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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-14
(54)【発明の名称】測定方法および測定デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20230804BHJP
【FI】
A61B5/11 200
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574158
(86)(22)【出願日】2021-06-11
(85)【翻訳文提出日】2023-01-23
(86)【国際出願番号】 GB2021051468
(87)【国際公開番号】W WO2021250431
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】16/900,618
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520233043
【氏名又は名称】コネクサ ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】ケリー ピーター ジョン
(72)【発明者】
【氏名】エリス ロバート デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ファン チェンルイ
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA12
4C038VB35
4C038VC09
(57)【要約】
【解決手段】
移動中に加速度計を携帯するユーザの運動情報を決定する装置と方法とが開示される。装置は、加速度計の基準系に対して定義される加速度データを加速度計から受信する。ユーザの進行方向とユーザの進行方向を横断する横方向とを含むユーザの基準系である加速度データを決定するために、変換が決定されて、加速度データまたは加速度データから得られるデータに適用される。ユーザの歩行または走行時のユーザの歩幅周期またはステップ周期のいずれかに対応する期間を決定するために、加速度データまたは加速度データから得られるデータが分析される。決定された期間がユーザの歩幅周期またはユーザのステップ周期のいずれに対応するかを明確にするために、横方向の加速度についての情報が使用される。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動中に加速度計を携帯するユーザの運動情報を決定する装置であって、
1つ以上のプロセッサとメモリとを有してなり、
前記プロセッサと前記メモリとは、
前記ユーザの運動に起因する前記加速度計が受ける加速度であって、前記加速度計に関連する基準系に対して定義される前記加速度を定義する加速度データを前記加速度計から受信して、
前記基準系を前記ユーザの進行方向と前記ユーザの前記進行方向を横断する横方向とを含む前記ユーザの前記基準系に変換する変換を前記加速度データまたは前記加速度データから得られるデータに適用して、
前記ユーザの歩幅周期またはステップ周期のいずれかに対応する期間を決定するために、前記加速度データまたは前記加速度データから得られる前記データを分析して、
決定された前記期間が前記ユーザの前記歩幅周期または前記ユーザの前記ステップ周期のいずれに対応するかを明確にするために、前記横方向の前記加速度についての情報を使用する、
ように構成される、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記プロセッサと前記メモリとは、決定された前記期間が前記ユーザの前記歩幅周期または前記ユーザの前記ステップ周期のいずれに対応するかを明確にするために、前記横方向と前記進行方向との前記加速度についての前記情報を使用するように構成される、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記プロセッサと前記メモリとは、前記ユーザの前記歩幅周期または前記ステップ周期のいずれかに対応する前記期間を決定するために、第1自己相関関数を決定するように構成される、
請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記プロセッサと前記メモリとは、前記ユーザの前記歩幅周期または前記ユーザの前記ステップ周期に対応する自己相関遅延で前記第1自己相関関数のピークを特定するために前記第1自己相関関数を処理するように構成される、
請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記プロセッサと前記メモリとは、ゼロ遅延ピーク後の前記第1自己相関関数における最高ピークを特定して、特定された前記最高ピークに関連する前記自己相関遅延として前記ユーザの前記歩幅周期または前記ユーザの前記ステップ周期に対応する前記期間を決定するために、前記第1自己相関関数を処理するように構成される、
請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記プロセッサと前記メモリとは、前記横方向の前記加速度の第2自己相関関数を決定するように構成されて、前記第2自己相関関数が前記ステップ周期または前記歩幅周期に対応する前記自己相関遅延の付近に前記ピークを含むか否かに基づいて、前記期間が前記歩幅周期または前記ステップ周期のいずれに対応するかを明確にするように構成される、
請求項4または5記載の装置。
【請求項7】
前記プロセッサと前記メモリとは、前記横方向の前記加速度の前記第2自己相関関数と、前記進行方向の前記加速度の第3自己相関関数と、を決定するように構成されて、前記第2自己相関関数が前記ステップ周期または前記歩幅周期に対応する前記自己相関遅延の付近に前記ピークを含むか否かに基づいて、前記期間が前記歩幅周期または前記ステップ周期のいずれに対応するかを明確にするように構成される、
請求項4、5、または6記載の装置。
【請求項8】
前記プロセッサと前記メモリとは、前記ユーザが歩行もしくは走行しているか、または歩行もしくは走行していないかを確認するために、前記第1自己相関関数と、前記第2自己相関関数と、前記第3自己相関関数と、を使用するように構成される、
請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記第1自己相関関数は、前記加速度データに対してまたは前記加速度データから得られる前記データに対して計算される、
請求項3乃至8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記プロセッサと前記メモリとは、前記加速度データまたは前記加速度データから得られる前記データの第1軸を垂直軸と位置合わせする第1変換を決定して、適用するように構成される、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記プロセッサと前記メモリとは、前記加速度データまたは前記加速度データから得られる前記データの第2軸を前記進行方向と位置合わせして、前記加速度データまたは前記加速度データから得られる前記データの第3軸を前記横方向と位置合わせする第2変換を決定して、適用するように構成される、
請求項10記載の装置。
【請求項12】
一致する前記プロセッサと前記メモリとは、
前記横方向の前記加速度についての前記情報が前記進行方向の前記加速度についての前記情報に一致する場合、決定された前記期間が前記ユーザの前記歩幅周期に対応することを決定して、
前記横方向の前記加速度についての前記情報が前記進行方向の前記加速度についての前記情報に一致しない場合、決定された前記期間が前記ユーザの前記ステップ周期に対応することを決定するように構成される、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記ユーザの前記基準系は、
前記進行方向と前記横方向との両方を横断する垂直方向、
を含む、
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記プロセッサと前記メモリとは、前記加速度データ内で歩行または走行の期間を特定するために前記加速度データを処理するように構成されて、特定された歩行または走行の前記期間内からの前記加速度データを使用して、前記ユーザの前記歩幅周期または前記ステップ周期のいずれかに対応する前記期間を決定するように構成される、
請求項1乃至13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記進行方向と前記横方向とは、受信された前記加速度データ中に最大可変性と最小可変性とを有する水平面内の方向として特定される、
請求項1乃至14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記プロセッサと前記メモリとは、歩行または走行に対応する運動に対する前記ユーザのステップカウントを決定するために、明確にされた前記ステップ周期または前記歩幅周期を使用するようにさらに構成される、
請求項1乃至15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
移動中に加速度計を携帯するユーザの運動情報を決定する装置であって、
1つ以上のプロセッサとメモリとを有してなり、
前記プロセッサと前記メモリとは、
前記ユーザの運動に起因する前記加速度計が受ける加速度であって、前記加速度計に関連する基準系に対して定義される前記加速度を定義する加速度データを前記加速度計から受信して、
前記基準系を前記ユーザの進行方向と前記ユーザの前記進行方向を横断する横方向とを含む前記ユーザの前記基準系に変換する変換を前記加速度データまたは前記加速度データから得られるデータに適用して、
前記加速度データまたは前記加速度データから得られる前記データの第1自己相関関数を決定して、
前記進行方向の前記加速度の第2自己相関関数を決定して、
前記横方向の前記加速度の第3自己相関関数を決定して、
前記第1自己相関関数と、前記第2自己相関関数と、前記第3自己相関関数と、を使用して、前記ユーザが歩行しているか、歩行していないか、走行しているか、または走行していないかを決定する、
ように構成される、
ことを特徴とする装置。
【請求項18】
前記装置は、前記ユーザにより携帯されるユーザデバイスの一部を構成して、
前記加速度計は、前記ユーザデバイスの一部を構成するか、または前記ユーザデバイスと通信するように構成される、
請求項1乃至17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
移動中に加速度計を携帯するユーザの運動情報を決定する方法であって、
前記ユーザの運動に起因する前記加速度計が受ける加速度であって、前記加速度計に関連する基準系に対して定義される前記加速度を定義する加速度データを前記加速度計から受信する工程と、
前記基準系を前記ユーザの進行方向と前記ユーザの前記進行方向を横断する横方向とを含む前記ユーザの前記基準系に変換する変換を前記加速度データまたは前記加速度データから得られるデータに適用する工程と、
前記ユーザの歩行または走行時の前記ユーザの歩幅周期またはステップ周期のいずれかに対応する期間を決定するために、前記加速度データまたは前記加速度データから得られる前記データを分析する工程と、
決定された前記期間が前記ユーザの前記歩幅周期または前記ユーザの前記ステップ周期のいずれに対応するかを明確にするために前記横方向の前記加速度についての情報を使用する工程と、
を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
臨床試験システムの一部を構成する装置であって、
複数の前記ユーザデバイスと通信する中央コンピュータ、を有してなり、
前記ユーザデバイスのそれぞれは、前記ユーザデバイスに関連付けられた前記ユーザの運動に対する前記加速度データを収集するように構成されて、
前記中央コンピュータまたは少なくとも1つの前記ユーザデバイスは、
前記加速度データを分析する請求項1記載の装置、
を備える、
請求項1乃至18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
移動中に加速度計を携帯するユーザの運動情報を決定する装置であって、
1つ以上のプロセッサとメモリとを有してなり、
前記プロセッサと前記メモリとは、
前記ユーザの運動に起因する前記加速度計が受ける加速度を定義する加速度データを前記加速度計から受信して、
前記ユーザのステップ周期または歩幅周期を決定するために前記加速度データまたは前記加速度データから得られるデータを処理して、
決定された前記ステップ周期と前記歩幅周期とでの前記加速度データまたは前記加速度データから得られる前記データの自己相関関数または周波数関数のピーク値を計算して、
前記加速度計が前記ユーザの身体の中心部に前記ユーザにより携帯されるか、または前記加速度計が前記ユーザの前記身体の周辺部に前記ユーザにより携帯されるかを決定するために、前記ステップ周期で計算された前記ピーク値を前記歩幅周期で計算された前記ピーク値と比較する、
ように構成される、
ことを特徴とする装置。
【請求項22】
1つ以上の前記プロセッサと前記メモリとは、前記ステップ周期で計算された前記ピーク値が前記歩幅周期で計算された前記ピーク値より大きい場合、前記加速度計が前記ユーザの前記身体の前記中心部に携帯されることを決定するように構成される、
請求項21記載の装置。
【請求項23】
1つ以上の前記プロセッサと前記メモリとは、前記歩幅周期で計算された前記ピーク値が前記ステップ周期で計算された前記ピーク値より大きい場合、前記加速度計が前記ユーザの前記身体の前記周辺部に携帯されることを決定するように構成される、
請求項21または22記載の装置。
【請求項24】
移動中に加速度計を携帯するユーザの運動情報を決定する方法であって、
前記ユーザの運動に起因する前記加速度計が受ける加速度を定義する加速度データを前記加速度計から受信して、
前記ユーザのステップ周期または歩幅周期を決定するために、前記加速度データまたは前記加速度データから得られるデータを処理して、
決定された前記ステップ周期と前記歩幅周期とでの前記加速度データまたは前記加速度データから得られる前記データの自己相関関数または周波数関数のピーク値を計算して、
前記加速度計が前記ユーザの身体の中心部に前記ユーザにより携帯されるか、または前記加速度計が前記ユーザの前記身体の周辺部に前記ユーザにより携帯されるかを決定するために、前記ステップ周期で計算された前記ピーク値を前記歩幅周期で計算された前記ピーク値と比較する、
ために1つ以上のプロセッサとメモリとを使用する工程、
を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項25】
移動中に加速度計を携帯するユーザの運動情報を決定する装置であって、
1つ以上のプロセッサとメモリとを有してなり、
前記プロセッサと前記メモリとは、
前記ユーザの運動に起因する前記加速度計が受ける加速度であって、前記加速度計に関連する基準系に対して定義される前記加速度を定義する加速度データを前記加速度計から受信して、
前記基準系を、垂直方向と、前記ユーザの進行方向と、前記ユーザの前記進行方向を横断する横方向と、を含む前記ユーザの前記基準系に変換する変換を前記加速度データまたは前記加速度データから得られるデータに適用して、
前記横方向の前記加速度データの自己相関関数または周波数関数の最大ピークに対応する期間を決定して、
前記垂直方向の前記加速度データまたは前記加速度の大きさデータの前記自己相関関数または前記周波数関数の前記最大ピークに対応する前記期間を決定して、
決定された前記期間を使用して、前記加速度計が前記ユーザの身体の中心部に前記ユーザにより携帯されるか、または前記加速度計が前記ユーザの前記身体の周辺部に前記ユーザにより携帯されるかを決定する、
ように構成される、
ことを特徴とする装置。
【請求項26】
1つ以上の前記プロセッサと前記メモリとは、前記横方向の前記加速度データの前記自己相関関数または前記周波数関数の前記最大ピークに対応する前記期間が前記垂直方向の前記加速度データまたは前記加速度の前記大きさデータの前記自己相関関数または前記周波数関数の前記最大ピークに対応する前記期間の約2倍になる場合、前記加速度計が前記ユーザの前記身体の前記中心部に携帯されることを決定するように構成される、
請求項25記載の装置。
【請求項27】
1つ以上の前記プロセッサと前記メモリとは、前記横方向の前記加速度データの前記自己相関関数または前記周波数関数の前記最大ピークに対応する前記期間が前記垂直方向の前記加速度データまたは前記加速度の前記大きさデータの前記自己相関関数または前記周波数関数の前記最大ピークに対応する前記期間とおおよそ同じになる場合、前記加速度計が前記ユーザの前記身体の前記周辺部に携帯されることを決定するように構成される、
請求項25または26記載の装置。
【請求項28】
移動中に加速度計を携帯するユーザの運動情報を決定する方法であって、
前記ユーザの運動に起因する前記加速度計が受ける加速度であって、前記加速度計に関連する基準系に対して定義される加速度を定義する加速度データを前記加速度計から受信して、
前記基準系を、垂直方向と、前記ユーザの進行方向と、前記ユーザの前記進行方向を横断する横方向と、を含む前記ユーザの前記基準系に変換する変換を前記加速度データまたは前記加速度データから得られるデータに適用して、
前記横方向の前記加速度データの自己相関関数または周波数関数の最大ピークに対応する期間を決定して、
前記垂直方向の前記加速度データまたは前記加速度の大きさデータの前記自己相関関数または前記周波数関数の前記最大ピークに対応する期間を決定して、
決定された前記期間を使用して、前記加速度計が前記ユーザの身体の中心部に前記ユーザにより携帯されるか、または前記加速度計が前記ユーザの前記身体の周辺部に前記ユーザにより携帯されるかを決定する、
ために1つ以上のプロセッサとメモリとを使用する工程、
を含む、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの運動の測定分野に関する。特に、本発明は、ユーザのステップ周期と歩幅周期とを決定するために、ユーザの運動を測定および/または分析する方法とデバイスとに関するが、これらに限定されない。
【背景技術】
【0002】
活動量計または歩数計などのデバイスは、ユーザの運動を測定するために使用される。これらのデバイスはユーザがいつ歩行しているかを決定するために使用され得て、これにより、ユーザのステップの数、すなわち、ステップカウントが決定され得る。
【0003】
現在のデバイスは、一般にレジャー市場向けであり、精度よりも再現性が重視される。これらのデバイスは、ユーザの歩数をモニタリングするように設計された専用デバイスでもよく、または携帯電話やスマートウォッチなどのユーザデバイス上で作動するソフトウェアアプリケーションの形態を取ってもよい。これらのデバイスを使用したことがある人なら分かるように、デバイスが異なれば、歩いた距離が同じでもステップカウントが大きく異なることがよくある。
【0004】
既存の方法とデバイスとは、ユーザの歩行時にユーザデバイスに搭載された加速度計により生成されたデータの大きさを分析する。具体的には、既存の方法とデバイスとは、通常、ある期間以上の経過と共にこの大きさデータの自己相関を計算するか、または踵接地に対応する大きさデータにおけるスパイク波形をおおまかに検出して、その後カウントされるユーザのステップに対応する周期運動を求める。しかしながら、これらの分析は、ステップ周期(地面を蹴る第1踵と地面を蹴る第2踵との間の時間間隔)の約2倍になるはずであるユーザの歩幅周期(第1踵が地面を蹴ってからその第1踵が次に地面を蹴るときまでの期間)などの他の周期運動も捕捉する。通常、歩行時のユーザのステップ周期が約0.8秒未満であるとき、既存の技術は、ステップ周期と歩幅周期とを区別することを試みるために、通常、測定された周期をこの閾値と比較する。しかしながら、本発明者らは、実施される計算において、この閾値処理を含む既存の方法がエラーを導くことを理解している。
【0005】
ユーザの運動をより正確に決定できるデバイスと方法とが必要とされる。このようなデバイスと方法とはもちろんレジャー市場で使用されて、そこでユーザはより正確な情報を理解するだろうが、この種の分析の新しい市場を開くことにも役立ち得る。例えば、アスリートは、自身が技術を向上して、競合者より有利になることを可能にするために、自身の運動を正確に分析できるデバイスと方法とを常に探している。ユーザの運動を追跡して、正確にモニタリング可能なデバイスは、医療分野で遠隔診断目的または臨床研究に関連し得るデータの収集のいずれかのためにも使用され得る。例えば、運動情報は他のセンサとの相関や時間特定の測定に必要になり得て、このデータが存在しないことにより、治療効果の決定に悪影響が及ぼされ得る。医療用途では、治療の決定および/または薬の試験結果に影響を与えて、それにより健康に重大な影響を及ぼし得るため、精度に対する要件は、特に重要である。
【0006】
中枢神経系障害などの症状によっては、非定型の歩行スタイルを有する対象者にも使用され得るため、一般的な(すなわち、健常)集団に最適化されたデバイスとアルゴリズムとは不適当になり得る。
【0007】
対象者によっては、特定の位置(例えば、足首)にデバイスまたは特定のデバイス(例えば、ウォッチ)を装着できないか、または気が進まないことがあるため、デバイスとアルゴリズムとは、理想的には装着位置に関して依存せず、これらの問題に対応するように各種ハードウェアデバイスに対して有効でなくてはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の態様は独立請求項に記載されて、好ましい特徴は従属請求項に記載される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1態様によれば、移動中に加速度計を携帯するユーザの運動情報を決定する装置と方法とが提供される。装置は、加速度計の基準系に対して定義される加速度データを加速度計から受信する。ユーザの進行方向とユーザの進行方向を横断する横方向とを含むユーザの基準系における加速度データを決定するために、変換が決定されて、加速度データまたは加速度データから得られるデータに適用される。ユーザの歩行または走行時のユーザの歩幅周期またはステップ周期のいずれかに対応する期間を決定するために、加速度データまたは加速度データから得られるデータが分析される。決定された期間がユーザの歩幅周期またはユーザのステップ周期のいずれに対応するかを明確にするために、横方向の加速度についての情報が使用される。
【0010】
いくつかの実施形態において、プロセッサとメモリとは、決定された期間がユーザの歩幅周期またはユーザのステップ周期のいずれに対応するかを明確にするために前記横方向と前記進行方向との加速度についての情報を使用するように構成される。
【0011】
プロセッサとメモリとは、ユーザの前記歩幅周期または前記ステップ周期のいずれかに対応する前記期間を決定するために、第1自己相関関数を決定してもよく、ユーザの歩幅周期またはユーザのステップ周期に対応する自己相関遅延で第1自己相関関数のピークを特定するために、第1自己相関関数を処理してもよい。いくつかの実施形態において、プロセッサとメモリとは、ゼロ遅延ピーク後の第1自己相関関数における最高ピークを特定して、特定された最高ピークに関連する自己相関遅延としてユーザの歩幅周期またはユーザのステップ周期に対応する期間を決定するために、第1自己相関関数を処理する。
【0012】
通常、プロセッサとメモリとは、前記横方向の加速度の第2自己相関関数を決定して、第2自己相関関数がステップ周期または歩幅周期に対応する自己相関遅延の付近にピークを含むか否かに基づいて、期間が歩幅周期またはステップ周期のいずれに対応するかを明確にする。
【0013】
前記横方向の加速度の第2自己相関関数と、前記進行方向の加速度の第3自己相関関数とは、決定されて、第2自己相関関数がステップ周期または歩幅周期に対応する自己相関遅延の付近にピークを含むか否かに基づいて、期間が歩幅周期またはステップ周期のいずれに対応するかを明確にするために使用されてもよい。また、第1自己相関関数と、第2自己相関関数と、第3自己相関関数とは、ユーザが歩行しているか、または歩行していないかを確認するために、使用されてもよい。
【0014】
第1自己相関関数は、前記加速度データに対して、またはユーザの基準系における加速度を定義する変換された加速度データに対して、計算される。
【0015】
一実施形態において、プロセッサとメモリとは、加速度データまたは加速度データから得られるデータの第1軸を垂直軸と位置合わせする第1変換と、加速度データまたは加速度データから得られるデータの第2軸を前記進行方向と位置合わせして、加速度データまたは加速度データから得られるデータの第3軸を前記横方向と位置合わせする第2変換と、を決定して、適用するように構成される。これらの変換は、通常、回転を含む。
【0016】
一実施形態において、プロセッサとメモリとは、横方向の加速度についての情報が進行方向の加速度についての情報に一致する場合、決定された期間がユーザの歩幅周期に対応することを決定して、横方向の加速度についての情報が進行方向の加速度についての情報に一致しない場合、決定された期間がユーザのステップ周期に対応することを決定するように構成される。
【0017】
ユーザの基準系は、通常、進行方向と横方向との両方を横断する垂直方向を含む。
【0018】
一実施形態において、プロセッサとメモリとは、加速度データ内で歩行期間を特定するために、加速度データを処理するように構成されて、特定された歩行期間内からの加速度データを使用して、ユーザの歩幅周期またはステップ周期のいずれかに対応する前記期間を決定するように構成される。
【0019】
進行方向と横方向とは、受信された加速度データ中に最大可変性と最小可変性とを有する水平面内の方向として特定されてもよい。あるいは、ユーザデバイスに搭載されるコンパスまたは汎地球測位システム(例えば、GPS)は、移動情報の方向を提供してもよい。
【0020】
プロセッサとメモリとは、歩行または走行に対応する運動に対するユーザのステップカウントを決定するために、明確にされたステップ周期または歩幅周期を使用するように構成されてもよい。このステップカウント情報は、保存されて、かつ/またはユーザに(例えば、ユーザデバイスのディスプレイ上で)出力されてもよい。ステップカウント情報はまた、遠隔コンピュータに送信されてもよい。
【0021】
本発明はまた、移動中に加速度計を携帯するユーザの運動情報を決定する装置を提供する。本装置は、1つ以上のプロセッサとメモリとを備える。1つ以上のプロセッサとメモリとは、ユーザの運動に起因する加速度計が受ける加速度であって、加速度計に関連する基準系に対して定義される加速度を定義する加速度データを加速度計から受信して、その基準系をユーザの進行方向とユーザの進行方向を横断する横方向とを含むユーザの基準系に変換する変換を加速度データまたは加速度データから得られるデータに適用して、加速度データまたは加速度データから得られるデータの第1自己相関関数を決定して、前記進行方向の加速度の第2自己相関関数を決定して、前記横方向の加速度の第3自己相関関数を決定して、第1自己相関関数と、第2自己相関関数と、第3自己相関関数と、を使用して、ユーザが歩行しているか、または歩行していないかを決定するように構成される。
【0022】
本発明はまた、移動中に加速度計を携帯するユーザの運動情報を決定する装置を提供する。本装置は、1つ以上のプロセッサとメモリとを備える。1つ以上のプロセッサとメモリとは、複数の時点それぞれに対して、加速度計の向きにより定義される複数の第1直交方向に対する加速度値であって、所定時点で複数の第1直交方向の1つにおける加速度計の加速度をそれぞれ示す加速度値を含む加速度データを加速度計から受信して、その加速度データを、複数の時点それぞれに対してユーザの向きにより定義される複数の第2直交方向に対する加速度値であって、ユーザの進行方向とユーザの進行方向を横断する横方向とを含む複数の第2直交方向の一方向における加速度計の加速動作をそれぞれ示す加速度値を含む変換された加速度データに変換して、ユーザの歩幅周期またはステップ周期のいずれかに対応する期間を決定するために、加速度データまたは変換された加速度データの少なくとも一部を分析して、決定された期間がユーザの歩幅周期またはユーザのステップ周期のいずれに対応するかを明確にするために、少なくとも前記横方向のユーザの運動に関する変換された加速度データを使用するように構成される。
【0023】
上記概要のとおりの装置は、ユーザにより携帯されるユーザデバイス(携帯電話、スマートウォッチなど)の一部を構成してもよく、加速度計は、ユーザデバイスの一部を構成してもよく、またはユーザデバイスと通信する別々のデバイス内にあってもよい。上記概要のとおりの装置はまた、ユーザデバイスから加速度データを受信して、運動情報を決定するために受信された加速度データを処理する中央サーバの一部を構成してもよい。
【0024】
本発明はまた、移動中に加速度計を携帯するユーザの運動情報を決定する方法を提供する。本方法は、ユーザの運動に起因する加速度計が受ける加速度であって、加速度計に関連する基準系に対して定義される加速度を定義する加速度データを加速度計から受信する工程と、その基準系をユーザの進行方向とユーザの進行方向を横断する横方向とを含むユーザの基準系に変換する変換を加速度データまたは加速度データから得られるデータに適用する工程と、ユーザの歩行または走行時のユーザの歩幅周期またはステップ周期のいずれかに対応する期間を決定するために、加速度データまたは加速度データから得られるデータを分析する工程と、決定された期間がユーザの歩幅周期またはユーザのステップ周期のいずれに対応するかを明確にするために前記横方向の加速度についての情報を使用する工程と、を含む。
【0025】
本発明はまた、プログラマブルコンピュータデバイスを上記概要のとおりの装置として構成させるコンピュータ実装可能な命令を含むコンピュータプログラム製品(有形コンピュータ可読媒体または搬送波信号でもよい)を提供する。
【0026】
本発明はまた、複数のユーザデバイスと通信する中央コンピュータを含む臨床試験システムと方法とを提供する。各ユーザデバイスは、ユーザデバイスに関連付けられたユーザの運動に関する加速度データを収集するように構成されて、中央コンピュータまたは少なくとも1つのユーザデバイスは、上記概要のとおりの装置を備える。
【図面の簡単な説明】
【0027】
次に、本発明の例示的な実施形態について、添付の図を参照して説明する。
図1A】臨床試験に参加するユーザの運動が、ユーザにより装着または携帯されるユーザデバイスにより決定されて、収集および分析のために中央サーバに報告される、臨床試験を模式的に示す。
図1B図1Aに示されるシステムの主要な電子部品を示すブロック図である。
図2図1Bに示されるユーザデバイスの主要な構成要素を示すブロック図である。
図3】ユーザのステップ周期または歩幅周期を決定する従来技術を示すフロー図である。
図4】ユーザの歩行中に取得される加速度データから算出される自己相関関数を示すプロットである。
図5A】歩行中にユーザのステップ周期または歩幅周期を決定して、明確にする好ましい技術を示すフローチャートである。
図5B】歩行中にユーザのステップ周期または歩幅周期を決定して、明確にする好ましい技術を示すフローチャートである。
図6】ユーザの歩行中に取得される加速度データから算出されて、ステップ周期と歩幅周期とを明確にするために使用される自己相関を示すプロットである。
図7】運動の期間が歩行している期間、または歩行していない期間に対応するかを決定する好ましい方法を示すフローチャートを示す。
【0028】
図面では、同様の要素を示すために、同様の参照番号が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
概要
上記に概要を述べたように、本発明は、ユーザの運動を分析する代替方法を提供する。本発明により提供される方法とデバイスとは、フィットネストラッカなどの様々な用途で使用され得る。しかしながら、本発明は、次に説明する医療現場でも使用され得る。
【0030】
より具体的には、図1A図1Bとは、いくつかの対象者(以下、ユーザともいう)30a-30eがそれぞれのユーザデバイス100a-100eを使用して、対応する対象者の歩行時の運動をモニタリングする臨床試験システム10において、本発明がどのように使用され得るかを示す。ユーザデバイス100により集められた情報は、通信ネットワーク120(図1Aにでは破線40a-40eで表される)を介してクリニック20内に表示され得る結果と共に、中央サーバ140に送信される。
【0031】
クリニック20は、病院または医師の手術室などの医療センタでもよい。クリニック20は、単一のセンタで構成されてもよく、またはいくつかの異なる地理的場所に位置するいくつかのセンタで構成されてもよい。対象者30a-30eは、クリニック20の患者であり、クリニック20が組織化する治験に参加している。治験中の各患者は、同じ病状を有するグループにコホートに分類される。
【0032】
対象者30a-30eのそれぞれには、クリニック専用であり、治験終了後にクリニックに返却され得るユーザデバイス100が提供される。あるいは、クリニックは、携帯電話やスマートウォッチなど、対象者自身のユーザデバイス上で作動できるソフトウェアアプリケーションを対象者に提供してもよい。いずれの場合も、各対象者は、ユーザデバイスに付随する加速度計が臨床試験中のユーザの運動を捕捉し得るように自身のユーザデバイスを装着または携帯するように依頼される。図1Bに示されるように、一部のユーザデバイス100は内蔵型加速度計102を備えるが、一部のユーザデバイス100(この例ではユーザデバイス100a)は備えていない。ユーザデバイス100が加速度計を有していない場合、対象者30aの運動を捕捉する加速度計102-aを有する別のアクチグラフ測定(actigraphy-measuring)デバイス101が提供される。アクチグラフ測定デバイス101は、例えば、対象者の手首の周り、足首の周り、ポケット内、ベルト上に付ける、手に持つ、対象者が身につけるバッグに入れる、または、例えば、対象者の首の周りにペンダントとして身につけるなど、対象者により装着または携帯される。
【0033】
加速度計は、通常、加速度計の向きに応じた3つの直交方向における加速度情報を提供する。加速度データを分析することにより、ユーザデバイス100は、治験の一部としてさらなる分析のために中央サーバ140に対象者データとして送信される(無線または有線接続で)対象者に関する運動情報を決定できる。
【0034】
一実施例において、中央サーバ140に提供される対象者データは、歩行データと、歩行データに関連する対象者を識別する識別データと、を含む。歩行データは、例えば、1日、1週間、1ヶ月、または1年などの臨床試験により特定された期間において、ステップカウントと、歩行期間または活動期間と、歩行距離と、のうちの1つ以上を含んでもよい。対象者データは、対象者がクリニックを訪れた際に、ユーザデバイス100から取得されてもよく、または対象者データは、携帯電話や有線電話、コンピュータネットワークを介して(無線または有線接続で)クリニックに送信されてもよい。クリニックで収集された対象者データには、クリニック20で実施されるのみで、遠隔でモニタリングされ得ない身体観察や検査が補完され得る。クリニック20の外や自宅での対象者の活動に関するクリニック20に提供されるデータの精度は、モニタリング期間中の対象者の活動の実態が治験において収集されることを保証するために重要である。これは、臨床試験の治療法の有効性を決定することに役立ち得る。
【0035】
別の実施例において、中央サーバ140に提供される対象者データは、加速度データと共に対象者の識別データを含むため、中央サーバ140が各対象者の加速度データを処理して、そこから中央サーバ140が各対象者の歩行データ自体を算出する。図1Bに図示されていないが、この場合、中央サーバ140は、キーボードなどのユーザ入力デバイスを備えるユーザインターフェース、および/またはシステムのユーザデバイスから収集されたデータを処理するソフトウェアをさらに備える。
【0036】
歩行データなどの対象者の活動を示す対象者データは、対象者の健康や体力レベルを示す良い指標となる。例えば、ステップカウントは健康全般を表す指標であるため、その対象者データは回復の指標として使用され得る。ステップカウントの増加は、可動性の増加を示して、患者の改善を示し得る一方、ステップカウントの減少または停滞は、患者が治療に反応していないか、改善が見られない、または患者の病状がより悪化していることを示し得る。治療効果が薄れた期間と比較して、治療効果が最大である期間のステップカウントの増加は、治療効果の指標を与え得る。場合によっては、ステップカウントは、患者がクリニックに呼ばれる必要性を示してもよく、または患者が短期間入院する必要があることを示し得る。いくつかの例において、収集された患者データは、クリニックにより使用されて、必要に応じて医師や臨床医との患者の予約を取るために役立ち得る。
【0037】
ユーザデバイスにより提供される歩行データは、複数の対象者30a-30eのうちの1人以上に、データにより示される個々のニーズおよび/または能力に合わせた、個人用の運動計画を提供するためにも使用され得る。ステップカウントが少なすぎる場合に活動するよう促すプロンプトが対象者に送信されてもよい。
【0038】
歩行データは、歩行能力に影響を与えることが知られている1つ以上の病状を持つ患者の研究に特に有用である。一時的な歩行またはバランスに関する合併症が怪我、外傷、炎症、または痛みにより引き起こされる場合がある。また、歩行、バランス、協調性などの歩行に関する問題が特定の状態により引き起こされる場合もある。歩行活動を測定する上で特に重要となり得る状態としては、関節炎、多発性硬化症(MS:multiple sclerosis)、メニエール病、出血や腫瘍などにより生じる脳損傷、パーキンソン病、腰や下半身の整形外科手術、癌および関連する治療、脳性麻痺、肥満、痛風、筋ジストロフィー、脳卒中、脊髄損傷、変形などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
また、ステップカウントデータと歩幅数データとは、アスリートのパフォーマンス測定と管理とに活用され得る。アスリートの活動におけるターゲットとなる評価中のステップカウントと歩幅数との詳細な分析は、アスリートまたはそのトレーナーやコーチに提供され得る。そして、そのデータは、アスリートのパフォーマンスを改善するトレーニング計画を知らせるために使用され得る。
【0040】
また、ステップカウントデータと歩幅数データとは、理学療法のパフォーマンス測定や管理に活用され得る。管理された、または管理されていない治療セッション活動時のターゲットとなる評価中のステップカウントと歩幅数との詳細な分析は、患者またはその療法士や医師に提供され得る。そして、そのデータは、回復プログラムを改善するための治療法を知らせるために使用され得る。
【0041】
ユーザデバイス
図2は、前述のシステムにおいて使用される典型的なユーザデバイス100のブロック図である。図示のとおり、この場合、ユーザデバイス100は、加速度データを少なくとも1つの中央処理装置(CPU:central processing unit)108に提供する加速度計102を有する。CPU108の運動は、メモリ106に記憶されるソフトウェア命令により制御される。図示のとおり、ソフトウェア命令は、オペレーティングシステム106-1と、運動分析アプリケーション106-2と、を含む。加速度計102からの加速度データは、運動分析アプリケーション106-2により処理されて、対象者の歩行データが算出される。
【0042】
ユーザデバイス100はさらに、運動分析アプリケーション106-2により決定された対象者データを中央サーバ140に通信する通信インターフェース110と、キーパッド112-1およびディスプレイ112-2を含み、対象者のユーザデバイス100との対話を可能にするユーザインターフェース112と、を備える。ディスプレイ112-2は、ユーザに情報を提供するように構成される1つ以上のアイコン、および/または、時間と、日付と、ステップの数と、活動特定アイコン(歩行、走行、サイクリングなど)と、活動の継続時間と、活動に関するリマインダメッセージおよび/または指示と、ネットワーク接続状態と、電池残量と、ユーザに表示すべき他の任意の有用な情報と、のうちの1つ以上を表示してもよい。
【0043】
加速度データ分析
運動分析アプリケーション106-2が加速度データを処理する方法を説明する前に、図3を参照して、フィットネストラッカなどが加速度データを処理して、ユーザが進めたステップを決定する従来の方法を説明する。
【0044】
ステップ310において、加速度計102からのデータが受信される。加速度データは、時間によりインデックス付けされた一連のデータポイントを含む。時間tにおける加速度計からのデータポイント(読取値)は、3つの直交方向Ax、Ay、Azの加速度測定値(AAx(t)、AAy(t)、AAz(t))を含む。Axと、Ayと、Azとは、加速度計を携帯する人の向きや他の任意の地理的座標系ではなく、加速度計102の向きに位置合わせされる(それにより定義される)。通常、加速度計102からの読取値は単位gで提供されて、ここで、gは地表における重力による加速度(9.8m/s)である。サンプリングレート(加速度計102が加速度読取値を提供する速度)は、加速度計間によって異なり、多くの場合、設定可能であるが、歩行の分析に有用であるためには、サンプリングレートは少なくとも20Hz、好ましくはより高い値(例えば、30Hzまたは100Hz)であるべきである。
【0045】
加速度データの受信後、従来のデバイスは、ユーザの歩行運動に関連しない加速度データにおける高周波数変動を除去するために、データをローパスでフィルタ処理する。ローパスフィルタは、通常、約10Hzのカットオフ周波数を有する。ステップ320において、ユーザが歩行していない他の期間から歩行期間を特定するために、時系列加速度データが処理される。この決定を実行可能な各種方法が存在する。通常、他の期間から歩行期間を分離する従来の方法は、加速度データの大きさを閾値と比較して、歩行に対応し得る活動の期間を特定する。時刻tで提供される加速度データの大きさは、次のように算出される。Amag(t)=sqrt(AAx(t)+AAy(t)+AAz(t)
次いで、このように特定された期間は、その周期的パターンが歩行のパターンに対応する(すなわち、典型的な歩幅周期またはステップ周期と一致する)かを決定するために、分析される。ステップ325において、ステップ320中で計算された時系列の大きさデータにおける周期的パターンを検出するために、自己相関分析が行われる。具体的には、自己相関部106-2-3は、ステップ320で算出された分離された各歩行期間(または歩行セクション)において得られる時系列の大きさデータM(t)の自己相関を計算する。すなわち、自己相関部106-2-3は、以下を計算する。
式中、AC(k)は遅延kでの自己相関であり、Amag(n)は分離された歩行期間(セクション)内の時間nでの加速度計の大きさであり、Tは分離された歩行期間内の大きさの値の数である。自己相関関数は、歩行期間ごとに計算される。したがって、ステップ320が20の歩行期間を分離する場合、ステップ325において、自己相関部106-2-3は20の自己相関関数、つまり、分離された各歩行期間に対して1つの自己相関関数を計算する。
【0046】
ステップ330において、ステップ325で計算された各自己相関関数が分析されて、ゼロ遅延ピーク後の最高ピークが自己相関関数において求められる遅延を決定する。計算された遅延は、ユーザの歩幅周期またはユーザのステップ周期のいずれかに対応する。図4は、この分析を説明するために、ステップ325で分離された歩行期間(セクション)の1つについて決定された自己相関関数を表すプロットである。自己相関関数は、ゼロ遅延(k=0)に対して対称であり、非負の遅延(non-negative lags)に対応する部分のみがプロットに示される。歩幅周期とステップ周期とに対応するピークは、それぞれ丸と四角との印で示される。典型的な歩幅周期は1.0秒と1.2秒との間(1分間に100ステップ-120ステップ)であり、一般的なステップ周期はこの値の半分になる。
【0047】
ゼロ遅延と自己相関関数がゼロ未満である最初の点との間で計算される自己相関関数の部分は、ゼロ遅延ピークであると考えられる。ゼロ遅延ピーク後の自己相関関数における最高ピークの遅延は、ステップ周期または歩幅周期のいずれかとみなされる。自己相関関数は定義された複数の遅延で計算されるため、計算された自己相関値は、正確にピーク時の自己相関値を含まなくてもよい。自己相関関数のピークに対応する遅延のより正確となり得る推定は、補間を使用して決定され得る。例えば、計算されたピーク値とそのいずれかの側の近傍とに2次多項式をあてはめて、その多項式関数のピークを自己相関関数のピークとすることにより、最高ピークに対応するより正確な遅延値の算出が達成され得る。
【0048】
ステップ340において、特定された最高ピークに対応する遅延がユーザのステップ周期または歩幅周期のいずれに対応するかが決定される。ユーザの歩行の対称性や加速度計の装着位置に応じて、ステップ330(またはステップ335)で計算される遅延は、ステップ周期または歩幅周期に対応してもよい。例えば、対象者の歩行が対称であると仮定すると、加速度計がユーザの身体の中心部に装着/保持されている場合、例えば、胸の前に保持された電話またはユーザの腰のくびれに取り付けられたデバイスの場合、左足のステップと右足のステップとは非常に類似した加速度の大きさを加速度計で生じさせて、計算される遅延はステップ周期に対応し得る。一方、加速度計が足首または手首に装着された場合、左右のステップは大きく異なる加速度データを生じさせて、計算される遅延は歩幅周期に対応し得る。
【0049】
図4に示される例示の自己相関関数の例において、0.5秒の遅延での自己相関関数のピークは、1.0秒の遅延での自己相関関数のピークとほぼ同じ高さであり、加速度データのわずかな変動により、どのピークが最も高いのか、したがってどのピークがステップ330において最高ピークとして特定されるか変わり得る。
【0050】
自己相関関数において求められる最高ピークが歩幅周期またはステップ周期のいずれに対応するかを決定するために、従来のフィットネスデバイスは、決定される遅延を閾値と比較する。特定の時点における特定の個体について、ステップ周期は、歩幅周期の半分である(右足のステップ周期と左足のステップ周期とが同一と仮定する)。したがって、求められた遅延が閾値(例えば、0.8秒)より下回る場合、最高ピークはステップ周期に対応すると仮定され得る。遅延が閾値より上回ると求められた場合、最高ピークは歩幅周期に対応すると仮定され得る。
【0051】
分離された各歩行期間に対して計算される決定されたステップ周期/歩幅周期は、ユーザの歩行の種々の特性、例えば、進んだステップの数、ユーザが歩行した時間の長さなどを計算するために使用されて、この情報は、ユーザおよび/または中央サーバに出力される(通常、表示される)。
【0052】
しかしながら、所与の集団にわたって歩幅周期とステップ周期との間に重なりがあり、いく人かの個人のステップ周期は他の個人の歩幅周期よりも長くなり得る。したがって、計算された遅延期間がステップ周期または歩幅周期のいずれに対応するかを決定しようと試みるために閾値処理を使用することは、不完全であり、エラーを導く。デバイスを携帯する個人へのユーザデバイスの較正、または個人についての付加的な情報(例えば、高さ)を提供することは、これらのエラーを減少させることに役立ち得る。しかしながら、特定の個人についてさえも、任意の時点における個人の歩行(例えば、走行対歩行)に応じて、個人の歩幅周期とステップ周期との間に重なりがある。このように、事例の関連する部分において、計算された遅延期間がステップ周期または歩幅周期のいずれに対応するかを決定するために閾値計算を使用することは、誤った結論を導き、これは得られるステップカウントの精度に影響する。例えば、計算された遅延期間がステップ周期に対応する一方、実際は歩幅周期に対応すると決定される場合、計算されたステップの数は真の値の半分であり、これは移動速度や移動距離などの他のパラメータの推定への波及効果を与え得る。逆に、計算された遅延期間が歩幅周期に対応する一方、実際はステップ周期に対応すると決定される場合、計算されたステップの数は真の値の2倍である。
【0053】
測定分析アプリケーション
従来のシステムでのこれらのエラーのいくつかを少なくとも減少させて、かつ加速度データからより正確なステップ情報および/または歩幅情報を決定するために、測定分析アプリケーション106-2が開発されている。以下、本実施形態において測定分析アプリケーション106-2が動作する方法を詳細に説明する。
【0054】
図2図5とを参照すると、測定分析アプリケーション106-2は、ステップ505において、加速度計102から時系列測定データを受信する。前述のとおり、加速度は、加速度計102の向きにより定義される3つの直交方向Ax、AyAzに沿って計算されて、時間tにおける加速度計からの加速度データは、(AAx(t),AAy(t),AAz(t))として定義される。したがって、各加速度データポイントは、測定時間tで加速度計102が受ける加速度の得られた方向を定義するベクトルを効果的に定義する。任意のローパスフィルタ106-2-1は、ステップ510において加速度計から受信された時系列測定データポイントをフィルタ処理して、ユーザの歩行運動に関連しない加速度計測定における高周波数変動を除去する。ローパスフィルタのカットオフ周波数は、通常、8Hzと20Hzとの間であり、好ましくは約10Hzである。
【0055】
ステップ515において、歩行期間検出部106-2-2は、ユーザが歩行または走行している期間を検出するために、加速度データを処理する。前述のとおり、これらの期間を検出できる様々な方法が存在する。典型的な状況では、分離された歩行期間は、約10秒から20秒の長さである。より長い歩行の期間が検出された場合、より長い期間は一般的にいくつかのセクションに分割されて、このセクションのそれぞれは通常10秒から20秒の長さである。
【0056】
次いで、変換部106-2-3は、ユーザの歩行の向きにより定義される座標基準系についての測定を予測するために、加速度データを処理する。具体的には、z軸は垂直方向と位置合わせされて、y軸はユーザの進行方向と位置合わせされて、x軸は進行方向を横断する水平方向と位置合わせされる。本実施形態において、これは、以下のようにして達成される。
【0057】
1)ある時間(数秒)にわたる平均加速度ベクトルは、ステップ520で決定される。
式中、A(n)は時間nにおける加速度データポイントであり、Nは加速度計のサンプルレートと、平均が計算されるその時間と、により定義される。重力は、加速度計102により測定される加速度の最大の静的成分である。加速度計が受ける他の加速度は、時間経過と共に平均化されると、ある程度互いに打ち消し合う前進方向と、後退方向と、横方向と、の加速度を含む。その結果、ステップ520で計算された平均ベクトルは、ベクトル方向を特定する。
【0058】
2)ステップ525において、変換部106-2-3は、以下のように、水平面上に加速度計(ローパスフィルタが行われる場合、A(t)-ローパスフィルタ後)から各加速度データポイントを予測する第1変換を行うために、決定された平均ベクトルを使用する。
proj(t)=A(t)-(A(t)・Amean )Amean
式中、Amean は、ステップ520で決定された平均加速度ベクトルの単位ベクトルである。取得された予測データポイントのz軸は垂直軸と位置合わせされる一方、加速度計の予測y軸は進行方向(前進方向および後退方向)と位置合わせされにくく、加速度計の予測x軸は進行方向を横断する方向(横方向)と位置合わせされにくい。
【0059】
3)ステップ530において、変換部106-2-3は、加速度計の予測x軸と予測y軸とをそれぞれ所望の横方向および前進/後退方向と位置合わせするために、予測加速度データに適用される必要がある回転を効果的に算出する。この回転角度は、様々な方法で求められ得る。本実施形態において、変換部106-2-3は、予測データ(予測データポイントにおけるz軸値をゼロに設定後)に対して主成分分析(PCA:principal component analysis)を行う。PCA分析は、最大可変性と最小可変性とを有する水平面における2つの直交方向を特定する。最大可変性を有する方向は、通常、前進/後退方向(y方向)の運動に対応して、最小可変性を有する方向は、通常、横方向(x方向)の運動に対応する。PCA分析により特定される直交方向は、加速度計の予測x軸と予測y軸とをそれぞれ所望の横方向ならびに前進方向および後退方向と位置合わせするために、予測データポイントに適用される必要がある水平面内の回転を効果的に定義する。
【0060】
4)ステップ535において、変換部106-2-3は、ステップ525で取得された予測加速度データにステップ530で決定された回転を適用する。これにより、時間tにおける加速度データに対して、垂直方向(z軸)の加速度と、前進-後退方向(y軸)の加速度と、横方向(x軸)の加速度と、を特定する変換された加速度データポイントArot proj(t)が生成される。
【0061】
ステップ540において、自己相関部106-2-4は、歩行期間決定部106-2-1により特定される分離された歩行期間のそれぞれに対して、垂直加速度データ(z軸データ)の自己相関関数と、前進-後退方向加速度データ(y軸データ)の自己相関と、横方向加速度データ(x軸データ)の自己相関と、を計算する。すなわち、以下の自己相関が計算される。
【0062】
前述の処理は、切り替えられたxデータとyデータとをもたらし得て、すなわち、y軸データは実際に横方向加速度測定値に対応し得て、x軸データは前進/後退方向加速度測定値に対応し得ることに留意されたい。しかしながら、これは問題にならず、以下の考察から明らかになる。
【0063】
図6は、0秒と4秒との間の遅延(k)に対する分離された歩行期間の1つに対して計算された3つの自己相関関数のプロットを説明する。一般に、z(垂直)方向の自己相関関数(AC)は、x(横)方向の自己相関関数(AC)とy(前進/後退)方向の自己相関関数(AC)とよりも非常に大きくなるため、図6に示される各自己相関関数は、各比較でゼロ遅延で単一になるように、調整される。
【0064】
図6から分かるように、z方向の自己相関関数(AC)は、元の加速度データの大きさの自己相関に類似したプロットを有して(図4に示すように)、0.5秒(ステップ周期)と1.0秒(歩幅周期)との両方に強いピークを有する。しかしながら、ゼロ遅延ピーク後のACにおける最高ピークは、ステップ周期または歩幅周期に対応してもよい。また、x方向とy方向との自己相関関数(ACおよびAC)は、1.0秒(歩幅周期)での顕著なピークを有する。図6に示される自己相関関数の例を作成するために使用されるデータは、手首装着ユーザデバイスから得られて、ステップ周期での自己相関関数ACのピークが存在するが、緩和される。身体の中心部に装着されたデバイスでは、ステップ周期での自己相関関数ACのピークは、より顕著である。しかしながら、自己相関関数ACは、ユーザデバイスがどのように携帯または装着されるかに関わらず、0.5秒(ステップ周期)でピークが欠ける。
【0065】
下表1は、ユーザデバイス/加速度計の様々な装着位置に対する歩幅周期とステップ周期とに対応する遅延での垂直方向の自己相関関数(AC)と、前進-後退方向の自己相関関数(AC)と、横方向の自己相関関数(AC)と、のピークが存在し得るか否かをまとめた表である。
【0066】
【表1】
【0067】
ACは、ステップ周期でトラフを示し得る。しかしながら、ステップ周期でのACのピークの欠如は、閾値を使用することなく、ゼロ遅延ピーク後のACの最高ピークが歩幅周期またはステップ周期のいずれに対応するかを区別するために使用され得る。
【0068】
具体的には、ステップ545において、分析部106-2-5は、ゼロ遅延ピーク後の最大ピークに対応する遅延を特定するために、垂直方向について得られた自己相関値ACを処理する。従来のとおり、任意の補間部106-2-6は、この最大ピークに対応する遅延のより正確な推定値を決定するために多項式を使用して、補間を利用してもよい。次いで、ステップ550において、ステップ/歩幅決定部106-2-7は、x方向とy方向とに関する自己相関関数(ACおよびAC)もステップ545で特定された遅延でピークを有するかを決定する。ACとACとの両方もこの遅延で(周辺の)ピークを有する場合、ステップ/歩幅決定部106-2-7は、ステップ545で特定された遅延がユーザの歩幅周期に対応することを決定する。しかしながら、ACとACとの一方のみが特定された遅延でピークを有する(またはいずれも有さない)場合、ステップ/歩幅決定部106-2-7は、ステップ545で特定された遅延がユーザのステップ周期に対応することを決定する。ACとACとが、多くの場合、ステップ545で特定された遅延でまたはその付近で存在する「ピーク」(すなわち、いずれかの側のその近傍よりも高い自己相関のサンプル)を示すかを決定する種々の異なる方法が存在する。他の実施形態において、決定された遅延でのACまたはACが閾値より高く、その閾値がゼロであるかまたはゼロ遅延で自己相関に関連し得る場合、ACまたはACがピークであるとみなされる。このアプローチは、yが前進-後退方向に対応して、xが横方向に対応するという仮定に依存しないことに留意されたいが、xが前進-後退方向に対応して、yが横方向に対応する場合、このアプローチは依然として妥当である。
【0069】
一旦ステップ/歩幅決定部106-2-7がステップ545で特定された遅延がユーザのステップ周期またはユーザの歩幅周期に対応するかを決定すると、運動分析アプリケーション106-2は、ステップ555において、歩行期間中にユーザが進めたステップの数を計算できる。次いで、この情報は、ステップ560において、出力される。ステップカウントは、ディスプレイ112-2上でユーザに出力されてもよく、および/またはステップカウントは、ユーザに対して臨床試験で使用される中央サーバ140に関連するそのユーザを識別する識別子と、他の関連する歩行データと、共に送信されてもよい。
【0070】
変形例および代替例
以上、詳細な実施形態を前述のとおり説明した。なお、前述の実施形態には、種々の変形および変更が可能である。以下、これらの代替例の一部について説明する。
【0071】
前述の実施形態において、ステップ515で決定された分離された各歩行期間内と自己相関関数が計算された期間とにわたり、加速度計102の向きが同一(一定)のままであるという暗に示された仮定が存在する。また、歩行の特性(特に、ステップ周期/歩幅周期)は、分離された歩行期間にわたり比較的に一定であるものと仮定する。これらの仮定は、特に、分離されたより長い歩行期間の間、正しくない場合がある。この問題に取り組むため、分離された歩行期間は、より小さいサブセクションまたはエポック(時間中に重なってもよく、または重なっていなくてもよい)に分割されてもよく、加速度データのより小さい各サブセクションに関してステップ520からの前述の分析が行われる。各サブセクションの継続期間は、いくつかの歩幅を包含するために、少なくとも3秒の長さでなければならない。ステップ530でサブセクション間の回転が計算される場合、PCA分析は、決定された回転を1サブセクションから次のサブセクションに急激に変更させてもよい。補間は、隣り合うサブセクションの回転間でなめらかに遷移するために、使用されてもよい(例えば、4次元表示または他の手段を使用して)。他のセンサ(特に、ユーザデバイスに搭載され得るジャイロスコープ)からのデータは、ユーザデバイスの向きの変化、すなわち、加速度データをユーザの進行方向と位置合わせするために必要な回転の変化を決定することに役立ち得る。
【0072】
前述の実施形態において、加速度計からの測定は、垂直方向(z)と、ユーザの進行方向および横方向に対応するx方向およびy方向と、に分解された。次いで、自己相関関数は、x方向と、y方向と、z方向と、の測定について計算された。代替の実施形態において、z方向の加速度データの自己相関関数を決定する代わりに、自己相関は、加速度データの大きさに関して行われてもよい(変換の前または後のいずれか)。大きさデータの自己相関関数におけるゼロ遅延ピーク後の最高ピークがユーザの歩幅周期またはユーザのステップ周期のいずれに対応するかの不明瞭さを解消するために、x方向とy方向との自己相関関数は、依然として計算されて、従来のとおりに使用される。
【0073】
前述の実施形態において、分析部106-2-5は、加速度計の予測x軸と予測y軸とをユーザの歩行方向および横方向に位置合わせするために必要な回転を算出するために、主成分分析(PCA)を使用した。この回転を決定するためにPCAを使用する代わりに、ユーザデバイスに搭載される衛星ナビゲーションシステム(GPSシステムなど)は、ユーザが歩行する地理的方向を提供し得て、ユーザデバイス内のコンパスは、地軸に対するデバイスの向きを提供し得る。このことから、分析部106-2-5は、ユーザの歩行の基準系上に加速度計からの加速度データをマップで表す必要がある回転を算出し得る(yはユーザが歩行する方向に対応して、xは水平面におけるyを横切り、zは垂直方向になる)。
【0074】
あるいは、デバイスがユーザの進行方向への固定された既知の向きである場合、例えば、デバイスが進行方向に指示するように保持される場合、ユーザの基準系上に加速度計からの加速データをマップで表すために必要な回転が既に知られていてもよい。
【0075】
前述の実施形態で計算されたxと、yと、zと、の自己相関関数も、歩行と他の活動とを区別するために役立ち得る。例えば、手首装着ユーザデバイスを有するユーザが腕を振ることにより、歩行検出アルゴリズムは騙され得て、振る期間が一般的な歩幅周期と同等の場合、腕を振ることが歩行として誤って解釈され得る。x方向と、y方向と、z方向と、で決定される自己相関データは、歩行期間が、ユーザが歩行運動を模倣しようと試みてデバイスを動かすことではなく、実際に歩行期間であることを確認するために、使用され得る。
【0076】
図7は、システムが、運動期間が歩行期間または歩行を模倣しようと試みるいくつかの他のユーザの運動のいずれに対応するかをより正確に決定できる方法を示すフローチャートである。
【0077】
ステップ710において、デバイスは、ACにおける(または大きさの加速度データの自己相関における)ゼロ遅延ピーク後の最高ピークがユーザの歩幅周期またはステップ周期のいずれに対応するかを決定する(これは、図5におけるステップ550またはステップ555における決定に効果的に対応する)。最高ピークがユーザの歩幅周期に対応する場合、処理はステップ715に進み、最高ピークがステップ周期に対応する場合、処理はステップ740に進む。
【0078】
ステップ715において、歩行決定部106-2-2は、歩幅周期に対応する遅延の半分である遅延でピークを有するかを決定するために、z(垂直)方向の自己相関関数(AC)を処理する。ステップ720において、ピークが半歩幅周期でACに見られる場合、処理はステップ725に進む。ピークが半歩幅周期でACに見られない場合、歩行決定部106-2-2は、ステップ735においてユーザがこの期間において実際に歩行していないことを決定する。
【0079】
ステップ725において、歩行決定部106-2-2は、最大でACとACとのうちの1つがまた、半歩幅周期でピークを含むかを決定するために、x方向とy方向との自己相関関数(ACおよびAC)を点検する。ACとACとの両方が半歩幅周期でピークを含む場合、歩行決定部106-2-2が現期間における運動が実際に歩行ではないことを再び決定するステップ735に処理が進む。ACとACとのうち一方のみが半歩幅周期でピークを有する(またはいずれも含まない)場合、歩行決定部106-2-2が現期間においてユーザが実際に歩行していることを確認するステップ730に処理が進む。
【0080】
ACにおけるゼロ遅延ピーク後の最高ピークがユーザのステップ周期に対応する場合、ステップ740において、歩行決定部106-2-2は、ステップ周期の2倍でピークを有するかを決定するために、z(垂直)方向の自己相関関数(AC)を処理する。ピークがステップ周期の2倍でACに見られない場合、ステップ755において、歩行決定部106-2-2は、ユーザがこの期間において実際に歩行していないことを決定する。
【0081】
ステップ750において、歩行決定部106-2-2は、ACとACとの両方がまた、ステップ周期の2倍でピークを含むかを決定するために、x方向とy方向との自己相関関数(ACおよびAC)を点検する。ACとACとの両方がステップ周期の2倍でピークを含まない場合、歩行決定部106-2-2が現期間における運動が実際に歩行ではないことを再び決定するステップ755に処理が進む。ACとACとの両方がステップ周期の2倍でピークを有する場合、歩行決定部106-2-2が現期間においてユーザが歩行していることを確認するステップ760に処理が進む。
【0082】
前述の実施形態において、ステップ/歩幅決定部は、ゼロ遅延ピーク後の最高ピークの遅延期間がステップ周期または歩幅周期のいずれに対応するかを明確にするために、前進/後退方向(y方向)と横方向(x方向)とにおけるピークの有無を考慮した。好ましい技術は、同一遅延での様々な自己相関関数のピークをカウントした。これは、前進/後退方向が横方向と混ざる任意のエラーを避けることに役立つ。他の実施形態において、加速度データを分析するデバイスは、決定された横方向(x方向)が正しいことを単に仮定してもよく、x方向に関する自己相関関数が特定された遅延でピークを含むか否かに基づいて、特定された遅延がステップ周期または歩幅周期のいずれに対応するかを明確にしてもよい。x方向に関する自己相関関数が特定された遅延でピークを含む場合、特定された遅延は歩幅周期に対応して、x方向に関する自己相関関数が特定された遅延でピークを含まない場合、特定された遅延はステップ周期に対応する。
【0083】
前述の実施形態において、加速度計から取得された加速度データは、様々な方向のデータの自己相関関数に着目して分析された。自己相関分析は、歩行や走行などの反復運動により生じる、加速度データにおける周期的な変化を強調することに適している。これらの周期的な変化(およびその期間)を特定するために、他の種類の分析が行われてもよい。例えば、ステップ周期または歩幅周期を表す周波数領域内のピークを特定するために、フーリエ変換(または離散コサイン変換などの他の周波数分析)が決定されて、分析され得る。
【0084】
同様に、前述の実施形態において、加速度計からの加速度データは加速度計の座標基準系からユーザの座標基準系に変換されて、自己相関は変換された加速度データに関して行われた。代替の実施形態において、自己相関関数が計算された後、座標系のこの変換が行われてもよい。したがって、Ax方向と、Ay方向と、Az方向と、における加速度計の加速度を定義する元の加速度データは先ず自己相関分析されてもよく、自己相関は基準系の変化を明らかにするために変換される。
【0085】
さらに、ユーザデバイスに複数の加速度計が内蔵されている場合、より正確な、またはノイズの少ないステップ周期および/または歩幅周期を算出するために、各加速度計からのデータが分析されて、その結果が組み合わされてもよい(例えば、平均化する)。同様に、ユーザが複数のデバイス(携帯電話など)とアクチグラフデバイスとを携帯して、両方のデバイスが加速度計を有する場合、システムは、両方の加速度計からのデータを用いて、ステップ周期および/または歩幅周期を決定できる。次いで、2つ(以上)の加速度計からの測定値は、S/N比を向上させるために、再び平均化されてもよく、または一方の加速度計からの測定が、他方の加速度計から取得された加速度データから決定されたステップ周期および/もしくは歩幅周期を実証もしくは妥当性を確認するために使用されてもよい。
【0086】
前述のとおり、計算された自己相関関数のピークは、加速度計がユーザの身体の中心部に装着もしくは携帯されるか、またはユーザの手首もしくは足首に装着もしくは携帯されるかに依存する。本発明者らは、ステップ遅延と歩幅遅延とでの自己相関関数のピークの振幅を比較することにより、どのようにユーザが加速度計を保持または装着しているかを決定できることを実現している。具体的には、ユーザデバイスまたは中央サーバは、ステップ周期と歩幅周期(前述の発明を使用してまたは他の先行技術を使用して決定され得る)とに対応する遅延での自己相関関数のピーク値を比較できる。この2つのピーク値が互いに同一もしくは類似の場合、またはステップ周期でのピークが歩幅周期でのピークより大きい場合、ユーザデバイスもしくは中央サーバは、加速度計が装着されるか、もしくは身体の中心部に携帯されるかを決定できる。本発明者らは、この状況でピークがそれぞれ10%から15%(以下)である場合、ピークは互いに類似であるとみなされ得ることを見出した。しかしながら、歩幅周期でのピークがステップ周期でのピークよりも20%以上大きい場合、ユーザデバイスまたは中央サーバは、加速度計がユーザの周辺部に(ユーザの手にまたはユーザの手首もしくは足首に)装着または携帯される可能性があることを決定できる。同様に、自己相関分析の代わりに、加速度データに関して周波数分析が行われる場合、ステップ周波数と歩幅周波数とに対応する周波数での周波数プロットにおけるピークの大きさの比較は、加速度計が身体の中心部にまたは周辺部に(例えば、ユーザの手首または足首に)装着/携帯されるかを決定するために、使用され得る。加速度計デバイスが身体の中心部にまたは周辺部に携帯されるかを知ることは、この情報の知識が加速度データの解釈と、使用される閾値の調節と、のために役立ち得るため、有用である。例えば、加速度データが、ユーザの活動レベルを決定するために使用される場合、異なる閾値は、デバイスが身体の中心部または周辺部のいずれに携帯されるかに応じて使用されてもよい。特に、ユーザがデスクでのライティングまたはタイピングをして座っている場合、手首に装着されたデバイスはベルトに装着されたデバイスより多く運動を受ける可能性があり、中央サーバがどれだけユーザが活動的であるかを決定しようと試みる場合、この差が考慮される必要がある。装着位置は変わるが、ユーザの歩行中に決定される装着位置が、ユーザがおそらく座っている日と同じであると仮定することは合理的である。さらに、歩行距離と他の歩行パラメータ(パーキンソン病患者におけるすくみ足を特徴づけるパラメータなど)とを決定するために使用されるいくつかのアルゴリズムは、加速度計デバイスが足首に装着されると想定して、デバイスが身体の中心部に装着される場合、精度が低くなり、または再較正を必要とするだろう。したがって、加速度計デバイスの装着位置の情報は、実施されるこのような再較正を可能にして、尺度の整合性と精度とを改善して、代替物においては、データの精度が低いと認識されることを可能にする。
【0087】
加速度計の装着位置は、元の加速度データ(その成分)または加速度データの大きさに関する自己相関関数(周波数関数)を使用して決定されてもよい。前述の技術が、加速度データをユーザの基準系(垂直方向、横方向、前進および後退方向)に分解するために使用される場合、加速度計の装着位置はまた、横(横方向)加速度の支配的な期間を、加速度データまたは加速度の大きさの垂直成分の支配的な期間と比較することにより決定され得る。支配的な期間が同一である(またはそれぞれの許容可能な許容差のレベル内である)場合、ユーザデバイスまたは中央サーバは、加速度計がユーザの手足(例えば、ユーザの手首または足首)に装着/携帯される可能性が高いことを決定できる。本発明者らは、この場合、許容可能なレベルの許容差がそれぞれ10%から15%内であることを見出した。支配的な期間は、自己相関関数(ゼロ遅延ピーク後)の最大ピークに対応する遅延であり、このシナリオでは、歩幅周期に対応する。類似の分析は、分解された加速度データの周波数プロットに関して、行われ得る。
【0088】
しかしながら、横加速度の支配的な期間が垂直方向の加速度成分または加速度の大きさの支配的な期間の約2倍であり、横加速度成分が垂直方向の加速度成分または加速度の大きさの支配的な期間でほとんどエネルギーを有していない、または全くエネルギーを有していない場合、ユーザデバイスまたは中央サーバは、加速度計が身体のより中心部の位置、例えば、ユーザの胸または腰に携帯/装着されている可能性が高いことを決定できる。(このシナリオでは、横成分の支配的な期間は歩幅周期である一方、垂直方向/大きさの支配的な期間はステップ周期である。)
【0089】
前述の実施形態において、加速度データを処理するソフトウェアアプリケーションは、ユーザデバイス内に搭載された。中央サーバが前述のステップ/歩幅分析を実施するように、同一または同様のソフトウェアが中央サーバのコンピュータに提供されてもよい。このソフトウェアアプリケーションは、キャリア信号上または有形のコンピュータ可読媒体上にコンピュータ実装可能な命令として提供されてもよい。あるいは、ソフトウェアアプリケーションの機能は、FPGAやASICデバイス内などのハードウェア回路に定義されてもよい。
【0090】
上記の説明から、異なる実施例の多くの特徴は、交換可能であり、組み合わせ可能であることが理解されるであろう。本開示は、特に言及されていない方法で一緒に組み合わされた異なる実施例からの特徴を含むさらなる実施例に及ぶ。実際に、上記の実施例に提示された特徴は多数あり、これらを互いに有利に組み合わせ得ることは、当業者には明らかであろう。
【0091】
前述の実施形態において、様々な遅延または期間が計算された。当業者であれば理解できるように、対応する周波数が決定されれば、このような期間の決定は発生する。具体的には、前述の実施形態において、ステップ周期と歩幅周期とが決定される。明らかに、ステップ周波数または歩幅周波数が決定される場合、これは対応するステップ周期または歩幅周期も同様に決定されることを暗に意味して、特許請求の範囲は、前記期間/遅延に代わってまたはそれに加えて、このような周波数の決定を網羅することを意図している。
【0092】
また、本願は、本発明の様々な態様を定義する以下の番号の項を含む。
【0093】
項1
移動中に加速度計を携帯するユーザの運動情報を決定する装置であって、
1つ以上のプロセッサとメモリとを有してなり、
プロセッサとメモリとは、
ユーザの運動に起因する加速度計が受ける加速度であって、加速度計に関連する基準系に対して定義される加速度を定義する加速度データを加速度計から受信して、
その基準系をユーザの進行方向とユーザの進行方向を横断する横方向とを含むユーザの基準系に変換する変換を加速度データまたは加速度データから得られるデータに適用して、
ユーザの歩幅周期またはステップ周期のいずれかに対応する期間を決定するために、加速度データまたは加速度データから得られるデータを分析して、
決定された期間がユーザの歩幅周期またはユーザのステップ周期のいずれに対応するかを明確にするために、前記横方向の加速度についての情報を使用する、
ように構成される、
装置。
【0094】
項2
プロセッサとメモリとは、決定された期間がユーザの歩幅周期またはユーザのステップ周期のいずれに対応するかを明確にするために、前記横方向と前記進行方向との加速度についての情報を使用するように構成される、
項1記載の装置。
【0095】
項3
プロセッサとメモリとは、ユーザの前記歩幅周期または前記ステップ周期のいずれかに対応する前記期間を決定するために第1自己相関関数を決定するように構成される、
項1または2記載の装置。
【0096】
項4
プロセッサとメモリとは、ユーザの歩幅周期またはユーザのステップ周期に対応する自己相関遅延で第1自己相関関数のピークを特定するために第1自己相関関数を処理するように構成される、
項3記載の装置。
【0097】
項5
プロセッサとメモリとは、ゼロ遅延ピーク後の第1自己相関関数における最高ピークを特定して、特定された最高ピークに関連する自己相関遅延としてユーザの歩幅周期またはユーザのステップ周期に対応する期間を決定するために、第1自己相関関数を処理するように構成される、
項4記載の装置。
【0098】
項6
前記プロセッサとメモリとは、前記横方向の加速度の第2自己相関関数を決定するように構成されて、第2自己相関関数がステップ周期または歩幅周期に対応する自己相関遅延の付近にピークを含むか否かに基づいて、期間が歩幅周期またはステップ周期のいずれに対応するかを明確にするように構成される、
項4または5記載の装置。
【0099】
項7
前記プロセッサとメモリとは、前記横方向の加速度の第2自己相関関数と前記進行方向の加速度の第3自己相関関数とを決定するように構成されて、第2自己相関関数がステップ周期または歩幅周期に対応する自己相関遅延の付近にピークを含むか否かに基づいて、期間が歩幅周期またはステップ周期のいずれに対応するかを明確にするように構成される、
項4、5、または6記載の装置。
【0100】
項8
プロセッサとメモリとは、ユーザが歩行もしくは走行しているか、または歩行もしくは走行していないかを確認するために、第1自己相関関数と、第2自己相関関数と、第3自己相関関数と、を使用するように構成される、
項7記載の装置。
【0101】
項9
前記第1自己相関関数は、前記加速度データに対してまたは前記加速度データから得られるデータに対して計算される、
項3乃至8のいずれか一項に記載の装置。
【0102】
項10
前記第1自己相関関数は、ユーザの基準系における加速度を定義する変換された加速度データに対して計算される、
項3乃至9のいずれか一項に記載の装置。
【0103】
項11
プロセッサとメモリとは、加速度データまたは加速度データから得られるデータの第1軸を垂直軸と位置合わせする第1変換を決定して、適用するように構成される、
項1乃至10のいずれか一項に記載の装置。
【0104】
項12
プロセッサとメモリとは、加速度データまたは加速度データから得られるデータの第2軸を前記進行方向と位置合わせして、加速度データまたは加速度データから得られるデータの第3軸を前記横方向と位置合わせする第2変換を決定して、適用するように構成される、
項11記載の装置。
【0105】
項13
前記第2変換は、回転を含む、
項12記載の装置。
【0106】
項14
プロセッサとメモリとは、
横方向の加速度についての情報が進行方向の加速度についての情報に一致する場合、決定された期間がユーザの歩幅周期に対応することを決定して、
横方向の加速度についての情報が進行方向の加速度についての情報に一致しない場合、決定された期間がユーザのステップ周期に対応することを決定する、
ように構成される、
項1乃至13のいずれか一項に記載の装置。
【0107】
項15
ユーザの基準系は、進行方向と横方向との両方を横断する垂直方向を含む、
項1乃至14のいずれか一項に記載の装置。
【0108】
項16
プロセッサとメモリとは、加速度データ内で歩行または走行の期間を特定するために加速度データを処理するように構成されて、特定された歩行または走行の期間内からの加速度データを使用して、ユーザの歩幅周期またはステップ周期のいずれかに対応する前記期間を決定するように構成される、
項1乃至15のいずれか一項に記載の装置。
【0109】
項17
進行方向と横方向とは、受信された加速度データ中に最大可変性と最小可変性とを有する水平面内の方向として特定される、
項1乃至16のいずれか一項に記載の装置。
【0110】
項18
プロセッサとメモリとは、歩行または走行に対応する運動に対するユーザのステップカウントを決定するために、明確にされたステップ周期または歩幅周期を使用するようにさらに構成される、
項1乃至17のいずれか一項に記載の装置。
【0111】
項19
移動中に加速度計を携帯するユーザの運動情報を決定する装置であって、
1つ以上のプロセッサとメモリとを有してなり、
プロセッサとメモリとは、
ユーザの運動に起因する加速度計が受ける加速度であって、加速度計に関連する基準系に対して定義される加速度を定義する加速度データを加速度計から受信して、
その基準系をユーザの進行方向とユーザの進行方向を横断する横方向とを含むユーザの基準系に変換する変換を加速度データまたは加速度データから得られるデータに適用して、
加速度データまたは加速度データから得られるデータの第1自己相関関数を決定して、
前記進行方向の加速度の第2自己相関関数を決定して、
前記横方向の加速度の第3自己相関関数を決定して、
第1自己相関関数と、第2自己相関関数と、第3自己相関関数と、を使用して、ユーザが歩行しているか、歩行していないか、走行しているか、または走行していないかを決定するように構成される、
装置。
【0112】
項20
移動中に加速度計を携帯するユーザの運動情報を決定する装置であって、
1つ以上のプロセッサとメモリとを有してなり、
プロセッサとメモリとは、
複数の時点それぞれに対して、加速度計の向きにより定義される複数の第1直交方向に対する加速度値であって、所定時点で複数の第1直交方向の一方向における加速度計の加速度をそれぞれ示す加速度値を含む加速度データを加速度計から受信して、
その加速度データを、複数の時点それぞれに対してユーザの向きにより定義される複数の第2直交方向に対する加速度値であって、ユーザの進行方向とユーザの進行方向を横断する横方向とを含む複数の第2直交方向の一方向における加速度計の加速動作をそれぞれ示す加速度値を含む変換された加速度データに変換して、
ユーザの歩幅周期またはステップ周期のいずれかに対応する期間を決定するために、加速度データまたは変換された加速度データの少なくとも一部を分析して、
決定された期間がユーザの歩幅周期またはユーザのステップ周期のいずれに対応するかを明確にするために、少なくとも前記横方向のユーザの運動に関する変換された加速度データを使用する、
ように構成される、
装置。
【0113】
項21
装置は、ユーザにより携帯されるユーザデバイスの一部を構成して、
加速度計は、ユーザデバイスの一部を構成するか、またはユーザデバイスと通信するように構成される、
項1乃至20のいずれか一項に記載の装置。
【0114】
項22
少なくとも1つのプロセッサとメモリとは、歩行または走行時、ユーザにより携帯される複数の加速度計から加速度データを取得するように構成されて、
ステップ周期または歩幅周期は、複数の加速度計からの加速度データを使用して決定される、
項1乃至21のいずれか一項に記載の装置。
【0115】
項23
少なくとも1つのプロセッサとメモリとは、各加速度計からの加速度データを使用して、各ステップ周期または各歩幅周期を決定するように構成されて、i)取得されたステップ周期または歩幅周期を平均化して、またはii)1つの加速度計からの加速度データから決定されたステップ周期または歩幅周期を、他の加速度計から取得された加速度データまたは加速度データから得られるデータを使用して検証するように構成される、
項22記載の装置。
【0116】
項24
加速度計は、ユーザにより携帯される同じユーザデバイスに搭載されるか、または加速度計は、ユーザにより携帯される異なるユーザデバイスに搭載される、
項22または23記載の装置。
【0117】
項25
加速度計は、ユーザにより携帯される異なるユーザデバイスに、異なる装着位置で搭載される、
項24記載の装置。
【0118】
項26
移動中に加速度計を携帯するユーザの運動情報を決定する装置であって、
ユーザの運動に起因する加速度計が受ける加速度であって、加速度計に関連する基準系に対して定義される加速度を定義する加速度データを加速度計から受信する手段と、
その基準系をユーザの進行方向とユーザの進行方向を横断する横方向とを含むユーザの基準系に変換する変換を加速度データまたは加速度データから得られるデータに適用する手段と、
ユーザの歩幅周期またはステップ周期のいずれかに対応する期間を決定するために、加速度データまたは加速度データから得られるデータを分析する手段と、
決定された期間がユーザの歩幅周期またはユーザのステップ周期のいずれに対応するかを明確にするために、前記横方向の加速度についての情報を使用する手段と、
を備える、
装置。
【0119】
項27
移動中に加速度計を携帯するユーザの運動情報を決定する方法であって、
ユーザの運動に起因する加速度計が受ける加速度であって、加速度計に関連する基準系に対して定義される加速度を定義する加速度データを加速度計から受信する工程と、
その基準系をユーザの進行方向とユーザの進行方向を横断する横方向とを含むユーザの基準系に変換する変換を加速度データまたは加速度データから得られるデータに適用する工程と、
ユーザの歩行または走行時のユーザの歩幅周期またはステップ周期のいずれかに対応する期間を決定するために、加速度データまたは加速度データから得られるデータを分析する工程と、
決定された期間がユーザの歩幅周期またはユーザのステップ周期のいずれに対応するかを明確にするために前記横方向の加速度についての情報を使用する工程と、
を含む、
方法。
【0120】
項28
プログラマブルコンピュータデバイスを項1乃至26のいずれか一項に記載の装置として構成させるコンピュータ実装可能な命令を含む、
有形コンピュータ可読媒体。
【0121】
項29
複数のユーザデバイスと通信する中央コンピュータを含む臨床試験システムであって、
ユーザデバイスのそれぞれは、ユーザデバイスに関連付けられたユーザの運動に対する加速度データを収集するように構成されて、
中央コンピュータまたは少なくとも1つのユーザデバイスは、加速度データを分析する、
項1乃至26のいずれか一項に記載の装置を備える、
臨床試験システム。
【0122】
項30
移動中に加速度計を携帯するユーザの運動情報を決定する装置であって、
1つ以上のプロセッサとメモリとを有してなり、
プロセッサとメモリとは、
ユーザの運動に起因する加速度計が受ける加速度であって、加速度計に関連する基準系に対して定義される加速度を定義する加速度データを加速度計から受信して、
変換された加速度データまたは加速度データから得られる変換されたデータを提供するために、その基準系をユーザの進行方向とユーザの進行方向を横断する横方向とを含むユーザの基準系に変換する変換を加速度データまたは加速度データから得られるデータに適用して、
前記横方向の加速度についての情報を決定するために、変換された加速度データまたは加速度データから得られる変換されたデータを処理して、
加速度データまたは加速度データから得られるデータの自己相関関数または周波数関数における最大ピークに対応する期間を決定するために、加速度データまたは加速度データから得られるデータを分析して、ここで、決定された期間は不明瞭であり、ユーザの歩幅周期またはステップ周期に対応して、
決定された期間がユーザの歩幅周期またはユーザのステップ周期のいずれに対応するかを明確にするために、前記横方向の加速度についての前記情報を使用する、
ように構成される、
装置。
【0123】
項31
移動中に加速度計を携帯するユーザの運動情報を決定する装置であって、
1つ以上のプロセッサとメモリとを有してなり、
プロセッサとメモリとは、
ユーザの運動に起因する加速度計が受ける加速度であって、加速度計に関連する基準系に対して定義される加速度を定義する加速度データを加速度計から受信して、
変換された加速度データまたはi)ユーザの進行方向の加速度に関する加速度データと、ii)ユーザの進行方向を横断する横方向の加速度に関する加速度データと、を含む加速度データから得られる変換されたデータを提供するために、その基準系を前記進行方向と前記横方向とを含むユーザの基準系に変換する変換を加速度データまたは加速度データから得られるデータに適用して、
加速度データまたは加速度データから得られるデータの第1自己相関関数を決定して、
前記変換された加速度データまたは加速度データから得られる前記変換されたデータに含まれる前記進行方向の加速度に関する前記加速度データの第2自己相関関数を決定して、
前記変換された加速度データまたは加速度データから得られる前記変換されたデータに含まれる前記横方向の加速度に関する前記加速度データの第3自己相関関数を決定して、
第1自己相関関数と、第2自己相関関数と、第3自己相関関数と、を使用して、ユーザが歩行しているか、歩行していないか、走行しているか、または走行していないかを決定する、
ように構成される、
装置。
【0124】
項32
移動中に加速度計を携帯するユーザの運動情報を決定する方法であって、
ユーザの運動に起因する加速度計が受ける加速度であって、加速度計に関連する基準系に対して定義される加速度を定義する加速度データを加速度計から受信する工程と、
変換された加速度データまたは加速度データから得られる変換されたデータを提供するために、その基準系をユーザの進行方向とユーザの進行方向を横断する横方向とを含むユーザの基準系に変換する変換を加速度データまたは加速度データから得られるデータに適用する工程と、
前記横方向の加速度についての情報を決定するために、変換された加速度データまたは加速度データから得られる変換されたデータを処理する工程と、
加速度データまたは加速度データから得られるデータの自己相関関数または周波数関数における最大ピークに対応する期間を決定するために、加速度データまたは加速度データから得られるデータを分析する工程であって、決定された期間は不明瞭であり、ユーザが歩行または走行しているとき、ユーザの歩幅周期またはステップ周期のいずれかに対応する、分析する工程と、
決定された期間がユーザの歩幅周期またはユーザのステップ周期のいずれに対応するかを明確にするために、前記横方向の加速度についての前記情報を使用する工程と、
を含む、
方法。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
【国際調査報告】