(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-14
(54)【発明の名称】自動車照明装置の作動方法及び自動車照明装置
(51)【国際特許分類】
H05B 45/345 20200101AFI20230804BHJP
B60Q 1/04 20060101ALI20230804BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20230804BHJP
H05B 47/155 20200101ALI20230804BHJP
H05B 45/18 20200101ALI20230804BHJP
H05B 45/12 20200101ALI20230804BHJP
【FI】
H05B45/345
B60Q1/04 E
H05B47/105
H05B47/155
H05B45/18
H05B45/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504064
(86)(22)【出願日】2021-07-15
(85)【翻訳文提出日】2023-03-13
(86)【国際出願番号】 EP2021069912
(87)【国際公開番号】W WO2022017966
(87)【国際公開日】2022-01-27
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】ラビーフ、タレブ
【テーマコード(参考)】
3K273
3K339
【Fターム(参考)】
3K273PA07
3K273QA05
3K273QA20
3K273QA33
3K273SA03
3K273SA22
3K273SA24
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3K339MA06
3K339MA07
3K339MB05
3K339MC03
3K339MC48
(57)【要約】
発明は、自動車照明装置を作動させる方法であって、第1予備電流プロファイルを提供するステップと、第1予備電流プロファイルに関連する第1予備ディレーティング時間を算出するステップと、第2予備電流プロファイルを提供するステップと、第2予備電流プロファイルに関連する第2予備ディレーティング時間を算出するステップと、第1予備電流量より小さい電流の総量を提供する第1電流プロファイルを第1光モジュールに供給するステップと、第2予備電流量より大きい電流の総量を提供する第2電流プロファイルを第2光モジュールに供給するステップとを含む方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1光モジュール(1)及び第2光モジュール(2)を備え、前記光モジュールの一つ一つが固体光源(3)を備える自動車照明装置(10)を作動させるための方法であって、
- 前記第1光モジュール(1)が第1束閾値よりも大きな光束を生成するように、前記第1光モジュール(1)に給電するように第1予備電流プロファイル(11)を提供するステップと、
- 前記第1予備電流プロファイル(11)に関連する第1予備ディレーティング時間(21)を算出し、前記第1予備ディレーティング時間(21)まで前記第1予備電流プロファイル(11)が第1予備電流量を伴う、ステップと、
- 前記第2光モジュールが第2束閾値よりも大きな光束を生成するように、前記第2光モジュール(2)に給電するように第2予備電流プロファイル(12)を提供するステップと、
- 前記第2予備電流プロファイルに関連する第2予備ディレーティング時間(22)を算出し、前記第2予備ディレーティング時間(22)は前記第1予備ディレーティング時間(21)より長く、前記第2予備ディレーティング時間(22)まで前記第2予備電流プロファイル(12)が第2予備電流量を伴う、ステップと、
- 前記第1予備ディレーティング時間(21)まで算出された、前記第1予備電流量よりも小さい電流の総量を提供する第1電流プロファイル(11’)を、前記第1光モジュール(2)に供給するステップと、
- 前記第2予備ディレーティング時間(22)まで算出された、前記第2予備電流量よりも大きな総電流量を提供する第2電流プロファイル(12’)を、前記第2光モジュール(2)に供給するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1電流プロファイル(11’)及び前記第2電流プロファイル(21’)が、第1電流値で開始することと、所定の条件に達した場合に前記電流値を増加させることとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1電流値を取得するステップは、車両センサから情報を取得する機械学習アルゴリズムによって実行される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記車両センサは、温度センサ、車速センサ、ジオポジショニングセンサ、及びレーダー又はライダーセンサのうちの少なくともいくつかを含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記所定の条件は、測定された光束値が前記対応する束閾値を下回ることを含む請求項2~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
光源温度を取得するステップを更に含み、前記所定の条件は、前記光源温度が所定値に達することを含む請求項2又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記所定の条件は、タイムリミットに達したことを含む請求項2~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記電流値を増加させる前記ステップは、前記電流値を第1の値から第2の値に増加させることを含み、前記第2の値は、前記第1の値よりも大きいが、前記第1の値の1.1倍よりも小さい請求項2~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記電流値を増加させるステップは、前記電流値を第1の値から第2の値まで増加させることを含み、前記第2の値は、前記第1の値の1.05倍より低い請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記電流値を増加させるステップは、前記電流値を第1の値から第2の値まで増加させることを含み、前記第2の値は、前記第1の値の1.03倍より低い請求項9に記載の方法。
【請求項11】
所定の条件に関する電流値増加のシーケンスを記録するステップを更に含む請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記第1光モジュールはロービームモジュールであり、前記第2光モジュールはハイビームモジュールである請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記方法の前記ステップは、前記対応する光モジュールの前記光源の少なくとも10%に適用される請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
- 複数の固体光源(3)を含む第1光モジュール(1)と、
- 複数の固体光源(3)を含む第2光モジュール(2)と、
- 請求項1~13のいずれかに記載の方法の前記ステップを実行するためのコントロール要素(4)と、
を備える自動車照明装置。
【請求項15】
前記固体光源の前記温度を測定することが意図されるサーミスタ(5)を更に備える請求項14に記載の自動車照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車照明装置の分野に関し、より具体的には、これらの装置に含まれるこれらの光源の温度コントロールに関する。
【発明の概要】
【0002】
デジタル照明装置は、自動車メーカーによって、ミドルマーケット製品及びハイマーケット製品でますます採用されるようになってきている。
【0003】
これらのデジタル照明機器は、通常、固体光源を備え、当該固体光源の作動は温度に大きく依存する。
【0004】
これらの素子における温度コントロールは非常にデリケートな側面があり、通常はディレーティング(derating)によって行われ、当該ディレーティングは、光源に流す電流値を下げて、それに応じて出力束(output flux)及び作動温度が低下することを意味する。これは、光源の性能が、これらの過熱問題に対応するため大きくオーバーサイズさせる必要があることをもたらし、それによって、許容値を維持したまま作動値が低下させられうる。
【0005】
駆動状態にかかわらずヘッドランプ内に最適な性能を維持することは、非常に難しい。頻繁に、一つの照明モジュールが他の照明モジュールより早く熱くなり、それによってそのHLの大きな内部温度に起因して残りの照明モジュールを不利にする。この現象は最善ではなく、なぜならば、照明モジュールがディレーティングに陥ると、残りのモジュールも、まだディレーティング閾値に到達していないにもかかわらず、許容可能な均質性を保証するために影響を受けるからである。
【0006】
この問題はこれまで想定されていたが、それに関する解決策が提供される。
【0007】
発明は、発明による自動車照明装置を作動させるための方法によって、自動車照明装置の光源の温度を管理するための代替的な解決策を提供する。発明の好ましい実施形態は、従属請求項において定められる。
【0008】
特に定められない限り、ここで使用されるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、当該技術分野で慣用となっているものとして解釈される。更に、一般的な使用での用語も、ここでそのようなものとして明示的に定められない限り、関連する技術分野で慣用となっているものとして解釈されるべきであり、理想化された又は過度に形式的な意味ではないことが理解されよう。
【0009】
ここでのテキストにおいて、用語「備える」及びその派生語(「備えている」など)は、排除する意味で理解されるべきではなく、すなわち、これらの用語は、記載され及び定められるものが更なる要素、ステップなどを含む可能性を排除するものとして解釈されるべきではない。
【0010】
第1の発明の態様において、発明は、少なくとも第1光モジュール及び第2光モジュールを備え、光モジュールの一つ一つが固体光源を含む自動車照明装置を作動させる方法を提供し、当該方法は、
- 第1光モジュールが第1束閾値よりも大きな光束を生成するように、第1光モジュールに給電するように第1予備電流プロファイルを提供するステップと、
- 第1予備電流プロファイルに関連する第1予備ディレーティング時間を算出し、第1予備ディレーティング時間まで第1予備電流プロファイルが第1予備電流量を伴うステップと、
- 第2光モジュールが第2束閾値よりも大きな光束を生成するように、第2光モジュールに給電するように第2予備電流プロファイルを提供するステップと、
- 第2予備電流プロファイルに関連する第2予備ディレーティング時間を算出し、第2予備ディレーティング時間は第1予備ディレーティング時間より長く、第2予備ディレーティング時間まで第2予備電流プロファイルが第2電流量を伴うステップと、
- 第1予備ディレーティング時間まで算出された、第1予備電流量よりも小さい電流の総量を提供する第1電流プロファイルを、前記第1光モジュールに供給するステップと、
- 第2予備ディレーティング時間まで算出された、第2予備電流量よりも大きな総電流量を提供する第2電流プロファイルを、第2光モジュールに供給するステップと、
を含む。
【0011】
用語「固体」は、固体エレクトロルミネッセンスによって発せられる光に言及し、当該固体エレクトロルミネッセンスは、半導体を用いて電気を光に変換する。白熱照明に比べ、固体照明は、減じられた熱生成及びより小さなエネルギー散逸を伴う可視光線を作り出す。固体電子照明装置の典型的に小さな質量は、ガラス管/電球及び長く、薄いフィラメントワイヤに比べ、衝撃及び振動に対するより大きな抵抗を提供する。また、それらはフィラメント蒸発を取り除き、潜在的に照明装置の寿命を増大させる。これらの照明タイプのいくつかの例は、電気フィラメント、プラズマ又はガスではなく、照明の源として、半導体発光ダイオード(LEDs)、有機発光ダイオード(OLED)、又はポリマー発光ダイオード(PLED)を、含む。
【0012】
算出された第2予備ディレーティング時間が第1予備ディレーティング時間より長いということは、両方の光モジュールについて予備ディレーティング時間が算出され、そして第1光モジュールはより短いディレーティング時間を有するものであり、第2光モジュールはより長いディレーティング時間を有するものであることを意味する。
【0013】
最新鋭技術において、第1モジュールの予備ディレーティング時間は、照明装置全体の性能を危うくすることになり、なぜならばそれは、第2モジュールがまだそれを必要としないにもかかわらず、第2照明モジュールにディレーティングを受けさせることをもたらすからである。しかし、本発明の方法において、第2光モジュールのディレーティング時間は、第2予備ディレーティング時間よりも短く、第1光モジュールのディレーティング時間の増加をもたらす。したがって、グローバルディレーティング時間が延ばされ、束均質性を維持してより長い期間にわたって良好な性能を得る。
【0014】
いくつかの特定の実施形態において、第1電流プロファイル及び第2電流プロファイルは、第1電流値で開始し、所定の条件に達する場合に電流値を増加させることを含む。
【0015】
この方法によって、第1電流プロファイル及び第2電流プロファイルは、各瞬間に必要な最小限の電流を供給するように最適化され、必要に応じて電流を増加させる能力を有する。
【0016】
いくつかの特定の実施形態において、第1電流値を取得するステップは、車両センサから情報を取得する機械学習アルゴリズムによって実行される。
【0017】
機械学習アルゴリズムは、車両のさまざまなセンサから情報を取得し、さまざまな状況で学習とテストが行われて好ましくない光モジュールに関する最大ディレーティング時間を取得する。
【0018】
この機械学習アルゴリズムは、クラウドに置かれてもよいし、車両のコントロールユニットに組み込まれてもよい。
【0019】
いくつかの特定の実施形態において、車両センサは、温度センサ、車速センサ、ジオポジショニングセンサ(geopositioning sensor)、及びレーダー又はライダーセンサのうちの少なくともいくつかを含む。
【0020】
いくつかの特定の実施形態において、所定の条件は、測定された光束値が対応の束閾値を下回ることを含む。
【0021】
光束値は、それが照明デバイス作動に関する情報を提供する唯一のものではないが、重要なパラメータである。光束で電流値をコントロールすることは、照明モジュールの合計の許容作動を保証する。
【0022】
いくつかの特定の実施形態において、その方法は、光源温度を取得するステップを更に含み、所定の条件は、光源温度が所定の値に達するということを含む。
【0023】
電流をコントロールする異なる方法ではあるが互換性のある方法は、温度によるものがあるが、それは光束の間接的なデータを提供しうる。
【0024】
いくつかの特定の実施形態において、所定の条件は、タイムリミットに達したという事実を含む。
【0025】
電流をコントロールする別の方法は、単なるタイマーによるものであり、時間の経過に伴う温度の過程を推定する。これらの場合において、いかなるデータも測定する必要はなく、自動的に電流が増加させられる。これは、時間パターンがしっかりと確立された場合に行われうる。
【0026】
いくつかの特定の実施形態において、電流値を増加させるステップは、電流値を第1の値から第2の値に増加させることを含み、第2の値は、第1の値より大きいが第1の値の1.1倍より小さく、特に第1の値の1.05倍より小さく、特に第1の値の1.03倍より小さい。
【0027】
これらの例において、電流は小さな範囲で増加させられてもよく、電流値(及び温度)は、許容可能な性能を提供する範囲内でできるだけ小さく保たれる。
【0028】
いくつかの特定の実施形態において、その方法は、所定の条件に関する電流値増加のシーケンスを記録するステップを更に含む。
【0029】
このシーケンスは、継続した温度測定を避けるために、時間ベースのパターンを使用する場合に、有用である。
【0030】
いくつかの特定の実施形態では、第1光モジュールはロービームモジュールであり、第2光モジュールはハイビームモジュールである。ロービームモジュール及びハイビームモジュールが同時に作動させられることがあるので、これはいくつかの相乗効果を有する。
【0031】
いくつかの特定の実施形態において、その方法のステップは、対応する光モジュールの光源の少なくとも10%で適用される。
【0032】
電流値の漸増は、同時に多数の光源に、例えば所定の機能を提供するすべての光源に、適用されうる。そのため、省電力で均質な性能が、大量の素子に適用されうる。
【0033】
第2の発明の態様において、発明は自動車照明装置を提供し、当該自動車照明装置は、
- 複数の固体光源を含む第1光モジュールと、
- 複数の固体光源を含む第2光モジュールと、
- 第1の発明の態様による方法のステップを実行するためのコントロール要素と、
を備える。
【0034】
この照明装置は、光源の性能を効率的に管理するという有利な機能を提供する。
【0035】
いくつかの特定の実施形態において、自動車照明装置は、固体光源の温度を測定することが意図されるサーミスタを更に備える。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、発明に係る自動車照明装置の全体斜視図を示す。
【
図2】
図2は、発明による方法が適用されない場合の、照明装置の2つの光モジュールの標準的な作動のグラフの図表を示す。
【
図3】
図3は、同じ現象のための、ただし第1光モジュールにのみ適用される、別のグラフを示す。
【
図4】
図4は、発明の方法による作動が続く場合の、第1モジュールの束-温度曲線の過程を示す。
【
図5】
図5は、第2光モジュールに関するこの比較を示す。
【
図6】
図6は、発明による方法が使用される場合の、照明装置の2つの光モジュールの作動の新しいグラフのスキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
これらの図面において、以下の参照番号が使われている:
1 第1光モジュール
2 第2光モジュール
3 LED
4 コントロール要素
5 サーミスタ
6 温度閾値
10 照明装置
11 第1モジュールに関する第1予備曲線
11’ 第1モジュールに関する発明曲線
12 第2モジュールに関する第1予備曲線
12’ 第2モジュールに関する発明曲線
21 第1モジュールに関する第1予備ディレーティング温度
21’ 第1光モジュールに関する発明ディレーティング時間
22 第2モジュールに関する第2予備ディレーティング温度
22’ 第2光モジュールに関する発明ディレーティング時間
31 第1光モジュール関する最新鋭方法のオリジナル曲線
41 第1光モジュールに関する発明の曲線
51 第2光モジュールに関する最新鋭方法のオリジナル曲線
61 第2光モジュールに関する発明の曲線
100 自動車車両
例示的な実施形態は、ここに記載されるシステム及びプロセスを具現化して実施することを当業者が可能にするように十分詳細に記載されている。実施形態は、多くの代替形態で提供されることができ、ここに記載される例に限定されると解釈されるべきではないことを理解されることが重要である。
【0038】
したがって、実施形態は様々な方法で変更されうるものであり、様々な代替形態をとることができるが、その特定の実施形態は、例として図面に示され、以下に詳細に説明される。開示された特定の形態に限定する意図はない。それどころか、添付の特許請求の範囲の範囲内にあるすべての変更、等価物、及び代替が含まれるべきである。
【0039】
図1は、発明による自動車照明装置の全体斜視図を示す。
【0040】
この照明装置10は、自動車車両100に搭載され、
- 複数のLED3を含む第1光モジュール1;
- 複数のLED3を含む第2光モジュール2;
- コントロール要素4;
- 第1光モジュール及び第2光モジュールの異なるセクションの温度を測定することが意図される複数のサーミスタ5
を備える。
【0041】
各光モジュールは、2000ピクセルよりも大きい解像度を持つ高解像度モジュールである。ただし、投射モジュールの製造するために用いられる技術に制限はない。
【0042】
このマトリクス構成の第1の例は、モノリシック源を含む。このモノリシック源は、数個の列×数個の行に配置されたモノリシックエレクトロルミネッセンス素子のマトリクスを含む。モノリシックマトリクスにおいて、エレクトロルミネセント素子は、共通基板から成長させられることができ、個別に又はエレクトロルミネセント素子のサブセットによって選択的に活性化できるように電気的に接続される。基板は、主に半導体材料によって作られうる。基板は、例えば非半導体(金属及び絶縁体)のような、1つ又は複数の他の材料を含みうる。したがって、各エレクトロルミネッセンス素子/グループは、光ピクセルを形成することができ、したがって、その/それらの材料に電気が供給されると、光を放出することができる。そのようなモノリシックマトリクスの構成は、プリント回路基板にはんだ付けすることが意図された従来の発光ダイオードと比較して、選択的に活性化可能なピクセルを互いに非常に接近して配置することを可能にする。モノリシックマトリクスはエレクトロルミネッセンス素子を含んでいてもよく、共通基板に対して垂直に測定されるエレクトロルミネッセンス素子の高さの主要寸法が、実質的に1マイクロメートルに等しい。
【0043】
モノリシックマトリクスは、マトリクス構成によるピクセル化された光ビームの生成及び/又は投射をコントロールするように、コントロールセンターにつながれる。これによりコントロールセンターは、マトリクス構成の各ピクセルの発光を個別にコントロールすることができる。
【0044】
上記で提示されたものに代えて、マトリクス構成は、ミラーのマトリクスに取り付けられた主光源を含んでもよい。したがって、ピクセル化された光源は、光を放出する少なくとも1つの発光ダイオードで形成された少なくとも1つの主光源と、オプトエレクトロニクス素子のアレイ、例えば「デジタルマイクロミラーデバイス」の略語であるDMDでも知られるマイクロミラーのマトリクス、とのアセンブリによって形成され、当該DMDは反射によって主光源からの光線を投射光学素子に向かわせる。必要に応じて、補助光学素子が、少なくとも1つの光源の光線を集めて、マイクロミラーアレイの表面にそれらを集光して向かわせることができる。
【0045】
各マイクロミラーは、光線が投射光学素子に向かって反射される第1の位置と、光線が投射光学素子とは異なる方向に反射される第2の位置という2つの固定位置の間で揺動することが可能である。2つの固定位置は、全てのマイクロミラーに関して同じやり方で方向付けられ、マイクロミラーのマトリクスを支持する基準面に対し、その仕様で定められるマイクロミラーのマトリクスの特徴的角度を形成する。そのような角度は、一般に20°未満であり、通常約12°であってもよい。このように、マイクロミラーのマトリクスに入射する光ビームの部分を反射する各マイクロミラーは、ピクセル化された光源の基本エミッターを形成する。この基本エミッターを選択的に作動させて基本光ビームを放出するかしないかのためのミラーの位置の変化の作動及びコントロールはエミッターロールセンターによってコントロールされる。
【0046】
異なる実施形態において、マトリクス構成は、走査レーザシステムを含んでいてもよく、レーザ光源が、波長変換器の表面をレーザビームで探索するように構成された走査要素に向けてレーザビームを発する。この表面の画像は、投射光学素子によってキャプチャーされる。
【0047】
走査素子の探査は、人間の目が投射画像のあらゆる変位を感知しないように、十分に高い速度で行われてもよい。
【0048】
レーザ源の点火とビームの走査移動との同期されたコントロールは、波長変換素子の表面で選択的に活性化されることができる基本エミッターのマトリクスを生成することを可能にする。その走査手段は、レーザビームの反射によって波長変換素子の表面を走査するための可動マイクロミラーであってもよい。走査手段として述べられたマイクロミラーは、例えば、「Micro-Electro-Mechanical Systems」に関するMEMSタイプのものである。しかし、発明はそのような走査手段に限定されるものではなく、回転する要素に配置される一連のミラーなどの他の種類の走査手段を用いることができ、その要素の回転は、レーザビームによる透過面の走査をもたらす。
【0049】
別の変形例において、光源は複雑であってもよく、発光ダイオードなどの光素子の少なくとも1つのセグメントと、モノリシック光源の表面部分との両方を含んでいてもよい。
【0050】
互いに非常に近くにある多数の光源があるので、良好な性能及び効率を保証するために、熱コントロールが非常に重要である。
【0051】
図2は、発明による方法が適用されない場合の、照明装置の2つの光モジュールの標準的な作動のグラフのスキームを示す。
【0052】
この図によれば、第1光モジュールは、第1の曲線11に従って、時間とともにその温度を上昇させる。第1予備ディレーティング時間21に達すると、第1光モジュールは最大温度閾値6に達し、損傷を回避するためにディレーティングされる必要がある。
【0053】
同様に、第2光モジュールは、単独で設置される場合、第2曲線12に従い、時間とともにその温度を上昇させるであろう。第2予備ディレーティング時間22に達した場合、第2光モジュールは最高温度閾値6に達しており、損傷を避けるためにディレーティングされる必要があるであろう。実際、第2光モジュールは、より低いディレーティング時間を有する第1光モジュールと一緒に設置されるので、ビームの均質性を保証するために且つロービームモジュールを作動させることなくハイビームモジュールの使用することを許可しない規則を尊重するために、第2光モジュールは、第2予備ディレーティング時間の前に起こる第1予備ディレーティング時間でディレーティングされる必要があるであろう。
【0054】
図3は、同じ現象に関する、第1光モジュールにのみ適用された別のグラフを示す。このグラフにおいて、光束が温度に対して示されている。温度が上昇する間(それは時間が増加する間に起こる)、光モジュールは、温度閾値6に達するまで曲線31をたどり、より低い強度にディレーティングされ、そのことがより低い光束及びより低い温度をもたらす。しかし、再び温度閾値に到達し、新たなディレーティングをもたらす。
【0055】
この第1曲線31は、第1予備ディレーティング時間までの第1予備電流量を定め、第2曲線12は、第2予備ディレーティング時間までの第2予備電流量を定める。
【0056】
図4は、発明の方法による作動に従った場合の第1モジュールの束-温度曲線41の過程を示す。
【0057】
図2の予備電流プロファイル31に関し(したがって第1光モジュールに関してのみ)、両方法間のより良い比較のために、破線が使用される。
【0058】
第1光モジュールには、
図2の第1予備電流プロファイルの対応する第1の値より低い第1電流値が供給される。この第1電流値は、機械学習アルゴリズムによって算出され、当該機械学習アルゴリズムは、車両センサから情報を取得し、第1光モジュールに関して可能な限り長いディレーティング時間を提供する値を提供するように訓練されている。このより低い電流値は、より低い光束を提供することになる。光束のこの差を補償するように、そしてより良い束均一性を提供するように、
図5に示されるように、第2光モジュールには、第2予備電流プロファイルの対応する第1の値より大きな第1電流値が供給される。
【0059】
曲線41の電流値の増加は、第1の値から第2の値まで行われ、第2の値は第1の値よりわずかに大きく、典型的には第1の値の1.01倍~1.05倍である。電流増加は低いが、十分な光束を長時間維持するには十分である。
【0060】
第2電流プロファイルの第1の値が予想より大きいので、両束の合計が補償され、許容値が得られることになる。したがって、(第1光モジュール及び第2光モジュールの両方の光束の合計として理解される)総光束の低い値が達成される場合、電流値は時間によって増加することになる。
【0061】
(第1予備ディレーティング時間まで測定される)第1光モジュールに関する電流の総量は、
図2の場合よりも少ないので、
図6に示すように、ディレーティング時間は、第1予備ディレーティング時間よりも長くなる。
【0062】
図5は、第2光モジュールに関するこの比較を示す。ここで、曲線51は、最新鋭の方法を表し、曲線61は、本発明を表す。先に示したように、曲線61は
図2の場合よりも大きな電流値を表しており、それはより大きな総電流量につながる。
【0063】
図6は、発明による方法が使用される場合の、照明装置の2つの光モジュールの作動の新しいグラフのスキームを示す。
【0064】
曲線11’及び曲線12’は、時間の経過に伴う温度の新たな過程を示す。第1モジュールの場合、それは曲線11よりも遅い。第2モジュールの場合、それは曲線12よりも速い。
【0065】
既に示したように、より低い総電流量を伴う第1光モジュールにおけるより低い電流値の使用は、第1予備ディレーティング時間よりも長いディレーティング時間21’をもたらす。逆に、より大きい総電流量を伴う第2光モジュールにおけるより大きな電流値の使用は、第2予備ディレーティング時間よりも小さいディレーティング時間22’をもたらす。しかし、光束均一性は維持され、最小ディレーティング時間(第1のもの)は拡大された。
【国際調査報告】