(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-10
(54)【発明の名称】(メタ)アクリレート官能性分散剤
(51)【国際特許分類】
C08F 8/14 20060101AFI20230803BHJP
C08F 22/06 20060101ALI20230803BHJP
C08F 20/10 20060101ALI20230803BHJP
C08F 12/08 20060101ALI20230803BHJP
C08F 16/12 20060101ALI20230803BHJP
C08F 290/12 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
C08F8/14
C08F22/06
C08F20/10
C08F12/08
C08F16/12
C08F290/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504257
(86)(22)【出願日】2021-07-23
(85)【翻訳文提出日】2023-03-16
(86)【国際出願番号】 IB2021000481
(87)【国際公開番号】W WO2022018510
(87)【国際公開日】2022-01-27
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リー, リン
(72)【発明者】
【氏名】ヘイゼル, トーマス ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】シューダ, エンドリト
【テーマコード(参考)】
4J100
4J127
【Fターム(参考)】
4J100AA01Q
4J100AA15Q
4J100AB02Q
4J100AB03Q
4J100AE03Q
4J100AK32P
4J100CA03
4J100CA04
4J100DA01
4J100HA11
4J100HA13
4J100HC01
4J100HC09
4J100HC34
4J100HE05
4J100JA01
4J100JA07
4J127AA01
4J127BA041
4J127BB041
4J127BB081
4J127BB221
4J127BC031
4J127BC131
4J127BD021
4J127BD041
4J127BD061
4J127BE241
4J127BE24Y
4J127BG051
4J127BG161
4J127BG16Y
4J127BG171
4J127CB281
4J127CC131
4J127DA06
4J127FA51
(57)【要約】
(メタ)アクリレート官能性共重合体は、塗料、インク及びコーティング中の固体微粒子の分散剤として有用である。共重合体は、ポリマー鎖に対してペンダントに配置された(メタ)アクリレート官能基を有する。非(メタ)アクリレート官能性疎水性及び/又は親水性ペンダント基も、ポリマー骨格鎖に対してペンダントに配置される。共重合体は、塗料及び印刷インクなどの、有機媒体及び水性媒体中の粒子状固体の分散剤中の分散体として有用である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの構造単位[A]、少なくとも1つの構造単位[B]及び少なくとも1つの構造単位[C]を含む(メタ)アクリレート官能化ポリマーであって、
構造[A]は、
(式中、R
1及びR
3は同じであるか又は異なり、H又はアルキルであり、R
2及びR
4は異なり、少なくとも1つの(メタ)アクリレート官能基を有する有機部分又はHのいずれかである)であり、
構造[B]は、
(式中、R
7及びR
9は同じであるか又は異なり、H又はアルキルであり、R
8及びR
10は異なり、
-(R
11O)
nR
12(式中、R
11は二価アルキレン部分であり、R
12はH又はC1~C26、特にC8~C26のアルキルであり、nは1以上の整数である)、
R
19(式中、R
19はC2~C34、特にC2~C30、より具体的にはC8~C26、さらにより具体的にはC8~C22の分枝鎖又は直鎖アルキルである)、
-R
20-(C=O)OH(式中、R
20は、C2~C26、特にC8~C26の分枝鎖又は直鎖アルキレンである)、又は
H
から独立して選択される)であり、
構造[C]は、
(式中、R
13、R
14、R
15及びR
16は同じであるか又は異なり、独立して、H及び有機部分からなる群から選択され、ただし、構造[C]は構造[A]及び構造[B]とは異なる)であり、
1つ以上の構造[C]の繰り返し単位が、i)2つの構造単位[A]の間、ii)2つの構造単位[B]の間、又はiii)1つの構造単位[A]と1つの構造単位[B]との間のうちの少なくとも1つに位置する、(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【請求項2】
構造[D]の繰り返し単位からさらに構成され、構造[D]は、
(式中、R
17及びR
18は同じであるか又は異なり、H又はC1~C4アルキル基から選択することができる)である、請求項1に記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【請求項3】
1つ以上の構造[C]の繰り返し単位が、
i)2つの構造単位[A]の間、
ii)2つの構造単位[B]の間、
iii)2つの構造単位[D]の間、
iv)1つの構造単位[A]と1つの構造単位[B]との間、
v)1つの構造単位[A]と1つの構造単位[D]との間、又は
vi)1つの構造単位[B]と1つの構造単位[D]との間
のうちの少なくとも1つに位置する、請求項1又は2に記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【請求項4】
R
2又はR
4の一方が
(式中、R
5は二価アルキレン又はオリゴオキシアルキレン又はポリ(エステル)部分であり、R
6はH又はCH
3である)である、請求項1から3のいずれか一項に記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【請求項5】
R
5がカプロラクトン残基を含むポリ(エステル)部分である、請求項4に記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【請求項6】
R
6がHである、請求項4又は5に記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【請求項7】
R
1、R
3、R
7及びR
9がそれぞれHである、請求項1から6のいずれか一項に記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【請求項8】
R
5がエチレン又はオリゴオキシエチレンである、請求項4、6又は7に記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【請求項9】
R
13がフェニル、アルファメチルフェニル、メチル、メトキシ、エトキシ又はC2~C20アルキルであり、R
14、R
15及びR
16がそれぞれHであり、特に、R
13がフェニル又はメトキシ又はC16アルキルであり、R
14、R
15及びR
16がそれぞれHである、請求項1から8のいずれか一項に記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【請求項10】
R
11が二価のエチレン又はプロピレン部分である、請求項1から9のいずれか一項に記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【請求項11】
R
12がC8~C26直鎖飽和アルキルである、請求項1から10のいずれか一項に記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【請求項12】
nが3~30の整数である、請求項1から11のいずれか一項に記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【請求項13】
R
19が分岐飽和アルキルである、請求項1から12のいずれか一項に記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【請求項14】
1000~50,000ダルトンの数平均分子量を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【請求項15】
硬化性組成物であって、請求項1から14のいずれか一項に記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマーと、請求項1に記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー以外のエチレン性不飽和硬化性種とから構成される、硬化性組成物。
【請求項16】
物質の固体粒子が分散された、25℃で液体であるマトリックスから構成される、請求項15に記載の硬化性組成物。
【請求項17】
物質が、充填剤、顔料、及び無機顔料からなる群から選択される、請求項16に記載の硬化性組成物。
【請求項18】
1種以上のエチレン性不飽和硬化性種から構成される液体マトリックス中に物質の固体粒子を分散させる方法であって、請求項1から14のいずれか一項に記載の少なくとも1種の(メタ)アクリレート官能化ポリマーの有効量を液体マトリックス中に組み込むことを含む、方法。
【請求項19】
少なくともi)無水物官能化塩基(メタ)アクリレート官能化ポリマー、ii)ヒドロキシル官能化(メタ)アクリレート、及びiii)アルコキシル化長鎖脂肪族アルコールの反応生成物である、(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【請求項20】
無水物官能化塩基(メタ)アクリレート官能化ポリマーが、無水マレイン酸と少なくとも1つのコモノマーとのコ(メタ)アクリレート官能化ポリマーである、請求項19に記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【請求項21】
ヒドロキシル官能化(メタ)アクリレートが、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及びアルコキシル化ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選択される、請求項19又は20に記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【請求項22】
アルコキシル化長鎖脂肪族アルコールがC8~C26脂肪族アルコールのエトキシレートである、請求項19から21のいずれか一項に記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー鎖に対してペンダントに配置された(メタ)アクリレート官能基を有する(メタ)アクリレート官能性ポリマーに関する。非(メタ)アクリレート官能性疎水性及び/又は親水性ペンダント基も、ポリマー骨格鎖に対してペンダントに配置される。ポリマーは、塗料及び印刷インクなどの粒状固体及び有機媒体の分散剤中の分散体として有用である。
【背景技術】
【0002】
塗料、インク及びコーティングは、多くの場合、有機媒体又は水性媒体中に固体顔料の分散体を含む。インク又は塗料が乾燥すると粒子の均一なコーティングが基材上に残るように、これらの分散体が均一であることが必要である。これらの分散体はまた、広範囲の温度にわたって長い保存時間にわたって安定である必要がある。分散剤は、塗料、インク及びコーティングの分野で使用され、そのような組成物中の固体顔料の均一で安定した分離を確実にする。そのような分散剤の望ましい特性は、考えられる様々な種類の顔料、並びにそれらが分散されている媒体と相互作用する能力である。インク及び塗料は、それぞれが異なる表面特性を有し得る複数の種類の顔料粒子を含むことが多いため、様々な種類の顔料と相互作用する能力が特に望ましい。したがって、有用な分散剤は、広範囲の有機顔料及び有機顔料の種類と適合性である。さらにより望ましいのは、このような顔料を有機媒体及び水性媒体の両方と相溶化及び安定化することができる分散剤である。別の望ましい属性は、インク、コーティング又は塗料中に存在し得る(メタ)アクリレート基以外のエチレン性不飽和種の硬化に干渉しない分散剤である。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、ポリマー鎖に対してペンダントに配置された(メタ)アクリレート官能基を有する(メタ)アクリレート官能性ポリマーと、同じくポリマー鎖に対してペンダントに配置された疎水性及び/又は親水性ペンダント基を有する(メタ)アクリレート官能性ポリマーとを提供する。開示されたポリマーは、着色系における分散剤として、及びコーティング又はインクにおける充填剤として有用である。ポリマーは、接着促進剤として使用することができる。本明細書に開示される新規なポリマー構造は、インク、コーティング又は塗料配合物中の有機顔料及び/又は無機顔料の分散のための多様な官能化を可能にする。インク、コーティング又は塗料配合物は、有機媒体又は水性媒体に分散された様々な顔料の種類を含むことができる。ペンダント疎水性及び/又は親水性部分を有するこれらの(メタ)アクリレート官能性ポリマーを作製するために使用される合成方法も開示される。
【0004】
したがって、構造[A]の繰り返し単位、構造[B]の繰り返し単位及び構造[C]の繰り返し単位を含む、それらからなる、又はそれらから本質的になる(メタ)アクリレート官能化ポリマーが提供される。
【0005】
【0006】
構造[A]において、R1及びR3は同じであるか又は異なり、H又はアルキルであり、R2及びR4は互いに異なり、少なくとも1つの(メタ)アクリレート官能基を有する有機部分又はHのいずれかである。したがって、構造[A]は、本明細書に開示される(メタ)アクリレート官能化ポリマーの(メタ)アクリレート官能基を有する。
【0007】
【0008】
構造[B]において、R7及びR9は同じであるか又は異なり、H又はアルキルである。R8及びR10は両方ともHであるか、又は互いに異なり、
-(R11O)nR12(式中、R11は二価アルキレン部分であり、R12はH又はC1~C26、特にC8~C26のアルキルであり、nは1以上の整数である)、
R19(式中、R19は、C2~C34、特にC2~C30、より具体的にはC8~C26、さらにより具体的にはC8~C22の分枝鎖又は直鎖アルキルである)、
-R20-(C=O)OH(式中、R20はC2~C26、特にC8~C26アルキレンである);又は
H
から独立して選択される。
【0009】
好ましくは、R8及びR10の一方がHである場合、R8又はR10の他方は他の選択肢のうちの1つである。
【0010】
【0011】
構造[C]において、R13、R14、R15及びR16は同じであるか又は異なり、H及び有機部分からなる群から独立して選択される。
【0012】
構造[A]、[B]及び[C]を含む、それらからなる、又はそれらから本質的になる(メタ)アクリレート官能性共重合体は、構造[C]が構造[A]及び構造[B]とは異なることを条件とする。(メタ)アクリレート官能性共重合体はまた、1つ以上の構造単位[C]が、i)2つの構造単位[A]の間、ii)2つの構造単位[B]の間、又はiii)1つの構造単位[A]と1つの構造単位[B]との間のうちの少なくとも1つに位置するという条件に従う。誤解を避けるために、これは、本発明の(メタ)アクリレート官能化ポリマーの鎖中に、以下の繰り返し単位:[A][C][A]、[B][C][B]、又は[A][C][B]のうちの少なくとも1つが存在することを意味する。構造[A]は、(メタ)アクリレート官能化ポリマーの(メタ)アクリレート官能基を有すると理解される。
【0013】
(メタ)アクリレート官能性共重合体から構成される、それからなる、又はそれから本質的になる硬化性組成物も提供される。
【0014】
一実施形態によれば、(メタ)アクリレート官能化ポリマーは、少なくともi)無水物官能化塩基(メタ)アクリレート官能化ポリマー、ii)ヒドロキシル官能化(メタ)アクリレート、及びiii)アルコキシル化長鎖脂肪族アルコールの反応生成物であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の例示的な実施形態を含むモノマー中の二酸化チタン顔料の分散体を示す。
【
図2】
図2は、本発明の分散剤の実施形態を有さないモノマー中の二酸化チタン顔料の分散体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明は、本質的に単なる例示であり、決して本開示又はその用途若しくは使用を限定することを意図するものではない。
【0017】
好ましい実施形態では、ポリマーの構造は交互である。別の実施形態において、構造[C]は繰り返される。
【0018】
本明細書で使用される「ポリマー」という用語は、溶媒としてテトラヒドロフランを、較正標準として公知の分子量のポリスチレンを使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって測定して、1,000Daより大きい、又は1,500Daより大きい、又は2,000Daより大きい、又は2,500Daより大きい、又は5,000Daより大きい、又は50,000Daより大きい数平均分子量を有する有機分子を含むことを意味する。
【0019】
「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレート部分及びメタクリレート官能基のいずれか又は両方を包含すると理解される。
【0020】
(メタ)アクリレート官能化ポリマーが提供される。いくつかの実施形態によれば、官能化ポリマーは、簡便には、ヒドロキシル官能性反応物を、その骨格に沿って無水物官能化単位を含むポリマーと反応させることによって調製することができる。いくつかの実施形態によれば、そのようなポリマーは、例えば、スチレン-無水マレイン酸(SMA)共重合体を含むことができる。別の実施形態によれば、ポリ(エチレン-無水マレイン酸)共重合体は、(メタ)アクリレート官能基で官能化することができる。別の実施形態によれば、そのようなポリマーは、無水マレイン酸と(メタ)アクリレート官能基で官能化されたビニルメチルエーテルとの共重合体を含むことができる。さらに別の実施形態によれば、ポリマーは、無水マレイン酸と(メタ)アクリレート官能基で官能化されたオクタデセンとの共重合体を含むことができる。ヒドロキシル官能化(メタ)アクリレート上のヒドロキシル官能基は、ポリマー骨格上の無水物官能基と反応して、(メタ)アクリレート官能化ポリマーを生成し、(メタ)アクリレート官能基は、ポリマー骨格に対してペンダントであり、エステル結合でそれに結合する。特定の実施形態によれば、1つ以上のヒドロキシル官能化反応物との反応前の共重合体中の骨格単位の少なくとも25~50モルパーセントは、無水物官能基を含む。例えば、30モル%~45モル%、35モル%~50モル%、30モル%~50モル%、25モル%~40モル%、45モル%~50モル%のSMA共重合体は、ヒドロキシル官能性反応物との反応の前に、無水マレイン酸単位を含むことができる。官能化される前のベースSMA骨格の数平均分子量は、1000~50,000ダルトンであり得る。SMAベースポリマーは、ランダム共重合体又はブロック共重合体であり得る。ランダム共重合体が好ましい。いくつかの実施形態によれば、ベースSMA共重合体(又は他の共重合体)中のスチレン又はエチレン又はビニルメチルエーテル又はC3~C22アルケン又は他のコモノマーの、無水マレイン酸モノマーに対するモル比は、1:1~4:1であり、好ましくは約1:1である。特定の実施形態によれば、約2000ダルトンの重量平均分子量(Mn)を有し、約1.3モルのスチレン対1モルの無水マレイン酸のモル比を骨格に含む無水マレイン酸-スチレン共重合体ベース樹脂は、(メタ)アクリレートで官能化することができる。したがって、ベース共重合体は、鎖あたり8モルの無水物を有することができる。特定の実施形態によれば、1モルのこのスチレン無水マレイン酸樹脂は、2~4モルのヒドロキシル官能性(メタ)アクリレート、例えば2-ヒドロキシエチルアクリレート及び1~3モルのヒドロキシル官能性親水性及び/又は疎水性ペンダント基と、本明細書中により詳細に開示されるように反応することができる。
【0021】
本明細書で使用される場合、「有機部分」という用語は、分子の有機部分を示すために使用され、例えばエステルR1COOR2において、アルコール部分はR2Oである。有機部分は、炭素鎖又は環に基づき、水素も含有し、酸素、窒素、又は他の分子は含むか又は含まない部分を意味すると理解される。
【0022】
したがって、(メタ)アクリレート官能化ポリマーが提供される。ポリマーは、構造[A]の繰り返し単位、構造[B]の繰り返し単位及び構造[C]の繰り返し単位を含むか、それらからなるか、又はそれらから本質的になる。
【0023】
【0024】
R1及びR3は、同じであるか又は異なり、H又はアルキルである。アルキル基R1又はR3は、特に限定されず、例えば、直鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和炭化水素を含むか、それらからなるか、又はそれらから本質的になることができる。非限定的な例としては、例えば、C1~C6炭化水素が挙げられる。構造[A]は、(メタ)アクリレート官能化共重合体のための(メタ)アクリレート官能基を提供する。
【0025】
R
2及びR
4は互いに異なり、少なくとも1つの(メタ)アクリレート官能基を有する有機部分又はHのいずれかである。例えば、Hでない場合、R
2又はR
4は2-ヒドロキシエチルアクリレートから誘導することができる。例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート以外に、R
2又はR
4は、ヒドロキシルプロピルアクリレート、末端(メタ)アクリレート基を含むOH末端ポリカプロラクトン又は他のヒドロキシル官能化(メタ)アクリレート及びそれらの組み合わせから誘導することができる。特定の実施形態によれば、R
2又はR
4の一方は、以下の構造(1)であり得る。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態では、R5は、二価アルキレン又はオリゴオキシアルキレン又はポリ(エステル)部分であり得る。オリゴオキシアルキレンは、1つ以上のオキシアルキレン部分、特にオキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン及びそれらの混合物から選択される1つ以上の部分を含むリンカーに対応することができる。オリゴオキシアルキレンは、以下の式-[(CRaRb)p-O]q-(CRaRb)p-(式中、Ra及びRbは独立してH又はアルキルであり、pは2~4であり、qは少なくとも1である)によって表すことができる。ポリ(エステル)部分は、少なくとも1つのエステル結合を有する部分であり得る。ポリ(エステル)部分は、以下の式-[(CRcRd)r-C(=O)-O]s-(CRcRd)t-*(式中、Rc及びRdは独立してH又はアルキルであり、rは3~6であり、sは少なくとも1であり、tは1~10であり、記号*は構造(1)の(メタ)アクリレート基との結合点を表す)によって表すことができる。
【0027】
特定の実施形態によれば、R5は、カプロラクトン残基を含むポリ(エステル)部分であり得る。実施形態によれば、R6はH又はCH3であり得る。特定の実施形態によれば、R6はHである。他の実施形態によれば、R5はエチレン又はオリゴオキシエチレンであり得る。
【0028】
【0029】
R7及びR9は、同じであるか又は異なり、H又はアルキルである。
【0030】
R8及びR10は互いに異なる。R8及びR10は、(メタ)アクリレート官能基を含まず、H又は以下から独立して選択される。
・-(R11O)nR12(式中、R11は二価アルキレン部分であり、R12はH又はC1~C26、特にC8~C26のアルキルであり、nは1以上の整数である)。例えば、R12はC1アルキルであり得、R8又はR10はポリアルキレンオキシドである。そのような部分は、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600、ポリエチレングリコール1450、ポリエチレングリコール3350、ポリエチレングリコール8000、ポリエチレングリコール350メチルエーテル、ポリエチレングリコール550メチルエーテル、ポリテトラヒドロフラン、及びそれらの混合物などのヒドロキシル末端ポリアルコキシレートから誘導することができる。先の列挙における数字は、それぞれの部分の平均分子量を指すことが理解される。いくつかの実施形態によれば、R8又はR10は、ポリエチレンオキシド、若しくはポリプロピレンオキシド若しくはポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)ブロックを含む、それらからなる、若しくはそれらから本質的になることができ、又はエチレンオキシド/プロピレンオキシド/炭化水素ブロックを含むことができる。
・R19(式中、R19は、C2~C34、特にC2~C30、より具体的にはC8~C26、さらにより具体的にはC8~C22の分枝鎖又は直鎖アルキルである)。例えば、いくつかの実施形態では、R8又はR10は、脂肪アルコールから誘導することができる。そのような分岐鎖又は直鎖脂肪アルコールの非限定的な例としては、tert-ブチルアルコール、tert-アミルアルコール、3-メチル-3-ペンタノール、1-ヘプタノール(エナント酸アルコール)、1-オクタノール(カプリルアルコール)、ペラルゴンアルコール(1-ノナノール)、1-デカノール(デシルアルコール、カプリン酸アルコール)、ウンデシルアルコール(1-ウンデカノール、ウンデカノール、ヘンデカノール)、ラウリルアルコール(ドデカノール、1-ドデカノール)、トリデシルアルコール(1-トリデカノール、トリデカノール、イソトリデカノール)、ミリスチルアルコール(1-テトラデカノール)、ペンタデシルアルコール(1-ペンタデカノール、ペンタデカノール)、セチルアルコール(1-ヘキサデカノール)、パルミトレイルアルコール(シス-9-ヘキサデセン-1-オール)、ヘプタデシルアルコール(1-n-ヘプタデカノール、ヘプタデカノール)、ステアリルアルコール(1-オクタデカノール)、オレイルアルコール(1-オクタデセノール)、ノナデシルアルコール(1-ノナデカノール)、アラキジルアルコール(1-エイコサノール)、ヘンエイコシルアルコール(1-ヘンエイコサノール)、ベヘニルアルコール(1-ドコサノール)、エルシルアルコール(cis-13-ドコセン-1-オール)、リグノセリルアルコール(1-テトラコサノール)、セチルアルコール(1-ヘキサコサノール)、1-ヘプタコサノール、モンタニルアルコール、クルイチル(cluytyl)アルコール、1-オクタコサノール、1-ノナコサノールミリシルアルコール、1-トリアコンタノール、1-ドトリアコンタノール、又はゲジル(geddyl)アルコール(1-テトラトリアコンタノール)が挙げられる。これらの任意の2つ以上の混合物が企図される。
・-R20-(C=O)OH(式中、R20はC2~C26、特にC8~C26のアルキレンである)。例えば、R8又はR10は、末端ヒドロキシル基を含む長鎖カルボン酸から誘導することができる。そのような反応物の非限定的な例は、C2~C26、又はC2~C22、又はC8~C26のカルボン酸脂肪族アルコール、例えば12ヒドロキシルラウリン酸である。
【0031】
(メタ)アクリレート官能化ポリマーの特定の実施形態によれば、R1、R3、R7及びR9はそれぞれHである。他の実施形態によれば、R10又はR8が-(R11O)nR12であり、R11がCH2CH2であり、R12がC13直鎖飽和アルキルであり、n=12であるように、R8又はR10は、12モルのエトキシ化トリデシルアルコールなどのアルコキシル化脂肪アルコールからから誘導することができる。
【0032】
R10又はR8の非限定的な例としては、脂肪アルコールアルコキシレートが挙げられる。アルコキシレート部分は、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)若しくはブチレンオキシド(BO)単位又はそれらの混合物を含む、それらからなる、又はそれらから本質的になることができる。アルコキシレート部分はまた、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体の形態で存在することができる。脂肪アルコールオキシアルキレートはまた、ポリグリセロール化脂肪アルコールを含むことができる。エトキシ化脂肪アルコールは、8~22個の炭素原子を有する第一級アルコール、例えばココナツ、パーム脂肪、パーム核、獣脂脂肪、ラウリル、ステアリル又はオレイルアルコールであり得る。これらは、アルコール1モル当たり1~80のEO(エチレンオキシド)単位を含むことができ、アルコールラジカルは直鎖であっても、2位でメチル分岐していてもよく、又はオキソアルコールラジカルの場合に典型的であるように、混合物中に直鎖及びメチル分岐ラジカルを含有していてもよい。エトキシ化アルコールとしては、例えば、3、5、7、8及び11のEO単位を有するC11アルコール、3、6、7、8、10及び13のEO単位を有する(C12~C15)アルコール、4、7及び8のEO単位を有する(C14~C15)アルコール、8、11、15、20、25、50及び80のEO単位を有する(C16~C18)アルコール並びにこれらの混合物を挙げることができる。指定されたエトキシ化度は、特定の生成物の整数又は分数であり得る統計的平均を構成する。
【0033】
(メタ)アクリレート官能化ポリマーの特定の実施形態によれば、R11は、二価のエチレン又はプロピレン部分であり得る。いくつかの実施形態では、(メタ)アクリレート官能化ポリマーのうち、R12はC8~C26直鎖飽和アルキルである。(メタ)アクリレート官能化ポリマーのいくつかの実施形態では、nは3~30の整数であり得る。例えば、nは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30であり得る。(メタ)アクリレート官能化ポリマーのいくつかの実施形態によれば、R19は分岐飽和アルキル部分であり得る。
【0034】
【0035】
R13、R14、R15及びR16は同じであるか又は異なり、H及び有機部分からなる群から独立して選択される。適切な有機部分としては、芳香族基(例えば、フェニル基)、アルキル基(例えば、メチル基)又はアルコキシ基が挙げられるが、これらに限定されない。(メタ)アクリレート官能化ポリマーの特定の実施形態によれば、R13は、フェニル、アルファメチルフェニル、メチル若しくはメトキシ、又はエトキシ、又は任意のC2~C20アルキルであり得、R14、R15及びR16はそれぞれHであり得る。特定の実施形態によれば、R13、R14、R15及びR16はすべてHであり得る。例えば、本明細書に開示される(メタ)アクリレート官能化ポリマーは、メチルビニルエーテル共無水マレイン酸ポリマー、例えばAshland Chemicalから入手可能なGantrez(商標)共重合体から誘導することができる。特定の実施形態によれば、本明細書において提供される(メタ)アクリレート官能性共重合体は、無水マレイン酸とスチレン又はメチルビニルエーテル又はC2~C22アルケンとの共重合体から誘導され得るベースポリマー鎖から構成される。例えば、無水マレイン酸又は他の無水物官能化コモノマーとの共重合に適した他のコモノマーは、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクタン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、トリデセン、テトラデセン、ペンタデセン、ヘキサデセン、ヘプタデセン、オクタデセン、ノナデセン、イコセン、ヘンイコセン、ドコセン、スチレン、アルファ-メチルスチレン、メチルビニルエーテル、それらの異性体、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0036】
提供される(メタ)アクリレート官能化ポリマーは、構造[C]が構造[A]及び構造[B]とは異なり、さらに、構造[C]の1つ以上の繰り返し単位が、i)2つの構造単位[A]の間、ii)2つの構造単位[B]の間、又はiii)1つの構造単位[A]と1つの構造単位[B]との間のうちの少なくとも1つに位置することを条件とする。
【0037】
他の実施形態によれば、(メタ)アクリレート官能化ポリマーは、構造[D]の繰り返し単位からさらに構成される、それからなる、又はそれから本質的になることができる。構造[D]は、以下の通りである。
【0038】
R17及びR18は同じであるか又は異なり、Hから選択することができ、又は及びH若しくはC1~C4アルキル基から選択することができる。好ましくは、R17及びR18は両方ともHである。
【0039】
構造単位[A]、[B]、[C]及び[D]を含む(メタ)アクリレート官能化ポリマーの実施形態によれば、1つ以上の構造単位[C]は、
i)2つの構造単位[A]の間、
ii)2つの構造単位[B]の間、
iii)2つの構造単位[D]の間、
iv)1つの構造単位[A]と1つの構造単位[B]との間、
v)1つの構造単位[A]と1つの構造単位[D]との間、又は
vi)1つの構造単位[B]と1つの構造単位[D]との間
のうちの少なくとも1つに位置することができる。
【0040】
誤解を避けるために、これは、本発明の(メタ)アクリレート官能化ポリマーの鎖中に、以下の繰り返し単位:[A][C][A]、[B][C][B]、[D][C][D]、[A][C][B]、[A][C][D]、又は[B][C][D]のうちの少なくとも1つが存在することを意味する。構造[A]は、(メタ)アクリレート官能化ポリマーの(メタ)アクリレート官能基を有すると理解される。
【0041】
(メタ)アクリレート官能化ポリマーは、少なくともi)無水物官能化塩基(メタ)アクリレート官能化ポリマー、ii)ヒドロキシル官能化(メタ)アクリレート、及びiii)アルコキシル化長鎖脂肪族アルコールの反応生成物であり得る。無水物官能化塩基(メタ)アクリレート官能化ポリマーは、無水マレイン酸と少なくとも1つのコモノマーとのコ(メタ)アクリレート官能化ポリマーであり得る。少なくとも1つのコモノマーはスチレンであり得る。ii)ヒドロキシル官能化(メタ)アクリレートは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及びアルコキシル化ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選択することができる。iii)アルコキシル化長鎖脂肪族アルコールは、C8~C26脂肪族アルコールのエトキシレートであり得る。
【0042】
(メタ)アクリレート官能化ポリマーは、1000~75,000ダルトンの数平均分子量を有することができる。例えば、数平均分子量は、1000~50,000ダルトンであり得る。
【0043】
本明細書に開示される(メタ)アクリレート官能化ポリマーを含む硬化性組成物が提供される。硬化性組成物は、(メタ)アクリレート官能化ポリマーと、(メタ)アクリレート官能化ポリマー以外のエチレン性不飽和硬化性種とを含むことができる。これらのエチレン性不飽和硬化性種の非限定的な例は、モノエチレン性不飽和材料、多エチレン性不飽和材料及びそれらの混合物から選択される最大分子量約2000で、フリーラジカル重合性で放射線硬化性であり、実質的に不揮発性の1種以上の液体モノマー又はオリゴマーから選択することができる。適切なこのような材料の非限定的な例としては、アクリル酸又はメタクリル酸の低級アルキルエステル、例えば、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート及びイソブチルメタクリレート;ビニルエステル、例えば、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル;ハロゲン化ビニル、例えば、塩化ビニル及び塩化ビニリデン;特に、高溶剤性モノマー、例えば、2,2-エトキシエトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、n-ラウリルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレートなどが挙げられる。モノエチレン性不飽和反応性希釈剤の他の非限定的な例としては、ビニル芳香族、例えばスチレン、アルファメチルスチレン、ビニルトルエン、インデン及びp-tertブチルスチレン;エチレン性不飽和酸、例えば、フマル酸、無水マレイン酸及びそのエステル;並びに窒素含有モノマー、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ビニルピロリジン、N-ビニルカプロラクタムなどが挙げられる。ポリエチレン系不飽和反応性希釈剤の非限定的な例としては、ポリオールポリアクリレート及びポリメタクリレート、例えばアルカン(C2~C16)ジオールジアクリレート、脂肪族(C2~C16)ポリアクリレート、アルコキシル化脂肪族ポリアクリレート、ポリエーテルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。他の非限定的な例は、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール200ジアクリレート及びテトラエチレングリコールジアクリレートである。他の多価不飽和反応性希釈剤は、アリルアクリレート、例えば、アリルメタクリレート及びジアリルメタクリレート;アクリル化エポキシ、アミノプラストアクリレート及び不飽和ポリエステル;トリメチロールプロパン系ポリアクリレート、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート;ペンタエリスリトール系ポリアクリレート又はポリメタクリレート;アクリルオリゴマー;アクリル化ポリマー又は油、例えば、アクリル化エポキシ化乾燥型油、アクリル化ビスフェノールA/エポキシ樹脂、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、アクリル化ウレタンプレポリマー(「アクリル化ポリウレタン」としても公知)、ポリエーテル、シリコーンなどである。
【0044】
硬化性組成物は、物質の固体粒子が分散された、25℃で液体であるマトリックスをさらに含むことができる。そのようなマトリックスの非限定的な例は、水、有機溶媒及びそれらの混合物である。物質の固体粒子は、充填剤、顔料、無機顔料からなる群から選択することができる。そのような充填剤、顔料及び無機顔料の非限定的な例は、二酸化チタン、酸化亜鉛、若しくは酸化鉄などの金属酸化物、及び有機顔料、又はそれらの組み合わせである。顔料の非限定的な例は、アルカリ土類金属又はマンガンで沈殿した、スルホン酸及び/又はカルボン酸基を含有する顔料の沈殿塩である。そのような顔料としては、ベータナフトール顔料レーキ、例えばPigment Red 49(Red 49:1及びRed 49:2)、Red 50:1、Red 51、Red 53(Red 53:1及びRed 53:3)、Red 68、Orange 16、Orange 17:1、Orange 46;BONA Pigment Lakes、例えば、Red 48:1、Red 48:2、Red 48:3、Red 48:4、Red 48:5、Red 52:1、Red 52:2、Red 57:1、Red 58:2、Red 58:4、Red 63:1、Red 63:2、Red 64、Red 64:1、Red 200、Brown 5;ナフトールAS顔料レーキ、例えば、Red 151、Red 237、Red 239、Red 240、Red 243、Red 247、ナフタレンスルホン酸顔料レーキ、例えば、Yellow 104、Orange 19、Red 60、Red 66、Red 67が挙げられるが、これらに限定されない。充填剤の例としては、炭酸カルシウム、ネフェリンシェナイト、長石、珪藻土、タルク、アルミノケイ酸塩、シリカ、アルミナ、クレー、カオリン、マイカ、パイロフィライト、パーライト、バライト、又はウォラストナイト、及びそれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0045】
1種以上のエチレン性不飽和硬化性種から構成される液体マトリックス中に物質の固体粒子を分散させる方法が提供される。本方法は、本明細書に開示される少なくとも1種の(メタ)アクリレート官能化ポリマーの有効量を液体マトリックスに組み込むことと、粉砕装置(3つのロールミル、メディアミル、カウルブレードで混合物を粉砕することとを含む。
【0046】
本発明の例示的な態様は、以下のように要約することができる。
【0047】
態様1:少なくとも1つの単位構造[A]、少なくとも1つの構造単位[B]及び少なくとも1つの構造単位[C]を含む(メタ)アクリレート官能化ポリマーであって、
構造[A]は、
(式中、R
1及びR
3は同じであるか又は異なり、H又はアルキルであり、R
2及びR
4は異なり、少なくとも1つの(メタ)アクリレート官能基を有する有機部分又はHのいずれかである)であり、
構造[B]は、
(式中、R
7及びR
9は同じであるか又は異なり、H又はアルキルであり、R
8及びR
10は異なり、
(R
11O)
nR
12(式中、R
11は2価のアルキレン部分であり、R
12はC8~C26アルキルであり、nは1以上の整数である)、
R
19(式中、R
19は、C2~C30分岐鎖又は直鎖アルキルである)、
R
20(C=O)OH(式中、R
20は、C8~C26分岐鎖又は直鎖アルキルである)、又は
H
から独立して選択される)であり、
構造[C]は、
(式中、R
13、R
14、R
15及びR
16は同じであるか又は異なり、独立して、H及び有機部分からなる群から選択され、ただし、構造[C]は構造[A]及び構造[B]とは異なる)であり、
1つ以上の構造[C]の繰り返し単位が、i)2つの構造単位[A]の間、ii)2つの構造単位[B]の間、又はiii)1つの構造単位[A]と1つの構造単位[B]との間のうちの少なくとも1つに位置する、(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【0048】
態様2:構造[D]の繰り返し単位からさらに構成され、構造[D]は、
(式中、R
17及びR
18は同じであるか又は異なり、H又はC1~C4アルキル基から選択することができる)である、態様1に記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【0049】
態様3:1つ以上の構造[C]の繰り返し単位は、
i)2つの構造単位[A]の間、
ii)2つの構造単位[B]の間、
iii)2つの構造単位[D]の間、
iv)1つの構造単位[A]と1つの構造単位[B]との間、
v)1つの構造単位[A]と1つの構造単位[D]との間、又は
vi)1つの構造単位[B]と1つの構造単位[D]との間のうちの少なくとも1つに位置する、態様1又は態様2のいずれかに記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【0050】
態様4:R
2又はR
4の一方が
(式中、R
5は二価アルキレン又はオリゴオキシアルキレン又はポリ(エステル)部分であり、R
6はH又はCH
3である)である、態様1から3のいずれかに記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【0051】
態様5:R5がカプロラクトン残基を含むポリ(エステル)部分である、態様4に記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【0052】
態様6:R6がHである、態様4又は態様5に記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【0053】
態様7:R1、R3、R7及びR9がそれぞれHである、態様1から6のいずれかに記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【0054】
態様8:R5がエチレン又はオリゴオキシエチレンである、態様4、6又は7のいずれかに記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【0055】
態様9:R13がフェニル又はメトキシ又はC16アルキルであり、R14、R15及びR16がそれぞれHである、態様1から8のいずれかの(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【0056】
態様10:R11が二価のエチレン又はプロピレン部分である、態様1から9のいずれかに記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【0057】
態様11:R12がC8~C26直鎖飽和アルキルである、態様1から10のいずれかに記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【0058】
態様12:nが3~30の整数である、態様1から11のいずれかに記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【0059】
態様13:R19が分岐飽和アルキルである、態様1から12のいずれかに記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【0060】
態様14:1000~50,000ダルトンの数平均分子量を有する、態様1から13のいずれかに記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【0061】
態様15:硬化性組成物であって、態様1から14のいずれかに記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマーと、請求項1に記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー以外のエチレン性不飽和硬化性種とから構成される、硬化性組成物。
【0062】
態様16:物質の固体粒子が分散された、25℃で液体であるマトリックスから構成される、態様15に記載の硬化性組成物。
【0063】
態様17:物質が、充填剤、顔料、及び無機顔料からなる群から選択される、態様15又は態様16のいずれかに記載の硬化性組成物。
【0064】
態様18:1種以上のエチレン性不飽和硬化性種から構成される液体マトリックス中に物質の固体粒子を分散させる方法であって、態様1から14のいずれかに記載の少なくとも1種の(メタ)アクリレート官能化ポリマーの有効量を液体マトリックス中に組み込むことを含む、方法。
【0065】
態様19:少なくともi)無水物官能化塩基(メタ)アクリレート官能化ポリマー、ii)ヒドロキシル官能化(メタ)アクリレート、及びiii)アルコキシル化長鎖脂肪族アルコールの反応生成物である、(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【0066】
態様20:無水物官能化塩基(メタ)アクリレート官能化ポリマーが、無水マレイン酸と少なくとも1つのコモノマーとのコ(メタ)アクリレート官能化ポリマーである、態様19に記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【0067】
態様21:ヒドロキシル官能化(メタ)アクリレートが、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及びアルコキシル化ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選択される、態様19又は態様20のいずれかに記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【0068】
態様22:アルコキシル化長鎖脂肪族アルコールがC8~C26脂肪族アルコールのエトキシレートである、態様19から21のいずれかに記載の(メタ)アクリレート官能化ポリマー。
【0069】
本明細書では、明確かつ簡潔な明細書を書くことを可能にする方法で実施形態を説明してきたが、本発明から逸脱することなく実施形態を様々に組み合わせ及び分離し得ることが意図されており、このことは理解されるであろう。例えば、本明細書に記載のすべての好ましい特徴は、本明細書に記載の本発明のすべての態様に適用可能であることが理解されよう。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書中の本発明は、硬化性組成物、材料、生成物及びそれらから調製される物品、並びに本明細書中に記載されるそのような硬化性組成物を作製及び使用するための方法の基本的かつ新規な特性に実質的に影響を及ぼさない任意の要素又はプロセス工程を除外していると解釈することができる。さらに、いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書で指定されていない任意の要素又はプロセス工程を除外していると解釈することができる。
【0071】
本発明は、特定の実施形態を参照して本明細書に例示及び説明されているが、本発明は示された詳細に限定されることを意図するものではない。むしろ、特許請求の範囲の均等物の適用範囲(scope)及び範囲(range)内で、本発明から逸脱することなく、細部について様々な修正を行うことができる。
【実施例】
【0072】
実施例1:アクリレート官能性分散剤の調製:
合成に使用した装置は、ブッシング及び攪拌シャフト/ブレードが中心継手に挿入され、コンデンサーが1つの側継手に挿入され、熱電対が第2の側継手に挿入され、乾燥空気スパージが第3の側継手に挿入された500ml丸底フラスコであった。攪拌シャフトを攪拌モーターに取り付けた。加熱マントルをフラスコの下に置き、温度制御器によって制御した。フラスコに、62.5グラムのジエチレングリコールジアクリレート、36.5グラムの2-ヒドロキシエチルアクリレート、74.6グラムの12モルのエトキシ化トリデシルアルコール、0.25グラムの4-メトキシフェノール、0.25グラムのBHT及び0.23グラムの第一スズオクトアートを加えた。混合物を攪拌し、50℃に加熱した。次いで、138.2グラムのSMA(登録商標)1000(スチレン-無水マレイン酸共重合体、Cray Valley製)樹脂をゆっくりと加えた。SMA(登録商標)1000樹脂を添加して分散させた後、混合物を95℃に加熱した。温度は95℃で6時間であり、次いで酸価決定のために試料を1時間ごとに採取した。酸価が<139mgKOH/gmであったとき、反応混合物を65℃に冷却し、次いで、攪拌及びエアスパージを停止した。得られたポリマーは、[A]、[B]、[C]及び[D]の繰り返し単位の構造を有していた([A]、[B]、[C]及び[D]は上に記載されている)。
[A]:R1=R2=R3=H;R4=アクリル酸エチルである。
[B]:R7=R8=R9=H;R10=-(R11O)nR12であり、R11はCH2CH2であり、R12はC13直鎖飽和アルキルであり、n=12である。
[C]:R14=フェニル;及びR13=R15=R16=Hである。
[D]:R17=R18=Hである。
【0073】
実施例2:実施例1のアクリレート官能性ポリマーの分散剤としての有効性
6cPsの粘度を有するSR238B溶媒(Sartomer Americasから入手可能な1,6-ヘキサンジオールジアクリレート)(8グラム)と、分散剤として実施例1で調製したポリマー(0.2グラム)とを室温水超音波処理機で3分間、実施例1で調製した分散剤がモノマーSR238Bに完全に溶解するまで混合した。続いてTiO
2(2グラム)を添加し、その後さらに3分間超音波処理した。混合物を粉砕ゲージに入れ、さらなる粉砕なしでTiO
2がモノマー中にどの程度均一に分散しているかを目視で検査した。結果を
図1及び
図2に示す。
図1に見られるように、実施例1で調製した約2重量%のアクリレート官能性ポリマーを含む混合物は、溶液の粘度に影響を与えず、本発明の分散剤を含まない
図2に示す対照混合物と比較して、20重量%のTiO
2の良好な分散を示した。
【国際調査報告】