(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-10
(54)【発明の名称】ステアリング伝動機構に対する道路側のショックパルスの適当な補償を含むサーボステアリング構成群
(51)【国際特許分類】
B62D 7/22 20060101AFI20230803BHJP
B62D 7/16 20060101ALI20230803BHJP
B62D 3/06 20060101ALI20230803BHJP
B62D 3/10 20060101ALI20230803BHJP
F16F 7/00 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
B62D7/22
B62D7/16
B62D3/06
B62D3/10
F16F7/00 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504561
(86)(22)【出願日】2021-07-05
(85)【翻訳文提出日】2023-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2021068539
(87)【国際公開番号】W WO2022017765
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】102020119608.3
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr-Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80, D-80809 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イェンス-ハウケ ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】ディミトリ エプシュタイン
(72)【発明者】
【氏名】ディアク レットウ
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン キアシュバウム
【テーマコード(参考)】
3D034
3J066
【Fターム(参考)】
3D034BA05
3D034BA08
3D034BC13
3D034BC22
3D034BC23
3D034BC24
3D034BC27
3J066AA22
3J066BA01
3J066BD05
3J066BD07
(57)【要約】
本発明は、自動車(10)、特に商用車の電気機械式のサーボステアリング用のサーボステアリング構成群であって、ステアリング伝動機構(1)を備え、ステアリング伝動機構(1)は、ステアリング発生器から、特にステアリングホイール(15)から、ステアリング伝動機構(1)の入力側(2)を介して、特にステアリング伝動機構(1)の入力軸(3)を介して、導入される回動運動(III)をステアリング伝動機構(1)の出力側(4)にさらに導くように構成されており、サーボステアリング構成群は、ステアリング伝動機構(1)の出力側(4)から導出される運動(I)を転舵軸(18)回りの自動車(10)の少なくとも1つのホイール(17;19)の回動運動(V)に転換するように構成されている、サーボステアリング構成群に関する。本提案に係るサーボステアリング構成群は、サーボステアリング構成群が、自動車(10)のホイール(17;19)を介して取り込まれる道路側のショックを少なくとも部分的に吸収する吸収ユニット(23)を備えることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(10)、特に商用車の電気機械式のサーボステアリング用のサーボステアリング構成群であって、
ステアリング伝動機構(1)を備え、
前記ステアリング伝動機構(1)は、ステアリング発生器から、特にステアリングホイール(15)から、前記ステアリング伝動機構(1)の入力側(2)を介して、特に前記ステアリング伝動機構(1)の入力軸(3)を介して、導入される回動運動(III)を前記ステアリング伝動機構(1)の出力側(4)にさらに導くように構成されており、前記サーボステアリング構成群は、前記ステアリング伝動機構(1)の前記出力側(4)から導出される運動(I)を転舵軸(18)回りの前記自動車(10)の少なくとも1つのホイール(17;19)の回動運動(V)に転換するように構成されている、
サーボステアリング構成群において、
前記サーボステアリング構成群は、前記自動車(10)の前記ホイール(17;19)を介して取り込まれる道路側のショックを少なくとも部分的に吸収する吸収ユニット(23)を備える、
ことを特徴とする、サーボステアリング構成群。
【請求項2】
前記ステアリング伝動機構(1)の前記出力側(4)から導出される前記運動(I)を受け入れ、並進のスラストロッド運動(II)を実施するスラストロッド(7)を備え、前記スラストロッド(7)は、前記並進のスラストロッド運動(II)が、前記転舵軸(18)回りの前記自動車(10)の少なくとも1つの前記ホイール(17;19)の前記回動運動(V)を引き起こすように配置されていることを特徴とする、請求項1記載のサーボステアリング構成群。
【請求項3】
前記ステアリング伝動機構(1)の前記出力側(4)に続いて、特に前記ステアリング伝動機構(1)の前記出力側(4)と、前記スラストロッド(7)との間に、前記ステアリング伝動機構(1)の前記出力側(4)から導出される前記運動(I)を、特に、前記並進のスラストロッド運動(II)を実施する前記スラストロッド(7)に伝達する少なくとも1つのボールジョイント(9)が配置されており、前記吸収ユニット(23)は、少なくとも部分的に前記ボールジョイント(9)内に組み込まれており、好ましくは、少なくとも部分的に、前記ボールジョイント(9)の軸受シェル(24)の下層に配置される弾性的な要素、特にエラストマー(25)により形成されていることを特徴とする、請求項1および2のいずれか1項記載のサーボステアリング構成群。
【請求項4】
前記吸収ユニット(23)は、少なくとも部分的に前記スラストロッド(7)内に組み込まれており、好ましくは、少なくとも部分的に、前記スラストロッド(7)の2つの区間(28,29)間に配置される弾性的な要素、特にエラストマーまたはばねセット(30)により形成されており、さらに好ましくは、スラストロッドスリーブ(31)を備え、前記スラストロッドスリーブ(31)は、好ましくは、前記スラストロッドスリーブ(31)が、少なくとも部分的に、前記スラストロッド(7)の2つの前記区間(28,29)と、前記スラストロッド(7)の2つの前記区間(28,29)間に配置される前記弾性的な要素、特にエラストマーまたはばねセット(30)とを外側から包囲するように配置されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のサーボステアリング構成群。
【請求項5】
前記吸収ユニット(23)は、少なくとも部分的に、前記ステアリング伝動機構(1)を前記自動車(10)のフレーム(22)に取り付ける取り付けアッセンブリ(33)内に組み込まれており、好ましくは、少なくとも部分的に、少なくとも1つの弾性的な要素、特にエラストマー(34)により形成されており、少なくとも1つの前記弾性的な要素、特にエラストマー(34)は、さらに好ましくは、少なくとも部分的に、前記ステアリング伝動機構(1)を前記自動車(10)の前記フレーム(22)の支持体(39)、特に長手方向支持体に取り付ける取り付けねじ(36)のヘッド(35)と、前記ステアリング伝動機構(1)のマウント側(37)との間に、少なくとも1つの前記弾性的な要素、特にエラストマー(34)が、組み立てられた状態で前記取り付けねじ(36)の螺入により圧迫されるように配置されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のサーボステアリング構成群。
【請求項6】
スペーサスリーブ(40)を備え、前記スペーサスリーブ(40)は、前記ステアリング伝動機構(1)のマウント側(37)と、前記自動車(10)の前記フレーム(22)の前記支持体(39)、特に前記長手方向支持体との間に配置されており、前記取り付けアッセンブリ(33)内に組み込まれた前記吸収ユニット(23)を形成する前記弾性的な要素、特にエラストマー(34)は、前記スペーサスリーブ(40)を外側から包囲し、前記スペーサスリーブ(40)は、前記取り付けねじ(36)の軸部を外側から包囲することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のサーボステアリング構成群。
【請求項7】
前記ステアリング伝動機構(1)の前記出力側(4)に続く、特に前記ステアリング伝動機構(1)の前記出力側(4)を前記スラストロッド(7)に結合するステアリングポストレバー(8)を備え、前記吸収ユニット(23)は、少なくとも部分的に、前記ステアリングポストレバー(8)から、続くボールジョイント(9)、特に前記スラストロッド(7)に結合されるボールジョイント(9)への移行部(42)内に組み込まれていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のサーボステアリング構成群。
【請求項8】
前記ステアリングポストレバー(8)から前記ボールジョイント(9)への前記移行部(42)内に組み込まれた前記吸収ユニット(23)は、弾性的な要素(43)により、特にエラストマーにより形成されており、前記弾性的な要素(43)は、前記弾性的な要素(43)が、前記ボールジョイント(9)、好ましくは、前記ステアリングポストレバー(8)を前記スラストロッド(7)に揺動可能に結合する前記ボールジョイント(9)との、少なくとも形状結合式の結合部を形成するように、前記ステアリングポストレバー(8)の、前記ボールジョイント(9)側および特に前記スラストロッド(7)側の端部に配置されていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載のサーボステアリング構成群。
【請求項9】
前記弾性的な要素(43)は、前記ステアリングポストレバー(8)の、前記スラストロッド(7)側の前記端部において、前記ステアリングポストレバー(8)の端面の、ステアリングポストレバー軸線(45)に関して中心の収容部(46)内に、かつ前記ステアリングポストレバー(8)を前記スラストロッド(7)に結合する前記ボールジョイント(9)の接続片(47)を外側から包囲するように、配置されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のサーボステアリング構成群。
【請求項10】
前記ステアリング伝動機構(1)の前記出力側は、少なくとも部分的に出力軸(6)により、特にセクタ軸(5)により形成されており、前記吸収ユニット(23)は、少なくとも部分的に前記出力軸(6)内に組み込まれており、さらに好ましくは、前記吸収ユニット(23)は、少なくとも部分的に、前記出力軸(6)の内側区間(48)と出力区間(49)との間に配置されるねじりばね(50)により形成されており、さらに好ましくは、前記ねじりばね(50)は、前記ねじりばね(50)が、前記出力軸(6)の前記内側区間(48)と前記出力区間(49)とを形状結合式および/または力結合式に互いに結合し、かつ前記出力軸(6)の前記内側区間(48)の回動運動が、前記ねじりばね(50)を介して前記出力軸(6)の前記出力区間(49)に伝達され、その逆もまた然りであるように配置されていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載のサーボステアリング構成群。
【請求項11】
前記ステアリング伝動機構(1)は、スピンドル(11)として形成される入力軸(3)と、前記入力軸(3)の前記回動運動(III)を並進の運動(IV)に変換するボール循環ナット(13)とを有し、前記ボール循環ナット(13)を外側から包囲するように歯列区間(56)が設けられており、前記吸収ユニット(23)は、前記ボール循環ナット(13)の前記並進の運動(IV)が、前記吸収ユニット(23)を介して前記歯列区間(56)に伝達され、その逆もまた然りであるように配置されており、さらに好ましくは、前記吸収ユニット(23)は、少なくとも1つの弾性的な要素から、特に少なくとも1つの皿ばね(57)から、かつ/または少なくとも1つのらせんばねから、かつ/または少なくとも1つのエラストマー(58)から形成されていることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載のサーボステアリング構成群。
【請求項12】
前記ステアリング伝動機構(1)は、リサーキュレーティングボールステアリングとして形成されており、前記吸収ユニット(23)は、少なくとも部分的に前記リサーキュレーティングボールステアリングの液圧系内に組み込まれており、前記リサーキュレーティングボールステアリングの前記液圧系は、液圧式のステアリングアシスト用の、ピストン(13)の互いに反対側に位置する側に配置され、互いに仕切られた2つのオイルチャンバ(64,65)を有し、前記リサーキュレーティングボールステアリングの前記液圧系内に組み込まれた前記吸収ユニット(23)は、2つの前記オイルチャンバ(64,65)を互いに接続する補償要素(66)により、好ましくは弁によりまたはオリフィスにより形成されていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載のサーボステアリング構成群。
【請求項13】
前記ステアリング伝動機構(1)は、スピンドル(11)として形成される入力軸(3)と、前記入力軸(3)の前記回動運動(III)を並進の運動(IV)に変換するボール循環ナット(13)とを有し、前記吸収ユニット(23)は、少なくとも部分的に前記入力軸(3)の軸方向の弾性的なスピンドル支持部として形成されていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載のサーボステアリング構成群。
【請求項14】
前記入力軸(3)の軸方向の弾性的なスピンドル支持部として形成される前記吸収ユニット(23)は、少なくとも1つの弾性的な要素により、特に、少なくとも1つの皿ばね(67,68)により形成されており、少なくとも1つの前記弾性的な要素は、ハウジング(70)内に、前記入力軸(3)を回転可能に支持する前記入力軸(3)の軸受アッセンブリ(69)に隣接し、前記入力軸(3)の前記軸受アッセンブリ(69)が、少なくとも1つの前記弾性的な要素を介して軸方向で弾性的に前記ハウジング(70)内に収容されているように、配置されていることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載のサーボステアリング構成群。
【請求項15】
スピンドル(11)として形成される前記入力軸(3)は、複数のパーツから、前記ボール循環ナット(13)側の少なくとも1つのスピンドル区間(71)と、1つの入力区間(72)とにより形成されており、前記スピンドル区間(71)と前記入力区間(72)とは、回転に関して固定に、しかし、前記入力軸(3)の軸方向の弾性的なスピンドル支持部として、好ましくは、少なくとも1つの弾性的な要素の形態で、特に好ましくは、リングばね(73)の形態で形成される前記吸収ユニット(23)を介して、軸方向で弾性的に互いに結合されていることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載のサーボステアリング構成群。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の、自動車の電気機械式のサーボステアリング用のサーボステアリング構成群に関する。
【0002】
サーボステアリング構成群は、多数、従来技術において公知である。その際、サーボステアリング構成群は、とりわけ、サーボステアリング構成群内に組み付けられたステアリング伝動機構に関して、機械的な負荷に敏感な複数のコンポーネントを備えている。而してステアリング伝動機構は、例えば、通例、スピンドルと、ボールあるいはボールチェーンを有するボール循環ナットと、さらには歯列ペア、例えばセクタ軸のセクタ歯列内に係合するボール循環ナットの外歯列の形態の歯列ペアとを有している。これらのコンポーネントは、導き入れられる衝撃的な機械的な力あるいは負荷に特に敏感である。
【0003】
このような衝撃的に導き入れられる負荷の源は、例えば道路側のショックパルスである。而して、例えば道路の凹凸は、自動車内のショックに至ることがあり、このショックは、例えばサーボステアリング構成群内の望ましくない衝撃的な運動に至ることがある。従来技術では、通例、ホイールサスペンションのショックアブソーバシステムのみが、道路側のショックの補償の任を負っている。このようなシステムは、しかし、ステアリング伝動機構の敏感なコンポーネント内に導き入れられる負荷あるいは応力をより適当に補償あるいは吸収することができるかもしれない点で、改良するだけの価値はある。
【0004】
この課題について以下に商用車を例にとり説明するが、これは、本発明にとって限定的に解すべきものではない。商用車は、通例、リサーキュレーティングボールステアリングを備えるサーボステアリング構成群を有している。このためにサーボステアリング構成群は、ステアリング伝動機構を備え、ステアリング伝動機構は、ステアリング発生器から、つまり、例えばステアリングホイールから、ステアリング伝動機構の入力側を介して導入される回動運動をステアリング伝動機構の出力側にさらに導くように構成されている。入力側は、この場合、例えば入力軸により、そして出力側は、出力軸、例えばセクタ軸の形態の出力軸により形成されていることができる。ステアリング伝動機構内で、この場合、入力軸の導入される回動運動は、例えば、入力軸が、スピンドルとして形成されており、その回動運動により、スピンドル区間を取り巻くボール循環ナットの並進の運動を提供することにより、規定通り転換されることができ、この並進の運動は、ボール循環ナットの軸方向運動とも称呼され、またはピストンの軸方向運動とも称呼され得る。ボール循環ナットには、他方、通例、外歯列が設けられている。ボール循環ナットは、次いで、セクタ軸のセクタ歯列と噛み合うように係合している外歯列でもって、ボール循環ナットの並進の運動がセクタ軸あるいは出力軸の回動運動に転換され、ひいてはステアリング伝動機構の出力側で導出されることを提供し得る。この出力側に続いて、通例、ステアリングポストレバーが設けられており、このステアリングポストレバーに揺動可能に結節されて、スラストロッドが設けられている。サーボステアリング構成群のスラストロッドは、最終的に、ステアリング伝動機構の出力側から導出される回動運動を受け入れ、それ自体は、ステアリングプロセス時に規定通り並進のスラストロッド運動(軸方向運動ともいう)を実施する。その際、この並進のスラストロッド運動は、転舵軸回りの自動車の少なくとも1つのホイールの規定通りの回動運動を引き起こす。
【0005】
こうして構成されたサーボステアリング構成群では、道路側のショックパルスは、サーボステアリング構成群の挙げたコンポーネントの多くにおいて衝撃的な運動に至ることがあり、衝撃的な運動は、他方、ステアリング伝動機構の内部に導入される望ましくない負荷あるいは応力に至る。これまで、このような力あるいは負荷および応力は、従来技術のサーボステアリング構成群自体内で、通例、主にサーボステアリング構成群の液圧系により補償される。
【0006】
これを背景として、本発明の根底にある課題は、冒頭で挙げた形態のサーボステアリング構成群を、ステアリング伝動機構がより良好に道路側のショックパルスから保護されるように発展させることである。
【0007】
上記課題は、請求項1の特徴を備えるサーボステアリング構成群により解決される。本発明の別の特に有利な構成は、従属請求項に開示されている。
【0008】
付言すると、特許請求の範囲に個々に記載の特徴は、技術的に有意義な任意の形式で互いに組み合わせ可能であり、本発明の別の構成を示す。明細書は、本発明を特に図面との関連で付加的に特徴付け、かつ特定する。
【0009】
本発明により、自動車、特に商用車の電気機械式のサーボステアリング用のサーボステアリング構成群を提案する。サーボステアリング構成群は、ステアリング伝動機構を備えている。ステアリング伝動機構は、ステアリング発生器から、特にステアリングホイールから、ステアリング伝動機構の入力側を介して、特にステアリング伝動機構の入力軸を介して、導入される回動運動をステアリング伝動機構の出力側にさらに導くように構成されている。サーボステアリング構成群は、この場合、ステアリング伝動機構の出力側から導出される運動を転舵軸回りの自動車の少なくとも1つのホイールの回動運動に転換するように構成されている。サーボステアリング構成群は、自動車のホイールを介して取り込まれる道路側のショックを少なくとも部分的に吸収する吸収ユニットを備えることを特徴とする。
【0010】
重要なのは、道路側のショックパルスから結果として生じる負荷あるいは応力からステアリング伝動機構を適当に保護すべく、固有の吸収ユニットが規定通りサーボステアリング構成群のフレーム内に設けられているように、サーボステアリング構成群を構成するという基本的な考えである。このために吸収ユニットは、適当にこのような運動と、このような運動から結果として生じる負荷とを、適当に吸収ユニット内で運動エネルギが位置エネルギに転換されることにより補償する。本提案に係る吸収ユニットの存在がなければ、実質的に減衰あるいは緩和されないか、またはサーボステアリングの液圧系によってのみ減衰あるいは補償されるであろう力あるいは負荷は、ステアリング伝動機構内で低減される。吸収ユニットは、このために運動エネルギを位置エネルギに転換すべく構成されており、振動が適当に緩衝あるいは吸収されることを提供する。好ましくは、吸収ユニットは、このために弾性的に形成されている。吸収ユニットは、有利には、サーボステアリング構成群の、吸収ユニットに隣接する隣の部材の少なくとも小さな相対運動が許容されるように構成されている。
【0011】
本提案に係る吸収ユニットは、この場合、特にサーボステアリング構成群内に組み込まれており、サーボステアリング構成群の構成部分である。このために吸収ユニットは、一方では、アッセンブリ全体のステアリング動作の転換伝達系内に組み込まれ、つまり、ステアリング発生器、つまり、例えばステアリングホイールから、操舵すべきホイールに向かって見て、ステアリング伝動機構の入力側と、例えば操舵を提供するスラストロッドとの間に組み込まれていてもよい。他方では、吸収ユニットは、例えば自動車のフレームへのステアリング伝動機構の取り付けアッセンブリ内に組み込まれていてもよい。
【0012】
結果的に、有利な形式で衝撃的な運動は、本提案に係るサーボステアリング構成群内で吸収ユニットにより適当に補償され、結果として生じる負荷は、少なくとも部分的に吸収される。こうして、道路からのショックパルス、あるいはショックパルスから結果として生じる力が、ホイールを介して例えばスラストロッドに、場合によってはサーボステアリング構成群の別のコンポーネント、例えば設けられたスラストロッドに接続しているコンポーネントに、またはしかし、ステアリング伝動機構のハウジングを経由しても引き渡されるとき、ショックパルスは、適当に緩衝あるいは補償され得る。これにより、もはやサーボステアリング構成群の液圧系だけが単独で、道路側のショックパルスのこのような補償の任を負っているのではなくなり、ひいては、本提案に係るサーボステアリング構成群のステアリング伝動機構、特にステアリング伝動機構内に配置される敏感なコンポーネントは、より良好に道路側のショックパルスから保護されている。
【0013】
好ましくは、ステアリング伝動機構の入力側は、入力軸により形成されていることができ、入力軸は、特にスピンドルとして形成されていることができる。ステアリング伝動機構の出力側は、他方、通例、出力軸により、好ましくは、セクタ軸により形成されていることができる。ステアリング伝動機構の出力側から導出される運動は、直接的または間接的に出力側から、例えばセクタ軸を介して例えばスラストロッドに引き渡され得る。而して出力軸は、例えばステアリングポストレバーに堅固に、特に相対回動不能あるいは回転に関して固定に結合されていることができる。ステアリングポストレバーは、この場合、出力軸の回動運動を受け入れ、同じく回動運動を実施することができる。次いで、例えばステアリングポストレバーの、出力軸とは反対側の端部には、ボールジョイントが設けられていることができ、ボールジョイントは、ステアリングポストレバーをスラストロッドに結合する。ボールジョイントは、これに応じて、出力軸の回動運動、ひいてはステアリングポストレバーの回動運動の形態の、ステアリング伝動機構の出力側から導出される運動が、並進のスラストロッド運動を実施するスラストロッドに伝達されるようにすることができる。
【0014】
スラストロッドを有するこのような一実施の形態の場合、スラストロッドは、それゆえステアリング伝動機構の出力側から導出される運動を受け入れ、並進のスラストロッド運動を実施すべく設けられており、スラストロッドは、並進のスラストロッド運動が、転舵軸回りの自動車の少なくとも1つのホイールの回動運動を引き起こすように配置されている。
【0015】
吸収ユニットは、例えば有利には、それが、ステアリング伝動機構の出力側、特に出力軸と、ホイールとの間、好ましくは、ステアリング伝動機構の出力側、特に出力軸と、スラストロッドとの間に配置されているように、配置されていてもよい。
【0016】
さらに吸収ユニットは、有利には、それが、ステアリング伝動機構内に組み込まれており、好ましくは、ステアリング伝動機構の入力側と出力側との間に配置されているように、配置されていてもよい。
【0017】
さらに吸収ユニットは、有利には、自動車のフレームへのステアリング伝動機構の取り付け部内に組み込まれていてもよい。
【0018】
本提案に係るサーボステアリング構成群の好ましい一実施の形態によれば、ステアリング伝動機構の出力側に続いて、特にステアリング伝動機構の出力側と、スラストロッドとの間に、ステアリング伝動機構の出力側から導出される運動を、特に、並進のスラストロッド運動を実施するスラストロッドに伝達する少なくとも1つのボールジョイントが配置されており、吸収ユニットは、少なくとも部分的にボールジョイント内に組み込まれており、好ましくは、少なくとも部分的に、ボールジョイントの軸受シェルの下層に配置される弾性的な要素、特にエラストマーにより形成されているようになっている。有利な形式で、これにより道路側のショックパルスは、ボールジョイント内で吸収ユニットあるいはエラストマーにより適当に吸収され、これによりもはや、実質的に減衰されることなくあるいは補償なしにステアリング伝動機構内に持ち込まれてしまうことはない。意想外なことに、本発明により、サーボステアリング構成群のボールジョイントの提案する構成により構造的な手間あるいはコストが増し、さらには、ボールジョイントの形態のコンポーネントの複雑性が上昇することに基づき、システムの弱化が本来は付随して生じてしまうものの、サーボステアリング構成群全体としては長寿命性が向上され得るため、それにもかかわらずそれに見合うだけの価値があることがわかった。而して、まさに有利な形式で適当に、ステアリング伝動機構の、機械的な負荷に敏感なコンポーネントは、道路側のショックパルスから保護される。軸受シェルは、特にボールジョイントのボールを受けるように構成されている。この実施の形態によれば、吸収ユニットは、少なくとも部分的にボールジョイント内に組み込まれており、同じく好ましくは、エラストマーは、本提案に係る吸収ユニットを少なくとも部分的に形成している。「少なくとも部分的に」なる表現は、ここでは、本提案に係る吸収ユニットが、道路側のショックを補償することを互いに協働して提供する複数のコンポーネントを有していてもよいことを意味している。本実施例では、しかし、ボールジョイント内に組み込まれ、かつ弾性的な要素、特にエラストマーの形態の弾性的な要素により形成されている吸収ユニットは少なくとも、有利な補償の任を負っている。本提案に係るこのサーボステアリング構成群には、以下に示す別の吸収ユニットがさらに補足されてもよい。別の実施の形態における「少なくとも部分的に」なる表現も、この意味で解すべきである。
【0019】
本提案に係るサーボステアリング構成群の別の好ましい一実施の形態によれば、吸収ユニットは、少なくとも部分的にスラストロッド内に組み込まれており、好ましくは、少なくとも部分的に、スラストロッドの2つの区間間に配置される弾性的な要素、特にエラストマーまたはばねセットにより形成されており、さらに好ましくは、スラストロッドスリーブが設けられており、スラストロッドスリーブは、好ましくは、スラストロッドスリーブが、少なくとも部分的に、スラストロッドの2つの区間と、スラストロッドの2つの区間間に配置される弾性的な要素、特にエラストマーまたはばねセットとを外側から包囲するように配置されているようになっている。特にスラストロッドは、2分割されて、好ましくは、2つの略同じ部分に分割されて構成されていることができる。意想外なことに、本発明により、スラストロッドを複数の区間に分割することで構造的な手間あるいはコストが増すにもかかわらず、かつとりわけこれに付随してスラストロッドおよびサーボステアリング構成群全体の弱化が本来は生じてしまうにもかかわらず、それでもサーボステアリング構成群全体としては長寿命性が向上され得ることがわかった。それというのも、有利には、まさに適当に、ステアリング伝動機構の、機械的な負荷に敏感なコンポーネントが、道路側のショックパルスから吸収ユニット内での補償により保護されるからである。
【0020】
代替的または補足的に、さらに有利な形式で、吸収ユニットは、少なくとも部分的に、ステアリング伝動機構を自動車のフレームに取り付ける取り付けアッセンブリ内に組み込まれており、好ましくは、少なくとも部分的に、少なくとも1つの弾性的な要素、特にエラストマーにより形成されており、少なくとも1つの弾性的な要素、特にエラストマーは、さらに好ましくは、少なくとも部分的に、ステアリング伝動機構を自動車のフレームの支持体、特に長手方向支持体に取り付ける取り付けねじのヘッドと、ステアリング伝動機構のマウント側との間に、少なくとも1つの弾性的な要素、特にエラストマーが、組み立てられた状態で取り付けねじの螺入により圧迫されるように配置されているようになっていてもよい。意想外なことに、本発明により、取り付けアッセンブリに吸収ユニットあるいは個々のエラストマーを補足することで構造的な手間あるいはコストが増すにもかかわらず、それでもサーボステアリング構成群全体としては経済性が向上され得ることがわかった。それというのも、有利には、まさに適当に、ステアリング伝動機構の、機械的な負荷に敏感なコンポーネントが、道路側のショックパルスから保護され、ひいてはサーボステアリング構成群の長寿命性が向上されるからである。
【0021】
補足的に、有利には、スペーサスリーブが設けられており、スペーサスリーブは、ステアリング伝動機構のマウント側と、自動車のフレームの支持体、特に長手方向支持体との間に配置されており、取り付けアッセンブリ内に組み込まれた吸収ユニットを形成する弾性的な要素、特にエラストマーは、スペーサスリーブを外側から包囲し、スペーサスリーブは、取り付けねじの軸部を外側から包囲するようになっていてもよい。こうして、ステアリング伝動機構、ひいてはサーボステアリング構成群全体の組み立ては、有利には簡単化され得る。
【0022】
本提案に係るサーボステアリング構成群の別の好ましい一実施の形態によれば、ステアリング伝動機構の出力側に続く、特にステアリング伝動機構の出力側をスラストロッドに結合するステアリングポストレバーが設けられており、吸収ユニットは、少なくとも部分的に、ステアリングポストレバーから、続くボールジョイント、特にスラストロッドに結合されるボールジョイントへの移行部内に組み込まれているようになっている。意想外なことに、本発明により、ステアリングポストレバーからボールジョイントへのあるいは例えば続くスラストロッドへの結合部を変更することで構造的な手間あるいはコストが増すにもかかわらず、かつとりわけこれに付随して揺動可能な結合部およびサーボステアリング構成群全体の弱化が本来は生じてしまうにもかかわらず、それでもサーボステアリング構成群全体としては長寿命性が向上され得ることがわかった。それというのも、有利には、まさに適当に、ステアリング伝動機構の敏感なコンポーネントが、道路側のショックパルスから保護されるからである。
【0023】
補足的に、有利には、ステアリングポストレバーからボールジョイントへの移行部内に組み込まれた吸収ユニットは、弾性的な要素により、特にエラストマーにより形成されており、弾性的な要素は、弾性的な要素が、ボールジョイント、好ましくは、ステアリングポストレバーをスラストロッドに揺動可能に結合するボールジョイントとの、少なくとも形状結合式の結合部を形成するように、ステアリングポストレバーの、ボールジョイント側および特にスラストロッド側の端部に配置されているようになっていてもよい。こうして、衝撃的な運動は、特に効果的に補償され得る。
【0024】
補足的に、有利には、弾性的な要素は、ステアリングポストレバーの、スラストロッド側の端部において、ステアリングポストレバーの端面の、ステアリングポストレバー軸線に関して中心の収容部内に、かつステアリングポストレバーをスラストロッドに結合するボールジョイントの接続片を外側から包囲するように、配置されているようになっていてもよい。道路側のショックパルスは、これにより特に効果的にステアリング伝動機構内への導入前に補償され得る。
【0025】
本提案に係るサーボステアリング構成群の別の好ましい一実施の形態によれば、ステアリング伝動機構の出力側は、少なくとも部分的に出力軸により、特にセクタ軸により形成されており、吸収ユニットは、少なくとも部分的に出力軸内に組み込まれており、さらに好ましくは、吸収ユニットは、少なくとも部分的に、出力軸の内側区間と出力区間との間に配置されるねじりばねにより形成されており、さらに好ましくは、ねじりばねは、ねじりばねが、出力軸の内側区間と出力区間とを形状結合式および/または力結合式に互いに結合し、かつ出力軸の内側区間の回動運動が、ねじりばねを介して出力軸の出力区間に伝達され、その逆もまた然りであるように配置されているようになっている。意想外なことに、本発明により、ステアリング伝動機構の出力軸を2つの区間に分割することで構造的な手間あるいはコストが増すにもかかわらず、かつとりわけこれに付随して出力軸、ひいてはサーボステアリング構成群全体の弱化が本来は生じてしまうにもかかわらず、それでもサーボステアリング構成群全体としては長寿命性が向上され得ることがわかった。それというのも、有利には、まさに適当に、ステアリング伝動機構の敏感なコンポーネントが、道路側のショックパルスから保護されるからである。
【0026】
代替的または補足的に、さらに有利な形式で、ステアリング伝動機構は、スピンドルとして形成される入力軸と、入力軸の回動運動を並進の運動に変換するボール循環ナットとを有し、ボール循環ナットを外側から包囲するように歯列区間が設けられており、吸収ユニットは、ボール循環ナットの並進の運動が、吸収ユニットを介して歯列区間に伝達され、その逆もまた然りであるように配置されており、さらに好ましくは、吸収ユニットは、少なくとも1つの弾性的な要素から、特に少なくとも1つの皿ばねから、かつ/または少なくとも1つのらせんばねから、かつ/または少なくとも1つのエラストマーから形成されているようになっていてもよい。こうして、道路側のショックパルスは、特に有利には、ステアリング伝動機構自体内で効果的に補償され得る。
【0027】
本提案に係るサーボステアリング構成群の別の好ましい一実施の形態によれば、ステアリング伝動機構は、リサーキュレーティングボールステアリングとして形成されており、吸収ユニットは、少なくとも部分的にリサーキュレーティングボールステアリングの液圧系内に組み込まれており、リサーキュレーティングボールステアリングの液圧系は、液圧式のステアリングアシスト用の、ピストンの互いに反対側に位置する側に配置され、互いに仕切られた2つのオイルチャンバを有し、リサーキュレーティングボールステアリングの液圧系内に組み込まれた吸収ユニットは、2つのオイルチャンバを互いに接続する補償要素により、好ましくは弁によりまたはオリフィスにより形成されているようになっている。こうして、道路側のショックパルスは、特に有利には、ステアリング伝動機構自体内で効果的に補償され得る。
【0028】
代替的または補足的に、さらに有利な形式で、ステアリング伝動機構は、スピンドルとして形成される入力軸と、入力軸の回動運動を並進の運動に変換するボール循環ナットとを有し、吸収ユニットは、少なくとも部分的に入力軸の軸方向の弾性的なスピンドル支持部として形成されているようになっていてもよい。こうして、道路側のショックパルスは、特に有利には、ステアリング伝動機構の入力側で効果的に補償され得る。
【0029】
補足的に、有利な形式で、入力軸の軸方向の弾性的なスピンドル支持部として形成される吸収ユニットは、少なくとも1つの弾性的な要素により、特に、少なくとも1つの皿ばねにより形成されており、少なくとも1つの弾性的な要素は、ハウジング内に、入力軸を回転可能に支持する入力軸の軸受アッセンブリに隣接し、入力軸の軸受アッセンブリが、少なくとも1つの弾性的な要素を介して軸方向で弾性的にハウジング内に収容されているように、配置されているようになっていてもよい。「軸方向で弾性的に」とは、特に「入力軸に関して軸方向で」と解すべきである。意想外なことに、本発明により、入力軸の軸受アッセンブリを補足することで構造的な手間あるいはコストが増すにもかかわらず、それでもサーボステアリング構成群全体としては経済性が向上され得ることがわかった。それというのも、有利には、まさに適当に、ステアリング伝動機構の敏感なコンポーネントが、道路側のショックパルスから保護され、ひいては長寿命性が向上されるからである。
【0030】
代替的には、有利な形式で、スピンドルとして形成される入力軸は、複数のパーツから、ボール循環ナット側の少なくとも1つのスピンドル区間と、1つの入力区間とにより形成されており、スピンドル区間と入力区間とは、回転に関して固定に、しかし、入力軸の軸方向の弾性的なスピンドル支持部として、好ましくは、少なくとも1つの弾性的な要素の形態で、特に好ましくは、リングばねの形態で形成される吸収ユニットを介して、軸方向で弾性的に互いに結合されているようになっていてもよい。意想外なことに、本発明により、入力軸を分割することで構造的な手間あるいはコストが増すにもかかわらず、かつとりわけこれに付随して入力軸、ひいてはサーボステアリング構成群全体の弱化が本来は生じてしまうにもかかわらず、それでもサーボステアリング構成群全体としては長寿命性が向上され得ることがわかった。それというのも、有利には、まさに適当に、ステアリング伝動機構の敏感なコンポーネントが、道路側のショックパルスから保護されるからである。
【0031】
本発明のさらなる特徴および利点は、特許請求の範囲と、限定的に解すべきでない本発明の実施例の以下の説明とから看取可能であり、本発明について、以下に図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図2】
図1に示したステアリング伝動機構を有する自動車の概略図である。
【
図3】部分的に本提案に係る別のサーボステアリング構成群を示す図であって、
図3a)は、概略図であり、
図3b)は、本提案に係る吸収ユニットの詳細を含む概略図である。
【
図4】部分的に本提案に係る別のサーボステアリング構成群を示す図であって、
図4a)は、概略図であり、
図4b)は、本提案に係る吸収ユニットの詳細を含む概略図である。
【
図5】部分的に本提案に係る別のサーボステアリング構成群を示す概略図である。
【
図6】部分的に本提案に係る別のサーボステアリング構成群を示す概略図である。
【
図7】部分的に本提案に係るサーボステアリング構成群のステアリング伝動機構を示す断面図である。
【
図8】
図7に示した本提案に係るサーボステアリング構成群のステアリング伝動機構の出力軸あるいは分割式のセクタ軸の斜視図である。
【
図9】部分的に本提案に係るサーボステアリング構成群のステアリング伝動機構を示す図であって、
図9a)は、概略図であり、
図9b)は、
図9a)に示した断面
図B-Bである。
【
図10】部分的に本提案に係るサーボステアリング構成群のステアリング伝動機構を示す図であって、
図10a)は、概略図であり、
図10b)は、
図10a)に示した断面
図A-Aである。
【
図11】部分的に本提案に係る別のサーボステアリング構成群のステアリング伝動機構を示す図であって、
図10a)に示した断面
図A-Aに応じた図である。
【
図12】部分的に本提案に係るサーボステアリング構成群の液圧式のリサーキュレーティングボールステアリングのステアリング伝動機構を示す概略図である。
【
図13】部分的に本提案に係るサーボステアリング構成群のステアリング伝動機構を示す断面図である。
【
図14】本提案に係るサーボステアリング構成群の入力軸を示す図であって、
図14a)は、組み立てられた状態の斜視図であり、
図14b)は、
図14a)に示した方向Bからの正面図であり、
図14c)は、
図14b)に示した断面A-Aに応じた断面図である。
【
図15】
図14a)に示した本提案に係るサーボステアリング構成群の入力軸のすべての個々の部品を組み立てられていない状態で示した図である。
【0033】
図1には、自動車の電気機械式のサーボステアリング用のサーボステアリング構成群を概略的に示してある。サーボステアリング構成群は、ステアリング伝動機構1を備えている。ステアリング伝動機構1を介して、
図1には示さないステアリング発生器、例えばステアリングホイールにより自動車のドライバが実施するステアリング動作が変換される。このために、ステアリング伝動機構1の入力側2を介して、具体的に図示したケースでは、入力軸3を介して、導入される回動運動は、ステアリング伝動機構1の出力側4にさらに導かれる。
【0034】
ステアリング伝動機構1の出力側4では、他方、運動、具体的に図示したケースでは、ステアリング伝動機構1の、セクタ軸5として形成される出力軸6の回動運動が導出される。出力側4で導出されるこの運動、ここに図示したケースでは、回動運動であって、2つの曲がった双方向矢印Iにより略示した運動は、最終的に、ここに図示した、ただし、これに限定するものではない実施例において、サーボステアリング構成群のスラストロッド7により受け入れられ、スラストロッド7は、これにより並進のスラストロッド運動を実施する。スラストロッド7の並進のスラストロッド運動は、
図1に双方向矢印IIにより示したリニア運動であって、最後、自動車の少なくとも1つのホイールが転舵軸回りに回動(
図1には図示せず)し、結果的に自動車が所望のカーブ走行を実施するに至る。
【0035】
出力側4で導出される回動運動(双方向矢印I)を、スラストロッド7の所望の並進のスラストロッド運動(双方向矢印II)に転換すべく、図示のサーボステアリング構成群は、ステアリングポストレバー8と、ボールジョイント9の形態の、ステアリングポストレバー8をスラストロッド7に結合するジョイントとを備えている。
【0036】
一般的なステアリングプロセスを説明するために、以下では、
図1および
図2を参照し、
図2は、自動車10を下から見た概略図を、
図1に示したステアリング伝動機構1を備えるサーボステアリング構成群とともに示している。
【0037】
商用車の形態の自動車10のために、通例、いわゆるリサーキュレーティングボールステアリング(Kugelumlauflenkung、略してKUL)としてのボール循環型ステアリング伝動機構が使用される。このようなアッセンブリのキネマティクスは、商用車にとって特に好都合である。それというのも、商用車は、大抵の場合、リジッドアクスルの形態の前車軸を有しているからである。前車軸のトレーリングアームと、スラストロッドとが、略同じ長さであり、かつ互いに略平行に配置されている場合、トレーリングアームとスラストロッドとは、平行四辺形を形成する。これにより、前車軸のサスペンション収縮運動は、まったく影響しないか、またはほとんど影響しない。ステアリング伝動機構1が、フレーム固定に組み付けられている場合、長さ補償は、ステアリングコラム内で例えば自動車10のフレームとドライバキャビンとの間の相応の相対運動により実施され得る。商用車が、本提案に係るサーボステアリング構成群が特に好適な適用事例であるため、本発明について、以下では、リサーキュレーティングボールステアリングを例にとり説明する。
【0038】
ステアリング伝動機構1は、一部区間がスピンドル11として形成される入力軸3と、スピンドル11の領域内に配置され、外歯列12を有するボール循環ナット13とを有している。外歯列12には、セクタ歯列14が係合している。セクタ歯列14と外歯列12とは、互いに噛み合うように配置されている。セクタ歯列14は、さらに回転に関して固定に、つまり相対回動不能に出力軸6に結合されており、出力軸6は、それゆえセクタ軸5として形成されている。出力軸6には、他方、ステアリングポストレバー8が、回転に関して固定あるいは相対回動不能に結合されており、ステアリングポストレバー8は、他方、既に前述したように、ボールジョイント9を介して可動にスラストロッド7に結合されている。
【0039】
ステアリング伝動機構1内で、ステアリング発生器、具体的にはステアリングホイール15(
図2)の回動は、ステアリングコラムと、例えばステアリングコラムの一部であってもよい入力軸3とを介して、ボール循環スピンドルまたは場合によってはウォームともいうスピンドル11に伝達される。
図1に円運動を略示した矢印IIIにより示したこの回動運動は、ボール循環ナット13により、
図1に双方向矢印IVにより示したボール循環ナット13のリニア運動、ひいてはボール循環ナット13の外歯列12のリニア運動に変換される。
【0040】
外歯列12とセクタ歯列14との歯列ペアを介して、次いで、双方向矢印IVにより示したリニア運動は、出力軸6の既述の、ステアリング伝動機構1の出力側4で導出される、曲がった双方向矢印Iにより示した回動運動に変換される。これにより、リニア運動(双方向矢印IV)は、最終的にステアリングポストレバー8の回動運動(双方向矢印I)にも変換される。ステアリングポストレバー8の端部において、スラストロッド7は、他方、主にリニアに動かされる。スラストロッド7により、
図2から看取可能であるように、結局、ホイールキャリアに取り付けられるステアリングレバー16を介して、操舵すべきホイール17は、転舵軸18回りに旋回され、このことは、
図2に曲がった双方向矢印Vにより略示してある。その際、ホイール17とは反対側に位置する別のホイール19は、ナックルレバー20と、リジッドなタイロッド21とを介してともに操舵され得る。
【0041】
図2には、さらに、互いに平行に配置される2つの長手方向支持体の形態の自動車10のフレーム22を示してある。ステアリング伝動機構1は、
図1および2には示さない取り付けアッセンブリにより自動車10のフレーム22に、例えば、フレーム22の長手方向支持体と、ステアリング伝動機構1のハウジングとが、取り付けねじを介して互いに結合されていることにより、着装可能である。自動車10の走行方向は、
図2に矢印VIにより示してある。
【0042】
ステアリング伝動機構1は、好ましくは、液圧式のサーボアシストを有している。このためにボール循環ナット13は、ステアリング伝動機構1のハウジングに対して封止されている。ボール循環ナット13は、これにより、いわゆる液圧ピストン(あるいは単にピストンともいう)として機能することができる。リサーキュレーティングボールステアリングは、相応に、液圧式のステアリングアシストのために、ピストンの互いに反対側に位置する側で、互いに仕切られた2つのオイルチャンバを有している。ドライバにより入力軸3に加えられるステアリングモーメントを介して、次いで、例えば回転スプール弁により差圧がボール循環ナット13の両側間に形成され得る。この差圧により、ボール循環ナット13の運動が補助され得る。
【0043】
説明するサーボステアリング構成群は、所望のステアリング動作を実現すべく、特にステアリング伝動機構1内に、機械的な負荷に敏感な複数のコンポーネントを備えている。これらのコンポーネントは、とりわけ衝撃的な運動から保護することが重要であって、衝撃的な運動は、例えば振動、最後には望ましくない力が、ホイール17,19を介してステアリング伝動機構1内まで導入されてしまうことから結果として生じることがある。このような力もしくは負荷またはシステム内の応力は、例えば路面凹凸が、ホイール17,19を介して導入されるショックに至るとき、生じてしまうことがある。その点において特に有意義であるのは、ステアリング伝動機構1に向かうこのような道路側のショックパルスを減衰または補償し、ひいてはステアリング伝動機構1のコンポーネントの損傷を防止することである。特にこのような有害なショックは、図示の実施例では、ホイール17,19を介して、次いでスラストロッド7を介して、さらにステアリング伝動機構1まで伝達されてしまうことがあり、これにより、ステアリング伝動機構1の敏感なコンポーネントに損害が生じてしまうことがある。
【0044】
ここで本発明は、有利な形式で対策を講じる。このために重要なのは、サーボステアリング構成群が、道路側の、自動車10のホイール17,19を介して取り込まれるショックを吸収する吸収ユニット23を備えていることである。
【0045】
吸収ユニット23は、この場合、サーボステアリング構成群の様々な箇所あるいは結節点に設けられていることが可能である。吸収ユニット23は、好ましくは、エネルギを吸収する少なくとも1つの要素により形成されており、運動エネルギを位置エネルギに少なくとも部分的に転換すべく構成されている。吸収ユニット23は、このために、好ましくは、サーボステアリング構成群の、吸収ユニット23に隣接するコンポーネントが、互いに対して少なくとも最小の運動を実施することができるように、サーボステアリング構成群内に組み込まれている。このために吸収ユニット23は、好ましくは、弾性的に形成されているか、あるいは隣接するコンポーネントと比較して高められた可撓性を有している。こうして、サーボステアリング構成群内のコンポーネントによる衝撃的な運動は、適当に吸収ユニット23内に受け入れられ、吸収ユニット23により緩衝あるいは補償され得る。適当にこの部材内、つまり吸収ユニット23内で許容される相対運動は、運動エネルギの適当なエネルギ転換、ひいては補償を提供する。こうして、ステアリング伝動機構1内の、機械的な負荷に敏感なコンポーネントが損害を被る危険は、大幅に減少される。
【0046】
道路側の、自動車10のホイール17,19を介して取り込まれるショックを吸収あるいは補償する、本提案に係る吸収ユニット23の一実施変化態様は、
図3に示してある。この場合、
図3a)には、概略的にステアリング伝動機構1を示してあり、ステアリング伝動機構1の出力側4において、ステアリングポストレバー8は、ステアリング伝動機構1の出力側4から導出される回動運動(双方向矢印I)を受け入れ、この回動運動は、次いでボールジョイント9を介してスラストロッド7に、このスラストロッド7が、ホイール17のステアリング動作を規定通り実施するための並進のスラストロッド運動(双方向矢印II)を行うように、引き渡される。
【0047】
道路側の、ホイール17を介して取り込まれるショックを適当に補償すべく、吸収ユニット23は、図示の実施例によれば、特に
図3a)に示したボールジョイント9を拡大詳細図で示した
図3b)に示すように、少なくとも部分的にボールジョイント9内に組み込まれている。このために、エラストマー25の形態の、ボールジョイント9の軸受シェル24の下層に配置される弾性的な要素が設けられており、弾性的な要素は、本提案に係る吸収ユニット23を少なくとも部分的に形成している。
【0048】
ボールジョイント9の軸受シェル24は、ボールジョイント9のボール26を受けている。
図3b)に示したエラストマー25の形態の吸収ユニット23は、軸受シェル24の下層、それゆえ、軸受シェル24の、ボールジョイント9のボール26から背離した側に配置されている。エラストマー25は、この場合、好ましくは、実質的に軸受シェル24の外周を囲繞している。外側では、外側シェル27が、ボールジョイント9のエラストマー25を少なくとも部分的に囲繞している。
【0049】
ここに示した実施例において、吸収ユニット23は、少なくとも部分的にボールジョイント9内に組み込まれており、同じくエラストマー25は、本提案に係る吸収ユニット23を少なくとも部分的に形成している。「少なくとも部分的に」なる表現は、ここでは、本提案に係る吸収ユニット23が、道路側のショックを緩衝することあるいは道路側のショックから結果として生じる負荷あるいはサーボステアリング構成群内の応力を補償することを互いに協働して提供する複数のコンポーネントを有していてもよいことを意味している。本実施例では、しかし、ボールジョイント9内に組み込まれ、かつエラストマー25により形成されている吸収ユニット23は少なくとも、有利な補償の任を負っている。本提案に係るこのサーボステアリング構成群には、以下に示す別の吸収ユニット23がさらに補足されてもよい。別の実施例における「少なくとも部分的に」なる表現も、この意味で解すべきである。
【0050】
図3に示した実施例において、ホイール17を介して取り込まれ、最後にスラストロッド7を介してさらに導かれる道路側のショックは、有利な形式で、ステアリング伝動機構1内に導入される前に、本提案に係る吸収ユニット23により、エラストマー24の形態の弾性的な要素がショックを少なくとも部分的に吸収することにより補償される。
【0051】
しかし、代替的または補足的に、吸収ユニットが、エラストマー24の形態の弾性的な要素により形成されているのではなく、むしろ、弾性的な要素とは別の素材が、吸収ユニット23として使用されることも可能である。而して、金属の素材であって、適当に設定され、サーボステアリング構成群の、この素材を包囲するコンポーネントよりも強い可撓性を有する素材が使用され、こうして適当に、道路側のショックを介してサーボステアリング構成群内に導き入れられる負荷または応力が、このような吸収ユニット23における運動エネルギから位置エネルギへの転換により、より大きな損害がステアリング伝動機構1内に生じてしまうことがある前に、補償されることも可能である。
【0052】
衝撃的なスラストロッド運動は、これにより、ここに示した本提案に係る吸収ユニット23によってエラストマー25により補償あるいは少なくとも部分的に吸収され得る。それゆえ有利な形式で、本提案に係るサーボステアリング構成群では、機械的な負荷に敏感な部材、例えば、歯列およびボール循環スピンドル、特に、敏感なステアリング伝動機構1内の歯列およびボール循環スピンドルにおける損傷が回避され得る。
【0053】
図示の実施例において、エラストマー25は、サーボステアリング構成群の隣接するコンポーネント、ボール26あるいは軸受シェル24、およびボール26あるいは軸受シェル24に結節されるスラストロッド7の形態の、ならびに外側シェル27であって、外側シェル27には、他方、ステアリングポストレバー8が結節されていることができる外側シェル27の形態のコンポーネントが、適当に、少なくとも小さな相対運動を互いに対して実施することができるようにする。このような相対運動により、規定通り吸収ユニット23内で、望ましくない衝撃的な道路側のショックからシステム内に持ち込まれる運動エネルギは、適当に位置エネルギに転換され得る。これにより、サーボステアリング構成群の中枢、すなわち、ステアリング伝動機構1の内部に持ち込まれる運動エネルギの減少と、機械的な負荷に敏感なコンポーネントのより良好な保護とが保証される。
【0054】
本提案に係る吸収ユニット23についての別の一実施例は、
図4に示してある。
図4a)は、
図3a)に示したサーボステアリング構成群に実質的に相当する実施の形態を示している。その点では、
図3a)の説明を参照されたい。相違点は、
図4に示した本例では、吸収ユニット23が、しかし、ボールジョイント9内に組み込まれているのではなく、むしろ、スラストロッド7内に組み込まれている点にある。しかし、本提案に係るサーボステアリング構成群では、2つの吸収ユニット23を設けること、すなわち、
図3に示したようなボールジョイント9内に組み込まれた1つの吸収ユニット23を設け、さらに、以下に説明する、スラストロッド7内に組み込まれた1つの別の吸収ユニット23を設けることも可能である。以下に説明する吸収ユニット23とのさらなる組み合わせも可能である。
【0055】
図4b)の詳細図から、スラストロッド7が2つの区間28および29に分割されていることが看取可能である。より多くの区間に分割することも可能であろう。スラストロッド7内に組み込まれた吸収ユニット23は、エラストマーまたはばねセット30の形態の、スラストロッド7の2つの区間28,29間に配置される弾性的な要素により形成されている。好ましくは、エラストマーまたはばねセット30は、スラストロッド7の2つの区間28,29間の結合部を形成している。衝撃的な運動は、ステアリング伝動機構1内に導入されて、敏感なコンポーネントに損害を引き起こし得る前に、スラストロッド7内に組み込まれた吸収ユニット23により有利な形式で補償され得る。
【0056】
スラストロッド7の2つの区間28,29は、エラストマーまたはばねセット30を介して、2つの区間28,29同士の、スラストロッド軸線に関して軸方向の小さな相対運動が可能であるように結合されていることができる。提案するアッセンブリにより、特に有利な形式で、とりわけ、スラストロッド軸線に対して略平行に方向付けられている力が緩衝される。それゆえ、道路側のショックによりサーボステアリング構成群内に引き起こされる負荷あるいは応力は、有利には、サーボステアリング構成群の並進の側で緩衝され得る。区間28および29の形態の、吸収ユニット23に隣接するコンポーネント同士の相対運動は、吸収ユニット23内で運動エネルギを位置エネルギに適当に転換することを提供する。
【0057】
図示の実施例において、さらにスラストロッドスリーブ31が設けられている。スラストロッドスリーブ31は、この場合、スラストロッド7の2つの区間28,29を少なくとも部分的に、そしてスラストロッド7の2つの区間28,29間に配置されるエラストマーまたはばねセット30を完全に、外側から包囲するように配置されている。有利な形式で、とりわけエラストマーまたはばねセット30は、スラストロッドスリーブ31により保護され得る。
【0058】
スラストロッドスリーブ31は、この場合、例えば2つの区間28,29の一方にのみ結合されていて、それゆえ、2つの区間28,29の他方に対して摺動可能に構成されていてもよい。而して両区間28,29は、軸方向の小さな相対運動を互いに対して実施することができ、この相対運動は、エラストマーまたはばねセット30により緩衝あるいは減衰され、これによりショックは、結果的にステアリング伝動機構1内に導入される前に有利には補償される。スラストロッドスリーブ31は、同じく、両区間28,29のいずれにも直接的には結節されておらず、むしろ、サーボステアリング構成群の別のコンポーネントに取り付けられていてもよい。
【0059】
図4b)で見て右側の縁部に図示するボールジョイント32は、
図2から看取可能であるように、スラストロッド7をステアリングレバー16に揺動可能に結合するために用いられ、ステアリングレバー16を介して、操舵すべきホイール17は、転舵軸18回りに旋回される。
【0060】
図5は、本提案に係る吸収ユニット23の別の一実施の形態を示している。吸収ユニット23は、この場合、ステアリング伝動機構1を自動車10の図示しないフレーム22に取り付ける取り付けアッセンブリ33内に組み込まれている。この場合、取り付けアッセンブリ33内に組み込まれた吸収ユニット23は、少なくとも部分的に、弾性的な要素、ここではエラストマー34の形態の弾性的な要素により形成されている。
【0061】
この場合、少なくとも1つのエラストマー34は、さらに、少なくとも部分的に、取り付けねじ36のヘッド35と、ステアリング伝動機構1のハウジング38のマウント側37との間に、少なくとも1つのエラストマー34が、図示の組み立てられた状態で取り付けねじ36の螺入により圧迫されるように配置されている。これらの要素は、
図5における図面切り取り部Aに基づき、支持体39内に看取可能である。
【0062】
取り付けねじ36により、ステアリング伝動機構1は、自動車10の、
図5には示さないフレーム22の支持体39に、特に長手方向支持体に取り付けられる。支持体39は、通例、自動車10のフレーム22にねじ止めされている。支持体39は、ステアリング伝動機構1を最適に、利用可能な構造スペース内に組み込み、車両フレームに結び付けるために、アダプタとして用いられる。車両タイプに応じて、支持体39は、それゆえ様々に構成されていてもよい。ステアリング伝動機構1を車両フレームに直接取着することも可能であろう。ステアリング伝動機構1は、タイプに応じて取り付けねじ36により支持体39あるいはフレーム22に取り付けられる。通例、取り付けねじ36も複数設けられていて、これらの取り付けねじ36は、さらにすべて揃ってそれぞれ1つのエラストマー34を吸収ユニット23として有していてもよい。
【0063】
さらに取り付けアッセンブリ33内には、スペーサスリーブ40が設けられている。スペーサスリーブ40は、ステアリング伝動機構1のハウジング38のマウント側37と、支持体39との間に配置されている。さらに、取り付けアッセンブリ33内に組み込まれた吸収ユニット23を形成するエラストマー34は、スペーサスリーブ40を外側から包囲し、スペーサスリーブ40は、他方、取り付けねじ36の軸部41を外側から包囲する。而して、有利には、エラストマー34の予め規定された圧迫あるいは予め規定された圧縮が達成され得る。それというのも、スペーサスリーブ40は、予め規定された間隔を予め設定することができ、この予め規定された間隔に達するまでは、取り付けねじ36を、ヘッド35がスペーサスリーブ40に当接するまで螺入させることができるからである。スペーサスリーブ40は、エラストマー34を過度に強く圧潰してしまわないために、取り付けねじ36に対して抵抗を働かせるように構成されている。取り付けねじ36は、スペーサスリーブ40に対して当接するまで、確実に引き付けられる。
【0064】
図5の範囲内で図示し、説明したような吸収ユニット23により、特に、ショックと、ショックから結果として生じる力あるいは負荷は、適当に緩衝あるいは補償され得る。ショックおよび力あるいは負荷は、このような吸収ユニット23なしには、さもなければ実質的に緩衝されることなく取り付けアッセンブリ33を介してステアリング伝動機構1のハウジング38内に、そしてハウジング38を介してステアリング伝動機構1の内部に、機械的な負荷に敏感なコンポーネントへと導入されてしまうであろう。本提案に係るサーボステアリング構成群は、図示の実施の形態では、構成群全体として、1つのエラストマー34あるいは複数のエラストマー34の形態の吸収ユニット23を介して、ある程度弾性的に自動車10のフレーム22に取り付けられているか、あるいはフレーム22に懸架されている。サーボステアリング構成群あるいは特にステアリング伝動機構1は、これにより、道路側のショックの際に従動することができ、これにより、ステアリング伝動機構1内に導入される負荷は、低減され得る。
【0065】
図6には、吸収ユニット23の別の一実施の形態を示してある。図示してあるのは、ステアリング伝動機構1の出力側4をスラストロッド7に結合するステアリングポストレバー8である。ステアリング伝動機構1の出力側4は、具体的に図示したケースでは、セクタ軸5の形態の出力軸6により形成されている。ボールジョイント9は、前で既に説明したように、曲がった双方向矢印Iで示す回動運動を実施可能なステアリングポストレバー8を、並進のスラストロッド運動(双方向矢印II)を実施可能なスラストロッド7に、揺動可能に互いに結合する。
【0066】
図6に示したサーボステアリング構成群の吸収ユニット23は、ステアリングポストレバー8からスラストロッド7への移行部42内に組み込まれている。具体的には、ステアリングポストレバー8からスラストロッド7への移行部42内に組み込まれた吸収ユニット23は、弾性的な要素43により、特にエラストマーにより形成されている。この場合、弾性的な要素43は、弾性的な要素43が、スラストロッド7の揺動可能な結節部に対する、つまりここでは、ステアリングポストレバー8をスラストロッド7に結合するボールジョイント9に対する、少なくとも形状結合式の結合部を形成するように、ステアリングポストレバー8の、スラストロッド7側の端部44に配置されている。
【0067】
弾性的な要素43は、この場合、ステアリングポストレバー8の、スラストロッド7側の端部44に、ステアリングポストレバー8の端面の、ステアリングポストレバー軸線45に関して中心の収容部46内に配置されている。さらに弾性的な要素43は、ステアリングポストレバー8をスラストロッド7に結合するボールジョイント9の接続片47を外側から包囲するように配置されている。
【0068】
図6に示したようなサーボステアリング構成群の吸収ユニット23の実施の形態により、道路側のショックは、有利な形式で、ショックによりスラストロッド7内に導入される力が、ボールジョイント9を介してステアリングポストレバー8にさらに導かれるとき、この力が、この移行部42内に組み込まれた弾性的な要素43により少なくとも部分的に吸収され、こうして緩衝されることにより、効果的に緩衝あるいは補償され得る。弾性的な要素43内での運動エネルギから位置エネルギへの適当な転換が生じる。この場合、弾性的な要素43は、規定通り適当に、サーボステアリング構成群の、弾性的な要素43に直接隣接するコンポーネントとしての、ボールジョイント9の接続片47およびステアリングポストレバー8の形態のコンポーネントの、少なくとも小さな相対運動を許容する。
【0069】
図7および8には、本提案に係るサーボステアリング構成群のための本提案に係る吸収ユニット23の別の一実施の形態を示してある。その際、
図7は、吸収ユニット23と、吸収ユニット23を包囲するコンポーネントとを断面図で示している一方、
図8には、サーボステアリング構成群の相応のステアリング伝動機構1の幾つかのコンポーネントを外部から斜視図で示してあり、吸収ユニット23は、直接的には看取不能である。
【0070】
看取可能であるのは、噛み合うようにセクタ歯列14と係合している外歯列12を有するボール循環ナット13であり、これにより、ボール循環ナット13の並進の運動(
図1における双方向矢印IV参照)は、セクタ歯列14の回動運動(矢印I)に、あるいはこれによりセクタ軸5の形態の出力軸6の回動運動にも変換される。
【0071】
出力軸6あるいはセクタ軸5は、ここでは、分割式のセクタ軸5として構成されている。相応にセクタ軸5は、右側に図示する内側区間48と、左側に図示する出力区間49とを有している。セクタ軸5の内側区間48は、ステアリング伝動機構1の内側に割り当てられており、前述のように、ボール循環ナット13に結節されており、ひいては最後にステアリング伝動機構1の入力側2にも面している。これに対して、セクタ軸5の出力区間49は、ステアリング伝動機構1の出力側4に割り当てられている。出力区間49には、それゆえ規定通り、
図7および8には示さないステアリングポストレバー8の結節が実施される。
【0072】
図7に看取可能な本提案に係る吸収ユニット23は、出力軸6内に組み込まれている。具体的には、吸収ユニット23は、出力軸6の内側区間48と出力区間49との間に配置されるねじりばね50により形成されている。この場合、ねじりばね50は、ねじりばね50が、出力軸6の内側区間48と出力区間49とを形状結合式および/または力結合式に互いに結合するように配置されている。こうして、出力軸6の内側区間48の回動運動は、ねじりばね50を介して出力軸6の出力区間49に伝達され、その逆もまた然りである。その際、ねじりばね50は、その弾性に基づいて規定通り適当に、サーボステアリング構成群の、ねじりばね50の形態の吸収ユニット23に直接隣接するコンポーネントとしての、内側区間48および出力区間49の形態のコンポーネントの、少なくとも小さな相対運動を許容する。具体的には、内側区間48と出力区間49との相対的なねじりが実施可能であり、弾性的に形成される吸収ユニット23は、ねじられる。こうして、ねじりばね50の形態の吸収ユニット23内での、運動エネルギから位置エネルギへの適当な転換が生じ得る。
【0073】
道路側のショックパルスが、ステアリング伝動機構1の敏感なコンポーネントにおける損傷の発生に至らしめる前に、ねじりばね50は、それゆえ、ショックから結果として生じる負荷あるいは応力の適当な緩衝あるいは適当な補償を提供する。負荷あるいは応力は、さもなければ、ステアリングポストレバー8を介してセクタ軸5に、そしてその後、例えばねじりばね50による適当な補償なしには、セクタ歯列14と、ボール循環ナット13の外歯列12との敏感な歯列ペア内に持ち込まれてしまうであろう。
【0074】
ねじりばね50は、ねじりばね50の、互いに反対側に位置する端部のうち、片方の端部でもって、セクタ軸5の内側区間48の中心の、端面の収容部51(右側に図示)内に、そして反対側に位置する端部でもって、セクタ軸5の出力区間49の中心の、端面の収容部52(左側に図示)内に、それぞれ中心に配置されている。この場合、ねじりばね50の中心は、セクタ軸5のセクタ軸軸線53上に配置されている。
【0075】
特に
図8から看取可能であるように、出力軸6のそれぞれ内側区間48と出力区間49との互いに向かい合った端面は、互いに係合するつめ形の結合区間54を有している。分割式のセクタ軸5の、内側区間48および出力区間49の形態の両部分は、つめ形の結合区間54を介して形状結合式に互いに係合している。しかし、その際、周方向に予め規定された遊びが設けられており、その結果、個々のつめ形の区間は、規定通り、組み立て状態では周方向で相互に接触しない。これにより、セクタ軸5の両部分、内側区間48と出力区間49との間の回動運動が、ある程度適当にねじりばね50の形態の吸収ユニット23を介してのみ伝達され、基本状態では、互いに係合するつめ形の結合区間54のつめ形の区間を介して少なくとも直接的には伝達されないことが保証される。それにもかかわらず、つめ形の結合区間54は、同時に、コンポーネント、内側区間48と出力区間49との相互の相対的なねじりも制限する。このことは、ねじりばね50の故障時でさえ、まだ、両部分、内側区間48と出力区間49とにより形成されるセクタ軸5の構造的な一体性が提供されており、ひいては、ステアリング伝動機構1の基本的な機能性も引き続き提供されているという理由からも、特に有利である。
【0076】
図9、10および11には、本提案に係るサーボステアリング構成群の吸収ユニット23の別の実施の形態を示してある。相応の本提案に係るサーボステアリング構成群の、部分的に図示するステアリング伝動機構1は、スピンドル11として形成される入力軸3を有し、さらにボール循環ナット13を有し、入力軸3の回動運動(矢印III)を並進の運動(双方向矢印IV)に変換するラック55も備えている。この並進の運動(双方向矢印IV)を引き渡すために、他方、ラック55は、外側に歯列区間56を有し、歯列区間56は、外歯列12を提供している。歯列区間56あるいは外歯列12は、次いで、ステアリング伝動機構1の出力側4を少なくとも部分的に形成するセクタ軸5と係合しており、歯列区間56あるいは外歯列12の並進の運動(双方向矢印IV)により、他方、セクタ軸5の望ましい回転運動(
図1における双方向矢印I参照)を引き起こす。
【0077】
図9a)および同じく
図10a)には、ステアリング伝動機構1を部分的にそれぞれ概略的に示してある。
図9b)は、
図9a)の断面
図B-Bを示している。
図10b)は、他方、
図10a)の断面
図A-Aを示している。
図11は、別の一実施の形態を示しており、この実施の形態は、同じく
図9a)の線A-Aに応じた断面図で示してある。
【0078】
図9ないし11に示したサーボステアリング構成群の吸収ユニット23は、ボール循環ナット13の並進の運動(双方向矢印IV)が、吸収ユニット23を介して歯列区間56に伝達され、その逆もまた然りであり、つまり、歯列区間56の並進の運動も、吸収ユニット23を介してボール循環ナット13に伝達されるように配置されている。この場合、吸収ユニット23は、少なくとも1つの弾性的な要素から、具体的には、
図9あるいは10に示した実施変化態様では、それぞれ、2つの皿ばね57から、あるいは
図11に示した実施変化態様では、2つのエラストマー58から形成されている。エラストマー、皿ばねまたはらせんばねからなる組み合わせも可能である。
【0079】
ボール循環ナット13の並進の運動(双方向矢印IV)に応じた方向で、両コンポーネント、ボール循環ナット13と、歯列区間56を有するラック55とは、基本的には、互いに対して相対的に可動に構成されている。入力軸3の回動運動(矢印III)に応じた回転方向では、他方、両コンポーネント、ボール循環ナット13と、歯列区間56を有するラック55とは、互いに対して相対回動不能に保持されている。このために嵌合キー59が設けられており、嵌合キー59は、
図10b)に示した実施例にのみ示してある。嵌合キー59により、ボール循環ナット13は、ラック55に対して回り止めされている。
図9b)および10b)には、それぞれ、付加的にリサーキュレーティングボールステアリングのボール60を示してある一方、
図11では、ボール60の明示の図示は省略してある。
【0080】
少なくとも1つの弾性的な要素から形成される吸収ユニット23は、全3つの図示の実施例において、それぞれ、吸収ユニット23に隣接するコンポーネントの相対運動を許容し、吸収ユニット23は、それぞれ、弾性的な圧縮を受け、こうして規定通り、道路側のショックにより引き起こされ得る過度に強いあるいは衝撃的な運動時、運動エネルギを位置エネルギに転換する。これにより、ステアリング伝動機構1の内部を支配し、道路側のショックにより引き起こされる負荷は、有利には補償され得る。
【0081】
ボール循環ナット13は、このために、
図9ないし11の全3つの図示の実施例において、ラック55の中心の、平坦面61を有する孔内に収容され、平坦面61の反対側に位置する側で、カバー62により保持されている。カバー62は、このために、そのヘッド側の環囲した載置面でもって、それぞれ、ラック55の、中心の孔の平坦面61とは反対側に配置されている端面側の端部に当接する。さらに、
図9b)および
図10b)に示した実施例によるカバー62は、それぞれ、軸方向で延在する導入区間を有し、導入区間は、それぞれ、ラック55の中心の孔内に突入する。カバー62は、それぞれ、堅固にラック55に、好ましくは、それぞれ、ラック55の、平坦面61とは反対側に位置する端面側の端部を介して、結合されている。
【0082】
具体的には、左方へのボール循環ナット13の衝撃的なリニアな運動時、
図9b)あるいは
図10b)に示した実施例では、まず、それぞれ、左側の皿ばね57が圧縮される一方、
図11に示した実施例では、まず、左側に図示したエラストマー58が圧縮され、これにより、それぞれ適当に所望の補償が達成される。反対に、右方へのそれぞれのボール循環ナット13の衝撃的な運動時、右側の皿ばね57あるいは右側のエラストマー58が圧縮される。
【0083】
このような衝撃的な運動は、ラック55もしくは歯列区間56またはセクタ軸6に関しては、以下のように補償される:つまり、左方へのこれらのコンポーネントの衝撃的な変位は、
図9b)および
図10b)に示した実施例では、まず結果として、ラック55に堅固に結合されるそれぞれのカバー62が、左方への運動を実施することを伴う。左方へのこの運動は、他方、カバー62のそれぞれの軸方向区間が、力をそれぞれのボール循環ナット13に及ぼす前に、まず、右側の皿ばね57を圧縮するに至る。他方、逆方向で、ラック55が右方へ突然の運動を実施するとき、相応の負荷がそれぞれのボール循環ナット13に引き渡される前に、まず、それぞれの平坦面61に隣接する左側の皿ばね57が圧縮される。
【0084】
図11に示した実施例では、他方、左方へのラック55の衝撃的な運動は、この運動が、隣接するリング要素63を介してボール循環ナット13に伝達される前に、右のエラストマー58がまず圧縮されるに至る。他方、逆方向では、右方へのラック55の衝撃的な運動時、この運動がリング要素63を介してボール循環ナットに引き渡される前に、まず、カバー62が右方に動かされ、これにより、隣接する左側のエラストマー58が圧縮される。
【0085】
図9ないし11の図示の実施例は、ボール循環ナット13の並進の運動(双方向矢印IV)が、吸収ユニット23を介してラック55の歯列区間56に伝達され、その逆もまた然りであるように、吸収ユニット23が配置されている点で共通している。
【0086】
ラック55のこの歯列区間56は、他方、ステアリング伝動機構1の出力側4を少なくとも部分的に形成するセクタ軸5と係合している。さらにラック55は、内側に位置するボール循環ナット13に対して別体の部材を形成している。吸収ユニット23は、最終的にそれぞれのボール循環ナット13と歯列区間56との間の接続箇所を形成し、歯列区間56は、セクタ軸6との歯列ペアのための外歯列12の機能を担っている。
【0087】
図9ないし11の説明する吸収ユニット23を介して、サーボステアリング構成群の隣接するコンポーネントの少なくとも小さな相対運動が可能であり、この相対運動は、他方、吸収ユニット23内で運動エネルギを位置エネルギに適当に転換することによる道路側のショックの所望の補償を提供する。
【0088】
図9b)および
図10b)の実施の形態において、ボール循環ナット13は、摺動可能に皿ばね57間に付勢されてラック55内に存在し、具体的には、ラック55の中心の孔内に配置されている。付勢は、この場合、ボール循環ナット13の長さと、皿ばね57の皿ばねスタックの高さと、カバー62のそれぞれの軸方向区間の長さとに依存している。並進の力の流れは、皿ばね57を介して交互に、具体的には、ラック55の孔内の平坦面61に対して、かつカバー62の軸方向区間の小さな平坦面の、対向して位置する側で支持されて実施される。
【0089】
図12には、本提案に係るサーボステアリング構成群の吸収ユニット23の別の一実施の形態を示してある。本実施例において、本提案に係るサーボステアリング構成群は、リサーキュレーティングボールステアリングを備え、リサーキュレーティングボールステアリングは、
図12には概略的にのみ示してある。つまり、
図12は、概略的に、セクタ軸5として形成される出力軸6の形態のステアリング伝動機構1の出力側4と、ステアリング伝動機構1の入力側2を形成し、スピンドル11として形成されている入力軸3とを示している。入力軸3の回動運動時、液圧ピストンまたはピストンの形態で存在するボール循環ナット13は、並進運動する。
【0090】
液圧式のステアリングアシストのために、液圧系がリサーキュレーティングボールステアリング内に設けられている。この場合、リサーキュレーティングボールステアリングの液圧系は、液圧式のステアリングアシスト用の、ピストンあるいはボール循環ナット13の、互いに反対側に位置する側に配置され、互いに仕切られた2つのオイルチャンバ64および65を有している。
【0091】
本提案に係る吸収ユニット23は、少なくとも部分的にリサーキュレーティングボールステアリングの液圧系内に組み込まれている。吸収ユニット23は、この場合、2つのオイルチャンバ64,65を互いに接続する補償要素66により、例えば弁によりまたはオリフィスにより形成されている。
【0092】
図13、14および15には、本提案に係るサーボステアリング構成群の吸収ユニット23の別の実施の形態を示してある。図示の実施例において、ステアリング伝動機構1は、スピンドル11として形成される入力軸3と、入力軸3の回動運動(矢印III)を並進の運動(双方向矢印IV)に変換するボール循環ナット13とを有している。本提案により、吸収ユニット23は、この場合、少なくとも部分的に入力軸3の軸方向の弾性的なスピンドル支持部として形成されている。
【0093】
図13に示した実施例において、入力軸3の軸方向の弾性的なスピンドル支持部として形成される吸収ユニット23は、少なくとも1つの弾性的な要素により、具体的には皿ばね67と皿ばね68とにより形成されている。この場合、皿ばね67および68は、ハウジング70内に、入力軸3を回転可能に支持する入力軸3の軸受アッセンブリに、具体的には複列のアンギュラコンタクト玉軸受69に隣接し、入力軸3の軸受アッセンブリが、皿ばねを介して軸方向で弾性的にハウジング70内に収容されているように配置されている。
【0094】
両皿ばね67,68の形態の図示の吸収ユニット23により、例えばセクタ歯列14を有するセクタ軸6を介して導入されることがある道路側のショックは、適当に補償され得る。而して入力軸3とともに(矢印III)、入力軸3を囲繞するスリーブと、アンギュラコンタクト玉軸受69の内レースとは、回転する。アンギュラコンタクト玉軸受69の外レースは、他方、ステアリング伝動機構のハウジング70内に回転に関して固定に、しかし、軸方向では摺動可能に配置されている。皿ばね67,68の形態の吸収ユニット23は、他方、両側で、つまり皿ばね67が左側、皿ばね68が右側で、軸受69の外レースにあてがわれている。これにより、スピンドル側のショック時、減衰された軸方向の運動が行われる。それというのも、左方への入力軸3の衝撃的な運動時には、皿ばね67が圧縮され、右方への入力軸3の衝撃的な運動時には、皿ばね68が圧縮されるからである。皿ばね67,68の内側直径は、スリーブあるいは入力軸3の直径より大きい。図示の吸収ユニット23により、それゆえ再び適当に、サーボステアリング構成群の隣接するコンポーネントの小さな相対運動が許容され、この相対運動は、他方、運動エネルギから位置エネルギへの適当な転換を提供し、ひいては道路側のショックの補償も提供する。
【0095】
図14および15に示した実施例において、スピンドル11として形成される入力軸3は、複数のパーツから、ボール循環ナット13側の少なくとも1つのスピンドル区間71と、1つの入力区間72とにより形成されている。
図14a)には、組み立てられた状態の入力軸3を斜視図で示してある一方、
図14b)は、相応の入力軸3を
図14a)に示した矢印Bで見た正面図で示している。
図14c)には、入力軸3を次いで、
図14b)に示した断面A-Aに応じた縦断面図で示してある。
図15は、他方、同じ入力軸3を、しかし、組み立てられていない状態で、つまり、すべての個々のコンポーネントに分解された状態で示している。
【0096】
入力軸3のスピンドル区間71と入力区間72とは、回転に関して固定に互いに結合されている。しかし、スピンドル区間71および入力区間72も、入力軸3の軸方向の弾性的なスピンドル支持部として形成される吸収ユニット23を介して、軸方向で弾性的に互いに結合されている。この場合、軸方向の弾性的なスピンドル支持部は、弾性的な要素により、具体的にはこの場合、リングばね73により形成されている。
【0097】
リングばね73は、このためにスピンドル区間71と入力区間72との間に配置されている。具体的には、リングばね73は、スピンドル区間71の、入力区間72側の端部75に設けられた中心の収容部74内に収容されている。収容部74の底から背離した側で、リングばね73は、結合スラストロッド77の一方の端面76にあてがわれている。この結合スラストロッド77は、同じく大部分がスピンドル区間71の収容部74内に収容されているが、結合スラストロッド77の、入力軸3の入力区間72側の端部78は、収容部74、ひいてはスピンドル区間71の端部75から突出している。
【0098】
結合スラストロッド77は、入力軸3の入力区間72とのスピンドル区間71の相対回動不能な結合を提供する。結合スラストロッド77は、このために、説明したように、それぞれ、片やスピンドル区間71の収容部74内に、片や入力区間72の収容部79内に収容されており、それぞれのコンポーネントに回転に関して固定に互いに結合されている。このために、一方では、スピンドル側の結合ピン80が設けられており、結合ピン80は、組み立てられた状態で、スピンドル区間71内に設けられた長穴81と、結合スラストロッド77内に設けられたスピンドル側の貫通孔82とを通して延在している。長穴81は、このために同じく貫通孔として形成されている。長穴81とスピンドル側の貫通孔82とは、このために組み立てられた状態で互いに一致させられている。長穴81は、スピンドル側の貫通孔82より大きな、入力軸3の軸線に関して軸方向の延在長さを有している。
【0099】
結合スラストロッド77は、他方、入力区間72側に、入力側の貫通孔83を有している。さらに入力軸3の入力区間72も、貫通孔84を有し、貫通孔84は、組み立てられた状態で入力側の貫通孔83と一致させられている。入力側の結合ピン85は、他方、組み立てられた状態で貫通孔84と、入力側の貫通孔83とを通して延在し、その結果、入力区間72と結合スラストロッド77とは、回転に関して固定に互いに結合されている。さらに入力区間72と結合スラストロッド77とは、軸方向に関しても固定に互いに結合されている。それというのも、貫通孔84も、入力側の貫通孔83も、実質的に同じ直径を有し、入力側の結合ピン85が、他方、両コンポーネントを、軸方向で見ても形状結合式に互いに結合しているからである。
【0100】
説明するアッセンブリにより、入力区間72とスピンドル区間71とは、コンポーネント、スピンドル側の結合ピン80と、入力側の結合ピン85と、結合スラストロッド77とにより回転に関して固定に互いに結合されている。この場合、両コンポーネントの、向かい合った両端部間、つまり、スピンドル区間71の、入力区間72側の端部75と、入力区間72の、スピンドル区間71側の端部86との間には、スピンドル区間71と入力区間72との間の比較的小さな軸方向の相対運動のための十分な運動遊び空間が存在している。スピンドル側の結合ピン80が、軸方向の遊び空間を伴ってスピンドル区間71の長穴81内に収容されていることによっても、結合スラストロッド77は、軸方向でスピンドル区間71に対して相対的に動くことができる。
【0101】
このような小さな軸方向の相対運動は、規定通り、道路側のショックパルスが減衰あるいは補償され得ることに利用される。このために、最終的にリングばね73の形態の吸収ユニット23が用いられ、リングばね73は、結合スラストロッド77の端面76に当接するようにスピンドル区間71の収容部74内に配置されている。吸収ユニット23により受け入れられる相対運動により、規定通り運動エネルギが位置エネルギに転換され、したがって道路側のショックは補償される。
【0102】
さらに、外側に配置される保護スリーブ87が設けられており、保護スリーブ87は、同じくスピンドル側の貫通孔88と、入力側の貫通孔89とを有している。スピンドル側の貫通孔88は、結合スラストロッド77のスピンドル側の貫通孔88と、スピンドル区間71内に設けられた長穴81とに一致させられている。さらにスピンドル側の結合ピン80は、保護スリーブ87のスピンドル側の貫通孔88も通して延在している。入力側の貫通孔89は、他方、結合スラストロッド77の入力側の貫通孔83と、入力区間72内に設けられた貫通孔84とに一致させられている。さらに入力側の結合ピン85は、保護スリーブ87のスピンドル側の貫通孔89も通して延在している。
【0103】
保護スリーブは、これにより、特に結合スラストロッド77を外側から包囲し、さらに、スピンドル区間71と入力区間72との間の軸方向の自由空間を包囲している。さらに保護スリーブは、入力軸3の、互いに分けて構成される両コンポーネント、すなわち、スピンドル区間71と入力区間72との外側の案内を提供する。
【0104】
最後に、さらに、結合スラストロッド77を部分的に外側から包囲するねじ山ブシュ90と、リングばね91の別のセットとが設けられており、リングばね91は、軸方向で見てねじ山ブシュ90に続くように配置されている。リングばね91も、道路側のショックの補償用の有利な吸収ユニット23の付加的な構成部分を形成する。
【0105】
而して、有利な形式で、図示の実施の形態による本提案に係るサーボステアリング構成群では、道路側のショックは、以下のように補償される:入力軸3の入力区間72は、その位置に軸方向および半径方向で支持されている。スピンドル11に作用するショックは、リングばね73あるいは91のセットにより減衰あるいは補償される。すなわち、スピンドル11が入力区間72に向かって右方に動くときは、リングばね73の左側のセットが押し潰される。反対に、左方への入力区間72の運動時は、リングばね91の右側のセットが押し潰される。リングばね91のこのセットは、ねじ山ブシュ90と、結合スラストロッド77であって、他方、堅固に入力軸3の入力区間72に結合されている結合スラストロッド77とに支持される。
【符号の説明】
【0106】
1 ステアリング伝動機構
2 (ステアリング伝動機構1の)入力側
3 入力軸
4 (ステアリング伝動機構1の)出力側
5 セクタ軸
6 出力軸
7 スラストロッド
8 ステアリングポストレバー
9 ボールジョイント
10 自動車
11 スピンドル
12 (ボール循環ナット13の)外歯列
13 ボール循環ナット
14 (セクタ軸5の)セクタ歯列
15 ステアリングホイール
16 ステアリングレバー
17,19 (自動車10の)ホイール
18 転舵軸
20 ナックルレバー
21 タイロッド
22 (自動車10の)フレーム
23 吸収ユニット
24 (ボールジョイント9の)軸受シェル
25 エラストマー
26 (ボールジョイント9の)ボール
27 (ボールジョイント9の)外側シェル
28,29 (スラストロッド7の)区間
30 エラストマーあるいはばねセット
31 スラストロッドスリーブ
32 ボールジョイント
33 取り付けアッセンブリ
34 エラストマー
35 (取り付けねじ36の)ヘッド
36 取り付けねじ
37 (ステアリング伝動機構1のハウジング38の)マウント側
38 (ステアリング伝動機構1の)ハウジング
39 支持体
40 スペーサスリーブ
41 (取り付けねじ36の)軸部
42 (ステアリングポストレバー8からスラストロッド7への)移行部
43 弾性的な要素(エラストマー)
44 ステアリングポストレバー8の端部(スラストロッド7側)
45 ステアリングポストレバー軸線
46 (ステアリングポストレバー8の)中心の収容部
47 (ボールジョイント9の)接続片
48 (出力軸6の)内側区間
49 (出力軸6の)出力区間
50 ねじりばね
51 (セクタ軸5の内側区間48の)中心の、端面の収容部
52 (セクタ軸5の出力区間49の)中心の、端面の収容部
53 セクタ軸軸線
54 (出力軸6の内側区間48および出力区間49の)つめ形の結合区間
55 ラック
56 歯列区間
57 皿ばね
58 エラストマー
59 嵌合キー
60 ボール
61 (ラック55内に設けられた中心の孔の)平坦面
62 カバー
63 リング要素
64,65 オイルチャンバ
66 補償要素(2つのオイルチャンバ64,65を互いに接続する;弁またはオリフィス)
67,68 皿ばね
69 アンギュラコンタクト玉軸受(複列)
70 (ステアリング伝動機構の)ハウジング
71 (入力軸3の)スピンドル区間
72 (入力軸3の)入力区間
73 リングばね
74 (スピンドル区間71の)収容部
75 スピンドル区間71の端部(入力区間72側)
76 (結合スラストロッド77の)端面
77 結合スラストロッド
78 結合スラストロッド77の端部(入力区間72側)
79 (入力区間72の)収容部
80 スピンドル側の結合ピン
81 (スピンドル区間71の)長穴
82 (結合スラストロッド77)のスピンドル側の貫通孔
83 (結合スラストロッド77の)入力側の貫通孔
84 (入力区間72の)貫通孔
85 入力側の結合ピン
86 入力区間72の端部(スピンドル区間71側)
87 保護スリーブ
88 (保護スリーブの)スピンドル側の貫通孔
89 (保護スリーブの)入力側の貫通孔
90 ねじ山ブシュ
91 リングばね
【国際調査報告】