(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-14
(54)【発明の名称】抗セラミド抗体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20230804BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20230804BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230804BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20230804BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20230804BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230804BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230804BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230804BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230804BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230804BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20230804BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230804BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C07K16/18
C07K16/46
C07K19/00
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61P43/00 105
A61K39/395 D
A61K39/395 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556575
(86)(22)【出願日】2021-03-18
(85)【翻訳文提出日】2022-11-09
(86)【国際出願番号】 US2021022914
(87)【国際公開番号】W WO2021188770
(87)【国際公開日】2021-09-23
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500213834
【氏名又は名称】メモリアル スローン ケタリング キャンサー センター
(71)【出願人】
【識別番号】522369120
【氏名又は名称】セラメディックス ホールディング リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100137626
【氏名又は名称】田代 玄
(72)【発明者】
【氏名】コールスニック リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ティンケレンバーグ アーサー
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジョードン クオ-ミン
(72)【発明者】
【氏名】ウー イーナン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】レヴィ ラファエル
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA91X
4B065AB01
4B065AC14
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4B065CA25
4B065CA44
4C085AA13
4C085BB11
4C085CC01
4C085CC08
4C085CC21
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4C085GG02
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4C085GG04
4C085GG06
4C085GG08
4C085GG10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、抗セラミド抗体およびその抗原結合性断片の組成物を提示する。本開示は、それを必要とする対象における細胞死を防止または阻害する方法であって、抗セラミド抗体または抗原結合性断片を、対象へと投与するステップを含む方法をさらに提示する。それを必要とする対象は、自己免疫疾患、GI症候群、またはGvHDを患っている場合がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重鎖相補性決定領域(CDR)1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)と、軽鎖相補性決定領域(CDR)1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)とを含み、
(a)HCDR1が、配列番号1および2から選択されるアミノ酸配列を含み;
(b)HCDR2が、配列番号3、4、5、および6から選択されるアミノ酸配列を含み;
(c)HCDR3が、配列番号7のアミノ酸配列を含み;
(d)LCDR1が、配列番号8のアミノ酸配列を含み;
(e)LCDR2が、配列番号9のアミノ酸配列を含み;
(f)LCDR3が、配列番号10のアミノ酸配列を含む、
抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項2】
HCDR1が、配列番号1を含み、HCDR2が、配列番号3を含む、請求項1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項3】
HCDR1が、配列番号1を含み、HCDR2が、配列番号4を含む、請求項1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項4】
HCDR1が、配列番号1を含み、HCDR2が、配列番号5を含む、請求項1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項5】
HCDR1が、配列番号1を含み、HCDR2が、配列番号6を含む、請求項1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項6】
HCDR1が、配列番号2を含み、HCDR2が、配列番号3を含む、請求項1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項7】
HCDR1が、配列番号2を含み、HCDR2が、配列番号4を含む、請求項1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項8】
HCDR1が、配列番号2を含み、HCDR2が、配列番号5を含む、請求項1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項9】
HCDR1が、配列番号2を含み、HCDR2が、配列番号6を含む、請求項1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項10】
VHが、配列番号17と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項11】
VHが、配列番号17と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項12】
VHのアミノ酸配列が、配列番号17からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号22からなる、請求項10に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項13】
VHが、配列番号17と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号23と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項14】
VHが、配列番号17と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号23と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項15】
VHのアミノ酸配列が、配列番号17からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号23からなる、請求項13に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項16】
VHが、配列番号17と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号24と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項17】
VHが、配列番号17と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号24と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項16に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項18】
VHのアミノ酸配列が、配列番号17からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号24からなる、請求項16に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項19】
VHが、配列番号18と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項20】
VHが、配列番号18と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項19に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項21】
VHのアミノ酸配列が、配列番号18からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号22からなる、請求項19に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項22】
VHが、配列番号18と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号23と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項23】
VHが、配列番号18と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号23と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項22に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項24】
VHのアミノ酸配列が、配列番号18からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号23からなる、請求項22に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項25】
VHが、配列番号18と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号24と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項26】
VHが、配列番号18と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号24と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項25に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項27】
VHのアミノ酸配列が、配列番号18からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号24からなる、請求項25に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項28】
VHが、配列番号19と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項29】
VHが、配列番号19と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項28に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項30】
VHのアミノ酸配列が、配列番号19からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号22からなる、請求項28に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項31】
VHが、配列番号19と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号23と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項32】
VHが、配列番号19と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号23と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項31に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項33】
VHのアミノ酸配列が、配列番号19からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号23からなる、請求項31に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項34】
VHが、配列番号19と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号24と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項35】
VHが、配列番号19と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号24と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項34に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項36】
VHのアミノ酸配列が、配列番号19からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号24からなる、請求項34に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項37】
VHが、配列番号20と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項38】
VHが、配列番号20と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項37に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項39】
VHのアミノ酸配列が、配列番号20からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号22からなる、請求項37に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項40】
VHが、配列番号21と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項41】
VHが、配列番号21と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項40に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項42】
VHのアミノ酸配列が、配列番号21からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号22からなる、請求項40に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項43】
免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)と、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)とを含み、
VHが、配列番号17、18、19、20、および21から選択される配列と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み;
VLが、配列番号22、23、および24から選択される配列と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列
を含む、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項44】
VHが、配列番号17と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号22と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項43に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項45】
VHが、配列番号17と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項43または44に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項46】
VHのアミノ酸配列が、配列番号17からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号22からなる、請求項43~45のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項47】
VHが、配列番号17と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号23と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項43に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項48】
VHが、配列番号17と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号23と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項43または47に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項49】
VHのアミノ酸配列が、配列番号17からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号23からなる、請求項43、47、または48のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項50】
VHが、配列番号17と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号24と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項43に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項51】
VHが、配列番号17と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号24と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項43または50に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項52】
VHのアミノ酸配列が、配列番号17からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号24からなる、請求項43、50、または51のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項53】
VHが、配列番号18と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項43に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項54】
VHが、配列番号18と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項43または53に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項55】
VHのアミノ酸配列が、配列番号18からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号22からなる、請求項43、53、または54のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項56】
VHが、配列番号18と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号23と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項43に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項57】
VHが、配列番号18と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号23と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項43または56に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項58】
VHのアミノ酸配列が、配列番号18からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号23からなる、請求項43、56、または57のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項59】
VHが、配列番号18と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号24と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項43に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項60】
VHが、配列番号18と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号24と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項43または59に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項61】
VHのアミノ酸配列が、配列番号18からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号24からなる、請求項43、59、または60のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項62】
VHが、配列番号19と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項43に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項63】
VHが、配列番号19と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項43または62に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項64】
VHのアミノ酸配列が、配列番号19からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号22からなる、請求項43、62、または63のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項65】
VHが、配列番号19と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号23と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項43に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項66】
VHが、配列番号19と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号23と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項43または65に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項67】
VHのアミノ酸配列が、配列番号19からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号23からなる、請求項43、65、または66のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項68】
VHが、配列番号19と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号24と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項43に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項69】
VHが、配列番号19と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号24と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項43または68に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項70】
VHのアミノ酸配列が、配列番号19からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号24からなる、請求項43、68、または69のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項71】
VHが、配列番号20と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項43に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項72】
VHが、配列番号20と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項43または71に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項73】
VHのアミノ酸配列が、配列番号20からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号22からなる、請求項43、71、または72のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項74】
VHが、配列番号21と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項43に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項75】
VHが、配列番号21と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項43または74に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項76】
VHのアミノ酸配列が、配列番号21からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号22からなる、請求項43、74、または75のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項77】
ヒト化抗体またはその抗原結合性断片である、請求項1~76のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項78】
完全ヒト抗体またはその抗原結合性断片である、請求項1~76のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項79】
抗セラミド抗体が、抗体のFcドメイン内に、1カ所または複数カ所の点突然変異を含む、請求項1~78のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項80】
抗原結合性断片が、単鎖可変断片(scFv)である、請求項1~79のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項81】
scFvが、配列番号48~61からなる群から選択される配列と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項80に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項82】
scFvが、配列番号48~61からなる群から選択される配列と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項80に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項83】
scFvが、配列番号48~61からなる群から選択される配列からなる、請求項80に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項84】
前記scFvの軽鎖可変領域が、前記scFvの重鎖可変領域に対して、カルボキシ末端側にある、請求項80に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項85】
前記scFvの軽鎖可変領域が、前記scFvの重鎖可変領域に対して、アミノ末端側にある、請求項80に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項86】
scFvが、リンカーポリペプチドを含む、請求項80~85のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項87】
リンカーポリペプチドが、前記scFvの軽鎖可変領域と、重鎖可変領域との間にある、請求項86に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項88】
リンカーポリペプチドが、Gly
4Serリンカーを含む、請求項86または87に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項89】
リンカーポリペプチドが、式(Gly
4Ser)
n[配列中、n=1~5である]を含む、請求項86~88のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項90】
配列番号48~61からなる群から選択される配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む抗セラミド単鎖可変断片(scFv)。
【請求項91】
配列番号48~61からなる群から選択される配列と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項90に記載の抗セラミドscFv。
【請求項92】
配列番号48~61からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項90に記載の抗セラミドscFv。
【請求項93】
請求項1~92のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片をコードするポリヌクレオチド。
【請求項94】
配列番号48または51と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む抗セラミド単鎖可変断片(scFv)。
【請求項95】
配列番号48または51と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項94に記載の抗セラミドscFv。
【請求項96】
配列番号48または51のアミノ酸配列からなる、請求項94に記載の抗セラミドscFv。
【請求項97】
請求項94~96のいずれか1項に記載の抗セラミド単鎖可変断片(scFv)をコードするポリヌクレオチド。
【請求項98】
請求項93または97に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項99】
請求項93もしくは97に記載のポリヌクレオチド、または請求項97に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項100】
請求項1~89のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体もしくはその抗原結合性断片、または請求項94~96のいずれか1項に記載の抗セラミド単鎖可変断片(scFv)を製造する方法であって、請求項98に記載の発現ベクターを、宿主細胞へと導入するステップを含む方法。
【請求項101】
それを必要とする対象におけるアポトーシスを阻害する方法であって、対象へと、治療有効量の、請求項1~88のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体もしくはその抗原結合性断片、または請求項94~96のいずれか1項に記載の抗セラミドscFvを投与するステップを含む方法。
【請求項102】
アポトーシスが、移植片対宿主病、放射線疾患、GI症候群、および自己免疫疾患からなる群から選択される疾患と関連する、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
疾患が、放射線疾患またはGI症候群であり、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片が、対象が、放射線へと曝露される前に投与される、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
疾患が、移植片対宿主病であり、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片が、対象が移植を受ける前に投与される、請求項102に記載の方法。
【請求項105】
移植が、骨髄移植である、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片が、静脈内投与、筋内投与、腹腔内投与、脳脊髄内投与、皮下投与、滑膜内投与、髄腔内投与、経口投与、局所投与されるか、または吸入を介して投与される、請求項101に記載の方法。
【請求項107】
GI症候群を伴う対象におけるアポトーシスを緩和するための方法であって、対象が透過性放射線へと曝露された後で、対象へと、治療有効量の、請求項1~89のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体もしくはその抗原結合性断片、または請求項94~96のいずれか1項に記載の抗セラミドscFvを投与するステップを含む方法。
【請求項108】
抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片が、対象が透過性放射線へと曝露された直後に投与される、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片が、対象が透過性放射線へと曝露された後、24時間以内に投与される、請求項107に記載の方法。
【請求項110】
GvHDを伴う対象におけるアポトーシスを阻害するための方法であって、対象が移植を受ける前に、または対象が移植を受けた後で、GvHDの発症の前に、対象へと、治療有効量の、請求項1~89のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体もしくはその抗原結合性断片、または請求項94~96のいずれか1項に記載の抗セラミドscFvを投与するステップを含む方法。
【請求項111】
移植が、骨髄移植である、請求項110に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年3月18日に出願された米国仮特許出願第62/991,232号の優先権を主張するものであり、この出願の内容は、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表に関する言明
本出願と関連する配列表は、紙原稿ではなく、テキストフォーマットで提示され、本明細書への参照により本明細書に組み込まれる。配列表の、コンピュータ読取りフォーマットのコピー:ファイル名:CERA-012_01WO_ST25.txt、記録年月日:2021年3月17日、ファイルサイズ:68.1キロバイトである。
【0003】
分野
本開示は、一般に、抗セラミド抗体およびその使用法に関する。特に、本開示は、細胞死を阻害するヒト化抗セラミド抗体に関する。このような抗体は、消化管症候群、移植片対宿主病、および自己免疫疾患を処置および防止するために有用である。
【背景技術】
【0004】
急性放射線症候群(ARS)(場合によって、放射線毒性または放射線病としても公知である)は、極めて短時間における、高線量の透過性放射線(例えば、高エネルギーX線、ガンマ線および中性子)の体内の大部分に対する照射により引き起こされる急性疾病である。放射線誘導性細胞死により引き起こされる、消化管および骨髄における、破壊的かつ不可逆的変化のために、この症候群を伴う生存の可能性は、極めて低い。
放射線は、がんの処置のための、最も有効なツールの1つである。残念ながら、放射線療法の有害副作用は、骨髄、毛包、表皮、および消化管の健常細胞の、放射線誘導性細胞死に対する感受性が、極めて大きいことである。骨髄移植など、他の種類のがん戦略は、宿主において、損傷性免疫反応を惹起する結果として、拒絶、または移植片対宿主病(GvHD)をもたらす。
したがって、放射線性GI症候群およびGvHDと関連する細胞死の発生率を低減するための、代替的戦略が、火急に必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、抗セラミド抗体およびその抗原結合性断片の組成物を提示する。一部の実施形態では、抗セラミド抗体およびその抗原結合性断片は、ヒト化抗体またはその抗原結合性断片である。他の実施形態では、抗セラミド抗体およびその抗原結合性断片は、scFvである。一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象における細胞死を防止または阻害する方法であって、抗セラミド抗体または抗原結合性断片を、対象へと投与するステップを含む方法をさらに提示する。一部の実施形態では、対象は、自己免疫疾患、GI症候群、またはGvHDを患っている。
一部の実施形態では、本開示は、重鎖相補性決定領域(CDR)1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)と、軽鎖相補性決定領域(CDR)1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)とを含み、(a)HCDR1が、配列番号1および2から選択されるアミノ酸配列を含み;(b)HCDR2が、配列番号3、4、5、および6から選択されるアミノ酸配列を含み;(c)HCDR3が、配列番号7のアミノ酸配列を含み;(d)LCDR1が、配列番号8のアミノ酸配列を含み;(e)LCDR2が、配列番号9のアミノ酸配列を含み;(f)LCDR3が、配列番号10のアミノ酸配列を含む、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片を提示する。
【0006】
一部の実施形態では、HCDR1は、配列番号1を含み、HCDR2は、配列番号3を含む。一部の実施形態では、HCDR1は、配列番号1を含み、HCDR2は、配列番号4を含む。一部の実施形態では、HCDR1は、配列番号1を含み、HCDR2は、配列番号5を含む。一部の実施形態では、HCDR1は、配列番号1を含み、HCDR2は、配列番号6を含む。一部の実施形態では、HCDR1は、配列番号2を含み、HCDR2は、配列番号3を含む。一部の実施形態では、HCDR1は、配列番号2を含み、HCDR2は、配列番号4を含む。一部の実施形態では、HCDR1は、配列番号2を含み、HCDR2は、配列番号5を含む。一部の実施形態では、HCDR1は、配列番号2を含み、HCDR2は、配列番号6を含む。
一部の実施形態では、VHは、配列番号17と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号22と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHは、配列番号17と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHのアミノ酸配列は、配列番号17からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号22からなる。
【0007】
一部の実施形態では、VHは、配列番号17と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号23と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHは、配列番号17と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号23と、100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHのアミノ酸配列は、配列番号17からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号23からなる。
一部の実施形態では、VHは、配列番号17と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号24と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHは、配列番号17と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号24と、100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHのアミノ酸配列は、配列番号17からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号24からなる。
【0008】
一部の実施形態では、VHは、配列番号18と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号22と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHは、配列番号18と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHのアミノ酸配列は、配列番号18からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号22からなる。
【0009】
一部の実施形態では、VHは、配列番号18と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号23と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHは、配列番号18と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号23と、100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHのアミノ酸配列は、配列番号18からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号23からなる。
【0010】
一部の実施形態では、VHは、配列番号18と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号24と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHは、配列番号18と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号24と、100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHのアミノ酸配列は、配列番号18からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号24からなる。
一部の実施形態では、VHは、配列番号19と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号22と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHは、配列番号19と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHのアミノ酸配列は、配列番号19からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号22からなる。
【0011】
一部の実施形態では、VHは、配列番号19と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号23と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHは、配列番号19と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号23と、100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHのアミノ酸配列は、配列番号19からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号23からなる。
一部の実施形態では、VHは、配列番号19と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号24と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHは、配列番号19と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号24と、100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHのアミノ酸配列は、配列番号19からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号24からなる。
【0012】
一部の実施形態では、VHは、配列番号20と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号22と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHは、配列番号20と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHのアミノ酸配列は、配列番号20からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号22からなる。
一部の実施形態では、VHは、配列番号21と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号22と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHは、配列番号21と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHのアミノ酸配列は、配列番号21からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号22からなる。
【0013】
一部の実施形態では、本開示は、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)と、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、配列番号17、18、19、20、および21から選択される配列と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み;VLが、配列番号22、23、および24から選択される配列と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片を提示する。
【0014】
一部の実施形態では、VHは、配列番号17と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号22と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHは、配列番号17と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHのアミノ酸配列は、配列番号17からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号22からなる。
一部の実施形態では、VHは、配列番号17と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号23と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHは、配列番号17と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号23と、100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHのアミノ酸配列は、配列番号17からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号23からなる。
【0015】
一部の実施形態では、VHは、配列番号17と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号24と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHは、配列番号17と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号24と、100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHのアミノ酸配列は、配列番号17からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号24からなる。
一部の実施形態では、VHは、配列番号18と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号22と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHは、配列番号18と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHのアミノ酸配列は、配列番号18からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号22からなる。
【0016】
一部の実施形態では、VHは、配列番号18と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号23と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHは、配列番号18と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号23と、100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHのアミノ酸配列は、配列番号18からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号23からなる。
一部の実施形態では、VHは、配列番号18と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号24と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHは、配列番号18と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号24と、100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHのアミノ酸配列は、配列番号18からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号24からなる。
【0017】
一部の実施形態では、VHは、配列番号19と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号22と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHは、配列番号19と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHのアミノ酸配列は、配列番号19からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号22からなる。
一部の実施形態では、VHは、配列番号19と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号23と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHは、配列番号19と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号23と、100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHのアミノ酸配列は、配列番号19からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号23からなる。
【0018】
一部の実施形態では、VHは、配列番号19と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号24と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHは、配列番号19と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号24と、100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHのアミノ酸配列は、配列番号19からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号24からなる。
一部の実施形態では、VHは、配列番号20と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号22と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHは、配列番号20と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHのアミノ酸配列は、配列番号20からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号22からなる。
【0019】
一部の実施形態では、VHは、配列番号21と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号22と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHは、配列番号21と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHのアミノ酸配列は、配列番号21からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号22からなる。
一部の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、ヒト化抗体またはその抗原結合性断片である。一部の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、完全ヒト抗体またはその抗原結合性断片である。一部の実施形態では、抗セラミド抗体は、抗体のFcドメイン内に、1カ所または複数カ所の点突然変異を含む。
【0020】
一部の実施形態では、抗原結合性断片は、単鎖可変断片(scFv)である。一部の実施形態では、scFvは、配列番号48~61からなる群から選択される配列と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、scFvは、配列番号48~61からなる群から選択される配列と、100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、scFvは、配列番号48~61からなる群から選択される配列からなる。
一部の実施形態では、前記scFvの軽鎖可変領域は、前記scFvの重鎖可変領域に対して、カルボキシ末端側にある。一部の実施形態では、前記scFvの軽鎖可変領域は、前記scFvの重鎖可変領域に対して、アミノ末端側にある。
一部の実施形態では、scFvは、リンカーポリペプチドを含む。一部の実施形態では、リンカーポリペプチドは、前記scFvの軽鎖可変領域と、重鎖可変領域との間にある。一部の実施形態では、リンカーポリペプチドは、Gly4Serリンカーを含む。一部の実施形態では、リンカーポリペプチドは、式(Gly4Ser)n[配列中、n=1~5である]を含む。
【0021】
一部の実施形態では、本開示は、配列番号48~61からなる群から選択される配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む抗セラミド単鎖可変断片(scFv)を提示する。一部の実施形態では、scFvは、配列番号48~61からなる群から選択される配列と、100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、scFvは、配列番号48~61からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、本開示は、本明細書で記載される、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片をコードするポリヌクレオチドを提示する。
一部の実施形態では、本開示は、配列番号48または51と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む抗セラミド単鎖可変断片(scFv)を提示する。一部の実施形態では、scFvは、配列番号48または51と、100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、scFvは、配列番号48または51のアミノ酸配列からなる。
【0022】
一部の実施形態では、本開示は、本明細書で記載される、抗セラミド単鎖可変断片(scFv)をコードするポリヌクレオチドを提示する。一部の実施形態では、本開示は、前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提示する。
一部の実施形態では、本開示は、本明細書で記載されるポリヌクレオチドまたは発現ベクターを含む宿主細胞を提示する。
【0023】
一部の実施形態では、本開示は、本明細書で記載される、抗セラミド抗体もしくはその抗原結合性断片、または本明細書で記載される、抗セラミド単鎖可変断片(scFv)を製造する方法であって、実施形態98の発現ベクターを、宿主細胞へと導入するステップを含む方法を提示する。
一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象におけるアポトーシスを阻害する方法であって、対象へと、治療有効量の、本明細書で記載される、抗セラミド抗体もしくはその抗原結合性断片、または本明細書で記載される、抗セラミド単鎖可変断片(scFv)を投与するステップを含む方法を提示する。一部の実施形態では、アポトーシスが、移植片対宿主病、放射線疾患、GI症候群、および自己免疫疾患からなる群から選択される疾患と関連する。一部の実施形態では、疾患は、放射線疾患またはGI症候群であり、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、対象が、放射線へと曝露される前に投与される。一部の実施形態では、疾患は、移植片対宿主病であり、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、対象が移植を受ける前に投与される。一部の実施形態では、移植は、骨髄移植である。
【0024】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、静脈内投与、筋内投与、腹腔内投与、脳脊髄内投与、皮下投与、滑膜内投与、髄腔内投与、経口投与、局所投与されるか、または吸入を介して投与される。
一部の実施形態では、本開示は、GI症候群を伴う対象におけるアポトーシスを緩和するための方法であって、対象が透過性放射線へと曝露された後で、対象へと、治療有効量の、実施形態1~89のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体もしくはその抗原結合性断片、または実施形態94~96のいずれか1項に記載の抗セラミドscFvを投与するステップを含む方法を提示する。一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、対象が透過性放射線へと曝露された直後に投与される。一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、対象が透過性放射線へと曝露された後、24時間以内に投与される。
一部の実施形態では、本開示は、GvHDを伴う対象におけるアポトーシスを阻害するための方法であって、対象が移植を受ける前に、または対象が移植を受けた後で、GvHDの発症の前に、対象へと、治療有効量の、実施形態1~89のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体もしくはその抗原結合性断片、または実施形態94~96のいずれか1項に記載の抗セラミドscFvを投与するステップを含む方法を提示する。一部の実施形態では、移植は、骨髄移植である。
【0025】
付属の図面は、本開示の、1つまたは複数の実施形態を例示し、説明の記載と共に、本開示の例示的な実施形態の原理を説明するのに用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】6B5 scFvの濃度を増大させたときの、T細胞内のCD28誘導性セラミドリッチプラットフォーム(CRP)の形成についての用量反応曲線を示す図である。
【
図2A】ヒト化6B5 scFvの濃度を増大させたときの、放射線誘導性T細胞アポトーシスについての用量反応曲線を示す図である。
【
図2B】VH4-VL1、VH5-VL1、および親scFvであるマウス6B5 scFvの濃度を増大させたときの、放射線誘導性T細胞アポトーシスについての用量反応曲線を示す図である。
【
図2C】VH4-VL1、VH5-VL1、および親scFvであるマウス6B5 scFvの濃度を増大させたときの、放射線誘導性T細胞アポトーシスについての用量反応曲線を示す図である。
【
図2D】VH4-VL1およびVH5-VL1の濃度を増大させたときの、放射線誘導性T細胞アポトーシスについての用量反応曲線を示す図である。
【
図2E】VH4-VL1およびVH5-VL1の濃度を所与としたときの、放射線誘導性アポトーシス性T細胞の百分率を示す図である。
【
図3A】15グレイ単位(Gy)のLD
90線量へと曝露されたマウスにおける、時間経過にわたる、絨毛1本当たりのアポトーシス性内皮細胞数を示す図である。記号に隣接する数は、1時点当たりに測定された動物の数を表す。Gy:吸収放射線単位のグレイである。
【
図3B】15グレイ単位(Gy)のLD
90線量へと曝露され、照射の24時間後に、非処置のまま放置されるか、またはVH2-VL1(配列番号51)で処置されたマウスにおける、時間経過にわたる、絨毛1本当たりのアポトーシス性内皮細胞数を示す図である。記号に隣接する数は、1時点当たりに測定された動物の数を表す。Gy:吸収放射線単位のグレイである。
【
図4A】ヒト化VH領域についての、アミノ酸配列のアライメントを示す図である。CDRに下線を付す。親CDRであるマウスCDR配列と異なる、CDRのアミノ酸を、太字で示す。ヒト生殖細胞系列のフレームワーク配列と異なる、フレームワーク領域のアミノ酸を、太字で示す。
【
図4B】ヒト化VL領域についての、アミノ酸配列のアライメントを示す図である。CDRに下線を付す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示についての詳細は、下記の付属の記載に明示される。本発明の実施または試行では、本明細書で記載される方法および材料と、同様または同等の方法および材料が使用されうるが、ここでは、例示的な方法および材料が記載される。本開示の、他の特色、目的、および利点は、記載および特許請求の範囲から明らかであろう。本明細書および付属の特許請求の範囲では、単数形はまた、文脈が、そうでないことを明確に指示しない限りにおいて、複数形も含む。そうでないことが規定されない限りにおいて、本明細書において使用される、全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により、一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で引用される、全ての特許および刊行物は、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる。
【0028】
定義
「抗体」という用語は、Ig分子の可変領域内に位置する、少なくとも1つのエピトープ認識部位を介して、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどの、特異的標的への結合が可能な免疫グロブリン(Ig)分子を指す。本明細書で用いられる、「抗体」という用語は、無傷ポリクローナル抗体または無傷モノクローナル抗体およびこれらの抗原結合性断片を包含する。例えば、天然の免疫グロブリン分子は、2つの重鎖ポリペプチドと、2つの軽鎖ポリペプチドとから構成される。重鎖ポリペプチドの各々は、重鎖ポリペプチドと、軽鎖ポリペプチドとの間の鎖間ジスルフィド結合により、軽鎖ポリペプチドと会合して、2つのヘテロ二量体のタンパク質またはポリペプチド(すなわち、2つの異種ポリペプチド鎖から構成されるタンパク質)を形成する。次いで、2つのヘテロ二量体のタンパク質は、重鎖ポリペプチドの間の、さらなる鎖間ジスルフィド結合により会合して、免疫グロブリンのタンパク質またはポリペプチドを形成する。
【0029】
本明細書で用いられる、「抗原結合性断片」という用語は、目的の抗原の、少なくとも1つのエピトープに結合する免疫グロブリンの重鎖および/または軽鎖の、少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含有するポリペプチド断片を指す。この点で、本明細書で記載される抗体の抗原結合性断片は、セラミドに特異的に結合する抗体に由来する、可変重鎖(VH)配列および可変軽鎖(VL)配列の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ全てのCDRを含みうる。抗原結合性断片は、要求される特異性を有する抗原結合性部位または抗原結合性断片を含む、Fab、F(ab’)2、Fab'、Fv断片、ミニボディー、ダイアボディー、単一ドメイン抗体(dAb)、単鎖可変断片(scFv)、抗体断片から形成される多特異性抗体、および免疫グロブリン分子の、他のあらゆる修飾立体配置など、全長抗体の部分、一般に、その抗原結合性領域または可変領域を含むタンパク質を含む。本開示の、ある特定の実施形態では、組織透過性または腫瘍透過性を増大させるように、無傷抗体ではなく、抗原結合性断片が使用される。他の実施形態では、血清半減期を延長するように、抗原結合性断片は、さらに修飾される。
【0030】
「F(ab)」という用語は、酵素であるパパインによる、IgG分子のタンパク質分解性切断から得られる、2つのタンパク質断片を指す。各F(ab)は、VH鎖と、VL鎖との、共有結合的ヘテロ二量体を含み、無傷抗原結合性部位を含む。各F(ab)は、一価抗原結合性断片である。「Fab’」という用語は、F(ab’)2に由来する断片を指し、Fcの小部分を含有しうる。各Fab’断片は、一価抗原結合性断片である。
「F(ab’)2」という用語は、酵素であるペプシンを介する、タンパク質分解性切断により生成される、IgGのタンパク質断片を指す。各F(ab’)2断片は、2つのF(ab’)断片を含み、したがって、二価抗原結合性断片である。
「Fv断片」は、天然抗体分子の抗原認識能および抗原結合能の大半を保持する抗原結合性部位を含むが、Fab内に含有されるCH1ドメインおよびCLドメインを欠く、非共有結合的VH::VLヘテロ二量体を指す(Inbar et al. (1972) Proc. Nat. Acad. Sci. USA 69:2659-2662; Hochman et al. (1976) Biochem 15:2706-2710;およびEhrlich et al. (1980) Biochem 19:4091-4096)。一部の実施形態では、Fv断片は、IgMの、優先的なタンパク質分解性切断により作製されうるが、まれな場合に、IgG免疫グロブリン分子またはIgA免疫グロブリン分子の優先的なタンパク質分解性切断によっても作製されうる。しかし、より一般に、Fv断片は、当技術分野で公知の組換え法を使用して導出される。
【0031】
本明細書にはまた、CH3ドメインへと接合されたscFvを含むミニボディーも含まれる(S. Hu et al., Cancer Res., 56, 3055-3061, 1996)。例えば、Ward, E. S. et al., Nature 341, 544-546 (1989); Bird et al., Science, 242, 423-426, 1988; Huston et al., PNAS USA, 85, 5879-5883, 1988); PCT/US92/09965; WO94/13804; P. Holliger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90 6444-6448, 1993; Y. Reiter et al., Nature Biotech, 14, 1239-1245, 1996; S. Hu et al., Cancer Res., 56, 3055-3061, 1996を参照されたい。
【0032】
「ダイアボディー」という用語は、VHドメインおよびVLドメインが、同じ鎖上の2つのドメインの間の対合を可能とするには短過ぎるリンカーを使用して、単一のポリペプチド鎖として発現させ、これにより、ドメインを、別の鎖の相補的なドメインと対合させ、2つの抗原結合性部位を創出する、二特異性抗体を指す(例えば、Holliger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-48 (1993);およびPoljak et al., Structure 2:1121-23 (1994)を参照されたい)。
「ナノボディー」または「単一ドメイン抗体」という用語は、単一の単量体可変抗体ドメインからなる抗原結合性断片を指す。Nanoclone法とは、B細胞の自動式ハイスループット選択に基づき、所望の標的に対するナノボディーを生成する方法である(例えば、WO06/079372を参照されたい)。
【0033】
本明細書において使用される、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種である抗体の集団から得られた抗体を指す、すなわち、集団を構成する個別の抗体は、少量で存在しうる、可能な天然に存在する突然変異を除き、同一である。
一部の実施形態では、本明細書で使用される、「キメラ抗体」という用語は、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来するか、または特定の抗体クラスもしくは抗体サブクラスに属する抗体内の、対応する配列と同一または相同である一方、鎖の残りの部分は、別の種に由来するか、または別の抗体クラスもしくは抗体サブクラスに属する抗体内の、対応する配列と同一または相同であるモノクローナル抗体の他、それらが、所望の生物学的活性を呈する限りにおいて、このような抗体の断片を指す。
【0034】
「単鎖可変断片」または「scFv」という用語は、10~25アミノ酸の短いリンカーペプチドにより接続された、免疫グロブリンの重鎖(VH)および軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質を指す(Huston et al. (1988) Proc. Nat. Acad. Sci. USA 85(16):5879-5883)。リンカーは、VHのN末端を、VLのC末端と接続する場合もあり、この逆の場合もある。天然では凝集した(しかし、化学的には分離された)軽鎖ポリペプチドおよび重鎖ポリペプチドを、抗体のV領域から、抗原結合部位の構造と実質的に類似する三次元構造へとフォールドする、scFv分子へと転換するために、化学構造を識別する、多数の方法が記載されている。例えば、Hustonらによる米国特許第5,091,513号および同第5,132,405号;ならびにLadnerらによる米国特許第4,946,778号を参照されたい。
【0035】
「抗原」という用語は、抗体またはその抗原結合性断片による結合が可能であり、加えて、動物における、この抗原のエピトープへの結合が可能な抗体を作製するための使用が可能である、分子または分子の部分を指す。抗原は、1つまたは複数のエピトープを有しうる。本明細書の実施形態は、セラミド、またはハプテンへとコンジュゲートされたセラミドの、抗原としての使用を想定する。
「エピトープ」という用語は、抗体が結合する抗原の領域を指す。エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリルまたはスルホニルなど、化学的に活性な表面分子群を含む場合があり、特定の三次元構造特徴および/または特定の電荷特徴を有しうる。
【0036】
本明細書では、「~に特異的に結合する」とは、抗体またはその抗原結合性断片が、混合物中に存在する、他の成分または抗原と、著明に結合しないが、標的分子に、少なくとも105M-1の結合アフィニティー(Ka)で結合する能力を指す。本明細書における、抗セラミド抗体への言及は、セラミドに特異的に結合する、抗体またはその抗原結合性断片を指す。
結合アフィニティー(Ka)とは、1/MまたはM-1を単位として表される、特定の結合相互作用による平衡会合を指す。抗体またはその抗原結合性断片は、「アフィニティーが大きい」抗体もしくはその抗原結合性断片、および「アフィニティーが小さい」抗体もしくはその抗原結合性断片として分類されうる。「アフィニティーが大きい」抗体またはその抗原結合性断片とは、Kaが、少なくとも107M-1、少なくとも108M-1、少なくとも109M-1、少なくとも1010M-1、少なくとも1011M-1、少なくとも1012M-1または少なくとも1013M-1である、抗体またはその抗原結合性断片を指す。「アフィニティーが小さい」抗体またはその抗原結合性断片とは、Kaが、107M-1以下、106M-1以下、105M-1以下である、抗体またはその抗原結合性断片を指す。代替的に、アフィニティーは、特定の結合相互作用についての、Mを単位とする平衡解離定数(Kd)としても規定されうる(例えば、10-5M~10-13M、または約500nM、約300nM、約250nM、約200nM、約150nM、約100nM、約50nM、約25nM、約10nM、または約5nM)。本開示に従う、結合性ドメインポリペプチドおよび単鎖ポリペプチドのアフィニティーは、常套的な技法を使用して、たやすく決定されうる(例えば、Scatchard et al. (1949) Ann. N.Y. Acad. Sci. 51:660;および米国特許第5,283,173号、同第5,468,614号、または同等物を参照されたい)。
【0037】
当技術分野において、「保存的置換」は、類似の特性を有する、1種のアミノ酸の、別種のアミノ酸への置換として認識されている。当技術分野では、例示的な保存的置換が周知である(例えば、1997年3月13日に公表された、PCT出願公開第97/09433号、10頁;Lehninger, Biochemistry, Second Edition; Worth Publishers, Inc. NY:NY (1975), pp.71-77;Lewin, Genes IV, Oxford University Press, NY and Cell Press, Cambridge, MA (1990), p. 8を参照されたい)。
【0038】
本明細書で使用される、「誘導体」という用語は、酵素を伴うか、またはこれを伴わない、化学的手段または生物学的手段による、例えば、グリコシル化、アルキル化、アシル化、エステル形成、またはアミド形成による、ペプチドの1つまたは複数のアミノ酸残基の修飾を指す。
本明細書で使用された、別のポリペプチドまたはポリヌクレオチドが由来するポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、「親」ポリヌクレオチドもしくは「参照」ポリヌクレオチド、または「親」ポリペプチドもしくは「参照」ポリペプチドと称される。例えば、ヒト化抗体は、親抗体であるマウス抗体に由来しうる。
【0039】
本明細書で使用される、1種または複数種の「変異体」という用語は、配列が、参照ポリヌクレオチドまたは参照ポリペプチドの配列と異なるが、親ポリヌクレオチドまたは親ポリペプチドの基本的特性を保持するポリヌクレオチドまたはポリペプチドを指す。一般に、変異体のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列は、全体的に、親ポリヌクレオチドまたは親ポリペプチドと、近似し、多くの領域において、同一である。例えば、変異体ポリヌクレオチドまたは変異体ポリペプチドは、親ポリヌクレオチドまたは親ポリペプチドと比較して、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%の配列同一性を呈しうる。
【0040】
本明細書で使用される、「配列同一性」という用語は、2種以上のポリヌクレオチド配列、または2種以上のポリペプチド配列の間の関係を指す。一方の配列内の位置が、比較配列の対応する位置と同じ核酸塩基またはアミノ酸残基により占有されている場合、配列は、この位置において同一であるという。配列同一性百分率は、両方の配列において、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が生じる位置の数を決定して、同一な位置の数をもたらすことにより計算される。こうして、同一な位置の数を、比較域内の位置の総数により除し、これに100を乗じて、配列同一性の百分率をもたらす。配列同一性の百分率は、2つの、最適にアライメントされた配列を、比較域にわたり比較することにより決定される。ポリヌクレオチド配列のための比較域は、例えば、少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300、400、500、600、700、800、900、もしくは1000、またはこれを超える核酸長でありうる。ポリペプチド配列のための比較域は、例えば、少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300、またはこれを超えるアミノ酸長でありうる。比較を目的として、配列を、最適な形でアライメントするために、比較域内のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の部分は、参照配列を一定に保ちながら、ギャップと称される付加または欠失を含みうる。最適のアライメントとは、ギャップを伴いはするが、参照配列と、比較配列との間で、可能な最大数の「同一」位置をもたらすアライメントである。2つの配列の間の「配列同一性」百分率は、Karlin and Altschul (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90(12):5873-5877, 1993)によるアルゴリズムに基づくプログラムである、BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列の比較のための)およびBLASTPプログラム(ポリペプチド配列の比較のためのを組み込む、「BLAST 2 Sequences」プログラムの、2004年9月1日現在において、National Center for Biotechnology Informationから入手可能なバージョンを使用して決定されうる。「BLAST 2 Sequences」を活用する場合、ワードサイズ(3)、ギャップ開始ペナルティー(11)、ギャップ伸長ペナルティー(1)、ギャップドロップオフ(50)、期待値(10)、および行列の選択肢を含むがこれらに限定されない、要求される、他のあらゆるパラメータについて、2004年9月1日現在において、デフォルトのパラメータであったパラメータが使用されうる。2つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列は、互いと比べて、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する場合、「実質的に同様の配列同一性」または「実質的な配列同一性」を有すると考えられる。
【0041】
「実質的に同一の」という用語は、第1のポリペプチド配列と、第2のポリペプチド配列とが、同様の活性を有するように、十分な数の、第2のポリペプチド配列と同一のアミノ酸を含有するポリペプチド配列を指す。実質的に同一のポリペプチドは、アミノ酸配列中で、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%同一である。
【0042】
「Fc領域」または「Fcドメイン」とは、細胞上のFc受容体および/または補体のC1q成分に結合し、これにより、抗体のエフェクター機能を媒介することが可能な抗体の部分に対応するか、またはこれに由来するポリペプチド配列を指す。Fcとは、タンパク質結晶を、たやすく形成する抗体の断片である、「Fc(fragment crystalline)」を表す。元は、タンパク質分解性消化により記載された、顕著に異なるタンパク質断片は、免疫グロブリンタンパク質の一般構造の全体を規定しうる。元の文献により規定された通り、Fc領域は、ジスルフィド結合により会合し、各々が、ヒンジ領域、CH2ドメイン、およびCH3ドメインを含む、2つのポリペプチドを含むホモ二量体タンパク質である。しかし、より近年では、「Fc領域」または「Fcドメイン」という用語は、CH3、CH2と、第2のこのような鎖と、ジスルフィド連結された二量体を形成するのに十分な、ヒンジの少なくとも一部とからなる、単鎖単量体構成要素に適用されている。本明細書では、「Fc領域」または「Fcドメイン」という用語の使用は、そのようなものとして、かつ、文脈に応じて、二量体形態、または会合して、二量体タンパク質を形成する、個別の単量体を指す。免疫グロブリンの構造および機能の総説については、Putnam, The Plasma Proteins, Vol. V (Academic Press, Inc., 1987), pp. 49-140;およびPadlan, Mol. Immunol. 31:169-217, 1994を参照されたい。本明細書で使用された、Fcドメインという用語は、天然に存在する配列の変異体を含む。
【0043】
「免疫グロブリン定常領域」または「定常領域」という用語は、免疫グロブリンの、1つまたは複数の定常ドメイン(例えば、CH1、CH2、CH3)の一部または全部に対応するか、またはこれに由来する、ペプチド配列またはポリペプチド配列を指す。ある特定の実施形態では、定常領域は、CH1ドメインを含まない。ある特定の実施形態では、定常領域を構成する定常ドメインは、ヒト定常ドメインである。
「軽鎖可変領域」(また、「軽鎖可変ドメイン」または「VL」とも称される)、および「重鎖可変領域」(また、「重鎖可変ドメイン」または「VH」とも称される)という用語は、それぞれ、抗体の軽鎖および重鎖に由来する、可変結合性領域を指す。可変結合性領域は、「相補性決定領域」(CDR)および「フレームワーク領域」(FR)として公知である、個別の、十分に規定された部分領域から構成される。
【0044】
「免疫グロブリン軽鎖定常領域」という用語(また、「軽鎖定常ドメイン」または「CL」とも称される)は、抗体の軽鎖に由来する定常領域である。
「免疫グロブリン重鎖定常領域」という用語(また、「重鎖定常ドメイン」または「CH」とも称される)は、抗体の重鎖に由来する定常領域を指す。CHは、抗体のアイソタイプに応じて、CH1ドメイン、CH2ドメイン、およびCH3ドメイン(IgA、IgD、IgG)、またはCH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3、およびCH4ドメイン(IgE、IgM)へとさらに分けられる。
本明細書で使用される、「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、免疫グロブリン(抗体)分子を指す。可変ドメイン1つ当たり3つずつのCDR:軽鎖の可変ドメイン内の、CDR1、CDR2、およびCDR3、ならびに重鎖の可変ドメイン内の、CDR1、CDR2、およびCDR3が存在する。
【0045】
一部の実施形態では、「ヒンジ」または「ヒンジ領域」とは、免疫グロブリンのヒンジ領域に由来し、本明細書で記載されるポリペプチド内の、抗原結合性ドメイン(例えば、セラミド結合性ドメイン)と、免疫グロブリン定常領域との間に配置されるポリペプチドを指す。「野生型免疫グロブリンヒンジ領域」とは、抗体の重鎖に見出され、CH1ドメインと、CH2ドメインと(IgG、IgA、およびIgDについて)の間に挿入され、これらを接続するか、またはCH1ドメインと、CH3ドメインと(IgEおよびIgMについて)の間に挿入され、これらを接続する、天然に存在する、上側および中央部分のヒンジアミノ酸配列を指す。ある特定の実施形態では、野生型免疫グロブリンヒンジ領域配列は、ヒト配列であり、ヒトIgGヒンジ領域(例えば、これに加えて、IgG1ヒンジ領域、IgG2ヒンジ領域、IgG3ヒンジ領域、またはIgG4ヒンジ領域)を含みうる。
【0046】
「改変免疫グロブリンヒンジ領域」または「変異体免疫グロブリンヒンジ領域」とは、対応する親である、野生型免疫グロブリンヒンジ領域と比較して、1カ所または複数カ所の突然変異、置換、挿入、または欠失を伴う、ヒンジ領域のポリペプチドを指す。典型的に、野生型免疫グロブリンヒンジ領域の断片である、改変免疫グロブリンヒンジ領域は、IgGのコアヒンジ領域は(例えば、配列C-X-X-C[配列中、Xは、あらゆるアミノ酸である]を含むポリペプチド)米国特許出願公開第2013/0129723号および同2013/0095097において開示される通り、IgGのコアヒンジ領域(例えば、配列C-X-X-C[配列中、Xは、あらゆるアミノ酸である]を含むポリペプチド)を含む。
【0047】
本明細書で使用される、「ヒト化された」という用語は、元の非ヒト抗体の抗原結合特性を保持する、非ヒト種に由来する抗体またはその抗原結合性断片を指す。一部の実施形態では、抗体の結合性断片(例えば、軽鎖可変領域および重鎖可変領域である、Fab、scFv)は、ヒト化されている。非ヒト抗原結合性断片は、「リシェイピング」(Verhoeyen, et al., 1988 Science 239:1534-1536;Riechmann, et al., 1988 Nature 332:323-337;Tempest, et al., Bio/Technol 1991 9:266-271)、「超キメラ化」(Queen, et al., 1989 Proc Natl Acad Sci USA 86:10029-10033;Co, et al., 1991 Proc Natl Acad Sci USA 88:2869-2873;Co, et al., 1992 J Immunol 148:1149-1154)、および「ベニヤ化」(Mark, et al., “Derivation of therapeutically active humanized and veneered anti-CD18 antibodies.” In: Metcalf BW, Dalton BJ, eds. Cellular adhesion: molecular definition to therapeutic potential. New York: Plenum Press, 1994: 291-312)を含む、CDRグラフティング(Jones et al., Nature 321:522 (1986))およびその変化形として公知の技法を使用してヒト化されうる。非ヒト供給源に由来する場合、ヒンジ領域および定常領域のドメインなど、抗体の他の領域もまた、ヒト化されうる。
【0048】
本明細書で使用される、「薬学的に許容される」という用語は、一般に、当技術分野で周知の経路を使用して投与された場合に、アレルギー反応または他の重篤な有害反応をもたらさない分子実体および組成物を指す。哺乳動物における使用のために、より特定すると、ヒトにおける使用のために、米国連邦政府もしくは州政府の規制機関により承認されているか、または米国薬局方、もしくは一般に認識された他の薬局方において列挙されている分子実体および組成物は、「薬学的に許容される」と考えられる。
【0049】
本明細書で言及される、「ポリヌクレオチド」という用語は、一本鎖または二本鎖の核酸ポリマーを意味する。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドを含むヌクレオチドは、RNAの場合もあり、DNAの場合もあり、修飾メッセンジャーRNAなど、いずれかの種類のヌクレオチドの修飾形態の場合もある。前記修飾は、ブロムリジンなどの塩基修飾、アラビノシドおよび2’,3’-ジデオキシリボースなどのリボース修飾、ならびにホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホルアニロチオエート(phosphoroanilothioate)、ホスホルアニラデート、およびホスホルアミデート(phosphoroamidate)などのヌクレオチド間連結修飾を含む。「ポリヌクレオチド」という用語は、具体的に、DNAの一本鎖形態および二本鎖形態を含む。
【0050】
本明細書で使用される、「ポリペプチド」または「タンパク質」とは、共有結合的に連結されたアミノ酸の、単一であり、直鎖状であり、かつ、連続的である配置を指す。ポリペプチドは、1つまたは複数の鎖間ジスルフィド結合を形成しうる。ポリペプチドおよびタンパク質という用語はまた、2つのポリペプチド鎖が、鎖間ジスルフィド結合を介するなど、非直鎖状に、一体に連結される実施形態も包含する。本明細書に、タンパク質またはポリペプチドは、抗体または抗原結合性抗体の断片でありうる。
本明細書で使用される、「形質転換」、「トランスフェクション」、および「形質導入」という用語は、ポリヌクレオチドの、細胞への導入を指す。本明細書で使用される、「遺伝子形質転換」という用語は、DNA、とりわけ、組換えDNAの、細胞への導入および組込みを指す。導入される核酸は、発現ベクターを介して、細胞へと導入されうる。
【0051】
本明細書で使用される、「処置」、「~を処置すること」、または「~を改善すること」という用語は、治療的処置または予防的/防止的処置を指す。処置を施される個体における疾患の、少なくとも1つの症状が、軽快するか、または処置が、個体における進行性疾患の増悪を遅延させうるか、またはさらなる関連疾患の発症を防止しうる場合、処置は治療的である。
本明細書で使用される、「LD90」という用語は、「90%致死量」または「半数致死量」を指し、被験集団のうちの90%を死滅させるのに要求される物質の量である。
内容が、そうでないことを明確に指示しない限りにおいて、本明細書および付属の特許請求の範囲において使用される、単数形の「ある(a)」「ある(an)」、および「その」は、複数形の指示対象も含む。
そうでないことが指し示されない限りにおいて、本明細書で使用される、「および/または」という用語は、「および」または「または」を指す。
本明細書を通して、文脈によりそうでないことが要求されない限りにおいて、「~を含む(comprisie)」という語、または「~を含む(comprises)」もしくは「~を含むこと(comprising)」などの変化形は、言明された要素もしくは整数、または要素もしくは整数の群の包含は含意するが、他のあらゆる要素もしくは整数、または要素もしくは整数の群の除外は含意しないと理解されたい。
【0052】
抗セラミド抗体
本開示は、セラミドに特異的に結合する、抗体またはその抗原結合性断片を提示する。一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、ヒト化抗体またはその抗原結合性断片である。他の実施形態では、抗セラミド抗体は、ヒト化6B5 scFv抗体である。
【0053】
本明細書で使用される、「セラミド」という用語は、スフィンゴシンおよび脂肪酸から構成される、脂質におけるセカンドメッセンジャー分子を指す。セラミドは、細胞膜の再組織化および側方Lo(liquid-ordered)相マイクロドメイン(「セラミドリッチプラットフォーム」と称される、1種の「ラフト」)の形成を介して、細胞内のストレスシグナル伝達を調節する。これらのCRPは、活性化受容体分子(例えば、Fasを含む、TNF-受容体フーパーファミリーのメンバー)をクラスター化し、これにより、フィードフォワード機構をもたらす結果として、最終的に、シグナル伝達の増幅およびシグナル伝達をもたらす、シグナル伝達プラットフォームとして用いられる。CRPの形成は、Fas媒介細胞死のために、特に重要であり、標的細胞の細胞膜上のセラミドリッチ領域は、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)誘導性細胞死に対する感受性に、極めて重要である。例示的なセラミドは、グリコシルセラミド、ガラクトシルセラミド、およびガングリオシド(オリゴ糖結合型セラミド)である。
【0054】
一部の実施形態では、本開示は、セラミドに特異的に結合し、重鎖相補性決定領域(CDR)1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)と、軽鎖相補性決定領域(CDR)1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)とを含み、HCDR1が、配列番号1および2から選択されるアミノ酸配列を含み;HCDR2が、配列番号3、4、5、および6から選択されるアミノ酸配列を含み;HCDR3が、配列番号7のアミノ酸配列を含み;LCDR1が、配列番号8のアミノ酸配列を含み;LCDR2が、配列番号9のアミノ酸配列を含み;LCDR3が、配列番号10のアミノ酸配列を含む、抗体または抗原結合性断片を提示する。
【0055】
例示的な抗セラミド抗体のCDRは、表1に示される。
【表1】
【0056】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、重鎖相補性決定領域(CDR)1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)と、軽鎖相補性決定領域(CDR)1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)とを含み、HCDR1が、配列番号1および2から選択されるアミノ酸配列を含み;HCDR2が、配列番号3、4、5、および6から選択されるアミノ酸配列を含み;HCDR3が、配列番号7のアミノ酸配列を含み;LCDR1が、配列番号8のアミノ酸配列を含み;LCDR2が、配列番号9のアミノ酸配列を含み;LCDR3が、配列番号10のアミノ酸配列を含むscFvである。
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、この場合、(a)HCDR1は、配列番号1のアミノ酸配列を含み;(b)HCDR2は、配列番号3のアミノ酸配列を含み;(c)HCDR3は、配列番号7のアミノ酸配列を含み;(d)LCDR1は、配列番号8のアミノ酸配列を含み;(e)LCDR2は、配列番号9のアミノ酸配列を含み;(f)LCDR3は、配列番号10のアミノ酸配列を含む。
【0057】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、この場合、(a)HCDR1は、配列番号1のアミノ酸配列を含み;(b)HCDR2は、配列番号4のアミノ酸配列を含み;(c)HCDR3は、配列番号7のアミノ酸配列を含み;(d)LCDR1は、配列番号8のアミノ酸配列を含み;(e)LCDR2は、配列番号9のアミノ酸配列を含み;(f)LCDR3は、配列番号10のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、この場合、(a)HCDR1は、配列番号1のアミノ酸配列を含み;(b)HCDR2は、配列番号5のアミノ酸配列を含み;(c)HCDR3は、配列番号7のアミノ酸配列を含み;(d)LCDR1は、配列番号8のアミノ酸配列を含み;(e)LCDR2は、配列番号9のアミノ酸配列を含み;(f)LCDR3は、配列番号10のアミノ酸配列を含む。
【0058】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、この場合、(a)HCDR1は、配列番号2のアミノ酸配列を含み;(b)HCDR2は、配列番号6のアミノ酸配列を含み;(c)HCDR3は、配列番号7のアミノ酸配列を含み;(d)LCDR1は、配列番号8のアミノ酸配列を含み;(e)LCDR2は、配列番号9のアミノ酸配列を含み;(f)LCDR3は、配列番号10のアミノ酸配列を含む。
【0059】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、この場合、(a)HCDR1は、配列番号1のアミノ酸配列を含み;(b)HCDR2は、配列番号6のアミノ酸配列を含み;(c)HCDR3は、配列番号7のアミノ酸配列を含み;(d)LCDR1は、配列番号8のアミノ酸配列を含み;(e)LCDR2は、配列番号9のアミノ酸配列を含み;(f)LCDR3は、配列番号10のアミノ酸配列を含む。
【0060】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、この場合、(a)HCDR1は、配列番号2のアミノ酸配列を含み;(b)HCDR2は、配列番号3のアミノ酸配列を含み;(c)HCDR3は、配列番号7のアミノ酸配列を含み;(d)LCDR1は、配列番号8のアミノ酸配列を含み;(e)LCDR2は、配列番号9のアミノ酸配列を含み;(f)LCDR3は、配列番号10のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、この場合、(a)HCDR1は、配列番号2のアミノ酸配列を含み;(b)HCDR2は、配列番号4のアミノ酸配列を含み;(c)HCDR3は、配列番号7のアミノ酸配列を含み;(d)LCDR1は、配列番号8のアミノ酸配列を含み;(e)LCDR2は、配列番号9のアミノ酸配列を含み;(f)LCDR3は、配列番号10のアミノ酸配列を含む。
【0061】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、この場合、(a)HCDR1は、配列番号2のアミノ酸配列を含み;(b)HCDR2は、配列番号5のアミノ酸配列を含み;(c)HCDR3は、配列番号7のアミノ酸配列を含み;(d)LCDR1は、配列番号8のアミノ酸配列を含み;(e)LCDR2は、配列番号9のアミノ酸配列を含み;(f)LCDR3は、配列番号10のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、この場合、(a)HCDR1は、配列番号1のアミノ酸配列を含み;(b)HCDR2は、配列番号6のアミノ酸配列を含み;(c)HCDR3は、配列番号7のアミノ酸配列を含み;(d)LCDR1は、配列番号8のアミノ酸配列を含み;(e)LCDR2は、配列番号9のアミノ酸配列を含み;(f)LCDR3は、配列番号10のアミノ酸配列を含む。
【0062】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、この場合、(a)HCDR1は、配列番号2のアミノ酸配列を含み;(b)HCDR2は、配列番号3のアミノ酸配列を含み;(c)HCDR3は、配列番号7のアミノ酸配列を含み;(d)LCDR1は、配列番号8のアミノ酸配列を含み;(e)LCDR2は、配列番号9のアミノ酸配列を含み;(f)LCDR3は、配列番号10のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、この場合、(a)HCDR1は、配列番号2のアミノ酸配列を含み;(b)HCDR2は、配列番号4のアミノ酸配列を含み;(c)HCDR3は、配列番号7のアミノ酸配列を含み;(d)LCDR1は、配列番号8のアミノ酸配列を含み;(e)LCDR2は、配列番号9のアミノ酸配列を含み;(f)LCDR3は、配列番号10のアミノ酸配列を含む。
【0063】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、この場合、(a)HCDR1は、配列番号2のアミノ酸配列を含み;(b)HCDR2は、配列番号5のアミノ酸配列を含み;(c)HCDR3は、配列番号7のアミノ酸配列を含み;(d)LCDR1は、配列番号8のアミノ酸配列を含み;(e)LCDR2は、配列番号9のアミノ酸配列を含み;(f)LCDR3は、配列番号10のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、VH鎖と、VL鎖とを含み、この場合、VH鎖は、配列番号17~21からなる群から選択されるアミノ酸配列と、少なくとも約85%%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、またはこれらからなる。
【0064】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、VH鎖と、VL鎖とを含み、この場合、VL鎖は、配列番号22~24からなる群から選択されるアミノ酸配列と、少なくとも約85%%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、またはこれらからなる。
【0065】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、VH鎖と、VL鎖とを含み、この場合、VH鎖は、配列番号17~21からなる群から選択されるアミノ酸配列と、少なくとも約85%%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、またはこれらからなり、VL鎖は、配列番号22~24からなる群から選択されるアミノ酸配列と、少なくとも約85%%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、またはこれらからなる。
【0066】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、VH鎖と、VL鎖とを含み、VH鎖が、配列番号17~21からなる群から選択されるアミノ酸配列と、少なくとも約85%%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、またはこれらからなり、VL鎖が、配列番号22~24からなる群から選択されるアミノ酸配列と、少なくとも約85%%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、またはこれらからなるscFvである。
【0067】
【0068】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原断片は、配列番号17の、VHのアミノ酸配列と、配列番号22のVLのアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、抗体またはその抗原断片は、配列番号17の、VHのアミノ酸配列と、配列番号23のVLのアミノ酸配列とを含む。
一部の実施形態では、抗体またはその抗原断片は、配列番号17の、VHのアミノ酸配列と、配列番号24のVLのアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、抗体またはその抗原断片は、配列番号18の、VHのアミノ酸配列と、配列番号22のVLのアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、抗体またはその抗原断片は、配列番号18の、VHのアミノ酸配列と、配列番号23のVLのアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、抗体またはその抗原断片は、配列番号18の、VHのアミノ酸配列と、配列番号24のVLのアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、抗体またはその抗原断片は、配列番号19の、VHのアミノ酸配列と、配列番号22のVLのアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、抗体またはその抗原断片は、配列番号19の、VHのアミノ酸配列と、配列番号23のVLのアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、抗体またはその抗原断片は、配列番号19の、VHのアミノ酸配列と、配列番号24のVLのアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、抗体またはその抗原断片は、配列番号20の、VHのアミノ酸配列と、配列番号22のVLのアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、抗体またはその抗原断片は、配列番号20の、VHのアミノ酸配列と、配列番号23のVLのアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、抗体またはその抗原断片は、配列番号20の、VHのアミノ酸配列と、配列番号24のVLのアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、抗体またはその抗原断片は、配列番号21の、VHのアミノ酸配列と、配列番号22のVLのアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、抗体またはその抗原断片は、配列番号21の、VHのアミノ酸配列と、配列番号23のVLのアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、抗体またはその抗原断片は、配列番号21の、VHのアミノ酸配列と、配列番号24のVLのアミノ酸配列とを含む。
【0069】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号17と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または100%同一である、VHのアミノ酸配列と、配列番号22と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または100%同一であるVLのアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、VH鎖と、VL鎖とを含み、この場合、VH鎖のアミノ酸配列は、配列番号17からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号22からなる。
【0070】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号17と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または100%同一である、VHのアミノ酸配列と、配列番号23と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または100%同一であるVLのアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号17からなる、VHのアミノ酸配列と、配列番号23からなる、VLのアミノ酸配列とを含む。
【0071】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号17と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または100%同一である、VHのアミノ酸配列と、配列番号24と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または100%同一であるVLのアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、VH鎖と、VL鎖とを含み、この場合、VH鎖のアミノ酸配列は、配列番号17からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号24からなる。
【0072】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号18と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または100%同一である、VHのアミノ酸配列と、配列番号22と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または100%同一であるVLのアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、VH鎖と、VL鎖とを含み、この場合、VH鎖のアミノ酸配列は、配列番号18からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号22からなる。
【0073】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号18と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または100%同一である、VHのアミノ酸配列と、配列番号23と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または100%同一であるVLのアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、VH鎖と、VL鎖とを含み、この場合、VH鎖のアミノ酸配列は、配列番号18からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号23からなる。
【0074】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号18と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または100%同一である、VHのアミノ酸配列と、配列番号24と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または100%同一であるVLのアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、VH鎖と、VL鎖とを含み、この場合、VH鎖のアミノ酸配列は、配列番号18からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号24からなる。
【0075】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号19と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または100%同一である、VHのアミノ酸配列と、配列番号22と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または100%同一であるVLのアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、VH鎖と、VL鎖とを含み、この場合、VH鎖のアミノ酸配列は、配列番号19からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号22からなる。
【0076】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号19と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または100%同一である、VHのアミノ酸配列と、配列番号23と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または100%同一であるVLのアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、VH鎖と、VL鎖とを含み、この場合、VH鎖のアミノ酸配列は、配列番号19からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号23からなる。
【0077】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号19と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または100%同一である、VHのアミノ酸配列と、配列番号24と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または100%同一であるVLのアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、VH鎖と、VL鎖とを含み、この場合、VH鎖のアミノ酸配列は、配列番号19からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号24からなる。
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号20と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または100%同一である、VHのアミノ酸配列と、配列番号22と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または100%同一であるVLのアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、VH鎖と、VL鎖とを含み、この場合、VH鎖のアミノ酸配列は、配列番号20からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号22からなる。
【0078】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号21と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または100%同一である、VHのアミノ酸配列と、配列番号22と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または100%同一であるVLのアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、VH鎖と、VL鎖とを含み、この場合、VH鎖のアミノ酸配列は、配列番号21からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号22からなる。
【0079】
一部の実施形態では、抗セラミド抗原結合性断片は、配列番号18と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または100%同一である、VHのアミノ酸配列と、配列番号22と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または100%同一であるVLのアミノ酸配列とを含むscFvである。一部の実施形態では、抗セラミドscFvは、VH鎖と、VL鎖とを含み、この場合、VH鎖のアミノ酸配列は、配列番号18からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号22からなる。
【0080】
一部の実施形態では、その抗セラミド抗原結合性断片は、scFvである。一部の実施形態では、抗セラミドscFvは、配列番号48~61からなる群から選択されるアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約82%、少なくとも約85%、少なくとも約87%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗セラミドscFvは、配列番号48~61からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる。一部の実施形態では、抗セラミドscFvは、配列番号48または51のアミノ酸配列を含むか、またはこれらからなる。
【0081】
一部の実施形態では、抗セラミドscFvは、以下の構造:VH-リンカー-VLまたはVL-リンカー-VHを含む。本明細書で使用される、「リンカー」という用語は、一般に、ポリペプチドの2つのサブドメインを接続する、短いポリペプチド配列を指す。リンカーの非限定例は、グリシン-セリンリピートを含む、可撓性リンカー、および(a)膜貫通タンパク質(例えば、I型膜貫通タンパク質)のドメイン間領域;(b)II型C-レクチンのストーク領域;または(c)免疫グロブリンのヒンジに由来するリンカーを含む。一部の実施形態では、リンカーは、結果として得られるポリペプチドが、同じ軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含む抗体と、同じ標的分子に対する、特異的結合アフィニティーを保持するように、2つの結合性サブドメインの相互作用と適合性のスペーサー機能をもたらす。ある特定の実施形態では、リンカーは、5つ~約35のアミノ酸、例えば、約15~約25のアミノ酸から構成される。例示的なリンカーは、表3に示される。
【0082】
【0083】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、scFvタンパク質の分泌を促進する、N末端シグナル配列を伴って作製される。一部の実施形態では、シグナル配列は、配列番号75を含む。当業者は、これらのシグナル配列が、成熟分泌タンパク質の一部ではないことを理解するであろう。したがって、一部の実施形態では、配列番号75のシグナル配列は、抗セラミド抗体または抗原結合性断片の成熟タンパク質から切断される。
【0084】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、製造時の精製を容易とする、C末端タグ配列を伴って作製される。一部の実施形態では、C末端タグは、配列番号76のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、C末端タグ配列を伴わずに作製される。したがって、一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片のアミノ酸配列は、配列番号76のC末端タグを含まない。
【0085】
抗セラミドscFvの、例示的なアミノ酸配列は、下記の表4に提示される。scFvのCDRは、下線を付した文字列により指し示される。リンカー配列は、斜字体の文字列により指し示される。シグナル配列は、太字の文字列により指し示される。C末端タグ配列は、太字かつ斜字体の文字列により指し示される。
【0086】
【0087】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体は、全長抗体の軽鎖と、全長抗体の重鎖とを含む全長抗体である。一部の実施形態では、抗セラミド抗体は、IgGのアイソタイプ(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)である。一部の実施形態では、抗セラミド抗体のFcドメインは、野生型IgGアミノ酸配列を含む。このような配列は、当技術分野で公知である(例えば、Shields et al., J Biol Chem, (2001) 276:9;6591-6604を参照されたい)。一部の実施形態では、FcドメインのCH2ドメインまたはCH3ドメインは、抗体の機能および/または安定性を変更する、1カ所または複数カ所のアミノ酸突然変異を含む。例えば、一部の実施形態では、本明細書で記載される抗セラミド抗体のFcドメインは、エフェクター機能を欠くか、または最小限にとどめる一方で、新生児Fc受容体(FcRn)など、一部のFc受容体に結合する能力を保持し、in vivoにおいて、比較的長い半減期を保持する。一部の実施形態では、記載される抗セラミド抗体は、抗体依存性細胞媒介細胞傷害作用(ADCC)、抗体依存性細胞媒介食作用(ADCP)、補体活性化、および/または補体依存性細胞傷害作用(CDC)を結果としてもたらさないか、またはこれらの誘導を実質的に低減する。このような突然変異は、当技術分野で公知である(例えば、Shields et al., J Biol Chem, (2001) 276:9;6591-6604;Arduin et al., Mol Immunol (2015) 63:2;456-463; Vafa et al., Methods (2014) 65:1;114-126を参照されたい)。
【0088】
一部の実施形態では、記載される抗セラミド抗体は、IgG1アイソタイプ抗体であり、この場合、IgG1定常領域は、以下の位置:228(S228)、234(L234)、235(L235)、237(G237)、297(N297)、318(E318)、320(K320)、322(K322)のうちの1つまたは複数における突然変異、またはこれらのあらゆる組合せ(番号付けは、EUに従う)を有する。一部の実施形態では、IgG1 Fcドメインは、突然変異である、L234AおよびL235Aを有する。一部の実施形態では、IgG1 Fcドメインは、突然変異である、S228Pを有する。
【0089】
そうでないことが提示されない限りにおいて、本明細書で使用される、免疫グロブリン分子内のアミノ酸残基の位置は、EUによる番号付け(Ward et al., 1995 Therap. Immunol. 2:77-94)に従い番号付けされる。当技術分野では、抗体内のアミノ酸位置のための、他の番号付けシステム、例えば、IMGTシステム(Brochet et al, Nucl. Acids Res. (2008) 36, W503-508)およびKabatによる番号付けシステム(Kabat, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th edition, Bethesda, MD: Public Health Service, National Institutes of Health (1991))も公知である。当技術分野では、1つの番号付けシステムと、他の番号付けシステムとの間で変換するための方法および情報が公知である。例えば、imgt.orgにおいて利用可能な、IMGT Scientific Chart - Correspondence between C numberingsを参照されたい。
ある特定の実施形態では、抗セラミド抗体およびその抗原結合性断片は、所望の特異性を有する抗体の選択に関して、標準的な分子生物学法を使用して調製されうる。一部の実施形態では、抗セラミド抗体およびその抗原結合性断片は、組換えDNA技術を使用して作製される。当技術分野では、組換えタンパク質の発現および精製のための手順が、十分に確立されている。
【0090】
ポリヌクレオチドおよびタンパク質発現法
本開示はまた、本開示の抗セラミド抗体およびその抗原結合性断片をコードするポリヌクレオチド(例えば、DNAまたはRNA)も含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、表1、2、3、および4に列挙されたポリペプチドと、実質的に同一であるポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、表1、2、3、および4に列挙されたポリペプチドと、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%同一であるポリペプチドをコードする。本開示のポリヌクレオチドはまた、相補性核酸も含む。ある場合には、配列は、アライメントされた場合に、完全に相補性(ミスマッチを伴わない)であろう。他の場合には、配列中に、最大で、約20%のミスマッチが存在しうる。本明細書で提示されるポリヌクレオチド配列は、コドン最適化、縮重配列、サイレント突然変異、および特定の宿主内の発現を最適化する、他のDNA法を使用して開発される場合があり、本開示は、このような配列の修飾を包含する。
【0091】
一部の実施形態では、本開示は、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片をコードする単離ポリヌクレオチドであって、配列番号65~73からなる群から選択される核酸配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一である単離ポリヌクレオチドを提示する。一部の実施形態では、本開示は、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片をコードする単離ポリヌクレオチドであって、配列番号65~73からなる群から選択される核酸配列を含むか、またはこれらからなる単離ポリヌクレオチドを提示する。
【0092】
一部の実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、核酸ベクターへと挿入される。核酸ベクターは、ウイルスベクターの場合もあり、非ウイルスベクター、例えば、プラスミドの場合もある。ベクターは、限定せずに述べると、プラスミド、ファージミド、コスミド、トランスポゾン、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)、またはP1由来人工染色体(PAC)などの人工染色体、ラムダファージまたはM13ファージなどのバクテリオファージ、および動物ウイルスを含む。一部の実施形態では、ベクターは、pXT1、pSG5(Stratagene)、pSVK3、pBPV、pMSG、およびpSVLSV40(Pharmacia)から選択されるプラスミドである。一部の実施形態では、ベクターは、ワクシニアウイルス;ポリオウイルス;アデノウイルス(例えば、Li et al., Invest Opthalmol Vis Sci 35:2543 2549, 1994; Borras et al., Gene Ther 6:515 524, 1999; Li and Davidson, PNAS 92:7700 7704, 1995; Sakamoto et al., H Gene Ther 5:1088 1097, 1999;WO94/12649、WO93/03769;WO93/19191;WO94/28938;WO95/11984;およびWO95/00655を参照されたい);アデノ随伴ウイルス(例えば、米国特許第7,078,387号;Ali et al., Hum Gene Ther 9:81 86, 1998, Flannery et al,, PNAS 94:6916 6921 , 1997; Bennett et al., Invest Opthalmol Vis Sci 38:2857 2863, 1997; Jomary et al., Gene Ther 4:683 690, 1997, Rolling et al., Hum Gene Ther 10:641 648, 1999; Ali et al., Hum Mol Genet 5:591 594, 1996; Srivastava in WO 93/09239, Samulski et al., J. Vir. (1989) 63:3822-3828; Mendelson et al,, Virol. (1988) 166:154-165;およびFlotte et al., PNAS (1993) 90:10613-10617を参照されたい);SV40;単純ヘルペスウイルス;ヒト免疫不全ウイルス(例えば、Miyoshi et al., PNAS 94:10319 23, 1997; Takahashi et al., J Virol 73:7812 7816, 1999を参照されたい);レトロウイルスベクター(例えば、マウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、ならびにラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、レンチウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス、および乳腺腫瘍ウイルスなど、レトロウイルスに由来するベクター)などに基づくウイルスベクターから選択されるウイルスベクターである。ベクターの例は、哺乳動物細胞内の発現のためのpClneoベクター(Promega);哺乳動物細胞内のレンチウイルス媒介型の遺伝子の導入および発現のための、pLenti4/V5-DEST(商標)、pLenti6/V5-DEST(商標)、およびpLenti6.2/V5-GW/lacZ(Invitrogen)である。
【0093】
一部の実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、核酸ベクターへと挿入され、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター、インデューサー、またはリプレッサーなど、転写を制御する、1つまたは複数の調節配列に作動可能に連結される。適切な真核生物プロモーター(真核生物細胞内で機能的なプロモーター)の非限定例は、サイトメガロウイルス(CMV)即初期プロモーター、単純ヘルペスウイルス(HSV)チミジンキナーゼプロモーター、サルウイルス40(SV40)プロモーター(例えば、初期SV40プロモーターおよび後期SV40プロモーター)、脾臓フォーカス形成ウイルス(SFFV)プロモーター、レトロウイルスに由来するLTR(long terminal repeats)(例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)LTRプロモーター、またはRous肉腫ウイルス(RSV)LTR)、単純ヘルペスウイルス(HSV)(チミジンキナーゼ)プロモーター、ワクシニアウイルスに由来するH5プロモーター、P7.5プロモーター、およびP11プロモーター、伸長因子1アルファ(EF1α)プロモーター、初期増殖応答1(EGR1)プロモーター、フェリチンH(FerH)プロモーター、フェリチンL(FerL)プロモーター、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーター、真核生物翻訳開始因子4A1(EIF4A1)プロモーター、熱ショック70kDaタンパク質5(HSPA5)プロモーター、熱ショックタンパク質90kDaベータ、メンバー1(HSP90B1)プロモーター、熱ショックタンパク質70kDa(HSP70)プロモーター、β-杵真(β-KIN)プロモーター、ヒトROSA 26遺伝子座(Irions et al., Nature Biotechnology 25, 1477-1482 (2007))、ユビキチンC(UBC)プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ1(PGK)プロモーター、サイトメガロウイルスエンハンサー/ニワトリβ-アクチン(CAG)プロモーター、β-アクチンプロモーターおよび骨髄増殖性肉腫ウイルスエンハンサー、負制御領域欠失dl587revプライマー結合性部位置換(MND)プロモーター、ならびにマウスメタロチオネイン1(mouse metallothionein-l)に由来する真核生物プロモーターを含む。
【0094】
一部の実施形態では、ベクターは、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片を発現させるために、宿主細胞へと導入される。したがって、本開示内の使用のためのタンパク質は、常套的技法に従い、遺伝子操作宿主細胞内で作製されうる。適切な宿主細胞は、外因性DNAにより形質転換されるか、またはこれをトランスフェクトされた細胞型であり、培養物中で増殖させられ、細菌細胞、真菌細胞、および培養高等真核生物細胞(多細胞生物の培養細胞を含む)、特に、培養哺乳動物細胞を含む。クローニングされたDNA分子を操作し、外因性DNAを、様々な宿主細胞へと導入するための技法については、Sambrook and Russell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3rd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 2001);およびAusubel et al., Short Protocols in Molecular Biology (4th ed., John Wiley & Sons, 1999)により開示されている。
【0095】
本開示のポリヌクレオチドによりコードされる遺伝子産物は、例えば、細菌系、酵母系、昆虫系、両生動物系、および哺乳動物系を含む、あらゆる好都合な発現系において発現される。適切な哺乳動物宿主細胞の例は、アフリカングリーンモンキー腎細胞(Vero;ATCC CRL 1587)、ヒト胎児腎細胞(293-HEK;ATCC CRL 1573)、ベビーハムスター腎細胞(BHK-21、BHK-570;ATCC CRL 8544、ATCC CRL 10314)、イヌ腎細胞(MDCK;ATCC CCL 34)、チャイニーズハムスター藍藻細胞(CHO-K1;ATCC CCL61;CHODG44;CHO DXB11(Hyclone、Logan、UT);また、例えば、Chasin et al., Som. Cell.Molec. Genet. 12:555, 1986も参照されたい)、ラット下垂体細胞(GH1;ATCC CCL82)、HeLa S3細胞(ATCC CCL2.2)、ラットヘパトーマ細胞(H-4-II-E;ATCC CRL 1548)、SV40形質転換サル腎細胞(COS-1;ATCC CRL 1650)、およびマウス胎仔細胞(NIH-3T3;ATCC CRL 1658)を含む。当技術分野では、さらなる、適切な細胞系が公知であり、American Type Culture Collection、Manassas、Virginiaなど、公共受託機関から入手可能である。DNA構築物の導入は、例えば、コンジュゲーション、細菌形質転換、DNAのカルシウム沈殿、電気穿孔、融合、トランスフェクション、ウイルスベクターの感染、バイオリスティックなどを含む、あらゆる好都合な方法を使用しうる。
【0096】
例えば、本明細書で記載される、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片の組換え発現のために、発現ベクターは、一般に、プロモーターに作動可能に連結された、表1、2、3、および4に提示されるアミノ酸配列のうちの1つまたは複数をコードする核酸セグメントを含むであろう。発現ベクターは、常套的技法により、宿主細胞へと導入され、次いで、宿主細胞は、対応する抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片を作製するのに、コードされるポリペプチドを産生するように、常套的技法により培養される。
【0097】
組換えタンパク質を、宿主細胞の分泌経路へと方向付けるために、分泌シグナル配列(また、リーダー配列としても公知である)が、発現ベクター内に施される。分泌シグナル配列は、組換えタンパク質に対する、天然形態の分泌シグナル配列の場合もあり、別の分泌タンパク質に由来する場合もあり、デノボで合成される場合もある。分泌シグナル配列は、ポリペプチドをコードするDNA配列に作動可能に連結される、すなわち、2つの配列は、適正なリーディングフレーム内で接続され、新規に合成されたポリペプチドを、宿主細胞の分泌経路へと方向付けるように配置される。分泌シグナル配列は、一般に、目的のポリペプチドをコードするDNA配列に対して、5’側に配置されるが、ある特定のシグナル配列は、目的のDNA配列内の、別の位置に配置される場合もある(例えば、米国特許第5,037,743号および同第5,143,830号を参照されたい)。一部の実施形態では、分泌シグナル配列は、配列番号75である。
【0098】
培養哺乳動物細胞は、本開示の組換えポリペプチドおよび組換えタンパク質(例えば、抗セラミド抗体およびその抗原結合性断片)の作製に適する宿主である。外因性DNAを、哺乳動物宿主細胞へと導入するための方法は、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション(Wigler et al., Cell 14:725, 1978; Corsaro and Pearson, Somatic Cell Genetics 7:603, 1981: Graham and Van der Eb, Virology 52:456, 1973)、電気穿孔(Neumann et al., EMBO J. 1:841-845, 1982)、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション(Ausubel et al., supra)、およびリポソーム媒介トランスフェクション(Hawley-Nelson et al., Focus 15:73, 1993; Ciccarone et al., Focus 15:80, 1993)を含む。培養哺乳動物細胞内の、組換えポリペプチドの作製については、例えば、米国特許第4,713,339号;同第4,784,950号;同第4,579,821号;および同第4,656,134号により開示されている。
【0099】
本開示のポリペプチドおよびタンパク質(例えば、セラミド結合性ポリペプチド)を作製するために形質転換されるか、またはトランスフェクトされた宿主細胞は、選び出された宿主細胞の増殖のために要求される栄養物および他の成分を含有する培養培地中で、常套的な手順に従い培養される。当技術分野では、既知組成培地および複合培地を含む、様々な、適切な培地が公知であり、一般に、炭素供給源、窒素供給源、基本的アミノ酸、ビタミン、およびミネラルを含む。培地はまた、要求に応じて、増殖因子または血清などの成分も含有しうる。増殖培地は、一般に、例えば、薬物選択により、またはベクター上で運ばれるか、もしくは宿主細胞に共トランスフェクトされる、選択用マーカーにより補完される、基本的栄養物の欠損により、外因的に付加されたDNAを含有する細胞について選択する。
【0100】
本開示の抗セラミド抗体およびその抗原結合性断片は、典型的に、クロマトグラフィー法の組合せを介する、常套的なタンパク質精製法により精製されうる。一般に、Affinity Chromatography: Principles & Methods (Pharmacia LKB Biotechnology, Uppsala, Sweden, 1988); Scopes, Protein Purification: Principles and Practice (Springer-Verlag, New York 1994)を参照されたい。免疫グロブリンのFc領域を含むタンパク質は、固定化されたプロテインAまたはプロテインGに対するアフィニティークロマトグラフィーによる精製されうる。所望のレベルの純度を得るか、または脱塩、緩衝液交換などをもたらすのに、ゲル濾過など、さらなる精製ステップが使用されうる。
【0101】
ヒト化抗体を作出する方法
本開示は、ヒト化抗セラミド抗体およびその抗原結合性断片を開示する。ヒト化抗体は、ヒト化抗体を構築するための出発材料を提供する、マウス抗体または他の非ヒト抗体と、同じ結合特異性および結合アフィニティー、または同様の結合特異性および結合アフィニティーを有する。ヒト化のために好ましい抗体は、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2017-03334133号において記載されている、マウス6B5抗体である。マウス6B5抗体のVH配列およびVL配列は、下記の表5に提示される。CDRは、下線を付した文字列により指し示される。リンカー配列は、斜字体の文字列により指し示される。シグナル配列は、太字の文字列により指し示される。C末端タグ配列は、太字かつ斜字体の文字列により指し示される。
【0102】
【0103】
マウスCDRの、ヒト可変ドメインフレームワークへの置換は、ヒト可変ドメインフレームワークが、CDRが由来するマウス可変フレームワークと同じであるか、または同様であるコンフォメーションを取る場合に、それらの適正な空間的配向性の保持を結果としてもたらす可能性が最も高い。これは、フレームワーク配列が、CDRが導出されたマウス可変フレームワークドメインと、高度の配列同一性を呈するヒト抗体に由来するヒト可変ドメインにより達成される。重鎖可変フレームワーク領域および軽鎖可変フレームワーク領域は、同じヒト抗体配列に由来する場合もあり、異なるヒト抗体配列に由来する場合もある。ヒト可変フレームワーク領域配列は、天然に存在するヒト抗体の配列の場合もあり、いくつかのヒト抗体のコンセンサス配列の場合もある。Kettleborough et al., Protein Engineering 4:773 (1991); Kolbinger et al., Protein Engineering 6:971 (1993);およびCarterら、WO92/22653を参照されたい。
【0104】
ドナーであるマウス免疫グロブリンのCDRおよび適切なアクセプターであるヒトフレームワーク領域を同定したら、次のステップは、存在する場合、結果として得られるヒト化抗体の特性を最適化するのに、これらの構成要素に由来する、どの残基が修飾されるべきなのかを決定することである。一般に、マウス残基の導入は、抗体が、ヒトヒトにおいて、抗マウス抗体(HAMA)反応を誘発する危険性を増大させるため、ヒトアミノ酸残基の、マウス残基による置換は、最小化されるべきである。当技術分野で認知されている、免疫応答を決定する方法は、特定の患者におけるHAMA反応、または臨床試験中のHAMA反応をモニタリングするのに実施されうる。
【0105】
一部の実施形態では、修飾のためのアミノ酸残基の選択は、コンピュータモデル化により、部分的に決定される。本明細書では、免疫グロブリン分子の三次元画像を作製するための、コンピュータハードウェアおよびコンピュータソフトウェアが記載される。一般に、分子モデルは、免疫グロブリン鎖またはそのドメインについて解明された構造から出発して作成される。モデルされる鎖は、アミノ酸配列の類似性について、三次元構造が解明された鎖またはドメインと比較され、最大の配列類似性を示す鎖またはドメインが、分子モデルの構築のための出発点として選択される。少なくとも50%の配列同一性を共有する鎖またはドメインが、モデル化のために選択され、好ましくは、少なくとも60%、70%、80%、90%、またはこれを超える配列同一性を共有する鎖またはドメインが、モデル化のために選択される。解明された出発構造は、モデルされる免疫グロブリンの鎖内またはドメイン内の、実際のアミノ酸と、出発構造における鎖内またはドメイン内のアミノ酸との間の差違を許容するように改変される。次いで、改変された構造は、複合免疫グロブリンへとアセンブルされる。最後に、モデルは、エネルギーを最小化し、全ての原子が、互いから適切な距離内あり、結合長および結合角が、以内に化学的に許容可能な限界内にあることを検証することにより精密化される。
【0106】
修飾のためのアミノ酸残基の選択はまた、特定の位置におけるアミノ酸の特徴の検討により、部分的に決定される場合もあり、特定のアミノ酸の置換または突然変異誘発の効果についての経験的観察により、部分的に決定される場合もある。
本開示の免疫グロブリンをヒト化するために使用されうる、さらなる例示的なヒト化法については、例えば、Presta et al., J. Immunol., 151: 2623-2632 (1993); Carter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 89: 4285-4289 (1992); Couto et al., Cancer Res., 55: 5973s-77s (1995); O'Conner et al., Protein Eng., 11: 321-328 (1998);およびAntibody Engineering-Methods and Protocols by Lo, Vol. 248 (2004)において記載されている。
通例、ヒト化抗体内のCDR領域は、マウスドナー抗体の、対応するCDR領域と同一である。例えば、一部の実施形態では、ヒト化抗体およびその断片の、CDRのアミノ酸配列は、マウス6B5抗体の、CDRのアミノ酸配列(例えば、配列番号11~16)と同一である。
【0107】
一部の実施形態では、1つまたは複数のCDR領域を修飾して、抗体抗原結合特異性を修飾し、かつ/または抗体の免疫原性を低減することが所望されうる。一部の実施形態では、理想的な結合定数が達成されるように、より好適な結合オン速度、より好適な結合オフ速度、またはこれらの両方を達成するのに、CDRの、1つまたは複数の残基が変更して、結合を修飾する。この戦略を使用して、例えば、1010M-1またはこれを超える、高結合アフィニティーを有する抗体が達成されうる。本明細書で記載されるアフィニティー成熟法は、親CDR領域を変更するのに続き、結果として得られる結合性分子を、所望の結合の変化についてスクリーニングするのに使用されうる。方法はまた、潜在的なヒト抗マウス抗体(HAMA)反応が、最小化または回避されるように、親CDRを変更して、免疫原性を低下させるのにも使用されうる。したがって、結合と低免疫原性との最良の組合せについて最適化された抗体が達成されるように、CDRの変更に応じた、結合アフィニティーならびに免疫原性の変化が、モニタリングおよび評定されうる(例えば、米国特許第6,656,467号および米国特許出願公開第20020164326号を参照されたい)。さらに、場合によって、結果として得られるヒト化免疫グロブリンの結合アフィニティーに著明な影響を与えずに、CDR残基の、1カ所または複数カ所の保存的アミノ酸置換を施すことが可能である。保存的置換は、gly、ala;val、ile、leu;asp、glu;asn、gin;ser、thr;lys、arg;およびphe、tyrなど、意図された組合せである。
【0108】
一部の実施形態では、ヒト化抗セラミド抗体およびその抗原結合性断片は、マウス6B5抗体の対応するCDR配列と比べて(例えば、配列番号11~16のうちの1つまたは複数と比べて)、1カ所または複数カ所の突然変異を含む。マウス6B5 CDRのCDRアミノ酸配列に対する例示的な突然変異は、
図4A中の、太字の文字列に示される。
【0109】
ヒト化免疫グロブリンのフレームワーク領域は、通例、それらが由来するヒト抗体のフレームワーク領域と、実質的に同一であり、より通例では、これと同一である。一部の実施形態では、本開示のヒト化抗体は、ヒト化される、対応する非ヒト抗体(例えば、マウス抗体)についてカノニカルである、CDR構造型と、同一または同様である、1つまたは複数のカノニカルのCDR構造型を含む、ヒト抗体遺伝子(例えば、生殖細胞系列抗体遺伝子セグメント)から選択される、可変領域フレームワーク配列を含む。米国特許第6,881,557号およびTan et al., Journal of Immunol 169:1119-1125 (2002)(全ての目的、参照によりそれらの全体において組み込まれる)を参照されたい。
当然ながら、フレームワーク領域内のアミノ酸の多くは、抗体の特異性またはアフィニティーに対して、ほとんど、または全く、直接の寄与をもたらさない。したがって、フレームワーク残基に対する、多くの個別の保存的置換は、結果として得られるヒト化免疫グロブリンの特異性またはアフィニティーを、著明に変化させずに、許容されうる。フレームワーク残基は、存在する場合、どの残基が、結果として得られるヒト化抗体の特性を最適化するのに置換されるべきかを決定するように解析されうる。例えば、コンピュータモデル化は、抗原への結合に、直接的に、または間接的に影響を与える確率が大きな残基を同定するのに使用されうる。
【0110】
したがって、一実施形態では、ヒト化抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片の可変フレームワーク領域は、ヒト可変フレームワーク領域配列、またはこのような配列のコンセンサスに対する、少なくとも85%の配列同一性を共有する。一部の実施形態では、ヒト化抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片の可変フレームワーク領域は、ヒト可変フレームワーク領域配列、またはこのような配列のコンセンサスに対する、少なくとも90%、好ましくは、95%、より好ましくは、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を共有する。
【0111】
一部の実施形態では、ヒト化抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、抗原に対する、少なくとも107M-1、108M-1、109M-1、または1010M-1の、特異的結合アフィニティーを呈する。通例、ヒト化抗体の、抗原に対する結合アフィニティーの上限は、親免疫グロブリンの結合アフィニティーの3、4、または5倍以内である。結合アフィニティーの下限もまた、親免疫グロブリンの結合アフィニティーの3、4、または5分の1以内であることが多い。代替的に、結合アフィニティーは、置換を有さないヒト化抗体(例えば、ドナーCDRと、アクセプターFRとを有するが、置換を有さない抗体)の結合アフィニティーと比較されうる。このような場合に、最適化抗体(置換を伴う抗体)の結合は、好ましくは、非置換抗体の結合アフィニティーの、少なくとも2~3倍、または3~4倍である。比較を行うために、例えば、BIACORE(すなわち、非標識か試薬を使用する、表面プラズモン共鳴)または競合的結合アッセイにより、多様な抗体の活性が決定されうる。
【0112】
処置法
本出願は、それを必要とする対象における細胞死を阻害する方法であって、対象へと、治療有効量の、本開示の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片を投与するステップを含む方法を開示する。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、セラミドに特異的に結合する、ヒト化scFvである。
一部の実施形態では、細胞死が、移植片対宿主病、放射線疾患、GI症候群、および自己免疫疾患からなる群から選択される疾患と関連する。一部のさらなる実施形態では、疾患は、放射線症またはGI症候群であり、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、対象が、放射線へと曝露される前に投与される。
【0113】
放射線は、消化管微小血管系コンパートメントおよび腸幹細胞コンパートメントの両方をターゲティングする。放射線照射の4時間後において、アポトーシスとして検出される、微小血管内皮の機能不全は、GI症候群をもたらす、主要な病変を表す。内皮機能不全は、病変を、致死性未満~致死性のCBC(cycling crypt base columnar)細胞へと転換する結果として、再生性陰窩の喪失、およびGI毒性の亢進をもたらす。免疫組織化学研究、ならびに[3H]TdRおよびBrdUrdによる標識化研究は、陰窩幹細胞死が、放射線曝露の後に、急性では生じないことを明らかにした。むしろ、最早期の検出可能な応答は、見かけ上、放射線誘導性DNA二本鎖切断(DSB)を前兆とする、後期S期のチェックポイント、および有糸分裂の停止を通した、進行の、一時的な、用量依存的遅延である。急速なアポトーシス性死滅は、12Gyにおける照射後、最初の24時間中に増殖が停止した細胞において生じ、総死滅数の33%に相当する。哺乳動物細胞内で、DNAのdsbは、DNA損傷の認識/修復経路、および細胞周期チェックポイント活性の調節を活性化させる。腸幹細胞有糸分裂の停止は、この経路における調節イベントを表すと考えられる。死滅の有糸分裂形態は、この第2の24時間中に生じ、総死滅数の66%を表す。この段階では、腸周囲を通した陰窩数の著明な変化は、明らかではないが、一過性/分化陰窩細胞の、陰窩から、絨毛の上皮内層への、正常な遊走の持続、および絨毛頂端部の喪失に起因して、陰窩サイズの減少が進行する。12~18時間後における、有糸分裂活性の回復は、陰窩幹細胞クロノゲンの急速な枯渇、および腸周囲を通した陰窩数と関連する。幹細胞クロノゲンの喪失は、陰窩-絨毛系の、全体的な崩壊、粘膜剥離、およびGI症候群による死をもたらす。
【0114】
セラミド媒介性の、ラフトのクラスター化は、放射線誘導性アポトーシスおよびクロノゲン性細胞死に関与する。多年にわたり、消化管(GI)粘膜のクロノゲンコンパートメントは、GI損傷の誘導における、特異的かつ直接的な放射線標的であることが認められている。
【0115】
本開示は、それを必要とする対象のGI症候群における細胞死を緩和するための方法を対象とする。方法は、治療有効量の、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片の投与を含む。一部の実施形態では、方法は、前記対象の、透過性放射線への曝露の直後に、前記抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片を、前記対象へと投与するステップを含む。他の実施形態では、方法は、前記対象の、透過性放射線への曝露後、1時間以内に、前記抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片を、前記対象へと投与するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、前記対象の、透過性放射線への曝露後、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または18時間以内に、前記抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片を、前記対象へと投与するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、前記対象の、透過性放射線への曝露後、24時間以内に、前記抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片を、前記対象へと投与するステップを含む。他の実施形態では、方法は、前記対象の、透過性放射線への曝露後、30、36、42、48、54、60、66、または72時間以内に、前記抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片を、前記対象へと投与するステップを含む。他の実施形態では、方法は、前記対象の、透過性放射線への曝露前、48、36、24、18、12、10、8、6、4、2、もしくは1時間以内に、または45、30、もしくは15分間以内に、前記抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片を、前記対象へと投与するステップを含む。
【0116】
一部の実施形態では、疾患は、移植片対宿主病であり、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、対象が移植を受ける前に投与される。一部の実施形態では、移植は、骨髄移植である。他の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、対象が移植を受けた後であるが、移植片対宿主病の発症の前に投与される。一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、それを必要とする対象へと、移植片対宿主病の発症の後で、移植片対宿主病におけるアポトーシスの緩和に有効な量で投与される。
【0117】
本開示はまた、セラミドの発現により特徴づけられる障害(例えば、GI症候群またはGvHD)の処置のための医薬を製造するための、抗セラミド抗体およびその抗原結合性断片も包含する。一部の実施形態では、タンパク質またはポリペプチドは、抗セラミド結合性ドメインを含み、セラミドリッチプラットフォームの形成を阻害する。一部の実施形態では、本開示は、対象における、セラミドリッチプラットフォームの発現により特徴づけられる障害を処置するための方法であって、対象へと、治療有効量の、ヒトセラミドのエピトープに特異的に結合する、セラミド結合性ドメインを含む、本開示のタンパク質またはポリペプチド(例えば、セラミド結合性ポリペプチド)を投与するステップを含む方法に関する。
【0118】
一部の実施形態では、本開示は、GI症候群またはGvHDを伴う患者を処置する方法であって、患者へと、本明細書で明示されたアミノ酸配列(例えば、配列番号48~61からなる群から選択されるアミノ酸配列)を含む、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片を投与するステップを含む方法を提示する。一部の実施形態では、本開示は、GI症候群またはGvHDを伴う患者を処置する方法であって、配列番号48または51の、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片を投与するステップを含む方法を提示する。
一部の実施形態では、抗セラミド抗体およびその抗原結合性断片は、放射線誘導性細胞死、またはGvHDまたは自己免疫疾患と関連する細胞死を防止する。細胞死は、死細胞におけるマーカー発現の変化について評価する、フローサイトメトリー、免疫蛍光、および免疫組織化学、生存率について評価する細胞カウント、遺伝子発現の変化について評価するqPCRなどを含む、当技術分野で公知の様々な手段により測定されうる。
一部の実施形態では、抗セラミド抗体およびその抗原結合性断片は、セラミドリッチプラットフォームの形成を阻害することにより、細胞死を防止する。例えば、一部の実施形態では、抗セラミドscFvは、照射Jurkat T細胞内の、セラミドリッチプラットフォームの形成を阻害する(実施例3および
図1を参照されたい)。一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、セラミドリッチプラットフォームの形成を、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%低減する。
【0119】
一部の実施形態では、抗セラミド抗体およびその抗原結合性断片は、細胞死を阻害する。例えば、一部の実施形態では、抗セラミドscFvは、照射Jurkat T細胞内の、細胞死を阻害する(実施例4および
図2A~2Dを参照されたい)。一部の実施形態では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、細胞死またはアポトーシスを、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%低減する。
一部の実施形態では、本明細書で記載される処置法および使用のために、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、処置が求められる疾患または障害と関連する、常套的な方法と符合する方式で送達される。本明細書における開示に従い、治療有効量のタンパク質またはポリペプチドは、疾患または障害を防止または処置するのに十分な時間にわたり、かつ、これに十分な条件下で、このような処置を必要とする対象へと投与される。
【0120】
予防適用では、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬組成物または薬剤は、特定の障害に感受性であるか、または代わりに、この危険性がある患者へと、障害を消失させるか、または障害の発症の危険性を低減するか、または障害の発症を遅延させるのに十分な量で投与される。治療適用では、本開示のタンパク質を含む組成物または薬剤は、このような障害が疑われるか、またはこれを既に患う患者へと、障害を治癒させるか、または障害の症状およびその合併症を、少なくとも部分的に停止させるのに十分な量で投与される。これを達するのに十分な量は、治療有効用量または治療有効量と称される。予防レジメおよび治療レジメのいずれでも、薬剤は、通例、十分な応答(例えば、不適正な血管新生活性の阻害)が達成されるまで、何回かの投与により投与される。典型的に、応答は、モニタリングされ、所望の応答が弱まり始めたら、反復投与が施される。
【0121】
投与のために、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、医薬組成物として製剤化されうる。医薬組成物は、(i)セラミド結合性ポリペプチドと;(ii)薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤とを含みうる。セラミド結合性ポリペプチドを含む医薬組成物は、治療用分子が、混合物中で、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と組み合わされた、薬学的に有用な組成物を調製するための公知の方法に従い製剤化されうる。担体は、その投与が、レシピエント患者により許容される場合、「薬学的に許容される担体」であるという。滅菌リン酸緩衝生理食塩液は、薬学的に許容される担体の1つの例である。他の適切な担体、希釈剤、または賦形剤は、当業者に周知である(例えば、Gennaro (ed.), Remington’s Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Company, 19th ed. 1995)を参照されたい)。製剤は、1種または複数種の賦形剤、保存剤、可溶化剤、緩衝剤、バイアル表面におけるタンパク質の喪失を防止するためのアルブミンなどをさらに含みうる。
【0122】
本明細書で記載されるポリペプチドまたはタンパク質を含む医薬組成物は、経口単位剤形、静脈内単位剤形、鼻腔内単位剤形、坐剤単位剤形、皮内単位剤形、筋内単位剤形、腹腔内単位剤形、皮下単位剤形、硬膜外単位剤形、舌下単位剤形、および脳内単位剤形からなる群から選択される剤形に製剤化されうる。経口単位剤形は、錠剤、丸剤、ペレット剤、カプセル、粉剤、トローチ剤、顆粒、溶液、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エリキシル剤、持続放出製剤、エアロゾル、およびスプレーからなる群から選択されうる。
抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬組成物は、対象へと、治療有効量で投与されうる。本開示の方法に従い、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、例えば、筋内投与経路、皮下投与経路、静脈内投与経路、心房内投与経路、関節内投与経路、非経口投与経路、鼻腔内投与経路、肺内投与経路、経皮投与経路、胸膜内投与経路、髄腔内投与経路、および経口投与経路による投与方式を含む、様々な投与方式により、対象へと投与されうる。防止および処置を目的として、アゴニスト(例えば、セラミド結合性ポリペプチド)は、対象へと、単回ボーラス送達により、長期間にわたる連続送達(例えば、連続経皮送達)を介して、または反復投与プロトコール(例えば、毎時、毎日、毎週、または毎月ベースのプロトコール)により投与されうる。
【0123】
本開示の組成物の有効用量は、投与手段、標的部位、患者の生理学的状態、患者が、ヒトであるのか、動物であるのか、投与される他の医薬、処置が、予防処置であるのか、治療処置であるのか、ならびに組成物自体の特異的活性、および個体において、所望の応答を誘発するその能力を含む、多くの異なる因子に応じて変動する。通例では、患者は、ヒトであるが、一部の疾患では、患者は、非ヒト哺乳動物でありうる。典型的に、投与レジメンは、最適の治療的応答をもたらすように、すなわち、安定性および有効性を最適化するように調整される。
【0124】
この文脈における、有効な投与量の決定は、典型的に、動物モデル研究、および続けて行われるヒト臨床試験に基づき、モデル対象における対象となる障害の発生を著明に低減するか、または重症度を著明に軽減する、有効な投与量および投与プロトコールを決定することにより導かれる。したがって、本明細書で使用される、「治療有効量」とは、化合物の量が、所望の生物学的効果または治療的効果を達成する量、すなわち、列挙された、処置または防止される疾患の、1つまたは複数の症状を防止するか、軽減するか、または改善する量であることを指す。例えば、抗体またはその抗原結合性断片の治療有効量は、処置される状態、状態の重症度および経過、抗体が、防止を目的として投与されるのか、治療を目的として投与されるのか、既往の治療、患者の既往歴および抗体への応答、使用される抗体またはその抗原結合性断片の種類、および主治医の裁量に依存するであろう。抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、患者(patent)へと、一度に、または、一連の処置にわたり投与されると適切であり、患者へと、診断以後のあらゆる時点において投与されうる。抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、単独の処置として投与される場合もあり、問題の状態の処置において有用である、他の薬物または治療と共に投与される場合もある。
【0125】
一部の実施形態では、治療有効量の、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、1日当たり体重1kg当たり約1ng~1日当たり体重1kg当たり約100mgの間である。一部の実施形態では、投与される抗体の範囲は、1日当たり体重1kg当たり約1ng~1日当たり体重1kg当たり約1μg、1日当たり体重1kg当たり1ng~1日当たり体重1kg当たり約100ng、1日当たり体重1kg当たり1ng~1日当たり体重1kg当たり約10ng、1日当たり体重1kg当たり10ng~1日当たり体重1kg当たり約1μg、1日当たり体重1kg当たり10ng~1日当たり体重1kg当たり約100ng、1日当たり体重1kg当たり100ng~1日当たり体重1kg当たり約1μg、1日当たり体重1kg当たり100ng~1日当たり体重1kg当たり約10pg、1日当たり体重1kg当たり1μg~1日当たり体重1kg当たり約10pg、1日当たり体重1kg当たり1μg~1日当たり体重1kg当たり約100pg、1日当たり体重1kg当たり10pg~1日当たり体重1kg当たり約100pg、1日当たり体重1kg当たり10pg~1日当たり体重1kg当たり約1mg、1日当たり体重1kg当たり100μg~1日当たり体重1kg当たり約10mg、1日当たり体重1kg当たり1mg~1日当たり体重1kg当たり約100mg、および1日当たり体重1kg当たり10mg~1日当たり体重1kg当たり約100mgである。この範囲内の投与量は、例えば、毎日複数回の投与、または毎日、毎週、隔週、もしくは毎月の投与を含む、単回投与または複数回投与により達成されうる。抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、適宜、または適応通りに、ボーラス注入または連続注入による単回投与として投与される場合もあり、ボーラス注入または連続注入による複数回投与として投与される場合もある。複数回投与は、例えば、毎日複数回、毎日1回、2、3、4、5、6、もしくは7日ごとに1回、毎週1回、2、3、4、5、もしくは6週間ごとに1回、または毎月1回投与されうる。しかし、他の投与レジメンも有用でありうる。この治療の進行は、常套的技法により、容易にモニタリングされうる。
【0126】
ヒト成人患者への投与のために、治療有効量は、投与1回当たり0.0006mg、投与1回当たり0.001mg、投与1回当たり0.003mg、投与1回当たり0.006mg、投与1回当たり0.01mg、投与1回当たり0.03mg、投与1回当たり0.06mg、投与1回当たり0.1mg、投与1回当たり0.3mg、投与1回当たり0.6mg、投与1回当たり1mg、投与1回当たり3mg、投与1回当たり6mg、投与1回当たり10mg、投与1回当たり30mg、投与1回当たり60mg、投与1回当たり100mg、投与1回当たり300mg、投与1回当たり600mg、および投与1回当たり1000mgを含むがこれらに限定されない、0.0006mg~投与1回当たり1000mgの範囲の用量で投与される場合があり、処置コースでは、複数回の、通例、毎日の連続投与が実施されうる。抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片は、1日の、異なる時間に投与されうる。一実施形態では、最適の治療用量は、夜間に投与されうる。別の実施形態では、最適の治療用量は、午前中に投与されうる。予期される通り、投与量は、患者の体格、年齢、および状態に依存するであろう。
【0127】
抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬組成物の投与量は、標的部位における所望の濃度を維持するように、主治医により変動させられうる。例えば、静脈内送達方式が選択される場合、標的組織における、薬剤の血流中局所濃度は、対象の状態および応答の推定測定値、約0.01~50nMの間、場合によって、約1.0nM~10、15、または25nMの間でありうる。送達方式、例えば、粘膜表面への送達と対比される、経表皮送達に基づき、高濃度が選択される場合もあり、低濃度が選択される場合もある。投与量はまた、投与される製剤、例えば、粉末、持続放出型経口粒子または持続放出型注射用粒子、経皮製剤などと対比された経鼻スプレーの放出速度に基づいても調整されるものとする。同じ血清濃度レベルを達成するために、例えば、放出速度を、5nM(標準条件下において)とする徐放粒子であれば、放出速度を、10nMとする粒子の、約2倍の投与量で投与されるであろう。
【0128】
抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬組成物は、本明細書で記載される医薬組成物を含む容器を含むキットとして供給されうる。医薬組成物は、例えば、単回投与または複数回投与のための注射用溶液の形態で提供される場合もあり、注射の前に復元される滅菌粉末として提供される場合もある。代替的に、このようなキットは、医薬組成物の投与のための、乾燥粉末分注器、液体エアゾール発生器、または噴霧器を含みうる。このようなキットは、医薬組成物の適応および用法についての書面による情報をさらに含みうる。
【実施例】
【0129】
本開示は、限定的なものとして見なされるべきではない、以下の実施例により、さらに例示される。本出願を通して引用される、全ての参考文献、特許、および特許出願公開の他、図表は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0130】
(実施例1)
6B5抗体のヒト化および作製
本研究の目標は、マウス6B5抗体の、元の特異性を保持しながら、ヒト化セラミド抗体中のヒト配列の量を最大化することであった。
抗体のヒト化デザイン:マウス6B5親抗体のヒト化デザインは、コンピュータによる解析を使用して実施した。略述すると、相同性モデル化を使用して、親6B5抗体の3D構造を生成し、3Dモデルに基づき、親抗体のプロファイルを作成した。フレームワークにわたる、全体的な配列同一性、界面位置のマッチング、同様に分類されたカノニカルのCDR位置、およびN-グリコシル化部位の存在に基づき、2つのヒト重鎖(HC)アクセプターフレームワークおよび2つのヒト軽鎖(LC)アクセプターフレームワークを選択した。次いで、親抗体配列の選ばれた部分を、ヒトフレームワーク配列と融合させた、複数のハイブリッド配列を創出することにより、ヒト化抗体をデザインした。親6B5抗体の3D構造を使用して、これらのヒト化配列を、目視およびコンピュータモデル化により、組織的に解析して、抗原への結合を保持する可能性が最も高い配列を単離した。2つの異なるヒトHCアクセプターフレームワークに基づき、3つのヒト化HCをデザインし、2つの異なるヒトLCアクセプターフレームワークに基づき、3つのヒト化LCをデザインした。フレームワーク組合せを、下記の表6に示す。
【0131】
【0132】
ヒト化VH1およびヒト化VL1は、それぞれの、第1のフレームワークを利用し、最大限のヒト配列を、最小限の親抗体フレームワーク配列と共に含有する。VH2およびVL2は、VH1およびVL1と同じフレームワークを使用するが、さらなる親配列を含有する。VH3およびVL3は、それぞれの、第2のフレームワークを利用し、ヒト化VH2およびヒト化VL2と類似するが、また、ヒトフレームワークと融合させた、さらなる親配列も含有する。
上記で記載された、ヒト化重鎖およびヒト化軽鎖を組み合わせて、完全ヒト化抗体を創出した。ヒト化重鎖およびヒト化軽鎖の組合せを、それらの発現レベルおよび抗原結合アフィニティーについて調べて、マウス6B5親抗体と同様に作用する抗体を同定した。
操作抗体のヒト性スコアの計算:操作ヒト化抗体のヒト性スコアを計算するためのツールを開発した(Gao et. al., BMC Biotechnology 2013, 13:55)。T20スコアは、可変領域の一次配列を解析することにより、抗体のヒト性の程度を表す。マウス6B5およびヒト化6B5の重鎖および軽鎖についてのT20スコアを、下記の表7および8に示す。
【0133】
【0134】
【0135】
全長HCについて、79またはこれを上回るスコアは、ヒト様重鎖を示し、全長カッパLCについて、86またはこれを上回るスコアは、ヒト様軽鎖を示す。表7および8に示される通り、全長VH1、VL1、VL2、およびVL3のヒト性スコアは、これらの鎖が、ヒト様鎖であることを意味した。
全長抗体についてのT20スコアは、一般に、ヒト化時に手つかずに保たれる、マウス6B5抗体に由来するCDR領域の低度のヒト性により、著明に影響される。したがって、ヒト化抗体について、フレームワークだけの領域、すなわち、マウスCDR配列を伴わない領域についてのT20スコアもまた計算した。HCフレームワークについて、84またはこれを上回るスコアは、ヒト様重鎖を示し、カッパLCフレームワークについて、90またはこれを上回るスコアは、ヒト様軽鎖を示す。表7および8に示される通り、6B5重鎖および6B5軽鎖(フレームワークだけ)についてのヒト性スコアは、VH領域およびVL領域が、ヒト様領域であることを意味した。
ヒト化scFvの構築および小スケールにおける作製:上記で記載されたヒト化VH鎖およびヒト化VL鎖を、C末端において、8×Hisタグを伴うscFvへとリフォーマットした(配列番号76)。比較のために、マウス親6B5 scFvを、並行して発現させた。抗体を作製するために、大腸菌(E.coli)BL21(DE3)株を、表示のscFvのためのプラスミドで形質転換し、次いで、Hisタグアフィニティー精製カラムを使用して、scFvを、溶解させられた細胞から精製した。
【0136】
(実施例2)
ヒト化抗セラミドscFvの作製および解析
抗体構築物の発現:高発現哺乳動物ベクター(Lake Pharma)へとクローニングされた、抗セラミドVH2および抗セラミドVL1のヌクレオチド配列、ならびにクローニングされた構築物の核酸配列を検証した。次いで、各構築物を、トランスフェクションに適切な量までスケールアップし、プラスミドDNAの品質を、ゲル電気泳動により評価した。
CHO細胞を、シェークフラスコ内に播種し、無血清既知組成培地を使用して拡大した。トランスフェクションの当日、拡大された細胞を、未使用の培地を伴う、未使用のフラスコへと播種し、当技術分野で公知の標準的手順を使用して、CHO細胞に、各抗体発現構築物を、一過性にトランスフェクトした。作製の終了時まで、細胞を、流加培養物(C4611およびC4612、Medna)として維持した。一過性トランスフェクションに由来する馴化培地を採取し、遠心分離および濾過により清澄化させた。次いで、抗体を、下記で記載されるプロテインLまたはIMAC精製により精製した。
【0137】
プロテインLアフィニティー精製:上清を、結合緩衝液であらかじめ平衡化させたプロテインLカラム上にロードした。洗浄緩衝液を、OD280値(NanoDrop、ThermoScientific)が、ゼロとなるまで、カラムに通した。標的タンパク質を、低pH緩衝液により溶出させ、画分を回収し、各画分のOD280値を記録した。標的タンパク質を含有する画分をプールし、0.2μm膜を介して濾過した。タンパク質濃度を、OD280値および減衰定数の計算値から計算した。
【0138】
Hisタグ付けタンパク質の、IMACによる精製:上清を、結合緩衝液であらかじめ平衡化させた固定化金属(ニッケル)アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)カラム上にロードした。40mMのイミダゾールを含有する洗浄緩衝液を、OD280値(NanoDrop、ThermoScientific)が、ゼロに近づくまで、カラムに通した。標的タンパク質を、イミダゾール濃度を、0.5Mまで増大させる直線勾配により溶出させた。溶出液を、画分内に回収し、各画分のOD280値を記録した。各画分に対するCE-SDS(SDSゲルキャピラリー電気泳動)(LabChip GXII、Perkin Elmer)を実施し、解析した。標的タンパク質を含有する画分をプールし、発注元指定の緩衝液へと透析した。0.2μm膜を介して、タンパク質を濾過しタンパク質濃度を、OD280値(NanoDrop、Thermo Scientific)および減衰定数の計算値から計算した。
【0139】
抗体の解析:HiLoad 26/600 Superdex 200カラム(GE Healthcare Life Sciences)を使用して、サイズ除外クロマトグラフィー(SEC)を実施した。回収された画分を、CE-SDS(LabChip GXII、Perkin Elmer)により解析した。標的タンパク質を含有する画分をプールし、SE-UPLCにより解析した。各精製法を使用する、抗体構築物2766についての解析報告書の概要を、表9に示す。
【0140】
【0141】
(実施例3)
ヒト化6B5 scFvは、in vitroにおいて、セラミドリッチプラットフォームの形成を阻害する
次いで、実施例1および2で作製されたヒト化抗セラミドscFvを、セラミドリッチプラットフォームの形成を阻害する、それらの能力について調べた。
細胞の培養および刺激のために、Jurkat Tリンパ球(クローンE6-1;TIB-152;ATCC)を、37℃で、5%CO2を伴う、加湿式インキュベーター内、10%の熱不活化FBSを補充された、RPMI 1640培地中で維持した。細胞を洗浄し、1%FBSまたは脱脂FBSを補充された、RPMI 1640培地中に再懸濁させた。略述すると、細胞を、血球計上でカウントし、0.5ml当たりの細胞1×106個を、37℃で、24ウェルプレートに播種した。2時間後、細胞を、0.6μg/mlのヒト抗CD28抗体(AF-342-PB;R&D systems)で刺激した。加えて、Jurkat Tリンパ球を、45秒間にわたる刺激の前に、抗CD28抗体(0.6μg/mL;型番:AF-342-PB;R&D systems)で、50ng/mL~800ng/mLのヒト化6B5 scFvで、1時間にわたり前処置した。次いで、細胞を、4℃、4%のパラホルムアルデヒドで、10分間にわたり、速やかに固定した。
【0142】
セラミドリッチプラットフォーム(CRP)は、既に記載されている(J. A. Rotolo et al., 2005; Stancevic et al., 2013)通りに検出した。細胞を、2%正常ロバ血清(D9663;Sigma)と共に、氷上で、2時間にわたりインキュベートすることにより、非特異的部位をブロッキングした。PBSによる洗浄の後、マウス抗セラミド 1° Ab MID 15B4 IgM(1:50、Alexis Biochemicals)を使用して、4℃で、一晩にわたり、細胞を、表面におけるセラミドについて染色した。無関係のマウスIgMを、アイソタイプ対照として使用した。次いで、細胞を、PBSTで、3回にわたり洗浄し、Cy3コンジュゲート抗マウスIgM 2° Ab(1:400、Jackson ImmunoResearch)により、4℃で、1時間にわたり染色した。細胞を、PBSTで、3回にわたり洗浄し、Vectashield fluorescent mounting media containing DAPI(Vector Laboratories)を使用して、スライドガラス上にマウントした。プラットフォームは、室温で、容量解析のために、Leica SP5 Inverted microscope with HyD hybrid detector photon counter上、およびHCX PL APO CS 63.0x 1.40 oil objective lens with digital zoom at 7上でイメージングし、発生率解析のために、HCX PL APO CS 40.0×1.25 oil objective lens with digital zoom 1上でイメージングした。Leica LAS AFソフトウェアを使用して、Z-stacksを収集した。
【0143】
Imarisソフトウェア(Bitplane AG、Zurich、Switzerland)を使用して、三次元CRP容量解析を行った。略述すると、各試料について、10~12例ずつの、個別のZ-stacksを、最適化条件下で収集し、データを、Imarisソフトウェアへと移送した。強度の正規化は、対照試料および処置試料について実施した。略述すると、z欄についての強度平均値の閾値は、非処置対照試料から得た。強度平均値の閾値に基づき、Imarisにおける「Surfaces」機能を使用して、非処置対照であるCD28処置細胞、およびscFv処置細胞について表面を創出した。強度平均値の閾値により、ある特定範囲の強度値だけが、表面容量定量についての正値であると考えられ得るようになり、一方、この範囲の外部のあらゆる値は、負値であると考えられる。各表面についての容量は、Imarisの表面容量機能により生成される。最終解析のために、各試料セットについての個々の容量を概括し、平均値を計算する。IC50値を計算するために、0~100%のCRP阻害スケールに対して、各抗体の阻害性効果を正規化した[スケール中、0%は、非処置対照(CD28抗体単独)を表し、100%は、最良の阻害性効果を達成した、抗体処置を表す]。Graph Pad Prism 8を使用して、データをプロットし、非線形回帰解析を使用して、曲線を当てはめた。
図1に示される通り、異なる濃度の6B5 scFvを伴うプレインキュベーションは、CD28活性化T細胞内の、CRPの形成を阻害した。VH2-VL1が、CRPの形成の防止において最も有効であり、IC
50値は、6.1ng/mLであった。多様な被験ヒト化6B5 scFvについてのIC
50値を、下記の表10に示す。
【0144】
【0145】
(実施例4)
ヒト化6B5 scFvは、in vitroにおいて、放射線誘導性アポトーシスを阻害する
次いで、実施例1および2で作製されたヒト化抗セラミドscFvを、放射線誘導性細胞死を阻害する、それらの能力について調べた。
【0146】
アポトーシスアッセイは、記載される(Haimovitz-Friedman et al., 1994; J. A. Rotolo et al., 2005)通りに実施した。Jurkat Tリンパ球を、1%のFBSを補充された、RPMI 1640中に再懸濁させ、100ng/mL、200ng/mL、400ng/mL、600ng/mL、または800ng/mLのヒト化6B5 scFvで、37℃で、1時間にわたり前処置してから、10Gy(約1.5Gy/分)の放射線へと曝露した。照射Jurkat T細胞を、37℃で16時間にわたりインキュベートし、次いで、4%パラホルムアルデヒド中で固定した。次いで、細胞を、PBSで洗浄し、24μg/mlのフルオロフォアである、ビスベンジミド三塩酸塩(Hoechst 33258;Sigma-Aldrich)で染色し、室温で、40× DPlanApo40UV 0.850160/0.11-0.23対物レンズを使用する、Olympus IMT-2顕微鏡上でカウントするために、スライドガラス上に置いた。蛍光顕微鏡を使用して、クロマチンの凝縮、セグメント化、ならびに核周縁部を伴う凝縮およびアポトーシス小体の出現を含む、アポトーシス核の形状的特徴に基づき、アポトーシスを定量した。試料1例当たり、最少で100個の細胞をカウントした。アポトーシスの阻害パーセントは、放射線だけの対照に対して、値を正規化することにより決定した(
図2A)。IC
50値は、GraphPad Prism v7ソフトウェア上で、非線形回帰を使用して計算した。
【0147】
図2Aに示される通り、異なる濃度の6B5 scFvを伴うプレインキュベーションは、照射Jurkat T細胞内のアポトーシスを阻害した。VH2-VL1が、放射線誘導性アポトーシスの阻害において最も有効であり、IC
50値は、130.3ng/mLであった。多様な被験ヒト化6B5 scFvについてのIC
50値を、下記の表11に示す。
【0148】
【0149】
同様の実験設定を使用して、2つのさらなるヒト化6B5 scFvである、VH4-VL1(配列番号52)およびVH5-VL1(配列番号53)を、放射線誘導性T細胞アポトーシスを阻害する、それらの能力について調べた(
図2B~2E)。
図2Bでは、25ng/mL、50ng/mL、100ng/mL、200ng/mL、400ng/mL、600ng/mL、または800ng/mLにおける、VH4-VL1、VH5-VL1、および親scFvであるマウス6B5 scFvの各々を、Jurkat T細胞と共に、1時間にわたりインキュベートし、各scFvが、放射線誘導性アポトーシスを阻害する能力を、800ng/mLにおける、親scFvであるマウス6B5 scFvの保護効果に対して正規化した。
図2Cでは、25ng/mL、50ng/mL、100ng/mL、200ng/mL、400ng/mL、または800ng/mLにおける、VH4-VL1、VH5-VL1、および親scFvであるマウス6B5 scFvの各々を、Jurkat T細胞と共に、1時間にわたりインキュベートし、各scFvが、放射線誘導性アポトーシスを阻害する能力を、800ng/mLにおける、VH5-VL1の保護効果に対して正規化した。
図2Dでは、25ng/mL、50ng/mL、100ng/mL、200ng/mL、400ng/mL、600ng/mL、または800ng/mLにおける、VH4-VL1およびVH5-VL1を、Jurkat T細胞と共に、1時間にわたりインキュベートし、各構築物が、放射線誘導性アポトーシスを阻害する能力を、800ng/mLにおける、VH4-VL1の保護効果に対して正規化した。これらの実験セットに基づくIC
50値を、下記の表12に提示する。
【0150】
【表12】
図2Eは、これらの条件下における、放射線誘導性アポトーシス性T細胞の百分率により査定される、所与の濃度(400ng/mL、および800ng/mL)における、VH4-VL1およびVH5-VL1の保護効果を示す。全体として、これらの結果は、ヒト化6B5 scFvが、放射線誘導性アポトーシスに対して、T細胞を、有効に保護しうることを裏付ける。
【0151】
(実施例5)
ヒト化6B5 scFvを伴う、in vivoにおいて、放射線誘導性細胞死を防止する処置
抗セラミドVH2-VL1(配列番号51)を、致死線量の放射線へと曝露されたマウスのin vivoにおいて、処置について調べた。セシウム照射器を使用して、15グレイ単位(Gy)のLD90線量を、C57BL/6マウスへと送達し、照射の24時間後において、マウスを、非処置のまま放置するか、または6B5 VH2-VL1(150μg/25g)で静脈内処置した。マウスを、照射後の異なる時点において安楽死させ、トライツ靱帯から近位にある空腸の連続セグメントを単離し、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、パラフィン内に包埋した。TUNEL(Terminal deoxynucleotidyl transferase dUTP Nick-End Labeling)アッセイを、MECA-32抗体(汎内皮細胞マーカー)と共に使用して、組織を、5μmで切片化し、アポトーシス性内皮細胞を同定した。二重染色アポトーシス性内皮細胞を定量した。
【0152】
15GyのLD
90線量で照射されたマウスは、照射の24時間後にピークに達する、小腸内皮の細胞死を結果としてもたらした(
図3A)。照射の24時間後における、6B5 VH2-VL1による処置は、内皮細胞アポトーシスを、非処置マウスと比較して著明に低減した(
図3B)。全体として、これらのデータは、セラミドの阻害が、GI症候群マウスモデルにおいて、消化管内の内皮細胞死を防止することを指し示す。ヒト化抗セラミドscFvは、細胞死の増大と関連する疾患であって、GI症候群、GvHD、および自己免疫を含む疾患の処置のために有益でありうる。
【0153】
さらなる番号付き実施形態
本開示のさらなる実施形態は、下記の番号付き実施形態に提示される:
実施形態1.重鎖相補性決定領域(CDR)1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)と、軽鎖相補性決定領域(CDR)1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)とを含み、
(a)HCDR1が、配列番号1および2から選択されるアミノ酸配列を含み;
(b)HCDR2が、配列番号3、4、5、および6から選択されるアミノ酸配列を含み;
(c)HCDR3が、配列番号7のアミノ酸配列を含み;
(d)LCDR1が、配列番号8のアミノ酸配列を含み;
(e)LCDR2が、配列番号9のアミノ酸配列を含み;
(f)LCDR3が、配列番号10のアミノ酸配列を含む、
抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態2.HCDR1が、配列番号1を含み、HCDR2が、配列番号3を含む、実施形態1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態3.HCDR1が、配列番号1を含み、HCDR2が、配列番号4を含む、実施形態1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態4.HCDR1が、配列番号1を含み、HCDR2が、配列番号5を含む、実施形態1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態5.HCDR1が、配列番号1を含み、HCDR2が、配列番号6を含む、実施形態1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態6.HCDR1が、配列番号2を含み、HCDR2が、配列番号3を含む、実施形態1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態7.HCDR1が、配列番号2を含み、HCDR2が、配列番号4を含む、実施形態1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態8.HCDR1が、配列番号2を含み、HCDR2が、配列番号5を含む、実施形態1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態9.HCDR1が、配列番号2を含み、HCDR2が、配列番号6を含む、実施形態1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態10.VHが、配列番号17と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態11.VHが、配列番号17と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態10に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態12.VHのアミノ酸配列が、配列番号17からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号22からなる、実施形態10に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態13.VHが、配列番号17と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号23と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態14.VHが、配列番号17と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号23と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態13に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態15.VHのアミノ酸配列が、配列番号17からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号23からなる、実施形態13に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態16.VHが、配列番号17と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号24と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態17.VHが、配列番号17と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号24と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態16に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態18.VHのアミノ酸配列が、配列番号17からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号24からなる、実施形態16に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態19.VHが、配列番号18と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態20.VHが、配列番号18と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態19に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態21.VHのアミノ酸配列が、配列番号18からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号22からなる、実施形態19に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態22.VHが、配列番号18と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号23と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態23.VHが、配列番号18と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号23と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態22に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態24.VHのアミノ酸配列が、配列番号18からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号23からなる、実施形態22に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態25.VHが、配列番号18と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号24と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態26.VHが、配列番号18と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号24と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態25に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態27.VHのアミノ酸配列が、配列番号18からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号24からなる、実施形態25に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態28.VHが、配列番号19と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態29.VHが、配列番号19と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態28に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態30.VHのアミノ酸配列が、配列番号19からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号22からなる、実施形態28に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態31.VHが、配列番号19と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号23と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態32.VHが、配列番号19と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号23と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態31に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態33.VHのアミノ酸配列が、配列番号19からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号23からなる、実施形態31に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態34.VHが、配列番号19と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号24と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態35.VHが、配列番号19と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号24と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態34に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態36.VHのアミノ酸配列が、配列番号19からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号24からなる、実施形態34に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態37.VHが、配列番号20と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態38.VHが、配列番号20と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態37に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態39.VHのアミノ酸配列が、配列番号20からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号22からなる、実施形態37に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態40.VHが、配列番号21と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態41.VHが、配列番号21と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態40に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態42.VHのアミノ酸配列が、配列番号21からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号22からなる、実施形態40に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態43.免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)と、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)とを含み、
VHが、配列番号17、18、19、20、および21から選択される配列と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み;
VLが、配列番号22、23、および24から選択される配列と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列
を含む、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態44.VHが、配列番号17と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号22と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態43に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態45.VHが、配列番号17と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態43または44に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態46.VHのアミノ酸配列が、配列番号17からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号22からなる、実施形態43~45のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態47.VHが、配列番号17と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号23と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態43に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態48.VHが、配列番号17と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号23と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態43または47に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態49.VHのアミノ酸配列が、配列番号17からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号23からなる、実施形態43、47、または48のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態50.VHが、配列番号17と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号24と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態43に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態51.VHが、配列番号17と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号24と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態43または50に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態52.VHのアミノ酸配列が、配列番号17からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号24からなる、実施形態43、50、または51のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態53.VHが、配列番号18と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態43に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態54.VHが、配列番号18と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態43または53に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態55.VHのアミノ酸配列が、配列番号18からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号22からなる、実施形態43、53、または54のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態56.VHが、配列番号18と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号23と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態43に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態57.VHが、配列番号18と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号23と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態43または56に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態58.VHのアミノ酸配列が、配列番号18からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号23からなる、実施形態43、56、または57のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態59.VHが、配列番号18と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号24と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態43に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態60.VHが、配列番号18と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号24と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態43または59に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態61.VHのアミノ酸配列が、配列番号18からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号24からなる、実施形態43、59、または60のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態62.VHが、配列番号19と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態43に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態63.VHが、配列番号19と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態43または62に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態64.VHのアミノ酸配列が、配列番号19からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号22からなる、実施形態43、62、または63のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態65.VHが、配列番号19と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号23と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態43に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態66.VHが、配列番号19と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号23と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態43または65に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態67.VHのアミノ酸配列が、配列番号19からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号23からなる、実施形態43、65、または66のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態68.VHが、配列番号19と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号24と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態43に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態69.VHが、配列番号19と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号24と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態43または68に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態70.VHのアミノ酸配列が、配列番号19からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号24からなる、実施形態43、68、または69のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態71.VHが、配列番号20と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態43に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態72.VHが、配列番号20と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態43または71に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態73.VHのアミノ酸配列が、配列番号20からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号22からなる、実施形態43、71、または72のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態74.VHが、配列番号21と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、少なくとも90%、95%、または97%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態43に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態75.VHが、配列番号21と、100%同一であるアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号22と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態43または74に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態76.VHのアミノ酸配列が、配列番号21からなり、VLのアミノ酸配列が、配列番号22からなる、実施形態43、74、または75のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態77.ヒト化抗体またはその抗原結合性断片である、実施形態1~76のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態78.完全ヒト抗体またはその抗原結合性断片である、実施形態1~76のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態79.抗セラミド抗体が、抗体のFcドメイン内に、1カ所または複数カ所の点突然変異を含む、実施形態1~78のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態80.抗原結合性断片が、単鎖可変断片(scFv)である、実施形態1~79のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態81.scFvが、配列番号48~61からなる群から選択される配列と、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態80に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態82.scFvが、配列番号48~61からなる群から選択される配列と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態80に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態83.scFvが、配列番号48~61からなる群から選択される配列からなる、実施形態80に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態84.前記scFvの軽鎖可変領域が、前記scFvの重鎖可変領域に対して、カルボキシ末端側にある、実施形態80に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態85.前記scFvの軽鎖可変領域が、前記scFvの重鎖可変領域に対して、アミノ末端側にある、実施形態80に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態86.scFvが、リンカーポリペプチドを含む、実施形態80~85のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態87.リンカーポリペプチドが、前記scFvの軽鎖可変領域と、重鎖可変領域との間にある、実施形態86に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態88.リンカーポリペプチドが、Gly4Serリンカーを含む、実施形態86または87に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態89.リンカーポリペプチドが、式(Gly4Ser)n[配列中、n=1~5である]を含む、実施形態86~88のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態90.配列番号48~61からなる群から選択される配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む抗セラミド単鎖可変断片(scFv)。
実施形態91.配列番号48~61からなる群から選択される配列と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態90に記載の抗セラミドscFv。
実施形態92.配列番号48~61からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、実施形態90に記載の抗セラミドscFv。
実施形態93.実施形態1~92のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片をコードするポリヌクレオチド。
実施形態94.配列番号48または51と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む抗セラミド単鎖可変断片(scFv)。
実施形態95.配列番号48または51と、100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態94に記載の抗セラミドscFv。
実施形態96.配列番号48または51のアミノ酸配列からなる、実施形態94に記載の抗セラミドscFv。
実施形態97.実施形態94~96のいずれか1項に記載の抗セラミド単鎖可変断片(scFv)をコードするポリヌクレオチド。
実施形態98.実施形態93または97に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
実施形態99.実施形態93もしくは97に記載のポリヌクレオチド、または実施形態97に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
実施形態100.実施形態1~89のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体もしくはその抗原結合性断片、または実施形態94~96のいずれか1項に記載の抗セラミド単鎖可変断片(scFv)を製造する方法であって、実施形態98に記載の発現ベクターを、宿主細胞へと導入するステップを含む方法。
実施形態101.それを必要とする対象におけるアポトーシスを阻害する方法であって、対象へと、治療有効量の、実施形態1~88のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体もしくはその抗原結合性断片、または実施形態94~96のいずれか1項に記載の抗セラミドscFvを投与するステップを含む方法。
実施形態102.アポトーシスが、移植片対宿主病、放射線疾患、GI症候群、および自己免疫疾患からなる群から選択される疾患と関連する、実施形態101に記載の方法。
実施形態103.疾患が、放射線疾患またはGI症候群であり、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片が、対象が、放射線へと曝露される前に投与される、実施形態102に記載の方法。
実施形態104.疾患が、移植片対宿主病であり、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片が、対象が移植を受ける前に投与される、実施形態102に記載の方法。
実施形態105.移植が、骨髄移植である、実施形態104に記載の方法。
実施形態106.抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片が、静脈内投与、筋内投与、腹腔内投与、脳脊髄内投与、皮下投与、滑膜内投与、髄腔内投与、経口投与、局所投与されるか、または吸入を介して投与される、実施形態101に記載の方法。
実施形態107.GI症候群を伴う対象におけるアポトーシスを緩和するための方法であって、対象が透過性放射線へと曝露された後で、対象へと、治療有効量の、実施形態1~89のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体もしくはその抗原結合性断片、または実施形態94~96のいずれか1項に記載の抗セラミドscFvを投与するステップを含む方法。
実施形態108.抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片が、対象が透過性放射線へと曝露された直後に投与される、実施形態107に記載の方法。
実施形態109.抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片が、対象が透過性放射線へと曝露された後、24時間以内に投与される、実施形態107に記載の方法。
実施形態110.GvHDを伴う対象におけるアポトーシスを阻害するための方法であって、対象が移植を受ける前に、または対象が移植を受けた後で、GvHDの発症の前に、対象へと、治療有効量の、実施形態1~89のいずれか1項に記載の抗セラミド抗体もしくはその抗原結合性断片、または実施形態94~96のいずれか1項に記載の抗セラミドscFvを投与するステップを含む方法。
実施形態111.移植が、骨髄移植である、実施形態110に記載の方法。
【0154】
実施形態112.重鎖相補性決定領域(CDR)1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)と、軽鎖相補性決定領域(CDR)1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)とを含み、(a)HCDR1が、GYTFTDHTIH(配列番号1)およびGYTFTDHTMH(配列番号2)から選択されるアミノ酸配列を含み;(b)HCDR2が、YNYPRDGSTKYNEKFQG(配列番号3)、YNYPREGSTKYNEKFQG(配列番号4)、YNYPRDVSTKYNEKFQG(配列番号5)、およびYNYPRDGSTKYAEKFQG(配列番号6)から選択されるアミノ酸配列を含み;(c)HCDR3が、GFITTVVPSAY(配列番号7)のアミノ酸配列を含み;(d)LCDR1が、RASKSISKYLA(配列番号8)のアミノ酸配列を含み;(e)LCDR2が、SGSTLQS(配列番号9)のアミノ酸配列を含み;(f)LCDR3が、QQHNEYPWT(配列番号10)のアミノ酸配列を含む、抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態113.HCDR1が、GYTFTDHTIH(配列番号1)を含み、HCDR2が、YNYPRDGSTKYNEKFQG(配列番号3)を含む、実施形態112に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態114.HCDR1が、GYTFTDHTIH(配列番号1)を含み、HCDR2が、YNYPREGSTKYNEKFQG(配列番号4)を含む、実施形態112に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態115.HCDR1が、GYTFTDHTIH(配列番号1)を含み、HCDR2が、YNYPRDVSTKYNEKFQG(配列番号5)を含む、実施形態112に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態116.HCDR1が、GYTFTDHTIH(配列番号1)を含み、HCDR2が、YNYPRDGSTKYAEKFQG(配列番号6)を含む、実施形態112に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態117.HCDR1が、GYTFTDHTMH(配列番号2)を含み、HCDR2が、YNYPRDGSTKYNEKFQG(配列番号3)を含む、実施形態112に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態118.HCDR1が、GYTFTDHTMH(配列番号2)を含み、HCDR2が、YNYPREGSTKYNEKFQG(配列番号4)を含む、実施形態112に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態119.HCDR1が、GYTFTDHTMH(配列番号2)を含み、HCDR2が、YNYPRDVSTKYNEKFQG(配列番号5)を含む、実施形態112に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
実施形態120.HCDR1が、GYTFTDHTMH(配列番号2)を含み、HCDR2が、YNYPRDGSTKYAEKFQG(配列番号6)を含む、実施形態112に記載の抗セラミド抗体またはその抗原結合性断片。
【0155】
参照による組込み
本明細書で引用される、全ての参考文献、論文、刊行物、特許、特許公開、および特許出願は、全ての目的で、参照によりそれらの全体において組み込まれる。しかし、本明細書で引用される、あらゆる参考文献、論文、刊行物、特許、特許公開、および特許出願についての言及は、それらが、有効な先行技術を構成するか、または世界のあらゆる国における、公共の一般的知見を形成することの承認、またはこれについてのあらゆる形態の示唆としては理解されないものとする。
【0156】
【配列表】
【国際調査報告】