(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-10
(54)【発明の名称】一緒に回転し、かつダンパ装置と軸方向に重なり合う作動装置を備える、常時閉である圧力媒体作動分離クラッチ
(51)【国際特許分類】
F16D 25/0635 20060101AFI20230803BHJP
B60K 6/48 20071001ALI20230803BHJP
B60K 6/40 20071001ALI20230803BHJP
B60K 6/387 20071001ALI20230803BHJP
F16D 13/38 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
F16D25/0635
B60K6/48 ZHV
B60K6/40
B60K6/387
F16D13/38
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023502969
(86)(22)【出願日】2021-07-07
(85)【翻訳文提出日】2023-01-16
(86)【国際出願番号】 DE2021100591
(87)【国際公開番号】W WO2022028642
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】102020120523.6
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルク フィンケンツェラー
【テーマコード(参考)】
3D202
3J056
3J057
【Fターム(参考)】
3D202AA08
3D202EE16
3D202EE22
3D202EE23
3D202FF08
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3J057HH02
3J057JJ01
3J057JJ02
(57)【要約】
本発明は、パワートレイン(3)のための回転軸(2)を有する分離クラッチ(1)であって、少なくとも以下の構成要素:-摩擦パックであって、摩擦パックが係合されたときにトルクを伝達するために、常時閉であるように設計されている摩擦パック(4)と、摩擦パック(4)の係合状態を切換可能に解除するために摩擦パック(4)とともに回転する静圧作動装置(5)と、ねじり振動ダンパ(7)及び/又は遠心振り子タイプ吸収装置(8)を備えるダンパ装置(6)と、を有する、分離クラッチ(1)に関する。分離クラッチ(1)は、作動装置(5)が、少なくとも拡張状態でダンパ装置(6)と軸方向に重なり合うように配置されていることを主に特徴とする。上述の分離クラッチを使用することによって、非常にコンパクトな構築物が、動的挙動、例えば、伝達することができる必要なトルクに関する不利点を伴わずに達成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワートレイン(3)のための回転軸(2)を有する分離クラッチ(1)であって、少なくとも以下の構成要素:
-係合状態でトルクを伝達するための常時閉である摩擦パック(4)と、
-前記摩擦パック(4)の前記係合状態の切換可能な解除のための共回りする静圧作動装置(5)と、
-ねじり振動ダンパ(7)及び/又は遠心振り子(8)を備えるダンパ装置(6)と、を有し、
前記作動装置(5)が、少なくとも拡張状態で、前記ダンパ装置(6)と軸方向に重なり合って配置されていることを特徴とする、分離クラッチ(1)。
【請求項2】
前記摩擦パック(4)が、摩擦ディスク(9)、圧力プレート(10)、カウンタプレート(11)、圧力ポット(12)、及び皿ばね(13)を備え、前記皿ばね(13)が、好ましくは、前記カウンタプレート(11)と前記圧力ポット(12)との間に支持されている、請求項1に記載の分離クラッチ(1)。
【請求項3】
前記圧力ポット(12)が、
-前記摩擦ディスク(9)の摩擦面(14)の半径方向外側の前記圧力プレート(10)、及び
-前記摩擦ディスク(9)の前記摩擦面(14)の半径方向内側の前記作動装置(5)との力伝達接触のために、前記カウンタプレート(11)を通って延在して配置されている、請求項2に記載の分離クラッチ(1)。
【請求項4】
前記作動装置(5)が、前記摩擦パック(4)内で、好ましくは半径方向に、請求項2に記載の摩擦ディスク(9)のトルク接続(17)内で、半径方向に配置されている、軸方向に移動可能な圧力ピストン(16)を有する圧力チャンバ(15)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の分離クラッチ(1)。
【請求項5】
前記圧力ピストン(16)が、半径方向-外側区分(18)及び半径方向内側区分(19)を有し、前記区分(18、19)の間に、段(20)が、軸方向延長部を有する壁区分(21)を伴って形成され、前記壁区分(21)と前記圧力チャンバ(15)の対応する側方後壁(22)との間に、間隙空間(23)が、軸方向延長部を伴って半径方向内側に形成されている、請求項4に記載の分離クラッチ(1)。
【請求項6】
好ましくは、請求項5に記載の、前記圧力ピストン(16)が、封止壁(24)の半径方向-外側に形成され、前記圧力チャンバ(15)が、前記封止壁(24)の側方に後壁(22)に対して平行であるように形成され、前記圧力ピストン(16)の前記封止壁(24)に対する半径方向外部シール(25)を有し、好ましくは、前記圧力ピストン(16)が、前記シール(25)によって芯出しされている、請求項4又は5に記載の分離クラッチ(1)。
【請求項7】
前記ダンパ装置(6)を有する請求項2に記載の摩擦ディスク(9)が、好ましくは、スプライン(26)によって、恒久的にトルク伝達的に接続されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の分離クラッチ(1)。
【請求項8】
パワートレイン(3)であって、少なくとも以下の構成要素:
-機械シャフト(29、30)を有する少なくとも1つの駆動機械(27、28)と、
-前記少なくとも1つの機械シャフト(29、30)のトルクを消費機器(32、33)に伝達するためのトランスミッション(31)と、
-請求項1~7のいずれか一項に記載の分離クラッチ(1)であって、前記駆動機械(27)のうちの少なくとも1つと前記消費機器(32、33)との間のトルクを、前記分離クラッチ(1)によって解除可能に伝達することができる、分離クラッチ(1)と、を有する、パワートレイン(3)。
【請求項9】
自動車(34)であって、前記自動車(34)を推進するために、請求項8に記載のパワートレイン(3)によって駆動することができる少なくとも1つの駆動輪(32、33)を有する、自動車(34)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワートレインのための回転軸を有する分離クラッチ、そのような分離クラッチを有するパワートレイン、及びそのようなパワートレインを有する自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
分離クラッチは、例えば、ハイブリッド化されたパワートレインを有する自動車の分野で既知であり、自動車を推進するために、駆動機械、例えば、内燃機関と、トランスミッションとの間のトルク伝達を分離するために使用される。以下に説明される分離クラッチは、例えば、P3と称される構成を有する自動車のハイブリッド化されたパワートレインで使用することができる。P3構成によると、電気駆動機械が、例えば、ダブルシフトトランスミッションを有する一実施形態で、自動車のクラッチと出力との間に配置され、2つのトルク伝達シャフトのうちの1つが、統合されるか、又はシフトトランスミッションの下流にあり、例えば、差動装置を有するユニットとして設計される。
【0003】
ますます厳しくなる排出基準及び必要とされるフリート消費量を満たすことを可能にするために、ほとんど全ての自動車メーカは、パワートレインのハイブリッド化に依存している。重量及び設置空間を抑えるために、電気駆動モータは、内燃機関のねじり振動ダンパの直後、又は(ハイブリッド化された)デュアルクラッチトランスミッションに配置される。2つの駆動源(内燃機関及び電気駆動機械)は、分離クラッチによって分離される。分離クラッチは、可能な限り空間中立な様式で実現され、最良の可能な方式で所望の又は必要な制動装置と組み合わせられるべきである。隔離に対する高い要求を満たすために、遠心振り子吸収装置を可能な限り空間中立的に統合することも、多くの場合、望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこから進んで、本発明の目的は、先行技術から知られている欠点を少なくとも部分的に解消することである。本発明による特徴は、有利な実施形態が従属請求項に示されている独立請求項から生じる。特許請求の範囲の特徴は、任意の技術的に合理的な方法で組み合わせることができ、本発明の追加の実施形態を含む以下の詳細な説明及び図における説明もまた、この目的のために使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、パワートレインのための回転軸を有する分離クラッチであって、少なくとも以下の構成要素:
-係合状態でトルクを伝達するための常時閉である摩擦パックと、
-摩擦パックの係合状態の切換可能な解除のための共回りする静圧作動装置と、
-ねじり振動ダンパ及び/又は遠心振り子を備えるダンパ装置と、を有する、分離クラッチに関する。
【0006】
分離クラッチは、作動装置が、少なくとも拡張状態で、ダンパ装置と軸方向に重なり合って配置されていることを主に特徴とする。
【0007】
以下では、特に明記しない限り、軸方向、径方向又は円周方向及び対応する用語が使用される場合、言及された回転軸が参照される。特に明記されていない限り、前及び後の説明で使用される序数は、明確に区別する目的でのみ使用され、指定された構成要素の順序又は順位を示すものではない。1よりも大きい序数は、そのような他の構成要素が存在しなければならないことを必ずしも意味しない。
【0008】
本明細書において提案される分離クラッチは、少なくとも1つの駆動機械と消費機器との間の中心回転軸を中心とするトルクの伝達の切換可能な解除のために構成されている。トルクを解除可能に伝達するために、常時-閉である動作摩擦パックが提供される。摩擦パックは、係合状態(すなわち、通常状態)で(所定の最大)トルクを摩擦伝達するために構成されている、摩擦要素を備える。そのような摩擦パックは、一実施形態では、少なくとも1つのクラッチディスクを有する、いわゆるディスククラッチ、又は複数の内側ディスク及び外側ディスクを有するディスクパックとして設計される。切換可能な様式でトルク伝達を解除することを可能にするために、液圧又は静圧作動装置が提供され、静圧が、摩擦パック、すなわち、トルク伝達の通常条件を解消するために増加されなければならない。
【0009】
駆動側、すなわち、駆動機械、例えば、内燃機関に向かって面する側はまた、多くの場合、駆動機械(トルク源)から開始するトルクフローを考慮したときに、駆動機械からのトルクが分離クラッチに入るため、入力側とも称される。したがって、そのような用途では、出力側、すなわち、トランスミッションに向かう側は、対応する検討事項では、出力又はトランスミッションがトルクシンク又は消費機器への接続を形成するため、出力側と称される。トルクフローのこの検討事項における出力側が、直接的にマニュアルトランスミッションの入力側である必要はないが、好ましくは、別のシフトクラッチ、特に好ましくは、ダブルシフトクラッチが、直接的又は間接的に下流に接続されることに留意されたい。
【0010】
本明細書において提案される分離クラッチの場合、この静圧作動装置は、同様に回転するように設計されている。それゆえに、例えば、静圧中央スレーブシリンダ[CSC:中央スレーブシリンダ]とは異なる、この静圧作動装置は、作動ベアリングなしで実行可能である。これは、特にトルク伝達シャフトのエリアでは、このタイプの中央スレーブシリンダが別様に配置されることを必要とする軸方向及び半径方向の相当な設置空間を削減する。
【0011】
更に、ダンパ装置は、ねじり振動ダンパ(例えば、デュアルマスフライホイール、マルチフランジダンパ、又はロッカタイプダンパ)及び/又は遠心振り子を備える、分離クラッチに統合される。ダンパ装置は、好ましくは、駆動機械に可能な限り近くに配置され、そのため、これは(電気駆動機械の場合)、外部回転ムラから解放され、(内燃機関の場合)トルク源における回転ムラは、可能な限り早期にパワートレインから隔離される。本明細書において提案される分離クラッチはまた、冒頭に述べられたP3-構成から逸脱する、パワートレインの構成でも使用することができることが指摘されるべきであり、例えば、既知の指定による構成は、以下のとおりである:
-P0(モータが、内燃機関の後部上のトランスミッションに関して内燃機関の燃焼シャフトに堅固に接続されている)、
-P1(モータが、内燃機関とトランスミッションとの間の内燃機関シャフトに堅固に接続されている)、
-P2(クラッチによって分離することができる内燃機関シャフトとのトルク伝達接続)及びP4(別個の電気軸)、並びにそれらの組み合わせ、そのうちのP0+P2、P1+P2、及びP2+P4が本明細書に具体的に述べられ、組み合わせは、対応する複数の電気駆動機械を含む。
【0012】
ここで、本明細書では、作動装置及びダンパ装置は、作動装置が、少なくとも拡張状態で、すなわち、通常状態を解消するときの最大軸方向拡張で、ダンパ装置と軸方向に重なり合って少なくとも部分的に配置されるという点で、軸方向に非常にコンパクトであることが提案される。したがって、アクチュエータの別様に相反する要件が解決され、すなわち、要件のうちの1つは、出力側シャフト(例えば、トランスミッション入力シャフト)を介して伝達することができる高トルクを可能にすることであり、別の要件は、最小の可能な軸方向設置空間を使用することである。
【0013】
共回りする静圧作動装置では、遠心力から結果的に生じる高速において、軸方向圧力が、作動の方向に発生し、その結果、摩擦パックがその通常状態から追い出される。摩擦パックが近接されるように通常設計されるという事実に起因して、共回りする静圧作動装置の欠点は、いかなる高トルクも伝達されてはならないときに、この作動効果のみが高速で効果を有するため、補償される。分離クラッチの1つの構成では、作動装置が、高速における遠心力の影響の結果として開方向に強いられ、それゆえに、最大伝達可能トルクが低減されることが起こり得る。それゆえに、分離クラッチの機能は、これによって影響されない。
【0014】
それどころか、常時-開である分離クラッチによると、摩擦パックは、高速(作動方向)の作動装置によってより強く近接し、したがって、摩擦パックを開放するための(受動的でもある)作動力が増加する。追加の補償する反力が、次いで、提供されなければならない。本明細書において提案される常時-閉である分離クラッチによると、力は、特定の用途のための正確な方向で相互作用する。
【0015】
それはまた、摩擦パックが、摩擦ディスク、圧力プレート、カウンタプレート、圧力ポット、及びプレートばねを備える分離クラッチの有利な実施形態でも提案され、プレートばねは、好ましくは、カウンタプレートと圧力ポットとの間で支持される。
【0016】
分離クラッチの摩擦パックがディスククラッチとして設計されることが本明細書に提案され、(好ましくは、単一の)摩擦ディスク、(好ましくは、単一の)圧力プレート、(好ましくは、単一の)カウンタプレート、圧力ポット、及び、例えば、プレートばねアセンブリとして設計されるプレートばねを、好ましくは、備える。摩擦ディスクは、圧力プレートとカウンタプレートとの間で軸方向に係合することができ、通常状態のプレートばねによって、それゆえに、いかなる作動力も、作動装置によって摩擦パックに適用されず、圧力プレートは、カウンタプレートに向かって押されるか、又は引っ張られる。したがって、摩擦接続は、摩擦ディスクによって、具体的には、圧力プレートを用いて、及びカウンタプレートを用いて、両側に軸方向に形成される。この通常状態では、所定のトルク範囲が伝達可能である。したがって、プレートばねの予張は、伝達することができる最大トルクを決定する。皿ばねが、好ましくは、ダイアフラムばねとして設計され、それによって、通常状態で、拡張状態で及ぼされる軸方向力以上の軸方向力が及ぼされ、好ましくは、ダイアフラムばねの軸方向力の(最も好ましくは、唯一の)動作最大値は、通常状態と拡張状態との間にあることに留意されたい。
【0017】
有利な実施形態では、皿ばねは、カウンタプレートと圧力ポットとの間で支持され、その結果、圧力プレートは、摩擦ディスクに対して通常状態で圧力ポットによって引っ張られ、摩擦ディスクは、カウンタプレートに対して引っ張られる。小さい圧力ポット又は圧力プレートの視点からカウンタプレートを越える圧力ポットの小区分を有するそのような実施形態が、既存の設置空間を利用するために、用途の多くのエリアにとって有利である。これは、設置空間の観点で中立である実施形態が好まれることを意味する。
【0018】
一実施形態では、皿ばねは、ワイヤリングを介して、カウンタプレート及び/又は圧力ポット上で支持され、そのため、カウンタプレート又は圧力ポットのための画定された支持及び/又は材料の使用は、窪み(柔軟表面による)又は圧力破壊挙動(脆砕性表面の場合)を回避するために、表面硬度の観点で最適化することができる。
【0019】
好ましい実施形態では、複数の板ばねが、カウンタプレートと圧力ポット又は周囲にわたって分散された(好ましくは、均衡して、及び/又は均等に)圧力プレートとの間に提供され、好ましくは、プレートばねに対して相反して作用するように設計され、その結果、基礎張力及び/又は圧力プレートの持ち上げが、拡張状態で確保される。好ましい実施形態では、板ばねの各々が、板ばねアセンブリとして設計される。好ましい実施形態では、板ばねの各々は、プレート側で、すなわち、圧力プレート及びカウンタプレートとかしめられている。
【0020】
分離クラッチの有利な実施形態では、圧力ポットが、
-摩擦ディスクの摩擦面の半径方向外側の圧力プレート、及び
-カウンタプレートを通って延在するように配置された摩擦ディスクの摩擦面の半径方向内側の作動装置との力伝達接触のためのものであることも提案されている。
【0021】
既存の設置空間内で特に良好に使用することができる特に有利な圧力ポットが本明細書に提案され、この圧力ポットは、カウンタプレートを2回通って延在するように配置されており、すなわち、1回は、圧力プレートに接続するためであり、1回は、作動装置に接続するためである。クランプが、指がそこを通って延在している圧力ポットによって、摩擦ディスクの摩擦面の半径方向周囲に形成されている。これは、設置空間の観点で中立である実施形態が好まれることを意味する。
【0022】
そのような圧力ポットはまた、組み立てが容易であり、皿ばねの予応力が、非常に後期段階で調節することができる。好ましい実施形態では、圧力ポットは、ダンパ装置と完全に半径方向に重なり合って延在し、作動装置は、ダンパ装置の領域内に半径方向に突出する(圧力ポットとの接触のために)。
【0023】
分離クラッチの有利な実施形態では、作動装置が、摩擦パック内で、半径方向に、好ましくは、上記の説明による実施形態による摩擦ディスクのトルク接続内で半径方向に配置されている、軸方向に移動可能な圧力ピストンを有する圧力チャンバを備えることも提案されている。
【0024】
この実施形態では、共回りする静圧作動装置は、軸方向に移動可能な圧力ピストンが、対応するシールとともに配置されている圧力チャンバを備えることが提案されている。したがって、圧力ピストンを、容積又は圧力の増加によって軸方向に移動することができる。小さい(例えば、最小)容積では、摩擦パックに対していかなる作動力も存在せず、そのため、摩擦パックは、次いで、通常状態を採用するか、又は通常状態のままである。大きい(例えば、最大)容積の場合、圧力ピストンは、拡張され、圧力ピストンは、摩擦パックに対して(大きい又は最大)作動力を及ぼし、そのため、摩擦パックは、次いで、拡張状態をとるか、又はそこに(能動的に)保持される。例えば、作動力は、上記の説明の実施形態による圧力ポットへの接続によって圧力ピストンから伝達される。
【0025】
圧力チャンバ及び軸方向に移動可能な圧力ピストンは、摩擦パック内に半径方向に配置され、摩擦パックと軸方向に重なり合うか、若しくはそれに対して部分的に(ダンパ装置に向かって)軸方向にオフセットされるか、又は、好ましくは、摩擦パックとの軸方向の重なり合いの完全に外側にある。これは、分離クラッチの中央エリア内の軸方向設置空間における、すなわち、トルク伝達シャフト、例えば、トランスミッション入力シャフトにおける、大きな増大をもたらす。
【0026】
有利な実施形態では、作動装置は、上記の説明による実施形態による摩擦ディスクのトルク接続内で完全に半径方向に配置され、好ましくは、このトルク接続と軸方向に重なり合って配置される。そのようなトルク接続は、例えば、スプラインとして設計された、例えば、ダンパ装置との摩擦パックのインターフェースであり、摩擦ディスク側で、トルク接続は、好ましくは、軸方向に比較的硬いディスク様要素を含み、その上に摩擦ライニング(例えば、ライニングばねを含む)のための層状容器が、比較的低い軸方向硬さで配置される。
【0027】
クラッチの有利な実施形態では、圧力ピストンが半径方向外側区分及び半径方向内側区分を有し、セクション間に、段が、軸方向延長部を有する壁区分とともに形成され、壁区分と圧力チャンバの対応する側方後壁との間に、半径方向内側に、間隙空間が、軸方向延長部を有して形成されることも提案される。
【0028】
この実施形態では、圧力チャンバ及び対応する圧力ピストンが、少なくとも2つの半径方向区分に分割され、段が、軸方向延長部、好ましくは、分離クラッチの回転軸に対して純粋に平行な延長部を有する壁区分とともに、2つの区分の間に形成されることが提案される。圧力チャンバは、対応する側方後壁を有し、圧力ピストンの軸方向壁区分と側方後壁との間に、間隙空間が、半径方向内側に形成される(通常状態に対応する後退状態で)。それゆえに、圧力チャンバの容積は、非常に小さく、圧力ピストンは、半径方向に平坦である圧力ピストンの実施形態と比較して、段の結果として硬くなる。
【0029】
有利な実施形態では、間隙空間の後部で、すなわち、圧力チャンバの側方後壁の外側で半径方向に、圧力ピストンに対するシールが形成され、それゆえに、C-字形が、この側部後壁の周囲の輪郭に形成される。
【0030】
好ましい実施形態では、分離クラッチ(少なくとも摩擦パック及び/又はダンパ装置)は、乾式設計のものである。一実施形態では、作動装置の圧力チャンバから摩擦ライニング及び/又はダンパ装置のエリア内への油圧流体の小さい流れは、完全に防止されない。空冷もまた、油圧流体が分離クラッチの乾燥エリアに入る可能性がある場合、クラッチ動作中に主に発生する熱に対して決定的に好ましい。
【0031】
分離クラッチの有利な実施形態では、好ましくは、上記の説明による実施形態に従って、圧力ピストンが、封止壁の半径方向外側に形成され、圧力チャンバが、封止壁の側方の後壁に対して平行であるように形成され、圧力ピストンの封止壁の外部に半径方向シールを有し、好ましくは、圧力ピストンが、シールによって芯出しされることも提案される。
【0032】
圧力チャンバは、例えば、上記に説明されたように設計される、圧力チャンバの軸方向後壁上に半径方向外部シールを有する。圧力ピストンは、それに対して平行に伸び、かつ圧力ピストンの軸方向ストローク運動に従って、シールにわたって摺動する、封止壁を備える。例えば、圧力ピストンは、圧力チャンバの軸方向後壁の周囲の輪郭でC-字形を形成する。
【0033】
封止壁と、好ましくは、次の軸方向に固定されたシールを含む、軸方向に固定された後壁との軸方向持ち上げ運動の相互作用において、ストロークに軸方向に追加して、大きい軸方向長さが必要であり、かつ圧力チャンバの軸方向後壁の軸方向半径方向内側に配置されることが必要になるため、小さい軸方向設置空間にとって、その内部に、圧力チャンバから半径方向外側に、すなわち、それから離れるようにシールを配置することが有利である。したがって、シールを有するか、又は封止壁及び軸方向後壁の封止有効長さ区分を有する、圧力ピストンのストロークの長さ区分は、軸方向に互いに重なり合うように配置される。この場合、既存の設置空間もまた、圧力ポットへの圧力ピストンの力伝達接続のために効率的に使用することができる。
【0034】
これとは無関係に、圧力ピストンは、好ましくは、半径方向外側に、軸方向後壁によって、好ましくは、芯出しされる。シールは、特に好ましくは、摺動リングを含み、それによって、圧力ピストンは、軸方向後壁から半径方向距離で、かつ低摩擦で芯出しされる。加えて、特に分離クラッチの乾式実施形態で、摺動リングの圧力チャンバ側に配置された封止リングの封止表面を保護するために、第1の塵埃忌避性が摺動リングによってもたらされる。好ましい実施形態では、シールの構成要素(例えば、封止リング及び/又は摺動リング)が、対応する溝内で、好ましくは、半径方向外側に、圧力チャンバの軸方向後壁において、リング形状様式で受容され、したがって、軸方向に固定される。
【0035】
分離クラッチの有利な実施形態では、上記の説明による実施形態による摩擦ディスクが、好ましくは、スプラインによって、ダンパ装置にトルク伝達様式で恒久的に接続されることも提案される。
【0036】
この実施形態では、摩擦ディスクは、ダンパ装置に接続され、ダンパ装置は、好ましくは、駆動側(例えば、内燃機関側)に配置され、圧縮プレート及びカウンタプレートは、出力側(例えば、トランスミッション側)に配置される。
【0037】
それゆえに、本明細書に提案される分離クラッチは、トルクフローから駆動機械を完全に結合解除することに、すなわち、それを分離することに大きな役割を果たしている。一実施形態では、分離クラッチは、エンジン(内燃機関として設計された)を始動するときにトルク差を平滑化しながら、少なくともアイドルスピードまで加速するように、及び/又は内燃機関シャフト及びトランスミッションシャフトを同期するように構成される。
【0038】
有利な実施形態では、摩擦ディスクは、スプラインによってダンパ装置にトルク伝達様式で恒久的に接続され、摩擦ディスクは、ダンパ装置に対して軸方向に変位される(可能な限り容易に)。これは、摩擦パックが開放されたときに、摩擦ディスクが小さい抵抗で軸方向持ち上げ力に追従するため、すなわち、圧力プレート及びカウンタプレートを容易に離昇することができるため、摩擦パック内のドラグトルクが可能な限り低いことを意味する。上記に既に説明されたように、作動装置は、好ましくは、これらのスプラインと少なくとも部分的に軸方向に重なり合って配置される。
【0039】
有利な実施形態では、ダンパ装置は、少なくとも1つの一次フランジ及び1つの二次フランジを備え、一次フランジは、エンジン側に配置され、二次フランジは、摩擦パック側に配置される。一次フランジ及び二次フランジは、好ましくは、ユニットとして予め組み立てることができ、分離クラッチ内で装着する前に互いに対して予め芯出しされる。好ましい実施形態では、分離クラッチにおける二次フランジに対する一次フランジの芯出しは、摩擦パックの装着中に設定又は調節することができ、摩擦ディスクは、好ましくは、例えば、スプラインによって、圧力プレート及びカウンタプレートに対して同時に芯出しされる。
【0040】
好ましい実施形態では、遠心振り子が、例えば、一次フランジと二次フランジとの間のばねアセンブリの半径方向内側に、二次フランジ上に配置される。
【0041】
更なる態様によると、パワートレインが提案され、パワートレインは、少なくとも以下の構成要素:
-機械シャフトを有する少なくとも1つの駆動機械と、
-少なくとも1つの機械シャフトのトルクを消費機器に伝達するためのトランスミッションと、
-上記の説明による実施形態による分離クラッチであって、駆動機械のうちの少なくとも1つと消費機器との間のトルクを、分離クラッチによって解除可能に伝達することができる、分離クラッチと、を有する。
【0042】
本明細書に提案されるパワートレインは、上記の説明による実施形態における分離クラッチを備え、静圧作動装置によって摩擦パックに適用される作動力又は押圧力によって、原動力又はその機械シャフトから少なくとも1つの消費機器、例えば、自動車の駆動輪にトルクを伝達する分離クラッチを、切り換えることができる、すなわち、解除可能である。これは、例えば、自動車において、エンジンブレーキを使用して自動車を減速させる、及び/又は制動エネルギーを回復するために、消費機器から機械シャフトへの逆トルク伝達を決して排除するものではない。駆動機械は、例えば、内燃機関及び/又は電気駆動機械である。一実施形態では、分離クラッチの入力側は、トルクに耐える様式で機械シャフト、好ましくは、内燃機関シャフトに接続され、出力側は、トルクに耐える様式で少なくとも1つの消費機器に接続される(例えば、トランスミッションを介して少なくとも間接的に)。トランスミッションは、好ましくは、デュアルクラッチ及びデュアルシフトトランスミッションを備える。好ましくは、パワートレインは、ハイブリッド化され、それは、P3-構成によると、ダブルシフトギアボックスの下流又は2つの並列トレインのうちの1つ(例えば、偶数のギアを含む)に含められるトルク出力のための電気駆動モータにとって、特に好ましい。
【0043】
本明細書において提案される分離クラッチによると、非常にコンパクトな構造が、動的挙動、例えば、必要とされる伝達可能なトルク部に関する、いかなる欠点もなしで達成され、その結果、この分離クラッチを、高パワー密度を有する空間中立様式で、パワートレイン、特に、ハイブリッド化されたパワートレインに統合することができる。
【0044】
更なる態様によると、自動車であって、自動車の推進のために、上記の説明による実施形態によるパワートレインによって駆動することができる、少なくとも1つの駆動輪を有する自動車が提案される。
【0045】
ハイブリッド自動車では、駆動部品の数が多いため、軸方向及び/又は径方向の設置スペースが特に小さく、したがって、小型のハイブリッド駆動トレインを使用することが特に有利である。動作速度、破壊的なねじり振動の強度の同時低下を伴い、かつトルクの増加又は分離クラッチのサイズの低減を伴う駆動機械のいわゆる所望の小型化によると、作動力に対する要求が増加する。同様の問題が、いわゆるハイブリッド化でも生じ、電気駆動機械がますます頻繁に使用されるか、又は主要なトルク源を形成し、可能な限り最小の内燃機関が使用されることになるが、より頻繁にパワートレインから繰り返しスイッチオン及びオフされなければならない。それゆえに、十分な作動力を、低部品コスト及び小さい利用可能な設置空間とともに同時に提供することが課題である。
【0046】
この問題は、欧州分類による小型車カテゴリーの乗用車の場合に悪化する。小型車カテゴリーの乗用車において使用されるアセンブリは、大型車カテゴリーの乗用車と比較してサイズが大幅に減少することはない。それにもかかわらず、小型車の利用可能な設置スペースはかなり小さい。大量の構成要素にかかわらず、本明細書に提案されるパワートレインは、より小さい全体サイズを有するが、一方で同時に、トルク伝達の高度な効率が確保される。
【0047】
乗用車は、例えば、サイズ、価格、重量、及び性能に応じて車両カテゴリーに割り当てられ、この定義は、市場のニーズに基づいて絶えず変更される。米国市場では、小型車及びマイクロカーのカテゴリーの車両は、欧州分類に従ってサブコンパクトカーのカテゴリーに割り当てられるが、英国市場では、それぞれ、スーパーミニカー及びシティカーのカテゴリーに対応している。マイクロカーカテゴリの例は、フォルクスワーゲンのup!又はルノーのトゥインゴである。小型車カテゴリーの例は、アルファロメオのミト、フォルクスワーゲンのポロ、フォードのKa+又はルノーのクリオである。既知のハイブリッド車両は、BMW330e又はToyota Yaris Hybridがある。既知のマイルドハイブリッドは、例えば、Audi A6 50 TFSI e又はBMW X2 xDrive25eがある。
【0048】
上記に説明された発明は、好ましい実施形態を示す添付図面を参照して重要な技術的背景に対して以下に詳細に説明される。本発明は、純粋に概略的な図面を用いて決して制限されないが、図面は、寸法的に正確ではなく、比率を定義するには好適ではないことに留意されたい。図は、次のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】断面図における回転軸を有する分離クラッチである。
【
図2】分離クラッチを有する自動車におけるパワートレインの回路図。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1では、回転軸2を有する分離クラッチ1が断面図で示されている。分離クラッチ1は、常時-閉である摩擦パック4と、共回りする静圧作動装置5と、ダンパ装置6と、を備える。ダンパ装置6は、一次フランジ35、二次フランジ36、及び回転ムラを低減するために一次フランジ35と二次フランジ36との間に形成されたばねアセンブリを有する、ねじり振動ダンパ7として本明細書において設計される。ダンパ装置6は、ねじ接続として設計されたモータ接続38によって、内燃機関27の内燃機関シャフト29に一次フランジ35を介してトルク伝達様式で接続される(
図2参照)。摩擦パック4とのインターフェースは、スプライン26として設計されたトルク接続17によって、二次フランジ36によって形成される。加えて、遠心振り子8が提供され、本明細書では、(任意選択的に)ばねアセンブリ37の半径方向内側に、及びトルク接続17の半径方向外側に、及び(任意選択的に)二次フランジ36上に配置される。トルク接続17のスプライン26は、二次フランジ36が、外歯を有するダンパハブ39を有し、対応する摩擦ディスク9が、内歯を有する歯付き要素40を有し、それらがトルク伝達様式で互いに恒久的に接続される方式で形成される。スプライン26による接続は、摩擦ディスク9を、ダンパ装置6に対して軸方向に容易に変位することができる利点を有する。これは、ドラグトルクを低減する。示される実施形態では、摩擦ディスク9は、複数のリベット41によって歯付き要素40に接続される。
【0051】
摩擦ディスク9は、摩擦パック4の一部であり、摩擦パック4はまた、軸方向に変位可能に装着された圧力プレート10と、軸方向に固定されたカウンタプレート11と、圧力ポット12と、プレートばね13と、を有する。摩擦パック4の摩擦トルク伝達摩擦面14は、ほぼ、ダンパ装置6のばねアセンブリ37のレベルで半径方向延長部に配置される。
【0052】
表現では、圧力ポット12は、その2つの最大状態で示されている。一方で、圧力ポット12は、常時閉である状態に対応するその位置で2点鎖線を用いて示され、他方で、摩擦相手を有する拡張状態に対応する位置に対応するその位置で実線を用いて示される。摩擦ディスク9は、圧力プレート10(例示によると左に配置される)とカウンタプレート11(例示によると右に配置される)との間で軸方向にその両面摩擦面14を有して配置される。
【0053】
圧力プレート10は、型枠取り付け及びトルク伝達様式で圧力ポット12に軸方向に固定され、半径方向外側保持リング42を介して圧力ポット12と軸方向に固定され(分解を可能にする)、したがって、軸方向力-伝達様式で接続される。この実施形態では、圧力ポット12は、摩擦ディスク9の外側に(任意選択的に)半径方向に構成され、圧力プレート10に対する接続を形成し、その結果、それは、カウンタプレート11を通って延在する。常時-閉である状態では、摩擦ディスク9は、トルク伝達に必要とされる接触圧力が、プレートばね13を介して(単独で)発生し、圧力プレート10が、カウンタプレート11に向かって引っ張られることで、圧力プレート10とカウンタプレート11との間に軸方向に係合される。したがって、摩擦接続は、摩擦面14によって摩擦ディスク9の両側に軸方向に形成される。トルクは、圧力ポット12を介して圧力プレート10からカウンタプレート11に伝達される。プレートばね13は、ワイヤリング43を介してカウンタプレート11上及び圧力ポット12上で(任意選択的に)支持される。
【0054】
更に、圧力ポット12は、軸方向に移動可能な様式でカウンタプレート11の外側の周囲にわたって分散された板ばねアセンブリ44によって半径方向に接続され、板ばねアセンブリ44は、プレートばね13に対して相反して作用するように設計され、その結果、基礎張力及び/又は圧力プレート10の持ち上げは、拡張状態で確保される。
【0055】
圧力ポット12はまた、作動装置5に接続するためのカウンタプレート11を通って延在するように内側に(任意選択的に)半径方向に配置され、その結果、クランプは、延在するその2つの指を有する圧力ポット12によって摩擦ディスク9の摩擦面14の半径方向周囲に形成される。
【0056】
摩擦パック4を(能動的に)開放するための作動装置5は、軸方向に移動可能な圧力ピストン16を有する圧力チャンバ15を備え、圧力チャンバ15は、トルク接続17内に、かつ摩擦パック4と軸方向に重なり合って半径方向に配置される。圧力ピストン16は、半径方向内側係止リング45によって圧力ポット12に接続される。圧力チャンバ15はまた、カウンタプレート11によって形成され、圧力ピストン16に対するシール25を備える。示される実施形態では、圧力チャンバ15及び対応する圧力ピストン16は、半径方向外側区分18と半径方向内側区分19とに分割され、段20が、2つの区分18、19の間に形成される。段20は、分離クラッチ1の回転軸2に対する純粋に平行な延長部を有する、圧力ピストン16上の軸方向壁区分21とともに形成される。対応する軸方向後壁22は、カウンタプレート11上に形成され、その結果、間隙空間23は、軸方向壁区分21と軸方向後壁22との間の軸方向及び半径方向延長部に構成される。それゆえに、圧力チャンバ15の容積は、非常に小さく、圧力ピストン16は、半径方向の膨張で平坦である圧力ピストン16の実施形態と比較して、段20の結果として硬くなる。
【0057】
圧力チャンバ15は、圧力チャンバ15の軸方向後壁22上に半径方向外部シール25を有し、本明細書では、封止リング46及び摺動リング47を(任意選択的に)備える。圧力ピストン16は、それに対して平行に伸び、かつ圧力ピストン16の軸方向ストローク運動に従って、シール25にわたって摺動する、封止壁24を備える。この相互作用では、大きい軸方向長さが、必要であり、かつストロークに軸方向に追加する、圧力チャンバ15の軸方向後壁22の半径方向内側に配置されることが必要になるため、小さい軸方向設置空間にとって、シール25を外側に半径方向に、すなわち、圧力チャンバ15から離れるように面して配置することが有利である。したがって、圧力ピストン16及びシール25のストロークの長手方向区分は、すなわち、互いに軸方向に重なり合う様式で配置される。加えて、示される実施形態では、圧力ポット12に対して軸方向に橋を架ける接続が形成されることになり、その結果、そこ(又はこの接続に必要とされる設置空間)で利用可能な設置空間もまた使用される。これに関係なく、シール25は、軸方向後壁22によって圧力ピストン16を芯出しする摺動リング47を含む。加えて、摺動リング47は、第1の塵埃忌避性を提供し、特に分離クラッチ1の乾式実施形態で、封止リング46の封止表面を保護する。
【0058】
カウンタプレート11は、更なる保持リング48を介して、トランスミッション入力シャフト49(代替的に、トランスミッション入力シャフト49への接続のためのスプラインを有するトランスミッションハブ)上のトランスミッションシャフト側で軸方向に固定され、カウンタプレート11とトランスミッション入力シャフト49との間のトルク伝達が、本明細書では詳細に示されない歯を介して型枠取り付け様式で起こる。
【0059】
分離クラッチ1を(能動的に)開放するために、圧力チャンバ15は、トランスミッション入力シャフト49に配置された供給ライン50を介して流体圧力(例えば、パワートレイン3の作動油)で加圧され、その結果として、圧力ピストン16は、示される左に移動し、拡張状態がとられる(ここでは、圧力ピストン16が左に示される)。圧力ポット12を介して圧力ピストン16に接続される圧力プレート10は、それによって、左に解除され、その結果、圧力プレート10は、摩擦ディスク9を軸方向に離昇し、摩擦ディスク9は、カウンタプレート11を軸方向に離昇し、したがって、圧力プレート10とカウンタプレート11との間の摩擦ディスク9が自由に回転することができる。次いで、モータ接続38とトランスミッション入力シャフト49との間のトルク伝達(上記のドラグトルク)が防止される。
【0060】
図2は、分離クラッチ1を有する、長方形として単純化された形態で示される、自動車34のパワートレイン3を示す。分離クラッチ1は、例えば、
図1に示されるように設計される。パワートレイン3は、内燃機関27と、電気駆動機械28と、分離クラッチ1と、本明細書では、デュアルクラッチ51及びデュアルマニュアルトランスミッション52を含む、トランスミッション31と、を備える。内燃機関27と消費機器32、33(本明細書では、左駆動輪32及び右駆動輪33を含む)との間のトルク伝達、より精密には、本明細書では、(任意選択的に)トランスミッション入力シャフト49を、分離クラッチ1によって離断することができる。内燃機関27は、トルク伝達様式で分離クラッチ1に接続される内燃機関シャフト29を有する。分離クラッチ1は、出力側上でトランスミッション入力シャフト49に接続される。
【0061】
トランスミッション入力シャフト49は、次いで、本明細書では、トルク伝達様式でデュアルクラッチ51に(任意選択的に)接続され、デュアルクラッチ51は、第1の中間シャフト54に対する第1の部分クラッチ53と、第2の中間シャフト56に対する第2の部分クラッチ55と、を備える。第1の中間シャフト54は、ダブルシフトトランスミッション52の奇数トレイン57にトルク伝達様式で恒久的に接続される。奇数トレイン57は、例えば、第1、第3、第5、及び第7ノギアを備える。分離クラッチ1が閉じられ(すなわち、分離クラッチ1の摩擦パック4が閉じられたとき)、かつ第1の部分クラッチ53が閉じられたとき、トルクを、内燃機関27から奇数トレイン57のギアを介して左手駆動輪32及び右手駆動輪33上に伝達することができる。
【0062】
第2の中間シャフト56は、ダブルシフトトランスミッション52の偶数トレイン58にトルク伝達様式で恒久的に接続される。したがって、偶数トレイン58は、第2、第4、第6のギア、及びバックギアを備える。分離クラッチ1が閉じられ、かつ第2の部分クラッチ55が閉じられたとき、トルクを、内燃機関27から偶数トレイン58のギアを介して、左手駆動輪32及び右手駆動輪33に伝達することができる。
【0063】
加えて、第2の部分クラッチ55とダブルシフトトランスミッション52の偶数トレイン58との間で、電気駆動機械28が、いわゆるP3-構成の変形例に従って配置される。電気駆動機械28は、消費機器32、33に恒久的に接続される(部分クラッチ53、55の状態とは無関係に)。電気駆動機械28のロータシャフト30は、トルク伝達様式で第2の中間シャフト56に接続される。電気駆動機械28の速度範囲は、多くの場合、内燃機関27の速度範囲よりも広く、それは、2つのトレイン58、57のうちの1つを介して単独で伝導される電気駆動機械28のトルクにとって十分である。
【0064】
一構成(本明細書では示されない)では、更なる分離クラッチ(例えば、確実に係止するトルク伝達)が、駆動輪32、33とダブルシフトトランスミッション52との間に提供される。次いで、トルク伝達はまた、電気駆動機械28と駆動輪32、33との間で離断することができる。
【0065】
一実施形態では、パワートレイン3を、内燃機関27によって単独で動作することができ、すなわち、自動車34の推進力は、駆動輪32、33によって発生させることができる。偶数ギア又はバックギア(偶数トレイン58内の)は、個の状態で係合され、第2の部分クラッチ55は、閉じられなければならない。奇数ギアがこの状態で係合された場合(奇数トレイン57内で)、両方のクラッチ53、55が閉じられなければならない。ハイブリッド駆動モードでは、内燃機関27のトルクに加えて、電気駆動機械28はまた、駆動輪32、33にトルクを出力することができる。代替的又は追加的に、自動車34の推進力は、分離クラッチ1が開放されることで、電気駆動機械28から駆動輪32、33へのトルク伝達によって単独で発生させることができる。
【0066】
本明細書に提案される分離クラッチによると、非常にコンパクトな構造が、動的挙動、例えば、必要とされる伝達可能なトルクに関する欠点なしで達成される。
【符号の説明】
【0067】
1 分離クラッチ
2 回転軸
3 パワートレイン
4 摩擦パック
5 作動装置
6 ダンパ装置
7 ねじり振動ダンパ
8 遠心振り子
9 摩擦ディスク
10 圧力プレート
11 カウンタプレート
12 圧力ポット
13 プレートばね
14 摩擦面
15 圧力チャンバ
16 圧力ピストン
17 トルク接続
18 半径方向外側区分
19 半径方向内側区分
20 段
21 軸方向壁区分
22 軸方向後壁
23 間隙空間
24 封止壁
25 シール
26 スプライン
27 内燃機関
28 電気駆動機械
29 内燃機関シャフト
30 ロータシャフト
31 トランスミッション
32 左駆動輪
33 右駆動輪
34 自動車
35 一次フランジ
36 二次フランジ
37 ばねアセンブリ
38 モータ接続
39 ダンパハブ
40 歯付き要素
41 リベット
42 半径方向外側係止リング
43 ワイヤリング
44 板ばねアセンブリ
45 半径方向内部係止リング
46 封止リング
47 摺動リング
48 トランスミッションシャフト側保持リング
49 ギアボックス入力シャフト
50 フィードライン
51 ダブルクラッチ
52 デュアルマニュアルトランスミッション
53 第1の部分クラッチ
54 第1の中間シャフト
55 第2の部分クラッチ
56 第2の中間シャフト
57 奇数トレイン
58 偶数トレイン
【国際調査報告】