(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-10
(54)【発明の名称】浮遊垂直風プロファイルセンサー装置および垂直風プロファイルを判別する方法
(51)【国際特許分類】
B63B 21/50 20060101AFI20230803BHJP
【FI】
B63B21/50 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515233
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 EP2022070173
(87)【国際公開番号】W WO2023001807
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518399243
【氏名又は名称】オルステッド・ウィンド・パワー・エー/エス
【氏名又は名称原語表記】Orsted Wind Power A/S
【住所又は居所原語表記】Kraftvaerksvej 53,7000 Fredericia,Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン, フレデリック ソンデルガード
(72)【発明者】
【氏名】ウエヒル, ジャコブ エルネフ
(72)【発明者】
【氏名】モラー, ジャン スロス
(57)【要約】
垂直風プロファイルを感知するための垂直風プロファイルセンサー(8)、水域を通して装置を推進するための自己推進システム(24)、および装置を特別マーカー浮標として識別するための配置状態と、装置を船として識別するための未配置状態とを切り替えるための作動可能な、配置可能特別マーク(10)を含む、浮遊垂直風プロファイルセンサーまたはLiDAR装置(1)。船がアンカーされる時に、装置(1)を船モードから浮標モードに切り替えるためのコントローラー(22)が提供される。コントローラー(22)は、装置(1)が浮標モードのときに、特別マーク(10)を配置状態に切り替える。方法は、浮遊LiDAR装置(1)が目標位置にナビゲートすること、および浮標モードが、垂直風プロファイルデータが収集される間に起動することを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮遊垂直風プロファイルセンサー装置であって、
垂直風プロファイルを感知するための垂直風プロファイルセンサーと、
前記浮遊垂直風プロファイルセンサー装置を水域を通して推進するための自己推進システムと、
前記浮遊垂直風プロファイルセンサー装置を特別マーカー浮標として識別するための配置状態と、前記浮遊垂直風プロファイルセンサー装置を船として識別するための未配置状態とを切り替えるよう作動可能な、配置可能特別マークと、
前記船がアンカーされるときに前記浮遊垂直風プロファイルセンサー装置を船モードから浮標モードに切り替えるためのコントローラーと、を含み、
前記コントローラーは、前記浮遊垂直風プロファイルセンサー装置が前記浮標モードにあるときに前記配置可能特別マークを前記配置状態に切り替えることを特徴とする浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項2】
アンカーケーブル上のアンカーを配置および収納するための自動アンカー機構をさらに含み、
前記コントローラーは、前記浮遊垂直風プロファイルセンサー装置が前記浮標モードにあるときに前記アンカーを配置するように前記自動アンカー機構を制御するように構成されている、請求項1に記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項3】
前記コントローラーは、一つまたは複数のアンカー配置センサーからフィードバックを受信し、
前記コントローラーは、少なくとも部分的に、前記一つまたは複数のアンカー配置センサーからの前記フィードバックに基づき、配置する前記アンカーケーブルの長さを判別する、請求項2に記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項4】
前記コントローラーは、気象条件データを受信するため、および、緊急気象条件が検出された場合に前記アンカーを収納するための前記自動アンカー機構を制御するための、気象モジュールをさらに含む、請求項2または3に記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項5】
前記コントローラーは、前記気象モジュールによって受信された前記気象条件データに少なくとも部分的に基づいて、配置する前記アンカーケーブルの長さをさらに決定する、請求項4に記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項6】
前記自動アンカー機構は、前記アンカーが収納されたときに、前記アンカーケーブルを流体でジェットするためのクリーニングジェットを含む、請求項2~5のいずれかに記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項7】
前記コントローラーは、前記船をナビゲートするための前記自己推進システムを制御するための自律ナビゲーション制御モジュールを含む、請求項1~6のいずれかに記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項8】
前記自律ナビゲーション制御モジュールは、前記船をアンカーするための仮想アンカーを実施するよう前記自己推進システムを制御するように構成されている、請求項8に記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項9】
一つまたは複数のセンサーをさらに含み、
前記コントローラーは、前記一つまたは複数のセンサーからのセンサーデータを格納するためのメモリーをさらに含む、請求項1~8のいずれかに記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項10】
一つまたは複数の電気通信トランシーバーをさらに含み、
前記コントローラーは、前記一つまたは複数の電気通信トランシーバーを介して前記一つまたは複数のセンサーからセンサーデータを送信するようにさらに構成されている、請求項9に記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項11】
前記コントローラーは、前記コントローラーによって適用される制御を調整するために、前記一つまたは複数の電気通信トランシーバーを介して入力信号を受信するようにさらに構成されている、請求項10に記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項12】
前記一つまたは複数のセンサーは、レーダーセンサー、GPSセンサー、ソナーセンサー、カメラ、風速センサー、雨センサー、角速度センサー、音響ドップラー流速プロファイラー、音響流速プロファイラー、カップ風速計、音波風速計、大気圧センサー、気温センサー、湿度センサー、波動センサー、水温度センサー、水深センサー、水塩分センサー、水導電率センサー、濁水センサー、降水センサー、粒子サイズおよび速度センサー、日射センサーとして、視界センサー、雲の高さセンサー、温度プロファイルセンサー、鳥やコウモリの監視センサー、海哺乳動物センサー、生物多様性センサー、海底監視センサー、マイクロプラスチック粒子センサー、藻センサー、サンゴ測定センサー、海洋成長/葉センサー、堆積物およびスコーアセンサー、装置保護センサー、盗難防止センサー、地震センサー、海底植生センサー、グアノセンサー、水密度センサー、空気密度センサー、水上音響センサー、水中音響センサー、オイル流出センサー、水温プロファイルセンサー、潮流速度および方向センサー、および潮流速度プロファイルセンサーのうちの一つまたは複数を含む、請求項9~11のいずれかに記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項13】
前記垂直風プロファイルセンサー、前記自己推進システム、および前記コントローラーを収容するための船体と、
前記船体を囲むためのエンクロージャーと、をさらに含み、
前記エンクロージャーは、黄色い表示面を含み、
前記配置可能特別マークは、前記エンクロージャーに取り付けられている、請求項1~12のいずれかに記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置を使用して、目標沖合位置で垂直風プロファイルを判別する方法であって、
前記コントローラーに、前記目標沖合位置を示す位置データを提供する工程と、
前記コントローラーによって、前記装置が船モードにあるときに、前記位置データに基づき、前記装置を前記目標沖合位置に推進するように、前記自己推進システムを制御する工程と、
前記コントローラーによって、前記装置が前記目標沖合位置にあると判定し、前記装置を前記目標沖合位置にアンカーする工程と、
前記コントローラーによって、前記装置を前記船モードから前記浮標モードに切り替える工程であって、前記浮標モードに切り替えると、前記配置可能特別マークが作動して前記配置状態に切り替わる、前記浮標モードに切り替える工程と、
前記コントローラーによって、前記垂直風プロファイルを感知するための前記LiDARセンサーを起動させる工程と、
前記コントローラーによって、垂直風Sプロファイルデータを記録する工程と、を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記コントローラーによって、(a)前記垂直風速プロファイルデータが測定閾値に到達したと判定すること、(b)エネルギー貯蔵部に格納される残りのエネルギーが、戻り範囲の閾値を下回ったこと、および(c)入力制御信号、のうちの一つに基づき、測定セッションの終了を判別する工程と、
前記コントローラーによって、前記装置を前記浮標モードから前記船モードに切り替える工程であって、前記船モードに切り替えると、前記配置可能特別マークが作動して前記未配置状態に切り替わる、前記船モードに切り替える工程と、
前記装置をアンカー解除する工程と、
前記コントローラーによって、前記装置を別の場所に推進するように前記自己推進システムを制御する工程と、をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、浮遊垂直風プロファイルセンサー装置と、垂直風プロファイルを判別する方法に関する。装置は、位置に関する他の環境データも判別し得る。本出願は、特に、自律的および/または遠隔制御された浮遊LiDAR装置、ならびに浮遊LiDAR装置をその場所に配置することによって、標的沖合位置における垂直風プロファイルを判別する方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
洋上風力発電施設の潜在的な場所の特定は困難である。特定の場所における風プロファイルは、風力発電施設の性能および経済的実行可能性に大きく影響するであろう。歴史的に、潜在的な現場における風特性は、現場に風力計を有する気象マストを設置し、その後、風力発電施設の位置にわたって測定値を外挿することによって調査される。より最近では、よりコスト効率が高く、正確な測定を提供するために、垂直風プロファイルを測定するための垂直風プロファイルセンサー装置である浮遊LiDAR装置の使用へとシフトしてきた。
【0003】
浮遊LiDAR装置は、垂直プロファイリングLiDARを装備した浮標である。LiDARは、レーザーを垂直に上方にフォーカスし、大気中の粒子およびエアロゾルによって散乱された反射光を検出するためのセンサーを組み込む。次に、測定される戻り信号を使用して、散乱光で生成されるドップラーシフトに基づき風速を判別し得る。重要なことに、高強度レーザーの使用により、データ点当たり50Hzなど、高い測定速度が可能となる。これにより、測定される風速が海における装置の遷移および回転運動によって影響されることを避ける。事実上、サンプリング速度は、測定時点で浮標の動きを効果的に凍結するのに十分速い。
【0004】
使用時に、従来の浮遊LiDAR装置は、標的位置に牽引されるか、または船によって標的位置に輸送され、海中に持ち上げられる。位置に到達したら、装置は係留ヨークを介して所定の位置に係留される。位置は、典型的には、GPS位置および装置が係留され得るゾーンを指定する周囲の半径によって画定される。その後、複数の季節にわたって風プロファイルデータを収集するために、ときには、最大12~24か月まで、この場所では、長期間にわたって垂直風プロファイル測定が行われる。
【0005】
残念ながら、従来の浮遊LiDAR装置にはいくつかの欠点がある。第一に、これらの装置は長期間にわたってデータを収集する必要があるため、センサーおよび電気通信システムを維持するには相当な電力が必要となる。この問題を軽減するために、小型風力タービン発電機とソーラーパネルを装置に取り付け、蓄積されたエネルギーサプライを補充することが一般的になってきている。しかしながら、これらの再生可能エネルギー源によって生成される電力は変動することが多いため、電力管理システムの一部を担うものとして考慮することはより困難である。結果として、浮遊LiDAR装置に電池を充電するためのディーゼル発電機または水素燃料電池を含むことが一般的となった。しかし、このような複雑な発生装置への長期間にわたる依存にはリスクが伴いる。例えば、発生装置に何らかの障害が発生すると、再生可能エネルギー源がシステム機能を維持するのに不十分な場合、長期間のデータ喪失が生じ得る。測定時間が長く、比較的厳しい環境にあることを考えると、これは大きな課題であり、繰り返される必要のある長い試験サイクルにつながり得る。第二に、浮遊LiDAR装置を早期に回収する必要がある場合、例えば、残りの貯蔵エネルギー容量が低すぎる場合、メンテナンスが必要な場合、または装置を新しい場所に移動する必要がある場合、これに関連するコストは、大きなものとなり得る。例えば、適切な設置船と乗組員をスケジュール化して、装置の修理または回収のための装置の場所にナビゲートする必要がある。多くの場合、装置は係留からリリースされ、船に持ち上げられるか、または港に牽引される必要がある。これにより、追加の安全衛生リスクが生じ、また、適切な気象条件への依存および適切な設置船の比較的短い供給のために、計画要件によって制約される。コストの上昇だけでなく、配置、メンテナンス、撤去のために設置船に依存するため、装置がデータを記録しない期間が長いというリスクが高いことも意味する。
【0006】
上記を考慮すると、これらの欠点に対処することが求められている、改良された浮遊LiDAR装置および関連する方法が必要である。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第一の態様によれば、浮遊垂直風プロファイルセンサー装置であって、垂直風プロファイルを感知するための垂直風プロファイルセンサーと、浮遊垂直風プロファイルセンサー装置を水域を通して推進するための自己推進システムと、装置を特別マーカー浮標として識別するための配置状態と、装置を船として識別するための未配置状態とを切り替えるように作動可能な、配置可能特別マークと、装置を、船がアンカーされる時に、船モードから浮標(ブイ)モードに切り替えるためのコントローラーと、を含み、コントローラーは、装置が浮標モードにあるときに、特別マークを配置状態に切り替える、浮遊垂直風プロファイルセンサー装置が提供される。
【0008】
このようにして、所望の標的位置にそれ自体を推進することができる、浮遊LiDAR装置などの浮遊垂直風プロファイルセンサーが提供される。そのため、これは、牽引ボートなどの設置船の必要性を否定し、それによって、牽引作業の関連する時間とコストを削減する。重要なことに、この機器は、国際航路標識協会(IALA)が指定するものなど、国際的に認知された航海規制要件の下で、船と浮標(ブイ)を識別できる状態に切り替えることができる。すなわち、配置可能特別マークを提供することによって、装置は、それを海のマークと指定する、識別可能な黄色およびマーカークロス(St.Andrews Cross/Saltire)で、特別マーカー浮標として選択的に識別され得る。これにより、規則の観点から、他のマーカー浮標と同じ方法で、見張り人なしで、長期間、その場所に装置をアンカーすることができる。逆に、船モードに切り替えると、特別マーカーの収納により、装置は、海洋パイロット協定の下で静止浮標として誤って識別されるリスクを伴わずに、自走式船として機能することができる。この柔軟性により、異なるタイプの特質化可能な船体間の自律的な切り替えが可能になり、風プロファイル測定を新しい方法で行えるようになる。例えば、装置は、複数の位置からデータを収集するために、位置間で自律的にまたは遠隔制御下で移動し得る。装置はまた、エネルギー貯蔵量が低下した場合に再充電および補充するために、自律的にまたは遠隔制御下で港に戻ることもできる。これにより、設置船を呼び出す必要なく、より長い期間にわたって、またはより小さな装置を使用して測定を行うことが可能になり得る。同様に、検出された障害は、装置を必要に応じて船の有人による修理のために港に戻るよう呼び出すことで、より簡単に修理され得る。実施形態では、装置は、装置の遠隔監視のためのビデオフィードを提供するための一つまたは複数のカメラを含んでもよい。
【0009】
実施形態では、浮遊垂直風プロファイルセンサー装置は、アンカー鎖上にアンカーを配置および収納するための自動アンカー機構をさらに含み、コントローラーが、浮遊垂直風プロファイルセンサー装置が浮標モードにあるときに、アンカーを配置するように自動アンカー機構を制御するように構成される。このようにして、浮遊垂直風プロファイルセンサー装置は、所望の標的位置に自動的にそれ自体をアンカーし得る。これにより、候補の風力発電施設の場所での浮遊垂直風プロファイルセンサー装置の自律的な配置が促進され、浮遊垂直風プロファイルセンサー装置はその場所に物理的にアンカーすることができる。
【0010】
実施形態では、自動アンカー機構は、電動式アンカーウィンドラスを含み、コントローラーは電動式アンカーウィンドラスを制御する。このようにして、コントローラーが、アンカーの配置および収納を誘発するように、アンカー機構を制御し得る。
【0011】
実施形態では、コントローラーが、一つまたは複数のアンカー配置センサーからフィードバックを受信し、コントローラーが、少なくとも部分的に、一つまたは複数のアンカー配置センサーからのフィードバックに基づき、配置するアンカー鎖の長さを決定する。このように、アンカーケーブルまたは鎖の長さは、そのアンカー機能を最適化し、その耐疲労性、摩耗、および摩耗特性を最大化するために自動的に選択され得る。
【0012】
実施形態では、コントローラーが、気象条件データを受信するための、および緊急気象条件が検出された場合にアンカーを収納するための自動アンカー機構を制御するための、気象モジュールをさらに含む。このようにして、緊急気象条件の場合、アンカーは、損傷を防ぐために自動的に収納することができる。
【0013】
実施形態では、コントローラーが、少なくとも部分的に、気象モジュールによって受信された気象条件データに基づき、配置するアンカーケーブルの長さをさらに決定する。このようにして、アンカーケーブルまたは鎖の長さは、その疲労特性を最適化するように、気象条件に応じて自動的に選択され得る。
【0014】
実施形態では、自動アンカー機構は、アンカーが収納されたときに、アンカーケーブルを流体でジェットするためのクリーニングジェットを含む。このようにして、アンカーケーブル上の海水の高圧ジェットは、それがアンカー格納部に収納される前に、ケーブル上の海洋葉の蓄積を低減し得る。これはまた、アンカー鎖上のドラッグ係数およびアンカー機構上の重量を最小化するのに役立ち得る。そのため、最適化された設計が提供され得る。
【0015】
実施形態では、コントローラーが、船をナビゲートするための自己推進システムを制御するための自律ナビゲーション制御モジュールを含む。このようにして、浮遊垂直風プロファイルセンサー装置は自律的な船として機能し得る。
【0016】
実施形態では、自律ナビゲーション制御モジュールが、船をアンカーするための仮想アンカーを実装するための自己推進システムを制御するように構成される。このように、浮遊垂直風プロファイルセンサー装置は、コントローラーおよび自己推進システムを通したGPSおよびコンピューター制御に基づき、その位置を自動的に維持し得る。
【0017】
実施形態では、浮遊LiDAR装置は、一つまたは複数のセンサーをさらに含み、コントローラーが、一つまたは複数のセンサーからのセンサーデータを格納するためのメモリーをさらに含む。このようにして、浮遊LiDAR装置は、垂直風プロファイルデータなどのセンサーデータをログし得る。
【0018】
実施形態では、浮遊垂直風プロファイルセンサー装置は、一つまたは複数の電気通信トランシーバーをさらに含み、コントローラーが、一つまたは複数の電気通信トランシーバーを介して一つまたは複数のセンサーからセンサーデータを送信するようにさらに構成される。このようにして、浮遊垂直風プロファイルセンサー装置は、陸上制御センターなどのリモートサーバーと通信し、定期的な分析のために現在の流速データセットを提供し得る。
【0019】
実施形態では、コントローラーが、コントローラーによって適用される制御を調整するために、一つまたは複数の電気通信トランシーバーを介して入力信号を受信するようにさらに構成される。このように、浮遊垂直風プロファイルセンサー装置は遠隔で制御されてもよく、持続する制御命令が定期的に更新され得る。
【0020】
実施形態では、一つまたは複数のセンサーが、レーダーセンサー、GPSセンサー、ソナーセンサー、カメラ、風速センサー、雨センサー、角速度センサー、加速度計(IMU)、音響流速プロファイラー、音響ドップラー流速プロファイラー、カップ風速計、音波風速計、大気圧センサー、気温センサー、湿度センサー、波動センサー、水温度センサー、水深センサー、水塩分センサー、水導電率センサー、濁水センサー、降水センサー、粒子サイズおよび速度センサー、日射センサーとして、視界センサー、雲の高さセンサー、温度プロファイルセンサー、鳥やコウモリの監視センサー、海哺乳動物センサー、生物多様性センサー、ハイドロフォン、酸度センサー、海底監視センサー、マイクロプラスチック粒子センサー、藻センサー、サンゴ測定センサー、海洋成長/葉センサー、堆積物およびスコーアセンサー、装置保護センサー、盗難防止センサー、地震センサー、海底植生センサー、グアノセンサー、水密度センサー、空気密度センサー、水上音響センサー、水中音響センサー、オイル流出センサー、水温プロファイルセンサー、潮流速度および方向センサー、および潮流速度プロファイルセンサーの少なくとも一つを含む。
【0021】
上記のセンサー測定は、過渡プロファイル(transient profiles)として実施され得る。さらに、波測定値は、波高、波周期、波方向、時系列の波高を含み得る。2D海の状態データも、装置の隆起、揺れ、サージ、ピッチ、ロール、およびヨーとともに記録され得る。極端な事象も記録され得る。
【0022】
実施形態では、浮遊垂直風プロファイルセンサー装置は、盗難防止および/または保護システムを含み得る。例えば、装置は、動物が集まるのを阻止するために感電を印加し得る。
【0023】
実施形態では、浮遊垂直風プロファイルセンサー装置はロボットアームをさらに含んでもよい。これにより、一部の操作および修理を遠隔で実施することが可能となり得る。実施形態では、浮遊垂直風プロファイルセンサー装置は、統合されたドローンおよび/または水中自律装置をさらに含んでもよい。
【0024】
実施形態では、浮遊垂直風プロファイルセンサー装置は、充電ステーション上に設けられた充電ドックに接続するように構成される充電端末をさらに含んでもよい。
【0025】
実施形態では、浮遊LiDAR装置は、装置に給電するためのエネルギー貯蔵部をさらに含み、エネルギー貯蔵部は、電池、燃料タンク、および燃料電池のうちの少なくとも一つを含む。このようにして、浮遊垂直風プロファイルセンサー装置は、装置上の機能を駆動するための一つまたは複数のパワートレインシステムを含み得る。
【0026】
実施形態では、浮遊LiDAR装置は、垂直風プロファイルセンサー、自己推進システム、およびコントローラーを収容するための船体と、船体を囲むためのエンクロージャー(enclosure)とをさらに含み、エンクロージャーは黄色い表示面を含み、配置可能特別マークがエンクロージャーに取り付けられる。このようにして、浮遊LiDAR装置は、海洋規則に準拠するために、上部表面上に配置可能なマークが露出された、囲まれた船として提供され得る。実施形態では、エンクロージャーは、装置を特別マーカー浮標として指定するための点滅のシーケンスを放射するための一つまたは複数の表示灯をさらに含む。実施形態では、船体は単胴形である。カタマランまたはトリマランなどの他の船体構成も可能である。
【0027】
本発明の第二の態様によれば、前述の請求項のいずれか一項に記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置を使用して、標的沖合位置で垂直風プロファイルを判別する方法が提供され、方法が、コントローラーに、標的沖合位置を示す位置データを提供する工程と、コントローラーによって、装置が船モードにあるとき、位置データに基づき、装置を標的沖合位置に推進する自己推進システムを制御する工程と、コントローラーによって、装置が標的沖合位置にあることを判別し、浮遊垂直風プロファイルセンサー装置を標的沖合位置にアンカーする工程と、コントローラーによって、浮遊垂直風プロファイルセンサー装置を船モードから浮標モードに切り替える工程であって、浮標モードに切り替えると、配置可能特別マークが作動して、配置状態に切り替わるように、切り替える工程と、コントローラーによって、垂直風速プロファイルを感知するためのLiDARセンサーを起動する工程と、コントローラーによって、垂直風速プロファイルデータを記録する工程と、を含む。
【0028】
このようにして、浮遊垂直風プロファイルセンサー装置が測定データを記録するために自動的に配置され得る、洋上風力発電施設の所望の標的部位に装置をナビゲートするための自律的な方法が提供され得る。そのため、これにより設置船の必要性が排除され、それにより、牽引または持ち上げ作業の関連する時間とコストが節約される。
【0029】
実施形態では、方法が、コントローラーによって、(a)垂直風プロファイルデータが測定閾値に到達したと判定すること、(b)エネルギー貯蔵部に格納される残りのエネルギーが、戻り範囲の閾値を下回ったこと(c)入力制御信号、のうちの一つに基づき、測定セッションの終了を判別する工程と、コントローラーによって、装置を浮標モードから船モードへと切り替える工程であって、船モードへの切り替えが、配置可能特別マークを作動して、未配置状態に切り替わるように、切り替える工程と、装置をアンカー解除する工程と、コントローラーによって、装置を別の場所に推進するための自己推進システムを制御する工程と、をさらに含む。
【0030】
このようにして、浮遊垂直風プロファイルセンサー装置は、記録サイクルの終了時に自動的に港または別の標的位置に戻り得る。サイクルは、指定された試験期間または蓄積されたデータ量などの測定閾値に基づき、または浮遊垂直風プロファイルセンサー装置がメンテナンス/修理を必要とするため、電力が不足している、または場所を移動するよう遠隔指示されることにより、完了とみなされ得る。
【0031】
本発明のさらなる態様によれば、自己推進システムを有する船用のアンカー保護システムが提供されており、アンカー保護システムは、アンカーポイントの周りの船のドリフトの半径を監視し、半径が減少するときに絡み合いを識別するためのコントローラーを含み、コントローラー22は、絡み合いの検出に応答して、ドリフトを逆転させる自己推進システムを起動する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
ここで、本発明の例示的実施形態を、添付図面を参照しながら説明する。
【
図1】
図1は、例示的実施形態による浮遊LiDAR装置の断面図を示す。
【
図2】
図2は、
図1に示す浮遊LiDAR装置の外部斜視図を示す。
【
図3】
図3は、(a)未配置位置および(b)配置位置における配置可能特別マーカーの正面図を示す。
【
図4】
図4は、アンカー位置に関する装置の概略上面図を示す。
【
図5】
図5は、アンカー分離システムの実装の概略上面図を示す。
【
図6】
図6は、アンカードラッグシナリオの概略上面図を示す。
【
図7】
図7は、アンカー絡み合解除システムの実装の概略上面図を示す。
【
図8】
図8は、アンカーツイスト解除システムの実装の概略上面図を示す。
【
図9】
図9は、アンカー長さ調整システムの実装の概略上面図を示す。
【
図10】
図10は、風力タービン衝撃評価プロトコルの概略上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1および
図2は、例示的実施形態による浮遊LiDAR装置1を示す。装置1は、装置の内部上にルーフを形成するエンクロージャー(enclosure)3によって囲まれる船体2を含む。エンクロージャー3は、センサーハウジングおよびソーラーパネルが黄色ではあり得ないが、実質的に黄色の色で提供される。エンクロージャー3および船体2は、海水侵入を最小化するための容器を形成する。エンクロージャー3は、自然換気を可能にし、一部の海水が侵入し得るとき、自動ビルジポンプシステム(automatic bilge pump system)が提供され、船内から水を除去する。アセンブリーは、装置1が水中で裏返された場合にそれ自体が直立するようにバラスト化される。エンクロージャー3はまた、装置上に海鳥が集まるのを阻止するための鳥スパイクを含んでもよい。実施形態では、装置のペイロードコンパートメント(payload compartment)が、LiDARセンサーシステムを、独自の保護ハウジングなしで収容することを可能にする密封ユニットとして提供され得る。従って、これは、コスト削減およびスペース最適化を可能にし得る。
【0034】
装置1の内部には、装置1上のさまざまなシステムのための中央制御ハブを提供するコントローラー22が収容される。本実施形態では、コントローラー22は、単一のコンピューター処理アセンブリーとして提供されるが、他の実施形態では、コントローラーが、調整された機能を実施するために互いにネットワーク化された複数の電子制御ユニットを含んでもよいことが理解されよう。
【0035】
自己推進システム24は、船尾に提供され、船体2の本体から延在し、エンクロージャー3の下に収容されるモーターによって駆動される、操縦可能なアーム上にプロペラを含む。操縦可能なアームは、船体2が水を移動する際に船体2を操縦するためにプロペラが左右に回転できるように、自己推進システム24内に組み込まれたアクチュエーターの制御下で移動可能である。コントローラー22は、自己推進システム24を制御して、装置を海を通してナビゲートする。他の実施形態では、電気モーターを使用してもよく、発電装置によって充電された電池から電力が提供される。例えば、実施形態では、電気ドライブは、より良い保護のために船体2内に収納可能な方位ポッド(azimuth pods)であり得る。
【0036】
船体2の基部は、装置1の後方に扁平な底部領域23を含み、これは追加のセンサー用の取り付け点を提供し、容器に装填される際に装置1をサポートできるようにする。扁平な底部領域23はまた、必要に応じて船の安定性を改善するために、加重キールまたはフィンなどの水中突出物を取り付けることを可能にし得る。
【0037】
船体2の基部の前方領域16は、装置のへさきに対してキール(keel)を形成し、この領域16は、扁平な底部領域23よりも深く水の中に突出する。前方領域16は、格納のために、または追加のセンサー構成要素を収容するために使用され得る、船体2内の空隙空間15を画定する。
【0038】
アンカー19は、前方領域16と扁平な底部領域23との間のアンカー凹部に収容される。このように、前方領域16が水を通して駆動される際に、アンカー19は保護される。
【0039】
アンカー19は、コントローラー22の制御下でアンカー19を配置および収納するための電動式ウィンドラス(motorised windlass)18に船体2を通して接続されるアンカー鎖またはケーブル20に接続される。ウィンドラス18は、船体2内のアンカーコンパートメント(anchor compartment)17に収容される。ポンプ(図示せず)は、アンカーコンパートメント17内に提供され、コンパートメントから海水をポンプで出す。ウィンドラス18は、アンカー鎖20に課せられる荷重および分配されるケーブルの長さを感知するための荷重および長さセンサーを含み得る。このアンカーセンサーデータは、コントローラー22にフィードバックされる。アンカーウィンドラス18は、複数のノズルが輪になって、アンカー鎖20の上に海水をジェットして、鎖がウィンドラスおよびアンカーコンパートメント17上に巻き戻されて収納される前に、蓄積された葉を鎖から除去するように構成される、クリーニング機構182をさらに含む。このように、アンカー19が収納されると、アンカーが装置1に巻き戻される際に、アンカー鎖(ケーブル)20をクリーニングするためにクリーニング動作を開始し得る。それによって、アンカー配置システムの捕捉を軽減し、コントローラー22の制御下での繰り返しの配置および収納動作を提供する。
【0040】
アンカー機構は、その位置をロックするためにアンカー鎖20と係合するように制御可能なアンカー鎖ロック181をさらに含む。このように、一度係合すると、アンカー鎖ロック181は、アンカー鎖20からの静的および動的力を担い、それによってこれらの応力をウィンドラス18から除去する。アンカー鎖ロック181は、ロックと係合するための制御可能なアクチュエーターを組み込み、アクチュエーターはコントローラー22を介して自律的にまたは遠隔的に制御される。
【0041】
アンカー19を監視するための、水中通し船体カメラ(underwater through hull camera)30がさらに提供される。通し船体カメラ30は、カメラの視野を照射するための光源を含む。
【0042】
装置1の内部の船体中央領域には、電気電池アレイ21bおよびディーゼルまたはガソリンなどの燃料を貯蔵するための燃料タンク21aを含むエネルギー貯蔵部21が提供される。本実施形態では、燃料タンク21aは、自己推進システム24に電力を供給するための燃料を供給するために使用され、ディーゼルは燃料として使用される。しかしながら、他の実施形態が、他の燃料または電源を使用し得ることが理解されよう。例えば、実施形態では、再生可能エネルギー源によって電力供給される電気自己推進システム24を使用し得る。電気電池アレイ21bは、コントローラー22、ならびに電気センサー、およびアンカーウィンドラス18に給電するために使用される。ソーラーパネル4および風力タービン発電機6は、電池アレイを充電するためにエンクロージャー3の外部に提供される。燃料タンクからの燃料を使用して電池アレイを充電するために、自己推進システム24内の交流発電機も提供される。給油および充電ポート(図示せず)は、燃料タンクの充填および電池アレイ21bの再充電のためのエンクロージャー3内に提供される。
【0043】
燃料タンク21aの上方に、第一のLiDARセンサー7および第二のLiDARセンサー8を収容するためのLiDARコンパートメントがある。二つの別個のLiDARセンサー7、8を提供することにより、例えば、異なる製造業者からのセンサーを使用して、または異なる標高に焦点を合わせて、二つの独立した測定セットを収集することができる。そのため、より完全で正確な風プロファイルデータが収集され得る。LiDARセンサー7および8は、その上方のエンクロージャー3のルーフに設けられたセンサー開口を通して、装置から垂直に上方に配向されるエミッターおよび検出器部品とともに位置付けられる。このように、起動されたとき、センサーは、風プロファイル測定値を判別するために、装置の上方を垂直にスキャンし得る。測定データは、コントローラー22内のメモリーストア内に記録され、また例えば、クラウドストレージサーバーなどの陸上ストレージ用の無線通信リンクを介して送信される。
【0044】
装置1には、その環境を感知するための複数のさらなるセンサーが提供される。本実施形態では、これらのセンサーは、レーダーセンサー14、GPSセンサー29、カメラ13、日射センサー、雨センサー、温度センサー、ソナー、生物学的センサー(海の成長、海哺乳類検出)、および水中カメラを含む。測定キャンペーンに関連する他のセンサーも、装置1上に提供され得る。さらに、双方向通信のために、通信アンテナ5がエンクロージャー3の上部領域上に提供される。本実施形態では、通信アンテナ5は、さまざまな異なるプロトコルを使用した双方向通信のための無線およびセルラーアンテナを含む。例えば、セルラーアンテナは、4g/LTEアンテナであり得る。他の実施形態では、衛星アンテナも提供され得る。コントローラー22に気象データを供給するための気象ステーション9も提供される。コントローラー22はまた、アンテナ5、並びに制御命令を介して気象データを受信してもよく、状態およびセンサーデータを陸上または別の船上に位置する制御センターに送り返すことができる。
【0045】
装置1の内部内で、カメラ監視システム(図示せず)および消火システム(図示せず)も提供され得る。カメラ監視システムは、装置1の機能の遠隔監視を可能にし、消火システムは、船内システムから発生する機械的または電気的火災を消すために使用され得る。漏れの場合に任意の水侵入を排出するためのポンプシステム(図示せず)も提供され得る。
【0046】
装置1はさらに、そのエンクロージャー3の外部上に、表示灯31および配置可能特別マーカー(deployable special marker)10を含む。表示灯31は、本実施形態では後方ターガスポイラー(aft targa spoiler)上に位置し、コントローラー22によって制御されて、通常の表示機能モードと特別マーカーモードとを切り替える。特別マーカーモードでは、表示灯31は、特別マーカー浮標(special marker buoy)に関連付けられる点滅の特徴的なシーケンスで起動される。装置はまた、通常の船動作のための他の照明をさらに含んでもよいことが理解されよう。
【0047】
配置可能特別マーカー10は、装置エンクロージャーから上に延在する支持マストの上部に隣接して位置するアクチュエーター11を含む。アクチュエーター11は、コントローラー22によって制御され、マストの両側に固定される二つのクロス部材12に機械的に接続される。これは、
図3にさらに詳細に示される。アクチュエーター11によって駆動されるとき、クロス部材12は、
図3(a)に示すように、マストと平行に延在する未配置位置と、
図3(b)に示すように、装置1を特別マーカー浮標として指定するためのクロス構成を形成する配置位置との間で移動可能である。
【0048】
使用時に、装置1は、港または別の船から起動され得る。次に、潜在的な風力発電施設の目標位置(target location)は、例えば、制御センターから装置1にGPSルーティング座標を送信することによって、コントローラー22に提供され、それは、その通信アンテナ5を介して受信される。
【0049】
この状態では、装置は、配置可能特別マーカー10がその未配置位置にあり、アンカー19が収納されている、自律または遠隔制御の船モードにある。次に、コントローラー22は、自己推進システム24を制御して、GPSルーティング座標および内部GPSセンサーからのフィードバックに従って装置1をナビゲートする。同時に、レーダーセンサー14およびカメラ14からのセンサーデータは、自己推進システム24が、地理的特徴、ならびに他の船および浮標などの障害物を回避するために方向づけられ得るように、コントローラー22によって処理される。これに関して、コントローラー22による安全なナビゲーションを支持するためのAIS(自動識別システム)トランシーバーも装置1上に提供される。加速度計または角速度センサーは、自己推進システム24が装置を波を通して駆動する際に、コントローラー22にフィードバックを提供する。このナビゲーションプロセスの間、カメラ13からのビデオフィードは、衝突を避けるためにそこに存在する見張り人のための海洋規制要件を満たすために、アンテナ5を介して制御センターに送信される。カメラ13は、制御センターに供給する音声を提供するマイクを含んでもよい。実施形態では、他の船への信号伝達および音声メッセージの中継のための、大きなホーンまたはスピーカーシステムがさらに装置上に提供され得る。例えば、船に提供される公開スピーカーシステムは、潜在的な脅威を警告するための盗難保護システムの一部を形成し得る。例えば、ビデオ監視および/または近接センサーを使用して、潜在的な加害者の存在を検出し、警報または口頭での警告をトリガーして、船を放置し得る。双方向音声通信用のマイクが提供され得る。制御センターはまた、コントローラー22を介して自己推進システム24を含む、装置1上の他のシステムを遠隔制御し得る。
【0050】
装置1が目的位置に到達したら、自己推進システム24は装置を減速し、コントローラー22は次にアンカーウィンドラス18を起動してアンカー19を配置し得る。配置の最中、アンカーが繰り出される際に、アンカーが装置1をステアリングするために配置される一方で、自己推進システム24のスロットルはアクティブのままである。ウィンドラス18内の荷重および長さセンサーはまた、最適化されたケーブル20の長さが配置されると配置が停止するように、フィードバック情報をコントローラー22に提供する。コントローラー22は、現在の気象データに応じて、最適化されたケーブル長を変化させ得る。こうした気象データは、通信アンテナ5および/または船内気象センサーを介して、制御センターから衛星データとして受信され得る。例えば、衛星データおよび角速度センサーが大きな増大を示す場合、配置されたアンカーケーブル20の長さは増加し得る。
【0051】
配置の最中、コントローラー22は、自己推進システム24を操作して、アンカー19が海底に降下するようアンカー19を制御し得る。例えば、アンカー鎖20が、アンカー鎖20が絡まるリスクの軽減を助けるために繰り出される一方で、装置1は後方に推進され得る。コントローラー22はまた、アンカー配置中に位置および/または進行方向を維持するために、自己推進システム22を制御し得る。そのため、装置1の速度は、アンカー鎖20が所望の構成で、かつアンカー19を引っぱることなく配置されるように制御され得る。これを容易にするために、コントローラー22は、装置の速度、そのGPS位置、鎖長の計量、ならびにアンカー落下位置のデータを含む、フィードバックセンサー入力を受信し得る。コントローラー22はまた、所与の水深に対する鎖懸垂線のアルゴリズムを使用し得る。
【0052】
配置されると、コントローラー22は、気象データを監視し続け、ウィンドラス18を動作させて、配置されたアンカーケーブルの長さを調整し、アンカー19、アンカー鎖20、装置1、または海底への損傷を軽減し得る。自己推進システム24はまた、コントローラー22によって起動されて、アンカーをドラッグすることになり得る装置のドリフトに対抗するか、または装置を回転させて、アンカーのドラッグを最小化し得る。これにより、アンカー19およびアンカーケーブル20上の摩耗を低減することができる。極端な気象条件が特定される場合、コントローラー22は、ウィンドラス18を動作させてアンカーを完全に収納し、装置1を安全な場所に移動させ得る。こうした状況において、または深海の位置では、コントローラー22は、自己推進システムを使用してGPS位置データに基づき装置1の位置が維持される仮想アンカーを起動し得る。
【0053】
装置が目標位置にアンカーされると、コントローラー22は、アクチュエーター11を起動して、クロスが配置可能特別マーカー10上に表示されるよう、クロス部材12を配置し得る。同時に、表示灯9は、特別マーカー要件と一致する一連の点滅を放射するように切り替えられてもよい。従って、このモードでは、装置1は、国際海洋規則の下で特別マーカー浮標であるとみなされる。重要なことは、これは、装置が規制要件としてアクティブ監視や見張り人をもはや必要としないことを意味する。結果として、装置1は、能動的に監視されることなく、長期間、そのアンカーされた位置に係留したままであり得る。これは、例えば、海上における衝突の予防のための国際規則(COLREG)の規則5では、全ての船が常に存在する見張り人を有することを義務付けているので、従来の自律型船では認められない。それによって、装置1は、装置がカメラ13を介して遠隔監視され、その後、船から長期間のデータ収集操作のために、目標位置での特別マーカー浮標に切り替わる状態で、目標部位へのナビゲーションのための船として機能することによって、この規制要件を回避する。
【0054】
この接続では、装置1がアンカーされ、かつ特別マーカーモードになると、コントローラー22は、LiDARセンサー8を含むそのさまざまなセンサーを起動し、センサーデータ測定の記録を開始し得る。この時間の間、ソーラーおよび風力エネルギーが、ソーラーパネル4および風力タービン発電機6によって収集されて、エネルギー貯蔵部21の電池部分を充電することができる。コントローラー22はまた、電池を再充電するための電力を生成するため自己推進システム24の船内エンジンを起動し得る。
【0055】
特別マーカーモードにあるとき、データ収集段階中、加速度計/角速度センサーを使用して、船の動きを2D海の状態波スペクトルに並進させるために、船の動きを監視する。船動作データは、LiDARセンサー7、8からのセンサー測定値など、センサー測定値の動作補正をサポートするためにも使用され得る。
【0056】
アンカーされる間、コントローラー22はまた、いくつかの保護システムを実装し得る。これらのシステムの一部は、
図4~9を参照してさらに詳細に説明される。これに関して、
図4は、アンカー鎖20によってアンカー19に結合された装置1の概略上面図を示す。装置1は、アンカー鎖20の長さによって画定される半径で、周囲25のアンカー19の周りを移動し得ることが理解されよう。アンカー19によってアンカーされる場合、コントローラー22は、装置のGPS位置をログ記録し、装置が配置されたアンカー位置に関連付けられる周囲25の外側に移動する場合に、アンカー鎖の破損または船ドリフトを自動的に検出し得る。
【0057】
この接続で、
図5は、コントローラー22によって実施されるアンカー分離システムの概略図を示す。方向26aの風で、位置1aの装置は、アンカー鎖20長さによって画定される予想外周25から、位置1bへとドリフトし得る。周囲25から離れる位置の変化は、風速および流速度と相関し、位置および方向は、船内GPSおよび位置センサーによって決定される。例えば、装置1は、鎖が切断された場合に回転する可能性が高い。検出された場合、コントローラー22は、アンカーウィンドラス18を起動して、残りのアンカー鎖20を収納する。船内自己推進システム24はまた、コントローラー22によって起動および制御されて、位置1cおよび1dから周囲25に戻るように装置をナビゲートする。次に、位置1dは、自己推進システム24によって風向が26bに変更された場合維持される。これにより、制御不能なドリフトを避ける。
【0058】
図6は、アンカーが位置19aから19bまで海底上に引きずられる、アンカードラッグシナリオの概略上面図を示す。この動きは、コントローラー22が経時的な装置の位置を監視し、25aから25bへの周囲の変化を識別することによって再び検出される。この変化は、上記のアンカー鎖切断シナリオと比較して比較的遅く、アンカー鎖長が環境条件に対して短すぎる結果であり得る。従って、コントローラー22は、アンカー鎖長を増加させるために、アンカーウィンドラス18を制御し得る。
【0059】
さらに、
図7に示すように、鎖20の引っかき/絡み合いを検出および防止するための自動システムも実装され得る。このため、コントローラー22は、装置1の位置を連続的に記録し、アンカー19の周りのドリフトの半径が減少するときに絡み合いを識別し得る。例えば、
図7では、方向26aから26b~26cへの風向の変化により、装置1を周囲25aの周りに移動するようにさせると予想される。この移動の間、アンカー鎖は、風、潮流および波の方向の結果としての装置の位置の変化に従って海底上をドラッグする。しかしながら、アンカー鎖20が物体32によって捕捉される場合、物体は、新しいアンカーポイントとして有効に作用する。これにより、装置1は、風向が変化すると、物体32の周りの渦巻きのような動きで、オリジナルの周囲25aから経路25bへ内向きに移動する。これにより、物体32と鎖20の絡み合いを引き起こす可能性がある。しかしながら、装置の位置および動きの変化が検出され、絡み合い方向がコントローラー22によって判別される。これに応答して、コントローラー22は、自己推進システム24と連動して、回転を逆転させることによって、鎖20を自動的に絡み合解除することができる。コントローラー22はまた、次に、装置1が新しい位置で再配置される必要があると判別してもよく、それゆえ、自己推進システム24が装置1を再配置する前に、ウィンドラス18を起動して鎖20を引き込むことができる。これにより、装置1の安全な動作が可能になり、従来の係留浮標システム上の海底への損傷の可能性を低減することができる。
【0060】
コントローラー22はまた、そうでなければ結び目になる可能性があるアンカー鎖20のねじれのリスクを軽減するために、反ねじれシステムを実装することができる。アンカー配置の最中、アンカーポイントの周りで時計回りおよび反時計回りに装置の回転運動が監視され、アンカー鎖20は、一方向の一定量の回転の後に自動的に収納され得る。次に、アンカー19が水柱内に自由にハングすると、収納が停止されてもよく、アンカー19と鎖20との間に設けられた旋回接合部により、アンカー19が反回転して任意のねじれをリリースすることができる。装置の位置は、船内自己推進システム24を介して自動的に維持され、ねじれがリリースされると、アンカー鎖20は自動的に再配置され得る。
【0061】
アンカー19が配置される間、反ねじれシステムはまた、
図8に示すように、ねじれを防止するように作用し得る。使用時に、装置1は、風、潮流および波の方向の結果として周囲25の周りを移動し、それによってアンカー鎖20を海底上にドラッグする。コントローラー22は、アンカーポイント19の周りの時計回りおよび反時計回りの回転の数を監視し、計数する。次に、コントローラー22は、一方向への正転に対抗するために、自己推進システムを起動して逆方向にナビゲートし得る。別の方法として、コントローラー22は、アンカー19が水柱に自由にハングするまでアンカー19を収納し、鎖20が任意のねじれを回転およびオフセットすることを可能にする。次いで、アンカー19は、新しい位置に再配置され得る。
【0062】
異常気象またはアンカーが不可逆的に絡み合う場合などの緊急事態のシナリオでは、コントローラー22はまた、アンカーウィンドラス18を作動させてアンカー鎖20を完全に分離し得る。これにより、装置1がアンカー鎖および海底に不可逆的に付着しないようにする。このプロセスでは、ウィンドラス18は、その端がリリースされるまで、全鎖長を繰り出し得る。コントローラー22は次に、装置1をアンカー鎖20から安全な距離に位置付けるために、船内自己推進システム24を自動的に起動し得る。次に、コントローラー22は、鎖20位置をログ記録し得る。鎖20の端部はまた、それに接合される浮力ロープを設けてもよく、ロープの長さは、現場での最大水深に対応する。これにより、これらの特徴により、別の船による分離されたアンカー鎖20の位置決めおよびその後の回収が容易になる。
【0063】
図9は、コントローラー22によって提供されるアンカー長さ調整システムの実装の概略上面図を示す。このシステムでは、環境条件に応じてアンカー鎖長が調整される。例えば、風向26aで印が付けられるように、より高い風速条件では、アンカー鎖20aは、より長い鎖長に設定され得る。逆に、風向26bに印が付けられるように、より低い風速条件において、コントローラー22は、アンカー鎖20bをより短い長さに設定し得る。これにより、アンカー鎖の摩耗および疲労を低減し、鎖の絡み合いのリスクを低減することができる。さらに、より短いアンカー鎖長を使用できる場合、装置1は、その表面に鎖をドラッグすることによる海底への影響を最小化するだけでなく、船内に格納される鎖重量による安定性の向上から利益を得る。再び、極端な天候および海の状態の状況では、コントローラー22は、アンカー鎖20を収納し、自己推進システム24を制御して、装置1を定位置に維持し得る。
【0064】
装置1は、典型的には12か月以上、長期間、その場所に留まり、その間、風力発電施設の場所の評価のために、垂直風プロファイルデータおよびその他の環境データを収集する。この時間の間、データは、分析のためにアンテナ5を介して制御センターに定期的に送り戻され得る。所定の期間の後、またはエネルギーまたはデータ記憶容量に到達した場合、コントローラー22は、測定セッションが完了したと判別し得る。これに応答して、コントローラー22は、ウィンドラス18を起動して、アンカー19を収納し得る。このプロセスの間、ウィンドラス18内のクリーニングシステムは、アンカーケーブル20を水でジェットして、任意の葉を除去し得る。アンカー19が引っかかる場合、コントローラー22は、自己推進システム24を起動して、ケーブル20を絡み合解除してアンカー19をリリースするために装置1を移動させ得る。
【0065】
上記と同時に、コントローラー22は、アクチュエーター11を起動して、クロス部材11をその未配置位置に移動させ、特別マークを収納する。表示灯9はまた、スイッチオフ、または通常の船表示パターンにされ得る。カメラ13を介した制御センターからのヒト監視も再開し得る。このように、装置1は船モードに戻り、コントローラー22は自己推進システム24を制御して装置1をナビゲートすることができる。装置1は、例えば、新しい測定セッションのために新しい場所にナビゲートするか、または燃料補給および修理のために港または別の船に戻ることができる。実施形態では、装置1は、有人船または港の制御センターによって遠隔的にトリガーされて、その電池の燃料補給および/または再充電のために船または港の位置にナビゲートされ得る。この後、装置は、測定を再開するために、目標位置に戻るようにそれ自体を推進し得る。従って、より小さなエネルギー貯蔵部で長い測定セッションが、その燃料および電池貯蔵部を定期的に再充電することによって実施され得る。
【0066】
重要なことに、装置1は、これらの修理および再充電を自律的に行うことができるため、装置が規制目的のために監視されなければならないにもかかわらず、これらの動作は、はるかに費用効果の高いものとなり得る。例えば、従来の浮遊LiDAR装置の場合、有人船は、各装置に個別に移動し、係留を分離し、装置を修理または再充電のために適切な場所に牽引または持ち上げる必要がある。このプロセスは、設置船の可用性のための待機時間、および復旧および修理作業のための安全な作業条件を可能にする適切な天候時間帯のために、大きな時間/費用のオーバーヘッドをもたらし得る。この複雑さは、困難で費用のかかる計画につながり、最終的にはコストが高くなり、データ損失拡大のリスクをもたらす。
【0067】
上述の実施形態は、例示の目的のためにのみ本発明の適用を示すことが理解されよう。実際には、本発明は、多くの異なる構成に適用されてもよく、詳細な実施形態は、当業者にとって実施することが簡単である。
【0068】
例えば、上述の例示的実施形態では、配置可能特別マーカーは、移動可能なクロス部材を有しているが、他の配置機構が使用され得ることが理解されよう。例えば、クロスマーカーは、特別マークを配置するための直立位置に折り畳まれる、拡張可能なマスト上に提供され得る。
【0069】
さらに、上記の例示的実施形態は、完全に自律的な機能性が提供されるが、装置は遠隔制御されてもよく、装置上の機能は遠隔でトリガーされるが、装置自体上で自律的に作用されることが理解されよう。
【0070】
さらに、実施形態は、例示的実施形態に関連して上述したものを除き、推進および発電システムの他の手段も組み込んでもよい。例えば、海洋ディーゼルエンジンではなく、複数の電気ポッドを含む電気推進システムを使用し得る。このような場合、ディーゼルまたは他の燃料発電機を使用して、装置の電池を充電し、それによってハイブリッド推進システムを形成し得る。
【0071】
実施形態では、コントローラー22はまた、自動電力管理システムを実装し得る。このシステムの制御下で、燃料発電機は、バッテリー充電レベルが閾値を下回ると自動的に起動され得る。ソーラーPVおよび風力タービンによって提供される再生電力はまた、電池の再充電を支持するために使用され得る。
【0072】
長期間の動作のために、コントローラー22はまた、作業動作が維持されるように、自己推進システムを含む船内システムの自動負荷サイクルを実装し得る。このシステムの下で、コントローラー22は、装置のエンジン、発電機、およびアクチュエーターを自動的に起動および実行して、機能が維持され、可動部品が捕捉されていないことを保証し得る。これの一部として、推進システムは、プロペラおよびドライブトレーン上の海洋葉の蓄積を最小化するために起動され得る。アンカー鎖20はまた、定期的に掃除され得る。電池はまた、充電レベルおよび電池の健全性を維持するために、定期的に再充電され得る。
【0073】
装置1は、潜在的な新しい風力タービン発電機の現場についての風プロファイルデータを決定する文脈で説明されてきたが、装置は他の風プロファイル試験手法にも使用され得ることが理解されよう。例えば、
図10は、既存の風力タービン発電機(WTG)27の電力曲線検証(power curve validation)を行うための試験方法の概略図を示す。この方法では、装置1は、その自己推進システム24を使用してWTG27からあらかじめ設定された距離を維持し、風向に従ってWTG27の周りを移動する。これは、
図10の位置1a~cおよび風向26a~cによって示される。このように、装置1は、WTG27の前方および後方の両方からの測定値を記録することができる。これにより、WTG27の前方の自由風の、およびWTG27の後方の乱流風プロファイルの風プロファイルデータが提供され、これはその後、WTG27の影響を評価するために使用され得る。
【0074】
また、実施形態では、ムーンプールまたは湿ったポーチが船体に設けられてもよい。こうしたムーンプールは、下方の海へのアクセスを与えるための船体床または基部に開口部を提供し得る。そのため、センサーおよび他の機器は、それを通して海に降下し得る。例えば、土壌試料は、試料収集装置をムーンプールを通して降下させることによって取得され得る。ムーンプールを通して項目を昇降するために、統合されたウィンチが提供され得る。
【0075】
さらに、実施形態では、ゴンドラが、いくつかのセンサーを収容するために船体の下に取り付けられてもよい。例えば、ゴンドラは、水面下に突出する支持アームの端部に設けられてもよい。そのため、センサーは、ノイズが低減され、気泡のない環境に位置し得る。実施形態では、ゴンドラは収納可能であり得る。追加的なセンサーが、装置に接続およびそれに牽引され得るはしけの中にも提供され得る。これらの配置により、例えば、必要に応じて異なるセンサーセットを船に取り付けることを可能にし得る。
【0076】
実施形態では、センサーは、水路および海洋図プロファイリングおよび監視のために組み込まれ得る。例えば、マルチビームエコーサウンダー、サブボトムプロファイラー、サイドスキャンソナー、地震サーベイセンサー、音響速度プロファイラー、温度センサー、塩分センサー、SONARセンサー、およびLiDARセンサーのうちの一つまたは複数が提供され得る。配置では、装置は、例えば、風力タービン設置用の潜在的な新しい設置場所をプロファイリングするための、現場調査装置として提供され得る。
【0077】
この関係で、さらなる態様によれば、一つまたは複数の調査センサーと、装置を水域を通して推進するための自己推進システムと、装置を特別マーカー浮標として識別するための配置状態と、装置を船として識別するための未配置状態とを切り替えるように作動可能な、配置可能特別マークと、船がアンカーされるときに、装置を、船モードから浮標モードに切り替えるためのコントローラーと、を含み、コントローラーが、装置が浮標モードにあるときに、特有マークを配置状態に切り替え、一つまたは複数の調査センサーが、マルチビームエコーサウンダー、下部プロファイラー、サイドスキャンソナー、地震調査センサー、音速プロファイラー、温度センサー、塩分センサー、SONARセンサー、およびLiDARセンサーのうちの一つまたは複数を含む、浮遊海域調査装置が提供され得る。
【0078】
水路および海洋図プロファイリングおよび監視装置が提供されるこのようなシナリオでは、一つまたは複数の装置が、例えば、地理的グリッドをカバーする、またはあらかじめ設定された経路に従って、あらかじめ決定された場所で現場調査を自律的に実施するように命令され得る。このように、海底の輪郭および組成、ならびに海底の特徴が、拡張された領域にわたって評価され得る。そのため、潜在的な地理ハザードおよび土壌特性を特定し、それによって、より低いコストで現場の実現可能性を評価できるようにする。さらに、こうした装置は悪天候で港に戻る必要がないため、配置は天候に左右されず、そのため柔軟性が向上している。
【0079】
上記と同様に、装置は、設置中および設置後にモノパイルサイトを監視するためにも使用され得る。例えば、装置は、モノパイルが安定する間、支持船から独立して、設置場所に留まるように提供され得る。そのため、支持船を現場に留まらせる必要なく、ケーブルの露出または浸出などの問題をモニターリングすることができる。これにより、潜在的な設置問題に対する早期警告を提供することができる。
【0080】
最後に、上記の実施形態は、装置、アンカー、その鎖、および海底を保護するためのいくつかのアンカー保護システムおよび方法を組み込む。しかしながら、これらのシステムおよび方法が、他の船にも適用され得ることが理解されよう。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮遊垂直風プロファイルセンサー装置であって、
垂直風プロファイルを感知するための垂直風プロファイルセンサーと、
前記浮遊垂直風プロファイルセンサー装置を水域を通して推進するための自己推進システムと、
前記浮遊垂直風プロファイルセンサー装置を特別マーカー浮標として識別するための配置状態と、前記浮遊垂直風プロファイルセンサー装置を船として識別するための未配置状態とを切り替えるよう作動可能な、配置可能特別マークと、
前記船がアンカーされるときに前記浮遊垂直風プロファイルセンサー装置を船モードから浮標モードに切り替えるためのコントローラーと、を含み、
前記コントローラーは、前記浮遊垂直風プロファイルセンサー装置が前記浮標モードにあるときに前記配置可能特別マークを前記配置状態に切り替えることを特徴とする浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項2】
アンカーケーブル上のアンカーを配置および収納するための自動アンカー機構をさらに含み、
前記コントローラーは、前記浮遊垂直風プロファイルセンサー装置が前記浮標モードにあるときに前記アンカーを配置するように前記自動アンカー機構を制御するように構成されている、請求項1に記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項3】
前記コントローラーは、一つまたは複数のアンカー配置センサーからフィードバックを受信し、
前記コントローラーは、少なくとも部分的に、前記一つまたは複数のアンカー配置センサーからの前記フィードバックに基づき、配置する前記アンカーケーブルの長さを判別する、請求項2に記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項4】
前記コントローラーは、気象条件データを受信するため、および、緊急気象条件が検出された場合に前記アンカーを収納するための前記自動アンカー機構を制御するための、気象モジュールをさらに含む、請求項
2に記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項5】
前記コントローラーは、前記気象モジュールによって受信された前記気象条件データに少なくとも部分的に基づいて、配置する前記アンカーケーブルの長さをさらに決定する、請求項4に記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項6】
前記自動アンカー機構は、前記アンカーが収納されたときに、前記アンカーケーブルを流体でジェットするためのクリーニングジェットを含む、請求項
2に記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項7】
前記コントローラーは、前記船をナビゲートするための前記自己推進システムを制御するための自律ナビゲーション制御モジュールを含む、請求項
1に記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項8】
前記自律ナビゲーション制御モジュールは、前記船をアンカーするための仮想アンカーを実施するよう前記自己推進システムを制御するように構成されている、請求項
7に記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項9】
一つまたは複数のセンサーをさらに含み、
前記コントローラーは、前記一つまたは複数のセンサーからのセンサーデータを格納するためのメモリーをさらに含む、請求項
1に記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項10】
一つまたは複数の電気通信トランシーバーをさらに含み、
前記コントローラーは、前記一つまたは複数の電気通信トランシーバーを介して前記一つまたは複数のセンサーからセンサーデータを送信するようにさらに構成されている、請求項9に記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項11】
前記コントローラーは、前記コントローラーによって適用される制御を調整するために、前記一つまたは複数の電気通信トランシーバーを介して入力信号を受信するようにさらに構成されている、請求項10に記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項12】
前記一つまたは複数のセンサーは、レーダーセンサー、GPSセンサー、ソナーセンサー、カメラ、風速センサー、雨センサー、角速度センサー、音響ドップラー流速プロファイラー、音響流速プロファイラー、カップ風速計、音波風速計、大気圧センサー、気温センサー、湿度センサー、波動センサー、水温度センサー、水深センサー、水塩分センサー、水導電率センサー、濁水センサー、降水センサー、粒子サイズおよび速度センサー、日射センサーとして、視界センサー、雲の高さセンサー、温度プロファイルセンサー、鳥やコウモリの監視センサー、海哺乳動物センサー、生物多様性センサー、海底監視センサー、マイクロプラスチック粒子センサー、藻センサー、サンゴ測定センサー、海洋成長/葉センサー、堆積物およびスコーアセンサー、装置保護センサー、盗難防止センサー、地震センサー、海底植生センサー、グアノセンサー、水密度センサー、空気密度センサー、水上音響センサー、水中音響センサー、オイル流出センサー、水温プロファイルセンサー、潮流速度および方向センサー、および潮流速度プロファイルセンサーのうちの一つまたは複数を含む、請求項
9に記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項13】
前記垂直風プロファイルセンサー、前記自己推進システム、および前記コントローラーを収容するための船体と、
前記船体を囲むためのエンクロージャーと、をさらに含み、
前記エンクロージャーは、黄色い表示面を含み、
前記配置可能特別マークは、前記エンクロージャーに取り付けられている、請求項
1に記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置。
【請求項14】
請求項
1に記載の浮遊垂直風プロファイルセンサー装置を使用して、目標沖合位置で垂直風プロファイルを判別する方法であって、
前記コントローラーに、前記目標沖合位置を示す位置データを提供する工程と、
前記コントローラーによって、前記装置が船モードにあるときに、前記位置データに基づき、前記装置を前記目標沖合位置に推進するように、前記自己推進システムを制御する工程と、
前記コントローラーによって、前記装置が前記目標沖合位置にあると判定し、前記装置を前記目標沖合位置にアンカーする工程と、
前記コントローラーによって、前記装置を前記船モードから前記浮標モードに切り替える工程であって、前記浮標モードに切り替えると、前記配置可能特別マークが作動して前記配置状態に切り替わる、前記浮標モードに切り替える工程と、
前記コントローラーによって、前記垂直風プロファイルを感知するための前記LiDARセンサーを起動させる工程と、
前記コントローラーによって、垂直風Sプロファイルデータを記録する工程と、を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記コントローラーによって、(a)前記垂直風速プロファイルデータが測定閾値に到達したと判定すること、(b)エネルギー貯蔵部に格納される残りのエネルギーが、戻り範囲の閾値を下回ったこと、および(c)入力制御信号、のうちの一つに基づき、測定セッションの終了を判別する工程と、
前記コントローラーによって、前記装置を前記浮標モードから前記船モードに切り替える工程であって、前記船モードに切り替えると、前記配置可能特別マークが作動して前記未配置状態に切り替わる、前記船モードに切り替える工程と、
前記装置をアンカー解除する工程と、
前記コントローラーによって、前記装置を別の場所に推進するように前記自己推進システムを制御する工程と、をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【国際調査報告】