(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-10
(54)【発明の名称】モレキュラーシーブSSZ-122、その合成及び使用
(51)【国際特許分類】
C01B 39/48 20060101AFI20230803BHJP
B01J 37/04 20060101ALI20230803BHJP
B01J 37/10 20060101ALI20230803BHJP
B01J 29/70 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
C01B39/48
B01J37/04 102
B01J37/10
B01J29/70 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504280
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(85)【翻訳文提出日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 IB2021054300
(87)【国際公開番号】W WO2022018526
(87)【国際公開日】2022-01-27
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シエ、ダン
【テーマコード(参考)】
4G073
4G169
【Fターム(参考)】
4G073BA02
4G073BA04
4G073BA05
4G073BA57
4G073BA63
4G073BA69
4G073BA75
4G073BB24
4G073BB44
4G073BD21
4G073CZ50
4G073FB04
4G073FB30
4G073FC12
4G073FC13
4G073FC19
4G073FD21
4G073GA01
4G073GA03
4G073GA14
4G073GB02
4G073UA01
4G169AA02
4G169AA08
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BC01A
4G169BC02A
4G169BC03A
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4G169CB35
4G169CB41
4G169DA05
4G169EC27
4G169FB06
4G169FB29
4G169FC07
4G169ZA04A
4G169ZA32A
4G169ZA32B
4G169ZB04
4G169ZB08
4G169ZC02
4G169ZC04
4G169ZD03
(57)【要約】
SSZ-122と呼ばれるBOGフレームワーク型のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ材料が提供される。SSZ-122は、構造指向剤として1-アダマンチル-3-プロピルイミダゾリウムカチオンを使用して合成することができる。SSZ-122は有機化合物の変換及び/または吸着プロセスに使用することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも10のSiO
2/Al
2O
3のモル比を有するBOGフレームワーク型アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ。
【請求項2】
SiO
2/Al
2O
3の前記モル比が20~60の範囲にある、請求項1に記載のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ。
【請求項3】
ケイ素及びアルミニウム以外のT原子を含まないかまたは実質的に含まないフレームワーク構造を有する、請求項1に記載のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ。
【請求項4】
BOGフレームワーク型のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブであって、その合成されたままの形態には、その細孔内に1-アダマンチル-3-プロピルイミダゾリウムカチオンを含む、前記アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ。
【請求項5】
少なくとも10のSiO
2/Al
2O
3のモル比を有する、請求項4に記載のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ。
【請求項6】
20~60の範囲のSiO
2/Al
2O
3のモル比を有する、請求項4に記載のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ。
【請求項7】
BOGフレームワーク型のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブを合成する方法であって、
(1)
(a)FAUフレームワーク型ゼオライト;
(b)アルカリまたはアルカリ土類金属(M)の供給源;
(c)1-アダマンチル-3-プロピルイミダゾリウムカチオン(Q)を含む構造指向剤;
(d)水酸化物イオン源;及び
(e)水、を含む反応混合物を調製することと、
(2)前記反応混合物を、アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブの結晶を形成するのに十分な結晶化条件に供することと、を含む、前記方法。
【請求項8】
前記反応混合物が、モル比について以下の組成を有する、請求項7に記載の方法。
【表1-1】
【請求項9】
前記反応混合物が、モル比について以下の組成を有する、請求項7に記載の方法。
【表1-2】
【請求項10】
前記FAUフレームワーク型ゼオライトがゼオライトYである、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記アルカリ土類金属のアルカリが、ナトリウム、カリウム、またはそれらの組み合わせを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記結晶化条件が、120℃~200℃の温度で、1日~21日間、自己発生圧力下で前記反応混合物を加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
有機化合物を含む原料を転化生成物に転化するプロセスであって、前記プロセスは、前記原料を、有機化合物変換条件で、少なくとも10のSiO
2/Al
2O
3のモル比を有するBOGフレームワーク型のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブを含む触媒と接触させることを含む、前記プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年7月21日出願の米国仮特許出願第63/054,330に対する優先権及び利益を主張する。
【0002】
分野
本開示は、SSZ-122と呼ばれるBOGフレームワーク型の新規な合成結晶性モレキュラーシーブ、その合成、及び有機化合物の変換及び収着プロセスにおけるその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
モレキュラーシーブは、明確なX線回折(XRD)パターンによって示される明確な細孔構造を備えた異なる結晶構造を持ち、特定の化学組成を持つ、商業的に重要なクラスの材料である。結晶構造は、特定のタイプのモレキュラーシーブの特徴である空洞と細孔を定義する。
【0004】
モレキュラーシーブは、ゼオライト命名法に関するIUPAC委員会の規則に従って、国際ゼオライト協会の構造委員会によって分類される。この分類によれば、独自の構造が確立されているフレームワーク型ゼオライト及びその他の結晶性微孔質モレキュラーシーブに3文字のコードが割り当てられ、それらは例えば、the "Atlas of Zeolite Framework Types" by Ch. Baerlocher, L.B. McCusker and D.H. Olson (Elsevier, Sixth Revised Edition, 2007)に記載されている。
【0005】
天然鉱物ボッグス沸石は、10環及び12環という独特の三次元流路系を持つモレキュラーシーブ素材である。ボッグス沸石のフレームワーク構造は、国際ゼオライト協会の構造委員会によって3文字のコードBOGが割り当てられている。
【0006】
本開示によれば、SSZ-122と呼ばれるBOGフレームワーク型のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブが、構造指向剤として1-アダマンチル-3-プロピルイミダゾリウムカチオンを使用して合成されている。
【発明の概要】
【0007】
要約
第1の態様では、BOGフレームワーク型のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブが提供され、アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブは、少なくとも10のSiO2/Al2O3のモル比を有する。
【0008】
第2の態様では、BOGフレームワーク型のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブが提供され、その合成されたままの形態には、その細孔内に1-アダマンチル-3-プロピルイミダゾリウムカチオンを含む。
【0009】
第3の態様では、BOGフレームワーク型のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブを合成する方法が提供され、本方法は、(1)(a)FAUフレームワーク型ゼオライト;(b)アルカリまたはアルカリ土類金属(M)の供給源;(c)1-アダマンチル-3-プロピルイミダゾリウムカチオン(Q)を含む構造指向剤;(d)水酸化物イオン源;(e)水、を含む反応混合物を調製することと、(2)反応混合物を、アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブの結晶を形成するのに十分な結晶化条件に供することと、を含む。
【0010】
第4の態様では、有機化合物を含む原料を転化生成物に転化するプロセスが提供され、本プロセスは、有機化合物変換条件で原料を、BOGフレームワーク型のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブを含む触媒と接触させることを含み、アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブは、少なくとも10のSiO2/Al2O3のモル比を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面の簡単な記述
【
図1】例1の合成されたままのSSZ-122の走査型電子顕微鏡写真(SEM)画像である。
【0012】
【
図2】例1の合成されたままのSSZ-122(下のパターン)と例6のか焼したSSZ-122(上のパターン)の粉末X線回折(XRD)パターンを比較する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な記述
定義
「ゼオライト」という用語は、本明細書では、TO4四面体から構築されたフレームワークを有するモレキュラーシーブを指し、T原子はケイ素及びアルミニウム原子である。
【0014】
「フレームワーク型」という用語は、the "Atlas of Zeolite Framework Types" by Ch. Baerlocher, L.B. McCusker and D.H. Olson (Elsevier, Sixth Revised Edition, 2007)に記載される意味を有する。
【0015】
「合成されたままの」という用語は、結晶化後、構造指向剤の除去前の形態にあるモレキュラーシーブを指す。
【0016】
「無水」という用語は、物理的に吸着された水及び化学的に吸着された水の両方を実質的に欠いているモレキュラーシーブを指す。
【0017】
用語「SiO2/Al2O3モル比」は「SAR」と略すことがある。
【0018】
モレキュラーシーブの合成
モレキュラーシーブSSZ-122は、(1)(a)FAUフレームワーク型ゼオライト;(b)アルカリまたはアルカリ土類金属(M)の供給源;(c)1-アダマンチル-3-プロピルイミダゾリウムカチオン(Q)を含む構造指向剤;(d)水酸化物イオン源;(e)水、を含む反応混合物を調製することと、(2)反応混合物を、アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブの結晶を形成するのに十分な結晶化条件に供することと、により合成することができる。
【0019】
反応混合物は、モル比に関して、表1に示す範囲内の組成を有することができる。
【表1】
式中、Mはアルカリまたはアルカリ土類金属であり、Qは1-アダマンチル-3-プロピルイミダゾリウムカチオンを含む。
【0020】
FAUフレームワーク型ゼオライトは、アンモニウム型ゼオライトまたは水素型ゼオライト(例えば、NH4型ゼオライトY、H型ゼオライトY)であり得る。FAUフレームワーク型ゼオライトとしては、ゼオライトY(例えば、CBV712、CBV720、CBV760、CBV780、HSZ-HUA385、及びHSZ-HUA390)が挙げられる。好ましくは、FAUフレームワーク型ゼオライトはゼオライトYである。ゼオライトYは、約12~約500のSiO2/Al2O3のモル比を有することができる。FAUフレームワーク型ゼオライトは、2つ以上のゼオライトを含むことができる。典型的には、2つ以上のゼオライトは、異なるシリカ対アルミナのモル比を有するゼオライトYである。FAUフレームワーク型ゼオライトは、SSZ-122を形成する唯一のシリコンとアルミニウムの供給源にもなり得る。
【0021】
アルカリまたはアルカリ土類金属(M)は、通常、水酸化物イオン源と共に反応混合物に導入される。そのような金属の例にはナトリウム及び/またはカリウム、ならびにリチウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウムも含まれる。本明細書で使用する場合、語句「アルカリまたはアルカリ土類金属」は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属を交互に使用することではなく、1つまたは複数のアルカリ金属を単独で、または1つまたは複数のアルカリ土類金属と組み合わせて使用できる、及び1つまたは複数のアルカリ土類金属を単独で、または1つまたは複数のアルカリ金属と組み合わせて使用することができることを意味する。
【0022】
SSZ-122の調製に使用される構造指向剤は、以下の構造(1)によって表される1-アダマンチル-3-プロピルイミダゾリウムカチオン(Q)を含む:
【化1】
【0023】
Qの適切な供給源は、水酸化物、塩化物、臭化物、及び/または第四級アンモニウム化合物の他の塩である。
【0024】
反応混合物は、望ましくは反応混合物の重量で0.01~10,000ppm(例えば、100~5000ppm)の量で、以前の合成からのSSZ-122などの結晶性物質の種を含み得る。シーディングは、SSZ-122の選択性を向上させるため、及び/または結晶化プロセスを短縮するために有利であり得る。
【0025】
反応混合物成分は、複数の供給源から供給できることに留意されたい。また、2つ以上の反応成分が1つの供給源によって提供され得る。反応混合物は、バッチ式または連続式のいずれかで調製することができる。
【0026】
結晶化及び合成後処理
上記の反応混合物からのモレキュラーシーブの結晶化は、ポリプロピレンジャーまたはテフロンで裏打ちされたまたはステンレス鋼のオートクレーブなどの適切な反応容器内で、静的、タンブルまたは攪拌条件下で、120℃~200℃(例えば、140℃から180℃)の温度で、使用する温度で結晶化が起こるのに十分な時間(例えば、1日~21日、または3日~16日)実施することができる。結晶化は通常、反応混合物が自生圧力を受けるようにオートクレーブで行われる。
【0027】
所望のモレキュラーシーブ結晶が形成されたら、濾過または遠心分離などの標準的な分離技術によって、固体生成物を反応混合物から分離させる。回収した結晶を水で洗浄し、数秒~数分(例えば、フラッシュ乾燥の場合は5秒~10分)または数時間(例えば、75℃~150℃でのオーブン乾燥の場合は4時間~24時間)乾燥させ、細孔内に有機カチオンの少なくとも一部を有する合成されたままのSSZ-122結晶を取得する。乾燥工程は、大気圧または真空下で行うことができる。
【0028】
合成されたままのモレキュラーシーブは、その合成に使用された構造指向剤の一部または全部を除去するために、熱処理、オゾン処理、または他の処理にかけることができる。構造指向剤の除去は、合成されたままのモレキュラーシーブを空気中または不活性ガス中で、構造指向剤の一部または全部を除去するのに十分な温度で加熱する熱処理(すなわちか焼)によって実施することができる。熱処理には大気圧よりも低い圧力を使用することができるが、便宜上大気圧が望ましい。熱処理は、少なくとも370℃の温度で、少なくとも1分間、一般に20時間以内(例えば、1~12時間)実施され得る。熱処理は最大925℃の温度で行うことができる。例えば、熱処理は、空気中400℃~600℃の温度で約1時間~8時間行うことができる。
【0029】
モレキュラーシーブ中の任意のフレームワーク外金属カチオンは、当技術分野で周知の技術に従って(例えば、イオン交換によって)、水素、アンモニウム、または任意の所望の金属カチオンで置換することができる。
【0030】
モレキュラーシーブの特性評価
合成されたままの無水形態のモレキュラーシーブSSZ-122は、モル比に関して、表2に示す範囲内の化学組成を有することができる。
【表2】
式中、Qは1-アダマンチル-3-プロピルイミダゾリウムカチオンを含み、Mはアルカリまたはアルカリ土類金属である。
【0031】
か焼された形態では、モレキュラーシーブSSZ-122は、次のモル関係を含む化学組成を持つことができる。
Al2O3:(n)SiO2
式中、nは少なくとも10(例えば、10~100、10~60、20~100、または20~60)である。
【0032】
SSZ-122のフレームワーク構造は、ケイ素及びアルミニウム以外のT原子(四面体原子)を含まないかまたは実質的に含まない場合がある。本明細書で使用される「実質的に含まない」という用語は、モレキュラーシーブが指定されたフレームワーク不純物を0.1%または0.01%未満しか含まないことを意味する。
【0033】
BOGフレームワーク型モレキュラーシーブを代表する粉末XRDパターンは、the "Collection of Simulated XRD Powder Patterns for Zeolites" by M.M.J. Treacy and J.B. Higgins (Elsevier, Fifth Revised Edition, 2007)で参照できる。
【0034】
本明細書に提示される粉末XRDパターンは、標準的な技術によって収集された。回折パターンのわずかな変動は、格子定数の変化による特定のサンプルのフレームワーク種のモル比の変動に起因する場合がある。さらに、十分に小さい結晶は、ピークの形状と強度に影響を与え、大幅なピークの広がりにつながるであろう。回折パターンのわずかな変動は、調製に使用される有機化合物の変動に起因する場合もある。か焼は、XRDパターンのマイナーシフトを引き起こす可能性もある。これらの小さな摂動にもかかわらず、基本的な結晶格子構造は変わらない。
【0035】
産業上の利用可能性
モレキュラーシーブSSZ-122(構造指向剤の一部またはすべてが除去されている)は、吸着剤として、または現在の商業/産業の重要性を含む多くの有機化合物変換プロセスを触媒するための触媒として使用することができる。SSZ-122によって、単独で、または他の結晶性触媒を含む1つまたは複数の他の触媒活性物質と組み合わせて効果的に触媒される化学変換プロセスの例には、酸活性を有する触媒を必要とするプロセスが含まれる。SSZ-122によって触媒され得る有機変換プロセスの例には、分解、水素化分解、不均化、アルキル化、オリゴマー化、及び異性化が含まれ得る。
【0036】
多くの触媒の場合と同様に、SSZ-122を、有機変換プロセスで使用される温度及びその他の条件に耐性のある別の材料と組み合わせることが望ましい場合がある。このような材料には、活性及び不活性材料、合成または天然のゼオライト、ならびに粘土、シリカ及び/またはアルミナなどの金属酸化物などの無機材料が含まれる。後者は、天然に存在するか、またはシリカと金属酸化物の混合物を含むゼラチン状の沈殿物またはゲルの形態である可能性がある。活性のある物質をSSZ-122と組み合わせて使用すると(すなわち、新しい物質の合成中にそれと組み合わせる、または存在させる)、特定の有機変換プロセスにおける触媒の変換率及び/または選択性が変化する傾向がある。不活性物質は、反応速度を制御するための他の手段を使用することなく経済的かつ秩序立った方法で生成物を得ることができるように、所与のプロセスにおける変換量を制御するための希釈剤として適切に機能する。これらの材料は、天然の粘土(例えば、ベントナイト及びカオリン)に組み込まれ、商業的操作条件下での触媒の破砕強度を改善し得る。これらの材料(すなわち、粘土、酸化物など)は、触媒のバインダーとして機能する。商業的使用においては、触媒が粉状物質に分解するのを防止することが望ましいため、良好な破砕強度を有する触媒を提供することが望ましい。これらの粘土及び/または酸化物結合剤は、通常、触媒の圧壊強度を改善する目的でのみ使用されてきた。
【0037】
SSZ-122と合成できる天然の粘土には、サブベントナイトを含むモンモリロナイト及びカオリン族、ならびに一般にディキシー、マクナミー、ジョージア、フロリダ粘土として知られるカオリン、または主な鉱物成分がハロイサイト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、またはアナキサイトであるその他の粘土が含まれる。このような粘土は、最初に採掘されたままの生の状態で、または最初にか焼、酸処理または化学修飾を受けて使用することができる。SSZ-122との複合化に有用な結合剤には、シリカ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、ベリリア、アルミナ、及びそれらの混合物などの無機酸化物も含まれる。
【0038】
上記の材料に加えて、SSZ-122は、シリカ-アルミナ、シリカ-マグネシア、シリカ-ジルコニア、シリカ-トリア、シリカ-ベリリア、シリカ-チタニアなどの多孔質マトリックス材料、ならびにシリカ-アルミナ-トリア、シリカ-アルミナ-ジルコニア、シリカ-アルミナ-マグネシア、及びシリカ-マグネシア-ジルコニアなどの三元複合物と複合化され得る。
【0039】
SSZ-122と無機酸化物マトリックスとの相対比率は、SSZ-122含有量が複合物の1~90重量%(例えば、2~80重量%)の範囲で、広く変化し得る。
【0040】
例
以下の例示的な例は、非限定的であることが意図される。
【0041】
例1
2.18gの脱イオン水、0.20gの45%KOH溶液、1.55gの13.62%1-アダマンチル-3-プロピルイミダゾリウム水酸化物溶液、及び0.50gのゼオリストCBV720Y-ゼオライト粉末(SAR=30)をテフロンライナーで混合した。得られたゲルを均一になるまで撹拌した。次に、ライナーに蓋をして、Parr Steelのオートクレーブ反応器に入れた。次いで、オートクレーブを、43rpmでタンブリングしながら、150℃に加熱されたオーブンに10日間入れた。冷却した反応器から固体生成物を遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥させた。
【0042】
得られた生成物をSEM及び粉末XRDによって分析した。SEM画像を
図1に示し、これは結晶の均一なフィールドを示している。合成されたままの材料の粉末XRDパターンを
図2に示し、これはBOGフレームワーク型構造を有する材料と一致している。
【0043】
生成物は、誘導結合プラズマ-原子発光分析(ICP-AES)元素分析によって決定される、24.2のSiO2/Al2O3モル比を有していた。
【0044】
例2
4.35gの脱イオン水、0.40gの45%KOH溶液、3.01gの13.62%1-アダマンチル-3-プロピルイミダゾリウム水酸化物溶液、及び1.00gのゼオリストCBV720Y-ゼオライト粉末(SAR=30)をテフロンライナーで混合した。ゲルを均一になるまで撹拌した。次に、ライナーに蓋をして、Parr Steelのオートクレーブ反応器に入れた。次いでオートクレーブを、静的条件下で160℃に加熱されたオーブンに14日間入れた。冷却した反応器から固体生成物を遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥させた。
【0045】
得られた生成物は、SEM及び粉末XRDによって、BOGフレームワーク型構造を有する純粋なアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブとして同定された。
【0046】
生成物は、ICP-AES元素分析によって決定される、25.5のSiO2/Al2O3モル比を有していた。
【0047】
例3
1.31gの脱イオン水、0.12gの50%NaOH溶液、0.93gの13.62%1-アダマンチル-3-プロピルイミダゾリウム水酸化物溶液、及び0.30gのゼオリストCBV760Y-ゼオライト粉末(SAR=60)をテフロンライナーで混合した。得られたゲルを均一になるまで撹拌した。次に、ライナーに蓋をして、Parr Steelのオートクレーブ反応器に入れた。次いでオートクレーブを、静的条件下で150℃に加熱されたオーブンに10日間入れた。冷却した反応器から固体生成物を遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥させた。
【0048】
得られた生成物は、粉末XRD及びSEMによって、BOGフレームワーク型構造を有する純粋なアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブとして同定された。
【0049】
生成物は、ICP-AES元素分析よって決定される48.8のSARを有する。
【0050】
例4
0.50gの脱イオン水、0.12gの45%KOH溶液、1.86gの13.62%1-アダマンチル-3-プロピルイミダゾリウム水酸化物溶液、及び0.30gのゼオリストCBV720Y-ゼオライト粉末(SAR=30)をテフロンライナーで混合した。ゲルを均一になるまで撹拌した。次に、ライナーに蓋をして、Parr Steelのオートクレーブ反応器に入れた。次いでオートクレーブを、静的条件下で150℃に加熱されたオーブンに16日間入れた。冷却した反応器から固体生成物を遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥させた。
【0051】
得られた生成物は、粉末XRD及びSEMによって、BOGフレームワーク型構造を有する純粋なアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブとして同定された。
【0052】
生成物は、ICP-AES元素分析によって決定される、24.7のSiO2/Al2O3モル比を有していた。
【0053】
例5
1.51gの脱イオン水、0.20gの45%KOH溶液、2.33gの13.62%1-アダマンチル-3-プロピルイミダゾリウム水酸化物溶液、0.50gのゼオリストCBV712Y-ゼオライト粉末(SAR=12)、及び0.08gの例1からの合成されたままのSSZ-122種結晶をテフロンライナーで混合した。ゲルを均一になるまで撹拌した。次に、ライナーに蓋をして、Parr Steelのオートクレーブ反応器に入れた。次いで、オートクレーブを、43rpmでタンブリングしながら、150℃に加熱されたオーブンに7日間入れた。冷却した反応器から固体生成物を遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥させた。
【0054】
得られた生成物は、粉末XRD及びSEMによって、BOGフレームワーク型構造を有する純粋なアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブとして同定された。
【0055】
生成物は、ICP-AES元素分析によって決定される、12.7のSiO2/Al2O3モル比を有していた。
【0056】
例6
例1からの合成されたままのモレキュラーシーブ生成物を、マッフル炉内で、1℃/分の速度で540℃に加熱した空気流下でか焼し、540℃で5時間保持し、冷却し、粉末XRDによって分析した。か焼した材料の粉末XRDを
図2に示し、構造指向剤を除去するためのか焼後も材料が安定していることを示している。
【0057】
例7
例5からのか焼材料を、10mL(モレキュラーシーブ1g当たり)の1N硝酸アンモニウム溶液で95℃で2時間処理した。溶液を冷却し、デカントし、同じプロセスを繰り返した。乾燥後、N2を吸着剤として使用し、BET法を介して、アンモニウム型生成物を細孔容積分析にかけた。モレキュラーシーブは、0.21cm3/gの細孔容積を示した。
【国際調査報告】