IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーワイディー カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-極板の溝形成方法及び装置 図1
  • 特表-極板の溝形成方法及び装置 図2
  • 特表-極板の溝形成方法及び装置 図3
  • 特表-極板の溝形成方法及び装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-10
(54)【発明の名称】極板の溝形成方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20230803BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M4/04 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504518
(86)(22)【出願日】2021-07-19
(85)【翻訳文提出日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 CN2021107068
(87)【国際公開番号】W WO2022017315
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】202010720961.5
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】姜新▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】唐▲暁▼波
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼小勇
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼▲剣▼
(72)【発明者】
【氏名】王建▲軍▼
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050BA08
5H050BA16
5H050BA17
5H050GA12
5H050GA29
5H050HA04
5H050HA12
(57)【要約】
本願は、極板の溝形成方法及び装置を開示し、極板の溝形成方法は、極板の溝形成対象領域に位置する活物質層をレーザー法で薄化処理するステップと、薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去して、集電体層が露出された収容溝を形成するステップと、を含む。本願は、レーザー法と物理的除去方法とを組み合わせる方式を用いることにより、一方では、溝形成対象領域の活物質層を迅速に除去することができ、他方では、集電体層への損傷を回避することができる。加工精度を確保し、タクトタイムを短縮し、製品の歩留まりを向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体層と、前記集電体層に付着した活物質層とを含む極板の溝形成方法であって、
極板の溝形成対象領域に位置する活物質層をレーザー法で薄化処理するステップと、
薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去して、集電体層が露出された収容溝を形成するステップと、を含む、ことを特徴とする極板の溝形成方法。
【請求項2】
薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去するステップは、
薄化処理された活物質層を、ブラッシング除去方法、掻き取り方法、拭き取り方法又は粘着除去方法のうちのいずれか1つの方法で除去するステップを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の極板の溝形成方法。
【請求項3】
薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去するステップは、
薄化処理された活物質層に対して、ブラッシング除去方法、掻き取り方法又は拭き取り方法のうちのいずれか1つの方法で1回目の除去を行うステップと、
薄化処理された活物質層に対して、粘着除去方法で2回目の除去を行うステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1~2のいずれか一項に記載の極板の溝形成方法。
【請求項4】
活物質層を薄化処理した後、前記活物質層の厚さHの値の範囲は、30μm≧H≧1μmである、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の極板の溝形成方法。
【請求項5】
活物質層をレーザー法で薄化処理する前に、
前記活物質層を薄化処理ステーションに移動させるように、前記極板を移動させるステップを更に含み、
活物質層をレーザー法で薄化処理した後、かつ薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去する前に、
前記活物質層を薄化処理ステーションから除去ステーションに移動させるように、前記極板を移動させるステップを更に含む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の極板の溝形成方法。
【請求項6】
レーザー機器と、除去ツールと、を含み、
前記レーザー機器は、極板の溝形成対象領域に位置する活物質層をレーザー法で薄化処理し、
前記除去ツールは、薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去して、集電体層が露出された収容溝を形成する、ことを特徴とする極板の溝形成装置。
【請求項7】
前記除去ツールは、ブラシ、無塵布、スクレーパ又は粘着テープのうちのいずれか一種を含み、
前記ブラシ、無塵布、スクレーパ又は粘着テープはそれぞれ、薄化処理された活物質層をブラッシング除去方法、掻き取り方法、拭き取り方法又は粘着除去方法で除去する、ことを特徴とする請求項6に記載の極板の溝形成装置。
【請求項8】
前記除去ツールは、ブラシ、無塵布、スクレーパ又は粘着テープのうちのいずれか一種を含み、
前記ブラシ、無塵布又はスクレーパはそれぞれ、薄化処理された活物質層に対して、ブラッシング除去方法、掻き取り方法又は拭き取り方法で1回目の除去を行い、
前記粘着テープは、薄化処理された活物質層に対して、粘着除去方法で2回目の除去を行う、ことを特徴とする請求項6に記載の極板の溝形成装置。
【請求項9】
活物質層を薄化処理した後、前記活物質層の厚さHの値の範囲は、30μm≧H≧1μmである、ことを特徴とする請求項6~8のいずれか一項に記載の極板の溝形成装置。
【請求項10】
コンベアベルトを更に含み、
前記コンベアベルトは、前記活物質層を薄化処理ステーションに移動させ、そして、前記活物質層を薄化処理ステーションから除去ステーションに移動させるように、前記極板を移動させる、ことを特徴とする請求項6~8のいずれか一項に記載の極板の溝形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、出願番号が202010720961.5(出願日2020年7月23日)である中国特許出願に基づいて提出され、その優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、電池の技術分野に関し、特に、極板の溝形成方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
リチウムイオン電池を製造する場合、非常に重要なステップは、タブを収容する溝を極板に形成することである。タブは、セルから正負極を引き出す金属導電体であるため、タブを収容する溝は、不可欠である。
【0004】
現在、溝を形成する方法は、極板の製造過程において、溝を設置する必要のある位置に発泡ポリウレタンを充填し、極板の製造が完了した後、発泡ポリウレタンを除去して、発泡ポリウレタンの保持位置に溝を形成することである。しかしながら、上記方法は、発泡ポリウレタンを使用する必要があり、発泡ポリウレタンが消耗品であり、コストが高く、また、発泡ポリウレタンで形成された溝の公差が大きい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の目的は、溝を形成する必要のある位置でレーザーにより極板表面の活物質を除去し、非常に薄い活物質を保留し、その後に、物理的方法で残った非常に薄い活物質を除去して、タブを収容する溝を形成する、極板の溝形成方法及び装置を提供することである。消耗品を使用して溝を形成する必要がなく、コストを低減し、かつレーザー法を用いた溝形成方法の精度が高い。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1の態様に係る、集電体層と、上記集電体層に付着した活物質層とを含む極板の溝形成方法は、極板の溝形成対象領域に位置する活物質層をレーザー法で薄化処理するステップと、薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去して、集電体層が露出された収容溝を形成するステップと、を含む。
【0007】
上記極板の溝形成方法において、薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去するステップは、薄化処理された活物質層を、ブラッシング除去方法、掻き取り方法、拭き取り方法又は粘着除去方法のうちのいずれか1つの方法で除去するステップを含む。
【0008】
上記極板の溝形成方法において、薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去するステップは、薄化処理された活物質層に対して、ブラッシング除去方法、掻き取り方法又は拭き取り方法のうちのいずれか1つの方法で1回目の除去を行うステップと、薄化処理された活物質層に対して、粘着除去方法で2回目の除去を行うステップと、を含む。
【0009】
上記極板の溝形成方法において、活物質層を薄化処理した後、上記活物質層の厚さHの値の範囲は、30μm≧H≧1μmである。
【0010】
上記極板の溝形成方法は、活物質層をレーザー法で薄化処理する前に、上記活物質層を薄化処理ステーションに移動させるように、上記極板を移動させるステップを更に含み、活物質層をレーザー法で薄化処理した後、かつ薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去する前に、上記活物質層を薄化処理ステーションから除去ステーションに移動させるように、上記極板を移動させるステップを更に含む。
【0011】
本願の第2の態様に係る極板の溝形成装置は、レーザー機器と、除去ツールと、を含み、上記レーザー機器は、極板の溝形成対象領域に位置する活物質層をレーザー法で薄化処理し、上記除去ツールは、薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去して、集電体層が露出された収容溝を形成する。
【0012】
上記極板の溝形成装置において、上記除去ツールは、ブラシ、無塵布、スクレーパ又は粘着テープのうちのいずれか一種を含み、上記ブラシ、無塵布、スクレーパ又は粘着テープはそれぞれ、薄化処理された活物質層をブラッシング除去方法、掻き取り方法、拭き取り方法又は粘着除去方法で除去する。
【0013】
上記極板の溝形成装置において、上記除去ツールは、ブラシ、無塵布、スクレーパ又は粘着テープのうちのいずれか一種を含み、上記ブラシ、無塵布又はスクレーパはそれぞれ、薄化処理された活物質層に対して、ブラッシング除去方法、掻き取り方法又は拭き取り方法で1回目の除去を行い、上記粘着テープは、薄化処理された活物質層に対して、粘着除去方法で2回目の除去を行う。
【0014】
上記極板の溝形成装置において、活物質層を薄化処理した後、上記活物質層の厚さHの値の範囲は、30μm≧H≧1μmである。
【0015】
上記極板の溝形成装置は、コンベアベルトを更に含み、上記コンベアベルトは、上記活物質層を薄化処理ステーションに移動させ、そして、上記活物質層を薄化処理ステーションから除去ステーションに移動させるように、上記極板を移動させる。
【発明の効果】
【0016】
本願は、レーザー法と物理的除去方法とを組み合わせる方式を用いることにより、一方では、溝形成対象領域の活物質層を迅速に除去することができ、他方では、集電体層への損傷を回避することができる。加工精度を向上させ、タクトタイムを短縮し、製品の歩留まりを向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本願の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施形態に使用する必要のある図面を簡単に説明する。
【0018】
図1】本願の実施例に係る極板の溝形成方法のフローチャートである。
図2】本願の実施例に係る極板の溝形成方法のフローチャートである。
図3】本願の実施例に係る極板の溝形成装置の正面図である。
図4】本願の実施例に係る極板の溝形成装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。
【0020】
リチウムイオン電池のコア部品としての極板の製造プロセスの一般的なフローは、以下のとおりである。活物質、結着剤及び導電剤などを混合して活物質スラリーを調製してから、該スラリーを銅材質又はアルミニウム材質の集電体の両面に塗布し、集電体の両面に塗布された活物質スラリーを乾燥させたものを、一般的に、活物質層と呼ばれる。タブは、セルの正負極引き出し部品として、集電体と接触する必要があるため、タブの設置及び集電体との接触が容易になるように、極板のタブが接続される位置で活物質層を除去して、集電体層を露出させる必要がある。以上の内容に基づいて、本願の技術的解決手段を詳細に説明する。
【実施例1】
【0021】
図1を参照すると、本願の実施例1に係る極板の溝形成方法は、以下のステップS1~S2を含む。
【0022】
ステップS1では、極板の溝形成対象領域に位置する活物質層をレーザー法で薄化処理する。活物質層を薄化処理した後、上記活物質層の厚さHの値の範囲は、30μm≧H≧1μmである。
【0023】
ステップS2では、薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去して、集電体層が露出された収容溝を形成する。上記加工済みの収容溝は、露出した集電体層と溶接固定されたタブを収容することができる。
【0024】
本願は、まず、レーザー法を利用して、極板の溝形成対象領域の活物質層を薄化処理し、次に、薄化処理された活物質層を除去する。すなわち、本願では、溝形成工程は、薄化である第1のステップと、除去である第2のステップとの2つのステップに分けられる。薄化は、レーザー法を用いて、活物質層を迅速かつ正確に薄化処理することができ、すなわち、加工精度を確保する。レーザー法を用いた動作過程において熱が発生するため、レーザー法で薄化処理を行うだけで、熱による集電体層の酸化状況を回避し、製品の歩留まりを向上させることができる。
【0025】
レーザー法で薄化処理した後、非常に薄い活物質層が残り、残った活物質層は、集電体層を保護し、集電体層が熱によって酸化されることを回避することができる。また、該残った非常に薄い活物質層は、物理的除去方法で除去することができ、活物質層が非常に薄いため、物理的除去方法を用いて除去される場合、残った活物質層を迅速に除去することができ、物理的除去方法が穏やかであり、集電体層に損傷を与えない。
【0026】
以上より、本願は、レーザー法と物理的除去方法とを組み合わせる方式を用いることにより、一方では、溝形成対象領域の活物質層を迅速に除去することができ、他方では、集電体層への損傷を回避することができる。加工精度を向上させ、タクトタイムを短縮し、製品の歩留まりを向上させる。
【0027】
更に、薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去するステップは、具体的には、以下の2つの方式で行われてもよい。
【0028】
第1の方式では、薄化処理された活物質層をブラッシング除去方法、掻き取り方法、拭き取り方法又は粘着除去方法のうちのいずれか1つの方法で除去する。具体的には、ブラッシング除去方法は、ブラシを用いて、薄化処理された活物質層をブラッシングして除去することであり、掻き取り方法は、スクレーパを用いて、薄化処理された活物質層を掻き取ることであり、拭き取り方法は、無塵布を用いて、薄化処理された活物質層を吸着して拭き取ることであり、粘着除去方法は、粘着テープを用いて、薄化処理された活物質層を粘着除去することである。薄化処理された活物質層を一回で除去することにより、タクトタイムを更に短縮する。また、いずれの上記物理的除去方法を用いても、薄化処理された活物質層を穏やかかつ迅速に除去することができ、集電体層への損傷を回避することができる。
【0029】
第2の方式では、薄化処理された活物質層に対して、ブラッシング除去方法、掻き取り方法又は拭き取り方法のうちのいずれか1つの方法で1回目の除去を行う。薄化処理された活物質層に対して1回目の除去を行った後、薄化処理された活物質層に対して、粘着除去方法で2回目の除去を行う。
【0030】
具体的には、1回目の除去では、ブラッシング除去方法は、ブラシを用いて、薄化処理された活物質層をブラッシングして除去することであり、掻き取り方法は、スクレーパを用いて、薄化処理された活物質層を掻き取ることであり、拭き取り方法は、無塵布を用いて、薄化処理された活物質層を吸着して拭き取ることである。2回目の除去では、粘着除去方法は、粘着テープを用いて、薄化処理された活物質層を粘着除去することである。
【0031】
すなわち、第2の方式では、1回目の除去後、また、粘着テープを用いてもう一回粘着除去する必要がある。これにより、残った活物質層を徹底的にきれいに除去することができ、残った活物質層がタブの溶接に影響を与えることを回避し、製品の歩留まりを確保する。粘着テープは、ブラシ、スクレーパ又は無塵布に残された活物質層の粒子などを粘着テープの粘着面に粘着することにより、活物質層を徹底的にきれいに除去することができる。
【0032】
また、上述したように、活物質層を薄化処理した後、上記活物質層の厚さHの値の範囲は、30μm≧H≧1μmであり、すなわち、薄化処理した後、活物質層が非常に薄く、その厚さを基本的に1μm~30μmの間に制御することができるため、このときに物理的除去方法を用いて活物質層を容易に除去することができ、除去難度を低下させ、除去速度を加速することにより、タクトタイムを短縮する。
【実施例2】
【0033】
図2を参照すると、本願の実施例2に係る極板の溝形成方法は、以下のステップS1~S4を含む。
【0034】
ステップS1では、上記活物質層を薄化処理ステーションに移動させるように、上記極板を移動させる。
【0035】
ステップS2では、極板の溝形成対象領域に位置する活物質層をレーザー法で薄化処理する。
【0036】
ステップS3では、上記活物質層を薄化処理ステーションから除去ステーションに移動させるように、上記極板を移動させる。
【0037】
ステップS4では、薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去して、集電体層が露出された収容溝を形成する。
【0038】
ステップS2及びS4はそれぞれ、実施例1におけるステップS1及びステップS2と同じであるため、説明を省略する。
【0039】
ステップS1及びステップS3は、コンベアベルトを用いて行うことができ、具体的には、溝形成対象の極板をコンベアベルトに置いてから、コンベアベルトを起動して極板を搬送し始め、極板の溝形成対象領域を薄化処理ステーションに移動させるまで停止し、薄化処理ステーションにおいて、レーザー機器を利用して溝形成対象領域の活物質層を薄化する。
【0040】
薄化処理が完了した後、コンベアベルトは、極板を搬送し続け、薄化処理済みの活物質層を除去ステーションに移動させるまで停止し、その後に、除去ツールを利用して活物質層を除去することができる。
【0041】
以上から分かるように、自動的な移動フローを設定することにより、タクトタイムを更に短縮し、製造工数を削減することができる。
【実施例3】
【0042】
図3を参照すると、本願の実施例に係る極板10の溝形成装置は、レーザー機器20と、除去ツールと、を含む。
【0043】
上記レーザー機器20は、極板10の溝形成対象領域11に位置する活物質層をレーザー法で薄化処理する。活物質層を薄化処理した後、上記活物質層の厚さHの値の範囲は、30μm≧H≧1μmである。
【0044】
上記除去ツールは、薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去して、集電体層が露出された収容溝12を形成する。
【0045】
本実施例では、レーザー機器20と除去ツールとを組み合わせる方式を用いて、極板10の溝形成対象領域11の活物質層を除去する。まず、レーザー機器20を用いて活物質層を薄化し、次に、除去ツールにより、薄化された活物質層を除去する。一方では、レーザー機器20により発生した熱が集電体層を酸化することを回避することができ、他方では、活物質層を除去する速度を加速し、タクトタイムを短縮することができる。
【0046】
更に、除去ツールは、薄化処理された活物質層を以下の2つの方式で除去することができる。具体的には、除去ツールは、ブラシ30、無塵布、スクレーパ又は粘着テープのうちのいずれか一種であってもよい。
【0047】
第1の方式では、上記ブラシ30を利用して、薄化処理された活物質層をブラッシング除去方法で除去する。あるいは、無塵布を利用して、薄化処理された活物質層を拭き取り方法で除去する。あるいは、スクレーパを利用して、薄化処理された活物質層を掻き取り方法で除去する。あるいは、粘着テープを利用して、薄化処理された活物質層を粘着除去方法で除去する。薄化処理された活物質層を一回で除去することにより、タクトタイムを更に短縮することができる。
【0048】
第2の方式では、薄化処理された活物質層を2回で除去する。
【0049】
1回目の除去では、上記ブラシ30を利用して、薄化処理された活物質層をブラッシング除去方法で除去する。あるいは、無塵布を利用して、薄化処理された活物質層を拭き取り方法で除去する。あるいは、スクレーパを利用して、薄化処理された活物質層を掻き取り方法で除去する。
【0050】
2回目の除去では、薄化処理された活物質層に対して1回目の除去を行った後、粘着テープを利用して、薄化処理された活物質層を粘着除去方法で除去する。
【0051】
第2の方式では、1回目の除去後、また、粘着テープを用いてもう一回粘着除去する必要がある。これにより、残った活物質層を徹底的にきれいに除去することができ、残った活物質層がタブの溶接に影響を与えることを回避し、製品の歩留まりを確保する。粘着テープは、ブラシ30、スクレーパ又は無塵布に残された活物質層の粒子などを粘着テープの粘着面に粘着することにより、活物質層を徹底的にきれいに除去することができる。
【0052】
更に、極板10の溝形成装置は、コンベアベルトを更に含む。上記コンベアベルトは、上記活物質層を薄化処理ステーションに移動させ、そして、上記活物質層を薄化処理ステーションから除去ステーションに移動させるように、上記極板10を移動させる。コンベアベルトは、極板10の移動の自動化を実現することにより、タクトタイムを更に短縮することができる。
【0053】
以上、本願の実施例について詳細に説明し、本明細書において具体例を用いて本願の原理及び実施形態を解説したが、以上の実施例の説明は、本願の方法及びその中核的思想の理解を助けるためにのみ使用される。
【符号の説明】
【0054】
10 極板
11 溝形成対象領域
12 収容溝
20 レーザー機器
30 ブラシ
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-03-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体層と、前記集電体層に付着した活物質層とを含む極板の溝形成方法であって、
極板の溝形成対象領域に位置する活物質層をレーザー法で薄化処理するステップと、
薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去して、集電体層が露出された収容溝を形成するステップと、を含む、ことを特徴とする極板の溝形成方法。
【請求項2】
薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去するステップは、
薄化処理された活物質層を、ブラッシング除去方法、掻き取り方法、拭き取り方法又は粘着除去方法のうちのいずれか1つの方法で除去するステップを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の極板の溝形成方法。
【請求項3】
薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去するステップは、
薄化処理された活物質層に対して、ブラッシング除去方法、掻き取り方法又は拭き取り方法のうちのいずれか1つの方法で1回目の除去を行うステップと、
薄化処理された活物質層に対して、粘着除去方法で2回目の除去を行うステップと、を含む、ことを特徴とする請求項に記載の極板の溝形成方法。
【請求項4】
前記ブラッシング除去方法は、ブラシを使って、薄化処理された活物質層を掃き出す方法であり、前記掻き取り方法は、スクレーパを使って、薄化処理された活物質層を掻き取る方法であり、前記拭き取り方法は、無塵布を使って、薄化処理された活物質層を拭き取る方法であり、前記粘着除去方法は、粘着テープを使って薄化処理された活物質層を取り除く方法である、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の極板の溝形成方法。
【請求項5】
活物質層を薄化処理した後、前記活物質層の厚さHの値の範囲は、30μm≧H≧1μmである、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の極板の溝形成方法。
【請求項6】
活物質層をレーザー法で薄化処理する前に、
前記活物質層を薄化処理ステーションに移動させるように、前記極板を移動させるステップを更に含み、
活物質層をレーザー法で薄化処理した後、かつ薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去する前に、
前記活物質層を薄化処理ステーションから除去ステーションに移動させるように、前記極板を移動させるステップを更に含む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の極板の溝形成方法。
【請求項7】
レーザー機器と、除去ツールと、を含み、
前記レーザー機器は、極板の溝形成対象領域に位置する活物質層をレーザー法で薄化処理し、
前記除去ツールは、薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去して、集電体層が露出された収容溝を形成する、ことを特徴とする極板の溝形成装置。
【請求項8】
前記除去ツールは、ブラシ、無塵布、スクレーパ又は粘着テープのうちのいずれか一種を含み、
前記ブラシ、無塵布、スクレーパ又は粘着テープはそれぞれ、薄化処理された活物質層をブラッシング除去方法拭き取り方法、掻き取り方法、又は粘着除去方法で除去する、ことを特徴とする請求項に記載の極板の溝形成装置。
【請求項9】
前記除去ツールは、ブラシ、無塵布、スクレーパ又は粘着テープのうちのいずれか一種を含み、
前記ブラシ、無塵布又はスクレーパはそれぞれ、薄化処理された活物質層に対して、ブラッシング除去方法拭き取り方法、又は掻き取り方法で1回目の除去を行い、
前記粘着テープは、薄化処理された活物質層に対して、粘着除去方法で2回目の除去を行う、ことを特徴とする請求項に記載の極板の溝形成装置。
【請求項10】
前記ブラッシング除去方法は、ブラシを使って、薄化処理された活物質層を掃き出す方法であり、前記掻き取り方法は、スクレーパを使って、薄化処理された活物質層を掻き取る方法であり、前記拭き取り方法は、無塵布を使って、薄化処理された活物質層を拭き取る方法であり、前記粘着除去方法は、粘着テープを使って薄化処理された活物質層を取り除く方法である、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の極板の溝形成装置。
【請求項11】
活物質層を薄化処理した後、前記活物質層の厚さHの値の範囲は、30μm≧H≧1μmである、ことを特徴とする請求項7~9のいずれか一項に記載の極板の溝形成装置。
【請求項12】
コンベアベルトを更に含み、
前記コンベアベルトは、前記活物質層を薄化処理ステーションに移動させ、そして、前記活物質層を薄化処理ステーションから除去ステーションに移動させるように、前記極板を移動させる、ことを特徴とする請求項7~9のいずれか一項に記載の極板の溝形成装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、出願番号が202010720961.5(出願日2020年7月23日)である中国特許出願に基づいて提出され、その優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、電池の技術分野に関し、特に、極板の溝形成方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
リチウムイオン電池を製造する場合、非常に重要なステップは、タブを収容する溝を極板に形成することである。タブは、セルから正負極を引き出す金属導電体であるため、タブを収容する溝は、不可欠である。
【0004】
現在、溝を形成する方法は、極板の製造過程において、溝を設置する必要のある位置に発泡ポリウレタンを充填し、極板の製造が完了した後、発泡ポリウレタンを除去して、発泡ポリウレタンの保持位置に溝を形成することである。しかしながら、上記方法は、発泡ポリウレタンを使用する必要があり、発泡ポリウレタンが消耗品であり、コストが高く、また、発泡ポリウレタンで形成された溝の公差が大きい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の目的は、溝を形成する必要のある位置でレーザーにより極板表面の活物質を除去し、非常に薄い活物質を保留し、その後に、物理的方法で残った非常に薄い活物質を除去して、タブを収容する溝を形成する、極板の溝形成方法及び装置を提供することである。消耗品を使用して溝を形成する必要がなく、コストを低減し、かつレーザー法を用いた溝形成方法の精度が高い。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1の態様に係る、集電体層と、上記集電体層に付着した活物質層とを含む極板の溝形成方法は、極板の溝形成対象領域に位置する活物質層をレーザー法で薄化処理するステップと、薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去して、集電体層が露出された収容溝を形成するステップと、を含む。
【0007】
上記極板の溝形成方法において、薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去するステップは、薄化処理された活物質層を、ブラッシング除去方法、掻き取り方法、拭き取り方法又は粘着除去方法のうちのいずれか1つの方法で除去するステップを含む。
【0008】
上記極板の溝形成方法において、薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去するステップは、薄化処理された活物質層に対して、ブラッシング除去方法、掻き取り方法又は拭き取り方法のうちのいずれか1つの方法で1回目の除去を行うステップと、薄化処理された活物質層に対して、粘着除去方法で2回目の除去を行うステップと、を含む。
【0009】
上記極板の溝形成方法において、前記ブラッシング除去方法は、ブラシを使って、薄化処理された活物質層を掃き出す方法であり、前記掻き取り方法は、スクレーパを使って、薄化処理された活物質層を掻き取る方法であり、前記拭き取り方法は、無塵布を使って、薄化処理された活物質層を拭き取る方法であり、前記粘着除去方法は、粘着テープを使って薄化処理された活物質層を取り除く方法である。
【0010】
上記極板の溝形成方法において、活物質層を薄化処理した後、上記活物質層の厚さHの値の範囲は、30μm≧H≧1μmである。
【0011】
上記極板の溝形成方法は、活物質層をレーザー法で薄化処理する前に、上記活物質層を薄化処理ステーションに移動させるように、上記極板を移動させるステップを更に含み、活物質層をレーザー法で薄化処理した後、かつ薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去する前に、上記活物質層を薄化処理ステーションから除去ステーションに移動させるように、上記極板を移動させるステップを更に含む。
【0012】
本願の第2の態様に係る極板の溝形成装置は、レーザー機器と、除去ツールと、を含み、上記レーザー機器は、極板の溝形成対象領域に位置する活物質層をレーザー法で薄化処理し、上記除去ツールは、薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去して、集電体層が露出された収容溝を形成する。
【0013】
上記極板の溝形成装置において、上記除去ツールは、ブラシ、無塵布、スクレーパ又は粘着テープのうちのいずれか一種を含み、上記ブラシ、無塵布、スクレーパ又は粘着テープはそれぞれ、薄化処理された活物質層をブラッシング除去方法拭き取り方法、掻き取り方法、又は粘着除去方法で除去する。
【0014】
上記極板の溝形成装置において、上記除去ツールは、ブラシ、無塵布、スクレーパ又は粘着テープのうちのいずれか一種を含み、上記ブラシ、無塵布又はスクレーパはそれぞれ、薄化処理された活物質層に対して、ブラッシング除去方法拭き取り方法、又は掻き取り方法で1回目の除去を行い、上記粘着テープは、薄化処理された活物質層に対して、粘着除去方法で2回目の除去を行う。
【0015】
上記極板の溝形成装置において、活物質層を薄化処理した後、上記活物質層の厚さHの値の範囲は、30μm≧H≧1μmである。
【0016】
上記極板の溝形成装置において、前記ブラッシング除去方法は、ブラシを使って、薄化処理された活物質層を掃き出す方法であり、前記掻き取り方法は、スクレーパを使って、薄化処理された活物質層を掻き取る方法であり、前記拭き取り方法は、無塵布を使って、薄化処理された活物質層を拭き取る方法であり、前記粘着除去方法は、粘着テープを使って薄化処理された活物質層を取り除く方法である。
【0017】
上記極板の溝形成装置は、コンベアベルトを更に含み、上記コンベアベルトは、上記活物質層を薄化処理ステーションに移動させ、そして、上記活物質層を薄化処理ステーションから除去ステーションに移動させるように、上記極板を移動させる。
【発明の効果】
【0018】
本願は、レーザー法と物理的除去方法とを組み合わせる方式を用いることにより、一方では、溝形成対象領域の活物質層を迅速に除去することができ、他方では、集電体層への損傷を回避することができる。加工精度を向上させ、タクトタイムを短縮し、製品の歩留まりを向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本願の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施形態に使用する必要のある図面を簡単に説明する。
【0020】
図1】本願の実施例に係る極板の溝形成方法のフローチャートである。
図2】本願の実施例に係る極板の溝形成方法のフローチャートである。
図3】本願の実施例に係る極板の溝形成装置の正面図である。
図4】本願の実施例に係る極板の溝形成装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。
【0022】
リチウムイオン電池のコア部品としての極板の製造プロセスの一般的なフローは、以下のとおりである。活物質、結着剤及び導電剤などを混合して活物質スラリーを調製してから、該スラリーを銅材質又はアルミニウム材質の集電体の両面に塗布し、集電体の両面に塗布された活物質スラリーを乾燥させたものを、一般的に、活物質層と呼ばれる。タブは、セルの正負極引き出し部品として、集電体と接触する必要があるため、タブの設置及び集電体との接触が容易になるように、極板のタブが接続される位置で活物質層を除去して、集電体層を露出させる必要がある。以上の内容に基づいて、本願の技術的解決手段を詳細に説明する。
【実施例1】
【0023】
図1を参照すると、本願の実施例1に係る極板の溝形成方法は、以下のステップS1~S2を含む。
【0024】
ステップS1では、極板の溝形成対象領域に位置する活物質層をレーザー法で薄化処理する。活物質層を薄化処理した後、上記活物質層の厚さHの値の範囲は、30μm≧H≧1μmである。
【0025】
ステップS2では、薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去して、集電体層が露出された収容溝を形成する。上記加工済みの収容溝は、露出した集電体層と溶接固定されたタブを収容することができる。
【0026】
本願は、まず、レーザー法を利用して、極板の溝形成対象領域の活物質層を薄化処理し、次に、薄化処理された活物質層を除去する。すなわち、本願では、溝形成工程は、薄化である第1のステップと、除去である第2のステップとの2つのステップに分けられる。薄化は、レーザー法を用いて、活物質層を迅速かつ正確に薄化処理することができ、すなわち、加工精度を確保する。レーザー法を用いた動作過程において熱が発生するため、レーザー法で薄化処理を行うだけで、熱による集電体層の酸化状況を回避し、製品の歩留まりを向上させることができる。
【0027】
レーザー法で薄化処理した後、非常に薄い活物質層が残り、残った活物質層は、集電体層を保護し、集電体層が熱によって酸化されることを回避することができる。また、該残った非常に薄い活物質層は、物理的除去方法で除去することができ、活物質層が非常に薄いため、物理的除去方法を用いて除去される場合、残った活物質層を迅速に除去することができ、物理的除去方法が穏やかであり、集電体層に損傷を与えない。
【0028】
以上より、本願は、レーザー法と物理的除去方法とを組み合わせる方式を用いることにより、一方では、溝形成対象領域の活物質層を迅速に除去することができ、他方では、集電体層への損傷を回避することができる。加工精度を向上させ、タクトタイムを短縮し、製品の歩留まりを向上させる。
【0029】
更に、薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去するステップは、具体的には、以下の2つの方式で行われてもよい。
【0030】
第1の方式では、薄化処理された活物質層をブラッシング除去方法、掻き取り方法、拭き取り方法又は粘着除去方法のうちのいずれか1つの方法で除去する。具体的には、ブラッシング除去方法は、ブラシを用いて、薄化処理された活物質層をブラッシングして除去することであり、掻き取り方法は、スクレーパを用いて、薄化処理された活物質層を掻き取ることであり、拭き取り方法は、無塵布を用いて、薄化処理された活物質層を吸着して拭き取ることであり、粘着除去方法は、粘着テープを用いて、薄化処理された活物質層を粘着除去することである。薄化処理された活物質層を一回で除去することにより、タクトタイムを更に短縮する。また、いずれの上記物理的除去方法を用いても、薄化処理された活物質層を穏やかかつ迅速に除去することができ、集電体層への損傷を回避することができる。
【0031】
第2の方式では、薄化処理された活物質層に対して、ブラッシング除去方法、掻き取り方法又は拭き取り方法のうちのいずれか1つの方法で1回目の除去を行う。薄化処理された活物質層に対して1回目の除去を行った後、薄化処理された活物質層に対して、粘着除去方法で2回目の除去を行う。
【0032】
具体的には、1回目の除去では、ブラッシング除去方法は、ブラシを用いて、薄化処理された活物質層をブラッシングして除去することであり、掻き取り方法は、スクレーパを用いて、薄化処理された活物質層を掻き取ることであり、拭き取り方法は、無塵布を用いて、薄化処理された活物質層を吸着して拭き取ることである。2回目の除去では、粘着除去方法は、粘着テープを用いて、薄化処理された活物質層を粘着除去することである。
【0033】
すなわち、第2の方式では、1回目の除去後、また、粘着テープを用いてもう一回粘着除去する必要がある。これにより、残った活物質層を徹底的にきれいに除去することができ、残った活物質層がタブの溶接に影響を与えることを回避し、製品の歩留まりを確保する。粘着テープは、ブラシ、スクレーパ又は無塵布に残された活物質層の粒子などを粘着テープの粘着面に粘着することにより、活物質層を徹底的にきれいに除去することができる。
【0034】
また、上述したように、活物質層を薄化処理した後、上記活物質層の厚さHの値の範囲は、30μm≧H≧1μmであり、すなわち、薄化処理した後、活物質層が非常に薄く、その厚さを基本的に1μm~30μmの間に制御することができるため、このときに物理的除去方法を用いて活物質層を容易に除去することができ、除去難度を低下させ、除去速度を加速することにより、タクトタイムを短縮する。
【実施例2】
【0035】
図2を参照すると、本願の実施例2に係る極板の溝形成方法は、以下のステップS1~S4を含む。
【0036】
ステップS1では、上記活物質層を薄化処理ステーションに移動させるように、上記極板を移動させる。
【0037】
ステップS2では、極板の溝形成対象領域に位置する活物質層をレーザー法で薄化処理する。
【0038】
ステップS3では、上記活物質層を薄化処理ステーションから除去ステーションに移動させるように、上記極板を移動させる。
【0039】
ステップS4では、薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去して、集電体層が露出された収容溝を形成する。
【0040】
ステップS2及びS4はそれぞれ、実施例1におけるステップS1及びステップS2と同じであるため、説明を省略する。
【0041】
ステップS1及びステップS3は、コンベアベルトを用いて行うことができ、具体的には、溝形成対象の極板をコンベアベルトに置いてから、コンベアベルトを起動して極板を搬送し始め、極板の溝形成対象領域を薄化処理ステーションに移動させるまで停止し、薄化処理ステーションにおいて、レーザー機器を利用して溝形成対象領域の活物質層を薄化する。
【0042】
薄化処理が完了した後、コンベアベルトは、極板を搬送し続け、薄化処理済みの活物質層を除去ステーションに移動させるまで停止し、その後に、除去ツールを利用して活物質層を除去することができる。
【0043】
以上から分かるように、自動的な移動フローを設定することにより、タクトタイムを更に短縮し、製造工数を削減することができる。
【実施例3】
【0044】
図3を参照すると、本願の実施例に係る極板10の溝形成装置は、レーザー機器20と、除去ツールと、を含む。
【0045】
上記レーザー機器20は、極板10の溝形成対象領域11に位置する活物質層をレーザー法で薄化処理する。活物質層を薄化処理した後、上記活物質層の厚さHの値の範囲は、30μm≧H≧1μmである。
【0046】
上記除去ツールは、薄化処理された活物質層を物理的除去方法で除去して、集電体層が露出された収容溝12を形成する。
【0047】
本実施例では、レーザー機器20と除去ツールとを組み合わせる方式を用いて、極板10の溝形成対象領域11の活物質層を除去する。まず、レーザー機器20を用いて活物質層を薄化し、次に、除去ツールにより、薄化された活物質層を除去する。一方では、レーザー機器20により発生した熱が集電体層を酸化することを回避することができ、他方では、活物質層を除去する速度を加速し、タクトタイムを短縮することができる。
【0048】
更に、除去ツールは、薄化処理された活物質層を以下の2つの方式で除去することができる。具体的には、除去ツールは、ブラシ30、無塵布、スクレーパ又は粘着テープのうちのいずれか一種であってもよい。
【0049】
第1の方式では、上記ブラシ30を利用して、薄化処理された活物質層をブラッシング除去方法で除去する。あるいは、無塵布を利用して、薄化処理された活物質層を拭き取り方法で除去する。あるいは、スクレーパを利用して、薄化処理された活物質層を掻き取り方法で除去する。あるいは、粘着テープを利用して、薄化処理された活物質層を粘着除去方法で除去する。薄化処理された活物質層を一回で除去することにより、タクトタイムを更に短縮することができる。
【0050】
第2の方式では、薄化処理された活物質層を2回で除去する。
【0051】
1回目の除去では、上記ブラシ30を利用して、薄化処理された活物質層をブラッシング除去方法で除去する。あるいは、無塵布を利用して、薄化処理された活物質層を拭き取り方法で除去する。あるいは、スクレーパを利用して、薄化処理された活物質層を掻き取り方法で除去する。
【0052】
2回目の除去では、薄化処理された活物質層に対して1回目の除去を行った後、粘着テープを利用して、薄化処理された活物質層を粘着除去方法で除去する。
【0053】
第2の方式では、1回目の除去後、また、粘着テープを用いてもう一回粘着除去する必要がある。これにより、残った活物質層を徹底的にきれいに除去することができ、残った活物質層がタブの溶接に影響を与えることを回避し、製品の歩留まりを確保する。粘着テープは、ブラシ30、スクレーパ又は無塵布に残された活物質層の粒子などを粘着テープの粘着面に粘着することにより、活物質層を徹底的にきれいに除去することができる。
【0054】
更に、極板10の溝形成装置は、コンベアベルトを更に含む。上記コンベアベルトは、上記活物質層を薄化処理ステーションに移動させ、そして、上記活物質層を薄化処理ステーションから除去ステーションに移動させるように、上記極板10を移動させる。コンベアベルトは、極板10の移動の自動化を実現することにより、タクトタイムを更に短縮することができる。
【0055】
以上、本願の実施例について詳細に説明し、本明細書において具体例を用いて本願の原理及び実施形態を解説したが、以上の実施例の説明は、本願の方法及びその中核的思想の理解を助けるためにのみ使用される。
【符号の説明】
【0056】
10 極板
11 溝形成対象領域
12 収容溝
20 レーザー機器
30 ブラシ
【国際調査報告】