(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-10
(54)【発明の名称】拘束幾何プロ触媒のためのヒドロカルビル変性メチルアルミノキサン助触媒
(51)【国際特許分類】
C08F 4/6592 20060101AFI20230803BHJP
【FI】
C08F4/6592
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501555
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(85)【翻訳文提出日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 US2021016775
(87)【国際公開番号】W WO2022015367
(87)【国際公開日】2022-01-20
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】ピアソン、デイビッド エム.
(72)【発明者】
【氏名】コーニグス、ダラティ ジョシ
(72)【発明者】
【氏名】フォンテーヌ、フィリップ ピー.
【テーマコード(参考)】
4J128
【Fターム(参考)】
4J128AA01
4J128AB01
4J128AC10
4J128AD02
4J128AD11
4J128AD13
4J128AD16
4J128BA00A
4J128BA01B
4J128BB00A
4J128BB01B
4J128BC25B
4J128EA01
4J128EB02
4J128EC01
4J128GA01
4J128GA06
4J128GA19
4J128GB02
(57)【要約】
オレフィンモノマーを重合するプロセス。プロセスは、触媒系の存在下で、エチレンと任意選択的に1つ以上のオレフィンモノマーとを反応させることを含み、触媒系が、アルミニウムの総モルに基づいて、25モルパーセント未満のトリヒドロカルビルアルミニウム化合物AlR
A1R
B1R
C1を有するヒドロカルビル変性メチルアルミノキサンであって、式中、R
A1、R
B1、及びR
C1が、独立して、線状(C
1-C
40)アルキル、分岐(C
1-C
40)アルキル、又は(C
6-C
40)アリールである、ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサンと、式(I)による金属-配位子錯体を含む1つ以上のプロ触媒と、を含む。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィンモノマーを重合するプロセスであって、触媒系の存在下で、エチレンと任意選択的に1つ以上のオレフィンモノマーとを反応させることを含み、前記触媒系が、
アルミニウムの総モルに基づいて、25モルパーセント未満のトリヒドロカルビルアルミニウム化合物AlR
A1R
B1R
C1を有するヒドロカルビル変性メチルアルミノキサンであって、式中、R
A1、R
B1、及びR
C1が、独立して、線状(C
1-C
40)アルキル、分岐(C
1-C
40)アルキル、又は(C
6-C
40)アリールである、ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサンと、
式(I)による金属-配位子錯体を含む1つ以上のプロ触媒であって、
【化1】
式中、
Tiが、チタンであり、
nは、1、2、又は3であり、
各Xが、独立して、不飽和(C
2-C
50)炭化水素、不飽和(C
2-C
50)ヘテロ炭化水素、飽和(C
2-C
50)ヘテロ炭化水素、(C
1-C
50)ヒドロカルビル、(C
6-C
50)アリール、(C
6-C
50)ヘテロアリール、シクロペンタジエニル、置換シクロペンタジエニル、(C
4-C
12)ジエン、ハロゲン、-N(R
N)
2、及び-NCOR
Cから選ばれる単座配位子又は二座配位子であり、
前記金属-配位子錯体が、全体的に電荷中性であり、
Cpが、シクロペンタジエニル及びR
S置換シクロペンタジエニルからなる群から選択され、前記Cpが、η
5結合モードでTiに結合され、R
Sが、独立して、(C
1-C
20)アルキル、(C
1-C
20ヘテロアルキル、(C
1-C
20)アリール、又はR
S置換基(C
1-C
20)アリール、(C
1-C
20)ヘテロアリール、又はR
S置換基(C
1-C
20)ヘテロアリールからなる群から選択され、2つの隣接するR
S基が、任意選択的に連結されて、環を形成し、
Nが、窒素であり、
Yが、炭素又はケイ素であり、Cpに共有結合しており、
R
1及びR
2が、独立して、-H、(C
1-C
40)ヒドロカルビル、及び(C
1-C
40)ヘテロヒドロカルビルから選択され、
R
3が、独立して、(C
1-C
40)ヒドロカルビル、及び(C
1-C
40)ヘテロヒドロカルビルから選択される、1つ以上のプロ触媒と、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサンが、前記ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサン中のアルミニウムの総モルに基づいて、20モルパーセント未満のトリヒドロカルビルアルミニウムを有する、請求項1又は2に記載の重合プロセス。
【請求項3】
前記ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサンが、前記ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサン中のアルミニウムの総モルに基づいて、15モルパーセント未満のトリヒドロカルビルアルミニウムを有する、請求項1又は2に記載の重合プロセス。
【請求項4】
前記ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサンが、前記ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサン中のアルミニウムの総モルに基づいて、10モルパーセント未満のトリヒドロカルビルアルミニウムを有する、請求項1又は2に記載の重合プロセス。
【請求項5】
前記ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサンが、変性メチルアルミノキサンである、請求項1~4のいずれか一項に記載の重合プロセス。
【請求項6】
R
A1、R
B1、及びR
C1が、独立して、線状(C
1-C
20)アルキル、線状(C
1-C
15)アルキル、又は線状(C
1-C
12)アルキルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の重合プロセス。
【請求項7】
R
A1、R
B1、及びR
C1が、メチル、エチル、プロピル、2-プロピル、ブチル、n-オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、又はドデシルである、請求項1~6のいずれか一項に記載の重合プロセス。
【請求項8】
前記ポリオレフィンが、0.865~0.890g/cm
3の範囲の密度を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の重合プロセス。
【請求項9】
前記ポリオレフィンが、30,000~100,000g/molの範囲の分子量を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の重合プロセス。
【請求項10】
前記触媒系が、ボレート活性化剤を含有していない、請求項1~9のいずれか一項に記載の重合プロセス。
【請求項11】
前記オレフィンモノマーが、(C
3-C
20)α-オレフィンである、請求項1~10のいずれか一項に記載の重合プロセス。
【請求項12】
前記オレフィンモノマーが、(C
3-C
20)α-オレフィンではない、請求項1~6のいずれか一項に記載の重合プロセス。
【請求項13】
前記オレフィンモノマーが、環状オレフィンである、請求項1~12のいずれか一項に記載の重合プロセス。
【請求項14】
R
1及びR
2が、独立して、(C
1-C
12)アルキル又は(C
6-C
20)アリールである、請求項1~13のいずれか一項に記載の重合プロセス。
【請求項15】
R
1及びR
2が、メチル、エチル、プロピル、又はフェニルである、請求項1~14のいずれか一項に記載の重合プロセス。
【請求項16】
R
3が、独立して、(C
1-C
12)アルキルである、請求項1~15のいずれか一項に記載の重合プロセス。
【請求項17】
R
3が、独立して、tert-ブチル、tert-オクチル、又はn-オクチルである、請求項1~16のいずれか一項に記載の重合プロセス。
【請求項18】
Cpが、独立して、テトラメチルシクロペンタジエニルである、請求項1~17のいずれか一項に記載の重合プロセス。
【請求項19】
Cpが、以下から選択される、請求項1~18のいずれか一項に記載の重合プロセス。
【化2】
【請求項20】
前記重合プロセスが、溶液重合反応である、請求項1~19のいずれか一項に記載の重合プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年7月17日に出願された米国特許仮出願第63/053,348号に対する優先権を主張し、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の概要)
本開示の実施形態は、一般に、拘束幾何触媒(constrain geometry catalyst、CGC)を含む触媒系のためのヒドロカルビル変性メチルアルミノキサン活性化剤に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマーは、様々な触媒系及び重合プロセスを介して生成される。オレフィン系ポリマーの重合プロセスにおいて使用されるそのような触媒系の選択は、そのようなオレフィン系ポリマーの特徴及び特性に寄与する重要な要素である。
【0004】
ポリオレフィン重合プロセスは、異なる用途での使用に好適な異なる物理的特性を有する多種多様な得られるポリオレフィン樹脂を生成するために多くの手段で変えることができる。ポリオレフィンは、溶液相重合プロセス、気相重合プロセス、及び/又はスラリー相重合プロセスにおいて、1つ以上の触媒系の存在下で、例えば直列又は並列に接続された1つ以上の反応器内で生成可能であることが一般に知られている。プレ触媒組成物を活性化するためのポリオレフィン重合プロセスにおける活性化試薬の使用は、一般に知られている。
【0005】
メチルアルミノキサン(methylaluminoxane、MAO)は、拘束幾何触媒(CGC)触媒を活性化するためにうまく作用するが、MAOは、炭化水素溶媒中でのそれらの制限された溶解性のために、典型的には溶液プロセスと不適合である。溶解性を増加させるために、MAOは、構造内に存在するメチル及びより長いアルキル基の両方の混合物を有する変性メチルアルミノキサン(modified methylaluminoxane、MMAO)を作り出す、より長いアルキル鎖で変性される。変性剤の量及びトリアルキルアルミニウム(AlR3)の量の両方が、炭化水素溶媒中のMMAOの溶解性及び安定性を維持するために重要である。
【0006】
α-オレフィン重合反応における触媒組成物の一部として、活性化剤は、α-オレフィンポリマーの生成及びα-オレフィンポリマーを含む最終ポリマー組成物にとって有益である特徴を有し得る。α-オレフィンポリマーの生成を増加させる活性化剤の特徴としては、プロ触媒の迅速な活性化、高い触媒効率、高温性能、一貫したポリマー組成、及び選択的な失活が挙げられるが、これらに限定されない。
【0007】
特に、ボレート系助触媒は、オレフィン重合機構の基本的な理解に著しく寄与しており、触媒の構造及びプロセスを意図的に調整することにより、ポリオレフィンの微細構造を正確に制御する能力を向上させた。これにより、反応機構研究への関心が高まり、ポリオレフィンの微細構造及び性能を正確に制御する新規の均一系オレフィン重合触媒系の開発へとつながっている。しかしながら、活性化剤又は助触媒のカチオンがプロ触媒を活性化すると、活性化剤のイオンがポリマー組成物中に残留する場合がある。結果として、ボレートアニオンが、ポリマー組成に影響を与える場合がある。具体的には、ボレートアニオンのサイズ、ボレートアニオンの電荷、ボレートアニオンの、周囲の媒体との相互作用、並びにボレートアニオンの、利用可能な対イオンとの解離エネルギーが、溶媒、ゲル、又はポリマー材料などの周囲の媒体を通じてイオンが拡散する能力に影響を与えるであろう。
【0008】
変性メチルアルミノキサン(MMAO)は、いくつかのPEプロセスにおいて活性化剤として使用される。しかしながら、MMAOは、CGC触媒などのいくつかの触媒の性能に悪影響を及ぼし、ポリオレフィン又はポリビニル樹脂の生成に悪影響を及ぼすことが見出されている。重合プロセスに対する悪影響としては、触媒活性を低下させること、生成されたポリマーの組成分布を拡大すること、及びペレットの取り扱いに悪影響を与えることが挙げられる。
【発明の概要】
【0009】
触媒効率、反応性、及び良好な物理的特性を有するポリマーを生成する能力を維持しながら、触媒系を作り出すことが継続的に必要とされている。
【0010】
本開示の実施形態は、オレフィンモノマーを重合するプロセスを含む。1つ以上の実施形態では、プロセスは、触媒系の存在下で、エチレンと任意選択的に1つ以上のオレフィンモノマーとを反応させることを含む。触媒系は、ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサン及びプロ触媒を含む。アルミニウムの総モルに基づいて、25モルパーセント未満のトリヒドロカルビルアルミニウム化合物AlRA1RB1RC1を有するヒドロカルビル変性メチルアルミノキサンであって、式中、RA1、RB1、及びRC1が、独立して、線状(C1-C40)アルキル、分岐(C1-C40)アルキル、又は(C6-C40)アリールである、ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサン、及び以下の式(I)による金属-配位子錯体を含む1つ以上のプロ触媒。
【0011】
【0012】
式(I)において、Tiは、チタンである。(X)nの下付き文字nは、1、2、又は3である。各Xは、独立して、不飽和(C2-C50)炭化水素、不飽和(C2-C50)ヘテロ炭化水素、飽和(C2-C50)ヘテロ炭化水素、(C1-C50)ヒドロカルビル、(C6-C50)アリール、(C6-C50)ヘテロアリール、シクロペンタジエニル、置換シクロペンタジエニル、(C4-C12)ジエン、ハロゲン、-N(RN)2、及び-NCORCから選ばれる単座配位子又は二座配位子である。金属-配位子錯体は、全体的に電荷中性である。
【0013】
式(I)において、Cpは、シクロペンタジエニル及びRS置換シクロペンタジエニルからなる群から選択され、Cpが、η5 結合モードでTiに結合され、RSが、独立して、(C1-C20)アルキル、(C1-C20ヘテロアルキル、(C1-C20)アリール、又はRS置換基(C1-C20)アリール、(C1-C20)ヘテロアリール、又はRS置換基(C1-C20)ヘテロアリールからなる群から選択され、2つの隣接するRS基が、任意選択的に連結されて、環を形成する。
【0014】
式(I)において、Nは、窒素である。Yは、炭素又はケイ素であり、式中、Yが、Cpに共有結合し、R1及びR2が、独立して、-H、(C1-C40)ヒドロカルビル、及び(C1-C40)ヘテロヒドロカルビルから選択され、R3が、独立して、(C1-C40)ヒドロカルビル、及び(C1-C40)ヘテロヒドロカルビルから選択される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、触媒系の特定の実施形態を説明する。本開示の触媒系は、異なる形態で実施されてよく、本開示に記載される特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではないことを理解されたい。むしろ、実施形態は、本開示が、徹底的かつ完全であり、主題の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。
【0016】
一般的な略語を以下に列挙する。
【0017】
Me:メチル、Et:エチル、Ph:フェニル、Bn:ベンジル、i-Pr:iso-プロピル、t-Bu:tert-ブチル、t-Oct:tert-オクチル(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)、Tf:スルホン酸トリフルオロメタン、THF:テトラヒドロフラン、Et2O:ジエチルエーテル、CH2Cl2:ジクロロメタン、CV:カラム体積(カラムクロマトグラフィーで使用される)、EtOAc:エチルアセテート、C6D6:重水素化ベンゼン又はベンゼン-d6、CDCl3:重水素化クロロホルム、Na2SO4:硫酸ナトリウム、MgSO4:硫酸マグネシウム、HCl:塩化水素、n-BuLi:ブチルリチウム、t-BuLi:tert-ブチルリチウム、MAO:メチルアルミノキサン、MMAO:変性メチルアルミノキサン、GC:ガスクロマトグラフィー、LC:液体クロマトグラフィー、NMR:核磁気共鳴、MS:質量分析、mmol:ミリモル、mL:ミリリットル、M:モル、min又はmins:分、h又はhrs:時間、d:日。
【0018】
「独立して選択される」という用語は、R1、R2、R3、R4、及びR5などのR基が、同一であっても異なっていてもよいこと(例えば、R1、R2、R3、R4、及びR5は全て、置換アルキルであってもよく、又はR1及びR2は、置換アルキルであってもよく、R3は、アリールであってもよい、など)を示すために本明細書で使用される。R基に関連する化学名は、化学名の化学構造に対応するものとして当該技術分野で認識されている化学構造を伝えることを意図している。したがって、化学名は、当業者に既知の構造的定義を補足及び例示することを意図しており、排除することを意図するものではない。
【0019】
「プロ触媒」という用語は、活性化剤と組み合わせた場合にオレフィン重合触媒活性を有する、遷移金属化合物を指す。「活性化剤」という用語は、プロ触媒を触媒的に活性な触媒に変換するようにプロ触媒と化学的に反応する化合物を指す。本明細書で使用される場合、「助触媒」及び「活性化剤」という用語は、互換的な用語である。
【0020】
特定の炭素原子含有化学基を説明するために使用するとき、「(Cx-Cy)」の形態を有する括弧付きの表現は、化学基の非置換形態がx個以上y個以下の炭素原子を有することを意味する。例えば、(C1-C50)アルキルは、その非置換形態で1~50個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの実施形態及び一般構造において、ある特定の化学基は、RSなどの1つ以上の置換基によって置換され得る。括弧付きの「(Cx~Cy)」を使用して定義されるRSで置換された化学基は、任意の基RSの同一性に応じてy個を超える炭素原子を含有し得る。例えば、「正確に1個のRS基で置換された(C1-C50)アルキル(RSは、フェニル(-C6H5)である)」は、7~56個の炭素原子を含有し得る。したがって、一般に、括弧付きの「(Cx-Cy)」を使用して定義される化学基が1個以上の炭素原子を含有する置換基RSによって置換されるとき、化学基の炭素原子の最小及び最大合計数は、x及びyの両方に、全ての炭素原子を含有する置換基RS由来の炭素原子の合計数を加えることによって、決定される。
【0021】
「置換」という用語は、対応する非置換化合物又は官能基の炭素原子に結合している少なくとも1つの水素原子(-H)が、置換基(例えば、RS)によって置き換えられることを意味する。「-H」という用語は、別の原子に共有結合している水素又は水素ラジカルを意味する。「水素」及び「-H」は交換可能であり、明記されていない限り、同一の意味を有する。
【0022】
「(C1-C50)アルキル」という用語は、1~50個の炭素原子を含有する飽和直鎖又は分岐炭化水素ラジカルを意味し、「(C1-C30)アルキル」という用語は、1~30個の炭素原子の飽和直鎖又は分岐炭化水素ラジカルを意味する。各(C1-C50)アルキル及び(C1-C30)アルキルは、非置換であり得るか、又は1つ以上のRSで置換され得る。いくつかの例では、炭化水素ラジカル中の各水素原子は、例えばトリフルオロメチルなどのRSで置換され得る。非置換(C1-C50)アルキルの例は、非置換(C1-C20)アルキル、非置換(C1-C10)アルキル、非置換(C1-C5)アルキル、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-ブチル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、1-ペンチル、1-ヘキシル、1-ヘプチル、1-ノニル、及び1-デシルである。置換(C1-C40)アルキルの例は、置換(C1-C20)アルキル、置換(C1-C10)アルキル、トリフルオロメチル、及び[C45]アルキルである。「[C45]アルキル」という用語は、ラジカルに最大45個の炭素原子が存在する(置換基を含む)ことを意味し、例えば、メチル、トリフルオロメチル、エチル、1-プロピル、1-メチルエチル、又は1,1-ジメチルエチルなどの(C1-C5)アルキルである1個のRSによって置換された、例えば(C27-C40)アルキルである。
【0023】
(C3-C50)アルケニルという用語は、3~50個の炭素原子、少なくとも1つの二重結合を含有し、かつ非置換であるか又は1つ以上のRSで置換されている、分岐又は非分岐の環状又は非環状一価炭化水素ラジカルを意味する。非置換(C3-C50)アルケニルの例:n-プロペニル、イソプロペニル、n-ブテニル、イソブテニル、オクテニル、デセニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、及びシクロヘキサジエニル。置換(C3-C50)アルケニルの例:(2-トリフルオロメチル)ペント-1-エニル、(3-メチル)ヘキス-1-エネイル(eneyl)、(3-メチル)ヘキサ-1,4-ジエニル、及び(Z)-1-(6-メチルヘプト-3-エン-1-イル)シクロヘキス-1-エネイル。
【0024】
「(C3-C50)シクロアルキル」という用語は、非置換であるか又は1個以上のRSによって置換された3~50個の炭素原子の飽和環式炭化水素ラジカルを意味する。他のシクロアルキル基(例えば(Cx-Cy)シクロアルキル)は、x~y個の炭素原子を有し、かつ非置換であるか、又は1つ以上のRSで置換されているものであるかのいずれかとして、同様の様式で定義される。非置換(C3-C40)シクロアルキルの例は、非置換(C3-C20)シクロアルキル、非置換(C3-C10)シクロアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、及びシクロデシルである。置換(C3-C40)シクロアルキルの例は、置換(C3-C20)シクロアルキル、置換(C3-C10)シクロアルキル、及び1-フルオロシクロヘキシルである。
【0025】
「ハロゲン原子」又は「ハロゲン」という用語は、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、又はヨウ素原子(I)のラジカルを意味する。「ハライド」という用語は、ハロゲン原子のアニオン形態、フルオライド(F-)、クロライド(Cl-)、ブロマイド(Br-)、又はアイオダイド(I-)を意味する。
【0026】
「飽和」という用語は、炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、及び(ヘテロ原子含有基において)炭素-窒素、炭素-リン、及び炭素-ケイ素二重結合を欠くことを意味する。飽和化学基が1つ以上の置換基RSによって置換されている場合、1つ以上の二重結合又は三重結合は、任意選択的に、置換基RS中に存在し得る。「不飽和」という用語は、1個以上の炭素-炭素二重結合若しくは炭素-炭素三重結合、又は(ヘテロ原子含有基において)1個以上の炭素-窒素二重結合、炭素-リン二重結合、又は炭素-ケイ素二重結合を含有し、置換基RS(存在する場合)、又は芳香環若しくはヘテロ芳香環(存在する場合)中に存在し得る二重結合を含まないことを意味する。
【0027】
「ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサン」という用語は、ある量のトリヒドロカルビルアルミニウムを含むメチルアルミノキサン(MAO)構造を指す。ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサンは、ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサンマトリックスとトリヒドロカルビルアルミニウムとの組み合わせを含む。ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサン中のアルミニウムの総モル量は、ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサンマトリックスからのアルミニウムのモル、及びトリヒドロカルビルアルミニウムからのアルミニウムのモルからのアルミニウム寄与で構成される。ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサンは、ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサン中のアルミニウムの総モルに基づいて、2.5モルパーセント超のトリヒドロカルビルアルミニウムを含む。これらの追加のヒドロカルビル置換基は、その後のアルミノキサン構造に影響を及ぼし、アルミノキサンクラスタの分布及びサイズの違いをもたらし得る(Bryliakov,K.P et.al.Macromol.Chem.Phys.2006,207,327-335)。追加のヒドロカルビル置換基はまた、US5777143に示されているように、ヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、及びISOPAR E(商標)などであるが、これらに限定されない、炭化水素溶媒中にアルミノキサンの増加した溶解性を付与することができる。変性メチルアルミノキサン組成物は、一般に開示されており、US5066631及びUS5728855に記載されているように調製することができ、それらの両方が参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
変性メチルアルミノキサン(MMAO)は、アルミノキサン構造とトリヒドロカルビルアルミニウム種との混合物として記載され得る。トリメチルアルミニウムのようなトリヒドロカルビルアルミニウム種は、オレフィン重合触媒の失活に寄与し得る重合プロセスにおいて不純物を除去するためのスカベンジャーとして使用される。しかしながら、トリヒドロカルビルアルミニウム種は、いくつかの重合系において活性であり得ると考えられる。触媒抑制は、60℃でハフノセン触媒を用いたプロピレン単独重合においてトリメチルアルミニウムが存在する場合に認められている(Busico,V.et.al.Macromolecules 2009,42,1789-1791)。しかしながら、これらの観察は、MAO活性化対ボレート活性化における違いを複雑にし、直接比較においてさえ、いくらかのトリメチルアルミニウムと、トリメチルアルミニウムなしとの間の違いを捉えているだけである可能性がある。加えて、そのような観察が他の触媒系、エチレン重合、又はより高い温度で実施される重合にまで及ぶことは明らかではない。いずれにしても、可溶性MAOを選好することにより、MMAOの使用、及びしたがってトリヒドロカルビルアルミニウム種の存在が必要となる。
【0029】
1つ以上の実施形態では、プロセスは、触媒系の存在下で、エチレンと任意選択的に1つ以上のオレフィンモノマーとを反応させることを含む。触媒系は、ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサン及びプロ触媒を含む。アルミニウムの総モルに基づいて、25モルパーセント未満のトリヒドロカルビルアルミニウム化合物AlRA1RB1RC1を有するヒドロカルビル変性メチルアルミノキサンであって、式中、RA1、RB1、及びRC1が、独立して、線状(C1-C40)アルキル、分岐(C1-C40)アルキル、又は(C6-C40)アリールである、ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサン、及び以下の式(I)による金属-配位子錯体を含む1つ以上のプロ触媒。
【0030】
【0031】
式(I)において、Tiは、+2、+3、又は+4の形式酸化数を有するチタンである。(X)nの下付き文字nは、1、2、又は3である。各Xは、独立して、不飽和(C2-C50)炭化水素、不飽和(C2-C50)ヘテロ炭化水素、飽和(C2-C50)ヘテロ炭化水素、(C1-C50)ヒドロカルビル、(C6-C50)アリール、(C6-C50)ヘテロアリール、シクロペンタジエニル、置換シクロペンタジエニル、(C4-C12)ジエン、ハロゲン、-N(RN)2、及び-NCORCから選ばれる単座配位子又は二座配位子である。金属-配位子錯体は、全体的に電荷中性である。
【0032】
式(I)において、Cpは、シクロペンタジエニル及びRS置換シクロペンタジエニルからなる群から選択され、Cpが、η5結合モードでTiに結合され、RSが、独立して、(C1-C20)アルキル、(C1-C20ヘテロアルキル、(C1-C20)アリール、又はRS置換基(C1-C20)アリール、(C1-C20)ヘテロアリール、又はRS置換基(C1-C20)ヘテロアリールからなる群から選択され、2つの隣接するRS基が、任意選択的に連結されて、環を形成する。
【0033】
式(I)において、Nは、窒素である。Yは、炭素又はケイ素であり、式中、Yが、Cpに共有結合し、R1及びR2が、独立して、-H、(C1-C40)ヒドロカルビル、及び(C1-C40)ヘテロヒドロカルビルから選択され、R3が、独立して、(C1-C40)ヒドロカルビル、及び(C1-C40)ヘテロヒドロカルビルから選択される。
【0034】
本開示の実施形態は、オレフィンモノマーを重合するプロセスを含む。1つ以上の実施形態では、プロセスは、触媒系の存在下で、エチレンと任意選択的に1つ以上のオレフィンモノマーとを反応させることを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、オレフィンモノマーは、(C3-C20)α-オレフィンである。他の実施形態では、オレフィンモノマーは、(C3-C20)α-オレフィンである。様々な実施形態では、オレフィンモノマーは、環状オレフィンである。
【0036】
様々な実施形態では、本開示の重合プロセスは、ボレート活性化剤を含まない。
【0037】
実施形態では、重合プロセスにおけるヒドロカルビル変性メチルアルミノキサンは、アルミニウムの総モルに基づいて、20モルパーセント未満のトリヒドロカルビルアルミニウムを有する。いくつかの実施形態では、ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサンは、ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサンの総モルに基づいて、15モルパーセント未満のトリヒドロカルビルアルミニウムを有する。1つ以上の実施形態では、ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサンは、ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサンの総モルに基づいて、10モルパーセント未満のトリヒドロカルビルアルミニウムを有する。様々な実施形態では、ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサンは、変性メチルアルミノキサンである。
【0038】
いくつかの実施形態では、トリヒドロカルビルアルミニウムは、AlRA1RB1RC1の式を有し、式中、RA1、RB1、及びRC1が、独立して、線状(C1-C20)アルキル、線状(C1-C15)アルキル、又は線状(C1-C12)アルキルである。1つ以上の実施形態では、RA1、RB1、及びRC1は、独立して、メチル、エチル、プロピル、2-プロピル、ブチル、n-オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、又はドデシルである。いくつかの実施形態では、RA1、RB1、及びRC1は、同じである。他の実施形態では、RA1、RB1、及びRC1のうちの少なくとも1つは、他のRA1、RB1、及びRC1と異なる。
【0039】
1つ以上の実施形態では、R1及びR2は、独立して、(C1-C12)アルキル又は(C6-C20)アリールである。いくつかの実施形態では、R1及びR2は、メチル、エチル、プロピル、又はフェニルである。
【0040】
様々な実施形態では、R3は、独立して、(C1-C12)アルキルである。いくつかの実施形態では、R3は、独立して、tert-ブチル、tert-オクチル、又はn-オクチルである。
【0041】
いくつかの実施形態では、Cpは、テトラメチルシクロペンタジエニルである。
【0042】
1つ以上の実施形態では、Cpは、以下から選択される。
【0043】
【0044】
【0045】
いくつかの実施形態では、式(I)の金属-配位子錯体の化学基(例えば、X及びR1-3)のうちのいずれか又は全ては、非置換であり得る。他の実施形態では、式(I)の金属-配位子錯体の化学基X及びR1-3のうちのいずれも1つ又は2つ以上のRSで置換されていない場合も、それらのうちのいずれか又は全てが、1つ又は2つ以上のRSで置換されている場合もある。2つ又は3つ以上のRSが式(I)の金属-配位子錯体の同じ化学基に結合している場合、化学基の個々のRSは、同じ炭素原子若しくはヘテロ原子、又は異なる炭素原子若しくはヘテロ原子に結合していてもよい。いくつかの実施形態では、化学基X及びR1-3のうちのいずれもRSで過置換されていない場合も、それらのうちのいずれか又は全てが、RSで過置換されている場合もある。RSで過置換されている化学基では、個々のRSは、全て同じであり得るか、又は独立して選ばれ得る。1つ以上の実施形態では、RSは、(C1-C20)ヒドロカルビル、(C1-C20)アルキル、(C1-C20)ヘテロヒドロカルビル、又は(C1-C20)ヘテロアルキルから選ばれる。
【0046】
かかる(C1-C12)アルキルの例としては、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル(イソ-プロピルとも呼ばれる)、1,1-ジメチルエチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシル、ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、n-オクチル、tert-オクチル(2,4,4-トリメチルペント-2-イル)、ノニル、デシル、ウンデシル、及びドデシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
式(I)による金属-配位子錯体において、Xは、共有結合、又はイオン結合を通してTiと結合する。いくつかの実施形態では、Xは、-1の正味の形式酸化数を有するモノアニオン性配位子であり得る。各モノアニオン性配位子は、独立して、水素化物、(C1-C40)ヒドロカルビルカルバニオン、(C1-C40)ヘテロヒドロカルビルカルバニオン、ハライド、ニトレート、カーボネート、ホスフェート、スルフェート、HC(O)O-、HC(O)N(H)-、(C1-C40)ヒドロカルビルC(O)O-、(C1-C40)ヒドロカルビルC(O)N((C1-C20)ヒドロカルビル)-、(C1-C40)ヒドロカルビルC(O)N(H)-、RKRLB-、RKRLN-、RKO-、RKS-、RKRLP-、又はRMRKRLSi-であってもよく、各RK、RL、及びRMは、独立して、水素、(C1-C40)ヒドロカルビル、若しくは(C1-C40)ヘテロヒドロカルビルであるか、又はRK及びRLが一緒になって、(C2-C40)ヒドロカルビレン若しくは(C1-C20)ヘテロヒドロカルビレンを形成し、RMは、上で定義された通りである。
【0048】
いくつかの実施形態では、Xは、ハロゲン、非置換(C1-C20)ヒドロカルビル、非置換(C1-C20)ヒドロカルビルC(O)O-、又はRKRLN-であり、式中、RK及びRLの各々が、独立して、非置換(C1-C20)ヒドロカルビルである。いくつかの実施形態では、各単座配位子Xは、塩素原子、(C1-C10)ヒドロカルビル(例えば、(C1-C6)アルキル若しくはベンジル)、非置換(C1-C10)ヒドロカルビルC(O)O-、又はRKRLN-であり、式中、RK及びRLの各々が、独立して、非置換(C1-C10)ヒドロカルビルである。
【0049】
更なる実施形態では、Xは、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2,2,-ジメチルプロピル、トリメチルシリルメチル、フェニル、ベンジル、又はクロロから選択される。Xは、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2,2,-ジメチルプロピル、トリメチルシリルメチル、フェニル、ベンジル、及びクロロである。一実施形態では、nは、2であり、少なくとも2つのXは、独立して、モノアニオン性単座配位子である。特定の実施形態では、nは、2であり、2つのX基は一緒になって、二座配位子を形成する。更なる実施形態では、二座配位子は、2,2-ジメチル-2-シラプロパン-1,3-ジイル又は1,3-ブタジエンである。
【0050】
いくつかの実施形態では、Xは、置換ベンジル又はヘテロアリールベンジルである。
【0051】
1つ以上の実施形態では、Xは、
【0052】
【化5】
からなる群から選択される二座配位子であり、ヘテロ原子が、供与共有結合を介してチタン金属に配位する。
【0053】
1つ以上の実施形態では、各Xは、独立して、-(CH2)SiRX
3であり、式中、各RXは、独立して、(C1~C30)アルキル又は(C1~C30)ヘテロアルキルであり、少なくとも1つのRXは、(C1~C30)アルキルである。いくつかの実施形態では、RXのうちの1つが(C1~C30)ヘテロアルキルである場合、ヘテロ原子は、シリカ又は酸素原子である。いくつかの実施形態では、RXは、メチル、エチル、プロピル、2-プロピル、ブチル、1,1-ジメチルエチル(又は、tert-ブチル)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、n-オクチル、tert-オクチル、又はノニルである。
【0054】
1つ以上の実施形態では、Xは、-(CH2)Si(CH3)3、-(CH2)Si(CH3)2(CH2CH3)、-(CH2)Si(CH3)(CH2CH3)2、-(CH2)Si(CH2CH3)3、-(CH2)Si(CH3)2(n-ブチル)、-(CH2)Si(CH3)2(n-ヘキシル)、-(CH2)Si(CH3)(n-Oct)RX、-(CH2)Si(n-Oct)RX
2、-(CH2)Si(CH3)2(2-エチルヘキシル)、-(CH2)Si(CH3)2(ドデシル)、-CH2Si(CH3)2CH2Si(CH3)3(本明細書では、-CH2Si(CH3)2CH2TMSと称される)である。任意選択的に、いくつかの実施形態では、式(I)による金属-配位子錯体は、正確に2つのRXが共有結合しているか、又は正確に3つのRXが共有結合している。
【0055】
いくつかの実施形態では、Xは、-CH2Si(RC)3-Q(ORC)Q、-Si(RC)3-Q(ORC)Q、-OSi(RC)3-Q(ORC)Qであり、式中、下付き文字Qは、0、1、2、又は3であり、各RCは、独立して、置換又は非置換(C1~C30)ヒドロカルビル、又は置換又は非置換(C1~C30)ヘテロヒドロカルビルである。
【0056】
いくつかの実施形態では、Xは、不飽和(C2-C50)炭化水素、不飽和(C2-C50)ヘテロ炭化水素、又は飽和(C2-C50)ヘテロ炭化水素から選ばれる。様々な実施形態では、Xは、ブタジエン、シクロペンタジエン、又はペンタ-1,3-ジエンである。
【0057】
1つ以上の実施形態では、オレフィン重合プロセスは、溶液重合プロセスである。
【0058】
オレフィン重合のための溶液プロセスにおいて、一般に、スカベンジャー及び活性化剤のような触媒及び助触媒成分は、均質な溶液として添加される。多くの溶液プロセスにおいて、溶媒は、非芳香族炭化水素である。均質な溶液の使用は、プロセス構成におけるより大きな柔軟性を可能にし、不均質な溶液に一般的に使用される内部撹拌を必要としない送達及び貯蔵槽の使用を可能にする。オレフィン重合において活性化剤及びスカベンジャーの両方として働き得るメチルアルミノキサンのような助触媒は、典型的には非芳香族炭化水素に可溶性ではない。
【0059】
助触媒成分
式(I)の金属-配位子錯体を含む触媒系は、オレフィン重合反応の金属系触媒を活性化するための当該技術分野で既知の任意の技術によって触媒的に活性化され得る。例えば、式(I)の金属-配位子錯体によるプロ触媒は、錯体を活性化助触媒と接触させるか、又は錯体を活性化助触媒と組み合わせることによって、触媒的に活性にされ得る。加えて、式(I)による金属-配位子錯体は、中性であるプロ触媒形態、及びベンジル又はフェニルなどのモノアニオン性配位子の損失によって正に帯電され得る触媒形態の両方を含む。本明細書で使用するのに好適な活性化助触媒としては、オリゴマーアルモキサン又は変性アルキルアルミノキサンが挙げられる。
【0060】
ポリオレフィン
先行する段落に記載される触媒系は、オレフィン、主にエチレン及びプロピレンの重合に利用され、エチレン系ポリマー又はプロピレン系ポリマーを形成する。いくつかの実施形態では、重合スキーム中に単一タイプのオレフィン又はα-オレフィンのみが存在し、ホモポリマーを生成する。しかしながら、追加のα-オレフィンを重合手順に組み込んでもよい。追加のα-オレフィンコモノマーは、典型的には、20個以下の炭素原子を有する。例えば、α-オレフィンコモノマーは、3~10個の炭素原子、又は3~8個の炭素原子を有し得る。例示的なα-オレフィンコモノマーとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、及び4-メチル-1-ペンテンが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、1つ以上のα-オレフィンコモノマーは、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から、又は代替として、1-ヘキセン及び1-オクテンからなる群から選択され得る。
【0061】
エチレン系ポリマー、例えば、エチレンのホモポリマー及び/又はインターポリマー(コポリマーを含む)、並びに任意選択的にα-オレフィンなどの1つ以上のコモノマーは、エチレンに由来するモノマー単位を少なくとも50モルパーセント(mol%)含み得る。「少なくとも50モルパーセント」に包含される全ての個々の値及び部分範囲は、別個の実施形態として本明細書に開示され、例えば、エチレン系ポリマー、エチレンのホモポリマー及び/又はインターポリマー(コポリマーを含む)、並びに任意選択的にα-オレフィンなどの1つ以上のコモノマーは、エチレン由来する少なくとも60モルパーセントのモノマー単位、エチレンに由来する少なくとも70モルパーセントのモノマー単位、エチレンに由来する少なくとも80モルパーセントのモノマー単位、又はエチレンに由来する50~100モルパーセントのモノマー単位、又はエチレンに由来する80~100モルパーセントのモノマー単位を含み得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、エチレン系ポリマーは、エチレンに由来する単位を少なくとも90モルパーセント含み得る。少なくとも90モルパーセントからの全ての個々の値及び部分範囲は本明細書に含まれ、別個の実施形態として本明細書に開示される。例えば、エチレン系ポリマーは、エチレンに由来する少なくとも93モルパーセントの単位、少なくとも96モルパーセントの単位、エチレンに由来する少なくとも97モルパーセントの単位、又は代替として、エチレンに由来する90~100モルパーセントの単位、エチレンに由来する90~99.5モルパーセントの単位、又はエチレンに由来する97~99.5モルパーセントの単位を含み得る。
【0063】
エチレン系ポリマーのいくつかの実施形態では、追加のα-オレフィンの量は、50mol%未満であり、他の実施形態は、少なくとも1モルパーセント(mol%)~25mol%を含み、更なる実施形態では、追加のα-オレフィンの量は、少なくとも5mol%~103mol%を含む。いくつかの実施形態では、追加のα-オレフィンは1-オクテンである。
【0064】
任意の従来の重合プロセスを使用してエチレン系ポリマーを生成してもよい。そのような従来の重合プロセスとしては、1つ以上の従来の反応器、例えばループ反応器、等温反応器、流動床気相反応器、撹拌槽型反応器、バッチ反応器などの並列、直列、又はそれらの任意の組み合わせを使用する、溶液重合プロセス、気相重合プロセス、スラリー相重合プロセス、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0065】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器系、例えば二重ループ反応器系において、溶液重合によって生成することができ、エチレン、及び任意選択的に1つ以上のα-オレフィンは、本明細書に記載の触媒系及び任意選択的に1つ以上の助触媒の存在下で重合される。別の実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器系、例えば二重ループ反応器系において、溶液重合によって生成することができ、エチレン、及び任意選択的に1つ以上のα-オレフィンは、本開示及び本明細書に記載の触媒系及び任意選択的に1つ以上の他の触媒の存在下で重合される。本明細書に記載の触媒系は、任意選択的に1つ以上の他の触媒と組み合わせて、第1の反応器又は第2の反応器において使用することができる。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器系、例えば二重ループ反応器系において、溶液重合によって生成することができ、エチレン、及び任意選択的に1つ以上のα-オレフィンは、本明細書に記載の触媒系の存在下で両方の反応器において重合される。
【0066】
別の実施形態では、エチレン系ポリマーは、単一反応器系、例えば、単一ループ反応器系において、溶液重合によって生成され得、ここで、エチレン、及び任意選択的に1つ以上のα-オレフィンは、本開示内に記載される触媒系、及び前の段落に記載される任意選択的に1つ以上の助触媒の存在下で重合される。
【0067】
エチレン系ポリマーは、1つ以上の添加剤を更に含み得る。そのような添加剤としては、帯電防止剤、色増強剤、染料、潤滑剤、顔料、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、加工助剤、紫外線安定剤、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。エチレン系ポリマーは、任意の量の添加剤を含有し得る。エチレン系ポリマーは、エチレン系ポリマー及び1つ以上の添加剤の重量に基づいて、そのような添加剤を合計約0~約10重量パーセントを含み得る。エチレン系ポリマーは、充填剤を更に含んでもよく、その充填剤としては、有機又は無機充填剤を挙げることができるが、それらに限定されない。エチレン系ポリマーは、エチレン系ポリマーと全ての添加剤又は充填剤の合計重量に基づいて、例えば炭酸カルシウム、タルク、又はMg(OH)2などの約0~約20重量パーセントの充填剤を含み得る。エチレン系ポリマーは、1つ以上のポリマーと更にブレンドされて、ブレンドを形成し得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、エチレン系ポリマーを生成するための重合プロセスは、エチレン及び少なくとも1つの追加のα-オレフィンを、本開示による触媒系の存在下で重合することを含み得る。式(I)の金属-配位子錯体を組み込むそのような触媒系から得られたポリマーは、ASTM D792(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に従って、例えば、0.850g/cm3~0.950g/cm3、0.860g/cm3~0.920g/cm3、0.865g/cm3~0.900g/cm3、0.860g/cm3~0.900g/cm3、0.860g/cm3~0.890g/cm3、又は0.865g/cm3~0.890g/cm3の密度を有し得る。
【0069】
別の実施形態では、本開示による触媒系から得られるポリマーは、5~15のメルトフロー比(I10/I2)を有し、メルトインデックスI2は、ASTM D1238(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に従って、190℃及び2.16kgの荷重で測定され、メルトインデックスI10は、ASTM D1238に従って、190℃及び10kgの荷重で測定される。他の実施形態では、メルトフロー比(I10/I2)は5~10であり、また他の実施形態では、メルトフロー比は5~9である。
【0070】
いくつかの実施形態では、本開示による触媒系から得られるポリマーは、1~25の分子量分布(molecular-weight distribution、MWD)を有し、MWDは、Mw/Mnとして定義され、Mwは、重量平均分子量であり、Mnは、数平均分子量である。他の実施形態では、触媒系から得られるポリマーは、1~6のMWDを有する。別の実施形態は、1~3のMWDを含み、他の実施形態は、1.5~2.5のMWDを含む。
【0071】
本開示に記載される触媒系の実施形態は、形成されたポリマーの高分子量及びポリマーに取り込まれたコモノマーの量の結果として、固有のポリマー特性をもたらす。
【0072】
本開示の1つ以上の特徴は、以下の実施例を考慮して例示される。
【実施例】
【0073】
バッチ反応器重合のための手順。原料(エチレン、1-オクテン)及びプロセス溶媒(ExxonMobil CorporationからISOPAR Eという商標で市販されている狭い沸点範囲の高純度イソパラフィン溶媒)をモレキュラーシーブで精製した。1ガロン(3.79L)の撹拌オートクレーブ反応器に、ISOPAR E及び1-オクテンを充填した。次いで、反応器を所望の温度に加熱し、エチレンを充填して所望の圧力に到達させた。必要に応じて、水素もこの時点で添加した。触媒組成物は、所望のプロ触媒、及び必要に応じて任意選択的に1つ以上の添加剤を追加の溶媒と混合して約15~20mLの総体積を得ることによって、不活性雰囲気下でドライボックス中で調製した。次いで、活性化触媒混合物を反応器中に急速注入した。重合中にエチレンを供給し、必要に応じて反応器を冷却することによって、反応器の圧力及び温度を一定に保った。10分後、エチレンの供給を止め、溶液を窒素パージした樹脂製ケトルに移した。ポリマーを真空オーブン中で徹底的に乾燥させ、重合実験の間に反応器を熱いISOPAR Eで徹底的にすすいだ。
【0074】
試験方法
本明細書に特に指示のない限り、本開示の態様の記載において以下の分析方法を使用する。
【0075】
メルトインデックス
ポリマー試料のメルトインデックスI2(又はI2)及びI10(又はI10)を、それぞれ、190℃並びに2.16kg及び10kgの荷重で、ASTM D-1238(方法B)に従って測定した。それらの値をg/10分で報告する。ポリマー試料の画分は、ポリマー組成物のその特定の画分又は部分を生成する反応器から生成物ポリマーを収集することによって測定した。例えば、第1のポリエチレン画分は、ポリマー組成物のより低密度でより高分子量の成分を生成する反応器から収集することができる。メルトインデックス測定の前に、ポリマー溶液を真空下で乾燥させる。
【0076】
密度
密度測定用の試料を、ASTM D4703に従って調製した。測定を、試料加圧の1時間以内に、ASTM D792、方法Bに従って行った。
【0077】
ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography、GPC)
クロマトグラフィーシステムは、内部IR5赤外線検出器(IR5)を装備するPolymerChar GPC-IR(Valencia、Spain)の高温GPCクロマトグラフから成った。オートサンプラオーブンコンパートメントを摂氏160°に設定し、カラムコンパートメントを摂氏150°に設定した。カラムには、4本のAgilent「Mixed A」30cm 20ミクロン線形混床式カラム及び20umのプレカラムを使用した。使用したクロマトグラフィー溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼンであり、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(butylated hydroxytoluene、BHT)を含有していた。溶媒源を、窒素スパージした。使用した注入体積は、200マイクロリットルであり、流量は、1.0ミリリットル/分であった。
【0078】
GPCカラムセットの較正を、580~8,400,000の範囲の分子量を有する21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質を用いて行い、個々の分子量の間に少なくとも10倍の間隔を有する6つの「カクテル」混合物中に配置した。標準物質を、Agilent Technologiesから購入した。1,000,000以上の分子量については、50ミリリットルの溶媒中の0.025グラムで、1,000,000未満の分子量については、50ミリリットルの溶媒中の0.05グラムで、ポリスチレン標準物質を調製した。ポリスチレン標準物質を、穏やかに撹拌しながら摂氏80度で30分間溶解させた。ポリスチレン標準物質のピーク分子量を、式1を使用してポリエチレン分子量に変換した(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載の通り)。
【0079】
【数1】
式中、Mは、分子量であり、Aは、0.4315の値を有し、Bは、1.0に等しい。
【0080】
五次多項式を使用して、それぞれのポリエチレン等価較正点に当てはめた。Aに対してわずかな調整(約0.375~0.445)を行い、カラム分解能及びバンド拡張効果を、線状ホモポリマーポリエチレン標準物質が120,000Mwで得られるように補正した。
【0081】
GPCカラムセットの合計プレートカウントは、デカン(50ミリリットルのTCB中0.04gで調製され、穏やかに撹拌しながら20分間溶解した)を用いて実行した。プレートカウント(式2)及び対称性(式3)を、200マイクロリットル注入で以下の式に従って測定した。
【0082】
【数2】
式中、RVは、ミリリットルでの保持体積であり、ピーク幅は、ミリリットルであり、ピーク最大値は、ピークの最大高さであり、1/2高さは、ピーク最大値の1/2の高さである。
【0083】
【数3】
式中、RVは保持体積(ミリリットル)であり、ピーク幅はミリリットルであり、ピーク最大値はピークの最大位置であり、1/10高さはピーク最大値の1/10の高さであり、後方ピークはピーク最大値よりも後の保持体積でのピークテールを指し、前方ピークはピーク最大値よりも早い保持体積でのピークフロントを指す。クロマトグラフィーシステムのプレートカウントは、18,000超になるべきであり、対称性は、0.98~1.22となるべきである。
【0084】
試料を、PolymerChar「Instrument Control」ソフトウェアを用いて半自動様式で調製し、2mg/mLを試料の目標重量とし、PolymerChar高温オートサンプラを介して、予め窒素スパージされたセプタキャップ付きバイアルに溶媒(200ppmのBHTを含有)を添加した。試料を、「低速」振盪下で、摂氏160度で2時間溶解した。
【0085】
Mn(GPC)、Mw(GPC)、及びMz(GPC)の計算は、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェア、各等間隔のデータ回収点(i)におけるベースラインを差し引いたIRクロマトグラム、及び式1の点(i)における狭い標準物質較正曲線から得られるポリエチレン等価分子量を使用して、式4~6に従って、PolymerChar GPC-IRクロマトグラフの内部IR5検出器(測定チャネル)を使用した、GPC結果に基づいた。
【0086】
【0087】
経時的な偏差を監視するために、PolymerChar GPC-IRシステムで制御されたマイクロポンプを介して、各試料に流量マーカー(デカン)を導入した。この流量マーカー(flowrate marker、FM)を用いて、試料中のそれぞれのデカンピーク(RV(FM試料))と、狭い標準物質較正(RV(FM較正済み))内のデカンピークのそれとを、RV整合させることによって、各試料のポンプ流量(流量(見かけ))を直線的に補正した。次いで、デカンマーカーピークの時間のいかなる変化も、実行の全体にわたって流量(流量(有効))における線形シフトに関連すると推測される。流量マーカーピークのRV測定の最高精度を促進するために、流量マーカー濃度クロマトグラムのピークを二次方程式に当てはめる最小二乗適合ルーチンが使用される。次いで、二次方程式の一次導関数を使用して、真のピーク位置を解く。流量マーカーのピークに基づいてシステムを較正した後、(狭い標準物質較正に対する)有効流量を、式7の通り計算する。流量マーカーピークの処理を、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを介して行った。許容可能な流量補正は、有効流量が見かけの流量の+/-0.5%以内になるはずであるようなものである。
【0088】
【0089】
ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサン(MMAO)は、Nouryon、事業所所在地Chicago,Illinois,USA、及びAlbemarle、Charlotte North Carolina,USAの本社から市販されている。
【0090】
ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサン活性化剤の分析。
窒素雰囲気グローブボックス内で、式AlRA1RB1RC1を有するアルミニウム系分析物を、容器重量を量ったボトルに移し、試料の質量を記録した。試料をメチルシクロヘキサンで希釈し、次いでメタノールで急冷した。混合物を旋回させ、グローブボックスから試料を取り出す前に15分間にわたって反応させた。H2SO4の添加によって、試料を更に加水分解した。ボトルに蓋をして5分間振盪した。アルミニウム濃度に依存して、ボトルの定期的な通気が必要である場合がある。溶液を分液漏斗に移した。ボトルを水で繰り返しすすぎ、このプロセスからの各すすぎ液を分液漏斗に添加した。有機層を捨て、残留する水溶液をメスフラスコに移した。分液漏斗を更に水ですすぎ、各すすぎ液をメスフラスコに添加した。フラスコを既知の体積に希釈し、十分に混合し、過剰なEDTAとの錯化、及び指示薬としてキシレノールオレンジを使用する、その後のZnCl2による逆滴定によって分析した。
【0091】
ヒドロカルビル変性メチルアルミノキサン中のAlRA1RB1RC1化合物の計算
【0092】
【0093】
AlRA1RB1RC1化合物含有量を、前述の方法を使用して分析する(Macromol.Chem.Phys.1996,197,1537、WO2009029857A1、Analytical Chemistry 1968,40(14),2150-2153、及びOrganometallics 2013,32(11),3354-3362)
【0094】
金属-錯体は、遷移金属源及び中性多官能配位子源を含む標準的な金属化及び配位子交換手順によって都合よく調製される。加えて、錯体はまた、対応する遷移金属テトラアミド及びトリメチルアルミニウムなどのヒドロカルビル化剤から出発する、アミド除去及びヒドロカルビル化プロセスによって調製され得る。採用された技術は、米国特許第6,320,005号、同第6,103,657号、WO02/38628、WO03/40195、US-A-2004/0220050に開示されているものに類似するものと同じである。
【0095】
CGC触媒のための一般の合成は、US6884857B1に見出され得る。錯体Aの合成のための手順は、米国特許第US5,470,993A号に見出される。錯体Bの合成のための手順は、米国特許第US5,965,756A号に見出される。錯体Cの合成のための手順は、PCT出願第WO1998/006726A1号に見出される。錯体Dの合成のための手順は、米国特許第6,268,444号に見出される。錯体Eの合成のための手順は、PCT出願第WO2001/042315A1号に見出される。
【0096】
好適な助触媒としては、第4族金属オレフィン重合錯体とともに使用することが当該技術分野において以前から知られているこれらの化合物が挙げられる。好適な活性化助触媒の例としては、(C1-C30)ヒドロカルビル置換第13族化合物などの中性ルイス酸、特に、トリ(ヒドロカルビル)アルミニウム又はトリ(ヒドロカルビル)ホウ素化合物、及び各ヒドロカルビル若しくはハロゲン化ヒドロカルビル基中に1~10個の炭素を有するそれらのハロゲン化(過ハロゲン化を含む)誘導体、更に特に、過フッ素化トリ(アリール)ホウ素化合物、最も特に、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン;非ポリマー性、適合性、非配位性イオン形成化合物(酸化条件下でのそのような化合物の使用を含む)、特に適合性非配位性アニオンのアンモニウム塩、ホスホニウム塩、オキソニウム塩、カルボニウム塩、シリリウム塩、若しくはスルホニウム塩、又は適合性非配位性アニオンのフェロセニウム塩、鉛塩、若しくは銀塩の使用;並びに前述のカチオン形成助触媒及び技術の組み合わせが挙げられる。前述の活性化助触媒及び活性化技術は、オレフィン重合用の異なる金属錯体に関して以下の参考文献中で以前に教示されている:EP-A-277,003、US-A-5,153,157、US-A-5,064,802、US-A-5,321,106、US-A-5,721,185、US-A-5,350,723、US-A,5,425,872、US-A-5,625,087、US-A-5,883,204、US-A-5,919,983、US-A-5,783,512、WO99/15534、及びWO99/42467。
【0097】
プロ触媒A、B、C、D、及びEは、式(I)による構造を有し、以下の通りである。
【0098】
【0099】
【0100】
助触媒C3及びC4約1:2の比でイソブチル基とメチル基との組み合わせを含有するヒドロカルビル変性メチルアルミノキサン(MMAO)。
【0101】
助触媒I1は、約1:6の比のオクチル基とメチル基との組み合わせを含有する変性メチルアルミノキサン(MMAO)である。
【0102】
実施例1-CGCプロ触媒、並びに比較活性化剤及び変性アルミノキサンを用いたバッチ反応器重合反応。
【0103】
プロ触媒A及びBを、C1、C2、C3、又はC4を活性化剤として使用してバッチ反応器内で試験し、データを表1~2にまとめている。乾燥重量効率は、触媒が本発明の助触媒I1で活性化された場合、比較活性化剤C1又は比較活性化剤C3と比較して、より高い。
【0104】
【0105】
実行条件:120℃、ISOPAR E(1470g)、1-オクテン(100g)。水素(40mmol)、及びエチレンで全圧410psiまで加圧した。a.この実行を、50のAl:Ti比で、C3を添加して実施した。
【0106】
比較助触媒C1に対する触媒のモル比は、比較助触媒について1.2及び4である。本発明の各実施例については、活性化剤の触媒に対するモル比は、100又は500である。本発明の触媒系は、直鎖変性アルキル及び低モル%のAlRA1RB1RC1含有量を有するアルミノキサンを含有する。I1は、ボラン活性化剤、C1、又は分岐アルキル及び高モル%のAlRA1RB1RC1含有量を有するアルミノキサン系(C3など)と比較して、拘束幾何触媒を活性化するために使用した場合、効率性の増加を示した。より高いアルミニウム投入量では、I1はまた、ボレート活性化剤C2よりも良好な活性を提供する。全体として、これらのアルミノキサンを使用すると、触媒活性が増大し、分子量分布が狭くなる。
【0107】
【0108】
実行条件:120℃、ISOPAR E(1470g)、1-オクテン(150g)。水素(40mmol)、エチレンで全圧150psiまで加圧した。a.この実行を、50のAl:Ti比で、C3を添加して実施した。bエチレン(175psi)とともに使用して変性した実行。
【0109】
空気感受性材料の全ての操作を、高真空ライン(10-6Torr)とインターフェースされたデュアルマニホールドシュレンクライン上でオーブン乾燥したシュレンク型ガラス器具において、又は大容量の再循環器を備えるN2充填MBraunグローブボックス(1ppm未満のO2)において、O2及び水分の厳密な除去とともに行った。アルゴン(Airgas、予備精製グレード)は、担持型MnO酸素除去カラム及び活性化Davison 4Åモレキュラーシーブカラムを通過させることによって精製した。エチレン(Airgas)は、酸素/水分トラップ(Matheson、モデルMTRP-0042-XX)を通過させることによって精製した。炭化水素溶媒(n-ペンタン、n-ヘキサン、1-ヘキセン、メチルシクロヘキサン、及びトルエン)を、Grubbsによって記載された方法に従って、活性アルミナカラムを使用して乾燥させ(Pangborn,A.B.;Giardello,M.A.;Grubbs,R.H.;Rosen,R.K.;Timmers,F.J.,Safe and Convenient Procedure for Solvent Purification.Organometallics 1996,15(5),1518-1520を参照されたい)、次いで、Na/K合金から真空移動した。ベンゼン-d6及びトルエン-d8(Cambridge Isotope Laboratories、99+原子%D)をNa/K合金上で真空保存し、使用直前に真空移動した。1,2-ジフルオロベンゼン及びクロロベンゼン-d5をCaH2で乾燥し、真空下で蒸留した。クロロホルム-d3及び1,1,2,2-テトラクロロエタン-d2は、受け取ったまま使用した(Cambridge Isotope Laboratories、99+原子%D)。
【0110】
装置規格
全ての溶媒及び試薬は、商業的供給源から入手し、別段の記載がない限り、受け取ったまま使用した。無水トルエン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、及びジエチルエーテルを、活性アルミナ、及び場合によってはQ-5反応物質を通過させることによって精製する。窒素充填グローブボックス中で行った実験に使用した溶媒は、活性化4Åモレキュラーシーブ上での貯蔵によって更に乾燥させる。感湿反応用ガラス器具を、使用前に一晩オーブン内で乾燥させる。NMRスペクトルを、Varian 400-MR及びVNMRS-500分光計で記録する。LC-MS分析は、Waters 2424 ELS検出器、Waters 2998 PDA検出器、及びWaters 3100 ESI質量検出器と組み合わせたWaters e2695分離モジュールを使用して行う。LC-MS分離は、XBridge C18 3.5μm 2.1×50mmカラムで、5:95~100:0のアセトニトリル及び水の勾配(イオン化剤として0.1%のギ酸を含む)を使用して行う。HRMS分析は、エレクトロスプレーイオン化を備えたAgilent 6230 TOF質量分析計と組み合わせたZorbax Eclipse Plus C18 1.8μm 2.1×50mmカラムを備えたAgilent 1290 Infinity LCを使用して行う。1H NMRデータは、次のように報告する:化学シフト(多重度(br=幅広線、s=1重線、d=2重線、t=3重線、q=4重線、p=5重線、sex=6重線、sept=7重線、及びm=多重線)、積分値、及び帰属)。1H NMRデータの化学シフトは、基準として重水素化溶媒中の残留プロトンを使用して、内部テトラメチルシラン(TMS、δスケール)からの低磁場(ppm)として報告する。13C NMRデータは、1Hデカップリングを用いて決定し、化学シフトは、基準として重水素化溶媒中の残留炭素を使用して、テトラメチルシラン(TMS、δスケール)からの低磁場(ppm)として報告する。
【国際調査報告】