(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-14
(54)【発明の名称】制御崩壊を示す固形洗浄組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 17/00 20060101AFI20230804BHJP
B01J 20/26 20060101ALI20230804BHJP
C11D 1/28 20060101ALI20230804BHJP
C11D 1/14 20060101ALI20230804BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
C11D17/00
B01J20/26 D
C11D1/28
C11D1/14
C11D3/37
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023502724
(86)(22)【出願日】2021-07-01
(85)【翻訳文提出日】2023-02-14
(86)【国際出願番号】 IB2021055914
(87)【国際公開番号】W WO2022013668
(87)【国際公開日】2022-01-20
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522236350
【氏名又は名称】ジョンソン アンド ジョンソン コンシューマー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ペレイラ・アリーン
【テーマコード(参考)】
4G066
4H003
【Fターム(参考)】
4G066AC01D
4G066AC17B
4G066AC35B
4G066CA43
4G066EA20
4H003AB03
4H003AB21
4H003AB22
4H003AB27
4H003BA01
4H003DA02
4H003EB28
4H003EB41
4H003ED02
(57)【要約】
(I)第1相と、(II)第2相とを含む固形洗浄組成物であって、(I)第1相が、(a)固体界面活性剤と、(b)崩壊剤と、(c)潤滑剤とを含む成分の混合物を含み、(2)第2相が、(d)超吸収性ポリマーと、(e)結合剤とを含む、固形洗浄組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)第1相と、(II)第2相とを含む固形洗浄組成物であって、前記(I)第1相が、(a)固体界面活性剤と、(b)崩壊剤と、(c)潤滑剤と、を含む成分の混合物を含み、前記(2)第2相が、(d)超吸収性ポリマーと、(e)結合剤と、を含む、固形洗浄組成物。
【請求項2】
前記(a)固体界面活性剤が、ラウリルスルホコハク酸二ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、Jordapon、又はそれらの混合物から選択されている、請求項1に記載の固形組成物。
【請求項3】
前記(b)崩壊剤が、アルファ化デンプン、ラクトース200メッシュ又はそれらの混合物から選択されている、請求項1又は2に記載の固形組成物。
【請求項4】
前記選択された(c)潤滑剤が、ステアリン酸マグネシウムである、請求項1~3のいずれか一項に記載の固形組成物。
【請求項5】
前記(c)超吸収性ポリマーが、デンプングラフト化超吸収性ポリマー又はそれらの混合物から選択されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の固形組成物。
【請求項6】
前記(d)結合剤が、水である、請求項1~5のいずれか一項に記載の固形組成物。
【請求項7】
前記(I)第1相及び前記(II)第2相が、各相の少なくとも1つの層を含む層状に配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の固形組成物。
【請求項8】
前記(I)第1相及び前記(II)第2相が層状に配置され、前記第1相が少なくとも2つの層に分割され、前記第2相が前記第1相の2つの層の間に挟まれている、請求項1~6に記載の固形組成物。
【請求項9】
前記(I)第1相及び前記(II)第2相が層状に配置され、前記第2相が少なくとも2つの層に分割され、前記第1相が前記第2相の2つの層の間に挟まれている、請求項1~6に記載の固形組成物。
【請求項10】
前記(I)第1相が、約50%~約90%の崩壊剤と、約7%~約47%の界面活性剤と、約1%~約30%の潤滑剤とを含む、請求項1に記載の固形組成物。
【請求項11】
前記(I)第1相が、約60%~約80%の崩壊剤と、約17%~約37%の界面活性剤と、約1%~約20%の潤滑剤とを含む、請求項1に記載の固形組成物。
【請求項12】
前記(I)第1相が、約70%の崩壊剤と、27%の界面活性剤と、3%の潤滑剤とを含む、請求項1に記載の固形組成物。
【請求項13】
前記(I)第1相と前記(II)第2相との質量比が約1:1である、請求項1に記載の固形組成物。
【請求項14】
本明細書に記載の試験アッセイに供した場合に約1~約15分間、一体の状態を維持する、請求項1に記載の固形組成物。
【請求項15】
本明細書に記載の試験アッセイに供した場合に、その質量を約33%~約116%増大させることによって膨潤する、請求項1に記載の固形組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄組成物に関する。より詳細には、本発明は、固形洗浄組成物、及びそれを得る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄組成物は、我々の社会で広く使用されている。これらの組成物は、典型的には、新生児から高齢者まで、人々の人生のほとんど全ての段階で入浴、手洗い、身体及び毛髪を洗うために使用されている。洗浄組成物はまた、ペットを含む他の哺乳動物のケア及び衛生にも使用される。
【0003】
洗浄組成物の最も従来的な形態は、油脂を水酸化ナトリウムなどの水性アルカリの存在下で加熱することで石鹸とアルコールとに変換するプロセスである、鹸化によって得られるバーソープである。鹸化により得られる場合、得られる洗浄配合物は、皮膚のバランスを崩すことがある低いpHを示す傾向がある。そのpHに加えて、そのような配合物は、皮膚から脂質を過剰に除去する傾向があり、使用者に乾燥又は不快感をもたらす。しかしながら、このようなバーは安価に入手され、数回の洗浄手順で長持ちする。
【0004】
更に、このようなバーは使用が容易であり、濡れた皮膚上で単にこするだけで洗浄泡を泡立てるのに十分である。好ましい点として、バーソープは嵩高く、したがって消費者が使用中にバーソープをつかむ助けになる。
【0005】
鹸化によって得られるバーソープに代わるものとして、概して皮膚に優しく、環境に有害なものとしてではない、合成界面活性剤を含む洗浄配合物がある。このような配合物は一般に液体粘性物の形態でみられる。有利な点として皮膚に優しいのにもかかわらず、これらの配合物はフラスコ又はボトルにパッケージングする必要がある。更に、これらの配合物は、泡立ちを促進するように、また早く洗い流されることを避けるために、好ましくはスポンジによって皮膚に適用される。更に好ましくは、このようなボトルは、スポンジ上に又は皮膚に直接注がれる配合物の正しい量を使用者が適切に選択することを助ける複雑な分注手段を備える。
【0006】
液体洗浄配合物にみられる別の不利益として、それらが典型的には大量の水を含み、販売時に輸送及び保管される容積が大きくなることがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、現在入手可能な洗浄組成物を使用する際にみられるいくつかの不利益を打開するための新規な洗浄組成物を見出した。
【0008】
第1の態様において、本発明は、(I)第1相と、(II)第2相と、を含む固形洗浄組成物であって、(I)第1相が、(a)固体界面活性剤と、(b)崩壊剤と、(c)潤滑剤と、を含む成分の混合物を含み、(II)第2相が、(d)超吸収性ポリマーと、(e)結合剤と、を含む、固形洗浄組成物からなる。
【0009】
本発明の好ましい実施形態において、好適な(a)固体界面活性剤は、Plantapon SUS(ラウリルスルホコハク酸二ナトリウム)、Coliform SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)、又はJordapon(ココ脂肪酸、2-スルホエチルエステル、ナトリウム塩)であり、好適な(b)崩壊剤は、アルファ化デンプン、又はラクトース200メッシュであり、好適な(c)潤滑剤はステアリン酸マグネシウムであり、好適な(d)超吸収性ポリマーは、デンプングラフト化超吸収性ポリマー(SGSAP)であり好適な(e)結合剤は、水である。
【0010】
更に本発明によれば、(I)第1相と(II)第2相とは、互いに隣接して層状に配置されている。
【0011】
本発明の第2の態様において、固形組成物は単回使用固形洗浄組成物であり、液体に曝露されると、(I)第1相が泡を生成し、(II)第2相が膨潤する。固形組成物は、使用時には限定的な時間にわたって一体化した状態を保ち、その限界に達すると崩壊する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本明細書に記載される試料を得るために使用される成形型を示す。
【
図2】試験した試料の崩壊特性のグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の態様において、本発明は、(I)第1相と、(II)第2相と、を含む固形洗浄組成物であって、(I)第1相が、(a)固体界面活性剤と、(b)崩壊剤と、(c)潤滑剤と、を含む成分の混合物を含み、(II)第2相が、(d)超吸収性ポリマーと、(e)結合剤と、を含む、固形洗浄組成物からなる。
【0014】
本発明の好ましい実施形態において、好適な(a)固体界面活性剤は、Plantapon SUS(ラウリルスルホコハク酸二ナトリウム)、Coliform SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)、又はJordapon(ココ脂肪酸、2-スルホエチルエステル、ナトリウム塩)である。好適な(b)崩壊剤は、アルファ化デンプン、又はラクトース200メッシュであり、好適な(c)潤滑剤はステアリン酸マグネシウムであり、好適な(d)超吸収性ポリマーは、デンプングラフト化超吸収性ポリマー(SGSAP)であり好適な(e)結合剤は水である。
【0015】
更に本発明によれば、(I)第1相と(II)第2相とは、互いに隣接して層状に配置されている。
【0016】
本発明の第2の態様において、固形組成物は単回使用固形洗浄組成物であり、液体に曝露されると、(I)第1相が泡を生成し、(II)第2相が膨潤する。固形組成物は、使用時には十分な時間にわたって一体化した状態を保ち、その限界に達すると崩壊する。
【0017】
界面活性剤は、ミセルと呼ばれる物質、すなわち、溶液(水相又は油相)中で自己集合分子のクラスターを形成し、溶液と、異なる相(気体/固体)との間の界面に吸着する化学物質である。界面活性剤は、それぞれ疎水性及び親水性と呼ばれる2つの異なる官能基を有する化学構造を有し、同じ分子内で異なる親和性を有する必要がある。通常、界面活性剤は両方とも8~22個の炭素を有するアルキル鎖を有する。この鎖は疎水性基であり、水に対して親和性を示さない(界面活性剤は多くの場合水系で使用されるので、その鎖は疎水性基と呼ばれるが、脂質系で使用される場合、その鎖は親油性基と呼ばれる)。界面活性剤分子は、水に対する親和性を有する親水性基と呼ばれる官能基も有する。2つの反対の機能を有するこの種の構造は、両親媒性構造として知られている(Sakamoto,K.et al.Cosmetic Science and Technology:Theoretical Principles and Applications(Cambridge,MA,Elsevier Inc.,2017).pp.231-244)のNakama,Y.”Chapter 15:Surfactants.”を参照)。本発明に好適な界面活性剤は、Plantapon SUS(ラウリルスルホコハク酸二ナトリウム)、Coliform SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)、又はJordapon(ココ脂肪酸、2-スルホエチルエステル、ナトリウム塩)のような固体界面活性剤である。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「崩壊剤」及びその変化形は、湿潤時にその相の崩壊を促進するために組成物中に含まれる成分に関する。崩壊を促進する以外に、崩壊剤は希釈剤ともなり得ることから、本明細書に記載される場合、崩壊剤という用語には充填剤の機能も包含される。更に検討されるように、圧縮性は、本発明の固形組成物に含まれる崩壊に見出される重要な特性である。好適な崩壊剤は、アルファ化デンプンのようなデンプン、又はラクトース200メッシュである。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「潤滑剤」及びその変化形は、成分の適切な混合を促進する成分、詳細には組成物の製造中の混合粒子の運動を促進する成分に関する。本発明によれば、好ましいが必須ではない潤滑剤は、混合粒子の運動を助け、その結果、圧縮工程中の混合粒子の流動を容易にする。したがって、好ましい潤滑剤として、ステアリン酸マグネシウムがある。
【0020】
超吸収性ポリマー(SAP)は、適度な圧力下の水性流体中でそれ自体の重量の少なくとも10倍の大量の水を吸収することができる一群の材料である。概して、SAPは、溶解を防止するために架橋されたポリマー鎖の網状構造で構成される。通常、ポリマー鎖に沿ってイオン性官能基が存在し、網状構造内での水の拡散を促進する。ポリアクリレートは、SAP産業で最も一般的にみられる材料である。超吸収性ポリアクリレートは、アクリル酸を架橋剤と重合させることによって調製される(Nnadi,F.and Brave,C.Environmentally friendly superabsorbent polymers for water conservation in agricultural lands.Journal of Soil Science and Environmental Management,Vol.2(7)(July 2011),pp.206-211を参照)。
【0021】
好ましくは、本発明の洗浄組成物に含まれる超吸収性ポリマーは、通常の超吸収性ポリマーと比較してより高い生分解性を示すことから、デンプングラフト化超吸収性ポリマー(SGSAP)である。
【0022】
好適なSGSAPとしては、Corno Cascasdes LLC(Beaverton,Oregon,USA)により供給されている、名称XGF 450のデンプンベースのポリアクリル酸ナトリウムグラフトポリマーがある。
【0023】
他の既知のSGSAPとしては、とりわけ、Sanyo Chemical Industries三洋化成工業によりSanfresh ST-100C、ST100MC、IM-300MCの名称で、Grain ProcessingによりWater Lock A-240、A-180、B-204、D-223、A-100、C-200、D-223の名称で販売されているもの、Evonik製のFAVOR(登録商標)max2010及びFAVOR(登録商標)max2020)がある。
【0024】
本発明の実施形態
多層単回使用固形洗浄製品であって、
・少なくとも1つの界面活性剤層であって、固体界面活性剤(好ましくは界面活性剤層の約20~約40重量%)と、崩壊剤(好ましくは界面活性剤層の約60~約80重量%)と、任意に潤滑剤(好ましくは当該界面活性剤層の約5重量%未満、より好ましくは1重量%~5重量%、更により好ましくは2重量%~5重量%)と、を含む、少なくとも1つの界面活性剤層と、
・構造剤(SAP)と、結合剤と、を含む少なくとも1つの構造層と、を含み、
・上記に記載のように崩壊性である、多層単回使用固形洗浄製品。
【0025】
上記に記載の多層単回使用固形洗浄製品であって、
・固体界面活性剤が、アルキルスルホスクシネート、アルキルサルフェート、脂肪族スルホエステル、好ましくはスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、又はココ脂肪酸2-スルホエチルエステルナトリウム塩からなる群から選択されている穏和な界面活性剤である、多層単回使用固形洗浄製品。
【0026】
上記に記載の多層単回使用固形洗浄製品であって、
・当該崩壊剤が、カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、又はラクトースを含むリストで選択され、好ましくは、アルファ化デンプン、又はラクトース200メッシュの中から選択されている、多層単回使用固形洗浄製品。
【0027】
上記に記載の多層単回使用固形洗浄製品であって、
・当該固形洗浄製品が潤滑剤を含み、当該潤滑剤がステアリン酸マグネシウムである、多層単回使用固形洗浄製品。
【0028】
上記に記載の多層単回使用固形洗浄製品であって、
・当該構造剤が、超吸収性ポリマーである(好ましくはデンプンベースのポリアクリル酸ナトリウムグラフト化ポリマーであり、好ましくは当該構造層の少なくとも約50重量%、より好ましくは当該構造層の55重量%~80重量%を構成する)、多層単回使用固形洗浄製品。
【0029】
上記に記載の多層単回使用固形洗浄製品であって、
・当該結合剤が、水、アルコール、グリセリン、又はグリセロールからなる群から選択されている(好ましくは、当該結合剤は水であり、好ましくは当該構造層の約50重量%未満、より好ましくは当該構造層の20重量%~45重量%を構成する)、多層単回使用固形洗浄製品。
【0030】
上記に記載の多層単回使用固形洗浄製品であって、
・当該固体界面活性剤、崩壊剤、潤滑剤及び構造剤が、生分解性である、多層単回使用固形洗浄製品。
【0031】
上記に記載の多層単回使用固形洗浄製品であって、
・1つの界面活性層と、1つの構造層と、を含む、多層単回使用固形洗浄製品。
【0032】
上記に記載の多層単回使用固形洗浄製品であって、
・2つの構造層の間に配置されている1つの界面活性層を含む、多層単回使用固形洗浄製品。
【0033】
上記に記載の多層単回使用固形洗浄製品であって、
・2つの界面活性層の間に配置されている1つの構造層を含む、多層単回使用固形洗浄製品。
【0034】
上記に記載の多層単回使用固形洗浄製品であって、
・60重量%~80重量%、好ましくは65重量%~75重量%の当該界面活性層を含む、多層単回使用固形洗浄製品。
【0035】
上記に記載の多層単回使用固形洗浄製品であって、
・20重量%~40重量%、好ましくは当該構造層の25重量%~35重量%の当該構造層を含む、多層単回使用固形洗浄製品。
【0036】
上記に記載の多層単回使用固形洗浄製品であって、
・錠剤を得るために各層同士が互いに直接圧縮されている、多層単回使用固形洗浄製品。
【0037】
多層単回使用固形洗浄製品の製造方法であって
・固体界面活性剤と、崩壊剤と、任意に潤滑剤と、を含む少なくとも1つの界面活性剤層と、構造剤(SAP)及び結合剤を含む少なくとも1つの構造層と、を接触させて配置する工程と、
・重ね合わされた少なくとも2つの層を、少なくとも700psiの直接圧縮力まで、少なくとも1サイクル、任意に複数サイクルで、圧縮する工程と、を含む、方法。
【0038】
上記に記載の多層単回使用固形洗浄製品の、
・パーソナルケア製品における化粧品用途のための使用。
【0039】
上記に記載の多層単回使用固形洗浄製品であって、
・2~15分の崩壊時間を有し、泡を生成し、当該少なくとも1つの構造層が膨潤してスポンジテクスチャを形成する、多層単回使用固形洗浄製品。
【0040】
上記の説明は、本発明に従って製造される例示的な組成物を代表するものであるが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、それらに様々な追加、改変、及び置換を行い得る点は理解されよう。したがって、ここに開示される実施例は、あらゆる点において、限定的なものではなく、例示的なものであるとみなされるべきであり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示され、前述の説明に限定されることはない。
【0041】
本発明の固形組成物の第1相を得るために作製される好適な組成物:
【0042】
【0043】
本発明の固形組成物の第2相を得るために作製される好適な組成物:
【0044】
【実施例】
【0045】
以下の試料を調製し、それぞれ4A、4B、5A、5B、5C、及び6Aとラベリングした。
【0046】
5A-第1相としての混合物5の2つの層と、その中間に挟まれた第2相の組成物の単一の層の3層を含むものとした。
【0047】
6A-第2相の組成物の単一の層に対向した、第1相としての混合物6の単一の層の2層を含むものとした。
【0048】
4A-第2相の組成物の単一の層に対向した、第1相としての混合物4の単一の層の2層を含むものとした。
【0049】
5B-第2相の組成物の単一の層に対向した、第1相としての混合物5の単一の層の2層を含むものとした。
【0050】
5C-第2相の2つの層と、その中間に挟まれた混合物5の単一の層の3層を含むものとした。
【0051】
4B-第2相としての2つの層と、その間に挟まれた混合物4の単一の層の3層を含むものとした。
【0052】
試料は、第1相と第2相との比1:1に従った。したがって、各組成物試料はほぼ10gの重量であったので、5gの第1相の組成物と5gの第2相の組成物とを含んでいた。2つの層のみを含む実施形態では、互いに隣接して位置するそれらの第1相と第2相とを与えたのに対して、3つの層を与える実施形態では、それらの相の一方を2つのより薄い層に等しく分割し、他方の相が、分割された相の2つのより薄い層の間に挟まれた。
【0053】
更にそれに応じて、第1相の組成物と第2相の組成物とを予め混合し、別に取っておいた。第1相の粉末成分を秤量し、プラスチック袋に加えて1分間手で揺すって混合した。調製後、組成物を層状に成形型の中に入れ、層堆積の順序は試料の形態、すなわち2層状又は挟み込み(3層以上)に従った。
図1に示すように、成形型10は、「コイン」形の圧縮製品の最終寸法に対応した寸法を有するディスク型キャビティ12と、プレス機のラムに連結可能なプランジャ14とを有するものとした。成形型10は、3Dプリンタによって、内径5cm、厚さ/高さ1.5cmのABS樹脂(ABSプラス-P430製造グレードの熱可塑性プラスチック)で調製した。
【0054】
各組成物を成形型内に配置した後、空気圧プレス機によって750psiの圧力で5秒間圧縮し、それを3回繰り返した。
【0055】
圧縮の結果、粉末状組成物は実質的に一体化された固形物となった。より詳細には、「コイン」状の形状の固形洗浄組成物となった。
【0056】
崩壊アッセイ
崩壊アッセイの手順は、使用中の洗浄組成物の性能を模擬実験することを目的として計画した。次いで、固形組成物を、水撹拌によって与えられる一定の剪断応力下、水中に沈めた。その後、質量の変化のようなパラメータ、及び洗浄組成物の一体性のような他の目視観察結果を評価した。
【0057】
それに応じて、ステンレス鋼篩、温度計、ガラスビーカー、マグネチックバー、及びヒーターを備えたマグネチックスターラー(IKA-model RH Basic)を、以下により詳細に記載する崩壊アッセイで使用した。
【0058】
崩壊アッセイには、以下の工程が含まれた。
【0059】
工程1:容量1リットルのガラスビーカーに、通常の水道水750mLを入れる。
【0060】
工程2:600rpmの一定撹拌下で水温を37℃に加熱して維持する。
【0061】
工程3:ステンレス鋼篩を用いて、試験試料を完全に水中になるようにしてビーカー内に入れる。
【0062】
工程4:1分経過後に、ステンレス鋼篩をビーカーから取り出す。ペーパータオルを用いることで余分な水を除去する。
【0063】
工程5:ステンレス鋼篩を試験試料と一緒に、予めステンレス鋼篩の重量を風袋引きした精密化学天秤を使用することで秤量し、重量を記録する。
【0064】
工程6:試験試料の一体性の目視観察を行い、フォトカメラにより得られた写真で記録する。
【0065】
工程7:まだ一体化している場合には、ステンレス鋼篩をプロトタイプと一緒にビーカーに戻す。
【0066】
工程8:試験試料の完全な溶解が観察されるまで、工程3~7を繰り返す。
【0067】
試験結果
崩壊アッセイに従って試験した場合、更に又は上記で考察したように、試料間で異なる崩壊特性が観察され、崩壊までの一体性持続時間及び質量変化の差が観察された。
【0068】
第1相について異なる混合物を試験したところ、圧縮工程後に初期の一体性を達成することができなかった。ここで、試験した試料はいずれもその一体性について手作業で目視検査し、単位片として固形で一体化されたものと分かっている試料のみを試験した点に留意されたい。
【0069】
第1相の組成物として混合物4を含む試料は、一体の状態をより長い時間持続した試料である。試料4Bでは15分の持続時間、試料4Aでは13分の持続時間が観察された。
【0070】
それに応じて、試料4Bは、その質量が116.8%まで増加することで膨潤した。
【0071】
試料5Cは、持続時間が短く、一体の状態を1分間しか維持しなかった試料である。
【0072】
図2に示されるように、全ての試料が、試験中に質量の増加を示した。これは、各試料の第1相は水の撹拌下で崩壊したが、超吸収剤を含む第2相が水を吸収することによって増大したために起こったものと考えられる。
【0073】
試料6Aは、崩壊するまでにあまり膨潤しなかった試料である。この試料は、その質量が33.6%増加することで膨潤した。
【0074】
したがって、固形洗浄組成物のいくつかの所望の機能性に応じて、使用中の製品の崩壊及び膨潤を管理するために、異なる組成物及び構造を作製することができる。製品の大きな膨潤は、新品の固形ソープバーで典型的に知られている切断及び体積を想定しているが、鹸化の不利益は防止される、入浴用の洗浄製品で望まれることがある。より早く溶解する製品は、手洗い又は洗顔のような、より早い又は細かな洗浄手順で高く評価することができる。
【0075】
〔実施の態様〕
(1) (I)第1相と、(II)第2相とを含む固形洗浄組成物であって、前記(I)第1相が、(a)固体界面活性剤と、(b)崩壊剤と、(c)潤滑剤と、を含む成分の混合物を含み、前記(2)第2相が、(d)超吸収性ポリマーと、(e)結合剤と、を含む、固形洗浄組成物。
(2) 前記(a)固体界面活性剤が、ラウリルスルホコハク酸二ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、Jordapon、又はそれらの混合物から選択されている、実施態様1に記載の固形組成物。
(3) 前記(b)崩壊剤が、アルファ化デンプン、ラクトース200メッシュ又はそれらの混合物から選択されている、実施態様1又は2に記載の固形組成物。
(4) 前記選択された(c)潤滑剤が、ステアリン酸マグネシウムである、実施態様1~3のいずれかに記載の固形組成物。
(5) 前記(c)超吸収性ポリマーが、デンプングラフト化超吸収性ポリマー又はそれらの混合物から選択されている、実施態様1~4のいずれかに記載の固形組成物。
【0076】
(6) 前記(d)結合剤が、水である、実施態様1~5のいずれかに記載の固形組成物。
(7) 前記(I)第1相及び前記(II)第2相が、各相の少なくとも1つの層を含む層状に配置されている、実施態様1~6のいずれかに記載の固形組成物。
(8) 前記(I)第1相及び前記(II)第2相が層状に配置され、前記第1相が少なくとも2つの層に分割され、前記第2相が前記第1相の2つの層の間に挟まれている、実施態様1~6に記載の固形組成物。
(9) 前記(I)第1相及び前記(II)第2相が層状に配置され、前記第2相が少なくとも2つの層に分割され、前記第1相が前記第2相の2つの層の間に挟まれている、実施態様1~6に記載の固形組成物。
(10) 前記(I)第1相が、約50%~約90%の崩壊剤と、約7%~約47%の界面活性剤と、約1%~約30%の潤滑剤とを含む、実施態様1に記載の固形組成物。
【0077】
(11) 前記(I)第1相が、約60%~約80%の崩壊剤と、約17%~約37%の界面活性剤と、約1%~約20%の潤滑剤とを含む、実施態様1に記載の固形組成物。
(12) 前記(I)第1相が、約70%の崩壊剤と、27%の界面活性剤と、3%の潤滑剤とを含む、実施態様1に記載の固形組成物。
(13) 前記(I)第1相と前記(II)第2相との質量比が約1:1である、実施態様1に記載の固形組成物。
(14) 本明細書に記載の試験アッセイに供した場合に約1~約15分間、一体の状態を維持する、実施態様1に記載の固形組成物。
(15) 本明細書に記載の試験アッセイに供した場合に、その質量を約33%~約116%増大させることによって膨潤する、実施態様1に記載の固形組成物。
【国際調査報告】