリアル番号、一意の識別番号、公開暗号化キーなどによって)コントローラ2105が認識する時、コントローラ2105は、その特定のニコチンポッドのために設計されている関連付けられた加熱プロファイルを一致させる。コントローラ2105および記憶媒体2145は、様々なニコチンポッドのタイプ、ニコチンプレベイパー製剤などのための加熱プロファイルの生成を可能にするデータおよびアルゴリズムを保存する。別の例示の実施形態において、コントローラ2105はニコチンポッドから加熱プロファイルを読み取ってもよい。成人ベイパー吸引者はまた、自身の個人的な好みに合わせるために加熱プロファイルも調整してもよい。
【0076】
図2に示す通り、コントローラ2105は、電力供給源2110にデータを送信する、および電力供給源2110からデータを受信する。電力供給源2110は、電源2110bによって出力された電力を管理するために、電源2110bおよび電力コントローラ2110aを含む。
【0077】
電源2110bは、リチウムイオン電池またはその変異型の一つ(例えば、リチウムイオンポリマー電池)であってもよい。別の方法として、電源2110bは、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、リチウムマンガン電池、リチウムコバルト電池、または燃料電池であってもよい。電源2110bは再充電可能であってもよく、また電池を外部充電装置によって充電可能にすることを可能にする回路を含んでもよい。その場合、回路は充電された時、後で回路を外部充電装置に再接続する必要のある、望ましい(または別の方法として、所定の)回数のニコチンベイパーの引き出しのための電力を提供する。
【0078】
電力コントローラ2110aは、コントローラ2105からの指示に基づいて、電源2110bに命令を提供する。例えば、電力供給源2110は、ニコチンポッドが認証され、成人ベイパー吸引者が(例えば、トグルボタン、静電容量式センサー、IRセンサーなどのスイッチを起動すること、マウスピースに負の空気圧を印加することなどによって)装置システム2100を起動する時に、ニコチンポッドに(ニコチンポッドの電気的/データインターフェース2120を通して)電力を提供するために、コントローラ2105から命令を受信してもよい。ニコチンポッドが認証されない場合、コントローラ2105は、電力供給源2110に命令を送信しない場合があるか、または電力を提供しないように電力供給源2110に指示を送信する場合がある。別の例示の実施形態において、コントローラ2105は、ニコチンポッドが認証されない場合、装置システム2100のすべての動作を無効にしてもよい。
【0079】
ニコチンポッドへの電力の供給に加えて、電力供給源2110はまた、電力をコントローラ2105に供給する。さらに、電力コントローラ2110aは、電源2110bの性能を示すフィードバックをコントローラ2105に提供してもよい。
【0080】
コントローラ2105は、少なくとも一つのアンテナ2140にデータを送信し、少なくとも一つのアンテナ2140からデータを受信する。少なくとも一つのアンテナ2140は、近距離無線通信(NFC)モデム、およびBluetooth Low Energy(LE)モデム、および/または他の無線技術(例えば、Wi-Fiなど)のための他のモデムを含んでもよい。例示の一実施形態において、通信スタックはモデム内にあるが、モデムはコントローラ2105によって制御される。Bluetooth LEモデムは、外部装置(例えば、スマートフォン、タブレット、無線ビーコンなど)上のアプリケーションとのデータ通信および制御通信のために使用される。NFCモデムが、アプリケーションへのニコチンeベイピング装置60のペアリング、および診断情報の取得のために使用されてもよい。さらに、Bluetooth LEモデムは、(成人ベイパー吸引者がニコチンeベイピング装置60を見つけるための)位置情報または購入中の認証を提供するために使用されてもよい。
【0081】
コントローラ2105は、ベイパー吸引者インジケータ2135に情報を供給して、ステータスおよび発生している動作を成人ベイパー吸引者に示す。ベイパー吸引者インジケータ2135は、コントローラ2105が成人ベイパー吸引者によってボタンが押されたことを感知した時に起動されてもよい電力インジケータ(例えば、LED)を含む。ベイパー吸引者インジケータ2135はまた、バイブレータ、スピーカー、成人ベイパー吸引者によって制御されているニコチンベイピングパラメータ(例えば、ニコチンベイパー量)の現在の状態のインジケータ、および他のフィードバック機構も含んでもよい。
【0082】
さらに、装置システム2100は、成人ベイパー吸引者からコントローラ2105への命令を提供する、数多くのオンプロダクト制御2150を含んでもよい。オンプロダクト制御2150は、オンオフボタンを含み、これは例えばトグルボタン、静電容量式センサー、またはIRセンサーであってもよい。オンプロダクト制御2150は、ニコチンベイピング制御ボタン(成人ベイパー吸引者がボタンなしのニコチンベイピング機構をオーバーライドしてヒーターに給電することを望む場合)、ハードリセットボタン、タッチベースのスライダー制御(ニコチンベイパー引き出し量などのニコチンベイピングパラメータの設定を制御するための)、スライダー制御を起動するためのニコチンベイピング制御ボタン、および空気吸込み口の機械的調整をさらに含んでもよい。手を口に当てるジェスチャー(HMG)の検出は、ボタンなしのニコチンベイピングの別の例である。さらに、キーストローク(例えば、オンプロダクト制御2150を介して成人ベイパー吸引者によって入力されたキーストローク)の組み合わせを使用して、ニコチンeベイピング装置60を係止し、装置がニコチンベイパーを生成するように動作することを防止することができる。少なくとも一部の例示の実施形態によると、キーストロークの組み合わせは、ニコチンeベイピング装置60および/または装置システム2100の製造業者によって設定されてもよい。少なくとも一部の例示の実施形態によると、キーストロークの組み合わせは、成人ベイパー吸引者によって(例えば、オンプロダクト制御2150を介して成人ベイパー吸引者によって入力されたキーストロークによって)設定、または変更されてもよい。
【0083】
少なくとも一つの例示の実施形態によると、ニコチンポッドシステム2200は、ヒーター2215、不揮発性メモリ2205b、本体の電気的/データインターフェース2210、一つ以上のニコチンポッドセンサー2220、および/またはヒーター抵抗モニタリング回路3000を含んでもよいが、例示の実施形態はそれに限定されない。ニコチンポッドシステム2200は、本体の電気的/データインターフェース2210およびニコチンポッドの電気的/データインターフェース2120を通して装置システム2100と通信する。
【0084】
ヒーター2215は、コントローラ2105によって作動されてもよく、またニコチンポッド組立品30内のニコチンプレベイパー製剤の少なくとも一部分に、例えばコントローラ2105からの命令されたプロファイル(量、温度(電力プロファイルに基づく)および風味)に従って、ニコチンプレベイパー製剤をニコチンベイパーへと気化するために、熱を伝達してもよい。コントローラ2105は、ニコチンポッドセンサーまたはヒーター2215からのフィードバックに基づいて、加熱するニコチンプレベイパー製剤の量を決定してもよい。ニコチンプレベイパー製剤の流れは、マイクロキャピラリまたは吸い出し作用によって調節されてもよい。さらに、コントローラ2105は、ヒーター2215に命令を送信して、ヒーター2215への空気吸込み口を調整してもよい。
【0085】
ヒーター2215は、例えば平面状の本体、セラミック本体、単一のワイヤ、抵抗ワイヤのケージ、ウィックを包囲するワイヤコイル、メッシュ、表面、または任意の他の適切な形態であってもよい。適切な電気抵抗性材料の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族由来の金属が挙げられる。適切な合金の実施例としては、ステンレス鋼、ニッケル含有、コバルト含有、クロミウム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオビウム含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、および鉄含有合金、ならびにニッケル系、鉄系、コバルト系、およびステンレス鋼系の超合金が挙げられる。例えば、ヒーターは、ニッケルアルミナイド、表面上にアルミナの層を有する材料、鉄アルミナイドおよび他の複合材料で形成されてもよく、電気抵抗性材料は、必要とされるエネルギー伝達の動態学および外部の物理化学的特性に応じて、随意に断熱材料内に埋め込まれる、断熱材料で封入される、または断熱材料で被覆されることができ、もしくはその逆も可能である。一実施形態において、ヒーター2215は、ステンレス鋼、銅、銅合金、ニッケルクロム合金、超合金、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも一つの材料を含む。例示の一実施形態において、ヒーター2215は、ニッケルクロム合金または鉄クロム合金で形成されている。少なくとも一つの例示の実施形態において、ヒーター2215は、その外側表面上に電気抵抗性の層を有するセラミックヒーターとすることができる。
【0086】
別の例示の実施形態において、ヒーター2215は、鉄アルミナイド(例えば、FeAlまたはFe3Al)で構築されてもよい。追加的に、一部の例示の実施形態によると、ヒーター2215は、ニコチンポッドシステム2200ではなく、装置システム2100内に含まれてもよい。
【0087】
図2の例示の実施形態において、ニコチンポッドシステム2200は、CC-NVMの代わりに不揮発性メモリ2205bを含んでもよく、また暗号化コプロセッサは省略されている。暗号化コプロセッサがニコチンポッドシステム2200内に存在しない場合、コントローラ2105は、加熱プロファイルを制御/画定するために暗号化コプロセッサを使用することなく、不揮発性メモリ2205bからデータを読み出してもよい。しかしながら、暗号化コプロセッサがニコチンポッドシステム2200内に含まれる場合、暗号化コプロセッサは、コントローラ2105へのNVM2205b上でコード化された情報の伝送(例えば、読み出し)、および/またはNVM2205b上に保存された、コントローラ2105からの情報の受信(例えば、書き込み)を制御してもよい。
【0088】
さらに、不揮発性メモリ2205bは、ニコチンプレベイパー製剤区画内のニコチンプレベイパー製剤(ニコチンプレベイパー製剤組成物を含む)の最小在庫管理単位(SKU)、装置システム2100のソフトウエアパッチ、ニコチンベイパー引き出し回数などの製品使用情報、ニコチンベイパー引き出しの持続時間、およびニコチンプレベイパー製剤レベルなどの情報を保存してもよい。不揮発性メモリ2205bは、ニコチンポッドのタイプおよびニコチンプレベイパー製剤組成物に特有の動作パラメータを保存してもよい。例えば、不揮発性メモリ2205bは、望ましいニコチンベイピングプロファイルに対応する命令を決定するために、コントローラ2105による使用のためのニコチンポッドの電気的および機械的設計を保存してもよい。追加的に、不揮発性メモリ2205bは、訓練されたニューラルネットワークに対応する特殊用途コンピュータ可読指示を保存してもよい。訓練されたニューラルネットワークは、
図4A~
図7Bと関連してさらに詳細に考察される。
【0089】
ニコチンプレベイパー製剤レベルは、ニコチンポッド内のニコチンプレベイパー製剤レベルのおよその測定値であってもよく、また例えばニコチンポッドセンサー2220のうちの一つを使用して、ニコチンポッド内のニコチンプレベイパー製剤レベルを直接測定するために、および/またはコントローラ2105を使用して、不揮発性メモリ2205b内のニコチンポッドに対応するニコチンベイパー引き出しの回数を計数するために、気化されたニコチンプレベイパー製剤の量に対するプロキシとして使用されるニコチンベイパー引き出しの回数を用いて、決定されてもよい。
【0090】
コントローラ2105および/または記憶媒体2145は、ニコチンプレベイパー製剤組成物のための動作点を特定する、ニコチンプレベイパー製剤較正データを保存してもよい。ニコチンプレベイパー製剤較正データは、残りのニコチンプレベイパー製剤レベルとともにニコチンプレベイパー製剤流量がどのように変化するか、またはニコチンプレベイパー製剤の寿命とともに揮発性がどのように変化するかを説明するデータを含み、コントローラ2105による較正に使用されてもよい。ニコチンプレベイパー製剤較正データは、コントローラ2105および/または記憶媒体2145によって表形式で保存されてもよい。ニコチンプレベイパー製剤較正データは、コントローラ2105がニコチンベイパー引き出し回数を、気化したニコチンプレベイパー製剤の量と一致させることを可能にする。
【0091】
コントローラ2105は、ニコチンポッド内の不揮発性メモリ2205bに戻ってニコチンプレベイパー製剤レベルおよびニコチンベイパー引き出し回数を書き込み、そのためニコチンポッドが装置本体10から取り外され、その後再設置される場合、ニコチンポッドの正確なニコチンプレベイパー製剤レベルは依然として、コントローラ2105によって知られることになる。
【0092】
動作パラメータ(例えば、電力供給源パラメータ、電力持続時間パラメータ、空気チャネル制御パラメータなど)は、ベイピングプロファイルと呼ばれる。さらに、不揮発性メモリ2205bは、コントローラ2105によって通信される情報を記録してもよい。不揮発性メモリ2205bは、装置本体10がニコチンポッドから切断される時でさえも、記録された情報を保持してもよい。
【0093】
例示の一実施形態において、不揮発性メモリ2205bは、プログラム可能な読み出し専用メモリであってもよい。
【0094】
ニコチンポッドセンサー2220から生成されたデータは、個別のマルチチャネルアナログデジタル変換器(ADC)を使用して測定されるパラメータに適切なサンプルレートでサンプリングされてもよい。ニコチンポッドセンサー2220は、例えばヒーター温度センサー、ニコチンプレベイパー製剤流量モニター、気流センサー、ヒーターの抵抗を測定するためのオーム計、および/または吸煙検出器などを含んでもよい。少なくとも一つの例示の実施形態によると、ヒーター温度センサーは、サーミスタまたは熱電対であってもよく、またニコチンプレベイパー製剤流量感知は、静電気干渉またはプレベイパー製剤内回転装置を使用して、ニコチンポッドシステム2200によって実行されてもよい。
【0095】
追加的に、少なくとも一つの例示の実施形態によると、ニコチンポッドシステム2200は、ヒーター2215の抵抗を測定するヒーター抵抗モニタリング回路3000をさらに含む。ヒーター抵抗モニタリング回路は、
図3Aおよび
図3Bに関連して、さらに詳細に考察される。さらに、他の例示の実施形態によると、ヒーター抵抗モニター回路3000は、装置システム2100内に含まれてもよい。
【0096】
図1および
図2は、ニコチンeベイピング装置の例示の実施形態を描写する一方で、ニコチンeベイピング装置はそれに限定されず、また実証される目的のために適切である場合がある追加的な、および/または代替的なハードウエア構成を含んでもよい。例えば、ニコチンeベイピング装置は、追加的な、または代替的な発熱体、貯蔵部、電池などの複数の追加的な、または代替的な要素を含んでもよい。追加的に、
図1および
図2は、二つの別個のハウジング要素内に具体化されているニコチンeベイピング装置の例示の実施形態を描写する一方で、追加的な例示の実施形態は、単一のハウジング、および/または三つ以上のハウジング要素内に配設されたニコチンeベイピング装置を対象としてもよい。
【0097】
図3Aおよび
図3Bは、一部の例示の実施形態によるニコチンeベイピング装置の例示のヒーター抵抗モニタリング回路の様々な要素を図示するブロック図である。
【0098】
図3Aを参照して、少なくとも一つの例示の実施形態によると、ニコチンeベイピング装置は、ヒーター2215などのヒーター(例えば、加熱コイル)の抵抗をリアルタイムで検出する(例えば、ヒーターの抵抗を連続的にモニターする、および/または動的にモニターするなど)、またはコントローラ2105などのニコチンeベイピング装置のコントローラによって制御される望ましい時点で検出するためのヒーター抵抗モニタリング回路3000Aを含んでもよいが、これに限定されない。ヒーター抵抗モニター回路3000Aは、少なくともコントローラ2105、電源2110、およびヒーター2215に接続された電圧メーター2221(例えば、電圧計)を含んでもよいが、例示の実施形態はそれに限定されない。例えば、例示の実施形態は、ヒーター2215の抵抗の計算を容易にするために既知の抵抗値を有する、電源2110とヒーター2215の間の直列の一つ以上の基準抵抗器と、ヒーターの抵抗を測定するための、かつヒーターの定常状態抵抗を推定するために、訓練されたニューラルネットワークを実行するための第二の特殊用途コントローラなどをさらに含んでもよい。電源2110は、コントローラ2105から出力されるトリガ信号(例えば、命令信号、指示など)に基づいて、少なくとも二つの電力信号、すなわちニコチンeベイピング装置60の通常動作モード中の第一の電力信号、およびヒーター抵抗測定動作モード中の第二の電力信号などをヒーター2215に出力するように構成されてもよいが、例示の実施形態はそれに限定されない。ニコチンeベイピング装置の通常の動作中に、電源2110からの通常の動作電力はヒーター2215に流れる。ヒーター抵抗測定動作の開始を示すトリガ信号を出力するコントローラ2105に応答して、電源2110は既知の電流値の第二の電力信号を出力してもよい。電圧計2221は、電源2110およびコントローラ2105に、ヒーター2215と並列に接続されている。電圧計2221は、ヒーター2215の両側の電圧降下を測定し、測定された電圧降下をコントローラ2105に出力する。コントローラ2105は次いで、電源2110によって出力された既知の電流値と、電圧計2221によって測定された電圧降下とに基づいて、オームの法則を使用してヒーター2215の抵抗を計算する。短い期間(例えば、約50ms~約100ms)の後、コントローラ2105は、トリガ信号を電源2110に出力するのを停止し、電源2110からの通常の電力は、ヒーター2215に再び流れるために利用可能である。
【0099】
図3Bを参照して、少なくとも一つの他の例示の実施形態によると、ヒーター抵抗モニタリング回路は、ヒーターの抵抗をリアルタイムで検出する(例えば、ヒーターの抵抗を連続的にモニターする、および/または動的にモニターするなど)、またはコントローラ2105によって制御される望ましい時点で検出するように構成されてもよい。ヒーター抵抗モニタリング回路3000Bは、複数のMOSFET、負荷スイッチ3130、少なくとも一つのコントローラ2105、分圧器3120、および/またはホイートストンブリッジ3140を含んでもよいが、例示の実施形態はそれに限定されない。例えば、他の例示の実施形態によると、ヒーター抵抗モニタリング回路3000Bは、ヒーターの抵抗を測定するための、かつヒーターの定常状態抵抗を推定するために、訓練されたニューラルネットワークを実行するための第二の特殊用途コントローラなどをさらに含んでもよい。複数のMOSFETは、バックツーバック構成で接続された、かつ電源(例えば、電源2110)とヒーター2215の間に結ばれた、少なくとも第一のPMOSFET 3151および第二のPMOSFET 3152と、少なくとも一つのNMOSFET 3153とを含んでもよく、NMOSFET 3153のドレインDは、PMOSFET 3151およびPMOSFET 3152のゲートGに接続されていて、またNMOSFET 3153のゲートGは、コントローラ2105に接続されている。ニコチンeベイピング装置の通常の動作中に、電源2110からの電力は、閉じたPMOSFET 3151およびPMOSFET 3152を通してヒーター2215に流れる。
【0100】
ホイートストンブリッジは、少なくとも第一の抵抗器R1、第二の抵抗器R3、および第三の抵抗器R5を含んでもよいが、それらに限定されず、また抵抗器はすべて、固定抵抗値(例えば、既知の非可変抵抗値)を有してもよい。ホイートストンブリッジは、ヒーター2215に接続されてもよく、また固定値R1抵抗器と併せて可変抵抗としてヒーター2215を使用してもよく、R3抵抗器およびR5抵抗器はホイートストンブリッジの固定抵抗を形成してもよい。ホイートストンブリッジはまた、負荷スイッチ3130と直列に接続されてもよい。負荷スイッチ3130は、COIL_LOCKOUT_nEN信号をPMOSFET 3151およびPMOSFET 3152に出力することによって、コントローラ2105にヒーター抵抗の検出/モニタリングを開始させる信号R_SENSE_nEN信号をコントローラ2105に出力してもよい。COIL_LOCKOUT_nEN信号に応答して、PMOSFET 3151およびPMOSFET 3152が開放され、ヒーター2215への電力は遮断される(例えば、停止される)。コントローラ2105は次いで、負荷スイッチ3130からの電圧V_BRIDGEを使用して、可変抵抗COIL_RESおよび固定抵抗BRIDGE_REFを感知する。短い期間(例えば、約50ms~約100msなど)の後、コントローラ2105は、COIL_LOCKOUT_nEN信号を出力するのを停止し、電源2110からの電力は、PMOSFET 3151およびPMOSFET 3152を通してヒーター2215に再び流れるように利用可能である。
【0101】
コントローラ2105は、測定された可変抵抗COIL_RESと抵抗器R1の既知の抵抗との間の差を計算して、抵抗モニタリングの期間中のヒーター2215の抵抗を決定することによって、ヒーター2215の抵抗値を決定してもよい。
【0102】
図3Aおよび
図3Bは、ヒーター抵抗モニタリング回路の例示の実施形態を描写する一方で、例示の実施形態はそれに限定されず、また他のヒーター抵抗モニタリング回路は、実証された目的のために適切である場合がある、追加的な、および/または代替的なハードウエア構成を含んでもよい。
【0103】
図4A~
図4Cは、少なくとも一つの例示の実施形態によるニコチンeベイピング装置の発熱体の定常状態抵抗値を予測および/または推定するためのニューラルネットワークを図示する回路図である。
図5は、少なくとも一つの例示の実施形態による単一の吸煙事象中のニコチンeベイピング装置の発熱体の抵抗値を図示するグラフである。
図6は、少なくとも一つの例示の実施形態による単一の吸煙事象に続く抵抗減衰を図示するグラフである。
【0104】
少なくとも一つの例示の実施形態によると、ニコチンeベイピング装置上に実装されたニューラルネットワークは、成人ベイパー吸引者の吸煙事象後の、ニコチンeベイピング装置内に含まれる発熱体(例えば、ヒーター2215)の定常状態抵抗(例えば、ベースライン抵抗値、最終抵抗値など)を決定するために使用されてもよく、定常状態抵抗は、ニコチンeベイピング装置のドライ吸煙事象(例えば、ドライウィック事象など)を検出するために使用されてもよい。
【0105】
最初に
図5を参照すると、ヒーター2215の電気抵抗は、ヒーターの温度および金属学に依存していて、ヒーター2215の電気抵抗値は、ウィック上に保存されたニコチンプレベイパー製剤を気化させるためにヒーター2215に電力が印加される時など、ヒーターの温度が増加または減少する際に、変化する場合がある。例えば、ヒーターの温度依存性の抵抗は、ヒーターがニクロム60ワイヤから成る場合、ヒーターの温度に起因してわずか約2パーセントしか変化しない場合があるが、ステンレス製のヒーターの温度依存性抵抗は、ステンレス鋼ヒーターなどの温度などに基づいて最大約20パーセントまで変化する場合がある。
【0106】
吸煙事象(例えば、成人ベイパー吸引者によるニコチンeベイピング装置のマウスピースへの陰圧の印加)の間、電源2110からヒーター2215に電力が供給され、それによって、ヒーター2215の温度を、ニコチンプレベイパー製剤を気化させるために十分な温度まで上昇させる。吸煙事象の完了後(および別の吸煙事象が生じないと仮定して)、電源2110からヒーター2215に供給される電力は、コントローラ2105によって停止され、ヒーター2215の温度、およびそれに対応してヒーター2215の抵抗値は、定常状態の温度/抵抗値に達するまで減衰する。
【0107】
複数の吸煙事象(例えば、吸煙事象の訓練セット)に対応するニコチンeベイピング装置の例示のヒーターの経時的な抵抗値を図示する
図5に示す通り、また単一の吸煙事象後の経時的な抵抗値の減衰を図示する
図6に示す通り、吸煙事象中の初期抵抗測定値は、局所的な最大抵抗値(例えば、およそ3.67オーム)に達し、その後およそ30~60秒の減衰期間にわたって局所的な最小抵抗値(例えば、およそ3.6オーム)に減衰する場合がある。局所的な最大抵抗値は、吸煙事象でのヒーター2215のピーク抵抗値と考えられてもよく、また局所的な最小抵抗値は、吸煙事象でのヒーター2215の定常状態抵抗値(例えば、最終的な抵抗値)と考えられてもよい。少なくとも一つの例示の実施形態によると、ヒーター2215の抵抗値は、
図3Aまたは
図3Bのヒーター抵抗モニタリング回路を使用してリアルタイムで測定されてもよいが、例示の実施形態はそれに限定されず、また他のリアルタイムヒーター抵抗モニタリング回路が使用されてもよい。
【0108】
追加的に、ヒーター2215の定常状態抵抗値は、ウィック上に貯蔵されたニコチンプレベイパー製剤の量が低下するにつれて増加し、従って定常状態抵抗値は、ドライ吸煙検出閾値と比較される定常状態抵抗値に基づいてドライ吸煙事象を検出する場合がある。追加的に、一部の例示の実施形態によると、ニコチンeベイピング装置がウィックを含まない場合、定常状態抵抗値はまた、発熱体によって加熱および/または気化されるニコチンプレベイパー製剤の量が低下するにつれて増加する。ドライ吸煙検出閾値は、ヒーターの金属学的組成、ヒーター設計タイプ、および各特定のニコチンeベイピング装置のためにヒーターに供給される既知の電力値について観察された定常状態抵抗値に関連する実験データ(例えば、臨床試験など)に基づいて決定されてもよい。
【0109】
しかしながら、ヒーター抵抗モニタリング回路が、単一の吸煙事象後のヒーターの定常状態抵抗値を正確に測定するために使用されてもよい一方で、ヒーター抵抗モニタリング回路は、減衰期間の完了前に複数の吸煙事象が生じる場合、ヒーターの定常状態抵抗値の正確な測定値を提供しない場合がある。例えば、一般的な成人ベイパー吸引者の挙動は、およそ30秒以内に生じる二回以上の吸煙事象を含む場合がある(例えば、成人ベイパー吸引者は、t0にて第一の負の空気圧を印加し、その後t1にて第二の負の空気圧を印加する(t1<=t0+30秒))。結果として、ニコチンeベイピング装置のヒーターは減衰期間全体の間(例えば、約30秒~約60秒)、電源オフにならないので、第二の吸煙事象のために電力が再度ヒーターに印加されるため、第一の吸煙事象の定常状態抵抗値に達しない。
【0110】
例示の実施形態は、ドライ吸煙事象が生じたかどうかを検出するために、成人ベイパー吸引者が吸煙事象中に約30~60秒待つ必要がない、定常状態抵抗値のより正確な推定を決定する方法を提供する。
【0111】
ここで
図4A~
図4Cを参照すると、少なくとも一つの例示の実施形態によると、吸煙事象中および/またはその後の少なくとも二つの測定されたヒーター抵抗値に基づいて、ニコチンeベイピング装置のヒーターの定常状態抵抗値を推定するために、ニューラルネットワークが提供されてもよい。少なくとも一つの例示の実施形態によると、二つ以上の測定されたヒーター抵抗値は、吸煙事象の終了の30~60秒後に、定常状態抵抗値の推定(例えば、推定された最終的な抵抗値)に対応するヒーター抵抗値を推定(および/または予測)するために使用されてもよく、従って成人ベイパー吸引者は、ドライ吸煙事象の正確な検出の完了のために、減衰期間の満了を(例えば、約30秒~約60秒)待つ必要がない。例えば、(ヒーターのピーク抵抗値を測定するために)ヒーター2215への電力が遮断された時点で、第一の測定されたヒーター抵抗値が観察される場合があり、また短期間後に第二の測定されたヒーター抵抗値が、抵抗値の減衰勾配の開始時(例えば、約0.5秒など)に観察される場合がある。しかしながら、例示の実施形態はそれに限定されず、また、例えば定常状態ヒーター抵抗値を推定するために使用される測定されたヒーター抵抗値の数は三つ以上であってもよく、例えば第三の測定されたヒーター抵抗値は、減衰曲線の足首の始めの時点など(例えば、ヒーター2215への電力が遮断されてから約2.0秒後など)で、第二の測定されたヒーター抵抗値の後に続いて観察されてもよく、また第四の測定されたヒーター抵抗値は、第三の測定されたヒーター抵抗値の後に続いて、かつ第二の吸煙事象が生じる前などに観察されてもよい。追加的に、ヒーター抵抗が測定される時間は調整されてもよく、また減衰期間は、ニコチンeベイピング装置などに含まれるヒーターの温度/抵抗特性に基づいて、適切な期間に調整されてもよい。
【0112】
少なくとも一つの例示の実施形態によると、ニューラルネットワークは、ニコチンeベイピング装置のコントローラ(コントローラ2105など)上にロードされた特殊用途プログラムコード(例えば、特殊用途コンピュータ可読指示)として実装されてもよいが、例示の実施形態はそれに限定されず、またニューラルネットワークは、ニコチンeベイピング装置などの中に含まれる、別個の特殊用途プロセッサ(例えば、特別にプログラムされたFPGA、特殊用途ASIC、特殊用途SoCなど)内に実装されてもよく、かつ/またはニューラルネットワークは、特別にプログラムされた外部コンピューティングデバイスなどへの有線および/または無線ネットワーク接続で提供されてもよい。
【0113】
ここで
図4Aをより具体的に参照すると、
図4Aは、少なくとも一つの例示の実施形態によるニューラルネットワークの全体的なトポロジーを図示する。ニューラルネットワーク自体は、ヒーターの抵抗の減衰プロセスに対応する「最も合理的な」関数に近似する機能適合ネットワークであってもよく、また少なくとも一つの例示の実施形態によると、ニューラルネットワークは、以下の関数を計算してもよい。
【数1】
【0114】
上記の式において、R(t)は、経時的な抵抗関数(例えば、定常状態抵抗値に対するピーク抵抗をカバーする関数)を指し、AおよびBは、第一の減衰の大きさおよび第二の減衰の大きさであり、t1は、ニコチンeベイピング装置で観察された温度の第一の(例えば、速い)減衰速度に対応する第一の減衰速度係数を指し、t2は、ニコチンeベイピング装置で観察された温度の第二の(例えば、遅い)減衰速度に対応する第二の減衰速度係数を指し、Rfは、ヒーター2215の本来の抵抗値(例えば、ヒーターに電力が印加されていない時、またはヒーターが「冷たい」時点でのヒーターの抵抗値など)を指す。減衰の大きさAおよびB、ならびに減衰速度t1および減衰速度t2は、特定のニコチンポッドの組成に基づいて変化する(例えば、ヒーター、ウィック、および/またはニコチンプレベイパー製剤などを形成する材料の組成に基づく/それらによって影響される)、一定の値である。これらの一定の値は実験データから得られる場合がある。
【0115】
少なくとも一つの例示の実施形態によると、ニューラルネットワークのトポロジーは、少なくとも入力段階を含んでもよく、ニコチンeベイピング装置のヒーターの測定された抵抗値(複数可)は、ニューラルネットワーク(ベクトル(複数可)を少なくとも一つの出力層に出力する少なくとも一つの隠れ層)に入力され、および出力層は、ニコチンeベイピング装置のヒーターの推定定常状態(例えば、最終的な)抵抗値として単一のスカラー値を出力してもよい。しかしながら、例示の実施形態はそれに限定されず、またより多くの、またはより少ない層、入力、および/または出力が、ニューラルネットワーク内に含まれてもよい。
【0116】
図4Bは、少なくとも一つの例示の実施形態によるニューラルネットワークの少なくとも一つの隠れ層(例えば、第一の層、中間層、活性化層など)を図示するが、例示の実施形態はそれに限定されない。本開示は便宜上、ニューラルネットワークの第一の層(例えば、中間層)を「隠れ」層として言及する一方で、例示の実施形態はそれに限定されず、また一部の例示の実施形態において、第一の層は、入力層とともに外部接続に接続されてもよく、従って真の「隠れ」層ではない場合がある。
図4Bにおいて、少なくとも一つの隠れ層は、単一の隠れ層内に三つのニューロン(例えば、活性化ノードなど)を含んでもよく、例示の実施形態はそれに限定されず、また隠れ層の数は一つよりも多くてもよく、隠れ層のうちの一つ以上の中のニューロンの数は、三つよりも多くても、または少なくてもよい。三つのニューロンの各々は、測定されたヒーター抵抗値(例えば、R0、R1、R2など)だけでなく重み行列を含む入力ベクトルも受信してもよい。少なくとも一つの隠れ層のニューロンの各々は、入力ベクトルのドット積および重み行列の単一の行を取り、3要素のベクトルをもたらす場合がある。この3要素のベクトルは次いで、バイアス値ベクトルを追加して、ベクトル「n」をもたらすことができ、これは伝達関数要素に要素ごとに適用され、ベクトル「a」を生成する。
【0117】
少なくとも一つの例示の実施形態によると、使用される伝達関数は、下記に示す通り、タンジェントシグモイド、すなわちtansigであってもよいが、例示の実施形態はそれに限定されない。
【数2】
【0118】
しかしながら、一部の例示の実施形態によると、tansig関数(式3)のテーラー展開および/またはホーナー法(方程式4)の適用は、特に低処理電力コントローラ(例えば、浮動小数点ユニットを有する、または有しない8ビットコントローラなど)に関して、隠れ層の計算をより効率的に実行するために、tansig関数の代わりに伝達関数として使用されてもよい。
【数3】
【数4】
【0119】
しかしながら、例示の実施形態はそれに限定されない。
【0120】
ここで
図4Cを参照すると、
図4Cは、少なくとも一つの例示の実施形態によるニューラルネットワークの出力層を図示する。少なくとも一つの例示の実施形態によると、ニューラルネットワークの出力層は、単一のニューロンを含んでもよく、また単一のニューロンは、出力重みベクトル、隠れ層によって出力される入力ベクトル、バイアス値、伝達関数を含んでもよいが、例示の実施形態はそれに限定されない。出力層のニューロンは、隠れ層の出力ベクトル「a」と出力重みベクトルとのドット積を取ってもよい。結果として得られた出力にはバイアス値が追加されてもよく、また結果は伝達関数に入力されてもよい。
図4Cに示す通り、少なくとも一つの例示の実施形態によると、バイアス値は、ヒーターの抵抗値が経時的に減衰して至る漸近値であるR
f(例えば、上記の式1で使用されるR
f値)であってもよく、また伝達関数は、パススルー関数、例えばy=xであるが、例示の実施形態はそれに限定されない。出力層は次いで、推定定常状態ヒーター抵抗値を出力する。
【0121】
少なくとも一つの例示の実施形態によると、少なくとも一つの隠れ層の重み行列およびバイアス値と、ニューラルネットワークの少なくとも一つの出力層の重みベクトルおよびバイアス値は、ニコチンeベイピング装置のヒーター(またはニコチンeベイピング装置に含まれるヒーターと類似の温度/電気特性を呈する等価ヒーター)の実際に測定された抵抗値と、ニューラルネットワークへの入力として使用される測定された抵抗値が測定される時点(例えば、ヒーターへの電力が遮断された時点にて、減衰勾配の始めにて、減衰曲線の足首の始めにてなど)に対応する測定された抵抗値と、実際の定常状態抵抗値の測定(例えば、減衰期間の終了時(ヒーターがオフにされた30~60秒後など)に取られた測定)とに対応する訓練データセットに対してニューラルネットワークを訓練することによって決定されてもよい。ニューラルネットワーク訓練フェーズ中に、訓練データセットの測定された抵抗値(測定された定常状態抵抗値を含まない)をニューラルネットワークに入力し、推定定常状態抵抗の平均二乗誤差(MSE)、および実際の定常状態抵抗値を測定して、ニューラルネットワークの推定アルゴリズムを生成する。次いで推定アルゴリズムを使用して、ニューラルネットワークのパラメータ(例えば、隠れ層および出力層の重み行列値、バイアス値など)を調整し、ニューラルネットワークが実際の定常状態抵抗値の望ましい誤差の範囲内で、推定定常状態抵抗値(および/または推定漸近抵抗値)を出力するまで、訓練を繰り返す。実施された実験に基づいて、訓練データセットは、20~100回の吸煙事象/減衰事象を含んでもよく、またニューラルネットワークを正確に訓練するために、訓練セットの5回の実行が行われてもよい。しかしながら、例示の実施形態はそれに限定されない。
【0122】
図7A~
図7Bは、少なくとも一つの例示の実施形態によるニコチンeベイピング装置の発熱体の定常状態抵抗値を使用して、ドライ吸煙事象を検出するための方法を図示するフローチャートである。
【0123】
少なくとも一つの例示の実施形態によると、動作S710において、ニコチンeベイピング装置は、成人ベイパー吸引者による陰圧の印加(例えば、吸煙事象)を検出してもよい。動作S720において、ニコチンeベイピング装置は、陰圧の印加の終了と、その後の電源とニコチンeベイピング装置のヒーターとの間の電力の遮断とに続いて、ニコチンeベイピング装置のヒーターの抵抗値の少なくとも一つのリアルタイム測定を取ってもよい。一部の例示の実施形態によると、ヒーターへの電力が遮断された時点での測定、減衰勾配の開始が観察された時点での測定、および/または減衰曲線の足首の開始が観察された時点での測定などを含む、ヒーターの抵抗値の三つ以上の測定を得ることができるが、例示の実施形態はそれに限定されない。動作S725において、ヒーターの測定された抵抗値は次いで、訓練されたニューラルネットワークに入力され、ニコチンeベイピング装置は、訓練されたニューラルネットワークを利用して、ヒーターの定常状態抵抗値(例えば、推定された最終的な抵抗値)を推定する。推定定常状態抵抗値の例示の計算は、
図7Bと関連して、さらに詳細に考察される。
【0124】
動作S730において、ニコチンeベイピング装置は、ヒーターの推定定常状態抵抗値および望ましい閾値抵抗値に基づいて、ニコチンeベイピング装置のヒーターにてドライ吸煙状態が存在するかどうかを決定する。ドライ吸煙状態が存在しないとニコチンeベイピング装置が決定した場合、ニコチンeベイピング装置は、ニコチンeベイピング装置の通常の動作を継続し(S740)、動作S710に戻る。
【0125】
操作S730に戻り、ドライ吸煙状態が存在するとニコチンeベイピング装置が決定した場合、ニコチンeベイピング装置はヒーターへの電力を無効にする(S750)。一部の例示の実施形態によると、情報は、ニコチンeベイピング装置のメモリおよび/またはニコチンプレベイパー製剤を含有するニコチンポッド組立品(例えば、ニコチンカートリッジ、ニコチンプレベイパー製剤を含有する貯蔵部など)のメモリに保存されてもよく、これはニコチンポッド組立品が空であることを示す。情報は、ニコチンポッド組立品を識別するための一意の識別子を含んでもよい。さらに、新しいニコチンポッド組立品(例えば、空ではないニコチンポッド組立品)がニコチンeベイピング装置の中に挿入されるまで、ヒーターへの電力は無効のままにされてもよい。ニコチンeベイピング装置は、新たに挿入されたニコチンポッド組立品が、ニコチンeベイピング装置および/またはニコチンポッド組立品のメモリ上に記憶された情報に基づいて、新しいニコチンポッド組立品またはニコチンが空のポッド組立品のどちらであるかを決定してもよい。
【0126】
上述の通り、
図7Bは、訓練されたニューラルネットワークを使用して定常状態ヒーター抵抗値を推定する方法を図示する。
図7Bを参照して、少なくとも一つの例示の実施形態によると、動作S726にて、ニコチンeベイピング装置は、ヒーター抵抗測定回路を使用して、減衰期間(例えば、第一の期間)中のヒーターのピーク抵抗値(例えば、ヒーターへの電力が遮断された時の抵抗値)を測定する。動作S727にて、ニコチンeベイピング装置は、ヒーター抵抗測定回路を使用して、減衰期間(例えば、第一の期間)中のヒーターの少なくとも一つの追加的な抵抗値を測定する。動作S728において、ニコチンeベイピング装置は、測定されたピーク抵抗値および測定された少なくとも一つの追加的な抵抗値を、訓練されたニューラルネットワークに入力してもよい。動作S729において、ニコチンeベイピング装置は、訓練されたニューラルネットワークの計算を実行し、
図7Aの動作S730で使用されるヒーターの推定定常状態抵抗値を出力する。
【0127】
記載された例示の実施形態は、ニコチンeベイピング装置のヒーターの推定定常状態抵抗値に基づいてドライ吸煙事象を検出するための方法、システム、設備、および/または非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。一つ以上の例示の実施形態は、ニコチンeベイピング装置のサイズおよび/または製造コストを低減してもよく、および/またはより正確な温度読み取り値を提供してもよい。
【0128】
例示の実施形態が本明細書で開示されてきたが、当然のことながら、他の変形が可能である場合がある。こうした変形は本開示の範囲からの逸脱と見なされるべきではなく、また当業者に明らかであろうすべてのこうした修正は、以下の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図されている。
【国際調査報告】