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特表2023-534711ムスクフレグランス成分の生産のための方法
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  • 特表-ムスクフレグランス成分の生産のための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-10
(54)【発明の名称】ムスクフレグランス成分の生産のための方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 7/24 20060101AFI20230803BHJP
   C12N 9/04 20060101ALI20230803BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20230803BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20230803BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20230803BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20230803BHJP
   C07C 49/587 20060101ALI20230803BHJP
   C07C 45/66 20060101ALI20230803BHJP
   C07C 45/60 20060101ALI20230803BHJP
   C12N 15/53 20060101ALN20230803BHJP
【FI】
C12P7/24 ZNA
C12N9/04 Z
A61K8/35
A61K8/49
A61Q13/00 101
C11B9/00 P
C11B9/00 G
C11B9/00 E
C07C49/587 A
C07C49/587 E
C07C45/66
C07C45/60
C12N15/53
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504255
(86)(22)【出願日】2021-07-20
(85)【翻訳文提出日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 CN2021107393
(87)【国際公開番号】W WO2022017389
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】2011259.5
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ビーアマン,マルク
(72)【発明者】
【氏名】リュティ,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ボコラ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ハイビン
(72)【発明者】
【氏名】ヘ,クイファン
(72)【発明者】
【氏名】シ,シュミン
【テーマコード(参考)】
4B064
4C083
4H006
4H059
【Fターム(参考)】
4B064AC37
4B064AC38
4B064CA21
4B064CD05
4B064DA16
4C083AC211
4C083AC212
4C083AC841
4C083AC842
4C083CC01
4C083FF01
4C083KK02
4H006AA02
4H006AC13
4H006AC44
4H006BB11
4H059BA12
4H059BA17
4H059BA23
4H059BB15
4H059BB46
4H059CA18
4H059CA33
(57)【要約】
ムセノンを作製するのに好適である中間体化合物を作製するための方法、当該方法によって作製された組成物、当該組成物の様々な使用、および当該方法において有用な酵素バリアント。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物および式(IV)で表される化合物の1以上
【化1】
【化2】
【化3】
を作製するための方法であって、ここで方法が、式(I)で表される化合物
【化4】
をアルコールデヒドロゲナーゼと接触させることを含む、
前記方法。
【請求項2】
方法が、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物および式(IV)で表される化合物を含む混合物を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アルコールデヒドロゲナーゼが、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列を有するか、または、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列のバリアントであって、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列と少なくとも70%の同一性を持つアミノ酸配列を有する前記バリアントである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
アルコールデヒドロゲナーゼバリアントが、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列のバリアントであり、および、バリアントのアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列における以下のアミノ酸:R11、F30、V99、A100、L103、Q105、M106、L133、T145、N154、G161、V192、E194、K196、V198、Y209、M211、A213、E227およびS258の1以上に対してのアミノ酸改変を包含する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
アルコールデヒドロゲナーゼバリアントが、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を持つアミノ酸配列を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
アルコールデヒドロゲナーゼが、配列番号2~配列番号16のいずれか1つに掲げるとおりのアミノ酸配列を有する、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
反応が、酵素補因子および補因子再生系の存在下で行われる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物および式(IV)で表される化合物の1以上を、酸で処理することで、1以上の式(V)で表される化合物(単数または複数)
【化5】
式中、
【化6】
の1つは単結合であり、他のものは二重結合である、を提供することをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物および式(IV)で表される化合物を含む混合物を酸で処理することで、式(Va)で表される化合物、式(Vb)で表される化合物および式(Vc)で表される化合物
【化7】
【化8】
【化9】
を含む混合物を提供することをさらに含む、請求項2~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
生成物たる混合物が、式(Vd)で表される化合物
【化10】
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
生成物たる混合物が、式(Vd)で表される化合物
【化11】
を含まない、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
酸が、パラ-トルエンスルホン酸(pTSA)またはリン酸である、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
所望される立体異性体比を得るための酸処理後の濃縮蒸留ステップをさらに含む、請求項8~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物および式(IV)で表される化合物
【化12】
【化13】
【化14】
を含む、組成物。
【請求項15】
式(Va)で表される化合物、式(Vb)で表される化合物および式(Vc)で表される化合物
【化15】
【化16】
【化17】
を含む組成物であって:
式(Va)で表される化合物は、組成物中に約20.0wt%~約40.0wt%未満の範囲の量で存在し;
式(Vb)で表される化合物は、組成物中に約40.0wt%超~約70.0wt%の範囲の量で存在し;および
式(Vc)で表される化合物は、組成物中に約5.0wt%~約15.0%の範囲の量で存在する、
前記組成物。
【請求項16】
式(Va)で表される化合物が、約25.0%以上の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有する;および/または
式(Vb)で表される化合物が、約25.0%以上の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有する;および/または
式(Vc)で表される化合物が、約25.0%以上の(S)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有する、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
式(Va)で表される化合物が、約60.0%以上の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有する;および/または
式(Vb)で表される化合物が、約60.0%以上の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有する;および/または
式(Vc)で表される化合物が、約60.0%以上の(S)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有する、請求項15または16に記載の組成物。
【請求項18】
式(Vd)で表される化合物
【化18】
を、約0.5wt%~約5.0wt%の範囲の量でさらに含む、請求項15~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
35~55%w/wの、式(Va)で表される化合物であって80%未満の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するもの;
27~40%w/wの、式(Vb)で表される化合物であって80%未満の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するもの;
3~20%w/wの、式(Vc)で表される化合物であって80%未満の(S)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するもの;および
0~5%w/wの、式(Vd)で表される化合物であって80%未満の(S)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含む、組成物。
【請求項20】
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法によって得られ、もしくは得ることができる組成物、または請求項8~13のいずれか一項に記載の方法によって得られ、もしくは得ることができる組成物。
【請求項21】
フレグランス成分としての、請求項14~19のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項22】
請求項14~19のいずれか一項に記載の組成物を含む、消費者向製品。
【請求項23】
配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列を有するアルコールデヒドロゲナーゼのバリアントであるアルコールデヒドロゲナーゼであって、ここでバリアントは、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を持つアミノ酸配列を有する、前記アルコールデヒドロゲナーゼ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、一般に、その後ムセノンを作製するために使用することができる中間体化合物を作製するための酵素的方法に関する。本発明は、さらに、該中間体化合物を作製するための酵素的方法を含むムセノンを作製するための方法に関する。本発明は、さらに、該中間体化合物を含む組成物、および、ムセノンの様々な立体異性体を含む組成物に関する。本発明はまた、例えば消費者向製品においての、フレグランス成分としての該組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ムセノンは、ムスクケトンを連想させるニトロムスクパウダリータイプの匂いを提供するのに使用されるフレグランス成分である。
ムセノンは、3-メチルシクロペンタデセノンと呼ばれることもあり、式(V)に示される構造を有し、
【化1】
式中、
【化2】
の1つは単結合であり、他のものは二重結合である。
【0003】
式(V)で表される化合物は、無数の立体異性体立体を有する。二重結合(4-および5-位)は、E-またはZ-立体配置のいずれかであり得る。加えて、式(V)で表される化合物の種々異なる鏡像異性体が、(R)または(S)配向のいずれかにある3-位のメチル基に起因して存在する。なお、鏡像異性体(R)-5-Z-、(R)-5-E-、(S)-4-Z、および(S)-4-Eは同じ配向であるが、二重結合を5-位から4-位へ動かしたときにCIP命名法における優先度の変化に起因して鏡像異性体は(R)から(S)へ変化するということに留意されたい。
【0004】
ムセノンを化学的に合成するための数多くの多段階法が知られている。しかしながら、例えば、簡素化され、および/またはより環境にやさしく、および/またはより単還元に対して選択的であり得る、代替のまたは改善された方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
概要
本発明の第1の側面によれば、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物および式(IV)で表される化合物
【化3】
【化4】
【化5】
の1以上を作製するための方法であって、ここで方法が、式(I)で表される化合物
【化6】
をアルコールデヒドロゲナーゼと接触させることを含む、前記方法が提供される。
【0006】
ある態様において、方法は、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物および式(IV)で表される化合物の2つまたは3つを作製するためのものである。よって、ある態様において、方法は、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物および式(IV)で表される化合物を含む混合物を提供する。
【0007】
ある態様において、方法は、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物および式(IV)で表される化合物の1以上を、酸で処理することで、1以上の式(V)で表される化合物(単数または複数)
【化7】
式中、
【化8】
の1つは単結合であり、他のものは二重結合である、を提供することをさらに含む。
【0008】
ある態様において、方法は、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物を含む混合物を、酸で処理することで、式(Va)で表される化合物、式(Vb)で表される化合物および式(Vc)で表される化合物
【化9】
【化10】
【化11】
を含む混合物を提供することをさらに含む。
【0009】
ある態様において、酸性処理は、式(Va)で表される化合物、式(Vb)で表される化合物、式(Vc)で表される化合物、および式(Vd)で表される化合物
【化12】
を含む混合物を提供する。
ある態様において、酸で処理することは、式(Vd)で表される化合物を含まない混合物を提供する。
【0010】
本発明の第2の側面によれば、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物を含む、組成物が提供される。
【0011】
本発明の第3の側面によれば、式(Va)で表される化合物、式(Vb)で表される化合物および式(Vc)で表される化合物を含む組成物であって:
式(Va)で表される化合物は、組成物中に約20.0wt%~約40.0wt%未満の範囲の量で存在し;
式(Vb)で表される化合物は、組成物中に約40.0wt%超~約70.0wt%の範囲の量で存在し;および
式(Vc)で表される化合物は、組成物中に約5.0wt%~約15.0%の範囲の量で存在する、前記組成物が提供される。
【0012】
ある態様において式(Va)で表される化合物は、約25.0%以上の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有する;および/または式(Vb)で表される化合物は、約25.0%以上の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有する;および/または式(Vc)で表される化合物は、約25.0%以上の(S)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有する。
【0013】
ある態様において式(Va)で表される化合物は、約60.0%以上の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有する;および/または式(Vb)で表される化合物は、約60.0%以上の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有する;および/または式(Vc)で表される化合物は、約60.0%以上の(S)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有する。
【0014】
ある態様において、本発明の第3の側面の組成物は、式(Vd)で表される化合物を、約0.5wt%~約5.0wt%の範囲の量で、さらに含む。ある態様において、本発明の第3の側面の組成物は、式(Vd)で表される化合物を含まない。
【0015】
本発明の第4の側面によれば:
35~55%w/wの、式(Va)で表される化合物であって80%未満の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するもの;
27~40%w/wの、式(Vb)で表される化合物であって80%未満の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するもの;
3~20%w/wの、式(Vc)で表される化合物であって80%未満の(S)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するもの;および
0~5%w/wの、式(Vd)で表される化合物であって80%未満の(S)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するもの、を含む組成物が提供される。
【0016】
本発明の第5の側面によれば、本発明の第1の側面の方法によって得られる、および/または得ることができる、組成物が提供される。組成物は、例えば、本発明の第2の側面の組成物または本発明の第3の側面の組成物によるものであり得る。
【0017】
本発明の第6の側面によれば、フレグランス成分としての本発明の第2、第3または第4の側面の組成物の使用が提供される。
本発明の第7の側面によれば、本発明の第3または第4の側面の組成物を含む、消費者向製品が提供される。
【0018】
本発明の第8の側面によれば、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列を有するアルコールデヒドロゲナーゼのバリアントであるアルコールデヒドロゲナーゼであって、ここでバリアントが、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を持つアミノ酸配列を有する、アルコールデヒドロゲナーゼが提供される。第8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、本発明の他の側面の方法において特に有用である。
【0019】
本発明のある態様は、以下の利点の1以上を提供し得る:
● より少ないステップでムセノンを作製するための簡素化された方法;
● ムセノンを作製するためのより環境にやさしく持続可能な方法;
● ムセノンを作製するためのより効率的な方法;
● ムセノンを作製するときのより少ない廃棄物の生成;
● 環境にやさしい溶媒のみの使用;
● ムセノンを作製するための立体特異的な方法;
● 鏡像異性体富化されたムセノンの生産;
● 単還元に対する改善された選択性;
● ムセノンの高い収率。
【0020】
本発明の8の側面のある態様は、以下の利点の1以上を提供し得る:
● 本発明の生物変換において、基質濃度を増大させることおよび/または酵素濃度を減少させること;
● 本発明の生物変換においてイソプロパノールの適合性を増大させること;
● 本発明の生物変換において低ジオール形成を維持すること;
● 生物変換の生成物の酸性化からもたらされる(Z)-5-ムセノンの量を増大させること;および
● 生物変換の生成物の酸性化からもたらされる(Z)-5-ムセノンのR-鏡像異性体のee値を増大させること。
【0021】
記載されている本発明の側面のあらゆる特定の1以上に関して提供される詳細、例および好ましいものが本明細書にさらに記載され、および本発明のすべての側面に等しく適用される。そのすべての可能な変形における本明細書に記載の態様、例および好ましいもののあらゆる組み合わせは、本明細書に別様に指示されない限り、または文脈によって別様に明らかに矛盾しない限り、本発明によって網羅される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、配列番号1~16に掲げるとおりのアミノ酸配列の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
本発明は、少なくとも一部分において、アルコールデヒドロゲナーゼ酵素を、式(I)で表される大環状ジケトン
【化13】
を中間体化合物に変換すること(生物変換反応)に使用することができるという驚くべき知見に基づく。
【0024】
中間体化合物は、典型的には、ヒドロキシケトン、ヘミアセタールおよびエノールエーテル化合物の混合物を含む。中間体化合物は、次いで酸での処理により式(V)で表されるムセノンへと変換されることができ、中間体化合物の脱水および/または転位を引き起こすことで式(V)で表される化合物
【化14】
を形成する。
本発明は、アルコールデヒドロゲナーゼ酵素を、式(V)で表されるムセノンの、ある立体異性体が富化された組成物を提供することに使用できるという驚くべき知見にさらに基づく。
【0025】
生物変換反応
式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物および式(IV)で表される化合物
【化15】
【化16】
【化17】
の1以上を作製するための方法であって、ここで方法が、式(I)で表される化合物
【化18】
をアルコールデヒドロゲナーゼと接触させることを含む、前記方法が、本明細書において提供される。
【0026】
式(I)で表される化合物は、3-メチルシクロペンタデカン-1,5-ジオンと呼ばれることがある。式(I)で表される化合物は、市販で入手可能であるか、または当業者に知られている方法、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれるHelvetica Chimica Acta 1967, 50, 705、またはWO 2016/104474、またはWO 2016/184948に記載の方法によって調製されてもよい。
【0027】
方法は、例えば、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物の2つまたは3つを提供してもよい。例えば、方法は、式(II)で表される化合物および式(III)で表される化合物を含む混合物を提供してもよい。例えば、方法は、式(III)で表される化合物および式(IV)で表される化合物を含む混合物を提供してもよい。例えば、方法は、式(II)で表される化合物および式(IV)で表される化合物を含む混合物を提供してもよい。例えば、方法は、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物を含む混合物を提供してもよい。
【0028】
方法は、例えば、式(VII)で表される化合物
【化19】
などのさらなる反応生成物を提供してもよい。
したがって、方法は、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、式(IV)で表される化合物および式(VII)で表される化合物の1以上を含む混合物を提供してもよい。
【0029】
方法は、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、式(IV)で表される化合物および式(VII)で表される化合物の1以上を含む混合物を提供してもよく、およびここで、式(VII)で表される化合物は、存在するとき、混合物のガスクロマトグラフィーによって生成される相対的プロットエリア分析に基づいて、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下または1%以下の量で存在する。方法は、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物および式(IV)で表される化合物を含む混合物であって、式(VII)で表される化合物を実質的に含まない前記混合物を提供してもよい。
【0030】
反応は、完全に進行してもしなくてもよい。したがって、生物変換反応の生成物(例として、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物を含む混合物)は、未反応である式(I)で表される化合物をさらに含んでもよい。あらゆる未反応である式(I)で表される化合物は、組成物から、フレグランス成分としての使用の前に除去することができる。代替的に、未反応である式(I)で表される化合物は、組成物中に、フレグランス成分としての使用のために残すこともできる。
【0031】
方法によって作製される式(II)で表される化合物および/または式(III)で表される化合物の少なくとも一部分は、例えば、本明細書に記載のいずれかの酸処理ステップに先立って、生物変換反応条件下で式(IV)で表される化合物へ変換されてもよい。よって、生物変換反応の最終生成物は、特に、式(IV)で表される化合物を含んでもよい。例えば、生物変換反応の最終生成物は、式(II)で表される化合物および/または式(III)で表される化合物と比較してより大きな量の式(IV)で表される化合物を含んでもよい。式(II)で表される化合物および式(III)で表される化合物のすべてが式(IV)で表される化合物へ変換された場合、生物変換反応の最終生成物は、式(II)で表される化合物のいずれも、および/または式(III)で表される化合物のいずれも含まないことがある。
【0032】
本明細書に使用されるとき、用語「アルコールデヒドロゲナーゼ」(ADH)は、ケトン基をアルコール基へ変換することができるデヒドロゲナーゼ酵素(E.C. 1.1.1.1)の群を指す。用語「アルコールデヒドロゲナーゼ」は、例えば、用語「ケトレダクターゼ」または「アルド-ケトレダクターゼ」または「カルボニルレダクターゼ」と交換可能に使用されてもよい。
【0033】
アルコールデヒドロゲナーゼは、例えば、原核生物または真核生物において天然に生じる野生型ADH酵素であってもよい。アルコールデヒドロゲナーゼは、例えば、野生型アルコールデヒドロゲナーゼのバリアントであってもよい。本明細書に使用されるとき、用語「バリアント」は、アミノ酸配列中の1以上の変化により、それが由来するポリペプチドと比較して異なるポリペプチドとして理解される。バリアントが由来するポリペプチドは、親または参照ポリペプチドとしてもまた知られている。典型的には、バリアントは、人工的に、好ましくは遺伝子技術的な方法によって、構築される。アミノ酸配列中の変化は、1または複数の部位で起こり得る、アミノ酸交換(置換)、挿入、欠失、N末端切断、またはC末端切断、またはこれらの変化のあらゆる組み合わせであり得る。
【0034】
アルコールデヒドロゲナーゼは、例えば、短鎖デヒドロゲナーゼ/レダクターゼ(SDR)スーパーファミリーのメンバー、特に、SDRスーパーファミリーのNADまたはNADP依存性のメンバーであってもよい。SDRスーパーファミリーのメンバーであるアルコールデヒドロゲナーゼは、例えば、約250~約300のアミノ酸残基を含んでもよい。
【0035】
本記載された方法における使用のためのアルコールデヒドロゲナーゼの好適な入手源は、例えば、Mycobacterium aviumであってもよい。例えば、本記載された方法において使用されるアルコールデヒドロゲナーゼは、Mycobacterium aviumからの野生型アルコールデヒドロゲナーゼ(例として、配列番号1で表されるアミノ酸配列を有するアルコールデヒドロゲナーゼ)であってもよい。
【0036】
アルコールデヒドロゲナーゼの機能的ホモログもまた、本明細書に記載の生物変換反応における使用に好適であり得る。機能的ホモログは、参照ポリペプチドの1以上の生化学的または生理的機能(単数または複数)の1以上を実施する、参照ポリペプチド(例として、アルコールデヒドロゲナーゼ)に対して配列類似性を有するポリペプチドである。機能的ホモログおよび参照ポリペプチドは、天然に生じるポリペプチドであってもよく、および、配列類似性は、収束または発散の進化事象に起因してもよい。そのため、機能的ホモログは、文献において、ホモログ、またはオルソログ、またはパラログと時々呼ばれることがある。野生型のコード配列の突然変異によってコードされるポリペプチドなどの、天然に生じる機能的ホモログのバリアントは、それら自体が機能的ホモログであり得る。機能的ホモログはまた、ポリペプチドについてのコード配列の部位特異的突然変異誘発を介して、または、異なる天然に生じるポリペプチドについてのコード配列からのドメインを組み合わせること(「ドメインスワッピング」)によっても、創り出すことができる。
【0037】
本明細書に記載の機能的ホモログをコードする遺伝子を変更するための技術は知られており、とりわけ、指向性進化技法、部位特異的突然変異誘発技法、およびランダム突然変異誘発技法を包含し、望ましいあり方でポリペプチドの特異的な活性を増大させること、基質特異性を改変すること、発現レベルを改変すること、細胞内位置を改変すること、またはポリペプチド:ポリペプチド相互作用を変更することに有用であり得る。係る変更されたポリペプチドは、機能的ホモログとみなされる。用語「機能的ホモログ」は、機能的に相同なポリペプチドをコードする核酸に時々適用されることがある。機能的ホモログは、ヌクレオチドおよびポリペプチド配列アラインメントの分析によって同定することができる。例えば、ヌクレオチドまたはポリペプチド配列のデータベースに対してクエリを実行することで、アルコールデヒドロゲナーゼ誘導体ポリペプチド等をコードする核酸配列のホモログを同定することができる。
【0038】
ハイブリダイゼーションもまた、機能的ホモログを同定するために、および/または2つの核酸配列間の相同性の尺度として使用することができる。あらゆるアルコールデヒドロゲナーゼをコードする核酸配列またはその部分は、標準的なハイブリダイゼーション技法に従ってハイブリダイゼーションプローブとして使用することができる。試験源(例として、哺乳動物細胞)からのDNAまたはRNAへのプローブのハイブリダイゼーションは、試験源中における関連するDNAまたはRNAの存在の指標である。ハイブリダイゼーション条件は、当業者に知られており、および、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y., 6.3.1-6.3.6, 1991において見出すことができる。穏和なハイブリダイゼーション条件は、30℃での2x 塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのハイブリダイゼーションに1x SSC、0.1% SDS中で50℃での洗浄が続くことと等価であるとして定義される。高度にストリンジェントな条件は、45℃での6x 塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのハイブリダイゼーションに0.2x SSC、0.1% SDS中で65℃での洗浄が続くことと等価であるとして定義される。
【0039】
機能的ホモログを同定するための配列分析にはまた、関連するアミノ酸配列を参照配列として使用した非重複データベースのBLAST、相互BLAST、またはPSI-BLAST分析も関与し得る。40%超の配列同一性を有するデータベース中のそれらのポリペプチドは、本明細書に記載の生物変換反応における使用のための適性についてのさらなる評価の候補である。アミノ酸配列は、同様に、1の疎水性残基の別のものへの置換または1の極性残基の別のものへの置換などの保存的アミノ酸置換も許容する。望ましい場合には、かかる候補の人手での調査を、さらに評価する候補の数を狭めるために実施してもよい。人手での調査は、例として、保存された機能ドメインを有するように見えるそれらの候補を選択することによって行うことができる。
【0040】
参照配列は、例えば、Mycobacterium aviumからの野生型アルコールデヒドロゲナーゼ(例として、配列番号1で表されるアミノ酸配列を有するアルコールデヒドロゲナーゼ)であってもよい。
【0041】
典型的には、少なくとも約30%のアミノ酸配列同一性を呈するポリペプチドは、保存領域を同定するのに有用である。関連するポリペプチドの保存領域は、少なくとも30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%の、アミノ酸配列同一性を示す。いくつかの態様において、保存領域は、少なくとも、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%アミノ酸配列同一性を示す。配列同一性は、上におよび下に掲げるとおりに決定することができる。
【0042】
タンパク質または酵素のアミノ酸配列についての「パーセント(%)同一性」は、候補タンパク質または酵素配列中のアミノ酸の、最大パーセント配列同一性を達成するために、および配列同一性の一部として保存的置換を考慮せず、必要であれば配列をアラインメントしてギャップを導入した後の、タンパク質または酵素配列中のアミノ酸と同一であるパーセンテージとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当技術の技能の範囲内の様々なやり方で、実例として、公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要なあらゆるアルゴリズムを包含する、アラインメントを測定するための適切なパラメーターを決定することができる。用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は本明細書において交換可能に使用され、および、長さや翻訳後修飾に関わらずアミノ酸のあらゆるペプチド結合鎖を意味する。
【0043】
ヌクレオチドおよびアミノ酸配列の類似性、すなわち、配列同一性の百分率は、配列アラインメントを介して決定することができる。かかるアラインメントは、複数の既知技術のアルゴリズムを用いて、好ましくはKarlinおよびAltschulの数学的アルゴリズム(Karlin & Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873-5877)を用いて、hmmalign (HMMERパッケージ、http://hmmer.wustl.edu/)を用いて、またはCLUSTAL アルゴリズム(Thompson, J. D., Higgins, D. G. & Gibson, T. J. (1994) Nucleic Acids Res. 22, 4673-80)(例としてhttps://www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalo/上で利用可能である)またはGAPプログラム(アイオワ大学の数学的アルゴリズム)またはMyersおよびMillerの数学的アルゴリズム(1989 - Cabios 4: 11-17)を用いて、実施することができる。使用される好ましいパラメーターは、https://www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalo/上に設定されているとおりのデフォルトパラメーターである。
【0044】
パーセント配列同一性は、例えば、BLAST、BLAT、またはBlastZ(またはBlastX)を使用して計算してもよい。同様のアルゴリズムは、Altschul et al (1990) J. Mol. Biol. 215, 403-410のBLASTNおよびBLASTPプログラムへと組み込まれている。BLASTポリヌクレオチド検索は、関連するタンパク質をコードするものである核酸に相同なポリヌクレオチド配列を得るために、BLASTNプログラム、スコア=100、文字長=12で行ってもよい。BLASTタンパク質検索は、ポリペプチドのに相同なアミノ酸配列を得るために、BLASTPプログラム、スコア=50、文字長=3で行ってもよい。
【0045】
比較目的のためにギャップのあるアラインメントを得るために、Altschul et al (1997) Nucleic Acids Res. 25, 3389-3402に記載のとおりGapped BLASTを利用してもよい。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用するときには、それぞれのプログラムのデフォルトパラメーターを使用する。配列マッチング分析は、Shuffle-LAGAN(Brudno M., Bioinformatics 2003b, 19 Suppl 1: 154-162)またはMarkovランダムフィールドのような確立された相同性マッピング技法によって補足してもよい。本出願において配列同一性の百分率に言及するとき、これらの百分率は、具体的に別様に示されていなければ、より長い配列の全長に対して計算される。
【0046】
特定の態様において、2の配列間の%同一性は、CLUSTAL O(バージョン1.2.4)を使用して決定される。
アルコールデヒドロゲナーゼは、例えば、その基質として式(I)で表されるジケトン化合物を受け入れてもよく、かつ、その基質として式(II)で表されるヒドロキシケトン化合物を受け入れなくてもよい。式(I)のジケトン化合物は対称的であるため、高い鏡像体過剰率で100%の理論収率が達成され得る。
【0047】
アルコールデヒドロゲナーゼは、例えば、本明細書に記載の(R)または(S)鏡像異性体(メチル基を持っているC原子にて(R)または(S)立体配置を有する式(II)、(III)および(IV)で表される化合物の鏡像異性体)について立体選択的であってもよい。特に、アルコールデヒドロゲナーゼは、メチル基を持っているC原子にて(R)立体配置を有する中間体について立体選択的であってもよい。立体選択的とは、(R)または(S)鏡像異性体の他方と比較して、いずれかの(R)または(S)鏡像異性体のより多くの量が作製されることを意味する。関心対象の立体中心(中間体化合物におけるメチル基を持っているC原子であり、および、式(V)で表される化合物におけるC3位置でのメチルに対応する)がケトンに対してベータ位置にある(すなわち、反応が起こるカルボニルから2炭素離れている)ことを考えると、これは驚くべきことである。よって、本明細書に記載の生物変換反応の生成物は、鏡像異性体富化されていてもよく、これは、例えば、本明細書に記載の酸処理ステップの後で鏡像異性体富化されたムセノン産物に至り得る。
【0048】
本記載された方法において使用されるアルコールデヒドロゲナーゼは、例えば、配列番号1のアミノ酸配列またはバリアント、ホモログ、突然変異体、誘導体またはそれらのフラグメントに基づいてもよい。本記載された方法において使用されるアルコールデヒドロゲナーゼは、例えば、配列番号1に対して少なくとも約50%、または少なくとも約55%、または少なくとも約60%、または少なくとも約65%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を持つアミノ酸配列を有してもよい。本記載された方法において使用されるアルコールデヒドロゲナーゼは、例えば、配列番号1に対して約100%以下、または約99%以下、または約98%以下の配列同一性を有してもよい。配列同一性は、上に記載のとおりに決定されてもよい。
【0049】
本記載された方法において使用されるアルコールデヒドロゲナーゼは、例えば、参照アミノ酸配列と比較して(例として、配列番号1と比較して)、最大約60のアミノ酸改変(例として、置換、挿入、欠失、N末端切断および/またはC末端切断)を呈してもよい。例えば、本記載された方法において使用されるアルコールデヒドロゲナーゼは、参照アミノ酸配列と比較して(例として、配列番号1と比較して)、最大約55の、または最大約約50の、または最大約45の、または最大約40の、または最大約35の、または最大約30の、または最大約25の、または最大約20の、または最大約15の、または最大約10の、または最大約5の、または最大約4の、または最大約3の、または最大約2の、または最大約1のアミノ酸改変を呈してもよい。アミノ酸交換は、保存的および/または非保存的であり得る。
【0050】
保存的アミノ酸置換は、実例として、関与するアミノ酸残基の極性、電荷、サイズ、溶解度、疎水性、親水性、および/または両親媒性の類似性に基づいてなされ得る。上で概説された20の天然に生じるアミノ酸は、以下の6の標準アミノ酸群に分類できる:
(1)疎水性:Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr;Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖の向きに影響を与える残基:Gly、Pro;および
(6)芳香性:Trp、Tyr、Phe。
【0051】
それゆえに、本明細書に使用されるとき、用語「保存的置換」は、上に示された6の標準アミノ酸群の同じグループ内に列挙されている別のアミノ酸による、アミノ酸の交換を意味する。例えば、AspのGluによる交換は、そのように変更されたポリペプチド中における1の負の電荷を保持する。加えて、グリシンおよびプロリンは、それらのアルファヘリックスを破壊する能力に基づいて、互いに置換されることがある。上の6群内でのいくつかの好ましい保存的置換は、以下のサブグループ内での交換である:(i)Ala、Val、LeuおよびIle;(II)SerおよびThr;(II)AsnおよびGln;(IV)LysおよびArg;ならびに(v)TyrおよびPhe。知られている遺伝暗号ならびに組換えおよび合成DNA技法を考えると、熟練した科学者は保存的アミノ酸バリアントをコードするDNAをたやすく構築することができる。
【0052】
本明細書に使用されるとき、「非保存的置換」または「非保存的アミノ酸交換」は、上に示された6の標準アミノ酸群(1)~(6)の異なるグループ内に列挙されている別のアミノ酸による、アミノ酸の交換として定義される。参照を簡単にするために、IUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionによって推奨される1文字アミノ酸記号を、以下のとおり示す。3文字コードもまた、参考目的のために提供される。
【0053】
【表1】
【0054】
アミノ酸置換などのアミノ酸改変は、PCR、遺伝子クローニング、cDNAの部位特異的突然変異誘発、宿主細胞のトランスフェクション、およびin vitro転写を包含する組換え遺伝子技術の知られているプロトコルであって、かかる変化を参照配列に導入するために使用されてもよくADH酵素バリアントを結果としてもたらすものを使用して、導入することができる。酵素バリアントを、次いで、ADH機能活性についてスクリーニングすることができる。
【0055】
第8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、例えば、配列番号1に対して少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%の配列同一性を有してもよい。特定の態様において、第8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号1に対して少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性持つアミノ酸配列を有してもよい。8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼは、例えば、配列番号1に対して約99%以下または約98%以下の配列同一性を有してもよい。
【0056】
第8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、例えば、配列番号1と比較して、最大約60のアミノ酸改変(例として、置換、挿入、欠失、N末端切断および/またはC末端切断)を呈してもよい。例えば、本発明の第8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、参照アミノ酸配列と比較して(例として、配列番号1と比較して)最大約55の、または最大約50の、または最大約45の、または最大約40の、または最大約35の、または最大約30の、または最大約25の、または最大約20の、または最大約15の、または最大約10の、または最大約5の、または最大約4の、または最大約3の、または最大約2の、または最大約1のアミノ酸改変を呈してもよい。アミノ酸交換は、保存的および/または非保存的であり得る。上記のかかる交換の説明は、第8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントにも等しく適用される。
【0057】
本発明の8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列のバリアントである。本発明の8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、少なくとも1のアミノ酸改変を包含し、および/または配列番号1と100%未満の配列同一性を有する。
【0058】
本発明の8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列における以下のアミノ酸:R11、F30、V99、A100、L103、Q105、M106、L133、T145、N154、G161、V192、E194、K196、V198、Y209、M211、A213、E227およびS258の1以上に対してのアミノ酸改変を包含してもよい。これらの態様において、本発明の8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を持つアミノ酸配列を有してもよい。
【0059】
配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列におけるR11、F30、V99、A100、L103、Q105、M106、L133、T145、N154、G161、V192、E194、K196、V198、Y209、M211、A213、E227およびS258の1以上に対しての改変は、置換であってもよい。R11への改変は、存在するとき、R11Vであってもよい。F30への改変は、存在するとき、F30MまたはF30Lであってもよい。V99への改変は、存在するとき、V99Hであってもよい。A100への改変は、A100Gであってもよい。L103への改変は、存在するとき、L103IまたはL103Mであってもよい。Q105への改変は、存在するとき、Q105Tであってもよい。M106への改変は、存在するとき、M106Tであってもよい。L133への改変は、存在するとき、L133Mであってもよい。T145への改変は、存在するとき、T145Nであってもよい。N154への改変は、存在するとき、N154Vであってもよい。G161への改変は、存在するとき、G161Tであってもよい。V192への改変は、存在するとき、V192Yであってもよい。E194への改変は、存在するとき、E194QまたはE194Kであってもよい。K196への改変は、存在するとき、K196Nであってもよい。V198への改変は、存在するとき、V198Lであってもよい。Y209への改変は、存在するとき、Y209Gであってもよい。M211への改変は、存在するとき、M211PまたはM211Rであってもよい。A213への改変は、存在するとき、A213Gであってもよい。E227への改変は、存在するとき、E227Yであってもよい。S258への改変は、存在するとき、S258Rであってもよい。
【0060】
本発明の8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列におけるT145、N154およびV198の1つまたは少なくとも1つ、2つまたは少なくとも2つ、または3つすべてに対してのアミノ酸改変を包含してもよい。これらの態様において、T145への改変は、存在するとき、T145Nであってもよい。N154への改変は、存在するとき、N154Vであってもよい。V198への改変は、存在するとき、V198Lであってもよい。本発明の8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列に対しての改変T145N、N154VおよびV198Lを包含してもよい。
【0061】
本発明の8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列におけるT145、N154、V192およびV198に対してのアミノ酸改変を包含してもよい。これらの態様において、T145への改変は、T145Nであってもよく;N154への改変は、N154Vであってもよく;V192への改変は、V192Yであってもよく;および/またはV198への改変は、V198Lであってもよい。本発明の8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列に対しての改変T145N、N154V、V192YおよびV198Lを包含してもよい。
【0062】
本発明の8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列におけるA100、T145、N154、V192およびV198に対してのアミノ酸改変を包含してもよい。これらの態様において、A100への改変は、A100Gであってもよく;T145への改変は、T145Nであってもよく;N154への改変は、N154Vであってもよく;V192への改変は、V192Yであってもよく;および/またはV198への改変は、V198Lであってもよい。本発明の8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列に対しての改変A100G、T145N、N154V、V192YおよびV198Lを包含してもよい。
【0063】
本発明の8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列におけるA100、T145、N154、V192、V198、ならびにK196およびS258の1または両方に対してのアミノ酸改変を包含してもよい。これらの態様において、A100への改変は、A100Gであってもよく;T145への改変は、T145Nであってもよく;N154への改変は、N154Vであってもよく;V192への改変は、V192Yであってもよく;K196への改変は、存在するとき、K196Nであってもよく;V198への改変は、V198Lであってもよく;および/またはS258における改変は、存在するとき、S258Rであってもよい。本発明の8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列に対しての改変A100G、T145N、N154V、V192Y、K196N、V198LおよびS258Rを包含してもよい。
【0064】
本発明の8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列におけるA100、T145、N154、V192、K196、V198、E227およびS258に対してのアミノ酸改変を包含してもよい。これらの態様において、A100への改変は、A100Gであってもよく;T145への改変は、T145Nであってもよく;N154への改変は、N154Vであってもよく;V192への改変は、V192Yであってもよく;K196への改変は、K196Nであってもよく;V198への改変は、V198Lであってもよく;E227への改変は、E227TまたはE227Yであってもよく;および/またはS258への改変は、S258Rであってもよい。本発明の8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列に対しての改変A100G、T145N、N154V、V192Y、K196N、V198L、S258R、およびE227TまたはE227Yを包含してもよい。
【0065】
本発明の8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列におけるA100、T145、N154、V192、K196、V198、E227、S258、ならびにR11、F30およびA213の1つ、2つまたはすべてに対してのアミノ酸改変を包含してもよい。これらの態様において、R11への改変は、存在するとき、R11Vであってもよく;F30への改変は、存在するとき、F30MまたはF30Lであってもよく;A100への改変は、A100Gであってもよく;T145への改変は、T145Nであってもよく;N154への改変は、N154Vであってもよく;V192への改変は、V192Yであってもよく;K196への改変は、K196Nであってもよく;V198への改変は、V198Lであってもよく;A213への改変は、存在するとき、A213Gであってもよく;E227への改変は、E227Yであってもよく;および/またはS258における改変は、S258Rであってもよい。本発明の8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列に対しての改変R11V、F30MまたはF30L、A100G、T145N、N154V、V192Y、K196N、V198L、A213G、S258R、およびE227Yを包含してもよい。
【0066】
本発明の8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列におけるR11、F30、A100、T145、N154、V192、K196、V198、A213、E227、S258、ならびにL103、E194、Y209およびM211の1つ、2つ、3つまたは4つに対してのアミノ酸改変に対してのアミノ酸改変を包含してもよい。これらの態様において、R11への改変は、R11Vであってもよく;F30への改変は、F30Mであってもよく;A100への改変は、A100Gであってもよく;L103への改変は、存在するとき、L103IまたはL103Mであってもよく;T145への改変は、T145Nであってもよく;N154への改変は、N154Vであってもよく;V192への改変は、V192Yであってもよく;E194への改変は、存在するとき、E194QまたはE194Kであってもよく;K196への改変は、K196Nであってもよく;V198への改変は、V198Lであってもよく;Y209への改変は、存在するとき、Y209Gであってもよく;M211への改変は、存在するとき、M211PまたはM211Rであってもよく;A213への改変は、存在するとき、A213Gであってもよく;E227への改変は、E227Yであってもよく;および/またはS258における改変は、S258Rであってもよい。本発明の8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列に対しての改変R11V、F30M、A100G、L103IまたはL103M、T145N、N154V、V192Y、E194QまたはE194K、K196N、V198L、A213G、Y209G、M211PまたはM211R、E227YおよびS258Rを包含してもよい。
【0067】
本発明の8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列におけるR11、F30、A100、L103、T145、N154、V192、E194、K196、V198、Y209、M211、A213、E227およびS258に対してのアミノ酸改変を包含してもよい。これらの態様において、R11への改変は、R11Vであってもよく;F30への改変は、F30Mであってもよく;A100への改変は、A100Gであってもよく;L103への改変は、存在するとき、L103Mであってもよく;T145への改変は、T145Nであってもよく;N154への改変は、N154Vであってもよく;V192への改変は、V192Yであってもよく;E194への改変は、E194Kであってもよく;K196への改変は、K196Nであってもよく;V198への改変は、V198Lであってもよく;Y209への改変は、Y209Gであってもよく;M211への改変は、M211Rであってもよく;A213への改変は、存在するとき、A213Gであってもよく;E227への改変は、E227Yであってもよく;および/またはS258における改変は、S258Rであってもよい。本発明の8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列に対しての改変R11V、F30M、A100G、L103M、T145N、N154V、V192Y、E194K、K196N、V198L、A213G、Y209G、M211R、E227YおよびS258Rを包含してもよい。
【0068】
本発明の8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列におけるV99、Q105、M106、L133およびG161の1以上に対してのアミノ酸改変を追加で包含してもよい。本発明の8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列におけるV99、M106、G161、および任意にL133に対してのアミノ酸改変を、追加で包含してもよい。V99への改変は、V99Hであってもよく;M106への改変は、M106Tであってもよく;L133への改変は、存在するとき、L133Mであってもよく;およびG161への改変は、G161Tであってもよい。Q105への改変は、存在するとき、Q105Tであってもよい。
【0069】
第8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、例えば、配列番号2~配列番号16のいずれか1つに掲げるとおりのアミノ酸配列と少なくとも約70%または少なくとも約75%または少なくとも約80%または少なくとも約85%の配列同一性を持つアミノ酸配列を有してもよい。特定の態様において、第8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号2~配列番号16のいずれか1つに掲げるとおりのアミノ酸配列と少なくとも約90%または少なくとも約91%または少なくとも約92%または少なくとも約93%または少なくとも約94%の配列同一性を持つアミノ酸配列を有してもよい。第8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号2~配列番号16のいずれか1つに掲げるとおりのアミノ酸配列と少なくとも約95%または少なくとも約96%または少なくとも約97%または少なくとも約98%または少なくとも約99%の同一性を持つアミノ酸配列を有してもよい。第8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号2~配列番号16のいずれか1つに掲げるとおりのアミノ酸配列を有してもよい。第8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号14、配列番号15または配列番号16に掲げるとおりのアミノ酸配列を有してもよい。第8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、配列番号15に掲げるとおりのアミノ酸配列を有してもよい。
【0070】
本発明の8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントは、本発明の生物変換反応のアルコールデヒドロゲナーゼとして特に有用である。8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼバリアントについて開示された具体的な態様は、本発明の他の態様のアルコールデヒドロゲナーゼとして使用され得る。
アルコールデヒドロゲナーゼでの生物変換反応のための至適条件(例として、pHおよび温度)は、当業者によって容易に同定され得る。
【0071】
例えば、アルコールデヒドロゲナーゼが活性になるための至適温度は、約5℃~約50℃の範囲であってもよい。例えば、アルコールデヒドロゲナーゼのための至適温度は、少なくとも約15℃または少なくとも約20℃または少なくとも約25℃であってもよい。例えば、アルコールデヒドロゲナーゼのための至適温度は、最大約45℃または最大約40℃または最大約35℃であってもよい。例えば、アルコールデヒドロゲナーゼのための至適温度は、約15℃~約45℃または約20℃~約40℃の範囲であってもよい。
【0072】
例えば、アルコールデヒドロゲナーゼが活性になるための至適pHは、約6~約9の範囲であり得る。例えば、アルコールデヒドロゲナーゼのための至適pHは、少なくとも約7.0または少なくとも約7.5であり得る。例えば、アルコールデヒドロゲナーゼのための至適pHは、最大約8.5または最大約8.0であり得る。例えば、アルコールデヒドロゲナーゼのための至適pHは、約7.0~約8.5または約7.5~約8.0であり得る。
【0073】
本明細書に記載の生物変換反応は、例えば、アルコールデヒドロゲナーゼ酵素の至適温度の5℃(+または-5℃)以内で実施されてもよい。本明細書に記載の生物変換反応は、例えば、アルコールデヒドロゲナーゼ酵素の至適pHの0.5以内(+または-0.5)で実施されてもよい。本明細書に記載の生物変換反応は、アルコールデヒドロゲナーゼ酵素の至適温度および/または至適温pHにて実施されてもよい。
【0074】
本明細書に記載の生物変換反応は、例えば、酵素補因子および補因子再生系の存在下で行われてもよい。酵素補因子は、酵素によって触媒される化学反応の速度を増大させる物質である。補因子再生系は、酵素補因子を再生する系である。
【0075】
アルコールデヒドロゲナーゼとともに使用される補因子は、例えば、ケトンがアルコールへ変換されるときにNAD+を生成するNADH、または、ケトンがアルコールへ変換されるときにNADP+を生成するNADPHであってもよい。
補因子再生系は、例えば、酵素共役型または基質共役型であり得る。本明細書に記載の生物変換反応において使用できるであろう酵素共役型の補因子再生系の例は、グルコースおよびグルコースデヒドロゲナーゼである。グルコン酸が、この補因子再生系の副産物であり得る。系は、酵素が活性であるpHを維持するために必要とされることがある。本明細書に記載の生物変換反応で使用できる基質共役型補因子再生系の例は、イソプロパノールである。アセトンが、この補因子再生系の副産物であり得る。
【0076】
生物変換反応は、例えば、水性溶媒(例として、リン酸および/またはその他の緩衝液を包含する)中で行われてもよい。
生物変換反応は、例えば、有機/水性溶媒混合物中で行われてもよい。有機相は、例えば、イソプロパノールなどのアルコールであってもよい。有機相は、例えば、最大約40vol%の量で存在してもよい。有機相は、約5vol%~約40vol%の範囲にある量で存在してもよい。有機相は、約15vol%~約35vol%の範囲にある量で存在してもよい。有機相は、イソプロパノールなどのアルコールでありかつ約15vol%~約35vol%の範囲にある量で存在してもよい。有機相は、イソプロパノールなどのアルコールでありかつ約15vol%~約35vol%の範囲にある量で存在してもよく、および、生物変換反応は、本発明の8の側面のアルコールデヒドロゲナーゼを包含する。
【0077】
本明細書に記載のアルコールデヒドロゲナーゼは、核酸によってコードされ得る。核酸は、例えば、単離された核酸であってもよい。
本明細書に記載のとおりの核酸配列は、コンストラクト内に含まれていてもよい。本明細書に使用されるとき、「コンストラクト」は、標的細胞中へとトランスフェクトされるべき核酸の人工的に創り出されたセグメントである。コンストラクトは、アルコールデヒドロゲナーゼをコードする核酸、および発現制御因子(例として、プロモーター)を含んでもよい。
【0078】
本明細書に記載のとおりのコンストラクトを含むベクターが、本明細書においてさらに提供される。本明細書に使用されるとき、「ベクター」は、外来遺伝物質を、それが複製されおよび/または発現することができる細胞中へと人工的に運ぶためのビヒクルとして使用されるDNA分子である。ベクターは、例えば、プラスミド、ウイルスベクター、コスミド、または人工染色体であってもよい。用語「コンストラクト」と「ベクター」とは、例えばコンストラクトがプラスミドである場合、重なることがある。
特に、核酸は、本明細書に記載のアミノ酸をコードし得る。
【0079】
本明細書に使用されるときの用語「核酸」または「核酸分子」は、とりわけ、DNA、cDNA、ゲノムDNA、合成DNA、またはRNAであり得るポリヌクレオチドを指すものとし、および、二本鎖または一本鎖、センスおよび/またはアンチセンス鎖であり得る。用語「核酸」または「核酸分子」は、特に、ポリヌクレオチド(単数または複数)、例として、全長ヌクレオチド配列、またはそのフラグメントもしくはその部分であって、酵素活性を持つポリペプチド、例として代謝経路の酵素、またはそのフラグメントもしくは部分をそれぞれコードするものに適用される。
【0080】
用語はまた、対応するゲノムDNAがイントロンを有しおよびしたがって異なる配列を有するcDNAなどの別途の分子;隣接する遺伝子の少なくとも1つを欠くゲノムフラグメント;ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって生産された、隣接する遺伝子の少なくとも1つを欠く、cDNAまたはゲノムDNAのフラグメント;隣接する遺伝子の少なくとも1つを欠く制限フラグメント;融合タンパク質(例として、Hisタグ)、ムテイン、または所定のタンパク質のフラグメントなどの天然に存在しないタンパク質をコードするDNA;および、cDNAもしくは天然に生じる核酸の変性バリアントである核酸、をもまた包含する。加えて、それは、ハイブリッド遺伝子、すなわち天然に存在しない融合タンパク質をコードする遺伝子の一部である組換えヌクレオチド配列を包含する。融合タンパク質は、1以上のアミノ酸(ヒスチジン(His)などであるがこれに限定されない)をタンパク質に、通常はタンパク質のN末端において追加することができるが、しかしC末端でも、またはタンパク質の領域内に融合させることもできる。かかる融合タンパク質またはかかるタンパク質をコードする融合ベクターは、典型的には以下の3つの目的に役立つ:(i)組換えタンパク質の生産を増大させること;(II)組換えタンパク質の溶解度を増大させること;および(III)アフィニティー精製のためのリガンドを提供することにより、組換えタンパク質の精製を助けること。
【0081】
用語「核酸」または「核酸分子」はまた、特定の微生物の宿主細胞(例としてE. coli宿主細胞)における発現に好適なコドン最適化された配列もまた包含する。本明細書に使用されるとき、用語「コドン最適化された」は、原核または真核宿主細胞における、特にE. coliなどの細菌宿主細胞における、細菌(例として、E. coli)宿主細胞遺伝子においてより頻繁に使用されるコドンでの1以上または好ましくはかなりの数のコドンの置換による、発現のために適合させられた核酸タンパク質コード配列を意味する。
この点について、アルコールデヒドロゲナーゼ酵素のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、源において見出された元々のものであってもよく、または、遺伝子は、例としてE. coliなどの、選択された宿主生物のためにコドン最適化することができる。
【0082】
リボ核酸(RNA)分子は、in vitro転写によって生産することができる。DNA分子のセグメントもまた、本開示の範囲内とみなされ、および、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって生産するか、または1以上の制限エンドヌクレアーゼによる処理によって生成することができる。核酸分子のセグメントは、特に部分遺伝子であるものについては、遺伝子のDNAフラグメントと呼ばれることがある。フラグメントはまた、複数のオープンリーディングフレーム(ORF)もまた、同じORFの繰り返しであっても異なるORFであっても、含有することができる。用語は、具体的に言うとコードヌクレオチド配列を指すが、しかし非コードのヌクレオチド配列、例として、未転写または未翻訳の配列、またはポリペプチドをコードするもの、の全体または一部も包含するものとする。
【0083】
本明細書に使用されるときの遺伝子、例として、アセンブリ、多様化または組換えのためのものは、非コード配列またはポリペプチドをコードする配列またはタンパク質をコードする配列またはその部分もしくはフラグメントであって組換え事象を成功させるのに十分な配列長を有するものとすることができる。より具体的に言うと、当該遺伝子は、最小3bpの長さ、好ましくは少なくとも100bp、より好ましくは少なくとも300bpを有する。上記から、単離されたDNAへの言及は、その中の数百から数百万の他のDNA分子の間に存在するDNA、例えば、cDNAまたはゲノムDNAライブラリ、または、例えば制限消化反応混合物または電気泳動ゲルスライス中のゲノムDNA制限消化物、を意味しないことが明らかであろう。本開示の単離された核酸分子は、自然状態ではそれ自体では見出されないセグメントを網羅する。
【0084】
本明細書に使用されるとき、用語「単離されたDNA」は、(1)いかなる天然に生じる配列とも同一でない配列を含有するDNA、天然に生じないポリヌクレオチドまたは核酸(例として、人の介入を通じて、そうでなければ分離されている配列の2つのセグメントの人工的な組み合わせ(例として、核酸の単離されたセグメントの人工的操作、例として、遺伝子操作技法による)によって作製される)、または(2)、天然に生じる配列(例として、cDNAまたはゲノムDNA)を持つDNAの文脈において、関心対象のDNAを含有する遺伝子が天然に生じる生物のゲノムにおいて、関心対象のDNAを含有する遺伝子に隣接する遺伝子の少なくとも1つを含まないDNA、を指すことができる。
【0085】
本明細書に使用されるときの用語「単離されたDNA」は、核酸配列について具体的に言うと、組換えDNA技法によって生産される核酸またはポリヌクレオチド、例として、宿主細胞にとって異種のポリヌクレオチドを含むDNAコンストラクト(任意に、宿主細胞に組み込まれる)、をもまた指すことがある。キメラヌクレオチド配列は、具体的に言うと、組換え分子として生産され得る。用語「組換え」は、具体的に言うと、ポリヌクレオチドのアセンブリであって、クロスオーバーまたは遺伝子モザイクを達成するための組換えありまたはなしで、かかるポリヌクレオチドまたはその一部を結び合わせることに適用されるものとする。例えば、それは、所望される機能の核酸セグメントを結び合わせることで、所望される機能の組み合わせを生成するためになされる。
【0086】
本明細書に記載のポリペプチドをコードする組換え遺伝子は、ポリペプチドを発現するのに好適である1以上の調節領域にセンス方向で作動可能に連結された、そのポリペプチドについてのコード配列を包含し得る。多くの微生物は多シストロン性のmRNAから複数の遺伝子産物を発現することを可能とするため、望ましい場合には、これらの微生物の単一の調節領域の制御下で複数のポリペプチドを発現させることができる。調節領域が配列の転写または翻訳を調節するのに有効であるように調節領域およびコード配列が配置されているとき、コード配列および調節領域が作動可能に連結されているとみなされる。
【0087】
本明細書に使用されるときの用語「組換え」は、具体的に言うと酵素については、組換えDNA技法によって生産された、すなわち、所望の酵素をコードする外因性DNAコンストラクトによって形質転換された細胞から生産された酵素を指すものとする。「合成」酵素は、化学合成によって調製されたものである。キメラ酵素は、具体的に言うと組換え分子として生産されてもよい。用語「組換えDNA」は、したがって、自律的に複製するプラスミドまたはウイルス中へのベクター中へと、または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNA(または自然な染色体位置以外の位置にある相同細胞のゲノム)中へと組み込まれた組換えDNA を包含する。
【0088】
さらなる側面において、本開示の核酸分子(単数または複数)は、原核および/または真核宿主細胞における発現を可能にする発現制御配列に作動可能に連結されている。本明細書に使用されるとき、「作動可能に連結された」は、発現制御配列が関心対象のコード配列の発現を効果的に制御するように遺伝的コンストラクト中へと組み込まれていることを意味する。上で言及された転写/翻訳調節エレメントは、これに限定されないが、誘導性および非誘導性、構成的、細胞周期で調節される、代謝的に調節されるプロモーター、エンハンサー、オペレーター、サイレンサー、リプレッサー、および当業者に知られており、遺伝子発現を駆動または別様に調節する他のエレメントを包含する。かかる調節エレメントは、これに限定されないが、構成的発現を指示する、または誘導可能な発現を可能にする調節エレメント、例えば、CUP-1プロモーター、例えばtet-onまたはtet-off系に採用されているtet-リプレッサー、lac系、trp系調節エレメントといったものを包含する。一例として、イソプロピルβ-D-l-チオガラクトピラノシド(IPTG)は、100μΜ~1.0mMの濃度範囲において遺伝子発現の効果的な誘導因子である。この化合物は、lacオペロンの転写をトリガーするラクトース代謝産物であるアロラクトースの分子模倣体であり、およびしたがって、遺伝子がlacオペレーターの制御下にあるときに遺伝子発現を誘導するために使用される。遺伝子発現を誘導する調節エレメントの別の例は、ラクトースである。
【0089】
同様に、本開示の核酸分子(単数または複数)は、追加のポリペプチド配列、例えば、マーカーまたはレポーターとして機能する配列、をコードするハイブリッド遺伝子の一部を形成することができる。マーカーおよびレポーター遺伝子の例は、ベータ-ラクタマーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、アデノシンデアミナーゼ(ADA)、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、ハイグロマイシン-B-ホスホトランスフェラーゼ(HPH)、チミジンキナーゼ(TK)、lacZ(ベータ-ガラクトシダーゼをコードする)、およびキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(XGPRT)を包含する。本開示の実践に関連する多くの標準的な手順と同様に、当業者は、追加の有用な試薬、例えば、マーカーまたはレポーターとして役立つことができる追加の配列に気づくであろう。
【0090】
アルコールデヒドロゲナーゼをコードする組換えポリヌクレオチドもまた、本明細書において提供され、これは発現および任意の精製のためにベクター中へと挿入されてもよい。ベクターの1つのタイプは、その中へと追加のDNAセグメントがライゲーションされる環状二本鎖DNAループを表すプラスミドである。あるベクターは、それらが機能的に連結されている遺伝子の発現を制御できる。これらのベクターは、「発現ベクター」と呼ばれる。通常、DNA組換え技術に好適である発現ベクターは、プラスミドタイプのものである。典型的には、発現ベクターは、本明細書に記載のとおりのアルコールデヒドロゲナーゼなどの遺伝子を含む。最もよく使用されるプラスミドがベクタータイプであることから、本明細書において、用語「プラスミド」および「ベクター」は交換可能に使用されることがある。
【0091】
かかるベクターは、これに限定されないが、宿主細胞に天然には存在しないDNA配列、通常はRNAに転写されないまたはタンパク質に翻訳(「発現」)されないDNA配列、および非組換え宿主へ導入することを所望される他の遺伝子またはDNA配列を包含するDNA配列を、包含することができる。典型的には、本明細書に記載の組換え宿主のゲノムは、1以上の組換え遺伝子の安定した導入を通じて増強されることが理解される。しかしながら、自律的または複製的なプラスミドまたはベクターもまた、本開示の範囲内で使用することができる。その上、本開示は、低いコピー数の、例として単一コピーの、または高いコピー数の(本明細書に例証されたとおりの)プラスミドまたはベクターを使用して、実践することができる。
【0092】
本開示のベクターは、プラスミド、ファージミド、ファージ、コスミド、人工細菌および人工酵母染色体、ノックアウトまたはノックインコンストラクト、合成核酸配列またはカセットを包含し、および、サブセットは、線状ポリヌクレオチド、プラスミド、メガプラスミド、合成または人工染色体(植物、細菌、哺乳動物または酵母人工染色体など)の形態で生産され得る。
【0093】
導入されたポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質は、ベクターの導入時に細胞内で発現されることが好ましい。多様な遺伝子基質がプラスミド中へと組み込まれてもよい。プラスミドは、しばしば、標準クローニングベクター、例として、細菌の多コピープラスミドである。基質は、同じまたは異なるプラスミドに組み込むことができる。しばしば、少なくとも2つの異なるタイプのプラスミドであって異なるタイプの選択的マーカーを有するものが、少なくとも2つのタイプのベクターを含有する細胞の選択を可能にするために使用される。
【0094】
典型的には、細菌または酵母細胞は、当技術分野で周知のとおり、いずれかの1以上のヌクレオチド配列で形質転換されてもよい。in vivo組換えのために、ゲノムまたはその他の遺伝子で組み換えられる遺伝子は、標準的な形質転換技法を使用して宿主を形質転換するために使用される。好適な態様において、複製起点を提供するDNAがコンストラクトに包含される。複製起点は、熟練した者によって好適に選択され得る。遺伝子の性質に応じて、それら自体複製起点として作動可能である遺伝子またはゲノムでの配列が既に存在する場合、補足の複製起点は必要とされないことがある。
【0095】
組換え宿主細胞が、本明細書に記載の生物変換方法において使用されてもよい。代替的に、単離されたアルコールデヒドロゲナーゼ酵素が、本明細書に記載の生物変換方法において使用されてもよい。
本明細書に記載のとおりの核酸配列またはコンストラクトまたはベクターを含む組換え宿主細胞が、本明細書においてさらに提供される。本明細書に記載のとおりのアルコールデヒドロゲナーゼ酵素を生産する組換え宿主細胞が、本明細書においてさらに提供される。
【0096】
式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物の1以上を生産するための、本明細書に記載の生物変換反応は、例えば、本明細書に記載の組換え宿主細胞を培養することを含んでもよい。本明細書に使用されるとき、用語「培養する」は、本明細書に記載の式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物の1以上を生産するための生物変換プロセスにおいて使用することができる本明細書に記載のとおりのアルコールデヒドロゲナーゼ酵素を生産することができるように、生細胞を維持するプロセスを指す。細胞が分裂して自己複製する必要はないが、これは排除されるものではない。
【0097】
細菌または酵母細胞は、外因性または異種DNAが細胞内に導入されているときに、かかるDNAによって形質転換されることがある。形質転換DNAは、統合、すなわち細胞のゲノム中へと共有結合されていてもされていなくてもよい。原核生物、および酵母においては、例えば、形質転換DNAは、プラスミドなどのエピソームエレメント上に維持されてもよい。真核細胞については、安定してトランスフェクトされた細胞は、トランスフェクトされたDNAが染色体中へと統合され、染色体複製を通じて娘細胞に受け継がれるようになっているものである。この安定性は、形質転換DNAを含有する娘細胞の集団を含んでなる細胞株またはクローンを確立する真核細胞の能力によって実証される。
【0098】
一般に、導入されるDNAは、DNAのレシピエントである宿主に元々常在していないが、しかし、所定の宿主からDNAセグメントを単離すること、およびその後同じ宿主中へとそのDNAの1以上の追加のコピーを導入すること(例として、遺伝子の産物の生産を強化するかまたは遺伝子の発現パターンを改変するため)は、本開示の範囲内にある。いくつかの事例において、導入されるDNAは、例として、相同組換えまたは部位特異的突然変異誘発によって、内因性遺伝子またはDNA配列を変更または置き換えすらするであろう。好適な組換え宿主は、微生物、植物細胞、および植物を包含する。
【0099】
本開示はまた、組換え宿主も特徴とする。「遺伝子組み換え宿主細胞」または「トランスジェニック細胞」とも呼ばれる用語「組換え宿主」は、異種核酸またはそのゲノムが少なくとも1の組み込まれたDNA配列によって増強されたものを含む宿主細胞を表す。本開示の宿主細胞は、上で概説されたとおりのポリヌクレオチドまたはベクターで遺伝子操作されてもよい。
【0100】
本開示の目的のために使用されてもよい宿主細胞は、これに限定されないが、細菌(例えば、E. coliおよびB. subtilis)などの原核細胞であって、例えば形質転換を、例えば、本開示のポリヌクレオチド分子を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、細菌人工染色体、またはコスミドDNA発現ベクターでされ得るもの;酵母(例えば、SaccharomycesおよびPichia)のような単純な真核細胞であって、例えば形質転換を、例えば、本開示のポリヌクレオチド分子を含有する組換え酵母発現ベクターでされ得るもの、を包含する。本開示のポリヌクレオチドを導入するために使用される宿主細胞およびそれぞれのベクターに応じて、ポリヌクレオチドは、例えば、染色体またはミトコンドリアDNA中へと統合されるものとすることができ、または染色体外のように、例えばエピソーム的に維持されるものとすることができ、または一時的にのみ細胞内に含まれるものとすることができる。
【0101】
本明細書に使用されるときの用語「細胞」は、特に、遺伝子操作、および1以上の遺伝子または組み立てられた遺伝子クラスターを細胞または生産細胞中へ導入することに言及するとき、あらゆる原核細胞または真核細胞を指すと理解される。原核および真核細胞は両方とも本開示による使用のために企図され、これは、E. coliまたはBacillus種のような細菌宿主細胞、S. cerevisiaeなどの酵母宿主細胞、Spodoptora frugiperdaなどの昆虫宿主細胞、またはHeLaおよびJurkatなどのヒト宿主細胞を包含する。
【0102】
具体的に言うと、細胞は真核細胞、好ましくは真菌、哺乳動物もしくは植物細胞、または原核細胞である。好適な真核細胞は、例えば、限定なしに、哺乳動物細胞、酵母細胞、または昆虫細胞(Sf9を包含する)、両生類の細胞(メラノフォア細胞を含む)、または、Caenorhabditis(Caenorhabditis elegansを包含する)の細胞を包含する線虫細胞を包含する。好適な哺乳動物細胞は、例えば、限定なしに、COS細胞(Cos-1およびCos-7を包含する)、CHO細胞、HEK293細胞、HEK293T細胞、HEK293 T-RexTM細胞、または他のトランスフェクト可能な真核細胞株を包含する。好適な細菌細胞は、限定なしに、E. coliを包含する。
好ましくは、E. coli、バチルス、ストレプトマイセスなどの原核生物、あるいはHeLa細胞またはJurkat細胞のような哺乳動物細胞、あるいはシロイヌナズナなどの植物細胞が使用され得る。
【0103】
細胞は、例えば、原核生物、酵母、植物、および/または昆虫の宿主細胞から選択されてもよい。
細胞は、Aspergillus種または真菌細胞であってもよく、例えば、それは属Saccharomyces、Candida、Kluyveromyces、Hansenula、Schizosaccharomyces、Yarrowia、PichiaおよびAspergillusからなる群から選択することができる。
細胞は、細菌細胞であってもよく、例えば、Escherichia、Streptomyces、Bacillus、Pseudomonas、LactobacillusおよびLactococcusから選択される属を有する。例えば、細菌は、E. coliであってもよい。
E. coli宿主細胞は、業界および規制当局によって認められているE. coli宿主細胞(E. coli K12宿主細胞またはE. coli BL21宿主細胞を包含するが、これに限定されない)であってもよい。
【0104】
本開示で使用する1の宿主細胞はE. coliであり、これは本明細書に記載のとおりに組換え技術的に調製されてもよい。よって、組換え宿主は、組換えE. coli宿主細胞であってもよい。E. coliについて利用可能な、突然変異体、プラスミド、代謝の詳細なコンピュータモデルおよびその他の情報のライブラリーがあり、これは生成物収率を向上させるための様々なモジュールの合理的な設計を可能にする。Saccharomycesについて上で記載されたものに類似する方法を、組換えE. coli微生物を作製するのに使用することができる。
【0105】
一態様において、組換えE. coli微生物は、アルコールデヒドロゲナーゼ酵素遺伝子をコードする核酸配列を含む。
組換えE. coli微生物は、本明細書に記載のとおりのベクターコンストラクトを含んでもよい。別の態様において、組換えE. coli微生物は、本明細書に開示のアルコールデヒドロゲナーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。
本開示での使用に好適である別の宿主細胞は、合成生物学で広く使用されているシャーシ生物であるS. cerevisiaeである。よって、組換え宿主は、S. cerevisiaeであってもよい。S. cerevisiaeについて利用可能な、突然変異体、プラスミド、代謝の詳細なコンピュータモデルおよびその他の情報のライブラリーがあり、これは生成物収率を向上させるための様々なモジュールの合理的な設計を可能にする。組換えS. cerevisiae微生物を作製するための方法は、知られている。
【0106】
細胞の培養は、従来のやり方で行ってもよい。培養培地は、炭素源、少なくとも1の窒素源および無機塩を含有してもよく、ならびにビタミンがそれに添加されてもよい。この培地の構成成分は、問題の微生物種を培養するために慣用的に使用されているものであり得る。本方法において使用の炭素源は、増殖を、および/または式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物の1以上の生産を促すために組換え宿主細胞によって代謝されることができるあらゆる分子を包含する。好適な炭素源は、これに限定されないが、スクロース(例として、糖蜜において見出される)、フルクトース、キシロース、グリセロール、グルコース、セルロース、デンプン、セロビオース、または、ポリマーを含有する他のグルコースを包含する。
【0107】
宿主として酵母を採用する態様においては、例えば、スクロース、フルクトース、キシロース、エタノール、グリセロール、およびグルコースなどの炭素源が好適である。培養期間全体を通して炭素源を宿主生物に提供することができ、または代替的に、生物を、別のエネルギー源、例としてタンパク質の存在下で、一定期間増殖させ、および次いで流加フェーズの間のみ炭素源を提供するということもできる。
【0108】
本開示の方法における使用のための組換え宿主細胞の微生物の適正は、周知の方法を使用した単純な試験手順によって決定されてもよい。例えば、試験する微生物を、豊富な培地(例として、LB培地、バクトトリプトン酵母エキス培地、栄養培地等)中で、微生物の繁殖に一般的に使用されるpH、温度および反応条件下で、繁殖させてもよい。所望される産物を生産する組換え微生物(例として、組換え宿主細胞)がひとたび選択されると、産物は、典型的には、好適な発現系および発酵によって大規模に生産宿主細胞株によって、例として、細胞培養物中における微生物生産によって生産される。
【0109】
組換え微生物は、バッチ、流加、または連続プロセス、またはそれらの組み合わせで、増殖させてもよい。典型的には、組換え微生物は、式(I)で表される化合物を式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物の1以上へ変換するのに十分な酵素を生産するための所望の期間の間、好適な栄養源、例として炭素源の存在下で、所定の温度(単数または複数)にて発酵槽中で増殖させられる。組換え宿主細胞は、あらゆる好適なやり方で、例えば回分培養または流加培養によって、培養してもよい。
【0110】
本明細書に使用されるとき、用語「回分培養」は、培養の間、培地が添加されることも抜かれることもない培養方法である。
本明細書に使用されるとき、用語「流加」は、培養の間、培地が添加されるが、培地が抜かれることはない培養方法を意味する。
【0111】
本開示の一態様は、細胞系において式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物の1以上を作製する方法であって、細胞系において好適な条件下でアルコールデヒドロゲナーゼ酵素を発現させること、式(I)で表される化合物を細胞系へ供給すること、細胞系を使用して生産されるアルコールデヒドロゲナーゼを使用して、式(I)で表される化合物を、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物の1以上へ変換すること、細胞系から式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物の1以上を回収することおよび任意に系から単離すること、を含む前記方法を提供する。他のヌクレオチド配列の発現は、方法を強化するのに役立ち得る。方法は、細胞系における他のヌクレオチド配列の追加的な発現を包含することができる。他のヌクレオチド配列の発現は、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物の1以上を作製するための生物変換経路を強化し得る。
【0112】
本開示のさらなる態様は、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物の1以上を作製する方法であって、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子を含む宿主細胞を増殖させること、宿主細胞中でアルコールデヒドロゲナーゼを生産すること、式(I)で表される化合物を宿主細胞へ供給すること、式(I)で表される化合物の、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物の1以上への変換を促進するのに好適なpH、温度および可溶化剤の条件下において宿主細胞をインキュベートすること、ならびに、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物の1以上を回収することを含む、前記方法である。宿主細胞におけるアルコールデヒドロゲナーゼの生産は、式(I)で表される化合物が宿主細胞へ好適な反応条件下で添加されたとき、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物の1以上を作製する方法を提供する。
【0113】
組換え宿主細胞微生物は、その後の生物変換ステップのためにアルコールデヒドロゲナーゼを発現する適切な量の細胞を提供するために、数多くのやり方で培養され得る。生物変換ステップに適用可能な微生物は多岐にわたるため(例として、酵母、細菌および菌類)、培養条件は、もちろん、各々の種の特異的なの要件に合わせて調整されるものであり、および、これらの条件は周知であり文書化されている。本開示のその後の生物変換ステップにおいて活用可能である細胞を生産するために、組換え宿主細胞微生物の細胞を増殖させるための当技術分野で知られている方法のいずれかを使用してもよい。典型的には、細胞は、生物変換反応のために十分なバイオマスを生産するための特定の密度(光学密度(OD)として測定可能である)まで増殖させられる。
【0114】
選ばれた培養条件が、得られる細胞(バイオマス)の量に影響を与えるだけでなく、培養条件の質もまた、バイオマスがどのように生体触媒になるかに影響を与える。アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子を発現しおよびアルコールデヒドロゲナーゼ酵素を生産する組換え宿主細胞微生物は、生体触媒と称され、生物変換反応における使用に好適である。いくつかの態様において、生体触媒は、アルコールデヒドロゲナーゼ酵素を生産する組換え全細胞であり、またはそれは懸濁液中または固定化された形式であってもよい。他の態様において、生体触媒は、アルコールデヒドロゲナーゼを生産する組換え全細胞から調製された膜画分または液体画分である。
【0115】
アルコールデヒドロゲナーゼを生産する組換え全細胞は、発酵槽(生物変換反応のための)から回収される全細胞または発酵槽中の細胞(これは次いでワンポット反応で使用される)を包含する。アルコールデヒドロゲナーゼを生産する組換え全細胞は、無傷な組換え全細胞および/または細胞破片を包含することができる。いずれにしても、アルコールデヒドロゲナーゼは、基質(例として、式(I)で表される化合物)を受け取るおよび/またはこれと相互作用するために、膜(細胞膜など)と何らかのやり方で会合されてもよく、その膜(細胞膜など)は、全細胞(例として、組換え全細胞)の一部であり得るかまたはこれを含み得る。アルコールデヒドロゲナーゼはまた、固定化された形態(例として、酵素のキャリアと会合したもの)であってもよく、これはアルコールデヒドロゲナーゼが基質(例として、式(I)で表される化合物)と相互作用することを可能にする。アルコールデヒドロゲナーゼ酵素はまた、可溶性形態(無細胞抽出物を包含する)で使用されてもよい。
【0116】
一態様において、生体触媒は、生物変換ステップの前に、十分な量で生産され(十分なバイオマスを創り出すため)、収集されおよび洗浄される(および任意に、保管される(例として、凍結または凍結乾燥されて))。
さらなる態様において、細胞は(十分な生体触媒を創り出すのに)十分な量で生産され、および、反応条件が、次いで生物変換反応のために、生体触媒を採取して洗浄する必要なしに調整される。この1ステップの(または「ワンポット」の)方法は、コストを低減させながらプロセスを簡素化するので、遊離である。細胞を増殖させるのに使用される培養培地は、生物変換反応における使用にもまた好適であることがあり、ただし、反応条件は、生物変換反応を促するように調整されることが前提である。
【0117】
本記載された方法において使用されるアルコールデヒドロゲナーゼは、例えば、単離された酵素(すなわち、遊離の酵素)として使用してもよい。例えば、本記載された方法において使用されるアルコールデヒドロゲナーゼは、凍結乾燥された無細胞抽出物におけるものであってもよい。よって、本明細書に記載の方法は、式(I)で表される化合物を、単離されたアルコールデヒドロゲナーゼと接触させることを含んでもよい。
代替的に、本記載された方法において使用されるアルコールデヒドロゲナーゼは、全細胞(例として、組換え細胞)から発現されてもよい。よって、本明細書に記載の方法は、例えば、全細胞の存在下で行われてもよい。
【0118】
単離された酵素を得るために、組換え全細胞を、例として、酵素(リゾチーム)、洗剤または高塩濃度の溶液による処理、均質化、超音波処理の手段により、または凍結融解法の手段により、溶解(すなわち、細胞膜の破壊)させてもよい。無細胞抽出物を得るために、細胞破片を、例として、遠心分離または濾過によって除去してもよい。無細胞抽出物を、次いで凍結乾燥させてもよい。代替的に、無細胞抽出物を、例として、サイズ排除クロマトグラフィー(ゲル濾過)、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、熱処理による示差変性、または沈殿(例として、アセトンまたは硫酸アンモニウムによる)によって、さらなる精製にかけてもよい。いずれのステップでも、精製は、生体変換に使用するのに好適である種々異なるグレードでの酵素製剤を得るために停止してもよい。
【0119】
本開示において(殊更それが「ワンポット」反応に関するとき)用語「混合物」または「反応混合物」は用語「培地」と交換可能に使用されてもよいが、十分なバイオマスを創り出すために細胞を増殖させることは細胞培養/発酵培地を必要とするものの、生物変換反応には、反応緩衝液/溶媒は好適なpHであれば足りるため、培地は必要とされないということに留意しなければならない。
本開示の生物変換方法は、式(I)で表される化合物の、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物の1以上への変換を提供するための、時間、温度、pHおよび可溶化剤の条件下で実施される。
【0120】
可溶化剤(例として、界面活性剤、洗剤、溶解促進剤、水混和性有機溶媒等)を生物変換反応に包含させることが、有用であり得る。
本明細書に使用されるとき、用語「界面活性剤」は、2つの液体間または液体と固体との間の表面張力(または界面張力)を低下させる構成成分を意味する。界面活性剤は、洗剤、湿潤剤、乳化剤、発泡剤、および分散剤として作用することがある。界面活性剤の例は、これに限定されないが、Triton X-100、Tween 80、タウロデオキシコール酸、タウロデオキシコール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、および/またはラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を包含する。
【0121】
いくつかの態様において、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物の1以上は、式(I)で表される化合物の基質が添加される生体触媒を使用して生産される。
知られている手段(例として、蠕動ポンプ、注入シリンジ等)を使用して供給することにより、基質を添加することが可能である。
発酵槽が、組換え宿主細胞を増殖させるために、および、活性なアルコールデヒドロゲナーゼ酵素を、式(I)で表される化合物源を式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物の1以上へ変換するのに使用され得る同じ発酵槽中での生体触媒としての使用に好適である十分なバイオマス濃度まで生産するために、使用され得る。
【0122】
生物変換反応における化合物(I)(基質として)の初期濃度は、約10mM以上、約20mM以上、または約30mM以上であってもよい。例えば、生物変換反応における化合物(I)(基質として)の初期濃度は、約40mMであってもよい。ある態様において、生物変換反応における化合物(I)(基質として)の初期濃度は、約50mM以上、約100mM以上、約150mM以上、約200mM以上、約250mM以上、約300mM以上または約400mM以上であってもよい。例えば、生物変換反応における化合物(I)(基質として)の初期濃度は、約600mMであってもよい。例えば、生物変換反応における化合物(I)(基質として)の初期濃度は、約600mM~約1Mの間の範囲にあってもよい。生物変換反応における化合物(I)(基質として)の初期濃度は、約50mM以上、約100mM以上、約150mM以上、約200mM以上、約250mM以上、約300mM以上、または約400mM以上、または約600mM以上、または約800mM以上、または約1Mであってもよく、および、アルコールデヒドロゲナーゼは、本発明の第8の側面のバリアントのアルコールデヒドロゲナーゼである。
【0123】
生物変換反応における初期アルコールデヒドロゲナーゼ濃度は、約25g/L以下、約20g/L以下、約18g/L以下、約16g/L以下、約14g/L以下、約12g/L以下または約10g/L以下であってもよい。ある態様において、生物変換反応における初期アルコールデヒドロゲナーゼ濃度は、約10g/L以下、約9g/L以下、約8g/L以下、約7g/L以下、約6g/L以下、約5g/L以下、約4g/L以下、約3g/Lもしくは約2g/L以下であってもよい。生物変換反応における初期アルコールデヒドロゲナーゼ濃度は、約10g/L以下、約9g/L以下、約8g/L以下、約7g/L以下、約6g/L以下、約5g/L以下、約4g/L以下、約3g/Lもしくは約2g/L以下であってもよく、および、アルコールデヒドロゲナーゼは、本発明の第8の側面のバリアントのアルコールデヒドロゲナーゼである。
【0124】
アルコールデヒドロゲナーゼの活性は、%変換率(生成物の量/(生成物の量+残存する出発材料の量))×100)を介してモル百分率で定義され得る。好ましくは、アルコールデヒドロゲナーゼ酵素の存在下における、式(I)で表される化合物の、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物の1以上への%変換率は、モル百分率で与えられ、かつ、採用された式(I)で表される化合物のモルに基づくと、少なくとも50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100での、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物を提供し;殊更好ましくは、%変換率は、50~100、60~100、70~100、80~100、または90~100mol%の間である。
【0125】
本発明の好ましい態様において、%変換率は、例えば、アルコールデヒドロゲナーゼ酵素によって式(I)で表される化合物が式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物の1以上へ変換される、例えば4、6、8、10、12、16、20、24、36または48時間の、所定期間にわたって決定される。
好ましくは、生物変換反応が行われた後で、酸でのいずれかの処理に先立って、生物変換反応混合物は抽出され(例として、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)などの有機溶媒を使用して)、反応混合物から酵素またはバイオマスが除去され(例として、遠心分離または濾過、例えば、Celiteなどのケイソウ土を使用した濾過による)、および次いで乾燥(例として、硫酸マグネシウムを使用して)させられる。あらゆる溶媒は、例えば、蒸発させられてもよい。
【0126】
第2のステップ-酸での処理
式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物および式(IV)で表される化合物
の脱水および/または転位によって、1以上の式(V)で表される化合物(単数または複数)
【化20】
式中、
【化21】
の1つは単結合であり、他のものは二重結合である、を提供するために、酸処理ステップが生物変換反応に続いてもよい。
【0127】
よって、本明細書に記載の方法は、例えば、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物の1以上を、酸で処理することで、1以上の式(V)で表される化合物(単数または複数)を提供することをさらに含んでもよい。本明細書に記載の方法は、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物を含む混合物を、酸で処理することで、1以上の式(V)で表される化合物(単数または複数)を提供することをさらに含んでもよい。
【0128】
本明細書に記載の方法は、例えば、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物の1以上を、酸で処理することで、式(Va)で表される化合物、式(Vb)で表される化合物、式(Vc)で表される化合物、および式(Vd)で表される化合物
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
の1以上を提供することをさらに含んでもよい。
【0129】
本明細書に記載の方法は、例えば、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物を含む混合物を、酸で処理することで、式(Va)で表される化合物、式(Vb)で表される化合物、式(Vc)で表される化合物、および式(Vd)で表される化合物の1以上を含む混合物を提供することをさらに含んでもよい。
【0130】
酸での処理は、例えば、式(Va)で表される化合物、式(Vb)で表される化合物、式(Vc)で表される化合物、および式(Vd)で表される化合物の2つ、3つまたは4つを提供してもよい。酸での処理は、例えば、式(Va)で表される化合物、式(Vb)で表される化合物および式(Vc)で表される化合物の1つ、2つまたは3つを提供してもよい。式(Vd)で表される化合物は、提供されてもされなくてもよい。
例えば、酸での処理は、式(Va)で表される化合物、式(Vb)で表される化合物および式(Vc)で表される化合物を含む混合物を提供してもよい。混合物は、例えば、式(Vd)で表される化合物をさらに含んでもよい。代替的に、混合物は、式(Vd)で表される化合物を含まなくてもよい。
【0131】
本明細書に記載の方法は、例えば、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物および式(IV)で表される化合物を含む混合物を、酸で処理することで、式(Va)で表される化合物、式(Vb)で表される化合物および式(Vc)で表される化合物を含む混合物を提供することをさらに含んでもよい。混合物は、例えば、式(Vd)で表される化合物をさらに含んでもよい。代替的に、混合物は、式(Vd)で表される化合物を含まなくてもよい。
【0132】
式(V)で表される化合物およびそれらの鏡像異性体の相対量は、例えば、本開示の組成物に関して本明細書に記載のとおりであり得る。
酸での処理のステップのためのあらゆる好適な条件が使用され得る。
原則として、あらゆる酸(ルイス酸またはブレンステッド酸を有する化合物)を使用することができる。
【0133】
酸は、例えば、強酸であってもよい。強酸とは、水溶液中で完全に解離する酸を意味する。強酸および弱酸は、pKa値を決定することによって同定してもよい。水溶液中でイオン(A-およびH+)に解離する酸(HA)のpKa値は、以下の等式を使用して決定され得る。
pKa=-log10Ka
Ka=[A-][H+]/[HA]
水溶液中において0未満のpKa値を有する酸は、強酸とみなされる。水溶液中において0以上のpKa値を有する酸は、弱酸とみなされる。
【0134】
好適な酸の例は、例えば、硫酸、スルホン酸(例として、パラ-トルエンスルホン酸(pTSA)またはメタンスルホン酸)、リン酸、塩酸、硝酸、臭化水素酸、過塩素酸、ヨウ化水素酸、安息香酸、モンモリロナイトK10(粘土)、およびルイス酸(塩化鉄(III)、塩化アルミニウム(III)、BF3*Et2O、塩化チタン(IV)、塩化亜鉛(II)、塩化スズ(IV)など)を包含する。
酸での処理のための、使用する酸、反応の温度、および/または反応時間は、所望される生成物に応じて選択することができる。
【0135】
酸での処理は、例えば、約40℃~約100℃の範囲の温度で実施されてもよい。例えば、酸での処理は、少なくとも約55℃、または少なくとも約60℃、または少なくとも約65℃、または少なくとも約70℃の温度で実施されてもよい。例えば、酸での処理は、最大約100℃、または最大約95℃、または最大約90℃の温度で実施されてもよい。例えば、酸での処理は、約60℃~約100℃または約70℃~約100℃の範囲の温度で実施されてもよい。温度は、例えば、酸還流を達成してもよい。
【0136】
酸での処理は、例えば、約1時間~約70時間の範囲の期間実施されてもよい。例えば、酸での処理は、少なくとも約4時間、または少なくとも約6時間、または少なくとも約8時間の期間実施されてもよい。例えば、酸での処理は、最大約60時間、または最大約50時間、または最大約40時間、または最大約30時間、または最大約20時間、または最大約18時間、または最大約16時間、または最大約14時間の期間実施されてもよい。例えば、酸での処理は、4時間~50時間、または4時間~30時間、または4時間~20時間、または4時間~18時間、または6時間~約16時間の範囲の期間実施されてもよい。
【0137】
例えば、ある酸の使用などのある反応条件は、式(Vd)で表される化合物の形成を促進し得る。例えば、リン酸を使用することは、式(Vd)で表される化合物の形成を促進し得る。pTSAを使用することは、式(Vd)で表される化合物の形成を促進しないものとなり得る。
例えば、より強い酸、より高い温度および/またはより長い反応時間は、式(VIa)で表される化合物および/または式(VIb)で表される化合物
【化26】
【化27】
の形成を結果としてもたらす二重結合シフトを促進し得る。
【0138】
本明細書に記載の方法は、例えば、式(VIa)で表される化合物および/または式(VIb)で表される化合物を提供してもよい。代替的に、本明細書に記載の方法は、式(VIa)で表される化合物および/または式(VIb)で表される化合物を提供しなくてもよい。よって、反応条件は、式(VIa)で表される化合物および/または式(VIb)で表される化合物の形成を回避するために選択されてもよい。
【0139】
さらなる方法ステップ
1以上の式(V)で表される化合物(単数または複数)が、例えば蒸留またはクロマトグラフィーによって、精製されることで、あらゆる出発材料、中間体化合物(単数または複数)(例として、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物および式(IV)で表される化合物の1以上)、副産物および/またはさらなる不純物が除去されてもよい。
例えば、酸処理ステップからの反応混合物を、抽出し(例として、MTBEなどの有機溶媒を使用して)および乾燥させてもよい(例として、硫酸マグネシウムを使用して)。いずれかの溶媒は、例えば、蒸発させられてもよい。
【0140】
本明細書に記載の方法は、例えば、所望される立体異性体比率を得るために酸での処理の後に濃縮蒸留ステップをさらに含んでもよい。所望される立体異性体比率は、例えば、産物(1以上の式(V)で表される化合物(単数または複数))の意図される使用に依存し得る。
濃縮蒸留は、所望される立体異性体の割合が増加する蒸留である。蒸留は、例えば、バルブツーバルブ蒸留、分別蒸留または減圧蒸留を介して行われてもよい。
【0141】
開示された方法によって得られる組成物
本明細書に開示の方法によって得られる、および/または得ることができる組成物が、本明細書においてさらに提供される。
式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物を含む組成物が、本明細書において提供される。これらの組成物は、例えば、本明細書に記載の生物変換反応によって得られ、および/または得ることができてもよい。
【0142】
1以上の式(V)で表される化合物を含む組成物が、本明細書において提供される。例えば、式(Va)で表される化合物、式(Vb)で表される化合物、式(Vc)で表される化合物、および式(Vd)で表される化合物の1以上を含む組成物が、本明細書において提供される。これらの組成物は、例えば、本明細書に記載の生物変換反応と本明細書に記載の酸処理ステップとの組み合わせによって得られ、および/または得ることができてもよい。
【0143】
例えば、式(Va)で表される化合物、式(Vb)で表される化合物および式(Vc)で表される化合物の1つ、2つまたは3つを含む組成物が、本明細書において提供される。これらの組成物は、例えば、式(Vd)で表される化合物を含まなくてもよい。これらの組成物は、例えば、、本明細書に記載の生物変換反応と本明細書に記載の酸処理ステップとの組み合わせによって得られ、および/または得ることができてもよい。
【0144】
例えば、式(Va)で表される化合物、式(Vb)で表される化合物および式(Vc)で表される化合物を含む組成物であって:
式(Va)で表される化合物は、組成物中に約20.0wt%~約40.0%未満の範囲の量で存在し;
式(Vb)で表される化合物は、組成物中に約40.0wt%超~約70.0%の範囲の量で存在し;および
式(Vc)で表される化合物は、組成物中に約5.0wt%~約15.0%の範囲の量で存在する、前記組成物が、本明細書において提供される。
【0145】
組成物は、例えば、式(Vd)で表される化合物をさらに含んでもよい。例えば、式(Vd)で表される化合物は、組成物中に約0.5wt%~約5.0wt%の、例えば約1.0wt%~約5.0wt%、または約1.0wt%~約4.0wt%、または約1.0wt%~約3.0wt%の範囲の量で存在してもよい。代替的に、組成物は、式(Vd)で表される化合物を含まなくてもよい。
【0146】
式(Va)で表される化合物は、例えば、組成物中に約20.0wt%以上の量で存在してもよい。例えば、式(Va)で表される化合物は、組成物中に約22.0wt%以上、または約24.0wt%以上、または約25.0wt%以上の量で存在してもよい。ある態様において、式(Va)で表される化合物は、組成物中に約25.0wt%以上、約30.0wt%以上、約35.0wt%以上、約40.0wt.%以上、または約45.0wt.%以上の量で存在してもよい。化合物(Va)の25.0wt.%以上の量は、初期の生物変換反応が本発明の第8の側面のバリアントのアルコールデヒドロゲナーゼを使用するときに特に得られるものであり得る。
【0147】
式(Va)で表される化合物は、例えば、組成物中に約50.0wt.%未満、約45.0wt.%未満または約40.0wt%未満の量で存在してもよい。例えば、式(Va)で表される化合物は、組成物中に約38.0wt%以下、または約36.0wt%以下、または約35.0wt%以下、または約34.0wt%以下、または約32.0wt%以下、または約30.0wt%以下、または約28.0wt%以下の量で存在してもよい。
【0148】
式(Va)で表される化合物は、例えば、組成物中に約20.0wt%~約40.0%未満または約20.0wt%~約35.0wt%、または約22.0wt%~約30.0wt%、または約24.0wt%~約28.0wt%の範囲の量で存在してもよい。ある態様において、式(Va)で表される化合物は、例えば、組成物中に約25.0wt%~約50.0wt%未満または約30.0wt%~約45.0wt%の範囲の量で存在してもよい。
【0149】
式(Vb)で表される化合物は、例えば、組成物中に約40.0wt%超の量で存在してもよい。例えば、式(Vb)で表される化合物は、組成物中に約45.0wt%以上、または約50.0wt%以上、または約55.0wt%以上、または約60.0wt%以上の量で存在してもよい。
式(Vb)で表される化合物は、例えば、組成物中に約70.0wt%以下の量で存在してもよい。例えば、式(Vb)で表される化合物は、組成物中に約68.0wt%以下、または約66.0wt%以下、または約65.0wt%以下の量で存在してもよい。
【0150】
式(Vb)で表される化合物は、例えば、組成物中に約40.0wt%超~約70.0wt%、または約50.0wt%~約70.0wt%、または約60.0wt%~約70.0wt%の範囲の量で存在してもよい。
式(Vc)で表される化合物は、例えば、組成物中に約5.0wt%以上の量で存在してもよい。例えば、式(Vc)で表される化合物は、組成物中に約6.0wt%以上、または約8.0wt%以上、または約10.0wt%以上で存在してもよい。
【0151】
式(Vc)で表される化合物は、例えば、組成物中に約15.0wt%以下の量で存在してもよい。例えば、式(Vc)で表される化合物は、組成物中に約14.0wt%以下、または約13.0wt%以下、または約12.0wt%以下の量で存在してもよい。
式(Vc)で表される化合物は、例えば、組成物中に約5.0wt%~約15.0wt%、または約8.0wt%~約15.0wt%、または約10.0wt%~約15.0wt%の範囲の量で存在してもよい。
【0152】
組成物は、例えば:
約20.0wt%~約40.0wt%の式(Va)で表される化合物;および
約55.0wt%~約70.0wt%の式(Vb)で表される化合物;および
約5.0wt%~約15.0wt%の式(Vc)で表される化合物を含んでもよい。
組成物は、例えば:
約20.0wt%~約40.0wt%の式(Va)で表される化合物;および
約60.0wt%~約70.0wt%の式(Vb)で表される化合物;および
約8.0wt%~約15.0wt%の式(Vc)で表される化合物を含んでもよい。
【0153】
組成物は、例えば:
約20.0wt%~約30.0wt%の式(Va)で表される化合物;および
約55.0wt%~約70.0wt%の式(Vb)で表される化合物;および
約5.0wt%~約15.0wt%の式(Vc)で表される化合物を含んでもよい。
組成物は、例えば:
約20.0wt%~約30.0wt%の式(Va)で表される化合物;および
約60.0wt%~約70.0wt%の式(Vb)で表される化合物;および
約8.0wt%~約15.0wt%の式(Vc)で表される化合物を含んでもよい。
【0154】
組成物は、例えば:
約22.0wt%~約28.0wt%の式(Va)で表される化合物;および
約60.0wt%~約70.0wt%の式(Vb)で表される化合物;および
約8.0wt%~約15.0wt%の式(Vc)で表される化合物を含んでもよい。
本明細書に記載のwt%範囲は、例えば、組成物中の式(V)で表される化合物全体の総重量に基づいてもよい。
【0155】
式(Va)で表される化合物は、例えば、約25.0%以上の、(R)鏡像異性体(メチル基を持っているC3での立体配置)の鏡像体過剰率を有してもよい。例えば、式(Va)で表される化合物は、約30.0%以上、または約35.0%以上、または約40.0%以上、または約45.0%以上、または約50.0%以上、または約55.0%以上、または約60.0%以上の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有してもよい。いくつかの態様において、式(Va)で表される化合物は、約60.0%以上、または約70.0%以上、または約75.0%以上、または約80.0%以上、または約85.0%以上、または約90.0%以上、または約95.0%以上の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有してもよい。65.0%以上の、化合物(Va)についての(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率は、初期の生物変換反応が本発明の第8の側面のバリアントのアルコールデヒドロゲナーゼを使用するときに特に得られるものであり得る。
【0156】
式(Va)で表される化合物は、例えば、100.0%以下の、(R)鏡像異性体(メチル基を持っているC3での立体配置)の鏡像体過剰率を有してもよい。例えば、式(Va)で表される化合物は、約99.0%以下、または約98.0%以下、または約95.0%以下、または約90.0%以下、または約85.0%以下、または約80.0%以下の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有してもよい。
【0157】
式(Va)で表される化合物は、例えば、約25.0%~約100.0%、または約30.0%~約100.0%、または約50.0%~約100.0%、または約60.0%~約95.0%、または約60.0%~約90.0%の範囲の、(R)鏡像異性体(メチル基を持っているC3での立体配置)の鏡像体過剰率を有してもよい。ある態様において、式(Va)で表される化合物は、例えば、約60.0%~約100.0%、または約80.0%~約100.0%、または約90.0%~約100.0%、または約90.0%~約99.0%の範囲の、(R)鏡像異性体(メチル基を持っているC3での立体配置)の鏡像体過剰率を有してもよい。約60.0%~約100.0%の範囲にある、化合物(Va)についての(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率は、初期の生物変換反応が本発明の第8の側面のバリアントのアルコールデヒドロゲナーゼを使用するときに特に得られるものであり得る。
【0158】
式(Vb)で表される化合物は、例えば、約25.0%以上の、(R)鏡像異性体(メチル基を持っているC3での立体配置)の鏡像体過剰率を有してもよい。例えば、式(Vb)で表される化合物は、約30.0%以上の、約35.0%以上、または約40.0%以上、または約45.0%以上、または約50.0%以上、または約55.0%以上、または約60.0%以上の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有してもよい。
【0159】
式(Vb)で表される化合物は、例えば、100.0%以下の、(R)鏡像異性体(メチル基を持っているC3での立体配置)の鏡像体過剰率を有してもよい。例えば、式(Vb)で表される化合物は、約99.0%以下、または約98.0%以下、または約95.0%以下、または約90.0%以下、または約85.0%以下、または約80.0%以下の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有してもよい。
式(Vb)で表される化合物は、例えば、約25.0%~約100.0%、または約30.0%~約100.0%、または約50.0%~約100.0%、または約60.0%~約95.0%、または約60.0%~約90.0%の範囲の、(R)鏡像異性体(メチル基を持っているC3での立体配置)の鏡像体過剰率を有してもよい。
【0160】
式(Vc)で表される化合物は、例えば、約25.0%以上の、(S)鏡像異性体(メチル基を持っているC3での立体配置)の鏡像体過剰率を有してもよい。例えば、式(Vc)で表される化合物は、約30.0%以上の、約35.0%以上、または約40.0%以上、または約45.0%以上、または約50.0%以上、または約55.0%以上、または約60.0%以上の(S)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有してもよい。
【0161】
式(Vc)で表される化合物は、例えば、100.0%以下の、(S)鏡像異性体(メチル基を持っているC3での立体配置)の鏡像体過剰率を有してもよい。例えば、式(Vc)で表される化合物は、約99.0%以下、または約98.0%以下、または約95.0%以下、または約90.0%以下、または約85.0%以下、または約80.0%以下の(S)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有してもよい。
【0162】
式(Vc)で表される化合物は、例えば、約25.0%~約100.0%、または約30.0%~約100.0%、または約50.0%~約100.0%、または約60.0%~約95.0%、または約60.0%~約90.0%の範囲の、(S)鏡像異性体(メチル基を持っているC3での立体配置)の鏡像体過剰率を有してもよい。
式(Vd)で表される化合物は、例えば、約25.0%以上の、(S)鏡像異性体(メチル基を持っているC3での立体配置)の鏡像体過剰率を有してもよい。例えば、式(Vd)で表される化合物は、約30.0%以上、または約35.0%以上、または約40.0%以上、または約45.0%以上、または約50.0%以上、または約55.0%以上、または約60.0%以上の(S)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有してもよい。
【0163】
式(Vd)で表される化合物は、例えば、100.0%以下の、(S)鏡像異性体(メチル基を持っているC3での立体配置)の鏡像体過剰率を有してもよい。例えば、式(Vd)で表される化合物は、約99.0%以下、または約98.0%以下、または約95.0%以下、または約90.0%以下、または約85.0%以下、または約80.0%以下の(S)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有してもよい。
式(Vd)で表される化合物は、例えば、約25.0%~約100.0%、または約30.0%~約100.0%、または約50.0%~約100.0%、または約60.0%~約95.0%、または約60.0%~約90.0%の範囲の、(S)鏡像異性体(メチル基を持っているC3での立体配置)の鏡像体過剰率を有してもよい。
【0164】
鏡像体過剰率(e.e.)は、1の鏡像異性体の他のものに対する過剰率を指し、全体の百分率として表現され、および、以下の式によって計算され、式中RおよびSは、それぞれ、混合物中のRおよびS鏡像異性体の割合である。
(R)鏡像異性体のe.e.=((R-S)/(R+S))×100
(S)鏡像異性体のe.e.=((S-R)/(R+S))×100
【0165】
以下を含む組成物もまた、本明細書において提供される:
35~55%w/wの、式(Va)で表される化合物であって80%未満の(R)鏡像異性体(メチル基を持っているC3での立体配置)の鏡像体過剰率を有するもの;
27~40%w/wの、式(Vb)で表される化合物であって80%未満の(R)鏡像異性体(メチル基を持っているC3での立体配置)の鏡像体過剰率を有するもの;
3~20%w/wの、式(Vc)で表される化合物であって80%未満の(S)鏡像異性体(メチル基を持っているC3での立体配置)の鏡像体過剰率を有するもの;および
0~5%w/wの、式(Vd)で表される化合物であって80%未満の(S)鏡像異性体(メチル基を持っているC3での立体配置)の鏡像体過剰率を有するもの。
【0166】
組成物は、例えば、約35.0wt%以上の、式(Va)で表される化合物であって約80%未満の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含んでもよい。例えば、組成物は、約40.0wt%以上の、式(Va)で表される化合物であって約80%未満の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含んでもよい。組成物は、例えば、約55.0wt%以下の、式(Va)で表される化合物であって約80%未満の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含んでもよい。例えば、組成物は、約50.0wt%以下の、式(Va)で表される化合物であって約80%未満の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含んでもよい。例えば、組成物は、約35.0wt%~約55.0wt%、または約40.0wt%~約50.0wt%の、式(Va)で表される化合物であって約80%未満の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含んでもよい。式(Va)で表される化合物は、例えば、約50.0%~約80.0%未満または約60.0%~約80.0%未満の範囲の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有してもよい。
【0167】
代替的に、組成物は、例えば、約35.0wt%以上の、式(Va)で表される化合物であって約80.0%以上の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含んでもよい。例えば、組成物は、約40.0wt%以上の、式(Va)で表される化合物 であって約80.0%以上の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含んでもよい。組成物は、例えば、約55.0wt%以下の、式(Va)で表される化合物であって約80.0%以上の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含んでもよい。例えば、組成物は、約50.0wt%以下の、式(Va)で表される化合物であって約80.0%以上の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含んでもよい。例えば、組成物は、約35.0wt%~約55.0wt%、または約40.0wt%~約50.0wt%の、式(Va)で表される化合物であって約80.0%以上の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含んでもよい。式(Va)で表される化合物は、例えば、約80.0%~約100.0%以下または約90.0%~約100.0%以下の範囲の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有してもよい。
【0168】
組成物は、例えば、約27.0wt%以上の、式(Vb)で表される化合物であって約80%未満の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含んでもよい。例えば、組成物は、約30.0wt%以上の、式(Vb)で表される化合物であって約80%未満の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含んでもよい。組成物は、例えば、約40.0wt%以下の、式(Vb)で表される化合物であって約80%未満の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含んでもよい。例えば、組成物は、約35.0wt%以下の、式(Vb)で表される化合物であって約80%未満の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含んでもよい。例えば、組成物は、約27.0wt%~約40.0wt%または約30.0wt%~約35.0wt%の、式(Vb)で表される化合物であって約80%未満の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含んでもよい。式(Vb)で表される化合物は、例えば、約50.0%~約80.0%未満または約60.0%~約80.0%未満の範囲の(R)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有してもよい。
【0169】
組成物は、例えば、約3.0wt%以上の、式(Vc)で表される化合物であって約80%未満の(S)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含んでもよい。例えば、組成物は、約5.0wt%以上または約10.0wt%以上の、式(Vc)で表される化合物であって約80%未満の(S)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含んでもよい。組成物は、例えば、約20.0wt%以下の、式(Vc)で表される化合物であって約80%未満の(S)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含んでもよい。例えば、組成物は、約15.0wt%以下の、式(Vc)で表される化合物であって約80%未満の(S)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含んでもよい。例えば、組成物は、約3.0wt%~約20.0wt%または約5.0wt%~約15.0wt%の、式(Vc)で表される化合物であって約80%未満の(S)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含んでもよい。式(Vc)で表される化合物は、例えば、約50.0%~約80.0%未満または約60.0%~約80.0%未満の範囲の(S)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有してもよい。
【0170】
組成物は、例えば、0.0wt%以上の、式(Vd)で表される化合物であって約80%未満の(S)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含んでもよい。例えば、組成物は、約0.5wt%以上または約1.0wt%以上の、式(Vd)で表される化合物であって約80%未満の(S)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含んでもよい。組成物は、例えば、約5.0wt%以下の、式(Vd)で表される化合物であって約80%未満の(S)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含んでもよい。例えば、組成物は、約4.0wt%以下の、式(Vd)で表される化合物であって約80%未満の(S)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含んでもよい。例えば、組成物は、0.0wt%~約5.0wt%または約0.5wt%~約5.0wt%の、式(Vd)で表される化合物であって約80%未満の(S)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有するものを含んでもよい。式(Vd)で表される化合物は、例えば、約50.0%~約80.0%未満または約60.0%~約80.0%未満の範囲の(S)鏡像異性体の鏡像体過剰率を有してもよい。
【0171】
本明細書に記載の反応は、例えば、完全に進行しなくてもよい。したがって、本明細書に記載の組成物は、未反応の出発材料をさらに含んでもよい。例えば、本明細書に記載の生物変換反応によって得られる、および/または得ることができる組成物は、式(I)で表される化合物をさらに含んでもよい。例えば、酸性処理ステップが生物変換反応に続くことによって得られる、および/または得ることができる組成物は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、および式(IV)で表される化合物の1以上をさらに含んでもよい。
【0172】
組成物の使用
フレグランス成分としての本明細書に記載の組成物の使用が、本明細書においてさらに提供される。加えて、本明細書に記載のとおりの組成物を含む消費者向製品が、本明細書においてさらに提供される。特に、組成物は、脱水ステップが生物変換反応に続くことを介して得られる、1以上の式(V)で表される化合物を含む組成物であってもよい。
よって、本明細書に記載のとおりの組成物を含むフレグランス組成物もまた、本明細書において提供される。「フレグランス組成物」とは、本明細書に記載のとおりの組成物および基材を含む、あらゆる組成物を意味する。
【0173】
本明細書に使用されるとき、「基材」は、広範囲の天然物、および現在入手可能な合成分子、例えばエッセンシャルオイル、アルコール、アルデヒドおよびケトン、エーテルおよびアセタール、エステルおよびラクトン、大環状化合物および複素環、および/または、フレグランス組成物中において臭気物質と併せて慣用的に使用されている1つまたは複数の成分または賦形剤(例えば、キャリア材料、希釈剤、および当技術において一般的に使用されるその他の助剤)との混合物、から選択されるすべての知られているフレグランス成分を包含する。
【0174】
当技術に知られているフレグランス成分は、メジャーなフレグランス製造元から簡単に市販で入手可能である。かかる成分の非限定例は、以下を包含する:
- 精油および抽出物、例として、海狸香、コスタスルート油、オークモスアブソリュート、ゼラニウム油、ツリーモスアブソリュート、バジル油、ベルガモット油およびマンダリン油などの果実油、ミルテ油、パルマローズ油、パッチュリ油、プチグレン油、ジャスミン油、バラ油、白檀油、アブサン油、ラベンダー油および/またはイランイラン油;
- アルコール類、例として、桂皮アルコール((E)-3-フェニルプロパ-2-エン-1-オール);cis-3-ヘキセノール((Z)-ヘキサ-3-エン-1-オール);シトロネロール(3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-オール);ジヒドロミルセノール(2,6-ジメチルオクタ-7-エン-2-オール);Ebanol(商標)((E)-3-メチル-5-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エン-1-イル)ペンタ-4-エン-2-オール);オイゲノール(4-アリル-2-メトキシフェノール);エチルリナロール((E)-3,7-ジメチルノナ-1,6-ジエン-3-オール);ファルネソール((2E,6Z)-3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエン-1-オール);ゲラニオール((E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-オール);Super Muguet(商標)((E)-6-エチル-3-メチルオクタ-6-エン-1-オール);リナロール(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール);メントール(2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサノール);ネロール(3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-オール);フェニルエチルアルコール(2-フェニルエタノール);Rhodinol(商標)(3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-オール);Sandalore(商標)(3-メチル-5-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エン-1-イル)ペンタン-2-オール);テルピネオール(2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-オール);またはTimberol(商標)(1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オール);2,4,7-トリメチルオクタ-2,6-ジエン-1-オール,および/または[1-メチル-2(5-メチルヘキサ-4-エン-2-イル)シクロプロピル]-メタノール;
- アルデヒド類およびケトン類、例として、アニスアルデヒド(4-メトキシベンズアルデヒド);アルファアミルシンナムアルデヒド(2-ベンジリデンヘプタナール);Georgywood(商標)((1-(1,2,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタノン);ヒドロキシシトロネラール(7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール);Iso E Super(登録商標)((1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタノン);Isoraldeine(登録商標)((E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン);3-(4-イソブチル-2-メチルフェニル)プロパナール;マルトール;メチルセドリルケトン;メチルイオノン;ベルベノン;および/またはバニリン;
- エーテルおよびアセタール類、例として、Ambrox(登録商標)(3a,6,6,9a-テトラメチル-2,4,5,5a,7,8,9,9b-オクタヒドロ-1H-ベンゾ[e][1]ベンゾフラン);ゲラニルメチルエーテル((2E)-1-メトキシ-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン);ローズオキシド(4-メチル-2-(2-メチルプロパ-1-エン-1-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン);および/またはSpirambrene(登録商標)(2’,2’,3,7,7-ペンタメチルスピロ[ビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2,5’-[1,3]ジオキサン]);
- 大環状化合物、例として、Ambrettolide((Z)-オキサシクロヘプタデカ-10-エン-2-オン);ブラシル酸エチレン(1,4-ジオキサシクロへプタデカン-5,17-ジオン);および/またはExaltolide(登録商標)(16-オキサシクロヘキサデカン-1-オン);および
- 複素環、例として、イソブチルキノリン(2-イソブチルキノリン)。
【0175】
本明細書に使用されるとき、「キャリア材料」は、匂いの観点からは事実上中立である材料、すなわち、臭気物質の官能特性を有意に改変しない材料を意味する。
「希釈剤」とは、フタル酸ジエチル(DEP)、ジプロピレングリコール(DPG)、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、クエン酸トリエチル(TEC)およびアルコール(例として、エタノール)などの、臭気物質と併せて慣用的に使用されているあらゆる希釈剤を意味する。
【0176】
用語「助剤」は、フレグランス組成物中に、当該組成物の嗅覚性能に特段関連しない理由で、採用されることがあり得る成分を指す。例えば、助剤は、フレグランス成分(単数または複数)または当該成分(単数または複数)を含有する組成物を加工することの助けとして作用する成分であってもよく、あるいは、それは、抗酸化剤アジュバントなど、フレグランス成分またはそれを含む組成物の取り扱いまたは保管を改善するものでもよい。かかる抗酸化剤は、例えば、Tinogard(登録商標)TT (BASF)、Tinogard(登録商標)Q (BASF)、トコフェロール(その異性体CAS 59-02-9;364-49-8;18920-62-2;121854-78-2を包含する)、2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール(BHT, CAS 128-37-0)および関連するフェノール、ハイドロキノン(CAS 121-31-9)、から選択されてもよい。
【0177】
それはまた、色や質感を付与するなどの追加の利益を提供する成分である場合もあり得る。それはまた、フレグランス組成物に含有される1以上の成分に耐光性または化学的安定性を付与する成分である場合もあり得る。
それを含有するフレグランス組成物において一般的に使用される助剤の性質およびタイプの詳細な記載は網羅的ではないものの、該成分は当業者には周知であるということには言及しておく必要がある。
【0178】
本明細書に記載の組成物のための様々な適用は、これに限定されないが、高級フレグランス、または、ファブリックケア、トイレタリー、ビューティーケアおよびクリーニング製品、洗剤製品、および石鹸製品などの消費者向製品を包含する。
そのあらゆる態様を包含する本明細書に記載のとおりの組成物を含む消費者向製品もまた、本明細書において提供される。消費者向製品は、例えば、化粧品(例として、オードパルファムまたはオードトワレ)、洗浄用製品、洗剤製品、または石鹸製品であってもよい。
【0179】
この明細書およびこれに続くクレームの全体を通して、文脈が別用に必要としない限り、単語「含む(comprise)」、ならびに「含む(comprises)」および「含むこと(comprising)」などのバリエーションは、記載されている整数もしくはステップ、または整数もしくはステップの群を包含することを含意するが、いかなる他の整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群を除外するものでもないと理解されるであろう。用語「含む」はまた「包含する(including)」ならびに「からなる(consisting)」をも意味し、例として、Xを「含む」組成物は、排他的にXからなるものであってもよいし、または追加のもの、例として、X+Yを包含してもよい。本明細書および添付のクレームに使用されるとき、単数形「a」、「an」および「the」は、内容が別様に明記していない限り、複数の指示物を包含するということにもまた留意されなければならない。一例として、「遺伝子」または「酵素」への言及は、「1以上の遺伝子」または「1以上の酵素」への言及である。
【0180】
本開示は、本明細書に記載の特定の方法論、プロトコルおよび試薬に限定されるものでなく、それらは異なり得ることが理解されるべきである。本明細書に使用される専門用語は特定の実施形態を説明することだけを目的とし、本開示の範囲を限定することを意図せず、これは添付のクレームによってのみ限定されるということもまた理解されるべきである。別様に定義されない限り、本明細書に使用されるすべての技術および学術用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本開示に従い、当技術の技能の範囲内である従来の分子生物学、微生物学、および組換えDNA技法が採用されてもよい。
【0181】
本開示は、その適用において、以下の説明に掲げられるかまたは図面に例示される構造の詳細および構成要素の配置に限定されない。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践または実施することができる。また、本明細書に使用される語句および専門用語は、説明を目的としており、限定するものとは見なされるべきではない。好ましくは、本明細書に使用される用語は、"A multilingual glossary of biotechnological terms: (IUPAC Recommendations)", Leuenberger, H.G.W, Nagel, B. and Kolbl, H. eds. (1995), Helvetica Chimica Acta, CH-4010 Basel, Switzerlandに記載されているように定義される。
【0182】
複数の資料がこの明細書の本文全体を通して引用される。上記でも下記でも、本明細書において引用される資料(すべての特許、特許出願、学術出版物、製造者の仕様書、指示書、GenBankアクセッション番号の配列提出等々を包含する)の各々は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0183】
本明細書に記載の例は本開示の例示的なものであり、これへの限定を意図するものではない。本開示の種々異なる態様が、本開示に従って記載されてきた。多数の変更および変形が、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなしに、本明細書に記載および例示された技法に対してなされ得る。それゆえに、例は例示的なものにすぎず、本開示の範囲を限定するものではないということが理解されなければならない。
【0184】

例1: KRED-P1-B10(Codexis Inc., USAから)での生体変換(イソプロパノール再生)およびpTSAでの酸性処理
生体変換
100mMリン酸カリウム緩衝液、pH7.5(44mL)中に溶解させたCodexis KRED-P1-B10(500mg)をフラスコに入れた。100mMリン酸カリウム緩衝液pH7.5(1mL)中のNADP二ナトリウム塩(39.4mg)およびiPrOH(5mL)中の3-メチルシクロペンタデカン-1,5-ジオン(630mg)の溶液を添加した。反応混合物を、30℃にて26h攪拌した。反応混合物を、100mLのMTBEで抽出した。相分離を促すために、混合物を遠心分離した。合わせた有機層を25mLの水および25mLのブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、および溶媒を蒸発させた。粗生成物(0.52g、粘稠な黄色油)を、GCを介して分析したところ、64%のエノールエーテル(式(IV)で表される化合物)、14%のジケトン(式(I)で表される化合物)、1%のヒドロキシケトン(式(II)で表される化合物)、および2%のジオール(式(VII)で表される化合物)(相対的GC面積%)と判明した。
【0185】
13C-NMR (400 MHz, CDCl3, レギュラー + DEPT90 + DEPT135): δ (ppm) = 22.93, 23.24, 23.43, 23.62, 24.14, 24.23, 24.36, 24.53, 25.50, 25.76, 26.00, 26.10, 26.18, 26.42, 26.55, 26.59, 26.66, 26.78, 26.82, 26.96, 27.34, 27.62, 27.76, 29.70, 33.50, 34.65, 35.55, 39.89, 40.18, 41.62, 41.89, 42.18, 42.56, 43.95, 48.87, 50.11, 50.99, 67.51, 68.59, 70.51, 76.71, 77.02, 77.34, 97.59 (ヘミアセタール四級炭素), 211.14 (ジケトンカルボニル), 211.88 (ヒドロキシルケトンカルボニル).
【0186】
NMRデータは、粗生成物中には二重結合が存在しないことを判明させたが、代わりに四級炭素が検出され、このことは、ヘミアセタール(四級炭素を有する)の熱脱水を通じてエノールエーテル(二重結合を有する)が形成されたことを意味する。
【0187】
酸性処理
生体変換からの粗生成物(0.48g)のジクロロメタン(10mL)中の溶液を、フラスコに入れた。pTSA(72.6mg)を添加し、および反応混合物を還流まで加熱した。18hおよび42h後に、追加でのpTSA(37.4mgおよび73.3mg)を添加した。合計64h後、6%のみの出発材料を検出し、および反応混合物を25mLの飽和NaHCO3溶液中へと注ぎ入れ、および各25mLのMTBEで2回抽出した。両方の有機相を25mLのH2Oで洗浄し、合わせて、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、および溶媒を蒸発させた。結果としてもたらされた粗生成物(0.45g)を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、へプタン/MTBE)によって精製した。主な画分をキラルGCで分析したところ、主に(S)-5-E-ムセノンが得られた(表1)。
【0188】
生成物の同一性を、ガスクロマトグラフィーによって分析した。
【表2】
【0189】
例2: PRO-KRED(124)(Prozomix Limited, UKから)での生体変換(GDH再生)およびpTSAでの酸性処理
生体変換
100mMリン酸カリウム緩衝液pH7(41.5mL)中のProzomix PRO-KRED(124)(500mg)をフラスコに入れた。100mMリン酸カリウム緩衝液pH7(1mL)中のベータ-NAD(33.2mg)、100mMリン酸カリウム緩衝液pH7(1mL)中のNADP二ナトリウム塩(39.4mg)、および100mMリン酸カリウム緩衝液pH7(1mL)中のCodexis -CDX-901(50mg)の溶液を連続的に添加し、水(3.1mL)中の1.6MのD-グルコースの溶液がこれに続いた。最後に、ジメチルスルホキシド(2.5mL)中の3-メチルシクロペンタデカン-1,5-ジオン(505mg)の溶液を添加した。反応混合物を、30℃にて69h攪拌し、および、pHを、2MのNaOHでの滴定により、pH7.0へと継続的に調整した。反応混合物を、100mLのMTBEで抽出した。相分離を促すために、混合物を遠心分離した。合わせた有機層を25mLの水および25mLのブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、および溶媒を蒸発させた。粗生成物(0.43g)を、GC(内部標準なしで)を介して分析したところ、13%のエノールエーテル(式(IV)で表される化合物)、5%のジケトン(式(I)で表される化合物)、および82%のヒドロキシケトン(式(II)で表される化合物)(相対的GC面積%)と判明した。ジオールは検出されなかった。
【0190】
酸性処理
生体変換からの粗生成物(0.43g)のトルエン(15mL)中の溶液を、フラスコに入れた。pTSA(165mg)を添加し、および反応混合物を80℃まで加熱した。1h後、反応を、GCを介して分析したところ、23%のエノールエーテル(式(IV)で表される化合物)、7%の(E)-4-ムセノン(式(Vc)で表される化合物)、46%の(E)-5-ムセノン(式(Vb)で表される化合物)、18%の(Z)-5-ムセノン(式(Va)で表される化合物)および2%のヒドロキシケトン(式(II)で表される化合物)を含有しており、ヒドロキシケトン(式(II)で表される化合物)がまずエノールエーテル(式(IV)で表される化合物)へと変換された(ムセノン異性体へ開環される前に)ということが示唆された。さらにもう1h後、反応は完全となり、11%の(E)-4-ムセノン(式(Vc)で表される化合物)、63%の(E)-5-ムセノン(式(Vb)で表される化合物)、25%の(Z)-5-ムセノン(式(Va)で表される化合物)を示した(表2)。反応混合物を25mLの飽和NaHCO3溶液中へと注ぎ入れ、および各25mLのMTBEで2回抽出した。両方の有機相を25mLのH2Oで洗浄し、合わせて、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、および溶媒を蒸発させた。結果としてもたらされた粗生成物(0.41g)を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、へプタン/MTBE)によって精製したところ、第2の画分では(R)-5-Z-ムセノンが富化されていた(103mg、表3)。
【0191】
生成物の同一性を、ガスクロマトグラフィーによって分析した。
【表3】
【表4】
【0192】
例3: EMIN025(Enzymaster (Ningbo) Bio-Engineering Co., Ltd., Chinaから)での生体変換(GDH再生)およびpTSAでの酸性処理
生体変換
100mMリン酸カリウム緩衝液pH7(41.5mL)中のEnzymaster EMIN025(250mg)をフラスコに入れた。100mMリン酸カリウム緩衝液pH7(1mL)中のベータ-NAD(33.2mg)、100mMリン酸カリウム緩衝液pH7(1mL)中のNADP二ナトリウム塩(39.4mg)、および100mMリン酸カリウム緩衝液pH7(1mL)中のCodexis GDH CDX-901(50mg)の溶液を連続的に添加し、水(3.1mL)中の1.6MのD-グルコースの溶液がこれに続いた。最後に、ジメチルスルホキシド(2.5mL)中の3-メチルシクロペンタデカン-1,5-ジオン(505mg)の溶液を添加した。反応混合物を、30℃にて、pHを2MのNaOHでの滴定によりpH7.0へと継続的に調整しながら攪拌した。53h後に、さらなる一部分のNADP二ナトリウム塩(19.6mg)、ベータ-NAD(16.6mg)、GDH CDX-901(25mg)およびEnzymaster EMIN025(125mg)を連続的に添加し、および反応混合物をさらに30℃で攪拌させた。追加の23h後、反応混合物を、100mLのMTBEで抽出した。相分離を促すために、混合物を遠心分離した。合わせた有機層を25mLの水および25mLのブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、および溶媒を蒸発させた。粗生成物(0.35g)を、GCを介して分析したところ、75%のエノールエーテル(式(IV)で表される化合物)、12%のジケトン(式(I)で表される化合物)、および13%のジオール(式(VII)で表される化合物)(相対的GC面積%)と判明した。
【0193】
酸性処理
生体変換からの粗生成物(0.35g)のトルエン(15mL)中の溶液を、フラスコに入れた。pTSA(134mg)を添加し、および反応混合物を80℃まで1.5h加熱した。反応混合物を25mLの飽和NaHCO3溶液中へと注ぎ入れ、および各25mLのMTBEで2回抽出した。両方の有機相を25mLのH2Oで洗浄し、合わせて、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、および溶媒を蒸発させた。結果としてもたらされた粗生成物(0.34g)を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、へプタン/MTBE)によって精製した。主な画分をキラルGCで分析したところ、主に(R)-5-E-ムセノンが得られた(表4)。
【0194】
生成物の同一性を、ガスクロマトグラフィーによって分析した。
【表5】
【0195】
例4: 配列番号1のアミノ酸配列を有するEMIN027(Enzymaster (Ningbo) Bio-Engineering Co., Ltd., Chinaから)での生体変換(イソプロパノール再生)およびpTSAでの酸性処理
生体変換 100mMリン酸カリウム緩衝液pH7.5(43mL)中に溶解させた配列番号1で表されるアミノ酸配列を有するアルコールデヒドロゲナーゼ(500mg)をフラスコに入れた。100mMリン酸カリウム緩衝液pH7.5(1mL)中のベータ-NAD(33.4mg)、100mMリン酸カリウム緩衝液pH7.5(1mL)中のNADP二ナトリウム塩(39.4mg)、およびiPrOH(5mL)中の3-メチルシクロペンタデカン-1,5-ジオン(505mg)の溶液を添加した。反応混合物を、30℃にて88h攪拌した。反応混合物を、100mLのMTBEで抽出した。相分離を促すために、混合物を遠心分離した。合わせた有機層を25mLの水および25mLのブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、および溶媒を蒸発させた。粗生成物(0.36g)を、GCを介して分析したところ、78%のエノールエーテル(式(IV)で表される化合物)および18%の残存するジケトン(式(I)で表される化合物)(相対的GC面積%)と判明した。
【0196】
配列番号1:

MDGFLSGFDGRAAVVTGGASGIGLATATEFARRGARLVLSDVDQPALEQAVNGLRGQGFDAHGVVCDVRHLDEMVRLADEAFRLLGGVDVVFSNAGIVVAGPLAQMNHDDWRWVIDIDLWGSIHAVEAFLPRLLEQGTGGHIAFTASFAGLVPNAGLGTYGVAKYGVVGLAETLAREVKPNGIGVSVLCPMVVETKLVSNSERIRGADYGMSATPEGAFGPLPTQDESVSADDVARLTADAILANRLYILPHAAARESIRRRFERIDRTFDEQAAEGWTH
(NCBIアクセッション番号: WP_003873027.1)
【0197】
酸性処理
生体変換からの粗生成物(0.35g)のトルエン(15mL)中の溶液を、フラスコに入れた。pTSA(136mg)を添加し、および反応混合物を80℃まで1.5h加熱した。反応混合物を25mLの飽和NaHCO3溶液中へと注ぎ入れ、および各25mLのMTBEで2回抽出した。両方の有機相を25mLのH2Oで洗浄し、合わせて、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、および溶媒を蒸発させた。結果としてもたらされた粗生成物(0.35g)を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、へプタン/MTBE)によって精製した。主な画分(180mg)をキラルGCで分析したところ、主に(R)-5-E-ムセノンが得られた(表5)。
【0198】
生成物の同一性を、ガスクロマトグラフィーによって分析した。
【表6】
【0199】
例5: 脱水/転位条件のスクリーニング
エノールエーテル(式(IV)で表される化合物、250mg)を有機溶媒中に溶解させ、および、表6に従う種々異なる酸に供した。ムセノン異性体(式(V)で表される化合物)の分布を分析した。
【0200】
【表7】
【0201】
例6: 最適化されたMaADHバリアントでの、ジケトン(式(I)で表される化合物)のムセノンへの生体変換、脱水および酸性転位
方法
一般的手順:生体変換
フリーズドライされたADHの無細胞抽出物(表7および8を参照)を反応槽に入れ、およびKPi緩衝液(総体積25mLに対する他の成分の差;100mM、pH7.0)中に溶解させた。KPi緩衝液(1.5mL、100mM、pH7.0)中のβ-NAD(33.3mg)のストック溶液を添加し、3-メチルシクロペンタデカン-1,5-ジオン(式(I)で表される化合物、表7を参照)およびiPrOH(表7を参照)からなる溶液がこれに続いた。反応混合物を、30℃にて攪拌した。反応混合物を、25mLのMTBEで抽出し、および、二相混合物を、さらにもう25mLのMTBEを使用して、5gのセライトを備えた吸引フィルター上で濾過した。結果としてもたらされた二相濾液を分離し、および水相を25mLのMTBEで再抽出した。両方の有機相を25mLの水および10mLのブラインで洗浄し、合わせて、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、および蒸発させ、およびGCを介して分析した(表9)。
【0202】
【表8】
【0203】
一般的手順2:酸性転位/pTSAでの開環
生体変換からの粗生成物の、10mLのジクロロメタン中の溶液を、フラスコに入れた。pTSA(72.6mg)を添加し、および反応混合物を還流まで加熱した。18時間および42時間後に、追加でのpTSA(37.4mgおよび73.3mg)を添加した。合計64時間後、中間体は検出されず、および反応混合物を25mLの飽和NaHCO3溶液中へと注ぎ入れ、および各25mLのMTBEで2回抽出した。両方の有機相を25mLのH2Oで洗浄し、合わせて、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、および蒸発させた。結果としてもたらされた粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、へプタン/MTBE)によって精製し、およびGCを介して分析した(表9)。
【0204】
一般的手順3:酸性転位/リン酸での開環
生体変換からの粗生成物の、25mLのトルエン中の溶液を、フラスコに入れた。リン酸(0.135ml、1.972mmol)を添加し、および二相混合物を100℃まで3時間加熱した。反応混合物を、室温まで冷却させ、および攪拌下で25mLの飽和NaHCO3溶液中へと注ぎ入れた。水相を分離し、および25mLのMTBEで再抽出した。両方の有機相を25mLのH2Oおよび10mLのブラインで洗浄し、合わせて、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、および蒸発させた。結果としてもたらされた粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、へプタン/MTBE)によって精製し、およびGCを介して分析した(表9)。
【0205】
ADHアミノ酸配列
使用したADHは、配列番号1に掲げるとおりのアミノ酸配列を有するMycobacterium aviumからの野生型ADH(Uniprot ID: Q742X5, NCBI Acc. No.: WP_003873027.1, PDB ID: 3TJR)または配列番号2~配列番号16に掲げるとおりのアミノ酸配列を有するバリアントであった。表8は、野生型アミノ酸配列に対するバリアントにおける置換の概要を提供し、および図1は、配列番号1~16で表されるアミノ酸配列の比較を示し、関心対象の突然変異点をハイライトしている。
【0206】
【表9】
【0207】
配列番号1(「野生型」):

MDGFLSGFDGRAAVVTGGASGIGLATATEFARRGARLVLSDVDQPALEQAVNGLRGQGFDAHGVVCDVRHLDEMVRLADEAFRLLGGVDVVFSNAGIVVAGPLAQMNHDDWRWVIDIDLWGSIHAVEAFLPRLLEQGTGGHIAFTASFAGLVPNAGLGTYGVAKYGVVGLAETLAREVKPNGIGVSVLCPMVVETKLVSNSERIRGADYGMSATPEGAFGPLPTQDESVSADDVARLTADAILANRLYILPHAAARESIRRRFERIDRTFDEQAAEGWTH

配列番号2(「MaADH_var1」):

MDGFLSGFDGRAAVVTGGASGIGLATATEFARRGARLVLSDVDQPALEQAVNGLRGQGFDAHGVVCDVRHLDEMVRLADEAFRLLGGVDVVFSNAGIVVAGPLAQMNHDDWRWVIDIDLWGSIHAVEAFLPRLLEQGTGGHIAFTASFAGLVPVAGLGTYGVAKYGVVGLAETLAREVKPNGIGVSVLCPMVVETKLVSNSERIRGADYGMSATPEGAFGPLPTQDESVSADDVARLTADAILANRLYILPHAAARESIRRRFERIDRTFDEQAAEGWTH

配列番号3(「MaADH_var2」):

MDGFLSGFDGRAAVVTGGASGIGLATATEFARRGARLVLSDVDQPALEQAVNGLRGQGFDAHGVVCDVRHLDEMVRLADEAFRLLGGVDVVFSNAGIVVAGPLAQMNHDDWRWVIDIDLWGSIHAVEAFLPRLLEQGTGGHIAFTASFAGLVPNAGLGTYGVAKYGVVGLAETLAREVKPNGIGVSVLCPMVVETKLLSNSERIRGADYGMSATPEGAFGPLPTQDESVSADDVARLTADAILANRLYILPHAAARESIRRRFERIDRTFDEQAAEGWTH

配列番号4(「MaADH_var3」):

MDGFLSGFDGRAAVVTGGASGIGLATATEFARRGARLVLSDVDQPALEQAVNGLRGQGFDAHGVVCDVRHLDEMVRLADEAFRLLGGVDVVFSNAGIVVAGPLAQMNHDDWRWVIDIDLWGSIHAVEAFLPRLLEQGTGGHIAFNASFAGLVPNAGLGTYGVAKYGVVGLAETLAREVKPNGIGVSVLCPMVVETKLVSNSERIRGADYGMSATPEGAFGPLPTQDESVSADDVARLTADAILANRLYILPHAAARESIRRRFERIDRTFDEQAAEGWTH
【0208】
配列番号5(「MaADH_var4」):

MDGFLSGFDGRAAVVTGGASGIGLATATEFARRGARLVLSDVDQPALEQAVNGLRGQGFDAHGVVCDVRHLDEMVRLADEAFRLLGGVDVVFSNAGIVVAGPLAQMNHDDWRWVIDIDLWGSIHAVEAFLPRLLEQGTGGHIAFNASFAGLVPVAGLGTYGVAKYGVVGLAETLAREVKPNGIGVSVLCPMYVETKLLSNSERIRGADYGMSATPEGAFGPLPTQDESVSADDVARLTADAILANRLYILPHAAARESIRRRFERIDRTFDEQAAEGWTH

配列番号6(「MaADH_var5」):

MDGFLSGFDGRAAVVTGGASGIGLATATEFARRGARLVLSDVDQPALEQAVNGLRGQGFDAHGVVCDVRHLDEMVRLADEAFRLLGGVDVVFSNAGIVVAGPLAQMNHDDWRWVIDIDLWGSIHAVEAFLPRLLEQGTGGHIAFNASFAGLVPVAGLGTYGVAKYGVVGLAETLAREVKPNGIGVSVLCPMVVETKLLSNSERIRGADYGMSATPEGAFGPLPTQDESVSADDVARLTADAILANRLYILPHAAARESIRRRFERIDRTFDEQAAEGWTH

配列番号7(「MaADH_var6」):

MDGFLSGFDGRAAVVTGGASGIGLATATEFARRGARLVLSDVDQPALEQAVNGLRGQGFDAHGVVCDVRHLDEMVRLADEAFRLLGGVDVVFSNAGIVVGGPLAQMNHDDWRWVIDIDLWGSIHAVEAFLPRLLEQGTGGHIAFNASFAGLVPVAGLGTYGVAKYGVVGLAETLAREVKPNGIGVSVLCPMYVETKLLSNSERIRGADYGMSATPEGAFGPLPTQDESVSADDVARLTADAILANRLYILPHAAARESIRRRFERIDRTFDEQAAEGWTH

配列番号8(「MaADH_var7」):

MDGFLSGFDGRAAVVTGGASGIGLATATEFARRGARLVLSDVDQPALEQAVNGLRGQGFDAHGVVCDVRHLDEMVRLADEAFRLLGGVDVVFSNAGIVHGGPLAQTNHDDWRWVIDIDLWGSIHAVEAFLPRLLEQGTGGHIAFNASFAGLVPVAGLGTYTVAKYGVVGLAETLAREVKPNGIGVSVLCPMYVETKLLSNSERIRGADYGMSATPEGAFGPLPTQDESVSADDVARLTADAILANRLYILPHAAARESIRRRFERIDRTFDEQAAEGWTH
【0209】
配列番号9(「MaADH_var8」):

MDGFLSGFDGRAAVVTGGASGIGLATATEFARRGARLVLSDVDQPALEQAVNGLRGQGFDAHGVVCDVRHLDEMVRLADEAFRLLGGVDVVFSNAGIVVGGPLAQMNHDDWRWVIDIDLWGSIHAVEAFLPRLLEQGTGGHIAFNASFAGLVPVAGLGTYGVAKYGVVGLAETLAREVKPNGIGVSVLCPMYVETNLLSNSERIRGADYGMSATPEGAFGPLPTQDESVSADDVARLTADAILANRLYILPHAAARERIRRRFERIDRTFDEQAAEGWTH

配列番号10(「MaADH_var9」):

MDGFLSGFDGRAAVVTGGASGIGLATATEFARRGARLVLSDVDQPALEQAVNGLRGQGFDAHGVVCDVRHLDEMVRLADEAFRLLGGVDVVFSNAGIVVGGPLAQMNHDDWRWVIDIDLWGSIHAVEAFLPRLLEQGTGGHIAFNASFAGLVPVAGLGTYGVAKYGVVGLAETLAREVKPNGIGVSVLCPMYVETNLLSNSERIRGADYGMSATPEGAFGPLPTQDYSVSADDVARLTADAILANRLYILPHAAARERIRRRFERIDRTFDEQAAEGWTH

配列番号11(「MaADH_var10」):

MDGFLSGFDGVAAVVTGGASGIGLATATEMARRGARLVLSDVDQPALEQAVNGLRGQGFDAHGVVCDVRHLDEMVRLADEAFRLLGGVDVVFSNAGIVHGGPLAQTNHDDWRWVIDIDLWGSIHAVEAFLPRMLEQGTGGHIAFNASFAGLVPVAGLGTYTVAKYGVVGLAETLAREVKPNGIGVSVLCPMYVETNLLSNSERIRGADYGMSATPEGAFGPLPTQDYSVSADDVARLTADAILANRLYILPHAAARERIRRRFERIDRTFDEQAAEGWTH

配列番号12(「MaADH_var11」):

MDGFLSGFDGVAAVVTGGASGIGLATATELARRGARLVLSDVDQPALEQAVNGLRGQGFDAHGVVCDVRHLDEMVRLADEAFRLLGGVDVVFSNAGIVHGGPLAQTNHDDWRWVIDIDLWGSIHAVEAFLPRLLEQGTGGHIAFNASFAGLVPVAGLGTYTVAKYGVVGLAETLAREVKPNGIGVSVLCPMYVETNLLSNSERIRGADYGMSGTPEGAFGPLPTQDYSVSADDVARLTADAILANRLYILPHAAARERIRRRFERIDRTFDEQAAEGWTH
【0210】
配列番号13(「MaADH_var12」):

MDGFLSGFDGVAAVVTGGASGIGLATATEMARRGARLVLSDVDQPALEQAVNGLRGQGFDAHGVVCDVRHLDEMVRLADEAFRLLGGVDVVFSNAGIVVGGPLAQMNHDDWRWVIDIDLWGSIHAVEAFLPRLLEQGTGGHIAFNASFAGLVPVAGLGTYGVAKYGVVGLAETLAREVKPNGIGVSVLCPMYVETNLLSNSERIRGADYGMSGTPEGAFGPLPTQDYSVSADDVARLTADAILANRLYILPHAAARERIRRRFERIDRTFDEQAAEGWTH

配列番号14(「MaADH_var13」):

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配列番号15(「MaADH_var14」):

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配列番号16(「MaADH_var15」):

MDGFLSGFDGVAAVVTGGASGIGLATATEMARRGARLVLSDVDQPALEQAVNGLRGQGFDAHGVVCDVRHLDEMVRLADEAFRLLGGVDVVFSNAGIVVGGPMATMNHDDWRWVIDIDLWGSIHAVEAFLPRLLEQGTGGHIAFNASFAGLVPVAGLGTYGVAKYGVVGLAETLAREVKPNGIGVSVLCPMYVKTNLLSNSERIRGADGGRSGTPEGAFGPLPTQDYSVSADDVARLTADAILANRLYILPHAAARERIRRRFERIDRTFDEQAAEGWTH
【0211】
結果
生物変換反応および酸処理(行われたとき)の結果は、以下の表9に提供される。特に、表は、以下のことが達成され得ることを示す:(i)生物変換からの、化合物(VII)のジオールの低いレベルまたは不在;(II)酸処理後の比較的高いレベルの(Z)-5-ムセノン;および(II)(Z)-5-ムセノンのR-鏡像異性体の比較的高いee%。
【0212】
【表10】
【0213】
上記は、限定なしに本発明のある態様を広く説明している。当業者にはたやすく明らかになるとおり、変形および変更は、添付のクレームにおいておよびこれによって定義されるとおりの本発明の範囲内にあることが意図される。
図1
【配列表】
2023534711000001.app
【国際調査報告】