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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-14
(54)【発明の名称】結晶性PPARデルタアゴニスト
(51)【国際特許分類】
   C07D 295/096 20060101AFI20230804BHJP
   A61K 31/5375 20060101ALI20230804BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230804BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230804BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20230804BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230804BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
C07D295/096 CSP
A61K31/5375
A61P29/00
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/20
A61K9/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504196
(86)(22)【出願日】2021-07-20
(85)【翻訳文提出日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 US2021042412
(87)【国際公開番号】W WO2022020376
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】63/055,235
(32)【優先日】2020-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/118,431
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522107393
【氏名又は名称】レネオ ファーマシューティカルズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デル リオ ガンセード,スザンナ
(72)【発明者】
【氏名】スレイマン,ウサマ
(72)【発明者】
【氏名】シャープ,エマ
(72)【発明者】
【氏名】バログ,クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】リー,レイチェル
(72)【発明者】
【氏名】マクレエ,ジュリー
(72)【発明者】
【氏名】フィーダー,ネイル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA22
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076BB36
4C076CC04
4C076FF04
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC73
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA34
4C086MA52
4C086NA05
4C086ZB11
4C086ZC41
(57)【要約】
【解決手段】結晶性のナトリウム(E)-2-(4-((3-(4-フルオロフェニル)-3-(4-(3-モルホリノプロプ-1-イン-1-イル)フェニル)アリル)オキシ)-2-メチルフェノキシ)アセテート、PPARδアゴニスト化合物による投与から利益を得ることになる疾患または疾病の処置における医薬組成物の調製におけるそのような結晶性材料の使用が本明細書に記載されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性ナトリウム(E)-2-(4-((3-(4-フルオロフェニル)-3-(4-(3-モルホリノプロプ-1-イン-1-イル)フェニル)アリル)オキシ)-2-メチルフェノキシ)アセテート(化合物II)。
【請求項2】
化合物IIの結晶形1である、請求項1に記載の結晶性化合物II。
【請求項3】
化合物IIの結晶形1は、
(a)図1に示されるものと実質的に同じXRPDパターン、
(b)Cu Kα線を用いて測定した、約2.8° 2-シータ、約7.2° 2-シータ、約13.4° 2-シータ、約17.8° 2-シータ、約19.7° 2-シータ、約19.9° 2-シータ、および約20.6° 2-シータでピークを有するXRPDパターン、
(c)図2に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラム、
(d)約179.5℃で開始し、約181.6℃でのピークを有する吸熱を備えたDSCサーモグラム、
(e)図3に示されるものと実質的に同じTGAパターン、
(f)25℃~60℃までの0.1%w/wの喪失と約250℃で開始する分解とを備えたTGAパターン、
(g)図4に示されるものと実質的に同じFTIR分光法パターン、
(h)約103cm-1、約838cm-1、約1220cm-1、約1504cm-1、および約1612cm-1でピークを有するFTIR分光法パターン、
(i)図5に示されるものと実質的に同じラマン分光法パターン、
(j)約103cm-1、約126cm-1、約810cm-1、約1158cm-1、約1238cm-1、約1604cm-1、および約1629cm-1でピークを有するラマン分光法パターン、
(k)100Kにて以下のものにほぼ等しい単位格子パラメータ、
【表1】
あるいは、
(l)これらの組み合わせ、
を有することを特徴とする、請求項2に記載の結晶性化合物II。
【請求項4】
化合物IIの結晶形1は、
図1に示されるものと実質的に同じXRPDパターン、または、
Cu Kα線を用いて測定した、約2.8° 2-シータ、約7.2° 2-シータ、約13.4° 2-シータ、約17.8° 2-シータ、約19.7° 2-シータ、約19.9° 2-シータ、および約20.6° 2-シータでピークを有するXRPDパターン、
を有することを特徴とする、請求項3に記載の結晶性化合物II。
【請求項5】
化合物IIの結晶形1は、
図2に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラム、または、
約179.5℃で開始し、約181.6℃でのピークを有する吸熱を備えたDSCサーモグラム、
を有することを特徴とする、請求項3に記載の結晶性化合物II。
【請求項6】
化合物IIの結晶形1は、
図3に示されるものと実質的に同じTGAパターン、または、
25℃~60℃までの0.1%w/wの喪失と約250℃で開始する分解とを備えたTGAパターン、
を有することを特徴とする、請求項3に記載の結晶性化合物II。
【請求項7】
化合物IIの結晶形1は、
図4に示されるものと実質的に同じFTIR分光法パターン、または、
約103cm-1、約838cm-1、約1220cm-1、約1504cm-1、および約1612cm-1でピークを有するFTIR分光法パターン、
を有することを特徴とする、請求項3に記載の結晶性化合物II。
【請求項8】
化合物IIの結晶形1は、
図5に示されるものと実質的に同じラマン分光法パターン、または、
約103cm-1、約126cm-1、約810cm-1、約1158cm-1、約1238cm-1、約1604cm-1、および約1629cm-1でピークを有するラマン分光法パターン、
を有することを特徴とする、請求項3に記載の結晶性化合物II。
【請求項9】
結晶性化合物IIは溶媒和されていない、請求項1-8のいずれか1つに記載の結晶性化合物II。
【請求項10】
結晶性化合物IIは、アセトン溶媒和物、1-プロパノール溶媒和物、2-メチルテトラヒドロフラン溶媒和物、メチルイソブチルケトン溶媒和物、1,4-ジオキサン溶媒和物、クロロホルム溶媒和物、テトラヒドロフラン溶媒和物、またはジクロロメタン溶媒和物である、請求項1-8のいずれか1つに記載の結晶性化合物II。
【請求項11】
結晶性化合物IIは水和物である、請求項1に記載の結晶性化合物II。
【請求項12】
化合物IIの結晶形2である、請求項11に記載の結晶性化合物II。
【請求項13】
化合物IIの結晶形2は、
(a)図6に示されるものと実質的に同じXRPDパターン、
(b)Cu Kα線を用いて測定した、約4.5° 2-シータ、約13.8° 2-シータ、約17.6° 2-シータ、約19.0° 2-シータ、約19.6° 2-シータ、約19.9° 2-シータ、約20.5° 2-シータ、および約23.0° 2-シータでピークを有するXRPDパターン、
(c)図7に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラム、
(d)
i.約44.1℃での開始と約72.4℃でのピーク、
ii.約92.4℃でのピーク、
iii.約107.0℃での開始と約118.5℃でのピーク、
iv.約127.6℃での開始と約130.0℃でのピーク、
v.約146.9℃での開始と約149.9℃でのピーク、および、
vi.約179.5℃での開始と約181.1℃でのピーク、
を有する6つの吸熱事象を備えたDSCサーモグラム、
(e)図8に示されるものと実質的に同じTGAパターン、
(f)25℃~145℃までの17.2%w/wの喪失と約275℃で開始する分解とを備えたTGAパターン、
(g)0~90%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~25%w/w)、
(h)90%のRHと25℃でのGVS分析後に変化しないXRPD、
(i)7日間にわたる97%のRHと25℃での保存後に変化しないXRPD、
(j)7日間にわたる75%のRHと40℃での保存後に変化しないXRPD、あるいは、
(k)それらの組み合わせ、
を有することを特徴とする、請求項12に記載の結晶性化合物II。
【請求項14】
化合物IIの結晶形2は、
図6に示されるものと実質的に同じXRPDパターン、または、
Cu Kα線を用いて測定した、約4.5° 2-シータ、約13.8° 2-シータ、約17.6° 2-シータ、約19.0° 2-シータ、約19.6° 2-シータ、約19.9° 2-シータ、約20.5° 2-シータ、および約23.0° 2-シータでピークを有するXRPDパターン、
を有することを特徴とする、請求項13に記載の結晶性化合物II。
【請求項15】
化合物IIの結晶形2は、
図7に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラム、または、
約44.1℃での開始と約72.4℃でのピーク、
約92.4℃でのピーク、
約107.0℃での開始と約118.5℃でのピーク、
約127.6℃での開始と約130.0℃でのピーク、
約146.9℃での開始と約149.9℃でのピーク、および、
約179.5℃での開始と約181.1℃でのピーク、
を有する6つの吸熱事象を備えたDSCサーモグラム、
を有することを特徴とする、請求項13に記載の結晶性化合物II。
【請求項16】
化合物IIの結晶形2は、
図8に示されるものと実質的に同じTGAパターン、または、
25℃~145℃までの17.2%w/wの喪失と約275℃で開始する分解とを備えたTGAパターン、
を有することを特徴とする、請求項13に記載の結晶性化合物II。
【請求項17】
化合物IIの結晶形2は、
0~90%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~25%w/w)、または、
90%のRHと25℃でのGVS分析後に変化しないXRPD、
を有することを特徴とする、請求項13に記載の結晶性化合物II。
【請求項18】
化合物IIの結晶形2は、
7日間にわたる97%のRHと25℃での保存後に変化しないXRPD、または、
7日間にわたる75%のRHと40℃での保存後に変化しないXRPD、
を有することを特徴とする、請求項13に記載の結晶性化合物II。
【請求項19】
結晶性化合物IIは、2-メチルテトラヒドロフラン溶媒和物である、請求項1に記載の結晶性化合物II。
【請求項20】
化合物IIの結晶形3である、請求項19に記載の結晶性化合物II。
【請求項21】
化合物IIの結晶形3は、
(a)図9に示されるものと実質的に同じXRPDパターン、
(b)図10に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラム、
(c)
i.約58.7℃での開始と約73.2℃でのピーク、
ii.約114.5℃での開始と約136.2℃でのピーク、および、
iii.約172.5℃での開始と約178.6℃でのピーク、
を有する3つの吸熱事象を備えたDSCサーモグラム、
(d)図11に示されるものと実質的に同じTGAパターン、
(e)25℃から82℃までの2.3%w/wの喪失、さらに、82℃から155℃までの3.8%w/wの喪失、および、約275℃で開始する分解を備えるTGAパターン、
(f)0~90%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~9.0%w/w)、
(g)90%のRHと25℃でのGVS分析後に形態1に転換するXRPD、
(h)7日間75%のRHと40℃での保存後に形態1に転換するXRPD、あるいは、
(i)それらの組み合わせ、
を有することを特徴とする、請求項20に記載の結晶性化合物II。
【請求項22】
結晶性化合物IIはテトラヒドロフラン溶媒和物である、請求項1に記載の結晶性化合物II。
【請求項23】
化合物IIの結晶形4である、請求項22に記載の結晶性化合物II。
【請求項24】
化合物IIの結晶形4は、
(a)図12に示されるものと実質的に同じXRPDパターン、
(b)Cu Kα線を用いて測定した、約3.3° 2-シータ、約6.7° 2-シータ、約20.1° 2-シータ、および約20.7° 2-シータでピークを有するXRPDパターン、
(c)図13に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラム、
(d)
i.約111.7℃での開始と、約70℃で開始する幅広のショルダーを伴う約114.5℃でのピーク、および、
ii.約142.5℃での開始と、約130.6℃で開始する幅広のショルダーを伴う約147.2℃でのピーク、
を有する2つの吸熱事象を備えたDSCサーモグラム、
(e)図14に示されるものと実質的に同じTGAパターン、
(f)25℃~175℃までの14.3%w/wの喪失と約285℃で開始する分解とを備えたTGAパターン、
(g)0~90%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~23%w/w)、
(h)90%のRHと25℃でのGVS分析後に形態2に転換するXRPD、
(i)110℃に加熱後に変化しないXRPD、
(j)7日間にわたって97%のRHと25℃での保存後に形態2に転換するXRPD、
(k)7日間にわたって75%のRHと40℃での保存後に形態1に転換するXRPD、あるいは、
(l)これらの組み合わせ、
を有することを特徴とする、請求項23に記載の結晶性化合物II。
【請求項25】
結晶性化合物IIはアセトン溶媒和物である、請求項1に記載の結晶性化合物II。
【請求項26】
化合物IIの結晶形5である、請求項25に記載の結晶性化合物II。
【請求項27】
化合物IIの結晶形5は、
(a)図15に示されるものと実質的に同じXRPDパターン、
(b)Cu Kα線を用いて測定した、約2.8° 2-シータ、約8.3° 2-シータ、約8.7° 2-シータ、約13.1° 2-シータ、約19.4° 2-シータ、約20.2° 2-シータ、約21.3° 2-シータ、および約24.6° 2-シータでピークを有するXRPDパターン、
(c)図16に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラム、
(d)
i.75.8℃での開始と、約85.8℃および97.2℃で2つのピーク、および、
ii.180.4℃での開始と182.2でのピーク、
を有する2つの吸熱事象を備えたDSCサーモグラム、
(e)図17に示されるものと実質的に同じFTIR分光法パターン、または、
(f)約810cm-1、約838cm-1、約1220cm-1、約1504cm-1、および約1612cm-1でピークを有するFTIR分光法パターン、あるいは、
(g)これらの組み合わせ、
を有することを特徴とする、請求項26に記載の結晶性化合物II。
【請求項28】
化合物IIの結晶形5は、
図15に示されるものと実質的に同じXRPDパターン、または、
Cu Kα線を用いて測定した、約2.8° 2-シータ、約8.3° 2-シータ、約8.7° 2-シータ、約13.1° 2-シータ、約19.4° 2-シータ、約20.2° 2-シータ、約21.3° 2-シータ、および約24.6° 2-シータでピークを有するXRPDパターン、
を有することを特徴とする、請求項27に記載の結晶性化合物II。
【請求項29】
化合物IIの結晶形5は、
図16に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラム、または、
75.8℃での開始と、約85.8℃および97.2℃で2つのピーク、ならびに、
180.4℃での開始と182.2でのピーク、
を有する2つの吸熱事象を備えたDSCサーモグラム、
を有することを特徴とする、請求項27に記載の結晶性化合物II。
【請求項30】
化合物IIの結晶形5は、
図17に示されるものと実質的に同じFTIR分光法パターン、または、
約810cm-1、約838cm-1、約1220cm-1、約1504cm-1、および約1612cm-1でピークを有するFTIR分光法パターン、
を有することを特徴とする、請求項27に記載の結晶性化合物II。
【請求項31】
化合物IIの結晶形5は、
乾燥後に形態1に転換するXRPD、
90%のRHと25℃でのGVS分析後に形態1に転換するXRPD、または、
これらの組み合わせ、
をさらに有することを特徴とする、請求項27に記載の結晶性化合物II。
【請求項32】
結晶性化合物IIは不純物を実質的に含まない、請求項1-31のいずれか1つに記載の結晶性化合物II。
【請求項33】
結晶性化合物IIは少なくとも約90%純粋である、請求項1-32のいずれか1つに記載の結晶性化合物II。
【請求項34】
結晶性化合物IIは少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%純粋である、請求項1-32のいずれか1つに記載の結晶性化合物II。
【請求項35】
結晶性化合物IIは少なくとも約95%純粋である、請求項1-32のいずれか1つに記載の結晶性化合物II。
【請求項36】
結晶性化合物IIは少なくとも約98%純粋である、請求項1-32のいずれか1つに記載の結晶性化合物II。
【請求項37】
請求項1-36のいずれか1つの結晶性化合物IIと、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項38】
前記医薬組成物は経口投与による哺乳動物への投与のために製剤化される、請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記医薬組成物は、錠剤、丸剤、カプセル、懸濁液、または溶液の形態での経口投与によって哺乳動物への投与のために製剤化される、請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記医薬組成物は、固形の医薬組成物の形態である、請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記医薬組成物は、錠剤、丸剤、またはカプセルの形態である、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
非晶質のナトリウム(E)-2-(4-((3-(4-フルオロフェニル)-3-(4-(3-モルホリノプロプ-1-イン-1-イル)フェニル)アリル)オキシ)-2-メチルフェノキシ)アセテート(化合物II)。
【請求項43】
非晶質化合物IIは、
(a)結晶化度の不足を示すXRPDパターン、
(b)図22に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラム、
(c)
i.43.1℃での開始と約60.3℃でのピークを有する幅広い吸熱、
ii.107.0℃での開始と112.9℃でのピークを有する幅広い発熱、および、
iii.125.0℃での開始と130.4℃でのピークを有する吸熱、
を伴うDSCサーモグラム、
(d)図23に示されるものと実質的に同じTGAパターン、
(e)25℃~150℃までの3.7%w/wの喪失と約260℃で開始する分解とを備えたTGAパターン、
(f)24時間、48時間、7日間、または10日間にわたる周囲温度での保存後に変化しないXRPD、
(g)10日間にわたる75%のRHと40℃での保存後に変化しないXRPD、または、
(h)これらの組み合わせ、
を有することを特徴とする、請求項42に記載の非晶質化合物II。
【請求項44】
非晶質化合物IIは不純物を実質的に含まない、請求項42または43に記載の非晶質化合物II。
【請求項45】
非晶質化合物IIは少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%純粋である、請求項42または43に記載の非晶質化合物II。
【請求項46】
請求項42-45のいずれか1つの非晶質化合物IIと、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項47】
前記医薬組成物は経口投与による哺乳動物への投与のために製剤化される、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項48】
前記医薬組成物は、錠剤、丸剤、カプセル、懸濁液、または溶液の形態での経口投与によって哺乳動物への投与のために製剤化される、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項49】
前記医薬組成物は、固形の医薬組成物の形態である、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項50】
前記医薬組成物は、錠剤、丸剤、またはカプセルの形態である、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項51】
化合物IIの調製のためのプロセスであって、
【化1】
前記プロセスは、化合物IIを提供するために、適切な溶媒の存在下において、化合物I
【化2】
あるいは化合物Iのアルキルエステル、またはその塩
【化3】
(式中、RはC-Cアルキルである)を、水酸化ナトリウム溶液で処理する工程を含む、プロセス。
【請求項52】
前記適切な溶媒は、水、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、またはこれらの組み合わせである、請求項51に記載のプロセス。
【請求項53】
化合物IIの調製は、適切な溶媒の存在下において、水酸化ナトリウム溶液で化合物Iを処理する工程を含み、適切な溶媒は、水、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、またはこれらの組み合わせである、請求項51に記載のプロセス。
【請求項54】
化合物IIの調製は、適切な溶媒の存在下において、水酸化ナトリウム溶液で化合物Iを処理する工程を含み、適切な溶媒はアセトンとアセトニトリルの組み合わせである、請求項51に記載のプロセス。
【請求項55】
化合物IIは結晶性である、請求項54に記載のプロセス。
【請求項56】
結晶性化合物IIは請求項2-10のうちのいずれか1つの結晶形1である、請求項55に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2020年11月25日に出願された米国仮特許出願第63/118,431号と、2020年7月22日に出願された米国仮特許出願第63/055,235号の利益を主張するものであり、これらはそれぞれ全体として引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体デルタ(PPARδ)アゴニスト化合物の結晶形、その医薬組成物、および、PPARδアゴニスト化合物を用いる処置から利益を得ることになる疾患または疾病の処置におけるその使用方法が本明細書に記載されている。
【背景技術】
【0003】
PPARδは、リガンド活性化転写調節因子の核調節スーパーファミリーのメンバーであり、全身で発現している。PPARδアゴニストは、脂肪酸の酸化やミトコンドリアの生合成に関連する遺伝子を誘導する。PPARδには抗炎症特性もある。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、PPARδアゴニストナトリウム(E)-2-(4-((3-(4-フルオロフェニル)-3-(4-(3-モルホリノプロプ-1-イン-1-イル)フェニル)アリル)オキシ)-2-メチルフェノキシ)アセテートの様々な固体状形態に関する。ナトリウム(E)-2-(4-((3-(4-フルオロフェニル)-3-(4-(3-モルホリノプロプ-1-イン-1-イル)フェニル)アリル)オキシ)-2-メチルフェノキシ)アセテートのそのような形態は、そうした活性から利益を得ることになる哺乳動物中の活性PPARδを調節するのに役立つ。
【0005】
結晶性のナトリウム(E)-2-(4-((3-(4-フルオロフェニル)-3-(4-(3-モルホリノプロプ-1-イン-1-イル)フェニル)アリル)オキシ)-2-メチルフェノキシ)アセテート(化合物II)が本明細書に記載されている。
【0006】
いくつかの実施形態では、化合物IIは結晶形1である。いくつかの実施形態では、結晶形1は、
(a)図1に示されるものと実質的に同じXRPDパターン、
(b)Cu Kα線を用いて測定した、約2.8° 2-シータ、約7.2° 2-シータ、約13.4° 2-シータ、約17.8° 2-シータ、約19.7° 2-シータ、約19.9° 2-シータ、および約20.6° 2-シータでピークを有するXRPDパターン、
(c)図2に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラム、
(d)約179.5℃で開始し、約181.6℃でのピークを有する吸熱を備えたDSCサーモグラム、
(e)図3に示されるものと実質的に同じTGAパターン、
(f)25℃~60℃までの0.1%w/wの喪失と約250℃で開始する分解とを備えたTGAパターン、
(g)図4に示されるものと実質的に同じFTIR分光法パターン、
(h)約103cm-1、約838cm-1、約1220cm-1、約1504cm-1、および約1612cm-1でピークを有するFTIR分光法パターン、
(i)図5に示されるものと実質的に同じラマン分光法パターン、
(j)約103cm-1、約126cm-1、約810cm-1、約1158cm-1、約1238cm-1、約1604cm-1、および約1629cm-1でピークを有するラマン分光法パターン、
(k)100Kにて以下のものにほぼ等しい単位格子パラメータ、
【0007】
【表1】
あるいは、
(l)これらの組み合わせ、
を有することを特徴としている。
【0008】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物IIは溶媒和されていない。
【0009】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物IIは溶媒和物である。いくつかの実施形態では、結晶性化合物IIは、アセトン溶媒和物、1-プロパノール溶媒和物、2-メチルテトラヒドロフラン溶媒和物、メチルイソブチルケトン溶媒和物、1,4-ジオキサン溶媒和物、クロロホルム溶媒和物、テトラヒドロフラン溶媒和物、またはジクロロメタン溶媒和物である。
【0010】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物IIは水和物である。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、結晶性水和物は、化合物IIの結晶形2である。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形2は、
(a)図6に示されるものと実質的に同じXRPDパターン、
(b)Cu Kα線を用いて測定した、約4.5° 2-シータ、約13.8° 2-シータ、約17.6° 2-シータ、約19.0° 2-シータ、約19.6° 2-シータ、約19.9° 2-シータ、約20.5° 2-シータ、および約23.0° 2-シータでピークを有するXRPDパターン、
(c)図7に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラム、
(d)
i.約44.1℃での開始と約72.4℃でのピーク、
ii.約92.4℃でのピーク、
iii.約107.0℃での開始と約118.5℃でのピーク、
iv.約127.6℃での開始と約130.0℃でのピーク、
v.約146.9℃での開始と約149.9℃でのピーク、および、
vi.約179.5℃での開始と約181.1℃でのピーク、
を有する6つの吸熱事象を備えたDSCサーモグラム、
(e)図8に示されるものと実質的に同じTGAパターン、
(f)25℃~145℃までの17.2%w/wの喪失と約275℃で開始する分解とを備えたTGAパターン、
(g)0~90%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~25%w/w)、
(h)90%のRHと25℃でのGVS分析後に変化しないXRPD、
(i)7日間にわたる97%のRHと25℃での保存後に変化しないXRPD、
(j)7日間にわたる75%のRHと40℃での保存後に変化しないXRPD、あるいは、
(k)それらの組み合わせ、
を有することを特徴とする。
【0011】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物IIは、2-メチルテトラヒドロフラン溶媒和物である。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、結晶性の2-メチルテトラヒドロフラン溶媒和物は、化合物IIの結晶形3である。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形3は、
(a)図9に示されるものと実質的に同じXRPDパターン、
(b)図10に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラム、
(c)
i.約58.7℃での開始と約73.2℃でのピーク、
ii.約114.5℃での開始と約136.2℃でのピーク、および、
iii.約172.5℃での開始と約178.6℃でのピーク、
を有する3つの吸熱事象を備えたDSCサーモグラム、
(d)図11に示されるものと実質的に同じTGAパターン、
(e)25℃から82℃までの2.3%w/wの喪失、さらに、82℃から155℃までの3.8%w/wの喪失、および、約275℃で開始する分解を備えるTGAパターン、
(f)0~90%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~9.0%w/w)、
(g)90%のRHと25℃でのGVS分析後に形態1に転換するXRPD、
(h)7日間75%のRHと40℃での保存後に形態1に転換するXRPD、あるいは、
(i)それらの組み合わせ、
を有することを特徴とする。
【0012】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物IIはテトラヒドロフラン溶媒和物である。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、結晶性のテトラヒドロフラン溶媒和物は、化合物IIの結晶形4である。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形4は、
(a)図12に示されるものと実質的に同じXRPDパターン、
(b)Cu Kα線を用いて測定した、約3.3° 2-シータ、約6.7° 2-シータ、約20.1° 2-シータ、および約20.7° 2-シータでピークを有するXRPDパターン、
(c)図13に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラム、
(d)
i.約111.7℃での開始と、約70℃で開始する幅広のショルダーを伴う約114.5℃でのピーク、および、
ii.約142.5℃での開始と、約130.6℃で開始する幅広のショルダーを伴う約147.2℃でのピーク、
を有する2つの吸熱事象を備えたDSCサーモグラム、
(e)図14に示されるものと実質的に同じTGAパターン、
(f)25℃~175℃までの14.3%w/wの喪失と約285℃で開始する分解とを備えたTGAパターン、
(g)0~90%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~23%w/w)、
(h)90%のRHと25℃でのGVS分析後に形態2に転換するXRPD、
(i)110℃に加熱後に変化しないXRPD、
(j)7日間にわたって97%のRHと25℃での保存後に形態2に転換するXRPD、
(k)7日間にわたって75%のRHと40℃での保存後に形態1に転換するXRPD、あるいは、
(l)これらの組み合わせ、
を有することを特徴とする。
【0013】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物IIはアセトン溶媒和物である。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、結晶性のアセトン溶媒和物は、化合物IIの結晶形5である。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形5は、
(a)図15に示されるものと実質的に同じXRPDパターン、
(b)Cu Kα線を用いて測定した、約2.8° 2-シータ、約8.3° 2-シータ、約8.7° 2-シータ、約13.1° 2-シータ、約19.4° 2-シータ、約20.2° 2-シータ、約21.3° 2-シータ、および約24.6° 2-シータでピークを有するXRPDパターン、
(c)図16に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラム、
(d)
i.75.8℃での開始と、約85.8℃および97.2℃で2つのピーク、および、
ii.180.4℃での開始と182.2でのピーク、
を有する2つの吸熱事象を備えたDSCサーモグラム、
(e)図17に示されるものと実質的に同じFTIR分光法パターン、または、
(f)約810cm-1、約838cm-1、約1220cm-1、約1504cm-1、および約1612cm-1でピークを有するFTIR分光法パターン、あるいは、
(g)これらの組み合わせ、
を有することを特徴とする。
【0014】
いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形5はさらに、乾燥後に形態1に転換するXRPD、90%のRHと25℃でのGVS分析後に形態1に転換するXRPD、または、これらの組み合わせ、を有することを特徴とする。
【0015】
いくつかの実施形態では、非晶質のナトリウム(E)-2-(4-((3-(4-フルオロフェニル)-3-(4-(3-モルホリノプロプ-1-イン-1-イル)フェニル)アリル)オキシ)-2-メチルフェノキシ)アセテート(化合物II)が本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは、
(a)結晶化度の不足を示すXRPDパターン、
(b)図22に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラム、
(c)
i.43.1℃での開始と約60.3℃でのピークを有する幅広い吸熱、
ii.107.0℃での開始と112.9℃でのピークを有する幅広い発熱、および、
iii.125.0℃での開始と130.4℃でのピークを有する吸熱、
を伴うDSCサーモグラム、
(d)図23に示されるものと実質的に同じTGAパターン、
(e)25℃~150℃までの3.7%w/wの喪失と約260℃で開始する分解とを備えたTGAパターン、
(f)24時間、48時間、7日間、または10日間にわたる周囲温度での保存後に変化しないXRPD、
(g)10日間にわたる75%のRHと40℃での保存後に変化しないXRPD、または、
(h)これらの組み合わせ、
を有することを特徴とする。
【0016】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物IIおよび少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物も本明細書に記載されている。他の実施形態では、非晶質化合物IIおよび少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物も本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、医薬組成物は経口投与による哺乳動物への投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、錠剤、丸剤、カプセル、懸濁液、または溶液の形態での経口投与によって哺乳動物への投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、固形の医薬組成物の形態である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、錠剤、丸剤、またはカプセルの形態である。
【0017】
さらに、ナトリウム(E)-2-(4-((3-(4-フルオロフェニル)-3-(4-(3-モルホリノプロプ-1-イン-1-イル)フェニル)アリル)オキシ)-2-メチルフェノキシ)アセテート(化合物II)の調製のためのプロセスも本明細書に記載され、上記プロセスは、化合物IIを得るために、適切な溶媒の存在下において、(E)-2-(4-((3-(4-フルオロフェニル)-3-(4-(3-モルホリノプロプ-1-イン-1-イル)フェニル)アリル)オキシ)-2-メチルフェノキシ)酢酸(化合物I)、あるいは化合物Iのアルキルエステル、あるいはその塩を、水酸化ナトリウム溶液で処理する工程を含む。いくつかの実施形態では、アルキルエステルはC1-6アルキルエステルである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒は、水、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、またはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、化合物IIの調製は、適切な溶媒の存在下において、水酸化ナトリウム溶液で化合物Iを処理する工程を含み、適切な溶媒は、水、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、またはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、化合物IIの調製は、適切な溶媒の存在下において、水酸化ナトリウム溶液で化合物Iを処理する工程を含み、適切な溶媒はアセトンとアセトニトリルの組み合わせである。いくつかの実施形態では、化合物IIは本明細書に記載されているような結晶形1である。
【0018】
包装材料と、包装材料内の本明細書に記載される化合物またはその薬学的に許容可能な塩と、化合物または組成物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容可能なプロドラッグ、または薬学的に許容可能な溶媒和物がPPARδの活性を調節するために、あるいはPPARδ活性の調節から利益を得ることになる疾患または疾病の1つ以上の症状の処置、予防、または改善のために使用されることを示すラベルとを含む製品が提供される。
【0019】
本明細書に記載される化合物、方法、および組成物の他の目標、特徴、および利点は、以下の詳細な記載から明らかとなる。しかしながら、本開示の精神と範囲内の様々な変化と修正が発明を実施するための形態から当業者に明らかとなるため、発明を実施するための形態と特定の実施例は特定の実施形態を示しつつも、一例としてのみ与えられるものに過ぎないことが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】化合物IIの形態1の代表的なXRPDパターンを示す。
図2】化合物IIの形態1の代表的なDSCサーモグラムを示す。
図3】化合物IIの形態1の代表的なTGAサーモグラムを示す。
図4】化合物IIの形態1の代表的なFTIRスペクトルを示す。
図5】化合物IIの形態1の代表的なラマンスペクトルを示す。
図6】化合物IIの形態2の代表的なXRPDパターンを示す。
図7】化合物IIの形態2の代表的なDSCサーモグラムを示す。
図8】化合物IIの形態2の代表的なTGAサーモグラムを示す。
図9】化合物IIの形態3の代表的なXRPDパターンを示す。
図10】化合物IIの形態3の代表的なDSCサーモグラムを示す。
図11】化合物IIの形態3の代表的なTGAサーモグラムを示す。
図12】化合物IIの形態4の代表的なXRPDパターンを示す。
図13】化合物IIの形態4の代表的なDSCサーモグラムを示す。
図14】化合物IIの形態4の代表的なTGAサーモグラムを示す。
図15】化合物IIの形態5の代表的なXRPDパターンを示す。
図16】化合物IIの形態5の代表的なDSCサーモグラムを示す。
図17】化合物IIの形態5の代表的なFTIRスペクトルを示す。
図18】化合物IIのパターン9の代表的なXRPDパターンを示す。
図19】化合物IIのパターン9の代表的なDSCサーモグラムを示す。
図20】化合物IIのパターン9の代表的なTGAサーモグラムを示す。
図21】非晶質化合物IIの代表的なXRPDパターンを示す。
図22】非晶質化合物IIの代表的なDSCサーモグラムを示す。
図23】非晶質化合物IIの代表的なTGAサーモグラムを示す。
図24】化合物IIのパターン12の代表的なXRPDパターンを示す。
図25】化合物IIのパターン12の代表的なDSCサーモグラムを示す。
図26】化合物IIの形態1のシミュレートされたXRPDパターンを示す。
図27】化合物IIの形態1のシミュレートされた実験的なXRPDパターンのオーバーラップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(E)-2-(4-((3-(4-フルオロフェニル)-3-(4-(3-モルホリノプロプ-1-イン-1-イル)フェニル)アリル)オキシ)-2-メチルフェノキシ)酢酸(化合物I)は、強力で、選択的で、経口的に生体利用可能なPPARδアゴニストである。PPARは核受容体スーパーファミリーのメンバーであり、多くの細胞プロセスの遺伝子発現を制御するリガンド調節転写因子である。3つのPPAR、α、γ、およびδは脂質によって活性化され、メタボリックシンドロームの構成要素に対する現在の薬物療法の標的である。トリグリセリド(TG)低下薬のフィブラートクラスの標的であるPPARαは、主に肝臓で発現し、空腹状態で脂質の酸化に関与する遺伝子をアップレギュレートする。PPARγは脂肪組織で高発現し、脂肪形成やインスリン感受性を制御している。ピオグリタゾンは、PPARγの活性化によってインスリン感受性を高めるチアゾリジンジオンクラスの薬物である。化合物Iは、PPARαやPPARγよりもPPARδに対して著しく大きな選択性を示し(それぞれ100倍および400倍)、PPARδのフルアゴニストとして、かつ、PPARαとPPARγの双方に対しては部分的なアゴニストとしてのみ作用する。
【0022】
PPARδは、グルコースのホメオスタシス、脂肪酸合成および貯蔵、ならびに脂肪酸の動員および代謝などの細胞代謝プロセスに関与する遺伝子を制御する。PPARδは肝臓、筋肉、および脂肪を含むいくつかの代謝的に活性な組織で発現している。PPARδは骨格筋に最も豊富なPPARアイソフォームであり、解糖系のII型筋線維と比較して酸化系のI型筋線維でより高い発現を示す。多くの生理的および病理的な要因が骨格筋のPPARδ含量に影響を及ぼすことが報告されている。短時間の運動や持久力トレーニングは両方とも、ヒトやげっ歯類の骨格筋においてPPARδの発現を増加させる。現在、PPARδを標的とする市販の薬物はない。
【0023】
マウスの筋肉におけるPPARδの遺伝的過剰発現および薬理学的活性化のいずれも、ミトコンドリア含量の高い線維の数の増加をもたらし、脂肪酸酸化を向上させる。トランスジェニックマウスの骨格筋に構成的に活性なPPARδ(VP16-PPARδ)の過剰発現は、酸化的筋線維の増加をあらかじめプログラムし、未訓練成体マウスのランニング耐久性を向上させる((Wang, Y.-X., et al.(2004).Regulation of muscle fiber type and running endurance by PPARδ.PLoS Biol.2,e294)。PPARδアゴニストであるGW1516は、運動(4週間)と組み合わせることで、マウスの耐疲労性酸化性筋線維とミトコンドリア生合成を相乗的に誘導し、その結果、身体能力を向上させた(Narkar,V.A.,et al.(2008).AMPK and PPARδ agonists are exercise mimetics.Cell 134,405-415)。マウスをGW1516で長期間処理した場合(4週間と比較して8週間)、運動トレーニングと同様のレベルまでの、グルコースから脂肪酸酸化へのエネルギー基質の利用における明らかな変化が観察され、脂肪酸代謝が増加したことを示している(Fan,W.,et al.(2017).PPARδ Promotes Running Endurance by Preserving Glucose. Cell Metab.25,1186-1193.e4)。
【0024】
化合物I
化合物Iは、本明細書に記載される治療方法で役立つPPARδアゴニストである。3つのペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)アイソタイプを発現するヒト細胞株において、化合物Iは強力で(EC50<100nM)、選択的なヒトPPARδアゴニスト(PPARα(EC50>10μM)およびPPARγ(EC50>10μM))である。化合物Iは十分なPPARδアゴニストである。さらに、核受容体RXR、FXR、LXRα、またはLXRβを発現する曝露ヒト細胞は、これらの核受容体の活性化を引き起こしていない。
【0025】
インビボ実験により、化合物I処理は、マウス筋肉において、長鎖脂肪酸のβ酸化(CPT1b)およびミトコンドリア生合成(PGC-1α)に関与する経路におけるいくつかの公知のPPARδ制御遺伝子の発現パターンを変化させたことが実証された。ラット筋肉において、化合物Iの処理は、既知のPPAR制御標的遺伝子であるアンジオポエチン様4(ANGPTL4)の発現を増加させた。いくつかの実施形態では、化合物Iは、哺乳動物における筋肉の疾患または疾病の治療に使用される。いくつかの実施形態では、化合物Iは、脂肪酸酸化あるいはミトコンドリアの含量または能力の改善から恩恵を受けることになる疾患または疾病を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、化合物Iは、哺乳動物における脂肪酸酸化あるいはミトコンドリアの含量または能力において改善するために使用される。
【0026】
化合物Iの調製と使用は以前に記載されている(WO2007/071766、US7,943,613、US8,362,016、US8,551,993、US9,663,481、US9,855,274、WO2015/035171、US9,487,493、US9,968,613を参照。これらはそれぞれ全体として参照により組み込まれる)。
【0027】
化合物Iは、(E)-2-(4-((3-(4-フルオロフェニル)-3-(4-(3-モルホリノプロプ-1-イン-1-イル)フェニル)アリル)オキシ)-2-メチルフェノキシ)酢酸を指し、以下に示す化学構造を有する。
【0028】
【化1】
【0029】
いくつかの実施形態では、化合物Iは双性イオンの形態で存在する。
【0030】
化合物IIは、ナトリウム(E)-2-(4-((3-(4-フルオロフェニル)-3-(4-(3-モルホリノプロプ-1-イン-1-イル)フェニル)アリル)オキシ)-2-メチルフェノキシ)アセテートを指し、以下に示す化学構造を有する。
【0031】
【化2】
【0032】
いくつかの実施形態では、化合物IIは非晶質である。
【0033】
本明細書で使用されるように、「非晶質」または「非晶質固体形態」という用語は、結晶化度を欠いている固体形態を指す。
【0034】
いくつかの実施形態では、化合物IIは結晶である。
【0035】
いくつかの実施形態では、固体形態の結晶化度は当技術分野において既知の方法によって決定される。いくつかの実施形態では、固体形態の結晶化度はX線粉末回折(XRPD)によって決定される。いくつかの実施形態では、固体形態の結晶化度は固体状態のNMRによって決定される。
【0036】
非晶質化合物II
非晶質化合物IIが本明細書で提供される。いくつかの実施形態は、非晶質化合物IIを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは、以下の特性、
a)結晶化度の不足を示すXRPDパターン、
b)図22に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラム、
c)
i.43.1℃での開始と約60.3℃でのピークを有する幅広い吸熱、
ii.107.0℃での開始と112.9℃でのピークを有する幅広い発熱、および、
iii.125.0℃での開始と130.4℃でのピークを有する吸熱、
を伴うDSCサーモグラム、
d)図23に示されるものと実質的に同じTGAパターン、
e)25℃~150℃までの3.7%w/wの喪失と約260℃で開始する分解とを備えたTGAパターン、
f)24時間、48時間、7日間、または10日間にわたる周囲温度での保存後に変化しないXRPD、
g)10日間にわたる75%のRHと40℃での保存後に変化しないXRPD、または、
h)これらの組み合わせ、
のうちの1つを有する。
【0037】
いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは結晶化度の不足を示すXRPDパターンを有する。いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは、図21に示されるものと実質的に同じXRPDパターンを有する。いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは、図22に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは、43.1℃での開始と約60.3℃でのピークを有する幅広い吸熱、107.0℃での開始と112.9℃でのピークを有する幅広い発熱、および、125.0℃での開始と130.4℃でのピークを有する吸熱を伴うDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは、図23に示されるものと実質的に同じTGAパターンを有する。いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは、25℃~150℃までの3.7%w/wの喪失と約260℃で開始する分解とを備えたTGAパターンを有する。いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは、24時間、48時間、7日間、または10日間にわたる周囲温度での保存後に変化しないXRPDを有する。いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは、10日にわたる75%のRHと40℃でのGVS分析の後に変化しないXRPDを示す。
【0038】
いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは不純物を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは少なくとも約90%純粋である。いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%純粋である。いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは少なくとも約95%純粋である。いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは少なくとも約96%純粋である。いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは少なくとも約97%純粋である。いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは少なくとも約98%純粋である。いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは少なくとも約99%純粋である。いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは少なくとも約99.1%、約99.2%、約99.3%、約99.4%、約99.5%、約99.6%、約99.7%、約99.8%、約99.9%、または約100%純粋である。
【0039】
結晶性化合物II
結晶性化合物IIも本明細書で提供される。
【0040】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物IIは溶媒和されていない。
【0041】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物IIは溶媒和されている。いくつかの実施形態では、結晶性化合物IIは、アセトン溶媒和物、1-プロパノール溶媒和物、2-メチルテトラヒドロフラン溶媒和物、メチルイソブチルケトン溶媒和物、1,4-ジオキサン溶媒和物、クロロホルム溶媒和物、テトラヒドロフラン溶媒和物、またはジクロロメタン溶媒和物である。いくつかの実施形態では、結晶性化合物IIはアセトン溶媒和物である。いくつかの実施形態では、結晶性化合物IIは、2-メチルテトラヒドロフラン溶媒和物である。いくつかの実施形態では、結晶性化合物IIはテトラヒドロフラン溶媒和物である。
【0042】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物IIは水和物である。
【0043】
いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは不純物を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは少なくとも約90%純粋である。いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%純粋である。いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは少なくとも約95%純粋である。いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは少なくとも約96%純粋である。いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは少なくとも約97%純粋である。いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは少なくとも約98%純粋である。いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは少なくとも約99%純粋である。いくつかの実施形態では、非晶質化合物IIは少なくとも約99.1%、約99.2%、約99.3%、約99.4%、約99.5%、約99.6%、約99.7%、約99.8%、約99.9%、または約100%純粋である。
【0044】
化合物IIの結晶形1
いくつかの実施形態では、結晶性化合物IIは、化合物IIの結晶形1である。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形1を含む組成物が本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形1は、
a)図1に示されるものと実質的に同じXRPDパターン、
b)Cu Kα線を用いて測定した、約2.8° 2-シータ、約7.2° 2-シータ、約13.4° 2-シータ、約17.8° 2-シータ、約19.7° 2-シータ、約19.9° 2-シータ、および約20.6° 2-シータでピークを有するXRPDパターン、
c)図2に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラム、
d)約179.5℃で開始し、約181.6℃でのピークを有する吸熱を備えたDSCサーモグラム、
e)図3に示されるものと実質的に同じTGAパターン、
f)25℃~60℃までの0.1%w/wの喪失と約250℃で開始する分解とを備えたTGAパターン、
g)図4に示されるものと実質的に同じFTIR分光法パターン、
h)約103cm-1、約838cm-1、約1220cm-1、約1504cm-1、および約1612cm-1でピークを有するFTIR分光法パターン、
i)図5に示されるものと実質的に同じラマン分光法パターン、
j)約103cm-1、約126cm-1、約810cm-1、約1158cm-1、約1238cm-1、約1604cm-1、および約1629cm-1でピークを有するラマン分光法パターン、
k)100Kにて以下のものにほぼ等しい単位格子パラメータ、
【0045】
【表2】
あるいは、
l)これらの組み合わせ、
を有することを特徴とする。
【0046】
いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形1は、図1に示されるものと実質的に同じXRPDパターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形1は、Cu Kα線を用いて測定した、約2.8° 2-シータ、約7.2° 2-シータ、約13.4° 2-シータ、約17.8° 2-シータ、約19.7° 2-シータ、約19.9° 2-シータ、および約20.6° 2-シータでピークを有するXRPDパターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形1は、図2に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形1は、約179.5℃で開始し、約181.6℃でのピークを有する吸熱を備えたDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形1は、図3に示されるものと実質的に同じTGAパターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形1は、25℃~60℃までの0.1%w/wの喪失と約250℃で開始する分解とを備えたTGAパターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形1は、図4に示されるものと実質的に同じFTIR分光法パターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形1は、約103cm-1、約838cm-1、約1220cm-1、約1504cm-1、および約1612cm-1でピークを有するFTIR分光法パターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形1は、図5に示されるものと実質的に同じラマン分光法パターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形1は、約103cm-1、約126cm-1、約810cm-1、約1158cm-1、約1238cm-1、約1604cm-1、および約1629cm-1でピークを有するラマン分光法パターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形1は、0~90%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~13.0%w/w)を有する。
【0047】
いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形1は、100Kにて以下のものにほぼ等しい単位格子パラメータを有する。
【0048】
【表3】
【0049】
いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形1は、Cu Kα線を用いて測定した、約2.8° 2-シータでXRPDパターン反射を有する。いくつかの実施形態では、結晶形1はさらに、約7.2° 2-シータ、約13.4° 2-シータ、約17.8° 2-シータ、約19.7° 2-シータ、約19.9° 2-シータ、および約20.6° 2-シータでXRPDパターン反射を特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形1はさらに、約7.2° 2-シータ、約13.4° 2-シータ、約17.8° 2-シータ、約19.7° 2-シータ、約19.9° 2-シータ、および約20.6° 2-シータから選択される少なくとも1つのXRPDパターン反射を特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形1はさらに、約7.2° 2-シータ、約13.4° 2-シータ、約17.8° 2-シータ、約19.7° 2-シータ、約19.9° 2-シータ、および約20.6° 2-シータから選択される少なくとも2つのXRPDパターン反射を特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形1はさらに、約7.2° 2-シータ、約13.4° 2-シータ、約17.8° 2-シータ、約19.7° 2-シータ、約19.9° 2-シータ、および約20.6° 2-シータから選択される少なくとも3つのXRPDパターン反射を特徴とする。
【0050】
化合物IIの結晶形2
いくつかの実施形態では、結晶性化合物IIは、化合物IIの結晶形2である。結晶形2は化合物IIの水和物である。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形2を含む組成物が本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形2は、
a)図6に示されるものと実質的に同じXRPDパターン、
b)Cu Kα線を用いて測定した、約4.5° 2-シータ、約13.8° 2-シータ、約17.6° 2-シータ、約19.0° 2-シータ、約19.6° 2-シータ、約19.9° 2-シータ、約20.5° 2-シータ、および約23.0° 2-シータでピークを有するXRPDパターン、
c)図7に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラム、
d)
i.約44.1℃での開始と約72.4℃でのピーク、
ii.約92.4℃でのピーク、
iii.約107.0℃での開始と約118.5℃でのピーク、
iv.約127.6℃での開始と約130.0℃でのピーク、
v.約146.9℃での開始と約149.9℃でのピーク、および、
vi.約179.5℃での開始と約181.1℃でのピーク、
を有する6つの吸熱事象を備えたDSCサーモグラム、
e)図8に示されるものと実質的に同じTGAパターン、
f)25℃~145℃までの17.2%w/wの喪失と約275℃で開始する分解とを備えたTGAパターン、
g)0~90%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~25%w/w)、
h)90%のRHと25℃でのGVS分析後に変化しないXRPD、
i)7日間にわたる97%のRHと25℃での保存後に変化しないXRPD、
j)7日間にわたる75%のRHと40℃での保存後に変化しないXRPD、あるいは、
k)これらの組み合わせ、
を有することを特徴とする。
【0051】
いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形2は、図6に示されるものと実質的に同じXRPDパターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形2は、Cu Kα線を用いて測定した、約4.5° 2-シータ、約13.8° 2-シータ、約17.6° 2-シータ、約19.0° 2-シータ、約19.6° 2-シータ、約19.9° 2-シータ、約20.5° 2-シータ、および約23.0° 2-シータでピークを有するXRPDパターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形2は、図7に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形2は、約44.1℃での開始と約72.4℃でのピーク、約92.4℃でのピーク、約107.0℃での開始と約118.5℃でのピーク、約127.6℃での開始と約130.0℃でのピーク、約146.9℃での開始と約149.9℃でのピーク、および、約179.5℃での開始と約181.1℃でのピークを有する6つの吸熱事象を備えたDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形2は、図8に示されるものと実質的に同じTGAパターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形2は、25℃~145℃までの17.2%w/wの喪失と約275℃で開始する分解とを備えたTGAパターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形2は、0~90%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~25%w/w)を有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形2は、90%のRHと25℃のGVS分析後の変化しないXRPDを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形2は、7日間にわたる97%のRHと25℃の保存後の変化しないXRPDを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形2は、7日間にわたる75%のRHと40℃の保存後の変化しないXRPDを有する。
【0052】
いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形2は、Cu Kα線を用いて測定した、2.8° 2-シータでXRPDパターン反射を有する。いくつかの実施形態では、結晶形2はさらに、約13.8° 2-シータ、約17.6° 2-シータ、約19.0° 2-シータ、約19.6° 2-シータ、約19.9° 2-シータ、約20.5° 2-シータ、および約23.0° 2-シータでXRPDパターン反射を特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形2はさらに、約13.8° 2-シータ、約17.6° 2-シータ、約19.0° 2-シータ、約19.6° 2-シータ、約19.9° 2-シータ、約20.5° 2-シータ、および約23.0° 2-シータから選択される少なくとも1つのXRPDパターン反射を特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形2はさらに、約13.8° 2-シータ、約17.6° 2-シータ、約19.0° 2-シータ、約19.6° 2-シータ、約19.9° 2-シータ、約20.5° 2-シータ、および約23.0° 2-シータから選択される少なくとも2つのXRPDパターン反射を特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形2はさらに、約13.8° 3-シータ、約17.6° 2-シータ、約19.0° 2-シータ、約19.6° 2-シータ、約19.9° 2-シータ、約20.5° 2-シータ、および約23.0° 2-シータから選択される少なくとも3つのXRPDパターン反射を特徴とする。
【0053】
化合物IIの結晶形3
いくつかの実施形態では、結晶性化合物IIは、化合物IIの結晶形3である。化合物IIの結晶形3は化合物IIの溶媒和物である。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形3を含む組成物が本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形3は、複数の溶媒によって形成される等構造溶媒和物である。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形3は、トルエン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、または2-メチルテトラヒドロフランを伴う溶媒和物である。
【0054】
いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形3は、化合物IIの結晶性2-メチルテトラヒドロフラン溶媒和物である。
【0055】
いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形3は、
a)図9に示されるものと実質的に同じXRPDパターン、
b)図10に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラム、
c)
i.約58.7℃での開始と約73.2℃でのピーク、
ii.約114.5℃での開始と約136.2℃でのピーク、および、
iii.約172.5℃での開始と約178.6℃でのピーク、
を有する3つの吸熱事象を備えたDSCサーモグラム、
d)図11に示されるものと実質的に同じTGAパターン、
e)25℃から82℃までの2.3%w/wの喪失、さらに、82℃から155℃までの3.8%w/wの喪失、および、約275℃で開始する分解を備えるTGAパターン、
f)0~90%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~9.0%w/w)、
g)90%のRHと25℃でのGVS分析後に形態1に転換するXRPD、
h)7日間75%のRHと40℃での保存後に形態1に転換するXRPD、あるいは、
i)それらの組み合わせ、
を有することを特徴とする。
【0056】
いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形3は、図9に示されるものと実質的に同じXRPDパターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形3は、図10に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形3は、約58.7℃での開始と約73.2℃でのピーク、約114.5℃での開始と約136.2℃でのピーク、約172.5℃での開始と約178.6℃でのピークを有する3つの吸熱事象を備えたDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形3は、図11に示されるものと実質的に同じTGAパターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形3は、25℃から82℃までの2.3%w/wの喪失、さらに、82℃から155℃までの3.8%w/wの喪失、および、約275℃で開始する分解を備えるTGAパターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形3は、0~90%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~9.0%w/w)を有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形3は、90%のRHと25℃のGVS分析後に形態1に転換するXRPDを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形3は、7日間の75%のRHと40℃の保存後に形態1に転換するXRPDを有する。
【0057】
いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形3は不安定であり、乾燥時に形態1に転換する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形3は不安定であり、周囲条件で静置時に形態1に転換する。
【0058】
化合物IIの結晶形4
いくつかの実施形態では、結晶性化合物IIは、化合物IIの結晶形4である。化合物IIの結晶形4は溶媒和物である。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形4を含む組成物が本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形4は、複数の溶媒によって形成される等構造溶媒和物である。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形4は、メチルイソブチルケトン、1,4-ジオキサン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、またはジクロロメタンで溶媒和されている。
【0059】
いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形4はテトラヒドロフラン溶媒和物である。
【0060】
いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形4は、
a)図12に示されるものと実質的に同じXRPDパターン、
b)Cu Kα線を用いて測定した、約3.3° 2-シータ、約6.7° 2-シータ、約20.1° 2-シータ、および約20.7° 2-シータでピークを有するXRPDパターン、
c)図13に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラム、
d)
i.約111.7℃での開始と、約70℃で開始する幅広のショルダーを伴う約114.5℃でのピーク、および、
ii.約142.5℃での開始と、約130.6℃で開始する幅広のショルダーを伴う約147.2℃でのピーク、
を有する2つの吸熱事象を備えたDSCサーモグラム、
e)図14に示されるものと実質的に同じTGAパターン、
f)25℃~175℃までの14.3%w/wの喪失と約285℃で開始する分解とを備えたTGAパターン、
g)0~90%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~23%w/w)、
h)90%のRHと25℃でのGVS分析後に形態2に転換するXRPD、
i)110℃に加熱後に変化しないXRPD、
j)7日間にわたって97%のRHと25℃での保存後に形態2に転換するXRPD、
k)7日間にわたって75%のRHと40℃での保存後に形態1に転換するXRPD、あるいは、
l)これらの組み合わせ、
を有することを特徴とする。
【0061】
いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形4は、図12に示されるものと実質的に同じXRPDパターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形4は、Cu Kα線を用いて測定した、約3.3° 2-シータ、約6.7° 2-シータ、約20.1° 2-シータ、および約20.7° 2-シータでピークを有するXRPDパターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形4は、図13に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形4は、約111.7℃での開始と、約70℃で開始する幅広のショルダーを伴う約114.5℃でのピーク、および、約142.5℃での開始と、約130.6℃で開始する幅広のショルダーを伴う約147.2℃でのピークを有する2つの吸熱事象を備えたDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形4は、図14に示されるものと実質的に同じTGAパターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形4は、25℃~175℃までの14.3%w/wの喪失と約285℃で開始する分解とを備えたTGAパターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形4は、0~90%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~23%w/w)を有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形4は、90%のRHと25℃のGVS分析後に形態2に転換するXRPDを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形4は、110℃への加熱後に変化しないXRPDを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形4は、7日間にわたる97%のRHと25℃の保存後に形態2に転換するXRPDを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形4は、7日間にわたる75%のRHと40℃の保存後に形態1に転換するXRPDを有する。
【0062】
いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形4は、Cu Kα線を用いて測定した、3.3° 2-シータでXRPDパターン反射を有する。いくつかの実施形態では、結晶形4はさらに、20.1°2-シータと20.7° 2-シータでのXRPDパターン反射を特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形4はさらに、5.7° 2-シータ、11.9° 2-シータ、17.2° 2-シータ、17.4° 2-シータ、18.1° 2-シータ、19.1° 2-シータ、19.8° 2-シータ、22.9° 2-シータ、および23.1° 2-シータでのXRPDパターン反射を特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形4はさらに、5.7° 2-シータ、11.9° 2-シータ、17.2° 2-シータ、17.4° 2-シータ、18.1° 2-シータ、19.1° 2-シータ、19.8° 2-シータ、22.9° 2-シータ、および23.1° 2-シータから選択される少なくとも1つのXRPDパターン反射を特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形4はさらに、5.7° 2-シータ、11.9° 2-シータ、17.2° 2-シータ、17.4° 2-シータ、18.1° 2-シータ、19.1° 2-シータ、19.8° 2-シータ、22.9° 2-シータ、および23.1° 2-シータから選択される少なくとも2つのXRPDパターン反射を特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形4はさらに、5.7° 2-シータ、11.9° 2-シータ、17.2° 2-シータ、17.4° 2-シータ、18.1° 2-シータ、19.1° 2-シータ、19.8° 2-シータ、22.9° 2-シータ、および23.1° 2-シータから選択される少なくとも3つのXRPDパターン反射を特徴とする。
【0063】
化合物IIの結晶形5
いくつかの実施形態では、結晶性化合物IIは、化合物IIの結晶形5である。化合物IIの結晶形5は溶媒和物である。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形5を含む組成物が本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形5は、複数の溶媒によって形成される等構造溶媒和物である。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形5は、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、または酢酸エチルで溶媒和されている。
【0064】
いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形5はアセトン溶媒和物である。
【0065】
いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形5は、
a)図15に示されるものと実質的に同じXRPDパターン、
b)Cu Kα線を用いて測定した、約2.8° 2-シータ、約8.3° 2-シータ、約8.7° 2-シータ、約13.1° 2-シータ、約19.4° 2-シータ、約20.2° 2-シータ、約21.3° 2-シータ、および約24.6° 2-シータでピークを有するXRPDパターン、
c)図16に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラム、
d)
i.75.8℃での開始と、約85.8℃および97.2℃で2つのピーク、および、
ii.180.4℃での開始と182.2でのピーク、
を有する2つの吸熱事象を備えたDSCサーモグラム、
e)図17に示されるものと実質的に同じFTIR分光法パターン、または、
f)約810cm-1、約838cm-1、約1220cm-1、約1504cm-1、および約1612cm-1でピークを有するFTIR分光法パターン、あるいは、
g)これらの組み合わせ、
を有することを特徴とする。
【0066】
いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形5は、図15に示されるものと実質的に同じXRPDパターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形5は、Cu Kα線を用いて測定した、約2.8° 2-シータ、約8.3° 2-シータ、約8.7° 2-シータ、約13.1° 2-シータ、約19.4° 2-シータ、約20.2° 2-シータ、約21.3° 2-シータ、および約24.6° 2-シータでピークを有するXRPDパターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形5は、図16に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形5は、75.8℃での開始と、約85.8℃および97.2℃で2つのピーク、ならびに、180.4℃での開始と182.2でのピークを有する2つの吸熱事象を備えたDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形5は、図17に示されるものと実質的に同じFTIR分光法パターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形5は、約810cm-1、約838cm-1、約1220cm-1、約1504cm-1、および約1612cm-1でピークを有するFTIR分光法パターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形5は不安定であり、乾燥時に形態1に転換する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形5は乾燥後に形態1に転換するXRPDを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形5は、90%のRHと25℃のGVS分析後に形態1に転換するXRPDを有する。
【0067】
いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶形5は、Cu Kα線を用いて測定した、2.8° 2-シータでXRPDパターン反射を有する。いくつかの実施形態では、結晶形5はさらに、約8.3° 2-シータ、約8.7° 2-シータ、約13.1° 2-シータ、約19.4° 2-シータ、約20.2° 2-シータ、約21.3° 2-シータ、および約24.6° 2-シータでXRPDパターン反射を特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形5はさらに、約8.3° 2-シータ、約8.7° 2-シータ、約13.1° 2-シータ、約19.4° 2-シータ、約20.2° 2-シータ、約21.3° 2-シータ、および約24.6° 2-シータから選択される少なくとも1つのXRPDパターン反射を特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形5はさらに、約8.3° 2-シータ、約8.7° 2-シータ、約13.1° 2-シータ、約19.4° 2-シータ、約20.2° 2-シータ、約21.3° 2-シータ、および約24.6° 2-シータから選択される少なくとも2つのXRPDパターン反射を特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形5はさらに、約8.3° 2-シータ、約8.7° 2-シータ、約13.1° 2-シータ、約19.4° 2-シータ、約20.2° 2-シータ、約21.3° 2-シータ、および約24.6° 2-シータから選択される少なくとも3つのXRPDパターン反射を特徴とする。
【0068】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物II溶媒和物が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、結晶性化合物II溶媒和物は、複数の溶媒によって形成される等構造溶媒和物である。いくつかの実施形態では、結晶性化合物II溶媒和物は、ジエチルエーテル、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、1-プロパノール、1,4-ジオキサン、トルエン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、または2-メチルテトラヒドロフランを有する溶媒和物である。いくつかの実施形態では、結晶性化合物II溶媒和物は、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、または2-メチルテトラヒドロフランを有する結晶性溶媒和物である。
【0069】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物II溶媒和物が本明細書に開示される。
【0070】
化合物IIの結晶パターン9
いくつかの実施形態では、結晶性化合物IIは、化合物IIの結晶パターン9である。パターン9の化合物IIは水和物である。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶パターン9は、
a)図18に示されるものと実質的に同じXRPDパターン、
b)図19に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラム、
c)
i.約38.5℃での開始と、約71.5℃および94.1℃で2つのピーク、
ii.約107.1℃での開始と、約118.0℃および130.0℃で2つのピーク、ならびに、
iii.約146.8℃での開始と約150.0℃でのピーク、
を有する3つの吸熱事象を備えたDSCサーモグラム、
d)図20に示されるものと実質的に同じTGAパターン、
e)25℃~105℃までの8.6%w/wの喪失と約270℃で開始する分解とを備えたTGAパターン、
f)0~90%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~27%w/w)、および、
g)90%のRHと25℃でのGVS分析後に変化しないXRPD、または、
h)これらの組み合わせ、
を有することを特徴とする。
【0071】
いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶パターン9は、図18に示されるものと実質的に同じXRPDパターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶パターン9は、図19に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶パターン9は、約38.5℃での開始と、約71.5℃および94.1℃で2つのピーク、約107.1℃での開始と、約118.0℃および130.0℃で2つのピーク、ならびに、約146.8℃での開始と約150.0℃でのピークを有する3つの吸熱事象を備えたDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶パターン9は、図20に示されるものと実質的に同じTGAパターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶パターン9は、25℃~105℃までの8.6%w/wの喪失と約270℃で開始する分解とを備えたTGAパターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶パターン9は、0~90%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~27%w/w)を有する。いくつかの実施形態では、化合物IIの結晶パターン9は、90%のRHと25℃のGVS分析後の変化しないXRPDを有する。
【0072】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物II 2-メチルテトラヒドロフラン溶媒和物(パターン5)が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、結晶性化合物II 2-メチルテトラヒドロフラン溶媒和物(パターン5)は不安定である。
【0073】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物II 1,4-ジオキサン溶媒和物(パターン6)が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、結晶性化合物II 1,4-ジオキサン溶媒和物(パターン6)は不安定である。
【0074】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物II溶媒和物パターン8が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、結晶性化合物II溶媒和物パターン8は、複数の溶媒によって形成される等構造溶媒和物形態である。いくつかの実施形態では、結晶性化合物II溶媒和物パターン8は酢酸エチルを有する結晶性溶媒和物である。いくつかの実施形態では、化合物II溶媒和物パターン8結晶性化合物は不安定であり、乾燥時に形態1に転換する。
【0075】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物II溶媒和物パターン12が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、結晶性化合物IIパターン12は、
a)図24に示されるものと実質的に同じXRPDパターン、
b)図25に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラム、
c)
i.約54.7℃での開始と約81.5℃でのピーク、
ii.約90.1℃での開始と約92.2℃でのピーク、
iii.約115.9℃での開始と約124.6℃でのピーク、
iv.約131.3℃での開始と約132.5℃でのピーク、および、
v.約146.8℃での開始と約150.6℃でのピーク、
を有する5つの吸熱事象を備えたDSCサーモグラム、あるいは、
d)それらの組み合わせ、
を有することを特徴とする。
【0076】
1つの態様では、ナトリウム(E)-2-(4-((3-(4-フルオロフェニル)-3-(4-(3-モルホリノプロプ-1-イン-1-イル)フェニル)アリル)オキシ)-2-メチルフェノキシ)アセテート(化合物II)
【0077】
【化3】
の調製のためのプロセスが本明細書に記載されており、上記プロセスは、化合物IIを提供するために、適切な溶媒の存在下において、化合物I
【0078】
【化4】
あるいは化合物Iのアルキルエステル、またはその塩
【0079】
【化5】
(式中、RはC-Cアルキルである)を、水酸化ナトリウム溶液で処理する工程を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソアミル、ペンチル、またはヘキシルである。いくつかの実施形態では、Rはメチルまたはエチルである。いくつかの実施形態では、Rはメチルである。いくつかの実施形態では、Rはエチルである。
【0081】
いくつかの実施形態では、適切な溶媒は、水、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、またはこれらの組み合わせである。
【0082】
いくつかの実施形態では、化合物IIの調製は、適切な溶媒の存在下において、水酸化ナトリウム溶液で化合物Iを処理する工程を含み、適切な溶媒は、水、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、またはこれらの組み合わせである。
【0083】
いくつかの実施形態では、化合物IIの調製は、適切な溶媒の存在下において、水酸化ナトリウム溶液で化合物Iを処理する工程を含み、適切な溶媒はアセトンとアセトニトリルの組み合わせである。いくつかの実施形態では、化合物IIは本明細書に記載されているような結晶形1である。
【0084】
「薬学的に許容可能な」とは、本明細書で使用されるように、担体または希釈剤などの材料を指し、これは、化合物の生物学的活性または特性を抑制せず、比較的無毒であり、つまり、この材料は望ましくない生物学的作用を引き起こすことなく、またはそれが含まれている組成物の成分のいずれにも有害なやり方で相互作用することなく、個体に投与される。
【0085】
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、適切なアニオンと組み合わせた治療上活性な薬剤のカチオン形態、あるいは代替的な実施形態では、適切なカチオンと組み合わせた治療上活性な薬剤のアニオンの形態からなる、治療上活性な薬剤の形態を指す。Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use. International Union of Pure and Applied Chemistry, Wiley-VCH 2002. S.M. Berge, L.D. Bighley, D.C. Monkhouse, J. Pharm. Sci. 1977, 66, 1-19. P. H. Stahl and C. G. Wermuth, editors, Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use, Weinheim/Zurich:Wiley-VCH/VHCA, 2002.薬学的な塩は、典型的には非イオン種よりも溶けやすく、胃液および腸液中では急速に溶けやすく、ゆえに、固体剤形に有用である。さらに、その溶解度がしばしばpHに影響されるため、消化管の1つの部分または別の部分における選択溶解が可能であり、この能力は、遅延放出性および徐放性の挙動の一態様として操作することができる。さらに、塩形成分子が中性の形態と平衡状態にあり得るため、生体膜の通過を調節することができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、本明細書で開示される化合物を酸と反応させることにより得られる。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される化合物(つまり、遊離塩基形態)は塩基性であり、有機酸または無機酸と反応させる。無機酸としては、限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、およびメタリン酸が挙げられる。有機酸は、限定されないが、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタール酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸(L)、アスパラギン酸(L)、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、樟脳酸(+)、カンフル-10-スルホン酸(+)、カプリン酸(デカン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸(D)、グルコン酸(D)、グルクロン酸(D)、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸(DL)、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸(-L)、マロン酸、マンデル酸(DL)、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ニコチン酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸(-L)、サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸(+L)、チオシアン酸、トルエンスルホン酸(p)、および、ウンデシレン酸を含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物は塩酸塩として調製される。
【0088】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、本明細書で開示される化合物を塩基と反応させることにより得られる。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される化合物は酸性であり、塩基と反応させる。こうした状況下で、本明細書で開示される化合物の酸性プロトンは、金属イオン、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、またはアルミニウムイオンと取り替えられる。場合によっては、本明細書に記載される化合物は、限定されないが、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、メグルミン、N-メチルグルカミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどの有機塩基と協働する。他の場合では、本明細書に記載される化合物は、アルギニン、リジンなどのアミノ酸とともに塩を形成する。酸性プロトンを含む化合物とともに塩を形成するために使用される許容可能な無機塩基は、限定されないが、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、N-メチルグルカミン塩、またはアンモニウム塩として調製される。
【0089】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される化合物はナトリウム塩として調製される。
【0090】
薬学的に許容可能な塩に対する言及は、溶媒付加形態を含むことを理解されたい。いくつかの実施形態では、溶媒和物は溶媒の化学量論または非化学量論のいずれかを含み、水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を用いる結晶化のプロセスの間に形成される。水和物は溶媒が水である場合に形成され、あるいは、アルコラートは溶媒がアルコールである場合に形成される。本明細書に記載される化合物の溶媒和物は、本明細書に記載されるプロセスの間に都合よく調製または形成される。加えて、本明細書で提供される化合物は任意選択で、溶媒和形態と同様に非溶媒和形態で存在する。
【0091】
追加的なまたはさらなる実施形態において、本明細書に記載される化合物は、必要としている生物体への投与後に代謝されることで代謝物を生成し、この代謝物はその後使用されることで所望の治療効果を含む所望の効果をもたらす。
【0092】
本明細書に開示される化合物の「代謝物」は、化合物が代謝されるときに形成される化合物の誘導体である。「活性代謝物」という用語は、化合物が代謝されるときに形成される化合物の生物学的に活性な誘導体を指す。「代謝される(metabolized)」という用語は、本明細書で使用されるように、有機体によって特定の物質が変化するプロセス(限定されないが、加水分解反応および酵素によって触媒される反応を含む)の合計を指す。したがって、酵素は、化合物への具体的な構造的変化をもたらし得る。例えば、シトクロムP450は、様々な酸化反応および還元反応を触媒する一方で、ウリジン二リン酸グルクロニルトランスフェラーゼは、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、カルボン酸、アミン、および遊離スルフヒドリル基への活性化グルクロン酸分子の移動を触媒する。本明細書で開示される化合物の代謝物は、宿主への化合物の投与と宿主からの組織サンプルの解析、または肝細胞を用いた化合物のインビトロでのインキュベーションとその結果生じる化合物の解析のいずれかによって任意選択で特定される。
【0093】
別段の定めのない限り、本出願で使用される以下の用語の定義を下に示す。「含むこと(including)」という用語に加えて、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含まれる(included)」などの他の形態の使用は、限定的なものではない。本明細書に使用される段落の見出しは、組織化するためのものに過ぎず、記載される主題を制限するものと解釈されてはならない。
【0094】
本明細書で使用されるように、「アルキル」という用語は、脂肪族炭化水素基を指す。アルキル基は分岐鎖または直鎖である。いくつかの実施形態では、「アルキル」基は、1~10個の炭素原子、すなわち、C-C10アルキルを有する。いくつかの実施形態では、アルキルはC-Cアルキルである。1つの態様では、アルキルはメチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、またはt-ブチルである。典型的なアルキル基としては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソアミル、ペンチル、およびヘキシルが挙げられる。
【0095】
本明細書で使用されるように、製剤、組成物、または成分に対して「許容可能な」という用語は、処置されている対象の健康状態に対して持続的な有害効果がないことを意味する。
【0096】
本明細書で使用されるような「調節する(modulate)」という用語は、ほんの一例として、標的の活性を増強する、標的の活性を阻害する、標的の活性を制限する、または標的の活性を拡大することを含んで、標的の活性を変更するように、直接的または間接的に標的と相互作用することを意味する。
【0097】
本明細書で使用されるような「モジュレーター」という用語は、直接的または間接的に標的と相互作用する分子を指す。相互作用は、限定されないが、アゴニスト、部分アゴニスト、インバースアゴニスト、アンタゴニスト、分解誘導剤(degrader)、またはそれらの組み合わせの相互作用を含む。いくつかの実施形態では、モジュレーターはアゴニストである。
【0098】
本明細書で使用されるように、「投与する(administer)」、「投与すること(administering)」、「投与(administration)」などの用語は、生物学的作用の望ましい部位への化合物または組成物の送達を可能にするために使用され得る方法を指す。これらの方法は、限定されないが、経口経路、十二指腸内経路、非経口注入(静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、血管内、または点滴を含む)、局所投与、および直腸投与を含む。当業者は、本明細書に記載される化合物および方法を用いて使用され得る投与技術に精通している。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物および組成物は、経口で投与される。
【0099】
「同時投与」などの用語は、本明細書で使用されるように、一人の患者に対する選択された治療剤の投与を包含することを意味しており、同じまたは異なる投与経路によって、あるいは同じまたは異なる時間に、治療剤が投与される治療レジメンを含むことを意図している。
【0100】
「有効量」または「治療有効量」という用語は、本明細書で使用されるように、処置されている疾患または疾病の症状の1つ以上をある程度まで軽減する、投与されている薬剤または化合物の十分な量を指す。結果は、疾患の徴候、症状、または原因の減少および/または緩和、あるいは生体系の他の所望の変化を含む。例えば、治療用途のための「有効量」は、疾患症状を臨床的に有意に減少させるために必要とされる、本明細書に開示されるような化合物を含む組成物の量である。個々のケースでの適切な「有効」量は、用量漸増試験などの技術を使用して任意選択で決定される。
【0101】
「増強する(enhance)」または「増強すること(enhancing)」という用語は、本明細書で使用されるように、効力または持続時間のいずれかにおいて所望の効果を増加または延長させることを意味する。したがって、治療剤の効果を増強することに関して、「増強する」という用語は、効力または持続時間のいずれかにおいて、系に対する他の治療剤の効果を増加または延長させる能力を指す。本明細書で使用されるような「増強有効量」は、望ましい系において別の治療剤の効果を増強するのに十分な量を指す。
【0102】
本明細書で使用されるような「薬学的な組み合わせ(pharmaceutical combination)」という用語は、1つを超える有効成分の混合または併用に起因し、かつ、有効成分の固定されたおよび固定されていない組み合わせを含む生成物を意味する。「固定された組み合わせ」という用語は、有効成分、例えば、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、および助剤が、単一の実体または用量の形態で同時に患者に両方とも投与されることを意味する。「固定されていない組み合わせ」という用語は、有効成分、例えば、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、および助剤が、特定の介在する時間制限なく、同時に、同時発生的に、また連続して、別々の実体として患者に投与されることを意味し、こうした投与は、患者の身体に有効レベルの2つの化合物を提供する。後者の用語はカクテル療法、例えば、3つ以上の有効成分の投与にも当てはまる。
【0103】
「製品」および「キット」という用語は、同義語として使用される。
【0104】
「対象」または「患者」という用語は、哺乳動物を包含する。哺乳動物の例は、限定されないが、以下の哺乳動物のクラスの任意のメンバー、すなわち、ヒト、チンパンジーなどのヒト以外の霊長類、ならびに他の類人猿およびサル種、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜、ウサギ、イヌ、およびネコなどの飼育動物、ラット、マウス、およびモルモットなどのげっ歯類を含む実験動物を含む。1つの態様では、哺乳動物はヒトである。
【0105】
「処置する」、「処置すること」、または「処置」という用語は、本明細書で使用されるように、疾患または疾病の少なくとも1つの症状を緩和するか、軽減するか、あるいは改善すること、追加の症状を防ぐこと、疾患または疾病を阻害すること、例えば、疾患または疾病の進行を抑えること、疾患または疾病を軽減すること、疾患または疾病の退行を引き起こすこと、疾患または疾病によって引き起こされた状態を軽減すること、あるいは疾患または疾病の症状を予防的におよび/または治療的に止めることを含む。
【0106】
医薬組成物
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物および固体状形態は、医薬組成物へ製剤化される。医薬組成物は、薬学的に使用される調製物への活性化合物の処理を促進する1つ以上の薬学的に許容可能な不活性成分を使用して、従来の方法で製剤化される。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。本明細書に記載される医薬組成物の概要は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995);Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975;Liberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980、およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)で見られ、これらは、その開示のための引用によって本明細書に組み込まれる。
【0107】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物および固体状形態は、単独で、あるいは、医薬組成物中で薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤と組み合わせて、投与される。本明細書に記載される化合物および組成物の投与は、作用部位への化合物の送達を可能にする方法によって達成され得る。
【0108】
いくつかの実施形態では、経口投与に適した医薬組成物は、各々があらかじめ決められた量の有効成分を含む、カプセル、カシェ、または錠剤などの分散単位として、粉末または顆粒として、水性の液体または非水性の液体中の溶液または懸濁液として、あるいは、水中油型の液体エマルジョンまたは油中水型の液体エマルジョンとして提示される。いくつかの実施形態では、有効成分は、ボーラス剤(bolus)、舐剤、またはペースト剤として提示される。
【0109】
経口で使用することができる医薬組成物は、錠剤、ゼラチンで作られた押し込み型カプセル、同様に、ゼラチンとグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤とで作られた密封されたソフトカプセルを含む。錠剤は、任意選択で1つ以上の副成分とともに、圧縮または成形によって作られてもよい。圧縮錠剤は、任意選択で結合剤、不活性希釈剤または平滑剤、表面活性剤、あるいは分散剤と混合して、粉末または顆粒などの自由流動形態で有効成分を適切な機械で圧縮することによって調製され得る。成形錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を適切な機械で成形することによって作られ得る。いくつかの実施形態では、錠剤はコーティングされるかスコア化され、製剤化されることで、その中の有効成分の遅延放出または制御放出をもたらす。経口投与のためのすべての製剤はこうした投与に適した投与量でなければならない。押し込み型カプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/または滑石あるいはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ならびに任意選択で安定剤と組み合わせて、有効成分を含むことができる。ソフトカプセルにおいて、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、または液体のポリエチレングリコールなどの、適切な液体中に溶解または懸濁され得る。いくつかの実施形態では、安定剤が添加される。糖衣錠コアには適切なコーティングが与えられる。この目的のために、濃縮した糖溶液が使用されてもよく、これは、任意選択で、アラビアゴム、滑石、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒あるいは溶媒混合液を含有し得る。染料または色素は、識別のために、または活性化合物の用量の様々な組み合わせを特徴付けるために、錠剤または糖衣錠コーティングに添加されてもよい。
【0110】
例えば、とりわけ、上で言及された成分に加えて、本明細書に記載される化合物と組成物は、問題の製剤のタイプを考慮して当該技術分野の従来の他の薬剤を含むことがあり、例えば、経口投与に適した薬剤は、香料を含むことがあることを理解されたい。
【0111】
投薬方法と処置レジメン
1つの実施形態では、本明細書で開示される化合物および固体状形態、またはその薬学的に許容可能な塩は、PPARδ活性の調節から利益を得ることになる哺乳動物における疾患または疾病の処置のための薬剤の調製に使用される。そのような処置を必要としている哺乳動物において本明細書に記載される疾患または疾病のいずれかを処置するための方法は、本明細書で開示される少なくとも1つの化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、活性代謝物、プロドラッグ、または薬学的に許容可能な溶媒和物を、治療有効量で哺乳動物に投与する工程を含む。
【0112】
特定の実施形態では、本明細書に記載される化合物および固体状形態を含有する組成物は、予防的および/または治療的な処置のために投与される。特定の治療用途では、組成物は、疾患または疾病の症状の少なくとも1つを治癒するか、または少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で、疾患または疾病に既に苦しんでいる患者に投与される。この使用に有効な量は、疾患または疾病の重症度および経過、以前の治療、患者の健康状態、体重、および薬物に対する反応、ならびに処置する医師の判断に依存する。治療有効量は、限定されないが、用量漸増および/または用量決定臨床試験を含む方法によって任意選択で決定される。
【0113】
そのような量に相当する所定の薬剤の量は、特定の化合物、疾患の状態およびその重症度、処置を必要とする対象または宿主の独自性(例えば、体重、性別)などの因子に依存して変わるが、それにもかかわらず、例えば、投与されている特定の薬剤、投与経路、処置されている疾病、および処置されている対象または宿主を含むそのケースを取り巻く特別な状況に応じて決定される。
【0114】
しかしながら、一般に、成人のヒトの処置に使用される用量は典型的には、1日当たり0.01mg~2000mgの範囲である。1つの実施形態では、所望の用量は、単回用量で、あるいは、同時にまたは適切な間隔で投与される分割用量で、例えば、1日当たり2、3、4回またはそれ以上のサブ用量として、都合よく提示される。
【0115】
1つの実施形態では、本明細書で開示される化合物および固体状形態またはその薬学的に許容可能な塩に適切な毎日の投与量は、体重1kg当たり約0.01~約50mgである。いくつかの実施形態では、毎日の投与量または剤形中の有効成分の量は、個々の処置レジメンに関する多くの変数に基づいて、本明細書に示される範囲より少なくなるか、または多くなる。様々な実施形態では、毎日の投与量および単位投与量は、限定されないが、使用される化合物の活性、処置される疾患または疾病、投与の様式、個々の対象の必要条件、処置されている疾患または疾病の重症度、および医療関係者の判断を含む、多くの変数に依存して変更される。
【0116】
前述の態様のいずれかにおいて、さらなる実施形態では、本明細書で開示される化合物またはその薬学的に許容可能な塩の有効量が、(a)哺乳動物に全身的に投与され、および/または、(b)哺乳動物に経口で投与される。
【0117】
いくつかの実施形態では、化合物IIおよびその固体状形態、またはその薬学的に許容可能な塩は、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、および約400mgから選択される用量で投与される。いくつかの実施形態では、用量は1日に1回投与される。いくつかの実施形態では、用量は1日に2回投与される。
【0118】
製品とキット
特定の実施形態では、本明細書に記載される1つ以上の方法とともに使用されるキットおよび製品が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、キットの追加のコンポーネントは、バイアル、チューブなどの1つ以上の容器を受けるように区画されている、運搬体、パッケージ、または容器を含み、容器の各々は、本明細書に記載される方法で使用される別個の要素の1つを含む。適切な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、プレート、シリンジ、および試験管が挙げられる。1つの実施形態では、容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成される。
【0119】
本明細書で提供される製品は包装材料を含む。製薬用のパッケージング材料の例としては、限定されないが、ボトル、チューブ、バッグ、容器、および選択される製剤および意図した使用の様式に適したパッケージング材料が挙げられる。
【0120】
例えば、容器は本明細書に記載される化合物の1つ以上を含む。そのようなキットは任意選択で、識別用の記載またはラベル、あるいは本明細書に記載される方法における使用に関する説明書を含む。
【0121】
キットは典型的には、内容物および/または使用説明書を列挙するラベルと、使用説明書を備えた添付文書とを含んでいる。説明書のセットも通常含まれる。
【0122】
1つの実施形態では、ラベルは容器上にあるか、容器に付随する。1つの実施形態では、ラベルを形成する文字、数字、または他の表示が容器自体に貼り付けられ、成形され、または刻まれている場合は、ラベルは容器上にある。ラベルは、例えば、添付文書として、容器を保持するレセプタクルまたは運搬体内に存在する場合には、容器に付随する。1つの実施形態では、ラベルは、内容物が特定の治療用途に用いられるべきものであるということを示すために使用される。ラベルは、例えば、本明細書に記載される方法などで、内容物の使用方法も示している。
【実施例
【0123】
省略:
2-Me-THFまたは2-MeTHF = 2-メチルテトラヒドロフラン、
ACNまたはMeCN = アセトニトリル、
化合物I = (E)-2-(4-((3-(4-フルオロフェニル)-3-(4-(3-モルホリノプロプ-1-イン-1-イル)フェニル)アリル)オキシ)-2-メチルフェノキシ)酢酸、
化合物II = ナトリウム(E)-2-(4((3-(4-フルオロフェニル)-3-(4-(3-モルホリノプロプ-1-イン-1-イル)フェニル)アリル)オキシ)-2-メチルフェノキシ)アセテート、
CPME = シクロプロピルメチルエーテル、
DCM = ジクロロメタン、
DI = 脱イオン化、
DSC = 示差走査熱量測定、
EtOAc = 酢酸エチル、
EtOH = エタノール、
equivまたはeq. =当量、
FTIRまたはFT-IR = フーリエ変換赤外分光、
g = グラム、
GC-MSまたはGCMSまたはGC/MS = ガスクロマトグラフィー-質量分析、
GVS = 重量測定蒸気吸着、
hまたはhr = 時間、
hrs = 時間、
HPLC = 高速液体クロマトグラフィー、
IC = イオンクロマトグラフィー、
IPA = イソプロピルアルコール、
IPAc = 酢酸イソプロピル、
KF = カールフィッシャー滴定、
kgまたはKGまたはkg = キログラム、
L = リットル、
LAG = 液体支援粉砕(liquid assisted grinding)、
LC-MSまたはLCMSまたはLC/MS = 液体クロマトグラフィー-質量分析、
M = モル、
MEK = メチルエチルケトン、
MIBK = メチルイソブチルケトン、
MeOAc = 酢酸メチル、
MeOH = メタノール、
mg = ミリグラム、
minsまたはmin = 分、
mol. = モル、
mLまたはml = ミリリットル、
μL = マイクロリットル、
MTBEまたはTBME = tert-ブチルメチルエーテル、
NMP = N-メチル-2-ピロリドン、
PPARδまたはPPARδ = ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δ、
ppm = 百万分率(parts per million)、
rbfまたはRBF = 丸底フラスコ、
RH = 相対湿度、
rpm = 毎分回転数、
rtまたはRT = 室温、
Rt = 保持時間、
TFA = トリフルオロ酢酸、
TGA = 熱重量分析、
THF = テトラヒドロフラン、
volまたはvols = 体積、
w/w = 重量比、および、
XRPD = X線粉末回折
【0124】
以下の実施例は、例示目的のためのみに提供され、本明細書で提供される請求項の範囲を制限するものではない。
【0125】
実施例1:(E)-2-(4-((3-(4-フルオロフェニル)-3-(4-(3-モルホリノプロプ-1-イン-1-イル)フェニル)アリル)オキシ)-2-メチルフェノキシ)酢酸(化合物I)の調製
【0126】
化合物Iの調製は前に記載されている(WO2007/071766、US7,943,613、US8,362,016、US8,551,993、US9,663,481、US9,855,274、WO2015/035171、US9,487,493、US9,968,613を参照。これらはそれぞれ全体として参照により組み込まれる)。
【0127】
実施例2:ナトリウム(E)-2-(4-((3-(4-フルオロフェニル)-3-(4-(3-モルホリノプロプ-1-イン-1-イル)フェニル)アリル)オキシ)-2-メチルフェノキシ)アセテート(化合物II)の調製
【0128】
酢酸エチル(43L)中の化合物I(1089.4g、2.113mol)の溶液を含有している72Lのオープンヘッドの丸底フラスコに、水(675ml)中の水酸化ナトリウム(82.0g、2.050mol)の溶液を添加した。溶液を40℃に加熱して濾過した。35Lの溶媒が除去されるまで、濾液を40℃の減圧下で濃縮した。溶液を1時間20℃で撹拌して濾過した。濾過ケーキを酢酸エチル(4L)で洗浄し、24時間フィルター上で風乾させ、その後、36時間50℃で真空オーブン中で乾燥させることで、1079.6gのベージュの固形物を得た。この固形物を72Lのrbf内でエタノール(22L)中で懸濁させた。溶液を室温で3時間撹拌し、その後、濾過した。濾過ケーキを2時間風乾させ、エタノール(2×4L)でスラリー状にして、その後、濾過した。濾過ケーキを24時間風乾させ、その後、24時間50℃の真空オーブンに移して、ベージュの固形物として化合物II(937.2g、82.5%)を得た。この反応を上記のように2回実行して以下のもの、905.7g(サンプル#1、HPLC=99.85%、KF=0.65%、酢酸=19ppm)および968.7g(サンプル#2、HPLC=99.87%、KF=0.53%、酢酸=44ppm)。合計=1874.4g(82.5%の収率)を得た。
【0129】
上記の2つのサンプルを1時間室温にてロータリーエバポレーターフラスコ内で混合して1859.0gの化合物IIを得た。採取された固形物のXRPD分析は化合物II、形態1と一致していた。H-NMRは構造と一致していた。
【0130】
実施例2-1:化合物IIの形態1の調製
【0131】
【化6】
【0132】
水(1ml/g)中のNaOH(1.1当量)の溶液を50℃でアセトン(9ml/g)中の化合物Iに添加し、混合物を1~3時間撹拌することで溶液を得て、これを研磨濾過した。この溶液をアセトニトリル(12.5ml/g)に添加し、これに1.5時間以上にわたって35℃で4.2%w/wの化合物II(形態1)を播種した。生じたスラリーを1~3時間35℃で撹拌し、5℃に冷やし、N下で濾過し、Nの流れの下で2ml/gの冷たいアセトンで2回洗浄した。その後、生成物を15~20時間45~55℃で乾燥させた。H-NMR (300MHz,1:1 CDCl/DMSO-d6):δ 7.45(d,2H),7.22(m,2H),7.15(d,2H),7.04(m,2H),6.65(d,1H),6.59(d,1H),6.50(dd,1H),6.24(t,1H),4.44(d,2H),4.18(s,2H),3.67(m,4H),3.50(s,2H),2.57(m,4H),2.16(s,3H)。集めた固形物のXRPD分析は化合物II、形態1と一致していた。
【0133】
実施例3:化合物IIの結晶形1からの非晶質化合物IIの調製
【0134】
化合物II(500mg)の結晶形1を室温でtBuOH/HO(1:1、5.0mL、10体積)に溶かし、0.45μmのシリンジチップフィルターを通して濾過し、清潔な100mlのRBFに移した。溶液をドライアイス-アセトンバス内で凍結させ、真空下で一晩乾燥させた。生じた固形物をXRPD、H-NMR、DSC、TGA、KF、およびHPLCによって分析した。データは非晶質材料と一致していた。
【0135】
1つのサンプルを分析のために保持しつつ、追加のサンプルをさらなる多形体スクリーニングの入力として使用した。
【0136】
実施例4:化合物IIの結晶形1からの化合物IIの結晶水和物形態2の調製
【0137】
化合物II(4g)の結晶形1を結晶化皿に置き、25℃/97%のRHで安定性チャンバー内で保存した。XRPD分析を規則的に実施して形態2への転換を証明した。完全転換は25℃/97%のRHで4週間後に観察された。
【0138】
XRPDパターンは形態2と一致していた。H-NMRスペクトルは提案された構造と一致していた。
【0139】
実施例5:化合物IIの結晶形1からの化合物IIの結晶性アセトン溶媒和物形態5の調製
【0140】
化合物II(25mg)の結晶形1をHPLCバイアルに入れて秤量し、溶媒を添加した(500μl)。懸濁液を35℃で1時間で撹拌してからXRPDによって分析した。XRPD分析については、4分法を使用して2滴の懸濁液をサンプルホルダー上に分注した。
【0141】
溶媒スクリーニングの結果が以下の表で見られる。
【0142】
【表4】
【0143】
溶媒混合物から回収したアリコートに対して行ったXRPDは、アセトン、アセトン:アセトニトリル、アセトン:水、およびアセトン:アセトニトリル:水から分析したアリコートが、最初は形態5を呈していたが、実行終了までに形態1に転換されたことを示した。アセトニトリルおよびアセトニトリル:水から回収されたアリコートに対して行ったXRPDは、材料が形態1のままであることを示した。
【0144】
形態1に関するこれらの追加実験は、形態5がアセトンおよびアセトン溶媒混合物からのみ観察されたため、形態5がアセトン溶媒和物であることを示している。アセトニトリル中のスラリーは、形態1が変化しなかったことを示した。さらに、これらの条件下で形態5から形態1への転換は可逆的であり、形態5がアセトン溶媒系で最も安定した形態であることがわかった。形態5は単離させてその特性を完全に把握することは困難であることが判明した。
【0145】
実施例6:化合物IIの結晶形1からの化合物IIの結晶性テトラヒドロフラン溶媒和物形態4の調製
【0146】
化合物IIの結晶形1(499.3mg)を撹拌棒付きの100mlのRBFに入れて秤量し、THF(5mL、10体積)を60℃で添加した。サンプルを24時間撹拌(500rpm)した後、アリコートを取ってXRPDで分析すると、形態4が生成されていることを示した。その後、ブフナー漏斗を使用して材料を単離させ、吸引真空下で約45分間放置して乾燥させた。サンプルは70.8%の収率で生成され、XRPDによって形態4を示し、H-NMRスペクトルは構造と一致し、1.1モル当量のTHFを示した。
【0147】
実施例7:化合物IIの結晶形2からの化合物IIの結晶パターン9の調製
【0148】
化合物IIの結晶性水和物形態2を2つに分け、半分を室温の真空オーブンに入れた。24時間後、サンプルをXRPDによって分析した。XRPDパターンと形態2基準との間にいくつかの小さな相違が認められた。真空オーブンで4日後、完全な転換が観察された。この材料はXRPDでパターン9であり、99.7%の純度を示した。H-NMR スペクトルは提案された構造と一致しており、残留溶媒が存在しないことを示した。
【0149】
実施例8:多形スクリーニング1:溶媒スクリーニング。化合物IIのさらなる固体状形態の調製
【0150】
化合物II(20mg)の結晶形1を撹拌棒付きのHPLCバイアルへ添加した。各サンプルを、25℃で溶媒(100~200μL、5~10体積)の量を増やしながら処理した。それぞれの添加後、サンプルを20分間攪拌し、さらなる溶媒添加の前に観察結果を記録した。完全な溶解が観察された場合、溶媒のさらなる添加は行わなかった。100体積の溶媒(2mL)で溶解が観察されなかった場合、温度を40℃に上げて30分間保持して、溶解を促した。得られた透明な溶液を冷蔵庫(5℃)に入れ、懸濁液を24時間熟成させた(40℃/5℃、8時間/サイクル)。24時間後にアリコートを採取し(濾過および吸引乾燥)、XRPDで分析した。
【0151】
懸濁液の熟成とその後のXRPD分析は、結晶性の低い材料、または形態1に一致するか類似するXRPDパターンを示した。単一のサンプルである2-メチルテトラヒドロフランは、新しい結晶形を認めるのに十分な、形態1に対する有意差を示した。これは形態3と呼ばれ、低い2θ値におけるいくつかの形態1のピークの不在と、より高い2θ角におけるいくつかのピークのシフトを示した。
【0152】
蒸発のためにすべての残りの材料(懸濁液または溶液)を入れて、固形物の形成を促した。
【0153】
すべてのサンプルの蒸発は、XRPDによって、いくつかの小さな追加のピークを伴うかまたは伴わない形態1、あるいは顕著に非晶質サンプルを示す固形物をもたらした。2つのサンプル、1,4-ジオキサンおよびテトラヒドロフランは、XRPDによって、形態4と表される新しいパターンを示した。
【0154】
実施例9:多形スクリーニング2:低温スラリー。化合物IIのさらなる固体状形態の調製
【0155】
非晶質化合物IIは、24時間5℃で溶媒(適切な撹拌を維持するのに必要に応じて5、10、または20体積)の選択の際にスラリー状にされた。その後、スラリーはXRPDによって分析された。
【0156】
5℃で24時間後、多くのサンプルがXRPDで違いを示した。5つのサンプル(メチルイソブチルケトン、1,4-ジオキサン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、およびジクロロメタン)は結晶化度のレベルの異なる形態4を示し、1つのサンプル(ジエチルエーテル)は形態1と形態4の組み合わせと類似する新しいパターンを示し、形態5と表された。多くのサンプルは結晶性が悪く、あるパターンは同定することができず、残りのサンプルは結晶化度の異なる形態1を呈した。
【0157】
スラリーを5℃で攪拌したまま放置し、4日後に再度分析した。
【0158】
5℃で長期間(4日間)後、XPRD分析結果は同様であり、いくつかのサンプルは結晶化度のレベルの増加を示した。2つのサンプルは、24時間のデータに対して変化を示した:2-メチルテトラヒドロフランは、24時間後に見られるよりも結晶性の高いパターンを示し、これはパターン5と表され、EtOAc/HO(97.3:2.7)は、既知のパターンに対していくつかの違いを有する結晶性の低い材料を示した。
【0159】
実施例10:多形スクリーニング3:液体支援粉砕。化合物IIのさらなる固体状形態の調製
【0160】
非晶質化合物IIに、2つの小さなボールベアリングを適切な溶媒(5μL)と共に加えた。Fritschの遊星ミル(500rpm、2時間)を使用してサンプルに機械的ストレスを与え、回収された材料であるN-メチル-2-ピロリドンをXRPDで分析した。
【0161】
多くのサンプル(合計10個)は、粉砕後も非晶質または大部分が非晶質で、2.8~3.0° 2θの間に1つの小さなピークを有していた。2つのサンプル、サンプル14(1,4-ジオキサン)およびサンプル16(クロロホルム)溶媒はそれぞれ、XRPDによって形態4を示した。さらに4つのサンプル、サンプル15(トルエン)、4(メチルイソブチルケトン)、19(2-メチルテトラヒドロフラン)、および24(N-メチル-2-ピロリドン)もXRPDで違いを示した。後者の3つは形態3と同定された。サンプル15から得られたXRPDパターンは形態3と表された。残りのサンプルは、粉砕中に形態1に転換された。
【0162】
実施例11:多形スクリーニング4:高温スラリー;化合物IIのさらなる固体状形態
【0163】
適切な溶媒を非晶質化合物II(300μL、10体積/150μL、5体積)に添加し、60℃で24時間スラリー状にした。必要に応じて、サンプルを50℃または室温のいずれかで放置してスラリー状にした(溶媒に依存する)。
【0164】
スラリーサンプルを24時間後に分析したところ、XRPDによって形態1を優勢的に示し、結晶化度の程度は様々であった。しかし、5つのサンプルは、XRPDによって違いを示した。メチルイソブチルケトンから得られたサンプルは形態3と割り当てられ、メチルエチルケトンから得られたサンプルは形態5と割り当てられ、1,4-ジオキサンから得られたサンプルはパターン6と割り当てられ、テトラヒドロフランから得られたサンプルは形態4と割り当てられ、2-メチルテトラヒドロフランから得られたサンプルはパターン5(結晶性が悪い)と割り当てられた。
【0165】
実施例12:非晶質化合物IIからの化合物IIの結晶性の酢酸エチル溶媒和物パターン8の調製
【0166】
EtOAc/HO(97.3:2.7、300μL、10体積)を非晶質化合物IIに添加し、撹拌下で冷蔵庫に入れた。一部を採取し、24時間後にXRPDで分析し、スラリーを4℃で撹拌しながら放置した。サンプルを48時間後と6日後にさらに分析した。
【0167】
分析したすべての時点で、同じパターンがXRPDによって観察されたが、これは本実験で標的としたものとは異なっていた。この新しいパターンをパターン8と表した。
【0168】
実施例13:化合物IIの結晶形1からの化合物IIの結晶性の2-メチルテトラヒドロフラン溶媒和物形態3の調製
【0169】
化合物IIの結晶形1(506.8mg)を撹拌棒付きの100mlのRBFに入れて秤量し、2-メチルテトラヒドロフラン溶媒(5μL、10体積)を60℃で添加した。このサンプルを合計3日間攪拌(500rpm)し、24時間後にアリコートを採取してXRPDで分析した。これは、パターン5が得られておらず、サンプルを長時間放置したことを示した。
【0170】
さらに2日後、第2のアリコートを取り、XPRD分析は形態3が形成されたことを示した。追加の2-メチルテトラヒドロフラン(5μL、10体積)を添加し、サンプルを5℃に冷却し、週末にわたって攪拌するために放置した。ブフナー漏斗を用いてこのサンプルを濾過し、吸引真空下で15分間乾燥させた。
【0171】
XRPDによって分析されたパターン5の試みられたスケールアップのアリコートは、高温での調製中に形態3を表示した。冷却の際には、さらにサンプルは形態3を示した。このXRPDパターンは単離の際にも持続した。このサンプルは84%の収率で調製された。H-NMRスペクトルは提案された構造と一致し、0.17モル当量の残りの2-メチルテトラヒドロフランが存在していることを示した。
【0172】
実施例14:化合物IIの結晶パターン12の熱力学的安定性および調製
【0173】
形態1と形態2との間の安定性の順序を決定することを目的とした競合スラリーは、水活性の範囲(0.4~0.8)で実施された。
【0174】
結晶性形態1(2g)と結晶性水和物形態2(2g)を、乳鉢と乳棒を用いて軽く擦り合わせ、その後ローラーミキサーを用いて約2時間混合した。このサンプルについてXRPDを集めた。
【0175】
混合サンプル(200mg)を選択した溶媒4mlに懸濁させることによって5℃/25℃の飽和溶液を調製し、混合サンプル(100mg)を選択した溶媒1mlに懸濁させることによって50℃の飽和溶液を調製した。この飽和溶液を25℃および50℃で3時間攪拌したままにした。25℃の飽和溶液を濾過し、5℃と25℃の溶液に分けた。混合サンプル(50mg)を濾過した溶液に添加した。形態2の2つの対照サンプル(50mg)を1mlのアセトン:水(99:1)およびEtOH:水(95:5)に調製し、5℃、25℃、および50℃で攪拌して放置した。
【0176】
サンプルを異なる水活性範囲において3つの異なる温度でモニタリングした。形態1はほとんどの場合において存在し、形態2の証拠はなかった。アセトンおよびアセトン:水(99:1)からは、形態1のみが観察された。EtOAc:水(99:1)中のスラリーでは、形態1と混合して形態5のピークが観察された。THF:水(98:2)から分析したサンプルから形態4が観察された。EtOH:水(95:5)およびIPA:水(94:6)からは、形態1のみが観察された。
【0177】
最後に、ACN:水(93:7)から新しいパターンが同定され、パターン12と示された。この材料は、後に濾過によって単離され、XRPDによって再分析された。このサンプルは、同じXRPDパターンであるパターン12を維持していた。
【0178】
実施例15.X線粉末回折(XRPD)
【0179】
XX.1 Bruker Ax C2 GADDS
Cu Kα線(40kV、40mA)、自動化したXYZステージ、自動サンプル配置に関するレーザービデオ顕微鏡、およびVantec-500 2次元領域検出器を使用するBruker AXS C2 GADDS回折計上でXRPDディフラクトグラムを収集した。X線光学系は、0.3mmのピンホールコリメーターと連結された単一のGoebel 多層ミラーから成る。
【0180】
ビーム発散、すなわち、サンプル上のX線ビームの有効径は、約4mmであった。θ―θの連続走査モードを、1.5°~32.5°の効果的な2θ範囲を与える20cmのサンプル-検出器距離で利用した。典型的には、サンプルは120秒間、X線ビームに曝露された。データ収集と分析に使用されたソフトウェアはそれぞれGADDS for Win7/XPとDiffrac Plus EVAであった。
【0181】
周囲条件下(VAC-XRPD後)で実行したサンプルを、Anton Parr 金属製凹型ホルダーに保持したサンプルを使用して、真空実験のための調製と同様に分析した。
【0182】
XX.2 Bruker AXS D8 Advance
XRPDディフラクトグラムは、Cu Kα線(40kV、40mA)およびGeモノクロメーターを取り付けたθ-2θゴニオメーターを使用して、Bruker D8回折計で収集した。入射ビームは2.0mmの発散スリットを通過し、その後、0.2mmの散乱防止スリットとナイフエッジを通過した。回折ビームは8.0mmの受光スリットと2.5°のソーラースリットを通過し、その後、LYNXEYE検出器を通過する。データの収集と解析に使用したソフトウェアはそれぞれ、Diffrac Plus XRD CommanderとDiffrac Plus EVAであった。
【0183】
サンプルを平板標本として周囲条件下で実行した。サンプルは、研磨されたゼロバックグラウンド(510)シリコンウェハー上に、平らな面に静かに押し付けるか、カットした空洞に詰め込まれて調製された。サンプルをその面内で回転させた。
【0184】
標準Pharmorphixデータ収集方法の詳細は次のとおりである。
・角度範囲:2~42°2θ
・ステップサイズ:0.05°2θ
・収集時間:0.5s/工程(総収集時間:6.40分)
【0185】
XX.3 パナリティカルエンピリアン(PANalytical Empyrean)
XRPDディフラクトグラムは、透過型ジオメトリにおいてCu Kα線(45kV、40mA)を用いてパナリティカルエンピリアン回折計で収集された。入射ビームには、0.5°スリット、4mmマスク、および集束ミラーを備えた0.04radのソーラースリットを使用した。回折ビーム上に設置したPIXcel3D検出器には、受光スリットと0.04radのソーラースリットが装着されている。データ収集に使用したソフトウェアは、X’Pert Operator Interfaceを使用したX’Pert Data Collectorであった。データはDiffrac Plus EVAまたはHighScore Plusを使用して分析され、提示された。
【0186】
サンプルは、金属またはミリポア96ウェルプレートで透過モードで調製され、分析された。X線透過フィルムは、金属ウェルプレート上の金属シートの間に使用され、粉末(約1~2mg)を受け取ったまま使用した。懸濁液から固形物を単離させて分析するために、ミリポアプレートは、少量の懸濁液を直接プレートに加えてから軽い真空下で濾過して使用された。
【0187】
金属プレートの走査モードがゴニオ走査軸に使用され、2θ走査はミリポアプレートに利用された。
【0188】
標準スクリーニングデータ収集方法の詳細は次のとおりである。
・角度範囲:2.5~32.0°2θ
・ステップサイズ:0.0130°2θ
・収集時間:12.75s/工程(2.07分の総収集時間)
【0189】
非周囲条件
XRPDディフラクトグラムは、反射型ジオメトリにおいてCu Kα線(45kV、40mA)を用いてパナリティカルエンピリアン回折計で収集された。装置は、グラファイト/カプトン窓を備え、空冷を装備したAnton Paar CHC plus+ステージを備え、proUmid MHG32 Modular Humidity Generator、またはEdwards RV3ポンプを用いた低真空ポンプシステムと連結されている。入射ビームには、10mmの固定入射ビームマスクを備えたプログラム可能な発散スリット(自動モード)、Niフィルター、および0.04radのソーラースリットが使用された。回折ビーム上に設置したPIXcel3D検出器には、プログラム可能な散乱防止スリット(自動モード)と0.04radのソーラースリットが装着されていた。
【0190】
データ収集に使用したソフトウェアはX’Pert Data Collectorであり、Diffrac Plus EVAまたはHighscore Plusを使用してデータは分析および表示された。
【0191】
真空(VAC-XRPD)実験のために、サンプルはAnton Paarのクロムメッキされたサンプルホルダーで調製および分析された。真空を適用する前に、基準となるXPRDパターンを集めた。測定は5分ごとに1.5時間、20分間隔で2時間行い、その後1時間おきに3時間サンプリングを行った。サンプルを72時間真空下で放置し、最終測定を行った後、真空を解除した。さらに、測定値を10分ごとに3時間集め、サンプルを周囲条件に曝露した。測定パラメータは、標準的なスクリーニングデータ収集方法(上に詳述)に準じる。
【0192】
可変温度(VT-XRPD)実験のために、サンプルはAnton Paarのクロムメッキされたサンプルホルダーで調製および分析された。測定開始前に2分間の等温保持を行いつつ10℃/分の加熱/冷却速度が用いられた。測定パラメータは、標準的なスクリーニングデータ収集方法(上に詳述)に準じる。測定は以下の温度で行われた。
【0193】
【表5】
【0194】
可変湿度(VT-XRPD、形態1)実験のために、サンプルはAnton Paarのクロムメッキされたサンプルホルダーで調製および分析された。測定パラメータは、標準的なスクリーニングデータ収集方法(上に詳述)に準じる。測定は以下の湿度で行われた。
【0195】
【表6】
【0196】
データ収集は各セクションの開始時と終了時に行われ、サンプリング間隔は1時間である。
【0197】
化合物IIの固体状形態およびパターンの特徴づけ
化合物IIの結晶形1のX線粉末回折パターンを図1に表示する。化合物IIの結晶性水和物形態2のX線粉末回折パターンを図6に表示する。化合物IIの結晶性2-メチルテトラヒドロフラン溶媒和物形態3のX線粉末回折パターンを図9に表示する。化合物IIの結晶性テトラヒドロフラン溶媒和物形態4のX線粉末回折パターンを図12に表示する。化合物IIの結晶性アセトン溶媒和物形態5のX線粉末回折パターンを図15に表示する。化合物IIの結晶性水和物パターン9のX線粉末回折パターンを図18に表示する。非晶質化合物IIのX線粉末回折パターンを図21に表示する。化合物IIのパターン12のX線粉末回折パターンを図24に表示する。
【0198】
化合物IIの結晶形1の特徴づけ
化合物IIの結晶形1のX線粉末回折パターンを図1に表示する。特徴的なピークは、以下の表で表記されたピークを含む。
【0199】
【表7】
【0200】
化合物IIの結晶性水和物形態2の特徴づけ
化合物IIの結晶性水和物形態2のX線粉末回折パターンを図6に表示する。特徴的なピークは、以下の表で表記されたピークを含む。
【0201】
【表8】
【0202】
化合物IIの結晶性テトラヒドロフラン溶媒和物形態4の特徴づけ
化合物IIの結晶性テトラヒドロフラン溶媒和物形態4のX線粉末回折パターンを図12に表示する。特徴的なピークは、以下の表で表記されたピークを含む。
【0203】
【表9】
【0204】
ナトリウム(E)-2-(4-((3-(4-フルオロフェニル)-3-(4-(3-モルホリノプロプ-1-イン-1-イル)フェニル)アリル)オキシ)-2-メチルフェノキシ)アセテート(化合物II)の結晶性テトラヒドロフラン溶媒和物形態4は、110℃に加熱後に変化しないXRPDを有する。
【0205】
化合物IIの結晶性アセトン溶媒和物形態5の特徴づけ
化合物IIの結晶性アセトン溶媒和物形態5のX線粉末回折パターンを図15に表示する。特徴的なピークは、以下の表で表記されたピークを含む。
【0206】
【表10】
【0207】
実施例16:示差走査熱量測定法(DSC)
【0208】
XX.1 TA Instruments Q2000
DSCデータを、50ポジション自動サンプラーを備えたTA Instruments Q2000上で収集した。典型的には、ピンホールのアルミニウムパン内の0.5~3mgの各サンプルを、25℃から275℃まで10℃/分で加熱した。50ml/分での乾燥窒素のパージをサンプルで維持した。
【0209】
2℃/分の基本的な加熱速度と60秒ごと(期間)の±0.626℃(振幅)の温度変調パラメータを使用して、調節した温度DSCを実行した。
【0210】
装置制御ソフトウェアは、Advantage for Q SeriesおよびThermal Advantageであり、Universal AnalysisまたはTRIOSを使用してデータを分析した。
【0211】
XX.2 TA Instruments Discovery DSC
DSCデータを、50ポジション自動サンプラーを備えたTA Instruments Discovery DSC上で収集した。典型的には、ピンホールのアルミニウムパン内の0.5~2mgの各サンプルを、25℃から280℃まで10℃/分で加熱した。50ml/分での乾燥窒素のパージをサンプルで維持した。
【0212】
装置制御ソフトはTRIOSであり、データはTRIOSまたはUniversal Analysisを使用して解析された。
【0213】
化合物IIの結晶形1のDSCサーモグラムを図2に表示する。化合物IIの結晶性水和物形態2のDSCサーモグラムを図7に表示する。化合物IIの結晶性2-メチルテトラヒドロフラン溶媒和物形態3のDSCサーモグラムを、図10に表示する。化合物IIの結晶性テトラヒドロフラン溶媒和物形態4のDSCサーモグラムを図13に示す。化合物IIの結晶性アセトン溶媒和物形態5のDSCサーモグラムを、図16に表示する。化合物IIの結晶性水和物パターン9のDSCサーモグラムを図19に表示する。非晶質化合物IIのDSCサーモグラムを図22に表示する。化合物IIの結晶性パターン12のDSCサーモグラムを図25に表示する。
【0214】
選択された形態およびパターンについての示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムの吸熱は、以下の表に記載されている通りである。
【0215】
【表11-1】
【0216】
【表11-2】
【0217】
実施例17:熱重量分析(TGA)
【0218】
XX.1 TA Instruments Q500
TGAデータを、16ポジション自動サンプラーを備えたTA Instruments Q500 TGA上で収集した。典型的には、5~10mgの各サンプルを、あらかじめタールを塗ったアルミニウムDSCパン上に載せ、周囲温度から350℃まで10℃/分で加熱した。60ml/分での窒素パージをサンプル上で維持した。
【0219】
装置制御ソフトウェアは、Advantage for Q Seriesであり、Universal Analysisを使用してデータを分析した。
【0220】
化合物IIの結晶形1のTGAパターンを図3に表示する。化合物IIの結晶性水和物形態2のTGAパターンを図8に表示する。化合物IIの結晶性2-メチルテトラヒドロフラン溶媒和物形態3のTGAパターンを、図11に表示する。化合物IIの結晶性テトラヒドロフラン溶媒和物形態4のTGAパターンを図14に示す。化合物IIの結晶性水和物パターン9のTGAパターンを図20に表示する。非晶質化合物IIのTGAパターンを図23に表示する。
【0221】
選択された形態およびパターンについての熱重量分析(TGA)パターンは、以下の表に記載されている通りである。
【0222】
【表12】
【0223】
実施例18:重量測定蒸気吸着(GVS)
【0224】
DVS Intrinsic制御ソフトウェアによって制御されるSMS DVS Intrinsic水分吸着分析器を使用して、吸着等温が得られた。サンプル温度を装置の制御によって25℃で維持した。200mL/分の合計流量で、乾燥した窒素と湿った窒素の流れを混合することにより、湿度を制御した。相対湿度を、サンプルの近くにある較正されたRotronicプローブ(1.0~100%RHのダイナミックレンジ)によって測定した。%RHに応じたサンプルの重量変化(質量緩和)を、微量天秤(正確度±0.005mg)によって常にモニタリングした。
【0225】
典型的には、5~30mgのサンプルを、周囲条件下でタールを塗ったメッシュステンレス鋼バスケットに入れた。40%RHおよび25℃(典型的な室内条件)で、サンプルに負荷を与えたり負荷を軽減したりした。以下に概説されるように水分吸着等温線を実行した(1回の完全なサイクルで2回の走査)。標準等温線を、0~90%のRH範囲にわたって10%のRH間隔で25℃にて実行した。典型的には、二重サイクル(4回の走査)が行われた。データ分析は、DVS Analysis Suiteを使用してMicrosoft Excel内で実施された。
【0226】
SMS DVS Intrinsic実験の方法は、以下の表に概説されている。
【0227】
【表13】
【0228】
重量測定蒸気吸着(GVS)により測定した結晶形とパターンの可逆的な水取り込みは、以下の表に記載されるとおりである。
【0229】
【表14】
【0230】
90%RHおよび25℃での等温実験完了後にサンプルを回収し、XRPDで再分析した。その後のXRPD分析の結果は、以下の表に記載されている。
【0231】
【表15】
【0232】
実施例19:固体状形態の安定性
【0233】
サンプルは、7日間または10日間25°C/97%のRHおよび40°C/75%のRHの周囲条件または静置保存条件下で安定性について評価された。その後、サンプルをXRPDによって再分析した。
【0234】
結晶形に関するその後のXRPD分析の結果が以下の表に記載されている。
【0235】
【表16】
【0236】
24時間、48時間、7日間、または10日間の周囲保存条件下で、非晶質固体形態のXRPDに変化はなかった。10日間の40℃/75%RHの静置保存下では非晶質固体形態のXRPDに変化はなかった。
【0237】
実施例20:高速液体クロマトグラフィー(HPLC)方法
【0238】
純度分析は、ダイオードアレイ検出器を備えたAgilent HP1100シリーズシステム(または同等品)上で、ChemStationソフトウェアを使用して実施した。方法の完全な詳細については以下に提供される。
【0239】
【表17】
【0240】
【表18】
【0241】
【表19】
【0242】
異なる固体状形態の純度分析は、すべての形態の純度が99%以上であることを示した。HPLC純度値は以下の表に詳細に記載される。
【0243】
【表20】
【0244】
実施例21:カールフィッシャー滴定法
【0245】
各サンプルの含水量を、Hydranal Coulomat AGオーブン試薬および窒素のパージを使用して、851 Titrano Coulometerによって、Metrohm 874 Oven Sample Processor上で最大150℃まで測定した。重さを量った固体サンプルを、密封したサンプルバイアルに導入した。およそ10mgのサンプルを滴定ごとに使用し、二重の測定を行った。別段の定めのない限り、これらの結果の平均が提示されている。Tiamoソフトウェアを使用してデータの収集と分析を行った。
【0246】
結晶形に関するKF分析の結果が以下の表に記載されている。
【0247】
【表21】
【0248】
実施例22:イオンクロマトグラフィー
【0249】
データは、858 Professionalオートサンプラー、および800 Dosino投与ユニットモニターを備えたMetrohm 930 Compact IC Flex上で、IC MagicNetソフトウェアを用いて収集された。正確に秤量したサンプルは、適切な溶媒中のストック溶液として調製された。分析されているイオンの既知の濃度の標準溶液との比較により定量化を達成した。分析は二重に行い、別段の定めのない限り、値の平均が与えられる。
【0250】
【表22】
【0251】
【表23】
【0252】
化合物IIの結晶形1のイオンクロマトグラフィーは、1.1モル当量のナトリウム(水で調整)を示し、他のアニオンまたはカチオンが存在しないことを示している。
【0253】
化合物IIの結晶性2-メチルテトラヒドロフラン溶媒和物形態3のイオンクロマトグラフィーは、0.96モル当量のナトリウムを示し(水で調整)、他のアニオンまたはカチオンが存在しないことを示している。
【0254】
化合物IIの結晶性のテトラヒドロフラン溶媒和物形態4のイオンクロマトグラフィーは、1.01モル当量のナトリウム(水で調整)を示し、他のアニオンまたはカチオンが存在しないことを示している。
【0255】
実施例23:フーリエ変換赤外(FTIR)分光法
【0256】
データは、ユニバーサル減衰全反射(ATR(Attenuated Total Reflectance))サンプリングアクセサリーを装着したPerkin-ElmerのSpectrum Oneで、4000~650cm-1から16回の走査で収集された。データはSpectrumソフトウェアで収集し、ACD Spectrus Processorで処理された。
【0257】
化合物IIの結晶形1の特徴づけ
化合物IIの結晶形1のフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを図4に示す。特徴的なピークは、810cm-1、838cm-1、1220cm-1、1504cm-1、および1612cm-1におけるピークを含む。追加の特徴的なピークは、以下の表に列挙されている。
【0258】
【表24】
【0259】
化合物IIの結晶性アセトン溶媒和物形態5の特徴づけ
化合物IIの結晶性のアセトン溶媒和物形態5のフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを図17に示す。特徴的なピークは、810cm-1、838cm-1、1220cm-1、1504cm-1、および1612cm-1におけるピークを含む。追加の特徴的なピークは、以下の表に列挙されている。
【0260】
【表25】
【0261】
実施例24:ラマン分光法
【0262】
データは、レニショーのinVia Qontorで収集した。装置制御、データ分析、およびプレゼンテーションソフトウェアはWiREであった。
・方法:励起源、λex=785nmのレーザー。サンプル分解を回避するのに適切に減衰した。
・ラマンシフト範囲:100~3200cm-1
・曝露時間:10s
・蓄積:1
【0263】
化合物IIの結晶形1の特徴づけ
化合物IIの結晶形1のラマンスペクトルを図5に示す。特徴的なピークは以下の表に列挙されている。
【0264】
【表26】
【0265】
実施例25:単結晶X線回折(SCXRD)
【0266】
単結晶の調製
EtOAc/HO(99:1v/v%)溶液からの蒸発によって得られた結晶の集合体から、化合物II(形態1)の結晶を単離した。結晶のおおよその寸法は0.40×0.03×0.005mmであった。
【0267】
収集と特徴づけ
データは、Oxford Cryosystems Cobra冷却装置を備えたRigaku Oxford Diffraction Supernova Dual Source, Cu at Zero, Atlas CCD回折計で収集された。データは、Cu Kα線(λ=1.5418Å)を使用して、ω可変走査技術(2.807~50.989°θ)で一定の温度で収集された。追加の収集および精密化パラメータは、以下の表1に概説されている。
【0268】
構造は、Bruker AXS SHELXTLスイートまたはOLEX結晶学ソフトウェアを用いて解明および精密化された。別段の定めのない限り、炭素に結合した水素原子は幾何学的に配置され、騎乗(riding)等方性変位パラメータで精密化され得る。ヘテロ原子に結合した水素原子は、差分フーリエ合成で位置づけられ、等方性変位パラメータで自由に精密化できるようにした。結晶構造の参照ディフラクトグラムはMercuryで作成した。
【0269】
【表27】
【0270】
化合物II(形態1)の結晶構造を100Kで決定し、構造データの要約は表2、3、および4で見つけることができる。X線データは、低θ角で1フレームあたり100秒、高θ角で1フレームあたり200秒の露光を使用して、最大で1.0Åの分解能まで収集された。特定の結晶方位では、回折パターンは、全体的な結晶品質を反映して潜在的な双晶を示す可能性がある、分割およびストリークな反射を示す。
【0271】
結晶は単斜晶、空間群P2/cで、最終的なR1[I>2σ(I)]値が9.45%で精密化された。Platon ADDSYM解析を行ったが、追加の空間群は見つからなかった。さらに、より一般的なP2/c空間群でも構造解析を試みたが、満足な構造解明はもたらされなかった。この結晶構造では、低解像度のデータしか収集されていないにもかかわらず、データは、P2/c空間群における化合物II(形態1)の結晶構造の決定と、分子2次元表現と一致する原子結合の確認に成功するのに十分なものであった。この非対称単位は、完全に秩序だった2つの化合物Iアニオンと2つの独立したNaカチオンを含有している。
【0272】
【表28】
【0273】
【表29-1】
【0274】
【表29-2】
【0275】
【表29-3】
【0276】
【表30-1】
【0277】
【表30-2】
【0278】
100Kでの化合物II(形態1)のシミュレーションされたXRPDパターンを図26に示す。
【0279】
室温での実験ディフラクトグラムとの重ね合わせにより、単結晶構造からのシミュレートされたディフラクトグラムが実験化合物II(形態1)のディフラクトグラムと一致することが確認される(図27)。
【0280】
実施例A-1:非経口医薬組成物
【0281】
注入(皮下、静脈内)による投与に適した非経口医薬組成物を調製するために、1~100mgの式(I)の化合物の水溶性塩、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を、滅菌水中に溶解させ、その後、0.9%の滅菌食塩水10mLと混合する。適切な緩衝液を、任意選択の酸または塩基とともに任意選択で加えて、pHを調整した。混合物を、注入による投与に適した単位剤形に組み込む。
【0282】
実施例A-2:経口溶液
【0283】
経口送達用の医薬組成物を調製するために、十分な量の本明細書で開示される化合物またはその薬学的に許容な塩を、(任意選択の可溶化剤、任意選択の緩衝液、および味を隠す賦形剤と共に)水に加え、20mg/mLの溶液を得る。
【0284】
実施例A-3:経口錠剤
【0285】
20~50重量%の本明細書で開示される化合物またはその薬学的に許容可能な塩、20~50重量%の微結晶性セルロース、1~10重量%の低置換ヒドロキシプロピルセルロース、および1~10重量%のステアリン酸マグネシウム、あるいは他の適切な賦形剤を混合することによって、錠剤を調製する。錠剤は直接の圧縮によって調製される。圧縮錠剤の全重量を100~500mgで維持する。
【0286】
実施例A-4:経口カプセル
【0287】
経口送達用の医薬組成物を調製するために、10~500mgの本明細書で開示される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を、デンプンまたは他の適切な粉末混合物と任意選択で混合する。混合物を、経口投与に適したハードゼラチンカプセルなどの経口剤形に組み込む。
【0288】
別の実施形態では、10~500mgの本明細書で開示される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を、サイズ4のカプセルまたはサイズ1のカプセル(ヒプロメロースまたはハードゼラチン)に入れ、カプセルを密封する。
【0289】
本明細書に記載される実施例と実施形態は説明目的のためのものに過ぎず、当業者に示唆される様々な修正や変化は、本明細書の精神と範囲、および添付の請求項の範囲内に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
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【国際調査報告】