(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-14
(54)【発明の名称】微細藻類ベースの卵代替物
(51)【国際特許分類】
A23L 15/00 20160101AFI20230804BHJP
A23J 3/20 20060101ALI20230804BHJP
A23L 29/212 20160101ALI20230804BHJP
A23L 29/238 20160101ALI20230804BHJP
A23L 29/269 20160101ALI20230804BHJP
A23L 29/25 20160101ALI20230804BHJP
A23L 29/256 20160101ALI20230804BHJP
A23L 29/231 20160101ALI20230804BHJP
A23L 29/262 20160101ALI20230804BHJP
A21D 13/80 20170101ALI20230804BHJP
A21D 13/00 20170101ALI20230804BHJP
C12N 1/12 20060101ALN20230804BHJP
【FI】
A23L15/00 Z
A23J3/20
A23L29/212
A23L29/238
A23L29/269
A23L29/25
A23L29/256
A23L29/231
A23L29/262
A21D13/80
A21D13/00
C12N1/12 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570106
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(85)【翻訳文提出日】2022-12-01
(86)【国際出願番号】 FR2021050890
(87)【国際公開番号】W WO2021234293
(87)【国際公開日】2021-11-25
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519414767
【氏名又は名称】アルガマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バール,ポリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】トラオレ,カミーユ
【テーマコード(参考)】
4B025
4B032
4B041
4B042
4B065
【Fターム(参考)】
4B025LB25
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4B042AC05
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4B042AK09
4B042AK10
4B042AK16
4B042AP14
4B065AA83X
4B065CA41
(57)【要約】
本発明は、一実施形態によれば、それを組み込んでいる食料製品の脂肪及び糖含有量を低下させるための、微細藻類ベースの卵代替物に関する。本発明はまた、微細藻類生成物を含む種々の化合物を添加する工程を含む、微細藻類ベースの卵代替物を得るための方法に関する。最後に、本発明はまた、食料製品における卵代替物の使用、卵代替物を食料製品の調製物中に組み込むための方法、及び卵代替物を含む食料製品に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末形態の、微細藻類ベースの卵代替物であって、
-前記代替物の総重量の40%~90%、好ましくは40%~80%、より好ましくは50%~75%の、少なくとも1つの非微細藻類植物性粉及び/又は少なくとも1つの非微細藻類植物性デンプンであって、前記粉及びデンプンが、コメ粉、トウモロコシ粉、コムギ粉、タピオカ粉、レンズマメ粉、キノア粉、エンドウマメ粉、キビ粉、ヒヨコマメ粉、ソバ粉、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、コメデンプン、タピオカデンプンから選択される、非微細藻類植物性粉及び/又は非微細藻類植物性デンプン、
-前記代替物の総重量の8%~30%、好ましくは10%~30%、より好ましくは12%~24%の、脱水アクアファバ、チアタンパク質、コメタンパク質、エンドウマメタンパク質、ソラマメタンパク質、アマタンパク質、リョクトウタンパク質、ヒヨコマメタンパク質、エンドウマメタンパク質、ジャガイモタンパク質、レンズマメタンパク質から選択される、少なくとも1つの非微細藻類植物性タンパク質、
-前記代替物の総重量の1%~15%、好ましくは3%~15%、より好ましくは5%~12%の、微細藻類粉、微細藻類由来のタンパク質、微細藻類由来の脂質、微細藻類由来の抽出物から選択される少なくとも1つの微細藻類由来の生成物、
-前記代替物の総重量の0.2%~10%、好ましくは0.2%~5%の、オートムギ繊維、コムギ繊維、ニンジン繊維、リンゴ繊維、シトラス繊維、レモン繊維、サイリウム繊維から選択される少なくとも1つの非微細藻類植物性繊維、
-前記代替物の総重量の0.1%~2%の、グアーガム、キサンタンガム、ゲランガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、タラガム、ペクチン、アルギネート、寒天、カラギーナン、セルロース及びそれらの誘導体から選択される、少なくとも1つの植物起源の増粘剤、を含むことを特徴とする、微細藻類ベースの卵代替物。
【請求項2】
前記代替物の総重量の0.1%~16%の、少なくとも1つの色素を含むことを特徴とする、先行請求項に記載の微細藻類ベースの卵代替物。
【請求項3】
前記色素が、ターメリック、クルクミン、ベータ-カロテン、トマトパウダー、ニンジンパウダーから選択されることを特徴とする、先行請求項に記載の微細藻類ベースの卵代替物。
【請求項4】
前記代替物の総重量の0.1%~16%の、少なくとも1つの香味料を含むことを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の微細藻類ベースの卵代替物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの微細藻類由来の生成物が、好ましくはChlorella、Auxenochlorella、Dunaliella、Tetraselmis、Haematococcus、Scenedesmusから選択される、Chlorophyte種;eustigmatophyte種、好ましくはNannochloropsis;euglenophyte種、好ましくはEuglena;rhodophyte種、好ましくはPorphyridium;bacillariophyceae種、好ましくはPhaeodactylum及びOdontella;並びにthraustochytriaceae種、好ましくはSchizochytrium由来のものであることを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の微細藻類ベースの卵代替物。
【請求項6】
先行請求項のいずれか一項に記載の微細藻類ベースの卵代替物を得るための方法であって、構成要素を、好ましくは100~3,000rpmで、好ましくは100~1,000rpmで、より好ましくは500rpmで、好ましくは60~350秒間、より好ましくは60~120秒間、更により好ましくは90秒間混合するための少なくとも1つの工程を含む、方法。
【請求項7】
先行請求項に記載の微細藻類ベースの卵代替物を得るための方法であって、
a.100~3,000rpmで、好ましくは100~1,000rpmで、より好ましくは500rpmで撹拌しながら、60~350秒間、好ましくは60~120秒間、より好ましくは90秒間、
-前記少なくとも1つの植物起源の増粘剤、並びに
-任意選択で、前記少なくとも1つの色素及び/又は前記少なくとも1つの香味料、を混合する工程、
b.工程aにおいて得られた混合物に、100~3,000rpmで、好ましくは100~1,000rpmで、より好ましくは500rpmで撹拌しながら、60~350秒間、好ましくは60~120秒間、より好ましくは90秒間、
-前記少なくとも1つの微細藻類由来の生成物、及び
-前記少なくとも1つの非微細藻類植物性繊維、を添加する工程、
c.工程bにおいて得られた混合物に、100~3,000rpmで、好ましくは100~1,000rpmで、より好ましくは500rpmで、60~350秒間、好ましくは60~120秒間、より好ましくは90秒間、
-前記少なくとも1つの非微細藻類植物性粉及び/又は非微細藻類植物性デンプン、並びに
-前記少なくとも1つの非微細藻類植物性タンパク質、を添加する工程、
d.任意選択で、工程cにおいて得られた粉末形態の卵代替物を水と、好ましくは6~9部の水に対して1部の工程cにおいて得られた粉末の比率で、100~5,000rpmで、好ましくは500~2,000rpmで、より好ましくは800rpmで、3~7分間混合する工程、
e.微細藻類ベースの卵代替物を得る工程、を含む、方法。
【請求項8】
食料製品の調製における、好ましくはスポンジケーキ、デザートベース、デザート生地、パティスリー、ヴィエノワズリー、ベーカリー製品、又はクッキーの調製における、請求項1~5のいずれか一項に記載の卵代替物の使用。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか一項に記載の微細藻類ベースの卵代替物を食料製品中に組み込むための方法であって、前記食料製品の総重量の0.5~5%の、本発明による前記微細藻類ベースの卵代替物を、前記食料製品の調製物中に組み込むことを含む、方法。
【請求項10】
前記食料製品の0.5~5重量%の、請求項1~5のいずれか一項に記載の微細藻類ベースの卵代替物を含む、食料製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一実施形態によれば、それを組み込んでいる食料製品の脂肪及び糖含有量を低下させるための、微細藻類ベースの卵代替物に関する。本発明はまた、微細藻類生成物を含む種々の構成要素を添加する工程を含む、微細藻類ベースの卵代替物を得るための方法に関する。最後に、本発明はまた、食料製品における卵代替物の使用、卵代替物を食料製品の調製物中に組み込むための方法、及び卵代替物を含む食料製品に関する。
【背景技術】
【0002】
卵は、食品加工産業における不可欠な生成物である。その汎用性のために、それは種々の食品加工部門に存在するが、その最も重要な用途は、ベーカリー、パティスリー、ヴィエノワズリー及びクッキー分野に留まっている。それは、スポンジケーキ、ペストリーベース、ドライクッキー及びブリオッシュ調製物などの、全ての製品において見出され得る。
【0003】
しかし、主に以下に関して、卵に関する問題は増大している。
-動物福祉:産卵鶏の生活環境、産卵鶏の寿命(卵の数が下がるとすぐの屠殺、この産業のために「役に立たない」雄鶏の屠殺技術に関する討論)など
-環境:大量飼育、輸送、加熱、食料の起源などからの汚染
-栄養:コレステロール、飽和脂肪酸、アレルギーの問題
-公衆衛生:フィプロニル、salmonellaなどを含む卵
-コスト:卵価格の不安定性
【0004】
これらの理由のうちのいくつか又は全てのために、消費者、特に、ヴィーガン、フレキシタリアン及びベジタリアンは、アレルゲンフリーで、飽和脂肪が低く、多様な日用品において卵に取って代わり得る、卵の持続可能な代替を探している。
【0005】
卵「置換」成分は存在し、マッシュバナナ、水に浸したアマ又はチアシード及びアップルソースの使用など、単純な調製物においてしばしば使用されているが、これらのオプションは結合機能を果たすのみであり、卵のより技術的な機能は果たさない。
【0006】
Follow Your Heart製のVeganEggなどの、ヴィーガン卵代替物は、特定の物議をかもす添加物(ピロリン酸四ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)及び/又は特定のアレルゲン(ダイズ若しくはルピナスなど)などの、論争を引き起こす成分を含有し得る。
【0007】
更に、世界中での肥満は1975年から3倍になっている。主な原因は、脂肪及び糖の消費の増加である。
【0008】
クッキー及びケーキを含む、甘味スナック製品の消費は、特に欧州、米国及びメキシコにおいて非常に大きい。この消費は、成人の間で、より若年の人々の間でも、肥満及び過剰体重のエピデミックに寄与している。実際、添加糖摂取量の大部分はこのタイプの製品に由来する(欧州において成人については36%~61%、小児については40%~50%)。これらのスナック製品は、非常にしばしば脂肪が高い。脂肪の過剰消費は、過剰体重及び肥満並びに糖尿病及び心血管疾患などの他のタイプの疾患と相関する。
【0009】
したがって、卵の技術的特性を保持し、そしてまた、一実施形態によれば、当該食料製品の外観及びその官能品質を著しく変化させることなしに、当該代替物が組み込まれている食料製品の脂肪及び糖含有量を低下させることを可能にする卵代替物の必要性が依然として存在する。
【0010】
この目的のために、出願人は、微細藻類由来の生成物に基づき、これらの要件を満たす卵代替物を開発した。この卵代替物は、汎用性があり、使用が容易であり、魅力的な栄養プロファイルを有し、健康的であり、卵の不可欠な機能を果たし、特に、スナック、ペストリー及びベーカリー調製物において使用され得、一実施形態によれば、官能品質を変化させることなしに、これらの調製物における糖及び/又は脂肪のレベルを低下させるために使用され得る。
【発明の概要】
【0011】
この目的のために、本発明の第1の態様によれば、微細藻類ベースの卵代替物がであって、
-当該代替物の総重量の40%~90%、好ましくは40%~80%、より好ましくは50%~75%の、少なくとも1つの非微細藻類植物性粉及び/又は少なくとも1つの非微細藻類植物性デンプン、
-当該代替物の総重量の8%~30%、好ましくは10%~30%、より好ましくは12%~24%の、少なくとも1つの非微細藻類植物性タンパク質、
-当該代替物の総重量の1%~15%、好ましくは3~15%、より好ましくは5%~12%の、少なくとも1つの微細藻類由来の生成物、
-当該代替物の総重量の0.2%~10%、好ましくは0.2%~5%の、少なくとも1つの非微細藻類植物性繊維、
-当該代替物の総重量の0.1%~2%の、少なくとも1つの植物起源の増粘剤、を含むことを特徴とする、微細藻類ベースの卵代替物が提案される。
【0012】
本発明によれば、卵代替物は、全卵の固有の特性、すなわち、その増粘及び結合能力を模倣するための、そして得られた食料製品を柔らかくし、したがって、卵を調製物に添加することを不要にするための混合物を意味すると理解される。
【0013】
当該代替物は、粉末形態であり得るか又は水との液体混合物としてであり得る。
【0014】
好ましくは、本発明によれば、当該卵代替物は、当該代替物の総重量の0.1%~16%の、少なくとも1つの色素を含む。
【0015】
好ましくは、本発明によれば、当該卵代替物は、当該代替物の総重量の0.1%~16%の、少なくとも1つの香味料を含む。
【0016】
一実施形態によれば、香味料は、当該代替物がまた、当該代替物が組み込まれる食料製品中の糖及び脂肪のレベルを低下させることが意図されるときに添加される。
【0017】
本発明によれば、植物性粉は、任意のタイプの穀物、マメ科植物又は更に果物を粉砕することによって得られる微粉末を意味すると理解される。
【0018】
本発明によれば、植物性デンプンは、種々の植物器官、例えば、塊茎、根茎及び穀物から抽出される、可変寸法の顆粒状デンプン性材料を意味すると理解される。
【0019】
好ましくは、本発明によれば、当該少なくとも1つの非微細藻類植物性粉及び/又は非微細藻類植物性デンプンは、コメ粉、トウモロコシ粉、コムギ粉、タピオカ粉、レンズマメ粉、キノア粉、エンドウマメ粉、キビ粉、ヒヨコマメ粉、ソバ粉、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、コメデンプン、タピオカデンプンから選択される。
【0020】
本発明によれば、植物性タンパク質は、植物から抽出されたタンパク質を意味すると理解される。
【0021】
好ましくは、本発明によれば、当該少なくとも1つの非微細藻類植物性タンパク質は、脱水アクアファバ、チアタンパク質、コメタンパク質、エンドウマメタンパク質、ソラマメタンパク質、アマタンパク質、リョクトウタンパク質、ヒヨコマメタンパク質、エンドウマメタンパク質、ジャガイモタンパク質、レンズマメタンパク質から選択される。
【0022】
本発明によれば、微細藻類は、例えば、chlorophytes、rhodophytes、haptophytes、bacillariophytes、eustigmatophytes、euglenophytes、thraustochytriaceae及びdinophytesを含む、核によって特徴付けられる真核微細藻類を意味すると意図され、当該真核微細藻類は、一般的に「微細藻類」と称され、cyanophytesを含む、核を有しない原核微細藻類は、以下で特に「ラン藻類」と称される。
【0023】
好ましくは、本発明によれば、当該少なくとも1つの微細藻類由来の生成物は、好ましくはChlorella、Auxenochlorella、Dunaliella、Tetraselmis、Haematococcus、Scenedesmusから選択される、Chlorophyte種;eustigmatophyte種、好ましくはNannochloropsis;euglenophyte種、好ましくはEuglena;rhodophyte種、好ましくはPorphyridium;bacillariophyceae種、好ましくはPhaeodactylum及びOdontella;並びにthraustochytriaceae種、好ましくはSchizochytrium由来のものである。
【0024】
好ましくは、本発明によれば、ラン藻類は、spirulina(Arthrospira platensis又はmaxima)及びAFA(Aphanizomenon Floes-aquae)から選択される。
【0025】
好ましくは、当該少なくとも1つの微細藻類由来の生成物は、微細藻類粉、微細藻類由来のタンパク質、微細藻類由来の脂質、微細藻類由来の抽出物から選択される。
【0026】
好ましくは、当該少なくとも1つの微細藻類由来の生成物は、好ましくはChlorella、Auxenochlorella、Dunaliella、Tetraselmis、Haematococcus、Scenedesmusから選択される、Chlorophyte種;eustigmatophyte種、好ましくはNannochloropsis;euglenophyte種、好ましくはEuglena;rhodophyte種、好ましくはPorphyridium;bacillariophyceae種、好ましくはPhaeodactylum及びOdontella;並びにthraustochytriaceae種、好ましくはSchizochytrium由来のものである。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、当該少なくとも1つの微細藻類由来の生成物は、Chlorella又はArthrospira由来のものである。
【0028】
本発明によれば、非微細藻類は、言及される構成要素が微細藻類供給源に由来するのではなく、別の植物性供給源に由来することを意味すると理解される。
【0029】
本発明によれば、植物性繊維は、植物中でリグニン又は他の非炭水化物構成物(ポリフェノール、ワックス、サポニン、クチン、フィテート、フィトステロールなど)と会合しているか又は会合していない、主にセルロース、ヘミセルロース、リグニン、及びペクチン、植物起源の(物理的、酵素的又は化学的に)転換された炭水化物ポリマーで構成される、糸状の死細胞の伸長を意味すると理解される。
【0030】
好ましくは、本発明によれば、当該少なくとも1つの非微細藻類植物性繊維は、オートムギ繊維、コムギ繊維、ニンジン繊維、リンゴ繊維、シトラス繊維、レモン繊維、サイリウム繊維から選択される。
【0031】
本発明によれば、増粘剤は、多かれ少なかれ液体の調製物の粘稠性及び粘度を増加させるための構成要素を意味すると理解される。当該増粘剤は、食料に硬い保持を与える。
【0032】
好ましくは、本発明によれば、当該少なくとも1つの植物起源の増粘剤は、グアーガム、キサンタンガム、ゲランガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、タラガム、ペクチン、アルギネート、寒天、カラギーナン、セルロース及びそれらの誘導体から選択される。
【0033】
本発明によれば、色素は、製品に色を与えるための着色特性を有する添加剤又は食材を意味すると理解される。
【0034】
本発明によれば、香味料は、製品に味及び/又は匂いを与えるための食品添加物を意味すると理解される。
【0035】
好ましくは、当該少なくとも1つの色素は、合成起源の色素、天然起源の色素、スパイスから選択される。
【0036】
好ましくは、当該少なくとも1つの香味料は、合成香味料、天然香味料、スパイスから選択される。
【0037】
香味料の例は、バニラ香味料、クリーム香味料、バター香味料である。
【0038】
色素の例は、ターメリック、クルクミン、ベータ-カロテン、トマトパウダー、ニンジンパウダーである。
【0039】
本発明による卵代替物は、ヴィーガン、アレルゲンフリー、コレステロールフリー、グルテンフリーである。一実施形態では、当該卵代替物はまた、脂質、飽和脂肪酸、糖、コレステロール及びナトリウムを低下させるのを助け得る。
【0040】
脂質に関して、本発明による当該代替物は、2%未満の脂質を含み、一方、粉末卵は、42%超の脂質を有する。
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
第2の態様によれば、本発明は、本発明による微細藻類ベースの卵代替物を得るためのプロセスであって、当該構成要素を、好ましくは100~3,000rpmで、より好ましくは100~1,000rpmで、更により好ましくは500rpmで、好ましくは60~350秒間、より好ましくは60~120秒間、更により好ましくは90秒間混合するための少なくとも1つの工程を含む、プロセスに関する。
【0046】
構成要素は、調製物に添加される種々の生成物、特に、少なくとも1つの非微細藻類植物性粉及び/又は少なくとも1つの非微細藻類植物性デンプン、少なくとも1つの非微細藻類植物性タンパク質、少なくとも1つの微細藻類由来の生成物、少なくとも1つの非微細藻類植物性繊維、少なくとも1つの植物起源の増粘剤、少なくとも1つの色素を意味すると理解される。
【0047】
一実施形態によれば、本発明による微細藻類ベースの卵代替物を得るための当該方法は、
a.100~3,000rpmで、好ましくは100~1,000rpmで、より好ましくは500rpmで撹拌しながら、60~350秒間、好ましくは60~120秒間、より好ましくは90秒間、
-少なくとも1つの植物起源の増粘剤、並びに
-任意選択で、少なくとも1つの色素及び/又は少なくとも1つの香味料、を混合する工程、
b.工程aにおいて得られた混合物に、100~3,000rpmで、好ましくは100~1,000rpmで、より好ましくは500rpmで撹拌しながら、60~350秒間、好ましくは60~120秒間、より好ましくは90秒間、
-少なくとも1つの微細藻類由来の生成物、及び
-少なくとも1つの非微細藻類植物性繊維、を添加する工程、
c.工程bにおいて得られた混合物に、100~3,000rpmで、好ましくは100~1,000rpmで、より好ましくは500rpmで、60~350秒間、好ましくは60~120秒間、より好ましくは90秒間、
-少なくとも1つの非微細藻類植物性粉及び/又は非微細藻類植物性デンプン、並びに
-少なくとも1つの非微細藻類植物性タンパク質、を添加する工程、
d.任意選択で、工程cにおいて得られた粉末形態の卵代替物を水と、好ましくは6~9部の水に対して1部の工程cにおいて得られた粉末の比率で、100~5,000rpmで、好ましくは500~2,000rpmで、より好ましくは800rpmで、3~7分間混合する工程、
e.微細藻類ベースの卵代替物を得る工程、を含む。
【0048】
本発明による方法の種々の工程における撹拌は、様々なタイプのミキサー、例えば、移動式タンクミキサー、ブレンダー、スクリューミキサーなどによって行われ得る。
【0049】
本発明による方法において使用される当該構成要素及び工程cにおいて得られる卵代替物は、粉末形態である。
【0050】
任意選択の工程d.は、当該代替物の「液体」バージョンを得ることを可能にする。
【0051】
第3の態様によれば、本発明は、食料製品の調製における、好ましくは、スポンジケーキ、デザートベース、デザート生地、パティスリー、ヴィエノワズリー、ベーカリー製品、又はクッキーの調製における、本発明による卵代替物の使用に関する。
【0052】
第4の態様によれば、本発明は、本発明による微細藻類ベースの卵代替物を食料製品中に組み込むための方法であって、食料製品の総重量の0.5~5%の、本発明による微細藻類ベースの卵代替物を、食料製品の調製物中に組み込むことを含む、方法に関する。
【0053】
本発明によれば、組み込むことは、本発明による代替物の、他の構成要素を含む調製物への添加を意味すると理解される。
【0054】
第5の態様によれば、本発明は、当該食料製品の0.5~5重量%の、本発明による微細藻類ベースの卵代替物を含む、食料製品に関する。
【0055】
一実施形態によれば、本発明による当該微細藻類ベースの卵代替物は、焼成商品(好ましくは、ブリオッシュパン)の調製物に、総調製物の2.1重量%の含有量で添加される。
【0056】
一実施形態によれば、本発明による当該微細藻類ベースの卵代替物は、クッキー調製物に、総調製物の1重量%の含有量で添加される。
【0057】
一実施形態によれば、本発明による当該微細藻類ベースの卵代替物は、カップケーキ調製物に、総調製物の3.4重量%の含有量で添加される。
【0058】
本発明による当該卵代替物は、本発明による方法の工程dにおいて得られるような粉末形態であり得、又は本発明による方法の工程eにおいて得られるような液体形態であり得る。
【0059】
好ましくは、本発明による代替物が組み込まれている食料製品の脂肪含有量は、量が最大50%低下する。
【0060】
好ましくは、本発明による代替物が組み込まれている食料製品の糖含有量は、量が最大15%低下する。
【0061】
最大50%の脂肪含有量の低下及び/又は最大15%の糖含有量の低下を有する製品は、少なくとも1つの香味料を含む本発明による微細藻類ベースの卵代替物を用いて作製される。
【0062】
糖及び脂肪濃度のこれらの低下を達成するために、調製物は、より少ない糖及び脂肪並びにより多くの他の要素、例えば、水又は粉を添加することによって作製され、組み込まれた本発明による卵代替物は、得られた完成品における糖及び脂肪のこの低下を、粘稠性及び官能特性に関して補償する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】卵又は本発明による代替物を含む同じペストリーの2つの調製物(ミルクブレッド及びドーナツ)の比較比色分析を示す。
【
図2】ライト(light)(A1)及び非ライト(non-light)(A2)ブリオッシュについての実施例9の分析についての「手触りの結合力(cohesiveness to the touch)」属性についての参照からの偏差(deviation from reference)を記載する図である。
【
図3】非ライトクッキーについての実施例10の分析についての「手触りの結合力」属性についての参照からの偏差を記載する図である。
【
図4】実施例11に示されるライトブリオッシュ(A1)についての破片硬度結果を記載する図である。
【実施例】
【0064】
実施例1:本発明による微細藻類ベースの卵代替物の調製
微細藻類ベースの卵代替物を、本発明による方法によって調製する。
【0065】
以下を、500rpmで撹拌しながら、90秒間混合する。
-最終製品の0.6重量%の植物性キサンタンガム、並びに
-最終製品の1.2重量%のニンジンパウダーとトマトパウダーとの混合物、及び最終製品の0.1重量%のバニラ香味料。
【0066】
次いで、以下を、上記で得た混合物と、500rpmで撹拌しながら、90秒間混合する。
-最終製品の12重量%の微細藻類(Chlorella)由来の生成物、及び
-最終製品の1.8重量%のレモン繊維。
【0067】
次いで、以下を、上記で得た混合物と、500rpmで撹拌しながら、90秒間混合する。
-最終製品の60.3重量%のコメ粉及びトウモロコシデンプン、並びに
-最終製品の24重量%のチアタンパク質。
【0068】
粉末形態の、微細藻類ベースの卵代替物をこのように得、これは、その用途及び食料製品を調製するために使用される他の生成物に応じて、当該代替物が組み込まれている食料製品の脂肪及び糖含有量を低下させることを可能にする。
【0069】
当該得られた卵代替物は、表1中の組成例に対応する。
【0070】
実施例2:黄色レベルの保存を示す、卵を含むか又は本発明による代替物を含む同じペストリーの2つの調製物(ミルクブレッド及びドーナツ)の比較比色分析。
第1の調製物を卵を用いて作製し、第2のものを本発明による代替物を用いて作製した。データの統計分析を、平均の比較のためにStatpointを用いて行った。
【0071】
分析を、2つの異なるタイプのペストリーに対して行う。
【0072】
【0073】
比色分析は、卵を含む調製物と本発明による卵代替物を含むものとの間での統計学的差異を示さなかった。実際、B指標(CIELAB標準の黄色レベル)の平均の比較の分析は、95%の信頼水準で統計学的差異を示さなかった。
【0074】
実施例3:カップケーキの調製における本発明による代替物の使用。
カップケーキを調製するために、以下の成分を表5に列挙する量で添加する。
【0075】
【0076】
実施例4:50%少ない脂肪を含むカップケーキの調製における本発明による代替物の使用。
低下した脂肪含有量を有するカップケーキを調製するために、以下の成分を表6に列挙する量で添加する。
カップケーキ調製物の組成:
【表6】
【0077】
実施例5:クッキーの調製における本発明による代替物の使用。
クッキーを調製するために、以下の成分を表7に列挙する量で添加する。
クッキー調製物の組成:
【表7】
【0078】
実施例6:15%少ない脂肪及び糖を含むクッキーの調製における本発明による代替物の使用。
低下した脂肪含有量を有するクッキーを調製するために、以下の成分を表8に列挙する量で添加する。
クッキー調製物の組成:
【表8】
【0079】
実施例7:本発明による微細藻類ベースの卵代替物の調製(香味料を含む)
微細藻類ベースの卵代替物を、表1及び2による組成の例に従うことによって、本発明による方法によって調製する。
【0080】
以下を、500rpmで撹拌しながら、90秒間混合する。
-植物起源の増粘剤、並びに
-色素及び香味料。
【0081】
次いで、以下を、上記で得た混合物と、500rpmで撹拌しながら、90秒間混合する。
-微細藻類由来の生成物、及び
-非微細藻類植物性繊維。
【0082】
次いで、以下を、上記で得た混合物と、500rpmで撹拌しながら、90秒間混合する。
-非微細藻類植物性粉及び/又は非微細藻類植物性デンプン、並びに
-非微細藻類植物性タンパク質。
【0083】
粉末形態の、微細藻類ベースの卵代替物をこのように得、これは、その用途及び食料製品を調製するために使用される他の生成物に応じて、卵に取って代わることを可能にし、これは、当該代替物が組み込まれている食料製品の脂肪及び糖含有量を低下させ得る。
【0084】
実施例8:本発明による微細藻類ベースの卵代替物の調製(香味料を含まない)
微細藻類ベースの卵代替物を、表3及び4による組成の例に従うことによって、本発明による方法によって調製する。
【0085】
以下を、500rpmで撹拌しながら、90秒間混合する。
-植物起源の増粘剤、及び
-色素。
【0086】
次いで、以下を、上記で得た混合物と、500rpmで撹拌しながら、90秒間混合する。
-微細藻類由来の生成物、及び
-非微細藻類植物性繊維。
【0087】
次いで、以下を、上記で得た混合物と、500rpmで撹拌しながら、90秒間混合する。
-非微細藻類植物性粉及び/又は非微細藻類植物性デンプン、並びに
-非微細藻類植物性タンパク質。
【0088】
粉末形態の、微細藻類ベースの卵代替物をこのように得、これは、その用途及び食料製品を調製するために使用される他の生成物に応じて、卵に取って代わることを可能にする。
【0089】
実施例9:卵から作製したブリオッシュと、本発明に従って調製した卵代替物から又は競合卵代替物から作製したブリオッシュ及びクッキーとの間の手触りの結合力の知覚における差異の評価。
本発明による方法を使用して、実施例8によるレシピのための卵代替物を製造する。
【0090】
本発明に従って調製した卵代替物の、2つの穀物マトリクス(ブリオッシュ及びクッキー)内で繋ぎとして作用する能力を試験し、競合卵代替物の能力と比較する。
【0091】
卵及び各卵代替物の12.05%(w/v)溶液を、20℃の水中で調製し、1,000rpmで3分間混合する。この試験において試験したサンプルを表9に示す。
【表9】
【0092】
試験のために選択した使用した穀物製品は、伝統的なレシピを有し、したがってライトバージョンではない、ブリオッシュ及びクッキーである。
【0093】
ブリオッシュマトリクスを作製するために使用した処方、成分の組み込みの順序及び混合相パラメータ(速度、持続時間)を表10に示す。
【0094】
処方を、ブリオッシュ用のフックツールを備えたプラネタリーミキサー(例えば、Kitchen Aid,USAからの5KSM150モデル)を用いて作製する。
【0095】
1.3kgのバッチをブリオッシュのために作製する。
【表10】
【0096】
生地が均一になったときに、覆い、30分間30℃でそれをふくれさせる。
【0097】
生地を脱気する。
【0098】
生地を型に入れる。
【0099】
植物ミルクを生地の上部に塗る。
【0100】
覆い、30分間35℃でそれをふくれさせる。
【0101】
180℃で30分間焼く。
【0102】
製品を90分間20℃で冷ます。
【0103】
一旦冷めると、ブリオッシュをファスナー付き冷凍バッグに入れ、最大6時間以内に行う、感覚測定を実施するまで貯蔵する。
【0104】
クッキーマトリクスを作製するために使用した処方、成分の組み込みの順序及び混合相パラメータ(速度、持続時間)を表11に示す。
【0105】
処方を、クッキー用のフラットビーターツールを備えたプラネタリーミキサー(例えば、Kitchen Aid,USA製のモデル5KSM150)を使用して作製する。
【0106】
1kgのバッチをクッキーのために作製する。
【表11】
【0107】
ベーキングトレイ上に小さなボールを形成し、少し平らにする。
【0108】
25分間150℃で焼く。
【0109】
60分間20℃で冷ます。
【0110】
一旦冷めると、クッキーをファスナー付き冷凍バッグに入れ、最大6時間以内に行う、感覚測定を実施するまで貯蔵する。
【0111】
毎回表9に示す5つの卵又は卵代替物溶液のうちの1つを使用して、穀物製品の各タイプの5つのバッチを作製する。
【0112】
ブリオッシュ及びクッキーにおいて繋ぎとして作用する卵代替物の能力を、手触りの結合力の感覚測定によって評価する。
【0113】
感覚測定を、「参照からの偏差」試験(NF ISO 13299:2016規格)の形態で、10人の消費者のナイーブパネルを使用して行う。
【0114】
「参照からの偏差」試験は、各々の評価される製品の定義された属性、この場合は「手触りの結合力」の、規定された参照、この場合は全卵パウダーから作製した製品からの偏差を定量化することで構成される。
【0115】
パネリストは、0~10の不連続線形スケール上で、手触りの結合力における知覚される差異を評価し、ここで、0は、卵代替物から作製した製品と参照(これは、卵から作製した製品に対応する)との間での「手触りの結合力」における完全な類似に対応し、10は、これらの製品の間での完全な相違に対応する。
【0116】
パネリストは、以下の定義及びプロトコルに従って「手触りの結合力」を評価するよう求められる。
-ブリオッシュについての定義:親指と指との間又は2つの手の間で擦ったときに、破片が保持する/容易に粒子に崩壊しない程度。
-ブリオッシュのための分析プロトコル:スライスを半分に裂き、スライスの一方の半分に対して、親指と指との間又は2つの手の間でそれを擦ることによって破片の保持を評価する。破片が形成されない場合、製品は結合力がある。
-クッキーについての定義:裂いたときにクッキーが保持する/容易に粒子に崩壊しない程度。
-クッキーのための分析プロトコル:クッキーを半分に裂き、裂け目からの破片の量を観察することによって、クッキーがどれだけ良好に保持するかを評価する。破片が形成されない場合、製品は結合力がある。
【0117】
パネリストは、参照製品、すなわち、全卵パウダーから作製したブリオッシュ又はクッキーを評価することによって開始するよう求められる。次いで、各パネリストは、卵代替物から作製した4つの製品の各々を、ランダムな順序で評価する。
【0118】
パネリストに、サンプルが何に対応し、サンプルを作製するための方法がどのように異なるかを知らせないように、パネリストによって試験される全てのサンプルを、3桁のコードを用いて匿名化する。
【0119】
一旦試験結果がパネリストによって返却されると、各パネリストによる線形スケール上の参照(スケールの0マーカー)と各製品についての配置との間の距離を測定し、統計処理のためにコンピュータに記録する。
【0120】
「手触りの結合力」に関する参照からの知覚される差異に対する卵代替物のタイプ及びパネリストの変化の影響を分析するために、「手触りの結合力」についての参照からの偏差の値のセットにわたる分散の分析を行う。
【0121】
本実施例において提示する非ライトブリオッシュについての「手触りの結合力」属性についての参照からの偏差の結果を、
図2において「A2」として示す。これらの結果を、試験において使用した不連続線形スケールに従った0~10の範囲のスケール上で、全てのパネリストについての平均値として表す。
【0122】
図2において、参照(これは、全卵パウダーから作製した非ライトブリオッシュの手触りの結合力に対応する)を、0の値を有するリングによって表す。
【0123】
データセット全体にわたって、分散の分析は、5%の信頼水準で、パネリストの変化に関わりなく、「手触りの結合力」の知覚に対する卵代替物のタイプの有意な効果を示した。
【0124】
これらの結果によれば、実施例8に従って調製した卵代替物から作製したブリオッシュ(A2)は、1.9の平均の参照からの偏差のスコアを得、これは、実施例7に従って調製した卵代替物から作製したブリオッシュ(A1)に次ぐ参照に2番目に近いスコアに対応する。
【0125】
したがって、実施例8による方法条件は、競合卵代替物を用いて作製したブリオッシュよりも全卵参照に近いとパネリストによって知覚される「手触りの結合力」を有する非ライトブリオッシュを得ることを可能にする。
【0126】
この結果は、競合卵代替物と比較して、非ライトブリオッシュマトリクス内で繋ぎとして作用する、本発明に従って調製した代替物の能力の向上を反映する。
【0127】
本実施例において提示する非ライトクッキーについての「手触りの結合力」属性についての参照からの偏差の結果を
図3に示す。これらの結果を、試験において使用した不連続線形スケールに従った0~10の範囲のスケール上で、全てのパネリストについての平均値として表す。
【0128】
図3において、参照(これは、全卵パウダーから作製した非ライトクッキーの手触りの結合力に対応する)を、0の値を有するリングによって表す。
【0129】
データセット全体にわたって、分散の分析は、5%の信頼水準で、パネリストの変化に関わりなく、「手触りの結合力」の知覚に対する卵代替物のタイプの有意な効果を示した。
【0130】
これらの結果によれば、実施例8に従って調製した卵代替物から作製したクッキー(A2)は、0.9の平均の参照からの偏差のスコアを得、これは参照に最も近いスコアに対応する。
【0131】
したがって、実施例8による方法条件は、競合卵代替物を用いて作製したブリオッシュよりも全卵参照に近いとパネリストによって知覚される「手触りの結合力」を有する非ライトクッキーを得ることを可能にする。
【0132】
この結果は、競合卵代替物と比較して、非ライトクッキーマトリクス内で繋ぎとして作用する、本発明に従って調製した代替物の能力の向上を反映する。
【0133】
実施例10:卵から作製した低脂肪ブリオッシュと、本発明に従って調製した卵代替物から又は競合卵代替物から作製した低脂肪ブリオッシュとの間の手触りの結合力の知覚における差異の評価。
本発明による方法を使用して、実施例7によるライトレシピのための卵代替物を製造する。
【0134】
本発明に従って調製した卵代替物の、低脂肪ブリオッシュマトリクス内で繋ぎとして作用する能力を試験し、競合卵代替物の能力と比較する。
【0135】
卵及び各卵代替物の12.05%(w/v)溶液を、20℃の水中で調製し、1,000rpmで3分間混合する。この試験において試験したサンプルを表9に示す。
【0136】
試験のために選択した使用した穀物製品は、30%の脂肪低下を有するブリオッシュである。
【0137】
ブリオッシュマトリクスを作製するために使用した処方、成分の組み込みの順序及び混合相パラメータ(速度、持続時間)を表12に示す。
【0138】
処方を、ブリオッシュ用のフックツールを備えたプラネタリーミキサー(例えば、Kitchen Aid,USA製の5KSM150モデル)を用いて作製する。
【0139】
1.3kgのバッチをブリオッシュのために作製する。
【表12】
【0140】
生地が均一になったときに、覆い、30分間30℃でそれをふくれさせる。
【0141】
生地を脱気する。
【0142】
生地を型に入れる。
【0143】
植物ミルクを生地の上部に塗る。
【0144】
覆い、30分間35℃でそれをふくれさせる。
【0145】
180℃で30分間焼く。
【0146】
90分間20℃で冷ます。
【0147】
一旦冷めると、ブリオッシュをファスナー付き冷凍バッグに入れ、最大6時間以内に行う、感覚測定を実施するまで貯蔵する。
【0148】
毎回表9に示す5つの卵又は卵代替物溶液のうちの1つを使用して、穀物製品の各タイプの5つのバッチを作製する。
【0149】
ブリオッシュにおいて繋ぎとして作用する卵代替物の能力を、手触りの結合力の感覚測定によって評価する。
【0150】
感覚測定を、「参照からの偏差」試験(NF ISO 13299:2016規格)の形態で、10人の消費者のナイーブパネルを使用して行う。
【0151】
「参照からの偏差」試験は、各々の評価される製品の定義された属性、この場合は「手触りの結合力」の、規定された参照、この場合は全卵パウダーから作製した製品からの偏差を定量化することで構成される。
【0152】
パネリストは、0~10の不連続線形スケール上で、手触りの結合力における知覚される差異を評価し、ここで、0は、卵代替物から作製した製品と参照(これは、卵から作製した製品に対応する)との間での「手触りの結合力」における完全な類似に対応し、10は、これらの製品の間での完全な相違に対応する。
【0153】
パネリストは、以下の定義及びプロトコルに従って「手触りの結合力」を評価するよう求められる。
-定義:親指と指との間又は2つの手の間で擦ったときに、破片が保持する/容易に粒子に崩壊しない程度。
-分析プロトコル:スライスを半分に裂き、スライスの一方の半分に対して、親指と指との間又は2つの手の間でそれを擦ることによって破片の保持を評価する。破片が形成されない場合、製品は結合力がある。
【0154】
パネリストは、参照製品、すなわち、全卵パウダーから作製したブリオッシュを評価することによって開始するよう求められる。次いで、各パネリストは、卵代替物から作製した4つの製品の各々を、ランダムな順序で評価する。
【0155】
パネリストに、サンプルが何に対応し、サンプルを作製するための方法がどのように異なるかを知らせないように、パネリストによって試験される全てのサンプルを、3桁のコードを用いて匿名化する。
【0156】
一旦試験結果がパネリストによって返却されると、各パネリストによる線形スケール上の参照(スケールの0マーカー)と各製品についての配置との間の距離を測定し、統計処理のためにコンピュータに記録する。
【0157】
「手触りの結合力」に関する参照からの知覚される差異に対する卵代替物のタイプ及びパネリストの変化の影響を分析するために、「手触りの結合力」についての参照からの偏差の値のセットにわたる分散の分析を行う。
【0158】
本実施例において提示するライトブリオッシュについての「手触りの結合力」属性についての参照からの偏差の結果を、
図2において「A1」として示す。これらの結果を、試験において使用した不連続線形スケールに従った0~10の範囲のスケール上で、全てのパネリストについての平均値として表す。
【0159】
図2において、参照(これは、全卵パウダーから作製したライトブリオッシュの手触りの結合力に対応する)を、0の値を有するリングによって表す。
【0160】
データセット全体にわたって、分散の分析は、5%の信頼水準で、パネリストの変化に関わりなく、「手触りの結合力」の知覚に対する卵代替物のタイプの有意な効果を示した。
【0161】
これらの結果によれば、実施例7に従って調製した卵代替物から作製したブリオッシュ(A1)は、1.0の平均の参照からの偏差のスコアを得、これは参照に最も近いスコアに対応する。
【0162】
したがって、実施例7による方法条件は、競合卵代替物を用いて作製したブリオッシュよりも全卵参照に近いとパネリストによって知覚される「手触りの結合力」を有するライトブリオッシュを得ることを可能にする。
【0163】
この結果は、競合卵代替物と比較して、ライトブリオッシュマトリクスにおいて繋ぎとして作用する、本発明に従って調製した代替物の能力の向上を反映する。
【0164】
実施例11:卵から作製した低脂肪ブリオッシュと、本発明に従って調製した卵代替物から又は競合卵代替物から作製した低脂肪ブリオッシュとの間の柔らかさの機器ベースの評価の比較。
本発明による方法を使用して、実施例7によるライトレシピのための卵代替物を製造する。
【0165】
本発明に従って調製した卵代替物の、30%の脂肪低下を有するブリオッシュマトリクスにおいて柔らかさを提供する能力を試験し、競合卵代替物の能力と比較する。
【0166】
ブリオッシュ及びクッキーにおいて柔らかさを提供する卵代替物の能力を、ブリオッシュの内部破片の硬度の機器ベースの測定によって評価する。
【0167】
機器ベースの測定を、50kgロードセルを備えたTAHD+テクスチュロメーター(Stable Micro Systems,Surrey,UK)を用いて行う。
【0168】
ブリオッシュを開梱した直後に、標準化された寸法(6cmx3cmx3cm)を有する内部破片のブロックを裁断システムを使用して切り出す。
【0169】
ブリオッシュ当たり2つのブロックをサンプリングする。これは、2つの製品内反復に対応する。
【0170】
製造バッチ当たり2つのブリオッシュを試験のために使用する。これは、2つのバッチ内反復に対応する。
【0171】
使用した試験は、直径10cmのアルミニウムトレイを用いた圧縮試験である。プレテスト速度は1mm/秒であり、テスト速度は2mm/秒であり、ポストテスト速度は10mm/秒である。力閾値は0.5Nである。目標圧縮比は40%である。
【0172】
力(N)対距離(mm)で表される得られた値の曲線を処理して、原点における勾配(N/mm)を抽出する。この値を処理して、破片のヤング率又は弾性係数(kPa)を得る。
【0173】
ヤング率は、ブリオッシュの破片の剛性、すなわちその柔らかさを表す。
【0174】
破片の剛性に対する卵代替物のタイプ及びバッチ内反復性の影響を分析するために、全てのヤング率値にわたる分散の分析を行う。
【0175】
本実施例において提示するライトブリオッシュについての破片硬度結果を、
図4において「A1」として示す。
【0176】
データセット全体にわたって、分散の分析は、5%の信頼水準で、バッチ内反復性に関わりなく、「手触りの結合力」の知覚に対する卵代替物のタイプの有意な効果を示した。
【0177】
これらの結果によれば、実施例7に従って調製した卵代替物から作製したブリオッシュ(A1)は、全卵参照のものに最も近い破片硬度を有する。
【0178】
この点で、実施例7に従って調製した卵代替物から作製したブリオッシュ(A1)は、その全てが全卵参照のものよりも劣る破片硬度を有する、競合「My Ey」、「Vegan Egg」及び「Orgran」と異なる。
【0179】
したがって、実施例7による方法条件は、競合卵代替物を用いて作製したブリオッシュよりも全卵参照に近い機器で測定された柔らかさを有するライトブリオッシュを得ることを可能にする。
【0180】
この結果は、競合卵代替物と比較して、ライトブリオッシュマトリクスにおいて柔らかさを提供する、本発明に従って調製した代替物の能力の向上を反映する。
【国際調査報告】