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特表2023-534841除去可能な中間分離層を有するシーラント外傷用医薬材料
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  • 特表-除去可能な中間分離層を有するシーラント外傷用医薬材料 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-14
(54)【発明の名称】除去可能な中間分離層を有するシーラント外傷用医薬材料
(51)【国際特許分類】
   A61L 15/26 20060101AFI20230804BHJP
   A61L 15/44 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
A61L15/26 100
A61L15/44 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504320
(86)(22)【出願日】2021-07-19
(85)【翻訳文提出日】2023-02-02
(86)【国際出願番号】 IB2021056501
(87)【国際公開番号】W WO2022018611
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】16/934,982
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512080321
【氏名又は名称】エシコン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ネイティブ・ニール
(72)【発明者】
【氏名】ヤノス・ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】ワインドル・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ベルバ・サイ
【テーマコード(参考)】
4C081
【Fターム(参考)】
4C081AA02
4C081AA12
4C081BA11
4C081CA171
4C081CA182
4C081DA02
4C081DB03
4C081DC03
(57)【要約】
本発明は、第1の共反応性構成成分の少なくとも表面コーティングを上に有する第1の多孔質基材層と、第1の共反応性構成成分と反応する第2の共反応性構成成分の少なくとも表面コーティング層を有する第2の基材層と、第1の基材層と第2の基材層との間に位置付けられ、前記第1の基材層及び前記第2の基材層と接触する、除去可能なバリア層と、を有する、医療用デバイスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用デバイスであって、
a.第1の共反応性構成成分の少なくとも表面コーティングを上に有する少なくとも1つの主対向面を有する第1の多孔質基材層と、
b.前記第1の共反応性構成成分と反応する第2の共反応性構成成分の少なくとも表面コーティング層を有する少なくとも1つの主対向面を有する第2の基材層と、
c.前記第1の基材層と前記第2の基材層との間に位置付けられ、前記第1の基材層及び前記第2の基材層からの、それぞれ互いに独立した、少なくとも1つの主対向面又は表面コーティングと接触している、除去可能なバリア層と、を備える、医療用デバイス。
【請求項2】
前記第1の基材層が、1つ以上の合成ポリマー又はコポリマー、セルロース系材料、及びこれらのブレンドから構成された多孔質の不織布メッシュである、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項3】
前記第2の基材層が、1つ以上の合成ポリマー又はコポリマー、セルロース系材料、及びこれらのブレンドから構成された多孔質の不織布メッシュである、請求項2に記載の医療用デバイス。
【請求項4】
前記第2の基材層が非多孔質フィルムである、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項5】
非多孔質フィルムが前記第2の基材層の上部対向面上に適用されている、請求項3に記載の医療用デバイス。
【請求項6】
前記第1の基材層の少なくとも1つの主面が、前記第1の共反応性構成成分としての求核基含有化合物でコーティングされている、請求項3に記載の医療用デバイス。
【請求項7】
前記第2の基材層の少なくとも1つの主面が、前記第2の共反応性構成成分としての求電子性基含有化合物でコーティングされている、請求項3に記載の医療用デバイス。
【請求項8】
基材層の少なくとも1つの主面が、コーティングされたPEG-NHSである、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項9】
前記PEG-NHSコーティングされた基材が、組織対向面である、請求項8に記載の医療用デバイス。
【請求項10】
PEG-NHS基材が基材層の両側上にコーティングされ、PEG-アミンが、対向する多孔質基材の片側上のみにコーティングされている、請求項8に記載の医療用デバイス。
【請求項11】
前記第2の共反応性構成成分が、前記第1の共反応性構成成分のための活性化剤を更に含む、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項12】
前記活性化剤が、酵素、緩衝剤、カルボジイミド、触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項11に記載の医療用デバイス。
【請求項13】
前記第1の基材層、前記第2の基材層、及び前記バリア層は、少なくとも3つの前記層が積み重ねられたサンドイッチ構成で組み立てられている、請求項3に記載の医療用デバイス。
【請求項14】
前記第1の基材層及び前記第2の基材層が、複数の接続点又は溶接部によって共通の相対配置に維持されている、請求項6に記載の医療用デバイス。
【請求項15】
前記第1の基材層及び前記第2の基材層が、ヒンジに沿って共通の基材材料を折り曲げることによって形成されている、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項16】
前記第1の基材層及び前記第2の基材層が、縁部周辺領域を有し、前記複数の接続点又は溶接部が、前記第1の基材層及び前記第2の基材層のそれぞれの上の少なくとも1つの縁部周辺領域に沿った別個の点に提供されている、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項17】
少なくとも複数の接続点又は溶接部が、前記第1の基材層及び前記第2の基材層の軸に沿って前記不活性フィルムを貫通して提供されている、請求項16に記載の医療用デバイス。
【請求項18】
前記バリア層が、少なくともその長さ部分に沿って、前記複数の接続点又は溶接部に対応するスリットを有し、前記スリットは、前記バリア層を引き裂く必要なく引っ張ることによって、前記第1の基材層と前記第2の基材層との間から前記不活性フィルムを除去することを可能にする、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項19】
前記バリア層の少なくとも1つの周縁部が、前記第1の基材層及び前記第2の基材層のうちの少なくとも一方の周縁部を越えて延在する、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項20】
1つ以上のパッケージ構成要素を更に備え、前記バリア層は、前記パッケージに取り付けられ、前記医療用デバイスが関連する前記1つ以上のパッケージ構成要素から分離される際に除去される、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項21】
前記パッケージ構成要素のうちの少なくとも1つが、前記第1の基材層及び前記第2の基材層のための2つの空間的に分離された区画を有する収容コンパートメントである、請求項20に記載のキット。
【請求項22】
前記収容コンパートメントが、前記第1の基材層及び前記第2の基材層を保持するための単一の区画である、請求項20に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
2つの架橋性構成成分を含有する吸収性止血パッチは、米国特許出願公開第2011/0045047A1号を含む文献に記載されている。このようなパッチ用の架橋性構成成分は、共反応性化合物の対であり得るか、又は基材上の対応する共反応性基と共有結合架橋を形成することができる利用可能な単位を有する共反応性化合物でコーティングされた基材であり得る。このような特許の主な制約は、共反応性構成成分が水性/湿潤環境で反応し得、これが、パッチ効力を経時的に低下させる場合があることである。本問題を克服するための1つの取り組みは、低水分条件下で共反応性含有パッチを加工及び包装することであった。別の取り組みは、外傷用医薬材料の対向する側上にコーティングを適用することによって、又は共反応性構成成分の間にフィルムバリア層を配置することによって、共反応性層の間に若干の空間又は間隔を生成することであった。
【0002】
本出願人らは、不活性で除去可能なセパレータバリア層を共反応性構成成分の間に配置して、相互作用を防止する非透過性で化学的に不活性な物理的バリアとして機能する代替的方法を特定した。このようなセパレータ層は、外傷用医薬材料のすぐ近くの環境から水分を除去するための乾燥剤としても機能し得る。分離層は、パッチの構成を変更しない方法で、かつ使用者による追加の手順工程を必要としない方法で、除去することができる。本方法では、2つのコーティングされた層のそれぞれは、デバイスがパッケージから取り出される場合に、バリア(パッケージの一部)が層から除去され、デバイスの適用前にそれらの接近を可能にする方法で、一次パッケージ材料(システム内に追加のバリアがない)によって分離され得る。出願人らはまた、パッケージ内の層間の時期尚早な相互作用を防止するために、2つの層が、それらの縁部のうちの1つに沿って(例えば、一目瞭然たるものとして)接続されつつ、互いから離れて平坦に一次パッケージ内に位置付けられる方法を特定した。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1a】単一の基材が2つの半体上に別々にコーティングされ、それらの境界で折り畳まれ、中間に配置された除去可能なバリア層又はフィルムが、2つの共反応性層を物理的に分離するために使用され得るか、又は所望により、バリア層なしで開放状態で保管され得る、本発明の一実施形態を示す。
図1b】単一の基材が2つの半体上に別々にコーティングされ、それらの境界で折り畳まれ、中間に配置された除去可能なバリア層又はフィルムが、2つの共反応性層を物理的に分離するために使用され得るか、又は所望により、バリア層なしで開放状態で保管され得る、本発明の一実施形態を示す。
図2】2つの別個の基材層が、中間に配置された除去可能なバリア層又はフィルムによって物理的に分離されている、本発明の一実施形態を示す。
図3a】2つの別個の基材層が別々にコーティングされ、ヒンジで接合され、中間に配置された除去可能なバリア層又はフィルムが、2つの共反応性層を物理的に分離するために使用され得るか、又は所望により、バリア層なしで開放状態で保管され得る、本発明の一実施形態を示す。
図3b】2つの別個の基材層が別々にコーティングされ、ヒンジで接合され、中間に配置された除去可能なバリア層又はフィルムが、2つの共反応性層を物理的に分離するために使用され得るか、又は所望により、バリア層なしで開放状態で保管され得る、本発明の一実施形態を示す。
図4】2つの別個の基材層が特定の「溶接」点で接合され、中間に配置された除去可能なバリア層又はフィルムが2つの層を物理的に分離するために使用される、本発明の一実施形態を示す。
図5】2つの別個の基材層が特定の「溶接」点で接合され、中間に配置された除去可能なバリア層又はフィルムが2つの層を物理的に分離するために使用され、分離層がデバイスのパッケージに固定又は一体化されて、それによって、当該パッケージからのデバイスの取り出しがバリア層の除去を確実にする、本発明の一実施形態を示す。
図6a】バリア層が、その表面に沿って穴及び切れ目を有しており、これによって、構造的完全性を高めるために副層を互いに接続することができる、バリア層及び本発明の一実施形態を示す。
図6b】バリア層が、その表面に沿って穴及び切れ目を有しており、これによって、構造的完全性を高めるために副層を互いに接続することができる、バリア層及び本発明の一実施形態を示す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、本発明は、第1の共反応性構成成分の少なくとも表面コーティングを上に有する少なくとも1つの主対向面を有する第1の多孔質基材層と、第1の共反応性構成成分と反応する第2の共反応性構成成分の少なくとも表面コーティングを有する少なくとも1つの主対向面を有する第2の多孔質基材層と、第1の基材層と第2の基材層との間に配置され、第1の基材層及び第2の基材層からの、それぞれ互いに独立した、少なくとも1つの主対向面又は表面コーティングと接触している、除去可能なバリア層と、を有する医療用デバイスに関する。第1の基材層は、1つ以上の合成ポリマー又はコポリマー、セルロース系材料、及びこれらのブレンドから構成された多孔質の不織布メッシュであり得る。第2の基材層は、1つ以上の合成ポリマー又はコポリマー、セルロース系材料、及びこれらのブレンドから構成された多孔質の不織布メッシュである。第2の基材層は、所望により、第2の基材層の上部対向表面上に適用される非多孔質フィルムであり得る。
【0005】
一実施形態では、第1の基材層の少なくとも1つの主面は、第1の共反応性構成成分としての求核基含有化合物でコーティングされ得る。あるいは、第2の基材層の少なくとも1つの主面は、第2の共反応性構成成分としての求電子性基含有化合物でコーティングされ得る。あるいは、基材層の少なくとも1つの主面は、コーティングされたPEG-NHSであり得、PEG-NHSは、組織対向面上にコーティングされ得る。また更に、PEG-NHS含有基材は、両側にコーティングされ得るが、PEG-アミン構成成分は、対向する多孔質基材層(副層)の片側上のみにコーティングされ得る。
【0006】
別の実施形態では、第2の共反応性構成成分は、第1の共反応性構成成分のための活性化剤を更に含み得、活性化剤は、酵素、緩衝剤、カルボジイミド、触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0007】
一実施形態では、第1の基材層、第2の基材層、及びバリア層は、少なくとも3つの層が積み重ねられたサンドイッチ構成で組み立てられ得る。更に、任意の実施形態における第1の基材層及び第2の基材層は、複数の接続点又は溶接部によって共通の相対配置に維持され得る。
【0008】
一実施形態では、第1の基材層及び第2の基材層は、ヒンジに沿って共通の基材材料を折り曲げることによって形成され得る。
【0009】
一実施形態では、第1の基材層及び第2の基材層は、縁部周辺領域を有し、当該複数の接続点又は溶接部は、第1の基材層及び第2の基材層のそれぞれの上の少なくとも1つの縁部周辺領域に沿った別個の点に提供されている。少なくとも複数の接続点又は溶接部が、第1の基材層及び前記第2の基材層の軸に沿って当該不活性フィルムを貫通して提供され得る。バリア層は、少なくともその長さ部分に沿って、複数の接続点又は溶接部に対応する1つ以上のスリットを有し得、そのスリットは、バリア層を引き裂く必要なく引っ張ることによって、当該第1の基材層と第2の基材層との間から当該不活性フィルムを除去することを可能にする。
【0010】
一実施形態では、バリア層の少なくとも1つの周縁部は、第1の基材層及び第2の基材層のうちの少なくとも一方の周縁部を越えて延在し得る。また更に、デバイスは、1つ以上のパッケージ構成要素を更に備え得るが、バリア層は、パッケージに取り付けられ、医療用デバイスが関連する1つ以上のパッケージ構成要素から分離される際に除去される。パッケージ構成要素のうちの少なくとも1つは、第1の基材層及び第2の基材層のための2つの空間的に分離された区画を有する収容コンパートメントであり得る。収容コンパートメントは、第1の基材層及び第2の基材層を保持するための単一の区画として形成され得る。
【0011】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるデバイスを出血組織部位に適用することを含む、出血部位上で止血を達成する方法に関する。別の方法では、PEG-NHSコーティングされた基材が出血組織部位に直接適用され得る。
【0012】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるデバイスを損傷した組織部位に適用することを含む、組織を封止するための方法に関する。別の方法では、PEG-NHSコーティングされた基材が損傷した組織部位に直接適用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の外傷用医薬材料100は、共反応性の架橋性構成成分を含有する少なくとも2つの繊維状及び/又は多孔質副層102及び104の基材構造体を有する医療用デバイスを含む。非多孔質である更なる外側層(図示せず)(例えば、連続フィルム)は、複数の目的、例えば、適切な方向性配置を可能にする側方特徴を提供するか、又は医療用デバイス内を通過する流体を保持及び方向転換させるバリア層を提供するために、組織表面から離れて面することが意図される医療用デバイスの表面上に適用され得る。
【0014】
各副層102、104は、主対向面、1つ以上の周縁部領域、及び1つ以上の側面深さ領域を有する。周縁部領域及び側面深さ領域の数は、医療用デバイスの形状に依存する。
【0015】
更に、各副層102、104は、少なくとも表面コーティングとして、より好ましくは、副層の深さの全体又は一部へと延在する表面上の反応性の架橋性構成成分のコーティングとして、提供される。これらの反応性構成成分コーティングは、中間に配置された除去可能なバリア層などによって、互いに物理的に分離されている。医療用デバイス又は外傷用医薬材料100は、図1bに示されるように、2つの活性物質の間の境界108に沿って折り畳まて、図1aに示されるように、除去可能な層106によって分離された積み重ねられた副層102及び104を伴う外傷用医薬材料100を生産するように、2つの副区画上に、好ましくは約半分に、異なってコーティングされる、単一基材構造体(例えば、マトリックス)材料で構成され得る。別の実施形態では、基材構造体は、図2に示すように、中間に配置された除去可能なバリア層106を有する、少なくとも2つの別個の分離した共反応性含有副層102、104を有し得る。
【0016】
副層102及び104は、図4の溶接点108として示される超音波溶接、ニードルパンチング、熱溶接、化学的付着、縫合取付けを介して互いに構造的に一体化され得、それにより、各層によって相対的な位置安定性を保持し、さもなければ物理的に別個であり分離されている。医療用デバイス100は、図3a及び図3bに示されるように、中間に配置された除去可能なセパレータバリア層106を伴う、コーティングされた副層102と104との間に2つのヒンジ110を有する二重構造体として構成され得る。代替的な実施形態では、基材構造体は、特定の点108で構造的に一体化された少なくとも2つの別個の分離した共反応性含有副層102及び104を有し得、図4又は図5に示すように、中間に配置された除去可能なバリア層106を有し、ここで当該バリア層106は、デバイスの二次パッケージ112と一体化されている。
【0017】
基材構造体の共反応性キャリア層は、織布、不織布又は多孔質スポンジ材料の形態であり得る。例示的な構造体材料は、セルロース系、合成ポリマー、ゼラチン、コラーゲン、及び細胞外マトリックスである。基材は、ゼラチン、コラーゲン、酸化多糖類、脂肪族ポリエステルポリマー、並びに/又は、D-乳酸、L-乳酸、ラクチド(L-、D-、メソ形を含む)、グリコール酸、グリコリド、カプロラクトン、p-ジオキサノン及びトリメチレンカーボネート、並びにこれらの混合物又はブレンドからなる群から選択される1つ以上のモノマーのコポリマーから選択される構成成分からなり得る。分解性脂肪族ポリエステルジオール及び分解性鎖延長剤(例えば、2-ヒドロキシエチル-2-ヒドロキシプロパノエート、4-((1-(1-アミノ-2-フェニルエトキシ)エトキシ)メチルシクロヘキシル)メチル-2-アミノ-3-フェニルプロパノエート、1,1-(ヘキサン-1,6-ジイル)ビス(3-(2-ヒドロキシエチル尿素、エタン-1,2-ジイルビス(3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパノエート、ビス(2-ヒドロキシエチル)ホスフェート及びビス(2-ヒドロキシヘキシル)ホスフェート))と共に、ジイソシアネート(例えば、2,6-ジイソシアネートヘキサン酸エチル(ELDI)及び2,6-ジイソシアネートヘキサン酸メチル(MLDI))を使用(しかし、これらに限定されない)して調製された分解性ポリウレタンもまた、基材の作製に好適であり得る。
【0018】
一形態では、基材構造体は、酸化多糖類、特に酸化セルロース及びこれらの中和誘導体の層からなり得る。例えば、セルロースは、カルボキシル-酸化セルロース又はアルデヒド-酸化セルロースであってもよい。一形態では、酸化再生セルロースを含むがこれに限定されない酸化再生多糖類が使用されてもよい。再生セルロースは、再生されていないセルロースに比べて、より高い均一性を有する。再生セルロース、及び酸化再生セルロースを作製する方法の詳細な説明が、米国特許第3,364,200号、同第5,180,398号、及び同第4,626,253号に記載されており、これらの特許の内容は、その全ての内容が記載されたものとして、参照により本明細書に組み込まれる。利用され得る布の例としては、Interceed吸収性接着バリア、Surgicel(登録商標)吸収性止血材、Surgicel(登録商標)Nu-Knit吸収性止血材、及びSurgicel(登録商標)繊維状吸収性止血材(それぞれ、Ethicon、Somerville,NJから入手可能)が挙げられるが、これらに限定されない。米国特許第5,007,916号は、前述のInterceed吸収性接着バリア及びその作製方法を開示しており、その内容は、それらが開示する全てについて参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
基材は、代替的又は追加的に、脂肪族ポリエステルポリマー、コポリマー、又はこれらのブレンドの布の層からなり得る。脂肪族ポリエステルは、典型的には、ラクチド(L-及びD-、メソ形を含む)、グリコール酸、グリコリド、カプロラクトン、p-ジオキサノン(1,4-ジオキサン-2-オン)、及びトリメチレンカーボネート(1,3-ジオキサン-2-オン)を含むが、これらに限定されないモノマーの開環重合において合成される。脂肪族ポリエステルは、場合によっては、例えば、D-乳酸、L-乳酸、及び/又はグリコール酸の重縮合によって作製され得る。一形態では、布は、グリコリドとラクチドとのコポリマーを、グリコリド及び残りのラクチドのモル基準で、約70~95%の範囲の量で含む。
【0020】
基材構造体はまた、Ethicon,IncからProceedの商標名にて市販されている酸化再生セルロース/ポリプロピレン/ポリジオキサノン(PDS)メッシュを含んでもよい。米国特許公開第2005/0113849A1号及び同第2008/0071300A1号は、前述のProceed酸化再生セルロース/ポリプロピレン/PDSメッシュ基材及びそれを作製するための方法を開示し、その内容は、それらが開示する全てについて参照により本明細書に組み込まれる。一形態では、酸化再生セルロース/ポリプロピレン/PDSメッシュの両方の外側表面は、ポリマーコーティングで実質的にコーティングされてもよく、別の形態では、本基材の一方の外面のみがポリマーコーティングで実質的にコーティングされてもよい。基材を形成するために使用される布は、脂肪族ポリエステルポリマー、コポリマー、又はこれらのブレンドを単独で、あるいは酸化多糖類繊維と組み合わせて含んでもよい。
【0021】
一実施形態では、基材は、生体材料、好ましくはタンパク質、バイオポリマー、又は多糖類マトリックス、特にコラーゲン、ゼラチン、フィブリン、デンプン、又はキトサンマトリックスからなる群から選択される生体材料の層で作製されている。好ましくは、本発明のマトリックスは生分解性である、すなわち、ある時間の経過後、患者の身体に自然に吸収される。いずれにせよ、材料(マトリックスを含む)は、生体適合性でなければならない、すなわち、材料は、それを投与される患者に影響を与えない。このような生分解性材料は、止血が体内で、すなわち手術の過程で達成され、本部位が手術後に閉止される状況において特に好適である。
【0022】
したがって、一実施形態では、基材構造体の1つ以上の副層は、好ましくは、タンパク質などバイオポリマー又は多糖類から選択される生体材料である。特に好ましくは、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、多糖類、例えば、ヒアルロン酸、キトサン、及びこれらの誘導体、より好ましくは、ゼラチン、コラーゲン、及びキトサン、特に好ましくはゼラチン及びコラーゲンからなる群から選択される生体材料である。本発明に使用されるこのようなゼラチン又はコラーゲンマトリックスは、多孔質マトリックス又は繊維状マトリックス、並びに粒子に加工され得る液体、ペースト、繊維状又は粉末状のコラーゲン材料からの材料を含む、ゲルを形成するのに好適な任意のコラーゲン由来であり得る。スポンジ又はシートの製造のためのコラーゲンゲルの調製は、ゲル形成が起こるまでの酸性化及びその後のpH中和を含み得る。ゲル形成能力又は溶解性を改善するために、乾燥時に安定したスポンジ又はシートを形成する特性が低下しない限り、コラーゲンは(部分的に)加水分解又は修飾され得る。トロンビン受容体活性化剤をカップリングするために使用されるマトリックスは、バイオポリマー、すなわち、天然に存在するポリマー若しくはその誘導体であり得るか、又は合成ポリマーであり得る。本発明による止血材料において有用なバイオポリマーの例としては、コラーゲン、ゼラチンなどのコラーゲン誘導体、エラスチン、及びエラスチン誘導体などのポリペプチドが挙げられる。
【0023】
本開示によるコラーゲンを含有する実施形態は、多孔質基材の第1の部分に適用される第1の共反応性及び/又は架橋性構成成分と、多孔質基材の第2の部分に適用される第2の共反応性及び/又は架橋性構成成分と、を有する、多孔質基材を含む。異なる構成成分は互いに架橋しないが、層の1つの上にコーティングされた1つの構成成分が、別個の層上にコーティングされたその他の構成成分を活性化して強力にし、適用時に止血をもたらすことがあり得る。
【0024】
外傷用医薬材料の多孔質基材は、その表面の少なくとも一部分にわたって開口部又は細孔を有する。以下でより詳細に説明するように、多孔質基材を形成するために好適な材料としては、繊維状構造体(例えば、編組構造、織布構造、不織布構造等)及び/又は発泡体(例えば、連続気泡発泡体又は独立気泡発泡体)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、細孔は、多孔質基材の厚さ全体にわたって相互接続するように十分な数及びサイズであってもよい。織布、編布、及び連続気泡発泡体は、細孔が多孔質基材の厚さ全体にわたって相互接続するように十分な数及びサイズであり得る構造の例示的な例である。いくつかの実施形態では、細孔は、多孔質基材の厚さ全体にわたって相互接続しない。独立気泡発泡体又は融合不織布材料は、細孔が多孔質基材の厚さ全体にわたって相互接続していなくてもよい構造の例示的な例である。発泡多孔質基材の細孔は、多孔質基材の厚さ全体に広がってもよい。更にその他の実施形態では、細孔は、多孔質基材の厚さ全体に延在せず、むしろその厚さの一部分に存在する。いくつかの実施形態では、開口部又は細孔は、多孔質基材の表面の一部分に位置し、多孔質基材のその他の部分は、非多孔質テクスチャを有する。
【0025】
多孔質基材又はその副層が繊維状である場合、多孔質基材又は副層は、編組、織組、不織布技術、湿式紡糸、電界紡糸、押出、共押出等が挙げられるがこれらに限定されない、繊維状構造体の形成に好適な任意の方法を使用して形成されてもよい。繊維状構造体を作製するために好適な技術は、当業者の認識範囲内である。いくつかの実施形態では、織物は、米国特許第7,021,086号及び同第6,443,964号に記載されている織物など三次元構造を有し、これらの開示は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0026】
実施形態では、多孔質基材又はその副層は、酸化セルロースの繊維から作製される。このような材料は周知であり、SURGICEL(登録商標)の商標名にて市販されている酸化セルロース止血材料が挙げられる。酸化セルロース止血材料を調製するための方法は、当業者に周知であり、例えば、米国特許第3,364,200号、同第4,626,253号、同第5,484,913号、及び同第6,500,777号に開示されており、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
多孔質基材又は副層が発泡体である場合、多孔質基材又は副層は、組成物の凍結乾燥又はフリーズドライが挙げられるがこれに限定されない、発泡体又はスポンジの形成に好適な任意の方法を使用して形成されてもよい。発泡体は、架橋性又は非架橋性であってもよく、共有結合又はイオン結合を含んでもよい。発泡体を作製するために好適な技術は、当業者の認識範囲内である。
【0028】
多孔質基材の1層以上の副層は、少なくとも0.1cmの厚さであり得、ある特定の実施形態では、約0.2~約1.5cmの厚さであり得る。多孔質基材の副層中の細孔のサイズは、約2マイクロメートル~約300マイクロメートルであり得、ある特定の実施形態では、約50マイクロメートル~約150マイクロメートルであり得る。基材の副層の細孔は、基材中に任意の様式で配置され得ることが想定される。例えば、細孔はランダム又は均一な様式で構成され得る。いくつかの実施形態では、アルギン酸銅(copper alginate)を使用して細孔を形成し、ハニカム形状の多孔質基材を作製してもよい。更にその他の実施形態では、細孔は、多孔質基材に勾配を作り出すように構成されてもよい。勾配は、生理液を吸収し、第1の共反応性構成成分を担持する生理液の移動を第2の共反応性構成成分に対して向ける、多孔質基材の能力を更に高め得る。
【0029】
実施形態では、外傷用医薬材料及びその基材構造体は、分子量約100kDaの、主に非加水分解α鎖からなる、非変性コラーゲン、又は加熱若しくは任意のその他の方法によってその螺旋構造を少なくとも部分的に欠損しているコラーゲンから作製される。用語「非変性コラーゲン」とは、その螺旋構造を欠損していないコラーゲンを意味する。本明細書の外傷用医薬材料の外傷用医薬材料のために使用されるコラーゲンは、天然コラーゲンであっても、あるいは、とりわけ、ペプシン消化によって得られる、及び/又は上記で定義した中度の加熱後に得られる、アテロコラーゲンであってもよい。コラーゲンは、酸化、メチル化、エチル化、サクシニル化、又は任意のその他の周知のプロセスによって予め化学的に修飾されていてもよい。コラーゲンはまた、ゲニピン、イソシアネート、及びアルデヒドなどの任意の好適な架橋剤で架橋されてもよい。コラーゲンの起源及び種類は、上記の非外傷用医薬材料について示された通りであってもよい。
【0030】
他の実施形態では、ゼラチン又はコラーゲン(本明細書に記載される任意のコラーゲンを含む)は、前駆体の1つとして利用されてもよい。以下により詳細に記載されるように、コラーゲン前駆体上のアミン基(これは、求核性である)は、第1の共反応性構成成分上の求電子性基と自由に反応し得、それによって、本開示の基材を形成する。
【0031】
実施形態では、基材又はその多孔質コラーゲン層は、2~50グラム/リットル(g/l)の濃度及び4~25℃の初期温度で、コラーゲンの酸性水溶液を凍結乾燥することによって、得ることができる。溶液中のコラーゲンの濃度は、約1g/l~約30g/l、実施形態では約10g/lであり得る。本溶液は、有利には、約6~8のpHに中和される。外傷用医薬材料はまた、コラーゲン又は加熱コラーゲンの溶液から調製され、それぞれの可変量のある体積の空気(空気対水の体積は約1~約10で変化する)の存在下で乳化された流体発泡体を凍結乾燥することによって得ることができる。
【0032】
一実施形態では、基材構造体は、第1の副層上に適用された第1の共反応性構成成分と、そこに適用された第2の共反応性構成成分と、を有する。用語「第1の共反応性構成成分」及び「第2の共反応性構成成分」とは、ヒドロゲルなどの架橋分子のネットワークを形成する反応に関与し得るポリマー、機能性ポリマー、巨大分子、低分子、又は架橋剤をそれぞれ意味する。
【0033】
一実施形態では、第1の共反応性構成成分及び第2の共反応性構成成分のそれぞれは、多官能性であり、これは、例えば、第1の共反応性構成成分上の求核性官能基が第2の共反応性構成成分上の求電子性官能基と反応して共有結合を形成し得るように、2つ以上の求電子性基又は求核性官能基を含むことを意味する。第1の共反応性構成成分又は第2の共反応性構成成分の少なくとも一方は、求電子性-求核性反応の結果として前駆体が合わさり架橋ポリマー生成物を形成するように、3つ以上の官能基を含む。このような反応を「架橋反応」と称する。
【0034】
ある特定の実施形態では、第1の共反応性構成成分及び第2の共反応性構成成分のそれぞれは、求核性前駆体及び求電子性前駆体の両方が架橋反応で使用される限り、求核性基のみ又は求電子性官能基のみのいずれかの官能基の1カテゴリのみを含む。したがって、例えば、第1の共反応性構成成分がアミンなどの求核性官能基を有する場合、第2の共反応性構成成分は、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)などの求電子性官能基を有してもよい。一方で、第1の共反応性構成成分がスルホスクシンイミドなどの求電子性官能基を有する場合には、第2の共反応性構成成分は、アミン又はチオールなどの求核性官能基を有してもよい。したがって、タンパク質、ポリ(アリルアミン)、スルフヒドリル(又はチオール)末端処理PEGなどの機能性ポリマー、又はアミン末端処理ジ-若しくは多官能性ポリ(エチレングリコール)(PEG)を使用し得る。
【0035】
第1の共反応性構成成分及び第2の共反応性構成成分は、生物学的に不活性かつ水溶性のコアを有してもよい。コアが水溶性のポリマー領域である場合、使用されてもよい好ましいポリマーとしては、ポリエーテル、例えば、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリエチレンオキシド(「PEO」)、ポリエチレンオキシド-コ-ポリプロピレンオキシド(「PPO」)、コ-ポリエチレンオキシドブロック又はランダムコポリマー、及びポリビニルアルコール(「PVA」)などのポリアルキレンオキシドと、ポリ(ビニルピロリジノン)(「PVP」)と、ポリ(アミノ酸)と、例えばデキストラン、キトサン、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、酸化セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒアルロン酸などのポリ(サッカライド)と、アルブミン、コラーゲン、カゼイン、及びゼラチンなどのタンパク質と、が挙げられる。ポリエーテル、より具体的にはポリ(オキシアルキレン)若しくはポリ(エチレングリコール)、又はポリエチレングリコールが、特に有用である。コアが本質的に低分子である場合、種々の親水官能性のいずれかを使用して、第1の共反応性構成成分及び第2の共反応性構成成分を水溶性にし得る。例えば、水溶性であるヒドロキシル、アミン、スルホン酸、及びカルボン酸のような官能基を使用して、前駆体を水溶性にしてもよい。なお、スベリン酸(subaric acid)のN-ヒドロキシスクシンイミド(「NHS」)エステルは水に不溶性であるが、スクシンイミド環にスルホネート基を付加することにより、アミン基に対する反応性に影響を与えることなく、スベリン酸のNHSエステルを水溶性にすることができる。
【0036】
実施形態では、第1の共反応性構成成分及び第2の共反応性構成成分の両方は、架橋することができる大きな分子であってもよい。例えば、実施形態では、前駆体のうちの1つは、約2,000~約20,000ダルトンの分子量を有する多官能性PEGであってもよい。本多官能性PEGは、求電子性基を有する実施形態では、約100,000ダルトンの分子量を有するコラーゲンと反応してもよい。他の実施形態では、約50,000~約100,000ダルトンの分子量を有するゼラチンを、コラーゲンの代わりに使用してもよい。
【0037】
第1の共反応性構成成分及び第2の共反応性構成成分の反応から生じる生体適合性架橋ポリマーが生分解性又は吸収性であることが望ましい場合、第1の共反応性構成成分及び第2の共反応性構成成分の1つ以上は、官能基間に存在する生分解性結合を有してもよい。生分解性結合は、場合によりまた、1つ以上の前駆体の水溶性コアとしても機能する場合がある。代替的に、又は加えて、第1の共反応性構成成分及び第2の共反応性構成成分の官能基は、それらの間の反応の生成物が生分解性結合をもたらすように選択されてもよい。各アプローチでは、得られた生分解性生体適合性架橋ポリマーが、所望の期間内に分解、溶解、又は吸収されるように、生分解性結合が選択されてもよい。好ましくは、生理学的条件下において非毒性生成物へと分解する生分解性結合が選択される。
【0038】
生分解性結合は、キレート、又は化学的若しくは酵素的に加水分解性若しくは吸収性であってもよい。例示的な化学的に加水分解可能な生分解性結合としては、グリコリド、d-ラクチド、ラクチド、カプロラクトン、ジオキサノン、及びトリメチレンカーボネートの、ポリマー、コポリマー及びオリゴマーが挙げられる。例示的な酵素的に加水分解可能な生分解性結合としては、メタロプロテイナーゼ及びコラゲナーゼによって切断可能なペプチド性結合が挙げられる。更なる例示的な生分解性結合としては、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ(オルトカーボネート)、ポリ(無水物)、ポリ(ラクトン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(カーボネート)、ポリ(サッカライド)、及びポリ(ホスホネート)のポリマー並びにコポリマーと、同様に分解可能なポリウレタンが挙げられる。実施形態では、生分解性結合は、エステル結合を含有してもよい。いくつかの非限定的な例としては、コハク酸、グルタル酸、プロピオン酸、アジピン酸、又はアミノ酸のエステル、並びにカルボキシメチルエステルが挙げられる。
【0039】
実施形態では、複数のNHS基で官能化された多腕PEGなどの多官能性求電子性ポリマーは、第1の共反応性構成成分として使用されてもよく、トリリジンなどの多官能性求核性成分は、第2の共反応性構成成分として使用されてもよい。他の実施形態では、複数のNHS基で官能化された多腕PEGなどの多官能性求電子性ポリマーは、第1の共反応性構成成分として使用されてもよく、コラーゲン及び/又はコラーゲン誘導体などの多官能性求核性ポリマーは、第2の共反応性構成成分として使用されてもよい。複数のNHS基で官能化された多腕PEGは、例えば、4つ、6つ又は8つの腕部を有し得、約5,000~約25,000の分子量を有し得る。好適な第1の前駆体及び第2の前駆体の多くの他の例は、米国特許第6,152,943号、同第6,165,201号、同第6,179,862号、同第6,514,534号、同第6,566,406号、同第6,605,294号、同第6,673,093号、同第6,703,047号、同第6,818,018号、同第7,009,034号、及び同第7,347,850号に記載され、これらのそれぞれの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
図1を参照すると、第1の共反応性構成成分が多孔質基材の第1の部分102に適用され得、第2の共反応性構成成分が多孔質基材の第2の部分104に適用され得る。例えば、前駆体は、粒子状物質などの乾燥形態で、又はフィルム若しくは発泡体などの固体状態若しくは半固体状態で適用されてもよい。実施形態では、第1の共反応性構成成分又は第2の共反応性構成成分の少なくとも1つは、フィルムとして多孔質基材に塗布される。第1の共反応性構成成分は、噴霧、はけ塗り、浸漬、注入、ラミネート加工等を含むがこれらに限定されない、当業者に周知の任意の好適な方法を使用して多孔質基材に適用されてもよい。実施形態では、第1の共反応性構成成分は、止血用外傷用医薬材料を形成することができる任意の濃度、寸法、及び構成で基材上にコーティングとして適用されてもよい。
【0041】
ある特定の実施形態では、第1の共反応性構成成分コーティングは、多孔質基材構造体の細孔に浸透してもよい。コーティングは、非多孔質層又は多孔質層を形成してもよい。ある特定の実施形態では、第1の共反応性構成成分は、基材の少なくとも片側にラミネート加工されたフィルムとして適用されてもよい。
【0042】
同様に、第2の共反応性構成成分は、噴霧、はけ塗り、浸漬、注入、ラミネート加工等を含むがこれらに限定されない、当業者に周知の任意の好適な方法を使用して多孔質基材に適用されてもよい。
【0043】
実施形態では、第2の共反応性構成成分は、多孔質基材を形成する前に多孔質基材に組み込まれてもよい。他の実施形態では、第2の共反応性構成成分は、基材の形成後に、多孔質基材の細孔内又は多孔質基材の表面上に位置付けられてもよい。更に他の実施形態では、多孔質基材は、第2の共反応性構成成分の適用前に圧延されてもよく、それによって、圧延プロセスによって作製された基材上の開口部内へと第2の前駆体が浸透することを可能にする。更に他の実施形態では、第2の共反応性構成成分を溶液中で多孔質基材に適用し、続いて、溶媒を蒸発又は凍結乾燥させてもよい。ある特定の実施形態では、第2の共反応性構成成分は、基材の少なくとも片側上のコーティングとして、又は基材の少なくとも片側上にラミネートされたフィルムとして、多孔質基材に適用されてもよい。
【0044】
発泡コラーゲン又はゼラチンの代替として、多孔質基材構造体又はその副層は繊維状構造体であってもよいことを、理解すべきである。したがって、実施形態では、多孔質基材又は副層は、繊維状構造体、すなわち、織布又は不織布構造体であってもよい。第1の共反応性構成成分及び第2の共反応性構成成分は、発泡体多孔質基材に関して上述したのと実質的に同じ技術を使用して、繊維状多孔質基材構造体又はその一部に適用され得る。したがって、多孔質基材又は副層が繊維状である上述の発泡体多孔質基材と同様に、第1の共反応性構成成分及び/又は第2の共反応性構成成分は、例えば、溶液から堆積した粒子、フィルム形成溶液を乾燥させることによって形成された非多孔質フィルムとして、又は繊維状多孔質基材の少なくとも一部分に適用された発泡体として、適用されてもよい。
【0045】
バリア層は、非多孔質であり、各副層上に提供されるような共反応性構成成分に対して不活性であるか、又は共反応性構成成分の通過を阻害する孔径を有して、異なる層中の材料間の相互作用を防止する。バリアは、貯蔵寿命を改善するために医療用デバイス内の水分レベルを低減する材料の適切な選択による乾燥剤であるか、又はそれを含むことができる。バリア層106は、副層102及び104の接着を防止する。バリア層106は、図5に例示されるようないくつかの実施形態では、医療用デバイスのための一次パッケージ又は二次パッケージの一部として形成され得るか、又はそれと一体化され得る。バリア層106は、一般に、平坦なフィルム層であるが、コーティングされた副層間に若干の追加の空間及び間隔を提供するためにテクスチャ加工され得る。
【0046】
バリア層106は、バリア層106が1つ又は両方のコーティングされた副層102、104の少なくとも1つの周縁部を越えて延在するように、副層102と104との間に位置付けられ得、したがって、使用者は、使用前にバリア層106を把持して除去し得る。図5の一体化されたパッケージの実施形態では、バリア層106は、デバイス100がパッケージ112から取り出された際に、バリア層106がコーティングされた副層102と104との間から同じ動きで除去されるように、パッケージ材料112の少なくとも一部に取り付けられ得る。バリア層106は、その表面に沿って穴114及び切れ目116を有し得、副層102及び104を互いに接続して、より大きな構造的完全性を得ることができる。図6に示されるように、バリア層106の周縁部領域に沿った選択された点におけるこのような穴114及び切れ目116は、バリア層106が引っ張り作用によって副層102と104との間から容易に除去され得るように設計される。別の実施形態では、副層の周縁部領域以外の空間における相互接続を可能にするために、バリア層の軸線の少なくとも一部分にわたってスリット及び所望により開口部を提供し得る。
【0047】
バリア層106を除去し、続いて組織と接触させると、生理液が外傷用医薬材料に浸透し、移動し、異なる副層102及び104上の共反応性構成成分と相互作用する。流体が第1の部分102に向かって運ばれた際に、溶液が第2の共反応性構成成分と接触し、生理液によって溶解され、また生理液と混合されることが想定される。本混合は、第1の前駆体及び第2の前駆体を活性化し、それらが相互作用及び/又は架橋して、外傷用医薬材料材100の封止及び止血機能を補助する封止部を形成することを可能にするであろう。構成要素のうちの1つが他の構成成分のための活性化因子である場合、生理液は、構成成分の活性化を可能にし、構成成分が組織又は生理液と接触した際に、封止又は止血をもたらし得る。ある特定の実施形態では、この新たに形成されたヒドロゲル/生理液外傷用医薬材料はまた、癒着バリアとして作用し得る。
【0048】
一実施形態では、1つ以上の副層102又は104は、不織布及び強化布を含む。強化布は、不織布が直接又は間接的に取り付けられ得る裏材を提供する。不織布は、本明細書に記載される強化された吸収性多層布の第1の吸収性不織布として機能する。第1の吸収性不織布は、脂肪族ポリエステルポリマー、コポリマー、又はこれらのブレンドを含む繊維からなる。脂肪族ポリエステルは、典型的には、乳酸、ラクチド(L-、D-、メソ形、及びD、L混合物を含む)、グリコール酸、グリコリド、ε-カプロラクトン、p-ジオキサノン(1,4-ジオキサン-2-オン)、及びトリメチレンカーボネート(1,3-ジオキサン-2-オン)を含むが、これらに限定されないモノマーの開環重合において合成される。好ましくは、第1の吸収性不織布は、グリコリドとラクチドとのコポリマーを、グリコリド及び残りのラクチドのモル基準で、約70~95%の範囲の量で含む。
【0049】
代替的実施形態では、第1の吸収性不織布は、酸化多糖類繊維と組み合わせて、脂肪族ポリエステルポリマー、コポリマー、又はこれらのブレンドからなる繊維を含む。好ましくは、不織布は、紡糸、織組、又は編組以外のプロセスによって作製される。例えば、不織布は、紡糸、織組又は編組を含むプロセスによって作製された編み糸、スクリム、網又はフィラメントから調製されてもよい。編み糸、スクリム、網及び/又はフィラメントは、互いの絡み合い及び第2の吸収性織布又は編布への付着を強化するために捲縮される。次に、このような捲縮された編み糸、スクリム、網及び/又はフィラメントを、絡み合うのに十分な長さのステープルへと切断してもよい。ステープルは、長さが約0.1~3.0インチ、好ましくは約0.75~2.5インチ、最も好ましくは約1.5~2.0インチであってもよい。ステープルをカード加工して不織布バットを作製し、次にこれをニードルパンチ又はカレンダー加工して第1の吸収性不織布にしてもよい。なお、ステープルは、捻じれるか又は積み重ねられてもよい。
【0050】
不織布の副層の厚さは、約0.25~2mmの範囲であってもよい。不織布の坪量は、約0.01~0.2g/in、好ましくは約0.03~0.1g/in、最も好ましくは約0.04~0.08g/inの範囲である。第1の吸収性不織布の重量%は、強化吸収性多層布の総重量に基づいて、約10~80%の範囲であってもよい。
【0051】
第2の吸収性織布又は編布は、強化繊維として機能し、また酸化多糖類、特に酸化セルロース及びその中和誘導体を含む。例えば、セルロースは、カルボキシル-酸化又はアルデヒド-酸化セルロースであってよい。より好ましくは、酸化再生セルロースを含むがこれに限定されない酸化再生多糖類を使用して、第2の吸収性織布又は編布を調製してもよい。再生セルロースは、再生されていないセルロースに比べて、そのより高い均一性のために好ましい。再生セルロース、及び酸化再生セルロースを作製する方法の詳細な説明が、米国特許第3,364,200号、同第5,180,398号、及び同第4,626,253号に記載されており、これらの特許のそれぞれの内容は、その全ての内容が記載されたものとして、参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
本発明に利用されている強化布は、布が企図される用途で使用するのに必要な物理的特性を有するならば、織られていても又は編まれていてもよい。このような布は、例えば、米国特許第4,626,253号、同第5,002,551号、及び同第5,007,916号に記載されており、これらの内容は、その全体が記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。好ましい実施形態では、強化布は、ブライトレーヨン糸で構成された縦編みトリコット生地であり、これは続いて、布に生分解性を与えるのに有効な量のカルボキシル部分又はアルデヒド部分を含ませるために酸化される。
【0053】
別の実施形態では、第2の吸収性織布又は編布は、脂肪族ポリエステルポリマー、コポリマー、又はこれらのブレンドからなる繊維と組み合わせて酸化多糖類繊維を含む。
【0054】
第2の吸収性織布又は編布は、好ましくは酸化再生セルロースを含み、約0.001~0.2g/inの範囲、好ましくは約0.01~0.1g/inの範囲、最も好ましくは約0.04~0.07g/inの範囲の坪量を有してもよい。
【0055】
第1の吸収性不織布は、第2の吸収性織布又は編布に直接又は間接的のいずれかで取り付けられる。例えば、不織布は、ニードルパンチ加工、カレンダー加工、エンボス加工、又は水流絡合(hydroentanglement)、あるいは化学的接着若しくは熱接着を介して、第2の吸収性織布又は編布に組み込まれてもよい。第1の吸収性不織布のステープルは、互いに絡み合って、第2の吸収性織布又は編布に埋め込まれてもよい。より具体的には、化学的接着又は熱接着以外の方法では、第1の吸収性不織布のステープルの少なくとも約1%、好ましくは約10~20%、好ましくは約50%以下が、第2の吸収性織布又は編布の他方の側上に露出するように、第1の吸収性不織布を第2の吸収性織布又は編布に取り付けてもよい。これは、第1の吸収性不織布及び第2の吸収性織布又は編布が接合されたままであり、通常の取り扱い条件下で離層しないことを確実にする。強化された吸収性多層布は均一であり、これによって、実質的に、第2の吸収性織布又は編布のいずれも、第1の吸収性不織布による被覆を視覚的に欠いていない。
【0056】
一実施形態では、強化層と吸収性層との組み合わせであるマトリックスAには、反応性PEG、好ましくは、多一級アミン官能性ポリエチレングリコール誘導体を意味するPEG-アミン(NH2)が噴霧され、合成ポリマーの不織布マトリックスであるマトリックスBには、共反応性PEG、好ましくは、多N-ヒドロキシルスクシンイミド(NHS)官能性ポリエチレングリコールを意味するPEG-NHSが噴霧される。これらの2つの副層は、超音波溶接、ニードルパンチ加工、熱溶接、化学的付着、縫合付着等によって、表面領域に沿ったいくつかの点で互いに接続される。バリアフィルムは、2つのマトリックスの間に位置付けられる。バリア層は可撓性であり、使用前に、手動で、及び/又は外傷用医薬材料がパッケージから引っ張られる際に外側パッケージに接続することによって、のいずれかで、除去される。バリア層は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリスチレン又はTyvekから作製され得る。
【0057】
使用中、外傷用医薬材料は、第1の共反応性構成成分が適用される部分が組織により近くなり、そこに適用される第2の共反応性構成成分を有する部分がそこに隣接するが組織からより遠くなるように、配向される。実施形態では、第1の部分及び第2の部分は、造影染料、表面テクスチャ、着色又はその他の視覚的手がかりを加えることによって互いに区別可能であり得る。例えば損傷した組織などの組織と接触する際に、外傷用医薬材料は生理液を吸い上げ、第1のヒドロゲル共反応性構成成分は流体によって溶解される。流体が外傷用医薬材料の中に吸い上げられ、外傷用医薬材料を横切って移動する際、流体は、溶解した第1の共反応性構成成分を外傷用医薬材料に沿って運ぶ。最終的に、流体は、第2の共反応性構成成分が適用される第2の部分に到達するのに十分に外傷用医薬材料を通って移動し、それによって、第2の共反応性構成成分を溶解する。第1の共反応性構成成分及び第2の共反応性構成成分は、次に、反応して生体適合性架橋材料を形成し、それによって、足場が分解するにつれて組織内殖及び再構築を手助けする。いくつかの実施形態では、第1の共反応性構成成分及び第2の共反応性構成成分の反応によって生成される生体適合性架橋材料はまた、抗接着特性を有する外傷用医薬材料を提供する。
【0058】
以下の実施例は、例示目的で提供されるにすぎず、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0059】
超音波噴霧機械を使用して、2インチ×4インチのマトリックス(マトリックスA)を、11.59mg/cmのPEG-NH2 5K(アセトン100ml中20グラム)でコーティングした。次に、90%のグリコリドと10%のL-ラクチドとのコポリマーから形成された2つの2インチ×4インチのPG910バット(マトリックスB)を、2つの異なる繊維密度(8.5グラム/バット及び15.0グラム/バット)で、超音波噴霧機械を使用して、13.91mg/cmのPEG-NHS 10K(アセトン100ml中20グラム)でコーティングした。2つのコーティングされたマトリックスを、それらが互いに物理的に接触していない窒素ボックス中、室温で一晩乾燥させた。
【0060】
2つのマトリックス(A及びB)を3cm×3cmの正方形に切断し、互いの上に位置付けた。次に、このオーバーレイを、タンポナーデを用いて2分間、(ヘパリン化ウシ血液で灌流した)エクスビボ脾臓出血モデルにおける10mm円形生検欠損上に置いた。適用前後の出血のレベルを定性的(出血の目視観察)並びに定量的(欠損から灌流された血液量をグラム/分で測定)に評価した。
【0061】
マトリックスBが8.5g/バットの密度であるオーバーレイ構造体のマトリックスの場合。適用後の欠損から血流は観察されず、測定された血流は、27.74gの血液/分から0gの血液に低下した。
【0062】
マトリックスBが15g/バットの密度であるオーバーレイ構造体のマトリックスの場合。適用後の欠損から血流は観察されず、測定された血流は、11.59gの血液/分から0gの血液に低下した。密度が8.5g/バット及び15g/バットのPEG-NHS(マトリックスB)でコーティングされたバットは両方とも、欠損からの出血を排除するのに有効であったことが示された。更に、2つのマトリックスは機械的又は化学的に付着していなかったが、血液及びおそらく血液による2つの共反応性PEGの活性化が欠損部位で層を共に結合したように思われるため、層剥離は観察されなかった。しかしながら、2つの共反応性PEGを分離することは、2つの共反応性PEGで共コーティングされたパッチと比較して、生成物の安定性を改善した。
【0063】
〔実施の態様〕
(1) 医療用デバイスであって、
a.第1の共反応性構成成分の少なくとも表面コーティングを上に有する少なくとも1つの主対向面を有する第1の多孔質基材層と、
b.前記第1の共反応性構成成分と反応する第2の共反応性構成成分の少なくとも表面コーティング層を有する少なくとも1つの主対向面を有する第2の基材層と、
c.前記第1の基材層と前記第2の基材層との間に位置付けられ、前記第1の基材層及び前記第2の基材層からの、それぞれ互いに独立した、少なくとも1つの主対向面又は表面コーティングと接触している、除去可能なバリア層と、を備える、医療用デバイス。
(2) 前記第1の基材層が、1つ以上の合成ポリマー又はコポリマー、セルロース系材料、及びこれらのブレンドから構成された多孔質の不織布メッシュである、実施態様1に記載の医療用デバイス。
(3) 前記第2の基材層が、1つ以上の合成ポリマー又はコポリマー、セルロース系材料、及びこれらのブレンドから構成された多孔質の不織布メッシュである、実施態様2に記載の医療用デバイス。
(4) 前記第2の基材層が非多孔質フィルムである、実施態様1に記載の医療用デバイス。
(5) 非多孔質フィルムが前記第2の基材層の上部対向面上に適用されている、実施態様3に記載の医療用デバイス。
【0064】
(6) 前記第1の基材層の少なくとも1つの主面が、前記第1の共反応性構成成分としての求核基含有化合物でコーティングされている、実施態様3に記載の医療用デバイス。
(7) 前記第2の基材層の少なくとも1つの主面が、前記第2の共反応性構成成分としての求電子性基含有化合物でコーティングされている、実施態様3に記載の医療用デバイス。
(8) 基材層の少なくとも1つの主面が、コーティングされたPEG-NHSである、実施態様1に記載の医療用デバイス。
(9) 前記PEG-NHSコーティングされた基材が、組織対向面である、実施態様8に記載の医療用デバイス。
(10) PEG-NHS基材が基材層の両側上にコーティングされ、PEG-アミンが、対向する多孔質基材の片側上のみにコーティングされている、実施態様8に記載の医療用デバイス。
【0065】
(11) 前記第2の共反応性構成成分が、前記第1の共反応性構成成分のための活性化剤を更に含む、実施態様1に記載の医療用デバイス。
(12) 前記活性化剤が、酵素、緩衝剤、カルボジイミド、触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施態様11に記載の医療用デバイス。
(13) 前記第1の基材層、前記第2の基材層、及び前記バリア層は、少なくとも3つの前記層が積み重ねられたサンドイッチ構成で組み立てられている、実施態様3に記載の医療用デバイス。
(14) 前記第1の基材層及び前記第2の基材層が、複数の接続点又は溶接部によって共通の相対配置に維持されている、実施態様6に記載の医療用デバイス。
(15) 前記第1の基材層及び前記第2の基材層が、ヒンジに沿って共通の基材材料を折り曲げることによって形成されている、実施態様1に記載の医療用デバイス。
【0066】
(16) 前記第1の基材層及び前記第2の基材層が、縁部周辺領域を有し、前記複数の接続点又は溶接部が、前記第1の基材層及び前記第2の基材層のそれぞれの上の少なくとも1つの縁部周辺領域に沿った別個の点に提供されている、実施態様1に記載の医療用デバイス。
(17) 少なくとも複数の接続点又は溶接部が、前記第1の基材層及び前記第2の基材層の軸に沿って前記不活性フィルムを貫通して提供されている、実施態様16に記載の医療用デバイス。
(18) 前記バリア層が、少なくともその長さ部分に沿って、前記複数の接続点又は溶接部に対応するスリットを有し、前記スリットは、前記バリア層を引き裂く必要なく引っ張ることによって、前記第1の基材層と前記第2の基材層との間から前記不活性フィルムを除去することを可能にする、実施態様1に記載の医療用デバイス。
(19) 前記バリア層の少なくとも1つの周縁部が、前記第1の基材層及び前記第2の基材層のうちの少なくとも一方の周縁部を越えて延在する、実施態様1に記載の医療用デバイス。
(20) 1つ以上のパッケージ構成要素を更に備え、前記バリア層は、前記パッケージに取り付けられ、前記医療用デバイスが関連する前記1つ以上のパッケージ構成要素から分離される際に除去される、実施態様1に記載の医療用デバイス。
【0067】
(21) 前記パッケージ構成要素のうちの少なくとも1つが、前記第1の基材層及び前記第2の基材層のための2つの空間的に分離された区画を有する収容コンパートメントである、実施態様20に記載のキット。
(22) 前記収容コンパートメントが、前記第1の基材層及び前記第2の基材層を保持するための単一の区画である、実施態様20に記載のキット。
(23) 実施態様1に記載のパッチを出血組織部位に適用することを含む、出血部位上で止血を達成する方法。
(24) PEG-NHSコーティングされた基材が前記出血組織部位に直接適用される、実施態様23に記載の方法。
(25) 実施態様1に記載のパッチを損傷した組織部位に適用することを含む、組織を封止するための方法。
【0068】
(26) PEG-NHS基材が前記損傷した組織部位に直接適用される、実施態様25に記載の方法。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
【国際調査報告】