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特表2023-534676ATRキナーゼ阻害剤として使用されるピラゾロピリミジン化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-10
(54)【発明の名称】ATRキナーゼ阻害剤として使用されるピラゾロピリミジン化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20230803BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230803BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230803BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20230803BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
C07D487/04 142
C07D487/04 CSP
A61P35/00
A61P35/02
A61K31/5377
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501863
(86)(22)【出願日】2021-07-13
(85)【翻訳文提出日】2023-03-10
(86)【国際出願番号】 CN2021105867
(87)【国際公開番号】W WO2022012484
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】202010669088.1
(32)【優先日】2020-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011163505.1
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521532455
【氏名又は名称】北京泰徳製薬股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING TIDE PHARMACEUTICAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】8 East Rongjing St., Beijing Economic Technological Development Area, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【弁理士】
【氏名又は名称】釜平 双美
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【弁理士】
【氏名又は名称】水原 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】鄭 翔玲
(72)【発明者】
【氏名】趙 焔平
(72)【発明者】
【氏名】王 紅軍
(72)【発明者】
【氏名】劉 彬
(72)【発明者】
【氏名】仲 偉▲ティン▼
(72)【発明者】
【氏名】徐 慧芬
(72)【発明者】
【氏名】黄 闖闖
(72)【発明者】
【氏名】李 晶
(72)【発明者】
【氏名】劉 偉娜
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB05
4C050CC08
4C050EE03
4C050FF10
4C050GG07
4C050HH02
4C050HH04
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB06
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
4C086ZC41
(57)【要約】
ATRキナーゼが介在する疾患、例えば、がんなどの増殖性疾患の治療に用いることのできる、一般式(I)の化合物を開示する。さらには、一般式(I)の化合物の製造方法、医薬組成物、およびATRキナーゼが介在する疾患を治療するための医薬組成物の使用を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】
[式中:
XはCRまたはNであり;
YはCRまたはNであり;
、R、R、RおよびRは、独立して、H、D、ハロゲン、C1-6アルキル、C2-6アルケニルおよびC2-6アルキニルより選択されるか、あるいはRとR、RとRとが連結して結合手、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレンまたはC2-6アルキニレンを形成し;ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
ここで、RはH、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SRまたはC1-6アルキルであり、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
YがCRである場合、RとRとは、それらの結合する原子と一緒になって、C3-5シクロアルキルまたは3~5員のヘテロシクリルを形成し、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
環AはC3-7シクロアルキル、4~7員のヘテロシクリル、C6-10アリールまたは5~10員のヘテロアリールであるか;または環Aは存在せず、それで1のRがLに連結されるか;もしくは(R-環A-L-さえも存在せず;
は、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NRR’、-OC(O)R’、-NRC(O)R’、-OC(O)NRR’、-NRC(O)NRR’、-S(O)R、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキルおよび3~8員のヘテロシクリルから選択され、その各々は、所望により、Rで置換されてもよく、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
mは0、1、2、3、4または5であり;
環Bは5ないし6員のヘテロアリールであり;
は、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NRR’、-OC(O)R’、-NRC(O)R’、-OC(O)NRR’、-NRC(O)NRR’、-S(O)R、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキルおよび3~8員のヘテロシクリルから選択され、その各々は、所望により、Rで置換されてもよく、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
nは0、1、2、3、4または5であり;
環CはC3-7シクロアルキル、4~7員のヘテロシクリル、C6-10アリールまたは5~10員のヘテロアリールであり;
Lは結合手、-O-、-S-、-N(R)-、-C(O)-、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレンまたはC2-6アルキニレンであり;
はH、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、C1-6アルキル、C2-6アルケニルまたはC2-6アルキニルであり、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
はH、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、C1-6アルキル、C2-6アルケニルまたはC2-6アルキニルであり、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
はH、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NRR’、-OC(O)R’、-NRC(O)R’、-OC(O)NRR’、-NRC(O)NRR’、-S(O)R、C3-7シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリル、C6-10アリールまたは5~10員のヘテロアリールであり、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
RおよびR’は、独立して、H、C1-6アルキル、C2-6アルケニルおよびC2-6アルキニルより選択されるか、またはRとR’とは、それらの結合する窒素原子と一緒になって、4~8員のヘテロシクリルを形成し;ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
pは1または2である]
で示される化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項2】
がC1-6アルキルであるか、あるいはまた(R)-C1-6アルキルであるか、さらにはまた(R)-メチルである、請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項3】
XがCRであり、R、R、RおよびRが水素またはDである、請求項1または2に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項4】
YがNである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項5】
環Aが、以下の群:
【化2】
より選択され;
ここでAがCRa1またはNであり;AがCRa2またはNであり;AがCRa3またはNであり;AがCRa4またはNであり;AがCRa5またはNであり;
a1、Ra2、Ra3、Ra4およびRa5が請求項1のRと同意義であるか;
あるいはまた、(R-環A-L-が次の群:
【化3】
より選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項6】
環Aが不在であるか、またはピペラジニルおよびピペリジニルより選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項7】
が、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NRR’、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニルおよびC2-6アルキニルより選択され、ここで該基は完全に重水素化されるまでは1または複数のDで置換されてもよい、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項8】
環Bがピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニルであるか;あるいはまた、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリルまたはピリジルであるか;あるいはまた、ピラゾリルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項9】
が、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、C1-6アルキルおよびC1-6ハロアルキルより選択され、その各々は、所望により、Rで置換されてもよく;あるいはまた、HまたはDである、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項10】
環Cが5ないし6員のヘテロアリールまたはフェニルであるか;あるいはまた、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニルであるか;あるいはまた、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルまたはトリアゾリルであるか;あるいはまた、ピラゾリルである、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項11】
環CがC3-7シクロアルキルまたは4~7員のヘテロシクリルである、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項12】
Lが結合手、-C(O)-またはC1-6アルキレンである、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項13】
およびRが、独立して、H、D、C1-6アルキル、C2-6アルケニルまたはC2-6アルキニルであり、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよい、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項14】
以下の一般的構造式:
【化4】
[式中、各基は請求項1~13のいずれか一項にて定義されるとおりである]
で示される請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項15】
一般式(I-1)または(I-2):
【化5】
[式中:
環CはC3-7シクロアルキルまたは4~7員のヘテロシクリルであるか;あるいはまたシクロペンチルまたはテトラヒドロピラニルであり;
環Bはピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニルであるか;あるいはまた、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリルまたはピリジルであり;
はH、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、または-SRであり、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;あるいはまた、Rは環Cが親核に結合するC原子上に位置付けられ;
他の基は請求項1~13のいずれか一項にて定義されるのと同意義である]
で示される、請求項14に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項16】
一般式(I-1):
【化6】
[式中:
環Cは5ないし6員のヘテロアリールまたはフェニルであるか;あるいはまた、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニルであるか;あるいはまた、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルまたはトリアゾリルであるか;あるいはまた、ピラゾリルであり;
他の基は請求項1~13のいずれか一項にて定義されるのと同意義である]
で示される、請求項14に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項17】
一般式(I-1)で示され、ここで
環Bがピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニルであるか;あるいはまた、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリルまたはピリジルであり;
他の基が請求項1~13のいずれか一項にて定義されるのと同意義である、
請求項16に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項18】
一般式(II)または(II-1):
【化7】
[式中:
環Aは不在、C3-7シクロアルキルまたは4~7員のヘテロシクリルであり;
他の基は請求項1~13のいずれか一項にて定義されるのと同意義である]
で示される、請求項14に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項19】
一般式(II)または(II-1)で示され、ここで
環Aが不在であるか、または4~7員のヘテロシクリルであるか;あるいはまた、ピペリジルまたはピペラジニルであり;
環Bがピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニルであるか;あるいはまた、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリルまたはピリジルであり;
Lが結合手、-O-、-S-、-N(R)-、-C(O)-またはC1-6アルキレンであり;
およびRが、独立して、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニルまたはC2-6アルキニルであり、ここで該基は完全に重水素化されるまでは1または複数のDで置換されてもよく;
他の基は請求項1~13のいずれか一項にて定義されるのと同意義である、
請求項18に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項20】
一般式(III)または(III-1):
【化8】
[式中:
環Cは5ないし6員のヘテロアリールまたはフェニルであるか;あるいはまた、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニルであるか;あるいはまた、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルまたはトリアゾリルであるか;あるいはまた、ピラゾリルであり;
他の基は請求項1~13のいずれか一項にて定義されるのと同意義である]
で示される、請求項14に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項21】
一般式(III)または(III-1)で示され、ここで
環Bがピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニルであるか;あるいはまた、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリルまたはピリジルであり;
他の基は請求項1~13のいずれか一項にて定義されるのと同意義である、
請求項20に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項22】
一般式(III-2)または(III-3):
【化9】
[式中:
はCRa1またはNであり;AはCRa2またはNであり;AはCRa5またはNであり;
他の基は請求項1~13のいずれか一項にて定義されるのと同意義である]
で示される、請求項14に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項23】
一般式(III-3)で示され、ここで
がCRa3またはNであり;
a1、Ra2、Ra3、Ra5、RおよびRが、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-OR、-SR、-NRR’、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NRR’またはC1-6アルキルであり、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
他の基は請求項1~13のいずれか一項にて定義されるのと同意義である、
請求項22に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項24】
一般式(III-3)で示され、ここで
がCRa3またはNであり;
a1、Ra2、Ra3およびRa5が、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-OH、-C(O)NH、C1-6アルキルおよびC1-6ハロアルキルより選択され、ここで該基は、完全に重水素化されるまでは、1または複数のDで置換されてもよく;
およびRは、独立して、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり、ここで該基は、完全に重水素化されるまでは、1または複数のDで置換されてもよい、
請求項22に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項25】
一般式(III-3)で示され、ここで
がCRa3またはNであり;
a1がHまたはDであり;
a2がH、D、ハロゲン、-CN、-OH、-C(O)NH、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
a3がH、Dまたは-OHであり;
a5がHまたはDであり;
がC1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであるか;あるいはまた、メチルであり;
がC1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであるか;あるいはまた、メチルである、
請求項22に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項26】
一般式(III-3):
【化10】
[式中:
はCRa3またはNであり;
a1、Ra2、Ra3、Ra5、RおよびRは、独立して、H、D、ハロゲン、-OR、-SR、-NRR’、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルっであり、ここで該基は、完全に重水素化されるまでは、1または複数のDで置換されてもよく;
RおよびR’は、独立して、H、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニルおよびC2-6アルキニルより選択されるか、またはRとR’とは、それらの結合する窒素原子と一緒になって、4~8員のヘテロシクリルを形成し;ここで該基は、完全に重水素化されるまでは、1または複数のDで置換されてもよい]
で示される、請求項14に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項27】
一般式(III-3)で示され、ここで
がCRa3またはNであり;
a1、Ra2、Ra3およびRa5が、独立して、H、D、ハロゲン、-OH、C1-6アルキルおよびC1-6ハロアルキルより選択され、ここで該基は、完全に重水素化されるまでは、1または複数のDで置換されてもよく;
およびRが、独立して、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり、ここで該基が、完全に重水素化されるまでは、1または複数のDで置換されてもよい、
請求項26に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項28】
一般式(III-3)で示され、ここで
がCRa3またはNであり;
a1がHまたはDであり;
a2がH、D、ハロゲン、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
a3がH、Dまたは-OHであり;
a5がHまたはDであり;
がC1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであるか;あるいはまた、メチルであり;
がC1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであるか;あるいはまた、メチルである、
請求項26に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項29】
一般式(III-4):
【化11】
[式中:
はCRa4またはNであり;
a1、Ra2、Ra4、Ra5、RおよびRは、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-OR、-SR、-NRR’、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NRR’またはC1-6アルキルであり、ここで、該基は、完全に置換されるまでは、1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
他の基は請求項1~13のいずれか一項にて定義されるのと同意義である]
で示される、請求項14に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項30】
一般式(III-4)の化合物であって、ここで
がCRa4またはNであり;
a1、Ra2、Ra4およびRa5が、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-OH、-C(O)NH、C1-6アルキルおよびC1-6ハロアルキルより選択され、ここで該基が、完全に重水素化されるまでは、1または複数のDで置換されてもよく;
およびRが、独立して、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり、ここで該基が、完全に重水素化されるまでは、1または複数のDで置換されてもよい、
請求項29に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項31】
一般式(III-4)で示され、ここで
がCRa4またはNであり;
a1がH、Dまたはハロゲンであり;
a2がH、D、ハロゲン、-CN、-OH、-C(O)NH、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
a4がH、Dまたは-OHであり;
a5がHまたはDであり;
がC1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであるか;あるいはまた、メチルであり;
がC1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであるか;あるいはまた、メチルである、
請求項29に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項32】
【化12】
【化13】
より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項33】
請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、および医薬的に許容される賦形剤を含み;あるいはまた、他の治療剤をさらに含む、医薬組成物。
【請求項34】
請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種の、ATRキナーゼが介在する疾患の治療および/または予防のための医薬の製造における、使用。
【請求項35】
対象においてATRキナーゼが介在する疾患を治療および/または予防するための方法であって、請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、あるいは請求項33に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項36】
ATRキナーゼが介在する疾患を治療および/または予防するのに用いるための、請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、あるいは請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項37】
請求項34に記載の使用、または請求項35に記載の方法、または請求項36の使用のための化合物または組成物であって、ここでATRキナーゼが介在する疾患が、増殖性疾患(がんなど)、特に充実性腫瘍(がん腫および肉腫など)、白血病およびリンパ腫、特に、例えば、乳がん、大腸がん、肺がん(小細胞肺がん、非小細胞肺がん、および気管支肺胞がんを含む)、前立腺がんおよび胆管がん、骨がん、膀胱がん、頭頸部がん、腎臓がん、肝臓がん、胃腸がん、食道がん、卵巣がん、膵臓がん、皮膚がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、子宮頸がんおよび外陰がん、ならびに白血病[急性リンパ性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)および急性骨髄性白血病(AML)等を含む]、多発性骨髄腫およびリンパ腫を含む、使用、方法、または化合物もしくは組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はATRキナーゼ阻害剤としてのピラゾロピリミジン化合物に関する。より具体的には、本開示の化合物はATRキナーゼが介在する疾患、例えば、がんなどの増殖性疾患の治療にて効果的である。本開示はまた、該化合物の医薬組成物、ATRキナーゼが介在する疾患を治療するための該化合物の使用、および該化合物の製造を提供する。
【背景技術】
【0002】
ATR(アタクシア テレンジエクタシアおよびラッド(Ataxia telangiectasia and Rad)3関連タンパク質)は、ゲノムの安定性およびDNA損傷の修復に関与する一連のタンパク質キナーゼである。それはPIKKファミリーに属する。ATRの活性化は、複製フォークの停滞またはDNA一本鎖切断(SSB)によって活性化される。ATRの活性化は、修復タンパク質または修復因子をリクルートし、損傷部位を修復し、有糸分裂工程(特に、有糸分裂のG2/M期での工程)を遅らせ、複製フォークを安定化するだけでなく、ゲノムの安定性を確保するであろう。
【0003】
加えて、大部分の腫瘍細胞におけるDNA損傷修復システムは異常であり、通常は特定の修復経路(p53またはATM変異など)を欠き、生存するにはATRにより依存するようになる。正常細胞では、その強固で完全な修復経路があるため、ATRキナーゼが単独で阻害されても大きな影響はないであろう。従って、ATRの阻害は、正常細胞に大きな毒性の副作用を及ぼすことなく、がんの治療に対してより有意な効果がある可能性がある。
【0004】
さらには、ATRの阻害は、放射線療法または化学治療薬と組み合わさって、相乗的にその効果を亢進し得る。広く使用される化学治療薬には、代謝拮抗剤(グムシタビンなど)、DNA架橋剤(シスプラチン、カルボプラチンなど)、およびアルキル化剤(テモゾロミドなど)、トポイソメラーゼ阻害剤(トポテカン、イリノテカンなど)等が含まれる。腫瘍細胞が化学療法または放射線療法によって影響を受けると、損傷したDNAを修復するのに、ATRシグナル伝達経路がより大きな程度まで活性化された。従って、放射線療法または化学療法を用いてがんを治療する場合、同時にATRを阻害することで、がんに対する治療効果を大きく向上させることができる。
【0005】
これまでのところ、ATR阻害剤はまだ市場に出ておらず、そのためにより効果的で、安全なATR阻害剤を見出すことが今なお必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、ATRキナーゼが介在する疾患、例えば、がんなどの増殖性疾患を治療するのに使用され得る、一般式(I)の化合物を提供する。
【0007】
1の態様において、本開示は、一般式(I):
【化1】
[式中:
XはCRまたはNであり;
YはCRまたはNであり;
、R、R、RおよびRは、独立して、H、D、ハロゲン、C1-6アルキル、C2-6アルケニルおよびC2-6アルキニルより選択されるか、またはRとR、RとRとが連結して結合、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレンまたはC2-6アルキニレンを形成し;ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
ここで、RはH、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SRまたはC1-6アルキルであり、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
YがCRである場合、RとRとは、それらの結合する原子と一緒になって、C3-5シクロアルキルまたは3~5員のヘテロシクリルを形成し、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
環AはC3-7シクロアルキル、4~7員のヘテロシクリル、C6-10アリールまたは5~10員のヘテロアリールであるか;または環Aは存在せず、それで1のRがLに連結されるか;もしくは(R-環A-L-さえも存在せず;
は、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NRR’、-OC(O)R’、-NRC(O)R’、-OC(O)NRR’、-NRC(O)NRR’、-S(O)R、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキルおよび3~8員のヘテロシクリルより選択され、その各々は、所望により、Rで置換されてもよく、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
mは0、1、2、3、4または5であり;
環Bは5ないし6員のヘテロアリールであり;
は、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NRR’、-OC(O)R’、-NRC(O)R’、-OC(O)NRR’、-NRC(O)NRR’、-S(O)R、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキルおよび3~8員のヘテロシクリルより選択され、その各々は、所望により、Rで置換されてもよく、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
nは0、1、2、3、4または5であり;
環CはC3-7シクロアルキル、4~7員のヘテロシクリル、C6-10アリールまたは5~10員のヘテロアリールであり;
Lは結合手、-O-、-S-、-N(R)-、-C(O)-、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレンまたはC2-6アルキニレンであり;
はH、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、C1-6アルキル、C2-6アルケニルまたはC2-6アルキニルであり、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
はH、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、C1-6アルキル、C2-6アルケニルまたはC2-6アルキニルであり、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
は、H、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NRR’、-OC(O)R’、-NRC(O)R’、-OC(O)NRR’、-NRC(O)NRR’、-S(O)R、C3-7シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリル、C6-10アリールまたは5~10員のヘテロアリールであり、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
RおよびR’は、独立して、H、C1-6アルキル、C2-6アルケニルおよびC2-6アルキニルより選択されるか、またはRとR’とは、それらの結合する窒素原子と一緒になって、4~8員のヘテロシクリルを形成し;ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
pは1または2である]
で示される化合物、あるいはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物を提供する。
【0008】
もう一つ別の態様において、本開示は、本明細書において開示される化合物、および所望により医薬的に許容される賦形剤を含んでもよい、医薬組成物を提供する。
【0009】
もう一つ別の態様において、本開示は、本明細書において開示される化合物、および医薬的に許容される賦形剤を含み、他の治療剤をさらに含む、医薬組成物を提供する。
【0010】
もう一つ別の態様において、本開示は、本明細書において開示される化合物、他の治療剤、および医薬的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルを含む、キットを提供する。
【0011】
もう一つ別の態様において、本開示は、ATRキナーゼが介在する疾患を治療および/または防止するための医薬の製造における本明細書において開示される化合物の使用を提供する。
【0012】
もう一つ別の態様において、本開示は、対象でのATRキナーゼが介在する疾患を治療および/または防止する方法であって、該対象に本明細書において開示される化合物または本明細書において開示される組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0013】
もう一つ別の態様において、本開示は、ATRキナーゼが介在する疾患の治療および/または防止にて用いるための本明細書において開示される化合物または本明細書において開示される組成物を提供する。
【0014】
特定の実施態様において、該疾患には、増殖性疾患(がんなど)、特に充実性腫瘍(がん腫および肉腫など)、白血病およびリンパ腫、特に、例えば、乳がん、大腸がん、肺がん(小細胞肺がん、非小細胞肺がんおよび気管支肺胞がんを含む)、前立腺がんおよび胆道がん、骨がん、膀胱がん、頭頚部がん、腎臓がん、肝臓がん、消化器がん、食道がん、卵巣がん、膵臓がん、皮膚がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、子宮頸がんおよび外陰がん、ならびに白血病[急性リンパ性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)および急性骨髄性白血病(AML)等を含む]、多発性骨髄腫およびリンパ腫が含まれる。
【0015】
本開示の他の目的および利点は、本明細書において開示される特定の実施態様、実施例および特許請求の範囲から当業者には明らかであろう。
【0016】
定義
化学定義
特定の官能基および化学用語の定義は、下記にてより詳細に説明される。
【0017】
値が範囲で列挙される場合、それはその範囲内にある各値および下位の範囲を包含するものとする。例えば、「C1-6アルキル」は、C、C、C、C、C、C、C1-6、C1-5、C1-4、C1-3、C1-2、C2-6、C2-5、C2-4、C2-3、C3-6、C3-5、C3-4、C4-6、C4-5およびC5-6アルキルを包含するものとする。
【0018】
「C1-6アルキル」は、1~6個の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基をいう。いくつかの実施態様において、C1-4アルキルが代替となる。C1-6アルキルの例には、メチル(C)、エチル(C)、n-プロピル(C)、イソプロピル(C)、n-ブチル(C)、tert-ブチル(C)、sec-ブチル(C)、イソブチル(C)、n-ペンチル(C)、3-ペンチル(C)、ペンチル(C)、ネオペンチル(C)、3-メチル-2-ブチル(C)、tert-ペンチル(C)およびn-ヘキシル(C)が含まれる。「C1-6アルキル」なる語はヘテロアルキルも包含し、ここで1または複数(例えば、1、2、3または4個)の炭素原子がヘテロ原子(例えば、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、リン)で置換される。アルキル基は1または複数の置換基、例えば、1~5個の置換基、1~3個の置換基または1個の置換基で所望により置換され得る。アルキルの従来の略語として、Me(-CH)、Et(-CHCH)、iPr(-CH(CH)、nPr(-CHCHCH)、n-Bu(-CHCHCHCH)またはi-Bu(-CHCH(CH)が含まれる。
【0019】
「C2-6アルケニル」は、2~6個の炭素原子を有し、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する、直鎖または分岐鎖の炭化水素基をいう。いくつかの実施態様において、C2-4アルケニルが代替となる。C2-6アルケニルの例には、ビニル(C)、1-プロぺニル(C)、2-プロペニル(C)、1-ブテニル(C)、2-ブテニル(C)、ブタジエニル(C)、ペンテニル(C)、ペンタジエニル(C)、ヘキセニル(C)等が含まれる。「C2-6アルケニル」なる語はまた、ヘテロアルケニルを包含し、ここで1または複数(例えば、1、2、3または4個)の炭素原子がヘテロ原子(例えば、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、リン)で置換される。アルケニル基は1または複数の置換基、例えば、1~5個の置換基、1~3個の置換基または1個の置換基で所望により置換され得る。
【0020】
「C2-6アルキニル」は、2~6個の炭素原子を有し、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を有し、所望により1または複数の二重結合を有してもよい、直鎖または分岐鎖の炭化水素基をいう。いくつかの実施態様において、C2-4アルキニルが代替となる。C2-6アルキニルの例には、限定されないが、エチニル(C)、1-プロピニル(C)、2-プロピニル(C)、1-ブチニル(C)、2-ブチニル(C)、ペンチニル(C)、ヘキシニル(C)等が含まれる。「C2-6アルキニル」なる語はまた、ヘテロアルキニルを包含し、ここで1または複数(例えば、1、2、3または4個)の炭素原子がヘテロ原子(例えば、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、リン)で置換される。アルキニル基は1または複数の置換基、例えば、1~5個の置換基、1~3個の置換基または1個の置換基で所望により置換され得る。
【0021】
「C1-6アルキレン、C2-6アルケニレンまたはC2-6アルキニレン」は、上記される「C1-6アルキル、C2-6アルケニルまたはC2-6アルキニル」の二価の基をいう。
【0022】
「C1-6アルキレン」は、C1-6アルキルのもう一つ別の水素を除去することにより形成される二価の基をいい、置換または非置換のアルキレンであり得る。いくつかの実施態様において、C1-4アルキレンがさらに代替となる。非置換アルキレン基には、限定されないが、メチレン(-CH-)、エチレン(-CHCH-)、プロピレン(-CHCHCH-)、ブチレン(-CHCHCHCH-)、ペンチレン(-CHCHCHCHCH-)、ヘキシレン(-CHCHCHCHCHCH-)等が含まれる。1または複数のアルキル(メチル)で置換される基などの置換アルキレン基の例には、限定されないが、置換メチレン(-CH(CH)-、-C(CH-)、置換エチレン(-CH(CH)CH-、-CHCH(CH)-、-C(CHCH-、-CHC(CH-)、置換プロピレン(-CH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CH-、-CHCHCH(CH)-、-C(CHCHCH-、-CHC(CHCH-、-CHCHC(CH-)等が含まれる。
【0023】
「C2-6アルケニレン」は、もう一つ別の水素が除去されてアルケニレンの二価の基を提供する、C2-6アルケニル基をいい、置換または非置換のアルケニレンであってもよい。いくつかの実施態様において、C2-4アルケニレンがさらに代替となる。非置換アルケニレン基の例としては、限定されないが、エテニレン(-CH=CH-)およびプロペニレン(例えば、-CH=CHCH-、-CH-CH=CH-)が挙げられる。例えば、1または複数のアルキル(メチル)で置換される、置換アルケニレン基の例としては、限定されないが、置換エチレン(-C(CH)=CH-、-CH=C(CH)-)、置換プロピレン(例えば、-C(CH)=CHCH-、-CH=C(CH)CH-、-CH=CHCH(CH)-、-CH=CHC(CH-、-CH(CH)-CH=CH-、-C(CH-CH=CH-、-CH-C(CH)=CH-、-CH-CH=C(CH)-)等が挙げられる。
【0024】
「C2-6アルキニレン」は、もう一つ別の水素が除去され、アルキニレンの二価の基を提供する、C2-6アルキニル基をいい、置換または非置換のアルキニレンであってもよい。いくつかの実施態様において、C2-4アルキニレンがさらに代替となる。アルキニレン基の例としては、限定されないが、エチニレン(-C≡C-)、置換または非置換プロピニレン(-C≡CCH-)等が含まれる。
【0025】
「C1-6アルコキシ」は、Rが置換または非置換C1-6アルキルである、基-ORをいう。いくつかの実施態様において、C1-4アルコキシ基がさらに代替となる。特定のアルコキシ基には、限定されないが、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシおよび1,2-ジメチルブトキシが含まれる。アルコキシは、所望により、1または複数の置換基、例えば、1~5個の置換基、1~3個の置換基または1個の置換基で置換され得る。
【0026】
「ハロ」または「ハロゲン」はフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)をいう。
【0027】
かくして、「C1-6ハロアルキル」および「C1-6ハロアルコキシ」は、1または複数のハロゲンで置換されている、上記した「C1-6アルキル」および「C1-6アルコキシ」をいう。いくつかの実施態様において、C1-4ハロアルキルがさらに代替となり、さらに代替的にはC1-2ハロアルキルである。いくつかの実施態様において、C1-4ハロアルコキシ基がさらに代替となり、さらに代替的にはC1-2ハロアルコキシ基である。ハロアルキル基の例には、限定されないが、-CF、-CHF、-CHF、-CHFCHF、-CHCHF、-CFCF、-CCl、-CHCl、-CHCl、2,2,2-トリフルオロ-1,1-ジメチル-エチル等が含まれる。ハロアルコキシ基の例には、限定されないが、-OCHF、-OCHF、-OCF等が含まれる。ハロアルキルおよびハロアルコキシは、利用可能な任意の結合点で、例えば、1~5個の置換基、1~3個の置換基または1個の置換基で置換され得る。
【0028】
「C3-7シクロアルキル」は、3~7個の炭素の環原子を有し、ヘテロ原子が0個である、非芳香族の環状炭化水素基をいう。いくつかの実施態様において、C3-5シクロアルキルが代替となる。他の実施態様において、C3-6シクロアルキルが代替となる。他の実施態様において、C5-6シクロアルキルが代替となる。シクロアルキルはまた、本明細書に記載のシクロアルキルが1または複数のアリールまたはヘテロアリール基と縮合している環系を含み、その場合、結合点はシクロアルキル環上にあり、そのような場合でも、炭素原子の数は継続してシクロアルキル系にある炭素原子の数を表す。シクロアルキル基の例には、限定されないが、シクロプロピル(C)、シクロプロぺニル(C)、シクロブチル(C)、シクロブテニル(C)、シクロペンチル(C)、シクロペンテニル(C)、シクロヘキシル(C)、シクロヘキセニル(C)、シクロヘキサジエニル(C)、シクロヘプチル(C)、シクロヘプテニル(C)、シクロヘプタジエニル(C)、シクロヘプタトリエニル(C)等が含まれる。シクロアルキルは、1または複数の置換基、例えば、1~5個の置換基、1~3個の置換基または1個の置換基で置換され得る。
【0029】
「3~11員のヘテロシクリル」は、炭素環原子と1~5個のヘテロ環原子とを有する3~11員の非芳香族環系の基をいい、ここでヘテロ原子は、各々独立して、窒素、酸素、硫黄、ホウ素、リンおよびケイ素から選択される。1または複数の窒素原子を含有するヘテロシクリルでは、結合点は、価数が許す限り、炭素または窒素原子であり得る。いくつかの実施態様において、3~9員のヘテロシクリルが代替となり、それは炭素環原子と1~5個のヘテロ環原子とを有する3~9員の非芳香族環系の基である。いくつかの実施態様において、3~8員のヘテロシクリルが代替となり、それは炭素環原子と1~4個のヘテロ環原子とを有する3~8員の非芳香族環系の基であり;3~6員のヘテロシクリルが代替となり、それは炭素環原子と1~3個のヘテロ環原子とを有する3~6員の非芳香族環系の基であり;3~5員のヘテロシクリルが代替となり、それは炭素環原子と1~2個のヘテロ環原子とを有する3~5員の非芳香族環系の基であり;4~8員のヘテロシクリルが代替となり、それは炭素環原子と1~3個のヘテロ環原子とを有する4~8員の非芳香族環系の基であり;4~7員のヘテロシクリルが代替となり、それは炭素環原子と1~3個のヘテロ環原子とを有する4~7員の非芳香族環系の基であり;および5ないし6員のヘテロシクリルがさらに代替となり、それは炭素環原子と1~3個のヘテロ環原子とを有する5ないし6員の非芳香族環系の基である。ヘテロシクリルはまた、上記したヘテロシクリルが1または複数のシクロアルキル基と縮合しており、ここで結合点がシクロアルキル環上にある、環系、または上記したヘテロシクリルが1または複数のアリールまたはヘテロアリール基と縮合しており、ここで結合点がシクロアルキル環上にある、環系を包含し;そのような場合でも、環メンバーの数は継続してヘテロシクリル環系にある環メンバーの数を表す。1個のヘテロ原子を含有する3員のヘテロシクリル基の例には、限定されないが、アジリジイル、オキシラニルおよびチイラニルが含まれる。1個のヘテロ原子を含有する4員のヘテロシクリル基の例には、限定されないが、アゼチジニル、オキセタニルおよびチエタニルが含まれる。1個のヘテロ原子を含有する5員のヘテロシクリル基の例には、限定されないが、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチエニル、ピロリジニル、ジヒドロピロリルおよびピロリル-2,5-ジオンが含まれる。2個のヘテロ原子を含有する5員のヘテロシクリル基の例には、限定されないが、ジオキソラニル、オキサスルフラニル、ジスルフラニル、およびオキサゾリジン-2-オンが含まれる。3個のヘテロ原子を含有する5員のヘテロシクリル基の例には、限定されないが、トリアゾリニル、オキサジアゾリニル、およびチアジアゾリニルが含まれる。1個のヘテロ原子を含有する6員のヘテロシクリル基の例には、限定されないが、ピペリジル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピリジルおよびチアニルが含まれる。2個のヘテロ原子を含有する6員のヘテロシクリル基の例には、限定されないが、ピペラジニル、モルホリニル、ジチアニルおよびジオキサニルが含まれる。3個のヘテロ原子を含有する6員のヘテロシクリル基の例には、限定されないが、トリアジナニルが含まれる。1個のヘテロ原子を含有する7員のヘテロシクリル基の例には、限定されないが、アゼパニル、オキセパニルおよびチエパニルが含まれる。Cアリールと縮合した5員のヘテロシクリル基(本明細書にて5,6-二環式ヘテロシクリルとも称される)の例には、限定されないが、インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ベンゾキサゾリノニル等が含まれる。Cアリールと縮合した6員のヘテロシクリル基(本明細書にて6,6-二環式ヘテロシクリルとも称される)の例には、限定されないが、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル等が含まれる。ヘテロシクリルは1または複数の置換基で、例えば、1~5個の置換基で、1~3個の置換基または1個の置換基で置換され得る。
【0030】
「C6-10アリール」は、6~10個の炭素環原子を有し、ヘテロ原子が0個の単環式または多環式(例えば、二環式)(例えば、環状配列にて6または10個の共有π電子を有する)の4n+2の芳香族環系の基をいう。いくつかの実施態様において、アリール基は6個の炭素環原子を有する(「Cアリール」;例えば、フェニル)。いくつかの実施態様において、アリール基は10個の炭素環原子を有する(「C10アリール」;例えば、ナフチル、例えば、1-ナフチルおよび2-ナフチル)。アリール基には、上記したアリール環に1または複数のシクロアルキルまたはヘテロシクリル基が縮合しており、ここで結合点がアリール環上にある、環系も含まれ、その場合には、炭素原子の数は継続してアリール環系にある炭素原子の数を表す。アリールは、1または複数の置換基、例えば、1~5個の置換基、1~3個の置換基または1個の置換基で置換され得る。
【0031】
「5~10員のヘテロアリール」は、炭素の環原子と、1~4個のヘテロの環原子とを有する、5~10員の単環式または二環式の4n+2芳香族環系(例えば、環配列において6または10個の共有π電子を有する)の基であって、ここで各ヘテロ原子が、独立して、窒素、酸素および硫黄から選択される、基をいう。1または複数の窒素原子を含有するヘテロアリール基では、結合点は、原子価が許す限り、炭素または窒素原子とすることができる。ヘテロアリールの二環式環系は1または2個の環にて1または複数のヘテロ原子を含んでもよい。ヘテロアリールはまた、上記のヘテロアリール環が1または複数のヘテロアルキルまたはヘテロシクリル基と縮合し、その結合点がヘテロアリール環上にある、環系も包含する。かかる場合には、炭素原子の数は、継続してヘテロアリール環系にある炭素原子の数を表す。いくつかの実施態様において、炭素の環原子と、1~4個のヘテロの環原子とを有する、5ないし6員の単環式または二環式の4n+2芳香族環系の基である、5ないし6員のヘテロアリール基がさらなる代替となる。1個のヘテロ原子を含有する5員のヘテロアリール基の例には、限定されないが、ピロリル、フリルおよびチエニルが含まれる。2個のヘテロ原子を含有する5員のヘテロアリール基の例には、限定されないが、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、およびイソチアゾリルが含まれる。3個のヘテロ原子を含有する5員のヘテロアリール基の例には、限定されないが、トリアゾリル、オキサジアゾリル(1,2,4-オキサジアゾリルなど)、およびチアジアゾリルが含まれる。4個のヘテロ原子を含有する5員のヘテロアリール基の例には、限定されないが、テトラゾリルが含まれる。1個のヘテロ原子を含有する6員のヘテロアリール基の例には、限定されないが、ピリジルが含まれる。2個のヘテロ原子を含有する6員のヘテロアリール基の例には、限定されないが、ピリダジニル、ピリミジニル、およびピラジニルが含まれる。3または4個のヘテロ原子を含有する6員のヘテロアリール基の例には、限定されないが、各々、トリアジニルおよびテトラジニルが含まれる。1個のヘテロ原子を含有する7員のヘテロアリール基の例には、限定されないが、アゼピニル、オキセピニル、およびチエピニルが含まれる。5,6-二環式ヘテロアリール基の例には、限定されないが、インドリル、イソインドリニル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイソフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、インドリジニルおよびプリニルが含まれる。6,6-二環式ヘテロアリール基の例には、限定されないが、ナフチリジニル、プテリジニル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キノキサリニル、フタラジニルおよびキナゾリニルが含まれる。ヘテロアリールは1または複数の置換基で、例えば、1~5個の置換基、1~3個の置換基または1個の置換基で置換され得る。
【0032】
代替となるヘテロアリール基の特定の例として、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル(4H-1,2,4-トリアゾリル、1H-1,2,3-トリアゾリル、2H-1,2,3-トリアゾリル、ピラニル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル(1,2,4-オキサゾリル、1,3,4-オキサゾリル、1,2,5-オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル(1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル)が挙げられる。
【0033】
「カルボニル」は、単独で、または他の用語と組み合わせて(例えば、アミノカルボニル)用いても、-C(O)-で表される。
【0034】
「オキソ」は=Oを表す。
【0035】
「チオキソ」は=Sを表す。
【0036】
本明細書において定義されるような、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールは、所望により置換されてもよい基である。
【0037】
炭素原子上の例示的な置換基には、限定されないが、ハロゲン、-CN、-NO、-N、-SOH、-SOH、-OH、-ORaa、-ON(Rbb、-N(Rbb、-N(Rbb 、-N(ORcc)Rbb、-SH、-SRaa、-SSRcc、-C(=O)Raa、-COH、-CHO、-C(ORcc、-COaa、-OC(=O)Raa、-OCOaa、-C(=O)N(Rbb、-OC(=O)N(Rbb、-NRbbC(=O)Raa、-NRbbCOaa、-NRbbC(=O)N(Rbb、-C(=NRbb)Raa、-C(=NRbb)ORaa、-OC(=NRbb)Raa、-OC(=NRbb)ORaa、-C(=NRbb)N(Rbb、-OC(=NRbb)N(Rbb、-NRbbC(=NRbb)N(Rbb、-C(=O)NRbbSOaa、-NRbbSOaa、-SON(Rbb、-SOaa、-SOORaa、-OSOaa、-S(=O)Raa、-OS(=O)Raa、-Si(Raa、-OSi(Raa、-C(=S)N(Rbb、-C(=O)SRaa、-C(=S)SRaa、-SC(=S)SRaa、-SC(=O)SRaa、-OC(=O)SRaa、-SC(=O)ORaa、-SC(=O)Raa、-P(=O)aa、-OP(=O)aa、-P(=O)(Raa、-OP(=O)(Raa、-OP(=O)(ORcc、-P(=O)N(Rbb、-OP(=O)N(Rbb、-P(=O)(NRbb、-OP(=O)(NRbb、-NRbbP(=O)(ORcc、-NRbbP(=O)(NRbb、-P(Rcc、-P(Rcc、-OP(Rcc、-OP(Rcc、-B(Raa、-B(ORcc、-BRaa(ORcc)、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールが含まれ、ここで該アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールの各々は、独立して、0、1、2、3、4または5個のRdd基で置換され;
【0038】
あるいは炭素原子上の2個のジェミナル水素は、=O、=S、=NN(Rbb、=NNRbbC(=O)Raa、=NNRbbC(=O)ORaa、=NNRbbS(=O)aa、=NRbbまたは=NORcc基と置き換えられ;
【0039】
aaの各々は、独立して、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールより選択されるか、または2個のRaa基が合わさってヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成し、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールの各々は、独立して、0、1、2、3、4または5個のRdd基で置換され;
【0040】
bbの各々は、独立して、水素、-OH、-ORaa、-N(Rcc、-CN、-C(=O)Raa、-C(=O)N(Rcc、-COaa、-SOaa、-C(=NRcc)ORaa、-C(=NRcc)N(Rcc、-SON(Rcc、-SOcc、-SOORcc、-SORaa、-C(=S)N(Rcc、-C(=O)SRcc、-C(=S)SRcc、-P(=O)aa、-P(=O)(Raa、-P(=O)N(Rcc、-P(=O)(NRcc、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールより選択されるか、または2個のRbb基が合わさってヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成し、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールの各々は、独立して、0、1、2、3、4または5個のRdd基で置換され;
【0041】
ccの各々は、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールより選択されるか、または2個のRcc基が合わさってヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成し、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールの各々は、独立して、0、1、2、3、4または5個のRdd基で置換され;
【0042】
ddの各々は、独立して、ハロゲン、-CN、-NO、-N、-SOH、-SOH、-OH、-ORee、-ON(Rff、-N(Rff、-N(Rff 、-N(ORee)Rff、-SH、-SRee、-SSRee、-C(=O)Ree、-COH、-COee、-OC(=O)Ree、-OCOee、-C(=O)N(Rff、-OC(=O)N(Rff、-NRffC(=O)Ree、-NRffCOee、-NRffC(=O)N(Rff、-C(=NRff)ORee、-OC(=NRff)Ree、-OC(=NRff)ORee、-C(=NRff)N(Rff、-OC(=NRff)N(Rff、-NRffC(=NRff)N(Rff、-NRffSOee、-SON(Rff、-SOee、-SOORee、-OSOee、-S(=O)Ree、-Si(Ree、-OSi(Ree、-C(=S)N(Rff、-C(=O)SRee、-C(=S)SRee、-SC(=S)SRee、-P(=O)ee、-P(=O)(Ree、-OP(=O)(Ree、-OP(=O)(ORee、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールより選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールの各々は、独立して、0、1、2、3、4または5個のRgg基で置換されるか、または2個のジェミナルRdd置換基は合わさって=Oまたは=Sを形成し得;
【0043】
eeの各々は、独立して、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールより選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールの各々は、独立して、0、1、2、3、4または5個のRgg基で置換され;
【0044】
ffの各々は、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールより選択されるか、または2個のRff基が合わさってヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成し、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールの各々は、独立して、0、1、2、3、4または5個のRgg基で置換され;
【0045】
ggの各々は、独立して、ハロゲン、-CN、-NO、-N、-SOH、-SOH、-OH、-OC1-6アルキル、-ON(C1-6アルキル)、-N(C1-6アルキル)、-N(C1-6アルキル) 、-NH(C1-6アルキル) 、-NH(C1-6アルキル)、-NH 、-N(OC1-6アルキル)(C1-6アルキル)、-N(OH)(C1-6アルキル)、-NH(OH)、-SH、-SC1-6アルキル、-SS(C1-6アルキル)、-C(=O)(C1-6アルキル)、-COH、-CO(C1-6アルキル)、-OC(=O)(C1-6アルキル)、-OCO(C1-6アルキル)、-C(=O)NH、-C(=O)N(C1-6アルキル)、-OC(=O)NH(C1-6アルキル)、-NHC(=O)(C1-6アルキル)、-N(C1-6アルキル)C(=O)(C1-6アルキル)、-NHCO(C1-6アルキル)、-NHC(=O)N(C1-6アルキル)、-NHC(=O)NH(C1-6アルキル)、-NHC(=O)NH、-C(=NH)O(C1-6アルキル)、-OC(=NH)(C1-6アルキル)、-OC(=NH)OC1-6アルキル、-C(=NH)N(C1-6アルキル)、-C(=NH)NH(C1-6アルキル)、-C(=NH)NH、-OC(=NH)N(C1-6アルキル)、-OC(NH)NH(C1-6アルキル)、-OC(NH)NH、-NHC(NH)N(C1-6アルキル)、-NHC(=NH)NH、-NHSO(C1-6アルキル)、-SON(C1-6アルキル)、-SONH(C1-6アルキル)、-SONH、-SO1-6アルキル、-SOOC1-6アルキル、-OSO1-6アルキル、-SOC1-6アルキル、-Si(C1-6アルキル)、-OSi(C1-6アルキル)、-C(=S)N(C1-6アルキル)、C(=S)NH(C1-6アルキル)、C(=S)NH、-C(=O)S(C1-6アルキル)、-C(=S)SC1-6アルキル、-SC(=S)SC1-6アルキル、-P(=O)(C1-6アルキル)、-P(=O)(C1-6アルキル)、-OP(=O)(C1-6アルキル)、-OP(=O)(OC1-6アルキル)、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cカルボシクリル、C-C10アリール、C-Cヘテロシクリル、およびC-C10ヘテロアリールより選択されるか;または2個のジェミナルRgg置換基が合わさって=Oまたは=Sを形成してもよく;ここでXはカウンターイオンである。
【0046】
窒素原子上の置換基の例には、限定されないが、水素、-OH、-ORaa、-N(Rcc、-CN、-C(=O)Raa、-C(=O)N(Rcc、-COaa、-SOaa、-C(=NRbb)Raa、-C(=NRcc)ORaa、-C(=NRcc)N(Rcc、-SON(Rcc、-SOcc、-SOORcc、-SORaa、-C(=S)N(Rcc、-C(=O)SRcc、-C(=S)SRcc、-P(=O)aa、-P(=O)(Raa、-P(=O)N(Rcc、-P(=O)(NRcc、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールが含まれるか、または窒素原子と結合した2個のRcc基が合わさってヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成し、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールの各々は、独立して、0、1、2、3、4または5個のRdd基で置換され、ここでRaa、Rbb、RccおよびRddは本明細書にて記載されるとおりである。
【0047】
他の定義
「がん」なる語は、限定されないが、乳房、卵巣、子宮頸部、前立腺、精巣、食道、胃、皮膚、肺、骨、結腸、膵臓、甲状腺、胆道、頬腔および咽頭(口)、唇、舌、口腔、咽頭、小腸、直腸、大腸、結腸のがん、脳および中枢神経系のがん、グリオブラストーマ、神経ブラストーマ、ケラトアカントーマ、表皮がん、大細胞がん、腺がん、腺腫、濾胞がん、未分化がん、乳頭がん、セミノーマ、メラノーマ、肉腫、膀胱がん、肝がん、腎がん、骨髄障害、リンパ障害、ホジキン病、ヘアリー細胞がんおよび白血病を包含する。
【0048】
本明細書で使用する「治療する」なる語は、その用語が適用される障害または症状、あるいはかかる障害または症状の1または複数の徴候を逆転すること、緩和すること、またはその進行を阻害すること、または予防することに関する。本明細書で使用する「治療」なる名詞は、動詞である治療する動作に関するものであり、その後者はまさに定義したとおりである。
【0049】
本明細書で使用する「医薬的に許容される塩」なる語は、信頼できる医学的判断の範囲内で患者の組織と接触するのに適しており、不適切な毒性、刺激、アレルギー等を生じさせない、本開示の化合物のそのカルボン酸塩およびアミノ酸付加塩をいう。それらは合理的な利益およびリスクの割合に見合ったものであり、その意図する使用に効果的である。該用語は、可能であるならば、開示の化合物の双性イオン形態を包含する。
【0050】
医薬的に許容される塩基付加塩は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物または有機アミンなどの、金属またはアミンを用いて形成される。カチオンとして使用される金属の例には、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等が含まれる。アミンの適切な例は、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミンおよびプロカインを包含する。
【0051】
酸性化合物の塩基付加塩は、遊離酸の形態を必要とされる十分な量の塩基と、従来の方法で接触させて塩を形成させることによって製造され得る。その遊離酸は、該塩の形態を酸と従来の方法にて接触させ、ついでその遊離酸を単離することによって再生され得る。遊離酸の形態は、極性溶媒での溶解性などのその物理特性において、それぞれの塩の形態と多少異なる。しかしながら、本開示の目的では、塩はやはりそれぞれのその遊離酸と等価である。
【0052】
塩は無機酸から製造することができ、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、クロリド、ブロミドおよびヨーダイドを包含する。酸の例には、塩酸、硝酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸等が含まれる。代表的な塩としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフタル酸塩、メタンスルホン酸塩、グルコヘプタン酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩、イセチオン酸塩等が挙げられる。塩は有機酸からも製造することができ、有機酸としては、脂肪族モノカルボン酸およびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカンジオ酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸等が挙げられる。代表的な塩には、酢酸塩、プロピオン酸塩、オクタン酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スべリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ナフトエ酸塩、ベシル酸塩、トシル酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩等が含まれる。医薬的に許容される塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等などのアルカリ金属およびアルカリ土類金属に基づくカチオン、ならびにアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン等を含むが、これらの限定されない、非毒性アンモニウム、四級アンモニウム、およびアミンカチオンを含み得る。アルギン酸塩、グルコン酸塩、ガラクツロン酸塩等などのアミノ酸の塩も包含される(例えば、参考までにBerge S. M.ら、「Pharmaceutical Salts」 J. Pharm. Sci., 1977;66:1-19を参照のこと)。
【0053】
本開示の化合物の医薬的に許容される非毒性のアミドの例には、C-Cアルキルエステルが含まれ、ここでそのアルキル基は直鎖であるか、または分岐している。許容されるエステルにはまた、C-Cシクロアルキルエステル、ならびにベンジルエステルなどのアリールアルキルエステルが含まれるが、これらに限定されない。C-Cアルキルエステルは代替となる。本開示の化合物のエステルは、従来の方法、例えば、March' s Advanced Organic Chemistry, 5 Edition, M. B. Smith & J. March, John Wiley & Sons, 2001に従って製造され得る。
【0054】
本開示の化合物の医薬的に許容される非毒性のアミドの例には、アンモニア、第一C-Cアルキルアミンおよび第二C-Cジアルキルアミンより誘導されるアミドが含まれ、ここで該アルキル基は直鎖であるか、または分岐している。第二アミンの場合には、該アミンはまた、1個の窒素原子を含有する5または6員のヘテロサイクルの形態であってもよい。アンモニア、C-Cアルキル第一アミンおよびC-Cジアルキル第二アミンより誘導されるアミドが代替となる。本開示の化合物のアミドは、従来の方法、例えば、March’s Advanced Organic Chemistry, 5 Edition, M. B. Smith & J. March, John Wiley & Sons, 2001に従って製造され得る。
【0055】
投与が計画される「対象」には、限定されないが、ヒト、例えば、あらゆる年代層の男性または女性、例えば、小児対象(例えば、乳児、子供、青年)または成人対象(例えば、若年、中年または高齢の成人)、および/または哺乳動物などのヒト以外の動物、例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、齧歯類、ネコおよび/またはイヌが挙げられる。いくつかの実施態様において、対象はヒトである。いくつかの実施態様において、対象はヒト以外の動物である。「ヒト」、「患者」および「対象」なる語は本明細書にて互換的に使用され得る。
【0056】
「疾患」、「障害」および「症状」は本明細書にて互換的に使用され得る。
【0057】
特記されない限り、本明細書で使用する「治療」なる語は、特定の疾患、障害または症状に罹患している対象に対する効果であって、該疾患、障害または症状の重篤度を軽減するか、または該疾患、障害または症状の進行を遅延または遅らせる効果(「療法的治療」)を包含する。該用語はまた、対象が特定の疾患、障害または症状に罹患し始める前に生じる効果(「予防的治療」)を包含する。
【0058】
一般に、化合物の「効果的な量」は、標的とする生物学的応答を引き出すのに十分な量をいう。当業者によって理解されるように、本開示の化合物の効果的な量は、次の所望の生物学的エンドポイント、該化合物の薬物動態、治療対象となる疾患、投与方法、ならびに対象の年齢、健康状態および徴候などの因子に応じて変化し得る。効果的な量には、治療的に効果的な量と、予防的に効果的な量が含まれる。
【0059】
特記されない限り、本明細書で使用する化合物の「治療的に効果的な量」は、疾患、障害または症状を治療する過程で治療上の利益を提供するのに、または該疾患、障害または症状をに付随する1または複数の徴候を遅らせるか、または最小限とするのに十分な量である。化合物の治療的に効果的な量は、単独で、または他の治療剤と組み合わせて用いた場合に、疾患、障害または症状を治療するにおいて治療上の利益を提供する、治療剤の量をいう。「治療的に効果的な量」なる語は、治療の全体を改善する量、疾患または症状の徴候または病因を軽減または回避させる量、あるいは他の治療剤の治療的効果を増強させる量を包含し得る。
【0060】
特記されない限り、本明細書で使用される、化合物の「予防的に効果的な量」は、疾患、障害または症状を防止するのに十分な量、または疾患、障害または症状に付随する1または複数の徴候を防止するのに十分な量、または疾患、障害または症状の再発を防止するのに十分な量である。化合物の予防的に効果的な量は、単独で、または他の治療剤と組み合わせて用いた場合に、疾患、障害または症状を防止するにおいて予防上の利益を提供する、治療剤の量をいう。「予防的に効果的な量」なる語は、治療の全体を改善する量、または他の治療剤の予防的効果を増強させる量を包含し得る。
【0061】
「組み合わせ」および関連する用語は、本開示の化合物と、他の治療剤とを同時にまたは連続的に投与することをいう。例えば、本開示の化合物は、他の治療剤と一緒に、別々の単位剤形にて同時にまたは連続して、あるいは他の治療剤と単一の単位剤形にて同時に投与され得る。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本明細書で使用される場合、「本明細書において開示される化合物」または「本開示の化合物」なる語は、以下の式(I)~(III)((I-1)、(II-2)、(III-3)等などの下位式を含む)の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物をいう。
【0063】
本開示において、化合物は標準的な命名法を用いて命名される。不斉中心のある化合物では、特記されない限り、すべての光学異性体およびその混合物が含まれると、理解すべきである。さらには、特に明記されない限り、本開示に含まれるすべての異性体化合物および炭素-炭素二重結合は、ZおよびEの形態で生じてもよい。異なる互変異性体の形態にて存在する化合物では、該化合物の1つは特定の互変異性体に限定されず、すべての互変異性体の形態をカバーするものとする。一般式は、説明および可変基を含め、特定の化合物に使用される。特記されない限り、かかる式中に含まれる各可変基は、各出現においていずれか1の可変基を独立して定義する、他のいずれの可変基、および複数の可変基とも独立して定義される。
【0064】
1の実施態様において、本開示は、一般式(I):
【化2】
[式中:
XはCRまたはNであり;
YはCRまたはNであり;
、R、R、RおよびRは、独立して、H、D、ハロゲン、C1-6アルキル、C2-6アルケニルおよびC2-6アルキニルから選択されるか、またはRとR、RとRとが連結して結合手、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレンまたはC2-6アルキニレンを形成し;ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
ここで、RはH、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SRまたはC1-6アルキルであり、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
YがCRである場合、RとRとは、それらの結合する原子と一緒になって、C3-5シクロアルキルまたは3~5員のヘテロシクリルを形成し、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
環AはC3-7シクロアルキル、4~7員のヘテロシクリル、C6-10アリールまたは5~10員のヘテロアリールであるか;または環Aは存在せず、それで1のRがLに連結されるか;もしくは(R-環A-L-さえも存在せず;
は、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NRR’、-OC(O)R’、-NRC(O)R’、-OC(O)NRR’、-NRC(O)NRR’、-S(O)R、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキルおよび3~8員のヘテロシクリルから選択され、その各々は、所望により、Rで置換されてもよく、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
mは0、1、2、3、4または5であり;
環Bは5ないし6員のヘテロアリールであり;
は、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NRR’、-OC(O)R’、-NRC(O)R’、-OC(O)NRR’、-NRC(O)NRR’、-S(O)R、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキルおよび3~8員のヘテロシクリルより選択され、その各々は、所望により、Rで置換されてもよく、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
nは0、1、2、3、4または5であり;
環CはC3-7シクロアルキル、4~7員のヘテロシクリル、C6-10アリールまたは5~10員のヘテロアリールであり;
Lは結合手、-O-、-S-、-N(R)-、-C(O)-、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレンまたはC2-6アルキニレンであり;
はH、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、C1-6アルキル、C2-6アルケニルまたはC2-6アルキニルであり、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
はH、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、C1-6アルキル、C2-6アルケニルまたはC2-6アルキニルであり、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
はH、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NRR’、-OC(O)R’、-NRC(O)R’、-OC(O)NRR’、-NRC(O)NRR’、-S(O)R、C3-7シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリル、C6-10アリールまたは5~10員のヘテロアリールであり、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
RおよびR’は、独立して、H、C1-6アルキル、C2-6アルケニルおよびC2-6アルキニルより選択されるか、またはRとR’とは、それらの結合する窒素原子と一緒になって、4~8員のヘテロシクリルを形成し;ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
pは1または2である]
で示される化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物に関する。
【0065】
XおよびY
特定の実施態様において、XはCRであり;もう一つ別の特定の実施態様において、XはCHであり;もう一つ別の特定の実施態様において、XはNである。
【0066】
特定の実施態様において、YはCRであり;もう一つ別の特定の実施態様において、YはNである。
【0067】
、R、R、RおよびR
特定の実施態様において、RはHであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RはDであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rはハロゲンで;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは(R)-C1-6アルキル、例えば(R)-メチルなどのC1-6アルキルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは(R)-C1-6ハロアルキルなどのC1-6ハロアルキルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RはC2-6アルケニルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RはC2-6アルキニルである。
【0068】
特定の実施態様において、RはHであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RはDであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rはハロゲンであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは(R)-C1-6アルキル、例えば(R)-メチルなどのC1-6アルキルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは(R)-C1-6ハロアルキルなどのC1-6ハロアルキルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RはC2-6アルケニルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RはC2-6アルキニルである。
【0069】
特定の実施態様において、RはHであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RはDであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rはハロゲンであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは、(R)-C1-6アルキル、例えば(R)-メチルなどのC1-6アルキルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは(R)-C1-6ハロアルキルなどのC1-6ハロアルキルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RはC2-6アルケニルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RはC2-6アルキニルである。
【0070】
特定の実施態様において、RはHであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RはDであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rはハロゲンであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは、(R)-C1-6アルキル、例えば(R)-メチルなどのC1-6アルキルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは、(R)-C1-6ハロアルキルなどのC1-6ハロアルキルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RはC2-6アルケニルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RはC2-6アルキニルである。
【0071】
特定の実施態様において、RはHであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RはDであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rはハロゲンであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは、(R)-C1-6アルキル、例えば(R)-メチルなどのC1-6アルキルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは、(R)-C1-6ハロアルキルなどのC1-6ハロアルキルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RはC2-6アルケニルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RはC2-6アルキニルである。
【0072】
もう一つ別の特定の実施態様において、RおよびRのうちの少なくとも1は、(R)-C1-6アルキル、例えば(R)-メチルなどのC1-6アルキルである。
【0073】
もう一つ別の特定の実施態様において、RとR、またはRとRとは連結して結合手を形成し;もう一つ別の特定の実施態様において、RとR、またはRとRとは連結して、メチレン、エチレンまたはプロピレンなどのC1-6アルキレンを形成し;もう一つ別の特定の実施態様において、RとR、またはRとRとは連結して、C2-6アルケニレンを形成し;もう一つ別の特定の実施態様において、RとR、またはRとRとは連結してC2-6アルキニレンを形成する。
【0074】
もう一つ別の特定の実施態様において、上記の基は、完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよい。
【0075】
もう一つ別の特定の実施態様において、YがCRである場合、RとRとは、それらの結合する原子と一緒になって、C3-5シクロアルキルを形成し;もう一つ別の特定の実施態様において、C3-5シクロアルキルはシクロプロピルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、C3-5シクロアルキルはシクロブチルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、C3-5シクロアルキルはシクロペンチルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、YがCRである場合、RとRとは、それらの結合する原子と一緒になって、3~5員のヘテロシクリルを形成し;もう一つ別の特定の実施態様において、3~5員のヘテロシクリルはオキシラニル、アジリジイルまたはチイラニルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、3~5員のヘテロシクリルはオキセタニル、アゼチジニルまたはチエタニルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、3~5員のヘテロシクリルはテトラヒドロフラニル、ピロリジニルまたはチオラニルである。もう一つ別の特定の実施態様において、C3-5シクロアルキルおよび3~5員のヘテロシクリルは完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよい。
【0076】
環A
特定の実施態様において、環Aは不在であり;もう一つ別の特定の実施態様において、環AはC3-7シクロアルキルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、環Aは4~7員のヘテロシクリルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、環AはC6-10アリールであり;もう一つ別の特定の実施態様において、環Aは5~10員のヘテロアリールである。
【0077】
もう一つ別の特定の実施態様において、環Aは5ないし6員のヘテロアリールである。もう一つ別の特定の実施態様において、環Aは4~7員のヘテロシクリルであり、あるいはまたピペラジニルおよびピペリジニルより選択される。
【0078】
もう一つ別の特定の実施態様において、環Aは
【化3】
より選択され、ここでAはCRa1またはNであり;AはCRa2またはNであり;AはCRa3またはNであり;AはCRa4またはNであり;AはCRa5またはNであり;Ra1、Ra2、Ra3、Ra4およびRa5はRについて上記されるとおりである。
【0079】
もう一つ別の特定の実施態様において、(R-環A-L-は、
【化4】
より選択される。
【0080】

特定の実施態様において、Rは、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NRR’、-OC(O)R’、-NRC(O)R’、-OC(O)NRR’、-NRC(O)NRR’、-S(O)R、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキルおよび3~8員のヘテロシクリルより選択され、その各々は、所望により、Rで置換されてもよく、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つはHであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つはDであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つはハロゲンであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは-CNであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは-NRR’であり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは-ORであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは-SRであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは-C(O)Rであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは-C(O)ORであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは-C(O)NRR’であり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは-OC(O)R’であり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは-NRC(O)R’であり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは-OC(O)NRR’であり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは-NRC(O)NRR’であり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは-S(O)Rであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つはC1-6アルキルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つはC2-6アルケニルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つはC2-6アルキニルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つはC3-7シクロアルキルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは3~8員のヘテロシクリルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは1、2または3個のRで置換されており;もう一つ別の特定の実施態様において、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよい。
【0081】
もう一つ別の特定の実施態様において、Rは、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NRR’、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニルおよびC2-6アルキニルより選択され、ここで該基は完全に置換されるまでは1または複数のDで置換されてもよい。
【0082】

特定の実施態様において、mは0であり;もう一つ別の特定の実施態様において、mは1であり;もう一つ別の特定の実施態様において、mは2であり;もう一つ別の特定の実施態様において、mは3であり;もう一つ別の特定の実施態様において、mは4であり;もう一つ別の特定の実施態様において、mは5である。
【0083】
環B
特定の実施態様において、環Bは、5ないし6員のヘテロアリール、例えばピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニルであるか;あるいはまた、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリルまたはピリジルであるか;あるいはまた、ピラゾリルである。
【0084】
【0085】
特定の実施態様において、Rは、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NRR’、-OC(O)R’、-NRC(O)R’、-OC(O)NRR’、-NRC(O)NRR’、-S(O)R、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキルおよび3~8員のヘテロシクリルより選択され、その各々は、所望により、Rで置換されてもよく、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つはHであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つはDであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つはハロゲンであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは-CNであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは-NRR’であり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは-ORであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは-SRであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは-C(O)Rであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは-C(O)ORであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは-C(O)NRR’であり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは-OC(O)R’であり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは-NRC(O)R’であり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは-OC(O)NRR’であり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは-NRC(O)NRR’であり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは-S(O)Rであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つはC1-6アルキルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つはC2-6アルケニルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つはC2-6アルキニルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つはC3-7シクロアルキルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは3~8員のヘテロシクリルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rの1つは1、2または3個のRで置換され;もう一つ別の特定の実施態様において、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよい。
【0086】
もう一つ別の特定の実施態様において、Rは、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、C1-6アルキルおよびC1-6ハロアルキルより選択され、その各々は、所望により、Rで置換されてもよい。
【0087】

特定の実施態様において、nは0であり;もう一つ別の特定の実施態様において、nは1であり;もう一つ別の特定の実施態様において、nは2であり;もう一つ別の特定の実施態様において、nは3であり;もう一つ別の特定の実施態様において、nは4であり;もう一つ別の特定の実施態様において、nは5である。
【0088】
環C
特定の実施態様において、環CはC3-7シクロアルキルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、環Cは4~7員のヘテロシクリルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、環CはC6-10アリールであり;もう一つ別の特定の実施態様において、環Cは5~10員のヘテロアリールである。
【0089】
もう一つ別の特定の実施態様において、環Cは5ないし6員のヘテロアリールまたはフェニルであるか;あるいはまた、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニルであるか;あるいはまた、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルまたはトリアゾリルであるか;あるいはまた、ピラゾリルである。
【0090】
もう一つ別の特定の実施態様において、環CはC3-7シクロアルキルまたは4~7員のヘテロシクリルであるか、あるいはまた、シクロペンチルまたはテトラヒドロピラニルである。
【0091】

特定の実施態様において、Lは結合手であり;もう一つ別の特定の実施態様において、Lは-O-であり;もう一つ別の特定の実施態様において、Lは-S-であり;もう一つ別の特定の実施態様において、Lは-N(R)-であり;もう一つ別の特定の実施態様において、Lは-C(O)-であり;もう一つ別の特定の実施態様において、LはC1-6アルキレンであり;もう一つ別の特定の実施態様において、LはC2-6アルケニレンであり;もう一つ別の特定の実施態様において、LはC2-6アルキニレンである。
【0092】
もう一つ別の特定の実施態様において、Lは結合手、-C(O)-またはC1-6アルキレンである。
【0093】

特定の実施態様において、RはHであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RはDであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rはハロゲンであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは-CNであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは-NRR’であり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは-ORであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは-SRであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RはC1-6アルキルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RはC2-6アルケニルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RはC2-6アルキニルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよい。
【0094】

特定の実施態様において、RはHであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RはDであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rはハロゲンであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは-CNであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは-NRR’であり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは-ORであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは-SRであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RはC1-6アルキルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RはC2-6アルケニルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RはC2-6アルキニルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよい。
【0095】

特定の実施態様において、RはHであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rはハロゲンであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは-CNであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは-NRR’であり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは-ORであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは-SRであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは-C(O)Rであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは-C(O)ORであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは-C(O)NRR’であり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは-OC(O)R’であり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは-NRC(O)R’であり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは-OC(O)NRR’であり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは-NRC(O)NRR’であり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは-S(O)Rであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RはC3-7シクロアルキルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは3~8員のヘテロシクリルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RはC6-10アリールであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは5~10員のヘテロアリールであり;もう一つ別の特定の実施態様において、Rは完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよい。
【0096】
RおよびR’
特定の実施態様において、RおよびR’は、独立して、Hであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RおよびR’は、独立して、C1-6アルキルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RおよびR’は、独立して、C2-6アルケニルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RおよびR’は、独立して、C2-6アルキニルであり;もう一つ別の特定の実施態様において、RとR’とは、それらの結合する窒素原子と一緒になって、4~8員のヘテロシクリルを形成し;もう一つ別の特定の実施態様において、RおよびR’は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよい。
【0097】

特定の実施態様において、pは1であり;もう一つ別の特定の実施態様において、pは2である。
【0098】
上記したいずれか1つの特定の実施態様におけるいずれの技術的解決法、またはそのいずれの組み合わせも、他の特定の実施態様におけるいずれの技術的解決法、またはそのいずれの組み合わせと組み合わされてもよい。例えば、Xのいずれの技術的解決方法、またはそのいずれの組み合わせも、Y、R-R、環A、環B、環C、R、R、R、m、n、p、RおよびR’のいずれの技術的解決法、またはそのいずれの組み合わせと組み合わされてもよい。本開示は、スペースを節約するために、本明細書にて網羅的に列挙されていない、かかる技術的解決法のあらゆる組み合わせを包含するものとする。
【0099】
より具体的な実施態様において、本開示は、次の一般的構造を有する一般式(I):
【化5】
[式中:各基はその文脈にて定義されるとおりである]
で示される化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物を提供する。
【0100】
より具体的な実施態様において、本開示は、一般式(I-1)または(I-2):
【化6】
[式中:
環CはC3-7シクロアルキルまたは4~7員のヘテロシクリルであるか;あるいはまた、シクロペンチルまたはテトラヒドロピラニルであり;
環Bはピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニルであるか;あるいはまた、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリルまたはピリジルであり;
は、あるいはまた、H、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、または-SRであり、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;あるいはまた、環Cが親核に結合するC原子上に位置付けられ;
他の基はその文脈にて定義されるとおりである]
で示される化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物を提供する。
【0101】
より具体的な実施態様において、本開示は、一般式(I-1):
【化7】
[式中:
環Cは5ないし6員のヘテロアリールまたはフェニルであるか;あるいはまた、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニルであるか;あるいはまた、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルまたはトリアゾリルであるか;あるいはまた、ピラゾリルであり;
他の基はその文脈にて定義されるとおりである]
で示される化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物を提供する。
【0102】
もう一つ別のさらに具体的な実施態様において、本開示は、上記の一般式(I-1)の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物であって、ここで
環Bがピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニルであるか;あるいはまた、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリルまたはピリジルであり;
他の基がその文脈にて定義されるとおりである、
化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物を提供する。
【0103】
より具体的な実施態様において、本開示は、一般式(II)または(II-1):
【化8】
[式中:
環Aは不在、C3-7シクロアルキルまたは4~7員のヘテロシクリルであり;
他の基はその文脈にて定義されるとおりである]
で示される化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物を提供する。
【0104】
もう一つ別のさらに具体的な実施態様において、本開示は、一般式(II)または(II-1)の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物であって、ここで
環Aが不在であるか、または4~7員のヘテロシクリルであるか;あるいはまた、ピペリジルまたはピペラジニルであり;
環Bがピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニルであるか;あるいはまた、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリルまたはピリジルであり;
Lが結合手、-O-、-S-、-N(R)-、-C(O)-またはC1-6アルキレンであり;
およびRが、独立して、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニルまたはC2-6アルキニルであり、ここで該基は、完全に重水素化されるまでは、1または複数のDで置換されてもよく;
他の基がその文脈にて定義されるとおりである、
化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物を提供する。
【0105】
より具体的な実施態様において、本開示は、一般式(III)または(III-1):
【化9】
[式中:
環Cは5ないし6員のヘテロアリールまたはフェニルであるか;あるいはまた、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニルであるか;あるいはまた、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルまたはトリアゾリルであるか;あるいはまた、ピラゾリルであり;
他の基はその文脈にて定義されるとおりである]
で示される化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物を提供する。
【0106】
もう一つ別のさらに具体的な実施態様において、本開示は、一般式(III)または(III-1)の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物であって、ここで
環Bがピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニルであるか;あるいはまた、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリルまたはピリジルであり;
他の基がその文脈にて定義されるとおりである、
化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物を提供する。
【0107】
より具体的な実施態様において、本開示は、一般式(III-2)または(III-3):
【化10】
[式中:
はCRa1またはNであり;AはCRa2またはNであり;AはCRa5またはNであり;
他の基はその文脈にて定義されるとおりである]
で示される化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物を提供する。
【0108】
もう一つ別のさらに具体的な実施態様において、本開示は、一般式(III-3)の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物であって、ここで
がCRa3またはNであり;
a1、Ra2、Ra3、Ra5、RおよびRが、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-OR、-SR、-NRR’、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NRR’またはC1-6アルキルであり、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
他の基がその文脈にて定義されるとおりである、
化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物を提供する。
【0109】
もう一つ別のさらに具体的な実施態様において、本開示は、一般式(III-3)の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物であって、ここで
がCRa3またはNであり;
a1、Ra2、Ra3およびRa5が、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-OH、-C(O)NH、C1-6アルキルおよびC1-6ハロアルキルより選択され、ここで該基は、完全に重水素化されるまでは、1または複数のDで置換されてもよく;
およびRが、独立して、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり、ここで該基が、完全に重水素化されるまでは、1または複数のDで置換されてもよい、
化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物を提供する。
【0110】
もう一つ別のさらに具体的な実施態様において、本開示は、一般式(III-3)の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物であって、ここで
がCRa3またはNであり;
a1がHまたはDであり;
a2がH、D、ハロゲン、-CN、-OH、-C(O)NH、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
a3がH、Dまたは-OHであり;
a5がHまたはDであり;
がC1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであるか;あるいはまた、メチルであり;
がC1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;あるいはまた、メチルである、
化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物を提供する。
【0111】
より具体的な実施態様において、本開示は、一般式(III-3):
【化11】
[式中:
はCRa3またはNであり;
a1、Ra2、Ra3、Ra5、RおよびRは、独立して、H、D、ハロゲン、-OR、-SR、-NRR’、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり、ここで該基は、完全に重水素化されるまでは、1または複数のDで置換されてもよく;
RおよびR’は、独立して、H、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニルおよびC2-6アルキニルより選択されるか、またはRとR’とは、それらの結合する窒素原子と一緒になって、4~8員のヘテロシクリルを形成し;ここで該基は、完全に重水素化されるまでは、1または複数のDで置換されてもよい]
で示される化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物を提供する。
【0112】
もう一つ別のさらに具体的な実施態様において、本開示は、一般式(III-3)の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物であって、ここで
がCRa3またはNであり;
a1、Ra2、Ra3およびRa5が、独立して、H、D、ハロゲン、-OH、C1-6アルキルおよびC1-6ハロアルキルから選択され、ここで該基は、完全に重水素化されるまでは、1または複数のDで置換されてもよく;
およびRが、独立して、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり、ここで該基が、完全に重水素化されるまでは、1または複数のDで置換されてもよい、
化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物を提供する。
【0113】
もう一つ別のさらに具体的な実施態様において、本開示は、一般式(III-3)の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物であって、ここで
がCRa3またはNであり;
a1がHまたはDであり;
a2がH、D、ハロゲン、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
a3がH、Dまたは-OHであり;
a5がHまたはDであり;
がC1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであるか;あるいはまた、メチルであり;
がC1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであるか;あるいはまた、メチルである、
化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物を提供する。
【0114】
より具体的な実施態様において、本開示は、一般式(III-4):
【化12】
[式中:
はCRa4またはNであり;
a1、Ra2、Ra4、Ra5、RおよびRは、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-OR、-SR、-NRR’、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NRR’またはC1-6アルキルであり、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
他の基はその文脈にて定義されるとおりである]
で示される化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物を提供する。
【0115】
もう一つ別のさらに具体的な実施態様において、本開示は、一般式(III-4)の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物であって、ここで
がCRa4またはNであり;
a1、Ra2、Ra4およびRa5が、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-OH、-C(O)NH、C1-6アルキルおよびC1-6ハロアルキルから選択され、ここで該基が、完全に重水素化されるまでは、1または複数のDで置換されてもよく;
およびRが、独立して、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり、ここで該基が、完全に重水素化されるまでは、1または複数のDで置換されてもよい、
化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物を提供する。
【0116】
もう一つ別のさらに具体的な実施態様において、本開示は、一般式(III-4)の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物であって、ここで
がCRa4またはNであり;
a1がH、Dまたはハロゲンであり;
a2がH、D、ハロゲン、-CN、-OH、-C(O)NH、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
a4がH、Dまたは-OHであり;
a5がHまたはDであり;
がC1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであるか;あるいはまた、メチルであり;
がC1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであるか;あるいはまた、メチルである、
化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物を提供する。
【0117】
本開示の代替となる化合物が、限定されるものではないが、下記に列挙される化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物である:
【化13】
【化14】
【0118】
本開示の化合物は1または複数の不斉中心を含んでもよく、かくして種々の立体異性体の形態、例えば、エナンチオマーおよび/またはジアステレオマーで存在してもよい。例えば、本開示の化合物は個々のエナンチオマー、ジアステレオマーまたは幾何異性体(例えば、シスおよびトランス異性体)の形態であってもよく、あるいはラセミ混合物および1または複数の立体異性体に富む混合物を含む、立体異性体の混合物の形態であってもよい。異性体は、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)ならびにキラル塩の形成および結晶化を含む、当業者に既知の方法によって、その混合物より分離され得るし;あるいはまた、不斉合成によっても製造され得る。
【0119】
有機化合物は、それらが反応する溶媒と複合体を形成し得ること、あるいは溶媒からそれらが沈殿し、または結晶化することは当業者であれば理解するであろう。これらの複合体は「溶媒和物」として知られる。溶媒が水である場合、該複合体は「水和物」として知られる。本開示は本開示の化合物のすべての溶媒和物を包含する。
【0120】
「溶媒和物」なる語は、通常、加溶媒分解反応によって、溶媒と会合している、化合物またはその塩の形態をいう。この物理的結合は水素結合を含んでもよい。従来の溶媒には、水、メタノール、エタノール、酢酸、DMSO、THF、ジエチルエーテル等が含まれる。本明細書にて記載される化合物は、例えば、結晶の形態で製造され得、溶媒和され得る。適切な溶媒和物として、医薬的に許容される溶媒和物が挙げられ、化学量論量の溶媒和物および非化学量論量の溶媒和物の両方をさらに包含する。場合によっては、溶媒和物は、例えば、1または複数の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれる場合に、単離能を有するであろう。「溶媒和物」は溶液相と単離可能な溶媒和物の両方を含む。代表的な溶媒和物には、水和物、エタノール和物およびメタノール和物が含まれる。
【0121】
「水和物」なる語は水と結合している化合物をいう。一般に、化合物の水和物に含有される水分子の数は、水和物中の化合物の分子の数に対して一定の割合にある。従って、化合物の水和物は、例えば、一般式 R・xHO(式中、Rは化合物であり、xは0より大きい数である)で表され得る。所定の化合物は、例えば、一水和物(xは1である)、低級水和物(xは0より大きく、1より小さい数であり、例えば半水和物(R・0.5HO)である)および多水和物(xは1より大きい数であり、例えば、2水和物(R・2HO)および6水和物(R・6HO)である)を含め、複数の型の水和物を形成し得る。
【0122】
本開示の化合物は非晶質であっても、結晶形態(多形体)であってもよい。さらには、本開示の化合物は1または複数の結晶形態で存在してもよい。従って、本開示は、本開示の化合物のあらゆる非晶質または結晶形態を、その範囲内に含む。「多形体」なる語は、特定の結晶充填配置の化合物(またはその塩、水和物または溶媒和物)の結晶形態をいう。多形体はすべて同じ元素組成を有する。異なる結晶形態は、一般に、X線回折パターン、赤外線スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光学および電気特性、安定性および溶解度が異なる。再結晶化溶媒、結晶化速度、貯蔵温度、および他の因子が、一の結晶形態を支配的とする原因となる可能性がある。化合物の様々な多形体が異なる条件下での結晶化により製造され得る。
【0123】
本開示はまた、式(I)で示される化合物と同等であるが、1または複数原子が、自然界で一般的である原子の原子量または質量数と異なる原子量等を有する原子と置き換えられている、同位体で標識されている化合物も含む。本開示の化合物に導入され得る同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素および塩素の同位体、例えば、個々にH、H、13C、11C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clが含まれる。上記した同位体および/または他の原子の他の同位体を含む本開示の化合物、そのプロドラッグ、および該化合物またはプロドラッグの医薬的に許容される塩はすべて、本開示の範囲内にある。本開示の特定の同位体標識の化合物、例えば、放射性同位体(例えば、Hおよび14C)を組み込んだ化合物は、組織中での薬物および/または基質の分布を測定するのに使用され得る。Hであるトリチウム、および14C同位体である炭素-14がさらに代替となる。というのも、それらは製造および検出が容易だからである。さらには、Hである、重水素などのより重い同位体と置き換えられると、インビボでの半減期が延びるか、または必要な投与量が減少するなどの代謝安定性が高くなるため、治療的利益が得られる可能性があり、かくしてある場合には代替となり得る。本開示の式(I)の同位体標識の化合物およびそのプロドラッグは、以下のスキームおよび/または実施例および調製例にて開示される操作において、非同位体標識の試薬の代わりに容易に利用可能な同位体標識の試薬を用いることにより、一般に製造され得る。
【0124】
加えて、プロドラッグもまた、本開示の文脈内に含まれる。本明細書で使用されるような「プロドラッグ」なる語は、例えば、血中にて加水分解されることによってインビボにて医療効果を有する活性な形態に変換される化合物をいう。医薬的に許容されるプロドラッグは、T. HiguchiおよびV. Stella、Prodrugs as Novel Delivery Systems, A.C.S. Symposium Series, Vol. 14, Edward B. Roche編, Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987、およびD. Fleisher、S. RamonおよびH. Barbra 「Improved oral drug delivery:solubility limitations overcome by the use of prodrugs」、Advanced Drug Delivery Reviews(1996) 19 (2) 115-130(その各々が出典明示により本明細書の一部とされる)に記載される。
【0125】
プロドラッグは、該プロドラッグが患者に投与されると、インビボにて親化合物を放出する、本開示の共有結合したいずれかの化合物である。プロドラッグは、典型的には、親化合物を生成するように修飾がルーチン操作によって切断されるか、またはインビボにて分解され得るかのいずれかであるように、官能基を修飾することで製造される。プロドラッグには、例えば、ヒドロキシル、アミノまたはスルフヒドリル基が任意の基に結合しており、患者に投与された場合に切断されて、そのヒドロキシル、アミノまたはスルフヒドリル基を形成する、本開示の化合物が含まれる。かくして、プロドラッグの代表例には、(限定されないが)式(I)の化合物のヒドロキシル、アミノまたはスルフヒドリル官能基のアセテート/アセトアミド、ホルメート/ホルムアミドおよびベンゾエート/ベンズアミド誘導体が含まれる。さらには、カルボン酸(-COOH)の場合、メチルエステルおよびエチルエステル等などのエステルが利用され得る。エステル自体がそれ自体活性であってもよく、および/または体内のインビボの条件下で加水分解可能であってもよい。適切な医薬的に許容されるインビボにて加水分解可能なエステル基には、人体で容易に分解して親化合物またはその塩を放出し得る、それらの基が含まれる。
【0126】
本開示はまた、治療的に効果的な量の式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩、およびそれらの医薬的に許容される担体、希釈体または賦形剤を含む、医薬製剤を提供する。これらの形態はすべて本開示に属する。
【0127】
医薬組成物、製剤およびキット
もう一つ別の態様では、本開示は、本開示の化合物(「活性成分」とも称される)および医薬的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。特定の実施態様では、医薬組成物は効果的な量の本開示の化合物を含む。特定の実施態様では、医薬組成物は治療的に効果的な量の本開示の化合物を含む。特定の実施態様では、医薬組成物は予防的に効果的な量の本開示の化合物を含む。
【0128】
本開示にて用いるための医薬的に許容される賦形剤とは、一緒に配合される化合物の薬理活性を破壊しない、非毒性の担体、アジュバントまたはビヒクルをいう。本開示の組成物に使用され得る医薬的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルには、限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(リン酸塩など)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリドの混合物、水、塩または電解質(硫酸プロタミンなど)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、シリカゲル、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系材料、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよびラノリンが含まれる。
【0129】
本開示はまた、キット(例えば、医薬パック)を包含する。提供されるキットは、本明細書において開示される化合物、他の治療剤、ならびに本明細書に開示の化合物または他の治療剤を含有する第1および第2容器(例えば、バイアル、アンプル、ボトル、シリンジ、および/または分散性パッケージまたは他の材料)を含んでもよい。いくつかの実施態様では、提供されるキットはまた、本明細書にて開示される化合物および/または他の治療剤を希釈するか、または懸濁させるための医薬的に許容される賦形剤を含有する第3容器を所望により含み得る。いくつかの実施態様では、第1容器にて提供される本明細書に開示の化合物および第2容器にて提供される他の治療剤を組み合わせて単位剤形を形成する。
【0130】
投与
本開示によって提供される医薬組成物は、限定されないが、経口投与、非経口投与、吸入投与、局所投与、経直腸投与、経鼻腔投与、口腔投与、経膣投与、インプラントによる投与または他の投与手段を含む、種々の経路によって投与され得る。例えば、本明細書で使用される非経口投与には、皮下投与、皮内投与、静脈内投与、筋肉内投与、関節内投与、動脈内投与、関節滑液嚢内投与、胸骨内投与、脳室内投与、病巣内投与、および頭蓋内注射または注入技法が含まれる。
【0131】
一般に、本明細書にて提供される化合物は効果的な量で投与される。実際に投与される化合物の量は、典型的には、治療すべき症状、選択した投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重および応答、患者の徴候の重篤度等を含む関連する状況を考慮して、医者が決めるであろう。
【0132】
本明細書にて開示される障害を予防するのに使用する場合、本明細書にて提供される化合物は、その症状を発症する危険のある対象に、典型的には医者の助言および監督下で、上記した投与量のレベルで投与されるであろう。特定の症状を発症する危険のある対象には、一般に、その症状の家族歴のある者、または遺伝的検査またはスクリーニングによって該症状を特に発症し易いと同定された者が含まれる。
【0133】
本明細書にて提供される医薬組成物はまた、慢性的に投与(「慢性投与」)され得る。慢性投与は、化合物またはその医薬組成物を長期間にわたって、例えば、3カ月、6カ月、1年、2年、3年、5年等にわたって投与することをいい、あるいは、例えば、患者の残りの人生にわたって制限なく続けられてもよい。特定の実施態様では、慢性投与は、化合物の一定の血中レベルを、例えば、長期間にわたって治療濃度域の範囲内で提供するものとする。
【0134】
本開示の医薬組成物は種々の投与方法を用いてさらに送達されてもよい。例えば、特定の実施態様では、医薬組成物は、例えば、化合物の血中濃度を効果的なレベルにまで高めるために、ボーラスで投与されてもよい。ボーラス投与の配置は体全体を通して望まれる活性成分の全身レベルに依存しており、例えば、筋肉内または皮下ボーラス投与では活性成分の遅い放出を可能とし、一方で静脈に直接送達されるボーラス(例えば、IV点滴を介するボーラス)は、活性成分の血中濃度を効果的なレベルまで迅速に高める、はるかに速い送達を可能とする。他の実施態様では、医薬組成物は、活性成分の対象の体内における濃度を定常状態に維持するために、連続注入で、例えば、IV点滴により投与されてもよい。さらには、さらに別の実施態様において、医薬組成物は、最初にボーラス投与で投与され、つづいて連続注入で投与されてもよい。
【0135】
経口投与用の組成物は、バルク液体溶液または懸濁液、あるいはバルク散剤の形態を取ることができる。しかしながら、より一般的には、該組成物は、正確な用量の投与を容易にするのに単位剤形にて服用される。「単位剤形」なる語は、ヒト対象および他の哺乳動物の単位投与量として適する物理的に別々の単位をいい、各単位は、適切な医薬賦形剤と合わさって、所望の治療効果を生じさせるように計算された所定の量の活性材料を含有する。典型的な単位剤形には、液体組成物の予め充填された、予め測定されたアンプルまたはシリンジ、あるいは固体組成物ではピル、錠剤、カプセル等が含まれる。かかる組成物において、該化合物は、通常、マイナーな成分(約0.1~約50重量%、あるいはまた約1~約40重量%)であり、残りは所望の剤形を形成するのに役立つ、様々なビヒクルまたは賦形剤および加工助剤である。
【0136】
経口投与の場合、1日に付き1~5回、特に2~4回、典型的には3回の経口投与が代表的な投与計画である。これらの投与パターンを用いると、各投与で約0.01~約20mg/kgの本明細書で提供される化合物を付与し、代替となる投与では、各々、約0.1~約10mg/kg、特に約1~約5mg/kgの化合物を付与する。
【0137】
経皮の用量は、一般に、注射による投与を用いて達成されるのと同等またはそれよりも低い血中濃度を提供するように選択され、一般に、約0.01~約20重量%、あるいはまた約0.1~約20重量%、あるいはまた約0.1~約10重量%、さらにあるいはまた約0.5~約15重量%の範囲にある量である。
【0138】
注射の用量レベルは、約0.1mg/kg/時間~少なくとも10mg/kg/時間の範囲にあり、その投与時間はすべて約1~約120時間、特に24~96時間である。また、約0.1mg/kg~約10mg/kgまたはそれ以上のプレローディングされたボーラスを投与し、適切な定常状態のレベルを達成してもよい。総用量の最大値は40~80kgの患者で約2g/日を超えないものと考えられる。
【0139】
経口投与に適する液体形態には、バッファー、沈殿防止剤および分注剤、着色剤、香料等を含む適切な水性または非水性ビヒクルが含まれ得る。固体形態には、例えば、以下の成分:微結晶セルロース、トラガカントガムまたはゼラチンなどの結合剤;澱粉またはラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、プリモゲル、トウモロコシ澱粉などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;コロイド性二酸化ケイ素などの滑剤;シュークロースまたはサッカリンなどの甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ香料などの香味剤のいずれか、または同様の特性を有する化合物が含まれ得る。
【0140】
注射用組成物は、典型的には、注射用滅菌セイラインまたはリン酸緩衝セイラインあるいは当該分野にて公知の他の注射用賦形剤に基づくものである。上記されるように、かかる組成物中の活性な化合物は、典型的には、マイナーな成分であり、しばしば、約0.05~10重量%であり、残りは注射用賦形剤等である。
【0141】
経皮組成物は、典型的には、活性成分を含有する局所軟膏またはクリームとして製剤化される。軟膏として製剤化される場合、活性成分は、典型的には、パラフィン系または水混和性軟膏基剤のいずれかと組み合わされるであろう。別法として、活性成分は、例えば水中油型クリーム基剤を用いてクリームに処方されてもよい。かかる経皮用製剤は当該分野にて周知であり、一般に、活性成分または製剤の安定性の経皮浸透性を高めるために添加成分を含む。そのような既知の経皮製剤および成分はすべて、本明細書にて提供される範囲に含まれる。
【0142】
本明細書で提供される化合物は経皮装置によっても投与され得る。従って、経皮投与は、リザバーまたは多孔性膜型の、または種々の固体マトリックスのいずれかのパッチを用いて達成され得る。
【0143】
経口投与可能な、注射可能な、または局所投与可能な組成物のための上記される成分は、代表的なものに過ぎない。他の材料ならびに加工技術等は、Remington’s Pharmaceutical SciencesのPart 8, 第17版, 1985、Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvaniaに記載されており、それを出典明示により本明細書の一部とする。
【0144】
本開示の化合物はまた、徐放性形態にて、または徐放性薬物送達システムから投与され得る。代表的な徐放性材料は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesの記載から見出すことができる。
【0145】
本開示はまた、本開示の化合物の医薬的に許容される製剤に関する。1の実施態様において、該製剤は水を含む。もう一つ別の実施態様において、該製剤はシクロデキストリン誘導体を含む。最も一般的なシクロデキストリンは、各々、6、7および8個のα-1,4-結合グルコース単位からなるα-、β-およびγ-シクロデキストリンであり、所望により、結合した糖部分に1または複数の置換基を含んでもよく、これには、限定されないが、メチル化、ヒドロキシアルキル化、アシル化、およびスルホアルキルエーテル置換が含まれる。特定の実施態様では、シクロデキストリンはスルホアルキルエーテル β-シクロデキストリン、例えば、スルホブチルエーテル β-シクロデキストリン(カプチソールとしても知られる)である。例えば、米国特許第5,376,645号を参照のこと。特定の実施態様では、該製剤はヘキサプロピル-β-シクロデキストリン(例えば、水中10-50%)を含む。
【0146】
治療
本明細書で説明されるように、ATRキナーゼが腫瘍形成ならびに他の多くの疾患にて役割を有することが知られている。本発明者らは式(I)の化合物が、ATRキナーゼを阻害することによって得られると考えられる強力な抗腫瘍活性を有することを見出した。
【0147】
本開示の化合物は抗腫瘍剤としての価値がある。特に、本開示の化合物は、固体および/または液体腫瘍疾患を封じ込め、および/または治療する際の抗増殖剤、アポトーシス剤および/または抗侵襲剤としての価値がある。特に、本開示の化合物は、ATRの阻害に感受的である、それらの腫瘍の予防または治療において有用であると考えられる。さらには、本開示の化合物は、ATRが単独でまたは一部で介在する、それらの腫瘍の予防または治療において有用であると考えられる。かくして、該化合物は、そのような治療を必要とする温血動物においてATR酵素阻害作用を惹起するために使用されてもよい。
【0148】
本明細書で示されるように、ATRキナーゼの阻害剤は、がんなどの増殖性疾患、特にがん腫および肉腫などの充実性腫瘍、および白血病およびリンパ性悪性腫瘍の治療に、特に乳房、結腸直腸、肺(小細胞肺がん、非小細胞肺がんおよび気管支肺胞がんを含む)および前立腺のがん、および胆管、骨、膀胱、頭頚部、腎臓、肝臓、胃腸組織、食道、卵巣、膵臓、皮膚、精巣、甲状腺、子宮、子宮頸および外陰のがん、ならびに白血病[急性リンパ性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)および急性骨髄性白血病(AML)等を含む]、多発性骨髄腫およびリンパ腫を治療するための治療価値があるはずである。
【0149】
従って、患者のがんを治療するのに有用である抗がん作用には、限定されないが、抗腫瘍作用、奏効率、疾患進行までの時間、生存率の向上が含まれる。本開示の治療方法の抗腫瘍作用には、限定されないが、腫瘍増殖の阻害、腫瘍増殖の遅れ、腫瘍の退行、腫瘍の縮小、治療を中止した際に腫瘍が再増殖するまでの時間の増加、疾患進行の遅さが含まれる。抗がん作用は予防的治療ならびに現存する疾患の治療を包含する。
【0150】
ATRキナーゼ阻害剤またはその医薬的に許容される塩はまた、限定されないが、白血病、多発性骨髄腫、ホジキン病などのリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(マントル細胞リンパ腫を含む)、および骨髄異形成症候群などの血液悪性腫瘍、ならびにまた、乳がん、肺がん(非小細胞肺がん(NSCL)、小細胞肺がん(SCLC)、扁平上皮がん)、子宮内膜がん、神経膠腫、異形成神経上皮腫瘍、多形膠芽腫、混合神経膠腫、髄芽腫、網膜芽腫、神経芽腫、胚腫および奇形腫などの中枢神経系の腫瘍、胃がん、食道がん、肝細胞(肝臓)がん、胆管がん、結腸直腸がん、小腸がんなどの消化管のがん、膵臓がん、メラノーマ(特に転移性メラノーマ)などの皮膚がん、甲状腺がん、頭頚部がん、および唾液腺、前立腺、精巣、卵巣、子宮頸部、子宮、陰核部、膀胱、腎臓(腎細胞がん、淡明細胞がんおよび腎膨大細胞腫を含む)、扁平上皮がん、骨肉腫、軟骨肉腫、平滑筋肉腫、軟組織肉腫、ユーイング肉腫、消化管間質肉腫(GIST)、カポジ肉腫、ならびに横紋筋肉腫および神経芽腫などの小児がん等の充実性腫瘍およびその転移を含む、がんの患者を治療するのにも有用であり得る。
【0151】
本開示の化合物、およびATRキナーゼ阻害剤またはその医薬的に許容される塩の投与または使用を含む治療方法は、肺がん、前立腺がん、メラノーマ、卵巣がん、乳がん、子宮内膜がん、腎臓がん、胃がん、肉腫、頭頚部がん、中枢神経系腫瘍、およびそれらの転移の患者の治療に、また急性骨髄性白血病の患者の治療にも、特に有用であると考えられる。
【0152】
本開示の化合物の効果的な用量は、通常、単回または複数回の投与にて、平均日用量で患者の体重1kgに付き、0.01mg~50mgの化合物、あるいはまた患者の体重1kgに付き、0.1mg~25mgの化合物の用量である。一般に、本開示の化合物は、この治療を必要とする患者に、患者当たり約1mg~約3500mgの範囲、あるいはまた10mg~1000mgの範囲の日用量で投与され得る。例えば、患者当たりの日用量は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、500、600、700、800、900または1000mgであり得る。それは、1日に1回または複数回、毎週(または数日間隔で)、あるいは間欠スケジュールで投与され得る。例えば、週単位で(例えば、月曜毎に)、該化合物は、1日に1回または複数回、変動的には数週間、例えば4~10週間にわたって投与され得る。あるいは、該化合物を、数日間(例えば、2~10日間)にわたって毎日投与し、ついで数日間(例えば、1~30日間)は該化合物を投与せず、そのサイクルを恣意的に繰り返すか、または所定の回数、例えば、4~10サイクル繰り返す。例えば、本開示の化合物は、5日間毎日投与され、ついで9日間中断し、次に5日間投与され、ついで9日間中断するなどで投与され、そのサイクルを恣意的に繰り返すか、または合計で4~10回繰り返すことができる。
【0153】
併用療法
本明細書で定義される治療は単独療法として適用されてもよく、または本開示の化合物に加えて、従来の手術または放射線療法もしくは化学療法を含んでもよい。従って、本開示の化合物はまた、がんの治療用の既存する治療剤と組み合わせて使用され得る。
【0154】
組み合わせて使用されるのに適する薬剤には、
(i)アルキル化剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、窒素マスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、およびニトロソ尿素)などの腫瘍内科にて使用されるような、抗増殖/抗腫瘍薬およびその組み合わせ;抗代謝薬(例えば、5-フルオロウラシルおよびテガフールのようなフルオロピリミジン、ラルチトレキセド、メトトレキセート、シトシンアラビノシド、ヒドロキシ尿素およびゲムシタビンなどの抗葉酸剤);抗腫瘍抗生物質(例えば、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン-C、ダクチノマイシンおよびミスラマイシンのようなアントラサイクリン剤);抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、およびビノレルビンのようなビンカアルカロイド、ならびにパクリタキセルおよびタキソテールのようなタキソイド);トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシドおよびテニポシドのようなエピポドフィロトキシン、アンサクリン、トポテカンおよびカンプトテシン);およびDNA損傷修復阻害剤(例えば、ルカパリブおよびニラパリブなどのオラパリブ);
【0155】
(ii)細胞増殖抑制剤、例えば、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェンおよびヨードキシフェン)、エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(例えば、フルベストラント)、抗アンドロゲン(例えば、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミドおよび酢酸シプロテロン)、LHRHアンタゴニストまたはLHRHアゴニスト(例えば、ゴセレリン、リュープロレリンおよびブセレリン)、プロゲストゲン(例えば、酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、レトロゾール、ボラゾールおよびエキセメスタン)、およびフィナステリドなどの5α-レダクターゼ阻害剤;
【0156】
(iii) 抗浸潤剤(例えば、AZD0530およびダサチニブのようなc-Srcキナーゼファミリー阻害剤)、およびマリマスタットのようなメタロプロテイナーゼ阻害剤およびウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子受容体の機能の阻害剤;
【0157】
(iv)成長因子の機能の阻害剤:例えば、そのような阻害剤には、成長因子抗体および成長因子受容体抗体(例えば、抗-erbB2抗体 トラスツズマブ[ハーセプチン(Herceptin)(登録商標)]および抗-erbBl抗体 セツキシマブ[C25])が含まれる;かかる阻害剤はまた、例えば、チロシンキナーゼ阻害剤、例えば上皮成長因子ファミリーの阻害剤(例えば、ゲフィチニブ、エルロチニブおよびCI 1033などのEGFRファミリー チロシンキナーゼ阻害剤;およびラパチニブなどのerbB2 チロシンキナーゼ阻害剤)、肝細胞成長因子ファミリーの阻害剤;イマチニブなどの血小板由来成長因子ファミリーの阻害剤、セリン/スレオニンキナーゼの阻害剤(例えば、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤などのRas/Rafシグナル伝達阻害剤、例えば、ソラフェニブ(BAY 43-9006))、およびMEKおよび/またはAktキナーゼを介する細胞シグナル伝達の阻害剤が含まれる;
【0158】
(v)血管内皮成長因子の作用を阻害する剤、例えば、抗血管内皮細胞成長因子抗体 ベバシズマブ(アバスチン(Avastin)(登録商標))およびZD6474、AZD2171、バタラニブおよびスニチニブなどのVEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤、ならびに他の作用機序によって働く化合物(例えば、リノミド、インテグラルαvβ3機能の阻害剤、およびアンギオスタチン)などの抗血管形成剤;
【0159】
(vi)コンブレタスタチンなどの血管損傷剤;
【0160】
(vii)アンチセンス治療剤、例えば、ISIS 2503などの上記に列挙した標的に向けられる治療剤;
【0161】
(viii)異常p53または異常BRCAlまたはBRCA2などの異常遺伝子を置き換える方法、シトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼまたは細菌ニトロレダクターゼ酵素を用いる方法などのGDEPT方法(遺伝子指向性酵素プロドラッグ療法)、および多剤耐性遺伝子療法などの化学療法または放射線療法に対して患者の耐性を高める方法を含む、遺伝子療法;および
【0162】
(ix)インターロイキン2、インターロイキン4または顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子などのサイトカインを用いるトランスフェクションなどの、患者の腫瘍細胞の免疫原性を高めるエクスビボおよびインビボでの方法、T細胞アネルギーを減らす方法、サイトカイン導入性樹状細胞などのトランスフェクト免疫細胞を用いる方法、サイトカイン導入性腫瘍細胞株を用いる方法、および抗イディオ型抗体を用いる方法を含む、免疫治療方法
が含まれる。
【0163】
実施例
本明細書で使用される材料または試薬は市販されているか、または当該分野にて一般的に知られている合成方法により製造される。以下の反応経路は本開示の化合物の特定の合成方法を例示する。
【0164】
詳細は次のとおりである:
重要な中間体a1-a4の製造:
【化15】
【0165】
原料 5,7-ジクロロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン a1-1(53.2ミリモル、10g)を30mLの1N NaOH水溶液に溶かした。混合物を90℃に加熱し、0.5時間反応させた。反応を停止させた。混合物を室温にまで冷却し、1N塩酸溶液をゆっくりと添加し、pHを7に調整した。該混合物をジクロロメタンで抽出し、無水NaSO上で乾燥させ、中間体 a1-2(9g、定量的収率)を得た。LC-MS:[M+H]:170
【0166】
中間体 a1-2(47.3ミリモル、8g)および(R)-2-メチルモルホリン(94.6ミリモル、9.56g)をマイクロ波用反応フラスコに加え、30mLのN-メチル-ピロリドン NMPを添加することで溶解させた。次に該混合物をマイクロ波で190℃に加熱し、6時間反応させた。反応を停止させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーに付して分離し、中間体 a1-3(6.4g、収率:58%)を得た。LC-MS:[M+H]:235
【0167】
反応フラスコに、中間体 a1-3(27.4ミリモル、6.4g)およびトリエチルアミン(54.8ミリモル、5.55g)を加え、該混合物を20mLのオキシ塩化リンを用いて溶解させた。該混合物を80℃に加熱し、2時間撹拌した。反応を停止させた。該反応混合物を100mLの氷水をゆっくりと添加することでクエンチさせ、次に該混合物を1N NaOH水溶液を滴下して加えることでpHを8に調整した。該混合物をジクロロメタンで抽出し、無水NaSOで乾燥させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーに付して分離し、中間体 a1(4.4g、収率:64%)を得た。LC-MS:[M+H]:253
【化16】
【0168】
中間体a1(15.9ミリモル、4.0g)および中間体 3,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-ボロン酸ピナコールエステル a2-1(24.0ミリモル、5.3g)を50mLの1,4-ジオキサンと水との混合液(v/v:9/1)に窒素下で溶かした。炭酸ナトリウム(32ミリモル、3.39g)およびPd(dppf)Cl(1.6ミリモル、1.17g)を加え、該混合物を加熱して還流させ、10時間反応させた。反応を停止させた。該混合物を濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。該残渣に、50mLの水を添加した。該混合物を酢酸エチルで抽出し、フラッシュカラムクロマトグラフィーに付して分離し、中間体 a2(3.2g、収率:65%)を得た。LC-MS:[M+H]:313
【化17】
【0169】
中間体a2(10.25ミリモル、3.2g)を氷浴中にて15mLの無水ジクロロメタンに溶かし、N-ブロモスクシンイミド NBS(10.3ミリモル、1.8g)をバッチにてゆっくりと添加した。該混合物をさらに2時間撹拌した。反応を停止させ、50mLの塩化アンモニウム飽和水溶液を添加した。該混合物をジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーに付して分離し、中間体 a3-1(3.9g、収率:98%)を得た。LC-MS:[M+H]:392
【0170】
中間体 a3-1(3.32ミリモル、1.3g)および原料 a3-2(4.98ミリモル、1.38g)を、窒素下にて20mLの1,4-ジオキサンと水との混合液(v/v:9/1)に溶かし、炭酸ナトリウム(6.64ミリモル、704mg)およびPd(dppf)Cl(0.33ミリモル、241mg)を添加した。該混合物をマイクロ波で100℃に加熱し、1時間反応させた。反応を停止させた。該混合物を濾過し、40mLの水を系に加えた。該混合物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーに付して分離し、中間体 a3(400mg、収率:26%)を得た。LC-MS:[M+H]:463
【化18】
【0171】
中間体 a1(1.63ミリモル、410mg)を氷浴中にて15mLの無水ジクロロメタンに溶かし、N-ヨードスクシンイミド NIS(1.79ミリモル、403mg)をバッチにてゆっくりと添加した。該混合物をさらに2時間撹拌した。反応を停止させ、 50mLの塩化アンモニウム飽和水溶液を添加した。該混合物をジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、中間体 a4-1(700mg、粗製物)を得た。LC-MS:[M+H]:379
【0172】
中間体 a4-1(700mg)および原料 a3-2(2.44ミリモル、678mg)を、窒素下にて20mLの1,4-ジオキサンと水との混合液(v/v:9/1)に溶かし、炭酸カリウム(3.26ミリモル、451mg)およびPd(dppf)Cl(0.16ミリモル、117mg)を添加した。該混合物をマイクロ波で100℃に加熱し、1時間反応させた。反応を停止させた。該混合物を濾過し、40mLの水を系に加えた。該混合物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーに付して分離し、中間体 a4(220mg、2工程についての総収率:34%)を得た。LC-MS:[M+H]:403
【0173】
重要な中間体 b1-b7の製造:
【化19】
【0174】
反応フラスコに、原料 b1-1(36.7ミリモル、7g)および炭酸セシウム(92.1ミリモル、30.03g)を加え、混合物を100mLのDMFで溶かした。原料 b1-2(36.8ミリモル、8.43g)をゆっくりと添加した。該混合物を80℃に加熱し、4時間反応させた。次に反応を停止させた。300mLの水をゆっくりと添加した。該混合物を酢酸エチルで抽出し、無水NaSO上で乾燥させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーに付して分離し、中間体 b1-3(3.4g、収率:23%)および中間体 b1-4(7.0g、収率:47%)を得た。LC-MS:[M+H]:413
【化20】
【0175】
中間体b1-3(6.3ミリモル、2.6g)を-78℃で60mLの無水THFに溶かした。ブチルリチウム(3.0mL、2.5M)を滴下して加えた。30分後、イソプロポキシボロン酸ピナコールエステル(9.5ミリモル、1.88mL)を添加した。該混合物を-78℃でさらに3時間反応させた。該反応混合物を150mLの塩化アンモニウム飽和水溶液を添加することでクエンチさせ、ジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、粗製物の中間体 b1を得、それを次の反応工程においてそのまま用いた。LC-MS:[M+H]:460
【0176】
中間体 b1の合成経路を参照にして、b1-4を原料として用い、粗製物の中間体 b2を得た。LC-MS:[M+H]:460
【化21】
【0177】
氷浴中、窒素下にて、原料 a2-1(2.25ミリモル、500mg)を15mLのDMFに溶かし、NaH(4.5ミリモル、180mg)をバッチにて添加した。該混合物を30分間撹拌し、次にtert-ブチル 4-((メチルスルホニル)オキシ)ピペリジン-1-カルボキシレート(3.37ミリモル、943mg)をゆっくりと添加した。該混合物を90℃に加熱し、さらに2時間反応させた。反応を停止させた。50mLの氷水をゆっくりと添加することで系をクエンチさせ、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させて粗製物の中間体 b3を得、それを次の反応工程においてそのまま用いた。LC-MS:[M+H]:406
【化22】
【0178】
原料 b4-1(1.54ミリモル、150mg)を-78℃で窒素下にて10mLの無水THFに溶かし、n-ブチルリチウム(1.0mL、2.5M)を滴下して加えた。30分後、塩化トリメチルスズ(2.31ミリモル、462mg)を加えた。該混合物を-78℃でさらに3時間反応させた。反応を停止させた。該反応混合物を40mLの塩化アンモニウム飽和水溶液を添加することでクエンチさせ、ジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させて粗製物の中間体 b4を得、それを次の反応工程においてそのまま用いた。LC-MS:[M+H]:260
【化23】
【0179】
原料 a2-1(2.0ミリモル、444mg)、tert-ブチル ピペラジン-1-カルボキシレート(3.0ミリモル、559mg)、およびDIEA(5.0ミリモル、645mg)を、氷浴中にて15mLのテトラヒドロフランに溶かした。該混合物を5分間撹拌し、次にトリホスゲン(4.0ミリモル、1.08g)を系にゆっくりと添加した。該混合物を氷浴中にて2時間撹拌し、ついで反応を停止させた。該反応溶液に、40mLの水を加えた。該混合物をジクロロメタンで抽出し、フラッシュカラムクロマトグラフィーに付して分離し、中間体 b5(180mg、収率:21%)を得た。LC-MS:[M+H]:435
【化24】
【0180】
原料 b6-1(9.2ミリモル、2.0g)およびN-Boc-ヒドラジン(10.1ミリモル、1.33g)を30mLの酢酸に溶かした。該混合物を5分間撹拌し、次にNaBHCN(27.6ミリモル、1.7g)をゆっくりと添加した。該混合物を室温で10時間反応させた。反応を停止させた。該系に、80mLの氷水を加えて反応混合物をクエンチさせ、溶媒を減圧下で蒸発させた。該系をNaHCO飽和水溶液を用いてpHを約9に調整し、ジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、粗製物の中間体 b6-2(一対のジアステレオ異性体)を得た。
【0181】
中間体 b6-2(粗製物)およびアセチルアセトン(10.6ミリモル、1.1mL)を反応フラスコに加え、30mLの酢酸に溶かした。3mLの臭化水素酸(45%)を該混合物にゆっくりと添加し、その混合物を室温で2時間反応させた。反応を停止させ、溶媒を減圧下で蒸発させ、粗製物の中間体 b6-3(3.0g、粗製物)を得た。LC-MS:[M+H]:198
【0182】
粗製物の中間体 b6-3(3.0g)、Boc無水物(11.7ミリモル、2.5g)、トリエチルアミン(23.4ミリモル、3.4mL)およびDMAP(0.78ミリモル、95mg)を20mLのテトラヒドロフランに溶かし、該混合物を室温で12時間反応させた。反応を停止させ、100mLの水を添加した。該混合物を酢酸エチルで抽出し、塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、生成物(2.4g)を黄色の油として得た。その黄色の油を10mLのDMFに溶かし、該混合物を氷浴中に置いた。NBS(8.88ミリモル、1.58g)をバッチにてゆっくりと添加し、該混合物を室温で8時間反応させた。次に50mLの氷水を添加した。混合物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーに付して分離し、中間体 b6-4(1.2g、3工程についての総収率:35%)および中間体 b6-5(600mg、3工程についての総収率:17%)を得た。LC-MS:[M+H]:377
【0183】
中間体 b6-4(1.25ミリモル、470mg)、ビス(ピナコラト)ジボロン(2.34ミリモル、595mg)、DIEA(2.5ミリモル、323mg)およびPd(Amphos)Cl(0.13ミリモル、90mg)を、窒素下にてマイクロ波用反応フラスコに添加し、16mLの2-メチル-テトラヒドロフランとメタノールとの混合液(v/v、1/1)に溶かした。該混合物をマイクロ波で100℃に加熱し、1時間反応させ、次に反応を停止させた。該混合物を濾過し、30mLの水を加えた。該混合物を酢酸エチルで抽出し、フラッシュカラムクロマトグラフィーに付して分離し、中間体 b6(120mg、収率:23%)を得た。LC-MS:[M+H]:424
【0184】
中間体 b6の合成を参照にして、中間体 b7は、b6-5を原料として用いることで合成された。LC-MS:[M+H]:424
【0185】
実施例1:
【化25】
【0186】
原料 a1-1(1.06ミリモル、200mg)および中間体 b1(1.59ミリモル、730mg)を窒素下にて10mLの1,4-ジオキサンと水との混合液(v/v:9/1)に溶かし、炭酸ナトリウム(2.12ミリモル、225mg)およびPd(dppf)Cl(0.1ミリモル、73mg)を加えた。該混合物を95℃に加熱し、3時間反応させた。反応を停止させた。該混合物を濾過し、40mLの水を系に添加した。該混合物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーに付して分離し、化合物 A1-1(330mg、収率:64%)を得た。LC-MS:[M+H]:485
【0187】
中間体 A1-1(0.68ミリモル、330mg)および(R)-2-メチルモルホリン(1.36ミリモル、138mg)を5mLのDMSOに溶かし、KF(2.04ミリモル、118mg)を加えた。該混合物をマイクロ波で150℃に加熱し、2時間反応させた。反応を停止させ、30mLの水を加えた。該混合物をジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーに付して分離し、化合物 A1-2(220mg、収率:59%)を得た。LC-MS:[M+H]:550
【0188】
中間体 A1-2(0.40ミリモル、220mg)を氷浴中にて5mLの無水ジクロロメタンに溶かし、N-ブロモスクシンイミド NBS(0.40ミリモル、72mg)をバッチにてゆっくりと添加した。該混合物をさらに2時間撹拌した。反応を停止させ、20mLの塩化アンモニウム飽和水溶液を添加した。該混合物をジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーに付して分離し、化合物 A1-3(140mg、収率:56%)を得た。LC-MS:[M+H]:629
【0189】
中間体 A1-3(0.22ミリモル、140mg)および原料 a3-2(0.33ミリモル、92mg)を窒素下にて5mLの1,4-ジオキサンと水との混合液(v/v:9/1)に溶かし、炭酸カリウム(0.44ミリモル、61mg)およびPd(dppf)Cl(0.02ミリモル、15mg)を添加した。該混合物を95℃に加熱し、2時間反応させた。反応を停止させた。 該混合物を濾過し、20mLの水を系に添加した。該混合物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーに付して分離し、中間体 A1-4(45mg、収率:29%)を得た。LC-MS:[M+H]:700
【0190】
中間体 A1-4(45mg)を5mLのジクロロメタンに溶かし、3mLのトリフルオロ酢酸を添加した。該混合物を室温で2時間反応させた。反応を停止させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を加え、そのpHを10に調整した。該混合物をジクロロメタンで抽出し、分取性クロマトグラフィーに付して分離し、標的とする化合物 A1(8mg、収率:24%)を得た。LC-MS:[M+H]:516
【0191】
実施例1の経路を参照にして以下の化合物を合成した:
【表1】
【0192】
実施例2:
【化26】
【0193】
中間体 a1(0.79ミリモル、200mg)および中間体 b3(1.19ミリモル、粗製物)を窒素下にて10mLの1,4-ジオキサンと水との混合液(v/v:9/1)に溶かし、炭酸ナトリウム(1.60ミリモル、170mg)およびPd(dppf)Cl(0.08ミリモル、59mg)を添加した。該混合物を95℃に加熱し、10時間反応させた。反応を停止させた。該混合物を濾過し、40mLの水を系に添加した。該混合物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーに付して分離し、化合物 A3-1(230mg、収率:59%)を得た。LC-MS:[M+H]:496
【0194】
中間体 A3-1(0.46ミリモル、230mg)を氷浴中にて15mLの無水ジクロロメタンに溶かし、N-ブロモスクシンイミド NBS(0.51ミリモル、90mg)をバッチにてゆっくりと添加した。該混合物をさらに2時間撹拌した。反応を停止させ、30mLの塩化アンモニウム飽和水溶液を添加した。該混合物をジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーに付して分離し、化合物 A3-2(220mg、収率:83%)を得た。LC-MS:[M+H]:575
【0195】
中間体 A3-2(0.38ミリモル、220mg)および原料 a3-2(0.76ミリモル、211mg)を窒素下にて10mLの1,4-ジオキサンと水との混合液(v/v:9/1)に溶かし、炭酸カリウム(0.76ミリモル、105mg)およびPd(dppf)Cl(0.038ミリモル、28mg)を添加した。該混合物をマイクロ波で100℃に加熱し、2時間反応させた。反応を停止させた。 該混合物を濾過し、30mLの水を系に添加した。該混合物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーに付して分離し、化合物 A3-3(100mg、収率:41%)を得た。LC-MS:[M+H]:646
【0196】
中間体 A3-3(100mg)を6mLのジクロロメタンに溶かし、3mLのトリフルオロ酢酸を添加した。該混合物を室温で2時間反応させた。反応を停止させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を加え、そのpHを10に調整した。該混合物をジクロロメタンで抽出し、分取性クロマトグラフィーに付して分離し、標的とする化合物 A3(25mg、収率:35%)を得た。LC-MS:[M+H]:462
【0197】
実施例2の経路を参照にして以下の化合物を合成した:
【表1】
【0198】
実施例3:
【化27】
【0199】
中間体 A1-3(0.32ミリモル、200mg)および原料 テトラヒドロキシジボロン(0.64ミリモル、58mg)を窒素下にて10mLの無水テトラヒドロフランに溶かし、DIEA(0.64ミリモル、83mg)およびPd(Amphos)Cl(0.03ミリモル、21mg)を添加した。該混合物をマイクロ波で95℃に加熱し、2時間反応させた。反応を停止させた。該混合物を濾過し、30mLの水を系に添加した。該混合物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させて粗製物の化合物 A5-1を得、それを次の工程にてそのまま用いた。LC-MS:[M+H]:594
【0200】
上記した工程から由来の粗製物の中間体 A5-1(150mg、粗製物)および2-ブロモイミダゾール A5-2(0.25ミリモル、37mg)を窒素下にて10mLの1,4-ジオキサンと水との混合液(v/v:9/1)に溶かし、炭酸カリウム(0.5ミリモル、69mg)およびPd(dppf)Cl(0.025ミリモル、19mg)を添加した。該混合物をマイクロ波で110℃に加熱し、2時間反応させた。反応を停止させた。 該混合物を濾過し、30mLの水を系に添加した。該混合物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーに付して分離し、化合物 A5-3(70mg、2工程についての総収率:36%)を得た。LC-MS:[M+H]:616
【0201】
中間体 A5-3(70mg)を4mLのジクロロメタンに溶かし、2mLのトリフルオロ酢酸を添加した。該混合物を室温で2時間反応させた。反応を停止させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を加え、そのpHを10に調整した。該混合物をジクロロメタンで抽出し、分取性クロマトグラフィーに付して分離し、標的とする化合物 A5(30mg、収率:53%)を得た。LC-MS:[M+H]:516
【0202】
実施例3の経路を参照にして以下の化合物を合成した:
【表1】
【0203】
実施例4:
【化28】
【0204】
中間体 A1-3(0.29ミリモル、180mg)およびチオフェン-2-ボロン酸ピナコールエステル A7-1(0.58ミリモル、121mg)を、窒素下にて10mLの1,4-ジオキサンと水との混合液(v/v:9/1)に溶かし、炭酸カリウム(0.87ミリモル、120mg)およびPd(dppf)Cl(0.03ミリモル、22mg)を添加した。該混合物を95℃に加熱し、2時間反応させた。反応を停止させた。該混合物を濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。30mLの水を加えた。該混合物を酢酸エチルで抽出し、フラッシュカラムクロマトグラフィーに付して分離し、化合物 A7-2(100mg、収率:55%)を得た。LC-MS:[M+H]:632
【0205】
中間体 A7-2(100mg)を5mLのジクロロメタンに溶かし、2mLのトリフルオロ酢酸を添加した。該混合物を室温で2時間反応させた。反応を停止させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を加え、そのpHを10に調整した。該混合物をジクロロメタンで抽出し、分取性クロマトグラフィーに付して分離し、化合物 A7(20mg、収率:25%)を得た。LC-MS:[M+H]:532
【0206】
(TFA塩);H NMR(600MHz、DMSO-d) δ 8.83(s,1H)、8.44(s,1H)、8.27(d,J=11.8Hz,1H)、7.44(t,J=7.4Hz,1H)、7.35(m,1H)、7.08(m,1H)、6.94(m,1H)、4.73(s,1H)、4.54(s,1H)、4.25(d,J=13.8Hz,1H)、4.01(m,1H)、3.78(m,1H)、3.68(s,1H)、3.59-3.53(m,1H)、3.45(d,J=12.5Hz,2H)、3.26(m,3H)、2.42-2.30(m,2H)、2.23-1.97(m,5H)、1.28(d,J=6.9Hz,3H)
【0207】
実施例5:
【化29】
【0208】
中間体 a1(0.59ミリモル、150mg)および中間体 b4(1.54ミリモル、粗製物)を窒素下にて10mLのトルエンに溶かし、トリエチルアミン(1.19ミリモル、120mg)およびPd(PPhCl(0.12ミリモル、84mg)を添加した。該混合物を100℃に加熱し、3時間反応させた。反応を停止させた。該混合物を濾過し、30mLの水を系に添加した。該混合物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、TLCクロマトグラフィーに付して分離し、化合物 A8-1(120mg、収率:65%)を得た。LC-MS:[M+H]:314
【0209】
中間体 A8-1(0.38ミリモル、120mg)を氷浴中にて8mLの無水ジクロロメタンに溶かし、N-ブロモスクシンイミド NBS(0.42ミリモル、75mg)をバッチにてゆっくりと添加した。該混合物を室温で2時間撹拌した。反応を停止させ、20mLの塩化アンモニウム飽和水溶液を添加した。該混合物をジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させって化合物 A8-2(200mg、粗製物)を得た。LC-MS:[M+H]:393
【0210】
上記した工程から由来の粗製物の中間体 A8-2(200mg)および原料 a3-2(0.57ミリモル、158mg)を、窒素下にて10mLの1,4-ジオキサンと水との混合液(v/v:9/1)に溶かし、炭酸カリウム(0.76ミリモル、105mg)およびPd(dppf)Cl(0.04ミリモル、29mg)を加えた。該混合物をマイクロ波で100℃に加熱し、2時間反応させた。反応を停止させた。該混合物を濾過し、40mLの水を系に添加した。該混合物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、TLCクロマトグラフィーに付して分離し、化合物 A8-3(80mg、2工程についての総収率:46%)を得た。LC-MS:[M+H]:464
【0211】
中間体 A8-3(80mg)を5mLのジクロロメタンに溶かし、2mLのトリフルオロ酢酸を添加した。該混合物を室温で2時間反応させた。反応を停止させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を加え、そのpHを10に調整した。該混合物をジクロロメタンで抽出し、分取性クロマトグラフィーに付して分離し、標的とする化合物 A8(27mg、収率:42%)を得た。LC-MS:[M+H]:380
【0212】
(TFA塩);H NMR(400MHz、DMSO-d) δ 8.30(s,1H)、7.67(d,J=1.8Hz,1H)、7.05(s,1H)、6.79(d,J=2.0Hz,1H)、4.57(d,J=6.6Hz,1H)、4.28(d,J=13.2Hz,1H)、4.02(d,J=3.4Hz,1H)、3.99(s,3H)、3.79(d,J=11.4Hz,1H)、3.67(dd,J=11.8、2.9Hz,1H)、3.52(td,J=11.8、2.9Hz,1H)、3.33-3.23(m,1H)、2.27(s,3H)、1.29(d,J=6.7Hz,3H)
【0213】
実施例6:
【化30】
【0214】
中間体 a3(0.17ミリモル、80mg)、3-ブロモ-5-フルオロ-ピリジン A9-1(0.34ミリモル、60mg)、リン酸カリウム(0.34ミリモル、72mg)およびCuI(0.034ミリモル、7mg)を窒素下にてマイクロ波用反応フラスコに添加し、5mLのDMFで溶かした。該混合物を5分間撹拌し、ついでN,N-ジメチル-1,2-シクロヘキサンジアミン(0.07ミリモル、10mg)をゆっくりと添加した。該混合物をマイクロ波で110℃に加熱し、1.5時間反応させた。反応を停止させた。40mLの水を添加した。該混合物を酢酸エチルで抽出し、無水NaSO上で乾燥させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーに付して分離し、化合物 A9-2(50mg、収率:53%)を得た。LC-MS:[M+H]:558
【0215】
中間体 A9-2(50mg)を4mLのジクロロメタンに溶かし、2mLのトリフルオロ酢酸を添加した。該混合物を室温で2時間反応させた。反応を停止させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を加え、そのpHを10に調整した。該混合物をジクロロメタンで抽出し、分取性クロマトグラフィーに付して分離し、標的とする化合物 A9(28mg、収率:67%)を得た。LC-MS:[M+H]:474
【0216】
実施例6の経路を参照にして以下の化合物を合成した:
【表1】
【表1】
【表1】
【0217】
実施例7:
【化31】
【0218】
中間体 a3(0.15ミリモル、70mg)、3-ブロモ-6-ベンジルオキシ-ピリジン A14-1(0.30ミリモル、79mg)、リン酸カリウム(0.45ミリモル、95mg)およびCuI(0.02ミリモル、4mg)を窒素下にてマイクロ波用反応フラスコに加え、5mLのN-メチル-ピロリドンで溶かした。該混合物を5分間撹拌し、ついでN,N-ジメチル-1,2-シクロヘキサンジアミン(0.03ミリモル、4.3mg)をゆっくりと添加した。該混合物をマイクロ波で110℃に加熱し、10時間反応させた。次に反応を停止させた。20mLの水を添加した。該混合物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、TLCクロマトグラフィーに付して分離し、化合物 A14-2(70mg、収率:73%)を得た。LC-MS:[M+H]:646
【0219】
中間体 A14-2(70mg)を5mLのメタノールに溶かし、3mLの濃塩酸を加えた。該混合物を65℃に加熱し、2時間反応させた。反応を停止させた。該反応溶液を氷浴中に置き、NaHCO飽和水溶液を系にゆっくりと添加した。該混合物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、分取性クロマトグラフィーに付して分離し、標的とする化合物 A14(20mg、収率:39%)を得た。LC-MS:[M+H]:472
【0220】
(遊離塩基);H NMR(400MHz、DMSO-d) δ 8.27(s,1H)、7.74(d,J=2.9Hz,1H)、7.62(dd,J=9.5、3.0Hz,2H)、6.77(d,J=1.9Hz,1H)、6.69(s,1H)、6.49(d,J=9.6Hz,1H)、4.54(s,1H)、4.26(d,J=13.5Hz,1H)、4.03-3.98(m,1H)、3.78(d,J=11.4Hz,1H)、3.68(dd,J=11.6、3.1Hz,1H)、3.57-3.49(m,1H)、3.30-3.22(m,1H)、2.24(s,3H)、2.20(s,3H)、1.28(d,J=6.6Hz,3H)
【0221】
実施例8:
【化32】
【0222】
中間体 a1(0.79ミリモル、200mg)および中間体 b5(1.19ミリモル、516mg)を、窒素下にて15mLの1,4-ジオキサンと水との混合液(v/v:9/1)に溶かし、炭酸カリウム(1.60ミリモル、221mg)およびPd(dppf)Cl(0.08ミリモル、59mg)を加えた。該混合物を95℃に加熱し、10時間反応させた。反応を停止させた。該混合物を濾過し、40mLの水を系に添加した。該混合物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーに付して分離し、化合物 A15-1(170mg、収率:41%)を得た。LC-MS:[M+H]:525
【0223】
中間体 A15-1(0.32ミリモル、170mg)を氷浴中にて10mLの無水ジクロロメタンに溶かし、N-ブロモスクシンイミド NBS(0.35ミリモル、63mg)をバッチにてゆっくりと添加した。該混合物を室温で2時間撹拌した。反応を停止させ、20mLの塩化アンモニウム飽和水溶液を添加した。該混合物をジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、化合物 A15-2(200mg、粗製物)を得た。LC-MS:[M+H]:604
【0224】
上記した工程から由来の粗製物の中間体 A15-2(200mg)および原料 a3-2(0.64ミリモル、178mg)を、窒素下にて10mLの1,4-ジオキサンと水との混合液(v/v:9/1)に溶かし、炭酸カリウム(0.64ミリモル、89mg)およびPd(dppf)Cl(0.03ミリモル、22mg)を添加した。該混合物をマイクロ波で100℃に加熱し、2時間反応させた。反応を停止させた。該混合物を濾過し、20mLの水を系に添加した。該混合物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、TLCクロマトグラフィーに付して分離し、化合物 A15-3(45mg、2工程についての総収率:21%)を得た。LC-MS:[M+H]:675
【0225】
中間体 A15-3(45mg)を4mLのジクロロメタンに溶かし、1.5mLのトリフルオロ酢酸を添加した。該混合物を室温で2時間反応させた。反応を停止させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を加え、そのpHを10に調整した。該混合物をジクロロメタンで抽出し、分取性クロマトグラフィーに付して分離し、標的とする化合物 A15(9mg、収率:30%)を得た。LC-MS:[M+H]:491
【0226】
(遊離塩基);H NMR(400MHz、DMSO-d) δ 8.26(s,2H)、7.71(s,1H)、7.51(s,1H)、6.78(s,1H)、6.69(s,1H)、4.57(s,1H)、4.27(s,1H)、4.00(dd,J=11.5、3.6Hz,1H)、3.77(d,J=11.4Hz,1H)、3.67(dd,J=11.3、3.1Hz,1H)、3.56-3.37(m,5H)、3.23(dd,J=12.7、3.9Hz,1H)、2.76(m,4H)、2.32(s,3H)、2.17(s,3H)、1.27(d,J=6.7Hz,3H)
【0227】
実施例9:
【化33】
【0228】
中間体 a4(0.25ミリモル、100mg)および中間体 b6(0.50ミリモル、211mg)を窒素下にて10mLの1,4-ジオキサンと水との混合液(v/v:9/1)に溶かし、炭酸カリウム(0.50ミリモル、69mg)およびPd(dppf)Cl(0.03ミリモル、22mg)を添加した。該混合物をマイクロ波で100℃に加熱し、2時間反応させた。反応を停止させた。該混合物を濾過し、20mLの水を系に添加した。該混合物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、TLCクロマトグラフィーに付して分離し、化合物 A16-1(60mg、収率:36%)を得た。LC-MS:[M+H]:664
【0229】
中間体A16-1(60mg)を4mLのジクロロメタンに溶かし、2mLのトリフルオロ酢酸を添加した。該混合物を室温で2時間反応させた。反応を停止させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を加え、そのpHを10に調整した。該混合物をジクロロメタンで抽出し、分取性クロマトグラフィーに付して分離し、標的とする化合物 A16-I(10mg、収率:23%)を得た。LC-MS:[M+H]:480
【0230】
化合物 A16-Iの合成経路を参照にして、中間体 b6の代わりにそのジアステレオ異性体のb7を用い、標的とする化合物 A16-IIを得た。
(遊離塩基);H NMR(400MHz、DMSO-d) δ 8.24(s,1H)、7.59(s,1H)、6.74(s,1H)、6.64(s,1H)、4.92-4.73(m,1H)、4.56(s,1H)、4.43(m,1H)、4.27(d,J=13.6Hz,1H)、4.02-3.96(m,1H)、3.76(d,J=11.4Hz,1H)、3.66(dd,J=11.4、3.1Hz,1H)、3.55-3.49(m,1H)、3.44(dd,J=7.0、5.0Hz,1H)、3.25-3.18(m,1H)、2.97(d,J=12.5Hz,1H)、2.68-2.61(m,2H)、2.25(s,3H)、2.16(s,3H)、2.08(m,1H)、1.92(m,1H)、1.27(d,J=6.7Hz,3H)
【0231】
実施例9を参照にして以下の化合物を合成した:
【表1】
【0232】
実施例10:
【化34】
【0233】
化合物 A11(0.063ミリモル、30mg)を6mLの水とアセトニトリルとの混合液(v/v、5/1)に溶かし、二酸化マンガン(0.115ミリモル、10mg)を添加した。該混合物を90℃に加熱し、10時間反応させた。反応を停止させた。該混合物を濾過し、フラッシュカラムクロマトグラフィーに付して分離し、化合物 A17(4mg、収率:13%)を得た。LC-MS:[M+H]:499
【0234】
(遊離塩基);H NMR(400MHz、DMSO-d) δ 9.11(d,J=1.9Hz,1H)、8.98(d,J=2.4Hz,1H)、8.42(t,J=2.2Hz,1H)、8.35(s,1H)、8.28(s,1H)、7.78(s,1H)、7.60(s,1H)、6.77(s,2H)、4.56(d,J=7.4Hz,1H)、4.28(d,J=13.4Hz,1H)、4.05-3.97(m,1H)、3.79(d,J=11.5Hz,1H)、3.69(m,1H)、3.54(m,1H)、3.28-3.22(m,1H)、2.38(s,3H)、2.26(s,3H)、1.29(d,J=6.7Hz,3H)
【0235】
実施例11:
【化35】
【0236】
中間体 a3(0.17ミリモル、80mg)および2-ブロモエタノール A18-1(0.34ミリモル、43mg)を、窒素下にて反応フラスコに添加し、5mLのDMFに溶かした。該混合物を5分間撹拌し、次にNaH(0.34ミリモル、14mg)をゆっくりと添加した。該混合物を50℃に加熱し、2時間反応させた。反応を停止させた。40mLの水を加えた。該混合物を酢酸エチルで抽出し、無水NaSO上で乾燥させ、TLCクロマトグラフィーに付して分離し、化合物 A18-2(40mg、収率:47%)を得た。LC-MS:[M+H]:507
【0237】
中間体 A18-2(60mg)を5mLのジクロロメタンに溶かし、2mLのトリフルオロ酢酸を添加した。該混合物を室温で2時間反応させた。反応を停止させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を加え、そのpHを約10に調整した。該混合物をジクロロメタンで抽出し、分取性クロマトグラフィーに付して分離し、標的とする化合物 A18(20mg、収率:40%)を得た。LC-MS:[M+H]:423
【0238】
(遊離塩基);H NMR(400MHz、DMSO-d) δ 12.66(br,1H)、8.23(s,1H)、7.58(s,1H)、6.74(s,1H)、6.58(s,1H)、4.92(t,J=5.3Hz,1H)、4.54(d,J=7.5Hz,1H)、4.25(d,J=13.6Hz,1H)、4.10(t,J=5.7Hz,2H)、3.99(dd,J=11.5、3.6Hz,1H)、3.77(m,3H)、3.67(dd,J=11.5、3.1Hz,1H)、3.52(td,J=11.8、3.0Hz,1H)、3.28-3.20(m,1H)、2.25(s,3H)、2.13(s,3H)、1.27(d,J=6.7Hz,3H)
【0239】
実施例12:
【化36】
【0240】
中間体 a3(0.19ミリモル、90mg)、3-ブロモ-5-ベンジルオキシ-ピリジン A19-1(0.38ミリモル、100mg)、リン酸カリウム(0.57ミリモル、120mg)およびCuI(0.04ミリモル、8mg)を、窒素下にてマイクロ波用反応フラスコに加え、5mLのDMFで溶かした。該混合物を5分間撹拌し、ついでN,N-ジメチル-1,2-シクロヘキサンジアミン(0.04ミリモル、5mg)をゆっくりと添加した。該混合物を110℃に加熱し、10時間反応させた。次に反応を停止させ、混合物を濾過した。30mLの水を加えた。該混合物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、TLCクロマトグラフィーに付して分離し、化合物 A19-2(85mg、収率:70%)を得た。LC-MS:[M+H]:646
【0241】
中間体A19-2(0.13ミリモル、85mg)およびPd/C(9mg)を4mLのメタノールと酢酸エチルとの混合液(v/v、3/1)中にて混合し、その空気を水素(4気圧)と置き換えた。該混合物を50℃に加熱し、2時間反応させた。反応を停止させた。 該混合物を濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させ、粗製物の中間体 A19-3を得た。LC-MS:[M+H]:556
【0242】
粗製物の中間体 A19-3を5mLのジクロロメタンに溶かし、2mLのトリフルオロ酢酸を添加した。該混合物を室温で2時間反応させた。反応を停止させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、10mLのNaHCO飽和水溶液を系にゆっくりと添加した。該混合物をジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、分取性クロマトグラフィーに付して分離し、標的とする化合物 A19(38mg、2工程についての総収率:63%)を得た。LC-MS:[M+H]:472
【0243】
(遊離塩基);H NMR(400MHz、DMSO-d) δ 8.32-8.24(m,2H)、8.22(d,J=2.5Hz,1H)、7.60(s,1H)、7.36(t,J=2.3Hz,1H)、6.76(s,2H)、4.56(d,J=8.0Hz,1H)、4.27(d,J=13.5Hz,1H)、4.01(dd,J=11.4、3.6Hz,1H)、3.79(d,J=11.4Hz,1H)、3.69(dd,J=11.5、3.1Hz,1H)、3.54(m,1H)、3.27(m,1H)、2.33(s,3H)、2.23(s,3H)、1.29(d,J=6.7Hz,3H)
【0244】
実施例13:
【化37】
【0245】
中間体 a1(1.59ミリモル、400mg)を15mLの無水テトラヒドロフランに-78℃で窒素下にて溶解させ、n-ブチルリチウム(0.76mL、2.5M)を滴下して加えた。該混合物を30分間反応させた。テトラヒドロピラン-4-オン A20-1(1.75ミリモル、175mg)を次にゆっくりと添加し、該混合物をさらに2時間撹拌した。次に反応を停止させた。30mLの塩化アンモニウム飽和水溶液を系にゆっくりと添加した。該混合物をジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、TLCクロマトグラフィーに付して分離し、化合物 A20-2(100mg、収率:20%)を得た。LC-MS:[M+H]:319
【0246】
中間体A20-2(0.31ミリモル、100mg)を氷浴中にて10mLの無水ジクロロメタンに溶かし、N-ヨードスクシンイミド NIS(0.35ミリモル、79mg)をバッチにてゆっくりと添加した。該混合物を室温で2時間撹拌した。反応を停止させ、20mLの塩化アンモニウム飽和水溶液を添加した。該混合物をジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、化合物 A20-3(170mg、粗製物)を得た。LC-MS:[M+H]:445
【0247】
上記した工程から由来の粗製物の中間体 A20-3(170mg)および原料 a3-2(0.62ミリモル、172mg)を、窒素下にて10mLの1,4-ジオキサンと水との混合液(v/v:9/1)に溶かし、炭酸カリウム(0.64ミリモル、89mg)およびPd(dppf)Cl(0.03ミリモル、22mg)を添加した。該混合物をマイクロ波で100℃に加熱し、2時間反応させた。反応を停止させた。該混合物を濾過し、20mLの水を系に添加した。該混合物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、TLCクロマトグラフィーに付して分離し、化合物 A20-4(120mg、2工程についての総収率:83%)を得た。LC-MS:[M+H]:467
【0248】
中間体 A20-4(120mg)を6mLのジクロロメタンに溶かし、3mLのトリフルオロ酢酸を添加した。該混合物を室温で2時間反応させた。反応を停止させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を加え、そのpHを10に調整した。該混合物をジクロロメタンで抽出し、分取性クロマトグラフィーに付して分離し、標的とする化合物 A20(61mg、収率:61%)を得た。LC-MS:[M+H]:383
【0249】
(遊離塩基);H NMR(400MHz、DMSO-d) δ 12.68(br,1H)、8.33(s,1H)、7.70-7.52(m,1H)、6.81(s,1H)、6.73(s,1H)、5.87(s,1H)、4.58-4.45(m,1H)、4.18(d,J=13.3Hz,1H)、4.01(dd,J=11.4、3.6Hz,1H)、3.81(t,J=9.7Hz,5H)、3.66(dd,J=11.5、3.1Hz,1H)、3.51(td,J=11.8、2.9Hz,1H)、3.25(dd,J=12.8、3.8Hz,1H)、3.01(td,J=12.7、5.8Hz,2H)、1.50(d,J=11.8Hz,2H)、1.28(d,J=6.6Hz,3H)
【0250】
実施例14:ATRキナーゼ活性のアッセイ:
p53由来のビオチニル化タンパク質(Eurofins,商品番号:14-952)をATRキナーゼでリン酸化させた。このアッセイにおいて、リン酸化タンパク質の量は時間分解蛍光で測定された。リン酸化タンパク質の量は、抗-p53-ホスホ-(セリン15)-K-特異的抗体(Cisbio,商品番号:61GSTDLA)およびd2標識抗-GST抗体(Cisbio,商品番号61P08KAE)によって検出された。アッセイの前に、必要に応じて以下のワーキング溶液を調製した:1x反応バッファー(20mM HEPES pH8.0、1%グリセロール、0.01% Brij-35)、希釈バッファー(20mM HEPES pH8.0、1%グリセロール、0.01% Brij-35、5mM DTTおよび1% BSA)、停止溶液(20mM HEPES pH8.0、1%グリセロール、0.01% Brij-35、250mM EDTA)、検出バッファー(50mM HEPES pH7.0、150mM NaCl、267mM KF、0.1%コール酸ナトリウム、0.01%ツィーン(Tween)-20、0.0125%アジ化ナトリウム)。上記で使用した試薬は、製造元が記載されているものを除き、シグマ社(Sigma)またはインビトロジェン社(Invitrogen)から購入した。
【0251】
操作は以下のとおりであった:
4x連続希釈の化合物の溶液を1x反応バッファーを用いて製造し、濃度の異なる9種の化合物の溶液を得、2.5μLの該4x連続希釈の化合物の溶液を384ウェル解析プレート(784075、Greiner)に添加した。4xp53基質のワーキング溶液(40nM)を1x反応バッファーを用いて調製し、2.5μLの該4xp53基質のワーキング溶液を384ウェル解析プレートに添加した。4xATR/ATRIPワーキング溶液(12.8ng/μL)を希釈バッファーを用いて製造し、2.5μLの該4xpATR/ATRIPワーキング溶液を384ウェル解析プレートに添加した。4xATPワーキング溶液(2mM)を脱イオン水を用いて製造し、2.5μLの該4xATPワーキング溶液を384ウェル解析プレートに添加した。それらのプレートを暗所にて室温で30分間インキュベートした。5μLの停止溶液を該384解析プレートに添加した。最後に、5μLのアッセイ混合液(0.084ng/μL 抗-ホスホ-p53(ser15)-Kおよび5ng/μL 抗-GST-d2)を384ウェル解析プレートに添加し、室温で一夜インキュベートした。蛍光シグナルをENVISION(パーキンエルマー(Perkinelmer))装置(励起波長:320nm、発光波長:665nmおよび615nm)で検出した。各ウェルにおける阻害率は、各ウェルでの蛍光強度値で算定した:ER(発光割合)=(665nmでの蛍光強度/615nmでの蛍光強度);阻害率=(陽性化合物のER-アッセイ化合物のER)/(陽性化合物のER-陰性化合物のER)x100%。化合物のIC50値は、標準的なパラメータ適合用ソフトウェア(GraphPad Prism 6.0)を用いて算定した。
【0252】
実施例の化合物のキナーゼデータの結果:
【表1】
【0253】
実施例15:インビトロにおける細胞増殖阻害のアッセイ:
腫瘍細胞株TOV21G(卵巣がん)およびMV4-11(白血病)において化合物のインビトロにおける細胞活性に対する効果を検出することにより、化合物の細胞増殖に対する阻害効果をこのアッセイにて検討した。
TOV21G細胞およびMV4-11細胞はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection(ATCC))より購入した。
【0254】
TOV21G細胞をMCDB105/M199培地(15%のFBSを含有する)で培養し、細胞コンフルエンスが85%以上に達した時にアッセイに用いた。約1,000個の細胞を96ウェル培養プレートの各ウェルに接種し、24時間培養した。異なる濃度(0-10μM)のアッセイ対象の化合物を添加し、細胞を処理した。各群は三重重複してアッセイした。ブランクウェル(培地のみを含有する)および対照ウェル(薬物で処理することなく細胞を接種した)を設定した。細胞を120時間培養した。40μLのCell Titer-Glo溶液(プロメガ社(Promega)、番号G7573)を各ウェルに加え、該細胞を暗所にて20分間にわたって振盪しながらインキュベートした。各ウェルから由来の100μLの溶液を96ウェルのブランクプレート(コーニング社(Corning)、番号3917)に移し、バイオテック・シナジー(Biotek Synergy)H1多機能マイクロプレートリーダーを用いて発光値を読み取った。
【0255】
MV-4-11細胞をIMDM培地(20%のFBSを含有する)で培養した。約10,000個の細胞を96ウェルの培養プレートの各ウェルに接種し、異なる濃度(0-10μM)のアッセイ対象の化合物を添加することで処理した。各群は三重重複してアッセイした。ブランクウェル(培地のみを含有する)および対照ウェル(薬物で処理することなく細胞を接種した)を設定した。細胞を120時間培養した。40μLのCell Titer-Glo溶液を各ウェルに加え、該細胞を暗所にて20分間にわたって振盪しながらインキュベートした。各ウェルから由来の100μLの溶液を96ウェルのブランクプレートに移し、バイオテック・シナジーH1多機能マイクロプレートリーダーを用いて発光値を読み取った。
阻害率(%)=100%x(対照ウェル-アッセイウェル)/(対照ウェル-ブランクウェル)
【0256】
増殖アッセイの結果は、アッセイ化合物が検討されたヒト腫瘍細胞において効果的であることを示し、このことはIC50値に反映している(IC50は最大効果を50%阻害する濃度である)。
【0257】
CellTiter-Glo発光法による細胞活性アッセイの結果:
【表1】
NT=試験せず
【0258】
実施例16:肝ミクロソームにおける化合物のインビトロでの安定性アッセイ
本開示の化合物を肝ミクロソームにおける安定性アッセイに供した。アッセイ対象の化合物(最終濃度2.0nM)を、NADPHを添加して、または添加することなく、ヒト/マウス肝ミクロソームと一緒に共インキュベートに付した。インキュベートした後で60分以内に上清における化合物の濃度を測定した。代表的な化合物についての結果は以下のとおりであった:
【表1】
【0259】
実施例17:化合物のインビボでの薬物動態アッセイ
本開示の化合物に対してインビボ薬物動態実験を行った。
アッセイ方法:
雄ICRマウス(3匹のマウス/群)に10mg/kgの用量で強制的に経口投与した。投与前(0時間)および投与後(0.25、0.5、1、2、4、6、8、24時間)に血漿サンプルを採取した。その採取したサンプルをLC/MS/解析に供し、データを集めた。収集した解析データをAnalyst v1.6.2(ABアプライド・バイオシステムズ・カンパニー(Applied Biosystems Company),USA)ソフトウェアに用い、関連する薬物動態パラメータを算出した。
【0260】
代表的な化合物についての結果は以下のとおりであった:
【表1】
【0261】
実施例18:化合物のATRキナーゼに対する選択性についての検討:
本開示の化合物を同じファミリー(ATM、DNA-PK、PI3K、mTOR)の阻害についてアッセイした:
文献にて報告されているアッセイ方法によれば、アッセイ対象の化合物を、10μMから出発し、0.51nMまでの連続した3倍希釈に付し(合計で10種の濃度)、キナーゼ ATM1、DNA-PK2、PI3Kα3、PI3Kδ3およびmTORの各々に対する阻害活性についてアッセイした。結果を以下に示した:
【表1】
【0262】
上記の結果は、本開示の化合物がATRに対する選択性が高く、ファミリーの他のキナーゼに対する阻害活性が低いことを示す。
【0263】
参考文献:
[1]Discovery of Novel 3-Quinoline Carboxamides as Potent, Selective and Orally Bioavailable Inhibitors of Ataxia Telangiectasia Mutated(ATM)Kinase、J. Med. Chem. 2016, 56, 6281-6292;
[2]The Discovery of 7-methyl-2-[(7-methyl[1,2,4]triazolo[1,5-a]pyridin-6-yl)amino]-9-(tetrahydro-2H-pyran-4-yl)-7,9-dihydro-8H-purin-8-one(AZD7648)、a Potent and Selective DNA-Dependent Protein Kinase(DNA-PK)Inhibitor, J. Med. Chem. 2020, 63, 3461-3471;
[3]WO 2012044641;
[4]Discovery and SAR exploration of a novel series of imidazo[4,5-b]pyrazin-2-ones as potent and selective mTOR kinase inhibitors. Bioorg. Med. Chem. Lett. 2011;21:6793-6799
【0264】
上記は、特定の代替となる実施態様と関連して、本開示をさらに詳細に説明するものであり、本開示の特定の実施態様はその説明に限定されるものではない。本発明の技術分野における当業者は、本発明の精神から逸脱することなく、簡単な控除または置換をある程度行うことができ、これらはすべて本発明の保護の範囲内にあるものとみなされるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】
[式中:
XはCRまたはNであり;
YはCRまたはNであり;
、R、R、RおよびRは、独立して、H、D、ハロゲン、C1-6アルキル、C2-6アルケニルおよびC2-6アルキニルより選択されるか、あるいはRとR、RとRとが連結して結合手、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレンまたはC2-6アルキニレンを形成し;ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
ここで、RはH、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SRまたはC1-6アルキルであり、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
YがCRである場合、RとRとは、それらの結合する原子と一緒になって、C3-5シクロアルキルまたは3~5員のヘテロシクリルを形成し、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
環AはC3-7シクロアルキル、4~7員のヘテロシクリル、C6-10アリールまたは5~10員のヘテロアリールであるか;または環Aは存在せず、それで1のRがLに連結されるか;もしくは(R-環A-L-さえも存在せず;
は、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NRR’、-OC(O)R’、-NRC(O)R’、-OC(O)NRR’、-NRC(O)NRR’、-S(O)R、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキルおよび3~8員のヘテロシクリルから選択され、その各々はRで置換されてもよく、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
mは0、1、2、3、4または5であり;
環Bは5ないし6員のヘテロアリールであり;
は、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NRR’、-OC(O)R’、-NRC(O)R’、-OC(O)NRR’、-NRC(O)NRR’、-S(O)R、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキルおよび3~8員のヘテロシクリルから選択され、その各々はRで置換されてもよく、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
nは0、1、2、3、4または5であり;
環CはC3-7シクロアルキル、4~7員のヘテロシクリル、C6-10アリールまたは5~10員のヘテロアリールであり;
Lは結合手、-O-、-S-、-N(R)-、-C(O)-、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレンまたはC2-6アルキニレンであり;
はH、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、C1-6アルキル、C2-6アルケニルまたはC2-6アルキニルであり、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
はH、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、C1-6アルキル、C2-6アルケニルまたはC2-6アルキニルであり、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
はH、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NRR’、-OC(O)R’、-NRC(O)R’、-OC(O)NRR’、-NRC(O)NRR’、-S(O)R、C3-7シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリル、C6-10アリールまたは5~10員のヘテロアリールであり、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
RおよびR’は、独立して、H、C1-6アルキル、C2-6アルケニルおよびC2-6アルキニルより選択されるか、またはRとR’とは、それらの結合する窒素原子と一緒になって、4~8員のヘテロシクリルを形成し;ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
pは1または2である]
で示される化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物であって、ここで該化合物が1または複数の以下の定義を有する:
i)RがC1-6アルキルであるか、あるいはまた(R)-C1-6アルキルであるか、さらにはまた(R)-メチルであるか;
ii)XがCRであり、R、R、RおよびRが水素またはDであるか;
iii)YがNであるか;
iv)環Aが、以下の群:
【化1】
より選択され;
ここでAがCRa1またはNであり;AがCRa2またはNであり;AがCRa3またはNであり;AがCRa4またはNであり;AがCRa5またはNであり;
a1、Ra2、Ra3、Ra4およびRa5が請求項1のRと同意義であるか;
あるいはまた、(R-環A-L-が次の群:
【化1】
より選択されるか;
v)環Aが不在であるか、またはピペラジニルおよびピペリジニルより選択されるか;
vi)Rが、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NRR’、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニルおよびC2-6アルキニルより選択され、ここで該基は完全に重水素化されるまでは1または複数のDで置換されてもよいか;
vii)環Bがピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニルであるか;あるいはまた、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリルまたはピリジルであるか;あるいはまた、ピラゾリルであるか;
viii)Rが、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、-SR、C1-6アルキルおよびC1-6ハロアルキルより選択され、その各々は、所望により、Rで置換されてもよく;あるいはまた、HまたはDであるか;
ix)環Cが5ないし6員のヘテロアリールまたはフェニルであるか;あるいはまた、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニルであるか;あるいはまた、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルまたはトリアゾリルであるか;あるいはまた、ピラゾリルであるか;
x)環CがC3-7シクロアルキルまたは4~7員のヘテロシクリルであるか;
xi)Lが結合手、-C(O)-またはC1-6アルキレンであるか;
xii)RおよびRが、独立して、H、D、C1-6アルキル、C2-6アルケニルまたはC2-6アルキニルであり、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよい、
化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項3】
以下の一般的構造式:
【化1】
[式中、各基は請求項1または2にて定義されるとおりである]
で示される請求項1または2に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項4】
一般式(I-1)または(I-2):
【化1】
[式中:
環CはC3-7シクロアルキルまたは4~7員のヘテロシクリルであるか;あるいはまたシクロペンチルまたはテトラヒドロピラニルであり;
環Bはピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニルであるか;あるいはまた、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリルまたはピリジルであり;
はH、D、ハロゲン、-CN、-NRR’、-OR、または-SRであり、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;あるいはまた、Rは環Cが親核に結合するC原子上に位置付けられ;
他の基は請求項1または2にて定義されるのと同意義である]
で示される、請求項3に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項5】
一般式(I-1):
【化1】
[式中:
環Cは5ないし6員のヘテロアリールまたはフェニルであるか;あるいはまた、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニルであるか;あるいはまた、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルまたはトリアゾリルであるか;あるいはまた、ピラゾリルであり;
他の基は請求項1または2にて定義されるのと同意義であるか;
あるいはまた、
環Bはピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニルであるか;あるいはまた、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリルまたはピリジルであり;
他の基は請求項1または2にて定義されるのと同意義である]
で示される請求項3に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項6】
一般式(II)または(II-1):
【化1】
[式中:
環Aは不在、C3-7シクロアルキルまたは4~7員のヘテロシクリルであり;
他の基は請求項1または2にて定義されるのと同意義であるか;
あるいはまた、
環Aは不在であるか、または4~7員のヘテロシクリルであるか;あるいはまた、ピペリジルまたはピペラジニルであり;
環Bはピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニルであるか;あるいはまた、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリルまたはピリジルであり;
Lは結合手、-O-、-S-、-N(R)-、-C(O)-またはC1-6アルキレンであり;
およびRは、独立して、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニルまたはC2-6アルキニルであり、ここで該基は完全に重水素化されるまでは1または複数のDで置換されてもよく;
他の基は請求項1または2にて定義されるのと同意義である]
で示される請求項3に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項7】
一般式(III)または(III-1):
【化1】
[式中:
環Cは5ないし6員のヘテロアリールまたはフェニルであるか;あるいはまた、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニルであるか;あるいはまた、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルまたはトリアゾリルであるか;あるいはまた、ピラゾリルであり;
他の基は請求項1または2にて定義されるのと同意義であるか;
あるいはまた、
環Bはピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニルであるか;あるいはまた、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリルまたはピリジルであり;
他の基は請求項1または2にて定義されるのと同意義である]
で示される請求項3に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項8】
一般式(III-2)または(III-3):
【化1】
[式中:
はCRa1またはNであり;AはCRa2またはNであり;AはCRa5またはNであり;
他の基は請求項1または2にて定義されるのと同意義であるか;
あるいはまた、
はCRa3またはNであり;
a1、Ra2、Ra3、Ra5、RおよびRは、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-OR、-SR、-NRR’、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NRR’またはC1-6アルキルであり、ここで、該基は完全に置換されるまでは1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
他の基は請求項1または2にて定義されるのと同意義であるか;
あるいはまた、
はCRa3またはNであり;
a1、Ra2、Ra3およびRa5は、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-OH、-C(O)NH、C1-6アルキルおよびC1-6ハロアルキルより選択され、ここで該基は、完全に重水素化されるまでは、1または複数のDで置換されてもよく;
およびRは、独立して、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり、ここで該基は、完全に重水素化されるまでは、1または複数のDで置換されてもよく;
あるいはまた、
はCRa3またはNであり;
a1はHまたはDであり;
a2はH、D、ハロゲン、-CN、-OH、-C(O)NH、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
a3はH、Dまたは-OHであり;
a5はHまたはDであり;
はC1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであるか;あるいはまた、メチルであり;
はC1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであるか;あるいはまた、メチルである]
で示される、請求項3に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項9】
一般式(III-3):
【化1】
[式中:
はCRa3またはNであり;
a1、Ra2、Ra3、Ra5、RおよびRは、独立して、H、D、ハロゲン、-OR、-SR、-NRR’、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルっであり、ここで該基は、完全に重水素化されるまでは、1または複数のDで置換されてもよく;
RおよびR’は、独立して、H、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニルおよびC2-6アルキニルより選択されるか、またはRとR’とは、それらの結合する窒素原子と一緒になって、4~8員のヘテロシクリルを形成し;ここで該基は、完全に重水素化されるまでは、1または複数のDで置換されてもよい]
で示される、請求項3に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項10】
一般式(III-3)で示され、ここで
がCRa3またはNであり;
a1、Ra2、Ra3およびRa5が、独立して、H、D、ハロゲン、-OH、C1-6アルキルおよびC1-6ハロアルキルより選択され、ここで該基は、完全に重水素化されるまでは、1または複数のDで置換されてもよく;
およびRが、独立して、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり、ここで該基が、完全に重水素化されるまでは、1または複数のDで置換されてもよく;
あるいはまた、
がCRa3またはNであり;
a1がHまたはDであり;
a2がH、D、ハロゲン、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
a3がH、Dまたは-OHであり;
a5がHまたはDであり;
がC1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであるか;あるいはまた、メチルであり;
がC1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであるか;あるいはまた、メチルである、
請求項9に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項11】
一般式(III-4):
【化1】
[式中:
はCRa4またはNであり;
a1、Ra2、Ra4、Ra5、RおよびRは、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-OR、-SR、-NRR’、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NRR’またはC1-6アルキルであり、ここで、該基は、完全に置換されるまでは、1または複数のDまたはハロゲンで置換されてもよく;
他の基は請求項1または2にて定義されるのと同意義である]
で示される、請求項3に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項12】
一般式(III-4)の化合物であって、ここで
がCRa4またはNであり;
a1、Ra2、Ra4およびRa5が、独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-OH、-C(O)NH、C1-6アルキルおよびC1-6ハロアルキルより選択され、ここで該基が、完全に重水素化されるまでは、1または複数のDで置換されてもよく;
およびRが、独立して、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり、ここで該基が、完全に重水素化されるまでは、1または複数のDで置換されてもよく;
あるいはまた、
がCRa4またはNであり;
a1がH、Dまたはハロゲンであり;
a2がH、D、ハロゲン、-CN、-OH、-C(O)NH、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
a4がH、Dまたは-OHであり;
a5がHまたはDであり;
がC1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであるか;あるいはまた、メチルであり;
がC1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであるか;あるいはまた、メチルである、
請求項11に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物。
【請求項13】
【化1】
【化1】
より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物、および医薬的に許容される賦形剤を含み;あるいはまた、他の治療剤をさらに含む、医薬組成物。
【請求項15】
ATRキナーゼが介在する疾患を治療および/または予防するための医薬組成物であって、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドラッグ、もしくは同位体変種、またはそれらの混合物を含むか;
あるいはまた、
そのATRキナーゼが介在する疾患が、増殖性疾患(がんなど)、特に充実性腫瘍(がん腫および肉腫など)、白血病およびリンパ腫、特に、例えば、乳がん、大腸がん、肺がん(小細胞肺がん、非小細胞肺がん、および気管支肺胞がんを含む)、前立腺がんおよび胆管がん、骨がん、膀胱がん、頭頸部がん、腎臓がん、肝臓がん、胃腸がん、食道がん、卵巣がん、膵臓がん、皮膚がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、子宮頸がんおよび外陰がん、ならびに白血病[急性リンパ性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)および急性骨髄性白血病(AML)等を含む]、多発性骨髄腫およびリンパ腫を含む、
ところの医薬組成物。
【国際調査報告】