(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-14
(54)【発明の名称】複数の距離におけるカーシートセンシング
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20230804BHJP
【FI】
B60N2/90
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504197
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(85)【翻訳文提出日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 US2021041976
(87)【国際公開番号】W WO2022020199
(87)【国際公開日】2022-01-27
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518033495
【氏名又は名称】タクチュアル ラブズ シーオー.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モーズリー,ブロン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ダレン
(72)【発明者】
【氏名】クプスト,トッド
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087CE10
3B087DE09
(57)【要約】
【解決手段】
センサーシステムは、車両中の乗客の活動、動き、および位置の判定に敏感である。特に、車両中の乗客の位置および動きの判定は、送信アンテナおよび/または複数の注入アンテナのグルーピングを提供することによって、向上させることができる。センシングシステムは、車両内の様々な範囲および位置における、乗客の動きおよび活動を判定することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センシングシステムであって、前記センシングシステムは、
カーシートに動作可能に接続された送信アンテナのグループであって、
第1モードにおいて、1つの信号は、第1の積分周期(integration period)中に、前記グループの1つを超える送信アンテナ上で送信され、ならびに
第2モードにおいて、前記送信アンテナのグループは、第2の積分周期中に、前記グループの各送信アンテナ上で、直交周波数信号(frequency orthogonal signals)を送信するように適合される、送信アンテナのグループと、
複数の受信アンテナであって、前記複数の受信アンテナのそれぞれは、送信された信号を受信するように適合される複数の受信アンテナと、および、
前記第1モード、あるいは、前記第2モード中に受信した信号の測定値を判定するように適合されるプロセッサであって、前記プロセッサは、乗客の位置あるいは動きを判定するために、前記判定した測定値を処理するように適合されるプロセッサ、
を含むセンシングシステム。
【請求項2】
前記第1モードは、前記第2モードよりも前記カーシートから離れた距離における前記乗客の位置を判定するように適合される、請求項1に記載のセンシングシステム。
【請求項3】
前記送信アンテナのグループは、前記第1モード中に前記乗客の位置が判定される場合に、前記第1モードから前記第2モードに切り替わるように適合される、請求項1に記載のセンシングシステム。
【請求項4】
前記送信アンテナのグループは、前記カーシートのヘッドレストに位置する、請求項1に記載のセンシングシステム。
【請求項5】
前記送信アンテナのグループは、前記カーシートの後部に位置する、請求項1に記載のセンシングシステム。
【請求項6】
前記送信アンテナのグループは、前記カーシートのシートに位置する、請求項1に記載のセンシングシステム。
【請求項7】
前記カーシートの前記送信アンテナのグループとは異なる場所に位置する別の送信アンテナのグループをさらに含む、請求項1に記載のセンシングシステム。
【請求項8】
第3モードであって、前記第1モードは、前記第2モードおよび前記第3モードよりも前記カーシートから離れた距離における前記乗客の位置を判定するように適合され、前記第3モードは、前記第2モードよりも前記カーシートから離れた距離における前記乗客の位置を判定するように適合される、第3モードをさらに含む、請求項1に記載のセンシングシステム。
【請求項9】
センシングシステムであって、前記センシングシステムは、
信号を車両の乗客に注入するように適合される、1つを超える注入送信アンテナであって、各注入された信号は、積分周期中に送信された、他の注入された信号のそれぞれと直交する周波数である注入送信アンテナと、
複数の受信アンテナであって、前記複数の受信アンテナのそれぞれは、前記乗客に注入された、注入された信号を受信するように適合される、受信アンテナと、および、
受信した、注入された信号のそれぞれの測定値を判定するように適合されるプロセッサであって、前記プロセッサは、乗客の位置または動きを判定するために、判定された測定値を処理するようにさらに適合されるプロセッサ、
を含むセンシングシステム。
【請求項10】
カーシートに動作可能に接続された送信アンテナのグループであって、
第1モードにおいて、1つの信号は、第1の積分周期中に、前記グループの1つを超える送信アンテナ上で送信され、ならびに
第2モードにおいて、前記送信アンテナのグループは、第2の積分周期中に、前記グループの各送信アンテナ上で、直交周波数信号を送信するように適合される、送信アンテナのグループをさらに含む、請求項9に記載のセンシングシステム。
【請求項11】
前記第1モードは、前記第2モードよりも前記カーシートから離れた距離における前記乗客の位置を判定するように適合される、請求項10に記載のセンシングシステム。
【請求項12】
前記送信アンテナのグループは、前記第1モード中に前記乗客の位置が判定される場合に、前記第1モードから前記第2モードに切り替わるように適合される、請求項11に記載のセンシングシステム。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記判定された測定値を処理し、前記判定された測定値に基づいて、前記乗客を識別するように適合される、請求項9に記載のセンシングシステム。
【請求項14】
前記プロセッサは、判定された測定値を処理し、前記判定された測定値に基づいて、前記乗客の位置を定める(locate)ように適合される、請求項9に記載のセンシングシステム。
【請求項15】
少なくとも1つの注入アンテナは、前記カーシートにある、請求項9に記載のセンシングシステム。
【請求項16】
少なくとも1つの注入アンテナは、前記カーシートの後部に位置する、請求項9に記載のセンシングシステム。
【請求項17】
少なくとも1つの注入アンテナは、前記カーシートのシートに位置する、請求項9に記載のセンシングシステム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの注入アンテナは、運転席にあり、および、少なくとも1つの注入アンテナは、助手席に置かれる、請求項9に記載のセンシングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、著作権保護の対象となる資料を含んでいる。著作権者は、米国特許商標庁のファイルまたは記録に表示されることから、本特許開示の複製を誰が行っても異議を唱えないが、そうでない場合は、全ての著作権を保有する。
【0002】
開示されたシステムおよび方法は一般に、センシング分野、具体的に、センサーを含む車両部品に関する。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本開示の前述した、ならびにその他の目的、特徴、および、利点は、添付図面に例示されるように、実施形態のより具体的な説明から明らかになるであろうし、該添付図面では、参照符号は、様々な図を通じて同じ部分を指す。図面は、必ずしも縮尺通りに描く必要はなく、代わりに、開示された実施形態の原理を例示することに重点が置かれている。
【
図3】車両用シートで用いられるセンサーの一実施形態の正面図を示す。
【
図4】車両用シートで用いられるセンサーの一実施形態の背面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
様々な実施形態では、本開示は、車両内の物体の位置と場所を判定することができるセンサーシステムを対象にする。センシングシステムは、送信期間中に複数の信号を送信し、および、感知された信号を用いて、車両内の物体と人の動きならびに位置を表すヒートマップを作成することができる。
【0005】
本開示を通じて、用語「事象」は、身体の筋活動および/または身体の位置が検出かつ判定される期間を説明するために用いられ得る。実施形態に従って、事象は、非常に短い待ち時間、例えば、10ミリ秒以下程度、あるいは1ミリ秒未満程度で、検出、処理、および/または、下流の計算プロセスに供給される。
【0006】
本明細書、特に特許請求の範囲で用いられるように、第1と第2などの順序を示す用語は、それ自体では、順序、時間、または、一意性(uniqueness)を示唆することを意図しておらず、むしろ、請求項の1つの構成物(one claimed construction)を請求項の別の構成物と区別するために用いられる。これらの用語は、文脈が規定しているいくつかの使用では、第1と第2が一意であることを示唆し得る。例えば、ある事象が第1回目に起こり、別の事象が第2回目に起こる場合、第1回目は、第2回目の前、第2回目の後、あるいは第2回目と同時に起こることを示唆する意図はない。しかしながら、第2回目が第1回目の後であるというさらなる限定が、特許請求の範囲で提示される場合、文脈上、第1回目と第2回目が一意である回であることを読み解く必要があるであろう。同様に、文脈が規定、あるいは許す場合、順序を示す用語は、2つの識別される請求項の構成物が、同じ特性、または異なる特性になることができるように、幅広く解釈されることを意図する。したがって、例えば、第1および第2の周波数は、さらなる限定がなければ、同じ周波数、例えば、第1の周波数が10Mhz、ならびに、第2の周波数が10Mhzになり得、または、異なる周波数、例えば、第1の周波数が10Mhz、ならびに、第2の周波数が11Mhzになり得る。文脈上別の解釈が必要となり得る場合、例えば、第1および第2の周波数が、互いに直交周波数(frequency-orthogonal)となるようにさらに限定される場合には、第1および第2の周波数は同じ周波数にはなり得ない。
【0007】
本願発明は、センシングシステムでの実装のために設計されたセンサーの様々な実施形態を企図している。本明細に記載されるセンサー構成は、直交周波数信号伝達技法(frequency-orthogonal signaling-techniques)で使用するのに適している(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,019,224号、米国特許第9,529,476号、および、米国特許第9,811,214号を参考)。本明細書で論じられるセンサー構成は、走査技法、あるいは、時分割技法、および/または、符号分割技法を含む他の信号技法で用いられ得る。本明細書に記載および例示されたセンサーが、信号注入(signal infusion)(信号挿入(signal injection)とも呼ばれる)技法、ならびに信号注入装置に関連して用いることに適していることに注目することは適切である。信号注入は、信号を人に送信する技法であり、信号は、人の表面上を移動し、人の内部を移動、および、人を通り抜けて移動することができる。一実施形態では、注入される信号は、注入の目標物(例えば、手、指、腕、または人全体)を、信号の発信機にする。
【0008】
本開示のシステムならびに方法は、さらに、静電容量ベースセンサーに関し、静電容量ベースセンサーを設計、製造、および使用するための原理を含み、この静電容量ベースセンサーは、直交信号に基づく多重化スキームを採用しており、この多重化スキームは、周波数分割多重化(FDM)、符号分割多重化(CDM)、あるいは、FDMとCDM法の両方を組み合わせたハイブリッド変調技法などであるが、これらに限定されない。本明細書における周波数への参照は、さらに、他の直交信号ベースに言及し得る。このように、本出願は、出願人の先願「Low-Latency Touch Sensitive Device」と題される米国特許第9,019,224号、および、Fast Multi-Touch Post Processing」と題される米国特許第9,158,411号を参照により取り入れている。これらの出願は、FDM、CDM、あるいは、FDM/CDMハイブリッドのタッチセンサーを企図しており、このタッチセンサーは、本開示のセンサーに関連して使用する、および、使用することができるという概念がある。前述のセンサーでは、行導体からの信号が列導体に結合(増加)、あるいは、分離(減少)させられ、その結果がその列導体から検出された際に、相互作用が感知される。行導体を連続的に励振すること、ならびに、列導体での励振信号の結合を測定することによって、センサーの静電容量の変化と、それによるセンサーへの近接を反映するヒートマップを作成できる。参照により本明細書に組み込まれるこれらの特許および出願の開示の全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0009】
本出願は、さらに、米国特許第9,933,880号、第9,019,224号、第9,811,214号、第9,804,721号、第9,710,113号、第9,158,411号、第10,191,579号、第10,386,975号、第10,175,772号、ならびに第10,528,201号に開示される高速マルチタッチ、および他のインターフェースに用いられる原理を採用する。これらの特許内の開示、概念、および命名法に精通していることが前提とされる。参照により本明細書に組み込まれるこれらの特許および出願の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。本出願は、さらに、米国特許出願第15/195,675号、第15/904,953号、第15/905,465号、第15/943,221号、第16/102,185号、第62/540,458号、第62/575,005号、第62/621,117号、第62/619,656号、および、PCT出願PCT/US2017/050547号に開示される高速マルチタッチ、および他のインターフェースに用いられる原理を採用し、開示、概念、および命名法に精通していることが前提とされる。参照によりこれらの特許、および出願に組み込まれる全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0010】
高速マルチタッチ(FMT)センサーのいくつかの原理は、上で説明された特許出願に開示されている。直交信号は、複数の送信アンテナ(あるいは送信導体)へ送信され得、および、情報は、複数の受信アンテナ(あるいは受信導体)に取り付けられた受信機により受信され得る。一実施形態では、受信機は、サンプリング周期(τ)の間に、受信アンテナ(あるいは受信導体)に存在する信号を「サンプリング」する。一実施形態では、信号(例えば、サンプリングされた信号)は、タッチ事象(例えば、実際のタッチ、ニアタッチ、ホバー、および、送信アンテナ(あるいは送信導体)と受信アンテナ(あるいは受信導体)の結合における変化を引き起こす、さらに離れた事象を含む)を識別するための信号プロセッサによって、分析される。一実施形態では、1つ以上の送信アンテナ(あるいは送信導体)は、1つ以上の受信アンテナ(あるいは受信導体)に対して動くことができ、そのような動きは、送信アンテナ(あるいは送信導体)の少なくとも1つと、受信アンテナ(あるいは受信導体)の少なくとも1つの結合における変化を引き起こす。一実施形態では、1つ以上の送信アンテナ(あるいは送信導体)が、1つ以上の受信アンテナ(あるいは受信導体)に対して比較的固定され、および、信号ならびに/あるいは送信される信号の環境要因との間の相互作用は、送信アンテナ(あるいは送信導体)の少なくとも1つと、受信アンテナ(あるいは受信導体)の少なくとも1つの結合における変化を引き起こす。送信アンテナ(あるいは送信導体)、および受信アンテナ(あるいは受信導体)は、例えば交点がノードを形成する行列を含む様々な構成に編成され得、および、相互作用は、受信信号(received signal)を処理することによって検出される。直交信号が直交周波数(frequency orthogonal)である一実施形態では、直交周波数間の間隔(Δf)は、少なくとも測定期間(τ)の逆数であり、この測定期間(τ)は、列導体は、サンプリングされる期間に等しい。このように、一実施形態では、列導体で受信されたものは、1キロヘルツの周波数間隔(Δf)を用いて1ミリ秒(τ)間測定され得る(つまり、Δf=1/τ)。
【0011】
一実施形態では、混合信号集積回路(または、下流のコンポーネントあるいはソフトウェア)の信号プロセッサは、列導体(あるいはアンテナ)に送信される(上に存在する)直交周波数信号の各々を表す少なくとも1つの値を判定するように適合される。一実施形態では、混合信号集積回路(または、下流のコンポーネントあるいはソフトウェア)の信号プロセッサは、受信アンテナ(あるいは受信導体)上に存在する信号に対してフーリエ変換を行う。一実施形態では、混合信号集積回路は、受信信号をデジタル化するように適合される。一実施形態では、混合信号集積回路(または、下流のコンポーネントあるいはソフトウェア)は、受信導体か受信アンテナ上に存在する信号をデジタル化し、かつ、デジタル化された情報に対して離散フーリエ変換(DFT)を行うように適合される。一実施形態では、混合信号集積回路(または、下流のコンポーネントあるいはソフトウェア)は、受信導体または受信アンテナ上に存在する信号をデジタル化し、かつ、デジタル化された情報に対して、離散フーリエ変換の一種である高速フーリエ変換(FFT)を行うように適合される。
【0012】
本開示を考慮すると、DFTが、サンプリング期間(例えば、積分周期)中に取得されるデジタルサンプルのシーケンス(例えば、ウィンドウ)を、それが繰り返されるかのように実質的に処理することは、当業者に明白であろう。結果として、中心周波数でない(つまり、積分期間の逆数の整数倍でない(逆数は最小の周波数間隔を規定する))信号は、比較的わずかである(relatively nominal)が、他のDFTビンに小さな値を寄与するという意図しない結果をもたらし得る。したがって、本開示を考慮することで、本明細書で使用される用語「直交」が、そのような小さな寄与によって「乱れ」ないことは、当業者に明白であろう。言い換えれば、直交周波数という用語が本明細書で使用されるとき、2つの信号は、一方の信号のDFTビンへの寄与の全てが、他方の信号の寄与の全てとは実質的に異なるDFTビンにされる場合、直交周波数と見なされる。
【0013】
サンプリングが行われる場合、一実施形態では、受信信号は、少なくとも1MHzでサンプリングされる。一実施形態では、受信信号は、少なくとも2MHzでサンプリングされる。一実施形態では、受信信号は、少なくとも4Mhzでサンプリングされる。一実施形態では、受信信号は、4.096Mhzでサンプリングされる。一実施形態では、受信信号は、4MHz超でサンプリングされる。kHzサンプリングを達成するために、例えば4096個のサンプルが4.096MHzで取得され得る。そのような実施形態では、積分周期期間は1ミリ秒であり、周波数間隔が積分周期の逆数以上であるべきという制約のもと、1kHzの最小周波数間隔をもたらす(本開示を考慮すると、4096個のサンプルを例えば4MHzで取得することが、1ミリ秒よりわずかに長い積分周期期間をもたらし、kHzサンプリングを達成せず、最小周波数間隔が976.5625Hzとなることは、当業者に明白であろう)。一実施形態では、周波数間隔は、積分周期の逆数に等しい。このような実施形態では、直交周波数信号範囲の最大周波数は2MHz未満とすべきである。このような実施形態では、直交周波数信号範囲の実際最大周波数は、サンプリングレートの約40%未満、または約1.6MHz未満とすべきである。一実施形態では、DFT(FFTとすることもできる)は、デジタル化された受信信号を、送信アンテナによって送信され得る直交周波数信号の周波数をそれぞれが反映する情報のビンへと変換するのに用いられる。一実施形態では、2048個のビンは、1kHzから約2MHzまでの周波数に相当する。本開示を考慮すると、これらの例が単に例示的なものであることが、当業者に明白であろう。システムの必要性と上述の制約に応じて、サンプルレートが増加もしくは減少され、積分周期が調整され、または周波数範囲が調節され得る。
【0014】
一実施形態では、DFT(FFTとすることもできる)出力は、送信される各直交周波数信号のためのビンを含む。一実施形態では、各DFT(FFTとすることもできる)ビンは、同相(I)コンポーネント、および直交(Q)コンポーネントを含む。一実施形態では、IコンポーネントとQコンポーネントの平方和は、ビンに対する信号強度に相当する測定値として用いられる。一実施形態では、IコンポーネントとQコンポーネントの平方和の平方根は、ビンに対する信号強度に相当する測定値として用いられる。
【0015】
上述のように、送信アンテナおよび受信アンテナ、または送信導体および受信導体へ近接して生じるもの関する情報の判定に加えて、信号を人または導電性物体に注入する(infuse)ことが可能であり、注入信号(infused signal)は注入された人または物体へ近接するセンサーに影響を与えることも、見出されている。参照により本明細書に組み込まれる「System and Methods for Infusion Range Sensor」と題する米国特許出願第16/193,476号では、センサーから注入物体までの距離を測定する方法とシステムが論じられた。この出願では、身体部分または物体は信号を注入されて、センサーに対して動かされた。注入された身体部分または物体の動きを通じて、システムは受信信号から測定値を判定し、センサーからの身体部分または物体の位置を判定することが可能であった。
【0016】
信号を注入された人または物体の位置を判定することに関して、前述の開示から習得される見識をもとに、注入のさらなる用途が模索された。信号を注入された人または物体は、センサーシステムに、および、センサーシステム内の受信機が測定するものに影響を与えることができる。一実施形態では、注入された信号は、センシング装置によって送受信される他の信号に対して直交する周波数である。一般に注入は、この用語が本明細書で使用されるとき、信号を対象者の身体に送信することで、効率的に身体(または身体部分)が信号のアクティブな送信源になることを可能にするプロセスを言う。一実施形態では、電気信号は、手(または、他の身体部分)に注入され、この信号は、手(または指もしくは他の身体部分)がセンサーのタッチ面に直接接触していない場合でもセンサーによって検出することができる。これによりある程度まで、手(または指もしくは他の身体部分)の近接と配向は表面に対して判定されることが可能となる。一実施形態では、信号は身体によって運ばれ(例えば、伝導され)、関係する周波数に応じて、表面付近に、または皮膚の表面の下に運ばれ得る。一実施形態では、少なくともkHz帯域(range)の周波数が、周波数注入に用いられ得る。一実施形態では、MHz帯域の周波数が、周波数注入に用いられ得る。上記のようにFMTに関連して注入を用いるために、一実施形態では、注入信号は、送信信号(transmitted signal)に対して直交となるように選択可能であり、それゆえ、送信されている他の信号に加えて確認できる。さらに、一実施形態では、それぞれ他の注入される信号に対して直交している1つを超える信号を、人に注入することができる。直交注入信号(orthogonal infused signal)のそれぞれは、測定されると、他の直交注入信号のそれぞれが測定されたときと異なる情報を提供する。一実施形態では、注入信号はそれぞれ、他の注入信号のそれぞれから周波数が直交している。
【0017】
ウェアラブル器機(wearable)に関連した送信アンテナ(または送信導体)および受信アンテナ(または受信導体)の実装についてのさらなる議論は、米国特許出願第15/926,478号、米国特許出願第15/904,953号、米国特許出願第16/383,090号、および、米国特許出願第16/383,996号に見いだすことができ、これらの出願は全て、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0018】
ここで車両への実装に移ると、送信アンテナ(送信導体とも呼ばれる)および受信アンテナ(受信導体とも呼ばれる)は、車両のコンポーネント内または当該コンポーネント上で使用される材料および織布に実装することができる。このように、車両の他のコンポーネント内または当該コンポーネント上にセンサーシステムを配する実装の1つは、織布や革などのカーシートを形成する材料内に配することである。一実施形態では、センサーシステムは、布製シート内に置かれる。一実施形態では、センサーシステムは、布製シート上に置かれる。一実施形態では、センサーシステムは、革製シート上に置かれる。一実施形態では、センサーシステムは、革製シート内に置かれる。一実施形態では、センサーシステムは、革製シート上に置かれる。一実施形態では、センサーシステムは、プラスチック製シート内に置かれる。一実施形態では、センサーシステムは、プラスチック製シート上に置かれる。一実施形態では、センサーシステムは、乗員がいる場所に近接させて、および/またはその他の方法で動作可能となるよう近くに置かれる。
【0019】
図1および
図2を参照すると、車両内に置かれたシート50に座る乗客40が示されている。シート50は最前列に置かれたシートであるが、車両内に置かれる可能性のあるシートのいずれかは、その中に、または乗員に近接させてセンサーシステムが実装され得ることを理解されたい。さらに、センサーシステムは車両全体に置かれてもよく、ある状況ではセンサーシステムは、車両内での活動の判定、または乗員の存在の判定を可能にするように置かれてもよい。
【0020】
図3および
図4は、シート50とともに用いられるセンサーシステム100の例示的実施形態を示す。
図3は、シート50の最上層の正面図である。
図4は、シート50の最上層の背面図である。センサーシステム100は、少なくとも1つの送信機(図示せず)、少なくとも1つの受信機(図示せず)、および少なくとも1つの信号プロセッサ(図示せず)に動作可能に接続される送信アンテナ101および受信アンテナ102とともに形成される。送信アンテナ101は受信アンテナとしても機能することができ、受信アンテナ102は送信アンテナとしても機能することができる。一実施形態では、センサーシステム100の1より多くの層がシート50に用いられる。一実施形態では、シート50の各部分は、それ自体でセンサーシステムを有している。例えば、ヘッドレスト自体にセンサー部分があり、アームレスト自体にセンサー部分があり、背もたれ自体にセンサー部分があり、および、シートエリア自体にセンサー部分がある。一実施形態では、シート50の一部分のみがセンサーシステムを有する。
図3および
図4では、センサーシステム100はシート50の全体に形成されている。
【0021】
一実施形態では、各送信アンテナ101は、一意の直交信号を送信する。一実施形態では、各送信アンテナ101は、一意の直交周波数信号を送信する。一実施形態では、1つを超える送信アンテナ101には、同じ信号が送信されている。同じ信号を送信する1つを超える送信アンテナ101を有することで、信号の強度はさらに大きくなることができ、センサーシステムは、センサーシステムから遠く離れた場所での活動と動きを判定可能である。一実施形態では、1より多くの組の送信アンテナが、時間周期中(時間の積分周期、または積分周期として知られる)に同じ信号を送信するよう適合される。
【0022】
一実施形態では、センサーシステムは、送信アンテナ上で複数の信号を送信するのに適しており、同じ信号が一組の送信アンテナ上で送信されている。つまり、同じ信号が、複数の送信アンテナのうち1つを超える上で送信される。同じ信号を複数の送信アンテナのうち1つを超える上で送信することにより、送信アンテナは、表面から遠く離れた距離を感知し、物体の接近を判定するように機能することが可能となる。センサーシステムは、物体または人がシートに接近していると判定されるまで、このように機能することが可能となる。
【0023】
シートへの接近が判定された後、センサーシステムは、送信アンテナのそれぞれが直交信号を送信するモードに切り替えることができる。これにより、物体または人の動きと位置がより詳細に判別される。一実施形態では、センサーシステムは、接近を判定するために同じ信号を送信する送信アンテナの複数のグループを有することができ、物体または人が接近するにしたがい、同じ信号を送信する送信アンテナの数を減らすことができる。つまり、人または物体がシートに接近し、最終的にシートに接触すると、より多くの情報を判定して様々な感度を提供するために、シートに対するセンサーシステムの感度の焦点を増加させることができる。
【0024】
送信アンテナのこのグルーピングは、センシングシステムのセンシング能力を拡張するために、車両内の他の場所に実装できる。一実施形態では、複数のセンシングシステムはシート内に置かれ、各センシングシステムは、送信アンテナならびにそこから送信される信号の異なるグルーピングを実装できる。一実施形態では、ヘッドレストは、送信アンテナの1つのグルーピングを有し、および、シートは、送信アンテナの別のグルーピングを有している。一実施形態では、シート上の送信アンテナのグルーピングは、ヘッドレストにおける送信アンテナのグルーピングとは異なる信号を送信する。さらに、ヘッドレストに置かれるセンシングシステムは、シートのセンシングシステムとは異なる時間における、あるいは、異なる期間にわたり、信号の異なるグルーピングを送信することができる。
【0025】
一実施形態では、第1のヘッドレストにおける信号のグルーピングは、シートにおける信号のグルーピングとは異なる時間において、感知または変化する。例えば、ヘッドレストのセンシングシステムは、ヘッドレストにおける送信アンテナのグルーピングを有し、ヘッドレストのセンシングシステムは、ある身体部位が任意のエリアにいつ接近したかに基づいて、シート内のセンシングシステムとは異なる時間において、上記グルーピングを用いることから、各送信アンテナで一意の信号を送信することに切り替わってもよい。
【0026】
一実施形態では、車両の複数の部位は、異なる時間に信号を送信することができる。例えば、内装前方、内装中央、内装後方がある。さらに、一実施形態では、物体や人の接近を判定することができる、車両の外装の複数の部分がある。
【0027】
一実施形態では、送信アンテナは、異なるモード中に、信号をいくつかの送信アンテナで送信し得る。一実施形態では、センシングシステムは、パッシブ送信モード、および、アクティブ送信モードを有し得る。一実施形態では、センシングシステムは、接近してくる乗客の判定を確実に行うことができ、続いて、接近してくる乗客が判定されると、内装センシングモードがアクティブ化されるように、車内の内外に実装させる。一実施形態では、車両の複数の部位は、車両内の活動に依存して、異なるグルーピングを活性化することができる。一実施形態では、乗客があるエリアに接近して、別のエリアから離れるに従って、送信アンテナの異なるグルーピングが活性化される。
【0028】
一実施形態では、車両内の位置および動きを判定するために、送信アンテナ上に信号の注入と送信の両方を組み入れることができるようにセンシングシステムが実装される。一実施形態では、注入アンテナは、信号を乗客へ送信することに適合される。信号が乗客の中へ送信されると、乗客は、受信アンテナで受信可能な信号を送信する。受信アンテナで受信される信号は、乗客の位置と動きを判定するために用いることができる。注入される信号は、いくつかのセンサーシステムにおいて送信される信号と、互いに直交でありうる。一実施形態では、1つを超える信号が、乗客に注入される。
【0029】
一実施形態では、1つを超える信号は、車両内の様々な位置から乗客に注入される。例えば、1つの注入される信号が、床の位置から乗客に送信され得る一方、別の注入される信号は、ヘッドレストの位置から乗客に送信され得る。センサーシステムは、車両内の乗客の動きと位置を判定するために、受信アンテナで受信された、注入される信号を用いる。信号が、車両内の様々な位置から、乗客へ送信されるので、受信アンテナで受信される信号から、様々な活動と挙動が判定される。センサーシステムは、車両内の乗客、乗客たち、および/または物体の活動に関する様々な見方を提供するために、送信アンテナによって送信される信号と乗客との相互作用を介して受信した信号と、乗客によって送信され受信した信号との組み合わせを用いることができる。
【0030】
一実施形態では、各乗客は、複数の信号を、乗客の各々に注入される。乗客に注入される信号は、乗客に注入される別の各信号に対して直交である。一実施形態では、乗客に注入される信号は、乗客に送信される別の各信号に対して直交周波数である。
【0031】
一実施形態では、シートの材料は、その内部に、送信アンテナならびに受信アンテナ(本明細書では、受信導体とも呼ばれる)で形成されるセンサーシステムを、埋め込んでいる。一実施形態では、シートの材料は、その上に、送信アンテナと受信アンテナで形成されるセンサーシステムを置いている。一実施形態では、シートは、送信アンテナと受信アンテナで形成されるセンサーシステムを、シート内に埋め込み、ならびにセンサーシステムをシート上に置いている。一実施形態では、アンテナは、フレキシブル基板(非導電性織布、プラスチック、あるいはエラストマー材料から作ることができる)上に置かれ、および、シート材料を形成するために用いられる。一実施形態では、アンテナはフレキシブル基板内に埋め込まれ、および、シートの材料を形成するために用いられる。一実施形態では、電導糸は、1以上の所望の次元における所望の拡張を可能にする方法(例えば、ジグザグ、波など)で、フレキシブル材料(例えば、織布)上に置かれるか、縫い込まれて、シートを形成するために用いられる。一実施形態では、フレキシブル基板、または織布は、シートを形成するのに用いられる交差するジグザグパターン(あるいは、例えば、交差する正弦波パターン)を有する。一実施形態では、フレキシブル基板、または織布は、上記のパターンのうちの1つ、あるいは、人々が柔軟に用いることに耐えられるよう適合した別のパターンを有している。
【0032】
送信機は、送信アンテナの各々において一意の直交周波数信号を送信する。受信アンテナは、送信された信号を受け取り、かつ/または、材料の使用を通じて起こる静電容量相互作用に反応することができる。信号プロセッサは、受信された信号の測定値を処理し、および、ヒートマップ、あるいは、上記カーシートとの間で起こる相互作用を反映する他のデータセットを形成するために、上記測定値を利用する。一実施形態では、送信アンテナの各々、および受信アンテナの各々が、送信アンテナあるいは受信アンテナのどちらとしても機能する。一実施形態では、少なくとも1つの送信アンテナと複数の受信アンテナがある。一実施形態では、複数の送信アンテナと少なくとも1つの受信アンテナがある。
【0033】
乗員40が、車両内のシート50に座る際、シート50それ自体に、および/またはシート50内の動きがある。シート50が形成される材料(シート50を形成する材料)は、動き、および/または、たわむ。この動きにより、送信アンテナと受信アンテナは互いに対して動くようになる。この動きは、受信アンテナによって受信する信号の測定値に影響を与える。この動きは、乗員40がシート50に座るときだけでなく、車両が動いている間にも、車両が静止している際に乗員40がシート50に座っている間にも起こる。さらに、乗員40は、送信アンテナか複数の送信アンテナ、および、受信アンテナか複数の受信アンテナによって生成されたフィールドと相互作用してもよい。乗員のフィールドとの相互作用は、システムによって取得される様々な測定値をもたらす。
【0034】
受信アンテナに接続されている受信機から取得した、処理された測定値は、乗員40がシート50に座っているかどうかを判定するために、用いることができる。信号プロセッサによって、取得されて処理された測定値は、センサーシステムによって、さらに処理することに用いられるので、シート50の使用を判定することが可能になる。一実施形態では、シートの使用の判定は、信号プロセッサ上で実行され、および、信号プロセッサは、測定値を取得し、シートの使用があるかどうかを判定することができる。一実施形態では、シートの使用の判定は、信号プロセッサによって処理された測定値を処理するソフトウェアロジックによって行なわれる。一実施形態では、シートの使用の判定は、信号プロセッサとは離れた所に位置するセンサーシステムの一部によって、判定される。一実施形態では、シートの使用の判定は、信号プロセッサによって処理された測定値を処理する回路網(circuitry)によって行なわれる。一実施形態では、シートの使用の判定は、車両内の、シートから離れた所に置かれるセンサーシステムの一部によって行なわれる。一実施形態では、シートの使用の判定は、車両内のシートに近接した場所でなされる。
【0035】
一実施形態では、センサーシステムは、車両内に乗員が存在するか、不在かを検出する。一実施形態では、センサーシステムは、乗員の生体認証を検出する。一実施形態では、センサーシステムは、乗員の心拍数を判定する。一実施形態では、センサーシステムは、乗員の呼吸活性を判定する。一実施形態では、センサーシステムは、乗員の重量推定値を判定する。一実施形態では、センサーシステムは、乗員の高さ推定値を判定する。一実施形態では、センサーシステムは、シート内の乗員の位置を検出する。一実施形態では、センサーシステムは、シート内の乗員の種類を検出する。一実施形態では、センサーシステムは、検出された乗員IDに基づいて、自動車が盗まれたかどうか判断する。一実施形態において、センサーシステムは、子どもの存在を検出する。一実施形態では、検出器は、チャイルドシートの存在を検出する。一実施形態では、センサーシステムは、チャイルドシートにおける子供の存在を検出する。一実施形態では、センサーシステムは、背もたれの位置を検出する。一実施形態では、センサーシステムは、シートの座り心地を判定する。一実施形態では、センサーシステムは、ヘッドレストから頭部までの距離を検出する。一実施形態では、センサーシステムは、乗員か非乗員のパーセントによる分類カテゴリーの種類を検出する(つまり、物体が存在するが、排他的に人間の乗員ではない)。一実施形態では、センサーシステムは、車両の中に忘れ物がないか判定する。一実施形態では、センサーシステムは、物体を検出する。一実施形態では、センサーシステムは、パッシブ手段によって、物体を検出する。一実施形態では、センサーシステムは、アクティブ手段によって、物体を検出する。一実施形態において、センサーシステムは、アクティブ手段、および/または、パッシブ手段のいずれかによって、乗員や物体の種類を検出する。一実施形態において、センサーシステムは、人物、カーシート、財布、ラップトップ、電話、犬、猫などのうちの少なくとも1つを検出する。一実施形態では、各ロジックカテゴリー(つまり、人間の乗員が、存在する、あるいは、不在である)、または、測定値推定(つまり、高さ、重量)は、それぞれが別々に、算出された確信度(つまり、信頼水準)(例えば、99.9999%車内は空、80%の信頼で身長5’6’’)も含む。一実施形態では、センサーシステムは、クッション、ならびに、背圧分布を検出する。一実施形態では、センサーシステムは、乗員が、どれくらい動くか、および、どのくらいの頻度で動くかなどの、動的運動(dynamic movement)を判定する。
【0036】
前述のように、情報は、乗員40が存在するかどうかに加え、実装されているセンサーの感度によって、確認することができる。一実施形態では、機械学習は、シート50に座っている個人の体重を正確に判定するために、シート50の内部か、またはシート50の上にあるセンサーによって取得された測定値から得られるデータに適用される。シート50に座る人の身体特徴を正確に判定することができることによって、自動車は、人の体重を、ドライバーの識別の可能性と相関させることによって、適宜対応できるようにさらにプログラムすることができる。例えば、一実施形態では、自動車は、シート50が、185ポンドの男が自動車内に座っていることを感知する場合に、自動車の設定を自動的に調節する。自動車の設定は、185ポンドの重量測定値に関連する最も可能性の高い人に合わせて調整され得る。一実施形態では、車両中の乗員の数は、カーシートセンサー、ならびに検出器モジュールからの測定値を用いて、判定される。一実施形態では、車両中の乗員の数および体重は、センサーを使用して判定される。一実施形態では、車両は、シート50内のセンサーを介して確認された、乗員40が座っている場所、乗員40の体重、および/または他の身体特徴に基づき、乗員40の識別を判定するようにプログラムされる。一実施形態では、車両は、センサーによって判定される車両荷重に基づき、燃料使用量を最適化する。一実施形態では、乗客エリアのセンサーは、重量測定値に基づいて、カーシートに幼児が残ったままであるかどうかを判定する。次いで、この測定値は、車両がある期間停車している際に、幼児が連れ出されなければ、アラームを鳴らす、あるいは、他の警告表示を付けるために用いられる。
【0037】
センサーシステムが、シート50のシッティングエリアに加えて、シート50の上、および、その内部の他の場所に位置し得ることが理解されるべきである。一実施形態では、センサーシステムは、シート50の後方エリア内に位置する。シート50の後方エリアに位置するセンサーシステムは、乗員の様々な動きに関する情報を判定するために用いることができる。例えば、突然の動きは、車両の速さ、あるいは車両が移動し得る地形に関連する追加情報を判定するために用いることができる。一実施形態では、この種類の情報は、車両の制御や車両の動きを調節するために、車両によって用いられる。例えば、一実施形態では、閾値を超えるなどの突然の動きや揺れがあると判定された際、エアバッグが展開され、あるいは、ブレーキが作動される。一実施形態では、センサーは、車両のヘッドレスト内に位置する。一実施形態では、乗員40に関する生体認証データは、乗員40のシート50との彼または彼女の相互作用に基づき、取得される。一実施形態では、乗員40の位置および動きは、乗員40が寝入っているかどうかを判定するために用いられる。乗員が寝入っている場合、アラームを作動することができる。ながら運転や薬物影響下での運転など、他の潜在的に危険な状況も、シート50上にいる乗員40の位置ならびに動きに基づいて、センサーシステムによって、監視および検出することができる。
【0038】
図1と
図2を参照して、送信アンテナと受信アンテナとの間の相互作用が検出される場合に、シート50の内部、ならびに/あるいはシート50の上に置かれるセンサーシステムに加えて、注入送信アンテナ(複数も含む)は、シートの内部、および/またはシートの近くに位置することができる。注入は、以下でさらに詳しく後述する。一実施形態では、ユーザーは、一意の直交信号を送信することができる、車両とは別の物体を、保持または着用する。一実施形態では、ユーザーは、車両のコンポーネントの1つを介して、信号を注入される。一実施形態では、信号は、ステアリングホイールを介して、ユーザーに注入される。一実施形態では、信号は、ダッシュボードを介して、ユーザーに注入される。一実施形態では、信号は、車両の内装部分を介して、ユーザーへ送信される。一実施形態では、信号は、車両の外装部分を介して、ユーザー内へ送信される。
【0039】
図2は、乗員40の描影法(shading)を示し、乗員40内に注入される信号の存在を例示するものである。注入される信号は、車両のダッシュボード、あるいは車両全体に置かれた機器に対して、追加機能を提供するために使用され得る。一実施形態では、様々な設定は、乗員40によって送信される信号に基づいて、有効、あるいは無効である。一実施形態では、制御は、乗員40によって送信される信号に基づいて、有効、あるいは無効である。一実施形態では、ガレージドアオープナーは、車両の内装との相互作用を介して乗員40によって送信される信号によって活性化される。
【0040】
1つを超える信号は、車両の各乗員に注入することができる。一実施形態では、車両の各乗員に注入される信号の各々は、車両の乗員(複数含む)に注入された他の信号とは互いに直交する周波数である。一実施形態では、信号は、ドライバーシートに座る乗員に注入され、および、ドライバーシートに座る人である乗員に注入される信号と直交する周波数である別の信号は、車両の別の乗客に注入される。車両のコンポーネントは、信号の測定値に基づいて、誰が運転しているのか、あるいは、誰がコンポーネントと相互に作用しているのかを判定することができる。一実施形態では、特定のコンポーネントは、識別された乗客に基づいて異なった機能をすることができる。一実施形態では、車両のコンポーネントは、車両のコンポーネントとの同時に起こる相互作用中に、乗客の識別を判定することができる。
【0041】
一実施形態では、互いに直交する周波数である複数の信号が、各乗客に注入される。一実施形態では、注入される信号の各々は車両のコンポーネントと相互作用するために様々な情報を伝える。一実施形態では、注入される信号の各々は、注入される信号に依存して、異なって作動することに適応した車両のコンポーネントと相互作用する。一実施形態では、コンポーネントは、1つ以上の直交する周波数信号の測定値に依存して、異なって作動するよう適合される。例えば、1つの信号の存在を測定すると、コンポーネントが、第1の方法で作動することを引き起こし得る。第1の信号に直交する周波数である別の信号の存在を測定すると、コンポーネントが、第2の方法で作動することを引き起こし得る。両方の信号の存在を測定すると、コンポーネントが、第3の方法で作動することを引き起こし得る。例えば、これは、車両内あるいはシートに備えられたインタラクティブスクリーンに実装され得る。一実施形態では、注入される信号は、異なる人々に注入される。一実施形態では、注入される信号は、一個人に注入されるが、個人の型である車両の様々な部品、あるいは車両の位置に注入される。例えば、注入される信号のうちの1つは、人がシートにいることを示唆し得、一方、別の注入される信号は、人がステアリングホイール、あるいは鏡に触れていることを示唆し得る。一実施形態では、注入される信号の組み合わせは、車のドアをロックする必要があるかどうか、鏡を調節する必要があるかどうかなどを判定するために測定することができる。
【0042】
さらに、カーシートが示されているが、センサーシステムは、車以外の車両のシートで用いることができることを理解するべきである。一実施形態では、センサーシステムは、トラックのシートに用いられる。一実施形態では、センサーシステムは、ボートのシートに用いられる。一実施形態では、センサーシステムは、ボートのシート内の防水材料内に埋め込まれる。一実施形態では、センサーシステムは、飛行機のシートに用いられる。一実施形態では、センサーシステムは、列車のシートに用いられる。
【0043】
本明細書で論じられるシートはまた、車両、シート、椅子、および同類のものの文脈で論じられるが、センサー技術は、他の箇所で見出されるシート内の織布および材料の内側、あるいはその上で実装することができる。一実施形態では、センサーシステムは、競技場のシートに用いられる。一実施形態では、センサーシステムは、家庭内の椅子に用いられる。一実施形態では、センサーシステムは、待合室のシートに用いられる。一実施形態では、センサーシステムは、遊園地における乗り物のシートに用いられる。
【0044】
さらに、カーシートが論じられているが、センサーシステムを形成する送信機、送信アンテナ、受信アンテナ、および受信機は、車両の他のコンポーネントにおいて実装され得る。一実施形態では、センサーシステムは、車両の加速装置内に置かれる。加速装置との相互作用によって、車両の加速に関して、追加情報、および、より些細な情報を提供できる。燃料分配、および、ギヤー操作は、加速装置中のセンサーによって提供される情報により調節され得る。一実施形態では、センサーシステムは、車両のギアーレバーに置かれる。一実施形態では、センサーシステムは、オートバイ、三輪車、あるいは、四輪車のような車両のハンドルに置かれる。一実施形態では、センサーシステムは、車両のブレーキに置かれる。ブレーキとの相互作用は、車両の取り扱い、または、エアバッグなどの実装に関する情報を提供できる。一実施形態では、センサーシステムは、ダッシュボード内に実装される。一実施形態では、センサーシステムは、クラッチ内に実装される。一実施形態では、センサーシステムは、方向指示灯コントローラー内に実装される。
【0045】
一実施形態では、センサーシステムを形成する送信アンテナおよび受信アンテナは、車両のタイヤに実装される。信号の測定値は、ブレーキの摩耗、ならびに、タイヤの摩耗を判定するために用いられる。送信アンテナは、コンポーネント上に実装され得、および、受信機によって受信される処理された信号は、コンポーネントの材料の変化を判定するために、受信した信号の測定値における変動を判定できる。一実施形態において、センサーは、フロントガラス上にある。送信アンテナを介して送信される信号は、液体による影響を受け、信号プロセッサによって処理される測定値に反映されることができる。次いで、これらの測定値は、フロントガラスのワイパーを作動させるために用いられ得る。
【0046】
本開示の一態様は、センシングシステムである。このセンシングシステムは、カーシートに動作可能に接続された送信アンテナのグループであって、第1モードにおいて、1つの信号は、第1の積分周期中に、前述のグループの1つを超える送信アンテナ上で送信され、および、第2モードにおいて、前述の送信アンテナのグループは、第2の積分周期中に、前述のグループの各送信アンテナ上で、直交周波数信号を送信するよう適合される送信アンテナのグループと、複数の受信アンテナであって、前述の複数の受信アンテナのそれぞれは、前述の複数の送信された信号を受信するように適合される複数の受信アンテナと、前述の第1モード、あるいは、前述の第2モード中に受信した信号の測定値を判定するよう適合されるプロセッサであって、前述のプロセッサは、乗客の位置あるいは動きを判定するために、前述の判定した測定値を処理するようさらに適合されるプロセッサ、を含む。
【0047】
本開示の別の態様は、センシングシステムである。このセンシングシステムは、信号を乗客あるいは車両に注入するよう適合される、1つを超える注入送信アンテナであって、各注入された信号は、積分周期中に送信された、注入された信号と互いに直交する周波数である注入送信アンテナと、複数の受信アンテナであって、複数の受信アンテナのそれぞれは、乗客に注入された信号を受信するように適合される受信アンテナと、受信した注入された信号のそれぞれ1つの測定値を判定することに適合されるプロセッサであって、このプロセッサは、乗客の位置または動きを判定するために、判定された測定値を処理するようさらに適合されるプロセッサ、を含む。
【0048】
本発明が、特に、その好ましい実施形態を参照により示され、かつ記載されている一方、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、その中で形態や細部に様々な変更がされることが、当業者には理解される。
【国際調査報告】