(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-10
(54)【発明の名称】オプトエレクトロニックモジュール、オプトエレクトロニックモジュールを作動させる方法およびヘッドマウントディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02F 1/035 20060101AFI20230803BHJP
H01S 5/50 20060101ALI20230803BHJP
H01S 5/026 20060101ALI20230803BHJP
H01S 5/0239 20210101ALI20230803BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
G02F1/035
H01S5/50 630
H01S5/026 616
H01S5/0239
G02B27/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504560
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(85)【翻訳文提出日】2023-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2021072512
(87)【国際公開番号】W WO2022063483
(87)【国際公開日】2022-03-31
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】エイエムエス-オスラム インターナショナル ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ams-OSRAM International GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D-93055 Regensburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ルドルフ ベーリンガー
(72)【発明者】
【氏名】フーベアト ハルプリッター
(72)【発明者】
【氏名】アン ラッセル
【テーマコード(参考)】
2H199
2K102
5F173
【Fターム(参考)】
2H199CA29
2H199CA33
2H199CA42
2H199CA45
2H199CA66
2H199CA86
2K102AA21
2K102BA01
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2K102DA08
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2K102DC08
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2K102EB10
2K102EB11
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2K102EB16
2K102EB20
2K102EB22
2K102EB29
5F173MC20
5F173MC30
5F173ME85
5F173ME90
5F173MF03
5F173MF05
5F173MF25
5F173MF27
5F173MF39
(57)【要約】
本出願では、少なくとも1つの半導体レーザ(10)およびフォトニックチップ(20)を有するオプトエレクトロニックモジュール(1)が記載されている。半導体レーザ(10)は、フォトニックチップ(20)に入力結合される1次電磁放射を放出する。フォトニックチップ(20)は、少なくとも1つの第1導波体(210)と、電気変調信号によって変調される反射率を有する少なくとも1つの光ブラッグ反射器(30)とを有する。2次電磁放射は、少なくとも1つの第2導波体(220)によってフォトニックチップ(20)から出力結合され、2次電磁放射は、電気変調信号に応じて変調されるドミナント波長を有する。さらに、オプトエレクトロニックモジュール(1)を作動させる方法と、オプトエレクトロニックモジュール(1)を有するヘッドマウントディスプレイとが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの半導体レーザ(10)およびフォトニックチップ(20)を有するオプトエレクトロニックモジュール(1)であって、
前記半導体レーザ(10)は、1次電磁放射を放出し、
前記1次電磁放射は、前記フォトニックチップ(20)に入力結合され、
前記フォトニックチップ(20)は、少なくとも1つの第1導波体(210)と、電気変調信号によって変調される反射率を有する少なくとも1つの光ブラッグ反射器(30)とを有し、
2次電磁放射は、少なくとも1つの第2導波体(220)によって前記フォトニックチップ(20)から出力結合され、前記2次電磁放射は、前記電気変調信号に応じて変調されるドミナント波長を有する、オプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項2】
前記半導体レーザ(10)は、反射防止コーティングによって覆われたフロントファセット(10A)を有する、請求項1記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項3】
前記1次電磁放射は、第1スペクトル帯域幅を有し、前記2次電磁放射は、前記第1スペクトル帯域幅よりも広くかつ前記電気変調信号によって制御される第2スペクトル帯域幅を有する、請求項1または2記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項4】
前記1次電磁放射の前記ドミナント波長および前記第2次電磁放射の前記ドミナント波長は、可視スペクトル領域にある、請求項1から3までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項5】
複数の半導体レーザ(10)と、複数の第1導波体(210)と、複数のブラッグ反射器(30)とを有し、1つの前記第1導波体(210)および1つの前記ブラッグ反射器(30)が、それぞれの前記半導体レーザ(10)に割り当てられている、請求項1から4までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項6】
複数の前記半導体レーザ(10)は、モノリシックに集積されている、請求項5記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項7】
複数の前記第2導波体(220)が、前記フォトニックチップ(20)の側面(20A)まで延在しておりかつ前記フォトニックチップ(20)の前記側面(20A)において互いに10μm未満の横方向間隔(D1)以内で配置されている、請求項5または6記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項8】
前記第2導波体(220)は、共通出力ファセットを有する共通導波体に前記半導体レーザ(10)の前記2次電磁放射を結合するビームコンバイナーである、請求項5から7までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項9】
少なくとも3つの異なる前記半導体レーザ(10)を有し、それぞれの前記半導体レーザ(10)により、異なるドミナント波長を有する1次電磁放射が放出される、請求項5から8までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項10】
前記半導体レーザ(10)は、前記フォトニックチップ(20)上に配置されている、請求項1から9までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項11】
前記フロントファセット(10A)から前記第1導波体(210)まで延在している領域には、前記1次電磁放射に対して透過である充填材料(90)が充填されている、請求項10記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項12】
前記第1導波体(210)、前記第2導波体(220)および/または前記ブラッグ反射器(30)は、次の材料、すなわち、LiNb,ITO,SiN,SiO,液晶材料のうちの1つから作製される、請求項1から11までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項13】
前記第1導波体(210)は、単一モード導波体である、請求項1から12までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項14】
前記第1導波体(210)は、前記フロントファセット(10A)から前記ブラッグ反射器(30)に向かって先細りになっている、請求項1から13までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項15】
前記フォトニックチップ(20)は、ケイ素、ガラスまたはサファイアから作製される基板(21)を有する、請求項1から14までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項16】
前記フォトニックチップ(20)は、前記ブラッグ反射器(30)の下流に少なくとも1つの光変調器(60)を有する、請求項1から15までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項17】
前記フォトニックチップ(20)は、前記フォトニックチップ(20)の主延在面から前記2次電磁放射を偏向する光偏向器(230)を有する、請求項1から16までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項18】
請求項1から17までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)を作動させる方法であって、前記ブラッグ反射器(30)により、1ns当たり少なくとも2nmの変調速度で前記2次電磁放射の前記ドミナント波長を変調する、方法。
【請求項19】
請求項1から17までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)を作動させる方法であって、前記ブラッグ反射器(30)により、少なくとも10nmのスペクトル領域内で前記2次電磁放射の前記ドミナント波長を変調する、方法。
【請求項20】
請求項1から17までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)を有するヘッドマウントディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、オプトエレクトロニックモジュール、オプトエレクトロニックモジュールを作動させる方法およびヘッドマウントディスプレイに関する。
【0002】
改善された光学特性を有するオプトエレクトロニックモジュールを提供することが課題である。
【0003】
発明の概要
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、オプトエレクトロニックモジュールは、少なくとも1つの半導体レーザおよびフォトニックチップを有する。半導体レーザは、コヒーレント電磁放射の放出用である。フォトニックチップは好ましくは、放射透過性材料と、電磁放射を操作するのに適した光学構造、例えば導波体とを有する。
【0004】
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、半導体レーザは、1次電磁放射を放出する。1次電磁放射は、フォトニックチップに入力結合される。1次電磁放射は、ドミナント波長を有する。電磁放射のドミナント波長は、電磁放射のスペクトルが最大強度を有する波長である。
【0005】
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、フォトニックチップは、少なくとも1つの第1導波体と、電気変調信号によって変調される反射率を有する少なくとも1つの光ブラッグ反射器とを有する。第1導波体は、半導体レーザから光ブラッグ反射器に1次電磁放射を伝達する。第1導波体は、1次電磁放射に対して透過である材料を有していてよい。例えば、第1導波体は、1次電磁放射に対して第1導波体それ自体の材料よりも低い屈折率を有する材料によって少なくとも部分的に取り囲まれている。したがって、1次電磁放射は、導波体内に閉じ込められ、第1導波体に沿って伝搬する。
【0006】
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、2次電磁放射は、少なくとも1つの第2導波体によってフォトニックチップから出力結合される。第2導波体は、ブラッグ反射器の下流に配置されている。2次電磁放射は、電気変調信号に応じて変調されるドミナント波長を有する。電気変調信号の変調は、任意の時間依存変化であってよく、周期的である必要はない。
【0007】
オプトエレクトロニックモジュールは好ましくは、少なくとも部分的に、人間の眼に見えるスペクトル領域内にある2次電磁放射を放出する。
【0008】
少なくとも1つの実施形態によると、オプトエレクトロニックモジュールは、少なくとも1つの半導体レーザおよびフォトニックチップを有し、
-半導体レーザは、1次電磁放射を放出し、
-1次電磁放射は、フォトニックチップに入力結合され、
-フォトニックチップは、少なくとも1つの第1導波体と、電気変調信号によって変調される反射率を有する少なくとも1つの光ブラッグ反射器とを有し、
-2次電磁放射は、少なくとも1つの第2導波体によってフォトニックチップから出力結合され、2次電磁放射は、電気変調信号に応じて変調されるドミナント波長を有する。
【0009】
本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールは、とりわけ、以下の考察に基づいている。すなわち、半導体レーザは、良好なビーム品質を有する1次電磁放射を放出し、これにより、半導体レーザは、ヘッドマウントディスプレイユニットまたはプロジェクション装置における使用に特に適しているようになる。半導体レーザの良好なビーム品質に加え、半導体レーザはまた、ほぼ点光源に相応する、放出領域の特に小さな広がりも有する。これによって有利には結果的に、光学系の小型化に寄与し得る有利な高輝度が得られる。しかしながら、可視波長領域において半導体レーザを使用すると、例えばスペックルの形態の望ましくない干渉作用が、時として観察者によって知覚されてしまうことがある。これらの干渉作用は結果的に不均一な照明および障害的な照明パターンになってしまう。
【0010】
本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールは、とりわけ、可変のドミナント波長を有する2次電磁放射を生成するという着想に基づいている。2次電磁放射のドミナント波長は、電気変調信号によって反射率を変化させることが可能なブラッグ反射器によって変調可能である。さらに、複数の半導体レーザの複数の1次電磁放射を重畳することにより、増大された第2スペクトル帯域幅を有する2次電磁放射を生成することができる。2次電磁放射のドミナント波長を変化させることにより、スペクトル帯域幅を増大させかつコヒーレンス長を短くすることができる。コヒーレント放射が少なくなることによって有利には、任意の望ましくない干渉作用の強度が減少する。このことは、スペックルの出現を減少または除去するという利点を有する。
【0011】
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、半導体レーザは、反射防止コーティングによって覆われたフロントファセットを有する。反射防止コーティングにより、フロントファセットにおいて反射されて戻る放射の量が低減され、したがって半導体レーザから出力結合されることがない。フロントファセットは好ましくは、最大10%の、好ましくは最大1%の、特に好ましくは最大0.001%の、1次電磁放射に対する反射率を有する。フロントファセットの低い反射率により、オプトエレクトロニックモジュールの効率が改善される。さらに、フロントファセットの反射率が低減されると、半導体レーザに対する光フィードバックは、有利にはブラッグ反射器の変調された反射率によって決定される。
【0012】
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、1次電磁放射は、第1スペクトル帯域幅を有し、2次電磁放射は、第1スペクトル帯域幅よりも広くかつ電気変調信号によって制御される第2スペクトル帯域幅を有する。より広いスペクトル帯域幅によって結果的に、電磁放射のコヒーレンスが低減され、したがって、スペックルのような障害的な光干渉作用が低減または除去される。
【0013】
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、1次電磁放射および2次電磁放射のドミナント波長は、可視スペクトル領域にある。ここで、また以下において、可視スペクトル領域は、380nm以上かつ780nm以下の波長のスペクトル領域と定義されるべきである。
【0014】
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、オプトエレクトロニックモジュールは、複数の半導体レーザと、複数の第1導波体と、複数のブラッグ反射器とを有し、1つの第1導波体および1つのブラッグ反射器が、それぞれの半導体レーザに割り当てられている。複数の半導体レーザを使用することにより、パワー出力を増大させることができる。したがって、オプトエレクトロニックモジュールのパワー出力は容易にスケーリング可能にすることができる。例えば、複数の異なる半導体レーザを使用するオプトエレクトロニックモジュールにより、広いスペクトル領域をカバーすることができ、ここではそれぞれの半導体レーザにより、異なるドミナント波長を有する1次電磁放射が放出される。
【0015】
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、複数の半導体レーザは、モノリシックに集積されている。好ましくは、オプトエレクトロニックモジュールの全ての半導体レーザが、モノリシックに集積されている。モノリシックに集積されているコンポーネントは、例えば、単一の半導体基体に集積されている複数のレーザリッジを有するマルチリッジ素子であってよい。これにより、互いに小さな横方向間隔で半導体レーザを配置することが容易になる。横方向間隔は、オプトエレクトロニックモジュールの主延在面に平行な間隔である。
【0016】
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、複数の第2導波体は、フォトニックチップの側面まで延在しており、フォトニックチップの側面において互いに10μm未満の横方向間隔以内で配置されている。フォトニックチップの側面において小さな横方向間隔で複数の第2導波体を配置することにより、特に小さい放出領域が保証される。このような配置は、2次電磁放射の集束およびプロジェクションに有利である。
【0017】
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、第2導波体は、共通出力ファセットを有する共通導波体に半導体レーザの2次電磁放射を結合するビームコンバイナーである。第2導波体は好ましくは、共通出力ファセットを有する共通導波体にそれぞれの半導体レーザの2次電磁放射をビームコンバイナーである。このような設計により、例えば、いくつかの半導体レーザの1次電磁放射を重ね合わせることによって単一RGBピクセルのプロジェクションが可能になり、また共通出力ファセットの下流に配置される光学系を介して2次電磁放射のプロジェクションが簡単になる。
【0018】
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、オプトエレクトロニックモジュールは、少なくとも3つの異なる半導体レーザを有し、それぞれの半導体レーザにより、異なるドミナント波長を有する1次電磁放射が放出される。例えば、1つの半導体レーザは、赤色光のスペクトル領域にドミナント波長を有する1次電磁放射を放出し、別の1つの半導体レーザは、緑色光のスペクトル領域にドミナント波長を有する1次電磁放射を放出し、さらに別の1つの半導体レーザは、青色光のスペクトル領域にドミナント波長を有する1次電磁放射を放出する。このような装置により、3つの異なるドミナント波長によって張られるカラートライアングル内にある任意の所望の色を有する1次電磁放射を放出することができるRGBオプトエレクトロニックモジュールを作製することができる。
【0019】
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、半導体レーザは、フォトニックチップ上に配置されている。フォトニックチップ上に半導体レーザを配置することにより、第1導波体に対する半導体レーザの位置合わせを容易にすることができる。さらに、温度依存の位置合わせ不良を低減するかまたは回避することができ、機械的な安定性を改善することができる。
【0020】
オプトエレクトロニックの少なくとも1つの実施形態によると、フロントファセットから第1導波体まで延在している領域には、1次電磁放射に対して透過である充填材料が充填されている。充填材料は、劣化を及ぼす環境影響からフロントファセットを保護することができる。したがって有利には、フロントファセットの密閉封止は不要である。例えば、充填材料は、シリコーンまたはエポキシ材料を有する。
【0021】
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、第1導波体、第2導波体および/またはブラッグ反射器は、次の材料、すなわち、LiNb,ITO,SiN,SiO,液晶材料のうちの1つから作製される。好ましくは、第1導波体、第2導波体およびブラッグ反射器は、これらの材料の1つから作製される。ITOの屈折率は、これを通る電流に依存する。LiNb,SiN,SiOおよび液晶材料の屈折率は、これに印加される電圧に依存する。結果として、これらの材料の屈折率は有利には、電気変調信号を使用して変調可能である。
【0022】
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、第1導波体は、単一モード導波体である。単一モード導波体は、縦モードの伝搬だけを可能にする。有利には、これにより、特に均一なビーム強度プロフィールが得られる。
【0023】
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、第1導波体は、フロントファセットからブラッグ反射器に向かって先細りになっている。この先細りは、半導体レーザにおいて生成される1次電磁放射についての結合効率を増大可能である。例えば、第1導波体は、半導体レーザに向かっている端部においてより大きな直径を有し、この直径は、半導体レーザから距離が増大するのに伴って減少する。
【0024】
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、フォトニックチップは、ケイ素、ガラスまたはサファイアから作製される基板を有し、好ましくは機械的な安定性を提供する。これらの基板材料は、特に純粋にすることができ、したがって付加的な層の成長に特に良好に使用可能である。
【0025】
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、フォトニックチップは、ブラッグ反射器の下流に少なくとも1つの光変調器を有する。光変調器は、2次電磁放射の強度を変調するために使用可能である。結果として、2次電磁放射のパルス長が調整可能である。このことは、半導体レーザが連続モードで動作されなければならない場合には特に有利である。光変調器は好ましくは、マッハ・ツェンダー変調器である。
【0026】
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、フォトニックチップは、フォトニックの主延在面から2次電磁放射を偏向する光偏向器を有する。好ましくは光偏向器により、垂直方向に、特に好ましくは、フォトニックチップの主延在面に対して垂直な方向に2次電磁放射を偏向する。例えば、光偏向器は、プリズム、グレーティングまたは回折型META光コンポーネントである。光偏向器は、フォトニックチップ上に直接、配置可能である。フォトニックチップ上に偏向器を直接、配置することにより、特にコンパクトなオプトエレクトロニックモジュールが提供される。
【0027】
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、それぞれのブラッグ反射器は、共通の電位に電気接続されているか、またはそれぞれブラッグ反射器は、個別の電位に電気接続されている。例えば、それぞれのブラッグ反射器は、好ましくは異なる電位に接続されている第1電気端子を有する。個別に電気接続されているブラッグ反射器は、同時に制御されるかまたは個別に制御されるように構成可能である。
【0028】
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、フロントファセットは、半導体チップの主延在方向に対して、両端の値を含めて2°~32°の角度で傾斜されているか、または第1導波体の入力結合ファセットは、第1導波体の主延在方向に対して両端を含めて2°~32°の角度で傾斜されている。主延在方向は、半導体レーザの主放出方向に対して平行である。入力結合ファセットは、半導体レーザに向かっている第1導波体の端面である。1次電磁放射は好ましくは主に、入力結合ファセットを介して第1導波体に結合される。
【0029】
半導体レーザのフロントファセットおよび/または第1導波体の入力結合ファセットを傾斜させることにより、戻って半導体レーザに衝突する1次電磁放射を有利には減少させるかまたは阻止することができる。例えば、電磁放射の一部は、これがわずかな光増幅を利得するまたはさらなる光増幅の利得することなく、電磁放射の一部が反射されて戻る。任意の望ましくないサイドモードの増幅を抑圧するのに役に立つ。
【0030】
好ましくは、フロントファセットおよび/または入力結合ファセットは、フロントファセットおよび/または入力結合ファセットの反射率を最小化するために、1次電磁放射についてのブリュースター角にしたがって傾斜される。
【0031】
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、フォトニックチップは、フォトダイオードを有し、2次電磁放射の一部は、このフォトダイオードに当たる。好ましくは2次電磁放射の10%以下が、フォトダイオードに当たる。フォトダイオードは、半導体レーザの光強度を監視するために使用可能である。
【0032】
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、フォトダイオードは、第2導波体にGeまたはSiを導入することによって実現される。
【0033】
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、このモジュールは、2次電磁放射の偏光状態を変更するために、フォトニックチップの下流に波長板を有する。
【0034】
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、このモジュールは、2次電磁放射をコリメートするために、フォトニックチップの下流にコリメーション光学系を有する。
【0035】
オプトエレクトロニックモジュールの少なくとも1つの実施形態によると、フォトニックチップは、少なくとも1つの半導体光増幅器(SOA:semiconductor optical amplifier)を有する。
【0036】
半導体レーザの前述の例示的な実施形態、特徴および特性は、単一の半導体レーザを有するオプトエレクトロニックモジュールにも、複数の半導体レーザを有するモジュールにも共に関連している。さらに、開示した特徴および特性は、全ての半導体レーザに実装可能であるか、またはいくつかの半導体レーザにのみ実装可能である。
【0037】
第1導波体の前述の例示的な実施形態、特徴および特性は、単一の第1導波体を有するオプトエレクトロニックモジュールにも、複数の第1導波体を有するモジュールにも共に関連している。さらに、開示した特徴および特性は、全ての第1導波体に実装可能であるか、またはいくつかの第1導波体だけに実装可能である。
【0038】
第2導波体の前述の例示的な実施形態、特徴および特性は、単一の第2導波体を有するオプトエレクトロニックモジュールにも、複数の第2導波体を有するモジュールにも共に関連している。さらに、開示した特徴および特性は、全ての第2導波体に実装可能であるか、またはいくつかの第2導波体だけに実装可能である。
【0039】
ブラッグ反射器の前述の例示的な実施形態、特徴および特性は、単一のブラッグ反射器を有するオプトエレクトロニックモジュールにも、複数のブラッグ反射器を有するモジュールにも関連している。さらに、開示した特徴および特性は、全てのブラッグ反射器に実装可能であるか、またはいくつかのブラッグ反射器だけに実装可能である。
【0040】
オプトエレクトロニックモジュールを作動させる方法も同様に開示されている。オプトエレクトロニックモジュールを作動させる方法は特に、本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールを作動するのに適している。つまり、オプトエレクトロニックモジュールに関連して開示した全ての特徴は、オプトエレクトロニックモジュールを作動させる方法についても開示されているのであり、この逆も同様である。
【0041】
オプトエレクトロニックモジュールを作動させるこの方法の少なくとも1つの実施形態によると、ブラッグ反射器により、1ns当たり少なくとも2nmの変調速度で2次電磁放射のドミナント波長を変調する。高い変調速度により、例えばちらつきによって、人の観察者に対して放出光の知覚を妨害することなく、2次電磁放射におけるスペクトル帯域幅を大きく増大させることができる。
【0042】
オプトエレクトロニックモジュールを作動させるこの方法の少なくとも1つの実施形態によると、ブラッグ反射器により、少なくとも10nmのスペクトル領域内で2次電磁放射のドミナント波長を変調する。少なくとも10nmのスペクトル領域内で2次電磁放射のドミナント波長を変化させることにより、2次電磁放射のコヒーレンス長が有利に減少される。
【0043】
オプトエレクトロニックモジュールを有するヘッドマウントディスプレイも同様に開示されている。このヘッドマウントディスプレイは特に、本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールを使用するのに適している。つまり、オプトエレクトロニックモジュールに関連して開示した全ての特徴は、このヘッドマウントディスプレイについても開示されているのであり、この逆も同様である。ヘッドマウントディスプレイは、例えば、ニアアイ(near eye)ディスプレイ、ヘッドアップディスプレイまたは仮想現実ヘッドセットである。
【0044】
本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールは、拡張現実(AR:augmented reality)、仮想現実(VR:virtual reality)ユニットが実現されるいわゆる「スマートアイウェア製品」おける使用に特に適している。本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールはまた、例えばメガネにおいて、眼の近くに画像コンテンツを表示するか、または人の眼の中に画像を直接、プロジェクションする様々なプロジェクションシステムにも使用可能である。
【0045】
オプトエレクトロニックモジュールの別の利点および有利な設計および別の発展形態は、図面に関連して以下で説明する以下の例示的に実施形態から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】第1の例示的な実施形態による、本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールの概略平面図である。
【
図2】第2の例示的な実施形態による、本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールの概略側面図である。
【
図3】第3の例示的な実施形態による、本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールの概略平面図である。
【
図4】第4の例示的な実施形態による、本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールの概略平面図である。
【
図5】第5の例示的な実施形態による、本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールの概略平面図である。
【
図6】第6の例示的な実施形態による、本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールの概略平面図である。
【
図7】第7の例示的な実施形態による、本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールの概略平面図である。
【
図8】第8の例示的な実施形態による、本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールの概略平面図である。
【
図9】第9の例示的な実施形態による、本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールの概略平面図である。
【
図10】第10の例示的な実施形態による、本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールの概略平面図である。
【
図11】第11の例示的な実施形態による、本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールの概略平面図である。
【
図12】第12の例示的な実施形態による、本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールの概略平面図である。
【
図13】第13の例示的な実施形態による、本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールの概略平面図である。
【
図14】第14の例示的な実施形態による、本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールの概略平面図である。
【
図15】第15の例示的な実施形態による、本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールの概略平面図である。
【
図16】第16の例示的な実施形態による、本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールの概略平面図である。
【
図17】第17の例示的な実施形態による、本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールの概略平面図である。
【
図18】第18の例示的な実施形態による、本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールの概略平面図である。
【
図19】第19の例示的な実施形態による、本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールの概略側面図である。
【
図20】第20の例示的な実施形態による、本明細書で説明するオプトエレクトロニックモジュールの概略側面図である。
【0047】
詳細な説明
複数の図において同じ要素、類似の要素または同等の要素には同じ参照符号が付されている。図および図に表されている要素の相互間の比は、縮尺通りであるとみなすべきでない。むしろ、個々の要素は、表し易くするため、かつ/またはわかり易くするために特に大きくされていることがある。
【0048】
図1には、第1の例示的な実施形態によるオプトエレクトロニックモジュール1の概略平面図が示されている。オプトエレクトロニックモジュール1は、半導体レーザ10およびフォトニックチップ20を有する。フォトニックチップ20は、第1導波体210、ブラック反射器30および第2導波体220を有する。
【0049】
半導体レーザ10は、フロントファセット10Aを通して、ドミナント波長を有する1次電磁放射を放出する。フロントファセット10Aは、フォトニックチップ20の方を向いている、半導体レーザ10の滑らかな表面である。第1導波体210は、1次電磁放射に対して透過である材料から作製されている。第1導波体210は、第1導波体210を取り囲む材料よりも高い屈折率を有する。第1導波体210は、フォトニックチップの側面20Aからブラッグ反射器30まで延在している。第2導波体220は、ブラッグ反射器30の下流に配置されている。
【0050】
ブラッグ反射器30は、交番する屈折率を有する、周期的に配置される複数の層を有する。これによって結果的に、周期的に配置される層の屈折率および距離による反射率が得られる。ブラッグ反射器30の反射率は、ブラッグ反射器30に印加される電流または電圧によって変調可能である。第1電気端子41は、ブラック反射器30の反射率を変調する電気変調信号をブラック反射器30に供給するためにフォトニックチップ20上に配置されている。
【0051】
1次電磁放射は、フォトニックチップ20上の第1導波体210に入力結合され、第1導波体210の主延在方向に沿ってブラッグ反射器30に伝搬される。第1電気端子41を介して供給される電気変調信号に依存するブラッグ反射器30の反射率にしたがい、1次電磁放射の一部は、半導体レーザ10に向かって反射され、一部は、2次電磁放射として、ブラッグ反射器30の下流の第2導波体220に伝送される。
【0052】
図2には、第2の例示的な実施形態によるオプトエレクトロニックモジュール1の側面図が示されている。オプトエレクトロニックモジュール1は、半導体レーザ10、フォトニックチップ20および結合光学系50を有する。半導体レーザ10は、フロントファセット10Aを通して1次電磁放射を放出する。結合光学系50は、半導体レーザ10とフォトニックチップ20との間に配置されている。1次電磁放射は、結合光学系50によってフォトニックチップ20の側面20Aに導かれる。結合光学系50は、例えば、レンズ、光ファイバおよび光コネクタを有していてもよい。したがって半導体レーザ10は必ずしもフォトニックチップ20の直ぐ近くに配置されている必要はない。
【0053】
フォトニックチップ20は、ケイ素、サファイアまたはガラスから作製される基板21を有し、この基板21上には第1導波体210および第2導波体220が配置されている。第1導波体210および第2導波体220は、LiNb,ITO,SiN,SiOまたは液晶材料から作製される。
【0054】
図3には、オプトエレクトロニックモジュール1の第3の例示的な実施形態の概略平面図が示されている。オプトエレクトロニックモジュール1は、モノリシックに集積されている複数の半導体レーザ10を有する。全ての半導体レーザ10は、1つの連続した半導体基体100から作製されている。
【0055】
フォトニックチップ20は、複数の第1導波体210、複数のブラック反射器30および複数の第2導波体220を有する。第1導波体210およびブラッグ反射器30はそれぞれの半導体レーザ10に割り当てられている。それぞれのブラック反射器30には、第2導波体220が割り当てられている。オプトエレクトロニックモジュール1の光出力パワーは、複数の半導体レーザ10を使用することによって増大される。
【0056】
全てのブラッグ反射器30は、1つの第1電気端子41に接続されている。ブラック反射器30の反射率は、第1電気端子41によって同時に変調可能である。
【0057】
図4には、第4の例示的な実施形態によるオプトエレクトロニックモジュール1の概略平面図が示されている。第4の例示的な実施形態は実質的に、第3の例示的な実施形態に対応する。第3の例示的な実施形態とは異なり、
図4のオプトエレクトロニックモジュール1は、モノリシックに集積されていない複数の半導体レーザ10を有する。それぞれの半導体レーザ10は、異なるドミナント波長を有する1次電磁放射を放出することが意図されている。
【0058】
第1半導体レーザ10は、赤色のスペクトル領域にドミナント波長を有する1次電磁放射を放出し、第2半導体レーザ10は、緑色のスペクトル領域にドミナント波長を有する1次電磁放射を放出し、第3半導体レーザ10は、青色のスペクトル領域にドミナント波長を有する1次電磁放射を放出し、第4半導体レーザ10は、橙色のスペクトル領域にドミナント波長を有する1次電磁放射を放出することが意図されている。したがって、全ての半導体レーザ10の放出は、所望の色出力を達成することを目的として、電磁放射を混合するために使用可能である。
【0059】
光出力パワーを増大するために、それぞれの半導体レーザ10は、モノリシックに集積された複数の半導体レーザ10を有する半導体基体100によって置き換え可能である。
【0060】
図5には、第5の例示的な実施形態によるオプトエレクトロニックモジュール1の概略平面図が示されている。第5の例示的な実施形態は実質的に、第1の例示的な実施形態に対応する。第1の例示的な実施形態に加え、
図5のオプトエレクトロニックモジュール1は、光変調器60および第2電気端子42を有する。光変調器60は、例えば、2次電磁放射の位相および/または強度を変調するのに適したマッハ・ツェンダー変調器である。これにより、有利には半導体レーザ10の連続動作モードが可能になり、2次電磁放射の最大変調周波数を増大させることができる。光変調器60は、第2電気端子42に印加される電気変調信号によって変調されることが可能である。
【0061】
図6には、第6の例示的な実施形態によるオプトエレクトロニックモジュール1の概略平面図が示されている。第6の例示的な実施形態は実質的に、第5の例示的な実施形態に対応する。第5の例示的な実施形態に加え、
図6のオプトエレクトロニックモジュールは、光検出器70を有する。光検出器70は、2次電磁放射の10%未満を受け取る。光検出器70は、例えば、半導体レーザ10の光出力パワーを監視するフォトダイオードである。光検出器70は、フォトニックチップ20に単純にGeまたはSiを導入することによって作製可能である。電流または電圧は、光検出器70に接続される第3電気端子43において測定可能である。
【0062】
図7には、第7の例示的な実施形態によるオプトエレクトロニックモジュール1の概略平面図が示されている。オプトエレクトロニックモジュール1は、3つの異なる半導体レーザ10およびフォトニックチップ20を有し、それぞれの半導体レーザ10はフロントファセット10Aを有する。フォトニックチップ20は、3つの第1導波体210、3つブラック反射器30および3つの第2導波体220を有する。第1導波体210、ブラック反射器30および第2導波体220はそれぞれ、1つの半導体レーザ10に割り当てられている。第1電気端子41は、電気変調信号によってブラック反射器30の反射率を変調するためにそれぞれのブラック反射器30に接続されている。
【0063】
2次電磁放射は、第2導波体220によってフォトニックチップ20から出力結合される。全ての第1導波体220は、フォトニックチップ20の側面20Aに出力ファセット220Aを有する。出力ファセット220Aは、互いに横方向間隔D1で配置されている。横方向間隔D1は、10μm未満である。これにより、フォトニックチップ20の下流に配置される光学素子により、2次電磁放射のその後のプロジェクションおよび/またはコリメーションが簡単になる。
【0064】
図8には、第8の例示的な実施形態によるオプトエレクトロニックモジュール1の概略平面が示されている。第8の例示的な実施形態は実質的に、第7の例示的な実施形態に対応する。第7の例示的に実施形態とは異なり、
図8の第2導波体220は、共通出力ファセット220Aを有する共通導波体に半導体レーザ10の2次電磁放射を結合するビームコンバイナーを形成する。このような設計により、異なるドミナント波長を有するいくつかの半導体レーザ10の1次電磁放射を重ね合わせることによって、単一RGBピクセルのプロジェクションが可能になる。このような光源のさらなるコリメーションおよび/または偏向が有利にも簡単になる。共通出力ファセット220Aの横方向サイズが小さいことにより、これは点光源に極めて類似している。
【0065】
図9には、第9の例示的な実施形態によるオプトエレクトロニックモジュール1の概略平面図が示されている。第9の例示的な実施形態は実質的に、第7の例示的な実施形態に対応する。第7の例示的に実施形態に加え、
図9のフォトニックチップ20は、複数の半導体光増幅器80すなわちSOAを有する。それぞれの第2導波体220には、半導体光増幅器80が配置されている。半導体光増幅器80により、電磁放射は、所望のレベルに増幅可能である。
【0066】
それぞれの半導体光増幅器80は、異なるドミナント波長を有する2次電磁放射を増幅するのに適している。青色および緑色発光用の半導体光増幅器80は、InGANベースであり、サファイア基板またはGaN基板またはフォトニックチップ20上で直接、成長させられる。赤色発光の増幅用の半導体光増幅器80は、異なる成長基板上に成長させられかつ引き続いてフォトニックチップ20に取り付けられるいわゆるμSOAとして作製される。
【0067】
図10には、第10の例示的な実施形態によるオプトエレクトロニックモジュール1の概略平面図が示されている。第10の例示的な実施形態は実質的に、第9の例示的な実施形態に対応する。第9の例示的に実施形態とは異なり、半導体レーザ10は、フォトニックチップ20上に配置されている。したがって、フォトニックチップ20は、半導体レーザ10用の機械的に安定した取り付けプラットフォームとして使用される。
【0068】
フォトニックチップ20上に半導体レーザ10を配置することにより、第1導波体210がフォトニックチップ20に導入される前にフォトニックチップ20上に半導体レーザ10が配置される、オプトエレクトロニックモジュール1の製造方法が可能になる。これにより、それぞれの半導体レーザ10に対して、第1導波体210の個別の位置合わせが可能になる。導波体210は、極めて高い精度で実行可能なフォトリソグラフィを使用することによって製造可能である。例えば、半導体レーザ10に対する第1導波体210の横方向の位置合わせ不良は、1μm未満、好ましくは0.1μm未満とすることが可能である。
【0069】
図11には、第11の例示的な実施形態によるオプトエレクトロニックモジュール1の概略平面図が示されている。第11の例示的な実施形態は実質的に、第10の例示的な実施形態に対応する。第10の例示的な実施形態に加え、半導体レーザ10のフロントファセット10Aは、半導体レーザ10の主延在方向に対して2°~32°の角度で傾斜されている。さらに、第1導波体210は、第1導波体210の主延在方向に対して同様に2°~32°の角度で傾斜されている入力結合ファセット210Aを有する。好ましくは、フロントファセット10Aおよび/または入力結合ファセット210Aは、反射率を最小化するために、1次電磁放射についてのブリュースター角に対応する角度で傾斜される。
【0070】
図12には、第12の例示的な実施形態によるオプトエレクトロニックモジュール1の概略平面図が示されている。第12の例示的な実施形態は実質的に、第10の例示的な実施形態に対応する。第10の例示的な実施形態に加え、いくつかの半導体レーザ10のフロントファセット10Aと第1導波体210との間には、充填材料90が配置されている。充填材料90は、半導体レーザ10によって放出される1次電磁放射に対して透過である。充填材料90により、劣化を及ぼす環境影響からフロントファセット10Aが保護される。したがって有利には、フロントファセット10Aの密閉封止は不要である。充填材料90は、シリコーンまたはエポキシ材料を有する。さらに、充填材料90は、1次電磁放射の結合効率を改善するためのために、半導体レーザ10の屈折率と第1導波体210の屈折率との間の屈折率を有していてよい。
【0071】
図13には、第13の例示的な実施形態によるオプトエレクトロニックモジュール1の概略平面図が示されている。第13の例示的な実施形態は実質的に、第10の例示的な実施形態に対応する。第10の例示的に実施形態に加え、
図13の第1導波体210は先細りになっている。第1導波体210の直径は、半導体レーザ10からの距離が増大するのに伴って減少している。これにより、1次電磁放射の結合効率を改善することができる。
【0072】
図14には、第14の例示的な実施形態によるオプトエレクトロニックモジュール1の概略平面図が示されている。第14の例示的な実施形態は実質的に、第8の例示的な実施形態に対応する。第8の例示的な実施形態に加え、フォトニックチップ20の出力ファセット220Aの下流に光学素子2が配置されている。光学素子2は、例えば、出力ファセット220Aから出力結合される2次電磁放射をコリメートとするように設計されている。
【0073】
図15には、第15の例示的な実施形態によるオプトエレクトロニックモジュール1の概略平面図が示されている。第15の例示的な実施形態は実質的に、第7の例示的な実施形態に対応する。第7の例示的な実施形態に加え、コリメーション光学系3および複数のミラー4が、フォトニックチップ2の下流に配置されている。出力ファセット220Aから出力結合される2次電磁放射はさらに、コリメーション光学系3によってコリメートされ、その後、ミラー4によって偏向される。ミラー4は、所望の方向に、コリメートされた2次電磁放射の偏向を実現するために少なくとも1つの軸線において旋回可能である。このような配置は、プロジェクション装置における使用に特に適している可能性がある。
【0074】
図16には、第16の例示的な実施形態によるオプトエレクトロニックモジュール1の概略平面図が示されている。第16の例示的な実施形態は実質的に、第8の例示的な実施形態に対応する。第8の例示的な実施形態に加え、コリメーション光学系3および複数のミラー4が、フォトニックチップ20の下流に配置されている。第2導波体220は、共通導波体に全ての半導体レーザ10の2次電磁放射を結合するビームコンバイナーとして形成されている。
【0075】
共通導波体の出力ファセット220Aから出力結合される2次電磁放射はさらに、コリメーション光学系3によってコリメートされ、その後、ミラー4によって偏向される。ミラー4は、所望の方向に、コリメートされた2次電磁放射の偏向を実現するために少なくとも1つの軸線において旋回可能である。このような配置は、プロジェクション装置における使用に特に適している可能性がある。単一の出力ファセット220Aを使用することにより、2次電磁放射のコリメーションが簡単になり、例えば第15の例示的な実施形態に比べてより小型のコリメーション光学系3を使用することができる。
【0076】
図17には、第17の例示的な実施形態によるオプトエレクトロニックモジュール1の概略平面図が示されている。第17の例示的な実施形態は実質的に、第15の例示的な実施形態に対応する。第15の例示的な実施形態に加え、半導体レーザ10、第1導波体210、ブラッグ反射器30および第2導波体220の個数を増やす(
図17では点で示されている)ことにより、増大した光出力パワーおよび/またはより高い表示解像度が達成される。
【0077】
図18には、第18の例示的な実施形態によるオプトエレクトロニックモジュール1の概略平面図が示されている。第18の例示的な実施形態は実質的に、第16の例示的な実施形態に対応する。第16の例示的な実施形態に加え、半導体レーザ10、第1導波体210、ブラッグ反射器30および第2導波体220の個数を増やす(
図18では点で示されている)ことにより、増大した光出力パワーおよび/またはより高い表示解像度が達成される。
【0078】
図19には、第19の例示的な実施形態によるオプトエレクトロニックモジュール1の概略側面図が示されている。オプトエレクトロニックモジュール1は、半導体レーザ10およびフォトニックチップ20を有する。フォトニックチップ20は、ガラス、サファイアまたはケイ素から作製される基板21を有する。さらに、フォトニックチップ20は、基板21上に配置されている第1導波体210および第2導波体220を有する。半導体レーザ10は、フロントファセット10Aを通して1次電磁放射を放出し、フォトニックチップ20上に配置されている。1次電磁放射は、フォトニックチップ20の側面210Aにおける入力結合ファセットを通して第1導波体210に入力結合される。
【0079】
フォトニックチップ20は、フォトニックチップ20の主延在面から2次電磁放射を偏向するように設計されている光偏向器230を有する。好ましくは光偏向器230により、フォトニックチップ20の主延在面に対して垂直な方向に2次電磁放射が偏向される。したがって、オプトエレクトロニックモジュール1の下流の付加的な外部光偏向素子を省略することができる。
【0080】
図20には、第20の例示的な実施形態によるオプトエレクトロニックモジュール1の概略側面図が示されている。第20の例示的な実施形態は実質的に、第19の例示的な実施形態に対応する。第19の例示的な実施形態に加え、コリメーション光学系3が、光偏向器230の下流に配置されている。コリメーション光学系3は、フォトニックチップ20上に直接配置可能である。有利にはオプトエレクトロニックモジュール1の下流に別の外部コリメーション光学系3は不要である。
【0081】
本明細書で説明する本発明は、例示的な実施形態を参照して示される説明によって限定されない。むしろ本発明には、特に、特許請求の範囲の特徴の任意の組み合わせを含め、任意の新たな特徴および特徴の任意の組み合わせが包含されており、このことは、この特徴またはこの組み合わせそれ自体が、特許請求の範囲または例示的な実施形態に明に示されていないとしても当てはまるものである。
【0082】
本特許明細書は、米国特許出願公開第2022/0091444号明細書の優先権を主張するものであり、開示内容は、参照によってこの明細書に取り込まれるものである。
【符号の説明】
【0083】
1 オプトエレクトロニックモジュール
2 光学素子
3 コリメーション光学系
4 ミラー
10 半導体レーザ
10A フロントファセット
20 フォトニックチップ
20A 側面
21 基板
30 ブラッグ反射器
41 第1電気端子
42 第2電気端子
43 第3電気端子
50 結合光学系
60 光変調器
70 光検出器
80 光増幅器
90 充填材料
100 半導体基体
210 第1導波体
210A 入力結合ファセット
220 第2導波体
220A 出力ファセット
230 光偏向器
D1 横方向間隔
【手続補正書】
【提出日】2023-01-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの半導体レーザ(10)およびフォトニックチップ(20)を有するオプトエレクトロニックモジュール(1)であって、
前記半導体レーザ(10)は、1次電磁放射を放出し、
前記1次電磁放射は、前記フォトニックチップ(20)に入力結合され、
前記フォトニックチップ(20)は、少なくとも1つの第1導波体(210)と、
電気端子と、前記端子を介して供給される電気変調信号によって変調される反射率を有する少なくとも1つの光ブラッグ反射器(30)とを有し、
2次電磁放射は、少なくとも1つの第2導波体(220)によって前記フォトニックチップ(20)から出力結合され、前記2次電磁放射は、前記電気変調信号に応じて変調されるドミナント波長を有する、オプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項2】
前記半導体レーザ(10)は、反射防止コーティングによって覆われたフロントファセット(10A)を有する、請求項1記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項3】
前記1次電磁放射は、第1スペクトル帯域幅を有し、前記2次電磁放射は、前記第1スペクトル帯域幅よりも広くかつ前記電気変調信号によって制御される第2スペクトル帯域幅を有する、請求項1または2記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項4】
前記1次電磁放射の前記ドミナント波長および前記第2次電磁放射の前記ドミナント波長は、可視スペクトル領域にある、請求項1から3までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項5】
複数の半導体レーザ(10)と、複数の第1導波体(210)と、複数のブラッグ反射器(30)とを有し、1つの前記第1導波体(210)および1つの前記ブラッグ反射器(30)が、それぞれの前記半導体レーザ(10)に割り当てられている、請求項1から4までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項6】
複数の前記半導体レーザ(10)は、モノリシックに集積されている、請求項5記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項7】
複数の前記第2導波体(220)が、前記フォトニックチップ(20)の側面(20A)まで延在しておりかつ前記フォトニックチップ(20)の前記側面(20A)において互いに10μm未満の横方向間隔(D1)以内で配置されている、請求項5または6記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項8】
前記第2導波体(220)は、共通出力ファセットを有する共通導波体に前記半導体レーザ(10)の前記2次電磁放射を結合するビームコンバイナーである、請求項5から7までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項9】
少なくとも3つの異なる前記半導体レーザ(10)を有し、それぞれの前記半導体レーザ(10)により、異なるドミナント波長を有する1次電磁放射が放出される、請求項5から8までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項10】
前記半導体レーザ(10)は、前記フォトニックチップ(20)上に配置されている、請求項1から9までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項11】
前記フロントファセット(10A)から前記第1導波体(210)まで延在している領域には、前記1次電磁放射に対して透過である充填材料(90)が充填されている、請求項10記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項12】
前記第1導波体(210)、前記第2導波体(220)および/または前記ブラッグ反射器(30)は、次の材料、すなわち、LiNb,ITO,SiN,SiO,液晶材料のうちの1つから作製される、請求項1から11までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項13】
前記第1導波体(210)は、単一モード導波体である、請求項1から12までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項14】
前記第1導波体(210)は、前記フロントファセット(10A)から前記ブラッグ反射器(30)に向かって先細りになっている、請求項1から13までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項15】
前記フォトニックチップ(20)は、ケイ素、ガラスまたはサファイアから作製される基板(21)を有する、請求項1から14までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項16】
前記フォトニックチップ(20)は、前記ブラッグ反射器(30)の下流に少なくとも1つの光変調器(60)を有する、請求項1から15までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項17】
前記フォトニックチップ(20)は、前記フォトニックチップ(20)の主延在面から前記2次電磁放射を偏向する光偏向器(230)を有する、請求項1から16までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)。
【請求項18】
請求項1から17までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)を作動させる方法であって、前記ブラッグ反射器(30)により、1ns当たり少なくとも2nmの変調速度で前記2次電磁放射の前記ドミナント波長を変調する、方法。
【請求項19】
請求項1から17までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)を作動させる方法であって、前記ブラッグ反射器(30)により、少なくとも10nmのスペクトル領域内で前記2次電磁放射の前記ドミナント波長を変調する、方法。
【請求項20】
請求項1から17までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニックモジュール(1)を有するヘッドマウントディスプレイ。
【国際調査報告】