(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-10
(54)【発明の名称】ティシュペーパー製造用クレセントフォーマー
(51)【国際特許分類】
D21F 9/00 20060101AFI20230803BHJP
【FI】
D21F9/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515047
(86)(22)【出願日】2021-08-27
(85)【翻訳文提出日】2023-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2021073695
(87)【国際公開番号】W WO2022048993
(87)【国際公開日】2022-03-10
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513102187
【氏名又は名称】バルメット、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】VALMET AKTIEBOLAG
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】カール、アダムソン
(72)【発明者】
【氏名】ステファン、セーデルバリ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン、カールソン
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055CE01
4L055CE36
4L055CE45
4L055CE71
4L055CE78
4L055GA29
(57)【要約】
本発明は、ティシュペーパーを製造するためのクレセントフォーマーに関し、フォーマーは、成形セクション(A)と、プレスセクション(B)と、乾燥セクション(C)とを備え、クレセントフォーマーは、原料を成形セクション(A)の成形ニップ(15)からプレスセクション(B)のプレスニップ(22)へ搬送するためのフェルト生地(41)を更に備え、フェルト生地(41)は、原料が乾燥セクション(C)に移されるプレスニップ(22)に対して原料を搬送するように構成され、更に、フェルト生地(41)は、フェルト生地(41)が無端ループを形成するように戻しセクション(D)においてプレスニップ(22)から成形ニップ(15)へ戻されるように構成され、戻しセクション(D)が洗浄ステーション(42)を備え、洗浄ステーションの少なくとも一部が成形ロール(12)の中心線(R)に対してマイナスマシン方向(-MD)に配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ティシュペーパーを製造するためのクレセントフォーマーであって、フォーマーは、成形セクション(A)と、プレスセクション(B)と、乾燥セクション(C)とを備え、前記成形セクション(A)は、
-ブレストロール(13)及び成形ロール(12)と、
-成形ワイヤ(14)と、
-前記ブレストロール(13)と前記成形ロール(12)との間に形成される成形ニップ(15)に原料を注入するためのヘッドボックス(11)と、
を備え、
前記プレスセクション(B)は、
-プレスロール(21)
を備え、
前記乾燥セクション(C)は、
-前記プレスセクション(B)の前記プレスロール(21)と共にプレスニップ(22)を形成するように配置されるヤンキーロール(31)であって、前記プレスニップ(22)が前記成形ニップ(15)からプラスマシン(MD)方向に配置される、ヤンキーロール(31)、
を備え、
前記クレセントフォーマーは、前記成形ニップ(15)から前記プレスニップ(22)に前記原料を搬送するためのフェルト生地(41)を更に備え、前記フェルト生地(41)は、前記ヘッドボックス(11)から原料を受けて前記成形ニップ(15)で前記成形ワイヤ(14)に押し付けられるように構成され、前記フェルト生地(41)は、前記成形ニップ(15)の後で前記成形ワイヤ(14)から分離されるとともに、前記プレスニップ(22)に前記原料を搬送し、前記プレスニップにおいて前記原料が前記ヤンキーロール(31)に移送されるように更に構成され、
更に、前記フェルト生地(41)は、前記フェルト生地(41)が無端ループを形成するように、戻しセクション(D)において前記プレスニップ(22)から前記成形ニップ(15)に戻されるように構成され、
前記戻しセクション(D)が洗浄ステーション(42)を備え、前記洗浄ステーション(42)の少なくとも一部が前記成形ロール(12)の中心線(R)に対してマイナスマシン方向(-MD)に配置されることを特徴とし、前記マイナスマシン方向(-MD)が前記プラスマシン方向(MD)とは反対の方向である、
クレセントフォーマー。
【請求項2】
前記フェルト生地(41)は、前記プレスニップ(22)から前記成形ニップ(15)に戻るときに、前記戻しセクション(D)において前記フォーマーの上側レベル(66)で前記成形ロール(12)の上方を通過するように配置される、請求項1に記載のフォーマー。
【請求項3】
前記戻しセクション(D)がストレッチャステーション(49)も備え、前記ストレッチャステーション(49)は、前記成形セクション(A)の前記成形ロール(12)の中心線(R)に対して前記マイナスマシン方向(-MD)に配置される、請求項1又は2に記載のフォーマー。
【請求項4】
前記洗浄ステーション(42)から水を収集するためのトレイ(64)を更に備え、前記トレイ(64)は、前記洗浄ステーション(42)の一部の下方であるが、前記成形ロール(12)の上方に配置される、請求項3に記載のフォーマー。
【請求項5】
前記フェルト生地(41)を前記プレスニップ(22)から前記洗浄ステーション(42)に導くための第1のリードロール(61)を更に備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のフォーマー。
【請求項6】
前記フェルト生地(41)を前記第1のリードロール(61)から前記洗浄ステーション(42)に向けて導くための第2のリードロール(62)を更に備え、前記第1のリードロール(61)が好ましくは前記フェルト生地(41)のペーパー側と接触し、前記第2のリードロール(62)が好ましくは前記フェルト生地(41)の裏側と接触する、請求項4に記載のフォーマー。
【請求項7】
洗浄液が前記洗浄ステーション(42)から漏れるのを防止するために前記洗浄ステーション(42)を少なくとも部分的に取り囲むように配置されるカバー(63)を更に備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のフォーマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティシュペーパーを製造するためのクレセントフォーマーであって、成形セクションと、プレスセクションと、乾燥セクションとを備えるクレセントフォーマーに関する。
【背景技術】
【0002】
クレセントフォーマー(crescent former)は、ティシュペーパーを製造するために一般的に使用され、成形セクション、プレスセクション及び乾燥セクションを一般に備える。成形セクションでは、高い水分含有量を伴う原料が、成形ニップにおいて成形生地に加えられて、プレスニップに搬送され、プレスニップにおいて、原料は乾燥セクションに移送される。乾燥セクションは、原料を乾燥させてティシュペーパーを製造するためのヤンキーシリンダを一般に備える。
【0003】
クレセントフォーマーは効率的で信頼性があるが、このようにしてティシュペーパーを製造するには多くのスペースが必要であり、これは、既存のクレセントフォーマーに新たな構成要素を後付けする場合に又は古いフォーマーを新しいものに交換する場合に特に面倒である。ペーパーを製造するためのプロセスの複雑さに起因して、クレセントフォーマーの機能又は設計を変更すると同時に、製造されたティシュペーパーの動作安定性及び所望の品質を維持することは容易ではない。現在、大幅に省スペースの解決策を可能にする従来技術の解決策はない。
【0004】
したがって、この分野内では更なる開発が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、前述の問題を排除すること又は少なくとも最小限に抑えることである。これは、添付の独立請求項に係るクレセントフォーマーによって達成される。
【0006】
本発明に係るクレセントフォーマーは、成形セクションと、プレスセクションと、乾燥セクションとを備え、成形セクションは、ブレストロール及び成形ロールと、成形ワイヤと、ブレストロールと成形ロールとの間に形成される成形ニップに原料を注入するためのヘッドボックスとを備える。プレスセクションはプレスロールを備え、乾燥セクションは、プレスセクションのプレスロールと共にプレスニップを形成するように配置されるヤンキーロールを備え、プレスニップは、成形ニップからプラスマシン方向に配置される。更に、クレセントフォーマーは、成形ニップからプレスニップに原料を搬送するためのフェルト生地を備え、フェルト生地は、ヘッドボックスから原料を受けるとともに、成形ニップにおいて成形ワイヤに押し付けられるように構成される。フェルト生地は、成形ニップの後で成形ワイヤから分離され、プレスニップに原料を搬送し、プレスニップにおいて原料がヤンキーロールに移送されるように更に構成される。また、フェルト生地は、フェルト生地が無端ループを形成するように、戻しセクションにおいてプレスニップから成形ニップに戻されるように構成され、戻しセクションは、洗浄ステーションの少なくとも一部が成形ロールの中心線に対してマイナスマシン方向に配置されるように洗浄ステーションを備え、前記マイナスマシン方向がプラスマシン方向とは反対の方向である。
【0007】
洗浄ステーションの少なくとも一部が成形ロールの中心に対してマイナスマシン方向に配置されるようにクレセントフォーマーを構成することによって、著しくよりコンパクトなクレセントフォーマーが達成される。これにより、クレセントフォーマーの全長を短くすることができ、必要とされる空間がより小さいため、著しく費用効率の高いクレセントフォーマーが得られる。しかしながら、クレセントフォーマーの動作は、従来技術のフォーマーと同様に依然として効率的で信頼性があり、その結果、本発明は、完成したティシュペーパーの生産速度を低下させたり、品質を低下させたりするリスクがない。
【0008】
適切には、フェルト生地は、プレスニップから成形ニップに戻るときに、戻しセクションにおいてフォーマーの上側レベルでブレストロール及びヘッドボックス上方を通過するように配置される。これにより、洗浄ステーションを成形セクションの上方に配置することができ、洗浄ステーションへのフェルト生地の搬送が容易になる。
【0009】
また、戻しセクションがストレッチャステーションを備えてもよく、前記ストレッチャステーションは、成形セクションの成形ロールの中心線に対してマイナスマシン方向に配置される。これにより、クレセントフォーマーの全長を更に短くすることができ、ストレッチャステーションと洗浄ステーションの少なくとも一部との組み合わせを達成することができ、それにより、更にコンパクトで効率的なクレセントフォーマーをもたらすことができる。
【0010】
適切には、クレセントフォーマーは、ストレッチャステーションから水を収集するためのトレイも備え、前記トレイは、ストレッチャステーションの下方であるが成形ロールの上方に配置される。これにより、フェルト生地から除去される液体や繊維が、クレセントフォーマーの他の部分に行き渡ることを防止できる。より詳細には、成形ワイヤを清浄に保つことができ且つ成形セクション内の原料への汚染を防止できるように、成形ワイヤをそのような液体及び繊維から保護することができる。これは、そのような汚染に起因する仕上がったティシュペーパーの染み又は筋を防止するのに特に有利であり、それにより、最終製品の高品質が達成され得る。
【0011】
また、クレセントフォーマーは、プレスニップから洗浄ステーションに向かってフェルト生地を導くための第1のリードロールを備えることもできる。これにより、フェルト生地は、プレスニップから洗浄ステーションへの途中でプレスセクション、成形セクション、又は乾燥セクションに接触することなく、成形セクションの上方に進んで洗浄ステーションに到達するように導かれ得る。適切には、クレセントフォーマーフォーマは、第1のリードロールから洗浄ステーションに向かってフェルト生地を導くための第2のリードロールも備え、第1のリードロールは、フェルト生地のペーパー側と接触し、第2のリードロールはフェルト生地の裏側と接触する。これにより、プレスニップから洗浄ステーションへのフェルト生地の案内が更に改善され、それにより、フェルト生地は、クレセントフォーマーの任意の他の部分と望ましくない接触をする危険を冒すことなく効率的に輸送される。
【0012】
更に、クレセントフォーマーは、洗浄液が洗浄器から漏れるのを防止するために洗浄ステーションを少なくとも部分的に取り囲むように配置されるカバーを適切に備える。これは、洗浄中にフェルト生地から除去される液体及び繊維が、クレセントフォーマーの他の部分と接触するとともに、クレセントフォーマーが配置される空間の床又は他の部分に行き渡るのを防止するのに有利である。これは、損傷を防止し、クレセントフォーマーの周り又はその近くで作業する人員の事故のリスクを低減するのに役立つ。
【0013】
本発明の多くの更なる利益及び利点は、以下の詳細な説明を考慮して当業者により容易に理解され得る。
【0014】
ここで、添付図面を参照して本発明を更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】側方から見た従来技術に係るクレセントフォーマーを開示する。
【
図2】側方から見た本発明に係るクレセントフォーマーを開示する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
全ての図は概略図であり、必ずしも原寸に比例しておらず、一般に、それぞれの実施形態を解明するために必要な部分のみを示すが、他の部分は省略される場合があり又は示唆されるにすぎない場合がある。複数の図面に現れる任意の参照番号は、別段示唆されなければ、図面全体を通して同じ物体又は特徴を指す。
【0017】
以下では、
図1に関連して従来技術に係るクレセントフォーマー1’を説明し、続いて、
図2に関連して本発明の好ましい実施形態に係るクレセントフォーマーを説明する。これは、本発明及び最新技術に対する本発明の貢献を明確に区別するのに役立ち、本発明の構成要素が従来技術の構成要素と同様である場合、それらの構成要素は、従来技術をプライム記号によって区別する同様の参照番号によって示される。
【0018】
用語「前(before)」及び「後(after)」が本明細書で使用される場合、これは、クレセントフォーマー1、1’の可動部分に関して、それぞれ上流側及び下流側として解釈されるべきである。クレセントフォーマー1、1’でティシュペーパーが製造される場合、このことは、ウェブの所定の部分が「後に」見える別の部分に到達する前に通過するティシュペーパーの製造の部分を「前」が指すこと、すなわち、ウェブの移動を考慮して他の何かよりも上流側にある何かを「前」が指すことを意味する。成形ワイヤ又はフェルト生地などの生地の場合、「前」は、生地上の所定のポイントが第1の時点で位置されるポイントを指し、「後」は、生地上の同じポイントが第2の時点で位置されるポイントを指し、第2の時点は、第1の時点の後であるが、生地が完全な回転を完了して再び第1の時点にあったポイントに到達する前である。クレセントフォーマーの場合、このことは、フェルト生地が成形セクションの後であるが戻しセクションの前でプレスセクションを通過することを意味する。
【0019】
したがって、
図1は、原料をヘッドボックス11’から成形ニップ15’内に注入してウェブを形成するとともに、ウェブをフェルト生地とも呼ばれる第1の生地41’上を成形セクションAからプレスセクションBに通過させ、プレスセクションで原料をプレスニップ22’において乾燥セクションCのヤンキーロール31’に移送することによってティシュペーパーが製造される、従来技術に係るクレセントフォーマー1’を開示する。ヤンキーロールは、ヤンキーシリンダ又はヤンキードライヤーと呼ばれることもある。ウェブ又はティシュペーパー51’は、クレーピングブレード32’によってヤンキーロール31’から除去された後、リール52’に巻き取られて完成品を形成する前に、乾燥エンドセクションEにおいて更なる処理ステップ51’を経て進むことができる。
【0020】
従来技術のクレセントフォーマー1’において、ウェブは、水と繊維との混合物を含む原料がヘッドボックス11’から高速で排出されるとともに排出された原料をフェルト生地41’と第2の生地14’又は成形ワイヤ14’との間で捕捉することによって成形ニップ15’において形成される。成形ワイヤ14’は、成形セクションAにおいて無端ループを形成する。成形ニップ15’は、成形ロール12’とブレストロール13’との間に形成され、成形ワイヤ14’は、成形ニップ15’の後でフェルト生地41’から分離され、成形ニップ15’に戻る前に洗浄される。
【0021】
プレスセクションBにおいて、フェルト生地41’は、一連のリードロール23’によってプレスニップ22’に導かれ、また、プレスニップ22’自体は、プレスロール21’及び乾燥セクションCのヤンキーシリンダ31’によって形成される。
【0022】
フェルト生地41’は、成形セクションAの成形ニップ15’からプレスセクションBのプレスニップ21’まで、及び戻しセクションDを通って成形ニップ15’に戻る無端ループを形成する。戻しセクションDにおいて、フェルト生地41’は、フェルトストレッチャロール43’と、フェルト生地41’とフェルトストレッチャロール43’との間に形成される洗浄ニップ46’に洗浄流体を噴射する洗浄シャワー44’とを備える洗浄ステーション42’で洗浄される。洗浄流体がフェルト生地41’に押し込まれるフェルトストレッチャロール43’に続いて、高圧水洗浄シャワー47’がフェルト生地41’のペーパー側に洗浄流体を噴射し、フェルト生地41’を脱水するために洗浄シャワー47’の後に複数の吸引ボックス45’が配置され、これらの吸引ボックス45’は、ウェブがプレスニップ22’においてヤンキーシリンダ31’に移送された後にフェルト生地41’に固着したままとなり得る残りの繊維をウェブから除去する。次いで、フェルト生地41’は、清浄され、リードロール48’によって成形ニップ15’に戻される。また、戻しセクションDには、一般にフェルトストレッチャロール43’と共に配置されるとともに均一な張力を得るためにフェルト生地41’を伸張させるのに役立つストレッチャステーション49’も設けられる。一部のクレセントフォーマーでは、ストレッチャステーション49’が洗浄ステーション42’から分離されるが、それらのステーションは、一般に、ウェブが乾燥ステーションCに移送された後であるがフェルト生地41’が成形ニップ15’に戻される前に、フェルト生地41’を洗浄及び伸張するように配置される。
【0023】
クレセントフォーマー1’において、プラスマシン方向MD又は単にマシン方向MDは、ウェブがクレセントフォーマー1’を通じて成形ニップ15’から乾燥セクションCへと及び乾燥エンドステーションEに向けて前方へと進むにつれてウェブがプラスマシン方向MDに移動するように、成形セクションAから乾燥セクションCに向かう方向として定義される。このとき、マイナスマシン方向-MDは、マシン方向MDとは反対の方向である。クレセントフォーマー1’の長さは、乾燥エンドセクションEにおけるクレセントフォーマー1’の一端からクレセントフォーマー1’の他端までの距離として定義される。一般に、従来技術に係るクレセントフォーマー1’の長さは約34mであり、クレセントフォーマー1’が立設する床からクレセントフォーマー1’の最高点までのクレセントフォーマー1’の高さは約10-11mである。最高点は、一般的に乾燥セクションCである。
【0024】
ここで、
図2を参照して本発明を説明する。既に前述したように、従来技術のクレセントフォーマー1’と形態及び/又は機能が類似しているクレセントフォーマー1の部分は、同じ用語及び参照番号で示される。
【0025】
図2では、ウェブが左から右にプラスマシン方向で通過するが、成形ワイヤ14上の各ポイントは、成形ニップ15から再び成形ニップ15に戻るためにリードロール23を越えて時計回りに回転する。フェルト生地41上の各ポイントは、順番に、成形ニップ15からプレスニップ22へ、及びプレスニップ22から洗浄ステーション42へ反時計回りの移動を行ない、その後、回転して、洗浄ステーション42からリードロール48を介して成形ニップ15へと時計回りに移動する。なお、
図2のクレセントフォーマー1は、ウェブ、成形ワイヤ14、及びフェルト生地41が代わりに反対方向に移動するように、代わりに鏡像反転することができ、当業者であれば容易に分かるように、そのような鏡像反転が
図2においてここに示されるクレセントフォーマー1と本質的に同じ構成及び技術的効果を提供する。
【0026】
成形セクションAにおいて、原料は、ヘッドボックス11から、成形ロール12とブレストロール13との間に形成された成形ニップ15へと排出される。原料は、成形ニップ15において第1の生地41又はフェルト生地41と成形ワイヤ14との間にウェブを形成し、成形ワイヤ14は、成形ニップ15の後でウェブ及びフェルト生地41から分離される。その後、成形ワイヤ14は、無端ループで成形ニップ15に戻され、その戻り中に洗浄を受けることができる。
【0027】
ウェブを支持するフェルト生地41は、リードロール23上で導かれ、成形セクションAからプレスセクションBに進み、乾燥セクションCのプレスロール21とヤンキーロール31との間に形成されたプレスニップ22に入る。また、フェルト生地41は、プレスニップ22に到達する前に、吸引ロールとも称され得るとともにウェブがプレスニップ22に到達する前にウェブを脱水する脱水ロール24も通過する。プレスニップ22の後、ウェブは、ヤンキーロール31に移送され、クレーピングブレード32によってヤンキーロール31の表面から除去される前に乾燥される。その後、ウェブ又はティシュペーパー53は、
図1の従来技術のクレセントフォーマー1’と同様の態様で、乾燥エンドセクションEを進んでリール52に達する。
【0028】
本発明は、主に、フェルト生地41がプレスニップ22から成形ニップ15への戻り中に処理される戻しセクションDの構成及び動作において従来技術とは異なる。したがって、プレスニップ22の後、フェルト生地41は、成形ロール12の中心線Rに対してマイナスマシン方向-MDに少なくとも部分的に配置される洗浄ステーション42に導かれる。これにより、戻しセクションDが成形セクションAとプレスセクションBとの間に完全に配置されるのではなく代わりに成形セクションAの上方に配置され、それにより、クレセントフォーマー1の内部及び周囲の空間がより効率的に使用されるため、よりコンパクトなクレセントフォーマー1が達成される。本発明に係るクレセントフォーマー1の全長は、この好ましい実施形態では約27mにすぎないが、他の実施形態では更に短くてもよい。同時に、クレセントフォーマー1の高さは、従来のクレセントフォーマー1’の乾燥セクションCよりも高く延在しない成形セクションAの上方に配置された場合であっても、戻しセクションDに起因して約10~11mで従来技術のクレセントフォーマー1’の場合と本質的に同じままである。
【0029】
したがって、
図2の好ましい実施形態において、フェルト生地41は、プレスニップ22から戻しセクションDに導かれ、任意選択的に、第1のリードロール61及び/又は第2のリードロール62によって導かれて、戻しセクションDが少なくとも部分的に配置される保持構造体65の上側レベルに達する。従来技術から知られているよりも短い長さを有するクレセントフォーマー1を更に提供するために、リードロール61、62を設けることが有利である。適切には、フェルト生地41を洗浄ステーション42に導くコンパクトで効率的な方法を達成するために、第1のリードロール61は、ペーパー側でフェルト生地41と接触し、第2のリードロール62は、裏側でフェルト生地41と接触する。
図2に示されるように第1のリードロールをペーパー側のフェルト生地41と接触させるとともに第2のリードロールを裏側又はロール側のフェルト生地41と接触させた状態で第1のリードロール61及び第2のリードロール62を配置することにより、特にコンパクトで効率的にフェルト生地41を戻しセクションDに導くことができる。これにより、フェルト生地41は、第1のリードロール61の後に急に上方に角度を成して保持構造体65の第2のレベル66まで持ち上げられ、フェルト生地41が実質的に水平に洗浄ステーション42に到達するように第2のリードロール62の後で実質的に水平方向に回転することができる。或いは、フェルト生地41は、水平方向に対してある角度を成して洗浄ステーション42に到達することができる。
【0030】
従来技術と同様に、洗浄ステーション42は、洗浄シャワー44と、それに続くフェルトストレッチャロール43と、フェルト生地41が前記フェルトストレッチャロール43に当て付く状態で形成される洗浄ニップ46とを備えることができる。フェルトストレッチャロール43において、フェルト生地41は、その移動方向をマイナスマシン方向-MDからプラスマシン方向MDに変えるように適切に回転され、また、フェルトストレッチャロール43をオンにした後、フェルト生地41は、洗浄シャワー47に晒され、続いて複数の吸引ボックス45に晒され得る。吸引ボックス又は真空ボックス45は、ウーレ(Uhle)ボックスであってもよいが、当技術分野で周知のように、真空を生成するための他の手段を使用することもできる。洗浄ステーション42が本明細書で言及される構成要素の幾つかのみを備えてもよく、また、洗浄ステーションの更なる構成要素によって、ウェブが成形ニップ15で再び原料を受けるために適合させられるように更なる構成要素がフェルト生地41からウェブの残りを除去することができる限り、更なる洗浄が行なわれてもよいことに留意すべきである。
【0031】
本発明によれば、洗浄ステーション42の少なくとも一部は、成形ロール12を通じて垂直方向に延びる中心線Rに対してマイナスマシン方向-MDに配置され、また、適切には、少なくともフェルトストレッチャロール43、及び洗浄シャワー44及び/又は高圧水洗浄シャワー47’などのフェルトストレッチャロール43に直接に関連して配置される構成要素は、このようにして配置される。これは、マイナスマシン方向-MDからプラスマシン方向MDへの回転が、成形ステーションAの上方で、成形ロール12の中心Rと比較してマイナスマシン方向-MDで行なわれるように、フェルトストレッチャロール43がフェルト生地41の回転をもたらす場合に有利である。洗浄ステーション42の他の部分又は実際には洗浄ステーション42全体は、幾つかの実施形態では、成形ロールの中心Rに対してマイナスマシン方向-MDに配置されてもよい。
【0032】
フェルト生地41を洗浄ステーション42から成形セクションAの成形ニップ15に導くためのリードロール48を戻しセクションDに適切に設けることもできる。
【0033】
したがって、クレセントフォーマー1の保持構造体65は、戻しセクションDの少なくとも一部が配置されて成形セクションAの上方に少なくとも部分的に延びる上側レベル66をもたらす。上側レベル66は、成形セクションAの上方の任意の適切な高さに配置されてもよいが、メンテナンスを可能にし、ヘッドボックス11の近傍に配置され得る他の構成要素も可能にするために、ヘッドボックス11の上方に十分な空間を残すことが有利である。幾つかの実施形態において、上側レベル66は、上側レベル66にある構成要素がクレセントフォーマー1内の様々な高さに配置されるように、段階的に配置されてもよい。しかしながら、クレセントフォーマー1の全高の増大を回避できるように、上側レベル66上の構成要素が乾燥セクションCの上方に延びないことが有利である。
【0034】
ストレッチャステーション49は、従来技術と同様に、洗浄ステーション42内に配置されてもよく、また、フェルト生地41が洗浄中に伸張されるようにフェルトストレッチャロール43と共に図に示されている。好ましい実施形態において、ストレッチャステーション49は、成形ロールの中心Rに対してマイナスマシン方向-MDで少なくとも部分的に配置され、これは、クレセントフォーマー1のコンパクトな設計に寄与するので有利である。しかしながら、他の実施形態において、ストレッチャステーション49は、代わりに、成形ロールの中心Rと比較してプラスマシン方向MDに配置可能であり、また、ストレッチャステーションは、代わりに、成形セクションA及びプレスセクションBと共に、上側レベル66よりも低い保持構造体65のレベルに配置可能である。
【0035】
幾つかの実施形態において、ストレッチャステーション49は、成形ロール12の中心Rのマイナスマシン方向-MDに配置されてもよく、また、フェルトストレッチャロール43は、ストレッチャステーション49の前又はストレッチャステーション49の後のいずれかに設けられてもよい。そのような実施形態において、ストレッチャステーション49は、上側レベル66でフェルト生地41の回転ポイントを形成するストレッチャロールを備えてもよい。
【0036】
フェルト生地41の洗浄は、前述のようにフェルト生地41に塗布される洗浄流体によって行なわれる。好ましい実施形態では、洗浄流体が水であるが、代替的に、洗浄流体は、水による希釈を必要とせずに洗浄剤によって形成され得るように水と混合された洗浄剤を含むことができる。洗浄流体、洗浄流体/液体又は水が本明細書で言及される場合、これは、クレセントフォーマーのフェルト生地41を洗浄するのに適した任意の液体又は流体として解釈されるべきであることに留意すべきである。
【0037】
したがって、戻しセクションDにおいて、フェルト生地41は、成形ロール12の上方を通過し、好ましくは保持構造体65の上側レベル66の成形セクションAの他の部分も通過するように配置される。これは、本発明の主な利点の1つであり、所望の品質及び所望の製造速度でティシュペーパーを製造することができるように、クレセントフォーマー1の所望の動作に必要な全ての構成要素を依然として提供しながら、クレセントフォーマー1のコンパクトな設計を可能にする。
【0038】
好ましい実施形態の洗浄ステーション42は、適切には、洗浄ステーション42から水又は液体を収集するためのトレイ64を備える。適切には、トレイ64は、フェルトストレッチャロール43などの洗浄ステーション42の少なくとも一部の下方に配置されるが、トレイ64は、代わりに、伸張ステーション49の下方に配置されて、伸張ステーション49に到達する前にフェルト生地41に塗布された水を収集することができる。このようにトレイ64を設けることにより、水が洗浄ステーション42及び/又は伸張ステーション49から成形セクションA及び/又はクレセントフォーマー1の近傍の床又は他の構造に落下することを大幅に防止することができる。成形ワイヤ14の汚染が防止されるようにトレイ64が水又は洗浄流体/液体を収集することは特に有利である。これは、成形ワイヤ14上に水及び/又は繊維が落下すると、ティシュペーパーを形成するように処理されるウェブ上に筋又はドットを形成することによってクレセントフォーマー1により製造されるティシュペーパーの品質を著しく低下させるリスクがあるからである。
【0039】
また、洗浄ステーション42は、水又は洗浄流体/液体を捕捉し、成形セクションA又はクレセントフォーマー1の他の部分又はクレセントフォーマー1の近傍への汚染を防止するために、洗浄ステーション42を少なくとも部分的に取り囲むように配置されるカバー63を備えてもよい。これは、流体が床を滑ることによる損傷のリスクを高めるため、及び、水がクレセントフォーマー1の部品又は近傍の他の機械に腐食又は他の損傷を引き起こす可能性があるため、成形ワイヤ14の汚染を防止するとともに、他の構成要素及びその領域で作業する人員の損傷又は怪我のリスクを低減するのに有利である。また、クレセントフォーマー1からフォーマー1内の望ましくない場所に及び周辺領域に水、洗浄流体及び/又は繊維が入るリスクを防止又は少なくとも低減することによって、保守及び洗浄の必要性が低減される。適切には、カバー63は、フェルトストレッチャロール43及び/又はストレッチャステーション49の一部の周りに配置されるが、代わりに、カバーは、水又は洗浄流体が使用される洗浄ステーション42の任意の他の部分の周りに配置されてもよい。幾つかの実施形態では、複数のカバー63が使用されてもよく及び/又は洗浄ステーション42の複数の部分又は洗浄ステーション42全体を少なくとも部分的に取り囲むカバー63が使用されてもよい。
【0040】
なお、本明細書に記載の様々な実施形態からの特徴を自由に組み合わせることができる。ただし、そのような組み合わせが不適切であると明示的に述べられる場合を除く。
【国際調査報告】